大祓百鬼夜行⑩〜たいやきのむれ
●口に無理やり押し込まない辺り抵抗している
古臭い街灯が立ち並んだ、すこしばかり懐かしさを感じる通り。
その通りを、化け狐の男がひとりで歩いていた。
『ね、ね。そこのあなた。尻尾まであんこやクリームがたっぷりのたい焼きを食べて行かない?』
男はその場に立ち止まると、ぴこぴこと耳を動かし、呼ばれた方へと視線を向ける。そこには『たい焼き』と暖簾が掛かった屋台があった。屋台の中では、おいでおいでと言うように。黒髪の人魚の娘が手招いている。
行きの路には無かったはずの屋台が、帰り路にあることは特に珍しいことではない。幽世ではよくあることだ。
『そりゃあいいかもしれんねぇ。あーしはたい焼きは嫌いじゃあないよ。寧ろ好きな方さ』
だから、何の疑いも持たずに。男は軽い気持ちでたい焼き屋台へと足を向けてしまったのだ。
『……もう行ってしまうの?』
様々な味のたい焼きを味わった男は、屋台から背を向けようとする……のだが。
『な……足が動かんさ……!! あーた、あーしに何をしたんさ
……?!』
男の足は、1ミリたりとも動かなかった。まるで足が石になってしまったようたっだ。
『まだまだたい焼きは沢山あるのよ? さ、さ。もっと食べておいきなさいな。ほら、ほら』
人魚の娘は次々に焼き上がるたい焼きを、化け狐の男の前にずらっと並べてゆくのだった。
●たい焼きはちょっとカリカリしている方が好きです
「たい焼きは尻尾まで餡子やクリームが入っていないものは認めない」
グリモアベースの片隅で、長い黒髪を結った青年――飛藍が、集まって来た猟兵達を認めるとはっきりと言い切った。
いきなり何を言い出すんだコイツという視線が飛藍に向けられるが、当の本人は全く意に介していない。
「まぁ、そんなことは置いてだ。カクリヨにあるたい焼き屋台の主人が、骸魂に飲まれた」
飛藍曰く、たい焼き屋の主人である妖怪は骸魂に飲まれた後も屋台の営業を続けているそうだ。
だが骸魂に飲まれてしまった事によってもてなし衝動が暴走し、訪れる者に凄まじい量のたい焼きを無理矢理に食べさせようとしているという。
次から次へとたい焼きを作り、主人の手は止まることを知らない。
仮にもう無理ですと断ったとしても、屋台の主人はそんなの知った事じゃないと言わんばかりにたい焼きを目の前に並べ、そして山のように積んでいく。
「このままたい焼きを焼き続けられたらカクリヨがたい焼きで埋まりかねない。それは勿体ないから、たい焼きを食って消費してこい」
飛藍の言葉はネタみたいではあるが、ネタみたいなことで滅びかねないのがカクリヨファンタズムなのである。
「屋台の主人を飲んだ骸魂は、たい焼きを食いまくるだけでもダメージを与えることが出来るようだ。出来れば穏便に済ませたいならば、たい焼きをひたすらに食っていればいい」
たい焼きはスタンダードに餡子、クリームにチョコがあり、ちょっと変わったものだとお好み焼き風などがあるらしい。
「まぁ、何だ。たまにはこういう平和な解決方法もあっていいんじゃないか?」
そう言うと飛藍は、猟兵達を送り出した。
雪月キリカ
お目にとめていただき有難うございます。はじめまして、もしくはまたお会いしました。雪月です。
日本の怪異辞典(&副読本)と世界の怪異辞典をつい最近購入しました。たい焼き関係ないね。
今回はたいやきたべほうだいです。ぶっちゃけネタシナリオです。
みんなでたべればこわくない。
OP冒頭で身動き取れなくなっている化け狐の男性は、猟兵の皆様がたい焼きを頑張って食べれば解放されます。
プレイングは公開時から受付です。締めはタグに記載します。しかし全採用の確約は出来ませんのでその点ご了承ください。
シナリオにはプレイングボーナスがございます。
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プレイングボーナス……屋台グルメを食べまくる(戦わずともダメージを与えられます)。
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端的に言うなら、たい焼きを食べるとダメージを与えられます。
ダメージ量は食べた量に比例します。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第1章 ボス戦
『水底のツバキ』
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POW : 届かぬ声
【触れると一時的に言葉を忘却させる椿の花弁】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 泡沫夢幻
【触れると思い出をひとつ忘却させる泡】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 忘却の汀
【次第に自己を忘却させる歌】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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エドゥアルト・ルーデル
たい焼きで良かったでござるね
もしこれが丸っこい方のあんこ入り焼き菓子だったら猟兵同士で戦争が始まる所でしたぞ
不安もないしたい焼きをサクサク食していくでござるよ!この【知らない人】がネ!!!
えっ誰こいつって?拙者も知らない…その辺に急に湧いてきた所をキャプチャーしてきただけだし…
知らない人にどんどん食べてもらって…手が止まってるでござるよ!何もう食えない?食えないじゃねぇよ食うんだよ
一つ二つ三つとどんどん知らない人の口にたい焼きをねじ込む!味変も必要でござるかね?全種類持ってきて!お代わりもあるぞ!!
拙者も程々にたい焼きを食いつつ…動かなくなったな!もう一体ぐらい呼ぶか知らない人!
アドリブOK
●実は戦争勃発を危惧してたい焼きにした
「たい焼きで良かったでござるね。もしこれが丸っこい方のあんこ入り焼き菓子だったら猟兵同士で戦争が始まる所でしたぞ」
『あら……そうなの?』
エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)の言葉を聞きながら、たい焼き屋の主人である人魚の娘は、鉄板から皿へとたい焼きを移していた。
『でも、ふふ。たい焼きを食べればそんな事はどうでも良くなってしまうのよ。だってたい焼きに勝るものはないもの』
他のあんこ入り焼き菓子好きが聞いたらその場でゴングが鳴りかねないことをサラッと言いながら。人魚はエドゥアルトの前に、たい焼きを山積みにした皿を置く。
たい焼きの山は焼き立てほやほやで、薄らと白い湯気を立てていた。
――見た目、匂い、異常なし。たい焼き調理中、妙なモノを入れている動きも無かった。不安要素は無さそうだ。
「さぁ、たい焼きをサクサク食していくでござるよ! この知らない人がネ!!!」
『チーッス! ゴチになりまっス!!』
わざとらしくエドゥアルトが両手で示した先には。何時の間にやら、なんかチャラい男が現れていた。
『えっ……そちらどちら様……?』
「えっ、誰こいつって?」
突如湧いて出て来た知らない存在に、人魚は驚きを隠せずにいた。実際、突然人が増えていたら誰でも吃驚する。
「拙者も知らない……その辺に急に湧いてきた所をキャプチャーしてきただけだし……」
きょとんとした顔で答えるエドゥアルト。本当にそれしか言いようが無かったのだ。
「ほらお前もたい焼き食え!」
『あざっす! いただきまっス!!』
無理矢理話題を変えるように、エドゥアルトはチャラ男にたい焼きをすすめると。自身もたい焼きを一匹掴んで頬張った。
――それなりに時間が経った頃。
『スンマセンもう食えないっス!! 胃が悲鳴あげてるっス!!』
「何もう食えない?」
もう無理だと白旗をあげるチャラ男の方へと、エドゥアルトは顔をぐりんと向かせた。
「食えないじゃねぇよ食うんだよ」
そして素早く皿の上のたい焼きを引っ掴むと、チャラ男の口に無理やり捻じ込む。割と容赦が無かった。
『もがもぐっ?!!』
一匹、二匹、三匹と。チャラ男の口に次々たい焼きを突っ込むエドゥアルト。チャラ男はハムスターみたい頬を膨らませる。
「味変も必要でござるかね? 全種類持ってきて!!」
『うふふ、嬉しいことを言ってくださるのね』
エドゥアルトのオーダーに、人魚はクリーム、チョコ、うぐいすあんなど。様々な味のたい焼きを山にした皿をテーブル上にばんばん並べる。なんだか人魚は楽しそうだった。
『しょっぱいたい焼きが欲しいなら、お好み焼き風もあるわ』
「お代わりもあるぞオラァ!!」
笑顔で出されたお好み焼き風たい焼きの皿からも、エドゥアルトは一匹掴んで。それをやっぱりチャラ男の口にぶち込んだ。
『もぐぐぐ(もう無理)ーー!!』
チャラ男の言葉になっていない悲鳴は。静かな夜空の下、よく響いた。
――更に時間は進んで。
エドゥアルトはテーブルに突っ伏すチャラ男を突いていた。しかしチャラ男からは何の反応もなかった。
「……動かなくなったな!」
チャラ男は、口から魂が抜けていた。もしかすると一生分のたい焼きを突っ込まれたかもしれない。
「もう一体ぐらい呼ぶか知らない人! まだたい焼きはたくさんあるのでござるからなぁ!」
悪い顔でたい焼きをモシャアと齧るエドゥアルト。たい焼きナイトフィーバーはまだ始まったばかりなのだった。
大成功
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舞音・ミケ
たくさん、ください(柔らかな笑顔を浮かべ)
たい焼き。
魚の形だけど魚じゃない。
でもおいしい。とてもおいしい。
やわらかかったり、カリカリだったり。あんこだったり、クリームだったり。どれもおいしい。
お腹空いてるから大量に食べられるよ。
私は幸せ。いただきます。
熱いから冷ましながら食べよう。
猫霊たちもいっしょに食べるよ。
霊だからあんこも大丈夫。
霊だから食べたいだけ食べられる。
満足したら寝るけれど。
特に「まる」はたくさん食べるよ。
テンション上がっていつもより巨大になってるし。
……「屋台ごと食べられそう」?
だめ。
●魚だけど魚じゃない
「たくさん、ください」
舞音・ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)はたい焼き屋の主人である人魚へと、柔らかな笑みを浮かべて伝える。
何をたくさんとは言わずとも、それは人魚に伝わった。ここはたい焼き屋なのだ。たい焼き以外に何があるというのか。
『ええ勿論。沢山食べていって頂戴な』
「お腹空いてるから、大量に食べられるよ」
人魚はどこからともなく、両手にたい焼きの山を乗せた皿を持つと。それらをミケの前のテーブルにどんと置く。
「魚の形だけど魚じゃない。でもおいしい。とてもおいしい」
たい焼き。それはやわらかかったり、カリカリとしていたりする食べ物。
鱗を持たないその皮の下には、ワタのかわりに魅惑のあんこやクリームが詰まっている。そしてそれらは、どれも美味しいとミケは知っていた。
美味しいものが沢山目の前に並んでいる。それはミケの心を幸福で満たすのに十分なことだった。
「いただきます」
手に取ったたい焼きは焼き立てのアツアツ。けれどミケの舌には少しばかり熱すぎて。ふぅふぅと息を吹きかけて冷ましながら、ミケはたい焼きを頬張った。
「あたたかくて、おいしい。とてもしあわせ」
『そう言ってもらえると、本当に嬉しいわ』
ミケが幸せそうに笑えば、人魚も優しく笑みを浮かべる。
もちろん今日もミケ一人だけではなく、猫霊達も一緒だった。ミケの足をちょんちょんと肉球タッチしてくる猫霊達にもミケはたい焼きを差し出し、一緒に味わっている。
猫霊達は屋台の周りにたくさん集い、ミケからたい焼きを差し出されるのを順番に待っていた。
猫だけれども霊なので、あんこを食べさせても問題など無い。そして霊ゆえに食べたいだけ食べることが出来る。
充分にたい焼きを食べ満足すれば猫霊達は丸くなり、すぅと眠りにつく。屋台の周りに、沢山の猫(霊)。おそらく猫好きが見たなら、簡単にホイホイされる光景が広がっていた。
だがしかし。そうは簡単に満足しない猫霊がいた。
『みゃふ、みゃみゃう!!』
ミケの斜め後ろで、人魚が作りまくっていた――それこそ本当に、『山』になっているたい焼きを爆食いしている超巨大猫霊の『まる』だ。
たい焼き食べ放題ということで、まるのテンションは爆上がりだった。ついでにただでさえ巨大な身体が、いつもよりも三割増しで大きくなっていた。
『ぶみゃ、なぁん!!』
瞳をきらきらと輝かせ、まるはひたすらにたい焼きを食べていた。一個ずつという行儀のよい食べ方ではなく。肉球に掬った複数のたい焼きを口の中に放りこみ、咀嚼するというワイルドな食べ方で。人魚の用意する一皿など、まるが掬えば一瞬で消えてしまう量だった。
『にゃ、にゃにゃう』
「…………」
まるの言葉に、たい焼きをもぐもぐしながらミケは耳を傾ける。まだ飲み込み終えていないので、無言なだけである。
咀嚼したたい焼きをごくんと飲みこむと、ミケは口を開いた。
「……屋台ごと食べられそう?」
まるのことだから、たい焼きが尽きてしまったら屋台にまで肉球を伸ばしかねなかった。
「だめ」
ミケはまるにはっきりとそう言うと、またたい焼きをもぐもぐする。ミケの言葉を聞いたまるは、『ぶみゃー……』と少しばかり不服そうな鳴き声をあげた。
けれども人魚の手によって山に新たにたい焼きが追加されたのを認めると、また瞳を輝かせてたい焼きを肉球に掬うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
二つの世界を救う為に…
…え?たい焼きを食べるの?食べるだけでいいの?
…さぁ行くぞ…私は処刑人だ…!
何味がいいかな…どれどれ…
妖刀で腕を切り裂き流血させて
【来来十二身将】で自身の分身を召喚しよう
分身達と一緒にたい焼きを食べよう…
泡…?
えぇと…何しに来たんだっけ?
あぁそうだ…たい焼きを食べに来たんだっけ…
たい焼き食べ放題だ…!おいもっとよこせ…!
たい焼きを食べに来たんだぞ…私達は…お客様だッ!
たい焼きを喰らいつつ
分身達と一緒に店主…もとい敵を
[殺気と威圧で恐怖を与えて]やろう…!
あぁそうだ…二つの世界を救いに来たんだっけ…
それはともかく…たい焼きを寄越せ…!
●十二身将の宴
「二つの世界を救う為に……」
仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は滅亡の危機にあるUDCアースとカクリヨファンタズムを救うため、たい焼き屋の暖簾をくぐる。すると屋台の店主である人魚が、微笑みを浮かべてアンナを迎えた。
『いらっしゃい。沢山食べて行って頂戴ね?』
くぐった先に広がっていたのは、テーブル上にたい焼きの山がたくさん乗っている光景。骸魂に飲まれているという人魚は敵意を持たず、ただ只管にたい焼きを焼いては皿に積んでいた。しかもかなりのハイペースで。
「……え? たい焼きを食べるの? 食べるだけでいいの?」
たい焼きを焼いては積み、焼いては積みをする人魚にアンナは拍子抜けしてしまう。確か説明の時に、意訳するとたい焼きを食っていればOKと言っていた気はする。だがここまで敵意が無いとは思っていなかった。
『うふふ、満足するまで食べても、帰さないわよ?』
しれっと帰るのは許さない宣言をする人魚は、ちょっと目が据わっていた。もしかすると不眠不休で焼き続けているのかもしれない。
人魚を骸魂から解放するためにも。アンナはすっと『アサエモン・サーベル』の身を抜く。
「……さぁ行くぞ……私は処刑人だ……!」
そしてその刃を人魚――ではなく、自身の腕へと向けて。躊躇うこと無く切り裂いた。
流れる鮮血は生命の雫。それらを代償として、アンナの分身が次々に現れる。
『あらあら、お客さんが増えたわ。もっと沢山、たい焼きを焼かなくっちゃ』
アンナの分身達が現われたのを受けて、人魚は更にたい焼きを焼くペースを上げる。なんだかやる気にさせてしまったようだ。
次々にアンナ達の前に並べられていくたい焼きの山。それらにはご丁寧に、何味であるか書かれた小さな看板が立っていた。
「何味がいいかな……どれどれ……」
あんこ、クリーム、チョコ。うぐいすあんに、クリームチーズ。少し変わったものではお好み焼き風……等々。その様々な案内にアンナ達は目移りしながらも。最初はやはりスタンダードに、あんこのたい焼きへと手を伸ばすのだった。
黙々とたい焼きを食していたアンナに、ふよふよと丸いものが近寄って来た。
「泡……?」
その泡はアンナの額にぶつかりぱちんと弾けた。それと同時に、アンナから大事なことが抜け落ちてしまった。
(「えぇと……何しに来たんだっけ?」)
自分と分身達は、一体何をしに此処に来たのだったか……。
見回せば、分身達は思うままにたい焼きを食している。
(「あぁそうだ……たい焼きを食べに来たんだっけ……」)
そう。ここは――。
(「たい焼き食べ放題だ
……!」)
近くの皿にあったたい焼きを一匹掴み、アンナはそれを頬張る。ほんのりと酸味の効いたクリームチーズ味だった。
「…………」
きちんと咀嚼し、飲み下してから。アンナは改めて口を開いた。
「おいもっとよこせ……! たい焼きを食べに来たんだぞ……私達は……」
分身達はその次にアンナが何を言うのか察した。そして人魚へと一斉に口を揃えて――。
「「「お客様だッ
!!」」」
完全にアンナの頭から二つの世界を救うことが抜け落ちて。たい焼きを食べることが目的となっていた。
『あらあら、まぁまぁ。そんなに急かさなくても、たい焼きはたーっくさんあるのよ?』
――ドンドンドン!!
何時の間にこんなに焼いていたのだと思う量のたい焼きが乗った皿たちが、アンナ達の前に並べられた。そのたい焼きの山へと、わぁっと手を伸ばすアンナ達。
(「あぁそうだ……二つの世界を救いに来たんだっけ……」)
もっきゅと咀嚼しながら、そこでアンナは本来の目的を思い出す。
「それはともかく……たい焼きを寄越せ……!」
だってたい焼きが美味いのだもの。美味いものを食べて骸魂引っぺがせるなら、それでもいいじゃないか。
フッと笑い、アンナはたい焼きを一口かじる。
たまにはこんな夜があっても、いいのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ミアステラ・ティレスタム
まあ、たい焼き!
たい焼きなら以前食したことがあります
中の餡の種類か豊富で、尚且つ外側の生地も美味しいものでしたね
此方のたい焼きのお味はどうなのでしょうか
ワクワクしてきました
ふふ、美味しそうな匂いがいたします
最初はやはり餡子から食しましょうか
そういえば、たい焼きの食べ方にも個性が出るのだとか
頭からかぶりつく、尻尾のカリカリしているところから食べる、真ん中を割って食べる…
わたしは尻尾からいただきます
尻尾の方を早く食べねばカリカリの食感が失われてしまいますので
此方のたい焼きも、とても美味しいですね
次は何にしようかしら
変わり種も食しませんと
たくさん食べていきますので、どんどん持ってきてくださいませ
●食べ方千差万別
「まあ、たい焼き!」
ミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)は、山のように皿へと積み上げられるたい焼きを前に瞳を輝かせ、嬉しそうに両手を組んだ。
ミアステラは以前、たい焼きを食べたことがあった。ミアステラの脳裏に浮かぶそれは中の餡の種類が豊富で、そして餡を包む外側の生地も美味だった。
「此方のたい焼きのお味はどうなのでしょうか」
『そうねぇ……ほっぺが落ちちゃうかもしれないわね……』
ワクワクと心を躍らせるミアアステラに、屋台の店主である人魚は冗談めかして答える。
『ふふ、焼き立ては特に美味しいわ……さぁ、どうぞお食べになって?』
人魚は鉄板から焼き上がったばかりのたい焼きを皿に移すと、ミアステラの前に差し出した。
「ふふ、美味しそうな匂いがいたします」
鼻先をくすぐる生地の香りは香ばしく、その生地に包まれる餡の香りがほんのり混ざっていた。それはミアステラの食慾へ『どうぞ食べて』と訴えている。
(「最初はやはり、餡子から食しましょうか」)
クリームやチョコにも心惹かれるけれども、王道である餡子へとミアステラは手を伸ばす。
「そういえば、たい焼きの食べ方にも個性が出るのだとか」
『その人によって全く違ったりするから、見ている側も面白いのよね』
それは頭からかぶり付いたり、尻尾のカリカリとしたところから食べたり、半分に割って食べたり……人によって様々だ。
そしてミアステラは、尻尾から食べる派だった。
なぜなら尻尾の方を早く食べなければ、カリカリの食感が失われてしまうからだ。カリカリは時間を経てしまうと、湿気を吸い柔らかくなってしまう。
そのカリカリを堪能するために、ミアステラは尻尾へとかじりつく。カリッとした生地の食感と共に、尻尾まで詰まった餡子の味が口の中に拡がった。
主張が強すぎない程よい甘さの餡子は、生地の味も活かしてミアステラの舌を満足させる。
「此方のたい焼きも、とても美味しいですね」
柔らかな笑みを浮かべて、ミアステラは人魚へと伝える。
『ありがとう。そう言ってもらえると、作っている身としては本当に嬉しいわ。美味しいの言葉があれば、満たされるの』
心の底から嬉しそうな顔をして人魚は礼を言うと。屋台だと対面で直に客から『美味しい』という言葉を聴くことが出来るから、やめられないのだと話した。
「次は何にしようかしら」
屋台のたい焼きはクリームやチョコ以外にも、うぐいすあんやもちもち白玉入り餡子のたい焼きもあった。
甘いたい焼きに飽きてしまっても大丈夫。お好み焼き風という変わり種もある。
ちなみに、お好み焼き風は一個ずつ紙袋に入れられていた。他のたい焼きと比べて中の具材がはみ出す程にボリューミーゆえに、かぶりついたら具材がこぼれかねないからだ。
生地からはみ出すキャベツやベーコンに、彩りを添える紅生姜や卵。具材にかかるソースの香りは食欲をそそるもの。
(「あちらの変わり種も食しませんと。とても気になります」)
「たくさん食べていきますので、どんどん持ってきてくださいませ」
『ええ、喜んで』
ミアステラのたい焼き食べ比べの夜は、まだまだ続くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
吉備・狐珀
戦争中ですのにたい焼き食べ放題…。
しげしげとたい焼きを眺めながら本当に食べるだけで大丈夫なのでしょうか?などと考えてみるけれど。
それが1番の解決策というのなら全力で食べるしかありませんね。
ということで、月代、ウカ、ウケ、たい焼き食べ放題ですよ!
しっかり食べましょう!
まずは最初は餡子から。
外はカリッと中はふんわり。餡子は尻尾までぎっしりで。
んん!これは美味しいです!
これは他の味も楽しみですね。
これはカスタードやチョコも楽しみですね。
お好み焼き味も気になりますね。
ほくほくとたい焼きを堪能している横で月代達も夢中で食べていて。
食欲旺盛なこの子達ならこのたい焼きを減らす手助けになるでしょう。
●たい焼きふぁんたじあ
『ふふ、たい焼きを沢山食べていって頂戴』
「戦争中ですのにたい焼き食べ放題……」
今は二つの世界が危機という状況で。けれどたい焼きが山のように乗った皿がどんどん並べられていくのを見ていると、吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は本当に戦争中なのかと疑いそうになった。
たい焼きの山をしげしげと眺めながら、本当に食べるだけで大丈夫なのかと狐珀は心配になる。
しかしそれが平和的でフードロスも減らせる上に、骸魂を剥がせる一番の解決策というのならば。全力で食べるしかないと、狐珀はぐっと拳を握り長椅子に座る。
「……ということで、月代、ウカ、ウケ、たい焼き食べ放題ですよ! しっかり食べましょう!」
『あら、可愛いお連れ様もいらっしゃるのね。じゃあもっとたい焼きを焼かなくっちゃ』
人魚は少しばかり浮遊して身を乗り出し、カウンターの向こうを覗く。テーブルの上はたい焼きの乗った皿が沢山置いてあって、人魚側からだと見えていなかったけれども。長椅子の上には狐珀だけでなく、仔竜の月代とウカ、ウケも座っている。
月代らを見た人魚は、『これは腕によりをかけなくちゃ』と機嫌が良さそうだった。
ぱっと見ただけではたい焼きの中身は分からない。けれどもたい焼きの乗る皿にはちゃんと、中に何が入っているか書かれた小さな看板が立てられていた。
餡子、カスタードクリーム、チョコ、うぐいすあん等、一般的なたい焼きがあれば。変わり種にお好み焼き風もあった。
「まずは最初は餡子から」
色々目移りしても、やはり最初は王道の餡子に手を伸ばす狐珀。半分に割ってみれば、そのたい焼きの皮は外側はカリッとしているのに中はふんわり。尻尾側を一口かじれば、皮だけという悲しいことは無く、ぎっしりと餡子がつまっていた。
「んん! これは美味しいです!」
狐珀はその美味しさに思わずうなってしまう。餡子でこれだけ美味なのだ。他の味も楽しみになって来る。
餡子のたい焼きを食べ終え、笑みを零した狐珀が次に手を伸ばしたのはカスタードクリームだ。
これも半分に割ってみれば、バニラの香りと共にカスタードクリームがこんにちはと顔を出す。そのクリームをよく見れば、小さく黒い粒状のものが点々とあった。バニラビーンズだ。
『うちのたい焼きのクリームはね。バニラエッセンスじゃなくて、バニラビーンズを使っているの』
バニラビーンズに気付いた狐珀を見て、人魚は微笑みながら話し掛ける。
「なるほど、どうりで香り高いわけですね……!」
ちなみにチョコはカクリヨ界のベルギーチョコと言われるチョコを使っているそうだ。人魚曰く。ここのたい焼きはお客さんに美味しいものを食べてもらうために、素材に手を抜かないというのがモットーなのだという。
甘いものばかりを食べていれば、しょっぱい味も恋しくなるもの。
実は結構気になっていたお好み焼き風のたい焼きへと、狐珀はついに手を伸ばす。
お好み焼き風はソースとマヨがかかった刻みキャベツ、ベーコン、卵に小海老や紅生姜が皮に挟まれたものだった。少し具が溢れそうになっていて、これだけはそれぞれが紙の小袋に入れられている。
ボリューミーな見た目をしたそのたい焼きの収まる小袋を狐珀は取り、意を決してかじりつく。
「んー
……!!」
しゃきっとした歯ごたえの残るキャベツに、主張の強すぎないソースマヨと具材が織りなす味のハーモニー。それは狐珀の言葉を奪うのに十分なものだった。
ほくほくと嬉しそうにたい焼きを堪能する狐珀の横では、月代がカスタード味を。ウカとウケがチョコ味のたい焼きを夢中で食べていた。
その姿を見て狐珀は優しい笑みを浮かべる。
(「この子達は食欲旺盛ですから、沢山あるたい焼きを減らす手助けになるでしょう」)
――まだまだ、美味しい夜は始まったばかり。
大成功
🔵🔵🔵
神崎・ナオ
え!? たい焼き食べ放題っ!? わーい、やったー!
しかも味色々楽しめるの!? やっりぃ~!
甘い物食べてるとしょっぱいものも食べたくなるし、お好み焼き風があるのも至れり尽くせりだね~!
粒あん、クリーム、お好み焼き風、チョコな順番で食べてくよ~!
(ナオが美味しくゆっくり味わって食べてる間に、こっそり魔王軍の皆さんがたい焼きを食べて消費していきます)
うわっ!? いつの間に私こんなに食べたの!?
もしかして大食いの才能あるかもっ!
(な~んて勘違いしているナオの後ろで、御付きの蝙蝠がやれやれとため息交じりだったりします)
●魔王軍が一緒に食べてくれました
「え!? たい焼き食べ放題っ!? わーい、やったー!」
屋台の椅子の上で、万歳ポーズで大喜びするのは神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)だ。
『ええ、そうよ。色々な味があるから、沢山食べていって頂戴ね』
瞳を輝かせるナオへと、たい焼き屋の店主である人魚は穏やかに告げる。テーブルに乗せられているたい焼きの山が乗った皿には、どの味であるか書かれた小さな看板が立っていた。
「しかも味色々楽しめるの!? やっりぃ~!」
粒あんだけでなく他にも味があることを知り、ナオのテンションは更に上がる。
王道粒あんに、クリーム、チョコ。そして変わり種にはお好み焼き風もあった。
「甘い物食べてるとしょっぱいものも食べたくなるし、お好み焼き風があるのも至れり尽くせりだね~!」
どれも本当に美味しそうで、最初に何を食べるかナオは迷ってしまうけれども。
「ここはやっぱり王道の粒あんからでしょ!」
まずどのたい焼き屋でも絶対に作っている、粒あんのたい焼きへと手を伸ばす。
ぱくりと頭からかじってみれば、皮の外側はカリッとしていて。けれど内側の生地はふんわりとしていた。ぎゅっと身に詰まった粒あんは程よく熱く、火傷させぬ様に計算した上で焼かれているのがわかる。
粒あんたい焼きを食べ終えた次に、ナオが手を伸ばしたのはクリーム味だ。
「ん~! いい香りがするー!」
これはバニラの香りが高く、口にする前からとても良いクリームが詰まっているということが分かった。割ってクリームを確認してみれば、小さな黒い粒――バニラビーンズが点在している。これで美味しくない訳が無い。口に含めばクリームは滑らかで、かといって『クリームです!』と主張が強すぎることも無かった。それは優しい甘さだった。
甘いものを食べていれば、しょっぱいものも恋しくなるというもの。
今度ナオが手に取ったのは、お好み焼き風のたい焼きだった。これは他のたい焼きとは違って、一個ずつ紙の小袋に入っていた。
何故ならこのたい焼き。皮に挟まれた具材がちょっとはみ出てしまっているくらいにボリューミーで、うっかりそのままで齧ったりなんかしたら、具材がこぼれかねないからだ。
「わ、具がぎっしり! こぼさないように気をつけなくちゃ!」
注意を払いながら、しかし大胆にお好み焼き風たい焼きにかぶり付いてみれば。しゃきっとしたキャベツの食感がまずナオを出迎える。そしてもぐもぐ咀嚼すれば、口の中でソースマヨが指揮を取り、ベーコンや小海老、そして卵に紅生姜がハーモニーを奏でた。
「んんー!! これすっごくおいしー!! でも、まだ食べてない味……あったよね!」
そうして最後にナオが手にしたのはチョコ味だ。
どうやら生地にもチョコが練り込まれているようで、たい焼きの皮の色はチョコレートカラーをしている。
とっておきのデザートを食べる時みたいに、ナオはチョコ味たい焼きを口へと運べば。チョコ味のたい焼きはほろ苦く、エレガントな甘さをしていた。
(「どれもお土産にして持ち帰りたいくらいに、お~い~し~!!」)
たい焼きを笑顔で頬張るナオは、本当に幸せそうで。
そんなナオの姿を、人魚は嬉しそうに眺めていた。
さて、ナオがゆっくりと美味しくたい焼きを味わっている間。こっそりと魔王軍の者達が、たい焼きの山へと手を伸ばして消費していた。
だがそれがナオに悟られることは無い。先ずはナオの死角にあるたい焼きの山の皿を空皿と交換し、ナオから見えないところでたい焼きを食べていたからだ。
そしてナオの近くにあるたい焼きの皿を取る時は細心の注意を払い、気配を消し。ナオが右側のたい焼きに視線を向けたならばその隙に、左側にあるたい焼きの皿と空皿と交換するという具合に。徹底して気付かれぬ様に心掛けていた。
「うわっ!? いつの間に私こんなに食べたの!? もしかして大食いの才能あるかもっ!」
いつの間にか空になっている皿を見て、吃驚するナオ。
「こんなに食べられるならフードファイトに出られちゃうかも~?」
……なんて、勘違いしているナオの背後では。相談役でもあるお付きの蝙蝠が、溜息を吐きながら「やれやれ」と言っていたのでした。
大成功
🔵🔵🔵
クック・ルウ
アドリブ歓迎
人魚殿、あなたの覚悟に報いたく参上した
もう大丈夫、ご安心めされよ
我ら猟兵がそのたい焼きを食べきるのでな
さあゆるりと参られい、この食欲でもって応じよう
(大盛りでお願いしますの意)
む。流石は魚心を解っておられる人魚殿
この味わい焼き具合……このたい焼きはまさに海泳ぐ鯛
ピチピチ跳ねるような生きの良さが味覚を突き抜けてくる!
(とても美味しいです)
底なしの食欲で美味しくたい焼きを頂く
一口で飲み込み溶かして消化しよう
きっとあなたの心が伝わってくる味がするだろう
椿の花弁添えたたい焼きも食べてしまうかな
口が聞けなくなっても大丈夫だ。食べ続ける
もぐもぐもぐぐもぐーぐ
(おかわりください)
●店主の人魚怪力疑惑
クック・ルウ(水音・f04137)は静かに、屋台の暖簾をくぐる。
『あら、いらっしゃい。たい焼き、沢山食べていって頂戴ね』
そのクックを、たい焼き屋の店主が優しい声音で出迎える。
店主は一見すると、至って普通の人魚の娘。けれども骸魂に飲まれ、もてなし衝動が音も無く暴走している状態だということをクックは知っていた。
「人魚殿、あなたの覚悟に報いたく参上した」
クックの言葉を聞いた人魚のたい焼きを焼く手が止まった。それをクックは見逃さない。けれども人魚は何事も無かったかのように、またたい焼きを焼く作業に戻る。
「もう大丈夫、ご安心めされよ。我ら猟兵がそのたい焼きを食べきるのでな」
『うふ、ふふふ。食べきってくれたならば、きっと私は満足するわ』
おそらく人魚の言葉には、『食べきれば骸魂から私は解放される』といったメッセージが含まれているとクックは思った。
「さあゆるりと参られい、この食欲でもって応じよう」
ならばせねばなるまい。たい焼きもぐもぐ祭りを。
『じゃあ私も、あなたが満足するくらい、沢山たい焼きをお出ししなくちゃね』
――ドンドンドン!!
人魚はクックの前に、超山積みにしたたい焼きの皿をまず三つ置いた。皿を置く音が滅茶苦茶重いが、それはたい焼きがとてもたくさん乗っていて物理的にかなり重いからである。
何故人魚がいきなりヘヴィな量を出したか。それはクックから、大盛りでお願いしますという意を受け取ったからだった。
「む。流石は魚心を解っておられる人魚殿。この味わい焼き具合……このたい焼きはまさに海泳ぐ鯛」
『そこまでおっしゃって下さるなんて……なんて私は幸せなたい焼き焼きなのかしら……』
「ピチピチ跳ねるような生きの良さが味覚を突き抜けてくる!」
『そうでしょう……! 新鮮さがウリなのよ……!』
第三者が聞いたら、一体どういう会話をしているんだと耳を疑いたくなるだろう。ちなみにクックの言葉を訳すると、「焼き立ての生地はとてもカリカリとしていて、ぎゅっと詰まった餡子も程よい甘さをしていてとても美味しいです」である。
クックはそのブラックホールの如き底なしの食欲をもって、美味しく沢山たい焼きを頂いていた。
だがその消費ペースはものすごく早かった。それもその筈。ひと口にたい焼きを含んではごくんと飲み込み、一瞬で溶かして消化しているからだ。
素早く食べていても。クックは身に取り込んだたい焼きから、あたたかな人魚の心を感じていた。
火傷しないようにと、けれども温くもないようにと計算されて焼かれ、そして素材にも手を抜いていない。
それをまごころと呼ばず、何と呼ぶのか。
不意に、クックの鼻先を花の香りが撫でた。その香りは椿の花のものだ。
その香りがした方へと視線を向ければ、紅い椿の花弁が添えられたたい焼きの乗った皿があった。
それにも遠慮することなく手を伸ばし、クックは花弁ごと口に含む。
「もぐもぐもぐぐもぐーぐ」
口いっぱいにたい焼きを頬張るクックの言葉は、訳すると「おかわりください」。もごもごとしか聞こえないそれを他の人が聞いたら、何を言っているのかわからないだろう。けれども、しっかりと人魚はわかっていた。
『うふふ、たんとお食べになって?』
嬉しそうに人魚は新たにたい焼きの山を両手に持つと、それらをクックの前に差し出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
イヴォール・ノトス
たい焼き食べ放題とかご褒美か!
妖怪助けも出来て腹いっぱ食えるとか、アタシにぴったりの案件じゃんな?
おーし、骸魂泣かすまで焼いて貰お
因みに、アタシは尻尾まで餡が入ってなくても良い派
皮だけの味も結構好き
とりあえず、メニューにある種類全部食べていく
餡子はド定番に好きだし、カスタードもいいよな
さつま芋餡に抹茶餡、栗餡とかあるか?
チーズ入れたの焼いて欲しいなー、食べたいなー
なんて、所々で味のリクエストしてみたり
ねえさん、これスゲーうまいよ!って味の感想も伝えとく
甘い味を食べ進める間に惣菜系なんかのしょっぱい味も挟もう
なぁ、まだ焼けるだろ?まだ食べたいンだ
悪いな、ねえさん
アタシ人よりちょっと大食いなんでね
●求められたならば作らねばなるまい
「たい焼き食べ放題とかご褒美か!」
イヴォール・ノトス(暴食・f25687)は思わず歓喜の声をあげる。
妖怪助けも出来て、加えて腹いっぱいにたい焼きを食べまくれるこの案件は、イヴォールにピッタリだった。
ちなみにイヴォールは尻尾まで餡が入ってなくても良い派だった。餡の詰まっていない皮だけの味も結構好きなのだ。
「おーし、骸魂泣かすまで焼いて貰お」
気分上々のままイヴォールが屋台の暖簾をくぐれば。そこにはたい焼きの乗った皿が、ドドンとテーブルに並んでいた。
『いらっしゃい。あなたもたい焼き、沢山食べていきなさいな』
長椅子の上にイヴォールは座ると、屋台の横に立てかけてあるメニューへと視線を移す。
メニューには餡子、カスタードクリーム、チョコ。変わり種にお好み焼き風などがあった。そして看板の下部には、『他にも食べてみたい味がございましたら、お気軽にお申し付けください』と書いてあった。
(「餡子はド定番に好きだし、カスタードもいいよな」)
とりあえずはメニューにある種類を全部食べていこうと決めると、イヴォールは人魚へ「メニューを端から端まで全部くれよ」と伝える。
『まぁまぁ。とっても嬉しい注文ね』
それを聞いた人魚は作り置きしていたたい焼きの山の皿を、イヴォールの前にどんどん並べてゆく。
注文して山の皿を複数出されたなら、見ただけでお腹一杯になってしまいそうだけれども。イヴォールにとってはこの程度の量は朝飯前だ。
「じゃ、いただきまーす」
右手に餡子のたい焼きを。左手にカスタードのたい焼きを持ったイヴォールは、笑顔を咲かせていた。
「食べてみたい味があったら言ってくれって書いてあったけどさ、さつま芋餡に抹茶餡、栗餡とかあるか?」
お好み焼き風のたい焼き片手に、イヴォールは人魚へと訊ねる。
『あら、珍しい注文ね。勿論あるわ。お客さんのリクエストには、応えられるようにしているの』
屋台の裏へと人魚が下がると、ごそごそという音がして。そして戻って来た人魚の手には、側面に『さつま芋餡』『抹茶餡』『栗餡』とラベルの付いた容器があった。
人魚はそれぞれの餡を金型で焼かれるたい焼きの生地へと爆速で乗せ、何も乗せていない生地を合わせて少し待った後、金型から焼き立てを取り出すと。それらをイヴォールへと差し出した。
イヴォールは受け取ったたい焼きを早速ぱくりと頂く。するとイヴォールの顔が、輝いた。
「ねえさん、これスゲーうまいよ!!」
『うふふ。お気に召したならば、何よりだわ』
率直なイヴォールの言葉に、人魚は嬉しそうな微笑みを返した。
「なぁねえさん。アタシチーズ入れたの焼いて欲しいなー、食べたいなー」
ちょっとした小休止の最中、イヴォールがテーブルに頬杖ついてリクエストをしてみれば『ちょっと待っていて頂戴な』と。また人魚は屋台の裏へ下がり、今度は『もちとろチーズ』というラベルの容器を持ってきた。
先刻と同じように爆速で焼かれ、差し出されたチーズたい焼きを受け取ってかぶりつけば。中のチーズがみょいーんと伸びた。
(「うわ、これスゲー伸びる!」)
とてもよく伸び、噛めばもちもち。伸びたチーズを落とさないように口で手繰るイヴォールを見ていた人魚は、クスリと小さく笑みを零す。
さて、こんなにも様々なたい焼きを沢山食べて。そろそろイヴォールの胃袋が満たされるだろうと読者の方々はお思いになるかもしれない。
だが、侮るなかれ。まだまだ彼女の胃は満たされていないのだ。
「なぁ、まだ焼けるだろ? まだ食べたいンだ」
『ふ、ふふふ……少しゆっくりでも、大丈夫かしら?』
他の猟兵達にもたい焼きを沢山焼き続けていたものだから、手首を酷使しすぎて実は痛くなってきていた人魚。
なお、焼いたそばからハイスピートで消費されていったものだから、屋台のたい焼きの数は――着実に減っていた。
「悪いな、ねえさん。アタシ人よりちょっと大食いなんでね」
そう言って破顔するイヴォールに、人魚を飲んだ骸魂は内心涙目になっていた。
大成功
🔵🔵🔵
三上・チモシー
アドリブ歓迎
たいやき!
たいやきいくらでも食べていいの? やったー!
たいやき大好き! いっぱい食べるー♪
やっぱり最初は、定番のあんこかなぁ
いただきまーす
たいやき、自分は頭から食べることが多いかなぁ。最後にカリカリの尻尾食べるのが好きー♪
あんこの次はチョコ、その次はクリーム、またあんこ……(以下ループ)
全部おいしいし、全然飽きない! いくらでも食べられちゃう!
食べたそうにソワソワしてる巨大熱帯魚のライ麦ちゃん(ナマズ)にも、たいやきどうぞ
おいしい? よかったねー♪
まだまだ食べるよ!
●美味しいものを食べると幸せが溢れる
「たいやき!! たいやきいくらでも食べていいの? やったー!」
三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)は大好きなおやつを前にした子供のように、そのピンク色の瞳をきらきらと輝かせる。
『そうよ、たい焼き。沢山あるから、好きなだけ食べていって頂戴な』
「たいやき大好き! いっぱい食べるー♪」
店主である人魚の娘の言葉に、チモシーは両手をあげて喜んだ。
(「やっぱり最初は、定番のあんこかなぁ」)
たい焼きはあんこ以外にもクリームやチョコがあったけれども、迷ったなら最初は定番で行くのがセオリーというもの。チモシーはまず、あんこのたい焼きへと手を伸ばした。
「いただきまーす」
手に取ったそのたい焼きを、チモシーは頭からぱくんと頂く。
「んー! このたい焼きすっごくカリホクしてるー!」
ひと口食べて、感嘆の声をあげるチモシー。たい焼きの外の生地はカリッとしていて、中のあんこはホクホクと熱い。しかし火傷してしまいそうなほどに熱いということは無く、食べる側にも気を配った、計算された熟練の技を感じさせる。
『やっぱり、何処から食べるかはお客さんによって違うわね』
チモシーがたい焼きを食べる様子を見ていた人魚は、思わずそう零していた。
「そうだねー。たいやき、自分は頭から食べることが多いかなぁ。最後にカリカリの尻尾食べるのが好きー♪」
たい焼きの食べ方というのは人によって違って、チモシーのように頭から食べる者もいれば、半分に割って食べたり、尻尾から食べたりする者もいる。
『でもね、食べ方はそれぞれなのだけれど。どの味を食べるか迷うと……結構な人があなたみたいに、最初はあんこを手に取るのよ。定番が一番なのね』
「へー……やっぱりそうなんだぁ……」
チョコのたい焼きに手を伸ばしながら、人魚の話を聞くチモシー。定番の味というものは、人を自然に惹きつけるからこそ定番というのかもしれない。
「あ、これもおいしー♪」
チョコを食べ終えたチモシーはその次にクリームを手に取り、そしてまたあんこへと戻ってまたチョコ(以下略)というループを繰り返しながら、たい焼きを食べ進めてゆく。
「全部おいしいし、全然飽きない!! いくらでも食べられちゃう!」
『まぁ……そう言ってくれて、嬉しいわ』
その言葉を聞いた人魚は片手を頬に添え、嬉しそうに微笑む。
また一つたい焼きを手に取り、美味しそうにもぐもぐするチモシー。その周りを食べたそうにそわそわと、巨大熱帯魚のライ麦ちゃんが泳いでいた。
「ライ麦ちゃんも食べたいの?」
チモシーが訊ねれば、ライ麦ちゃんは身体を上下に揺らしてうなずく。それを見たチモシーはライ麦ちゃんへとたい焼きを差し出した。
「はい、たいやきどうぞ」
ぱくぱくんとチモシーの手から、美味しそうにたい焼きを食べるライ麦ちゃん。
「おいしい? よかったねー♪」
そうしてまるまる一匹を食べ終えたライ麦ちゃんは、くるりと宙で一回転。
そんなライ麦ちゃんの様子を見れば嬉しくなるというもの。チモシーの顔からも、笑みが溢れた。
「まだまだ食べるよ!!」
『うふふ。たい焼きは沢山あるから、思う存分に食べていってね』
「そうだ! もち麦ちゃんやルーサンも呼ぼうっと!」
みんなで一緒に食べればもっと美味しいはず。チモシーはすぐに、その二体も呼び寄せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ゲニウス・サガレン
我甘味を食す 故に我あり
こんばんは
大好きなんだ、甘い物
たい焼きだって?
大学図書館の文献で見たことがあるよ
なんでも魚を象った小麦の焼き菓子の中に、豆類のジャムを入れたものだよね?
伝説の歌の世界では、海へと逃げだして世界を救ったとかおじさんに食べられたとか、そんな話があったような……
閑話休題
さあ、喜んでいただこう
渋い緑茶も用意してくれるかな? あ、いいや、自分でお茶くらい用意するよ
さて
UC「眠れる力を呼び起こせ!」
派手に食べようじゃないか!いただきまーす!
食べきれなかったら、アイテム「フライングシュリンプ」にも食べさせます
多分、エビだって、あんこぐらい食べれるよ、多分
●エビがタイを食べる
――我甘味を食す、故に我あり。
これはゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)の言葉である。
ちなみに『我思う、故に我あり』はルネ・デカルトだ。
ゲニウスは穏やかな笑みを浮かべて屋台の暖簾をくぐる。
「こんばんは。大好きなんだ、甘い物」
すると山の如く積まれた、魚の形をする焼き菓子が乗る皿を両手に持った人魚が、ゲニウスを出迎えた。
『いらっしゃい。ここの甘いものは、たい焼きよ』
両手の皿をテーブルの開いている場所に置いた人魚はそう言うと、ゲニウスへと微笑む。
「たい焼きだって? 大学図書館の文献で見たことがあるよ」
長椅子に座ったゲニウスは、皿の上の魚の焼き菓子はたい焼きであると、知識と紐づけて理解すると。テーブルの上で手のひらを組んで、文献の内容を思い返す。
「なんでも魚を象った小麦の焼き菓子の中に、豆類のジャムを入れたものだよね?」
『そうね。でもあなたの言う豆ジャム……餡子のことね。それ以外にもチーズや野菜と肉類を挟んだものも、あるわ』
その話を聞いたゲニウスは「ほう……!」と驚きを露にする。実際に作っている者の話は、とても興味深いものだ。
「そういえば伝説の歌の世界では、海へと逃げだして世界を救ったとかおじさんに食べられたとか、そんな話があったような……」
『毎日鉄板の上で空を見上げてたたい焼きが、広い世界に憧れて飛び出しちゃうアレね』
思い出しながら話すゲニウスに、人魚はうんうんと懐かしむように頷く。やっぱり知っていた。
そこから天然たい焼きと養殖たい焼きの違いや、尻尾のあん論争についてなど。様々な話に広がっていくのだった。
閑話休題。
「さあ、喜んでいただこう」
たい焼き話に花を咲かせた後。本日のメインディッシュであるたい焼きの山へと挑まんとするゲニウス。
そして甘いものを沢山頂くならば、渋い飲み物が欲しくなるというもの。
「渋い緑茶も用意してくれるかな?」
だが人魚が急須を持ったところで、ゲニウスは思い直す。
「あ、いいや、自分でお茶くらい用意するよ」
『あら? いいのかしら?』
きょとんとする人魚から急須と湯飲みを受け取ると、緑茶を注いでことんと傍らに置き。目の前にそびえ立つたい焼きの山を見据える。
たい焼き達は、静かにゲニウスに食べてもらうのを待っていた。
「さて……」
食べることだって、戦うことになり得る。ゲニウスは自身に眠る力を呼び起こし、その身にオーラを纏った。
「派手に食べようじゃないか! いただきまーす!」
がつがつとたい焼きを口に運び、時折渋い緑茶で甘さを相殺し。ゲニウスはたい焼きを食べ進めていく。
大分たい焼きを食べ進めてきたが、どうしたって胃の限界が近付いてくるもの。
しかしもう少したい焼きを減らしておきたい。どうしようかと腕を組んだゲニウスの頭に、空飛ぶ赤い姿が思い浮かぶ。
(「多分、エビだって、あんこぐらい食べれるよ、多分」)
その赤い姿はフライングシュリンプ達のことだった。
多分大丈夫だろうと、背に翅を持つエビ達を呼び寄せたゲニウスは、その目の前にたい焼きを差し出してみる。
エビ達は、差し出されたたい焼きを脚で受け取ると。器用に抱えて、口を震わせながらもしゃもしゃと食していく。
その様子を見て、どうやら大丈夫みたいだとゲニウスはほっとして。自身も改めてたい焼きにかぶりつくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シルヴィア・ジェノス
え、たい焼き!?たい焼き美味しいわよね、見た目もユニークで可愛らしいし!食べる食べる、うんと食べます!
食べれば食べるほど良いのでしょう?それなら任せて【大食い】は大の得意よ!綺麗にお上品に食べるわ、食べる量は全然お上品じゃない?あはは、気にしない気にしない!
しかも沢山種類があるから全然飽きない!王道のあんこ、クリーム、チョコ、もう片っ端から食べちゃう!
お好み焼き風のものもあるのね、しょっぱいものも間に挟んでっと…これで食欲も加速するってものよ
ふわふわもちっとした生地もおいしーい!
さあさあ店主さんどんどん持ってきてー!貴方の自慢のたい焼き、思う存分堪能するんだから!
●たい焼き食べ放題はこちらです
「え、たい焼き!? たい焼き美味しいわよね、見た目もユニークで可愛らしいし!」
屋台に掛かる暖簾の文字を見て、シルヴィア・ジェノス(月の雫・f00384)は宝石の如く瞳を輝かせる。
喜び勇んで暖簾をくぐれば、屋台のテーブルの上にはたい焼きが山のように乗った皿が幾つもあった。
『いらっしゃい。あなたもたい焼き、食べていってくれるのかしら?』
店主の人魚がシルヴィアへと微笑み、こてんと首を傾げる。
「食べる食べる、うんと食べます!」
長椅子へと座り何度も頷いて、遠慮なく沢山食べる旨を伝えるシルヴィア。大食いは大の得意な上、今回は食べれば食べるほど良い案件。遠慮などしたら勿体無いというもの。
シルヴィアは食べ物が関わらなければ月の似合う美人なのだが、いざ食べ物が関わるとなると一変して。子供のようになってしまうのだ。
今回もその例に漏れず。沢山のたい焼きを前にして、シルヴィアは好物を目にした子供の様にそわそわ、わくわくとしていた。
『さぁ、たんと召し上がって?』
人魚の手によって、ドン! とシルヴィアの前にたい焼きの山の皿が置かれる。もしこれが普通容量の胃袋を持つ者だったなら、「え、ちょっと……」と引き気味になってしまう。
けれどもシルヴィアは嬉しそうにその山を迎えると。崩さないように気をつけ、頂上付近から一匹のたい焼きを手に取る。
そのたい焼きをちぎって口に運び、上品に食べるシルヴィア。
「んー! おいしーい!」
所作は上品なのだ。食べる量は上品どころかフードファイターレベルだけれど。でも当の本人は食べ進めていればその内に上品な量になるからと気にしない。
『丁寧に、けれど沢山食べるのねぇ……でも、沢山食べるお客さんは、嫌いじゃないわ』
上品且つ美味しそうにたい焼きを食べるシルヴィアを見て、人魚は嬉しそうに目を細める。
「ここのお店は沢山種類があるから全然飽きない!」
出されるたい焼きは王道のあんこから、クリームにチョコがある。一つの味だけでないことが舌を飽きさせず、「これを食べたら次はこれ」と。次へ次へと手を伸ばすことが出来たのだ。
「ふわふわもちっとした生地もおいしーい!」
頬を押さえて至極幸せそうな顔をするシルヴィア。
そしてそれらの「甘い」味に飽きてしまったとしても。お好み焼き風という総菜系たい焼きの存在により、シルヴィアの食欲をさらに加速させることに成功していた。
「このお好み焼き風とーってもおいしい!! 食べるのとまらない!!」
お好み焼き風は一匹ずつ紙袋に入れられていて、千切るのが難しい程にボリュームがあった。なのでシルヴィアはかぶりつきつつも、具材を紙袋の外にこぼさないように気を付けて食べ進める。
このお好み焼き風たい焼き。キャベツ、ベーコン、小海老に卵等々……沢山の具材が生地の間から、少しはみ出るくらいに顔を出している。そしてソースとマヨも入っているので、油断したら具材がぽろっとこぼれる。
「さあさあ店主さんどんどん持ってきてー! 貴方の自慢のたい焼き、思う存分堪能するんだから!」
『うふふ、今日は朝まで食べ明かしてね』
シルヴィアのオーダーにしれっとオールナイトしていってね! と返した人魚に。シルヴィアは「もちろん!」と拳を振り上げて、たい焼きオールナイトを楽しむ心意気を見せたのだった。
●たい焼きの夜明け
猟兵達がたい焼きを片っ端から食し続け、夜が明ける頃には。人魚を飲み込んでいた骸魂は『消えて』いた。
骸魂が何故消えたのか。もしかしたら骸魂が本心で願っていたことが叶ったからかもしれないし、いつの間にかダメージが積み重なったからかもしれない。
真実は藪の中。けれども、平和的に解決できたのは事実だった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年05月10日
宿敵
『水底のツバキ』
を撃破!
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