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呪いのゲーム『境界線』

#UDCアース

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#UDCアース


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 絵画のような芸術作品は、己の内面を強くぶつけることで現実に姿を表す。
 その強い想念は時おり人々の想像を超えた魔力を持ち、いわゆる『呪いの絵』のようなものが生まれてくる。
 見たら死ぬ絵、飾った美術館が焼ける絵、夜な夜な動く絵。
 これらは皆、狂気にも似た芸術の発露として起こる出来事である。
 では、絵画以外ではどうか?
 画家がキャンバスに絵の具で描いたものでなくとも、同等の狂気をぶつけた芸術作品であれば『呪い』は宿る。
 例えば、クリエイターがプログラム言語を用いて作ったゲームでも。
 ゲームソフト『境界線』はそういったゲームだった。
 市場に出回るには危険であるそのゲームは、僅かな犠牲者を出した後一九九八年にUDC組織によって回収された。
 今はただ、プレイする者もなく組織のロッカーに安置されている……。

「みんな、お疲れ様。ちょっといいかな?」
 学生服の少女、白神・杏華(普通の女子高生・f02115)がグリモアベースにいる猟兵たちに声をかけた。
「UDCアースで、呪われたゲームソフトが組織の管理から外れて、行方不明になったらしいんだ」
 ゲームソフトというものはキマイラフューチャーなどでも流行しているが、「呪われた」という文言はUDCアース特有のものであろう。杏華は続ける。
「『境界線』っていう名前のアクションゲームらしくてね。最初の方は普通のゲームなんだけど、段々おかしくなるんだって。そしてゲームをクリアするとプレイヤーに幸運が訪れる、とか」
 その程度であれば、よくある噂話の一種かもしれない。しかし、境界線の恐ろしい所は実際の被害者が数名出ている点だ。
 クリアすれば幸運になるという一方で、一度でも起動してしまうと絶対に最後までプレイしないといけないらしい。そしてもし途中でゲームオーバーになってしまうとプレイヤーは画面から現れた「なにか」に殺されてしまうのだ。
「皆には行方不明になったこのゲームを回収して欲しいんだ。そして、ゲームによる被害が出ないようにもしてもらいたいの」

 件のゲームソフトはUDC組織で管理されていたが、荷物整理などの際にヒューマンエラーがあったらしい。
 その影響で、どうやら『境界線』は合計で五個、市場に流れてしまったようだ。中古ゲームショップなどに売られているだろう。
 しかし、流れていったであろう範囲も広い。保管されていた支部は東京にあるもので、東京より外に売られていったことはないだろう。が、中古ゲームショップは東京だけでも無数にある。
 『境界線』は一九九八年発売の際に幾らか都市伝説として情報が広まったため、もしかするとマニアなどが発見している可能性もある。
 UDCアースではある程度ネットが発達しているため、中古ショップの在庫を調べたり噂を詳しく見てみるのも発見の役に立つだろう。
「UDC組織のみんなも手伝ってくれるらしいから、何か欲しいものがあったら要請してね。それじゃ、よろしくお願いします!」
 杏華は集まった猟兵たちに頭を下げた。


玄野久三郎
 オープニングをご覧いただきありがとうございます。玄野久三郎と申します。
 今回は呪いのゲーム(UDCオブジェクト)の回収任務となります。巷にそういう都市伝説も度々ありますが、どうなんでしょうね。UDCオブジェクトなのかな。
 それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『持ち出されたUDCオブジェクトの探索』

POW   :    気力体力を駆使し、足で探す

SPD   :    持ち前の技術力を活かして、機転を利かせ情報を集める

WIZ   :    オブジェクトの性質を鑑み、どこにありそうか推理する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エン・ジャッカル
呪われたゲームソフト…無機物に呪いが宿るのは知ってましたが、まさかゲームソフトにも宿るとは思いもしませんでした。世の中には分からないものがあるんだなあとつくづく実感しますね。

さて、その五個のゲームソフト『境界線』を回収せよとことでしたが、肝心な情報が知らないので、まずUDC組織にゲームソフト『境界線』を使う機種、ジャンル、外見の特徴などを尋ねてみようと思います。

聞きたいことが聞けたら、まずスマートフォンでゲームソフト『境界線』を検索してそれらしきものが売り出されていないか確認。もしそれでヒットしなければ、人目がついていないということなので人気が少ない中古ゲームショップを尋ねてみることにします。



 無機物に呪いが宿るという話は古今東西よく聞く話である。人形や絵画、椅子や宝石、ナイフなど。
 しかしゲームソフトに宿った呪いは、エン・ジャッカル(風来の旅人・f04461)にとっても初耳のものだった。
 彼はまず流出事故が起きてしまったUDC組織の支部に訪れていた。単なる雑居ビルに偽装されたそれの地下に行くと、数名のスーツ姿の男性がエンを出迎える。
「猟兵の方ですね。今回はご足労いただきありがとうございます。我々の失敗で……」
「あぁ、いえ。気にしないでください。そして聞きたいのですが、そもそも『境界線』とはどういったゲームなのでしょうか?」
 エンがそう尋ねると、職員は大きく印刷された写真を数枚持ってきた。
 まず男性は一枚目の写真を提示する。写っているのはCDで、表面には簡素な筆文字で「境界線」と書かれている。上半分は黒く、下半分は白いペイントが施されていた。
「こちらがオブジェクト実体です。これ自体には特異性はなく、ゲームを起動しなければ安全なままです」
「ふむ……」
 続いて数枚の写真を提示。そこに写っているのはブラウン管テレビに写ったゲームの画面だ。
 画質はそこまで良くない。良くも悪くも、当時のゲーム機の性能限界に縛られているのだろう。
「ジャンルはアクションゲームで、対応機種は当時最も流行していたプレイシティです。プレイシティ2及び3初期型でも起動が確認されましたが、正常な挙動はしません。3Dポリゴンで作られたもので、所謂アバターシステム……自分のキャラクターの見た目をカスタムできるのが特徴でしょうか」
 写真にあるゲーム画面は、鮮やかな背景の中でややリアルな人間が中心に一人。その周りにいるのは不気味なモンスターらだ。
「ありがとうございます。では、実際に探してみましょう」
「お願いいたします。必要であればこの写真はコピーしますので」

 エンはビルから出ると、外に停めていたバイク、アヌビス号のエンジンを起動する。
 その傍らで軽くスマートフォンで『境界線』について検索してみるが、出てくるのは一九九八年当時に市場に出回った際に拡散したであろう都市伝説ばかりだ。在庫情報やショッピングで検索してもそれらしいものは出てこない。
「ふむ……やはり、実際に足で探すしかありませんか」
 彼はアヌビス号に跨ると、それを走らせた。目的地は人気の少ない中古ゲームショップだ。大型の店や家電量販店には売られていないだろうとの推測だ。
 しかし、ある程度絞り込んだとはいえそれでも店は非常に多い。その上、店に入ってもその在庫は莫大だ。彼は改めてゲームソフトという産業の大きさを実感させられる。
「見つかりませんね……しかし、それもある意味では進捗です」
 彼は自分が確認した店をUDC組織、及び同じ任務に就いている猟兵に共有した。一人では無理な捜索であっても、数を重ねればいずれは発見できるはずだ。
 エンはUDCアース特有の狭く入り組んだ道路にやや閉口しつつ、再びアヌビス号を走らせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
全く。また厄介な事になってるわね。
仕方ない、たまにはこういうお仕事も良いでしょう。

UDC組織のバックアップ受けて、そうね……「盗難にあったレアなゲームの捜索をしてる警察官」という肩書きと服装も用意してもらうわ。
歩き回る前に、大手店舗から個人経営の店まで一通り場所を調べて、無駄に歩き回らないようにして。
あとは現場に出て、ひたすら中古ショップをしらみ潰しに探して回るわね。
出来るならば販売記録なんかも回収して、既に売れてた時に範囲を絞れるようにしたいわね。

あと、個人的にはインターネットオークション……だっけ?
あれに流れてる可能性も考えられるから、そちらの捜索も他の人か組織の人にお願いしたいわね。



「全く。また厄介な事になってるわね」
 つかさはカモフラージュされたUDC支部に訪れていた。事前に依頼していた品物を受け取るためだ。
「いやはや、返す言葉もない……こちら、依頼されていたものです」
 と、職員は彼女に制服を手渡した。一般的な警察官が着用しているものである。
 服のサイズもきちんと彼女の体躯に合わせられたものだ。本来ならば彼女の体格に合う警察官制服は存在しないため、オーダーメイドのものだ。
「警察手帳……という簡単な身分証明が服の中にありますので、それを使ってください。見せれば相手はあなたを警察と認識します。そういう素材で出来ています」
「ご苦労様。それじゃ、行ってくるわね――と、ちょっとその前に。インターネットオークション……? だっけ。それでも探しておいてもらえる?」
「はい。職員にやらせておきます」
「ありがとう。次はソフトを持ってこっちに来るわね」

 つかさはすでに共有された調査済みの店を省き、大まかな店舗をリストアップしておいた。
 まずは一軒目。大手の中古ゲームショップに入ると、彼女が着替えたその制服を見て店員たちがギョッと目を剥く。
「申し訳ない、こういう者なんだけど……」
 そして胸ポケットから警察手帳を取り出して見せると、店員は困ったような緊張したような様子で対応した。
「は、はい。警察官の方ですか。どういった用件ですか?」
「ちょっと、この辺りで非常にレアなゲームが盗難にあってしまったのよ。『境界線』っていうゲームなんだけど、この店に置いていたりしないかしら?」
「え……少々、お待ちください」
 店員は事情を把握すると緊張感をやや失い、店の奥に店長を呼びに行った。彼らはどちらも首を傾げ、PCに向き合って何事か弄っている。暫くして、彼らはつかさの元に戻ってきた。
「ええと、調べてみましたが境界線というゲームソフトは買取も売却もしていませんでした。タイトルはそれだけですか? 境界線のなんたら、とかではなく?」
「えぇ、『境界線』だけよ。無いのなら大丈夫。ご協力感謝するわ」
 この店ではない。つかさはメモの店名を線で潰し、次の店に向かうことにした。
 こうして彼女はローラー作戦を開始した。そこで功を奏したのは警察官に扮していたことである。
 店員は皆、その服装と手帳を見るとひどく協力的になり、彼女が自ら店内を見回ったりする必要もなく自主的に在庫を最速で確認してくれるのだ。
 その結果、効率よく店を回ることに成功した彼女は、秋葉原にある古い中古屋に足を踏み入れていた。
 その店においても、やはり警察の制服は目についた。店主らしき男性がつかさに近づいてくる。
「警察の方ですか? 何か問題が?」
「ええ、この辺りでレアなゲームが盗難されたのよ。境界線っていうんだけど」
「境界線……境界線というと、あの、ですか!?」
 男性は驚いた様子で、小走りで狭い店内を走っていく。そして、手にCDケースを持って帰ってきた。
 ケースは簡素なもので、正式に発売されていたパッケージではないようだ。ケースには油性ペンで「UDC-512 境界線」と書かれている。
「都市伝説で語られてるゲーム……ですよね? フェイクかと思ったんですが……もしかしてこれ……」
 一般には秘匿されているUDCの名が書かれている以上、これがフェイクである可能性は低いだろう。一応ケースを開くと、やはり本物と同じ装飾がなされたCDが入っている。
「えぇ、確かにこれみたい。それと、これ以上の詮索はお勧めしないわ。もし今後これを見つけても、決して起動したりせずに警察を呼んでちょうだい」
「は、はい……わかりました……」
 つかさがケースを畳んで仕舞うと、店主は物怖じしつつも好奇心を隠せない様子で答えた。
 ともかく、一つめのソフトは確保した。彼女は店を出て、次にリストアップされた場所に向かって歩いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェイド・レーム
『境界線』ねぇ…ま、この手のカースド・アイテムは俺の世界でもそこら中にあったんでね、だいたい性質は想像できるわ。気乗りしねえが、UDC組織だかいう連中にも顔を売っとかねえとな、てめえらの尻ぬぐいに来たんだ、報酬は弾めよ!

【情報収集】と【第六感】をフル活用だ!
傾向としてはまぁでかい店にはねーだろうな。ンなもんに頼らなくても機械的にモノ売ってりゃ黒字だろうしよ。薄汚い、今にも潰れそうな店…もしくは趣味でやってるような店だ…そういうモンと知ってて棚に陳列してるような、ひねくれた野郎が経営してる店を探すんだな。おい、UDC隊員ども、闇の大魔術師サマを歩かすんじゃねえぞ。クルマってのを出せよ!(むすーん



「『境界線』ねぇ……ま、この手のカースド・アイテムは俺の世界でもそこら中にあったんでね、だいたい性質は想像できるわ」
「なるほど。百戦錬磨という奴ですね」
 シェイド・レーム(ナイトハンター・f13612)はUDCの支部に訪れると、腕組みして言い放った。それにUDCエージェントの男性が対応する。
「てめえらの尻ぬぐいに来たんだ、報酬は弾めよ!」
「こんなにストレートな人は初めてだ……しかしそうですね、報酬は言い値で払いますとも。皆さんの働きにはそれだけの価値がありますからね」
「当たり前だな! おい、UDC隊員ども、闇の大魔術師サマを歩かすんじゃねえぞ。クルマってのを出せよ!」
「んもー、わかりました。私の車に乗ってください」
 ふんぞり返りつつ指示を飛ばすシェイドに困惑しつつ、エージェントは彼を案内し車に乗せた。慣れない乗り物に若干ワクワクしつつ、彼は窓の外を眺める。
「恐らくでかい店には売ってないだろうな。どこの世界でも、そんな妖しいモンに手ぇ出すのは潰れそうな店とか、趣味でやってるような店だ」
「なるほど。ではそういう店を回りましょうか」
 エージェントは、慣れた手つきでカーナビを操作するとハンドルを回す。目まぐるしく景色が変わり、都会の道路沿いは鮮やかな看板と高いガラス張りのビルでシェイドの目を眩ませる。
 そのうちに一つの店にたどり着く。一目ではそうとわからないような寂れた店だ。しかし、彼は車から降りる素振りを見せず、一瞥しただけで動かない。
「ここにはない」
「えぇ? しかし確認しておかないと……」
「俺の勘がそう言ってるんだよ! ここの店にはないってな!」
「んもー、わかりました。私にはわかりませんが、多分そうなんでしょうね……では、次の店に行きましょうか」
「あぁ、そうしろ」
 寂れた店の前に停まるにはやや場違いな車を、店を訪れたであろう男子高校生が不思議そうに見ていた。
 ともかく、シェイドを乗せた車は都会の町を走っていく。彼の第六感により大まかにありそうかなさそうかを判別することで、車は店の前に停まるだけで次々に店を確認していった。

「……いや、驚きました。まさか本当にこんなに当たるとは」
 数時間後、エージェントは合計三枚のゲームソフトを回収。車の中でそれらを広げていた。
「だから言っただろ? 俺の勘は正しいんだよ」
「えぇ、素晴らしい回収効率でした。残りは一つですね」
「一つにつき百万円? くらい払えよな」
「んもー、要求がすごい……」
 エージェントは当惑しつつも、しかし被害が出てしまえばかかるコストは一件につき百万ではとても済まない。そのことを考えれば彼の要求も妥当かもしれない、などと考えていた。
 その後さらに一時間ほど回ったものの、シェイドの勘に引っかかる店は見つからなかった。見落としがあるのか、あるいは既に売れてしまったのか。
 とにかく、ゲームソフトは四つまで回収することができた。残るオブジェクトはあと一つ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・柚希
(SPDで判定)
……ゲームオーバーがそれこそ人生の終わりなんて、怖い話だよ

なんにせよ、これ以上の犠牲者は防がないといけないね

自分の店の仕入先を伝いに、『境界線』について情報を探るよ
ネットワークを利用、必要ならば電話で質問も

在庫がある店が特定できれば一番いいんだけれど、売られてしまっていたら買った人についてさらに話を聞きたいな。
〈コミュ力2〉スキルも使いつつ、教えてもらいたい理由も話していく

ただの噂話じゃなく、実害があった以上はその人も危ない可能性がある。ゲームで人命が左右されるなんて、遊ぶ側としても売る側としても見過ごせなくて。


シャオ・フィルナート
とりあえずケイタイで
画像と周辺の店をいくつか抜粋し確認

★蒼笛で近くのネズミ達を集め
店の場所と画像を共有し【動物会話】

客が手にした商品…手分けして、監視して…
見つからないように…

購入者、見つけたら…家の場所…確認して…
調査中にすれ違いで買われると困るから…

もし関連チャットがあるなら
購入者やその知人
…呪いは所有者に返ったり伝染する場合もあるから
過去の購入者の知人の書き込みが無いかも確認
あれば…後で技能持ちの仲間に共有…

匿名として
「話は知ってるけど、肝心のソフトは一度も見たことない。
ほんとに売ってるなら買ってみたいけど、最近見た人いる?」
と書き込み
返信待ちの間に
監視外の店から順に在庫を確認…



 これまでで四つの境界線が発見された。残るは一つだけではあるが、その最後の一つの捜索には猟兵たちも手間取っていた。
 シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は、既に購入者がいるのではという推測を元に支給されたスマートフォンで情報を集めた。
『境界線というゲームについて。話は知ってるけど、肝心のソフトは一度も見たことない。ほんとに売ってるなら買ってみたいけど、最近見た人いる?』
 と、彼はインターネット掲示板にて質問を書き込んでみた。中古ショップを巡りつつ数時間ほど待てば、数件の返信が来ていた。必要な情報を抜粋しつつそれを読む。
『他の都市伝説と違ってホントに売ってたっていう目撃情報が多いんだよな。実物は俺も見たことない』
『昔、同級生がやってたわ。ぱっと見た見た感じ普通のゲームみたいに見えたんだけど、その同級生は転校したとか死んだとか色々言われてたな』
「やっぱり、昔の情報……最近の情報はないか……」
 昔に出回った際の都市伝説は非常に浸透しており、全国でも見ることができる話になっている。それに比べると、猟兵たちが知る最新の実物の流出情報はあまりにも小さな情報だ。それらが混ざれば、必然大量の情報だけが表に現れる。
 やはりインターネット上での情報収集には限度がある。シャオは懐から銀色の笛を取り出しそれを吹いた。
 すると、どこからかゾロゾロとネズミが彼の周りに集まってくる。予めある仕事を依頼していたネズミたちだ。彼らに餌を与えつつ、シャオは動物会話を行う。
「え……写真のケースを持った人を見つけた……?」

 一方、空亡・柚希(玩具修理者・f02700)は自らの店の仕入先を伝って境界線の情報を得ようとしていた。
 直接彼が取引を行っている店にそれは見つからなかった。しかし、さらにその店の取引先、さらにその取引先……段々と広がっていくネットワーク網に、ついにそれは引っかかった。柚希はすぐさま、その店に電話をかける。
「あぁ、境界線っていうゲームならウチに入ってきたよ。パッケージが違ったから安く買ったんだが……」
「それは今、在庫にあるのかい?」
「いや。数時間前くらいかな? もう売れちまった」
 その話を聞き、彼は心拍が強くなった気がした。犠牲者が出ることは防ぎたい彼にとって、誰かがそれを手に入れ、数時間経過してしまったという事は重大だった。
「実は……そのゲームは呪われたゲームなんだ。それもただの噂話じゃなく、実害があったもの。だから、買ったその人も危ない可能性がある。
 ゲームで人命が左右されるなんて、遊ぶ側としても売る側としても見過ごせないんだ。その客の情報を教えてくれないか」
「え……えぇ? そりゃアンタ……本当か? そんなんなら……そうだな……客の会員証があったはずだ。ちょっと待っててくれ」
 電話の向こうから待機音楽が流れる。それが二度ほどループした後、通話相手が戻ってきた。
 彼が語った情報によれば、購入したのは三枝という男子高校生。普段からレトロゲームをよく購入しているそうだ。同時に、彼の住所もまた柚希は入手した。
 それは、シャオがネズミに依頼して購入者を追跡させ、得た住所と同じものだった。住宅街の二階建て一軒家。何の変哲もないそんな家に、呪いは持ち込まれてしまったようだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『画面からの怪異』

POW   :    儀式を行おうとする高校生を強引に引き止めたり、囮役で自ら儀式を行う

SPD   :    高校生の学校に潜入し情報を集める

WIZ   :    インターネットで更に詳しい情報を集めたり、噂の発生源を突き止める

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふんふん……これはいかにも奇ゲー臭がするな……」
 男子高校生・三枝は家に帰ると、二階にある自らの部屋に入る。着替えもそこそこに、彼はビニール袋から「UDC-512 境界線」と書かれたケースを取り出し、中のCDをゲーム機にセットした。
 通常、ゲーム起動時には制作会社や注意事項がタイトル前に表示される。しかしこのゲームにそれはない。暫くの黒い画面の後、突然ボウッと「境界線」の白文字が浮かび上がった。
「ホラゲー……なのか?」
 ボタンを押すと画面が切り替わる。顔のないマネキンのようなポリゴンと、「あなたの分身を作ってください」という文字が画面に浮かぶ。
 それに従って彼は目や鼻、口、服装や髪型を選んでいく。
「意外と再現できるもんだな。俺に似てんじゃね?」
 満足げにそう呟いた彼は、これから始まるゲーム体験を想像しワクワクした感情を抑えられなかった。が、直後に表示される文章に彼の背筋は凍りつく。
『境界線にようこそ。正気と狂気の境界線。現世と常世の境界線。これを正しく超えることができれば、あなたの身に多大な幸福が訪れるでしょう。
 ただし、このゲームをプレイ中に廃棄する、一週間プレイをしない、ゲームオーバーになる、などが起きた場合。あなたの身は境界線の狭間に引きずり込まれることでしょう。
 それでは、お楽しみください。
 プレイヤー登録:三枝弘樹』
 三枝はバッと周囲を見回す。それは何の変哲もない自分の部屋だ。監視カメラもなければ盗聴器もない。
「こ、れ……俺の名前、だよな……?」
 画面に表示されているのは紛れもなく彼自身の名前だった。こんな事は常識では考えられない。彼は震える指でボタンを押す。
『ステージ1 コインを集めろ』
 何事もなかったかのように、明るいBGMが流れ始める。緑色の床に青い空。ステージの至るところに黄色いコインが回転していた。
 その画面の中心で、彼のアバターは……画面の前の少年と同じように、呆然として佇んでいた。
シェイド・レーム
【WIZ】
おい!UDC隊員!ぱそこんってやつ!(ばんばん)
死霊でブッ殺したり苦痛を与える呪術はできるけどよぉ…ガキを引き止めたり潜入はヤだよ、動くのめんどくせーし。おめーらがやっとけって。

んでまぁなんだ?ちと予習してきたんだが、いんたーねっとってやつ?それやっとくから。最強、闇の呪文、覚え方、とか書けば情報が出るヤツなんだろ?情報の真偽判別は面倒くせーが…給料分は真面目にやっとくから終わったらコレ貸せよな。最強の呪文調べさせろ。

まぁ、使用技能は【情報収集】だ。くだらねー情報も多いだろうが、せいぜい共通点なり類似点なり調べるさ。おいコーヒーまだかよ!あと境界のきょってどうやって書くんだよコレ!!



「おい!UDC隊員!ぱそこんってやつ!」
 シェイドはパンパンと手を鳴らす。オブジェクトの捜索任務から一夜明け、彼は一旦拠点としてUDC支部に帰ってきていた。
「パソコンですか? まぁありますが……」
 エージェントはノートPCを持ってきてシェイドに渡す。肝心のオブジェクトの元に向かわない彼に対し、エージェントは首を傾げているようだ。
「死霊でブッ殺したり苦痛を与える呪術はできるけどよぉ……ガキを引き止めたり潜入はヤだよ、動くのめんどくせーし。おめーらがやっとけって。
 で、俺がやるのはこのいんたーねっと? って奴で情報収集だ。あれだろ? 最強、闇の呪文、覚え方、とか書けば情報が出るヤツなんだろ?」
「闇の呪文は出ないですけどね」
「給料分は真面目にやっとくから終わったらコレ貸せよな。最強の呪文調べさせろ」
「最強の呪文は出ないですけどね」
 シェイドはPCを起動し、軽くキーボードを叩いた。しかしよく考えるとタイピングがわからなかった。
「おーい! 境界のきょってどうやって書くんだよコレ!」
「んもー、これを使ってください」
 エージェントはそっと、ローマ字変換表付きのマウスパッドを置いていった。

 彼は暫くして、大まかなインターネット上の情報を纏めていた。集まった情報の共通点や類似点から真実の情報を暴いていく。
「境界線は、最初のうちは本当にただのアクションゲーム。わざと死なない限りキャラが死ぬこともない。でも、進めていくとだんだん難易度が上がってくる……」
 それはプレイヤー、或いはプレイヤーの知り合いが発信した情報の数々だった。こういった情報は錯綜し、嘘の情報が多いのがよくある事なのだが、やはり実際に市場に出回った以上真実の比率もまた高い。
「で、夢にゲームの主人公が現れるようになる。無表情なアバターの顔がこっちを見つめてくる……その頃からゲームからの要求がだんだん難しくなってくる……と」
 ざっと確認できたところ、「徘徊する敵に見つかることなくゴールを目指す」「上から降ってくる大量の矢を避けつつコインを集める」などのプレイヤーのゲームスキルが要求されるもののほか、「早朝4時20分にゲームを起動すること」「親しい誰かを傷つけること」などゲームに直接関係ないクリア条件もあったそうだ。
 そしていずれの体験談にも共通するのは、一週間起動しない、またはゲームオーバーなどをするとプレイヤーが死ぬということだ。
「ふーん。死ぬっつっても呪術とかそういうモンか? それとも直接殺しにかかってくるのか……?」
 未だ、明らかにならない点もある。しかし、徐々にその全容が明かされつつあるのも事実だ。シェイドは口元にコップを傾ける。
「……おい! コーヒーまだかよ!」
「んもー、ここネットカフェじゃないんですけど……」
 エージェントは困惑しつつ、彼に缶コーヒーを差し入れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハーミル・フラウミル
初めてのUDCアース

いんたーねっと?
それを使ってみたいです

この遊戯を無事に終えたとして
本当に幸運が訪れるのでしょうか?
こんな呪物とも呼べるような品で本当に?
何だか胸騒ぎがするのです

過去の被害者は数名らしいですが
実際に遊んで生き延びた人の情報を探します

――

ふう、コツは掴めてきましたが
怪しげなページを開けば開くほど
その、目のやり場に困ります

待って、これ、男の人と女の人が……重なって
えっ男性と男性?
女の子同士だったり……わあ……

まあ、もうこんな時間
隊員さん、おかわりです(エナジードリンク

画面を見られたら慌てて翼で覆い隠します

見ないでください!
ちゃんとお仕事だってしてますから!

翌朝までだって頑張れそう



 支部に訪れていたのはハーミル・フラウミル(白翼の聖女・f14624)も同様であった。UDCアースを訪れること自体が初めてである彼女は、どこかで得た情報であるインターネットを利用することに決めていた。
「では、こちらのPCを使ってください。スタートガイドはこれを読んで、わからない事があったら聞いてくださいね」
「はい。ご丁寧にありがとうございます」
 ハーミルは手慣れた様子のエージェントに頭を下げ、異世界出身の猟兵用のPC使用ガイドをペラペラと捲る。それに従って電源を入れ、ひとまずインターネット検索画面まで辿り着いた。
 彼女はこのゲームを終えた先にあるという幸運に疑いを向けていた。この呪物のようなゲームがいかにして生み出されたかは不明だが、そんなものが本当に幸運などもたらすのか? と。
「過去の被害者は数名らしいですが」
 果たして本当に実際に遊び、生き延びたプレイヤーはいたのだろうか? ハーミルはその点について調べることにした。

「はっ……こ、これは……」
 二時間後。ハーミルはPCの画面の前でわなわなと震えていた。
「待って、これ、男の人と女の人が……重なって……?」
 画面に映し出されるのはそんな感じの写真だ。何かと問われれば……そんな感じの写真である。
「えっこれは男性と男性? 女の子同士だったり……わあ……」
 ハーミルはドキドキしながらマウスをカチカチと鳴らす。そう、彼女はインターネットという名の深淵に呑まれつつあったのだ。
 はじめは確かに境界線について調べていた。しかしその情報があるブログから繋がるリンクをふとクリックしていく内に、電子の海で迷子になったのだ。
「……進んでますか」
「ひゃい!?」
 背後から低い声をかけられ、ハーミルは翼をビクリと跳ねさせたのち大きくそれを広げた。
「見ないでください! ちゃんとお仕事だってしてますから!」
「お仕事『だって』とは何ですか! んもー、遊んじゃダメですよ。変なリンクを踏んでウイルス感染したりしないでくださいね」
「ウ、ウイルス? 病気になるんですか!?」
 エージェントは彼女の反応を見て何かを考えた後、真顔で頷く。
「変なリンクを踏むとウイルスで病気になります」
「えぇっ……気を付けます……」
 翼をすぼめさせた彼女は、エージェントが立ち去るのを見ると改めてきちんとした情報収集を開始した。

 その上で、得られた情報がある。それは、『明確にゲームをクリアした者は今まで一人もいない』ということである。
 ゲーム自体の難易度が徐々に上がっていくのは知られていることだが、大抵の話においてプレイヤーはその難易度の前に消えていく。つまり、最後まで辿り着いた者の体験談がないのだ。
「こ、これはまさか……」
 ――クリア不可能。その可能性がハーミルの脳裏によぎる。つまり、このゲームはまさしく呪物であり、幸運などというのはただの誘い文句に過ぎないのではないだろうか?
「もしそうなら……許せない話です」
 しかし、あくまでそれは可能性だ。より確実な証拠を掴むべく、彼女はエナジードリンクを飲みながら更なるページを集めていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エン・ジャッカル
無事に全てを回収してめでたしめでたしとは行かないものですね。他にやりようがあったかもしれませんが、今は反省する余裕はありません。出来るだけ早く、残りの一個を回収しなければ。

残りの一個を持ってるとされているのは男子高校生の三枝さんですか…。住所も知ることが出来ましたので早速潜入して回収したいところですが、既に『境界線』を起動してしまっていた場合は回収しても三枝さんに被害が及ぶ可能性があります。
『境界線』を起動してしまったかどうかを知るために三枝さんが在校している学校に潜入し、三枝さんに影の追跡者を追わせて情報を集めようと思います。

やれやれ、本の主人公のように上手く行けるようになりたいものですね。



「無事に全てを回収してめでたしめでたしとは行かないものですね」
 エンはままならない思いを抱えつつ、最後の一つを手に入れたという男子学生三枝が通う高校に訪れていた。
 自らに縁のなかったその地にどこか複雑な感情が去来する。ともあれ、出来るだけ早くゲームソフトを回収しなければならない。その為には、まず彼の現状を知らなければならなかった。
「おっと……彼ですね」
 手に持った写真と照らしあわせ、校舎から出てくる学生の中から三枝を発見する。その表情はどこか浮かない。そして落ち着きなく、歩みが速い。
「これは……もしやすでに、かもしれません」
 エンの側に黒い人型の影が浮かび上がると、それは歩いてくる三枝の真後ろにピッタリと付いた。辺りを歩く生徒も、もちろん三枝自身も、その人型に気付く様子はない。
「では、頼みましたよ……」
 エンは一旦校門から離れると、駐めていたアヌビス号に背を預け目を閉じた。

 次に彼が見たのは三枝の背中である。目は閉じたままだが、確かに見える。影の追跡者、人型の影がエンに五感の情報を送ってきているのだ。
 三枝は急ぎ足で家に帰ると、すぐに自分の部屋に入り鍵をかける。そしてゲーム機を起動した。
 表示されるのは黒い画面に『境界線』の白文字。その文字の下にはステージ32、と小さく書かれている。
(やはり、一手遅れましたか……やれやれ。本の主人公のように上手く行けるようになりたいものですね)
 そう嘆くも、彼がゲームを起動してしまったという事実は変わらない。情報によれば、ゲームを起動してから一週間動かさないと死ぬということだ。つまり、彼の命はすでに縛られている。
 ゲーム画面に「ステージ32 落ちずにゴールまで辿り着け」と表示される。しばらくの後、三枝に似た姿のアバターはぐわんぐわんと揺れる振り子状の台の上に立っていた。
「うわっ……クソ! 何だよこれ!」
 キャラクターは遠心力に従ってツルツルと床を滑る。無操作状態であれば勝手に落ちてしまうだろう。三枝はボタンを動かし、なんとかバランスを取らせる。
 その奥に、さらに複数の振り子状の床が見えた。どれも激しく揺れており、タイミングよくジャンプしてキャラクターを動かさなければならない。
「クソ……クソ……! タイミングがわからないよ……!」
 彼が最初の台の上でまごついていると、プレイヤーキャラの首がぐるりと百八十度回転。画面の手前側を向く。
 画面に映るその顔は無表情で、簡素なポリゴンで表現されている。一瞬ノイズのようにキャラが赤黒い涙を目の下に出し、何事もなかったように再び首を画面奥に回した。
 三枝はそれに怯えつつも、必死にキャラクターをジャンプさせ飛び移らせる。今のところはまだプレイできているが、あまり猶予はないかもしれない。
 エンは一旦影の追跡者を解除する。自らの本体の目の前にあるのは青空と雲だ。あの陰鬱なゲームから彼を救うにはどうするべきか。エンは思案していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハーミル・フラウミル
シェイド君と行動します

思ったよりも更に悪質なものでした
手にした少年は既に危ないかも知れません
直ぐに向かって止めさせます

代わりに私がやってみます
少年の一週間の期限のうちに何らかの進展を試みます

シェイド君でしたか
はい、連れていってください
移動中は少年の安全を祈ります

――

よかった、無事だったんですね
さあ私に貸してください
早速、分身を作ります

「あの、私ってもっと可愛らしくないですか?」

悔しいですが適当なところで満足しましょう
ゲームは知りませんが私にはオラトリオの力があります
第六感の囁くフィーリングベターに従い操作します

上手く先に進めば少年の予習になる
失敗しても私達なら呪いに対抗できる
そのような心算です


シェイド・レーム
同行者:ハーミル・フラウミル
UDC隊員はあぶねーからお留守番だ、わかったな?

チッ…調べれば調べるほどンなとこでコーヒー飲んでる場合じゃねえって理解しちまうな。おいハーミルとか言ったな、ついてこいよ。俺は高校生を【怪力】でぶん殴り…いや、引き留めとくからよ。囮役…やるつもりなんだろ?

ガキどもは知ったことじゃねえが、可愛いハーミルちゃんがやられるのは見過ごせないんでね、儀式を監視するぜ。使用技能は【呪詛】だ、ちんけな呪いなぞ本場の暗黒呪術で逆流させて正体を暴いてやるぜ!

あー…高校生が素直にやらせねー時は死霊アームロックだ(ただの関節技)。やっぱUDC隊員にも軽くごまかしてもらうか、電話とかで。


荒谷・つかさ
……時既に遅し、か。
いえ、まだよ。まだ三枝くんは生きているわ。
であれば、今ここに来て私が出来る事は……

三枝くんに直接接触を試みるわ。
今度は学生服姿で『コミュ力』を発揮して「境界線」について知らないか話を聞く。
何らかの反応を引き出せたら、私が本当はUDC組織(※組織名を伏せる必要があれば適当な名称をでっちあげる)のエージェントである事を告げ、被害者(三枝くん)の保護を提案。
具体的には彼の家へ滞在してすぐに守れるようにするわ。

まあ断られるかもだけど、「貴方の事が心配なの」と『誘惑』して「こんな事件、専門家以外に解決できないわ」と『言いくるめ』るわ。
必要ならUCで精霊を呼んで異能を見せるわね。



「……時既に遅し、か」
 つかさは報告を聞き、男子高校生のもとにゲームソフトが渡り起動されたことを知った。
 だが、まだだ。三枝の命はまだ繋がれている。間に合わせるために、つかさは一旦学生服で学校への潜入を行った。
 警察の制服よりフィットしているその姿で、彼女は何食わぬ顔で校内に入り込み、三枝を探した。
「……見つけたわ」
 そしてつかさは、廊下で歩いている三枝を発見した。目の下に隈があり、追い詰められている様子が伺える。
「あなた、三枝くんよね?」
「え? あ、あぁ……えっと、誰?」
「私は荒谷つかさ。三枝くん……境界線っていうゲームについてなにか知らないかしら?」
 彼はギョッとした表情を浮かべると、周囲の視線も気にせず叫ぶ。
「アレについて知ってるのか!? 俺も知りたいんだ、アレが何なのか……! 頼む、助けてくれ……」
 彼はそう懇願する。周囲はざわついており、つかさは場所を移す必要性を感じていた。
「三枝くん。一旦、自宅に帰りましょう。学校は早退する事になるわね」

 つかさは彼とともに帰路に着きながら、事情の説明を行った。自身がUDCという特殊な組織の一員であること。こういった呪いなどの事件を解決するべく動いていること。
 自身の信じる日常から大きくかけ離れたその話に彼は半信半疑だったが、つかさは彼に精霊の力として手のひらの上に炎を起こして見せた。それが決め手となり、彼は事件解決のために協力的になっていった。
「そ、それにしても……つかさって美人だよな。何年生なの?」
「え?」
 何を言っているのか、と彼女は改めて自分の今の姿を確認する。潜入のために学生に扮していたのだ。彼を勘違いさせてしまったらしい。
「私は組織の人間よ。実際はあの学校の生徒じゃないわ」
「えぇっ……そ、そっか……」
 どこか残念そうな三枝に首を傾げつつ、つかさは歩みを進めた。
 三枝の自宅に着くと、そこには既にシェイドとハーミルが待機していた。
「えっ、誰ですか?」
「誰とはご挨拶だな。せっかく俺がガキなんぞのために――むぐ」
「ええと! 私達はあなたを助けるために組織からやって来た者です。見たところ、少し話は聞き及んでいるのでしょうか?」
 シェイドから漏れかけた……ほとんど漏れていたが、暴言のような言葉をハーミルが慌てて塞ぐ。彼らもまた、三枝家に直接アプローチをかけていた。
「さあ、早速ですが例のもののところに案内してください。あとは私達が対処します」
「あ、あぁ……いやでも、ちょっと待って!」
 三枝は家の中に入ると、急いで自室に入り込む。彼らは首を傾げつつ、その後を追い家の中へ。他の家族は出かけているようで、屋内はシンと静まり帰り、人の気配がなかった。
 三枝は自室の中で何かゴソゴソと動いているらしく、大小様々な物音が聞こえてくる。そのまましばらく出てこず、三人は部屋の外で待たされることになった。
「ええい! 何をやってやがるんだ!」
 痺れを切らしたシェイドは扉を無造作に開き突入した。何か企んでいるのではないかと、空のペットボトルを両手に持った三枝に死霊アームロック(ただのアームロック)を食らわせる。
「いででででで! 何何!?」
「こっちのセリフだ! 俺らを待たせて何やってんだ、ブツを隠す気じゃねぇだろうな!」
「違う違う違う! た、ただ女子が部屋に来るなんて初めてだから、片付けないとと思って……!」
「どうでもいい! 思春期かお前は! ……思春期だったな」
「まぁまぁシェイド君、落ち着いてください」
 ハーミルがそっと諌めると彼は三枝を解放した。三枝はどうやら本当にゴミを片付けようとしていただけのようで、部屋の中心にはゲーム機がそのまま置かれている。
「では、始めてみましょうか……」
 ハーミルはコントローラーを手にし、ゲーム機を起動させた。

「嫌な気だな……しかし呪いの品のくせに量産品ってのはどういうことだ」
 ゲーム機から放たれる呪詛の力を探っていたシェイドはそう呟いた。画面には黒い背景に白い文字で境界線。しかしその下にあったはずのステージを示す文字は消えている。
「あ、あれ? 俺が進めてたデータは……?」
 ハーミルはとりあえずボタンを押すと、プレイヤーの分身を作る画面に移行する。簡素なポリゴンで人の姿が作られていく。
「あの、私ってもっと可愛らしくないですか?」
 出来上がったのはどこか彼女に似ているようで絶妙に似ていない、不気味でシンプルな顔つきのキャラだ。翼はない。ハーミルはもう少し似せられないかと格闘していたが、そのうちに諦めた。
「まぁ今回の趣旨に反しますからね……仕方がありません」
 それを作り終えると、画面に再び白い文字列が表示される。そしてその最後には、「プレイヤー登録:ハーミル・フラウミル」の文字。
「誰が起動したかまでわかるのね。この時代のゲームってそんなに優秀なの?」
「い、いやいや。あり得ないよ……」
 シェイドはゲーム機を注視していた。すると彼の目には、呪いの霧のようなものがハーミルの元にも巻き付いたのが映る。
「気をつけろよハーミル。呪いがそっち行ったぞ」
「はい。ゲームはよく知りませんが任せてください」
 そう言った直後、画面上の彼女のキャラクターは一直線に穴に向かって走り、そして落ちていった。「GAME OVER」と画面に表示される。
「ハーミルちゃーん……?」
「あれ……? こ、こんなはずでは」
 次の瞬間、画面にノイズが走る。灰色と黒のノイズの向こう側に、彼女が作った彼女の分身のポリゴンが微かに写っている。
「何か来るぞ、気をつけろ! あとガキは一回どっか避難してろ!」
 シェイドは三枝を部屋から出すと、怪しい動きを見せる画面を睨んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『貴方の魔性を映す鏡の女神・スペクルム』』

POW   :    『アナタは、私(アナタ)の過去に囚われ続ける』
【対象自身の過去のトラウマを抱えた姿】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    『欲望に素直になりなさい、"私(アナタ)"』
質問と共に【対象の理性を蕩けさせる甘い香りと囁き】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    『アナタが"私"を認めるまで、躾てあげる』
【従属の首輪】【躾の快楽触手】【欲に堕落する媚薬の香】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠風雅・ユウリです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「誰も僕の作品を理解しようとしないんだ……」
 画面から聞こえてくるのは、音質の悪い男の声だ。ゲームから放たれる音声らしい。
「納期を理解してない部下共……プラグラミングのプの字も知らない上司……」
 画面には常にノイズが走る。そして、その画面を見た猟兵の姿を模した不気味なポリゴンのキャラクターがノイズの奥に複数写っている。
「だが僕は諦めはしない……誰もが没頭する……せざるを得ない究極のゲームを、僕の手で……!」
 声が止む。するとテレビ画面からノイズが消え、磨かれた鏡のように画面の質が変化した。
 その奥に人型が映り込む。狂気を糧に、魔性のオブリビオンがその姿を画面の向こうに表した……!
八片・えふし
ボスがついにでてきたね ひとをたのしませないゲームはゲームじゃない! わたしはまけない あなたをぜったいたおしてみせるの!

電脳ゴーグルで電脳空間を展開し、誘惑し縛りつけようとする敵を告白してくるプレイヤーと見立て、恋愛ゲームのカセットと時限爆弾を召喚します。

基本的に他の恋愛対象としてのキャラクターを呼び出し操作して、設置した時限爆弾の近くで【時間稼ぎ】をさせて爆発に巻き込みを狙います。

自分が狙われたらひたすら回避します、香りには七つ道具の一つのハタキで追い払い、拘束にはその他の七つ道具で解除を、トラウマ攻撃が命中した場合は根気でなんとか克服します。



「ボスがついにでてきたね。
 ひとをたのしませないゲームはゲームじゃない!
 わたしはまけない あなたをぜったいたおしてみせるの!」
 どこかピコピコした電子音の交じる声。八片・えふし(ぴこぴこ の かみさま・f04393)はゲーム機のヤドリガミとして、ゲームを悪用しようとするオブリビオンに勝負を挑んだ。
「ゲームはゲームさ……ならば君に問おう。君が経験したことのあるゲームは、そのすべてが面白かったのかい!?」
「そ、そんなの もちろん……」
 面白かった、と答えようとするえふしの言葉が途中で止まる。目の前の鏡面状のテレビ画面から香るのは、埃の匂いだ。無数のガラクタとも言えるゲームカセットが埃を被っている、そんな中古ショップのような匂い……。
「素直になれ……君自身わかっているはずだ……ゲームとは玉石混交。つまらないゲームだってあったはずだ」
「くう……」
 えふしははたきをバタバタと振るい、周囲の香りを振り払った。しかし、一度術中に嵌ってしまった以上、質問には答えなければならない。
「たしかに ゲームのなかにはたのしみづらいものもある……」
「そうだろう! それに比べれば境界線は神ゲーだ! ユーザーを皆、死にものぐるいになるまで没頭させているのだからね!」
「それは ちがう!」
 えふしは音量の大きな声を出し、電脳ゴーグルからゲームを展開した。女性キャラクター――そして、その背後には爆弾。
「アレはたまたまわるいげーむになってしまっただけ。
 アナタみたいに もとからあくいをもってつくったものじゃない!」
「結局はユーザーの受け取り方次第だ!」
 オブリビオンは鏡から手を伸ばしえふしに襲いかかろうとする。だが、目の前に立ちはだかるのは女性キャラクターだ。彼女はその腕を振り払うと、音質の悪い声で言う。
『○○くん どこ見てるの?』
「何だこれは……どうやらコイツを攻略しなければ進めないようだな。フン、こんなもので僕を封じるつもりか!」
 オブリビオンの目の前に三つの選択肢が現れると、ノータイムで彼は二つめの選択肢を選んだ。
「いやぁ、君に見とれてたんだ」
『キャッ うれしいわ』
 そのようなやり取りのあとで、女の声は一気に加速する。オブリビオンがオートスキップ操作をしたためだろう。続いて再び選択肢が出ると、これも即座に選択。
「こんなステレオタイプな恋愛ゲームなど吐いて捨てるほどやったよ……すぐに落として消してやろう!」
 宣言通り、彼は凄まじいスピードで選択肢を選び進めていく。このままでは、女キャラクターが背中に抱える爆弾が起爆する前に攻略が完了し消されてしまうだろう。……だが。
「わたしのゲームは そうかんたんにはいかないよ!」
 えふしはそう啖呵を切った。オブリビオンは舌打ちで応える。事実、ままならないものを彼も感じていたのだ。
 このゲームはえふしが用意したレトロゲーム。電脳ゴーグルから展開されていても、その本質は変わりない。すなわち。
「読み込みが遅ぇ!」
 ロードの遅さは、男のやろうとしたようなRTAには天敵となるものだ。結果、彼は間に合わず。そして女の背後に召喚されていた爆弾にも気付かず。起爆した爆風に巻き込まれることとなった。
「ぐあぁぁっ……!」
 テレビ画面がガタガタと揺れ、その表面にヒビが入る。ノイズが走った後、再び画面は鏡面状に変わり人影が現れた。
「くそっ! くだらない真似をしやがって……!」

成功 🔵​🔵​🔴​

シェイド・レーム
同行者:ハーミル・フラウミル
ひゃははははは!お出ましだぁ!くだらねぇ探偵ごっこも終わりよ!!捻じれた野郎一人の邪念…単純なカラクリで大助かりだぜ、はははは!同情はしねぇぜ、てめーはオブリビオン、俺様は猟兵…そこにあるのはぶっ殺しあいだけだ!!

【オーラ防御】でスペクルムの攻撃をシャット!
『絶狼・冥導爪牙』で引き裂きぶっ殺す!
ハーミル!てめーは援護しろ!!
行くぜ…真の姿開放だぁ!!グルルルル…!!

◆真の姿(巨大な狼)になってからは人の言葉を話しません

(冥府でゆっくり休んでまともな作品を作るんだぜ、シェイド様ファンタジーとかよ。てめーにやれるのは死の安寧だ、情熱が残っているなら生まれ変わるんだな!)


ハーミル・フラウミル
シェイド君と行動します

「ゲーム……没頭? 一体何を言って……きゃあ!」
単に人を殺めるための呪いでは無いのかも知れませんね
しかし考えている余裕も無さそうです

「光よ!」
鏡の放つUCを私が防いでみます
その隙にシェイド君が攻撃してくれたら……え、犬?
す、すごい……!
変身にも攻撃にもびっくりです

「どうやら得意の暴言もその姿ではお休みですね、もうずっとこのままで良いんじゃないですか?」

(補足)
POW:トラウマは独り無力で幼い自分、胸の痛みに反応が鈍りますが元々鈍い
SPD:そそそんなこと言えるわけありません! ぎゃんっ!
WIZ:こんなのたいへんなことになってしまいます! あ、私は聖女ですからねっ? ねっ!?



「ゲーム……没頭? 一体何を言って……きゃあ!」
 首を傾げるハーミルに突如黒色のノイズの走る触手が飛んできた。それを呪詛の壁で相殺するように防いだのはシェイドである。彼はハーミルの無事を確認すると口元に笑みを浮かべ……そして高笑いを始めた。
「ひゃははははは! お出ましだぁ! くだらねぇ探偵ごっこも終わりよ!!
 捻じれた野郎一人の邪念……単純なカラクリで大助かりだぜ、はははは!」
「単純なギミックが単純な解決策でどうにかなるものかな……!」
「当たり前よ! てめーごときに苦戦も同情もしねぇぜ。てめーはオブリビオン、俺様は猟兵……そこにあるのはぶっ殺しあいだけだ!! とびきり単純ななぁ!」
 それを聞くと、テレビ画面には男たちの姿が写り込んだ。それはこの場にいる猟兵の誰でもない。UDCアースの人間でもない。服装からして、ダークセイヴァーの村の人間のように見える。
 シェイドはその姿に見覚えがあった。彼が住んでいた村の住人たちだ。
「……フン、くだらねー事を……」
 彼はそう吐き捨てると、後ろで尻餅をついていたハーミルに振り返る。
「ハーミル! てめーは援護しろ!!
 行くぜ……真の姿開放だぁ! グルルルル……!!」
 その喉はまるで獣のような鳴き声を上げる。彼の持つ長髪は更に伸び、全身を覆うようになっていく。二足歩行であったそのシルエットが四足のものに変わり……やがてそこには、巨大な狼が立っていた。
「……え、犬? す、すごい……!」
「ガウゥ!(狼だよ!)」
 シェイドの声は完全に獣のそれとなり、意思疎通は図れなくなった。だが、代わりに手に入れた攻撃力は破格である。
 テレビ画面から松明を手にした村人が複数人実体化する。――それらが武器を彼に振り下ろした!
 しかし、その攻撃はシェイドに届くことはない。松明が彼にぶつかる前に、既に光の壁によってその衝撃は防がれていたのだ。
「光よ……!」
 ハーミルが放つ光はシェイドを守る。先ほど彼がそうしたように。その隙に、狼は屋内を縦横無尽に駆け巡り、村人たちの幻影を引き裂いていく。
「グルルルァァッ!」
 彼らに与えられた傷口から青白い炎が湧き上がる。それは冥界の炎であり、死者を罰する慈悲無き火であった。村人たちは悲鳴を上げて燃え尽きていく。悲鳴の合唱が一人減り二人減り、薄れていく。
 最後に残った声はオブリビオンの男の声だ。画面の中の映像が乱れ、ノイズが走る。
「グルルルァ……グガァァッ!」
 狼はどこか哀愁ある色を声の中に含ませた。しかしその意味はオブリビオンは勿論、後ろにいるハーミルにも理解できなかっただろう。彼女はどこか満足気な笑顔だ。
「どうやら得意の暴言もその姿ではお休みですね、もうずっとこのままで良いんじゃないですか?」
「ガルルル!」
 シェイドは不満げに吼えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空亡・柚希
没頭?死にもの狂い?ああ、確かに貴方の境界線はそうせざるを得ないものだ
けれどそこに楽しみは見えてこなかった。ユーザー側にあるのはホラーゲームなんて目じゃない、身近に理不尽が迫った恐怖だけ
究極なんて笑わせる

不意打ち狙い(<忍び足1><目立たない6><だまし討ち2><傷口をえぐる1>)で≪Repair;Snow Queen≫を使う
「こんな悪意の塊、バラしても良いものにはならないだろうけど」
「女王の再演だ」

両腕の肘から先、更に喉を裂かれた自身の姿には思わず片手で首を触る
けれど、武器だけは落とさないように耐えたい(<呪詛耐性><第六感>)
ほぼ機械のような触覚で『今は違う』という確証を得て耐える助けに



「没頭? 死にもの狂い? ああ、確かに貴方の境界線はそうせざるを得ないものだ」
 柚希はその声に怒りを滲ませていた。そうとも気付かずに、男の声は得意げで。
「当然だ。僕がそう作ったのだから!」
「けれどそこに楽しみは見えてこなかった。ユーザー側にあるのはホラーゲームなんて目じゃない、身近に理不尽が迫った恐怖だけ。究極なんて笑わせる」
 それは謂わば、安全装置のないジェットコースターのようなものだ。安心も何もない、単なる危険信号に楽しみはない。ホラーゲームとは全く違う恐怖だ。
「何が違う! 恐怖に変わりなんてないんだよ! これが究極のホラーアクションゲームなんだ! ……ならば問おう! お前はこれより没頭できるホラーゲームを知っているか!」
 それはユーベルコードによる攻撃ではあったが、男の自尊心を満たすための問いという面が多くを占めていた。柚希は気分の悪いものを感じながらも、己の武器を構える。
「知らないよ。そこだけに注目するんならね」
「ハッ……ハハハ! 当然だ! 僕の――」
「だが、面白くない。……こんな悪意の塊、バラしても良いものにはならないだろうけど」
 柚希の右手に鏡片が現れる。それを彼は、ゲーム機めがけて……正確には、その中のソフトめがけて投擲した。
「女王の再演だ。その力、分解するよ」
「何だと……!」
 ゲーム機自体を傷つけることなく、鏡片はゲームソフトを真っ二つに両断した。ディスクの回転音が無理矢理に止まり、画面が途切れ人影が消える。
 ……だがしばらくして、画面には再びノイズが走った。奥には辛うじて男の影が見える。
「くっ……テレビ本体に移動する羽目になったが……まだだ! 僕のゲームは終わらない!」
「しぶといな。でも、もうそろそろエンディングだよ」
「いいや、このゲームにエンディングなんて無い! プレイヤーは……全員死んで、このゲームの糧となるのだから!」
 ノイズが薄れ、人影がざわめいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エン・ジャッカル
念のために三枝さんの自宅の外で待機していましたが…まさかの「GAMEOVER」!?い、いや、手っ取り早い方法ではありますが…。

ともあれ、戦闘突入となりましたが室内戦なので、私の相棒(アヌビス号)を連れてくることはできません。なので念のために部屋から出た三枝さんに影の追跡者をつけて見張ってもらい、自分は皆さんのサポートに回りたいと思います。

とはいえ、私が出来ることは限られていますので、スペクルムではなくゲーム本体にスマートフォンのハッキングツールでハッキングして妨害を試みます。上手くいくといいですが…。

【トラウマ】
特になし。


荒谷・つかさ
漸くお出ましか。
……意識の差に苦しめられたのは同情してあげるけど。
その怨念が呪いとなって不特定多数へ向かうっていうのは感心しないわね。

一応万一にでも三枝くんの後を追われないよう、部屋の出入口を守るように陣取って戦う。
敵の攻撃は出来るだけ「見切り」と「武器受け」でいなし、回避は行わない。
攻撃は主に風迅刀を用い、「属性攻撃」での風の刃の射出で行う。
相手が近づいて来た、或いはトドメが近いのであれば【鬼神爆炎掌】を発動。
「怪力」と「グラップル」技能を活かして掴みかかり、敵の頭或いは急所を狙ってUCを叩き込むわ。

過去のトラウマ……か。
悪いけど、『ソレ』はひと月前にもう見たの。
(真っ向から潰しにかかる)



「漸くお出ましか。……意識の差に苦しめられたのは同情してあげるけど。その怨念が呪いとなって不特定多数へ向かうっていうのは感心しないわね」
「ハハハ……そんなものは些事さ。ユーザーをゲームにのめり込ませ! 楽しませてやることに比べればね!」
 テレビの中から黒い人影が飛び出そうとするのを、つかさは風迅刀で制した。射出される風の刃が敵の行く手を阻む。
「三枝くんのところには行かせないわ」
「……つかささん」
 敵を通さないためにドアの前に立っていた彼女に、ドア越しに話しかける小さな声があった。エンのものである。
「三枝くんの安全は確保しています。ある程度は気にしなくても構いません」
「あら、そう。それはありがたいわね。ところで、エンはそこで何をしてるの?」
「屋内だと相棒が入れなくてですね……サポートに徹します。攻撃のチャンスを作りますよ」
 エンはドアに背を預けつつ、スマートフォンを起動した。それはUDCから支給されたハッキング機能付きのものだ。
 ネットワークの繋がっていないものに対してハッキングすることはできない。が、幸いにしてオブリビオンが根城とするテレビには最新ゲーム機を通じてLANケーブルが接続されていた。三枝少年が様々なゲーム機を同時に接続していたからこそ、活路は開けたのだ。
 エンがハッキングを行うと、画面にノイズが走る。それは内部に映る人型を歪ませ、うめき声を上げさせた。
「なんだ!? な が起こって る… !」
苦しげな声が途切れ途切れ、映像の人影は頭を抱えているようだ。データ上の存在といえどそれはオブリビオンであり、生命である。であれば、ハッキングで叩くことが可能だ。
「おのれ! ぐああ ああ あ!」
 苦しげな声とともに、その影は画面から滲み出るように空中に浮かび上がってきた。テレビの中から弾き出されたのだ。
「なるほど。攻撃のチャンスってわけね」
 テレビの中にいるのならそれごと破壊すればいいかと思っていたつかさだったが、目の前に実体があるのならばより分かりやすい。彼女は拳を握りしめた。
「ぐっ……こ、こんなことが起こるなんて……信じられない! 畜生! だがまだだ! 俺の使命は終わってない!」
 黒い人影の輪郭が液体のように空に溶けていく。絵の具が広がるように薄く、そして大きく。
 黒の奥から色が混じり、やがて彼女の目の前には巨大な鬼が現れた。それはトラウマの具現。本来ならば、相手の足を竦ませる魔物。
 だが、つかさは全く臆することなくそれに近付き、鬼の頭を鷲掴みにした。
「悪いけど、『ソレ』はひと月前にもう見たの。一回り小さいしね、あなた」
「う……うおおおおおおお!」
「鬼神……爆炎掌!」
 その掌から爆炎が放たれる。ゼロ距離で叩き込まれるそれは地獄の一撃。叫ぶ男の声とともに鬼の姿は消え、後には何も――まったく、何も残すことはなかった。

「……お、終わった、のか?」
 繰り広げられる轟音に怯えていた三枝がゆっくりと扉を開く。部屋は大荒れであったが、同時に境界線のゲームソフトが割れているのを発見した。
「ええ、終わったようね。安心して。部屋の修理は隊員がやってくれるわ」
 つかさはため息を吐いて、嵐が起きたかのような部屋の内装を見つめた。
「じゃあ、俺、助かったのか? もう変な夢を見ることもないんだな!」
「ええ。よく持ち堪えてくれました。やがて命を落としてしまうゲームとはいえ、我々が来るまで耐えられたのはあなた自身の力です」
 エンもまた、三枝の肩に手を置いた。追跡者を向かわせて監視をしていた彼だからこそ、三枝の連日の苦悩はよくわかったのだろう。
 かくして、少年の命は救われた。『境界線』は再び収容され、都市伝説の枠を破り現実に現れたそれは、二度とその境界を踏み越えることはないだろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト