大祓百鬼夜行⑰〜金貨決戦ダークメダルバトラー
●大いなる闇と懐かしの遊び
超芸術トマソンとは。
まるで展示するかのように保存されているが、その実はただの無用の長物。
例えば何処にも続かない階段だったり、両端が切れた歩道橋だったり、登り口も下り口もない壁についた謎のドアだったりと存在が一種の芸術のようでありながら、非実用さが垣間見えるもの――それをトマソンと呼ぶ。
そのトマソンは謎の賽銭箱だった。
近くに神社もなく、鳥居すら見当たらない路地裏にぽつんと置かれた箱。
其処には今、幽世から訪れた妖怪巫女がいる。
「いあ くとぅるふ ふたぐん」
「いあ、いあ!」
巫女が紡ぐ呼び声めいた掛け声に続き、少年も倣って気合を入れた。両者の手にはあやかしメダルとコインが握られており、今からメンコ対決が始まろうとしている。
「負けたら君もメダルになる。それでいいですね?」
「うん……。でも、俺が勝ったらメダルにされたみんなを元に戻して。約束だぞ!」
少年は真剣だった。
何故なら、この裏路地で遊びに誘われた友達はみんなメダルファイトという謎の勝負に負けた。そして、片野・斗羽と名乗った巫女は敗北した子供達を不思議なメダルに変えて賽銭箱に仕舞ってしまったのだ。
巫女は穏やかに笑い、頷きを返す。
「はい、邪神ガタノトアに二言はありません。では、メダルファイト・ゴー!」
「ごっ……ゴー!」
巫女が最初にメダルを地面に叩きつける。どうぞ、と巫女に促された少年はそのメダルを裏返して勝利を得るため、握り締めていたゲームセンターのコインを投げ放った。
少年のコインによって巫女のメダルが弾かれ、勝利が訪れたかと思った――その瞬間。
「甘いです!」
巫女の声と共に空中に邪神の眼がひらき、どす黒い呪詛がコインを覆う。妖しい力を使った巫女はメダルを操り、少年のコインを逆に裏返した。
「そんな、ずるいよ……。嫌だ、やだよ! 僕もメダルにされちゃったら――」
「甘いと言ったでしょう? 勝負の世界にズルも何もありません!」
驚愕した少年の言葉は最後まで紡がれることはなかった。巫女、片野・斗羽によって彼もまたメダルに変化させられたからだ。
新たなメダルを手に入れた斗羽は、足元の賽銭箱にそれを投げ入れる。
ちゃりん、ちゃりん、と響く音は負けた子供達の悲鳴のようにも聞こえた。
●その名はダークメダルファイト
大祓骸魂による百鬼夜行が巡り始めた。
それによってカクリヨファンタズムだけではなくUDCにまで影響が現れている。
「大変、大変よ! 子供達が妖怪の遊びに巻き込まれてメダルにされてるの!」
慌てた様子の花嶌・禰々子(正義の導き手・f28231)は現在の状況を語り、猟兵達に協力と事件の解決を願った。
場所はUDCアースのとある街中。
路地裏に置かれていた超芸術トマソンのひとつである、賽銭箱に妖怪が出現した。
名を片野・斗羽という少女は幽世に住む巫女だ。しかし現在の彼女は骸魂に乗っ取られており、悪しき巫女と化している。子供と遊びたいという気持ちを歪められ、このような行動に走っているらしい。
「斗羽ちゃんはトマソンに近付いた子供達をメンコ勝負に誘って、負かした相手をあやかしメダルに閉じ込めちゃうっていうとんでもないことをしてるの」
一見は普通のメンコ遊びに見えるが、その実はユーベルコードや裏技などの使用も禁止されていない仁義なきバトルだ。
当然、地球の子供達はユーベルコードなど使えない。それゆえに巫女の圧勝になっているのだが、猟兵達が現場に向かうのならば話は違ってくる。
「メンコ遊びはわかる? 互いにメンコを投げあって相手のものを裏返したら勝ちって遊びよ。だけど今回は何でもありのユーベルコード勝負でもあるから、メンコやコイン、メダルに君の力をめいっぱいに込めて!」
たとえば、風の魔法を使えるのならば投げたメンコと共に風を紡げばいい。熱い炎を添えても良いし、剣術が得意なら刃から放つ力を込めてやってもいい。
「あたしだったらバス停を思いっきりフルスイングしてメダルを叩きつけるわ。真っ向勝負だけど、こういったアプローチだって有効なはずよ」
使うアイテムはあやかしメダルは勿論、壊れるようなことにならないなら一般的なメンコやコインでも何でもいい。持ち込みは自由だ。
「もしメダルやメンコを持ってないなら、あたしのあやかしメダルを貸してあげる。キュートなお祭りニャンコちゃんのメダルよ! 黒猫に三毛、ハチワレにシャム、虎猫もいるわ。どのこも丈夫だから遠慮しないでね」
特別な力はないけど、と付け加えた禰々子はメダルをじゃらじゃらと取り出した。
ユーベルコード勝負でもあるのでメンコやメダルは何でもいいが、もしレジェンドあやかしメダルをアイテムとして持っているなら大いに役立つかもしれない。
「とにかく、子供達が捕まってるなら絶対に勝たないとね!」
そして、妖怪を骸魂から開放するためにも。
禰々子は真剣な眼差しを仲間達に向け、強く拳を握り締めた。そう、すべてはこれから始まるゲームの結果と猟兵の腕、それから熱意と気合い次第。
いざ――メダルファイト・ゴー!
犬塚ひなこ
こちらはカクリヨファンタズムの『大祓百鬼夜行』のシナリオです。
UDCアースにまで訪れた妖怪が小学生達にメダルファイト(メンコ遊び)に誘い、負けた子達をメダルに変えてしまいました。猟兵達の力をメダルに乗せて、メダルファイトに勝利しましょう!
今回は少数採用、早期完結予定です。
あまり多くの方の採用は難しいかもしれませんが、元気が続く限りがんばります。
●『大いなる闇に仕える巫女『片野・斗羽』』
路地裏にある、賽銭箱の超芸術トマソン前に居ます。
既に少年はメダルにされており、リプレイは彼女とメダルファイトを始めるシーンから始まります。普通の戦闘ではなくメダル(メンコ)を通しての勝負です。
メンコ勝負という名目ですが、巫女は主にメダルを使います。
猟兵サイドのメンコも丸くてそれっぽいものなら何でもOK。お持ちのあやかしメダルは勿論、アイテムとして所持していなくても「こんなものを持ってきたよ!」というノリで使って頂いて大丈夫です。
勝負はメダルに込めたユーベルコードの威力対決となります。
今回の相棒たるメダルやコイン、メンコにどのようにして力を込めるのか。その他、巫女への挑み方などを貴方らしく工夫してください。
●プレイングボーナス
『子供を救出し、代わりに懐かし遊びを受けて立つ』
真剣にメダルファイト勝負をしていれば自動的にボーナスが付きます。
猟兵側の一回の勝利につき、ひとりの子供が開放されます。大体数回くらい(参加者様の数によって増減あり)の勝利で巫女が降参して大団円となります。
気負い過ぎず、皆様らしいメダルファイトをどうぞ!
第1章 ボス戦
『大いなる闇に仕える巫女『片野・斗羽』』
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POW : リビドー
肉体の一部もしくは全部を【邪神の眼】に変異させ、邪神の眼の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD : デストルドー
骸魂【たる邪神ガタノトア】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【貯蔵する生贄の妖怪メダル】を消費し、無くなると眠る。
WIZ : ジークンドー
全身を【どす黒い呪詛】で覆い、自身が敵から受けた【あらゆる攻撃】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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百鬼・智夢
力は、全然無いですが……子供達を取り戻すためなら
が……がんばります……!
メダルはお借りします
少しでも勝率を上げるため霊達を【降霊】
自身に取り憑かせる事で力を上昇させたり
メンコ自体に干渉させる事で霊障による操作をルールの許す範囲で実行
更に【破魔】を乗せることで敵の呪詛による干渉を防ぎ
攻撃時、防御時共に少しでも自分の有利に事を運べたら
私の力は魔を祓う事
そして霊達の力を借りる事
なんでも有りなら…これも私の実力、ですよね…?
ところで……2人だけの勝負は、なんだか寂しいですよね
観客がいた方が…盛り上がりませんか…?
【指定UC】で霊達を召喚
敵に触れさせる事で不幸を呼び寄せ、片野さん自身のミスを誘発します
●観客は黄泉の住人
時刻は夕暮れ時より少し前。
次第に空が橙色に滲みはじめ、子供達が帰路につき始める頃。路地裏に揺らめくのは妖怪によって作られた不思議な領域。
賽銭箱のトマソン前には、メダルを手にした妖怪巫女が立っている。
「遊びましょう!」
「あなたが、メンコ遊びをしたい……妖怪さん……?」
「ふふ、雰囲気でわかるのでしょうか。話が早くて助かります」
百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)は呼び掛けてきた巫女を見つめ、ぎゅっと掌を握った。その手の中にはお祭りニャンコ・ミケのあやかしメダルがある。
正直を言えば智夢自身に力はまったくもってない。しかし、あの賽銭箱にメダルにされている子供達がいると知った以上、頑張るしかない。
「では、はじめますよ!」
「が……がんばります……!」
いあいあ、と呼び声のような掛け声を掛け始めた片野・斗羽。
彼女の前にしかと立った智夢は気合を入れた。相手はよほど自信があるのか、まずは自分のメダルを地面に置いた。
どうぞ、という言葉と視線が向けられたことで、智夢は意を決する。
「いきます……」
智夢は少しでも勝率を上げるため、己の力を巡らせていく。路地裏に冷たい風が吹いたかと思うと、黄泉への入り口が開かれた。
孤独な幽霊達を自分に降ろした智夢は力を向上させる。
智夢が念じると、メダルにも霊障が纏わりついた。こうして力を干渉させることで一気にメダルを解き放つ狙いだ。
「いざ、尋常に……お願いします!」
霊達の力を受けたあやかしメダルから、ふにゃーん! と声がした。どうやらお祭りニャンコもかなりやる気らしい。
その一瞬後。
智夢によって破魔の力を乗せられたメダルが思いきり投げられた。呪詛に染まった相手のメダル目掛け、一直線に飛ぶお祭りニャンコ。
本来なら相手の呪詛による干渉があったはず。だが、それらを防ぎながら舞うメダルは真っ直ぐに標的に向かう。
「まあ、これはなかなかの力ですね!」
「はい……負けたくは、ないですから……」
智夢の力は魔を祓うこと。そして、霊達の力を借りること。
これが何でもありの仁義なき勝負ならば、この力もまた智夢の実力。斗羽と智夢の視線が重なり、闘気めいたものが交錯した。
然れど斗羽も負けてはいない。呪力を巡らせた彼女はメダルが裏返ることを阻止し、不敵に笑ってみせた。
「こちらも負ける気はありません!」
「ところで……」
「どうかしましたか?」
智夢は斗羽から視線を外して周囲を見渡す。そうして彼女は、首を傾げる巫女に提案めいた言葉を投げかけた。
「二人だけの勝負は、なんだか寂しいですよね。ここにたくさんの観客がいた方が……盛り上がりませんか……?」
「それはそうですが、えっ?」
次の瞬間、更なる霊達が辺りに召喚されていった。
ふわりと舞い降りた霊は斗羽に触れ、不幸を呼び寄せていく。それは斗羽自身のミスを誘発させる狙いであり、そして――。
「ああっ! そんな!」
「私の勝ちです……!」
呪詛の勢いが強すぎてメダルを自ら裏返してしまうというミスが起こり、巫女は敗北した。彼女が項垂れた瞬間、相手のメダルが光り輝いた。
はっとした智夢は其方に駆け寄り、光の中から現れた少女を抱き留める。
「ううん……」
「良かった……無事みたいです」
少女は意識を失っているが何処にも怪我はないようだ。これでまずはひとり、子供を助けられたことになる。だが、まだこの戦いは始まったばかり。
此処から更に、大一番の勝負が巡っていく。
大成功
🔵🔵🔵
辻ヶ花・りんず
【POW】
負かした相手をメダルに変えていたら、遊び相手が居なくなっちゃうよ?
笑顔になれない、みんなが楽しめない遊びは嫌だなぁ……。
りんずはメダルを持ってないけれど、瓶の蓋なら持って来たよ!
王冠って言うのかな? ギザギザが格好良いの!
あ、みんなが持ってるメンコやメダルも気になるなぁ。
りんずに見ーせーてー!
いざ、しょーぶ、しょーぶー!
まずはお先にどうぞ! りんずは待ってる間にユーベルコードを使うよ!
王冠を自慢の尻尾に乗せて、思いっ切り叩きつけるよー!
どうかな? どうかな!(そわそわ)
勝っても負けても笑顔でお礼を言うよ!
やっぱり楽しまなくちゃ!
ウィータ・モーテル
◎
WIZ
ユランは黒髪に赤い目の男の子の姿。
"メダル勝負……勝たないと、皆を助けられないんだよね?"
「ふむふむ、僕見てるからさ、ウィータ、頑張ってやってみよーよ!」
不安はあるけれど、グリモア猟兵さんのメダルを借りて、やってみるよ。
*
さて、頑張ってもらいつつ作戦はこう。
相手が邪神の力を使うなら、「生命力吸収」の要領で呪詛ごと吸い込んじゃおう。僕の力も戻って一石二鳥。
ウィータのメダルが裏返りそうなら、僕の力でメダルを表に見せちゃえ(残像)。
ウィータすごーい! 遊びの天才ー♪
って言って、相手を愚弄し「挑発」もしとこっと。
僕が出てもいいけど……これ、なんでもありなんでしょ?(にっこり)(言いくるめ)
栗花落・澪
小さな子供を騙すなんて許せないね
メンコ遊び…正直やった事ないけど
とにかくぶつけてひっくり返せばいいんだっけ?
やれる限りは頑張るよ
投げる際に風魔法の【属性攻撃】をメンコに纏わせ
風圧により威力増強、自身の非力を補う
同時に【指定UC】を発動する事でフィールド上を【破魔】で満たし
以降呪詛を扱う片野さんの成功率に影響させられたら
声を出すのはルール違反?
問題無いなら敵の攻撃ターンには【催眠術】を乗せた【歌唱】で
集中力を削ぎ狙いを狂わせ失敗狙い
万一当てられても風魔法で自分のメンコを操作しひっくり返らないように
片野さんの戦法とほぼ変わらない筈だよ
ん、真剣勝負だし勿論真面目だけど
メンコ自体は結構楽しいかもね
●三者三様!
超芸術トマソンの前で始まるのはメンコ大勝負。
遊びましょう、と誘って身構える巫女。メダルを手にしている彼女を前にした猟兵達は、其々に準備と心構えを整えていく。
“メダル勝負……勝たないと、皆を助けられないんだよね?”
ウィータ・モーテル(死を誘う救い手・f27788)は誓約の黒猫、ユランに念を送りながら状況を確認した。
今のユランは黒髪に赤い目の男の子の姿をしており、そうだよ、と答える。
「ふむふむ。僕見てるからさ、ウィータ、頑張ってやってみよーよ!」
“不安はあるけど……”
頑張る、と念で告げたウィータは持ってきたメダルを握り締めた。その近くでは辻ヶ花・りんず(夕焼け小焼け・f13114)が賽銭箱を見つめている。
あの中にはメダルに変えられた子供達が閉じ込められていると聞いていた。そんなことを笑って行える妖怪巫女は、どうやら邪悪に染まっているようだ。
「負かした相手をメダルに変えていたら、遊び相手が居なくなっちゃうよ?」
「そうですか? スリルがあっていいですし、現にあなた達も遊び相手になってくれるので問題はありません!」
りんずが語りかけると、片野・斗羽は笑顔で答えた。
しかし、楽しいのはきっと彼女だけ。
「笑顔になれない、みんなが楽しめない遊びは嫌だなぁ……」
「本当だね。小さな子供を騙すなんて許せないよ」
りんずの思いに同意を示したのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)だ。巫女の斗羽が行おうとしているメンコ遊びには今まで触れたことがないが、これが今回の勝負であるならばやるしかない。
「メンコ遊びって、とにかくぶつけてひっくり返せばいいんだっけ?」
「そうらしいね。この通り、ウィータもやる気みたいだよ!」
澪が問うと、ウィータがこくこくと頷いた。ユランが代弁した言葉を聞き、りんずと澪も戦いへの思いを抱く。
「僕もやれる限りは頑張るよ」
「りんずはメダルを持ってないけれど、瓶の蓋なら持って来たよ! ほら!」
見て、と手を広げたりんず。其処には王冠が乗っていた。
りんずの手を覗き込んだ斗羽は、それを甚く気に入ったようでにこにこしている。
「わあ、雰囲気がいいですね」
「でしょ、ギザギザが格好良いの! みんなが持ってるメンコやメダルもりんずに見ーせーてー!」
りんずは澪とウィータにも視線を向けた。
いいよ、と答えた澪はポケットから一枚の丸い厚紙を取り出す。
「僕のは普通のメンコだよ」
“こっちはお祭りニャンコ、です……”
「ウィータのは、借りてきた虎猫のあやかしメダル!」
示された通り、澪は正統派のメンコ。ウィータは猫のメダルだ。其処にりんずの王冠が加わることで、三者三様の個性的なものが並ぶことになる。
三人が各々に身構えたことで、斗羽も不敵な表情を浮かべた。
「では、勝負を始めましょう!」
此方は三人。あちらは一人という対決ではあるが、彼女としてはその方が燃えるらしい。おそらくはそれほどに自信もあるのだろう。
「いざ、しょーぶ、しょーぶー!」
りんずも元気よく応え、まずはお先にどうぞ、とウィータに先手を譲る。
既に相手のメダルは設置されていた。
あとは力を尽くし、協力しあってメダルをひっくり返すだけ。
“一番手、大役だね”
感情や表情を表に出していないが、ウィータは真剣な雰囲気を纏っている。ユランはその背を見つめながら彼女の補助に入っていった。
ウィータ達の作戦はこうだ。
相手が邪神の力を使うならば、生命力を吸収する要領で呪詛ごと吸い込んでしまえばいい。そうすればユランの力も戻って一石二鳥というわけだ。
「頑張れ、ウィータ!」
ユランの応援の声と同時にニャンコメダルがぺしっと投げられる。それはニャーンという鳴き声と共に見事に相手のメダルに当たったのだが――。
「甘いですね」
斗羽は呪詛を扱い、逆にウィータのメダルがひっくり返そうと狙った。あわやメダルが裏返りそうだという瞬間、ユランが動く。彼の力によって裏を表に見せることで回避したように見せたのだ。
「ウィータすごーい! 遊びの天才ー♪」
ぱちぱちと拍手をしたユランの補助は実に完璧だ。そして、其処に続いた澪も一気に攻勢に入っていく。
「次は僕の番だよ!」
えい、とメンコを投げた澪は風の魔力を纏わせた。
澪自体は非力ではあるが、風で威力を増強させればいい。更に澪はユーベルコードを発動させることで周囲に破魔の力を満たす。それによって呪詛を扱う相手の力を打ち消していく狙いだ。
「おっと、負けませんよ!」
対する斗羽は黒い呪詛でメダルを覆い、防御態勢に入った。
されど其処へ、りんずが颯爽と参戦する。
りんずが先を譲ったのは待っている間に力を溜めておくためだ。十分に撫で付けたふわふわの尻尾に王冠を乗せたりんずの準備は万端。一人ずつで駄目ならば三人で掛かれば、きっと勝利は掴めるはずだ。
「いくよー! えいっ!」
「なんの、まだまだです!」
りんずの渾身の一撃に対して呪詛で対抗する斗羽。だが、メダルがぐらぐらと揺らいでいる。其処に隙を見つけたウィータが更なるメダルを投擲した。
「行け、ウィータ。やっちゃえ!」
ユランの応援がきいているのか、ウィータのメダルは相手を圧倒していく。更にりんずが追撃を加えていくことで斗羽の形勢が不利になっていった。
「どうかな? どうかな!」
「く……っ!」
対抗するように邪神の眼を開いた斗羽は力を奮っていく。
戦場に飛び交い、飛翔するメダル。跳ねる王冠。其処にメンコが舞い、破魔の力や尻尾が振るわれていった。
激しいメダルバトルが繰り広げられる中、澪はふと巫女に問う。
「ねえ、声を出すのはルール違反?」
「禁止はしていませんが、もしや……嫌な予感がします!」
返答を聞いた澪は歌いはじめた。斗羽は正直に答えたものの、何か予想外のことが起こることを察知している。
その予感通り、澪が紡いだ歌には催眠術が乗せられていた。
それによって斗羽の手元と呪力操作の力が狂う。好機を察したウィータとりんずが一気に其処へ攻め込んでいく。
“これで決める……!”
「僕も出るよ! これ、なんでもありなんでしょ?」
ウィータに合わせてユランが参戦し、にっこりと笑った。その笑顔の裏に隠された力を読み取った斗羽はびくりと身を震わせる。
澪は相手の集中力を更に削ぐ為に風を操り、失敗を誘っていく。そして、最後の一撃はりんずが飾ることになった。
「今だよ! 行ける?」
「もちろん! りんず達の全力、見せてあげる!」
澪からの呼びかけとウィータ達の視線を受け止め、りんずは自慢の尻尾を大きく振り上げた。そうして、王冠が陽を反射してきらりと光った瞬間。
「私の、負けです……」
抗えぬ圧倒的な力によって斗羽のメダルは裏返され、勝敗が決まった。
三人で勝負に挑んだので、この戦いで開放された子供は三人。無事に救出できたことを喜びながら、ユランはウィータに笑みを向けた。
「ウィータ、やったねー♪」
見ればウィータの傍にはユランだけではなく、あやかしメダルのニャンコが寄り添っている。お祭りニャンコもどうやら勝利を喜んでいるらしい。
「ありがとう、斗羽ちゃん。やっぱり遊びはめいっぱい楽しまなくちゃ!」
ウィータ達の様子を微笑ましく感じながら、りんずは巫女に礼を告げた。最初に言った通り、楽しめないことは遊びとは呼べない。だから斗羽も楽しんでいて欲しいというのがりんずの思いだ。
「ん、メンコ自体は結構楽しいかもね」
真剣かつ真面目に取り組んでいた澪も遊びの楽しさを知った。
「皆さん……」
巫女もじーんと来ているらしく、そっと微笑む。オブリビオンと猟兵という間柄であっても、仄かな友情のようなものが生まれた瞬間だった。
されど解放されていない子供もいる。
巫女も降参はしていないので、メダルバトル自体は続くようで――。
猟兵達の真剣勝負は此処からもまだまだ巡っていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
無垢な想いを歪められ、尖兵にされるとはな
この世界のために、そして彼女のためにも、この勝負…負けられんな
UCを発動
取り出したるは大蝦蟇が描かれた妖怪メダルだ
まずは先行を譲ろう…お先にどうぞ
メダルが弾かれ宙を舞い、裏返される瞬間に【早業】と【スナイパー】で小石を弾きメダルにぶつける
こうすれば再度メダルが裏返り、表を向いて着地するだろう
さて、次は私の番だな
メダルファイト…ゴー!
怪力でメダルをぶつけ、巫女のメダルを弾き飛ばす
巫女が呪詛でメダルを操ろうとしたら、すかさず【念動力】をフルパワーで発動
巫女のメダルを固定して裏返しのまま地面に叩き付ける
勝負の世界にズルはない…フッ、いい言葉だな
●知恵と力とメダルバトル
遊びの敗北の後、子供達に齎されたのは無情な罰。
圧倒的な力で勝利を得ることすら出来ず、メダルに変えられてしまった少年達。彼らの恐怖を思い、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は掌を強く握った。
「無垢な想いを歪められ、尖兵にされるとはな」
キリカの目の前には今、メンコ勝負を挑んできた妖怪巫女が立っていた。
彼女が纏うオーラは邪悪に満ちており、何らかの形で思想や魂が歪められていることが分かった。キリカは強い意思を持ち、此処から始まる勝負への意気込みを抱く。
「この世界のために、そして彼女のためにも、この勝負……負けられんな」
「ふふ、では始めましょう!」
対する巫女、片野・斗羽はメダルを掲げた。
同時にキリカも身構える。其処から彼女が取り出したるは、大蝦蟇が描かれたあやかしメダルだ。
「わあ、格好いいですね。こちらの子供メダルと交換して欲しいくらいです」
「遠慮しておく。さて、まずは先行を譲ろう」
お先にどうぞ、と相手に告げたキリカはメダルを設置した。相手が使うメダルはやはり子供が変化させられたものらしい。
早く救出してやりたいと感じたが、この勝負で焦りは禁物。
「それでは参りますよ」
斗羽は遠慮なく呪力を紡ぎ、キリカのメダルを見据える。次の瞬間、叩きつけられたメダルがキリカの大蝦蟇を弾き飛ばした。
「なかなかだな。だが――」
メダルが弾かれて宙を舞う。普通であればこのままキリカの負けなのだが、此方にも策がある。キリカが何故に先手を譲ったかの明確な理由もあった。
「何っ!?」
刹那、勝利を確信していた斗羽から驚きの声が上がる。
裏返される瞬間、キリカは早業で以て小石を弾いたのだ。石がメダルにぶつけられることで軌道が変化した。結果、メダルは表のままで着地する。
通常であれば舞うコインに狙いを定めて命中させることは至難だ。されどキリカはそれを容易くやってのけた。
「すごい……。素晴らしい力量ですね!」
斗羽は素直にキリカの技を認めたらしく、ぱちぱちと拍手を送る。
キリカは静かな笑みを返し、反撃に入っていった。
「さて、次は私の番だな」
――メダルファイト、ゴー!
凛とした掛け声と共にキリカのメダルが投げられる。怪力を込めて放たれたメダルは空中で回転しながら相手のメダルに迫っていった。
「良い軌道です……。でも、勝ってみせます!」
「こちらも押し負けるつもりはない」
対する斗羽も邪神ガタノトアの力を顕現させ、呪いの風を巻き起こす。巫女のメダルは弾かれたが、空中に浮いたそれがキリカの大蝦蟇を穿つ勢いで飛んできた。
だが、相手がメダルを操ることは予想していた。キリカはすかさず念動力を発動させて全力で対抗する。
きん、と甲高い音が響いていく。
それはメダル同士が激しくぶつかりあう音だ。弾かれ、弾き返して衝突しあう。暫し、剣戟にも似た激しい攻防が繰り広げられていった。
そうして、巫女が次の呪力を巡らせようとした一瞬。其処に生まれた隙を見極めたキリカは、相手のメダルを固定しにかかった。
「しまった――!」
「遅い!」
巫女が慌てる間も与えず、キリカはメダルを裏返しのまま地面に叩き付けた。
その間、たった一瞬。文字通り、瞬く間に勝負は決した。
「うう、完敗です……」
「勝負の世界にズルはない……。フッ、いい言葉だな」
項垂れた巫女は敗北を認める。
勝利の笑みを浮かべたキリカは良い勝負だったと告げ、手を差し伸べた。顔を上げた巫女はメダルを差し出し、そして――。
またひとり、猟兵の手によって無事に子供が救出された。
大成功
🔵🔵🔵
葬・祝
こういう玩具遊びはあまり詳しくないんですよねぇ
でも、何をしても勝てば良いんですよね?
なら得意です
メダルはグリモア猟兵から借りましょう、近い物でやった方がより勝ちが際立つじゃないですか
幼子との遊びは手加減して差し上げるものですよ、年長者側が狡なんてするものじゃないでしょう
子供好きのおつもりなら、扱い方から学び直して来なさいな
メダルに、力をお借りしますね、なんてとりあえず声を掛けてから、UC込みで叩き付けましょう
上手く敵のメダルを弾き飛ばせるよう、角度をしっかり見て行きましょうねぇ
くふふ、こういう玩具には不慣れでも、人真似は得意なんですよ
ましてUC込みなら手で動かすも同じ
さ、子供を返してくださいな
旭・まどか
◎
めんこ、か
したことは無いけれど要は
ひっくり返されなければ負けないのでしょう?
借りたメダルを手に勝負を挑もう
特別、何の細工も無いようなありふれたただのメダルだけれど
ひっくり返そうになったらそれの影からにゅるりと小さな手が伸びる
――何でもあり、なんでしょう?
それの正体は常夜の住人
事前に裏面に塗り付けておいた触媒から手のみを顕現させ
ひっくり返らない様しがみつかせる
残念ながら君の御自慢の眼だけじゃあ如何することも出来ないね
ズルイって、最初にズルをしたのは其方じゃない
それより、余所見していて良いの?
影から伸びる手はひとつじゃあ無い
僕の足元からも伸びるそれが、ほうら
君のメダルを捕らえたよ
●影と霊、邪神とメダル
骸魂妖怪から誘われたのは懐かしの遊び。
賽銭箱の前に佇む巫女を前にして、旭・まどか(MementoMori・f18469)と葬・祝( ・f27942)は軽く首を傾げた。
「めんこ、か」
「こういう玩具遊びはあまり詳しくないんですよねぇ」
此度の勝負方法であるメンコ遊びには二人とも馴染みがない。されど今回はこれが勝負内容となるので退くことは出来なかった。
「僕もしたことは無いけれど、要はひっくり返されなければ負けないのでしょう?」
「ええ。それに何をしても勝てば良いんですよね?」
まどかと祝は軽く視線を重ねる。
二人が感じていたのは、それならばこれは得意な部類に入るということ。
それぞれに手にしているのは借りてきたあやかしメダルだ。
まどかは黒猫、祝は白猫のお祭りニャンコを受け取っており、準備は万端。二人の到来に気付いた巫女はにっこりと笑い、気さくな雰囲気で彼らを手招いた。
おそらく、あのような形で子供達を引き込んだのだろう。
「勝負を挑んでも?」
「構いませんよ! 面白そうですから、お二人まとめてかかってきてください」
「随分と自信がおありみたいですねぇ」
まどかの問いかけに頷きを返す巫女。彼女の言葉に揺るぎないものを感じ取り、祝は目を細めた。
すると、まどかと祝が持つメダルからお祭りニャンコ達の声が聞こえ始める。
ふにゃあ。ニャニャーン。
それぞれの猫もやる気らしく、鳴き声を聞いた巫女はくすりと笑った。
「そのメダルで戦うということでよろしいですか?」
「はい。近い物でやった方がより勝ちが際立つじゃないですか」
「この子達もそれでいいって」
巫女を見遣り、祝とまどかは静かに身構える。相手は不敵に笑い、子供の絵が描かれたメダルを取り出した。
あれはおそらくメダルに変えられた子供だ。
あの子を救出するためにも必ず勝利を得ると決め、彼らは戦い――もとい、メダルバトルへの思いを強めた。
そして、勝負は始まる。
「メダルバトル、ゴーです!」
巫女の掛け声と共にメダルが宙に舞う。
お先にどうぞ、と相手に勧められたことで先手は猟兵達になった。一番手は祝。真っ直ぐに巫女を見つめる祝はメダルを構える。
聞けば彼女は子供相手にかなりの圧勝を繰り返していたという。
「幼子との遊びは手加減して差し上げるものですよ。年長者側が狡なんてするものじゃないでしょう」
「ふふっ、手加減する遊びのどこが楽しいんですか?」
対する巫女は、子供相手だからこそ手は抜かないのだと語った。しかし、その中で対戦相手をメダルにしてしまうのは言語道断。
「子供好きのおつもりなら、扱い方から学び直して来なさいな」
「ご心配には及びませんよ!」
まだ余裕綽々な巫女に対して、悪霊の力を用いた祝は霊障を巡らせる。
「力をお借りしますね」
言葉と同時に解き放たれたメダルはポルターガイストの力を得て、通常よりも疾く鋭く叩きつけられた。既に置かれていた巫女のメダルにお祭りニャンコメダルがぶつかり、甲高い音を響かせる。
「いい筋ですね。ですが、甘いです!」
「反撃するつもりかな。それなら僕だって」
巫女が邪神の力を紡ぎ始めたことに気付き、まどかも攻勢に出た。
異能が巡るメダルバトルは激しい攻防となっていく。その中でまどかが投げたのは何の細工も無いようなありふれたただのメダル。と、見せかけているがその実は――。
「隙ありです!」
巫女がまどかのメダルをひっくり返そうと狙う。その瞬間、影からにゅるりと小さな手が伸びることで相手の攻撃を阻止した。
「まあ!」
「――何でもあり、なんでしょう?」
驚いた巫女に向け、まどかは片目を閉じてみせる。
影の正体は常夜の住人。
まどかは事前にメダルの裏面に塗り付けておいた触媒から、手のみを顕現させたのだ。影はメダルがひっくり返されないようにしがみついており、ちょっとやそっとでは裏返らなくなっている。
「良いですね、その方が燃えます!」
巫女は更に邪神の眼を開眼させ、祝とまどかのメダルを一気にめくろうとした。
だが、祝とて黙っていない。
更に投擲したメダルで以て巫女のメダルに衝突させる。角度、相手の動きをしっかり見て放たれた一閃は相手のものを弾き飛ばすことに特化していた。
「くふふ、こういう玩具には不慣れでも、人真似は得意なんですよ」
況してや、霊障込みなら手で動かすも同じ。
祝によって均衡を崩されたメダルが宙を舞う。巫女も邪神の力で対抗した。しかし、此処には祝だけではなくまどかもいる。
「残念ながら君の御自慢の眼だけじゃあ如何することも出来ないよ」
「いいえ、どんなズルにも負けません!」
「ズルイって、最初にズルをしたのは其方じゃない。それより――」
「え?」
「余所見していて良いの?」
影から伸びる手はひとつではない。まどかの問いかけにぽかんと口を開けた巫女が、次にはっとしたときには何もかもが遅かった。
祝の霊障が巡り、まどかの足元からも伸びた影が巫女のメダルを穿っていき――。
「君のメダルを捕らえたよ」
「さ、子供を返してくださいな」
まどかと祝。二人の力を受けて裏返されたメダルが音を立てて転がった。
巫女は驚きの表情を浮かべていたが、やがて肩を落として敗北を認める。
「わかりました。返す約束はしていましたからね」
「分かれば宜しいです」
「これでまたひとり、助けられたね」
巫女がメダルを返すと、光り輝いたそれから気を失った子供が出現した。祝とまどかは頷きを交わし、助け出した少年の介抱をはじめる。
ひとり、またひとりと無事に救われていく子供達。
この奇妙奇天烈なメダルバトルの円満な終幕はきっと、間もなく訪れる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鵜飼・章
◎
きみもまた闇のあやかしメダルに魅入られし者…
ならば僕が持つこの『闇の賭博王ブラックレイヴン』と勝負してもらおうか
僕はあやかしメダリストのジェノサイダー鵜飼(通称)
あやかしメダルバトルを汚す者は絶対に許さないよ
という感じで闇(装備品)を纏いながら登場
すごい落ち着きで大物感を出して恐怖を与える
そしてUC【ゼロサムゲーム】を発動
闇の力でメダルを投げるよ
投擲力でもいい勝負ができそうだけど
このメダルが当たれば急に下駄の鼻緒が切れたり
黒猫が目の前を横切ったり
近くの鏡が割れたり鴉が鳴いたりし
猛烈に縁起が悪い空気になるだろう
そして最終的に何故かメダルが裏返ったり
割れたりとかすると思う
これが闇の賭博王の力さ…
●不運と悪運と闇の王
夕暮れの路地裏に差す影がひとつ。
靴音を響かせ、黒衣を翻しながら勝負処に現れたのは――。
「誰ですか!?」
「そうか、きみもまた闇のあやかしメダルに魅入られし者……」
暗がりから登場した人影に気付き、妖怪巫女が身構える。その視線の先に佇み、謎の格好いいポーズを取っているのは鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)だ。
「あなたはまさか! 大いなる闇の王、ハイデルシュレンヴィート!?」
巫女はよくわからない名を紡ぎ、慄いた様子で章を見つめる。しかし、巫女の見当は全くもって外れていた。章も心当たりが無いので素直に違うと答える。
「いや、人違いだよ」
「そうでしたか、すみません。こちらは気にせず続きをどうぞ」
誰と間違えられたのかは不明だが、世界の何処かにはそういった名前の章のそっくりさんがいるらしい。章は軽く咳払いをしてから、先程の闇の登場シーンを再開していく。
巫女も空気を読み、驚いた様子の表情をつくる。
「……ならば僕が持つこの『闇の賭博王ブラックレイヴン』と勝負してもらおうか」
「あ、あなたは……」
「そう、僕はあやかしメダリストのジェノサイダー鵜飼」
「ジェノサイダー鵜飼!?」
「あやかしメダルバトルを汚す者は絶対に許さないよ」
「くっ……なんて闇のオーラ。邪神ガタノトアの力に拮抗しそうな勢い……!」
闇を纏う章に対し、巫女も邪悪なる力を巡らせていった。人違いから始まった邂逅ではあるが、巫女は純粋なる畏怖を感じているようだ。
「さあ、遊戯《ゲーム》を始めようか」
「望むところです! ジェノサイダー鵜飼……!」
両手を広げた章の周囲に闇が渦巻き、巫女がメダルを握る。どちらが悪役か混乱してしまいそうな状況の中、二人の戦いは幕開けていった。
生きるべきか。死ぬべきか。
――ゼロサムメダルファイト、ゴー!
というCMにでも入りそうな展開で始まった一番勝負。先手を取ったのは章だ。
既に場に配置されていた巫女のメダル。
其処に目掛け、章は闇の力で以て闇の賭博王を解き放つ。黒鴉が纏う力は妙に禍々しく、メダル鋭い軌跡を描きながら舞った。
投擲力も十分。真っ向勝負ができそうだが、賭博王の力はそれだけに収まらない。
「ふふ、良い投げです。ですがこっちも……あれっ?」
巫女は呪力でメダルを浮かせて反撃に入ろうとしていた。しかし、急に下駄の鼻緒が切れたことで大きくよろめく。何とか転ばないように耐えた巫女だが、手から離れたメダルに勢いを込めることが出来なかった。
「どうしたんだい、君の力はその程度なのかな」
「おかしいですね。こんなはずじゃ……ひっ、黒猫!? 何かぱりんぱりんと割れてる音もしますし、カラスの不吉な鳴き声まで! それに急にお腹が痛い!」
章が闇の王っぽく語りかけた瞬間、巫女の前に謎の猫が横切っていく。更には近くから鑑が割れるような音が聞こえ始め、不穏を呼びそうな鴉の声が響いていった。
兎に角、猛烈に縁起が悪い。
そうとしか表せない空気が満ち、巫女の調子は実に良くない感じになった。何とか挽回しようとする巫女だったが――。
ニャーン。
鳴き声が聞こえたかと思うと、再び場を横切った黒猫がメダルにじゃれはじめた。
「……あ」
「チェックメイトだね」
巫女と章の声が重なった瞬間。相手のメダルがころころと転がって裏返った。何とも呆気ない終わりではあったが、実はこれこそが章の力。彼がメダルを放った時点で、巫女にはあらゆるギャンブルに負け続ける不運が齎されていたのだ。
「これが闇の賭博王の力さ」
「うう……おそるべし、ジェノサイダー鵜飼……」
あまりの急展開を受け入れられずに悔しがる巫女。彼女は暫しじたばたと駄々をこねていたが、急にすんと大人しくなった。どうやらまだ少しお腹が痛いままらしく――。
「大丈夫?」
「ちょっと休憩です……」
章はそれから暫し巫女の背を擦ってやり、介抱を続けたとか続けなかったとか。
そんなこんなで、メダルバトルはまだまだ続いてゆく。
大成功
🔵🔵🔵
雨絡・環
まあ、メンコ遊び
懐かしゅうございますね
三毛さんのメンコをお借りしても?
歪みの無い真っ直ぐな一枚を選びます
勝負台にも隙間が無い様に置いて
さあ童子に戻った心算で
いざ正々堂々
尋常に勝負と参りましょう
袖は邪魔ね
襷掛けにして勇んでいる様に
袖口を結わう事で真っ向勝負を望んでいる様に偽れれば幸いです
【檜垣に蝶】
彼方様の手番に先んじ
「範囲攻撃」で複数の玻璃蝶を呼び
勝負台の何処からも介入出来る様にします
此方のメンコに常に留まらせます
蝶の方々、裏返りそうならば押し戻して阻止をなさい
わたくしの手順では
彼方のメンコの真横や少し浮いているものが有ればそれを狙い叩き付け
蝶にてひらりと裏返させます
正々堂々と、申しましたもの
疎忘・萃請
……いあ、……うん?
わらべの遊びはずぅっと見ていた
さあ、楽しく遊ぼう
借りたメダルを武器に、童遊びに興じよう
ぴぃん、と指で弾いてキャッチ
巫女のメダルめがけて、ユーベルコードを放つ
アタシのメダルが地を穿ち、めりこむのなら
それを返すのは容易い事では無いだろ
巫女のメダルを直接狙わず、そこの地を狙う
足場が不安定になるなら自ずとメダルは返るだろう
……ふふ、
いや、すまん
こうやって誰かと遊ぶことは無かったから
少しだけ、楽しくてな
鬼の本気を見せてやろう
忘れ去られるほどの時を、眺めて来たのだ
コツやなんかも心得ている
……ふふ、年の功、さ
●お祭りニャンコと蝶々鬼
――いあ、いあ!
聞こえてきた声を耳にした疎忘・萃請(忘れ鬼・f24649)は首を傾げる。
「……いあ、……うん?」
妙に不穏な呼び声だと感じたが、あれが此度の相手となる巫女の特色のようなものなのだろう。萃請がそっと路地裏に踏み入ったとき、別の気配を感じた。軽く顔を上げてみると雨絡・環(からからからり・f28317)の姿が確認できた。
「あら、奇遇ですね。あなたも勝負に?」
「そうだ。折角だから、一緒に行こうか」
互いが同じ猟兵だと察した二人は、妖怪が待つ賽銭箱トマソンの元に向かう。
実を言うと萃請は緊張していたのだが、環も妖であると分かって安堵していた。彼女が精一杯の歩み寄りをみせてくれたことに環も気付いており、穏やかな笑みを湛える。
そして、路地裏の奥。
彼女達を迎えた妖怪巫女は、ひらひらと手を振って語りかけてきた。
「ようこそ! あなた達もメダルバトルに挑んでいきますか?」
「まあ、メンコ遊び。懐かしゅうございますね」
「わらべの遊びはずぅっと見ていた。問題ない」
ルールは分かるか。メンコに代わるものは持っているか。問いかけてくる巫女に対して環が頷き、萃請も首肯する。
「ふむふむ! それならば話は早いですね!」
「さあ、楽しく遊ぼう」
「ええ。童子に戻った心算で、いざ」
萃請と環は巫女の前に立ち、借りてきたあやかしメダルを取り出した。彼女達が持っているのはそれぞれの力が宿ったメダルセット。
萃請の今回の相棒となるのはハチワレ柄のお祭りニャンコ。環の方はというと、三毛のニャンコだ。
萃請がぴぃんと弾いたメダルはくるくると宙を舞い、環がそっと握ったメダルからは覇気のようなオーラが巡る。
そして、ニャーンと鳴くそれぞれの声が路地裏に響いた。どうやらハチワレも三毛かなりやる気のようだ。
「では……メダルバトル、ゴー!」
「ごー」
「正々堂々、尋常に勝負と参りましょう」
巫女の掛け声に合わせ、萃請と環は身構える。
袖は邪魔だと感じた環は袖口を結わい、襷掛けにした。真っ向勝負を望むようにして、凛とした眼差しを向ける環は真剣そのものだ。
無差別ルールではあれど、これも元は童遊び。楽しむ気持ちを忘れないでいようと考えた萃請は双眸を緩めた。
そうして、萃請はキャッチしたメダルをしかと握った。環が見守る中で萃請は振り被り、一点を見据える。
刹那、彼女が投げ放ったのは単純で重い一撃。
風を切るメダルは轟音と共に地面に叩きつけられ、ふにゃああ! という猫の気合いが入った鳴き声が響く。
萃請のメダルは地を穿ちながら、おもいっきり減り込んだ。
まだ巫女のメダルを裏返すには至らないが、それも萃請の狙い。これで此方をひっくり返すことは難しくなったはず。
「それを返すのは容易い事では無いだろう」
「ふふ、どうでしょうか」
巫女は不敵に笑み、反撃に入る。萃請のメダルに向けて投げられた一閃は呪力を纏いながら飛翔した。減り込んでいるはずのあやかしメダルすら巻き込む勢いで、邪神の力は巡っていく。
このままでは萃請のお祭りニャンコが邪神の餌食になってしまう。
だが、其処へ環の一手が割り込む。
歪みの無い真っ直ぐなメダルが宙を翔け、邪気を纏うメダルを穿った。
其処に顕現しているのは何羽もの玻璃蝶だ。三毛ニャンコの凛々しい鳴き声が響き渡る最中、蝶達もメダルの軌道を導いていく。
「蝶の方々、あの呪力を押し戻して阻止をなさい」
「くっ……なかなかやりますね!」
環が蝶に願えば、更なる力が敵のメダルを貫いていった。巫女は拳を握り、白熱していくバトルを見据える。
互いのメダルが舞い飛び、地面が揺らぎ、蝶々が羽撃く。
其々の力と異能が巡る戦場には緊張感が満ちていた。されど怖じ気付くことなく、萃請は巫女のメダルの横にニャンコメダルを叩きつける。
足場が不安定になるなら自ずと裏返るはず。それにもし阻止されたとしても今は萃請ひとりの力だけではなく、環の援護も期待できる。
呪力と蝶、純粋な力。拮抗しあってはいるが、巫女は自分が負けそうなことに気付いていた。しかし、その思いを振り払うように彼女は意気込む。
「まだまだっ!」
「……ふふ」
そのとき、不意に萃請がちいさく笑った。
「どうかされましたか?」
環が問いかけると、口元を軽く押さえた萃請が答える。
「いや、すまん。こうやって誰かと遊ぶことは無かったから少しだけ、楽しくてな」
「そうでしたのね。確かに、楽しくなって参りました」
萃請に笑いかけた環は双眸を細め、戦いの行方を見据えた。二人の視線は巫女のメダルに向けられており、いよいよ決着の時も近い。
萃請はこれまで忘れ去られるほどの時を眺めてきた。永き時から得た知識は今、此処で発揮すべきものだ。
「鬼の本気を見せてやろう」
「蝶よ、今です」
鬼と化生。二人の言葉が重なった瞬間、激しい力としなやかな蝶の舞が迸った。
先ず環の蝶が呪力で浮かぶ敵のメダルを捉え、ひらりと裏返す。そのままでは邪神の力が巡って表に戻されてしまうが、其処へ萃請がお祭りニャンコを全力で投げ放った。
ニャーン! ニャニャーン!
二匹の猫の声が大きく響いていった、一瞬後。
「ああっ!?」
巫女のメダルは一気にひっくり返され、猟兵達の勝利が訪れた。膝をついた巫女は、どうして、と敗北の理由を問う言葉を口にする。
「……ふふ、年の功、さ」
「正々堂々と、申しましたもの」
萃請と環は視線を交わしあった後、静かに微笑んでみせた。
ひらり、ひらりと舞う玻璃の蝶は二人の周囲を飛び回る。あやかしメダルから飛び出したお祭りニャンコ達も萃請と環に擦り寄った。
その姿はまるで彼女達の勝利を祝福しているかのよう。愛らしい猫達の様子もさることながら、路地裏に差し込む夕陽が蝶を照らす様もとても美しかった。
やがて、闇の巫女が何枚かのメダルを手放したことによって、変化させられていた子供も戻ってくる。気を失っている少年を保護した環と萃請は一先ずの安堵を抱いた。
楽しい気持ちはまだ胸の裡に宿っている。
そうして――こうやってまたひとつ、新たな勝ち星が刻まれていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
尭海・有珠
レン(f00719)と。
碌でもないものが呼べそうな掛け声だな
掛け声はともかく、レンはこういう遊びしたことあるのか?
こういった道具で小さい頃に遊んだことはなかったから
遊べるのは面白い
禰々子のメダルを借りて挑ませてもらう
自分やレンのメダルを叩きつけたときは
そこから風を発生させて相手のメダルを裏返し
二人で合わせてやれば、勝利は揺らがないだろ?
相手が叩きつけて来たときは、逆に一点集中させた風圧で押さえつけ
裏返されるのを防ぐ
そうさ、ハクも優秀な仲間だからな
勝負の世界にズルも何もないんだろ
今迄お前がやってきたのと同じこと、私達がやってダメという道理もない
子供達は返して貰うからな
飛砂・煉月
有珠(f06286)と
何処か聞き慣れた呼び声が聞こえる
冒涜的だなぁと呟き肩落とすも
隣の問にはオレも無いよと零す聲色はやや明くもなって
あっは、経験がないから面白いのは一緒だね
オレもオレも
禰々子、オレにもメダル貸してーしとこ
オレや有珠のターンは槍ハクの風圧と
彼女の風魔法で絶対的な裏返し
槍で投げても竜で帰ってくるからハクと偶にハイタッチ
楽しむのは忘れない
相手の叩きつけは竜のハクで有珠の風圧の手伝い
若しくはハク自身の体でガードしちゃえ
ふふん、そう優秀なんだ
褒められれば白竜も嬉し気な
ズルも何もない無いなら勝負は勝ちが正義で
やったらやり返される
此れも道理で当たり前でしょ?
――狡いなんて言葉は聞いてやんない
●呼び声は風に消ゆ
いあ くとぅるふ ふたぐん。いあ いあ――。
路地裏から響いてくる声を聞き、飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)と尭海・有珠(殲蒼・f06286)は顔を見合わせた。
あれは何だか妙に覚えのある、何処か聞き慣れた呼び声だ。
「冒涜的だなぁ」
「碌でもないものが呼べそうな掛け声だな」
煉月は呟き、肩を落とす。有珠も彼と似た感想を抱いており、邪神を宿すという巫女のことを思う。あの掛け声が何であるのかはともかく、件の巫女は懐かしの遊びとやらに誘ってくるらしい。
「レンはこういう遊びはしたことあるのか?」
有珠はああいった道具で小さい頃に遊んだことはなかった。彼女が付け加えた言葉を聞き、煉月は首を横に振る。
「オレは無いよ。でも何だか楽しそうだ」
「そうか。だったら初めてのことを一緒に遊べるのは嬉しいな」
「あっは、経験がないから面白いのは一緒だね」
煉月と有珠は視線を交わし、これから始まる戦いに思いを馳せていく。そうして暫し路地裏を進めば、例の賽銭箱型トマソンが見えてきた。
「勝負ではあるが、楽しんでいこう」
「賛成! せっかくこうやってメダルも借りてきたからね」
煉月が零す聲色は明るく、その手に持っているお祭りニャンコメダルもきらりと光っている。二人とも、お揃いのシャム猫のメダルを借りてきたのだ。
双子のシャム猫らしいニャンコ達。
それらの力が宿るメダルからは、にゃあにゃあと意気込む声も聞こえてきていた。
そして、有珠と煉月は巫女に勝負を挑んでいく。
「挑戦者さんですね。今日はたくさん遊べて嬉しいです!」
明るく答えた巫女はメダルを構え、いつでも掛かって来て良いと宣言した。彼女を見つめた有珠は身構え、煉月もニャンコメダルを握り締めた。
煉月の肩の上に乗っていたハクも、此処から巡るメダルバトルに向けて槍に変じる。
既にメダルは場に設置されていた。
呼吸を整えた煉月は一番手となり、一気に攻勢に入っていく。
「始めようか」
「メダルファイト、ゴー!」
「ご、ゴー」
煉月が呼びかけると、巫女が勢いよく掛け声を紡いだ。有珠は少し遠慮がちに掛け声を続ける。どうやら初めてであるがゆえにこれも決まりだと思っているらしい。
彼女がとても可愛いと感じながらも、煉月はひといきにメダルを解き放った。投げると同時に竜槍から風圧を生じさせ、メダルに力を与える。
そうすれば巫女のメダルがぐらりと揺れた。
だが、呪力を得ている相手のそれは風に耐え得る力を宿しているようだ。そのことを察した有珠は彼の助けになるべく、追撃としてのメダルを放った。
「これでどうだ」
有珠は力を叩きつけると同時に風を発生させた。煉月の風に更なる風を重ねることで相手のメダルを裏返す作戦だ。
更に揺らめくメダル。
それは今にも裏返りそうだったが、巫女も邪神の力を使って対抗する。
「ふふふっ、まだまだです!」
「おお、いい勝負だ」
巫女が得意気に笑うと、煉月も楽しそうに笑い返した。
相手の力によって子供達がメダルに変えられている状況ではあっても、悲壮な雰囲気で挑むことはしない。楽しむことを忘れない姿勢こそが、子供達を救うための勝利に繋がると考えているからだ。
有珠は煉月の明るさを好ましく感じ、自らもそっと笑む。
「まだ互角か。けれども二人で合わせてやれば、勝利は揺らがないだろ?」
「あはは、間違いない!」
「お喋りをしている暇はありませんよ!」
二人が笑みと視線を交わしていると、横合いから巫女のメダルが投擲された。すぐにバトルフィールドに集中しなおした有珠と煉月は、それぞれの力を紡ぐ。
一点集中させた風圧で自分達のメダルを押さえつける有珠。彼女が敵の力を防いでくれている間に、煉月がハクに呼びかける。
「ハク、もう一回だ!」
その声に応えた槍竜が勢いよく舞い、相手のメダルに突撃していった。穿ち、穿たれながらメダルは宙に飛び交う。
槍から竜の姿になったハクは身を翻し、その身体で以て敵のメダルを防いだ。
「竜くん、なかなかやりますね!」
「そうさ、ハクも頼れる仲間だからな」
「ふふん。そうだよ、ハクは優秀なんだ」
巫女と有珠、煉月と白竜の眼差しが其々に交錯する。ハクとハイタッチした煉月は胸を張り、有珠も誇らしげに双眸を細めた。
やがて、紡がれ続ける風は徐々に巫女を圧倒していく。
どうやらメダルの制御も効かなくなってきたらしく、相手も焦り始めていた。
ハクは敵からも褒められたことで良い気分になったらしく、先程の勢いのままにメダルを穿ちに翔けた。
「くっ……すごいとは思いましたが、竜くんの攻撃はずるいですね」
巫女は慄き、悔しげに唇を噛み締める。
その言葉を聞いた有珠と煉月は反論を声にしていった。
「勝負の世界にズルも何もないんだろ」
それはこれまでに巫女がやってきた行為と同じこと。自分達がやってはいけない理由もないのだと告げ、有珠は風を巻き起こす。
「ズルも何もない無いなら勝負は勝ちが正義。それにやったらやり返される。此れも道理で当たり前でしょ?」
「うっ……うう……言い返せません」
二人の正論に気圧された巫女は一歩後ずさった。
その瞬間に生まれた隙を見出し、煉月と有珠は互いの力を重ねあう。
「――狡いなんて言葉は聞いてやんない」
「さあ、子供達は返して貰うからな」
風が轟き、竜が吼える。
有珠と煉月の渾身の一閃は巫女のメダルを貫き――その勢いのまま、子供が封じられたメダルを砕き割った。
次の瞬間、光り輝いたメダルから少年が現れる。
「レン!」
「大丈夫、行ける!」
有珠の呼び掛けに答えた煉月が即座に少年を受け止めた。気を失っている少年に怪我などはないらしく、二人は安堵を抱く。
「お見事です。あなた達の連携も、その意志も素晴らしい!」
巫女は敗北を認め、煉月達に笑顔を見せた。
彼女もこの戦いを楽しいものだと思ってくれていたらしい。煉月と有珠はシャム猫メダルを拾いあげ、頑張ってくれたニャンコ達にも勝利を伝える。
「これで私達の使命も果たせたかな」
「ハクも有珠も、息ぴったりだった!」
これは間違いなく皆で掴み取った勝ちだ。
にゃあ、にゃあとあやかしメダルからも喜びの声があがっている。そうして、メダルファイトは其処から更に続いていき――やがて、終わりの時が近付いてきた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
砂羽風・きよ
【暁】
なんだなんだ?何を持ってるんだ
うおお、めっちゃ強そうじゃねーか!
へぇ、まだ1回しか会ったことないのか
会うの楽しみだな
おう、俺は先生に戦ってもらおうと思ってるぜ!
うるせーうるせー!
先生しか頼れる人いねぇんだよ!
俺は人だわ!あやかしなんかじゃねぇ!
つーか、それもう俺負けてるじゃねーか!
なんでだよ!先生で勝つわ!
俺だってたまには勝ちてーんだ!
…え、そんなことねーよ!
けどよ、俺は人間のまま綾華と協力してーんだ!
だめだ!問題ありありだわ!
あ、綾華ぁ!よっしゃ、俺は先生を召喚!
「イヤじゃ」
そんなこと言わずにそこをなんとか!
先生と猫の連携技を見て学びてーんだ!
いや、俺はあやかしじゃねーけど!
うおおお!
浮世・綾華
【暁】
実は俺、持ってるんだ
ぱちんと弾いて見せる伝説のメダル
中のあやかしとは一回しか会ったことないんだよな
経験値を積まないと出て来てくれないってさ
きよしはセンセーに戦って貰うのか?
またセンセー頼りか
人じゃなくて河童な
お前もあやかしだろ
お前がメダルになって一緒に戦えばいいじゃん
なんか?酷いやつだ
そーだよ
えー、俺に使われんのやなの?
悲しいな、折角きよし協力したいと思ったのに
最終的に戻れればいいだろ
問題ないじゃん
しょうがねえ
じゃあ人間のまま戦うか
俺の猫ちゃんどんな攻撃使うかわかんねーんだケド…
センセのといい感じに合わさってくれればいいんだが
せーの――
(数多の扇で仰いで勢いをつける)
うるさっ(耳を塞ぐ)
●猫と河童の黄金伝説
――我を使いたければレベルを99に上げるが良いニャ。
瞼を閉じて、思い返すのは或る夏の日のこと。あのように語って眠りについたレジェンドあやかしメダルは今、浮世・綾華(千日紅・f01194)の手の中にある。
「実は俺、持ってるんだ」
「なんだなんだ? 何を持ってるんだ」
綾華が軽く弾いてみせたメダルが宙を舞った。砂羽風・きよ(タコヤキカレー・f21482)は綾華の手元に戻ったあやかしメダルを覗き込む。
「ほら、伝説のメダル」
「うおお、めっちゃ強そうじゃねーか!」
綾華が示したものには威厳のある猫又の意匠が刻まれていた。輝きを放つメダルを見たきよは瞳を輝かせる。
「中のあやかしとは一回しか会ったことないんだよな」
「へぇ、そうなのか。今日は会えるのか?」
「多分な。経験値を積まないと出て来てくれないらしいケド……」
綾華はメダルを握り締めた。
初めて出会ったあの日から、様々な経験を経た綾華にはあやかしが求める力が備わっている。きよと夏を満喫し、きよ達とパジャマパーティーを行い、きよとクリスマスを過ごし、きよしロボに乗り、きよと過ごしていき――勿論きよ以外と重ねた経験もあるのだが――とにかく綾華は強くなっていた。
「まさにこのときのためにあったのかもしれないな。会うの楽しみだ!」
「だな。そういうきよしはセンセーに戦って貰うのか?」
きよがわくわくしている最中、綾華は彼の手元を見遣る。その手には彼が先生と呼ぶカッパのあやかしメダルがあった。
「おう、俺は先生に戦ってもらおうと思ってるぜ!」
「またセンセー頼りか」
きよは意気揚々とメダルを掲げる。しかし、対する綾華は肩を竦めてみせた。
「うるせーうるせー! 先生しか頼れる人いねぇんだよ!」
「人じゃなくて河童な。先生もそろそろ疲れてるんじゃないか。それにお前もあやかしだし、お前がメダルになって一緒に戦えばいいじゃん」
「俺は人だわ! あやかしなんかじゃねぇ! つーか、メダルにされてる時点で俺が負けてるじゃねーか!」
「なんか? それ、妖怪に失礼だろ。あーあ、酷いきよしだ。略してひどしな」
「略すなよ! 俺の原型がまたなくなってるだろ!」
賽銭箱のトマソンが鎮座する路地裏で、二人はいつのまにかじゃれあい喧嘩を始めていた。わあわあと騒ぐきよを綾華があしらう中で、別の声が聞こえてくる。
「あの……」
しかし、その声は二人には聞こえていない様子だ。
「いや、酷いな。先生もきっと嫌がってる」
「なんでだよ! 絶対に先生は協力してくれるし勝つわ! つーか俺だってたまには勝ちてーんだ!」
「えー、俺に使われんのやなの?」
「……え、そんなことねーよ!」
「あの……っ!」
「悲しいな、折角きよしと協力したいと思ったのに」
「そりゃ俺だってそうだ。けどよ、俺は人間のまま綾華と協力してーんだ!」
「最終的に戻れればいいだろ。問題ないじゃん」
「だめだ! 問題ありありだわ!」
尚も口喧嘩もとい普段通りの遣り取りを交わす二人。その合間に少女の声が混ざったが、どうやっても気付いて貰えず――。
「すみません!!!! 聞いてください
!!!!!!」
大音量の声が響き渡ったことで、漸く二人は妖怪巫女の存在に気が付いた。
「ん?」
「うおお!?」
綾華は振り向き、きよは驚いた様子で十歩くらい後ずさる。驚きすぎな、と軽くきよに突っ込んだ綾華は巫女に向き直った。
「お取り込み中のところ申し訳ないのですが、メダルファイトを……」
やっと気付いて貰えたことで感極まったのか、巫女は涙目だった。そうだった、と思い出した綾華ときよは巫女とのバトルに挑むことにした。
「しょうがねえ。じゃあ人間のまま戦うか」
「あ、綾華ぁ! よし、俺は先生を召喚! いでよ、カッパせんせ――」
『イヤじゃ』
『煩いニャ』
意気込んだきよがカッパを召喚しようとしたとき、台詞を遮る形でふたつの声が重なった。二人の前に現れたのは腕組みをするカッパ。そして、二股に分かれた尻尾を不機嫌そうに揺らす金色の猫又だ。
「おお、光るお猫様だ。つーか先生、そんなこと言わずにそこをなんとか!」
『イヤじゃよ』
「先生と猫の連携技を見て学びてーんだ! いや、俺はあやかしじゃねーけど!」
『イヤじゃな』
嫌の三段重ねで答えたカッパ先生は頑なに協力を拒否している。その傍らでは、ぴかぴか光る猫又が綾華の腕の中に収まっていた。
「猫ちゃん、眩しいけど可愛いな。きよしがうるさくしてごめんな」
『構わんニャ。お主も強くなったようであるニャし、力を授けようぞ』
ちゃりん。
レジェンド猫又ゴールド、通称ゴルにゃんが綾華に呼び掛けた瞬間、軽快な音と共に足元に何かが落ちてきた。どうやらそれは百円玉らしい。
「お金……?」
『我の権能は、その時々に相応しい物品を与える力なのニャ。有り難く思うニャ』
「ジュースでも買えってことか?」
「違うだろきよし。多分、これはメンコやメダル代わりに使えってことだな」
『その通りなのニャ。金の力は偉大ニャ』
ちゃりんちゃりん、と音を立てる百円玉は更にたくさん出てくる。どうやらレジェンドであるがゆえに大盤振る舞いができるようだ。
すげー、ときよが感心する中であやかし達が互いを認識する。
『む、その声は金猫殿か。久しぶりじゃな』
『ニャア? これはこれはカッパ殿。随分とご無沙汰ニャにゃあ』
「先生達は知り合いなのか! すげーすげー!」
「うわ、百円が溢れ出しそうだ」
きよが興奮する最中、綾華も不思議な縁があったものだと感じていた。そうして、綾華は百円玉を拾っていく。猫又とカッパは世間話で盛り上がっていき、嫌がっていた先生も猫又に免じて共闘することを決めたのだが――。
「あ、あの……勝負……」
その間、半ば放置されていた妖怪巫女は本当に泣き出しそうになっていた。
そして――。
「うおおお! 先生、ゴル猫! いっけぇ!」
「きよしうるさっ」
そんなこんなで始まったバトルはレジェンド級の圧勝だった。叫ぶ勢いですべてを乗り切ろうとするきよ。メダル代わりの百円玉を扇で仰いで攻撃に回す綾華。水を操るカッパ先生に、ぴかぴか光る猫又ゴールド。すべての力が重なった瞬間、奇跡が起きた。
「よっしゃ、俺達の勝利!」
「きよし、叫んでただけじゃねぇ?」
「はは! 勝ったんだからいいだろ!」
尚も騒がしい彼らは気が付いていなかったが、レジェンドメダルの効力は間違いなく巡っている。それは――巫女に宿る邪神の権能が弱まったという確かな奇跡だ。
彼らの活躍により、運命は動き出した。
かの邪神は此処で屠られる。最期への道筋が今、拓かれていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
一那・龍子
※アドリブ連携お任せ
堕ちた巫女……いや
あれが『くとぅるふ』の僕、お主の敵なのだな
迸る浄華光で己を鼓舞し
焔縁呪から花の様な刺青が全身を刻む
では推して参ろうか
無念珠で己に不退転の催眠術を掛け、出陣
手には事前に借りた老いた将軍猫の妖怪メダル
そこの巫女、わたしと手合わせ願おうか
子供達を離せ、喰らうならばこれはどうだ?
頭の花飾りに擬態した『古きもの』を見せる
受けるならばいざ尋常に、勝負!
ユーベルコードをメダルに籠めて
捨て身で相手の九つのメダルをひっくり返してやろう
手持ちのメダルさえ減らせれば奴の力も弱まる
狙いはお主よ――ガタノトア
此度の戦、決して負ける訳にはいかぬのでな
切り込んで骸兼光の贄としてくれる!
●怪異と殺人鬼と妖と
幽世から続く百鬼夜行。
賽銭箱トマソンに、懐かし遊びのメンコ勝負。今を取り巻く環境は不思議なものばかりだが、これも世界の危機のひとつ。
大いなる闇に仕える巫女の出現を知り、駆けつけた路地裏。
一那・龍子(一なる古・f31180)は夕暮れの陽を受けて佇む巫女を見つめている。
戦の状況や骸魂の影響もあり、彼女の性質は些か変質してしまっているようだ。しかし、龍子は此度に繋がった宿縁の巡りを感じていた。
「堕ちた巫女……いや、あれが――『くとぅるふ』の僕、お主の敵なのだな」
龍子が現状を確かめると、対する巫女は呼び声めいた言葉を繰り返す。
――いあ くとぅるふ ふたぐん。
メダルバトルの掛け声にしては重い、深淵に繋がるような声だ。邪神の力を宿して戦う片野・斗羽を確りと瞳に映し、龍子は身構えた。
彼女は迸らせた浄華光で己を鼓舞していく。
そうすれば、身体に刻まれた『古のもの』との契約である焔縁呪から、花のような刺青が巡り始めた。全身を刻む花紋様は龍子の感情が高ぶった証。
浄華光は花の如く広がり続ける。歴戦の気迫は目に見えぬものだが、確かな力となって龍子を包み込んでいった。
「では推して参ろうか」
龍子は邪神憑き巫女に立ち向かうことを心に決める。そして、袖の下に忍ばせた無念珠をそっと握った。己に不退転の志を宿した龍子は出陣の意思を示し、其処から勝負が始まる。
「そこの巫女、わたしと手合わせ願おうか」
「あなたは……そうですか。受けて立ちましょう」
斗羽は龍子が纏う気迫の意味を察し、特別なあやかしメダルを取り出した。対する龍子の手には老いた将軍猫のメダルがある。
「子供達を離せ」
「あなたが勝負に勝ったならば、何でもお聞きしますよ」
「……勝てなければ?」
龍子と斗羽の視線が重なり、言葉が交わされた。勝てないとは思っていないが、龍子は巫女に問いかけてみる。すると相手ははぐらかすように笑った。
「ふふ、子供達もあなたも好きにしてしまいます。たとえば食べてしまったりして」
冗談交じりの言葉を返した巫女はメダルを掲げる。
其処には邪神めいた意匠が刻まれており、邪悪なオーラが纏わりついていた。龍子は禍々しい空気を感じ取りながら、斗羽に真っ直ぐな視線を向ける。
「喰らうならばこれはどうだ?」
「――成程」
龍子が頭の花飾りに擬態した『古きもの』を見せた瞬間、巫女の様子が変わった。それまで明るい少女めいた振る舞いが真剣なものになったのだ。
龍子は邪神の力が発動していることを確かめながら、気圧されぬよう身構えた。
「いざ……」
「尋常に、勝負!」
刹那、二人の声が重なる。
始まったのはメダルファイトではあるが、両者の間には鋭い敵意が生まれていた。龍子は先手必勝だと考え、ユーベルコードの力をメダルに籠める。
されど斗羽にも邪神ガタノトアの権能が宿っていた。賽銭箱から飛び出した数々のメダルが宙に舞い、龍子を圧倒しようとして迫る。
だが、これまでの戦いによってメダルの数はかなり減っていた。子供達が変化させられていたメダルもすべて回収済みだ。
猟兵という仲間がいたことは幸運だった。龍子が見据えたメダルの数は九つ。捨て身の勢いで力を振るった龍子は一気にすべてをひっくり返そうと狙う。
将軍猫のメダルは鋭く飛び交い、相手の力を覆していく。
「……ふふ」
「何がおかしい?」
不意に巫女が笑ったので、龍子は訝しげに問いかけた。しかし返答は戻ってこず、代わりに呪文めいた声が響き渡る。
――ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん。
妖しい声はおそらく、内なる邪神に呼び掛けているものなのだろう。
声が紡がれる度にメダルに邪悪な気が集まり、斗羽の身体や周囲に邪神の眼がひらいていった。そして、声は更に響く。
――いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
「それで怯むと思ったか」
どす黒い呪詛が周囲に満ちていったが、龍子は畏れない。辺りは黄昏の色に包まれており、これから深い闇に導かれていくかのようだ。
メダルは四方に飛び交い、鋭い音が戦場に木霊した。まるで刃で斬り合っているように思えるほどの音は激しい。
一つ、二つ、三つ。
龍子は相手のメダルを着実に返していく。迫りくる邪神の闇や視線は重圧のように伸し掛かってくるが、彼女は決して怯まなかった。
(手持ちのメダルさえ減らせれば奴の力も弱まる……!)
己の腕を押さえ、衝撃に耐えた龍子はその瞳に邪神の姿を映す。
その、一瞬後。
「――視えた!」
激しく舞うメダルの合間に活路を見出し、龍子はひといきに力を巡らせた。
それは云うなれば死線の糸。たった一秒にも満たない短い時間の中で、龍子は斗羽が操るすべての力を捩じ伏せた。
其処でメダルバトルは終幕を迎え、巫女はその場に膝をつく。
生贄として使われていたあやかしメダルは飛び散り、封じ込められていたものが解放されていく。参りました、と呟く巫女は降参を示した。
しかし、龍子にとってはこれで終わりではない。寧ろ此処からが始まりだった。
●一と片/オールドワンとガタトノア
骸魂が咆哮する。
巫女の身体から抜け落ちるように邪神ガタノトアそのものが顕現した。
「ようやく全ての姿を現したか」
龍子は骸兼光を構え、蠢く邪悪を見据える。
路地裏に差す夕陽を受け、邪神は龍子に向かって力を解き放った。
イドを源泉とする衝動。
死へ向かおうとする欲動。そして、漆黒よりも深い闇に染まる呪詛。
どれもが激しいものであったが、生贄を失った邪神の力は先程よりも劣っている。龍子は鏡の如く研ぎ澄まされた野太刀を振るい、それらを受け止めていなしていった。
邪神の足元で斗羽は膝をついている。
嘗て彼女が人であった頃は、普通の神社に仕える、ごく普通の巫女だった。
しかし、巫女は戦国の乱世に死を迎える。時は過ぎ、信仰篤い魂はやがて幽世に移り、彼女は其処でもまた巫女となった。
死した乱世では何も守れなかった。誰も救えなかった。
巫女は神に力を望み、邪神がその呼び声に応えた。そして、神は魂を求める。
妖の命を、人の魂を、と。
骸魂に魂を捧げた巫女は妖怪をメダルに変え、邪神に供物として捧げていた。何故に力を求めたのか、本来の意味も忘れて――。
だが、そのような業も此処で終いとなる。
「狙いはお主よ――ガタノトア」
龍子は刃を振り上げ、邪神の眼を斬り裂いた。一度だけではない。二度、三度、四度と剣戟を重ねて、薙ぎ払って、そして九度目。
妖としての寿命が軋む音がしたが、龍子はそんなことになど構わない。
「此度の戦、決して負ける訳にはいかぬのでな」
邪神ガタトノアは尚も蠢いていた。
渦巻く闇のように。燃え盛る炎のように。或いは、終わらぬ悪夢のように。
それでも、龍子は大太刀を振るう手を止めない。揺らぎ続ける邪神は斬り刻まれていく毎に薄れていく。それゆえにガタトノアが紡ぐ意思は、相対している龍子にしか視えず、聞こえていない。
新たな依代を、と求めるかの如く漆黒の呪詛が龍子に絡みついた。
しかし、龍子はそれすら切り伏せる。
自らが宿す『古きもの』と共に、邪神ごと喰らい尽くす勢いで駆けていき――。
「この骸兼光の贄としてくれる!」
覚悟、と凛とした声が黄昏時の世界に響き渡った。
振り下ろされた一閃。
衝撃によって完全に散りゆく邪神。
それはたったひとときの出来事だった。龍子の刃によって眼が真っ二つに裂かれる。それにより邪神ガタトノアは形すら保てなくなり、すべて消失した。
骸兼光の刃に夕陽が反射したとき、其処にはもう何の気配も残っていなかった。
●完全終幕ダークメダルバトラー
猟兵達の活躍により、闇のバトルは終結する。
メダルにされていた子供達も全員が無事に助けられ、巫女に力を与えていた骸魂の邪神も祓うことが出来た。
件のトマソンだけは路地裏に設置されたままだが、元々あれは超芸術。不思議な賽銭箱はこれからもずっと、あの場所に在り続けるのだろう。
こうして事件は解決を迎え、ひとつの終わりが齎される。
余談ではあるが、この事件を経た暫し後。
近隣の小学生達の間ではメンコバトルが流行ったとか、流行らなかったとか。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年05月05日
宿敵
『大いなる闇に仕える巫女『片野・斗羽』』
を撃破!
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