アポカリプス・ランページ④〜触手の獣のかたやぶり
●型破りな獣
アポカリプスヘルでは、過酷な環境を生き抜く為に、非人道的な実験が数多く行われている。
遺伝子操作、薬物投与、その他様々な実験は人々を生かし、未来を繋ぐ結果となったが、その足元に積み重なったおびただしい血と肉は、いつかオブリビオンとなって牙を剥く。
死の谷の要塞で待ち構えるオブリビオン「アノマリィ・シング」もまたその一体であった。
筋骨隆々の肉体は剛毛のびっしり生えた皮で覆われ、背からはうじゅりうじゅりと触手が伸びる。
触手の表面はべっとりとした粘液でまみれ、時折ぼたりと垂れて地面を濡らした。
なんとも醜悪な面構え。開いた口から生えた牙は鋭く、舌を伸ばしたその表情は、この存在の凶暴性を体現するかのようであった、が。
「この施設を掌握されれば、我らが『フィールド・オブ・ナイン』が一つ、『スーパー戦車』に多大なる被害を与えかねぬ。なれば……守り抜くのみ」
思ったよりも流暢に喋る。しかも結構理性的だ。
「この触手に賜った侵蝕プログラム弾……これさえあれば猟兵達は武器を扱うことが出来ぬようになると聞く。いささか卑怯ではあるものの、これは戦争。生き残る者が勝者となる。……なれば全ての力を持って叩き潰すのみ」
なかなか武人気質でもありそうだ。なんかイメージと違う。
だが、触手の先端から肉を押し広げてぐにゅっと露出する白い弾頭のビジュアルは控えめに言ってなかなか酷い。
「猟兵共よ、来るなら来い! 武器を失い手も足も出ぬ貴様らの身体をこの触手で絡め取り、腰も立たぬほどにいたぶり尽くしてくれようぞ!」
案外言っていることも酷めだ。しかし堂々たる態度で、アノマリィ・シングは猟兵達を待ち構えるのであった。
●禁断のコンピュータウイルス
「皆様、アポカリプス・ランページへの参戦、ご苦労様ですわ」
エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)は集まった猟兵達を労いつつ、新たな戦場への案内を切り出した。
「デス・バレー……死の谷と呼ばれる地域にあるヴォーテックス一族の機械要塞。ここには『禁断のコンピュータウイルス』というものが眠っているといいますわ」
既に攻略が始まっているこの地域。制圧をすることが出来れば、禁断のコンピュータウイルスによって、フィールド・オブ・ナインの一体、スーパー戦車を弱体化させることが出来る。
その制圧作戦を確実なものとすべく、新たな敵討伐をエリルは依頼したのだ。
「今回倒すべきオブリビオンは1体。けれどその分、とても強力なオブリビオンになっていますわ」
オブリビオンの名は『アノマリィ・シング』。獣の姿をした二足歩行の怪物だ。
「人語を介し、知性も高い……強力な相手ですわ。けれど、それだけではないんですのよ」
厄介そうにエリルは首を捻り、言葉を続ける。
「このアノマリィ・シングは、侵蝕プログラム弾と呼ばれる武器を持っているようなんですの!」
侵蝕プログラム弾とは、猟兵達の武装を『形状や構造などを一切問わず』一時的に無力化してしまう厄介極まりない武器である。
これを受けてしまえば最後、猟兵達は武装無しで立ち向かわねばならないのだ。
「敵は、まずそうやって皆様を無力化してから圧倒的なパワーで蹂躙をする……といった戦法をとってくるようですわ」
つまり、敵と相対すれば侵蝕プログラム弾を必ず放ってくるというわけだ。
「ですから、武装無しでも戦えるような、何らかの対策は必要になりますわよ!」
エリルは猟兵達に、そう忠告した。
しかも、相手の姿が姿だ。武装がなくなってしまえばどんな目にあうのかわかったものではない。
エリルが予知で見たというアノマリィ・シングは理性的な性格であったとはいえ、それが戦いに反映されるかといえば、なんとも言えない。
「状況は不利……とはいえ、戦わねばなりませんわ。皆様、よくよく準備の上、立ち向かってくださいまし!」
そう言い、エリルはグリモアを輝かせた。
型破りの怪物に、武装無しでどう立ち向かう?
猟兵達の知恵や勇気や度胸、あるいは無謀さが試される瞬間であった!
G.Y.
こんにちは、G.Y.です。
なんだか強そうなオブリビオンが今回の相手です。
敵はユーベルコードの他に『侵蝕プログラム弾』という武器を撃ってきます。
これを受ければ、装備している全ての武装は機能や構造如何に関わらず、全て無力化されてしまいます。
これにどう立ち向かうか、それがポイントになります。
相手は触手を使ってきますので、武装が無い状態というのはとってもきけんです。
武装が無い状態で立ち向かう方法を色々考えてがんばりましょう。
どれだけ辛く苦しい状況に立たされても、負けない意思があればきっとなんとかなるはずです。
なお、戦争ですのでちゃんと攻撃をするようにはしてくださいね。
勿論、侵蝕プログラム弾を避けたり、撃たせないという形での対策も可能です。
そんなわけでプレイングボーナスは『武装の無力化への対策を行う』です。
皆さんのプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『アノマリィ・シング』
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POW : テイクダウン・オーバーラン
【全身を絡め取る粘液】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超重突進】からの【執拗で徹底的な蹂躙】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : クラッピング・テンタクル
【おぞましい肉疣が蠢く触手】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【種族の特徴】【獲物の感触】【悲鳴の声音】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : マインド・コロージョン
【口吻】から【広範囲】へ【神経毒ブレス】を放ち、【重度の感覚中枢汚染】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
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アハト・アリスズナンバー
今度は武人系触手マンですか。この世界は広い。
そんでもって、浸蝕プログラムも持つのはなんか属性過多が過ぎませんかね。
もう少し落ち着いた方がいいと私は思います。
じゃあその気合に答えて私も素手で向かいますか。
向こうの粘液を喰らい、動けない状態にしておいて突進を待ちます。
零距離になった瞬間にユーベルコード起動。一気にだまし討ちの自爆をします。武器は持ってませんよ?武器はね。
ちなみに私自身には毒を仕込んでおいて、自爆の際に相手に壮大に掛かるようにします。
「今度は武人系触手マンですか」
アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)は、感心したのか呆れたのか、どちらとも取れないような口調で『この世界は広い』と呟いた。
対峙するアノマリィ・シングは触手をうねらせ、堂々たる態度でアハトに挑む。
「来たか猟兵、我が触手を受けるが良い!」
一本の触手の先端か膨らみ、内部から侵蝕プログラム弾の弾頭が露出する。
「……そんでもって、侵蝕プログラムも持つのはなんか属性過多が過ぎませんかね。もう少し落ち着いた方がいいと私は思います」
そんな風に白い目をしてアノマリィ・シングを見やるアハトではあったが、ふぅと一息吐いてから告げる。
「じゃあその気合に答えましょう」
「ハッ! 不利と知りつつあえて受けるか……面白い!」
アノマリィ・シングが吼え、侵蝕プログラム弾を放つ。ぐじゅりと放たれた白い弾はアハトを直撃し、装備した武装が次々と停止してゆく。だが、それでもアハトはまともに動く気配を見せない。
「何か策があろうが、正面からぶつかるのみ!」
触手を激しく振り、表面に覆われた粘液を放つ。
「……っ」
ぐじゃりとアハトに粘液が降りかかる。べとついた粘液はまるで生きているかのようにアハトの身体に絡みつき、身体の自由を奪ってゆく。
ぼたりと垂れた粘液は足元を伝って、その場から逃げることも許さない。
「それでは講じていた策とて意味を成すまい!」
アノマリィ・シングが大地を蹴る。盛り上がった筋肉の詰まった巨体そのものが、爆発的な加速によって大砲の如き武器となる。
「うおおおおおっ!!」
小さな身体のアハトでは、それをまともに受けることはほとんど死を意味しているが、粘液の絡まった身体では、避けることも、護ることもままならない。
「死ぬが良いっ!!」
直撃は必至。アハトが吹き飛ばされようとしたその瞬間。
「……!!」
どぉんっ!! と大きな音を立てて爆発が巻き起こった。
「何がっ……ぬうっ!」
爆風をまともに受け、表皮がただれるアノマリィ・シング。さらに肉と血が降り注ぎ、それらが触れた部分がじゅう、と溶け始める。
「ぐ、ぐぉおおっ
……!?」
アノマリィ・シングは混乱していた。何が起こったのだ、と。
武器は全て使用不能にした筈で、このような爆発が起こるわけがない。
「武器は使っていませんよ? 武器はね」
その声は、アノマリィ・シングの背後から聞こえてきた。
間違いなくアハトの声だ。しかし、相手は自身の正面にいたはずだ、と、アノマリィ・シングは更に混乱する。だが、直後、アノマリィ・シングは目を見開いた。
「……なんという
……!!」
爆風が晴れたそこにあったのは、アハトの成れの果て。その存在から命が失われていることは、誰の眼で見ても明らかだ。しかし、ならば。背後にいるのは?
「死ぬほど痛かったですよ。死んだけど」
それも、アハトであった。
厳密には、アハトと記憶を共有する別個体。彼女は、自身のユーベルコードで、自爆を敢行し、新たな身体を得て戻ってきたのである。
眼前のアハトであったものの痛みをも記憶に刻みつつ、新たな身体で戦場に立つ。そんなアハトに、アノマリィ・シングは牙をぎりりと噛みしめた。だが。
「う、ぐ……おぉっ……」
爆風、そしてアハトの身体に仕込まれた毒をまともに受けていては、ダメージは相当なもの。そのままアノマリィ・シングは膝をつくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
ふえぇ、触手ぅ…
もー、問答無用で退治しちゃうもんね…!
翼も…武装扱いかな
大丈夫そうなら【空中戦】
難しければ【ダンス】の要領を駆使して回避優先しつつ
既による【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】
そんだけ触手が濡れてたら少しは凍りやすいでしょ
侵食プログラム弾が触手から出てくるなら尚更
触手ごと固めちゃえば少なくとも溶けるか壊すまでは使えなくなる筈
僕男だから!
需要無いから!(多分)
変なことしようとする人…じゃ、ないな
オブリビオンにはお仕置きですよ!
【破魔】を乗せた【指定UC】の【浄化】攻撃
悪に染まった者からすれば、僕の光は猛毒
或いは焼けるような高熱にも感じるだろうけど
ちょっと痛いのは許して!
(「ふえぇ、触手ぅ……」)
アノマリィ・シングの姿に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はうぇっと顔を歪ませ、強い嫌悪感を露わにした。
どうやら澪、触手にあまり良い印象はないらしい。いや、ある人の方が稀だとは思うが。
ともかく、だからこそ澪はぐっと拳を握り、誓うのだ。
「もー、問答無用で退治しちゃうもんね……!」
「むぅっ、新手か!」
ピクリと触手を反応させて、アノマリィ・シングが空を向く。
そこには翼をはためかせ、空を飛ぶ澪の姿があった。
「ふっ、空から挑むとはよく考える。……だが!」
どん、とアノマリィ・シングが大地を蹴った。その一踏みの跳躍で、アノマリィ・シングは澪のいる高さまでその身体を持ち上げたのだ。
「我が触手に絡められぬものなし!」
ぞっと血の気が引く澪に、思わず叫ぶ。
「僕男だから!!」
「ははは! 我が触手は相手を選ばん! 絡めるとなれば老若男女、皆触手の餌食よ!」
アノマリィ・シングがどういう意味で言っているのかは曖昧だが、澪の危機であることに違いない。色んな意味で。
「需要無いから!!」
ほんとかなぁ?
ともあれ何本にもなる触手はぐねぐね蠢き、そのうち一本から侵蝕プログラム弾がせり出してきた。これを撃たれて武装を無力化されるのは危険極まりない。何故なら、既におぞましい肉疣が澪へと迫っていたからだ。これを一度受けてしまえば、触手の攻撃はより精度を増してしまう。武器が使えないのならば、なおさら激しさを増してしまうだろう。
それだけは避けなければならない。避けられなかった場合は……ご想像にお任せします!
澪は空を舞うように飛びながら、弾の狙いを逸らしつつ呪文の詠唱を行う。
万が一を考え、手に魔力を溜めて、アノマリィ・シングへと向ける。
「もー……変なことしようとする人……じゃ、ないな」
小首を一回傾げて、今度こそ!
「オブリビオンにはお仕置きですよ!」
「ぬぅっ!?」
氷の魔法がアノマリィ・シングを包む。触手を覆う粘液がパキリ、パキリと凍結し、侵蝕プログラム弾を放つ触手までもが凍り付いてしまう!
「し、しまった!」
「今だ! 全ての者に……光あれ!」
澪の全身が眩く輝き始める。浄化の光が強く放たれ、アノマリィ・シングを灼いてゆく!
「ぐ、ぐおおっ!!」
浄化の光は、魔の者には猛毒となる。アノマリィ・シングの表皮はみるみる焼けただれ、攻撃する暇もなく落下してゆく。
「ちょっと痛いのは許して!」
澪がそう言った数秒後。どぉん、と大地に激突する音が響くのであった。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
ご期待に沿えず……申し訳ありません?
いや、気にしなくていいですよね?
彫像が約1000体変形合体した、念動力で動くキャバリア擬き「ダイウルゴス」の中にいます
隙間なし。群竜大陸財宝の彫像が普通の彫像みたいになっても、合体は解除されない
外で何が起きてるかわかりませんが……
みんな。ぷちっと潰してしまいましょう
『文明守護竜』連続発動
周辺大地、大気が黒竜となって「ダイウルゴス」に集い、5mから10mへ
連続発動で更に更に大きくなっていく
……あれ。いつもはみんなみせてくれるのに、今回はみせてくれないのです?
これも弾の影響でしょうか……
中枢の私は外の状況わからないまま、合体を維持
みんなが敵を巨体の重量でぷちっと
猟兵達との激しい戦いにおいて、アノマリィ・シングは押され気味であった。
だが、肉体にエネルギーは満ち満ちて、触手もまだまだいっぱい元気。そんな彼の前に立ち向かうのは、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)である。
「うぬ、かような子供ですら立ち向かうか……!」
小さく、細い身体の少年に、アノマリィ・シングは思わず言い放つ。
とはいえ、この場にいるということは腕の立つ相手だろうと理解は出来た。だがそれでもほんの僅かに戸惑いの色が出る。
「ご期待に沿えず……申し訳ありません?」
ナイは小首をかしげながら言う。しかし、その口調に申し訳なさはない。
「いや、気にしなくていいですよね?」
にこりと口だけ笑ってみせるナイに、アノマリィ・シングはきょとんとし、それから僅かな間を置いてがははと笑い始める。
「その通り! 我が触手、老若男女の違いを選ばず!」
アノマリィ・シングが叫ぶと、触手のうちの一本が太くなり、白い侵蝕プログラム弾を露出させる。
「喰らえい!」
侵蝕プログラム弾が発射される! 粘液を伴って、ナイへと直撃をしようとした時!
「今を守る力を、みんなに。世界を、守りましょう」
ぐん、とナイの周囲の空間が歪んだ。現れたのは巨大な竜。
「私達は、文明を守護する竜、ダイウルゴスです……!」
現れたのは、彫像を100体ほど合体させた黒竜ダイウルゴス。その中央にナイは立ち、アノマリィ・シングを見下ろした。
ばちゅん、と侵蝕プログラム弾がダイウルゴスに直撃する。すると。
「……あれ?」
ダイウルゴスの動きが止まる。周囲を映す映像も映らず、中心部で真っ暗闇。侵蝕プログラム弾の影響だ。これでは攻撃も出来ない筈だ、が。
「関係ありません、ね」
「……なにぃっ!?」
どん、とダイウルゴスが一回り巨大化したのだ。ダイウルゴスは、周囲の大気や大地を黒龍に変え、どんどん合体して巨大化してゆく。
「……いつもはみんなみせてくれるのに、今回はみせてくれないのです?」
そういう指示をしながら、外の様子がわからないナイ。身体も全く動かないし、外の様子も分からない。
「これも弾の影響でしょうか……」
とはいえ、まぁ問題は無い。だって、戦い方はいたって単純なのだから。
「みんな。ぷちっと潰してしまいましょう」
そう、ひたすらに巨大化し、ただ、押し潰すだけ。
腕を動かすことも、脚を動かすことも、口から炎を吐く必要だって一切ない。
「ぬ、ぬおおおおおっ!!」
――ぷちっ。
こうしてアノマリィ・シングは超重量に押し潰されてしまうのであった。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
こういう手合いはだいたい我欲まみれで、その隙を突くのが常道ですが……珍しいタイプですね
白い中華服の姿に変身
四肢に白い稲妻を纏い(属性攻撃)、徒手空拳にて挑む
関節で制限されないというのは厄介ですね……
タコやイカ、クラゲの怪物とも交戦経験があるので、それをもとに【見切る】
稲妻で破壊力を増した拳や蹴りで迎撃(カウンター)
触手が身体に絡み付いて来れば、気持ち悪いのを我慢してそれを掴み、【怪力】を以って振り回す――いわゆる、ジャイアントスイング
触手は背中から生えているので、本体は遠心力で外を向くことになり、適切な反撃はできない筈
要塞に向かって叩き付け、追撃の【天霆雷迅脚】で蹴りまくり、壁にめり込ませる
「ぬぅうう……見事なり猟兵達……! だが我もこのままでは終わらぬぞ!」
度重なる攻撃を受けてもアノマリィ・シングの闘志は揺らがない。死ぬその時まで、この地を守り通すと誓ったのだからと自らを奮い立たせる。
「こういう手合いはだいたい我欲まみれで、その隙を突くのが常道ですが……珍しいタイプですね」
その姿に、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は思案する。ともあれ、一番厄介なのは侵蝕プログラム弾だ。
「ならば、これで」
オリヴィアは白いシスター服をバッと脱ぎ捨てる。その下に着込んだ白の中華服姿となり、オリヴィアは両手両足に稲妻を纏う。
「ほう、徒手空拳か……よかろう! 喰らえいっ!」
アノマリィ・シングの触手が一つ、むくむくと太くなる。頂点から露出した白い弾頭が、周囲の粘液と共に放たれ、オリヴィアを襲う。
「……くっ!!」
これ自体に攻撃力はない。弾を受けたオリヴィアは、構わず大地を蹴る。
「来るかっ!」
アノマリィ・シングが触手をしならせる。肉疣のついた触手は鞭のように伸びて、オリヴィアを襲うが、オリヴィアはそれをすんでで避けながら、距離を詰めてゆく。
(「関節で制限されないというのは厄介ですね……」)
しかし、オリヴィアにも軟体動物との交戦経験はある。それをもとに上体を逸らし、伸びきった触手をかわして拳を打ち当てる。
「ぐぅっ!!」
ばちりと稲妻の力が触手に伝い、触手が千切れて吹き飛んだ。
(「いける――!」)
そう思った瞬間、オリヴィアは腕にべっとりと粘液が付着していることに気が付いた。ぬるりと垂れる粘液は拳を滑らせ、まともな衝撃を与えにくくなる。
ならば蹴りで……と脚を上げるが、その僅かな惑いをアノマリィ・シングは見逃さなかった。
ずるん。触手がオリヴィアの胴に伸びた。
「しまっ――」
触手がオリヴィアの身体を舐めるように絡みついてゆく。粘液はべっとりと服まで染みて、オリヴィアの身体の自由を奪ってゆく。
(「気持ち悪い……っ!」)
そうは思うが、じっと我慢。その間にも触手は絡みつき、敵の感触を覚えてゆく。
「うっ……くぅっ……!」
腿に、腕に。触手は遠慮なく絡みつく。
「……覚えたぞ、その味! 次の触手はさらに強っ
……!?」
新たな触手が伸びようとした時アノマリィ・シングの身体が浮いた。
「はぁああっ!!」
「な、にぃぃっ!!」
触手で絡まれ、粘液に邪魔されながらも、持てる力の全てをもって、オリヴィアが触手を強引に掴んでいた。掴んだ触手を勢いのままに振り回せば、いわゆる『ジャイアントスイング』となる。
「ぬおおおおおっ
!!!?」
オリヴィアを中心として、ぐるんぐるんと振り回されるアノマリィ・シング。遠心力に邪魔され、新たな触手を伸ばすことも出来ない状態だ。そして十分勢いがついたところで、オリヴィアがその手を離す!
「やぁああっ!!」
「ぐぁああああっ!!?」
勢いよく投げつけられたアノマリィ・シングが要塞の壁へと叩きつけられる!
あまりの勢いに壁に埋まり、ぐったりと項垂れるアノマリィ・シング。
しかしそこに、さらなる追撃が迫る!
「天に轟く雷霆よ! 我が脚に宿り、邪悪を焼き尽くせ!」
お返しだとばかりに、全身に雷を纏ったオリヴィアの蹴りがアノマリィ・シングに炸裂した!
その蹴りの勢いは凄まじく、数えきれないほどの蹴りが叩き込まれた。
最後には、アノマリィ・シングが壁にめり込むほどにまで滅多打ちにされたのであった。
成功
🔵🔵🔴
迅雷・電子
【心情】げっ…あの触手犬…前に戦ったことある奴だ…あの時はひどい目にあったけど今回リベンジさせてもらおうかねぇ!プログラム弾だかなんだか知らないけど無駄だよ!あたしの武器はこの身体と一筋だ!あたしの相撲を見せてやるよ!
【作戦】相手の攻撃は【見切り】や張り手による【受け流し】で回避するよ!食らっても【激痛耐性】で耐える!そこから【ダッシュ】で相手の懐に行きそこを雷電張り手!そして触手をつかんでのびったんびったんも決めるよ!!あの時は負けっぱなしだったけど今回は負けないよ!
【絡み・アドリブOK】
「げっ」
迅雷・電子(女雷電・f23120)は戦場に立つや嫌そうな声を出した。
「あの触手犬……前に戦ったことある奴だ……」
あの時の記憶が蘇る。色々恥ずかしかったり酷い目にあった記憶だ。
ぐっと拳を握って、電子は顔を上げる。
「今回はリベンジさせてもらうかねぇ!」
堂々たるその姿は土俵に上がる力士そのもの。全身にエネルギーが満ち満ちて、闘志が燃え上がる。
電子はアノマリィ・シングの前に立つと、指をびしっと突き付けた。
「プログラム弾だかなんだか知らないけど無駄だよ!」
相手に突きつけた指を戻し、今度は親指で自身の胸をとんと小突く。
「あたしの武器はこの身体と一筋だ! あたしの相撲を見せてやるよ!」
電子の姿はサラシにまわし姿。確かに隠すような武器は無い。
「……面白い。ならばその言葉最後まで貫き通すが良い!」
アノマリィ・シングの触手が蠢く。侵蝕プログラム弾の発射準備で、触手が太く膨れ上がった。
「はっけよい……!」
電子が腰を落とし、構える。そこにアノマリィ・シングが弾丸を放つ。
「喰らえぇい!」
「のこった!!」
弾を受けても衝撃やダメージは無い。電子は白いプログラム弾を受けながらも勢いを落とさず、アノマリィ・シングへと一気に駆ける!
「愚直、愚直ぅっ!!」
そんな電子に、アノマリィ・シングは触手を揺らし、粘液を放つ。
当たれば動けなくなるほどの粘性だ。それを電子は躱し、触手へ掌を向ける。
「どすこぉぉい!!」
「!!」
ぱぁんっ!! と、破裂するような音と共に触手が跳ね上がる。雷を纏った電子の張り手が炸裂したのだ。
「あの時は負けっぱなしだったけど、今回は負けないよ!」
「ぬぅうっ!」
粘液を躱し続ければ、次の攻撃には移れない。電子の立ち回りはアノマリィ・シングに決定打を与えることを許さず、完全にペースは電子に握られているようであった。
「どす……こぉぉいっ!!」
アノマリィ・シングの懐に入った瞬間、電子の張り手がその胸に放たれた。
「ぐふぉっ!!?」
あまりの衝撃に吹き飛ばされるアノマリィ・シング。しかし電子はそのまま吹き飛ぶことを許さない。
「どうだああっ!!」
電子が触手を掴み、地面に向けて投げ飛ばす。
「ぐぅおおおおっ!!」
大地に叩きつけられて、アノマリィ・シングの周囲に亀裂が入る。
決まり手は、びったんびったん。軍配は電子に上がるのであった!
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
アドリブOK ハードOK
悪い予感しかしないけど『禁断のコンピュータウイルス』のためだもんね。
ぜったいわたしのものにしないと!
浸食弾は『武装を一時的に無力化』ってことだから、効果が切れるまで耐えて、
デバイスが使えるようになったらUCを発動させて触手ごと溶かしちゃうことにしよう。
と作戦立ててみたけど……予想以上に効果が長かったよー……。
拘束され半裸にされて、洋服の中も潜り込まれ、全身くまなくじっっっくりと嬲られて、
何度も達しちゃって、下着とかぐちょぐちょだけど、声だけは必死で抑えた、よー。
デバイスが動いてもすぐに動けないくらいにされちゃったけど、
朦朧としながらなんとかUCを発動……あぶなかった!
電脳魔術師、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)。
彼女は『禁断のコンピュータウイルス』の存在を聞きつけてこの戦場にやってきた。
禁断、コンピュータウイルス。どちらも魅力的な響きだ。
すごーく悪い予感はするし、どう見ても防衛してる奴がアレなのでその予感は当たりそうな気がするけれど、それ以上に禁断のコンピュータウイルスのほうが大切なのだ。
「ぜったいわたしのものにしないと!」
むふんと鼻息荒く、理緒はアノマリィ・シングへと立ち向かうのであった。
「喰らえぇい!」
触手の一本が太く膨らんで、侵蝕プログラム弾が放たれる。
「うわっ!」
白い弾丸が理緒に直撃すると、装備していたものが次々機能停止してゆく。
「うぇっ、べたべた……」
触手から放たれた弾だもの、粘液がちょっとこびりついていても不思議ではない。痛みが無いのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。
しかし、理緒の戦闘スタイルは様々な電子機器との併用が原則だ。つまり攻撃を受ければ、効果が切れるまで耐えるしかない。
しかし、それも理緒の作戦のうち。
「デバイスが使えるようになったらすぐに触手ごと溶かしちゃおう!」
そう考え、今は逃げに徹する時と身構えた……の、だが。
「ねえちょっと、まだ、まだなのっ!?」
数分後、ぺしぺしタブレットを叩いて、理緒が半泣きになっていた。タブレットの画面は真っ暗なまま。しーんと静かにお眠り中だ。
「うそ、うそうそっ!? 予想以上に効果が長いよぉっ!」
触手から逃げ続けるのも、限界が近かった。はやく反撃に転じたいのに肝心のデバイスはまだ起動しない。
「ひゃぁっ!?」
「捕まえたぞっ!!」
とうとう、理緒は触手に絡みつかれてしまった。
「ひぇっ、気持ち悪いっ!」
「その声、その感触だ! 覚えようぞ!」
肉の疣付き触手が理緒の肌を舐めまわし、服の下へと侵入する。
「ちょ、まってっ!?」
当然そんな静止は聞いてくれない。ぐじゅりと触手がうねると、服が押し上げられ、理緒の肌が露になる。
「や、やめっ、だめぇっ……!」
しかし、絡みついた触手は理緒に抵抗を許さない。そればかりか、そうして覚えた感触を頼りに、さらに拘束を強めてゆく。
「あっ……ひゃぁっ……っ」
ぞわぞわとした感覚。電流が走るように全身に広がって、思わず声を上げてしまいそうな刺激となる。
「ふっ……ここが弱点か!」
「えっ、そこはだ、だめっ、ほんとそこはっ!?」
服の下をまさぐられ、下着の下にも侵入される。肌を触手が擦るだけで、肉疣の刺激が理緒を震えさせ、膨れ上がる感覚に、頭が白くなってゆく。
「あぁうぅっっ……っ!!」
頬は紅潮し、羞恥と、その他様々な感情がないまぜになってぽろぽろ涙が零れてしまう。声だけは必死に抑えたが、何度視界が白く染まったことやら。
全身ぐしょぐしょになったその服を濡らすものは、触手からもたらされた粘液だけではなさそうだった。
「もうこれで身動きは取れまいて」
触手をほどき、ふっと勝ち誇るアノマリィ・シング。
びくん、びくんと小さく痙攣する理緒の姿は、もはや戦闘が出来る状態ではないだろう。が、しかし、その油断が命取りとなった。
「な、なにっ
……!!?」
理緒を散々いたぶった触手が突如溶け出したのだ!
「はぁっ……はぁっ……」
荒い息遣いで、理緒がデバイスに手をかけていた。理緒は朦朧とした意識の中で、アノマリィ・シングにウイルスを送り込んでいたのだ。
「くっ、おのれっ
……!!」
こうして、アノマリィ・シング自慢の触手達は見るも無残に溶けてしまうのであった。
成功
🔵🔵🔴
クルス・グリムリーパー
私はこの手のことはうんざりするほど経験してきてるんですよ。
【アドリブOK・多分蹂躙もOK】
【戦闘】
敵の攻撃は受けないように気をつけなきゃいけませんね。
敵の攻撃をどうにか交わして首筋を狙いに行きましょう。
まぁ万が一食らった場合は…その時です。
【武装無力化後】
体が重い…本当に武器が持ち上げられないなんて…
(そんな状態のクルスを敵は容赦なく絡め取る。)
あーの…なるべく私に暴力を振るわないほうがいいですよ。
うっかり死んじゃったらあなた、後悔しますよ?
(挑発と受け取られて激しい暴行を受けるクルス
その結果クルスは死ぬ寸前に)
…だから言ったのに…バカなことを…
ユーベルコードが発動し、怨念が敵を蹂躙する
アノマリィ・シングを前にして、クルス・グリムリーパー(永遠の死神・f24385)はふぅと息を吐いた。
この手のことはうんざりするほど経験してきている。それに伴い、戦い方にも心得がある。
とはいえ今回はさらにもう一つ。『侵蝕プログラム弾』の存在がある。
「攻撃を受けないように気を付けなきゃいけませんね」
巨大な鎌を握りなおし、クルスはアノマリィ・シングを見据える。狙いは首筋。一気に接近し、首を刎ねる。
「まぁ、万が一くらった時は……その時です」
そう呟いて、クルスは駆け出すのであった。
「喰らえぇっ!」
アノマリィ・シングの触手が、むくりと膨れ上がった。直後、露出した侵蝕プログラム弾はクルスを真正面に捉え、間髪入れずに撃ち出す。
「うっ!!」
侵蝕プログラム弾を受けて、クルスは身体の異変に気が付いた。
「……身体が重い……」
力が抜け、大鎌を持ち上げることもままならない。
「本当に武器が持ち上げられないなんて……」
使い方をまるで忘れてしまったかのよう。手の力はますます落ちて、クルスは大鎌をその場で落としてしまう。
そんな状態のクルスにアノマリィ・シングは笑う。
「ふははは、それでは戦うこともままなるまい。だが、貴様らの爆発力は確かめさせてもらった。完全に動きを止めさせてもらう!」
アノマリィ・シングが触手を振り回す。絡みついた粘液が飛び散り、クルスの手足に絡みつく。
「うわっ……」
べっとりとした粘液がクルスの身体の自由を奪う。そこに、巨体が迫る。
「うおおおおっ!」
「……っ!!」
爆発にも似た衝突音。粘液に纏わりつかれたクルスの身体が吹き飛ぶ。
「まだだぁあっ!!」
そんなクルスに向けて、触手が鞭のようにしなる。
「あっ…!! ぐぅっ……!」
首に、腕に、脚に触手が絡みつき、アノマリィ・シングがクルスの身体を引き寄せる。
「ふははっ、捉えたぞ!」
「ぐぅっ
……!!」
ぎり、と締め付けられて腕が軋む。クルスの前に勝ち誇るアノマリィ・シングの顔が近付き、獣そのものの息がかかる。
「このまま蹂躙しつくしてくれよう!」
そんなアノマリィ・シングに、クルスは無気力に言い放つ。
「あーの……なるべく私に暴力を振るわないほうがいいですよ」
その言葉に、アノマリィ・シングは首を傾げる。
「命乞いか?」
「いいえ。忠告です。うっかり死んじゃったらあなた、後悔しますよ?」
そう言いながら、赤い瞳が苦しみに歪む。
「……よかろう。ならば後悔させてみせよ!」
「うぐっ!!」
アノマリィ・シングの腕がクルスの腹を打ち据えた。
触手に絡まれた身体は身を捩ることも出来ず、衝撃が全身に伝わってゆく。
それから、度重なる暴力の嵐がクルスを襲った。
クルスは満身創痍、息も絶え絶えとなって、瞳に光が失われつつあった。
「……これで最期だ」
首に巻き付いた触手がぎぎ、とクルスを締め上げる。
「かはっ……」
小さくクルスが息を吐いた。視界が暗く染まってゆく。もはや逃れられぬ『死』がそこに舞っていた。
それを感じ取り、アノマリィ・シングも触手を緩める。その時であった。
「……これは……っ!!」
アノマリィ・シングの周囲にどす黒いオーラが満ち満ち始めた。その力は怨念。クルスによる、自身を殺したアノマリィ・シングへの恨みの力。
「……ぬ、ヌオオおぉ……っ!!」
がくりと膝をつくアノマリィ・シング。
「……だから……言ったのに……」
死んだ筈のクルスはそう言って、怨念に襲われる敵の様子を澱んだ瞳で眺めるのであった。
成功
🔵🔵🔴
エクス・カリバーン
「浸食プログラム弾を使う敵だと!?
ならば、この身一つで撃破してくれよう!」
敵とはいえ、なかなかの武人気質という。
勇者である俺が戦うのにふさわしい相手と言えるだろう。
【三種の神器】で武装して戦いを挑もう。
「我が三種の神器の攻撃、受けてみよっ!」
なにっ!?
剣や盾でも浸食してくるのか!
さらに触手が俺の身体に絡みついてプログラムを浸食してきただとっ!?(注:ロボットヘッド
「や、やめろぉっ、そんな所にまで侵入してくるなぁっ!」
散々触手に弄ばれた後、勇者としての勇気を振り絞り、鉄の拳による渾身の一撃で反撃しよう!
「くっ、勇者である俺をここまで追い詰めるとは……
あぶないところだった……」(いろいろな意味で
「侵蝕プログラム弾を使う敵だと!?」
ロボットヘッドの勇者、エクス・カリバーン(聖剣勇者エクス・カリバーン・f30075)は敵の持つ武器を見て戦慄した。
アノマリィ・シング。背に触手を生やした巨漢は、堂々とした立ち振る舞いで猟兵達と対峙していた。その様子を見て、エクスはうむ、と頷く。
「とはいえ、なかなか武人気質。勇者である俺が戦うのにふさわしい相手と言えるだろう」
腕を天にかざし、エクスが叫ぶ。
「三種の神器よ、俺に力を貸してくれ!」
ぱぁあ、と天より一筋の光が降り注ぎ、エクスの全身を包んでゆく。光は剣、盾、鎧へと変わってゆき、エクスに力を与えてくれる。
光が収まれば、そこにはエクスが三種の神器を装着した雄々しき姿があった。
「我が三種の神器の攻撃、受けてみよっ!!」
「面白い! くらえぇいっ!!」
突っ込むエクスを迎え撃つべく、アノマリィ・シングが侵蝕プログラム弾を放つ。
「甘いっ!」
それを盾で受けるエクスであったが、ここで予想外の事態が発生する。
「な……何っ!?」
力が抜ける。剣や盾を握る手が痺れ、がらんと剣を落としてしまう。
「剣や盾でも侵食してくるのか!」
侵蝕プログラムは形状や機能を問わず、無力化する。どれだけ単純な構造であっても、このプログラムの前では無力なのだ。
「くっ……おぉ……!」
全身に浸透するプログラムに身悶えするエクス。そこにべしゃりと粘液が降り注いだ。
「う、動けんっ!」
「この勝負は我の勝ちのようだな!!」
アノマリィ・シングの巨体を生かした突進がエクスを襲う!
「ぐわああああーーー!!」
激しい衝突音とともにエクスが空へと吹き飛ばされる。
「まだまだぁっ!」
追撃とばかりに触手が伸びる。
「な、なにぃっ!?」
「貴様は全身武器、というようにも見える。念のためもう一発だ」
触手がエクスに絡みつき、その先端から侵蝕プログラム弾がもう一発装填された。
「や、やめろぉぉーーっ!!」
どぅっ! 至近距離からの発射により、エクスの身体が(プログラム弾の色で)白く染まる。
すると、エクスのモニターアイがぶぶ、と乱れ、次第に砂嵐のようになってゆく。
「そ、そんなところにまで侵入してくるなぁっ!!」
身を悶えさせるエクス。触手の力は、ロボットヘッドの頭脳プログラムを直接侵食しているのだ!
「だ、だめだあっ! それ以上はやめろぉぉー!!」
「ふはははっ! そのまま眠りにつくが良い!」
勝ち誇るアノマリィ・シング。ぐったりと項垂れ、瞳に光を失ったエクスは、もはや鉄屑のようで、傍から見れば勝敗は完全に決したといえよう。
しかし、勇者はやはり、勇者であった!
勇者とは、勇気のある者。その勇気は、時に肉体を凌駕する!
「……なにっ!?」
「うおおおおぉぉっ!!!」
突如振り上げられた鉄の拳が、アノマリィ・シングの顔面を打ち付ける!
「ぬぅぅぅっ!!」
たまらず触手を離し、距離を取るアノマリィ・シング。
息も絶え絶えで、エクスは苦し気な表情で呟いた。
「くっ、勇者である俺をここまで追い詰めるとは……危ないところだった
……!!」
成功
🔵🔵🔴
エイル・リフィアベルク
「非人道的な実験なんて許せませんっ」
私も改造されて強化外装の適合者にされた身。
今回の敵もきっと私のような実験の結果生み出されたのでしょう。
「ならば正々堂々と戦い引導を渡します!」
『強化外装ウラノス』を装着し『ビームキャノン』と『ツインレーザービット』で攻撃しますが……
「きゃ、きゃああっ、触手がっ!?」
触手によって武器を無力化され、強化外装も外されて、生まれたままの姿になったところを触手に這い回られて……
そのまま腰も立たない程にいたぶられてしまいます。
さらに改造された身体を浸食されていき……
「でも、このまま負けるわけにはいきませんっ!」
最後の力を振り絞り【アライアンス・リベンジャー】で反撃です!
エイル・リフィアベルク(強化外装ウラノス適合者・f26733)。肉体改造によって強化外装『ウラノス』の適合者となってしまった過去を持つ彼女にとって、アノマリィ・シングには僅かながらに同情の念を感じていた。
「非人道的な実験なんて許せませんっ」
きっと相手も、自分のような実験の果てに生み出された者なのだ、と。
だが、今更過去を変えることなど出来ないのだ。
「ならば、正々堂々と戦い……引導を渡します!」
その言葉と共に、エイルは強化外装『ウラノス』を装着する。制服姿からうって変わり、機械の鎧が身を包み、髪の色が橙に変色する。
「……いきますっ!!」
ツインレーザービットを展開し、ビームキャノンを向ける。エネルギーを集中させ、一気に決着をつける……と思った矢先であった。
「させるかぁっ!!」
アノマリィ・シングの触手のうち、一本が膨らみ、白いものをせり出させる。
「なっ、なんですかあっ!?」
それは侵蝕プログラム弾。発射されたそれをエイルは受けるが、思いのほか痛みを感じない……そう思った瞬間であった。
「きゃぁっ!?」
ぱぁん、と強化外装が弾け飛んだ。展開したツインレーザービットもごとりとその場で停止して、エイルは一糸まとわぬ姿になってしまう。
「きゃ、きゃあああっ!!?」
思わず手で大切部分を隠し、脚も内股になる。そんな状況、アノマリィ・シングが見逃す筈もない。
「隙だらけだっ!!」
「ひゃああっ!?」
触手が伸び、エイルの肌に絡みつく。ぬるりと粘液が肌を汚し、触手が締め上げるたびに浮き出た肉疣がぐりゅ、ぐりゅと肌を刺激する。
「ひ、ひぃんっ……っ!?」
「その悲鳴だ。その感触だ!」
アノマリィ・シングがさらに触手を伸ばす。相手を覚えれば覚える程、触手の力は苛烈になってゆく。
「やっ、やめてって……ひぁっ!?」
どくん、と身体が弾ける。体内の改造部位も、侵蝕プログラム弾の影響を受け始めたのだ。
「あっ……うぅっ……」
身体が弛緩し、力が出ない。その間にも触手は太腿に絡みつき、脚を無理矢理開かせる。
「やぁああっ!?」
相手の弱点、痛み、そしてそれ以外の感覚を全て自身の攻撃に活かし、相手を倒す。それこそがアノマリィ・シングの真骨頂なのだ。
「ひっ、あぁあっ、いやぁっ」
身体を触手が這い回る。胸を擦り上げ、下腹部を撫でる。エイルが悲鳴を上げるたびに、身体が反応するたびに、触手の動きは集中的に、そして執拗に攻め上げる。
「はっ、はっ、あっ……っ」
荒い息で、瞳を潤ませるエイル。身体に力が入らない。このままでは本当に――。
「このまま……このまま負けるわけにはいきません!!」
瞳に再び光が宿る。最後の力を振り絞り、拳に力を籠め、炎を灯す!
「やぁあああっ!!」
「ぐぁあっ!!?」
拳は、アノマリィ・シングに直撃した。横殴りに吹き飛ばされ、絡みついた触手も緩んでしまう。
その瞬間にエイルは触手から逃れるが、あまりに刺激を感じすぎてしまったせいかしばらく立ち上がることもままらなかったようである。
成功
🔵🔵🔴
レテイシャ・マグナカルタ
●設定
生まれ持った魔力が肉体を常時バフしていて見た目からは想像もつかないほど頑丈&怪力
素手で暴れる方が得意
●行動
敵の触手が両腕と腰に絡みつき、更にその胸へと触れようとするその寸前
「へ、武器だぁ?オレの武器は…おめぇだよ!」
不敵に笑って両手でそれぞれの触手を握りつぶさんばかりの怪力で掴む
そのまま限界まで左右に引っ張り、体操選手の様に体を宙に浮かせてその顔面へドロップキック!
蹴りの反動で体をひねりながら一回転し触手背負い投げ!
地面に叩きつけた後は相手の胴体めがけて両足に全体重かけて踏みつけるぜ
「たっぷり悲鳴を覚えるといいぜ、自分のだけどな」
アノマリィ・シングの持つ侵蝕プログラム弾は、武装を無力化する力がある。
この力によって敵を無力化し、一方的に蹂躙する。これが、今回猟兵達の対峙するオブリビオンの特製だ。
その攻撃を受けてしまえば、苦戦は必至、であるはずだった。
「喰らえぇっ!!」
アノマリィ・シングから放たれた侵蝕プログラム弾を、レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)はそのまま受け止めた。
「むぅっ! 避けようともせぬかっ!」
アノマリィ・シングはそれに驚くが、状況は有利となったことに違いない。ならばと触手を伸ばし、レテイシャを絡め取るべく大きくしならせる。
「……!!」
触手がレテイシャの腕に絡みつく。その感触を覚え、さらにもう一本は鋭さを増して腰へと絡む。
「どうした! もはや武器は使えんとみて抵抗する気も失せたか!?」
ぎり、と触手を強く締め上げるアノマリィ・シング。そう言う間にも、触手はさらにレテイシャに絡みつき、今にもその豊かな胸に至ろうとしていた。しかし、そんな状況におかれてもなお、レテイシャはふてぶてしく笑っていた。
「へ、武器だぁ? オレの武器は……」
ぐん、とレテイシャは腕に力を籠める。絡んだ触手へ手を伸ばし、粘液で滑りながらも、握りつぶすかのように強引に掴み取った。
「おめぇだよ!」
「なっ、にいぃぃ!!?」
レテイシャが全力で触手を引っ張り上げる! 細い身体には似合わないほどのパワーであった。それは生まれ持った魔力による全身の強化によるものである。
その勢いに負け、アノマリィ・シングが宙に浮いた。
「うおおおおっ!!」
その瞬間、レテイシャも跳躍する。両足を揃え、アノマリィ・シングへと強烈なドロップキックをお見舞いした!
「ごはっ
……!!」
しかし、アノマリ・シングも簡単には触手を緩めない。だがそれでいい、とばかりにレテイシャは触手を掴んだまま、蹴りの反動にきりもみさせながら着地する。
「でぇぇやぁあっ!」
アノマリィ・シングに背を向け、触手を両手で掴む。そのまま背負い投げの要領で、アノマリィ・シングを投げ飛ばした!
「ぐぅうっ
……!!」
大地に叩きつけられたアノマリィ・シングが短く息を吐いた。とうとう触手は緩み、自由の身となったレテイシャは翼を羽ばたかせ、高く飛び上がる。
「たっぷり悲鳴を覚えるといいぜ、自分のだけどな!!」
そう叫び、急降下! 両足に全体重を乗せ、アノマリィ・シングの胴体目掛けて激突する!
「ぐああああああっ!!!」
レテイシャの言葉通り、大きな悲鳴を上げることになったのはアノマリィ・シングの方であった。
成功
🔵🔵🔴
リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけど、私には既に約束した相手がいるもの
お前のような輩にくれてやる物なんて、毛筋一つありはしないわ
…武器の類が効かないのは厄介だけど、それならそれでやりようはあるもの
事前に武器を手放し太陽光を「影精霊装」の闇に紛れるオーラで防御して遮断し、
UCを発動して吸血鬼化した自身に限界突破した"闇の雷"の魔力を溜め肉体改造
…我が身に宿れ黒雷の理。我に叛く諸悪の悉くを裁く雷霆となれ…!
自身を黒雷の龍に転身して雷速の空中機動で敵の死角から死角へと切り込み、
敵の粘液のカウンターを回避しながら生命力を吸収する闇属性攻撃で敵を乱れ撃ちにする
…手も足も出ないのはお前の方だったわね?消えなさい、この世界から…
「ぐぅぅっ
……!!」
猟兵達との戦いで、アノマリィ・シングは大きなダメージを負っていた。もはやこれまで、そう思える状況であろうと、背後の要塞を守るという使命は死ぬまで果たさねばならない。だからこそ、アノマリィ・シングは叫ぶ。
「まだだ! 貴様らの命を頂くまで、我はっ
……!!」
「……生憎だけど、私には既に約束した相手がいるの」
そんな叫びに冷たい声が返された。
かつん、と靴音を鳴らして現れたのは、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。
「お前のような輩にくれてやる物なんて、毛筋一つありはしないわ」
武器が使えないのならば、と、手にした鎌をからりと落とし、リーヴァルディはアノマリィ・シングへと歩み行く。その身に着けた精霊衣がオーラを放ち、彼女の身体を覆い隠してゆく。
「ぬぅっ
……!!」
その圧に押されたか、一瞬アノマリィ・シングが怯む。しかし体勢を即座に立て直すと、侵蝕プログラム弾を撃ち放つ。
闇を突き抜け、白い弾丸が炸裂する。手応えはあった。しかし、果たして効果はあったのか?
闇はさらに広がり、戦場全体を覆い隠してゆく。その中でも一際濃い闇の中から現れたのは、自身を吸血鬼へと変質させたリーヴァルディであった。
「……我が身に宿れ黒雷の理。我に叛く諸悪の悉くを裁く雷霆となれ……!」
その身から闇の雷が溢れ出し、リーヴァルディの姿をさらに変えてゆく。
「おぉ……っ!」
アノマリィ・シングが闇で覆われた空を見上げた。そこにはリーヴァルディが転身を遂げた黒雷の龍が舞っていた。
「……だがやることは変わらん! これで動きを止める!」
アノマリィ・シングが触手から粘液を飛ばす。しかし空中を舞う黒い龍は的確に死角へと潜り込み、その粘液を躱してゆく。そしてその都度、闇の雷がぴしゃりとアノマリィ・シングへと放たれた。
「ぐぅうっ!!」
アノマリィ・シングは生命力を奪われ、徐々に衰弱してゆく。膝をつき、ごぼりと血を吐いた。
背で蠢いていた触手は干からび、もはや命も風前の灯――。
「手も足も出ないのはお前の方だったわね?」
黒い龍が冷酷に告げる。返す言葉もないとアノマリィ・シングは瞳を閉じた。
「消えなさい、この世界から……」
そして、一際大きい闇の雷が放たれ、アノマリィ・シングは骸の海へと還ってゆくのであった。
戦いは終わった。禁断のコンピュータウイルスを保管する施設は猟兵達が掌握することに成功する。
しかし、これはまだ一手に過ぎない。アポカリプスヘルを救う戦いは、まだ終わらない。
大成功
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