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アポカリプス・ランページ⑩〜輝きの中に潜む星辰〜

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑩


 ヒューストン宇宙センター。
 多くの世界でアメリカ航空宇宙局、通称NASAによって有人宇宙飛行の研究と管制が行われている施設である。
 オブリビオンストームによってその組織全てを薙ぎ払われたアポカリプスヘルでは、フィールド・オブ・ナインが一柱「邪神」ポーシュボスの支配下に落ち、再利用されていた。
「この地下には、深淵が如く輝き、見る者を狂わせる宝石……通称『宇宙の幼生』が幾つも厳重保管されているそうです」
 ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)の手元にはその問題の宝石を撮った写真は無い。被写体を見ただけでも精神に悪影響をもたらす可能性があるから、だそうだ。
「ポーシュボスはオブリビオンを超宇宙の恐怖によって変異強化させる計画を練っており、ヒューストン宇宙センターはその唯一にして最前線の研究基地となっております」
 今回の任務は、ヒューストン宇宙センターに侵入し、その地下にある「宇宙の幼生」を破壊するというものだ。
 ただエルドラドやデスバレーと違い、この宝石に対して警備役のレイダー達の姿はなく、しかも研究員達も自身の研究にのみ心血を注ぐように精神を弄られているため、地下にたどり着く「まで」は楽々達成することが出来るだろう。
「ただこれは恐らく『守ろうとしていない』のではなく『守れない』からでしょう」
 この宝石には「超宇宙の恐怖」が込められており、それを見るだけで並大抵の者は逃げ出すか、精神を崩壊させてその場で自死を選んでしまうらしい。
 それが真実であれば、確かにわざわざ人を雇う必要性は無くなってしまう。「面接」の上に「壊れたレイダーの後処理」という面倒な仕事が増えてしまうのは、あまりに非効率的だからだ。
 常人に扱えないなら別に後回しにしていても……という意見もあるだろう。だが扱える者がフィールド・オブ・ナインとしている以上確実に対処する必要がある。
「超宇宙の恐怖でオブリビオンをポーシュボス化させることを放置する訳には行きません。『宇宙の幼生』のもたらす狂気に耐え抜き、破壊してくださいませ!」
 そうして猟兵達は一路ヒューストンへ乗り込んだ。


平岡祐樹
 どっからどう見てもIAIAな宝石です、ありがとうございました。
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件にはシナリオボーナス「『宇宙の幼生』を見たことによる狂気に耐える」がございます。
 これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
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第1章 冒険 『宇宙の幼生』

POW   :    強靭な気合いで狂気に耐える。

SPD   :    なるべく宝石を見ないようにしつつ破壊を試みる。

WIZ   :    魔術や薬を使い、狂気を抑える。

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マリア・ルート
見ただけで精神を壊す宝石だとしたら、確実に破壊しないといけないわね。
現場に到着したら『早業』で物陰に隠れつつ、宇宙の幼生の位置を確認。この時位置確認のために宇宙の幼生を見るのは一瞬だけにするわ、それくらいなら『狂気耐性』でどうにかなるでしょ。
位置を確認したら『指定UC』発動、物陰に隠れたまま武器を宇宙の幼生へと飛ばして破壊するわ。武器たちは狂気に陥ることはない。物だから。まさにこいつらにとってうってつけの相手よ。

でも一瞬でも少しは狂気が出て破壊衝動が出ちゃうかもしれないわね、そしたらその分を『狂気耐性』で理性壊れるのは抑えつつも狂気をUCに乗っけるわ。
破壊衝動の相手はあんたらよ、宇宙の幼生!



 とにかく地下に行けばいい、という言葉に従いマリア・ルート(紅の姫・f15057)は階段を駆け下っていく。時折、研究員とすれ違うことはあったがそもそも見えている景色が違うのか、何の反応も示すことがなかった。
「見ただけで精神を壊す宝石だとしたら、確実に破壊しないといけないわね」
 それも例の宝石のせいだと言うのなら、一刻も早く壊さねばならない。マリアは階段の一番下の階にたどり着くと鍵もセキュリティも無い扉が1つだけ待ち構えていた。
「どう考えても、この部屋でしょうね……」
 息を吐いたマリアは覚悟を決めると後ろ手でドアノブに手をかけ、音がしないようにゆっくりと開ける。
 そして僅かに開いた隙間から位置を確認するために覗き込んだ。
 すると部屋全体に、まるで大小関係なく展示品のように等間隔に何もかもを吸い込みそうなくらい真っ黒な石が並べられていた。
「……っ!?」
 体中に悪寒が走り、マリアはすぐに扉の裏に戻る。
 全身から汗が、動悸が止まらない。ほんの一瞬見ただけだというのに。こんなのおかしい、もう一度見て確かめなくては———。
 マリアは全力で頭を床に叩きつける。何度も、何度も、変な考えが脳裏から消し飛ぶまで。
「あー……これが、例の、狂気か……」
 まず第一段階として宝石から目を離せなくさせ、どんどん時間が経つに連れて深刻度を増していくのだろう。
「見れば見るほど意識を失って、おかしくなるパターンね。単純な破壊衝動だったらどれだけ良かったか……」
 額をさすりながらその場に座り込んだマリアは目をつぶって念じる。すると部屋のあちこちから突然大量の武器が現れ始めた。
 武器は意識がある物を除けば、狂気に陥ることはない。物だから。まさに宝石にとって天敵たる相手だ。
「壊れるのはあんたらよ、宇宙の幼生!」
 マリアの雄叫びに反応し、武器達が一斉に動き出す。等間隔に並べられていてもこれだけ沢山あれば適当に振るっても当たる。
 置かれていた台やガラスが砕け散る音が中から聞こえ始めたのを感じ、マリアは扉を閉めた。
 うっかり破片が隙間から転がり込んできた時、またじっと見つめてしまいそうな気がしたからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「なるほど、見なければいいのね」

であれば用意するのは発煙筒の山。
問題の宇宙の幼生は地下にあるということは部屋になっているはず。

入り口の外から発煙筒を連続投入。
部屋の中が見えなくなったら、ユーベルコード【錬成カミヤドリ】。
私の分身である106個の宝石を面状に展開して前進、目標の位置を「接触して」把握するわ。

後は[スナイパー][貫通攻撃][破魔]の合わせ技で銃で射撃。
「砕ける音がするまで撃ち続けるわよ」

…ところで何かの数値がゼロになっていれば安心だったりしないかしら?



「なるほど、見なければいいのね」
 宇宙の幼生の取り扱われ方を聞いたヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)が用意したのは山のような量の発煙筒であった。
 見たら発狂してしまうならば、見れないようにすれば良い。ヴィオレッタは発煙筒の先端とそのキャップを擦り合わせ、火がつくたびに部屋の中へ放り込んでいった。
 防火設備すらも外されているのか、煙で部屋全体が見えなくなっても警報やスプリンクラーの類は始動しない。何より宇宙の幼生が何らかのアクションを起こしてくる気配もない。
 ヴィオレッタは自分の器物の複製である宝石を部屋の中に入れると念力で面状に展開して前進しつつ、目標の位置を「接触して」把握し出した。
 本体さえ触れなければ気が狂うことは無いだろう、という読みは正しかったようで体に変調が訪れる気配はない。
「でもあっちもこっちもいっぱいね……」
 部屋の中央に一個置かれているのではなく、お店の商品のように至る所に置かれていることを知ったヴィオレッタは早期の決着を図るべく煙が晴れないうちに部屋の中へ突入する。
 そして手当たり次第に目印をつけたところに向かって精霊銃を乱射していった。
 正確無比な弾道は複製体が伝える場所を一寸の狂いもなく射抜き、次々にガラスを割り、破魔の力を発揮させて宇宙の幼生を砕き、木の破片を跳ねさせ、金属の壁や床を叩く音を響かせる。
 ただその音が途切れても撃つことを止めることはできない。今いるのは敵の本陣である、少しでも気を抜けば食われるのはこちらだ。
「……ところで何かの数値がゼロになっていれば安心だったりしないかしら?」
 ヴィオレッタは苦笑いを浮かべながらふと呟く。
 多めに放り込んだせいで未だに収まる気配のない煙の中で数値を見ることは厳しく、ヴィオレッタはうっかり宇宙の幼生の破片を踏んでしまわないように気をつけながら部屋を後にした。
 振り返って確認はしない。あれだけの弾を全体にばら撒かれて、避けられる宝石なんてそう多くあるわけがないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナターシャ・フォーサイス
この世界にそんな危険な代物が…
いえ、それはいつものことでしたね。
ともあれ、これも遍く総てを救済するには必要なこと。

見ただけで狂気に呑まれる…のなら。
【催眠術】を自分にかけ、狂気を弾きましょうか。
それから天使達を呼び、彼らに破壊させるのもいいでしょう。
なぜなら彼らは人ならざる者。
失うべき理性も、最初から存在しないのですから。
私はただ、彼らに指令を下せばよいのです。
ついでに天使達は数も揃っていますから、探索させ見つけ次第壊させるのもいいでしょうね。

彼らの力だけで壊しきれない時は、私の出番ですが。
いつぞやの魔王戦の時と同じく、自身に催眠がかかっているなら恐れるものはないでしょう。



「この世界にそんな危険な代物が……いえ、それはいつものことでしたね」
 話を聞いて一度は驚いたナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)であったが、冷静に考え直した末に照れ笑いを浮かべた。
 猟兵としての活動を始めてからというもの程度の差異はあれど、対峙するのは大体危険な代物かそれを操る者達ばかりだからだ。
「ともあれ、これも遍く総てを救済するには必要なこと。頑張って参りましょう」
 そう気合を入れ直したナターシャの呼びかけに応え、宇宙センターを取り囲むように大量の天使達が空から舞い降りる。
『あの者へも導きを。罪を祓い、我らが同胞に道標を与えるのです』
 人ならざる者として失うべき理性も最初から存在しない天使達はナターシャの号令を受け、地下へと一気に雪崩れ込んでいった。
 そして幼生を見つけると即座に壊し、仕事は成し遂げたと言わんばかりに元の居場所へと帰っていく。だがその一方で吸い付くように見入った末に自ら持っている剣で自分の頭を刎ねて果てていく者の姿もあった。
 だがそんなことが起きていること、どれだけの宇宙の幼生が壊れたかは部屋にたどり着くまでナターシャには分からない。
 そんなブラックボックスへ向かう途中で、ナターシャは踊り場になぜか設置されていた鏡の前でふと足を止めた。
「見ただけで狂気に呑まれる……のなら」
 そう呟くと、鏡に映った自分の顔をじっと見つめる。そうしてしばらくすると何事も無かったかのように再び降り始めた。
 そうして部屋一面に残された大量の宇宙の幼生との対面を果たしたナターシャは静かに鎌を構える。
 そして見た瞬間、魂が吸い込まれそうになる黒に向かってその刃をおもむろに振り下ろした。
 砕け散る音と共に黒が抜け落ちて行く。すると先程感じた違和感も消えていく。だがあの時に感じた狂気の音楽と比べたら可愛い物だ。
「私に恐れるものはありませんから」
 完全に目を据わらせたナターシャは天使が壊し損ねた幼生に向かってゆっくりと歩み寄った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

虹月・天柳
研究員たちは既に狂気に侵されているから問題ないのだろうな……。存在そのものが防衛機構か、厄介なことだ。


が、生憎此方も人形師であった手前そういったものに接する機会はそれなりにあってな。修復を承った人形が、以前の持ち主の狂気を浴び、持つ者を狂わせる呪いの人形と化していた……などというのもままある話だ。
そんな訳で、対応策は組んでいる。

義眼の【破邪】の力と「柘榴石のピアス」に組み込んだ【狂気耐性】の術式で宝石が与える狂気の影響を防ぎつつ、UCを発動して機材や床、壁から人形を作成。宝石を破壊していく。

それにしても「邪神」か。UDCアースのそれと同系統のものかは判らんが……ここも地球系統の世界だったな。



「研究員たちは既に狂気に侵されているから問題ないのだろうな……。存在そのものが防衛機構か、厄介なことだ」
 溜め息をついた虹月・天柳(人形憑かせの悪魔遣い・f30238)であったがこの手の類には馴染みがあった。
 人形師として長く活動していると修復を承った人形が、以前の持ち主の狂気を浴び、持つ者を狂わせる呪いの人形と化していた……などというのはままある話で、天柳自身もそのような手合に当たったことがある。
 そんな訳で、対応策は多くの先人達の手によってすでに組まれていた。
 左眼にはめられた黒瑪瑙の義眼に込められた破邪の力と柘榴石のピアスに組み込まれた狂気耐性の術式が天柳のそれである。
 故に天柳はこれといった準備もせず、手ぶらで宇宙センターの中に入ると真っ直ぐ幼生が保管されている部屋へと踏み込んでいった。
 所狭しと置かれた幼生の濃密な黒から、もっと近づいて、もっと間近で、魂で感じたい、という欲望が掻き立てられる。しかし心の中に沸き立った細波は大波に変貌する前に鎮圧された。
『転換せよ 変容せよ 汝は僕 我が手脚』
 平静を保ったまま天柳が諳んじると幼生が入れられていた機材や床、壁から人形を作成されていき、邪魔になった幼生が次々と投げ出されて行く。
 その場で立ち上がった人形達は足元に転がった幼生を次々に潰し回った。
「なるほど、幼生は『無機物』ではないのか。もし巻き込んでしまったら戻す前に壊そうと思っていたが……手間が省けたな」
 踏まれた衝撃でひび割れた部分から流れ出てしまったのか色が落ちて無色透明となった幼生だった物を拾った天柳は生身である右目でじっとそれを覗き込む。
 魂を全て吸い尽くされるような、身の毛がよだつ感覚はもうそこには残っていなかった。
「それにしても『邪神』か。UDCアースのそれと同系統のものかは判らんが……ここも地球系統の世界だったな」
 そう呟いた天柳はそのまま幼生の残滓を握り潰す。まるでセミの抜け殻のように乾いた音を立てたそれは、拳を開いた後に何も残さず消えてしまっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アテナ・アイリス
恐怖なんかに負けていられないわ、わたしの正義の力、見せてあげるわ。

まずは、事前にクレリック呪文で精神防御系の神聖呪文を自分にかけておく。
そして、「勇気」「狂気耐性」を使って、宇宙の幼生へと近づいていく。

守護女神を信じて前を進むだけよ。さあ、行くわよ!

UC『ラグナロク・ワルキューレ』を使って、楯の乙女に変身し狂気に打ち勝ち、「アーパスブレード」と「クラウ・ソラス」の二刀流で、
【2回攻撃】、【怪力】、【乱れ撃ち】、【早業】を使って連撃攻撃を行い、宇宙の幼生を破壊していく。

共闘、アドリブ大好きです。



「見たら恐怖のあまり逃げ出すか死にたくなる宝石ねぇ」
 アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)は自身にクレリック呪文の一つである精神防御系の神聖呪文をかけると、持ち前の勇気と狂気への耐性を信じて宇宙の幼生が保管されている部屋の1つへ押し入った。
「そんな恐怖なんかに負けていられないわ、わたしの正義の力、見せてあげるわ。さあ、行くわよ!」
 アテナに出来るのは守護女神を信じて前を進むだけ。その志を反映するかのように、凛として進むアテナの軽鎧は揺らぎ、神々しい見た目の物へと変貌していく。
 その周りには普段使いのミスラル製の物ではない巨大な盾がアテナを守るように浮かび、何も握られてなかった手には金色に輝く剣の姿がいつのまにかあった。
『これが勝利をもたらす力よ!』
 アテナはもう一方の手で腰に差した、水のように透き通った刀身を持つ剣を抜くとガラスケースの中に無造作に置かれた宇宙の幼生に襲いかかった。
 ガラスが割れ、外気に触れた宇宙の幼生が瞬く。だが引き寄せられたのはアテナの魂ではなく、相手の防護を無視して切り裂く光の刃だった。
 簡単に真っ二つにされた幼生から黒い物が飛び散る。しかしそれが空気中に溶けるよりも早く、何もかもを凍てつかせる刃が横切る。
 凄まじい速度で振るわれた二筋の斬撃に凍らされた幼生であったが、まるで海の中に落とされた一滴の墨汁のように一寸の隙間もない氷の中からその液体の姿は失われた。
「壊れたら消えちゃうなら、別に凍らせなくても良かったかしら?」
 宇宙の幼生がただの鉱物で無かった時のための予防線で張った、空っぽになった氷の塊を踏み潰し、アテナは息を吐く。すると壁際に置かれていた、アテナよりも遥かに大きい宇宙の幼生が細切れとなって床に雪崩れ落ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
…まさかここでも邪神の名を聞くとはな
近しい場所にでもこの世界は位置してるのかね
目視が条件…ね
ま、狂うというなら狂えばいいだけ
狂ったまんま壊せばいい
あらかじめ破壊大好きな俺様に変わっておこう

そうして、狂気に犯されている方が生存率の上がる狂ったような景色の中進もう

そう、破壊という狂気は元々ある
だからこそを催眠術で宝石が壊したいものに見えるように予め暗示をかけて自分を騙しながら進もうか
多分、他の壁とか諸々もそう見えるとは思うけど全部壊していけば何も問題はない

なぜなら生存率は上がってる
壊れていきうめになろうとも成ることはここではない
狂気が進む
壊すものがわからなくなる
だからどうした?
全部壊せば目的のも…



「……まさかここでも邪神の名を聞くとはな。近しい場所にでもこの世界は位置してるのかね」
 尾守・夜野(墓守・f05352)は薄暗い階段を一段一段ゆっくりと降りていく。
「にしても目視が条件……ね。ま、狂うというなら狂えばいいだけ、狂ったまんま壊せばいい」
 そう呟いた夜野は最後の段から降り、目の前に現れた扉を蹴破った。蝶番が壊れ、派手な音を立てて扉が幼生のある部屋を滑る。
 何の妨げも無くなった宇宙の幼生を前に夜野は限界まで口角を上げて歯を見せた。
「さあさあ、幼生さんよぉ。俺様と一緒に楽しもうぜぇ!」
 夜野は狂うことを恐れてなかった。なぜなら彼の中には「破壊」という狂気がすでにあったからだ。それに対し、夜野は催眠術で宝石を壊したいものに見えるよう予め暗示をかけていた。
 宇宙の幼生は夜野に超宇宙の恐怖を感じさせる。しかし夜野は怯まずにガラスを殴り破って幼生を手に取るとそのまま握り潰した。
 なぜ見るために自分から出向かなければならないのか。見せたいなら自分から来るべきだろう、と憤慨したのだ。
 止まない生命力の溶けた血の雨がボロボロになった部屋の中に降り注ぐ。狂気に犯された方が生存率の上がる、狂ったような景色の中で夜野は笑い続ける。
 狂気が進む。
 壊れて生き埋めになろうとも、成ることはここではない。
 狂気が進む。
 壊すものがわからなくなる、だからどうした? 全部壊せば目的のも……。
 狂気が進む。
 そうして破壊衝動は考えることを止め、手当たり次第に目についた物を素手で壊し回った。宇宙の幼生も宝石もガラスケースも台座も剣も発煙筒も天井も床も壁も柱も金属もコンクリートも露出した土も全部全部全部。
 そして支えを失った上の階の部分が保管庫に流れ込み、夜野はあまりの質量の前に押し潰された。
(馬鹿ですかあなたは! 幼生を壊せても一緒に生き埋めになったら意味ないでしょうが!)
(アンタバカでしょ、いやバカだったわ! 少しくらい後先のこと考えるだろうと思ってた私もバカだったわ!)
(おい、寝るんじゃねぇ! ここから出るの絶対俺に押し付けんだろ!? 自分でやった後始末は自分でつけろ! おい、聞いてんのか、おい!)
 脳裏でわーぎゃーうるさい別人格達の悲鳴を感じながら、満足し切った破壊衝動は目を閉じて眠りについた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月07日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト