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アポカリプス・ランページ⑯〜因果を超えた挑戦

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●最強にして絶対
「マザー・コンピュータ……まさか、このようなオブリビオンが存在したとはな」
 今まで戦ってきた相手の中でも、その出鱈目さは群を抜く。心して聞いて欲しいとだけ告げた霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)。その口から語られたのは、実に恐るべき内容だった。
「マザー・コンピュータは『フィールド・オブ・ナイン』の1体にして、自身が創造した超巨大コンピュータの生体コアでもある女性だ。その能力は、あらゆる物質と概念を『機械化』すること。放置しておけばアメリカ大陸そのものを戦闘機怪獣へと変貌させ、いずれは地球そのものを機械の星にしてしまうだけの力を持っている」
 はっきり言って、それだけでも反則級の能力である。しかし、それはマザー・コンピュータの持つ力の、ほんの一端に過ぎない。真に恐ろしいのは機械から抜けだした彼女の使う、もう一つの能力だと紫苑は続けた。
「機械から抜けだしたマザーは、先の機械制御能力を一時的に失ってしまう。だが……その代わりに、蓄積していた『時間質量』を開放して赤く光り輝き、任意の対象の時間を2〜4倍速で『巻き戻し』たり『早送り』したりできるようになるようだ」
 その名も、タイムフォール・ダウン。なお、この能力はユーベルコードではないため、時間を加速させたり巻き戻したりしながら、マザー自身はユーベルコードで攻撃して来る。時間を操るという関係上、絶対に先制で攻撃を受けてしまうため、防御や回避は殆ど意味を成さないと言って良い。
「こちらが身を固めたり、技を見切ろうとしたりしても、それに対してタイムフォール・ダウンを使われれば、防御姿勢に入る前の状態に戻されてしまうからな。当然、ユーベルコードでの対処も間に合わない。そして、攻撃に耐えて反撃を当てたところで、マザー自身が自分の時間を巻き戻してしまえば、お前達の攻撃は、全て『なかったこと』にされてしまう」
 はっきり言って、無茶苦茶である。一応、猟兵が代わる代わる攻撃を仕掛けることで、先の猟兵によるダメージまで無効化させることは防げるので、負傷を蓄積させるのに意味はあるようだが……個人としてマザーと向き合った場合、まずは時間操作をなんとかしなければ、ダメージを蓄積させることさえままならない。
「純粋な力押しや、数の差を利用して集団で同時に攻める戦術は、殆ど意味を成さないと考えて良いかもしれない。それでも、ここでやつを放っておけば、いずれ地球は全て機械化されてしまうぞ」
 無茶を言っているのは、百も承知。それでも、マザーとの戦いに赴いてくれるのであれば、喜んで案内しよう。
 そう言って、紫苑は猟兵達を、マザーの待つデトロイトの街へと転送した。


雷紋寺音弥
 このシナリオは戦争シナリオです。
 1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。

●マザー・タイムフォール・ダウン
 あらゆる機械制御能力を喪失する代わりに、時間への干渉能力を得た、マザー・コンピュータの中枢です。
 ユーベルコードとは別に、対象の時間を加速させたり巻き戻したりする能力を持ちます。
 この能力を利用して行われる先制攻撃は、生半可な方法では防ぐことも避けることもできません(防御態勢に入る前の状態に時間を巻き戻されてしまうため)。

●プレイングボーナス
 敵の『巻き戻し』『早送り』を含めた先制攻撃に対処することで、プレイングボーナスが得られます。
 敵のユーベルコードを食らっても、猟兵は即時戦闘不能になるとは限らないので、反撃からの切り返しは可能です。
 ただし、反撃しようとしても『攻撃する直前』に猟兵の時間を戻されたら攻撃がキャンセルされてしまいますし、攻撃を命中させても『攻撃が命中する前』にマザーの時間を戻されたら全回復されてしまいます。
 何らかの形で一時的にでも、彼女の使う時間操作能力を阻止できるよう工夫してください。
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第1章 ボス戦 『マザー・タイムフォール・ダウン』

POW   :    タイム・タイド・アタック
【時間質量の開放がもたらす超加速】によりレベル×100km/hで飛翔し、【速度】×【戦闘開始からの経過時間】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    タイム・アクセラレーション
【時間の超加速】による素早い一撃を放つ。また、【時間質量の消費】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    オールドマンズ・クロック
攻撃が命中した対象に【時計型の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体が老化し続けること】による追加攻撃を与え続ける。
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ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
事前に行動することはできないようだから、行動無しに常時働く防御手段が必要になるかしら。

転送される前にケブラー装甲のシートを用意。
[結界術][オーラ防御]をあらかじめ発動させた状態で中にくるまって10分ぐらいしてから転送してもらうわ。
「転送前のどこまで戻せるのかしらね?」

最初の攻撃を凌いだら、ユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】で透明化。
[目立たない][迷彩][忍び足]も含めて防御シートから抜け出して移動。
「こちらの時間を戻すのなら、こちらを視認させなければ良いんじゃないかしら?」
後は他の皆の攻撃を見て、そこから時間を戻した瞬間で攻撃。
[制圧射撃][マヒ攻撃]で動きを封じるわ。



●老化への階段
 ユーベルコードとは別に、自在に時を操る能力を持つというマザー・コンピュータ。
 なかなかどうして、恐ろしい相手だ。なにしろ、敵は加速も減速も自由自在。純粋なスピードアップではなく、時間操作の類ともなれば、事前に気配を察知して行動することも難しい。
「さて……果たして、転送前のどこまで戻せるのかしらね?」
 自分の時間を戻された場合、その効果がどこまでに至るのかを考えながら、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は本体より離脱して来たマザー・コンピュータの核と対峙した。
「……現れましたね。ですが、どのような存在であれ、私の力の前には無力なのです」
 淡々と告げつつ、時を加速させるマザー。はっきり言って、見た目は単なる全裸の女にしか見えない。しかし、時の加速により異なる時間の流れに入った彼女の攻撃は、その一撃、一撃が、凄まじい威力を秘めている。
 仮に、小学生くらいのパワーしかないとしても、彼女が加速した状態でボールを投げるだけで、最速160km以上という、プロ野球選手と同等の速度になるのだ。勿論、実際はそんな速度など出ていないのだが、加速されていない時間の流れに身を置くものからは、それだけのスピードに見え、威力もそれに準ずるということである。
 そんな加速攻撃に対し、生半可な防御や回避は役に立たない。ならば、一撃を耐えた上で反撃してやろうと、ヴィオレッタは敢えて敵の攻撃を真正面から受け止めた。
「……っ!?」
 瞬間、ほんの少し触れられただけなのに、彼女の身体は大きく後ろに吹き飛んだ。これが、加速攻撃の威力というやつか。なるほど、非力な女性の身体でも、これならば剛力を誇る英雄とも互角に戦えるだろう。
「やってくれたわね。でも……もう、貴方には、視えない」
 転倒することだけは辛うじて耐え、ヴィオレッタはユーベルコードを発動させた。その途端、彼女の身体が瞬く間に消え、周囲の景色に同化して行く。
 インヴィジブル・イグジスト。己を透明化させるユーベルコードで敵に自分を視認させなければ、少なくとも自分の時を加速されたり戻されたりすることはない。そう判断し、後は反撃の隙を伺うばかりと考えるヴィオレッタだったが、しかしマザーは何ら慌てることなく、敢えて何もせずに動きを止めていた。
「なるほど、考えましたね。ですが……私に一撃でも触れられた時点で、既に手遅れなのです」
 そう、彼女が告げた通り、ヴィオレッタは自分の肉体が、瞬く間に力を失って行くのを感じていた。いったい、これは何なのか。透明化を解除して自分の姿を確かめれば、あるいは状況が掴めたのかもしれないが。
「オールドマンズ・クロック、発動……。あなたには、先の一撃で老化の刻印を付与させていただきました。私の周囲にいる限り、あなたの肉体は老化を続け、やがて灰燼となって朽ちるでしょう」
 ご丁寧に、能力を説明してくれるマザー。それだけ、勝利に自信があるということだろう。現に、打撃の威力は防御用の装甲シートで殺したヴィオレッタだったが、老化に関してはどうにもならない。そしてなにより、このユーベルコードの発動条件は『視認』ではなく、相手に一撃を与えることなのだ。
(「し、しまった……! このままじゃ、他の猟兵が仕掛けて来るまで様子を窺っている時間なんてない!?」)
 ヤドリガミの彼女にとって、肉体は仮初のものに過ぎない。しかし、それさえも強制的に老化させられるとなれば、これは一大事。早々に肉体を器物に戻して仕切り直すか、あるいは撤退しなければ、本当に力尽きてしまう。
 もう、味方の援護など待っている暇はなかった。仕方なく、装甲シートを放り捨てて、ヴィオレッタはありったけの銃弾をマザーに叩き込んだ。
「……っ!?」
 さすがに、奇襲には反応できなかったのか、マザーの反応が少しだけ遅れた。全身を射抜かれたことで負ったダメージを回復せんと、自らの時を戻そうとするマザーだったが……何故か、身体が痺れて動くことができず、能力も発動させられなかった。
「はぁ……はぁ……。な、なんとか、上手く行った……かな……」
 肩で息をしながら、銃を下ろすヴィオレッタ。剣を振るうよりも体力は要らないとはいえ、やはり老化させられた肉体での攻撃は負担が大きい。
 特性の麻痺弾を叩き込むことで、なんとか一瞬だけ動きを止めることに成功した。しかし、これ以上の継続戦闘は不可能だと判断し、ヴィオレッタは仕方なく、マザーの前から撤退した。

成功 🔵​🔵​🔴​

禍神塚・鏡吾
技能
斬撃波、だまし討ち、言いくるめ、ハッキング

先制対策
老化ダメージを4倍速で受けても、本体は余裕で100年保つ呪物です
攻撃は喰らって耐えましょう
仮初めの肉体は耐えられそうにありませんが、
【「何度殺しても、肉体は再生できます」と嘯き、老化で動けなくなる前に斬撃波で自殺して新しい仮初めの肉体を出現させます】
勿論ハッタリで【】内は、電脳魔術で作った幻です
本体からの音声入力でプログラムを再生できるようにしておきます
幻を本物と誤認させれば、マザーは私の時間を戻すでしょう
即ち、老化のダメージを軽減できます

しかし敢えて作戦が失敗した風を装って、マザーを畏怖する言葉で発動を誤魔化しながらUCを使います
恍惚としている隙に、彼女の髪から伸びているコネクタを電子の鏡界(装備)に繋いでハッキングを試みます
時間操作能力も意志で制御している以上、頭脳を侵食すれば能力に干渉できる筈
操作するまではできなくとも、ノイズを与えて暴走させ、ダメージの回復を阻害する位はできるでしょう

攻撃は、一撃入れられれば良い方でしょうが



●偽りの感情
 自分や他人の時間を任意で加速させるだけでなく、時にユーベルコードと併用することで、更なる加速や時の巻き戻しまでも可能とするマザー・コンピュータ。
 はっきり言って、今まで戦ったオブリビオンの中でも、屈指の難敵であることに違いはなかった。現に、マザーを倒すべく現場に向かった禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)だったが、対峙すると同時に攻撃を食らい、次の瞬間には大きく吹き飛ばされていたのだから。
「どのような存在であれ、老いには抗えません。全ては朽ち果て、やがて虚無に帰るのです」
 老化の刻印を刻まれたことで瞬く間に老いて行く鏡吾の姿を見て、マザーが冷ややかに告げた。
 ヤドリガミである鏡吾にとって、肉体は仮初のものに過ぎないが、それでも消耗は免れない。いかに本体が100年は存在を保てる呪物であれど、仮初の肉体の消耗が続けば、やがて悪影響が出ることは明白だ。
 だが、鏡吾にも意地がある。ここで黙ってやられるつもりはないし、なによりも攻撃を食らったのは、全て彼の中で織り込み済みだ。
「これで勝ったと思わないことですね。何度殺しても、肉体は再生できます」
 そう言うが早いか、鏡吾は自身の隣に現れていた、もう一人の自分に攻撃を食らわせようとした。老化の速度まで、全く同じもう一人の鏡吾。それは彼の生み出した幻だったのだが、マザーからしてみれば、面倒な仕切り直しをされるに等しいわけで。
「無駄ですよ。あなたが攻撃しようとした瞬間だけ、あなたの時間を戻せば良いだけの話です」
 鏡吾の攻撃が彼の幻に当たろうとする瞬間、マザーは彼の時間を戻す。時間が戻るのは一瞬なので、老化は着実に進行して行くが……それでも、これで少しでも老化を軽減できるのであれば十分だ。
「ああ、なんということだ! もう、私には打つ手がない! おしまいだ!!」
 敢えて作戦が失敗した素振りを装い、鏡吾は鏡を取り出した。それこそが、彼の用意した本当の切り札。しかし、既に勝利を確信していたマザーは、単なる鏡になど何の警戒も抱いていなかった。
「最後に……この鏡を御覧なさい。世界で一番美しい人が、そこに映っています」
 そう言って、鏡吾は鏡をマザーに向ける。そこに映っているのは、当然のことながらマザー自身。そして……その姿を一瞬でも目にした瞬間、マザーの中に在り得ない感情が沸き起こって来た。
(「こ、これは……? そんな馬鹿な!? わ、私が……自分に自惚れるなんて……」)
 機械の核として、あらゆる感情を排除してきたはずのマザー。そんな彼女には、自分の中に少しでも感情らしいものが現れたことで、大きなエラーとなってしまったのだ。
「油断しましたね。隙だらけですよ」
 動きを止められたのは、せいぜい一瞬。それでも、鏡吾が攻撃をするのには十分な時間。
 マザーの髪を握り締め、鏡吾はコネクターと化している彼女の髪の先端から、取り止めもない雑多な情報を注ぎ込んだ。それら、ひとつひとつは大した情報でもなかったが、しかし洪水のように注ぎ込まれれば、マザーの中枢を熱暴走させるのには十分だった。
「あ……ぁぁぁぁぁっ!!」
 処理能力の限界を迎え、マザーは発狂しながら頭を抑えた。様々な不純物に加え、大量のノイズを呼び起こすジャンクデータの嵐。こんなものを注がれては、とてもではないが時間を戻すどころの騒ぎではない。
「そろそろ、こちらも潮時ですね」
 脳内をかき回され、時間操作を行う余裕すらなくなったマザーを尻目に、鏡吾は彼女の傍から撤退した。
 これ以上の長期戦は、自分の方が先に倒れる可能性もある。時間経過による老化が避けられない以上、それは賢明な判断だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
接敵と同時に●防具改造で装着していた投光器を起動し●目潰し
同時に物資収納Sの煙幕手榴弾を●投擲

『任意の対象』なら、相手の認識から逃れる事による『巻き戻し』の回避に賭ける他ありません

光と時間差で発生する煙、どちらを巻き戻すか二択強要
早送りの攻撃は自己●ハッキングで●瞬間思考力を●限界突破
マルチセンサーでの●情報収集で位置を●見切って●怪力での盾受けで防御

無限の思索を求むる故の永遠…人々へのその暴挙を騎士として認める訳にはいかないのです

用途申請、フォーミュラの撃破

UC起動

マイクロ波で一瞬で敵の脳含めた体組織を沸騰させ灼き潰し
能力すら使用不能の状態に追い込み

このような手段を使ってでも…!

剣を一閃



●意識を超えた戦い
 あらゆる存在の時間を加速させ、または巻き戻すことが可能なマザー・コンピュータ。そんな反則級の能力を持った相手を倒すべく、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、邂逅と同時に投光器を起動しながら、煙幕手榴弾を投げつけた。
(「『任意の対象』なら、相手の認識から逃れる事による『巻き戻し』の回避に賭ける他ありません」)
 自分を視認されなければ、相手に時間を戻されることもない。仮に、目潰しを時間操作でなんとかしようとしても、こちらは投光器と手榴弾、二つの障害を残している。
 光か、それとも煙か。強制的に二択を強いるトリテレイアだったが、しかしマザーは驚く程に冷静だった。
「その程度の障害など、私にとっては障害になど成り得ません」
 そう言って、マザーが戻したのは光の方だ。やはり、直接相手を視認できないと、能力を発動できないからだろうか。もっとも、煙が生きている以上、こちらの姿は正面から確認できないはずだが。
「センサー起動……敵、位置情報分析……っ! 後ろですか!?」
 なんと、マザーは凄まじいスピードで煙の中から脱出し、既にトリテレイアの背後へ回り込んでいたのである。彼女の能力で加速できるスピードはせいぜい通常の4倍だが、そこに更なる加速系のユーベルコードを加えれば、話は別だ。
 時間質量の消費を行えば、マザーは理論上、無限に時を加速させられる。それこそ、やろうと思えば光速に匹敵する加速を行うことも可能なのだ。そこまで加速してしまえば、膨大な時間質量の消費というコストを支払う代わりに、相手に思考させることさえ許さない。
 限界を超えた演算能力で敵の位置を把握することに成功したトリテレイアだったが、頭では理解できていても、身体の方が追い付かなかった。敵の動きが予測できるからこそ、彼女は理解してしまった。自分の身体を動かすスピードではマザーに追い付けず、思考に肉体が付いて行けないことに。
「くっ……!」
 苦し紛れに盾を構えるも、気休め程度にしかならず、トリテレイアはそのまま凄まじい衝撃によって吹き飛ばされた。いったい、敵は通常の何倍に加速しているのか。それさえも分からないまま、盾諸共に身体が宙を舞ったが……このまま終わるつもりは、微塵もない。
「無限の思索を求むる故の永遠……人々へのその暴挙を、騎士として認める訳にはいかないのです」
 敵が意識の外側に加速するなら、こちらはその加速をも超える見えない一撃を放てばいい。この世で最も速いものは光や電磁波。その速度を超えることは、さすがのマザーでも容易ではないはず。
「用途申請、フォーミュラの撃破……用途倫理判定……例外承認。申請者処刑機構……解除確認。不肖の騎士たる我が責において、貴女が厭うた地獄を此処に!」
 ユーベルコードを起動させた瞬間、トリテレイアは周囲に強力なマイクロ波を放ち、あらゆる物体を振動、沸騰させることで、無差別に焼き尽くし、破壊して行く。当然、それにはマザーも含まれるわけで、彼女の身体は全く間に焼け爛れ、内部から沸騰して破裂を始めた。
「あ……ぁぁぁぁぁぁっ!!」
 見えない電磁波相手では反応することもできなかったのか、直撃を食らったマザーの身体が醜く爛れ始めた。慌てて自分の時を戻そうとするマザーだったが、それこそがトリテレイアの狙っていた最大のチャンス。
「私は負けるわけには行かないのです。このような手段を使ってでも……!」
 時が戻りつつあるところへ、トリテレイアは更に斬撃を重ねて行く。巻き戻し中に、更なる攻撃を食らったことで、マザーの時戻しは半ば強制的にキャンセルされてしまい。
「……っ! はぁ……はぁ……や、やってくれましたね……」
 無敵を誇ると思われたマザーが、ついに膝を突いた。表面の修復こそ間に合ったが、内部に深刻なダメージを負い、おまけに肩を大きく斬り裂かれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
マザーの特殊能力は「対象の時間」を操作する能力…。
つまり、操作する対象を認識できなければ「巻き戻し」も使え無いでしょう。

魔術で霧(または)煙幕を展開【属性攻撃、高速詠唱】で霧に姿を隠し、
同時に【多重詠唱】で霧の中で幻影魔術【残像、高速詠唱】を発動。
無数のわたしの幻影を展開して攪乱し、敵の攻撃や能力を回避し、UC発動の時間を稼ぐわ

UCを発動したら、周囲にUCによる幻惑の霧を展開。

霧に身を隠し、敵に真祖の魔力による【紅魔弾タスラム】をマザーに撃ち込み、攻撃と共に真祖の魔力で侵食。
タスラムの効果でウイルスの様に徐々に内部機能を破壊していくと共に、敵の「攻撃を受けた(受けている)」という認識を攪乱・消去したり、「時間を戻す」能力に対する記憶を一時的に消去したりする事で敵に能力を有効に使わせない様にして対策するわ。

貴女みたいに厄介な力を持つなら、その力を有効に使わせなければ良い。
世界を好き勝手はさせない。さぁ、滅びなさい!



●覚醒の吸血女帝?
 対象の時間を自由に操作することで、自分の絶対性を維持するマザー・コンピュータ。そんな彼女に対する対抗手段として、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が選んだのもまた霧だった。
「……また、そのような小手先の目晦ましですか?」
 そんなものは、なんの気休めにもならないと、マザーは霧そのものの時間を戻し、フレミアの姿を露にせんと企んだ。が、しかし、霧が晴れて目の前の視界が開けたところで、マザーは驚愕することになる。
「これは……? いつの間に、目標が増殖したのですか!?」
 気が付けば、周囲は無数のフレミアだらけ。先の霧は、フレミアが詠唱の時間を稼ぐための囮でしかない。幻影魔術により無数の分身を生み出すことで、敵を撹乱することこそがフレミアの狙いだったのである。
(「……まあ、本当に単なる幻影だから、ちょっと触られたら直ぐにバレてしまうのだけれど……」)
 切り札を発動させるためには、もうしばらくの時間が必要だ。その間、自分以外の幻影が攻撃されることに賭けるフレミアだったが、しかしマザーとて黙って撹乱されているつもりはなかったようで。
「なるほど、興味深い戦い方です。しかし……数が増えたところで、私にとっては些細な問題でしかありません」
 今度は自分の時間を加速させながら、マザーは手当たり次第に幻影に対して攻撃を開始した。しかも、その大半は軽く触れる程度であり、質よりも手数を重視しているのは明白だった。
「こいつ……数が増えても、全部纏めて攻撃しようっていうの!?」
 時の加速を利用した強引な力技。これにはどうすることもできず、フレミア自身も、ついにマザーに触れられてしまう。そして、マザーの指先が彼女の肉体に何かを刻んだ瞬間……少女の姿だったフレミアの肉体が、一回り大きなものに変わっていた。
「……っ!? これは……」
「オールドマンズ・クロックを発動しました。これであなたは、老衰して死ぬ以外の未来はありません」
 マザーから告げられる辛辣な現実。だが、幸か不幸か、吸血鬼の血が濃いフレミアは、人間とは異なり悠久に等しい寿命を持っていた。
「やってくれるじゃない。でも、こういう姿も、偶には悪くないわ」
 可憐な少女から妖艶な美女へと成長したフレミアが、不敵に笑う。普通の人間なら皺だらけの老婆になっている程の時間が経過しても、フレミアにとっては、せいぜい少女から大人に成長する程度の時間ということか。
「今度はこちらの番ね。紅き魔弾は全てを侵し、狂わせ、破滅を与える……」
 既に、彼女の手にした槍に、魔力は十分に補充されていた。それを一気に解放し、フレミアは真祖の魔力にてあらゆる存在を侵食して行く。それはマザーとて例外ではなく、彼女の肉体はおろか記憶さえも破壊して、強制的に錯乱を引き起こす。
「くっ……! 思考データにノイズが……!? ウィルスの類も検知できないのに……何故!?」
 この世の因果を超えた存在でありながら、しかしどこまでも科学の使途であるマザーには、魔術という概念は理解できなかったようだ。時間を戻そうにも、その方法に関する記憶の一部さえ消去されているので、容易に巻き戻しも使えない。そうして躊躇している間にも、肉体の侵食は進んで行くわけで。
「貴女みたいに厄介な力を持つなら、その力を有効に使わせなければ良い。世界を好き勝手はさせない。さぁ、滅びなさい!」
 最後はフレミアの投げた魔槍が、マザーの腹を正面から貫く。だが、一方的な攻撃もここまで。さすがに、これ以上の時間が経過したら、フレミアとていずれは老婆になり、そして灰に還ってしまい兼ねない。
「残念だけど、潮時ね。でも……しばらくは記憶も戻らないから、その傷も癒すことはできないわよ」
 満身創痍な肉体で、後どれだけ戦えるか試してみるが良い。一時的とはいえ、吸血姫から吸血女帝へと成長したフレミアは、それだけ言って槍を引き抜き、静かにその場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

卜二一・クロノ
「捉えたぞ、我が機織りを阻む者よ」

 時空の守護神の一柱、あるいは祟り神として参加します
 時の糸を紡ぎ、歴史の柄を織る者にとって、好き勝手に時間を遡る行為は織り直しを強要するので害悪
 そのような、猟兵やオブリビオンの事情とは無関係な動機で祟ります

 時間を操るユーベルコードを以て、敵の時間を操るユーベルコードを完封します

 神の摂理に反する者には神罰を

 何なら先制攻撃の受け皿になったっていい
 ある程度のダメージはやむを得ないものとします

 咎人に死の宿命を見出したら、満足して帰ります

※時間操作を行う猟兵は見て見ぬふりをします。できれば同時には採用しないでください



●時紬の審判
 時間を操作し、因果の枷さえも超えることで、己に都合の良い未来を掴まんとする存在。マザー・コンピュータを含め、そういった存在を、卜二一・クロノ(時の守り手・f27842)は許さない。
「捉えたぞ、我が機織りを阻む者よ」
 彼女は時空の守護神だ。故に、好き勝手に時間を遡られれば、それは彼女にとっての害悪となる。
 時間を守るとは、即ち時間を予定通りに運航すること。確定した未来は、どれだけ悪辣なものであっても、変えることは許されない。その先に希望を見出したければ、それは時間を戻すことではなく、己の力で運命を屈服させ、希望を手に掴むべきなのだから。
「あなた……人間ではありませんね? なるほど……これは、私も本気を出さねばならないようです」
 そう言うが早いか、マザーは瞬時に加速して、トニーのことを殴り飛ばした。通常の4倍の速度を誇るとはいえ、それでも単なる打撃では、あまりダメージはないように思われたが。
「あなたに刻の印を刻みました。後は何もしなくとも、あなたは終焉に向かい朽ちて行くだけです」
 マザーが刻んだのは老化の刻印。普通の人間であれば瞬く間に老衰し、何もできないまま死んでしまうはずであるが。
「……それがどうした? 我は神だ。時間の経過で、神が老いるはずもないであろう?」
 そう、彼女は神だ。古来より、神は不老不死とされる存在。それはトニーとて例外ではなく、老いることのない彼女にとって、時間を加速されることなど殆ど何の影響もない。
「神の摂理に反する者には神罰を。この試練に耐えられたら、赦されるでしょう」
 驚愕しているマザーを、トニーは自らの髪を巨大な拳に変えて殴り飛ばした。虚ろを突かれ、直撃を食らうマザー。慌てて時間を戻し、自身の受けた傷を癒そうとするが……彼女の意思に反して、身体は更なる崩壊を起こし、端末となっている髪の先から火花が散り始めた。
「あ……ぐぅ……」
 トニーのユーベルコードが封じられるのは、時を操るユーベルコードのみ。時の加速や巻き戻しは、マザー自身の特殊能力であり、ユーベルコードではないが……封印できずとも、時を操ることによる反動を与える効果だけは、等しく与えることができる。
 時間を戻して傷をゼロにしようとも、その結果、更なる反動がマザーを蝕む。ならば、ユーベルコードが直撃する前まで時間を戻せば良いのだろうが……今のマザーに、果たしてそんな余裕があるだろうか。
「そ……そん……な……。私の……身体……が……」
 もはや、肉体を維持することもできず、マザーは徐々に崩壊して行った。彼女が今までに操って来た時間操作の回数と規模を考えれば、それはこれ以上の時間操作を行う余力さえ与えずに、反動で彼女を死に至らしめるのに十分過ぎるものだったのだ。
「もはや、これまでだな。もう、興味もない……」
 このまま放っておいても、マザーは自壊を止められず死ぬだろう。踵を返し、トニーはマザーに背を向けて去って行く。その後ろで、せめて一矢報いんとマザーが手を伸ばしたところで……彼女の身体は音を立てて崩れ落ち、そのまま虚無へと還って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月23日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト