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バッドラック・リターンズ

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●平穏
 どこかで風が吹いた気がした。
 気がした、というのは。そこは『凪』で囲われた空間だったからだ。
 黄昏が荒野を包む中、金髪の男は上等なクッションを敷いた車椅子に背を深く預ける。男がいる場所は【崖上の鳥籠】と呼ばれる小さな『拠点』だ、断崖絶壁に並んだ斥力発生装置と自走砲や戦車が囲む中にある事からそう呼ばれていた。
 防衛手段はたった数両から成る砲撃隊しかない。傍目に見て貧弱な拠点、それが金髪の男が抱いた感想だ。
 この集落めいた拠点は他にも、空域の敵対者を防ぐ名目で複数の斥力による壁で囲んでいる。が……それも空爆クラスやミサイル、『荒野の怪物』の侵入を防ぐ事は難しい。
(ふつーなら俺様がこんなトコに身を置くのは有り得ないんだがな。だがもうバイクの燃料も少なかったし、ぶった切られた腕を繋いだばかりで感覚も戻ってない……しゃあねえってやつだな)
 男は今、防護服や強化外骨格のアーマースーツを着ていない。
 確かに防衛機構は貧弱だし、立地も悪く、物資に乏しい。拠点と言うには発展途上にも程があるが、どこも最初はそんな物だと彼の経験が許容を示していた。それに彼は断崖絶壁という悪立地を好意的に見る事にした。これは逆に考えればレイダーや怪物の襲撃は通常よりも少なくて済む、そんな淡い理由だった。
「奪還者さま」
 男の後ろから少女の声が掛かる。
「お体に障ります……そろそろ休まれた方が良いのではないでしょうか」
「やーあ、お嬢さん」
 そっと車椅子に触れて来るように近付いて来たのは、男とは違う赤みを帯びたブロンドの髪の少女だった。
 齢は未だ冬を十三越したばかり。金髪の男からすれば若過ぎる手合いだったが、しかし奪還者を持て成すセオリーを半ば理解した連中が運営していた為にあてがわれた、拠点からの接待役だ。
 自らの身を案じてくれる少女を振り返り、金髪の男は何となしに作った笑顔で迎えた。
(膨らみも肉付きも足らんが……まあ、将来的に見れば器量良しってヤツだしな)
 少女の身体は細く、華奢に過ぎる。
 腰に差している拳銃も軽量化の改造を施されている事から、筋量も少ないと見える。それでも金髪の男が邪険にしないのは、少女の気性が得難いものだと知っていたからである。
「お嬢さんも見ておくといい。荒野の空は変わりやすい……斥力に護られたこの拠点の内や外から見て分かるように、太陽が出ていない時は頻繁に観察すべきだ」
「汚染された雨雲や砂嵐を回避する為ですね」
「その通りだ。あれの何が性質悪いかと言えば、時にその嵐の中心部にとんでもない怪物が潜んでいる事がある点だ」
「荒野の怪物……ですね」
「そうさ。俺みたいな凡人は逃げるか、遠くから銃弾をばら撒いて援護する事しか出来ないような化け物だな」
 話ながら、車椅子を少女が押す。
 背後の方から慌ただしい声が聴こえて来たからだ。物資か装備のどちらかが運び込まれたのだろう、大型装甲運搬車が大きな駆動音を響かせてコンテナを下ろしている様だった。
 これである。
 この少女はただ、金髪の男の話が遮られる事を恐れて気を利かせてくれる。腕の怪我を案じて車椅子を用意してくれる。熱にうなされた時など、一晩を費やして傍に居てくれる。
「存在が嵐の様な恐ろしい怪物どもだが、なんてことはない。そういう連中が来る時は必ず前兆があるし、空の色を変える……充分にアンテナを張ってりゃ逃げる時間はあったりするもんだ」
「さすが奪還者さまです。生まれも分からない私ですが、荒野で生活している時間は多分長い方です。なのに奪還者さまに言われた『空の色』というのは……どうしてもよくわかりません」
「そりゃ、経験ありきだからな。つっても意識しなきゃ得られない経験だ、お嬢さんも繰り返す事で自然と身に着くだろうぜ」
 見上げれば、幼くも整った少女の顔には真剣な表情が浮かんでいる。
 荒野で戦い、旧文明の遺跡を探索しては拠点に持ち帰る『奪還者』の経験則から得た話だ。彼女にしてみれば今後を生きる上で参考にしなければならない。
 ただ……それにしても。
(良い娘だ)
 金髪の男は夜天を見上げ、それから包帯に巻かれた腕を見下ろす。
 "通り過ぎる"には惜しいものを見つけてしまった彼は、今後の予定を少しだけ変えつつあった。
(銃を握れる程度に回復したら、暫くこの拠点で活動するのも悪くない)
 男は少女の寄り添う手に手を重ね、その細く白い指先が傷ひとつない事を確かめると静かに笑った。
「お嬢さんはイイ女になるぜ」
 願わくば、この手が荒野の土で汚れる事が無いように。
 そんな淡い想いを乗せて。

●打倒、撃滅、駆除
 グリモア猟兵のシック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は順を追って話始めた。
「感覚的に今回は、予知夢に近い奴だと思う。
 断崖絶壁にある小さな拠点をオブリビオンが襲うみたいなんだ。襲撃者は識別名【荒野の王】……ストームから蘇った独裁者のオブリビオンだね、此奴の目的は崖上の拠点を制圧して自身の所有していた巨大戦艦の主砲を設置するつもりだ。
 多分だけどこの拠点から近く……もしかすると遠いかも知れないが、いずれにせよ砲撃の射角に相応しいんだと思う。放っておけば現場の拠点ともう一つの拠点が潰される可能性が高い」
 シックは真剣な表情で「必ず阻止しないといけない手合いだね」と言って、次いで別の猟兵達に向き直る。
「拠点の住民は全員皆殺しにされる。行った先で手遅れってことはないと思う……けど、この予知には続きがある。
 この拠点から逃げ出した人達がすぐ近くで別のオブリビオンに襲われてるんだよ。どれも【荒野の王】みたいな、強敵だ。だから逃げ出せても結果的に言えば一人も助からない。
 どんな因果が重なった結果か知らないけど、こんなの小さな拠点じゃなくても潰されておかしくない。運が悪すぎる」

 ――機械化武闘集団【機拳流】の強襲。
 ――飢えた獣、【ガブリエル・ラチェット】の来訪。

 十二人から構成された、戦車すら打ち砕く武術家の集団に加え。長い間猟兵達に討伐されてこなかった為に成長した個体のオブリビオン。
 シックは朧気な、霧がかった夢の内容を説明して行く。
 オブリビオン【荒野の王】に勝利しても次なる敵とは確実に連戦になると告げて――。


やさしいせかい
 初めましてやさしいせかいです、よろしくお願いします。

「シナリオ詳細」

『第一章:ボス戦』
 単騎の強敵とのボス戦です。
 断崖絶壁にある拠点を襲撃して来たこれを皆様には迎え撃つと共に撃破して頂きます。
 強力なPOW型の突撃能力、猛攻のSPD型の至近・中距離戦闘能力を有しており、メタ的に言えばWIZ型のUCの演出描写はこれらの複合となっています。
 自らを最強の戦術機と称するだけの破壊力に秀でている相手です。見過ごせば拠点の住民等が犠牲となります。

『第二章:集団戦』
 強力なオブリビオンとの戦闘の余波を感知して寄ってきた集団との戦闘です。
 詳しい能力や描写は開幕時のOPで描写予定。体術に秀でた強敵が猟兵に襲い掛かります。
 この章では拠点内の協力者がおり、皆様から支援を要請されればフレーバーながら支援砲撃と囮役を買って出てくれます。

『第三章:ボス戦』
 第二章からほぼノンストップで始まるボス戦です。
 獰猛にして静寂。残虐的で、野性的な勘に長けた獣。その他詳細は三章になってからのOP開始時に描写等で判明します。
 第三章では協力者は不在の為、戦闘には参加できません。

 前章参加済みの方など、希望があればダメージや疲労が蓄積している状態を描写します。(【疲労orダメージ有】などの表記のあるプレイングに対応します)

●当シナリオにおける描写について
 三章全てにおいて描写(リプレイ)中、同行者または連携などのアクションが必要な場合はプレイング中にそういった『同行者:◯◯』や『他者との連携OK』などの一文を添えて頂けると良いかと思います。
 また、三章通して戦闘オンリーなシナリオになると思われます。

●プレイング受付につきまして
 各章OPの描写送信から、約三日以内に送信されたプレイングから執筆・納品の順番となります。
 その為、同行者がいる場合を除き他参加者との共闘描写が無いまま進行する可能性があります。
 プレイングが流れる事の無い様にするため、速度と品質維持のための対応となります。ご了承下さい。(それでも流れてしまった場合は恐縮ですが再送して頂ければと思います!)

 以上。
 皆様のご参加をお待ちしております……!
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第1章 ボス戦 『荒野の王』

POW   :    覇王の刻印(ロード・オブ・ハイペリア)
全身を【覇王の刻印のもたらす超重力の力場】で覆い、自身の【混沌の荒野を恐怖で統治し、秩序を築く意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    この私こそが我が軍の保有する最強の力なのだよ
【戦車砲を軽く弾き返す無敵の肉体と反応速度】【伝説の黙示録CQCと冷静沈着な判断力】【片手に持った支援重火器による激烈な弾幕】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    殲滅が望みならば応えよう
【執務を行う陸上戦艦“凱王”を殲滅形態】に変形し、自身の【持つ統治者としての最後の慈悲の一欠片】を代償に、自身の【指揮する機甲死人大隊と試作超能力強化小隊】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は才堂・紅葉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●――不運の始まり――
 まずそれは、レーダーが捉えた。
「何だ……? やたらデカい金属反応が警戒網に引っかかったぞ?」
「ドローンを出せ。対象の進行速度は?」
「520.08km/h……全長90メートルの鉄塊だと!?」
 テントの中でモニターを見ていた男達がそれぞれ顔を蒼くして立ち上がる。
 飛び出した彼等の行動は早かった。すぐに防衛兵器の管制役に指示を出し、拠点を包む斥力発生装置の出力を上げるように命令を出して行ったのだから。
 拠点を囲うように配置されていた自走砲の砲塔が索敵機とデータ連動し、『飛来してくる』敵影に向けて即座に砲撃を始めた。
 しかし本来なら視認出来る距離ではない空中で、発射された無数の砲弾が爆発した。
 誤爆ではない。
 砲塔が向いた瞬間に攻撃を察知した敵が急加速して、砲撃のことごとくを迎撃したのである。

「……嘘だろう」
 その悪夢の様な光景を見たのも、何が起きているのかを察したのも一人だけだった。
 高速で動き回るモンスターが出没する事は珍しくない。ゆえに拠点が有する防衛装置はいずれもそれらを捉えられる様に、データ連動による情報蓄積を以て行われる演算によって自動で敵を砲撃するように設定されていた。
 その自走砲や対空砲が、首を振り乱すように右往左往しながら拠点直ぐ傍の上空を撃ちまくっては紅蓮の花火を連続させていたのだ。
 それを見ていた金髪の男は高性能な機械ゴーグルを頭部から外して。それから車椅子から素早く立ち上がり背後のテントの中へ入って行った。
「奪還者さま……?」
「逃げるぞ」
 テントの中では、長いブロンドの髪を濡らした少女が毛布の中から出て来ていた。
 不安気に男を見上げながら問いかけて来る彼女に、男は短い言葉を告げながら防護服を身に着け始めていた。包帯を巻いていた腕にもアーマーのガントレットを装着した彼は激痛に顔を顰め、しかしそれでも無理矢理にベルトを締めて見せる。
 テントの外で大きな爆発音が鳴り響く。
 鼓膜だけでなく大気も震わせるような尋常ではないその轟音に、少女が短い悲鳴とともに目を瞑った。
「いったいなにが……奪還者さま!?」
「ここはもうダメだ。一刻も早く逃げなければ死ぬ」
「待って下さい、せめてそれを父に報せないと……!」
「俺の足で逃がせるのは一人だけだ」
 再度の大爆発に次いでテントの外から転がり込んで来た、焼けた鉄屑を金髪の男が包帯を巻いていない方の腕で殴り付けて弾き返す。
 火花が散り、鉄塊が飛んで来た余波でテントが裂けて弾ける。叫ぶ様に少女が再び金髪の男を呼ぶが、男は濛々と黒煙が立ち込めて来る方向を見ながら脂汗を流して言った。
「どうせならお前を逃がしたい。それだけだ!」
 荒野で着る為に作られた防塵の外套を少女の頭に被せ、訳も分からず叫ぶ娘を抱き上げて男は走り出す。
 その背後で、巨大な主砲らしき物体を浮かせた何かが空間を歪ませ、直後に防衛装置の並ぶ中へ突撃していた。頑丈な鋼鉄の兵器が砂の城でも崩すかのような気軽さで破壊され、たちまちに辺り一帯が火の海になってしまう。
 地獄と化した拠点から一台のバイクが崖を滑り降りる。
 包帯がはみ出たアーマー越しに抱かれた少女は外套の中でくぐもった悲鳴を漏らしている。数十メートルに渡って滑落同然の速度と浮遊感に包まれる恐怖は計り知れない、何よりも家族同然の日々を過ごしてきた拠点の人間が消えてしまう恐怖は年若い彼女にとって重過ぎた。
 金髪の奪還者はそんな少女を包帯の巻かれた腕で抱き寄せ、片手でバイクの姿勢制御に集中していた。
(あれが何かなんて知るか! 畜生、なんつー化け物だ……逃げた奴を追う程のシリアルキラーじゃない事を祈るしかねぇ……!)
 背後から猛烈な熱風が押し寄せる。
 金髪の男はバイクに搭載した索敵機の反応を伺いながら、夜闇の荒野をライト無しで駆け抜けて行く。万一にも灯りを点けた事で追撃される事を恐れたからだった。
(普段からツイてるとは言わねぇが、だからって文句も言わねーよ! 頼むぜカミサマ、嫁にくれなんて二度と思わねぇから……コイツは助けてやってくれよ!)
 男は震える手を強張らせ。折れそうになる心を叱咤するようにバイクを加速させるのだった。


●――全てはこれから――

「何だ……? やたらデカい金属反応が警戒網に引っかかったぞ?」
「ドローンを出せ。対象の進行速度は?」
「520.08km/h……全長90メートルの鉄塊だと!?」
 テントの中でモニターを見ていた男達がそれぞれ顔を蒼くして立ち上がる。
 飛び出した彼等の行動は早く。防衛兵器の管制役に指示を出し、拠点を包む斥力発生装置の出力を上げ、全ての自走砲が敵影に向けて即座に砲撃を始めようとした。
 だが、そこで場の空気が変わる。
 拠点の後方の居住スペースから見知らぬ集団が現れたと騒ぎになっていたのだ。
「何者だ、こんな時に……!」
「それがどうも自分達は助勢に来たと……飛来物の対処は任せろと言っていますが、どうします?」
「戦争の兆しから逃れようとヴォ―テックスシティから逃げてきた俺達だ、今さら逃げ出せるものか。それにまさか荒野の怪物を前にして俺達の背中を撃つ事も無いだろう。
 何者かは後だ、管制システムを支援砲撃に切り替えろ! そいつらに合わせて我々は援護する!」
 拠点のリーダー格の男は汗を流して指示を出して行った。

 慌ただしい夜。
 猟兵達は拠点【崖上の鳥籠】のテントが並ぶ中に到着すると、すぐさま戦いへと足を運ぶのだった。

「……なんだあいつら」
 車椅子に座って見ていた金髪の男は機械ゴーグルを頭から外すと、唖然とした様子でそう言った。



※第一章について
 ボス戦です。支援砲撃や奪還者の協力をフレーバーではありますが皆様は要請できます。
 判定に直接影響するほどのパワーはありませんが、皆様の演出にお役立ちできればと思います。

※プレイング締切につきまして
 本日より『9/20(月曜日)…【8:30】』までのプレイングを優先・速筆で執筆致します。
 いただきましたプレイングが流れる事はほぼ無い筈ですが、本年度の当方は余りにも不運が過ぎるので念のため、参加者様が御許し頂けるようでしたら再送ください。
 以上。
 引き続き、よろしくお願いします。
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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「相原きさ」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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レイ・オブライト
これからってときに空気の読めねえ輩だ
戦争後の未来、コイツらにも見てもらわにゃ意味がねえだろうが

生き(死に)甲斐を奪わないでもらおうか
『覇気』を『限界突破』。『衝撃波』のように爆発的により広域に届け爆風を押し返す
他猟兵により防御面が間に合っていれば、そのまま打って出る
基本は覇気+格闘にて応戦
他猟兵がいれば隙を補う形で踏み込む、『オーラ防御』込みで打ち合って相殺し『かばう』意識はしておき

【Relic】攻撃力↑ 装甲↓

覇気を通過した=触れた、飛来する支援砲撃の砲弾たちを限界突破
敵が迎撃する寸前に、物理では弾けぬであろう光球(属性攻撃:電気)に変え火力自体もVエンジンで引き上げ、炸裂させる
敵からすれば今まで当たり前に御せていたもんが突然噛み付いてくるわけだ、うまいこと虚を衝ければ
『怪力』のせた『鎧無視攻撃』の格闘を繰り出し、刻印の守りごと破る姿勢で挑み掛かる
オレも、なんならこの拠点に流れ着いた奴らも諦め嫌いのなれ果てなわけだ
今更起きて王様ヅラ出来るほど、世界は終わってねえんだよ

※諸々歓迎



 激しい砲撃の中、疾走するのが一人。
「これからってときに、空気の読めねえ輩だ。戦争後の未来、コイツらにも見てもらわにゃ意味がねえだろうが」
 激しく降り注ごうとしている砲弾の前に、苛立つように立ちはだかるのは、レイ・オブライト(steel・f25854)だ。
「生き甲斐を……奪わないでもらおうかっ!!」
 その言葉と同時に発せられたのは、衝撃波のような強者のみが発せられる凄まじい覇気だった。その覇気は広範囲に及び、砲弾の爆風をも押し返していく。
 まだ、仲間は後方にいるらしく、周囲にはいない。
 ならばとレイは、戸惑いもなく、そのまま打って出る。
「はあっ!!」
 覇気を放ちながら、爆風をもろともせず突き進むレイの姿に、拠点の者達はあっけにとられていた。
 だが、彼の放つ覇気……いや、希望の光が拠点の者達の心を揺さぶる。
 彼の繰り出す蹴りは、いくつもの弾丸をぶち壊し。
 彼の繰り出す拳は、覇気と共に爆風をなぎ倒していく。
「来たか……」
 覇気を乗り越えた敵の砲弾を見つけ、拠点へとたどり着く前にその手で受け止めた。いや、違う。
「借りてくぞ」
 その弾丸はたちまち姿を変え、物理では弾けぬであろう電気を帯びた光球へと生まれ変わったのだ。そう、これがレイのRelic(ワンダーラスト)。
 そのまま勢いよく、間近に迫る王者へと、お返しと言わんばかりに放って見せた。
「なにっ!? ぐああああっ!!」
 味方の弾がレイの手によって、敵の弾となって帰ってきたのだ。王者と言えども堪ったものではない。
「うらあああ!!」
 態勢を崩した敵にそのまま、鋭い、貫通するほどの強い拳を、その王者の刻印ごと殴りつけた。
「オレも、なんならこの拠点に流れ着いた奴らも、諦め嫌いのなれ果てなわけだ。今更起きて王様ヅラ出来るほど、世界は終わってねえんだよっ!!」
 何度も殴りつけたつもりだったが、爆風に紛れて、王者を見失った。
「くっ……どこにいった?」
 時折発射される弾丸を打ち返しながら、レイは王者の影を追う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
 サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド

性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます

・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「あの砲撃……厄介ね」
 そう嫌そうな顔を向けるのは、コノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)だ。
 後方からの援護を受けながら、王者の持つ支援重火器に狙いを定めた。
「さぁ、皆の出番よ!」
 そこからの判断は早い。翠神戦艦(フォースバトルシップ)でもって、光の剣や機関銃で武装した宇宙戦隊の幽霊を大量に乗せた宇宙船を召喚したのだ。
「そのまま、足止めをお願い!」
 武装した幽霊達は、そのまま見つけた王者の足止めを行う。個々の能力はさほど強くはないが、数百人もの幽霊達が相手なのだ、強い力を持つ王者といえども、捌き切るのに時間がかかる。
 その間にコノカは、王者に接近。その手には、翠色のフォースの刃を展開する、機械薙刀の勇翠の薙刀が握られていた。
「もらったっ!!」
 ガンと、激しい音共に、王者の持つ支援重火器へと薙刀を振るう。
「くっ……猪口才なっ!!」
 破壊するには至らなかったが、それでも……ヒビを入れることができた。
 恐らく、もう少しで銃火器は使えなくなる。
 そのことに、コノカは思わず笑みを浮かべ、幽霊を全て倒されたのを見て、一度、後退するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と

夜なのに砲火で明るいね。
でもそこ以外は闇だ。
闇に紛れてなんとやら。
僕らの出現は王を名乗る者にとっては不運だねえ。
じつに不運だ。

うーん。
見たところ敵の火力は強いけど、
それだけに真正面から押し切ろうとしてる感じ?

拠点の皆さんには砲撃で弾幕をお願いします。
ニノマエが正面を抑えますので、援護をしてもらえないでしょうか。

ということで、ニノマエがんばってー。
口にはしないけど、信頼してる。
僕は王様大隊の側面に回り込んで、氷の矢の嵐で足止めと混乱を起こす。
脚の速さじゃ負けないからね。
これ以上、前には進ませない。拠点を、破壊させない。
横からも攻撃入りますから、王様は指揮振りなおして下さいよっと。
敵が横を向ききらないうちに、殲滅しちゃいたいな。
あ、向いてる暇ないかな?
詠唱速度上げて連続で氷の矢を飛ばすから。
遠方から矢を飛ばすだけでなく、どんどん切り込んでいくし。
戦艦のどてっ腹に風穴あけたいんで、残像残す逃げ足で隊をひっかきまわしてザクッといくよ!
王様が倒れればおしまいだからね。


ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

正面からの敵は引き受けた。
まず拠点への進撃を止めて被害を最小限に食い止めたい。

支援砲撃で敵の視界を奪ってこれ以上前へ進ませるな。
逃げたいなら止めないが、どうする?

俺は俺で、炎の海を敵に向けて広げるぜ。
タダの炎だと思ったら大間違いってヤツだ。
延焼アリで絡みついたら離さねェ。
頭部を焼いて視界を奪う、脚を焼いて進めなくする。
進み出る者はぶった斬る。
押し返されそうになったら、制圧射撃と乱れ撃ちも使っていくぜ。
ノゾミの一矢が来るまで手数で待つ。
あいつは必ず最速で仕事をする。
氷の矢が合図を告げたら、炎海と共に敵陣へ切り込み隊列を崩し王へと迫る。
刃から炎を噴出させて王の身ごと焼き斬るつもりだ。
あちらも相当の判断力を持っている。
瞬間ごとに狙える部位を確実に破壊する一閃を繰り出す。
俺の姿勢が低くなりゃヤツの脚、脇があけば胴って具合にだ。
こっちも炎の弾幕を使い、火蜥蜴の舌のごとく、少しでもちろりと
炎が届けば纏わりつかせて焦がしつくす。
仕留められる瞬間に、迷わず踏み込んでとどめを刺す。



「夜なのに砲火で明るいね。でもそこ以外は闇だ。闇に紛れてなんとやら。僕らの出現は王を名乗る者にとっては不運だねえ。じつに不運だ」
 拠点へと届く砲弾は、今のところない様子。しかし、油断してはいけないだろう。氷刃を片手に青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)は、この戦況を見ていた。
「うーん。見たところ敵の火力は強いけど、それだけに真正面から押し切ろうとしてる感じ?」
 その言葉にもう一人の猟兵が出てきた。
「たぶん、そんなところだろ」
 ニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)も妖刀を手に敵を見据えると。
「正面からの敵は引き受けた。まず拠点への進撃を止めて被害を最小限に食い止めたい」
 ふと、背後にある拠点の方へと顔を向け。
「支援砲撃で敵の視界を奪ってこれ以上前へ進ませるな。逃げたいなら止めないが、どうする?」
「ああ、そうだね。拠点の皆さんには砲撃で弾幕をお願いします。ニノマエが正面を抑えますので、援護をしてもらえないでしょうか?」
 アラタとノゾミの言葉に、拠点の者達は。
「いや、俺達も戦います!!」
「後方からの援護は任せろ」
 どうやら、猟兵達の戦いぶりを見て、彼らも奮い立っている様子。
「ということで、ニノマエがんばってー」
 声援を送るノゾミの声を背に、アラタはすぐさま捉えた敵の方へ、王者の方へと駆け出した。それと同時にノゾミもまた駆け出す。アラタの向かった方向ではなく、王者の側面を捉えるかのように。
「……ッ!!」
 アラタが正面切って放つのは、業火剣乱(ゴウカケンラン)。
「タダの炎だと思ったら大間違いってヤツだッ!!」
「ぐぬぬぬっ!!」
 輪廻宿業の刀身から、戦場全体に荒ぶる怒涛の炎海を放ったのだ。行く手を塞がれ、王者は拠点より離れた地で足止めされる。
 その間にノゾミは敵の側面に回り込むことができた。
「脚の速さじゃ負けないからね。これ以上、前には進ませない。拠点を、破壊させない」
 そう告げてノゾミは詠唱を高速で行うと。
「凍れ!」
 数百本の氷の矢を、氷嵐(コオリノアラシ)を次々と放っていく。
「敵が横を向ききらないうちに、殲滅しちゃいたいな。あ、向いてる暇ないかな?」
 横からも攻撃入りますから、王様は指揮振りなおして下さいよっと言わんばかりに、ノゾミは更に切り込んでいく。狙うのは王者……ではなく、その後方に運ばれた戦艦。
「戦艦のどてっ腹に風穴あけたいんで……ザクッといくよ!」
 その言葉通り、再び氷嵐で発動させた無数の氷の矢を使って、戦艦の砲台ごと、巨大な穴をあけたのであった。

「貴様ら……ッ!!」
 王者といえども、これだけコケにされたら、容赦はしない。
「お前も相当な判断を持っているのは分かってる」
 刃から炎を噴出させながら、アラタはノゾミの放った氷の矢と共に、敵へと切り込んでいった。
「さっさとあの場所を明け渡せば良いものをッ!!」
 仲間達が重ねてくれた攻撃は、着実に王者の動きを鈍らせていた。
 アラタも瞬間ごとに狙える部位を、確実に破壊する一閃を繰り出す。
 自身の姿勢が低くなれば、王者の脚、脇があけば胴という具合に、刃を振るう。
「ぬおおおおおお!!」
 敵も……いや、王者も必死になって、自身を強化して、アラタの攻撃を凌いだり、攻撃を重ねようとするも、強化が追い付いていないのか、その威力は徐々に低下する一方。そして。
 ゴオオオオオオオ!!
 アラタの炎の弾幕が、王者の持つ支援重火器を巻き込んだ。
「くそっ!!」
 王者がそれを手放すと、重火器は激しい爆音を響かせながら、木っ端微塵になってしまった。
 その隙にアラタは、炎の弾幕を使い、火蜥蜴の舌のごとく、少しでもちろりと炎が届けば纏わりつかせて焦がしつくしていく。
「ぐああああああ!!!」
 それと同時に一気に斬りつけた。
「これで……終わりだっ!!」
 アラタの妖刀 輪廻宿業が、王者の脇腹を切り裂き、ようやく荒野の王の息の根を止めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『邪流拳法『機拳流』の武術家』

POW   :    機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)
【機械化した右腕の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    機拳流禁忌・王刃悪狼怒(オーバーロード)
【体内に埋め込んだ加速装置を暴走させる】事で【オーバーロード状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    機拳流秘伝・魔心眼(マシンガン)
【機械化した左眼で見た対象の動きを解析して】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、後方に位置する拠点は守られた。
 金髪の男も、いざという時は、近くにある拠点へとバイクで逃走するつもりだった。
 しかし、今は猟兵達のお陰で、その必要はなくなった。
「とにかく、今日の英雄達を労う……なに!?」
 砲台にいた拠点のリーダーが、猟兵達を呼び寄せようとしたそのときだった。
 破壊された戦艦から、おびただしい数の拳法家達が姿を現したのだ。
 対して、拠点にいる人数は、それに太刀打ちできる数ではない。
 今度こそ、逃げなくてはと高性能な機械ゴーグルを頭部から外そうとした、次の瞬間。

「まさか、またあいつら……!!」
 猟兵達はまた駆けてゆく。あれほどの軍団相手に、真っ向から立ち向かおうと。
 逃げようとした拠点の人々も、再び砲台の方へと戻っていく。
 助けてくれた彼らを助けるためにも、後方から援護を……。


※二章について
 拠点から再度、砲弾の援護を受けることができます。
 しかし、敵もまた乗ってきた武装車や戦艦の生き残った砲弾でもって応戦してきます。可能でしたら、そちらの対処もお願いします。
 また、状況によっては、金髪の男と少女が逃走するかもしれません。
 その場合は、彼らを守るために立ち回っていただけると幸いです。
 戦いはまだ始まったばかり、皆さんのプレイング、お待ちしています。
黄・威龍
●WIZ

どうやら相手は女と来たか
女には手を上げねぇ主義だが、拳法家、ましてや妖獣となりゃ話は別だ
だが、奴らが乗ってきた戦艦とかいう鉄の塊と乗り回してる自動車とかいう鉄の馬をいちいち相手にしたら面倒くせぇ限りだ

となりゃ、ちと頭を使わせて貰うぜ
龍角に宿る神通力を解放して【天灾通力】だ
電磁波を伴う砂嵐で、機械化した奴らと砲台の目を撹乱
こちらの援護も阻害してしまうが、如意宝珠『北辰』の輝きで鉄くずの位置を知らせよう

後は拳士としての感勝負だ
この激しい砂嵐では相手の目を封じてるが、それはこっちも条件は同じだ
【集中力】を研ぎ澄まし、相手の拳をいなして一撃必殺の【功夫】を叩き込むぞ

他の連中との連携もいいぜ



「どうやら相手は女と来たか。……女には手を上げねぇ主義だが、拳法家、ましてや妖獣となりゃ話は別だ」
 黄・威龍(遊侠江湖・f32683)は、腕を組んで荒野の丘から戦場を見下ろす。
 彼の視線の先はもちろん、相手の女拳法家達だが、それよりも睨みを利かせるのは。
「だが、奴らが乗ってきた戦艦とかいう鉄の塊と乗り回してる自動車とかいう、鉄の馬をいちいち相手にしたら面倒くせぇ限りだ」
 颯爽と丘から駆け降りると、そのまま、敵の方へと向かい。
「骨の髄まで教えてやるぜ……荒れ狂う龍の恐ろしさをな!」
 龍角に宿る神通力を解放して放つは、天灾通力(テンサイツウリキ)だ。電磁波を伴う砂嵐で、機械化した奴らと砲台の目を撹乱させるためである。
 しかし、デメリットもある。これほどまでの砂嵐だ、相手の目を眩ますにはいいのだが、逆に味方の援護までも阻害してしまうのだ。
「おっと、これもな」
 それを解消すべく、取り出したるは龍が手に持つと云われる、北斗七星の星辰が封じられた、如意宝珠『北辰』。それを放り投げ、鉄くずもとい、敵の居場所をその宝珠の煌めきでもって味方にも知らせている。
「後はこの拳で……!!」
 そのまま、威龍は砂嵐の舞う敵陣へと突っ込むと、その勢いのまま、砂嵐に慌てる拳法家達を次々と、その拳でもって沈めていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
ナイトメアに「騎乗」して戦場へ。
騎馬行軍するには気持ちのいい荒野ですね、アポカリプスヘルは。
こんなことを言っては叱られますか。

では、軽口の分くらいは働いてお返ししましょう。
敵味方の接する最前線を迂回して、側面から敵陣内を突破する「騎乗突撃」の一気駆けを敢行します。
「集団戦術」の基礎にあるとおり、軽騎兵の売りは機動力。それを最大限に活かします。
アリスランスの「貫通攻撃」「なぎ払い」とナイトメアの「蹂躙」で、オブリビオンを吹き飛ばしながら、前へ、前へ。
敵からの反撃は、槍を上手く使って「受け流し」ます。

上手く攪乱出来たでしょうか。敵陣が混乱すれば、正面から向かう仲間も戦いやすくなるはずです。



「さあ、誰から《悪夢》の蹄にかかりたいのかしら?」
 さっそくこの地に降り立った、儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)は、ナイトメアライドを発動させ、純白の白馬型来訪者『ナイトメア』を召喚し、颯爽と騎乗していく。
「騎馬行軍するには気持ちのいい荒野ですね、アポカリプスヘルは。こんなことを言っては叱られますか」
 しかし、幸か不幸か、辺りには仲間の姿はなく、既に戦いを始めている仲間のみが見えた。
「……では、軽口の分くらいは働いてお返ししましょう」
 仲間の放った砂嵐が消えたところで、芽亜がナイトメアを駆りながら、一気に距離を詰めていく。
「猟兵か!?」
 芽亜は、そのまま、敵味方の接する最前線を迂回し、側面から敵陣内を突破するように。
「『集団戦術』の基礎にあるとおり、軽騎兵の売りは機動力。それを最大限に活かします!」
 手に持っていた美しき鴇色の槍、アリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』でもって、貫通攻撃を織り交ぜた投げ飛ばしを披露し、前へ前と突撃していく。
「うああああああ!!!」
 突然現れ、かつ戦場をかき乱すには、充分な効果を発揮して見せた。芽亜もまた、数多くの敵を倒して見せたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

拠点の連中、熱いじゃねェか。
砲台からぶっぱなすのもいいが、逆に狙われる動きだぜ。
流れで囮になってるんだけど……そこはわかってるかね。

てか、砲台に注意を向けてらんねェぐらいの勢いで。
俺らが往けばいいだけの話。
これ以上前進はさせねェ。
それが俺達の目標だ、そうだな?
ノゾミはノゾミで、動け。
俺は眼の前の敵を一人ずつ倒すことに集中する。
拳法家だけに、動きにカタ……規則性があるな?
俺のどの部位を狙って動きを封じようとしてくるか。
間合いの詰め方、防ぐ構え、逃げる姿勢……
俺もアンタの拳術を少しずつ覚えさせてもらうぜ。
動きが倍速になるかどうかって、ところには気をつけたほうがいいな。
ま、強引な結論になるけど。
何度だろうと拳も脚もうちこんでこい。
踏み込みのタイミングを見切ってお返しを狙う。
こちらも刃の牙で、噛みついてやるぜ!


青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と

数の勢いでなだれこまれるのは、困るね。
僕が防衛線となり敵数を減らそう。
拠点へは近づけさせないよ。

場の空気は氷結し迷宮を構築する。
氷を幾重にも重ねて、仕切る、薔薇の花弁のごとき迷い路へ。
さあ、おいで。


うん、迷宮の中で力を消費して自滅してもらう作戦で。
拳術使いなら、この氷を割ろうとするだろうね。
美しいひんやりした氷だもの、割れそうに見えるよね。
ぜひ足掻いて、消耗していってね♪
……割れないわけじゃなさそうだけど、かなり頑張らないと無理かな。
僕はその様子を外から眺めて演舞を楽しませてもらう。
出口から出てこれたら、氷刀と凍刃でお出迎え。
二つの刃で拍手喝采!
脱出で気が緩んだところで、さようなら!
残存する敵の勢いは、ニノマエが弱め散らしてくれたらいい。



「拠点の連中、熱いじゃねェか。砲台からぶっぱなすのもいいが、逆に狙われる動きだぜ。流れで囮になってるんだけど……そこはわかってるかね」
 心強い背中からの、味方の拠点からの砲撃に、アラタは思わず笑みを浮かべた。少々、心配な撃ち方ではあるが、お陰で難なく敵の元へとたどり着くことができた。
「数の勢いで、なだれこまれるのは、困るね」
 隣にいるノゾミの声にアラタは頷いてみせる。二人の背後には、守るべき多くの人々がいるのだから。
 ここを越えられたら、戦う術の少ない彼らにとって致命傷ともなる。
 だからこそ、アラタとノゾミは、こうして前に出るのだ。
 愛すべき、彼らを守るためにも。
「ああ。……てか、砲台に注意を向けてらんねェぐらいの勢いで、俺らが往けばいいだけの話だ。これ以上前進はさせねェ。それが俺達の目標だ、そうだな? ノゾミはノゾミで、動け」
 そんな心強い言葉に、ノゾミも瞳を細める。アラタのいう通り、自分達が敵の勢いを削いでいけば、全て殲滅していけばいいのだ。
 実に簡単な答えでもあった。
「了解。僕が防衛線となり敵数を減らそう。拠点へは近づけさせないよ」
 そういうと、さっそくノゾミは、氷結迷宮(ヒョウケツメイキュウ)を発動。氷を幾重にも重ねて、仕切る、薔薇の花弁のごとき迷い路へと、次々と敵を誘っていく。
「さあ、おいで」
 ノゾミの力で閉じ込められた拳法家達は、右往左往しながら、迷宮を潜り抜けようとしている。
「こんな氷、我々の拳で……な、なにっ!?」
 中には、氷で出来た強固な壁を打ち砕いて進もうとする者もいるようだ。しかし。
「美しいひんやりした氷だもの、割れそうに見えるよね。ぜひ足掻いて、消耗していってね♪ それと……割れないわけじゃなさそうだけど、かなり頑張らないと無理かな」
 そんな様子をノゾミは高みの見物。
 そして、ようやく出口にたどり着いた拳法家達を……。
「はい、お疲れ様。凄いね」
 パチパチと拍手喝采するかの如く、敵へと届けたのは二つの刃で。
「気が緩んでいるんじゃない? ……って、もう聞こえないか」
 躯と化した敵へとノゾミは、作り笑顔でこう告げた。
「さようなら、だね」
 刃を受けて地に伏した哀れな拳法家達を、そう見下ろすのであった。


 一方、アラタは目の前の敵を1体ずつ仕留めていた。
「拳法家だけに、動きにカタ……規則性があるな?」
 1体、また1体と着実に倒していきながら、アラタは、敵の動きを細かく観察していた。
(「俺のどの部位を狙って動きを封じようとしてくるか。間合いの詰め方、防ぐ構え、逃げる姿勢……」)
 それらにも少しずつ対応しながら、アラタはその刀を振るっていく。
「俺もアンタの拳術を少しずつ覚えさせてもらうぜ。動きが倍速になるかどうかって、ところには気をつけたほうがいいな」
 戦うたびにアラタは、敵の動きを知っていく。知った攻撃に合わせて、体を動かすのは難しくない。
 むしろ単純作業と言わんばかりに、アラタの動きは、徐々に拳法家達の動きに合わせた動きへと、洗練されていく。
 そう、『敵の癖』をつかみ取っていくのだ。
「ま、強引な結論になるけどなっ! 何度だろうと拳も脚も、撃ち込んでこい!!」
「そんなことを言っていられるのも、今の内……まさかっ!?」
 アラタと対峙する拳法家達は気づいていなかった。
「こちらも刃の牙で、噛みついてやるぜ!」
 アラタの獣の牙(ムキダシノキバ)だ。癖に合わせた動きでもって、威力と命中率を高めた刀が、お返しと言わんばかりに、周りにいた敵を一気に切り裂いていったのだった。

 気が付けば、あれだけいた敵は全て、アラタやノゾミ……そして、猟兵達の活躍により、全て殲滅されていた。
「……後は」
「まだやってくるんだね」
 アラタのノゾミは顔を見合わせる。ちょっと嫌そうに見えるのは、気のせいだろうか。
「これが最後だな」
 アラタ達の前に、もう一人、最後の敵がようやく姿を現したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ガブリエル・ラチェット』

POW   :    貪欲
自身の身体部位ひとつを【触れたものを削り取る、変幻自在の闇】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
SPD   :    暴食暴風
【触れたものを削り取る漆黒の旋風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    無限餓狼
自身の【飢餓感】を代償に、【漆黒の嵐の中から現れる黒犬の群れ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【集団での連携を駆使し、鋭い牙】で戦う。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八津崎・くくりです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「グルルルル……」
 姿を現したのは、貪欲なまでに飢えた獣と言わんばかりの、ガブリエル・ラチェット。
 どうやら、全てやられた時の隠し玉というべき相手かもしれない。
 しかし、この飢えた獣を倒せば、終わりだ。
 敵の砲台もなくなり、戦いやすくなったのは、良いことかもしれない。
 が、味方の砲台の弾もなくなったのか、心強い援護もなくなってしまったようだ。
 後は、猟兵達だけの力で倒さなくてはならないだろう。
 ただ、気を付けて欲しい。
 飢えた獣は、それだけで危険であるということを……。

 かくして、猟兵達とオブリビオンとの、最後の戦いの幕が上がったのである。
儀水・芽亜
コレを討滅すれば、ひとまずあの拠点は平穏になるのですね。
せっかくです。最後まで手助けしていきましょう。

「軽業」の如き動きで裁断鋏『Gemeinde』を扱い、ラチェットの身体を「切断」していきます。まあ、これだけでは切り傷を作るのが関の山でしょう。
反撃を更に「カウンター」と「武器受け」でいなし、「フェイント」を交えて裁断鋏を扱い、ラチェットの身体に傷を刻んでいきます。

それがあなたの身体変化ですね。ですが私には無意味。「破魔」「浄化」を乗せた目覚めの時間で、その加護を斬って捨てます。
切り札を封じられた気分はいかがですか?

あまり時間はかけていられませんし、鋏を閉じて発生する「斬撃波」でお仕舞いです。



「コレを討滅すれば、ひとまずあの拠点は平穏になるのですね。せっかくです。最後まで手助けしていきましょう」
 芽亜は、目にも止まらぬ速さで、慣れた手つきで裁断鋏『Gemeinde』に持ち替えると、そのまま襲ってくるガブリエル・ラチェットへと刃を振るう。
(「まあ、これだけでは、切り傷を作るのが関の山でしょう」)
 それは芽亜も理解している。ガブリエル・ラチェットもまた、自らの髪の毛の一部を闇へと変えて芽亜を切り刻もうとしている。
「くっ……はっ!!」
 敵の反撃をカウンターするかのように受け流して、フェイントをかけながら、裁断鋏『Gemeinde』でもって、応戦していく。
「それがあなたの身体変化ですね。ですが、私には無意味」
 目覚めの時間(メザメノジカン)を発動させ、闇で変化させた加護をそのまま切り裂いていった。
「グルルウ!?」
「切り札を封じられた気分はいかがですか?」
 消えた加護に驚きながらも、ガブリエル・ラチェットは、その爪で攻撃を重ねようとした、そのときだった。
「あまり時間はかけていられませんし……これで、お仕舞いです」
 芽亜は鋏を閉じて生み出した斬撃波をガブリエル・ラチェットへと放ったが……。
「……避けられましたか」
 あともう少しの所で敵に逃げられてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黄・威龍
●POW

はっ、こいつが隠し玉の飢えた獣って奴か
餓虎の肉を争う如し目付きは気に入った
だが、生憎と俺は餓虎に身体を差し出すまでの聖人じゃねぇんでな?
──来な。あやしてやるぜ

拳を構えながら指先二本で【挑発】し、まず相手に行動を先んじて貰う
手にした刃で腕一本切り落とそうとする貪欲さと俊敏さだが、まずはギリギリの間合いで躱しつつ【カウンター】の【功夫】で小手調べだ

…なるほど、そいつがお前の奥義ってわけか
変幻自在の闇が身を削って来やがるが、新しい傷が出来るのを覚悟して【激痛耐性】で耐え、喰らうことに夢中になって防御が疎かになってる身体に『一撃必殺』の拳を喰らわせるぞ
我が宿星、北辰を宿し聖拳をとくと味わえ!



「はっ、こいつが隠し玉の飢えた獣って奴か! 餓虎の肉を争う如し、目付きは気に入った!!」
 嬉しそうに腕を組みながら、笑みを浮かべるのは威龍。その腕を広げ。
「だが、生憎と俺は餓虎に身体を差し出すまでの聖人じゃねぇんでな? ──来な。あやしてやるぜ」
 威龍はそういって、拳を構えながら指先二本で、ガブリエル・ラチェットを挑発する。そう、まず相手に行動を先んじて貰おうという作戦だ。
 ガブリエル・ラチェットは再び、自らの髪を犠牲にして、闇を纏いその刃でもって、威龍に斬りつけてくる。
 威龍もまた、ギリギリの間合いで躱しつつ、持ち前の功夫でもって、お返しと言わんばかりに、その獣に鋭い蹴りを食らわせた。
「……なるほど、そいつがお前の奥義ってわけか!」
 それでもガブリエル・ラチェットの切り刻む攻撃は、止むことはない。むしろ激化していると言っていいだろう。威龍は何かを待つように、新しい傷ができるのを覚悟して、その攻撃をあえて受けている。
「グルルルウアアアアア!!!」
 勝ち誇ったようなガブリエル・ラチェットの叫びに、威龍はにやりと笑みを浮かべた。
「喰らうことに夢中になって、防御が疎かになってるぞ」
 その隙を見逃す、威龍ではない。さっと構えを解くとすぐさま、攻撃へと転じる。
「我が宿星、北辰を宿し聖拳を、とくと味わえ!」
 一撃必殺の拳がガブリエル・ラチェットの左腕を粉砕したのだ。
「グガアアアアアア!!!」
 ガブリエル・ラチェットは、堪らず、すぐさま後退し、別の方向へと逃げていく。
 威龍は、それを無理に追うことはなかった。
 なぜなら、その先には……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と

さすがにしつこい、と言いたいところだけど。
……僕らの華麗な戦いに魅せられたかい?
いいよ。そんなにムキになるならお相手してあげても。
お腹が減っても食べちゃいけないものってあるんだけどな。
飢えで感覚が狂って、手を出してはいけない相手の前に立ってる。
その自覚も無い相手じゃあ、やる気が出ないなあ。
踏み込んで必殺の一撃を放てるのは、この場合、ニノマエ。
と、僕は判断する。

きみ(追いすがる敵)の咀嚼の音、耳障りだなあ。
氷結零式を使おうと心に決め、
発動させるまでの間は敵の動きを鈍らせることを心掛け、
関節や利き手足を狙って斬る。
出血、失血。
たかが小傷、されど。

……それ、止めるよ。
鎮まれ嵐、しばし骸の海は凪ぐ。
ニノマエ、往って来い。
魂を噛み砕いて喰らうのはおまえの仕事だ。

悪運もいずれは必ず尽きる。
拠点に訪れた晴れ間を楽しめばいい。
金髪の誰かと、お嬢さん。
束の間とぼやくのも、ずっと続くと信じるのも、
想う人の心しだい。
自由だよ。

……しばらくは、きっと、ね!


ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

そんなに、この拠点は落とさなきゃいけない場所だったのか。
……何だろうな、この荒れた世界にあって、
何かの可能性を秘めてるような。
ともかく。
ここを大切に想う人達がいるんだ、どこであっても俺達ゃ守り抜く。

黒犬の群れへは妖刀の衝撃波で対処。
ぶっぱなすだけでなく、押し戻してそのまま敵めがけて踏み込むぜ。
牙を剥きだすかァ、上等だ、噛みついてこいよ。
相対すればぶつかり合いに集中し、
ノゾミの声など聴こえてこない。
……うるせェ。
言われなくとも、だ。
俺の前から動くことなど許さんよ、よそ見をする暇などないぞ?
余裕ぶっこいてんじゃねーぜ。
ノゾミに黒犬を放つなら、そいつは大きな隙になる。
闇と影を生むのは本体だ。身体だ。
伸びてくる漆黒に惑わされずに、ひたすら身体の動きを見切り、
追いかけ、喉笛を斬り裂く一閃を。
……喰らわれて解き放たれるしかねえヤツもいる、ってか。

運も悪運も、どう使うかは自分しだいさ。
……ま、俺はどっちが来ようと戦うだけだがな。



「さすがにしつこい、と言いたいところだけど。……僕らの華麗な戦いに魅せられたのかい?」
 そう軽口を叩くのは、ノゾミだ。
「そんなに、この拠点は落とさなきゃいけない場所だったのか」
 アラタもまた、思わず呟いて見せる。

 傷ついたガブリエル・ラチェットが向かった先には、ノゾミとアラタのいる場所だった。
 すぐさま、二人の気配に気づき、ガブリエル・ラチェットも威嚇している様子。
「いいよ。そんなにムキになるなら、お相手してあげても、ね。お腹が減っても食べちゃいけないものってあるんだけどな」
 先に立ちはだかったのは、ノゾミ。
「飢えで感覚が狂って、手を出してはいけない相手の前に立ってる。その自覚も無い相手じゃあ、やる気が出ないなあ」
 手をひらひらさせながら、余裕を見せるノゾミにガブリエル・ラチェットは。
「ガアアアアアア!!!」
 自身の飢餓感を代償に、漆黒の嵐の中から現れる黒犬の群れを、ノゾミ達へと嗾けたのだ。
「きみのその音、耳障りだなあ」
 やってくる犬の群れを嫌そうに思いながら、冷えた青色のオーラを纏う日本刀、氷刃を引き抜き、応戦して見せる。狙うのは、敵の関節や利き手足。
「ギャイン!!」
「ワウン!!」
 出血、失血。
 たかが小傷、されど――。

「……それ、止めるよ」
 ノゾミは、氷結零式(ヒョウケツゼロシキ)を発動させ、自身の誓いの指輪から骸の海を放出し、戦場内全ての無差別攻撃を無力化したのだ。
「ガアアアアアアアア!!!」
 そのことに怒り狂うガブリエル・ラチェットを、アラタは冷静に見つめていた。
「……何だろうな、この荒れた世界にあって、何かの可能性を秘めてるような。……ともかく。ここを大切に想う人達がいるんだ、どこであっても俺達ゃ守り抜く」
 行く手の邪魔をする黒犬の群れを妖刀の衝撃波でもって、ぶっ放す。
「グアアアアア!!」
 なおも戦おうとするガブリエル・ラチェットに。
「牙を剥きだすかァ、上等だ、噛みついてこいよ!!」
 噛みつく牙をその刀で受け止め、払う。ふと、ノゾミの声が聞こえたような気がした。
「踏み込んで必殺の一撃を放てるのは、この場合、ニノマエだよ」
「……うるせェ。言われなくとも、だ」
 もう一度、噛みつく相手を再び払うと。
「俺の前から動くことなど許さんよ、よそ見をする暇などないぞ? 余裕ぶっこいてんじゃねーぜ」
 妖刀の宿怨をまとい、高速で刀身より衝撃波をガブリエル・ラチェットへと放った。
 妖刀解放(ヨウトウカイホウ)だ。
「……喰らわれて、解き放たれるしかねえヤツもいる、ってか」
 伸びてくる漆黒に惑わされずに、ひたすら身体の動きを見切り、追いかけ、喉笛を斬り裂く一閃をガブリエル・ラチェットに与えて。
「クゥウウン……」
 ようやく、その飢えた獣は地に伏したのだった。

 こうして、拠点は守られた。
 それもこれも、駆け付けてきた猟兵達が盾となり、刃となって戦った成果でもあった。
「これが……猟兵の力、か。敵わねえな」
 戦いの行く末を見届けるために付けていた機械ゴーグルを頭から外す。
 万が一の時は、この車いすから降りて、バイクに乗り込み、傍にいる少女をそのまま近くにある拠点まで逃げるつもりだった。
 もしそうすれば、その拠点にまで、戦火は及んだはずだ。あの敵の動き、捌き切れない敵の数々。
 全ては、猟兵達がいなければ、この拠点は滅ぼされたに違いない。
「すごい……勝っちゃいましたね。これで安心してここにいられますね!」
 少女は嬉しそうに声をあげる。
「ああ……だが、これからまた忙しくなるぞ」
 先ほどの戦いで、砲弾の弾が全てなくなったはずだ。また新たな拠点から補充をしないといけない。
 それに……。
「はい! そのときはよろしくお願いしますね! 奪還者さま」
 そう笑顔を見せる少女を、金髪の男は眩しそうに優しく瞳を細めたのだった。

 悪運もいずれは必ず尽きる。
 拠点に訪れた晴れ間を楽しめばいい。
 金髪の誰かと、お嬢さん。
 束の間とぼやくのも、ずっと続くと信じるのも、想う人の心しだい。
 自由だよ。

 そう思いながら、ノゾミは、守り切った拠点を見上げた。恐らくあそこにはあの二人がいるのだろう。
「……しばらくは、きっと、ね!」
「運も悪運も、どう使うかは自分しだいさ。……ま、俺はどっちが来ようと戦うだけだがな」
 そのアラタの言葉に、ノゾミは思わず、笑みを浮かべる。
 そう、この拠点が守られただけでいいのだ。
 戦い終えた猟兵達は、拠点によることもなく、そのまま静かにこの地を去っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月05日


挿絵イラスト