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カワイイニャンニャン256!

#デビルキングワールド #猫 #KNN256 #アイドル #連携フィニッシュ #挿絵

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「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ファンの悪魔達のボルテージは最高潮に昂っている。今夜のライブも大成功だろう。
「5万D それでワタシは アナタのモノよ♪」
 猫の悪魔達が煽情的な衣装で踊りながら歌う。
「5万D それでアナタも ワタシのシモベでしょ♪」
 一糸乱れぬダンス! ステージ上で踊る猫悪魔アイドルはその数256人(公称)

「ニャンニャン♪ ニャンニャンさせてねー♪」
「「「カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ファンもまたすっかり訓練されたコール&レスポンスだ。
「ニャンニャン♪ ニャンニャンチャンなのー♪」
「「「カワイイ! ニャンニャン!」」」
「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」
「「「カワイイ! ニャンニャン!」」」
「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」

「……いや、256人って。いくらなんでも多過ぎるだろう……」
 (自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は頭を抱えながらゆったりとした椅子に座っている。
「一先ず、戦争ご苦労だった……と、言いたい所だが諸君には出撃してもらう。戦場はデビルキングワールドのライブ会場だ」
 背景ではカワイイニャンニャン256、通称KNN256のライブ映像が流れている。
「この通りの盛り上がり具合だが、オブリビオンが一枚噛んでいるとなれば猟兵として放置はできん。膨大な額の魔界通貨D(デビル)が動いているからな」
 256人のアイドル。その全てが敵だとするなら……無理では? しかもファンも全て敵となれば無茶では? 誰かのそんな視線を感じ、訂正するレイリス。
「仕留めるべきオブリビオンはたったの1体だけだ。他の255人は放置しても問題無い。オブリビオンでは無いからな……まあ、この数字は公称で、頻繁にメンバーが入ったり抜けたりしてるので人数は怪しいんだが」
 これだけ居ると数えるのも一苦労だろう。
「この一体が中々の曲者でな……私もどんな奴なのか全く掴めなかった。だが、それ故に隠密能力に長けた奴である事は推測できる。恐らくは暗殺者の類だ」
 華やかなアイドルステージの裏でしめやかに進行する暗殺。成程、これは放置できない脅威だろう。
「諸君であっても戦闘開始前にオブリビオンを特定するのは難しい。勝負をかけるなら確実にステージに現れるライブ中だろう。まあ、このアイドル乱闘騒ぎが常態化してるのでライブ中に戦闘しても特に誰からも止められないので問題ない。だからこそ暗殺と言う手段が成立してしまうのだが」
 一旦、ライブ映像を端に除け、KNN256の入団概要を表示する。
 その項目はただ一つ。

『可愛い猫である事』

「可愛い猫であれば割と誰でもグループに入れるのでなぁ……猫系じゃなくても、可愛ければ割と許される。と、言うか作り物の猫耳と猫尻尾でも通るという驚きのガバガバさ加減だ。故に、KNN256の内部に入り込んで相手を見つけるのが手っ取り早い」
 何それアイドル舐めてんのか? と、言う誰かの視線。間違いではないので訂正しないレイリス。
「とは言え、ライブに上がるまでには厳しいレッスンを受ける必要がある。こっちで篩にかける訳だな。猟兵の身体能力であれば問題はあるまい。絶望的にリズム感が無かったりしなければ、だが」
 ステージ上の動きはそんな雑さを感じないパフォーマンスだったように見える。
「まあ、ユーベルコードで踊ってるんでな。そりゃ上手くもなるだろう」
 デビルキングワールドはここが違う。一般人の悪魔ですらユーベルコードを当たり前に使えるのだ。その為、強引な力押しは困難を通り越して無謀だろう。
「メンバーに入らなくても当日のスタッフや、楽器演奏者でもいい。何せ規模が規模なので付け入る隙はいくらでもある」

 すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組み直すレイリス。
「常の事だが、私は見えた事件を解説するだけだ。実際の対応は諸君の判断に委ねる」
 そして、眼前に妖怪の元へと繋がる転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」


Chirs
 ドーモ、Chirs(クリス)です。今回はアイドル物です。先に言っておきますが、私のアイドル知識はゾンビでSAGAなアレ位しかないのでアイドルネタは多分拾えません。
 章ごとに状況が変わります。
 第1章ではKNN256ライブへの潜入となります。メンバーの条件は『可愛い猫である事』です。付け耳でも通ります。明らかに犬だったり狐だったりしても可愛ければ許されます。
 集団戦ですが、戦闘ではありません。KNN256のメンバー、もしくはその希望者として扱います。戦ってはいけません。
 メンバーになる以外の方法でライブに潜入する場合もここで提示して下さい。
 第2章はKNN256ライブが始まります。とにかくライブを盛り上げるパフォーマンスをしましょう。集団戦ですが必ず戦う必要はありません。戦おうとすると意外と強いです。悪魔なので。
 第3章は標的となるオブリビオンとの戦闘になります。ただし、ライブは継続しています。ライブ中の乱闘は日常茶飯事なので誰も止めません。相手は隠密能力に秀でているのでライブ中のステージで戦うのは中々厳しいです。ここまで来ればライブを成功させる必要は猟兵には無くなります。猟兵としてオブリビオンを討ち取る事に専念するか、ライブは成功させつつオブリビオンを仕留めるか。皆さんの判断に委ねます。
 今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんのやりたいアイドルライブ乱闘のお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
 6/3(木)9時からプレイング受付を開始します。それ以前に頂いたプレイングは採用できないのでご注意ください。プレイング受付期間はタグで表示します。
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第1章 集団戦 『はらぺこキャッツ』

POW   :    もぐもぐキャッツ
戦闘中に食べた【食べ物と魔素(魔力やオーラによる攻撃等)】の量と質に応じて【一時的にお腹がいっぱいになって満足し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    わらわらキャッツ
【仲魔のキャッツ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[仲魔のキャッツ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    あやふやキャッツ
自身の【本来の目的に関する記憶】を代償に、【身体能力】を増大させた後、【渾身の力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって本来の目的に関する記憶を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(妖怪には繋がりません。繋がるのはデビルキングワールドです。担当はケジメのち研修へおくられました。ごあんしんください)

●潜入! アイドルライブ!
 ゲートを抜ければKNN256のメンバーオーディション会場の近くに出る。
 メンバーの一員になるならオーディションを受ければいい。『可愛い猫』であれば問題無く通るだろう。猫じゃなくても可愛ければ通ってしまうだろう。とてもザルだ。
 実際にステージに上がるにはその先のそこそこ厳しいレッスンを突破する必要はある。猟兵身体能力と猟兵習得能力であればこちらも突破は容易。
 なら猟兵としてするべき事は情報収集かもしれない。何せメンバーは公称256人。その中のたった一人を見付けて始末する必要がある。
 だが、注意するべきだ。相手は隠密能力に長けたオブリビオンと推測されている。猟兵が入り込んだ事自体は隠し様が無いだろう。こちらもこそこそしなくていいと言う事でもあるが。だが、何かしらの仕込みはしてくる可能性はある。
 今回オーディションを受ける悪魔の中に『はらぺこキャッツ』が居るようだ。彼女達は可愛い猫なのでそのままオーディションは通るだろう。同期として接触すれば情報源に成り得る。
 別にメンバーに入らなければいけない訳でも無い。アイドルライブとはアイドルだけでは成立しない。道具係や演奏者等他に入り込める余地はいくらでもある。『可愛い猫』の条件を満たさない場合はライブ当日にどう係わるか今の内に決めておくと良いだろう。
 相手もこちらも今の所具体的な動きは無く、比較的自由に行動できる。
五ヶ谷・グレン
あー、ここがデビルキングワールド。師匠の故郷か、なるほどなぁ(グリードオーシャン出身のグレン君は魔女の師匠に育てられたので、この世界の流行知識を体験してきました)
あぁ、要は師匠が喜びそうな振る舞いで行けばウケるってことだよな

■『薬事辞典』のじいさんからオーディション受ける子に読心術で、不安や自信に揺らぎがある子を見つけて、さて。魔女の時間だ。

間違いない。この竈の魔女を呼んだのアお前さんだ、さて、輝いてみたくはないか?
ユーベルコードで出した化粧品と自前のコスメ、ちょっと化け術も交えて。
コンプレックスをちょいと消して全身磨いてシンデレラの完成だ。

スタイリストとして潜入する、だがそれは只の地獄だった



●巨人のスタイリスト魔女(漢)
「あー、ここがデビルキングワールド。師匠の故郷か、なるほどなぁ」
 五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)はグリードオーシャン出身の巨人だ。
 産まれはキャラバンだったが、デビルキングワールド出身の魔女に攫われて弟子入り。巨人としてもかなり大きく逞しく育った後に、神隠しに会い今はキマイラヒューチャーで漢の魔女をやっている。
 色々とややこしい経歴の持ち主だが、半人前の魔女術と有り余る筋力で色々な物事を解決している。
「あぁ、要は師匠が喜びそうな振る舞いで行けばウケるってことだよな」

 KNN256は何せ人数が人数なので周りのスタッフも大人数になる。流石にメンバー全員が一度に揃うライブは年に二回ほどしかなく、それ以外の時はKNN256内でいくつものグループに分かれて活動している。
 ただでさえメンバーの入れ替わりが激しいKNN256。そのスタイリストともなると誰もお互いを把握していないというザルっぷりなのでグレンも易々と潜り込めたのだ。
(デカい)
(デカいな)
(デカいし、あの鍋は何だ?)
 色々とギリギリだったが。まあ、そういう人も居るんだろうと流された。細かい事を気にしていたらこのグループに関わってられないのだ。
 とは言え、メインで活動しているグループのスタイリストは流石に決まっているが、入れ替わりの激しい色物グループならば特に連絡抜きで通されても誰も止めなかった。その中にはグレンと同程度の背丈を持つ五人組の巨猫グループなんてニッチな物もある。その巨躯を生かした大胆で派手なダンスがニッチな人気なのだ。
 そのメイクをするとなるとやはり同程度の体格は必要になる。しかし、そこまで大きいと割と格の高い悪魔である率が高いので、目立つアイドル活動ならともかく裏方のスタイリストとなると人材が居ない。
 ニッチな需要に求められる最適な条件をグレンは満たしていた。

「でも、小さくて可愛い方がお得だと思うのよね」
「そりゃまあ、そうだろうな」
 そんな訳でニッチな巨女のジェアン組を丸投げされたグレン。
「ケモ度高い組は私達の10分の1も無いじゃない? どっちが可愛いかって言われたらそりゃあっちよね」
 しかも、今グレンの目の前に居るのは今日のオーディションで採用されたばかりの新人だ。猫と言うよりサキュバスに近い姿をしている。どう見ても作り物の猫耳だ。読心術など使うまでも無く不安を抱えているのは明白だった。
「でも、なりたかったんだろ? アイドルに」
「そうよ……悪い?」
「いいや、悪かねぇ」
 グレンは大鍋を掻き混ぜる手を止めて、薬剤の先端をハケで掬った。
「間違いない。この竈の魔女を呼んだのはお前さんだ。さて、輝いてみたくはないか?」
「……輝きたい。図体ばかりの悪魔なんてもう言われたくない!」
「なら、魔女の時間だ」
 【ウィッチクラフト(物理)】で作られた大釜の薬剤は見ただけでは分からないが、少し手を加ええるだけで様々な化粧品へと変化する。それはもう、ゾンビだって生前の姿と全く変わらない、むしろより美人に仕立て上げられるレベル。ユーベルコード製の化粧品は物が違う。
 小さくする事も出来なくはないが、彼女の場合はむしろそれが売りだ。それを消すなんてとんでもない。
 なら、魔女として叶えるべき願いは別にある。グレンはもう一つの悩みに気付いていた。正確には、帽子型悪魔《薬事辞典》のじいさんが、だが。
「ちょっと別室に行って脱いでもらえるか?」
「えっ」
「違うからな? そういう意味じゃないからな?」
「……いいけど、変な事したら大声出すからね」

「これで良しっと。どうよ、そこの鏡を見て見な」
「これが……私!?」
 何と言う事でしょう。悪魔然としていた彼女の手足はふさふさの獣毛で覆われ、可愛らしいネコ科の手足を思わせる肉球に。見るからに作り物だった猫耳も本当に生えているとしか思えない。悪魔の尻尾までもふもふだ。自身が無さそうだった表情も素敵な笑顔が輝いて見える。
 ホワイトタイガーをモチーフにした全身化け術メイクとぱっちり眼のシンデレラメイクの合わせ技だ。
「凄い、メイクでこんな事できるなんて!」
 KNN256に必須の猫っぽさの欠如。それでも地が可愛らしい顔立ちをしていたので採用されたが、やはり不安だった。グループとしての一体感が出ないのではないかと。
 だが、この姿ならもう何の心配もない。
「凄い! 凄いよメイクさん!」
「へー、ウチの新人を随分と可愛らしく仕上げてくれたじゃない?」
 個室のドアを開ける巨人の悪魔。ジェアン組のセンターだ。威風堂々とした紛れもない上級悪魔。
「手を出すつもりなら二度と立てなくするつもりだったけど」
「出さねーよ、スタイリストとして最低だろそれ」
「疑って悪かったね」
 そして、徐に服を脱ぎ寝台に身を預ける。
「じゃ、アタシも頼むよ。いやー、大きい人じゃないと数人がかりで時間かかるわムラが出るわでロクなモンじゃないからね」
「よし、任せろ!」

 この後、当然の流れとしてジェアン組は全員グレンが担当。その後も”願いを叶える魔法のスタイリスト”として評判になり長蛇の列が出来上がった。

「……ふーん?」
 オッドアイの白猫が、それを物珍しそうに観察していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
命が未来を創りあげていくんだ
やらせはしないぜ
暗殺を止めてオブリビオンを海へ還すぜ

行動
演奏者として加入

はらぺこと仲良くなって情報収集

いやー流石KNNに選ばれるだけあって
皆、可愛いなぁ
オーラが違うぜ

なあ先輩たちの中で
ちょいと変わった奴とかいたら教えてくれよ
折角雇ってもらえたのに首になりたくないし
頼むな

後は影を放って
メンバー全員の監視…は無理だな
持ち物の確認も…全員は無理っぽい

ギターの調整とか練習とかしながら
それとなく様子を伺う位か

影も含めて耳も澄ませて
誰が誰に恨みを持っていそうとか
つまり暗殺の依頼者・被害者とか判ると
暗殺者の手がかりに近づけるかも
…まあ、皆、悪魔だから悪事を嘯いてそうだけど



●かくて奏者は至る
 アイドルライブと言えば通常、デジタル音源を使い歌とダンスをメインにする物だ。実際、小規模グループ活動の時は大体デジタル音源を用いている。だが、年に数度の全員集合ライブではデジタルではない生演奏を用いている。その為のアーティストを招き入れ、KNN256の楽曲を演奏して貰うのだ。
 256人という狂気のメンバー数を誇るアイドル。その演奏をするには最低でもフルオーケストラレベルの人数が必要になる。楽曲はエレキ系が多いのでそのまんまオーケストラが来る訳ではないが、中々に有名所の楽団とロックミュージシャンを引き入れている。
「今のコード、あんたまさかシルヴァーハンドか?」
「そういうアンタは猟兵か。こりゃ、楽しいライブになりそうだ」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はギター奏者の一人として潜入したが、偶然にも大物ロッカーボーイと出会った。
「驚いたぜ。アンタみたいな大物がバックミュージックを引き受けてるなんてな」
「歌とダンスはともかく、楽曲を提供してる奴は”本物”だ。それに、まさか俺が猫耳付けてギター弾いてるなんて誰も思わないだろ?」
 伝説のロッカーボーイ……なのだが、その服装はあまりにイメージとかけ離れている。別に奏者全員が猫の扮装をしろと言う指示は無かったた。それぞれがそれなりの猫アイテムを取り入れて済ませている中で手の凝ったフェイスペイントに本物同様に動く猫耳と尻尾。メタルとカワイイが融合したパンクロックスタイルだ。
「リフでバレバレだぜ」
「そう思ったのはお前だけみたいだ」
 今引いていたのは彼の代表曲だ。有名なギターリフだけに弾くだけなら出来る奴は多い。だから、誰も疑問に思わなかった。
 ウタは彼のファンと言う訳では無い。知っていたという程度だ。だが、本物だけが放つキレの良さを見抜けないウタではない。どこの誰よりもキレのあるリフを弾ける人物などオリジナルをおいて他には居ない。
「俺の事は秘密にしておいてくれよ。今日の俺はジョニー・シルバーキャットだ」
「隠す気無いだろそれ」

 折角の機会と言う事でジョニー・シルバーキャットと軽くセッションを楽しみ、危うくバレそうになったので撤収。本物の伝説に触れる事が出来てギタリストとして貴重な体験が出来たと高揚していたウタだったが、本来の目的を思い出し復唱する。
「命が未来を創りあげていくんだ。やらせはしない、暗殺を止めてオブリビオンを海へ還すぜ」
 ギタリストとして潜入しているが、ウタは猟兵だ。オブリビオンを狩らなければならない。

 所変わってダンススタジオ。まずは入りたての『はらぺこキャッツ』に探りを入れてみる。新入りのダンス特訓に付き合う奏者として名乗り出たのだ。普段はデジタル音源に合わせて踊る練習だったが生演奏が入ると練習でもやる気が違う。
 まだ入りたての彼女達のダンスは拙い……と、思いきや結構キレがある。どうやらKNN256メンバー全員に付与されるユーベルコードが機能していて、その恩恵を彼女達も受けられるようだ。
 デビルキングワールドはここが違う。一般人の悪魔ですら猟兵並みにユーベルコードが身近にあり、当たり前に使えるのだ。
「激しく前後に動く♪」
「実際順法行為♪」
「激しく上下に動く♪」
「アナタは契約者♪」
 アイドル、でいいのかな……やたらと煽情的な気がする。まあ、悪魔だし? そういう物かもしれない。

「いやー流石KNNに選ばれるだけあって皆、可愛いなぁ。オーラが違うぜ」
「それほどでもないにゃー」
「照れちゃうにゃー」
 レッスンが一区切りついて小休止。練習を通じてそれなりに仲良くなったキャッツに聞いてみることにした。
「なあ先輩たちの中でちょいと変わった奴とかいたら教えてくれよ。折角雇ってもらえたのに首になりたくないし。頼むな?」
「変わった奴……?」
「むしろ、変わった奴しかいないと言うか……」
 なんか、身長が5m位あるメンバーを見た後なのでそれはそうだろうなと思うウタ。
「やっぱ、ステラ組じゃねーかにゃ?」
 ステラ組。KNN256の中でも主力グループはステラ、サン、ムーンの三組だ。その三つの中でもステラ組は頭一つ抜けている。KNN256の頂点。確かに、機嫌は損ねるべきじゃない。
「お疲れー。どうよ新入りにゃんこ達は」
 だから、これは完全な不意打ちだった。

(オブリビオンッ!?)
 輝く銀の体毛。神秘的な蒼と金のオッドアイ。ステラ組のセンターマイク、即ち256人の頂点に君臨する最強のアイドル。
 それが、オブリビオン性を隠しもせずに唐突に現れた。
 ウタは反射的に『焔摩天』を抜きかけた、だが。
(駄目だ、今ここで戦って勝てる相手じゃない)
 周囲への被害を顧みずに戦えばギリギリで相打ちに持ち込める可能性はあるかもしれない。
 だが、そんな事をすればどうなる? 少なくとも自分は首。新入り達はライブに上がる事も出来なくなり、他の猟兵が戦うチャンスすら奪う事になる。
 それを理解しているからこそ彼女はこの場に現れた。
――お前達は何も出来ない。大人しく踊っていろ。
 それは明確な宣戦布告だった。
「ウタにゃん、どうしたにゃー? さっきから怖い顔してるにゃんよ」
 呼びかけられて気付く。誰も、彼女がオブリビオンだとは気付いていない。そもそも、悪魔はオブリビオンを敵視していない。悪魔にとってのオブリビオンは躊躇なく悪事を実行するトリックスターだ。
「……ごめん、何でも無いよ。それで、ステラ組のセンターさんが何の用だ?」
「にゃはぁ、ライブの前に緊張してないかにゃーって様子を見に来たにゃー。やっぱり、緊張してる? ほぐしてあげよっか?」
 可愛らしく嗤うオブリビオン。相手がオブリビオンでなければ流されていたかもしれない。彼女は死神その物だと知っているのに。
「遠慮しとくぜ。偉大なるセンター様の手を煩わせるまでもない……本番はちゃんとやるぜ」
「それならいいにゃー。んじゃ、この新入りにゃんこ達はヨロシクー」
 銀の猫はヤる事だけヤったらふりふりと手を振ってスタジオから出て行った。
 咄嗟に【影の追跡者(シャドウチェイサー)】を彼女に向けて放ったが、あっけなく見失ってしまった。見つける事は出来る。だが、追跡が出来ない。ユーベルコードではない、純粋な技術で撒かれるのだ。

(暗殺のターゲットは分からず仕舞いか)
 その後もライブ関係者の所を回り情報を引き出そうとしたが、悉く空振りに終わった。
 誰かが誰かに恨みを持っているという話は出てこない。256人も居ればそういう話は出て来ない方が不自然だ。と、なると。
(不和を起こすメンバーが標的、かな)
 KNN256をより高みへと昇らせる為に。そう考えれば辻褄は合う。ならば一番危険なのは自明だ。
(このライブで猟兵を返り討ちにするつもりって事だな)
 ウタは、心に決意の炎を灯す。
(やれる物ならやってみろよ。俺達は強いぜ)

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナ・フォレストキャット
【マナ(f10826)と一緒】
うにゃにゃのにゃ〜〜

にゃんか、今回の依頼、簡単そうにゃにょね。
あたし、マニャと一緒に踊るにょにぇ。

んじゃねー、こうかにゃ。

♪うにゃにゃ〜、うにゃにゃ〜、うにゃにゃにょにゃ♪ \ヘイッ/

あたしが猫かってにょかって??
耳と尻尾は本物ニャにょにぇ。
マニャのほうが、ちゃんとした猫にゃにょ。

アドリブ歓迎


マナ・フォレストキャット
【レナ(f10827)と一緒】
うにゃにゃのにゃ〜〜

どもー、あたし、マニャだにゃん。
今回、参加しておきたいニャン。
だて、歌って踊るって、最高だと思うニャン。
そして、あたしは、レナと一緒に踊るニャン。

♪うにゃにゃ〜、うにゃにゃ〜、うにゃにゃにょにゃ!♪ \ヘイッ/

あたし、猫だから、事前に毛づくろいしてるにゃん。
今回のオブリビオンが何考えてるか、わからないけどにゃ。



●侵略! 天然猫娘シスターズ
「うにゃにゃのにゃ~~」
「うにゃにゃのにゃ~~」
「はーい合格」
「まだにゃにもしてないにょ」
「ちゃんと、歌と、踊りを、見てから、決めるニャン」
 レナ・フォレストキャット(山猫協奏曲・f10827)とマナ・フォレストキャット(山猫交響曲・f10826)はKNN256メンバーオーディションを受けていた。片や猫幼女のキマイラ、片や猫その物のケットシー。最早審査するまでも無い。
「♪うにゃにゃ~、うにゃにゃ~、うにゃにゃにょにゃ♪ ヘイッ」
「♪うにゃにゃ~、うにゃにゃ~、うにゃにゃにょにゃ!♪ ヘイッ」
 息ピッタリで踊る二人。かわいいね!
「「♪うにゃにゃ~、うにゃにゃ~、うにゃにゃにょにょ♪」」
「「この世は猫の為にある♪」」
「ブラボー! ブラボー! ナァ~イスキャット! ナァ~イスキャット!」
 プロデューサーは拍手しながら立ち上がりゆっくりと二人の所へ歩み寄る。
「やったナイスだって」
「ナイスキャット、ニャン」
「ナァ~イスキャット、ナァーィスキャット……このバカタレがー!」
 突然の激昂! 二人はビクンとして跳ねる。かわいいね!
「お前らみたいなドシロートキャットはカワイイだけでステージに上がれるとか言う甘え腐った根性を叩き直さんと客前には出せんのじゃい!」
 実際、彼女たちの踊りは息ピッタリで可愛らしくはあったが、それは無垢で幼い天然モノの可愛らしさ。若さとは、誰もが平等に与えられ、誰もが平等に失う才能だ。
「「にゃい!」」
 二人とも素直なので大人しく言う事を聞くぞ。かわいいね!

「にゃんか、今回の依頼、簡単そうにゃにょね。あたし、マニャと一緒に踊るにょにぇ」
「どもー、あたし、マニャだにゃん。今回、参加しておきたいニャン。だて、歌って踊るって、最高だと思うニャン。そして、あたしは、レナと一緒に踊るニャン」
「猫仲間だにゃー」
「よろしくにゃんこ」
 にゃいにゃいと同期の新入りにゃんこの『はらぺこキャッツ』と顔合わせを済ませる。
「はいミュージックGO!」

「YES NO YES NO 枕YES♪」
「YES NO YES NO 枕YES♪」
 所変わってダンススタジオ。カワイイが溢れている。
「アナタと毎日ニャンニャンさせてねー♪」
「ワタシはニャンニャンチャンなの♪」
「「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」」
「「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」」
 カワイイフォーメーションを体で覚えながらカワイイ一体感のあるカワイイダンス! 可愛いね!
「ユーアイ ニャンニャン♪」
「ウォーアイ ニャンニャン♪」
「ギブミー ニャンニャン♪」
「「ギブミー ニャンニャン♪」」
 猫性を前面に押し出した一糸乱れぬカワイイダンス!
「ニャンニャンキャット!♪」
「「ニャンニャンキャット!♪」」
「ニャンニャンキャット!♪」
「「ニャンニャンキャット!♪」」

「イエーイ! 完璧だニャー!」
「「イエーイ!」」
 『はらぺこキャッツ』達と完全に意気投合した天然猫娘シスターズ。これでライブは完璧だ。
「ところで、あたし、よくわからないにょ」
「枕YESって、何だにゃ?」
「「えっ」」
「ニャンニャンするって、何をするんだニャー?」
「歌詞の意味が、分からない、にょ。ちゃんと、意味を、教えて欲しいにょ」
「「ええーっと……」」
「ブラッシングだにゃ!」
 機転を利かせたキャッツの一人が言い切った。
「こう、ブラッシングなどして……撫でたり、遊んだり、猫的アクションをする事だニャ!」
「「おおー」」
 揃って驚く天然猫娘シスターズ。
「猫と、仲良くしたい、人の歌なんだニャ!」
「いい歌だにゃー!」
 こうして、歌詞に含まれた危険な意味から無垢な二人は守られた。

「あの二人、色々マズいんじゃ」
「いやいや、ああいう無垢なのを汚すのがタノシイでしょ?」
 にゃはは、と銀猫が嗤った。
「ライブまでは伏せとけよ。面白くなりそうだからにゃー」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
アイドルと言ったら百合、アイドルで百合と言ったらもちろんぴゅあの出番ー♪
角は猫耳っぽいし、尻尾も生えてるよ〜♪ぴゅあは白猫さんなんだにゃあ〜❤️

UCでシンフォニア、サウンドソルジャー、スカイダンサーに覚醒ー♪寵姫で国民的スタアな淫魔の神の絶世の美貌、歌唱力、演技力、話術、茶目っ気にこの3つの職業の力が加われば、それはもう絶対無敵の最強アイドルだよねー♪

空飛ぶ馬車の中からアイドルオーラとサキュバスハートを全身に纏って存在感出して登場ー♪浮遊玉座に座り、眷属淫魔達に先導されて進むー♪

状態異常力強化で誘惑属性攻撃精神攻撃で魅了してハートを掠奪〜♪

情報収集は眷属達に任せるよ〜♪だってお姫様だもん〜❤️



●純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
「アイドルと言ったら百合、アイドルで百合と言ったらもちろんぴゅあの出番ー♪」
 いや、その結論はおかしい。色々な意味で突っ込み所が多過ぎる純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫【百合淫魔姫】・f30297)なお、本名はちゃんとある。
「角は猫耳っぽいし、尻尾も生えてるよ~♪ぴゅあは白猫さんなんだにゃあ~❤」

「はい、次の奴カモーン」
 プロデューサーはピュアニカを読んだが返事が無い。
「……うむ?」
 本名を書く所に堂々と『純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ』と書きやがった奴なのでどんなのが来るかと警戒していたが来ない。
 その時、外で何かが動いた気がして窓を見るプロデューサー。
 一角天馬の空飛ぶ馬車が走っている。ここはデビルキングワールドだ。馬車が空を飛ぶ位では驚かない。だがその馬車が空中停車し、凄まじいアイドルオーラを放ちながら巨大なハートを纏い浮遊する玉座に座った只ならぬサキュバスが現れたらどうなるか。
「……」
 プロデューサーは無言で手元の書類を確認。アレが候補者だと認識した。
 眷属淫魔達に先導されてゆっくりと窓に近付いて来るピュアニカ。
 一般人ならその姿を見ただけで魅了し何でも言う事を聞かせられる。
「おまたせ~❤ 絶対無敵の最強アイドル、ぴゅあだよ♪ 角は猫耳っぽいし、尻尾も生えてるよ〜♪ ぴゅあは白猫さんなんだにゃあ〜❤」
「ソロでアイドル活動したいのなら他を当たれ」
 帰って来たのは意外にも厳しい一言。
「俺が募集しているのはKNN256のメンバーだ。自己主張が激しすぎて協調性0の奴はグループに必要無い」
「ふ~ん?」
 派手な登場で魅了して一発解決という魅了パワープレイに持ち込もうとしたのが裏目に出たか。
 ピュアニカは玉座から立ち上がり、窓から室内に入る。
「大丈夫だよ♪ ぴゅあは可愛い女の子が大好きだから♪」
 なお、目の前に居るプロデューサーは普通に男。本来なら視界にも入れたくないが、ここは我慢。
「なら、テストしてやればいいにゃ」
 かちゃりと、オーディション部屋の扉を開けて登場する銀の猫。蒼と金のオッドアイが煌く。
「今日はやけにあちこちに顔を出すな」
「そりゃあね。もうすぐ大事なライブだしKNN256のセンターとしての仕事はしないと」
「あなたが”今の”センターなんだ♪ よろしくね❤」
「ええ、こちらこそにゃ♪」
 何気なく握手を交わす銀猫とピュアニカ。当然、互いに決して相容れない存在である事は気付いている。だが、今はまだその時ではない。
「ちゃんと脇役に徹する事が出来るかテストしてやるにゃ」

 ステラ組。星の名を冠する彼女達はKNN256の一番人気グループであり、そのセンターは256人の頂点を意味する。
 無論、それがデビルキングワールドのアイドルの頂点である訳では無いが、かなり高い地位に居る事に違いはない。
 どれだけのアイドル性を備えていてもそれだけで奪える程センターは容易くない。手回し、営業、裏工作。凡そまっとうな手段ではない事は明白だが、それでも今すぐセンターを奪う事は不可能だ。
「ミュージック、カモン」

 エレキテクノサウンドと共にKNN256代表曲『実際順法行為』のイントロが流れ出す。一糸乱れぬフォーメーションを組むステラ組だが、そこに不自然な空白がある。ピュアニカはその意図を即座に理解し、そこに立つ。
「5万D♪ それでワタシはアナタのモノよ♪」
「5万D♪ アナタもそれでワタシのトリコでしょ♪」
 事前に動きを予習した――と言っても一回見ただけだが――ピュアニカは本来その位置に立つアイドルの動きを完全にトレースする。
「今夜サイキョーライン降りた♪ 駅前の雨が止む前に♪」
 当然歌詞も記憶している。
「ワタシのシモベになる♪ 権利あげるから♪」
「「今すぐ体験させてあげる♪ 凄くワルいミッション♪」」
 ここは大きく動く激し目のステップ。
「「ミュージックですにゃ♪ ダンス アンド ジャンプ!!」」
 そしてこの曲最大の見せ場、カワイイニャンニャンジャンプ! 256人が一斉に同じポーズでジャンプ! ピュアニカも当然一緒に飛ぶ!
「「激しく前後に動く♪ 実際順法行為♪」」
 淫靡な腰付きで前後に踊る!
「「激しく上下に動く♪ アナタは契約者♪」」
 お道化て可愛らしく上下に踊る! 完璧だ。
 だが、ここで別の曲のイントロが始まる。これは……新曲! まだどこにも発表していないKNN256の新曲だ!
 当然、外部公開されていない振付をピュアニカが知る由は無い。だが、他のメンバーは知っている。そこに空白はある。
 周囲を見て振付を盗むか? それではどうしてもワンテンポ遅れる。だから、ピュアニカは正解を求めなかった。
「独りピンクの唇♪」「にゃぉ~!」
「塗り直した真夜中♪」「にゃぉ~!」
「今夜は来る? 来ない? 乾いてく」
 それは本来の振付ではない。だが、決して目立ち過ぎずKNN256のカラーを意識した即興の振付。

「実際八方美人な♪」
「すぐに抱けると噂♪」

「十分だろう。期待以上だ」
「そうだにゃー、それは認めてやるにゃ」
 そのまま新曲を即興の振付で踊り切ったピュアニカ。
「楽しかったねー♪」
「この娘、ステラで貰っていくにゃんよ。文句はないにゃ?」
「好きにしろ。どうせ誰もお前は止められない」
「んじゃ、よろしく。スタジオで正式な振り付け決めよっか。さっきのアドリブなかなか良かったにゃー」
「こっちこそよろしく~❤」
 ピュアニカの本心がどう思っているのか。それは誰にも分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

惑草・挧々槞
可愛い猫のアイドルグループと聞いて。
見ての通り私は猫、そして可愛い。メンバーになるのは容易も容易、朝飯前の丑三つ時よ。

やるからにはセンターを目指す所存──とは言え、周りにいるのはライバルであれども敵って訳じゃないわ(オブリビオンは例外として)。
言うなれば運命共同体、同じグループの仲魔として切磋琢磨し合って頑張りましょう。同期は仲魔、同期は家族。

……と言うのは半ば建前で、他の悪魔さん達と一緒に居れば闇討ちとかされ辛くなるかな、という狙いもあるのだけど。
私自身は真っ当にトレーニングに励みつつ、裏で召喚した魑魅魍魎共にファンの身を装わせて情報収集させましょうか。存分に厄介ファンムーブしてらっしゃい。



●かくて役者は揃う
「はーい合格」
「まだ何もしてないけど」
 惑草・挧々槞(浮萍・f30734)はオーディション会場に通されるなり言われた。
「んじゃ、動機くらい聞いておこっか」
「可愛い猫のアイドルグループと聞いて。見ての通り私は猫、そして可愛い。メンバーになるのは容易も容易、朝飯前の丑三つ時よ」
「ウシミツ・アワーナンデ? ま、いいか」

「同期が増えたにゃ~」
「よろしく~」
「ええ、よろしく。やるからにはセンターを目指す所存よ」
 一先ず新入り達の練習スタジオに通された挧々槞。今の所新入りは新入りとして1グループ扱い。その後各グループが話し合って様々なグループに分けられていくのだ。
「センターって事はステラ組狙いかにゃ?」
「ステラのセンターは割と最近入ったけど一気にセンターまで駆け上った凄い奴だからにゃー。頑張るにゃー」
「がんばるにゃ!」
「がんばるにょー!」
「あなた達も頑張るのよ? ライバルであれども敵って訳じゃないわ」
 ただし、一名の例外を除いて。
「言うなれば運命共同体、同じグループの仲魔として切磋琢磨し合って頑張りましょう。同期は仲魔、同期は家族」
「おおー、なんかマジメー!」
「カッコイイにゃー!」
 にゃいにゃいにゃいにゃいと群がられる挧々槞。とても姦しい。
「それじゃあ、練習しましょ」
「「「にゃい!」」」
 必然的に、この新入りグループのセンターにはなれそうな感じだ。

(……と言うのは半ば建前で、他の悪魔さん達と一緒に居れば闇討ちとかされ辛くなるかな、という狙いもあるのだけど)
 初日のトレーニングを終えて他の猟兵と情報交換。ステラ組のセンターがオブリビオンで確定と言う情報が入る。
「魑魅魍魎共の出番は……無くはなさそうね。情報収集は続けましょう」
 情報と言う物はいくらあっても足りると言う事は無い。集めておいて損はない。
「各自で上手い事潜り込めた訳だな」
「裏方で動きがあったらすぐに知らせるぜ」
 スタイリストのグレンとギタリストのウタ。
「踊るのは任せるにょー」
「歌うのもお任せニャン」
 挧々槞と同じ新人として入り込んだ天然猫娘シスターズ。
「ぴゅあの準備もばっちりだよ~♪」
 新入りでありながらいきなりステラに引き抜かれたピュアニカ。
「後はオブリビオンがどう動くかよね。自分から現れるとは少し想定外」
「いいじゃねーか、探す手間は省けた」
「後は骸の海に返すだけだぜ。でも、どうする? 暗殺ってのは違うだろ」
「うにゃにゃのにゃ〜〜」
「うにゃにゃのにゃ〜〜」
(可愛い)「ライブ中の乱闘騒ぎが常態化してるらしいわね?」
(可愛い)「ああ、この256勢揃いライブだとなんかグループ同士の抗争が始まるとか何とか」
(可愛い)「ライブ中に乱闘始まるアイドルって何だよ? 悪魔って変な奴らだな」
「可愛い♪」
「♪うにゃにゃ〜、うにゃにゃ〜、うにゃにゃにょにゃ♪ ヘイッ!」
「♪うにゃにゃ〜、うにゃにゃ〜、うにゃにゃにょにゃ!♪ ヘイッ!」
(((可愛い)))「可愛い♪」

「こんな所で何をコソコソしとるんじゃい」
 そこに、唐突に現れたプロデューサー。
「あー……いや、明日のライブの打ち合わせをな」
「オブリビオンを仕留めに来たんだろう、猟兵共」
「知ってたのか」
「プロデューサーを舐めんな」
「それで、それを知ってどうするの?」
 挧々槞は厳しく問いかけた。回答次第では。
「どうもせん、出来ん。奴はお前ら全員をステラ組に入れる様に要求してきた」
「全員って……俺達もか?」
「ああ。まあウタは元からジョニー・シルバーキャットと共にステラ組の演奏を担当してもらう予定だったが、グレンも当日はジェアンだけじゃなくステラの面倒も見てもらう」
「それ、ステージの、真ん中で、踊るって事にょ?」
「一番の、ステージで、歌うって事だにゃ!」
「そうなるな」
「好都合だよね♪」
「都合が良すぎるわよ。何か、絶対に崩されない策があるって事じゃない」
「ぴゅあはそんなの無いと思うよ?」
「……根拠は?」
「ぴゅあの女の子センサー♪」
「……そう」
 だが、オブリビオンに最も近づいたピュアニカの言う事なので案外合っているかもしれない。
「とにかく、状況は揃ってるな」
「揃えられたんだけどな。プロデューサーさん、あんたはどうしてオブリビオンの言いなりに?」
「他にKNN256を守る手段が無い」
 率直かつ正直な答え。
「俺は何の手助けもしない。出来ない。やるべき事をやれ、猟兵。終わったら後は何とかしてやる」
「ああ、任せておいてくれ」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『カワイイニャンニャン256』

POW   :    可愛いにゃんこも爪がある
召喚したレベル×1体の【KNN256ファンとメンバーの全員 】に【狩猟本能を与え、鋭い爪と牙】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
SPD   :    皆で一緒にダンス&ジャンプ!
戦闘力のない、レベル×1体の【KNN256ファン 】を召喚する。応援や助言、技能「【パーティーピーポー】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    実際順法行為
技能名「【歌、ダンス、ジャンプ、魅了 】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ファンの悪魔達のボルテージは最高潮に昂っている。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 結局、他に優良な情報は見付からなかった。このライブに何を仕組んでいるのか、或いは何も仕組んでいないのか。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 いずれにせよステージの幕が上がる。このライブを最初からぶち壊しにすれば他のKNN256メンバーを人質に取られかねない。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 だから、今猟兵達に出来る事はただ一つ。このライブを成功に導く事だ。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ”可愛い猫”として!

◆ アナウンスン ◆
 第2章はKNN256ライブが始まります。とにかくライブを盛り上げるパフォーマンスをしましょう。集団戦ですが必ず戦う必要はありません。戦おうとすると意外と強いです。悪魔なので。
 6/10(木)9時からプレイング受付を開始します。それ以前に頂いたプレイングは採用できないのでご注意ください。プレイング受付期間はタグで表示します。
五ヶ谷・グレン
■情報収集
事前にそれまでの傾向の研究出来ればいいんだが、
時間は取れるかな?
後、ステラ組は専属スタイリストもいるだろうし、
今回だけとはいえメンバーの好みや傾向なんかの引継ぎはしっかりな。
スタイリストとして技術は一段劣る身だ、
その分出来るだけの事はしておかないとな。
あー、後はうちの師匠と同系統、コスメに特化した魔女の噂が無いか聞いておこう。
ジェアン組の今後の事なんか頼みたいからな。
まぁ、話てくれなくても薬事辞典の爺さんに読心術は頼んでるからな。
ここならばれてもむしろ受けるんだよなぁ
■本番
とにかく持てるものを全て出そう。
ジェアン組はネイルアートも追加で、大きさを生かして、他の組にはできない仕掛けだな



●マーセナリーアイドル
「ステラ組の専属スタイリストは居ない?」
「そう言う事になる」
 時は少し遡りライブ前。ステラ組のセンターからいきなりスタイリスト指名を受けた五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は前任者から引き継ぎをしようとして、そもそも前任者が居なかった事を聞かされた。事情を詳しく知るべくプロデューサーに聞いてみる事にした。
「じゃあ今まではどうしてたんだよ」
「ステラ組に限った話じゃないがKNN256は個人の裁量が大きい。スタイリストに頼む奴も居れば、自分で出来る奴も居る。ムーン組は結構な付き合いになるスタイリストが居るが、ステラ組は互いにやるのが慣例だ。KNN256は一つのグループの中で別のグループに分かれてるし、暗黒営業行為も禁止されてない……と、言うか積極的にしてるな」
「枕YESってマジなのかよ」
「マジだ。流石に公言はしてないが、ファンの間では常識だ」
 悪魔の道徳たるデビルキング法的には正しい行いなのだ。実際順法行為。
「……アイドルとしちゃ駄目なんでは?」
「悪魔である以上避けられん問題だ。話を戻そう。スタイリストなんだが、ステラ組メンバーは基本的にメンバー同士でメイクをやっている。アイドルとしての実力に加え、それぞれがスタイリストとしての腕も持っていると言う訳だ」
「だとすると、俺のスタイリストとしての仕事はどうなるんだ?」
「居るだろう、スタイリストとしての技能を持っていないステラ組のメンバーが」
「ああ、そうか。そう言う事か」
 銀猫オブリビオンの考えは分からないが、ステラに猟兵を固めさせたのはステージ上で仕留める為だけでは無いらしい。ステージを捨てるつもりは一切無く、ライブを成功させる為の行動でもあるようだ。

●そう言う事なら
 そんな訳で、主力のステラ組の専属スタイリストでありながら猟兵仲間を仕上げる以外やる事はあまり無い。下手にいつもと違うメイクで仕上げてしまうのも問題だろう。各個人に好みを聞いて、その通りに仕上げるには誰が誰のメイクをしているかを把握しなければならず、そこまでの時間は無い。
 それでもステージに上がる前にはスタイリストとして仕上がりを確認し、細かい仕上げはする、と言うかしたのだが。グレンは別な問題にも取り掛かる事にした。
「ワシ、実際魔女だし」
「よし、それなら何とかなるかな」
 ジェアン組の今後の問題だ。数人がかりでムラが出る様な奴に任せては置けない。だが、大型悪魔は格が高く、プライドが高いので裏方仕事はやりたがらない。
 それならやりたがる奴にやらせればいいのだ。ジェアン組内でも互いにメイクが出来るようにしてしまえば問題は無くなる。
「助かるわー。それ、ワシもちょっと考えたんよね。でもレシピ無いし」
「じゃあ、使えるレシピを教えるぞ。何が得意なんだ?」
「派手な攻撃呪文。威力は低いけど範囲特化。要はステージ上で花火するんさ」
「なるほど、戦闘じゃなくてパフォーマンス向けって事か」
「そそ」
 同じ魔女であっても基礎とする領域が違う。メイクはカテゴリ的には錬金術の一種になるだろう。だが、門下ではない魔女に自分の秘術を教えたがる魔女は殆ど居ない。
「でもええん?」
「教えるのはメイク関係だけだからな。怒られたりはしないだろう……たぶん」
 今はライブ直前でお互いに時間が無いので、詳しい事はライブが終わった後に伝える事にした。彼女自身のメイクは別な人にやってもらう事になるが、正しい魔女薬の使い方を知っている悪魔が一人居れば後は何とかするだろう。
「マジありがと。先日の一件で結構皆興味持ってたからさー。ステラみたいに出来ないかなって話はでてたんよ」
「今までやろうとはしなかったんだな」
「巨人向けメイクって言うと戦化粧ばっかでさー」
「あー……」
 巨人あるあるだった。化粧は化粧でも綺麗に見せる為の化粧じゃなくて威嚇用のウォーペイントではアイドル向けじゃない。
「でも、結構使い方次第な所はあるんだ。その辺もあとで教えるよ」
「マジサンクス」
 これで今後はジェアン組は互いの結束が強まり、いいパフォーマンスができるようにもなるだろう……所で。
「……君らも、暗黒営業行為、してるの?」
「アー……ウチは本番NG。ちょっとしたお願いなら聞くけど」
「その、ちょっとしたってのは……どんな?」
「踏んでくれって言われんのよね。だから、死なない程度に踏む営業はしてる」
「やっぱりそうなるか……」
 巨人あるあるだった。あるあるかなぁ……?

(ジェアン組の出番は後で出します。備えよう)

大成功 🔵​🔵​🔵​

惑草・挧々槞
こう、センター争いやら何やら、裏ではバチバチのドロドロにやり合ってるのかな、って先入観があったのだけれど……別にそうでも無さそうね?
悪魔は根が真面目な子が多いと聞くし、後は俗に箱推しとかDDとか呼ばれる類のファン層を狙った営業戦略──もとい、あの敏腕Pさんの方針に依る所が大きいとは思うけれど、先の話を聞くに敵が関与している恐れもある。用心に越した事は無いわ。

さておき、暫しセトリ通りの進行、と。
チームの和を乱さず、しかし個を埋没させず。猫(の妖怪)らしく全力でのびのびと演っていきましょう。
演者経験は然程無いけれど、ライブというのは会場全体で作るものよ。ファンの皆様もご一緒にー!ダンス&ジャンプ!



●KNN256箱推し事情
(こう、センター争いやら何やら、裏ではバチバチのドロドロにやり合ってるのかな、って先入観があったのだけれど……別にそうでも無いわね?)
 惑草・挧々槞(浮萍・f30734)はKNN256内での活動をそう締め括った。突然のステラ組への引き抜きで何かしらの妨害工作を疑ったが、事実として猟兵達は何の損失も受けてはいない。
 スタイリストの件といい、むしろアイドルとしステージを成功に導きさえする。不自然な話ではない。オブリビオンは大量のD(デビル)を集める事で『カタストロフの儀式魔術』が行える。この大規模ライブで動くDは相当な量だ。
 猟兵達にライブ自体を止める手は無い。その反面、重要なライブであるが故にオビリビオンは決して逃げる事は出来ない。隠密と暗殺を得意とするオブリビオンの脅威は潜伏された時が一番恐ろしい。確実に仕留められる機会があるなら逃す訳には行かない。
 奇妙な事に猟兵とオビリビオンの利害が一致している。
(悪魔は根が真面目な子が多いと聞くし、後は俗に箱推しとかDDとか呼ばれる類のファン層を狙った営業戦略──もとい、あの敏腕Pさんの方針に依る所が大きいとは思う)
 箱推しとは、一人では無くグループ自体を応援するファンの事だ。対義語としてグループの中の誰かのファンである単推しがある。KNN256はその極端過ぎる人数により大量の単推しを同担させる事無く抱える事が出来る。しかし、メンバーの入れ替わりが激しく推しメンが抜けた場合、別なメンバーを推すか、ファンを止めるか、箱推しに推移するかの三択になる。推しメンと恋仲になって抜ける話がかなり良くあるのもKNN256の節操の無さが引き起こしてる現象だ。その為、深く推し続けていればいずれは……と言う思惑のあるファンは多い。
 しかし、KNN256は箱推しの方が多い。そもそも、そう言った下心でファンを続けるのは案外続かない物だ。KNN256内にさらに複数のグループがあるのでステラ箱推しや、サン箱推し、ジェアン箱推しと言う箱推しと単推しの中間層が生まれている。逆を言うと雑然とし過ぎていてKNN256自体の箱推しは少ない。
(けれど、先の話を聞くに敵が関与している恐れもある。用心に越した事は無いわ)
 今の所利害は一致しているが、そもそもオビリビオンの思惑通りに事を進めてしまえば行きつく先は必ずカタストロフだ。どこかで袂を別つ必要がある。
 そのタイミングだけは間違えてはならない。

●狂気と狂喜の共振する饗宴
 広大なライブ会場、広大なライブステージ。いくら事前に練習していても256人を一度に登場させるのは至難だ。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 スモークを焚きながらまずは有名グループに所属していない低ランクメンバーがしめやかにエントリーする。軽く手を振る位はするが、真っ直ぐに自分の立ち位置へと速やかに移動する。『はらぺこキャッツ』達もここに入っている。
 ジェアン組は枠としてはここに入る。巨体で目立つので最後の方に入り、後ろの方に陣取る。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ここからは高ランク、サン、ムーン、ステラ組のエントリーだ。
 ムーン組は大きな魔法陣を展開し、瞬間移動でエントリーする。その反対側、天から舞い降りる様にエントリーするサン組。では、ステラ組はどう入るかと言うと、空中から三点着地で登場する。所謂、スーパーヒーロー着地と呼ばれるアレだ。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 遠くから高速リニアカタパルト射出され、ステージの一番目立つ位置に着地するのだ。リニアカタパルトに載せられた時は挧々槞も色々と疑ったが、練習でマジに飛ばされて全員キッチリ着地しているのでマジらしいと分かった。発想の根本が狂ってる。ちなみに、この世界ではスーパーデビル着地と呼ばれていて、練習すれば出来るようになるらしい。悪魔凄いな。
「「「カワイイ! ニャンニャン! カワイイ! ニャンニャン!」」」
 そんな訳で流れ星の如くエントリーしたステラ組。常人ならば明らかに死ぬ速度で地面に叩き付けられた様な物だが全員当然無傷。コスチュームも傷一つ無い。ちなみに、現在のセンター、つまりオブリビオンの銀猫が考案した登場法らしい。とにかく派手で目立つ登場を求めた結果この形に落ち着いたとか何とか。
「ショータイムだ」
 ジョニー・シルバーキャットとウタが中心となってイントロのフレーズを弾くのはKNN256の代表曲『実際順法行為』!
「「「5ー5ー5-5-5-」」」
 センターの銀猫を中心に256人が一斉に踊る! 代表曲だけに、最も長く練習時間を使い、完璧に仕上げている。
 だが、ジェアン組だけ振付が違う。何かのトラブルか? もちろん違う。彼女達の巨躯を生かし、彼女達自身が踊るステージとして他のメンバーを手や肩の上に乗せて踊る! これはグレンがギリギリで仕上げた仕掛けだ。
「5万D それでワタシは アナタのモノよ♪」
 銀猫の歌声に合わせて猫の悪魔達が煽情的な衣装で踊る!
「5万D それでアナタも ワタシのシモベでしょ♪」
 挧々槞もピュアニカもレナもマナも踊る。今この時は猟兵でも、オブリビオンでもない。アイドルだ!
「今夜サイキョーライン降りた♪ 駅前の雨が止む前に♪」
「ワタシのシモベになる♪ 権利あげるから♪」
「「「今すぐ体験させてあげる♪ 凄くワルいミッション♪」」」
 一斉に囁く様なコーラスパート。音の厚みが違う! そして!
「「「ミュージックですにゃ♪ ダンス アンド ジャンプッ!!」」」
 256人が全く同じタイミングで一斉にジャンプ! 巨女の上の猫達も勿論ジャンプ! ポーズは違えど観客達も一斉にジャンプ! 全てが一斉に着地した瞬間、世界が割れる様な轟音と歓声!
「「激しく前後に動く♪ 実際順法行為♪」」
 各々がチームの特色を生かした淫靡な腰付きで前後に踊る!
「「激しく上下に動く♪ アナタは契約者♪」」
 右、左、右、左とテンポを合わせて左右に分かれたチームが一斉ジャンプ!

 一曲目は完璧な仕上がりだった。だが、まだまだライブは続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
他者の命や未来を歯牙にもかけない奴を
俺は許さない

けどまずは
最高のパフォーマンスで唸らせてやる

行動
ジョニーとデュオできるステージか
燃えるぜ

ジョニーの胸を借りるつもりで
けど委縮しないで(そんなことしたら失礼だ
俺という存在をしっかりと音に乗せる

最高の二重奏で
ステラ組はじめKNN256の歌や踊りを盛り上げる

UCも乗せて
よりキレのある踊りや迫力ある歌をお膳立てだ
…乱闘騒ぎになったら止めるけど

で当然、音を合わせる為にも必要だから
白猫の動きをしっかりと見て
目に焼き付ける

俊敏で正確な動きなら
動きのリズムやタイミングは却って読みやすいかも…?

けどまあ
今はこのライブを楽しむぜ
「カワイイ! ニャンニャン!」


レナ・フォレストキャット
【マナ(f10826)と一緒】
今回はライブにゃにょにぇ。
だから、全力で歌って踊るにょにぇ。
オブリビオンが、いかにゃる策であたし達を集めたのかは知らニャいけど、今回は成功させにゃいとにぇ。
だから、攻撃は避けるにょ。
仲間が傷ついたとかで戦闘発生した場合は、シンフォニック・キュアで回復させるにょ。
「にゃんにゃんにゃ〜ん」
マナと共に2人で両手をつないでくるくる回転したり、ぴょんぴょんしたりするにょ。

「♪木登りしてたら、うっかり、地面に墜ちるにゃん♪」

このまま、成功させて、この後はオブリビオン退治にょ。


マナ・フォレストキャット
【レナ(f10827)と一緒】
うにゃ、今回のライブだって言うから、確実に毛づくろい済ませておいたニャン。
今回の仲間たちと共に、ライブ成功させて、オブリビオン討伐出来るように頑張るんだニャン。
もちろん、パフォーマンスも確実に。レナと一緒にくるくると踊ったりしていく。
攻撃?あたしに当たりにくいニャン。
これが、UCの力だニャ。
「♪木登りしてたら、うっかり、地面に墜ちるにゃん♪」
このままいけば、ライブ成功するにゃ。
あとは、オブリビオンだけだにゃん。



●暫くカワイイをお楽しみください
 一曲目の熱気が冷め止まぬ中、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)とジョニー・シルバーキャットは二曲目のリフを弾く。
 徐々に盛り上がるビートサウンド。何かを掻き立てる様に高まるドラム。
「「「YES NO YES NO 枕YES♪」」」
 全員で囀るコーラス!
「「「YES NO YES NO 枕YES♪」」」
 一体感の無い動き。猫本来の自由さを前面に押し出している。
「「「YES NO YES NO 枕YES♪ YES、YES、YES、YES……」」」
 激しい動きの多かった一曲目からは転調し、スローテンポでそれぞれが猫本来の可愛らしさを前面に押し出した仕草を取る。
「アナタと毎日ニャンニャンさせてねー♪」
「ワタシはニャンニャンチャンなの♪」
 リードボーカルを務めるのはレナ・フォレストキャット(山猫協奏曲・f10827)とマナ・フォレストキャット(山猫交響曲・f10826)の天然猫娘シスターズ。カワイイね!
「「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」」
「「毎日ニャンニャンさせてねー♪ ニャンニャンさせてねー♪」」
 寝転がったり、両手でふみふみしたり、頭をすりすりしたり。踊りと言うより最早猫がただじゃれているだけのようだ。カワイイね。
「ユァーマイ ニャンニャン♪」「「ニャンニャンニャンニャン」」
「ウォーアイ ニャンニャン♪」「「ニャンニャンニャンニャン」」
「キミにー ニャンニャン♪」「「ニャンニャンニャンニャン」」
 その動きが徐々に収束され、高めたカワイイをそのままにダンス性を取り戻していく。
「「キミにー ニャンニャン♪」」「「ニャンニャンニャンニャン!」」
「「「カワイイ! ニャンニャン!」」」
 ファンの的確なコール&レスポンス!
「ニャンニャンキャット!♪」
「「ニャンニャンキャット!♪」」
 ポーズを決めながら歌う! カワイイね!
「ニャンニャンキャット!♪」
「「ニャンニャンキャット!♪」」
 可愛いポーズで対になったり、セットでポーズを取ったり。カワイイね!
「ニャンニャンキャット!♪」
「「ニャンニャンキャット!♪」」
 この辺はそれぞれの個性を強く押し出していくパートだ。カワイイね!
「ニャンニャンキャット!♪」「でもぉー」
「「ニャンニャンキャット!♪」」「ヤダぁー」
「ニャンニャンキャット!♪」「ウソー?」
「「ニャンニャンキャット!♪」」「ホントー?」
「ニャンニャンキャット!♪」「でもぉー」
「「ニャンニャンキャット!♪」」「ヤダぁー」
「ニャンニャンキャット!♪」「ウソー?」
「「ニャンニャンキャット!♪」」「ホントー?」
「いーけないんだーダメなんだー♪ せんせーとニャンニャンだー♪」
 レナとマナが歌ってるよ、カワイイね!
「いーけないんだーダメなんだー♪ せんせーとニャンニャンだー♪」
 二人で手を繋いでくるくる回ってるよ! カワイイね!

「「「YES NO YES NO 枕YES♪」」」「イェイイェイ!」
「「「YES NO YES NO 枕YES♪」」」「ニャンニャン!」
「「「YES NO YES NO 枕YES♪」」」「カワイイ!」
「「「YES NO YES NO 枕YES♪ YES、YES、YES、YES……」」」
 カワイイね!

●そして唐突にバトルになったりする
「「「カワイイ! ニャンニャン!」」」
 二曲目が終わり、ファンの熱気が昂る。
「おーおー、ステラ組よぉ! 今夜もお前らが主役って感じでイキってんにゃぁオイ!」
 サン組のセンターがマイクでディスり始めたぞ、カワイイね!
「実際主役だしぃ? バックダンサーはちょっと黙っててくれるかにゃぁ~?」
 ステラのセンターもイキり返したぞ! カワイイね!
「だぁれがバックダンサーだコラァ!」
「お前ら」
「ヤるかフシャァァァーー!!」
「上等キめてんじゃねーフシャァァァーー!!」
 耳と尻尾を立てて威嚇し始めたぞ! カワイイ、ね?
「まあまあ、喧嘩はその位に。今日は全員揃ってのライブなんですから」
 仲裁に入るムーン組のセンター。彼女は豊満だった。
「「外野は黙ってろ!」」
「誰が外野じゃフシャァァァァアアアッ!!」
 分かりやすくキレ散らかしたぞ! カワイイかな?
「戦争の時間じゃオラァッ!」
「「「ザッケンナコラーッ!」」」
 過激派ファンもステージに乱入だ! 彼ら、或いは彼女達はNYARDSと呼ばれる推しの為なら命も惜しまぬ危険な武装ファンだ。
「「「スッゾコラーッ!」」」
 ステラを、サンを、ムーンを守る様にNYARDSが展開し、戦争に加担しない組は後方でチェキ会を始めた。ジェアン組は踏み会もやってるぞ。

「って、アレ大丈夫なのか?」
 ウタは突然始まった乱闘騒ぎに止めに入るかを考えた。
「恒例行事さ。ははっ、ロックだろ?」
 ジョニー・シルバーキャットもゴツい大型拳銃を抜く。
「ライブステージは一時閉幕。ここから先はバトルステージだ」
「俺達はどうするんだ?」
「決まってる、戦りながら演るんだ」
「そりゃぁ、ロックだな!」
 ウタも焔摩天を抜いた!

「♪木登りしてたら、うっかり、地面に墜ちるにゃん♪」
 襲い来るNYARDSをひらりと避けるレナ。カワイイね!
「♪木登りしてたら、うっかり、地面に墜ちるにゃん♪」
 襲い来るNYARDSをつるりと避けるマナ。カワイイね!
 完全に戦闘モードに入ったがこの二人は手を繋いでくるくる回りながら歌い踊っている。たまに襲い来るNYARDSの攻撃はマナの【猫の毛づくろい】で回避。怪我人はレナの【シンフォニック・キュア】で治療。
「「にゃんにゃんにゃ~ん」」

「どうよ、このライブ。最高にカオスで盛り上がるにゃ~?」
「悪くは無いと思うぜ。滅茶苦茶だけど、これが悪魔の流儀って訳だ」
「ならさ……ここで、本気で殺し合うのは無しにしない? ほら、オビリビオンを一匹位逃がしても、カタストロフは起きないにゃんよ」
 それが狙いか。ウタは即座に理解した。確かに、ここまでのオブリビオンの行動からは戦うべき相手という理由を見付けられない。
「そうは行かない。他者の命や未来を、歯牙にもかけない奴を俺は許さない」
 ギターリフをキめながら、ウタは焔摩天を構える。
「にゃはは、猟兵としては当然の答え……さて、お仲間はどうかにゃ?」
「聞くまでも無いだろうさ」
 グレンが静かに歩み寄る。
「スタイリストがどう乱入するか考えてたんだが、そっちから舞台を用意してくれるならな。確かに至れり尽くせりだ」
「実際、アンタの思惑はコレなら茶番もいい所ね」
 挧々槞も『デコ魔王槌』を構える。くるくる踊りながら。
「猟兵とオブリビオンはこうなるしかないんだから」
「この後はオブリビオン退治にょ」
「オブリビオンだけだにゃん」
 レナとマナもくるくる回りながら参戦! カワイイね!
 ジョニー・シルヴァーキャットがハードロックなボス戦BGMを奏でながら、NYARDSに銃弾をブチ込んでいる。ブチ込まれた悪魔は倒れたが、悪魔は頑丈なので気を失っただけだ。悪魔凄いな。
「それじゃあ、フィナーレを始めるかにゃぁ?」
 銀猫、『ケイティ』はその爪をすらりと長く伸ばす。
「にゃは、命乞いはもう聞かにゃい」
 そして……混沌としたステージに姿を眩ませた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ケイティ』

POW   :    さっくりとイかせてあげるにゃん
【猫の爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    そんな攻撃は当たらないにゃー
【野生の直感と暗殺者としての経験で】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    気持ちイイ事、好きかにゃー?
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【蓄えられた快楽の感情】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ケイティ・ネクストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


◆ アナウンスン ◆
 第3章は混沌とするステージ上での標的オブリビオンとの戦闘になります。
 討伐対象はケットシーの体躯で素早く動き、人混みに隠れてしまうので余計な相手に攻撃を当てない工夫が必要です。あまりガチでバトルするとステージが冷めてしまうのでライブを成功のまま終わらせたければ適度に歌ったり踊ったりしてショーである事をアピールしましょう。
 また、相手は大量の『快楽の感情』をここまでのライブで貯めている為あらゆる行動に成功して来ます。
 この流れの癖に割とガチで強いオビリビオンですが、直接攻撃手段は近接攻撃の猫の爪しか持っていない所、ライブが続く限り根本的にこの場から逃げられない事、オブリビオンとしてもライブの失敗は避けなければならない事など付け入る隙はあります。
 また、『KNN256』や『はらぺこキャッツ』はその辺に居るので彼女達に協力を仰ぐのもいいかもしれません。

 6/17(木)9時からプレイング受付を開始します。それ以前に頂いたプレイングは採用できないのでご注意ください。プレイング受付期間はタグで表示します。
五ヶ谷・グレン
■場酔い
生のライブか、これは願いや欲望でくらくらするな。
まぁ、根本的に間違っている気がしないでもないけどなぁ。
流れ弾やこっちに来るのには結界術のカウンターでいなそう、正面からでなければ質量差で何とかなるはずだ。
UCでより輝きたいって願いでコロンを作ろう、
各組センターに吹きかける。
あー、後は勢いとか流れ任せになるな。カオスな中にセンターってバランスを崩す一手
「ケイティに今のお前らの推しが勝てないと思うか!?
お前らの愛を見せてみろ」と大声で煽る・
あと、ジェアン組のファン、わかりやすいな
「ケイティは裏切り者だ、捕まえたら体をゴムにする薬をやろう」
って言えばいいか?
これでケイティを消耗させれたらいいが


惑草・挧々槞
群衆に紛れる暗殺者とは厄介ね──ふむ。
閃いた。PAさん、音源宜しく。


まだライブの途中だろ 始まったばっかだろ!
手段でしかねぇにしてもお前何様系?
D(デビル)稼ぐバリバリ 世界壊す人非人
逃げずに来いよ!ステージ中央に立てよ扇動隊長(センターポジション)ーッ!


……何のつもりかって?一部界隈でBeefとか呼ぶアレよ。フリースタイルラップバトルを仕掛ける所存。

即興でライムを刻む為に頭を使わせて性的煩悩を徐々に薄れさせる策だけれど、敵が応じずとも構わないわ。UC効果で私への攻撃は弾けるし、聴衆を味方につければ隠れ辛く出来そうだから。
ワルい事好きな悪魔さん達の流儀に則って、軽妙にディスり続けましょう。



●Where’s the beef?
 忽然と姿を消したKNN256センターの『ケイティ』。
「ちっ、始まったか」
「全域警戒!」
 サンとムーンのセンターの対応は手慣れた物だ。もし、ケイティが本気でこの二人を殺すつもりなら即座に死んでいる。そうなってないと言う事はほど良い相手として生かされていると言う事だ。
 気に入らない。だからこっちは本気で殺す気で探す。だが見付からない。
「生のライブか、これは願いや欲望でくらくらするな……まぁ、根本的に間違っている気がしないでもないけどなぁ」
 そんな感想を言ったのは五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)
 NYARDSからの流れ弾やKNN256からの流れ猫を結界術で往なす。
 相手が正面から来なければ質量差でダメージにはならない。グレンはそう考えていたが、その判断は迂闊だと言わざるを得ない。身をもってそれを理解させられたのは咄嗟に倒れ込む様にしてドッジロールを行った後だ。
「……痛ぇな!」
 応急処置の軟膏を指に塗り、切られた首筋を押さえる。頸動脈に届く重度の裂傷。巨人でなければ首を刎ねられて即死、反応と回避が僅かにでも遅れていたらグレンの首も刎ねられていただろう。
「くそ、どこ行った?」
 しかも、襲撃者はどこから来て、どこに行ったのかが分からない。結界を張っていたおかげで来た方向だけは特定できたが、それだけだ。
「まともに戦おうとするとヤバい強敵だな」
 ペットとして飼われている猫、所謂家猫は何故あの大きさなのか。犬と猫はペットの双璧だ。犬は色々なサイズが居るのに対し、猫は様々な品種はあれど、大きさは大差が無い。その理由はただ一つ、シンプルだ。
 猫はこれ以上大きいと扱えない猛獣でしかないのだ。『ケイティ』は大きさこそ家猫と大差無い。だが、もし猫の爪や牙が刀の如く長く鋭ければ? それが伸縮自在ならば? しかも、猫であるが故に何処に居ても怪しまれない。
 猫はあまりにも暗殺向けの動物過ぎるのだ。
「群衆に紛れる暗殺者とは厄介ね──ふむ」
 元が化け猫の一種であるマドウクシャの妖怪、惑草・挧々槞(浮萍・f30734)はその性質を理解していた。張りつめ過ぎず、油断もせず。だが、動く物が多過ぎる。例え暗い森の奥でも動く物が少なければ動体視力で捉える事が出来る。だが、ここはライブ会場で乱闘の真っ最中。誰も彼もが動き回り、しかも挧々槞がグレンを襲う時に一瞬捉えた『ケイティ』は完全に猫に近い姿をしていて歌っていた時とはまるで別猫。次に来る時もその姿かは定かではない。
「ふふん、まともに戦おうとしたら勝てないわね」
「なら、どうするんだ?」
「こうするのよ」
 挧々槞はマイクを口元に近付ける。
「オイオイビビりか ヘタレアイドルか まだライブの途中だろ 始まったばっかだろ」
 その意図を瞬時に察したジョニー・シルバーキャットのギターがアドリブで伴奏を入れる。
「手段でしかねぇにしてもお前何様系? D(デビル)稼ぐバリバリ 世界壊す人非人」
「お前何も分かってねぇ お前こそ何様だ ライブ盛り上がりに 首突っ込む死にたがり」
 こうなれば、隠れたままではチキンである事を肯定してしまう。だから、姿を現すしかない。
「隠れ潜んでチマチマ狩るハント そんなんでアイドルなんて笑わせるキャット」
「真正面からステゴロなんてガキのケンカ 猫達ヤるのはマジのバトル」
 Beef、即ちラップバトルだ!
「マジでバトルをマジにライブに持ち込むな お前以外の猫皆マジにライブしてんぞ」
「マジにライブしてんのは猫も同じ お前らのダンスマジじゃねえのお分かり?」
「チートパフォーマンスなのマジお分かり ユーベルコード頼り切ってばっかり」
「それが悪魔のやり方デビルキング法(ロー)」
 熱いラップバトルで自然と周囲の騒動が収まっていく。挧々槞とケイティを中心に決闘場のようなフィールドが出来上がっていく。
「逃げずに来いよ! ステージ中央に立てよ扇動隊長(センターポジション)ーッ!」
 決めのリリックを放った挧々槞を歓声が包み込む!

「ケイティに今のお前らの推しが勝てないと思うか!? お前らの愛はそんな物か!」
 一方グレンはあえて群衆に入り込みNYARDSに呼び掛ける。
「ザッケンナコラーッ!」
「テメッコラーッ!」
 悪魔達は自ずと察していた。この戦いが、猟兵とオブリビオンの戦いである事を。
「こっちは頭空っぽにして楽しみたいからD払ってんだよ!」
「そうだろうさ。だから間違えるな 仕掛けるのはいつもオブリビオン 俺達猟兵 オブリビオンハンター」
「図体デカイデクノボー 態度もデカけりゃ世話無いカカシ」
「デカけりゃいいってもんじゃないが デカいのだってヤりゃ出来んだろ」
「「ニャァー!」」
 煌くネイルで華麗に踊る巨体、ジェアン組!
「ニッチな需要だっていいじゃない ニッチなファンはシリアスなNYARDS!」
「YOYOYO! 今夜のジェアンの輝き アンタのお陰なら 俺たちゃアンタの兵隊!」
「カマしてやろうぜ ニッチなNYARDS! 褒美は死ぬ程踏まれても死なないスペシャルなドラッグ!」
「「イェェァァァ!! そいつはマジかよぉ!」」
「マジにマジな話 ゴムみたいなボディで ニッチ堪能し放題」
「……で、マジな話するとどうして欲しい?」
「奴を潜伏させないフィールドを作って欲しい」
「聞いたかマイメン! 俺達作るマジにホットなフィールド!」
「猫一匹通さないだけのリング こんな簡単な事できなきゃNYARDSじゃねぇ!」

「……調子に、乗せ過ぎたかにゃー?」
 結果として、乱闘騒ぎはほぼ収まり猟兵とオブリビオンだけを取り囲む様にして即席リングが作られる。
「ま、いいけど。これで勝てると思われるのも癪だしそろそろマジにヤっちまうにゃ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナ・フォレストキャット
【マナ(f10826)と一緒】
うにゃっ!
相手が隠れながら襲いかかってくるのにゃら、回復させていくだけにゃにょにぇ。
たとえ、傷が付いても、仲間たちを回復しておければ、無傷と同じ意味にゃにょ。
だから、あたしは、歌を歌いにゃがら、傷を労るにょにぇ。

みんにゃ、自身の歌に聞き惚れてれば、いずれ、チャンスあるにょにぇ。
だから、後方で支援するにょにぇ。


マナ・フォレストキャット
【レナ(f10827)と一緒】
うにゃっ!
もちろん、敵の攻撃が来て当たっても、ダメージにならないように、毛づくろいを済ませておく。
それがUC。自慢ではないけど、毛皮がスベスベになれば、手が当たっても、滑っていくと思うにゃ。
あたしなんて、特に長毛種だから、爪が入っても櫛にしかにやらにゃいにゃ。
だから、最後まで歌って踊ることん集中できるニャン。
そして、歌が終わる頃になったら、猫属性の全力魔法(幻影の巨大猫を呼んで攻撃)でオブリビオンを吹き飛ばすニャン。
最後のフィナーレに相応しいと思うからにゃ。
うにゃにゃのにゃ〜〜〜


木霊・ウタ
心情
カタストロフは起こさせない
銀猫を海へ還す
勿論ライブも成功させるぜ

戦闘
ステラ組のケイティは今日で卒業だ
花道を飾ってやろうぜ
等と煽る

挑発に乗ってくれるんなら好都合
焔摩天の間合い内に入ったら
その全ての残像ごと薙ぎ払い焼き払う

否定しても
より注目が集まるだろうし(隠れづらくなるかも
ファンへ見せつけようと
ステージ中央での立ち回りが増えるんじゃないか

銀猫のリズムから
次の行動やその範囲を推測
その全空間を獄炎で満たす

それはワイルドウィンドの呼ぶ焔嵐だったり
獄炎纏う焔摩天の剣風だったり
ステージを翔ける鷹サイズの迦楼羅だったり

そのまま灰に帰す

事後
高見を目指す姿勢は流石だったぜ
安らかにな

餞の旋律でライブを盛り上げ



●理論上どんな相手でも必ず勝てる戦法
「うにゃっ!」
 レナ・フォレストキャット(山猫協奏曲・f10827)は依然変わらずくるくる回りながら歌っているよ。カワイイね!
「相手が隠れながら襲いかかってくるのにゃら、回復させていくだけにゃにょにぇ」
 【シンフォニック・キュア】歌声を響かせ、共感する全ての対象の傷を癒すユーベルコード。
「うにゃっ!」
 マナ・フォレストキャット(山猫交響曲・f10826)も相変わらずくるくる回りながら踊っているよ。カワイイね!
「もちろん、敵の攻撃が来て当たっても、ダメージにならないように、毛づくろいを済ませてあるにゃ」
 【猫の毛づくろい】ペロペロ舐める事で摩擦抵抗を極限まで減らす、つまり物理攻撃に高い耐性を得る事が出来るユーベルコードだ。
 ケイティは強い。だが、幾つかの明確な弱点がある。その一つが近接物理攻撃しか持っていない事。
 レナへと弾丸の様な速度で飛び掛かったケイティにマナが割り込んで攻撃を逸らす。
「あたしなんて、特に長毛種だから、爪が入っても櫛にしかにやらにゃいにゃ」
「そうだね、その毛は少し厄介だにゃ」
 ざりっ、と。マナの自慢の長毛が刈り取られた。文字通りに。
「にゃんと言う事を!」
「あはっ、このままマルハゲにしてやるかにゃー?」
 その爪は鋭い刃物その物。確かに、一方向からの斬撃は摩擦抵抗により逸らされる。だが、二方向から挟むようにして重ねた斬撃は鋏となってその毛を刈り取ってしまうのだ!
「そうはさせないぜッ!」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が『焔摩天』を振り抜く。斬撃の軌跡が炎の嵐となってケイティを包まんとする! だが。
「遅いにゃ」
 ありとあらゆる行動に成功する。それは当然回避にも使える。元から高い回避能力をさらに増強してほとんど空間跳躍じみた速度での回避。
「ステラ組のケイティは今日で卒業だ。花道を飾ってやろうぜ」
 だがウタは動じない。『焔摩天』をケイティに突き付けて堂々と宣言する。
「お前が猫を倒せたらそうしてやってもいいにゃ」
 そう言った、次の瞬間には既に足元に。
「出来るならにゃ」
 ガードも回避も間に合わない。回避だけではない、命中もとんでもない速度と精度で実行される。
 だからウタは避けようとも受けようともしなかった。相打ち覚悟の振り下ろし一閃! 鋭利な爪がウタの腸を裂く。だが、そこから溢れるのは血ではなく獄炎!
「ちっ」
 介錯を諦め飛び退いて獄炎から逃れるケイティ。その傷をレナの歌声が即座に癒す。
「むちゃしちゃだめだにゃ!」
「ありがとう、これで大丈夫だ。回復してくれるなら死にはしない」
 ウタは不敵に笑う。大丈夫とは言ったが、明らかにダメージの方が大きい。あの攻撃を何度受けられるか、当たり所が悪ければ即死もあり得るのか。ギリギリの綱渡りだが、そういう時ほどあえて笑わなくちゃならない。
「獄炎を切れる物かよ、その前に焼き尽くすぜ!」
 不屈の意志と、見守る人を不安にさせない為に。
 ほとんど、何の音も立てずにレナに肉薄するケイティ。
「じゃ、こっちから殺すにゃ」
「それだけはさせないにゃ!」
 マナのインターセプト! 刈られた毛が飛ぶ。だが、無事である! そして、先に失った毛は半分ほど生え変わっていた。
 【シンフォニック・キュア】は受けた傷を癒す。それが傷であるなら、癒す事は出来る!
 ウタが『ワイルドウィンド』を掻き鳴らすと激しい獄炎の嵐が巻き起こる! 隙間なき全方位攻撃! さらに、【翼のメロディ】と【サウンド・オブ・パワー】を同時発動! ご機嫌なギターサウンドにジョニー・シルヴァーキャットがセッションする!
「速度を5分の1にするえげつないユーベルコードだけど」
 だが、ケイティはそれにも対応する! フラメンコめいた情熱的ステップを刻む!
「楽しんじゃえばこの通り!」
 そのままブレイクダンスめいた動きへ繋ぎ、殺人ヘルコプターめいたウィンドミル旋回を続けながら高速接近!
「リズムに乗るって事は」
 だが、ウタも対応する!
「動きが読めるって事だぜ!」
 操る獄炎が高密度、高温化し赤黒く焼却する!
「このまま仲良く釜茹で地獄と洒落込もうぜ!」
「ちぃ……!」
 確かに、ケイティはどんな攻撃でも猫の頭一つ通る隙間があればそこから避けられる。だが、根本的に避ける隙間が無い攻撃を無力化する手段は、無い! しかも、この【ブレイズブラスト】は選んだ対象にしか効果を発揮しない!
 最小限のダメージで抜けるか? だが、何処に? この状況で群衆に紛れるのは最早腹出し降参に等しい屈辱。それこのライブのDを掠め取り儀式を成功させる事を諦める事を意味する。
 それでは何の意味も無い。ここまで不都合なメンバーを間引く程度で済ませてグループの勢力拡大を図ったのは何の為か。カタストロス、この世界の崩壊。
 思考した時間は0.1秒に満たない。だが、0.1秒の隙を猟兵相手に晒したのは不覚だった。
 ウタが獄炎を纏い、迦楼羅の如き炎の鷹となって突撃してきたのだ! これを咄嗟に避ける。避ける先に獄炎の壁!
「ぐっ!」
 身を焦がす炎。凡そ最小限とは言えない、無様な回避だ。
「ここよ」
 挧々槞が脚に燃える車輪を発現させ、本気の速度で追撃を仕掛ける。【輪転天輪】(ケルビムチャクラム)だ! 空中のケイティに『デコ魔王槌』を叩き付ける!
「まだ、にゃ!」
 叩き付けられる前に鎚を蹴り跳躍! 跳ねるボールめいて距離を取ろうとするがそこにグレンの巨人ボディプレス!
「ここで逃がしはしないぞ」
 潰される前に走り抜ける! だが、この高温化では大きく動けば動く程身を焼かれる! 猟兵も直接焼かれる事は無いが、高温に晒されている事は事実。
「ここがチャンスだにょ!」
 そのダメージはレナが癒す! それがダメージなら癒す事は可能! その恩恵を受けられないのはオブリビオンのみ!
「チャンス、だと」
 そんな物は無い。次で殺す。本気で殺す。まずはこのデクノボーの頸動脈を切断し、首を刎ねて――そこまで考えた所で唐突に転倒!
「何ぃ!?」
「摩擦を奪うニャン」
 着地しようとした足元にマナが滑り込んだ!
「ガードを、空けたッ!」
 それは、レナの守りが無くなったという事。ならばそちらから殺す。だが、そうはならない。
「守る必要が無くなったんでな!」
 ウタが獄炎を纏い、突撃!
「うにゃにゃのにゃ〜〜〜!」
 マナが猫属性の全力魔法で幻影の巨大猫を召喚し猫ぱんち!
「フニャーッ!?」
 体勢が崩れたのは一瞬。ならば、この一瞬で決めるのみだ!

●サウンド・オブ・猫の押して駄目ならイマージナリー・アッシュ
「今がチャンスにょ! 皆、ここで決めるにょえ!」
 レナ・フォレストキャットのサウンド・オブ・パワー!
 透き通る歌声が猟兵達を奮い昂らせる!
「もう逃げられないにゃ!」
 マナ・フォレストキャットの猫の毛づくろい!
 ケイティの脚をぺろぺろして摩擦を奪い、一切の回避を封じる!
「……本気で殴るから、覚悟しなさい」
 惑草・挧々槞の押して駄目なら叩いて砕く(プルズ・アルトラ)!
 超暴力の一撃があらゆる行動の成功を粉砕する!
「魔女の力の本質は、祈りや願いを掴み取る力だ」
 五ヶ谷・グレンのイマージナリー・びったんびったん(マジョトシテチカラモチトシテ)!
 ケイティのアイドル性を掴み、無理矢理叩き付ける!
「高見を目指す姿勢は流石だったぜ、でもな!」
 木霊・ウタのブレイズアッシュ!
 地獄の炎がカタストロフの未来を焼き払う!

「サ・ヨ・ニャ・ラ!」
 『ケイティ』は爆発四散! 猟兵達の完全勝利だ!

●まだ終わりじゃない
「「「ウォーッ!!」」」
 時間としてはさほど長くは無い。一瞬の攻防は悪魔達でも全てを理解出来る物では無かっただろう。だが、熱く激しい戦いが終わった事は理解できた。
「ステラのセンターが卒業だ!」
「ムーンの時代だにゃ!」
「いや、サンの時代にゃ!」
「フシャァァァーーーッ!」
「ウニャァァーーーッ!」
 まあ、ここまで激しい戦いではなかったにせよKNN256にとって乱闘騒ぎはいつもの事。だが、ジョニー・シルヴァーキャットのギターリフが響くと、KNN256は争いをやめ、己のポジションへと戻る。
「にゃぁごぉ~~~」
「うにゃぁぁぁ~~~ごぉぉぉ~~~なぁぁ~~ん」
 空いたセンターには自然と、レナとマナが収まっていた。ウタもこれが餞とギターを弾く。
「「「ちきらんちきらんちきらんちきらん♪」」」
「「「ちきらんちきらんちきらんちきらん♪」」」
「独りピンクの唇」「にゃ~ご」
「塗り直した真夜中」「にゃ~ご」
「今夜は来る? 来ない? 乾いてく」
 NYARDS達も客席に戻り歓声を上げる!
「何枚花弁千切って」「り~んり~んり~んり~ん」
「辛抱バラバラなりそう」
「「捕らわれの家畜!」」
「「「ちきらんちきらんちきらんちきらん♪」」」
「「「ちきらんちきらんちきらんちきらん♪」」」
「少し八方美猫で」「にゃ~ご」
「すぐに抱けると噂」「にゃ~ご」
「哀れ堕落するなら」「その手で奪って!」
「本望!」「「本望!」」
「もう愛憎ぐるぐる堪らない」
「憂いで」「「憂いで!」」

「うにゃ~ん」

「熱く蝶々乱舞の焦れったい♪」「「呪縛 呪縛 呪縛 呪縛」」
「赤いリードで結ばれたい♪」「「木天蓼 木天蓼 木天蓼 木天蓼」」
「三瀬峠 俵坂」「越えて」「地獄だって会いに来て」
「風」「吹かれ」「霞」「逃れ」「「来なさい♪」」

 再開したライブは何事も無かったかのように大いに盛り上がった。
 こうして、カワイイニャンニャン256のライブはいつものように大いに盛り上がって幕を閉じた。もちろん、カタストロフなど起きる筈もなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月22日


挿絵イラスト