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ネコチャン奇想曲

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●狂おしきかな、ふわふわ毛玉
 ――小動物と戯れたいなどと、軟弱な!
 ――我らは憂国の士であるぞ、恥を知れ!
 ……、……。
 ――嗚呼、だが。
 ――愛おしき、気まぐれな君よ。

「ネコチャン……」

 愛は時に、人を狂わせる。
 骸の海より情念によって黄泉返った影朧が此度抱く捻れとは、はてさて。

●猫カフェーに迫る影朧
「ねえみんな、猫は好き?」
 グリモアベースの一角で、見るも愛らしいネコチャンの動画をホロビジョンに流しながら行き交う猟兵たちに声をかけるミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)。
 動画のネコチャンに惹かれて吸い寄せられる者がいれば、ミネルバはすかさずこう耳打ちをしていよいよ詳しい話を聞かせにかかるのだ。

「合法的に猫を存分に愛でられるお仕事なんだけど、引き受けてくれるかしら?」

 ――曰く。
 今まさに帝都を席巻する、空前のどうぶつカフェーブーム……があるかどうかはさておき、連日客足が絶えない『ネコチャンが自由気ままに過ごしている空間に簡易カフェーを合体させたしあわせ空間』を経営する壮年の一般男性が、影朧に狙われているらしい。
 幸い、現時点では予知で『店主が殺害される未来が予知された』に過ぎず、実害は生じていない。だが、これは何としても阻止しなければならない案件でもある。
「店主の名前は『染井さん』っていう本当に普通の、強いて言うなら猫を心底愛してるだけの男の人よ。人当たりも良くて、人からも猫からも愛されてる」
 そう言いながら、ミネルバも首を捻るのだ。
 何故、そんな染井さんを狙う影朧が現れたのかまでは、視えなかったから。
「とりあえず、サアビスチケットの力で猟兵――超弩級戦力のみんなが一日猫カフェーを貸切にできるようにしてもらったから。染井さんや猫たちと触れ合って、できる限りでいいから影朧の『恨み』の原因になりそうなものを調べてみて欲しいの」
 染井さんが狙われていることは間違いないため、ターゲットは向こうから現れる。
 だが、ただ倒して終わりとはあまりにも――影朧に対する態度としては酷薄にて。

 何故、染井さんに恨みを向けるのか?
 どうすれば、その恨みは晴れるのか?

「まあ、とりあえず猫たちと楽しんできてくれればオッケーよ。そうすれば、おのずと見えてくるものもあるでしょうから」
 気負わずに、しっかりね。
 写真とか撮ったら、あとで見せてね。
 自らは現地に赴けぬ娘は、ほんの僅かな興味だけを浮かべつつ、雪花のグリモアで幻朧桜が舞い散る帝都へと猟兵たちを導く。
 いざ行かん、路地裏で密かなブームとなっている、猫カフェーへと……!


かやぬま
 ネコチャンは みんな違って みんないい。
 合法的にネコチャンとキャッキャウフフしましょう。

●シチュエーション
 帝都の大通りをひとつ入った路地裏の隠れ家的物件にお店を構えています。
 広いワンフロアにキャットタワーやおもちゃが用意された、一般的な猫カフェです。店員ネコチャンたちは思い思いに過ごしております。
 カフェ要素はワンドリンクサービスというささやかなものですが、だいたいの飲み物は染井さんが用意してくれます。
 サアビスチケットの効果で普段は追加料金制のおやつも無料であげられます。確実にネコチャンとふれあいたい方にオススメです。
 店員ネコチャンの種類は長毛短毛純血種ミックスとさまざまです。好みの子をプレイングでご指定いただければ都合良く登場しますし、かやぬまに一任頂いても大丈夫です。
 染井さんはカフェブースで皆様を見守りながらニコニコしています、染井さんが気になる方はお声掛け下されば快く応対してくれます。

●シナリオの流れ
 第1章では、影朧に狙われていると予知された猫カフェのオーナー『染井さん』や猫カフェの店員ネコチャンと自然に接触して、影朧の『恨み』の原因を可能な限り探ってみて下さい。もちろん、普通に猫カフェを堪能するだけでも見えてくるものはあります。
 第2章からは、事態が動き出します。迫る影朧の魔の手から染井さんを守るべく奮闘して頂きたく思います。影朧にも、何らかの事情があるようですが……?

●プレイング受付につきまして
 タグとMSページにて都度ご案内致します、お手数ですがご確認頂ければ幸いです。
 オーバーロード実装に伴い今までと運用を変更した点もございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 それでは、レッツ猫カフェです! 楽しく参りましょう!
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第1章 日常 『ようこそ、どうぶつカフェーへ!』

POW   :    どうぶつキャストたちとひたすら戯れる

SPD   :    写真や動画にどうぶつキャストの愛らしさを収める

WIZ   :    おやつを購入してどうぶつキャストたちに振る舞う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●おじさまとネコチャン
 帝都の大通りをひとつ入った裏路地に、猫カフェー『にくきう』はありました。
 店主の染井さんは若くして奥様を亡くされて、それからは後妻も娶らず夫婦共々愛した猫に囲まれて穏やかに暮らす道を選ばれました。
 今では十数匹の店員ネコチャンのお世話をしながら、自身と同じくネコチャンを可愛がって下さるお客様たちを日々おもてなしする毎日です。

 ――強い『恨み』を向けられているだなんて、思いもよらず!

「これはこれは、超弩級戦力の皆様には日々帝都の平和を守って頂いて……」
 あなたを出迎えた染井さんは、白髪交じりの頭を深く下げて笑いました。
「この店の猫たちも、きっと感謝しております。今日は存分にお楽しみ下さいませ」
 染井さんの向こうでは、お腹を出してころころ転がる子や、キャットタワーですやすや眠る子など、思い思いに過ごす店員ネコチャンたちの姿がありました。
 染井さんに楽しいひと時を過ごすためのお約束を丁寧にレクチャーしてもらったあなたは、いざネコチャンの楽園へと足を踏み入れます。

 ――どうぞ、今しばらくの至福のひと時をお過ごし下さい!
夜鳥・藍
POW◎
猫さんです!お任せします、品種に貴賤はないので!

猫さん達の邪魔にならない場所に座りじっくり観察させていただきます。
本当は自宅でも飼いたいんですけど、一軒家とはいえ一人暮らし。
カクリヨでの、そして先日までのアポカリプスでの戦争でやはり買うのは難しいと。
こうしてお仕事に託けて……いえ、出先でもふもふは堪能するしかないのです。
なでなでとかももちろんですけど、やはりふわふわころころを見て楽しむのも良いと思います。

もしかしたら影朧が恨む理由は猫好きだからかもしれませんね。
とても羨ましくてしょうがないとか?



●藍さんとネコチャン
「猫さんです!」
「はは、猫さんですよ。みんな良い子ですから、どうぞよろしくお願いします」
 猫カフェー『にくきう』の店主にして事件の当事者でもある染井さんの肩越しに、気ままに過ごすネコチャンたちの姿を認めて、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は両の手を合わせて思わず声を上げた。
「お好みの子がいれば、ご紹介しますよ」
 二人の足元にさっそくとてとてとすり寄ってきた茶白のネコチャンを染井さんが慣れた手つきで抱き上げると、藍は一礼して、しかしそっと首を振る。
「お気遣いありがとうございます、でも――大丈夫です」
 染井さんの腕の中でゴロゴロのどを鳴らす茶白ちゃんの頭をそっと撫でて、藍が向かったのは部屋中のネコチャンを余すことなく見渡せる特等席のクッション。
 そこはネコチャンたちからしてもにんげんが居ようが居まいがお構いなしなベスポジ。
 藍にとって、品種に貴賤なし。
 どの子もかわいくって、どの子も見ていて飽きないし、ここはまるで天国のよう!

 染井さんにお任せしたドリンクは、不思議な青いラテ。
 最近帝都のカフェーで大流行だとかの、自然な着色料を使った甘い飲み物だった。
 ネコチャンたちの邪魔にならないよう、じっくり観察させていただきます――そのさまはまるで推しを見守るオタクの在りようにも似ていて、共感する人も多いだろう。
(「本当は自宅でも飼いたいんですけど、一軒家とはいえ一人暮らし」)
 ラテを一口啜りながら、藍はまだ年若いネコチャン二匹がニャンニャとじゃれ合う姿を眺め、ネコチャンにとっての幸せに思いを馳せる。
(「カクリヨでの、そして先日までのアポカリプスでの戦争で、痛感しました」)
 ネコチャンはワンチャンと比べると一日程度なら留守番をさせることも可能ではある。
 しかし猟兵、超弩級戦力たる藍は戦争の最中になるとその責務を全うすべくほぼ一ヶ月近く自宅を留守にすることもしばしばだ。
(「――やはり、飼うのは難しいと」)
 もふ、という感触がお行儀良く折った足元に。
 視線を向ければ、ノルウェージャンフォレストキャットと思しき長毛種のふわふわネコチャンが物思いにふける藍を案ずるようにすり寄って来ていた。
 ふふ、と宙色の瞳を細めて藍は笑って、きれいに整えられた長い毛並みを撫でた。
「こうしてお仕事に託けて……いえ、出先でもふもふは堪能するしかないのです」
 なぁ、とやや特徴的な声で鳴く長毛種のネコチャンは、一度尻尾を揺らす。
「ありがとうございます、優しいのですね」
 遠くから眺めているだけで幸せだと思っていたネコチャンたちが、気がつけば藍を囲むように集まってきていた。
 今度は手の甲にすり、と頭を寄せてきた長毛種ちゃんを撫で返して、藍はほわんとした心地になる。
「なでなでとかももちろんですけど、やはりふわふわころころを見て楽しむのも良いと思います」
 つかず、離れず。
 藍の周りで、ネコチャンたちは丸くなったりじゃれ合ったり。
 この、好き勝手にしているのを、好き勝手に眺めるのが良いのだ。

 ――ふと、思う。
「もしかしたら」
 仕事のことも、忘れてはいない。
「影朧が恨む理由は、猫好きだからかもしれませんね」
 こうやって、存分に愛しいものを愛でることができるなら、いい。
 もしも、それが叶わないがゆえのことだとしたら?
「とても、羨ましくてしょうがないとか?」

 藍の予想が正しいかどうかは、じきに明らかになるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
◎ 猫おまかせ

猫と!遊べる依頼!?もふもふしていいんですか!?
精霊のみんなにお願いしてグッズを使って一緒に遊びましょう(【精霊たち】【精霊力駆動型、狩猟本能刺激グッズ】)
「あそぶ!」「…あそぼう」「あそぼっ」「……ぶー」

…つい依頼を忘れてしまいそうになります、危ない危ない
殺すほどの恨み…今までは何も無かったと言うことは最近何かあったのでしょうか?
染井さんにもお話を聞いてみましょう(でも膝にはちゃっかり猫)
すみません私もお茶をもらっていいですか?
かわいい猫たちですね。本当に猫がお好きなんですね

ところでここ最近周辺で変わった事はないですか……ええと新しく来た猫などが慣れなくて変わった行動をとるとか



●カイさんとネコチャン
「猫と! 遊べる依頼!?」
 そうです!
「もふもふしていいんですか!?」
 いいんです!
 という訳でウッキウキの桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)さんが、猫カフェー『にくきう』の門を叩きました。
 ワクワクオーラを隠しきれないカイの姿に染井さんもニッコリ、どうぞとネコチャンたちが戯れる素敵空間へとご案内。
「遊んであげていただけますと、猫たちもきっと喜びます」
「……わかりました!」
 望むところよとばかりにカイが懐の鉄扇にそっと触れれば、ふわりと現れ出るのは四体の不思議な精霊たち。

 ――じゃららっ!!

 ああっ、何と地水火風の四大精霊はさまざまな形をした猫じゃら――いや、「精霊力駆動型、狩猟本能刺激グッズ」という、対ネコチャン用最終兵器を持ち出した!
 鳥の羽やウサギの毛皮でできている、ネコチャンに大人気な素材をバッチリ押さえた逸品揃い。それが絶妙にネコチャンを誘うように、精霊たちの力でゆーらゆら。
「あそぶ!」
 火の精霊が宿ったふわふわ猫じゃらしは、カイの身体を使ってチラッチラッ。
「……あそぼう」
 水の精霊が宿った紐付きファーは、カイの周りをゆっくりくーるくる。
「あそぼっ」
 風の精霊が宿ったまっすぐ猫じゃらしは、地面をシュッシュと巧みに動き。
「……ぶー」
 土の精霊もちゃんとやる気はあります、ネズミちゃんをチラリズム。
(「……どう、でしょう?」)
 自らも小さく猫じゃらしを動かしながらネコチャンの様子を見たカイは、その瞳がまあるく輝いているのを確かに認める。
 おねむの子は仕方がないとして、起きている子の半分近くを文字通り総力戦で惹きつけたカイは、程なくしていっせいにじゃれつかれて揉みくちゃにされるのだった。

 ネコチャンの元気は底なしかと思わされるような、一度飛び付けば延々あそんでと飛んでくる様子に思わず依頼という本来の目的を忘れそうになりながらも、危ない危ないとカイはカフェブースでニコニコしている染井さんをチラと見遣る。
(「殺すほどの恨み……」)
 実際に会ってみて分かることもある――染井さんは、恨まれるような人ではない。
(「今までは何も無かったと言うことは、最近何かあったのでしょうか?」)
 これは、本人にそれとなく話を聞いてみた方が良さそうだと、カイはまだ遊び足りないとニャンニャしてくるネコチャンたちのおもてなしを精霊たちに任せ、カフェブースへと向かった。
「すみません、私もお茶をもらっていいですか? ……っと」
 瀟洒な椅子に腰を下ろすと同時に、ひときわカイを気に入った様子の三毛猫チャンがその膝の上にひょいと飛び乗ってきたものだから、カイは思わず笑みをこぼす。
「はは、ミィは余程あなたのことが気に入ったようですね。……緑茶で良いですか?」
 首肯しつつ、ミィと呼ばれた三毛猫の整った背を撫でるカイ。
 毛艶の良さから、常より可愛がられていることが伝わってくるようで、良かったねえなどという気持ちになりながらカイが染井さんに声をかける。
「かわいい猫たちですね、本当に猫がお好きなんですね」
 カウンターにことりと緑茶が入った湯呑みを置きながら、染井さんがはにかむ。
「いやあ、嬉しいお言葉です。私の取り柄といったら、この程度しかないもので」
 うっすらと湯気を立てる湯呑みにそっと口を付けると、絶妙な温度の緑茶が染み入る。

 ――やっぱり、狙われるような理由が見えない。

 カイは極力自然体を装って、染井さんに探りを入れることにした。
「ところで、ここ最近周辺で変わった事はないですか……?」
「変わった事……ですか?」
 きょとんとした顔になる染井さんに、カイはもう一歩だけ踏み込む。
「ええと、新しく来た猫などが、慣れなくて変わった行動を取るとか」
 膝の上に陣取る三毛猫のミィの温もりが、事件の予知など本当は何かの間違いではないのかと思わせる程に優しい。
 息を呑み、返事を待つ。
 ううむと考え込んで、染井さんは難しい顔になった。
「……申し訳ありません、私にも猫にも、これと言って変わりはございませんで……」
 空振りか、と視線をミィの背中に落としたカイの耳に、言葉が続いた。

「ああ――店の看板が『壊れていた』ことはありましたね、風で倒れてしまったのでしょう、気をつけないとご近所様にご迷惑がかかってしまいます」

 ――本当に?
 ――誰かが故意に『壊した』のではなくて?

 不穏な足音は、微かながら、確かに『にくきう』に近づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎
ドリンクはミルクティーふたつ!

わあー!ネチコヤンがいっぱいだね、あーさん!……あれっ?
あっ、説得できたんだ……(めっちゃ見てる)(めっちゃ圧でてる)(こわ……)

だいじょぶだいじょぶ!
いーい?まずねえ、しゃがんで。手をゆっくり出してー、匂いをふんふんー。
そんでよさげだったらほっぺから!見えないところは許可が出てからね!

はははふ、スーさんモテモテー……ああっ!あれはメインクーン!世界で一番でけーにゃんさんがなぜここに?!
あああ、あーさんがのしかかられて!しあわせそうに!(体長1mあるらしいよ!)
ラーさんのご機嫌が?!

あっ、スーさんカメラお願いしてい?
ミーさんにもおくったげよ!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】◎
ねこさんお任せ

わぁ……ねこがたくさん
猫天国ですねトーさん……!
この日の為にラトナを説得してきましたよ……
(影人間の肩で不機嫌&ジェラってる猫妖精)
(視線が痛い)

でも、大丈夫ですかね怖がられないですかね私……
おやつをあげれば少しは警戒心を解いてくださるでしょうか
わ、トーさんお詳しい……参考にやってみます……っ(ぐっ)

ねこさんが近づいてくれたらそっとなでなで
かわいいですね……
えっ、なにか大きい子が乗、Oh……MO FU……(幸せ顔)
(ラトナはとてもジェラる!)

あ、トーさん写真や動画撮りますよ
まずは自分のスマホで……
トーさんのカメラでも撮りますね
ミネルバさんにも送らねば



●トーさんとあーさんとネコチャン
「ミルクティーお二つ、こちらにご用意致しました」
 かちゃりとティーカップを二つカウンターに置いた染井さんは、手洗いと消毒の儀式を終えてフロア内で気ままに過ごすネコチャンを目の当たりにして目をキラキラさせる茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)とスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)に向けて声をかけた。
「ごゆっくりお過ごし下さいね」
 ニコニコ笑顔の染井さんに見送られて、いざネコチャンの楽園へと――!

「わぁ……」
「わあー!」
 スキアファールとトヲルが思わず感嘆の声を上げると、同時に互いの顔を見る。
「猫天国ですねトーさん……」
「ネチコヤンがいっぱいだね、あーさん!」
 そうして二人が改めて顔を正面に向ければ、めくるめくネコチャンパラダイスが……!
 ネコチャンは、敢えて言うならば決してにんげんに媚びるような真似は何一つしていない。何もしていない、あるがままの、自然体だからこそ――魅力的なのだ。
 爪を研ぐしぐさ、まあるくなるしぐさ、何ならただ歩いているだけのしぐさでも。
 ネコチャンの一挙一動こそが、狂おしいほどに愛おしいのだ。

「……」
「……あれっ?」
 ふと思い当たることがありトヲルがスキアファールの、肩の方を見た。
 そこには真っ黒いスキアファールの肩口に銀白の抜け毛をほんのりくっつけながら、ふさふさの尻尾をびったんびったん不機嫌そうに叩きつけながら佇むネコチャンの姿が。
「この日の為に、ラトナを説得してきましたよ……あうっ」
 ラトナ、と呼ばれたふわふわ毛並みの猫妖精をなだめるように黒い包帯に包まれた手を伸ばせば、その手をビシリと尻尾で払われるスキアファール。
 そう、ラトナ・ラトリという愛らしい名を与えられた悪夢食らいの猫妖精からすれば、己というものがありながら猫カフェーに行くなど……そう……。

 ――それはもしかしなくても浮気なのでは???

 対するスキアファールは『これは仕事だから』という主張を軸に必死にラトナさんを説得、遂に不機嫌さを全開にされながらも猫カフェー行きの許可を勝ち得たという。
「あっ、説得できたんだ……」
「……」
 びったん。びったん。
 ジェラるラトナさんが尻尾を左右に振って『わかってるんでしょうね』的なオーラをむき出しにするものだから、トヲルにまでその気配が伝わっていく。
(「めっちゃ見てる」)
 尻尾をスキアファールに叩きつけながら、ジト目で睨んでいるその姿。
(「めっちゃ圧でてる」)
 視線を痛そうに受けながらも、顔のあたりを尻尾でべっちんべっちんやられながらも、その全てを甘んじて受け入れるスキアファール。
(「こわ……」)
 ネチコヤン、怒らせないようにしとこ……なんて思うトヲルさんでした。

「でも、大丈夫ですかね怖がられないですかね私……」
 そう、ラトナさんのお許しが(辛うじて)下りたとしても、肝心の店員ネコチャンとふれあえなければ空振りに終わってしまう。それはあまりにも悲しい。
「おやつをあげれば、少しは警戒心を解いてくださるでしょうか」
「だいじょぶだいじょぶ! いーい? まずねえ」
 不安げなスキアファールの様子を見て、トヲルはにぱっと笑って自らお手本を見せるかのようにしゃがみ込む。
「しゃがんで、手をゆっくり出してー、匂いをふんふんー」
 すると、一匹のお耳がくるんと外側に反ったネコチャンがトヲルの指先にお鼻をすんすんと近づけてきたではないか。
「そんで、よさげだったらほっぺから!」
 誰がどう見ても満場一致でよさげな雰囲気だったので、トヲルは指先でアメリカンカールのネコチャンの頬をちょいちょい、なでなで。
「わ、トーさんお詳しい……!」
 ごくごく自然にネコチャンとふれ合うトヲルの手腕に感服しつつ、スキアファールも肩にラトナを乗せたままそっとしゃがみ込んで、こわごわ手を差し出してみる。
 すると、スキアファールの懸念は杞憂と言わんばかりに、揃いのつやつや毛並みの黒猫三兄弟がいっせいに近付いて来た。
「さ、参考にやってみたら大変なことに……ありがとうございます……」
「はははふ、スーさんモテモテー……ああっ!」
 幸せそうに三匹の黒猫を順番にもふもふしていたスキアファールに迫るひときわ大きなネコチャンの姿を認め、トヲルが思わず小さな声を上げた。

「あれはメインクーン! 世界で一番でけーにゃんさんがなぜここに!?」
「かわいいですね……えっ、何か大きい子が乗」

 小さな身体の黒猫三兄弟を押しのけるように現れたメインクーンが、我を構えという風にスキアファールの手にすりっと顔を寄せて、そのまま――。
「あああ、あーさんがのしかかられて!」
「Oh……MO FU……」
「しあわせそうに!!」
「(満面の笑み)」
 何ともすくすくと育ったメインクーンチャン、これきっと体長1mはありますね。
 そんなでっかいネコチャンがのしかかってきたものだから、されるがままにのけぞり倒れてしまうスキアファール。
 肩に乗っていたラトナはとんと床に下りると、デレッデレのスキアファールにお尻を向けると、前脚で砂をかく仕草をしてみせた。めっちゃくちゃジェラっております!

 ひとしきりネコチャンとの戯れを堪能し、ラトナにごめんなさいもしたところで、二人はスマホを取り出してフラッシュがオフになっていることを確認する。
「あっ、スーさんカメラお願いしてい?」
「はい、トーさん写真や動画撮りますよ」
 まずはスキアファールが自分のスマホでトヲルが先程の耳くるんネコチャンと遊ぶ様子を余すことなく撮りまくり、次はトヲルのカメラで同じようにパシャパシャREC。

「ミーさんにもおくったげよ!」
「ミネルバさんにも送らねば」

 ――お気遣い、恐れ入ります!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介

……にゃんこ…。
普通の猫と触れ合うのは久しぶりな気がします。
……普通の猫なんですよね?
私、血や薬品の臭いが染みついているせいか、動物にはあまり好かれないので(と思っている)ちょっと心配です。
……せっかくならば私も、もふもふしたい…ので、もふらせてくれる子がいるといいな…(ジーーッ)

……にゃんこをじぃっと観察。こちらから執拗に追いかけたりせず、すり寄ってきたらもふるスタイル。
猫は尻尾の付け根を撫でるとよかっただろうか……。
もふもふ。

……それにしても、これだけのほほんとした店の店主が影朧に狙われているとは信じがたいですね。
なにか手掛かりになりそうなものがないか、よく見ておかねば(猫をもふりつつ)



●夏介さんとネコチャン
「……にゃんこ……」
 猫カフェー『にくきう』にやってきた有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)は、部屋中でくつろぐネコチャンたちを見て、そう呟いた。
 多種多様な毛玉が気ままに過ごしている、ただそれだけで――尊い。
 そこにいるのは、ごく普通のネコチャンたち。
(「普通の猫と触れ合うのは、久しぶりな気がします」)
 金色、碧色、青色、さまざまな色をしたネコチャンの目が夏介と合う。
 みんな、興味深そうに夏介の様子を見ているように思えた。
「……普通の猫なんですよね?」
「はい、みんなごく普通の猫たちですよ」
「……っ!」
 気配が、まるで感じられなかったことに驚いた。
 振り向けば、香り高い紅茶を淹れて夏介に微笑みを向ける染井さんが『いた』。
「お砂糖とミルクは、いかがなさいますか?」
「あ、でしたら……ミルクだけ」
 ことりと小さなミルクポットをティーカップの横に置いて、染井さんは笑った。
 処刑人から気配を殺して接近する存在はそう多くないし、多くても困る。夏介は一瞬この店主の素性をいぶかしんだが、人の好さそうな笑みもまた疑いようがない。
 夏介は淹れてもらった紅茶にミルクを注ぐと、正直にある不安を吐露した。
「私、血や薬品の臭いが染みついているせいか、動物にはあまり好かれないので」
 それは、夏介の主観。気のせいかも知れない。
 けれども、染井さんは静かに頷いて夏介の話を聞く。
「心配、ですか?」
「ええ……ちょっと」
 いただきます、と小さく呟いてティーカップに口を付ければ、ミルクでまろやかな風味となった紅茶が口の中を潤していく。
「……せっかくならば私も、もふもふしたい……ので」
 両手でティーカップを支え持ちながら、夏介がチラリとネコチャンたちの方を見た。
「もふらせてくれる子がいるといいな……なんて……」
 そう言ってもう一口かぷ、と紅茶を飲む夏介に、染井さんはニコニコ笑顔で一匹のネコチャンを指し示した。
「大丈夫です、まずあなたはとてもお優しい人でしょうから、きっと猫からも好かれます」
 たとえばあの子はどうでしょう、と染井さんが紹介したネコチャンは、何というか、こう、顔がくしゃっとした灰色と白の毛並みをした不思議な子だった。
「とりわけ好奇心が強くて人が好きな子ですから、すぐに仲良くなれますよ」
「……」
 じーーーーっ、と。
 くしゃ顔のネコチャンを見つめる夏介。
 紅茶を飲み終えると、染井さんに一礼して、意を決してネコチャンの元へ向かった。

 紹介されたネコチャンは、エキゾチックショートヘアのゴマというらしい。
 くっしゃりしたお顔をじぃっと観察する夏介の姿は真剣そのもの。
 こちらから執拗に追いかけたりはせず、すり寄ってきたらもふるスタイルだ。
「……」
「……にゃぁ」
 程なくして、ゴマの方からトコトコと歩み寄って来たではないか。
 それだけに留まらず、すりっと身体をしゃがんでいた夏介の膝あたりにすり寄せてくるといういきなりの歓待ぶり。
(「猫は尻尾の付け根を撫でるとよかっただろうか……」)
 そう思いながら、夏介は恐る恐るゴマのお尻あたりをそうっと撫でてみる。
「アーン」
(「変わった鳴き声の子ですね……?」)
 にゃーんではなく、あーん。確かにそう鳴いた。
 ネコチャンにも色々な個性があるのだなと思う夏介であった。
 お尻のあたりを撫でられたゴマは、尻尾をぴんと立てて終始ご機嫌であったという。

「……それにしても」
 猫カフェーで流れる時はゆったりとして、のほほんとして。
 これだけのんびりとした雰囲気の主が、影朧に狙われているとは信じがたかった。
 ――けれど。
(「あの気配遮断の技術だけは、どうも気になります」)
 今度は茶色のネコチャンをもふもふしながら、夏介は染井さんの素性をほんの少しだけ気にかけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重


「ここがニャンニャンパラダイス……」
ドアをくぐればネコ堕ち必至な光景が。

(店員ネコちゃんはお任せで)

背中ナデナデ。
喉をコチョコチョ。
おなかワシャワシャ。

「ふおお、かーわいーねぇ~!」
もうたまらんとばかりに、
もう一周ネコちゃんマッサージコース♪
「ほわあ… あ」
ネコちゃんの仕草を十分堪能してとろけたところで、
ようやく任務を思い出しました。

染井さんにお勧めのオーダーをお願いしながら話しかける。
「ええっと、染井さんのご存じの方で、
ネコ好きをこじらせたような人っていませんでしたか?」
想いが強すぎるあまりに捻くれるなんてこと、ありそうだよね…

あっと、写真写真!ネコちゃーんっ。
(ネリーちゃんのお土産用)



●八重さんとネコチャン
「ここが、ニャンニャンパラダイス……」
 レトロな造りの扉を前に、御桜・八重(桜巫女・f23090)はドアノブを握る手を震わせた。
 この扉をくぐれば、ネコ堕ちは必至。
 かわいいネコチャンに囲まれて、でれんでれんな己がありありと目に浮かぶ……!
「たのもーっ!」
 意を決した八重は、あろうことか道場破りのような掛け声と共に入店したのだった。

 下駄箱に履物を入れて、出迎えてくれた染井さんに手洗いと消毒の場所へと案内されながら、ネコチャンの状況を教えてもらう八重。
「ようこそ、お越し下さいました。今は……そうですね、ちょうどあの白猫の子が構って欲しそうにしていますので、よろしければ遊んであげて下さい」
「にゃーん!」
 まだ子猫と思しき白いネコチャンが、染井さんの言葉に合わせて、まるで八重をもてなすように駆け寄ってきた。
「わっ……あいくるしい……!」
 足元にスリスリ身を寄せてくる白猫の名はミルクというらしい。
「さっ、触っても大丈夫ですか?」
「勿論です、人懐こい子ですから、きっと喜びます」
 染井さんに念のために確認を取ると、八重はその場にしゃがみ込んで、まずはお背中をナデナデするところから始めてみる。
「にゃっ」
 するとミルクは嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らしながらくんと上を向いた。
 まるで、そうしてくれと言わんばかりに。
「お任せを!」
 すかさず、八重がゴロゴロ言うのが直に伝わってくる喉元をコチョコチョして差し上げると、突然ミルクがどたーんと横に倒れたものだから思わず染井さんを見てしまう。
「お上手です、ミルクもご機嫌ですよ。少しだけなら、お腹も触れると思います」
「は……ははーっ!」
 完全にお猫様の下僕と化した八重が、本来ならば触れた瞬間猫パンチが飛んでくる禁断の領域でもあるお腹をわっしゃりさせて頂くという栄誉に預かった瞬間であった。
「ふおお、かーわいーねぇ~~~!」
 ミルクちゃん、いや、ミルク様最高! あがめたてまつっちゃう!
 にゃっはっは、よきにはからえ、よきにはからえ。
 そんなこんなですっかり構いたい側と構われたい側との思惑が一致した八重とミルクは、この一連のやり取りをもう一度繰り返したという。

「ほわあ……あっ」
 いわゆる接待ネコチャンにあたる貴重な存在であるミルクとの蕩けるようなひと時の末に、ハッと我に返る八重。ようやく任務を思い出しました。
 名残惜しそうにミルクの頭をひと撫でしてから、八重は立ち上がり染井さんが控えるカフェブースへと向かった。
「染井さんのお勧めドリンクって、何がありますか?」
 すると染井さんは青い茶葉の袋を手にしてニコニコと笑う。
「これは別の超弩級戦力さんにもお出ししたんですが、青いラテが見映えも味も良くてお勧めですよ。如何でしょう?」
「あっ、はい! じゃあ、それで!」
 バタフライピーと呼ばれるハーブティーを使ったラテは、少しばかり淹れるのに時間を要する。少々お待ち下さいね、という染井さんの作業の様子を見守る八重。

 お店も、染井さんも、ほのぼのとした雰囲気が伝わってくる良い空間だと思う。
 それなのに、染井さんは影朧に狙われているだなんて――信じられない。

「はい、大変お待たせ致しました」
「! ありがとうございます!」
 考え事をしている間に、綺麗な青いラテがカウンターに置かれた。
 お礼を告げて早速一口飲んでみると、くどすぎない甘みが口いっぱいに広がって、とても幸せな気持ちになる。
「おいしい……」
「それは良かった、お気に召しましたなら嬉しいです」
 ニコニコ笑顔の染井さん。
 少しでも手がかりを引き出して、この笑顔を守らなければ。
「ええっと……染井さんのご存じの方で、ネコ好きをこじらせたような人っていませんでしたか?」
「えっ? ええ……例えばお客様でしたら、ある意味皆様こじらせていると申しますか……難しいですね」
 ネコチャンへの想いが強すぎるあまりに捻くれて、攻撃性に転じてしまうということは十分に考えられる。
 だが、特定の個人へと絞り込むのは流石に難しいようであった。

「あっ、お客様! ミルクがまたお腹を向けております」
「あっと、写真写真! ネコちゃーんっ」
 ――またまた、お気遣い恐れ入ります!

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月


俺は、妖狐だ。
狐じゃない。
でも…警戒されたらどうしよう。

とりあえず、ワンドリンクサービスから貰った、アイスのカフェオレに、とぷとぷ…とぷとぷ…
シロップを入れて、飲んでおこう。
…甘い。
でも今はこの甘さが欲しいんだ。店員ネコチャン達からも。甘い反応が欲しいんだ。

そうだ、無料のお菓子も貰って…。
餌で釣るのは気が引けるけど…仲良くなるための手段だ。
そうだ、俺は敵じゃない。
妖狐だと、人だと、知ってもらうためには、お菓子で釣る必要があるんだ。

それに、変に警戒している人には近付かない…
狐だった俺自身、そうだったじゃないか。
自然に…力抜いて…

近寄ってきたら[動物に話す]で挨拶しよう。そっとだ。

そっと、お菓子食べます?撫でていいです?って聞いたりしよう。
調子良さそうならそのまま撫で撫でだ。

ああ、ここがいいんだな?耳の下から顔の骨の縁に沿って喉へ…うんうんわかる。気持ちいいよな。
顎の下もチョイチョイしたいよな。
わかる…ここ良いんだよな。
おでこから頭も気持ちいい?

流石狐の親戚。似たような所が好きなのかもな。



●都月さんとネコチャン
 猫カフェー『にくきう』を訪れた木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、カフェブースのカウンターに着席して、染井さんから供されたアイスカフェオレに物思いにふけりながら、とぷとぷとガムシロップを投入していた。
(「俺は、妖狐だ。狐じゃない」)
 からんからん、ストローでカフェオレをかき回せば氷が小気味良い音を立てる。
(「でも……警戒されたら、どうしよう」)
 そう、都月は不安だったのだ。
 己の狐の部分を、ネコチャンたちに警戒されやしないかと。
 ちう、と一口カフェオレを吸って飲む。
「……甘い」
 ガムシロ入れすぎたかな、と一瞬後悔しかけて、しかしこれで良いと都月は瞑目する。
(「でも、今はこの甘さが欲しいんだ」)
 言うなれば、店員ネコチャンたちから、度が過ぎても構わないほどの甘い甘い反応が欲しくてたまらない。
 瞳を閉じたその先に、ゴロニャンと愛くるしい仕草で都月を迎えてくれるネコチャンたちの姿が浮かぶ。
 そう、イメージするのは常に最強の自分……!

「そろそろ頃合いですので、よろしければ、このおやつを猫たちにあげて頂いてもよろしいですか?」
「……!」
 人間の食べ物で言うならばチーカマに似た食べ物が入った小さな器を手に都月へと話しかけた染井さんの声に、ハッと弾かれたように顔を上げる都月。
(「そうだ、無料のおやつも貰って……」)
 餌で釣るのは気が引けるけど、という気持ちは正直に言えば大いにある。
 けれど、染井さん曰く「ネコチャンのため」なのだから、甘えてしまおう。これは、正統な手順を踏んだ、ネコチャンと仲良くなるための手段なのだから。
 頭を下げて染井さんからおやつを受け取ると、意を決して都月はカフェブースを後にする。背後になんかすごいオーラが見える気がする。

「そうだ、俺は敵じゃない」

 おやつの器を両手で大事そうに掲げ持ち、都月はネコチャンたちの前に立つ。
(「妖狐だと、人だと、知ってもらうためには、おやつで釣る必要があるんだ……!」)
 すんすん、すんすん。
 さっそくおやつの気配を嗅ぎ取ったネコチャンたちが、ソワソワし始めた。
「それに、変に警戒している人には近付かない……」
 思えば、狐だった己自身がそうであったと。
 故に都月は、大きく深呼吸して、緊張で力む身体を必死にリラックスさせようとする。
「にゃぁん」
「なーーん」
 主におやつの匂いに誘われて、それと都月の努力も報われたか、ネコチャンたちが一匹また一匹と都月の足元にお手々をちょいちょいしてきた。

『こんにちは』
『えっ!?』
『しゃべった!』

 そうっと、優しく、都月は己が持つ技能をフルに活かしてネコチャンとの会話を試みたのだ。結果は大成功、驚いたネコチャンが返事をする事態となった。
『おやつ、食べます?』
『たべるにきまってます!』
『はやくちょうだいです!』
 たしたし、たしたし。
 立ったままでネコチャンにお伺いを立てた都月の足を、ネコチャンたちが急かすようにたしたしと叩く。
 もったいつける訳ではなかったけれど、ゆっくりとしゃがみ込むと、我先にとネコチャンたちがおやつの器にワッと飛び付いてきたものだから、都月はそのまま尻もちをついてしまう。勢いが半端なかった。
『な……撫でていいです?』
『いまおやつたべてるからちょっとまって』
『おまえ、たべすぎだぞ!』
 実際に声が聞こえると、わいのわいのと騒がしい。おやつ争奪戦でもみくちゃにされながらも何とかネコチャンたちにおやつを捧げてご満足頂くという任務は全うした。

 すり、と。おやつを食べて満足したネコチャンたちが都月にすり寄る。
『よきにはからえ』
『……!』
 調子が良さそうだと、都月がそっとよく手入れされたネコチャンの毛並みを撫でる。
 ゴロゴロと喉を鳴らす仕草が、しっかりと伝わってきて、嬉しい。
「ああ、ここがいいんだな? 耳の下から顔の骨の縁に沿って喉へ……うんうんわかる」
 まるで自身も喉を鳴らすかのように、軽妙な語り口でネコチャンの気持ちになって都月は巧みな手つきでナデナデを繰り出していく。
「気持ちいいよな」
 返事の代わりに上がった顎の下も、チョイチョイしちゃう。
「わかる……ここ、良いんだよな」
 別のネコチャンのおでこから頭にかけてももう片方の手で撫でてやる。

(「流石、狐の親戚。似たような所が好きなのかもな」)
 厳密にはキツネはイヌ科なのだが、ツボが似ているならそれで良し。
 当初の不安はどこへやら、幸せなひと時を過ごした都月であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メノン・メルヴォルド

永一さん(f01542)と

わたしも、こういうお店は初めてなのよ

可愛い猫さんが、いっぱいなの…っ(そわ
あ、そうね、ドリンクは…えと、じゃあミルクティで
気を取られ忘れそうになっていたのを注文

ん、人懐っこいコが多いみたい
可愛がられているのがよく判る…――

パシャッ

あわわ…ご、ごめんなさい
永一さんと猫さんが、あまりに可愛くて
声をかける前に撮っちゃったの(顔を赤くしながら申し訳なさそうに
…盗撮になっちゃう?

笑顔と言葉にほっとして
ベストショットが撮れた画面を眺める
そこには優しい表情を猫に向ける永一さん
ステキな写真

大丈夫、ナイショ、ね
真似するように自分も口元に指を当てて、微笑んで頷く
ちょっとした秘密の共有のようで楽しい

ワタシも猫さんを…(きょろきょろ
大きなキジトラ猫におやつをあげたり抱き上げたり

まあ!
お返しとばかりにニヤリとする永一さんを見て一瞬目を丸くするも、すぐに笑って

ふふ、それなら皆で一緒にも撮りたいのよ
せっかくの記念だから
そっと側に寄って撮ってもらうね

夢中になって紅茶がすっかり冷めてしまったの


霑国・永一

メノン(f12134)と
推理そっちのけでエンジョイするつもりの盗人

俺はUDCアースには長いけど、一人で来ようなんて考えた事無かったし、いい機会だねぇ。さて、メノン、堪能しようか?

席にてドリンクを注文。俺は安定の無糖コーヒー
いやぁ、見渡すと中々愛らしい猫達が…おや?(寄ってくるスコティッシュフォールドをそっと抱き上げる)俺のような盗人(おとこ)にも無警戒だねぇ、君は(軽く笑いつつ優しく撫で、おやつも与える)
(そして携帯カメラの音)ははは、俺としたことが参ったなぁ。盗撮だろうけど、俺は盗人なものでねぇ…そこは「盗み」撮りには拍手だよ(肩竦め) でも広まるのは恥ずかしいから秘密基地の面々には特に内緒で頼むよ、メノン?(口元でシーッと)

(とはいえ、メノンが猫を可愛がり始めたら俺も撮り返すかぁ)おやおや、猫よりも可愛いのが撮れたかもだねぇ、お嬢さん?(してやったり、とニヤリ)
それは名案。ま、今回は二人だから…(メノンの傍に寄り、メノンと猫と自分の3ショットを自撮りする)…こんなところかな?



●永一さんとメノンさんとネコチャン
 猫カフェー店主を狙う影朧については完全ノータッチの推理そっちのけでエンジョイする気に満ちた霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)が、可憐なるメノン・メルヴォルド(wander and wander・f12134)をエスコートして『にくきう』へと連れ立ってやってきたのは、ネコチャンたちがおやつを堪能してまったりとしたタイミング。
「お二人様ですね、ごゆっくりお過ごし下さい」
 染井さんがニコニコと二人を出迎える様子もまたのほほんとしていて、本当にこの人の身に危機が迫っているのかといぶかしんでしまいそう。
「俺はUDCアースには長いけど、一人で来ようなんて考えた事無かったし、いい機会だねぇ」
「わたしも、こういうお店は初めてなのよ」
 永一が拠点としているも同然のUDCアースにも猫カフェは多く見受けられるが、さすがに一人で足を運ぼうとは本人が言うように考えもしなかったものだから、同じく純粋に猫カフェという空間に縁がなかったメノンとこうして遊びに来られたのは、まさに好機であったというべきだろう。

 店内をざっと見渡しただけでも、視界にネコチャンがいないところはない程に。
 新しいお客様の気配を察して、けれどマイペースに過ごしているネコチャンが。
「可愛い猫さんが、いっぱいなの……っ」
 そわ、そわ。
 これは一種の非日常とも言えよう、そんな光景を目の当たりにしてメノンはうずうずを隠せない。それを見た永一は、そんなメノンも含めて微笑ましいなんて思いながら。
「さて、メノン。堪能しようか?」
 まずはサアビスのドリンクをと、二人でカフェブースへと向かったのだった。
 ニコニコ笑顔の染井さんが迎えるカウンターで、永一が頼むのは無糖コーヒー。
「あ、そうね、ドリンクは……」
 ネコチャン天国に気を取られて、何を飲もうか考えるのを忘れていたと、メノンはお品書きと少しばかりにらめっこした末に――。
「えと、じゃあミルクティで」
「かしこまりました、少々お待ち下さいね」
 ぺこりと一礼して染井さんが準備に取りかかるのを見送って、永一とメノンはくるりと椅子を回してネコチャンたちの方へと向き直った。
「いやぁ、見渡すと中々愛らしい猫達が……おや?」
 垂れたお耳が特徴的なキジ白のスコティッシュフォールドの子猫が、とてとてと二人のそばに歩み寄ってきたではないか。
「ん、人懐っこいコが多いみたい……あ」
 普段から愛され可愛がられているが故の人懐こさなのだろうとメノンが思っていたら、永一が軽やかに席を立ち、ひょいとスコのコネコチャンを優しく抱き上げたのだ。
「俺のような盗人(おとこ)にも無警戒だねぇ、君は」
「……っ」
 知っている。
 この男の本性は、性根は、常人の『それ』からはかけ離れたものであると。
 その善悪はさて置き、こんな風に子猫を抱き上げて慈しむような表情を見せるような人物だったろうか――?
 だが。この際、細かいことはいいんだよの精神である。
 気がつけばメノンはスマートフォンのカメラアプリを立ち上げ、構えていた。
「ははは、せっかく無料だそうだから、おやつもあげよう」
「にゃぁん」
 軽く笑いつつ頭から背中にかけて優しくコネコチャンを撫で、手のひらからおやつをあげる永一。

 ――パシャッ。

「……おや」
「あ、あわわ……ごめんなさいっ、永一さんと猫さんが、あまりに可愛くて」
 仕様上消すことができないシャッター音で、バレてしまった。
 コネコチャンと戯れる永一の姿が、あんまりにも微笑ましかったから。
「声をかける前に……撮っちゃったの」
 頬を紅潮させながら、心底申し訳なさげにメノンが顔を伏せる。
「……『盗撮』に、なっちゃう?」
 対する永一は肩を竦めながら、笑った。
「ははは、俺としたことが参ったなぁ。『盗撮』だろうけど、俺は『盗人』なものでねぇ……そこは『盗み』撮りには拍手だよ」
 その言葉に安堵したメノンは、改めてスマートフォンの画面に視線を落とす。
 そこには、信じられないくらいに優しい表情をコネコチャンに向ける永一の姿がしっかりと記録されていた。
(「――ステキな写真」)
 渾身のベストショットが撮れた画面を見て、自然と笑みがこぼれるメノン。
 そこでスコティッシュフォールドの子猫を膝に乗せたまま、永一はそっと人差し指を口元に寄せて『ナイショ』のジェスチャーを取る。
「でも、広まるのは恥ずかしいから、秘密基地の面々には特に内緒で頼むよ、メノン?」
 しぃっと、メノンも真似するように口元に人差し指を当てて、微笑んで頷く。
 二人だけの――ちょっとした秘密の共有のようで、楽しくなってしまう。
 だから、二人してほんの少しだけ、笑いあった。

 メノンは思った。
 コネコチャンもいいけれど、大きくて抱き心地の良さそうな子もいいな、と。
(「ワタシも猫さんを……」)
 選び放題構いたい放題のネコチャンたちの中から、パッと目を惹かれたのは、ミックスと思しきわがままボディのキジトラネコチャン。
「こんにちは……きゃっ」
 ご挨拶を忘れず、手のひらにおやつを乗せてそうっと近付いてしゃがみ込めば、キジトラチャンは大きな身体を揺らしてすぐにおやつをペロリと平らげる。
 そのままの勢いで抱き上げられる前にメノンの膝の上にのしっと乗っかろうとしてきたのを受け止めきれず、メノンは思わず尻もちをついてしまった。

 ――カシャッ。

「まあ!」
「おやおや、猫よりも可愛いのが撮れたかもだねぇ、お嬢さん?」
 二回目のシャッター音の犯人は、永一。撮り返しである。
 してやったりのニヤリ顔、お返しとばかりの『盗撮返し』には一瞬メノンも目を丸くするも、すぐに花が咲いたような笑顔で。
「ふふ――それなら、皆で一緒にも撮りたいのよ」
 せっかくの記念だから、もう少し欲張ったっていい。
「それは名案」
 そう言うと永一は、コネコチャンを片手で器用に抱いたまま、メノンに寄り添う。
「ま、今回は二人だから……」
 空いた片手でさらに器用にスマートフォンを自撮りモードにして、3ショット――いや、永一とメノンと子猫とでっかいネコチャンとの4ショットを、ぱしゃり。
「……こんなところかな?」
「ありがとう永一さん、あとでデータの交換、お願いするの」

 夢中になってすっかり冷めたお飲み物は、染井さんが淹れ直してくれたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

怨燃・羅鬼
【禍刀】

灰っ!狂は哀獲髏らきちゃん☆
猫カフェに燃屠りに惨状だネ!狂もネコチャン達と遊んで愉しんで☆パズリでファン獲得だ☆
ごめ~んネ☆

凶のマネージャーさんは風月ちゃんだよ☆
おーい☆マネージャーさん、こっちに悦顔☆悦顔
風月ちゃ~ん☆
…マネージャーさんネコ好き?

ということで☆猫カフェ殺人事件を防ぐために
荒威奴流探偵、らきちゃん☆頑張って調査するネ!
うん、らきちゃん☆今カメラは持ってないかな…
うん、はい…ごめんネ?

くふふ☆愛が憎しみなんてあるある話!
ここは根の国猫の国、猫鍋恨みでグツグツマヤーのウシル、化猫三味線御用心☆(どことなく取り出した三味線をベベン)                          


雪華・風月
【禍刀】◎
(無言で猫じゃらしをふりふり)
(ふりふり)
らきちゃんさん、うるさいです、杏里さん(ネコ名)が逃げます

今日は知り合いに何故か出身ということで案内役にと来ることになりました(肉球を堪能しつつ)
偶然走り込みの道として知ってはいましたが私とて帝都全ての場所に詳しいわけでは無いのですが…あっ染井さんいつものおやつをお願いします(ネコをモフりつつ)
普通です(即答、おやつをあげながら)

あっ、らきちゃんさん、アイドルでしたらカメラありますよね?
杏里さんを撮るので貸してください
え?なんで持ってないんですか?

それにしても浅井さんいい人ですのに何故狙われるのでしょう?
マニャー?(杏里を抱っこしながら)ねこ鍋(鍋で寝てる方)もいいですよね



●羅鬼さんと風月さんとネコチャン
「灰っ! 狂は哀獲髏らきちゃん☆猫カフェに燃屠りに惨状だネ!」
 まるでカメラが回っているかのように現場から物騒に……いや元気良くお届けするのは怨燃・羅鬼(自称:バズリトレンディ様の弟子・f29417)、通称らきちゃん☆。
「……」
 一方、賑やかならきちゃん☆を完璧にスルーして、ネコチャンたち相手に猫じゃらしのおもちゃを無心でふりふりし続けるのは雪華・風月(若輩侍少女・f22820)だ。

「狂もネコチャン達と遊んで愉しんで☆ バズリでファン獲得だ☆」
「……」
「ごめ~~~んね☆」
「……らきちゃん、うるさいです。杏里さんが逃げます」

 今日も今日とてテンション爆上げのらきちゃん☆に、真剣にネコチャンと向き合いコミュニケーションを取ろうとしていた風月が真顔でツッコミを入れる。
 ちなみに杏里さんとはグレーの毛並みがきれいな美猫さんだった。らきちゃん☆のクソデカ大声にもあんまり動じないあたり、色々な意味で人慣れしているのだろう。
「凶のマネージャーさんは風月さんだよ☆」
 己もネコチャンと遊ぼうと試み、手近な子に触れようとするも綺麗にスルリと逃げられながらも、らきちゃん☆はめげずに猫カフェーレポを続行する。
「今日は知り合いに何故か出身ということで案内役にと来ることになりました」
 すっかり喉を鳴らしてなついた杏里ちゃんのお手々をふにふに、肉球を堪能しながら風月は淡々と状況を説明した。
「超弩級戦力の皆さんは個性的な方が多いのですね、おかげさまでこちらも楽しませていただいております」
 カフェブースから染井さんが二人の様子を眺めながら声をかけると、風月が少しばかり照れた面持ちで杏里ちゃんに視線を落とした。
「こちらは……偶然走り込みの道として知ってはいましたが、私とて帝都全ての場所に詳しいわけでは無いのですが……」
 その背後から、らきちゃん☆の元気いっぱいな声が飛んでくる。
「お~~~い☆ マネージャーさん、こっちに悦顔☆悦顔」
「あっ染井さん、いつものおやつをお願いします」
「何やかやで、風月さんにはいつもご愛顧いただいて、嬉しいですよ」
「風月ちゃ~~~~~ん☆」
 風月さん、あいにくとマネージャーさんはネコチャンとふれ合うのに夢中で、らきちゃん☆のことはガン無視である。しかも実は『にくきう』常連であることも発覚した。

「……マネージャーさん、ネコ好き?」
「普通です」

 天下のアイドル・らきちゃん☆を差し置いてまでとは、さては筋金入りのネコチャン好きだな? そう推理して問うらきちゃん☆に、風月は淡々と即答したのだった。

 そのあまりのやかましさ……いや元気さが仇となり、ネコチャンに近付いては逃げられるという典型的なムーブを決めながら、それでもらきちゃん☆はマイペース。
「ということで☆ 猫カフェ殺人事件を防ぐために、荒威奴流探偵、らきちゃん☆頑張って調査するネ!」
 天高くズビシと天井を指さして気合十分、そんならきちゃん☆に風月が声をかけた。
「あっ、らきちゃんさん、アイドルでしたらカメラありますよね?」
「うん、らきちゃん☆今カメラは持ってないかな……」
「え??? なんで持ってないんですか???」
 らきちゃん☆の返答に『信じられない』という声音で明らかな落胆を顔に出す風月。手厳しい。らきちゃん☆的には普段……普段? 撮られる側だから自前でカメラを用意するという概念そのものが備わっていないもので、致し方ないとも言えるのだが……。
「うん、はい……ごめんネ?」
 風月のあまりの様子に、らきちゃん☆も思わずごめんなさいしてしまうのだった。

 その後、なかなかネコチャンとふれ合えないらきちゃん☆も染井さんのアドバイス通りにテンションを抑えめにしながらようやく艶やかな黒猫チャンと仲良くなることができた。
 丁寧にネコチャンとの接し方を教えてくれた染井さんからは、やはりどう見ても影朧から恨みを買うような要素は見受けられず、二人して首を傾げるのだ。
 染井さんが少し席を外したタイミングで、風月とらきちゃん☆はコソコソ会議。
「それにしても、染井さんいい人ですのに何故狙われるのでしょう?」
「マニャー?」
 不思議ですねえ、なんて言いながら、風月は杏里ちゃんを抱っこしながら思案する。
「くふふ☆ 愛が憎しみなんてあるある話! ここは根の国猫の国、猫鍋恨みでグツグツマヤーのウシル、化猫三味線御用心☆」
 どこからか取り出した三味線を器用にベベンとやりながら、らきちゃん☆物騒な発言をぶっぱなすも、風月はまたしても完璧にスルーしてもう一匹のネコチャンを見た。
「ねこ鍋もいいですよね」
 視線の先には、鍋の中にまあるくすっぽりと収まってスヤスヤ眠る三毛猫チャンがいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黒の落し子』

POW   :    悪食
戦闘中に食べた【悪意】の量と質に応じて【身体の影が濃くなり】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    悪逆
【隠された悪意を増幅する視線】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    悪言
攻撃が命中した対象に【悪意を撒き散らす影の口】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【聴こえ続ける心を蝕む声】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●事件は突然に
「きゃーっ!!」
「うわああっ!」
 猫カフェー『にくきう』で思い思いに過ごしていた超弩級戦力たちの耳にも、はっきりと届く大きな悲鳴。
「な、何事でしょう……?」
 不安げに窓の方へと向かおうとする染井さんを、超弩級戦力たるあなたたちはそっと制します。明らかに、染井さんを狙った影朧のしわざだと分かったからです。
 染井さんには『ネコチャンたちを守るためにも』と言い含めて、店内から決して出ないようにとお願いをして、いざ事件解決のためにあなたたちは店外へと飛び出しました。

『ウ、ウゥ、ウウ……』
 裏通り、『にくきう』を出たすぐ目の前に『それ』は居ました。
 黒の落し子――そう呼ばれる影朧は理性に乏しく、とてもこれが犯人だとは思えません。恐らく、黒幕が放った手下なのでしょう。
 とはいえ、放っておけば無辜の人々にまで被害が出てしまいます。
 さあ、肩慣らしにサクッと蹴散らしてしまいましょう!

●戦場の状況
 裏通りとはいえ、そこそこの広さはあります。ただし、人通りもそれなりにありますので、可能な限り一般人に被害が出ないような立ち回りをオススメします。
 黒の落し子の転生は望みが限りなく薄いので、倒すことに専念しましょう。
 染井さんは店内に立てこもっていますので、守ることは考えないで大丈夫です。
夜鳥・藍
いったい何が目的なのでしょうね。
害意というには回りくどく、たんなる営業妨害っぽくありますよね。

他の一般人の方に被害が出ないように、そして逃がさないように複製した神器鳴神によるUC雷光で攻撃しましょう。
接近してきたものは青月で直接攻撃します。
なるべく相手の攻撃は直感(第六感)で差避けるようにします。
もし命中したとしても悪意は狂気耐性で耐えましょう。
小さい頃から、物心ついた時から直接的ではないとはいえ、親兄弟とは違う種族である事、推定元影朧と言う事で何かしら言われ続けてきたんです。
今更直接それが聞こえたとして変わりがありましょうか。
私は私を少しでも認められるようになってきたんだもの。



●抗うべき悪意
 それは、まるで澱みが人のカタチを取ったもののように思えた。『黒の落し子』たる影朧たちは、何事かをたくさんの口から呟いているようだが、内容までは聞き取れない。
(「いったい、何が目的なのでしょうね」)
 真っ先に店の外に出て身構えた夜鳥・藍は、油断なく影朧を見据えながら思案する。
(「害意……というには回りくどく、たんなる営業妨害っぽくありますよね」)
 藍の気配を察した黒の落し子は、立ち向かってくるどころか、むしろ藍を避けて周囲の一般人たちを狙うかのように動き始めた。
 それを見た藍は、そうはさせじと即座に行動に出る。
「轟け――【雷光(ケラヴノス)】!」
 鳴神の銘持つ黒い三鈷剣に指を沿わせて超常の発動を告げれば、神器はたちどころに幾千もの複製を従えて、一般人を守りつつ影朧を逃がさぬようにと包囲陣形を取った。
『ア、ウ、ァ……』
「すごいぞ、あれは間違いない――超弩級戦力だ!」
 進路を妨げられて怨嗟の声めいた音を口から漏らす影朧と、藍の力で安全が確保されたことによって安堵し歓喜の声を上げる一般人たち。
 できれば今のうちに安全なところに避難してくれればと思わなくもないけれど、超弩級戦力の活躍を間近で見たいという気持ちもあるのだろう、致し方ない。

 一方の影朧は、不気味に蠢きながらいよいよ藍へと狙いを定める。
 藍はユーベルコヲドによる攻防一体の結界を維持しつつ、迫る黒の落し子を迎撃するべく打刀「青月」の柄に手をかけた。
『……ウゥ、ァ、ア……!』
 影朧がひときわ大きな声を上げて一度身を縮こめたと思うや、次の瞬間ぶわっとその身を広げて藍へと襲いかかる!
「――っ」
 抜刀の瞬間、青白い月光が美しい弧を描いた。
 次いで、一気に斬り払われた粘性のある闇がぼとぼとと地に落ちた。
 そして――小賢しくも藍の見事な太刀筋をも掻い潜って、藍本人ではなく藍から伸びる影に取りついた影朧の一部が、おぞましい『口』を影から生じさせた。
「くっ……!」
 生理的な嫌悪感を覚えて影の方を振り返った藍が目にしたのは、今までの胡乱な言葉とは明らかに異なる、明確な『言葉』を放つ『口』の動きだった。

『どうしてあのご両親から、あんな子が産まれて来たんだろうねえ』
『どうせ前世は影朧だったんだろうさ、いくら癒しを受けたからって……』
『愛らしい見た目をして、恐ろしいことですわね』

 藍の動きが、一瞬固まった。打刀を握る手が、じわりと汗ばむ気配がした。
 だが――。
「今更、それが何です」
 藍はぐるっと振り返り、青月を片手で逆手に握り、戯言を抜かし続ける『口』めがけて切っ先を思いきり突き刺した。
『ガ……ッ』
 それは確実に黒の落し子本体にもダメージを与えたらしく、異形が苦悶する。
「小さい頃から、物心ついた時から」
 そう、こんな風にあからさまにこそ言われはしなかったけれど。
 親兄弟とは一人異なる種族で生まれたことに。
 それが『誰かの願いを受けて転生した』がゆえのことと推測されたことに。
「何かしら、言われ続けてきたんです」
『……』
 完全に沈黙した忌まわしい『口』から、青月を引き抜き、刀の汚れを振り払う。
 そして、その切っ先を迷わず影朧へと向けた。
「今更こんな風にそれを聞かされたとして、何の変わりがありましょうか」

 ――私は、私を少しでも認められるようになってきたんだもの。

 侮るな。
 次こそ、その身すべてを両断してくれる。
 その意思が伝わったか、影朧はただ後ずさるばかりであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霑国・永一

メノン(f12134)と

ふーむ、楽しくしていたというのに、影朧は空気が読めないなぁ。残念ながらお仕事の方が主目的だし、デートは中断さぁ。ははは、行こうか、メノン(初心反応見て面白がってる)

わお、黒いのがいっぱいだねぇ。視られると面倒らしいから視られないに尽きる(狂気の透化を発動)
メノンのUCは初めて見たけど、成程、でかいドラゴンで派手だ。メノンが大立ち回りしてる間に俺は静かに素早く、黒い連中の命を盗むとするかぁ(銃とダガーを手に)

各個撃破は勿論だけど、一般人やメノンの方にも気を配っておくかな。向かおうとするなら優先的に盗んでやらないとだ。
おぉっと、そこの黒いの、うちのツレにお手付きは厳禁さぁ


メノン・メルヴォルド

永一さん(f01542)と

お仕事の時間なのね
抱っこしていた猫さんを離しがたいけれど、頑張るの
えっ!デ、デート…?!
(言葉に思わず見つめる)
(これはデートだった??…んん、でも、永一さんとワタシの二人だけでお出かけだから…そうなるの???)
(な、なんだか頬が熱くなってきたのよ…><)
(顔を真っ赤にしながらグルグル考える)

あ、あ、はいっ!
慌てて追いかけ

気持ちを落ち着けるために…一呼吸
ドラゴンを召喚して注意を引き付けるね

あとは永一さんが何とかしてくれるはずだから
視線を向ければ、絶対の安心感に微笑んで
自らを鼓舞するように頷く
戦場で使うのは初めてだけれど、大丈夫

──チカラを貸して…Uroboros



●心強く、心惑う
「ふーむ、楽しくしていたというのに、影朧は空気が読めないなぁ」
「お仕事の時間なのね」
 窓の外から聞こえる喧騒に応じて、膝の上のスコティッシュフォールドをそっと床に下ろして立ち上がる霑国・永一と、キジトラネコチャンを名残惜しそうに抱きしめるメノン・メルヴォルド。
「猫さんは離しがたいけれど、頑張るの」
「なぁん……」
 ただでさえ抱き心地の良いわがままボディのキジトラチャンが甘えた声を出すものだから、ますますこのままでいたいという気持ちになってしまうけれど、メノンは思い切って染井さんにキジトラチャンを託すように引き渡した。

「残念ながらお仕事の方が主目的だし、デートは中断さぁ」
「えっ! デ、デート……!?」

 さらっと言い放つ永一の言葉に超反応、メノンは思わず永一の方を見つめてしまう。
 見つめられる先の永一はといえば、人の悪そうな笑顔でニヤニヤするばかり。
(「これはデートだった??? ……んん、でも、永一さんとワタシの二人だけでお出かけだから……そうなるの???」)
 言われてみれば、二人で秘密の共有なんてこともしてしまった。
 これはデートだと言われれば言い訳のしようがない程にデートなのでは???
 乙女が両頬に手を当てて、顔を真っ赤にさせながらぐーるぐると考える。
(「な、なんだか頬が熱くなってきたのよ……><」)
 比喩でも何でもなく目をぎゅっとつむって『><』という風にさせながら、とうとう耳まで熱くなるのを感じたメノンが首を一度大きく振った。
「ははは、行こうか、メノン」
 初心な反応の一部始終を見守っては面白がって笑いながら、永一が軽やかな足取りで出口へと向かう。
「あ、あ、はいっ!」
 悪い盗人の声に、弾かれるように我に返ったメノンは、慌ててその背中を追いかけた。

 店の外には、猟兵に迎撃され縮こまりながらも、再びぼこぼこと活動の勢いを盛り返そうとする黒の落し子の姿があった。
「わお、黒いのがいっぱいだねぇ」
「……っ」
 見るもおぞましいその姿に、メノンは息を呑み、永一はしかし動じず薄く笑う。
「視られると面倒らしいから――視られないに尽きる」
 そう言いながら永一はユーベルコヲド発動の直前、メノンに目配せをする。
 それを受けてメノンはすぐに永一の意図を察し、大きく頷いた。
 二人は同時に動き出す――正確には、メノンから見て永一は何ら変わりがないように思えたが、影朧からすれば突然永一の姿はかき消えたのだ。
 それこそが超常、【盗み啜る狂気の透化(スチールステルス)】!
 身命を賭して身体能力を限界まで引き上げ、敵対者から己を不可視の存在と化す。
『ウ……ウァ……?』
 異変を感じ取り動揺を見せる影朧を前に、メノンは気持ちを落ち着けるために一呼吸。
 大きく息を吐ききったところで、強い意思を込めた視線で影朧を見た。
(「あとは、永一さんが何とかしてくれるはずだから」)
 メノンにはまだしっかりと見えている永一へと視線を向ければ、変わらぬ余裕で笑う永一から感じる絶対の安心感に、思わず微笑みがこぼれる。

 影朧に対峙して、自らを鼓舞するようにひとつ頷く。
(「戦場で使うのは初めてだけれど、大丈夫」)
 己が裡で、膨大な魔力が膨れ上がるのを感じる。
「――チカラを貸して」
 両手を胸元に当てて、ゆっくりと解き放つように両腕を広げて、告げる。

 ――来たれ、【Uroboros(ヤミヨリフカクイヅルモノ)】!

 桜舞う帝都の空が突如渦巻き、虚が生じたのを人々は見た。
 そして、虚より出でし巨大な竜――ドラゴンの偉容を見た。
 それは永一も同じくして、ははぁと感嘆の声を上げた。
「――メノンのユーベルコードは初めて見たけど、成程」
 有り体に言えば、デカいドラゴンで派手派手だ。
 そう、敵の注目を惹くには十分すぎるほどに。
 永一の仕事はここからだった。静かに、素早く、完全に永一を見失っている黒の落し子たちの命を一体一体、銃とダガーで着実に盗み取っていくのだ。
『ガ……ッ』
 超常の効果で永一の姿はどう足掻いても黒の落し子からは認識できない。
 目視もできない以上は反撃の手立てがなく、完璧な立ち回りであった。
 そこへ共に戦うメノンや守るべき一般人への配慮が重なれば、言うことはない。
 巨大なドラゴンを召喚して戦わせる代わりに自身が無防備同然になってしまっているメノンは、それでも永一を信頼して超常を発動させているのだから。
「おぉっと、そこの黒いの」
 メノンを狙う輩へと、鋭くダガーを放って息の根を止め……いや、永一流に言えば『命を盗み取る』。
「うちのツレにお手付きは厳禁さぁ」
「ツ……ツレ!?」
 ドラゴンの召喚と行使に集中していたメノンが、永一の言葉にまたしても超反応。
 どこまでも愛らしい反応だと、永一は愉快げに笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

有栖川・夏介

来ましたね……。
欲をいえば、もう少しにゃんこをもふもふしていたかったのだが……残念。
とはいえ、仕事は遂行しないといけません。
それでは……(武器をかまえ、敵を見据えて)
「はじめましょうか。……サヨナラの時間です」
 
一般人を巻き込まないように、わざと大きく動いて見せて敵を引き付ける。
近づきすぎている一般人がいたら、不器用ながらも警告して遠ざける。
「危険です。死にたくなければ不用意に近づかないように」

敵をある程度引き付けたら、指定UCで攻撃。一掃を試みる。
「……これで終わりです」

さて、染井さんを狙ってコレを放った相手は、どこかからこの状況を見ているのだろうか……。
周囲を警戒。


桜雨・カイ

染井さんがそばにいてくれた方が猫たちも安心できると思います。
猫たちをお願いしますね

【練成カミヤドリ】発動
一部は一般人の防御(盾)に回し裏通りから遠ざけ、残りを攻撃に回します。

この影朧たちは何があってこんな悪意を持つまでに……
無意識に攻撃の手を止めかけたところで、扇に戻した精霊たちが手伝おうと反応

…先ほど楽しげに猫と遊んでいた精霊たちの姿を思い出す。
この子達を悪意の中に晒すわけにはいきません、私がしっかりしないと
ありがとう、いまは大丈夫です。

染井さんを狙っているなら、向かう進路は読みやすいはず
先回りして【破魔】の力を乗せて攻撃していきましょう



●守りたい、このもふもふ
「来ましたね……」
 茶色のネコチャンをもふもふする手を止めて、有栖川・夏介が立ち上がる。
(「欲をいえば、もう少しにゃんこをもふもふしていたかったのだが……」)
 残念、実に残念。けれどもこのしあわせ空間を守るためには、他ならぬ超弩級戦力たる自身が戦わねばならぬのだということも、重々承知していた。
「とはいえ、仕事は遂行しないといけません」
 窓の外を見て状況を把握すると、夏介は染井さんに一礼して店を出る。
「どうぞ、お気を付けて……」
 どことなくソワっとするネコチャンたちをなだめるように撫でて回りながら、染井さんは遠ざかる夏介の背中に言葉をかける。
「染井さんがそばにいてくれた方が、猫たちも安心できると思います」
 桜雨・カイは三毛猫のミィを染井さんに託しながら、それぞれの戦いをしようと提案する。実際、染井さんが外に出ても危険でしかないならば、ネコチャンたちを守っていてもらった方がずっと合理的でもあった。
「……分かりました、ご武運をお祈りしております」
 ミィを抱き上げながら、染井さんはカイにも頭を下げた。
「猫たちを、お願いしますね」
 その期待に、必ず応えてみせる。
 カイは精霊宿る扇を懐に、夏介の後を追うように裏路地へと飛び出していった。

 影が、伸びる。
 日中であれば陽の光を受けて、夜間であれば街灯に照らされて。
 人が、集まる。
 誰もが多かれ少なかれ悪意を秘めているのだとしたら、それを糧に生じる黒の落し子たちは、一度や二度叩いた程度では消え失せてはくれない。
 裏路地の影からぼこぼこと湧き出るようにおぞましい形を取る影朧たちを、夏介とカイは得物を構えてしっかりと見据えた。
「それでは……はじめましょうか」
 切っ先のない赫き剣で、まるで死刑宣告のように夏介が告げる。
「……サヨナラの時間です」
『アア、ァ、ア……!!』
 抵抗するかの如く呻き声を上げて、しかし夏介の方ではなく野次馬で残っていた一般人の方へと向かっていこうとする影朧たち。
「させません……っ!」
 カイが自身の本体であるからくり人形をユーベルコヲドで百体以上複製して、しかもその三分の一ほどを一般人を守る盾として陣形を組ませたのは、その時だった。
 そのまま残りの複製体で数にものを言わせた攻撃に転じようとしたカイを、背筋がぞわりとするような『視線』が射抜く。
 見ては、いけない。
 頭ではそう分かっているのに、視線の先を追ってしまう。

 ――どうして。
 この影朧たちは、何があってこんな悪意を持つまでに……。

 意図しないところで、繰り糸がつながった指先の動きが鈍る。
 それを察した懐の扇から、地水火風の四大精霊たちが助力せんと反応した。
「……っ」
 頼もしい気配は、けれど先程まで猫たちと楽しげに遊んでいた無邪気な存在でもある。
(「この子達を悪意の中に晒すわけにはいきません、私がしっかりしないと」)
 きゅいっ、と音を立てて再びからくり人形が動き出す。
「――ありがとう、今は大丈夫です」
 懐の扇をほんの一瞬だけ見ながらそう言葉をかけて、カイは再び奮起する。

 黒の落し子たちは、超弩級戦力たちよりも一般人を優先して狙う傾向にあるようだとカイと夏介は気付き始めた。
(「弱者を狙って行動する、ということか……?」)
 推測を立てながら、夏介はわざと大きく動いてみせて影朧たちを引き付ける。
 一方で、大立ち回りを近くで見ようとする命知らずの野次馬も身を乗り出す。
 それを視界の端に認めた夏介は一瞬顔をしかめるも、すぐに地を蹴って野次馬に伸びた影朧を叩き斬りながら、低い声でぶっきらぼうに言い放った。
「危険です、死にたくなければ不用意に近づかないように」
「は、はひぃっ……!」
 不器用ながらも人命を慮った夏介の言動は確かに伝わり、人々は素直に下がっていく。
 カイの破魔の力を乗せた攻撃もあり、再び湧いた影朧はその数を着実に減らしていた。
 仕上げとばかりに、夏介はひとかたまりになった黒の落し子を前に一度大きくくるりとその場で回転し――。

「お茶会を始めます――【何でもない今日に(デッドエンドアニバーサリー)】」

 ――ドガガガガガガガッ!!!
『アグァ……ッ』
 暗器、という武器がある。
 服の下に隠し持ち、不意討ちで相手を攻撃することができる小さな武器のことだ。
 針とナイフが、翻った夏介の服の裾などあらゆる場所から襲いかかり、密集していた影朧たちを一網打尽にしてみせたのだ。
「……これで、終わりです」
「……」
 夏介が剣を振るって影朧の残滓を払い落としながら呟けば、カイは小さく拍手を送る。
「さて、染井さんを狙って『コレ』を放った相手は、どこからかこの状況を見ているのだろうか……」
「そうですね、黒幕が染井さんを狙っているなら、遅からず姿を現すでしょう」
 夏介とカイは、油断なく周囲を警戒するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雪華・風月
【禍刀】

ふむ明らかに理性の無さそうな影朧…多分本命ではありませんか
とはいえ染井さんに杏里さんを狙うのであればわたし達の敵です

ミュージカルのダンスパート、なるほどそういう感じで帝都の人達に安心感をという策ですね…では雪華・風月。華麗に舞うとしましょう(雪解雫を構え)


はい、言いましたよねここは走り込みに使う道、足を使うのは…得意です!
霊脈に乗っての高速移動【竜脈使い】
彼らの視線より早く移動【ダッシュ】し足元を斬り『体勢を崩す』!
今です!

はい、良いアクションシーンでした
探偵業、猟奇探偵の方々は己が能力を超常まで極めた方々
やはりその業務も過酷なものなのですね


怨燃・羅鬼
【禍刀】

猫カフェに怪しい汚客惨だネ!これは猫カフェ殺人事件の真犯人では?
つまりこれは帝都探偵魅愉ー除狩の断簀破ー撮
荒威奴流探偵らきちゃん☆は火霊に調査に乗り出したまる!


探偵の忌奔その畏血!腸刺は足でだよ☆
助手さんが犯人惨を獲捕してくれたネ!
次はらきちゃん☆の出刃ンだネ!

腸刺は足で☆(ふぁらりすくんを蹴り上げ【怪力】)
焼焦を確保☆(ふぁらりすくんに火を吹き【焼却】)
半刃は☆お前断ぁー!(ジャンプしふぁらりすくんに乗ってそのまま『重量攻撃』)【地形破壊】

くふふ☆冥探偵らきちゃん☆Die割役だネ!



●らきちゃんこれプレイングやない怪文書や
 黒の落し子たちの攻勢は徐々に収まりつつあるが、完全にその勢いを削いだかと問われればもうひと頑張りが必要である。
 そこで『にくきう』から飛び出してきた怨燃・羅鬼と雪華・風月が勇ましく対峙した。
「猫カフェに怪しい汚客惨だネ! これは猫カフェ殺人事件の真犯人では?」
「ふむ、明らかに理性の無さそうな影朧……多分、本命ではありませんか」
 らきちゃん☆の名推理、今回のマネージャーたる風月さんに一刀両断されるの巻。
 もしかして、らきちゃん☆のマネージャー役は風月さんが一番ピッタリなのでは?
「とはいえ、染井さんに杏里さんを狙うのであれば、わたし達の敵です」
 黒幕ではないとしても、猫カフェー『にくきう』を――染井さんとその愛猫たちを狙うというのであれば、容赦はしない。よほど杏里さんがお気に召したようですね!
「つまりこれは、帝都探偵魅愉ー除狩の断簀破ー撮」
 ……へ???
「ミュージカルのダンスパート、なるほどそういう感じで帝都の人達に安心感を、という策ですね……」
 意思の疎通ができてる――!!! いや、字面で見るのと発音で聞くのとでは全然違うのでしょうけれどもこれは完璧に炎上系アイドルと敏腕マネージャーの構図! 完璧!
『ア……ウァ……?』
 これには影朧さんサイドも思わず困惑、いや本当にどういうこっちゃねん。
「荒威奴流探偵らきちゃん☆は、火霊に調査に乗り出した! まる!」
「では雪華・風月、華麗に舞うとしましょう」
 ずっどおおおおおん! 轟音と共にらきちゃん☆が愛用の拷問具……もとい商売道具のふぁらりすくんを(どこからともなく)取り出すと同時に、風月も愛刀・雪解雫を構える。
『アァ……?』
 とりあえず身の危険を感じた影朧さんもまた、ひとまず戦闘態勢に入ったのだった。

 誰よりも早く先手を取ったのは、風月だった。
「はい、言いましたよね。ここは走り込みに使う道、足を使うのは――」
 帝都の路地にも、霊脈は走っている。
 慣れた道ならば、それに乗るのも容易い。日頃の訓練の賜物というものだ。
「得意です!」
 ユーベルコヲド【縮地】、発動。誰も風月の動きを視認できなかった。
 それこそが風月の狙い。黒の落し子の視界に捉えられる前に動く!
『グ、ァッ』
 龍脈を活かした高速移動からの斬撃で、影朧の足元と思しき部分を盛大に斬り払う。
「今です!」
「探偵の忌奔その畏血! 腸刺は足で、だよ☆」
 えっと……たんていのきほんそのいち! ちょうさはあしで、だよ! ですね!!
「助手さんが犯人惨を捕獲してくれたね! 次はらきちゃん☆の出刃ンだネ!」
「いいから早くして下さい復元でもされたら厄介です」
 キメッキメのらきちゃん☆がくるくるりんとその場で愛らしく回転しながら口上を述べるのを、淡々とぶった切って急かす風月さん。うーんこの絶妙な探偵と助手コンビ。
「腸刺は足で☆」
 ご、いぃぃぃぃぃん!!!
 らきちゃん☆、ふぁらりすくんを恐るべき脚力で空高く蹴り上げたー!
「焼焦を確保☆」
 ぶ、おぉぉぉぉぉん!!!
 らきちゃん☆、舞い上がったふぁらりすくん目がけて業火を吹き付ける!
「半刃は☆お前断ぁーーー!」
 そしてらきちゃん☆自身も一度膝をぐぐっと屈めると、次の瞬間驚くべき跳躍力で、いまだ宙を舞うふぁらりすくんの上に飛び乗った! すごい!
『……!!!』
 影朧が、己に落ちる影の正体を見上げて絶句した。
 煌々と燃え盛る鉄の雄牛に乗った断罪者が、その首を落とす刃と共に落ちてくる。

 ――【惨禍型☆羅鬼羅鬼楽遺負☆振斧ー(ダントウケイ)】。

 ずどん!!!
 轟音が響き、路地裏の地面が盛大に破壊された。
 そこにはもはやぺんぺん草も生えない有様で、いわんや影朧をやという状況であった。
 懲りもせず残っていた野次馬の一般人たちは、完全に安全圏から魅入るばかり。
「くふふ☆冥探偵らきちゃん☆Die割役だネ!」
「はい、良いアクションシーンでした」
 立派に……立派に? いや立派に探偵役と助手役を演じきったらきちゃん☆と風月さん。風月さんは終始冷静に周囲を見回して、しみじみと言った。
「探偵業、猟奇探偵の方々は己が能力を超常まで極めた方々。やはりその業務も過酷なものなのですね」
 一般的な猟奇探偵の皆さんは拷問具でアタックとかしないと思うんですが、などという野暮なツッコミはなしで参りましょう! お疲れさまです!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎

出たなー!って、あれっ? ボスじゃなかったや。
んーんー、助けー、られー……なさそう。悪意のかたまりって感じ。
悲しいな。寂しいね。おれはとても残念に思うよ。

でも、だからやっぱり、あーさんとは違うね。
スーさんはねえ、真っ黒で影人間の人だけど!悪意の黒じゃないんだあ
自分みたいな人が増えないで欲しいって、増える世界に怒って、いっつも戦ってるんだよ
だからおれは尊敬してる!だれよりも!

よーしっ、いこーぜあーさん!
おれが肉体改造(UCね!)でパワフル!になって、ジャラジャラの数珠でまとめて縛る!そんでうつむかせる!
そーしたら周りに散らないぜ!
さあ、スーさん!ドッカンやっちゃってー!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】◎

……これは(思いっきり顰め面)
私の怪奇の姿と似ていて嫌な敵ですね
悪意を振り撒く――まるで人間の心を無くした私みたいだ……

……え、トーさん?
そ、そんなに称えられるとちょっと照れます……
でも、ありがとう。嬉しいです
トーさんの心強い言葉のおかげで、どんな悪意にも負けない気がしますよ

(ねこさんは敵を威嚇しながら影人間に神モフを押し付けている!)
ふふ、勿論ラトナも心強いですよ
あ、でもまだジェラってますね……?
(根深い)(もふって触れ合い&ご機嫌とり)

数珠で縛り俯かせるとはナイスですよトーさん!
例え視線が来ようと最後まで抗います
敵に雷(属性攻撃)を落とし纏めて蹴散らすまでは!



●負ける気せーへんズッ友やし
「……これは」
 店を飛び出し黒の落し子と対峙したスキアファール・イリャルギは、思いっきりのしかめっ面をしてしまう。
(「私の『怪奇』の姿と似ていて、嫌な敵ですね」)
 肩に乗せた猫妖精ラトナ・ラトリも、主の異変を感じ取ったか、モフ毛を逆立てつつ眼前の影朧を睨みつけた。
「悪意を振り撒く――まるで人間の心を無くした『私』みたいだ……」
 呆然と、スキアファールが唇を震わせながらそう呟く隣に、どかどかと追いついたのは茜崎・トヲルだった。
「出たなー! って、あれっ? ボスじゃなかったや」
 目の上に手のひらをかざして周囲を見回す仕草をしながら、ひと目で影朧の格を見抜くトヲル。
「んーんー、助けー、られー……」
 そのままむむむと目を細めてじっくりと影朧を眺めて、トヲルは言葉を紡いだ。
「なさそう。悪意のかたまりって感じ」
「……」
 断ずるトヲルに、隣でスキアファールが俯く。
「悲しいな。寂しいね。おれはとても残念に思うよ」
 二人の前には、何事か恨み言めいた言葉を数多の口から漏らす異形がぼこぼこと。

「でも、だからやっぱり、あーさんとは違うね」
「……え、トーさん?」

 突然くるりとスキアファールの方を向き、にぱっと笑顔でトヲルが断言したものだから、あーさんと呼ばれた好青年は肩に乗るラトナさん共々びっくりしてしまう。
「スーさんはねえ、真っ黒で影人間の人だけど! 悪意の黒じゃないんだあ」
 両手をぱたぱたと動かして、スキアファールの上から下までを指し示し、モノクロームの友をめいっぱい褒めて、褒めて、褒めちぎる。
「自分みたいな人が増えないで欲しいって、増える世界に怒って、いっつも戦ってるんだよ」
『オォォ……ゥオ……』
 影朧たちの口からは、きっと聞くに堪えない悪意に満ちた言葉が漏れ出ているのだろう。
 けれどトヲルは知っている、信じている、確信している。
 お前たちなどとスキアファールとでは――。
「だからおれは尊敬してる! だれよりも!!」
 ――全っ然、違う!
「そ、そんなに称えられるとちょっと照れます……」
 背中を丸めて、視線を逸らして頬を掻くスキアファール。ラトナさんは器用に背中に飛び移ってスキアファールから離れることがない。
「でも、ありがとう。嬉しいです」
 ぎこちなく笑いながら、友の想いに応える。
「トーさんの心強い言葉のおかげで、どんな悪意にも負けない気がしますよ」
「(ウウウウウ、シャーッ)」
 肩の上に戻ってきた神モフ・ラトナさんは全力で影朧を威嚇しながら、ぎゅっぎゅとそのモフ身をスキアファールの頬に押し付けていた。
「ふふ、勿論ラトナも心強いですよ」
 そう言ってふさふさの毛並みを撫でようとした影人間の手を、鋭く飛んできたしっぽビンタの一撃がはたき落とす。
「あ、まだジェラってますね……?」
 根深いなあ、などと思うもそれさえ微笑ましく、惜しみないもふもふを捧げてご機嫌取りという名のふれあいタイムを取ってみたり。
「よーしっ、いこーぜあーさん!」
「はいっ、トーさん!」
 かくして気力十分の二人と一匹は、いざ影朧へと立ち向かう!

 わあわあ、がんばれー!
 なんて呑気な声が飛び交う路地裏で、影朧と超弩級戦力が激突する。
 まずはトヲルの身体が突如上半身『だけ』はち切れんばかりにふくれ上がり、じゃらりと長い数珠――その名も「ジャラジャラ」を盛大にぶん回した!
「てやー!!」
『ギャッ!?』
 どんなに盛大に振り回しても不思議と切れることのない、菩提樹の実で作られたジャラジャラは、ぶん投げられるとたちどころに黒の落し子をまとめて縛り上げる。
「おもてをあげい、じゃなかった! うつむけー!」
「おおっ、数珠で縛り俯かせるとはナイスですよトーさん!」
 そう、トヲルの一撃で影朧はスキアファールたちを視線で捉えて悪意を増幅させられることもなければ、周囲に飛び散って一般人を害することもなくなった。

 ――どんなに取り繕っても無駄なのに。
 ――お前自身が、誰より分かっているくせに。
 ――バケモノめ。バケモノめ!

「……っ!」
 漏れ出る視線ひとつでも、苛まれる。
 けれど例え視線が来ようと、最後まで抗うと決めたのは自分だ。
 頬をくすぐるラトナさんの心地良さ。
 そして、共に戦うトヲルの心強さ。
 屈する理由など、何処にもなかった。
「さあ、スーさん! ドッカンやっちゃってー!」
 ああ――この無邪気さに、どれだけ救われているか。
 トヲルの声に、スキアファールは右腕をバッと天高く突き上げて、振り下ろす。
『ギャーーーーーーッ!!!』
 人の心に付け入る小賢しさを裁くような天よりの雷で強かに打ちすえて、一網打尽。
 モノクロフレンズの前に、敵など最初からいなかったかの如くに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月

あんなに可愛いネコチャン達と染井さんを狙うなんて。
酷い影朧だな。
ここは、染井さんにも、この辺を歩いてる一般人にも、もちろんネコチャン達にも…誰にも手出しはさせないぞ。
気をつけて立ち回るけど、万が一流れ弾が一般人に向くなら[高速詠唱、オーラ防御]で被害を抑えたいな。

ここは桜の都、帝都。
幻朧桜の見守る地。
あなたの帝都を守るために、幻朧桜の精霊様、周囲の植物の精霊様に声がけをして、俺に力を貸して下さい。

[高速詠唱、範囲攻撃]で木の根や蔦で敵を封じ込めよう。
敵が動いたり逃げたりしないように。
上手く封じれば、結果的に、周囲の一般人も、染井さんも、ネコチャン達も被害が出にくいはずだ。
それに、動きが止まれば、俺も攻撃を集中しやすいはず。

UC【精霊の矢】で敵を狙い撃とう。
周囲の植物の葉や枝が利用できたらいいな。
植物の精霊様、お願いします。

敵の攻撃は[カウンター]で対処出来るかな。
当たらなければ問題ないはずだ。
万が一、何か聴こえてきたら、風の精霊様に音波を防いで貰うか[呪詛耐性]で我慢しよう。



●みんなで守る、帝都の平和
 木常野・都月が店外に飛び出した時には、最初に現れた時と比べると目に見えてその勢いを減らした黒の落し子が、最期の悪あがきとばかりにうごめき続けていた。
(「あんなに可愛いネコチャン達と染井さんを狙うなんて、酷い影朧だな」)
 カフェー『にくきう』でふれ合った、ネコチャンたちと染井さんのことを思う都月。
 染井さんは非の打ち所がない優しい人で、そんな染井さんに愛されたネコチャンたちはみんないい子たちだった。
 ――守らねば。ざり、と地面を踏みしめる足に力がこもる。
「ここは、染井さんにも、この辺を歩いてる一般人にも、もちろんネコチャン達にも……誰にも手出しはさせないぞ」
『ウウ、ゥ、ア……』
 胡乱な言動で、見ているだけでも不安になりそうな影朧を相手に、都月は一歩も退かない構えを見せた。

 ふと空を見上げると、舞い散る幻朧桜が目に留まる。
「……そうだ!」
 都月は精霊が変じた魔法の杖をこつんと路地に突き、瞳を閉じて念じた。
(「ここは桜の都、帝都。幻朧桜の見守る地」)
 はらはら、はらり。
 薄紅色の花弁が、応えるように舞い踊る。
(「あなたの帝都を守るために、幻朧桜の精霊様、草木の精霊様――俺に力を貸して下さい」)
 ざわざわ、ざわり。
 街路樹や路地の植え込みに至るまで、あらゆる草花が都月の呼び掛けに応え始める。

 ――ごうっ!!

 鉢植えの蔦や幻朧桜の木の根がいっせいにその手を伸ばし、影朧の不気味な身体を縛り上げた。影朧は身悶えするも、ぎちぎちと締め上げられるばかり。
「よし……!」
 影朧の自由を封じてしまえば、結果的に周囲の一般人にも、染井さんやネコチャンたちにも被害は出さずに済ませられるだろう。
 それだけではない、都月自身も攻撃を集中させやすくなるというもの。
「行くぞ……草木の精霊様、ご助力下さいっ!!」
 都月の叫びに呼応するように、周囲の草花がざわっといっせいに音を立てた。
 次の瞬間、都月の周囲に無数の枝で出来た矢が生じ、黒の落し子めがけて飛んで行く。

 ――薄汚い狐めが、ヒトのフリして見苦しい。

(「っ……!」)
 風に乗って聞こえてきたのは、文字通りの最期の悪あがきか。
 悪意に満ちた声はしかし、すぐに風の精霊様の加護によりかき消される。
 そして、放たれた枝の矢が次々と容赦なく影朧へと突き刺さった!
『アア、アアアア……ァ……』
 叫び声が響くも、それもすぐに小さくか細くなっていき、それと同時に黒の落し子の姿も地面の影に溶け込むように消え去っていく。
 黒幕と思しき影朧が放った配下は、これで全て退治できたということになる。
 となれば、次こそいよいよ黒幕との戦いになる。
 都月をはじめ、超弩級戦力たちはいっそう気を引き締めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『黯党戦闘部隊『深闇』将校』

POW   :    凸式戦闘術
【闘気を纏った】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【同胞】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    死霊術式戦闘術
【銃剣】で武装した【同胞】の幽霊をレベル×5体乗せた【装甲車】を召喚する。
WIZ   :    「貴公らはこの欺瞞を棄ておくのか!」
対象への質問と共に、【冥府】から【亡き同胞】を召喚する。満足な答えを得るまで、亡き同胞は対象を【生前の得物】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は国栖ヶ谷・鈴鹿です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●やっぱり猫が好き
 差し向けられた悪意の塊『黒の落し子』たちを撃退した超弩級戦力たちは、程なくして現れるであろう黒幕についてそれぞれ推理を立てます。
 不審な点が、なかったといえば嘘になります。
 通りに出していた店の立て看板が壊されていたことがありました。
 染井さんが一瞬だけ、ただならぬ気配を見せたこともありました。
 超弩級戦力たるあなたたちは、そこで店の外に出て来た染井さんの姿を認めます。
 危ない、と店の中へ戻るよう声をかけようとして、染井さんが一振りの刀を手にしているのを見たあなたたちは驚きました。
「……皆様が猫たちと楽しく過ごして頂くにあたっては、全く無関係だと思い、言わずにおいたのですが……」
 予知の時点でも『染井さんはごく普通の一般人』と伝えられていたものですから、あなたたちが驚くのも無理はありません。

「私はかつて、帝都桜學府に所属しておりました」

 その告白と同時に、路地裏に強大な負の気配が生じました。
『そう――桜學府の烈士ともあろう者が、ネコチャン相手にデレッデレと、嘆かわしい』
 あなた今ネコチャンって言った? という風にあなたたちが振り向いた先には、峻厳な風貌をした一人の影朧がいました。
 染井さんが刀に手をかけますが、いくら桜學府で活躍した経験があるとはいえ、相手は強力な影朧。あなたたちは染井さんをかばうように立ちはだかります。
『退け、そこな軟弱者を私は斬り捨てねば気が済まぬ』
 どうして? 染井さんがあなたに何をしたと?
 当然の問いが超弩級戦力たちから飛び出せば、将校の姿をした影朧は厳しく言いました。
『言ったはずだ! 憂国の士たるもの、ネコチャンに現を抜かしている暇はない!』
 ええ……と、あなたたちの間に困惑の気配が漂うのも無理はありません。本当に申し訳ないと思っています。
『言っておくが、私は決して羨ましいなどと思ってはいない! 断じて否だ!!』
 あっ、自供した。そういう感じでした。
 染井さんは、苦笑いをしています。
「性別や立場などで、素直に『猫が好き』と言えない人も、多いですから……」
 つまりは、しょうもない逆恨みだったのでしょう。

 影朧の正体は『黯党戦闘部隊『深闇』将校』。
 元は憂国の士でありながら、政治的な不正や格差、搾取される人々を桜學府では救えないと絶望して、政府から離反した末に秘密結社に所属し暗躍する戦闘将校。
 ――そして、ネコチャンが好きで好きでたまらないのに素直になれない影朧。
 普通に戦って骸の海に還してもいいけれど、何らかの説得があれば戦闘が有利に進むかも知れません。
 説得が多ければ、転生までは行かなくとも、この場では納得してくれるかも知れません。
 猫カフェーを、染井さんを、帝都の平和を守るため、超弩級戦力たるあなたたちの最後の奮戦を期待します!
御桜・八重


(一般人の避難誘導から戻ってみれば、黒幕がお出ましに!)

………(ぷち)
もー、大の大人がゴチャゴチャと。
見苦しいにもほどがあるっ!

ズカズカと将校さんの前に歩み出て、
「好きなものは、好きでいいんだよっ。誰が何と言おうと!」
ビシィっと指を突き付ける!

かつては世の理不尽に憤った義侠の人だったんだろうね。
道を誤って影朧に堕ちてはいるけれど、
こんな逆恨みを拗らせているのは見てられない!

桜色のオーラを引いて突進、凸式戦闘術を迎え撃つ。
後ろの染井さんとネコチャンたちのところには絶対行かせない。
真っ正面から受け止め、一歩も引かずに気合いで押し返す!
「さっさと転生して、好きなだけネコにまみれなさーいっ!!」



●初手は直球ストレート
 花の帝都の一般人というのは、一概には言えないだろうけれど、基本的に野次馬気質のように思える。
 影朧絡みで騒動が起きても、つかず離れずの絶妙な距離を保って、帝都桜學府や超弩級戦力たちの大立ち回りをちゃっかり見学しては話のタネにしたり新聞の記事にしたり。
 そんなたくましい根性をした方々に万が一でも怪我がないようにと影ながら奮闘していた御桜・八重がようやくひと仕事終えて戦場に舞い戻れば、何とそこには黒幕の姿が!

『私は絶対にその男を許さん、邪魔立てするならば貴様らも斬り捨てる!』

 ちょうど染井さんと将校との間に駆け込む形になった八重は、耳に飛び込んできた将校の怒号に、常ならばはつらつとした表情をすうっと消した。
「……」
 ぷちん、と。
 何かが切れた音がして。
「もおおおおおお、大の大人がゴチャゴチャと……」
 信じられないほどに激おこな顔をした八重が、両の拳をわなわなと震わせた。
「見苦しいにも、ほどがあるっ!!!」
『何だ小娘、知った口を……っ!?』
 八重のえらい剣幕に、最初は動じない態度を見せていた将校が、さらに八重からズカズカと眼前に迫られて、さすがに言葉を呑み込む。
「好きなものは、好きでいいんだよっ。誰が、何と言おうと!!」
 将校の鼻先にズビシと人差し指を突き付けて、八重は世界の真理を叫ぶ。

(「かつては、世の理不尽に憤った義侠の人だったんだろうね」)
 青い瞳に強い意思を込めて将校を見据えながら、八重は思う。
(「道を誤って影朧に堕ちてはいるけれど、こんな逆恨みを拗らせているのは」)
 八重が指先を引っ込め二刀の鞘に手をかけるのと、将校が軍刀に手をかけたのはほぼ同時。二人の視線が交錯して――。
「見てられない!!」
『ほざけ小娘がッ!』
 ――が、きいぃぃぃん!!!
 かたや桜色のオーラが彗星のように尾を曳く猛烈な、かたや黒い闘気をまとった突進を伴った斬撃が、火花を散らして激しく激突する!
 ぐぎぎぎぎぎ、互いに一歩も退かずに鍔迫り合いを繰り広げる二人。
(「後ろの染井さんと、ネコチャンたちのところには……絶対、行かせない」)
 額にうっすら脂汗を浮かべながら八重が改めて決意を固めたとき、それは起こった。

「がんばれ、學徒兵さん!」
「そうだそうだ、好きなものは好きでいいんだ!」
「影朧なんかに負けないでー!」

 そう、それは八重が避難誘導で安全な場所にまで下がった一般人たちからの声援だ。
 それは間違いなく八重の力となり――将校の軍刀をとうとう押し返した。
『ば……っ』
 馬鹿な、と言おうとした影朧の懐は、軍刀を弾き返された勢いでがら空きだ。
「さっさと転生して、好きなだけネコにまみれなさーいっ!」
 ざん!! 陽刀と闇刀が交差して、クロス状の切り傷を確かに叩き込んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

桜雨・カイ
猫と遊んでしまうと軟弱になってしまうと?
それなら猫と戯れても強い事を証明すればいいんですね(にこにこ)

それならば私達と決闘しませんか?
私達が勝てば、これ(猫じゃらし)を握ってもらいます
素直になってもらいましょう、もふもふは正義です

UCで速度を上げて相手の攻撃を躱しつつ装甲車を【なぎ払い】、
隙ができたところで影朧から刀を取り上げます

…あなたの言う「ネコチャン」も小さいながら生きてます
この子達もあなたたちが守ろうとするものに入れてもいいと思うんです
だから触れてあげてください。
もふもふは正義ですが、同時に温かい命は人を強くするものだと思います

……今度転生したときは、遠慮なく小さな命に触れてくださいね



●大正義もふもふ
『死ぬかと思った……私はこれでもボス敵なのに一撃死する所だった……』
 初手から正論で説き伏せられ物理的にも斬り伏せられる危機を辛くも脱した将校は、胸元を押さえながら桜雨・カイに向き合った。
 色々な事情を察しながらそこは敢えてツッコまない粋な振る舞いで、カイは言った。
「猫と遊んでしまうと、軟弱になってしまう……と?」
『然様、ネコチャン相手に腑抜けるなど大和男子たるもの言語道断である』
 腑抜け。軟弱。どうやらその辺りにこの影朧はこだわっているようである。
 カイはほんの少しだけ口角を上げると、試すようにこう切り出した。
「それなら、『猫と戯れても強い』事を証明すればいいんですね」
 にこにこ、にっこにこ。
 普段は穏やかな好青年であるカイが、まるで悪戯を思いついた子供のように笑んでいる。
 影朧は、カイの目論見が読めずに一瞬狼狽した。
『な、何を言って』
「私達と決闘しませんか? 私達が勝てば『これ』を握ってもらいます」

 ――カイがそう言って取り出したのは、一振りの猫じゃらし!

『――っ! 超弩級戦力っていつもそうですね、影朧のこと何だと思ってるんですか!』
「素直になってもらいましょう、もふもふは正義です」
 勝負の申し出に乗るのか乗らないのか、しばしの沈黙の末に、答えは出た。
『貴様の挑発なぞ効かぬわ、その減らず口を二度と叩けぬようにしてくれる!』
 バッと将校が右腕を力強く振るえば、銃剣で武装した同胞たちの幽霊が満載になった装甲車が喚び出される。
 それを確かに見届けたカイもまた戦闘態勢に移りながら、将校が勝負に乗ってきた事実を確認した。
 全霊を以て応えよう――尊きもふもふのために!
 宙に浮かぶは『審判』のアルカナカード、それは天地が逆になっていた。
「新しい目標に向かって新しいスタートを切らなければならないが、気持ちの整理がつかない」
 そんな展開を暗示するとも言われる、審判の逆位置。
 まるで、目の前で己の偏った価値観に囚われ続ける、影朧のよう。
 だが、カイは違う。浮かぶ逆位置のアルカナを、強靱な意志で正位置に戻す!
「……行きます」
 運命を、切り開け。
 迫る幽霊てんこ盛りの装甲車を、尋常ならざるスピードと反応速度でひらりと躱し、その勢いのままになぎなたを振るって幽霊ごと装甲車を一気になぎ払った。
『馬鹿な……何が起きた!?』
「隙あり、ですね」
 驚愕する将校目がけて猛チャージをかけると、カイはすかさず将校の手から軍刀を奪い取った。
 ――代わりに、そっと猫じゃらしを握らせながら。

「……あなたの言う『ネコチャン』も、小さいながら生きています」
『ぐっ……』
 いかつい将校さんが猫じゃらしを握らされて打ち震える姿は、絵面的にめちゃくちゃシュールだったが、二人はいたって真剣だった。信じて欲しい。
「この子達も、あなたたちが守ろうとするものに入れてもいいと思うんです」
『……』
 いつの間にか、二人のそばには接待ネコチャンとして名高い白猫ミルクちゃんを抱いた染井さんが立っていた。
 染井さんも、にこにこしていた。
「だから、触れてあげてください」
『……っ』
 猫じゃらしを持つ影朧の手が小刻みに震え、ミルクがそれに反応して手を伸ばす。
「もふもふは正義ですが、同時に温かい命は、人を強くするものだと思います」
 さあ、とカイが一歩身を引いて、入れ替わりに踏み込んだ染井さんの腕の中のミルクが、将校の猫じゃらしにより一層手を伸ばした勢いでちょい、と将校の手の甲に触れた。
『――ネコチャン』
「……今度転生したときは、遠慮なく小さな命に触れてくださいね」

 目を見開いたまま、将校は光の中へと――とは、さすがにまだ行かなかった。
『ききき貴様の言い分は一先ず覚えておこう! それはそれとして私はまだ倒れぬ!』
 一応ボス敵ですからね、まだまだ頑張りたいお年頃ですよね。

成功 🔵​🔵​🔴​

有栖川・夏介

……ええと、なんと言えばよいのか…難儀な性格の方ですね?

根っからの悪人、というわけではないようなので、こちらから積極的に攻撃はせず、指定UCで相手の攻撃を躱し「懐の匕首」で応戦。

別に説得をしたいわけではないですが……、一つ個人的な話をさせてください。

好きだけれど素直になれない気持ち、理解できないわけではないです。
私もそうですから。
でも、そのままでいると好きなものも、自分も、いずれ傷つけ、必ず後悔する。(汚れたウサギのぬいぐるみをきゅっと握り)
俺みたいに苦しくなってしまう前に……好きなら素直になるべきだ。

わかっていただけないようなら、仕方がないので、本気でやるしかありませんね……。



●後悔しないために
 秘めたる想いであったはずのネコチャンへの愛。
 ぶっちゃけバレバレのバレなのだが、影朧は頑なにそれを認めようとしない。
 ついさっきも子猫の肉球という殺傷力の高いふれ合いをしたにも関わらず、まだ素直にネコチャン愛を認めて満開の桜と散る潔さがないという有様である。
『違う……私は、ネコチャンなど……』
「……ええと、なんと言えばよいのか……難儀な性格の方ですね?」
 そんな将校相手にどう反応したものかと思案しながら、有栖川・夏介が歩み寄る。
(「根っからの悪人、というわけではないようなので」)
 夏介は処刑人、けれど誰彼かまわず首を刎ねるなどという野蛮な真似はしない。
 こちらから積極的に攻撃は仕掛けず、様子を見ることにした。
『気の毒な人を見る目で私を見るな!!!』
「いや、決してそんなことは……」
『いいや間違いない! 私は気高き理想に殉じる軍人である! 何がネコチャンか!!』
 やだ怖い、この影朧いきなりキレ出した。
 キレた勢いで銃剣担いだ同胞の幽霊を山ほど喚び出し、装甲車に乗せてけしかけてきたものだから、さすがに夏介も対応に回らねばならなくなる。
(「あの幽霊たちも、同胞ということは猫好きの同胞、という意味なのでしょうか」)
 なんてことを考えていられる余裕があるのは、ひとえにユーベルコヲドのおかげ。

「次の一手は、もう見えました」

 それはまるで、棋譜が用意されたチェス盤を読むかのごとし。
 装甲車の進路を的確に予測して、完璧に回避してみせたのだ。
『小癪な!』
「まだまだ、です」
 将校の毒づきに色々な意味に取れる答えを返しながら、夏介は一気に将校との間合いを詰めると、懐の匕首を目にも留まらぬ速度で影朧の首元に突きつけてみせた。
『……私の首を掻くか』
「別に説得をしたいわけではないですが……一つ個人的な話をさせてください」
 鞘も柄も血で汚れた匕首が、半ば強制的に会話を成立させる。
「『好きだけれど素直になれない気持ち』、理解できないわけではないです」
 知った口を、という顔をする影朧に、夏介は言葉を続けた。
「私も、そうですから」
『……』
 最良の形での理解の示し方により、将校は一瞬言葉を失った。
「でも、そのままでいると――どうなると思いますか?」
 匕首を持つ手の反対には、汚れたウサギのぬいぐるみがあった。
「好きなものも、自分も、いずれ傷つけ、必ず後悔する」
 夏介の両の手に、力がこもる。
 絞り出すような声が、影朧の鼓膜を震わせた。
「俺みたいに苦しくなってしまう前に……好きなら素直になるべきだ」
『……貴様、は』
「わかっていただけないようなら、仕方がないので、本気でやるしかありませんね……」
『待て! 貴様の言い分は理解したが納得するかはまた別なので少し考えさせろ!!』
 匕首をぐぐっと寄せられて、思わず待ったをかける影朧の姿があったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎

でたな悪いや……つ……?? あれっ?(思ってたのと違うって顔であーさんを見る)
どうしよスーさん……にゃんさんの魅力で攻めてみる?
自分に素直になったらだめなことって、いーっぱいあるけどお……にゃんさんが好きなのは、隠さなくってもいーことだよね?

うんうん!じゃあ、あーさんはラーさんのすばらなみりょくで!宇宙の真理にきづかせてあげてね!
その間に、おれはへーんしんっ!
じゃーん!ビッグ・モフ!(ビッグボスみたいなアクセントで)
でかくてもふもふのにゃんさんに変身だぜ!
触っていいんだぜ?ほらふにふににくきゅーぽふぽふ!(装甲車を上からもっふり押さえる)

あっ、スーさんももふる?


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】◎

おや……?(同じ顔でトーさんを見る)
うーむ……ねこさんと触れ合えずに消滅は可哀想ですよね
ここは少し素直になってもらいましょうか
"好き"の隠秘はさぞお辛いでしょう?
分からせてあげますよ、ねこさんの魅力を!

ラトナ、出番ですよ
召喚された同胞たちは私が呪瘡包帯で捕縛します
あなたは将校の頭へ飛び掛かってください
あなたの神モフで、神肉球で、神ふみふみで!
ねこの魅力を存分に伝えるんです!
(高貴な顔でふみふみするねこさん
(但し撫でられそうになったら引っ掻く
(主以外には厳しい!

わぁトーさんでっかいねこもふ……
ふにふにビッグ・モフ……

えっ、いいんですか(うずうず)

(ねこさん三度ジェラる)



●もふもふの前に頭を垂れよ
 恐るべきかな、もふもふの誘惑。
 いかつい将校さんをも狂わせるのだから。
 その上超弩級戦力たちから口々に「You素直になっちゃいなYO」と実力行使を伴う説得を受けてしまい、こわくて悪いはずの影朧がすっかりただの苦悶する壮年男性に!
「でたな悪いや……つ……??」
「おや……?」
 猫カフェーを狙うわるいやつはやっつけてやるぞー! という意気込みでいたはずの茜崎・トヲルとスキアファール・イリャルギも、これには呆気に取られるばかり。
「あれっ?」
 あれこれいろんな意味で思ってたのと違う、という顔でトヲルがスキアファールの顔を見れば、それとまったく同じ顔でスキアファールもトヲルを見返した。
『何だ貴様らその態度は! 私は影朧である、もっとこう……畏怖の念を抱け……!』
 何かもうここまでの流れで既に畏怖も何もない気がするんですが。
 それがバレバレだからこそ、トヲルもスキアファールも相応の反応をしているんですが。
 今にも軍刀を振り回して大暴れしかねない影朧にくるりと背を向けて、プチ作戦会議を開く二人。
「どうしよスーさん……にゃんさんの魅力で攻めてみる?」
 二本の角がぶつからない程度の絶妙な距離感でスキアファールに寄りながら問うトヲルに、スキアファールはふむりと顎に手を添えた。
「うーむ……ねこさんと触れ合えずに消滅は可哀想ですよね」
 トーさんもスーさんもやさしい! 聖者かな? アッ片方はガチの聖者だった!
 意見の一致を見た二人は再び影朧に向き直ると、まるで影朧を受け入れるかのごとくに揃って両手を広げ、こう言った。
「ここは少し、素直になってもらいましょうか」
「自分に素直になったらだめなことって、いーっぱいあるけどぉ……」
 嫌な予感をビシバシ感じた影朧の将校が、軍刀を握る手に力を込める。
『貴様ら……これ以上私は貴様らに手玉に取られる訳には……ッ』
「にゃんさんが好きなのは、隠さなくってもいーことだよね?」
「『好き』の隠秘はさぞお辛いでしょう? 分からせてあげますよ、ねこさんの魅力を!」
『止めろォ!!!!!』
 これ以上まともに関わっていると本当に分からされてしまうと察したか、将校は軍刀を振り上げて強引に話をぶった切り、戦闘態勢に入った!

 スキアファールの肩に乗りながら、己は我関せずの姿勢で呑気にくはぁとあくびをしていた猫妖精のラトナさんが、主人の手でもふもふされて呼びかけられる。
「ラトナ、出番ですよ」
 ふわっふわのボディでラトナさんは一度んーっと器用に伸びをして、スキアファールと共に目の前に召喚された将校の同胞たちを見据えた。
『問おう! 貴様らはネコチャン相手に鼻の下を伸ばす腑抜けに世界が救えると思うのか!?』
 将校の鋭い声と共に、同胞たちがゆらりと迫る。
 この問いに満足の行く答えが出せない限り、攻撃は止まらない――!
 そこへすかさず手を伸ばしたスキアファールの指先から、あっという間に黒い包帯がしゅるりと伸びて、たちどころに同胞たちをぐるぐると捕縛していく。
「今です、ラトナ!」
「にゃっ」
 ジト目気味なお目々がキュートなラトナさんが、主の声に応じて驚きの跳躍力で、将校の軍帽の上までひとっ飛び。
『なっ……!?』
 見守っていたトヲルがラトナさんの見事な跳躍にわああと手を叩く。
「うんうん、いい感じ! じゃあ、あーさんはラーさんのすばらなみりょくで!」
 己もバシッと拳を掌に打ちつけて、トヲルは気合を入れた。
「宇宙の真理にきづかせてあげてね!」
『な、なにをするきさまらー!?』
 トヲルは不敵に、悪戯っぽく笑むと、その気配を爆発的に変化させる。

「いいの? よそ見してて」
「にゃっ」
『アッ……』
 軍帽越しでも伝わる……これは、神モフ……!
 ちょいちょいと額のあたりに伸びてくるお手々の感触は間違いない、神肉球……!
『アッアッ』
 これもう自分で問いかけた内容完全に忘れてますよね状態の将校さんに、ダメ押しの神ふみふみが軍帽越しに脳天を刺激する!
「どうです、伝わりましたか、ねこの魅力……宇宙の真理……!」
 スキアファールの言葉を後押しするように、高貴なお顔立ちで一心にふみふみをするねこさん。
『……おお……』
 将校が、震える手を持ち上げて、そんな神モフに触れようとする。
 すると。
「(気安く触らないでくれる?)」
『痛っ』
 爪を出した状態のお手々が将校さんの白手袋を襲う! 主以外には手厳しい!
 その間に、トヲルはと言えば。
「へーんしん! じゃーん! ビッグ・モフ!!」
『ビッグボスみたいなアクセントで変身した!?』
 はい説明ありがとうございます! トヲルが変身したでっかくてもっふもふのにゃんさんは、そのボディに飛び付いたらさぞや幸せになれるだろうというまろやかさ。
『くっ……! かくなる上は、数の暴力で……!』
 ラトナさんにぶっ叩かれた手をかばいつつ軍刀を振るえば、同胞たちが装甲車に乗って突撃してきた。
「触っていいんだぜ? ほーらふにふににくきゅーぽふぽふ!」
『『『アアーーーッ』』』
 巨大にゃんさんの前では、装甲車ごときネズミのおもちゃも同然よ!
 上から巨大なお手々でぎゅっと押さえつけてハイおしまい。
「わぁ、トーさんでっかいねこもふ……」
 黒包帯で将校の同胞をあらかた黙らせたスキアファールがトヲルだったねこさんを見上げて呟いた。
「ふにふにビッグ・モフ……」
「あっ、スーさんももふる?」
 雲の上から響くようなトヲルにゃんの声に、スキアファールがぱああと顔を輝かせる。
「えっ、いいんですか」
「フーッ」
 トヲルにゃん相手でも許されないようで、ラトナさんは三度ジェラって威嚇した。

『ゆるされない……ネコチャン……うぐぐ……』
 軍帽をもみくちゃにされながら、将校さんは目をぐるぐる回しておりました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霑国・永一

メノン(f12134)と

(メノンの反応が微笑ましすぎてついつい楽しんでしまったなぁ)さぁ、元凶のお出ましだよメノン(悪びれも無く)

(しかし猫好きバレバレじゃあないか…そうだ)ほほぅ、恐れるかい、将校とやら。どうやら数々の場を踏んだであろう将校であっても、好きなものを好きと言う事すら怖いと見えるねぇ。好きじゃない、とか言っても嘘つきの代名詞な盗人である俺どころか、一般人にすらバレバレだと思うなぁ

ってメノン、それは内緒さぁ。いけない子だ(ほっぺぐりぐりしてやりつつ苦笑い)

装甲車は狂気の使役で事故らせたり将校に指し向けるかな。
ほら、素直に言えない葛藤がそちらの動きを鈍らせてるよ(装甲車向かわせる)


メノン・メルヴォルド

永一さん(f01542)と

…もう、永一さんったら
熱い頬に両手を当てながら将校さんを見るね

アナタは、ガマンをしているの?
好きなものを素直に口に出せないのは寂しい、ね
何かを好きって言えるのはステキな事だと思うから
そして誰かと共有できたら、もっと幸せ

男の人でも猫さん好きはいるのよ
ほら、こんなに優しい顔で…
スマホを出しかけて、あっと気づく

むー…(頬がむにってなっちゃう
将校さんにも秘密なのね?

ハッとして、もう一度向き直る
えと、今は難しいかもしれないけれど
アナタが本当はどんな猫さんを好きなのか知りたいの
いつか一緒にお茶を飲みながら、猫さんを撫でましょう?

永一さんを援護するようにエレメンタル・ファンタジア



●花の乙女と悪い盗人
「(メノンの反応が微笑ましすぎて、ついつい楽しんでしまったなぁ)」
 眼鏡の奥で瞳を細めながら霑国・永一がそんな思いを口元に表せば、メノン・メルヴォルドが火照りの止まない頬に両手を当てながらぷぅと小さく呟く。
「……もう、永一さんったら」
「さぁ、元凶のお出ましだよメノン」
 メノンの視線を受けた永一は悪びれもせずに笑って、促すように色々な意味で打ちのめされて拳を握り震えている影朧の方を見た。
 メノンはそんな影朧の様子を見て、自然とこう言葉をかけた。
「アナタは、ガマンをしているの?」
『し゛て゛な゛と゛い゛な゛い゛』
 慈しみのこもった乙女の声に、明らかに何かを堪えているような声が返る。
 メノンは眉をハの字にして、胸の前で手を組むと言葉を紡ぐ。
「好きなものを素直に口に出せないのは寂しい、ね」
『……』
 見れば、軍帽がほんの少し傾いたまま。
 これは神モフネコチャンに散々ふみふみされた後なのだが、それを直す余裕さえないのだろう。
「(しかし、猫好きバレバレじゃあないか……そうだ)」
 目ざとく気付いた永一が、悪い笑みを浮かべてわざとらしい抑揚で口を開いた。
「ほほぅ、恐れるかい、将校とやら」
『ななな何を言うか!』
 言葉に煽られるように将校がどもりながら反駁するも、その言動自体が答えのようだ。
「どうやら、数々の場を踏んだであろう将校であっても、好きなものを好きと言う事すら怖いと見えるねぇ」
『黙れ! 私は恐れてなどいない!!』
 こうなるとますます意固地になってしまうのだろうか、将校は徹底的に否定する。
 そんな様子はいっそ哀れに見える。メノンは睫毛を伏せながら思いの丈をぶつけた。
「何かを好きって言えるのは、ステキな事だと思うから」
 隣に立つ永一の気配を頼もしく思いながら。
「そして誰かと共有できたら、もっと幸せ」
 まるで永一もメノンの胸中を察したかのごとく、援護射撃を放つ。
「好きじゃない、とか言っても嘘つきの代名詞な盗人である俺どころか、一般人にすらバレバレだと思うなぁ」
 言いつつあからさまな視線を遠巻きに見守っている一般人へと向ければ、皆一様にうんうんと頷いてみせるのだ。うーんこの満場一致感。

『くっ、どいつもこいつも……!』
 歯がみした将校が実力行使に出ようとした時、メノンが一歩踏み込んだ。
「男の人でも、猫好きさんはいるのよ」
 その手には、先程『にくきう』でたくさんの思い出を収めたスマートフォンが。
「(まさか)」
 これまで終始余裕の表情を浮かべていた永一が、初めて真顔になった。

「ほら、こんなに優しい顔で……あっ」
「ってメノン、それは内緒さぁ」

 慣れた手つきでスマートフォンを操作して、先程猫カフェーで盗撮に成功した永一とスコの子猫チャンとのツーショットを全画面表示にして、将校に見せかけたところで――。
「いけない子だ」
 スマートフォンを持つ手をそっと制しながら、永一が空いたもう片方の手でメノンの柔らかい頬をむにむにぐりぐりしてやりつつ苦笑いをしていた。
「むー……」
 二人の戯れは、まるでネコチャンとそれを愛でるにんげんのよう。
「将校さんにも、秘密なのね?」
『……』
 秘されれば気になる、というもので。影朧は何とももどかしそうな顔で震えている。
 それが今にも激高しそうなようにも見えたか、メノンはハッとなって向き直った。
「えと、今は難しいかもしれないけれど」
 両の拳をぐぐっと握り、乙女は心の底からの願いを告げる。
「アナタが、本当はどんな猫さんを好きなのか知りたいの」
『……』
 握った手をぱっと開いて、舞い散る幻朧桜をその手に乗せる。

「――いつか、一緒にお茶を飲みながら、猫さんを撫でましょう?」

 幻朧桜が、メノンの掌の上で渦を巻き始める。
 草木の属性が、嵐に乗って影朧を包み込む!
「永一さん――!」
『姑息な真似を!』
 軍刀を振るって同胞を喚び出し、装甲車に乗せてけしかける将校。
 その時を、永一は待っていたのだ。
「いいのを出したじゃあないか、俺にも使わせて欲しいくらいさぁ」
 永一はあくまで『そうしたい』という欲を見せたに過ぎないはずなのに?
 いいや、これこそがユーベルコヲド【盗み操る狂気の使役(スチールパペット)】!
「死ぬまでこき使うまでだよ」
 装甲車の一台が突然進路を変えたと思うや、味方であるはずの別の装甲車に激突する。
『何だ、何が起きた……!?』
「ほら、素直に言えない葛藤がそちらの動きを鈍らせてるよ」
 己の超常だとはおくびにも出さぬ、永一はあくまで将校の側に問題があると思わせることで更なる動揺を引き起こす。
『馬鹿な……そんな、馬鹿なぁ!』
 何故か(だいたい永一のせい)将校自身に向かってくる装甲車を間一髪躱しながら、将校はさらに動揺を激しくさせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜鳥・藍
やっぱりただの猫好きではありませんか。
憂国の士と言えど張り詰めたままではいつか心の線が切れてしまいます。
リラックスしてこそ最善の最良の仕事ができるというもの。
さあご一緒に猫さんをもふり、愛でませんか?

それとも……狼や犬の方がお好きなのかしら?
……憂国の士とあろう方が嘘をつかれるのかしら。この国も悲しいものになったわね。(わざとらしく溜息)
好きなものを好きと言えないのなら、きっとあなたが思う方々も本当の事を言えないままじゃないかしら?

それに堂々と愛でられないのならいっそ本当に飼った方がよろしかったのに。
そうすれば「うちの子かわいい」でだいたい何とかなります。押し通せます。



●初手で黒幕の正体を見抜いていらした藍さんだ!
「やっぱりただの猫好きではありませんか」
『核心を突くな!!!』
 半ば呆れた調子で夜鳥・藍が言い放てば、将校は四つん這いで打ち震えながら叫ぶ。
 ここまで散々超弩級戦力たちに色々な意味で攻撃を受けて、それでもなお素直になれない難儀な影朧を前にして、藍はもうひと押しだと確信した。
「憂国の士と言えど、張り詰めたままではいつか心の線が切れてしまいます」
 アッ、やっとネコチャンの話から離れられそう! などという淡い期待を感じた将校は、よろよろと立ち上がり藍に向き直る。
「リラックスしてこそ最善の、最良の仕事ができるというもの」
『確かに、貴様の言うことも一理ある……私もここらで、心を鎮めて』
 藍はひとつ頷くと、すっと将校に向けて手を差し伸べた。

「さあ、ご一緒に猫さんをもふり、愛でませんか?」
『断わる!!!!!』

 あわや藍の手を取りそうになった白手袋が光速で引っ込められ、軍刀にかけられる。
 つれない人、という顔で藍は頬に手を当てながら将校へと問うた。
「それとも……狼や犬の方がお好きなのかしら?」
『否!!! そういう問題ではない!!!』
 そうだそうだと言いたげに、将校の同胞がわらわらと召喚されて次々に装甲車へと乗り込んでいく。
「……憂国の士ともあろう方が嘘をつかれるのかしら」
 藍もまたユーベルコヲド【銀狼招来】で喚び出した翼持つ銀狼を傍らに置く。
「この国も、悲しいものになったわね」
 ハァーーーーーーーーーーーーーーーーァ、というクソデカため息が響く。
 間違いない、これは人間が心底失望したときの溜息だ!
『嘘だと!? 欺瞞だと!? それは私の方ではない、この世界が――』
「好きなものを、好きと言えないのなら」
 将校の言葉を断じるように、藍が語気を強めて言い放つ。
「きっとあなたが思う方々も、本当の事を言えないままじゃないかしら?」
『……くそっ』
 睨み合っていた装甲車と銀狼『白銀』だったが、やがて装甲車の方が自然と退いた。

 仕方がない方、と言わんばかりに、藍は言葉をかけた。
「それに、堂々と愛でられないのなら、いっそ本当に飼った方がよろしかったのに」
『……』
「そうすれば『うちの子かわいい』で、だいたい何とかなります。押し通せます」
『……そう、かも、知れなかったな……』
 将校の呟きに、藍がほんの少し目を丸くする。
 ここに来て素直になったか、というところか。
『……家族に、猫アレルギーの者がいなければ、そうすべきだったのかも知れない……』
 ちょっと込み入った事情があった――!!

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月


その、俺にはまだ少し難しいんだけどな?
影朧の人はさ。
ネコチャン可愛がる人を、嘆かわしいとか、軟弱者とか、色々言ってるけれど…

桜學府の烈士?憂国の士?というのは、可愛いモフモフを「可愛い」と認める潔さ?紳士?あれ?真摯?
まぁいいや、シンシな人じゃなくていいのか?

染井さんやネコチャン達は、良い人だし、良いネコチャン達だ。
妖狐の俺を受け入れてくれた。

憂国の士というのは、こんな良い人達を切り倒す悪党なのか?

そんな素直じゃない悪党はモフモフに屈するといい。

チィ、おいで。
UC【精霊騎乗】で大きくなったチィに乗ろう。

このチィはな。
まだ子供なんだ。
子供の産毛はな…癖がなくて、フワフワのクシュクシュなんだ。
この時期のフワフワを、味わうがいい。

チィで影朧を抑え込もう。
[野生の勘、第六感]で避けつつ、隙を見て影朧をチィでモフモフアタック!
倒さずに、影朧を抑え込もうか。

敵の攻撃は[カウンター、属性攻撃、高速詠唱]で、お化けを浄化しよう。
チィは月の精霊様。近寄ってくるなら月明かりで浄化されてしまえ。



●小動物の子供のポワ毛ヤバすぎ問題
『うちの子かわいいと堂々と言えたならば……否、甘い考えは捨てろ……!』
 もしかしたら有り得たかも知れない未来を語る資格が、影朧にありやしない。
 それを知るからこそ、将校は軍刀を杖代わりにして何度でも立ち上がるのだ。
「……その、俺にはまだ少し難しいんだけどな?」
 そんな影朧相手におずおずと話しかける木常野・都月。
 大丈夫、大半の人はこんなめんどくさい人相手にするのは難しいです。
「影朧の人はさ」
 どうしても素直になれず葛藤を抱えたまま、歯を食いしばって立ち上がる眼前の影朧を見て、都月は思いの丈をそのままぶつけた。
「ネコチャン可愛がる人を、嘆かわしいとか、軟弱者とか、色々言ってるけれど……」
『その通りだ! 小動物相手にデレデレと、恥を知れ!!』
 なんかもう半分以上自分を鼓舞すべく言ってるような気がしなくもないのが悲しい。
 それでも己の意地を通そうとする意思自体は非常に強く、悪くはないかも知れない。
 だが、超弩級戦力として都月はそれを受け入れる訳には行かなかった。
 凜として立ちはだかり、真っ正面から将校にこう問うた。

「桜學府の烈士? 憂国の士? というのは、可愛いモフモフを『可愛い』と認める……潔さ? 紳士? ……あれ、真摯?」
『落ち着け、言わんとすることはまあまあ伝わる』
「まぁいいや、シンシな人じゃなくていいのか?」
『私にも立場というものがあるのだよ、青年』

 意外にも、将校は落ち着いた様子で都月の問いかけに応じてくれた。
 だが、残念ながら相互理解には程遠い。
 今のままではこの影朧は、変わらずその手の軍刀で染井さんを狙い続けるだろう。
「染井さんやネコチャン達は、良い人だし、良いネコチャン達だ」
 白い子猫を抱いた染井さんを背中にかばいながら、都月は決然と言い放つ。
「妖狐の俺を、受け入れてくれた」
 ある意味異種族たる都月にも、分け隔てなく優しく接してくれたことは忘れない。
 だからこそ、守りたい。
 害するものを、許さない。
「『憂国の士』というのは、こんな良い人達を斬り倒す『悪党』なのか?」
『っ……、何とでも言え! ネコチャンに現を抜かしている暇はないのだ!』

 ――ネコチャンと戯れるひと時は、さぞや甘美であろう。
 けれども、それは現実逃避ではないのか? そう思ってしまうのだ。
 己がネコチャンとキャッキャウフフしている間にも、苦しみ嘆く人々は確かにいて。
 それに何より、いかつい己がネコチャンを愛でている姿など見られたら――。

『ああああああ、やはり駄目だ! 許されぬ!!』
「何かよく分からないけど、そんな素直じゃない悪党はモフモフに屈するといい!」
 突然頭を抱えて仰け反り叫んだ将校に、話は尽きたと都月が右腕を掲げた。
「チィ、おいで」
「チィ!」
 都月の肩の上にしれっと乗っていた月の精霊の子『チィ』が、とんっと路地に着地すると、たちまちその身体をざっと都月の二倍はある巨大サイズに変化させる!
 よいしょっとビッグ・チィにまたがると、都月は将校を見下ろす。
『毛玉風情が……!』
 将校が軍刀を振るうと、多分これ猫好きの同胞なんだろうなあという幽霊たちが装甲車に乗り込んでビッグ・チィに迫る。
「チィ、浄化してやろう」
「チィ!」
 大きな大きな瞳をチィが見開けば、月明かりのような眼光が幽霊たちを包み込み――次々と光の中へと溶けて消し去っていった。
『馬鹿な……同胞たちが……!?』
 驚愕する将校に、都月がぽふぽふとチィの身体を触りながら言った。
「このチィはな、まだ子供なんだ」
『なん……だと……?』
 それが意味することを察した影朧が狼狽え、都月があえて言葉にする。
「子供の産毛はな……癖がなくて、フワフワのクシュクシュなんだ」
 ぽわっぽわの毛玉の塊――それ即ち、もふもふ好きにとってのご馳走!
 ビッグ・チィは都月を乗せて路地裏を駆けると、あっという間に影朧の前に立つ。

「この時期ならではのフワフワを、味わうがいい」

 ――もふっ。
 為す術もなく、影朧はポワ毛のもふもふに呑み込まれていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪華・風月
【禍刀】

うるさいのでらきちゃんさん黙ってて下さい(妖怪用液状おやつをらきちゃんの口に突っ込み)

ネコチャンを愛する人を軟弱者と、それは聞き捨てなりません
中華の方では形意拳、動物の動きを取り入れた武術があります。つまりネコチャンと触れネコチャンを理解し動きを取り入れる。これは立派な鍛錬です!
軟弱?その様な鍛錬も見抜けない貴方こそ目が曇ってるのでは!


ただ真っ直ぐに相手の目を見つめ、同胞者たちはらきちゃんさんに任せ
周囲の動きを『見切り』ネコのように『忍び足』&『ダッシュ』
人の間を縫うように『受け流し』、ネコのような『早業』で掌底を
これが!ネコチャンの力です!

軽やかな身のこなし、音なく歩く歩行術…まさに秘密組織に必要な技法
さぁ、貴方もネコチャンと触れ動きを理解し取り入れればより強くなれるはずです…


それにしても染井さんが桜學府の者でしたとは…
もしや!?あの猫からの愛され具合は桜學府の技術!?
是非ご教授を!!
…(おやつをちゅ~っと吸い)

はい、今日の主役は杏里さんでした(猫を抱え)


怨燃・羅鬼
【禍刀】

くふふ☆まさかの展開?染井さんはごく普通の一般人だと思ったら桜學府
無論!荒威奴流探偵ならきちゃんにはバレバレ☆
…(おやつをちゅ~っと吸い)


敗☆ということで帝都探偵魅愉ー除狩、次の舞台だネ!
らきちゃん☆禍霊に舞うよ♪
らきちゃん☆怨ステージ!

バックダンサーと共に羅射武舞逝苦を持って狂~狂☆同胞さん達も合わせて大人数だネ!【ダンス】
ふぁらりすくんを持って装甲車に突撃☆これがらきちゃん流形意拳打ぁ~☆【重量攻撃】


あっ、マネージャーさんは少し落ち着こうネ!(人間用液状おやつを口に突っ込み)
ということで凶の放送は…主役盗られたネ!>ワ<
じゃあまた次回をお愉しみに☆                        



●ネコと和解せよ(迫真)
「くふふ☆ まさかの展開? 染井さんはごく普通の一般人だと思ったら元桜學府!」
 何故か一般人をかき分け染井さんの横を通るようにしながら登場したらきちゃん☆こと怨燃・羅鬼が、今日も絶好調のテンションでわいわい言いながら影朧の前に立つ。
「無論! 荒威奴流探偵ならきちゃん☆にはバ~レバレ☆ もごっ」
「うるさいのでらきちゃんさんは黙ってて下さい」
 クソデカ大声のらきちゃん☆を放置しておくとのっけから事態の収拾がつかなくなると判断した探偵の助手という立ち位置である雪華・風月が、らきちゃん☆の口に妖怪用液状おやつを突っ込んで、半ば強制的に黙らせたのだった。
「……(ちゅうちゅう)」
『然様、帝都を守る任務を捨ててまでネコチャンを選ぶとは……』
 ここまでの戦いで結構な回数ネコチャンなどのもふもふに弄ばれて、軍服にたっぷり抜け毛をつけた状態ながらも、影朧の将校は鋭い眼光で風月を睨む。
 だが、風月も負けてはいない。
「ネコチャンを愛する人を『軟弱者』と、それは聞き捨てなりません」
 腰に佩いた刀には敢えて手をかけず、風月は手首をクイッと曲げてみせた。
「中華の方では『形意拳』、動物の動きを取り入れた武術があります」
『……ほう?』
 将校の眉がピクリと反応する。
「つまり、ネコチャンと触れネコチャンを理解し、動きを取り入れる」
 風月の動きが何となくしなやかに、ネコチャンっぽく、それでいて隙のないそれに変わるのを確かに見たからだ。

「つまり、これは立派な鍛錬です!」
『鍛錬』
「そうです! 軟弱? その様な鍛錬も見抜けない貴方こそ目が曇ってるのでは!!」
『目が曇ってる』

 ただ真っ直ぐに影朧の目を見つめて言い放つ風月。
 誰が気付こうか、これこそがユーベルコヲド【桜學府流尋問術】である!
 嘘を言うことを憚られる純真無垢な視線は、真実を告げれば許されるが背けば色々な意味でダメージを受けるように仕向けてくる恐るべきものだ。
「敗☆ ということで帝都探偵魅愉ー除狩(みゅーじかる)、次の舞台だネ!」
 ここで液状おやつを飲み終えたらきちゃん☆がくるんと一回転して萌え袖を翻らせる。
『くっ……! 私は屈しない! 来い、超弩級戦力! 最後の勝負だ!!』
「らきちゃん☆ 禍霊に舞うよ♪」
 本来ならば風月目がけてけしかけられたはずの幽霊満載装甲車の前に立ちふさがり、らきちゃん☆は荒威奴流らしくビシッとポーズを決めた。
「らきちゃん☆ 怨・ステージ!!」
 いつの間にか手には「羅射武舞逝苦」――ライブ用マイクなのにどうして先端が槍になってるんですか???
「こまけぇこたぁいいんだよ☆ そっちが同胞ならこっちは罪人だネ!」
『地獄か???』
 骸の海から黄泉返った影朧もこれには真っ青、らきちゃん☆のユーベルコヲド【羅鬼羅鬼楽逝舞☆怨・捨慈(ジゴクノコンサート・オン・ステージ)】がぶち上がったのだ!
 装甲車など生温い、ふぁらりすくんよろしく燃え盛るライブステージに立つのはらきちゃんとお揃いの槍型マイクとライトスティック(の見た目をした鈍器)で武装した、罪人という名のバックダンサーたち。
「いっくよ~~~~~♪」
『『『ギャアアアアアアア!!!』』』
 らきちゃん☆ 絶好調! バックダンサーと共に羅射武舞逝苦を巧みに振り回してく~るくる、狂~狂☆
「わあ、同胞さん達も合わせて大人数だネ!」
『やめろ! 我が同胞たちを勝手にバックダンサー側にカウントするな!』
 どう見ても阿鼻叫喚の地獄絵図なのだが、らきちゃん的には盛り上がり最高潮。
 一方の将校さんからすれば、ペースに完全に飲まれてこれはマズいという状態。
「みんな~~~~~! 羅射武も苦羅威魔屈巣だネ~~~~~♪」
『『『ンギャアアアアアアアアア!!?』』』
 テンションマックスのらきちゃん☆、煌々と燃え盛る「ふぁらりすくん」を高々と掲げて装甲車にドゴオオオオンと突撃だ!
「これが! らきちゃん☆流形意拳打ぁ~~~☆」
 炎に包まれた罪人と幽霊とがモブ厳アニメよろしく高々と宙を舞う。これはひどい。

 一方の風月は、将校の必死の抵抗で振るわれる軍刀を、まるでネコチャンのようなぬるりとした身のこなしでのらりくらりと躱していた。
『くそっ、何という身のこなしだ……! ただの小娘と思っていたら……!』
「これが!」
 ひときわ大きく振り下ろした軍刀の一撃をも受け流し、がら空きになった将校の顎を目がけて――。
「ネコチャンの力です!!」
『が……っ!!』
 その一撃は、ネコパンチを思わせる目にも留まらぬ鋭い掌底であった。
 軍帽が宙を舞い、影朧が大きく仰け反る。

 ――どさぁっ!!

 遂に、影朧が路地裏に大の字になって倒れ込んだ!
 風月が傍らに立ち、見下ろしながら淡々と告げる。
「軽やかな身のこなし、音なく歩く歩行術……まさに秘密組織に必要な技法」
『……』
 将校は顔を掌で覆う。
「さぁ、貴方もネコチャンと触れあい、動きを理解し取り入れれば、より強くなれるはずです……」
 風月が穏やかにそう語りかけると、影朧は見えている口元だけを緩めて、笑った。
『そうだな……ネコチャンと和解し……そしていつか、この借りを返させてもらおう』
 将校の身体が、軍帽が、軍刀が――光に包まれていく。
 そうして、超弩級戦力だけでなく、染井さんや一般人たちも見守る中、影朧は満開の桜となって散っていったのだった。

 桜の花弁を最後まで見送った風月は、ひと息つくと染井さんの方へ向き直った。
「あの……今回は、本当にありがとうございます……」
「いえいえ、それにしても、染井さんが桜學府の者でしたとは……」
 染井さんと風月が、日本人特有のお互いお辞儀ぺこぺこの儀式をやっている。
 その最中、風月はハッと顔を上げてこうまくしたてたのだ。
「もしや!? あの猫からの愛され具合は桜學府の技術!? 是非ご教授を!!」
「あっ、マネージャーさんは少し落ち着こうネ!」
 染井さんが困惑する中、今度はらきちゃん☆が人間用液状おやつをぶち込む番だった。
「……(ちゅうちゅう)」
 微笑ましそうにそんな二人のやり取りを見守りながら、染井さんはこう提案した。
「あの……よろしければ、もう少しカフェーで猫たちと遊んでいかれては如何ですか?」

●エンディング
 帝都の片隅で、穏やかに営業される猫カフェー『にくきう』。
 人間、何がきっかけで恨まれるか分からないこともあるけれど。
 そういった世間のアレソレを、可愛いネコチャンとの触れあいで癒してもらおう。
「ということで凶の放送は……」
「はい、今日の主役は杏里さんでした」
「主役盗られたネ>ワ<」
 ロシアンブルーの杏里さんは、すっかり風月の推しネコチャンになった模様。

 ――ではまた次回を、お愉しみに☆

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年10月27日


挿絵イラスト