アポカリプス・ランページ③~汝、心頭滅却の極致に至れ~
●開幕、アポカリプス・ランページ
「クライストを討伐したばっかりだが、休んでる暇はあんまりなさそうだ……とりあえずこれ」
地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)はまず招集した猟兵全員に一口チョコとスポーツドリンクを配っていく。
疲れた時には甘いもの、ましてやまだ残暑が中々厳しい現状。休憩の暇がない分手軽に栄養補給ができるものがあるか否かでは目に見えて違うのである。
「みんな予兆は見たな?ついにアポカリプスヘルのオブリビオン・フォーミュラが動き出した。戦争の始まりだ!」
ヴォーテックス一族によってオブリビオン・ストームを齎し文明社会を破壊したオブリビオン・フォーミュラ――『フィールド・オブ・ナイン』。
全部で9体、その内全てがオブリビオン・フォーミュラという驚異的な内訳だ。
その『フィールド・オブ・ナイン』の内6体が復活し、9体のうちの一柱、である『フルスロットル・ヴォーテックス』がカタストロフを発生させようとしている。
黙示録の黄昏に終わりを齎そうとする破滅の使者に抗うべく、猟兵たちは叛逆の狼煙を上げ、グリモア猟兵各位が早速戦場の予知を始めたところだ。
「アメリカのカリフォルニア州にエルドラド郡っていう都市がある。
何でも昔はそれはめちゃくちゃでけえ黄金鉱脈のある鉱山都市だったらしいが……今はもうその影も形もねえ酷い有様だ。
地面は常に燃え盛り人間が生きることすら最早ままならねえ……だがこれはオブリビオン・ストームの災害の結果じゃねえ。オブリビオンが重要なサーバーを秘匿する為に仕掛けた結界のようなもんなんだ」
『フィールド・オブ・ナイン』が一柱、『プレジデント』――アポカリプスヘルで最強格と称されるソーシャルディーヴァ。
それの用いる大規模通信サーバーがこのエルドラド郡に隠されている。
ソーシャルディーヴァの体内に埋め込まれたソーシャル・ネットワークサーバーがいかに強力なものかは猟兵諸兄もご存知であろう……そして当然ながら、規模が大きければ大きい程総じて必要とされる容量も増える。
『プレジデント』の大規模通信サーバーは、おそらく並のソーシャル・ネットワークサーバーを遙かに上回る容量と通信速度、そして電力を兼ね備えていることは間違いない。
「っつーワケで、その大規模サーバーを手始めにぶっ叩く!!……んだが、当然オブリビオンによる護衛はついてくるワケだ。
みんなはまずそのサーバーの護衛であるオブリビオンの集団をぶっ飛ばしてきて欲しい」
炎の壁から襲いかかるオブリビオンは皆等しく耐火装甲で武装され、炎の壁を物ともせず襲いかかってくる。
だが。……当然だが、炎の壁はめ ち ゃ く ち ゃ 熱 い 。
現在は9月の1日、季節にして秋に差し掛かり始めた頃合いだが、昨今の残暑の厳しさも猟兵諸兄はご存知のことだろう。
アポカリプスヘルとはいえその例に漏れているとは限らない。
つまり、炎の壁と残暑という二重の熱が襲ってくる中猟兵たちは戦わねばならないのである――!
「最近の暑さは本っっっっっっっっっっっっっっっっ当にヤベえからな!!!炎に対する対策もいいが当然熱中症対策も忘れずにしてくれよ!!
まあスポーツドリンク飲む暇は戦ってるとねえかもだけどさ……」
なる程、スポーツドリンクも渡したのはそういう兼ね合いでもあるのかと納得した猟兵はいるかもしれないしいないかもしれない。
炎の壁は各自によって対策が変わってくる為凌牙にはどうしようもできない部分が出てくるので、せめてそれぐらいはという心遣いなのだろう……他にも塩飴や塩タブレット、経口補水液などもある。
まあ、何にせよ二重の熱さが襲いかかるのだから、十全な備えは間違いなく必要だ。
猟兵たちは各々出撃の為の準備を始める――!
御巫咲絢
今日はまだまろやかだったけど昨日はやべーぐらい暑かったですね。
まだまだ熱中症にはお気をつけください。
というワケでまたもやお久しぶりです、御巫咲絢です。
シナリオ閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページもご一読くださると幸いです。
というワケで始まりましたアポカリプス・ランページ。戦争に備えてたっぷり執筆気力と体力を蓄えてきたのでたくさん予知出せたらいいな、という気概です。よろしくお願いします!
というワケで戦争シナリオ1本目をお届けします。
9月入ったからって暑さがまろやかになると思ったら大間違いな中で炎に耐えながら戦って頂く正気の沙汰ではないシナリオ。
耐火装甲を施した『走るゾンビの群れ』をぶっ飛ばして大規模サーバーをぶっ叩きにいきましょう!
●シナリオについて
当シナリオは『戦争シナリオ』です。
一章で完結し『アポカリプス・ランページ』の戦況に影響を及ぼすことのできるシナリオとなっています。
また、このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
燃え盛る炎に耐えて戦う。
●プレイング受付について
『9/2(水)8:31』から受付を開始し、締切は『クリアに必要な🔵の数に達するまで』とさせて頂きます。
最低でも6名様はご案内させて頂きますが、それ以降は不採用になる場合もありますので予めご了承の上プレイングをご投函頂きますようお願い致します。
それでは、皆様の心頭滅却すれば火もまた涼しいプレイングをお待ち致しております!
第1章 集団戦
『走るゾンビの群れ』
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POW : ブルゾンビ
自身が戦闘で瀕死になると【屈強な走るゾンビ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 群がるゾンビ
自身が【食欲や飢餓感】を感じると、レベル×1体の【走るゾンビ】が召喚される。走るゾンビは食欲や飢餓感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 獰猛なゾンビ
【噛みつき】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
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灰神楽・綾
【不死蝶】
いやー梓のハイネック見てると更に暑さが増すよねー
この暑さのせいで、炎の中からゾンビが走って
こっちに向かってくる蜃気楼まで見えてきたんだけど
なるべく余計な体力を使わずさくさくトドメを刺していきたいね
両手にDuoを構えUC発動
武器に敵の纏う装甲のみを透過する性質を与える
そうすれば敵はただのヤワな肉塊と化す
攻撃も通りやすくなるだろう
あとは敵の群れに突っ込んでザクザクと斬り倒していく
武器を大きく振り回し、範囲攻撃で一気に薙ぎ払い
一回の攻撃で一匹でも多く巻き込んで効率良く倒していこう
あ、ちょっとこっちにクーラーお願いできる?
たまに梓のドラゴンにお願いして冷気をかけてもらったり
乱獅子・梓
【不死蝶】
あ゛つ゛い゛…立っているだけで汗が噴き出てくる…
スポドリもだんだん温くなってきた
お前のコートのもふもふだって見てるだけで暑苦しいわ!
いやいやいや、それ蜃気楼じゃなくて現実だからな??
気をしっかり持て!
まずはUC発動し、氷属性のトラゴンたちを最大数召喚
半数はひたすら氷のブレスを放ち続け
自分たちの周囲の気温を無理やり下げてもらう役割
俺よりもよく動き回る綾の周囲は特に念入りに冷却
あと俺は零を抱っこしておく
氷竜だからひんやり気持ちいい
もう半数はゾンビの群れを攻撃
まずは頭突きや噛みつき攻撃で耐火装甲を破壊(鎧砕き
装甲が無くなればよく燃えることだろう
体当たりで炎の壁へと吹き飛ばし焼却処分
●汝、氷竜の加護の下に鎧を穿け
「あ゛ つ゛ い゛… … ッ ! ! !」
それはもう、切実かつ枯れそうな声で乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)がぼやく。
真夏の残滓たる残暑に加えて地表は炎燃え盛る煉獄の地と化している、即ち上下から熱が挟み撃ちしているも同然であり立っているだけで汗がまるで間欠泉の如く吹き出てくるというものだ。
スポドリが何本あっても足りやしないと思いながら口にするが、もう既に大分温くなっていた――いや、熱中症対策には常温のスポドリが良いのでそういう意味では良いのかもしれないが――。
「いやー梓のハイネック見てると更に暑さが増すよねー」
「うるせえお前のコートのもふもふだって見てるだけで暑苦しいわ!」
「あはは」
灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はいつも通りの笑顔を浮かべているが、何かしらどっか遠くを見ているようにも見えるので梓は不安そうな表情を浮かべた。
そう、この二人、服装があまりにも夏に纏うには苦行すぎる装いなのである――!
長袖のシャツに長袖で厚手のロングコートなんて着た状態でこんな猛暑にも程がある場所にくれば汗が噴き出るどころの話で済んでるのが奇跡な程で、猟兵でなければもう既に熱中症で倒れていてもおかしくないのだ。
現に綾の方はだーいぶ怪しくなっている……
「いやー、この暑さのせいで炎の中からゾンビが走ってこっちに向かってくる蜃気楼まで見えてきたんだけど」
「いやいやいやそれ蜃気楼じゃなくて現実だからな??ええい気をしっかり持て、"集え、そして思うが侭に舞え”!!」
梓の十八番たるユーベルコード【竜飛鳳舞(レイジングドラゴニアン)】が氷属性のドラゴン、数にして112匹という圧倒的な数を呼び寄せる。
次に梓がその半分に指示を出すと、一気に56匹分の冷気のブレスが二人の周囲に放たれ、周囲の気温を強制的に低下させていく……最早まるでアウトドア用簡易クーラーだ。
さっきまで熱により湯だったような状態だった二人の顔が一気に正常な肌の色に戻っていく。
「ふぅ……これで体力の消耗は防げるハズだ」
「それじゃ、余計な体力を使わずに済むようさくさく行こうか」
頭も冷えたおかげで蜃気楼ではなくはっきりと現実を視認した綾は愛器の一つである一対の大鎌『Duo』を構え、ユーベルコード【ディメンション・ブレイカー】を発動。
任意の物体を通過する性質を備えるこのユーベルコードを使えば、彼の武器は万物をも簡単に貫く最強の刃と貸す。
ドコドコドコとこちらに駆け寄ってきているゾンビたちの群れを恐れもせずに真正面から突貫し、一気に薙ぎ払う!
「ガァアアアァア!!!」
装甲を越えてその身を裂かれたゾンビたちはまるで糸の切れた人形のように身体のバランスを崩しどさりどさりと倒れていく。
砕かれていないが故に視認はできないが、装甲の中は最早身体が意味を成さぬように分離していることだろう。
どろりと装甲の隙間から流れるかつて人だった残滓の赤黒い液体が炎の壁にじゅう、と焼かれて蒸発する。
もちろんそれを見てもゾンビたちは怯まない――というより、怯むという反応を見せる程の知性すら持ち得てなければ生存本能もないと言った方が正しいか。
元より死んでいるが故にただ目の前の敵に突貫することしか知らない人だったモノたちは次々に突貫するのをやめることはない。
故に、目の前の綾によって次々とその身を切り裂かれていくのだ。
その一方で梓の召喚した氷竜の残り半分も次々にゾンビたちに突貫していく。
上空からの襲撃に対応できる程の知性もない彼らは竜の獰猛なる牙や強靭な竜鱗による体当たりを無防備に受け、身にまとっていた耐火装甲を次々と砕かれる。
「装甲がなくなればよく燃えることだろう」
「ガウ!」
相棒の一匹たる仔ドラゴンの『零』が同意するように鳴いた。
氷竜なので抱っこしておくとひんやりとしていて気持ち良く、その分冷却を担当しているドラゴンを綾に回せるのである。
そんな感じでひんやり涼んでいれば、耐火装甲の砕けたゾンビたちは召喚した氷竜たちによって次々と炎の壁へと叩きつけられ、その肉を焼かれ灰と化す。
「あ、こっちにクーラーお願いできる?」
ざっくざっくと敵を斬り捨てながら綾が声をかけると、クーラー担当のドラゴンたちが冷気のブレスを念入りに吐いて彼の身体を冷やしていく。
冷気で抑えているとはいえ、動けば動くほど身体は温まるものである故にどの道暑くなってしまうのは当然の摂理であったが、こうして定期的に冷やすことで体力の消耗も抑えられるというワケだ。
「ありがとうね、っと」
竜たちに感謝を告げながら、綾は引き続きゾンビの群れ相手に一人で無双するが如く薙ぎ払っていく。
なるべく一回の攻撃で、一匹でも多く巻き込むことを意識し、やや大振りに二対の鎌を振るい続け、文字通りの屍の山を次々に築き上げていく。
二人の活躍により、周囲は最初に比べると大分涼しくなった上、敵の一陣に穴を開けることができたのである。
そして二人も今回の件で氷属性の重要さと真夏の厳しさを改めて噛み締めた……かも、しれない。
大成功
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朱酉・逢真
心情)太陽とかもう要らンくね? ずっと夜じゃダメかい? チッ。
ふぅン、フォーミュラになった神どもかァ。俺も〈過去〉ンなったらこォなンのかな。…ねェな。此岸に執着してねェし、ンな真似したら〈あの女〉に消滅させられちまう。
行動)熱を通さン結界を自分の周りに張るよ。何重にもな。空間系は得意でね…。マ・俺から手も出せンくなるワケだが。別にイイのさ。お前さんら、結界にかじりついててイイのかい。敵は空から来るンだぜ。パリカー、俺の仔らよ。親を殺さんとする奴らに怒ってるのかい。ちょうどいいや、そのまンまサーバーも"ブッ叩い"とくれ。ひ、ひ…。
●凶星が呼び寄せるは彼方の流星
澄み渡ってはいないが青い空、照りつける太陽、そして燃え盛る鉱山都市。
天地双方から吹き上がる熱気。
「……太陽とかもう要らンくね?」
その光景に朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は訝しんだ。
確かに現状のこの暑さ、半分は炎の壁のせいだがもう半分は明らかにこのギラギラの太陽のせいなのは間違いない。秋の始めは暑いのだ。
「ずっと夜じゃダメかい?」
“ダメです”
「チッ」
どこからか聞こえてきた天の声に舌打ち。誰でしょうね。
仕方ないので結界を何重にも展開し熱を遮断することにした。元より空間を弄ること等逢真にとっては造作も無いことであり、何重にも入念に張られたそれは熱はおろか襲いかかるゾンビの歯すらも一切通さない。
ただし、その代わりに逢真はその場から一切動くことができないのだが……それによる懸念などは一切存在していなかった。
何故なら。
「お前さんら、結界にかじりついててイイのかい。
――敵は空から来るンだぜ」
そう呟いた刹那、閃光が眼前を奔る。
飛来した流星は結界に噛みつき続けるゾンビたちの死者故にすっかり脆くなった身体を耐火装甲ごと貫いたのだ。
当然ながら、逢真の結界はそれ如きではびくともせず、流星から下りた可愛い我が仔を慈しむように見やる。
「パリカー、俺の仔らよ。親を殺さんとする奴らに怒ってるのかい」
『――――』
【流星の悪魔(パリカー)】たちは同意するように声を上げる。その言葉は逢真にしか聞き取れないが、彼にとって十分な答えを返してくれたようで。
「ちょうどいいや、そのまンまサーバーも”ブッ叩い”とくれ。ひ、ひ……」
微笑む逢真に仔らは意を示すかのように動いた。
親たる彼を殺さんとするオブリビオンの群れに敵意を溢れさせる流星の悪魔らは、命に従うかのように再び流星の如く戦場を駆ける。
その敵意に比例した体躯と戦闘能力、ただでさえ人外の領域にいる上に凄まじい力をもったそれらに思考なきゾンビたちが為す術などあるワケがなく、次々に蹂躙されていく。
仔らが仕事を終えるまで、逢真は結界の中で一人思考する。
「(しかし……ふぅン、フォーミュラになった神どもかァ)」
『フィールド・オブ・ナイン』――
偉大なる神の啓示とでも言わんかのように齎されたオブリビオン・ストームはアポカリプスヘルの世界を瞬く間に、それこそ文字通り黙示録の黄昏とも呼ぶべき終末の地へと書き換えた。
それを齎した奴らは先んじて討伐に成功した『狂人教祖』クライスト・ヴォーテックスにより設立されたオブリビオン教団では偉大なる神々と崇められている。
そのような構図を見ると、神の身としてはそんなことをふと考えなくもないだろうか。
「(俺も〈過去〉ンなったらこォなンのかな……ねェな。此岸に執着してねェし)」
そもそも逢真にとって此岸か彼岸かはそれこそ些末事だ。
生死、外見、苦楽といったものは世界を巡る”いのち”らが通った過程に過ぎず、それが例えどんなものであろうと赦し、慈しみ、愛するだけのこと。
故に、もし、そう、もし万が一過去の存在となってしまったとしても、蘇ろうという気すら起こるまい。
「(――それに、ンな真似したら〈あの女〉に消滅させられちまう)」
果たして理由に比重が置かれているのはどちらか。
どちらにせよ、そんなことにはならないだろうというのが結論であることには違いない。逢真の中ではそう結論がついたのであった。
大成功
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夜刀神・鏡介
そりゃまあ、心頭滅却すればある程度の暑さを無視する事は出来る
が、それと影響を受けないかはまた別の問題だよな
という訳で、ちゃんと対策は取らせてもらおう
神刀の封印を解除して、白銀の神気を開放――壱の秘剣【銀流閃】
癒やしの神気を漂わせる事で、周辺の熱はある程度遮断できるし、体力も随時回復していく
一先ずこれで暫くは持たせられる
ゾンビに囲まれないように注意して動きながら、遠くの敵には斬撃波を飛ばして適宜攻撃
近付いてきたのなら、噛みつかれる前に前に先んじて切り込み、敵の腕などを払っ体勢を崩した所で本命の一刀を叩き込んで撃破していく
しかし耐火ゾンビってのはなんというか……不思議な響きがするというか
●白銀一閃、耐火せし不死を祓う神気
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はグリモア猟兵から聞いた概要を反芻する。
「そりゃまあ、心頭滅却すればある程度の暑さを無視することはできる」
心頭滅却すれば火もまた涼しとは、無念無想の域に至ること。
無念無想とは無我の境地であり、つまること何も考えないことである。
どのような困難や苦難もそれを超越した境地にいれば何でもない、それは確かに事実だ。
「……が、それと影響を受けないかはまた別の問題だよな」
全くもってその通りである。
暑さを感じない為に無念無想の境地に至るのはいいが、それで体力まで削られずに済むなんてんな都合のいい話は流石にない。
これが召喚獣イフリートとか、炎の悪魔と契約した悪魔召喚士とかであるなら話は別かもしれないが、残念ながら鏡介はどちらでもない怪奇人間の神器遣いであった。
という訳で、ちゃんと対策を持ってきた上でこの戦場に臨んでいる。
「”神刀開放。邪を断ち、善を守護せん――”」
構えた神刀の封印が解かれ、月白の輝きが鏡介を包む。
ユーベルコード【壱の秘剣【銀流閃】】による神気の加護が一定量以上の熱を遮断し、暑さで消耗していた体力を回復し続ける。
これならば燃え盛る炎の壁であろうと暫くは確実に持たせられるだろう。
そして何より、ゾンビといった不浄の存在に対して神気という神聖な属性を付与された物は総じて効果が抜群であり、このユーベルコード一つで鏡介はゾンビたちに対し圧倒的な優位を持てるのだ。
とは言え、物量の差というものは存在する。
決して囲まれることのないよう、距離を意識しながら鏡介は攻撃を開始した。
「――ふっ!」
白銀の神気の斬撃波が飛び、耐火装甲すら知らぬと言わんばかりにゾンビたちを瞬く間に真っ二つに切り捨てる。
それを皮切りに耐火ゾンビたちも敵の侵入に気づき、一目散に雪崩込もうと動き出した。
鏡介はすぐさま距離を取り、再び斬撃波を放ちゾンビの波を捌き間引いていく。
「ガァアアア!!!」
偶然にもそれを抜けたゾンビがこちらに近づき、口を大きく開ける。
「(距離を……いや、今このタイミングだと逆に危ないか)」
既に目と鼻の先も同然の位置にいるそれから遠ざかることは逆に自らを危険に晒すだろう――そう判断した鏡介は大きく切り込み足払いを仕掛けた!
「ガァッ!?」
理性もがないということは判断も鈍い。
瞬く間に行われた早業に、耐火ゾンビは何が起きたのかわからぬまま大きく体勢を崩す。
無防備に晒された胴体に鏡介はすかさず本命の一刀を叩き込み、装甲ごとねじ伏せる。
的確な戦場判断と卓越した技術に敵は為す術もなくただただ圧倒され、鏡介が先に進むことができるまでにそう時間はかからなかった。
彼の通った道に残るはまるでケーキを切るかの如くさっくりと斬り捨てられた耐火ゾンビであった屍の群れがまさしく死屍累々と転がっていた。
「しかし耐火ゾンビってのはなんというか……不思議な響きがするというか……」
確かに何か変わった響きですよね。わかるよ。
そんなぼんやりとした疑問、いや疑問というほどのものではない何かを感じながら、鏡介はサーバールームへと向かっていった――。
大成功
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南六条・ヴィクトリア三世
残暑だろうがこの社長魂に一切の揺るぎはございませんわ。
さぁ、それではいよいよ新スーツのお披露目と参りましょう!
だれでもジェイミィくんスーツ、着装ッ!!
このパワードスーツ、MODIFICATION TYPE[JM-E]には装着者の快適性を保つためクーラーを内蔵しておりますわ。そしてあらゆる環境下で活動可能なように環境耐性や耐火性もばっちりですわよ。
挨拶代わりの社長ビーム(レーザー射撃)ですわよ!!
屈強なゾンビが来たとしても関係ありませんわ! 何故ならば筋力も補強されておりますのよ!
必殺のシャイニングウィザード(※プロレス技、グラップル技能の活かしどころ)でマットに沈めて差し上げますわ!!
アハト・アリスズナンバー
熱い。
この世のごとく熱い。熱いのは鉄板焼きの前だけで充分です。
こういう日は日本酒よりもビールですね。売ってないです?使えねえ鉱山都市だな。
しょうがないので、冷凍属性の結界を自分に撃って耐火装備とします。
それで相手は化け物だらけ。ユーベルコード起動。ヴォーパルソードよ。ゾンビ相手に飛んでいきなさい。
この剣は鎧無視の性質を帯びています。向こうの耐火装備を無視して熱さお届け。噛みつく前にくし刺しにしておきましょうか。ほら、もう動けない。
安全になった所を破魔属性の弾丸で一斉射撃しまして浄化するとしましょう。わたしゃまだゾンビになるつもりはないので。
●魔を断つ剣となんでもジェイミィくんスーツ
「熱い」
「熱いですわねえ」
ぱたぱたと手を、あるいは扇子を振って仰ぐはアハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)と南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)の二人である。
「この世のごとく熱い。熱いのは鉄板焼きの前だけで十分です。こういう日は日本酒よりもビールですね。売ってないです?」
と、ちらりとアハトは辺りを見回すが、まあ当然そんなもんはない。
燃え盛る炎に包まれて人の住めなくなった地域に酒屋なんてモンあったら逆にびっくりである。
「使えねえ鉱山都市だな」
「まあまあアハトさん、これが終わりましたら一杯如何ですこと?スペースシップワールドでわたくしイチオシの居酒屋にご案内致しましてよ」
「お、マジですか。是非ご同伴に預からせてもらいます」
ヴィクトリアにより鉱山都市に対する無茶な八つ当たりは避けられた。
仕事の後の一杯というものは格別のうまさというものがあり、その為ならばこの地獄のような熱い中で一仕事する気力も沸き起こるというもの。
アハトはこれが終わった後の一杯の為に迅速に終わらせることを決意した。
当然元々のアリスズナンバーとしての使命も忘れてはいないが、彼女にとって酒は命の水なのでそれはそれこれはこれという話。
とりあえずビールがないならしょうがないので冷気属性の結界を纏い耐火装備代わりにしておく。
「社長もいります?」
「いいえ、わたくしもちゃんと準備はしておりますのでお構いなく。残暑だろうがこの社長魂に一切の揺るぎはございませんわ!うふふ……さぁ、それではいよいよ新スーツのお披露目と参りましょう!」
ばばん、と開かれるヴィクトリアの扇子、それに描かれた『公 開』の2文字。
刹那、まるで雷が落ちるかの如くヴィクトリアの背後に何かが飛来!
土煙が上がり一瞬だけ視界が塞がれるが、すぐに晴れてその正体が明らかになる――そう、それはアハト自身もどっからどう見ても見覚えのある某ウォーマシンの彼そっくりなロボット……に、見えるが。
「だれでもジェイミィくんスーツ、着想ッ!!」
すると何ということか、某彼――もう名前が出てしまっているが敢えてまだ表記はこうさせて頂きます――の姿をしたロボットが瞬く間に、数値にすると0.05秒もの速さでヴィクトリアのパワードスーツとして着装されたではないか!
これぞヴィクトリアが株式会社UAIの総力を投入して作り上げた最新パワードスーツ『MODIFICATION TYPE[JM-E]』、通称「だれでもジェイミィくんスーツ」である!!
「おお、噂の」
「この『MODIFICATION TYPE[JM-E]』には装着者の快適性を保つためクーラーを内蔵しておりますわ。そしてあらゆる環境下でも活動可能なように環境耐性や耐火性もばっちりですわよ。さ、では参りましょうか!」
「そうですね、ぱぱっと終わらせないと。そろそろどぶろくの中身が尽きそうですし」
一応言っておくとお酒は水分補給にはならないので良い子のみんなは真似してはいけません。
◆
「ドーモ、ゾンビのミナ=サン、挨拶代わりの社長ビームですわよ!!」
「ドーモ、シャッチョ=サnグワーッ!?」
パワードスーツを纏ったヴィクトリアから放たれる社長ビーム!
一方が挨拶した場合、された側も返さなくてはならない、それはゾンビとて例外ではないのである。
これでやられるゾンビは未熟者なので何ら気にすることはない。
「ゴァアアアアアア
!!!!」
だがしかし!新たに現れた屈強なゾンビがそんな礼儀も知ったこっちゃないと言わんばかりに一目散にヴィクトリア目掛けて駆けるッ!
その屈強さはそれこそボディビルダーに勝るとも劣らぬ肉体美をゾンビでありながら発揮しており、普段のヴィクトリアならば対抗するにはやや厳しかったことだろう――そう、普段なら。
「おーっほっほっほ!屈強なゾンビが来たとしても関係ありませんわ!何故ならば!」
ヴィクトリア、真正面から堂々と踏み込んだッ!!まるで自殺行為にも思え、いや、否!違う!懐に飛び込んだと同時にブルゾンビの弁慶の泣き所を的確に蹴っ飛ばした!!
「ゴアアアアアア
!?!?」
ゾンビでも弁慶の泣き所は痛いようです。ブルゾンビは泣きそうな顔でその場に膝をついた――そしてヴィクトリア、迷いなくその膝を踏み台が如くげしっと踏み上げるッ!!
「お喰らいなさい、必殺のッ!!シャイニング!!!!ウィザードッッ
!!!!!」
ゾンビの泣き顔にヴィクトリアのパワードスーツで補強された硬く頑丈かつ圧倒的筋力による蹴りが炸裂!!
マットに倒れ伏したゾンビ、カウントダウンが始まっても全く起きる気配はない!一発K.Oでヴィクトリアの完勝だ――――――ッ!!!!
その後も次々社長ビームと自慢のプロレス技で次々とノックダウンをキメていくのであった。
◆
「ユーベルコード起動、”アリスコード送信。対象をジャバウォックと認識。ヴォーパルソード射出用意”」
一方、アハトはユーベルコードによるヴォーパルソードの一斉射撃にてゾンビの群れを尽く蹂躙する。
108本ものの対怪物特化した剣は、ゾンビの群れの耐火装甲なんて最初からなかったかのように鎧ごと貫き、駆け抜ける際に炎の壁と照りつける日光による二重の熱を帯びた刀身が内側から焼き尽くす。
「ガアアアアアアアアアア!!!」
劈くような叫びを上げ、貫かれながらもその牙を華奢な肉体に突き立てんと進む怪物。
それらに迷いなく追加でヴォーパルソードを数本突き刺させば、それはまるで串刺しとなって城塞の外に晒されたオスマン兵の如き様相を醸し出す。
「ほら、もう動けない」
淡々とアリスズナンバーとして自らの故郷と家族を護る為、8番目のアリスはひたすらに異形を串刺す。
「わたしゃまだゾンビになるつもりはないので」
仕上げにレーザーライフルから破魔の魔力を絡ませた弾丸を連射し、その肉体を灰すら残さず浄化。後に遺るのは耐火装甲と動きを封じた腐敗した血液がこびりついたヴォーパルソードのみであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
高吉・政斗
(アドリブ・連携、大歓迎!)
戦闘車型FECTにて移動中…)
Oh YHEA!(唐突な米国かぶれ)
ここの土地は燃え盛りすぎだろコラ!
(…あ、スポドリ頂きますね)
ヌッヌッヌ…プッハー!よぉぉっし!!いつも通りに起動しするか!!
(UC起動)
「属性:氷結:発射数全475発」
を手当たり次第に都市部にぶち込む。
そりゃもう何回も撃ち込む…あ、仲間がいる所はちゃんと加減するよ?
冷たくひんやりな感じね。
タターン)
お?車外からFECTや俺を守備状態の兵装が攻撃してる?
Oh…すげぇゾンビの数だよ
ならば同じく…そりゃ!「氷結誘導式ロケット弾」でただひたすら撃ち込んでやるよ。
因みに…ゾンビの耐火装甲付きってずるくない?
●耐火装甲と言えど伸縮性には限界がありました
荒れ果てた野を一人の男が行く――正確には一人と一台。
高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)駆る戦闘車型FECTから燃え盛る炎が見えた時、思わず政斗は思わず米国かぶれな声を上げた。
「Oh YEAH!」
あまりにもびっくりした米国人かのような声。いや本当は多分彼のような反応が正しい。
やったら外から熱を感じるなあと思ったら土地がまるまる燃え盛ってんだもん。
「ここの土地は燃え盛りすぎだろコラ!」
そうですね、メラッメラに燃え盛っております。
FECTの中にいなければあっという間に火だるま待ったなしと言わんばかりに燃え盛っている。
その上戦車というものは基本的にエアコンというものを搭載していないものである為故に外が暑ければその熱をダイレクトに受けることとなる。
政斗はとんでもなく汗が噴き出まくる状況にこれはあかんとグリモア猟兵が支給してくれたスポーツドリンクの蓋を開け、ヌッヌッヌッと勢いよくあおる。
何本でも持っていってくれとのことだったの数本頂いてよかったなあ、と思いつつ。
そのグレープフルーツ風味の味は慣れ親しんだ潤いを齎す甘美な味、おかげで気力が充満するというものだ。
「……プッハ―――!よぉぉっし!!いつも通りに起動するか!!」
――Mrコンキスタ、起動!
高らかに叫ぶ政斗の左腕が仄かに紫色の輝きを放ち、ユーベルコード【Conquistador・rocketpod】が発動、SystemCRPがアナウンスを始めた。
どのような効果なのかは単純明快、任意の属性の矢型誘導式徹甲弾頭ロケット、その数にして合計475発を即座生成してぶっ放す戦車らしい(?)ユーベルコードである。
『「Pod【Conquista】」生成中……装着……完了』
「マーキング機能の正常稼働確認!手当たり次第撃ち込むぞ!」
どっかんどっかんとFECTから飛んでいく氷結誘導式ロケット弾。
爆発が重なる度、炎の壁を消せずとも内側から炎を抑え込める程の驚異的な冷気が充満し、氷柱を次々積み上げていくのだ――!
だがそこまで派手に打ち上げれば敵も気づかないワケがないというもので、タターンタターンと戦車が発射する反動以外の衝撃が車外からそれはもう、ゴンッゴンッゴンッゴンッと勢いよくぶつかってくる。
「お?……車外から守備状態の兵装が攻撃してる?」
ちらりと車内スコープから一瞥すると、レンズの眼前にそれはとんでもねえ数のゾンビが貼り付いておりガンガンと外側からとにかくFECTをぶっ叩いていた。
バ●オハザードもびっくりする程の数が耐火装甲を纏って攻撃しているというホラーが苦手な人だったら卒倒不可避案件が眼前に広がっていたのである――!
「Oh……すげぇゾンビの数だよ……」
仮にこれが政斗でなく訓練の成されてない一兵卒であったらハッチを開けるという死亡フラグを成立させていたであろう数。
「ならば同じく……そりゃ!」
政斗は引き続き氷結誘導式ロケット弾を発射。
一発ぐらいならば爆発したところで戦車の表面がちょっと軽く凍るぐらいであり、それだけでゾンビたちを戦車から引き剥がすには十二分な威力。
そして誘導式である為、戦車から引き剥がされたゾンビたちに尽く追撃するかのようにロケット弾は駆け、次々氷漬けにしていくのである。
――ところで、耐火装甲とはいえ熱されている状態であり、それは即ちとてつもない高温の状態にあるということ。
……その状態で急激に冷やしたらどうなるか。
「ガアアアアアア!?」
バキバキ、と何かが砕けるような音と共にゾンビが断末魔の如き悲鳴をあげる。
そう、高熱に晒されていた耐火装甲の表面に冷気が加わることで亀裂が入り、そこから地表の炎の高熱が入り込みゾンビの身体を焼き尽くしたのだ――!
「(ゾンビの耐火装甲つきはずるいからなー)」
上手いこといったと政斗は満足げであった。
最近の趣味で冷器と火器を同時利用した戦闘術の構築を行っていたのが早速役に立ったようだ。今回火器は一度も使ってないのだが……え、ロケット弾?氷結式なので今回は冷器換算とします。
政斗とFECTの道を阻むものはこうしてなくなり、順調にサーバーへと進行を進めたのだった――。
●
かくして、黄金郷の名を関する鉱山都市に隠蔽された大規模通信サーバーは猟兵たちによって制圧、破壊されることとなった。
もちろん、ハッキング得意な猟兵たちの手により敵の情報に繋がるであろうデータは先に抽出して頂いた上である。
情報を制す者は戦場を制すという。
この一手により戦況がこの先猟兵側に大きく傾くことは間違いないだろう――!
大成功
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