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可笑しな、お菓子な、甘い罠!?

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●恐怖のスイーツダンジョン
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。甘い香りが漂う道を進む学園の生徒達だったが、その表情は優れなかった。
「ねえ……これから、どうするの? 先輩達は、みんなお菓子にされちゃったし、出口に繋がる道はチョコクリームの壁で塞がれちゃったし……」
「仕方ないだろ、そんなの! 助けたくても、今の俺達に何ができるって言うんだよ!」
 突入時は8人ほどいたパーティメンバーは、減りに減って今やたったの2人だけ。先輩達は、ここに来るまでのトラップによって、全員がお菓子の中へ閉じ込められてしまった。
「とにかく、今は先へ進もうぜ。うかうかしてたら、俺達までお菓子にされ兼ねないじゃん!」
「う、うん……」
 目の前に伸びる真っ直ぐな通路。その先に、やけに重々しい雰囲気の扉を見つけ、残された二人の生徒は先を進む。が、彼らが通路の中ほどまで足を踏み入れた時……突如として天井から、大量の溶けたチョコレートが降り注いだ。
「ちょっ……な、なんだ、これ!?」
「これって……チョコレート!? で、でも、なんだか凄く重くて……ドロドロしてるよぉ……」
 見た目は美味しそうなチョコレートなのに、それはまるでタールの如く、生徒達の身体へと絡みつく。慌てて逃げようとしたが、時既に遅し。抵抗虚しく、彼らの身体はチョコの海へと沈んでしまい、そのまま茶色の像へと変わってしまい。
「……うふふ。これでまた、素晴らしいチョコレートが出来上がったわ。チョコの素晴らしさを伝えるために、もっと、も~っとたくさんの人を、チョコレートにしてあげないといけないわね♪」
 いつの間に現れたのだろう。既に物言わぬ塊となった生徒達に前に、一人の少女が現れて、満足そうな笑みを浮かべながら呟いていた。

●甘き誘惑の地下迷宮
「……と、いうわけで、アルダワ魔法学園の地下迷宮で、帰れなくなった生徒達を助けて欲しいの。別に、凄いモンスターとかいる迷宮じゃないんだけどね。途中に仕掛けられた罠が、なんというか厄介なのよ」
 そう言って、グリモアベースに現れたパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は、ポーチの中からお気に入りのマシュマロを取り出して食べつつ、猟兵達に語り出す。彼女の口から語られるのは、魔法学園の地下迷宮にて、行方不明になってしまった生徒達の救出任務だ。
「今回の迷宮なんだけど、フロアボスになったオブリビオンの力で、そこら中がお菓子で溢れているのよね。おまけに、侵入者をお菓子に変えちゃうトラップもあるから、迂闊に進むとお菓子の像にされちゃうわよ」
 パトリシアの話では、迷宮内はチョコレートを主体としたスイーツで溢れ返っており、壁も床も天井も、全てチョコレートが敷き詰められているという。また、迷宮内には様々なトラップも仕掛けられており、それに引っ掛かったが最後、お菓子にされてしまうというから笑えない。
 例えば、天井から大量のチョコクリームを浴びせられ、そのままクリームムースの像にされてしまうなどは可愛い方だ。場合によっては、クッキー生地をかけられたまま表面を焼かれてチョコクッキーの像にされてしまったり、巨大な容器に閉じ込められて、そのままチョコレートパフェにされてしまったり。
 挙句の果てには謎の部屋に引っ張り込まれた挙句、衣服の代わりに身体にチョコとクリームを盛られて、人間ケーキの像ににされてしまうこともあるのだとか。しかも、お菓子の像にされてしまうと身体の力を奪われてしまい、自力で脱出することも困難になってしまう。
「私の予知によると、このダンジョンの奥にいるオブリビオンが、チョコレート職人の女の子みたいなのよね。あ、でも、見た目は普通の女の子でも、手加減は禁物よ。油断していると頭からチョコレートをかけられて、そのままチョコの像にされちゃうかもしれないからね」
 彼女の目的は、迷宮内に迷い込んだ生徒達をチョコレートの像に変えること。現に、8名程の生徒達が犠牲になっており、このままでは犠牲者が増える一方だ。
 幸いにして、トラップに引っ掛かった者達は、菓子の中に封印されているだけである。彼らを覆うチョコやクリーム、ケーキやクッキー等を除去すれば、探索を進めながら救出することも可能だろう。
「そういうわけで、みんなにはお菓子にされちゃった生徒達を助けつつ、迷宮の奥にいるオブリビオンを退治して欲しいの。よろしくね!」
 チョコレートを食べるのは構わないが、自分がチョコレートにされるのは勘弁だ。最後に、それだけ言って、パトリシアは猟兵達を魔法学園の地下迷宮へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 床も壁も、全てがスイーツで溢れ返っている迷宮の探索依頼です。
 とても甘い香りが漂っていますが、迂闊に進むと自分がお菓子にされ兼ねないので注意してください。

 第一章では、トラップ溢れる迷宮を探索しつつ、そこに捕らわれた生徒達を救出していただきます。
 各種能力値で行える行動は、以下の通りです。

 【POW】トラップをも力任せに突破する。
 【SPD】トラップ発動前に走り抜ける。
 【WIZ】トラップを発動させないように慎重に進む。

 続く第二章でボスの部屋に続くチョコトラップの一本道を走破し、第三章でボスのオブリビオンとの戦いに挑みます。
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第1章 冒険 『突破難攻?状態変化だらけのお菓子迷宮』

POW   :    トラップをも力任せに突破する

SPD   :    トラップ発動前に走り抜ける

WIZ   :    トラップを発動させないように慎重に進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水野・花
テフラくん(f03212)と同行

トラップに注意しつつ犠牲者を探します。

犠牲者を見つけたら回りのお菓子を除去して救出します。ユーベルコードをぶっぱなしたら中の人も危なそうなので、優しく食べて救出します。……食べる必要は無いんですけどもったいないですしね。ペロペロ。

犠牲者がいる場所はトラップがある可能性が高くて危険なので救出中は「分け身の術」で出した分身ちゃんを離れた場所に待機させといて、もし私達まで固められてしまったら分身ちゃんに助けてもらいましょう。外からならお菓子を除去するのは容易いようですしね。

え、分身ちゃんの方に救出作業させれば良いのにって?……私もお菓子食べたいんですっ!


テフラ・カルデラ
花さん(f08135)と同行

お菓子の迷宮は以前にも行ったことがあるので大体何があるのか野性の勘と合わせて予想はできます…!
犠牲者を見つけたらお菓子を除去…ならぬ食べながら救助します!
流石に女の子は花さんに任せて、男の子はこちらで救助しましょう!
しかし…花さんはどうして分身にやらせないのですか?
あぁ…そういうわけですね!とっても甘いお菓子ですものね…誘惑に負けてしまいそうですよね…

ん…?この感じ…?しまった!?クッキー生地が足元に…!!
もしかしてこれ助けようとしたらトラップが発動するやつ…!?
うぅ…身体にまとわりついて…しかも上からチョコも降り注いで…あっ…動けな…
(後で無事分身に元に戻される)



●食べろ、お菓子トラップ!?
 甘い香りの漂う地下迷宮。お菓子の家を彷彿とさせる壁や床は、そのどれもがチョコレートの板で覆われている。
 甘い物が好きな者からすれば、なんとも夢のような迷宮だろう。もっとも、ここがオブリビオンによって変異させられた場所である以上、迂闊に踏み込むは命取りになり兼ねない……のだが。
「ちょ、ちょっと、テフラくん!? そんなに考えなしに進んだら、きっと罠が……」
「平気ですよ、それは。お菓子の迷宮は以前にも行ったことがあるので、大体何があるのか予想できますし!」
 信じるべきは野生の直感。水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)の制止も聞かず、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は本能の赴くままに、どんどん先へと進んで行く。
「はぁ……仕方ないですね。油断して、チョコレートにされても知りませんよ」
 もっとも、ここで放っておくわけにも行かず、花は溜息交じりにテフラの後を追いかけた。一見、何の変哲もないチョコレートの壁だが、それでも油断は禁物だ。いつ、どこで、どんな罠が発動するか、見た目からは全く解らないのだから。
「ん? もしかして、あのチョコレートの像が犠牲者でしょうか?」
 程なくして、通路を曲がって辿り着いた奥まった場所に、テフラは妙な形をしたチョコレートの像を発見した。
 どこからどう見ても、等身大のチョコレートにしか見えない代物。しかし、この迷宮の性質を考えると、あの中に人間が閉じ込められている可能性は大いにあるわけで。
「とりあえず、周りのお菓子を食べて除去しましょう」
 そう言うが早いか、テフラは脇目も振らずにチョコレートの像に齧りついた。濃厚な甘さが口の中に広がり、更に齧ると軽い感触が舌に伝わる。どうやら、チョコの中身はクッキーになっているようだ。
「う~ん……仕方ないですね。それじゃ、私も協力します」
 念のため、自分の分身を待機させておいた上で、花もまたチョコレートの像を舐め始めた。盛大に齧るのとは違い、舐めるだけでは時間が掛かってしまうが、それはそれ。中にいる者のことを考えると、間違って歯を突き立てでもしたら大変だ。
「しかし……。花さんは、どうして分身にもやらせないのですか? そちらの方が、早く済むでしょう?」
「え!? それは……私もお菓子食べたいんですっ!」
 折角、お菓子の迷宮にやって来たのだ。少しくらい甘い物を楽しんでも罰は当たらないだろうと言う花に、テフラも納得したように頷いて。
「あぁ……そういうわけですね! とっても甘いお菓子ですものね……。誘惑に負けてしまいそうですよね……」
 そういう自分自身、ちゃっかりチョコクッキーを楽しんでいるので、何も言えない。まあ、味は悪くないし、このまま食べ続ければ、直ぐにでも救出できるだろうと……そう、思った時だった。
「ん……? この感じ……? しまった!? クッキー生地が足元に……!!」
「えぇっ! そ、そんな……あ、足が取られて動けません……!!」
 足元に違和感を感じ、下を向いた時は、既に遅かった。
 床下から湧いて来るクッキー生地は、まるで意思を持ったスライムのように、二人の太股の辺りまでを覆っていた。なんとか振り払おうとするが、呪縛の魔術でも付与されているのか、絡み付かれる度に全身から力が抜けて行く。
「も、もしかして……これ、助けようとしたら、トラップが発動するやつ……!?」
「いや……か、身体が動かな……このままじゃ……」
 哀れ、二人は抵抗虚しくクッキー生地に覆われてしまい、追い討ちをかけるようにして、壁から炎が噴き出した。
「「……っ!?」」
 熱さに悲鳴を上げようとするが、声が出ない。そのままこんがり焼かれたところで、天井から噴射される大量のチョコレート。正に、ミイラ取りがミイラになってしまったわけだが……こんなこともあろうかと、花が分身を残していたのは幸いだった。
「……ぷはぁっ! た、助かった……のですか?」
「うぅ……ひ、酷い目に遭いました……」
 分身が力技でチョコとクッキーをカチ割ってくれたことで、程なくして二人は犠牲者の生徒共々救出された。
 こんなことなら、最初から食べたりせず、分身のやったようにコーティングをカチ割れば良かった。チョコレートを食べるだけならば、周りの壁を舐めるなり、砕いた欠片を持ち帰るなりする方法もあったはずなのだ。
 身体に付着したクッキーの残骸を払いつつ、二人は救出した生徒達に帰るための道を教え更に奥へと進んで行く。ここから先は、絶対に甘味の誘惑になど負けはしない。そんな決意を胸に秘め、元凶たるオブリビオンを撃破するために。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ティファナ・ラトシエ
猫矢君と一緒に行くよー

お菓子は大好きだけど、お菓子になるのはちょっとね
猫矢君も一緒にがんばろー

というわけで現場なわけなんだけど…
ここまで甘い匂いでいっぱいだとこれだけでお腹一杯かも…
とりあえず罠にかからないように気を付けて進まなくちゃね
猫矢君のバイクだったら一気に突破できるさー
ゴーゴー!
ってこのバイク床に沈んでない?
はわわわわ
これ罠だ!?
脱出ぅ!

うわぁ
バイクがチョコにされちゃった
だ、大丈夫
チョコさえとっちゃえば猫矢君のバイクも元通りだよ
多分…
ガンガン叩いてコーティング壊してみる

で、被害者の像も見つけたわけなんだけど…
これもとっととコーティングとっちゃえばいいよね
この調子でどんどん進んでいこう


猫矢・哲平
ティファナと一緒に乗り込むぜ!
甘いものは嫌いじゃねェが、これじゃ呼吸だけで血糖値上がっちまうぞオイ……
っつうか、食べ物で遊ぶなゴルァァァ!シメんぞオブリビオンコラァ!
オレのマシンで、トラップが発動する前にカッ飛ばすぜェ!ティファナと二ケツだ!
って、し、沈んでく!?クソッ、オレの相棒がァ!チョココーティングされたァァ!?
あああ!ティファナぁぁ!や、やめ、傷が付く!優しく剥がせやああァァ!!!
……オブリビオンの野郎、絶対ェ許さねェ……!ぐすっ
被害者もすっかりコーティングされちまって……相棒と一緒じゃねェか……
全員助けてやっからな!できるだけ優しく剥がしてやっから……!



●チョコ沼トラップの恐怖
 迷宮に漂う甘い香り。それは時に甘美な誘惑として探索者を魅了するが、いかに魅力的な香りとて、密が濃くなれば毒となる。
「甘いものは嫌いじゃねェが、これじゃ呼吸だけで血糖値上がっちまうぞオイ……」
「ここまで甘い匂いでいっぱいだと、これだけでお腹一杯かも……」
 果てしなく続く甘味ロードに、猫矢・哲平(天上天下・唯にゃ独尊!!!・f05488)とティファナ・ラトシエ(それいけいつでも全力駆ける戦乙女・f14022)の二人は、早くも気力が削がれていた。
 右を向いても、左を向いても、延々と続くチョコレートの壁。いや、壁だけでなく、床も天井もチョコレートで覆われており、もはやチョコレートでない部分を探す方が難しい。
 だが、ここで引き返しては猟兵の名折れ。未だ帰還できない生徒達がいることを考えると、一刻も早く助けてやらねばならないわけで。
「よ~し! オレのマシンで、トラップが発動する前にカッ飛ばすぜェ!」
「猫矢君のバイクだったら一気に突破できるさー! ゴーゴー!」
 愛車の後部にティファナを乗せて、哲平はチョコレートロードを疾走する。これだけ早ければ、そう簡単にトラップには捕まらないだろう。確かに、その考えは正しく、天井から降り注ぐチョコクリームや、押し迫るチョコの壁などは、華麗に擦り抜けて回避できたのだが。
「あれ? あそこにあるの、もしかして……」
「でっかいチョコプリンに、クリームムースってか? ありゃ、きっと犠牲者だな。間違いねぇ」
 開けた場所に、不自然に置かれた巨大スイーツ。それが犠牲者の成れの果てと知り、救助に向かおうとした時だった。
「……って、このバイク床に沈んでない? はわわわわ、これ罠だ!?」
「し、沈んでく!? クソッ、オレの相棒がァ!」
 フルスロットルで脱出を試みるも、タイヤがチョコに取られて動きが取れない。このままでは、自分達までチョコレートにされてしまう。仕方なく、苦渋の想いでバイクを捨て、チョコの沼を避けて飛び出した。
「もう、これ以上は無理だよ! 脱出ぅ!」
「畜生ォォォッ! 相棒……相棒がァァァッ!!」
 哀れ、チョコ沼に沈んで行く哲平の愛車。ロープを投げて、なんとか引っ張り上げたものの、その時には既に車体の全てがチョコレートでコーティングされてしまっていた。
「うわぁ……バイクがチョコにされちゃった。だ、大丈夫! チョコさえとっちゃえば、猫矢君のバイクも元通りだよ……多分」
 悲しみに暮れる哲平を慰めつつ、ティファナはバイクを覆うチョコレートを、力任せに剥いで行く。幸い、外部からの衝撃には脆いのか、チョコは容易に剥げ落ちて行くが。
「あああ! ティファナぁぁ! や、やめ、傷が付く! 優しく剥がせやああァァ!!!」
 固まったチョコレートを剥がすことを優先した結果、哲平のバイクはボロボロだった。走行には問題なさそうだが、車体はあちこち、傷だらけ。
「……オブリビオンの野郎、絶対ェ許さねェ……! ぐすっ」
 零れる涙を怒りに変えて、哲平は改めて被害者の閉じ込められているスイーツへと目をやった。
 きっと、これもコーティングされているだけで、外から剥がせば簡単に助けられるのだろう。もっとも、頑丈なチョコレートとは違い、目の前にあるのはプリンやムース。
 できるだけ優しく剥がしてやらねば、中にいる者を傷つけ兼ねない。慎重に、こそぎ落とすように洗い流したところで、哲平は改めて迷宮の奥底に潜むオブリビオンの討伐を誓うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐崎・早苗
味はよく解りませぬが、甘美な香りは確かに魅力。人により抗い難いものなのでしょう。
この場は適材適所とし、この早苗、お力になりましょう。

●探索【WIZ】
なる程、まるでからくり屋敷の如き。
ならば、【狐火の舞】を先行させ先をよく見ながら進むのが良いでしょうか。
壁が薄いようならば直接壁を破壊し進むのも、罠を避けられそうに思いまする。(思考がやや脳筋)
合間に救助者もお助けましょう。
掌底で砕くなり、狐火で焼き払うなり、刀で斬るなり。
助けた者はいちど【桐紋の治癒符】で癒やしたいと存じます。

入り口から空気の流れがどちらに向いているかを狐火で測りつつ意識し、奥へ。
迷えば【第六感】の赴くままに奥へと参りましょう。


片桐・公明
【WIZ】
「……」
迷宮を淡々と進んでいく。壁に仕掛けられた隠しボタンも、床に仕掛けられた感圧板も、足元に仕掛けられたブービートラップもすべて回避、あるいは解除して進んでいく。
丁寧に。一切の隙も見せずに。

誰かがトラップに引っかかりそうだった。首根っこ、あるいは襟首を引っ張って乱暴に助ける。

どうも普段より不機嫌のようだ。雰囲気はいつもと違う。とげとげしく近寄りがたい。自分から言葉を発したりせず。他の人に話しかけても会話をせず一言ぐらいしか発しない。何かあるのだろうか。


シシィ・オクトニーア
お菓子の迷宮にチョコレートの罠……魅力的な響きですが、人をお菓子に変えてしまうのはいけないことですよね。
生徒さんたちを助けつつ、元凶をやっつけちゃいましょう!
そのためにも、まずは迷宮の罠をなんとかしないとですね。
多様な罠があるとのことなので、ここはどーんと力任せに突破いたします。
どんな罠でも力任せでいけばなんとかなるはず、です!
罠は怪力と『瞬きの饗膳』の合わせ技で突破。
生徒さんたちの救助は救助活動を使って行います。
スイーツの罠ということなので、お気に入りのカトラリーをスプーンなどに変形して使用すると効率良いかもしれません。
これ以上犠牲になる人が出ないように頑張ります!



●強行突破! 食欲はパワーだ!?
「お菓子の迷宮にチョコレートの罠……。魅力的な響きですが、人をお菓子に変えてしまうのは、いけないことですよね」
「味はよく解りませぬが、甘美な香りは確かに魅力。人により抗い難いものなのでしょう。この場は適材適所とし、この早苗、お力になりましょう」
 茶色の壁が広がる迷宮に足を踏み入れ、シシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)と桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は、菓子にされてしまった生徒達を助けるべく歩を進める。だが、落ち着いた口調で語る彼女達の行動は、しかし随分と力任せで強引なもの。
「まずは迷宮の罠をなんとかしないとですね。どんな罠でも力任せでいけばなんとかなるはず、です!」
「確かに……壁が薄いようならば、直接壁を破壊し進むのも、罠を避けられそうに思いまする」
 シシィの言葉に、頷く早苗。見掛けによらず、二人とも随分と直情的で、細かいことはあまり気にしない性格なのかもしれない。
 どりあえず、目の前の道を進んで行き、行方不明の生徒でも見つかれば儲け物。そんな軽い気持ちで歩きだせば、早速、壁の罠が起動して二人に迫るが。
「壁で押し潰そうというのでしょうか? なるほど……まるでからくり屋敷の如き」
「でも、この程度なら問題ないですよ。おもてなしさせていただきます!」
 妙に感心した様子で感想を述べている早苗の横で、シシィが自信満々に、自分のグルメツールを射出する。
 相手がチョコなら、こちらはそれを砕くハンマーへと変形させて対抗しよう。ハンマーが食器か否かは微妙なところだが、UDCアース世界のとある国では、チョコレート専用のハンマーが売られているとか、いないとか。
「ふむ……終わってみれば、あっけないですね」
 粉々に砕け散った壁の欠片を横目に、シシィは更に奥へと歩き出した。頭を使って攻略するだけが、迷宮突破の方法ではない。食欲こそパワー、甘い物こそ正義だと、迫り来る罠を払いのけながら進む彼女の背中は、なぜか少しだけ輝いて見えた。

●謎のクッキーパネル
 襲い来る様々な罠を強引に突破し、猟兵達は先を進む。
 吊り天井に迫る壁、巨大な岩……もとい、巨大トリュフでも、なんでも来い!
 正に無敵といった様相で進むシシィと早苗だったが、しかし入り組んだ通路を抜けたところで、目の前に広がる床を見て思わず足を止めた。
「これは……チョコレートクッキーでしょうか?」
「今までとは、少しばかり勝手が違う気がいたしますね」
 様々なトッピングを施されたチョコレートクッキーの床を前に、さすがの二人も思案した。
 これもきっと、何かの仕掛けに違いない。だが、それが何なのか解らない以上、考えていても仕方がない。
「まあ、何かの罠があったとしても、なんとかしてしまえばよいのでしょう?」
 今までと同じように、困った時はパワーで解決すればよい。そう思って歩を進めたシシィだったが……次の瞬間、襟首を誰かに掴まれて、強引に元の場所へと引き戻された。
「……いい加減にして。死ぬつもり?」
 見れば、いつの間に追い付いていたのだろう。彼女達の後からついて来ていた片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)が、倒れたシシィを睨んでいた。
「確かに、力技で罠を攻略することだけが、策ではないと思いまするが……」
 では、他に有効な何かがあるのかと、シシィに代わり早苗が尋ねた。それを聞いた公明は不機嫌そうに溜息を吐いて、その辺に転がっていたチョコの欠片をクッキーの床目掛けて放り投げた。
「……っ!?」
 瞬間、壁から大量のチョコクリームが射出され、巨大なムースを形作る。しばらくすると、クリームは床の隙間から下へと流れて消えてしまったが……確かに、あれを力技で突破するのは、少しばかり難しそうだ。
 こういう仕掛けは、床の並びにパターンがある。雑多に並んだクッキーの種類を冷静に見極め、公明は独り先に歩き出す。
 ついて来るなら勝手にしろ。だが、短絡的な行動で、こちらを危険に巻き込むな。
 公明は何も言わなかったが、背中がそれを物語っている。なんとも不機嫌そうな彼女の様子でに、思わず顔を見合わせるシシィと早苗。
「様子が変ですね。……なにか、あったのでしょうか?」
「私には分かりかねまする。人の心の内までは、覗く術を持ちませぬが故に……」
 とりあえず、今はついて行く他になさそうだ。無言のまま淡々と罠を避けて進む公明に怪訝そうな視線を送りながら、シシィと早苗もまたチョコクッキーに覆われた床に足を踏み出した。

●救出、そして……
 チョコクッキーのフロアを抜けると、そこに待っていたのは二つの巨大なチョコケーキ。
 きっと、これは罠に嵌められた生徒の成れの果てだ。周りのスポンジを取り除いて行くと、果たして中から二人の生徒が姿を現した。
「うぅ……チョコが……ケーキが……」
「だ、誰か……助け……。僕は食べても……美味しくないよぉ……」
 チョコケーキから助け出された生徒達だったが、未だ意識は戻らず、悪夢にうなされているようだ。
 休憩も兼ねて、早苗が治癒符で彼らの体力を回復させる。目が覚めた生徒達に、今来た道の戻り方を告げたところで、なんとも甘ったるい風が頬を撫でた。
「こちらが奥に続いているようですね。ならば、ここから先は、狐火に先導させましょう」
 揺らめく幻火を呼び出して、早苗はそれを先行させる。道案内と罠避けを兼ねた焔に先行させれば、少しは危険も減るだろうと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『突破困難!?とろけるチョコレートロード』

POW   :    固まる前に気合で乗り越える!

SPD   :    チョコを浴びないように回避して乗り越える!

WIZ   :    チョコをどうにかして浴びないように乗り越える!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●チョコレートロードを駆け抜けろ!
 甘い香りで油断させ、侵入者を菓子へと変える危険な迷宮。その奥底に足を踏み入れた猟兵達が見たのは、巨大な扉に通じる一本道。
 ここを抜ければ、いよいよ迷宮の主たるオブリビオンと対面できるのだろうか。だが、ここまで様々な罠が仕掛けられていた以上、この道になにもないはずがない。
 見れば、道の真ん中に、なにやら茶色い像が二つほど。どうやら、チョコを被って固まってしまった生徒らしく、彼らの姿が迂闊に道へと足を踏み入れた者の末路を物語っている。
 何も考えずに足を踏み入れたら最後、彼らのようになるのは明白だ。しかし、他に道は存在しないため、なんとかしてこのチョコレートロードを抜けなければならない。
 何らかの方法でチョコを避けるか、それとも防ぐかする必要がありそうだ。もしくは、身体を固められる前に気合いで突破するのも良いだろう。危険なチョコレートロードを通り抜ければ、オブリビオンの部屋は目と鼻の先だ!
片桐・公明
【WIZ】まずは周囲を分析。通路そのものに罠がないかを確認。

降ってくるチョコ以外驚異が無いことを確認した上で準備運動。全身、特に足腰を重点的にほぐして準備完了

UCで通路を焼き払う。滴るチョコは蒸発するか炭化し個体となるだろう。

その隙にUC2発目。自身の後方に放つことで推進力とし、通路を一気に駆け抜ける。
UCで加速する公明の速度は40ヤード4.1秒すら越える。

再び滴り落ちてくることも想像の範囲内。液体の落下など重力任せだろうと人為的であろうとすべて避けきる。親から受け継いだ知識や技術は伊達ではない。

UC発動時:詠唱省略。今だ不機嫌のようだ。終端についても後続を待たずに先に進んでいく。



●赤熱の疾走
 オブリビオンの控える間であろう部屋へ、真っ直ぐに伸びた巨大な通路。
 だが、その中央に座するチョコレートの像が、迂闊にこの中へと足を踏み入れた者の末路を物語っている。
 見れば、天井はレンガが敷き詰められたような造りになっており、その隙間からは微かに茶色の物体が顔を覗かせている。恐らく、あの隙間からチョコレートが降り注ぎ、通路にいる者をチョコの塊にしてしまうのだろう。
「…………」
 チョコレートのシャワー以外に罠がないことを確かめつつ、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は入念に準備運動で足腰を解した後、2丁の拳銃を引き抜いた。そのまま一気に駆け出すと、当然のことながら天井からチョコレートが降って来るが、それもまた計算の内だった。
 拳銃から放たれる、業火のごときエネルギー。それらは、まるで意思を持った大蛇の如く通路を駆け抜け、降り注ぐチョコを消し炭に変える。
 こんがりと焦げた臭いが広がったところで、公明は一気に通路を駆け抜けた。再びチョコレートが滴り落ちてくるが、それでも先程までの勢いは無い。炭化したチョコレートがレンガの隙間に詰まって、噴出を妨げているのだろうか。
 これは好機だ。目詰まりが直るよりも先に駆け抜けるべく、公明は正面の扉に背を向けると、軽く跳び上がった状態で再び拳銃から焔を撃ち出した。
 疾走する灼熱の奔流。その反動を生かし、公明は飛ぶ。中途半端に走って捕まるくらいなら、多少、制御が難しくとも、反動に任せて飛んだ方が早い。
「……っ!!」
 扉に勢いよく背中を叩きつけられ、公明は辛くも死のチョコレートロードを走破した。
 通路の奥に、未だ足を踏み出せず、躊躇している仲間達の姿がある。だが、そんな彼らを待つことはせず、また彼らのために焔で道を作ることもしない。
 一瞥しただけで彼らに背を向け、公明は扉を開いて中へと足を踏み入れた。侵入者を菓子へと変えてしまう、恐るべき罠を仕掛けし者。少女の姿をしたオブリビオンが待つであろう、迷宮の最深部とも呼べる部屋の中へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
花さん(f08135)と同行

お菓子の迷宮の次はチョコレートの道…しかもここを進むしかないようですね…
しかし…無暗に進もうとすればチョコレートまみれになってチョコ像に…
花さんは何か名案がありますか…?

え…えっと…なんで笑顔で迫ってきているんですか…?
わあぁ…!?突き飛ばされてチョコの道に…しかも顔面からダイブして…花さんどうして…
…って既に身体が固まって…しかも上からも降ってきて倒れたままの態勢で動けない!!
ど…どうして花さん笑顔で助けてくれないんですかぁ~!!
え?こういうの好きでしょって?時と場合がありますよお!
いったい花さんは…何を…考え…
(チョコ像に変えられてしまい、あとは花さんにお任せ)


水野・花
テフラくん(f03212)と同行

さっきはえらい目に遭いました……。もうお菓子の誘惑には負けません!

ここはまずテフラくんにチョコレート像になってもらって、持ち上げて盾……というか傘にしてチョコレートを防いで強引に突破します!
お菓子は外部からなら対処が容易なことは実証済み、つまりこの橋を渡った後に固まったチョコレートをなんとかすれば問題なしです! テフラくんこういうの好きそうですし。

しかしチョコレート像になったテフラくんは可愛いですね、食べちゃいたいくらい、ペロペロ……なんてやってるとまた私まで固められちゃうのでちょっとだけ舐めたらフォックスファイア(弱火)でチョコを溶かして助けてあげましょう。



●最強の盾! その名は盟友!?
 滴り落ちるチョコの罠。それらを全て焼き払い、颯爽と駆け抜けてしまった公明を見て、残された猟兵達は唖然としていた。
 まさか、あんな方法で通り抜けることができたとは。もっとも、誰にもできる芸当ではない以上、他に方法を考えるしかないわけで。
「お菓子の迷宮の次はチョコレートの道……。しかも、ここを進むしかないようですね……」
 だが、闇雲に進めばチョコの像へと変えられてしまう。何か案がないかと尋ねるテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)だったが、そんな彼に水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)は、微笑みながら近づいて。
「え……えっと……なんで笑顔で迫ってきているんですか……? わあぁ……!?」
 チョコレートの滴り落ちる廊下へと、強引にテフラを突き飛ばした。
「ちょっ……花さんどうして………って既に身体が固まって……!? ど……どうして花さん、笑顔で助けてくれないんですかぁ~!!」
「えっ? だって、 テフラくんこういうの好きそうですし♪」
「いやいや、時と場合がありますよお! いったい花さんは……何を……考え……」
 哀れ、降り注ぐチョコに固められ、テフラは完全に茶色の像と化してしまった。そんな彼を、次なるチョコが降り注ぐ前に引っ張りだし、花は力任せに持ち上げて。
「お菓子は外部からなら、対処が容易なことは実証済み! つまり……この廊下を渡った後に、固まったチョコレートをなんとかすれば問題なしです!」
 そう言うが早いか、チョコの像と化したテフラを盾代わりにして、地獄のロードを走り始めた。
(「しかし、チョコレート像になったテフラくんは可愛いですね、食べちゃいたいくらい……あ、いけない、いけない。そんなこと考えて、私まで固められちゃったら大変です」)
 自らの盾となりチョコの雨を受けているテフラを頭上に抱えたまま、花はなんとか廊下を抜け切った。テフラの尊い犠牲によって、彼女がチョコ像になることはなかったが……代わりに、チョコの雨を盛大に浴びてしまったテフラは、もはやなんだか良く解らない、茶色の塊と化していた。
「さて、それじゃ、助けてあげましょう。少しくらいなら、舐めても大丈夫ですよね?」
 死に掛けのスライムのようなチョコレートの塊を舐めて、花は中に閉じ込められたテフラの拘束を解いて行く。もっとも、さすがに人間サイズのチョコレートを全て舐め取るだけの時間は無く、最後は狐火でチョコを溶かしての救出になったが。
「うぅ……花さん、酷いです……」
「まあまあ。こうして無事に抜けられたんだから、いいじゃないですか」
 目に涙を浮かべているテフラとは対照的に、チョコを満喫できた花は御満悦だ。
 後は、この扉の先にいる、チョコ職人のオブリビオンを倒すのみ。気を取り直して扉を開けると、二人は今まで以上に甘い香りが漂う部屋の中へと足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐崎・早苗
浴びないよう何かで防げばよいのでは…?

ふむ…これでいけるでしょうか?疾う、疾う、彼の者の命の気を封じ給え…。

【符術・滅気封命符陣】で霊符を多数展開し、そのまま直線に飛ばしつつ【ダッシュ】や【ジャンプ】で並走…。つまり霊符を盾にして浴びないようにし、駆け抜けてみましょう。
減ってきたら符をさらに追加。

足りないところは、覚悟、気合、見切り、第六感、野生の勘、早業、などの技能の組合せでさらに補いたいところ。

余裕があれば固まっている生徒の助けも試みてみましょうか。
1人ならおそらく抱えても走れる…かもしれませんし


シシィ・オクトニーア
先程は罠にかかってしまいそうでしたので、今度は少し慎重に参りますね。
チョコをどうにかして浴びないように乗り越えましょう。
まず、チョコを被って固まっている生徒さんを見て、どのような罠があるのか推測します。
例えば、被っているチョコの量が多そうな面があったらその方向からチョコが放出されるのかな?といった風に。
チョコレートロードを駆け抜ける際には『ダッシュ』でいきます。
『輝きの飾膳』を使って罠の迎撃や防御を走りながら行います。
とにかく走ってこの危険な道を通り抜けましょう!
途中の生徒さんたちの救出が出来ないのが少し心苦しいのですが……新たな被害者を出さないためにも早くオブリビオンを倒さないと、ですね。



●甘き罠を封印せよ!
 まともに抜けようとすれば、非情なる罠に嵌ってしまうチョコレートロード。正攻法での走破は難しいと判断し、桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)とシシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)は、共に頭を悩ませていた。
「先程は罠にかかってしまいそうでしたので、今度は少し慎重に参りましょう」
「そうですね。浴びないよう、何かで防げばよいのでは……?」
 他の猟兵達が道を抜けた方法を思い出し、早苗はシシィに提案した。もっとも、彼女達には超絶的な推力を得て駆け抜けるための方法もなければ、仲間を盾にして抜けるという選択肢もない。
 ならば、チョコレートを降らせるであろう穴やレンガの隙間を、最初から覆ってしまえばよいのではないか。効果は長持ちしないだろうが、それでも自分達が走り抜けるだけの間、時間が稼げれば、それで良い。
「疾う、疾う、彼の者の命の気を封じ給え! 急急如律令!」
 数にして60枚近い霊符を展開し、早苗はそれを自分が通る道の天井へと貼り付けて行く。霊符がチョコを抑えていられる時間は限られるが、少なくともこれで、自分がチョコレートの像にされる心配は無い。
「これなら行けそうですね。固まっている人も、助けて差し上げましょう」
 廊下の真ん中で固まっている生徒の一人を抱え、早苗は更に先を進んだ。が、さすがに、人間サイズのチョコレート像を抱えて走るのは、少しばかり荷が重かったのだろうか。
「くっ……霊符が……」
 限界を迎えた霊符が剥がれ、天井からは決壊したチョコレートが滝のように降り注いで来る。追加の霊符を放って盾にするも、流れ出したチョコの重さに、霊符は次々と茶色く染まって落ちて行く。
 気が付けば、肩に垂れたチョコレートが固まって腕の自由を奪い、霊符を投げることさえ難しくなっていた。このままでは、いずれ自分も固められてしまう。最悪の場合、像にされた生徒を放り捨ててでも、この道を脱出せねばならないか。そんな苦渋の選択を強いられ、早苗が顔を顰めたときだった。
「……彩らせていただきます!」
 後方から放たれた、ダイヤモンドの如き輝きを放つ宝石の花弁。それらは美しき光の
奔流となって、早苗を取り込もうとしていたチョコレートの滝に穴を開け。
「シシィさん!?」
「話は後ですよ。今は、この道を抜けることが優先です」
 宝石の花弁でチョコレートを一層したが、それでも長くは持たないはず。互いに頷き、二人は扉の前まで駆け抜けると、改めて救出した生徒の内の一人を覆うチョコレートを割砕いた。
「……ぷはぁっ! た、助かった……って、あれ? もしかして、助かったのって、私だけ?」
 廊下の真ん中で未だ固まっている同級生の姿に、救出された生徒は複雑な表情を浮かべている。しかし、ともすれば自分達までチョコの塊にされてしまい兼ねない以上、迂闊に助けに行くわけにもいかないわけで。
「ここから先は危険です。しばらく、そこで待っていてくださいね」
「全ての元凶は、この奥に潜む者。それを倒せば、悪夢も終わりを告げましょう」
 くれぐれも妙なことはしないようにと生徒に釘を刺し、シシィと早苗もまた扉の奥へと足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『迷宮ショコラティエール』

POW   :    チョコレート・ソルジャーズ
レベル×1体の、【頬】に1と刻印された戦闘用【チョコレートで出来た兵隊】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    チョコレート・コーティング
【溶かしたチョコレート】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    チョコレート・グラフティ
【溶かしたチョコレート】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自分だけが立てるチョコの沼にし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御剣・誉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●チョコ職人の甘い罠
 数多の菓子トラップをくぐり抜け、重い扉を開けた先。チョコレートの香りで溢れ返る部屋の中で待っていたのは、緑色のリボンを付けたチョコ職人の少女だった。
「あら? この部屋まで辿り着く人がいるなんて、珍しいこともあるものね」
 自分の領域に押し入られても、少女は平然としたまま猟兵達と対峙していた。一見して何の力もなさそうに見えるが、その表情には一種の余裕さえ感じられる。
「まあ、いいわ。あなた達には、これから最高の至福を味わってもらうから」
 そう、少女が告げると同時に、辺りを漂い始めるチョコレート。自由自在に蠢くそれらは、変幻自在な彼女の武器だ。
「さあ、チョコレートに抱かれて眠りなさい……永遠にね!」
 迷宮ショコラティエールの操る、溶けたチョコレートが猟兵達に迫る。あまりに強いチョコレートの香りに、匂いだけで胸が焼けそうだ。
 こんなところで、チョコに食われて堪るものか。迷宮を変貌させた張本人を撃破すべく、猟兵達もまた武器を取り、チョコ職人のオブリビオンと対峙した。
テフラ・カルデラ
花さん(f08135)と同行

色々ありましたがついにフロアボスにたどり着きました!
相手は女の子ですが油断しているとチョコの像にされてしまいますね…

ウィザード・ミサイルでチョコごと溶かしますよー!
わわっ!?怒って溶けたチョコを飛ばしてきました!?
危なかった…あとちょっとで浴びるところでした…そう何度も固められるわけにはいきません!
…ってあれぇぇー!?外れたチョコ溜まりに足踏み入れたら…身体が沈んで…
っていうかこれ底あるんですか…頭まで沈んで…うぷっ…

やっと這い出たけどももう身体動かない!?四つん這いのチョコ像とか恥ずかしいです!?
さらにオブリビオンが上に乗ってきて…椅子みたいに…うぅ…屈辱で…す…


水野・花
テフラくん(f03212)と同行

チョコレート・グラフティをかわすと相手に有利なフィールドになってしまうので、「巫覡載霊の舞」で相手の攻撃を受けながら戦います。

多少チョコレートを浴びたってこの状態なら大丈夫なはず……。むしろ浴びたチョコレートを舐めて挑発してやりましょう。
「こんなもので私をチョコレート像にするつもりだったんですか?甘いですよ、チョコレートだけに!」って感じでかっこよく。……かっこいいですよね?

って格好つけてたらテフラ君がまたチョコレート像になってますし!そのチョコレート像は私のです!返してください!



●可笑しな、お菓子な、兵隊さん
 チョコ職人のオブリビオン。その名も迷宮ショコラティエール。
 侵入した猟兵達を前にして、彼女は大量の溶けたチョコレートを繰り出すと、それを固めて兵隊を生み出し、差し向けて来た。
「さあ、行きなさい! そして、あの人達にもチョコレートの素晴らしさを教えてあげるのよ!!」
 ショコラティエールの命により、チョコの兵隊が一斉に突撃して来た。しかも、バラバラに突進するのではなく、途中でその身を重ねながら。
「が、合体した!?」
「どうやら、最初から全力で仕掛けてくるようですね」
 融合するチョコレート兵達に驚くテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)だったが、それを水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)は冷静に流す。こちらを強敵と認識してくれたのであれば、好都合。数で来られては面倒だが、質と質の戦いになれば、個々の知略と立ち回りがものを言う。
「行きますよ、テフラ君!」
「わ、わかった!」
 チョコレート兵の相手を他の者に任せ、花はテフラと共に駆け出した。
 融合により、強化されたチョコ兵の数は3体。それぞれ、額には20に近い数が刻まれている。個々の強さ的には、猟兵と互角といったところだろうか。
「多少チョコレートを浴びたって、この状態なら大丈夫なはず……。さあ、覚悟なさい!」
 その身に神霊を宿した姿となり、花の薙刀による一閃が、衝撃波を生んでショコラティエールへと降り注いだ。

●お前がチョコになるんだよ!
 チョコ兵団の相手を仲間達に任せ、ショコラティエールと奮戦するテフラと花。しかし、やはりチョコの兵士と比べても、本体であるショコラティエールは強敵だ。変幻自在に形を変えて襲い掛かるチョコレートは、掴みどころのない巨大な不貞系生物の如く、二人を四方八方から翻弄する。
「そんなチョコ、ウィザード・ミサイルでチョコごと溶かしてやりますよー!」
 浮遊するチョコを狙って、テフラが炎の矢を放つ。紅蓮の炎に貫かれ、微かに漂う焦げた臭い。
「あなた達……私のチョコを拒否するなんて、これはお仕置きが必要ね」
 自慢のチョコレートを焼かれたことで、さすがに立腹したのだろう。先程までとは違う、冷たく鋭い口調で言い放ち、ショコラティエールは溶かしたチョコレートを飛ばして来た。
「「……っ!?」」
 広がるチョコが四方八方から降り注ぎ、花とテフラに炸裂する。それはさながら、チョコレートの爆弾。殆ど絨毯爆撃に等しい攻撃を前に、さしもの二人も身を守ることに専念せざるを得ず。
「こんなもので、私をチョコレート像にするつもりだったんですか? 甘いですよ、チョコレートだけに!」
 神霊体の防御力に任せ、花はチョコレート攻撃に耐えてみせた。その上で、身体に付着したチョコレートを舐めて、相手を挑発することも忘れずに。
「あ、危なかった……。あとちょっとで浴びるところでした……」
 その一方、防御手段を持たないテフラは、火矢で弾幕を張ることで、辛くも攻撃から逃げ伸びていた。
 そうそう何度も、チョコレートで固められてなるものか。安堵の溜息を吐くテフラだったが、しかし何故かショコラティエールは余裕の表情を浮かべており。
「……って、あれぇぇー!? 外れたチョコ溜まりに足踏み入れたら……身体が沈んで……」
 残念ながら、放たれたチョコレートは地形を侵食し、底なし沼を作る力を持っていたようだ。そこへ迂闊に足を踏み入れてしまえば、どうなるかはもはや言うまでもない。
「……っていうか、これ底あるんですか……頭まで沈んで……うぷっ……」
 哀れ、抵抗虚しくテフラはチョコ沼に沈んでしまい、そのまま浮かんで来なかった。そのまま、ショコラティエールが軽く指を鳴らすと、チョコの沼から四つん這いの姿勢で固まったテフラが現れて。
「うふふ……随分と、いい感じのチョコ椅子になったわね。このままゆっくり、私のチョコレートの素晴らしさを堪能するといいわ……永遠にね♪」
 調子に乗ったショコラティエールはテフラの上に腰かけて、なんとも満足そうな笑みを浮かべていた。
「あぁっ! 格好つけてたら、テフラ君がまたチョコレート像になってますし!」
 仲間のピンチに気付いた花だったが、時既に遅し。だが、このままチョコレート化したテフラを見捨て、自分だけ敵に背を向けるわけにもいかない。
「そのチョコレート像は私のです! 返してください!」
 いや、それってどうなんだよ!? 思わず、そんな突っ込みが入りそうな台詞を叫びながら、花はテフラの上に腰かけているショコラティエールへと斬り掛かって行った。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

片桐・公明
相手が何か言おうとした瞬間に銃撃
言葉を続けようとした瞬間さらに銃撃
相手に息を付かせる間もなく銃撃
敵が抗議してきたところでようやく話す

「お父さんが言っていた。世の中には決して許してはいけない行動が2つある。一つは人の権利を理不尽に奪うこと。もう一つは食物を粗末にすること。あんたのやっていることは後者に該当するわ。だから私が殺す。丁寧に殺す。」
「幻覚だろうが魔術だろうが関係無い。食物で遊ぶな」
「安心して。私に嗜虐趣味はない。達磨にして遊ぶ、なんてしない。あっさり殺すわ。だから『その場で指一本動かすな』」

UCで拘束
動けないはずの体に銃弾をひたすら撃ち込む
淡々と、無表情に、機械的に、流れ作業のように


フロッシュ・フェローチェス
間に合った!ダンジョンの罠?ダッシュで突破して来たよ。
けどすぐ姿は見せない。
残像も映さない早業で背後に回りだまし討ちの銃撃だ。
よう。菓子を馬鹿な事に使ったお前は潰れて失せろ。

捕らわれない為に、スピードを活かした高速銃撃戦が良いかな。
刻天炉の狙撃モード・穿銃形態で走り回りつつ射撃だ。隙を作りたい。
機を逃さず【選択したUC】応用。接近して直前にスライディングへ変更して宙に浮かし、カポエイラキックからの衝撃波で宙に飛ばす。
……まだ逃がさない。【デス・レイン】の内19本をそのまま、5本を纏めて放つ。けどこれは囮。
本命は【選択したUC】で【デス・レイン】を追い超し、側面に接近して放つ後ろ回し蹴りだ――!


桐崎・早苗
ここまでの数々のあの手この手。実にお見事にございました。
その『お礼』をさせて頂きたく。(笑顔で剣を抜き)
(トラップのストレスでやる気MAX)
●戦闘
味方の攻撃の隙を埋めるように敵へ斬りかかりたいところ。
チョコ対策も兼ね【狐火の舞】も展開。固まったチョコはこれで炙り脱出を試みます。
直視は良くない炎なので味方の援護では少し注意を。同時に敵を炙ることも試みたく。

狐火と剣の交互の介入、何時まで捌けますでしょうか。
別に怒ってはおりませぬ、趣味のよろしい迷宮に感心しましたので。
こういうのお好きでしょう?
と、ネチネチ攻撃。

アドリブ歓迎、他のユーベルコード(妖狐の血だけは除く)も使えたらより嬉しいです。



●狂った甘党
 全身がチョコレートで作られた兵隊が、音を立てて崩れ落ちる。銃弾で砕かれ、炎で溶かされた後に残るは、何の変哲もないチョコレートの塊だ。
「まったく……嫌な仕事をさせてくれる」
 既に物言わぬチョコとなった兵隊達の残滓を横目に、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は思わず呟いた。
 成り行き上、仕方なく銃弾を浴びせたとはいえ、この兵達達も、元々は美味しいチョコレートに過ぎなかったはず。それなのに、誰の口に入ることもなく、こうしてゴミにされてしまう。そのことが、公明には何よりも許せなかったのだ。
 敵が何かを言うよりも速く、公明は銃口を正面に向けて、そのまま眉間を撃ち抜いた。
「……っ!」
 まずは一発。だが、それだけでは終わらない。抗議する余地さえ与えずに、淡々と銃弾を撃ち込んで行く。
「ず……随分と、好戦的な方ね? 糖分が足りていないのかしら?」
 自分が恨まれる理由などない。予期せぬ敵意を向けられて動揺するショコラティエールに、ようやく公明は口を開き。
「お父さんが言っていた。世の中には決して許してはいけない行動が2つある。一つは、人の権利を理不尽に奪うこと。もう一つは、食物を粗末にすること」
 どちらも、人間の尊厳を冒涜することに他ならない。可愛い顔と甘い香りで誤魔化したところで、オブリビオンの行いが、それで正当化されるはずもないと。
「あんたのやっていることは後者に該当するわ。だから私が殺す。丁寧に殺す」
 異論は認めない。チョコレートは食べるものであり、罠や武器に用いるものではない。そう告げる公明の考え方は、確かに人の常識としては正しいのだろう。
「あら、それは心外だわ。私は真剣に、私のチョコレートを堪能してもらえるよう、頑張っているつもりよ?」
 もっとも、その常識がオブリビオンに通用するとは限らない。案の定、ショコラティエールは自分の行いが誤りではないと述べるばかりか、ともすればチョコレートを広めるための真剣な行動だと言い放ち。
「私のチョコレートは最高なの。誰も彼も、私のチョコレートさえあれば幸せになれるはずなのよ。だから、それを全身で感じられるように、チョコレートで覆ってあげたのに……それの、どこが悪いのかしら?」
 自分は遊びでやっているつもりはない。ましてや、食べ物を粗末にしたつもりもない。
 粗末にするというなら、今までに散々トラップを破壊し、くぐり抜ける際にチョコレートを無駄にしてきた、そちらの方ではないのかと。そう、言いながらもショコラティエールは、チョコの沼から溶けた大量の溶けたチョコレートを繰り出して。
「さあ、あなた方も、私のチョコレートを受け入れなさい。そうすれば、ずっとずっと、幸せに包まれたままになれるわよ?」
 狂った言葉と、狂った理屈。それらを平然と述べられてしまう辺り、彼女もまた危険なオブリビオンに他ならないのだ。
 迫り来るチョコの波を狐火で防ぎ、桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は穏やかな笑みを浮かべつつも、二振りの刃を引き抜いてショコラティエールと対峙した。
「ここまでの数々のあの手この手。実にお見事にございました」
 そう、口では言っているものの、顔は目元は全く笑っていない。今まで、散々にトラップで弄んでくれた借りを返さんと、一気に間合いを詰めて斬り伏せる。
「別に怒ってはおりませぬ、趣味のよろしい迷宮に感心しましたので。こういうの、お好きでしょう?」
 剣と焔による交互の介入。非力なチョコ菓子で、果たしてどこまで防ぎ切れるか。的確に間合いを計りながら迫る早苗だったが、この場にいるのは彼女だけではなく。
「間に合った! ダンジョンの罠? ダッシュで突破して来たよ!」
 突然、その声と共に部屋の扉が開け放たれたが、しかし声はすれども姿は見えず。声の主を探し、後ろを振り返ったショコラティエールだったが、それよりも早く、彼女の背中を銃弾が貫いた。
「よう。菓子を馬鹿な事に使ったお前は潰れて失せろ」
 そこにいたのは、硝煙立ち昇るライフルを構えたフロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)。これで5人目。新たな猟兵の登場に、さすがのショコラティエールからも余裕の表情が消え失せる。
「さあ、もう逃げ場は無いよ」
「幻覚だろうが魔術だろうが関係無い。食物で遊ぶな」
 銃口を向け、前後から迫るフロッシュと公明。そして、狐火を携えたまま、早苗もまた距離を詰め。
「遊戯の時間は、そろそろ終いに致しましょう」
 早苗の繰り出す一閃が、チョコの波諸共にショコラティエールを斬り払った。

●お礼参りだ!
 チョコレートによる至福を広めるため、人々をチョコ細工に変えようと企むオブリビオン。なんとも狂った発想を持つショコラティエールだったが、本気の猟兵達を前にしては、チョコの武器ではいささか不利だ。
「チョ、チョコの兵隊さん! 私を守って……」
「合体ですか? 残念ですが、させるわけには参りません」
 チョコレートの沼から兵隊が現れようとしていることを察し、早苗が九宮図の陣を展開する。まずは九紫、続けて八白。七赤、六白、さらに五黄と印を刻み。
「四緑、三碧、二黒、そして一白。……我、九星の理を以て汝に厄を与えむ……!」
 ここは既に、我が領域なり。広がる陣に踏み込んだが最後、生まれたばかりのチョコ兵士達は、瞬く間に力を奪われ、溶けて行く。
「逃がさないよ……。そこだ!」
 チョコレートの沼の上に鎮座するショコラティエール目掛け、フロッシュが超高速飛翔する槍型の機械生命体を差し向けた。
「くっ……その程度、当たらないわよ!」
 突進して来る槍型の生物をチョコレートで払い除け、ショコラティエールは沼より飛んだ。敵の追撃を避けるだけでなく、早苗の陣に飲まれないためというのもあったのだろう。
 だが、その程度の行動は予測済みだ。残る機械生命体にショコラティエールを追わせると、フロッシュは自身もまた機械のブーツを変形させて。
「機械ブーツ可変完了。目視なんてさせると思う? ――飛べ!」
 一気呵成に跳び上がれば、瞬く間にショコラティエールの真横へと到達した。
「し、しまっ……!?」
「逃がさないって言ったよね? これで終わりだ!」
 空中で炸裂する、フロッシュの強烈な回し蹴り。そのまま床へと叩きつけられたショコラティエールには、果たして立ち上がる力こそ残っているものの、抵抗するだけの力は既になく。
「安心して。私に嗜虐趣味はない。達磨にして遊ぶ、なんてしない。あっさり殺すわ。だから『その場で指一本動かすな』」
 満身創痍のショコラティエールを、公明が念力で束縛する。これでもう、動きたくとも動けない。チョコレートを操って脱出しようにも、それをするための力もない。
「や、やめ……お願い! やめっ……!!」
 命乞いなど、聞いてやるつもりなど最初からなかった。ショコラティエールの懇願を無視して、公明は淡々と銃弾を撃ち込んで行く。額に、胸に、喉元に。およそ、急所と呼べる個所を、全て一撃の下に撃ち抜いて。
「あ……あぁ……」
 念を解いた瞬間、ショコラティエールの身体は糸の切れた人形の如く崩れ落ちる。チョコレートへの狂った妄執。それに憑かれたオブリビオンは、二度と再び立ち上がることをしなかった。

●甘い物は、程々に
 迷宮の主を倒したことで、変貌していた部屋が力を失って行く。気が付けば、辺りに広がるのは殺風景なレンガ造りの広い部屋。溢れんばかりのチョコレートは、完全にその姿を消していた。
「うぅ……屈辱です……」
 チョコ椅子から元の姿に戻り、テフラが目に涙を浮かべていた。ショコラティエールが倒されたことで、チョコの魔力も失われたらしい。この様子なら、迷宮の途中に取り残されていた生徒も、今頃は元に戻っていることだろう。
 甘い、甘い、チョコレート。それに囲まれて過ごす夢を見るのは良いが、実際に叶えようとすれば、色々と大変なことになってしまう。
 甘い物は、ほんの気分転換として、たまに口にするから美味しいのだ。
 迷宮ショコラティエール。オブリビオンとして過去より舞い戻りし少女に足りなかったのは、そんな食べる側の気持ちを理解する心だったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト