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アポカリプス・ランページ⑤〜無敵を貫く一矢を放つために

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑤ #🔵>👑到達予定日時までプレ受付中 #🔵>👑到達予定:9/10の23:59 #体調優先しました。プレ流し申し訳ありません #→→🔵>👑到達予定:9/12の08:00に変更です



 ソルトレークシティー。
 アポカリプスヘルにおいても文明崩壊以前はアメリカ西部高原地域の経済的中心地となっていた街である。その一方で宗教都市としても有名であったこの街であるが、その宗教施設の地下では例に漏れず、人道にもとる実験が行われていた。

 大規模な『フラスコチャイルド製造施設』である。

 秘密裏に運用されていたその施設の目的は『最強のストームブレイド』を生み出すこと。そのための手段として培養されていたのが『デミウルゴス式偽神細胞』である。


「その『デミウルゴス式偽神細胞』が移植された、強力なオブリビオンがソルトレークシティーに姿を現わしたってわけだ」
 フィラ・ヴォルペ(レプリカントのアームドヒーロー・f33751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにそう告げる。
「いや、もしかしたら……偽神細胞の方が侵食していったのかもな。生き残るために」
 フィラが手元のコンソールを叩くと、ホログラムのように映し出されるのはその地に現れたオブリビオンの姿。
「ベルグリシ。ぶっちゃけて言うなら要塞だ。人が立て籠もるための、な」
 元はオブリビオン・ストームに耐えうる巨大な無敵要塞。その名に違わぬ防御力を誇っていたが、結局は破壊され、その後『要塞型のオブリビオン』と化した。
「そこにデミウルゴス式偽神細胞が侵食したってことらしい」
 その結果、無敵要塞は変質に変質を重ねて、今や自立移動を可能とし……もはや歩く大災害となっている。
「コイツを叩くことで、デミウルゴスの戦力に直接的ではないがダメージを与えることが出来る」
 とはいうものの、相手は30m級の化け物だ。簡単に倒せる相手ではない。
「結構、分の悪い賭けなんだがな。行ってくれるかい?」


「正直なところ、真正面から『倒す』のは現実的じゃないんだよな」
 無敵要塞という名は伊達ではない。最終的には破壊されたとはいえ、長らくオブリビオン・ストームの脅威に耐えていたのだ。その防御力は衰えているどころか、デミウルゴス式偽神細胞によってさらに強化されている。
「その上、侵食されたせいか、破損個所を再生させる機能が追加ときた」
 もはや機械生命体というか、生きてる金属というか。とにかく厄介極まりない代物になっている。
「まぁ……一瞬で消滅とかさせればイケるかもって思うだろうが、それも偽神細胞で邪魔されそうだ」
 というわけで、『外からの力で破壊する』という手段は現実的ではない。
 これを打破する方法にはたったひとつしかない。
「外がダメなら中。あらゆる機能の要となっている偽神細胞、コイツを機能不全に追い込むしかないってな」
 その具体的な方法はシンプル。猟兵の皆が戦うことだ。
「実はこのベルグリシはデミウルゴス式偽神細胞に対して激烈な拒絶反応を起こしている」
 おそらく侵食された影響だろう。見た目は強化されているのだが、その中心では拒絶反応が発生しているのだ。
「この拒絶反応のせいで、ベルグリシはユーベルコードを使うごとに自壊していくんだよ」
 最初は徐々に……。その自壊すらも再生させる機能が働くが、何度も何度も重なれば、そのうち自壊のスピードが再生能力を上回る。
「つまり、攻撃にしろ防御にしろ、とにかくベルグリシにユーベルコードを使わせることができれば、相手を追い込むことが出来る」
 だが、ベルグリシの能力は飾りではない。
「無敵の防御力を盾に、バカみたいな攻撃力で広範囲に強烈な反撃を叩き込んでくる。マジでこっちが死にそうな勢いでな」
 求められるのは生き抜くこと。強力な攻撃も必要だが、継戦能力やサバイバルといった持続力も大事になってくる。
「強くなくても構わない。戦場を生き抜ける奴が頼りだ」
 そうして、ベルグリシがもうどうしようもないくらい追い込まれたタイミングで、一斉に攻撃を仕掛ける。跡形もなく吹き飛ばすほどの強烈なトドメを。
「トドメに至るまでには、かなりの手数、人手がいる……」
 その一手一手が猟兵たちを勝利へと導く。
「というわけだ」
 そう言ってフィラはグリモアを取り出し。
「ああ、キャバリアとか機動兵器とかも全力で持ち込んでくれ。で、全力でぶちかましてくれりゃそれでいい。頼むぜ?」
 そして猟兵たちをアポカリプスヘルへと転送するのであった。


るちる
 まいどです。お世話になってます、るちるです。え、男のキャラなんていたのかって? いたんですよこれが。初めてやけども使うの。
 そんなわけでアポヘル戦争、2つ目のシナリオのお届けでーす。あれですよ、ザ○ングルのLSと戦う感じです!

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 リプレイは戦闘重視のシリアス寄り。かといってコミカルやギャグがダメと言うわけではありませんので、皆さんのキャラらしい戦い方をお待ちしています。また、今回は出来る限り、野良でも合わせプレ採用をしたいと思っています。
 ソロ活動がしたいという要望がありましたらプレに一言お願いします(ソロとかソロ希望とか)

 戦場はソルトレークシティーの郊外。荒野になっています。周囲のことは気にせず、攻撃を叩き込んでいただいてオッケーです。

 このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。
(=============================)
 プレイングボーナス……超強力な攻撃を耐え凌ぎ、敵の自壊を誘う。
(=============================)

 というわけで。
 戦闘の目的は『敵機の直接破壊』ではなく、『敵の自壊を誘う』ことです。
 そのためには『無敵要塞・ベルグリシ』にユーベルコードを使わせる必要があります。
 こちらから攻撃を叩き込んで防御でユーベルコードを使わせる。敵の攻撃を誘い、ユーベルコードを使わせる等、敵にユーベルコードを使わせてください。

 ベルグリシはその性質上、『無敵に近い防御力を持つ』上に『再生します』。ですが、その防御の上から無理を承知で叩き込む攻撃が、再生するとわかっていても破壊する作戦が、ベルグリシを追い込んでいきます。
 局所局所では苦戦していても、最終的に自壊まで追い込めばオーケー。
 耐え抜きながら持久戦に持ち込むのか、瞬間火力を叩き込んで離脱するのか。戦い方は皆さんにお任せします。
 アイテムやユーベルコードの制限はありません。

●補足情報
 このシナリオは「⑪デミウルゴス」の支援シナリオになっています。


 プレの受付はオープニング公開から。シチュとかは気にせず、攻撃攻撃攻撃で大丈夫でーす。できれば水曜の8:30以降のプレ送信だと嬉しいですが、気にせずでオッケーです。
 それでは皆さんの参加をお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『無敵要塞・ベルグリシ』

POW   :    砲煙弾雨のウォーキングフォート
自身の【装甲材と砲台が、内部に搭載された動力コア】が輝く間、【あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になり、砲台】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    マジノウォー
全身を【囲む、砲台で攻撃しつつ、身体を防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    ジークフリートモード
【あらゆる攻撃に対しほぼ無敵の、殲滅モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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カグヤ・アルトニウス
○ベルグリシ花火大会

アドリブ・連携可
無敵なガラクタは幻覚見せて放置がベストですね
無駄かもしれませんが…偵察ぐらいしたらどうです?

(行動)
まず、仕込みとして【念動力】+【ハッキング】で高高度から波状攻撃をする数千機の空軍の爆撃機隊の幻影をレーダー上に展開します
その「敵機群」の爆撃の射程内に入る頃にUCを起動
空爆を装った攻撃に自分と一緒に幻覚で認識外に置いたトゥインクルスターで上空にゲートを開き、そこからの【誘導弾】+【マヒ攻撃】の「実体のある」誘導爆弾による爆撃を混ぜて盛大に煽ります

あとは、何もいない空に向かい打ち上げ花火の如く懸命に対空攻撃するベルグリシが自壊する様子を陰ながら見学してます




 ソルトレークシティの郊外を進む『無敵要塞・ベルグリシ』。
 それを遠くから視認していたのはカグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)であった。
「無敵なガラクタは幻覚見せて放置がベストですね」
 そう言ってまずは仕込みを仕掛ける。

 突如としてベルグリシのレーダーに、高高度から波状攻撃を仕掛けようとしている数千機の爆撃機が映る。
 それに反応してベルグリシが静止、砲撃態勢に移行する。直後、迎撃。ベルグリシの全身に配置されている砲台から一斉に砲撃が開始される!
 全周囲に対して。
「……ぐあっ?!」
 それはカグヤにとっても想定外だろう。空への砲撃だけではなく、対地砲撃も同時に行われたのだから。もちろんカグヤを狙ったものではない。ただ、カグヤ自身が言ったようにベルグリシはガラクタだ。そんな『空だけを狙う』なんて器用なことが出来る存在ではない。
 ベルグリシの周囲が砲撃の嵐と化す。
「ちっ……」
 あまりのガラクタ具合に思わず舌打ちするカグヤ。発動したユーベルコード【Daydream storm】の射程内は半径107m。ここから離れるわけにはいかない。
 懸命にベルグリシの砲撃を回避しながらカグヤが攻撃を仕掛ける。
 自分とともに幻覚で存在を認識外として『トゥインクルスター』の超空間ゲートを通じて、幻影の空爆を装った実体のある誘導爆弾での爆撃。
 爆撃によるダメージはベルグリシのユーベルコードに阻まれる。使わせるのが目的であるから、その目的は達成された。
「くっ……」
 幻影に惑わされ、何もない空間を対空攻撃し続けるベルグリシが自壊する様子を見学しようと思っていたが、この周辺ではそんな余裕はないようだ。
「ガラクタは所詮ガラクタですか」
 そう言い捨てて、戦域を離脱するカグヤであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

…ベルグリシ、貴方も「生きて」る
まつりん、わたし「彼」を最期まで見送りたい

【あたたかな光】
大剣にした灯る陽光を一振り
溢れ出たオーラを自身とまつりん、戦場の猟兵の皆へと放出し、防御と回復を
ん、これで大丈夫。耐え切れる

大剣を構え、ベルグリシに向かい一直線にダッシュ
砲撃は直撃を喰らわぬように見切り、逃げ足で回避
ジャンプも入れてフェイント仕掛け、怪力で思い切り大剣を叩きつけ

ベルグリシ、苦しい?
ん、なるべく早く解放する

まつりんと動きを合わせ、波状攻撃を仕掛けるように攻撃を加え
オーラの防御も受け切れない攻撃は気合いで耐える

これで最後
ゆっくり休んで


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!

ふぅん、受け流して時間切れ狙えばいいんだね。
それなら、白楼炎で……あ、アンちゃん!?
……そんじゃおいらも突撃しよっと♪

疾走、発動!
目の前を飛び交い、旋回して背後から接近、拳を叩き込む!
砲弾の嵐は野生の勘で躱し、ヒットアンドアウェイで牽制するよ。

アンちゃんが正面から対峙してる間は、おいらが背後から気を引き。
向き直られたら、全力で距離を取って逃げる!
常に全周から攻撃を加え続け、イラつかせていくね。

うるごす……前に聞いたのは、ダイウルゴスだったっけ。
かみさまのことなのかな、わかんないけど!
全力で弾を撃ち尽くして壊れてく砲台って、なんかカッコイイかも!

じゃあね、バイバイ♪


トリテレイア・ゼロナイン
砲煙弾雨を掻い潜り、例え通じずとも攻撃を当て消耗させる…
耐え凌ぐ戦いは騎士として望む所です

砲を避ける為の機動性の為に機械馬に●騎乗

マルチセンサーでの●情報収集で砲座の射線を●瞬間思考力で把握
砲撃予測地点を●見切り騎馬のスラスターの●推力移動も合わせ大量の砲弾を回避し時間を稼ぎ

生身では長時間の集中力を要求され消耗する作業でも私はウォーマシン
持久戦は得手です(●継戦能力)

その間にUCを充填
この戦いでは一度しか撃たぬ武装
発射時の自壊もいとわぬ●限界突破した充填時間で運用

地形の変化や此方の機動の敵の学習で回避困難となれば攻撃開始
対艦砲を凌駕する域のレールガンで砲台の穴をスナイパー射撃

この一撃で…!


政木・朱鞠
防御力と再生ってのは厄介だけど、それも無限じゃないのなら多段攻撃で足止めと消耗をさせてスムーズに自壊を狙いたい所だね。
当人は無自覚かもしれないけど、面倒くさいモノを撒き散らしたデミウルゴスの悪巧みを骨折り損にするためにベルグリシの進攻を一旦閉幕させて貰うね…。

戦闘【WIZ】
チビ分身達がどれだけ足止めが出来るか不安は有るけど『忍法・火煙写身の術』を使用しての手数を稼ぎたいね。
武器は忍者手裏剣『鳳仙花』をチョイスして、残りのチビ分身と共に【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】で露出した関節部分を狙って再生や防御ユーベルコードに手間取る様にダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


ナイ・デス
……辛いでしょうね
ベルグリシさんも、デミウルゴス式偽神細胞さんも
……できるだけ早く、楽にしてあげましょう

【覚悟】を決めて『いつか壊れるその日まで』発動
光を纏い、光を放ち【空中戦、推力移動ダッシュ】速く動いて攻撃を受けます
【激痛耐性、継戦能力】砲撃に完全に吹き飛ばされたとしても、再生して
何度受けても、意志と、もっと痛いこともあったという経験に、再生能力で怯まず、再生する程に出力あげて突撃
撃てば自爆の距離では撃たない、なんてことはないですよね
自爆がダメージになるか知りませんが

本命は、こちら

【鎧無視攻撃、生命力吸収】する光をあてる
再生する程に出力をあげ続け、ベルグリシさんが力尽きるまで傍に




 いまだ健在の、『無敵要塞・ベルグリシ』。少しずつ自壊を始めているが、ほぼ全力と言ってもいい状態で完全に戦闘モードに入ったベルグリシに対して、猟兵たちは射程外から様子を窺う。
「……辛いでしょうね……ベルグリシさんも、デミウルゴス式偽神細胞さんも」
 暴走……とは言い難くとも。ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が目を細めつつ、その巨体を観察し
「……できるだけ早く、楽にしてあげましょう」
 告げる言葉は慈悲か決意か。
「砲煙弾雨を掻い潜り、例え通じずとも攻撃を当て消耗させる……耐え凌ぐ戦いは騎士として望む所です」
 砲弾の雨に戦場と化した荒野。その先に在るベルグリシの存在を視認してトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はそう告げて。
「ふぅん、受け流して時間切れ狙えばいいんだね」
 いつものお気楽狼っ子木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)はトリテレイアの言葉に悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「当人は無自覚かもしれないけど」
 仲間のやり取りを横目で微笑ましく見ながらも、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)の意識は鋭くベルグリシへ。
「面倒くさいモノを撒き散らしたデミウルゴスの悪巧みを骨折り損にするためにベルグリシの進攻を一旦閉幕させて貰うね……」
 朱鞠もまた覚悟を決めてベルグリシを見据える。
 徐々に射程内まで近づいてくるベルグリシ。それにつれてピリピリとした緊張感が張り詰める中。
「それなら、白楼炎で……あ、アンちゃん!?」
 お気楽祭莉の声が一瞬にして張り詰める。
「「「!?」」」
 他の3人も振り返るも、祭莉の制止を聞かずに飛び出した影――木元・杏(シャー・オブ・グローリー・f16565)には手が届かず。
「……そんじゃおいらも突撃しよっと♪」
 止めるどころか、便乗する祭莉。
「ええい! 子供だけで行っては!」
「まぁまぁ。そんな時のための私たち大人でしょ」
「僕も12歳なんですが……」
 思いっきり突っ込んだ兄妹に続いて、トリテレイア、朱鞠、ナイも戦闘態勢を即座に整える。
 ベルグリシ攻略戦の最終決戦が始まった。


 一心不乱に突撃する杏。思わず飛び出してしまったことは後から怒られるかも。でも、でもでも。
(……ベルグリシ、貴方も『生きて』る)
 その想いが杏を突き動かしてしまった。そして自分の横に並んだ兄にこう告げる。
「まつりん、わたし「彼」を最期まで見送りたい」
「ん!」
 妹の言葉に兄は即答。そんなことは百も承知と、既に【風輪の疾走】は発動中。全身を燃え上がる白い炎で包んでいる。
 そのまま、突撃……というところで、そうは問屋が卸してくれなかった。
「ならば、まずは我々に」
「「……!」」
 その声は機械白馬『ロシナンテⅡ』に騎乗したトリテレイアのもの。あの後、即座にロシナンテに飛び乗ったトリテレイアは一直線に二人へ追い付いたのだ。
 もちろん騎乗したのは恰好だけではない。
(砲を避ける為の機動性。ロシナンテならば)
 さらに加速して二人を追い抜いていくトリテレイア。
「足止めする。続いて」
 ウインクしながら疾走して、祭莉と杏を追い抜いていく朱鞠。どうやらそのウインクは祭莉に向けてのようで?
「アンちゃんは後でね!」
 祭莉の速度がぐん、とあがる。
「……ん。わかった」
 祭莉の言葉を受けて、ぎゅぎゅぎゅっと足で地面を掴んで、杏が静止。ふぅ、と呼吸を整える。
『光よ、皆を守れ』
 大剣の形にした【灯る陽光】を一振り。そこから溢れ出たオーラが、【あたたかな光】がこの場にいる猟兵たちを包み込み、防御と回復を与える。
「ん、これで大丈夫。耐え切れる」
 そう告げた杏の真上を、光が飛翔していく。それはナイのユーベルコード。
 そして杏の視線の先で、駆け抜けていった3人が既にベルグリシと交戦を始めていた。


 激しい雨のように降る砲弾。
 その砲弾の中を、トリテレイアと機動馬が駆け抜ける!
「むっ……!」
 声が零れるも動揺している様はなく。それもそのはず、トリテレイアは常にマルチセンサーでの情報収集を実施。砲座の射線を瞬間思考力で把握した上で、砲撃予測地点を見切り。
「ここです!」
 ロシナンテのスラスター噴射による推力移動で、最適のルートを駆け抜ければ、砲弾の雨とて、壁の花のように踊る相手を見失う。
「良い護りです」
 それでも発生する直撃コースの砲弾は、素早く踏み込んで先に付与されたオーラの護りで弾き返す。爆発する前に射線を強引に変えて回避しているのだ。ついでに爆風に巻き込まれないように即座に離脱。その後も正確に、確実に動き回る。
(生身では長時間の集中力を要求され消耗する作業でも私はウォーマシン……持久戦は得手です)
 この手の持久戦は彼の得手。射程内で健在というだけで、トリテレイアにベルグリシの照準が固定されようとする、その時。

 ガンッ。

 高速飛翔した光が物量としてベルグリシの砲身を下から跳ね上げる。べぎっと鈍く重い音がして砲身が曲がる。
(硬い……それでも手に負えない相手ではない)
 それは覚悟を決めて【いつか壊れるその日まで】を発動したナイであった。
 そのナイも留まらず、素早く動いて砲撃を回避する。空中然。空ならば自分が受けない限り、爆発しない(着弾は射角の関係で遠く)。その分、ナイは回避に専念できるのだ。
 再度の突撃。だがベルグリシもまたそのタイミングを狙っていた――ベルグリシの反撃は自爆すら厭わぬゼロ距離射撃!
「くっ……」
 だがそのダメージすらもナイの計算内。
(自爆の距離では撃たない、なんてことはないですよね)
 と見込んでいたがその通りだったらしい。ただ、自爆のダメージがどうなるかまでは実際に見てみないとわからなかったが。
 砲撃で受けたダメージと激痛を引き上げた耐性と再生力でしのいだナイはベルグリシに視線を遣る。
「やっぱり通りませんよね」
 無傷。否、ユーベルコードで弾き返しているというのが正解か。
 拒絶反応で猟兵との戦闘とは全然関係ない場所が脆く崩れ去っていく。
(まだ、まだです)
 何度も放たれる砲撃の雨の中。
 強い意志と『もっと痛いこともあった』という経験で以て乗り越えるナイ。出力を上げて再度突撃する。

 真正面からトリテレイアとナイが派手に注意を引いてくれたおかげで、この二人は動き易かった。朱鞠と祭莉。既に二手に分かれて、まず仕掛けるのは朱鞠。
(防御力と再生ってのは厄介だけど)
 だがそれも無限ではない。
「なら多段攻撃で足止めと消耗をさせてスムーズに自壊を狙いたい所だね……っ!」
 砲弾の雨の死角、すなわち(あくまで現在の、であるが)射角で狙えない場所に潜り込んだ朱鞠は素早く手で印を結ぶ。
「言霊にて煙火に暫しの魂魄を与えん……疾く攻めよ!」
 【忍法・火煙写身の術】――狐火で模った朱鞠のチビ分身たちがその数500以上。一斉に散ってベルグリシの巨体へと飛び掛かる。手数で攻める作戦だ。
 ベルグリシの巨体に取り付いたチビ分身たちは一切の容赦遠慮なく攻撃を加えていく。小さいゆえにダメージも小さいが、それでもユーベルコード。その攻撃に対して、ベルグリシと偽神細胞は反応する。手数の分だけユーベルコードを消費していくのだ。
 そして本体たる朱鞠も懐から取り出した忍者手裏剣『鳳仙花』を投擲。狙いはチビ分身たちが攻撃した直後の地点。一瞬とは言え、綻んだその地点をさらに鳳仙花の刃で傷口を抉るように叩き込んでいるのだ。
(少しでも手間取るようにね)
 ダメージや傷が複雑であればあるほど、消耗は大きくなっていく。デミウルゴス式偽神細胞が活性化する分だけ拒絶反応が起こるはずだ。そしてその分だけ、再生やユーベルコードに使う力が失われていくのだから。

 朱鞠が仕掛けている間に、さらに奥へ。完全に後ろに回った祭莉。
「そいやーっ!」
 ダッシュの勢いを殺さず、そのまま小さな体を高速旋回。その勢いを乗せた大振りの拳の一撃をベルグリシに叩き込む!
 ベルグリシの巨体がわずかに揺れる。それはユーベルコードが反応している証拠。それを見て取った祭莉は連続攻撃を叩き込んでいく。
「……っと!」
 上から降ってきた砲弾を野生の勘で回避。飛び退った……と見せかけて再度突撃。ヒットアンドアウェイで牽制というか全力というか、そんな攻撃を仕掛け続ける。

「……! 皆様、注意を!」
 突如トリテレイアの声が響き渡る。
 猟兵たちの攻撃がし烈になる中、今の形態では対応しきれないと判断したベルグリシが自身のモードを切り替えたのだ。ベルグリシの迎撃態勢が『全周囲』……殲滅モードに変更され、機構がそれに合わせて変形する……その最中。
 杏が仕掛けた!

 変形中であるがゆえに、動きが鈍い。じっと、後ろでタイミングを見計らっていた(我慢していたよちゃんと)杏だからこそ、このタイミングで一直線にダッシュを成し得た。
 一瞬で肉薄。両手で下段に構えた灯る陽光を携え、杏がベルグリシを見据える。
「ベルグリシ、苦しい? ん、なるべく早く解放する」
 ダッシュの勢いのままジャンプ! そのまま怪力で思い切り大剣を叩きつける!
「アンちゃん!」
「……ん、了解」
 一撃のあと、着地した地点へ既に回り込んでいた祭莉の声。着地と同時に背中合わせの体勢になった二人はさらに連携攻撃を仕掛けていく!
 痛烈な攻撃の中、ベルグリシの殲滅モード変形が完了。最初の照準が二人に向いたその瞬間。

 力を溜めていたトリテレイアはその力を解放した!


「この一撃で…!」
 それは『この戦いでは一度しか撃たぬ武装』と決めた、必殺。発射時の自壊もいとわぬ限界突破したチャージ、木元の兄妹が稼いだ時間で調えた極大の一撃。

 【コアユニット直結供給式対人・対艦兼用電磁投射砲】が迸る!

 騎士の(体裁を気にする)彼にとっては不本意な武装。されどこの瞬間は。躯体から伸ばすワイヤーアンカーで固定した、さながらレールガンと化したトリテレイアの一撃は対艦砲を凌駕する域の威力で、近距離からベルグリシの巨体を撃つ!
 強烈な一撃が30m級のベルグリシの巨体を大きく揺らして体勢を崩し、ついにその装甲を貫く!
 否。その攻撃に『無敵』が耐えられないほど、ベルグリシの内部は既に自壊していたのだ。
 ユーベルコードで凌ぐベルグリシの装甲が自壊によってみるみる崩れ落ちていく。

 それでもなお攻撃しようとするベルグリシ。
 主砲が固定砲台となっているトリテレイアに向く。
「させないよ!」
 自壊のためか、動きが鈍っているベルグリシ。動きの速さなら朱鞠の方が格段に上。砲台を足場に素早く跳び上がった朱鞠の手裏剣が主砲の根元へ突き刺されば、直後、中の砲弾と反応して暴発する主砲。

(今です……!)
 暴発で完全に体勢を崩し、砲撃が止まったベルグリシへナイが突撃。これまでのナイの攻撃はほぼブラフ。この一撃のために耐えていた時間。
(本命は、こちら……!)
 ベルグリシの巨体に取り付いたナイが、その光を強める。生命力吸収――ベルグリシの活動エネルギーをその身に吸い尽くす光。
「大丈夫ですベルグリシさんが力尽きるまで傍に」
 出力をあげ続けるナイの言葉に……ベルグリシの動きが止まる。

 それを見上げるのは杏と祭莉の兄妹。
(うるごす……前に聞いたのは、ダイウルゴスだったっけ。かみさまのことなのかな、わかんないけど!)
 そう思いながら祭莉は、『全力で弾を撃ち尽くして壊れてく砲台って、なんかカッコイイかも!』と思う。
「これで最後」
 崩壊するベルグリシの懐へ踏み込んだ杏の一閃。そして祭莉が拳を叩き込んで。

 ベルグリシはついにその限界を迎えたのであった。


 ゆっくりと……ベルグリシが自壊と自重で崩れ去っていく。
「終わった……カナ?」
 地面に着地して、とんとんと距離を取る朱鞠がベルグリシを見上げる。
「……」
 その隣で膝をつきながら(出力オーバー)、ベルグリシの崩壊を見届けるトリテレイア。

「ゆっくり休んで」
「じゃあね、バイバイ♪」
 崩壊していくベルグリシに手を当てながら杏とその後ろから祭莉がそう告げて。

 そしてベルグリシの中心に近い場所で……いまだナイはベルグリシに寄り添う。
「お別れです」
 ナイが呟く。その言葉が最後の……。

 ベルグリシの巨体が塵のように崩れ去り、風に吹かれて拡散していく。
 ここに『無敵要塞・ベルグリシ』の討伐は完了したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月12日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト