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【猟書家の侵攻】迷惑精霊使い、現る!

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #激流のリヴェンタ #ドワーフ #マイ宿敵 #精霊使いの暗躍

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#精霊使いの暗躍


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「さて・・・復活したからには色々と確かめたい所ね。かつての力が使えるのかどうか」
 ケモ耳の少女は誰に言うでもなくそう呟く。
「激流のリヴェンタ、だったかしら?そんな存在の意志を継ぎ行動せよ、と復活の際に話があったけれど・・・、あまり興味がないのよね。天上界への到達なんて」
 だが、完全に無視するわけにもいかないだろう、と少女は考える。
「意向に従う、というのは少々癪だけど・・・力を試すいい機会かもしれないわね。まずは準備運動といきましょうか」
 そういうと少女は空間転移の術式を発動し現地へ向かうのだった。そう、ドワーフの洞窟王国へ。

「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。アックス&ウィザーズは猟書家の侵攻も終盤といった状況。この調子で行けば完全にこちらのペースへ持ち込めそうですが・・・。そんな中、事件が発生しているようです」
 集まった猟兵達に説明を始める炎武・瑠美(天然系お嬢様…らしき者・f31245)。

「今回の事件はドワーフの洞窟王国で発生しています。『激流のリヴェンタ』という猟書家幹部がいたのですが、その意思を受け継ぐものが現れたようです。彼女の名は精霊使い『ユウ』、見た目はケモ耳の女の子ですね」
 文献で過去の書物を確認してみると『ユウ』は生前精霊使いとして有能な力の持ち主であったよう。ただ、私利私欲の為にその力を行使する事も多く、それを危険視した冒険者たちによって討伐されたようだ。

「彼女は精霊使い。私の知り合いにも精霊を使役する方がいるのですが、どうやら『ユウ』が使役するのは本物の精霊のようですね。知り合いの方は疑似精霊みたいですが」
 話によれば『ユウ』はその膨大な魔力で精霊を無理やり隷属させているようだ。それゆえ、無理やりに精霊から力を絞り出すような強硬手段も取るという。

「現地では大洪水の精霊術を既に発動しているようです。このままでいきますと洞窟王国は水没し甚大な被害が出てしまうでしょう。その前に『ユウ』を撃破してください。彼女を倒しさえすれば大洪水の精霊術も解除されるようですので」
 どうやら、状況は一刻を争うようだ。気を引き締め直す猟兵達。

「あと、既に現地では洪水が発生しています。皆さんが現地に行った際にもその影響を間違いなく受けると思われます。そこで、現地のドワーフの方々に協力を仰いでいただければ、と思います」
 彼らはその土地の事を熟知している。洪水が発生しようとも何がしかの対策を取ってくれるだろう。無論、ドワーフにも戦闘に協力してもらう事も可能だ。とは言っても、猟兵と比べれば戦闘能力自体は見劣りするのは仕方ない事だろう。

「『ユウ』はその膨大な魔力でにゃんこ魔道師達を配下にしているようです。そのにゃんこ魔道師達は水の精霊の力で洪水の中でも戦闘が可能なように強化されているようですので・・・。ドワーフの力を借りない状況だと皆さんが一方的に翻弄される形になるかもしれません。十分お気をつけてください」
 まずはにゃんこ魔道師達を退け、その後に精霊術士『ユウ』との戦闘、という流れでいいようだ。とにかく現地へ着いたらドワーフとの接触を急いだ方が良さそうだ。

「それでは皆さん、ご武運を。ドワーフの洞窟王国を救ってあげてください」
 そういうと瑠美は猟兵達を現地へと転送するのだった。


黄昏空
 このシナリオは猟書家幹部シナリオ、2章構成でお送りします。
 オブリビオンとして復活を果たした精霊使いがドワーフの洞窟王国を襲撃しました。
 その精霊使い『ユウ』は大洪水を発生させる精霊術を使い洞窟王国を水没させようと画策しています。この術式は『ユウ』を倒す事で解除が出来る事が判明していますので、洞窟王国が水没する前に『ユウ』を撃破してください。

 第1章は『ユウ』によって使役された『にゃんこ魔道師』達との集団戦となります。
 洪水の中での戦闘となる為、無策で行けば洪水に巻き込まれてしまう事でしょう。
 現地のドワーフの職人達は王国の形状に熟知しており、彼らの協力を得れば洪水に流される事なく戦う事が可能となります。尚、『にゃんこ魔道師』達は『ユウ』の精霊術によって洪水対策の強化がなされている為、洪水の中でも問題なくこちらへ攻撃を仕掛けてきます。

 第2章は精霊使い『ユウ』との直接対決となります。
 自らの魔力で精霊達を隷属させている『ユウ』はその精霊たちの力を駆使して攻撃を仕掛けてきます。
 『ユウ』を倒す事が出来れば大洪水の術式も破壊され洞窟王国にも平和が訪れる事でしょう。
 このシナリオは1章・2章共にプレイングボーナスが存在します。

『プレイングボーナス(全章共通)』:ドワーフ職人達の洞窟知識を借りる、あるいは勇猛なドワーフ戦士達と共に戦う。
(プレイングボーナスへのプレイング盛り込みが少しでもなされていれば有効とします。なければ、第1章などは特に洪水に流されて戦闘もままならない可能性もあります。ご注意ください。)

 シナリオの進行に関しては第1章のシナリオのプレイング受付は4/12の8:31~4/15の23:59とさせていただきます。また、当方は別シナリオとの同時進行となる為、こちらの第1章に関しては人数最小限での採用となる予定です。なんとか次の満月までに完結させたい故の強行運営となっている為です。全ての方の採用が出来ない可能性がありますので、その場合は申し訳ありません。
 第2章に関してのプレイング受付は次の週、4/25(水)の8:31~4/23の23:59までの予定としております。
 第2章に関しては普段通り執筆日数が取れますので通常参加の皆様をもれなく採用出来るかと思います。(プレイング受付に関しては随時タグに記載するつもりです)
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 集団戦 『にゃんこ魔道師』

POW   :    消失魔法~インヴィジブル~
自身と自身の装備、【幻蝶の群れが包み込む魔法攻撃を受けた】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    混乱魔法~パニック・パウダー~
【幻覚を見せ互いを攻撃させる幻蝶の鱗粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    相殺魔法~キャンセル・コード~
対象のユーベルコードに対し【反属性の盾となる幻蝶の群れ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
ボクってカナヅチだから洪水どころかプールでも戦闘不能だよ・・・
それに激流のリヴェンタの意志を継いだって?
ボクが完敗した猟書家だなぁ
あの悪夢に決着をつける為にもこの戦い負けられないね!
という私情とは別にあの時助けてくれたドワーフの同族の国を守る為
そして猟兵としての責務を果たす為がんばるよ!
とりあえず洪水に飛び込んだらあの時の二の舞だ
ドワーフのヒト、洪水を迂回してアイツ等の後ろに回れます?
気づかれず後ろに回れたら、重力波は吹き飛ばすだけじゃない、引き付けることもできるんだ
洪水の中から引きずり出してやる、そして蒼焔で焼き尽くす
これより反抗を開始する
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを



(ボクってカナヅチだから洪水どころかプールでも戦闘不能だよ・・・)

 ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はグリモア猟兵から任務の詳細を聞いた時にまずそう思った。「本来なら回れ右」しても…とも思わなくはないが…。

(それに激流のリヴェンタの意志を継いだって?ボクが完敗した猟書家だなぁ)

 そう、チタノはグリモア猟兵の話の中で聞き捨てならない名を聞いてしまった。
それはかつてチタノが戦った猟書家の名。『激流のリヴェンタ』はチタノが赴いた任務中に討伐されその野望は打ち砕かれた。だがチタノ本人としては『激流のリヴェンタ』に完敗だったという認識でいる。非常に苦い経験だ。

(あの悪夢に決着をつける為にもこの戦い負けられないね!)
 既に討伐され再戦する機会がなかったチタノ、悪夢を断ち切る機会になるかもしれないと任務への参加を決意する。彼女は『激流のリヴェンタ』との戦い以後、数々の任務を経て猟兵として成長を遂げている。あの頃のチタノではないのだ。
 そして悪夢に決着をつけるという私情も確かにあるが、あの時助けてくれたドワーフの同族の国を守りたいという気持ちもある。猟兵としての責務を果たす為、チタノはグリモア猟兵の導きの元、現地へと飛び立った。

 チタノが現地の洞窟王国に着くと、直ぐにそれを出迎えたかのように鉄砲水が押し寄せる。
 慌てて物陰に身を潜めその第一波を回避する。状況はかつての時よりも切迫しているようだ。その水の中を悠々とした動きで移動するにゃんこ魔道師の姿が見えるが…。

(とりあえず洪水に飛び込んだらあの時の二の舞だ)
 今はドワーフに合流するのが先決だ。洪水に巻き込まれぬ様慎重に、だが迅速に移動しやっとドワーフを発見したチタノ。

「ドワーフのヒト、洪水を迂回してアイツ等の後ろに回れます?」
 洪水の対応に追われていたドワーフに自身の身分を明かすチタノ。
「そうか、救援に来てくれたんだな。ありがてぇ!こっちだ、こういう時の為の避難通路がある。そこを通ればあいつらの後ろに回り込めるはずだ」
 ドワーフの案内の元、鉄砲水をぐるりと迂回する形で移動したチタノ。通路を出た先は…。

 狙い通りだ!泳ぎ回るにゃんこ魔道師達の背中が前方に見える。
 その位置からチタノはUC【反抗天秤】を発動する。

「重力波は吹き飛ばすだけじゃない、引き付けることもできるんだ。洪水の中から引きずり出してやる!」

 重力の波を的確に操作し、にゃんこ魔道師を水中より押し出そうとするチタノ。重力波に気が付き慌てて回避しようとするにゃんこ魔道師だが、時すでに遅し。重力波に押し出される形で水中よりにゃんこ魔道師が弾き出された。
 チタノは洪水来襲という苦境の中、見事それに打ち勝つ一手を放てたのだ。
「地上戦ならこっちのものだよ!蒼焔で焼き尽してやる!」
 こちらのUCを相殺しようと行動を試みようとするにゃんこ魔道師だが、そんな隙をチタノは与えない!
 蒼焔に包まれ倒れるにゃんこ魔道師に妖刀を取り出しトドメを刺しに行くチタノ。

「これより反抗を開始する。どうか反抗の竜チタノの加護と導きを」

 悪夢を断ち切るための第一歩。チタノは踏み出したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
厄介な状況ですが、やってみますぅ。

既に避難した方々が狙われると厄介ですし、その場所なら水も無いでしょう。
ドワーフさんに救助に来た事を伝えて場所を尋ね、避難先の護衛に向かいますねぇ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』のバリアを『避難先』を覆う様に展開し、防御を固めますぅ。
そして【誅剪】を発動、『攻撃』『攻撃者』『祭器の攻撃を受けた者』を[切断]する状態にしますねぇ。
この状態であれば、猫さんが『隠蔽状態』から攻撃しても自動で防御と反撃が可能、『避難先』を狙っても『FMS』に触れる為同様ですぅ。
後は、場所の判明した方から順に『FRS』『FSS』の[砲撃]で仕留めますねぇ。



 転送された先で突如鉄砲水に襲われた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。慌てて物陰に隠れ流されずに済んだが…。ふとまわりを見るとるこるのみ。どうやら今の鉄砲水で転送されて来た猟兵達は散り散りになってしまったようだ。

(流石に転送直後に被害を受けるかもしれない場所を転送場所に設定はしないでしょうから…、この状況は結構まずい状況なのかもしれませんねぇ)

 どうやらグリモア猟兵が想定していたよりも状況が差し迫っているのではないか、と考えたるこる。
「厄介な状況ですが、やってみますぅ」
 散り散りになった他の猟兵達も無事に各自行動している事を信じつつ、るこるも行動を開始するのだった。

(既に避難した方々が狙われると厄介ですし、その場所なら水も無いでしょう)
 るこるはドワーフ達と合流しその後、彼らの避難場所の防衛に回る事にした。
 ちょうど目の前をドワーフが走っていくのが見え、るこるは小箱より素早く戦輪を取り出し四肢に嵌めるとそのドワーフを追った。
 低空飛行モードのるこるは直に前を走るドワーフに追い付き、事情を話すと彼らの避難所まで案内してもらった。

 るこるの予想通りドワーフ達が避難していた場所はやや高台にあり、今の所水没する心配はなさそうである。
 だが、元凶を止めない限りはいずれこの場所も水の底に沈む事になるだろう。その前に件の精霊使いを倒さなければ。

「まずは、精霊使いの配下の魔道師の排除、ですかねぇ」
 配下の者達を倒さない事には精霊使いも姿を現さない可能性がある。まずは拠点であるこの場の防衛だ。
 るこるは浮遊する円盤を取り出し周囲へ展開した。円盤同士が光線で繋がれバリアを展開する。これでドワーフ達の避難場所を覆えばひとまず敵の攻撃も凌げるだろう。
 さらにその外側にるこるはUCの力を付与していく。

「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『神剣の加護』をお与え下さいませ」

 【豊乳女神の加護・誅剪】、これはるこるを攻撃したもの、るこるの祭器が攻撃したものを切断する力。敵は姿を消してこちらへ近付いて来ると予測される為、先手を打ったのだ。

 しばらくるこるはその場で待機をしていると、どこからか悲鳴が聞こえた。ドワーフ達のものではない。どうやらるこるの張った罠ににゃんこ魔道師達が引っかかったようだ。
 切り裂かれた痛みから姿を消している状態を維持できなくなったにゃんこ魔道師。
「姿さえ見えればこちらも番ですねぇ。覚悟してくださいぃ」
 るこるは自身の周りに展開したビームシールド8個、そして両腕に装着された砲門2個でにゃんこ魔道師へ狙いを定め…一斉砲撃を開始した!雨の如く降り注ぐ弾丸ににゃんこ魔道師は耐えきれず骸の海へと還っていく。

「まずは一体。続けていきますねぇ」
 必至にこちらに揺さぶりをかけようと四方から忍び寄って来たにゃんこ魔道師達だが、るこるの張った罠によって位置を特定され次々と砲撃を受け消滅していく。
 しばらくするとにゃんこ魔道師を凌ぎきれたのか姿を現さなくなった。

「ひとまずは、これで安心ですかねぇ」
 後は精霊使いのみ。次の戦いの為にるこるも準備を整えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・奏莉
勇者にお任せな感じの依頼ですね!

ドワーフさん、勇者のわたしが来たからには安心して……って、聞いてくださいです!?
ほんとですから、ほんものですから!

勇者の装備を見せて、岩を砕いてみたりして信じてもらいましょう。

なんとか納得してもらえたら、ドワーフさんに案内していただいて、
洪水を避けつつ『にゃんこ魔道師』さんに挑みますのです!

「ね、猫さんの姿をしたって、ダメなのですよ」
もふもふにうずうずしてしまいますが、そこはぐっと我慢。

猫さんに【デビルズラック】を使ってから、
松葉杖を構えて突撃……したら、お約束。

おもいっきりコケちゃいますが、そのときに杖が岩に当たって、
猫さんの上にふりそそいじゃいました……?



「勇者にお任せな感じの依頼ですね!」
 そう、任務の話を聞いた時に菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)はそんな事を思っていた。だが、実際に現地についてみれば…。

(あ、危なかったです。今回のはいつものコケたり頭ぶつけたりのレベルじゃなかったです)
 いきなり鉄砲水に襲われたのだ。それでも、なんとかそれから逃げ延びたのは、常日頃不運を呼び寄せてしまう体質の反動なのだろうか?絶体絶命のピンチになる紙一重の所で回避する事は出来たのだから。

 目の前をドワーフが駆けていくのを見て、ハッと本来の任務を思い出した奏莉。慌ててそのドワーフを呼び止める。
「ドワーフさん、勇者のわたしが来たからには安心して……って、聞いてくださいです!?」
 ドワーフは奏莉を見て負傷した子供が彷徨っていると勘違いしたようだ。
「嬢ちゃん、急いで避難所まで行くぞ?しっかり掴まってな!」
「ち、違うのです。怪我人ではないのです。ほんとですから、ほんものの勇者ですから!」
「あぁ、その話は後で聞いてやるから、大人しくしてな」

 ドワーフは慌てて奏莉を抱え走り始める。避難所へ向かっているのだろう。
 納得のいかない気持ちでいる奏莉が、ふと上から何か音がしたような気がし上を見上げた。そこには落下してくる大きな岩が。

「危ない、ドワーフさん!」
 慌てて自分を抱えていたドワーフを突き飛ばし、転がり落ちて来る岩に向けて盾を構える。
 盾に強烈な衝撃が襲い掛かるが奏莉は必死にそれに耐える。

「じょ、嬢ちゃん。大丈夫か?!」
 突き飛ばされたドワーフが慌てて駆け寄って来る。
「だ、大丈夫です。わたし勇者ですから」
「す、すまねぇ…、さっきのは本当だったんだな。助けてくれてありがとうよ」
「ひとまず分かってもらえて良かったです。あの…ここを襲ってきている敵を倒す為に良さそうな場所ってありませんか?洪水に襲われない場所、というか…」
「そうだな…、一番安全なのは今から向かう避難所だが…」

「…どうやら、そこへ行く時間はなさそうです」
「避難所が無理なら、こっちだ。ついて来い」
 先程の騒ぎもあって、周りのいたにゃんこ魔道師がこちらの存在に気が付いたのだろう。こちらに向け水の中を移動してくるのが見える。慌ててドワーフに続いて移動する奏莉。

「ここなら洪水は一時的に凌げるはずだ」
 防波堤のような場所に辿り付いた2人。痺れを切らせたにゃんこ魔道師もその場に姿を現す。
「ね、猫さんの姿をしたって、ダメなのですよ」
 もふもふを見て思わずうずうずしてしまう奏莉だが、そこはぐっと我慢する。

「お裾分けしてあげるね(悪運を)」
 にゃんこ魔道師相手に奏莉はUCを発動する。身構えるにゃんこ魔道師だが、別に何も起こらない。こけおどしか、と不敵な表情でこちらに近付いて来るにゃんこ魔道師。
 奏莉は覚悟を決めた。松葉杖、もとい、勇者の剣を手に果敢に突撃する!
 が、足元の小石に躓いて盛大にコケてしまう奏莉。そしてその手に持っていた剣がすっぽ抜けた。余裕でその剣を回避したにゃんこ魔道師、だが…。剣を回避し油断したにゃんこ魔道師の頭上に先程の奏莉達同様大岩が降り注ぎ…。

 形勢は一気に逆転した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
ドワーフと協力しろ、か
まぁ、そう言われちゃ是非もねぇわな
「あの敵さんはオレらがどうにかするからよ、とにかく水を堰き止めるのに集中してくれや。奴らを撃退しても、街がなくなっちまったら苦労が文字通り水の泡だ」
って感じで職人たちに要請するぜ

その上で、オレ自身は宣言通りネコ共をしばこうか
【カラビヤウ・シックス】の浮遊能力で水面の上を浮遊で移動して、と
「普段はこのシチュエーションなら電撃叩き込んでやるんだがな!今やるとドワーフ側の被害のほうが大きくなっちまう。代わりにこうしてやるよ!」

【最後の手札】で凍結魔法を全力起動
浸かってる水ごと凍らされたらどうにもできねぇだろ
「洪水ごと凍っちまいな、化け猫どもが」



(『ドワーフと協力しろ、か。まぁ、そう言われちゃ是非もねぇわな…』とは思っちゃいたが…)
 転送直後に分断された猟兵達。その中の一人、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)もドワーフ達の避難場所まで自力で辿り着く事が出来た。
 どうやら先にこの場所に辿り着いた猟兵によってこの場の安全は確保出来ているようだ。…今の所は、だが。

(今のままじゃやべぇ。防戦じゃ、じり貧になるばかりだ。こっちから打って出ねぇとな)
 曲人はこの場所へ辿り着くまでに周囲の有様を見て来ていた。水の侵攻が早すぎる。
 そこで曲人はその場にいるドワーフ達に提案する事にした。
「なぁ、アンタら。あの敵さんはオレらがどうにかするからよ、とにかく水を堰き止めるのに集中してくれや。奴らを撃退しても、街がなくなっちまったら苦労が文字通り水の泡だ」
「たぶん、今のままじゃ直にこの場も危ないぜ?」と付け加え。
 その曲人の提案にドワーフ達は顔を見合わせる。どこかで今のままではまずい、そうは感じていたのだろう。次第に彼らの顔にも決意の表情が見え始める。

「わかった、水を全力で堰き止める事にしよう。すまないが敵の方はよろしくな」
「もちろんだ、その為にオレらはここに来たんだからよ」
 要請に応じたドワーフ達を背に曲人はその場を後にする。道中に見かけた水中の猫型魔道師を討つためだ。

 ドワーフの避難場所を出てしばらく、件の魔道師達を見つけた曲人。
(この洪水の中だ。それを自由に行き来出来るあいつらは、まさかこんな手を打って来るなんて思わねぇよな?)
 リンゴサイズの機械球を取り出した曲人。その球に力を注ぎ込むと中のコアが虹色に励起し始める。それと同時に曲人は自分の体が軽くなったような感覚を得た。
 起動させた機械球は重力制御機能を持つ【カラビヤウ・シックス】という名の機械球だ。
 それを操り自身の体を浮遊させた曲人は、まるで洪水の水面を歩く様に魔道師に近付いていく。
 一方的に相手を追い詰めるイメージしか持っていなかったのだろう。突然の襲撃に混乱する魔道師を尻目に曲人はUCを発動させる。

「普段はこのシチュエーションなら電撃叩き込んでやるんだがな!今やるとドワーフ側の被害のほうが大きくなっちまう。代わりにこうしてやるよ!」
 曲人のUC【最後の手札】、その力によって自身の特定の力を飛躍的に上昇させる。
 今は凍結魔法を全力起動させる為に!

「洪水ごと凍っちまいな、化け猫どもが!」

 瞬時に練り上げられた曲人の術式によってみるみるうちに周囲の水ごと凍り付く魔道師。
「へっ、浸かってる水ごと凍らされたらどうにもできねぇだろ」
 この調子で残る魔道師達も凍結させ、黒幕を引っ張り出す。

 今頃自分以外のこの地に転送されて来た猟兵達も独自に行動している事だろう。こうして攻勢に出させすれば、目の前の魔道師達を殲滅出来るのは時間の問題だろう。

(後は…あいつらの頑張り次第、か)
 水没を阻止するためにドワーフ達は奔走している事だろう。

(あいつらが食い止めている間に、オレらはオレらのやるべき事をなすだけだ)
 曲人は次のターゲットを探し求め歩き始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 転送直後こそ分断されるハプニングに遭遇した猟兵達だが、その後はドワーフ達と連携し次々とにゃんこ魔道師を撃破していく。

 またそれと同時に洪水への対処も行われ…。上がるばかりだった水位に変化が訪れる。ひとまずの危機は去ったか?いや、今回の首謀者を倒さない限り根本的な解決には至らない。配下の者達を全滅させた今、首謀者も姿を現す事だろう。

 猟兵達が分散した状況で戦えば戦闘が長引く。洞窟王国が水没する危険性が完全に去ったわけでない今、短期決戦が望ましいのだ。にゃんこ魔道師との戦闘を終えた猟兵達はドワーフ達の避難場所へ自然と集結していくのだった。


第2章 ボス戦 『精霊使い『ユウ』』

POW   :    必殺・対消滅拳
【隷属させた炎と氷の精霊の力を纏う拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    闇よ、蹂躙せよ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【手のひら】から【隷属させた闇精霊の暗黒拡散波動】を放つ。
WIZ   :    いっそ壊れちゃえ!
【全ての隷属精霊から抽出した精霊力】を籠めた【精霊力で形作られた大剣】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【闘争本能】のみを攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鳳凰院・ひりょです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「…あら?」
 『ユウ』は配下のにゃんこ魔道師達の魔力反応が全て消滅した事に気が付いた。
 にゃんこ魔道師達は『ユウ』から見てそれなりの力を持った配下達であった。それが全滅。

それに、先程は少々術式のコントロールが不安定だったのか、思った以上に洪水の進行速度が速くなっていて焦ったものだが、今は想定レベルくらいに落ち着いてきている。何がしかの力が働いた可能性がある、と『ユウ』は判断した。

「どうやら、邪魔者が現れたみたいね。復活の際に忠告された『猟兵』という奴らなのかしら?」
 『ユウ』はオブリビオンとして復活の際、激流のリヴェンタの意志を継げと話があった。その時に示唆されていたのだ。「激流のリヴェンタを討った『猟兵』という存在が立ち塞がるかもしれない」と。

「さて…どうしたものかしらね」
 配下達が全滅した事から考えても、かつて自分を倒した冒険者達かそれ以上の力を持つ者達である可能性がある。とはいえ、復活したてで力のコントロールも完全ではない今の自分では出来る事は限られていそうだが…。
 
 しばらくすると『ユウ』は大きな力が多数集まりつつある場所へ向けて飛翔を開始した。


 ドワーフ達の避難所に集結した猟兵達。しばらくすると上空より高速で接近する何者かの影が。その影は飛翔を解除し猟兵達の前に舞い降りた。

「貴方達が『猟兵』?私の配下達を倒してくれたようね。それに洪水の侵攻も抑えてくれたみたいだし。まぁ、そっちは力のコントロールが甘くて想定外に早くなっちゃってたから助かったけれどね。とりあえず、これ以上の邪魔はさせないわよ。覚悟しなさい!」

 精霊の力を解き放った『ユウ』が猟兵達に襲い掛かる!

===========================
(解説)
 精霊使い『ユウ』との決戦となります。
 戦場はドワーフ達のいる避難場所。ドワーフ達は『ユウ』の存在を確認すると猟兵達の邪魔にならないよう避難所の隅に移動しました。
 第1章のようにドワーフの力を借りなければ戦闘もままならない状況からは脱しています。
(ドワーフの力を借りる事は無論可能です。洞窟王国の機能を利用し『ユウ』の行動を阻害する、など)
 
 ただし、広範囲を破壊するような攻撃は避難所を破壊しかねないので避けるのが無難かと思われます。
 『ユウ』はターゲットを猟兵達に絞っていますが復活して間もない為、力のコントロールが不安定なよう。周囲へ攻撃の余波などが及ぶ可能性はあり得ます。

『プレイング受付』:タグの通り4/21(水)8:31開始、4/23(金)23:59締切、とさせていただきます。
 スケジュール的に第1章は採用人数を絞らせていただきましたが、第2章に関しては可能な限りの参加者の採用を、と思っております。
 新規の参加者の方も大歓迎です。皆様のご参加、お待ちしております。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、この方ですかぁ。
それでは、お相手致しますねぇ。

『FMS』のバリアを『避難所』周囲に展開、位置関係からくる『流れ弾』程度は問題無いよう配置しましょう。
その際、ドワーフの方々に協力頂き、守り易い様固まって貰えましたら。

そして【燦華】を発動、全身を『光』に変換しますねぇ。
魔力を帯びた攻撃である以上、この状態でも当たれば有効な可能性は高いですが、『光速での回避』に重点を置き、必要に応じて『離脱』も混ぜれば、射程の短い攻撃ではまず捉えらえません。
後は『FRS』『FSS』を広域に展開し各方位から[砲撃]、『FBS』及び接近時の『刀』による斬撃を加え、確実に叩いて参りますねぇ。



 空より降り立った『ユウ』は目の前にいる猟兵達をじっと眺める。
「配下を結構あっさりと倒した、ってくらいだから『猟兵』ってもっと厳つい連中なのかと思ってたけれど…。そうでもないみたいね」
(成程、この方ですかぁ)
 パッと見はどこにでもいるケモ耳の女の子っぽいが、強大な魔力を内包している…ようにも感じる。
 見た目、大人しそうなるこるを見て『ユウ』はこれは勝てそうかしら?などと一瞬考えた。無論その考えはこの後、大外れである事を身をもって知る事になるのだが…。
「それでは、お相手致しますねぇ」
 るこるは気持ちを戦闘モードへと切り替えた。

「ドワーフの皆さん、すみませんが一か所に固まっていただけますかぁ?」
 るこるの指示に従い一か所に集まりだすドワーフ達。るこるが小箱より取り出した円盤は集まったドワーフ達を囲うように展開される。それぞれの円盤からビームが張り巡らされ強固なバリアが生成された。
 『ユウ』より打ち出された魔力弾をバリアが弾き返す。
「へぇ、守護結界…みたいなものかしらね?この世界の力じゃないみたいだけど…。でも守りを固めるだけじゃ、私には勝てないわよ?」
「はいぃ、それはもちろんですぅ。これはあくまでドワーフさん達に流れ弾が当たらないようにする為の処置ですからぁ」
「じゃあそこから反撃するってわけね。守りを固めながら?」
 『ユウ』が生前に戦った冒険者達は個々が何かに特化した力を持った者達だった。それ故、チームを組んで戦いを挑んできたのだが…。どうやら目の前の少女は守りだけでなく、ここから攻撃に転ずるつもりのようだ。「お手並み拝見」とまだ、その頃は心に余裕のあった『ユウ』。

「それでは、いきますねぇ。大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 るこるの体が光に包まれる。いや、光そのものになっていた。
「じゃあ、これならどう?火球でも喰らいなさいっ!」
 火球がるこるに襲い掛かるが、それは光となったるこるの体すり抜け…後方にあるバリアに当たり拡散した。

(今の一撃はなんとかなりましたねぇ…。ですが、魔力を帯びている以上、高威力の攻撃は直撃を避けた方が良さそうですかねぇ)
 光の体になったとは言え、無敵ではないのだ。『ユウ』のとっておきの一撃をまともに喰らえば、流石のるこるも無事では済まないかもしれない。

「へぇ、やるじゃない。じゃあ、とっておきを喰らわせてあげるわ!」
 『ユウ』の両手に練り上げられた魔力が見える。
「食らいなさいっ、私の対消滅拳をっ!」
 一気に間合いを詰めて来た『ユウ』の拳がるこるに迫る!
(まだ、です。…もう少し…。今っ)
 るこるは『ユウ』の一撃を紙一重で避ける。連撃を叩き込もうとしてくるが、光速での回避に専念したるこるはその一撃一撃を避ける。
 『ユウ』の攻撃を避け切ったるこる。そして、そのまま『ユウ』より距離を取る。

「攻撃、してこないじゃないっ。ひらりひらりと…面倒くさいっ」
「攻撃は見切らせていただきましたぁ。ここから反撃させてもらいますねぇ」
「なっ!?」
 るこるは相手の攻撃の隙を狙っていた。一時的に消耗した敵に対し一気に展開された全砲門、そしてビームの刃が『ユウ』に一斉に襲い掛かった!

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
部下がやられたんで様子見に来ましたってか?アホめ
下手人の心当たりをつけられる程度に状況が見えてるなら、作戦失敗でとっととケツ捲くればよかったんだ
「部下が全滅した段階でのこのこ顔出した時点でチェックメイトだよお前。骸の海で後悔しな!」

さて、避難所の近くでいきなりドンパチはよろしくねぇ
つーことでこいつを喰らいな、【咎力封じ】!
これなら流れ弾にはならねぇし、直撃すりゃ相手の術も封じられるって寸法さ
「罪状はいちいち言わなくていいよな、テロリストさんよ?テメーの自由にゃさせねぇ」

術士の術を縛ったら、その先は言うまでもねぇな?
容赦なく物理で殴るんで覚悟してくれや



 怒涛の一斉攻撃を、なんとか凌ぎきった『ユウ』。攻撃を防ぐ為にかなり膨大な魔力を消費したようだ。外傷こそ見当たらないが消耗している事は間違いない。
 その戦い方を見て曲人は確信に至った。

(こいつは、確かに個体としては強力な存在かもしれねえが…。戦いのド素人だ)

 『ユウ』の配下達と交戦している時にその考えが頭に浮かんではいた。

(オレ達が転送されて来た時は、完全にあっちが有利な状況だった。配下だけに任せず自分も追撃すれば、オレ達もこうも一方的な戦いにはならなかったはずだ)

 そう、配下と連携し攻めて来られたら負けはしないまでも、かなり厳しい戦いになっていただろう。それが…だ。
(部下がやられたんで様子見に来ましたってか?アホめ。下手人の心当たりをつけられる程度に状況が見えてるなら、作戦失敗でとっととケツ捲くればよかったんだ)

 先程自分達猟兵を見てこちらの存在に心当たりがあった様子だった。ならば、この展開も想定が出来たはず。
 故に曲人は『ユウ』に言い放つ。
「部下が全滅した段階でのこのこ顔出した時点でチェックメイトだよお前。骸の海で後悔しな!」

「なんですって!?少し私をたじろがせたくらいでいい気にならないでよねっ!あんたなんかっ」
(案の定、こっちの挑発に乗りやがったな)
 相手の注意は完全にこちらに向いた。これで直接ドワーフ達が危害を加えられるような事は無いだろう

(だが、避難所の近くでいきなりドンパチはよろしくねぇ)

 流れ弾がドワーフ達に直撃するような事があれば、まずい。
「つーことでこいつを喰らいな、【咎力封じ】!」
 曲人は手元より手枷、猿轡、拘束ロープを『ユウ』に放った。
「っ!な、なんなのよこれっ。動けないじゃないっ!」
 手枷と拘束ロープが『ユウ』に命中しその動きを封じた。

「へぇ、全て命中すればテメーの術を完全に封じれたんだがな…。少しはやるじゃねぇか」
 紙一重、『ユウ』が猿轡を回避した事で相手の力を完全に封じ込める事には至らなかった。だが、相手の攻撃力は格段に落ちている。それに…。
「この…っ、どうして?!飛翔出来ないのよっ!」
 飛翔しようと思っていた『ユウ』、完全とはいかないまでもその力の大半を封じた為であろう。空へ飛翔する事もままならないようだ。

(術士の術を縛ったら、その先は言うまでもねぇな?)
 ゆっくりと『ユウ』に向けて歩み寄る曲人。手には鉄パイプを持って。
「罪状はいちいち言わなくていいよな、テロリストさんよ?テメーの自由にゃさせねぇ」
「く、来るなっ。来るなぁぁっ!」
 『ユウ』が苦し紛れに火球や闇の波動を放つが、その威力は微々たるもの。曲人のUCがその威力を大幅に低減させているのだ。
「んなもんが、効くかよっ!オレの力がテメーの力を封じている間、容赦なく物理で殴るんで覚悟してくれや」
 打ち出された火球を鉄パイプで弾き飛ばし、闇の波動は受けても平然とした様子で『ユウ』の目の前まで辿り着いた曲人。

 『ユウ』に向け大きく振り上げた鉄パイプを…、一気に振り下ろしたっ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔(サポート)
UCでフレアライザーや派生形態に変身するか
イグニシオンに【騎乗】して戦う
死角を突いたりといった戦法に躊躇はない
戦いでは取れる手を全力でとる
ただ人質を取ったりなんて義にもとる真似はしないけどな
救助対象がいる場合それ優先で動くぜ

変身・騎乗どちらの場合でも基本的に【空中戦】を仕掛ける
飛行系UCの速度やワイヤーを使った【地形の利用】【ダッシュ】による高速機動戦闘だ
相手の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】や【各種耐性】で受け流しながら【カウンター】の
【生命力吸収】する黒焔で対象を【焼却】する【2回攻撃】を叩き込む戦術になる


ハンナ・レドウィッチ(サポート)
ふふん、どうやら大天才邪竜神様の手助けが必要なようね。
不要と言われても助けに行くから、安心して崇め奉りなさい!

超自信過剰なオラトリオの自爆魔法使い。UC大召喚を使用しない間(使用予定無し)、UCの成功率が下がる(お任せ)為、よく自爆して気絶します。
棒術に長け、マイケルくんでの接近戦が得意ですが見た目は若くてもお婆ちゃんなので腰に来ると戦闘不能に。
UCは選択した物を自爆を何故か恐れず強気で使用し、成功すると小躍りして喜びます。

接近戦ではマイケルくんで攻防一体の戦闘を行い、他猟兵と積極的に連携。
隙を見て、あるいは調子に乗ってUCを使用します。
アレンジその他全てお任せ致します!



 『ユウ』は封じ込まれていない力を総動員し、かろうじて束縛から抜け出す。
「…まさか、力を封じ込まれるなんて…。危なかったわね…、なんなのこいつら」
 今の戦いでかなりの魔力を消耗した。力の大半を封じられている間、相手の攻撃を凌ぎきるのに残る魔力を総動員した為、本来以上に魔力が枯渇し始めている。
「…一旦、距離を取った方がいいかしら。逃げる事も想定しておかないとね…このままじゃ…」

「あいつ、もしかして逃げるつもりか。そうはさせないぞ!」
 『ユウ』が飛翔しようと魔力を放出し始めたのを見て久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)はバイク形態となったフェンリルに跨るとエンジンを起動させ空中へと飛翔した。このフェンリルはただのバイクではない。バイク以外にAF・キャバリアOFへと変形する遥翔の相棒。空中戦を想定した作りになっているのだ。続けて遥翔はUCを発動させる。
「騎馬隊による一斉突撃…!」
 遥翔の呼びかけに応じ騎馬隊が召喚された。その数100以上。しかもその騎馬はただの騎馬ではない。全てがペガサスのように翼を持ち飛翔が可能だったのだ。遥翔の率いる空中騎馬隊が飛翔した『ユウ』の退路を断つ。

「ふふん、どうやら大天才邪竜神様の手助けが必要なようね。不要と言われても助けるから、安心して崇め奉りなさい!」
 ハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)は得意なのは接近戦。飛翔する事も可能だが、空中はあの数の騎馬隊がいればなんとかなるだろう。
 『ユウ』が地上へ逃れて来た際の追撃が出来る人手が必要だろうと判断したハンナは地上で待ち構える。
「戦闘にドワーフ達が巻き込まれるのもまずいわね。マイケルくん、私達はドワーフを守りながら戦うわよ?」
 意志持つ箒のマイケルくんに話し掛けると、それに応えるかのように反応があった。
 ハンナはマイケルくんを手にドワーフ達の前に立つ。

「邪竜神の本体を封印された身とはいえ、この私が護衛に回るのよ?光栄に思いなさい!」
「た、助かる。ありがとう」
 ハンナの護衛が付いた事でホッとするドワーフ達。
「ふふん、任せなさい。たま~、そう、たま~に魔法が失敗するけれど、なんとかなるわよなんとか」
「…失敗するのか?」
「ええ!5回に2回くらいかしら?それよりも上?ちょっと途中からは数えてないのよね!大天才だから!」
 どや顔でそう宣ったハンナ。…じわりとハンナから距離を取っている…ようなドワーフ達。

 まぁ、そんな地上はさておき、空中では『ユウ』と遥翔による空中戦が開始されていた。
「このっ、氷矢でも喰らいなさいっ!」
 『ユウ』から打ち出された氷の矢を機動力でもって回避していく遥翔と騎馬隊。
「よし、相手の通常魔法攻撃はあの程度のもののようだ。こちらの機動性ならばどうとでもなる。敵を絶対に逃がすな!」
 遥翔の指示に流れるように散開し、『ユウ』の逃げ場を断って行く騎馬隊。

「あぁ、もう!騎馬隊が煩いったら…。指揮官を潰せば勝機があるかしら?」
 指揮を執る遥翔に狙いを定める『ユウ』。遥翔を行動不能にすれば指揮系統が乱れ、逃走するにしてもしやすくなるだろうと考えたのだ。
「いいだろう。一対一の決着を望むのなら受けて立つ!」
 フェンリルに跨ったままチラリと下を見た遥翔。下ではハンナとドワーフ達が何かやり取りをしているようだが…、今遥翔がいる位置からは少し離れている。

(よし、この位置で迎え撃てばドワーフ達に攻撃の余波が来る事は無い。狙い通りだ)
 『ユウ』を追い込みつつ、ドワーフ達との位置取りも気に掛けていた遥翔。上手い位置取りが出来たようだ。後は、相手の一撃を捌き切るのみ、である。

「空中だからって、舐めないでよね!?食らいなさい私の対消滅拳をっ!」

 向かってくる『ユウ』の拳が遥翔に迫る。だが、拳を回避しきる遥翔。だが…。

「貴方には当たらないかもしれないとは思ってた。でも、その乗り物から叩き落せればそれだけで問題ないのよ?」
 フェンリルより投げ出された遥翔を見て勝利を確信する『ユウ』。あの男はこれで地上に叩き付けられ行動不能になるだろう。その隙に…。

「甘いな…。こい、イグニシオン!」

 落下を始めた遥翔は、しかし冷静だった。高らかに叫ぶと自身のキャバリアを召喚したのだ。召喚に応じ現れたキャバリアに吸い込まれる遥翔。

「な、なんなのそれ。反則じゃないっ!」
「これで仕切り直しだ。いくぞイグニシオン、敵を叩き伏せる!」
 空を駆けるイグニシオンが今度は『ユウ』に迫る!


 一方ハンナの方は…。ハンナから微妙に距離を取ろうとするドワーフ達と奇妙な追いかけっこ(?)を何とか制していた。
「余程の事がなければ、大丈夫よ。私に任せておきなさい!」
「ま、まぁ…そこまで言うんなら任せてみるか。…ちょっと心配だが」
 えらく自信満々なハンナにしぶしぶ折れたドワーフ達。
 その目の前に『ユウ』が降って来た。どうやら空中での戦いは遥翔の勝利に終わったようだ。

 ふらりと立ち上がる『ユウ』は、今度はドワーフ達に狙いをつけた。
「こうなったら…、ドワーフ達を人質にでも取って…」
 そんな視線を感じハンナも『ユウ』を挑発する。
「ふん、そんな事、この私がさせるわけないじゃない!まずはこの私、大天才邪竜神様のハンナ・レドウィッチを倒してからにするのね!」
「なら、貴方の意志を刈り取って、その間に成すべき事を成させてもらうわっ!精霊達、力を受け渡しなさい!」
 精霊力が大剣の形を成し、それを振りかぶった『ユウ』がこちらに疾走してくる。

「見なさい、この大天才邪竜神様による超越次元の究極魔法を!」
 迫りくる『ユウ』に向け、ハンナはUCを発動する。
 空中に浮遊した棒が次々と『ユウ』に襲い掛かる!
「くっ、このっ!次から次へ…。…はっ!?」
 空中からの迫る棒を大剣で切り伏せていく『ユウ』。だが、その対応に追われている間にハンナの接近を許してしまう。
「甘いわね!食らいなさっ!」
 マイケルくんでの棒術が叩き込まれ吹き飛ばされた『ユウ』。

「決まったわね…。って、いたたた…。ちょっと張り切り過ぎたかしら」

 気合を入れ過ぎたのか腰に来てしまったハンナ。その後ドワーフに介抱される事となったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・雲雀
洞窟王国いいね、少し潜りますよ。

洞窟と言えば、この世の異界。まさに半分妖怪たるもの一度は行ってみたいスポットでした!

「オトモ!余す所なく隅々まで照らし出しちゃいましょう!雲雀ちゃんの義眼から隠せるものは何も在りませんよ!」

ドワーフさんからそれとなく聞き出したヒントを元に洞窟王国各所の仕掛けを解いていきます。

数カ所に封印が在るとか厳重な仕掛けですね。でも、これだけ大掛かりなら期待できますね。

【行動】技能【地形耐性】【悪路走破】【罠使い】で、壁面の仕掛けを次々に起動して、ユウさんの軌道を妨害します。

体勢を崩した所を畳み掛ける様にUCの獅子の座流星弾の一斉射撃!
洞窟内での集団戦術も御手の物です。



 猟兵の中には風変わりな行動を取る者も居る。天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が今回取った行動もその中の一つとも言えるだろう。
 猟兵達と『ユウ』との交戦が開始した直後、雲雀はドワーフ達に話し掛けた。
「ドワーフさん、あの人の動きを阻害出来るような大掛かりな仕掛けとかありませんかね?」
「仕掛け?仕掛けか…。一応外敵用のトラップを発動させるものがあるにはあるが…」
「それです!その場所を教えてもらえますか?」
「ふむ、それならここを中央とした四方に起動用のスイッチが隠されているが…。いや、それを起動させるつもりか?各場所まで距離があるぞ?」
「今なら他の猟兵さん達が戦ってくれていますし、なんとかなるかな、って。じゃあ、行ってきます!」
「お、おい!水に浸かってる部分を移動せねばならんのだぞ!?」
「大丈夫です、ちょうどさっき工面してもらった船もありますしー」
 そう言うと起動スイッチを押しに走り出す雲雀。
「お、おいっ…。ったく、本当に行っちまいやがった…」
 唖然とするドワーフも雲雀を見送るしかなかった。

 チラッと『ユウ』が駆けていく雲雀を見るが、交戦中の猟兵との戦いに集中せねばならず…。一瞥するだけに留まった。

(さて、この船を使う機会があって良かった)
 転送されて来て直ぐ、雲雀は近くにいたドワーフを呼び止め洪水の中を移動出来るよう船を作ってくれないか、と相談したのだ。差し迫る緊急事態の中、ドワーフの説得に成功した雲雀はなんとか古い船を調達しそれをドワーフに手入れしてもらう事になった。一から作っているのでは到底時間が足りないのだ。
 なんとか船の応急修理が終わった頃には、既に『ユウ』の配下達との戦闘は終了していた。そのままこの船を使う機会もないかな…と思っていたのだが。

(洞窟と言えば、この世の異界。まさに半分妖怪たるもの一度は行ってみたいスポットでした!)
 洞窟王国、とグリモア猟兵から聞いた時に心躍って思わず参加を決定した雲雀だった。探索したい気も満々だったのだ。
 船に乗り荒波を越えながら雲雀は目的地を目指す。
 数か所に起動場所がある仕掛け。起動させるのは大変だが、それだけに効果には期待できそうだ。雲雀が考えている内に目的地の一つへ到達した。

「オトモ!余す所なく隅々まで照らし出しちゃいましょう!雲雀ちゃんの義眼から隠せるものは何も在りませんよ!」

 雲雀は注意深く周囲を確認するとスイッチの場所を見極めると壁の一角に目立たないよう細工されたスイッチを発見した。

「これですね、じゃあ次。後3つ!」

 そうして4つのスイッチを起動させ、再び戦場へ戻って来た雲雀。
 ちょうど交戦していた猟兵の一撃を受け吹き飛ばされる『ユウ』の姿が視界に入った。
 そして、この場に到着した際に気が付いた事がある。どこか体が重いのだ。雲雀が起動させたのは重力制御のトラップだったようだ。

「くっ、なんかさっきから体が重い気がするわね…どういうことなの…」
「トラップの効果抜群みたいですね!今がチャンスです!撃ち抜けぬもの無し!」
 召喚した多数の狐火の『オトモ』達と共に一斉攻撃を仕掛ける雲雀。

「やりました!」
「俺達も体が重いんだがな…。後でちゃんと解除しに行ってくれよ。まったく…」
 ドワーフにお小言をもらった雲雀は、戦闘後にトラップの解除をしに回るのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

菫宮・奏莉
あなたがこのダンジョンのラスボスですね。
ドワーフさんたちは、この『勇者・奏莉』が守りますのですよ!
「痛い子でてきたなー、みたいな目はやめてください!? 本物なのです!」

と主張しますが「いい子だから邪魔しないでね-?」みたいに扱われ、
「子供扱いもダメなのです! これでも13歳のレディなのですよ!」
と訴えたら、ドワーフさんたちにまで「え?13?」という顔されました!?

もーいーです。
こうなったら実力で勇者を証明しますのですよ!
【禁足結界】で動きを止めたら、松葉杖でめいっぱいほーむらんするのです!

どうですか! 勇者だって解ってもらえましたですか!

あ、ドワーフさんたちも、1スイング、いっておきますです?



「あなたがこのダンジョンのラスボスですね。ドワーフさんたちは、この『勇者・奏莉』が守りますのですよ!」
 魔法力による障壁でのダメージ軽減にももう限界が来ているのだろう。
 『ユウ』の体にも負傷の跡が確認出来るようになって来た。あともう一息であろう。
 奏莉はもうひと頑張りだと己を激励し悪い精霊使いに立ち向かう。

「…、確かに私もかなりダメージが蓄積し来ているけれど…。貴方もかなりのものみたいね…」
「っ、違うです。これは怪我だけど怪我じゃないんですっ!」
 奏莉を一目見た『ユウ』は怪我人が怪我を押して立ち向かってきたのかと勘違いしたようだ。
 ドワーフ達からも声があがる。
「お嬢ちゃん、後ろに下がってな。怪我している嬢ちゃんが叶う相手じゃない。猟兵達に任せるんだ」
 ドワーフとしては心配しての声なのだが、奏莉の容姿を見れば致し方ない所はあるのだろう。

「痛い子でてきたなー、みたいな目はやめてください!? 本物なのです!」
「はいはい、話は後で聞いてあげるから。今は猟兵達の邪魔をしないようにな。…飴ちゃんいるかい?」
 どうやらドワーフ達は奏莉の事を幼子、と思っているようだ。確かに背丈的にもそうみられてもおかしくはない…のだが。

「子供扱いもダメなのです! これでも13歳のレディなのですよ!」
 ざわ…。ドワーフ達がお互いに顔を見合わせている。「え?13?」っていう感じの表情に流石に奏莉もプッツンした。

(確かに背丈とか小さいですけど…これでも立派なレディなんです。そりゃ、胸元は…平ですけど…。でも、将来有望かも、って太鼓判押された事もあるのです!)
 以前に戦った相手に、だが…。

「もーいーです。こうなったら実力で勇者を証明しますのですよ!」
「お、おい、嬢ちゃん。本当にやめとけって…」
 慌ててドワーフ達が止めるも、『ユウ』に向かってずんずんと肩を怒らせながら近付いていく奏莉。

「本当に立ち向かってくるわけね。来るなら容赦しないわよ?」
 ドワーフ達と問答(?)をしている内に先程から体に掛かっていた重だるさも消えていた。どうやらトラップが解除されたようだ。
 『ユウ』に近付きながら奏莉は指先を少し傷つける。ジワリと滲み出る血を代償に奏莉はUCを発動させる!
「あなたを足止めです!」

 奏莉に対し必殺の一撃を放とうと身構えていた『ユウ』が体に異変を感じる。

「え…、ま、また…?だけど今度のは…。完全に動けない…。くぅぅっ」

 奏莉が発動させたのは偶然だが先程発動したトラップと同じ系統。だが、範囲は敵に絞られる限定的なものだ。的を絞った分強力なのは間違いないが。

「動けないですよね?いきますよっ!」
「ちょ、ま、待って…何しようと…」

 手に持った松葉杖を大きく振りかぶった奏莉を慌てて止めようとする『ユウ』だが…奏莉は止まらない。フルスイングで『ユウ』をぶっ叩いた。かきーん。

 見事なアーチを描いて壁に激突する『ユウ』。どや顔の奏莉と唖然とするドワーフ達。

「どうですか! 勇者だって解ってもらえましたですか!」
 皆一様にこくこくと頷く。どうやらわかってもらえたようだ。満面の笑みを浮かべた奏莉はドワーフ達に松葉杖を差し出す。

「あ、ドワーフさんたちも、1スイング、いっておきますです?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
キミが激流のリヴァンタの後を継いだオブリビオンだね?
ボクはキミを倒してあの時の悪夢に決着をつけるよ!
それにしても不安定な魔力が暴走してる、このままじゃ周りにも被害が出るね
ならボクの名、紅明日香の名を以てチタノヤタテ降臨して!
八つの盾で魔力を抑え込んで八つの重力槍で全方位から貫いてあげる!
反抗の竜チタノの加護と共に今こそ悪夢に終焉を



 目の前で始まったホームラン大会に思わず絶句していたチタノだが、ここにやって来た本来の目的を思い出し気を引き締め直す。

 ドワーフ達にまでホームランされた『ユウ』、もう結構ボロボロである。ドワーフ達も結構ストレスが溜まっていたのだろうか。

「キミが激流のリヴァンタの後を継いだオブリビオンだね?ボクはキミを倒してあの時の悪夢に決着をつけるよ!」
 自分の中に燻っている悪夢の出来事、それに今こそ決着をつけるのだ!

「ほんと、もう、頭来たっ!もういい、全ての精霊力を使い果たしてでもこの場を切り抜けてやるんだからっ!」
 『ユウ』の方ももう後がないのだろう。なりふり構わずに攻撃してくる可能性が高い。

「隷属する全ての精霊達。あんた達の全て、私に捧げなさいっ!」
 ぞわり、とチタノの背中に悪寒が走る。
 完全にコミカルな展開を見せられた後だけに失念していたが、『ユウ』は膨大な魔力を持った精霊使いだと、グリモア猟兵が言っていた事を思い出した。
(それに…不安定な魔力が暴走してる、このままじゃ周りにも被害が出るね)
 暴走気味の魔力を放出している様子の『ユウ』に危機感を覚えるチタノ。たとえ勝ったとしてもこの場のドワーフ達が犠牲にでもなったら意味がない。

「なら…ボクの名、紅明日香の名を以て…チタノヤタテ、降臨して!」
 チタノの呼びかけに応じるかのように八つの盾と槍、合計16もの武装がチタノの周囲に現れた。この浮遊する盾と槍、チタノの胸に宿る守護竜の力だ。その力はチタノの本名『紅明日香』の名において顕現させたのだ!

「蒼焔の盾、相手から溢れてる魔力を抑え込んで!」
 八つの盾が浮遊し『ユウ』を囲むように展開される。
「このっ、こんな盾なんかぁぁっ!」
 先程までとは比べ物にならない威力の魔力弾を放つ『ユウ』だが、その魔力弾は蒼焔の盾によって防がれてしまう。完全に防ぎきる事は出来たが、それも多用は出来ないだろう。

(いくら蒼焔の盾でも、何度でも防御は厳しいかな…。一気に勝負に出よう!)
「この…砕け散れえぇぇっ」
 精霊力が収束し、一本の大剣の形を成した。だが、その大剣、先程までよりも圧倒的な魔力を感じるのだ。
 チタノは『ユウ』の周囲を囲うように展開していた盾を移動させる。
 一部をドワーフ達へ攻撃の余波が行かないようそちらに配備し、それ以外を何層もの壁のように配置したのだ。

(相手も全力で来る。こっちも一瞬に全てを賭けるしかない!)

 自身の周囲に浮遊する全ての槍に今の自分に残っている全ての力を注ぎ込んだ。
 目の前に蒼焔の盾を破壊しながら迫る『ユウ』の姿が見える!
 全ての盾を突破されるまで、あと少し…。

「今だっ!残った盾よ、相手の動きを一瞬止めて!」

 指示に従い、『ユウ』に体当たりを仕掛ける盾。シールドバッシュとも言えるだろう。
 それを喰らい『ユウ』の体勢が崩れた!
「これでっ!いけっ、重力槍!」
 全力を注ぎ込んだ八つの重力槍が『ユウ』に突き刺さる。

「こ、こんな…こんな事が…」
 チタノの目の前で『ユウ』が倒れ伏した。
「反抗の竜チタノの加護と共に今こそ悪夢に終焉を」
 チタノのトドメの一撃が入り、精霊使い『ユウ』の体は骸の海へと還っていった。




「…、やられちゃったわね…。猟兵、か…。私の想像していたよりも、より厄介な相手だったわね」
 猟兵達が戦闘を終え帰還していくのを見る1人の少女がいる。
 それは…、先程猟兵達が倒したはずの『ユウ』だった。

「まさか、今の私のほぼ全ての力を注ぎ込んだ分身がやられるなんてね…想定外だわ」
 そう、闇精霊を媒体に自分の分身を作り上げ、それにほぼ全精霊力を注ぎ込んで送り出したのだ。

「これで、しばらくは私も潜伏して回復を待たないとね…。覚えていなさい、猟兵達」
 きびすを返しその場を立ち去る『ユウ』。また、どこかで猟兵達の前に立ち塞がる時が来るのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月24日


挿絵イラスト