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【猟】青き人狼は海へと潜る

#グリードオーシャン #猟書家の侵攻 #猟書家 #メリー・バーミリオン #冒険商人 #宝島


●グリードオーシャン・アバネシアン島
 グリードオーシャンの荒れた海に浮かぶ島、アバネシアン島。
 アックス&ウィザーズの豊かな自然をそのまま切り取ったようなこの島の海岸線は険しく切り立ち、波で侵食された岸壁には多数の洞窟が口を開けていた。
 その海底洞窟の入口の一つを前にして、青い毛並みをした人狼の男性がゴーグルの位置を直した。
「よし、見つけたぞ。この入口がきっと、最奥部の財宝に繋がっているはずだ……ん?」
 人狼の冒険商人、ドム・アシュビー。彼が目をつけたこの島は、海中に沈んだ洞窟の先に数多の財宝が眠っていると噂になっていた。
 当然、海の中に沈んだ洞窟を泳いで進んでいかなくてはならない。だからいろんな冒険商人が今まで挑んでも、金銀財宝を手にして帰ってきたものは居ない、とも。
 ドムが決意を新たに船を進めていこうとしたところで、だ。彼からそう離れていない別の洞窟の入口に、別の小舟が留まっていた。
「はっはっはー! ここがあの財宝が眠るっていうアバネシアン島だね! この島の財宝は全て私んモンだー! 待ってろ財宝ー!」
 女性の海賊か、賞金稼ぎか。同業者がこの島の財宝を、ドムとは別に狙っているらしい。その女性が洞窟の中に飛び込んでいくのを見ながら、小さく鼻を鳴らすドムだ。
「先客か……根こそぎ持ってかれたら商売上がったりだぜ。俺も行くとするか」
 そう話しながら、ドムは洞窟の中に小舟を進めていく。
 彼は知らない。その「同業者」がかのメリー・バーミリオンであることを。そして彼女がレディ・オーシャンの傘下に降り、グリモアベース侵略の手がかりを探ってこの島にやってきたことを。
「……ぶっは!! なんだよこの洞窟、すぐに行き止まりじゃないか!!」
 ……そして、彼女が飛び込んだ洞窟には財宝など欠片も転がっていなかったことを。

●グリモアベース
「あっ、ドムおじさんだこれ」
 エラ・フィンチ(波打ち際の青尻尾・f26169)はグリモアから映し出された、自身とよく似た青い毛皮の人狼の顔を見て声を上げた。
 その声に猟兵たちが首を傾げる。知り合いなのか、と問う彼らに、エラは深紅の瞳を細めながら頷いた。
「ん、アタシの叔父さんなんだ。冒険商人をやってて、グリードオーシャンの各地の島を回ってはお宝を見つけて売りさばいている」
 彼女曰く、ドム・アシュビーは冒険商人としてはかなりの腕利きで、今まで様々な高額の財宝を発見してきたのだとか。その彼がこの場にいるということは、十中八九財宝目当てだろう。
「で、見ての通りだ。叔父さんが見つけた島は、海岸線からしてアバネシアン島だろう。ここにメリー・バーミリオンがやってくる」
 メリー・バーミリオンは賞金稼ぎのオブリビオンだ。2月に行われたグリードオーシャンでの戦争、羅針盤戦争でさんざん痛い目を見たはずだが、それでも懲りずに活動している様子。
「懐かしいねぇ、あの時ぶっ倒したはずだろうって? それが、どうもレディ・オーシャンの傘下に入って猟書家みたいなことをやっているらしい」
 エラの発言に、猟兵たちが目を見開く。まさか、グリードオーシャンにも猟書家の手が伸び、おまけにレディ・オーシャンが裏で暗躍しているだなんて。
 そしてレディ・オーシャンは、グリモアベースへの侵略を企んでいるとのこと。財宝探しも、そのための足がかりだろう。放置するわけにはいかない。
 表情を固くした猟兵たちに、エラが口角を持ち上げながら言う。
「お前達にはドムおじさんと協力して、アバネシアン島の海底洞窟に挑んでもらう。この島の洞窟は海の中に沈んでいて、その奥には財宝が隠されているともっぱらの噂だ。メリーもきっと財宝を狙ってやってくるだろう。そこを叩く」
 曰く、ドムと協力して先んじて海中洞窟を進み、メリー・バーミリオンが最奥部にやってくるのを待ち構えろ、というらしい。そうすれば必ず、メリー・バーミリオンが財宝を手に入れるのを阻止できるだろう。
 海中洞窟は途中まで船で進めるが、その大部分は海の中に沈んでいる。暗い水中をどうやって進んでいくか、息継ぎができるポイントをどうやって見極めるかが重要だ。
 そうして最奥部にたどり着けば、アバネシアン島の財宝が待っている。そこはかなり広い空洞になっており、水面より上に地面がある。地上まで通じる空気穴が開いているから、呼吸の心配は不要だ。
「メリーはこの前の戦争で相手取った時と同様だ。したっぱの海賊船団員を召喚したり、大海賊の霊を召喚してユーベルコードを封じたり、サーベルから津波を放ったりして攻撃してくる。だけど一度倒したことのあるやつだからって、油断は禁物だよ」
 羅針盤戦争で一度相対したメリー・バーミリオン。その時と同じ力を使うからといって、侮ってはいけない。何しろ彼女は猟書家幹部になっているのだから。
 そこまで話したエラが、ランタンを掲げた。黒い炎が揺らめき、ポータルの向こうから潮風が吹き込んでくる。
「準備はいいかいお前たち。出発だ!」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 グリードオーシャンにも猟書家が出てきました。しかしそれは偽物だそうで?
 ルールに変更も入ったことですし、どんどん行きましょう。
 それと今回から猟書家依頼のタイトルに【猟】を入れることにしました。

●目標
 ・メリー・バーミリオン×1体の撃破。

●特記事項
 このシナリオは「2章構成」です。第2章がクリアになった時点で、シナリオが完成となります。
 グリードオーシャンの「骸の月」の侵食度合いに、成功数が影響します。

●戦場・場面
(第1章)
 グリードオーシャンの海に浮かぶ「アバネシヤン島」です。アックス&ウィザーズの世界から落ちてきたらしく、自然が豊富です。
 切り立った海岸線沿いにはいくつもの洞窟が波の侵食によって作られており、海中洞窟を形成しています。
 冒険商人は小舟を持っているので、小舟に乗せてもらって途中まで洞窟の中を進むことが可能です。

(第2章)
 「アバネシヤン島」の海中洞窟の最奥部です。
 猟書家幹部「メリー・バーミリオン」が洞窟の財宝を奪うべく姿を見せます。
 最奥部は地上に繋がる空気穴が開いており、水上に出た空洞部分なので、空気の心配はしなくて大丈夫です。
 冒険商人は猟兵たちを応援してくれます。

●冒険商人
 ドム・アシュビー(男性・38歳)
 グリードオーシャンを渡り歩いて宝探しに精を出す冒険商人。人狼の男性。
 直接戦闘でこそオブリビオンには敵わないが、お宝の場所を探す技量にかけては五指に入ると豪語します。
 自信家だが思慮深く、慎重にお宝を探します。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『潜入、海中洞窟』

POW   :    けっこう素潜りでもなんとかなるよ

SPD   :    道具を使えば楽勝さ

WIZ   :    魔法を使えばどうにかなるさ

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嵐月・白
こう見えてもオレは泳ぎが得意でな、任せろ!

ん?不安?なに、オレがいれば百人力だ。お宝はもうお前のもんだぜ、アシュビー!

ひとまず、暗いのは慣れてくりゃ見える。舟に乗ってる時間で【暗視】状態は確保できるだろ。
息継ぎは、まあ、念の為に風来如鎧で空気を一抱え程連れてくか。
いや、別に自信がねえわけじゃなくてな?備えあればって言うだろ、うん。自信がないわけじゃなくてな?

あ、でも急ぐときは、気を風に変えて加速。拳纏を岩に引っ掛けて急ぐぜ。
息が続かなくて焦ったりするかもしれねえもんな…いや、うん。例え話でな。

(やや見通しが甘いがなんとかドムに食らいついていく)

アドリブなどご自由に。



●海の事は漁師に問え
 波に揺られる小舟の上。その上でオールを漕ぎながら、嵐月・白(白虎乱風・f33160)はにこやかに笑った。
「なるほどな、これは確かに困難な道程だ! だがこう見えてもオレは泳ぎが得意でな、任せろ!」
 自信満々にそう言いながら、白はドム・アシュビーの乗る小舟へと近づいてくる。声をかけて朗らかに挨拶すれば、目を見開いたドムが白の顔をまじまじと見た。
「ん、あんたは……もしかして俺に味方してくれるってのか?」
「おう、そうだとも!」
 不思議そうに問いかけるドムに、胸を叩きながら白が返す。
「ん? 不安? なに、オレがいれば百人力だ。お宝はもうお前のもんだぜ、アシュビー!」
「お、おお……自信があるのはいいことだ。頼りにしてるよ」
 その自信に満ち溢れた言葉に目を見開いて、ドムは自分の小舟に白を招き入れた。漕手を買ってでながら、白は洞窟の天井を見上げる。
「暗いのは慣れてりゃ見えてくるからいいとして……息継ぎはどうするかな」
「不安か?」
 だんだんと目が慣れてきて暗い洞窟の中でも内部の様子をしっかり窺えるようになった白が零すと、ドムが小さく口角を上げた。
 その言葉に、言葉に詰まる白だ。不安がないとは言い切れない。備えとして用意しようとしたアイテムが間に合わず、自分の肺活量頼みになってるとはなかなか言えない。
 気がつけば既に眼前には岩の壁。ここから先は潜っていくしか道は無い。
「い、いや、別に自信がねえわけじゃなくてな? 備えあればって言うだろ、うん。自信がないわけじゃなくてな?」
「心配するな……見てみろ」
 困惑しながら言葉を返す白に、ドムが水中を指差す。そちらに目を向けると、真っ暗な海中の中で細く、水泡が光に照らされて煌めいているのが見えた。
「ん? ありゃあ……」
「海中洞窟ってのは、基本的に海水が岩を侵食することによって作られる。ほら、岩肌が溶かされたみたいに滑らかだろう。こうした洞窟は基本的に、内部の空間が広い」
 ドムがそう言いながら、小舟から降りて海に飛び込む。そのまま白にも船から降りるように促した。曰く、この小舟はボトルシップで、小瓶に入れて持ち運ぶのだとか。
「この光の入り方から見るに……20メートルくらい潜っていられるなら十分だ。行くぞ」
「あっ、ああ!」
 言うやいなやドムはつぷんと海の中に潜っていった。白も慌てて後を追う。
 真っ暗な海の中は水上よりも光が入らない分、暗い。僅かな光の筋に照らされたドムの姿を目で追うと、彼はすいすいと水中を魚のように泳いでいく。
「(海中はさすがに暗いな……激しく泳ぐと底の泥を巻き上げちまう。だがっ)」
 ドムに置いていかれまいと、白は風を両手に掴んだ。それを後方に投げるようにしながら魚雷のように水中で加速する。みるみる加速した彼がドムに追いついた辺りで、彼は水上に浮上していった。顔を出すとそこは岩の壁を越えた先の空間だ。
「ぶはっ」
「はは、なかなかやるじゃないか」
 息継ぎをする白にドムが笑う。彼が小瓶から取り出した小舟で、さらに先へと進む準備は整った。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
【水中戦】【深海適応】の心得があるから探すのはやれなくはない。
だが闇雲に探すのは好かん、なので使える物を使って当たりを絞るとしよう。

と言いう訳でドムとやらに接触するか、【白野入鹿】に乗って接触。
「オブビリオンの残党が来ているようでな、エラにサポートを頼まれた」とか言えばいいか。

まず入鹿に【ドルフィン・ソロオーケストラ】を使わせる事で反響で広範囲の水中洞窟の全体像や地形把握をやってもらうとしよう。イルカの超音波の本来の使い方の一つだらな。

そこからドムにこの洞窟の全体像を伝える事で探索すべきかを判断させるとしよう。こういうのは経験者の知恵というのは大事だからな。狙いを付けたら我も入鹿と探すか。



●海中より盃中に溺死する者多し
 キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は自身の保護するイルカ、白野入鹿の背に跨りながら海中を進んでいた。
「探すのはやれなくはない……だが闇雲に探すのは好かんな」
 水中での行動に心得はあるし、深海に適応する力もある。海中での行動は、何も苦にすることはない。
 そして悠々と懐中洞窟を進むと、頭上に影が落ちたのを確認して浮上する。そしてドムの小舟の前に、浮上する形で姿を表し声をかけた。
「汝がドム・アシュビーだな。オブビリオンの残党が来ているようでな、エラにサポートを頼まれた」
「エラに? ああなるほど、あんたもあの子と同類か」
 彼の縁者でもあるグリモア猟兵の名前を出せば、事情はすぐに察したらしい。この世界を舞台に行われた大きな戦は先々月。住民の記憶にも新しい故、残党処理の名目を出せば理解も早かった。
 納得しながらも洞窟の各所に視線を向け続けるドムに、キングは静かに声をかける。
「財宝を探すに当たって、場所のあたりはついているのか?」
「いや、それはまだだ。見た感じこの洞窟は先が長い。水中で枝分かれしている所も多いはずだ……あまり時間をかけていたら同業者に先を越される」
 そう話しながらも、焦った様子は見せないドムだ。この慎重な性分は事故を極力避けようという彼の長所だ。そこは尊重したいが、時間をかけられないのも道理。
「だろうな。入鹿、始めろ」
「キュイ」
 頷いたキングが入鹿に手を添えつつ言うと、我が意を得たりと入鹿が超音波を海中に放ち始めた。何度も、何度も。その度に細かに界面が揺れる。
「おっと……!」
「水中の構造把握は、イルカの超音波の本来の使い方の一つだからな。この手のことはこうした生き物に任せた方がいい」
 小舟の縁を掴むドムに、腕を組みながらキングが言う。そして数分後、超音波を発し終えた入鹿が一声、キングを見上げて鳴いた。
「キュイ!」
「……そうか、よくやった」
 その一声の間に、情報のやり取りは済んでいる。キングはすぐさま、入鹿の読み取った情報をドムに伝えた。
「ドム。この位置から3メートルほど潜ったところに、水上を行くルートとは別のルートが広がっているようだ。入鹿曰く、そちらのルートのほうが先に続いているらしい」
「なるほどな……この先も二股に別れているようだが、そうした隠されたルートが有るならそちらを進んだ先に人間は宝を隠すもんだ。潜っていくか」
 彼の話を聞いたドムは、しばしの思考の後に判断を下して海中に飛び込む。そのまま小舟をボトルの中にしまって潜っていく彼を見送ってから、キングは入鹿に声をかけた。
「よし入鹿、我も続くぞ」
「キュイッ!」
 一声鳴いた入鹿が、海中につぷんと潜っていく。次の浮上地点まで、暗闇の海を二人は泳いでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラモート・レーパー
「遺影になるかと思ったら生きてた」
お姉さんの姿で挑む
 戦争の時メリーを弄んで撮った写真を眺めながら、小舟でどんぶらこ。
写真を濡ないよう袋に入れた後、UCで人魚に姿を変えて水中を捜索する。



●海棠の睡り未だ足らず
 ドムから遅れることしばし。ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)はドムたちが入っていった洞窟の入り口を、小舟のオールを漕ぎながらのんびり進んでいた。
「遺影になるかと思ったら生きてたね、あの賞金稼ぎのお姉さん」
 手元には一枚の写真。被写体はメリー・バーミリオン……の、ちょっと扇情的な、賞金稼ぎとしてはいまいち似つかわしくない服装をした彼女の、ローアングル写真だ。
 こんなものを遺影にされたらメリーも怒りのあまり棺から蘇ってきそうだが、それはそれとして。大事な写真をビニール袋にしまいながら、ラモートは小舟を止めた。
 岩壁が行く手を塞いでいる。ここから先は小舟を降りて、海中を移動するしかない。
「さて……船で行けるのはこの辺りまでかな。あとは潜っていかないと」
 しかしラモートには「姿を自在に変えられる」という特異な能力がある。こうした状況もお手の物だ。すぐさま人魚に姿を変えて、海に飛び込んだ。
「よし、写真の密封オッケー。行こうか」
 ビニール袋の口がちゃんと閉まっていることを確認して、ラモートは水中に潜る。人魚の能力で、海中がいくら暗くても問題なく視認できた。
「んー……結構水中の構造が複雑だね。うまく見つけられるかな」
 そしてその海中の複雑さに唸るラモートである。これは当てもなく探すのでは時間がかかるだろう。
 だが、しかし。息継ぎの必要がないのがラモートの利点だ。探し続けていればいつかは見つかるはず。
「まあいいや、しらみ潰しに探していけばそのうち見つかるよね」
 そう呟いてラモートは海中を泳ぎだした。探して探してまた探して。あてのない探索は続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



●雀、海に入って蛤となる
 ヘッドライトとシュノーケルを装着して、赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)が海中から浮上してくる。
「ぷはっ。うーん、かなり複雑な構造をした洞窟だね。内部も入り組んでいるし」
 水面に上がってシュノーケルを外した緋色があたりを見回した。だいぶ長いこと海中を進んできた。ここらで小休止、と思っていると、ちょうど青い人狼の乗った小舟が今いる場所から遠ざかって進んでいくところだ。
 その小舟に追いつくように泳ぎ、緋色はその人狼に呼びかけた。
「はっ、そこにいるのは噂のドムさんだね、お手伝いに来たよ」
「ん? ああ、あんたもそのクチか。助かるよ」
 振り返ったドムが船を止めた。聞けば彼も先程この位置に来て、休憩がてら小舟を出していたらしい。そして緋色を船の上に上げると、彼は舌を舐めずりながら問いかける。
「さっきまで、下に潜ってきたんだろう。どうだった」
「どうだった、と言われても……」
 問われた緋色は眉根を寄せた。そう聞かれると、困るとしか言いようがない。
 洞窟はぐねぐねと折れ曲がり、上がったり下がったりを繰り返し、おまけに枝分かれも多い。しらみ潰しに探していては時間がいくらあっても足りないだろう。
「……こう、入り組んでいるなぁと」
「そうだろう。このアバネシヤン島はそこまで巨大な島ってわけじゃない。だのにこの海中の入り組み具合はどうだ」
 緋色の言葉に頷いたドムが洞窟の天井を見上げた。天井からぽたりと雫が落ちてくる。
「だからこそなんだ。これだけ長く複雑な洞窟、長い間宝を隠しておくにはうってつけだろう」
「なるほど……それで、次はどう進めばいいと思う?」
 緋色が今度は問いかけると、ドムは青く澄んだ海中を見つめた。そのまま、船の右側の水面を指差す。
「今は比較的水深の浅い位置のはずだ。ここできっと、もう一度潜ってから上がるだろう。今まで進んできた方向を考えれば、そろそろ右側に向かうはずだ」
「分かった、じゃあそっちに進んでみよう!」
 その言葉に頷いて、緋色はもう一度海中に潜った。ドムもその姿を見届けると、小舟をボトルにしまって潜っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花(サポート)
人探しや潜入を得意とする、UDC組織所属のエージェントです

■平時
『大切な人達の光の為に、私達が闇に立ち向かいましょう』
普段は礼節を弁え、理知的で物腰穏やかな対応を心掛けます
世間一般に「紳士的」とされる態度と相違ありません

■戦闘時
『我々は人類を邪悪や狂気から守る。その為には冷酷を貫く事も厭わない』
UDCや関連団体に相対した時は、非情に徹します
一人称は誇りをもって「我々」と呼称します

■行動傾向
日常・冒険:変装や演技、Dクラス職員や組織の支援を駆使した情報収集が得意です。自らの身を削る事にも躊躇しません
戦闘:機動部隊との連携を基本に、火器や状況を利用した奇襲・速攻を得意とします。ヤドリギは奥の手です



●桑田変じて滄海となる
 暗い海中洞窟の中を、火奈本・火花(エージェント・f00795)はゴーグルと酸素ボンベ、フィンを装備しながら進んでいた。
「(ふむ……だいぶ長いこと洞窟を進んできましたね。そろそろでしょうか)」
 先程水中に入ってから、既に1分が経過している。まだまだ浮上できそうな気配はない。自分は酸素ボンベで呼吸できるが、先を行っているであろうドムが心配だ。
 と、水中に目を凝らしたところで。先を泳ぐ青い人狼の姿が目に入った。
「(おや、あそこにいらっしゃるのは)」
 足を大きく動かして推進力を得ると、その姿がだんだん近づいてくる。やはりドムだ。その青い体毛は海中だといまいち見つけづらい。これも彼が、冒険商人として活躍できる一因なのだろう。
 彼の横に並ぶようにしながら、火花はUDC組織謹製、水中でも使用できる文字盤を使って対話を試みる。
「(ドム・アシュビーさんですね?)」
「(そうだが、あんたは?)」
 文字を見たドムがハンドサインで返事を返してきた。この手のハンドサインは大体頭の中に入っている。すぐに頷いて文字盤に新しい文字を表示させた。
「(火奈本・火花、UDC組織所属のエージェントです。支援に参りました)」
「(ってことはあんたもアレか。助かる)」
 どうやらドムにも、こちらが味方であることは伝わったらしい。そのまま並んで海中を泳ぎながら、火花はドムに問いを投げていく。
「(だいぶ長く海中を進んでいるようですが、どう思いますか?)」
「(この先にあるのは間違いないだろう。もう少しだ)」
 彼女の言葉に頷いたドムが前方を指差した。まだまだ先は長そうな洞窟だが、若干上に向かって道が続いているのが見える。
「(了解しました。息が苦しくなったら言ってください、支援します)」
「(助かる)」
 そう言葉を交わし合いながら二人は洞窟を進んでいった。きっと、この先には宝が待っている。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・雨幻(サポート)
【目立たない】事を利用して内部に紛れ溶け込んで、
お酒や煙草を嗜みながら何気なく情報を集めたり、
目当ての物を探したりするよ。
暗い場所なら【闇に紛れる】【忍び足】あたりで、こっそりと現状を把握したりするのも得意だね。
危険や警戒度が上がってきたと感じたらさっさと一時撤退。
物事起こす前に勘付かれちゃいかんからねぇ。
あとは、極力人が傷つかないような選択を無意識に取るかな。

罠を攻略する際は仕掛けを興味津々によく見ながら仕様を把握して、慎重かつ迅速に抜ける手段を取ろうとする。
よりスマートに、ってね。



●海驢の番
 洞窟の最奥部。やっとたどり着いたドムが海面から陸地に上がって尻尾の水を絞る。
 と、その後ろからウェトスーツに身を包んだ叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)が浮上してきて大きく息を吐いた。
「ふぅっ、やーっと息が出来るぜ」
「あんたは……風貌を見るに、同業者か、それともアレか?」
 風来坊然とした雨幻の姿に、ドムが訝しむような表情を見せる。メリー・バーミリオンとは別人であることは一目瞭然だが、別の海賊でないとも限らない。
 不審そうな目を向けてくる彼に、肩を竦めながら雨幻は猟兵たる自分の身分を明かした。
「ま、一応はアレの方だね。この島のお宝を悪者が狙ってるって聞いたんで、追ってきたってわけだ」
「そうか、それならアテにさせてもらう……それで、どう見る?」
 その言葉と、彼の身体から立ち上る『本物』のオーラに、嘘はついていないと感じたのだろう。納得した様子のドムが前方を見やった。
 二人が立っている陸地は、ドーム状になった平坦で広いスペースだ。その、海面から見て一番奥。小高い台座になったそこの上に、まばゆく輝く黄金のネックレスと、それを取り囲む金銀財宝がうず高く積まれている。
 あれがこの島に眠る財宝だ。誰が見ても一目瞭然だろう。雨幻が目を細めながら言う。
「いよいよお宝は間近、ってところだろうけど……ま、罠は仕掛けられているだろうね、確実に」
「だろうな。島の外観から見るに、そこまで高度な罠は仕掛けられていない、と見るが……」
 その言葉に頷いたドムが、慎重にドームの中を見回した。岩壁に囲まれたドームの中、広く作られているが、明らかに宝を守るための罠が仕掛けられているだろう。彼にもそのくらいは察しが付く。
 と、ドームの天井をじっと見つめていた雨幻が、半歩前に進み出た。
「んー……ドム、ちょっと下がってな」
「ん? ああ」
 その言葉に、すぐにドムが岸近くまで下がる。すると雨幻の足元から、視認するのが難しいくらいの帯状の物体が飛び出した。
 その帯は宝の上側の天井に飛んでいくと、そこにするりと潜り込んだ。しばらくすると天井の岩がごとり、と音を立てて外れ、宝の横にゆっくりと下ろされる。
 そうして天井の岩を次々に取り外していく雨幻が最後、自分の頭上の岩を外すと、そこでようやく息を吐き出した彼が数歩先の地面を指差した。そこで細い糸が、光に反射してきらりと煌めいている。
「よっと……あーほら、やっぱりだ。ここで足元の糸を切っちまうと、岩が崩れ落ちてくるようになっていやがる」
「やはりか。そうして宝を潰し、出口も塞ぎ……哀れな盗人はここでお陀仏、と」
 納得したようにドムも頷いた。ここで宝を潰されようものなら、侵入した盗人の絶望やいかばかりだろう。しかしその罠はもう解除された。邪魔するものはなにもない。
「そういうこった。さ、いよいよだぜ」
「ああ。あそこに……確かに見えている」
 そして、猟兵たちとドムは歩き出した。視界に映るアバネシヤン島の宝、黄金のネックレスへと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
👑11
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●俎上の魚江海に移る
 ドムが宝にもう一歩近づいた時。
「ちょーっと待ったぁぁー!」
 後方から、思い切り水しぶきを上げながら叫ぶ者が一人いた。そちらに目を向ければ、海賊然とした金髪の女性が一人、カットラスを手にしながらこちらを見ている。
 その姿にドムは覚えがあった。島の洞窟に入る前に、別の洞窟の前で声を上げていた海賊だ。
「あんたは……島に入る時、別の洞窟に入っていった」
「まさか私以外にもこの島の洞窟に潜っているやつが居たとはね! 先を越されちまったかと思ったけど、ギリギリ間に合った!」
 肩で息をしながら海賊――メリー・バーミリオンはニヤリと笑う。その手に握ったカットラスをドムへと向けながら、彼女はこちらに近づいてきた。明らかに、宝を横取りしようという算段だ。
「さあ、生命が惜しけりゃとっととお宝を諦めて出ていきな! あの『五天王のネックレス』は私が手に入れる、そしてまだ見ぬ異世界への足がかりとするんだ!」
 その言葉に、ドムの眉間にしわが寄る。牙をむき出しにしながら、彼は怒りを顕にして吠えた。
「ふざけたことをベラベラと……目の前にあるお宝を諦めて、尻尾を巻いて逃げ帰る? そんなことをしたら、冒険商人の名折れだろうが」
 彼の言葉に、メリーもにやりと口角を持ち上げた。戦闘は避けられそうにない……否、避ける理由はなかった。何しろ猟書家の軍門に降った彼女だ。ここで取り逃がすわけには行かない。
 猟兵たちも武器を構えたところで、メリーがカットラスを掲げた。
「うーん、やっぱり譲ってくれそうにはないかー。なら力づくで奪い取るのみ! 野郎共、仕事の時間だ!」
 彼女の言葉が響くや、その場に何人ものしたっぱ海賊団員が姿を見せる。ここに、財宝を巡っての熾烈な戦いが幕を開けた。

●特記事項
 ・メリー・バーミリオンはドムを狙って攻撃します。特に【野郎共、仕事の時間だ!】を使用した際には、召喚した海賊船団員にドムを狙わせます。
 ・ドムはラッパ銃を使って応戦します。海賊船団員を自力で退けることが出来るくらいの力はあります。
ラモート・レーパー
「【自主規制音】のメリーを見たくないかー!」
 お姉さんの姿で挑む。
 メリーの部下に対してUCを発動しメリーを孤立させる。メリー自体あんな格好してるんだから部下が劣情を抱かないはずはない。お姉さんはその心を表出させただけ。
メリーに対しては場の雰囲気と戦争で撮った写真でゴリ押しして実行。
あとはメリーの部下と一緒にメリーに対しあんなことやこんなことをしてその様子をドムに撮影してもらう。
メリーは最初は抵抗するだろうけど、そのうち快楽として目覚めるんじゃないかな?



●大海を手で塞ぐ
「【自主規制音】のメリーを見たくないかー!」
「へっ」
「えっ」
 戦闘が始まるや否や、ラモートの発した言葉に誰もが動きを止めた。
 猟兵たちも、ドムも、メリーも、メリーの部下たちも、全員が。そして注目を集める銀髪の女性の姿をしたラモートに、メリーがびしりと指を突きつけながら言った。
「って、誰かと思えばお前はあの憎き写真撮影女! 今度という今度はただじゃ済まさないよ、今度こそ私の部下たちが」
 憎しみを顕にしながら叫ぶ彼女が自分の周囲の部下たちに目を向ける、のだが。
「ぐっ、な、何故だ……」
「お頭のえっちなところを……見てみたい……!」
「あれぇぇ!?」
 部下たちは一様に胸を抑え、メリーに何とも言えない目を向けながら苦しんでいた。すっかりラモートの言葉に乗せられてその気になっている。当のラモートがため息を付きながら言った。
「ほらー、やっぱりそんな格好をしているから、部下たちの劣情は溜まりっぱなしじゃないか。たまにはその思いも開放させてあげなくちゃ。ねえ、お頭?」
 その言葉に、メリーの顔が耳の先まで真っ赤に染まる。だがその表情がすぐに恐怖に染まった。自分を取り囲んでいる部下が自分の方を向いて、息を荒げながら近づいてくるのだから。
「ちょっ、待て、待てって! お前ら、お宝を前にしてそんなこと、海賊として恥ずかしくないのか!」
「それを言ったら、海賊なのにそんな破廉恥な格好しているお頭の方が恥ずかしいっす!」
 必死に抵抗するメリーに、部下の一人が毅然と言い返した。そのままメリーの肩を部下が掴んでいくのに背を向けて、ラモートは何処からともなく取り出したハンディカメラの録画ボタンをぽちり。
「はいドムさん、このカメラ構えてて撮影お願い。構えているだけでいいから」
「えっあっ」
 それを、何が何だか分からないままのドムに持たせて、画角を調整すると。
「さーてどこから弄ってあげようかメリーちゃーん」
「た、助けてー!?」
 ラモートはメリーにいたずらするべく、部下たちと一緒にメリーに飛びかかっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
(真の姿解放)機械の翼と肩当装着
分かりやすく海賊だな。
では古来の海軍のやり方で行くとしよう。
「死んだら負け、生き残ったら勝ち。それだけだ!」と【威厳】を見せながらドムの前に立ち銃を構える。したっぱならこの王の威厳に気圧されるのではないか?

そして【鼬川の指輪】で鼬川を呼び、【風刃】を攻撃回数重視でバラ撒き。我とドムも銃撃を合わせて【弾幕】で纏めて吹き飛ばすとしよう。
後は鼬川との連携で手下任せのへっぽこ船長を切り裂くとするか。

「命知らずの海賊の頭がこの程度か、一つ教えてやろう。どんなに小さくとも長や王たる存在はな…一番前に立って戦わねばならぬ時があるのだっ!我と違い、その刻を見誤ったな」と嗤う。



●太山を挟んで北海を超ゆ
 キングは服装を整えながら、不敵な笑みを浮かべて拳銃を構えた。
「分かりやすく海賊だな。では古来の海軍のやり方で行くとしよう」
 そう言って、キングは拳銃の銃口をキラリと輝かせる。そしてメリーを真正面に見据えながら言った。
「死んだら負け、生き残ったら勝ち。それだけだ!」
「おっ、分かりやすくていいね!」
 その言葉にメリーもにやりと笑みを浮かべ。ラッパ銃を構えると、彼女の周囲に海賊の下っ端が多数現れる。その下っ端に対して、キングはメンチを切って言ってみせた。
「さあこの王の前に立ちはだかってみせよ。海賊ならば我を見て臆することもあるまい!?」
「くっ……」
「くそっ!」
 その自信満々な言葉に、おののきながらも下っ端たちが銃を放ち、カットラスで切りかかってくる。それを避け、防ぎながら、キングは指輪をはめた右手を高く掲げた。
「よし、鼬川。お前の出番だ、切り刻めっ!」
「あいよー! 呼び出されなかったらどうしようかと思ったぜ!」
 と、呼び出された黒髪の少年、鼬川・瞬太が風の刃を多方面に放つ。その刃で次々に切り裂かれた下っ端たちが、どんどんと倒れていく。
 そうして倒れゆく下っ端の向こう、目を見開いたメリーをキングが見据える。
「メリー・バーミリオンよ。命知らずの海賊の頭がこの程度か、一つ教えてやろう」
「な、なんだよっ!?」
 その言葉にメリーが一歩後ずさった。そこにキングがもう一歩踏み込みながら、真実を突きつけにかかる。
「どんなに小さくとも長や王たる存在はな……一番前に立って戦わねばならぬ時があるのだっ! 我と違い、その刻を見誤ったな」
「くっ……!」
 そうして瞬太が放つ風の刃を前に、メリーが腕をクロスさせて防ぐ。その腕からピ、と鮮血が飛んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

嵐月・白
※お好きに書いてください。

濡れた毛皮も服も鬱陶しいけど、動けねえほどじゃあない。
全霊全開といこうか

っと、けどこうも代わる代わる相手させられちゃ、でっかく大技ぶちまけられもしねえ。いやあ、モテるってのは大変だ。
…まあ大半はドムに行ってんだけど、な。

しかし、ドムのおっさんはまだ余裕あるか。なら、おっさんに手を貸してもらうか

おい、ドムのおっさん!ちょっくらオレの方ももらってくれよ!
オレは一気に、土台を崩す

UC、両拳をまず地面に放ち、破壊の振動で揺らいだところをドムの射撃に合わせて、拳纏で引き寄せたり、投げたりしながらぶん殴ってくぜ

数が減ったら、そのまま、風で加速しバーミリオンに強烈な一発をお見舞いだ


音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより


リスティ・フェルドール(サポート)
援護・治療・盾役として参加いたします。最優先は自分を含む仲間全員の生存と帰還。成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありません。

真剣な雰囲気は邪魔をせず、仲間同士の険悪な雰囲気はあえて朗らかに。チームワークが生存率を上げる一番の方法として行動します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスター様におまかせいたします。よろしくおねがいします!



●百川、海に朝す
 洞窟に繋がる海面から、二つの人影が姿を見せる。音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)とリスティ・フェルドール(想蒼月下の獣遣い・f00002)だ。
「うぅ、やっと着いた……」
「ふぅっ、長い洞窟でしたね」
 長い海中洞窟を泳いできて、一つ息を吐く鬱詐偽とリスティの姿を見て、白とドムはにやりと笑みを浮かべた。
「おっと、増援か! 助かるぜ!」
「ありがたい話だな」
 味方が増えるのならそれに越したことはない。それだけ取れる戦術も多くなるというものだ。かくして、鬱詐偽とリスティがメリーに向かって名乗りを上げる。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
「あなたの悪事もここまでです、海賊さん!」
 そうしてドムも含めた四人がメリーを取り囲むと、当のメリーは口角を持ち上げながらカットラスをこちらに向けてきた。
「へっ、ここに来て猟兵に増援が来ただって!? 面白いことになってきたじゃないか、でも私の部下の人数には敵わないだろう!」
 次の瞬間、大量に召喚される彼女の部下たち。その人数を前にして、鬱詐偽が数歩後ずさる。
「うわぁ、たくさんいるわ……少しでも皆の力を高めなきゃ……」
 そうぼやいてから鬱詐偽が歌い始めると、その歌声で白、リスティ、ドムの力が高まっていく。その力がみなぎる様に、ドムと白が目を見張った。
「おぉっ、なんだか力が湧いてくるぞ!?」
「これなら十分に相手取れるぜ、全霊全開といこうか。行くぞ、ドムのおっさん!」
 白が言うやいなや、二人はすぐさま地を蹴った。ドムがラッパ銃で下っ端の頭を次々撃っては、白がその拳で手近な下っ端を殴り飛ばしにかかる。
「いい感じですね、僕も頑張りますよ! 行けっ!」
 リスティも連携が取れているさまに安堵しながら、蒼い水晶石の槍を投じた。その槍が向かうのは下っ端、ではない、メリーの方だ。油断していたのだろう、対応が送れたメリーの身体に槍が突き刺さる。
「うわっ!?」
「お頭っ!」
 槍が変じた蒼色のドラゴンに噛みつかれたメリーが声を上げ、その声に下っ端の何人かが反応して振り返る。援護しようとするが、後ろを向いたその頭をドムがすぐさま撃ち抜いた。
「おっと、よそ見している暇があるのか?」
「ぐわっ!」
 その容赦のない攻撃は、確実にメリーの部下の数を減らしていた。鬱詐偽の歌の力もあって、攻撃を受けるより先に倒せている。ある程度戦いに余裕があることを感じながらも、白がぼやいた。
「っと、けどこうも代わる代わる相手させられちゃ、でっかく大技ぶちまけられもしねえ。いやあ、モテるってのは大変だ」
「よく言いやがる。こちとらその相手で手一杯なんだぞ」
 その白の言葉に、ドムがうんざりした様子で返す。先程から彼の手元は休まる様子がない。銃弾を放ち、弾を込め、また放ちの繰り返し。彼の方に向かってくる下っ端の数が多いこともあって、ドムの表情は硬かった。
 とはいえ、その手元には狂いがない。鬱詐偽がジトッとした目を向けながら言う。
「その割には、随分余裕があるように見えるわね……私の支援があるにしても……」
「守る対象がそこそこ戦えるというのはありがたい話です」
 リスティも安堵の息を吐きながら、もう一度槍を投じた。今度は部下のいる方へ。部下に突き立った槍がドラゴンに変化するや、その爪と牙が周辺の下っ端を薙ぎ払っていく。
 ある程度数は減らしてきているか。そう判断した白はドムに声をかけた。
「おい、ドムのおっさん! ちょっくらオレの方ももらってくれよ! オレは一気に、土台を崩す」
「あぁ!? 何を――」
 この期に及んで自分に向かうやつを増やそうというのか、とドムが文句を言おうとした瞬間。白が両の手で地面を思い切り殴りつけた。
 地面がひび割れ、洞窟が揺れる。天井から石の破片が落ちてくる。
「うおっ!?」
「ぎゃっ!?」
 その衝撃で、ドムも、鬱詐偽も、リスティも、メリーや部下たちも、全員が足を止めた。ぐらつく地面の上でなんとかふんばろうと足に力を入れる。その瞬間、白は駆け出した。
「はぁぁぁっ!!」
 次々に殴り飛ばされ、引き寄せられて投げられて、倒されていくメリーの部下たち。その様子にドムは目を見開いていた。これをするなら確かに、自分の周囲に敵がいては出来ない。
「なるほど……そういうことか」
「今がチャンスですね、どんどん攻めていきます!」
 リスティも前に飛び出した。その背中を鬱詐偽の歌声が後押しする。青水晶の槍を振るって敵をなぎ倒すリスティの後ろから、ドムが残った下っ端の頭を撃ち抜いていく。
「ば、バカな……!?」
 メリーは呆気に取られるしかなかった。たった四人で、こうも自分の部下が面白いように倒されるとは。見る間に敵は数を減らし、残すところはメリー一人。
「さあ、残りはお前だけだぜメリー・バーミリオン。覚悟しな!」
「ひ――」
 白が相対して真っ先に地面を蹴ると、メリーが引きつった声を上げながら一歩後ずさる。その脚に、リスティが投じた槍が突き立った。
「あぐっ、う!」
「そこだっ、おらぁぁぁぁ!!」
 動けなくなったメリーの前に、風を吹き出して加速した白が迫る。そして、その胸に強烈な拳の一撃が炸裂した。
「かは……!!」
 口から息と血を吐き出しながら、後方に倒れゆくメリー。その身体が地面の上で一度痙攣すると、そのまま動かなくなり砂のように消えた。
 敵が姿を消したことに目を見張りながらも、ドムがラッパ銃を下ろす。
「ふー……これで、片付いたか」
「そう見ていいんじゃないか。さて、お宝は……?」
 白が両の手をおろしながら洞窟の奥へと目を向けると、ドムがその場所へ駆けていく。
 財宝「五天王のネックレス」はまだそこにあった。戦いの余波で洞窟が揺れたことで多少土埃を被っているが、傷もついておらず綺麗なものだ。
「ああ、無事なようだ。よかったよ……ありがとうな、お前さんら」
 ネックレスと、その周囲に転がっていた財宝を確認してから、ドムが立ち上がって猟兵たちに笑った。その手から、財宝のいくつかが猟兵たちへと報酬として渡される。
 そのことにホッと胸を撫で下ろしながら、鬱詐偽とリスティが息を吐いた。
「これでおしまいかしら……? うう、よかったわ……」
「それじゃ、帰りましょう! また海の中を泳いでいかないとなりませんしね」
 そうして猟兵たちとドムは再び海中へ飛び込んでいく。冒険は、無事に帰り着くまでが冒険なのだ。そのお約束も、財宝を手にした今は楽しめる気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月04日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト