きらきら輝く、かき氷と花火
●氷炎散歩
幽世に突如現れたビーチ。妖怪親分の力はすごいものだと妖怪達は喜んでいた。
猟兵達が水着コンテストに勤しむ裏で妖怪達は、より海を楽しむ為に屋台の準備を進めていた。
「なぁ、親分達が花火を用意したって!」
「マジか! 太っ腹じゃん!」
「しかも『妖怪花火』って言って、花火の上を歩けるらしいぜ!」
「なんだそれ、よく分からんけどなんかすげェ! パネェ!」
「花火にちなんだかき氷とかウケそうじゃね?」
「あ~、花火柄にシロップとか果物でデコるんだろ? 超見たい!」
「ハッ、まさかここまで計算して妖怪花火を用意したのか……?」
「な、ナンダッテー! 流石親分達! 俺達にできない事を平然とやってのける!」
「そこにシビれる! あこがれるゥ!」
「こうしちゃいられねぇ! すぐ準備するぞ!」
新しい妖怪達は昔の漫画でよく見るタイプの走り方を見せながら、すたこらさっさと準備に取り掛かった。
●怜の情報
「今年はカクリヨファンタズムであったな。ある意味では予想外と言うべきだったが、なかなか良い感じではないか」
機嫌の良い振る舞いを見せる柳屋・怜(千年狐・f05785)。彼もまた涼し気な格好で猟兵達を迎える。
「さて、水着コンテストは落ち着いたが夏はまだ終わっていない。水着を揃えたこれからが本番と言っても過言ではないのだ」
猟兵達も知っての通り、新し親分『バズリトレンディ』が幽世にビーチ、即ち夏を楽しむのにピッタリな浜辺を作り出した。それを喜んだ妖怪達が何を行ったかと言うと。
「屋台を並べ始めたのである。様々な食べ物や遊戯のできる店を用意したようだが、我から皆へ誘いたい場所があるのだ」
彼の自慢の大きな尻尾が揺れる。
「夏に食べたいものと言えば『かき氷』であろう? これはこの時期に食べるから美味いのだ。我はぐるめなのでな、これくらいは認知している」
どやどや。そんな表情とオーラを見せ付ける怜。彼はどうしてもかき氷が食べたいようだ。
「かき氷と言えば様々な味があるのは知っておるな? 皆が認知しているであろう普通のかき氷もあれば、バズリトレンディの影響故か不思議なかき氷もあるそうだ。気になるであろう?」
二種類三種類のシロップは勿論、好きなシロップを選んでレインボーにもゲーミング色にもできる。果実入りの他、凍らせた果実そのものを削ったかき氷なんかもあるそうだ。
氷も荒い削りのものから砂のようにさらさらとしたもの、口に入れれば溶けるふわふわのものまで。並ぶ屋台を見歩くだけでも楽しいかもしれない。
「おっと、楽しめるのはかき氷だけではない。親分達が用意したという花火も楽しめるぞ」
花火と一言で言っているが、強大な力を持つ親分達がただの花火を用意する訳がない。
「なんと、『花火の上を歩ける』のだそうだ。我も妖怪から聞いただけで理屈は知らぬが……。花火の上を歩いたり座ったりできるのは面白いのではないか?」
歩ける、というだけあって熱さは感じないのだろう。不思議な花火もあるものだ。
「勿論、普通の花火も打ち上げられるそうだ。花火を上を歩きながらかき氷を食べて、花火を楽しむ……なんとも摩訶不思議であるな」
だが面白い経験にはなろうだろう、と怜は嬉しそうに話した。
「かき氷と花火、夏らしい事を二つも同時に楽しめるとは何とも贅沢だ。よければ、行ってみないか?」
改めて猟兵達に誘いの言葉を贈る怜。しかし彼の頭の中は、既にかき氷の事でいっぱいだ。
ののん
お世話になります、ののんです。
●状況
カクリヨファンタズムが舞台となります。
1章で完結する平和なシナリオです。
●当シナリオについて
分かる方に伝えるとするならば、これはイベシナです。
かき氷食べようぜ! 何でもあるぞ!
ついでに花火も楽しもうぜ! しかも歩けるらしいよ!
という事で夏の風流をいっぺんに楽しもうぜシナリオです。
かき氷がメインとなっておりますので花火に触れなくても構いませんし、
花火の上を歩かずビーチから眺めて楽しむという事も行って構いません。
フラグメントの選択肢は一例ですので無視して頂いて構いません。
もしご要望があれば、柳屋・怜(f05785)と過ごす事もできます。
●プレイングについて
受付は『#プレイング受付中』のタグ記載でお知らせしております。
キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
同時に投稿して頂けると大変助かります。
申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。
以上、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
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日が暮れても外はじんわりと暑さを残していた。
しかし、だからこそ海が涼しく感じ、かき氷も美味しく感じられるのだ。
「妖怪も猟兵さんも、かき氷いかがですかー!」
屋台から呼び掛ける妖怪達。お客も店番も楽しそうに交流をしている様子が見えるだろう。
「凍らせたスイカを豪快に削ったスイカき氷はいかがですか! 他にもメロンやマンゴーを凍らせたかき氷もありますよ!」
「うちはふわっふわの氷が自慢! なんとアイス付き! 味もバズりも間違いなし!」
「いやいやバズりってのは外見勝負だから……ゲーミングかき氷いかがですか! 暗い今ならなんと光る! 舌も光るよ!」
様々なかき氷を宣伝する妖怪達。どこの屋台も賑やかだ。
さぁ、かき氷を選んだら浜辺へ向かおう。花火大会はもうすぐだ。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
何だかんだで、猟兵になって一年以上経ってますね?(去年の6月)
夏休みも二度目ですしー。
うーん、あのときから考えると、こうして生者を連れているのが不思議なんですよねー?
私たちは死者ですから。陰海月も霹靂も、それを承知で来てますしねー。
いつか別れが来るでしょうが。今は楽しみましょう。
陰海月、好きなかき氷を一つ買ってもいいとはいいましたけど…。
※
陰海月(故郷:グリードオーシャン)、ゲーミングかき氷食べたので七色に光ってる。透明なのでどうやっても光る。
霹靂(故郷:ブルーアルカディア)、陰海月の光り具合に驚いてる。
二匹は友達。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)にとって、猟兵になってからは二度目の夏休み。一年が早いと感じるのは、この身体故か。
ただ、去年と違う事が一つ、いや二つ。自分達死者の集いだけではないという事だ。巨大なミズクラゲの陰海月と、ヒポグリフの霹靂の存在だ。
「うーん……あのときから考えると、こうして生者を連れているのが不思議なんですよねー?」
変わった子達ですね、と言いつつも懐かれている以上、嫌な気はしない。
彼らは義透が死者である事を知っている。それでも尚、今もこうしてついて来ている。不思議な組み合わせとなったが、どうせなら愉快な方が良い。
「どっちが先かは分かりませんけど……いや、その話はやめましょうか。今は楽しみましょう」
いつか来るであろう別れの事など、こんな賑やかな場所で考える事ではないですね。義透は二匹を撫でた。霹靂は喉を鳴らし、陰海月はふよふよ揺れた。
さて、屋台の並ぶ通りへ辿り着いた。二匹は驚いた様子を見せていた。見慣れないかき氷がたくさん並んでいたからだ。
「グリードオーシャンにはありそうなものですが、クラゲですしね……。ブルーアルカディアにかき氷は……あるんでしょうかねー?」
陰海月に顔はないが、ゼリー状の体を大きく揺らしているその姿から興奮しているようにも見える。霹靂も興味津々に屋台のかき氷をじっと見つめていた。
そんな姿を見れば見る程、何処となく微笑ましくなってくるもの。
「好きなかき氷、選んで来なさい。一つずつ買ってあげますから」
元よりそのつもりではあった訳だが。二匹は喜んでかき氷を選びに向かって行った。屋台の妖怪達も見慣れないお客の姿に驚いていた。
「はェ~でっかいクラゲ! そっちは何? 鳥と……馬? キメラ? どこの妖怪じゃ?」
ちょんちょん、と触手を伸ばしてかき氷を差す陰海月。
「え、これ? これがいいの? アンタ変わりモンだなぁ~。いや、ナウいって言うべき? あ、お金はいらんよ、持ってきな!」
妖怪がそのかき氷を渡すと、陰海月は両手(?)で抱えて嬉しそうに義透の元へと帰る。霹靂もそれが気になって一緒に帰って来た。
「おや……」
義透は首を傾げた。思ってたのと違うかき氷を選んで来たからだ。
それもそのはず、かき氷が派手に輝いていたのだ。
「好きなかき氷を買ってもいいとは言いましたけど……それ、食べられますー?」
心配そうに見守る中、レインボーに光るかき氷が陰海月の中へと吸収されていく。すると、なんという事でしょう。七色どころか1680万色に輝く巨大ミズクラゲが誕生したのです。
「ピィ……」
友達の予想外の変身に霹靂も驚いて思わず声が漏れた。驚きすぎてちょっとドン引きしたのかもしれない。
「……陰海月が美味しかったなら何よりですが……」
これ治るんですかね? と苦笑いを見せる義透。気付けば映えスポットとして周囲には妖怪達が集っていた。
そんな出来事に遭遇した義透は、ふと感じる。そうか、賑やかになるとはこういう事かと。
静かに過ごすのも好きだが、これも悪くないな、と。彼の顔は自然と笑顔になった。
大成功
🔵🔵🔵
灰神楽・綾
【不死蝶】
へぇ~、かき氷だけでこんなに屋台があるなんて驚きだね
凍らせた果物で作ったかき氷も美味しそうだし
エスプーマが豪快にかかっているのも気になるし…
気になるの片っ端から買って食べちゃおうか?
ちぇー、仕方ないなぁー
色んな屋台を見て回って目に留まったのは
店主さんが元気よく宣伝しているゲーミングかき氷
うわぁ、すっごい蛍光カラー
しかも本当に光っているよ、何これすごい
店主さんのセールスに乗せられてお買い上げ
これはしっかり写真撮ってSNSにあげないと
梓にも見てみて~とお披露目
ふふ、焔と零もこのかき氷の良さが分かるようだね
スプーンで一口すくって二匹に食べさせてあげる
ほら、梓もどーぞ(はいあーん、と
乱獅子・梓
【不死蝶】
いやいや、そんなに食べたら頭もお腹もキンキンに冷えるぞ
ひとつにしておきなさい(オカン
最近の綾の大食いっぷりを見ていると
本当に食べ尽くしそうなのが恐いが…
うーむ、今時風の洒落たかき氷も魅力的だが…
こうもたくさん種類があると、一周回って
昔ながらのレトロなかき氷が気になったりする
「氷」と書かれたカップ、じゃりじゃりと荒めの氷
色と風味が違うだけで実は全部同じ味のシロップ
だがそれがいい、みたいな
綾のかき氷は……なんかすごい色してる
アメリカ人が好きそうだなそれ??とか思った
でも焔と零は興味津々そうにしている
自分と同じ色したシロップの部分が気になるらしい
こいつらにも少し分けてやってくれ、綾
少し前まで世界滅亡の危機に陥っていた場所とは思えないこの活気。いや、それを乗り越えて手に入れた平和だから故か。
「へぇ~、かき氷だけでこんなに屋台があるなんて驚きだね。よくこんなに集められたなぁ」
屋台の通りをぶらりと歩くのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)。かき氷オンリーのこのゾーンは見ているだけで涼しさを感じる。
「タダで貰えるって聞くと、途端にどれも気になってくるよね。凍らせた果物で作ったかき氷も美味しそうだし、エスプーマが豪快にかかっているのも気になるし……雪女のかき氷? なにそれ気になる、色々と」
「確かにこれだけあると目移りするな。種類がありすぎて……一周回って最初は普通のやつを食べたい気もする」
決断の早かった梓と比べ、綾はなかなか決められない。屋台を覗いては唸り、そして次の屋台へ向かう。様々な屋台を転々と移動する事数十回。
「もういっか、気になるの片っ端から買って食べちゃおうか?」
「こら」
こういう時だけ妙に耳が良い。これがオカン気質という技能なのだろう。
「そんなに食べたら頭もお腹もキンキンに冷えるぞ。一つにしておきなさい」
「ちぇー」
仕方ないなぁー、と苦笑いする綾。こう言った事には怒られ慣れているといった様子。
(「最近の大食いっぷりを見ていると、本当に食べ尽くしそうで恐いんだよな……」)
梓も梓なりに心配しての事ではあるが、それが伝わっているのかは分からない。
「全く、結局ふらふら何処か行ったな……」
一人何処かへ旅立った綾を待つ為、『氷』と書かれた大きなカップに盛られたかき氷を先に食べていた梓。肩に乗った焔と零にもかき氷の乗ったスプーンを近付ける。耳元でじゃりじゃりと氷の砕ける音が響く。
「ふぅ、やっぱシンプルなやつは安定して美味いというか、落ち着くな。そう言えばシロップって実は全部同じ味なんだったっけな」
「キュッ
……!?」
そうなの!? という驚きの表情を見せる焔と零。
「まぁそこまでちゃんと食べ比べた事はないけど、だがそれがいい、みたいな」
仔ドラゴン二匹とそんな会話を交わしていると、そこへ綾が帰って来た。
「お待たせー。ねぇ見てみて~」
「おう、やっと来……おぉ……」
随分と上機嫌だなと思いながら振り返った梓。しかし口に出そうとした言葉はすぐに消え去った。
眩しい。視界がすごいチカチカする。なんだこれ。
「元気の良い妖怪さんが居てさ、つい選んじゃった。凄いでしょ、ゲーミングかき氷」
SNS用の写真撮ってたら長引いちゃった。そう嬉しそうに見せびらかす綾。ビームを放つミラーボールの如きかき氷に、梓は自分の食べているかき氷がいかに普通すぎるのかを改めて実感したという。
「……なんか凄い色してる。アメリカ人とか好きそうだな?」
「キュー!!」
「ガウ
……!!」
梓の反応とは裏腹に仔ドラゴン達には非常にウケが良かったようだ。興味津々にゲーミングかき氷を見つめている。
「うんうん、焔と零はこのかき氷の良さが分かるんだね。いいよ、一緒に食べよっか」
「あぁ、少し分けてやってくれ」
それぞれの体の色と同じ色の場所をスプーンですくって近付ける。ぱくりと一口で食べた二匹。が、次の瞬間。
「キュゥー♪」
「! ガウガウ!」
美味しかったのか喜んだ焔が炎を吹いた。なんとその炎はレインボーな蛍光色に輝いていた! それを見た零も真似して氷の息を吐く。やはりレインボーな蛍光色に染まっている!
「おいなんだこれ大丈夫なのか!?」
「わーすごいなー。ほら梓もどーぞ、あーん」
「うわっ、お前の口の中も光ってる!? てか何のシロップだよそれ!!」
それもきっと、梓の持つかき氷と同じ味なのかもしれない。
大成功
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天海・虎徹
斑鳩・椿(f21417)と一緒に参加
SPD参加
花火の上を歩くのか。ん?上ってことはつまり・・・
ま、まぁ、楽しみにしてるんだし、大丈夫、大丈夫
笑ってくれるなら俺のプライドなんて安いもんだ
かき氷を片手に持ち、片手は椿と手を握って空中散歩
高所恐怖症だけど頑張って耐える
自分の安っぽいプライドよりも楽しむこと優先
でも膝が震えたりちょっと腰が引けるのはご愛敬
適当なところで腰を下ろしてかき氷を食べる
(高いところは苦手だけど、楽しんでくれてるみたいだし、それで良いか)
女性と話した経験があまりないので、結構な照れ屋さん
斑鳩・椿
天海・虎徹(f19245)と参加
お待たせしました…お誘いありがとう。
水着…どうかしら。案外動きやすいのね
故郷にはない新鮮な光景を、相方を荷物持ちのようにしつつ狐耳と尾を振ってあちらこちらの屋台を楽しそうに覗く。
花火の上を歩けるみたい。……ね、行ってみましょ?
手を繋いでいたら大丈夫…ふふ、落ちる時は一緒よ?…なんてね。
高所が得意でない相手へ傾国の笑みで手を伸ばし。
花火の上ではお待ちかねのかき氷を食べながら空中散歩を楽しむ。
いちご味にしたけれど…何というか不思議な味だわ。
…ね、舌の色は赤くなってる?
「お待たせしました……ごめんなさいね、遅くなって」
浜辺で待っていた男、天海・虎徹(睡虎・f19245)の元へやって来たのは斑鳩・椿(徒花の鮮やかさ・f21417)。普段は和服に身を包んでいる彼女であるが、夏休みである事を理由に水着に着替えていた。ボディラインが強調されその姿は、彼女の持つ美しさをより引き出したものとなっていた。
「水着……どうかしら。案外動きやすいのね」
「う、うん。やっぱり凄く似合ってる」
目を逸らして頬を掻く仕草を見せる虎徹。少しそわそわしているのは、異性と話す経験が少ない故か。それを悪気がない事だと知る椿は、五つの尻尾をふんわりと揺らした。
「それじゃあ行きましょうか。こう見えて私、とてもわくわくしているの。故郷にはない光景なんだもの」
浜辺に並んだ屋台とかき氷。椿の感情を耳と尻尾が多いに表していた。そんな後ろ姿を眺めながら、虎徹も笑みを浮かべながら歩き出す。
色とりどりに並んだ、様々な種類のかき氷。妖怪達がこぞって集めた自慢のかき氷はどれも目を引くものばかり。
「これがかき氷なのね? 削った氷に色を付けて……きらきらしていて宝石みたい」
椿にとっては初対面のかき氷。屋台という雰囲気も合わさってか、彼女は次々と屋台を見回っていく。はぐれないようにと虎徹も後を追いながら、かき氷の説明をしてあげた。
「まぁ、これはスイカを器にしたかき氷? 紅玉が積もっていて、なんて贅沢なのかしら」
「果肉を凍らせて削ったものだな。氷とシロップじゃないから、冷たいスイカの味がダイレクトに楽しめると思う」
「なるほど、氷とは限らないのね。じゃあ、これは? なんだかかき氷ではなさそうだけど……」
「これもかき氷だ。クリームに見えるけど、削り方を変えるとふわふわのかき氷になるんだ。まぁ、雪みたいなもの……かな?」
「雪? 言われてみればかき氷ってそうかもしれないわね。……かき氷って奥が深いわ。私の想像以上よ」
その振る舞いは普段と変わらず落ち着いたものだが、彼女の尻尾は興奮を隠しきれていない。彼女の楽しんでいる様子を隣で見守る虎徹も、自然と笑顔が零れる。
「駄目ね、どれも気になっちゃうの。そうね……あなたのおすすめってあるかしら?」
「ん、そうだな。どれも良いとは思うが、やっぱり最初は――」
さらさらと静かに波打つ海の上には、打ち上げられた妖怪花火が時を止めていた。それだけでも不思議な光景であるのに、その上を妖怪や猟兵が歩いている。
かき氷を片手に持った虎徹と椿も妖怪花火の目の前までやって来た。気付けば握っていたその手を引きながら、先に足を踏み入れたのは椿だ。
「……あら、大丈夫?」
握った手が少し重い。振り向けば虎徹の顔は俯いていた。足元も少し覚束無い。それもそのはず、彼は高所が得意ではなかったのだから。
大丈夫大丈夫、と少し固い笑顔を椿に見せれば、それを見た彼女はにっこり微笑んだ。
「ふふ、安心して。手、離さないから。――落ちる時は一緒よ?」
なんてね、と。彼女のそんな言葉に、一瞬だけ恐怖を忘れられた気がした。
妖怪花火の上を歩く道中、遠くで華やかな花火が打ち上がった。その場で腰を下ろし、手に持ったかき氷を食べ始める。
「どうだ。花火の上で食べる、初めてのかき氷の味は」
「……うん、冷たい。何というか、不思議な味だわ」
いちごのシロップのかかった冷たいかき氷は、なんだか特別な味に感じて。
「……ね、舌の色は赤くなってる?」
「俺? 俺はどうかな……?」
「ふふ、私よ」
「あ、ごめん……」
舌の色も、照れた顔の色も、打ち上げ花火と同じ色だったかもしれない。
大成功
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オリビア・マイスナー
【特務一課】
折角のサマーバケーション、楽しまさせて貰うわ!(パラソルとかシートとか準備しつつ)
まずは海!模擬的な物なら知ってるけど、本物のなんて早々ない貴重な体験よ!行くわよ!(走り出してダイブ)
んで天城原、それって命令のつもり?だったら活用させて貰うわ!UC発動し砂浜みたいな悪路も突破できるサンダルだとか購入した物を詰め込み出来るクーラーボックスとか取り出して走破!そして確保!狙うは貴重な果物削ったかき氷!あと熱い物で焼き串とかも当然!
んで花火の上を歩くってのも中々ない体験ね……火花とか弾丸ならいつもだけど、それとは違う綺麗なものの上を歩くって不思議な感覚ね(猫耳ヘッドフォンぴこぴこ)
天城原・陽
【特務一課】8名
※幼馴染特殊呼び方
斑星=マダラ
初月=ウイ
(『たびのしおり』を手に一課の面々へ向け)
というわけで局長の粋な計らいでバカンスよ。修学旅行よ
っていうか浜辺作り出すって滅茶苦茶ね…なんでもありか
青い空!青い海!白い砂浜!
アーカイブの映画とかでしか見たことが無いマジモンの海よ!
さぁ行くわよあんた達!かき氷確保!!
あといい感じの食べ物があれば確保!!
豪遊よ豪遊!経費で落ちるわ!!
(浜辺ダッシュ)
戦果は上々ね
買占めなんてしないわよ。まぁマダラとグウェンがいるから多少はアレだけど
何、花火を上を歩くって?メルヘンやファンタジー?ああ、メルヘンやファンタジーだったわ此処
(空の上ではしゃぐ女子高生)
斑星・夜
【特務一課】
※名前の呼び方(特殊)
天城原・陽→ギバちゃん
初月・夕→ウイちゃん
雪丸・鳳花→雪丸ちゃん先輩
わーい!海だー!
オーケー、ギバちゃん!カキ氷!カキ氷やったー!
どれも美味しそう……皆、何の味にする?
俺はねぇ、妖怪さんがオススメしてくれた、スイカカキ氷がいいなぁ
へー、花火の上を歩けるんだね
それはすごく綺麗だろうな
天の川みたいなのかな、それとももっと違う感じに見えるのかな、ワクワクするね!
それに……キャバリアに乗らなくても、空の上にいるみたいでいいなぁ
花火の上を行く時は、一緒にいる友達の一番後ろの方を歩きます
皆が楽しそうな様子を見てほっこりしながら、のんびりカキ氷を食べつつ、ついて行くよ~
キリジ・グッドウィン
【特務一課】
「そんじゃ、グッドウィンくんよろしくね。僕の一眼レフ貸すから」…ハイ
局長による突然の引率・兼写真撮影係の任命。する事ないし別に構わねぇがアイツ等が大人しくするわけ(開始数秒)あ、無理だわ
ギバ(天城原)、マダラ(斑星)、ウイ(初月)、雪丸鳳花、オリビア、ティオ、グウェンドリン
駄目だこいつら…概ね食ってる時じゃないと止まらねぇ
そこ並べ、揃っての写真をご所望だ。
手前ェ等何してもうるせぇな!水分補給ちゃんとしろ。食い過ぎんなよ
(アドリブでお任せ)
走ってる所もカメラ性能と機械化された義足で速度を上げ撮影
頼まれたらやる。それが傭兵
……ま、満喫できたようでなにより。想い出作り?出来たかよ
雪丸・鳳花
【特務一課】
さあ!皆でバカンスだ!
夏といえば冒険!
冒険に未知の体験は付き物さ!
知らないカキ氷に出会えるチャンス!このチャンスを逃したら次はもう無いかもしれないからね!
青い海!白い砂浜!そしてゲーミングカキ氷!
ボクの舌もキラキラと輝いているよ!皆も輝いてみないかい?
それにしても花火の上を歩けるとは!
花火の上で歌って踊れる日が来るなんて!
ボクは感激だよ!ラーラーラー!
花火に負けぬ気持ちで楽しんで舞い踊ろう!
こうしてまた皆との大切な思い出が増えたね!
まだボクらの知らない事がいろんな世界で待っているに違いない!
また皆で修学旅行に行こう!
これからも学生を存分に満喫していこうじゃないか!
ティオ・ブリューネ
【特務一課】
修学旅行!
こんな大勢での旅行ってアタシ初めてだよっ
しかも海とか本とかアーカイブでしか見たことなかったから実物は初めてだし、すっごい楽しみっ
りょーかい陽さん、がんばって使い込むっす!え、故意はダメ?むぅ、経費での豪遊ってのもなかなか難しいね…
とりあえずかき氷っ!お店によって色々みたいだけど
アタシはあのふわふわしてそうなのがいいかな?味はー、ブルーハワイ?なにそれ?どんな味なんだろ…とりあえずそれでっ
…みんなのかき氷もちょっと気になるっすね、良ければ一口ずつ交換とかできないかな?
え、あの花火ってやつ乗れるんスか?深く考えたらダメ?むぅ、とりあえず見た目の華やかさを楽しめばいいのかな…?
グウェンドリン・グレンジャー
【特務一課】
しゅうがーく、りょこー(無表情のままぴょんぴょんする)
初めて、だなー、わくわく
海……も、あんまり、行ったことない、し
……子供の頃は、絵本、でしか、知らなかった、から。憧れてた、なー
えっとねー、えっとねー、私は、お肉とか、魚介類、の、串焼き、いっぱい食べるー
牛串、豚串、チキンステーキ、イカ、ホタテ、エビ
いーっぱい、買ってきた、から、皆で、シェア、しよー
(真顔のままひょいぱくひょいぱく。早くしないと多分食い尽くされる)
えっ、花火、の、上、歩ける……の?
未知の、体験……どきどき
(花火の上でくるくると踊る)
これが、俗に言う、セーシュン、って、やつ、かー
(目を閉じてしみじみ)
初月・夕
【特務一課】修学旅行、かぁ…学校行事とかだと都市内だけだったから、こうして外部で、ってのは初めてね
かき氷は…じゃあ『黄昏号』と同じこの黄色いシロップのやつで
(一口味見し)…レモンにマンゴー…バナナ? これ、よくある市販のと違って果汁、しかも同じ色合いの複数の果物組み合わせてるのね…結構好きかも 陽や夜も折角だし別の色頼んでシェアしま…って、ちょっ陽!?
豪遊ってあんまり無計画に片っ端から買占めとかやめなさいよ…!?
花火は…皆は空から見るらしいけど私は…下から見上げる方が好みかな
はしゃぐ陽の相手でちょっと疲れたし…悪いけど陽はキリジさんに任せます、私はゆっくり休みながら見上げさせて貰いましょうか
「わーい! 海だー! 修学旅行だー!」
「さあさあ、皆でバカンスだ! 冒険に行こう!」
「しゅうがーく、りょこー。ばかん、すー」
待ちに待った特務一課の修学旅行。水着に身を包んで思い思いにはしゃぎ始める一行。斑星・夜(星灯・f31041)と雪丸・鳳花(歩く独りミュージカル・f31181)と共に拳を突き上げるのはグウェンドリン・グレンジャー(Blue Heaven・f00712)。相変わらずの無表情ではあるがそのテンションは間違いなく高い。
「グウェンドリンさんはあんまり海行った事ないんだっけ? アタシも本でしか知らなかったから実物は初めて! 大勢での旅行も初めてっ!」
ティオ・ブリューネ(舞い射す光条・f31200)も嬉しそうに砂浜を蹴って跳ねる。昼間の海も楽しいものだが、日の落ちた後の海で遊ぶというのも何処か新鮮で心が躍る。早速妖怪花火のある海へ突っ走って行きたい所ではあるが。
「まあ待ちなさい! まずは準備からよ」
はしゃぐ面子を落ち着かせたのは天城原・陽(陽光・f31019)。
「準備? そうだねー体操は大事だね」
「違うわマダラ。いや合ってはいるけど」
一行を纏めようと、握り締めていた『たびのしおり』を見せ付ける。
「ま、局長の粋な計らいでバカンスを始める訳だけど……このしおりによると、まず最初に行わなきゃいけない大事なミッションが書かれていたの」
「何よ天城原。命令なら何でも言いなさい、いつでも万全よ」
旅行中でも手は抜かない。オリビア・マイスナー(Assault or Kavalier・f30125)が腕を交差させてウォーミングアップを始める。
「妖怪親分が作り出された浜辺とは言え人工じゃないの、ここはマジモンの海なのよ。そしてあそこに並んでるのはマジモンの屋台。もう分かるでしょ?」
陽はオリビア達へミッションの内容を伝える。
「さぁ行くわよあんた達! かき氷確保!! あといい感じの食べ物もあれば確保!! 分かったらダッシュ!!」
「オーケー、ギバちゃん!」
「りょーかいっす!」
「はいはいオーダー受諾」
勢いよく解散する一行。オリビアに至ってはユーベルコードまで発動して屋台へと向かって行く。
先まで集っていたその場所に残っていたのは八人中二人。
「やっぱ無理だったわ。無理に決まってんだろこんなの」
引率を諦めたキリジ・グッドウィン(what it is like・f31149)。委員長気質である初月・夕(夕月・f31197)もフォローはできず苦笑いだけを見せる。
大人しく大人の言う事を聞く訳がなかった。いや、喋らせる隙すら作らなかった。勝手に騒いで勝手に解散した。おかしい。
「まぁ……とりあえず私達もかき氷選びに行きましょうよ」
「何だよウイ、お前も楽しみたいくせに。いいから行って来いよ、俺は場所取りでもしてらぁ。あ、ついでに俺の分も持って来てくれると助かる」
写真は後にすっか、とその場に座り込むキリジ。局長から渡された一眼レフのカメラの動作確認をし始める。夕はぺこ、と一礼をしてからその場を離れていくのだった。
様々なかき氷が並ぶ屋台の数々。お祭りのような賑わいを見ると、その雰囲気に心も飲まれていく。つまりテンションが爆上がりする。
「ねぇねぇすごいね! すごいいっぱいかき氷があるよっ!」
「ああ、何という事だろうか。ここにはロマンがたくさん散りばめられている!」
興奮気味にティオが話し掛ければ、鳳花が大きく頷く。
「ふふ……それはつまり、ボクの知らないかき氷に出会えるチャンスが多いという事だ! これは逃せないね!」
「確かにこれだけあるなら食べ比べくらいはしたいわよね。って事でミッション開始!」
陽の掛け声と共に元気よく屋台を回り始める確保組。しかし走ると迷惑なので、あくまで早歩き、そして客の間を掻い潜るようにそっと進んでいく。それはそれとして屋台を眺めるのは楽しいので結局足は止まってしまうのだが。
「どれも美味しそうだよねー。皆、どれが気になる?」
夜の問い掛けにすぐ答える者はいなかった。これだけ並んでいると目移りして悩んでしまうのだ。
「えっとねー、絵本で見た、かき氷、あるかなー」
「絵本? よくあるシンプルなかき氷の事かな。私と探しましょうか」
遅れて合流した夕がグウェンドリンの手を握り、探しに向かう。
「そうだなぁ、アタシは……あ、あのふわふわしてそうなのがいいかな? 見た目がパフェみたいだからっ!」
「随分と種類があるわねこれ。じゃあ、ここのお店のかき氷全種類貰うわよ! 八人もいるんだし食べ切れるわよね!」
「かき氷はこのクーラーボックスに入れて頂戴。私が責任持って崩さずに保管するわ!」
ティオの見ていたふわふわかき氷をすかさず注文する陽。オリビアの準備もばっちりだ。
「じゃあ俺はねぇ……あ、あの妖怪さんの持ってるスイカのかき氷がいいなぁ」
「あぁ、果物をそのまま器にするタイプの果肉かき氷ね。スイカ以外もあるのなら狙い目かも。その屋台聞き出して次向かうわよ!」
「わーいやったー!」
やっと浜辺に帰還した確保組。うちわを扇ぐキリジにかき氷を渡そうとクーラーボックスを開けば、ぎっしりと色とりどりのかき氷が敷き詰められていた。
「ちょっ、何よこれ! いくらタダだからって無計画な豪遊は……っ!」
「大丈夫よ買占めまでしてないんだから。戦果は上々って事で」
ミッションを完了させた陽は満足気だ。夕は思わず大きな溜め息を吐く。
「わ、探してた絵本のかき氷あったんだね。俺のも見て見て、スイカとメロンのかき氷だよー」
「うん、これは、イチゴ味、だよー」
「アタシのはね、ブルーハワイ? って味のかき氷! ブルーハワイって何スか?」
「ハワイって地域の名だと思ってたけど果物だったかしら」
猫耳アイスが添えられたかき氷を持つオリビアが首を傾げる。
「あーもー落ち着かねぇな全く! てかちょっと待てよ一人いねェんだけど」
かき氷を受け取ったキリジがそう叫ぶと、確かに、声を揃える六人。少し見渡しただけで残りの一人はすぐに分かったのだが。
最後の一人は鳳花だった。誇らしげにその手に持っているのは、1680万色に輝くゲーミングかき氷。
「やあ! これが出会いと別れを繰り返し、やっと出逢った運命のかき氷だよ!」
彼女が口を開く度にレインボーな輝きが見える。既に食したのだろう。輝いているのは舌だけに留まらず、今にもレインボーなビームを発射しそうな勢いだ。
「ほら、皆も輝いてみないかい?」
カシャッ。
答える代わりにとりあえず一眼レフカメラで写真を撮った。人物の被写体一人目が彼女になるとは思ってもいなかった。後にキリジはそう語ったという。
「ギバ」
「何?」
「マダラ」
「はーい」
「ウイ」
「何でしょうか」
「雪丸鳳花」
「どうした、一緒に食べるかい?」
「オリビア」
「何よ急に」
「ティオ」
「どしたのキリジさん?」
「グウェンドリン」
「ん、なに、かなー」
「そこ並べ」
突然のキリジの発言。ぶーぶーとブーイングが巻き起こる。
「お説教? このしおり通りにちゃんと動いてるだけなのに?」
「違ェよ、揃っての写真をご所望だ」
なんだー、とくだけだ笑顔に戻る一行。
「それならそう言えばいいのにー。わーい記念写真!」
「俺は撮影係なんだよ。ほらさっさと並べ、かき氷持ってていいから。はしゃいでひっくり返すなよ!」
集めたかき氷の食べ合いや写真撮影も落ち着いてきた所で、海の方から何やら爆発音が聞こえてきた。花火の音だ。
「あれが噂の妖怪花火かしら?」
オリビアが猫耳ヘッドフォンをぴくりと反応させる。
「妖怪花火と普通の花火ってか。始まったなら混んじまう前に行くか」
キリジの言葉に全員が満場一致。かき氷を手に、妖怪花火の元へと向かおうとする中。
「あれ、ウイは行かないの?」
「気になるけど、私は……下から見上げる方が好みかな」
ちょっと疲れちゃったし、と夕は一人残る事にした。
あれだけ賑やかだった場所も、人が減ればあっという間に静かな場所と化した。自身の乗るキャバリアと同じ色のかき氷をしゃりしゃりと食べる夕。団体である分疲れるのは早いけど、それ以上にできた思い出は大きい。
外部の修学旅行も悪くはないと、そう強く感じながら花火を見上げた。
場所は変わり妖怪花火の上。まるでアーチ状の橋を登って天を目指しているような感覚。七人全員が不思議な感覚を抱いた。
「もう、メルヘンやファンタジーなんて突っ込んでられないわね。やめやめ。しっかり目に焼き付けておくわ!」
「深く考えたらダメっすね。とにかくピカピカする綺麗な天の川を歩いてる的なっ!」
なかなかにない体験に陽やティオが年相応にはしゃぐ。
「火花や弾丸を歩く……なんて事ならしてるけど、それとは違う綺麗なものの上を歩くって、なんだか新鮮ね」
「そうだね、キャバリアに乗らなくても空の上にいるみたいでいいなぁ」
オリビアや夜が言った通り、グウェンドリンを除く彼らはキャバリアのパイロットであった。キャバリアに乗って空中を飛ぶ事はあっても、武装もせず生身で空を歩く事など考えもしなかったのだ。
「ああ、花火の上で歌って踊れる日が来るなんて!」
感激した鳳花の後光がより輝く。花火に負けじとレインボーに輝く。
「やはり世界は広いな! こうしてまた大切な思い出が増えてしまった! また皆で修学旅行に行こう!」
「うん……これが、俗に言う、セーシュン、ってやつ、かー」
踊る鳳花につられ、グウェンドリンもくるくると回って踊ってみる。自分の足が、とん、と地に着く度にきらきらと輝く。
「未知の、体験……きっと、まだまだ、たくさん、あるんだろう、なー」
「多分な」
そう答えたのはカメラを構えるキリジ。花火の上を歩く友人達を撮り、そして今、彼女にレンズを向けた。
「思い出作り? 出来たかよ」
頷くグウェンドリン。響いたシャッター音。
「……ま、満喫できたようで、何より」
カメラを覗く彼の顔は、にやりと笑っていた。
大成功
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