大祓百鬼夜行㉑〜れじでんとぷらんく?
●隠れたる悪戯心
「UDCアースに現れた妖怪が、まさかUDC組織の拠点を狙うなんて……」
なんとも大変なことになったと、日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)はグリモアベースに集まった猟兵達に、今回の騒動についての話を始めた。
カクリヨファンタズムとUDCアース。隣り合う二つの世界を巻き込んだ戦争は、ついにUDCアースの現実さえも侵食し始めたというのは記憶に新しい。そんな中、骸魂と合体した妖怪が、なんと『UDC組織』に乗り込んだのである。
「UDC組織の職員の人達は、この妖怪の姿は見えないからね。幸いっていうか……そこまで戦闘力の高い妖怪じゃないから、今のところ死人は出ていないんだけど……」
そこまで言って、蒼は途端に言葉を濁らせた。なんでも、彼の話ではこの妖怪、恐ろしく手癖が悪い上に、とんでもない悪戯好きなのだとか。
「この妖怪が得意なのは、『何かを奪う』ことや『何かを与える』ことなんだ。姿が見えないのをいいことに、その能力で好き放題しているみたい……」
取り押さえようと向かったところで、反対に武器や道具を奪われて、UDC職員達の方が捕まってしまう。他にも、眼鏡を奪われて右往左往、いつの間にか弁当に馬糞を入れられる、咥えていた煙草を花火とすり替えられて髭を丸焦げにされるといった被害が相次ぎ、現場の士気はダダ下がり。
女性職員に至っては、パンツを盗まれたり服の中にゴキブリやカエルを入れられたりと散々な目に遭い、発狂寸前のパニック状態である。
「僕達だったら、監視カメラの映像からでも妖怪の姿を見ることができるから、職員の人達に指示を出して、まずは妖怪を逃げられない場所に追い込んでもらう必要があるよ」
なぜなら、この妖怪、猟兵の姿を見かけた場合、一目散に逃げだすのだ。当然、取り逃してしまっては後を追うこともできないので、ここは可哀想だが職員の方々に生贄……もとい、囮になってもらい、悪戯妖怪を誘き寄せてもらう他にない。
「この妖怪は、サルと鬼が合わさったような姿をしているみたいだね。戦う力は殆どないから、追い詰めさえすれば、後は楽勝なはずだよ……たぶん」
ちなみに、妖怪の乗り込んだUDC組織を一定量以上救えれば、メカニック達が超常光線砲というものを作ってくれるらしい。これを大祓最終決戦で照射すれば、勝利時に獲得できる『祓』を増幅することが出来るかもしれない。
「悪戯好きの妖怪……命を取られるわけじゃないけど、放ってはおけないよね」
今は一刻も早く、一人でも多くの可哀想なUDC職員を救って欲しい。そう言って、蒼は猟兵達を、猿鬼に襲われているUDC組織の拠点へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは戦争シナリオです。
1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
●敵のオブリビオン
カクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。
飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。
●プレイングボーナス
『UDCエージェント達に指示を出し、妖怪を誘導する』ことで、プレイングボーナスが得られます。
敵の戦闘力は殆どないので、逃げ場のない場所に誘導すれば、勝利はほぼ確定します。
●猿鬼
骸魂と合体したことでオブリビオン化した妖怪で、大の悪戯好き。
人間から何かを奪ったり、すり替えたり、不快なものを与えたりする悪戯が得意。
手癖が悪く素早い相手ですが、戦闘力は皆無に等しく、戦闘になっても戦うための手段は殆どないに等しいです。
●UDC組織職員の方々
猟兵達の指示を受け、猿鬼捕縛に奮闘します。
なお、彼らは全員が最下級職員のため、UDCエージェントのようなユーベルコードは使えません(人海戦術と、気合と根性で頑張ります!)
この戦場を制圧することができれば、メカニック達が超常光線砲「U.D.C(アンリミテッド・ディヴァイン・キャリアー)」を作ってくれます。
これを大祓最終決戦で照射すれば、勝利時に獲得できる「祓」に+0.2点できます。
第1章 冒険
『UDC組織での戦い』
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POW : 直接戦闘要員に指示を出す
SPD : 施設の管理要員に指示を出す
WIZ : エージェントやメカニックに指示を出す
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本山・葵
・ユーベルコードでUDCエージェント達をパワーアップさせ、猿鬼を追いかけてもらう
「自分は猿鬼が見えるけど手が足りない。エージェントの皆さんは見えないけどたくさんいる。お互いの強みを活かすべきっす。」
「エージェントの皆さんにはたった今から、サルを追い詰めるハンターになってもらうっす!」
「というわけでハンターの象徴『サングラス』を掛けてもらうっす!これさえあれば、体力に自信のない人も疾走できるっすよ!」
技能:コミュ力
・袋小路に追い込まれた猿鬼を熱線銃で一掃する
「ハンターの皆さんお疲れ様っす!おかげさまでごっそり確保できたっすよ。」
「逃走者たち、これにてゲームオーバーっす!」
●眼鏡こそ最強の装備!?
姿の見えない悪戯妖怪が、この施設のどこかに隠れている。翻弄されるUDCエージェント達を前に、本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)は協力して妖怪を追い詰めることを提案した。
「自分は猿鬼が見えるけど、手が足りない。エージェントの皆さんは、見えないけどたくさんいる。お互いの強みを活かすべきっす」
「人海戦術というわけか。だが……本当に、俺達で大丈夫なのか?」
難色を示すUDCエージェント達。エージェントといっても、彼らは最下級のエージェントであり、特殊な能力も装備も持っていない。邪神教団組織の事前調査や、主に事務処理などを担当している者が大半であり、戦闘経験がない者も数多い。
いくら殺傷能力の低い悪戯しか仕掛けてこない妖怪が相手とはいえ、彼らでは猿鬼を追い詰めるのは難しいのではないか。誰もがそう考えてしまうところだが、しかし葵には秘策があった。
「エージェントの皆さんには、たった今からサルを追い詰めるハンターになってもらうっす! ……というわけでハンターの象徴『サングラス』を掛けてもらうっす! これさえあれば、体力に自信のない人も疾走できるっすよ!」
自信満々に葵が取り出したのは、どこからどう見ても単なるサングラス。だが、これはただのサングラスではない。これを装着することに同意した全ての者の戦闘力を、飛躍的に上昇させるスーパーサングラスなのである。
「はぁ……サングラス、ねぇ……」
「まあ、猟兵さんの言うことだし、ここは信じてみようか……」
どうにも不安が拭い去れないエージェント達だったが、それでも彼らはサングラスを装着して準備に入る。相変わらず、敵の姿は見えないが、そこは葵が司令室のモニター越しに指示を出す。
「えっと……あ! 今、エリアD4からE5に向かっているのが1匹いるっす! 後は、エリアC3とG2にも確認したっすよ!」
葵の指示を受け、エージェント達が一斉に駆け出した。敵の姿が見えずとも、葵の指示通りに動いて追い詰めることくらいはできる。一見、何もない空間だが、葵はそこに狙いを定めるよう指示し、エージェント達がスタンライフルやスモーク弾で追い立てて行く。
やがて、奥まった行き止まりまで到着すると、葵もまたエージェント達の前に姿を現した。
「ハンターの皆さんお疲れ様っす! おかげさまで、ごっそり確保できたっすよ」
葵が指を差した先には、3体ほどの猿鬼が、袋小路に追い詰められ途方に暮れていた。エージェント達だけであれば振り切れたかもしれないが、この状況で猟兵に姿を見られては、もはや逃げ場など何処にもなく。
「逃走者たち、これにてゲームオーバーっす!」
「……っ! ウキャァァァッ!!」
炸裂する葵の熱線銃。直撃を食らった猿鬼たちは次々と倒され、後には完全に目を回して倒れている、小さな鬼の子だけが残された。
「よし、作戦成功っす! やっぱり、眼鏡こそ最強の防具で決まりっすね!」
果たして、それはどうなのか? まあ、それでも今回は眼鏡のおかげで猿鬼を追い詰められたのだから、あながち嘘ではないのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
秋葉・亜依
「UDC組織の拠点が狙われるとは……
UDCエージェントとして見過ごせません!」
サポートAIがインストールされたスマホを手に拠点に向かいましょう。
「皆さん、落ち着いてください。
これは妖怪……UDC-Nullの仕業です!」
ここは監視カメラの映像をスマホに転送してもらい、妖怪たちを追い込むように職員の皆さんに指示を出しましょう。
妖怪を追い込んだら電脳魔術【マックスウェルの悪魔】で攻撃です!
『亜依、後ろから妖怪が接近しています』
「って、ふえっ!?」
妖怪にスカートとパンツを盗まれてしまい!?
「きゃあああっ!」
炎の矢で攻撃して取り戻そうとしますが――
『自分でスカートと下着を燃やしてどうするのですか、亜依』
●お仕置きと代償
突如として出現した見えない妖怪を相手に、有効な手立てを見いだせないUDCエージェント達。そんな彼らを見過ごせず、秋葉・亜依(電脳の天使・f33106)は現場であるUDC組織の施設へと急行した。
「UDC組織の拠点が狙われるとは……UDCエージェントとして見過ごせません!」
何を隠そう、亜依自身もまたUDCエージェントなのだ。邪神事件に巻き込まれ、組織に救ってもらった恩を、今こそ返す時である。
「皆さん、落ち着いてください。これは妖怪……UDC-Nullの仕業です!」
まずは現地のエージェント達と接触し、亜依は簡単に説明した。その上で、自分が指揮を執るので、他の者達には妖怪を追い詰めて欲しいと要請し。
「私のスマホには、高性能のサポートAIが搭載されています。監視カメラの映像を転送していただければ、モニター室に籠らなくても、皆さんに敵の場所を教えることが可能です」
それはつまり、状況の変化に応じて臨機応変な指示と対応が可能ということだ。亜依の言葉に納得し、UDCエージェント達は猿鬼を追い立てるべく、施設の各所へと散らばって行く。
『データの転送を確認。A4エリアの方は、そのまま防火シャッターを閉じつつB3エリアへ向かってください。C6エリアの方は……』
そして、実際に転送された監視カメラの映像を基に、指示を出すのは亜依のスマホに搭載されたAIだ。演算能力だけであれば、AIの方が亜依よりも上。様々なエリアに散らばった猿鬼達を誘導できるよう、エージェント達に適切な指示を出して行き。
「こちらα-1! とりあえず、言われた通りに行動したぞ!」
「こちらβ-3! 相手の姿は見えないけど、たぶんそっちへ行ったわよ!」
やがて、亜依のスマホに次々と入るエージェント達からのコール。どうやら、彼らはAIの指示通りに上手くやってくれたようで、亜依の前にはエージェント達によって誘導された猿鬼達が、何匹も姿を現していた。
「……ウキャッ!? りょ、猟兵!!」
「これはヤバいッキー! 逃げるッキー!!」
慌てて逃げ出そうとする猿鬼達だったが、ここに来るまでにエージェント達によって退路を封じられているので、逃げ出そうにも逃げ出せない。一転して大混乱する彼らに向かい、亜依は必殺の電脳魔術を展開し。
「エントロピー・コントロール・プログラム、起動します」
炎の矢や氷の弾丸が、次々に猿鬼達へと殺到する。悪戯は得意だが、戦闘力は皆無に等しいのか、それらの攻撃を食らった猿鬼達からは瞬く間に骸魂が除去されて、ただの小さな鬼に戻って行く。
「ふぅ……。とりあえず、これで一安心でしょうか?」
『亜依、後ろから妖怪が接近しています』
だが、最後の最後で油断したのが運の尽き。AIから注意を促されるも、時既に遅し。
「……って、ふえっ!?」
死角に回り込まれた結果、相手の悪戯を許してしまった亜依。見れば、最後の猿鬼の手には、亜依から奪ったであろう、もぎたてのスカート&パンティが!
「きゃあああっ!」
悲鳴を上げながら、亜依は感情のままに炎の矢を繰り出した。その一撃で猿鬼は退治できたが、しかし亜依のスカートや下着が受けたダメージもまた深刻だった。
『自分でスカートと下着を燃やしてどうするのですか、亜依』
AIの言葉に、ハッとして顔を上げれば、そこにあったのは流れ矢を食らって焼け焦げた自分のスカートと下着。哀れ、下着は完全に炭化して使い物にならず、スカートにも大穴が開いていた。
「うぅ……。で、でも、スカートさえ穿いていれば、とりあえずは見えないんじゃ……」
『……残念ですが、肝心の前に穴が開いていますね。これでは、衣服としての役割を果たせるとは思えません』
それでもスカートを拾い上げて穿き直そうとする亜依だったが、AIから告げられたのは過酷な現実。猿鬼を逃さず退治できたという点では大成功だったが、その代償として、亜依はUDCエージェント達が替えの服を持って来るまでの間、両手で股の間を押さえながら、その場に正座して待つ羽目になってしまった。
大成功
🔵🔵🔵
メモリア・フィストノール
アドリブ・連携 OK
「強化する術は持ち合わせていないから、相手の『生きる力』を寝こそぎ奪って、諦めてもらった方が速そう……うん、やってみよう」
「そっちが奪うのなら、こっちだって同じ事やっていい筈だもんね」
ユーベルコードを発動して、周囲に墓場のような景観をしている結界を展開。その結界内に住まう数多の亡霊たちで、猿鬼の生命力を攻撃して、生きる力とそのための思考能力を鈍らせて、エージェント達を支援して包囲させます。
包囲した後は、手持ちの『特注妖銃 SO-100』で遠くから《2回攻撃》で連射して、《援護射撃》を行います。
●夜は墓場で大捕り物!?
UDC組織の拠点に侵入した妖怪、猿鬼。戦闘能力がないとはいえ、その数さえも把握できていないのは厄介だ。
今までの捕り物劇で、かなりの数の猿鬼は撃退されている。後は、どこぞに隠れている個体を焙り出すなりして仕留めれば、一応の解決には向かいそうだが。
「強化する術は持ち合わせていないから、相手の『生きる力』を寝こそぎ奪って、諦めてもらった方が速そう……うん、やってみよう」
UDCエージェントと連携するべく、メモリア・フィストノール(記憶を求め、世界を造る孤狼・f33534)はユーベルコードで、施設内に墓場のような景観をした結界を展開した。
無機質な構造の天井や廊下から一転し、周囲は夜の墓地と見紛うような空間になって行く。あまりの変容ぶりに、猿鬼たちも慌てふためくが、ここで姿を晒してはならない。
猿鬼は、猟兵の姿を見たが最後、一目散に逃げだしてしまう。そのため、誘導の主体となるのはUDCエージェント達でなければならず、それ以外の方法で誘導するには少しばかり工夫がいる。
「ウキャッ!? な、なんだか、変な感じだっキー!」
「突然、墓場が現れ……あっ! 誰かいるっキー!」
猿鬼の内の一体が、墓場の向こう側に何かを見つけた。相手はUDCエージェントか、それとも猟兵か。その正体を見極めるべく、そっと近づく猿鬼達だったが……果たして、彼らの前に現れたのは、エージェントでもなければ猟兵でもなかった。
「「ウッキャァァァッ! 幽霊だっキー!!」」
そう、彼らの前に現れたのは、メモリアが呼び出した亡霊達だったのである。突然のことに驚いて、猿鬼達はパニック状態。そんな彼らから幽霊達は、情け容赦なく生きる気力を奪って行く。
(「そっちが奪うのなら、こっちだって同じ事やっていい筈だもんね」)
物陰から一部始終を眺めつつ、メモリアは敵が弱るのを待った。生への執着がなくなれば、相手はそれだけで抵抗を止め、逃げることもしないはずだから。
「相手は弱っているよ。攻撃するなら、今だね」
「よし! 全員、突撃!!」
メモリアの指示の下、UDCエージェント達が猿鬼を追い払うべく殺到して行く。彼らに猿鬼の姿は見えていないが、それでも物騒な得物を持った人間が大挙して迫ってくる様は、猿鬼からすれば恐怖以外の何物でもない。
「ウキャァァァッ! に、人間が襲ってくるっキー!」
「こいつら、俺達の姿が見えないはずなのに、なんで全員で向かってくるっキー!?」
不可視のアドバンテージを失ったと勘違いし、猿鬼達は大混乱。そんな彼らの額を、メモリアは特注の妖銃で、一つ、また一つと射抜いて行く。
「ウキャッ!? ス、スナイパーがいるっキー! 全員、気をつけ……ギャンッ!!」
「こうなったら、もう逃げるしかないっキー! ……って、周りが人間だらけで逃げ場がないっキー!!」
今までの猿鬼達であれば、UDCエージェント達から武器を奪い、それで反撃することもできただろう。だが、完全に混乱した彼らにそんな余裕はなく、仮に手を出そうとしたところで、その隙をメモリアに射抜かれてジ・エンドだ。
「……ふぅ。とりあず、これで全部かな?」
やがて、山積みになった小鬼の妖怪達を見て、メモリアは軽く溜息を吐いた。そして、今回の事件で得たデータも参考に、UDC組織のエージェント達は、新たな武器を開発することを改めて約束してくれた。
「ありがとう、助かったよ。これで心置きなく、超常光線砲……『U.D.C(アンリミテッド・ディヴァイン・キャリアー)』の最終調整に入れそうだ」
色々と散々な目に遭わされたが、最終的には新兵器の開発に一歩近づくことができた。これもまた、怪我の功名というやつだろうか。なにはともあれ、これにて施設内の猿鬼は全て撃破され、骸魂から解放された小鬼達もまた、一目散にカクリヨの世界へと逃げ帰ったようだ。
成功
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