現世の花火麗か浜辺かな、幽世もまた其れは変わらず
●風物詩
「諸君、夏休みだ」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、惜しげもなく自らの肢体を包む青いビキニ姿を晒しながらも、堂々と猟兵達の前で語り出した。
極端に短くも、それ故に的確に告げる言葉に、何となく察したような表情をした猟兵達を満足そうに見遣ると、スフィーエはゆっくりと頷いた。
「そう、夏休みだ。日々の戦いで大変だろうが、是非ともここで疲れを癒していって貰いたい。ゆっくりしていってね、という奴だよ。さあ……なんて」
そう言ってスフィーエはグリモアを輝かせると、いつものように上衣の代わりに、濡れた翼をはためかせ――るが、いつものような語りを行うこともなく、空気などを変えることもなく静かに微笑みながら語りを続けた。
「今日は敢て語りはしないよ。拍子抜けかもしれないが……いけないいけない。話が逸れてしまう。つまりだね……」
調子外れの言から逸れかけた話を無理矢理修正し、スフィーエは改めて、輝かせたグリモアからカクリヨファンタズムの夜を映し出した。
其処には美しい砂浜と何処までも広がる海の、fの揺らぎも聞こえてきそうな穏やかな水の揺蕩いが映し出されている。
夜空は大輪の花を咲かせるかのように、目にも鮮やかな色とりどりの花火が咲き乱れていく。
曰く、幽世の妖怪親分達が妖怪花火という特別な花火を用意してくれたのだという。
それは唯見るだけではなく、猟兵自身も打ち出すことが出来るので空へ急激に投げ出される感覚を味わえるだろう。勿論、安全面は十二分に配慮されているので問題もなく。
また、花火が空中に描く紋様もまた特別なものであり、その上に乗って歩くことで空中散歩――花火の様々な紋様を見ながらの散歩を楽しめる。
流石は妖怪花火というだけあって、実に面白いものだと楽しそうにスフィーエは語った。
「そういうわけだ。幽世の海辺で花火……とそのまま言うには少しアレだが、兎にも角にも一緒に愉しもうじゃないか、ということだ」
グリモアが映し出す独特な花火を説明し、スフィーエは満足げに腕を組みつつ頷いた。
「勿論、ビックリドッキリな花火ではあるが、静かに見て楽しんだって良い」
決して無理強いはしないし、寧ろ眺めることを楽しむのもまた在り方の一つ――当然、花火だけに拘る必要もなく、大抵のものは用意があるので何をしようとそれなりに楽しめるだろうと語り。
「兎にも角にも、楽しむことが最重要だ。他の客とかに著しい迷惑とかをかけるのでなければ、思い切り羽を伸ばしてみるのも良いのではないかな?」
私はこのように物理的に伸ばせるが、と冗談めかして青い翼を伸ばしてみせながら、スフィーエはカラカラと無邪気に笑ってみせた後に。
「さて、私からは以上だ。準備が出来たら声を掛けてくれたまえ。いつでも送ろう」
肌に張り付いた髪を楽しそうにかき上げ、山百合のオラトリオは羽根ペン型のグリモアを用いて休暇への道筋を描き出すのだった。
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
皆様水着コンテスト、お疲れ様でした。
十分に楽しめましたか?
さて、今回は夏休みのシナリオをお送りしたいと思います。
このシナリオは日常のみで一章構成となっております。
舞台はカクリヨファンタズムのビーチで、少し変わった花火などを存分に楽しみましょう!というシナリオになっております。
花火がメインとなっておりますが、フラグメントにはあまり拘らず、自由に海を楽しむなり何なり、良識の範囲内で楽しんで頂ければ、と。
水着の描写はイラストを指定して頂ければ参考にいたします。イラストの無い方も、プレで指定頂ければ描写いたしますのでお気軽に。
公序良俗等に反するものはマスタリングか不採用となります。
また、スフィーエはお声が掛かれば適当にお邪魔します。
プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
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四季乃・瑠璃
水着:瑠璃は青、緋瑪は赤のビキニ
【破壊の姫君】で分身
それぞれ、かき氷を手に花火を堪能
ちなみに緋瑪はメロン、瑠璃はイチゴ(+マイデスソース)
瑠璃「スフィーエさんもかき氷食べる?美味しいよ」(善意100%の笑顔で自分の氷を差し出す)
緋瑪「(瑠璃の背後で手で×印を作って全力アピール)」
花火を見たり、打ち上ったり、自分達もジェノサイドボムを(非殺傷)花火仕様で追加投入して花火を更に彩ったりして花火を堪能。
緋瑪「最近はイロイロあって大きな花火大会もやってないからねー」
瑠璃「こっちの世界くらいは良いよね」
●駆け引き
幽世の空を彩るは千紫万紅というのも過言でなき、実に色とりどりで、幾何学紋様の美しき火の花々だった。
定番の玉屋、鍵屋の掛け声もまた賑やかに、花火の爆音に彩りを添えてくれるものか。
その合間合間を、シャク、シャク、と赤と緑の色鮮やかな氷を口に運ぶ、それぞれ赤と青の均整の取れた身体を包むビキニ姿の眩しいそっくりな少女二人は、無邪気に氷と花火を楽しんでいた。
「最近はイロイロあって大きな花火大会もやってないからねー」
「こっちの世界くらいは良いよね」
まるで鏡合わせのように、二つの魂を二つの身体と分けた四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と半身の緋瑪は現世の世相を憂いつつも、幽世に昇る炎の花を楽しんでいた。
花火の齎す熱気を冷ますように、口に運ぶ氷の冷たさもまた心地よき中、瑠璃と緋瑪の下へ聞き慣れた旅立ち前の声が届いた。
「やあ、瑠璃君に緋瑪君。楽しんでいるかね?」
「「こんばんは、スフィーエさん!」」
偶々に通りがかったスフィーエの軽く挙げられた手に、それぞれかき氷を片手に元気よく瑠璃と緋瑪は手を振って応え。
スフィーエの問いに勿論、と頷いた上で挨拶もそこそこに
「スフィーエさんもかき氷食べる? 美味しいよ」
そう言って瑠璃が差し出してくるかき氷の上に掛かっているものは、色合いだけならば定番そのものといえる赤いソース。ただし甘やかな雰囲気はなく、仄かに鼻腔を刺激するカプサイシンめいた何かに受け取るべきか迷っていれば、案の定、瑠璃の後ろで緋瑪が腕を交錯させ掲げることで止めた方がいい、とアピールしているわけで。
「……、気持ちだけ受け取っておくよ。それよりもだ、君達の得意な爆弾をいい感じに応用して彩ってみてはどうかね?」
「うんそうしよう! 今すぐやろう瑠璃、せっかく期待されてるんだから!」
やや引き攣ったような顔でやんわりと断ったスフィーエの言葉に、すぐ様に主人格がこれ以上の悪意無きテロ行為を向けることの無いように、緋瑪は瑠璃の背後へと回る。
「え、緋瑪?」
背を押す半身の必死なことに気付くこともなく、怪訝な顔をしたまま主人格はそれもまた良いか、と無邪気な笑みを顔に浮かべ。
幽世の妖怪花火が残した足場を軽やかに駆けあがると、瑠璃と緋瑪はそれぞれに得意とする爆弾――無論、非殺傷の仕様だが――を取り出すと。
「「たーまやーっ
!!!」」
挙げられた声もまたに定番、されど返される鍵屋の歓声も掻き消すほどに、鮮やかに昇るは二人で一人が繰り出す炎の華。
得意とする爆弾の時に時間を置きつつも、幽世の花火にも劣らぬ鮮やかな炎の華や光の柱を産み出せば、幽世と現世の観客はそれを称える声で場の熱を高めていく。
幽世と現世の違いあれど、火薬の巧みな業は幽世の空を、人々を美しく彩り賑やかしていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
顔ICの水着を指定
花火大会か…休暇には良さそうだな
大祓百鬼夜行も終わった事だし、ゆっくりとさせてもらおうか
水着に着替えたら砂浜を散策しつつ、花火を楽しもう
打ち上げ花火に照らされた夜の海か…何とも美しい風景だな
妖怪花火の種類も様々で目にも楽しいな
UCを発動
ボリードポーチから冷えたソフトドリンクを出して喉を潤しながら、絶景を楽しんでいようか
ふむ、この紋様に乗れるのか
作りは割としっかりとしているな…何とも不思議なものだ
宙に映った紋様の上を歩きながら、海中へとダイブしよう
夜の海を漂いながら見る花火もまた美しいな
打ち上げ花火か…下から見ても横から見ても、その美しさは変わらないな…フフッ
●夜鳥絶景
――その光景は例えるならば、幽世に御霊を導く美しき使いがやってきた、とも称されるのだろうか。
現世寄りの来客も、幽世よりの見物客も暫しその【孔雀】の砂浜を歩く姿に見惚れる程に、彼女は――キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)はその存在感を強く示していた。
女性の魅力に溢れた極上の肉体を、清涼感も見事な青と白のコントラストが映える水着に包み。
妖艶な紫の髪に揺れる髪飾りの、孔雀の尾羽の七色が鮮やかに煌めき、そして広げて従えるショールの紋様は正に翼を思わせる――浜辺に現れた美麗な孔雀の如き姿のキリカは訪れた休暇を確りと堪能していた。
「フッ……悪くはない。大祓百鬼夜行も終わった事だし、な」
今暫くはゆっくりとさせて貰おうか――耳に届く花火の爆音と、歓声の熱狂を耳に流し。
色とりどりの花火の輝きに身を照らしては、キリカは砂浜を悠然と歩みながら、幽世の空に広がる花火を見遣り、場の熱狂に充てられた肌に微かな赤が差す。
「ぷはっ……」
されど火照りはポーチの異空間から取り出した、ライチの優雅な甘の中に塩気微かに入り混じる冷たいジュースが心地よく和らげる。
そうして様々な花火を目に楽しんでいると――
「ふむ、この紋様に乗れるのか」
勇気を出した幽世の住人よりの案内に従い、キリカは炎の紋様へと足をそっと付けた。
実体無き炎の輝き故に幾許かの不安もあれど、思いの外に足場は確かであり実体を持っているのとそう変わりはないだろう。
「作りは割としっかりとしているな……何とも不思議なものだ」
かくして歩ける花火の妙も、間近で広がるのに危険は一切にない不思議な熱も、ここが幽世という異界であることを強く思わせる。
暫くの間、広がる花火の煌めきを愉しむと、唐突にキリカはショールをふわりと広げながらその身を投げ出した。
花火の輝きに照らされ、水鳥が飛び込むかのように華美な姿に数多の心を奪いながら、水柱が立つと。
「打ち上げ花火か……」
程なくして水柱が消えた後の海面より顔を出し、張り付いた紫髪を軽く後方へ流すとキリカは両腕を広げ、海面に浮かびながら今尚花開く炎の芸術を見上げた。
「下から見ても横から見ても、その美しさは変わらないな……フフッ」
地より見上げては人の賑わいと熱を共に感じ、空の傍に在りては間近な光の輝きに眩しきの妙と照り返しの熱に惑い。
そして水の揺らぎに熱狂に火照った体を冷ましながらも、幾何学紋様の炎のアートを波の揺蕩いに歪めながら見上げる。
嗚呼、素晴らしく贅沢な時間か。纏わりつく水の揺らぎも、花火の爆ぜる硝煙と潮の匂いも、爆音と歓声と水音も――何もかもが真夏の夜の心地よき重奏を齎す中を、存分にキリカは堪能するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
水着2021を着用
乗って歩ける花火とは、また変わったものがあるねえ。
それならせっかくだし、花火に乗っかって散歩してみようか。
出店でジュースと食べ物を買ったら翼で花火の所まで飛んで行って、
食べ歩きしながら花火を眺めて回ろう。
んー、夜風が翼に当たって気持ちがいいねえ。
こういうのは、翼がある時じゃないと楽しめない感覚だね。
散歩の中でシエルフィートさんに会ったら、
水着と翼の綺麗さを褒めながら一緒に歩こうか。
食べ物が無くなったら【混獣生成】で作った鳥にゴミを持たせて、
ゴミ箱に向けて飛ばしたら、翼をたたんで上から海に飛び込もう。
うん、光の中を歩くのも楽しいけれど、
遠くから光の花を見るのもいいものだねえ。
●六つの青い翼
フリルの揺れる可愛らしきに、水色の縁取りが爽やかに踊る好印象――されど否応なしに目を惹いてしまうのは。
神々しさすら覚える程に広がる、大きな眩しい水色の翼だった。手足も水の輝きを思わせる透き通る鳥のような様相を呈し、正にセイレーンが現れたか。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)の腕には夜店で買ったものだろうか、幾つかの緑瓶や串焼き、焼きトウモロコシを数本抱え青い翼が天を翔ける。
「んー、夜風が翼に当たって気持ちがいいねえ」
様々な因子を内包した身ではあるが、こうして翼の形質を発現させれば、風を切り空を飛ぶ心地よきが味わえる。
上機嫌に翼を揺らし、花火の生み出した足場を歩んでいれば、同じ様にして青い翼を揺らす一人のオラトリオの姿が見えて――
「やあシエルフィートさん」
「おや、君は確か……ペトニアロトゥシカ君」
快い笑顔にペトでいいよ、と告げつつ緑瓶の一つを差し出せば、青い四枚翼のオラトリオはそれを受け取り、栓のガラス玉を押し込んだ。
乾杯と打ち合わされた硝子の音も涼やかに、ペトニアロトゥシカとスフィーエは肩を並べ花火の中を歩んでいく。
その中で不意に、ペトニアロトゥシカはスフィーエの身を見回すと、顔を綻ばせ。
「綺麗だねえ。その水着と羽」
「そうかい? 君の方こそ、立派な美しい羽をしていると思うがね」
片や青の濃淡に透き通るような四枚翼。
片やその大きさと眩しさが目を惹く立派な二枚翼。
どちらも負けず劣らずに目を惹く翼に、確かにと笑い合い、女二人はラムネの爽やかな炭酸が舌に弾ける感覚を味わっていく。
いつしか空となっていった空き瓶に、ビー玉の転がる音も涼やかに――串やら焼きトウモロコシの芯やらをも伴い、ペトニアロトゥシカが産み出した合成獣がそれを運び、丁寧に分別を行いつつゴミ箱へと捨てる。
「便利なものだね」
「まあねえ。ポイ捨てする訳にもいかないからねえ」
せっせと運ぶ姿を掛け値なしに賞賛するスフィーエに、軽やかに答えると、不意にペトニアロトゥシカは止まり下を見遣った。
何より目を惹いていた水色が徐々に仕舞われていくのを見、これからキマイラが行おうとしていることを察したオラトリオは気を付けて、と微笑みながら頷き。
「さて……」
そんなオラトリオにキマイラは同じく笑顔で答えた後に、勢いよくその身を海へと飛び込ませた――!
翼にまで纏わりつけば流石に重過ぎるので、畳んで正解だったかもしれない――今しがた飛び込んだ海の揺らめきを楽しみながら、足場から手を振るオラトリオに手を振って返し、ペトニアロトゥシカは空を見上ぐ。
「うん、光の中を歩くのも楽しいけれど、遠くから光の花を見るのもいいものだねえ」
青と金色のオッドアイに映るは、様々な眩しい花火の彩。
間近で見える炎の煌びやかも美しけれど、海の冷たきに身を委ね見上げる夜空の花も。水面に照り返しては揺らぐ鮮やかな炎色も。
選んだもう一つの正解に、セイレーンの化身は陽気に顔を綻ばせ幽世に咲く炎の華を楽しんでいく。
大成功
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ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(SPD)
シャーリーと一緒に色々な世界を回ってきたけど、空を歩ける花火なんて初めて見たぜ!
そんな訳でシャーリーを誘って遊びに行く。
(水着はステシ参照)
花火を見上げた事は何度もあるけど、見下ろすのは初めてだよな。
シャーリーの手を取り、【足場習熟】でバランスを取りながら空の散歩を楽しむ。
花火に彩られた夏の夜空を歩くという幻想的な景色に思わず心を奪われそうになる。
そして、その光に照らされるシャーリーの魅力的な水着姿にも。
慌てて目を逸らし、強めに手を握り、歩みを進める。
「……綺麗よだな、ほんと」
口から洩れた本音が、彼女に届かない事を祈りつつ。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(SPD)
妖怪花火だって!面白そう!
ウィーリィくんと一緒に挑戦するよ!
(※水着は今年の水着コンの水着姿)
ウィーリィくんに手を引いてもらいながら、夜空に咲いた大輪の花の上を歩く
「うわぁ…どんな原理なんだろこれ」
考えても無駄だってわかってるけどつい口に出ちゃう
それにしても今年の水着は去年よりも露出度多いんだけど、ウィーリィくんの目にはどう映ってるんだろ
彼は子供っぽいとこあるからその辺無関心なのかもしれないけど
あ、でも身体つきは前よりも大人になったかな?
けど、繋いだ手から彼の本音が伝わってくる
長い付き合いだもんね
ふふっ、やっぱり気になってるんだ
バランス崩したフリして手にしがみついちゃえ☆
●光と音に隠されて
――遊びに行こうと誘ってみれば、彼女は決して断らないだろう。
それでも誘う瞬間というのは幾許かの緊張もあるもので、快く応えてくれた彼女に有難味を感じたりもしながら。
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は幽世の花火が齎した紋様を足場に、紳士が淑女をエスコートするかのごとく相方の少女を連れ歩く。
「うわぁ……どんな原理なんだろこれ」
その相方の少女――シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は大輪の花々の軌跡に足をつけながら、今尚幽世に広がり、空に足場を残す鮮やかな花火を感じて疑問を呈した。
手を繋ぎ慎重に空中の足場にてバランスを取りつつ、真横に鮮やかに花開く火の芸術に、冷めやらぬ興奮を思うがままにウィーリィは口にした。
「今まで色んなものを見てきたけど、驚きだよな。初めて見たぜ!」
「わかるよ。凄くよくわかる」
色んな冒険は確かに経てきた。
思いもよらない原理で動く敵とか仕掛けとか、同じ猟兵の技とか様々に驚きを見てきたけれど、
勿論、考えたって無駄だということは分かるけれど。それはそれとして、いつ見ても未知の驚きは心を賑やかす。
「…………」
そんな心躍る事柄に文字通りに【胸を弾ませる】シャーリーの姿は、ウィーリィにとって刺激が強すぎた。
海賊帽を欠かさぬ彼女が珍しくそれを外し、金の二括りを青薔薇に飾り。非常にシンプルな黄金のような上下のセパレートとアンクレットのみ。
……なのだが、刺激が強すぎるのは健康的な小麦色の、実に女性らしい豊かな膨らみと引き締まった腰のラインを彩る水着としては、色の対比もあいまって互いを際立たせ過ぎていた。
身体の成熟に伴い、心の【セイチョウ】も強くなればこそに意識は日に日に強くなる――無体を働きたいとは思わないが、健全な青少年の範囲として、少なからずに想える相手の姿を、こう称する他無くて。
「……綺麗だよな、ほんと」
花火の爆音よ、どうかこの呟きを掻き消してくれ――なんて、あまりにも都合の良い願いを心に抱いておきながら。
最初から呟かなければ良いなんて思えない程に、手を繋ぎはしゃぐ彼女の姿は魅力に溢れ過ぎていて――何処か耳聡い面を見せる時もある彼女は、顔を向けて。
「えっ? 何か言った?」
「いや別に」
目を逸らし、誤魔化すように手を強めに握りウィーリィは歩みを速めていく。
意識の外へ生じてしまった思いを追い出そうとすればするほどに昂ぶり、胸は早鐘を打ち歩みは自分本位に速まるばかり。
されどもそれに確りとついていけてしまうのが、相方の少女の幸か不幸か。
「えー、絶対なんか言ったでしょ」
「ほんとに何でもない。気にするなよ」
「そう?」
じゃあそういうことにしておいてあげる、と言わんばかりに軽く笑み、ゆっくりとした歩調を取り戻していきつつも。
花火の鮮やかな七色の照り返しに、染まる頬の赤らみを視界に収めては素知らぬ振りのままシャーリーは内心呟いた。
(……ホントは気付いているけどね? 長い付き合いだもん)
だって、繋いだ手から幾らでも伝わってくるんだ。
不規則に強くなったり、弱くなったりを繰り返していたり、汗ばみが強くなっていたり――何よりも触っていて熱いと感じるのだから。
出会った時から確実に成長を遂げている、青年期に移りつつある身体――黄色の縁取りに鮮やかな赤だけのシンプルな水着が、尚更に年を重ねる毎の成長を際立たす――と裏腹に子供としての面も併せ持つ彼が、意識をしていないのかと思ってもいたけれど。
やはり意識はしてくれているようで、それを隠そうとしている姿が甘く可愛らしく、焦れったくもあって――
(やっぱり、ね?)
(……なんて、思っていたりするのかもな。だとしたら……)
自分の妄想であるならば都合が良過ぎる青少年の何とやらであるし、本心だとしたら彼女には、やはり敵わないのかもしれないとウィーリィは開いていく花火を視界へと映し、流し見ながら軽く息を吐き。
この身体の熱は炎の照り返しが産んだものだと、身体に帯びてしまった熱を追いやろうとしていた刹那――
「わっ!!」
「お、おいっ!?」
払おうとしていた熱を呼び覚まし、更に更に嫌な形で燃え上がらせてしまうのは、不意に当てられた柔らかな肢体だった。
花火の足場を踏み外しかけたシャーリーが、咄嗟にウィーリィにしがみつく形となってしまったのだろうか。
いや、もしかすると、もしかしたら。
「……えへへ。ごめんね?」
笑って見せながら謝る姿に、僅かな陰りが見えてしまうのはこれがきっと――だからといって、責められるものか。否。
「ったく」
仕方ないな――といったニュアンスを含めての舌打ちの中に、確かに緩んだ口元と柔らかな眼差しに、満更でもないと分かりやすく伝え。
気をつけろよ、と一つ声を掛けてから繋ぐ手の力を強め、体をより近く寄せ合いながら二人は歩んでいく。
一つ、また一つと花火の残した紋様の階段を歩みていく度に、幾度となく挙がっていく花火に二人子供のように歓声をあげながら。
無邪気に楽しむ子供の心の中に、二人は大人になりつつある心を以て確かにこう思う。
(――来年もまた……じゃなくて)
その先に続く言葉を敢えて語ることもなし。
残した紋様が足場となって続く幽世の花火が如く、この一時もまた一時でなく――。
●猟兵達の夏休み2021
かくして思い思いに、守り抜いた幽世にて猟兵達の夏休みは過ぎていく。
花火の彩に一つ加えてみる者、様々な角度から楽しむ者、炎の照り返しに想い紛れさす者――それはそれは様々に。
現世も幽世も変わらぬ賑わいを見せるかのように、何処までも幽世の夏浜は祭りに賑わっている。
されどもされど、いつの時か賑やかな安らぎの時は終わり、またいつか戦いの場へと身を置くのだろうか。
それでも今は唯、ゆっくりと思う存分に羽を伸ばしていくのも良いかもしれない。
まだまだ続く幽世の、真夏の盛りに休暇に興ずることは、いつしかに冷める時が来るまでに続いていく。
それは宛ら夜空に炎の華を咲かせては、消えゆく際の余韻にも美を訴える花火のように。
大成功
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