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悪戯泉遊戯

#封神武侠界

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#封神武侠界


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●悪戯泉遊戯
 桃の花咲き乱れる『桃源郷』――美しいだけでなく、滞在した者の霊力も高めてくれる土地を、ある者が占拠していた。
 口端に笑み浮かべているのは、己の身に力が満ち始めるのを感じているからだろう。
「ふふ、ここで力を得たらどこにいこうかしら」
 しゅるりと、女の傍らで黒縄が躍る。
 力があれば、気に入らない相手を縛り首にして、気に入った国を己のものにしてしまえる。
 そんな未来を思い描いて女は、黒縄華妃はゆるりと過ごす。
 ただここにいればいいだけだ。
 邪魔をしに来たものは、己の篭絡した者達が払いのけ周囲を守っている。
 ここに辿り着くものがいても、力を蓄えているのだ。縛り首にしてやろうと、薄らと笑い零していた。

●予知
「桃源郷の一つが占拠されておってな」
 封神武侠界に向かってほしいのだと終夜・嵐吾(灰青・f05366)は集った猟兵達へと告げた。
 桃源郷は滞在した者の霊力も高めてくれる土地。そこにいまいるのは、オブリビオンだ。
 このまま居座ることをよしとすれば力を蓄えてしまう。その前に、倒してきてほしいということなのだ。
「その桃源郷に行くまでには泉があっての」
 それを飛び越えることは難なくできるだろう。罠、ということもない。
 ただ――そこに落ちれば変化が起こるのだ。その変化とは。
「種族が変わってしまうか、性別が変わってしまう。もしくは両方、なんてこともあるかもしれん」
 例えば、翼あるものならばそれを失ってしまうかもしれない。獣の性分を持ったものはそれが消えたり、はたまた他の獣の要素が混じる事もあるかもしれない。それは機械の身を持つものであってもだ。
 あとは性別が反転することもあるとか。
「泉の効果はすぐにはきれんので、戦うのもその姿でになるとはおもう」
 姿がかわれば常のふるまいとの違和感があるかもしれない。それは、桃源郷に辿り着くまでの、泉のある場所で慣れていくしかないだろう。
「まぁええかと、ちょっと悪戯されたと思って、姿を変わるのを楽しんでもええと思うじゃよ」
 そして、桃源郷に辿り着いたらオブリビオンをしっかり倒し、その場所を取り戻してきてほしいと続けた。
 では、桃源郷に送ろうと嵐吾は手の内のグリモアを輝かせる。
 皆ならば大丈夫じゃろうと、言って。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 詳細な受付期間については【マスターページ】【シナリオ上部のタグ】で案内しますのでお手数ですが確認お願いいたします。

●シナリオについて
 第一章:冒険『不思議な泉』
 第二章:ボス戦『黒縄華妃』
 第三章:日常『武術鍛錬』
 以上の流れとなっております。

 どの章も追加する冒頭の確認をお願いします。

●一章について
 泉にばっしゃんとすること推奨です。
『種族が変わる』『性別が反転する』、両方選んでもよいですし、どちらかでも大丈夫です。
 どのような容姿になるのか、どのような反応をするのか、どうぞご自由にしてくださいませ。
『種族が変わる』のをお任せの場合、プレイング冒頭に✨とお入れください。
 性別反転については志羽が勝手にすることはありません。

●三章について
 桃源郷での一時となります。
 体は変化したままですので、そのまま手合わせをしたり。ほかに何かできそうなことがあればご自由にしてくださいませ。
 お声がけあれば嵐吾も遊びに参ります。

●お願い
 複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章参加の場合、IDについては必要ありません)
 ご協力よろしくお願いします。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『不思議な泉』

POW   :    邪魔な敵を泉の中に蹴り落とす

SPD   :    泉を迂回したり、飛び越えながら移動する

WIZ   :    いい効果が出ることに期待して、あえて泉の中に入る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 深い霧だ。
 目の前に広がるそれは心地よい冷たさの空気と共にあった。
 霧によって視界はぼんやりとしているがそばにいるものの姿は十分にわかる。
 この先にあるのは『桃源郷』だという。
 そこに向かって、足を進めた――その先でぱしゃんと、水がはねた。
 なんだ、とみればその足元には清らかなもの。
 どうやらこの先は泉が広がっているよう。
 視界が確保できないと霧を払う行動をしてもすぐに霧で満ち溢れ、全体を見通すことはできないようだ。
 しかし、いくつか小さな足場となる場所はあるようだ。
 泉の深さは足元くらいのところもあれば、ぼちゃんと沈んでしまう場所もある様子。
 うっかり足を滑らせたり、共に進んでいたものにえーいと叩き落とされたり。もしくはこの泉の力を知っていて、自ら落ちてみたり――泉の水に触れたものは、その姿が変わる。
 あるものは、己の持つ姿を変じて、他の種族へ。
 またあるものは、性別が反転して。
 そしてまた別のものは、性別も、見た目もまるっと変わってしまったり。
 その力はしばしのちに消えるのだけれども、いつもと違う己の身は少し、扱いづらいものかもしれない。
 尾があるものは、それを失ってバランスが悪い。逆に尾があるものは、どう動かせばいいのかよくわからないものだろう。
 翼あるものは、地を這うことになり、翼得たものは空での動きなど知る由もない。
 性別も変われば、自分の声や、視界の高さ、リーチやいつも取回している得物の感覚も変わる。
 しかし、きっといつもと違う姿にもすぐ、慣れる事だろう。
 猟兵たちは、泉を、霧を抜けた先――『桃源郷』を目指す。
張・西嘉
ケットシーに
征殿(f32673)と
泉に浸かると種族や性別が変わるらしいが俺の場合すでに違和感が…具体的に言うと視点が低い。
征殿…俺はどんな姿に…?何故笑う?
二足歩行の猫?ケットシーと言うやつか…!
笑い事ではない!武器が持てぬではないか!
(愛用の武器が持てなくて凹む)
普段は感じないのだが重いし何より大きすぎて振り回せない…しかたない徒手空拳にするか…

…征殿の方は変化なしか?変わってる?
なるほど性別がか!?
(ほとんど変わってなくて気付かなかった)
いや、見せてもらわなくていい。
今は女性の姿なのだからもう少し恥じらいをだな…征殿はもともと整った顔立ちなのだからもっといろいろ気をつけた方が…。
(お説教)


征・瞬
西嘉(f32676)と
『性別が反転する』
視界が悪いな…
無理に泉を避けるよりは入ってしまった方が無難だろう
なるほど…性別が変化したか、まぁ変に種族が変わるよりはマシだと…
(西嘉の方を振り返ると姿がなく下から声が聞こえて)
……もしや、君は…(慌てている姿に思わず表情が緩むが扇で隠し)
いや、笑ってなどいないぞ
まぁその…普段と違って愛らしい姿になったなとは思うが

(変化なしかと言われて心なしかムッとして)
君ほど劇的ではないが変わっているだろう
証拠を見れば納得するのか君は
恥じらい…そもそも君が気づけば良かっただけだろう
それに性別が変わったからといって何を気をつけるというんだ



●ケットシーになった彼と女になっても変わらぬ彼
 霧は濃い。傍らにいるもの同士の姿は見えるのだが、その先は真っ白だ。
「視界が悪いな……」
 ぽつりと、征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)は呟く。
 目を向けた足元はぬかるんでいて、もう何歩踏み出せば泉だろうかというところ。
 無理に泉を避けるよりは――入ってしまった方が無難だろうと瞬は思う。
 そしてこの泉は、と張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)は聞いた話を思い出す。
「泉に浸かると種族や性別が変わるらしいが」
 本当だろうか、と思うところもあるがここは何が起こっても不思議ではないらしい。
 瞬は己の身の異変へと目を向ける。
 視界が少し低くなったような、そして手を、指先を見ればなんだか柔らかな気がする。そしていつも妖狐の耳と尻尾は隠しているが、それを出そうと思えば出すことができる感覚。
 どうやら己は妖狐のままであるらしい。
「なるほど……性別が変化したか、まぁ変に種族が変わるよりはマシだと」
 そして一番の変化は胸と、今紡いだ己の声だ。
「俺の場合すでに違和感が……具体的に言うと視点が低い」
 と――西嘉のいる方を振り返れば、姿が無い。
 そのまま瞬の視線は下へと向けられる。
「征殿……俺はどんな姿に……?」
「……もしや、君は……」
 焦茶の、その色は見覚えがある。西嘉の髪色だった色だ。そしてその茶色の瞳も覚えがあり、何処か鷹のような雰囲気を持った男――ならぬ、ケットシー。
 耳が僅かにぺたんとしている気がする。
 思わず、瞬は零れてしまう表情を隠すように扇を広げる瞬。
 西嘉の目線が瞬より上であったなら、それは隠せただろう。
 しかし今は、視線は下から向けられる。僅かに上がる口端を西嘉は見逃さなかった。
「何故笑う?」
「いや、笑ってなどいないぞ」
 言われて、己の姿を西嘉はまじまじと見る。
 ふわっとした毛のかわいいお手々。爪がしゃきんと出る、お手々。
「二足歩行の猫? ケットシーと言うやつか……!」
「まぁその……普段と違って愛らしい姿になったなとは思うが」
 ふふ、と笑い零れそうになる。ぴょんと跳ねても西嘉のほうが小さい。
「笑い事ではない! 武器が持てぬではないか!」
 西嘉の愛刀――青龍偃月刀。
 その大きさは、己の何倍だろうか。
 その柄を持ってみるが、持ち上がらない。そんな、と西嘉は小さく震えていた。
「普段は感じないのだが重いし何より大きすぎて振り回せない……しかたない徒手空拳にするか……」
 本当に仕方ないからと深いため息ついて、西嘉は瞬を見上げて。
「……征殿の方は変化なしか? 変わってる?」
「君ほど劇的ではないが変わっているだろう」
 ほら、よく見てくれと瞬は言う。
 西嘉は瞬のまわりをくるりと回って――そして気付いた。種族は何もかわっていない、といってもいつも人の姿の彼だ。そして変わるのは種族だけでないことを思い出した。
「なるほど性別がか!?」
 ほとんど変わってなくて気付かなかった――とは思うにとどめて。
「証拠を見れば納得するのか君は」
「いや、見せてもらわなくていい」
 確かにその声も高くなっている。女性らしい体つき――なのだろうか。
 そして女性であるのならだ。
「今は女性の姿なのだからもう少し恥じらいをだな……」
「恥じらい……そもそも君が気づけば良かっただけだろう」
 目線が下がって、いつもと世界の見え方が違う。
 違いも、大きなものでなければわからないのだ。
「それに性別が変わったからといって何を気をつけるというんだ」
 何をいっているんだか、という瞬。
「征殿はもともと整った顔立ちなのだからもっといろいろ気をつけた方が……」
「もっといろいろ? だから、何をだ」
 ああ~、これはわかっていない。
 そう思った西嘉は征殿、と真面目な声色で女性たる今はとお説教を開始する。
 しかし。
 ケットシーという、可愛い姿でお説教をされてもな、と瞬が思っているのは内緒だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

椚・一叶

トリス(f27131)と同行
面白い泉、入ってみるとしよう
どんな姿になっても儂は、儂
トリスと合わせて足を踏み入れる

自分の手握ったり開いたり
歩いてみたり跳んでみたり
普段と違うのは違和感大きい、が
確かに新鮮
ツノも変容したからか
頭こんなに軽かった?

トリスはどんな姿になるだろう
いつもの立派な翼、足…どう変わる?
ふむ
ちょっと、一回りしてくれ
浮かれ気味のトリスも珍しい
そんな状態の方が興味深い気、してきた
…もしや儂に内緒で、此処の美味い酒、もう飲んでいる?
と、じー

ともあれ変わった姿と共に目、焼きつけておく


鳥栖・エンデ

イチカ君(f14515)と同行
これが噂の種族が変わっちゃう泉だって〜
猟兵じゃないと出来ないような体験に
わくわくしながら泉にばしゃりと…!

いつもの翼も尻尾も蹄も無いのは新鮮だなぁ
耳が変わって聴こえにくい気はご愛嬌ってことで
身体が慣れるまでは暫く待ってみるけど
こっちの方が普段より動きやすかったりして
ふふ、冗談だよぅ……なんて浮かれぎみ

羅刹の黒曜石なツノも格好良いと思っていたけど
姿の変わったイチカ君はどんなだい…?
うんうん、いつも通り?いつもより?カッコいいカッコいい
飲んでないし酔ってないよ〜と、くるり一回転
春のようなとこの一時の夢みたいだなぁと思って
この状況を目一杯楽しも〜



●いつもと違う、そのバランス
 霧がでてきた。それは件の泉のある場所へと足を踏み入れたからだろう。
「これが噂の種族が変わっちゃう泉だって~」
 霧の中に広がる泉。その水面を鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)はのぞき込む。
 其処に揺れる姿で映るのは山羊の蹄、蛇の尻尾、虎の脚、飾りの羽根を持つキマイラの己の姿。
 こんな不思議な泉は猟兵でなければ出会うことはなかっただろう。
 猟兵じゃないとできないような体験にエンデの心は弾んでいた。
 そして椚・一叶(未熟者・f14515)は羅刹だ。
「面白い泉、入ってみるとしよう」
 どんな姿になっても儂は、儂、と一叶も頷いて、エンデと視線合わせると一緒に足を踏み入れた。
 ばしゃりと水音跳ねる。
 と――エンデはすぐに自分の身の変化を感じていた。
「わ、わ……!」
 いつも翼があり、尻尾と蹄がある。けれどそれが変わるとバランス感覚も崩れて、わたたと歩みが崩れた。
 一方、一叶はそういったバランスの変化などはなくて――一叶は自分の手を握ったり、開いたりしてみる。
 この感覚に変わりはないようだ。
 一歩踏み出しても変わりはない。しかし軽く飛んでみると、ふわさっと何かが揺れた。そして頭上に感じる不思議な感覚。
 一叶がその揺れたものに目を向けると、尻尾だ。そして違和感のある場所に手をのばせばふっさふさの耳。その耳は狼のものになっている。
 エンデも、ちょっと慣れてきた。自分の足は、人の足になっているようだ。この身体のバランスに慣れてくるとなんの不安もない。
 耳が変わって、色々な音が聞こえにくいとエンデが手を伸ばすと、その耳は横に長い。
 ん? と思ってふにふにと自分で触ってみる。それはエルフの耳になっていたようだ。
「いつもの翼も尻尾も蹄も無いのは新鮮だなぁ」
 普段と違うのは違和感大きいと一叶は頷いて。
「確かに新鮮。ツノも変容したからか、頭こんなに軽かった?」
 角ではなく耳はあるが、それは自由に右左と動かすことができる。
 と、声重なってお互いどんな姿になっているかと視線向ける。
「羅刹の黒曜石なツノも格好良いと思っていたけど姿の変わったイチカ君はどんなだい……?」
 エンデが視線向ければぴこりと動く耳とふっさふさの尻尾が見える。
 そして一叶も、トリスはどんな姿になるだろうと思っていた。
 いつもの立派な翼、足。それがどう変わるのか――と、目を向ければない。
 耳が人のものより長くなっていた。
「ふむ」
 ちょっと、一回りしてくれと一叶が頼めばいいよとエンデはくるりと回る。
 翼はなく、足は人のもの。その姿は元の姿を知っているからなんだか不思議だ。
 そしてエンデも、角が無くて。かわりにある耳と尻尾に視線は釘付け。
「うんうん、いつも通り? いつもより? カッコいいカッコいい」
 なんだか浮かれ気味。そんなトリスも珍しいと一叶は思う。
 そして、そんな状態の方が、姿が変わったことより興味深い。そんな気が、してきた。
 こんな風に浮かれる要因として思い浮かぶのは、ひとつ。
「……もしや儂に内緒で、此処の美味い酒、もう飲んでいる?」
「飲んでないし酔ってないよ~」
 じー、と見詰める一叶。その視線の前でもう一回、くるり一回転して。けれどエンデは楽しそうに笑み浮かべる。
「春のようなとこの一時の夢みたいだなぁと思って」
 不思議な心地。何時もと違う姿は、エンデもだけれども一叶にとっても不思議。
「この状況を目一杯楽しも~」
 自分の姿もだが、エンデも姿。その表情に言葉を変わった姿と共に目に焼きつけておく。
 泉の水をぱしゃりと遊ばせながら、エンデと一叶は進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
✨【紫桜】

…ん、視界が悪くなってきた
裾でも良いけど、危ないからこっち。って
手を差し出して

飛び越えられそうだしまあ、大丈夫
いやでも水溜まりよりは…
あっ(繋がったままの手はふたり諸共)

…ん、あれ?シャト?
いつもよりまた一段と凛々しくなった?
背も伸びたような…
おかしい、俺は身体が全体的に縮んだ
シャトから俺もどう見えてる?

何の後学ですかせんせー異議あり
お姫様抱っこかあ…
シャトになら良いけどさ

その代わり、俺もシャトを抱っこする
余裕、ってそっと身体を引き寄せて
よいしょ、…ん、あれ?
結構きついなって腕がぷるぷるするけど
一応姫抱っこ成功

大丈夫離さないよ、シャトくん
結局きみは格好いいし可愛らしい
不思議な感覚だ…


シャト・フランチェスカ
✨【紫桜】

随分と霧が深いね
服の裾、掴んでてもいい?

足許、水溜りみたいな感じかな
幾らなんでもそんなに深い場所は

あっ
ありました。深い場所、ありました…
ごめんよ、道連れにしちゃった

ねえ千鶴
きみには僕がどう見えてる?
なんだか色々おかしくない?

可愛さも倍増
ってウィンクひとつ

もしやこれはチャンスなのでは
やってみたいなあ、お姫様抱っこ
後学のためになるかもしれないしなー

え、僕を?
僕をか?
確かにそのほうが面白…いや、趣深いかも

せっかくだから小芝居をひとつ
千鶴ちゃん、おれのこと離さないでね
近くで見れば見るほど美人さんだなあ
不覚にも、ぎゅってしたくなっちゃったり

無理はしなくていいからね、ほんと!
交代しよ、ね!



●凛々しく、可愛く、でも変わらない
「随分と霧が深いね」
「……ん、視界が悪くなってきた」
 視界が霧に覆われていく。
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は傍らにいるシャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)の姿捉えて、逸れないようにしないとと思う。
 すると、シャトは瞬き一つと共に言葉向ける。
「服の裾、掴んでてもいい?」
「裾でも良いけど、危ないからこっち」
 と、千鶴はシャトへと手を差し出した。
 その手に、シャトは手を重ねて、二人一緒に進み始める。
 と、先に水の気配。それは水たまりのようでいて、でもそうではない。
「飛び越えられそうだしまあ、大丈夫」
「足許、水溜りみたいな感じかな」
 ぱしゃんと、少しだけ足をいれてみれば浅い。
 幾らなんでもそんなに深い場所は、とシャトは大きく足を踏み出した。
「いやでも水溜まりよりは……」
 と、言った時にはもう遅く。
「あっ」
「あっ」
 シャトは足を踏み出した先がないという感覚に前のめり。そして手を繋いだままの千鶴も一緒にばしゃんと派手な音。
「ありました。深い場所、ありました……ごめんよ、道連れにしちゃった」
 ふるりと水を払うように首を振るシャト。
 千鶴も水を払うと、目の前のシャトに感じる違和感に首傾げる。
「……ん、あれ? シャト?」
 じぃと、その瞳の中の自分の姿をお互いに見詰めて。
「ねえ千鶴。きみには僕がどう見えてる? なんだか色々おかしくない?」
 そっとシャトは手を伸ばす。ここに桜の枝があるはずなのにない。けれど、桜の花は髪に咲いている。
 そして背中に感じる不思議な感覚。
「シャトは、オラトリオだね。背中に翼もある」
 けれど、それよりも千鶴は別の変化のほうが気になる。
「いつもよりまた一段と凛々しくなった?」
 なんて、話しながら立ち上がってみると。
「背も伸びたような……」
 いや、それだけではないことに千鶴も気づく。確かにシャトの身長も少し伸びている。しかし、自分も変化があるのだ。
「おかしい、俺は身体が全体的に縮んだ。シャトから俺もどう見えてる?」
 己の種族もだが性別も変わっているのだ。
 それは、とシャトは言いかけて言葉を探す。
 そしてこの言葉が一番しっくりくると見つけた言葉は。
「可愛さも倍増」
 そう言って、ウィンクひとつ。その視線は千鶴の頭上へと向いている。
 だってそこには、猫の耳――かわいい。そして尻尾もゆるりと動いているがそれは二本ある。それは東方妖怪、猫又のようだ。
 そしてシャトははっと気づいた。
 もしやこれはチャンスなのでは――と、千鶴を見て。
「やってみたいなあ、お姫様抱っこ。後学のためになるかもしれないしなー」
「何の後学ですかせんせー異議あり。お姫様抱っこかあ……」
 シャトになら良いけどさ、と千鶴が言うとやった、とシャトは万歳して喜ぶ。
 でも、その言葉にはまだ続きがあったのだ。
「その代わり、俺もシャトを抱っこする」
「え、僕を? 僕をか?」
 男の姿、そして翼もある自分を、ちっちゃくなった女の子の千鶴が抱っこする。
「確かにそのほうが面白……いや、趣深いか」
 そう思ったら、せっかくだからと小芝居をひとつ仕掛けるシャト。
「千鶴ちゃん、おれのこと離さないでね」
 近くで見れば見るほど美人さんだなあ、なんて顎の先を指先ですくってみたり。
 かわいい、と動く耳を目に。ぎゅっとしたくなっちゃうと気持ちは膨れる。
 そして千鶴は、余裕とシャトの身体を引き寄せて。
「よいしょ、……ん、あれ?」
 抱きあげた千鶴。シャトは抱え上げやすいように動かずに。
 結構きついな、と千鶴の腕はぷるぷるし始めるが、姫抱っこは成功だ。
 しかしそのぷるぷるはシャトの身にも伝わっている。
「無理はしなくていいからね、ほんと! 交代しよ、ね!」
「大丈夫離さないよ、シャトくん」
 無理しなくていいというシャトにきりっと表情を引き締めて応える千鶴。
 まだ大丈夫。あともうちょっとくらいはと。
 けれどじっとしつつ慌てているシャトを目に。
(「結局きみは格好いいし可愛らしい。不思議な感覚だ……」)
 と、思っていると――腕の限界もやってくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御魂・神治
あ”ー!足が滑ったァ!!

???
ん?
何か、周りの景色、少し大きくなってへんか??
足元見難いな、邪魔なもん胸にくっついとるわ
にしても鞄とか銃とか何時もより重くないか?
運動不足かいな...いやそんな筈は

天将
『性転換してますね、それで筋力が下がったかと』
『女になっても胡散臭さは変わりませんね』

せやかて天将、アンタも男型になっとるで
不愛想なニイヤンになっとるわ

天将
『私の体はアバターなので性転換はやろうと思えば意図的に』

嘘言うなや、天将も水被ったやろ
...ワイを泉落としたん、天将やろ、おい
何そっぽ向いとるんや、おい



●足は滑るもの
「あ゛ー! 足が滑ったァ!!」
 御魂・神治(除霊(物理)・f28925)はこんな泉に落ちる訳がと軽い気持ちで歩み進めていた。
 が、つるんっ、と足は滑ってばっしゃんと泉の中。
 浅瀬ではあったが見事に、派手に神治は落ちた。
「??? ん?」
 こけて、起き上がって、立ち上がる。
「何か、周りの景色、少し大きくなってへんか??」
 くるりと見回すと、違和感がある。さっきと同じ風景の筈なのにだ。
「足元見難いな、邪魔なもん胸にくっついとるわ」
 神治はそれが何かは気にせずにほかにも感じる違和感を口にする。
「にしても鞄とか銃とか何時もより重くないか? 運動不足かいな……いやそんな筈は」
 水にぬれて衣服が重くなったこともある。しかしそれにしても、あまりにもおかしい。
 そう思っていると、だ。
『性転換してますね、それで筋力が下がったかと』
 神治へとありのままを伝えるのは人工式神(AI)の天将だ。
『女になっても胡散臭さは変わりませんね』
 そう告げる天将を、神治が見れば。その姿も変わっている。
 いつもは女性の姿をしているのだけれども、今は違うのだ。
「せやかて天将、アンタも男型になっとるで。不愛想なニイヤンになっとるわ」
 そう言って笑う表情は、常の神治と同じ表情。
『私の体はアバターなので性転換はやろうと思えば意図的に』
 天将はしれっとそんな事を云う。神治は胡乱気な表情を天将へと向けていた。
「嘘言うなや、天将も水被ったやろ」
 言いながら、神治は思い出す。
 水に落ちた時のことを――あれ、本当にすべったんやろか。
 いや滑ったけどなんかその前に――
「……ワイを泉落としたん、天将やろ、おい」
 いいえ、そんなことは。足は滑るものですしと天将はそっぽをむく。
 つまり、それが答えだ。
「何そっぽ向いとるんや、おい」
 そんなちょっと低めの声も、いつもより高いのだから怖くはなく。
 さっさと行きましょうと天将が先をいくのを、神治は追いかける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ

【箱蛸】

湖に落ちなきゃダメなのか?
雅、押すなよ?(フラグ)寒いし足元だけでいいよな

って、おいおい!なんで押した?!
ぎゃー!つめてーつめてー!結構深がぼ

魚ときよを持ったきのが湖から出て来て
「貴方が落としたのはこちらの魚?それとも何かに変身したこちらのきよ?」

「よろしい、心優しい貴方にはどちらも差し上げましょう」

はっ!いつの間にか気絶していたのか
きの!!変な芝居すんじゃねー!
あぁ、きのは俺の分身みたいなもんだ

「分身とは失礼な。それよりきよ…ぷぷ」

うお!なんだこりゃ?!いつの間にこんな姿になっちまったんだ?!

雅は格好良いな
つか、なんか強そう
い、いや!もしかしたら生えるかもしれねぇよ!

…可愛かったわ


筧・清史郎
【箱蛸】

俺も、もふもふ尻尾や耳を生やせるかもしれないのか
瞳キラキラわくわくしていれば
きよきよ、俺はそれを知っているぞ(微笑み
正しく空気を読み、友の背を喜んで押そう

流石きよし、愉快にもがいているな
では俺も(わくわくちゃぷり
沈む友を後目にのんびり浸かろう

ん?美味しそうな魚…だが
まぁ俺が背を押したのはきよきよだ
きよしが何に変身したか期待もしていることだしな

おお、どちらもとは
…ん?きのきの?(きょとり
ほう、きよきよはその様な姿に(じー

俺は…もふもふな耳や尻尾はまだ出ていないな(そわ
瞬間、黒く大きな禍々しい翼が生え
闇っぽい何か凄いオーラに包まれる(ラスボス

…もふもふではない、だと(超悪そうな姿でしょぼん



●フラグ乱立
 種族、そして性別が変わるかもしれないという泉――その前に立って筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)が思うのはひとつ。
「俺も、もふもふ尻尾や耳を生やせるかもしれないのか」
 わくわくと瞳を輝かせる清史郎。その横で砂羽風・きよ(タコヤキカレー・f21482)は。
「湖に落ちなきゃダメなのか?」
 どうにかしていけねぇかな、でも先も霧がこいと瞳眇めて先を見詰めるきよ。
「雅、押すなよ? 寒いし足元だけでいいよな」
 雅、押すなよ?
 その言葉が、どんな名を持ち、どんな意味を持っているかを清史郎は知っていた。
 それは、フラグという。だから清史郎は綺麗に微笑んだ。
「きよきよ、俺はそれを知っているぞ」
 ここはきよし正しく空気を読み、友の背を喜んで押そう、とふふと口端に笑みたたえ――どんっ! 
「って、おいおい! なんで押した?!」
 からの、ばしゃん!!
「ぎゃー! つめてーつめてー! 結構深がぼ」
「流石きよし、愉快にもがいているな」
 では俺も、とわくわくちゃぷりと清史郎も泉へ。
 きよが落ちた場所は運が良いのか悪いのか、深い場所だったが清史郎の場所は浅い場所。
 しかし、きよが浮かんでこないなと清史郎が思っていると、ざばっ!! と大きな音たてて小脇に魚と、何か丸いものを抱えた、もう一人のきよたるきのが現れにっこりと笑み浮かべた。
「貴方が落としたのはこちらの魚? それとも何かに変身したこちらのきよ?」
「ん? 美味しそうな魚……だが」
 ここで魚を選ぶことはなかった。
「まぁ俺が背を押したのはきよきよだ。きよしが何に変身したか期待もしていることだしな」
 そちらのきよきよを頂こう、と清史郎は告げてじぃと見詰める。
 その丸い――いや丸いのは頭で下にきよきよの身体がついているな、と清史郎は思う。。
「よろしい、心優しい貴方にはどちらも差し上げましょう」
「おお、どちらもとは」
 魚と、そしてきよを受け取った清史郎。
 するとびくん! とその体が動いてきよが意識を取り戻す。
「はっ! いつの間にか気絶していたのか」
 と、きよが周囲を見回すとひらりと手をふるもう一人の自分。
「きの!! 変な芝居すんじゃねー!」
「……ん? きのきの?」
「あぁ、きのは俺の分身みたいなもんだ」
「分身とは失礼な。それよりきよ……ぷぷ」
 もう、笑い零れるのをきのは止められなかった。
 体は、きよのそのままだ。しかし、頭部は違う。
 その頭部はまぁるい被り物。たこ焼きの被り物を被ったようだが、それはとれない。
「うお! なんだこりゃ?! いつの間にこんな姿になっちまったんだ?!」
 顔にくっついてるぞ!? と引っ張る――その指先にも違和感。
「って、なんだよこれ! 指先が全部たこ焼になっ、なんでサッカーボール混じってるんだよ!」
 人差し指だけなぜかサッカーボール仕様。なんでだ! と突っ込みたくなるのは仕方ない。
「ほう、きよきよはその様な姿に」
 なるほど、それは被り物ではないのかと清史郎はじっと見る。なるほどたこ焼。どういうことだろうか。
 しばし考えて、きっとと気付く。きよきよは、きっと新しい妖怪――そう、たこ焼ボール妖怪に違いない。
 きよはそんな愉快な姿になっているのに、そういえば自分はと清史郎は思う。
「俺は……もふもふな耳や尻尾はまだ出ていないな」
 もふもふの耳をぴこり。尻尾もふっさふさ揺らしたり自分で手入れをしたり。わくわく、わくわく――していたのに。
 清史郎の背中にばっさあ! と黒く大きな禍々しい翼が映える。そして闇のようななんだかよく解らないけどとてつもなく凄いオーラがぶわわと清史郎を包んだ。
「おお!? み、雅……! 雅は格好良いな。つか、なんか強そう」
 ぺちんと簡単になんでもやっつけられそうな雰囲気にきよはごくりと息を飲む。
 しかし清史郎自身は――ショックを受けていた。
「……もふもふではない、だと」
 期待していたのに、裏切られた気持ち。
「い、いや! もしかしたら生えるかもしれねぇよ!」
 それに気づいたきよは、声をかけるが清史郎はしょんぼり。
 もしかしたら生える? 生えるだろうか。
 生える生える! ときよは頷きながら思うのだ。
(「しょんぼり雅……可愛かったわ」)
 清史郎はラスボスに、きよはたこ焼きの妖怪に――二人の道中はまだ始まったばかり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨咲・ケイ
う~む、確かに不思議な泉ですね。
後の事を考えると落ちたら大変ですね。
落ちないように気をつけましょう。
気をつけ……(足を滑らせて落下)
……お約束ですね。

どうやら私はオラトリオの女性に
なってしまったようですね……。
義妹が見たら何と言うでしょう……?

う~ん、翼と胸がある事以外あんまり
変わりないような……。
とはいえ今の身体に慣れる必要がありますし、
ちょっと飛行する練習をしておきましょう。

……当たり前の話なのかもしれませんが、
自分の翼で飛行するという行為は
疲れるんですね……。
このまま戦ったら大変な事になりそうなので、
本気で練習しましょう。

アドリブ等歓迎です。
容姿の細かい部分等もお任せします。



●翼を得るということ
「う~む、確かに不思議な泉ですね」
 後の事を考えると落ちたら大変ですね、と雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)はしゃがんで泉を見詰めていた。
 しかしいつまでも、ここでこうしているわけにはいかない。
「落ちないように気をつけましょう。気をつけ……」
 と、言ったばかりだったのだが一歩踏み出したところでつるっと滑った。
 あっ、と思った時にはもう遅い。
「……お約束ですね」
 ケイは抗うこともせず、そのままばしゃんと泉に落ちた。
 しかしこのまま沈むわけにはとケイがどうにか浅瀬に。
 すると、背中に違和感。見ればそこに翼がある。
 そして髪に彩られるのは小さな白い花。それはカスミソウのようだ。
「どうやら私はオラトリオの女性になってしまったようですね……」
 羽ばたけば水がふるりと払われる。背中に翼がある、なんていうことはもちろん初めての事だ。
「義妹が見たら何と言うでしょう……?」
 この姿を見たらどういうのか、ケイは想像して。
 けれど今はこの姿がどんな風なのかもう一度確認。
「う~ん、翼と胸がある事以外あんまり変わりないような……」
 動きなどは変わらない。しかし少し、背中は重いかもしれない。
 そう言うところはまったく動かせないなんてことはないけれど、少し慣れないといった風だ。
「とはいえ今の身体に慣れる必要がありますし、ちょっと飛行する練習をしておきましょう」
 ケイは翼を控えめに動かしてみる。
 いけそうだ、と大きく動かしてみれば――ふわりと体が浮いた。
 その状態を暫く継続してみるものの、その足はやはり地面へと置かれる。
「……当たり前の話なのかもしれませんが、自分の翼で飛行するという行為は疲れるんですね……」
 少し動いただけなのに、疲労の度合いは高い。
 そして翼の動かし方も甘いのか、右へ左へと動いたりはなかなか難しい。
 このまま戦う事なんて到底できない。大変なことになってしまうとケイは表情引き締める。
「本気で練習しましょう」
 まずは、旋回を上手になるべく。
 速度を上げたり、なんてことはまだできそうにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
【華禱】
Loreleiの熱探知で泉と岩を判別して視界不良に対処
俺が先行してく

あの大きめな岩で少し休憩しようぜ?夜彦

助走なしで、えい!と飛んで着地
何度も繰り返した事への油断か慢心か

おわっ?!

足を滑らせるなんて、初歩的ミスもいいと、こ……
へ?夜彦?!

舞う花弁、普段とは異なる……真の姿
伸ばされる腕に捕まるも、揃って泉にどぼん!

着水直前、夜彦を腕に抱き込んだ自分を褒めたい

深くて良かった……
夜彦、大丈夫……?

自分の声も高ければ、返ってくる夜彦の声も高い
思わず、ぽんと腕の中に居る夜彦の胸元を確認
柔らかな感触に唖然

夜彦の恰好を思い出し
どうにかこうにか上着を脱いで羽織らせ

自然と戻るの待つしかないんじゃない?


月舘・夜彦
【華禱】
肉体を変化させる泉、この世界にも不思議なものがあるのですね
視界不良の対策をしている倫太郎の後を追う

えぇ、少し休憩しましょう

言われるままに岩へ向かうも、遠くの倫太郎が体勢を崩すのに気付けば
瞬時に迎え花にて真の姿へと姿を変えて、彼の所へと移動すれば受け止める

危なかったですね
新しい世界に浮かれてしまうのも……あっ

そういえば下は泉でした

倫太郎、すみません
怪我はなさそうです、が……
聞こえた声の違和感と抱き締められているのに体と体の間に触れるもの

声の高さ、膨らんだ胸
今の己の姿で女性ならば、いくら己の体であれ刺激が強過ぎる
いえ、倫太郎もなのですが
上着を差し出されれば慌てて羽織る

ど、どうしましょう……



●その身の変化は
 霧が深い場所だ。
 空気は澄んでいて、風も吹くのだがそれで霧が晴れることはなく視界を奪っている。
 しかし、それは別に問題ではなかった。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)はLoreleiの熱探知で泉と岩を判別し、視界が不良でも難なく前へと進めていた。
 俺が先行していく、と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の前を進む。
 倫太郎が進める場所、安全な場所を見つけて導いているのだ。
 夜彦は倫太郎の後ろをちゃんとついてきていた。時折、いるかと倫太郎が振り向くと、いますよと夜彦は笑む。
 二人の傍には、落ちればその身を変える力を持つ泉であり進むのも慎重にだ。
「肉体を変化させる泉、この世界にも不思議なものがあるのですね」
「あの大きめな岩で少し休憩しようぜ? 夜彦」
「えぇ、少し休憩しましょう」
 と、手ごろな大きさの岩を見つけて倫太郎は示す。
 少しくらいの休憩は何の問題もないだろう。
 倫太郎はその岩に近づいて、助走なしで、えい! と飛んだ。
 そして着地――それは、今まで何度も難なく行っていたことゆえの油断か慢心か。
 だからだろうか。それとも、ちょっと足場が悪かったのだろうか。
 いや、その両方の成果もしれない。
「おわっ?!」
 倫太郎が体勢を崩すのが見えた。
 反射的に、夜彦はその姿を真の姿へと変えて――倫太郎の傍に。
 竜胆の花弁と共にふわりと――傍に居る。その腕を捕まえて。
「足を滑らせるなんて、初歩的ミスもいいと、こ……へ? 夜彦?!」
「危なかったですね。新しい世界に浮かれてしまうのも……あっ」
 と、顔あげて倫太郎は抜けた声を落とす。
 ひらり、はらりと、舞う花弁に普段とは異なる、その姿。
 そして、ここは泉でもあったのだ。
 そういえば、とそれを夜彦が思い出した時にはもう遅い。
 倫太郎はとっさに夜彦をその腕の中に抱きこんで――ばしゃんと、派手な音が響き渡る。
「深くて良かった……夜彦、大丈夫……?」
「倫太郎、すみません。怪我はなさそうです、が……」
 抱きしめられている。
 しかしそこに違和感と、倫太郎の声色の変化。
 その理由は――ひとつ。
 さっきの声も、高くなり胸は膨らんでその体は女性のものとなっていた。
 それはふたりとも、だ。
 そして思わず、倫太郎はぽん、と腕の中にいる夜彦の胸元を確認する。柔らかな女性の身体の感覚だ。その感覚に唖然とする倫太郎。
 そして真の姿であるのなら――目にも毒。
 そしてそれは夜彦もわかっていた。今の己の姿で女性ならば、いくら己の身体であれ刺激が強すぎると。
 でもそれは、倫太郎もだ。
 しかし倫太郎は、夜彦に何かきせようと自分の上着を脱いではおらせる。
 夜彦も差し出されたら慌てて羽織っていた。
「ど、どうしましょう……」
 どうしようか、どうすることもできない。
 それはわかっているのだ。できることは、ひとつだろう。
「自然と戻るの待つしかないんじゃない?」
 時間の経過を待つだけだ。
 そうですね、と夜彦は頷く。まさかこんなことになるなんて。
 どちらも思っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
千之助(f00454)、霧が濃いです。
こういう難儀な地は、修行場には良いでしょうが…
足元、お気を付け下さいね
――と言い終わる前に、
水音!?

引っ張り上げたら、どえらい美女が…
僕が落としたのは千之助ですか?それとも美女ですか?
いや、千之助でしたけど!?
しかも超飛んでくしー!?

…あ、降りてき…
寧ろ落ちて来てません!?
キャッチしようと一歩踏み出し

――あ。(どぼん

これは、トンツー…子供?
…13くらい?
美少女?男です!ほら確りいつも通りでしょーが!
何てこったい…。
装備が重い…整理して幾つか隠して行こう…。
着てる服がぶかぶかなのも不本意ですけどっ!
彼(彼女?)をなるべく意識しない様に…
先、進みましょう…はぁ


佐那・千之助
クロト(f00472)、新世界じゃ!
山が鋭くて格好いい!パンダはおらぬか?
はしゃいで彼の話は耳に入らずどぼーん

うう、忝い…
え?声が高い
何かすごい胸がついておるのじゃが!?
しかも身体が浮く
何じゃこの布、一体どこから
もしや空飛ぶ羽衣というやつ…?(羽衣人女性に変化していた!
あっこれめーっちゃ飛ぶー(上空彼方へ

上空の寒さに凍え、空気の薄さに失神。落下
二度目のどぼんで意識を取り戻し
あぁ死ぬかと思っ…
Σクロトが美少女に!?
いや性別は変わっておらぬのか(ぺたぺた触って確認
そなた、かわいいのう…(めろめろ
濡れた上着と靴を脱いで身軽になり
これ、可愛いお顔をよく見せぬか
照れておるの?
彼の周りを楽しげに飛び回る



●変わっても変わらないもの
 おおお、と佐那・千之助(火輪・f00454)はこの世界の全てに瞳を輝かせていた。
 霧が立ち込めているが遠く――そびえる山がある。
「山が鋭くて格好いい! パンダはおらぬか?」
 あそこにもいずれたどり着けるだろうかと千之助はわくわく。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)はその姿を見つつ千之助と彼の名を呼ぶ。
「千之助、霧が濃いです」
 そんなにきょろきょろしながら進めば危ない。注意を促すべくクロトは声かける。
「こういう難儀な地は、修行場には良いでしょうが……」
 足元、お気を付け下さいね――とクロトが言い終わる前に、ばっしゃーん! と大きな音。
「水音!?」
 あああ、やっぱりと思いながらクロトは千之助へと手を伸ばし自ら引っ張り上げる。
 引っ張り上げたら、そこにいたのはクロト、なのだけれども――どえらい美女。
「うう、忝い……え? 声が高い」
「僕が落としたのは千之助ですか? それとも美女ですか?」
 なんて、思わずクロトが零したのは現実逃避か。
「何かすごい胸がついておるのじゃが!?」
「いや、千之助でしたけど!?」
 と、確かにこの言動は千之助とクロトは思う。
 しかし、ただ性別がかわったわけではなかった。
 体が浮く、と千之助はふわり。自分の身体にいつの間にかくっついていた布があった。
「何じゃこの布、一体どこから。もしや空飛ぶ羽衣というやつ……?」
 これがもし、本当に思い描いているものならば――きっともっとびゅんと飛べたりするはず。
 そう思ったなら、やらずにはいられない。
「あっこれめーっちゃ飛ぶー」
「しかも超飛んでくしー!?」
 千之助、待ってと止める間もなくびゅーんと上へ、上へ。
 このまま、あのとんがった山にもいけそうと思っているとふっと、意識が途切れて千之助は落ちる。
「……あ、降りてき……寧ろ落ちて来てません!?」
 上空は寒い。凍え、そして空気のうすさに失神しての落下だ。
 その姿を見つけ、キャッチしようとクロトも一歩、踏み出した。
 踏み出したら、だ。
「――あ」
 どぼん!! とクロトも泉の中へ。
 そしてその傍にばしゃんと、また大きな音。
「あぁ死ぬかと思っ……」
「くっ、こんなことになるとは……これは、トンツー……子供? ……13くらい?」
 と、クロトも水からあがってきたところだ。
 己の身も変わっている。その姿が変わっていても、千之助が間違えることはない。
「Σクロトが美少女に!? いや性別は変わっておらぬのか」
 ぺたぺた触って千之助は確認する。
「美少女? 男です! ほら確りいつも通りでしょーが! 何てこったい……」
 言い放つものの、この状況、頭が痛くなる。
 クロトは装備が重い……と整理して。隠しておいて帰りにとりにこようと、おいていくことに不安もある。
 重いのだから仕方ない、とどうにか気持ちに区切りをつけて。
「……重い……」
「そなた、かわいいのう……」
 と、重く思うのは千之助がめろめどでぺたぺたしてくるせいもあるのかもしれない。
 着ている服もぶかぶかなのも不本意で。
「これ、可愛いお顔をよく見せぬか」
 そう言って、千之助ははっとする。もしかして、もしかしたら。
「照れておるの?」
 くるくる、クロトの周りを楽し気に飛び回る。
「先、進みましょう……はぁ」
 千之助をなるべく意識しないようにしつつ、クロトは歩み始める。
 その後ろを楽しそうに千之助は付いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

桃源郷…
霊力を高める不可思議なる場所…
そこに居座る敵を討ち倒す為にも…
…霧が深いな…けど先に進まねば…!

【シュバルツァ・リッター】で亡霊馬に[騎乗]し
足下に気を付け[足場を習熟]し霧の中を[悪路走破]で走り抜けよう

泉に落ちぬよう出来る限り注意して[ダッシュとジャンプ]で
泉を飛び越え…て…!?
(泉の向こうの崖下に落下)

まさか崖の下にも泉があったなんて…
でもそのおかげで助かった…でもずぶ濡れだ…
…?…どこだろうここ…なんか景色が違うような…
…なんかみんな小さくなってない…?

…違うな…これは…私が…大きくなっている?!

『種族が巨人になってしまった!』

…どうしようこれ…あーあ……はぁ…



●世界が小さくなる時
 仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は周囲を見渡し、ある場所のことを思う。
 其処に向かう道筋は、霧に閉ざされていた。
「桃源郷……霊力を高める不可思議なる場所……」
 其処がどんな場所かは、行ってみなければアンナにも分からない。
 けれど、確かなことは一つ。そこに居座っているオブリビオンがいるということ。
「そこに居座る敵を討ち倒す為にも……」
 其処に行かねばならないのだ。そのためにはこの霧の中を進んでいかなければならなくて。
「……霧が深いな……けど先に進まねば……!」
 全身から蒼白い炎を噴出する漆黒の亡霊馬へとアンナは跨る。
 足元に気を付けながら、この悪路を走破するのだ。
 その足取りは軽快に、飛び石のようになっている場所も軽やかにジャンプ。
 泉に落ちないように気を付けながらダッシュしてジャンプを重ねていけばいいだけ。
 そう、この泉を飛び越えていけばいいのだ。
「泉を飛び越え……て……!?」
 だが、全ての泉が小さな泉ではなかった。
 大きな泉も存在する。泉を飛び越えて、その先のがけも飛び越えたら――その眼下に広がるような、大きな泉も。
 それに気づいたときには、アンナもどうすることもできず大きな音をたてて泉におちるだけだ。
「まさか崖の下にも泉があったなんて……でもそのおかげで助かった……でもずぶ濡れだ……」
 呟き零しながら泉から上がる。
 と――さっきまで見ていた景色と、違う。
「……? ……どこだろうここ……なんか景色が違うような……」
 アンナは周囲を見回す。
 さっきあんなに落ちる、と高く見えた崖がそんなに高くない。登れそうな高さだ。
「……なんかみんな小さくなってない……?」
 と、零してその理由に思い至った。
「……違うな……これは……私が……大きくなっている?!」
 アンナはそうに違いないと自分の身を確認する。
 思った通り、自分の身は巨大になっている。
 そう、巨人になってしまったのだ。
「……どうしようこれ……あーあ……はぁ……」
 時間がたてばきっと、元には戻るのだろう。
 だけれども、この身の大きさにはなかなか慣れそうにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨絡・環
アルフィードさん(f00525)と

まあ、うつくしい泉
何でも不思議な効能もあるのだとか
アルフィードさん、ちょっと此方へ立って下さる?

泉の側へ手招きして、
するり背に回って、トンと
ばっしゃん、を試みます
斯様なわたくしの悪戯心など
屹度お気づきでありましょうが

あらあら
大変に麗しい御婦人のお姿
とても可愛らしゅうございますよ
アルフィードさんは
どのお姿でもアルフィードさんですねえ

わたくし?
差し出した手が引かれ、身体は傾いで

あらあら
ばっしゃん

清水から顔を出したならば
水面に映る己の顔を見、頬にふれ
人間の、殿方の姿に
これがわたくし?
まあ声まで変わって

んふ、有難う存じます
ならば今、貴女様を惑わしてしまおうか?
なあんて


アルフィード・クローフィ
環ちゃん(f28317)と

わぁー!環ちゃん見てみて!綺麗な泉だよ!
ん?はーい!何?何?環ちゃん
呼ばれて嬉しそうに彼女の元へ
言われたまま立ち止まり背中に移動する彼女をきょとんと眺める
ドンという衝撃からバシャンの泉の中へ
ぷはっ、あはははははっ
ひどいなぁ環ちゃん
わぁ、見てみて!俺女の子になってる!!
女の子にしては大きいかな??
どう?俺可愛いかな?

ふふっ、有り難う!
じゃお礼に、えぃ!
と彼女の手を掴んでそのまま泉の中へ
お返しだよー

わぁー、環ちゃん滅茶苦茶美人なイケメンさん!
きっと皆イチコロだね!!
俺がじゃなくて私が惑わされちゃう!
と楽しそうに笑って



●いつも通りの戯れを
 霧深い中――けれども、泉がそこに広がっている事はわかる。
「わぁー! 環ちゃん見てみて! 綺麗な泉だよ!」
 アルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)は先に駆けて、泉をのぞき込む。
 きらきら輝く水面を目に、アルフィードはぱっと顔を向けて早く早くと声向けた。
「まあ、うつくしい泉」
 何でも不思議な効能もあるのだとか、と雨絡・環(からからからり・f28317)はふふりと笑い零す。
 環は、周囲を見てくると泉をのぞき込むアルフィードを見詰めつつ、このあたりがよさそうと立ち位置を決めた。
 そして環は微笑みと共にアルフィードを手招きして。
「アルフィードさん、ちょっと此方へ立って下さる?」
「ん? はーい! 何? 何? 環ちゃん」
 アルフィードは呼ばれるままにはいはいと嬉しそうに、素直に手招かれた場所へ。
 ここでいい? とアルフィードが立てば環は頷いて、その背後にするりと回り込む。その様を、どうしたんだろうときょとんと視線で追うアルフィード。
 環はにこにこと、笑みを浮かべている。斯様なわたくしの悪戯心など屹度お気づきでありましょうが――と、その手を伸ばすのは、アルフィードの背中。
となれば、することはひとつ。トンとその背中を押した。
 アルフィードが向かう先は泉しかない。ばっしゃん! と大きな音をたてて泉の中へ。
「ぷはっ、あはははははっ」
 ひどいなぁ環ちゃん、と言うアルフィードの声は何時もより高い。なんで、とアルフィードは自分の姿を見て、気づく。
「わぁ、見てみて! 俺女の子になってる!!」
「あらあら」
 どうかな、どうなってる? とアルフィードは問いかける。その言葉に動きは、彼の動きそのもの。けれど見た目は違うのだ。
 その姿を目にして環は大変に麗しい御婦人のお姿と紡ぐ。
 泉から上がってきて、アルフィードはくるりと回って見せる。
「女の子にしては大きいかな?? どう? 俺可愛いかな?」
「とても可愛らしゅうございますよ」
 そんな反応に環は瞳の端に笑みを滲ませる。
「アルフィードさんは、どのお姿でもアルフィードさんですねえ」
「ふふっ、有り難う!」
 じゃあお礼に、とアルフィードは手を差し出す。
 わたくし? と環は首傾げつつ差し出した手を引かれると体は傾いでいた。
「えぃ! お返しだよー」
 アルフィードのその声にあらあらと苦笑交じりに泉の中へ。
 冷たい、けれど気持ちよい心地。
 その水から顔を出せば、泉に映る己の顔。
 水面に映るそれは、己のものであるけれど、不思議な感覚。
 環は頬にふれる。それに、己の身は――今は、人の者。
「人間の、殿方の姿に……これがわたくし?」
 まあ声まで変わって、と環は瞬く。
「わぁー、環ちゃん滅茶苦茶美人なイケメンさん!」
「んふ、有難う存じます」
「きっと皆イチコロだね!!」
 そんな風にアルフィードが言うものだから、環はこう答えましょうと悪戯心、遊び心を滲ませて。
「ならば今、貴女様を惑わしてしまおうか?」
「俺がじゃなくて私が惑わされちゃう!」
 なあんて、と戯れのように向けた言葉にアルフィードも楽し気に笑って返す。
 その姿が変わっても、己である事はなにひとつ、変わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉・火華流
…(この間三百文字w)…

この世界って…こういうところ、多いのかしら?(一種の巨大宝貝?)
先日、こことは別の…同じような場所に行ってきた

自嘲気味に一度笑った後
…大丈夫っ…あんな事、何度もあってたまるものよっ!!!!

その後…桃源郷から風に乗って飛んできた…大量に舞い落ちた桃の花弁が泉の上に乗っていて、落とし穴状態になった泉に落ちる…泉火華流

…って、今度は何の泉に落ちたのよっ
泉から出ようと思ったら…手の感覚がおかしい

…って、何よこれっ!!
両手が翼…足も靴が脱げて鉤爪…尾羽も伸びてる…

これ…ヤバすぎない?
手には何も持てない…愛用のエアシューズも使えない…

途方に暮れててもしょうがないので、先に進む鳥娘w



●二度あることは三度あるかも、しれない
 泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は考えこんでいた。
 長い間――時間にすると、5分か。
「この世界って……こういうところ、多いのかしら?」
 目の前に広がるのは霧。そして、泉があるという。
 一種の巨大宝貝? と思わないこともない。
 そう、こことは別の、けれど同じような場所に火華流は先日、足を運んだ覚えがあったのだ。
 そこでのことを思い出し、自嘲気味に一度笑い零す。
 そして大きく、息を吸って、吐いて落ち着いて。
「……大丈夫っ……あんな事、何度もあってたまるものよっ!!!!」
 泉になんて落ちるわけがない。だって、安全な足場はみえているもの、と火華流は一歩を踏み出す。
 岩の上をぴょんぴょんと飛んで、これなら楽勝! いける! と軽やかに。
 軽やかに――その場所を踏んだ。
 風にのってひらひらと舞い込んできた桃の花弁。
 それが泉の上に集って足場のように見えていたのだ。そこの上に載ってしまったら、導き出される結果は一つ。
 そして泉火華流は、見事にその場所を踏み抜いた。
 ばしゃんと大きな音たてて泉に沈んで、そして浮き上がる。
「……って、今度は何の泉に落ちたのよっ」
 泉から出なきゃ、と岸へ向かって伸ばした手――その手の感覚がおかしい。
 そこに人の手はなくて。
「……って、何よこれっ!!」
 泉から上がって火華流はくるりと回って自分の姿を確認する。
「両手が翼……足も靴が脱げて鉤爪……尾羽も伸びてる……」
 人の身であった火華流は、今は鳥の特徴もった姿に変わっていた。
「これ……ヤバすぎない?」
 手には何も持てない――そして何よりも。
「愛用のエアシューズも使えない……」
 これは、困る。けれどここで途方に暮れていてもしょうがない。
 先に進むか、と鳥娘となった火華流は慣れない身体を動かしながらまた泉の上を進み始める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

わたくしは翼で飛んで行けるけど……ヴォルフ、気を付けて
……危ない!

足を踏み外した彼を助けようとして思わず手を伸ばすも
重みを支えきれず一緒に泉に落ちて

背中の翼が消えたのに、体はとても軽くなって
風が吹けば飛ばされてしまいそう
だけど変化はそれだけじゃなくて
ああ、ヴォルフ……見ないで……!

願いとは裏腹に彼に抱き留められ悟られてしまう
わたくs…僕の体が【羽衣人の男性】になってしまったことを

今までにも「男装の王子」の姿に変身したことはあったけれど
まさか本当に男の子になってしまうなんて
ごめんなさい、僕自身が今の自分に起きた変化を受け止めきれない

こんな僕でも支えてくれる彼の優しさが
愛しくて、少し切なくて


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

慎重に足場を渡ろうとするも、思わず足を滑らせてしまい
そのまま泉へと落下する
沈む間際、俺の手を包む柔らかな温もりを一瞬感じて

狼耳があった場所には黒曜石の角
どうやら【羅刹】になってしまったようだ
力が増したのと引き換えに、狼の俊敏さが失われた気がする

すぐ傍に落下したヘルガの体が風に煽られ
飛ばされぬよう思わず彼女を抱き留める
まさかお前……男になってしまったのか?

いやその……泣くな
むしろ謝るのは俺の方だ
俺のせいでお前まで巻き込んですまない

自分の身に起きた変化に戸惑う彼女を思いやって
震える肩を抱き涙を拭いてやる

大丈夫だ、この先に何があっても
俺たち二人が力を合わせれば乗り越えられる
辛い時は俺を頼れ



●不安と、安心
 霧の中でも、共に進むだけ。向かうべき先への道は、綺麗に定められているわけではなかった。
 泉の上、とびとびに置かれた足場は油断しなければぴょんと超えられるような距離感で置かれている。
 それは猟兵にとっては何の問題もないものだろう。けれど、それは絶対でもないものだ。
 けれど、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)はヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)を心配していた。
「わたくしは翼で飛んで行けるけど……ヴォルフ、気を付けて」
 もちろんだとヴォルフガングは慎重に足場となる岩場を進む。
 しかし思わず足を滑らせて、咄嗟にヘルガは手を伸ばす。
「……危ない!」
 思わず手を伸ばして、けれどその重みを支え切れずにヘルガもヴォルフガングと共に泉へ。
 手を包む柔らかな温もりをヴォルフガングも感じていた。
 ヴォルフガングは水面から顔をだす。
 己の狼耳があった場所には黒曜石の角があった。
「どうやら『羅刹』になってしまったようだ」
 力が増したのと引き換えに、狼の俊敏さが失われた気がする。
 そしてヘルガも、背中の翼が消えている感覚。それゆえに身体がとても軽くなっていて、風に吹けば飛ばされてしまいそうだ。
 そしてヴォルフガングも、すぐ傍に落下したというのに風にあおられて飛ばされてしまいそうなヘルガへと手を伸ばし抱きとめた。
 けれど、ヘルガの身体の変化はこれだけではなかった。
「ああ、ヴォルフ……見ないで……!」
「まさかお前……男になってしまったのか?」
 願いとは裏腹に、ヘルガはヴォルフガングに抱き留められ悟られてしまう。
(「わたくs……僕の体が【羽衣人の男性】になってしまったことを」)
 知られてしまった、と顔を伏せてしまうのだ。
 今までにも「男装の王子」の姿に変身したことはあったけれど――まさか本当に男の子になってしまうなんて。
 その事実がヘルガの心内に細波をたてる。
「いやその……泣くな」
「ごめんなさい、僕自身が今の自分に起きた変化を受け止めきれない」
「むしろ謝るのは俺の方だ」
 俺のせいでお前まで巻き込んですまないとヴォルフガングは紡ぐ。
 自分の身に起きた変化に戸惑う。それは当然の事なのだろう。
 そんなヘルガを思いやって、震える方をヴォルフガングは抱き、そして涙を指先ですくって拭いてやる。
 その優しさにヘルガは瞬く。
(「こんな僕でも支えてくれる――」)
 その優しさが、愛しくて、少し切なくて。
「大丈夫だ、この先に何があっても俺たち二人が力を合わせれば乗り越えられる」
 辛い時は俺を頼れ、とヴォルフガングは紡ぐ。
 ヘルガはその言葉に頷いて、でももう少しだけとその身を寄せる。
 すぐに落ち着くからと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸迎櫻

嫌よォ、水に飛び込むなんて死だわ
離して夫と妻!
そりゃどんな姿になるか興味はあるけど…私泳げないのよお…ぎゃー!
左右をカムイとリルにかためられてそのまま落ちる

どろんと桜が舞い上がり、現れたリルとカムイの姿に感激よ!
2人ともとてもかぁいらしいわ!素敵よ!

私は変わった?
身体が硬い気がするの
なんかガシャガシャす─え?意味わからん
は?これ私、ロボットヘッド……え?意味わからん
桜メタルのボディ…男子がすきそう、よカムイ!
なんか頭部に変形できるんだけど意味わからん

リル!お絵描きし…カムイまでラインストーンでデコって
私は二人の愛機ってこと?!

搭乗ってどういうこ…無理よ!
カムイとリルが上に乗ってきたわ!


朱赫七・カムイ
⛩迎櫻


心得た、リル
サヨ、怖くないよ
私が左をリルが右をしっかり支えているからね
共に泉へ沈もう
ずっと一緒だ

私も神以外になって見たくてね
おお、これが神格を失い変じた姿かい?
何だか新鮮な心地であるよ
少々、動作には慣れが必要であるが
リルは…女人?普段と同じく実に愛らしく美しいね
共に上手く動く練習をしよう

サヨは……ロボットである!
サヨ、神々しいほどに光っている
心躍る心地がするのは何故だろう
男神はロボットが好きと聞いたことがある、それ故だろうか?
へ、変形した……!!

すかさず印を刻むリルに感心し、私も我が巫女を艶やかに飾ろうと、らいんすとーんなるもので飾ろう
うつくしいよ、サヨ

私の愛機である
搭乗してもよいかな


リル・ルリ
🐟迎櫻
✨(女の子にもなる

カムイ!櫻の右をかためて!僕は左をかためてそのまま泉に飛び込む!
大丈夫だよ、櫻
怖くないよー

えいと飛び込んで、解けるような変化に瞬く
ん?いつもより少し高い声がでる!
ふふー、心地いいなー
胸が少し腫れたみたいだけど僕はどんな種になってる?尾鰭ではなく足はあるのかな?
うぬぬ…歩く自信がないや

カムイは─ふふ、かっこいいよ!姿が変わっても君は凛々しく美しい神様だ

櫻──ろぼ!!
ろぼとへっどだ!
かっこいい!綺麗だよ、櫻
まじく、ででこしてあげる
ふふー
桜まぁくだよ
きゅきゅと櫻のぼでえに絵を描く
カムイのキラキラしてきれいだね!

僕らの櫻だもの
綺麗なろぼにする

僕も櫻に乗る!がしゃーん、出撃だー



●いけいけ、僕の私の愛しき
「嫌よォ、水に飛び込むなんて死だわ」
 離して夫と妻! と、手を引っ張られるが一生懸命踏ん張って、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は進むことを拒否していた。
 リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)へと目配せ。
「カムイ! 櫻の右をかためて! 僕は左をかためてそのまま泉に飛び込む!」
「心得た、リル」
 サヨ、怖くないよとカムイは桜宵の左をがっちり。
「共に泉へ沈もう。ずっと一緒だ」
 なんて、綺麗な顔で紡ぐけれど、カムイはわくわくしていた。
「私も神以外になって見たくてね」
 穏やかに紡ぐ言葉には楽しみという気持ちが滲んでいる。
「大丈夫だよ、櫻。怖くないよー」
 と、優しく二人で声をかけながらじりじりと泉の方へと近づいている。
 櫻宵はまだそれに気づいていない。
「そりゃどんな姿になるか興味はあるけど……私泳げないのよお……ぎゃー!」
 左右をがっしり抑えられて、カムイとリルと共にぴょんと泉の中へ。
 櫻宵の叫びと共に派手な水音が響き渡る。
 そして、沈んで――浮かびあがる。
 どろんと桜が舞い上がり、櫻宵は――二人の姿にきらきら瞳を輝かせる。
「2人ともとてもかぁいらしいわ! 素敵よ!」
「おお、これが神格を失い変じた姿かい?」
 カムイは己の手を見た。その手は――人の手ではない。
 その手はきらきらと輝いていたのだ。手は宝石の輝きをもっている。
 けれど身体全てがそうではなく、一部が宝石になっているようだ。
 どうやらクリスタリアンになったようだと触れる神も、しゃららと綺麗な音を奏でる。
「何だか新鮮な心地であるよ」
 少々、動作には慣れが必要であるが、とカムイは零す。
 この手は宝石の手。動くけれど、砕けてしまいそうな恐ろしさもあるのだ。その塩梅はまだよくわからないところ。
「カムイは―─ふふ、かっこいいよ! 姿が変わっても君は凛々しく美しい神様だ」
「リルは……女人? 普段と同じく実に愛らしく美しいね」
「ん? いつもより少し高い声がでる! ふふー、心地いいなー」
 そして、はっと気づく。なんだか胸元が膨らんでいる。ヨルが詰まって――は、いなかった。
「胸が少し腫れたみたいだけど僕はどんな種になってる? 尾鰭ではなく足はあるのかな?」
 と、紡ぐリルの頭上では白い耳が揺れている。ウサギの耳だ。
 そして美しいその尾鰭は人の足になっており、よたたとあまり上手に動けない。
「うぬぬ……歩く自信がないや」
「共に上手く動く練習をしよう」
 頷き合った二人は――櫻宵を見詰める。
 実は、さっきから、一番気になっていた。
「私は変わった?」
 身体が硬い気がするの、と腕をあげるとがしゃん。
「なんかガシャガシャす─―え?」
 ガシャガシャ、ガシャン。
「サヨは……ロボットである!」
「櫻──ろぼ!! ろぼとへっどだ!」
 おお、とカムイは瞳をきらきら輝かせる。クリスタリアン故か、瞳がさらにきらきら。
「意味わからん」
 うぃーんという駆動音も響く。そして恐る恐る、顔に触れてみると。
「は? これ私、ロボットヘッド……え? 意味わからん」
 角にも手を伸ばしてみると金属感。ナニコレと思っていると桜の花がぴかぴかと発光もする。
「かっこいい! 綺麗だよ、櫻」
 ぴかぴかしているのは一等特別感がある。
「サヨ、神々しいほどに光っている」
 何、どういうことなのと櫻宵はロボットヘッドで考える。
 その櫻宵の姿を見詰めて、カムイはきゅんとする心地。
「心躍る心地がするのは何故だろう。男神はロボットが好きと聞いたことがある、それ故だろうか?」
「桜メタルのボディ……男子がすきそう、よカムイ!」
 と、言っているとがしゃんがしゃん!
 櫻宵の身体は変形を始めた。何どういうことなのと思っている間にもくるりと身体が丸くなるように動いて――
「へ、変形した……!!」
「なんか頭部に変形できるんだけど意味わからん」
 頭部のみとなり、ごごごと下からジェットを吹き出し浮いているロボヘッド櫻宵。
「まじく、ででこしてあげる。ふふー、桜まぁくだよ」
 油性ペンを取り出してきゅきゅと櫻宵の身に絵を描いていくリル。
 すかさず印を刻むリルと、その姿にカムイは感心し、私も我が巫女を艶やかに飾ろうとらいんすとーんで飾っていく。
「リル! お絵描きし……カムイまでラインストーンでデコって」
「カムイのキラキラしてきれいだね!」
 手がない今、何してるのと止める事もできない。
 されるがままにお絵描きされて、そして飾られていく櫻宵
「うつくしいよ、サヨ」
「僕らの櫻だもの。綺麗なろぼにする」
「私の愛機である」
「私は二人の愛機ってこと?!」
 そして、リルは気付いた。あの角、ちょっと操縦桿みたいと。
「搭乗してもよいかな」
「搭乗ってどういうこ……無理よ!」
「僕も櫻に乗る!」
 無理、というがすでに二人は動いていた。
 カムイとリルはぴょんと櫻宵の頭(全部頭)に乗る。
 上に乗ってきたわ! と思うけれど二人を振り落とすわけにもいかない。
「がしゃーん、出撃だー」
 角をぎゅっと握って搭乗完了。
 ええいままよと、櫻宵は二人が示す方向へジェットふかしてゆるゆると飛び始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マヒロ・ゾスティック

性別反転OK
アドリブ連携可

自分が変わっちゃう泉かあ♥
すっごい楽しみぃ♥
元々人間から悪魔になってるボクだけど、きひひ♥
すっかり楽しい事が大好きになっちゃったからこういうのワクワクしちゃうんだよねえ♥

て訳で平気で泉に漬かって先に進むよん♥
元々女の子っぽい顔だから変わるのは体型とかあそことかくらいだけど
どうなるか楽しみだねえ♥

種族は人間以外がいいけどなんでも楽しみだねー
きひひ、なるほどお♥
これは面白そうだねえ♥
変わったらUCで『受け入れの衣』に着替えて
種族に似合う服にしよっと

悪魔じゃなくなるから自由自在ベルトは使えないけど
身のこなしは元忍だし
自信はあるから足場の悪いとこもぴょんぴょん跳んでこっと♥



●ひらり、ふわりと
「自分が変わっちゃう泉かあ♥」
 覗き込んだその泉は、いたって普通に見える。霧の中、様々な場所に広がっているようだ。
 すっごい楽しみぃ♥、とマヒロ・ゾスティック(堕ちし快楽の淫魔忍・f31759)は己の身がどう変わるのか、楽しみなのだと笑み零す。
「元々人間から悪魔になってるボクだけど、きひひ♥」
 すっかり楽しい事が大好きになっちゃったからこういうのワクワクしちゃうんだよねえ♥とマヒロは口端上げて笑み浮かべる。
 この泉に入ることは何のためらいもなく、ぴょんと軽やかに。
 さぁどうなるのか――もともと、少女のような顔つきをしているマヒロ。
 だから性別が変わるなら、きっと体型とかあそことかくらいだろうけれどと思う。
 どうなるか楽しみだねえ♥と水音立てて――そして変化する。
 突然、体がふわりと軽くなった心地。そして頭にある角は消えてしまっている。
 水から出てみれば自分の周囲をふよりと漂うのは『飛天の羽衣』のようだ。
「きひひ、なるほどお♥ これは面白そうだねえ♥」
 今までよりも軽い。とんとジャンプすれば羽衣の力だろうかふわりと体が浮く。
 その感覚は楽しくて。この種族にあう服は――と、風をはらんでふわりと踊る。この世界にもよくある服装を纏う。
 でも、自由自在ベルトは身体にそのままに。
「悪魔じゃなくなるから自由自在ベルトは使えないけど」
 身のこなしは元忍。自身はあるから大丈夫だ。
 それにこの軽い身体なら、どこまでもいけそうな気もする。 足場の悪いところもぴょんぴょんと飛んで。マヒロは泉の上を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
零時(f00283)と
アドリブ歓迎

んーん、ぼくも来るのは初めて
たぶんだけれど
ふふふーじゃあ初めて同士だねっ
零時と初めてを楽しめるのが嬉しいな

ぼくも気になるんだよ
反転かあ
どうなるんだろうね
わわっ零時待って
ぼくもぼくもーっ

身長が20cmほど伸びて
髪がショートカットになった
んに、これはびっくりだよ

ふふふー零時かぁいいね
それは胸だと思うよ
およよ 声も低くなってる
ぼくはこんな感じだよん
どうどう?かっくいー?

零時よりも身長が高いからかな
うずうず
ねえねえ、抱っこしてもいーい?
背中と膝裏に手を回してお姫様抱っこ
わあ かるーい
零時お姫様だね
ぼくも王子様みたいになれてるかな?
えへへへーありがとう


兎乃・零時

ティア(f26360)と!
アドリブ歓迎

この世界にも不思議な物があるんだなー
ティアはこの世界来るの初めてか?俺様実は初めてなんだよ
そうだな!二人で初めての世界ってのもワクワクするし!

確か反転するらしいな
どうなるんだろ、気になる…
ともかく一度行って見ようぜ、ティア!

身長が10センチぐらい伸びた女性姿
胸は大きめ
髪色も明るめ

背がおっきくなった!!
でもなんか体重い…これが‥まさか筋に…え、胸?かぁいい?
はっ、まさか…性別が…変わってる…!すげぇな此処…(声も高い
すっげぇカッコいいな!良いなー!

抱っこ?良いぞ!
お、お姫様…え、俺様今そうなの?(慣れない事過ぎて照れり)
あ、うん今すごくそう見えるぞティア!



●お姫様と王子様
「この世界にも不思議な物があるんだなー」
 ここが話に聞いた場所かーと兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)は霧の広がる世界をくるりと見回した。
「ティアはこの世界来るの初めてか? 俺様実は初めてなんだよ」
「んーん、ぼくも来るのは初めて」
 たぶんだけれど、とティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)は続けてふふふーと笑み零す。
「じゃあ初めて同士だねっ」
「そうだな! 二人で初めての世界ってのもワクワクするし!」
 零時と初めてを楽しめるのが嬉しいなとティアは笑む。
 零時は笑って、行こうぜ! と踏み出した。
 二人で泉の前に立って、じっと見つめる。
「確か反転するらしいな。どうなるんだろ、気になる……」
「ぼくも気になるんだよ」
 反転かあ、とティアも零す。どうなるだろうね、と呟いて。
「ともかく一度行って見ようぜ、ティア!」
「わわっ零時待って。ぼくもぼくもーっ」
 泉に飛び込むのは一歩、零時が早く。
 水音を二つ響かせて、そして――お互いの姿を瞳に収める。
 零時は身長が伸びてる! とぱちくり瞬く。そして胸は大きく、髪色も――明るく変わっているような。
 そしてクリスタリアンであったはずは、ぱしゃりと水音を響かせる。深海のソーダ水から生まれたその体はセイレーンのもの。
「背がおっきくなった!!」
 視界が高くなったことに零時は声あげる。そして、常とは違う体の感覚に瞬きひとつ。
「でもなんか体重い……これが…‥まさか筋に……」
「ふふふー零時かぁいいね。それは胸だと思うよ」
「え、胸? かぁいい?」
 と、ティアも視線が高くなっていると思う。
 そして髪は短く、ショートカットになっていて。
「んに、これはびっくりだよ」
「はっ、まさか……性別が……変わってる……! すげぇな此処……」
 僕は男になってるだけみたいとティアは言って、そして同じセイレーンだねと笑む。
 それに頷きながら、声まで高いと零時は自分の声にも改めて驚く。反対にティアは声が低くなっている。その声は男の声のものだ。
「およよ 声も低くなってる。ぼくはこんな感じだよん」
 どうどう? かっくいー? と、ティアはくるりと回ってみせる。
「すっげぇカッコいいな! 良いなー!」
 いつも見上げる零時。けれど今は、ティアの方が身長が高い。
 身長が高いからかっこよく見えるのかも、と思いながら――うずうず。
 ティアには、やりたいことがあった。そしてきっとそれを嫌とは零時は言わない、はずとうずうずしながら言葉向ける。
「ねえねえ、抱っこしてもいーい?」
「抱っこ? 良いぞ!」
 やった、とティアは零時の背中と膝裏に手を回す。
「わあ、かるーい。零時お姫様だね」
「お、お姫様……え、俺様今そうなの?」
 そうなの、とティアは頷く。慣れない事過ぎて照れる零時にティアは笑み向けて尋ねる。
「ぼくも王子様みたいになれてるかな?」
 王子様みたい? と、尋ねられた零時は見上げる。
 かっこいいティアの向ける笑みは優しくて。きらきら輝いているように見える。
 そしてお姫様を抱えるのはやっぱり王子様しかいないよなと零時も思うのだ。
「あ、うん今すごくそう見えるぞティア!」
「えへへへーありがとう」
 じゃあ行こう、とそのままに。おう! と頷いたものの、いつまでこのままなんだろうかと零時は首傾げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高塔・梟示


まどか(f18469)君と

霧に迷って異郷へ着く話は日本にもあるね
其処が彼の世か此の世かは分らないが

まどか君は、自分と違うものになりたい
なんて思ったことは?
成程…わたしは如何だろう
仕事柄、変装は嗜んでいるんだが

すう、と冷たい空気を肺に
負ぶうと危ないし、水に浸かるのは苦手だ、跳ぼうか
此方が先行すれば目印にもなろう

ひょいと跳躍し時折振向き様子を確かめて進む
うん?まどか君、危な――
手を伸ばした拍子に革靴が滑り
げ、と呻いて水飛沫あげ泉の中へ

ふふふ、お互い濡れ鼠になってしまったな…
無事なら良かったがすまないね
苦笑して立上れば、視界と体に違和感覚え
君、その背中の羽は…?
ああ、こっちもか…泉に映る姿に瞬いて


旭・まどか
梟示(f24788)と

随分と視界が悪いな
話には聞いていたけれど
泥濘に足を取られる不快さを隠しもせずに

御伽噺の世界でしょう
現実の此処では有り得ないと一蹴し

僕は僕である意味が在るから他への憧れなんて抱かない
そういう君は?
ふぅん
変装はあくまで側だけだものね

先導する長躯を追い
より安全な道を探しながら進む

大きな泉を避け次の足場へと向かおうと一歩踏み出す
――わ、
強かに水を跳ね上げ脇に在った泉に足首までが沈む
靴下は濡れたけれどこれくらい平気
顔を上げてそう伝えようとした矢先
伸ばされた君の手が裾を掴み
泉の中へ雪崩れ込む

君ね…
受け身を取ってくれた事には感謝すれど
濡れた不快さと背の違和感に眉顰め
衝撃に散るは金糸の羽



●巻き込み事故にて
「随分と視界が悪いな」
 話には聞いていたけれど、と旭・まどか(MementoMori・f18469)は言葉落とし足元を見下ろす。
 泥濘に足を取られて、重い。その不快さをまどかは隠しもせずに歩み進める。
 どれほど進んだだろうか。足元を確実にとらえているものの、霧は深くなっている。
「霧に迷って異郷へ着く話は日本にもあるね」
 その一歩先を高塔・梟示(カラカの街へ・f24788)は進んでいた。
 霧が深い。こういった場所に迷いこむのだろうかと思いながら梟示は其処が彼の世か此の世かは分らないが、と紡ぐ。
 それを聞いてまどかは、瞳僅かに細めていた。
「御伽噺の世界でしょう」
 現実の此処では有り得ないと一蹴する。
「まどか君は、自分と違うものになりたい、なんて思ったことは?」
 投げかけられ、まどかは考える必要もないというようにすぐに言葉返す。
 その声は迷いないものだ。
「僕は僕である意味が在るから他への憧れなんて抱かない。そういう君は?」
「成程……わたしは如何だろう」
 まどかの真っすぐな答えに頷き梟示は、己はどうだろうかと僅かに考える。
「仕事柄、変装は嗜んでいるんだが」
「ふぅん。変装はあくまで側だけだものね」
 先を往く梟示を追い、後ろ姿を見詰めつつ、より安全な道を探して進んでいた。
 と――梟示はすぅ、と冷たい空気を肺に迎え歩みを止めた。
 まどかもそれに合わせて止まりどうしたのと、梟示の進む先へと目を向けた。
 負ぶうと危ないし、水に浸かるのは苦手だと、梟示は零して。
 跳ぼうか、と先に一歩。
 自分が先行すれば目印にもなるだろう。
 ひょいと跳躍し、足場を渡っていく。梟示のあとをまどかも続いて、その姿を時折振り向き様子を確かめながら梟示は進む。
 と、一歩踏み出す。けれどバランスが崩れた気がして。
「――わ、」
「うん? まどか君、危な――」
 けれど、まどかは強かに水を跳ね上げ、脇に在った泉に足首までが沈んでいた。
 靴下が濡れた程度。これくらい平気、と顔を上げて伝えようとした矢先――危ないと手を伸ばした拍子に踏み出したその足。革靴が滑って梟示はまどかの服の裾を掴んでひっぱってしまう。
 げ、と呻いて水飛沫あげ泉の中へ。まどかも引きこまれ雪崩れ込む。
「君ね……」
「ふふふ、お互い濡れ鼠になってしまったな……」
 受け身を取ってくれた事には感謝すれど、濡れた不快さにまどかは眉顰める。
「無事なら良かったがすまないね」
 苦笑して立ち上がる梟示は、おやと思う。視界と体に違和感があったのだ。
「君、その背中の羽は……?」
 はらりと、まどかの背から零れるのは金糸の羽。
 まどかの背には翼があったのだ。
「ああ、こっちもか……」
 泉に映るその姿。水面は揺らめいているけれども梟示にとってはどうなっているのか知るのはそれで十分。
 頭が重いなと手をのばせば、そこには角がある。背中も重い――と、思えば羽ばたく翼がある。翼は、少し意識を向ければ羽ばたくこともできるようだ。それに足元をゆるりと動く尾。それはドラゴニアンの特徴だ。
 瞬き落として、こうなってしまったら仕方ないと思うしかない。
「これは側だけなのだろうかね」
 側だけなら、己は変わらないのだから何も問題はないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五条・巴
亮(f26138)と

桃源郷
見覚えのあるような、似て非なる雰囲気を持つ周囲を見回して胸にも靄がかかる
ううん、気を取り直して霞む前を見る

亮、行こっか
このあたりは泉が多いんだね
不思議な地形だ
気をつけなきゃ…あっ

足が滑ったし亮も巻き込んだ
慌ててごめんねと濡れた顔をあげたけれど、あ、あきら?亮とそっくりの男…?

待って僕の声おかしい
え、え?

立つにも体幹がずれてる、んわあ
あ、あきらぁ
高い声はいつもより情けなく響く

視界が低い…ぼく女の子になっちゃったの?

亮にしがみつきながらなんとか進む
亮が心身ともに逞しい…
ありがとう、助かるよ。

ふらふらするし視界は低いけど、こんなこと滅多にないよね、うん…うん、がんばる


天音・亮
巴(f02927)と

初めて来た場所
不思議と力が湧いてくるような
慣れない感覚にそわそわ

あ、うん!
全部違う効能?の泉なのかな
姿とか性別が変わっちゃうなんて面白いよね
ふふ

──巴あぶなっ、きゃ…!

手を伸ばしたけれどやむ無くドボン
い、たた…巴大丈、ぶ…?
声をかけて違和感
なんだか聞き慣れない自分の声
低い位置に見えたきみの顔も少し違っていて

…え、巴?

いつもの綺麗な顔はどこか可愛らしさ増して
声は正しく女の子
倒れそうになるきみの身体を咄嗟に支えようと手を伸ばせば軽すぎて
力加減を間違え思わず引き寄せる形になっちゃった
自分の手を、身体をまじまじ見下ろす
わぁ
お母さん、私、男になっちゃいました

巴、ひとまず進んでみよっか



●姿変わって、戸惑って
 ひんやりとした風が頬を撫でていく心地だ。その風はきっと泉の上をいくつも駆けてきたのだろう。
 桃源郷――ここは五条・巴(月光ランウェイ・f02927)にとって、見覚えのあるような、似て非なる雰囲気を持つ場所だった。
 周囲を見回して胸にも靄がかかる。
 そして天音・亮(手をのばそう・f26138)にとっては初めて来た場所なのだが、不思議と力が湧いてくるような。そんな慣れない感覚にそわそわとする。
 でも、いつまでも立っているわけにはいかない。
 巴はふるりと首を振る。気を取り直して、霞む前を見詰めていた。
「亮、行こっか」
「あ、うん!」
 足元に気を付けて、ぴょんと足場を飛ぶ。
「このあたりは泉が多いんだね」
 不思議な地形だ、と巴は見回す。
 霧の中、目を凝らせばわかる。泉はいくつもあるようだ。
「全部違う効能? の泉なのかな」
 と、亮は首傾げる。
 けれど話に聞いた通りならば、ここにある泉は面白いものだ。
「姿とか性別が変わっちゃうなんて面白いよね。ふふ」
 でも、この泉に落ちないように。
「気をつけなきゃ……あっ」
「──巴あぶなっ、きゃ……!」
 そう思った傍から、巴は足を滑らせて。反射的に支えようと手を伸ばした亮も支えきれずやむ無くドボン!
 大きく飛沫を跳ね上げる。
 慌てて、巻き込んでごめんねと亮へと謝るために顔あげた巴。
「い、たた……巴大丈、ぶ……?」
「あ、あきら? 亮とそっくりの男……?」
 亮は声をかけて違和感感じる。なんだか聞き慣れない自分の声。
 それは巴も同じだ。
「待って僕の声おかしい。え、え?」
 声が高いことに巴も瞬く。
 亮も顔を上げて――けれど、いつもより低い位置に見える巴の顔。その顔も、表情という意味ではなくて、つくりが少し違っているのだ。
「……え、巴?」
 いつもの綺麗な顔。それは変わらないけれどどこか可愛らしさを増していて、声は正しく女の子。
 ずっと泉の中で座っているわけにもいかず立ち上がる。
「んわあ」
 立ち上がって、みたけれど体幹っはずれていて巴はバランス崩す。
 その身を咄嗟に支えようと手を伸ばした亮。けれど、力加減間違えて思わず引き寄せるような形に。
 その腕の中から見上げて、巴は困ったような表情だ。
「あ、あきらぁ」
 名前を呼んで、改めて思う。高い声はいつもより情けなく響いていた。
「視界が低い……ぼく女の子になっちゃったの?」
 なっちゃってる、と亮は頷く。そして亮自身も自分の手を、身体をまじまじ見下ろした。
「わぁ」
 お母さん、私、男になっちゃいました――そう言って、思わず天を見上げるが広がるのは霧ばかり。
 先を進むのは亮だ。身体になれない巴は亮にしがみつきながらなんとか進む。
(「亮が心身ともに逞しい……」)
 ありがとう、助かるよと巴は紡ぐ。
 ふらふらするし視界は低い。けれど、こんなことは滅多にないことだ。
「巴、ひとまず進んでみよっか」
「うん……うん、がんばる」
 まだ霧が晴れた先はみえない。慣れない身体だけれども、前へ進むしかない。
 亮は巴に手を貸して、そして巴も亮の手をかりて進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霄・花雫
【花涯】

わぁい、エリシャおねぇさんと牡丹ちゃんと依頼だー!
何か飛び込むと色々変わるらしいよー?
ってワケで、それー!
姉妹を両手に元気良く泉へダイヴ!

あはははっ!びっしょびしょだー
……って、あれ?何か声低い……わー!すごいすごい男のコになってる!
わ、わ、目線高い!えっ、何時もよりぐんと高いね……?165くらいある?170なさそう?えー、折角男のコなんだからおっきくなりたかったなぁ……

って、エリシャおねぇさんがエリシャおにぃさんになってる!
牡丹ちゃんは?……わ、角生えてる!あはは、牡丹ちゃんってばエリシャおね……おにぃさんとお揃いだね!
嬉しくて楽しくなっちゃって、2人纏めてぎゅーっとして笑っちゃった


毒藥・牡丹
【花涯】

花雫さんはともかくこっちの女とどうして一緒に……
えっ!?ちょっ、待ってまってまってまだ心の準備があぁぁ!!

ぷあっ……えほっ、けほっ……もう……服がびしょびしょ………
って…あれ?二人は………上?
な、ななななっ……なんで二人とも男になってるの!!??
じ、十分高いと思うのだけれど……!?

へ?角?
……なっ、なによこれ~~~!!??
厭よ厭!!絶対厭!!!
なんであんたと同じ角──(しかもあたしの方が小さいし!)が生えてんのよぉ……!!
お揃いとか死んでも───ひゃああっ!!??
ちょ、き…急に触らないでよばかぁ!!

んん~~……
もう……しょうがないわね………
ああでも、その、
あんまり顔近づけないで………


千桜・エリシャ
【花涯】

あらあら、はしゃいで可愛らしいこと
ふふ、こういうのは楽しんだもの勝ちですものね
手を取れば、そーれっ!

…なにか変わったかしら?
そういえばいつもより目線が高いような…
水鏡に映った自分の姿をまじまじと見れば
…お兄様?…ではなく私ですのね!?
あーあー…声も低くなって変な感じですわ
この姿と声なら口調も変えたほうがいいかしら?

ごほん…
わぁ、花雫さんも男の子だね
口調?お兄様の真似をしてみようかと
似合うかな?
牡丹は…?
――!
私と同じ角じゃないか!
より姉妹らしく…いや、兄妹らしくなったかな?
思わず触ってしまい
あっ、ははは…角が弱いのも同じみたいだね…

ふふ、この姿もいいかもしれないね
抱擁に応えて満面の笑み



●三人娘→両手におにぃさん
「わぁい、エリシャおねぇさんと牡丹ちゃんと依頼だー!」
 霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は嬉しいと笑み零してくるりと回る。
「花雫さんはともかくこっちの女とどうして一緒に……」
 毒藥・牡丹(不知芦・f31267)は半眼で、こっちの女――千桜・エリシャ(春宵・f02565)へと視線を投げる。
「あらあら、はしゃいで可愛らしいこと」
 エリシャはふふと笑み零す。牡丹の視線を受けてもそれはくすぐったい程度のものというように。
「何か飛び込むと色々変わるらしいよー?」
 ってワケで、とにひひと花雫は口端に笑み浮かべ、牡丹の手を取った。
 そしてエリシャも、牡丹の手をとって。
「ふふ、こういうのは楽しんだもの勝ちですものね」
「えっ!? ちょっ、待ってまってまってまだ心の準備があぁぁ!!」
「それー!」
「そーれっ!」
 牡丹を挟んで、引っ張る様に泉へとダイヴ! と花雫とエリシャは高くジャンプした。
 そして派手な水音を響かせて――笑いながら水面へとあがってくる。
「あはははっ! びっしょびしょだー」
 花雫は笑い零す。と、その声に違和感。その違和感から自分の身体の変化を見てみれば。
「……って、あれ? 何か声低い……わー! すごいすごい男のコになってる!」
「ぷあっ……えほっ、けほっ……もう……服がびしょびしょ………」
 と、牡丹も泉から上がってきて――二人に視線向けると。
「……なにか変わったかしら?」
 立ち上がるエリシャはいつもより目線が高いような……と泉をのぞき込む。
「……お兄様? ……ではなく私ですのね!?」
 紡ぐ言葉と同じように唇が動く。それは紛れもなく自分とエリシャは理解して。そして、もう一つ変化に気づく。
「あーあー……声も低くなって変な感じですわ」
 この姿と声なら口調も変えたほうがいいかしら? と首をかしげていると――牡丹がぱちぱち瞬いて、花雫とエリシャを見詰めていた。
「って……あれ? 二人は………上?」
 さっきまでは見上げる、なんてことはなかった。自分はそのまま、変わった様子などないというのに。
「な、ななななっ……なんで二人とも男になってるの!!??」
 その変化は泉から上がると、さらによくわかる。
 そしてごほん……と、エリシャは咳払いをひとつ。
「わぁ、花雫さんも男の子だね」
 口調をいつもと変えてみるエリシャ。お兄様の真似をしてみようかと、と口調を整えて。
「似合うかな?」
「わ、わ、目線高い! えっ、何時もよりぐんと高いね……?」
 この身長は、もしかしてと花雫は瞳輝かせていた。
「165くらいある? 170なさそう?」
 身長が伸びるのは嬉しい。でもちょっと物足りないような気もして。
「えー、折角男のコなんだからおっきくなりたかったなぁ……」
 と、花雫はちょっとしょんぼり。
「って、エリシャおねぇさんがエリシャおにぃさんになってる!」
 花雫はエリシャの変化にぱちりと瞬いた。
 ということはと牡丹へも期待こめて視線を巡らせた。
「牡丹は……? ――!」
「牡丹ちゃんは? ……わ、角生えてる!」
「へ? 角? ……なっ、なによこれ~~~!!??」
 そんな、とそうっと牡丹は額に、頭へと意識を向ける。そこにあるのは紛れもない角。
「あはは、牡丹ちゃんってばエリシャおね……おにぃさんとお揃いだね!」
「厭よ厭!! 絶対厭!!! なんであんたと同じ角──」
 しかもあたしの方が小さいし! と心の中で叫ぶ牡丹。角がはえるなら、もっと大きくて立派なのがよかった。
「角が、生えてんのよぉ……!!」
「私と同じ角じゃないか! より姉妹らしく……いや、兄妹らしくなったかな?」
「お揃いとか死んでも───ひゃああっ!!??」
 思わずというように手を伸ばしてちょんとふれたらあがる声。
「あっ、ははは……角が弱いのも同じみたいだね……」
「ちょ、き……急に触らないでよばかぁ!」
 笑い声が響いて、嬉しくて楽しくなってきて花雫はぴょんと、ふたりに飛びつくように抱き着いた。
 二人纏めてぎゅー! と笑って。
 そのくすぐったさにエリシャも二人纏めてかかえるように応えた。
「ふふ、この姿もいいかもしれないね」
「んん~~……もう……しょうがないわね………」
 牡丹は諦めて、深いため息一つ。そうっと花雫を抱きしめ返す。すると、嬉しい! と一層ぎゅっとして、それはエリシャとの距離も縮めるのだ。
「ああでも、その、あんまり顔近づけないで………」
 満面の笑みを浮かべているその顔。エリシャは聞こえないというようにまたぎゅっと抱きしめ返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
ここが新しい世界?
霧で見えないけど…
桃源郷はこの先なのね
いざいざ、素敵を求めて

澄んだ空気は心地良くて好き
清らかな泉のお水も…おいしそうで
…飲みたい
でも不思議なお水だからぐぐと堪え
お岩とか足場になりそうな所を探してね、進む作戦
だったけど…ドボンて落ちちゃった

魔法の鏡のマダム・リリーの慌てた声で、
変身したと気付いて
…ケットシー…?
手を見れば、丸くて真っシロな毛並みのソレ

人型を得られただけでも幸せなコト
でも、ほんとうはずっと憧れてた
ふれたらふわふわの、
棘を気にせず良い体
鈍臭くない、
軽快な足取りにもわくわくしてしまう
そのまま作戦再開と跳び駆けて

皆は私の中かしら
…ごめんね、少しの間だけ
夢見てると思わせて



●夢を見ているような
 霧が深い――城野・いばら(茨姫・f20406)はその中へと足を踏み入れた。
「ここが新しい世界? 霧で見えないけど……」
 この霧の向こうに、桃源郷があるという。そこはどんな場所なのか、いばらの心は僅かに浮足立つ心地。
「いざいざ、素敵を求めて」
 なんて紡いで、いばらは霧の中を歩んでいく。
 澄んだ空気は心地よくて。この場所の空気感はいばらにとって好ましいものだった。
 そして足許――広がる清らかな泉の水。
「……おいしそう」
 庭園の薔薇であったいばらにとって清らかな水はごちそうでもある。
「……飲みたい」
 でも、と一歩向けたけれど踏みとどまる。
 これは不思議なお水だからとぐぐと堪えて、足場を上手に探して進んでいく――そんな作戦、だったのだけれども。
「あっ」
 うっかり踏み外したなら、ドボンと水の中へご招待。
 水の中に落ちて、浮き上がるのはすぐだった。いばらは泉から上がって――魔法の鏡、マダム・リリーの慌てた声をとらえたのは、ぴこんと動いた耳。
 違和感があった。だって目にしたその手は、丸くて真っシロな毛並み。
「……ケットシー……?」
 ぱちりと瞬いて、ケットシーならと体をひねると濡れてしぼんだ尻尾がそこにある。
 屹度乾いたなら、それはもっふもふの毛並みだろう。
 人型を得られただけでも幸せなコト――そう、いばらは思っていた。
 でも、ほんとうは。
 ほんとうはずっと、あこがれていたのだ。
(「ふれたらふわふわの、」)
 棘を気にせず良い体――爪はしゃきんとあるけれど、出さなければ人を傷つけることはない。
 ぴょんぴょんと跳ねるその身は軽くて鈍臭くない。
 軽快な足取りにわくわくしてしまう。この身体なら、岩場もきっと――そう思った通り。
 跳び駆けて、ぴょんぴょんと軽やかに。
 そんな中、ふと足が止まる。
(「皆は私の中かしら……ごめんね、少しの間だけ」)
 夢見てると思わせて、といばらは胸中で零す。
 これはしばらくの間の、ほんのつかの間の夢幻の時間と知っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルフレッド・ラグナイト
※性転換OK
アドリブもおまかせ

ナナさん(f02709)と共に

桃源郷は綺麗な場所と聞きますし、取り戻さないとですね
ナナさんの元気の良さにこちらもやる気を出して

と思ったらナナさんが泉に落ちたのを見て
ナナさん!?待っててください!
ゼファーと共に泉に飛び込んで

大丈夫ですか、ナナさん?え?
性別などが変わったナナさんに目を丸くしつつも自分の声も違うし、指が細いような…
泉を見て、性別の変わった自分が映れば言葉を失って

ゼファーも心なしか顔つきが凛々しく男性的になっているような…

突然のことに戸惑いつつもナナさんの楽しむ、という言葉に思わず笑みを零して
そうですね。滅多にないことですし、楽しんでしまいましょうか


黒瀬・ナナ

性別反転有り
アドリブOK


ウィルさん(f17025)と一緒に。

桃源郷が占拠されちゃうだなんて一大事だわ!
強敵がいるかもしれないし、ウィルさん、ゼファーさん、油断は禁物よ。
さぁ、桃源郷に向けてしゅっぱー……(最初の一歩で泉にばっしゃん)
にゃーっ!ウィルさんたーすーけーてーっ!!

ふわぁ、びっくりした……ん?んん?
何か、低音のイケボが聞こえるんだ、けど、(泉に映った自分の姿を二度見)
うそぉ!?なにこれすごーい!
そして隣を見れば知らない美女が……もしかしてウィルさんとゼファーさんも?

普段と違う種族と性別になってびっくりだけれども、
滅多にないことだし目一杯楽しんじゃいましょ♪
さぁ、今度こそしゅっぱーつ!



●これは滅多にない機会
 霧は行く手を曖昧にしている。けれどこの霧の先に、桃源郷があるという。
 けれど今その場所は、オブリビオンの手に落ちているのだ。
「桃源郷が占拠されちゃうだなんて一大事だわ!」
「桃源郷は綺麗な場所と聞きますし、取り戻さないとですね」
 黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)はこくりとウィルフレッド・ラグナイト(希望の西風と共に・f17025)の言葉に頷く。
「強敵がいるかもしれないし、ウィルさん、ゼファーさん、油断は禁物よ」
 ぐっと拳握って紡ぐ。そんなナナの元気の良さにウィルフレッドも釣られるようにやる気をだしていた。白竜ゼファーも小さく声発して応える。
「さぁ、桃源郷に向けてしゅっぱー……」
 と、元気に一歩を踏み出したナナ。そのナナの姿がぱっと消え、すぐにばっしゃんと大きな水音が響き渡った。
「ナナさん!? 待っててください!」
「にゃーっ! ウィルさんたーすーけーてーっ!!」
 慌ててゼファーと一緒にウィルフレッドも泉へと飛び込んだ。
 すぐさまその身を抱えて泉からあがる。
「大丈夫ですか、ナナさん? え?」
「ふわぁ、びっくりした……ん? んん?」
 心配してむけた声が、いつもの自分の声と違う。ナナの声も、違う。そしてウィルフレッドは己の手を、指を見て。
「指が細いような……」
「何か、低音のイケボが聞こえるんだ、けど、」
 と、ナナは泉に映る自分の姿を覗き込んだ。
 そこにいたのは、自分ではあるのだけれど自分ではない姿。
 角はなくなって――は、なかったのだが違う形になっている。それは竜のものだ。
「うそぉ!? なにこれすごーい!」
 ナナは思わずと声上げる。角が変化し、人の身のようではあるがなんとなく。念じれば、下半身が龍のものになりそうな気がしていた。
 もしかして、竜神? と首をひねるが今、その手掛かりとなるのは角だけだ。
 そして隣を見れば――知らない美女。いや、けれど自分の隣にいたのは。
「……もしかしてウィルさんとゼファーさんも?」
 声をかけられ、ウィルフレッドはハッとする。同じように泉をのぞき込んで、自分の姿に言葉を失っていたのだ。
 そしてゼファーを見れば、心なしか顔つきが凛々しく、男性的になっているような。
 ゼファーも何か違うと戸惑っているようだ。
 性別が反転している。それは自分であるが、自分ではない不思議な心地だ。
 こんな変化、驚かないわけがない。びっくりだけれども、でもものは考えようでもある。
「滅多にないことだし目一杯楽しんじゃいましょ♪」
 突然のことに戸惑っていたウィルフレッドはナナの楽しむ、という言葉にぱちりと瞬いて思わず笑み零した。
「そうですね。滅多にないことですし、楽しんでしまいましょうか」
 二人の言葉がわかるゼファーも、確かにその通りというように二人の間で羽ばたく。
「さぁ、今度こそしゅっぱーつ!」
 元気に紡がれるその調子は、いつものナナと変わらない。
 でも少し低い声はなんだか、不思議と二人笑いあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシル・エアハート
*変わる種族…深海人(人魚)

(自身の身体の水晶を見つつ)
ここに入ったら色んな種族に変わるのか…。
どんな姿になるんだろう?
泉の中で一番深い箇所を見つけて飛び込む。

自力で岩場まで泳ぎ着いた所で違和感を確認。
身体の一部には綺麗な鱗。両耳には魚のヒレ。首に真珠のネックレスが掛かる。
下半身はブルーサファイアの尾ビレに変わる。
両手のバングルはそのまま変わらず。

最初は溺れそうになるが少しずつ泳ぎは上達していく。
…そういえば深海人って陸でも浮けるんだよね。
陸でも慣れるように【空中浮遊】の練習も忘れない。
もちろん、楽しむ事も忘れない。


◇アドリブOK◇



●揺蕩う
 この泉に触れれば、姿が変わるという。
 セシル・エアハート(深海に輝く青の鉱石・f03236)は自身の身体の水晶を見つめ、その場所を撫でた。
 この泉にはいれば、この水晶はなくなるのだろうか、それともそのままほかの種族の姿を得るのかと。
「ここに入ったら色んな種族に変わるのか……」
 どんな姿になるんだろう? とかすかに首をかしげる。
 そしてくるりと見回して、深そうな場所を見つけるとセシルはとんと地面を蹴って泉へと飛び込んだ。
 その途端に体は変化して、泳ぎづらくなった。
 なんだろうかと思いつつも自力で岩場まで泳ぎ着いて、セシルは違和感、自分の足を見た。
 するとその2本の足は一つになって――ゆるり泳ぐ、魚のもの。
 セシルは人魚へと変化していたのだ。
 身体の一部には綺麗な鱗。耳に触れてみると、魚のヒレ。首元には真珠のネックレスがかかっていた。
 それからまじまじと、下半身を見ればブルーサファイアの尾鰭だ。
 動くかな、と意識を向ければ自分の想いのままに動く。
 そして両手のバングルはそのまま変わらずあった。
 セシルはどうやって動けばいいかな、と泉の中で泳ぎを練習する。
 最初は溺れそうになったが、少しずつ泳ぎは上達していた。
「……そういえば深海人って陸でも浮けるんだよね」
 ふと、水面から顔を出してセシルは思い出す。陸でも慣れておこうと水から跳ねるように出ればふわりと空を泳ぐことができた。
 空での動きも、水の中での動きと同じでいいようだ。
 くるり、と空を回ってみれば楽しくふと笑い零れた。
 この姿はつかの間のものだけれども、それでも愛着がわいてくる。
 セシルはゆるりと空を泳いで、時には泉の中で遊んでこの場所を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子

【渡鳥】
変更は種族のみ、性別そのまま

わぁ、性別やら種族やら変わっちゃうってすごいですね!?
興味津々で泉を覗き込みつつ
ちょっとだけ触れたりとかだと一部分だけの変化になるんでしょうか?
クロウさんの問いかけにふふっと笑い
気付きました?クリスマスはありがとうございました
どうです?似合ってます?
貰った紅を塗った唇に指を当て
ほう…見た目だけ、そんな残念なことを言う悪いお兄さんは…こうですよ!
悪戯っ子のように笑ってクロウさんの手を引いて勢いよく泉にドボン
驚いた表情が見れたならしてやったりと笑って見せて

ふふふ、紅はまた後でですね!
使える姿になってるか否か
ここは私ははじめてですね
面白いものがあるといいですね!


杜鬼・クロウ
【渡鳥】✨人と神以外
種族変更のみ

面白い泉だなァ
ちぃっと触っただけで全部変わるンじゃねェか?
女になるのはもう経験済(旅団依頼)だから種族だけ変わるの祈っとこ

千夜子の顔じっと見て気付く

…俺が渡した紅、塗ってる?
やっぱりな
似合ってンよ
少し大人っぽく見えたぜ
見た目は、なァ(意地悪

オイ、まさか…待て!
クソ、髪セットしたのに!
ったく…
紅取れちまったから元に戻ったな

千夜子に手引かれて泉に飛び込む
前髪下ろした決まらない髪型に不満気だが彼女の笑顔につられて笑み
慣れない種族特徴に目輝かせ
色々試す

そういやお前はこの世界来たコトあるか?
俺はつい最近行ったばかりでよ
そン時は釣りしたンだわ
この泉も何かいたりしねェのかな…



●紅の色が落ちても
 霧のたち込める泉。その泉は、姿かたちを変える泉だという。
「わぁ、性別やら種族やら変わっちゃうってすごいですね!?」
 薄荷・千夜子(陽花・f17474)の声に杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)はああと頷いて。
「面白い泉だなァ」
 興味津々で泉をのぞき込む千夜子。そうっと泉に手を伸ばして、触れるか触れないか――そこでぴたりと手は止まる。
「ちょっとだけ触れたりとかだと一部分だけの変化になるんでしょうか?」
 クロウを見上げてみれば、どうだろうなと言って。
「ちぃっと触っただけで全部変わるンじゃねェか?」
 それにしてどんな姿になるのか。
「女になるのはもう経験済だから種族だけ変わるの祈っとこ」
 と、クロウは過日を思い起こす。女になりませんようにと泉を拝む心地。
 そんな様子を千夜子は笑って眺めている。ふと、クロウの視線は千夜子の唇に向いた。
 その色は、覚えがある色だ。
「……俺が渡した紅、塗ってる?」
 その問いかけに瞬いて、ふふっと笑む千夜子。
「気付きました? クリスマスはありがとうございました」
 やっぱりな、と笑うクロウの正面に千夜子は立って、ちょっと顔を近づけるように背伸び。
「どうです? 似合ってます?」
 貰った紅を塗った唇に指をあて、尋ねる。
「やっぱりな」
 似合ってンよとクロウは言ってさらに言葉続けていく。
 贈った紅を唇にのせた千夜子は、いつもよりも少し大人っぽく見えて、それを言葉にする。
「少し大人っぽく見えたぜ。見た目は、なァ」
 けれどそれだけ言うことはなく、意地悪のおまけつき。
「ほう……見た目だけ」
 千夜子はむむと唸って――
「そんな残念なことを言う悪いお兄さんは……こうですよ!」
 悪戯っ子のように笑ってクロウの手をとる。この後どうなるかなんて、クロウも簡単に予想できるわけで。
「オイ、まさか……待て!」
 えいっ! と勢いよく泉に飛び込んだ千夜子。その勢いにクロウも引っ張られて、一緒に泉へ。
 クロウの瞳が僅かに開かれ、驚いた顔が飛び込む間際に見えてしてやったりと千夜子の口端もあがっていた。
 水音収まって、びしょぬれだとクロウは頭を振って水を飛ばす。
「クソ、髪セットしたのに! ったく……」
 前髪をかき上げても、決まらない髪型にクロウは不満げだ。そして千夜子を見ればその唇から色は失われていた。
「紅取れちまったから元に戻ったな」
「ふふふ、紅はまた後でですね!」
 そんな、千夜子の笑顔に釣られるようにふっとクロウも笑む。
 そして互いの姿の変化。
 人間であった千夜子は、己の頭部に光輪が躍るのを見つけた。そして背中を見れば、エネルギーの翼があった。
 千夜子がそれに意識向けると、それは動く。練習すれば思った通りに動かせそうだ。
 これは堕天使でしょうかと紡ぐ千夜子の姿にクロウは目を輝かせた。
 本当に変化している。そして自分はと見れば。
「……尻尾?」
 呟いてみればぴこりと動く。水にぬれて毛並みはしょんぼりしているが、それは射干玉の狐尻尾だった。クロウが頭上に手を伸ばしてみると、そこには耳。
「妖狐か」
 ということは狐火なんかも、と思えばぽっと炎が躍る。
 お互いにその身の動かし方、そして出来ることを確認しつつクロウは千夜子へと言葉なげる。
「そういやお前はこの世界来たコトあるか?」
「ここは私ははじめてですね」
 クロウさんは、と千夜子
「俺はつい最近行ったばかりでよ。そン時は釣りしたンだわ」
 この泉も何かいたりしねェのかな……と、クロウは足許からスッと広がる泉を見詰める。
「面白いものがあるといいですね!」
 例えばこの泉にヌシがいたり、なんて千夜子は笑って背中の翼を羽ばたかせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
かくりちゃん(f28103)と
✨性別反転

面白い泉もあるんだねぇ
かくりちゃんも気になる?
折角だし飛び込んでみようよ
浮く姿をこっちこっちと手招いて
君の手を引っ張ってえーいって飛び込む

確かに身体の勝手が違ってきているような…
ぷはぁと浮き上がってみれば
わぁ~ほんとだ変わってる~!
歓声をあげる声も高くて
だいじょーぶ平気だよ
かくりちゃ…くん?
なんか凛々しいっていうか、かっこいいねぇ
泉は冷たかったけど
掴む手にはいつの間にか温もりもある
引き寄せられれば
興味の向くまま君の頬をつつこうか

さっきとは逆に手を引かれて
浮かばない君もなんだか新鮮
この先は桃源郷なんだよね
あれ?お酒とか楽しみ?
覗き込んだお顔が綻んでたような


揺・かくり
ロキ(f25190)と
✨性別反転

種も性も変化する泉とは
不可思議では有るが、興味も在るのだよ。

浮遊する身を降ろして
君が歩む位置へまで高度を落とそう
手を引いて呉れるのかい?
――では、往こうか。
件の泉へと身を投じよう

儘ならぬ躯が自由を得た様だ
滑らかな動作で繋いだ手を引き寄せよう
引いた手は、常よりも小さい

ロキ、平気かい。
己の声は随分と声風が変化した様だ
君の眸には何の様に映るだろうか。
君は、そうだね
可憐な女人の姿をして居るよ。

此度限りは視界も良好だ。
君の手を引いた儘、桃源郷を目指そうか。
念力が無いのは些か不便では有るが
此の様な一時も悪くは無い。
酒宴を共にするのも良いだろう。

……おや、
私は笑って居たかい。



●二人、地を歩いて
 空気は澄んでいた。泉の上を覆うように広がるそれは視界の少し向こうを完全に隠していた。
 けれど、視線は足許へ。
「面白い泉もあるんだねぇ」
 ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)は泉をのぞき込み、隣に立つ揺・かくり(うつり・f28103)へと笑いかけた。
「かくりちゃんも気になる?」
「種も性も変化する泉とは不可思議では有るが、興味も在るのだよ」
 なら、とロキは口端上げて悪戯するように笑み誘いかける。
「折角だし飛び込んでみようよ」
 ふわりと浮くかくりにこっちこっちとロキは手招く。
 かくりは浮遊する身を落として、ロキの歩む位置まで高度を落とした。
「手を引いて呉れるのかい?」
 そう、とロキは笑ってかくりの手を取る。準備はいい? とロキが問えばこくりとひとつ、頷き変える。
「――では、往こうか」
 ロキは笑って、えーいとかくりを引っ張って泉へと水音たてて飛び込んだ。
 水の中に沈んで、そして――浮き上がってくる。
(「確かに身体の勝手が違ってきているような……」)
 ぷはぁと浮き上がってみれば。
「わぁ~ほんとだ変わってる~!」
 と、あげた声も高い。ロキはぱちりと瞬いて自分の手を見ると――きらきらと揺らめいた。
 実態はあるけれどその体は電子の身体。
 そしてロキは自分の変化がそれだけではない事にも気づく。性別が変わっているのだ。
 そして繋いだ手が滑らかな動作で引き寄せられる。
 かくりは儘ならぬ躯が自由を得た様だと笑み浮かべ、そして引いた手が常より小さいことに気づいた。
 これはロキの手も小さくなっているが、自分の手も大きくなっている。
「ロキ、平気かい」
 声向ければ、随分と変化した様子。
「だいじょーぶ平気だよ」
 そう答えたロキはぱちりと、瞬いた。
「かくりちゃ……くん?」
 君の眸には何の様に映るだろうかとかくりが問えば、ロキはまじまじと見詰める。
 かくりは身長がのびて男の姿に――そして、かくりの髪を彩る花と背中には翼。
 泉は冷たかったけれど、掴む手にはいつの間にか温もりがある。
 引き寄せられて、そしてロキは手を、指をのばして頬をつんつん。
「なんか凛々しいっていうか、かっこいいねぇ」
「君は、そうだね。可憐な女人の姿をして居るよ」
 時々揺らめいているが、とかくりはロキの揺らぎを目にする。それは電子だからかな、とロキは笑う。
 かくりは泉から上がろうとロキの手を引く。
「此度限りは視界も良好だ」
「この先は桃源郷なんだよね」
 そう、とかくりは霧の向こうを見詰め、桃源郷を目指そうかと紡いだ。
「浮かばない君もなんだか新鮮」
「念力が無いのは些か不便では有るが、此の様な一時も悪くは無い」
 この翼で飛べるかもしれないけれど動かすのにはまだ慣れない。ふわりと浮くことはなく、霧の中歩みを進めていく。
 桃源郷へと向かう歩みはなんだか軽い心地だ。その場所はいったいどんな場所なのか――
 酒宴を共にするのも良いだろうと、かくりは零す。
「あれ? お酒とか楽しみ?」
 その言葉に、ひょいと下からその表情をロキは覗き込んだ。
 そしてふふと笑い零したのは、かくりがどこか、嬉しそうに楽しそうに表情を綻ばせていたから。
「……おや、私は笑って居たかい」
 ロキがふと笑い零したのに、どうしたのだろうかと思って――そして至る。
 かくりがそっと自分の口元を指先でなぞると、確かにその端はあがっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
千織(f02428)と
性別反転
✨(人型の何か)

本当にね、世界によって文明も支柱になるものもここまで違うとは

性別が変わる泉があるなら飛び込んで実験、ソレが魔術師!(きり)
というわけで、泉を覗き込む千織の背を怪我させないように気を付けつつどーん!手を引かれたら素直に自分もダイブ
え、千織も飛び込みたかったのかなって
しかし尻尾がないのは変化で慣れてるけど……女の俺、背ェちっさ!胸おっも!
筋肉も落ちてるな…戦う時は気を付けないと

有難う色男さん?男の千織は予想以上のイケメンだねー
あ、そうだ!折角だから変化が解けるまで口調も変えるのどう?楽しそうじゃない?
今のあたしなら可愛い言葉遣いとか似合いそうじゃん!


橙樹・千織
ヴォルフガングさん(f09192)と

性別反転
✨(人型の何か)

新たな世界が見つかる度に色々と驚かされますねぇ
泉をそっと覗き込んで
落ちる直前、慌ててヴォルフガングさんの手を掴んで
き、急に何するんですか!!
尻尾が無ければややバランス悪くふらついて

…?
何だか視線が高く、声が低いような…
はわ!?ほ、本当に変わってしまいました
辺りを見回したり、泉に移る自分の姿を見てみたり
これは…力加減が難しそう
手を握って開いて

ヴォルフガングさんは…あら
ふふふ、とっても可愛らしいですよ?お嬢さん?
少し、羨ましいくらい…

い、色男…そうでしょうか?
口調を?…それは面白そうだ
ふふ、とっても似合ってる
ナンパされないよう気をつけて?



●その姿に合わせて
 ここがその、と橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)は足許に広がる泉を見詰める。
「新たな世界が見つかる度に色々と驚かされますねぇ」
「本当にね、世界によって文明も支柱になるものもここまで違うとは」
 ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)もその隣にたって、泉をのぞき込む。
「性別が変わる泉があるなら飛び込んで実験、ソレが魔術師!」
 と、きりっとした顔で――ヴォルフガングは千織の背中にそーっと手を伸ばした。
 怪我させないように気を付けつつ、千織の背中をどーん! と、した瞬間。
 千織は慌ててヴォルフガングの手を掴んで一緒にばしゃんと、大きな水音を立てる。
「き、急に何するんですか!!」
「え、千織も飛び込みたかったのかなって」
 そんなことは、と千織は立ち上がる。と、ふらふら、バランスがとれない。
 それは尻尾がないからだ。
「……?」
 それに、これは自分のものであるけれど、そうではないという感覚。
「何だか視線が高く、声が低いような……」
 戸惑いのままに己の身を確認すると――千織にあった特徴がすべてなくなっていた。
「はわ!? ほ、本当に変わってしまいました」
 泉に映る自分の姿を見ても、何もない。
 見た目は人間だ。けれど――身の内に感じるこの力は何なにか。
 千織が感じているそれは神の力のようだ。
「これは……力加減が難しそう」
 手を握って、開いて。ぐっと力込めると、今まで以上に力が入る。
 けれど、尻尾や角が無いのはなんだか不思議で。そして男に変化して視界が高くなっているのはちょっと新鮮。
 そしてヴォルフガングはというと――尻尾がない、と。それは、変化で慣れているから問題はなかった。しかし――千織を見上げることになっている。
「……女の俺、背ェちっさ! 胸おっも! 筋肉も落ちてるな……戦う時は気を付けないと」
 体がふにっと柔らかいような気がする。いつもよりも身体の可動域は広そうだが、リーチが足りない。
 けれど、身体の全てが柔らかいわけでは、なかった。
 人狼の特徴の代わりにヴォルフガングが得たのは体の上で、中で煌めく宝石の輝き。
 きらきら透明な輝きをもつそれはクリスタリアンの特徴だ。
「ヴォルフガングさんは……あら」
 私よりちっちゃくなっている、と千織は瞬く。
「ふふふ、とっても可愛らしいですよ? お嬢さん?」
 少し、羨ましいくらい……とぽつりと零す。その声は風に攫われて途切れ、ヴォルフガングは一歩、千織の傍に近づいて見上げる。
「有難う色男さん? 男の千織は予想以上のイケメンだねー」
「い、色男……そうでしょうか?」
 もちろん、そうだよとヴォルフガングは笑って――あ、そうだ! と零す。
 いいことを思いついたという表情を向けて。
「折角だから変化が解けるまで口調も変えるのどう? 楽しそうじゃない?」
 例えば――こんな風に、とヴォルフガングはこほんと咳払いひとつして。
「今のあたしなら可愛い言葉遣いとか似合いそうじゃん!」
 口調を変えて話してみるのもしっくりくるものもある。
「口調を? ……それは面白そうだ」
 と、千織も早速、それに乗る。
「ふふ、とっても似合ってる。ナンパされないよう気をつけて?」
 そう言うと――ヴォルフガングは悪戯するような笑み浮かべて。
 ナンパ、してくれないの? なんて仕掛けてみる。
 千織は瞬いて、なるほどそう来ますかと苦笑交じりに返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【たぬちゃん(f03797)と】

へぇ、面白そ!
猟兵やってりゃイイ加減変化系にも慣れるってモノで
躊躇い無く泉に浸かり近くの足場へ上がる
一見違和感は無いものの、ナンか体のラインが柔らかくなったような……?
ねぇたぬちゃん、と呼べば常より少し高めの声
コレはもしかしなくても、女性になってる?

流石アタシ!性別変わっても美人よねぇ
常より認識は曖昧だから、新しい服に着替えた位の気軽さで

所でたぬちゃんはドコが変わったの?
まじまじと眺めてみても違和感無さすぎて気付かず
狸は狸なのねぇ、ちょっともふみが増したカシラ?ナンてもふもふ

確認でセクハラ受けても涼しい笑顔で
今晩は狸鍋にしましょうねぇ
なぁんて、冗談よ冗談


火狸・さつま
コノf03130と

わぁ~!すごい霧!!
先の方、あまり見えない、ね?
周囲きょろきょろ…つるっ
わぁあ!!
どぼんと泉へダイブ

ぅー、濡れちゃた
ざばり水から上がり、ぶるんぶるん
目の前の美女におめめぱちくり
コノ…?むねが、はれてr…

自分はというと違和感なく
変化しないこともあるんだ、ね!なぁんて
暢気に狸しっぽ揺らしながら……
…ふさふさふさ
………もさもさもさもふん

ハッ!この、しっぽ………ちがう!
…毛並み悪くない、から、良いか!
もふみ…え、え、いつもの、方が、すき、だよ、ね…?

コノ、むね、ほんもの?ふくらんだ、の?
もにっ!
思わず両手で確認
もにもにもに………
ひゃ!ほんとの、狸鍋、なちゃう…!
あわててホールドアップ



●もさもさもふん、もにっ
 すぅと冷たい風が頬を撫でていく。その風に霧が揺れて――また立ち込める。
 ここはそんな場所だった。
「わぁ~! すごい霧!! 先の方、あまり見えない、ね?」
 そう言って、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は周囲をきょろきょろ。
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)はさつまの傍でこれが話に聞いてきた泉かと眺めていた。
「へぇ、面白そ!」
 猟兵やってりゃイイ加減変化系にも慣れるってモノとコノハは躊躇い無く泉に浸かり――そこで、ばしゃん!! と大きな水音と聞き慣れた声を聴く。
「わぁあ!!」
 先の方が見えないときょろきょろしていたさつまはつるっと滑って泉へダイブしたのだ。
 その声の方へ意識を向けながら、自分の姿をコノハは改めて見詰める。
「ナンか体のラインが柔らかくなったような……?」
 一見違和感はない。けれどよくよく見れば変化はある。
 そしてさつまも、ざばりと水から上がる。
「ぅー、濡れちゃた」
 ぶるんぶるんと頭を振ってさつまは雫を飛ばす。
「ねぇたぬちゃん」
 と、名を呼ばれぱちくり。
 コノハの声、だけれども――常より少し高めの声。
 そしてその響きはコノハ自身も驚きをもたらしていた。
(「コレはもしかしなくても、女性になってる?」)
 さつまが顔をあげると、目の前には美女。
 おめめぱちくり、ぱちくりと二度。しかしさっきまで一緒にいたのは、コノハだ。
「コノ……? むねが、はれてr……」
「流石アタシ! 性別変わっても美人よねぇ」
 これははれてるわけじゃないのよ! と軽く言ってのける。
 常より認識は曖昧。新しい服に着替えた位の気軽さでコノハは笑ってこの状況を楽しんでいた。
「所でたぬちゃんはドコが変わったの?」
 俺は、と言われてさつまは自分を顧みる。
 違和感は何もない。何も変わっていない。そんな気がした。
「変化しないこともあるんだ、ね!」
 と――暢気に狸しっぽを揺らすさつま。
 ふさふさ。
 ふさふさふさ。
「……?」
 もさもさもさもふん。
「…………ハッ! この、しっぽ………ちがう!」
 いつもと違う、とさつまは自分の尻尾をわしっと掴んだ。
「……毛並み悪くない、から、良いか!」
 もふもふ。もふもふもふと確認するさつま。
 どこが、とコノハはじーっと尻尾を見詰める。
「狸は狸なのねぇ、ちょっともふみが増したカシラ?」
 ナンてもふもふと手を伸ばして。もふもふもふ。
 確かに、手触りが違う。
「もふみ……え、え、いつもの、方が、すき、だよ、ね……?」
 その問いにコノハはただただ笑って返すだけだ。
 もしかしてこの尻尾のほうがもふ? いや、そんな、ことは、ない。
 ふるふるふる、とコノハは頭を振ってその考えを追い払う。
 そしてもうひとつ、気になるのは。
「コノ、むね、ほんもの? ふくらんだ、の?」
 もにっ! とさつまは、思わず両手で確認。
 もにもにもに…………本物、っぽい。
 確認といえども、これはセクハラ。それをうけても涼しい顔のコノハはさつまへと向かって効果抜群の言葉を向ける。
「今晩は狸鍋にしましょうねぇ」
「ひゃ! ほんとの、狸鍋、なちゃう……!」
 ばっとあわててホールドアップするさつま。
「なぁんて、冗談よ冗談」
 コノハはそう言って笑うけれども、狸鍋にはなりたくないとさつまは万歳のまま。
 本当に、冗談? と聞き返す。冗談に決まってるでショとコノハはにこりと、微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

うっかり滑りかけたノゾミに手を差し出し、
結局泉に落ちる。足首くらいまでつかった…と思ったら
ケットシーになっていた。
三白眼変わらず。
いや、中身が変わっていないのだから
見た目をどうこう言われてもな。

……ノゾミの姿については、……。
本人には言わないが、その昔、
好きだった女の若い頃こうだったかもしれない姿を思わせる。
似ている、だが……。
悪趣味きわまりない。
あの女、……自分を使って実験をしたのか。
だからノゾミを頼むと、最後に……。
いや、俺の思い込みにすぎない可能性もある。
真相はわからない。
本人はもうこの世にいないのだし。
……。
……ノゾミの姿からは眼をそらしがちになってしまう。


青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と

慎重に行こうと思ったら、足元が滑ってしまったよ。
ニノマエが中途半端に腕を掴むから!(ぷんぷん
泉にがっつりつかって、全身びしょぬれじゃないか!
どーしてくれるの!
……って、あれ。
何か、こう、女のコ?
みたいな。
…みたい、じゃないんだね。

ニノマエ、めちゃくちゃ可愛くない猫になってる!
目つき悪いの、そのままだね。
……黒い猫。
撫でようとしたら猫パンチくらいそう。
実際、喰らうかもだけど。
うーん、だけど見慣れてくると
ケットシー、いいね。
このまま相棒でもいいなあ。
ちょ、先に行かないでよ。
僕が可愛い女の子になったから、照れてるってワケ?
ちょっと可愛らしい仕草や言葉づかいをしてみようかな♪



●知らぬから、知っているから
 慎重に行こう――そう思って、一歩を踏み出したはずなのに。
 青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)の踏み出したところがわるかったのか、慎重すぎた故か。
 それとも、
「ニノマエが中途半端に腕を掴むから!」
 滑りかけたノゾミに手を差し出したニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)のせい、ではきっとない。
 助けようとして結局泉に落ちたのだから。
「泉にがっつりつかって、全身びしょぬれじゃないか!」
 どーしてくれるの! とノゾミがニノマエを見ると――そこに顔がなく。
 そして自分の身体の異変に気付く。
「……って、あれ。何か、こう、女のコ? みたいな」
 そうっと、ノゾミは自分の体の変化を見つめ、触れてみる。
 平らだった胸は柔らかく――うん、と頷いた。
 体全部丸みを帯びて、やわらかな印象を受ける。
「……みたい、じゃないんだね」
 ついでに夢じゃないかなと頬をちょっと抓ってみる。痛い、と思うからこれは夢ではないようだ。
 そしてニノマエは、とその姿を探せば、足元に。
「ニノマエ、めちゃくちゃ可愛くない猫になってる!」
 ケットシーになっている、とニノマエは黙りこくっていた。
 足首くらいまでつかった、と思ったらこうなっていたのだ。
 その顔がノゾミへと向けられる。
「目つき悪いの、そのままだね」
 三白眼は変わらない。
 しかしふるりとニノマエは頭を振る。
「……黒い猫」
 そしてそーっとノゾミが手を伸ばしてくる。猫――撫でていいかなぁと伸ばされた手は、なんだこの手はと猫パンチではじかれる。
 ニノマエなのに、猫パンチ――撫でまわしたりしたら怒るだろうなと思う前に、まず撫でさせてくれないんだなとノゾミはちょっと残念さを感じつつ、ゆるり動く尻尾も気になると視線で追う。
「いや、中身が変わっていないのだから、見た目をどうこう言われてもな」
 そういいながら、ニノマエは視線をそっとノゾミからそらした。
「……、……」
 ノゾミに言うつもりは、ないのだけれども――その昔、好きだった女の、若い頃こうだったかもしれない姿を思わせる姿。
(「似ている、だが……。悪趣味きわまりない」)
 ノゾミは瞳閉じる。その瞼の裏で目の前にいるノゾミと、女の姿が重なるのを意識の外に振り払って。
 そして、思い至るのだ。
(「あの女、……自分を使って実験をしたのか。だからノゾミを頼むと、最後に……」)
 けれどその思いもふり払われる。ノゾミの声によってだ。
「うーん、だけど見慣れてくると。ケットシー、いいね」
 このまま相棒でもいいなあ、とのんきに紡ぐノゾミ。
 ふと息を吐いてニノマエは進み始める。
(「いや、俺の思い込みにすぎない可能性もある」)
 真相はもうわからない。
 その女本人は、もうこの世にいないのだから。
「ちょ、先に行かないでよ」
「……」
「僕が可愛い女の子になったから、照れてるってワケ?」
 目の前にぱっと飛び出してくるノゾミ。
 その姿からそっと眼をそらせば、ノゾミはそんな風に言う。
 ニノマエの反応に、図星かなとノゾミは口端を上げて笑み、なるほどなるほどと頷く。
「ちょっと可愛らしい仕草や言葉づかいをしてみようかな♪」
 そんなからかうような声色は、ニノマエの胸中を知らないからだ。
 ニノマエだってこの胸中をノゾミに知られたいとは思わない。
 このままでいいかとため息をついて――けれどやはり、視線はノゾミから自然とはずれていく。
 ケットシーになったことはすんなりと受け入れられるのに、ノゾミの性別が反転したことからは、ニノマエは目を逸らしたいのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黒縄華妃』

POW   :    働け、下僕共よ
レベル×1体の【配下の下級役人】を召喚する。[配下の下級役人]は【公権力】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    妾に逆らう屑虫共を、一人残らず吊るしてくれよう!
【傾国の寵姫としての体裁】を脱ぎ、【世界を滅ぼすオブリビオンの本性を現した姿】に変身する。武器「【絞殺縄鞭】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    ああ、なんと頼もしいお方♪
【黒縄華妃に籠絡された武侠や権力者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はジュリア・ホワイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 頬を撫でる風は冷たい――そうであったのに、柔らかな風が突如、走る。
 それと共にざぁ、と視界を覆っていた霧が晴れた。
 泉から立ち込める霧は、柔らかな風吹く桃源郷には吹き込まぬようだ。
 心穏やかになるような風が桃の花弁を運んでくる。
 けれど、この場所を己だけのものにと、我が物顔である女がいる。
 それは黒縄華妃――彼女は桃源郷へと踏み入った者達へと、己が篭絡した者達を差し向ける。
「此処は私のものよ。あなた方、出ていってくださる?」
 大人しく出て行くなら、私は何もしないわと彼女は言う。
 けれど、この桃源郷にいようとするなら。そして、私に敵意を向けるなら――
「縊り殺してあげるわ」
 そう言って、黒縄華妃はたおやかに微笑んだ。

 姿は変わってしまったけれど、己が持っている術は使えるようだ。ただ姿の代わりようによっては、武器などは使えないこともあるかもしれない。
 そして、変わってしまった姿だからこそできることもある様子。
 戦い方はそれぞれだろう。
 いつもの様に戦うことも、今の姿だからこその戦いを仕掛けることも猟兵にはできる。
 敵はこの場にあることで力を得て、慢心もあるだろう。
 打ち崩すことはきっとできるはず。
張・西嘉
ケットシー
征殿(f32673)と
む、首魁が現れたようだな…依頼を達成する為にも倒さねば…下がっていろ?何を言ってるのだ征殿!俺は征殿の護衛だぞ!主に守られるなどと義に反する!俺は例え二足歩行の猫の姿であろうとも征殿を守る!!
UC【武侠の生き様】発動
(思い切って配下を攻撃。めちゃくちゃ強い猫パンチが発動)
よしっ!これなら行けるぞ!

ん、新しい配下だな首魁が籠絡した者達か……征殿普通の者はあのような女性に籠絡されるのか?
俺には征殿の方が美しく見えるのだが(心底わからないと言うように驚く瞬にさらに?を浮かべつつ再び攻撃開始)


征・瞬
西嘉(f32676)と
私はともかく西嘉は普段とまったく姿が違うからな…
戦いづらいのではないか?
戦闘は私がメインで戦うから君はサポートを……
ん?しかし君の姿では…
いや、私が君を侮り過ぎているな
わかった、遠慮なく君に頼るとしよう

【結界術】【オーラ防御】で敵の攻撃から西嘉と自分を守りつつ
【高速詠唱】【仙術】でUCを使用
氷の宝貝で攻撃しながら凍結させて敵の動きを封じにいく
貴様の護衛より私の護衛の方が優秀だぞ

は?いや、だから何故美醜の話に…
(この朴念仁の事だから他意はないだろうと分かっていつつ内心照れて)
……君、ほんとそういう所だぞ



●そういうとこだぞ
 働け、下僕共よ――黒縄華妃が一声、命じれば下級役人たちが現れ立ちふさがる。
「私はともかく西嘉は普段とまったく姿が違うからな……戦いづらいのではないか?」
 ちらり。征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)が視線向ける張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)は、ケットシーだ。
 いつも見上げている彼は、今は小さくなっている。
「む、首魁が現れたようだな……依頼を達成する為にも倒さねば……」
 ぎゅっと握りこむ猫の手。得物を持てぬのは寂しさもあるがきっとなんとかなるだろうと西嘉は思っていた。
「戦闘は私がメインで戦うから君はサポートを……」
 ところが、瞬より向けられた言葉は、下がっていろと言われたようなもので、わずかに片目を吊り、声あげる。
「下がっていろ? 何を言ってるのだ征殿! 俺は征殿の護衛だぞ!」
「ん? しかし君の姿では……」
「主に守られるなどと義に反する! 俺は例え二足歩行の猫の姿であろうとも征殿を守る!!」
 ぐっと拳(かわいい)を握ってあげて、西嘉は言う。
 その姿に瞬は、守る必要などないのだと思った。
「いや、私が君を侮り過ぎているな」
 わかった、遠慮なく君に頼るとしよう――瞬は西嘉へとそう告げる。
 そうしてくれと西嘉は返し、きりっと目の前の敵へと視線向ける。
「義侠心を貫かずして武侠は名乗れまい」
 紡ぐ言葉とともに地をけって、猫拳をしゅっと放った瞬間――ッパァン! と小気味よい音とともに配下をノックアウトした。
 強い。この猫パンチ、めちゃくちゃ強い。その小さな身から繰り出したにしては強力すぎるようにも思えたが、細かいことは気にしない。
「よしっ! これなら行けるぞ!」
 信じているといっても多少不安があった。けれど瞬はその姿に、何も心配することはないのだと思い、気持ちを切り替える。
 雪崩のように襲い掛かってくる敵。その最初の流れを、結界紡ぎオーラで守り瞬は留める。
 そして溶けることのない氷で出来た扇の宝貝を拡げ、氷の刃を降り注げば、あたった場所から敵の身は凍り付いて動けなくなっていく。
 そしてしゅっと飛び出た西嘉がパンチで立ちふさがるものを払いのける。
 配下を削られ、黒縄華妃は表情ゆがめ舌打ちする。その様にふふと、口端に笑みをのせて瞬は紡ぐ。
「貴様の護衛より私の護衛の方が優秀だぞ」
 いらだちをわずかに見せつつ、黒縄華妃は下級役人だけでなく、己が籠絡した過去の男たちを彼女は召喚するのだ。
「ああ、なんと頼もしいお方♪」
 あれらをはやく、どうにかしておくれと鈴を転がすような声色で、紡いでいた。
「ん、新しい配下だな。首魁が籠絡した者達か……」
 そういって、西嘉は征殿と彼を呼ぶ。
 なんだ、と向けられる視線に疑問があるのだ、と西嘉は。
「普通の者はあのような女性に籠絡されるのか?」
 何故、籠絡されているのかわからない。
 ケットシーの彼が小さく首かしげる姿は、可愛らしい。
「俺には征殿の方が美しく見えるのだが」
「は? いや、だから何故美醜の話に……」
 この朴念仁、と瞬は思いつつわずかに頬は染まる。
 他意はないだろうと分かっているものの、やはり照れるのだ。
「……君、ほんとそういう所だぞ」
 なにが、そういう所なのかわからない。
 西嘉はそんな瞬の様子にさらに首をかしげる。頭の上には見えないクエスチョンマークをいっぱいにしつつ、猫パンチを続けて見舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御魂・神治
サークルの姫的な輩が相手かいな
童貞騎士団ようけ呼びよって、めんどくさいわー
ワイが非モテやからて腹立つわー

女体化した以上筋力落ちているから天誅使うのは難しいな...
叢雲ブン回すのもちょい期待できへんわ
それよか胸元邪魔でしゃーないわ!

天将
『さり気なく巨乳アピールしないでください』

本性現して下僕呼んだら『蒼天』を【乱れ撃ち】して下僕を足止めしてから
爆龍符の【範囲攻撃】で【浄化】し、下僕の合間を縫う様に敵に接近する
背ぇ低くなった分小回りは利くでな
捕まえようなら【結界術】で弾き飛ばす
したらば天将の光学【迷彩】で姿を消し、相手のど真ん前で姿を現して
紫電符束ねて【破魔】の札束ビンタしたるわ



●サークルの姫とは言い得て妙
 配下を巡らせ、こちらまで来れないでしょうというように余裕を見せる黒縄華妃。
 さらに近くの配下をちらりと見て気がないのに気のあるふり。
 性格はあまりよろしくなさそうだ。
「サークルの姫的な輩が相手かいな」
 そんな様子に、御魂・神治(除霊(物理)・f28925)は、は~~~と息吐いた。
「○○騎士団ようけ呼びよって、めんどくさいわー、ワイが非モテやからて腹立つわー」
 そんな声が聞こえたのは、黒縄華妃は神治へと目を向けて――また新たに、己に籠絡された男を呼び出し顎を掬い上げて放ってみたり。悪い女っぷりを披露する。
 その様に、なんだかイラっとしたものを感じないこともなく。
 長剣の様なスナイパーライフル、天誅を持ち上げて――いつもと違うバランス感覚に動きが揺れる。
「筋力落ちているから天誅使うのは難しいな……」
 女の腕じゃやはり重い。 
 叢雲ブン回すのもちょい期待できへんわ、とそれに振り回される姿が容易に想像できる。
「それよか胸元邪魔でしゃーないわ!」
 そして何より、この胸。ばいんとないすばでぃーになっている今、それは慣れないもののひとつでもある。
 天誅構えるにも、叢雲ブン回すのにも、邪魔だ。
『さり気なく巨乳アピールしないでください』
 と、即突っ込みをいれる天将。
 その間に迫る下僕の姿。しかし、神治も対応は早い。
「チョロチョロすんな、大人しくしいや」
 角材型の大きめのハンドガン、天地ならこの姿でも持てる。弾丸乱れ撃ちし、足止めを。
 その瞬間は狙い時だ。御札型爆弾たる爆龍符で周辺を浄化する。
 一瞬の隙が生まれた所で下僕の間を縫うように黒縄華妃へと接近する。
「どこにいったの、さっきの女は!」
「背ぇ低くなった分小回りは利くでな」
 そんな声が聞こえる。神治は笑い零し、黒縄華妃の前へと飛び出た。
「ここやで!」
 突然正面に現れた神治。天将の光学迷彩で姿を消して紛れていたのだ。
 突然のことに慌て驚く、その表情をいい面と思いながら神治が構えたのは、紫電符。
 それを札束のように重ねて――しゅっと振りぬく。
 札束ビンタ、ならぬ紫電符ビンタ。
 対象を焼ききるそれを、黒縄華妃は咄嗟に己をかばって手を出す。しかし熱で焼ききれる音に、短い悲鳴を上げ下僕を間に入らせ逃げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

椚・一叶
◆トリス(f27131)と同行

泉に入ってから人狼になった
耳と尻尾、意思関係なしに動く時ある、不思議
勝手に動くな
と揺れる尻尾に言ってみる
しかし戦いを前に気分が上がってしまうのは
止められない
ぶんぶん揺れる…

召喚された雑魚、早めに倒した方が楽そう
かといって相手し過ぎないよう
斧で薙ぎ倒してく
トリスが攻撃した相手も優先的に

耳が良いと攻撃に気付き易いが
不要な音との区別、難しい
トリスは逆に聞こえ辛いか
近付く敵は位置を叫んで警告
狼らしく敵に吠えてやってもいい

耳と尻尾、あんまり見るな…
姿戻ったらトリスの耳と尻尾、ガン見してやる

黒縄華妃には、強化した斧で重い一撃を
私のもの?
貴様のものなど、もうない
儂らが貰う


鳥栖・エンデ
イチカ君(f14515)と

…あ!そういえば泉に槍も落として
貴方が落としたのは金色ですか銀色の方ですか
ってやれたなぁ…なんて今更思いつつ
騎士槍のニールは変わらずで良かったのかも
エルフ耳やら裸足の感触を楽しみながら
いつも通りに戦闘がんばろ〜

動き易さはあまり変わらなかったなぁ、と
槍術で敵の数を往なして
召喚ドラゴンでの追撃も忘れずに
狼イチカ君の方はどんな感じかい?
耳とか尻尾で反応わかりやすいの新鮮だよね〜
遠吠えには有難く便乗させてもらって
折角だから今しか出来ない合体技でも考えとく?
ふたりで尻尾アタック出来たら良かったのにねぇ
元に戻ったらキマイラの凄さを見せてあげよ〜
なんてね、冗談だよぅと真面目にやるさ



●耳と尻尾と、変わらぬこと
「……あ!」
 と、零したのは鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)だ。
 椚・一叶(未熟者・f14515)はどうかしたか、と視線を向けぴこりと耳を動かす。
 エンデは何でもないと笑って――思うのは。
(「そういえば泉に槍も落として、貴方が落としたのは金色ですか銀色の方ですかってやれたなぁ……」)
 なんて、今更思うのだ。
 その手にある騎士槍、ニール。姿は変わらずそのままでよかったのかも、と思いながらそうっとまた触れてみるのはエルフの耳。
 それに裸足。大地を踏みしめる感触はいつもと違ったもの。
「いつも通りに戦闘がんばろ~」
 その言葉に一叶も頷く。
 人狼になって――耳と尻尾。それが己の意志と関係なしに動く時がある。
 今もそうだ。それが、不思議でならない。
「勝手に動くな」
 と、己の背後で揺れる尻尾に行ってみるけれど大人しくなる気配はない。
 むしろぶんぶんと元気に揺れている。
 それは戦いの前に一叶の気分が上がっているから。それは、姿が変わっても変わらぬことで、止められないものだった。
 ぶんぶんぶん。
「ぶんぶん揺れる……」
 エンデもその動きを目で追って、尻尾だねぇと自分の後ろをちらり。そこに蛇の尻尾がないのも、不思議なものだ。
 と、いつまでも互いの身を見ているわけでもない。
 黒縄華妃が呼び出した配下は増えている様子。
「召喚された雑魚、早めに倒した方が楽そう」
 かといって相手し過ぎないようにと一叶は紡ぐ。
 そうだねとエンデは槍を取り廻す。動きやすさはあまり変わらなかったなぁと、向かってきた配下を槍術で払いのけた。
 エンデが払いのけ、バランス崩した配下を一叶が狙って、斧で薙ぎ倒す。
 ぴくり、耳が動いて――視線が追いかける。
 死角からとびかかってきた敵をいち早く察知して、斧を振った。
 とん、とふたりの背中が合わさって。
「狼イチカ君の方はどんな感じかい?」
 エンデが問いかけるとそうだなと耳がまたぴこり。
「耳が良いと攻撃に気付き易いが」
 と、先ほどの事を想い返す一叶。
「不要な音との区別、難しい」
 トリスは逆に聞こえ辛いか、と音を拾う力が弱まっているだろうエンデの耳を見る。すると一叶の耳と尻尾がまた動く。一叶は何も意識はしていなくて自然な動きだろう。
「近づく敵は知らせる」
 そう言って眼前の敵へと向かう一叶。
 向かってくる敵へと威嚇するように、一叶は足を踏みしめた。
 昂る気持ちがある。ぴんと耳は立ち、尻尾がぶわわと僅かにけば立った気配があった。
 そして――遠吠え。ほえたてれば、目の前の敵は驚き鈍る。
「耳とか尻尾で反応わかりやすいの新鮮だよね~」
 と、その遠吠えの合間の耳と尻尾を見詰めていたエンデは笑い零す。
 その声に有難く便乗させてもらってとエンデは追撃をかける。ドラゴンを召喚し、向かわせて弾き飛ばした。
「折角だから今しか出来ない合体技でも考えとく?」
 ふたりで尻尾アタック出来たら良かったのにねぇ、と笑って楽し気に揺れる尻尾をちらりと見る。そして次に耳に向くエンデの視線。
 その視線に無我遊佐があって。
「耳と尻尾、あんまり見るな……」
 姿戻ったらトリスの耳と尻尾、ガン見してやる、と一叶は心に決める。
 そしていた、と告げた。二人の進む先に黒縄華妃の姿だ。
「元に戻ったらキマイラの凄さを見せてあげよ~、なんてね」
 冗談だよぅとエンデは笑い――真面目にやるさと言葉に鋭さを。
 そして黒縄華妃も、二人の姿を見つけていた。
「ここは私のものなのに。こんなに沢山くるなんて」
 邪魔よ、早く出て行ってと配下を差し向ける。
 その配下へと向けて、エンデは槍を向け、ドラゴンを召喚し吹き飛ばした。
「私のもの?」
 貴様のものなど、もうない――握った斧にすべての力を乗せて、一叶は振り上げる。
 儂らが貰うと向ける表情は、人狼でも羅刹でも変わらないなぁとエンデは隣で見て、そして己も槍を向ける。
 黒縄華妃はまともに喰らえばまずいと思ったのだろう。
 そしてそれは正しい。幾人かの配下を盾にしても届く攻撃に黒縄華妃は身を翻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨咲・ケイ
なるほど、容姿は美しいですが、
中身は醜悪極まりないようですね。
こういう手合いでしたら何のためらいもなく
骸の海に送れるというものです。

【SPD】で行動。

理性を失った攻撃の回避など容易……、
慣れないオラトリオの体だと、
ちょっと厳しいですね……。

敵の攻撃は、翼で飛翔して不規則な動きを
見せる事で回避。
回避困難な攻撃は【盾受け】と【オーラ防御】を
併用して凌ぎます。
そして【念動力】によるスノーホワイトの花吹雪で
【目潰し】を仕掛け攪乱。
そのまま空中からの【功夫】で反撃し、
更に【光明散華】を放って一気に攻めましょう。

アドリブ等歓迎です。



●空を駆け
 黒縄華妃は傷を負っていた。これを癒して、と配下を呼び出し壁を作らせたのは保身のためだろう。そして手当をさせている様子。
 だが、早くしなさいよと手当をさせている相手をなじりながらそこにいた。
「なるほど、容姿は美しいですが、中身は醜悪極まりないようですね」
 その様を静かに見つめている者がいる。
こういう手合いでしたら何のためらいもなく骸の海に送れるというものですと、雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)は慣れぬ翼で羽ばたいて、黒縄華妃の上をとった。
 ケイに気づき、そしてその言葉に募っていた苛立ちが溢れたのだろう。
 手当させているものを押しのけ、絞殺縄鞭を手に持ち落としてあげるわ! と黒縄華妃は言う。
 ケイは飛翔する。理性を失った攻撃の回避など容易と。
 けれど。
「慣れないオラトリオの体だと、ちょっと厳しいですね……」
 それでも不規則な動きで絞殺縄鞭の危ない一手を回避する。
 どうしても避けられそうにない時は、小型の盾であるアリエルで受けて、弾いた。
 まともにくらったら落ちる。そんな衝撃を感じながら。
 そうしながら念動力をもって、雪のように散る白薔薇の花弁を躍らせる。
 花吹雪となったそれは絞殺縄鞭に絡み、そして黒縄華妃の視界を覆って攪乱する。
 そのままケイは黒縄華妃の上を取って、功夫をもって反撃を。
「見切れますか? この一手を」
 そう問いかけるが、黒縄華妃は視界を回復することに執心しケイの動きに対応しきれない。攻撃を加え、ケイは再び飛び上がり空中から光の氣弾を放っていく。
 氣弾を浴びせられ、黒縄華妃は絞殺縄鞭を取り落し、その攻撃は止まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒瀬・ナナ
ウィルさん(f17025)と一緒に。

いつもあるものが無くて、普段は無いものがある不思議な状況にも、
道中で多少は慣れたような気もするし。
桃源郷を取り戻す為に、いざ勝負!

薙刀はいつも通り使えるし、戦うのに問題は無さそうね。
自慢の『怪力』で振り回して暴れちゃうわよ!
ウィルさんと協力して、お互いをサポート出来る動きを意識。
たくさん召喚される下級役人さんは……そうだわ!龍の尻尾で『なぎ払い』吹き飛ばしちゃうのはどうかしら?(下半身が龍にならないか念じてみる)

……綺麗な場所を独り占めしたい気持ちは判るけれども、
此処を貴女だけのものにすることは出来ないわ。
ウィルさん、ゼファーさん、一気にやっちゃって!


ウィルフレッド・ラグナイト
ナナさん(f02709)と共に

女性の体になり、普段とは違う感覚や体の動かし方は道中で慣らしておく

ナナさんの戦いを頼もしく感じ、それに合わせるように動く
攻撃は右手の剣で受け、左手に持った騎士槍で攻撃する
ナナさんが敵を薙ぎ払う動きを見せたら、ゼファーに呼びかけて風の魔力を用いて一緒に吹き飛ばす
心なしか、いつもより風の勢いも強いような
良い連携でした、ナナさん、ゼファー

相手の本性を見て
それが本当の貴女ですか
今は女性の身ですが、元の姿でも貴女のような人はお断りしたいですね
桃源郷は返してもらいます
ナナさんの言葉に鼓舞されながら相手に向かい、剣を振るう



●違う姿故にできることと、変わらぬこと
 動きは、ここまでの道中で慣れてきた――ような気もする。
 いつもあるものが無くて、普段は無いものがある不思議な状況。
 黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)はこれから対する敵、黒縄華妃のいる方へと顔を向ける。
「桃源郷を取り戻す為に、いざ勝負!」
 そしてウィルフレッド・ラグナイト(希望の西風と共に・f17025)も、女性の体になり普段とは違う感覚や体の動かし方を理解して慣らしてきた。
 体は女性のほうが柔らかいような気がする。力は男性のほうが強く、動きの緩急の付け方が違う印象だ。
 しかしその姿の特徴が――手が、獣に変わったことなどはないから、武器の取り扱い、
戦いには問題なさそうだ。
 ひゅっと風切る音と共にナナが振るったのは薙刀。いつも通り使えるし、戦うのに問題は無さそう。
 ぐっと握るその感覚はいつもと変わらない。
「自慢の『怪力』で振り回して暴れちゃうわよ!」
 その言葉と共にナナはぶんっと薙刀を回して向かってきた配下を吹き飛ばす。
 その姿を頼もしく感じながらウィルフレッドもそれに合わせるように動く。
 運よく薙刀を回避してか、動きを呼んでか。薙刀振り払った後の隙を狙って飛び込んできた敵へとウィルフレッドは向かう。
 右手の剣で攻撃を受け、左手の騎士槍で攻撃を。
 そして再びナナが薙刀を構えたならば。
「ゼファー」
 その声にドラゴンは答える。魔力を紡いで、一緒に敵を吹き飛ばした。
 風の勢いは、心なしかいつもより強い気がする。
 その様にナナもぱちりと瞬いた。
「良い連携でした、ナナさん、ゼファー」
 ゼファーも声あげて、同意を示しくるりと二人の周囲を回った。
 ナナも、ありがとうねとゼファーへと笑いかける。
 けれどまだまだ敵の姿は多い。次々と召喚されてくるのは、黒縄華妃が己の身を守ろうとしているからか。
「いるのは、あちらのようです」
 ウィルフレッドは敵が溢れてくる方向を見定める。
 そしてナナはこの相手を全部どうにかしなきゃいけないのね、と考える。
「たくさん召喚される下級役人さんは……そうだわ!」
 と、閃いて。ナナは変化した己の身を見詰める。
「龍の尻尾で『なぎ払い』吹き飛ばしちゃうのはどうかしら?」
 なんとなく、変化は出来る気がしていた。ナナは龍になれ、龍になれと唸りながら念じてみる。
 すると、ぽふんと可愛い音と煙と共に――下半身は龍の者へと変化した。
 ゆるりと長い龍の身が躍る。不思議なことに服も龍の身へと対応したものへとなっていた。
「なれた! じゃあ、いっちゃいますね!」
 ひゅっと龍の尾の先を揺らす。ウィルフレッドとゼファーは巻き込まれぬように一歩下がった。
 それを見て、ナナはえーい! とその身でもってなぎ払う。
 吹き飛ばされる配下たち。そして黒縄華妃への道が開ける。
「! 折角休んでたのに……壁にもならないのね、お前たち」
 なら、私が相手をするわと絞殺縄鞭を手に、その体裁を崩し歪んだ表情を浮かべる黒縄華妃。
「ここは私だけでいいのよ。縊り殺してつるしてあげるわ!」
 ナナはさっきまでの姿とは一変ねと思う。そしてその心根を否定する。
「……綺麗な場所を独り占めしたい気持ちは判るけれども、此処を貴女だけのものにすることは出来ないわ」
「それが本当の貴女ですか」
 ウィルフレッドはただ静かに見つめる。
「今は女性の身ですが、元の姿でも貴女のような人はお断りしたいですね」
 桃源郷は返してもらいます、とウィルフレッドは光を纏った剣をもって黒縄華妃へと突き進む。
「ウィルさん、ゼファーさん、一気にやっちゃって!」
 ええ、勿論ですとウィルフレッドは絞殺縄鞭の攻撃をかわす。ゼファーが風を巻き起こし、鞭の動きをたわませた瞬間、踏み込みその切っ先は黒縄華妃の身を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨絡・環
アルフィードさん(f00525)と

あらうつくしいひと
お気に入りの場所を独り占めしたい気持ちはようく解りますし
今のわたくしは殿方
美妃に篭絡されるも魅力的ですが
今、傍にはもうっと麗しい御婦人が居るもので
ごめんなさいねえ

襲い来る下僕共からアルフィードさんを背に
嗚呼、麗しの姫君
わたくしの後ろにおられませ
貴女の玉体に傷ひとつ付けさせは致しません
――なあんちゃって
束の間の演技
騎士の如く振る舞うを楽しみましょう

【六条】
下僕は下僕同士で遊ぶとよい
ふ、承知しましたよ、姫

殿方の身である分、膂力が常より勝るよう
雪椿を鞘から抜き駆けて
華妃に幾重に紅を刷く

ご覧下さい、アルフィードさん
とてもお似合いだと思いませんこと?


アルフィード・クローフィ
環ちゃん(f28317)と

ん?可愛らしい女の子だね!
あぁ、ここ君のお気に入りの場所なんだ!
んー、でも独り占めは駄目だぞー
皆で楽しくしないとね
ねー、環ちゃんじゃなくて今は環くんだね
今は自分より大きな背中が目の前に
ん?こ、これは護られている!?
きゃーー、環くんカッコ良い!!
ふふっ、素敵な素敵な騎士様
貴方に護られるなんて幸せですわ
一なぁんて
ふふっ敵さん放置でイチャイチャしましょう。

【最恐の戯れ】
神よ悪魔を何時もの気紛れに
いつもなら攻撃重視で相手をザクザクするけど
今日は可愛いお姫様
騎士様を護ってくださいな

わぁお、確かにお似合いだね!
とても素敵な騎士様、環ちゃん



●騎士様、姫様
 黒縄華妃は攻撃を受け、傷を受けた場所を抑えていた。
 この桃源郷で力を増すつもりが、削られるばかり。僅かにとどまって傷を癒そうとしても――
「あらうつくしいひと」
 黒縄華妃はその声を向けた方へと、またかと苛立ち隠さず視線投げた。
 その視線を楽しく受け取って雨絡・環(からからからり・f28317)は笑み向けるが。黒縄華妃はきつく睨んでくる。
「ん? 可愛らしい女の子だね!」
 そしてアルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)は黒縄華妃の姿を見て笑いかけた。しかし彼女が向けてくる表情、さらに返す言葉は鋭さを帯びている。
「ここは私の桃源郷なのよ。なのにずけずけと入ってきて……はやくでていきなさい。いえ――追い出してやるわ」
「あぁ、ここ君のお気に入りの場所なんだ!」
 お邪魔しちゃってごめんねーとアルフィードは言うけれど、黒縄華妃のいう事をきくつもりはない。
「んー、でも独り占めは駄目だぞー」
 皆で楽しくしないとね、とアルフィードは笑み向ける。
「ねー、環ちゃんじゃなくて今は環くんだね」
 と、今は彼女ではなく彼となっている環を見上げるアルフィード。
 環は柔らかに、黒縄華妃に微笑んだ。
「お気に入りの場所を独り占めしたい気持ちはようく解りますし」
 今のわたくしは殿方――美妃に篭絡されるも魅力的ですが、と言って環はアルフィードへとふわりと笑いかけた。
 その笑みに、アルフィードも笑み返す。
「今、傍にはもうっと麗しい御婦人が居るもので。ごめんなさいねえ」
 あなたになびくことはありませんと告げれば、黒縄華妃はなら邪魔ものねと配下を呼び出し向かわせる。
 アルフィードの前に、環は立つ。
 目の前にある大きな背中――それを見て、アルフィードははっとした。
「ん? こ、これは護られている!?」
「嗚呼、麗しの姫君。わたくしの後ろにおられませ」
「きゃーー、環くんカッコ良い!!」
「貴女の玉体に傷ひとつ付けさせは致しません」
 ――なあんちゃって、とふふと笑い零す環。
 これは束の間の演技。男の姿だからこそのもの。
 そして環もきゃーと声あげて楽しんでいる様子。
 騎士の如く振る舞うを楽しみましょうと環は配下たちから環を守る動きをする。
 そして、環もその遊びに共に興じている。
「ふふっ、素敵な素敵な騎士様。貴方に護られるなんて幸せですわ――なぁんて」
 そんな余裕を見せる二人に黒縄華妃はいら立ちを乗せる。
 行きなさいと更なる下僕を呼んで差し向けたのだ。
「下僕は下僕同士で遊ぶとよい」
 それに、嘗て喰らった人々の霊を召喚する環。
「ふふっ敵さん放置でイチャイチャしましょう」
「ふ、承知しましたよ、姫」
 アルフィードは何時ものように気紛れに神に悪魔に死霊の力を借りる。
 いつもなら――攻撃力を乗せて目の前の相手をザクザクするけれど、今日はそうしない。
 だって今日は、可愛いお姫様なのだから。
 騎士様を護ってくださいな、と微笑む。その笑みを背に受けながら、環は雪椿の蒔絵が描かれた懐剣を鞘から抜く。
 殿方の身である分、膂力がと常より勝る感覚。
 鞘から抜き放たれた輝きが、黒縄華妃の上を走る。
 乗せられた力は何時もより重く。幾重にも、幾重にも紅を刷くのだ。
 そして一足、黒縄華妃から距離をとる。
「ご覧下さい、アルフィードさん」
 ひらりと掌向けて、示す。とてもお似合いだと思いませんこと? と示すのは傷を重ねられ血を流す姿。
「わぁお、確かにお似合いだね!」
 とても素敵な騎士様、環ちゃん――アルフィードは守られている事を楽しむように紡ぐ。
 これは性別が変わっているからこその時間。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
コノf03130と

んぱっ
んぱっ
何度も獣に変化したり戻ったりを繰り返し
ね、ね、獣姿、ど、なてる?狐の時と違う?たぬき?狸さんなてる???
コノ、胸、やぁらかだた!全身、女性なてる???
自分やコノの姿に興味津々
敵は眼中になし

ぅん?出て…あれ?傾国て聞いたから、もっと……
悪気無く。ただただ素直に。
だて、どう見ても、ほら…コノの方が別嬪さん!(えっへん!)

コノ…腰、ほっそい!!いや、前から、変わてない、かな…
胸に続き腰や太腿、お尻にまで手を…
あ、ハイ!
万歳して狸鍋回避!!(回避出来てる!多分!)
そのまま敵へ向かってびゅーん!(投げられた!)
【フォックスファイア】ならぬ、らくーんどっぐふぁいあをお見舞い!


コノハ・ライゼ
【たぬちゃん(f03797)と】

私のモノとか出てけとか、見目に違わず狭量だコト
余裕の無いオンナは魅力がなくてよ
ふふんと上から目線で挑発

呑気なたぬちゃんへはしれっと
え?変わらず狸ね
アタシ?
性別がナンだって他より断然美しいでしょ?

敵の攻撃は見切り躱し、僕へは余裕の表情で誘惑の呪詛を謳いましょう
そんなケチなオンナより、ねぇコチラで楽しみましょう?
籠絡し誘き寄せておいて無力化してくわネ
イイ子、ちょっと大人しくしてなさいな

どさくさ紛れにお触りしに来る狸をごく自然な動きで掴んだら
華妃をスナイパーで狙い全力投狸
2回攻撃で【天片】発動し淡紅の花吹雪で華妃のみを狙い
追い討ちかけるよう傷口抉って生命力を頂くわねぇ



●ふふん、えっへん、ぎりぃ
 やだ、相性悪そうな女、とコノハ・ライゼ(空々・f03130)は思っていた。
 黒縄華妃の言葉や所作はコノハにとって好ましいものではなかったのだ。
「私のモノとか出てけとか、見目に違わず狭量だコト。余裕の無いオンナは魅力がなくてよ」
 ふふんと上から目線で挑発をかけるコノハ。
 その言葉に黒縄華妃も、何よとばかりの視線を向ける。
 その、剣呑な雰囲気の横で。
 んぱっ。
 んぱっ。
 人の形と、獣の形。何度も変化したり、戻ったりを繰り返しているのは火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)だ。
「……ねぇ、その隣の」
「ね、ね、獣姿、ど、なてる? 狐の時と違う? たぬき? 狸さんなてる???」
 どうかな、どうかなとさつまは返信繰り返し、コノハの答えを待つ。
「え? 変わらず狸ね」
 しれっと答えるコノハ。さつまの興味は自分から、そしてコノハへも移っていく。
「コノ、胸、やぁらかだた! 全身、女性なてる???」
「アタシ? 性別がナンだって他より断然美しいでしょ?」
「コノ綺麗! 美人!」
 でしょ、とコノハは獣姿のもふもふさつまを抱え上げ、黒縄華妃へと勝ち誇った視線を向ける。
 そしてスルーされていた黒縄華妃は、私のほうがいい女でしょ? と誘惑の動き。
 しかしそれは、さつまには通じないものだ。
 じーっとみて、そしてコノハを見て。また黒縄華妃を見る。
 思ったままを言ってやんなさい、とコノハが云うと。
「ぅん? 出て……あれ? 傾国て聞いたから、もっと……」
 ううぅ~ん、本当に言てだいじょぶ?
 そんな視線に大丈夫大丈夫とコノハは頷く。さつまがなんというか、予想はすでにできているのだから。
「だて、どう見ても、ほら……コノの方が別嬪さん!」
 えっへん! と胸を張るさつま。
 悪気無く、ただただ素直にそう思ったのだ。
 その様に、黒縄華妃が苛立ちをまき散らし私のほうが美人とぎりぃと歯噛みして己がかつて籠絡した者たちをはべらせた。自分をほめたたえる者たちを呼び出したわけである。
「そんな狸の言う事なんで正しくないのよ!」
 行きなさい、と放たれる下僕たち。
 その攻撃をコノハは見切ってふわりと、やわらかにかわし、さつまもその手から飛び出して避ける。
 そして下僕と触れ合う距離でコノハは誘う。
「そんなケチなオンナより、ねぇコチラで楽しみましょう?」
 ふらりとおびき寄せられる。そこを狙ってコノハは一撃加えて敵の意識を落としていくのだ。
「イイ子、ちょっと大人しくしてなさいな」
 と、一人落としたところでぴょんと腰に抱き着くものの感触。
「コノ……腰、ほっそい!! いや、前から、変わてない、かな……」
 腰の確認完了。次はお尻と太ももと手を伸ばすさつま。
「……たぬちゃん」
「あ、ハイ!」
 その声に万歳してなにもしてないアピールするさつま。しかしそのお手手の場所、ちょうどよかった。
 でもきっと、狸鍋は回避――で来た、はず。
 敵の攻撃かわしてごくごく自然な動きでもってがしっとその手を掴んだコノハ。
 宙ぶらりんでぶんっと振り回され、そのままさつまは黒縄華妃へと向かって投げられた。
 あっ、投げられたと思ったら空色の風蝶草の花弁のいろが目に飛び込んでくる。
 淡紅の花吹雪の中でくるっとさつまは回転して。
「らくーんどっぐふぁいあ!」
 ぽひゅひゅと狐火ならぬ狸火を黒縄華妃へと御見舞する。
 狸火を受けて熱いと、そして花吹雪に攻撃され身をよじる。そこへコノハがもう一足、踏み込んだ。
 焼けたその傷口をさらに抉りその生命力を奪う。
 奪い来たら、しわしわのおばあちゃんになるんじゃない? と挑発も忘れずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マヒロ・ゾスティック
アドリブ連携歓迎

おお、紐だらけでやる気満々な女王様だねえ
でもボクが期待するのじゃなくて、首狙いのガチな奴みたいだねえ残念
ま、仕方ないか
今回はこの体でどこまでやれるか試すのにしとこっと

ふわりと軽い身体で相手の縄鞭を回避
ふふーん、女の子の身体でこうやって浮くのもキモチいいねえ♪
っと、でもそろそろかわしきれなくなってきちゃうか
じゃ、そろそろ本気だそっかな♪

UCで加速して更に空を飛翔して縄を回避
そして浮遊したり飛翔したりで地面に落した影が触れた箇所や
相手自身の影から捕縛のベルトを発射
これ自体はUCの効果のベルトだからこの種族でも使えるもんねー

逆に◆捕縛したところで
敵を長刀『痺切』で思い切り◆切断しよ♪



●ひらりかわして、縛って捕えて
 猟兵たちからの攻撃に圧されている――でもそれを認めたくはないのが黒縄華妃のありよう。己の趨勢を誇るかのように、黒縄華妃は配下をはべらせる。
 その前に、マヒロ・ゾスティック(堕ちし快楽の淫魔忍・f31759)が立てば彼女は、不愉快だと嫌悪をあらわにしていた。
「ここは私の桃源郷。ぞろぞろとあらわれて……みんな縊り殺すほうが早そうめ」
 傾国の体を脱ぎ去って、彼女は己の得手たる絞殺縄鞭を手に。
 マヒロはそんな様子にくすりと笑い零す。
「おお、紐だらけでやる気満々な女王様だねえ」
 でも、黒縄華妃のその姿はマヒロが描いていたものとは違う。
「でもボクが期待するのじゃなくて、首狙いのガチな奴みたいだねえ残念」
 ま、それを言っても仕方ないかと肩竦めて、今は戦いを選ぶだけ。
「今回はこの体でどこまでやれるか試すのにしとこっと」
 ふわりと軽い身体だと、絞殺縄鞭がしなり風撃つ音をとらえてマヒロはかわす。
「ふふーん、女の子の身体でこうやって浮くのもキモチいいねえ♪」
 ひょいひょいっと、どこからやってくるかわからぬ絞殺縄鞭の波をかわして――でも、それもずっとは続かない。
「っと、でもそろそろかわしきれなくなってきちゃうか。じゃ、そろそろ本気だそっかな♪」
 マヒロは楽しげに笑って、くるりと空を回る。
 ふと、黒縄華妃の絞殺縄鞭の攻撃が途切れた一瞬狙って、身を翻し加速をし回避を続け、己の影を黒縄華妃の影に重ねていく。
「キヒヒ、影に潜むは忍の得手。キミの影はもうキミのものじゃない、ボクのさ。自分の影に捕まっちゃえ♪」
 何を、と黒縄華妃が思ったときにはもうマヒロの準備は終わっている。
 影から飛び出るのはベルト。そのベルトは黒縄華妃の身を絡め取り、その動きをとどめた。黒縄華妃は何よこれ、と動いてはずそうとするが簡単にそうできるものはない。
「これ自体はUCの効果のベルトだからこの種族でも使えるもんねー」
 そして次はこれの出番と、長刀『痺切』を構えマヒロは振り下ろす。その刃は黒縄華妃の身を切りさいて、深い傷を負わせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
千之助(f00454)、楽しそう…。
いつもより気分もふわふわしてらっしゃる様な?

そんな彼女(?)の姿も、桃源郷の景観も、見ていたいけれど
…邪魔な敵意です事。

あは!面白い事言いますね。オバサン♪
出ていけと言われて従うのなんて、そこらの見る目無い配下だけ。
アンタが縊ると言うのなら、
俺等は死なないと証明してやるよ。

挑発。縄女の意識は此方に引き付け。
齢も暗器も減ろうと…傭兵。
13歳なんて、疾うに戦場の直中。
…戦闘知識は裏切らない。
UC発動、風の魔力を攻撃力へ。
避けられた配下へナイフ投擲しつつ、千之助の後背へ。
躱すに合わせ、移動がてら張った鋼糸で範囲攻撃。

尤も、これもフェイク。
縄女は任せましたよ、千之助


佐那・千之助
クロト(f00472)、なんと綺麗な処じゃろう
桜ではなく桃?桃の実もなっている?
世界に見とれて、もっと傍で見たくてふら~っと漂う羽衣人

ひゃ!?(召喚された配下達に阻まれる
ひどいではないか、いたいけな女子供相手に(よよ
此処までの移動がてら羽衣使いにも慣れたのじゃよ
縄の姫より私と遊ぼうか
配下達の手をひらひら逃れ、いざ捕まると見せかけ
大きく躱したところで任せたクロト
可愛くてつよい…ずっと見ていたい…
ちっちゃい頃から頼もしかったのじゃな

此処で蓄えた力を全力で注がれては厄介じゃ
慢心している内に戴くとしよう
縄は黒剣で絡め取り、お返しに羽衣で敵を目隠しして
首から吸血、生命力を吸う
増幅した力を載せUC



●どんな姿であったとしても
 霧を抜けた先――桃の花弁がひらりと舞い踊る。
 そう、ここは桃源郷。
 ここへ足を踏み入れた時から、佐那・千之助(火輪・f00454)は表情ゆるめて楽しそうなだ。
 その様子を一番近くで見ていたのはクロト・ラトキエ(TTX・f00472)。
「クロト、なんと綺麗な処じゃろう。桜ではなく桃? 桃の実もなっている?」
 世界に見とれて、もっと傍で見たくふら~っと漂う千之助。彼――いや、彼女は今、羽衣人だからだろうか。動きもだが、何かもより一層ふわふわしているところがあるように見えた。
「千之助、楽しそう……。いつもより気分もふわふわしてらっしゃる様な?」
 そんな姿も、桃源郷の景観も。クロトももちろん、見ていたい。
 けれど――
「ひゃ!?」
「……邪魔な敵意です事」
 静かにクロトが紡いだ言葉は現れた配下たちへと向けられる。
 配下たちは二人を囲み、そして――後ろに黒縄華妃を守るように。
 黒縄華妃は、傷を負って不機嫌さを増している。
「私の柔肌を……それにまた侵入者! はやく出ていきなさい、お前たち叩き出してやるのよ!」
 そんな、苛立ちの声に千之助はよよとなく振りするよに顔隠す。
「ひどいではないか、いたいけな女子供相手に」
「あは! 面白い事言いますね。オバサン♪」
 そしてクロトはからりと笑って見せた。
 その言葉、本気で言ってるんですかというように。
 出ていけと言われて従うのなんて、そこらの見る目無い配下だけとクロトは挑発かける。
 それにまた黒縄華妃は乗ってしまうのだ。
「生意気なガキ! いいわ、縊り殺してあげるわよ!」
「アンタが縊ると言うのなら、俺等は死なないと証明してやるよ」
 黒縄華妃の意識は完全にクロトへと向いていた。
 それはクロトの狙い通り。そして傍らにて、千之助は配下たちへと誘いかける。
「縄の姫より私と遊ぼうか」
 追いかけてくる配下たち。千之助はひらひらと飛んで、配下たちの手から逃れる。
 ふんわり、大きくその手を躱して――そこにはクロトがいる。
「任せたクロト」
 その声にええとクロトは頷く。
「齢も暗器も減ろうと……傭兵」
 13歳なんて、疾うに戦場の直中――と、思い返す。
(「……戦闘知識は裏切らない」)
 ナイフを投擲しつつ千之助の後背へとクロトは動く。身体は変わっても、覚えているのだ。
 互いに躱す――それに合わせ、移動がてらに張った鋼糸をクロトは弾いて配下たちを倒していく。
 その姿をそうっと、けれどじっと千之助は追っていた。
(「可愛くてつよい……ずっと見ていたい……」)
 ちっちゃい頃から頼もしかったのじゃなと千之助は瞳細める。
 けれどそれも――二人で仕掛けたもののうち。
(「尤も、これもフェイク」)
 クロトの視線が千之助へと向けられる。
「縄女は任せましたよ、千之助」
 千之助はクロトから受けた言葉に任されたと返す。
 黒縄華妃が此処で蓄えた力はある。もしそれを全力で注がれたなら――それは。
「厄介じゃ。慢心している内に戴くとしよう」
 黒縄華妃に向ける黒剣。ふわりと飛んで千之助は距離を詰める。彼女の意識はクロトにまだ向いていて、千之助の動きは目にいれていない。
 ふわりと、羽衣で視界を覆えば、何!? と慌てて動きも粗雑になる。
 黒縄を黒剣で絡め取り千之助はその首筋より生命力を吸いとった。
「このっ……!」
 黒縄華妃がそれを振り払い、攻撃向けようとする。その手を今度はクロトが攻撃かけて防いだ。鋼糸が絡みついて、好きにはさせない。
 その間に千之助が紡いだのは、矢だ。それは燃え盛る炎。
 貰った力を乗せて放たれた矢が黒縄華妃の身を貫いた。燃える炎は彼女の身を焼いて、耐えられぬと逃げる黒縄華妃。しかしそれは態勢を立て直そうとしてのことでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高塔・梟示
まどか(f18469)君と

突然部品が増えると扱いに困るな…
甲冑でも着込んだように身体が重い
君の翼は軽そうだね、空にあると輝いてより美しい

ふむ、楽土とは違うが心地良い場所だ
諍いは似合わないさ…縊り殺すなんて物騒も

まどか君の放った攻撃を追い駆け
配下達に鎧砕く怪力を籠めた、標識を叩き付ける

尾がある分、踏ん張りが効いて手応えも十分だ
群がる敵も、尾で払って体勢を崩す

く、数が多い…なんて
少し劣勢に見せれば、敵は慢心から油断が生まれるだろう
じわりと距離を詰めよう

頭上の彼に助かるよ、と礼言って
黒縄華妃の隙をつきドロップテーブル
悪いね、君だけの専売特許じゃないんだ
絞縄でマヒすれば尚良しさ、拳を見舞って片付けよう


旭・まどか
梟示(f24788)と

はぁ……また面倒そうなのが出て来たな
遠目に眇め背に意識を向け
数度の羽搏きの後にふわりと浮き上がる爪先

うん、これなら何とかなりそう
君は随分と往生しそうだね?
振り下ろす一打がより重くなったんじゃあない、なんて

身体慣らしの時間をくれたら良いのに
彼方はせっかちな様だよ

向かい来る手下には此方も手下をぶつけよう
戦場に黄金と赤褐を舞わせ
牙城を築く隙など与えやしない

空から戦場を見下ろすのも良いね
巧みな一鞭が伸びてこようともより高く逃れられるのが、好い

君の前を重点的に開けさせ
必要とあれば身を呈させて道を拓こう
なに、代わりなど幾らでも産めば良い

ほら、道を開けてあげたよ
さっさとアレを片してきて



●常は得られぬ力
 瞳をゆっくり伏せながら、旭・まどか(MementoMori・f18469)はその姿を捉えていた。
 霧が晴れたと思った先。そこは美しい世界ではあるが、居座っているものは――というところ。
「はぁ……また面倒そうなのが出て来たな」
 まどかは黒縄華妃のその姿を遠目に眇め、己の背中に意識を向けた。
 意識を向ければそれはゆっくりと羽搏きを始める。そしてふわり、と浮き上がる爪先。
 地面に支えられぬ己の身はひどく不安定に思えたが慣れてしまえばなんてことはない。
「うん、これなら何とかなりそう」
 と、まどかが視線を向けたのは高塔・梟示(カラカの街へ・f24788)だ。
 梟示は――小さく唸っていた。
「突然部品が増えると扱いに困るな……」
 甲冑でも着込んだように身体が重い、とゆっくりと動かした翼。
 そして翼だけならまだどうにか動かせたのかもしれないがもう一つ、尾があるのだ。それもまだ、なかなか上手にいう事を聞いてくれない。
「君は随分と往生しそうだね? 振り下ろす一打がより重くなったんじゃあない」
 なんて、とまどかは紡ぐ。しかしなるほど、と梟示は返した。確かに力は増している気もする。
「君の翼は軽そうだね、空にあると輝いてより美しい」
 風に乗って飛んで行けそうかい? なんて問いかける。
 それも時間があればできそうだけれど――
「身体慣らしの時間をくれたら良いのに」
 彼方はせっかちな様だよとまどかは示す。
 黒縄華妃は、傷を負っていた。その傷はこの桃源郷の力を吸い上げて癒しているようだが――衰えはみえる。
「私の場所の入り込んで……追い出すなんで生ぬるいわ。縊り殺してあげる!」
 ふわりと風が桃の花弁を運んでいく。そんな、うららかな陽気に梟示は瞳細めていた。
「ふむ、楽土とは違うが心地良い場所だ。諍いは似合わないさ……縊り殺すなんて物騒も」
 そうだねとまどかも頷いて、黒縄華妃が向ける配下へと視線を投げる。
 手下がくるなら――此方も手下をぶつけようと意識を向ける。
「これが欲しいんでしょ?」
 まどかは与える。己の血液を常闇から召喚したヴァンパイアへと。ヴァンパイアは得た分の働きを約束するのだ。
 この戦場に黄金と赤褐が舞う。手下が女のために牙城を気付くのを許さぬために。
 その攻撃を梟示は追いかける。
 手に盛った、行止まりの標識。いつもよりも握る力が強い気もする。
 その鎧砕く怪力籠めて、梟示は標識を叩きつけた。
 梟示のくわえた一撃は重く、配下はその場に崩れ落ちる。
 叩きつけるその瞬間、とても手応えがあった。というのはおそらく、と梟示は己の尾を見る。
 尾がある分、踏ん張りがきいて一層力が乗ったのだろう。
 さらに続く配下に、この尾も使えるのではと大きく振れば、身体の中心捉えて吹き飛ばす。
 いつもと違う戦い方ができることはなかなかに新鮮。
 しかしまだまだ、手下は多い。
 まどかは空から、その戦場を見下ろす。空から見下ろすのも良いねと、常ではできぬことができるのは良い。
 空の上にあるまどかを煩わしいと見たか、黒縄華妃が伸ばす鞭。けれどそれもより高く飛べば、何の問題もなく躱せる。
 まどかは梟示が進む先を重点的に開けるように動く。
 時折、梟示が苦戦をして――いや、フリかなと本当に助ける時ではないとまどかは判断していた。
「く、数が多い……」
 なんて、少し劣勢であるように見せる。敵が優位を得れば、慢心から油断が生まれるだろうから。
 そしてじわりと距離を詰めていく。
 同じ方向から雪崩のように向かってくる敵――それを砕いたのはまどかだ。
 ヴァンパイアたちがそれを崩す様に衝突して、消えていく。
「助かるよ」
 けれど消えてしまったと思う。その気持ちをまどかは察して気にすることはないと告げる。
 なに、代わりなど幾らでも産めば良いと
「ほら、道を開けてあげたよ」
 さっさとアレを片してきてという言葉にそうしようと梟示は紡ぐ。
 黒縄華妃は守りを固めようとしているのだろうが――届く。
「影踏むばかり粛々と」
 宙から頸部へと垂れるし絞縄。黒縄華妃は突然己の首に掛かったそれに驚く。
「悪いね、君だけの専売特許じゃないんだ」
 ひっかけて――引っ張る。梟示の方へと黒縄華妃は引き出され、そこで梟示は待ち構えているのだ。
 尾で踏ん張ってる、とまどかはその様子を少し離れて見詰めていた。
 マヒすれば尚良しだったが、意識はある様子。それは幸か不幸か。
 黒縄華妃の瞳に握りこんだ拳が映った。
 力を乗せて踏み込んで、身をひねる動きに尾も振られひゅっと風を切る。
 ちょっと離れててやっぱり正解と、ふわりとその風圧を感じながら、まどかは黒縄華妃が吹き飛ぶのを見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霄・花雫
【花涯】

んん、あー……僕は普段とちょっと勝手が変わるけど、さしたる問題はないかな
折角男のコになってるんだし、それっぽく言い回しも変えて遊んでみよっと
演技は得意だよ、僕はパフォーマーだからね!

さーてと、僕とも遊んでよおねぇさん
【パフォーマンス、誘惑】をLv×10へ
男も女も老いも若きも関係ない、君たちにとっては誰より僕が一番、だろ?
ほら、もう僕とエリシャおにぃさんから目が離せない
こっちへおいでよ、其処は危ないからね
一般人に怪我させたくないし、遠くに行ってて貰った方が安心かな

ふふ、なぁに
もしかして、牡丹まで照れちゃった?
なぁんて、呼び捨てしてみたりして
……あれ、ホントに真っ赤
あははっ、ごめんごめん!


毒藥・牡丹
【花涯】

ちょっ、えっ!?
この状態で戦うの!!??
えっ、えっ、ちょっと二人とも適応するのが早くない!?
わ、まってまってまって!!そもそもあたしは二人と違って───
(いやでも戦えないだなんてそんなこと言ったら絶対馬鹿にされる……情けないし……)
きゃああっ!?こ、こっち来ないでぇ!!!
あっ、あれっ……?
あたし、なんでこんな力………
……もしかして、これが羅刹の力……?
こ、これならあたしだって二人に………!
あっ────

はっ!?い、いや!!??全然!!なんにも!!!
そ、そんなことは………
全然……そんなことは…………う、うう~~~……………
も、もう!!もう!!!知らないんだからぁ!!!!


千桜・エリシャ
【花涯】

この姿のまま刀を振ることになるとは
とは言え私はいつもとあまり変わりないかな?
少し試してみたいことがあるのですが
花雫さんに付き合ってもらおうかな

美しいお嬢さん
その力を行使できるのはあなただけではありませんよ
ふわりと桜を吹雪かせて現れた者たちを魅了して
あなた達が本当に欲しい者は誰ですか?
ふふ、そう
素直でいい人たちですね

…この姿でも使えたようで何よりです
さあ、あとは私たちにお任せくださいな
ええ、害の及ばない場所へ下がってもらいましょうか

さて邪魔者はいなくなりましたね
あなたの美しい首を狩るに私は相応しいと思いませんか?
魅了してにっこり
首をいただきましょう

おや、牡丹
真っ赤になってどうしたんだい?



●たとえば――
 たとえば――ここで。
 霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)(現在男性)と千桜・エリシャ(春宵・f02565)(現在男性)に挟まれ、見つめられ甘い言葉でも向けられたならまだ開花を知らぬ毒藥・牡丹(不知芦・f31267)はいかようになっていたか。
 きっとさらに赤面して一層、かわいくなっていたはず。
 しかしそうならなかったのは、戦いの気配がそこにあったから。
 誰かの攻撃を受けたが吹き飛んできた黒縄華妃。
 彼女は痛みを、この地の力で回復しながら――三人の姿を目にすぐに配下呼び出し態勢整えていた。
「ちょっ、えっ!? この状態で戦うの!!??」
 戦うよ、と花雫は言って体を動かしてみる。
「んん、あー……僕は普段とちょっと勝手が変わるけど、さしたる問題はないかな」
 そして折角男のコになってるんだし、それっぽく言い回しも変えて遊んでみよっと花雫はこほんと咳払いひとつ、声を整える。
 そしてエリシャもすらりと、刀を抜いていた。
「この姿のまま刀を振ることになるとは」
 とは言え私はいつもとあまり変わりないかな? とエリシャも微笑み、少し試してみたいことがあるのですが、と花雫に視線を。
「花雫さんに付き合ってもらおうかな」
 その視線の意図を組んで、花雫も笑って返した。
 演技は得意。だってそれは――パフォーマーだから!
「さーてと、僕とも遊んでよおねぇさん」
 誘いかけるように動く。己の持てる術を花雫は引きあげて、敵を魅了するべく動く。
「えっ、えっ、ちょっと二人とも適応するのが早くない!?」
 素早い、速い。出遅れた、と牡丹もあわてて二人に続こうとする。
「わ、まってまってまって!! そもそもあたしは二人と違って――」
 そこまで言って、牡丹ははっとする。
(「いやでも戦えないだなんてそんなこと言ったら絶対馬鹿にされる……情けないし……」)
 と思っていると配下が迫る。
「きゃああっ!? こ、こっち来ないでぇ!!!」
 牡丹は思いきりその腕を振った。ごっと鈍い音がして、配下が吹き飛ぶ。
 その様に、へ? と声が零れた。
「あっ、あれっ……? あたし、なんでこんな力………」
 こんな力は今までなかった。もしかして私の眠れる力?
 いや、そんな事は無く――変化と言えば羅刹となっていること。
「……もしかして、これが羅刹の力……?」
 羅刹の力、すごい。
 ぎゅっと拳握って牡丹は敵へと向き直る。
「こ、これならあたしだって二人に……!」
 襲ってくる配下たち。
 黒縄華妃はさらに、過去に籠絡していた者たちを呼びだしていた。
「ああ、お前様方。あの者たちを私の為にはやく、追い払っておくれ」
 艶を帯びた声だ。魅了し、操ろうとする邪なる声色。
「それともお前たちも私の僕になりたいのかしら」
 けれどその言葉に従う事はないのだ。配下をはべらせ悦に浸る黒縄華妃へとエリシャはたおやかに紡ぐ。
「美しいお嬢さん。その力を行使できるのはあなただけではありませんよ」
 ふわり――大太刀を桜の花弁に。そして吹雪かせて――エリシャは配下たちへと触れていく。
「あなた達が本当に欲しい者は誰ですか?」
 その言葉と表情に、配下たちはふらりふらり。黒縄華妃へと離れていく。
 そしてそこに、もう一手を花雫が加えるのだ。
「男も女も老いも若きも関係ない、君たちにとっては誰より僕が一番、だろ?」
 ほら、もう僕とエリシャおにぃさんから目が離せない――唇の前に指一本たてて微笑みを。
「こっちへおいでよ、其処は危ないからね」
 一般人に怪我させたくないし、遠くに行ってて貰った方が安心かなと花雫は配下となった者たちを黒縄華妃から剥いでいくのだ。
「ふふ、そう。素直でいい人たちですね」
(「……この姿でも使えたようで何よりです」)
 やがて花吹雪はもとの形に戻り、エリシャの手に。
「さあ、あとは私たちにお任せくださいな。ええ、害の及ばない場所へ下がってもらいましょうか」
 エリシャは微笑み、花雫へと視線を送り頷く。
「あなたの美しい首を狩るに私は相応しいと思いませんか?」
 すらりと向ける刃の切っ先。
 にっこりとほほ笑み、首をいただきましょうとエリシャは告げる。
 が、この様子をいちばん近くで見ていた牡丹は顔を赤くしていた。
 途中でうっかり花弁に触れていたかもしれない。
「ふふ、なぁに。もしかして、牡丹まで照れちゃった?」
 突然の呼び捨て。ぴゃっとなる牡丹。
「おや、牡丹。真っ赤になってどうしたんだい?」
「はっ!? い、いや!!?? 全然!! なんにも!!! そ、そんなことは……」
 ごにょごにょ言いよどむ。その様に本当に? なんて両サイドからささやかれる。
「全然……そんなことは…………う、うう~~~……………」
 からかい交じりだったのに真っ赤に頬染める牡丹の姿にぱちりと花雫は瞬いた。
「……あれ、ホントに真っ赤」
「も、もう!! もう!!! 知らないんだからぁ!!!!」
「あははっ、ごめんごめん!」
 軽く謝りつつも――もうちょっと、からかったらどうなるかななんて。
 そんな気持ちも育つのはいい反応だから仕方ない。
 しかしその間に、黒縄華妃は姿をくらます。そう、ここでうっかり魅了されたりしたら――魅了する側にそれは、恐ろしい事。そして、敗北を認めてのことだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
巴(f02927)と

ここだけの話
しがみついている巴(女の子)の胸がずっと腕に当たってる
うん、意外とある
なんて思春期男子みたいな事考えてる場合じゃ無いんだけど
姿が男の子になっちゃったから思考も引っ張られてるのかな?
いやぁ、役得

とここまでが心の声
黒縄華妃と目が合えばニコッと笑って悟らせない
巴の言う通り
ってわけで戦う事になっちゃうかな

巴、ごめんね。少しの間一人で立っていられる?
頑張るきみの頭をぽんぽん

さて、と
行くよ!

──っとと!…ありゃ?
力加減間違えて空ぶっちゃった
この姿だと筋力アップしちゃってるみたい
加減を身体で覚えていきながら攻撃繰り返し

春風に乗るきみは妖精みたい
ナイスアシストにウィンクひとつ


五条・巴
亮(f26138)

まだ全然周りを見ていないし、もう少し居させてよ。
ていうか、本当に君の場所?
縄みたいに絞めずにもっと緩やかにいこうよ

変わらず亮の腕にしがみついてるからか取り合ってくれなさそうだけど、
ちゃんとお仕事しなきゃいけないからね

あっ亮…そっか、近接戦得意だもんね
渋々腕を離して敵とも亮とも距離をとる
足がふらつくのは見ないふりだよ
さっきまでしっかり立てていたのは亮のおかげだったなあ

不安定なままだと分が悪い、おいで
春風に乗って配下たちを蹴散らしてく

亮が黒縄華妃に集中出来るように
配下達は僕が

男の子になった亮から繰り出される攻撃は力強い、凄いなあ
両手は春風の鬣から離せないけど、頑張れの笑顔で返すよ



●女心、男心
 霧の先は美しい桃源郷。ひらりはらり、舞う桃の花弁は眺めていたくなる光景。
 人々が笑顔浮かべて過ごせる場所なのだろうと思うのだ。
 しかしその場所を占有しようとしているものがいる。
 それは今、五条・巴(月光ランウェイ・f02927)と天音・亮(手をのばそう・f26138)の前にいる黒縄華妃だ。
 黒縄華妃は他の猟兵たちとも行き会ってすでに手ひどくやられている様子。
「ここは私の場所よ。勝手に入ってきて……それとも私の配下になりたいのかしら?」
 そんな上からの物言いに、巴はうーんと眉寄せる。
「まだ全然周りを見ていないし、もう少し居させてよ。ていうか、本当に君の場所?」
 縄みたいに絞めずにもっと緩やかにいこうよと、巴は黒縄華妃に告げる。
 その間――巴は、亮の腕にずっとしがみついた。つまり今は女性である巴の胸がずっと、亮の腕にあたっている。
(「うん、意外とある」)
 なんて思春期男子みたいな事考えてる場合じゃ無いんだけど、と亮はふるりと軽く頭を振る。
(「姿が男の子になっちゃったから思考も引っ張られてるのかな?」)
 と、思いながら――いやぁ、役得と心の中で頷く。
 今はそう、目の前の黒縄華妃と対するのがお仕事だ。
 彼女と目があうけれど亮はニコッと笑って思うことを悟らせはしない。
「巴の言う通り。ってわけで戦う事になっちゃうかな」
 黒縄華妃は、ふんと鼻ならす。己に従わぬ、魅了されぬものは――敵ということだ。
「巴、ごめんね。少しの間一人で立っていられる?」
「あっ亮……そっか、近接戦得意だもんね」
 そして戦いとなるなら、今までその腕を借りていたけれど離さねばならない。
 巴は渋々腕を離し、一人で立つ。まだバランスはとり辛くてふらつく。けれどそれは見ないふりだ。
 さっきまでしっかり立てていたのは亮のおかげだったなあと感じながら巴はそれを気取られぬように。
 けれど頑張るその姿に亮は頭をぽんぽんと撫で、黒縄華妃へと向き直った。
「さて、と。行くよ!」
 一足、亮は距離詰めるべく踏み込んで――そして。
「──っとと! ……ありゃ?」
 黒縄華妃へと定めていたけれど、その横を過ぎて大きく空ぶってしまう。
 男の身体は、身体能力もあがっていることをそれだけで感じた。
「力加減間違えて空ぶっちゃった」
 この姿だと筋力アップしちゃってるみたいと腕をぐるぐる。
 その間に黒縄華妃は配下たちを巡らせ、攻撃と守りを固めている。
 その配下を蹴散らしながら、亮は加減を覚えるように攻撃をかけていく。
 このくらい、と思えばまだ強く。でも弱めると足りない。なかなか、難しい。
 亮が前で敵を払う。
 不安定なままだと分が悪い。
「おいで」
 そういって巴は、美しいたてがみを持つ黄金のライオン、春風を喚ぶ。その背に乗って、行こうと配下たちの中へ。
 その前足の一振りは蹴散らし亮のために道を作る。黒縄華妃へと攻撃届けられるように。
 配下を蹴散らす亮。男の子になった亮の攻撃は力強くて、凄いなあと巴は思う。
 その視線に気づいたのか――亮は顔を上げる。
 春風に乗るきみは妖精みたい、と思う。そして前を切り開いてくれたことにナイスアシストとウィンクひとつ。
 巴はしっかり春風のたてがみに掴まっているから、手はふれない。だから頑張れの笑顔を返す。
 その笑顔にうんと頷いて。
「よそ見厳禁、だよ」
 黒縄華妃に足を向ける亮。
 そこにある太陽の足跡は、男でも女でも変わらない。
 絞殺縄鞭の下を潜り抜け、放った攻撃はいつもより重い手応えがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

ごめん、よく聞こえなかった…
大きな声で喋ってくれない…?
巨人だから耳が遠い…あぁそうか私が屈めばいいんだ…
そう…うん…なるほど…
貴様にはここから出て行ってもらうぞ…私は処刑人だッ!

鉄塊剣を抜き振る…

鉄塊剣が小さい…武器も全部小さい…
駄目だこれ…こうなったら…

【巨人力】を発揮し[怪力]で相手しよう
素手で[なぎ払い]、蹴りで[吹き飛ばし]
踏み付けて[重量攻撃]で群がる役人共を[暴力で蹂躙]し
[威圧と悪目立ちで恐怖を与えてゆこう]
防壁を築こうが[地形破壊]で崩してやろう

敵を掴んで[マヒ攻撃で逃亡阻止]したらば
そのまま[力溜め]ながらゆっくり握り締めてゆき
敵を捻り潰し圧殺してやろう…!



●巨人の力
 猟兵たちからの攻撃が続く。それから逃れ、黒縄華妃は一息ついていた。
 配下たちを呼び出し、己が身を守る牙城を作らせる――そうしながら愚痴をこぼしていた。
「なんなのよ、もう……私のものだっていうのに勝手に入ってきて……痛いしさんざんだわ!」
 力をためてあいつらを全員追い出す――いえ、それでは生ぬるいわと黒縄華妃は思うのだ。
「全員、縊り殺してやるわ!!」
 その声を、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は拾い上げて――けれどなんといったのかはわからない。
「ごめん、よく聞こえなかった……大きな声で喋ってくれない……?」
「な!?」
 黒縄華妃の上に影が差す。
 今、巨人となっているアンナは――問いかけて。驚いている顔はわかるものの、声は小さくて。
「巨人だから耳が遠い……あぁそうか私が屈めばいいんだ……」
 こうすれば聞こえるかな、とアンナは屈む。
 膝を折って、目線は――まだ黒縄華妃よりも高いが声は先ほどよりもよく聞こえそうだ。
 もう一回、と促すと――
「な、なんなのよ……私よりも大きい……ここは私のものよ、出ていきなさい! 縊り殺すわよ!」
「そう……うん……なるほど……」
 何を言っていたかはわかったと頷いて、アンナは立ち上がり黒縄華妃を見下ろす。
「貴様にはここから出て行ってもらうぞ……私は処刑人だッ!」
 その言葉とともに鉄塊剣を抜き振りぬいた。しかしいつもならちょうど良い大きさのものなのに。
「鉄塊剣が小さい……武器も全部小さい……」 まるでおもちゃのようで使いにくい。
「駄目だこれ……こうなったら……」
 この素手で、怪力で。
 足を振り蹴れば黒縄華妃は悲鳴を上げて配下とともに吹き飛んだ。
 配下たちがそうはさせじとアンナに群がるけれどその圧倒的な暴力の前には蹂躙されるのみ。
 防壁を築こうが、破壊して崩していく。
 その力の前に――なすすべもなく。
 黒縄華妃は逃げることを選ぶ。あの手に掴まったらきっと逃げられないと本能的に感じたのだろう。
 アンナが伸ばしたて。掴んだのは、黒縄華妃が身代わりにした配下だ。
 ゆっくり力をためて握り締めていく。つぶれた声を上げて、配下は力を失っていくのは必然のことだった。
 しかし彼女は逃げおおせている。そうしなければいけなかったのはアンナにかなわぬという事を認めたからだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
【箱蛸】

(雅と並んだら極悪美女カップルみたいだななんて言えない)
い、いや!なんでもねー…ってノリノリ?!

耳と尻尾を生やす為に(?)戦うぞ!

いつものように屋台を開こうとしたが
――くそ!たこ指のせいでヘラが上手く持てねぇ!!

やばいやばい、俺はたこ焼き妖怪俺はたこ焼きよう…
先生!出番です!!

「なんでもわしに頼るではない」

そこをなんとか!キュウリを取り出す
「しかたないのぅ」

…!雅ぃありがとな!

俺もなんか術とか出来ねぇのかな
サッカー指を動かし色々試してみたら

うおおお!!なんかよくわからんがサッカーボールが出てきた!
そのままあの女の頭にシュート!

え!いや、その…(目を逸らす)
(やべぇ!全然生えてこねぇ!)


筧・清史郎
【箱蛸】

今の俺はラスボス
即ち、世界を征服してなんぼ
故に、大人しく出て行くわけにはいかないな(開き直り早い

しかも俺には、たこ焼き妖怪という心強いまぶだちが一緒だ
ああ、耳と尻尾も生えるかもしれない(きり

たこ焼き妖怪なのに、たこ焼きが焼けない…?
それは、アイデンティティ的にも忌々しき事態では
おお、先生
俺もたこ焼きを焼くのを手伝おう

見事な術と蹴りに感心し
流石はサッカーボール妖怪だ(勝手に変えてる

ふふ、ラスボスは城や街を蹂躙するのが仕事だ
禍々しき衝撃波で下級役人蹴散らしつつ
悪いが、ラスボスな俺の配下に貴女は相応しくないな
禍々しき一刀で叩き斬ってやろう(意外とエンジョイ

ところで、耳と尻尾は生えたか?(そわ



●言ってはいけない
 今の俺はラスボス、と筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は変に気合いをいれていた。
「即ち、世界を征服してなんぼ」
 故に、大人しく出て行くわけにはいかないな、と猟兵から逃げてきたと思わしき黒縄華妃に告げる。出ていきなさいと言われたお返事をラスボスらしくお返ししたのだ。
 その様子を見ていた砂羽風・きよ(タコヤキカレー・f21482)は思う。
(「雅と並んだら極悪美女カップルみたいだな」)
 なんて言葉にする事はないのだが。
「しかも俺には、たこ焼き妖怪という心強いまぶだちが一緒だ」
 そうだろうきよきよ――いや、タコきよ、と清史郎はふった。一方きよは、ほんとに世界征服しちまいそうな~なんて考えていて突然のそれに慌てる。
「い、いや! なんでもねー……ってノリノリ?!」
 ノリノリだ、とラスボス殿はいい笑顔。そうだ、そして何より重要なことがある。
「耳と尻尾を生やす為に(?)戦うぞ!」
「ああ、耳と尻尾も生えるかもしれない」
 きり、と清史郎は表情引き締め頷く。ふかふかもこもこの耳と尻尾はきっとラスボスレベルが上がれば生えてくる筈――違うのが生えてきそうとはいってはいけない。
 そして戦いとなればきよはいつものように屋台を開く。開こうと、したのだが。
「――くそ! たこ指のせいでヘラが上手く持てねぇ!!」
 指が丸いので。ぎゅっとうまく握れないそれは手からするりと落ちてカシャーンと高い音を響かせる。
「たこ焼き妖怪なのに、たこ焼きが焼けない……?」
 なんだ、と……というようにラス史郎はタコきよへと視線を向ける。
「それは、アイデンティティ的にも忌々しき事態では」
「やばいやばい、俺はたこ焼き妖怪俺はたこ焼きよう……」
 助けてくれ、誰か。誰か――そこできよは、助けてくれる一人を思いだした。
「先生! 出番です!!」
 そう、カッパの先生ならと召喚する。しかし先生は、優しくない。
「なんでもわしに頼るではない」
 そこをなんとか! とキュウリを取り出す。世の中なんでもぎぶあんどていくであるのだから。
 それをちらっと見て、先生は頷く。
「しかたないのぅ」
 キュウリが出るなら仕方ない。
 先生はタコきよの変わりに屋台に立ちしゅばばと焼き始める。
「おお、先生。俺もたこ焼きを焼くのを手伝おう」
「……! 雅ぃありがとな!」
 いい匂いをさせてくるタコ焼き屋台。
 じゅじゅっといい音もする。
 何のなのよ、とちょっとおなかもすいてひかれる気もするけれど黒縄華妃は抗っていた。
 代わりに配下を呼び出して――しかし配下も屋台に列を形成し始めるのだ。
「俺もなんか術とか出来ねぇのかな」
 と、指を動かす。サッカー指、お前だけ仲間外れなんだよなぁと指を動かしていると――ぽんっ! とサッカーボールが飛び出した。
「うおおお!! なんかよくわからんがサッカーボールが出てきた!」
 ぽんっと飛び出てくるくるといい回転で落ちてくる。
 これはあれだ、ゴールを狙うしかねぇ!
 俺はやるぜとボールの芯をとらえてシュート放つタコきよ。
「きゃんっ!!」
 その狙い通り、黒縄華妃の頭にあたるボール。その様をラス史郎は見つめ微笑む。
「流石はサッカーボール妖怪だ」
 そして俺もタコ焼きがひと段落だとばっさ~とマント翻して黒縄華妃の前に降り立つ(というのがしっくりくる)ラス史郎。
「ふふ、ラスボスは城や街を蹂躙するのが仕事だ」
 まずは配下たちから、と禍々しい衝撃波配下を蹴散らし、黒縄華妃へと詰め寄る。
「悪いが、ラスボスな俺の配下に貴女は相応しくないな」
 禍々しき一刀で叩き斬ってやろう――ひらひら舞う桜花弁はいつもより(気持ち)禍々しさを帯び、ラス史郎は連撃をエンジョイしながら繰り出す。
 黒縄華妃はかなわないと逃げて、大したことがなかったなとラス史郎は思う。
 しかし、ラスボス経験値はあがったはずだ!
「ところで、耳と尻尾は生えたか?」
「え! いや、その……」
 そわ、としているラス史郎。
 サッカータコきよはその頭上に視線を向けるが。
(「やべぇ! 全然生えてこねぇ!」)
 どう答えようと思っていると――
「生えとらん」
 ――先生……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロ描写NG
POW

泉の効果で男性化しちゃった!
折角だから【化術】で服装も変えて
黒髪ロングストレートのイケメン王子様の姿に♪

会って早々に出ていけとは殺生だね、美しい姫君。
せめて一曲、踊っていただけませんか?

彼女が役人を召喚したら
『紅キ楽園ノ女王』で銀髪紅眼の吸血鬼と化し
戦闘力102倍となり、威厳ある口調に

今の我は弱者の戦意を挫く威圧感を放つと共に
戦場の敵全てから常に【生命力吸収】を行う。
役人どもは我に武器を向ける事すら叶わず倒れる

じらされるのは好まぬ。
汝の身も心も、我に捧げよ

華妃を【念動力・マヒ攻撃】で金縛りにし【怪力・捕縛】の抱擁。
【吸血】しつつ【呪詛】を注ぎ、快楽の中で逝かせてやろう



●突然王子様にあったなら――
 散々な目にあっている。
 黒縄華妃は、私が何をしたというの、と思っていた。
 ただ桃源郷の一つを己がものにしただけというのに。まだ、何もしていない。
 そう、思ってイラついていたところにまた誰かが現れる気配だ。
 黒縄華妃は振り向きざまにその苛立ちをもぶつける。
「なんなのよ、出ていきなさいよ!」
「会って早々に出ていけとは殺生だね、美しい姫君」
 大きく振られた手を摑まえて、黒髪ロングストレートのイケメン王子様が微笑を向ける――これには今まで多くの男を籠絡してきた黒縄華妃もわずかにときめきを覚えてしまった。
 しかしこの王子様は、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
 女性である彼女は、今は不思議な泉の力で男の姿。そして化術でもってどこからどう見ても王子様の姿になっているのだ。
『泉の効果で男性化しちゃった!』
 と、折角だと整えた姿。
 黒縄華妃も今までと違う物言いをするドゥルールに態度が軟化する。
「せめて一曲、踊っていただけませんか?」
 その誘いにいいわよ、と乗ってくる黒縄華妃。
 そこにはこの男を籠絡してやろうというものが透けてみていた。
 しかし――うまくいくものではない。誘いの言葉をドゥルールは躱していく。
 やがてそれに焦れたのだろう。
「もういいわ、力づくで従わせてあげる!」
 黒縄華妃は配下を召喚し、ドゥルールを従わせようとする。
 しかし、ドゥルールは笑み浮かべ。
「我が身を憑代に、彼の者を贄に……」
 その身を銀髪紅眼の吸血鬼と化す。
「我を従わせる? 笑わせるな」
 その場にいる配下たちからも、生命力を奪うドゥルール。その場に崩れ落ちれば、武器を向ける事すら叶わず倒れていくだけだ。
 そして一足――ドゥルールは距離詰める。
「じらされるのは好まぬ。汝の身も心も、我に捧げよ」
 その血は甘美か、などと笑いかけその身の自由を奪って抱擁する。
 それは優しいものではなく、力任せのものだ。
 首筋に牙たて啜る血。呪詛を注ぎ快楽の中で逝かせてやろうと思うけれど――なんとまずい血か。
 ドゥルールは己の糧としては下賤と突き放す。
 そうしても、やがて黒縄華妃が絶える事はかわらぬだろうと、思ったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
【渡鳥】
自分で飛べるというのは新鮮ですね(クロウさんの尻尾いもふもふ)
他もどんな力か楽し…え、クロウさん剣を忘れた!?
うっかりがすぎません!?まぁ、私の力が役に立つなら何よりです!もっと褒めてもいいんですよ!(どやっ)

さて、泉のヌシでなく別の者が出てきてしまったようですね
あらあら?どこを見てらっしゃるんですかね、うっかりクロウさん?
さぁ、ちゃっちゃと片付けますよ!一緒に燃えても知らないので気をつけてくださいねーだ!
翼で空を駆けて空中戦
この姿でも炎は変わらず私の力ですね
UCで炎を纏った仕込み刀をで一斉に放つ【早業、属性攻撃】
普段が天の炎であれば今の力は地獄の炎でしょうか
盛大にいきますよ!


杜鬼・クロウ
【渡鳥】前髪直す

天使の方がお前らしいケドな
ってコラ!(もふられ擽ったい
まァ…ンな機会もうねェと思うし少しなら許す
しっかしこの体、重いな…尻尾の所為か?

あ、今回遊ぶつもりだったから剣忘れたわ(こんこんポーズで誤魔化す
お前の御守り持ってて良かったぜ
ハイハイ、千夜子サン偉い偉い(雑に褒めて頭ぽん

泉のヌシはっと…おぉ(胸ガン見
別嬪サンなこって
何処ってそりゃァ…ねェ?ご想像に任せるぜ(開き直りニヤリ
おやおや何怒って…って俺の尻尾も燃やす気か…?(青ざめ

双眸細め真顔に
複数の狐火を出し下級役人達を燃やす
UC使用
炎刀は玄夜叉より軽い
一気に踏み込み敵の懐へ
刀で薙いで花炎の袈裟斬り

業火を纏うお前は中々に強そうだわ



●炎は踊る
 ふわりと、少しばかり地面から体が浮いている。地面に足がついていないというのは、薄荷・千夜子(陽花・f17474)とって初めてのこと。
 そもそも堕天使であることが、初めてだ。
「自分で飛べるというのは新鮮ですね」
 もふもふ。もふもふもふ。
「天使の方がお前らしいケドな。ってコラ!」
 もふもふしすぎだと杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は己の尻尾を引っ込め、ようとしたけれど――千夜子の手はもふもふしたそうな形。
「まァ……ンな機会もうねェと思うし少しなら許す」
 お許しがでたならさらにもふもふ。
「しっかしこの体、重いな……尻尾の所為か?」
 と、クロウは思うのだが。もふもふされているところもあるかもしれない。
 そしてこの変化した姿にどんな力があるのか。それはまだ試していないこともたくさんある。
「他もどんな力か楽し……」
「あ、今回遊ぶつもりだったから剣忘れたわ」
「え、クロウさん剣を忘れた!?」
 忘れた、とこんこんポーズを作って誤魔化すクロウ。
 でも、戦う力がゼロになったわけではない。
「お前の御守り持ってて良かったぜ」
「うっかりがすぎません!? まぁ、私の力が役に立つなら何よりです! もっと褒めてもいいんですよ!」
 どやっと胸を張る千夜子。クロウはそんな千夜子へとむかって手を伸ばしその頭を――いつもより少し高い場所にある頭をぽんと。
「ハイハイ、千夜子サン偉い偉い」
 雑に褒める。それにもっと丁寧に褒めてください! とじゃれていると――黒縄華妃の姿をふたり、見つける。
「泉のヌシはっと……おぉ」
「さて、泉のヌシでなく別の者が出てきてしまったようですね」
 ふぅん、あれがとクロウはその姿を目にとめる。すると黒縄華妃もまた、値踏みするように見つめて。
「別嬪サンなこって」
「ほめてくださるの? 私の配下にくわえてあげてもいいのよ?」
 なんて誘いはお断り。応じるつもりなどもちろん無く、もったいないお誘いだけどなァと笑って返しつつその胸をガン見するクロウ。
 その視線に千夜子が気づかぬわけがないのだ。
「あらあら? どこを見てらっしゃるんですかね、うっかりクロウさん?」
「何処ってそりゃァ……ねェ? ご想像に任せるぜ」
 意味ありげに。開き直ってニヤリと口端あげて笑うクロウ。千夜子はもう、とこぼすとまだまだお子様だな、なんて笑って。
「さぁ、ちゃっちゃと片付けますよ! 一緒に燃えても知らないので気をつけてくださいねーだ!」
「おやおや何怒って……って俺の尻尾も燃やす気か……?」
 炎の気配にクロウは尻尾をしゅっと自分の背後に隠すようにする。
 たとえ、泉の力でこうなったとはいえ燃やされてはたまったもんじゃない。
 しかし燃やす――そう聞いて双眸細め、黒縄華妃が呼び出す配下たちを真顔で見る目る。
 妖狐の力もいけるのではと思えば、ぽぽぽっと狐火が生まれた。
 しゅっとそれを配下たちへと投げれば燃え広がる。その中を翼を使って空駆けて、千夜子は戦い仕掛ける。
 千夜子が纏う炎は――変わらず、千夜子の力のもの。
 黒縄華妃は私の配下にならないなら用済みとばかりに絞殺縄鞭をしならせる。
 その軌道をよけて、燎花炎刀へと千夜子は手をかける。
「普段が天の炎であれば今の力は地獄の炎でしょうか」
 盛大にいきますよ! と放たれる刃は炎を纏うもの。それをすべて防ぐ手立ては黒縄華妃にはなく、己の身を守るように配下を壁とする。 しかしそこに、クロウが踏み込んでいた。
 剣は忘れたが、剣がないわけではない。
 炎の刀へと形状を変えた炎連勝奉――それは千夜子からの贈物。炎刀へと姿を変えたそれは、常に持つ玄夜叉より軽い。
 けれど、放つ一撃まで軽いわけではない。一気に踏み込んだクロウが刀で薙いで、花炎舞う。唐菖蒲の花弁と見紛う炎をもって袈裟斬りに。
「業火を纏うお前は中々に強そうだわ」
 と、空駆ける千夜子に言葉投げれば――強いんですよ! と返ってくる。
 クロウはからりと笑って、俺は? と問い返せば――今のクロウさんは、と千夜子は考える。
 今のクロウさんは――妖狐でもふもふ。
 もふもふに強いと言ったらどんな顔になるでしょうかと、まだ内緒。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
駆ければ濡れた体も乾いてて
ふわっとなった己の尻尾につい、きゅんと
尻尾追いクルクルしてたら
怒られてしまったわ
突然お邪魔した事はごめんなさい
でも独り占めは良くないのよ

迫る手下さんに止まってもらおうと
蔓を出そうとし、考える
ケットシーの体から出すのって、痛い…?
魔法は…うん、できそう!
トロイメライで紡ぐのは、氷の魔法
属性攻撃で足元固めて動きを捕縛
相性悪くて普段は使わない属性だから…少し楽しい

手下さんをぴょんとすり抜けてアナタの元へ
魔力で挿し木を芽吹かせば、花弁は飛ばせるの
氷も加えればダメージもきっと増しまし

縄が皮膚を掠れば
感じる痛みに、滲むアカに微か身が竦む
茨は、私を守る為にもあるのだと
解ってはいるの



●己を守るもの
 泉の間を抜けて、駆けて――濡れた体も乾いてくる。
 しょんぼりしていた己の身体、その毛並みはふわっとしていて――ゆっくり動かした尻尾は自分のものだけれどもつい、きゅんとする。
 城野・いばら(茨姫・f20406)の視線はその尻尾を見詰め、そして体は追いかけるように動き始める。
 その場をクルクル――追いかけるのは楽しくなる。
 けれどそんな時間を破る声。
「ここにも! ここは私の桃源郷よ、出ていきなさい!」
 その声にいばらの耳はぴぴんと反応する。
 怒られてしまったわ、とくるり回ってぺこりと頭を下げるいばら。
「突然お邪魔した事はごめんなさい」
 でも独り占めは良くないのよと続ければ――黒縄華妃はきゅっと眉吊り上げて、うるさいわねと手下を放つ。
 その手下の止まってもらおうと茨は蔓を出そうとして――考える。
(「ケットシーの体から出すのって、痛い……?」)
 もし、このふわふわの身を突き破ったら――なんて考えるのはちょっと怖さもある。
「魔法は……うん、できそう!」
 糸を魔力で縒り、紡げる魔法の紡錘はいつもより大きいけれど、扱える。
 氷の魔法を紡いで、その足元を固めて動きを制限する。
 この魔法は、普段なら使わない属性。
 いばらと相性が悪いそれは、このケットシーだからこそ上手に使える様な気もする。
 少し楽しい、と思いながらいばらは身を低くして駆ける。
 配下の足元、ぴょんとすり抜けて黒縄華妃の元へ。
 その時には――花弁と共に。魔力で不思議な薔薇の挿し木を芽吹かせれば、ひらりはらり花弁は飛ぶ。
 そこに氷の花弁を今日は増やして、黒縄華妃へと飛ばす。
 けれど、黒縄華妃もやられるだけではなく、己の黒縄を操り地を撃った。
 それは跳ねて、いばらの身を掠っていく。
 痛いと、滲むアカを目に微かに身が竦む。
 いつもとにある、茨。それがない今は少し掠っただけでもこうだ。
(「解ってはいるの」)
 今、このふわふわの身を守るものはない。
 茨は己を守る為にもあるのだと――解っては、いるのだ。
 誰かを傷つけるかもしれないもの。それだけではないことも。
 そのわずかの逡巡の間に黒縄華妃はいばらの前から姿を消す。重ねられていく傷をいやすために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
かくりちゃん(f28103)と

桃源郷を独り占めしたいのは
わかんなくもないけどねぇ

かくりくんの短い髪も花も新鮮
普段は宙を游ぐって感じだものね
代わりに飛ぶ気分はどう?
止まる時は翼を広げて、早く飛ぶ時は閉じるんだって

いつもと違うのは俺様も
きこえる声もさっきの君の手の感触も
文字列か数列、全部データかなにかのよう
あと地点?とか指定するとそこにに姿を映せるみたい
ほら、飛んでる君の隣にもパッと行ける

んーどうかないけるかな
権能の光はぴかぴか光るだけ
でも影の代わりに出でる機械みたいな形
カラフルな大群は武侠たちを捕まえて
華妃にも殺到して乱闘騒ぎ

ああ、姿が変わってなおも君の左手に嵌るそれが
もしかして未練の証なのかな


揺・かくり
ロキ(f25190)と

篭絡し全てを己が儘に
と云うのは、些か傲慢なのだよ。

随分と短くなった己が髪
褪せた灰に咲く黒き牡丹へと触れよう
背に宿す翼で上手く飛べて居るだろうか。

滑らかな身体には未だ慣れないね。
初めての様な、とても懐かしい事の様な
何とも不可思議な感覚なのだよ。

ロキ、往けるかい?
絡め取られた者達を退けようか
女人の君は如何なる力を見せるのか
視界は良好。確と目に焼き付けよう。

嘗て――何者かと契った証
黒の環が嵌る手で、黒き花を差し向ける
有翼の種と成った故か
彼らへと齎す呪詛は薄い様だ
其の儘眠ると良いよ。

何と眩い極彩の光だろうか
此の儘、圧倒をして仕舞おう。

……ああ、そうだね
『わたし』の未練、そのものさ



●変わらぬ在り様
 黒縄華妃はこんなはずではなかったのにと舌打ちしながら桃源郷の中、落ち着いて力を回復する場所を探していた。
 しかし、何処へ行っても猟兵へと会う。
 今もまたそうだ。
 おや、この女がと揺・かくり(うつり・f28103)は黒縄華妃へと視線向ける。
 お前たちもかと向けられる視線は敵意のみ。
「篭絡し全てを己が儘に――と云うのは、些か傲慢なのだよ」
「桃源郷を独り占めしたいのは、わかんなくもないけどねぇ」
 その傍らでロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)は電子を揺らしてころりと笑う。
 ふたりを近づかせまいと嘗て籠絡したものを喚び、前に立たせる。
 その配下を前に、かくりは己の随分と短くなった髪へと触れていた。今、その髪には褪せた灰に咲く黒き牡丹がある。そして背中には翼も。
「かくりくんの短い髪も花も新鮮」
 普段は宙を游ぐって感じだものねと笑って。
「代わりに飛ぶ気分はどう?」
 止まる時は翼を広げて、早く飛ぶ時は閉じるんだってとロキが教えると、その背中の翼を動かしてみせるかくり。
 背に宿す翼で羽ばたけば上手く飛べて居るだろうかと思う。
 そしてやはり。
「滑らかな身体には未だ慣れないね」
 初めての様な、とても懐かしい事の様な――何とも不可思議な感覚なのだよとかくりは己の腕をさする。
 いつもと違う事はロキも同じだ。
 きこえる声もさっきの、かくりの手の感触も――いつもと違う。
 全部そこにあるのに、ないような。
 文字列か数列、全部データかなにかのようだ。
「あ、でもひとつ便利なのはこれかも」
 そう言って、ロキは見ていてと言う。
 ロキの姿はぱっと消えて、三歩先に姿を現す。
「あと地点? とか指定するとそこにに姿を映せるみたい」
 だからほら、とふわりと羽搏くかくりの傍にも。
「飛んでる君の隣にもパッと行ける」
 そんな風にできることが色々とあった。
「ロキ、往けるかい?」
 絡め取られた者達を退けようかとかくりは問う。
「んーどうかないけるかな」
 権能の光はぴかぴか光るだけとぴかぴか。
 その様子にふふとかくりは吐息零すように笑む。
 女人の君は如何なる力を見せるのかと。視界は良好と瞳細め。
「確と目に焼き付けよう」
 その言葉に、見せてあげるねと笑って操る。常は影。けれど影の代わりに出でるのは機械みたいな形。
 配下たちがそれを叩き潰そうとしても素早く逃げて、後ろに回り込んで攻撃を。
 カラフルな大群は、にぎやかだ。黒縄華妃の配下を捕まえて――そのまま雪崩のように、黒縄華妃の方へも差し向けられる。
 殺到して、乱闘騒ぎとロキは悪戯するように笑って見せる。
 何と眩い極彩の光だろうかとかくりは瞳眇める。そして此の儘、圧倒をして仕舞おうと笑って、その手を伸ばす。
 そこにあるもの。
 嘗て――何者かと契った証。黒の環。
 それが嵌る手で、黒き花を差し向ける。
 ああ、でもそれは――いつもと違う。
 この背に翼を得たが故か。呪詛が弱いとかくりは感じる。
 ひらりはらり、黒い花片は舞い踊る。
「其の儘眠ると良いよ」
 その黒い環に、ロキもめ絵を向ける。
「ああ、姿が変わってなおも君の左手に嵌るそれが」
 もしかして未練の証なのかなとぽつり、電子の滲む声でロキは零す。
 その声拾って――かくりの中にすとんと、落ちてくるものがあった。
「……ああ、そうだね」
 これは、そう――『わたし』の未練、そのものさと、紡いで。
 黒縄華妃の配下と、そして彼女自身にも傷を負わせる。
 かくりとロキのから逃れていく彼女を、追いはしない。
 だってその必要はなさそうと二人、共に思うから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
元々所有者が居なかったものを自分のものと主張のは如何なものかと
私達が立ち去る理由もありませんので戦うならば容赦はしません

往きますよ、倫太郎……?
(有無を言わさずジャケットのファスナーを上げられる)
借りてて良いのでしょうか
倫太郎の格好も……いえ、なんでもありません

夜謳斬華使用
魔力の糸と折り紙の式神を操って敵を追尾して攻撃
倫太郎が攻撃している所を隙が出ないように援護

配下が召喚されたら魔力を帯びた花びらで黒縄華妃ごと巻き込んで攻撃
繰り出した攻撃には貫通・鎧無視攻撃を活用

男女では筋肉量等も含め、違いはあるものです
貴方も女性なのですから……夜子?
そういえば……そのように呼ばれたこともありましたね


篝・倫太郎
【華禱】
縊り殺されるのは嫌だし
女性体の夜彦堪能してないし
だから頑張ろっと!

でもその前に……仕舞っちゃおうね~
(夜彦に羽織らせたジャケットのファスナー上げて)
ん?ダイジョブダイジョブ!
よっし、いつも通りに!

暁戒縛鎖使用
衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で先制攻撃
刃先返して2回攻撃
黒縄華妃と召喚された配下への攻撃は『当たれば』いい

膂力あるからあんま気になんないけど
やっぱちょっと一撃軽くない?
女の子って大変!
だから、夜彦……夜子オネーサマは後ろ居て?

なんて、以前付けた女性名の偽名を呼んだら
物凄い微妙な顔されちゃったや

敵の攻撃はオーラ防御で防ぐ一択
羅刹の膂力舐めンなー!

やっぱ、敵よりあんたのが美人だな!



●絆は変わらず
 黒縄華妃は逃げる。けれど、受けた傷を回復はしたいのだ。
 そう思っていたところに――また、猟兵と出会う。
「元々所有者が居なかったものを自分のものと主張のは如何なものかと」
 そう、静かに切り出したのは月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)だ。黒縄華妃は、お前たちがあとからきたんだろう! と声を上げる。
「私の場所にずけずけと……!」
「私達が立ち去る理由もありませんので戦うならば容赦はしません」
 縊り殺してやるわ、黒縄華妃は言う。
 その言葉に篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、縊り殺されるのは嫌だし、と返す。
(「女性体の夜彦堪能してないし」)
 その言葉は胸に秘めて。
「だから頑張ろっと!」
 でもその前に、と倫太郎は手を伸ばす。
「……仕舞っちゃおうね~」
「往きますよ、倫太郎……?」
 有無を言わさずジャケットのファスナーをきっちりと上まであげる倫太郎。
 うん、これで大丈夫と頷く彼を何が、というように夜彦は見詰める。
「借りてて良いのでしょうか」
 倫太郎の格好も……と夜彦は思うのだけれども。いえ、なんでもありませんと頭を振る。
 何を言おうとしているのか、倫太郎は何となく察するのだけれども笑って。
「ん? ダイジョブダイジョブ! よっし、いつも通りに!」
 その言葉に夜彦も、そうですねと頷いて構える。
 けれど、いつもとは――勝手が違う。いつもは問題なく扱える得物も今日は少し、重い。
 だから夜彦は戦い方を変える。
 魔力の糸と折り紙の式神を操って、敵を追いかける。
 そして倫太郎は、金の鎖を躍らせた。それは黒縄華妃の身を絡め取り、痛みを募らせるものだ。
 そして、ふと生まれる隙を補うように夜彦は仕掛ける。
 華焔刀を振りかぶった瞬間、攻撃をされぬように。
 その攻撃を防ぐように配下を召喚する黒縄華妃。しかし配下ごと吹き飛ばす様にそれは振られた。
 それは彼女にとって痛い一撃だ。しかし倫太郎にとっては、うーんと唸るもの。
「膂力あるからあんま気になんないけど、やっぱちょっと一撃軽くない?」
「男女では筋肉量等も含め、違いはあるものです」
 その声に、十分痛いわと黒縄華妃は思うのだ。
 女の子って大変! とちょっとちゃらけて言う倫太郎。その姿に瞬いて、ふと吐息零しながら次手を夜彦が鬱。
 魔力を帯びた花弁を躍らせて、配下も、黒縄華妃も巻き込んで攻撃を。
 嵐のように荒れ狂って、その身を斬り裂き攻撃かける。
「貴方も女性なのですから」
「だから、夜彦……夜子オネーサマは後ろ居て?」
「……夜子?」
 それは以前つけた偽名。
 その響きに表情はなんともいえぬ、微妙そうなものへと変わっていた。
「そういえば……そのように呼ばれたこともありましたね」
 その時は、女装でしたが。
 こうして女になってしまうなんて――不思議なこともあるものですと夜彦は言う。
 そう話しながらも、敵は逃がさず。
 この、と黒縄華妃が黒縄躍らせて仕掛けた攻撃もオーラで倫太郎が弾いてしまう。
「羅刹の膂力舐めンなー!」
 そしてくるりと回って、夜彦を見て――うんと大きく頷く。
 その頷きは何ですか、と夜彦が問えば。
「やっぱ、敵よりあんたのが美人だな!」
 その言葉に――ありがとうございます、と生真面目に答えたけれど。
 この答でよかったのだろうかと夜彦の声に響きの最後にはクエスチョンマークがついていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシル・エアハート
残念だけど出て行くのは貴方の方だね。
この場所と同じくらいにもっといい所教えてあげる。

貴方の忠実な手下さん達の数の多い事…。
余程恵まれてるんだね。
じゃあ…俺の泳ぎに着いて来れる?
桃源郷内にある大きな川に入り、 【水中機動】【ダッシュ】で手下達や妃を撹乱させる。
あれ?手下さん達もうギブアップ…からの妃さん自ら動く番?
だったら今度は空なんてどう?
【空中戦】にて【空中浮遊】しつつ妃の攻撃を【第六感】を駆使して【見切】って回避。
人魚が空を飛ぶなんて日常茶飯事だよ。

UC『紺碧の海』を発動 。
【全力魔法】【属性攻撃】【一斉発射】にて敵を沈める。
か弱い人魚だと思って甘く見たのが運の尽きだったね。



●空を踊って
 いた、とセシル・エアハート(深海に輝く青の鉱石・f03236)は瞳細める。
 ゆうるり、空を泳いで――セシルは黒縄華妃の前に立ちふさがった。
「また……! 次から次へと、私の桃源郷にずけずけと。出ていくなら縊り殺さないであげるわよ」
 と、言うものの彼女の力が削がれているのはセシルにもわかる。
「残念だけど出て行くのは貴方の方だね。」
 この場所と同じくらいにもっといい所教えてあげると告げれば、それよりお前たちを追い出す方が早いと黒縄華妃は返し、籠絡した者達を喚びだす。
 武に秀でたものに、早くねじ切ってと命じて。
 その多さにセシルは瞳眇め。
「貴方の忠実な手下さん達の数の多い事……余程恵まれてるんだね」
 じゃあ、とセシルは空を踊る。
 俺の泳ぎに着いて来れる? と向かうのは水のある方向。
 大きな川に入り、その中を自由に泳ぐセシル。ざばざばと追いかけて入ってくる配下の動きは、おぼつかない。
 こっちだよ、なんてちょっと顔を出してみれば追いかけてくる。でもその手には掴まらず、違う方向へと攪乱を繰り返した。
「あれ? 手下さん達もうギブアップ……からの妃さん自ら動く番?」
 追いかけるのはどっちでもいいよとセシルは笑って、水の中じゃ追いつけやしないねとその尾を躍らせる。
「だったら今度は空なんてどう?」
「水の中じゃなければ捕まえてやるわよ!」
 水の中でなければ自由に動けないだろうと、黒縄華妃は思う。
 しかしふわりと空中さえも優雅にその身を翻す。
「に、人魚のくせに!」
「人魚が空を飛ぶなんて日常茶飯事だよ」
 知らないの? なんて笑ってセシルは番える。広大な青い海の如き聖なる矢をいくつも。
「か弱い人魚だと思って甘く見たのが運の尽きだったね」
 沈むといいよと放たれたそれは、配下も、そして黒縄華妃をもうち流すような奔流となって彼らを押し流した。
 その様に少し、強すぎたかなとセシルは零す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
千織(f02428)と
クリスタリアン/女性で変化継続
口調女子寄せ

華姫って割に大した事…ある!ウチよりふつーに美人!
でも相棒はアンタに負けないイケメンだし!(千織を前に出しどや顔)…痛っっ、だってちおくんのがウチより美人じゃん!(腕の宝石部分で遠慮なくはたき返し)
って今さ、美人とアゲた口で落とした?ねぇ??(じと目)
しゃーない、ちおくん希望だし真面目にやるか~

パワーが落ちた分を【指定UC】で補い、移動しながら死角から鞭の一撃をプレゼント!
氷嵐の【属性攻撃】【ロープワーク】で自在に動く鞭を叩き付けるし!
相手がUCを使うなら「忘却」属性付与した鞭で薙ぎ払い攪乱

…ふーん、ソレはポイント高いな!(にま)


橙樹・千織
ヴォルフガングさん(f09192)と
神/男性
口調男性寄り補正

美人なのはわかった
わかったからもう少し
こう肌を隠す服を

は?何故私があれと張り合うんだ
そこはキミが対立するところだろう?
ドヤ顔する頬をむにぃと優しく摘まんで

…というかこうあれだな。ちゃらい
思わず何処かで聞いた単語をぽつり

と、流石にあれか
せっかくの風景を壊されるのは困る

おぉ、恐や恐や
鞭振るう美女二人を見て呟き
相方の隣に並び立つ

あぁ、言うのを忘れていた
その子に傷一つでもつけてみろ
抜ける風は敵の鞭のみをなぎ払い

私がお前を斬り刻んでやる
吹き荒れる風は刃の如く敵を裂き
怯んだ隙に間合いを詰め刀で切断する

私のお気に入りに手を出すのは許さない
なんて、な



●垣間見せるもの
 霧が晴れた先――そこは桃源郷。
 穏やかな風、美しく桃の花弁が躍る場所。けれどここを独り占めしているものがいるというのだ。
 そして放っておけば、力を得る。
 さて、敵はどこか――そう思って探していると、ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)と橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)の足元がぱしゃんと跳ねる。
 それはどこからかの水の流れ。その先に、黒縄華妃はびしょ濡れになって、起き上がろうとしていた。
 聞いていた話とは違う? と思うほどにもう彼女は消耗している。蓄えていた力も猟兵との戦いですり減らし続けているのだろう。
 あれがそうみたい、なんて物見遊山の調子でヴォルフガングは指をさす。そしてそのぼろぼろの姿ゆえに一目見れば大したこと無いと思ったのだが、よくよくみれば。
「華姫って割に大した事……ある! ウチよりふつーに美人!」
「美人なのはわかった。わかったからもう少し、こう肌を隠す服を……」
 と、千織は視線泳がせる。
 しかしその声はヴォルフガングのお耳を右から左へ抜けていく。でも、とヴォルフガングは胸を張って。
「相棒はアンタに負けないイケメンだし!」
 と、ずずいと千織を前に出し後に隠れるように顔だしてどや顔向ける。
「は? 何故私があれと張り合うんだ。そこはキミが対立するところだろう?」
 ね? とどや顔する頬をむにぃと優しくつまんでふにふに。
 頬は柔らかいままだねなんて笑って。
「……痛っっ、だってちおくんのがウチより美人じゃん!」
 美人じゃーん! とその手を腕にある宝石の部分で遠慮なくぺちんと叩くヴォルフガング。
「……というかこうあれだな。ちゃらい」
 そう、思わず何処かで聞いた単語をぽつりと千織は零す。
「って今さ、美人とアゲた口で落とした? ねぇ??」
 そしてその言葉をヴォルフガングは拾い上げてじと目で見上げる。
 千織は気のせいじゃ、なんて躱すけれど。
「と、流石にあれか。せっかくの風景を壊されるのは困る」
 私を放って仲良く、なんて苛立ちをさらに募らせる黒縄華妃。今まではやられ続けた分も募っているのか、その表情は歪んでいる。
「しゃーない、ちおくん希望だし真面目にやるか~」
 行くよ~なんて軽いノリで踏み出すヴォルフガング。
 女の身になり、力が落ちているのはわかる。でもそれを補うように魔力を纏う。それは課せられた狼王の呪詛で乱獲したものだが、今も変わらずあるようだ。
 黒縄華妃の振るう絞殺縄鞭。
 それを転がって躱して、移動しながらヴォルフガングも死角から一撃を贈る。
 氷嵐を纏う鞭が黒縄華妃の身を撃つ。この、とヴォルフガングへと絞殺縄鞭が向けられるのは弾き落とした。
「おぉ、恐や恐や」
 そんな、鞭の音がびしばしと響く戦いを前に千織は肩を竦めて見せる。
 鞭振るう美女二人。でも、と千織はふわりとヴォルフガングの傍らに並び立つ。
「あぁ、言うのを忘れていた」
 その子に傷一つでもつけてみろと口端には笑みを乗せて――しかし威圧は自然と乗せられる。
 抜ける風は、黒縄華妃の振るう鞭のみをなぎ払った。
「私がお前を斬り刻んでやる」
 その言葉の通りに、吹き荒れる風は刃の如く、鞭も、その身も裂くように走る。
 そして、とんとヴォルフガングの隣から一足、距離詰めて振るうのは刃だ。
「私のお気に入りに手を出すのは許さない」
 なんて、なと千織はヴォルフガングへと笑いかける。
「……ふーん、ソレはポイント高いな!」
 向けられた視線にヴォルフガングはぱちりと一度瞬いて、にまと笑みを浮かべる。
 今度真似してみよう、なんて――思いつつ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉・火華流
体を動かすのが昔から好きな子…なんとなく鳥娘(両腕・膝上あたりからつま先まで鳥の部位に変化、尾羽が伸びてる…骨も鳥の『軽くて丈夫でしなやか』なものに変化)の身体の使い方を理解

戦闘
【継戦能力・空中戦】で羽ばたき続ける

UCを使用、【迷彩・暗殺・(忍び足で羽音も消せる?)】に【先制攻撃】で空から奇襲、鉤爪の足で急降下しての蹴り技【踏みつけ・切断】

その後、相手の鞭を【功夫・軽業・第六感・野生の勘】で回避し続ける

攻め手はないかと考え、『NM&C・S』を双剣(二枚羽のプロペラのような形)に変化させ足で巧みに操り旋回させて相手の鞭を【切断】

…から、体ごと旋回しつつ急降下して双剣で通り過ぎ様に錐揉み回転で斬撃



●鳥娘の戦い
 泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は、身体を動かすのが昔から好きだ。
 だからこの、鳥娘の姿になってもそれは変わらない。
 両腕、そして膝上あたりから爪先までが鳥のものと変化している。
 尾羽も伸びて、骨からも変わってしまったよう。
 軽くて丈夫でしなやかな骨である今、身体の扱いは常と違う。
 その翼を動かせば空も飛ぶことができて火華流も慣れてくる。
 火華流は己の技能を高めて飛翔し、黒縄華妃の下へ。
 黒縄華妃はすでにぼろぼろだ。多くの猟兵と戦ってきたことを火華流は察する。
 羽ばたいて――火華流は空から奇襲を仕掛けた。
 鉤爪の足をもって急降下して蹴り技を見舞う。
 その一撃を黒縄華妃は気付く事が出来ず受ける。けれど切り替えは早く、絞殺縄鞭をふるって火華流を落とそうとしてきた。
 攻め手はないかと考えて、火華流は思いつく。
 アリスラビリンスで入手した二つの鋏が融合したそれを変化させ、巧みに足で操る。六枚羽のプロペラのような形したそれは鞭を切断する。
 旋回させ、切り落とし――そして隙を見つけて体を回転させる。
 旋回しつつ急降下し、通り過ぎながら錐揉み回転の斬撃を。
 短くなった鞭。しかしそれをまた、新たなものを手にして補って振るうが過ぎ去る方が早く追いつけない。
 それを鞭だけで抑えることはできず、黒縄華妃の身には斬撃の跡が刻まれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼
男になった体にまだ違和感と戸惑いはあるけれど
それで使命を忘れる僕ではない
しっかりして……心を強く持たなくちゃ
僕がみんなを守るんだ!
行こう、ヴォルフ。この桃源郷を取り戻すために!

【白鳥の騎士】に変身
いつもは「男装」だけど、今は本当の「王子」だ
体が軽くなって多少流されやすくはあるけど
背中に翼が生えたおかげでいつもに近い動きは出来る

周囲の配下はあの女の術に惑わされ操られているだけだ
傷つけてはいけない
気流に乗って見切り回避しすり抜ける
突風に飛ばされないよう翼に力込め抵抗

ローエングリンに破魔と浄化の魔力を込め
神罰の光放つ一撃
人心を惑わす毒婦め、お前の悪行もここまでだ。覚悟しろ!


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

色香と妖術で男を惑わせ
自分は安全なところから篭絡した男を使い潰す
いくら外面は美しかろうと、その性根は醜くねじくれた外道
罪なき人々を盾にする卑劣漢に過ぎぬ

俺が愛と忠誠を捧ぐのはヘルガただ一人
貴様の戯言になど惑わされるものか

【疾風の青狼】発動
野生の勘を研ぎ澄ませ、敵の攻撃を見切り回避
配下を傷つけぬように立ち回る

男たちよ、しかと見よ。あの女の本性を!
理性を失い欲に塗れ、人の心を食らい踏み躙る悍ましい化生
貴殿たちはそれでもまだ奴に従うというのか!

黒縄華妃の懐に飛び込んだら、地獄の炎の属性魔法を纏わせた鉄塊剣で鎧砕きの一撃
人心を惑わせ食い潰す妖婦め、煉獄の炎に焼かれ消えろ……!



●絆は此処にあるから
 男になった体にまだ違和感と戸惑いはあった。
 けれどそれで、氏名を忘れるようなヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)ではなく。
「しっかりして……心を強く持たなくちゃ」
 すぅ、とヘルガは一呼吸。
(「僕がみんなを守るんだ!」)
 その想いを抱いて、ヘルガは支えてくれていたヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)を見詰める。
「行こう、ヴォルフ。この桃源郷を取り戻すために!」
 その言葉にああとヴォルフガングは頷く。
 二人は倒すべき敵の下へと向ける。
 猟兵との戦いでぼろぼろになった黒縄華妃。その身は桃源郷の力でもってか、つくろわれているがボロボロのようだ。
 その姿を前に、ヴォルフガングは立つ。
 色香と妖術で男を惑わせ、自分は安全なところから篭絡した男を使い潰す――
「いくら外面は美しかろうと、その性根は醜くねじくれた外道、罪なき人々を盾にする卑劣漢に過ぎぬ」
 俺が愛と忠誠を捧ぐのはヘルガただ一人、貴様の戯言になど惑わされるものかとヴォルフガングは紡ぐ。
 そしてヘルガも、いつもは『男装』だけれども、今は本当の『王子』だ。
 体が軽くなって多少流されやすくはある。
 背中に翼が生えたおかげで、いつもに近い動きは出来るけれど。
 ふん、と黒縄華妃は鼻で笑う。そして配下を召喚し連ねた。
「周囲の配下はあの女の術に惑わされ操られているだけだ」
 傷つけてはいけないとヘルガは紡ぐ。
 その言葉にヴォルフガングも頷く。
「我は狼、我は風! 何人たりとも我が行く手を阻むことは敵わん!」
 野生の勘を研ぎ澄ませ、攻撃を見切り回避する。
 そして攻撃くわえるものの、傷つけぬようにする立ち回りだ。
 そしてヘルガも気流にのり、見切り躱しすり抜ける。
 翼に力込め、飛ばされぬように抵抗しながら。
「男たちよ、しかと見よ。あの女の本性を!」
 この、と絞殺縄鞭をふるう黒縄華妃。その様ははたして美しいと言えるのか。
 理性を失い欲に塗れ、人の心を食らい踏み躙る悍ましい化生――貴殿たちはそれでもまだ奴に従うというのか!
 そう、高らかに告げる。
 その言葉に心揺れるものも、そしてどうにもならぬものもいる。
 なら、その原因たるものを倒せばいいのだ。
 黒縄華妃の懐にヴォルフガングは飛び込む。
 地獄の炎、その属性魔法を纏わせた鉄塊剣を振り下ろすために。
「人心を惑わせ食い潰す妖婦め、煉獄の炎に焼かれ消えろ……!」
 その言葉と共に、振り下ろす。
 そして、続くのはヘルガの攻撃だ。
 聖奏剣「ローエングリン」に破魔と浄化の魔力を込めて――神罰の光放つ一撃を打ち込む。
「人心を惑わす毒婦め、お前の悪行もここまでだ。覚悟しろ!」
 黒縄華妃の身を焼くように、苛烈な攻撃が続いた。
 だが黒縄華妃はその攻撃を耐え、配下を壁として逃げていく。
 これ以上、この戦いは続けられないと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻

麗しき桃源郷を舞う私の愛機…サヨ
何て美しく可愛らしい
すっかり気に入ったよ
流石同志、リル
私達のサヨの方がずっと麗しい寵姫のロボだ

私が紅玉のキャバリアに化けて、ロボットヘッドであるサヨと合体すれば十二分に力を発揮できるのではないか!

サヨ、やってみよう
私は紅玉のキャバリアになる
さあ早く!
……ふふ、合体
悪くない
サヨの思考も何もかも手に取るようにわかる

噫、往こうか
私はきみにしか魅惑されない

刀が振るえぬ代わりに鋭い紅玉の腕で切り裂き切断し、朱砂の毒を侵食させ
枯死の神罰を巡らせる

そんなものは約されない

ロケット、パンチ?!
で、できるのかい?私は…
あ、できた

新鮮な心持ちだ
サヨと一体になれたのだ
気分がいいよ


リル・ルリ
🐟迎櫻

こんな綺麗なとこだもんね
独り占めしたくなるのもわかるや
でもダメ
ここは君のものじゃない
それに僕らの櫻のが可愛いからな

櫻!カムイ!いくぞ!
合体だー!

ウィーン!
じゃーん!ジャジャジャ
ジャキーーン!

僕がかっこよくBGMをつけあがる
ろぼとへっど、は
きばりあと合体してこそその実力が解放されるよ!

ジュワキーン!

紅玉のきばりあ!カムイにろぼとへっどの櫻が乗っかる!
かっこいい!ロマン!
眩しい!

僕は櫻の上に搭乗したまま歌うぞ!
歌うのは「月の歌」
2人を鼓舞して力を引き出していく!
声が普段より軽くて楽しいな

いけー!カムイー!ろけとぱーんち!
櫻ー!びぃむだー!

桜みさいる、発射ー!ばきゅーん!

たまにはいいじゃない


誘名・櫻宵
🌸迎櫻

意味わからんことになってるのは、あなたの仕業なの?
許せないわ!
ジェット噴射で進むの上手くなってきたけど微妙な心境だわ
2人共…好きよ!

え?合体?意味わからん
でき、るの?
カムイ……やる気じゃん……なんか出来る気がしてきたわ!カムイ、合体よ!!
やだ…くっついた…え、うそ…合体できるんだ?!
兎に角行くわよ!
カムイ、あれに魅惑されたら許さないんだからね!

リルの歌聴いてるとテンション上がってくるわ!
なぎ払い、衝撃波を起こし吹っ飛ばす
小賢しいわね
桜を小型機みたいに飛ばして生命を喰らい

は?びぃむ?
…ええい!
『喰華』
全てを桜に変えるびぃむを放ってやるわ!


まぁ…リルとカムイがかぁいく喜んでるから
いいかしら



●超合体櫻カムロボオペレーターリル
 風は優しく、桃源郷は美しい。
「麗しき桃源郷を舞う私の愛機……サヨ」
 その中を飛ぶロボットヘッドな誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)を見詰め、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)は微笑む。
「こんな綺麗なとこだもんね」
 独り占めしたくなるのもわかるや、とリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は言う。
 でもダメ、とリルの視線が向けられるのは――黒縄華妃。
 楽しく桃源郷で過ごしていたのに――それを邪魔する者が現れる。
 幾人もの猟兵にその力を削がれてもうボロボロ。
「お前たちが来なければ私はここで……力を蓄えていたというのに。邪魔者たちめ!」
 出ていきなさいと黒縄華妃は言う。しかし、ボロボロの姿でそれを言われてもなというところもあるのだが。
「意味わからんことになってるのは、あなたの仕業なの? 許せないわ!」
 櫻宵のテンションが上がる。するとばばばばとジェットが在れてふわふわと揺れるその体。
「ジェット噴射で進むの上手くなってきたけど微妙な心境だわ」
 あらら、と櫻宵が落ち着けば安定するその体。
「何て美しく可愛らしい。すっかり気に入ったよ」
「ここは君のものじゃない。それに僕らの櫻のが可愛いからな」
「流石同志、リル。私達のサヨの方がずっと麗しい寵姫のロボだ」
 その言葉に――櫻宵は二人を見詰めたい、けれど今は上にのっているから見えない。
「2人共……好きよ!」
 ロボットヘッドじゃなければ抱き着いてた! そんな感じで櫻宵はふよよと体揺らす。
 黒縄華妃は目の前に自分がいるというのになんだか無視されている心地。
 腹が立つわと、怒りを滲ませ配下を召喚する。
 あの敵を倒さねば――そこでカムイははっと気づいてしまった。
 私が紅玉のキャバリアに化けて、ロボットヘッドであるサヨと合体すれば十二分に力を発揮できるのではないか!
 名案。これは名案である。カムイはくるっと櫻宵へと顔向ける。
 ロボットヘッド櫻宵と合体。それは絶対に、素晴らしく、素敵なこと。
「サヨ、やってみよう」
 え、何を? 何をやるというのと櫻宵が問う。
 私は紅玉のキャバリアになる――カムイの意志は固い。
 それもどういうことなの?
「さあ早く!」
 合体を!!
 そしてリルもその背中を押す。
「櫻! カムイ! いくぞ! 合体だー!」
「え? 合体? 意味わからん。でき、るの?」
 櫻宵は合体とは――と思う。しかし、カムイもリルも、合体ができると言っている。
 カムイはこの身をキャバリアにと、強く念じていた。
「カムイ……やる気じゃん……なんか出来る気がしてきたわ! カムイ、合体よ!!」
 合体のBGMは僕にまかせてとリルは言う。
 かっこよくBGMを歌うのだ。
「ウィーン!」
 きらきら輝く宝石ボディのカムイ。その身はキャバリアだ。
 キャバリアになるのだ。
「じゃーん! ジャジャジャ」
「やだ……くっついた……え、うそ……合体できるんだ?!」
 カムイの体に櫻宵の体がくっつく。櫻宵が頭、カムイがボディ――合体は大成功だ。
「ジャキーーン!」
 ろぼとへっど、は、きばりあと合体してこそその実力が解放されるよ!
 そう、リルの瞳はきらきら輝いて告げている。
 なるほど実力――櫻宵はこの勢いに流されることにする。これで真の力が、解放されるのだと。
「ジュワキーン!」
 その姿におおおお!! とリルの瞳は輝きを増す。
「紅玉のきばりあ! カムイにろぼとへっどの櫻が乗っかる!」
 かっこいい! ロマン!
 そして。
「眩しい!」
 ぴかぴか輝くその体はきらきらとってもきれい。
 カムイは合体のポーズをしゃきーんと決めてみる。
「……ふふ、合体」
 悪くない、とカムイは思う。
 サヨの思考も何もかも手に取るようにわかると、カムイはふふりと笑い零したようだ。
「兎に角行くわよ! カムイ、あれに魅惑されたら許さないんだからね!」
「噫、往こうか」
 私はきみにしか魅惑されない――大丈夫。
 動き始めるカムイ。そしてリルは櫻宵の上に登場したままだ。
 そして歌う。テーマ曲がわり――『月の歌』を。
 ふたりを鼓舞して力を引き出していくために。その歌声は普段より軽くて、同じ歌を歌っているのに違うような心地も少しある。
 それは楽しい事で、リルの声はまた一層弾む。
 その歌声にカムイも櫻宵も、戦闘力ましましのパワーアップの心地。
「リルの歌聴いてるとテンション上がってくるわ!」
 そのテンションのままに櫻宵は衝撃波を起こし吹っ飛ばす。
 配下と共に吹き飛ばされた黒縄華妃は己より多きな存在にたじろぐ。
 カムイは、この手では刀は振るえないけれど――代わりに鋭い紅玉の腕で切り裂き切断すればいいとその腕を伸ばした。
 そして朱砂の毒を黒縄華妃へと侵食させる。
 それは枯死の神罰――そんなものは約されないと。
「小賢しいわね」
 桜を小型機みたいに飛ばして生命を喰らい――と櫻宵が思った時だ。
「いけー! カムイー! ろけとぱーんち! 櫻ー! びぃむだー!」
「は? びぃむ?」
「ロケット、パンチ?! で、できるのかい? 私は……」
 こうかな、というように腕伸ばすカムイ。すると、その拳はしゅっと飛び出し黒縄華妃へと向かう。
「あ、できた」
 腕が飛び出るなんて――不思議。
「カムイができちゃった!? ……ええい!」
 全てを桜に変えるびぃむを放ってやるわ! と櫻宵は頑張った。
 頑張った瞬間、カッ! と瞳が光ってビーム!
 それをくらった配下は桜の花弁へとなり果てる。
「桜みさいる、発射ー! ばきゅーん!」
 つ、次はみさいる?! と櫻宵は小型機のように飛ばそうとしていた桜をミサイルのように。
 操縦するリルの要望にはお答えしなければ――できることとできないこともあるかもしれないけれど。
 でも、だ。
(「まぁ……リルとカムイがかぁいく喜んでるから」)
 いいかしら――そう思うと、リルがふふと頭上で笑う。
 たまにはいいじゃないと、その気持ちを知っているように。
 そして新鮮な心持ちだとカムイは笑む。
「サヨと一体になれたのだ。気分がいいよ」
 ――どうやら、筒抜けの様子。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と

外見がどう変わろうと、俺の妖刀は俺に馴染む。
俺の意のまま、身体の一部であるかのように。
……ノゾミは肉球とかうるさいこと言うな。
低い位置から、相手の死角を狙って斬り込むことができる。
そこが有利だと考えて、うまいこと使っていくぜ。
衝撃波を飛んでくる鞭への壁にするか。
あと、……ノゾミを前に出したくねェ。
この姿のノゾミをっていうと……何かこう、アレだが。
守る、ってのとは違う。
あの女じゃないから。
ノゾミは、ノゾミだから。
だけど、血を吹く姿は見たく無ぇ。
……完璧、俺のわがままだな。
わがままだけど、だからこそ。
俺が、先陣を斬る。
鞭は全て俺が斬り裂く。
ノゾミには糸くずすら届かせねェよ。


青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と

桃源郷はあたしの場所だー! ハハハッ!
ていうか女の子なわけだけど、まあ、氷の刃の使い道は変わらないわ。
ニノマエは猫の手で妖刀を握れるの?(じっ)
……ん?
氷の矢で猛攻、敵の動きを止めて斬り込もうとしたのだけれど。
ニノマエが、そういう動きじゃないのね。
それなら、敵がいろんなモノを呼ぶから、それを全て倒しちゃう。
道を塞がないでね。
まあ、敵さんに向かっていけば皆こっちに向かってくるから
まとめて集めて氷の矢の餌食になるだけよ。
恋って盲目ね。怖いわ。
理性をなくした敵さんに対しても、鞭の軌道を予測して
氷の矢を飛ばしておくわ。

……いつもより楽な戦いになってる気がする。
何だかなあ。



●いつもとは少し違う、戦い
「桃源郷はあたしの場所だー! ハハハッ!」
 ていうか女子なわけだけど、と青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)は笑っておどけてみせて。
「まあ、氷の刃の使い道は変わらないわ」
 けれど、とノゾミは傍らに視線を向ける。
 外見がどう変わろうと、己がずっと手にしていた妖刀はニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)の手に馴染む。
 それはニノマエの意のまま、身体の一部であるかのように、だ。
「ニノマエは猫の手で妖刀を握れるの?」
 肉球、とぽそりとつぶやくノゾミ。
「……ノゾミは肉球とかうるさいこと言うな」
「……ん?」
 聞こえていた、とノゾミは小さく笑って返した。
 何ができるか――ニノマエはそれを告げる。
 この小さい身、低い位置から、相手の死角を狙って斬り込むことができるだろう。
 それは有利な点だ。それを、うまいこと使っていくぜとニノマエは言う。
 その言葉にノゾミは考える。
 氷の矢で猛攻、敵の動きを止めて斬り込もう――と、したのだけれども。
「ニノマエが、そういう動きじゃないのね」
 それなら、と黒縄華妃をノゾミは見据える。
 敵は配下を喚ぶ。だからそれを、すべて倒してしまえばいい。
「道を塞がないでね」
 ノゾミは向かってくる配下へと氷の矢を向ける。
 敵に向かっていけば、相手もこちらへと向かってくる。
 まとめて集めて氷の矢の餌食になるだけよ、とノゾミは紡いで矢の雨を降らせた。
「恋って盲目ね。怖いわ」
 それでも、まだ向かってくる敵がいる。
 さらにひゅっと空を切るような音とともに伸びる鞭――それを目にしてノゾミは氷の矢を番えて飛ばす。
 その氷の矢を砕いて、まだ踊る鞭はニノマエが衝撃波を放ち壁とした。
 ぱんと、小気味よい音とともにはじかれる鞭。
 そしてノゾミの前にニノマエは立つ。
 何故だろうか――その理由は、明確に言葉にはできないけれど。
(「……ノゾミを前に出したくねェ」)
 ニノマエはちらりと、視線向ける。
 女の姿の、ノゾミ。
(「この姿のノゾミをっていうと……何かこう、アレだが」)
 守る、ってのとは違う――あの女じゃないから。
 ノゾミは、ノゾミだからとニノマエは思う。
 だが、自分の前にたって敵の攻撃を受ける。怪我をし、血を吐く姿を見たくはない。
 それはニノマエにとって確かなことだった。
「……完璧、俺のわがままだな」
 わがままだけど、だからこそ――俺が、先陣を斬るとニノマエは小さな身体で前を走る。
 鞭は全て俺が斬り裂くと、ニノマエは小さな身体でもその妖刀 輪廻宿業の宿怨を纏い、刀身から衝撃波を放ちながら敵を払う。
「ノゾミには糸くずすら届かせねェよ」
 鞭の音と正面からぶつかるように衝撃波が響いて。
 黒縄華妃まで、二人の攻撃が届く。
 ノゾミは――戦いの中であることを感じていた。
(「……いつもより楽な戦いになってる気がする。何だかなあ」)
 それは敵の攻撃が届かぬようになっているから。
 届かぬのなら、攻撃に専念することができる。氷の矢は、今間違いなく黒縄華妃の身へと突き刺さっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャト・フランチェスカ
【紫桜】

やっぱり千鶴には猫が似合う
猫に変身しがち、稀有な才能だ…

翼で風を捉えれば舞い上がり
大事な千鶴に傷なんかつけてみなよ
めちゃくちゃ怒るぞ
えーっと
あっ、わかった
『おれの女に手を出すな』!
これだね?

※【激痛耐性】選択
飛び廻りながら撹乱して攻撃を引き受けよう

いつもより力が出るような気がするのは
男の子になったせいか
それともきみがそばにいるからか

そんな攻撃で撃ち落とせるとでも?
ふふ、黒縄のお姫様
僕よりすばしっこい仔がいること
忘れていない?

華麗に咲くのは何時ものこと
でも今日は可憐でもあって
この悪戯にだけは、感謝してあげないこともないなあ

地上で待つのは可愛くて格好良いきみ
僕にとっては本当の「お姫様」


宵鍔・千鶴
【紫桜】

ふたつの尻尾をゆらゆら
うん、猫は見慣れている所為か
然程違和感は無いなあ

ふわりと地から離れた彼女
じゃない、今は彼を見送って
ふふ、どうだ見たか
『頼もしいでしょ、わたしの騎士』なんてね
守られっぱなしは性別関係なく嫌だし
きみの元へ薄紅咲くオーラ防御を

空からの援護に
隙をついて身軽になったその身を翻し
攻撃を躱しながら
女子の身は軽いし高いところもへっちゃらだ
流石ねこさん有能
残念だったねお姫様
何に成ってもシャトと一緒ならハンデなんて無いし
靭やかに、いつもより麗しく
咲かせてあげよう

舞い降りた白い羽根を掌に
「if」も偶には悪くないと微笑んで
両手を広げて
降りておいで、と
天使のきみへ



●掌に踊る
 ふたつの尻尾がゆらゆらしている。
 その動きをシャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は視線で追いかけ、そして宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の頭上に視線向ける。
 そこには猫耳があった。
「やっぱり千鶴には猫が似合う」
「うん、猫は見慣れている所為か然程違和感は無いなあ」
 千鶴は見慣れているから新鮮味があまりないな、なんていう。
 けれどその言葉はシャトにとって瞬くもの。
「猫に変身しがち、稀有な才能だ……」
 シャトは猫が好きだ。猫に変身しがちとは、というところ。
 そんな二人のやりとりも、そこでおしまい。
 二人の視線は、猟兵達の攻撃を受け、力をすり減らしてきた黒縄華妃の姿がある。
 追い出す、というところまでもう己の力が届かないのはわかっているのだろう。
 どうにかここを逃げおおせるのだと配下を呼び出し、守りを固める。
 ふわ、と翼で風を捉えてシャトは舞い上がる。その姿を千鶴は見送って。
「大事な千鶴に傷なんかつけてみなよ。めちゃくちゃ怒るぞ」
 そう言って、こういう時はどういえばよかったか。えーっと、と考えて。
「あっ、わかった」
 シャトはこれしかない、と一つ、言葉見つける。
「おれの女に手を出すな」
 これだね? と悪戯するように笑み浮かべて。
 そしてふふ、どうだ見たかと黒縄華妃へとにゃーんなどや顔向ける千鶴。
「頼もしいでしょ、わたしの騎士」
 なんてねと千鶴は尻尾を揺らす。
 でも、守られっぱなしは男であっても、女であっても――性別関係なく嫌だ。
 だから薄紅咲くオーラをシャトの下へ。
 空を飛ぶシャトへと、黒縄華妃は己の体裁などもういいというように表情を歪めて絞殺縄鞭を躍らせる。
 当たれば痛そうなそれ。痛みへの耐性高めて飛び廻りながら攪乱し、向けられる攻撃を引き受ける。
 いつもより力がでるような気がする。それは男の子になったせいか、それともとシャトは千鶴へと視線向ける。
(「それともきみがそばにいるからか」)
 一体どちらだろう。両方かな、と口端に笑み乗せて今度は黒縄華妃を挑発する。
「そんな攻撃で撃ち落とせるとでも?」
「うるさい! 落ちなさいよ、縊り殺してやるわ!」
 ああ、もうそんなに精一杯。そんな少し憐みを乗せた視線を向けて――シャトの視線は一瞬だけ揺れる。
 黒縄華妃の意識はシャトに向いている。でもここにいるのはひとりだけではない。
「ふふ、黒縄のお姫様――僕よりすばしっこい仔がいること」
 忘れていない? と紡いだ瞬間影が落ちる。
 隙だらけ、と千鶴が跳躍する。
 身軽になったその身。攻撃躱しながら近づいて、上を取る。
「女子の身は軽いし高いところもへっちゃらだ。流石ねこさん有能」
 残念だったねお姫様、と千鶴は笑う。
 何に成ってもシャトと一緒ならハンデなんて無いし、と千鶴は思うのだ。
 靭やかに、いつもより麗しく――咲かせてあげようと踊る。
 千鶴の手にあるものは、形を変える。桜の花弁へと。その桜の花弁が嵐のように黒縄華妃の身を包み込んだ。
 攻撃重ねられ弱っていた黒縄華妃は、その痛みに屈する。
 この桃源郷で募らせた力も今は果て、この世から姿を消すという選択しかなかった。
 華麗に咲く――それは何時もの事。
 でも今日は可憐でもあるとシャトは瞳を細めた。
「この悪戯にだけは、感謝してあげないこともないなあ」
 黒縄華妃の姿が消えれば、ただ桃源郷の優しい風が花弁を泳がせていくだけ。
 千鶴はシャト、と視線向ける。
 ふわりひらり。緩やかに踊る白い羽根を掌に捕まえて。
 こんなこと毎度あっても、困るけれど――『if』も偶には悪くないと千鶴は微笑んで両手を広げた。
 降りておいで、と笑って――天使のきみへと。
 ふふ、と口端には笑みが乗る。地上で両手広げて待っている可愛くて格好良いきみ――千鶴。
(「僕にとっては本当の『お姫様』」)
 羽ばたいて、シャトはその手の下へと降りた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『武術鍛錬』

POW   :    パワーこそ正義。技の威力を鍛錬する。

SPD   :    スピードこそ命。速さを重視した鍛錬を行う。

WIZ   :    特殊な効果を発揮する技の鍛錬をする。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黒縄華妃が討たれ、桃源郷へと平和が戻る。
 何か大きな変化が、ということもなく。ただ訪れるものを排除しようとするものがいなくなっただけ。
 穏やかな風、ひらひらと踊る桃の花弁――広い野原、美しい泉。
 そしていまだ、姿は戻らぬまま。
 いや、その姿はやがて戻るのだろう。泉の力もずぅっと長く続くわけではない。
 それまでの間、もうしばらくだけ今の身体で遊んでみることもできる。
 もういいか、とのんびり過ごすこともできる。
 平和の訪れたこの場所で、何をするもそれぞれの自由。
 それはこの場所を取り戻した猟兵のしばしの間の特権だ。
雨咲・ケイ
さて……折角ですから、この翼を使って
空から散策しましょうか。
滅多にない機会なので写真も撮りましょう。

まさに桃源郷の名に相応しい場所ですね……。
木々も泉も本当に美しい……。
それにしても……この世界は最近訪れたばかりなのに
不思議な懐かしさを感じますね……。
何かのフラグでしょうか……?
いや、ただのデジャヴですね。
きっと、たぶん……。

どなたかにお願いして、桃の花をバックに
記念写真を撮ってもらいましょう。
……オラトリオの女性のピンナップに
なっちゃいましたね。
……まあ仕方ないですよね。

(その後、写真を義妹に見られて誤解されたとか)

アドリブ等歓迎です。



●不思議な心地
 平和が訪れ、だれでも訪れ楽しく過ごすことができる桃源郷。
 その風を受けながら雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)は羽ばたきをひとつ。
「さて……折角ですから、この翼を使って」
 空から散策しましょうか、と飛翔する。
 翼を得て、またこんな風に飛べるようになることは――今後あるのかどうかはわからない。
 おそらく滅多にない機会と思うのだから。ケイは写真も撮りましょうとくるりとあたりを見回す。
 桃の花弁がひらりふわり。
「まさに桃源郷の名に相応しい場所ですね……」
 ケイは手を伸ばす。するとその手のひらにそっと、花弁がおちてくるのだ。
「木々も泉も本当に美しい……」
 ケイの表情は自然と、柔らかくなっていく。
「それにしても……この世界は最近訪れたばかりなのに、不思議な懐かしさを感じますね……」
 嫌な感覚ではない。この懐かしさは一体何なのだろうか。その心当たりはケイにはない。
 どうしてか、とそれがわからないのはなんだかむず痒さもありケイは首を傾げた。
「何かのフラグでしょうか……?」
 しかし、ふるりと首を振って。
「いや、ただのデジャヴですね。きっと、たぶん……」
 そう、紡ぐけれどやはりぬぐえぬものがある。
 これは何だろうかとケイは思うけれど――視線を横切る桃の花が誘うようだ。
 その花びらを追っていけば、立派な桃の樹があった。
 すごい、とケイはそれを見詰める。
 この桃の花をバックに記念写真を、とケイはくるりと周囲を見回す。
 誰かにシャッターを押してもらえれば、というところ。
 どうしようか、と思っていると――その様子を察したか。この桃源郷に来ていた、この場に送ったものがとってあげよと声かける。
 ハイ、チーズなんて声もくすぐったく。桃の花と共にケイはこの場の思い出を写真へととどめた。
「……オラトリオの女性のピンナップになっちゃいましたね」
 改めてそれを見て、零す。
 けれど、この姿になったのは自分のせいではない。
「……まあ仕方ないですよね」
 悪戯な泉の仕業だったのだから。
 この写真は誰にも見られないようにしておきましょう。
 そう、思うのだけれども――はたしてそういくのか。
 その写真を義妹に見られて誤解される――なんて未来もあるかも、しれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御魂・神治
なあ天将
『はい』
元に戻らへんのやけど、どないしたらええ
『わかりません』
このままおっぱいでかいネエヤンのままかいな
『質問の意味不明、巨乳アピールは必要ありません』
もっかい泉にドボンしたら元に戻るかいな
『変化時間が延長される可能性があります』
『これでも着たら如何でしょうか』
なんやこれ...天将の服と同じやないかい!
いつの間に鞄の中に入れてたんや!てか何処で調達した!
『差出人は不明、数日前に荷物受けに突っ込まれていましたが』
『今の貴方にはよく似合うと思いますよ、さあ』
...最初からそれ目的で泉に落としたんちゃうか?
『知りません(即答)』
しらばっくれるんやない!勝手に実体化すな!
着させようとすな!



●時間切れはまだこない
 御魂・神治(除霊(物理)・f28925)は、視線を下へと向けていた。
 胸がそこには、ある。
「なあ天将」
『はい』
 と、神治は傍らの人工式神へと声をかける。
 この状況を天将もわかっているだろうに、いつもとかわら――いや姿は、天将もかわってはいるのだけれども。
 今はそんな天将に頼らねばならない。
 神治は知らない。けれど天将は知っているかもしれないから。
「元に戻らへんのやけど、どないしたらええ」
『わかりません』
「このままおっぱいでかいネエヤンのままかいな」
『質問の意味不明、巨乳アピールは必要ありません』
 ええー、なんて神治は零しながら――はっとする。
 この神治曰くのおっぱいでかいネエヤンから、いつもの自分に戻る方法をひとつ思いついたのだ。
「もっかい泉にドボンしたら元に戻るかいな」
『変化時間が延長される可能性があります』
 その答えに、ああーその可能性は考えてなかったわ~と神治は頭抱えしゃがみ込んだ。
 そんな神治に天将はあるものを差し出した。
『これでも着たら如何でしょうか』
 なんや、と神治はそれを見詰める。
 それは――と神治は大きく瞬いて、それを奪い取る様に手にして広げた。
「なんやこれ……天将の服と同じやないかい!」
 そうです、と天将は頷く。
「いつの間に鞄の中に入れてたんや! てか何処で調達した!」
『差出人は不明、数日前に荷物受けに突っ込まれていましたが』
 神治の問いに天将はしれっと答える。そう、あるがままの事実をただ告げている。そんな温度だ。
『今の貴方にはよく似合うと思いますよ、さあ』
「……最初からそれ目的で泉に落としたんちゃうか?」
『知りません』
 ぴしゃりと天将は即答する。即答して、さぁとその服を奪い取って神治の服を脱がそうと引っ張る。
「しらばっくれるんやない! 勝手に実体化すな!」
 着させようとすな! と服を引っ張る手をはたき落とすが簡単にはあきらめてはくれない。
 天将はさあ、折角ですしと神治へと向ける言葉は淡々としているのだけれど、どこか楽しそうにも聞こえた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

椚・一叶
トリス(f27131)と同行

お疲れさん
折角、桃源郷に来た
楽しんでから帰る
すっかり美味い桃を食う気分に
見えないのは幻か
それとも…食う時期じゃない?
人狼になった鼻で周囲を嗅いでみる
良い匂いは、する
無かったら
花でも食って帰るか…

ヒト、脆い
普段できること、できなくなって
見えてきたものあるか?
儂は逆にできること増えて、忙しかった
獣の力宿すと世界変わる
種族違えど
トリスの見てる世界、こんな感じか

儂の靴、高くつく
と、にやり
それでもいいなら貸そう
期待に応えて靴脱ぎ、足元で揃える
いいか、先ず片足から履く
体勢崩さないよう、気を付けること
偉そうに先生気分で指導
危ないと、尻尾の毛逆立たせ段々心配に
礼、楽しみにしている


鳥栖・エンデ
イチカ君(f14515)と
敵も倒したことだしお疲れ様〜
…には未だ早いかな、姿も戻ってないし
初めて桃源郷に来た訳だから
のんびり景色でも楽しもうか
本当に桃の樹が在るのか気になるよねぇ
花を見えても実は見えず?
美味しいもの発見は次の機会かな

歩いているうち変わった姿に思うこと
ヒトって結構脆いよなぁ、てのと
出来る事そんなに多くないから
道具に頼ってるのかなぁ…なんて
素足も良いけど普段出来ないし
一回くらいは靴履いてみるのも〜…
今ある唯一を横目でちらりと
わぁイチカ君やさし〜

座ってから履いてみた両足で
その場でくるりと一回転……転びそう
眺めているだけなのと
実際経験するのって大違い、だから
御礼はきちんとさせて貰うよぅ



●それはおいくら?
「敵も倒したことだしお疲れ様~」
「お疲れさん」
「……には未だ早いかな、姿も戻ってないし」
 桃源郷を脅かすものはいなくなりひと段落。でも、と鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)は己の身を顧みる。
 耳は長い、エルフのもの。まだ自分の身体の気配は戻ってこないのだ。
 椚・一叶(未熟者・f14515)も同じく、頭の上で耳がぴコリと動いていた。
 しかしここは桃源郷――それにまだ時間はあるときた。
「のんびり景色でも楽しもうか」
 初めて桃源郷に来た訳だからとエンデは言う。
 一叶は楽しんでから帰ると大きく頷いた。
 だってここは桃源郷――つまり、桃。一叶は美味い桃を食う気分になっているのだという。
「本当に桃の樹が在るのか気になるよねぇ」
 あそこに桃の樹がある、と一叶とエンデの足は向く。
 しかしその樹に桃はあるのかどうかといえば――うーんと、エンデは瞳を細めてその樹を見詰めた。
「花を見えても実は見えず?」
 それを聞いて、僅かに尻尾が下がる一叶。
 見えないのは幻か。それとも。
「……食う時期じゃない?」
 その可能性もあるかもしれない。
 と、鼻を撫でた香りを見つけ一叶は顔をあげる。
 すん、と鼻を鳴らしてその香りはどこからか探す一叶。その様子をエンデは何してるの、と見詰めていた。
「良い匂いは、する」
 あっちだ、と一叶は歩み始める。
 しかしやはり、香りはすれども桃の姿は見当たらない。
 ぺしょんと耳がへたれる様をエンデは小さく笑い零して。
「美味しいもの発見は次の機会かな」
 一叶は仕方ない、とため息一つ
「花でも食って帰るか……」
 なんて本気交じりの言葉を落とす。一叶はお腹空いてるの、なんて揶揄って――自分の足へと目を落とした。
「ヒトって結構脆いよなぁ」
 歩いているうち、変わった姿に思う事がある。
 エンデの零した言葉に、一叶は頷く。
「ヒト、脆い。普段できること、できなくなって」
 見えてきたものあるか? と一叶はエンデに問う。
 エンデはそうだね、と少し考えて答えを紡ぐ。
「出来る事そんなに多くないから、道具に頼ってるのかなぁ……なんて」
「儂は逆にできること増えて、忙しかった」
 獣の力宿すと世界変わると一叶はぎゅっと拳を握って、開いて。それに合わせて耳が動き、尻尾も揺れる。
 そんな風に気持ちに体の一部がそのままついていくようなことも、獣のそれを得ているから。
 種族違えど――己が体の変化を得てみている世界は。
 それはきっと、と一叶はエンデを見て。
「トリスの見てる世界、こんな感じか」
 その言葉にこんな感じって? と返しながらなんとなく、理解する。
 今は失われている己の感覚の事をいっているのだろうと。
 そしてエンデはくるりと回って、この素足も楽しいねと言う。
「素足も良いけど普段出来ないし、一回くらいは靴履いてみるのも~……」
 ちらり。
 エンデは今ある唯一。つまり一叶の足元に目をやる。
 ちらちら。
 その視線の意味を一叶ももちろんわかっている。
「儂の靴、高くつく」
 だから、にやりと笑って。
「それでもいいなら貸そう」
「わぁイチカ君やさし~」
 期待に応えて靴脱ぎ、一叶はエンデの足元で揃える。
「いいか、先ず片足から履く」
 体勢崩さないよう、気を付けることと偉そうに。
 靴をはくことは一叶のほうがエンデよりも先輩――いや、先生気分で教えていく。
 なるほど、片足から――と、立ったままはこうとすればふらついた。
 エンデは座って、その足に靴を履いていく。
 右足、左足。なんだか変な感じもする。
 履けた、と立ち上がってくるりと一回転――すると。
「うわ、わ」
「! !!」
 その動きにびくっと、尻尾の毛を逆立たせながら一叶は段々心配になっていく。
 こけないだろうか。こけたらすぐ支えればいいといつでも動けるような態勢。
 けれどエンデも慣れてくる。
「眺めているだけなのと、実際経験するのって大違い、だから」
 御礼はきちんとさせて貰うよぅと楽しそうに笑み浮かべて。
 その笑みに一叶は大きく尻尾揺らす。
 礼、楽しみにしている――言葉にせずとも、それは伝わったよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄荷・千夜子
【渡鳥】
はい!クロウさんもお疲れ様でした、でハイタッチ
ふふー、そうですね…まだ内緒です!!
それなら空から行ってみましょうか?お手をどうぞ
自身の羽と結界術で空中に小さな足場を作って空中散歩
上から見るお花見と言うのも中々素敵なものでしょう?

空中散歩を楽しんだ後は桃の木の下へ
堕天使っぽいこと!?そんな無茶振りを!!
えーと…それじゃ、クロウさんをもふもふの刑に処します!!
楽しそうに尻尾やら耳やらもふりつつ
妖狐らしいこ…はぁ!!??そう言うのはダメだと思います!!
クロウさんの尻尾に隠れて抵抗
そのままもふもふに埋もれて
ふふふ、もふもふに強い…ですね
小さく呟きすやすや
触られたらくすぐったそうにしても起きず


杜鬼・クロウ
【渡鳥】
刀をお守りに戻す
濡れた前髪直す

お疲れサン
で、千夜子。さっきの答えは?
教えてくれねェの
ま、イイけど
桃源郷見てこうぜ!お前が飛べるなら俺も上から景色見てェ
連れてってくれよ

桃の花咲く光景見る
感嘆の声

結局、堕天使っぽいコトお前してねェよな
何かしとけや
もふるのはイイけど擽ってェって!
俺も妖狐を堪能しとくか
妖狐って人を惑わし精気を喰らうンだと
堕天使の精気も喰えると思うか?試してイイ?(妖笑

木陰に座り心地良い風に当たる
尻尾ゆらり
急に静かに

…千夜子?
本当に寝てンのかー?(無防備すぎねェ?

頬つんつんした後、紅が取れた唇見る

まだ二十歳じゃねェモンな

桃の花が尻尾や二人の髪に落ちる
尻尾枕&布団で一緒にぬくぬく



●もふもふ、ぬくぬく
 戦いが終わり、その手にある刀をお守りの形へと杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は戻す。
 軽く水を払い濡れた前髪を直すクロウの前に薄荷・千夜子(陽花・f17474)は立って、ひらりとその手を出した。
「はい! クロウさんもお疲れ様でした」
「お疲れサン」
 千夜子の出した手の平をパチンと弾くようにクロウはハイタッチ。
 そして口端に笑み乗せて。
「で、千夜子。さっきの答えは?」
「ふふー、そうですね……まだ内緒です!!」
「教えてくれねェの。ま、イイけど」
 まだ内緒と言う千夜子。まだ、ってことはそのうち教えるということだろう。
 それに、他にもクロウの心を躍らせることがあるのだ。
「桃源郷見てこうぜ! お前が飛べるなら俺も上から景色見てェ」
 お前だけ飛べるのはちょっとずるい、というような気持ちもちょっと滲む。千夜子はそれなら、と手を差し出した。
 飛べるのは、今だけの力。その光景をお望みならばおすそ分け。
「空から行ってみましょうか? お手をどうぞ」
 その手に、自分の手を重ねてクロウは連れてってくれよ、と笑う。
 羽搏く――でもそれは、鳥の翼と同じではなく。
 堕天使の羽根は不思議な感じだ。
 結界術で空中に小さな足場を作りながら千夜子は羽も使って、クロウと共に空中散歩。
「上から見るお花見と言うのも中々素敵なものでしょう?」
 桃の花が咲いて、花弁が躍る。その香りもかぐわしくどこまでも続いていくようだ。
 見下ろす様に、クロウはすげェと感嘆の声。
 そんな空中の景色を楽しんでいると、一等立派な桃の樹を見つけた。
 あの樹の下に行きましょうと千夜子は誘って一休み。
「結局、堕天使っぽいコトお前してねェよな」
 何かしとけや、とクロウは揶揄うように声向ける。
「堕天使っぽいこと!? そんな無茶振りを!!」
 えーと……と、千夜子は考えて――クロウにわからぬように僅かに口端を上げて。
「それじゃ、クロウさんをもふもふの刑に処します!!」
 ぱっとその尻尾に飛びつくように千夜子はぎゅっと。もふもふ~と耳に尻尾に、千夜子は楽し気だ。もふもふ加減もどのくらいが良いのか、慣れてくるとよくわかる。
「もふるのはイイけど擽ってェって!」
 擽ってません! なんて言ってさらにもふもふ。そんな様子にクロウは笑って、ちょっとした悪戯を仕掛ける。
 もふもふされっぱなし、好きにされているのもちょっと癪。
「俺も妖狐を堪能しとくか」
 そう言って――知ってるか、と意味ありげに笑いかける。
「妖狐って人を惑わし精気を喰らうンだと。堕天使の精気も喰えると思うか? 試してイイ?」
 すす、と千夜子の顎持ち上げるように指先のばす。
「妖狐らしいこ……はぁ!!?? そう言うのはダメだと思います!!」
 けれどその指も、ダメです! とクロウのもふもふ尻尾でガード。
 ガードしながらもふもふ。その尻尾のもふもふに絆されて――もふもふに埋もれて。
 もふもふされているのはわかるけれど、だんだんその気配が薄くもなってくる。
 心地よい風が頬を撫でて、クロウは尻尾をゆらりと動かした。
 急に静かになった――と目をむけて。
「……千夜子?」
「ふふふ、もふもふに強い……ですね」
 小さな呟きは聞こえた。そして、穏やかな吐息も聞こえる。
「本当に寝てンのかー?」
 無防備すぎねェ? と気持ちよさそうにしている千夜子の頬を、クロウはつんつんとつつく。
 けれども起きる気配はなく――もう少ししてみるかとつんつん。くすぐったそうに身をよじるけれど、やはり起きる気配はない。
 と――そうと顔にかかる前髪を払ってやる。すると、クロウの瞳は、紅が取れたその唇をとらえていた。
 そういえば、そうだった。
「まだ二十歳じゃねェモンな」
 ふと、笑い零して――桃の花弁がひらり、ひらりと落ちてくるのをそのままに。
 今だけだぞと尻尾を枕のように、布団のようにしてぬくぬくと。
 穏やかな陽だまりの時間は、幸せの一時だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

終わったね…
静かになった…綺麗な場所だね…

…まだ巨人のままだからヘタに動くと危ない
じっと座ってぼぉっと過ごそうね…

…参ったな
小鳥が私の身体に止まってくる…いっぱい止まってきた…
愛らしいけどここまでいると…あぁフンまでしてるし…あーあ…
服汚れちゃったな…近くの泉で洗えば…
いやでもまた大変な事になりそうだしな…

いつになったら戻るのだろう…
もしかすると桃源郷の不可思議な霊力でこのままかもしれないし…
だけどヘタに動くと他人を踏みつぶすかもしれない…

困ったなぁ…
早く元に戻らないかなぁ…はぁ…



●囀りの時間
 視線の位置は高い。いまだ、身体は巨人のままの仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)はふと息を吐く。
「終わったね……」
 この桃源郷を己のものにしようとしていたものは倒れ、今は静けさを――いや、ありのままの姿がこれなのだろう。
「静かになった……綺麗な場所だね……」
 ほとりと、アンナは零す。
 桃の花弁に誘われて一歩――踏み出して、そこで止まった。
 そうだった、と思うのだ。
 一歩はいつもより大きく、己の身体は色々なものに触れていく。
「……まだ巨人のままだからヘタに動くと危ない」
 アンナはくるりと周囲を見回す。
 小高い丘は風も気持ちよさそうだ。そこなら、周囲に何もない開けない場所になっている。
 そこまでゆっくり進んで、アンナは腰を下ろした。
「じっと座ってぼぉっと過ごそうね……」
 ほかほかの、暖かな陽気は気持ちいい。アンナは瞳細めてその暖かさを享受していた。
「……」
 ちちち、と鳥の鳴き声が近い。じっとしているアンナは、生き物の気配が薄く、岩のように感じるのか。恐れることなく、小鳥が一時の休憩の場所としてその身にとどまっていた。
「……参ったな」
 そうっと、アンナは言葉に零す。
「小鳥が私の身体に止まってくる……いっぱい止まってきた……」
 そして――その一羽がさえずるとお仲間がやってくる。ここは安全と伝えているのだろう。
「愛らしいけどここまでいると……あぁフンまでしてるし……あーあ……」
 そしてリラックスしすぎで粗相をする小鳥。アンナは深いため息を一つ、こぼす。
「服汚れちゃったな……近くの泉で洗えば……いやでもまた大変な事になりそうだしな……」
 それは、困る。
 いつになったら戻るのだろう……とアンナは思う。
(「もしかすると桃源郷の不可思議な霊力でこのままかもしれないし……だけどヘタに動くと他人を踏みつぶすかもしれない……」)
 とても、困った。
「困ったなぁ……早く元に戻らないかなぁ……はぁ……」
 アンナの言葉とため息。
 その重さとは裏腹に、小鳥たちは周囲で楽しげに囀っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】をつかまえる。

「スピードこそ命。速さを重視した鍛錬を行う。(SPD)」で挑戦します。
 ユーベルコード「智慧ある獣の牙(ケモノノキバトハコレイカニ)」を使い、

つかまえて、ぎゅ☆ と抱きしめたり、
尻尾に触れたり、
肉球を撫でさすったり、
愛でたりします。

最大の目的は、この行動を成功させることです。
その為なら、些細な失敗はやむを得ないものとします。

微妙にあたしと距離をとろうとするから、逆に詰めちゃう。
泉の効果が切れるまでなら、好きなだけ甘えていいのよ?
んー、あたし自身は男、女、あまりこだわる理由無いわって思ったわ。
このままでもいいんだけど。
(でも元の姿に戻ったらパッと離れるよ。)


ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】からにげる

なぜだ。
形容しがたい圧がかかってくる。
ノゾミのヤツ、眼を輝かせてやがる。
嫌がらせだろ? 嫌がらせだな?
言っとくけど、別に女に弱いわけじゃァねえからな。
くそ、そこらじゅう、跳弾のごとく飛び跳ねても追いついてきやがる。
……追いかけっこじゃ分が悪いぜ。
……手ェのばされても、爪でひっかくわけにいかねーし。

……。
う。
その、胸ぽふって何だ。
……。
ぬ。
ぐぬぅあああああああああああ!!!!!
俺は撫でられて喜ぶ趣味無ェわァ!!!!!!
ああああ……ァァァァ。ぬァ。

(眼が点になってフリーズ)

(元の姿に戻る頃には、たぶんどうにかなってると思われ)
(桃源郷での出来事は夢……みたいな現実)



●おいかけっこ、捕まえた
 鞘に納めたままの氷刃を肩にとんとおいて、青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)はニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)の前へと立っていた。
 じぃと見つめてくる、その視線。
 なぜだ――と、ニノマエは思っていた。
 なぜだ、なぜ。形容しがたい圧がかかってくるのだ。
(「ノゾミのヤツ、眼を輝かせてやがる」)
 とんと地面を蹴ってノゾミはニノマエへと距離詰める。
 速い、とニノマエはその攻撃をかわすつもりで動いていた。しかしノゾミの手の狙いは攻撃ではなくその尻尾。
 その尻尾に触れる。
 ほかにも、つかまえて、ぎゅ☆と抱きしめたり。肉球を撫でさすったり――とにかく、愛でたい。愛でたいのだとその瞳は告げていた。
 ニノマエは今、ケットシー。今その姿だからこそ、できることを!
 瞳輝かせて迫るその(もふりたいという想いのあふれる)攻撃をニノマエは躱す。
「なんで逃げるかな!」
「嫌がらせだろ? 嫌がらせだな?」
 言っとくけど、別に女に弱いわけじゃァねえからなと告げながらニノマエは逃げる。
 逃げるが、しかし。
(「くそ、そこらじゅう、跳弾のごとく飛び跳ねても追いついてきやがる」)
 速い。とにかく早い。動きへの対応も慣れてきたのか紙一重というところ。
 ノゾミの最大の目的は、もふタイムを成功させること。その為なら、些細な失敗はやむを得ない。何度だって起き上がっておいかけるだけなのだ。
(「……追いかけっこじゃ分が悪いぜ……手ェのばされても、爪でひっかくわけにいかねーし」)
 そしてニノマエは、傷つけたいわけではない。ふとしたことでもこの爪でひっかいてしまいそうな、そんな状況――どうするか、と意識がそれた瞬間に、とうとうノゾミの手が届いた。
 微妙に距離をとろうとしているなら、逆に詰めるだけ。
 ノゾミは思いきり踏み込んで、ニノマエへとばっと飛びついた。
「捕まえた!」
「……。う」
 ぽふっと、胸元への収まりが良い。
 そしてノゾミの身体は今は女のもの――ニノマエはその感覚に混乱した。
しかし、それは別に女性慣れしていないからではなく、おそらくノゾミだからなのだろう。
 その姿、だから。
(「その、胸ぽふって何だ。……」)
 しかし、ノゾミはそんなことはわからない。
 そして――あとは、目的を果たすだけ。
 尻尾、もふもふ! 肉球、ふにふに! 頭、なでなで!
「ぬ。ぐぬぅあああああああああああ!!!!! 俺は撫でられて喜ぶ趣味無ェわァ!!!!!! ああああ……ァァァァ。ぬァ」
 ケットシーたるニノマエを満喫するノゾミ。
「泉の効果が切れるまでなら、好きなだけ甘えていいのよ?」
 なんていうけれど、ニノマエはひとしきりうめいたのち、眼を点にしてフリーズしていた。
 おや、なんて思うけれど遠慮なくもふタイム。
 しかしなぜこんな反応なのか。それをノゾミは考えて――やっぱり性別? と思い至る。
「んー、あたし自身は男、女、あまりこだわる理由無いわって思ったわ。このままでもいいんだけど」
 と、言うけれどどうやら聞こえていない様子。
 今しばらくは、この姿。
 元の姿に戻ったら、きっとこの桃源郷での出来事は夢――みたいな現実であったとニノマエは思い出すのだろう。
 その時どんな気持ちなのかは彼のみぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
零時くん(f00283)
アドリブ歓迎

んふふ、だいじょうぶだよん
物理的にふわふわ浮く人も居ると思うけれど
精霊だからって事はないと思うよ
にゃはは
零時くんってば、かぁいいね
しっかり手を掴んで、腰を抱き寄せて
離さないから安心してよ

このまま少し散歩してみよっか
足を動かすだけ
何かあっても離さないよ

うんうん、何かあったらいけないもんね
わわ!上目遣いってやつなんだよ
一撃必殺の技だね
かぁいくてふよふよ笑っちゃう
よしよしって手の甲を撫でてみるよ
落ち着いた?

ふふふーかっくいいかな?
ありがとうね
男のぼくが気に入ったなら
ずーっとこの姿でいよっか?なんてね
魔術っ
全然わかんないから教えて欲しいんだよ
楽しみがまた一つ増えたね


兎乃・零時
ティア(f26360)と!
アドリブ歓迎

むむぅ、結局戦闘では慣れきれなかった…
…はっ、そういや精霊って体軽そうだけど飛ばされたりしないよな!?
(おもわずひしっ)
大丈夫?大丈夫ならいいけど……
慣れるまで手伝ってくれぇ…あ、まだ絶対放すなよ!絶対だからな!!(ふるふる

散歩…分かった!

ようやっと体の動きに慣れてきたけどまだちょっと怖いので離さない

いや、怖いとかじゃ、でも、えっと…なんかあったらいけないし…な?(無意識上目遣い)
…うん

ティアが凄くカッコいい…
…いつか絶対お礼するからな!
この姿も良いけど…いつものティアも好きだしなぁ

いっそ魔術なんか教えたほうが良いかな?
へへ、楽しみが増えたんなら何よりだ!



●まだまだ慣れないこの身体
「むむぅ、結局戦闘では慣れきれなかった……」
 おぼつかない動き。兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)は唸りながらバランスをとって――はっとする。
「……はっ、そういや精霊って体軽そうだけど飛ばされたりしないよな!?」
 おもわずひしっと握ったのはティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)の腕。
 その様子にぱちりとティアは瞬いて笑う。
「んふふ、だいじょうぶだよん。物理的にふわふわ浮く人も居ると思うけれど」
 精霊だからって事はないと思うよと笑って。
「大丈夫? 大丈夫ならいいけど……」
 と、手を離そうとして、しかしまだ不安でいっぱいの零時の手は、やはりティアにひしっとしがみつくばかり。
「慣れるまで手伝ってくれぇ……あ、まだ絶対放すなよ! 絶対だからな!!」
「零時くんってば、かぁいいね」
 そんな様子に、にゃははとティアは笑ってその手をしっかり掴んで、腰を抱き寄せる。
「離さないから安心してよ」
 その言葉に頼む~! と零時はすがる想い。
「このまま少し散歩してみよっか。足を動かすだけ」
 何かあっても離さないよ、とティアは一歩先を進む。
「散歩……分かった!」
 このままの状態ではいけない。それを零時もわかっている。だから大きく頷いて、まずはこの体に慣れるべくそろりそろりと動いていく。
 ティアの支えもあり、動くことになれてくると零時の表情から不安が消えていく。
 でも、まだちょっと怖いのでその手は離さない。
「いや、怖いとかじゃ、でも、えっと……」
「うんうん、何かあったらいけないもんね」
「なんかあったらいけないし……な?」
 ちら、とティアを見上げる。その構図は――そう、アレ。
 無意識で零時が行ったそれは。
「わわ! 上目遣いってやつなんだよ」
 一撃必殺の技だねと言うティア。えっ、これが上目遣い? あっ、確かにそう、言われたら――と零時は思って。
「……うん」
 その様子までも、ティアにとっては。
(「かぁいい」)
 ふよふよ笑って、よしよしと繋いだ手の甲を撫でるティア。
「落ち着いた?」
 と、優しく笑って見せれば――その表情に今度は零時が瞬く番。
「ティアが凄くカッコいい……」
「ふふふーかっくいいかな?」
 零時はこの手もとても頼りになると思って。
「……いつか絶対お礼するからな!」
「男のぼくが気に入ったなら、ずーっとこの姿でいよっか?」
 なんてね、とティアが軽く告げると、零時はこのまま、とちょっと考えてしまう。
 この、男の姿のティアも良いけれど、でもという気持ちは確かにあるのだ。
「この姿も良いけど……いつものティアも好きだしなぁ」
 その言葉にありがとうねと、ティアははにかむ。その表情は、いつものティアのもののように思えて、つられて零時も笑って。
「いっそ魔術なんか教えたほうが良いかな?」
 その思いつきに、魔術っ、とティアは声あげる。
「全然わかんないから教えて欲しいんだよ」
 瞳輝かせるティアに、零時は任せてくれ! と笑う。
 自分の領分たる魔術。それを教える約束というのはなんだかむずがゆくて、そして嬉しいものもあった。
「楽しみがまた一つ増えたね」
「へへ、楽しみが増えたんなら何よりだ!」
 そうやって、話すころには――零時も上手に動けるようになっていた。
 ティアから手を離すと、安定して動ける。
 けれど、もうちょっと手を貸してくれ! とお願いしたのはこれもまた楽しいから。
 美しい桃源郷。その中をゆるやかに散歩する二人にとって、この時間は楽しいもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
【箱蛸】

あー、やっと終わったんだな
ごろんと寝転ぼうとしたが頭が邪魔
雅…これっていつ解けるんだ?

いやー、でも綺麗な景色だなぁ
いつまでもながめ――

え?!鍛錬すんのか?!
そ、そーだな。そーだよな…
もしかしたら耳も尻尾を生えてくるかもしれねぇしな

――嵐吾!!嵐吾助けてくれ!
い、いや、間違えた一緒に鍛錬しようぜ!
(腕ガシッ)

なぁ、ほんとに鍛錬するのか?
げ?!あの巨岩を?!
おりゃー!ぐ…(割れない)

滝壺で座禅?!死ぬわ!!!
おぼぼ!!

…ま、まだやるのか?
そうだ、なんでかよくわからんが
サッカーボール出てくるしこれで遊ぶのも楽しくね?

全力?!ちげーちげー!雅、パスだ!
軽く…ぎゃあああ!

魔王爆誕…!!(バタリ)


筧・清史郎
【箱蛸】

桃源郷に平和が戻って何よりだ
もう少し解けないのでは?
きっと俺にも、もふもふ耳尻尾が生えてくるだろうので(きり

さて、では鍛錬だ(爽やか笑顔
綺麗な景色の中での筋トレとは心躍る
らんらんもやるだろう?(友を確り捕獲し、にこにこ

手始めに、あの巨岩を素手で割ってみようか
きよきよとらんらんならできる(微笑み
滝壺で座禅なども楽しそうだ
色々な意味で無になれるぞ

成程、サッカー…足腰の鍛錬か
俺達がきよしへと、ボールを全力で蹴るのだな(勘違い
よし、パスだ(強化後全力ラスボスシュート!

ふふ、きよきよも楽しそうで何より

そう笑んだ時、ぴょこりっ
…!
おお、ついに俺にも耳尻尾が…?
どうだろうか?(禍々しい耳尻尾ぴこそわ



●それは約束されていた結末
 平和になった桃源郷にて――
「あー、やっと終わったんだな」
 砂羽風・きよ(タコヤキカレー・f21482)はごろんと寝転ぼうとした――のだが、たこ焼ヘッドがそれを邪魔する。
「桃源郷に平和が戻って何よりだ」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は転がるきよを微笑まし気に見詰めていた。
「雅……これっていつ解けるんだ?」
「もう少し解けないのでは?」
 それにきっと俺にも、もふもふ耳尻尾が生えてくるだろう――それを聞いたきよは、あっと思う。
 きり、としているがそれが生えてくる可能性は、ごくり。考えないことにした。
「いやー、でも綺麗な景色だなぁ」
 いつまでもながめ――と、思っていたきよ。
「さて、では鍛錬だ」
「え?! 鍛錬すんのか?!」
 そう、ラスボスレベルをあげ耳と尻尾を生やすためにだ。
「そ、そーだな。そーだよな……」
 生えてくるといいな……と思うきよ。
 綺麗な景色の中での筋トレとは心躍る、と言うマブダチ。
 そしてふたりの耳にせーちゃ~ん、きっよく~んと聞き慣れた声が――少し高い気がするが聞こえた。
「らんらんもやるだろう? ――らんらん?」
「!? 嵐吾か!?」
 その声の方を向けば、終夜・嵐吾(灰青・f05366)がいた。いたがしかし、清史郎はよろめいた。
「泉に落ちたら人間女子になっとった~」
「らんらんの耳と尻尾が……」
 女子!? しかしそれよりも耳と尻尾がない事の方が一大事、なのか? ときよは思うのだが、マブダチにとっては一大事だ。
「いや、鍛錬をすれば耳と尻尾が戻ってくる……?」
 しなくてもそのうち戻ってくるが、清史郎はやはり鍛錬しかないと真剣な顔で呟く。あれ、やっぱり鍛錬をする流れかときよは嵐吾をみた。
「――嵐吾!! 嵐吾助けてくれ! い、いや、間違えた一緒に鍛錬しようぜ!」
 腕ガシッ! 逃がさねぇ! という意思を見せるきよ。男でも女でも関係ねぇ!
「鍛錬か~、わしはかよわいおなごの身じゃしの~」
 あっ、視線が泳いでいる。逃げる気だ、しかしそれもわからなくもない。
 しかし、清史郎はスパルタであり、気持ちの切り替えも早かった。なんだかやばそうな気配を感じきよは尋ねる。
「なぁ、ほんとに鍛錬するのか?」
「らんらんの耳と尻尾の為にも鍛錬だ」
 では参ろう――嵐吾ときよを引っ張って清史郎が向かった先には、巨岩があった。
「手始めに、あの巨岩を素手で割ってみようか。きよきよとらんらんならできる」
「げ?! あの巨岩を?!」
 どーんとあるその巨岩。にこにこ圧を感じ、きよはその前に。
「おりゃー! ぐ……」
 パンチ! とするがもちろん堅い。割れるわけはないのだ。嵐吾……! ときよが助けを求めるとしゃっと手を見せて。
「爪が、割れる」
 女子ムーブで逃げた。清史郎は続けようと微笑みつつ、この後の鍛錬を口にする。
「滝壺で座禅なども楽しそうだ。色々な意味で無になれるぞ」
「滝壺で座禅?! 死ぬわ!!!」
 それを想像したきよは――おぼぼ!! 思わず苦しくなってしまう。想像力ゆたかなので仕方ない。
「……ま、まだやるのか?」
 俺しか鍛錬してねぇ、とちらりと見つつ――それなら次はと無茶鍛錬を躱す。
「そうだ、なんでかよくわからんが」
 と、きよはぽんっとサッカーボールをひとつ。
「サッカーボール出てくるしこれで遊ぶのも楽しくね?」
「成程、サッカー……足腰の鍛錬か」
 きよきよ、そのサッカーボールをこちらへ、と清史郎が言う。きよはおーと、ぽーんと軽く蹴った。
 ボールは清史郎――ラス史郎の足元へ。
「俺達がきよしへと、ボールを全力で蹴るのだな」
「全力?! ちげーちげー! 雅、パスだ!」
「よし、パスだ」
 しゅっと、己を強化し桜の花弁(邪悪みがある)を舞わせるラス史郎。
 思い切り――全力で――
「きよ君逃げるんじゃ!! にげっ」
「軽く……ぎゃあああ!」
「き、きよ君ー!!」
「ふふ、きよきよも楽しそうで何より」
 と、笑んだ時、ぴょこりっと何かの気配が頭上と、そして背後にあった。
「……! おお、ついに俺にも耳尻尾が……?」
 とうとうついに雅に耳尻尾が――薄れていく意識、きよ君傷は深、いや浅いと助け起こす嵐吾ごしにきよは、それを見た。
「魔王爆誕……!!」
「魔王、爆誕?」
 そう言い残して、意識を閉ざすきよ。
「どうだろうか?」
 耳尻尾、ぴこそわ。
 きよきよはあまりの喜びに気を失ってしまったのかと言う清史郎の耳と尻尾――それを今、見ているのは嵐吾ひとりだ。
 そいえば、もふ耳尻尾をこの友は欲していたか――……ほど遠いものがそこにある。
「えっ、きよくん、ちょ、おきて……」
 えっ、わしが教えるん?
 この事実を突きつけるのはわしには荷が重い――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
クロト(f00472)、怪我は無いか?
よかった…(よしよし、ぎゅむぎゅむ
女体化によりだいぶ母性が湧いている気がする

嫁て。売約済みなので大丈夫かと…
…傷が無いかよく確認してもらおうか?
服の裾をめくるそぶりで思春期少年(?)をからかって

姿が戻らぬうちに一緒に空を飛びたい
女の細腕。でもさっき吸収した生命力が満ちて力持ち。
お姫様抱っこでクロトを抱えて空の上へ
大丈夫、そなたは子ども。母の腕の中にいると思えば恥ずかしくない
ほら落ちないようにしがみ付いて
むう、折角の絶景じゃのに。景色も私も両方堪能すればよい

かくんと高度が落ちて。
あ、れ。変身が解け始めた?
私も華麗な着地を
…足元に泉しかないな?
あ~(ざばーん


クロト・ラトキエ
千之助(f00454)…
もー、心配性なんですから。
はいこの通り、万全ですとも。
動きも一切支障無く。

寧ろ君こそ、敵を引き付けて、縄女ともやり合って…
嫁入り前の柔肌に…
でももうすぐ元に戻るのか?
いや、傷が付くのはダメです。うん。

一緒に…空?
そりゃまぁ、跳んだり、宙を自在に動いたりはしても、
飛ぶなんてのは中々無い経験…
って既に腕の中!
しかも姫抱き!?
いえ安全性を考えればこれが良策かと思いますが…
僕、13でも38の男っ!
しがみ付いてたら…景色よりこっちが気になっちゃいますよ…。

と、急な感覚の変化に、鋼糸を繰りくるり着地…

どぼん?

振り返ったその泉…
その昔、年頃の娘が溺れたという伝説が有ったり無かったり?



●束の間の空
 ひらりはらり。桃の花弁が躍る。
 守った桃源郷の姿は美しく――その風景を楽しみたいけれど、それよりも先にやることがある。
 佐那・千之助(火輪・f00454)はクロト・ラトキエ(TTX・f00472)の周囲をくるくると回っていた。
「クロト、怪我は無いか?」
「千之助……」
「どこにもない? ない?」
 大丈夫か、本当にどこにも? とくるくる。
「もー、心配性なんですから。はいこの通り、万全ですとも。動きも一切支障無く」
 どこにもなにも、とクロトは千之助を安心させるべく確認はご自由にの体。
「よかった……」
 よしよし、とぎゅむぎゅむと千之助はクロトを抱きしめる。
 女体化によりだいぶ母性が湧いている気がするが、したいのだからしょうがない。
 ぎゅうと抱きしめてくる千之助にクロトは寧ろと、視線向ける。
「寧ろ君こそ、敵を引き付けて、縄女ともやり合って……嫁入り前の柔肌に……」
「嫁て」
 その言葉にふと笑って、千之助はぽそりと紡ぐ。
「売約済みなので大丈夫かと……」
 そう言って、ふふと千之助は笑い零す。
「……傷が無いかよく確認してもらおうか?」
 服の裾をめくるそぶり。思春期少年くらいの彼をからかうようにするけれど、クロトはそれに動じることはない。
「でももうすぐ元に戻るのか?」
 目の前の千之助の姿から、もとの千之助の姿へ戻る。
 でも、そうであったとしても。
「いや、傷が付くのはダメです。うん」
 それはやはり、受け入れられるものではない。
 そして千之助はもうすぐ元に戻るのか、という言葉に――はっとする。
 戻るのなら、その前にしたいことがあるのだ。

「クロト、姿が戻らぬうちに一緒に空を飛びたい」
 女の細腕なれど――でもさっき吸収した生命力が満ちて力持ち、と力こぶを作って見せる。
「一緒に……空? そりゃまぁ、跳んだり、宙を自在に動いたりはしても、飛ぶなんてのは中々無い経験……」
 と、思っているうちに千之助はすばやくクロトを抱え上げていた。
 そう、お姫抱っこで。
「って既に腕の中! しかも姫抱き!?」
「大丈夫、そなたは子ども。母の腕の中にいると思えば恥ずかしくない」
「いえ安全性を考えればこれが良策かと思いますが……」
 ふわりと空を飛ぶ。それは変な心地だ。
 それに抱きかかえられて、というのもクロトにとっては初めてだろうか。
「ほら落ちないようにしがみ付いて」
「僕、13でも38の男っ!」
 それに、とクロトは思う。
「しがみ付いてたら……景色よりこっちが気になっちゃいますよ……」
「むう、折角の絶景じゃのに。景色も私も両方堪能すればよい」
 なんて、クロトの声を千之助は拾い上げ、笑いかけた。
 けれど――この空の時間は突然終わりを告げる。
 かくん、と千之助のバランスが崩れ高度が落ちた。
「あ、れ。変身が解け始めた?」
 なんて紡ぐ間にも地は近くなる。
 そしてクロトの反応は流行った。鋼糸を近くの樹に引っ掛け、千之助の腕から離れると――くるり着地。
 流石クロト。私も華麗な着地をと、千之助も思ったのだが。
「……足元に泉しかないな?」
 あ~という叫びと共に大きな水音が響く。
 クロトがそちらを振り返れば千之助が落ちる姿。
「その昔、年頃の娘が溺れたという伝説が有ったり無かったり?」
 なんて思う間に、ざばざばと水から上がってくる千之助。けれど服が絡んで上手にあがれない。
 水も下たる――今はまだ、イイ女? なんて言いながらクロトは手を貸して引き上げる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高塔・梟示
まどか(f18469)君と

やれやれ、お疲れ様
ふふ、言葉だけで充分さ
此処も何もない場所だしね

体も動せば慣れるもの
しかし若い子よりは順応性に欠けるな…
空を見上げて首傾げ

折角だから手合わせなんて如何だい?
一撃当てたら勝ち、ってことで
空の利は君にあるが、簡単に的にはならない

降る攻撃は残像で躱そう
避けるにも単調な動きにならぬよう
幾度か戦いを共にしていても
彼の多くは知らない、油断出来ないな

飛ぶには頼りない翼だが、風は起こせそうだ
不意打ちに羽搏きで吹き飛ばして

上手くバランスを崩せたなら
逃げ回るのは止め早業で接近
拳が軽く触れたらお終いに

ふふ、勝っても敗けても
得難い体験には変わりないさ
お相手を有難う、まどか君


旭・まどか
梟示(f24788)と

お疲れさま
残念ながら何も無くて君を労う事が出来ないんだ

変わらず天上から君を見下ろし
影落とす長躯からの挑発に乗ってあげよう

羽根を飛ばしたりなんて芸当は出来ないから
翼の操作が不自由な君と、滑空の術を手に入れた僕と

如何するのが最適解なんて火を見るより明らか

それに
あんな重そうな一打を受けるなんて冗談じゃあ無い
元々距離を置いての戦闘に馴染みがあるから
無理に近づく必要など無い

手の内の幾つかは知っている
突然襲い来る縄には最大限警戒を
独壇場を侵されては敵わないから
狙う一閃向けるは出来損ないの翼

入れ違いに迫り来る突風に足を取られ
――嗚呼

寸での所で停められた拳ひとつ
決まった勝敗に素直に白旗を



●戦いの行方
 穏やかな風が頬を撫でていく。時折悪戯な風が花弁を運んできたりもするが、これが桃源郷のあるがままの姿なのだろう。
「やれやれ、お疲れ様」
 高塔・梟示(カラカの街へ・f24788)は尾を躍らせて旭・まどか(MementoMori・f18469)へと告げる。
「お疲れさま。残念ながら何も無くて君を労う事が出来ないんだ」
「ふふ、言葉だけで充分さ」
 此処も何もない場所だしねと梟示は紡ぐ。
 穏やかな光景だ。桃源郷が先ほどまで戦いの喧騒に包まれていたのは不思議な心地。
 そして梟示の視線は上へ。まどかは羽搏いて空にいるのだから。
 泉の力で変化したそれぞれの姿。この姿でいるのは、きっとあと少しだろう。
 最初はどうなることかとは思っていたが、全く動けないなんてこともなく。それに何時もと違う感覚も多少は面白くもあるのだ。
「体も動せば慣れるもの。しかし若い子よりは順応性に欠けるな……」
 と、梟示は見上げて首傾げ、ひとつ持ちかける。
「折角だから手合わせなんて如何だい?」
 一撃当てたら勝ち、ってことでと梟示は紡ぐ。
 この姿に慣れてきて、その最後の締めといったところか。
 その手合わせの誘いに、いいよとまどかは返した。その挑発に乗ってあげよう、と小さく笑って。
 梟示は空の利は君にあるが、簡単に的にはならないよと、さっと距離を取る。
 頭上をとっているまどかは、梟示の動きも把握しやすい。
 しかしまどかも、翼があると言っても羽根を飛ばしたりなんて芸当はできない。
 そして梟示も翼の操作はまだまだ、不自由さがある。
 そんな梟示と、滑空の術を手に入れた自分と――ふと、口端には笑みが乗る。
 二人向き合えば、如何するのが最適解なんて火を見るより明らかとまどかは思う。
 それに、だ。
(「あんな重そうな一打を受けるなんて冗談じゃあ無い」)
 元々距離を置いての戦闘に馴染みがあるのだ。無理に近づく必要などないとまどかは己の動きを突き詰めていく。
 彼の、手の内の幾つかは知っている。
 突然襲い来る縄には最大限警戒をしてまどかは視線ひとつ。
 天から降る星を零しながらこの独壇場を侵されて叶わないから、踏み入らせない。
 狙う一閃は――その、出来損ないの翼を狙ってだ。
 その狙いを、見切って降る星を梟示は躱す。どれが本物か、残像残して単調な動きにならぬように。
 幾度か戦いを共にしていても――と、梟示は思う。
(「彼の多くは知らない、油断出来ないな」)
 そして一閃が駆ける、その狙いはこの翼かと大きく羽ばたいた。
 跳ぶには頼りない梟示の翼。しかし風は起こせそうだ。
 不意打ちに大きく羽ばたけば強風がまどかのバランス崩し吹き飛ばす。
 突風は正面からまどかを連れて駆け抜け、その強さに一瞬視界を閉じる。そして、己に向かってくる彼の、気配。
「――嗚呼」
 次にその瞳を開いたなら、そこにあるのは梟示の拳。
 梟示はバランス崩したところで逃げ回るのをやめ、一気に距離を詰めたのだ。
 そして拳をまどかに向け、あたるその手前で留め――こつんと軽く、額に触れる。
「僕の負けだね」
 まどかは決まった勝敗に素直に白旗。
 梟示はふふと笑み零す。勝っても敗けても、得難い体験には変わりないさと。
「お相手を有難う、まどか君」
 また、元の姿に戻ったらやるかい? なんて笑って。
 すると、まどかはもしするなら――次は負けないよと返すだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

張・西嘉
征殿(f32673)と
無事首魁は倒せたがまだ姿が戻らん…。
やはり愛用の武器が持てないのは辛いな。
もしなどと言うことがあっては困るのだ。
俺は瞬殿の護衛なのだから瞬殿を守れなくては意味がない…。
(しょんぼり)
この姿だと花見ができんと言うわけではないのだがまだこの視点に慣れなくてな。
本当なら桃の一枝でも手折ってあげたかったのだがいかんせんこの身長では届かん。
まぁ、俺としては征殿が楽しんでくれているならそれでいい。
酒?まて、征殿酒はダメだ。
お、俺もまだ猫の姿だしなッ。
花だけ眺めようではないか。
(かつて見た酔っ払った様子を思い出して止めようと)
あぁ、そうだな。
(記憶だけで充分と聞けばにっと笑って)


征・瞬
西嘉(f32676)と
まだしばらくこのままのようだな
……君は何を凹んでいるんだ?
先程までその姿で勇ましく戦っていたではないか

……その姿も今だけだろう
普段の君はちゃんと務めを果たせていると思うが
それに、今日は私に花見の楽しさを教えてくれるのではなかったか?
花見とはそんな落ち込んだ顔でするものなのか?
(励ますようにポンと優しく頭に手を乗せ)

さて、花見をするなら酒でも用意するか
む…なぜ止める、流石に外では寝るほど飲まないが…?
まぁ君が飲まないなら止めておくが
(慌てた様子を訝しみながらも納得し)
花を手折る必要はない、君と見た記憶だけで十分だ



●きっと忘れない花の色
「無事首魁は倒せたがまだ姿が戻らん……」
 張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)は唸るような声で呟いていた。
 対して、征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)はいつか終わるのだしと体の変化についてあまり気にとめていないように返す。
「まだしばらくこのままのようだな」
 そして、思うのだ。
「……君は何を凹んでいるんだ? 先程までその姿で勇ましく戦っていたではないか」
 問えば、西嘉はだからこそだと返す。
 ケットシー――この身ではできないことがありすぎると。
「やはり愛用の武器が持てないのは辛いな」
「……その姿も今だけだろう」
 もしなどと言うことがあっては困るのだ――と西嘉は言う。
「俺は瞬殿の護衛なのだから瞬殿を守れなくては意味がない……」
 しょんぼり、と西嘉は肩を落とす。ケットシー姿なのでちょっとかわいいな、なんて瞬は思うのだがそれは己の胸の中にしまっておくだけだ。
「普段の君はちゃんと務めを果たせていると思うが」
 そして、この空気感を変えるように瞬は西嘉へとそれに、と言葉投げかける。
「今日は私に花見の楽しさを教えてくれるのではなかったか?」
 桃の花弁がひらひらと、二人の間でそよぐ。
「花見とはそんな落ち込んだ顔でするものなのか?」
 西嘉は顔をあげ、そうだなと零す。そうだったな、と。
「この姿だと花見ができんと言うわけではないのだがまだこの視点に慣れなくてな」
 視線が低い。瞬も、桃の花々も見上げるばかりだ。
 瞬は小さく笑い零し、励ます様に優しく、西嘉の頭にポンと手を乗せた。
「本当なら桃の一枝でも手折ってあげたかったのだがいかんせんこの身長では届かん」
 ぴょんと飛んでも届かないが――いや、樹に登れば? 西嘉は考える。
 しかしそうはせずとも――瞬はこの光景を楽しんでいるようでもある。
 綺麗だな、と舞い踊る花弁を掌にのせて。
(「まぁ、俺としては征殿が楽しんでくれているならそれでいい」)
 と、西嘉が思っていると。
「さて、花見をするなら酒でも用意するか」
 酒、という言葉が聞こえてきた。
「酒? まて、征殿酒はダメだ」
「む……なぜ止める、流石に外では寝るほど飲まないが……?」
 少しくらい、という様子。
 西嘉はいやいや、と首を横に振る。そして飲ませないようにする理由を見つけた。
「お、俺もまだ猫の姿だしなッ。花だけ眺めようではないか」
 呑ませてはいけない。
 かつて見た瞬が酔っぱらった様子――絶対ダメ、絶対。その姿思い出して西嘉は瞬が酒を飲むことを防いだ。
「まぁ君が飲まないなら止めておくが」
 しかしその慌ては言葉や動きに出ていたらしい。何かおかしい、と訝しみながらも瞬は確かに君のいう事もわかると納得する。
 そしてそっと、花に触れて。
「花を手折る必要はない、君と見た記憶だけで十分だ」
「あぁ、そうだな」
 記憶だけで充分と言う。その言葉に、西嘉もにっと笑って返した。
 この色はきっと、褪せる事なく二人の中に残り続けるだろうと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルフィード・クローフィ
環ちゃん(f28317)と

お疲れ様!
ふふっ、護ってもらったから怪我してないよ!
ありがとう、素敵な騎士様!

そうみたいだね!
暫くこのまま遊ぼう!
おぉ、エスコート。本当に今日は女の子の日だね
そっと手を握って
んー、環ちゃんと一緒ならどんな事でも楽しいけど
本当!美味しい桃一緒に食べようか?
ぱくりと一口。美味しい!
美味しいよ、はい、あーん。

人間になるのってそんなに嬉しい事なの?
俺的には今の姿も良いけど
いつもの環ちゃんも好きだよ。
俺にとっては彼方も血が通った素敵なレディだもの
でも環ちゃんが喜んで楽しんでるのなら良かった!

ふふっそうだね!
また遊ぼうね!


雨絡・環
アルフィードさん(f00525)と

お疲れ様でした
お怪我はありませんか?姫

泉の悪戯はもう少し続くよう
ならば今少し、この奇妙な立場を楽しみましょうか
姫君、どうぞお手を
騎士らしく、えすこおと、してみましょう
何処へぞ行きたい所は御座いますか?
彼方に美しい桃が御座いますよ
また水遊びでも致します?

あら、宜しいので?
あーん……ふふ、美味しゅう御座いますね

なんだか何時もより体温が高い様子
これが人間様の身体ですのね
殿方の姿ですが
嗚呼、わたくしは確かに今
あんなにも焦がれた人間の血肉を以て存在している
ええ、嬉しゅう御座いますよ
とても

あらあら有難う存じます
アルフィードさんの貴重なお姿も見れた事も
実に得難い体験でしたわ



●この姿でも、いつもの姿でも
「お疲れ様!」
 ぱっとアルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)は雨絡・環(からからからり・f28317)へと笑いかける。
 環はお疲れ様でした、と返して。
「お怪我はありませんか? 姫」
「ふふっ、護ってもらったから怪我してないよ!」
 ありがとう、素敵な騎士様! とアルフィードは本当のお姫様のように軽く膝折って一礼返す。
 泉の悪戯はもう少し続くようと環は言う。
 ならば今少し、この奇妙な立場を楽しみましょうかと思うのは、環だけではなくアルフィードも。
「そうみたいだね! 暫くこのまま遊ぼう!」
 環は、ではと騎士のように手を差し出した。
「姫君、どうぞお手を」
 騎士らしく、えすこおと、してみましょうと環はぱちりと片目閉じて誘うのだ。
 アルフィードはもちろん、その誘いに乗る。
「おぉ、エスコート。本当に今日は女の子の日だね」
 そっと手を握って、アルフィードは環を見上げる。
 環はでは、とアルフィードへと笑いかけた。
「何処へぞ行きたい所は御座いますか?」
「んー、環ちゃんと一緒ならどんな事でも楽しいけど」
 なら、と環はいくつか提示する。それもまた騎士のたしなみのように。
「彼方に美しい桃が御座いますよ、また水遊びでも致します?」
「本当! 美味しい桃一緒に食べようか?」
 アルフィードが心傾けたのは桃だ。
 では、美味しそうな桃の樹へとご案内。環がくるりと視線巡らせると――芳醇な香りをさせる樹があった。
 その樹になる桃をひとつ。
 どうぞ、と環はアルフィードへと差し出した。
 瑞々しい桃はとってもおいしそう。ぱくり、とアルフィードは一口。
「美味しい!」
 そしてこの美味しさを一人で味わうのはもったいなくて。
「美味しいよ、はい、あーん」
 アルフィードは環へとそれを差し出した。
「あら、宜しいので?」
 では、と差し出された桃へと環は口寄せる。
「あーん……ふふ、美味しゅう御座いますね」
 瑞々しいその味に環も笑み浮かべる。アルフィードは、美味しいを共有できてうれしいと思うのだ。
 と、環は己の身の変化に気づく。
 それは体温だ。なんだか何時もより体温が高い様子。
 それは何故か、と思えば――人の身であるからだ。
「これが人間様の身体ですのね」
 殿方の姿ですが、とそっと己の身に触れる環。
 嗚呼、わたくしは確かに今――あんなにも焦がれた人間の血肉を以て存在している。
 環が紡ぐその言葉にアルフィードも感じるものがあった。
「人間になるのってそんなに嬉しい事なの?」
「ええ、嬉しゅう御座いますよ」
 とても、と環は言う。こんな形で叶うとは思ってもいなかったのだけれども。
「俺的には今の姿も良いけど、いつもの環ちゃんも好きだよ」
 俺にとっては彼方も血が通った素敵なレディだもの、とアルフィードは環へと笑いかける。
 その気持ちは本当で――でも、人となって環がそれを嬉しいと思っている。それもまた、嬉しい気持ちがあるのは本当の事。
 だからその気持ちも、言葉にして伝えるのだ。
「でも環ちゃんが喜んで楽しんでるのなら良かった!」
 そしてその言葉は、環にとっても嬉しい事だ。
「あらあら有難う存じます」
 アルフィードさんの貴重なお姿も見れた事も、実に得難い体験でしたわと悪戯するように笑って。
 言われて、アルフィードも確かにそうかも、と自分自身の事を見て。
「ふふっそうだね!」
 笑って――そして、これも伝えておかなきゃと環を見詰める。
「また遊ぼうね!」
 楽しい事をまたしよう。そのお誘いを環が断ることはないのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
姿はもう暫しそのままに

はい、りん
もう呼ばれ慣れましたとも
この姿は今だけなのですから、私は構いませんよ

笑いながら手を繋いで歩く

私も倫太郎と呼ぶのに違和感がありますもの
少なくとも「太郎」ではないですからね?
貴女も活発そうで可愛らしいです

まるで栗鼠のような
肌ですか?性別も変われば肌も変化が
(さり気なく倫太郎の頬を触り)
いえ、りんも同じか確かめたくなってしまいまして
もちもちです……

ふふ、ではもう暫く散歩していましょう
どんな姿であれ、りんは倫太郎です

この世界に来て早々、今までなかった経験をしましたね
確かに何度もあっては困りますが

……りん、私にもそれを貸してください
今の貴女の姿を、私も収めたい


篝・倫太郎
【華禱】
※性別転換継続中

夜ひ……夜子、オネーサマ?
どっちで呼んだ方がいい?
問いながら手を差し伸べて笑う

今のあんたを『夜彦』って呼ぶの
抵抗あるんだもん……
物凄い美人でスタイル良いしさ

肌もさ、もちもちじゃん?
(夜彦改め夜子の頬をツンツン)

んぅ?なんで真似すんの……

そう問えば、返された答えに笑う

褒めても何にもでないぞ?
あ、でも、少し嬉しいし気分いいから
デートしよ?

女の子同士でも
あんたとならきっと楽しいって前に言ったじゃん

のんびり桃源郷を散歩するのも悪くないデショ?
性別が違ってのデートなんて早々できないし
いや、早々あっても困るか……

そんな話をしながら、そっと隠し撮り
俺の秘蔵品にする

ん、可愛く撮ってネ!



●変わらないもの
「夜ひ……夜子、オネーサマ?」
 いまだ女の姿のままなのは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)も月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も変わらない。
 どっちで呼んだ方がいい? と夜彦へと倫太郎は問いながら手を差し伸べて笑う。
「はい、りん」
 もう呼ばれ慣れましたとも、と夜彦は返してその手を取る。
「この姿は今だけなのですから、私は構いませんよ」
 どちらでも、と笑って倫太郎に選ぶことを夜彦は委ねる。
 繋いだ手のぬくもりは何時もと同じようで、でも姿は違うのはなんだか不思議だ。
「今のあんたを『夜彦』って呼ぶの、抵抗あるんだもん……物凄い美人でスタイル良いしさ」
「私も倫太郎と呼ぶのに違和感がありますもの」
 少なくとも「太郎」ではないですからね? と夜彦が紡ぐとそうだなと倫太郎は笑う。
 確かに、「太郎」ではないと。
「貴女も活発そうで可愛らしいです」
「肌もさ、もちもちじゃん?」
 ツンツン、と夜彦――夜子の頬をツンツンとつつく。
 すると夜子もりんの頬をそうっと、さりげなく触って。
「まるで栗鼠のような。肌ですか? 性別も変われば肌も変化が」
「んぅ? なんで真似すんの……」
「いえ、りんも同じか確かめたくなってしまいまして
もちもちです……」
 ふふ、と笑って夜子はその手を引っ込める。ダメでした? なんていうがダメな訳はない。
 りんは返された答えに笑って、つなぐ手に少しだけ力を込めた。
「褒めても何にもでないぞ? あ、でも、少し嬉しいし気分いいから、デートしよ?」
 このまま手を繋いで、気侭にと。
「ふふ、ではもう暫く散歩していましょう。どんな姿であれ、りんは倫太郎です」
 それは、同じだと倫太郎も思う。
 どんな姿であれ、夜子は夜彦だと。
 でも今は夜子とりんであることを楽しむだけ。
「この世界に来て早々、今までなかった経験をしましたね」
「女の子同士でもあんたとならきっと楽しいって前に言ったじゃん」
 のんびり桃源郷を散歩するのも悪くないデショ? とりんは笑う。
「性別が違ってのデートなんて早々できないし。いや、早々あっても困るか……」
「確かに何度もあっては困りますが」
 と、言っているとりんがあやしい動きをしている。
 そしてそれを夜子は見逃さない。
「……りん、私にもそれを貸してください」
 あ、ばれてたと笑ってりんは夜子へとそれを渡した。
 そっと隠し撮りをしていたのだと。
「俺の秘蔵品にする」
 そういうと、夜子は私だってと思うのだ。
「今の貴女の姿を、私も収めたい」
「ん、可愛く撮ってネ!」
 夜子が告げると、ポーズ撮った方がいい? なんて言って。
 けれどその必要はありませんよ、と夜子は言う。
 ポーズを撮らなくても――いえ、どんな瞬間だって可愛いのだからと紡いで。
 その言葉にりんは瞬いて、素に戻ってしまう。ほんとに、あんたはと照れたように笑い零して。
 どんな姿でも、変わらないのはきっと互いに向ける想い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻

我が愛機サヨは実に美しく強かったね
念願の合体も……ふふ
びぃむも見事であった
地に降りたサヨを撫でて労う
ピカピカ光る角の桜
可愛い

リル、大丈夫かい?
歩く練習を始めたリルを見守り密やかに幸を約す

サヨが人型に!
その姿も麗しいよ
そうだね、この姿のまま遊ぼう

鬼ごっこ?
サヨ、捕まえに来て
童子の心地で走り出す

サヨを捕まえるのは私の役目だが今は逆だ
シャラシャラと歌う紅玉の髪が新鮮だ
宝石の手足も美しく悪くない
きみの血潮(いのち)の彩

サヨになら砕かれてもいい
追いかけられるのも楽しい
跳ねて逃げる同志リルの姿も嬉しくて─サヨ?!
油断した

あっという間にサヨの腕の中
それはいい
もう一度きみと飛びたい
搭乗させてくれるかい?


リル・ルリ
🐟迎櫻

合体たのしかったね!
カムイも櫻もかっこよかった

地面に転がる櫻へっどに手をついて、よたよた歩く練習をする
大丈夫だよカムイ
だいぶ上手になった
僕は知ってる
カムイがこっそり僕に幸を約してくれた事

櫻が人型のろぼとに変形した!
何度見てもかっこいいよ!

鬼ごっこしよう
櫻が鬼だよ

ふかふかのしっぽを揺らしながら歓声あげて跳ねるようかけて行く
耳が揺れる
風が気持ちいい
走るのって楽しいな!

紅玉の髪を揺らして駆けるカムイは眩しくて綺麗
櫻の歩調に合わせて
ずしーんずしーんって音を付けてあげる
その方がかっこいいよ

あ!足からじえと!ずるい!

あっという間にカムイと一緒に捕まり笑う
戻る前にも一度
櫻ろぼにのって、空を飛ぶんだ!


誘名・櫻宵
🌸迎櫻

地べたに頭だけで転がって
歩く練習するリルの支えになりながらカムイに撫でられる
すっかり愛玩ロボになってない?

褒められれば嬉しいので
角の桜が光り出す

遊びましょ!
カシャンと慣れた様に人型に変形する

鬼ごっこはどう?
私が追いかけるわ
ロボの姿で走るのは勝手が違う
腕でカムイを捕まえれば砕いて
リルの尻尾ももいでしまいそうだけど

ふふ!存分に逃げ惑いなさい!

捕まえてやるわ!
足裏からジェットが出て加速する
何これ
意外と便利

美しい宝石の神と兎になった人魚を追いかける
童子のように笑ったのは何時ぶりかしら
リル!その擬音はヤダ!

ぐいと腕伸ばして優しく二人を捕まえる
私の勝ちね!
え?空を?
搭乗…いいわよ
今だけ許してあげる



●鬼ごっこ、笑い合って
 心地よい風がかけていく。桃源郷の一角、開けたその場所はぽかぽかと日差し暖かなきれいな場所。
 ふかふかの緑の草場は柔らかくてころんと寝ころびたくもなるというもの。
 ここが、自分たちの守った場所なのだと改めて思うのだ。
「合体たのしかったね! カムイも櫻もかっこよかった」
 リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)はふふーと笑って思い出す。
 合体、そして戦闘――何もかもが楽しくて新鮮だったことを。
 そして誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)はころんと転がっていた。
「我が愛機サヨは実に美しく強かったね」
 そういって、瞳細めて朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)は微笑む。それに、と先ほどのことを思い出して。
「念願の合体も……ふふ」
 びぃむも見事であったと手を伸ばし、櫻宵を撫でてねぎらうカムイ。
「すっかり愛玩ロボになってない?」
 と、ピカピカ。
 ロボヘッド櫻宵の角の桜が光る。それは櫻宵の感情を表しているかのようだ。
 だって褒められたら嬉しい。
「可愛い」
 そこも、なでなで。するとさらにぴかぴか。
 と、リルは地面に転がる櫻宵に手を突いてよたよた。歩く練習を。
「リル、大丈夫かい?」
「大丈夫だよカムイ」
 だいぶ上手になった、とリルはまたよたよた。
 歩く練習を始めたリル。カムイはその姿見守り、密やかに幸を約す。
 けれどそれは、もうリルも気づいて――いや、知っていた。
 きっとカムイがそうすることを。
 こっそり幸を約してくれたのだから、立派に歩いて見せる、なんて心に強く。
 そうしていると――
「遊びましょ!」
 リルも慣れてきたし、とカシャンと慣れた様に人型に変形した櫻宵。
 もうこの体の扱いもばっちりというところ。
「櫻が人型のろぼとに変形した! 何度見てもかっこいいよ!」
「サヨが人型に! その姿も麗しいよ」
 そうでしょう! と言いながらこの姿でいられるのもあと少し、と思うとちょっとさびしさも感じつつ。
 残る時間を楽しむべく、三人で何をするかの相談だ。
「そうだね、この姿のまま遊ぼう」
 桃源郷での時間はまだある。この広い場所でする遊びは何にするかといえば。
「鬼ごっこはどう? 私が追いかけるわ」
 櫻宵の提案にリルとカムイは大きく頷く。
 ロボの姿で走るのは勝手が違う。それを櫻宵はわかっていた。
 腕でカムイを捕まえれば砕いて、リルの尻尾ももいでしまいそうだけれど――気を付けていけばきっと大丈夫。
「鬼ごっこしよう。櫻が鬼だよ」
「鬼ごっこ? サヨ、捕まえに来て」
「ふふ! 存分に逃げ惑いなさい!」
 10秒だけ待っててあげる! と待ち時間はちょっと短め。
 わーと、よろめきつつも走り始めるリル。
 それはそんなに早くはないけれど、ふかふかのしっぽを揺らして楽しげに歓声あげて跳ねるようにかけていく。
 耳が揺れる。その感覚も分かって楽しい。
 風が気持ちいい。ふわりと桃の花の香が撫でていく心地。
「走るのって楽しいな!」
 ともに逃げるカムイの髪の輝き。リルはきらきらが視界で踊るのをみつけて瞳細める。
 とても、綺麗。
 紅玉の髪を揺らして、きらきらと眩しくいと。
 そんなカムイは童子の心地。カムイは走り出し、櫻宵を振り返る。
(「サヨを捕まえるのは私の役目だが今は逆だ」)
 それが、カムイにとってはなんだか楽しい心地。
 走ればシャラシャラと歌う紅玉の髪が新鮮だ。輝くこの宝石の手足。それも、美しくて悪くない。
 赤い輝くこの身――この、色。
(「きみの血潮(いのち)の彩」)
 ふふ、とカムイは笑みをこぼしていた。しかしこの宝石の身は、脆くもある。
 けれど、こうも思うのだ――サヨになら砕かれてもいい。
 振り返れば櫻宵の姿が見えて、追いかけられるのも楽しいとカムイの心は躍る。
「捕まえてやるわ!」
 と、意気込んでいると――ぼぼっ、と足裏から音がした。
 これは一体何の音か――そう思えば、足からジェット。
「何これ。意外と便利」
 でもちょっと慣れなくて、地面をやっぱり走りたい気持ちもある。
「ずしーんずしーん」
 そんな声が聞こえて、櫻宵はリルを見る。するとぱっと笑ったウサギさんは言うのだ。
「リル! その擬音はヤダ!」
「だって櫻、音付けたほうがかっこいいよ」
 やだー! なんて言いながら追いかける。童子のように笑って追いかけて――いったいこれは何時ぶりかしらと櫻宵は思うのだ。
 跳ねて逃げる同志のリル。その姿も嬉しく、わずかにカムイの気が緩んだ瞬間。
「――サヨ?!」
 油断した、とカムイは苦笑する。でも、困っているわけでもなく心にこみ上げるのは楽しさ、嬉しさというあたたかいもの。
 あっという間にサヨの腕の中、と笑っているとそのままカムイを抱いて櫻宵は次なる標的の下へ。
 今こそこれを、と足裏ジェットが火を噴いた。
「あ! 足からじえと! ずるい!」
 さっきはへたっぴだったのに。そういったときには、もうリルを掬い上げている。
「私の勝ちね!」
 そうして三人、顔見合わせて笑い零す。
 櫻宵は安心する。カムイを砕くこともなく、リルの尻尾も無事だから。
「あ、待って櫻。戻る前にも一度、櫻ろぼにのって、空を飛ぶんだ!」
「それはいい。もう一度きみと飛びたい」
「え? 空を?」
 搭乗させてくれるかい? とカムイが笑いかけると。
「搭乗……いいわよ。今だけ許してあげる」
 きっと、こんな不思議な変化はもう二度とないはず。
 カムイとリルをまた乗せて、櫻ロボは桃源郷の空を飛ぶ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉・火華流
ここの鳥の眷族だろうか?
今の自分と同じ姿の者が男女問わず(年齢的には下は火華流と同じぐらいの者まで)集まってきた

先の『(鳥の姿を持った身での)武器を使った戦闘』に興味を持ち、こんな武器も使えるか?
…と、色んな武器まで持参

鉤爪の足…時には体を捻り・回転させる事で剣や槍を巧みに操るところを見せた

これが一番扱いやすいかも…
…と、火華流が言ったのは『乾坤圏』

持っては相手を(蹴撃で)斬りつけたり、放っては飛ばした先に素早く飛翔して自らキャッチなど、普段は機動力を主体とする彼女らしい闘技を見せた

その後…指導(仮)を仰がれ、元の姿に戻っても…何度も鼠のように捕獲され、泉に落とされて帰還が遅くなったとか?



●今だ鳥のものである
 泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は囲まれていた。
(「ここの鳥の眷族だろうか?」)
 それらは火華流をじぃ、と見つめて――仲間か、と観察していたのか。それとも興味があるのだろうか。
 今、火華流は鳥娘だ。その姿と同じ姿の者たちが男女問わず、年齢問わずあつまってきていたのだ。
 というのも、だ。
 火華流は先ほど、武器をつかって戦っていた。どうやらそれを見ていたのだろう。
 その技は彼らにとって今まで見たことないもの。だから興味を持ちやってきたのだろう。
 そして火華流の前に武器が積み上げられている。
(「これは……この武器を使えるか、ってこと?」)
 拾ってきたのか、もとから持っていたのかそれはわからないがいろいろある。
 自分たちはどう扱えばいいのかわからない。しかし、もしかしてこの娘はわかるのか、という雰囲気。
 火華流は、この囲みから逃げるのは難しそうと武器を手に、ではなく鉤爪の足で握る。
 ひゅっ、と風を切って刃が躍る。
 体をひねり、回転をさせることで剣や槍を巧みに操ってみせる。
 それが終わると、持っていた武器を彼らは受け取ってやってみるがなかなかうまくいかない様子。するとまた別の者が今度は自分が、と扱って――扱いきれずまた交代。
「まぁ簡単には扱えないよ、でも、これが一番扱いやすいかも……」
 そういって、火華流が示したのは『乾坤圏』だった。
 この乾坤圏、使い方がいくつかある。
 持って相手を蹴ればそれだけで斬りつけることにもなる。放って飛ばした先に素早く飛翔して自らキャッチすることもできる。
 機動力を主体とする火華流にとって、この乾坤圏を使うことは自分らしい闘技でもあった。
 そしてこの動きを見て――これだ! と彼らは寄ってくる。
 教えてくれ、と言われるなら指導する。
 何度か試していれば、ちょっとずつ形になってくるものもいて、火華流はなかなか動けるわね、と思うのだ。
 しかし――その姿でいる時間も終わりがある。
 突然、ぽふっとちょっと抜けた音を立てて火華流は元の姿に戻っていた。
 そう、人間の姿に。
 それを見た瞬間――鳥人たちは、ひゅっとその鉤爪を火華流に向けた。
「え、な、なに!? 教えたのに攻撃!?」
 かと思えば、わしっと掴まれて泉のほうへ。
 あっ、これは、まさか――そう思った時には火華流はすでに泉に落とされていた。
 なんなの、と起き上がればさっきぶりの鳥娘の姿。
 これでまた教えてもらうことができる! なんて――人間に戻るたびに何度も落とされる火華流。
 私、帰れるかな……と火華流はぼんやりと思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【たぬちゃん(f03797)と】

そうねぇ
性別違おうがオレが美しい事に変わりないし、楽しかった~
ナンてのんびりだらり
ま、じき元に……ってぇえ?
ソンなめんどくさぁい

あー、毎回違うの楽しそうねぇ
うきうき話すたぬちゃんを見ながら思い浮かべるのは
狸に翼、狸なシャーマンズゴーストにウォーマシン……
思わずぷぷっと噴き出し
うんうん、可愛くてイイねぇ
オレ違う種族になってみたかったなぁ、どんなのが似合うと思う?
やっぱ狐カシラ

そうネ、たまには新鮮な気分でのんびりしに来るのもイイかも
戻る前にホンモノ狸のもふもふを堪能しようとにこやかに手招きするものの
飛び込んでくる顔は鷲掴み
ホラ、そこじゃあないデショ?
襟巻の様に首元へ


火狸・さつま
コノf03130と

変身、楽しかた、ね!
ハッ!も、そろそろ、効果、きれちゃう、の、かな?
こ、コノ…!!(悲し気な顔)
だ、だて、もっと、色々……女性ならではの服とか…あ!おしゃしん!おしゃしん、撮ろう?

ここの泉、入る度に、違う効果なるの、かな?毎回、一緒?
俺ね俺ね、翼ばさばさぁ!もしたかた、し、マンゴさんも素敵だし、ウォマシンさんとか妖精さんとか…あ!巨人さんも良い、な!
狐!似合…変わてない、よ?

また、変化しに、ここ、遊びに来たい、ね!(にぱー)
変化の水、おみやげに持て帰れない、かなぁ
狸毛並み、もふもふ、する?
ぽぴゅり変化すれば、躊躇なく胸元へじゃんぴんぐはぐ!!!
…きゃぅん……
(せめて太もも…)



●きゃぅん
 ぴょんと跳ねるは火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)の尻尾だ。
「変身、楽しかた、ね!」
 ぱっとさつまが振り仰いだのはコノハ・ライゼ(空々・f03130)。
「そうねぇ。性別違おうがオレが美しい事に変わりないし、楽しかった~」
 素敵な場所も守れてよかったんじゃなあい? とコノハは目の前泳いでいく桃の花弁を視線で追いかけていた。
 良い香り。
 暖かな日差しに綺麗な風景。散歩には良い場所だ。
 さつまの楽し気に跳ねて、花弁を追いかけて――突然、動きを留めた。
「ハッ! も、そろそろ、効果、きれちゃう、の、かな?」
「ま、じき元に……ってぇえ?」
「こ、コノ……!!」
 ばっと、さつまはコノハの方へ向く。その表情は悲し気で、今にも崩れて泣きそうな――何でそんな顔してるの、とコノハが問えば。
 戻ちゃうんだよ、とぐっと何かを訴えるさつま。
「だ、だて、もっと、色々……女性ならではの服とか……あ! おしゃしん! おしゃしん、撮ろう?」
「ソンなめんどくさぁい」
 えーという表情でコノハは、そんなこと? と言うように返す。のんべんだらり、過ごしてればいいじゃナイ? とコノハが言うとそんなのもったいないと首をふりふり、横に振るさつま。
「おしゃしん……」
 そんな細いおねだりの声を美味しそうな桃~なんてコノハはスルーする。そして二人は泉のあった方へといつの間にか進んでいた。
 その泉を見て、さつまはまたふと思う。
「ここの泉、入る度に、違う効果なるの、かな? 毎回、一緒?」
「あー、毎回違うの楽しそうねぇ」
 もし毎回違うんだった――と、さつまは想像する。
「俺ね俺ね、翼ばさばさぁ! もしたかた、し、マンゴさんも素敵だし、ウォマシンさんとか妖精さんとか……あ! 巨人さんも良い、な!」
 きっとこんな感じとさつまはうきうき、瞳を輝かせてはしゃいで話す。
 その姿を見ながらコノハは想像してみる。
 狸に翼――もふもふ翼カシラ、それともドラゴン翼カシラ。
 狸なシャーマンズゴーストにウォーマシン……と想像すると思わず、ぷぷっと噴き出してしまう。
「うんうん、可愛くてイイねぇ」
 そう言うと、どの姿でも楽しいと尻尾をふりふり。
「オレ違う種族になってみたかったなぁ、どんなのが似合うと思う?」
 そうコノハが問うと、今度はさつまがコノに似合う種族といろいろ想像する番だ。
「やっぱ狐カシラ」
「狐! 似合……変わてない、よ?」
 コノハの声に耳と尻尾のある姿を想像して似合う、と思ったけれど。あれ、コノはとさつまは気付く。
 そんな様子に笑い零しているとなんとなく、楽しい時間も終わりの気配。
「また、変化しに、ここ、遊びに来たい、ね!」
「そうネ、たまには新鮮な気分でのんびりしに来るのもイイかも」
「変化の水、おみやげに持て帰れない、かなぁ」
 持って帰れはするだろうけれど、ここから離れたらその効力もなくなるような気もする。
 と――さつまは大きく尻尾を振って。
「狸毛並み、もふもふ、する?」
 もふもふ、とコノハは瞬く。
 戻る前にホンモノ狸もふもふを堪能しようと、コノハはにこやかに手招きした。
 するとぽぴゅり変化して、さつまはぴょーんと躊躇いなく胸元へじゃんぴんぐはぐ!
 しかし――がしぃ、とコノハはイイ笑顔で飛びついてきたさつまを鷲掴み。
「ホラ、そこじゃあないデショ?」
「……きゃぅん……」
 そのまま、襟巻のように首元へとさつまを運ぶ。
 せめて太もも……というさつまの願いが聞き届けられることは、なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
かくり(f28103)と

これってもうちょっとこのままかな?
良いよ、お願いでもなんでも言ってよ
なんて云うのはいつもの癖

わぁ楽しそうだね
天の旅なら是非喜んで
わくわくと両手で手を取って
一緒に飛んでゆく軌道を
きらきらと星屑のような光で彩り
見下ろす桃源郷は息をのむ美しさだね

君の眼だけこのままなら良いのにねぇ
顔を寄せひょいと覗き込み
君のいつもと違うだろう金の眼も
じっくり見詰めて彩を覚えておくよ
電子が織り成す蜂蜜色は
神眼よりも鮮やかに見えるのかな

あ、もう終わり?
虚実が仮初に代わり
膨大な数字の雨も消えてって
冷たくなっていく手を握るよ

おかえり、現世の彷徨い人
導いてくれた君の願いを聴いて
私も手を引いて誘ってあげる


揺・かくり
ロキ(f25190)と

依然、此の姿をした儘だね。
間も無く終いが遣って来るとは思うが……
一つ、提案をしても良いだろうか。

斯うして翼を授かったのだ
常とは違う宙を往くのは――如何かな。
先程、君から翔け方を賜ったばかりだが
上手く飛ぶ事が出来る気がするのだよ。

君の姿に念力を纏わせて
己が背に宿す翼を旗めかせよう。
さあ、ロキ。手を
上空から眺む景色は如何だろうか。

常の……屍人たる私は、弱視なのさ
視界に映る景色達が、真に目映く感じるよ。
今なら――
君の眸の色も、捉える事が出来そうだ。

細長い指が縮んで
宿した熱が、肌色と共に失せて往く
ああ、終いの時が訪れた様だね。

戻ろうか、ロキ。
此度は……私の手を、引いて呉れるかい。



●失われていく温もりだけれども
 いまだ揺らめく自分の、電子の身体。ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)はまだ戻らないね、と笑う。
「これってもうちょっとこのままかな」
「依然、此の姿をした儘だね。間も無く終いが遣って来るとは思うが……」
 そう続けた揺・かくり(うつり・f28103)はロキをまっすぐ見て。
「一つ、提案をしても良いだろうか」
 提案? とロキは聞き返す。そしてふふと笑み零した。
「良いよ、お願いでもなんでも言ってよ」
 なんて、すぐに返してしまうのはいつもの癖だ。
 どんな提案でも、お願いでも大丈夫と笑って。
 そしてかくりの提案は――今、この姿だからこその誘いだ。
「斯うして翼を授かったのだ。常とは違う宙を往くのは――如何かな」
 先程、君から翔け方を賜ったばかりだが、上手く飛ぶ事が出来る気がするのだよとかくりはその翼を広げて見せた。
 飛ぶというのは浮くとはまた違う心地。
 かくりはどうかなと誘いをかける。
「わぁ楽しそうだね。天の旅なら是非喜んで」
 その答えにかくりは、ロキの電子の身に念力を纏わせて、そして大きく、己が背に宿す翼を旗めかせた。
「さあ、ロキ。手を」
 かくりが差し出した手。その手をわくわくと、両手を重ねて。
 ふわりとかくりが羽ばたいて飛べばロキの身も空へと引き上げられる。
 その、飛翔する軌跡。この道筋に何もないのはもったいなくて、きらきらと星屑のような光でロキは彩っていく。
「上空から眺む景色は如何だろうか」
「見下ろす桃源郷は息をのむ美しさだね」
 そのきらきらとした道筋は降り注ぐでもあった。
 この上からの光景に瞬いて、ロキはかくりの顔へとひょいと自分の顔寄せ、瞳をのぞき込む。
「君の眼だけこのままなら良いのにねぇ」
「常の……屍人たる私は、弱視なのさ」
 そう、だから――視界に映る景色達が、真に目映く感じるよと小さく笑ってみせて。
 ロキはそうだねと返す。
 見える世界が違う、目映く感じるその瞳は。
「君のいつもと違うだろう金の眼も、じっくり見詰めて彩を覚えておくよ」
 今だけ得たその彩を忘れぬようにと。
「今なら――君の眸の色も、捉える事が出来そうだ」
 かくりも、ロキの色をのぞき込む。
 その瞳もまた常と違う。どう見える、とロキはかくりへと問うた。
「電子が織り成す蜂蜜色は、神眼よりも鮮やかに見えるのかな」
 どう、なんて問えばかくりはそれはね、内緒と言う。
 だってそれはかくりだけ知っている、その色になるのだから。
 本人にも内緒、なんて返していると――かくりの細長い指が縮んで、冷えていく。
 宿した熱が、肌の色と共に失せて往く。
 その感覚を得ていたのは、かくりだけでなくロキもだ。
「ああ、終いの時が訪れた様だね」
「あ、もう終わり?」
 虚実が仮初に代わり、膨大な数字の雨も消えていく。星屑の輝きは小さくなって姿を消していくのだ。
 そして、冷たくなっていくその手を、ロキは僅かに力込めてきゅっと握った。
「戻ろうか、ロキ」
 その声も、よくよく聞き慣れたその高さへと返っていく。
「此度は……私の手を、引いて呉れるかい」
 おかえり、現世の彷徨い人とロキは返す。
 その手は、自分の方が小さかったのに今はそれも変わっていく。
 空の世界はもう終わり。
 導いてくれた君の願いを聴いて、とロキは言う。
 そして――私も手を引いて誘ってあげると、己の姿を取り戻してただ笑んだ。
 冷えて温もりはきえていくけれど、繋がるこの手があることは変わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

桃源郷に平和は取り戻せたけど
僕の姿はまだ男のままだ

ねえヴォルフ、僕に稽古をつけてよ
遠慮はいらない。本気でかかってきて
君と共に並び立つ騎士に相応しくあれるように
もっと強くなりたいんだ

……だって、今のままじゃ僕は……

僕は不安なんだ
この変化はいずれ元に戻ると聞いているけど
それがいつになるかはわからない
1週間、1ヶ月、それとも1年
ずっとこのままだったらどうしようって
こんな僕と『夫婦』でいることを、君は嫌がらないかって

ヴォルフ……?
今は男同士なのに、本当に嫌じゃないの……?

ありがとう
溢れる涙は悲しみではなく、彼の優しさへの感謝と喜び
元に戻っても、君の愛を忘れない
これからもずっと傍に


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

ヘルガが望むなら稽古をつけてもいいが……
しかし、本当にそれで良いのか?

羅刹の俺が有り余る力で彼女を傷つけることも不安だが
それ以上に、彼女が無理をしているように見えて
男になってしまった自分に妻たる資格はあるのかと
自分の心と体の変化に未だ戸惑い
必要以上に気丈に振舞おうとする姿が痛ましい

周囲に人がいないことを確認すると、ヘルガを抱き寄せ口づける
嫌なものか。今は男の姿でも、お前はお前だろう?
以前カクリヨで人の形を失う怪異に巻き込まれた時も
白鳥に変じたお前を俺は迷わず見つけ出しただろう?

どんな姿だろうと関係ない
お前だから惚れたんだ

どんなに変わってゆくように見えても
俺はお前を生涯愛し続けると誓おう



●これからもずっと、ということ
 ゆるやかに風がそよぐ。あふれる緑に桃の花の色――穏やかな空気は桃源郷がもとから持っていたものだろう。
 この桃源郷に平和は取り戻せたけれど、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)の表情はまだ暗い。
 それは己の身がまだ男のままだからだ。
 けれど、この体だからできることもある。
「ねえヴォルフ、僕に稽古をつけてよ」
 その言葉にヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は一瞬だけ言葉詰まらせる。
「ヘルガが望むなら稽古をつけてもいいが……しかし、本当にそれで良いのか?」
 不安がある。今、羅刹あたるヴォルフガングは有り余る力を持っているのだ。ヘルガを傷つけるのではないかということも不安だが、それ以上に。
(「無理をしているのではないか?」)
 男になってしまった自分に妻たる資格はあるのかと――自分の心と体の変化に未だ戸惑い、必要以上に気丈に振舞おうとする姿が痛ましく見えているのだ。
 ヘルガは遠慮はいらない。本気でかかってきてと言う。
「君と共に並び立つ騎士に相応しくあれるように、もっと強くなりたいんだ」
 そういって、ヘルガはぽつりと零す。
「……だって、今のままじゃ僕は……」
 不安なんだと、紡ぐ。
 この身は己のものではあるがそうではないのだ。
「この変化はいずれ元に戻ると聞いているけど」
 それがいつになるかはわからない。
 1週間後か、1ヶ月後か、それとも1年――もっとかかるのかも、わからない。
 ずっとこのままだったらどうしようとヘルガは思うのだ。
「こんな僕と『夫婦』でいることを、君は」
 嫌がらないか――その不安が心を浸していた。
 ヴォルフガングはさっと周囲を見回し人がいないことを確認する。そして手を伸ばしヘルガを抱き寄せ、口付けた。
「ヴォルフ……?」
「嫌なものか。今は男の姿でも、お前はお前だろう?」
 以前カクリヨで人の形を失う怪異に巻き込まれた時も白鳥に変じたお前を俺は迷わず見つけ出しただろう? と、そっとその髪に触れて顔をよく見せてくれという。
 男でも女でも、ヘルガはヘルガなのだと。
「今は男同士なのに、本当に嫌じゃないの……?」
「どんな姿だろうと関係ない。お前だから惚れたんだ」
 その、ヴォルフガングの言葉はヘルガの心へと染み渡る。
 誠実で深い想いのこもった言葉を受け取って、ヘルガはやっとヘルガらしく微笑むことができた。
 ヴォルフガングもふと口端に笑みをたたえて微笑む。
「どんなに変わってゆくように見えても、俺はお前を生涯愛し続けると誓おう」
 その言葉にほろりとヘルガの瞳から雫が落ちる。
 ありがとう、とその音を紡いで。
 溢れるそれは涙だ。悲しみではなく、ヴォルフガングの優しさへの感謝と喜びの涙。
「元に戻っても、君の愛を忘れない。これからもずっと傍に」
 共にあるという喜び。それを胸に、ヘルガもまたヴォルフガングへと告げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシル・エアハート
綺麗だな…。
人間の姿では出来ないけど、 泉に浮かんでのお花見は最高だよ。
鳥さん達が楽しく囀って、動物達もゆったりくつろいでる。
こんなに素敵な景色はどこを探しても見つからないだろうね。
あ、向こうの滝で大きな魚が跳ねてる…!
確かニシキゴイ、だっけ?
本で見るより迫力があるね、ちょっと真似してみよう。

滝の上で思いっ切りジャンプした時の爽快感は絶好調だ。
水しぶきの後の、太陽の光の中に見えた虹。
本当に、最高の絶景。
もう少しこの夢のような時間を楽しみたい。



●揺蕩うて
 ひらひらと、空から桃の花弁が落ちてくる。
 その美しさにセシル・エアハート(深海に輝く青の鉱石・f03236)は瞳細めていた。
「綺麗だな……」
 ぱしゃりと水音を響かせる。こうして泉に浮かんでのお花見、なんていうのは人の姿ではできないことだ。
 今、この水の中で自由に動き回れる姿を得ているからこそのこと。
 綺麗な泉に浮かんでゆったり過ごす。
 鳥たちの囀りが聞こえてくる。時折影が差すのは、自分の上を鳥たちが飛んでいくからだ。
 視線巡らせれば、茂みから動物たちがひょこりと顔をのぞかせたり。
 セシルはいい場所と表情緩ませていた。
「こんなに素敵な景色はどこを探しても見つからないだろうね」
 と――その耳に水の落ちる音が聞こえてきた。なんだろう、と向かった先にあったのは滝だ。
「あ、向こうの滝で大きな魚が跳ねてる……!」
 その滝の近くで跳ねる色。近づきながらそれが何かをセシルは見詰める。
「確かニシキゴイ、だっけ?」
 ばしゃんばしゃんと跳ねるのは尾鰭の力を使ってか。
 セシルはその動きに注目し、そして自分の尾鰭を揺らした。
「本で見るより迫力があるね、ちょっと真似してみよう」
 ニシキゴイの真似をして、セシルも滝を昇る。
 そしてその上で、思いっきりジャンプして跳ねれば――世界がくるりと回ってしまったような感覚。
 けれど楽しく、その時の爽快感は絶好調。
 飛沫が跳ねて、その中に。太陽の光の中に見えたのは虹だ。
「本当に、最高の絶景」
 もう少し。この身でいる間はもう少し――この夢のような時間を楽しみたいとセシルは微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

五条・巴
亮(f26138)

ふう、お疲れ様、亮。

亮と顔を合わせる時に見上げるのもまだちょっと慣れないや。亮に兄弟がいたら、こんな感じ?
今のうちに、いっぱい拝んでおくね。

やっておきたいこと…僕も1人で立てるようになってきたし、この目線で楽しめることもあるだろうし、散歩しよ、わっ!

横抱きにされて慌てて亮の首にしがみつく
あはは、すごいや!怖いから落とさないでね。
女の子になったのも、立てないのも、横抱きにされたのも、初めてだらけだ。
春風に乗った時に感じる風とはまた少し違くて楽しい。

君の無邪気な笑顔見てたら最初に考えてたこと飛んじゃった。
でもいいや、悩んでるなら風をきっていっぱい走る。
今が1番楽しいね


天音・亮
巴(f02927)と

おー
んー
ふぅむ
泉に写り込む自分と睨めっこをしながらまじまじと
変わっていない様でいて変わってる
変化した男の子の亮ちゃんは何だか兄に似ていてくすぐったい
思わずこぼれる笑顔

ふふ。
ん?ううん、なんでもない
ね、巴。女の子で居る内に何かやっておきたいことってある?

私はね…

承諾も得ず抱き上げたきみの身体
所謂お姫様抱っこ

こうやって漫画みたいにお姫様抱っこしてー…ダーッシュ!
言うや否や、強く地を蹴って駆け出し飛び上がる
その一歩は常よりも高く遠くへと届いた

あははっ
ごめんね、驚いた?
でも大丈夫。絶対落としたりしないから!

きみを支える両腕はしっかりと男の子
けれど無邪気な笑顔はいつもと変わらないまま



●今、この姿でしたい事
 桃源郷を脅かすものは、もういない。
 戦い終わり、この場所はもう平和だ。穏やかな風が吹き、ひらりはらりと桃の花弁が舞い踊る。
「ふう、お疲れ様、亮。亮?」
 五条・巴(月光ランウェイ・f02927)が声かけた天音・亮(手をのばそう・f26138)は、しゃがみこんで泉に自分の顔を映していた。
 揺らめく水面へと、正面、右側、左側と顔の角度を変えながら――
「おー、んー、ふぅむ」
 にらめっこをしていた。
 変わっていない様でいて変わってる。まじまじと、いろんな角度から見詰めて、亮は思う。
 目の色や肌の色は変わっていない。けれどなんだか、質感とでもいうのか――女の子の時とは何かが違う。
(「変化した男の子の亮ちゃんは」)
 この水面に映る姿は亮にとって何だか兄に似ていて、くすぐったくて。思わずこぼれる笑顔があった。
 けれどいつまでも泉とにらめっこしているわけにはいかない。亮は水面から顔をあげて巴の方へと向き直り笑いかけ。
「ふふ。ん? ううん、なんでもない」
 立ち上がった亮を巴は見上げていた。いつもは逆だから、これはちょっと変な感じ。
 こうして見上げるのもまだちょっと慣れないや、と巴は零す。
 そしてその顔をじぃ、と巴は見詰めて。
「亮に兄弟がいたら、こんな感じ? 今のうちに、いっぱい拝んでおくね」
 そう言って、本当に拝む巴を見て亮は笑って、問いかける。
「ね、巴。女の子で居る内に何かやっておきたいことってある?」
「やっておきたいこと……僕も1人で立てるようになってきたし、この目線で楽しめることもあるだろうし、散歩しよ、わっ!」
 散歩の言葉にいいよと言って、そして亮は。
「私はね……」
 腕を伸ばして巴を抱き上げた。これがしたいこと! と悪戯が成功したように笑って。
 抱えあげられて驚いた巴は慌てて亮の首にしがみ付く。
「こうやって漫画みたいにお姫様抱っこしてー……ダーッシュ!」
 強く地を蹴って駆け出し、亮は飛び上がる。その一歩は常よりも大きくて、高く遠くへと届いた。
「あははっ、ごめんね、驚いた?」
「あはは、すごいや! 怖いから落とさないでね」
 亮は大丈夫と大きく頷く。そして高く跳んで。
「絶対落としたりしないから!」
 ぶわ、とふたりの顔を、身体を風が撫でていく。桃の花弁も踊って、心が浮き立つ心地だ。
 女の子になったのも、立てないのも。そして横抱きにされたのも、どれもこれも初めて。
 今日は初めてだらけの日だと巴は笑う。
 そしてこうして感じる風は、春風に乗った時に感じる風とはまた少し違うもので楽しい。
 亮も巴をしっかりと両腕で支えて。しっかり男の子の本日は、いつもと違う日だけれども。
 でも、亮の笑顔は変わらない。
 巴は亮の顔を見る。その表情は輝いて、楽しいと目一杯いっているものだ。
 そんな、無邪気な笑顔。
 その顔見ていたら、最初に考えていた事はふわっと、巴の中から飛んで行ってしまった。
(「でもいいや、悩んでるなら風をきっていっぱい走る」)
 そう思って、巴は亮、とその名を呼ぶ。
 その声に亮が視線で応えると巴はふわりと笑って。
「今が1番楽しいね」
 風の中を走る。
 美しい桃源郷――その先へ、何処までも行けるような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【紫桜】

使い慣れてる筈の
月の刀は振るうと少し重くて
力が上手くコントロール出来ない
ふむ、女子ってやっぱり守らなきゃな存在だ
きみと手合わせは初めてだね
おお、大鎌を軽やかに操るシャト格好良い…
すばしっこくにゃんと逃げてれば
白旗のおと

あ、甘やかされた
性別違えどシャトを俺も傷つけたくないし
両者引き分けってことで

もふもふの刑、執行します
ふわふわの羽毛に埋もれて包まれ
ああ、うん、これは天国では…
確かに便利だね、防御力高め
シャト、俺の尻尾も触っていいよーって
2本の尾を腕にくるりん

どんな姿でも
変わらずシャトと出逢えてたら良いなって
俺は願ってる

勿論、覚悟してて
戻ったらきみはおひめさまだ
暫く離してあげないかもね


シャト・フランチェスカ
【紫桜】

身の丈に勝る大鎌をぐるり廻して風を斬る
手合わせといこう
男子の筋力だと少し軽く感じる
…だから、思い余って本当に当ててしまいそうで
いや千鶴の実力なら躱してくれるはず
いやいやそれでもお互い慣れない躰だし

ああもう降参!
いつも以上に可愛くなっちゃってさ
掠り傷だってつけたくないや

大人しくもふもふの刑に処されるよ
翼って良いものだね
飛べるし、いざとなったらこうやって
包み込んで護れるでしょ

ふわふわでつやつやの尻尾
いとおしげに撫でながら
僕も天国の夢心地

違う姿で出逢っていたとしても
僕らは今日みたいに肩を並べて戦えたのかな

―あ、そうそう
姿が元に戻ったら
あべこべじゃないお姫様抱っこ
期待してもいいんでしょう?



●ふわふわ
 ぐるりと円を描く。身の丈に勝る大鎌を廻しシャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は風を斬る。
 手合わせといこう、と笑みを向けたのは宵鍔・千鶴(nyx・f00683)へ。
 そうしながら、手にある大鎌の違和感。男子の筋力だと少し軽く感じると、シャトはその手を見詰めた。
(「……思い余って本当に当ててしまいそう」)
 そう思ったけれど、シャトはふるりと首を横に振る。
 いや千鶴の実力なら躱してくれるはずと。
 そして千鶴もいつもと違う感覚に少し慣れなくて。
 使い慣れている筈の、月の刃は振るうと少し重い。
 力が上手くコントロールできないと感じていた。
「ふむ、女子ってやっぱり守らなきゃな存在だ」
 そのか弱さを、女になって身をもって感じそう思う。
 そしてまっすぐ、千鶴はシャトを見た。
「きみと手合わせは初めてだね」
 ひゅっと、シャトが操る大鎌。その動きをじぃと千鶴は見詰めていた。
「おお、大鎌を軽やかに操るシャト格好良い……」
「いやいやそれでもお互い慣れない躰だし」
 無理はしないようにしよ、といいながら互いに一足距離詰めた。
 大鎌の動きを目で追って、千鶴は身を伏せて避ける。猫の軽やかさは体が動け過ぎる気もして加減が難しい。
 シャトがその動きを追って駆ける。大鎌の刃が閃いて、紙一重で千鶴の横をすり抜けた。
 すばしっこく、時ににゃんなんて言いながら逃げていれば――
「ああもう降参!」
 その大鎌を先に投げたのはシャトだった。
「いつも以上に可愛くなっちゃってさ。掠り傷だってつけたくないや」
「あ、甘やかされた」
 でも、と千鶴も思う。
「性別違えどシャトを俺も傷つけたくないし」
 両者引き分けってことで――と、千鶴はにんまり笑ってシャトの後ろへと回りこんだ。
「もふもふの刑、執行します」
 大人しくもふもふの刑に処されるよというシャトの言葉はゴーサイン。
 もふっとその羽毛に包まれた千鶴はそのやわらかさを堪能する。
「翼って良いものだね。飛べるし、いざとなったらこうやって」
 と、ふわりとその翼は動いて千鶴を包み込む。
「包み込んで護れるでしょ」
「ああ、うん、これは天国では……」
 ふわふわの心地に千鶴も幸せ。翼ってすごい、と思っていると2本の尻尾が躍る。その尾の動きを、なんだかシャトの視線が追っている気がする。
「確かに便利だね、防御力高め」
 そう言って、小さく笑うと。
「シャト、俺の尻尾も触っていいよー」
 2本の尾と腕にくるりんと。
 ふわふわでつやつやの尻尾。最初はそうっと触って。
 いとおしげに撫でるその優しい手。
 僕も天国の夢心地とシャトの表情にも笑みが溢れていた。
 こんな風に姿が変わって。そして得るものは――ふわふわの心地だったのだ。
 そんな中でふと、シャトは思う。
「違う姿で出逢っていたとしても、僕らは今日みたいに肩を並べて戦えたのかな」
 その言葉にぱちりと千鶴は瞬いた。
「どんな姿でも、変わらずシャトと出逢えてたら良いなって俺は願ってる」
 千鶴の言葉を受け取って、シャトは笑う。そして、なんとなくもうすぐ――この姿の終わりを感じて。
「――あ、そうそう。姿が元に戻ったら」
 あべこべじゃないお姫様抱っこ、期待してもいいんでしょう?
 その笑みに返すのは、少女の表情ではなくて。
「勿論、覚悟してて」
 戻ったらきみはおひめさまだと千鶴は告げる。
 暫く離してあげないかもね、なんてくすぐる様に零して笑うのだ。
 次は、落としたりしないよと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
千織(f02428)と
クリスタリアン/女性
精霊は装備参照

ふふーん、悪女イイ感じにジエンドだし!
ちおくんもちょうお疲れ~!
…この喋り、そろそろ辞めようかな。いや、こう、実年齢が頭を過るよね。ひゃくにさいギャルて
ソッチは似合ってるじゃ…止めてスマホどころか記憶に永久保存する俺達の悪友に贈るの止めて。ね(にっっこ)

平穏に満ちた桃源郷を散歩して堪能しつつ、折角だから精霊達にものびのび過ごしてもらおっか
行っておいで、ジベくん!あ、泉には突っ込まな…性別変わってない?君実は無性か?(「ジベ~?」と首を傾げる精霊)

千織のトコの颯くんは…ジベくん狙う目が肉食系?
気のせいかー、でもあのぺしぺし狩ってない?本当?


橙樹・千織
ヴォルフガングさん(f09192)と
神/男性
精霊は装備参照

色々と無事に終わって良かった
ん、お疲れ様
…て、急に現実を見るのですね!?
見た目的には全く問題無いので(面白いですし)いいじゃないですか
ぁ…動画を撮ってロキさんに送っていいですか?

ふふふ、景色の良い場所でのんびりお散歩いいですねぇ
おやつ食べますか?なんてふわほわ笑んで
それはいいですねぇ
ほら、颯も行っておいで
許されればぴゅーんと飛んでく精霊猫
…あら、ジベザベスさん大胆
精霊ですからねぇ、性別という括りが無いのかも??

大丈夫ですよ
食べようとはしてませんから
微笑み、颯を見れば
くるくるジベザベスさんの周りを飛んだ後「にゃあ?」と不思議そうにぺちぺち



●演ずるのももう終わり
 桃源郷に平和が戻る。心なしか空気が穏やかになったような気がして、ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)は胸を張った。
「ふふーん、悪女イイ感じにジエンドだし!」
 ちおくんもちょうお疲れ~! とヴォルフガングはテンション高くにぱっと笑って橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)へと告げる。
「色々と無事に終わって良かった。ん、お疲れ様」
 と、千織が返したところでヴォルフガングはスンッと真顔になる。
「……この喋り、そろそろ辞めようかな」
「……て、急に現実を見るのですね!?」
「いや、こう、実年齢が頭を過るよね。ひゃくにさいギャルて」
 そう言うけれど、そうです? と千織は首を傾げる。
「見た目的には全く問題無いので、いいじゃないですか」
 面白いですし、とは心のうちにとどめて。
 しかしヴォルフガングはそう言えるのは、と思うのだ。
「ソッチは似合ってるじゃ……」
「ぁ……動画を撮ってロキさんに送っていいですか?」
「止めてスマホどころか記憶に永久保存する俺達の悪友に贈るの止めて。ね」
 ダメ、絶対、ダメ、とにっっこと笑み浮かべて。千織が動画取らないように、その手がスマートフォン持ち出さないように念押しするヴォルフガング。
 この姿で出会わぬことを祈るばかりである。
 が、せっかくの桃源郷――ただ立っているだけはもったいない。
 平和に満ちた桃源郷を散歩して堪能をしようと二人、歩み始める。
「ふふふ、景色の良い場所でのんびりお散歩いいですねぇ」
 おやつ食べますか? とふわほわ笑んで。どこから取り出したか甘いものも。
「折角だから精霊達にものびのび過ごしてもらおっか」
「それはいいですねぇ」
 ヴォルフガングの下からふわんと飛び立ったのは、ぬいぐるみの様な見目のジンベイザメ精霊だ。その頭には王冠がきらり。
「行っておいで、ジベくん!」
 そして千織も、ほらと風を司る朝焼け色の精霊猫をここへ。
「颯も行っておいで」
 その言葉に小さな翼でぴゅーんと飛んでいく颯。
 その桜色の瞳は桃の花弁を追いかけることにご執心の様子だ。
「あ、泉には突っ込まな……性別変わってない? 君実は無性か?」
「……あら、ジベザベスさん大胆」
 と、ヴォルフガングが泉には入らないように――と言う前にジベザベスⅦ世は飛び込んでいた。
 ヴォルフガングはジベザベスⅦ世の性別を確かめるが何も変化はない。そしてジベザベスⅦ世も。
「ジベ~?」
 何が? というように首を傾げていた。
「精霊ですからねぇ、性別という括りが無いのかも??」
 千織の考えになるほど、そうかもと頷いて。大丈夫ならいいか、と好きにさせる。
 ふわふわ飛ぶジベザベスⅦ世。と、その周りをくるくる回り始める颯の姿。
「千織のトコの颯くんは……ジベくん狙う目が肉食系?」
 桃の花弁からジベザベスⅦ世へと興味が移った様子だ。
「大丈夫ですよ。食べようとはしてませんから」
 そう言って微笑み、颯を見ればまだくるくるとジベザベスⅦ世の周りを飛んでその後に「にゃあ?」と不思議そうにぺちぺちと猫パンチをしては距離をとり、また近づくを繰り返している。
「気のせいかー、でもあのぺしぺし狩ってない? 本当?」
 ぺしぺし。ジベザベスⅦ世は気にしてないようだ。
 しかし颯の動きはさらに活発になっていく。
 千織はその様子に、大丈夫ですともう一度。あれはちょっとじゃれているくらいですからと、笑って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霄・花雫
【花涯】

ホント、何もなければ綺麗な場所だよねー
ふふ、僕、実はこの身体の内にやってみたいコトあったんだよね

牡丹、おいで?
手を取って自分の膝の上に招くよ
普段は僕自身が相当小柄だから、誰かを膝の上に乗せるなんてやったコトないしさ
こういうシーン、憧れるじゃん?
あ、やる側としてね
牡丹かっわいい、また真っ赤だ

あ、エリシャおにぃさん僕も!ちょーだい?
牡丹を膝の上にしっかり抱き締めたまま、あーん、と口を開けてお強請り
男のコでも女のコでも、綺麗なヒト好きだよ、僕
エリシャおにぃさんも、牡丹も、綺麗だから僕の目の保養ー
えー?こんなに綺麗じゃん、真っ直ぐな黒髪も不思議な瞳も見てて飽きない

っと、戻っちゃったかぁ……残念


千桜・エリシャ
【花涯】

戦がなければ桃源郷も本当に美しい場所だね
折角だから、もう少しこの姿のまま遊びましょうか

桃源郷といえばやはり桃かな
いや、でも珍しい果物も気になるな…
なんて、目につく木に実っている果実を摘んで

ほら、牡丹
剥いてあげるから食べてみないかい?はい、あーん
美味しい?そう、良かった
じゃあ、もっとお食べ
遠慮なんてする必要ないんだよ?
ふふ、また赤くなって
牡丹は可愛いね
はい、じゃあ花雫さんにもあーん
二人とも随分と美味しそうに食べてくれるのだから
おや、褒め上手だね
そういう花雫さんも綺麗で私は好きだけれどもね

なんて笑っていれば
ん?
あら、元に戻りましたのね
ふふ、私はもう少しあのままでも良かったかしら
なんてね


毒藥・牡丹
【花涯】

はぁ……やっと一息つけるのね………
ってえっ!!??まだこのまま!!??
も、戻った後に……ああ……これは駄目なやつね………

へっっ!!??
い、いや私は───うぅ………
(も、もう……心臓が飛び出そう……!)
(誰か助けて……!!)
み、みないで……………

そ、そんなのいらな──う……わ、わかったわよ………!
あ、あー……
──!お、おいしい……!
あっ!いや!別にそんなもっと欲しいとか思ってなくて……!
んん……じ、じゃあ……もうちょっとだけ…………
(だって、こんなに桃が美味しいだなんて、知らなかったから)

あっ……!
や、やっと戻った……!
もう二度とごめんよこんなこと……
…ちょっと、しばらく近寄らないで……



●三人娘の帰還
「戦がなければ桃源郷も本当に美しい場所だね」
 千桜・エリシャ(春宵・f02565)は己を撫でる風をくすぐった層に受けて、折角だから、もう少しこの姿のまま遊びましょうかと二人へと微笑んだ。
「ホント、何もなければ綺麗な場所だよねー」
 くるりとこの光景、改めて見回して霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は紡ぐ。
 桃源郷にそよぐ風はあたたかく、心地良いものがあった。
「はぁ……やっと一息つけるのね………」
 そしてひとり、大きく肩を落として疲れたとぼやくのは毒藥・牡丹(不知芦・f31267)だ。しかし元気。
「ってえっ!!?? まだこのまま!!?? も、戻った後に……ああ……これは駄目なやつね………」
 ぐぬぬと牡丹は唸る。
 まだこの姿だなんて――まだ、男性のままの二人と一緒なんて、耐えられるかどうか――そんな気持ちがあるとかないとか。いや多分あるのだ。
 だってお顔をまっすぐ見られない。
 さて、何をするか――桃源郷と言えばと思い浮かべる。
「やはり桃かな。いや、でも珍しい果物も気になるな……」
 なんて、目につく木に実っている果実を摘んでいくエリシャ。
 ちょっと味見、と口にした瑞々しい小粒の過日は宝石のようで、甘酸っぱさが口に広がっていく。
 でもやっぱり、桃が一番甘い香りをさせおいしそうだ。
 いくつか、手五度なのを見繕って、座ろうと声かける。
「ふふ、僕、実はこの身体の内にやってみたいコトあったんだよね」
 そう言って花雫は意味ありげに笑ってみせる。
 そしてそのやってみたいコト、というのは。
「牡丹、おいで?」
「へっっ!!?? い、いや私は───うぅ………」
 そ、そんなむりむり、という素振の牡丹。
(「も、もう……心臓が飛び出そう……! 誰か助けて……!!」)
 と、願うけれど助けてくれるものはいないのだ。
 その牡丹の手をとって、花雫は自分の膝の上に招いた。
 みてないよ~と言いながら膝の上に抱っこするってこんな感じか~と花雫は楽しそうだ。
 というのも、普段は花雫自身が相当小柄だから、誰かを膝の上に乗せるなんてことをしたことなかったからだ。
「こういうシーン、憧れるじゃん?」
 あ、やる側としてねと続けて。花雫はおやおやと笑い零した。
「牡丹かっわいい、また真っ赤だ」
 つついちゃおうかな、牡丹の頬狙って指先躍らせてみたり。
「み、みないで……………」
 か細く紡いで顔は真っ赤。そんな牡丹はかわいらしい。
「ほら、牡丹。剥いてあげるから食べてみないかい?」
「そ、そんなのいらな──」
「はい、あーん」
「う……わ、わかったわよ………!」
 桃を向いて、その口元へ運ぶエリシャ。いらないと言っても口の前にきたら牡丹は小さく口開く。
「あ、あー……──! お、おいしい……!」
 遠慮がちに齧る。すると芳醇な香りが口の中一杯。瑞々しく甘く広がる味はぱちりと瞬いてしまうほど。
「美味しい? そう、良かった。じゃあ、もっとお食べ」
「あっ! いや! 別にそんなもっと欲しいとか思ってなくて……!」
 けれど、美味しそうに食べていたのだ。まだあるからねと牡丹の口元へ。
 遠慮なんてする必要ないんだよ? と綺麗に微笑む。その笑顔にも牡丹はくらくらしていた。
「んん……じ、じゃあ……もうちょっとだけ…………」
 だって、こんなに桃が美味しいだなんて、知らなかったから――この一口、やっぱり美味しくて。
「ふふ、また赤くなって。牡丹は可愛いね」
 牡丹はううううと唸りつつ、口元に運ばれる桃を素直に食べていた。
「あ、エリシャおにぃさん僕も! ちょーだい?」
 花雫はあーん、と口を開けてお強請り。
 その間ももちろん牡丹は膝の上だ。
「はい、じゃあ花雫さんにもあーん」
 もちろんと口元に運べばおいしそうにむしゃり。
 もう一口のリクエストにももちろんお応えしようとエリシャは口元へ。
 二人が随分と美味しそうに食べてくれるのだからそれだけで心はもう満たされる気持ち。
 桃も美味しいし、今はとても素敵な時間。
「男のコでも女のコでも、綺麗なヒト好きだよ、僕」
 そう言って花雫は柔らかに笑う。
「エリシャおにぃさんも、牡丹も、綺麗だから僕の目の保養ー」
 だから今、一緒ですっごく嬉しいし幸せーと花雫はまっすぐに伝える。
「おや、褒め上手だね」
 そういう花雫さんも綺麗で私は好きだけれどもね、と紡げばありがとう! と笑って。
「えー? こんなに綺麗じゃん、真っ直ぐな黒髪も不思議な瞳も見てて飽きない」
 なんて、話して笑っていたら――姿が変わるのが突然なら戻るのも突然だ。
 ぽふっとちょっと抜けた音と共に、あるべき姿に――三人娘に戻るのも一瞬の事。
「あっ……! や、やっと戻った……!」
「ん? あら、元に戻りましたのね」
「っと、戻っちゃったかぁ……残念」
 牡丹は花雫の膝からおりて、短い時間だったのにいろんなことがありすぎたとそんな心地。
「もう二度とごめんよこんなこと……」
「ふふ、私はもう少しあのままでも良かったかしら」
 僕ももうちょっとあの姿でいてもよかったかも、と花雫は紡ぐ。
「……ちょっと、しばらく近寄らないで……」
 と、牡丹は二人にお願いを。だってすぐに思い出してしまって、顔も真っ赤になってしまうから。
 いつもの自分と違う自分である。それは短い時間だったけれど、とても大きな変化の時間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
びっくりした
あのコ達がこの世界のオブリビオンなのね
体は未だケットシーのままで
負った傷がズキと痛む
普段より感覚が鋭くなってるのだと気付いて
もしかして、味覚も?

視覚と嗅覚とお友達を頼りに野原を歩いて
野苺さん探し、食べてみる
!…甘いの
それだけじゃなくて、
もっと食べたいって思う
これが、おいしいって感覚?

にゃ!
油断すると酸っぱいコに当たって
お鼻に皺が寄ってしまうけれど
その刺激もうれしい

食べる、を繰り返す事で
甘いやしょっぱいは区別出来るようになったけど
アリスのように楽しむ、は難しかったから

はじめて識ったアリスの痛み、味覚
今だけの特別だとしても
経験出来てよかったの
私、今日のコトは忘れないわ
ありがとう、泉さん



●知らなかったものを知って
 まだ、ふわふわほわほわのケットシーの姿のままだった。
 城野・いばら(茨姫・f20406)はびっくりした、と零す。
「あのコ達がこの世界のオブリビオンなのね」
 戦いの事を想い出して――そして負った傷がズキと痛む。
 本当に小さな傷なのに、思いのほか痛いと思うのは普段より感覚が鋭くなっているからだと、いばらは気付いた。
 感覚が、鋭く――それは、もしかして。
「もしかして、味覚も?」
 そう言葉にすると、試してみたくなる。
 すん、と鼻を鳴らして匂いを辿る。資格と嗅覚、それから。
「みんな、お手伝いよろしくね」
 陽気な蝶々や働き者の蜂も頼りに野原を歩いていく。
 そして見つけたのは野苺だ。
 きらきら輝くような色の小さな可愛い果実。
 それにそうっと手を伸ばしぷちりとひとつ、いばらは手にして――口へと放り込んだ。
「! ……甘いの」
 でも甘いと思うだけじゃない。それだけじゃなくて、欲求が膨らむ。
 もっと食べたい、と。
「これが、おいしいって感覚?」
 こてんと首を傾げて、その手はもう一つと野苺つまむ。
 ぱくり、ぱくりと口に運んでいると。
「にゃ!」
 それは、酸っぱい。酸っぱいコにあたったときゅっと鼻に皺が寄ってひくひく。でもその刺激もうれしいものだ。
 いばらにとって、こうして野苺を食べて得られる感覚もとても新鮮なもの。
 そして食べる、という事を繰り返すうちに、甘い、しょっぱい、すっぱいなどは区別できるようになってきた。
 与えられたその味の違いを理解することができる。けれど、まだわからない。
 そのわからないものは――楽しむ、ということ。
「アリスのように楽しむ、は難しかったから」
 それでも、だ。
 いばらは知ることができた。
 はじめて識ったアリスの痛み、味覚。それは不思議な泉の力によって得た、今だけの特別だとしても。
 ふ、といばらは口端に笑みを乗せる。
「経験出来てよかったの」
 私、今日のコトは忘れないわといばらは緑色の瞳を瞬かせて。
「ありがとう、泉さん」
 いばらはこの時間をくれた泉に礼を告げて尻尾を揺らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月01日


挿絵イラスト