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大祓百鬼夜行⑫〜団地ング・オールナイト

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行


「……あの予兆を目の当たりにした者も多いとは思うが、改めて説明しよう。
 「大祓骸魂」という忘れ去られた究極妖怪が、カクリヨで活動を始めた。
 妖怪たちは我ら猟兵が敵を探し出せるよう、自ら骸魂と合体してしまったのだ」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは語る。
「このままではカクリヨも、大祓骸魂の目的地であるUDCアースも破壊されてしまう。
 ゆえに急いで進軍し、妖怪たちを救出しながら大祓骸魂を倒さねばならぬ。
 これが「大祓百鬼夜行」の概要だ。そしてオヌシらには、戦場の攻略を頼みたい」

 ムルヘルベルは、奇妙な戦場をグリモアに投影した。
「これはカクリヨの果てに佇む、「妖怪団地」と呼ばれる建物の映像だ。
 カクリヨの土地の例に漏れず、この中は迷宮のように激しく入り組んでいる。
 そしてこの妖怪団地に暮らすのは、「団地武装団」という妖怪たちでな。
 妖怪団地の土地を利用した「団地闘法」という戦術を得意としているらしい」
 ムルヘルベルは猟兵たちに向き直る。
「彼らはかろうじて自我の片鱗を残しているが、戦いは避けられぬ。
 全力で戦い彼らを倒すことこそが、大祓骸魂を弱らせるための唯一の策。
 幸い、これまで通り普通に撃破すれば、妖怪たちを解放できるはずである」
 とはいえ、相手の有利な地形である以上、苦戦を強いられるだろう。

「彼らは『竜神片』という、竜神と邪神それぞれの特徴を持つオブリビオンだ。
 個体によって使用してくる攻撃の属性などは違ってくるようだが、
 全体として格闘戦に秀でているのが特徴である。全方位に警戒を敷いておけ」
 妖怪団地は、上下さえも定かならぬ超立体迷宮空間なのだ。
 敵が前後左右から来てくれると思い込んでいると、痛い目を見るだろう。
「今回の戦争は、これまでと色々勝手に違う戦いになりそうである。
 迅速に攻略を進めていくためにも、オヌシらの力を貸してもらいたい」
 そう言って、ムルヘルベルは本を閉じた。
「妖怪たちの覚悟に報いるためにも、気は抜けぬな……オヌシらの健闘を祈る」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 テリヤキチキンです。いよいよ始まりました、大祓百鬼夜行。
 詳しい戦争のルールなどは、TOPから該当ページをご参照ください。

 プレイングボーナス条件:迷宮のように改造された団地を利用して戦う。

 本シナリオの執筆は5/3から着手します。
 完結を優先して採用数を絞る可能性がありますので、ご了承ください。
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第1章 集団戦 『龍神片』

POW   :    肉喰(にくはみ)
自身の身体部位ひとつを【大元の龍神もしくは混ざりあった邪神】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    龍乱舞
【回避と攻撃が一体となった神速の旧き套路】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    属性撃
【龍神が司っていた属性での攻撃(投射可能)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をその属性によって染め上げて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

なるほどな、団地闘法。中々厄介な代物らしい
俺も自由に戦った方が良さそうだ

POWで判定
【聞き耳】【暗視】【視力】で【情報収集】して【索敵】
壁を背にして全方位を警戒、攻撃をすぐに防げるように風の【結界術】と【オーラ防御】を発動
初撃を防いだら【悪路走破】【足場習熟】から【ジャンプ】【早業】を併用して行動
あえて敵を銀腕に噛みつかせ【おびき寄せ】、左腕を代償に指定UCを発動
銀腕を【武器改造】で棘状にして口の中に固定し、【全力魔法】【捨て身の一撃】で電気をそのまま流す
必要なら孔雀輪による【空中機動】【空中浮遊】を使い行動する



●風に巻かれて
 ルイス・グリッドは耳をそばだて隻眼を見開き、すべての感覚を研ぎ澄ませた。
 上下左右にねじくれた通路の伸びる団地迷宮は、先の見通せぬ闇である。
 闇雲に歩くのは逆効果だ。ゆえに、彼は風の結界を纏って敵を待つ。
(壁を背にしておけば、少なくとも後ろから襲われる心配はない……。
 それに風の結界を貼っておけば、空気の流れを感じることも出来る。
 団地闘法、厄介な代物だが、だからこそ俺も全力で闘うぞ……!)
 耳が痛くなるような静寂が、闇のダンジョンに横たわった。
 はたして流れた時間は数秒か、あるいは数十分か……。

 ――その時!
「! 下かッ!」
 ルイスは孔雀輪を起動し、足元で風を爆裂させて身体を上に飛ばした。
 直後、彼の立っていた場所から、恐るべき邪神の頭部ががちんと飛び出す。
 もしも気づくのが遅れていれば、床ごと邪神の顎の中だ。
「建物ごと喰らうとはな、壁はともかく床も天井も信用出来ないらしい……!」
 ルイスは冷や汗を拭いつつ、今度は上から下へ一気に加速。
 龍神片は床に引っ込もうとしたところに、銀の腕を突き刺した。
 棘状に変形したそれは、開けられたままの邪神の口蓋を串刺しにする!
『ギャアアア!!』
 この世ならぬ絶叫。引きずり出された龍神片は片腕を頭部に変形させていた。
「うおおおっ!」
 ルイスは直接電気を流そうとする……が、敵も伊達ではない。
 左腕を犠牲にしようと生体電流を活性させた瞬間、腹部に鞭めいた蹴り!
「がはっ!」
 あまりの衝撃に、壁がバガンッ!! と音を立てて砕け散る。
 壁に半ば身体をめり込ませたルイスに、さらなる蹴りの連打連打連打!
「ぐ、くそ……ッ!」
 ルイスは風を圧縮破裂させ、お互いの距離を大きく離した。
 龍神片が壁や天井をピンボールめいて跳ねながら再び距離を詰めようとする。
「それなら、この通路をいっぱいにするぐらいの電撃を浴びせるだけだ!」
 左腕が内なる熱量で焼け焦げ、崩れていく。
 直後、銀腕が砲身となり――KRAAAACK!! 雷霆が闇をつんざいた!
『ガ……!!』
 龍神片は電撃の熱量を浴びて黒焦げになり、骸魂が塵と化して散っていく。
 ふわりと倒れ込む妖怪を銀腕で受け止め、ルイスはようやく一息つくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子
WIZ重視

幽世の妖怪の導きに報いる、か
なればその勝利を持って彼奴等を祝福するといたそう

「煙のように巻いては蜂のように刺す・・・見切れるか!」
UC「煙人間変化」発動にてわらわの身体を煙状に変化
実体で動いている際は迷宮内の全方位からの奇襲に備え、
奇襲あれば煙体に変化しての残像を伴う回避から懐の小太刀での反撃に繋げて一手を加える(見切り、カウンター、咄嗟の一撃、切り込み併用)
奇襲を越えれば今度はこちらから打って出て我が薙刀の武技でお相手いたそう(なぎ払い、範囲攻撃、遊撃、串刺し、乱れ撃ち併用)
煙状の体の飛翔能力を活用して宙を舞いては迷宮の戦場内を縦横無尽に駆け回っては敵を翻弄してくれる!



●勝利を以て祝福すべし
 ゆらりゆらりと、鍋島・小百合子の身体が霞がかって揺らめいている。
 殺気がもたらす錯覚……では、ない。現実として、煙に変わりつつあるのだ。
 これぞユーベルコード『煙人間変化』なり!
「煙のように巻いては蜂のように刺す……見切れるか!」
 小百合子は瞬間的に煙に変じ、同時に龍神片へと間合いを詰めた。
 質量がほぼゼロに近い気体となったことで、その動きの速度は予測しづらい。
 加えて煙の身体はそれ自体が見切りづらく、相対距離の測定は至難だ。
『これは、分が悪いか……』
 ゆえに彼女と相対していた龍神片は、あっさりと身を退いた。
 龍神片の居た場所を、小百合子の薙刀ががきん、とむなしく空を切る。
「逃げたか……いや、殺気はまだ感じるのう」
 小百合子は油断しない。彼女が居るのは階段の踊り場だ。
 といっても階段自体の横幅が異常に広く、しかも踊り場には無数の階段が繋がっている。
 上下だけではない。左右、さらには踊り場の「裏」にも……。
 敵は上方に逃れたが、どこから来てもおかしくはない、ということだ。
(ここはやはり、奇襲に備えて小太刀で反撃をすべきじゃな)
 小百合子は薙刀を背中に回し、懐の小太刀を握りしめて腰を落とした。
 どこから襲ってこようと、即座に煙に変じて攻撃を躱し、小太刀を突き出す。
 後の先は取れる。いましがたの立ち合いで相手の練度は把握した。

 ――しかし!
『受けよ、龍の泪!』
 龍神片は小百合子の背後に繋がる階段を駆け上がり、同時に手を突き出した。
 袖の中から放たれたのは、龍の力――つまり、凝固した氷の弾丸だ!
「その程度、見切っておるぞ!」
 小百合子は一瞬だけ煙に変わり、氷の弾丸をガスの身体で受け流す。
 実態に戻った瞬間、龍神片の蹴り足が頭部に襲いかかる。二段構えか!
『ぬ……!』
 だが、やはり後の先を得たのは小百合子であった。
 煙から実体化した瞬間の質量変化を加速に用いたのである。
 小太刀が龍神片の脇腹を裂く。同時に小百合子は小太刀を手放し、薙刀を抜刀!
「いかに姿を隠そうと殺気は隠せまいて。往時の龍神ならばいざ知らず!」
 敵が再び隠れるよりも先に、小百合子の薙刀がぐおんと身体を斬り裂いた。
 薙ぎ払いで腹を割り、くの字に折れたところへ突きの連打。無慈悲!
『み、見事、です……猟兵、さん……!』
 骸魂が滅ぼされ、心優しい妖怪は元の姿を取り戻した。
 倒れゆく妖怪の身体を抱きとめてひとつ頷くと、小百合子は頭上を睨む。
 ひとつ、ふたつ、みっつ――闇の中に新たな気配。
「次は奇襲を待ちはせぬ。わらわから参るのじゃ!」
 小百合子の身体が再び煙に変じ、渦を巻くようにして上方へ飛び立つ。
 煙のように巻いては蜂のように刺す。その言葉に偽りなし。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
戦というなら常の通り働こう

戦況は『天光』で逐一把握
業の影響と攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める

内から外へは何もできず逆は自由な理不尽の檻
見えず触れ得ぬものに閉ざされ、且つ対象外へは影響皆無
攻撃という概念すら自壊の範疇。存分に憤れ

範囲は自身が相手取る程度に
かの姫は傍らにおらぬとはいえ余計な心配はかけまい

出口は自身に設定
万一抜けてくるなら纏う原理の無限量の圧を乗せ打撃で始末する

※アドリブ歓迎



●常の通りに
 ――KRAAACK!!
「雷撃か」
 アルトリウス・セレスタイトは、床を焦がす稲妻の一撃をたやすく躱した。
 雷に属する龍神の残滓とでもいうべき力――欠片とて直撃は危険だ。
 全知の原理によって敵の動きを予測しながら、床を蹴って一気に接近する。
 すでに周囲は論理の牢獄によって閉ざされ、敵に逃走の選択肢はない。
 もっとも、牢獄によって封じずとも、敵は逃げはしなかっただろう。
 彼らの目的は、猟兵たちに大祓骸魂の居場所を教えること。
 そのために、自ら骸魂に喰われて今の姿となったのだから!
「戦というなら全力で相手をする。それが戦士としての礼儀というものだろう」
 アルトリウスは言いながら、背後から落ちてきた踵落としを躱した。
 裏拳で背後の龍神片を吹き飛ばし、正面から来る敵の拳を掌底でいなす。
 力は最低限、かつ効率的に。脳裏によぎるのは彼女の面影。
「――心配をかけるわけにはいかないのでな。負けるつもりはない」
 数度のラリーの果て、打撃の趨勢を握ったのはアルトリウスだ。
 ショートフックで敵の防御を誘い、胴体を守ったところで強烈なハイキック!
 布で隠された頭部が吹き飛び、骸魂が論理の力で滅殺される。
 倒れゆく妖怪の無事を一瞥したアルトリウスは、立ち上がった背後の敵に向き直る。
「来るなら来い。お互いに、手早いほうが楽だろう」
 両者の相対距離が縮まる――無限量の圧を乗せた打撃がガードをこじ開けた。
 がら空きの胴に掌底が突き刺さり、龍神片をくの字に折れ曲げさせる。
「その覚悟は汲んだ。だが、被害は出させまい」
 ぐったりと気絶した妖怪を受け止め、アルトリウスは呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
エンパイアウォーから恐々と感じてたけど
あの国の縁者、揃いも揃って死への飛翔が速すぎるのよ!!

決死の悪路を選んだ眼
面を上げてよくみせなさい

耐久力を霊薬から出る元気で補い
一匹ずつ集中して減らします
不意打ちは目で位置を辿り、敵を盾に
肉喰を躱さず、全て受けて団子になった状態で
空中戦+ふみつけでバウンド、地形を貫通攻撃して叩き付け

…手離すの?
貴方達の身命を賭した決断とは、そんなぬるいものだったのか

堕ちようと魂は揺るぎもしない
小馬鹿にしたように挑発して誘き寄せ
UCで護ろうとする熱意を奪い、学習します
未界の熱が、この地の戦いできっと役に立つ

連れてくわ、私にはない
その決意を
アームオブサンライトで浄化+範囲攻撃



●熱を受け継ぐ
「……死への飛翔が早すぎる。それは覚悟とは、私は呼べないわ」
 ヒルデガルト・アオスライセンは理解できないといった様子で頭を振る。
 サムライエンパイア然り、カクリヨファンタズム然り。
 いわゆる「東洋」あるいは「和」の文化を持つ世界の住人たち。
 彼らの死に対する特異な物の見方は、彼女にとって瘴気を疑うものである。
 相応の信頼があるのだろう。
 彼らはそれだけUDCアースを愛しているのだろう。
 人間に忘れ去られたとしても、人間を愛しているのだ。
 ……ヒルデガルトには理解できない。彼女は人間の悪性を知りすぎた。
 ゆえに人間がしがみつく神を否定し、翻って己の聖性をも否定する少女だ。
 端的に言えば、彼女はひねくれていたし諦めも悪かったのである。

「けれど、この先の戦いには、きっとあなたたちの熱が必要になるでしょう」
 四方を囲む龍神片に対し、ヒルデガルトは言った。
「決死の悪路を選んだ眼――面を上げて、よく見せなさいッ!」
 そして踏み込む! 最初の狙いは正面の敵だ。
 しかし龍神片はヒルデガルトとの打ち合いを拒み、ふわりと下に落ちた。
 下。然り、下である。廊下は『直角に真下へ折れ曲がっていた』。
「なんなのこの地形!?」
 虚を突かれたヒルデガルトに、天地逆転の蹴り足が顎めがけて襲いかかる!
「っ」
 ヒルデガルトはギリギリを踏みとどまり、上体をそらして攻撃を回避。
 背後から片腕を変異させて喰らいつく龍神片の噛みつきを、胴回し回転蹴りで迎え撃つ。
 鼻っ面を叩きのめして着地。すると、左右からの攻撃は防げない。
「――いいわ。来なさい」
 ヒルデガルトは自ら両腕を差し出した。それは貧者に施す聖者のよう。
 忌まわしい邪神の顔に変じた腕が、あるいは足が、ヒルデガルトを喰らう。

「けれど、違う」
 前後の敵にも足と肩を喰われ、だがヒルデガルトは言った。
「私が見たいのは、「その顔」じゃない!」
 跳躍、空中で身を翻してぐるりと回転する。
 回転によって落下までの距離を稼ぎ、勢いをつけ――KRAAAASH!!
 自らの身体ごと龍神片を床に叩きつけるというすさまじいカウンター!
 床が割れ、一同は立体錯視めいた階段の折り重なる踊り場に着地。
 たまらず龍神片は牙を離した。ヒルデガルトは祝福されし血に塗れ、笑う。
「――……手放すの?」
 この程度の衝撃で、一度食らいついた獲物を離すのかと。
 傷ついているにも関わらず強気に挑発し、くいくいと手招きした。
「あなたたちの身命を賭した決断とは、そんなにぬるいものだったのか。
 私の魂を揺るがせたいなら、もっと命を賭けてかかってきなさい。残骸」
 再び龍神片が飛びかかる――ヒルデガルトは噛みつきを拒絶。
 敵の頭上を取ると一体ずつ頭部をストンプし、丁寧に蹴散らしていく。
 一撃を交わすごとに、彼らの持つ熱が、覚悟が、その身に刻み込まれる。
「連れてくわ。私にはないその決意を――だからもう、休んでいいわよ」
 光の輪が膨れ上がり、破裂する。龍神片に付着した彼女の血も同様に。
 聖性によって死者を滅するその血は、骸魂という残骸のみを滅殺しうる。
 安らかに倒れ気絶した妖怪たちを振り返らず、ヒルデガルトは駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

淵守・竜二郎
やあご同輩! 僕も役目を果たしに来ましたよ!
ま、当たり前ですよね
僕も同じ立場なら、貴方と同じ事をするし
貴方も僕と同じ立場なら、同じ事をする
つまりこれからやることも、互いに当たり前で
だからこのあとやることを、互いに当たり前で終わらせましょう…!

場は妖怪団地、複雑怪奇の迷い宮
人は竜神片、僕と同じく竜と邪と拳を握るもの
互いの手の内は丸わかり
であれば不利なる場を有利に変える手が必要ですね
そしてそんな事は相手も分かっているので! 畢竟! 一撃で一撃を相殺しあう事になる!
地形という『場』を確保する為の、『外し封じ』の千日手
ですが地の利たる貴方と違い、僕は地の不利が『外し』を助く!
いくぞベニバナ!殴り勝つ!



●素手ゴロ
「やあ、ご同輩!」
 自ら声を発するのも難しい「妖怪」たちに、淵守・竜二郎は手を上げた。
 あるいは、彼らを食らった骸魂に宿りし、砕けた「同族」たちに。
「僕も役目を果たしに来ましたよ! ……ま、当たり前ですよね」
 答える声はない。それでも、竜二郎は明るく語りかける。
「僕も同じ立場なら、あなたたちと同じことをするし。
 あなたたちも僕と同じ立場なら、同じことをする」
 "でしょう"ではなく、言い切った。それほどまでの確信だ。
 ……けして傲りなどではなく、事実としてそうなのだろう。
 なにせ彼らは、竜二郎に襲いかからない。ギリギリで踏みとどまっている。
 淵を守る竜二郎への礼儀か、あるいは淵守に誇りを刺激されたか。
 竜としての淵を守るように、動かぬ。竜二郎は、微笑んで目を細めた。
「ーーつまりこれからやることも、互いに当たり前で」
 竜二郎は拳を握りしめる。
「……だからこのあとやることを、互いに当たり前で終わらせましょう」
 ゆらりと、風もないのに髪が、裾が、どこから生えたかわからぬ木々が揺れた。
「僕は守ります。生命(ひとびと)を。土地(せかい)を。そしてーー)
 揺らぎは竜二郎の背後に集まっていく。力あるヴィジョンとして。
「……境界(あなたあち)を、守ろう。守るとも!」
 無貌の拳神が、具現する。
「行くぞ、ベニバナ」
 伝えるべき言葉は伝え、決めるべき覚悟を決め、定めるべき目的を定めた。
 ゆえにベニバナは具現する。
 ゆえに敵も少年も拳を握る。
 ならばすべきはひとつ。それは!
「――殴り勝つッ!!」
 命を賭けた、素手ゴロだ。

 ドウン、と大気がたわみ、馬鹿げたエネルギーが壁を床を反響した。
 ソニックブームが妖怪団地を駆け抜け、ぐらぐらと無限の迷宮を揺らす。
 直後、炸裂のシンフォニー、馬鹿げた威力の拳と拳がぶつかりあう。
 ランダムに荒れ狂う原子めいて、竜二郎とベニバナと龍神片は団地を駆ける。
「ああ、そうですよね! そうでしょう! お互い手の内は丸わかりだ!」
 ドウ、ドウ、ドウドウドウ……ドウドウドウドウドウッ!!
 一撃ごとに空間が耐えきれず軋み、竜二郎の全身も軋んで血反吐を吐いた。
 顔を殴る。
 という手を読んで防御する。
 という手を読んで胴を狙う。
 という手を読んで肩を撃つ。
 という手を読んで踏み込む。
 という手を読んで膝で迎撃。
 という手を読んで膝頭粉砕。
 という手を読んで頭を狙う。
 という手を読んで……。
 条件は同等、互角。違いがあるとすれば相手のほうが数が上ということ。
 すると拳はどこへ向かうのか――それは、大地である。
「あなたたちには地の利があり、僕には不利がある! ならば!!」
 砕けた地面が燃えた――燃えたように見えるほどの花々が咲き誇った。
 薊の花が。歓喜する生命が、手を伸ばし、顔を上げ、高らかに咲(も)えた。

 ――華炎陣。踏み潰せばたやすく倒れる脆弱な花々。
 それをも守ろうとする力が、数の不利と地の利を越えた。
「外しました。そして、当てるッ!!」
 ズドドド!! と、振動に妖怪団地が揺れた。
 一瞬千撃。誇りと誓いと覚悟を乗せた拳が欠片を微塵へと帰する!
「僕らは同じですが違いがあって、僕にもひとつだけあなたたちに勝っているところがありました」
 くの字に折れ曲がった龍神片はメシャア!! と轟音を立てて壁にめり込む。
 反発力で床に倒れた彼らは、もはや欠片あるものではなく妖怪たちである。
「僕の誓いは、この戦いじゃ終わらないってことと、他の世界も守るっことです」
 竜二郎は手を差し伸べない。倒れた相手に手を差し伸べるのは友のやることだ。
 これは素手ゴロで、勝者と敗者なのだから、そんなことはしない。
 ボロボロで、力の限り立ち、闘う。それが、最大の礼儀で、敬意だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御狐・稲見之守
なるほど団地闘法、面白い遊びじゃナ。
ならばワシと遊んでもらおうじゃァないか。

[UC逢魔時の影法師][生命力吸収]
己を影と化して迷宮内の影から影へと
前後左右上下、影ある場所なら何処へでも
そら、影の中からぬらぁり お前の精気を喰おうと手が伸びてくる。

かごめ かごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った

後ろの正面だあれ

……なぁんてナ。



●昼と夜のはざまに
 光があれば影がある。
 幽世というこの世ならぬ場所でも、それは変わらぬ。
 ――否、幽世という異界ならばこそ、か。
 妖怪とは影そのもの。人に寄り添い、人に忘れられた存在。
 光ある限りそこに生まれ、だが光に照らされれば消えてしまう。
 そんな影と、妖怪の有様はよく似ている。

 ゆえにか、御狐・稲見之守はいつも以上に影に"馴染んだ"。
 鋭敏なる龍神片の知覚を潜り、目を盗み、耳を嘲笑い、影から影へ。

 ――かぁごめ、かごめ……。

 どこからか声がする。龍神片たちは背中合わせに円陣を組んだ。
 その力と技でもって猟兵たちを迎え撃ち、むしろ翻弄すべき彼らが、困惑する。
 ありえない話だ。このフィールドは、彼らにとってこそのホームだ。
 縦横無尽に壁を天井を飛び跳ねて、見えない死角を使って出入りする。
 上下左右の不安定な地形に敵を叩き込み、前後不覚に陥らせて圧倒する。
 それこそが団地闘法。驚きと恐怖と困惑を糧とする妖怪ならではの戦い方。

 ――かぁごの中の鳥ぃは……。

 その龍神片が、存在しないはずの天敵に、追い詰められていた。

 ――いついつ、出ぇやぁる……。

 稲見之守の性が悪いところは、あえて完全には気配を隠さなかったところだ。
 時折影から影へ渡る姿を見せ、攻撃を誘い、見事に躱してみせる。
 小童めいた相貌に笑みを浮かべて、ちろりと蠱惑的に見つめもする。
「ワシとも遊んでもらおうじゃァないか」と、袖を振って誘うのだ。

 ――夜ぉ明けぇの晩に……。

 遊び。
 遊びだった。
 稲見之守にとって、この戦いは遊びでしかなかった。
 そう……妖怪たちが、戯れにヒトを脅かして、遊んでいたように。
 ヒトが食事を娯楽とするように、稲見之守もまた龍神片たちを喰っていた。
 文字通りの意味だが、そうではない。この場合は感情的な捕食を指す。

 ――鶴と龜が滑った……。

 つまり、龍神片は恐怖していた。
 その恐怖を、稲見之守は美味そうに啜り、堪能していた。
 恐怖させるものの恐怖ほど、芳醇なものはこの世にはないだろう。

「――うしろのしょうめん、だーあれ」

 龍神片たちは、声を聞いた。
 互いに死角を殺すためにぴたりと合わせた、背中から。
 ありえない話だ。「自分に背中を当てている誰かがふざけない」限り。
 彼らは互いに疑いあい諍い……ひとりひとり、影から伸びる手に喰われた。
 ぬらり、ゆらり、ふわりと。精を喰らう手が、邪神の欠片だけを啜りとった。

 やがて立っているのは、ただひとり。
「……なぁんて、ナ」
 稲見之守はちろりと赤い舌で、唇を湿らせた。
「甘露、甘露。腹も膨れて楽しい戯れじゃった。ああ、楽しい、楽しい……」
 金毛の尾を揺らし、おそろしきものが楽しそうに跳ねていく。
 妖怪はヒトを脅かすもの。
 ならば、妖怪を脅かすモノはなんと云う。
「さァて、次はどうして遊ぼうか――」
 そんなモノは、誰も知らない。おそらくは、知ってはいけないのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
妖怪団地の妖怪さんらの覚悟、お見事っす
猟兵ならきっとやってくれるという団地武装団の信頼を無碍にしちゃあ、傭兵なんて名乗れやしねぇっすね
”骨喰”リンタロウ、仁義を通させてもらうっすよ

蝙蝠の骨を喰って【〇〇六番之卑怯者】を発動!
どんだけ複雑怪奇珍妙奇天烈な団地だろうと
音の反響で構造とどこに妖怪さんらが潜んでるかを把握してりゃ
どのタイミングで奇襲が来るかなんて手に取るようにわかるっす(戦闘知識)

あとはそのタイミングに合わせて攻撃を避けりゃあ、どんだけ攻撃が速くても関係ねぇってね!
さぁて、套路で団地の地べたがベコベコになる前にのしちまいますか!



●仁義を通す
 アウトローは無法の法を尊ぶ。
 奇妙な話だが、法の外にあるからこそ、彼らはしきたりを重んじるのだ。
 それは人と人の繋がり、仁義と呼ばれる不文律。
 名誉といううつろいやすいものを枷として、自らと他を獣の淵で押し留める。
 そこを踏み外せば、あとはもう堕ちるところまで堕ちるしかないから。

 リンタロウ・ホネハミは、騎士であり騎士でない。
 つまり領地も民草も、責務も持たぬものであり、ゆえに己で己を任ずる。
「"きっとやってくれる"と信じて託してくれたなら、それに応えなきゃあでしょう。
 傭兵"骨喰"リンタロウ、仁義を通させてもらうっす。たとえその相手が――」
 魔剣が、ごつんと床を叩いた。
「仁義を通すべき、あんたたちだとしても」
 鋒を向ける相手こそ、猟兵を信じて身をなげうった妖怪たちの成れの果て。
 無法の法と己の信念に従い、リンタロウは龍神片に戦いを挑む!

 敵が地を蹴ったと同時、リンタロウが噛み砕いたのはコウモリの骨。
 これから仁義を通すというのに、喰らう骨の銘は"卑怯者"である。
 これはなんともアイロニカルなものだ、と、リンタロウは牙剥いて笑った。
 龍神片が姿を消す。死角まみれの団地の地形を利用した闘法か。

 ――だが、リンタロウには、彼らがどこに隠れどこを伝いどこから来るのか、
 そのすべてがわかっていた。視覚でも皮膚感覚でもなく、超聴覚によって。
「どんだけ複雑怪奇珍妙奇天烈な団地だろうと!」
 超音波ソナーである。コウモリが目でなく音波で飛ぶように。
 飛び跳ねて襲いかかる龍神片の爪を――リンタロウは見ずに剣で止めた!
「どのタイミングで奇襲が来るか、全部わかるんすよ」
 ニッと人懐っこい笑みを浮かべる。龍神片は下がろうとした。
 接敵のチャンスを逃すリンタロウではない。襟首をつかみ離脱を阻止!
「まず、ひとつ!」
 魔剣が欠片の胴体を貫いた。龍神片は暴れ……ぐったりと力を失う。
 剣を引き抜けば、邪神の残滓は靄めいて燃え尽きあとには妖怪が残るのみ。
 リンタロウは気絶した妖怪を横たえる――その頭上! 逆さに立つ敵の攻撃!
「休む暇ねえっすね、こりゃあ!」
 リンタロウは振り返りざまの斬撃で、脊髄を砕く拳を弾いた。
 龍神片は逆さに天井を駆けて拳を繰り出す。リンタロウは受ける受ける受ける!
「団地じゅうがベコベコになる前に……のしちまいますよォ!」
 套路の切れ目を狙った斬撃が、逆袈裟に龍神片を断ち切った。
 リンタロウは足を止めずに走る。気配はいくつも近づいている……!
「負けらんねっすよ。あんたたちが賭けた命が、乗っかってるっすからね」
 敵は無数。だが、男の口元には不敵の笑み。
 信念を礎として闘う限り、リンタロウに諦めの二文字はない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハイドラ・モリアーティ
【SEA】
ンじゃあ全力で攻略しちゃおうぜ、匡
相手に得意な地形ならまず「相手にしない」のが俺の勝ち筋
ただ無防備のまま棒立ちしてるわけじゃないさ
サーチは任せてる
匡の……ちっちゃい匡かわいいね
【UNCANNYVALLEY】
偵察通りに俺の蛇竜たちを向かわせるよ。複雑なところだからさ
で、敵にしがみついてBOMB!
ウーン、派手な音が聞こえてきて爽快

――おっとォ
『魔術師に接近戦は愚策』だぜ
手品っつうのは近くに来れば来るほど暴けない
俺は蛇が爆発しても平気だけどアンタはどう?だぁっはは!
びっくりしたかい?
カクリヨファンタズムなら忘れちゃいけないよな

あー、早速死んだ
ありがとよ。もう慣れた
すぐ治るし、心配すんな


鳴宮・匡
【SEA】
そうだな、手早くいこうぜ

俺の場合はもっと野蛮だったな、地形そのものを使えなくする
いわゆる破壊工作だな
……いや、今回はさすがにしないけどな
あいつらの住むとこなんだし

――頼むぜ、【無貌の輩】
地形と相手の位置の把握して、最適ルートを策定
入り組んだ地形ならどこにでも影ができる
こっちの“目”には気付かれにくい
地勢の不利は“目”の多さで相殺させてもらう

捕捉できた分は遠距離から叩くよ
接近前に数を減らすのは戦闘の定石、で――

――近づけば叩けるなんて考えも、通さない
“位置はわかってる”んだ
いつ飛びかかってくるかだってわかってるさ

痛いだろ、それ
不意を衝くのはいい策だけど、体は大事にしなよ
先は長いんだしさ



●人でなしの戦い方
 戦いとは、不条理と不合理の連続だ。
 様々な条件が噛み合わさって(あるいはズレて)100%を0%にたやすく変える。
 つまりは非常に繊細なガラス細工めいて壊れやすいもので、
 だからこそ戦場の条件を書き換えることは鉄則中の鉄則と言える。
「相手に得意な地形であるとき、お前ならどうする? 匡」
 ハイドラ・モリアーティが挑発的に言うと、鳴宮・匡は端的に答えた。
「地形そのものを使えなくする。まあ、一番わかりやすいのは爆破工作かな」
「野蛮だねぇ? 俺の場合は「相手にしない」が勝ち筋かな」
 気さくな様子でする会話の内容ではないが、あいにくふたりとも人でなしだ。
「……言っとくけど、今回はしないよ。あいつらの住むとこなんだし」
「わかってるって。だからほら……その、それ使ってんだろ? ちっちゃい匡」
『無貌の輩(ストレンジネイバー)』。影から生じた匡の目であり耳であり肌。
「その呼び方やめてくれない?」
「え、なんで?」
「いや……なんかやだなって」
 などと離している間にも、"目"は匡に豊富な情報を送り込む。
 匡の武器は優れた知覚力もさることながら、膨大な情報を処理できる特化した脳の構造にもある。
 どれだけ戸口が大きくても、部屋が大きくなければ荷物は運び込めない。
 荷物の整理も出来はしない。これもまた、人でなしが殺しで得た強みだ。
「ま、いいや。それでどこに"こいつら"向かわせりゃいい?」
「入り組んでるからな。ポイントで指示するよ」
「オーケー」
 ハイドラが召喚したのはちっちゃいハイドラ……ではない。多頭の蛇だ。
 コウモリの翼を宿したそれらは、魔王の眷属であり手足であり道具
 羽持つ蛇たちはしゅうしゅうと音を立てて、這いずり羽ばたき四方へ散る。
 ハイドラ自身は棒立ちだ。一見すると、隙だらけにしか見えない。
 もちろん、それには理由がある。

 ――KA-BOOOOM!!
「ウーン、派手な音。気分爽快だねぇ」
 さっきの匡の言葉は嘘だったのか……といえば、そうではない。
 爆発したのは、匡の"目"を通じて敵を見つけた多頭蛇の群れである。
 万能なる属性を持つ蛇たちは、ハイドラが死ねと命じれば当然のように死ぬ。
 つまり、一種の自律爆弾となって、龍神片を巻き込んで爆発したのだ。
「……お、何その顔。言っとくけど建物ふっとばすほどじゃねえよ?」
「わかってるよ」
 匡は言いながら、自らもまた知覚した敵を的確にスナイプしていく。
 匡の弾丸は、"この程度"の奇妙奇天烈な地形などそうそう不利とは思わない。
 跳弾、曲弾、影による弾丸そのものの操作、誘い出し……やり方はいくらでも。
 壁や長射程程度で弾を当てられないのでは、超常の敵には渡り合えぬ。
(けど、そうすると必ず、味方を盾に突っ込んでくる奴が出る)
(魔術師相手に接近戦は愚策、なんだけどなァ?)
 ふたりの予想通り、同族を盾に間近へ接近した敵が二体。
 ハイドラはやはり棒立ち――代わりに影から、新たな蛇が飛び出した。
「手品っつうのは、近くに来れば来るほど暴けないもんだぜ?」
 ――KA-BOOOOM!!
 爆炎が、敵とハイドラを飲み込んだ。残るもう一体は。
「近づけば叩けるなんて考えは、通さないさ」
 匡の懐から出てきた拳銃で、額を撃ち抜かれていた。

 寂寂とした風が、団地の通路を吹き抜ける。
 爆煙はひゅうと晴れ、仰向けに倒れたハイドラの姿が出てきた。
「……痛いだろ、それ」
 匡が手を差し伸べると、死んだはずの女の手ががっちりと握り返した。
「いやー、早速死んだ。一筋縄じゃいかないねぇ」
「不意をつくのはいい策だけど、身体は大事にしなよ」
「ハハ。ありがとよ、もう慣れた。すぐ治るし、心配すんな」
「先が長いから消耗するなっていうアドバイスなんだけどな」
「バカだなぁ~そういう時は調子を合わせておくんだって!」
「……なんで俺のほうがダメ出しされてるんだ」
 爆音が絶えず響き渡る。人でなしどもは、笑い呆れながら戦いに没頭した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
UDCは今の住まいがあるから壊されたくないね。どこだろうと敵は殺すけどね。

攻撃と回避が一体の攻撃でくるならば、こちらは攻撃に攻撃を重ねるてみるか。
刀で攻撃して回避されたところを、足技のカウンターで迎え撃つ。刀は囮だから仕留めるつもりでは打たない。

個体によって属性が違うとはいえ、格闘戦が主体。
一度攻撃を当ててユーベルコードで癖を覚えれば、やれる攻撃は限定して次からは対応できるだろ。

とはいえ迷宮みたいに入り組んでいる。慣れも含めて地の利は相手。まぁ、壁に背を向けてれば不意打ちを喰らうこともないだろ。壁が近くにあれば、上から襲われても、壁を蹴って逃げたり上に跳んだり対応しやすいからな。



●喰らいつく
 もはやこのUDCアースでは誰も知らない旧き流派を、龍神片は扱う。
 スポーツ化した武道とはまったく違う、殺し生き残ることだけを考えた拳法。
 ゼイル・パックルードにとっては、こちらのほうが心地よかった。
(攻撃の瞬間に必ず急所を相手から離してるし、攻撃自体が回避の予備動作になってる。面白いな、これ)
 刀で拳を弾き、真下からぬっと生えてくる蹴り足を身を反らして躱す。
 埃を被った本のページをめくるように、ひとつずつひとつずつを憶える。
 この手のユーベルコードの弱点は、攻撃を邪魔されたり回避されても途中で中断できないことにある。
 だが、その連続攻撃自体が防御と回避を兼ねていたとしたらどうか。
 仮に一旦退いて攻撃を躱しても、そこに撃ち込むべき隙を見出だせないならば。
 じりじりと崖際に追い詰められるように、後ろに下がるしかなくなる。
 つまり、攻撃に攻撃を重ねていくゼイルのスタイルは最適解と言えた。

 ゼイルの刀が空中を滑り、大気との摩擦で地獄の炎が刃を赤熱させた。
 首を刎ねる斬撃は、しかしぬるりとよどみない回避動作により躱されてしまう。
 龍神片は側転の要領でゼイルの頭部を蹴ろうとするが……しかし。
「見飽きたぜ、その技」
 蹴り足を頭に叩き込んだのはゼイルだ。後の先を得た足技のカウンター。
 サッカーボールを蹴り飛ばすような無造作な一撃が、欠片の頭部を蹴り砕いた。
 勢い壁にめり込んだその身体から、骸魂の邪気が消えて妖怪に戻る。
 ゼイルは鑑みない。……新手!
「個体差があるっていっても、使う流派は同じだろ」
 ゼイルは壁を背にしてぴったりと這わせることで、真上からの奇襲を回避。
 敵が着地した瞬間、倒立するように壁に手を突いて自分の身体を「撃ち出す」。
 早い話が壁を利用したドロップキックだ。急所への直撃は逸らされたが、重い。
「攻撃の癖も、防御の隙も、だいたい憶えた。来るなら来なよ」
 にたりと笑みを浮かべて手招きする。ふらつく敵が死角へ身を隠した。
 直後、三体目。ゼイルは倒れ込むように身を沈め、裏拳を躱しバックキック。
 蹴り足から燃え移った地獄の炎が、吹き飛ばされた敵を火だるまにする。
 二体目がそこへ踊りかかった。ゼイルはブレイクダンスめいて蹴り足を回転。
 飛びかかってきた龍神片を返り討ちにしながら、予後の隙を殺す。見事な立ち回りだ。
「少なくとも、退屈はしなくていいみたいだ」
 熱量が生んだ陽炎の向こう、静かに浮かんだ笑みが揺らめいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榊・霊爾
屋上もなければ最下層もない...と、割り切った方がよさそうだね
団地となればあの悪戯をしたくなるものだね

『諜報』の鴉達を放ち、行き止まりや挟み撃ちを回避すべく、近場の敵の居場所をある程度把握
【ダッシュ】で通路を走りつつ片っ端の部屋から【早業】ピンポンダッシュを行う
ピンポンピンポンと五月蠅ければ何事かと気になって出てくる輩もいるだろうよ
鴉羽笠のステルスを有効にし、【存在感】を消し【闇に紛れる】
敵の存在を確認したら白鶺鴒と背黒鶺鴒の抜刀ですれ違い様に仕留める
みね打ちだから安心してくれよ
全員出てくるまでピンポンダッシュは止めないからね



●いたずら心
 ――ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
 団地というからには、当然部屋があり、扉があり、インターホンもある。
 鳴り響いているのはそのインターホンの音だ。実に……実にやかましい!
「思う存分ピンポンダッシュ出来るって、最高の環境じゃないか? これ」
 などと素っ頓狂なことを云うのは榊・霊爾である。
 敵をおびき出すつもりで始めた策だが、なんだか逆に楽しくなってきた。
 ピンポンダッシュ……それは子どものいたずらの常套手段。
 大人になっても一軒家の前を通るとついついやりたくなる、アレだ。
 普通の人は当然踏みとどまる。もちろん霊爾だって我慢している。
 が、「やりたくない」のと「我慢する」はまた別の話だ。
 日頃の鬱憤を晴らすかのように、霊爾はそこらじゅうでピンポンを鳴らす!
 ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
「よし、次はインターホンで音楽とか奏でてみよう。楽しそうだ」
 挙げ句別の遊びまで始めた。妖怪団地、堪能しすぎではなかろうか。

 それだけ騒いでいると、当然龍神片の群れが駆けつける……が。
「……?」
 駆けつけた敵は、はてなと首を傾げて互いに互いを見た。
 あれだけやかましかったピンポンの音が、もう鳴り止んでいる。
 そもそもそこらじゅうを駆け回っていた霊爾が、どこにもいない。
 ふざけるだけふざけて逃げ出したのか。だとすれば迷惑千万も甚だしい。
 こんな猟兵に命を賭けたのか、と呆れる妖怪もいそうなものだが――。

「お前を見ているぞ」
「!?」
 そうは問屋がおろさない。ここまでが霊爾の策である。
 声に振り向いた龍神片は、しかし霊爾の姿を見ることはなかった。
 すれ違いざまの神速抜刀が、一撃で彼らの骸魂だけを斬って捨てている。
「峰打ちだから安心してくれよ。まあピンポンダッシュは続けるけど」
 敵をおびき出して気配を消して潜み、不意を突く。
 団地闘法を逆手に取った奇襲は、見事に炸裂した。
 霊爾はただの悪童ではないし、悪童気取りの痛い大人でもない。
「一応は真面目なんだ。悪戯は悪戯で楽しむけどね」
 妖怪の仁義に則り彼らと戦いに来た、猟兵なのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さっすがUDCアースと近いだけあるね、
団地まであるとはさ!
まるでどっかの世界遺産だ、ってのは言い過ぎかな?
こういう所ってカンフー映画とかでも見た気がするし、
そんな感じで挑んでみっかぁ!

奴らも慣れているんだろうけど、
屋内のバトルならアタシも得意でね。
『地形の利用』をしながら階段を駆け上りつつ、
奴らの思念を汲み上げる。
そうして階段や部屋の中に【弱点特攻作成】で、
套路を的確に邪魔できる障害物をどんどん置くよ!
そうして奴らのペースを乱したら、
一気に距離を詰めて『グラップル』で攻めに回るよ!
最後は窓から空中に放り投げてやろうじゃないのさ!
受身は……取ってくれるかねぇ?


御影・しおん
己が身に骸魂を封じ、その元へと集う事で静かに侵攻していた“それ”を炙り出す、ね

ふふ、信仰全てを失い、かつての欠片で繋いだだけの身であっても
「竜神」として、その献身に報いない訳にはいかないわね?


さて、地の利は向こうにあり、ね
だから……向こうの手を使わせてもらいましょう
グリモア猟兵さんの忠告を無視するようだけど
童女の振りでもして無防備に進もうかしら

誘いに乗ってUCで来てくれたなら、UC【影鏡転移門】でお返し。
「影」とノーガードで殴り合ってもらうわ

更に『黒鏡』の闇で周囲を暗くし、足元の影から『影竜』で不意を打つと同時に『影刃縛』を張り巡らせ捕まえ、至近から《神罰弾幕》をぶつけるわね

※アドリブ歓迎です


リーヴァルディ・カーライル
…世界が変われば常識も変わるとはいえ、何とも妙な気分ね
救うべき相手を全力で傷付ける羽目になるなんて…

…だけど、ここで躊躇えば身を呈して世界の危機を教えてくれた彼らの頑張りが無駄になる、か

UCを発動し超音波による反響定位を用いて常に全周囲を探知して、
迷宮の闇に紛れた敵の団地戦法による空中機動の集団戦術を暗視して見切り、
避けきれない攻撃は超音波を収束したオーラで防御して受け流し、
超振動で切断力を強化した大鎌をなぎ払う早業のカウンターで迎撃する

…何処から襲ってきても無駄よ。私には全て視えている

時間をかけるつもりは無い。貴方達を倒し先に進ませてもらうわ

…お疲れ様。後は私達に任せて、ゆっくり休んでいて



●献身に報いよ
 世界が変われば常識も変わる――とはいえ、妙な心地には変わりない。
 救うべき相手を全力で傷つけるというのは、どうにも落ち着かないものだ。
(……ダメね、私としたことが。こんなことで躊躇してはいけないわ)
 リーヴァルディ・カーライルは廊下を駆けながら、己を叱咤した。
 ここでためらってしまえば、自分だけでなく彼らの覚悟をも無駄にしてしまう。
 全身全霊で相手をし、打倒し、その生命を救うことが唯一の解答だ。
 たとえどれだけ心苦しくとも、彼らの頑張りを無駄にしてはならない。
 リーヴァルディはイルカが持つ反響即位の力を、吸血鬼狩人の業によって再現。
 その力で迷宮に超音波を走らせ、全周囲を知覚しながら走り続ける。
 でたらめな長さに拡大された廊下は、先の見えぬこの戦いを示しているようだ。

 ――と、その時。
「あれは……?」
 通路の先に見えたのは、無防備に歩くひとりの少女。
 明らかにこの場に似つかわしくない――というのは見た目だけの話。
 リーヴァルディは咄嗟に声を出そうとして、しかしやめた。
(あの子、只者じゃない……)
 然り。リーヴァルディの優れたセンスは、たしかに察していた。
 そもそも、こんなところに子どもが迷い込むわけがないのだ。
 ここはUDCアースではなく、カクリヨファンタズムの果ても果て。
 なにより、少女からは、目に見えぬただならぬ力がわずかに漏れている……!
「――!」
 そこへ、龍神片が飛び出し、少女に襲いかかろうとした。
 同時にリーヴァルディにも追手がかかる。上下左右からの奇襲!
「その動きは、読んでいたわよ……!」
 リーヴァルディは旋風のように大鎌を振るい、カウンターを叩き込んだ。
 刃そのものが超振動を起こし、防御出来ぬ切れ味で龍神片を斬り裂く。
 エコーロケーションという手で位置を察知していなければ、これほど早くカウンターを決めることは出来なかっただろう。
 リーヴァルディは、ちらりと少女のほうをみやった……そちらはというと。
「グリモア猟兵さんの忠告を無視するようだったけれど、甲斐はあったかしら?」
 やはり少女は只者ではなく、見た目に似合わぬ大人びた笑みを浮かべている。
 そして当然、無事だ、ならば、彼女に襲いかかった龍神片はどうだろうか?
「あなたたちのその攻撃、相当に旧い拳法よね? まさか伝わっていたなんて。
 その恐ろしさはわたしでもわかる……だから、利用させてもらったわ」
 ……影である。
 少女に殴りかかった龍神片は、立ち上がった影の拳で吹き飛ばされていた。
『影鏡転移門(シャドウゲイト)』。それが少女の――竜神、御影・しおんの業。
 敵対者の影そのもので、技をそのまま返すというユーベルコードである。
 しおんは一切手出しをしていない。彼らは、彼らの技で倒れたのだから。

 一方同じ頃、長い長い階段を駆け上がり続ける数宮・多喜の姿があった。
「次から次へと、きりがないねえ! けどっ!」
 多喜はユーベルコード『弱点特攻作成(カニングクラフト)』を活用する。
 これは本来、大型の敵や機動兵器に対して大きな力を発揮する術式だ。
 対抗するための武器でも、防御するための武具でもなく、
 彼女の優れたテレパスで察した『相手の弱点』そのものを作り出すというもの。
 龍神片の攻撃には多少の個体差があるものの、共通して格闘術を用いる。
 団地闘法自体が、この不可解な地形を生かした曲芸的闘法であるゆえ自然だろう。
 つまりこの場合、龍神片の弱点とは、「攻撃を邪魔する障害物」である。
 階段から突然壁が生え、あるいは階段が折れ曲がって変質する。
 そうして敵にとっての死角を生み、多喜はそこを突いて撃退しているのだ。
 死角に回り込んで翻弄するのは、龍神片であるべきはず。
 ユーベルコードによってそれさえ逆手に取るのは、見事な技といえるだろう。
「けど、アタシも屋内の戦いなら得意なのさ!」
 多喜の言葉は強がりではなく、事実彼女はほとんど無傷だった。
 テレパスによって攻撃の思念を汲み上げ位置を察知しているというのもあるが、
 やはりその最大の要因は、猟兵としての経験と彼女自身の戦闘センスにある。
 上から飛びかかってきた敵の攻撃を、目の前に壁を作り出すことで防御。
 敵の拳はそれさえも砕くが、破壊のための一瞬さえあればそれで十分である。
 多喜はその一瞬で側面に回り込み、龍神片を掴んで……投げ飛ばす!
「受け身は取ってくれよ! そこまでは面倒見きれないからねぇ!」
 などと言いつつ、強烈な衝撃で下階の床がぐしゃんっ!! と凹んだ。
 休む暇はない。新たな思念が――振り返り、多喜は訝しんだ。
「おや? 味方がいたかい。こりゃ助かる!」
「……どういたしまして、よ」
 多喜に襲いかかろうとしていた背後の敵は、リーヴァルディが倒していた。
 さらに別の龍神片が飛び出すが、その動きをしおんの『影刃縛』が捕らえる!
「いけないわね、もう少し空気を読まなきゃダメよ?」
 神の力を籠めた魔弾が、至近距離で放たれ龍神片を吹き飛ばした。
 3人は互いに目配せをし、死角をカバーしあうように背中合わせに立つ。
「周りには糸を張り巡らせてあるわ。そう簡単にはくぐってこれないでしょう」
「……近くにいる敵の場所は視えてる。近づいたら教える」
 しおんとリーヴァルディの言葉に、多喜は頼もしげに笑った。
「向こうが数で来るなら、こっちも数で対抗するのが一番ってね!」
 大鎌が拳を払い、影がその身を縛り、思念の電撃纏う拳が存在を砕く。
 猟兵の最大の武器は即座の連携。力を合わせた彼女らの力は文字通り一騎当千だ。
 妖怪たちの覚悟に応えようというその意気こそ、彼女らの力の源である!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
そーいうことなら、遠慮なしで大丈夫そうだな
向こうも頑張ってるなら、こっちもやるだけやらなきゃナンセンスだ
全力でかかって来い──俺は絶対に負けねえからよ

さて、随分と愉快なロケーションだな
地の利は向こうにある以上、後の先を取るのがベストだろう
そんじゃあ先行よろしく──『Team UP』
分身2体に先行偵察させて、俺はステルスクロークで隠れる

目の前に餌がぶら下がってるなら、当然群がるだろう
しっかり仕留める為に集団で襲い掛かったりしてな
そして仕留めたと思ったら、突然そいつが消えて──本体の俺がお出ましってわけ
エクスプロシヴ・ボルトを撃ち込みまくって【爆撃】
俺を囮にして、俺が大量殲滅ってわけだ 簡単だろ?



●ゴー・オール・ザ・ウェイ
 敵が頑張ってるからって、そいつに馬鹿正直に付き合うのはナンセンスな話。
 イキがってる奴の足元をさらって、勝ちをくすねとるのが賢いやりかただ。

 ただそれは、敵が「ただの敵」であればの話である。
 今回は、違う。元はと言えば彼らは、覚悟に殉じた戦士である。
 ――ならば、"やるだけやる"のが正しい。そうでなければ、ナンセンス。
 ヴィクティム・ウィンターミュートは小狡い男だが、同時に勝負を弁えてもいる。
 だから、彼は「徹底的にやる」ことにした。

「さて、なかなか愉快なロケーションだな? 地の利は向こうに、ってか」
 ヴィクティムは周囲をスキャンしながら、影から影を走り、進む。
 電脳魔術をもってしても、団地迷宮の全貌は把握し難い。
 一体いかなる妖術魔術が働いているのか……実にユニークだ。
「こうやって単独行動してれば、当然向こうはかかってくる……だろ?」
 ヴィクティムはにやりと笑った。接近する反応、複数。
 向こうも全力だ。確実に仕留めにかかっている証左!
「いいぜ、かかってきな! その度肝を抜いて――」
 瞬間、ヴィクティムの首が消し飛んだ。
 電脳魔術の探知外からの、鋭く練り上げられたハイキックである。
 わざと味方に反応を出させて、本命の一体が確実に命を刈り取る。
 狩りの鉄則。同じ状況であればヴィクティムでもそのプランを選んだろう。
 こうして、ヴィクティム・ウィンターミュートの呪われた生涯は終わった。

 ――などと簡単に行けば、敵も彼自身も苦労すまい。
「悪いね。いただきだ」
 ――KRA-TOOOOOOOOM!!
 死んだはずのヴィクティムは別の場所に立っていた。そして、炸裂。
 首を狩られた死体が爆煙から飛び出して、そして格子模様になって消え去る。
 龍神片は? 言わずもがな、爆発に巻き込まれてお陀仏だ。
「向こうも……っと、うまくかかってくれたみたいだな」
 爆音がもうひとつ。"もうひとりのヴィクティム"に仕掛けた爆薬が作動したか。
 周囲に展開していた反応が、スイッチをOFFにするみたいに消えた。
 ひとりで足りないビズならば、複数(チームアップ)で対処する。
 己さえも囮に利用する。それが、この男のやり口だ。
「俺は絶対に負けねえよ。だから、徹底的にやってやる」
 ヴィクティムは勝負をわきまえる――だがやはりこいつは、小狡い男なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
…猟兵ってこんなに忙しいものなんですね
この前戦争したと思ったらまたこうして戦争が起きるんですから…
とはいえ、任せきりにするのも嫌ですから
俺も全力でやらせてもらいます
それが、身を切ってくれた妖怪の為にもなりますからね

さて、天狼に乗るには状況が悪い
ここは生身で対処しましょう
地の利は向こうにある、奇襲のアドバンテージを狙うのは当然です
だからこうして……『重圧』を振りまいているんです
そもそも2秒先を視てる時点で、俺に奇襲は通じません。暗殺の類も何度退けたか分かりません

釘付けになってる間に、中距離以上ならハンドガンで射撃
近距離なら格闘戦で無力化させます
立体迷宮なら、壁や天井を使って変幻自在に攻めましょう



●猟兵の忙しい一日
 猟兵とは、こんなに忙しいものだったのか……と、ルヴトー・シフトマンは思う。
 先の羅針盤戦争が、ざっと3ヶ月前。
 あれからも新世界の発見や猟書家絡みの騒ぎなど、異変は数多くあった。
 彼自身も東奔西走し……そして今、この大祓百鬼夜行である。
(任せきりにするのも厭ですが、これはなかなかハードだな)
 そして何より、この状況。天狼が使えない閉鎖空間での戦い。
 見に覚えがまったくないわけではない――が、不利は当然のことである。
 それでも、ルヴトーは来た。闘うために。
 ……妖怪たちの身を挺した覚悟に、少しでも報いるために。

 すでにルヴトーの視界は、2秒先の未来を見続けている。
 彼の獣じみた五感も、ひっきりなしに命の危険を告げていた。
 敵がいる。それも複数……おそらくはとうに囲まれている。

 ならばなぜ、龍神片は襲いかかってこないのか。
「俺に奇襲は通じませんよ。それは、言葉にしないでもわかっているでしょう」
 ルヴトーは闇に語りかける。言葉による脅しなど、敵には通じまい。
 ならば何が、奴らを躊躇させているのか――それは、重圧である。
 餓狼のような強烈なプレッシャーが、絶えずあらゆる距離に放たれていた。
 どう攻めたとしても出掛かりを潰される、そういう確信を抱かせるほどに。
 2秒先を視る目。
 あらゆる行動を許さぬ重圧。
 そして、ルヴトーの胆力。
 この3つをして、彼は歩く要塞とでも言うべき鉄壁を備えているのだ。
「それでも来るならどうぞ。もっとも、俺にはそれも視えていますが」
 静寂が続く――その時、出し抜けに四方から飛びかかる稲妻・火・冷気・岩のヴィジョン!
「視えたッ!」
 未来視が射撃位置、つまり龍神片が隠れているポイントを教える。
 その未来視通りに敵が身を晒した瞬間、まず二体をハンドガンで撃墜。
 氷と炎は飛び込み前転で躱し、懐に入り込んで立ち上がりながらの蹴り。
 背後からX字に切り裂かれる未来視。ルヴトーは勢いそのまま天井に跳んだ。
「背後に回ったのはお見事……ですが、これで終いです!」
 天井を足場に、天地逆転しての一撃が龍神片を襲う。
 ジャンプパンチでのされた龍神片は、倒れ込むと妖怪の姿に戻った。
「……ふう、さすがにしんどいな……」
 これほどの集中を続けるのは、ルヴトーをしても消耗が激しい。
 それでも彼は、闘うことをやめない。これが、彼の「やりたいこと」だからだ。
 猟兵は忙しい――自ら戦いに身を投じるがゆえに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
……もっと他に良い方法が、なんて今言ったところで仕方ないわよね。
ええ、速攻で終わらせましょう。

これだけ迷宮化して入り組んでいるのは厄介だけど、でも逆に利用しやすいわ。UCで電子の蝶を創り出し幻を付け足しましょう。
例えば壁、扉、窓、その他遮蔽物。迷宮化している以上、多少不自然であっても見分けはつかない。
更に元々わたしの体躯なら物陰に隠れる事は容易いもの。そちらが全方位から襲いかかってくるのなら、こちらも幻に紛れ飛び回り、騎士人形達で全方位から仕掛ける!

狙うは一点、敵の骸魂。世界は滅ぼさせない。誰も殺させないし殺さない。
1人残らず救い出し、この戦争を終わらせる。そのために、わたしは来たのよ!!



●隠れ、隠れて
 もっと他に、いい方法があったのではないか。
 こんな危険な真似をしなくてもいい、最適な方法が。

 ……そんなifを思わず思い描いてしまうのは、フェルト・フィルファーデンの性分だろう。
 未来と希望という不安定で不確かなものを守ろうとする彼女だからこそ、
 現状に対してよりよき未来、ありえた可能性を模索せずにはいられない。
 夢見がち、覚悟が足りない――そんな風にわかったようなことはいくらでも言える。
 ただ、フェルトにとって一番嫌いな言葉は、「妥協」である。
 彼女の懊悩は、フェルトの優しさと気高さを示す証拠でもあるのだ。

 そんな迷いを振り捨てて、フェルトはこの妖怪団地へやってきた。
 彼女の作戦は、ユーベルコードによって地形を書き換えること。
 より正しく言えば、龍神片により複雑な地形の幻を見せてしまうのである。
「さあ、行きなさい。創られし幻の蝶、わたしの意のままに世界を書き換えるものたちよ……!」
 100体を超える蝶が、ひらひらと幻惑的な鱗粉を撒き散らして飛んでいく。
 壁、扉、窓、あるいは存在しない階段や存在しない通路。
 短い廊下を無限のように長く錯覚させ、あるいはその逆も。
 敵が複雑な地形を生かして襲いかかってくるなら、自分もそうすればいい。
 つまりは、化かしあいだ。彼らが元の妖怪のままなら負けていたかもしれない。
 だが、龍神片となってしまった彼らは、強さの代わりに妖怪らしさを失った。
 そこに、フェルトの活路がある。

 加えて彼女に味方したのは、フェアリー特有の身体の小ささだ。
 どんな物陰にでも隠れられる矮躯は、敵の目を盗むのに一役買った。
「世界は滅ぼさせない、誰も殺させないし殺さない。それが、わたしの誓いよ!」
 幻の壁から飛び出したフェルトが、騎士人形を巧みに操り敵を包囲する。
 龍神片は咄嗟に炎や氷といった、龍神由来の力で騎士を迎え撃とうとした。
 敵を囲んで不意打ちする団地闘法の使い手が、逆にホームで奇襲されるとは!
「わたしの騎士人形たちよ! ひとり残らず倒し、必ず救うのよ!」
 盾持つ騎士が氷や炎の飛礫を受け止め、弓騎士が敵を射抜いた。
 怯んだところで槍の騎士たちが陣形を組み、骸魂だけを狙って……貫く!
 オブリビオンとしての存在核を貫かれた龍神片は、がくりとその場に倒れ込む。
 するとあとに残されるのは、骸魂から解放された妖怪たちだ。
「あ……猟兵、さ、ん……」
 まだ正気を保っていたらしい妖怪が、うわ言めいてつぶやいた。
 フェルトは妖怪のもとに駆けつけて、ほっと安堵のため息をつく。
「わたしたちのために、ありがとう。そして、今は休んでいてちょうだい。
 あなたの仲間も、わたしたちが必ず救い出すわ。そして、この戦争を終らせる」
「……ありがとう、ございま、す……へへ」
 妖怪は気を失った。フェルトは微笑み、目と瞑り、眦を決して立ち上がる。
「そのために、わたしは来た。そのために、わたしは闘う。何度だって!
 さあ、行くわよわたしの騎士人形たち。骸魂という骸魂を、滅ぼすの!」
 胸を張り、威風堂々と、フェルトは征く。
 ただ優しいだけのお姫様ではない。彼女は、自ら救いに行く戦士なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)どっから来るンかわからねェと。九龍城塞跡みてェなとこだねィ。ああ、こっちのほうが清潔かな。いいさ、つまっとこ巨大な密室。空間がつながってるンならなんとでもならァな。
行動)《毒・病》で周囲を満たす。眷属どもにも運ばせよう。辺り一帯大気中、ウイルス細菌病原菌。どうしょうもねェ瘴気で満たす。こいつらは俺の一部、動けばわかる。生きモン相手にゃできねェ索敵方法だが、ここは密室で相手は妖怪。弱る程度ですまァな。俺に近づくほど濃度は高まる、口なんて開いたら動けなくなるぜ。さァさ眷属ども、追っ払っちまいな。妖怪に戻ったやつァ、さっさと遠くへ運ぶンだぜ。さすがにこの濃度をずっとはまずかろ。



●百の鬼、夜を行きて
 かつ、こつ、かつ、こつ。
 誰もいない長い長い団地の廊下を、ポケットに手を入れて歩く男、ひとり。
 猫のように背中を丸め、土気色の肌に浮かべるのは気味の悪い笑み。
 墓場から彷徨い出た亡者のような、この世ならぬ雰囲気をまとっている。
「どっから来るンかわからねェ、どことどこが繋がってるのかもわからねェ……。
 ひひ、こりゃあ傑作だ。ヒトの住処を真似ても、造りは幽世(ここ)らしい」
 ノスタルジィの具現たる、この幻想の郷の性質ゆえか。
 あるいは、妖怪たちが、住処だけでも故郷を懐かしもうとしたのか。
 朱酉・逢真は、おかしくてたまらないと言った様子で肩を揺らした。
「《いのち》が居なきゃあ存在できない、だから《いのち》に寄り添う。
 ……ってだけじゃアねェやな。妖怪てのは、まったく、かいらしいねェ」
 人も、人でなきものも、逢真にとっては同じだ。
 妖怪は死ぬ。忘れ去られたときに。ならば妖怪はどこへ逝く?
 消えてなくなる――否。人には人の、妖怪には妖怪の彼岸が在る。
 それもまた、逢真の媒するところ。彼は死そのものゆえに。

 ……ところで、ひとつ奇妙な点がある。
 ここは敵地で、敵意ある存在がわんさかひしめく魔境だ。
 いかな逢真と言えど、こんな風に呑気に散歩など出来る場所ではない。

 では何故、龍神片たちは彼を襲わないのか?
 ……それには少し語弊がある。正しくは、襲うことが出来ないのだ。
 なにせこのあたりに潜伏していた龍神片は、残らず死んでいる。
 その答えは、瘴気――より科学的に言えば、ウィルス・細菌・病原菌の類だ。
 逢真がもたらすものは死と病毒。つまりは彼自身がグラウンド・ゼロである。
 妖怪とて《いのち》はある。ならば、それを素としたオブリビオンも同様。
 近づけば死ぬ。近づかずとも、ここは密閉空間ゆえに逃れられぬ。
「さァさ、眷属ども。追っ払っちまいな。列をなして出迎えておやり」
 動けなくなった龍神片……いやさ、妖怪に戻った彼らを、眷属たちが運ぶ。
 逢真はそれを一瞥して、呑気にかつこつと歩く。ただ、それだけだ。
 在るだけで死を振りまく。彼は――"あれ"は、そういうモノである。
 百の鬼が夜を行くように、逢真はあるがまま歩き続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
カクリヨなら地脈・竜脈の類いはありそうだし、
建物は多く、空間音は響いてる
ソナーに、魔力、その他センサーでの周辺探査、警戒を厳にしていこう
(情報収集、偵察、聞き耳)

相手に好きに動かれると厄介だ
団地の狭い通路などを利用して、攻めに転じよう

『セブンカラーズ』に『ライブラリデッキ』製の
清めの弾丸を装填、周辺空間に浮遊弾幕を張る

不用意に近づけば、弾がキミの邪の力を検知して襲いかかる
当れば動きも鈍くなるハズ
(地形の利用、弾幕、浄化、マヒ攻撃、遊撃)

【召喚詠唱・楽園の守護者たち】出番だよ!
龍神片より小型のキミ達なら、弾幕の中も身軽に動けるからね
やっちゃって!

今を生きる妖怪達の明日の為に、その覚悟に報いるよ


ロク・ザイオン
上も下もない迷宮なら
上も下も、おれが作ろう

ここは今から、森番の守る森だ
────だれの許しで此処にいる!!!

(「響徊」
梢を天に、根を地に、
【大声】が届く範囲全てを深い森に変える
ただでさえ入り組んだ団地が土壌なら
其処に迷うのは導き無きお前たちだ
敵の攻撃が森を塗り替えるのなら見つけるのも容易い
攻撃は【地形利用】し回避しながら【追跡】、【早業】で仕留めていこう
こういう場所が得意な者が他にいれば、手伝うのも構わない)



●導きなきもの
 迷宮に上も下もなく、
 ゆえに上も下も龍のもの。
 ――ならば、上と下をその御業にて創ればよい。
「ここは今から、森盤(おれ)の守る森(ばしょ)だ」
 はじめにロク・ザイオンは言った――森よあれ、と。
 すると木々が生え、根を張り、梢を伸ばし、やがて上と下を迷宮に作り出す。
「――だれの許しで此処にいる!!!」
 咆哮。轟く音の波が種子であり、滋養であり、恵みである。
 めきめきと床を割って木々が萌え出る。かくしてここは森となった。
「うわ、すごい……! さすがカクリヨ、竜脈が反応したみたいだね」
 と、そこへ迷い込んだのは龍神片――ではなく、リア・ファルであった。
「リアか」
「ボク、許しは得てないけど……導いてもらえるのかな? ロクさん」
 などとリアが冗談めかすと、ロクはふっと笑みを浮かべた。
「当然だ。おれとともに征こう。手伝うよ」
「うん、喜んで! 周辺探査なら任せて、ロクさん!」
 かくして少女は、深い森と化した迷宮に頼れる導き手を得た。
 ここは森。番人の許しと導きなくば、彷徨うことさえ出来ぬ場所である。

 神なき深森を、神の欠片に穢されたものどもが涜そうとする。
 雷、氷、炎、毒――龍神の残滓を使って、深森を書き換えようというのだ。
 なるほど、神の残滓たる力を使えば、森を灼くことなど容易かろう。
 森とはそれ自体が恵みであり、求めるものあらば分け隔てなく与える。
 受け止め、与え、そしていつかは消え去るもの――それが、森だ。
 書き換えそのものは容易い。だが、それを森番が悟らぬはずはないのである。
「あっちだ。敵がいる。おれの森を、切り拓こうとしているのがわかる」
 ロクは言った。彼女には、この深森を侵す愚か者の動きがすべてわかるのだ。
「了解。不意打ちがあるかもしれないから、周囲はボクが見張ってるよ」
「頼んだ」
 ロクは身を深く沈め、驚くべき速度で木々のあわいを駆け抜けた。
 まさに獣の身のこなしだ。イルダーナなきリアでは、とても追いつけない。
(となると、敵はボクのほうを狙ってくるかな。あるいは――)
 どちらであれ、張り巡らされたリアのセンサーは敵を見逃さない。
 そして早速、彼女らを取り囲むように複数の敵反応が近づきつつあった。

「――来たな」
 木々を跳ぶように駆けるロクも、同様に敵の存在を察知していた。
 草を踏みしめる音、梢が風に揺れる音、森にあらざるもののにおい。
 すべてが雄弁に彼女に語りかける。赤子の手をひねるより、というやつだ。
「来い。導きなきお前たちが、森でおれを仕留められるというならば!」
 斜め上から飛来する炎の弾丸――ロクは刃を抜いて逆手で振り抜いた。
 神速の斬撃によって真っ二つになった炎は、木々を燃やすことなく霧消する。
 同時にロクの背後、回り込んだ龍神片が両手を氷の槍と化し、突き出す!
「ロクさん!」
 そこをリアがカバーした。セブンカラーズの弾丸が氷の槍を砕く。
 ロクは目の前の木を足場として利用し、ムーンサルトめいて木肌を蹴った。
 そしてぐるりと縦に270度回転、敵の背後を取り――一閃。
「リア、助かった。この調子で頼む」
 倒れた敵を目視したロクは風のごとくに駆け、炎の弾丸を放った敵に肉薄。
 敵は炎の弾丸を牽制に使い距離を取ろうとする。しかしそうはいかぬ。
「おいで、みんな。ボクに力を貸して!」
 リアの召喚した幻獣型機械兵器たちが、ロクに続いて疾走する。
 それらは散開して敵を囲み、あるいは余計な手出しをさせぬよう威嚇した。
 つまり、ロクを長(アルファ)とした群れの狩りである。
「リアの守護者たちは、利口だな。やりやすい」
 ロクはふっと笑い、最後の一歩を2倍の加速で踏み込んだ。
 突然加速したロクの接近に、龍神片は対処できず――首を刈られる。
「行け。とどめはおれがやる」
 ロクの言葉に従い、幻獣型兵器たちが木々を飛び渡りながら敵を追った。
 ロクは背後を一瞥する。リアが弾幕を張り、敵を牽制して止めてくれていた。
「ここは、お前たちの場所じゃない、いまは、おれの場所だ。退け!」
 咆哮が敵を射竦める。リアの魔弾で身動きが鈍った敵に、刃の洗礼。
「さっすが、得意なフィールドだけあって縦横無尽だね!」
「リアやリアの守護者がいてくれるおかげだ。助かる」
 ロクはふにゃりと笑い、そしてまた狩人の目に戻った。
「新手が近づいている。やるぞ、リア」
「了解! 一網打尽にしてあげよう!」
 狩人たちが森を征く。ここは敵地ではない――彼女らの、狩場だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】
妖怪の世界もなんだか大変になっていました。
見えない相手というのも不思議なお話ですが、考えるのは後にしましょう。
今はやることを、お相手のことを考えないと。

今回は相手の場での戦い。真正面からあたるのは得策ではないでしょう。
受け手より攻め手が有利になる場所ですし先ずは場を整えますね。

上下左右であるなら2人で視界の対応を。飛威、構えて。
カバーしあって迷路を進みつつ……というのは建前。
鏡鳴符を設置しておいて攻撃を待ちましょう。

攻撃を仕掛けられたなら驚いた演技も考えないといけませんね。
事情が事情ですが相手方も本気の様子。こちらも相応に応対しないと。



●妖怪団地で会いましょう
 飛威と神元・眞白がそれぞれ2方向ずつをカバーし、攻撃に備える。
 真正面から当たるのは愚の骨頂……となれば敵の奇襲を待つほかない。
「飛威、構えて。いつどこから攻撃が来たとしてもおかしくないから」
 眞白はそう言うが、すべての方向を完全にカバーするのは土台無理な話。
 龍神片から見ればどこかしらに穴があるだろう。このままでは危険だ。

 ……しかし、そこまでが眞白の策である。
 彼女はすでに、迷宮を移動しながら「あるもの」を設置していた。
 はたして龍神片がそれに気づくか……あとは博打である。

 と、その時!
「! 飛威!」
 側面に出現した2体の龍神片が、左右から同時に眞白に襲いかかった。
 眞白と飛威は背中合わせの状態でぐるりと90度回転し、相手を正面に捉える。
 そして迎撃しようとする……のだが、襲撃は二段構え……!
「新手……」
 然り。本命は、本来彼女らが正面に捉えていたはずのさらなる敵だった。
 左右の敵に対処したことで、本命の龍神片の攻撃を避けることが出来ない。
 龍神の力宿した氷の矢が、ふたりを貫いた――かに、見えた。

「どうやら、驚いた演技はうまくいったみたいですね」
 眞白の策は功を奏した。
 設置していた「あるもの」……つまり、『鏡鳴符』が発動したのだ。
 鋭利な氷の矢はベクトルをそのままに反転し、龍神片を貫いた!
「「!?」」
「飛威。こちらも片付けて」
 飛びかかろうとしていた左右の敵も、飛威の攻撃で頭を貫かれる。
 相手が本気ならば、相応の策を以て挑む。眞白とて、ただの人形ではないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・多摘
立体的な空間で格闘戦を得意な相手に通用するかは分からぬが…倒さねば救えぬのなら意地でも倒す。
覚悟、信頼には報いねばならぬからの。
…そして邪神の気配も見過ごすわけにはいかぬでな。

空中浮遊と空中機動で飛行するように移動。
祟り縄を我の周囲を軽く巻くように伸ばし奇襲への咄嗟の対応、捕縛に用いる。
遠距離に敵が見える場合は氷属性のブレスで動きを牽制。
同時に結界神珠でオーラを元に結界を我の周囲に展開。
真下方向に叩き落してからUCのブレスを味方を巻き込むよう吹き付けて荊でその動きを拘束。
骸魂が飛び出したら救助を、その時他の個体に奇襲仕掛けられないよう警戒は継続。
よく頑張った、と言葉を。

※アドリブ絡み等お任せ



●悔いと心残りばかりとて
 もっとうまくやれたはずだ、という思いは、きっと永遠に消えない。
 皮肉なことに、人を超越した神でさえ……竜神ですら、後悔からは逃れられぬ。
 民を守りきれなかった水鏡・多摘の心中たるや、如何程のものか。
「……感じるぞ、邪神の気配を」
 オブリビオンとして穢されてしまった龍神片を、多摘はぎろりと睨んだ。
 常日頃から温和で冷静な智龍たる多摘も、邪神を前にしては苛烈な荒魂と化す。
「我が身は凋落して久しく、ここに在るは往時の残り滓、いわば悪霊の龍よ。
 さりとて、その気配を逃すわけにはいかぬ。覚悟と信頼に報いるためにも」
 じりじりと、龍神片が近づく。
 邪神の気配は怒りを誘い、散った同胞の気配が悲しみを誘った。
(ままならぬものよ――今解き放とう、我らの同胞、そして子らよ!)
 多摘はカッと目を見開き、飛翔すると同時に祟り縄を周囲に展開した。
 飛びかかった龍神片は縄に妨げられ、噛みつこうとした邪神の頭ががちがちと忌々しげに牙を鳴らす。
「暴れるな。一層に苦痛が長引くぞ――かぁあっ!!」
 多摘は満ちる力を口蓋に集め、凍てつく氷のブレスを放った。
 大気を凍りつかせるほどの極低温の元素が、異形化した頭部を固定した。
 さらに龍のオーラは膨れ上がり、結界と化した龍気が敵の逃走を防ぐ。
 となれば、逃れる手段はひとつ――術者である多摘を倒すことだけだ。
 空中に浮遊する多摘に、四方から飛びかかる龍神片の群れ!
「言ったはずだ。暴れるな、とな」
 するとその身を覆っていた霜が、無数の黒き荊に变化した。
 黒き戒めはぐさりと龍神片の総身を貫き、二度と抜けない杭となる。
「これで終いよ。滅びよ、骸魂よ!!」
 多摘はさらに息を吸い……とどめの息吹を、全力で解き放った!

 氷の息吹が悪性を洗い清め、気絶した妖怪たちがふわりと飛び出した。
 多摘は優しく彼らを受け止め、無事を確認し頷く。
「よく頑張った。あとのことは我らに任せよ」
「あ、ありがとう……ござい、ます、龍神さま……」
 妖怪たちは安らかな顔で眠りにつく。もう、彼らが戦う必要はない。
「……報いねばな。必ずや勝利を、もぎ取るのだ」
 多摘は決意を新たにし、鋭い眼差しで闇を睨んだ。
 向こうに回すは仇敵たる邪神の残滓。相手にとって、不足なし!

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
赤ずきんさん/f17810

素直に道を使って進みます。
接敵したら【夜雲】で回避行動に専念。
二段ジャンプで裏を取る。囲まれたら手すりの向こうへ逃げる。
他の階へ向かってもいいですね。百歩と少しまでならどこまでも行き来できます。

回避も得意なんですって?面倒なんで四肢から潰させてもらいます。
いえ、やるのはオレではなく。
ずっとすぐそこにいましたよ。

じゃ、赤ずきんさん。よろしくお願いします。

タイミングを合わせて挟撃。
二人とも逃げる手段はありますから、ヒットアンドアウェイを繰り返して一匹ずつ削る方針でいきましょう。

…UDCアースの存続まで懸かってるんなら放っとくワケにも行かないでしょ。


レイニィ・レッド
坊ちゃん/f14904

坊ちゃんが正面から行ってくれるそうなので
自分はこそこそ行かせて貰いましょ

『赤い雨の孤影』
身体を雨に変え
パイプ管や雨どいを移動
気配を殺して坊ちゃんにお供します

坊ちゃんが交戦してもギリギリまで潜伏
敵の注意が坊ちゃんに集中したところで奇襲
鋏を捻じ込み四肢を潰してやります
そうですね
体勢崩せれば楽ですし脚でも頂きましょ

目の前の獲物に夢中になるのは三流じゃねェです?
さて反撃されても面倒です
坊ちゃんとタイミングを合わせて挟撃
手数にモノを言わせて一気に畳みましょ

……、そうですね
あの世界を壊される訳にはいきませんので



●守る理由
 世界を守る……なんて御大層な理由は、彼らには似合わない。
 矢来・夕立もレイニィ・レッドも、多分に自己中心的な人間である。
 大義。責務。献身。名誉――どれも無縁の言葉だ。
 一部の猟兵は妖怪たちの覚悟と決意に報いようと燃えているが、関係はない。
 彼らが戦う理由は、もっとシンプルで、青臭いものだ。

 ばちゃばちゃと、血のように赤い雨が降っている。
 団地の中に、雨だ。だが、その中を歩く夕立は水滴ひとつ濡れていない。
 身を隠して不意打ちすることを得意とする夕立にしては珍しく、徒歩である。
「……来ましたか」
 気配があった。長い長い通路、前後を2体の龍神片に塞がれている。
 だが夕立は、それ以外の隠れ潜む敵の気配を察知していた。ざっと4体以上。
「ここまで素直に来ておいてなんですが、相手をするつもりはありませんので」
 夕立は手すりの向こうへ身体を放り出した。
 そして、空中を蹴る。一歩、二歩、三歩。
 妖怪団地の内部は一種の特殊空間かなにかと化しているようで、
 中庭を外へ外へ飛んでも先は見えない。それどころか団地に戻る始末である。
 そのあとに、龍神片が続く。必然、追いかけっこの形になった。
(横軸の移動は分が悪いか)
 夕立は淡々と考え、跳躍を横ではなく縦に切り替え、別の階に着地した。
 気配はついてくる。団地闘法、なるほど言うだけのことはあるか。

 だが逃げ続ける夕立を追うために、隠れていた敵も姿を現さざるを得ない。
 上に、下に、左に、右に、時には無人の室内に飛び込んで窓から向こう側へ。
 中庭を飛び越えて別の団地に着地し、駆け抜ける。徐々に気配が近づく。
 ――追い詰められている。いや、誘い込むというべきだろうか?
 やがて、夕立は階段の踊り場に釘付けにされた。
 上下左右にあべこべに階段が繋がっているが、逃げることはもう出来ない。
 四方と上下を、龍神片が囲んでいるからである。

「よくついてこれましたね。まあホームグラウンドだから当然なんでしょうが」
 ぴちょん、ぴちょんと、赤錆の浮かんだパイプから赤い水が滴り落ちる。
 じりじりと龍神片が間合いを詰める。夕立は苦無を――取り出さない。
「ところであなたたち、回避も得意なんだそうで」
 龍神片は無言である。
「面倒なんで、四肢から潰させてもらいます」
 ぴたりと、龍神片がにじり寄るのをやめた。なんらかの攻撃を警戒している。

 一拍の間。

「オレじゃないですよ」
 瞬間、パイプから濁流のような勢いで赤い水が溢れた。
 龍神片は咄嗟に飛び退いて逃れる……が、それはただの水である。
「自分はこっちですよ」
 背後。室内であるにも関わらず降り続けていた雨から声がした。
 じょじんと音がして、肩から腕が脱落する。
「まず2本」
 レイニィがそこにいた。

 邪神化した足が、レイニィの頭を噛み砕こうとした。
 レイニィは雨に変じ、降り注ぐ別の雨粒に「渡る」ことで攻撃を回避。
 軸足をじょきんと刈る。龍神片が倒れ込む。
「3本」
 倒れ込んだ龍神片の頭に、苦無が跳んだ。突き刺さり、龍神片は痙攣する。
 そしてぐったりと倒れ込むと、骸魂が靄めいて消え、あとには気絶した妖怪が残るというわけだ。
「ひとりですね」
 夕立は言い、跳躍。そこへハンマーじみた踵落としが遅れて突き刺さった。
「挟みましょう。一体ずつ潰す方向で」
「坊ちゃんに従いやしょ」
 夕立が敵をひきつけ、レイニィが雨に紛れて足を刈る。
 よく練られたコンビネーションだ。ふたりの狙いも的確である。
 これといって被弾することもなく、6体の龍神片は無力化された。

「しかし坊ちゃん。今回は特に金の払いがあるわけでもないでしょうに、何故?」
 ふと、レイニィが問うた。
「報酬はもちろん請求します。が、まあ理由はもうひとつ」
 夕立が答えた。
「――UDCアースの存続までかかってるんなら、ほっとくワケにもいかない」
「…………」
 世界そのものに思い入れがあるわけではない。ただ、理由があるなら。
「そうですね」
 レイニィはうなずいた。
「あの世界を壊されるわけには、いきませんので」
 楽園には程遠い世界だ。だが。

 思い出だけは、今もあそこに遺っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネロ・バロック
【nostalgia】
妖怪達が身を挺して世界を救うことを選んだってんなら
それに応えるのが俺たち猟兵だぜ!

ラヴィニアが作ってくれた足場を伝って襲い来る竜神片を迎え撃つ
初めて一緒に依頼に行く櫻宵とは剣術勝負としながら
背中合わせで戦ってみっか
ソラと戦うのも久しぶりだ、嬉しいぜ
頼もしい勇者の戦斧を見ていると心が躍るってもんだ
それにメノンの魔法援護も受ければ突破できない障害はねェ

特殊な戦場、全方向に注意を払う
見切りと暗視で敵の気配を感じながら
残像からの二段攻撃で捌いていく
仲間がピンチなら移動して助ける
ラヴィニアの罠に誘い込むのもいいな

UCの鏖殺斬りは多少不慣れな戦場でも関係ねェぜ!
纏めて相手してやるぜ!


メノン・メルヴォルド
【nostalgia】
ん、皆と一緒なら頑張れるのよ
2つの世界、守らなくちゃ、なの

攻守はお任せしてワタシも支援に回るね

ラヴィニアちゃんが張る鎖や、ソラちゃんの動きの邪魔をしないように
《高速詠唱》《全力魔法》で氷の鍾乳石群を発動させる
エレメンタル・ファンタジアは制御が難しいけれど…大丈夫、集中して
属性達はワタシの味方だから…指に嵌めたリングに触れて

敵を罠に追い込むように
ネロくんと櫻宵さんの元へ誘導させるのよ
2人の視界に入れば、もう終わりだもの

フォローは任せてね
皆に置いていかれないよう懸命に着いて行く

近付く敵には氷の氷柱で牽制しつつ攻撃
もしラヴィニアちゃんが走り寄ってきたら、きゅんとしつつも守るのよ


ラヴィニア・アートレイト
【nostalgia】アレンジ可。
ん。難しい事、判らない。けど頑張るみんなの為に頑張る
奇襲に備えすんすん匂いを嗅いで嗅覚、【暗視】【視覚】で猟犬…猟ねこする

戦闘時は自分の出せる限りの鎖剣を出し戦場に張り巡らせ立体機動の補助。上方、下方への移動支援。
鎖を味方の足場にしたり、味方が掴んだ鎖を敵の方に投げつけたり。
鎖は私の血で出来てるから多少ちぎれても平気。すぐ鎖を再生。
敵が鎖を踏んだらUC【咎力封じ】。【罠使い】【捕縛】で鎖が変形して触れた部分を拘束する。
「ん、そこは罠。」

自身は【地形の利用】で【目立たない】様にし【闇に紛れる】
敵に見つかったら無理せずソラやメノンにとたたた、と走り寄る。


誘名・櫻宵
【nostalgia】

なんて自己犠牲、健気で美しくて泣けてくるわね
ええ、報いなければいけないわ
斯様な場所で立ち止まっている訳にはいかないの
そうでしょう?

うふふ
楽しみましょう!
皆と共に戦場に立つのは初めてだけれど、同じ秘密基地の仲間だもの

ラヴィニアの足場をかけるように飛びかけて
ネロの剣術と息を合わせ
桜化の神罰を宿した衝撃波をなぎ払い、全部桜にして喰らってあげる
流石。背中合わせなんて素敵だわ?
私の背中は任せたわ

桜吹雪の目眩し
次なる手に活かして頂戴
ソラの護りの頼もしきこと
メノンの魔法援護は華麗だわ
戦場で無ければ拍手を送っていた所

ぐるり周囲を見渡して、瞳に捉えればそれでいい

喰華

あなたは美味しいかしら?


ソラスティベル・グラスラン
【nostalgia】
わが身を顧みず、勝利への道となりわたしたちへと託すとは
まったくもう……実に見事な【勇気】です!

ネロさんと櫻宵さんが存分に範囲攻撃を行えるよう周囲を飛び護衛
【盾受け・オーラ防御】で身を挺して守りつつ、
大斧を振り回し敵を寄せ付けません【怪力・範囲攻撃】
ふふ、存分に暴れ咲いてください、お二方!

おっと、ラヴィニアさんの鎖がよいところに
わたしも足場に、曲芸の真似事でもしましょうか!

カクリヨの皆さんの想い……滾々と【勇気】が溢れます
託されたからには応えねば、わたしは勇者であるが故に!

共に戦う仲間たちにも無様は見せられません
わたしが守り、支えます!いざ勇猛に!【勇者理論(防御重視)】



●団地ング・オールナイト
 じゃらじゃらと音を立てて、ラヴィニア・アートレイトの鎖剣が飛び回った。
 目的は剣による攻撃ではなく、剣と接続された鎖で結界を作り出すことだ。
 張られた鎖は足場としては不安定だが、彼らにとって問題はない。
「ん。鎖は私の血で出来てるから、多少ちぎれても平気。だから、存分にやって」
 ラヴィニアが言った瞬間、龍神片が次々と物陰から飛び出した!
「待ったなしってわけかよ、んじゃあいっちょサーカス始めっかァ!!」
 ネロ・バロックは大剣を担いでジャンプし、龍神片を空中で叩きのめした。
 鋼のような拳と剣が打ち合い、両者は反発力で大きくふっとばされる。
 ネロは鎖の結界を利用して三角飛びし、別の敵の攻撃を回避しながら反撃を放つ。
「うふふ、楽しみましょう! 全力で戦ってこそ意味があるのだもの、これは」
 誘名・櫻宵が剣を振るうたび、桜吹雪とともに衝撃波が乱れ飛ぶ。
 もともと龍である櫻宵は、この手の空中戦は慣れたものだ。
 3体の敵を同時に相手取り、くるくると和装を翻しながら飛んでいた。
 打ち合うたびに火花と桜が散り、幽世の名にふさわしい幻惑的な景色を現出する。
「敵がどんどん増えていますね……! わたしが抑えます!」
 次々に参戦する龍神片を、ソラスティベル・グラスランが大斧で威嚇した。
 敵のチームワークをうまく乱さなければ、各個撃破されるのがオチだ。
 彼女が囮となって注意を惹きつけることで、連携を乱すことが出来ている。
「ネロさん、櫻宵さん、今相手をしている敵にだけ注意していてください!
 余計な横槍はわたしがさせません。存分に暴れ咲いてくださいね、お二方!」
「おう、頼もしいぜソラ!」
「そう言われたら、派手に遊ばないとダメよねぇ?」
 鎖の結界を跳んだネロと櫻宵が交差し、バツ字の剣閃を虚空に刻んだ。
 ぶつかりあった剣戟が竜巻のように砕けて荒れ狂い、龍神片の動きを妨げる。
 ラヴィニアの血で編まれた鎖とてその風圧に耐えきれず砕け散るが、
 本人の言葉通りに新たな鎖が編まれ、敵を逃さぬ牢獄となって戦場を包んだ。

 すると当然、龍神片の中にも鎖の結界を破ろうとする輩が出てくる。
「ん。自分から触れてくれるなら、楽」
 鎖の結界が結界たる所以――それは敵が触れると自動反撃するということだ。
 チョップで断たれた鎖は、まるで食虫植物めいてぐにゃりと変形した。
 枷に変じたそれらが、龍神片の手足首を拘束する。咎力封じである。
 つまり、鎖を攻撃するのは愚策――となれば、次に狙われるのは本体だ。
「こっち、狙ってきてる。カバーお願い」
「お任せくださいとも!」
「ええ。フォローはワタシたちの仕事なのよ」
 敵の射線をソラスティベルの大斧が割って入り、カットする。
 そして彼女が前衛として大立ち回りをしている後ろに、冷気が凝結した。
 メノン・メルヴォルドのエレメンタル・ファンタジアだ。
 空気中の水分が凝り固まり、鋭い氷柱が5本10本と生まれていく。
「属性たちはワタシの味方……集中すれば、制御できる……」
 メノンは己の言い聞かせ、指に嵌めたリングに触れて意識を集中させた。
 パキパキと凍りついた氷柱が、蟻地獄から逃れようとする獲物めいて震える。
 解放を待つ魔力は暴走寸前だ。制御を誤れば味方に被害が出るだろう。
「……ワタシも、みんなに置いていかれたりはしない……っ!!」
 ラヴィニアがひょいと安全圏に離脱した瞬間、メノンは氷柱を解放した。
「ソラちゃん、避けるのよ!」
「はいっ!!」
 ソラスティベルは抜群のタイミングでジャンプし、そのあとを氷柱が飛翔した。
 ミサイルめいた速度で飛んだ氷柱が、龍神片の五体を貫き、砕け散る!
「ナイスタイミングです、メノンさん!」
「ソラちゃんもお見事なの。この調子で、どんどん落としていくのよ」
「ええ! お二方が存分に暴れられるように。そして――」
 鎖の結界をフットワークめいて右に左にと飛びながら、ソラスティベルはぐっと大斧を握りしめた。
「我が身を顧みず、勝利への道となり、わたしたちへ運命を託した。
 妖怪さんたちの見事な勇気を、無駄にしないためにも。わたしは戦います!!」
 掲げた大斧が、ガガァン!! と雷鳴を轟かせた。
「勇者ソラスティベルはここにあり! わたしが皆を守り、支えます!!」
 勇猛果敢を絵に描いたかの如く、ソラスティベルは弾丸めいてまっすぐ直進!
「吼えよサンダラー!!」
 圧縮された雷の魔力が、大戦斧から解き放たれた。
 空中に突き刺さった氷柱を中継点に広がった雷が、敵を一網打尽に吹き飛ばす!


「あらあら、ソラも張り切ってるわね。仲間に無様は見せられないってことかしら」
「おいおい、ヨソ眺めてる場合かよ? 櫻宵も働かねぇと、俺が勝っちまうぜ!」
 ネロの野卑な言葉に、櫻宵はくすりと笑った。
「いつのまに勝負になってたのかしら?」
「さっきだよ! ……まさか、負けるのが怖いなんて言わないよな?」
 ふたりはお互いを見やって笑みを深めた――闘争者の笑みである。
「いいでしょう。受けて立つわ、ネロ!」
「違うぜ、俺が挑戦される側だ!」
 言いつつふたりは背中合わせに立ち、周囲を囲む龍神片の群れを睨んだ。
 敵は全方位。となれば、背中を守りつつ闘う方法は、ひとつきり!
「合わせろよ櫻宵!」
「遅れてたら抜いちゃうわよ?」
 つまり、お互いを意識しながら死角をカバーしあいつつ闘うということ。
 鎖を蹴って敵に挑み、あちらが攻めてくれば後退してまた背中合わせに。
 その状態でぐるぐると回転し、飛来する氷・炎・雷・石の飛礫を切り払う!
「仲間が舞台整えてくれてんだ、徹底的に暴れないとなァ!」
「龍神と邪神の残滓、なかなかの味ね? もっと愉しませてほしいわ!」
 斬る斬る斬る斬る斬る! ふたりを中心に、斬撃の嵐が吹き荒ぶ!
「ん。楽しそう」
「ふたりの視界に入れば、もう終わりなのよ。ワタシたちはサポートするだけ」
「ん。難しいことはわかんないけど、みんなのために私も頑張る」
 メノンはラヴィニアの健気な言葉に、きゅんと胸を高鳴らせる。
「っとと……さあ、次行くのよ! 全員蹴散らしちゃおう!」
 新たな氷柱を生み出し、放つ! 氷と雷と剣と鎖が乱れ飛ぶ此処はまさに死地!
 5人の仲間たちは、無数の敵を相手にひたすらに戦う。
 妖怪団地の龍神片の最後の一体が倒れるまで、彼らの勇猛なる大立ち回りは続いた。
 数十、ともすれば百を超える強敵を相手に、彼らはほぼ無傷で勝ち抜いたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月05日


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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト