●トビト島の草原
ブルーアルカディア世界の空に浮かぶ、無数の様々な浮島。
そのうちの一つ、「トビト島」と呼ばれるそこには、ラーエル・トロイというエンジェルの少女が住んでいた。
幼い頃から利発で、元気いっぱいなラーエルには、「光を操る」という不思議な力が備わっていて、暗い夜に星の光を集めて周囲を明るくしたり、日照りの時に太陽光を逸らして人々を助けたりしていたそうだ。
そうして力を使いながら平和に暮らしていたラーエルだが、そんなある日、彼女の前に黒翼を備えた黒い騎士が降り立つ。
そして彼はハルバードの切っ先をラーエルに向けて言うのだ。
「『光の導き手』とは貴様だな。我らが『アンギナス天導帝国』の栄光のため、その力を使ってもらおう」
「アンギナス……天導帝国?」
騎士の言葉を聞いて眉間にしわを寄せるラーエルだ。訝しみながら、彼女は首を横に振る。
「そんなのおかしいわ。だってその帝国は二百年も前に滅びたはずよ。大陸と一緒に。死者に協力はできないわ」
そうでなくてもこんな威圧的な態度、協力をしたいとも思わないだろう。そんな目を向けるラーエルに、黒い騎士はますますハルバードを突き出してくる。そして穂先が、ラーエルの首にピタリと付いた。
「我らは死の淵より蘇ったのだ。逆らうと言うなら殺す」
首筋にヒヤリとした金属の感触が伝わる。ラーエルはその場から動けないまま、黒い騎士の冷たい眼差しを見つめ返していた。
●グリモアベース
「新しい世界が発見されたな! なんかすげー楽しそうな感じじゃん!」
グリモアベースにて。梯・剛士(ヴァリウードの随伴者・f12919)は期待に満ち溢れた表情で言いながら、集った猟兵たちにそう言った。
新たな世界、ブルーアルカディアは空の世界だ。多数の浮島と浮遊大陸が浮かび、人間や天使、ガレオノイドが飛空艇を駆って行き来して暮らす世界。
狼獣人モンスターのヴァリウードも、剛士の後ろで腕を組みながら頷いた。
「我が主の、期待に満ちたお言葉にも理解を示します。空には浮島、そこを行き来する飛空艇、空を飛ぶ人々。なんとも心の踊る光景でございましょう」
ヴァリウードの言葉に、剛士が嬉しそうに何度も頷く。こうした空中世界はゲームの中でもときおり見かける設定だ。まさにゲームの世界が現実になったようなもの。ゲーマーの剛士にとっては嬉しいものだろう。
しかし、こうして世界が見つかったということは、つまりこの世界にもオブリビオンがいる、ということだ。
「しかし、この世界にもオブリビオンの脅威は迫っております。古より蘇った者共と浮島が、『屍人帝国』として世界を脅かし、戦火に巻き込もうとしているのでございます」
ヴァリウードが難しい表情をしながらそう言った。やはり、この世界も猟兵の助けを必要としている、ということだ。
オブリビオンがいるのならば、世界に生きる人々を脅かしているのならば、猟兵が動かない理由はない。頷く猟兵たちに、剛士は手元のグリモアから文字を投影した。
「アンギナス天導帝国」。黒い翼のオブリビオンが発した、帝国の名だ。
「この黒いエンジェルの連中が言う『アンギナス天導帝国』ってのは、ずっと昔に浮遊大陸ごと沈んで滅んだ国なんだ。その大陸と帝国が、オブリビオンをわんさか乗せて蘇った」
真剣な表情でそう話しながら、剛士が話した言葉に猟兵たちがどよめいた。沈んだ大陸がオブリビオンとして蘇るとは。今までの世界と比べてもスケールが違う。
小さく頷いた剛士が、グリモアから投影する物を変える。小さな浮島だ。中心には町が築かれ、周辺には草原が広がっている。その島の端っこ近く、草原の只中に一人のエンジェルの少女がいるのが見えた。
「そんな奴らが、今回トビト島って辺境の浮島にやってくるんだ。狙いはこのラーエルって女の子……彼女の『光を操る』って特殊能力に目をつけたらしい」
彼女を大きく写し、その栗色の髪と翼、オレンジ色の瞳の色間で分かるようにしながら剛士が説明する。言葉を切った彼の発言のあとを継ぐようにして、ヴァリウードも話しだした。
「つきましては皆様には、ラーエル様を狙ってやってまいりましたオブリビオンの撃破をお願いいたします。まずは黒翼の騎士が多数、ついで指揮官役の天使が一体。二段構えの戦闘となりますため、ご留意下さい」
黒翼騎士は背中の翼で空を飛び、風を受けることで高速で飛翔しながらの攻撃を得意とする。さらに集団戦闘にも長け、他の者と協力したり一緒に突撃を仕掛けることもあるそうだ。
指揮官役の天使は光の剣で攻撃してくる他、支配力を持つ極光で攻撃してくる。極光が命中した対象は、天使に友好的な行動をとってしまいたくなるようだ。注意が必要だろう。
「戦いが終わったら、あとは打ち上げだ。ラーエルや町の人と話をするのもいいと思うぜ。美味いもんの話も聞けるかもな!」
説明を終えて剛士が笑う。彼としても、美味しいものの話は楽しみなのだろう。戦いが終わった後の催しなら、気楽に参加できるはずだ。
そして、白狼の手の中でグリモアが回転する。
「じゃ、準備はいいか? 新しい世界での初仕事、きっちり終わらせてきてくれよ!」
屋守保英
こんにちは、屋守保英です。
新世界が来ましたね。
空の世界とのことなので、結構ワクワクしています。よろしくお願いいたします。
●目標
・屍人帝国「アンギナス天導帝国」の撃退。
●場面・戦場
(第1章)
ブルーアルカディア辺境に浮かぶ浮島「トビト島」です。
トビト島にいる力のあるエンジェルを探してやってきた黒翼騎士を撃退しましょう。
なお、島に上陸する前の黒翼騎士もいるようで、空中戦を仕掛けることも出来ます。
(第2章)
第1章と同じくトビト島、あるいは島近隣の空です。
指揮官である眩耀のクルーエルが、上空から猟兵に襲いかかってきます。
(第3章)
トビト島の町にある酒場です。
酒場で島の人々と交流しながら、現地の料理知識を教えてもらったり自分たちの知る料理を教えたりしましょう。
それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『黒翼騎士』
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POW : 集団突撃戦術
【背中の翼と飛行魔術】によりレベル×100km/hで飛翔し、【一緒に突撃を仕掛ける人数】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 黒翼斧槍
【敵の頭上に飛翔し、ハルバード】による素早い一撃を放つ。また、【追い風を受ける】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 黒翼防御戦術
自身の【部隊の守備担当】になり、【翼に風を受ける】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キング・ノーライフ
騎士を名乗りつつやる事は蛮族か。
ならばこちらも容赦なくいくとしよう。
グリモアで見ているから【化術】と【演技】でラーエルに化け、奴らの前に現れる事で先に本人が見つかっても場は混乱するだろう。流石にニセモノか分からぬまま突撃はせんだろうから隙を突いて【鎧無視攻撃】の【衝撃波】で纏めて【王への供物】にしてやろう。
子供にしてしまえば身の丈に合わぬ重い武器や甲冑を持って突撃も出来まい。後は翼を撫でながら愛でるように二撃目で優しく送ってやろう、子供ならオブビリオン化していてもそこまで歪んではないだろう。
本人に鉢合わせしたら色んな意味でややこしいが、まあ【誘惑】してシンプルに助けに来た者と納得してもらうか。
●晦迹韜光
ブルーアルカディアの辺境地域に浮かぶトビト島。
そこに降り立ったキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は、遠くから黒い影が飛んでくるのを見ながら口角を下げた。
「騎士を名乗りつつやる事は蛮族か。ならばこちらも容赦なくいくとしよう」
野蛮なことをしてくる相手に、容赦してやる理由はない。搦め手もどんどん使っていっていいだろう。
そうしてキングは化術を駆使して姿を変える。一瞬でそこには、神たるキングはおらず、エンジェルのラーエル・トロイがいた。
「よし、こんなところ……かしらね」
声色も変えて、演技は完璧。これならそうそう見破られることもないだろう。
事実、空の向こうから飛んできた漆黒の天使は、ハルバードの切っ先をこちらに向けながら傲慢に声を上げた。
「むっ、そこの貴様!」
「あら、私になにか用?」
天使の言葉に、キングはラーエルの口調を真似ながら返事を返す。すっかり騙された様子の天使たちが、上空からキングを見下ろしながら言った。
「『光の導き手』とは貴様だな! 我らが『アンギナス天導帝国』の栄光のため――」
「いやよ」
だがセリフを全て言い切るより先に、キングが遮るように拒絶する。畳み掛けるようにキングはさらに言葉を重ねた。
「どうして貴方たちのために、私が力を使わないといけないの? そんなのまっぴら御免だわ」
「なっ――」
一片の容赦もないその言葉に、天使たちが言葉に詰まる。天使たちがラーエルの姿をしたキングを、逃すまいと取り囲み始めたその時だ。
「甘い」
キングの足が地面を強く叩いた。発せられた神力を籠めた衝撃波が一気に広がり、天使三人に襲いかかる。次の瞬間、ガシャンと金属の鳴る音が次々に響いた。
「な!?」
「あ、えぇっ!?」
それと同時に少年らしい声が三つ響く。先程まで空を飛んでキングを取り囲んでいた黒い鎧の天使たちは、サイズの合わないぶかぶかの鎧を身体に引っ掛けた少年の天使に姿を変えていたのだ。
重さでヨロヨロと地面に向かって落ちてくる天使たちに、キングが手を伸ばす。その手は彼らの背中の翼に伸びて、羽根を優しく撫でた。
「あら、野蛮な人たちでも小さくなってしまえば可愛いのね。大丈夫よ、優しくしてあげるから……」
優しげな口調で甘い言葉をかけてやる。それを次々に天使に行えば、生命力を吸収された天使がよろよろと地面に崩れ落ちた。
「あう……」
「う、あ……」
脱力しながら地面に倒れ込み、そのまま消えていく天使三人。それを見送ったキングがそっと肩の力を抜いた。
「ふぅ……」
軽く息を吐きながら視線を巡らせると、ちょうど木の陰からこちらを見ている少女と目が合った。栗色の髪と翼を持つエンジェルの少女。今キングが姿を借りている、ラーエルその本人だ。
「わ、私がいる……!?」
「おっと」
これは少々ややこしいことになったか。キングは苦笑しながら、彼女を落ち着かせるべくそっと近づいていった。
成功
🔵🔵🔴
鬼鉄・マオ
…ブルーアルカディアでの初仕事だ。少しワクワクするな。まあ、雇い主の期待に添えるように尽力しよう。
む、やはり空の世界と言うだけあって、敵も空中にいるな。随分、余裕たっぷりな表情じゃないか。確かに、私には翼も飛び道具もない。とはいえ、油断し過ぎだ。頭上からの攻撃を得意としているようだが、いつまでも相手がお前達の真下にいると思わないことだ。…いくぞ【天脚】。
私の【怪力】で空中を蹴り、敵に素早く接近する。風の影響を大きく受ける翼では、私のジグザグとした、飛び跳ねる動きにはついてこれまい。バットで翼をへし折り、彼方へと殴り飛ばしてやろう。
(獰猛な笑みを浮かべ)はははは!空中戦というのも、中々面白いな!
●眼光炯炯
トビト島の外縁に近い草原の草を踏みながら、鬼鉄・マオ(怪力特攻傭兵・f33724)は特攻服の裾をたなびかせた。
肩に担ぐのは愛用の金属バット。雲は遥か下、バットの表面が雲に遮られない陽光を受けて、まばゆく輝いている。
「……ブルーアルカディアでの初仕事だ。少しワクワクするな。まあ、雇い主の期待に添えるように尽力しよう」
そう言いながら、マオは頭上を見上げた。何人もの黒翼の天使が、自分を見下ろして降下してきている。
「新たな敵を発見!」
「すぐに対処しろ!」
天使たちは口々にそう言って、ハルバードを構えて高度を下げてくるが、地面に降りてくる様子はないようだ。空中という絶対的優位、そうそう手放すはずもない。
「む、やはり空の世界と言うだけあって、敵も空中にいるな」
マオは頭上を舞う天使たちを忌々しそうに見上げながら、太陽の光に目を細めた。ハルバードの穂先を輝かせながらこちらを見下ろす天使たちに、マオは舌を打って言葉を投げた。
「しかしなんだ、随分、余裕たっぷりな表情じゃないか」
相手はマオを見下しているのか、随分と余裕綽々な表情をしていた。とはいえ頭上を取っている上に、マオの攻撃範囲からは容易に離れられる力もある。余裕があるのは当然の話しだ。
「当たり前だ! 翼もなく、飛び道具も持たない貴様に、空中を駆ける我々を攻撃することは出来まい!」
「いたぶってやる、覚悟しろ!」
そう言いながらこちらに槍の穂先を向けてくる天使たち。攻撃などいつでも出来る、というような傲慢さが、行動から見て取れる。
肩に担いだ金属バットの先端を、草地の地面につけながらマオは言った。
「確かに、私には翼も飛び道具もない。とはいえ、油断し過ぎだ……いくぞ。天脚」
が、次の瞬間。マオの足が強く地面を蹴る。そのまま彼女は自分の体を空中へと持ち上げた。
そのまま二度、三度と地面を蹴ったマオの身体は、ぐんぐん天使に近づいていく。しかもジグザグに動いて方向を定めさせない。
黒翼天使が体勢を整える頃には、既にマオのバットは目の前だ。
「な!?」
「遅い」
そして、一気にマオの金属バットが振り抜かれる。バットは天使の翼を捉え、したたかに打った。骨の砕ける嫌な音を響かせながら、天使の身体が吹き飛んでいく。
「うわ――!」
悲鳴を残しながら、天使は空の向こうへと消えていった。きっとその道中で、骸の海への送還も済んでいるだろう。
「はははは! 空中戦というのも、中々面白いな!」
笑いながらもマオは止まらない。まだまだ空中を蹴って、別の天使へと接近している。
「く、この……!」
「どこまでだって行くぞ、覚悟しろ!」
ハルバードを構えて防御しようとする天使の身体を、マオの金属バットが強く打った。天使の握るハルバードの柄が、乾いた音を立てて砕け散る中、殴り飛ばされた哀れな天使が、再び虚空へと消えていった。
成功
🔵🔵🔴
メフィス・フェイスレス
【連携アドリブOK】
美味いもん、ね。そりゃ楽しみだわ(涎)
さっさと邪魔なもんを片付けるわよ
「肉体改造」で【宵闇】を生やして「滑空」「対空戦闘」で上陸前の敵に「先制攻撃」の【骨身】の「切断」を仕掛けつつ空中戦を仕掛ける
女に刃向けて無理矢理従わせようだなんて。騎士が聞いて呆れるわね
空中に「武器改造」で【宵闇】を生やした【飢渇】を「集団戦術」で大量展開し突撃させ、【微塵】化による「爆撃」「吹き飛ばし」で敵の連携を乱し、
爆撃で撒き散らした【血潮】の「毒使い」「マヒ攻撃」で動きを止める
その隙を突いてUCを発動し、ミサイルの弾幕で纏めて撃ち落とす
乙女に手を出す不届きな野郎は撃ち落とされて消えちまえ、ってね
●光明遍照
風がさらさらと草原の草を揺らしていく中を、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は静かに目を細めつつ歩いていた。
「美味いもん、ね。そりゃ楽しみだわ。さっさと邪魔なもんを片付けるわよ」
そう言いながら空を見上げれば、そこには島に近づいてくる天使たちがいる。既にメフィスの姿を捉えられるところまで近づいていた。
「新たな敵だ!」
「対応を――」
だが、天使たちがハルバードを構えるのよりも早く。
「邪魔よ」
メフィスの背中から骨の翼が飛び出した。そのまま地面を蹴ったメフィスが、猛スピードで天使たちに接近する。
「な!?」
困惑の声を漏らした先頭の天使が、一瞬のうちに細切れにされた。右腕から飛び出した骨の刃を振るい、血を払いながらメフィスが言い放つ。
「女に刃向けて無理矢理従わせようだなんて。騎士が聞いて呆れるわね」
その容赦のない、そして隙きのない一撃。それだけでメフィスの実力を察知した天使たちが彼女を取り囲みつつ距離を取るが、それでもメフィスは慌てなかった。
す、と手を伸ばしながら言う。
「さあ、おいで」
その瞬間だ。彼女の身体から生み出された多数の影が、球体の眷属となって彼女の周囲に浮かんだ。しかもそれら一体一体に骨の翼が生えている。メフィス同様、自由に空を飛べることは明白だ。
「う……」
「うわ……!」
その数の多さに、力に、天使たちが恐れの声を漏らした瞬間。眷属たちが一気に飛び出した。
天使に突撃し、ぶつかり、食らい、切り裂き。おまけに爆弾と化して炸裂して吹き飛ばしていく。
「派手に行きましょう」
そこにメフィスが隙きを突いてユーベルコードで追い打ちをかける。ミサイルランチャーが一気にミサイルを放ち、何人もの天使にミサイルを撃ち込んだ。
爆撃での衝撃だけでなく、毒も撒き散らされたことで動けない天使たちはなすすべもない。そのまま身を砕かれ、消えながら雲の下に落下していった。
「乙女に手を出す不届きな野郎は撃ち落とされて消えちまえ、ってね」
文字通り消え去っていった天使たちに、メフィスはそう吐き捨てながらトビト島へと戻っていった。
成功
🔵🔵🔴
バロン・ゴウト
アンギナス天導帝国とやらが何を企ててるのか知らないけど、その為に女の子を脅して攫うつもりなら許さないのにゃ!
敵が突撃してくるように【おびき寄せ】るのにゃ。
こちらに向かってきた瞬間【アイリスの嵐】を【全力魔法】で発動し、敵の片翼を狙うのにゃ。
突撃中に片翼を負傷して空中でバランスを崩し、地に落ちた敵へ【ダッシュ】で駆け寄り、【串刺し】にするのにゃ!
絡み、アドリブ大歓迎にゃ。
●光芒一閃
バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)は、トビト島の草原を駆けていた。草むらに身体が隠れそうになるが、その中を全力で奔る。
「アンギナス天導帝国とやらが何を企ててるのか知らないけど、その為に女の子を脅して攫うつもりなら許さないのにゃ!」
なるべくラーエルから距離は取りたかった。安全を確保する意味もあるが、それだけではない。巻き込んだら大変だからだ。
「……この距離ならラーエルさんを巻き込むこともないはずなのにゃ。来いにゃ!」
そうしてバロンは島の外縁部に近いところまでやってきた。ここからなら敵の姿もよく見える。そして、敵からもバロンの真っ黒な身体がよく見えた。
「新たな敵を確認……なんだ、子猫か!?」
「小さい相手だろうと油断はするな! だが狙いは定めろよ!」
天使たちが口々に猫だ猫だと言いながら、バロンに向かって突撃する。それに対し、黄金のレイピアを抜きながらバロンも力強く吼えた。
「狙ってくるなら迎え撃つにゃ! さあ、来るのにゃ!」
その言葉が癇に障ったか。天使たちのハルバードの矛先がバロンに向けられた。
「馬鹿にして……!」
「その減らず口も叩けなくしてやる!」
そして、敢行される突進。それに対して一歩も動かないまま、バロンはレイピアを掲げる。
「アイリスの花びらよ! 敵を討つにゃ!」
と、そのレイピアが解けてアイリスの花びらへと変化した。それをただ撒き散らすだけではない、手を振って操っていく。そして狙うのは、天使の翼、その片方。
「な――!?」
その的確な花びらの操作に、天使が瞠目した。片翼を的確に狙ったバロンの攻撃で、突進の体勢が明らかに崩れたのだ。そこに目掛けて、花びらをレイピアに戻したバロンがレイピアを突き出す。
「喰らえにゃ!」
狙いすました一撃が天使の顔に突き刺さった。ケットシーの持つレイピアと言っても殺傷力は十分、顔を串刺しにされた天使が断末魔の悲鳴を上げる。
「ぐわ……!」
そうして悲鳴を上げた天使が消え去っていく。そこから視線を外したバロンは、改めて空の敵を見た。
「バランスを崩させればこっちのものだにゃ。どんどん来るにゃ!」
勇ましく声を発したバロンがレイピアを構える。天使たちはそれからも、バロンに翻弄されては攻撃を加えられて骸の海に送還されるのだった。
成功
🔵🔵🔴
ダガー・ヒュードラウス
さーて、今回私が呼ばれたのはっと
海魔を空の上に呼ぶのはどうかと思うのよ私。まあ呼ばれた以上は契約だし従うけど
にしても数が多いわねえ。まとめて相手にするのは面倒だしプチっとやるのが楽かしらねー
さくっと【ギガントフォーム】で巨大化
巨大化後はサイズ差を活かしての触腕による物理攻撃の『乱れ撃ち』で攻撃
一応、飛行能力もあるし対空要員が少なそうなら空中戦よ。魔王笏から『衝撃波』を『乱れ撃ち』して空中戦をするわよ
どっちが悪役かわからない暴れっぷりだって?召喚された魔王なんてそんなもんだから気にしちゃだめよ?
●山光水色
トビト島の空中に魔法陣が浮かぶ。その魔法陣から吐き出されるように姿を現したのはダガー・ヒュードラウス(召喚獣「海魔」の魔王・f33923)だ。
下半身の触腕をうねらせながら、ダガーは視線を巡らせた。
「さーて、今回私が呼ばれたのは……っと」
周囲に視線をやったダガーは目を見開いた。
空の上だ。雲は遥か下にあり、太陽はさんさんと照りつけている。水場はどういう理屈かあるようだが、これは海魔にとってはあまりいい環境とは言えない。
「海魔を空の上に呼ぶのはどうかと思うのよ私。まあ呼ばれた以上は契約だし従うけど」
召喚された以上は働かなくてはならない。なぜならそれが召喚獣という生き物だから。そんな諦念の情を抱きながら肩をすくめるダガーの耳に、空中から声が聞こえてきた。
「新たな敵だ!」
「あの姿……魔物か!? それにしては只者ではない覇気……!」
声のする方に目をやれば、黒翼をはやした天使がハルバードを構えながらこちらを見ている。魔物とは随分とご挨拶だ。魔王である以上、否定もできないのが辛いところだが。
「にしても数が多いわねえ。まとめて相手にするのは面倒だし……」
ダガーはそう零しながら息を吐いた。ざっと見ても十数人はいる。これはいちいち相手するのは骨が折れるだろう。
ということで。ダガーは全身に力を込めた。
「なら、プチっとやるのが楽かしらねー」
そう言うや、ダガーの全身が大きく膨れ上がった。そのサイズ、実に全長24メートル。見上げんばかりの巨躯になったダガーを見て、天使たちは震え上がった。
「ひぃっ!?」
「なんだあの大きさは!?」
巨大なダガーを見て震える天使たちだが、その顔がさらに蒼白に染まる。ダガーの巨躯が一気に地を蹴り、空中へと舞い上がったのだ。
天使たちを下に見ながら、くすくすとダガーが笑う。
「おお、小さい小さい。それじゃ……」
そして、ぶんと下半身の触腕を振るった。巨大化したがゆえに触腕のサイズもとてつもない。重量も凄まじいことになっているそれを、ダガーはまるではたきでも振るかのように軽々と振り回す。
結果、天使たちは極太の触腕で滅多打ちにされていた。
「ぐわ……!」
「た、退避ーっ!」
次々に叩きのめされて雲の下に落下していく天使たち。何人かはそれを逃れて退避しようとするが、それを逃してやるほどダガーは優しくない。
「逃さないわよ? そーれっ!」
「が……っ!」
突進して突っ込むようにしながら触腕を叩きつける。一網打尽に叩きのめされた残りの天使が、揃って吹き飛ばされていった。
「ふう……これじゃ、どっちが悪役か分からないわね。召喚された魔王なんて、大概そんなものでしょうけど」
天使の飛ばされていったほうを見ながらダガーが嘆息する。しかし考えても詮無いこと、彼女は再びトビト島の大地に戻っていった。
成功
🔵🔵🔴
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
ラーエルちゃんが敵に詰め寄られているなら
シールドバッシュで敵との間に割り込みかばい
安全な場所に隠れといて貰う
レディをエスコートするにはあまりに無粋
アンギナスだかオタンコナスだかよう知らんけど
過去の泡――とりわけ歪んだ劣化コピーには、とっととご退場願おか
UC展開
分断及び毒で弱体化狙う
特に出口近くは曲がり角沢山作って敵スピード効果減退させる
キャバリア搭乗
出口で待ち構える
出て来る敵に向け
部位破壊で翼狙い飛行能力を奪いつつ
範囲攻撃・シールドバッシュ+吹き飛ばし(迷宮の刺に叩きつける)・毒使い・マヒ攻撃・破魔で殴り飛ばす
雲海にに沈めばあんな風に歪んで化けて出る……
怖い話やねえ、ほんまに
●光采陸離
クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は転移してすぐに走っていた。転移直後、視線を巡らせるまでもなく叫び声が聞こえたからだ。
「や、やだっ、近づかないで!」
「大人しくしろ! さもなくば――」
女の子との声と、若い男の声だ。声のする方に向かえば、そこには栗色の翼を持つ少女が黒い翼を持つ鎧の男に詰め寄られている。
間違いない、ラーエル・トロイだ。詰め寄っている鎧のエンジェルはオブリビオンに間違いない。
Aconitum carmichaeliiを取り出して構える。二人の間に割り込むようにしながら、大盾を思い切り突き出した。
「離れえや!」
「なっ!?」
天使が怯んだ隙きに、身体をねじ込んでラーエルから引き離す。そして後ろにちらと視線を向けながら、クルルはラーエルへと声をかけた。
「ラーエルちゃんやっけ。安全な場所に隠れといてくれへん?」
「は、はい!」
その言葉に困惑も反抗もすることなく、ラーエルは街の方に向かって飛んでいく。それを見送ったクルルは、冷たい目を目の前の天使に向けながら言った。
「レディをエスコートするにはあまりに無粋。アンギナスだかオタンコナスだかよう知らんけど、過去の泡――とりわけ歪んだ劣化コピーには、とっととご退場願おか」
「な……い、言わせておけば!」
不遜な物言いに腹を立てたか、天使がクルルの大盾を弾こうとハルバードの柄を叩きつけてくる。それを防ぎつつ後方に飛び退きながら、クルrはさっと手を伸ばした。
「百花繚乱、徒然に、廻り廻りてゆく末は――」
ラーエルを戦場から引き離したのはこの意図もあった。花逍遙は強力だが、効果範囲が実に広い。ラーエルまで迷宮に捕らえてしまっては敵わない。
しかし、その心配は今はない。結果として。
「う、うわっ!?」
毒花に満ちた荊の迷宮に、天使は一人囚われて困惑していた。
天井までも荊に覆われた、広大な迷宮だ。しかも夥しい数の毒花が生えて毒気を撒き散らしている。これは、長く居座るわけにはいかない。
「く、くそっ。だが荊の壁なら風は受けられる! こんな迷宮……!」
そう言いながら天使はわずかに空中浮遊をしながら迷宮を駆けた。風によって毒気が撒き散らされて体を蝕んでいくが、それを今は気にしてはいられない。
数分ほど経っただろうか。迷宮を彷徨った天使は、曲がり角が多く存在する区画に来ていた。
「くっ、この辺りは曲がり角が多いな……ん!?」
曲がり角が多いと飛行して速度を出すことも難しい。いらつきながら角を曲がると、視界の先に開けた空間があった。
もしかして。そうして機体を胸にいだきながら迷宮を飛び出した天使に、クルルの声がかかった。
「おお、思ったより早く出てきたなぁ」
「な……」
だが、生身のクルルではない。キャバリアに搭乗した彼女は天使を高くから見下ろしていた。
うっすらと笑みを浮かべながらクルルが、De profundisに拳を握らせる。まっすぐ突き出された拳は、天使の黒い翼へ。
「ここまで出てこれたご褒美や。手ずから叩きのめしたるさかい」
その直後に翼を拳が撃ち抜いた。強烈な一撃を受けた天使の身体が吹き飛ばされ、迷宮の荊に叩きつけられる。だが攻撃はそれで止まない。さらに殴り殴り、天使の身体を砕いていく。
「が……っ!」
口から大量の血を吐き出した天使が崩折れる。そしてその身体は、風に崩れてばらばらと消えていった。
それを見送りながら、クルルは荊の迷宮を消滅させる。
「雲海に沈めばあんな風に歪んで化けて出る……怖い話やねえ、ほんまに」
悲しい生き物だ。そしてオブリビオンとは罪深い存在だ。そう思いながら、クルルは遠くの空を見上げた。
成功
🔵🔵🔴
リコリス・ガレシア
異世界を旅する明るく無垢な少女。
戦闘時は、クールな鬼の少女の人格に切り替わる。
トビト島の高台から空を眺めて
「この世界はいい風が吹くのです」
黒い翼がラーエルたちを襲おうとするのが見えた瞬間、帽子を脱いで人格を切り替えます。
「行きますよ」
夜のような黒髪、血のような赤眼、彼岸花模様の着物、帽子の代わりに般若の面を斜めに被った少女に姿が変わる。
残像を生み出す縮地で接近し、右手で掴んだ左腕を天叢雲剣に変化させて切り裂く。
「お前達に恨みはないが、主の命だ。倒させてもらう」
「神器解放-天叢雲剣-」
上空に無数の暗雲が生まれ、暴風と雷雨が空飛ぶ敵の動きを阻害し、剣の一振りで生み出された竜巻と雷撃が敵群を襲う。
●上下天光
リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)はその長い髪をさらさらと風になびかせながら、トビト島の高台で空を見ていた。
「この世界はいい風が吹くのです」
遮蔽物のない空間、風はさらさらと吹き渡る。そしてその風を受けて、自分の体はまるで宙に浮いているかのようで。
その爽快感に目を細めていると、ふと、漆黒のものが視界を横切った。
「むっ」
その黒いものは、地面に降り立とうとしている。見ればなるほど、木の上に留まっている少女をどうにかしようと、黒い翼の天使たちが群がって。
見過ごせない。見過ごす理由もない。リコリスはたん、と高台から飛び降りた。
「行きますよ」
その間にピンクブロンドの髪は漆黒に染まり、服装はふわふわとしたドレスから彼岸花をあしらった着物に変わり、頭に被った帽子は般若面に。
すっかり和風の装いになり、知らないものが見たらリコリスだとは確実に気づかないだろうその姿を衆目に晒しながら、リコリスは草を強く踏んだ。
「なっ!?」
「何者だ!?」
その音に気がついた天使たちが振り返って眼を見張る。対して、右の手で左の手首を握りながらリコリスは言った。
「お前たちに恨みはないが、主の命だ。倒させてもらう」
ついで。その左腕を、まるで刀を抜き放つようにぐ、と握る。
「神剣解放。来たれ、天の雷」
声を発した瞬間だ。リコリスの右手が左腕を抜いた。そして抜かれた左腕は剣となって、暴風と雷、竜巻を巻き起こす。
「ぐわ!?」
「な、なんだっ!?」
突然の荒れ模様に、天使たちは困惑した。加えてラーエルのいる木が一切、葉の一切も揺らしていないことが困惑に拍車をかける。
そしてふ、と天使たちの足が地面から浮き上がった。
「惑え、惑え。そして地に堕ちよ。俺がお前たちを滅してくれる」
そう言いながらリコリスが天を見上げれば、そこには何人もの天使が上空へと巻き上げられている。
巻き上げられ、消えていったその先。黒雲の中にまばゆく輝く光が一つ。
「……これで終わりではない、か」
その光を見上げながら、リコリスはぽつりと呟いた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『眩耀のクルーエル』
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POW : 天より降り注ぐ粛正の刃
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【神々しい翼】から【七色に煌めく十字架光剣】を放つ。
SPD : 我が前に跪け
【支配の極光】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ : グリッタリング・フィナーレ
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【七色に煌めく十字架光剣】で包囲攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠スピカ・ネビュラスター」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●光輝燦然
光が降りてくる。まるで質量を持った光が地面に降りてくるかのように、その天使は輝きながらトビト島の地面へと降り立った。
「全く、情けない。アンギナス天導帝国の一員ともあろうものが、こんな無様を晒すだなんて」
そう言いながら、天使――眩耀のクルーエルはゆるゆると頭を振る。そして猟兵たちを睨みながら、手をこちらに向けてきた。
その手の周辺に、次々に光の剣が生み出される。
「この眩耀のクルーエルが、あなたたちに終わりを齎して差し上げましょう。そして帝国は『光の導き手』の力を以て、ますます強大になるのです」
そう言いながら猟兵たちに敵意を剥き出しにするクルーエル。彼の周囲に浮かぶ光の剣が光を放った。
七色の光を帯びた剣が、一等強く光り輝く。
「さあ、始めますよ猟兵! 空の藻屑と消えるがいい!」
そう言いながら地を蹴るクルーエル。そうしてトビト島での戦闘は、静かに始まった。
バロン・ゴウト
偉そうに言ってるけど、要するにただの人攫いなのにゃ。
そもそも『空の藻屑』って矛盾した言葉なのにゃ!
【地形を利用】して上手く戦うのにゃ。
土がむき出しの地面の上を【逃げ足】を駆使して逃げ回りながら敵の様子を伺うのにゃ。
敵の攻撃で土埃が舞い上がったら、それを目くらましにして、【トリニティ・エンハンス】の【風の魔力】で上空まで【ジャンプ】して、敵を【串刺し】にするのにゃ!
絡み、アドリブ大歓迎にゃ。
●水光接天
こちらを見下ろしてくるクルーエルに対して、バロンはふんと鼻を鳴らしながら腰に両手をやった。
「偉そうに言ってるけど、要するにただの人攫いなのにゃ」
そこから黄金のレイピアを抜き放つ。クルーエルに向けたその切っ先が、太陽の光を反射してきらりときらめいた。
「そもそも『空の藻屑』って矛盾した言葉なのにゃ!」
「なんと、この雄大な大空を海とするならば、貴様らは藻屑と消えるに等しいのです! 今からそんな減らず口も叩けなくしてあげましょう!」
だが、クルーエルも負けていない。バロンに尊大な言葉を返すと、翼をはためかせて飛んだ。高速で飛行するクルーエルの翼から、何本もの光の剣が飛び出して地面に突き立てられる。
それを避けながら、バロンは走った。草の生い茂る草原を駆け、地面がむき出しになった場所へと向かう。遮蔽物のない荒れ地、バロンめがけて光の剣が次々に降ってくる。
「くっ……!」
「ほらほら、どうしたのです? 逃げ回ってばかりいて、もう怖気づきましたか!」
小さなバロンの姿を捉えきれずに歯噛みしながらも、クルーエルは次々に剣を投じてきた。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、狙いを定めずにばらまく心算のようだ。
自分の周りに落ちた剣が地面に突き刺さり、土を舞い上げるのを見ながらバロンは口角を持ち上げる。
「(やっぱりそうだにゃ。あの光の剣が刺さったところから地面が削れて、土埃が舞い上がっているにゃ……なら!)」
走って走って、剣が降って。そうして土煙がもうもうと上がったところで。しびれを切らしたクルーエルが一度に大量の光の剣を生成した。
「ちょこまかと鬱陶しい……これでとどめです!」
明確にその場所で留まって、剣を投じてくるクルーエル。その剣の合間を縫うようにしてバロンは飛び出した。風の魔力で跳躍力を強化。
「今だにゃ!」
「なっ!?」
土煙の中から自分めがけて飛んできたバロンの姿に、クルーエルは驚愕する。回避する間もなく、その翼の一枚にバロンのレイピアが突き刺さった。
「ぐぅっ……!」
「空を飛べるからって、地上のボクたちを侮らないことにゃ!」
苦しげな声を上げるクルーエル。翼を蹴って再び地上に戻りながら、バロンは力強くそう告げた。
大成功
🔵🔵🔵
キング・ノーライフ
ラーエルは街まで逃げたようだ、後は暴れるとしよう。
【狸塚の呼び鈴】で呼び出して【ヴァーハナ】に二人で乗ると真の姿解放して手足をヴァーハナに直接接続、【運転】で攻撃範囲を最速で駆け抜けつつ【内臓ガトリング】で攻撃。【見切り】しきれんでも装甲車、剣の三、四本なら耐えきれるだろう。
剣を大方飛ばし終えたら再使用の前に【大狸囃子】で動きを止め、ヴァーハナでそのまま【制圧射撃】をしながら突っ込む体当たりを食らわれてやろう。
どうした狸塚、変な顔をして?
ああ、【化術】でラーエルのままだったか。
「狸塚君、そんなに見つめられると…ちょっと恥ずかしいかな」と隣の狸塚を【演技】と【誘惑】でからかうか。我も顔が熱いが。
●清光溶溶
キングはラーエルが街に逃げたことを確認すると、改めて眼前に降り立った敵の姿を見た。
「よし、後は暴れるとしようか」
そう言いながら、彼はふところから一つのベルを取り出す。
それをチリンと鳴らせば、彼の従者の一人、狸塚・泰人がいつもの狩衣姿で現れた、のだが。
出てくるや、キングの顔を見て彼は目を見開いた。
「お呼びですか、ご主人さ……ま?」
それもそのはず、キングは化術でラーエルの姿を取ったままなのだ。呼び出されたと思ったら見知らぬ天使の少女が目の前にいる。驚きもするだろう。
そんな驚きなど気にもせず、キングは装甲車のヴァーハナを呼び出した。
「今からあれをやる。乗るぞ」
言うが早いがヴァーハナの操縦席に飛び乗るキングだ。泰人も戸惑いこそあれど、置いていかれまいと助手席に飛び乗る。そしてキングの両肩には金属製の肩当てが出現した。
真の姿だ。そのうえでキングが両手をヴァーハナの操作盤に押し付けると、淡い光が彼の両手と両足から放たれた。
「よし、神経接続。このまま走りながら射撃を行う。ガトリングの制御は任せたぞ」
「え、あ、はい!」
泰人にいつもの口調でそう告げれば、泰人もなんとか気を取り直してガトリングの操縦桿を握る。銃口を向けると、クルーエルがその翼をまばゆく輝かせた。
「小癪な! その程度の装甲、我が剣の前には無力と知りなさい!」
クルーエルの翼から無数の光の剣が現れると、それが猛スピードで飛び回る。かなりの広範囲だ。全速力で離脱するにも数秒はかかる。
そのさなかを、ヴァーハナは最大スピードで一気にぶっちぎった。抜ける最中に二、三本、車体に剣が激突して大きく揺れる。
「ご主人様!」
「心配するな、一本二本、当たったところでどうとでもなる!」
声を上げながらもクルーエルに向かってガトリングを連射する泰人だが、キングはそれ以上に動じない。凄まじいGがかかっているだろうに、気にもとめていない様子だ。
そしてガトリングを撃ちながら駆け回っていると、剣が全て溶けるように消えていく。ヴァーハナの車体はまだまだ無事だ。
「くっ……まさか耐えられてしまうとは想定外です!」
攻撃の手を止めて体勢を立て直すクルーエル。キングはその隙きを見逃さなかった。ガトリングの操縦桿から手を離した泰人に声を飛ばす。
「打ち止めか。よし狸塚、今だ!」
「はいっ、最大出力で行きますよ!」
その言葉とともに、出現するのは大太鼓と巨大な横笛だ。それが最大出力で音を鳴らすと、指向性を持った音波がクルーエルに襲いかかる。
「ぐわ……!」
「よし。突っ込むぞ狸塚、対ショック姿勢!」
「はい……!」
たまらず動きを止めたクルーエルに、ヴァーハナは一気に突っ込んでいった。ガトリングを撃ち続けた黄金の車体が、クルーエルの身体に激突する。骨が砕ける音がした。
「ぐ、お……!」
衝撃に吹っ飛んでいくクルーエル。まだ命はあるようだが、体勢を整えるにはしばしの時間がかかるだろう。キングが一つ息を吐く。
「ふー……」
「あ、あの……ご主人様、今よろしいですか?」
「なんだ」
と、そこで泰人が声をかけてきた。おずおずと話しかけてきた彼に視線を向けると、泰人が目を逸らしながら問いかける。
「その……そのお姿は、一体?」
「む……」
言われて気がついた。ラーエルに化けたままだ。
そこでキングは少々悪戯心が芽生えて。泰人に向かって頬を赤らめながら、声色を作り口調も真似て声をかけた。
「狸塚君、そんなに見つめられると……ちょっと恥ずかしいかな」
「ちょっ、あの、どういうことです!? 説明してください、ご主人様、ご主人様!?」
ラーエルを装ったキングの答えにならない答えに、さらに戸惑う泰人。二人ともがその頬を赤く染めていた。
大成功
🔵🔵🔵
ダガー・ヒュードラウス
おっと、今度はそこそこ遊びがいがありそうなのが出て来たわねー
まあ、こんな空の上まで来たんだし楽しませてもらおうかしらね
まずは適当に『衝撃波』をぶっぱしつつ敵の攻撃を《魔王の盾》で攻撃を捌いて応戦。
適度に苦戦を演じつつこっちに近づいてくるのを待つわよ
近づいて来たところを《魔王の触腕》を使って『捕縛』して『怪力』で締め上げるわ
ざ~んねん、この程度で魔王を殺せると思ったのかしら?
この程度で魔王を殺すなんて100年経っても無理よ、無理。もうちょっと出来るようになってから出直してきなさい?まあ生きて帰れたらだけど
という訳で触腕で逃げれなくなったところを【幻の左】でぶん殴るわ
●眼光紙背
こちらに向かって飛んでくるクルーエルを見やりながら、ダガーはにんまりと口角を持ち上げた。
「おっと、今度はそこそこ遊びがいがありそうなのが出て来たわねー。まあ、こんな空の上まで来たんだし楽しませてもらおうかしらね」
その口ぶりは、明らかに楽しみにしているものだ。およそ敵の大将を相手取るとは思えないような言葉に、クルーエルの顔に怒りの色が浮かぶ。
「楽しむですって! この私を前にしてよくもそんなことが言えたものです。その軽口、すぐに後悔させてあげましょう!」
そう言うや、クルーエルは翼を大きく開いて空を舞った。その翼から幾本もの光の剣が生み出され、雨のように地面へと突き刺さる。
「おっと……速いわね」
猛スピードで飛んでいくクルーエルを見て、ダガーは息を吐いた。衝撃波で飛んでくる剣をいなし、それでも防げないものは魔王の盾で弾き。無傷でこそいるが、相手のスピードが早いせいでなかなか攻撃が当てられない。
三度空中を猛スピードで滑空しながら、クルーエルが勝ち誇ったように笑った。
「ふはははは! どうです、この速度についてくることなど不可能!」
「よく言うわよ……!」
その言葉に歯噛みしながら、ダガーは体勢を整える。これは機を伺うより他にない。
すると、クルーエルが空中で方向転換してこちらに向かってきた。チャンスだ。
即座にダガーは触腕を前に出して迎え撃つ。触腕の網の中に飛び込む形になったクルーエルは、そのまま絡み取られ締め上げられた。
「なにっ!?」
「ほらね。速すぎて捕まえられないって言うなら、近づいてくるまで待てばいいのよ」
途端に身動きの取れなくなったクルーエルに、ダガーはニヤリと笑いながら言った。捕まえてしまえば後はこっちのものだ。
触腕を動かし、自分の顔の近くまでクルーエルを近付けてから言い放つ。
「ざ~んねん、この程度で魔王を殺せると思ったのかしら? この程度で魔王を殺すなんて100年経っても無理よ、無理」
「ぐっ、ぐぬ……!」
その言葉に悔しそうに歯噛みするクルーエルだ。完全に動きも攻撃も封じられている以上、言いたい放題を咎めることも出来ない。
そして、ダガーが上半身の左腕を振りかぶる。
「もうちょっと出来るようになってから出直してきなさい?」
その腕が思い切り引かれ、ピタリと止まったところで。
「まあ生きて帰れたらだけど」
「っ……!」
その一言とともに一気に叩き込まれる幻の左。同時に触腕がほどかれ、クルーエルの身体は羽根を撒き散らしながら再び吹き飛んでいった。
「女の細腕だからって舐めてると痛い目に遭うのよ? 覚えておきなさい、覚えていられたらだけど」
そちらの方向に目を向けながら、ダガーは勝ち誇った表情を見せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リコリス・ガレシア
【明鏡止水】で周囲の揺らぎを感じることで、敵がどこを攻撃しようとしているのか、剣や光の動きを理解し、高速歩法の縮地により避けながら敵の様子をうかがう。
「大量の剣は面倒だが『俺』を使えばどうにでもなる」
躱しきれない剣を鬼の少女の本体である天叢雲剣で弾き、直後に飛んできた極光を残像で回避して
「あの光に当れば体の支配権を奪われるか、厄介だな」
「自然現象も支配可能ということは天候支配も効果が薄いか……なら、やることは一つだ」
斜めになっている般若の面を正面に被り直し
「正面突破で叩き斬る」
敵の攻撃を明鏡止水で見切り、残像で敵を攪乱しながら、懐に飛び込み、鬼の怪力をもって、隻腕の右手の天叢雲剣で急所を斬る。
●韜光晦迹
リコリスはただ、静かに地面を見つめていた。
そこではゆらゆら、ゆらゆらと光がきらめいている。そしてその光が動き、揺らめき、リコリスにクルーエルが次にどう動くか、の情報を与えていた。
「大量の剣か。対応は面倒だが、『俺』を使えばどうにでもなる」
かわしきれない剣は刀ではじき、さらに襲いかかってくる極光は見切って回避する。回避こそ完璧だが、攻めあぐねているリコリスに、クルーエルが高笑いしながら言ってくる。
「ふははは、その大言壮語もそこまでです! ここで雲の下へと叩き落として差し上げましょう!」
そう言いながらもう一度、極光を放ってくるクルーエル。光を避けると、ちょうどそこに飛んできた鳥が一羽、光に飲み込まれた。
と、その鳥が不自然な軌道で島の外へと吹き飛んでいく。羽ばたくことも許されずに、鳥は島の外へと放り出されていった。
「あの光に当れば体の支配権を奪われるか、厄介だな」
リコリスはそう発しながら、哀れな鳥が落下していったほうを見つめた。見れば、鳥だけではない。光の当たった草木も、風も、空気までも、クルーエルに都合のいいように動かされている。
「自然現象も支配可能ということは天候支配も効果が薄いか……なら、やることは一つだ」
そう呟くや、リコリスは般若面を正面に被り直す。そして刀を真正面に構えた状態で地を蹴った。一気にクルーエルに向かって距離を詰めていく。
「むっ!」
「正面突破で叩き斬る」
至極単純、小細工抜き。一気にまっすぐ突っ込んでくるリコリスを見て、クルーエルが呵呵と笑う。
「真正面から突っ込んでくるとは愚かな! すぐに――」
そうして放たれる極光を、リコリスは巧みな体捌きでかわしていった。スピードは落ちない。クルーエルが驚きの声を上げる中、一気に肉薄する。
「なにっ!?」
「これで終わりだ」
刹那、ざんと音を立てて、その翼の一枚が切り離された。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
無礼な黒服の次は…なんやあれ、ミラーボール?
場末世紀末の歓楽街かな?
オタンコナスやったっけ、そんないかがわしそうな場所に女の子を連れて行かせる訳にはいかへんなあ
キャバリア搭乗
空中戦・空中機動・推力移動駆使し飛行
限界突破・見切り・情報収集・瞬間思考力にて敵UCの十字架光剣軌道を能う限りの速さで分析
UC展開、氷華で剣を迎撃
氷華を乱舞させ目潰し・迷彩で敵視界から外れ
そのままダッシュで一気に加速
シールドバッシュで突っ込む
フェイント・マヒ攻撃・毒使い・破魔で攻撃
撃墜できなかった剣・敵攻撃は見切りと盾受け・オーラ防御で対処
自分の照りに目が眩んで、『現在』が見えてへんのんとちゃうん?
●電光朝露
クルルが、光り輝くクルーエルに視線を向けながらため息をつく。
「無礼な黒服の次は……なんやあれ、ミラーボール? 場末世紀末の歓楽街かな?」
まばゆく輝くクルーエルをみやって、クルルが深くため息をつく。その反応に、クrーエルの身体がぴくりと止まった。
それだけではない。さらにクルルは相手を怒らせようと言葉を重ねる。
「オタンコナスやったっけ、そんないかがわしそうな場所に女の子を連れて行かせる訳にはいかへんなあ」
「アンギナス天導帝国です!!」
と、クルルの言葉にクルーエルから声が飛んできた。オタンコナスと何度も連呼されて、クルーエルもたまらないらしい。
ともあれ、やることは単純だ。クルルがさっと手を挙げる。
「まあええわ、きっちり叩きのめしたる。いくで、De profundis」
と、呼びかけるや彼女の背後に巨大な機神が姿を見せた。軽やかに地を蹴ったクルルが、コクピットに乗り込む。
すると大きなキャバリアが、音もなく空中へと舞い上がった。空中戦をしかけにいくキャバリアに、クルーエルが目を見開く。
「空を舞う機神ですか! ですがその程度の速度で――」
「ただ空を舞うだけだと想っとったん?」
と、光の帯を放つクルーエルに向かって、キャバリアが一気に氷の華を撒き散らした。光を受けて輝く氷の花が視界いっぱいに広がり、クルーエルの視界を覆い尽くす。
「凍えよ、睡れ、地に堕ちよ――」
クルルの声だけが響く中、クルーエルが視線を周囲に巡らせた。これでは居場所の確認も取れない。
そして氷の華が散った時、クルルの姿はどこにもなかった。
「何っ!? どこに……」
驚きにクルーエルが声を上げた瞬間だ。背後から大盾を構えたクルルが突撃してくる。
「ここや」
「ぐはっ!?」
予期しない方向から攻撃を受け、攻撃をモロに食らって吹っ飛んでいくクルーエル。その哀れな姿を見ながら、キャバリアのコクピットでクルルは息を吐いた。
「自分の照りに目が眩んで、『現在』が見えてへんのんとちゃうん?」
まばゆい光は照らすだけではない、居場所を見失わせもするのだ。そう感じながら、クルルは体勢を崩す哀れな敵を見やった。
大成功
🔵🔵🔵
鬼鉄・マオ
(アドリブ・協力歓迎)
む、先程までの黒翼騎士よりは強そうだな。ならば…出番だ、フロレム。(呼びかけに応えて、すぐ側に降り立ったワイバーンに飛び乗る)
敵の十字架光剣を、フロレムが装備するミサイルの【爆撃】で迎撃する。多少抜けてくるだろうが、バットを【怪力】で振って、光剣を弾く。それでも駄目な時は【激痛耐性】と【気合い】で乗りきろう。
ある程度接近したら、敵の隙をつき【騎乗突撃】で突撃する。敵の体勢を崩したら、フロレムから飛び上がり、敵の頭上からUCでバットの一撃を叩き込む。自分が雲海に落ちないように、フロレムの背中にしっかりと着地するぞ。
堕ちろ。お前の放つ光など、この空には不要だ。
●孟光荊釵
体勢を崩し始めるクルーエルを見上げながら、マオはそっと眉間にシワを寄せた。
「む、先程までの黒翼騎士よりは強そうだな。ならば……」
先程よりは力の有りそうな敵の姿。そしてもう少し叩けばとどめを刺せそうな様子。これは飛び出さなければならない、と判断したマオがさっと手を挙げる。
「出番だ、フロレム」
呼ばれて彼女の傍に降り立ったのは一頭のワイバーンだ。そのワイバーンに飛び乗るマオを見ながら、クルーエルがからからと声を上げて笑う。
「ほう、これでようやく空らしい戦いができようというものです!」
「あまり侮らないことだ!」
今だ傲慢な彼の言葉に、マオが言葉を返しながらフロレムに飛び乗る。
「ならば立ち向かってみせなさい!」
「フロレム!」
飛び上がって空を駆けるフロレムとマオに、クルーエルが無数の光の剣を放つ。その剣の間をすり抜け、くぐり抜けながらマオは突き進んだ。どんどんクルーエルとの距離を詰めていく。
「ほう、なかなかやる……!」
「侮るなと言ったはずだ!」
声を上げるクルーエルに、力強く言い返しながらマオは金属バットを取り出した。それを構えながらますますフロレムに速度を上げさせる。
「フロレム、行け!」
声をかければ、ぐんと翼をはためかせるフロレムが突き進んだ。光の剣を突き抜け、身体に襲いかかる剣はバットで打ち払い、前へ、前へ。
そしてクルーエルの目前まで向かったところで、マオがフロレムの背中を蹴った。一気にクルーエルの眼前に迫る。
「何っ!?」
「これで終わりだ!」
その言葉とともに、マオが金属バットを一気に振り抜く。そしてその先端がクルーエルの頭蓋を捕らえ、砕いた。
「ぐわ……!」
断末魔を残しながらクルーエルが雲のある眼下へと落ちていき、その間に身体を崩していく。
そしてその身体が崩れ去っていく中、マオは呟いた。
「堕ちろ。お前の放つ光など、この空には不要だ」
その言葉とともに、クルーエルの姿が消え去る。まばゆい光は、もう見えなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『料理知識を交換する』
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POW : ●『料理の味や見た目について』
SPD : ●『料理に使う道具や技法について』
WIZ : ●『料理に纏わる歴史やエピソードについて』
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●寂光浄土
猟兵たちがトビト島に再び降り立った時、町の方から飛んでくる少女がいた。栗色の髪に同色の翼。ラーエルだ。
「皆さん、ありがとうございました」
猟兵たちに頭を下げながら、ラーエルはお礼を言う。少しだけ不安そうな表情をして、彼女は話を続けた。
「あの『アンギナス天導帝国』がどこから来たのかは分かりませんが……それでも、この島が守られたのは、皆さんのおかげです」
そう話しながらラーエルは町の方に向けて手を伸ばす。どうやら案内をしてくれるらしい。
「島の皆にお願いして、お料理を作ってもらったんです。この島や、島の周囲で捕まえた魔獣を使ったお料理、是非食べていってください」
町の中に入り、集会所の前にやってきたラーエルが微笑む。扉の向こうからはとてもいい匂いが漂ってきていた。中ではきっと、魔獣料理の数々が並べられていることだろう。
集会所の扉を開きながらラーエルが振り返って話す。
「それに、皆さん島の外から来たんですよね? 島の外の話も聞かせてください」
そう話した彼女と一緒に中に入ると、わっと歓声が猟兵たちを包み込んだ。
●特記事項
・会場はトビト島の町の中に設置された集会所です。島内や島周囲に生息する魔獣を使った料理が並んでいます。
・会場にはラーエルの他、町長やラーエルの両親、その他町の人々が集まっています。
キング・ノーライフ
まずラーエルには謝罪しておくか、囮の為とはいえ姿を借りたしな。
さて、それでは料理を食べるとするか。
しかし狸塚、何故【化術】で女に化けている?
料理を教えてもらい易くする為か、ならいいが…。
魔獣料理と言っても色々あるなと回ると狸塚が逐一持ってきて食べさせてくる。そこまでして貰わんでもいいからお前と一緒に楽しめと言うと目を潤ませて「…ダメですか?」と尻尾を力なく垂らして見つめてくる。
町の人間の目線が痛いな、彼女を大事にしろと言われてもな…。
さっきの仕返しだとしても戯れが過ぎるぞ狸塚。
では逆に膝に狸塚を乗せてお返しに世話してやるか、
この空気と流れを作ったはお前だからな、徹底的に甘えさせてやろう。
●光彩奪目
集会所に立ち入って、キングはまずラーエルのもとに向かった。そのまま彼女に、小さく頭を下げる。
「ラーエル、勝手に姿を借りてすまなかったな」
「いえ、そんな」
謝る彼に、ラーエルが小さく頭を振る。キングがラーエルに化けたのは、無断だったとは言え必要なことだったのだ。彼女もそれを、咎めるつもりは無いようで。
「囮になってもらうために、ということですし。仕方ないです」
その言葉に、苦笑を返しながら息を吐くキングだ。そんな彼の腕に泰人がくっつきながら言う。
「そうですよご主人様。仕事の上で必要だったことです。気になさることはありません」
「……そうか」
泰人にも苦笑を返しつつ、キングは複雑そうな声を漏らした。その瞳には困惑の色が見て取れる。何故なら。
「狸塚」
「はい、なんでしょう」
問いかけるキングに、泰人がいっそわざとらしいくらいに可愛らしく小首をかしげた。そんな従者に、キングは目を細めながら問いかける。
「何故、化術で女に化けている?」
そう、今この場にいる泰人は、女性の姿を取っていたのだ。
戦闘は終了したし、化かす必要のある相手もいない。普段どおりの姿を晒しても問題ないのに、彼はタヌキ耳とタヌキ尻尾を生やした女性の姿に自らを変えていた。その耳をぴこぴこさせながら泰人が言う。
「いつもの姿でいるより、女性の姿でいた方がこちらのお料理を教えてもらいやすいでしょう?」
「そうか、ならいいが……」
その物言いに、ますます複雑そうな表情になりながらキングは並べられた料理に目を向ける。
様々な魔獣を使った魔獣料理が、テーブルの上にたくさん並べられていた。焼く、揚げる、蒸す、煮る、調理方法も様々である。
「魔獣料理と一口に言っても色々あるな」
「そうですね、フリットに蒸し焼き、ローストにソテー……様々な調理法があって楽しいです。はい、ご主人様、あーん」
そんな事を話しながら、泰人が皿に取り分けた魔獣の肉のフリットを差し出してきた。先程からずっとこの調子だ。しきりに食べさせて、世話を焼こうとしてくる。正直、そこまでしてくれなくても自分で食べれると言うのに。
「そこまでして貰わんでもいいから、お前と一緒に楽しめ」
軽く突き放すキング。しかしそれを効いた泰人は、これまたわざとらしく耳と尻尾を垂らしながら、しょんぼりとして口を開いた。
「……ダメですか?」
「……っ」
その表情に、キングが言葉に詰まる。こういう場所でそんな表情をされると、周囲の反応が怖い。事実、トビト島の男たちがキングをからかい始めた。
「おいおい兄ちゃん、連れの女を悲しませるたぁ良くねぇな」
「大事にしてやれよ!」
口々にそう囃し立てる男性たち。彼らの言葉にため息を付きながら、キングが泰人に批判的な視線を向ける。
「……さっきの仕返しだとしても戯れが過ぎるぞ狸塚。こっちに来い」
「はい、ご主人様」
そうして泰人の手をにぎると、キングは近くに置かれた椅子にどっかと腰掛けた。その状態で自分の膝を叩く。
「ここに座れ」
「えっ、でも椅子が」
「いいから、ここだ」
戸惑う泰人に、キングは改めて自分の膝を叩いた。
この場所に他の空いている椅子はない。つまりキングは、泰人に自分の膝に座れ、と言っているのだ。
粛々と泰人がキングの膝の上に乗る。彼の頭をなでてやりながら、キングが言った。
「この空気と流れを作ったはお前だからな、徹底的に甘えさせてやる」
「……はい」
頭を撫でられた泰人はまんざらでもなさそうな表情だ。そうして二人は仲睦まじく、勝利の食事を楽しむのだった。
大成功
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バロン・ゴウト
ラーエルさん、無事で良かったのにゃ!
会場にいる人達にご挨拶しつつ、おススメの魔獣料理を頂くのにゃ。
もぐもぐ……うん、思ったよりクセが無くて美味しいのにゃ。
もともとクセが少ないのか、それとも丁寧に下処理をしてるのかにゃ?
魔獣の肉の調理のコツや、野菜や果物はどんなものがあるのか聞きながらお食事するのにゃ。
色んなお料理を頂いたから、お腹いっぱいになったのにゃ。
今日のお料理の他にも美味しい物のお話は色々聞いたし、またブルーアルカディアに来るのが楽しみなのにゃ。
●翠色冷光
集会所の中で、バロンはにこやかにラーエルの顔を見上げていた。
「ラーエルさん、無事で良かったのにゃ!」
バロンの言葉に、彼を見下ろしながらラーエルがはにかむように笑う。
この笑顔が、彼が彼女を守れたという何よりの証左だ。恥ずかしいと思われても、この笑顔を見せられたことがバロンの何よりの力になる。
そしてバロンは、彼女を取り囲む他の島の人々にも目を向けた。
「島の皆さんも無事で良かったのにゃ!」
「ああ、こちらこそありがとうな!」
バロンの言葉に、島の人たちも笑顔を返す。そうして始まる楽しい食事、バロンが冒険譚を話しつつ島の人々に話を聞きに行けば、お返しにと料理の話をしてもらい。
「ところで、この島のオススメの魔獣料理って何なのにゃ?」
「ん、そうだな……」
そうして情報交換を進めつつ、バロンはトビト島の魔獣料理を食べていく。魔獣の肉を使った料理は、思っていた以上にクセがない。
「もぐもぐ……うん、思ったよりクセが無くて美味しいのにゃ。もともとクセが少ないのか、それとも丁寧に下処理をしてるのかにゃ?」
そんなことを一人呟いていると、先程からバロンの冒険譚に熱心に聞き入っていた一人の男性が口角を持ち上げた。
「ああ、肉自体はそんなに癖がないからな。血抜きをしっかりすれば問題なく食べられる」
「なるほど……血抜きが大事なんにゃね」
話を聞きつつ頷くバロン。やはり、こうした肉は血抜きをしっかりするのが重要らしい。
と、そこでふと思い立ったバロンはさらに質問をぶつけていく。
「ところで、この島の野菜や果物には、どんなものがあるのかにゃ?」
「ああ、なるほどな。例えば……」
話を聞けば料理に関心がわき、食べれば話も盛り上がって。気付けばお腹はいっぱいだ。
「うーん、お腹いっぱいになったのにゃ!」
満腹になったお腹を擦りつつ、笑顔になるバロンだった。
大成功
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鬼鉄・マオ
ラーエル、無事で何よりだ。私は仕事をこなしただけだから、感謝されるとむず痒いな。とはいえ、折角の料理だ。楽しませてもらうぞ。
ところで…酒はあるか?
む、知らない料理が並んでいるな。あれは、小さい豚の丸焼きか?だが、背中から羽が生えているぞ。気になるな、取り分けてもらおう。
(取り分けてもらった皿を受け取る。グラスに先程ラーエルから受け取った酒を注ぐ。透き通った青色の酒だ)
味は…鳥っぽい?見た目は豚寄り、味は鳥寄りなのか。美味いな。この酒にもよく合う。
む、なんだ?子供が集まってきたな。お前だけ飲んでて狡い?…私は大人だ。外の事を教えて欲しい?そうか…なら、故郷のヒーローや、ヴィランの話をしてやるか。
●嵐影湖光
マオの姿も集会所の中にあった。ラーエルの姿を見つけるや、心做しかホッとした表情をしながら彼女に近づく。
「ラーエル、無事で何よりだ」
表情はいつもどおり硬いが、それでも安堵しているのは間違いないらしい。ラーエルもにこやかに笑いながら、マオへ頭を下げた。
「本当にありがとうございます。マオさんや皆さんのおかげで、この島は救われました」
「私は仕事をこなしただけだから、感謝されるとむず痒いな。とはいえ、折角の料理だ。楽しませてもらうぞ」
素気なく視線をそらすも、その視線は所在なさげだ。ごまかすように、マオは並べられた魔獣料理に向かう。と。
「ところで……酒はあるか?」
「はい、たくさん」
ラーエルにそう声をかければ、彼女が青い液体で満たされた瓶を手に微笑んだ。どうやらこの青く透き通った液体が酒らしい。
酒を注いでもらったマオが料理に目をやると、なるほど、見たことのない料理のオンパレードだ。鱗の付いた足の皮を剥いで油で揚げたフリット、一口大の肉と何かの木の実を一緒に炒めた料理、などなど。
「む、知らない料理が並んでいるな。あれは、小さい豚の丸焼きか?」
マオが目をつけたのは、豚の丸焼きと思しき料理だ。だが豚にしては自分の知っているそれよりも二回りほど小さい、おまけに背中から羽が生えている。
目を見開いているマオに、トビト島の住民の男性がナイフを手にしつつ声をかけてきた。
「よろしければ取り分けましょうか? トリブタの丸焼きになります」
「ああ、頼む」
頷くと、男性の持つナイフがトリブタの身体をスムーズに捌いていく。そして切り分けられた薄切りの肉を皿に盛ってもらい、口に運べば存外に淡白だ。しかし脂は程よく乗っていて、ロティサリーチキンを思わせる味わいがある。
「ふむ……味は、鳥っぽい? 見た目は豚寄り、味は鳥寄りなのか」
見た目と肉質、味わいでこうも差が出るのか、と感心するマオだ。さすがは魔獣、理解の範疇を超えてくる。だがmそれはそれとして。
「美味いな。この酒にもよく合う」
「お気に召したようで何よりです」
素直に感想を述べるマオに、男性が頭を下げた。と、いつの間にか自分を島の子どもたちが取り囲んでいた。
「あーっ、お前、ずるいぞ!」
「お酒飲んでる、大人じゃないのに、いけないんだー!」
マオが手に持つ青い液体のグラスを指差しながら口々に言う子どもたち。どうやら身長の低いマオを子供と勘違いしているらしい。
「む……私は大人だ」
眉間にシワを寄せながら指摘すると、子どもたちはキョトンとした顔になった。
「そうなの?」
「じゃあさ、外のこと教えてよ! 強いんでしょ?」
気を取り直して再びマオに声をかけてくる。今度はマオを、子供ではなく外の世界からやってきた強い人、と認識したようで。
そういう扱いをされるなら、嫌な気にはならない。マオが酒のグラスをちょっと傾けつつ、口角を持ち上げた。
「そうか……じゃあそうだな、例えば私の故郷には……」
そうして話し始めるのは故郷のヒーローやヴィランの話し。マオの話す切った張ったの大立ち回りに、子どもたちはますます盛り上がって。
そうして、トビト村の集会所に歓声と笑い声が広がっていくのだった。
大成功
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