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どうか始りを良きものに~力と知恵を教えてあげよう~

#アックス&ウィザーズ #はじよきシリーズ

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「さぁ語ろうか。舞台はアックス&ウィザーズ、始りの冒険者を助け守り抜いた英雄の物語を……どこかで聞いたかもしれないがね?」

●失意の帰還
 少年の父は村の中でも特に優れた職人だった。
 羽根飾りを産業としてきた村の男は、細工に使う羽根を自分の手で採りに行って漸く男と見做されるのだ。
 父親の怪我は少年にとって好機だった。
 作れなくて困っているなら、自分の手で採ってくると――誰にも告げず一人で行ったのは良かったが……結果は惨敗。
 いや、ただの失敗だけならばともかく。
「こんな筈じゃ、なかったのに……」
 日も暮れ始めた夕方の帰り道。
 突如として現れた色鮮やかな鮟鱇たちの一体に丸呑みされながら。
 知識も経験もないまま、命辛々に一つだけ取った金色の羽根が、掌から零れ墜ちた。

●物語の始まり
「最初は困っている両親を救うために近くの魔境に足を踏み入れる……これもまたよくある英雄譚の始まりだね」
 グリモアベースに黒髪の女の楽しそうな声が響いた。
 彼女の開く本は、表紙が擦り切れ何度も読み返されたであろうことが伺える子供向けの冒険小説であった。
「最初のささやかな冒険から彼の旅路は始り、そうして彼がやがて長じて本物の英雄になる姿……楽しみだとは思わないかい? なんてね」
 良く集まってくれたね、と女は本を閉じると周囲の猟兵達を見回した。
 女ことグリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは立ち上がると手帳の周りにあるグリモアを輝かせ、事件の説明に入った。

「さぁ語ろうか。今回の舞台はアックス&ウィザーズ、ご存知剣と魔法と竜が暮らす世界だ。君達はこれからある少年の手助けをし、然るのちにオブリビオンを撃破して欲しい」

 アックス&ウィザーズの世界にある村では羽根飾りを産業としている。
 というのもそこから歩いて一時間程度の場所に、美しい羽根で有名な珍しい鳥が沢山住んでおり、自らの手で羽根を採取し加工しているとのこと。
 今回オブリビオンの被害に遭ってしまうのは、村の中でも指折りの職人の息子。
 父親が足を怪我した影響で羽根を採りに行けず、最低限分けて貰える羽根で作れる細工の儲けでは貯金を切り崩すしかなく――この機会に自分をアピールするために黙って羽根を採りにいったそうだ。
 だが幼き身でろくな指導も受けていない身、失敗し暗くなって失意の内に帰る途中でオブリビオンに襲われ、命を落とす羽目になるそうだ。
「一息で丸呑みだよ……さぞや、悔しかっただろうねぇ」
 予知した光景から感じた少年の無念にやや暗い笑みを浮かべながらも、すぐにいつもの漂々とした語り口に。

「だからまず君達には少年の手助けをして、羽根を集めて貰いたい。
 君達が少し頑張れば余裕で十分な量が取れるだろう。
 そうすれば襲撃の前に少年を無事に帰すことが出来るはずさ」
 元々綺麗な羽根で有名だから、冒険者としての依頼で来たと言えば問題ないだろうとも補足して。
 そう言ってスフィーエはターゲットとなる三種類の鳥と、鳥たちが住む舞台を映し出した。

 風の爽やかな草原だが、大きく切立った崖が壁のように立ちはだかり、近くには崖と同じくらいの高さの樹が一本聳え立つ。草原には小さな洞穴も見え隠れしており。
 草原を駆け、洞穴を住居とするダチョウのような鳥型魔物は肉食で力に優れ、雄は赤と黒、雌は緑と白銀の美しい羽根を持ち。
 崖と樹に巣を構える隼のような魔物は非常にすばしっこく、雄は青と黄金、雌は紫と純白のこれまた美しい羽根を持つという。
「先ほども言ったが君達なら難なく採れるだろう。折角だから小さな勇者に君達の手腕を見せたり、教えてあげたりして欲しい」

 ダチョウ型から力比べで奪うも良し。
 隼型を素早く捕まえて奪うも良し。
 罠を使ったり巣から奪ったり知恵を生かして羽根を採取するも良しだと語った。

「そして暗くなるまでに彼に土産を持たせてから帰してやり……然るのちに、オブリビオンを倒して貰いたい」
 採取場所と襲撃場所については、追って転送するから心配はいらないよとも告げ。
 そうして一頻り語り終えたのち、マグカップに残っていたチキンスープを啜って一息入れて。
「……痛い目を見るのも一つの勉強だが、それでもその痛い目がオブリビオンではあまりに報われないというものだろう」
 と、どこか神妙に、何かを懐かしむように目を細めて笑い。
「だが君達なら、彼の初めてを彩り、全てを守り抜いてくれると確信している。だからどうか、一つ先輩冒険者としてよろしく頼むよ。始りの冒険、無事に終わらせてあげてくれたまえ」
 そう言ってスフィーエは陽気に赤青白黒の四枚翼をはためかせ、グリモアの転送結界を開くのであった。


裏山薬草
 どうも裏山薬草と申します。
 当方の処女作「どうか始りを良きものに」とは直接的な関係はありません。
 ただちょっとだけ雰囲気が似てるかも?ぐらいの作品ですので、当該作品に参加なさってない方も気にせず参加してください。
 当該作品に参加してくださってた方は、ほんの少し懐かしく思って貰えれば幸いです。

 第一章では、怪我をした父親の為に、そして自分の背伸びの為に鳥型魔物の羽根を採りにいった少年の手助けをしつつ、羽根を採取してあげてください。
 多少ならば羽根は持ち帰っても構いません。
 初めての彼の冒険を、皆さまの手で楽しいものにしてあげてください。
 第二章からは、採取場と村の中間地点に沸いたオブリビオンとの戦いを描いていく予定です。

 それでは皆様のプレイングを心からお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 冒険 『カラフルバード!』

POW   :    猛禽類等の肉食系の鳥から羽を取ってくる。

SPD   :    走ったり飛ぶのが速い鳥から羽を取ってくる。

WIZ   :    鳥の巣から羽を取ってくる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●無謀な先走り
 人の制御を最も困難にするのは悪に非ず、正義を得た時――とは誰が言ったか。
 職人の息子が日頃から抱いていた不満――12かそこらの少年ならばどこかで抱く、自分も、もう一人前という勇み足。
 それが父の怪我を大義名分にする気持ちも半分、残りの半分はそれでも確かに父を想う気持ちは本物で。
 だからこそ、少年――サムは黙って村を飛び出し、村の男達が男と認められる為に潜り抜けて来た試練へ挑みに来たのだが。
「……やっぱりオイラにはまだ早かったのかなぁ」
 おぼろげな知識と、未熟な身体能力を駆使して羽根を採ろうとしたが。
 ダチョウ型の魔物には見向きもされず、追いかけても逃げられて。
 隼型の魔物には寧ろ馬鹿にされたように頭上を旋回しながら飛ばれて。
 尤も魔物たちが本気になれば、少年に怪我の一つをさせることも容易いことなのであるが、魔物たちが敢てそれをしないのは村の匂いを幾許か知っているからか。
 まるで、お前へまだ未熟だからさっさと帰れと――そう言っているようであった。
 それでもこの小さな勇者は諦められないのか、幼き身体を奮い立たせ挑もうとしていた。
月守・咲凛
「しょうねん、羽根が必要だそうですね」
そもそも自分が飛べるので、鳥の羽根を取るくらいは何の問題もないので、髪に様々な鳥の羽根を刺してダチョウの背に乗って少年の前に現れます。
ダチョウが抵抗するようなら地面に足が付かないようにして空飛ぶダチョウとなって貰いましょう。
「しょうねん、きちんとした知識がなければただの無駄な行為になってしまうのです。先ずは正しい知識を身に付ける事から始めるのです。ダチョウうるさいです(ゴツン)」
ダチョウの頭を殴りながら少年に話して、鳥の羽根を渡します。



●先達の教えを新人へと
 途方に暮れそうなサムの前に現れたのはダチョウ型の魔物に乗った一人のエルフ族の少女だった。
 年の頃ならばサムの半分程度、青空のような髪の毛には小さな結晶体と――赤、黒、青、金など……まさしく彼が探していた鳥の羽根が差し込まれている。
 月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)は小さな体には似合わない鎧装に取り付けられた飛行能力を駆使し、隼型とハイスピードな空中戦を演じながら羽根を毟ったり、空中から今背に跨っているダチョウ型に飛び乗り、鎧装で強化された身体能力を以て力強く乗りこなしていたのだ。
「しょうねん、羽根が必要だそうですね」
「オイラの方が年上だよ多分」
 どこから聞きつけて来たのかという指摘よりも先にこの言葉が出るのはご愛敬といったところか。
 自分よりも小さな――恐らくは一人前に活躍している冒険者なら、きっとこういうこともできるのだろうと嫉妬半分、憧れ半分に咲凛を眺め。
 そこから怪我した父親の為に羽根を採りに来たけど上手くいかないことを愚痴る彼に、咲凛は毅然と告げた。
「しょうねん、きちんとした知識がなければただの無駄な行為になってしまうのです」
 言葉に詰まり、でもと言い返しそうになるサムを次の言葉で制す。
「先ずは正しい知識を身に付ける事から始めるのです。急がば回れなのです……ダチョウうるさいです」
 説教途中にぎゃーぎゃーと騒ぐダチョウの頭を殴りつけ有無を言わせないようにして。
 その様子――肉食の強い魔物を黙らせる彼女に目を輝かせながら、差し出される羽根を受け取った。
「では私はこれで」
「うん、ありがとう!!」
 赤と黒の混じるダチョウ型の魔物に乗って場を後にする咲凛の姿を見送る。
 きっと職人と同じぐらいに憧れる冒険者とはこんなに頼もしく見えるのかと、少年は目を輝かせて興奮していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
こんにちはと挨拶
目的が同じである事を伝え同行許可を

安全に入手する方法を提案
鳥が減ると入手確率も下がるから鳥にも優しく

例えば木の上の巣を見つけその下に落ちている羽を拾ったり
もう使用されていない古巣に残された羽を貰ったり
繁殖期や子育て中の巣はダメ
鳥がこの森に住まなくなっちゃう

巣を探すのに大切な事は鳥の生態をよく知る事
これは君の方が詳しいかな
後は餌や巣材を巣へ運ぶ鳥を見つけたり、木の上の不自然な塊を見つけたり、木の下に落ちている糞や周囲にはない巣材を見つけたり
後は羽が落ちてくるまで通いつめよう

でも今日だけは巣の中にある羽をUCを使って取ってきてあげる
君の勇気に免じて特別だよ

いつか私にも羽飾り作ってね



「こんにちは」
 半分の嫉妬も畏敬に変えて冒険者を見送ったサムにかけられた声は、帽子を被った少女からだった。
 彼女の名は、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)で羽根を採りに来た冒険者だと説明すると、サムに対して君は何しに来たの?と、純粋な興味を持つように聞いた。
 咎める様子の無い風に見えたアメリアにぽつぽつと事情を話すと、
「そうなんだ!! 偉いんだね」
「そうでもないよ」
 可愛い“お姉さん”に笑顔で褒められ、顔を赤らめるサムにアメリアは目的が同じなら着いていっても良いかと告げる。
 困惑する彼に安全な採り方を教えてあげると告げると、サムは分かったと頷いて。
 そこからアメリアの“授業”が始まった。
「いーい? まずは鳥に優しくしなきゃダメ」
 優しくしなければすぐに逃げるし、ここに住まなくもなる。
 その分だけ羽根が手に入らなくなるからと教え。
 具体的に放棄された巣や落ちている羽根を拾うことなどを教え。
「巣を探すのに大切な事は鳥の生態をよく知る事……これは君の方が詳しいかな?」
 何かを運ぶ姿を見つけたり、不自然な塊を見つけたり。
 落ちている糞の上を見つけたりと、実例を指差しながら丁寧に指導していき、最後に重要なこと、
「後は羽が落ちてくるまで通いつめよう!!」
 根気がとにかく大事だと教えて。
 反芻する素直なサムを好ましく思い微笑み、目線を合わせるとアメリアは告げた。
「でも今日だけは巣の中にある羽を取ってきてあげる。君の勇気に免じて特別だよ」
 そういうと彼女は、ふわりふわりと、まるで宙を蹴るように――もぬけの殻となっている巣まで飛び上がると、残されていた羽根を掴み。
 あっけにとられるサムにそれを握らせてあげると。
「いつか私にも羽飾り作ってね」
 ――これに合うみたいなと、本体である古びた赤い帽子を掲げて。
 本日二度目となる、冒険者の知と技に憧れて感慨深そうにサムは溜息を漏らした。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
F

初めに翼で高く上がり
空から鳥達を観察
巣に雛が居るなら餌やりに往復してたり
羽休めに降りてるだろうから

ある程度場所に目星を付けたら
親鳥の居ない隙に順番に羽を回収

一通り集めたら試してみたいことがあるんだ
少年の通り道に立ち
【誘惑】の【歌唱】を響かせ鳥達の誘い出し
無害そうなら一緒に歌ったり舞い踊ったり
敵意があるならUCで退治
羽ばたきで自然に抜けた羽と一緒に
巣から集めた分も置いておくね

できれば自分の手で拾いたいだろうから

少年と目が合ったら鳥達を逃がしてから優しく微笑み
僕もお使いだよ
でも一枚で充分だから
懐から★飴と…ふふ、ついでに僕の羽も一枚いる?
お守り代わり

どうかこの旅が素敵な思い出になりますように



●さり気なく、さり気なく
 二人の「先輩」とはまた違い、空を優美に翔ける清らかな翼があった。
 鳥か、ハーピーか……否、天使(オラトリオ)だった。
 空を領分にする隼型よりも高く飛び、琥珀色の瞳で見守るように鳥たちの姿を観察している少年は栗花落・澪(泡沫の花・f03165)である。
 彼は慎重に親鳥がいない隙を狙って巣に残った羽根を拾っていく。
 一切の苦もなく回収できるのは、観察に集中し目星を正確につけれていた労が実ったか。
 十分な羽根は集まったが、彼の本命はそれだけではなかった。
「うん、この辺りがいいかな……」
 上空から観察していたサムの通るであろう道に現界するかのように降り立つと――小瓶から花弁を取り出し、本来の姿――天使の羽が取り付けられた拡声器を手に、良く通る甘く高い声で歌を奏でた。
 中性的な顔立ちと、琥珀の髪に咲かせた花の可愛らしさも相まって天使の歌声が楽園を作り出すような心地に、自然とこの地に住まう鳥たちが集まり、一時の舞台を演じるのであった。
 しばらくして去っていく鳥たちの後に残った羽根と、零れた自らの羽根をさり気なく置いておくと歌声に惹かれてやってきたサムと目が合って。
 落ちた羽根を澪が仕立てたとも気付かず拾い集める彼と挨拶と自己紹介もそこそこに、
「僕もお使いだよ。……でも一枚で十分」
 ポケットの中のビスケット、ではなく懐の中の瓶を軽く叩いて飴を一粒取り出して、自分の羽根を差し出し。
「ふふふ……こっちもいる? 幸運のお守りだよ?」
 戸惑いながらも疲れた体に心地よい飴を味わいながら、見たことも無い色合いの羽根を嬉しそうに受け取り。
「にいちゃんありがと!!」
 可愛らしい見た目故に間違われることも少なくない澪だが、今回は珍しく間違われなかったようで。
 手を振りながら別れるサムの背中を見送りながら、静かに天使は祈った。
「どうかこの旅が素敵な思い出になりますように」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アム・ファール
再び可愛らしい冒険者さんの門出に立ち会えるとは!
初めてに失敗は付き物とはいうものの、これでは悲しすぎますね……。お父様にもそんな悲報は伝えられません。是非、彼の冒険を良いものにしてあげましょう!

私は隼のような魔物に挑戦です!
ときめきの杖を振り、【金の瞳を持つ者】で子竜を喚び出して手伝って貰いましょう。
少年に鉢合わせしたら、杖やカンテラの水晶を見せて「鉱石によく合う、綺麗な羽根を探しに来たんです」と言っておきましょう。
「私は少しあれば十分だから」おすそ分けするのは忘れずに。

少年の行動は勇気ではなく、井の中の蛙から来る無謀なんですね。
でも、大海を知るのは良い事です。きっと、良い職人になれますよ。



(再び可愛らしい冒険者さんの門出に立ち会えるとは!!)
 銀水晶の髪と紫水晶の瞳を持った少女、アム・ファール(淡き光で見る夢は・f06514)は少年の初めてに立ち会えることに心を躍らせていた。
 同様に悲しい末路を迎える予知に心を痛めるのも、あの時と変わらない。
(でも、初めてに失敗は付き物とはいうものの、これでは悲しすぎますね……)
 彼の父に悲しい思いをさせたくない――だからこそ、是非冒険を良きものにするようにと、彼女は頭上で隼型の魔物が飛び交うこの場に立っていた。
「虎眼さん、お願いします!!」
 心のときめきは助ける為に。
 杖を振るい虎眼石の如き瞳を持つ子竜を呼ぶ。
 主の命に従って空を翔けると隼型の魔物に追いすがり。
 彼等の羽根を主の優しさが反映されたのか、すれ違い様に痛みを与えぬように掠めとり集めたそれを主に渡して。
 十分な数はあると頷いてから、暫くして道にやってきた少年に彼女は優しく声をかけた。
「こんにちは。お散歩ですか?」
 少年は挨拶もそこそこに、内心では今日は良く人に会うなぁとも思いながら本日何度目かになる事情を話す。
 アム本人は事情は知っていたが、それでも改めて聞くと感慨も深くなるのか共感するように頷くと、
「では私は少しあれば十分なので差し上げましょう。鉱石によく合う、綺麗な羽根を探しに来たんですが、少し採り過ぎてしまったので」
 そう言われてアムの見せるカンテラや杖の水晶を見れば、成程、これは羽根飾りが合いそうだなとも思い。
「じゃあいつかお礼に羽根飾り作ってあげるよ!!」
「本当ですか!? ふふ、その時はよろしくお願いしますね?」
 他愛もない会話をし、見送りながらアムは思う。
 きっと彼なら良い職人になるだろう。
 今は勇気ではない無謀であれど、井の中から大海を知ることは決して悪いことではないだろうから。
 祈るようにいつまでもその背を見送るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルリリー・ベルベット
あら、お坊ちゃん
鳥の羽を探しに来たの?
ならリリも協力してあげてもいいわよ
お代はもちろんいただくけれど

まずは『視力』を活かして素早い鳥を見つけましょう
見つけたら、持ち前の【SPD】で隼型と楽しい追いかけっこ
フック付きワイヤーや【スカイステッパー】を利用しながら、空中をアクロバティックに追いかけるわ

近くまで追いついたら、『動物と話す』で羽をいくらか分けてちょうだいってお願いしましょう
きっと事情を話せば、リリのお願い聞いてくれると思うの

たくさん羽が集まったら、リリもお代として1枚だけいただくわ
ルナ、喜んでくれるかしら
なんて大好きな相棒に想いを馳せて

◆アドリブや絡みも歓迎



「あら、お坊ちゃんご機嫌よう。鳥の羽を探しに来たの?」
 掛けられた声に今日は本当に良く出会うなぁと思いながら振り返る。
 だが一目見た瞬間、少年は固まった。
 白百合が咲くような姿――ダンピールの少女、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)のローズクォーツの如き眼に目を奪われていたのだ。
 少しの間茫然としていても、すぐに我に返り事情を説明し彼女の問いにサムは頷いて。
「ならリリも協力してあげてもいいわよ……お代はもちろんいただくけれど」
 唇に指を宛て微笑むベルリリーに代価の内容も聞かずこくこくと頷く。
「契約成立ね」
 頭部に揺らめく巻き髪のようにくるりと背を向けると、ベルリリーは懐から取り出した鉤付きのワイヤーを崖に引っ掛け、空中を蹴り隼型に話しかけ、事情を話し羽根を分けて貰おうとする。
 それに対し隼型は自分と追いかけっこで勝ったら良いと告げ。
 崖や樹木にワイヤーを引っ掛け、華麗に空を翔けて旋回する鳥に追いすがる。
 急転回で直角に回って逃げようとする鳥に、再び宙を蹴って――鳥の頭上を飛び越え先回りするように飛び込むと。
『やるな。おひねりだ、とっときな』
 観念したのか、一時の競争相手を演じた鳥は体積を少し縮めるぐらいの羽根を大盤振る舞い。
 その様子に見惚れていた少年の前にふわりと降り立ち、籠の中に詰めてやると、
「たくさん集まったわね。……それじゃ、お代はいただくわ」
 集まった羽根の中でもひときわ大きな青と金の入り混じるそれを一つ手に取って。
 それだけでいいの?と問うサムにそれが欲しかったと答え、赤色の良く目立つ半身を想う。
(ルナ、喜んでくれるかしら)
 きっとこの青と金が引き立ててくれると信じて。
「それじゃごきげんよう。帰り道、気を付けるのよ」
 軽やかに去っていくベルリリーの背を、うっとりと見つめながらサムは見送るのであった。

●岐路
(それにしても、今日は色んな人と会ったなぁ)
 サムは籠一杯に猟兵達から受け取った羽根を抱えて日も高い内の家路を歩いていく。
 これだけあれば、当分は父も細工を続けられるだろう。
 今日一日で何だかとても濃い経験をしたような気すらする。
 思い知ったのは自分の未熟と――そして、冒険者という存在への憧れ。
 難なく羽根を採ったり、自分に色々教えてくれたり、親切にしてくれたり。
 あの人たちがいなかったら、絶対に骨折り損になってただけだっただろう。
 憧れると同時に、子供心に未熟を改めて思い知った。
 苦い経験だけど、でも……あんな風に、いずれはなってみたい。
「冒険者、かぁ……」
 でもまずは家に帰って、思い切り父と母に怒られよう。
 その後は……改めて、いつかどこかで職人として立派なお礼をする為に、父から教わるんだ。
 ……だけど、やっぱり。
「そうだ、羽根飾りも作れる冒険者になればいいんだ!!」
 ――猟兵達が示した力と技は、どうやら少年に新たな道を示したようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『七色鈴蘭のふくれアンコくん』

POW   :    かみつきっ!
【潜行からの飛び出し噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    もぐるっ!
【体から30cm以内の地形を対象に砂泥状化】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    まるのみっ!
小さな【鈴蘭灯から催眠光を放つ。強烈な眠気と光】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【胃袋で出口に返しの歯が並ぶ。暴れること】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●カラフル・アングラーズ
 少年が家に帰ったその日の夕暮れ――村と採取場を繋ぐ道の、その中間地点。
 人通りもなく、周りには草原が広がり、時折小型の獣が少し跳ねるだけの安全であった場所。
 しかし、今に至っては安全とはもう言えなかった。
 草原の緑が一瞬、揺らめいたかと思えば現れたのは草原の色に紛れていたアンコウの魔獣達。
 見た目こそ可愛らしく、色鮮やかで軽快に跳ねる姿だけ見れば、何とも良い光景だろう。
 しかしかの存在が持つ食欲は通る者を残さず喰らい尽くすだろう。
 そしてこのまま野放しにしておけば、やがてこのアンコウたちは文字通りの食指を伸ばすだろう。
 村か、採取場か……前者は言わずもがな、後者が襲われれば貴重な村の稼ぎとなる存在を奪われることとなる。
 何より、彼等が守り抜いた最初の冒険を無に帰さない為に――!!
 グリモアの転送を通ってやってきた猟兵達は、各々の得物を構えるのだった。
アム・ファール
現れましたね、アンコウさん達!
光景は綺麗ですが、観賞用とはいかないですもんね。
腹ペコのところ申し訳ないですが、ここを通すわけには行きません。お引取りくださいっ!

何やら厄介な光を使ってくるみたいですね。
攻撃が飛んでくる前に、提灯部分を狙って『属性攻撃』『全力魔法』を使い【黒き天然の刃】で攻撃します。
少年を丸呑みできるくらいですから、それなりに大きいのでしょうね……。
足場が悪くなってるかもしれないので、泥に足を取られないよう注意して戦います。

それにしても、色とりどりの生き物がいる楽しい土地ですね。
上手に共存できれば良いんでしょうけど、これもオブリビオンの影響でしょうか……。
(アドリブ・連携歓迎)



●ランプ対カンテラ
 見るも鮮やかなアンコウ達の跳ねる姿、体表は七色に変わり鈴蘭の如き型の発光器官はそれを彩る。
「現れましたね、アンコウさん達!! 光景は綺麗ですが、観賞用とはいかないですもんね」
 ランプにも例えられる魚に相対するのが、水晶カンテラだった存在というのも奇妙な巡り合わせか――彼等の前に立ちはだかったアムは鉱石の嵌め込まれた両手杖を振りかざした。
 幻想的な七色が弾み淡い光が周囲を照らす光景を美しく思うも、このまま眺めているわけにはいかないと杖を向け。
「おいで、オブシディアン!!」
 その光に一瞬目を奪われ、眠気が襲い掛かろうとするが、そこはそれ。
 彼女もまたかつて誰か何かを照らす存在――心に宿した決意の光は、アンコウの放つ光の甘い誘惑を断ち切り、敵意と使命を燃え上がらせる。
 その感情に従って生成された鋭い黒曜石の礫が次々とアンコウ達の鈴蘭の如き形の灯を貫き、発光器官ごと脳天を貫き命を奪っていく。
「腹ペコのところ申し訳ないですが、ここを通すわけには行きません。お引取りくださいっ!!」
 ランプとカンテラ。
 七色と全てを飲み込む黒――奇しくも対比の出来上がった光景。
 使命感という強い輝きを持ったヤドリガミの放つ矢が次々とアンコウを屠っていく中、それでも彼女は思う。
(それにしても、色とりどりの生き物がいる楽しい土地ですね)
 思い返せば、あの鳥も様々な色を持っていた。
 全力の魔力を乗せた黒曜石の刃で屠るアンコウも見た目はとても鮮やかだ。
「上手く共存できれば良いんでしょうけど……」
 魔物といっても鳥は現在で、このアンコウは過去。
 同時に存在することは難しいだろう。
 せめてこのアンコウが過去でなければ――その道もあったのかもしれないと、アムは思わずにはいられなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
食欲旺盛なのはいい事だけど
万が一にも村人が食べられたりするのは問題だもんね
というわけで仕方ないし倒します

初めに【催眠】を乗せた【歌唱】で
アンコウの判断力を奪いたいな

そんなに食べたいならこれでもどうぞ
ポケットから★飴瓶を取り出し
中から飴を沢山出してアンコウさんにあげちゃう
素直に食べてくれないなら一度飛行し
【空中戦】を活かして敵の周りを飛び興味を引きつつ
口を開けた瞬間にポイっと

まだ食べる?
もっと欲しい?
飴はいくつでも追加出来るのでどんどんどんどんプレゼント

でも食べ過ぎは良くないってこともちゃんとわからせないとね
★杖に光を集め【全力魔法】
あげた飴を火種に爆発を起こし
動けなくなったところをUCで追撃



●スウィート・トラップ
「食欲旺盛なのはいい事だけど……」
 一見可愛くも忙しなく口を開け、胃から酸えた食欲の匂いを漂わせる姿は、このアンコウが獰猛な食性の持ち主であることが伺える。
「万が一にも村人が食べられたりするのは問題だもんね。というわけで仕方ないし倒します」
 澪は放っておく訳にはいかないと、アンコウ達の放つ淡い光に対して視覚に訴えてくるなら聴覚を攻めてやろうと歌声を奏でた。
 尤も今回の歌声に乗せるは意趣返し、逆に判断力を奪う催眠の力で在る訳だが――それでも、本能のままに口をぱくぱくと開くアンコウ達に次の手に打って出ようと懐から瓶を取り出す。
「そんなに食べたいなら……」
 その瓶を一つ叩くと、まるでオレンジのような爽やかな甘い香りを放つ飴玉が現れた。
 それを掲げるも、僅かに残った警戒心で中々口にしようとせず――
 尤も、それでも備えを怠っていないのがこの澪という少年の計算高さか。
 天使の翼をふわりとはためかせると空中を舞い、ぼんやりとアンコウが口を開いた瞬間――手に持った飴玉を投げ込んだ。
「まだ食べる? もっと欲しい?」
 ぴょんぴょんと跳ねて自然界では決して味わえない味に興奮する彼等に澪は優しく微笑んで。
 もっと瓶を軽く叩いては何度も何度も飴玉を投げ込み。
「美味しい? 良かった」
 ――それが、彼の布石であることも知らずに。
「でも食べ過ぎは良くないからね」
 聖母の名をつけられた杖を手早く取り出すと、アンコウ達の胃の腑へ投げ込んだ飴玉と杖の頂点が光で繋がって。
 その瞬間、飴玉――魔力の込められた飴玉を爆薬に、内部からの熱と衝撃で多数のアンコウが焼けて――妙に美味しそうな匂いを放ったりもしていたが。
 それでも生き延びたアンコウ達に、澪はすっと指先を向けて。
「香り高く舞い遊べ」
 危機を感じ逃れんとするアンコウを、鮮やかな橙色の花弁が一瞬で丸呑みにするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
「……なぜなのか」
アンコウの口の中から顔を出してこんにちわします。
横からダチョウも顔を出して一緒に解せぬ顔をしますが、単純にダチョウが呑まれるのに巻き込まれた私です。
「……いつまでもこうしていても仕方ありませんね」
アンコウの口をチェーンソーで引き裂いて、ダチョウと共に赤ずきんちゃんの如く復活。
とりあえずダチョウは放鳥して、空中からミサイルとキャノン砲を一斉発射したり火線砲を連結させて貫通ビームの範囲攻撃で殲滅戦に入ります。
ある程度殲滅した所でうっかり催眠光を浴びてしまって眠ってしまい、また丸呑みにされてしまったり(消化される前に起きてユーベルコードのレーザーで切り裂いて自力で脱出はします)



●Hyokkori Half
「……なぜなのか」
『ケェーッ』
 アンコウの口から顔を出した幼きエルフと、ダチョウの顔があった。
 なぜなのかと問われれば、それは単純に運が悪かったという他ないのだが、彼女らからすればいきなり飲み込まれたので愕然とするほかないのも事実だろう。
「……いつまでもこうしていても仕方ありませんね」
 咲凛は刃を光で形成するチェーンソーを起動させると、まるで童話の「りるれふ」よろしくと言わんばかりに華麗に腹を裂き、ダチョウを伴いながらの大脱出を遂げた。
 降り注ぐアンコウの血が中々に煌びやかであるが、ここは戦場。
「ダチョウは逃げるのです」
『ケェッ(イエス、マム)』
 短い付き合いだったが敬礼を交わし合い見送ると、腹を裂かれた同胞にドン引くアンコウ達に目を向けると、背中のスラスターを起動させて助走をつけて地を蹴り出すと――彼女は空を翔けた。
 牧歌的な世界に似合わない遠未来科学の翼で空を切り、両腕と両肩に仕込まれた大砲で塊を吹き飛ばし、両肩・両足に仕込まれたミサイルで吹き飛ばされて散ったアンコウを次々と撃墜していく。
 誘導型のミサイルを逃れ一点に集まっても、それは寧ろ彼女のエサ――二丁のライフルを連結させ、貫通力を高めた光線を以て一気にその群れを纏めて貫いた。
 そうして地に降り立ち一通りの相手は殲滅し油断したが大敵。
 緊張を解いた瞬間に生き残ったアンコウの一体が放つ光の催眠に容易く引っかかり、また綺麗に丸呑みされてしまったが。
「……はっ」
 流石に消化液に鎧装が溶かされる警告を鳴らされれば、すぐに飛び起きて。
「響け雨音、ナミダを押し流して!!」
 もはやアンコウというよりハリセンボン。
 鎧装から解き放たれた全方位のレーザーが内部からアンコウを爆ぜさせ、完全に消化される前に脱出していたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルリリー・ベルベット
あら、可愛くてキレイなアンコウ
でもね、リリの方が可愛くてキレイなのよ
残念だけれど、今日はお前たちが食べられる番

ステキな羽をいただいちゃったから、ちゃんとその分は働かないとね
可能なら他の猟兵と一緒に戦うわ
まずは『見切り』で敵の攻撃を回避しながら、攻撃のチャンスをうかがいましょう
フック付きワイヤーや『ジャンプ』で縦横無尽に飛び回って、敵を翻弄するわ

敵が口を開けたら【レギーネル危機一髪】をお見舞い
回転ノコギリを丸呑みしてもらって、内側から斬り刻むわ
ちょっと可哀想な絵面になっちゃったけれど、まぁいいじゃない
三枚におろしてあげる

◆絡みやアドリブ歓迎です


グァンデ・アォ
F

《アドリブ、連携、苦戦描写、その他何でも歓迎です》
うーん、みんなすごい戦いっぷり!
ボクも負けてらんないよ!

早速、サイキックエナジーを衝角状に収束させて、空から敵に体当たりだ!
でも、敵のヌメヌメや砂泥に滑って、頭から地面に突っ込んじゃうかも。

うーん……そうだ!飛ぶんじゃなくて滑れば良いんだ!(ぴこーん)
敵の作った砂泥の上を、スライディングして敵を弾いていくよ!名付けて、あんこうカーリング!

敵を弾きながら一所にまとめ、みんなの攻撃をサポート!
ボクも攻撃に参加するなら、サイコキネシスを使うよ!



●バラバラタイム
「あら、可愛くてキレイなアンコウ」
 ベルリリーは淡い七色に輝く身体を弾ませ、ぬかるみに地面を変えていくアンコウの様子を眺めて感心したように呟いた。
 確かに、彼女の言う通りに見た目だけならそう言えるだろうが――
「でもね、リリの方が可愛くてキレイなのよ」
 渦巻く二括りは蒼穹のよう、魅惑の瞳は薔薇水晶、立てば白百合舞えども白百合――半魔の魅惑はどこか妖しさを讃え、唇に指を宛てて。
「残念だけれど、今日はお前たちが食べられる番」
 ――ちなみに、あのアンコウの肉は相当な美味らしいが。
 それを知ってか知らずか、文字通りに喰われると思ったのかアンコウ達は一斉に口を開けてベルリリーに喰らいかかった。
 だが彼女の目はその動きを簡単に見切り、近くの岩場――彼女の二倍はあろうかという岩にワイヤーの鉤を引っ掛け、地面を蹴って空に舞う。
 時にアンコウの身体自体を足掛かりにして、ぬかるみも気にならない勢いで踏みつけて喰らいかかろうとする口を空振りさせていく。
 そしてベルリリーの翻弄するかのように戦場を飛び回る動きに関心する声があった。
「うーん、すごい戦いっぷり!! ボクも負けてらんないよ!!」
 その声の主はグァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)――彼の見た目は、なんというか、寧ろアンコウ達に近いかもしれなかった。
 尤も、体躯はそれよりも小さく、下部には小さな足、腕にあたる部分は光る羽のような部位が取り付けられているが。
 これまでの猟兵達の戦いぶりを見て戦意を高めていた彼は、その戦意を破壊の力に変えるように、念動力の刃を体に纏う。
 文字通りの空を切り裂き飛来していく様は正に青い彗星のようにも見えた。
 まともに当たれば彼が向かう先のアンコウは真っ二つになる……筈だったが。
「いたた……」
「大丈夫?」
 アンコウのぬかるみに運悪く掬われる形となり、体の半分を地面に埋もれさせる結果となっていた。
 岩場に立ち心配そうに声を掛けるベルリリーに、ずぼっと身体を地面から解放して答える。
「へーき!! でも、うーん……そうだ!! 飛ぶんじゃなくて滑れば良いんだ!!」
 ぬかるみを取れないなら、逆にぬかるみをこちらも利用してやればいい――アンコウの作り出したぬかるみを華麗に滑り、纏った念動力で勢いよく弾き飛ばし、時に軌道を変則的に変えて飛び掛かってきたアンコウの腹部を下から打ち上げたりもして。
 そうして一か所に集まったアンコウ達がグァンデの念動力で縛られるのを見ると、これは好機と考えてベルリリーは懐から何枚もの回転ノコギリを取り出し、空中に浮かべるとそれは耳障りな音を立てて鳴り始め。
「さぁさぁみなさんお立合い!! 第二演目『レギーネル危機一髪』のはじまりよ」
「わー」
 岩場に立ち、拍手をしながらステージの開演を告げる彼女に、グァンデは念動力で作った手で拍手を返した。
 そして、アシスタント役を務めるようにベルリリーに質問をする。
「オネーさん、オネーさん!! レギーネル危機一髪って何やるの?」
「それはね……あ、口だけ解いてくれる?」
「うん分かったー」
 そういうとグァンデはアンコウ達の口すらも縛っていた念動力の鎖を一瞬で解除すると、酸欠の金魚のように口を開閉し始める。
 それをどこか妖艶にベルリリーは微笑むと。
「お腹空いたでしょう? お食べなさい」
 耳障りな回転ノコギリが次々と、アンコウ達の胃の腑に吸い込まれていく。
 不幸にも餌と勘違いして喰らい付いたが最後、内部から擦り切られて次々と身体を引き裂かれ。
 仮に吐き出そうと胃を動かそうとしても、そこはグァンデの念動力が口に封をするように縛り付け。
「以上、レギーネル危機一髪、七色アンコウの三枚下ろしのできあがりよ」
「わーっ、すっごーい!!」
 引き裂かれたアンコウ達の七色の身体が地面に落ちていく中、ドレスの裾を摘み頭を下げるベルリリーに、念動力の手で惜しみない拍手をグァンデは浴びせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アメリア・イアハッター
いや、え?
アンコウって海に……あれ?
うーん、やっぱりこの世界は色々不思議で面白いなぁ
あの光ってる部分も使ってアクセサリーとか作れたりしないかな
さっきの子にそんな工芸品がないか、後で聞いてみよ!

・方針
どうやら水じゃなくてぬかるみを伝って行動しているようだと判断
敵を凍らせてうまく動けないようにしてしまおう

・行動
まずは自分にUC【氷上妖精】使用
地面を滑走し敵に接近
敵がぬかるみを作ってきたときはジャンプ等でその場を避けつつ、敵に向けてもUCを使用
ぬかるみの上ではうまく動けても、氷の上ではどうかしら?

うまく動けなくなっている所に接近し蹴り飛ばす
ボールっぽいし少し凍ってるしで、良く飛ぶんじゃないかな!



●ハット・トリック
「いや、え?」
 アメリアの目に移ったのはアンコウの姿だった。
 そのアンコウが地上で活動し、時に地面をぬかるみに変えながら、泥を散らして七色に弾む姿を見て、戸惑っていた。
「アンコウって海に……あれ?」
 疑問を持つのも無理もないだろうが、放置はしておけない。
 だが。
「うーん、やっぱりこの世界は色々不思議で面白いなぁ」
 珍しい生態に関心しながらも、アメリアはしなやかな黒いブーツに包まれた爪先で軽く地面を叩く。
 すれば、地面に青白い霜がくだり生命の活動を停める氷のステージが地面に張られ。
 摩擦を極限まで減じ、氷の齎す冷たい空気を情熱的に切りながら彼女はアンコウ達の下へ滑っていく。
 スカーフを靡かせ、氷上を滑りながら身を低く屈めスライディングキックの要領で氷に捕らわれたアンコウの一体を天高く蹴り上げる。
「ぬかるみの上ではうまく動けても……」
 アンコウ達は慌ててぬかるみを逃げようとするが、アメリアから齎された氷の盤上では思うように動けず、何とかぬかるみを作り逃げようとするが。
 アメリアは蹴り上げたアンコウを追うように空高く飛び、指先に吹き付けた冷たい息を投げつけるように氷の術を流せばたちまち足元を取られ。
「氷の上では、どうかしら?」
 天高く舞い上げた一体へ強かな踵落としを決めると、氷に捕らわれた他のアンコウをも巻き込み、縦横無尽に弾みビリヤードの如く多くのアンコウを打ち据えていくのだった。
 そうして張り巡らせた氷を割らずにふわりと着地して見せると、踵落としで零れた鈴蘭のような形の発光器官を拾い。
(あの光ってる部分も使ってアクセサリーとか作れたりしないかな)
 ふと、見送った勇者のことを思い出し。
 その間も最後のバウンドを終えて己へと向かう最後のアンコウへ。
「……終わったら、あの子に聞いてみよ!!」
 鮮やかに身を翻らせたオーバーヘッドキックでそれを蹴り飛ばし、気絶したアンコウ達目掛けて盛大にゴールを決めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『暴食』のフィーラ』

POW   :    あらぁ〜、食べて良いんですかぁ〜?やったー!
自身の【何かを食べたい欲望】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    わたし〜、おなかが空きましたぁ〜
自身の身体部位ひとつを【口のみが存在する伸縮自在】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    いただきまぁ〜す♪
【隠し持つ調味料】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リサ・ムーンリッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴食の魔人、現る
 猟兵達の獅子奮迅の活躍によって現れた七色アンコウ達は見事に蹴散らされた。
 だが猟兵達の手を幸運にも逃れていた一体が逃げようとしたが――それを見逃す猟兵ではなかった。
 すぐに追いすがり手にかけようとした、その瞬間だった。
 ぐしゃっ。
 がぶっ……ごきんっ、ばりっ、ばりばりっ……。
 突如として空から舞い降りて来た影が、その最後の一体を跡形もなく食い尽くしていったのだ。
「ん~……話には聞いてましたがぁ。このアンコウさん、本当に美味しいですね~」
 ぺろりと可愛らしい舌を出して微笑む姿は、曲がりなりにも魔獣に分類される存在を容易く捕食したようには見えない。
 ――何しろ、見た目だけ見れば背中に純白の羽を生やしただけの、可愛らしい女性そのものだったから。
 だが猟兵達は肌で感じていた。
 この女は、あのアンコウ達全てを相手にするより尚危険な存在だと。
 ――『暴食の』フィーラ。
 この世界で同族だろうと何もかも食欲のままに喰らい尽くす危険性と実力で恐れられた災害級の人物。
「でも~、ひとつだけじゃ足りないです~……もしかしてぇ、あなたたちが食べてしまったんですかぁ~?」
 何を勘違いしたのか、猟兵達に目を向けると間延びした声で不当な怒りを向けて。
「酷いです~!! 楽しみにしてたのに~!!」
 頬を膨らませる姿は、それだけならば無邪気なものかもしれないが。
「でもでも~……向こうに鳥さんいっぱいで~」
 次々と目を向ける先には、たった今、猟兵達が必死で守り抜いた村の稼ぎとなる存在。
「あっちの村には~……んん? なんか、一皮むけたみたいな……美味しそうな男の子の匂い~!!」
 次に村へと目を向けた彼女の目は、思いも依らなかった美味に巡り合えた喜びに満ちていた。
 だが、猟兵達は彼女の言う「美味しそうな男の子」が誰を指すのかすぐにわかってしまった。
 最初の冒険で猟兵達が力と技と知恵を以て導き守った未来。
 そして今も、各々の想いと術を以て守り抜いた未来を、この災害は無残にも食い散らかさんとしている。
「決めましたぁ。まずはあなたたちを代わりに美味しく頂いて~、鳥さんも食べて~、あの村をぜぇんぶ食べてから~、美味しそうな男の子をデザートにしちゃいましょ~~~!!」
 見た目は本当に無邪気な女性と何ら変わらない。
 だが彼女ならば、きっと出来るだろう。
 あの鳥たちも、村も、全てを余裕で喰らい尽くすことが出来る――竜にもきっと劣らぬ力を持っているだろうと。
「いっただっきまぁ~~~っすっ!!」
 無邪気に笑い食欲を向ける彼女に、勇敢なる猟兵達は戦意を向けた。
 いくら全てを喰らい尽くすことが可能でも、猟兵達をここで食べることが出来なければその先にはいけないのだ。
 つまり、ここで倒せば良いだけだ。
 ――無垢なる「災害」に未来を喰らい尽くされない為に、最後の戦いがここに始まった!!
栗花落・澪
F

うわ、うわぁ…
なんていうんだっけこういうの
カニ……なんとか?
一応同族っぽいのに食べられたくはないなぁ

敵には翼もあるし効果は無いだろうけど
囮として【空中戦】を活用

【オーラ防御】と空中での機動力を活かして
わざと敵の頭上を通り背後に回ったり
翼狙いの氷の【全力魔法】等で挑発
氷なら万が一燃え広がる心配も無いしね
飛んで追って来るようなら
逃げるように見せかけ仲間が攻撃を当てやすい位置に誘導

てえぇぇ調味料!?
やめてよ服洗うの大変なんだから!
UC攻撃の動作が見えたら極力回避しつつ
難しそうな場合こちらもUCを発動
無数の花弁を攻撃ついでの盾代わりとして相殺狙い

火力不足は自覚してるし
削るのは他の味方に任せるよっ


アメリア・イアハッター
どんな匂いを嗅ぎ分けてるんだろう…
ともかく未来を食べさせはしないわ
あの子にはいつか羽飾りを作ってもらうんだから!

・方針
敵の機動力すなわち翼を奪う

・行動
宇宙バイクに乗り敵に接近
敵がこちらに反応しきる前に私の作った最高の揚げ物『Fry High』を敵の頭より少し高めに投げつける

敵が少しでも惹きつけられている間に宇宙バイクから跳び下り懐へ
『Vanguard』で翼を殴りつけUC【導きの星】発動
翼を燃やし尽くす
翼に当たらずともどこかに当たれば延焼させ翼を燃やす

その後は敵も炎を与えた『Vanguard』を意識するだろうからそれを逆手に取り、殴ると見せつけて翼や足を蹴っていく
でも隙あらば殴って燃やしちゃおう



●花天使の冷製仕立て覇道の爆炎風味
「まずはぁ~多分同族さんのアナタから~美味しそうな匂いです~」
「うわ、うわぁ……」
 暴食のフィーラは目を爛々と輝かせ、しゃぁっと歯間から息を漏らして澪へと翼をはためかせながら向かっていった。
 なんていうんだっけこういうの。
 カニ……いや、どうでもいい、とにかく、同族に食べられたくない!!
 幸いに囮になるつもりだったが、こっちから来てくれるのでは寧ろ都合が良い――澪は翼をはためかせて飛翔する。
 フィーラも翼をはためかせて彼に追いすがる――食欲全開、災害認定された魔人の羽搏きは素早く、一瞬で澪に追いすがると、その歯を通り越した牙を向けるが。
「か、かたぁ~い……」
 青ざめる澪が掌を突き出し、目に見えないオーラの壁でその歯を防ぐ。
 しかし。
「でも~分かれば美味しいかも~」
「嘘ぉ!?」
 何と、こともあろうにそのオーラすらも彼女は食べてしまうではないか。
 一体どうやってという突っ込みは兎も角、このままでは食べられてしまう――万事休す、と思われた次の瞬間。
「これあげるよっ!! 私の……最高の揚げ物!!」
「わぁっ!!」
 フィーラの頭上を通り過ぎる一つの揚げ物(Fry high)――香しい匂いに一瞬で目を奪われ、オーラの防護を食すことを辞めてそれに夢中になる。
 その揚げ物を投げたのは、それを作ったアメリア――空を翔ける心を冠するバイクに乗りつつ、揚げ物に夢中になるフィーラ目掛けて、バイクを蹴って飛び上がりつつも思う。
(どんな匂いを嗅ぎ分けてるんだろう……)
 澪といい、あの少年といいどんな匂いがするのか。
「ともかく未来を食べさせはしないわ。あの子にはいつか羽飾りを作ってもらうんだから!!」
 だが彼女の胸に燃えるのは決意。
 守り抜いた未来を蹂躙させまいとする決意、未来へつなげる約束を待つ期待。
 覇道の名を持つ小手に、眩く輝く炎を乗せると、フィーラの翼を盛大に殴りつけ――片翼を圧し折り、それを一気に延焼させていく。
「ぎゃあああ!! 熱い、熱いですぅぅ!?」
「じゃあ冷やしてあげるよ」
 告げられたのは良い笑顔の澪の処刑宣告。
 アメリアの援護を機に、フィーラの頭上を翼で飛び越え背後に回っていた彼はバトンを突き出し――燃え盛る翼に、全開の魔力を上乗せした吹雪を解き放ち、炎を凍てつかせたその勢いで翼を完全に打ち砕く。
 延焼を自在にコントロールできる法と、氷の術――どちらも草原への延焼は見事にカバーを行えていた。
 その間も、追撃に移ろうとするアメリアの炎を纏った拳を、片翼とはいえ機動力の衰えない飛翔で必死で回避する――勿論、僅かな炎が入っただけでも一気に燃え広がる輝きを完全に躱していく。
 否。
 敢てその拳を受けると、フィーラは無邪気に笑い。
「良いの貰いましたぁ~……それじゃぁっ!!」
 その目的は食欲。
 食欲の為に敢て攻撃を受けることでシチューにカツを見出した彼女は片翼で在りながら全く衰えないどころか、増した飛行で炎をも振り切り澪へと肉薄すると。
「いただきまぁ~す♪」
「てえぇぇ調味料!? やめてよ服洗うの大変なんだから!!」
 懐から調味料を取り出しぶちまけ様とする彼女に、増大した身体能力相手では間に合わないと、橙色に輝く花を先手を打って解き放ち。
 放たれた塩胡椒を一瞬で花弁の中に埋め尽くしてフィーラの息を奪い、窒息させにいくも、寧ろフィーラはそれはそれで、と言わんばかりに花弁を美味しそうに食べていく。
 流石にこれで削り切ることは出来ないと思っているが、いい。
「ありがとね!! ……よそ見は厳禁だよ」
 信頼するアメリアが、食事に夢中になるフィーラ目掛けて再び業火を纏った拳を振り上げていた。
 気付いた時にはもう遅く――暴食の魔人のもう片翼は圧し折れて、彼女を埋め尽くしていた花弁にも引火することでより強い業火となって、その翼を完全に灰にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グァンデ・アォ
《アドリブ、連携、苦戦描写、その他何でも歓迎です》
うわわわわ、どうしよう!。このままじゃみんなアイツに食べられちゃう!
コイツを止めるためにボクができるコト……そうだ!

急いで、敵の頭上まで飛んでいくよ!
「あらぁ〜、食べて良いんですかぁ〜?やったー!」という言葉の直後に、フルフェイスのヘルメットに変形して、その顔に覆いかぶさってやるんだ!食べて良いわけないよ!
あ、ちなみに、中の人と接続しなければ、口調はこのままだよー。ただの丈夫なヘルメット状態。

……って、コイツは他にも口が作れるのか!みんな気を付けて!
ボクも危なくなったら、ヘルメット状態を解除して一旦離れるよ!



●英雄仮面のラ・クロッシュ
「うわわわわ、どうしよう!! このままじゃみんなアイツに食べられちゃう!!」
 フィーラの暴挙は両翼を失っても終わらない。
 翼を無くし空中戦ができなくなったとて、身体能力には一切の衰えを見せず、無邪気ながらも害悪でしかない獰猛な食欲を猟兵達に向けようとしていた。
 その様子をグァンデは空中で躊躇いながら見ていた。
 このままでは猟兵達も、守り抜いた村も全てが喰らい尽くされる。
(コイツを止めるためにボクができるコト……そうだ!!)
 光の羽をはためかせ、猟兵達を追い回すフィーラの頭上に決意を胸に勢いよく飛来すると、必死になって慌てる演技で語り掛けた。
「オネーさん、オネーさん!! 僕を食べていいから、他の人たちは見逃してくれるかな?」
「あらぁ~、食べて良いんですかぁ~? やったー!!」
 勿論フィーラに、後半の欲求を飲む道理はないが、無邪気にグァンデを食べようと口を伸ばすと。
『自立行動モードを終了し、攻性ユニット支援モードに移行します……ユニット素体と接続しました。戦術級攻性機能がアンロックされます』
「~~~~~!?」
 突如、電子音声が響きグァンデはフルフェイスの兜に変形すると、敢ての逆向き――そう、視界を塞ぐ形になってフィーラの頭をすっぽりと覆った。
 あらゆる攻撃を遮断することが出来る代わりに動けなくなる形態変化――しかし、兜として覆い被さって視界を塞ぐにはこれ以上は無いだろう。
「みんな今の内!!」
 早く体勢を立て直してと駆け付けた猟兵達に告げながら、フィーラの頭を必死で抑え込む。
 いくら殴られ、手を口に変えた食欲の牙を向けられようと離さない――やがてはモードチェンジの時間が切れこれ以上は不味いと判断すると、彼はフィーラを開放する。
 しかしグァンデは見事に成し遂げたのだ。
 文字通りその身を張って、仲間たちの体勢を立て直す時間を完全に確保するという大快挙を――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アム・ファール
なんと可愛らしい方……ですが、よくよく聞けば言ってることが可愛くないですね!?
世界まるごと食べられそうでシャレにもならなさそうです。
えーっと、これでも召し上がってください……!!
敵が口を開けたところへ『属性攻撃』で【ウィザード・ミサイル】を叩き込みます!
案外こういうのもぺろっと平らげそうで恐ろしいですね。
相手がどう動くか見極めつつ、隙があったら『全力魔法』です!
外見に騙されましたが、口だけを伸ばしてくる姿を見ると完全に魔物じゃないですか!
夢に出そうです……。
みなさんと協力して倒せた暁には、この地を守れた事を盛大にお祝いしないといけませんね。



●水晶カンテラのフランベ未来の希望を添えて
(なんと可愛らしい方……)
 ふとフィーラを見ながらアムはどこか心温まるような気持ちすら覚えてくる。
 だが冷静になって今までの言動を思い返し、猛烈な勢いで頭を横に振った。あの様子では世界丸ごと捕食されかねない。
「って、よくよく聞けば言ってることは可愛くないですね!?」
「あ~!! 可愛くないって言った~酷いですぅ~女の子に向かってぇ~」
 失礼な声が聞こえたフィーラは頬を膨らませ。
 その怒りと食欲を満たす為に、フィーラはピンクの髪の一部を口に変えると、アムを頭から食べようと暴食の牙を向けた。
 その様子にわたわたと慌てながらも、その杖を向けて炎の矢で弾幕を張るが。
「えーっと、これでも召し上がってください……!!」
「ありがとうございま~す!!」
「ああやっぱり!?」
 予想はしていたが、髪の毛を次々に口に変えていき笑いながらそれを美味しそうに放たれた炎と一緒に口に運ぶ。
 ついには接近を許し、フィーラは調味料を懐から取り出そうとするが、
「あれ? あれれ~?」
(今です!!)
 調味料の場所をうっかり忘れたのか手を突っ込んだまま動きを止める。
 その好機を当然見逃すアムではなく、先程以上の、彼女の持ちうる全力を杖先に込めて炎の矢を解き放てば、それを食べる間もなくフィーラは吹き飛ばされ、全身を焼き焦がしながら背面飛びで地面に叩きつけられた。
 そんなアムでも、髪を口に変えて伸ばした邪法を思い返すと、
「夢に出そうです……」
 額に汗を浮かべ慄くが、違うことを考えて気を紛らわせる。
(みなさんと協力して倒せた暁には、この地を守れた事を盛大にお祝いしないといけませんね)
 それにこの杖に合う飾りをと約束したのだから。
 ふんわり輝く鉱石を抱く杖を軽く振るうと、いつかの約束で果たされるだろう飾りがふわりと揺れる未来が見えた……かもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
「しょうねんに私は語りました。知識を身に付けよと」
右手にシュンリンを抜きます。
「しょうねんは学びました。知識を、未来を手にする術を」
左手にハナシグレを構えます。
「ならばその未来を護るのは私達の役目です!ついでにダチョウも!」
クルリと回りながら飛び上がり、先ずはライフルで牽制しながらアジサイユニットを展開
「おかわりはまだまだありますからね!」
浮遊するビームチェーンソーを次々と飛ばして、命中回避はともかくとして全弾が通り抜けた時点でそのままユーベルコード発動、弾幕を張って近寄らせません。
他の人が居るようなら、後は距離を取りながら連結ビームライフルで援護射撃に徹します。



●始りを締める始りのエルフ・ダチョウも添えて
 全身を焼かれボロボロになりながらも立ち上がり食欲を向けんとするフィーラに掛けられる声があった。
「しょうねんに私は語りました。知識を身に付けよと」
 右手に構えられるのは、収束率可変式のライフル。
「しょうねんは学びました。知識を、未来を手にする術を」
 次いで左手に構えられるのは、大出力の光弾を放つライフル。
 両手に長銃を構え、毅然と現れたエルフはこれまでの物語を改めて語る。
「ならばその未来を護るのは私達の役目です!! ついでにダチョウも!!」
「ダチョウさんですか~? 食べたいです~?」
 ついでかよ!!おかしいだろ!!……という声が響いたかはともかく。
 現れたエルフ――咲凛は優雅に旋回してブースターで飛び上がると、左手のライフルから光弾を放ちフィーラを牽制する。
 だがフィーラはその光弾にすら歯を立てて食べようとするが、連戦で消耗した身体では文字通り歯が立たず、弾き飛ばされ尻餅をつく。
 その隙に咲凛はその周囲にいくつもの耳障りな音を立てて刃を回転させる円盾状のユニットを展開させた。
「おかわりはまだまだありますからね!!」
 大出力の光弾を追撃に、避けようとする動きには右手のライフルで器用に狙い撃ち、刃を鳴らす円盤が更に追い詰める。
 その悉くを髪の毛を変化させ伸ばす口で捕食しようとしても、やはり歯は立たずに弾き飛ばされ、光弾の熱と刃の裂傷が刻まれていくばかり。
「武装ユニット全開放」
 そうして再び尻餅をついたフィーラに、咲凛の保有する全ての武装が一斉に向けられて。
「撃ちます!!」
「……ダメですぅ~~~!! もう食べられま……せぇぇ~~ん!!」
 二丁のライフルから放たれる光が、両腕から放たれるキャノンとガトリングが、両肩から放たれるミサイルが、両足から放たれるビームが。
 最期の最期まで食欲を訴えた魔人を、髪の毛一本も残さずに消し去るのであった――

●デザートは一つの物語の終わりで
 ――全てが「無垢」から始まったのだろう。
 少年の無謀とも言える冒険の始まりが無垢の優しさならば、アンコウ達の暴威も無垢な自然の生き物としての行動。
 そしてフィーラも為すことは災害であっても、想い自体は無垢だったのだろう――迷惑極まりないことは確かだが。
 だがこうして無垢なる想いから始まった一つの事件は終わった。
 無垢なる想いから、小さな勇気を出した少年の未来を猟兵達は無事に守り抜いたのだ。
 時に諫め、時に力を示し、時に教え導き――それは、少年の心に一つの翼を与えたのだ。
 少年がやがて長じてどうなるかは分からないが――それでも分からないということは、分からないと言えるだけの未来の幅があり、それを守り抜いたのは確かなのだ。
 何も知らぬ村と、何も知らぬ鳥たちの営みを無事に守れたことを喜びつつ。
 一つの冒険譚を飾り、語られぬ英雄の戦いを終えた猟兵達は各々の帰る場所へと帰っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト