スプラッシュフィーバー
「へえ、ここにお宝があるってのかい?」
岬の高みより海水の流れ込む洞窟の入り口を見下ろして、緋色のメリーことメリー・バーミリオンは風にマントをなびかせる。
「野郎ども、準備はいいかい」
「おーっ!!」
わらわらと湧いた海賊船団員たちを引き連れ、メリーは洞窟に向かって滝のように流れ込む海流へと一気に飛び込んだ。
「邪魔な奴らが来る前に、できるだけ早くお宝を見つけてずらかるよ! 手柄は山分けだ、気合入れてついてきなっ!!」
「大変ですわ、あのレディ・オーシャンがグリモアベースの侵略を企んでいるみたいなのですわ!」
黒弗・シューニャ(零・f23640)は慌ただしく事件の説明を始めた。
「しかも、羅針盤戦争の時に見えたメリー・バーミリオンが行動を開始しておりますの。彼女は伝説の宝島に狙いをつけ、島の宝物を全部奪い取ってしまうつもりですわ。もしも、そのなかにグリモアベース侵略の手がかりになるアイテムが含まれているかもしれないと思っただけで……」
シューニャは祈るように手を組み合わせる。
幸い、宝が隠されていると思われる洞窟は多数の怪物たちに守られた地下迷宮であり、メリーと言えども簡単には攻略できまい。
「洞窟の入り口には岬の天辺から滝のように大量の海水が流れ込んでおりますの。この流れに乗って、洞窟の地下へ潜入してくださいませ。ヒトデ、ウミウシ、イソギンチャク……怪物たちはひとつひとつは小さくとも、数で押してきますわ」
どうやら、洞窟の入り口は幾つかの道に分かれているようだ。広く罠の少ない道は怪物との遭遇率が高く、逆に入り組んだ道は遭遇率が低い。
「事情を聞いた冒険商人の方が案内をしてくれますので、お好みのルートを選んでお進みくださいませ」
首尾よく宝物の近くまでたどり着ければ、あとはそれを目当てにやってくるであろうメリーを倒すだけだ。
いってらっしゃいませ、とシューニャは猟兵たちを送り出す。
グリードオーシャンの夜空には大きな月が輝き、洞窟へ流れ込む激しい海水の飛沫をきらきらと光らせていた。
ツヅキ
プレイング受付期間:公開時~4/26 23:59頃まで。
プレイングが届いたタイミングや内容によっては他の参加者と一緒に描写される場合があります。
プレイングボーナス(全章共通):冒険商人と協力する。
●第1章 冒険
ウォータースライダーのような滝を滑り落ちつつ、ヒトデやウミウシ、イソギンチャクら海の怪物を倒して洞窟内部へ潜入してください。
複雑な地下迷路となっている洞窟を攻略し、幹部に先んじて宝物が隠された場所に到達できれば成功です。
●第2章 ボス戦
第1章で幹部よりも先に宝物の隠し場所へたどり着いた場合、待ち伏せが可能です。逆に、幹部に先をこされてしまった場合は罠が仕掛けられているかもしれません。
第2章の受付は4/27 23:59頃までの予定です。雑記でも連絡しますのでご確認ください。
第1章 冒険
『闇の中へ』
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POW : 自ら闇の中へ飛び込む
SPD : 気配を消して進む
WIZ : 注意深く行動する
👑11
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アクィラ・オーラズ
【POW】
広くて罠の少ない道の方を行こうかね。
人狼咆哮とヒュドラアンカーで襲い来る怪物をなぎ倒しつつ
ゴール目掛けて行きたいところ。
人狼咆哮で味方をKOさせないように気はつけたいわね。
海水に濡れて色々透けるかもしれないけど気にはしないね。
「おらおら、邪魔するんじゃないよっ」
「へぇ、面白そうだねぇ」
アドリブOk
「――ふぅ、なかなか面白い道のりだったね」
濡れた髪をかき上げ、水分を絞るように絡めた指先に力を込める。アクィラ・オーラズ(斬り裂く灰色・f25482)がいるのは、海水が流れ込む洞窟の入り口近くにある岩場であった。
道中、蹴散らされたヒトデたちが足元に纏わりついてくるのを一瞥し――鋭い牙を見せて吠える。
「ふん」
アクィラは痺れてひっくり返ったそれらを跨ぎ、洞窟の奥を目指した。
「どちらに行きますか?」
「広くて罠の少ない道の方がいいね」
一緒についてきた冒険商人がたずねると、アクィラは胸を張って言った。そうすると濡れて透けたボディラインが強調されてしまう。慌てて背を向ける商人に首を傾げ、アンカーを指先で弄びながら繰り返す。
「広い方だよ。こいつを振り回しやすそうな、戦いやすい場所」
「は、はい。でもそっちは強そうな敵がいますが……」
「任せなよ」
立てた指を軽く振り、アクィラは商人より前を歩いた。
それほどいかないうちに濡れた体で這い回るような音が聞こえてくる。暗闇から何かが襲いかかった瞬間だった。
――空を裂いて迸るアンカーが怪物を貫き、壁に縫い止める。
「次っ!」
周囲を囲まれようとアクィラは怯むどころか猛々しく叫び、咆哮した。両耳を押さえた商人が思わずつぶやくほどに。
「す、すごい――そのまま、敵が出てきた方向へ進んでください。宝物があると思われるのは、その先です」
「わかったよ。おらおら、邪魔するんじゃないよっ」
どうやら、敵の怪物は海棲の爬虫類であるようだった。鋭い顎を閉じるようにアンカーでくくってしまえばこちらのもの、アクィラは迅速に戦場を制圧して宝物庫と思しき最深部へ到達する。
がらんと開けた空洞はまるで静寂を主と仰いでいるかのようだ。アクィラはここに宝が隠されて以降、まだ誰も足を踏み入れていない地に立っているのであった。
大成功
🔵🔵🔵
コトト・スターチス(サポート)
辻ヒーラーのコトトですっ
皆さんをいやせるようにがんばります!
ぼくは回復や情報収集などのサポートで動こうかなとおもいます
ケガしている方やピンチな方(特に一般人)がいれば『いやしのてのひら』で【救助活動】します!
辻ヒーラーとしてぜったいにまもって治します!
回復がいらなければ、まわりの状況をよく見て【情報収集】します
必要ならはドローンを使ったり『ことなまっ☆』で意見を求めますね
そうして分析してえられたデータをいかして、皆さんがばっちり動けるように支援したいです!
※ネタ・シリアスどちらもOKですが、迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません
ただしやむを得ない時には【ハッキング】を使用することがあります
プリシラ・マーセナス(サポート)
『記憶はなくても、物事の善し悪しはわかるよ』
『援護は任せて!君には当てないから!』
キマイラですが、記憶を喪失した状態でダークセイヴァーで暮らしています。
ユーベルコードはどれでも使いますが、移動手段として「黒虎」を、緊急の近接手段として「ガチキマイラ」を使い、基本的にはマスケット銃での中・遠距離戦を好みます。
依頼内容には拘らず、手当たり次第に選ぶ傾向があります。また、一人で戦うよりも前衛の隙を補う戦法を選びます。
相手の年齢、性別を問わず少年的に振舞います(素を出すと侮られると思っている為)。但し、咄嗟に女性的になる場合があります(驚いた時の叫び声など)
後はお任せ、よろしくお願いします!
「へぇー、ここが宝島のどうくつですか!」
滝の流れを軽やかに滑り終えたコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)は、着地と同時に辺りを見回した。
「けっこう古そうな地層ですね……宝物っていったいいつごろにかくされたんでしょうか」
「この調子だと、宝物の方もかなりの年代物な可能性が高そうだ。グリモアベース攻略の糸口になるかもしれない宝、か。そんなものが存在するとしたらメリーとやらに渡すわけにはいかないね」
愛銃に弾を込め、プリシラ・マーセナス(迷い子猫(21)・f21808)は騎乗した黒虎を洞窟の奥に向けて進める。
「この道は?」
「少し狭い道ですね。罠があるかもしれないので、気を付けてください」
同行しているのは協力を申し出た冒険商人のひとりだ。
「あっ、ぼくいいもの持ってますよ!」
コトトの飛ばしたドローンが偵察を行い、同時接続している『視聴者のお兄ちゃん』に意見を求める。
「どうですか?」
小首を傾げて聞くと、瞬く間に集まる複数のアドバイス。
『目の前の地面を踏むと上から鉄球が落ちてくる』とか『水攻めだ、脇道へ逸れて』とか、コトトは彼らのアドバイスを手掛かりにしてすいすいと罠を躱して進んだ。
一方、プリシラは商人を隊列の中ほどに庇う形で殿を務めることにする。
「よし、罠の方はあの子に任せて大丈夫そうだね」
「というと――?」
「僕はこちらのお相手をしよう」
いつの間にか、足元を浸す海水をたどったウミウシたちがすぐ足元にまで迫っていた。
甲高い銃声が響く度、海洋生物の群れが爆ぜる。
プリシラは後ろ向きに距離を取りながら、確実にそれらを追い払った。宝物の在処へたどり着いたはよいものの、背後から襲われるなんて事態は御免である。
「見えてきました、洞窟の最深部です。足元が階段になっているので、気を付けてください」
「ここが、ほうもつこ――?」
コトトのドローンが撮影したのは、宝物を守る冷たく固い鉄の門。これだけ厳重に保管するほどのものがここにあるというのだろうか。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
忌々しい海神め…しぶとい奴…!
海神の目論見を潰す為にも海賊退治と行こうか…
私は処刑人…!
罠の少ない道を選ぼう
【ブレイズフレイム】で地獄の炎を灯して
視界を確保し[暗視と視力]で警戒し進んでゆこう
怪物に遭遇したら[挑発し自身におびき寄せ]
冒険商人を怪物の攻撃から[かばおう]
鉄塊剣を振るい[範囲攻撃でなぎ払い]
細剣抜き振るい[串刺し貫通攻撃]
地獄の炎撒き散らし[属性攻撃で焼却]
怪物共を蹴散らし冒険商人を守護しつつ
闇の奥へと進んでゆこう…!
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
ライドサーペントの蒼雷に騎乗して進む
広い道を進みます、冒険商人の皆さんは案内をお願いします
さあ、蒼雷。久々に暴れてやろう
SPDで判定
冒険商人には敬語で話す
蒼雷に乗り【水中機動】【高速泳法】で進みつつ商人を護衛する【心配り】
【視力】【暗視】【聞き耳】で【索敵】【情報収集】し、銀腕を【武器改造】で剣の形状にして【怪力】【鎧無視攻撃】【範囲攻撃】を使って敵を攻撃【水中戦】
攻撃されても大丈夫なように風の【結界術】を商人の周囲に展開させ、いざという時に【かばう】事が出来るよう【覚悟】しておく
必要なら【救助活動】を行う
――処刑人がやってくる。
漆黒と紅を纏いし、焔の魔女。荒々しく大地を踏み鳴らす蹄音のように靴を打ち鳴らして、昏き瞳を洞窟の奥へと投げかけた。
「ここが、奴の狙う宝の在処か」
「ええ、どの道をご所望ですか?」
道案内の冒険商人に仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は告げる。
「罠の少ない道を」
「俺も、広い道の方がいいですね」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)を背に乗せた蒼雷は濡れた鱗から水滴を弾くために身を震わせた。
ここまでの道中、蒼雷は活躍し通しであった。なにしろ小型海竜だから、敵に追いつかれる暇もなく滝の流れに乗って洞窟に至るのはまさに適役。
「わかりました、こちらです」
先頭を行くアンナが松明代わりに灯した獄炎が洞窟内を明るく照らした。すぐさま、短く声を発する。
「そこにいるな」
「え?」
呆気にとられる冒険商人を背後に庇い、アンナは外套を翻して自分から前に進み出る。
「怖じるな、来い!」
突如として巨大な影が躍りかかった。
まるで闘牛士のようにアンナは半身で躱し、手に持つ鉄塊剣で薙ぎ払う。そこへ、水中から躍り出た騎上のルイスが背後より剣と化した銀腕で真っ二つに斬り裂いた。
「もう一匹います。下がって」
「は、はい」
ルイスは商人を庇うように岩場の影へと誘導し、自らは聞き耳を立てて敵の居場所を探り出す。
辺りは水場。
全神経を集中させながら風の呪文を詠唱し、商人が身を隠した岩場を結界で丁寧に包み込む。
「地上にはいないか」
厳しい目を向けるアンナにルイスが頷いた。
「そのようです」
アンナは低く笑い、腰の細剣を抜き払う。
「地上でなければ、答えはひとつしかあるまいな……!」
「――水中、ですね」
音もなく水に潜らせた蒼雷に逃げる敵を追い込ませ、ルイスは容赦なく銀腕の刃を見舞った。
手傷を負った巨大な爬虫類型の怪物が血を吹き出しながら飛び上がる。水飛沫を上げ、死なばもろともとばかりに獰猛な顎を開いて獲物を嚙み砕かんと試みる、が――。
「お前に構っている暇などない。ワタシには、忌々しい海神の目論見を潰すという使命があるんだ……!」
その喉元へとアンナが突き刺した細剣を伝い、地獄の炎が舐めるように怪物の全身を包み込んだ。
「さあ、いまのうちに先へ進もう」
「ええ。こちらです――!」
一行が進む闇の奥に広い空間がひらける。
「あそこですか?」
ルイスの問いかけに商人が頷いた。
「そうです。古の宝が眠るという宝物庫です」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
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POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
👑11
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「こいつはどうしたことだ? アタシより先にお宝を見つけたやつらがいるみたいじゃないか」
当然、自分が一番乗りだと思っていたメリーは待ち伏せされていたことを知って純粋に驚いた。
まさか、この緋色のメリーを出し抜くやつがいたなんて! 船員たちも動揺して洞窟内を右往左往している。
「ど、どうしやすか船長? あいつら倒さないとお宝までたどり着けませんぜ!」
「くっそぉ~、がっぽりお宝持って帰れると思ってたのによぉ~」
「――ええい、黙りな!」
一喝して彼らを鎮めると、メリーは抜き身の剣で自分の手のひらを叩きながらこんなことを言い出した。
「黙ってそこをどく……わけがねえよなあ? よし、わかった。野郎ども、アタシがこいつらの相手してる間に、そこの壁掘って宝物庫までの道を作っちまいな!」
「合点承知の助よ!」
どうやら、メリーは手下が宝物庫に侵入を果たして宝を奪うまでの時間稼ぎをするつもりらしい。船員たちは手に手にツルハシやハンマーを持ち、扉の脇の壁を抉って穴を開け始めたではないか。
「はははっ、アタシは狙ったお宝は絶対に逃しやしないのさ! 緋色のメリーの名は伊達じゃないってこと、思い知らせてやるよっ!!」
彼らを背後に庇うように仁王立ちしたメリーは剣を構え、高らかに告げるのだった。
コトト・スターチス
あっ、ボスっぽい人を見つけました!
早く倒さないといろいろたいへんそうなので、はじめから全力です!
『ねこへんしん』して、真の姿の聖天使猫モードになりますにゃー!
(猫耳尻尾と天使の翼が生える)
商人さんに攻撃が行かないよう、前に出て囮になりますにゃ!
津波が来たら【瞬間思考力】で、フロアの構造と津波の高さやスピードを一瞬で【情報収集】!
安全なルートを【見切り】、最大速度で飛行して攻撃を避けたいですっ
そしてその勢いのままボス船長さんに突撃しますにゃっ!
メイスでぽかりと【吹き飛ばし】て、つよつよな【気絶攻撃】をお見舞いしたいです!
「これが、電子の精霊と辻ヒーラーを組み合わせた全く新しい攻撃ですにゃーっ!」
アクィラ・オーラズ
【POW】
ま、頭をつぶせば烏合の衆だろうから、ボスが相手してくれるなら
楽だね。
召喚された船員はまたヒュドラアンカーでまとめて薙ぎ払う。
ボスにはまず一撃必殺で持ってる剣を壊してから
2回攻撃を駆使して畳みかけるよ。
「アンタがこいつらの頭かい、相手してもらおうじゃないか」
「コイツで終わりっ!」
アドリブOK
「――緋色のメリーの名は伊達じゃないってこと、思い知らせてやるよっ!!」
気合の入った前口上と共に、メリーの一太刀が大津波を巻き起こす。だが、波濤はコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)を捉えることなく岩壁に砕け、不発。
「なにっ!?」
「手加減なしでいきますにゃ!」
ぴここっとコトトの猫耳が前後に動いた。純白の双翼を背に負いし、真なる聖天使猫モードが解禁されたのだ。
「こいつ!」
「うにゅっ!」
コトトはまたしてもメリーの津波を躱し、軽やかに空を飛翔する。
「読み切っているんだ」
商人はごくりと喉を鳴らし、誰に言うともなしにつぶやいた。その間にも、下から突き上げるように噴出する白波を急旋回で躱したコトトの速度は最大値に到達。
「そう簡単にっ!」
アクィラ・オーラズ(斬り裂く灰色・f25482)が動いたのは、メリーが再び剣を振り上げた時であった。
「もらったよっ!」
「な――!?」
一撃必殺の名に相応しき、剛拳。
自らの剣がアクィラの拳撃によって破壊されたことを知ったメリーの口から驚愕の声が漏れた。
「う、ウソだろ? アタシのサーベルが――!」
「アンタがこいつらの頭かい、相手してもらおうじゃないか」
「あ、くっ!」
――遅い。
アクィラは一瞬にして懐に潜り込み、その鳩尾へと二重に拳を叩き込む。
「船長っ!!」
「おっと、邪魔しないでおくれよ」
ひゅんっと舞わせたアンカーがメリーを助けようと馳せた船員たちをまとめて薙ぎ払い、次々と悲鳴を上げさせた。
「頭を守ろうとするその気概だけは見上げたもんさ。だが、相手が悪かったね」
「く、くそおおっ!!」
破れかぶれで突っ込む船員を、コトトはひらりと避けて一直線にメリーを目指す。
「これが、電子の精霊と辻ヒーラーを組み合わせた全く新しい攻撃ですにゃーっ!」
「く……――ッ」
コトトのメイスがぶち当たった瞬間、聖光がまばゆく輝いた。力が湧き上がる。アクィラは拳を強く握り締めて腰を溜め――、
「うああっ!」
「コイツで終わりっ!」
背中から後ろの壁に叩きつけられたメリーの脳裏で星が回る。その隙を逃さず、アクィラは己の持ち得る渾身の力で敵の横っ面を殴りつけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)
ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。
「これはこれは、大激戦ですね」
「あ、はい。そうですね」
ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)と冒険商人は肩を並べて岩陰に隠れ、目の前で繰り広げられる大激戦を眺めている。
「あれに当たったら痛そうですね」
と、ティモシーは船員の持っているツルハシに注目。
「でしょうね……」
商人は神妙にうなずいた。
「でも、いまなら彼らは穴掘りに夢中です。うまくすれば、怪我をすることなく倒せるかもしれませんよ」
「それはいいですね。ええと、火と水と風とどの魔法にしようかな……わっ、とっと!」
「あそこに仲間がいるぞ、やっちまえ!」
ああもうポンコツ!
選んでいたタロットカードがばらばらと地面に落ち、その音で敵に居場所を気づかれてしまった。当然、敵は先手必勝で突っ込んでくるわけで――。
「て、敵がこっちに向かってきます!」
「大丈夫ですよ。占いの結果はタワーですから、きっと足場でも崩れて……」
「ぎゃーっ!?」
「あれ?」
突如、現れたのは近くに棲息していたと思しき爬虫類型の怪物であった。追い回される船員と、「またやっちゃった」とばかりに頭をかくティモシー。
「まだまだ精進が必要みたいですねえ……」
成功
🔵🔵🔴
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
緋色のメリーめ…何も言うまい…
貴様等を討ち滅ぼす…ただそれだけだ…!
我が名はアンナ!処刑人が娘也!
敵を[挑発]し冒険商人を攻撃から[かばおう]
己の腕を切り裂き流血させて
【来来十二身将】で分身達を召喚しよう
例え大海賊の霊により技を封印されようが
霊剣を抜き振るい大海賊の霊を攻撃し
[破魔と浄化]の力で斬り捨て[除霊]してしまおう
霊を滅ぼしたら再び分身達を12人召喚
六人で敵を包囲攻撃による[不意打ちでおどろかして]
その隙に残りの六人は船員共を[追跡]し
武器振るい攻撃し止めを刺してゆき
敵を数の[暴力で蹂躙]してやろう
緋色のメリー…その身を切り裂き血の色に染めてやろう…!
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
ライドサーペントの蒼雷と一緒に戦う
商人には敬語で話す
残念だが、今回も宝は逃がしてもらう
お前らにここの宝は渡さない
POWで判定
商人の前に出て守りながら戦う【かばう】【心配り】【救助活動】
銀腕を【武器改造】で剣に変え、【怪力】【鎧無視攻撃】【早業】で指定UCを使い敵を倒していく
相手からの攻撃は風の【結界術】や【オーラ防御】で防いだり、武器で【受け流し】て【カウンター】を狙う
宝物庫の壁を壊そうとしている敵には【動物使い】を使い蒼雷を【高速泳法】で向かわせ、【マヒ攻撃】や【遊撃】してもらい妨害してもらう
兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎
完っ全に出遅れた!!あっぶねぇ…っ!
幹部に先を越されず、他に猟兵が先に来てたのは大変助かった
冒険商人とお宝談話で盛り上がってたのが原因かもしんない
其れはそれとして!お宝は絶対手に入れるぞ!魔導書は特に!特に!
最初っから飛ばす、しっかり捕まってろよ商人!
箒に乗せてしっかり魔力のオーラによる防御
紙兎パルもスタンバイ!
護りは万全あとは攻め!
いっくぞーっ!!
箒に乗って空中浮遊×空中戦
時に地形を利用して範囲攻撃の光雨!
光線の雨はあたりゃ痛いし船員だってのがしゃしねぇ!
それにその光線自体当たった瞬間閃光を炸裂させて目潰しの役割を兼ねてる!
避けさせるつもりは無いぜ…!
パルも援護射撃よろしく!
「さあ、早くお宝を奪っちまいな! ここはアタシが――」
メリーは息を呑み、肩越しに振り返る。そこには帽子の影から虚ろな眼光をのぞかせる仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)の、使命に燃える瞳があった。
「な、なんなのさ……? アンタはいったい……?」
「我が名はアンナ」
つうっと白い肌を自分で斬り裂いた血が伝い落ちる。
「貴様等を討ち滅ぼす、処刑人が娘也!」
――戦場のヴァルキュリアを思わせる、黒衣の分身たちがアンナを含めて13体――乱舞する。
「ふ、ふんっ――それだけの量の血を流せば、本体もただでは済まないはず! いけ、古の大海賊よ!」
「笑止」
一瞬にして、アンナの霊剣が大海賊の霊魂を滅し去った。
「なっ……」
「処刑人が破魔の力を持つことが信じられないか? ぬかったな」
いけ、と半分の六人を向かわせる先は一心不乱に壁を掘る配下の船員共である。
「蒼雷、お前もいくんだ。頼りにしてる」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は彼の背を軽く撫で、自らは銀腕の剣を右手に大地を蹴った。
「残念だが、今回も宝は逃がしてもらう」
「ちっ!」
サーベルと銀剣の斬り合う、激しい残響音。
「こいつっ!」
メリーの補充した船員の何割かが、ルイス目がけて群がった。
「それでどうにかなるとでも思ったか?」
下手に動けば、背後に庇った商人に危害が及ぶ――ゆえにルイスはその場に踏みとどまり、突き出した左の手のひらを起点とした旋風を結界に変えて敵の攻撃を防いだ。
「お、おはしらっ! こひつらがジャマれあにゃほりれひやへん!」
蒼雷に頭から齧られ、痺れた呂律の回らない舌で喚く船員。すぐそばでは、アンナの分身たちに取り囲まれた船員らが両手を挙げて降参しながら壁際へと追い詰められているのが見えた。
「わ、わ、わ
……!!」
「――覚悟」
断末魔の叫びが響き渡る中、兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)の乗った箒が一気にその姿を現した。
「こ、ここです。宝物庫へたどり着きました!」
全力で零時の背中にしがみついた商人が声を張り上げる。
「よし、間に合った……か!?」
零時は片手で帽子を押さえながら、すぐさま紙兎を戦場へ降ろしてやった。
「うっかり、お宝談話で盛り上がり過ぎたかな――」
「こ、のおっ……」
突然の闖入者に、メリーは剣を手に斬りかかる。だが、図ったかのように迎え撃ったパルによって手元が狂った。
「なっ!?」
「さっすがパル! 俺様もいっくぞーっ!! でもって、絶対にお宝は手に入れる!!」
屈託のない笑い声と同時に降り注いだのは、光の雨。
「お、お頭ーっ!」
「目が
……!!」
形勢逆転、目潰しの閃光によって攪乱された戦場をアンナが跳ぶ。剣の切っ先をメリーの喉元へ突き当て、不敵にほほ笑んだ。
「緋色のメリー……その身を切り裂き血の色に染めてやろう……!」
「う、ぐぁっ!!」
貫かれた喉元を片手で押さえ、メリーの振るうサーベルをアンナは後方宙返りで躱す。代わって前に踏み出したルイスの剣が致命的な一撃を与えた。骨の砕ける音、吐瀉された血液が地面を濡らす色。
「あ、ぐ……」
それでも宝物へと伸ばした指先が、遂に地へ落ちる。
「すっげぇ根性」
零時は肩を竦め、そして――商人たちが協力した開いた門の向こうで輝いた光に目を細めた。
「――すっげぇ、」
宝だ、一面の。
「魔導書! 魔導書!!」
一目散に飛び込んでゆく背を見送って、アンナは剣を収める。
「またひとつ、墓標ができたか」
「……ああ」
ルイスは役目を果たして戻ってきた蒼雷を労い、声をかけた。
「よくやった」
嬉しそうに喉を鳴らす音がする。
無事に宝は守られたのだ。いつしかメリーの体は消え去り、後には残された帽子が墓標のようにあるだけであった。
大成功
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