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さようなら、わが祖国

#クロムキャバリア #サイプレス・カウンティ #一人称リレー形式

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#クロムキャバリア
#サイプレス・カウンティ
#一人称リレー形式


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●クロムキャバリアにて
『今日、君たちは死ぬかもしれない!』
 赤いキャバリアが告げた。
 いや、そのキャバリアの乗り手が外部スピーカー越しに告げた。
『しかし、それは無駄死にではない! この戦いに『無駄死に』などと呼べるような死は一つもない! そう、ただの一つも!』
 都市を遠くに望む荒野の一角。
 赤いキャバリアの前には数十機のキャバリアが並んでいる。その半分は赤いキャバリアと似たような形をしていた。残りの半分はキャバリアと呼べるかどうか怪しい代物だった。下半身(アンダーフレーム)しか存在しないのだから。
『たとえ君たちが死んだとしても! そして、私が死んだとしても! その骸から流れ出た血潮は大衆の心という名の大地に染み込み、いつか希望として芽吹き、勝利として花咲くことだろう! そう、十年前のあの日と同じように!』
 赤いキャバリア以外の機体はすべてコクピットのハッチを開けていた。
 そこに見えるのは十代の少年少女たち。まだ若い……どころか幼さが顔から抜けていない者もいるが、パイロットスーツを着慣れていることは一目で判る。キャバリアに乗ったのは昨日今日ではないのだろう。
『しかし、私は強制はしない! 退くもまた勇気! 今が死に時でないと思うのなら、ここが死に場所でないと思うのなら、今すぐにキャバリアから降り、ここから立ち去ってくれて構わない!」
 立ち去るわけがない――そう信じている口振りだ。
 実際、少年少女たちは誰一人として立ち去らなかった。
 代わりにコクピットのハッチを閉じ、キャバリアのメインシステムを起動させた。

●グリモアベースにて
「クロムキャバリア製レーションのチョコレートバーを分けてもらったんだけど……まずいわー。ってゆーか、味がないわー。いかにも軍用って感じ」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前でチョコレートバーを囓っていた。
 グリモア猟兵のJJことジャスパー・ジャンブルジョルトである。
『まずい/味がない』と評した代物を欠片も残さずに胃の腑に納めると、JJは本題に入った。
「クロムキャバリアに『サイプレス・カウンティ』という小国家がある。絵に描いたような独裁者によって、絵に描いたような圧政が敷かれた、絵に描いたような悪の帝国……だったんだが、十年前に革命が起きて、国のトップは『委員会』というシンプルな名前の組織に挿げ替わった。以後はまあまあ平和にやってるらしい。ちょっと全体主義っぽいところもあるけど、独裁時代に比べたら天国も同然なんだとよ」
 しかし、『まあまあ平和にやって』いたのは昨日までの話。『委員会』の高官がオブリビオンマシンに狂わされ、隣国への侵攻を開始したのだ。
 その高官の名はウォルター・ウッドストック。軍属ではないが、政治将校に似た役職に就いており、おまけに十年前の革命で活躍した英雄の一人であるため、軍内で大きな影響力を持っている。また、キャバリアのパイロットとしても優秀であり、六十近い年齢でありながら、現役のパイロットと互角に渡り合えるだけの腕を有しているという。
「そんな小英雄がお隣に攻め込んだとあっちゃ、どえらい騒ぎになるのは必至だわな。つーことで、無益な戦乱が起こらないよう、ウッドストックの侵攻軍を止めてくれ」

 侵攻軍というからには、敵は一人ではない。ウッドストックを狂わせたオブリビオンマシンは謎のユーベルコードを用いて数十機のキャバリアをオブリビオンマシン化して、それらのパイロットを洗脳下に置き、侵攻軍を編成したのだ。
「洗脳されたパイロットたちは『ブルー・ブルーム』という訓練部隊に属してる兵士たちだ。ちなみに『ブルー・ブルーム』は戦災孤児ばっかりで構成されている部隊なんだとさ。孤児を訓練兵にするっていうのはなんか人権諸々を無視してるような印象を受けるかもしれないけど、『委員会』なりの手厚い福利政策の一環ってことらしい」
 JJの予知によると、ウッドストックは『ブルー・ブルーム』を二隊に分け、隣国に波状攻撃をおこなうという。第一波は成績優秀な訓練兵ばかりで構成され、第二波はそれ以外の訓練兵で構成されている。キャバリアの性能も第一波のほうが上だ。
「つまり、第二派のほうが弱い……ってわけでもないんだなー、これが。おそらく意図的にチーム分けしてるんだと思うけど、第二派の兵士の大半は第一派の兵士の兄弟姉妹ばっかりなんだよ」
 第一波に戦死者が出た場合、彼もしくは彼女の兄弟姉妹は怒りと悲しみでオブリビオンマシンの狂気に飲まれ、パワーアップすることだろう。
「なので、戦闘の際にはキャバリアだけを破壊してパイロットを救うのが望ましいな。いや、そんな事情がなくても――」
 話し続けながら、JJは転送の準備を始めた。
 猟兵たちを戦場に送り出すために。
「――救うほうがいいに決まってんだけどさ」


土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。
 本件は、とある国に攻め込もうとしているキャバリア軍団と三連戦するシナリオです。

●第1章について
 戦災孤児ばかりで構成された訓練部隊ブルー・ブルームの第一波(精鋭)との集団戦です。
 ブルー・ブルームの面々は洗脳されていますが、キャバリアだけを破壊して助け出せば、正気に返ります。パイロットの生死を気にせずにキャバリアごと倒すこともできますが、助けてあげるとプレイングボーナスがつくかもしれません(後述)。

●第2章について
 ブルー・ブルームの第二波(二軍)との集団戦です。第一波と同様、キャバリアだけを破壊して助け出せば、正気に返ります。
 第一波に死者が出ていた場合、第二波の一部の兵士(死者の兄弟姉妹)はバーサークしてパワーアップします。逆に死者が出ていない場合、助けた兵士たちの言葉や想いを伝えることができれば、プレイングボーナスがつきます。

●第3章について
 ウォルター・ウッドストック(軍属ではないので、正式な階級は無し)が駆るオブリビオンマシン『アマランサス・ラピート』とのボス戦です。これまた前章までと同じくオブリビオンマシンだけを破壊すれば、ウッドストックは正気に戻ります。
 ウッドストックは基本的に悪人ではありませんが、無理に助ける必要はありません。たとえ猟兵たちに助けられたとしても、自らのおこないを(オブリビオンマシンの洗脳化にあったとはえ)恥じ、しかるべき罰を受けるために『委員会』に投降します。

●キャバリアについて
 キャバリアに乗って戦いたいけど、キャバリアを持ってない! ――そんな猟兵には『委員会』がキャバリアを貸与してくれます。機種は『アマランサス』(第1章の敵)限定です。あと、たいして嬉しくないオマケ(幕間参照)がつきます。
 言うまでもないことですが、キャバリアに乗るのは義務ではありません。サムライブレードでキャバリアをブッた斬ったり、魔法の攻撃を浴びせたり、徒手空拳で挑んだり(おまえの空手を見せてやれ!)、ドラゴン等に乗って突っ込んだり……と、PCのイメージに合った戦い方でどうぞ。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 集団戦 『アマランサス』

POW   :    BSビームライフル・RSダブルバズーカ
【ビームライフル】か【ダブルバズーカ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    BXビームソード
【ビームソード】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    一般兵用リミッター解除
【一般兵用の操縦系リミッターを解除する】事で【本来のエース専用高性能クロムキャバリア】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 レーダーで捉えていた敵の集団が肉眼で確認できる距離まで近付いてきた。
 赤いキャバリアの群れ。
 コクピットのハッチは閉じられているが、それらと対峙する猟兵たちは知っていた。
 ハッチの向こう側で操縦桿を握っているのが年端もいかぬ少年少女であることを。
『これは第一歩だ! 世界から境界線を消し去るための! 地図を白一色に染め上げるための!』
 猟兵たちの通信機が、熱を帯びた声を拾ってきた。
 少年少女たちに投げかけられたアジテートの言葉。
 もちろん、語り手はウォルター・ウッドストックだろう。
『すべての国家を飲み込んでしまえば、国家という概念はこの世から消えてなくなり、『自国』も『祖国』も『生国』も死語となるだろう! そして、私たちは晴れて『地球人』となり、手に入れるのだ! 戦争のない世界を! 差別のない世界を! 貧困のない世界を!』
 その声は狂気に侵されていたが、それ故に真摯な思いも剥き出しになっていた。ウッドストックにとって、『世界から境界線を云々』というのは侵攻を正当化するための大義名分ではないのだろう。彼は本気で求めているのだ。戦争や差別や貧困のない世界を。
 だからといって、猟兵たちは道を開けたりしなかったが。


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●JJからのお知らせ。

 マスターコメントにもあるように、キャバリアのない猟兵にはサイプレス・カウンティの協会が量産型の『アマランサス』を貸してくれるぞ(これもマスターコメントで言われていることだが、無理してキャバリアに乗る必要はないからな)。
 キャバリア専用のユーベルコードがなくても大丈夫。通常のユーベルコードをキャバリアから出すこともできるから。
 あと、貸し出されたキャバリアのコクピットには例のチョコレートバーが常備してあるぞ。なんと、三本も! カロリー多めだから、ダイエット中の猟兵は要注意な。
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ヒビキ・ノッカンドゥ
アドリブ等歓迎

殺すな、殺されるな、かあ
理想的な事だし、そうすべきなんだろうね

この世界において、居場所をくれた英雄の言葉は親以上だろう
兄弟姉妹もいるのだから色々な意味で怖くないだろう

けど、親兄弟が間違うことだって大いにあるんだ
烏賀陽のコンソールを叩いて機体を起動させながら独りごちる

スナイパー、見切り、だまし討、【UC】を使用
潜伏状態から大量の目標を相手にUC効果で大量の火線を投射。スナイパー見切り効果でメインセンサ、脚部を主に狙いバイタル部は一切狙わない
機動力、目、頭脳を潰せば健在な機体もそれらのフォローに回らざるを得ないか

殺さずに済むなら、それが一番いい
戦争してるんだ。人殺しをしてるんじゃない


シル・ウィンディア
国がなくなれば、そこで生きている人が悲しんじゃうから
止めさせてもらうよっ!

さぁ、ブルー・リーゼ、行くよっ!

敵機を補足したら
【スナイパー】で狙撃モードのビームランチャーを構えて【貫通攻撃】で撃ち抜いていくよ

撃った後は【推力移動】で地上を走行だね
しばらくしたら【空中機動】に移行しての【空中戦】!
高度には注意しつつ最大戦速!

上空からホーミングビームを複数の敵へロックオンしてから撃つよ
当たればいいけど、はずしたら
ツインキャノンとビームランチャーで追撃だね

敵がUCで強化されたらこっちも…
【高速詠唱】でのエレメンタル・バラージ!
この魔力弾幕、潜り抜けれるかな?


※コックピットは避けて攻撃します


ユーミア・エルネンフルス
レド・グランメビウスに乗り第一波を迎え撃つ。
パルサーマシンガンで牽制し、展開したコルニクス・フェザーによる属性攻撃の氷のレーザーで手足や武器を封じることをが目的ッス。
近づかれそうだったり、バズーカなどが当たりそうならフェザーのレーザーを格子状に自分の前に放ち壁にするッス
「フェザー展開ッス!」
洗脳されているとはいえ精鋭の部隊。止めるのであればもう一手
こちらに注意が向いている状況でユーベルコード
相手の側面に召喚し回数重視の氷魔法
「アイスバレッジ!」
不意打ちの氷魔法で凍らせ動きを封じ、敵機体群の手足へ向けてエクスティア・ハウル。
行動できなくなればパイロットたちも救出できるッスね
お疲れ様ッス『レド』


レモン・セノサキ
アドリブ他◎

国境を消して争いを無に、ね
統一しても侵攻された側の痛みは消えずに残る
血で血は止められない、咲いたとしても徒花が精々だね

愛機「BASTET」に搭乗して出撃
「C.T.弾頭」に大量の「トラップコイン」を詰めて撃ち出し
周囲を大量の帯電スモークで覆う
信号にノイズを与える煙を長時間纏わりつかせて▲時間稼ぎ
更にデコイを複数作って煙の中に漂わせ撹乱しようか

この間にUC発動、愛機に演算を支援させ(▲瞬間思考力)高速でセキュリティの突破を試みよう
操縦権限を奪取し、敵機全体に操縦者脱出コードを一斉送信……っと
『BAIL-OUT』強制実行だ!
理想の甘言に浮かされる様なキッズには、そのオモチャはまだ早いな☆



●ヒビキ・ノッカンドゥ(月の響・f17526)
『戦争のない世界を!』
 ウッドストックの声に代わって、若々しい声が通信機から聞こえてきた。
『差別のない世界を!』
 戦争で親を失った何十人かの少年や少女の声。
『貧困のない世界を!』
 そう、赤いキャバリアに乗って迫ってくるブルー・ブルームたちの声。
『やれやれ……』
 溜息まじりの呟きも聞こえてきた。こちらも若い声だけれど、ブルー・ブルームじゃない。ヤドリガミの女の子(ヤドリガミなので、本当は『女の子』なんて呼べる年齢じゃないのかもしれないけれど)のレモンちゃんだよ。ちなみに彼女が乗っているのは、猫耳みたいな突起が頭についたシャープな感じのキャバリア。
『世界から国境を消したら、争いがなくなるって? 仮にこの世界を統一することができたとしても、侵攻された側の痛みは消えずに残るっていうのに……』
『うん。痛みを残さないために――』
 青と白のツートンカラーのキャバリアが両肩の砲身を水平にした。操縦者はエルフの女の子(エルフも長命らしいから、本当は『女の子』なんて呼べる……はい、以下同文)のシルちゃん。
『――止めさせてもらうよ!』
 二本の砲身からビームが伸び、何機かの敵をまとめて刺し貫いた。
 被害を免れた他の機体は素早く散開。一直線に突っ込んでくるというバカ丸出しな行動(洗脳されてるせいで判断力が鈍ってるのかも?)をやめて、不規則な蛇行を始めた。手に持ったビームライフルや両肩に背負ったバズーカを撃ちまくりながら。
『ブルー・リーゼ、行くよ!』
 シルちゃんのキャバリアが飛び出した。敵のビームや砲弾を躱しつつ、ブースターを噴かして突き進んでいく。
『行くよ、レド!』
 同じように自機に呼びかけたのはユーミアちゃん。アルダワ魔法学園から来たと思わしきガジェッティアの女の子だよ(人間だから、間違いなく『女の子』って呼んでいい年齢のはず)。
 レドと呼ばれたキャバリアは非実体のエネルギー弾を銃器から連射して牽制しつつ、機体のそこかしこからドローンを射出した。

●ユーミア・エルネンフルス(ユーミアはロボット好き・f30689)
 攻撃と防御の両方をおこなえる優れ物のドローン『コルクニス・フェザー』を射出している間に敵部隊の一部が見えなくなったッス。
 なぜかというと、レモンさんの猫耳付きキャバリアが――
『文字通り、けむにまかれてもらおうかなー』
 ――コイン型(というか、どう見てもコインそのもの)のスモーク弾を撃ち込んだからッスよ。
 発生したスモークはバリバリとスパークしてるッス。たぶん、視界を曇らせるだけじゃなくて、ジャミングみたいな効果もあるんでしょうね。通信機越しに聞こえてくるブルー・ブルームたちの声がノイズ混じりになってるし。
『……のな……世界を!』
『……別のない……』
『貧困のな……』
 まあ、どんなにノイズが混じろうと、言ってることは判るッスけどね。同じ言葉をずっと繰り返しているだけなので。
 スモーク越しに飛んでくるビームや砲弾の勢いは低下したっすけど、その声に含まれている狂気のテンションは下がってないッス。
『オブリビオンマシンの干渉がなかったとしても、この子たちはウッドストックとやらに従ったかもね』
 味方のサイキックキャバリア(っぽいけど、別のなにかなのかも?)からも声が届いてきたっす。スモークにまかれてないので、ノイズはなし。
 モニターの一つに、そのサイキックキャバリアが映し出されているッスよ。コクピットが解放されているので、声の主であるカッコいいお姉さん――ヒビキさんの姿も見えるッス。
『居場所をくれた英雄の言葉は親のそれも同然……いえ、それ以上のものかもしれないから』
 コクピットのハッチが閉じ、キャバリアの目にあたる部位が『ブオン!』と重低音を発して点ったッス。
『でも、親兄弟が間違うことだってあるんだ』
『あるんだよね。時には、取り返しのつかないレベルの間違いを……』
 ヒビキさんの言葉に同意しながら、シルさんがキャバリアのブースターを更に噴かしてジャンプ!
 そして、スモークの上からホーミングレーザーの雨を降らせたッス。

●レモン・セノサキ(金瞳の"偽"魔弾術士・f29870)
 空高く(といっても、殲禍炎剣に目をつけられない程度の高度とスピードを保って)舞い上がり、何条ものレーザーを地上に発射するシルのキャバリア。
 そのカラフルな虹色のレーザーに別のレーザー群が加わった。ユーミアがばら撒いたドローンたちが攻撃を始めたんだ。
 更に第三の弾雨ならぬ光線雨が来た。今度は上からじゃなく、横方向から。たぶん、撃っているのはヒビキのキャバリアだね。『たぶん』がつくのは、いつの間にやらキャバリアの姿が見えなくなっているから。岩陰かなにかに巨体を隠して狙撃しているらしい。
 ヒビキの標的になっているのは、スモークを抜けてきた敵機や最初からスモークに巻き込まれなかった敵機たち。レーザーに撃ち抜かれて次々と倒れていくけれど、命中した部位は脚部もしくは頭部だけ。
『もしかして、わざとコクピットへの直撃を避けてる?』
 上空で虹色のレーザーを撃ち続けながら、シルが通信機越しにヒビキに尋ねた。
『ああ。殺さずに済むなら、それが一番いい。僕は戦争をしているのであって、人殺しをしているわけじゃないから』
 ヒビキの不殺の意思を知ってか知らずか、敵は怯むことなく進撃を続けている。ついには何機かが光線雨を掻い潜り、ユーミアのキャバリアめがけてバズーカを発射した。
『シールド、展開ッス!』
 ユーミアの叫びに応じて例のドローンたちが射撃の方向を一斉に変え、キャバリアの前面にレーザーの格子を築いた。
 その直後、バズーカの砲弾群が連続して炸裂した。爆発、爆発、また爆発。でも、ユーミアのキャバリアは無傷だ。格子状のレーザーがすべての砲弾を防いだから。
 言っとくけど、私は指をくわえて一連の攻防を見ていたわけじゃないよ。ちゃんと手は動かしている。猫耳付きの愛機『BASTET』に演算を手伝ってもらいながらね。
 なんのための演算かというと……まあ、すぐに判るよ。細工は流々、仕上げを御覧じろ。

●シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)
『リミテッドコール! グランメビウス!』
 ユーミアさんが再び叫ぶと、彼女を攻撃していたアマランサスたちの側面にキャバリアがいきなり出現した(ブルー・リーゼはまだ飛行中だから、わたしは戦場の様子をしっかりフカンできるんだ)。
 そのキャバリアには足がなかった。上半身だけが浮遊している状態なの。たぶん、ユーミアさんが使ったのは、キャバリアの一部だけを召喚するユーベルコードなんだと思う。
『氷漬けにしてやるッス!』
 上半身だけのキャバリアが腕を突き出すと、一瞬にしてアマランサスたちが凍り付いた。
 ただし、全部の機体じゃない。何機かのアマランサスは残像を生むほどのスピードで移動し、氷の魔法の範囲から逃れてる。
『あの敵さんたち、リミッターを解除したみたいッスよ!』
『わたしに任せて!』
 ユーミアさんにそう告げて、わたしはエレメンタル・バラージの呪文を詠唱した。
「精霊たちよ、集いて力になり、すべてを撃ち抜く力となれっ!」
 高速詠唱なので他の人には聞き取れなかったかもしれないけど、効果はテキメン。火と水と土と風の魔力で構成された百発以上の追尾弾がブルー・リーゼから発射されて、リミッター解除状態のアマランサスたちに命中した。でも、中のパイロットは無事のはず。ヒビキさんと同様、コクピットは外しているから。
『はい、ハッキング終了! かーらーのー――』
 レモンさんの声が聞こえた。
『――ベイルアウト強制実行だ!』
 氷の魔法やエレメンタル・バラージの洗礼を受けなかったアマランサスが次々と停止して、胸のところからなにかを射出した。その『なにか』はコクピットのシートみたいな形の変なミサイル……に見えたけど、違う。本物のシートだった。もちろん、どのシートにもパイロットがシートベルトで固定されている。
『脱出装置を作動させたのか?』
 と、ヒビキさんがレモンさんに訊いた。
『うん。理想の甘言に浮かされるようなキッズには、ああいうオモチャはまだ早いからね』
 赤い『オモチャ』から射出されたシートの群れはパラシュートを開き、風に吹かれてゆっくりと地上に落ちていく。
 花が舞い散る様を思わせる光景だね。

●名もなき少年兵
 半数ほどの同志が討たれた。
 いや、正確には『討たれた』わけじゃない。敵の部隊(隣国に雇われた傭兵か、あるいは『委員会』の息がかかった連中か……なんであれ、正規軍ではないようだ)は同志たちの命を奪うことなく、戦闘不能の状態にしたのだから。実に屈辱的だ。
「怯むな!」
 通信機に向かって、俺は叫んだ。残された半数の同志を叱咤激励するために。
「師にして父にして戦友であるウッドストック様の言葉を思い出せ! この戦いに無駄死にというものはない!」
 帯電スモークのジャミング効果は薄れているようだから、このメッセージがノイズに邪魔されることはないだろう。仮にノイズまみれだったとしても、皆に意志は伝わるはず。
「俺たちが流した血は大衆の心という名の大地に染み込み、いつか希望として芽吹き、勝利として花咲……」
『いやいや、血で血は止められないよ』
 と、敵の一人が割り込んできた。おそらく、例のスモークを発生させた奴だろう。
『咲いたとしても、徒花がせいぜいだね』
 なにを言うか!
 俺たちは徒花では終わらない!
 徒花では終わらない!
 絶対に終わらないぞ!
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
平和を求める想いを歪められ可哀そうに

Oマシンに
子供達の命と未来を喰わせやしない

戦闘
折角だからアマランサスを借りるぜ

操縦席は外して
獄炎で高温化したビームや
爆発力がupしたバズーカを射ちながら
爆炎噴出のスラスターで回避行動や
盾に炎の力場を加えて防御しながら
間合いを詰める

当たった側から消し炭、とまでいかなくても
過熱させて機能をダウンさせるぜ

手にするはキャバリアサイズとした大焔摩天

敵陣で紅蓮の光刃を無尽に振るい
切断し燃やす

少年兵
未来を掴もうとする覚悟は流石だぜ
けれど未来は命の重みだ
生き抜いて未来を創るんだ
そうやすやすと死なせやしないぜ

事後
チョコバーを喰う

確かに味気ないけど…
力は湧いて来たぜ


エルマ・ハインツェル
え、アマランサス貸し出すの?
じゃあ借りるよ!わぁ流石エース用クロムキャバリア、自前の量産型キャバリアのジェネムⅡとは段違いだねっ
複雑かつ反応過敏なピーキーな操作系はそりゃ一般兵には扱えないよね、動作と操作単純にして反応落とすリミッター掛けるはずだよ
まっ私はリミッター外すけどね

うーん、正気とは思えないことを本気で語ってる狂気だねー
まぁそう主張するならこれぐらいは突破して欲しいよね!
【キャバリアライズ】でジェネムⅡの軍団を創り出すよ
私の電脳制御で一糸乱れぬ連携で両手のビームライフルとジェネムマシンガンで弾幕張るよ
性能差を数で押し潰す。うーん、実にジェネムらしい戦いだね
私もアマランサスで頑張るけどね


アンネリース・メスナー
アマランサスっ、我が故国ズィガ帝国の機体をっ!
しかも悪の帝国だったとは、戦争末期に一部の馬鹿がNBC兵器に手を出した末に敗戦・国家解体されたズィガ帝国と重ね合わせて皮肉っているのですか?
まぁ此処と戦勝国の傀儡国家ズィガ共和国では違いますが

ふん、世界征服など妄言を本気で口に出す輩はアマランサスに相応しくないですわ
所詮アマランサスの過敏な操縦系を扱えずリミッターを嚙ませたコピー機しか扱えない未熟者の弾など当たりませんわ!
ズィガ帝国親衛隊仕様の、本物のアマランサスの実力をその目に焼き付けるといいですわ!
さぁブルー・ブルームという部隊名に赤いアマランサスは不釣り合いでしょう?強制的に降りてもらうわ!


御園・桜花
「必要以上に高速で動いたり、高高度を取ってはいけない、でしたか…気を付けませんと」

UC使用
まず敵の速度を観察
敵とほぼ同速又はほんの少し速い程度の速度で高度も10m以下を飛行
敵機に取りつき至近距離からのLMG射撃又は桜鋼扇での殴打により外部カメラやレーダー機器を壊すヒット&アウェイ戦法
操縦者が目視で外部探査しなければならない状況に陥らせコクピットハッチを操縦者自身に開けさせるのが目的
コクピットが開いたらそこに突貫
広げた桜鋼扇でベルト等固定具切り裂き操縦者の急所に一撃与え気絶させ引きずり出し捕虜確保場所へ

敵機からの攻撃や操縦者からの銃撃等は第六感や見切りで躱す

戦闘後は浄化と医術で捕虜の治療手伝う



●御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)
 スモークは晴れましたが、視界が良好になったわけではありません。沢山のキャバリアが激しく動き回り、土煙が朦々と巻き起こっていますから。
 もっとも、キャバリアに乗っている方々は視点が高い位置にあるので、とくに支障はないでしょう。生身で臨んでいる私と違って。
「我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を討ち滅ぼさん!」
 飛翔能力を得るユーベルコード『精霊覚醒・桜』を発動させて、私は文字通り舞い上がりました。このユーベルコードを用いた際の最高時速は一万粁を超えるのですが、今回は少し控えめにしておきましょう。高速で動くと、殲禍炎剣とやらの餌食になってしまうかもしれませんからね。
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 右耳に差し込んだレシーバー(『委員会』から貸与されたものです)から、敵兵たちの唱えるスローガンが聞こえてきます。
 平和な世界を築こうという理念は素晴らしいと思いますが、剥き出しの左耳から入ってくる戦場の騒音――ビームの発射音、ミサイルの爆発音、キャバリアの駆動音が図らずも証明していますよ。その理念が張り子に過ぎないことを……。
『未来を掴もうとする覚悟は流石だぜ』
 レシーバーが新たな声を受け取りました。猟兵のウタさんの声です。
 横に目をやると、彼のキャバリアが見えました。敵兵たちのキャバリアと同じ『アマランサス』という機体(これも『委員会』から貸与されたものです)。コクピットハッチの隙間から炎が漏れ、ちろちろと揺れていますが、被弾して炎上しているわけではありません。あれはブレイズキャリバーであるウタさんの地獄の炎です。
『流石かなあ? 私には――』
 ウタさんのキャバリアの横に別のキャバリアが並びました。そのキャバリアもまたアマランサス。乗り手はサイボーグのエルマさんです。
『――狂気しか感じられないよ』
『狂気の有無にかかわらず、見逃すことはできませんわ!』
 怒声を響かせて、第三のキャバリアが二機のアマランサスを押し退けるようにして前に出ました。
 怒声の主である操縦者はアンネリースさん。とある亡国の高官のご令嬢なのだとか。
『思い知らせてさしあげます! 世界の統一などという妄言を本気で口にするような輩にアマランサスは相応しくないと!』

●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
『『ブルー・ブルーム』という部隊名に赤いアマランサスは不釣り合い! 強制的に降りてもらいますわ!』
 なにやら怒り心頭に発しているアンネリースのキャバリアもアマランサスの系統らしい。ところどころに派手な装飾が施されたゴジャース版アマランサスって感じかな。あと、色が違う。アマランサスは赤だが、ゴジャース版は薄紫だ。
 アンネリースの挑発に乗せられたのか、不釣り合いな名前のキャバリアに乗ったブルー・ブルームの連中は薄紫の姉妹機を集中的に攻撃した。
 だけど――
『リミッターを噛ませたコピー機しか扱えない未熟者の弾など当たりませんわ!』
 ――アンネリースはビームも砲弾もすべて回避した。敵の攻撃を先読みしたかのように素早く、かつ無駄のない動きで。その種のユーベルコードを使ったのかもしれない。
 もちろん、回避だけじゃなくて反撃もしてるぜ。両腕から伸びてるビームの剣をブンブン振り回してな。
『ズィガ帝国親衛隊仕様の本物のアマランサスの実力をその目に焼き付けるといいですわ!』
 二本のビームにそこかしこを切り刻まれ、アマランサスたちは次々と行動不能に陥っていく。
 一方、こっち側のアマランサス――エルマが駆ってる機体は健在。アンネリースのゴージャス版ほどじゃないが、猛スピードで走り回ってる。
『もしかして、リミッターを解除されてるのですか?』
 エルマにそう尋ねたのは桜の精の桜花だ(ブルー・ブルームと違って、名が体を表してるよな)。キャバリアには乗らず、桜吹雪を撒き散らして自分の力で飛んでいる。
『もちろん』
 と、エルマが元気に答えた。
『やっぱ、エース用に製造されたキャバリアはいいねー! ジェネムⅡとは大違いだわー!』
 ジェネムⅡってのは、エルマが普段つかっているキャバリアのことかな?
 俺も今回はアマランサスに乗ってるんだが、リミッターはいじっちゃいない。でも、コクピットの中でこうして地獄の炎を燃やしまくってるんで、操縦席はとっぱらってる。チョコレートバーが入ってる耐熱ボックスは残しといたけどな。地獄の炎のせいで溶けてなきゃいいんだが……。
 いや、チョコレートバーの心配なんかしてる場合じゃなかったな。

●エルマ・ハインツェル(ナニカサレマシタ・f33269)
『エルマたちは狂気扱いしてたけど、俺は本当に感服してるんだぜ。未来を思うおまえたちの覚悟にな』
 ブルー・ブルームに語りかけながら、ウタさんが突っ込んでいく。もちろん、本人じゃなくて、操縦しているアマランサスが突っ込んでいるんだけど。
 それを棒立ちで迎え入れるようなブルー・ブルームじゃない。アンネリースさんを集中攻撃してた時に負けないほどの勢いでバズーカやビームライフルをばかすか撃ちまくった
 でも、ウタさんのアマランサスは止まらない。ブースターを噴かしてビームを躱し、あるいは左腕の楯で砲弾を受けて、進み続けている。
『だけど、未来ってのは命の重みなんだよ。おまえらが決めるべき覚悟は死ぬためじゃなくて、生きるためのもの。そうやすやすと――』
 テンションの高い声に比例するかのように、ブースターから噴き出されている炎も増量してる。ただの炎じゃなくて、爆炎って感じ。移動のためのパーツじゃなくて武器としても通用しそう。
『――死なせやしないぜ! 生き抜いて未来を創るんだ!』
 反撃開始。両肩のバズーカから砲弾が撃ち出された。ブースターと同じく、こちらも爆炎増し増し。どうやら、ウタさんは地獄の炎を放つユーベルコードをアマランサスに反映させているみたい。
 爆炎強化型砲弾を食らって、ブルー・ブルームのアマランサスは一機また一機と倒れていく。砲弾の威力もさることながら、地獄の炎の熱がシステムに与える影響も大きいみたい。キャバリアってのはバリエーション豊かな兵器だけど、対『地獄の炎』仕様のやつはそうそうないだろうから。
 ウタさんだけじゃなくて、桜花さんもスゴいよー。桜の花吹雪を纏って名実ともに桜の精になって戦場を飛び回り、敵機にくっついてはゼロ距離から攻撃を加えてる。小さい上に素早いから、敵はスムーズに対処することができないみたい。
『やりますわね、桜花』
 二本のビームソードで蹂躙を続けながら、アンネリースさんが言った。そっけない感じだけど、プライドが高い彼女からすれば、『やりますわね』というのは結構な賛辞なのかも。

●アンネリース・メスナー(元エリート親衛隊・f32593)
 戦場で目の前の敵だけに意識を向けているようでは三流。
 たとえ視界の外の敵にまで意識を向けていようとも、自分の戦いのことだけを考えているようでは二流。
 その点、わたくしは違いますわ。専用機『アマランサス・ラピート』を華麗に操り、アマランサスと名乗るのもおこがましい出来損ないのコピー機どもを斬り伏せつつ、他の猟兵たちの動きもしっかりと把握しておりますのよ。
 とくに目につくのは、一人だけキャバリアに乗っていない桜花ですわね。ユーベルコードで飛行し、出来損ないの敵機のカメラ等を超至近距離から軽機関銃で破壊。そして、『目』を失ったパイロットが様子を知るためにハッチを開けた瞬間、中に飛び込んで急所に一撃を加えて無力化。とても荒っぽく、それでいてスマートな戦術です。
「やりますわね、桜花」
 わたくしは素直に賛辞を送りました。他者の行動を正当に評価できぬ者に人の上に立つ資格はありませんから。
『ありがとうございます。でも――』
 出来損ないに乗っていたパイロットを無力化した桜花はまた別の出来損ないに飛び移り、カメラを破壊しました。
『――このようにちまちまと倒していくのは骨が折れますね』
『じゃあ、こっちも数で勝負しよう!』
 と、通信機越しに叫んだのはエルムです。
 その言葉の意味を問い質す暇をわたくしたちに与えることなく、彼女はまたも叫びました。
『実体化プログラム起動!』
 それに応じて『実体化』したのは、量産機であろうキャバリア。しかも、一機ではありません。五十を軽く超える機体がエルムのアマランサス(僚機ですから、『出来損ない』呼ばわりはやめておきましょう)の前にずらりと並んだのです。
『さっきは『ジェネムⅡとは大違い』なんて言っちゃったけど――』
 量産機は一糸乱れぬ動きで武器を構えました。右手にビームライフル、左手にマシンガン。
『――質を補うだけの数を揃えれば、頼りになるんだよね』
 二種百数十丁の銃口が一斉にビームと弾丸を吐き出しました。出来損ないの群に向かって。
『実体化プログラム』なるもので生み出された代物なのですから、当然のように無人機なのでしょうが、狙いは正確。出来損ないは次々と倒れていきます。
 一斉射撃の範囲外にも出来損ないはいるものの、そちらには――
『オブリビオンマシンなんぞに食わせやしないぜ! 子供たちの命も! 未来も!』
 ――地獄の炎を帯びた剣を手にして、ウタのアマランサスが斬り込んでいきました。
 勝ちましたね。

●名もなき少年兵
「JJが言ってた通り、味気ないなー。でも、力は沸いてきたぜ」
「そのチョコバー、半分くらい溶けてない?」
「これでも保ったほうなんだぜ。耐熱ボックスは原型を留めてなかったし……」
 目が覚めると、そんなやりとりが聞こえてきた。
「もう大丈夫ですよ」
 女の人が俺の顔を覗き込み、微笑んだ。見慣れない服を着て、頭に桜の花をつけた、綺麗な女の人。
 その時になって、俺は気付いた。自分が地面に寝かされていることに。さっきまではアマランサスのコクピットにいたはずなのに……。
「応急治療をしておきました。あなたも、他の皆も……」
 女の人に手を貸してもらって、俺は上体を起こした。
 周囲を見回す。
 ブルー・ブルームの同志たちが寝かされていた。立っている人もいるけど(さっきのやりとりをしていたと思わしき二人組もいた)、その中に知った顔はない。
 暫くして、また気付いた。寝かされている同志たちの数が少なすぎることに。
 そして、思い出した。ここにいない同志たち(そのうちの一人は俺の妹だ)がなにをしているか。いや、させられているか……。
 俺はそのことを女の人に伝えようとしたけれど――
「第二派が……妹たちが……止めて……止めて、ください……」
 ――なにかに操られていた影響か、あるいは動揺しているためか、言葉が途切れ途切れにしか出てこなかった。
 でも、女の人には通じたらしい。俺を見て、小さく頷いてくれたから。
 チョコレートバーのやりとりをしていたあの二人や他の見知らぬ人たちも俺のほうを見て、同じように頷いた。
『任せておけ』とでも言うように。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ロードランナー』

POW   :    コンバージョン・ウェポン
【各機体ごとに異なる多様な対キャバリア兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    モードチェンジ
自身の【汎用性に優れた形態のスタンディングモード】を【膝を下ろして機動力重視のヴィークルモード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    ハルダウン
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【身を隠しながら対キャバリア兵器や対人兵器】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 新たなキャバリアの部隊が迫ってきた。
 逆間接の脚をけたたましく動かし、砂塵を巻き起こして。
 その砂塵に下半身が半ば隠されているため、シースルーの砂色のスカートを穿いた巨人が疾走しているように見える……などということはなかった。
 砂塵の上に覗くはずの上半身が存在しないからだ。
 そう、砂塵とともに迫ってくるキャバリアはどれもアンダーフレームだけで構成されていた。首のないダチョウのごとき滑稽で貧弱な姿。
 しかし、パイロットたちは滑稽とも貧弱とも思っていないらしく――
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 ――おなじみのスローガンを雄々しく唱え続けていた。


========================================
●JJからのお知らせ。

 第2章も集団戦だ。別のキャバリアに乗り換えてもいいし、あえてキャバリアから降りて戦ってもいいぜ。第1章で倒したアマランサスを鹵獲して乗り込むというのもOKだけど、『委員会』から無傷のアマランサスを借りられるんだから、べつにメリットはないかなー。
 敵のWIZのユーベルコードが特種な感じなんで、WIZのユーベルコードで戦う時は索敵に気を使ったほうがいいかも。
 第1章で救出したブルー・ブルームの面々は安全圏に避難しているし、いざとなったら自分の身くらい守れるから、とくに気にかけなくてもいいぜ。
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シル・ウィンディア
ふぅ、第二波、もう来たかっ!それじゃ、次も頑張って…

…あれ?アンダーフレームだけ?
でも、見た目で判断するのは悪手だね!

ツインキャノンで敵群の足元をスナイパーで狙って範囲攻撃っ!
こけた敵はそのままにして、避けた敵はランチャーで脚部を撃ち抜いていくよ

こっちによって来たら、推力移動で加速してから空中機動に移行
残像を生み出して、攪乱機動を行いつつ
空中からホーミングビームでマルチロックしながら一斉発射っ!

こちらに目を向けて攻撃仕掛けてきたら
しばらく回避したあとに
高速詠唱でエレメンタルドライブ・ライトミラージュで一気に接近&脚部を一閃しての切断!

そのまま近接戦闘を仕掛けるね

攻撃はコックピットを避けるね


テラ・ウィンディア
事前
救出した兵士達と通信が繋げられるようにしておくのと
動画も見せられるようにする

シルも戦うのか
ならばおれも戦わないとなっ!

機神搭乗

差別も貧困もない世界か
いいなそれ
でもさ…

具体的にどうするんだ
敵は全て殺すのか

…わかるわけねーよな

とりあえずお前らを止めるよ


【戦闘知識】
敵陣の陣形と状況確認
コックピットの位置
【属性攻撃】
炎を機体と武器に付与

UC発動
15機
兵士達の無事を伝えるために音声と動画を伝え
残りと本体
それでもなお戦う者達に対して突撃
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣と槍での連続斬撃で腕や制御ユニットを槍で串刺しにして無力化を図る
兵士は不殺徹底

お前らが死んだら仲間も家族も悲しむぞ?
基本兵士は分身で救出


アンネリース・メスナー
まったく、アマランサスとロードランナーでは落差があり過ぎるでしょうに!
しかし、パイロットを殺さないようにとするなら非常に面倒な相手ですわ
なにしろ、脆すぎてロングビームライフルでは何処を狙っても殺しかねませんわね
ビームソードやナイトソードは、上半身のオーバーフレームがないアンダーフレームだけだから接近戦もやりにくいですわ。それならシールドバッシュで転倒させる方がマシですわ
はぁ、キャバリアカービンが一番面倒がなさそうですわね
……ふん、奇襲するならその敵意と邪気を少しは隠す努力をするべきです
サイキッカーの超感覚と超直感で先手を取って脚部を撃ち抜いていくわ
細い脚ですが、その程度狙えないと思って?



●アンネリース・メスナー(元エリート親衛隊・f32593)
『……あれ? アンダーフレームだけ?』
 迫り来る下半身型キャバリア――通称『ロードランナー』の部隊を前にして、シルが目を丸くしていますわ。何故にキャバリア内の彼女の表情が判るのかというと、モニターの端に並ぶ小さなウインドー群に僚機のパイロットたちが映し出されているからですのよ。
『だけど、見た目で判断するのは悪手だよね』
「そうでもありません」
 と、わたくしはシルに言ってあげました。
「見た目通りだからこそ、厄介なのですわ。今回のように無駄な殺生を避けたい場合には……」
 そう、ロードランナーは『動く棺桶』などと揶揄されるほどに脆い機体。考えなしに攻撃すれば、パイロットはいとも簡単に死に至り、動く棺桶はただの棺桶に変わってしまうでしょう。
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 棺桶に押し込められているというのにパイロットたちは意気軒昂……いえ、思考停止と言うべきでしょうか?
『戦争も差別も貧困もない世界か……いいな、それ』
 と、思考停止な敵兵たちに同調したのはテラ。例のウインドーに表示されている顔はシルに似ています。聞いたところによると、二卵性の双生児なのだそうですわ。
 もちろん、テラは本当に同調したわけではありません。
『でもさー。そんな世界、具体的にどうやって作るんだ? ……とか訊いたところで答えられるわけねーよな』
 彼女が操縦する機体がずいと前に出ました。それはキャバリアらしからぬキャバリア。所謂『スーパーロボット』にカテゴライズされる類の物であり、なおかつ科学とは違うなにかに基づいて動いていると思われます。
『まあ、とりあえず、おまえらを――』
 テラのキャバリアが燃え上がりました。右手に携えた槍と左手に携えた剣もろとも。おそらく、炎の魔力を帯びたのでしょう。
『――止めさせてもらうからね!』
 シルがテラの後を引き取り、青と白に塗り分けられたキャバリアで攻撃を始めました。背中に装着された二門のビームキャノンを間断なく乱射! ……しているように素人の目には映るでしょうね。
 わたくしには判りますわ。それが『乱射』などと呼べるものではなく、精密な砲撃であることが。

●シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)
 アンダーフレームのキャバリアの足下から巻き上がっていた土煙にいくつもの爆煙が混じった。わたしがブルー・リーゼのツインキャノンを撃ち込んだから。もちろん、パイロットの命を奪わないように脚しか狙ってないよ。
 アンダーフレームたちは脚を破壊され、次々と行動不能に陥った。前のめりに倒れるのはまだいいほうで、脚と腰が外れて上の部分だけが前に進むと同時に落下して、地面に滑り込むような形で停止したり……。
 とはいえ、すべての敵が止まったわけじゃない。被弾を免れたアンダーフレームは脚を素早く折り畳み、ふくらはぎの後ろに備わっているタイヤで走り始めた。
 当然のことながら、ただ走るだけじゃなくて、ミサイルだのなんだので反撃もしてきたけど――
「当たるもんですか!」
 ――わたしはブルー・リーゼを空に舞い上がらせ、それらを避けた。
 これで対アマランサス戦の時と同じようにフカンできるようになったわけだけど……うわー。地上で繰り広げられている光景はさっきの戦いの時よりも迫力があるかも。
 だって、テラが乗っている三界神機『ヘカテイア』がいつの間にか百機くらいに増えているから。オリジナルのヘカテイアがそうであるように、増加分のヘカテイアも全身が燃えてるよ。
『戦争のない世界も結構だけどさ』
 ミサイル等の攻撃を避けながら、テラのヘカイテアが敵に迫っていく。ユーベルコードを使って複製したであろう他のヘカイテイアたちと一緒に。
 だけど、一部(十数機くらい)のヘカイテアはその場に留まっていた。突撃する代わりに、映像を空に投射しているの。
『おまえらが死んだら、仲間や家族は悲しむぞ』
 そこに映し出されているのは、安全圏まで避難したアマランサスのパイロットたち。
 アンダーフレームたちの動きが鈍った。洗脳されていてるとはいえ、兄弟姉妹のことを微塵も気にかけないほど非情になっていたわけではないみたい。
 その隙をついて、アンネリースさんのアマランサス(赤い量産型と違って、キラキラしてるやつ)が突っ込んだ。
『まったくもう! アンダーフレームだけだと、接近戦もやりにくいですわ!』
 不平を並べながらも、暴れ回るアンネリースさん。
 では、わたしも再び攻撃に移ろうかな。複数の敵をまとめてロックオンして……ホーミングビーム、発射!

●テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)
 何条もの虹色の光が空から降り、車両形態になったアンダーフレームたちを撃ち抜いた。シルの操るブルー・リーゼがホーミングビームを一斉発射したんだ。
 燃えるヘカテイアでビームの雨の間を疾走しながら(シルの狙いは正確だから、流れ弾ならぬ流れビームを食らうことはないはずだ)、おれも敵を倒して回った。右手の槍『廣利王』で刺し貫き、左手の剣『グランディア』で斬り裂いて。
 おれだけじゃなくて、冥府へ導き手である魔女たち――ユーベルコードで複製した九十数機のヘカテイア(残りの十数機は映像を再生中だ)も同じ武器で同じように戦っている。
 それにアンネリースの豪華版アマランサスも戦ってる。得物は、鷲とガイコツの紋章が描かれたデカい盾だ。上下の端っこから剣の柄と切っ先が突き出てるから、鞘を兼ねた盾なんだろうな。でも、その剣は抜かず、盾を叩きつけるようにして戦っているんだ。撃ったり斬ったりするのに比べると泥くさい(とか言ったら、アンネリースはめちゃくちゃ怒るかも)やり方だけども、威力はバカにできねえ。車両形態のアンダーフレームたちは横から、あるいは前から、あるいは後ろから、盾の一撃を受けて、いとも簡単にひっくり返されていく。
 慌てて脚を伸ばして元の形に戻る機体もいたけれど、それは逆効果だった。却ってバランスが悪くなった挙げ句、車高(キャバリア高?)がアップして当てやすくなったんだから。
 大半のアンダフレームはひっくり返されたり、倒されたりした時点で動かなくなったけども(かなり脆い機体みたいだな)、中には脚をじたばたさせてる奴もいた。必死に起き上がろうとしているんだろう。
『シル! 往生際の悪いキャバリアもどきどもを黙らせてくださいな!』
 盾をブン回す手を休めることなく、アンネリースが叫んだ。
『うん!』
 と、通信機からシルの返事が聞こえ、『キュルキュルキュル♪』という甲高い音が続いた。高速詠唱の声だ。
 そして、ブルー・リーゼが急降下した。いや、『急』なんてもんじゃねえ。一秒のタイムラグも置かずに地上に降りたんだ。高速詠唱の内容はテレポート系のユーベルコードの呪文だったらしい。
 その後の動きも速い。光の剣を振るって、アンネリースが言うところの『往生際の悪いキャバリアもどきども』にとどめを刺していく。もちろん、コクピットには傷一つつけてないぞ。じたばた動いてる脚を斬り捨ててるんだ。

●名もなき少女兵
 瞬間移動したり、体を燃え上がらせたり、何十体もの分身を生み出したり……常識を超越した謎のキャバリアどもに同志たちが蹴散らされていく。
 悪夢のような光景だ。
 でも、あたしの心は折れたりしない。そう、絶対に折れたりしない。空に投影された先遣隊の同志たち(その中には兄さんもいた)の姿にも惑わされたりしない。
 幸いなことに、あたしも乗機のロードランナー(『動く棺桶』などと呼ばれているけれど、あたしにとっては最高の相棒だ)も無傷。青と白の敵機が最初にビーム攻撃をしてきた時、混乱に紛れて岩陰に隠れたから。
 その岩陰から対キャバリア用レールガンの砲身だけを覗かせて照準をセットした。標的は、アマランサスの同系統と思わしき装飾過多な紫の機体。人民の熱き血潮が宿るアマランサスに貴族的な装飾を施し、あんな色で塗り潰すとは……恥を知れ、恥を!
 トリガーボタンにかけた指先にあたしは怒りと力を――
『奇襲するなら、その敵意と邪気を少しでも隠す努力をしなさいな』
 ――込めようとした瞬間、恥知らずなアマランサスが振り返り、カービン銃を発射した。
 下方から衝撃が来た。同時にモニターが消えてしまったけれど、なにが起きたのかは判った。敵の弾丸が岩を撃ち抜き、ロードランナーの脚を破壊したのだ。
「くそっ!」
 あたしはロードランナーを再び立ち上がらせようとした。
「立て! 立てっ!」
 レバーをどれだけ動かし、フットペダルをどれだけ踏み込んでも、最高の相棒であるはずのロードランナーは応えてくれなかった。モニターも消えたまま。
 これはもう『悪夢のような』どころではない。
 本物の悪夢だ。
 でも、あたしの心は折れたりしない。そう……絶対に……折れたり……あれ?
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヒビキ・ノッカンドゥ
アドリブ等歓迎

子供が酔っ払ってるとなると、酔い醒ましも骨が折れるなあ
趣味じゃないけど、頬をはたく時も必要かな…

リミッター解除、重量攻撃、【UC】使用で敵集団の只中に飛び込む
リミッターなしの重いUC効果で周辺を爆発的な勢いで破壊。機体は狙わない
トップヘビーで貧弱な脚部の機体では耐えるのは難しいだろう
というかコケたら起き上がれるのこれ…?

時間稼ぎで周辺へオープン回線
余裕があれば友軍のリンクを見てご覧よ。有ればだけど
さっきの部隊、IFFは消えてるだろうけど、パイロットスーツのバイタルは全て健在の筈だよ
そして今の君たちもその筈だ
こっちは崇高な殺し合いの土俵に乗る気はない
叫ぶのをやめて少し深呼吸してご覧


レモン・セノサキ
「BASTET」を虚空に返す
愛機の武装じゃオーバーキルだ
生身でUCを発動、94人の分身を作り出す

通信を切るまで吠えていたあの子の肉親は居るだろうか
やあ、第二波の諸君
世界を憂うのはご立派だけどさ
自分の肉親一人正しい道に導けないヤツが
どうやったら世界を導けるんだい?
アホな夢見てたら殴ってでも目ェ覚ましてやるのが肉親だろ!!

各自「ディアボロスライナー」に跨り機動力を確保
3~4人でチーム編成、一対多の形で敵を撹乱
無数の「ブルーコア」を舞わせ、レーザー射撃で攻撃を牽制
攻撃は可能な限り躱す、最悪バイクを乗捨て「仕掛鋼糸」を使って回避
動力狙って「FORTE.50」のライフル弾を撃ち込み
敵の搭乗機を破壊しよう


編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」

囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。

戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。

『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』



●レモン・セノサキ(金瞳の"偽"魔弾術士・f29870)
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 アンダフレームだけの不格好なキャバリアで戦いを繰り広げつつ、敵はシュプレヒコール(というか、狂信者の念仏だね)を続けている。
 最初の頃に比べると声量と勢いが減っているのは、けっこうな数の兵士が脱落したからだけでなく、空に映し出された第一波の面々の映像のせいで動揺しているからかな? それでも、まだオブリビオンマシンによる狂気のほうが理性に勝っているんだろうね。完全に黙り込んだわけじゃないんだから。
『子供が酔っ払ってるとなると、酔い醒ましも骨が折れるね』
 形式不明のキャバリアを駆るヒビキが通信機越しに嘆いた。
『趣味じゃないけど、頬をはたく時も必要かなぁ……』
「いやいや、どんな理由があれ、体罰はいけないと思うよ」
 私はヒビキの言葉に異を唱えた。
 でも、すぐに自分の異に異を唱えた。
「……なんて綺麗事を言ってるよ余裕はないんだよね」
 そして、シュプレヒコールを合唱中の敵たちに呼びかけた。
「やあ、第二波の諸君! 世界を憂うのはご立派だけどさー。自分の肉親一人ただしい道に導けないヤツがどうやったら世界を導けるんだい?」
 その問いの返事を待つことなく(どうせ、まともに答えられないのは判ってるし)、私はたたみかけた。
「アホな夢見てたら、殴ってでも目ェ覚ましてやるのが肉親ってもんだろ!」
『戦争のない世界を!』
『差別のない世界を!』
『貧困のない世界を!』
 ほーら、やっぱり答えられなかった。
 ヒビキが言う通り、頬をはたかなくちゃいけないようだね。
 でも、さすがにこのBASTETではたくとオーバーキルになっちゃいそうだから、降りて戦おうか……と、外に出ようとした時、既に降りてる(いえ、最初からキャバリアに搭乗していなかったみたい)猟兵が目にとまった。
 それは囚人服みたいな衣装を着た女の子だった。モニターの端に映っていた姿をズーム。
 認識できた。オウガブラッドの希亜だ。
 ツギハギだらけの黒猫のぬいぐるみを抱いて、頼りない足取りで敵のほうに向かって歩いているけど……あのぬいぐるみは武器の類なのかな?

●編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)
 猫耳のついたキャバリアが天に昇っていきました。いえ、空に飛び上がったという意味ではありません。煙のように消えてしまったのです。
 代わりに現れたのはレモンさん。一瞬前までキャバリアが立っていた場所で、光の翼がついた宇宙バイクに跨がっています。
「集えよ、ニセモノ!」
 バイクのエンジンをブンブンと言わせながら、レモンさんは叫びました。
 すると、ブンブンという音が大合奏に変わりました。
 レモンさんの周囲に何十台ものバイクが現れたのです。どのバイクもレモンさんが跨がっているのと同じ形。そして、それらに跨がっている女の子もレモンさんと同じ姿をしていました。
「物量戦だぁーっ!」
 数十人のレモンさん(のニセモノ?)が乗る数十台のバイクが走り出しました。斜め後ろに伸びていた光の翼を真横に広げて。
 敵のキャバリアたちは迎撃を始めましたが、レモンさんたちは誰一人として怯みません。三人一組で一機のキャバリアを翻弄しつつ、バイクに付かず離れず飛行している青い球体から光線を撃ち出して攻め立てています。
『ねえ、君たち。余裕があれば……いや、ないだろうけど、とりあえず友軍のリンクを確認してみてよ』
 数十人のレモンさんにきりきり舞いさせられている敵に向かって、ヒビキさんがキャバリアを通して語りかけました。スピーカーを併用しているのか、キャバリアに乗ってない私にも聞き取ることができあす。
『空に映されたあの画像はフェイクじゃない。第一波のIFFの信号は消えてるだろうけど、パイロットスーツのバイタルはすべて健在のはずだよ。そして、今の君たちもまた健在のはずだ』
『あいえふえふ』や『ばいたる』とかの意味はよく判りませんが、ヒビキさんの意図は判ります。敵を落ち着かせようとしているのでしょう。
『つまり、こっちは君たちのスウコウな殺し合いの土俵に立つ気はないってこと。さあ、叫ぶのをやめて少し深呼吸してごらん?』
 敵の動きが鈍くなりました(その隙を衝かれて、何機かの敵が猟兵に倒されました)。さすがに深呼吸はしてないと思いますが、ヒビキさんのメッセージに対してなにか思うところはあったようです。
 だけど、あくまでも鈍くなっただけであり、動きが止まることはありませんでした。
 力ずくで止めるしかないようですね。

●ヒビキ・ノッカンドゥ(月の響・f17526)
『さて、肉親に代わって頬をはたいていこうか』
 僕のキャバリア『烏賀陽』の集音センサーがレモンちゃんの声を拾ってきた。本物のレモンちゃんじゃなくて、ニセモノのほうかもしれないけど……まあ、どっちも同じようなもんだよね。
 百人前後はいるであろうレモンちゃん・バイカーズはより速く走り回り、より複雑な軌跡を描きながら、より激しく敵を攻撃した。青い球体のビットが発射しているレーザーだけに頼らず、銃剣(と呼ぶには大きすぎる代物)を装着したライフルをバイクの上からバンバンバン!
 お尻の辺りの動力部を撃ち抜かれて、アンダーフレームたちは沈黙していく。果敢に反撃してる機体もいるけれど、バイカーズは巧みに(時にはバイクを乗り捨てて)回避して……あ!? レモンちゃんたちの中に紛れていた希亜ちゃんが攻撃に巻き込まれそう。
「希亜ちゃん!」
 僕が思わず叫ぶと――
『大丈夫です』
 ――と、集音センサーを通して希亜ちゃんの返事が聞こえた。
 次の瞬間、アンダーフレームの放った砲弾が彼女に命中。そして、爆発……しなかったんだなー、これが。小さな体がちょっとよろめいただけ。
『痛いのも怖いのも……全部、返してあげる』
 体をよろめかせたまま、ボロボロのぬいぐるみを掲げる希亜ちゃん。
 すると、そのぬいぐるみが砲弾を吐き出した。そう、希亜ちゃんに命中したはずの砲弾だよ。
 砲弾は飼い主の元にダッシュする忠犬のごとく一直線にアンダーフレームへと飛んでいき、今度こそ爆発して果てた。飼い主たるアンダーフレームの両脚を道連れにして。
 この分なら、希亜ちゃんのことは心配なさそうだね。僕は自分の戦いに専念しようか。
 烏賀陽のリミッターを解除。
 霊力砲『気高き薄氷』にエネルギーをチャージ。
 烏賀陽はクロムキャバリア製じゃなくてUDCアースで発掘した代物だから、いろいろと未知数なんだけども、僕の信頼は決して裏切らない。
 今回も裏切らないはずだよ。

●名もなき少女兵
 十分弱の悪戦苦闘の末、あたしはコクピットのハッチをこじ開けることに成功した。
 擱座したロードランナーから這い出ると、敵のキャバリアのうちの一体が目に入った。深呼吸を勧めていたパイロットの機体だ。長大な砲の先端を空へと向けている。
 その砲口から光線が……いや、『光柱』とでも呼ぶべき太さと迫力を有したエネルギーが迸った。
『トップヘビーで脚部が貧弱な機体となれば――』
 キャバリアが砲を振り下ろした。
 その瞬間、あたしは悟った。砲口から迸るエネルギーの正体を。
 あれは光線でも光柱でもなく、光剣だったのだ。
『――こういうのに耐えるのは難しいだろうね』
 光剣が大地に叩きつけられた。
 耳をつんざくような轟音とともに土煙が巻き起こり、地面が揺れた。波打つように。
 やがて揺れが収まると、土煙の残滓の向こうに惨状が見えた。
 地面が大きく抉られ、何機ものロードランナー(スタンディングモードもいれば、ヴィークルモードもいた)が無様に転倒している。
 いや、これは『惨状』とは言えないのかもしれない。どのロードランナーもただ転倒しているだけであり、破壊されてはいないのだから。

 ……そういえば、あのパイロットはIFFのことを口にしていたな(パイロットの言ったとおり、兄様たちの機体の信号は途絶えていた)。
 アマランサスと違って、ロードランナーのIFFは受信はできても送信はできない。送信機能など必要ないのだ。アンダーフレームだけの特徴的な機体を敵と見間違えるはずがないし、仮に見間違えて撃墜したとしても、たいした損害ではないから。
 そう、あたしたちの命は安い。
 所詮、使い捨ての兵士だもの。
 にもかかわらず、敵であるはずのあのパイロットたちは殺さずに救おうとしている。使い捨てに過ぎないあたしたちを。
 ……なぜ?
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エルマ・ハインツェル
アマランサスの次がこれって落差凄いねぇ
いや、真面目にもうちょっと連携取れそうな機種を採用しようよ
アマランサスに予算取られたんだろうけどさ、それなら何故アマランサスを採用したのか

さて今回はこっちのがいいかなー
【インセクトドローン】で昆虫型無人機の大軍を出現させるよ
キャバリアサイズからすると小型の蟻型無人機で武器は機銃と電磁ファングだね
まさに蟻の如く押し寄せて脚部狙っていくよー
これらをリアルタイムで制御してるの私だよー?隠れてても無人機の数任せなセンサーに引っかかるよ
まっ、折角アマランサス借りてるんだから自分でも動こうか
リミッターなしのこっちに付いて来れるかな?
付いて来れないなら無力化しちゃうよー


木霊・ウタ
心情
純粋な願いを操られて可哀そうに

戦闘
低い機体相手なら生身がいいかも
チョコバーも喰っちまったし

迦楼羅を炎翼として顕現
地表近くを飛行

炎が生む気流で砂塵を巻き起こし
隠れながら近づくぜ

キャバリア相手と思ってるだろうから
気づくのには遅れてくれる筈だ

炎の剣閃で
兵器ごと脚を斬り落としたり溶かし
動きを止める
操縦席を避ける

止めてくれって頼まれたんだ
あんたらの兄弟や仲間たちにさ
聞いてみろよ

敵回線へ
第一波から直接の呼びかけをしてもらう

獄炎纏う焔摩天を水平に薙ぎながら高速飛行
黄金の軌跡で周囲の駝鳥を纏めて溶かす

お前らマシンも犠牲者だよな
元に戻してやれず悪ぃ
せめて海へ還してやる

事後
第二波らを救助

さていよいよか


御園・桜花
「全長5mであの脚部…それじゃ皆様、穴掘り頑張りましょう」
ノーム達に笑いかけ

UC「ノームの召喚」使用
敵の進行方向予想してその経路上に
直径1m
深さ2m程度の落とし穴を地下からノームに無数に掘って貰う
大まかな落とし穴地帯は仲間に連絡
一応下から上へ掘る形でキャバリアが踏む迄見えないようにする
敵の攻撃は第六感や見切りで躱し止まったり時速15km程度で走ったり緩急つけ落とし穴地帯へ誘導

「皆様の乗る重量級なら、転倒はあっても脚部が折れたりしないと思いますけれど、あのロードランナーなら一発で足が折れると思います。そして、転倒したあの機体では、ほぼ攻撃を封殺出来ると思います」

戦闘後操縦者回収し医術で治療



●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
『アマランサスの次がこれって……落差がスゴいねぇ』
 斜め前方に聳え立っているアマランサスの外部スピーカーから吐き出されたのはエルマの呆れ声。
 ちなみにただ『立っている』のじゃなくて『聳え立っている』と言ったのは、俺がキャバリアから降りてるから。エルマが言うところの『これ』たち――ロードランナーとかいう戦闘力の低そうな機体が相手なら、生身で充分だと思ったんだ。
 その判断は正しかったらしい。どう見てもロードランナーの側が劣勢だもんな。性能の差を頭数で補っていたのは最初だけ。テラがキャバリアを増殖させたり、レモンが自分自身を増殖させたりしたもんだから、今では数でもこっちが圧倒している。
 しかも、戦力はまだまだ増えそう。俺の横で――
「おいでおいで、土小人。私の手助けをしておくれ」
 ――桜花が召喚系ユーベルコードの呪文らしきものを唱えてるんだから。
「代わりに石をあげましょう。ざらざら渡す石ビーズ、その分、手助けをしておくれ」
 詠唱が終わると、童話にでも出てきそうな小人たちが現れた。ざっと百人くらいかな? 戦場に相応しからぬ楽しげな顔をして、桜花の前にずらりと並んでるぜ。
「こいつぁ、壮観だな……」
 無意識のうちに俺はそう呟いていた。でも、百人前後の小人たちだけを見て『壮観』と評したわけじゃない。
「ええ、壮観ですね」
 桜花が同意した。俺の視線の先にあるものを見ながら。
 それは蟻に似た形のドローンの群れ。小人の数(どころか、テラのキャバリアの複製やレモンの複製を合わせた数)を軽く超える大軍団だ。ただし、あまり強そうには見えない。ロードランナーよりも脆いんじゃないか?
「さっき、落差がスゴいとか言ってたけどよ」
 エルマのアマランサスを見上げて、俺は話しかけた。ドローンたちを召喚したのは彼女だろうから。
「この蟻たちとアマランサスとの落差のほうが大きいんじゃねえか?」
『確かに落差は大きいけれど、その分は連携で埋めるから問題なーし。さあ――』
 地響きを立てて、エルマのアマランサスが走り出した。
『――いくよぉーっ!』
 その後を蟻型ドローンの大軍団が追っていく。
 ぞろぞろと、ぞろぞろと。
 虫が苦手な奴にはキツい光景だろうなぁ。

●御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)
「それでは、皆様」
 地面を覆いつくさんばかりのアリさんたちを見送った後、私はノームさんたちに向き直りました。
「アリさんたちに負けないよう頑張りましょう」
 ノームさんたちは敬礼で応じると、シャベルやツルハシを巧みに操って穴を掘り始めました。高速再生されている映像のごとき素早い動きです。すべてのノームさんがあっという間に地中へと消えてしまいました。
「俺も行くとするか!」
 地獄の炎を帯びた大きな鉄塊剣を持って、ウタさんが走り出しました。もっとも、地に足がついていたのは最初の数歩だけ。背中から噴き出した炎が翼の形を取り、走行は飛行へと変わりました。
 地面をなめるような低空飛行。地獄の炎によって生じた気流のためか、土煙が物凄いことになっています。そのため、さして距離が開かぬうちにウタさんの姿は土煙に隠されて見えなくなりました。
 姿が見えないからといって、戦果までもが確認できないわけではありません。土煙の中で赤いなにかが揺らめく度、敵のキャバリアが倒れました。おそらく、あの『赤いなにか』はウタさんの鉄塊剣が纏っていた炎。彼は鉄塊剣を振るって、キャバリアの脚を断ち切っているのでしょう。
 一方、エルマさんのアマランサスは膝のあたりまでしか土煙に隠れていませんから、敵にとってはいい的……と言ってる矢先に、砲弾が飛来しました! アマランサスの背後から!
 しかし――
『あまーい! 見え見えだってば!』
 ――アマランサスはくるりとターンして砲弾を躱しました。背中に目がついてるかのような動きです。
『隠れて不意打ちなんかしても無駄だって。どこにいようと、インセクトドローンたちの数任せなセンサーに引っかかっちゃうんだから』
 なるほど。背中だけでなく、ありとあらゆる場所に目があるのですね。
『ついでに言っとくと、ドローンたちが備えているのはセンサーだけじゃないよ』
 エルマさんの言葉を証明するかのようにアリさんの群れがキャバリアたちへと押し寄せていきます。
 黒い波のように。

●エルマ・ハインツェル(ナニカサレマシタ・f33269)
 私が召喚したインセクトドローンは打たれ弱いんだよね。敵のアンダーフレーム型キャバリアから蹴りを食らっただけでブッ壊れちゃうほど。
 でも、攻撃力はそこそこあるし、数では勝ってる。一匹が蹴り倒されている間に、別の一匹が電磁ファングで噛みつき、別の一匹が機銃を連射。哀れなアンダーフレームは蹴り上げた脚をへし折られた挙げ句に軸足を撃ち抜かれて転倒し、スクラップに早変わりー。まあ、元からスクラップみたいな機体だけど。
 とはいえ、インセクトドローンだけに任せるのもナンだし(いや、ドローンたちを制御しているのは私なんだけどね)、せっかくアマランサスを貸してもらってるんだから、自分でも動こうかな。
「ほーら、リミッターなしのアマランサスについてこれるかな?」
 敵を挑発しつつ、戦場を走り回ったりして。
「ついてこれないなら、遠慮なく無力化しちゃうよー」
 ドローンが討ち漏らしたアンダフレームめがけてビームライフルを発射したり、ウミヘビ(という名前のワイヤー兵器なんだよ。本物の海蛇じゃないからね)を絡みつかせたり。
 なんだか猟兵無双って感じだけど、ザコキャラ同然の敵さんたちは挫けることなく、例の『○○のない世界を!』コールを響かせて……くるんじゃないかと思いきや、通信機から聞こえてきたのは別の叫びだった。
『あんたらを止めてくれって頼まれてんだよ!』
 ウタさんの声だ。土煙で身を隠して(私のドローンのセンサーはちゃんと捉えてるけどね)燃える剣を振り回しながら、敵に語りかけている。
『あんたらの兄弟や仲間たちにな! ほら、聞いてみろよ!』
 ウタさんに続いて、第一波の子たちの声が通信機から流れてきた。
『無事か、カレン!?』
『ヴェガード兄さぁーん!』
『アンガス! 目を覚まして!』
『よく聞け、ノラー! その人たちは敵じゃない!』
 テラさんが映像を再生した時やヒビキさんが深呼吸を促した時と同じように敵の動きが少しばかり停滞した。
 いや、停滞どころか、すってんころりんとコケちゃったキャバリアもいる。それも一機や二機じゃない。ドミノみたいに次から次へと倒れていくよ。
 兄弟姉妹に呼びかけられたからって、こんなに派手に転んじゃうのはおかしい――そう思って、よぉーく見てみると、キャバリアが転んだ本当の理由が判った。
 いつの間にやら地面のそこかしこが陥没していたんだ。キャバリアはそれらに足を取られちゃったというわけ。
 一匹のドローンが桜花さんの声を集音センサーで拾ってきた。
『お見事です、ノームさん』
 そして、別の一匹のカメラが私に映像を送ってきた。
 地面に開いた穴から上半身を出してサムズアップしている小人さんの映像。

●名もなき少女兵
 そして、敵はすべてのロードランナーを破壊した。
 ただの一人も死者を出さずに。
 あたしたちは一箇所に集められた。普通ならば(あたしたちが教わってきた『普通』は普通じゃないような気がしてきたけれど)、そこで改めて始末されるか、尋問か拷問でも始まるところだろう。
 しかし、敵はそんなことをしなかった。そもそも、あたしたちを捕虜として扱わなかった。
 代わりになにをしたのかというと……負傷者の治療だ。理解不能。
 治療を担当したのは頭に花が咲いている女の人だが、それ以外の人たちの行動も理解不能だった。
 たとえば、燃える大剣でロードランナーの足を斬りまくっていた男の人は――
「おまえらも犠牲者なんだよな。元に戻してやれず、悪ぃ……」
 ――荒野に累々と転がっているアマランサスやロードランナーの残骸に詫びていた。
 彼らや彼女らがウッドストック様を止めるために行動しているのは間違いない。しかし、『委員会』の走狗というわけではないらしい。兵器(しかも、敵部隊の兵器だ)を犠牲者と見做すような者を『委員会』が受け入れるはずがないから。

 しばらくすると、どこかに避難していたであろう同志たちがやってきた。
 もちろん、その中には兄さんもいた。
 いないのはウッドストック様だけ……。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『アマランサス・ラピート』

POW   :    BSロングビームライフル
【一瞬の隙も見逃さない正確な狙いの銃口】を向けた対象に、【高出力高収束のロングビームライフル】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    BXビームソード
【スラスターを全開に吹かすこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【高速機動で間合いを詰めてビームソード】で攻撃する。
WIZ   :    RS-Sマイクロミサイルポッド
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【肩部マイクロミサイルポッド】から【正確にロックオンされたマイクロミサイル】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルイン・トゥーガンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
『我が弟子たちよ! 我が子たちよ! 我が戦友たちよ!』
 赤いアマランサスが荒野に再び現れた。
 ただし、今度は一機だけ。
 ウォルター・ウッドストックが操る……いや、ウォルター・ウッドストックを操るオビリビオンマシンだ。
『志を果たせずして逝くのはさぞかし無念だったろう。だが、しかし! 決起の時にも言ったように君たちの死は決して無駄ではない! このウッドストックが無駄にはしない!』
 ブルー・ブルームの少年少女たちが死んだと思い込んでいるようだが、彼らや彼女らを死に追い込んだのが己であるという自覚はないらしい。
『天国で見ているがいい! 君たちの尊い犠牲が真の勝利へと繋がっていく様を!』
 両手を大きく広げて空を見上げる……というポーズをアマランサスにわざわざ取らせて、狂える革命家は語り続けた。
『そう、真の勝利だ! 十年前の勝利は仮初めに過ぎなかった。グレート・ジョセフを打ち倒すことはできたが、腐りきった『委員会』がいずれ第二のグレート・ジョセフを生み出すのは必定! なればこそ、そうなる前に私たちは築かねばならない! 戦争のない世界を! 差別のない世界を! 貧困のない世界を!』
 グレート・ジョセフとは、かつてサイプレス・カウンティで圧政を敷いていたという独裁者のことだろう。
 ウッドストックはまだ気付いていないらしい。
 第二のグレート・ジョセフが生まれるという憂いが既に現実となっていることを。
 他ならぬ彼自身が第二のグレート・ジョセフだということを。


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●JJからのお知らせ。

 第3章はボス戦だ。第2章の時と違って、助けた少年兵/少女兵の言葉や想いを伝えても効果はないぜ(だからといって禁止というわけじゃないけどな。無理だと判った上で行動するのもまたロールプレイ)。
 例によって、キャバリアから降りたり、新たに乗ったり、乗り換えたりしてもOKだ。鹵獲したロードランナーに乗ることもできる。まあ、『見るからにザコっぽい機体でエース用の機体と渡り合う』というロマン以外にはなにも得られないと思うけど。
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シル・ウィンディア
戦争のない世界は、素敵だと思うよ
ただ…。
マシンに飲まれて言っているなら、目覚ましが必要だよね?
それじゃ、行きますかっ!

推力移動で地上を走り回るよ
ところどころ、ジャンプして空中機動も織り交ぜての空中戦を行っていくよ

攻撃は、連射モードのランチャーとホーミングビームで攻撃
回避して隙をさらしたら、ツインキャノンでの追撃だね

敵攻撃やUCは、スラスター推力を全開にして
空中機動でのバレルロール行いつつ、残像を生み出して回避だね
被弾しそうな時は、オーラ防御

こっちの番は…
推力移動で接近して、ビームセイバーで切断を狙いつつ攻撃
当てたら…
《指定UC》で一気に押していくよっ!

さぁ、わたしとリーゼの全力、味わってねっ!


エルマ・ハインツェル
おっと、この英雄さんを頭イッちゃったおっさんにしたオブリビオンマシンはアマランサス・ラピートか
……折角借りたアマランサス無双も此処までかー。え、無双してたかって?それを言っちゃ駄目だよ
冗談はともかく、ラピートは最初からリミッターない上にスラスター追加してジェネレーターも高出力化されてる上位機種だから性能負けしてるんだよねぇ

正確な射撃なだけに電脳での予測は可能、とはいえ実際に避けきれるかは運次第かなぁ?
まぁこっちもアマランサスのビームライフルで反撃しつつ、避けきれないのはシールドで受けるよ
リミッターなしでも推力の差で近づけるか微妙だけど、ある程度近づけたらウミヘビを射出して【電撃攻撃】だよっ


アンネリース・メスナー
アマランサス、ロードランナーと来て、最後はラピートですか!
その機体でそんなことをされれば、また故国の、ズィガ帝国の悪評が増えるではないですか!
傀儡国家のズィガ共和国が困る分には気分がいいですが、故国の悪評が増えて貰っては困りますわ!

親衛隊仕様機をただ飾り付けただけの式典用だと思ってもらっては困りますわ!
わたくしのラピートにはサイコセンサーがあります。幾ら正確な射撃でもそのような狂気を剥き出しにしては何処を狙うか予告してくれているようなものですわ!
国は違えど、独裁者となった革命家を討つのが皇族の血を引くわたくしとは皮肉ですわね?
なら、その首を頂きますわ!
と、敵のラピートの頭部を斬首させてもらうわ



●ウォルター・ウッドストック
 行く手を阻むキャバリアは十機にも満たなかった。
 どうにも信じ難いが、私の肉眼とアマランサス・ラピートのレーダーが同時に異常をきたしたとは思えない。
 ならば、受け止めよう。ブルー・ブルームがたった十機足らずの敵に全滅させられたという非情な現実を。
 我が弟子よ、我が子よ、我が戦友よ、君たちの仇は必ず討つ。
 そして、この『非情な現実』にまみれた世界を変えてみせよう。
「戦争のない世界に! 差別の世界に! 貧困のない世界に!」
『うん。戦争のない世界というのは素敵だと思うよ』
 青と白に塗られたキャバリアからパイロットの声が届いた。幼い声だ。おそらく、ブルー・ブルームと同世代だろう。
『だけど、どんなに素敵な理想だろうと、オブリビオンマシンに飲まれて言わされているのなら、目覚ましが必要だよね』
 オブリビオンマシンだと? 埒もないことを……。
『なにを言っても無駄だよ、シルさん。このオッサン、オブリオンマシンのせいで頭がイッちゃってる状態だからね』
 別のキャバリアのパイロットが無礼極まりないことをほざいた。そのキャバリアは量産型アマランサス。やはり、『委員会』が一枚噛んでいるらしい。
 敵機の中には、別種のアマランサスもいた。派手な装飾が施されている上に色違いなので、見た目の印象は量産型アマランサスのそれとは大きく異なる。
『アマランサス・ラピートで愚行に走られるのは迷惑ですわ!』
 装飾アマランサスのパイロットが叫んだ。
『また故国の……そう、ズィガ帝国の悪評が増えるではないですか!』

●アンネリース・メスナー(元エリート親衛隊・f32593)
『故国の心配など無用! 世界が一つになれば、『故国』などという概念は無くなるのだから!』
 ウッドストックがまた大口を叩いてますわ。
 若年の訓練兵が操る少数のキャバリア(しかも、その大半はロードランナー!)だけで世界が統一できると……いえ、それ以前に隣国を攻め落とせると本気で信じていたのでしょうか? 誇大妄想もいいところですわ。
『シルが仰るとおり、目覚ましが必要ですわね』
『任せて! ちょっとだけ――』
 シルのキャバリアが走り出しました。
『――荒っぽい目覚ましになると思うけど!』
『絶対、『ちょっとだけ』というレベルでは済まないだろうね』
 モニターの端に表示されたウインドーの中でエルマが苦笑を浮かべていますわ。
 ウッドストックの顔はウインドーに映し出されていませんが――
『目を覚まさねばならぬのは貴様たちのほうだ!』
 ――狂獣の咆哮じみた声を聞けば、どんな表情をしているのか想像がつきますわ。
 彼のアマランサス・ラピートはブースターを盛大に噴かして跳躍し、地表めがけてミサイル群を発射しました。両肩に備わったマイクロミサイルポッドから。
 頭に『マイクロ』が付くことからも判るように小さなミサイルなのですが、数が尋常なものではありません。しかも、狙いは正確。白煙を引いて、凄まじいスピードでシルのキャバリアへと迫っていきます。それらを回避することなど、並の兵士にはできないでしょう。
 しかし、わたくしがそうであるようにシルもまた並ではありません。
 彼女のキャバリアの動きはミサイル群よりも速く、そして、複雑でした。
 大半のミサイルは、キャバリアが空間に刻んだ青と白の軌跡を爆発で消すことしかできませんでした。それ以外の少数のミサイルはもう少し優秀でしたが、キャバリア本体に触れることは叶わず、半透明の残像をすり抜けて地面で四散しました。
『えーい、ちょこまかと!』
 悪態(まるで三下の悪役の負けフラグですわ)をつきながら、ウッドストックはアマランサス・ラピードを着地させました。
 しかし、シルと同じ目線に立つことはできませんでした。
 入れ替わるようにして、彼女のキャバリアが空に舞い上がったからです。

●シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)
『落ちろ! この蚊トンボが!』
 アマランサス・ラピートが何十発ものミサイルをまた発射した。
 でも、こっちは空中にいるから、さっきよりも立体的な回避機動が取れる。右にバレルロール、左にバレルロール、ミサイルが飛び交う中をくるくる回りつつ、着実に距離を詰めて――
「これでもまだ『蚊とんぼ』呼ばわりできる?」
 ――錐揉み降下からのビームセイバー攻撃!
 狙いは頭部。でも、光の刃がざっくり斬り裂いたのは頭部じゃなくて、アマランサス・ラピートが素早く掲げたシールドだった。敵もさるもの。
 まあ、だからといって、なんの問題もないけどね。
 アマランサス・ラピートはほぼゼロ距離から反撃するつもりだったのかもしれないけれど、わたしはシールドに食い込んでいたビームセイバーをすぐさま引き戻し、上空へと離脱した。
 ブルー・リーゼの武装を総動員しながら。
「わたしとブルー・リーゼの全力、味わってね!」
 ツインキャノンが吠え、ホーミングビーム砲が唸り、ビームランチャーが叫んだ。
 アマランサス・ラピートは(最初にミサイル攻撃を受けた時のわたしと同じように)残像を生みながら、不規則に蛇行して回避しようとした。でも、無駄。さっきの斬撃で魔力マーキングできたから。
 ブルー・リーゼから放たれた各種のビームは魔力のマークを追い、そのほとんどがアマランサス・ラピートに命中した。
 いえ、わたしのブルー・リーゼだけじゃない。
 いつの間にか、エルマさんの量産型アマランサスもビームライフルを撃っていた。
『うぉぉぉぉぉーっ!』
 不毛な回避機動を続けながら、ウッドストックはビームライフルで反撃した。怒号のおまけをつけて。
 だけど、エルマさんのほうの回避機動は不毛じゃなかった。紙一重でビームを躱している。
『なかなか正確な射撃だね。キャバリアの性能もさることながら、あなたのパイロットとしての腕前もたいしたもんだ』
 エルマさんはウッドストックを褒め称えた。からかっているわけじゃなくて、本気で感心しているみたい。
『でも、正確だからこそ、電脳での予測が容易なんだよね。残念でしたー』

●エルマ・ハインツェル(ナニカサレマシタ・f33269)
 電脳での予測が容易とかなんとかドヤ顔で言ったけれど、実はそんなに容易でもなかったりして。
 だって、キャバリアの性能で負けてるし。リミッターを解除したとはいえ、こっちは量産型のアマランサス。対して、向こうは最初からリミッターなんぞ備わってない上に高出力化された上位機種だよ。
 それでも致命的なダメージを受けなかったのは機体の性能差を腕でカバーして、大半の攻撃をシールドで受け止めたから。
 もちろん、防戦一方ってわけじゃない。私もビームライフルを撃ち続けてる。そして、しっかり接近している。本来は推力という点でもアマランサス・ラピートのほうが勝っているのだけれど、私は引き離されなかった。それどころか、距離はどんどん縮んでいく。
「シルから猛攻撃を受けたせいで――」
 よし。ウミヘビ(そう、対ロードランナー戦でも使ったワイヤーだよ)の間合いに捉えたよ。
「――動きが鈍ってるね!」
 ビームを浴びまくったせいで変形してしまったシールドを捨て、ウミヘビを射出。それは敵のシールド(変形どころか半壊している)ごと左腕に絡みつき、心のこもった高圧電流を惜しみなく送った。ビリビリと。それはもうビリビリと。
『……っ!?』
 電流はコクピットにまで届いているだろうけど、ウッドストックは絶叫したりせず、苦しげな呻き声をちょこっと漏らすだけにとどまった。さすがは英雄さん。我慢強いね。
 数秒後、アマランサス・ラピートどうにかこうにかウミヘビを腕から振り解き、ビームライフルを撃ちつつ、後退した。
 ライフルの標的となったのは私じゃなくて、アンネリースの特別仕様アマランサス。彼女もアマランサス・ラピートに接近していたんだ。
『皮肉ですわね』
 アンネリースはビームをすべて躱した。いとも簡単に。たぶん、対ブルー・ブルーム戦の時と同じユーベルコードを使っているんだと思う。
『なにがヒニクなの?』
 と、シルが尋ねた。
『考えてもみなさいな。独裁者となった革命家を――』
 アンネリースのキャバリアは、盾に収納されていた剣を引き抜き、アマランサス・ラピートめがけて突き出した。
『――皇族の血を引くわたくしが討つのですのよ? これが皮肉でなくてなんだというのですか』
 それはおよそ実戦的とは思えない剣(儀礼用なのかな?)だったけど、アマランサス・ラピートの喉元に深々と突き刺さった。
『その首、頂きますわ!』
 アンネリースのキャバリアが手首をくるりと返すと、アマランサス・ラピートの首が跳ね上がるようにして体から離れ、地面に落ちた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レモン・セノサキ
アドリブ歓迎

バイクごと空中に飛び出し再びBASTETに搭乗
愛機を整備したLeidenの技師の爺ちゃんの名誉の為にも手は抜けないね

▲操縦の反応性を頼りに▲空中機動で攻撃を回避
「ブルーコア」で無数に▲レーザー射撃の▲弾幕を降らせつつ
スラスターを狙撃(▲スナイパー)して機動力を奪う

UC同士の激突じゃ追いつけないな
切り札は切るタイミングが全てだ
敵のUCミサイルは充分引き付け
着弾直前に生成したデコイの▲おびき寄せで対処
爆煙が晴れたらこっちのターンだ
愛機の真の姿を開放
MODE:NEMESIS、"天罰"か
爺ちゃん、粋なレストアしてくれるじゃないの
UCを発動させて吶喊、破砕領域に巻き込んで敵兵装を粉々にするよ


木霊・ウタ
心情
未来への憂いに付け込まれちまったか
可哀そうに

マシンを海へ還して
その支配から解放するぜ

戦闘
アマランサスを借りる
また頼むぜ、相棒

機体を獄炎で包み込み飛翔突撃

爆炎の反動でミサイル回避
武装で迎撃したり
機体を覆う獄炎の範囲を広げ触れる前に爆発させ
ミサイルの雨を強引に突っ切る
多少揺れるだろうけど

確かに速い
普通じゃ追い付けないかもな
けど…俺達は一人で戦っているんじゃない

仲間の機体の方へ追い込めればOKだ

逆に回避方向へ回り込んだら
すれ違いざま焔刃一閃
機体を両断

事後
マシンへ鎮魂曲

ウォルターがマシンに洗脳されていた旨を証言
委員会へ減刑を願う

罰としては戦災孤児の訓練役とかが
ちょうどいいんじゃないか



●ウォルター・ウッドストック
 アマランサス・ラピートの首が斬り落とされたため、メインモニターがブラックアウトした。
 しかし、私の戦意までもが消えてしまったわけではない。
「まだだ!」
 私はコクピットハッチを解放し、敵を肉眼で捉え、戦意を肉声で伝えた。
「たかがメインカメラとマルチアンテナとバランサー用サブセンサーと外部スピーカーとその他諸々がやられただけだ!」
「……それ、『たかが』で済ましていいレベル?」
 地表から声が聞こえてきた。
 声の主は、奇妙なバイクに跨がった娘。あの青と白のキャバリアのパイロットと同様、ブルー・ブルームの我が戦友たちと同世代ではないか……嘆かわしい。
「子供たちが殺し合わねばならぬとは……やはり、この世界は間違っている! なんとしてでも正さねば!」
『いやいやいやいや。そもそも、ブルー・ブルームの連中に殺し合いにさせたのはそっちだろうがよ』
 敵の一人がキャバリアのスピーカー越しに半畳を入れてきた。攻撃を受けたわけでもないのに、そのキャバリアの全身は燃え上がっている。この世の理が通じぬサイキックキャバリアの類なのか? 見た目は普通のアマランサスだが……。
 しかし、どんなキャバリアであれ、私は負けない。
 負けるわけにはいかないのだ!
 戦争のない世界のため!
 差別のない世界のため!
 貧困のない世界のため!

●レモン・セノサキ(金瞳の"偽"魔弾術士・f29870)
 ウッドストックに子供扱いされちゃったけど、器物として存在した時間もカウントするなら、私のほうがずぅーっと年上なんだよね。まあ、どうでもいいか。
 愛車のディアボロスライナーを垂直上昇。
 ある程度の高さまで達した頃には、私はキャバリアのコクピットの中にいた。BASTETが空気から滲み出るように現れて、ディアボロスライナーごと包み込んでくれたんだよ。
 キャバリア用のそれに様変わりしたディアボロスライナーのシートに身を沈めてハーネスを装着し、計器を手早くチェック。
 そうしてる間にウタがウッドストックに語りかけた。
『きっと、世界の未来を憂うウッドストックの気持ちに嘘偽りはないんだろうな。その気持ちに付け込んだおまえには――』
 いや、語りかけた相手はウッドストックじゃなかった。ウタが言う『おまえ』っていうのは、いまや首なしとなったオブリビオンマシン。
『――骸の海に還ってもらうぜ!』
「ほざけぇーっ!」
 ウドストックが怒りを爆発させると、首なしマシンの体も爆発した! ……わけじゃない。マシンの両肩から大量のミサイルがどかどか発射されたから、爆発したように見えただけ。
 言うまでもなく、ミサイルの御一行が向かった先はウタのアマランサス。
 これも言うまもでないだろうけど、ウタはボケッと突っ立っていたりしなかった。燃えるアマラサンスをジャンプさせたかと思うと、火の粉を撒き散らして飛び回り、ミサイルの雨を掻い潜っていく。
 ミサイルたちの中にはしつこい奴が何発もいて、掻い潜られてもなおアマランサスを追い続けたりしたけれど、命中する前に爆発した。アマランサスの全身を覆う地獄の炎が広がったもんだから、誘爆しちゃったんだ。不定形のリアクティブアーマーってところかな。
 それにしても、地獄の炎を纏って飛行するアマランサスの姿はなかなかカッコいいね。赤いボディに紅蓮の炎が映える映える。
 だけど、わたしのBASTETだってカッコいいんだよ。しかも、ライデン・インダスローズの爺さんにレストアしてもらったから、更にカッコよくなっちゃったんだよね。
 さて、対ブルー・ブルーム戦の時には隠してたそのカッコよさを見せつけてやろうかな。

●木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)
 ミサイルを避けながら、あるいは炎で迎撃しながら、俺はオブリビオンマシンへと迫った……つもりなんだが、一向に距離は縮まらない。それどころか、引き離されている。
 オブリビオンマシンのほうも空を飛び回り始めたからだ。ミサイルを撃ち続けながら。
 こっちは時速五百キロ以上で飛んでいるんだが、向こうのスピードはそれを遙かに上回ってる。
 とても追いつけやしねえよ。
 俺一人だったらな。
『切り札っていうのは――』
 通信機越しにレモンの声が聞こえてきた。
 俺が一人でないことを証明するかのように。
『――切るタイミングがすべてだ』
 無数のレーザーがオブリビオンマシンめがけて飛んだ。発射元は、青く輝くボールの群れ。第二波の相手をしている時にレモン(とニセモノたち)のバイクに付き従ってたビットたち。
 レーザーは一つも命中しなかったものの、牽制の役割を果たして、オブリビオンマシンの動きを鈍らせた。その隙を衝いて、レモンの猫耳付きキャバリアがオブリビオンマシンのスラスターを狙撃。動きを更に鈍らせた。
「くそ!」
 剥き出しになったコクピットでウッドストックが悔しげに叫んだ。
「不覚を取ったか!」
 取ったんじゃなくて、俺が取らせたんだよ。デタラメに飛び回る振りして実はレモンのところに追い込んでいたのに気付かなかったか?
 オブリビオンマシンは標的を俺からレモンに変えて、またミサイルを乱舞させた。
 レモンはそれを素早く回避……するかと思いきや、もろに受けやがった。
「やったか!?」
 爆煙に包まれる猫耳付きキャバリアを前にして、ウッドストックがまたもや叫んだ。定番のフラグだ。つい言っちゃうんだろうな。
『やったよ。ただし、デコイをね!』
 爆煙を突き破って、猫耳付きキャバリアが再び姿を現した。
 ……あれ? なんか、さっきと形が変わってるぞ。キャバリア版の真の姿か?
『粋なレストアしてくれた爺さんに感謝!』
 どこかの誰かに礼を言いながら、レモンはオブリビオンマシンに近付いた。
 そう、近付いただけ。武器を使ったわけでもなければ、格闘戦を仕掛けたわけでもない。それなのにオブリビオンマシンのそこかしこで小さな爆発が生じた。
 なにが起きたのか判らねえが、一つだけ確かなのは、これが俺にとっての『切り札を切るタイミング』ってことだ。
「また不覚を取ったな!」
 往事のスピードを失ったオブリビオンマシンの後ろに俺はアマランサスを回り込ませた。
 そして、地獄の炎を帯びた剣を一振り。
 オブリビオンマシンは振り返りざまにシールド(もはや原型を留めてないぜ)を構えたが、その動作にはなんの意味もなかった。
 燃える剣はボロボロのシールドごと敵の左腕を斬り落としちまったからな。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
量産型キャバリアとSMG的な銃器、耐久性の高い棍的な打撃武器借り出撃

出撃前に捕虜になった少年兵達と話す
「オブリビオンマシンに乗ったウッドストックさんに、今の貴方達の声は届きませんけれど。彼が無事あの機体から降りることが出来たら、貴方達の励ましが必要になると思います。彼をまた迎えられる気持ちが少しでもあったら…何でも良いですから、貴方達の想いを伝えて下さい」

制圧射撃で行動阻害与え仲間の攻撃補助
敵の攻撃は第六感や見切りで躱し、可能なら棍でカウンター
最終的には近接しタックル
機体抜け出しオブリビオンマシンに破魔と浄化の属性攻撃乗せUC使用
「貴方がまだ人の乗機に戻れる可能性があるなら…お戻りなさい」


ヒビキ・ノッカンドゥ
状況の元凶にして、日常茶飯事の末端
この人もまた被害者がでてきたね
ここで死んでも何も変わらない。猟兵からの口添え付きで生きて出頭して貰おう

スナイパー【UC】で狙撃。UC効果により多少回避されても周辺ごと斬るよう修正
光が全てを穿ち、バラバラに溶断する
敵UCは高精度なのでリミッター解除、全力魔法、オーラ防御で霊力の障壁で軽減を試みる
敢えて狙撃地点を変えず自分を意識すればするほど、攻撃の手を割くほど前衛への手が疎かになる

小さな国だ。英雄が狂って戦死や、死刑になれば国が大きく揺れるだろう
平穏や静穏をこそ民は望む。そのために貴方も戦ったろう?
今そこにない正気は乱を望まぬだろうから、生き恥だろうが晒して貰う



●ウォルター・ウッドストック
 首を刎ねられ、左腕を斬り落とされ、スラスターを破壊されて……アマランサス・ラピートは瀕死の状態だ。
 それは私が瀕死であることと同義。アマランサス・ラピートに命を託したのだから。
 しかし、ブルー・ブルームにも言ったようにこの戦いに無駄死になどというものは存在しない。たとえ勝つことはできぬとも、一矢でも報いれば、後人たちは我らの想いを受け取ってくるはずだ。
「認めてやろう! 貴様たちが強者であることを!」
 名もなき(いや、実は有名なのかもしれないが、少なくとも私は知らない)敵兵たちをしっかと見据えて、私は声を張り上げた。
 それにしても、己の保身のことしか考えていない『委員会』の連中がこれほどの隠し玉を持っていたのは意外……いや、保身を優先してるからこそ、強力な戦力を隠し通してきたのか?
「しかし、いかに強かろうと、所詮は『委員会』の走狗であり、使い捨ての道具! 意志なき刃で歴史を切り拓くことはできんぞ!」
『私たちは『委員会』に命じられて動いているわけではありません』
 と、敵の一人がスピーカーを通して反駁した。
『キャバリアはお借りしましたけれど……』
 そう付け加えたのは、その女(キャバリアの中にいるので姿は見えないが、声から判断する限りでは女だ)が乗っているのがアマランサスだからだろう。
『実は貴方のほうこそ走狗なんだけどね』
 別の敵が言った。こちらも女の声だが、キャバリアはアマランサスではない。
『『委員会』じゃなくて、オブリビオンマシンの走狗……いや、被害者と言うべきかな』
 私が被害者だと?

●御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)
「ふむ。ある意味、確かに私は被害者だ」
 意外なことにウッドストックさんはヒビキさんの言葉を認めました。
「私だけでなく、ブルー・ブルームも、彼らや彼女らを無慈悲に討ち果たした貴様たちも、貴様たちにキャバリアを貸した『委員会』も……そう! すべての人民がこの不条理極まりない世界の被害だといえるだろう!」
 ……あー、私の早とちりでした。認めたわけでなかったようです、はい。
『いや、そういうことじゃないんだよねー』
 ウッドストックさんの反応にヒビキさんも呆れている様子。
 しかし、気を取り直したらしく――
『やっぱり、エルマちゃんの言ってた通り、なにを言ってもムダだね』
 ――キャバリアを後方にジャンプさせました。そして、着地と同時にまたジャンプ。何度も何度も。
 戦場から逃げ出したわけではなく、遠距離から攻撃するつもりなのでしょう。
 ならば、私の役目はそれを援護すること。
 ヒビキさんのキャバリアを追いかけようとしているウッドストックさんめがけてアマランサスの短機関銃を連射。
「小癪な!」
 ウッドストックさんはビームライフルで応戦してきました。何条ものビームが迸り、私のアマランサスの脇をかすめて、時には装甲の表層を削っていきます。しかし、急所には一発も命中しません。
「えーい! なぜ、当たらん!」
 命中しないのは彼の射撃が下手だからではありません。むしろ、その技術は達人級と評していいでしょう。照準を合わせるのに必要な機構があったであろう頭部をアンネリースさんに切断されたにもかかわらず、これほどまでにビームを集中させているのですから。
 それでも決定的なダメージを与えることができないのは、私がビームをなんとか見切り、躱しているからです。もちろん、回避だけに終始するつもりはありませんが。
「そろそろ、本格的な攻撃に移らせてもらいます」
 そう宣言して短機関銃を投棄したものの、私はまだ踏み込みませんでした。
 いえ、踏み込めませんでした。
 巨大なビームが真横から飛来し、ウッドストックさんのキャバリアを打ち据えたからです。

●ヒビキ・ノッカンドゥ(月の響・f17526)
 約六キロ先まで届く大出力ビームを照射!
 ボロボロのオブリビオンマシンはそれを浴びて、更にボロボロになった。
「――!」
 ウッドストックがなにか叫んだようだけど、さすがに遠すぎて聞こえない。オブリビオンマシンのスピーカーは(頭ごと)失われてるし。
 ただ、なにをしようとしているのかは判った。ビームを受けた衝撃を利用して攻撃範囲の外に逃げるつもりなんだ。でも、無駄だよ。これは一瞬で消失するようなビームじゃないし、照射している間は狙いを補正することもできるんだ。おまけにレモンちゃんやシルちゃんの攻撃でオブリビオンマシンンの機動力をかなり削がれている。
 結局、オブリビオンマシンはビームから逃げ切ることはできなかった。だけど、かなり頑丈な機体であるらしく、完全に破壊されはしなかった。まあ、そうでないと困るんだけどね。僕としてもウッドストックを殺すつもりはないから。
「――!」
 ビームの照射が終わると、なにか叫びながら(例によって聞こえない)ウッドストックはオブリビオンマシンをこちらに走らせてきた。反撃するつもりなんだろう。
 僕はあえて動かなかった。
 こっちに注意を向けてくれるのは好都合だ。
 なぜなら、その隙に乗じて――
『その性根、正させていただきます!』
 ――桜花ちゃんのアマランサスが背後からタックルを仕掛けてくれたから。最初は桜花ちゃんが敵の気を引いて僕がビームを放ち、それによって今度は僕が気を引いて桜花ちゃんがタックル。事前に示し合わせたわけではないけど、上手くいったねぇ。
 オブリビオンマシンは前のめりに倒れた。腰にしがみついていたアマランサスも一緒に倒れ込んだ。そのコクピットから桜花ちゃんが素早く飛び出し、パーラーメイドの彼女に相応しい武器――給仕用の銀盆をオブリビオンマシンに叩きつけた。いや、冗談でも見間違いでもないよ。本当にお盆なんだって。
 お盆なんかがキャバリアに効くわけがない……なんて思ったら、大間違い。どうやら、その小さな一撃がとどめになったらしい。
 オブリビオンマシンは二度と立ち上がらなかったから。

 動かなくなったオブリビオンマシンの傍でウタくんがギターを弾いてる。鎮魂曲かな?
 で、そのオブリビオンマシンに乗ってた親愛なるウッドストック氏はというと……岩に腰掛けてうなだれてる。正気に返ったけれど、自分がしでかしたことにショックを受けてるみたい。
 彼の周囲にはブルー・ブルームの少年少女たちが立っていた。学園青春ドラマで主人公の先生を生徒たちが取り囲むようなシーンを彷彿とさせるね。
「三回目の出撃をする前、ブルー・ブルームの皆さんにお願いしておいたんです」
 と、桜花ちゃんが僕に囁いた。
「ウッドストックさんが無事にあの機体から降りることができたら、あなたたちの想いを伝えてあげてください、と。きっと、彼には励ましが必要になるから、と……」
 見たところ、ブルー・ブルームはウッドストックを恨んでいないみたい。それどころか、気遣っているように見える。でも『ウッドスットク様』と名を呼ぶばかりで、それ以上の言葉はかけていない。色々と混乱していて、なにを言えばいいのか判らないんだろう。
 彼らや彼女らに代わって、僕がウッドストックに言ってやった。
「責任を取って自決……とかは辞めてよね」
 ウッドストックはゆっくりと顔を上げて、僕を見た。
 そして、疲れ切った声で尋ねた。
「私に生き恥を晒せと?」
「まあ、そういうこと。英雄が狂った挙げ句に戦死もしくは刑死なんてことになったりすれば、サイプレス・カウンティは大きく揺れちゃうよ」
「……」
「だけど、そんなことを市民は望んじゃいない。皆が望んでいるのは平穏や静穏なんだ。そのためにあなたも戦ったんだろう?」
「……」
 ウッドストックは無言。
 だけど、その表情を見れば判る。
 彼が生き恥を晒すのを決意したことは……。

 オブリビオンマシンに狂わされていたウッドストックではあるけども、一つだけ正しい預言をしたね。
 この戦いに無駄死にはない。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月22日


挿絵イラスト