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アポカリプス・ランページ③〜お主も悪よのう

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ


●山吹色のお菓子とか、袖の下にこっそり入れるやつ
 カリフォルニア州エルドラド郡。
 かつてのゴールドラッシュの時には、巨大な金鉱脈を目当てに集まった連中と、それに目を付けた商人たちの活気にあふれた街も、今やヴォーテックス一族の手に落ちている。
 地上には燃え盛る炎で近づく事すら叶わず、どうにか地下に潜りこめば、そこには『フィールド・オブ・ナイン』の一角、『プレジデント』が作ったデータセンター迷宮が広がっていた。

「しっかし暇だよなぁ……他に比べりゃ楽な持ち場だけどさ」
「侵入者もいないから、いたぶって遊ぶこともできねぇしなぁ!」
 迷宮のとある区画でぼやくのは、この地の警備を任されたレイダーたちだった。
 士気も装備も下の下、まったく脅威とは感じられない連中であるし、事実猟兵と出くわせば鎧袖一触で蹴散らされる程度の戦力だ。
 しかし、プレジデントはこの地の守りとして彼らを置いた。無論、それは彼らの力を期待しているわけではなく。
「まあ、『対侵入者装置』に任せて寝てればいいんだよ! ほら、噂をすれば……」
 警備の要は、彼らが語るある装置。
 猟兵ですら容易に突破できないであろう強さを持つロボットが、この迷宮内を巡回しているのだ。
 レイダーたちが座り込んでる通路に現れたのは、鉄造りの土偶とでもいうべき代物。
 空中をふわふわと浮いて動くそれは、有事の際には目にも止まらぬ突進と、全身から放たれる光線により侵入者を仕留めてしまうのだ。
 各種センサーによりネズミ一匹も見逃さず、それでいてかいくぐれぬ程に何体も動き回っているのだから、この迷宮を突破するのは不可能と言ってよい。

 地上の火災の熱で、ロボットの人工知能が壊れてなければ。

「ピ、ピガ……オ、ヌシ……」
「あれ、なんかあのロボ、俺たちに近づいてきてないか……?」
 おもむろにレイダーに近づいてくる警備ロボット。
 レイダーたちが不思議そうにそれを出迎えれば、ロボットは何かを要求するように短い手を差し出す。
 なんだろうこれ? レイダーたちが仲良く首を傾げていると、ロボットは諦めたかのように手を引っ込めて。
「オヌ、オヌオヌオヌ……」
「おぬ?」

「──オヌシモ ワルヨノーーーーー!!!」
「うわー!?」
 なんということか!
 ロボットは突然、味方であるはずのレイダーたちに攻撃を仕掛ける!!
 しかし! これはそう! 仕方のない事なのである!
 この事態を招いたのはレイダーなのだ!

 だって彼らは──『賄賂』を渡さなかったのだから!!

●いえいえ、オブリビオンほどでは
「皆様、お集りいただきありがとうございます。世界コードネーム:アポカリプスヘルにて、オブリビオンの出現が確認されました」
 バニー服に身を包んだグリモア猟兵が、自分の呼びかけに応じてグリモアベースに集った猟兵達へ語りだす。

「今回も世界の命運をかけたオブリビオン・フォーミュラたちとの戦いです。とはいっても、いつも通り敵への道を作る所から始めるのですが」
 何故かカジノのチップのようなものを弄びながら説明する彼女は、いつの間にか用意されていたホワイトボードにエルドラドと書き記す。
「では、最初の目標は此処、エルドラド郡のデータセンター迷宮! アメリカ西部の山脈を超える上で重要な拠点となりますし、なによりプレジデントの大規模通信サーバがあります! 今後、奴と戦う時に有利になる事うけあいですよ!」
 テンション高めに説明するグリモア猟兵であるが、しかし途中で声のトーンを落とす。
 当然、サーバ等という重要なものをプレジデントが放置するはずもなく、猟兵の侵入を阻む障害も予知されているのだ。
「現地は燃え盛る地上と迷宮と化した地下に分かれます。グリモアの転送で迷宮の入り口までは送れますし、迷宮も皆様なら問題ない程度の代物ではあるのですが……警備員が問題でして」
 迷宮内に配置されたロボットたちは、猟兵であっても苦戦するほどの強さと物量を誇るのだ。
 センサー等の索敵能力も優秀で、見つからずに最深部まで到達するのは非常に困難だという。

「ですので──皆様には賄賂を用意していただきます」

「つまり、人工知能の故障によって敵味方の判別方法が狂っちゃってるんです。賄賂をくれる人が協力すべき味方で、くれない人は全部敵って」
 どういう故障の仕方をすればそうなるのか、ロボットが喜ぶ賄賂とは何なのか、そもそも賄賂を貰ってどうするつもりなのか。
 いくつもの困惑を顔に浮かべる猟兵たちをしり目に、バニーさんは説明を続ける。
「幸いなのは、場所が金鉱脈を有するエルドラドであるということ! 地上にある金は採りつくされていますが、オブリビオンによって掘られた地下迷宮の床を破壊し掘れば、まだ金鉱石が残っている! 気がする!」
 若干不安になる付け足しをする彼女の言を纏めるとこうなる。
 狂った警備ロボが徘徊する迷宮は、通常の手段では突破できない。
 しかし、警備ロボは賄賂をくれる者を味方と認識してしまう。
 ので、ロボから逃げたり隠れたりしつつ、迷宮の床下の金を掘って賄賂として差し出そう!

「……まあほら、宝探しをすればいいわけです! なんて平和なお仕事なんでしょう! 頑張ってね!」
 若干の汗が滲み始めたグリモア猟兵が、アポカリプスヘルへの扉を開く。
 グリモアの光の中へと進んでいく猟兵達は、地上の熱気と共に、確かに不思議な声を聞くのであった。

 ──ワシハ モナカガ ダイコウブツデナァ。


北辰
 お嬢さんの帯掴んで回すのと迷ったけどこっちにしました。
 念のため明言します、ギャグシナリオです。北辰です。

 始まりましたアポカリプスな戦争!
 舞台はアメリカンドリームなゴールドラッシュの舞台、エルドラド!
 皆様にはロボから逃げつつ、金を掘りつつ、悪よのうしてもらいます!
 戦争ですので当然プレイングボーナスもありますよ。
 =============================
 プレイングボーナス……対侵入者装置を回避または解除する。
 =============================
 これに当たるのが、当シナリオでは賄賂なんですね。
 以下、もうちょっと詳しく説明します。

●状況
 警備ロボットがうろうろしてる地下迷宮です。
 迷宮といっても難易度は高くありませんし、後述しますが床や壁も壊せます。
 ただし、ロボたちが割と強い上に数も多いので、彼らを黙らせないと突破は難しいでしょう。

●ロボット
 宙に浮く土偶みたいなロボットです。
 人間の子供くらいの大きさなのですが、鋭いタックルと強力なレーザーを駆使し侵入者を撃退します。
 索敵能力も高いので、隠れ続けて攻略するのは難しいでしょう。

 人工知能の故障により、『賄賂をくれた人を誰でも味方と認識』します。
 直前まで追い回してても味方認定をしてくれますし、ロボ同士は通信で繋がっているので、すべてのロボに賄賂を渡す必要はありません。
 持ち込んだアイテムを賄賂にしてもいいのですが、ロボットが賄賂として認めてくれるかは不明です。
 少なくとも、UDCアースの紙幣とかでは突っ返されます。

 いっぱい賄賂を渡すといっぱい喜んでくれます。
 ゲーム上のメリットはないです。

●金鉱脈
 迷宮の床や壁を壊すと偶に出てきます。
 素人でも一目で金と分かる純度の物が採れます。

 手当たり次第に壊してもいいですが、ロボに見つかると大変なので如何に素早く、あるいは静かに掘るかがポイントです。
 ユーベルコード等で金鉱脈を探せれば楽ですし、最初から逃げながら掘ってもいいですね。

●レイダー
 OPで壊滅してます。
 数少ない生き残りは泣きながら逃げたり、泣きながら隠れたり、泣きながら金を掘ってます。
 無視してもまったく問題はありません。

 それでは、賄賂大好きロボが守る迷宮を突破するため。
 おぬしも悪よのうって言われても怒らない皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『データセンター・ラビリンス』

POW   :    罠を力ずくで破壊する

SPD   :    罠を目ざとく発見し、避けて通る

WIZ   :    クラッキングで罠を無力化する

👑7
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メレディア・クラックロック
あれでしょ、お菓子の箱を用意して二段目に本命を隠しとく奴!
映画で見たことあるよ!
一回やってみたかったんだよねー。やったあ!

【Meredia】でモナカの箱作ってー、下段に賄賂になりそうな高級なバッテリーを仕込んでー、あっ蓋も賄賂に相応しい高級さに偽装しないとね!
やー腕が鳴るなぁ、高級な和菓子屋さんのパッケージいっぱい参照して最高の賄賂を作、

(巡回ロボと目が合う)
(まだ未完成の賄賂を見下ろす)
(巡回ロボを見上げる)

あー……
これ、賄賂です……
お受け取りください……
…………
……

……通れたけど納得いかなーい!
ボクこういうのがやりたかったんじゃないのに!
うわーん、金持てるだけ持ってってやるー!



●大成功判定です
「あれでしょ、お菓子の箱を用意して二段目に本命を隠しとく奴!」
 空中に投影したディスプレイに映るのは、いくつもの世界、時代の高級お菓子のパッケージ。
 それを解析しながら、楽しそうに独り語る少女の名をメレディア・クラックロック(インタビュア・f31094)といった。
 一度やってみたかったと脳裏に思い浮かべるのは、時代劇で見事な演技をする俳優たちの姿。
 ――お代官様、此方を……。
 ――ふふ、お主も悪よのう……。
「一回やってみたかったんだよねー」
 現実では褒められたことではないものの、長い時代を愛された『お決まり』というのは、どうにも人の心を引きつける。
 それを、世界を救うための猟兵として行えるのだから、メレディアは少しウキウキした様子で作業を進める。

 ユーベルコードで再現するのは、細やかな金箔をあしらった質の良い和紙の箱。
 時代劇の賄賂と言ったらやはりモナカ。
 しっかり二段底にして、隠れてるようであんまり隠れてない下の層に賄賂を仕込む。
 お約束なのだ。賄賂は隠さねばならないが、隠しきってしまって視聴者に伝わらないと困るので、いい塩梅に杜撰な隠し方にするのがコツなのだ。
 賄賂に用意したのは、なんと金ではなく高級バッテリー。
 自身が優秀なソーシャルディーヴァであるメレディアだからこそ用意できる小粋な逸品、彼女が自信を持って贈るとっておきの賄賂である。
 完璧である。見た目も中身も文句なしの賄賂だ。
 もっとも、今は大体の箱の造りを設計し、バッテリーを収めたところ。
 此処から、如何に箱を高級感たっぷりの素敵な代物にするかで、メレディアの賄賂のクオリティは決まるのだ……!

「ふう、あと一息……あれ?」
「……ヤア」
 顔を上げたメレディアと、いつの間にか傍にいた警備ロボの目線が合う。
 心なしか気まずそうに挨拶をするロボに会釈をした後、彼女の視線は手元の箱に落ちる。
 つかった素材はいいので一応の格好はつくものの、明らかに未完成らしき白い無地の箱。
 何度見直しても、いきなり完成品にすり替わったりはしない。
「あー……これ、賄賂です……お受け取りください……」
「ウン アリガト トオルガ イイ」
 何かを諦めた顔で箱を差し出すメレディアに、ロボは素直に通行の許可を与える。
 そう、メレディアは追われる事すらなくロボを無力化し、迷宮を通り抜けられるのだ。
 なんとスマートな攻略。猟兵としてこれ以上の戦果を得ることなどあり得ようか。いや、ない。

「――ボクこういうのがやりたかったんじゃないのに! うわーん、金持てるだけ持ってってやるー!」
 だからこそ、走り抜けるメレディアの叫びは感極まった勝利の雄たけびであって、決して無念の叫びではない。ないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エスタシュ・ロックドア
【白岩】

いやほらさ、床とか掘ったら音が響くじゃねぇか
だから穏当に金を譲って頂こうってわけよ
ダメかぁね

索敵は多喜に任す
多喜のサイキック能力は良く知ってるからな、安心だ
ヨロシクな

ライカがひとしきり脅したら、
おいおいライカ落ち着けよ、となだめる振りして【存在感】アピりつつ、
ゴリっとダメ押しの俺登場
レイダーの頭を【怪力】で掴m 優しくなでつつ、
【恫喝】すr 説得する
いやぁ驚かせて悪ぃなぁ
俺たちにそのキラキラしたもん譲ってくれればあとは何もしねぇからさ
な?
後ろで多喜も血気盛んだしよ?

おう、いいぜ
“俺たちは何もしねぇ”からな


ライカ・ネーベルラーベ
【白岩】(狂犬役)
えーと、そうそう
確か今日はカツアゲした金で賄賂ばらまくとかってボスが言ってた
「って訳で早くありったけの黄金置いていって欲しいんだけどさぁああアハハハはハハ!!?おとなしく出せばぶち殺さないであげるって話だけど、わたしは皆殺しルートでも全然構わないんだよぉぉぉ!!」
(かなりヤバ気な笑い方しながらチェーンソー剣で床ガリガリ)

いや、半分ぐらいはわざとだよ? こうやって脅かしておけば後はボスと数宮さんがなんか話まとめてくれるでしょ、たぶん

「じゃーねー。試練とかあると思うけど強く生きてね。具体的にはこの後すぐ」
わたし達はまぁ適当に金を見張りロボに投入して奥へ


数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【白岩】
オーナーもワルだねぇ……
あんな可哀そうなレイダー共からオタカラ巻き上げるなんてさ。
え?アタシが反対するかってーの!
存分に頂いちまおうじゃないのさ!
ライカさんもノリノリだしなぁ!
しっかしコイツ等も運がなかったね、
オーナーやライカさんに見つかっちまうんだもんな。
おらもっと跳んでみろや!
まだポケットに黄金隠し持ってるんだろ?

ロッド(いやロッドじゃねぇ戦車砲だけど)を二人の後ろで振り回して『恐怖を与える』
ようにヤサシク説得して、上納して貰うようスムーズに取り運ぶよ。
もちろんテレパスで警戒は切らさず、ロボットが来たらそいつにささっと引き渡す!
いいよな、オーナー、ライカさん?


ヴィゼア・パズル
【白岩】『迷宮の床下の金を掘って賄賂として差し出そう』…下っ端、金を持っているのか…?なんて事を口には出さず、大地の精霊へ上納して貰おうかね。泣きながら掘るレイダーどもが金を持っていれば万々歳、無ければライカが床削っているからそこに丁度金が出るようにしようか。壁へ手をついたまま迷宮に入り、こっそり【全力魔法】の【属性攻撃・2回攻撃・範囲攻撃】で地中へ範囲を限定して【星脈精霊術】を使用。金鉱脈の金を見つける度に集め、カツアゲ開始と同時に床下に集中。可哀想なレイダーに掘らせれば、上納完了だ。
残りは床下から手元に排出させ私がストックして置こう。…お主も悪よのう?
「お代官様程じゃァありませんよ。」



●とてもこうけつなりょうへいによる、たいへんぜんりょうなおこない
 猟兵とは、世界を救う救世主である。
 ヒーローズアースが顕著な例ではあるが、他の世界、このアポカリプスヘルでもそれは同様。
 骸の海より現れた過去の亡霊、オブリビオンと対峙し、世界の停止を食い止めるべく戦う戦士たち。
 大多数の人間は世界が止まるなど困るのだから、猟兵とは基本的に正義の味方と呼んで差し支えない存在なのだ。
 ……なのだから。
「いやほらさ、床とか掘ったら音が響くじゃねぇか。だから穏当に金を譲って頂こうってわけよ、ダメかぁね」
「って訳で早くありったけの黄金置いていって欲しいんだけどさぁああアハハハはハハ!!? おとなしく出せばぶち殺さないであげるって話だけど、わたしは皆殺しルートでも全然構わないんだよぉぉぉ!!」
「しっかしオマエ等も運がなかったね、オーナーやライカさんに見つかっちまうんだもんな……おらもっと跳んでみろや!」
「まあまあ落ち着いて。君たち、私が宥められてる内に頷くことを勧めるよ」
 ものすごぉぉく悪そうな顔でレイダーたちを恐喝し始めた彼らも、正義の味方なのだ。多分。

 少し時間が戻る。
 ロボの支配する迷宮に侵入してきて、最初の一声を放ったのはエスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)であった。
 ――レイダーから金奪った方が早くない? と。
「オーナーもワルだねぇ……あんな可哀そうなレイダー共からオタカラ巻き上げるなんてさ」
 それを受け、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は口先だけの同情をレイダーに寄せる。
 迷宮の入り口にレイダーは居ないが、居たとしても多喜の言葉を救いだとは思わないだろう。
 なんたって顔がヤバい。見てくださいよこのアイコン、子供が見たら泣くやつですよコレ。
「でも、そっちの方が簡単そう。わたしが適当に脅かして、ボスと数宮さんが話をまとめる感じで」
 悪い顔をした猟兵共を止める声は上がらず、ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)により更なる賛成票が投じられる。
 どこにあるかも分からない金を探して、それを粉みじんにしないよう繊細に掘り出すよりも、どうせ虐めても心が痛まない悪党どもから巻き上げる方が、ずっと楽ちんだ。
「(下っ端、金を持っているのか…?)」
 だがここに、冷静さと良識をもった男が存在する。
 男の名はヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)。犬だか猫だかよく分からないこのケットシーは、そもそもレイダーが金を持っているかどうかという点に気付く。
 そもそも、ロボが強力だからこそ此処に配備された味噌っかすの皆様である。
 基本的に粗野なレイダーの中でもさらに程度の低い連中となれば、ロボがうろつく危険地帯で金を掘れるような技術や知識を有しているとも思えない。
 だがしかし。
 ヴィゼアは空気の読めるケットシーであった。
 壁に手を付ける彼が使用する【星脈精霊術(ポゼス・アトラス)】にかかれば、この地に眠る金鉱石を移動させ集めるなど容易い事。
 それをさっさと掘って賄賂を贈ろうぜ、なんて事は当然言わない。
 だってみんなカツアゲしたいって顔に書いてあるんだもの。カツアゲ欲がないなら逆に驚くくらいの凄い悪人面なんだもの。じゃあカツアゲさせてあげなきゃかわいそうじゃないか。
 嗚呼、レイダーたちの最大の不幸は、この男の仲間を想う心なのかもしれない。
「じゃあ、道中の警戒は多喜に頼むわ。途中でロボに見つかったら意味ねぇしな」
「りょーかい、健全なお話合いができる相手の下へ急ぎましょうかねぇ!」
 こうして、多喜のテレパス能力を目にしたカツアゲライダーズの進軍は始まったのだ。

 では場面をカツアゲに戻します。
「あはは爬ハはハははっ! 金をどこに隠したのかなー? もしかしてお腹の中かなぁぁぁああぁ!?」
「ひいぃぃぃ! だから、俺たちはまだ見つけられてないんだって!」
 演技と分かっても怖い、というか本当に演技かどうか怪しい狂気的な笑みを浮かべるライカが、床や壁をめったやたらに破壊する。
 彼女の握るチェーンソー剣は容易く迷宮を破壊して、レイダーたちを引き裂くのはもっと簡単なのであろう事実をまざまざと見せつける。
「本当かぁ? ポケットのなかに黄金隠し持ってんじゃねぇの?」
 追撃と言わんばかりにロッドを床に叩きつけ、追い恐喝をするのは多喜だ。
 一見戦車砲にしか見えないソレは、砲身だけなので弾丸など飛ばないし、なによりアイテム名だってらじかる☆ハートロッドなので立派なロッドである。分類名を気にしてはいけない。
「腹にもポケットにも渡すもんがねぇんだよ! 頼むから信じてくれぇ!!」
 どっちにしても、チェーンソー剣でお腹をオープンセサミされるか、ロッドを脳天に喰らい背が縮むか、結果として辿り着く末路は変わらないので、レイダーたちは涙を流して自分たちの懐事情を主張していたのだった。

「おいおい落ち着けよ、怖がらせてもしょうがないだろ?」
 此処で登場するのが白い歯が眩しいエスタシュさんである。
 こいつも大概悪い顔なのだが、もっと悪そうな顔の多喜と言ってることが一番コワいライカの後なので、レイダーたちは縋るように彼の顔を見る。
「いやぁ驚かせて悪ぃなぁ。仲間たちは血の気が多いもんで……」
「い、いやそんなことイダダダダ!?」
 勿論、彼も悪い警官に対する良い警官なんかじゃなくて、カツアゲ野郎その3である。
 まず手始めにレイダーの頭を掴み、自慢の怪力でその頭蓋骨を締め上げる。
 業界用語でいう所のなでなでである。
「俺たちは金が欲しいんだよ。お前らが持っているかどうかはどうでもいいんだ」
「だから持ってなきゃ渡すもなにもアダダダダ!!」
 そして、そのままの状態でスムーズに恐喝に移行する。
 業界用語でいう所の説得である。
「そいつは困った。ヴィゼア、ここはどうするべきだと思う?」
「そりゃあ勿論、持ってもらってから渡してもらうしかないだろう。幸い、ライカが壊した床や壁は掘りやすくなっている」
 話を振られたヴィゼアのユーベルコードによって、ライカが壊した辺りに金脈はセッティング済みである。
 もはやレイダーに掘らせるのは多少の手間の省略でしかないのだが、金があることを知らないレイダーにはそうは聞こえない。
 そう、彼らに聞こえた声は。
「俺たちにそのキラキラしたもん譲ってくれればあとは何もしねぇからさ、な?」
 ――死にたくなければ、死ぬ気で金を掘ってこい。

 レイダーとは、基本的にクズである。
 都合がいいから群れてるだけで、仲間意識すらロクにない連中も多い。
「やべぇ、岩が崩れてレイの助が生き埋めに!」
「助け出せ! 人手が減って金掘りが遅れたらあの悪魔どもが暴れ出すぞ!」
 寄る辺も無く、帰る場所も目指す目標もない。
 あるいは彼らも、この過酷な世紀末の犠牲者なのかもしれない。
「頑張れ! 金を掘り当てて、皆でヴォーテックス・シティに帰るんだ!」
 そう。
 このレイダーたちにとって、今日は初めて誰かと共に困難へと立ち向かった日だ。
「くそ、もうツルハシが……!」
「俺のを使え! こっちは土砂運びに回る!」
 人は無力な存在である。
 だからこそ、皆が手と手を取り合い共に生きるのだ。
「こ、この輝きは……!」
「やったぞ、俺たちはやったんだぁ!!」
 ――レイダーたちは今、人として生きているのだ。

「ワイロヲ ヨコシナサイ」
「あのレイダーたち奴隷として持ってっちゃって。いいよな、オーナー、ライカさん?」
「うん。じゃーねー、試練とかあると思うけど強く生きてね」
「俺たちは何もしないって約束だしな。あ、あの金は俺たちが貰ったものだから置いていってくれ」
「オッケー」
 ガンガン音を立てて金を掘っていたので当然来たロボットへ、多喜がレイダーを引き渡す。
 疲れ果て倒れたレイダーたちが連れ攫われていく中で、一台のロボットの視線がヴィゼアとぶつかる。

「オヌシモ ワルヨノウ」
「お代官様程じゃァありませんよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
此処って、サクラミラージュで言う所の亜米利加だよな
この国にも賄賂って文化はあっただろうが、なんで受け取り方がこんなに和風なんだ……
もしかして時代劇が好きな奴がいたのか?

まあ、それはともかくだ。折角だから故郷で箱入りのお菓子を幾つか持っていくか
そして金の採掘……刀をツルハシ代わりにすると怒られそうだが時間もない
適宜移動をしながら、参の型【天火】の振り下ろしで適当に壁を壊して採掘
壁を崩しておけば、いざという時の隠れ場所としても使えるかな?

見つかったものは箱の中(お菓子の下)に置いていき、準備が出来たらロボットに「山吹色のお菓子でございます」と言って渡そう

……ロボットが菓子を食えるか?それは知らん



●すごく空気の読めてる行動だと思います
 猟兵にとって、『疑問』とは大切なものだ。
 何故オブリビオンは骸の海から還ってくるのか? 何故猟兵はそれに立ち向かう力を得たのか? 猟兵を数多の世界へ導くグリモアとは?
 骸の海と三十六の世界は謎に満ち溢れ、そこに疑問を抱き解決する事もまた、猟兵に課せられた使命と呼ぶべきものだ。
「此処って、サクラミラージュで言う所の亜米利加だよな。この国にも賄賂って文化はあっただろうが、なんで受け取り方がこんなに和風なんだ……」
そう、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)の呟く疑問もまた、世界の謎につながる可能性は0ではない――!

「まあ、それはともかくだ」
 鏡介は賢い男であった。
 こういう戦いで細かいことを気にしていてはキリがないことを、彼はよく知っているのだ。
 刀をツルハシ代わりにして、ガンガン壁をぶっ壊していく。
 まともな剣士が見たらブチ切れるか泡を吹いて倒れそうな所業ではあるが、とっておきっぽい神刀じゃなくて普通の鉄刀なのでセーフと思いたい。
 完全に勘頼りの採掘ではあるが、なにせやっているのが猟兵にして剣豪な鏡介だ。
 すさまじい勢いで迷宮を掘り進めていく彼であるから、そこそこの量の金鉱石が見つかっていく。
 掘って掘って、偶に瓦礫に隠れてロボットをやり過ごす彼の手元には、やがて十分量の金鉱石が溜まっていき……。

「――こちら、山吹色のお菓子でございます」
「オオ ワシハコレガ ダイコウブツ デナァ!」
 持参していた故郷、サクラミラージュの菓子箱に仕込んだ金鉱石を差し出せば、ロボットは大変上機嫌な様子でそれを受け取る。
 金鉱石の量は十分、なにより礼儀作法が完璧だ。
 どう考えても賄賂を受け取る時の正式な作法ではないのだが、この場においてはこれ以上ない完璧な回答である。
 なんだかウキウキした様子で菓子箱を開けるロボットに見送られ、鏡介は迷宮の奥へと向かう。
 その道中、たまらず零れるその疑問。

「……ロボットが菓子を食えるのか? 知らんが」
 鏡介はやっぱり賢い男であったので、深く考えずに歩みを進めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月07日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト