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アポカリプス・ランページ⑤〜リブート&デストロイ

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑤


●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「アポカリプス・ランページ……どうやら戦局は日々進んでいるようであるな」
 少年めいた賢者は、アポカリプスヘルの戦争に挑む猟兵たちを見渡した。
「ああいや、何、ワガハイは色々あって、つい先ほど詳しい戦況を知ったところでな。
 ちょうどその時にグリモアの予知も得た。早速だがオヌシらに助力を頼みたい」
 そう言って、彼は自らが予知した戦場について語り始めた。

 アメリカ西部高原地域、ソルトレークシティ。
 かつては同地域の経済的中心地となっていたこの都市も、今は見る影もない。
 問題はその地下に隠された、大規模な研究施設にあるのだという。
「誰が作り出したかは知らぬが、ここにはフラスコチャイルドの培養施設があった。
 そして今ここで、『最強のストームブレイド』を生み出すために培養された、
『デミゴルウス式偽神細胞』を移植されたオブリビオンが覚醒めつつあるのだ」
 デミゴルウス。
 フィールド・オブ・ナインの一角であり、強大な力を持つフォーミュラのひとつ。
 その偽神細胞を移植されたオブリビオン――『無敵要塞・ベルグリシ』の性能は、
 これまで確認された同オブリビオンをはるかに凌ぐ。
「無論、無敵ではない。力を使えば使うほど、その力に耐えきれず彼奴は自壊する。
 しかし放っておけば被害は広がるばかり。ゆえにオヌシらに破壊を頼みたい」
 ムルヘルベル曰く、生半可な攻撃は強力な装甲に弾かれてしまうらしい。
 ゆえに有効な戦術は、超強力な攻撃を耐えつつ自壊を誘う、というものだ。
「攻撃は最大の防御とも言うが、逆もまた然り。オヌシらの底力を見せてやれ。
 この戦場を制圧すれば、デミゴルウスへの支援も停止し、彼奴を倒しやすくなる」
 最優先目標ではないとはいえ、戦力を削れるのは大きな有利と言える。
「この世界を完全に滅ぼさせぬためにも、オヌシらの力を貸してくれ」
 そう言って、ムルヘルベルは大きな本を閉じた。
 ぱたんという音が、転移の合図となった。


唐揚げ
 お久しぶりです、唐揚げです。
 諸事情により一ヶ月ほどマスター活動を停止しておりましたが、
 戦争と聞いて我慢できずに駆けつけました。参戦いたします!

 というわけで、今回はソルトレークシティでの大規模地下決戦です。
 超強化された無敵要塞の飽和攻撃をいかに凌ぐか、が重要になります。
(ボーナス条件というだけで、もちろん攻撃一辺倒もアリアリです)
 プレイングは無理のない範囲で採用していきます。ご了承ください。

 では、再起動した鋼のオブリビオンを景気よくデストロイいたしましょう!
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第1章 ボス戦 『無敵要塞・ベルグリシ』

POW   :    砲煙弾雨のウォーキングフォート
自身の【装甲材と砲台が、内部に搭載された動力コア】が輝く間、【あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になり、砲台】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    マジノウォー
全身を【囲む、砲台で攻撃しつつ、身体を防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    ジークフリートモード
【あらゆる攻撃に対しほぼ無敵の、殲滅モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
オリヴィア・ローゼンタール
力の負荷に耐え切れず自壊する……
まぁ、私も似たようなことはあるので大きな口は叩けませんが

白き翼の姿に変身、飛翔(空中戦)
ですが、加減が効かずそれ一辺倒では破滅は必至
派手な自滅に世界を巻き込ませはしません!

全身、翼、そして聖槍に炎を纏う(属性攻撃・オーラ防御)
後方へ向けて一気に放出することで時速11300km、音速の約9倍まで加速(烈煌天翔翼)
この速度域においてもはや視認からの回避は間に合わない
【第六感】と【幸運】に身を委ねて弾幕を凌ぐ

砲が自壊し弾幕に穴が出来れば、【全力魔法】で【限界突破】し、流星の如く吶喊
速度を乗せた聖槍による【串刺し】【貫通攻撃】【ランスチャージ】
突き穿つ!



●セルフ・サクリファイス
 向こう見ずな性格だと、オリヴィア・ローゼンタールは己を客観視する。
 改めるつもりはない――彼女にとってそれは、信念のための代償だからだ。
 何よりも、彼女は自殺志願者でも破滅願望のジャンキーでもない。
 すべては勝利し、生きて帰るための手段。自滅など願い下げである。

 無敵要塞とオリヴィアを分かつものがあるとすれば、その一点に尽きた。
 面を超えて壁と呼ぶべき砲火の中を、聖なる炎を纏う戦乙女はまっすぐに翔ぶ。
 レミングスめいた自暴自棄な吶喊……それもまた、勝利のための手段だ。
(この生命を天に委ね、そして生き抜いてみせる)
 オリヴィアは決意とともに翼を広げ、結果として幸運を掴んだ。
 時速1万1300km。常識を超えた速度の飛翔は、無敵の弾幕を上回ったのだ。

 もはや先の先も後の先も、思考速度を超えた一瞬の虚空には存在しない。
 オリヴィアは弾幕を抜けた。そして、敵の砲塔は自壊し攻撃が束の間止んだ。
 同時にオリヴィアは、絶好の間合いに居る。結果とはつまりそれがすべてだ。
「私も、こんなことをしておいて大きな口を叩くつもりはありません」
 はたしてその言葉は、音として紡がれただろうか?
 紡がれたとして、物言わぬ破壊兵器に届いたとは思えない。
 オリヴィアはそんな言葉を脳裏に浮かび上がらせた、それだけのこと。
 いわば決意の証であり、勝利の快哉であり、必殺の一撃の宣誓である。
「派手な自滅に、世界を巻き込ませはしません――不滅の炎で、突き穿つ!!」
 音を超える瞬擊がもたらしたのは、言葉ではなく矛である。
 時速1万1300kmという途方も無い速度を乗せた、聖槍によるランスチャージ。

 地下空間の大気が爆ぜた。
 そうとしか形容できない"衝突音"が、空間そのものを歪ませる。
 競り負けたのは無敵要塞であり、見下ろすのはオリヴィアだ。
 金色の瞳の奥には、単なる破滅主義者とは違う決然たる意思の光。
 生き残るのは、いつだって未来を見据える者である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「要塞、要塞なぁ。どう見ても血は無さそうだよねぇ…。」
これはあれだね。おちょくって遊ぶしかない。

狼血摂取のUCを発動し狼男に変化。
敵さんデッカいし、足元の影とか砲台の影とか色々影があるから移動し放題だよねぇ。
敵さんの影に潜り込んで移動して、ひょっこり顔を出しては噛み付いてまた別の影へ。全力で揶揄いまくって遊んで、敵さんの自壊を誘うっていう一石二鳥の作戦って事で。
こんだけ至近距離なら砲撃もそんなに怖くはないけど、自分諸共撃ちそうだったら、予め周囲に展開させていたArgentaの影へ移動して逃げとこう。

「鬼さんこちらーって言うんだっけか?こう言う時は。」


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

うっひゃー!おっきい!かっこいい!
あれをドーンッ!!ってやっちゃえばいーんだね!
え、我慢しなきゃダメ?えー?

んもー

●大きめの球体くんを盾にして防御
じゃあ鉄球([超重浮遊鉄球])くんに[餓鬼球]くん!よろしくー!
盾になってもらったり砲弾を食べてもらったりしながらしのぐよ!
バッカーンッとなっちゃったら次のと交代!
あははー!たーまやー!

●UC使用
うずうず…うずうず…最初は楽しかったけどこれワンパターンで飽きちゃう…うー…ねーまだー?
我慢…我慢…我慢…できな…!キターッ!!
さぁみんな!百万倍返しだよ!
超巨大[超重浮遊鉄球]くんでドーンッ!!
残りは[餓鬼球]くんでムシャムシャ!


アルトリウス・セレスタイト
では働くか

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
破壊の原理から逃れる術はなく、無限の先へ届く道理も有り得ぬ
要らぬ余波は『無現』にて否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給


破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を『刻真』『再帰』にて無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を無限循環し殲滅まで一切止まらず継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

ユーベルコードも消滅対象
行使能力は奪えぬが魔弾へ触れた分は最早意味をなさぬ

※アドリブ歓迎



●鉄と炎の届かぬ場所から
「要塞、要塞なぁ……」
 須藤・莉亜は唇を尖らせて呟き、不満そうに顔をしかめた。
「どう見ても血はなさそうだよねぇ……おちょくって遊ぶしかないか」
 まるで気だるい午後の予定を考えているような、実に気楽な声音である。
 しかし今、彼の目の前で繰り広げられているのは、地獄じみた光景だった。

 殲滅モードに入った無敵要塞は、地下空間に無数の砲弾をばらまく。
 たったひとりでこれに対抗しているのが、アルトリウス・セレスタイト。
 無数の蒼い魔弾と鉄火がぶつかりあい、巨大地下空間を煌々と照らしていた!
「"無敵"か。ありきたりな言葉だ」
 アルトリウスの鉄面皮はぴくりとも動かず、冷や汗ひとつかいていない。
 魔弾を生み出す魔力はアルトリウスの魔力とは別の領域から引かれている。
 ゆえに、彼が魔弾を生み出すことで消耗したりすることはない。
 たとえ数日、いや一週間でさえ、彼はこの拮抗状態を維持できるだろう。
 つまり自壊するぶん、無敵要塞のほうが分が悪いということだ。
 もっともそんな長期的なプランでは、地下空間のほうが耐えられないだろうし、アルトリウス自身もそんな迂遠なやり方をするつもりはないようだが。

「うひゃー! おっきい! かっこいい! そして騒がしーい!」
 鼓膜を引き裂きかき混ぜるような、この世のものと思えぬ轟音のなか、ロニ・グィーはきゃっきゃとはしゃいでいた。
 本当ならすぐにでもアルトリウスに加勢し、あのデカブツをその神の力で叩き潰したいものである……そしてロニなら、それが可能かもしれない。
 無敵など、所詮は人あるいはオブリビオンが与えた銘に過ぎぬ。
 太古から存在し続ける神の力ならば、なるほど粉砕は出来ないはずもない。
 そこに、デミゴルウスの因子がなければ……の話だが。
「んもー、あれはかなり"歪んで"るねー、面白くないことするなー」
 意思なき機械すらも歪ませる偽神細胞は、ロニの目にはひどくいびつに見える。
 なにより相手の攻撃を耐えて自壊を待たねばならないことが非常に業腹だ。
「球体くん、防御よろしくー!」
 飛来する砲撃を、ロニは召喚した超巨大球体を盾にすることで防御。
 さらに彼の意思に従う餓鬼球が、むしゃむしゃと砲弾を貪り食らう。
 球体はすぐに破壊されてしまうが、ロニは次々にそれらを再生・出現させる!
「あははー! たーまやー!」
 魔弾と砲弾のぶつかり合いに餓鬼球の炸裂が加わり、地下空間はさらなる騒乱に見舞われた。

 炸裂と爆炎が光を生み出せば、同じだけ影に生まれる。
 "血追い狼"の力を宿した莉亜はその影から影へと飛び、要塞本体へ肉薄。
「無敵無敵っていうけどさぁ、どこまで無敵なのか試してみたくなるよねぇ」
 莉亜の鋭い爪が、がりがりと錆びた鉄を削り取る。
「おや、思ったより硬い。なるほど」
 ひび割れた爪はダンピールの再生力で、すぐさま生え変わる。
 近距離用の短身砲が莉亜を狙うが、影にとぷんと沈み込めば回避は容易!
「鬼さんこちらーっていうんだっけか? こういうときは」
 まるでもぐらたたきめいて、莉亜はあちこちの影に現れてはまた沈む。
 いくら無敵要塞が無数の砲塔を持つとは言え、アルトリウスの魔弾、そしてロニの球体群を相手取りながら莉亜にまで対処することは不可能といっていい。
 加えて偽神細胞の拒絶反応による自壊が、少しずつ奴を追い詰めていた!
「どうした、勢いが落ちているぞ。無敵を名乗る割に三人で限界か」
 アルトリウスは魔力を無限循環させ、魔弾を数倍の勢いで撃ち出す。
 拮抗状態がいよいよ崩れ、蒼の魔弾が砲塔を削り取って消滅させていった。
「お! もう我慢しなくていい? いいよね! キターッ!!」
 敵を叩き潰したくてうずうずしていたロニが快哉をあげる。
 ひときわ巨大かつ超圧縮された球体が頭上に出現……そして!
「さぁ、百万倍返しだよ! ドーーーーーーンッ!!」
 無敵要塞をはるかに超える超質量を宿した球体が、隕石じみて炸裂!
 超巨大違法建築のごときアンバランスな巨体がくの字にひしゃげる。
 破砕したパーツの一部は、餓鬼球が群がりがつがつと食べてしまう始末だ。
「さすがに鉄は食べられないんだよなぁ、僕。胃袋弱いし」
 餓鬼球の貪食を羨ましそうに見つつ、莉亜はやはり気楽に呟いた。
 狼の身軽さで無敵要塞のボディを蹴り渡り、破砕によって生まれた亀裂部分に飛び乗る。
「けどさぁ……同じぐらい壊すのも好きなんだよねぇ」
 鋭い爪で手刀を構え、それを槍めいておもいきり突き刺した!
 血のごとくオイルが噴き出す。莉亜は破壊の愉悦に楽しげに目を細めた。
 そして臓物めいて内部部品を引きちぎれば、無敵要塞の巨体はあちこちで誘爆を起こす……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スピカ・ネビュラスター
へえ……『無敵要塞』ねえ
しかも、偽神細胞っていうので強化されているんだって?
どれくらい強いのか興味があるね

魔星『アークツルス』に乗って、無敵要塞に突っ込むよ
まあ、当然のように砲撃で撃墜されるだろうけど……
『無限に再臨せし災厄』で復活だ!
魔星を取り込んで巨大化、進軍を続けるよ
いろんな砲撃を喰らえばまた倒されるだろうけど
その度にまた強化して復活だね!

そうしていけば、その内に相手の攻撃全てに耐性が付くはず
そのまま耐久戦をすれば、勝手に自壊していくよね
当然攻撃もするよ。隕石落としがいいかな?

残念だけど、欠陥品で偽物のカミサマじゃ、
ラスボスには勝てないんだよ

●ラスボス『銀河の魔女』
●アドリブ、連携歓迎


フランツィスカ・リュッツオウ
◎アドリブ連携歓迎
移動可能とは言え、要塞は要塞だ。火力や守りが厚かろうと、速度を以ってすれば攻略の目はある。
詰まりは…電撃戦だ。

まずは相手の火力を分散させよう。さぁ仕事の時間だ、オウム飛行隊!
本来は防衛用の戦力だが、彼らならば陽動の任も十全に果たせるはずだ。

彼らの援護を受けつつ、自分は遠巻きに様子を窺う。砲火の密度、射撃間隔、仰角の稼働範囲…それらから弾幕の隙を見極め、行けると判断し次第吶喊する。
火力を小出しにしても相手の装甲は抜けん。ギリギリまで接近してから砲口内部、もしくは給弾装置近くへ保有武装を叩き込む。

30mm重機関砲に加え、R4Mヘキソゲン火薬式ロケット弾の一斉射…流石に通じる、か?


イサリビ・ホムラ
いや、自分もデカい自負してますけど……こんなんぶん殴れゆーんです?
作戦考えてはる方もえらい注文してきますなぁ、動くのは堪忍…とは言ってられんわなぁ

器物である大身の太刀で戦いますわ
『グラウンドクラッシャー』は攻撃にも防御にも使わせてもらいます
全力出すんは久しぶりやさかい手加減が――いやする必要もありませんな、思い切りいきますわ
地面をぶっ叩いてクレーター作りますよって、隠れてと接近を繰り返します
あーしんど…。他の皆さんも遮蔽物ないよーでしたら遠慮なくどーぞ

敵さんぶっ叩くときは砲台を狙っていきますわ。少しでも火力減らせば被害も減りますやろ?
あー久しぶりに動いたらしんどいわぁ…

アドリブご自由に頼んます


マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

無敵要塞とは大きく出たものだ、しかし自らの力に耐えきれず自壊しているようでは到底無敵とは言えないね。
さて、正面から戦っても敵の装甲にはじかれそうだからここは敵の攻撃を耐えて自壊を狙うことにしようか。

UC発動。敵の攻撃をひたすらに耐え続ける。こちらが耐え続ければ相手もあせって攻撃をしてくるだろうし、そうすれば相手の自壊スピードを速められるだろう。



●"無敵"の在り方
「――さあ仕事の時間だ、オウム飛行隊!」
 フランツィスカ・リュッツオウの鋭い号令に応じ、フォッケウルフFw190D型で構成された飛行編隊が現れた。
 防空戦闘と対地支援攻撃を得意とする彼らは、本来防衛用に使われる戦力だ。
(まずは奴の火力を分散させねばなるまい……陽動を頼むぞ)
 しかしフランツィスカは、飛行隊をあえて前に出すことで敵の攻撃を誘った。
 そうすることで、無敵要塞の弾幕の密度や射撃間隔、仰角の稼働範囲といった戦力を見極め、吶喊するタイミングを計ろうとしているのである。
 強固な守りを突き崩すには、電撃戦こそが最適。
 フランツィスカの戦術眼は正しい……いや、正し「かった」。

 問題は、遠巻きに様子見するのを許すほど、強化された無敵要塞の弾幕は甘くなかったということだ。
「……!!」
 フランツィスカはエースパイロットとしての本能的な勘で、身に迫る危険を察した。
 彼女が飛び退いた直後、すさまじい砲火が彼女の居た場所で爆裂する。
「そうやすやすと、こちらの思惑通りに動いてはくれないか……!」
 フランツィスカは鋭い双眸をさらに顰め、機敏な動きで敵の照準を乱した。
 飛行隊が牽制射撃や、あるいは自ら盾となることで彼女の生存を支援する。
 結果として飛行隊は大きく数を減らし、無敵要塞の制圧圏が急速に拡大していった。
 奴の攻撃はほとんど自動的であり、速度に比例して狙いをつけている。
 それゆえに陽動は成功していたが、それゆえに近づくことも出来ない……!

 だがその時、突如として何かが上空から飛来し、ズシン!! と床を砕いた。
 無敵要塞の砲撃か? いや違う、なぜなら砕けた床は畳返しめいて大きく抉れ、フランツィスカを守る障壁のように砲撃を受け止めたからである。
「援軍か」
 然り。頭上から飛来したのは、30がらみの気だるそうな男だった。
「そんな大層なものやあらへんけど、手助けになったようでなによりですわ」
「ああ、実際助かった。感謝する」
 男……イサリビ・ホムラは大身の太刀を担ぎ、フランツィスカに振り返った。
 実は彼の携えるその太刀こそが、ヤドリガミであるイサリビの本体なのだ。
「まったく、でたらめにデカいですなぁ、アレ。自分もデカい自負してますけど」
 イサリビが背を伸ばすと、なるほど彼の体躯は2メートル近い長身だ。
 しかし「壁」越しに伺う無敵要塞の巨体には、残念ながら及ぶべくもない。
 そして即席の「壁」も、あと数秒で崩壊するのが目に見えていた。
「おまけにゆっくりさせてくれへんみたいですわ。動くのは堪忍なんやけどなぁ」
「そうも言ってられまい。……飛行隊、散開して出来るだけ攻撃を引きつけろ!」
 フランツィスカは頭上の残存飛行隊に指示を出しつつ、イサリビとともに「壁」が崩壊する前にクレーターから飛び出した。
 ふたりのすぐ背後を、対戦車用の大口径機関銃の特殊徹甲弾が蛇めいて追う!
「図体デカい割にしつこい奴やな、あーしんど!」
 ズズン!! と、イサリビは大太刀で再び「壁」を作り出した。
 この避難場所も、おそらく十数秒程度しか保たないだろう。
(飛行隊の消耗が予想以上に激しい……まさか手数が足りないとはな)
 フランツィスカは沈着冷静に、目まぐるしく思考する。
 イサリビの手助けは心強いが、これでは焼け石に水という言葉そのものだ。
 いかにしてあの弾幕を突破するか、あるいは持久戦に切り替えるべきか……?

 そんなフランツィスカの思考を、そしてイサリビの慣れない機動戦に光明をもたらしたのは、ふたりの猟兵の参戦だった。
「無敵要塞ねえ、なるほど強化されてるだけはあるみたいだ。面白い!」
 そう言って現れたのは、魔星『アークツルス』に乗る魔女帽の少女。
「そんな高いとこにおると危ないですよ、隠れるならこっち……」
「いいや大丈夫だよ、まあ見ていなって!」
 少女……スピカ・ネビュラスターはイサリビに答えると、あろうことか弾幕にまっすぐ突っ込んだ!
「ちょ――」
「……!」
 イサリビ、そしてフランツィスカが制止しようとした刹那、スピカは当然のように砲撃にさらされ魔星ごと撃墜された。
 残骸ひとつ遺さぬ確殺……いや待て、様子がおかしい!
「……偽神細胞ってすごいね、機械まで強化できるなんてさ」
 スピカは生きていた。正確に言えば、「復活した」のだ。
 吹き飛んだ身体がぐにゃりと不定形のスライムめいて歪み、魔星の残骸を吸収。
 小さな少女の体躯は二倍近くに巨大化し、さらにまっすぐ突っ込む!
「……なんやあれ、もしかしてラスボスかなんかか?」
 イサリビが推察した通り、スピカの種族は実は人間ではない。
 彼女は見た目的に一切異形部分のない……つまりまあ、とても性格がユニークなラスボスなのである。
 スピカの性の悪さはさておき、彼女を復活させたユーベルコード『無限に再臨せし災厄』はただの復活効果だけでなく、そのトリガーとなった攻撃への耐性さえも付与する。
「キミの砲台とボクの耐性、どっちが上回るかな?」
 スピカは楽しんですらいる様子で言い、そしてまた撃ち落とされる。
 イサリビとフランツィスカを襲っていた砲撃の半分以上が、スピカだけに集中していく!

「とんでもないことをしているね、あの女の子。さすがにあんな真似は出来ないな」
 それを見ていたもうひとりの猟兵、マキナ・エクスは呆れた様子で呟いた。
 ミレナリィドールであるマキナには、たしかにスピカのような無茶苦茶な進軍は不可能だ。
 しかし、彼女の意図する作戦は、その傍らに聳える堅固な鎧人形――『フォートレス』の姿を見れば、一目瞭然だった。
「偽典閲覧、伝承認識、神具構築。……残りの攻撃はこちらで受け持つ。そのまま自壊を待ってもいいが、やられたぶんはやり返したいんじゃないか?」
 マキナはユーベルコードを起動しながら、フランツィスカとイサリビに言った。
「動かないでええんならそれに越したことはないんやけどなぁ」
「自分にも意地がある。その厚意は受け取っておこう」
 イサリビはけだるげに、フランツィスカは屹然とした様子で言った。
「なら結構。……自らの力に耐えきれず自壊するようでは、無敵とはとうてい言えないということを見せてあげるとしよう」
 マキナは頷き、口訣を唱える。
「これはあらゆる厄災を退ける戦女神の盾である――同じ偽りの力でも、こちらの無敵はわけが違う」
『偽典神話・絶対なる神の盾(オルタナティブファーブラ・イージス)』。
 神話に名高き不壊の盾、イージスの力で己を覆う、鉄壁の防御術式。
 術者であるマキナと、彼女を守るフォートレスが、その絶大なる力によって城塞めいて鎧われた!
 すると残る砲台がマキナを狙い火を噴く。意思なき機械なりに、己の「無敵」の銘をそしられたことに怒りを感じたのだろうか?
 しかして見よ。偽神細胞で強化された砲撃でさえ、要塞の名を持つ守りは打ち砕けないのだ!
「こちらは動けないのでね。あとは任せたよ」
 イサリビとフランツィスカはマキナの言葉に頷き、スピカのあとを追って突き進む。
 頭上では何度目かの復活を遂げたスピカが、巨大な隕石を召喚していた!

「残念だけど、欠陥品で偽物のカミサマじゃ、ラスボスには勝てないんだよ!」
 KRAAASH!! 魔法陣から生まれた隕石が、無敵要塞の装甲を直撃!
 自壊が進んだことで防御力の低下した無敵要塞では、この単純極まりない質量攻撃にはとても耐えられない!
「こちらも最大火力で叩かせてもらう……!」
「こっちは砲台を叩きますわ」
 イサリビはフランツィスカを追い抜く形で跳躍、手近な砲台をグラウンドクラッシャーで力任せに粉砕していく。
「どうやら、自壊を待つまでもないようだね?」
 一瞬弾幕が途切れた隙に、マキナは瞬間的にユーベルコードを解除。
 わずかな時間で前衛に追いつくと、突貫するフランツィスカを守る形でフォートレスを向かわせ、再びイージスの力を鎧うことでその道を拓いた。
 瞬時に戦況を把握しチャンスを掴む、意思ある戦士だからこそ出来る状況判断。
 それは、単純な質量と鉄火ですべてを蹂躙する兵器には出来ない戦い方だ。
「30mm重機関砲とR4Mヘキソゲン火薬式ロケット弾の一斉射だ……受け取れ!」
 そして猟兵たちの生み出したチャンスを、フランツィスカが繋ぐ。
 降り注ぐ砲撃を光り輝くフォートレスが受け止めるなか、フランツィスカは隕石攻撃で生まれた亀裂めがけて保有武装の全火力を叩き込んだ!
 一拍遅れ、盛大な爆発――衝撃は無敵要塞の全体に伝搬し、あちこちで連鎖爆発を起こす!
「言っただろう? そんなものでは無敵とはとうてい言えない、とね」
 マキナの言葉通り、炎に包まれつつある鉄屑の姿は、無敵要塞とは程遠い有様だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
お薬さん/f15222

人造人間工場跡地。
ああやって暴れさせておけば勝手に死ぬあたりも作り物っぽいですね。生き物としてバグってますよ。

正々堂々。持久戦。どちらも不得意ですが、それは平時のお話です。
今回はそこそこの無茶でも身体の自由が利きますんで。

全てを躱しきれるとは思いません。あいつデカいし。
安全牌を切りましょう。
【神業・影暗衣】。
いくぶんか打たれ強くなります。
“極力躱しつつ、手遅れっぽいのは大人しく受ける”ということで。

血や傷や毒のたぐい、そのままでいいです。早晩多少の怪我をします。死に体を狙ってとどめを刺しに来るかもですしね。
雇った救急箱が勝手に働くぶんには構いませんよ。頼みもしませんが。


冴木・蜜
美少年さん/f14904

……、やれやれ
無茶はするものではありません
ですが
私であればどんな傷も治せる
治してみせます

体が動く限り這いずり回り
彼を支えて見せましょう

体を液状化
地を這いながら
攻撃を躱しつつ
美少年さんを見失わぬよう付いて回ります
液状化していれば物理攻撃は問題ない
付いて回れば影のようにも見えるでしょう

彼が"大人しく"攻撃を受けたら『供犠』
直撃が致命的に見えれば庇い衝撃を殺します
彼の傷を綺麗に治療した上で
強化を重ねることで
彼の苦痛を軽減します

治療に身体強化はお手の物
望まれれば
どんな薬剤にでもなってみせましょう

私を薬と呼んでくださる
貴方のために



●壊し、癒やし、殺し、治し
 正々堂々。
 持久戦。
 矢来・夕立がもしも「この世で嫌いな言葉ランキング」を作るとしたら、どちらもかなりいい順位を狙えるかもしれない。
 得意とする戦い方と真っ向反していることもあるが、そもそも彼は性分として「そういうの」が好きではなかった。

 が、それはあくまで普段の話。
「救急箱」を雇った夕立なら、無茶が利く。それらしく振る舞うことが出来る。
 相手が意思なき機械であろうと、オブリビオンならば悪意がある。
 世界を破壊し、すべてを熱的均衡ですらない無に陥れようとする根源的悪意が。
 悪意に心身を浸す人殺しだからこそ、夕立はそれを直感し、確信していた。

 ……ゆえに。
「ひとつだけお願いをしたいんですが、いいですか」
 夕立は砲弾をいかにもギリギリで躱したように見せかけながら、言った。
 独り言のように見える。彼の言葉を受け止めるのは、長く伸びた影法師だけだ。
『何か』
 影が応えた。
 正しくは、影のようにしか見えない黒い濁りの塊が震えて応えた。
 それは影ではなく、人の名を持つ。冴木・蜜という名を。
 だが今の彼は「救急箱」であり、「薬」とされていた。
 ギリギリで攻撃を躱し、手遅れな攻撃は"おとなしく"受ける。
 そういう"ふり"をしている夕立を、死なせない程度に癒やすための道具。
 夕立は蜜に役割を求め、蜜は二つ返事でそれに応じた。

 友情や信頼ゆえに――もちろん互いに、ビジネスパートナーとしての信用は持っているが――ではない。
 夕立は、蜜を「薬」と呼ぶ。
 蜜は、それを肯定する。
 なぜならば、蜜はどんな傷でも治せるからだ。
 たとえ夕立のやることが、己を顧みぬ無茶であろうとも。
 彼なら、治せる……いや、治して「みせる」。
 決意とか覚悟とかではない、強迫観念といっていいレベルの意思。
 それゆえに、蜜は、己を道具とされることを是とし、むしろ己をそう定義した。

 そんな彼に、夕立は言う。
「仕事は最小限でいいですよ。そのほうが攻撃を誘えます」
 言った直後、夕立の頭部めがけて砲弾が飛来した。
 夕立は致命傷を避けるために最低限の身じろぎをした……が。
「……なので、そういうのはいいんですが」
 影が立ち上がり、夕立を庇っていた。
『致命的に見えました』
「オレが躱せないと?」
『そういうわけではありません』
 蜜は夕立の身体に強化効果を持つ血を与え、苦痛を受ける。
『傷は綺麗に治療します。私は薬ですから』
「…………」
 夕立は嘆息した。呆れか苛立ちか。はたまた別の何かか。
「じゃあ、それでいいです」
 水銀めいた速度で地を蹴る。背中を砲弾の破片が削り取り、傷が癒えた。
 眦から血が溢れる。それは怨毒の証であり、蜜の癒やしは届かない……いや、届かせない。
 ふたつの影が黒い稲妻となって地を削り、鋼を蹴立て、式紙の刃が突き立てられ、あかあかとした爆炎が燃えた。
 炎が夕立のかんばせを照らし出す――その表情は、死人めいて虚無。
 赤茶色の瞳の奥に燃えるのは、おそらくは殺意か怒りらしい感情だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
【逢魔が時】
心情)偽神かァ。偽神兵器と関連性がありそな気もするな。マ・神を真とするも偽とするもヒトの自由。神(*おれ)側からはなンとも言えンことさ。サテ作戦だが…耐久戦ねェ。ああ、役に立てとくれ。深山サンがことあるごとに酒やるから、自分から行きたがってね。いい盾になるだろう…。そっちはどォだね? ふぅン。なら刃が通るよにしてみようか。
行動)粘性の重酸毒を結界として張りながら、眷属どもに同様の毒を運ばせよう。飛んでくる砲弾を溶かし、毒の血肉で無敵を腐らせよう。もうひと押しと行こうか…おいでグル坊。やつの装甲を溶かしておやり。深山サンの刃が、やつを誕生日ケーキのように切り分けるだろうさ。


深山・鴇
【逢魔が時】
デミウルゴスねぇ、また厄介なもんを生み出してくれたもんだな
さて、耐久戦って奴らしいぜ、逢真君
俺は防御ってのは苦手なタチなんだが…ああ、丁度いい
逢真君から借り受けたばかりの彼を使わせてもらおうか。

報酬は部屋の冷蔵庫に入ってるビールでどうだい?
(大蛇を喚び出して、そう囁く)
こりゃいいな、逢真君もいいものを貸してくれたもんだ

ああ、でも見てるだけってのはつまらんな
(オロチが防ぐ合間を縫って、攻撃を仕掛け)
うーん、下手するとこっちの刃がいかれちまうな
逢真君はどうだい、何かあるかい?
相変わらず君が呼ぶ虫でかいな! 
これなら通るか…かみさまのいう通り、だ!
(一息に距離を詰め、刃を振るう)



●まことといつわり
 ギゴ、ゴゴゴ……という歪んだ音、そして地響き。
 ほとんど壊れかけた巨躯が、錆びた巨大時計めいたぎこちない動きで立ち上がる。
「偽神、なァ。ひひ、ヒトってのは面白い名をつけやがるもんだ」
 その様子を眺めつつ、朱酉・逢真は独り言めいて呟いた。
「"かみさま"としては思うところあるのかい? 驕り高ぶってるな、とか」
 気さくな深山・鴇の言葉に、逢真はくくっ、と喉を鳴らす。
「まさか。神を真とするのも偽とするのもヒトの自由。神(おれ)側からはなンとも言えンことさ」
 だからこそ面白い――逢真の物言いは超然としているようでもあるし、愚者の空言のようでもある。
 まともに意図を探ろうとしても、ヒトの尺度では計り知れまい。
 なぜならヒトがどちらに定義しようが、それで神が揺らぐことはないからだ。
 神とは力であり、現象であり、概念である。
 定義や名はヒトの道具に過ぎず、神はただそこに在る。それだけの話だ。
「サテ、それはさておきどうするかね……耐久戦てのはどォもな」
 ひ弱な俺には向いてねェや、などとうそぶく様子は、卑俗そのもの。
「俺も苦手なタチさ。が、この間借り受けた"彼"ならいけるんじゃないか?」
 鴇はそう言うと、ヒトの喉にはそぐわぬ異界めいた祝詞を短く唱えた。
 すると影から何かが……ひどく巨大な何かが、ずるりと這い出す。
「ああ、そいつかい。働く気満々みてェだなァ」
 這い出したのは大蛇である――八岐大蛇。伝説に名を残す凶暴な怪物。
 しかれど怪物の首はとぐろを巻き、鴇に親しげに眼を向けた。
「報酬は部屋の冷蔵庫に入ってるビールでどうだい?」
 鴇が囁けば、大蛇は人間めいた仕草でこくりと頷いた。
 神話の怪物が、そこらで売ってるような酒であっさりと契約を結ぶ。
 その手の術を学ぶ者が知れば、卒倒しそうなものだ。
「深山サンは気前がイイから喜ンで手伝う、とさ。ひひ」
「そりゃありがたい。頼りにしているよ、オロチ君」
 がしゃり。無数の砲塔がふたりを狙った。
 爆炎が炸裂したのと同時、大蛇は濁流めいた速度で動き、己の身で彼らを護った!

 無敵要塞にとっては哀れなことに、守りはそれだけではない。
 見よ。撃ち出された砲弾のいくつかは、大蛇の鱗を砕く前に空中でしゅうしゅうと溶けて霧散していく。
 ……毒である。鉄を、鉛をすら融かすほどの、超級の酸毒だ。
「ならまァ、俺は刃が通るようにしてみようかい」
 逢真の周囲は融けた鉄めいた粘液が、ぐつぐつと煮え立ちながら流れていた。
 いわば、毒の結界だ。無論、逢真でなくば内側にも蔓延る毒素でたちまち死ぬ。
 大蛇の守りは、毒素から鴇を守るためにも役立っていた。
「おいで、グル坊。一仕事しておくれ」
 幼子に語りかけるような声に応じたのは、可愛げなど欠片もないグロテスクな蛞蝓である。
 のたうつ身体から滴る粘液は、地下空間の強固な鋼鉄さえも焦がしていた。
 ともすれば大蛇と並ぶほどに巨大な蛞蝓が這い進むと、弾幕がそれを拒むように厚くなる。
 だがやんぬるかな、そもそもこの酸毒は蛞蝓から滲み出したものである。
 砲弾を瞬時に融かすほどの酸性で己を鎧っているならば、どれだけ砲弾を浴びせようが通じるはずがない。
 見た目にそぐわぬ気味が悪いほどの速度で、蛞蝓は間合いを詰める。
 そして滝のように吐き出される粘液……無敵要塞の全身がおびただしい煙に包まれた!
「お膳立てされてしまったな。だがちょうどよかった」
 鴇はにやりと笑い、ずるずると這い進む大蛇と連携してあとに続いた。
 蛞蝓の酸がなければ、いかな鴇の剛刃とて弾かれてしまうだろう。しかし!
「これなら通るか……かみさまのいう通り、だ!」
 ひょうと風が吹いた――一拍遅れ、無敵要塞の巨体に逆袈裟の剣閃が刻まれ、爆発!
 剣閃はひとつにとどまらぬ。二、三、四、五! 加えて大蛇の追撃!
 まるでケーキを切り分けるかのように、弱体化した鋼は屑鉄に変わっていく。
 そこに宿る力が真か偽りか……その有様を見れば、どちらかは一目瞭然だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
どっかんどっかんセカイを荒らして
そんなんじゃ誰も笑顔に出来ねーのん!
オマエの大きな大砲でもヒトのユメは挫けないんだって
らぶが教えてやる!
行くぞマザー
【『天使の六翼』を起動しました。大空は貴女のものです、ラブリー】

いくら大きくたって空中なら色んな方向に逃げれるんだ
それにピッタリ近づけば何も出来なくなるでしょ?
らぶがオマエの体をアウトローサインのカラースプレーで可愛くアートしてやるなん

それはこのセカイで今まで出会ってきた沢山のヒト
みんなステキな笑顔で手を繋いでる
いつか父と母に会いたいと言ってた女の子
まだ誰も見た事のない星を見つけてみたいと笑った男のヒト
そうしてみんな繋がって
ヒトのミライは輝いてん!



●リブート・アンド・デストロイ

 ――そうだなあ、リンダは、おとーさんとおかーさんに会いたいなぁ。

 嵐に呑まれる運命にあった少女の言葉は、ラブリー・ラビットクローのこころと頭と、大事なレコーダーにしっかりと刻み込まれている。
 ラブリーは、この世界でたくましく生きる人々の「ユメ」をいくつも仕入れてきた。

 星を見つけてみたいという人がいた。
 考えたこともないと呟く者もいた。
 ただ生きることだけを望む女たちもいた。

 ラブリーはそのすべてを憶えている。
 そして携える。背には天使の翼を、こころと双肩に人々のユメを。

「どっかんどっかんセカイを荒らして! そんなんじゃ誰も笑顔に出来ねーのん!!」
 砲火が羽ばたきを追う。空中に刻まれたパーティクルめいた光輝は爆炎に呑まれた。
 だがラブリーは健在。大空は彼女のものであり、すなわちここは彼女の舞台だ。
「オマエの大きな砲台でも! ヒトのゆめは挫けないのん!」
 推力を右から前方へ。風切り音が鼓膜を震わせ、髪が後方へなびいた。
 その手に携えるのは刃でも、銃でもない。ただのカラースプレーだ。
『警告。全砲台がこちらをロックオンしています』
「カンケーないのん! らぶなら避けられる!」
 ドウ、ドウ、ドウ――前へ翔ぶラブリーを徐々に爆炎の追手が詰めていく。
 生半可な刃では、あの鋼は切り裂けまい。
 そこらの銃では、巨大な砲台には敵うまい。
 だからラブリーは、斬るのでも撃つのでもなく、カラフルな絵を描いた。

 笑顔で手を繋ぐ人々の絵を。
 仲睦まじい親子の絵を。
 光り輝く星を指差す男の絵を。

 そんな行為では、無敵の名を持つ兵器を破壊することなど出来ない。
 だがそもそも必要ないのだ――なぜなら、過ぎた力が要塞を内側から滅ぼす。
 砲弾は尽きて折れ崩れ、爆炎を噴き出し、巨躯は今度こそ崩折れた。
 色とりどりの絵も、ちろちろと燃える焰に呑まれて消える。

 ……いや。
「いつか絶対、絵空事じゃないユメを叶えてみせるのん」
 それは手向けであり、誓いだ。
 ヒトの繋げたユメを、未来へと運び輝かせてみせるという。
「だから、もう働かなくていいなんな」
 無敵だったものは応えない。そこに意思などない。ユメもない。
 けれども燃え上がる炎もまた、ミライの輝きにつながっているのだろう。
 ラブリーの覚悟に応える篝火めいて、崩壊の炎は長く永く燃え続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月12日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト