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大祓百鬼夜行㉕〜天空に花月

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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 月が、啼いている。

 割れた満月から、はらり、ひらりと舞い降るのは、数多のはなびら。
 いや……はなびらに見える、カタストロフの欠片。
 究極妖怪『大祓骸魂』はこの世界で最も月に近い天空から愛しき世界を眺めていた。
『愛しきUDCアース あなたを思う 私の愛は揺るがない』
 ――だから 私は帰って来たのです、と。
 そして……あとひと刺しで、彼女の願いは叶うのだ。
 滅びの月光を仰ぎ見、愛しき世界の景色を見下ろして。
 そっと握る懐刀『生と死を繋ぐもの』を手に、『大祓骸魂』は愛しげに紡ぐ。

『愛するUDCアース あなたを永遠にしたい』

●天空の月見
「カクリヨファンタズムとUDCアース、ふたつの世界の滅びを阻止するべく、これまでいくつもの戦争を駆け抜けてきたが……これが、最終決戦となる」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はそう告げた後、視えた内容を語り始める。
「東京スカイツリーの最上部に設置された、アンテナが収納された高さ約140mの巨大構造物、それが「ゲイン塔」であるが。そのゲイン塔に「大祓骸魂」が現れた」
 大祓骸魂は、その膨大な「虞」によって、東京上空を「カクリヨファンタズムが如き空間」に変化させて。今回の戦争に存在した「あらゆる手段」を行使して襲いかかってくるという。
「今回は、「大祓骸魂」の力によって、再び割れた満月から恐るべき「カタストロフの幼生」が生まれようとしていることが予知された。それを消滅させるには「お月見」を行なう必要がある。月見が楽しく終われば幼生は消滅し、満月は元に戻るので。月が割れている光景を必死に無視しつつ、美しい月だと思い込みながら、お団子を食べたり語らい合ったり、月見を楽しんで欲しい」
 最終決戦の地であるこの場所は、UDCアースの景色が一望できる、最も天空に近い東京スカイツリーの最上部。月が割れていることを気にしてはならないが、煌めくUDCアースの夜景を眼下に、月見が楽しめるだろう。
「それにツリー内では、妖怪串入道が臨時屋台を開いて、色々な味の絶品団子を振舞ってくれるというので。美味な団子や飲み物と共に、暫し月見に興じて欲しい」
 東京スカイツリーの展望デッキから臨む光景は、幼生の影響を受けてか、数多の花弁が舞い降っているように見えるという。
 月が割れていることを意識せず、美味しく団子を頂いたり、わいわいと賑やかにでも、静かにまったり物思いに耽てみたりでも、誰かと語らい合ったりでも、読書や編み物やゲームなど好きなことをしたりでも……思い思いに、月の夜を楽しんでくれれば。
 割れた満月から生まれんとしている「カタストロフの幼生」を消滅させ、「大祓骸魂」にダメージを与えられるだろう。
「5月の満月を、花月と呼ぶが。多くの花が咲くこの時期にちなんでいるという。そして戦争も最終局面。ふたつの世界を救うためにも、よろしくお願いする」
 清史郎はそう皆へと頭を下げてから。
 満開桜のグリモアをその掌に咲かせ、月に最も近い天空へと猟兵たちを導く。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いいたします!

 こちらは、1フラグメントで完結する「大祓百鬼夜行」のシナリオです。
 プレイング受付は【5/29(土)朝8:31~5/30(日)23:59迄】です。
 追加冒頭はありません。

●プレイングボーナス
 幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ。

●シナリオ概要等
 満月が割れていることを無視しつつ、楽しくお月見していただく内容です。

 場所は、最終決戦の地となっている東京スカイツリーの最上部。
 UDCアースの夜景と花弁の様に欠片降り注ぐ満月を眺めつつ自由にお過ごし下さい。

 展望デッキには、妖怪串入道が臨時屋台で串団子を振舞ってくれます。
 定番の三食やみたらし、あんこ、海苔や胡麻などの団子は勿論。
 ちょっと変わった味や、見た目だけでは分からない遊び心ある激辛や激甘団子まで。
 リクエストに応えて串団子を好きなだけ提供してくれるかと思います。
 串入道は骸魂に飲み込まれていない無害な普通の妖怪です。

 成人以上であれば各種お酒もありますし。
 酒ではないお茶やジュース、珈琲や紅茶などの各種飲み物もあります。
 とにかく、お月見を楽しめば幼生を消滅させられますので。
 思う存分、ご自由にお過ごしください!
 お一人様でまったりマイペースにでも、大勢でわいわいでも。
 仲良しさんと分け合いっこでも、カオスでも……どうぞお好みでご自由に!
 「大祓骸魂」への攻撃に関しては、ひとこと「倒します」と記していただくか。
 ユーベルコードをご指定いただくだけでも構いません。
 月見を全力で楽しんでいただいて大丈夫です。

 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 期間内に送信頂いた内容に問題のないプレイングは全採用の予定ですが。
 戦争終結までの完結を目指していますので、必ず採用ではないことご了承下さい。

 どうぞお気軽にご参加ください!
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第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:菱伊

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

斬断・彩萌
来たわよ、大祓骸魂ちゃん!

折角だから一緒にお月見しな~い?
えっ、そんな暇ないって?
仕方ないなぁ…じゃあ勝手に楽しんでるね
団子はみたらしが好きなんだけど、黒ゴマも好きなのよね
いただきまぁ~す!
うむうむ、美味しい団子に美しい月!
あーあ、これで成人してたら「月見酒が進む~」とか言えたのになぁ
ま、それは来年まで我慢するわ。あ、お茶貰うわね
ふぅ…なんだかこんなのんびりしてて良いのかしら
私としてはすごく楽…ゴホン、やりごたえがあるけど
月かぁ。そういえばUDCではこの前皆既月食あったのよ
こっちの月にもそういうことはあるのかな?

なぁんてね
お腹いっぱいで元気100倍!
今度は違う姿で会えるといいわね

【倒す】



 夜空にぽっかりと浮かぶのは、大きな弧を描く満月。
 ただ、まるで泣いているかのように、はなびらの如き幼生の欠片が零れ落ちている。
 割れた月の裂け目から、はらはらと。
 そして高い天空から、究極妖怪『大祓骸魂』はUDCアースの地を見下ろしていた。
『愛しきUDCアース あなたを思う 私の愛は揺るがない』
 ――だから 私は帰って来たのです、と。
 そんな彼女のいる天空……スカイツリーゲイン塔に。
「来たわよ、大祓骸魂ちゃん!」
 颯爽と誰よりも早く駆けつけたのは、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)。
 そして彩萌は、はらはらと満月の割れ目から光の花弁零れ落ちる様を見つめる大祓骸魂へと、声を掛けてみる。
「折角だから一緒にお月見しな~い?」
 けれどそんな言の葉を向けても、答えも反応も返ってこず。
「えっ、そんな暇ないって? 仕方ないなぁ……じゃあ勝手に楽しんでるね」
 貰ってきた団子を早速、いただきまぁ~す!
「団子はみたらしが好きなんだけど、黒ゴマも好きなのよね」
 ――うむうむ、美味しい団子に美しい月!
 そうもきゅもきゅと、みたらしも黒ゴマも、どちらも美味しく頂きながらも。
 ひとつだけ、ちょっぴり残念に思うのは。
「あーあ、これで成人してたら「月見酒が進む~」とか言えたのになぁ」
 大きな月を臨みながらの一杯が、まだ楽しめないこと。
 けれど、そんなふわふわほろ酔い気分を味わえるまで、あともうちょっとだから。
「ま、それは来年まで我慢するわ。あ、お茶貰うわね」
 とりあえず今日は、団子に良く合うお茶で楽しむことにして。
 優しい甘さ広がる団子たちを再び口にしてから、お茶を飲んで……ふぅ、と一息。
「……なんだかこんなのんびりしてて良いのかしら。私としてはすごく楽……ゴホン、やりごたえがあるけど」
 楽しくお月見することなんて彩萌にとっては容易……もとい、お手の物だから。
「月かぁ。そういえばUDCではこの前皆既月食あったのよ。こっちの月にもそういうことはあるのかな?」
 そうふと天を仰いだ先にある、まあるいお月様を見つめてから。
 ……なぁんてね、って、はむりと残りひとつの団子を完食すれば――お腹いっぱいで元気も100倍!
 懐刀「生と死を繋ぐもの」を以って、愛するこの世界を殺さんとする彼女へと。
 淡く照る花月の下、サイキックエナジーと言の葉を彩萌は向ける。
 ――今度は違う姿で会えるといいわね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「例え相容れなくても、貴女の愛も真の愛なのでしょう。私達も…骸の海に浮かぶ泡沫の、此の世界を愛しておりますから」

屋台全制覇しつつUC使用
飲み物食べ物片手に食レポ的な歌を即興で歌ったり月見の歌、月に関する歌、愛の歌、楽しいお祭りの歌を歌い、うっかり割れた月を見て怯んだりダメージを受けたりした人を気付かれないよう癒して月見に全力参加できるようフォローする

激辛団子と激甘団子を交互に食べて目を白黒させたり大好きなずんだ餅を串で食べてほっこりしたりお酒をそこそこ呑んで微酔いになりながら歌い続ける

月見上げ酒杯掲げ
「私達は、此の世界を貴女には譲りません。月への愛と共に…貴女を海へ、還しましょう」
杯干し歌う



 天空から見下ろす景色を飾るのは、数多の星の如き輝き。
 そのひとつひとつが、この世界に生きている人たちが灯している光で。
 それはとても、尊くて愛しい。
 だから、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は否定しない。
「例え相容れなくても、貴女の愛も真の愛なのでしょう。私達も……骸の海に浮かぶ泡沫の、此の世界を愛しておりますから」
 究極妖怪『大祓骸魂』の、彼女の抱く愛を。
 この世界……UDCアースを愛しいと思う、その心を。
 それと同時に、わかってもいるのだ。
 決して相容れないということも、彼女を討たなければいけないことも。
 けれどその前に、やることがある。
 割れた満月の裂け目から、カタストロフの幼生が生まれ落ちるのを防ぐために。
 今は、全力で月見を楽しむこと。
 早速桜花は、串団子を提供してくれる妖怪串入道の屋台へと足を向けてから。
 定番のみたらしや三食、餡子は勿論、何だかちょっぴり変わったものまで。
 屋台に並ぶ団子をとにかく全制覇!
 団子に良く合うおすすめの飲物も一緒に、蕩けるような淡い甘さが絶妙です~♪ なんて、食レポ的な歌を即興で歌ったり。
 月見の歌や月に関する歌は勿論、愛の歌に楽しいお祭りの歌……聴く人が楽しい気持ちになる歌を、次々と口遊んで。
 うっかり割れた月を見て、怯んだりダメージを受けたりした人を見つければ。
 ――慈しみを知る方々に……届け慈雨の桜唄。
 そっと込めるのは、傷付いた人を守り癒したいという願い。
 すかさず気付かれないよう癒し、月見に全力参加できるようフォローする桜花。
 その間もきちんと、月見を楽しむことも桜花自身忘れていません。
「……っ、!?」
 瞬間、はむはむとふたつの団子を交互に口にすれば、目が白黒……!?
 そう、それは激辛団子と激甘団子!
 そのお口直しに大好きなずんだ餅を串で食べてほっこりしたり。
 大きな円を描く月の下、酒もそこそこ呑んでほわり、微酔い気分になりながらも桜花は歌い続ける。
 愛し気に懐刀を握りしめ、愛する世界を一刺しにして殺さんとする大祓骸魂の目論見を打破するために。
「私達は、此の世界を貴女には譲りません。月への愛と共に……貴女を海へ、還しましょう」
 はらはらと花弁の如き欠片を零れ落とす満月を見上げ、今宵の花月に酒杯掲げながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リインルイン・ミュール
うーん、良い景色ですネ!
こんな高所からUDCアースの街を見たことは無かったです
月光花弁も辺りに美しく満ちていて、ええ、大変きれいなお月様ですヨ

さて、お団子も食べた事はないので……すみません店主サン、初お団子チャレンジにオススメのものはありますか?
先ずは2本頂きたいと思いマス!

景色が良い感じに見渡せる場所まで移動したら、貰ったお団子を、首辺りに作った口に入れてもぐもぐ
やっぱりオススメだけあって美味しいですね! ゆっくり味わって、食べ終えたらまた貰いに行きまショウ
次は他の味にも挑戦しましょうカ

……この夜景を作っているのもヒトです
その営みを守る為、滅びを防ぐ為にワタシは戦いたい。改めて、そう思います



 この世界をこれまで巡ったことは、幾度もあるのだけれど。
「うーん、良い景色ですネ!」
 ふと眼下に広がる街を見下ろしながら、リインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)はこくりとひとつ頷く。
「こんな高所からUDCアースの街を見たことは無かったです。それに、月光花弁も辺りに美しく満ちていて」
 ――ええ、大変きれいなお月様ですヨ、って。
 満月が割れて、いまにもカタストロフの幼生が生まれ落ちんとしていることは、気にしないようにしながらも。
『愛するUDCアース あなたを永遠にしたい』
 愛し気に紡ぐ究極妖怪『大祓骸魂』の思惑通り、この世界を殺させるわけにはいかないから。
 だから今は目一杯、月見を楽しんで。割れた満月を元に戻すことが先決。
 ということで、リインルインが早速向かったのは。
『いらっしゃい、好きな串を言ってくれな!』
 串団子の臨時屋台を開いているという、妖怪串入道の元へ。
 そして早速、こんなリクエストを。
「さて、お団子も食べた事はないので……すみません店主サン、初お団子チャレンジにオススメのものはありますか?」
『串団子、食べた事ないのかい? ならやっぱり定番かなぁ』
「先ずは2本頂きたいと思いマス!」
 初めてならとびきり美味しい団子を食べさせてやりたいからな、と。
 串入道が選んだのは、月見といえば定番の三食団子とみたらし団子。
 そして、この三食は桜が咲く順番や早春を表していると言われてるんだぜ、と蘊蓄も忘れずに聞いた後。
 団子を手にきょろりと視線巡らせれば、見つけたのは景色が良い感じに見渡せる場所。
 そこに落ち着けば、貰った団子を首辺りに作った口に入れて、もぐもぐ。
「やっぱりオススメだけあって美味しいですね! 」
 みたらしはとろりと甘くて濃い味わいで。
 三色団子はそれぞれ、ピンクが梅、白がすあま、緑はヨモギと、違う味を楽しめて。
(「ゆっくり味わって、食べ終えたらまた貰いに行きまショウ」)
 ……次は他の味にも挑戦しましょうカ、とそう小さく首を傾ければ。
 改めてふと見つめるのは、UDCアースの夜の景色。
 夜であるはずなのに、淡く照る大きな満月に負けじとキラキラ輝く数多の宝石の如き光。
「……この夜景を作っているのもヒトです」
 それは、この世界に生きている人がひとつひとつ灯した煌めき。
 そしてリインルインはその数多の輝きを前に、改めて思うのだった。
 割れた満月からキラキラ降る欠片が舞う中――その営みを守る為、滅びを防ぐ為にワタシは戦いたい、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎

手持ちの飴を媒体に固有結界・黄昏の間を発動
4種の疑似精霊達を同時召喚する
今回は日頃から世話になりっぱなしの疑似精霊達にお礼も兼ねて一緒に月見を楽しもう!

【大食い】なので串団子を一通り頼んで食べまくる
お酒も少しくらいならいいかな?
弱い方だから少し飲めば酔っちゃうだろうけど
飲み過ぎて意識が途絶えちゃうと疑似精霊達を維持出来ないから、ほんの少しだけ

いつも本当に世話になってる
疑似的な存在とはいえ、大事な仲間だからね
これからも力を借りる事も多いだろうけれどよろしくね

精霊達とは使役するという関係を越えて仲良くありたいと思うから
今日は一緒に目一杯楽しもうね!



 UDCアースの雲一つない今宵の空に浮かぶのは、淡く光る大きな満月。
 けれど、まあるい円を描いたそれには亀裂が入っていて。
 はらりひらりとその割れ目から零れ落ちるのは、カタストロフの幼生の欠片。
 だが……今はそれを、気にしてはいけない。
 満月が割れていることを無視しつつも、全力で月見を楽しむこと。
 これが、生まれ落ちんとしているカタストロフの幼生を消滅させ、割れた月を元に戻せる手段だというのだから。
(「今回は日頃から世話になりっぱなしの疑似精霊達にお礼も兼ねて一緒に月見を楽しもう!」)
 刹那、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)がそう抜かりなく発動させるのは、手持ちの飴を媒体にした固有結界・黄昏の間。
 そして4種の疑似精霊達を同時に喚べば……共にいざ、月見に興じることに。
 ええ……月見といえば、まず欠かせないのはこれです!
 それは、美味しいたくさんの串団子。
 団子を提供してくれるのだという妖怪串入道の元へと足を運べば、とりあえず全ての種類お願いして。
「お酒も少しくらいならいいかな?」
『おにーさん、美味しい酒もあるよ!』
 そんな店主おすすめの酒も、ほんの少しだけ。
 飲み過ぎて意識が途絶えてしまうと、疑似精霊達を維持出来ないから、ほどほどに。
 そして、みたらしにずんだ、黄粉に海苔に三色団子等々……酒をちょびちょびとやりながらも、一通り団子をはむはむ、もぐもぐ。
 大食いの真価を如何なく発揮して、こんもりあった串団子もぺろり。
 はむりと団子を口にしながらも、ひりょは改めて、疑似精霊達へとこう紡ぐ。
「いつも本当に世話になってる。疑似的な存在とはいえ、大事な仲間だからね」
 ……これからも力を借りる事も多いだろうけれどよろしくね、って。
 確かにこの精霊達とは、使役をするという関係性なのであるけれど。
 でも……よりお月様に近い天空から、美しいUDCアースの景色を肴に一杯。
 それを越えて仲良くありたいと、ひりょはそう思うから。
 ひょいっと団子を頬張って、酒も楽しんで、心行くまで月見を全力で満喫する。
 天を仰ぎ大きな月を眺め、精霊達へと笑み向けながら。
 ――今日は一緒に目一杯楽しもうね! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
サージェさん(f24264)と

高層タワーの屋上でお団子っていうのも、粋、なのかな?

月は変わらず綺麗だし、
大きく見えるのは気分かもだけど、すこし得した感じだね。

お月見と夜景を楽しむってことだけど、
どうしても花より……月より団子になっちゃうかな。
「それじゃちょっともらってくるね」

サージェさん、甘いのと辛いの、どっちが好きかな?
みたらしと、磯辺、吉備、あとはずんだ、と。
お気に入りがあるといいんだけど。
「おまたせ。見繕ってきたけどこれでよかったかな?」

って、サージェさんのほうがお団子よく知ってたかも?

あ、でも選んでくれたお茶おいしい。
さすが『クノイチ』だね。

次はサージェさんのお勧め、教えて欲しいな。


サージェ・ライト
【錫華(f29951)さん】とデートしまーす

わー、本当に月が綺麗ですねー
……よし、月が割れていますが、全力で無視する方向で!
しかしこれが大人の余裕ですか錫華さん全然動揺してないんですけど!?
いえ、私もクノイチらしく落ち着きましょう
やっぱりお月見と言ったらお団子ですよねー♪(全然落ち着いてない

あ、甘い方が好きでーす
なんでもいけまーす
いえいえ、錫華さんに選んでもらうことに意味があるのです
ふふ、選んでもらったお団子おいしー!

そんな私はお茶をご用意しました!
粗茶ですが!(しかも買ってきたやつ)
やっぱりお団子にはお茶ですよねー

それじゃ今度も食べ歩きいきましょう
美味しいものが待ってますよー!



 雲一つない夜空にぽっかりと浮かぶのは、まんまる大きなお月様。
 そんな、淡い光を降り注ぐかの如き満月を見上げて。
「わー、本当に月が綺麗ですねー」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)が言う様に、確かに見上げる月は綺麗だ。
 綺麗、なのだけれど。
(「……よし、月が割れていますが、全力で無視する方向で!」)
 くるり円を描く満月は、ぱかりと割れていて。
 割れ目から零れ落ちるのは、はらはらと花弁の如き舞う輝き。
 今回は、カタストロフの幼生が生まれんとしている割れた満月など、あたかもないかのように。
 必死にこれはただの月だという素振りを見せながら、月見を楽しまなければならないという。
 ちょっぴり気にはなるけれど、でも頑張って割れた月を無視せんとサージェは試みるも。
「高層タワーの屋上でお団子っていうのも、粋、なのかな?」
 そうくるり視線を巡らせ、妖怪串入道が他の皆に団子を振舞っている様子を見た後。。
「月は変わらず綺麗だし、大きく見えるのは気分かもだけど、すこし得した感じだね」
 ふと、空を仰ぎ言った支倉・錫華(Gambenero・f29951)の様子に、思わず瞳をぱちくり。
(「錫華さん全然動揺してないんですけど!?」)
 これがもしかして、大人の余裕というものか。
 そんなことを思いながらも、サージェは微かふるりと首を横に振って気を取り直す。
(「いえ、私もクノイチらしく落ち着きましょう」)
 そう……何て言ったって、いつだって沈着冷静な、世を忍ぶニンジャなのだから。
「やっぱりお月見と言ったらお団子ですよねー♪」
 全然落ち着いていません……!?
 そして、そんな何気に団子にうきうきなサージェの姿に、錫華は思う。
(「お月見と夜景を楽しむってことだけど、どうしても花より……月より団子になっちゃうかな」)
 だが、今回はそれでもいいのだ。
 とにかく月が割れているのを無視して、全力で楽しめばいいということなので。
「それじゃちょっともらってくるね」
 錫華が早速向かうのは、妖怪串入道の臨時屋台。
 だってやはり、月見に団子はつきものですから。
「サージェさん、甘いのと辛いの、どっちが好きかな?」
 とろーり甘辛いタレがかかった王道のみたらしに、くるりと海苔が巻かれた磯辺、きなこがよく塗された吉備、それに緑が鮮やかなずんだ。
 ……お気に入りがあるといいんだけど、と。
 そう、ちらりと様子を窺うように眼前の彼女へと視線を向ければ。
「あ、甘い方が好きでーす。なんでもいけまーす」
 貰ってきた味の違う団子をずらり並べてみつつも、返ってきた声に微か首を傾け、錫華は続ける。
「おまたせ。見繕ってきたけどこれでよかったかな?」
「いえいえ、錫華さんに選んでもらうことに意味があるのです」
 サージェは取って来て貰った団子をくるりと一通り見回してから。
 やはり、一等甘そうなみたらしを手にして……ぱくりっ。
「ふふ、選んでもらったお団子おいしー!」
 刹那、ぱあっと咲くのは、ほっぺが落ちそうなくらいの満面の笑顔。
 勿論その団子の味自体も美味しいのだけど……錫華に選んで貰ったものとなれば、また特別に美味しい気がする。
 そしてもぐもぐと口に広がる甘さを堪能しながらも、サージェがすちゃっとすかさず出したのは。
「そんな私はお茶をご用意しました!」
 ……粗茶ですが! と。
 コトリと置かれたのは、二人分のお茶。
 月見には団子が、団子にはお茶が欠かせません!
 その茶が、たとえ買ってきたやつであったとしても。
「やっぱりお団子にはお茶ですよねー」
 それから、ほこほことそうお茶を飲むサージェに、瞳をぱちりと瞬かせる錫華。
(「って、サージェさんのほうがお団子よく知ってたかも?」)
 そして彼女に倣う様に、ひとくちお茶を飲んでみれば。
「あ、でも選んでくれたお茶おいしい」
 どの団子にも合いそうな茶の味に、いつもはちょっぴりだけどこか厭世的な印象もほわりと緩んで。
 団子も茶も楽しんでいるサージェにそっと瞳細めつつ、錫華続ける。
「さすが『クノイチ』だね」
 ……次はサージェさんのお勧め、教えて欲しいな、って。
 そんな言葉に、すぐにこくりと頷いてから。
「それじゃ今度も食べ歩きいきましょう」
 もう、月が割れていることなんて、気にも留めないで。
 団子をはむりと口にしながら、サージェは再び元気な笑顔を錫華へと返す。
 ――美味しいものが待ってますよー! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎に催眠術をかけて貰い、飼っている兎達と満月を楽しみましょう
そうです、空には綺麗な満月が上っているのですからね

団子はみたらしと餡子、海苔
団子に興味がありそうな、ないような
そんなましゅまろの様子に笑いながら月見を始めます

お花見はしたのですけどね
それよりも……約一月に渡る戦いの中、花見や月見を楽しむのは稀では、と
此処の世界は滅びかけていながら、それが日常と化しているのですから
稀もあり得ることなのでしょうね

白い兎を膝上に乗せながらお茶を一口
倫太郎と黒い兎の様子に気付けば笑って
もしかしたら、ましゅまろと勘違いしているのでは?

ましゅまろは食べられておりませんよ
……少し眠そうにしていますが


篝・倫太郎
【華禱】
頭上の月は綺麗な満月
怖いのは見えない、ない
そう、二人と二羽に催眠術を掛けて

団子は三色団子とみたらし
それから、兎団子

『しょこら』が腕の中で鼻をくむくむさせて
兎団子に興味津々なのを見て追加も決めたら
いざ、月見!

今回の戦争さ……あんたと月見出来なかったから
ここにきて出来るのが嬉しいや
そうそう、戦争なのにな

そう笑って夜彦と二人のんびり過ごす

兎さんモードのしょこらを膝上に団子も月も楽しんで
兎団子を喰おうとしたら
しょこが後脚で立ち上がって自分のだと主張してくるから
夜彦と顔を見合わせてまた笑う

これはましゅじゃないよ
本物のましゅは隣に居るだろ?

隣でうとうとしてる白兎に
居たぁ!と寄り添う様子にまた笑って



 天空の塔から、さらに高い空に浮かぶ月。
 ――頭上の月は綺麗な満月。
 ――怖いのは見えない、ない。
 まるで子守歌かの様に柔くそう響くのは、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の声。
 この場へと赴いた目的は、月見を目一杯楽しむ事。
 円を描く満月が……割れていることを、無視しながら。
 だから倫太郎は、己や月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)、そして今回共に楽しむ二羽の兎たちにも催眠術を掛ける。
 割れ目から生れ落ちようとしているこわいもの……カタストロフの幼生なんて、知らないかのように。
 全力で、月見を満喫するために。
 そしてそんな彼の声に、ふわり揺蕩う様な心地を感じた後。
 夜彦はふと開いた翡翠の瞳を細める。
「兎達と満月を楽しみましょう、倫太郎」
 ……そうです、空には綺麗な満月が上っているのですからね、って。
 それからそれぞれ、妖怪串入道の屋台へと足を向けて。
 夜彦が選んだのは、定番のみたらしと餡子、そして海苔。
 倫太郎もこれまた月見といえばの三色団子に、みたらし。そして、兎団子を。
 瞬間、好奇心旺盛で活発な『しょこら』が腕の中で、鼻をくむくむ。
 どうやら、兎団子に興味津々な様子……?
 それを見て、倫太郎が兎団子をもう少し追加で頼んでいる間に。
 夜彦は、自分の腕の中の『ましゅまろ』を見てみるも。
 のんびり屋さんなその姿は、団子に興味がありそうな、ないような……?
 そんな様子に笑いながら、倫太郎の追加分も受け取れば――いざ、月見の始まりです!
 倫太郎ははむりと三色団子を口にしながら、改めて、大きな満月を見上げてみて口にする。
「今回の戦争さ……あんたと月見出来なかったから、ここにきて出来るのが嬉しいや」
「お花見はしたのですけどね」
 いや、花見も月見も同じ時に楽しめるということも不思議なのであるけれど。
「それよりも……約一月に渡る戦いの中、花見や月見を楽しむのは稀では、と」
「そうそう、戦争なのにな」
 今、このカクリヨファンタズムは戦争の真っ只中なのだ。
 とはいえ、夜彦はこの世界のことを思えば、妙に納得してしまう。
「此処の世界は滅びかけていながら、それが日常と化しているのですから。稀もあり得ることなのでしょうね」
 そしてふたりで顔を見合せれば、同時に笑み零れて。
 二人と二羽で、のんびりとしたひとときを暫し過ごす。
 それから倫太郎は、ひょいっと、今度は兎団子を食べんと手を伸ばした……ものの。
 膝上の兎さんモードのしょこらが刹那、ぴょこりと後脚で立ち上がって。
 兎団子を手にした倫太郎を、てしてしてしっ。
 ふわふわなましゅまろを膝上に乗せた夜彦は、茶をひとくち飲んでから。
 自分のだと主張するしょこらと、てしてしされている倫太郎の様子に気付き、再び瞳を細めてから。
「もしかしたら、ましゅまろと勘違いしているのでは?」
「これはましゅじゃないよ」
 ぴこぴことお耳でも主張するしょこらに言って聞かせつつも。
 倫太郎も、夜彦と視線合わせてまた笑ってしまう。
 それから、兎団子にすっかり気を取られているしょこらに、こうふたりで続ける。
「ましゅまろは食べられておりませんよ……少し眠そうにしていますが」
「本物のましゅは隣に居るだろ?」
 そう、夜彦が膝上の真白な毛玉をなでなで、倫太郎が言った刹那。
 ――居たぁ! と。
 ぴこんっとお耳を立たせるしょこらは、そう言わんばかりに。
 隣でうとうとすやぁとしている白兎に気付いて、ぽふり、寄り添って。
 まんまる大きなお月様に団子に、さらに兎さん。
 倫太郎は夜彦と一緒に、これでもかと月見の醍醐味を味わいつつ、やっぱりふたり笑い交わす。
 こんなに目一杯、楽しい時間を過ごしていれば、すぐに……こわい満月も消えてしまうだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

麦屋・灼
ははぁ、UDCあーすの一等高いところから月見たぁ、何ともオツなもんだ。
月が割れてる?中からなんかが出てきてる?知らない、わしは何も知らない。

串入道のおっちゃんの屋台から団子をいただき、展望デッキで月見に興じる
「はぁぁ、こりゃまたきらびやかなもんだ。地上もキラキラ、頭上もキラキラ。すごいもんだ、こりゃ」
そう言いながら団子を口に。持参した日本酒もくいっと
月を見上げ、降りしきる花弁を見ながら飲み食いしていく
「いいねえ……月が降ってくるような、たぁカクリヨじゃ世界の終わりみてぇなもんだが。こっちじゃまさに絶景ってもんだ」
あっと、酒がなくなっちまわぁ。屋台で売っとったかね?

アドリブ・連携歓迎



 幽世でも月は見られるし、このUDCアースだって珍しいものではないだろう。
 けれど今、麦屋・灼(燃ゆる狐は赤々と・f33507)がまんまるい月を眺めている場所。
「ははぁ、UDCあーすの一等高いところから月見たぁ、何ともオツなもんだ」
 それは、とても乙で粋な、高い高い天空の塔の上。
 一等高い空から月を見上げれば、心なしか、いつもよりも大きく眩しく見える気さえするけれど。
 でも……灼はそんな満月へと視線を向けながらも、大きく首を傾げてみせる。
 少年のなりをしつつも実は還暦をとうに超えた老人で、狐でもある灼にとって、惚けることはお手の物。
 ――月が割れてる? 中からなんかが出てきてる?
「知らない、わしは何も知らない」
 何のことなのか、さっぱりわかりません!
 そしていつもならば、屋台横丁に屋台を出しては妖怪や猟兵にうどんを振る舞っている灼だけれど。
「串入道のおっちゃん、わしにも団子貰えるかい」
『勿論だとも、好きなモン好きなだけ持ってってくれ!』
 今宵は、串入道の串団子を振舞われる立場に。
 そして美味しそうな作り立てのそれらを遠慮なく頂いてから、足を向けるのは展望デッキ。
「はぁぁ、こりゃまたきらびやかなもんだ。地上もキラキラ、頭上もキラキラ。すごいもんだ、こりゃ」
 一望する夜景は、幽世のものとはまた全く違う、数多の輝きを纏っていて。
 そんな風景と美味な団子たちを肴に、持参した日本酒もくいっとやりながら。
 天を仰ぎ大きな月を見上げ、降りしきる花弁を暫し眺め楽しんで。
「いいねえ……月が降ってくるような、たぁカクリヨじゃ世界の終わりみてぇなもんだが。こっちじゃまさに絶景ってもんだ」
 美味な味わいに酔い痴れ、好きなペースで飲み食いしていく。
 そして再び空になった杯に、手酌し酒を注ごうとした灼であったけれど。
 刹那、ふりふりとさかさまの酒瓶を横に振り、首を大きく傾けてから。
「あっと、酒がなくなっちまわぁ。屋台で売っとったかね?」
 今度は団子に合う酒でも振舞って貰おうかと――再び月の照る空の下、串入道のおっちゃんの元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
最近食べてばかりな気がするけど…大丈夫かしら…。

と、とりあえずお団子ね。
みたらしおいしいわ。
基本一人で食べてるけど、誰か知り合いがいればお団子のシェアぐらいはするかもしれないわね。

後は綺麗な(割れ方している)お月様を時々見ておこうかしら。

「風柳ね」

異論は認めないわ…。

そしてお仕事も忘れないわ。
空からの雷【ジャッジメントクルセイド】がお仕事してくれるはずよ。

「お仕事終わったら、少し運動しておこうかしら…」



 カクリヨファンタズムとUDCアース、ふたつの世界を守るべき戦争。
 それもいよいよ、最終局面を迎えたのだけれど。
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)はこれまでの戦場を振り返り、そして今回の目的を思い返して、思わずぽつりと何気に心配に思っていることを吐露する。
「最近食べてばかりな気がするけど……大丈夫かしら……」
 何だか、美味しいものをたくさん食べまくっている気が……?
 いや、それも全部、戦争に勝利する為に必要なこと。
 今回だってそうである。月見を楽しむこと、これがカタストロフの幼生の誕生を阻止するための手段なのだ。
 ということで!
「と、とりあえずお団子ね」
 ――ぱくり。
 まずは、王道で定番のみたらし団子を口にすれば。
「みたらしおいしいわ」
 とろーり甘辛いタレが、とっても美味しいです!
 基本一人で黙々とマイペースに食べているヴィオレッタだが、知った顔を見かければ、軽くお団子のシェアをしあったりもして。
 色々思う事やツッコミたいことは多々あれど、深く考えたらきっと負け。
 天空から見上げる満月だって、いつもよりも大きく輝いて綺麗に見える気がする。
 綺麗は綺麗でも、綺麗な割れ方をして、何かひらひら零れ落ちているけれど。
「風柳ね」
 都合の悪い事はスルーして、お月様を時々見てはそう呟きを落とす。
 異論は認めません、ええ……!
『愛しきUDCアース あなたを思う 私の愛は揺るがない』
 そして同じ様に、煌めくUDCアースの夜景を臨み、月を見上げる大祓骸魂の姿を見れば。
 食べるだけでなく、きっちりと猟兵としての任務も忘れません。
 指先を愛を紡ぐ彼女へとびしっと向ければ、空から落つる雷が、きちんとお仕事してくれます!
 それから、はむりと串に残っていた団子を口にしつつも。
「お仕事終わったら、少し運動しておこうかしら……」
 そう、呟きを落とさずにはいられないヴィオレッタであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

織銀・有士郎
最終決戦が全力で月見を楽しめとか妙ではあるが……こういうのも悪くない。
東京スカイツリーから見えるこの光景を前にして戦うのは無粋だろう。

さて、と。
月見といえば団子もそうだがやはり酒だな……良い酒は売っているかねぇ。
ああ、酒に合う団子とかも売ってないかな。変わった団子でも良いぞ?

よし、色々買ったしこの素晴らしい光景を肴に酒を楽しむか。
いつもこういった宴会は大勢で楽しんでいるが、偶には静かに酒を嗜むのも良い。
最終決戦に月見酒を楽しむなんて滅多にできないからなぁ。

『大祓骸魂』も一緒に楽しまないか……って見た目子供そうだし酒は無理そうだな?
ならせめて桜吹雪で景色を彩り楽しさをおすそ分けしてやるかねぇ。



 数多の戦場を駆け抜け、ついに辿り着いた最終決戦の戦場。
 そこはUDCアースの夜景が一望できる、天空に最も近い場所・スカイツリーゲイン塔。
 けれど、何も刃を抜くだけが戦力となるわけではない。
(「最終決戦が全力で月見を楽しめとか妙ではあるが……こういうのも悪くない」)
 織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)がふと天を仰げば、そこにはまんまる満月が。
 だが……円を描き柔い光を放つ月に生じているのは、はらりとカタストロフの幼生の欠片を零している割れ目が。
 けれど、それを気にせず月見を楽しむことこそ、幼生を消滅させて満月を元に戻す方法なのだというし。
 何よりも、有士郎は思うのだった。
 ――東京スカイツリーから見えるこの光景を前にして戦うのは無粋だろう、と。
 そうとなれば、有士郎が調達するものといえばやはり。
「さて、と。月見といえば団子もそうだがやはり酒だな……良い酒は売っているかねぇ」
 足を向けるのは、串団子や飲み物を提供してくれるという、妖怪串入道の屋台。
『酒をお探しかい? 月見には酒も欠かせないだろ? いい酒も用意してあるよ!』
「ああ、酒もだが、酒に合う団子とかも売ってないかな。変わった団子でも良いぞ?」
『そうだなァ、磯辺とかピリッと辛口のこの日本酒に良く合うんじゃねぇかな』
 有士郎は串入道の勧める酒と、酒の肴によさそうな団子をいくつか見繕ってもらって。
(「よし、色々買ったしこの素晴らしい光景を肴に酒を楽しむか」)
 いざ、美味な団子や美しい風景を堪能しながら、月見酒と洒落込む。
「最終決戦に月見酒を楽しむなんて滅多にできないからなぁ」
 一応、これは戦争で、決着も間近の最終局面ではあるし。
 いつもこういった宴会は大勢で楽しんでいるのだけれど……偶にはこうやってひとり静かに酒を嗜むのも良いものである。
 そう、程良く心地良く、酔い痴れて楽しんでいれば。
『愛するUDCアース あなたを永遠にしたい』
 聴こえるのは、大祓骸魂が紡ぐこの世界への想いの言の葉。
 有士郎はそんな彼女にも、酒瓶を傾けんとするも。
「『大祓骸魂』も一緒に楽しまないか……って見た目子供そうだし酒は無理そうだな?」
 刹那、ばさりと鉄扇を開けば、開花し凛と天空に咲き乱れる桜吹雪。
 酒が酌み交わせぬならば、せめてと――美しい景色をより彩る桜花を以って、花月を愛でる楽しさを彼女にもおすそ分けしてやらんと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

やれやれ、やっと大ボスが登場かい。まあ、母親としては愛するものに生きて欲しい気持ちは分かる。子供達の笑顔がいつまでも見れたら幸せだろう。でも多くの人達のいる世界と引き換えになんてできないねえ。

まあ、考えることあれど、折角のロケーションだ。月が割れてるが、家族とゆっくり過ごせる楽しさは変わらない。みたらし団子と酒を頂きつつ、【歌唱】で鼻歌を歌いながら花弁が舞い散るような絶景を楽しむ。子供達が楽しんでいるのを見るのが一番の幸せだ。

大祓骸魂、アンタの気持ちは良く分かる。でもその愛を向ける対象の気持ちを考えないのは押し付けに過ぎないんだ。眠りな。竜牙で妖怪ごと薙ぎ払う。


真宮・奏
【真宮家】で参加

大祓骸魂は本当にUDCアースを愛しているんだと思います。ただ、愛情深い母さんに育てられるから分かるんですが、人の気持ちを考えない愛は傍迷惑ですね。まあ、突っ込みたいことは多々あれど、折角のロケーションです。楽しまないと。

串団子屋さんで沢山の団子を買います。はい、並んでる全種類ください!!全制覇してみせます!!瞬兄さんも手伝ってくれますよね(目をキラキラ)まあ、月が割れてるようですが楽しいのは間違いない!!

月見を楽しんだら風の妖精騎士と共に【怪力】【グラップル】で共にいる妖怪達ごと殴りとばします。自分勝手な愛はいりませんので!!骸の海にはご自分だけが行ってください!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

やれやれ、愛しいものを死に追いやる事で永遠にすると。見上げた愛の深さです。でもUDCアースの皆さんはそんなこと望んでないでしょうし、世界の崩壊は防がねば。月が割れてるとは不可不思議ですが、家族で楽しむのに支障はありません。

奏が買う串団子の量では一人で持ちきれないと思いますので、僕も持ちましょう。ええ、和菓子は好きなので全種類制覇にも付き合いますよ。花弁まうUDCアースの夜景は今だから見れますよね。素晴らしい。

月見が終わったら、月下美人の嵐で攻撃を。この素晴らしいUDCアースの風景を、貴女一人の都合で、終わりにさせる訳にはいきません!!



 天を仰げば、淡い光を放つ満月。
 今宵の月は美しい見事な弧を描いている。
 ただし……割れているということを、見ないフリをすれば。
 これは、究極妖怪『大祓骸魂』の力によるもの。
 そう、彼女こそ。
「やれやれ、やっと大ボスが登場かい」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)の言う様に、この戦いの元凶。
 ついに猟兵達は数多の戦いを経て、彼女のいるスカイツリーゲイン塔へと足を踏み入れたのだ。
 そんな大祓骸魂の目的は、愛するUDCアースを永遠にすること。
「やれやれ、愛しいものを死に追いやる事で永遠にすると。見上げた愛の深さです」
「大祓骸魂は本当にUDCアースを愛しているんだと思います」
 神城・瞬(清光の月・f06558)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)もそう思うほど、彼女のUDCアースへの想いは、愛であるのだろうし。
「まあ、母親としては愛するものに生きて欲しい気持ちは分かる。子供達の笑顔がいつまでも見れたら幸せだろう」
 何かを愛するという気持ちは、子供達という存在がいる響にとっても分かる。
 けれど。
「でも多くの人達のいる世界と引き換えになんてできないねえ」
「ただ、愛情深い母さんに育てられるから分かるんですが、人の気持ちを考えない愛は傍迷惑ですね」
「UDCアースの皆さんはそんなこと望んでないでしょうし、世界の崩壊は防がねば」
 全員一致で、愛するという気持ちは分かれど、その考え方や行なおうとしていることに頷くことは一切できない。
 独りよがりの愛は、身勝手でしかないのだ。
 とりあえず今やるべき事は、満月から再び生まれんとしているカタストロフの幼生の誕生を阻止するべく。
「まあ、考えることあれど、折角のロケーションだ。月が割れてるが、家族とゆっくり過ごせる楽しさは変わらない」
「月が割れてるとは不可不思議ですが、家族で楽しむのに支障はありません」
「まあ、突っ込みたいことは多々あれど、折角のロケーションです。楽しまないと」
 幼生の存在を気にしないようにしつつも、月見に興じること。
 ということで!
「はい、並んでる全種類ください!! 全制覇してみせます!!」
 タタタッと奏が駆け寄るのは勿論、妖怪串入道の串団子屋台。
『おお、威勢良くていいねぇ、お嬢ちゃん! しかし、持てるかい?』
「瞬兄さんも手伝ってくれますよね」
 そうくるりと振り返られて、瞳をキラキラされれば。
「僕も持ちましょう。ええ、和菓子は好きなので全種類制覇にも付き合いますよ」
 団子を持つのも、全制覇も、手伝うしかありません!
 そしてほくほく、花月より団子な奏が幸せそうに笑む隣で。
「まあ、月が割れてるようですが楽しいのは間違いない!!」
「花弁まうUDCアースの夜景は今だから見れますよね。素晴らしい」
 こくりと頷きながらも、月も花も楽しむ瞬。
 そして響も、みたらし団子と酒を頂きつつも、そっと瞳を細める。
(「子供達が楽しんでいるのを見るのが一番の幸せだ」)
 歌唱で鼻歌を歌いながら、くいっと一杯。
 花弁が舞い散るような月の絶景と、そして子供たちの嬉しそうな姿を何よりの肴にして楽しむ。
 そして、みたらし、こしあん、磯部、きなこ、胡麻……等々、あれだけあった団子も、酒瓶の酒も、すっかりなくなった頃。
 ふと空を見上げていれば、聞こえてくるのは彼女の声。
『愛しきUDCアース 今宵もあなたは美しい』
「大祓骸魂、アンタの気持ちは良く分かる」
 何かを愛すること。その愛に動かされる心の衝動。
 それは、響にも分かるのだけれど。
「でもその愛を向ける対象の気持ちを考えないのは押し付けに過ぎないんだ」
 今の大祓骸魂のような独りよがりな想いであれば、ただの身勝手な暴走。
 そして月見を目一杯楽しんだ真宮家も、家族でひとつとなって今、彼女を討つのだ。
 愛するものを、守るために。
「自分勝手な愛はいりませんので!! 骸の海にはご自分だけが行ってください!!」
「この素晴らしいUDCアースの風景を、貴女一人の都合で、終わりにさせる訳にはいきません!!」
 ――風の妖精さん、力を貸して下さい!!
 ――花よ舞え!! 我が意志を乗せて!!
 怪力とグラップルを駆使する奏が、風纏う妖精騎士と共に敵を殴り飛ばさんと大きく地を蹴れば。
 淡い月に照らされ吹き荒れるのは、瞬が成した月下美人の嵐。
 風に煽られ、舞う月下美人の花弁が、大祓骸魂と幼生の欠片たちを巻き込んで。
 ――この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!
 揺らぐ彼女や周囲の悪しき存在ごと薙ぎ払うのは、響が向ける竜の牙。
『……!』
 強烈な一撃と共に、響は大祓骸魂へとひとことだけ言の葉を向ける――眠りな、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
【書庫組】
呼称は名前にさん付け

書庫の皆でお話を。心春さんがUDCの案内をしてくださるそうなので楽しみにしてます。
メディアや書籍では知っていても、その場所を知る人のお話しはまた違うものだと思いますし。水族館もあるんですね、ここ。
でもこちらでもお月見をすることになるとは思いませんでした。割れ自体を無視しないといけないんですよね。
……。
ロランさん、今日はそのお姿なんですね。……狼……もふもふ……。いえでも年下とはいえ男性ですし(月見どころではなくロランさんの毛並みに視線集中、手はそわそわ)
あ、ぬいぐるみも。え、どうしよう今度ぬいぐるみ買ってみようかしら。ふかふかのぬいぐるみも良さそう。


二條・心春
【書庫組】
こんな状況ですが、皆さんとこの世界でお月見ができるなんて嬉しいです。

ではまずUDCアース出身の私が皆さんにスカイツリーをご案内します。初めて見たら、ここが観光施設で電波塔でもあるなんてわからないですよね。本当は色んなお店や水族館もあるんですが……それはまたの機会です。
お団子も美味しいし、見下ろす夜景も綺麗です。ぬいぐるみさん達も可愛くて、見ていて和みます。月が割れてるのを気にしている場合じゃないですね。ロランさんがいつもと様子が違くて心配でしたが、楽しんでもらえてるなら大丈夫かな。
愛する気持ちはわかりますが……あの人は止めないといけません。この世界で、また皆さんとお月見したいから。


ルゥ・グレイス
【書庫組】
これがスカイツリー、634m…、さすがの高さです。
話に聞くと災害時の防災拠点としても運用されるそうですね。
しかし電磁パルスや核兵器にさらされたらどうなるんでしょう。そこまで対策済みなのかな?

ロランさんの体調を念の為にそっとチェック、安全であることを確かめる。
「電波とは通信やレーダーに使う特殊な波のことです。まあ、電気属性ではあるでしょうが」


団子を手に眼下の街を見下ろしてみる。
東京の夜景は月から見ても美しいのだとか。その景色も見たいものです。

――大祓骸魂、彼女はこの光景を見て世界を壊そうと考えたのでしょうか。気持ちは察しますが、止めさせてもらいます。
またみんなとお月見したいですし、ね。


アン・カルド
【書庫組】。
っと、ここがスカイツリーか、なんとも身の竦むような高いところだ、それにこの舞い散る月…どっからどう見てもこの世の光景じゃあないなぁ。
ま、いいさ…月を見ない月見を全うするにはこれぐらいじゃないと割れてる方が気になって仕方がない。
ロラン君もあんまり見つめちゃあだめだよ。

どうせなら月以外は万全の状態で遊びたいが…ああそうだあれが足りない、【縫包】。
おいで、うさぎのぬいぐるみ達。
…これで準備は整った、後はお団子でも食べながら二條君の観光案内を楽しもうじゃないか、へぇ…中の方も色々あるのか落ち着いたら行ってみたいなぁ。

…じゃ、月が本当に割れる前に一つ厄介ごとを片付けるとしようか。


アウラ・ウェネーフィカ
【書庫組】
ほう、話には聞いていたが……実際に見るとまた高い塔だな
一体これは何の為に建てられた? 権力の誇示か?
なに、電波……?
電気属性の何かか――いや、今は考察を始めている場合ではなかったな

■行動
……ふむ、ロランさんは問題無さそうだな
では心春さんに案内をして貰ったら、後は団子を食べながら月見を楽しむとしよう
(串に【UC】を掛け、手を使わずとも団子を食べる)

しかし、これほどの高さとなると私でも中々経験がない、貴重な景色だな
月も綺麗だが……割れているのを気にしてはいけない、か
ふ、なに、今さら月が割れているぐらい気になる物でもなかろうよ
強いて言うなら、故郷と此方の月との違いについての方が興味が湧くな


夜刀神・鏡介
【書庫組】
月までの距離を考えれば、此処から見ても地面から見ても大差ないだろうに、それでも月が近く感じるな……
尚、ある種の集中力で月が割れている事は気にしない

しかしUDCアースの人はよくこんな高さの塔を造ったというか……なるほど、そういう目的があるからなのか。と団子とお茶を片手に、二條の説明を聞いて感心しつつ
いずれ宇宙まで届く高さの塔が出来たりするのかね

そういえば、俺の出身では月を見て兎を思い浮かべるのは日本人だけらしいが、他の世界だとどうなんだろうかなんて、ぬいぐるみを見て聞いてみる

ロランの事は密かに気にかけつつ、問題ないなら敢えて言葉は出さないで

――大祓骸魂も、この月を美しいと思うのだろうか


ロラン・ヒュッテンブレナー
【書庫組】

お月見、お月見…
うーん、ぼくが、カタストロフになっちゃわないか心配なの
※満月の光で人狼病が活性化する
でも、そうなったら、月が割れたどころじゃ、ないのかな?

やっぱり、満月の影響でざわざわするの…
UC発動、これで、正気は保てるの
※首輪の様な魔術陣と魔術回路の鎖に縛られた狼に変身する
ごめん、この格好のまま、一緒に行くの

わぁ、高い場所
UDCアースって、こんなに高い物を作れるんだね
すごいの
※しっぽを振って興味津々

暴走せずに、こんな近い場所で満月を見れるなんて
ん、大丈夫
お月さま、きれいだね
※普段は隠れたりしてて見れないので純粋に感動する

藍さん?
触ってくれても、大丈夫だよ?
※背中と尻尾を向けてみる



 天を仰げばそこにあるのは、美しい円を描く満月。
 そんな光景は特に珍しいものではないはずなのだけれど。
「月までの距離を考えれば、此処から見ても地面から見ても大差ないだろうに、それでも月が近く感じるな……」
 今、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)がいる場所は、UDCアースの世界でも天に近い場所。
 その高さは、実際の月までの距離を思えば何たることもないものかもしれないけれど。
 それでも何故だろうか、いつもよりもずっと近くに月があるような気がするのは。
「っと、ここがスカイツリーか、なんとも身の竦むような高いところだ、それにこの舞い散る月……どっからどう見てもこの世の光景じゃあないなぁ」
 アン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)も此処――スカイツリーゲイン塔から、眼下に見える街をそっと見下ろしてみた後。
 天へと羽ばたけぬほど重厚な純銀の羽根を照らす満月へと、今度は視線を上げてみれば。
 はらはらと舞い降るは、花弁の如き煌めきたち。
 けれど幻想的ながらも妖しさ孕んでいるそれらは――カタストロフの幼生の欠片。
 今回この場へと赴いたのは、究極妖怪『大祓骸魂』との最終決戦のためでもあり。
「ま、いいさ……月を見ない月見を全うするにはこれぐらいじゃないと割れてる方が気になって仕方がない」
 アンの言う通り、カタストロフの幼生を消滅させるべく、割れた満月を気にせずに楽しく月見に興じること。
 鏡介もアンに頷きつつ、ある種の集中力で、月が割れている事は気にしない。
 そして、カタストロフの幼生や大祓骸魂も、勿論気になるところではあるが。
「ロラン君もあんまり見つめちゃあだめだよ」
「お月見、お月見……うーん、ぼくが、カタストロフになっちゃわないか心配なの」
 アンがそう声を掛けるのは、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。
 ……でも、そうなったら、月が割れたどころじゃ、ないのかな? なんて。
 こてりと首を傾けながらも、ロランは心身ともに妙なざわつきを感じる。
 満月の光を浴びると、人狼としての病が活性化してしまうから。
 けれど、魔狼開放を発動させ、逆に人狼病を強制的に覚醒させれば。
「ごめん、この格好のまま、一緒に行くの」
 これで、正気は保てるの――そう変じた姿は、魔術回路の首輪と鎖で縛られた狼さん。
 そしてもふもふな尻尾をふりふり、皆とともにてくてくと月の下を歩み出せば。
「…………」
 じいっと思わず彼の姿を宙色の瞳でつい見つめてしまうのは、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)。
「ロランさん、今日はそのお姿なんですね」
 ……狼……もふもふ……。
 そう思わずもふもふな耳尻尾に目を奪われる藍に、ロランはこてんと首を傾げてから。
「藍さん? 触ってくれても、大丈夫だよ?」
 背中と尻尾をもふんと向けてみる。
 いや、ある意味、割れた月なんて見ていられないから好都合かもしれないけれど。
 ロランのふわもふ毛並みに視線集中、手はそわそわ。
「いえでも年下とはいえ男性ですし」
 そう藍は遠慮するも、触ってもいいよと見つめる彼のお言葉に甘え、触れても支障がないだろう背中をそっとひと撫でだけ。
 そしてふわふわの手触りに礼を言いつつも瞳を細めるけれど……ふわもこは、ロランの毛並みだけではありません。
「どうせなら月以外は万全の状態で遊びたいが……」
 何か足りない気がしていたアンは、ぽんとその手を打つ。
 ……ああそうだあれが足りない、と。
 そして月夜に躍らせるのは――『縫包』。
「おいで、うさぎのぬいぐるみ達」
 月といえば、やはりうさぎ。
 アンが喚んだ大量のうさぎぬいぐるみ達が、ふわふわもこもこな世界を織り成して。
「……これで準備は整った、後はお団子でも食べながら二條君の観光案内を楽しもうじゃないか」
 月にうさぎ、美味しい団子に、そして楽しいおしゃべり――これで、お月見を楽しむ準備は万端。
 そんなさらに加わった、もふもふ成分に。
「あ、ぬいぐるみも」
 藍は思わず瞳をぱちりと瞬かせ、そして思うのだった。
(「え、どうしよう今度ぬいぐるみ買ってみようかしら。ふかふかのぬいぐるみも良さそう」)
 くるくる踊るうさぎぬいぐるみさんたちを、じっと見つめながら。
 そんな月の下、とことこ行進するうさぎたちへと目をやって。
 鏡介も、ふとこんな疑問を。
「そういえば、俺の出身では月を見て兎を思い浮かべるのは日本人だけらしいが、他の世界だとどうなんだろうか」
「UDCアースでも、他の国ではカニや犬や人の姿に月の模様が見えると言われているみたいです」
 そう彼の問いに答えつつ、かわいいものが好きな二條・心春(UDC召喚士・f11004)は周囲のうさぎさんたちに瞳を細めた後。
「こんな状況ですが、皆さんとこの世界でお月見ができるなんて嬉しいです」
 ――ではまずUDCアース出身の私が皆さんにスカイツリーをご案内します、と。
 スカイツリーゲイン塔のガイドを買って出て。
(「メディアや書籍では知っていても、その場所を知る人のお話しはまた違うものだと思いますし」)
 藍も心春の案内を楽しみに、彼女の後に続く。
 そしてゆうらり尻尾を振りながら、お耳をぴんと立たせて。
「わぁ、高い場所。UDCアースって、こんなに高い物を作れるんだね。すごいの」
 そう興味津々な様子のロランへと視線を向けるのは、ルゥ・グレイス(RuG0049_1D/1S・f30247)。
「これがスカイツリー、634m……、さすがの高さです」
 満月の影響を受ける彼の体調を念の為にそっとチェックしつつ、安全であることを確かめながらも。
 やはり街が一望できる高さに、そう続いて紡いで。
 鏡介もロランのことを密かに気にかけるも、問題なさそうな姿を見れば、敢えて言葉には出さずに。
 ルゥの言葉に、こくりと頷く。
「しかしUDCアースの人はよくこんな高さの塔を造ったというか……」
「ほう、話には聞いていたが……実際に見るとまた高い塔だな」
 そして相変わらず表情は変えないが、アウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)は大きく首を傾げる。
「一体これは何の為に建てられた? 権力の誇示か?」
「初めて見たら、ここが観光施設で電波塔でもあるなんてわからないですよね」
「話に聞くと災害時の防災拠点としても運用されるそうですね」
 アウラの言葉にそう返すのは、心春とルゥ。
「なるほど、そういう目的があるからなのか」
 鏡介はそう納得しながらも、ふと眼前で串団子を振舞う妖怪の屋台を見つけて。
 皆と共に団子や茶を調達した後、心春の説明を聞いて感心しつつも、楽しく会話を続ける。
「いずれ宇宙まで届く高さの塔が出来たりするのかね」
「しかし電磁パルスや核兵器にさらされたらどうなるんでしょう。そこまで対策済みなのかな?」
 そう首を捻るルゥに、アウラも興味を示して。
「なに、電波……? 電気属性の何かか――」
「電波とは通信やレーダーに使う特殊な波のことです。まあ、電気属性ではあるでしょうが」
 ルゥの言葉を聞きながら、持ち前の研究心が、むくむくと。
「本当は色んなお店や水族館もあるんですが……それはまたの機会です」
「へぇ……中の方も色々あるのか。落ち着いたら行ってみたいなぁ」
「水族館もあるんですね、ここ」
 心春の案内に、アンと共に藍も言ってから。
「でもこちらでもお月見をすることになるとは思いませんでした」
 ……割れ自体を無視しないといけないんですよね、と。
 そうそっと呟きを落とす。
 その声を聞いて、ふと我に返るアウラ。
「――いや、今は考察を始めている場合ではなかったな」
 このやたら高い塔のことも、とても気になるけれど。
 今宵ここを訪れた目的は、皆で月見を楽しむため。満月が割れているのは、気にしないように。
 それからやはりアウラも、ロランへと声を掛ける。
「……ふむ、ロランさんは問題無さそうだな」
 そんな向けられた声に、再びこくりと頷いてから。
「ん、大丈夫。暴走せずに、こんな近い場所で満月を見れるなんて」
 ――お月さま、きれいだね。
 ぱたぱたと尻尾を振って、満月を見上げてみるロラン。
 だって、こんなにじっくり月を見ることなんて、滅多にないから。
 純粋に感動してしまう。普段は隠れたりしていて見られない、お月様のその姿に。
(「ロランさんがいつもと様子が違くて心配でしたが、楽しんでもらえてるなら大丈夫かな」)
 心春も皆を案内しながらも、嬉しそうな様子の彼を見守りつつ、そうそっと優しく瞳を細めてから。
 一通りタワーを巡り終えれば、一等月の光降る夜景が望めるデッキでゆっくりまったりお月見を。
 そんな景色の中、ふわり天空に浮くのは……串団子!?
 ええ、手を使わずとも食べられるようにと、アウラが魔法を掛けた串団子です。
 ルゥも団子を手に、眼下の街を見下ろしてから。
 その後ふと、もっと高いところで耀う月を仰ぎ見る。
「東京の夜景は月から見ても美しいのだとか。その景色も見たいものです」
 スカイツリーから臨む景色も絶景であるが。
 あの大きな月から見れば、きっと……もっともっと、遠くまでこの世界を見渡せるだろうから。
「お団子も美味しいし、見下ろす夜景も綺麗です。ぬいぐるみさん達も可愛くて、見ていて和みます」 
 心春もはむりと口にしたお団子の甘さに微笑みながら、うさぎさんたちの姿にほわほわ。
「しかし、これほどの高さとなると私でも中々経験がない、貴重な景色だな」
 アウラもふわふわ浮かばせた串団子を味わいつつも。
「月も綺麗だが……割れているのを気にしてはいけない、か」
 そうぽつりと呟きを落とすけれど。
「ふ、なに、今さら月が割れているぐらい気になる物でもなかろうよ」
「月が割れてるのを気にしている場合じゃないですね」
 こくりと頷いた心春の言葉に瞳を細めた後、構わず皆と月見を楽しむ。
 満月が割れているなんて、些細なこと。
 ……強いて言うなら、故郷と此方の月との違いについての方が興味が湧くな、って。
 そして――十分に皆で月見に興じていた、その時。
『愛するUDCアース あなたを永遠にしたい あとひと刺しで それが叶います』
 ふと聞こえてきたのは……この世界へと愛を紡ぐ、究極妖怪『大祓骸魂』の聲。
 そして彼女は月の下で続ける――猟兵たちよ 止められますか、と。
 その姿を見遣り、ルゥは思う。
 ――大祓骸魂、彼女はこの光景を見て世界を壊そうと考えたのでしょうか、と。
 でも。
「気持ちは察しますが、止めさせてもらいます」
「愛する気持ちはわかりますが……あの人は止めないといけません」
 この世界を愛おしく想う心は分かっても、彼女がやろうとしていることは見過ごすわけにはいかない。
「この世界で、また皆さんとお月見したいから」
「またみんなとお月見したいですし、ね」
 いや、この世界を愛しく想うからこそ、今みたいな時間が大切だからこそ……止めるのだ。
 心春とルゥの言葉に、アンも皆へと視線を巡らせて。
「……じゃ、月が本当に割れる前に一つ厄介ごとを片付けるとしようか」
 割れた満月の月見は、これでお終い。
 次は割れていない月を皆で楽しみたいから、あと一仕事。
 眼前の彼女を還るべき場所へと。
 そして鏡介は討つべき敵の首領を前に、月の下で思うのだった。
 ――大祓骸魂も、この月を美しいと思うのだろうか、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾宮・リオ
【dayz】
月が割れてるのは残念ですが……
ふふ、るいさんは、
ちっぽけなんかじゃないですよ
お月見、楽しみましょうね

ジュースを掲げて
れいさんの音頭で乾杯を

やっぱりお月見には団子ですね
色々な味があるみたいですが
皆さん、どれにするか決めましたか?

僕は定番のみたらしですよ
三色団子も美味しいですよね
……え、激辛も混ざってるんですか?
それは、困りましたね……
トモちゃんさんの言葉に
苦笑を浮かべたままでチャレンジ



あまりの辛さに言葉も出ず
近くの水を取って、ごくごくと

あれはヒトの食べ物じゃないような……
同じように口元を押さえている少女を見て
はい、駒知さん、お口直ししてくださいね?
そっと水と甘い団子を差し出した


明日川・駒知
【dayz】
アドリブ、マスタリング歓迎

_

月は割れていようとも、綺麗。

と、上空をぼんやり見上げて思った。

皆の声が聴こえてゆるりと振り向き、傍へ
音頭に合わせて乾杯し、こくりと一口飲みつつ
お団子に目を惹かれ、きらきらと眺め
…迷ってしまいますね
れいさんと共に悩みつつくすり笑み
そうね、折角だからお揃いにしましょう
記念みたいでなんだか嬉しく

まあ…辛いのもあるの?
辛いものは、私実は苦手だからドキドキしつつ
けれどこのスリルは楽しくて、トモちゃん先生の案に乗り
…せーの、

からい…!
口元押さえ、ぎゅうと目を瞑り
涙目になりながらふるふる震えつつリオくんから飲み物もらい
ありがとうございます、とふんにゃり微笑った


七・トモ
【dayz】

いやはや、この世の終わりのようじゃないか
れいれいかわい~よ
ぱしゃぱしゃ~
勿論モリモリだとも、れいれいが可愛いから月が霞んじゃうね

さてさて、花より団子、いやいや花月より団子さ諸君
かんぱ~い!

団子は決まって三食団子だよリオくん
ほらトモちゃんみたいに可愛いだろう?ね!
ね~

おや、激辛かい?それは試さねば男が廃るってやつだよるいるい!
食べよう食べよう、ほらほらみんな手に持ったかい?
うんうん、いっせーので食べてみよう
うんうん、おいしー!

ワハ、ワハハ!!!!!!
(トモちゃんは激辛に沈む皆を指さして笑っているよワハハ!)
マドンナのその顔初めて見たなあ
うんうん、皆イイ顔してるよ

ぱしゃ


犬童・るい
【dayz】
月と言ったら十五夜とか明月とか…秋のイメージが強いですけど
この月もなんだかそれに近いものを感じます
自分がちっぽけに感じるというか…

じゃあ俺はこれで
乾杯
良い夜になりますように

団子、良いですね
俺も食べたい、です
できれば辛くない美味しいヤツで
……なんですかトモサン、その目は
ああもう!分かりましたよ食べれば良いんでしょう?食べれば!
……!!(めちゃめちゃ辛くて水をがぶ飲みする音)
う、…し、死ぬかと思った…!
さては謀りましたね??
尾宮サンに明日川サンも…大丈夫ですか?

……。
美味しいのは分かるけど太るぞ、れい
いつも体型のこと気にしてるから言ってやってるんだろ?
…はあ、少しは察しろよ


犬童・れい
【dayz】
何ここ!超、超、映えスポットじゃん!
両手広げたら今にも月が落っこちて来そう!
なんとかして掴めないかな…
ねえ、トモちゃん写真撮って!
どう?盛れてる?盛れてる?

さあ、みんなジュースは持った??
お月見、全身全霊楽しんでこ〜!!
かんぱーい!!

お団子どれもめっちゃ美味しそう!!
駒ちゃんはどれにする?
一緒のやつにしようかなあ…

リオくんが男を見せてくれるって??
ええ?あーしも?しょうがないなあ…
いっせーのっ!!
あ、美味しい…当たり、かな?
う〜ん!これは鬼リピしたくなっちゃう!

……太る?いーの!食べたくて食べてるんだから!るいは黙ってて!



 大きく月が円を描く空に、最も近い場所。
 そんな天空のスカイツリーゲイン塔から、皆で見上げる満月。
「月と言ったら十五夜とか明月とか……秋のイメージが強いですけど。この月もなんだかそれに近いものを感じます」
 犬童・るい(死屍累々・f29748)の言う様に、月見といえば秋の季節の風物詩という印象なのだけれど。
 この時期……5月の満月は、花月という別名があるという。
 美しい花が咲き誇る季節に見ることのできる月だから、と。
 それにいつもよりうんと高い場所から月を見れば、その大きさに圧倒されて。
 るいは月を見上げながら、こう呟きを落とす。
 ――自分がちっぽけに感じるというか……、って。
 そんな仰いだ天に浮かぶ今宵の満月は、花月の名の如く……はらはらと、花弁の様な輝きを舞い降らせている。
 ぱかりと割れた、その裂け目から。
 そう、眼前の満月は割れていた。カタストロフの幼生を生み落とすために。
 けれど、今回皆で此の場所へ訪れたのは、それを阻止するため。
 尾宮・リオ(凍て蝶・f29616)は、淡い光に照り月を見上げるるいの横顔を見遣り、そして笑む。
「月が割れてるのは残念ですが……ふふ、るいさんは、ちっぽけなんかじゃないですよ」
 それから、こう続ける――お月見、楽しみましょうね、って。
 そう……カタストロフの幼生を消滅させる方法、それは割れた満月を気にせずに、月見を目一杯楽しむ事。
 確かに、美しい円を織り成す月が割れているのは残念だけれど。
 明日川・駒知(Colorless・f29614)は上空をぼんやり見上げつつも、思う。
 ――月は割れていようとも、綺麗、と。
 そして勢いよく、しゅばっと。
「何ここ! 超、超、映えスポットじゃん!」
 ……両手広げたら今にも月が落っこちて来そう!
 犬童・れい(全身全霊・f31160)はそう、はしゃぐように大きく両手を広げてみてから。
「なんとかして掴めないかな……」
 試しに、天へとその手を伸ばしてみるけれど。
「いやはや、この世の終わりのようじゃないか」
「ねえ、トモちゃん写真撮って!」
 皆と共に月を眺めつつも言った、七・トモ(七不思議・f29745)に、映え写真の撮影をお願い!
 そして、ぱしゃぱしゃ~とトモがシャッターを切りまくれば。
「れいれいかわい~よ」
「どう? 盛れてる? 盛れてる?」
「勿論モリモリだとも、れいれいが可愛いから月が霞んじゃうね」
 月さえも霞むほど、盛り盛りで映え映えです!
 そんな、皆それぞれ月に思うことはあれど。
「さてさて、花より団子、いやいや花月より団子さ諸君」
 トモはそう、すちゃっと調達してきた飲み物を手に取る。
 月見の始まりといえば、まずはこれ。
 じいっと月を見つめていた駒知も、聞こえてくる皆の声にゆるりと振り向いて、とてとてと傍へ。
「さあ、みんなジュースは持った??」
「じゃあ俺はこれで」
 そして全員にジュースの入ったグラスが行き渡れば。
「お月見、全身全霊楽しんでこ〜!!」
 ――かんぱーい!!
 れいの音頭に合わせ、グラスが天へと掲げられて。
「かんぱ~い!」
「乾杯、良い夜になりますように」
 かちりと皆で合わせれば、月の煌めき纏った水面もゆうらり揺れて。
 こくりとひとくち飲めば、笑みも零れる。
 そして乾杯を済ませた後の、忘れてはならないお楽しみ。
「やっぱりお月見には団子ですね」
 そう……リオの言うとおり、月見に団子は必須です!
「色々な味があるみたいですが。皆さん、どれにするか決めましたか?」
「お団子どれもめっちゃ美味しそう!!」
 わぁっと声を上げるれいと一緒に、駒知も目を惹かれた団子をきらきらと眺めるけれど。
「……迷ってしまいますね」
「駒ちゃんはどれにする?」
 どれもこれも美味しそうで、悩ましい。
 そして、駒ちゃんと一緒のやつにしようかなあ……と呟いたれいの声に、くすりと笑んで。
「そうね、折角だからお揃いにしましょう」
 駒知は優しい甘さの餡団子を、れいとお揃いで手にする。
 記念みたいで、なんだかほわりと嬉しくなりながら。
 そんなふたりの様子を見守りつつも、リオが伸ばすその手に迷いはない。
「僕は定番のみたらしですよ」
「団子は決まって三食団子だよリオくん」
 トモはそう彼に続いて、三食団子を手に取ってから。
 ……ピンク、白、緑、トモちゃん。
「ほらトモちゃんみたいに可愛いだろう? ね!」
「三色団子も美味しいですよね」
 得意気に可愛い串団子を掲げる彼女に、リオはそう笑んで返して。
 ね~、っとトモも満足気に頷いて、ピンクの団子をぱくり。
「団子、良いですね。俺も食べたい、です」
 そして……るいは、口にしてしまうのだった。
「できれば辛くない美味しいヤツで」
 いわゆる、フラグというやつを。
 それにまた、つい反応してしまうリオ。
「……え、激辛も混ざってるんですか?」
「おや、激辛かい?」
 ぴくりと同じく反応を示し言ったトモは、るいへと視線を向けて。
「……なんですかトモサン、その目は」
 何だか今更イヤな予感を感じている彼に、楽し気に言い放つ。
「それは試さねば男が廃るってやつだよるいるい!」
「リオくんが男を見せてくれるって?」
 トモの声に、れいもそうわくわく。
「それは、困りましたね……」
 そんなふたりの言葉に、リオは思わず苦笑を浮かべてしまうけれど。
「食べよう食べよう、ほらほらみんな手に持ったかい?」
「ああもう! 分かりましたよ食べれば良いんでしょう? 食べれば!」
 いつ男をみせる? 今でしょう!
 リオとるいは、ひとつずつ串団子を選んで手にして。
 男をいざ、見せんと……したのだけれど。
「まあ……辛いのもあるの?」
「ええ? あーしも? しょうがないなあ……」
「うんうん、いっせーので食べてみよう」
 男子だけでなく、女の子も皆で食べることに……!?
 辛いものは実は苦手な駒知は、ドキドキしつつも。
 けれど……このスリルは楽しくて。
 トモちゃん先生の案に乗り、ひとつ串団子へと手を伸ばして。

 れいとトモも、それぞれ団子を選び終えれば。
「……せーの、」
「いっせーのっ!!」
 ――ぱくりっ。
 全員一緒に、団子を口にしてみれば。
「うんうん、おいしー!」
「あ、美味しい……当たり、かな?」
 もぐもぐと味わいつつもキャッキャ笑み咲かせるのは、トモとれい。
「う〜ん! これは鬼リピしたくなっちゃう!」
 1本と言わず、何本でも食べられちゃう美味しさの当たり串。
 ――そして。
「……!!」
「!」
「からい……!」
 美味しい当たり串を食べた二人から、ワンテンポ遅れて。
 瞳を見開いた刹那、めちゃめちゃがぶがぶと水をがぶ飲みするるい。
 リオもすかさず近くの水を取って、ごくごくと。
 そして堪らず口元押さえ、ぎゅうと目を瞑り、ぷるぷる震える駒知。
 3人が食べたのは……そう、激辛団子。
「う、……し、死ぬかと思った……!」
 めちゃめちゃ辛くて、まだ正直、舌はぴりぴり痛いけれど。
 ……さては謀りましたね??
 そう疑いの目をトモたちに向けた後。
「尾宮サンに明日川サンも……大丈夫ですか?」
 るいは、激辛団子仲間のふたりへと視線を移しつつ、おかわりの水もがぶ飲み。
 そして同じく、あまりの辛さに言葉も出なかったリオは、ふと同じように口元を押さえている少女へと目を遣って。
「……はい、駒知さん、お口直ししてくださいね?」
 涙目になりながらふるふる震えている彼女へとそっと差し出したのは、冷たい水と甘い団子。
 まだうるうる涙目だけれど、それを駒知は受け取って。
 ありがとうございます、と……ふんにゃり微笑い返す。
 それからるいはおもむろに、ちらりと視線を移して。
「……。美味しいのは分かるけど太るぞ、れい」
「……太る?」
 鬼リピせんと団子に再び手を伸ばしたれいは、その言葉にぴくり。
 けれど、ひとつといわずもうひとつ手に取って、むぅっとるいに言い返す。
「いーの! 食べたくて食べてるんだから! るいは黙ってて!」
「いつも体型のこと気にしてるから言ってやってるんだろ?」
 ……はあ、少しは察しろよ、と。
 そう、はむりと団子を口にするれいに呟きを落とす、るいの隣で。
「あれはヒトの食べ物じゃないような……」
 改めて激辛団子の強烈さにそう紡いだリオの声に、トモはご機嫌。
「ワハ、ワハハ!!!!!! マドンナのその顔初めて見たなあ」
 激辛に沈んだ皆を指さしては、ワハハ! と笑んで。
 カメラを構えて――ぱしゃ。
 悲喜こもごも、でも楽し気ないつもの皆の姿に、シャッターを切る。
 割れた満月が見守る下で――うんうん、皆イイ顔してるよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アオイ・フジミヤ
シン(f04752)と

小さな月の形のバスケットに
空木の白花の枝とグリーンローズ
5月の花---せっかくのあなたとの花月に添えたいから

シン、シンお団子いっぱい選んで買っておいたの!
みたらしは絶対だね!きなこもいいな、餡子もずんだも食べたい…欲張りすぎ?

彼が選んでくれるお茶はたくさんあって目移りしてしまう
知らない世界のたくさんのお茶
一緒に世界旅行してるみたいね

薄透明のお茶に月の影を浸して
ああ、割れ目なんて気にならない

だって私にとってのほんとうの月は隣にいるの
そっと彼のほうに器を向けて映すと
金色の中に青がひかる

きっとこの月を忘れることはない
「あなたを永遠にしたい」と願う彼女の気持ちが少しわかった


シン・バントライン
アオイ(f04633)と

永遠なんて欲しいと思った事は無かった。
どうせすぐ失くなる人生だと思っていたし、そんなもんだとずっと教えられて生きて来た。あらゆる宗教も死後の世界を強調し、今生を如何に諦めるかに焦点を置いている様にみえる。
でも隣に座る彼女を見つめると願ってしまう。
ずっと続けばいいな。
意味は違えど大祓骸魂もこんな気持ちだろうか。

「団子に合いそうなお茶選んでみてん。飲み比べしてみん?」
UCから取り出し、ほうじ茶、煎茶、烏龍茶、蓮茶、麦茶…それぞれ小さい茶碗に注いで並べる。
「アオイはどれが好きかなぁ…あ、団子はどれにする?俺はみたらし!」

月が割れてようが関係無い。
彼女と見る月は美しい。



 天空から眺める月も、はらはらと花弁の如き光を咲かせているけれど。
 アオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)の手にも、月に咲く花々が。
 小さな月の形のバスケットに咲くのは、空木の白花の枝とグリーンローズ。
 だって、せっかくのあなたとの花月に添えたいって、そう思ったから――5月に綻ぶ花たちを。
 そして見上げる彼に、嬉々と告げる。
 一緒に眺める月も花も、勿論楽しみだけれど。
「シン、シンお団子いっぱい選んで買っておいたの!」
 そう、月見に欠かせない団子!
 色々な種類ある甘い団子たちに、アオイはわくわく心躍らせて。
 シンは青い瞳にそんな彼女の姿だけを映し、思う。
(「永遠なんて欲しいと思った事は無かった」)
 どうせすぐ失くなる人生だと思っていたし、そんなもんだとずっと教えられて生きて来た。
 それにあらゆる宗教も、強調するのは死後の世界で。
 シンにはこう、焦点を置いている様にみえていた。今生を如何に諦めるか、と。
 ……でも。
 今のシンは、願ってしまうのだ。
 隣に座る彼女を見つめると――ずっと続けばいいな、って。
(「意味は違えど大祓骸魂もこんな気持ちだろうか」)
 愛するこの世界を永遠にしたい。
 そう言っていた彼女の気持ちが、シンにはどこか分かる気がする。
 けれど、だからこそ……永遠を願うからこそ、彼女の愛は此処で止めなければならない。
 そのためにはまず、割れた月を気にせずに月見を楽しむこと。
 それが産まれ落ちんとしているカタストロフの幼生を消滅させる手段なのだから。
 でもそんなこと、意識しなくたって簡単にできる。
「団子に合いそうなお茶選んでみてん。飲み比べしてみん?」
 ふたり一緒ならば、何処だってなんだって、楽しいに決まっているから。
 そしてシンの手に在るのは、また新たなもうひとつの月。
 小さな月を模した香炉から取り出すのは、ほうじ茶に煎茶、烏龍茶や蓮茶や麦茶……沢山の茶。
 それをそれぞれ、小さい茶碗に注いで並べて。
「アオイはどれが好きかなぁ……あ、団子はどれにする? 俺はみたらし!」
「みたらしは絶対だね! きなこもいいな、餡子もずんだも食べたい……」
 ふと彼を見上げたアオイは、悩みながらもそっと呟く――欲張りすぎ? って。
 いや、団子だけでなく、彼が選んでくれるお茶はたくさんあって。
 つい、目移りしてしまうけれど。
 でも悩むこの時間だって、すごく楽しいから。
 知らない世界のたくさんのお茶。
「一緒に世界旅行してるみたいね」
 アオイはそう笑ってから、選んだ薄透明のお茶にゆうらり、月の影を浸してみれば。
 ……ああ、月の割れ目なんて気にならない。
(「だって私にとってのほんとうの月は隣にいるの」)
 そっと彼のほうに器を向けて映してみれば、きらきらとひかるいろ。金色に重なる青が、まるで寄り添い咲く様に。
 そんな隣の彼女に、欲張り上等やん、なんて団子を手に笑み返しながらも。 
 ……月が割れてようが関係無い。
(「彼女と見る月は美しい」)
 シンも、淡い月光に照る彼女の笑顔を柔く見つめる。
 月が割れていたってなんだって、構いやしない。
 だって、こうやってふたりで並んで天空から見る花月は、特別だから。
 そしてアオイも、少しわかった気がするのだった。
 ――あなたを永遠にしたい。
 そう願う、彼女の気持ちが。
 きっとこの月を忘れることはないと……隣の彼だけを見つめ、思いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

月が綺麗だね
あの時共に眺めた月も
廻り巡って今こうして眺める月も
変わらずに特別だ

しなやかな繊手に触れ指を絡めればあえかに綻ぶ桜
どんな桜よりも美しい龍の桜
見事な花見月だ
これは私だけの特権

サヨ
其れは串団子?
きみの好きな味を食べたいな

之がみたらし
此方が焼き団子──勧められるままに口に運ぶ
モチモチして美味しいね
噫、餡子もいい
三色は違う味が楽しめて良い

私?私もみたらしが特に気に入った

月の宵には詩を詠む─
ではこの詩を

──陸奥のはしのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに

さて
誰のせいだったかな
可愛い戯れを紡ぐ花唇に指を這わせる

責任なんて考えなくてもいい
神の愛は
拒もうとも注がれる

神が戀したならば─ね?


誘名・櫻宵
🌸神櫻

手が届きそうな月ね
あなたと共に観るからこそ美しいの
今も昔も
これからも
優しく笑う赫の神は厄災のように美しい

ん…擽ったい
撫でるように絡む指先すら優しくて
角に綻ぶ艶桜が隠したこころを暴いて曝す

照れ隠しにお団子を差し出す
月見といえばお団子よ

私はみたらしが好き
トロリとした甘しょっぱさが堪らないの
カムイのお口に合うといい

同じのが?
かぁいい神様ね

月の夜には詩を詠む
そうでしょう

─明日香河 淵は瀬になる 世なりとも 思ひそめてむ 人は忘れじ

うふふ
私のせいかしら

生まれたばかりの神だと思ったら
いつの間にか随分と艶やかになったこと
責任をとるべき?

さて
世界のものである神様が
世界以外に戀をしたら
どうなるのかしら?



 まるで地上の景色に戀しているかのように。
 はらはらと光の欠片を舞い降らせる満月。
 そして天空から臨む花月へと、その手をひらり伸ばしてみて。
「手が届きそうな月ね」
「月が綺麗だね」
 紡いだ誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)に、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)はこう続ける。
「あの時共に眺めた月も、廻り巡って今こうして眺める月も、変わらずに特別だ」
「あなたと共に観るからこそ美しいの」
 ……今も昔も、これからも。
 櫻宵は月へと伸ばしていたその掌で、優しく笑う赫の神にそっと触れながら咲う。
 ――私の神様は厄災のように美しい、って。
 そしてしなやかなその繊手に触れ、指を絡めれば。
「ん……擽ったい」
 あえかに綻んで色づく愛しい桜。
 だって、撫でるように絡む指先すら、一等優しいから。
 隠したこころをいとも容易く暴いて曝すのは、ふわりと角に綻ぶ艶桜。
 そんな満開桜を、見つめる朱砂の彩にも咲かせて。
「見事な花見月だ」
 カムイは存分に愛で楽しむ――これは私だけの特権、と。
 そんなにこにこ微笑みを湛える神様へと、櫻宵はおもむろに差し出す。
「月見といえばお団子よ」
 仄かに色づいて熱を帯びた、その照れ隠しに。
 そして眼前にずいっと並べられた様々な味の団子たちへと、カムイは視線を巡らせて。
「サヨ、其れは串団子? きみの好きな味を食べたいな」
「私はみたらしが好き。トロリとした甘しょっぱさが堪らないの。焼き団子もどうかしら」
 ……カムイのお口に合うといい。
 艶やかな甘やかさ纏う串団子をひとつ、彼へ。
「之がみたらし、此方が焼き団子――」
 カムイは興味深々、受け取ったみたらし団子の串をくるくる回しつつ眺めてみてから。
 はむり、と――勧められるままに口に運べば。
「モチモチして美味しいね」
「あまぁい餡団子も美味しいわよ。ふふ、三色団子はかぁいいわ」
「噫、餡子もいい。三色は違う味が楽しめて良い」
 けれど、やはりカムイが一等気に入ったのは。
「カムイはどれが好きだったかしら」
「私? 私もみたらしが特に気に入った」
「同じのが? かぁいい神様ね」
 ふたり顔を見合せ笑み合いながら、お揃いのみたらし団子をぱくり。
 そして甘やかな団子を味わい終えれば。
「月の夜には詩を詠む、そうでしょう」
「月の宵には詩を詠む――ではこの詩を」
 まずはカムイが、今宵の月を詩に詠む。

 ――陸奥のはしのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに

「うふふ、私のせいかしら」
 詠まれた歌を聞いてそう笑んでみせる巫女へと、カムイはそっと指を這わせる。
「さて、誰のせいだったかな」
 可愛い戯れを紡ぐ、花唇に。
 その摺り衣の模様の如く、乱れる私の心。
 私のせいではない、それは一体誰のせいか……と。
 そして櫻宵も、今宵にひとつ。

 ――明日香河 淵は瀬になる 世なりとも 思ひそめてむ 人は忘れじ

 変わりやすい世であっても、何があっても忘れはしまいと。
 一度思い込んでおちた以上、その人のことは……。
 そして唇にひかれた指の優しさに、櫻宵はくすりと笑み咲かせる。
「生まれたばかりの神だと思ったら、いつの間にか随分と艶やかになったこと」
 ――責任をとるべき? って。
「さて、世界のものである神様が世界以外に戀をしたら――どうなるのかしら?」
 そうわらう愛し巫女に、神はふわり微笑みを降らせる。
 天に耀う月さえも霞むような、己だけのために咲く美しい桜を、ただ見つめながら。
「責任なんて考えなくてもいい。神の愛は拒もうとも注がれる」
 ――神が戀したならば……ね? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

君影・菫
【絆狐】

ふふ、お月見やて
ちぃと狐親子、うちの家族総出で
割れてる月なんて見とかな損やろ
童女の性分が疼いてしまいそ

ちぃ、ちぃ
お団子どの味食べよ
三色もみたらしも胡麻もうちを呼んどる
あ、家族いっしょやし色々食べてもええんちゃう?
欲張りのワガママ
一口ずつみぃんなで食べたいて甘えてまお
あんな、おとーさんて視線少し上のキミへ甘い誘いひとつ
撫でられてご機嫌な娘

飲み物もお揃いにしたら口の中もみんなお揃いやな
甘えてあーんされて
だからお返しのあーん
物珍しい月が好きな娘たちが飛び出したなら
おとーさんたちの出番
歪でも其処に在るなら素敵やよ
この月もうちらの在り方も

綻ぶキミとの想い出
はなびら一枚を今日も重ね
また憶えてくんよ


宵鍔・千鶴
【絆狐】

皆で月見は初めて、かな
如何?狐たち。不思議で可笑しな割れ月は
菫は…愉しそうだねって微笑うはすっかり親の顔

やっぱりお月見にはお団子だけど
みたらし…あんこ…胡麻…
菫の提案採用で!
家族ってみんなで一緒のもの食べるんだろ
見上げる娘のおねだりは
二つ返事で甘やかすとも(撫でくり

団子のお供はお揃いの冷えた抹茶
ずらり並んだ団子を狐たちにも差し出して
菫にも、ほら、おとーさんが食べさせよう
あーん、だ
ときにはしゃぐ子達を嗜めるのすら
心は綻んでく
割れた月を見上げれば
まんまる月より歪で未完成で
個性があるから
俺にはより美しく視える

でも一番は、きみのおかげで
また想い出がゆるやかに記憶に、こころに
降り積もっていくよ



 天空から眺める月は、いつもよりも大きくて近い気がするし。
 はらりひらりと花弁の如き光が零れ落ちる満月は、ぱかりと割れているけれど。
「ふふ、お月見やて。ちぃと狐親子、うちの家族総出で、割れてる月なんて見とかな損やろ」
 むしろ、雛鳥にとっては興味津々。
 割れた月を見上げ、君影・菫(ゆびさき・f14101)は無邪気に笑う――童女の性分が疼いてしまいそ、って。
「皆で月見は初めて、かな」 
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)はそう言った後、紫抱く桜宵と琴白の稲荷狐たちへと笑んで。
「如何? 狐たち。不思議で可笑しな割れ月は」
 ゆうらり揺れる尻尾に瞳細めれば、今度は、そわり好奇心のままに視線巡らせる彼女の姿に微笑う。
「菫は……愉しそうだね」
 まるで幼き娘を見守る様な、すっかり親の顔で。
 そして雛鳥は、くいくいと軽く親の袖を引いて、楽し気に囀る。
「ちぃ、ちぃ。お団子どの味食べよ」
「やっぱりお月見にはお団子だけど」
 月見に団子は、何が何でも欠かせない。
 けれど、みたらし……あんこ……胡麻……と。
 どれも美味しそうで、選べなくて。
「三色もみたらしも胡麻もうちを呼んどる」
 菫も千鶴と一緒に、暫し誘惑してくる団子たちとお見合いを。
 けれど、ぱっと刹那、笑み咲いて。
「あ、家族いっしょやし色々食べてもええんちゃう?」
 ……一口ずつみぃんなで食べたいて甘えてまお、って。
 菫が閃いた名案を口にすれば。
「家族ってみんなで一緒のもの食べるんだろ」
 欲張りのワガママも上等――菫の提案採用で!
 そして……あんな、おとーさん、って。
 視線少し上のキミへ、菫の甘い誘いひとつ。
 そんな見上げる娘のおねだりは勿論。
 千鶴は伸ばしたその手で、菫をよしよし撫でくり。
 撫でられてご機嫌な娘にこくりと頷く。二つ返事で甘やかすとも、って。
 それから、狐達ももふもふ撫でてあげた後。
 団子のお供は、お揃いの冷えた抹茶。
「飲み物もお揃いにしたら口の中もみんなお揃いやな」
 ずらり並んだ団子を狐たちにも差し出してから、千鶴は甘い団子をひと串。
「菫にも、ほら、おとーさんが食べさせよう」
 ――あーん、だ。
 そう甘える雛鳥へと、甘やかなひとくちを。
 けれど、されるだけではありません。彼に差し出すのは、お返しのあーん。
 そしてぴょこんっと、物珍しい月が好きな娘たちが飛び出したなら……おとーさんたちの出番!
 そんなちょっぴりヤンチャにしゃぐ子達を嗜めるのすら、ほわほわ心は綻んで。
 天を仰げば、割れた満月。そして不思議な月を見遣りながらも、千鶴はふと紡ぐ。
「まんまる月より歪で未完成で個性があるから、俺にはより美しく視える」
「歪でも其処に在るなら素敵やよ」
 菫もその言葉にこくりと頷いて続ける……この月もうちらの在り方も、って。
 月が割れていたって、そんなの大した問題じゃない。
 だって、一緒にへんてこな月を見上げている今だって。
(「はなびら一枚を今日も重ね、また憶えてくんよ」)
 咲き綻ぶ、キミとの想い出。
 そう咲う菫に、千鶴も瞳を細めて。
(「でも一番は、きみのおかげで」)
 また楽しくて美しい特別ないろを、ひらり。
 一緒に躍らせ、降り積もらせてゆく。
 ――想い出がゆるやかに記憶に、こころに……って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
千之助(f00454)と

この街の空は、星も見えない。
眠らない夜はいつも薄明るくて、見上げようと思いもしない。
…けれど。
眼下に広がる人工の灯りの様に、
これだけ天に近いなら…見えるでしょうか?

えぇ。普段見上げてなかっただけで、
あれは満月です。満月ですとも!
何ら問題無く!!

命綱ならぬワイヤーも準備OK。
千之助、高い所は平気です?
こんな場所じゃ呑まないですよー。
食べ物だって無くていい。
欠かせないのは…ひとりだけ。
こっそり、ちらり。景色を見るお隣を窺ってみる。
光を望むひと。
…彼の目に、この世界が、景色が、どう映るのか。
実の所、未だよく分かってない。

お嫌いでなければ――
いや、世界に妬いたりしませんけどっ!


佐那・千之助
クロト(f00472)と

ああ。いかにも名月…!

こんなに高い所は初めてだけど、平気じゃよ
落ちたらクロトに巻き上げてもらう

地上の星を見渡せば、その美しさに胸を突かれ
一心に見とれてしまう
地平の果てまで無数の煌きが続き
その一つ一つにひとの営みがあって
なんて、いとおしい光…

長い間夢中になっていた
彼へ目を向けたら視線が合う。
見ていたのか。可愛いな…。
…それは、妬いてたと…?いや違うのか…?
難解。
周りから見えないよう、そっと手を繋ぐ
何を見ようと何処に居ようと彼に最も心を寄せている
そんな気持ちが掌から伝わるだろうか…

これで余所見しても寂しくないじゃろ
そうして、まだ一緒に見ようと誘う
私も光を眺める彼を見たいから



 夜になれば月と共に、天に輝いているはずの煌めきたち。
 けれど、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は微かに首を横に振る。
(「眠らない夜はいつも薄明るくて、見上げようと思いもしない」)
 だって、この街の空は、星も見えないのだから。
 けれど……クロトは天空から広がる街の景色を見下ろし、思う。
(「これだけ天に近いなら……見えるでしょうか?」)
 ……眼下に広がる人工の灯りの様に、って。
 いや――えぇ。普段見上げてなかったというだけで。
「あれは満月です。満月ですとも! 何ら問題無く!!」
 ……何だか割れている? いえいえ、満月なのです!
「ああ。いかにも名月……!」
 佐那・千之助(火輪・f00454)も何も迷うことなく、クロトの言葉にこくりと大きく頷いて。
「千之助、高い所は平気です?」
「こんなに高い所は初めてだけど、平気じゃよ」
 落ちたらクロトに巻き上げてもらう、ときりり。
 大丈夫、命綱ならぬワイヤーも準備OK!
 そして団子や酒などを皆に振舞っている屋台をふと見遣る、クロトだけれど。
(「こんな場所じゃ呑まないですよー。食べ物だって無くていい」)
 もしもうっかり千之助が落ちてしまったら、颯爽と救い上げないといけないし。
 それに――美味な団子も酒も、いらないから。
 だって、欠かせないのは……ひとりだけ。
 そう、こっそり、ちらりと。
 景色を眺めているお隣を窺ってみれば。
 一心に見とれている、その横顔。
 地上の星を見渡せば、千之助は胸を突かれる……その美しさに。
(「地平の果てまで無数の煌きが続き、その一つ一つにひとの営みがあって」)
 ――なんて、いとおしい光……、って。
 そして月光に照るその顔をじっと見つめながら、クロトは思うのだった。
(「光を望むひと。……彼の目に、この世界が、景色が、どう映るのか」)
 ……実の所、未だよく分かってない、って。
 だからずっと、見つめていたら。
 長い間夜景に夢中になっていた瞳が、ふと自分へと向けられて。
 ぱちりと合う、視線。
 そんなクロトの瞳に、千之助はようやく気が付いてから。
(「見ていたのか。可愛いな……」)
 そうほこほこ思いつつも、声を紡ぐ彼を見つめ、思い至る。
「お嫌いでなければ――」
「……それは、妬いてたと……?」
 そんな千之助の言葉に、クロトはぱちりとひとつ、瞬いてから。
「いや、世界に妬いたりしませんけどっ!」
「いや違うのか……?」
 ……難解、と。
 こてり首を傾ける彼から、ふいっと一瞬目を逸らすけれど。
 でもすぐに、再びその顔を上げることになる。
 周りから見えないよう、そっと――彼の手の温もりが、自分のものと繋がったのだから。
 気持ちが伝わるだろうか……そう繋いだ掌に、千之助は想いを込める。
 ――何を見ようと何処に居ようと彼に最も心を寄せている、と。
 そして自分へと視線を戻した彼に、笑んでみせる。
「これで余所見しても寂しくないじゃろ」
 そんな千之助も、光を眺める彼を見たいから。
 だから、月に照らされた綺麗なその顔を真っ直ぐに見つめて。
 千之助は改めてクロトへと、こう誘いの声を掛ける――まだ一緒に見よう、と。
 互いの手を、しっかりと握りしめて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百合根・理嘉
【銀幽】
はいはいはいはい
判ったからはしゃぐなってば、ユーレィ

串入道が今回用意してんのは団子か
まぁ、月見だしなぁ

団子に蜂蜜酒は……合うのか?
え?合うの?ホントに?

欲しい団子を次々頼んでいく様子に
やっぱりこの人のお守は俺には荷が重いなぁと笑って
とことん付き合う

あ、俺はみたらし多めでお願いしよ
後はロシアン的なのじゃない変わりダネがいいな
へぇ、串の団子の中の餡がそれぞれ1つずつ違う?
ハズレ的なのねぇ?ならそれ!

月見!変なの見えるけど、まぁ、戦争だしな!
気にしねぇで乾杯!
はは、未成年の飲酒喫煙はだめですよーっての
ちゃんと守った甲斐あるなぁ

餡違いの団子は面白くて美味い!
ユーレィにもちゃんとお裾分けする!


ユーレィ・ユージィン
【銀幽】
やったー!
ただくん、付き合ってくれてありがとー!(ばんざーい)

団子!串入道さんありがとー!
ただくん、ただくん、どれにします?
俺はどれでも美味しくいただける自信があります!(きりりっ)

蜂蜜酒も用意したから完璧ですよね!

え?合いますよ?
甘いものと甘いものの掛け算は最高に美味しいんですからね!

三色団子にみたらし団子
へぇ、クリーム大福の串もあるんですか?
ならそれもくださいな
チーズクリームもある?ならそれも!

しっかり買いこんだら月見!
変なのいても月が綺麗なのは変わらないでしょう?
俺ね、ただくんと飲みたかったから凄い嬉しいんですよ?
グラスに映った月に笑って酒も団子も楽しみますね?

最後は刻憶で攻撃!



 これまで、幾つもの戦場を駆け抜けてきて。
 ようやく辿り着いた、最終決戦の地。
 そこはUDCアースが一望できる天空の戦場――スカイツリーゲイン塔、なのだけれど。
「やったー! ただくん、付き合ってくれてありがとー!」
 月が照る夜空へと、大きくばんざーい……!?
 そうキャッキャと嬉し気に笑むユーレィ・ユージィン(ルイ・リール・f17625)を窘めるのは、百合根・理嘉(風伯の仔・f03365)。
「はいはいはいはい。判ったからはしゃぐなってば、ユーレィ」
 けれど、そう言っている間に。
「団子! 串入道さんありがとー!」
 タタタッと踊る心のように軽やかに、串団子を振舞っている屋台へといつの間にか向かっているユーレィ。
 そして、急かすようにひょいと手招きして。
「ただくん、ただくん、どれにします? 俺はどれでも美味しくいただける自信があります!」
 そうきりりっと、得意顔!
 そんな自信満々な様子のユーレィを後目に。
(「串入道が今回用意してんのは団子か。まぁ、月見だしなぁ」)
 理嘉は屋台で団子を提供している妖怪串入道を見遣る。
 この妖怪に食べ物を提供されたのは、これが初めてではない。
 何気に花見の時にも串料理を振舞って貰ったのだが、今回は月見なのでラインナップは主に団子のようだ。
 そして、そんなことを思っていたら。
「蜂蜜酒も用意したから完璧ですよね!」
「団子に蜂蜜酒は……合うのか?」
 またもやえっへんと聞こえてきた声に、思わず首を傾ける理嘉。
 けれども逆に、今度はユーレィがきょとん。
「え? 合いますよ? 甘いものと甘いものの掛け算は最高に美味しいんですからね!」
「え? 合うの? ホントに?」
 何を当たり前のことを聞いているんだ、みたいな顔をして言い切るその姿に、理嘉は瞳をぱちりと瞬かせるけれど。
「三色団子にみたらし団子……へぇ、クリーム大福の串もあるんですか? ならそれもくださいな」
『他にも変わり種はどうだい? チーズクリームとか人気だよ!』
「チーズクリームもある? ならそれも!」
 欲しい団子を次々と頼んでいくユーレィの様子に、理嘉は思わず笑ってしまう。
 ……やっぱりこの人のお守は俺には荷が重いなぁ、って。
 とことん付き合いながらも。
『そっちのおにいさんは何にするんだい?』
「あ、俺はみたらし多めで。後はロシアン的なのじゃない変わりダネがいいな」
『それなら、串に刺さった団子の中の餡がそれぞれ1つずつ違う、アソート串はどうだい?』
「へぇ、ハズレ的なのねぇ? ならそれ!」
 そして、しっかりと食べ物や飲み物を調達し終われば。
 いざ――月見のはじまりです!
「月見! 変なの見えるけど、まぁ、戦争だしな!」
「変なのいても月が綺麗なのは変わらないでしょう?」
 ……俺ね、ただくんと飲みたかったから凄い嬉しいんですよ? って。
 そうグラスを手にするユーレィと、とりあえず月は気にしないで――乾杯!
 グラスに映って揺れる月に笑って、酒も団子も存分にユーレィと共に楽しみながらも。
 理嘉は改めてしみじみ思うのだった。
「はは、未成年の飲酒喫煙はだめですよーっての、ちゃんと守った甲斐あるなぁ」
 だからこんなに、成人してはじめて其々の人と酌み交わす酒は、きっと特別なのだ。
 理嘉は串入道おすすめの餡違いの団子をまずはひと串、はむりと食べてみれば。
「こし餡に桜餡、よもぎ餡だな。面白くて美味い!」
 そして興味津々に見つめてくるユーレィにも、ちゃんとお裾分け。
 ユーレィも理嘉と一緒に、しっかり存分、月も団子も酒も楽しんでいるから。
 『大祓骸魂』がやって来たって、癒えない不可視の刻印を付与して、いつでもびしっと攻撃できます!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
理緒さん(f06437)と

今日はお月見デート
屋台でお団子をもらって、食べ歩きしましょう
片手には串団子
もう片方の腕は腕組みで、温かい温もりを感じつつ

…ところで、激辛団子とかありましたけど、やっぱり理緒さんが手にしたのはそれです?
ん、まぁ、理緒さんスペシャルなトッピングが追加されていないのなら…あーんと食べさせてもらいましょう
此方からのお返しは、あんこや醤油の定番団子を、はい、あーん

…あ、理緒さんの口元に食べかす…?
醤油団子とか口元汚れますしねぇ…
それを舐めとるのも兼ねて、次は口移しで食べさせてあげましょうか?
(くすくす
理緒さんの頭に手を当てて、グイッと抱き寄せて…ちゅっ

あ、大祓は倒しますね


菫宮・理緒
いちごさんと(f00301)

え? お月見、でーと?
お団子の味、わかるかな……。

屋台では激辛のお団子をもらうね。
あ、それと、吉備団子の串も欲しいな。

腕を組んで、久しぶりにいちごさんとのんびり。

「うん。激辛団子もあるけど、あーん用もあるよ!」
買っておいた吉備団子をあーんしちゃいます。

わたし学習できる子だからね!
いつもいちごさんをのたうちまわらせはしないよ(どやっ)

「え? お返し……は、はいー……」

学習できるとは言ったけど、こっちには効果なし、
やっぱり真っ赤になっちゃいます。

って、え?
いきなりのキスにぱちくりしていたら、
小さな声で、ついてましたから、と。

ほんとなのかな?
ちがうのかなー?(ぐるぐる)



 天空に聳え立つ、東京スカイツリー。
 そこはUDCアースでも定番のデートスポットである。
 とはいえ一応、究極妖怪『大祓骸魂』との決戦の地でもあるのだけれど。
「今日はお月見デート。屋台でお団子をもらって、食べ歩きしましょう」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の言葉に、ぱちぱちと瞳を瞬かせるのは菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)。
「え? お月見、でーと? お団子の味、わかるかな……」
 見上げる空に浮かぶ満月は、何気に割れているけれど……そんなことは気にしない。
 カタストロフの幼生を消滅させるために、今は月が割れていることは無視して、全力で月見をする必要があるというのだから。
 ふたり仲良く腕を組んで、互いの温もりをほわりと感じつつも。
 足を向けるのは、妖怪串入道が団子を提供しているという屋台。
 そして、やはりまず、いちごの目がいってしまうのは。
「……ところで、激辛団子とかありましたけど、やっぱり理緒さんが手にするのはそれです?」
 そう――激辛串団子……!?
 なんてったって理緒は、辛いものが大好きだから。
 なので、当然の如く。
「うん、わたしは激辛のお団子をもらうね。あ、それと、吉備団子の串も欲しいな」
 選ぶのはやっぱり、激辛団子。
 いや……いつもならばそれにプラス、持参の辛い調味料をふんだんにかけて食べるところであるが。
「ん、まぁ、理緒さんスペシャルなトッピングが追加されていないのなら……あーんと食べさせてもらいましょう」
 そう彼女の様子を何気にそっと伺いながらも。
 いちごは、いつもの様に辛みが追加されていなければ……と。
 あーんして貰うべく、口を開けば。
「うん。激辛団子もあるけど、あーん用もあるよ!」
 理緒はさり気なく激辛と一緒に買っておいた吉備団子を、彼にあーん。
 そしてふたり腕をくんだまま、久しぶりにのんびりしつつも。
「わたし学習できる子だからね! いつもいちごさんをのたうちまわらせはしないよ」
 そう、えっへん得意気に、どやっ。
 ……でも。
「では此方からのお返しは、あんこや醤油の定番団子を……はい、あーん」
「え? お返し……は、はいー……」
 学習できると、ついさっき言ったばかりの理緒だけれど――こっちには効果なし。
 いちごにあーんして貰えば、やっぱり真っ赤になっちゃいます。
 いえ……あーんだけではありません。
 いちごは、顔を赤らめながらももぐもぐ団子を食べている彼女に、ふと視線を向けて。
「……あ、理緒さんの口元に食べかす……? 醤油団子とか口元汚れますしねぇ……」
 それを、ぺろりと綺麗に舐めとってあげるのも兼ねて。
(「次は口移しで食べさせてあげましょうか?」)
 何気にそうっと、くすくす笑んでから。
「って、え?」
 理緒の頭に手を当てた刹那、グイッと抱き寄せて……ちゅっ。
 そして、いきなりのキスにぱちくりとしている彼女の耳元で、囁く様に告げる。
 ――ついてましたから、と。
 そんな耳を擽る声に、耳まで赤くしながらも。
 理緒は、甘い感触と味が残る口元に手をそっと当てて、ぐるぐる。
 ……ほんとなのかな? ちがうのかなー? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

花見に続いて、お月見と串料理を楽しめるなんて素敵ね
(幼生のことは目そらし)
ヴォルフがいれば、どこだって幸せな場所になりますもの

焼き鳥や串カツ、野菜スティックやチーズも串に刺して
お酒の方も、せっかくだからこの世界のものがいいわ
……これが「びーる」というものですの?
噂には苦いと聞いていたけれど、店主おすすめのクラフトビールは
香草の香りが効いたフルーティーな味わい
これならわたくしでもいけそうです

ここは東京でも一番高い場所
天には夜空の星、そして眼下には地上の星
輝きに満ち溢れているわ
この素敵な世界を、必ず守りましょうね


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

いよいよ最終決戦のはずなのだが、まさかこんな風に
彼女との余暇を再び楽しむことになるとはな……
いや、決して嫌なわけではないんだ
むしろ激しい戦いでお前が傷つくよりも、
またこうしてお前と一緒に平和な一時を楽しめることを嬉しく思う

ヘルガの服が汚れないように、焼き鳥は塩を選んでおこう
肉も野菜も甘味も、存分に味わって

ヘルガはビールは初めてか
そうだな、独特の苦みは、慣れないうちは少しきついかもしれない
店主に頼んで、おすすめの銘柄を見立ててもらおう

……気に入ってくれたようで、何よりだ

この世界には狂気よりも滅びよりも、生きる希望と喜びの方が良く似合う
存分に楽しもうじゃないか



 見下ろす景色は、守るべきUDCアースの世界。
 そして見上げれば、円を描くまんまるのお月様。
 ……ちょっと、何だか割れているけれど……目を逸らして、気にしない。
「花見に続いて、お月見と串料理を楽しめるなんて素敵ね」
 そう笑むヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)に、頷きながらも。
「いよいよ最終決戦のはずなのだが、まさかこんな風に余暇を再び楽しむことになるとはな……」
 ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)はちょっぴりだけ複雑な気持ちを紡ぐけれど。
 すぐにふるりと一度首を横に振ってから、続ける。
「いや、決して嫌なわけではないんだ。むしろ激しい戦いでお前が傷つくよりも、またこうしてお前と一緒に平和な一時を楽しめることを嬉しく思う」
 そんな優しい彼の言の葉に、ヘルガは月光の下、嬉しそうに笑顔を咲かせる。
「ヴォルフがいれば、どこだって幸せな場所になりますもの」
 そして、花見の時は様々な串料理を提供してくれた妖怪串入道であるけれど。
 今日は月見な上に一応、究極妖怪『大祓骸魂』のいる戦場。
 すぐに店が畳めるように、月見用の団子を主に今宵は提供しているようだが。
 花見の時の串料理に負けず劣らず、串団子も沢山の品揃え。
 定番のものから、野菜のものやチーズのものも串にささって振舞われているから。
 ヴォルフガングはヘルガの服が汚れないようなものを見繕ってから。
「お酒の方も、せっかくだからこの世界のものがいいわ……これが「びーる」というものですの?」
 ふと彼女の目に留まったのは、酒は酒でも、この世界ならではのビール。
「ヘルガはビールは初めてか。そうだな、独特の苦みは、慣れないうちは少しきついかもしれない」
 そう考えたヴォルフガングは、酒にも詳しい妖怪串入道に相談して。
 はじめてでも飲みやすいと見立てて貰ったのは、クラフトビール。
 噂にはビールは苦いと聞いていたから、ヘルガはまずは少しだけ、そうっとグラスに口をつけてみたけれど。
「香草の香りが効いたフルーティーな味わい。これならわたくしでもいけそうです」
「……気に入ってくれたようで、何よりだ」
 彼女を見守っていたヴォルフガングも、ぱっと咲いた笑顔にホッと瞳を細める。
 そしてビールを手に、天空からの景色を並んで眺めてみれば。
 ここは東京でも一番高い場所――天には夜空の星、そして眼下には地上の星。
 そこにあるのは、数えきれないほどの煌めき。
「輝きに満ち溢れているわ」
 ヘルガはそう、美しい光たちを青い瞳にも煌めかせて。
 ヴォルフガングへと紡ぐ――この素敵な世界を、必ず守りましょうね、と。
 その言の葉に、ヴォルフガングもこくりと頷いてから。
「この世界には狂気よりも滅びよりも、生きる希望と喜びの方が良く似合う」
 そっと愛しい人の華奢な手を取って、笑み返す――存分に楽しもうじゃないか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴久名・紡
カタストロフは日常茶飯事だし
そういう事もあるだろう、
そう思えてしまう程度には
幼生の存在はそこまで気にならない

慣れとは恐ろしいな

そんな事を想いながら団子を幾つか
甘めのものと、塩気のあるものを
折角だから串入道のお勧めも貰おう
お供は煎茶
団子ももお茶も二人分
一つは俺で、一つは綺麗な満月に捧げる

喧騒から少し離れた場所を見つけたら腰を落ち着け
月を愛でながら団子を頂こう

月は満ちて欠ける
そこには時間があって
そして、その時間が続く限り
多分命は続いていく

眼下に広がるUDCアースの夜景も
頭上にある美しい満月も
変わる事なく、変える事なく済むように

月を愛でて過ごして
最後には、大祓骸魂を還して
帰らなくては、カクリヨへ――



 天空の塔から見上げれば、世界を照らし光の花弁を満月の姿が。
 けれどちょっぴりだけ様子が違うのは、月が割れていること。
 それは、カタストロフの幼生がうまれ落ちる前触れ。
 そしてそれを阻止し消滅させるためには、割れている月を無視して月見を楽しむことだというが。
(「カタストロフは日常茶飯事だし、そういう事もあるだろう」)
 竜神である鈴久名・紡(境界・f27962)にとって、世界の滅亡の危機には慣れたもので。
 月が割れているくらい、別に大騒ぎするようなことでもないし、そういう性格でもないし。
 満月の割れ目から見えている幼生の存在はぶっちゃけ、そこまで気にならないのであるが。
 ――慣れとは恐ろしいな。
 我ながら、そうは思いながらも。
 やはり普段と変わらない様子で足を向けるのは、串団子を振舞っているという妖怪の屋台。
「甘めのものと、塩気のあるものを。折角だからお勧めも貰えるだろうか」
『みたらしと海苔醤油、あとはきなこ餡なんてどうだい』
 そして団子のお供に煎茶もつけて貰ってから。
 紡はそれらを、ふたつずつお願いする。
 一つは俺で、一つは綺麗な満月に捧げる……と。
 それから、喧騒から少し離れた場所を見つけ、すとんと腰を落ち着ければ。
 月を愛でながら、団子をはむり。
 月と一緒に過ごすひとときを、静かに楽しむ。
 そしてふと、円を描く満月を見遣りつつ、暫し物思いに耽ってみる。
 今はまんまるであるけれど、月は満ちて欠けるもの。
(「そこには時間があって。そして、その時間が続く限り……多分命は続いていく」)
 そんな月を見上げていた瞳を、今度は眼下に広がる夜景へと移して。
 街に煌めく光を……命の営みの輝きを見つめ、紡は改めて思う。
 眼下に広がるUDCアースの夜景も、頭上にある美しい満月も、そのどちらとも。
 ――変わる事なく、変える事なく済むように、って。
 そして月を存分に愛でて過ごした後。
 この世界への永遠の愛を紡ぐ大祓骸魂を還すべく、神力放つ得物を振るう。
 彼女を在るべき海に返して、そして。
 ……帰らなくては、カクリヨへ――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳶沢・成美
雨降ってたり曇り空で月が見えなくても月見やったみたいなので
別におかしくは無い……のかな?

ま、いいや僕に風流は似合わないので
団子食べてお茶飲んで月に思いをはせましょう、そうしましょう

団子はたっぷり餡がつけられたやつ
お茶は最近流行りの深蒸しじゃなくて普通蒸し
緑より金のお茶の方が好きなんですよね
トロトロ甘いお茶じゃなくて、きりっとした苦みがあるやつがいい
団子を食べる時にはね

団子のごとく丸い月がそこにある
それがわかっていれば何の問題もありませんね



 天空から眺める景色には、確かに円を描く月が見える。
 見えるのだけれど……柔い輝きを降らせる満月は、割れていた。
 カタストロフの幼生の欠片を、はらはらと舞い落しながら。
 そんな割れた月を無視して月見を楽しむこと、それが幼生を消滅させる手段であり、今回成すべきことなのであるが。
「雨降ってたり曇り空で月が見えなくても月見やったみたいなので、別におかしくは無い……のかな?」
 ――満月は割れてなんていません! なんて。
 そんな素振りで月見をするという、首を傾げるような不可思議な状況下ではあるものの。
 そう納得するように自分に言って聞かせるのは、鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)。
 けれど多分、あまり深く考えてはいけないのだろうし。
「ま、いいや。僕に風流は似合わないので、団子食べてお茶飲んで月に思いをはせましょう、そうしましょう」
 早速、足早に向かうのは、様々な串団子を提供してくれるという屋台。
 そして店主である妖怪串入道へと、自分の好みを告げる成美。
「団子はたっぷり餡がつけられたやつで、お茶は最近流行りの深蒸しじゃなくて普通蒸し。緑より金のお茶の方が好きなんですよね」
『お、茶に拘りがあるのかい? 味わいはどんなものを?』
「トロトロ甘いお茶じゃなくて、きりっとした苦みがあるやつがいい」
 甘い餡たっぷりの団子をお願いしたのだから。
 お供の茶は、引き締まる様な苦味のある渋めのものをと。
 そして要望通りの、餡がたっぷり乗った串団子と、ふわり香るきりりとした風味の茶を手に。
 自分には風流は似合わないと、やはりそうは思うのだけれど。
 成美はふともう一度、夜のような色の瞳にも、まんまるお月様を浮かべた後。
 今度は手元のまあるい団子を見つめ、思うのだった。
 割れていようが、雨が降ろうが、雲がかかっていようが……大した問題では、きっとないはず。
(「団子のごとく丸い月がそこにある」)
 間違いなく此処には月があると――それがわかっていれば何の問題もありませんね、って。
 茶を片手に、甘い餡団子をもぐもぐと口にし、じっくりと味わいながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふわぁ?お月様が綺麗ですねー。
ふええ、あの状態のお月様を気にしないでって難しいですね。
ほんと、アヒルさんが羨ましいですよ。
だって、花より団子ではなくて月より団子ですからね。
ふええ、またおかわりですか?

串入道さんから串団子をいっぱい貰ってきたのはいいですけど、なんだか妖怪さんが増えてませんか?
ふええ、急がないとアヒルさんに怒られてしまいます。
あっ、ごめんなさい。
素敵な和服にシミが・・・。
ふえええ、どうしましょう。
大祓骸魂さんの服にお団子のタレを付けてしまいました。
ここはいちおう大祓骸魂さんの戦場だから、大祓骸魂さんがいるのは当然ですけど
これは本当に衝撃的な出会いですよ。



 訪れたスカイツリーから、そうっと空を見上げてみれば。
「ふわぁ? お月様が綺麗ですねー」
 フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、第一声こそそう紡いだものの。
 そっと大きなつばの帽子を押さえつつも、さり気なく空に浮かぶ満月から目を逸らす。
「ふええ、あの状態のお月様を気にしないでって難しいですね」
 ぱかりと割れている満月を無視して、月見を楽しむこと。
 それこそ、うまれ落ちんとしているカタストロフの幼生を消滅させる方法なのだと聞いたものの……やはり、そんな不思議な状況を気にするなと言われても、意識してしまう。
 だからあまり月を見ない様にしつつも、フリルが視線を向けるのは、相棒のアヒルさんの姿。
「ほんと、アヒルさんが羨ましいですよ」
 ――だって、花より団子ではなくて月より団子ですからね、と。
 月が割れていようが、花弁みたいなものがはらはら降っていようが。
 多分、雨が降っても槍が降っても、きっとアヒルさんは気にしないだろう。
「ふええ、またおかわりですか?」
 何せ、串団子に夢中なのだから。
 それからフリルは、瞳をぱちくりとさせる。
「串入道さんから串団子をいっぱい貰ってきたのはいいですけど、なんだか妖怪さんが増えてませんか?」
 ……ふええ、急がないとアヒルさんに怒られてしまいます、と。
 またくちばしでツンツン全力でされるのは痛いから、慌てて貰ったおかわりを手に戻っていれば。
 ――どしんっ。
「あっ、ごめんなさい」
 誰かにぶつかって、相手の素敵な和服にシミが……。
「ふえええ、どうしましょう」
 なんと、現れた大祓骸魂の服に、お団子のタレを付けてしまったのである。
 いや、ここは一応、大祓骸魂がいると言われている戦場だから、彼女がいるのは当然なのだけれど。
 衝撃?的な出会いから始まる恋?物語――かは、ともかく。
 フリルは慌てて出会い頭の突進という名の、洋服のシミ落としを頑張りつつも。
 和服が汚れて何気にダメージを受けている大祓骸魂を見遣りつつも思うのだった。
 ――これは本当に衝撃的な出会いですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
眼下には
月に照らされた芒野原のような夜景
或いは
清廉なる月光の粒子が
夜の底に降り積もり
いのちの輝きを灯しているのかもしれない

綺麗ですねぇ

此のひかりを護りたいと思う
義務や義憤ではなく
利己的――単純に、うつくしい、と感じるから

淡く笑んだまま
串団子を一口頬張れば
柔らかさ
食感
絶妙な甘さ
香ばしき焦げ目
様々な味わい達の見事な調和に
忽ち破顔

さっきまでの優美さは何処へやら
すっかり
花より月より団子の体だけれど
なぁに全て揃ってこその愉しみよ、と
誰にともなく
ふくふく笑って
掲げる酒杯

甘露に映る月影も花めく欠片も
余さず飲み干してしまおう

そうしてやっぱり
私の裡に温かくしみわたり
いのちの輝きを増してくれる燈りとなるのでしょう



 月をこうやって眺めることは、さほど珍しいことではない。
 けれど、都槻・綾(絲遊・f01786)の口から漏れるのは、感嘆のいろ。
 ――綺麗ですねぇ、と。
 眼下に広がるのは、月に照らされた芒野原のような街の夜景。
 いや……或いは、と綾は思う。
 夜の底に静かにはらりと降り積もる、清廉なる輝き纏う月光の粒子。
(「それは、いのちの輝きを灯しているのかもしれない」)
 だがどちらにしても、この世界へと降り注ぎ、この世界を灯す輝きに、綾が思う事は同じ。
 ……此のひかりを護りたい、と。
 確かに今この場に在るのは、猟兵としてでもあるのだけれど。
 でも、そんな義務や義憤ではなくて。
 綾の心を突き動かすのは、もっと利己的な――単純に、うつくしい、と。
 そう、感じるから。
 そして月見のお供といえば、やはり。
 淡く笑んだまま、ぱくりとひとくち頬張るのは、甘くて美味な串団子。
 それを存分に噛みしめながら、ひとつこくりと、大きく綾は頷いて。
 ……柔らかさ。
 ……食感。
 ……絶妙な甘さ。
 ……香ばしき焦げ目。
 どれも申し分なく、様々な味わい達の見事な調和にほわりと忽ち破顔する。
 さっきまでの優美さは何処へやら――すっかり、花より月より団子の体だけれど。
「なぁに全て揃ってこその愉しみよ」
 酒杯を掲げながら、そう笑み零す。誰にともなく、ふくふくと。
 そして甘露に映り、ゆうらり揺らめく月影も。
 はらはらと月の割れ目から零れ落ちる、花めく欠片も――くいっと。
(「余さず飲み干してしまおう」)
 至福の甘やかな団子を肴に杯を傾け、呷れば。
 ほかほかとやはりしみわたるのは、温かさ。
 そんな己の裡に宿る熱の心地良さに、ふわり仄かに酔い痴れながらも。
 ――いのちの輝きを増してくれる燈りとなるのでしょう。
 綾はそう、もう一度……数多の輝きたちに、乾杯を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・多摘
…ツッコんではならないのじゃな。OK。
妖怪の存在自体割ととんでもないのじゃから今更驚く事でもないか。
なら普段通り風流を楽しめばよかろう。
邪神の力も削れるし一挙両得というものじゃ。

展望デッキに登り月を見上げる。
準備するは酒と臨時屋台の串団子、甘味。風も丁度よい涼しさで名月を楽しむにはうってつけじゃ。
…この美しさこそが我の守るべき世界、あの憎き邪神から守らなければならないもの。
団子を頂き酒をあおる。ごまとみたらし、月のようなそれはいい味しておるのう。
讃える詩でも詠めればいいのじゃが、どうにもよくなる気がせんのが残念。

大祓骸魂にはUCで突風のブレスを。

※アドリブ絡み等お任せ
酔うのは早いが潰れないザル



 UDCアースの世界を照らす今宵の月は、美しい円を描く満月。
 いや……確かに、見上げる月は、満月ではあるのだけれど。
 こくりとひとつ大きく頷いて呟きを落とすのは、水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)。
「……ツッコんではならないのじゃな。OK」
 満月は満月でも、ぱかりと割れているなんて――そんなこと、気にしてはいけない。
 割れ目から零れ落ちるのは、カタストロフの幼生だという。
 それは花弁のようで一見美しいけれど、だが世界を滅亡へと導くもの。
 とはいえ、幽世の世界では、カタストロフだとか滅亡だとか、正直日常茶飯事で。
(「妖怪の存在自体割ととんでもないのじゃから今更驚く事でもないか」)
 あまり深く考えてはいけないことを、多摘は知っているから。
「なら普段通り風流を楽しめばよかろう」
 ……邪神の力も削れるし一挙両得というものじゃ。
 そう、細かい事は気にせずツッコまず、月見を純粋に楽しむことに。
 それが、カタストロフの幼生を消滅させ、月を元通りに戻す方法でもあるのだから。
 そして足を向けた展望デッキに登り、月を見上げて暫し月見に興じる多摘。
 そんな月見のお供は、酒と臨時屋台の串団子、甘味。
 やはり美味な酒や甘味は、月見を楽しむためには欠かせない。
「風も丁度よい涼しさで名月を楽しむにはうってつけじゃ」
 さわりと撫でる夜風がまた、酒で仄かに火照った身には心地良くて。
 眼下に見下ろす世界の輝きを見つめながら、改めて多摘は思う。
(「……この美しさこそが我の守るべき世界、あの憎き邪神から守らなければならないもの」)
 そして、はむりと色々な味の団子を口にし楽しみつつ、酒をくいっとあおれば。
「……ごまとみたらし、月のようなそれはいい味しておるのう」
 月の如くまんまるい美味なその味わいに、ほわほわご満悦。
 それから、ここで月を讃える詩でも詠めれば……なんて、そうは思うけれど。
(「どうにもよくなる気がせんのが残念」)
 けれど詩を詠むことは、今宵はやめておくけれど。
『愛するUDCアース あなたを永遠にしたい』
 ――猟兵たちよ 止められますか、と。
 そう紡ぐ大祓骸魂に、餞の突風を――無数の黒き荊へと変じる悪霊龍の息吹で。
 彼女を、在るべき海へと還すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月03日


挿絵イラスト