大祓百鬼夜行㉕〜どこまでも純粋で狂気じみた愛
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「いよいよフォーミュラ戦よ。すでに知ってる人も多いだろうけど、予知について説明するわね。案内するグリモア猟兵によって微妙に違うことがあるから、確認をお願い」
田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は前置きもそこそこに、資料を配布する。
「討伐対象は『大祓骸魂』。骸魂の元凶たる究極妖怪にして、UDCアースの大いなる邪神でもある存在よ。
絶対的な先制攻撃をしてくるタイプではないけれど、だからって今までのフォーミュラに勝るとも劣らない強敵ね。能力値・各種技能レベルともに猟兵トップですら足元にもおよばない。戦闘におけるイニシアチブは、常に相手が握るものと考えなければならないわ」
大祓骸魂は、東京スカイツリーの最上部に設置された、アンテナが収納された高さ約140mの巨大構造物、「ゲイン塔」にて猟兵たちを待ち構えているという。
彼女が放つ膨大な「虞(おそれ)」は東京上空を「カクリヨファンタズムが如き空間」に変化させて、今回の戦争に存在した「あらゆる手段」を、猟兵が使用するものと同じ能力値のユーベルコードと組み合わせて襲いかかってくるのだ。
「カオス渦巻く戦場になるでしょう。真の姿を晒す、他の猟兵と連携する、カード弾幕をかわす、どこからか現れた子供を救出する……etc。今回の戦争で体得した手段の数々から、何をどんな風に使えば勝利をもぎ取れるか。よくよく考えて挑んでちょうだい」
伝えられることは以上、と締めくくり、ユウナは猟兵たちを戦場に送り出す。
黒姫小旅
どうも、黒姫小旅でございます。
此度はオブリビオンフォーミュラ戦。誇張なしの世界最強が相手となりますので、場合によっては容赦なくヒドい目に合っていただきます。ご注意ください。
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基本的はマイペースに書いていくつもりです。
カタストロフが目前(6/1 16:00)ですが、完結前に勝利が確定した場合は、期限後のプレイングも採用していきますので、タグをご確認ください。
●特殊ルール
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プレイングボーナス……(全ての戦場のプレイングボーナスから好きなものを選び、使用できます)
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『上記の条件にどれだけ適したプレイングか』によって成功度判定のサイコロ振り直しの回数が増加します。
ボーナス条件は、一つでも複数でも選択可とします。
失敗上等、シビアに判定しますので、ゆめゆめ油断のないように。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
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POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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サリー・オーガスティン
■SPD
ここまで、ひょうすべライダーや重ね鳥居2回、デュラケンタウロシュラ・エンプレス相手に、あとついでに幽霊電車と伊達に走り回ったワケじゃない!
そう、ボクは速い!
まずは最高のセッティングを【武器改造】で決めておく
■【ゴッドスピードライド】+なんとかしてターボ移動しつつ戦う!
の合体技さ
【操縦、騎乗、地形の利用、情報収集、第六感、ダッシュ、勇気】
で飛ばす!
懐刀が飛んでくると言うのなら
【迷彩、吹き飛ばし】で、ガードしつつ、
【スナイパー、一斉発射、誘導弾、2回攻撃、零距離射撃、なぎ払い、援護射撃、だまし討ち、吹き飛ばし】で一撃離脱!
よし、戦いの経験は、ボクの血肉になってるようだね
※連携・アドリブOK
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『ああ――――っははははははは!!』
大祓骸魂の狂ったような高笑いとともに、無慮数の懐剣が東京上空に出現した。千を越えるのではと疑うほどに複製された懐刀『生と死を繋ぐもの』は、二宮金次郎のマラソン大会を襲ったターボ妖怪の力を宿して猟兵を強襲する。
「……速い!?」
サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)は舌を巻いた。
高速飛翔する懐剣は目にも止まらぬスピードでサリーを包囲し、ユーベルコード【ゴッドスピードライド】で駆ける愛車『ジェイク』ですら振り払うことがないでいる。
圧倒的格上という事前説明に偽りはなかった。600m超の電波塔の頭頂部という、バイク走行には不向きな地形を巧みに活用するサリーの度胸とテクニックは間違いなく一級だったが、どんなに技能レベルを上げ種類を増やしたところで、ただ並べただけでは有っても無くても大差はない。
敵わない。このまま、負ける? ……否!
「――ボクは、速い!!」
折れそうになる心を、矜持が繋ぎ止める。伊達にここまで、幾多の妖怪たちと走り回ってきたわけではない。
ジェイク、フルスロットル!
爆音が、十重二十重に展開する懐剣の陣に穴を空けた。強引にこじ開け、全火器開放。ありったけの弾薬を、一気にぶちまける。
Booooooom!!
狙撃に乱射、連射に掃射、軌道を変える誘導弾や、本命につなげるフェイント。雨あられと降り注ぐ銃弾が、華奢な少女の姿をした究極妖怪を蜂の巣にした。
成功
🔵🔵🔴
リステル・クローズエデン
まさか、こんな形でこの武器を。
・真の姿を晒す
・「駄菓子兵器」で戦う
真の姿
青白い肌と青い仮面の姿
戦闘
視力、聞き耳で得た情報を高速思考で処理し
第六感もあわせて攻撃を見切り、
軽業、足場習熟、ダッシュや
迷彩、残像を組み合わせ、
受け流し、盾受け、武器落としで
かわし、弾きながら間合いをつめます。
オーラ防御で
かわせないものは受けるしかないか
途中でユーベルコードを発動し加速。
駄菓子兵器【シュガーシガレッ刀・ココア】を使い捨て
【氷結呪縛の吹雪】を目潰しと武器落としを目的として放ち。
刀で鎧無視攻撃の斬撃をうちこみます。
攻撃後も即座にダッシュで離脱。
ついでに【氷結呪縛の吹雪】をもう一度、放ち。
他の猟兵の援護とする。
空亡・劔
我が役目此処に見出したわ
あたしは空亡劔!
百鬼夜行を終わらせる大妖怪なり!
真の姿
赤き太陽を背にした姿
神殺しの魔王発動
やはりあんたは世界と人類の脅威なのね(超絶強化
対百鬼夜行
【天候操作】で凍て付く寒さの猛吹雪を引き起こし視界も乱して妖怪達が大祓骸魂に集まらないようにする
【結界術】で結界を展開して分断し混乱を誘う
【念動力】で己に周囲に障壁展開
【属性攻撃】で氷属性を二刀に付与
吹雪に合わせる事で更に威力強化
【戦闘知識】でその動きを【見切り】
超高速機動で可能な限り回避し避けきれない時は念動障壁で堪え
氷の弾丸の【弾幕】で動きを鈍らせ
二刀による【二回攻撃】による【切断】を狙う
倒した時
【天候操作】で太陽を昇らせ
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「吹雪よ!」
空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)が永久凍剣『二世氷結地獄・極』を天に掲げると、梅雨も盛りの東京上空に氷雪が巻き起こった。吹き荒れる極寒の白が視界を閉ざし、張り巡らされた結界が戦場を分断する。
「これで、百鬼夜行は呼べないわよ」
『あらあら、粋がって可愛らしいこと』
天候操作と結界展開を同時にやってのけた劔の技に、大祓骸魂はまるで児戯を眺めるように口元を袖で隠して……待て。
劔は気付いて戦慄する。ホワイトアウトした視界の中で、どうして相手の表情がわかった?
『おいでなさい、愛しい子供たち。私はここにいますよ』
虞が放たれた。
火山の噴火と見紛うほどの膨大なエネルギー。その強烈な存在感は豪雪を隔ててもなお微塵も色あせることなく、一挙手一投足を目で見ているかのように知覚することができた。
オブリビオン化した妖怪の群れが、集まってくる。
「ぐっ
……!?」
想像を絶する負荷が、劔にのしかかった。
フォーミュラの下に馳せ参じようとする妖怪たちを、結界術と地獄の冷気でもって押しとどめながら、膨大な虞に晒される我が身を念動力の障壁で守る。大都市を数分で壊滅させるような圧力に、劔はたった一人で正面から立ち向かっていた。
「なんて力……やはり、あんたは世界と人類の脅威なのね」
食いしばる歯の隙間から呻き声を漏らし、そのまま力尽きるかと思われた、その時だった。
劔の後背に、陽が昇る。
百鬼夜行を終わらせる、赤き太陽を背負いし者。大妖怪【神殺しの魔王「空亡剱」】の真の姿が、世界を、人類を滅ぼさんとする虞に呼応して顕現した。
「我が役目、此処に見出したり!」
赤々と、しかし寒々と燃えるオーラに身を包み、劔は地面を踏みしめた。
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「まさか、こんな形でこの武器を……」
同じく真の姿を顕し、青い仮面と青白い肌へと変化したリステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)は、猛吹雪の中にポツンと佇んでいた駄菓子屋に駆け込むと、タバコの箱を模したケースを引っ担いだ。
ジャキンッ、とケースの口から飛び出した駄菓子兵器『シュガーシガレッ刀・ココア』を抜き放ち、空間をも歪める虞の中心へと挑みかかる。
『――ヤマラージャ・アイビーよ』
迷彩で雪に紛れようとするリステルを、大祓骸魂の赤眼が捉えた。数えきれないほどに複製された懐剣を、リステルはシガレッ刀で受け止め、叩き落とし――…………
「っ!?」
刀が死んだ。
ココアの香りをまとう刀身が突如としてボロボロに崩れ、骸の海へと溶け堕ちていく。
これが、懐剣『生と死を繋ぐもの』の力か。ナマクラで攻撃力こそないが、打ち合うたび確実に耐久度が削られていく。
「……なるほど。手数を増やせる複製のユーベルコードと相性抜群、というわけか」
仮面の内で呟くリステルへ、懐剣の大群が殺到した。
足場を破壊してよろけたところを狙うと見せかけたフェイントで回避行動を誘い急所突きと武器落としの同時攻撃。息つく暇もない怒涛の猛攻を、リステルは持ち得る技能を駆使し、瞬く間に消耗していくシガレッ刀を幾本も使い捨て、必死に躱して捌きながら、常に前を向き続ける。そして、
「――呪力解放、アクセルモード!」
『あら……?』
ユーベルコード【呪力解放・瞬撃斬空形態】発動。冷たき刃の如き、青き呪いのオーラを身にまとい、一気に加速した。
急なスピードアップに、大祓骸魂も反応が遅れる。ほんの刹那、万金に値するタイムラグを突いて、リステルは敵の懐に飛び込んだ。戦場に吹き荒れる氷雪を刀で絡めとり、氷結呪縛の吹雪に乗せて放射。目を眩ませたところに、突撃の勢いを乗せた斬撃を叩き込む。
「――わたしを忘れてはいないだろうな!」
骨肉を断つ確かな手応えとともに駆け抜けていくリステルに続いて、劔が斬りかかった。
両手の魔剣に付与した冷気を、吹雪に合わせることで最大限に強化。氷粒の弾幕を張って牽制しつつ、二刀を立て続けに振るう。
『きゃ……あああああああ!!?』
三連続、究極妖怪のたおやかな体躯に刻まれた*模様の刀傷が、一拍遅れに凍結してズタズタに抉られた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イネス・オルティス
:プレイングボーナス:
真の姿を晒して戦う(🔴は不要)
ビキニアーマーの女戦士である私ができる事は戦う事
全力で挑ませてもらうわ
【薄衣甲冑覚醒 参】で私が全力を出せる戦場を整えさせてもらうわよ
ビキニアーマーは攻撃の鎧、勇気を持って一歩踏み込むところから始まる
戦闘知識と野生の勘で隙を見つけて攻撃
生中な攻撃では意味が無い、ダッシュの勢いそのままに捨て身の一撃で串刺しよ
敵の攻撃は武器受けで受け流しましょう
オーラ防御や激痛耐性もある、ちょっとやそっとじゃ引かないわ
:真の姿:
一族伝統の鎧をはじめとする装備品が金色に光り
身体全体をきらきら光るなんか強そうなオーラを纏っている
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「聖域再現、【薄衣甲冑覚醒 参】!」
イネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)が天に拳を突き上げると、彼女がまとう伝統の鎧を起点として神聖な波動が戦場全体に降り注ぎ、かけまくもかしこきビキニアーマーの女神を奉ずる神殿と同じ環境に造り変えられた。
『びきにあーまー……』
究極妖怪は神妙な顔で波動を受け止め、己の着物を見下ろした。何を考えたのか、おもむろに袂をはだけようとするが、全身に貼られた封印札や注連縄が邪魔をして、着物を脱ぐことができない。
『……哀しいです。こんなに愛の溢れた環境に適応できないなんて。……では、仕方ありません』
塗り潰しましょう。と、虞の奔流が戦場を洗った。
東京スカイツリーの白い外壁が曼珠沙華に埋めつくされて東京タワーのような赤色に塗り変えられる。
神智を越えた虞とむせ返るような花の香りに、イオスは後ずさりしそうになるのを鋼の意思で踏みとどめた。
ビキニアーマーは攻撃の鎧。勇気を持って一歩踏み出すことができぬ者に、女神が微笑むことはない。
忘れるなかれ、お前はビキニアーマーの女戦士。戦うことが本分である。
「オ――オオ――オオオオオオオ!!!」
鬨の声を上げて、イオスは突撃した。
近づくにつれて濃密になる虞に当てられて真の姿が顕になり、強者の煌めきが肉体を包む。死をも恐れず突き進む背中を、ビキニアーマーの女神が押した。
咲き狂う曼珠沙華の花畑を蹴散らして、スカイツリーの外壁を昇り昇って駆け上がれ。オーラ防御がみるみる朽ちていき、激痛が全身を苛むが知ったことか。視界の端で散るのが花弁か自身の血なのかも定かでない中、イオスの眼が映すのは、前方にそびえ立つ標的ただ一つ。
「いざ――――勝負!!」
全身全霊を懸けた槍の一撃が虞を貫き、大祓骸魂の真芯を穿った。
成功
🔵🔵🔴
ヘルヘイム・タイラー
今回は俺がやる。(人格は男性の方オンリーです)
アドリブは◯ 連携も◯
とりあえず、爆弾、できればダイナマイトと紐をたくさん購入する。後ロケットランチャーも購入しよう。(エリア23のプレボ)
そして組織の人々とチェイサーズ以外のUDC-Pに協力を求めUDC組織のあらゆる手段で攻撃しよう。(エリア21のプレボ)
そして、無数の爆撃とUDC組織の兵器、あとは、それらを使って大祓骸魂を迎え撃とう。
だが、「あの生と死を繋ぐもの」が厄介だと思う、だから手頃な射撃武器で撃ち落としてしまうしかないだろう。もし踏めるなら踏んでそのまま直(大祓骸魂)に爆撃で吹き飛ばすか。(エリア22プレボ)
ミリアリア・アーデルハイム
PB:バズトレ御殿でプロポーズ対決
私もUDCアースが好きです
この世界に住む者達の優しさや強さ、弱さや醜さ
全てを抱いて輝く、この世界を愛しています
惜しみなく奪う愛もあるでしょう
しかし、多くのものにとって愛するということは
優しく問いかける事
そして、応える声に耳を澄ます事です
私は世界に問いかけます
あなたはどうしたいですか、と
貴女と共に逝きたいか、私達と共に生きたいか
死して変わらぬ永遠と
変容を無限に連ねる永遠の何方を愛しますか、と
自分の愛しか見ない貴女には、応える声は聴こえない
世界が何方の手を取るか、その狂愛に沈む瞳で確と視よ!
万里鏡に敵を映し、浄化の結界
黄金剣を使用して、UC発動+神罰,浄化
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あらゆる流行の最終到達地点、新し親分の「バズリトレンディ御殿」。
『どれ、私も少しお買い物しましょうか』
「……っ! おいでなすったか」
主人格である“俺”を表にしたヘルヘイム・タイラー(多重人格者のシャーマン兼探偵の助手・f32736)が開け放たれた御殿の大門から絶え間なく噴き出してくる札束をかき集めていると、気が狂わんばかりの虞が近づいてきた。
大祓骸魂は白魚のような指先で宙を舞う紙幣を掴みとると、御殿の加護を利用して一瞬で商品と交換する。
『――デュエルスタンバイ、です』
超絶面白いと巷でうわさの大人気TCG「デュエリストブレイド」のデュエルディスクである。一緒に購入したデッキをセットして、大祓骸魂はやけに堂に入った構えを取った。
『さっそく私のターン。【ヤドリガミ化】を使い、装備カード【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をユニットカードとして召喚。続けて【分身攻撃】を発動します』
カードの効果によって、場に出された懐剣が無数に増殖。それぞれが意思を持ったように浮き上がり、ナマクラな切っ先をヘルヘイムへと向ける。
「くっ、このプレッシャー……!」
中性的な顔が強張った。
カードゲームとは名ばかりの、万物に死を与える刃の弾幕だ。対策を考えてはきたものの……放たれる前からわかる。いけるかどうか、見定めてから決行するのでは間に合わない。
『バトルです』
「ええい、ままよ!」
腹をくくって、視界を埋めつくす懐剣の雨に正面から飛び込んだ。
「猟兵を援護しろ!」「撃て、撃て――!」「テケリ・リ!」
UDC組織の兵器やUDC-Pのユーベルコードによる援護射撃が飛び、ヘルヘイム自身も御殿で購入したアサルトライフルを乱射して少しでも懐剣の複製を破壊しながら、刃の潰れた剣身を足場に連続ジャンプで空を駆ける。
何本も懐剣を踏むうちに靴が”殺され“るが、もはや後戻りはできない、裸足のままひたすら前だけを見据えて、弾幕を抜けろ――――
「――もらったァァ!!」
ついに射程圏内! 使える資金のすべてを費やして購入した爆発物を投擲すると、オブリビオンフォーミュラは炎に包み込まれた。
『あああ――!?』
爆風に呑まれた大祓骸魂は派手に吹っ飛ばされ、バズリトレンディ御殿の窓を割って中に転がり込む。
「待っていましたよ」
そこで待ち構えていたのは、ミリアリア・アーデルハイム(かけだし神姫・f32606)だ。
室内にカメラやマイク、スマホやパソコンなど無数の機材が設置されており、スタッフジャンパーを羽織ったネズミ耳の女が動画配信の準備を進めている。
『ぷろぽーず対決……なるほど。世界への愛を語り、より「ばずった」方が有利を得る、と。いいでしょう、受けてたちます』
企画書に目を通した大祓骸魂は悠然と微笑んで、カメラの前に立った。
『私はUDCアースを愛しています。この愚かで美しい世界を』
「それは私も同じことです。この世界に住む者達の優しさや強さ、弱さや醜さ。その全てを抱いて輝く、この世界を愛しています」
ミリアリアは同意の言葉から入り、さっそく鞘を当てる。
「愛すると一口に言っても、その形は様々です。惜しみなく奪う愛もあるでしょうが、多くの者にとってのそれは、優しく問いかけ、応える声に耳を傾ける事です」
『奪うだなんて。私はただ与えるだけですよ。「死」を与え、すべてを永遠にするのです』
大祓骸魂は心外そうな顔で、頬に手を当てた。
『そして、愛とは絶対にして無償であるべきです。他のものと比べたり、応えを求めたりすることこそ、本質から外れてしまいますよ』
ポツポツと、足元に曼珠沙華の花が咲く。果てしなく純粋で、しかし狂気に満ちた紅に包まれながら、大いなる邪神は慈母のように両手を広げた。
『UDCアースよ! 私はお前に、分け隔てない無限の愛を注ぎましょう! 私のことを認識できなくてもいい。拒絶しても構わない。たとえ報われることがなかろうと、この愛が変わることはありません!』
――「こいつ、揺るぎねえ」「博愛(メンヘラ)」「立ち姿カワイイ」
視聴者のコメントがスクリーンに表示される。超高レベルの言いくるめの技能と己を信じて疑わない態度は、少なからず人々の胸を打ったようだ。大祓骸魂の周囲にハートが飛び交うのを見て、ミリアリアは拳を握りしめて反撃に出る。
「世界よ、あなたはどうしたいですか。彼女と共に逝きたいか、私達と共に生きたいか。死して変わらぬ永遠と、変容を無限に連ねる永遠の何方を愛しますか」
問いかけ、そして待つ。
押し付けるのではなく、相手に選択を委ねる。
真摯に向き合い、正しい道を選ぶと信じるミリアリアだからこそ、視聴者は応えたいと思うのだ。
――「猟兵、頑張って!」「世界を救ってください」「ヤンデレはまじ勘弁」「ボクは死にまシェーン!」
「みなさん、ありがとう! 確と視よ、オブリビオンフォーミュラ。これが世界の選択です。――【ミゼリコルディア・スパーダ】!」
勝利のファンファーレが鳴り響く中、ミリアリアはユーベルコードを発動。召喚された980にも上る魔法剣は大量のハートを載せて激しく飛び回り、大祓骸魂を斬り崩していった。
成功
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大崎・玉恵
【ボーナス・真の姿を晒して戦う】
愛、のう。盲目的に飢える姿には、他人の気がせぬ。わしも囚われておった故にのう。
じゃが、片側想いでは愛と呼ぶには些か不十分じゃ。すまぬが、お主のそれは恋にも満たぬよ。思いやれるようになってから出直すがよい。
挑発しながら真の姿(鏡を持ったもの)に変ずる。増した力を以て、【呪符】に【破魔】、【焼却】の【呪詛】を用いた【呪殺弾】、【なぎなた】の【範囲攻撃】【2回攻撃】で遠近に隙のない戦いをする。
じゃが、ただの力比べで勝てるとは流石に思わぬ。奴の渾身の一撃を引き出し、【偽・太陽鏡】で跳ね返すことで致命打を狙う。
力が強い、ならば利用するまでじゃ!
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「愛、のう」
大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は目を眇めた。
どうしてどうして、他人とは思えない。かつては自分もあのように、盲目的に飢えるばかりであった。
「……だからこそ言わせてもらうが、片側想いでは愛と呼ぶには些か不十分じゃよ。すまぬが、お主のそれは恋にも満たぬ」
『あくまでも否定しますか。しかし構いません。いかなる無理解も赦しましょう。私の愛は不変にして無限なのだから』
「揺るぎなく、歪みきっておるのう。……もはや処置なし。思いやれるようになってから出直すがよい」
呆れたように肩を竦めて、玉恵は呪符と呪殺弾を放った。
虞を祓い、曼珠沙華を焼いて、薙刀を携えて突撃。長柄を風車のように回転させて舞い散る灰と火の粉を吹き飛ばしながら斬りかかる。
呪術と武技を交えて攻める玉恵を、ナマクラな懐剣で迎え撃つ大祓骸魂。少女の容姿に老練さを忍ばせた二人は激しくぶつかりあうが、徐々に戦況は片側へと傾いていく。
『苦しそうですが、大丈夫ですか?』
「くぅ……流石はフォーミュラといったところか。真っ向勝負では勝てる気がせんな」
顔色一つ変えない大祓骸魂に対し、玉恵は早くも息が続かなくなってきていた。真の姿を顕して力を増し、戦術を立てて挑んでもなお、世界最強と評される戦闘力と渡り合うのは並大抵のことではない。
このままではジリ貧だと理解しながら、玉恵は必死に耐え続けた。まだ、まだだ。今ではない。奥の手を打つべき、最高のタイミングを見極めろ。
『そろそろ仕舞いにしましょう』
大祓骸魂は見切りをつけたように目を伏せて、懐剣を鞘に納めた。
チン、と小さく刃が鳴って、莫大な虞が噴出する。これまでに感じたことのないようなプレッシャーだ。全力の一撃でもって決着をつける気か。
……それを待っていた!
「力が強い、ならば利用するまでじゃ。己が力、その身を以て味わうがよい!」
掲げたるは【偽・太陽鏡】。襲いくる神智を越えた虞を、その曇りなき鏡面に映し込み、吸収して、跳ね返す!
『あっ……きゃあああああああああ!!?』
自身の虞に呑み込まれた大祓骸魂は、世にも恐ろしい叫び声を上げた。透き通るように白い肌を破って、曼珠沙華の花が咲く。
全身を狂るおしい紅に包まれて、渇愛に囚われた大邪神は絶命した。
【END】
大成功
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