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アポカリプス・ランページ③〜バーニングオペラ

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ③ #断章ないです


 カリフォルニア州、エルドラド郡。
 かつては黄金鉱脈を擁する都市として知られていたが、それも今は昔。
 無謀の嵐が吹き荒れ、多くの暴力と無秩序が横行するこの時代に於いては、その面影もほんのわずかに残すのみ。
 しかし、土地は土地。
 この荒れ果てたアポカリプスヘルの世界に於いては、水の一滴、資材の一片すら貴重だ。
 何か残ってはいまいか。何か救いがありはしないかと足を運ぶ者たちを、それは絶望を以て迎える。
 かつて都市があったその場所を覆い尽くさんという炎の壁が反り立ち、その地表は赤く燃えていた。
 いつ燃え尽きるとも知れぬその大火を前に膝を折り、絶望とかすかな未練が、その先に燃えカスの中にすらも希望を見出さんとする放浪者を、さらなる絶望が襲い掛かる。
「ニャニャニャニャーニャー♪」
 大音量のオペラが鳴り響くと共に、空を裂くようなローター音に混じって降りかかるのは歌うネコの声。
 燃え盛るエルドラドの上空を飛び回るのは、プロペラと巨大なガトリング砲などで武装を固めた機械化ネコであった。
 ご機嫌なオペラを流しつつ、超ご機嫌でガトリングをぶっ放す猫たちは、燃え盛るかつての都市群を守るかのように、炎の上で歌い続ける。
 肉体の大半を機械化された猫たちにとって、炎は既に脅威ではなく、他者を殺傷する事など微塵も躊躇は無かった。

「エルドラドか。黄金が眠るというのは、なんともシャレが利いているかもしれないな」
 グリモアベースはその一角、青灰色のロングコートにファーハットがトレードマークのリリィ・リリウムが、自らの予知の内容を説明すると、皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「知っての通り、アポカリプスヘルでフォーミュラの存在が確認された。それも多数だ。
 いずれの有力敵も一筋縄ではいかない相手なのは、これまでの戦争を経験した者ならわかる筈だな?」
 それはつまり、今回の戦争ではオブリビオンの発生が止まない事の示唆でもあるが、それはひとまず置いておいて……。
 今回重要なのは、カタストロフを発生させようとしている首魁とも言うべき存在であるフルスロットル・ヴォーテックス。その撃破速度である。
 有力敵であり、全員がオブリビオン・フォーミュラであるというフィールド・オブ・ナインは、既に今回の攻勢に失敗した先のことまで考えているらしい。
 戦争が長引くほど、彼らの作戦はより大規模なものになるという。
「まあ、今は細かい事を考える段階じゃない。この戦争の主目的であるフルスロットル・ヴォーテックスへ至る道を作らない事には、始まらないからな」
 ここでようやく、今回の予知の内容に入る訳である。
 今回のカタストロフ阻止のための、いわば障害の排除。その一環が、エルドラド攻略なのである。
「ここには、フィールド・オブ・ナインの一角『プレジデント』の大規模通信サーバが隠されているという情報がある。
 『プレジデント』はこの世界で最強格のソーシャルディーヴァ。通信網を使った影響力は想像を絶するものだろうな。
 もちろん、ここを落として先へ目指す目的もあるが、戦力をくじくいい機会でもある」
 しかしながら、このエルドラドは、サーバ隠匿のため、全域を凄まじい炎が覆っている。
 更には、エルドラドに侵入するものを排除する多数のオブリビオン『ヘリキャット』が哨戒に飛び回っているという。
「非常に厄介なことに、このオブリビオン達は、この炎に耐性のある改造をされているらしく、土地を覆う炎の影響を受ける事はない。
 つまり、君たちは、この炎を何とかしながら戦うことになるな。
 そこは工夫してもらうしかない」
 そうして一通りの説明を終えると、リリィは帽子を取って一礼する。
「アポカリプスヘルは過酷な世界だ。しかし、だからこそ、希望をもって生きる者たちのその火を絶やすわけにはいかないな」


みろりじ
 どうもこんばんは。流浪の文書書き、みろりじと申します。
 戦争がはじまるという事で、しばらくお休みをいただいておりましたが、ついに始まりました。
 早く書いて早く終わらせて、勝ち数を稼げというような、せかせかしたルールではありますが……に、苦手だー!
 というわけで、いつもよりちょっとだけ急ぐ感じで、やっていきましょう。
 今回は戦争シナリオですので、1章のみの編成となっております。
 猫ちゃんたちはサイボーグですので、熱に強い。という謎理論で向かってきます。
 現場はどこもかしこもキルゼムオール炎に巻かれております。どうにかして炎に対抗する手段を用いると、何かいいことがあるかもしれません。
 それでは、皆さんと一緒に楽しいリプレイを作ってまいりましょう。
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第1章 集団戦 『ヘリキャット』

POW   :    猫達の黙示録
予め【オペラのメロディを大音量で流す】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    キャットアタック
レベル×5本の【対戦車ミサイルを発射した後、火薬】属性の【多数の無誘導ロケット弾と、ガトリング砲】を放つ。
WIZ   :    ネコボーン大作戦
レベル×1体の、【頭にかぶっている戦闘用ヘルメット】に1と刻印された戦闘用【ライフルや手榴弾を持った仔猫兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
月凪・ハルマ
消えない炎に飛行可能な防衛部隊、と
確かにこれはめんどくさいな

――ま、放置って選択肢は無いけど

◆WIZ

炎に関しては、まず装備一式を弄って耐性を付与
(【武器改造】【防具改造】)
あとは【環境耐性】で頑張って耐えると

炎の暑さは確かに厄介だが、俺にとっては
身を隠せる個所が増えるのは有難い

【迷彩】で自身の姿を隠し、炎を含めた周囲の遮蔽物に
身を隠しながら【目立たない】様に戦場を移動
敵の死角から急所に手裏剣を【投擲】して【暗殺】
まずは確実に数を減らしていく

とはいえ暑さに耐えるのにも限界はあるから、
ある程度敵を始末したらUCを発動
風刃で敵を攻撃しつつ、周囲の炎も纏めて吹き祓う

敵の攻撃は【見切り】【残像】で回避



 アポカリプスヘルの世界には珍しくない、荒れ果てた土肌がむき出しの大地が、視界の果てまで続く光景。
 それが激しい熱気で遠くに行くほど撓んで見える。
 かつては黄金鉱脈のある場所として栄えたこともあるエルドラドにその面影はなく、今やこの地は火を放たれ、消えぬ炎が街々の瓦礫を炎で包んでいた。
 区画というのか、街一つを丸々燃やしている炎が、まるで壁のように反り立つのを横目に、荒れ果てた道を一台の武装バスが土煙を上げて移動していた。
 機銃の掃射にもびくともしないであろう起動装甲車『玄武』を運転しているのは、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)であった。
 いくらか周りを見て回ったところ、ハルマが車を止めて車窓越しに見上げるポイントこそが、最も火の回りが濃いようだった。
 明らかに念入りに火の手が回っている区域に、注意深く視線を巡らせると、にわかに騒がしくなってきたのを感じる。
 ヒステリックにも聞こえる歌声の詳細は不明だが、大音響のオペラをスピーカー出力しながら、ローター音を近づけてくるのは、武装ヘリに改造されたサイボーグの猫のようだった。
「ニャニャニャニャーニャー♪」
 曲に合わせて調子はずれな歌を歌いながら編隊を組んで空を巡回するその猫たちを、ハルマは真面目な顔で観察する。
「消えない炎に飛行可能な防衛部隊、と
 確かにこれはめんどくさいな」
 ぴったり火の回りの濃い地点の上空をテリトリーにでもしているかのように哨戒するその動きを見送るべく、一時は窓も開けて視線で追っていたのだが、すぐに首を引っ込めて窓を閉めると、ふうと息をつく。
 ちょっと窓を開けただけで凄まじい熱気だった。
 できる事ならバスで突っ切るところだが、ヘリキャットの猛攻とこの炎の中で探し物はさすがにきつい。
 『プレジデント』の大規模通信サーバを探し出すには、どうしてもあのヘリキャットを倒さないといけないようだ。
 そうなると、バスのままというのはちょっと目立ちすぎる。
 ガジェッティアでもあるハルマは、バスの中で自身の装備に思いつく限りの耐火処理を施し、それらを着込むと意を決してバスから飛び出して炎の中へと飛び込んでいく。
 ヤドリガミであるためか、やたらと物持ちがいいのが転じて武器や防具を改造するのに余念がないハルマは、燃える街並みに対して心が荒むのを感じずにはいられないが、崩れ落ちた廃墟群は、あちこち燃えているとはいえ、身を隠すのには都合がいい。
「炎の暑さは確かに厄介だが、
 俺にとっては、身を隠せる個所が増えるのは有難い」
 化身忍者でもあるハルマにとっては、熱気で揺らめく視界ですらも、敵の目を欺くのに利用できる。
 ただ、いくら耐火装備を着込んだといっても、長時間居座っていれば、いずれ蒸し焼きだ。
 折を見て引き返しながら身を隠し、探し物を続けつつ敵を倒すという、地道な方法を取るしかないか。
 他にも手がなくはないが、あれを使うとちょっと目立つ……。
「……来たな」
 またも、大音響の音楽とプロペラローターの音と、そして猫の声が聞こえ始め、ハルマは瓦礫の影に身を潜めつつ、その服の表面をファイアパターンなどに変化させる。
 常ならば派手なアロハにも見えるそれは、この炎の中でのみ迷彩として機能する柄であった。
 ハンチングを目深に、ヘリキャットの編隊がざわざわとはしゃぎながら真上を通っていくのを確認。
 なんだか緊張感が無いようにも見えるが、相手はサイボーグだ。油断してはなるまい。
 そうして、ヘリキャットがその胴体部とも言える大型ガトリングを尻目に晒す頃、ようやくハルマは瓦礫の影から這い出す。
 大型ガトリングに跨るという姿の都合上、ヘリキャットの後方は割と死角が多い。
 今や、ハルマの視界からはヘリキャット編隊のお尻がよく見える。
「猫にやらせる意味、あるのか。──ま、放置って選択肢は無いけど」
 忍者手裏剣を素早く立て続けに放ると、回転を加えた手裏剣は弧を描くような軌道でヘリキャットの一機に命中。
「ミギャッ!?」
 おしり、首筋、ローターという具合に、急所になり得そうなポイントを余さず網羅した攻撃により、最初の一機はその場で絶命。錐もみを打って炎の街中へ墜落し、爆散した。
 編隊の一機が瞬く間に撃墜されたヘリキャットの対応は堂に入ったもので、すぐさま陣形を構築し直して周囲の警戒に当たるが、肝心の攻撃の正体が掴めていなかった。
 攻撃の瞬間やその音も、じゃれ合っていたり大音響のオペラのせいで見逃していたのだった。
 そんなこんなで、一機、また一機とどこからともなく飛んでくる手裏剣に撃墜されてしまうが、ついに攻撃の軌跡を掴んだヘリキャットの一体が、だいたいの攻撃地点にアタリを付けてミサイルとロケット弾を発射する。
「見つかったか……いや、見えちゃいないな。まあ、見えないだろ」
 爆炎を上げる瓦礫から身を翻し、飛び退きつつも、ハルマはその頬からだらだらと汗が噴き出るのを感じる。
 ヘリキャット側からすれば、この炎の中で陽炎のように揺らめく光景に隠れるハルマを見つけ出すのは至難の業であろう。
 そろそろ暑さを誤魔化せなくなってきたが、敵の数も減ってきた。
 奥の手を使う頃合いだろう。
「――吹き祓え、風刃……!」
 爆風を利用して飛び上がると共に、ユーベルコード【天津太刀風】によって、風の刃を作り出したハルマは、周囲の炎を引き裂くと同時に、残りのヘリキャットへも風の刃を放った。
「ニャニャ!? ニャーン!」
 燃え盛る炎すら吹き祓う風の刃になすすべなく、切り裂かれ、空中で散華する。
 あれでは残骸も残らないだろうが、可哀想な猫の無残な姿を敢えて見る事もないか。
 名も知らぬ猫に弔う気持ちをほんのり抱えつつ、ハルマは探索を続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「音楽好きの猫が空からガトリングをぶっ放すとか
何の冗談だか。」
冗談じゃないから困るんだが。

冥空へと至る影を発動。
零下の碧玉で自らの周囲を冷却し炎、熱に耐え。
人がいれば其方に被害が及ばない様に注意しつつ
フレイムテイル、スカイロッドの力で周囲の炎を操り
炎の熱で上昇気流を作り出しヘリキャットに向ける。
「熱に耐えられるからって炎は気にしなくていいなんて
そんなに単純じゃないって教えてやる。」

制御を失った敵に向け呪装銃「カオスエンペラー」で攻撃。
仔猫兵には持った手榴弾を攻撃して誘爆させ
ダメージを与えるか他武装と共に使用不能にする。
「その曲。鎮魂歌にしちゃ景気が良かったな。
お前達に対してなら上等だろうが。」



 ごうと燃える火の街を前にして、魔術師は興味深そうに顎に手をやる。
 荒涼と砂煙のあがるアポカリプスヘルの世界に於いても、幾重にも魔法を編み込んだ白いローブは埃もつかず、目深にかぶったフードの奥にも燃える街々の熱風は吹き込んでいる筈だが、その口元は常と変わらず涼やかだ。
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、考える。
 この街を焼いているのは、果たして魔術だろうか。
 即応するのは否であった。この世界に、自分の知らない魔術はいくらあるだろう。
 長い時間をその研究に当ててきたフォルクにとって、この世界は文明の墓場であると同時に、今の自分とは異なる方向性からのアプローチに満ちた世界でもある。
 新たな発見、そして叡智を探求すべく、フォルクはフィールドワークを欠かさない。
 彼にとっての冒険など、その表情すら伺えないフードの向こうに数えきれないほどしまってある実験の、その実践に過ぎぬ。
 そんな彼が考えるのは、この炎の特性。
 断続的に燃え続ける街並み。そのメカニズムを想像する時間は、『プレジデント』の隠匿する大規模通信サーバの探索や、その周囲を哨戒しているというオブリビオンの存在よりも、ちょっぴりだけ興味深かった。
 だが、恐らくは魔術とは別の要因だろう。
 最初に出した結論とそう大差はない。
 恐らくは油脂系。容易に燃え尽きず、環境に害を及ぼすガスを発生させ、猛烈に酸素を燃焼させる。
 容易くは使えぬ科学技術だが、荒廃したこの世界だからこそ、躊躇なく使っているのか。
「おっと、考えている場合じゃなかった」
 ひとしきり観察を終えると、ようやくフォルクは炎のエルドラドへと突き進むことにする。
 多少の悪環境は想定済みである。
 ローブにも幾重にも耐魔術が編み込んである。
 とはいえ、長時間居座る様な環境でもない。やはり、対策はすべきだろう。
「冥府への門たる忌わしき影よ。その枷を外し闇の力を我に届けよ──」
 ユーベルコード【冥空へと至る影】によって、彼の影はひと時だけ冥界のものと重なる。
 この状態になると、今この場のフォルクが過酷な状況に陥るほど、その身を守護する力が冥界より流れ込んでくるのである。
「いい具合だ。後はこの魔力を……」
 影から流れ込んでくる魔力を、手元の宝石『零下の碧玉』に流し込むと、冷気を帯びる宝石がフォルクの身の回りを薄く冷気で包み込む。
 透き通るようなサファイアと同質の光を淡く放つ冷気が、周囲の炎とその熱を中和し、熱気からフォルクの身を守る。
 この荒廃した世界でも魔術は問題なく機能するが、それでも魔術の行使は、この場所では少々目立つようだ。
 フォルクが探索を行おうかと思う間もなく、どこからか音楽が聞こえてきた。
 ラジカセで音割れするような音量で流されるオペラは、お世辞にも音質は良くないが、あちこちで焼ける炎や、音楽と共に近づいてくるローター音がそれをどうでもよくさせる。
「ニャニャニャニャーニャー♪」
 音楽にのせて上機嫌に声を上げる空飛ぶ猫の編隊、ヘリキャットに捕捉されたらしい。
 フォルクは揺らめく視界の中でそれらを見上げ、困ったように嘆息する。
「音楽好きの猫が空からガトリングをぶっ放すとか、何の冗談だか」
 まだぶっぱなしてはいないが、ヘリユニットを胴に巻いて、大型ガトリングに跨るスタイルは、目に見えて奇怪である。
 冗談のような光景だが、これが冗談ではないのが困る。
 こいつらを作った連中は、そうとうの悪趣味と見える。
 侵入者であるフォルクの姿を捉えたヘリキャットたちは、一斉にその身に抱えるガトリングガンの銃口を向ける。
 しかし、攻撃を先んじて読んでいたフォルクはその機先を制し、掲げた手に風の杖『スカイロッド』を呼び出すと、周囲の炎を巻き上げる。
「みゃみゃ!?」
 急に膨れ上がった炎に驚いた猫たちが攻撃のチャンスを逃し、乱れた戦列を再び構築し直すが、その間にフォルクはもう片手に装着した黒手袋から術式を展開する。
 炎を操るラミアを封じたという魔書。それを組み込んだ手袋『フレイムテイル』によって、周囲の炎を収束、更にスカイロッドでそれらを再び増幅させる。
「さあ、科学の時間だ。暖められた空気はどうなると思う?」
 渦巻く風が凝縮された炎によって温められ、その気流は複雑に、暴力と化して強烈な上昇気流を作り出す。
 猛烈な乱気流がヘリキャットたちを襲う。
 通常のヘリは、メインローターだけだと機体が逆回転してしまうため、反対側に力を逃さなくてはならない。
 ローターが二基あれば、それでだいたい機体の制動は問題なくなるのだが、ヘリキャットにはせいぜい尾翼代わりの尻尾で安定をとるしかない。
 猫サイズならそれで十分だからなのだが、それにしてもこの乱気流での飛行は困難を極めた。
「ニャアーン! ニャイーン!」
 ヘリローターだけでは空気を捉えきれず、やがて次々と失速する。
「熱に耐えられるからって炎は気にしなくていいなんて、そんなに単純な話じゃなかったろう?」
 にっと口の端を吊り上げるフォルクに、まだまだ諦めていないヘリキャットたちは、自身に搭載する仔猫兵たちに手りゅう弾を持たせてけしかけてくるのだが、
 気流によって制動を失った状態では、ばらばらに飛び降りる仔猫兵たちも、奇襲とはいかない。
「悪いが、いい的だ」
 幾多の死霊を弾丸とする呪装銃「カオスエンペラー」を構え、降下にもたつく仔猫兵たちを撃ち抜くと、彼らの手にした手りゅう弾が誤爆。
 ヘリキャットもろとも誘爆して四散する。
 ぼろぼろと残骸が落ちてくる中で、ガトリングに乗せていたらしいラジカセが、ひどい音質でオペラを流し続けていた。
「鎮魂歌にしちゃ景気が良かったな。
 お前達に対してなら上等だろうが」

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・チモシー
アドリブ連携歓迎

あたり一面火の海! テンション上がっちゃうね!
え、炎?
これくらいの熱、へーきへーき
自分、鉄瓶だから(火炎耐性)
火にかけられるとか、鉄瓶的には日常茶飯事だから

あっすごい、猫さんがヘリコプター!
飛んでる! しかもガトリング持ってる!
カッコいー!
熱いの平気なんだね、すごいね!
でも、ずっと歌ってて喉は渇かないのかな
お湯飲む? お湯ならいくらでもあるよ!
遠慮しないで、いっぱい飲んでね!
【熱湯注意】で給水という名の範囲攻撃


地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
ぐっ……う、う……ッ!!
何でっ、何でよりによって猫なんだ畜生ォ!!!(猫飼い故の苦悩)
絶対にオブリビオン許さねえ……許さねえかんな!!!(謎の逆ギレ)

炎は【火炎耐性】があるから無視!攻撃は俺の持つ【第六感】を全投入で【見切り】回避!当たっても【気合い】と【激痛耐性】で何とかする。猫の攻撃だからな!(?)
【ダッシュ】【スライディング】で駆けずり回りながら【指定UC】だ!
相手にとってのあらゆる災厄を引き寄せる力で、いきなりプロペラが故障したりフレンドリーファイアしちまったり銃弾が詰まって爆発したりとかで自滅を誘う!
降下してきた奴は【怪力】込めてぶん殴って【傷口をえぐる】ぜ!



 ごうごうと風を起こすような激しい炎が巻き起こる街の中で、一人、肩を震わせて無念の涙を流す男がいた。
 やや青みを帯びた黒くねじ曲がった角に白くぼさぼさの髪。
 その目つきは、この世の全てを憎んでいるかのような鋭さを帯びているが、涙するその姿はただただ悲しかった。
「ぐっ、う、う……ッ!!」
 溢れ出す苦渋の涙を堪えようとするかのように震える肩を抑え、噛み締める口元からはえずくような嗚咽が漏れる。
 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は、この依頼を選んだことを、少しばかり後悔していた。
 今までにオブリビオンと見れば、自らの原動力でもある怒りを胸に戦ってきた。
 どんな相手にでも負けるつもりはないし、怯む気もなかったのだが、話を聞いて相手となるオブリビオンの存在を知り、少なからずショックを受けながらも足すべき敵と腹を決めてこの燃えるエルドラドに降り立ったはずだった。
 だが、現地に立って実際に空気を吸ってみると、どうにも悲しい気持ちが溢れてきてしまうのだ。
「何でっ、何でよりによって猫なんだ畜生ォ!!!」
 凌牙の感受性はどうやら高いらしい。
 見た目には厳つい彼だが、ネコを飼っている彼にとって、敵対者が猫そのままの姿をしているのは、どうにも切ない様だった。
 血を吐くような叫び。それは周囲を哨戒して回るヘリキャットを呼び寄せてしまいかねない愚行とすら言えるのだが、感情が高ぶってしまったのだからしかたない。
 猫ちゃんは傷つけたくないもんね。
「ねえ、大丈夫ー?」
 そんな、ちょっと悪ぶってるけど根はやさしい青年の叫びを聞きつけてやって来たのは、幸運にもヘリキャットではなく、同じくこの炎のエルドラドにやって来た三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)であった。
 女の子っぽい印象を受けるが、れっきとした男の子。
 そして、二人は燃える街の中で、ほぼ平然としている。
「ああ、すまねぇ……猫、飼ってるもんでさ」
「ああー、そっかー。それは悲しいね。うーん、でも、悪さをする猫さんだからねー」
「わかってる……わかってるよ。ちょっと鼻かむまで、待っててくれ」
 神妙そうに眉根を寄せて腕組みし、うんうんと悩むチモシーの姿に、このままではいけない。と凌牙はチーンっ! と鼻をかむ。
 そして炎に揺らめく空を仰ぎ、大きく息を吸うと、
「絶対にオブリビオン許さねえ……許さねえかんな!!!」
 今度こそ、オブリビオンを引き寄せるような大声で宣言するのであった。
 遠くにこだまする声、声。それに誘引されるかのように、大音量のオペラ(ラジカセ音質でちょっとノイズ交じり)と、ヘリのローター音が近づいてくるのが分かった。
「やー、それにしても、辺り一面、火の海! テンション上がっちゃうね」
 近づいてくる敵の気配を感じつつも、チモシーは常と変わらず能天気な様子だった。
 そういえば、ここいら一帯は火の海で、いつ燃えてもおかしくない状況のはずだが、
「そういや、俺は火が結構大丈夫なドラゴニアンだから平気だけど、お前は大丈夫なのか?」
「え、炎? これくらいならへーきへーき。だって、自分、鉄瓶だから!」
 強靭な火耐性の鱗を持つ凌牙は、ちょっとの炎なら我慢できる。
 そしてチモシーは自らの頭につけている鉄器の蓋を指さして見せる通り、ヤドリガミの彼は、もともと南部鉄瓶であるため、熱や火にはかなりの耐性があるようだ。
 日常的に火にかけられ、熱いお茶を提供するのに一役買っている手前、これしきの火の海で根を上げる事はない。
 あっけらかんと言ってのけるチモシーを、なんだか親しみ深いような、そんな気がする凌牙だったが、それが何なのかはついぞわからぬまま、奴らが来てしまったようだ。
「ニャニャニャニャーニャー♪」
 ラジカセからけたたましく流れるオペラに合わせて歌い上げるヘリキャットの編隊が、二人を捕捉したらしい。
「チッ、きやがったぜ!」
「あっすごい、猫さんがヘリコプター!
 飛んでる! しかもガトリング持ってる!
 カッコいー!」
 身構える凌牙に対して、チモシーは自然体。というか、編隊を組んで空からやってくるその雄姿にテンションが上がってぴょんこぴょんこしている。
 そんなんで大丈夫なのか、と心配になる凌牙だったが、ヘリキャットたちが攻撃態勢に入り、高度を低くして狙いを付けてくるのを見るや、その攻撃を引き付けるかのように大袈裟に身を翻し、走るのだった。
「こっちだ! 当てられるもんなら、当ててみやがれ!」
 焼け落ちた瓦礫を合間を飛んだり跳ねたり、スライディングで潜り抜けたりしながら駆けずり回り、とにかくヘリキャットたちの目をくぎ付けにする。
 時折、ヘリキャットのガトリング砲が火を噴き襲うも、凌牙はその兆しを感じ取ってはすんでのところで躱し、どうにか凌ぐ。
「ニャニャーン♪」
「熱いの平気なんだね、すごいね!
 でも、ずっと歌ってて喉は渇かないのかな」
「ニャッ!?」
 凌牙を追いかけまわすのに躍起になっていたヘリキャットは、唐突にいつの間にか並走していたチモシーに話しかけられてぎょっと目を丸くする。
「お湯飲む? お湯ならいくらでもあるよ!」
 にっこりと人懐こい笑みを浮かべるチモシーの手元には、アツアツのお湯が1.6リットルも入った鉄瓶があった。
 危機を察したヘリキャットたちは、一斉にチモシーに銃口を向けるが、一手遅かった。
 【熱湯注意】そのユーベルコードは、ほんとにユーベルコードなのぉ? というほどシンプルなものだが、その鉄瓶から放たれる熱湯は、ヘリキャットの攻撃の手を止めさせるほどのアツアツだった。
 古来より、攻城戦で効果を発揮する防衛術として、防壁の上から石や熱湯を流すというものがある。
 硬い石と違い、熱した湯や油は、服や鎧の中に入り込み肌を焼く。それは、抗いがたい痛みを伴う。
「ブミャッ、ブミャー!」
 猫たちが不気味な悲鳴を上げる。
 アポカリプスヘルの世界において、水は貴重である。
 サイボーグに改造された機械ネコたちは、防水加工がほとんどされていなかったのである。
「遠慮しないで、いっぱい飲んでね!」
 ばっしゃあっ! っと熱湯を振り撒くチモシーから、一斉にヘリキャットたちが飛び退いた。
 中にはバランスを崩した者たちもいたようだ。
「しめた! こっちも手を貸すぜ!」
 その機を逃さず、凌牙も反転して、フラフラと高度を落としたヘリキャットに飛び掛かる。
 熱湯で動きの鈍ったヘリキャットたちに、凌牙の爪牙、というか拳から逃れるほどの飛行能力はすでになく、容易く叩き落されてしまう。
 だがしかし、猫たちもやられているだけではない。
 今まで逃げ回っていた凌牙に対し、ふらつきながらもガトリングやロケット砲を向けるが、
「やってみろ。どうせ、俺にゃ届かねぇ!」
 【喰穢】黙示録の黒き竜。穢れを食らうという凌牙の本性たる竜の力が影響し、彼の周囲にはあらゆる災厄が呼び寄せられる。
 不幸にも、熱湯を大量に浴びて機能不全に陥ったヘリキャットの機能はガタガタであり、ガトリングは動かず、ロケットやミサイルは暴発して自爆、或は味方同士で撃ち合う、いわゆるフレンドリーファイアが起こって爆散していった。
 後に残ったのは、半壊した猫のサイボーグ。その残骸だけであった。
「……疲れちゃったのかな?」
「ああ、今は寝かせといてやろうぜ。来世じゃきっと、元気に走り回るだろうさ……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユリウス・リウィウス
エルドラドなぁ。無数の夢を飲み込んできたところなんだろう。いい屍人が作れそうだが、今回は向かんか。

地表を覆う炎は「環境耐性」で何とかしよう。黒靴『ブラックハウンド』の踏破力にも期待させてもらう。

さて、ヘリキャットなぁ。
うるさく飛び回る奴らだ。「精神攻撃」「範囲攻撃」「呪詛」のイービルデッドで撃破していこう。
猫の攻撃はバックラーで「盾受け」。どこまで持つかは知らん。
召喚された仔猫兵は双剣で斬り捨てる。

俺と奴らのどっちが倒れるのが先か、チキンレースといこうじゃないか。
言っておくが負けるつもりはないぞ。

ああ、いい汗かいた。このまま帰って風呂に行きたいところだな。
そういうわけにもいかんか。面倒くせぇ。



 黄金鉱脈が眠るとしてかつては隆盛を誇ったというエルドラド。
 そこにどれほどの盛りと衰えがあったか。それすらも伺い知れぬほど、街々の瓦礫は火の海に包まれていた。
 どの時代、どの世界に於いても、そこに人の営みの盛衰は不可欠だろう。
 だとしてもだ。
「ものを隠すにしても、こいつはやる事が派手だねぇ」
 嘆息するのは、騎士甲冑に身を包む色々不精の男、ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)。
 今まで幾多の戦場を目にしてきた彼だったが、街を覆うほどの大火はなかなかお目にかかれない。
 街ごと焼くなんてのは、相当な災害なのだ。お目にかかるような状況に出くわす方が、本来ならば珍しい筈だ。
 異端者の掃討、疫病の掃討。だいたいはそんな感じで、街を焼くのに出くわすことはゼロではなかった。
 しかし、これが『プレジデント』の大規模通信サーバとやらを隠匿する為だというのだから、世の中おかしな奴もいるものである。
 しかしながら、ユリウスの記憶の中にある様な、おぞましい光景と違って見えるのは、ここに人の怨嗟や呪い、人の焼ける匂いがしない事が原因か。
 とはいえ、何処にいても人の死にはぶつかるものだ。
 歴史の中で死なない人間はいなかったのだから。
「エルドラドなぁ。無数の夢を飲み込んできたところなんだろう。いい屍人が作れそうだが、今回は向かんか」
 人の死体などのひどい光景は見えないが、それでも長い歴史の中で、多くの者が夢破れ、志半ばで力尽きていったのだろう。
 死霊術士でもあるユリウスは、剣による格闘以外にも、死霊を呼び寄せてアンデッドの兵隊を作ったりすることも可能なのだが、この炎の中ではあっという間に、それこそ文字通り荼毘に伏してしまう。
 呼んだ傍から成仏されてはかなわない。
 今回ばかりは物量戦ではなく、独力でなんとかするしかなさそうだ。
 そうしてユリウスは、何の躊躇もなく、炎で覆われるエルドラドに足を踏み入れるのだった。
 これまでにも過酷な環境で戦ってきた。
 砂で靴擦れを起こすような茫漠たる砂地。泥濘が体温を奪い、草木の腐った匂いと感染症で次々と同胞が倒れていく熱帯。
 どんな時でも、ユリウスは甲冑を身に着け、それらをどうにかこうにか切り抜けてきた。
 その付き合いの長さゆえか、その足具、頑丈な黒革のブーツ『ブラックハウンド』は、どういうわけかひどい環境でもユリウスの身を守ってくれる。
 今回は過酷どころではないのだが、それでも歩みを進めるユリウスの感覚では、どうやら足指が燃え落ちる程ではないらしい。
 さて、本命は大規模通信サーバとやらを探し当てる事なのだが、それを許してくれるほど、ここの哨戒は緩くはないようだ。
 音質の悪いラジカセから大音量のオペラとヘリのローター音、そして歌う猫の鳴き声が近づいてくるのを悟る。
「チッ、案外早く目を付けられたな。うるさい連中だ。色んな意味で」
 なぜか上機嫌でオペラに合わせて歌を歌う猫たちに辟易しつつ、ユリウスは戦闘が避けられないと見るや、バックラーを腕に、両腰に下げた黒剣を抜き放つ。
 空を飛ぶヘリキャットたちに剣が届くのか?
 しかしながらユリウスは黒騎士というだけでなく死霊術士でもある。
「我、冥府の黒炎によりて、汝らを焼き尽くさん。劫火吹き荒れよ! 【イービルデッド】」
 その剣の切っ先より虚空に描かれた魔法陣が黒炎を生み出すと、生霊の如く渦巻いてヘリキャットたちに襲い掛かる。
 炎のエルドラド仕様に、炎に耐性のあるヘリキャットたちだったが、その黒い炎は単純な熱攻撃ではない。
 冥界の呪詛と、精神に異常をきたす術を含まれた炎がヘリキャットたちを錯乱させ、あらぬ方向にガトリングやロケット砲を放ち始める。
「にゃにゃ!?」
 混乱を生み、自滅や同士討ちを起こし始める中で、ヘリキャットたちはユリウスの炎から距離を取り始め、今度は格納していた仔猫兵を降下させ始める。
 ミニサイズのアサルトライフルや手りゅう弾で武装した仔猫兵隊がワイヤーや落下傘を使ってユリウスに肉薄……しかし、接近戦はユリウスも望むところである。
「どうやら、火に耐性があるっていうのは、本当らしいな。だが、練度が足りんぞ」
 それらの銃撃をバックラーで受け流しつつ、双剣で仔猫兵たちを斬り払う。
 少年兵と言えば心が痛みそうなものだが、切った感触から、彼等もまたサイボーグであることに思い至る。
 考えてもみれば、普通なら生身のままでこんなところに降りたりはしないか。
 余裕があるように戦っているように見えるユリウスだったが、この炎のエルドラドが過酷でないはずもなく、甲冑の中は、身体に悪いレベルで発汗していた。
 しかしユリウスはそれでも口の端を緩める。
「ふぅう、俺と奴らのどっちが倒れるのが先か、チキンレースといこうじゃないか。
言っておくが負けるつもりはないぞ」
 吐息が既に熱い。しかし、血が沸騰しているように思えるのは、戦いによる昂揚の方が大きいのかもしれない。
 それから程なくして、ヘリキャットの編隊はどうにか全滅させることができた。
「ああ……、いい汗をかいたな。このまま帰って風呂に入りたいところだが……」
 大儀そうに黒剣を肩に担いで炎に揺らめく空を仰ぐと、また近くからオペラが聞こえてくる。
「……そういう訳にもいかんか。面倒くせぇ」
 肩をすくめると、ユリウスは音のする方へと歩いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
こんなあつあつな場所にさーばを隠してるんだね!
あれれ、でもさーばって普通はさむーいところに置いてあるものだよね??

そんな疑問はさておき哨戒しているにゃんこ達をやっつけるよ!
むむー、サイボーグが熱に強いなら、ロボットはもっと熱に強いよね♪

【妖精姫と空飛ぶ大熊猫ロボ】でスーパーロボット、グレートパンダラーZを呼び出して、パンダラーオン!
コックピットに乗り込んだらさっそくクーラーのスイッチを入れちゃうよ♪

地面スレスレを低空飛行しながらパンダミサイル乱れうちだー☆
プロペラニャンコなんて全部ふっとんじゃえ♪


アテナ・アイリス
まあ、炎なら何とかなりそうかな。じゃあ、行きましょうか。

UC『プロテクション・フィールド』を使って、火属性ダメージ無効もしくは大幅軽減する魔法を自分と仲間たちに唱える。
さらに、「アーパスブレード」と「フィンブルの首飾り」から冷気を出しながら、【オーラ防御】【火炎耐性】で熱さを耐えるようにする。

さあ、後は流れている曲に乗って、舞いましょうか。

右手に持つ「アーパスブレード」についている「ウルズの蒼石」の効果と、【見切り】【カウンター】【武器受け】を使って、ガトリング砲の弾をはじき返して反撃する。
残ったネコは、左手に持った「フレースヴェルグ・ブラスター」で撃ち落としていく。

共闘、アドリブ大好物です。



 荒涼としたアポカリプスヘルには、奇妙な気象現象が多々巻き起こる。
 そうとはいっても、街の一区画丸々を燃やし続けるのは、異常気象の一言では片付けられない。
 この炎のエルドラドには、フィールド・オブ・ナインの一角『プレジデント』が用いるという、大規模通信サーバが隠されているという。
 この世界では最強格と名高いソーシャルディーヴァである『プレジデント』がその通信サーバを介して世界中に働きかければ、多くの者が彼の意のままとなっても不思議ではない。
 その為にも猟兵たちは、大規模通信サーバを先に確保する必要があるわけであり、またオブリビオンとしては、見つからないように隠匿している場所を炎で包んでいるわけであるのだが……。
 あちこちに火を放たれた街々の中で、とりわけ火の回りが強い区画を見出した二人の猟兵は、壁のように立ち上る炎に頬を焼かれるような熱気を感じ、浮かんだ汗を拭う。
「こんなあつあつな場所にさーばを隠してるんだね!」
 ふーっと手をうちわ代わりにぱたぱたと顔の辺りを扇ぐのは小さな妖精の猟兵ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。
 ひらひらとガラスのような七色の光沢を持つ翅で飛ぶティエルは、普通の人間よりもずいぶん体格が小さい。きっと受ける熱量も、人よりも多いのかもしれない。
「うーん……」
 隣に立つもう一人の猟兵は、尖り耳と艶のある金髪が特徴的なエルフの猟兵アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)。
 ティエルの言葉にもどこか上の空だが、聞いていないわけではなく、思い当たる疑問に引っかかっている風であった。
「あれれ、でもさーばって普通はさむーいところに置いてあるものだよね??」
「そう、私もそれが気になっていたの。サーバってたしか、すごい熱を持つ筈よね」
 小首を傾げるティエルの言葉に、やはりアテナも疑問はそれだったらしく、ぴっと指を立てて注意深く燃え上がる瓦礫の向こうを見やる。
 種族や装備は、二人ともファンタジーのそれだが、猟兵を長いことやっていると、あちこちの世界の文化にも多少は触れるし、場合によっては装備にも組み込む関係からちょこっとだけ詳しくもなるというものだ。
 だがしかし、そこにあるというのなら、そうなのだろうしなにより……この熱気の中で考え事は、ちょっとしんどい。
「まあ、それは現物を見てから考えましょうか。それで、ここから先はすっごく熱そうだけど、ティエルちゃんは大丈夫?」
「方法は考えてるよ! 大丈夫♪」
「そう? きつくなったら、いつでも頼っていいんだからね」
 面倒見のいい性分のアテナは、親友にして小さな子供に過ぎぬティエルをフォローする事を考えていたが、当のティエルは自信満々にえっへんと胸を張る。
 炎のエルドラドのその一角は、他の区画とは異なり、明らかに火の回りが強すぎる。
 そこでアテナが取った対策は、【プロテクション・フィールド】の魔法で障壁を作り出し、更に冷気を生み出す装備、フィンブルの首飾りとアーパスブレードの力を発揮して自身の周囲を冷やす事によって、炎に対抗する。
 試しに炎の中に足を踏み入れてみると、障壁と冷気で炎は避けて熱気は中和されているようだった。
「この炎なら何とかなりそうね。じゃあ、行きましょうか」
「あ、まってアテナ! 来たよ!」
 振り返ってティエルの手を引こうとしたアテナに向かい、ティエルは空の向こうからやかましいオペラと共に飛んでくる編隊を目撃する。
「もう来たって訳ね。ティエル、なるべく私から離れないで。障壁から出ちゃ駄目よ!」
「だから、大丈夫だよー♪ パンダラーおーん!」
「な、なにぃ!」
 熱気を遮断する障壁でティエルを守ろうとしたアテナだったが、その心配は次の瞬間に杞憂に終わる。
 ティエルが呼び出したのは、何処からともなく飛んできたキャバリア……キャバリア?
 遊園地などの広場でコインを入れたらしばらく動くパンダのあれによく似た奴が二本の足で立ち、ティエルをそっと抱え上げると頭部のコクピットに誘う。
 【妖精姫と空飛ぶ大熊猫ロボ】によって空中飛行ユニットを装備したスーパーロボット、グレートパンダラーZは、たぶん熱に強い。
 少なくとも、パンダラーオンしたコクピット内にクーラーをつけるくらいには余裕がある。
「ティエルったら、いつの間にこんなお友達を……なら、心配はいらないわね!
 片付けるわよッ!」
『おー☆』
 5メートル規格の大型パンダ(羽付き)の登場にぎょっと目を丸くしたアテナだったが、なるほどこれなら足元が炎だろうと関係ないわけだ。
 感心している間に、ここいらを哨戒していたヘリキャットはいつの間にか近づいてきており、愉快な歌を歌いながら、ガトリングをぶっ放してきた。
「可愛らしい外見の割に、可愛くない物を積んでいるのね。でもね!」
 アテナの手にする青白く透き通る氷のような剣『アーパスブレード』が閃く。
 毎秒ウン十発のスピードで連射されるガトリングの掃射だったが、彼女の剣、もっと言えばそこに埋め込まれたウルズの蒼石には、平たく言えば矢避けの加護が付いている。
 光線や弾丸を受け流し、或は弾き返す類の魔法であった。
「ニャッ!? ニャニャッ!?」
 撃ち込んだはずの銃弾がまさか跳ね返ってくるとは思わず、慌てて射線から外れるヘリキャットたちだったが、その先には巨大なにやけ顔のパンダがずずんと立っていた。
『逃げちゃダメだよ☆』
「ニャ、ニャーッ!?」
 打ち下ろすような肉球パンチにより、ヘリキャットの一機が叩き落される。
 しかしその動きは若干ゆっくりである。
 それに気づいたヘリキャットたちは、自身に格納する仔猫兵たちを差し向けるのだが、
「なかなかの判断力だわ。ただ、私を過小評価してもらっちゃ、困るな」
 ぱしゅん、と破裂するような音とともに光弾が仔猫兵たちを撃ち抜く。
 アテナがもう片手に持った『フレースヴェルグ・ブラスター』が、パンダラーの相手にしづらそうな仔猫兵を次々と撃墜していく。
「ティエル、ちっちゃいのはこちらに任せて。私が届かない相手は、そのおっきなお友達でやっちゃおう」
『わかったー、パンダラーゴー♪』
 アテナの指示を受けると、ティエルの駆るパンダラーZはその鋼の翼を広げ、低空をえいやっと滑るように飛ぶ。
 その接近に気づいたヘリキャットたちが、そうはさせじとロケット弾やミサイルを次々と放つのだが、地面すれすれを飛ぶパンダラーの飛ぶスピードは歩きのコミカルさ、もとい鈍重そうな印象とは全く違い、迎撃が間に合わない。
『パンダミサイル乱れうちだー☆』
 そしてヘリキャットたちを逃がすまいと、白黒のミサイルが次々と尾を引いて飛んでいく。
 炎のエルドラドの空に、無数の爆発が花を咲かせると、あとは何も残らなかった。
「ふー、片付いたわね……さすがにこれだけ動くと、障壁を張っていても汗だくだわ」
『ふふーん、パンダラーの中はクーラーが利いてるんだ♪』
「えー、いいなぁー」
 武器をしまうアテナが恨めしそうにパンダラーを見上げると、炎の揺らめく瓦礫の中で、パンダラーはなぜか照れ臭そうに頭を掻くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月05日


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#アポカリプス・ランページ③
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト