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アポカリプス・ランページ⑩〜スカー・オブ・エデン(作者 冬伽くーた
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●傷だらけの楽園
 何千回、何万回と呼び掛けただろう。擦り切れた喉に鉄錆の味が広がるのを唾を飲み込む。
 本当は「弟」には聞こえていない事なんてとっくに分かっていた。
 今もそうだ。手元の携帯端末を憑り付かれた様に覗き込み、昔よりも細くなった指で研究データを送り続けている。丸めた背中、擦り切れた白衣と合わさり、地上をさまよう亡霊となった様な…それでも、誰よりも愛しい弟。
「はい、はい、全てはポーシュポス様の望むように…」
 その白々とした頬も、か細い声も。みんな、みんな心配なのに…それでも言葉は届かない。歌に、搔き消されてしまう。

 それは恐怖を掻き立てる旋律だ。あらゆる生き物の寝静まる、深い夜の底で鳴く怪鳥の様な…けれど歪な音色。それでいて、子をあやす父母の様な、優しく、包み込む様な慈愛の響きを持つのだ。
 直情的でシンプルな思考回路を持つと自負する自分ですら、その支配からは逃れられない。そして悲嘆に暮れた賢い弟の心は一溜まりもなかった。
 得体の知れない声を受け入れ、縋り付いて、塗り潰され…そうして外なる神の忠実なる僕と成り果てたのだ。
 (だけど、だけど…!)
 手に掛ける事は出来ない。たった一人の家族を見捨てる事なんて出来ない。
 だから、何度だって絞り出す。邪神の呼び声を退けて。この声よどうか届いてくれと、その祈りだけが拠り所。
「アベル、しっかり、しろ、よア…ベル…!!」
 俺達はまだ、果たさなければならない事があるじゃないか。

●墓標の在処
「覚えていたい事、忘れてしまいたい事。人にはどちらも幾つもあるだろう。あるいはその入り混じった、傷とも呼ぶべきものがね」
 切り出したグリモア猟兵…ヴォルフガングの声音は、場に立ち込める甘い匂いとそぐわない苦み走ったものだ。

 本日のお茶請けは季節のフルーツショートとジンジャーレモンティー。
 グリモアベースであろうと足を止めた猟兵を茶会に招く事を止めない男は、甲斐甲斐しいまでの給仕を終えた後にぱきりと指を鳴らす。
 気分が悪くなるから、口直しはあった方が良いと顔を顰めながら。

 男の使役するナノマシン群によって宙で像を結ぶのは、荒廃した大地に佇む、どこか植物園にも似たシルエットの施設だ。樹木のようなシルエットは天を目指し、廃墟の中で異彩を放つ。
「場所はアポカリプスヘル、旧アメリカ航空宇宙局…NASAの研究施設跡地になるね。最も、今は全く別の建物になっているが」
 説明がてら、男が指を横に振れば映像が建物の中に切り替わる。そこには全く同じ顔をした、片方は白衣と研究端末を持ち歩く線の細い少年と、入力補助を行う体に沿ったシルエットの戦闘スーツに電磁剣を差した精悍な少年の2人。
「今回の標的は彼らだ。この施設では生命に纏わる研究を行い、邪神…識別名「ポーシュポス」の元に送り届けているようなんだ。邪神の狂気から彼等を救出して欲しい」
「具体的にはどうすれば良い?」
「白衣の彼が持ち歩く端末、どうもアレが邪神の力の放出元であるようだ。ある種の儀式魔術を駆使した携帯用祭壇…ってところかな。破壊すれば影響力は低下していくだろう」

 そこまで説明したヴォルフガングは手前のカップを傾ける。嚥下するまでの僅かな時間、静寂にも似たそれはむしろ躊躇の類いに見えた。
「しかしそれだけじゃあ完全ではない。支配の核になっているのは彼ら2人が抱える恐怖。それを取り除いて欲しいんだ」
「…彼らの恐怖、とは」
「…愛しき者の死だ」
 男の言葉と共に映像は更に切り替わる。
 研究室と思われる場所には無数の培養槽。羊水を漂う胎児の様に手足を丸めるのは…無数の、先程の研究員達の面影を宿す少年達。
 ひゅっと誰かが息を呑む音が響いた。
 そして理解する、この光景こそが研究室2人の心に刻まれた痛みであるのだと。
「この世界ではよくある話だ。激減した人口問題の解決の為、俺達の頼もしい同胞でもあるフラスコチャイルドを産み出す…」
 けれど、とグリモア猟兵は眼差しを伏せる。命は何の保護もなく生まれるものではないのだ、そう独り言の様に呟いた。
「上手くいかなかったのは、その邪神とやらのせいなのか…?」
「いいや、違う。2人の技術不足に過ぎない」
 故に、救いは容易くあるものではなかった。

「…既にこの施設は破棄されていたのだろうね。研究員の2人が生まれたのは偶然の産物に過ぎず、彼等を育てたのは自動再生の育成プログラムだ」
 だから、彼らは求めた。
 ライブラリの中にあった家族を。友を。仲間を。決して実を結ばないと知りながら、2人の血を引くものを。
「彼等を止める手立ては2つ。1つは彼等を倒し、研究施設ごと葬り去ること。戦闘力は君達に及ぶべくもない、多少苦労はするだろうが」
 天高く伸びる塔は、皮肉にも墓標に似て。眠る死を増やすのもまた救いであろうか。
「もう1つは彼等を正気に戻し、共に弔いの儀式を行うこと」
 端末さえ壊してしまえば、彼等は猟兵の言葉に耳を傾けるだろう。実用的な技術しか…弔いを知らぬ彼等に、その意味を伝えていく方法もあるだろう。
「どちらを選ぶかは君達に任せるよ」
「…ちなみに彼等の名前は」
「…カインとアベルだ」
 傷だらけの楽園。
 過酷で、けれど醜い感情とは無縁でいられた二人きりの世界。
 絡み合った指は固く、強く。だからこそ、寂しい。


冬伽くーた
 いつも通りの趣味全開、冬伽くーたです。
 今回はアポカリプスヘルの戦争シナリオとなります。閉ざされた楽園を無遠慮に踏み躙った邪神の支配から、研究員達の救済をお願い致します。OPにもあります通り、それが彼等の終焉を以て為されるか、弔いを共に行うのかは参加者の皆様にお任せさせて頂きます(方法が割れた場合は相応の判定を行ってお返しします為、すり合わせは不要となります。

 どちらの方法にせよ戦闘は発生しますが、彼等2人の戦闘能力は猟兵の皆様には及びません為、余程の事がなければ負ける事はありません。参考までに、アベルは施設の機体を用いた物理法則、精神へのハッキング、カインは電磁剣を用いた近接戦闘を仕掛けてきます。
 彼等と共に弔いを行う場合、花や水、墓標などの必要なものは全て揃っている為、特に必要であれば彼等に声を掛けて頂ければ幸いです。

 果てのない楽園はなく、無窮もない。それでも生きる理由とは。そんな風味のシナリオとなります。どうぞ宜しくお願い致します
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第1章 日常 『暁に弔う』

POW墓穴を掘り墓標を立てる
SPD周辺の手入れをする
WIZ祈りをささげる
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。