大祓百鬼夜行⑤〜とおりゃんせ
●とおりゃんせ
其の山は、竜神の霊山と呼ばれる。
其の山は、容易に踏み込む事を許さない。
術か、仕掛けか。
杳として知れないが、踏み込んだ者は必ず道に迷うと言われる。
先に進むためには、数千本もの「連ね鳥居」の中を進まなければならないのだと。
──とおりゃんせ、とおりゃんせ。
其の山は、世界──カクリヨファンタズム──の最深層に通じるといわれる道のひとつ。
──とおりゃんせ。
●グリモアベース
「お疲れ様です。怪我などはされていませんか?」
ゆるりとした動作で首を傾げて尋ねるのは、太宰・寿(パステルペインター・f18704)だ。
「皆さんの活躍で、新たな場所が開けました」
淡く光灯すスケッチブックが、その場所を映し出す。
宵闇の中、薄ぼんやりと連なる朱の鳥居。終の見えぬ程、上へ上へ。
「この竜神の霊山を踏破して頂きたいんです。ただし、闇雲に進んではダメです。定められた方法を取らなければ、必ず迷子になります」
その方法というのが、この数千本にも及ぶ『連ね鳥居』を通るというものだ。
「ただ、今はオブリビオンが制圧しているため通ることができません。ですが、ある特定の時間帯であれば他の道が使えることが分かっています」
寿がスケッチブックのページを捲る。ついで映し出されるのは、青白く光る道。どこか不気味な光は、鳥居をなぞる様に仄暗く灯っている。
「──もうひとつの連ね鳥居。黄泉への道、と言われています」
一度、息をはいて。寿はスケッチブックから顔を上げる。
「この道が現れるのは、深夜一時から二時の一時間。この間に鳥居を抜けられなければ、黄泉へと誘われると言われています」
襲い来るのは、死神の如き霊気。囚われれば、帰ることは叶わない。
「一時間です。深夜二時になる前に、必ず抜けてください」
皆さんなら大丈夫ですよね。希うように淡く笑んで。
スケッチブックから放たれた柔らかい光が消えたなら、目の前には不気味な青白い光が猟兵に道を示すだろう。
105
105です。
こちらは一章で完結する戦争シナリオです。『大祓百鬼夜行』に影響を及ぼします。
おまかせプレイング可(判定結果は成功固定)です。臨むにあたっての心情は記載頂けるとありがたいです。
●プレイングボーナス
連ね鳥居を最速で駆け抜ける。
皆さまらしいやり方で、黄泉への道を駆け抜けましょう!
●採用方針
・判定が成功以上。
・3〜4名。
・先着順。お届けは前後するかもしれません。
プレイングは【公開時】から【挑戦者数4名を満たす】まで受付です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『もうひとつの連ね鳥居』
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POW : 体力を活かし、連ね鳥居を走り続ける!
SPD : スピードを活かして一気に走破する
WIZ : 工夫を凝らした走り方を編みだす
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荒珠・檬果
おう、千本鳥居。壮観ですね。
一時間で駆け抜けろ…ということはですよ。赤兎馬の出番ですね!
この戦争中、ずぅっと出せてなくて(だいたいモフにいったため)、ご機嫌斜めだった赤兎馬なんですけれど…。
赤兎馬『速度なら任せろ(やる気満々)』
任せました!山であろうが階段であろうが、赤兎馬は駆け抜けれますしね!
私は騎乗を活用して赤兎馬を乗りこなします。
念のために、七色竜珠で結界も張っておきましょう。用心に越したことはないです。
さあ、赤兎馬。あなたのスピード、見せてください。私が合わせますからね…!
●
淡い光が解けたなら、世界は宵闇の中。うっすら現れた青白い道。
──そして、黄泉路たる朱塗の鳥居連なる先は、闇に隠れて果てを知らず。
「おう、千本鳥居。壮観ですね」
なるほど、と鳥居を見上げて荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、顎に手を当てる。
「これを一時間で駆け抜けろ……ということはですよ」
あれしかない。
檬果のぱっちりした漆黒の瞳が、きりりとなる。
「──赤兎馬の出番ですね!」
一日千里を駆る赤き毛並の馬。本来ならば、檬果の召喚する武聖関羽のための赤兎馬。しかし今回騎乗するのは檬果だ。
颯爽と姿を見せる赤兎馬がちょっぴりご機嫌斜めなのは、檬果がこの戦争中モフモフしに行っていた為。
「ずぅっと出せてなくてごめんなさいね。でも、ついに出番ですよ!!」
檬果がビシッ! と指差す先には、連ね鳥居。
「共に駆けましょう!」
檬果の言葉に、「速度なら任せろ」と言わんばかりの嗎を響かせる赤兎馬。「早く走らせろ」とでも言うように、檬果を鼻で突いて急かす。檬果はやる気満々なその背に飛び乗ると、手綱を握る。
「──任せました!」
その言葉を合図に、赤兎馬は力強く地を蹴った。赤兎馬の脚ならば、山であろうが階段であろうが障害にはなり得ない。
「(赤兎馬の脚があれば十分です。しかし、用心に越した事はありません)」
七色竜珠を己と赤兎馬を囲うように展開し、結界と成して。呼び出した三国の軍師──式神に適切なルートを、襲い来る霊気を躱す道を手繰らせる。
「さあ、赤兎馬。あなたのスピード、見せてください。私が合わせますからね……!」
駆ける赤兎馬に、檬果は前を見据え告げる。
「温存していた分、思いっきりやってしまいましょう!!」
檬果の言葉に応えるように、赤兎馬は駆ける。死神は、武神の脚たる赤兎馬を捕らえることは叶わない。
果てない道の末に辿り着く鳥居の向こう。朱塗の美しさに負けぬ鮮烈な赤が、疾風の如く駆け抜けて行った。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
連ね鳥居…まるで鳥居の迷宮…
二つの世界救う為にもここを早く駆け抜けねば…
さぁ行くぞ…私は処刑人だ…!
【シュバルツァ・リッター】で亡霊馬を召喚
[騎乗]し[ダッシュ]で連ね鳥居を駆け抜けよう
[暗視と視力]で光る道を見失わぬように注意し
[足場を習熟し悪路を走破]しよう…!
延々と鳥居が続いてゆく…
どれくらい時間が経ったのかわからない…
もう朱色の迷宮から永遠に出る事は叶わないかもしれない…
否…諦めてはいけない…!
私は処刑人が娘…!抜け出してみせる…!
[覚悟と情熱]を胸に宿し
霊馬コシュタバァの脇腹を強く蹴り連ね鳥居を走破してみせよう!
●
「連ね鳥居……まるで鳥居の迷宮……」
宵闇に浮かび上がる蛇が如き道が口開く。青白い光が糸を通すように、その朱をなぞっていた。
「二つの世界救う為にもここを早く駆け抜けねば……」
例え終わりの見えぬ道であっても。仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は、平時穏やかなそのかんばせに決意を宿す。
「出でよ、コシュタバァ!」
全身から蒼白い炎を噴出する漆黒の亡霊馬、コシュダバァ。この世界に溶け込む漆黒の艶髪をたなびかせ、アンナはその背に跨った。
「さぁ行くぞ……私は処刑人だ……!」
霊馬コシュタバァの脇腹を蹴れば、一気に景色が流れ始めた。
朱色疾る道を駆る脚を掬おうと、死神の手が如き霊気が迫ってくる。
「──躱せ、コシュタバァ!」
蹴り上げられた地が唸る。
駆ける、駆ける、駆ける!
アンナの瞳が青白く光る道標を捉え、僅かな障害物も見逃さない。巧みに手綱を繰り、延々と続く鳥居を駆け抜けて行く。
それでも終わりは見えてこない。走りだしてどれだけ経ったのか、分からない。ずっと長く走り続けている気もするし、まだ僅かしか進んでいないようにも感じられる。
もう朱色の迷宮から永遠に出る事は叶わないかもしれない……。
そんな思考が、じわり。黒い滲みのようにアンナを蝕もうとする。
「否……諦めてはいけない……!」
アンナはぎゅっと唇を噛んだ。
──己の名を思い出せ。
「抜け出してみせる……!」
己の名は、アンナ・アンダルシャナ。
その名を授かった日から、
「──私は処刑人が娘……!」
侵食する思考を振り払い、その胸に宿すのは覚悟と情熱。──必ずふたつの世界を救うという、強い意思。
「ハァッ!!」
アンナは、霊馬コシュタバァの脇腹を強く蹴る。アンナの思いに応えるように、霊馬コシュタバァは連ね鳥居を駆ける。先ほどより速く、力強く。青白い道をひた走る。
やがて果てない道が終いを迎え、アンナたちを迎え入れるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ゲニウス・サガレン
とおりゃんせ、か
どこかの国の歌だったかな
昔、子供の頃に読んだ書物に出ていたような……
とても異国の香りがする書物だったんだ
もし、ここがその書に関する場所なら、私の心の内の感傷旅行のつもりで走ろうか
探検家の脚力、ご覧あれ
アイテム「星屑のランタン」
足元を照らしてさぁ行こう!
……
……いや、どこまであるんだこの鳥居は!
「他の道」を抜けるつもりが、別の世界に迷い込んだ気分だ
アイテム「フライングシュリンプ」&「沈滞の投網」
投網をハンモックのようにして、空飛ぶエビの群れに引っ張らせる
私は投網に寝っ転がって、さぁ行け! 私の空飛ぶベッドならぬ空飛ぶ投網
UC「ゴーイング・マイウェイ」
鳥居から外れちゃだめだよ?
●
ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)が脳裏に浮かべるフレーズは些か朧げだ。確か、メロディも付いていたと書いてあった気がしたが……。
「──とおりゃんせ、か」
どこかの国の歌だったかな、そう口の中で呟く。幼い頃に読んだ書物に出ていた気がするが、なんというタイトルだったか。
「とても異国の香りがする書物だったんだ」
懐かしい思いで目を細める。
「もし、ここがその書に関する場所なら、私の心の内の感傷旅行のつもりで走ろうか」
ゲニウスは探検家だ。世界を知るために己の足でたくさん歩いて、時には険しい道を選ぶことだってある。
時間の制限さえなければ、のんびり堪能したいところだが超過してしまえばあの世行きの片道切符。
「あちら側まで探検する気はまだないからね」
冗談めかしてひとつ笑うと、星屑のランタンにあかりを灯す。優しい銀色の星灯が、ゲニウスの足元を照らした。
さぁ行こう!
意気揚々と駆け出したまでは良かった。
「……」
言葉少なくゲニウスは走る。とにかく走る。別にもう疲れたとか、そういうことではない。
そういうことではないが。
「……いや、どこまであるんだこの鳥居は!」
静かな夜に、ゲニウスの叫びだけが響く。ひたすら駆けてかなり進んだと思っても、全く終わりが見えない。
先を見つめても、ただ青白い道が鳥居に沿っているだけ。『他の道』を抜けるつもりが、別の世界に迷い込んだ気分だった。
「これはもう、あれを使うしかないね」
駆ける足はそのまま。ばさりと広げる沈滞の投網。次いで現れるのは空飛ぶエビの大群。鳥居の朱に負けぬ鮮やかな身には、透き通る翅。
「よいしょ」
ひょいと投網に飛び乗ったなら、ゲニウスはそのままごろん。
「さぁ行け! 私の空飛ぶベッドならぬ空飛ぶ投網」
代償の金貨を盛大にくれてやり、やれやれと息を吐く。
「次の機会があるなら、時間制限のない時にゆっくり探検させてもらいたいね」
見上げた空には、朱の向こうに大きな月が見えていた。
「──あ、そうだ」
鳥居から外れちゃだめだよ? 探検には、正しいルートを選ぶことも大切なことのひとつなのだから。
大成功
🔵🔵🔵
ジンガ・ジンガ
死神ちゃんから逃げんのなんざ、ニチジョーサハンジってヤツよ
方法はシンプル
自慢の逃げ足フル発揮して、全力ダッシュ
これっきゃねぇっしょ
愛用のコートに暫しの別れを告げ
極力身体は身軽に
邪魔するものは見切り避け
斬り払い散らし押し通る覚悟で
さァさ、夜目(暗視)を利かせてクライミングスタート
鳥居の下を潜る度
思い出すのは生まれ故郷
遠い昔に駆け込んだ朽ちた社
全てのはじまり
一度目の『神隠し』にあった場所
全く、笑えてくるものだ
数えで七つになるくらいの頃だったか
あの時も、夜闇の中必死に人攫い――死神達から逃げていたっけ
今回だって捕まってやるかよ
つーか、一生捕まんねーから!
だから、ちっと通して下しゃんせ――ッてなァ!
●
青白い光と月の灯り。
暗がりの中に、鮮やかな髪が踊る。既に愛用のコートは彼方へ暫しの別れを告げて、軽やかに地を蹴る足音だけが静寂に響く。
「──死神ちゃんから逃げんのなんざ、ニチジョーサハンジってヤツよ」
口の端をにぃと歪め、ジンガ・ジンガ(尋歌・f06126)は嘯く。逃げ足には自信がある。ならばとる手段は、
「(これっきゃねぇっしょ)」
ただ、終点を目指して全力で駆けるのみ──!
「さァさ、夜目を利かせてクライミングスタート……ッてねぇ!」
鳥居の土台を蹴り上げて、跳躍。今まさに足元を掬おうとする死神の如き霊気を躱す。視界の端で、朱が疾る。
その度に、脳裏にちらつく故郷の風景。
遠い昔に駆け込んだ朽ちた社。
──全てのはじまり。
鳥居ひとつひとつを潜るたび、一度目の『神隠し』にあったあの場所が──。
……全く、笑えてくるものだ。
ジンガの浮かべる笑みは闇に溶ける。死神の手を避け、身を捩る。
あれは、数えで七つになるくらいの頃だっただろうか。
「(あの時も、夜闇の中必死に人攫い――死神達から逃げていたっけ)」
あの頃と変わらず死を恐れる両足は、決して止まらない。鳥居の柱を左右交互に蹴りつけてなお前進する。
「……っとぉ、アンヨがはみ出るギリギリじゃん」
ひらり舞うように一回転。ジンガを捕らえられない霊気が左右からぶつかり合って、爆ぜ散った。
「今回だって捕まってやるかよ」
着地し素早く体勢を整えたなら、ジンガは再び地面を駆ける。生まれる疾風が周囲の木々を微かに揺らす。何度でも迫ってくる死神を、ジンガは鼻で笑う。
「──つーか、一生捕まんねーから!」
四方八方、なりふり構わず迫り来る霊気に、くるり手の中で遊ぶダガーを振り抜く。
「だから、ちっと通して下しゃんせ――ッてなァ!」
僅かに裂けた空間に、ジンガはその身を捩じ込んだ。
「──ハッ、今回も俺様ちゃんの勝ちだなァ!」
ジンガが嗤う。最後までジンガを捕らえようと追う手を、ひらりと躱して。
やがて青白い光が途絶えた先、一等大きな鳥居が見えた。
──行きはよいよい。
──帰りはこわい?
構うもんか。
だって、今日も生きている。
大成功
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