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竹林に覆われた温泉が名物の村に、大竜巻の鮫を見た!?

#封神武侠界




 封神武侠界は、大きく二つに分けられる。

 仙界と人界、この二つをつなぐのは無数の洞窟であるのは諸君もご存知だろう。この二つの領域を繋ぐ洞窟は、すべてが把握されている訳ではない。今もまだ、人に知られず存在する洞窟はあるのだ。

「いや、竹林の奥に洞窟があるって爺さんの叔母さんの親友の息子の嫁さんが言っててね」

 新たな洞窟発見のための貴重な情報、それはとある村人から得られた。それが小さな村の身内から……ん? 身内? 途中おかしくなかったですか? あ、はい。流しますね?

 それが小さな村の中から出たのは、間違いない。さらなる情報を得ようとしたが、それは予期せぬ事態により途中で断念せざるをえなかった。

「それより、うちの村は温泉が出てさ。それを名物にしようって温泉まんじゅうから温泉肉まん、色々あるよ? 買ってく? え? 洞窟はどうしたって? んー、ワタシ以外にも知ってる人はいるんじゃない? 温泉巡りのついでに聞いて回ってよ」

 温泉によって村おこしをしようという竹林近くの村で、彼らの口は急にかた……いや、これ饒舌になってるよね? え? アドリブでごまかせ? えーと……。

 彼らから情報を得るためには、温泉を楽しみ友好を温めるしかない! とにかく、そういう方向で!



「……うむ、温泉か。あれはいいものじゃな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、しみじみと呟くとそう語りだした。

「封神武侠界のとある人界の村近くで、仙界と繋がる洞窟がみつかったというのじゃがそこにオブリビオン達が住み着いたようでの。その対処を願いたいのじゃ」

 何でも、竹林には人食い虎が出るようになり、時折大竜巻まで発生するようになったらしい。温泉が出てこれから村おこしを、と考えていた村の人々は頭を悩ませているようだ。

「何にせよ、このままではオブリビオンどものせいで人界仙界両方で被害が出かねん。そうなる前に、オブリビオンどもを倒すのじゃ。まずは温泉の出た村で温泉にでも入りながら、村人たちから情報を得てくれい。戦う前に英気を養うのも良いじゃろう、うん」


波多野志郎
猟兵たちの行く先には、なんと!(ババーン) どうも、波多野志郎です。
今回は封神武侠界で、両界を繋ぐ洞窟に住み着いたオブリビオン達を対峙していただきます。

なお、温泉宿ではちゃんと湯浴み着とか出るのでご安心を。男女別もあれば混浴もあり、お一人様から団体様までがんがん起こしください!

それでは、猟兵たちが何を見るのか。答えはCMの後で!
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第1章 日常 『湯煙たなびく温泉郷へようこそ』

POW   :    礼に始まり礼に終わる。温度高めの温泉で我慢比べだ。

SPD   :    礼に始まり礼に終わる。すべての温泉を楽しむのも、一つの礼儀である。

WIZ   :    礼に始まり礼に終わる。管理する人々に感謝をして、ゆったりと楽しもう。

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水沫・牡丹
ここは妙な既視感を覚える世界じゃのう
…いやなに、うろ覚えで何処も同じように見えるかもな

湯着を借りて一風呂と洒落こむのじゃ
狡いのは承知じゃが、妾ならば殿方のほうが口を割ってくれるじゃろう
混浴に邪魔するとしよう、髪はお団子に纏めるでな
風はまだ冷たい、温泉が身に沁みるのう

聞取り対象は20才以上の殿方じゃ
礼儀正しく《落ち着き》を保ち尋ねるぞ

まず世間話に旅の疲れによく効くやら、笑みを浮かべるやらと友好的に振る舞い
「あとで竹林も散策したい」と言ってUC発動
善意で警告されると思うでな、警告する理由と詳細を話してもらうぞ

話を聞いたら感謝を告げ、のぼせぬようにと返して妾も出るとしよう
礼は厄払いとして返すからのう



●湯煙と無垢なる母

 温泉の村、そこがそう呼ばれるようになったのはつい最近の事だった。行き交う人々はもちろん、迎える村の人々にも浮ついた空気がある。温泉が名物として観光が村の中心になるには、もうしばしの時間が必要だろう。

「ここは妙な既視感を覚える世界じゃのう……いやなに、うろ覚えで何処も同じように見えるかもな」

 水沫・牡丹(弥哭侘の地母神・f27943)は、封神武侠界の空気にどこか懐かしさを感じながらこぼす。彼女がこの村で浮いていないのは、物珍しさに引き寄せられた観光客が多いからだけではなく、その雰囲気もあっただろう。

(「狡いのは承知じゃが、妾ならば殿方のほうが口を割ってくれるじゃろう」)

 長い髪を結い上げ、お団子に纏め上げると牡丹は混浴の温泉へと踏み入った。大気は冷えた方から熱い方へ流れる習性がある――冷たい風が湯着越しに肌を撫でるのを感じて、牡丹は湯船へと足早に急いだ。

「温泉が身に沁みるのう」

 温泉は、体を奥からじんわりと温めていく。吐息と共にそうこぼした牡丹は、ふと視線を感じた。同じように温泉に浸かっていた男は、視線があってそらそうとするが牡丹の笑みに動きを止める。

「噂には聞いておったが、旅の疲れによく効くのぅ」
「あ、ああ……そうだな」

 男はしどろもどろに答え、引きつった笑みを浮かべた。無遠慮に見てしまった、だからからこそのばつの悪さがあったのだろう。だが、牡丹の笑みと世間話にそのばつの悪さもすぐにかき消えた。

「あとで竹林も散策したいものじゃのぅ」
「ああ、あんまりオススメはしないがね」
「ほう、何故じゃ?」

 無垢なる母への保護欲求――牡丹の保護欲をくすぐる声による問いかけに、男は声を潜める。

「観光地だから、あんまりでかい声じゃ言えないんだがね。なんでも、竹林の奥には仙界に繋がる洞窟があるらしい」
「ほう。それが、どうしたのじゃ?」
「最近、物騒だろう? 何でも太古の妖獣どもが出てくるとか。村でも、温泉が出て良かったって言ってるくらいさ。特に、西の竹林の奥には風の妖獣が出るって話だしな」

 牡丹は、なるほどの、とうなずく。ようは竹林で太古の妖獣――オブリビオンが出るようになった。竹林で生活の糧を得ていた者達は、この温泉のおかげで危険な竹林に踏み入ることなく、食うに困らずにすんだ、という事だ。

 まさに不幸中の幸い、それがなければもう人死にが出ていたかもしれない。

「とにかく、西の方は止めておいた方がいい。こりゃああんたのためを思って言ってるんだ」
「うむ、覚えておこう。礼を言う」

 そう微笑む牡丹に、男は「お、おお……」と気恥ずかしげに頭を掻く。とにかく、西が怪しい――その事を、牡丹は突き止める事ができた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
今回は温泉は二の次でいいかな?
『うきゅっ?!』『うにゃっ?!』
…デイズ、ナイツ、そんなに楽しみだったのか、温泉。
だがな、温泉地の楽しみと言えば食事も重要だろう。
ここには温泉饅頭や温泉肉まん等のメニューが色々と豊富らしいし、食べ歩きをメインに行こうじゃないか。
『うきゅー!』『うにゃにゃーん!』
そうかそうか、そんなに楽しみか…(単純なやつらめ)
『チチッ』
なんだ、グローム。お前も食べたいのか?
お前に食事機能とかなかったはずだが…え?自力で構築した?
…まぁ、いいか。(元フォーミュラのこいつに関して深く考えるのはよそう)
じゃあ行くとするか…えーっと、この世界の礼の仕方は確か…


楊・鈴花
温泉巡り、良きものですわね
事件を解決する前に少しのんびりしていきましょうか

まずは温泉に浸かりましょう
行くのは女湯です
女性の方が噂話には詳しそうですもの

いざ温泉を前にすると思わずニコニコしてしまいますわね
すると……あら、何故かお湯がとても心地よい温度に
(※寵姫パワーです)
まわりにいる方々にとっても心地のよい温度のようですね
気分も和らげばお話もしてもらいやすくなるでしょうか?

のんびりしつつ周囲の方々とお話しましょう
最近この辺りに洞窟の噂があると聞いたのですが、なにかご存知?
知っていることなら何でも教えて下さいな

これからお仕事でなければ、ゆっくりとお酒も頂きたかったのですが
今は我慢、ですわね……


豊水・晶
温泉を楽しみながらの情報収集とは、どうせならゆっくりしたいものですがそうもいってられませんよね。ふむ、湯浴み着もあるようですし、混浴風呂にお酒を持ち込んで友好を暖めましょうか。
ふふっ、礼には礼をでそれなりに喋っていただけると助かるのですが。あと、温泉の混浴なので見るだけなら許しますが、手が伸びてきた場合には神罰がバチッとなりますので(ニッコリ)
お酒は飲んでも呑まれるな、でお互いいい気分で終わりましょうね。
アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。


黄・威龍
●POW
ひと暴れ前に温泉ったぁ、随分と気前がいい話じゃねぇか
ちょうど日課で毎朝やってる鍛錬で一汗流したところだ
有り難く英気を養わせて貰うぜ

さて、龍の瑞獣である俺は熱い湯が好きでな
源泉そのものの熱さを楽しめる湯壺に邪魔させて貰おうじゃねぇか
んで、先客はここいらの力自慢の野郎か?
ここが湯でなければひと勝負を願うところだが、流石の俺も【礼儀作法】は弁えている
隠すとこは隠し、堂々と礼をしてから浸かろうじゃねえか

見慣れない顔だが何処から来たかって?
ここより遠い辺郡からさ
身体中の傷だって?
今も昔も無茶し続ける勲章さ
で、ここいらで何か困り事は起きてねぇか?

…あ、ワリぃ
こっちの話が長すぎてのぼさせちまったか



●新名物を堪能しよう

 温泉で賑わう村は、多くの観光客が行き交っていた。その誰もが、温泉を目当てでやって来ていた――のだが。

「今回は温泉は二の次でいいかな?」

 オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)の呟きに、異を唱えたのは二つの声だった。

『うきゅっ?!』
『うにゃっ?!』
「……デイズ、ナイツ、そんなに楽しみだったのか、温泉」

 パタパタと白黒のヘンテコ饅頭のようなデイズとナイツが、オーガストの周囲を回る。その抗議に、しかし、オーガストは敢えて路地にあった屋台に視線を向けた。

「だがな、温泉地の楽しみと言えば食事も重要だろう。ここには温泉饅頭や温泉肉まん等のメニューが色々と豊富らしいし、食べ歩きをメインに行こうじゃないか」
『うきゅー!』
『うにゃにゃーん!』

 ぱたん、と二匹が自分の肩に止まるのを見て、オーガストは苦笑する。

「そうかそうか、そんなに楽しみか……」

 単純なやつらめ、とオーガストが内心で笑うと、ふと背中から小さな鳴き声がした。

『チチッ』
「なんだ、グローム。お前も食べたいのか?」

 同意するように頭の上へと登ってくる八色鋼糸の蜘蛛竜グロームに、オーガストはふと思い出す。

「お前に食事機能とかなかったはずだが……え? 自力で構築した? ……まぁ、いいか」

 元フォーミュラのこいつに関して深く考えるのはよそう、と考えを改めてオーガストは屋台へと歩き出す。湯気の立ち昇る屋台の看板には、名物温泉饅頭とこの世界の言葉で書かれていた。

(「じゃあ行くとするか……えーっと、この世界の礼の仕方は確か……」)
『うきゅー!』
『うにゃーん!』
『チチテッ!』

 オーガストは右拳を左手で包み込む拱手を思い出しながら、屋台の主へと語りかけた。
 ――その後、オーガスト達の周りには人混みが出来る事になる。饅頭や肉まんを食べるデイズやナイツ、グロームの姿に主に子供を中心に大人気だったからだ。

「旦那、ずっとここであの子らに食べさせて宣伝させません?」
「……それはちょっと、勘弁かなぁ」

 屋台の店主の真面目な瞳に、オーガストはしばらく情報収集を待つ事となった……。

●美肌効果があるらしい、と看板には書かれていた

 その頃、楊・鈴花(死人は語る・f32772)は足取りも軽く温泉へと向かっていた。

「温泉巡り、良きものですわね。事件を解決する前に少しのんびりしていきましょうか」
 女性の方が噂話には詳しそうですもの、という理由で鈴花が向かっていたのは女湯だ。美容にも効果がある――かもしれない――と思いつく限りの謳い文句を並べたからだろう、女性にも人気だった。

「はぁ……」

 肩まで湯に浸かれば、肺の奥から心地の良い吐息がこぼれる。いざ温泉を前にすると思わずニコニコしてしまいますわね、と鈴花が思っているとふと湯の温度が上がった気がした。

「……あら、何故かお湯がとても心地よい温度に」

 森羅万象の全てを籠絡する寵姫の眼差しは、温泉のお湯さえデレさせる。隣りにいた心地よさそうに伸びをシていた女性へ、鈴花は口を開いた。

「最近この辺りに洞窟の噂があると聞いたのですが、なにかご存知? 知っていることなら何でも教えて下さいな」
「洞窟ですか? ああ、そういえば村の老人が仙界へ続く洞窟があったって言ってたわ」
「……あった?」

 女性の過去形の言い方に、鈴花は聞き返す。それに加わったのは、女性の友人だ。

「ああ、何か村おこしのために色々村の伝承を調べたんですって」
「でも、竹林で妖獣とかが出て危なくなってからこっち、竹林に行かなくなったらしいって」

 昔は、村にはよく仙人が訪れていた――そういう話が残っていたらしい。だが、風を操る妖獣が洞窟に出るようになり、仙界側はその洞窟を一度塞いでしまったらしい。

「仙人って不老不死でしょ? 気が長いのよねぇ」
「多分、それで数十年くらい使ってない洞窟を忘れたんじゃないかって」
「それは……ありえそうで笑えませんわ」

 そんな馬鹿な、と笑い飛ばせずに鈴花は苦笑する。

「昔、この村が東星(ドォンシン)って呼ばれたのは仙人達がそう呼んだからだって」
「仙界に繋がる洞窟が西にあったからって言ってたわよね、老人さん」

 西ですの、と鈴花はうなずく。少なくとも方角がわかったのは、大きな成果だ。体の芯まで温まりながら、鈴花はふと静かに言った。

「これからお仕事でなければ、ゆっくりとお酒も頂きたかったのですが……今は我慢、ですわね……」

●酒は飲んでも飲まれるな

 鈴花がお酒の事を考えていた頃、混浴ではちょっとした酒盛りが行われていた。

「はい、どうぞ」
「おう! あんがとよ!」

 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)の酌を受けて、男性はクイっと一気に飲み干す。お風呂で血行がよくなっているからだろう、酒の回りが早い。すぐに顔が赤く染まった。

(「ふふっ、礼には礼をでそれなりに喋っていただけると助かるのですが」)

 本当なら晶もゆっくりと温泉を楽しみたいところだったが、そんな時間もない――酒によって伸びてくる男性の手をバチッ! と神罰で弾きながらニッコリと晶は微笑む。

「それで、洞窟の話なんですが……」
「おお、仙界に繋がる洞窟の話な! 聞いたことはあるぜ」

 いてて、と手を振りながら、男はコクコクとうなずく。思い出すことしばし、自分の中でまとめて男性は語り出す。

「元々、この村は昔は仙人がよく来ていたって話でさ。その人達と交流して、それで成り立ってた頃があるってさ」

 ただ、それも数十年前に妖獣が出るようになって一度途絶えたのだという。それ以来、村の産業は竹林に出向いての採集や狩りだったのだが……。

「最近、西の方で妙な妖獣が出るようになったって言うぜ」
「妙な妖獣……ですか?」

 酒を盃に注ぎながら訊ねる晶に、男性はクイっと傾けて続ける。

「おう、風を起こす妙な妖獣でさ。風の中にいて、姿までよく見たヤツはいないんだけど……他にも何か、妙なもんが住み着いたって話だが……」

 とにかく、唯一の産業とも言うべき竹林へ踏み入れなくなった今、温泉に賭けるしかないのが村の人々の本音だ。

「村のもんとしても、妖獣がどうにかなってくれりゃあ温泉と合わせて大万歳だが……そううまく行くとも思えんよ」

 戦う力を持たない者が、冒険を行わないのは正しい選択だ。だからこそ、猟兵がいる――晶は心の中でそう思い、自分達が果たすべき役目を再確認した。

●仙人の伝承

「ひと暴れ前に温泉ったぁ、随分と気前がいい話じゃねぇか。ちょうど日課で毎朝やってる鍛錬で一汗流したところだ。有り難く英気を養わせて貰うぜ」

 男湯に入って、黄・威龍(遊侠江湖・f32683)が笑う。湯船に入る前に汗を流し、肌を茹でるような一番熱い湯を選んでそこへ首まで使った。龍の瑞獣である威龍からすれば、水を混ぜる前の源泉ぐらいがちょうどよかった。

「お?」

 ふと、先客に気づく。鍛え抜かれた筋肉、体に走る無数の傷、明らかに武人という雰囲気の男だった。

(「ここが湯でなければひと勝負を願うところだが……」)

 威龍も礼儀作法ぐらいは心得ている。大人しく湯船に浸かると、武人の方から声をかけてきた。

「お、かなり出来る御仁とお見受けする」
「てめぇもな」

 武に生きる者同士、すぐに意気投合すると威龍へ武人が問う。

「この付近では見ない顔だが……」
「ああ、ここより遠い辺郡からさ」
「ふむ……よく鍛えている。傷からも熾烈な戦いをくぐり抜けられておるようだな」
「この傷だって? 今も昔も無茶し続ける勲章さ」

 はは、違いない、と武人は心地よく笑う。威龍も笑みを浮かべると、彼から問いかけた。

「で、ここいらで何か困り事は起きてねぇか?」
「困りごとか……確かに村人が竹林の西で妖獣が出ると言っていたな」

 ほう、と威龍が目を輝かせる。それに、武人がむしろ驚いたように言う。

「何だ、仙人の伝承を聞いて来た訳ではないのか?」
「いや、知らねぇな。仙人がなんだって?」
「昔、仙人が竜巻をまとう鮫をこの辺りで退治した、という伝承があるのだ」

 もう数十年も前の話だがな、と武人は軽く頭を振って続けた。

「……オレもその伝承を聞いて、ここに来たのよ。この村は仙人がよく来る、とな。しかし、それも数十年前の話でもう姿を見せる事もないらしい。まったく、仙人と腕試しが出来るかと思って来て、肩透かしよ……」
「ほう。なるほどな」

 そういえば、他の猟兵が風の妖獣の話を聞いていたと威龍は聞いていた。偶然の一致、にしては出来すぎている――いや、違うか、と威龍は考え込む。

(「オブリビオンとして、その竜巻をまとう鮫ってのが蘇ったなら……なるほど、辻褄が合うな」)

 そう威龍が思考を巡らせていると、ふといつの間にか武人の姿は消えていた。否、より正確には湯船の中にのぼせて沈んでしまっていた。

「……あ、ワリぃ。こっちの話が長すぎてのぼさせちまったか」
「い、いや……オレの、修行も足りなかった……」

 武人を片腕で引き上げ、威龍は苦笑する。まさか武人も龍と我慢比べしていたとは思うまい。とにかく片腕で武人を担ぎ、威龍は介抱してやるために温泉から出た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『虎』

POW   :    虎視眈眈
予め【敵を睨みつけて唸る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    猛虎幻翼
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    三回攻撃
【爪・爪・牙の連続攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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●竹林に住まう虎の群れ

 かつて、竹林の西には虎が多く住んでいたという。だが、その虎は仙界から村へやって来る仙人の手で多くが狩られ、倒れたとされていた。

 だが、その虎が過去から蘇った。この虎が、騒動の元凶ではない――元凶についてくる形で、過去から蘇ったのだ。

 結果として、竹林の西ではオブリビオンの虎が群れをなして住み着く事となっていた。仙界へと続く洞窟、その周辺を縄張りとした虎達は、今はまだ村を襲う事はない。

 しかし、未来の問題としてそれも時間の問題だ。何故なら、あまりにも急激に虎が増えた事によって、竹林で取れる餌では足りなくなるからだ。

 だからこそ、今こそが人的被害が出るか否かの瀬戸際だった。この虎の群れが出る竹林を抜けて、洞窟を目指す必要が猟兵達にはあった……。
オーガスト・メルト
なるほど竹林か…じゃあ、ここはグロームの出番だな。
『チチッ!』

【POW】連携・アドリブ歓迎
ランスやバイクはここでは不利だからな、徒歩で【焔迅刀】を使って戦おう。
デイズ、ナイツは【竜鱗飛甲】を召喚。操作は任せる。
『うきゅ!』『うにゃ!』
虎と遭遇したらまず竜鱗飛甲による【シールドバッシュ】でUCの予備動作を封じて先手を取る。
後は敵の攻撃を【見切り】、回避しながらグロームに竹を利用してUC【糸砦】を展開させよう。
射程に入ったらUCを発動させて攻撃だ。

【地形の利用】は兵法の基本、戦う時点で勝利は決まっている…とはどこの軍師の言葉だったかな?


豊水・晶
竜と虎、昔から強者を表す比喩として用いられて来ましたが、今まさに竜と虎が対面した形になりましたね。はてさて、どちらが強いのか。早速勝負と参りましょう。いわく、龍は雲を従え虎は風を従えるのだとか。なので私はそれに倣い、天からの雷にてお相手いたしましょう。
神罰、蹂躙を載せて指定UC発動
さぁ!楽しませてくださいな。
アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。



●竹林の王者

 人里から離れれば、そこを埋め尽くすのは竹林だ。地下茎によって地面を埋め尽くした竹は、繁殖力旺盛だ。どこまでも広がる緑の林、そこに踏み入ってオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)が呟いた。

「なるほど竹林か……じゃあ、ここはグロームの出番だな」
『チチッ!』

 ランスやバイクでは、この竹林は向いていない。だからこそ、オーガストは、焔迅刀を腰に徒歩で竹林を進んでいた。

「そっちは頼む」
『うきゅ!』
『うにゃ!』

 オーガストの傍らには、デイズとナイツが召喚された竜鱗飛甲に乗って浮いている。

「いますね」
『チチッ?』

 共に村を出た豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)の言葉に、グロームが鳴く。その鳴き声に答えたのは、オーガストだ。

「厄介なヤツ等が潜んでるみたいだ」

 姿は、まだ見えない。しかし、静寂に満ちた竹林は普通ではない。

「生き物の気配がしません。私達が踏み入ったから、ではないでしょう」

 晶が言うように、竹林に生き物の気配がしなかったのだ。鳥や小さな獣、その他様々な生き物の気配は自然の中でなら当然のようにあるべきだ。

 だが、それがしない――考えられる理由は二つ。一つは竹林に生き物がいない場合。だが、ここは以前は村の人々が生きる糧を求めて踏み込んでいた場所だ。それは考えられない。

「何か、強い獣に見つからないように生き物が息を潜めているのでしょう」
『チチッ!』

 晶の推測に、グロームが鋭く鳴いた。その警告に、オーガストは小さくうなずく。

「いるな」

 こちらの気配を『何か』が捉えた――それを素早く気づき、オーガストは焔迅刀の柄へ手を伸ばした。

『が、あああああああああああああああああああああああああああ!!』

 次の瞬間、飛びかかる巨大な影があった――虎だ。しかもただの虎ではない、過去に生命を落としオブリビオンとなった猛獣である。

「デイズ、ナイツ」
『うきゅ!』
『うにゃ!』

 その虎を吹き飛ばしたのは、デイズとナイツが操縦する竜鱗飛甲だ。足場のない空中では、踏ん張れない――虎はそのまま、吹き飛ばされる!

 だが、それと同時に左右から一体ずつ潜んでいた虎が彼らに襲いかかった。

「竜と虎、昔から強者を表す比喩として用いられて来ましたが、今まさに竜と虎が対面した形になりましたね。はてさて、どちらが強いのか――早速勝負と参りましょう」

 虎達の動きを見切った晶が天竜護法八大宝珠を虎たちへと向け――唱えた。

「天におられる竜王よ。われらが敵を滅されますよう願い奉る」

 ズドン! と護法 天竜の神罰――晶が放った雷撃が、虎達を貫き地面へと打ち伏せる。まだ、虎がこちらにいくつも迫る気配がした。晶はしっかりと身構えて迎撃の体勢を取った。

「いわく、龍は雲を従え虎は風を従えるのだとか。なので私はそれに倣い、天からの雷にてお相手いたしましょう」
『が、あああああああああああああああああああああああああああ!!』

 地を駆け、跳躍し、爪牙を振るう――集団で狩りを行わない虎が、皮肉な事に連携を使うのはオブリビオンだからだ。天竜護法八大宝珠を手に、晶は横回転。ズガガガガガガガガガガガン! と雷撃が四方八方へ降り注いだ。

「さぁ! 楽しませてくださいな」

 その雷による牽制は、跳躍した虎を捉えて地を駆ける虎を急停止させる。急停止した虎を、デイズとナイツは竜鱗飛甲によるシールドバッシュで吹き飛ばしていった。

「地形の利用は兵法の基本、戦う時点で勝利は決まっている……とはどこの軍師の言葉だったかな?」

 孫子の兵法を口にし、オーガストは竹林を駆けながら、言い放つ。

「貴様等は既に俺の砦の中にいる!」

 糸砦【潜焔】――グロームが張り巡らした糸の結界が、虎達を切り裂いた。急停止しながら切り刻まれた虎達が、そのまま地面に転がる。

「まだまだ来ます」
「そのようだ」

 過去の息絶えたはずの虎達は、今はこの竹林に膨大な数いるのだ。晶とオーガストは、戦いの気配を嗅ぎつけた虎の群れを迎え撃った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルミナ・アンヘルマリン(サポート)
彼女の「力」は囮として役立つかもしれません
力のままに周囲を吸収して取り込もうとします
大きな胸と腹は大いに的になる事でしょう


シィエー・スミス(サポート)
 ブギーモンスターの魔女×ビーストマスター、68歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、嘘をつく時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
 鹿(エルク)の魔女。全身を白い布で隠しており、ブギー・ブギーフェイス時以外は極端に脱ぎたがらない。とある神の信者もしくは化身、そのもの。真実は不明

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


天城・千歳(サポート)
本体で行動出来る場所なら本体で、本体の入れない場所の場合は戦闘用リモート義体で行動し本体は義体からの情報を元に【情報収取】【戦闘知識】【世界知識】【瞬間思考力】を使い状況分析及び支援行動を行う。
戦闘状態になったら【誘導弾】の【一斉発射】による【範囲攻撃】で【先制攻撃】を行い、その後は【スナイパー】【砲撃】【レーザー射撃】で攻撃する。
敵の攻撃は状況に応じて【盾受け】で防御するか【見切り】【ダッシュ】【推力移動】を使った回避で対応。
味方とのコミュニケーションはリモート義体が【コミュ力】【礼儀作法】場合により【言いくるめ】を使って対応する。
協力体制を構築した味方に対しては、通信による情報支援を行う。


蛇塚・レモン(サポート)
いつも元気で優しく快活な性格
その身に蛇神と妹の魂を宿す20歳の娘
霊能力と保有する技能及びアイテムを駆使して事件解決を試みます

普段の口調は語尾に『っ』を多用します

時々「蛇神オロチヒメ(裏人格)」ですが老人口調NG
UCで召喚されると巨大な白蛇として顕在化

戦闘スタイル
召喚術士だけど前衛役も出来るパワーファイター
武器は蛇腹剣と指鉄砲から放つオーラガン
基本的に脳筋だけど、左目の蛇神の眼力の催眠術で敵に幻覚を見せたりUCで行動不能に陥らせたり絡め手も得意

多少の怪我は厭わず積極的に行動
また、例え依頼の成功のためでも、他の猟兵に迷惑をかけたり、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくおねがいします!


弥久・銀花(サポート)
敵が集団の場合は罠に掛けて一網打尽、或いは私が囮になって頃島までエスコートしますね

ユーベルコードのワイルドエールで敵に突っ込んだり、縦穴を掘って敵を落としたり
無視できない煽り攻撃で楽しく罵倒しながら他の人の近くまで誘引したりします


(ですが例によって奇襲には弱いので、場合によってはあっさりと敗北します、触手とかエッチなトラップとかには特によく引っ掛かります)



●竹林の戦場

 先端を先行した二人が開くと、竹林はそのまま激しい戦場へと変わっていた。

「みんな、来るよっ!」

 蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)が、竹林の奥から駆けてくる虎の群れを見つけ、そう言い放つ。それにまず答えたのは、天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)だ。

「まずは先制攻撃ね」

 村には入れなかったが、竹林内なら本体が対応できる――ヒュウガガガガガガガガガガ! と降り注ぐ誘導弾による一斉掃射が、竹林に炸裂した。眼下を埋め尽くす爆発、爆発、爆発! 千歳の先制攻撃に無数の虎が飲み込まれ燃え尽き、砕け散る。

『が、ああああああああああああああああああああああ!』

 それでも、その爆発を避ける虎もいた。オブリビオンであるからこその機動力、それによって爆発を突破した虎――それを迎え撃ったのは、レモンだ。

「村のみんな……蛇神様とあたいに力を貸してっ! 顕現せよ、最古の人類悪……っ! 汝の名は、八岐大蛇!」

 戦闘召喚使役術式・目覚めよ、暴虐を奮いし古の蛇神(バトルサモンコード・ライズ・オブ・ヤマタノオロチ)――レモンの召喚に応じたのは、白き蛇神様が変身した巨大な八首の有翼蛇神とその背に乗る衝撃波を放ち万物を斬り裂く霊剣と水の大盾で武装した、かつて滅んだ村の蛇神オロチヒメの信者たちの幽霊だ。爆発を乗り越えて迫る虎達を、幽霊達は霊剣を振るい、衝撃波で切り裂いていく!

「こっちだよっ!」

 ジャラララララララララララララン! とレモン自身も蛇腹剣を振るい、虎を斬り伏せていく。とにかく、数が多い――竹林の西側に大多数が潜んでいて、温泉によって竹林に村人達が近づかなくなったのは、本当に不幸中の幸いだったのだろう。

「お願いっ」
「任せて」

 レモンの声に、再度千歳の砲撃が抜けようとした虎を撃ち砕いていく。こんな危険な存在、一体たりとも残すわけにはいかない。

「でも、こうも縦横無尽に動かれるときついねっ」
「問題ないわ」

 レモンの言葉に、千歳が答える。

「斥候部隊、目標を追跡してください」

 千歳の放つ本体と同じ装備の偵察用義体が、竹林に散っていく。その数は膨大な、決して虎達を残しはしない。

「通信で情報支援を行うわ」

 奥に進むのは、他の者達に任せる――レモンと千歳は、竹林の中央で虎達の殲滅に集中した。

●一体たりとも、残さぬために

 ――虎は、焦らない。だが、この状況が明確に自分達に不利な事を本能で悟っていた。

 数で圧倒的に勝っていた、そのはずだった。しかし、向こうは個々の戦闘能力で虎を大きく引き離している。加えて、範囲攻撃を得意としているからか、数の優位がまったく意味をなさなくなっていた。

 それでも虎の戦意がくじけないのは、今を生きている者への憎悪に他ならない。だからこそ、己の生命を惜しまず次から次へと襲いかかっていく……それは、もはや特攻以外に他ならなかった。

「ウゥォォォオオオオオオオン!!」

 竹林を駆け抜け、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)が駆ける。虎の群れへと突っ込み、激しい咆哮を轟かせながら銀花は白嵐玉椿を振るっていった。銀花のワイルドエールによる突撃は、確かに虎を斬り伏せていく――だが、数が多すぎる。

『がる、あああああああああああああああああああああああああ!!』
「――ッ!?」

 仲間の屍を踏み越え、虎が銀花へと前脚を振り下ろす。その重みと勢い、膂力に銀花が地面へと吹き倒された。とっさに受け身を取るが、前脚に踏みつけられて動きを封じられる――虎が銀花の喉元へ牙を剥こうとした、その時だ。

「させないわよ!」

 虎たちよりも一回り大きい黄金の獅子が、虎へと体当たりする――シィエー・スミス(エルクの魔女・f31366)のライオンライドによる突撃だ。たまらず、虎が体勢を崩したところを銀花が地を滑りながら白嵐玉椿を薙ぎ払い、虎の足を切り裂いた。

『ぐ、が!?』
「今よ!」

 足を切り裂かれて地面に転がった虎を、黄金の獅子が振り下ろした足で踏み砕いた。一息ついたシィエーが、獅子の背から銀花を見る。

「大丈夫?」
「はい、助かりました」
「ううん、こっちが危ないって聞いて急いで来ただけだから」

 シィエーにそれを告げたのは、千歳の義体だ。通信による情報網の構築――広範囲に及ぶ戦場において、それは有効に作用していた。

「こっちよ」

 ――自らを囮にして、ルミナ・アンヘルマリン(アリス適合者のアリスナイト・f30601)が虎達を引きつけていた。竹林の中をかき分け、走る――竹が密集すれば、虎の巨体では強引に抜けられない。だからこその成立する囮と、時間稼ぎだ。

『がる、あああああああああああああああああああああああ!!』

 だが、いつまでも逃げられる訳ではない、一体の虎が強引に竹をへし折りながら、ルミナへと襲いかかった。ルミナはその虎の突撃を受けて、後方へ跳ぶ。

 跳びながら、ルミナと虎はもつれ合いながら地面に落下――する、はずだった。

『がる!?』

 虎は、そこではたと気づく。その地面に、大きな落とし穴がある事に――ルミナは、その銀花が掘っていた落とし穴の存在を千歳の義体から教わっていて、あえてそこに誘導したのだ。

 本来なら、地面に互いに叩きつけられていたはずだ。だが、掘られた落とし穴の分、『猶予』がある。だから空中で、ルミナは間に合った。

「connect……」

 ミスリルレイジ――既に落とし穴に落ちていた虎達ごと、ルミナの下腹部から放たれた光の触手が刺し貫いていく! そして、ルミナが穴に落ちる前に、黄金の獅子に乗っていたシィエーが空中で拾う事に成功した。

「次の落とし穴を用意してくれているわ、急ぎましょう」
「ええ、もちろん」

 シィエーの言葉に、ルミナが微笑む。自分が囮だけで終わらずに済んでいるのは、味方の助けがあるからだと自覚があるからだ。

 黄金の獅子が、竹林を駆ける。銀花が用意してくれている、次の落とし穴へと――その間に、ルミナは黄金の獅子の背で周囲の竹林を吸収して取り込みながら力を蓄えていた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

楊・鈴花
まあ、虎さん
このまま彼らが好き勝手していれば、いずれ村が襲われますわ
未来の憂いをなくすためにも退治しなければいけませんわね……

【天候操作】の術で周囲を少し曇らせておきましょう
霧や霞を生み出すのもいいですわ
兎に角虎さんがわたくしを視認しづらくしておきます
周囲の竹林も利用しつつ、上手く身を潜めていきたいですわね

そのまま敵と距離を取り、UCを発動します
生み出した霊力の手で相手の身体を引き裂いたり、首を絞めたりしていきます
一体一体、着実に数を減らしていきましょうね

……わたくしがやっていること、どう考えても悪人とか犯人の類ですけれど
これも村の平和のためですから
犯人はあなた達ですもの
赦して下さいね?


水沫・牡丹
共存共栄が叶わず、縄張りを奪われた…人を恨む理由にはなれど弱肉強食が摂理じゃ
亡者はあるべき場所に還るがよい

竹林までの移動は精霊馬の二体とともに
虎と相対したらば、すぐさまUCを発動するぞ
竹を傷つけぬよう射程を半分、攻撃力を5倍じゃな
「冥界送りは二体の得手とするところじゃ、ちと荒いのが玉に瑕じゃがな」

二体と多数では撃ち漏らしは出るじゃろうて
そちらは自ら相手するか、新たにこしらえた神剣でのう

しかし斬り込みはせぬ
我が呪詛をもって竜脈の力を活用し、術具として用いよう
重力属性で動きを鈍らせれば精霊馬たち、他の猟兵も攻撃しやすかろうて

なにかできる余裕があればじゃが
周辺の瘴気や邪気を浄化してから移動するかのう


黄・威龍
●POW

湯の中で聞いた話だと、この方角の竹林を突っ切った先に件の洞窟があるって訳だが…
妖獣の臭いが風に乗ってぷんぷんと漂うな
相手は群狼ならぬ群虎と来やがったか
いいぜ、行きがけの駄賃だ
鮫退治前の肩慣らしに虎退治と洒落込もうじゃねぇか

虎視眈々と唸りながらガンつける虎公と対峙しながら身体から覇気をみなぎらせ、こちらもガンを飛ばして【威圧】だ

だが、こちらから先に仕掛けねぇ
相手の動きに合わせながら、焦らしに焦らしてやるよ
直に痺れを切らして襲いかかるだろうが、その分動きは読みやすい
どう俺を殺ろうとするかは手に取るように分かるぜ

隙だらけの虎に俺の拳を打ち込み、『一撃必殺』の元で頭を砕くか首の骨を折ってやろう



●洞窟へ至る道――

 竹林で激しい戦いが始まり、虎の群れと猟兵達が激突していた。その気配と音に気づきながら、黄・威龍(遊侠江湖・f32683)は言い捨てる。

「湯の中で聞いた話だと、この方角の竹林を突っ切った先に件の洞窟があるって訳だが……妖獣の臭いが風に乗ってぷんぷんと漂うな」

 威龍は自身の鼻に感じる気配に、ゴキリ、と拳を鳴らす。

「相手は群狼ならぬ群虎と来やがったか。いいぜ、行きがけの駄賃だ。鮫退治前の肩慣らしに虎退治と洒落込もうじゃねぇか」

 威龍が歩き出す。それこそ、無人の野を行くがごとく――否、天空を駆ける龍がごとくと言うべきか。

 そして、その歩みの途中で竹林に薄い霧が立ち込め始めた事に気づく。温泉が出るような地だ、加えて曇りでも霧はありえない――それは、楊・鈴花(死人は語る・f32772)の天候操作の結果だった。

「まあ、虎さん。このまま彼らが好き勝手していれば、いずれ村が襲われますわ。未来の憂いをなくすためにも退治しなければいけませんわね……」

 鈴花は竹林の物陰に隠れ、虎から身を潜めて進んでいく――威龍に気づき、鈴花は言った。

「洞窟の方へ向かうのですか?」
「ああ、そっちも――」

 威龍が、言葉を切る。鈴花の意図が見えていたからだろう――ハンドサインで制すると、振り返った。

 そこには、威龍の気配に気づいた虎の群れがいる。鈴花は既に霧にまぎれて消えている。威龍は、虎の群れへ向き直った。

『グ、ル、ルルルルル――!』
「生意気に威嚇のつもりか?」

 虎視眈眈と睨みつけてくる虎の群れへ、威龍は視線に覇気を込めて睨み返す。奇妙なまでな静寂を生む拮抗――それを破ったのは、威龍でも虎でもなかった。

「まあ、虎さん・このまま彼らが好き勝手していれば、いずれ村が襲われますわ。未来の憂いをなくすためにも退治しなければいけませんわね……」

 霧から浮かぶように姿を現した、鈴花だ。一体の虎の体が、突然宙へと浮いた――見えない霊力の腕で、鈴花が虎の首を掴んで持ち上げたのだ。

「ふふ、驚きました?」

 鈴花が微笑み、赤手空拳によって虎を群れの中へと投擲する。それに虎の群れは地を蹴って散った――はずだった。

「隙だらけだ」

 威龍の繰り出した一撃必殺の拳が、虎を真正面から殴打する! 前へ出ようとしていた虎は、勢いそのままに頭部へ拳を受けて、鈍い破砕音と共に吹き飛ばされた。まさに一撃必殺――それでも、残った虎が素早く威龍を囲んだ。

「動きは読みやすい――どう俺を殺ろうとするかは手に取るように分かるぜ」

 威龍は動かない――そこへ、水沫・牡丹(弥哭侘の地母神・f27943)が精霊馬の二体とともに駆けてきた。

「牛頭、馬頭、少しばかり仕置きを頼む」

 牛と馬の霊獣たる精霊馬が、牡丹の呼びかけと同時に真の姿である牛頭鬼と馬頭鬼に変形する。牛頭鬼と馬頭鬼が牡丹を追い抜くように踏み出すと、豪腕で虎の群れを薙ぎ払った。

「共存共栄が叶わず、縄張りを奪われた……人を恨む理由にはなれど弱肉強食が摂理じゃ。亡者はあるべき場所に還るがよい」
『が、ああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 仲間が倒れても、虎達は怯まない。さすがの牛頭鬼と馬頭鬼でも、数を完全にフォローしきれる訳ではない。一撃を抜け出す者もいたが――それを鈴花の赤手空拳が、強引に引き戻した。

「――っと!」

 そして、戻された虎の首を威龍の裏拳による一撃必殺が骨を粉砕する。虎が鈴花の匂いを元に視線を向けるも――霧に身を潜めた鈴花は、もうすでにそこにはいない。

「……わたくしがやっていること、どう考えても悪人とか犯人の類ですけれど、これも村の平和のためですから。犯人はあなた達ですもの、赦して下さいね?」

 鈴花は、霧の中を走り出す。その意図に、威龍はすぐに思い至った。

「切りが無い、洞窟まで急ぐぞ」
「うむ、任せよ」

 牡丹が、神剣・五岳盤古を抜く。その時には威龍は、振り返らず走り出していた。その背中を見届け、牡丹は神剣・五岳盤古を地に突き刺す。

 その瞬間、虎達の動きが目に見えて鈍った。神剣・五岳盤古により龍脈を刺し貫き、重力によって虎をその場に縫い止めたのだ。

「冥界送りは二体の得手とするところじゃ、ちと荒いのが玉に瑕じゃが――頼む」

 その瞬間、牛頭鬼と馬頭鬼が重力で動きを止められた虎達を吹き飛ばしていった。地が揺れ、暴風が巻き起こるが破壊にまで発展しない。それは、牡丹が竹林という環境に気を遣ったからこそだった。

 虎達の追撃が途切れた、それを知って牡丹は再び駆け出した。鈴花と威龍の元へ、すぐに追いつく。

「あの向こうに洞窟が――」

 ありますの、と続くはずだった鈴花の言葉が飲み込まれた。

 ヒュオン! そう鋭い乱気流が、竹林を覆っていた霧を一層した瞬間であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大鮫竜巻の精』

POW   :    打神鞭
単純で重い【回避不能なほど広範囲の暴風】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    窮極鮫絶陣(きゅうきょくさめぜつじん)
【人喰い鮫入りの暴風雨】を降らせる事で、戦場全体が【鮫映画】と同じ環境に変化する。[鮫映画]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    仙術・鮫竜巻
召喚したレベル×1体の【サメ】に【回転ノコギリ】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
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●大鮫竜巻の精

 洞窟から姿を現したのは、空跳ぶ人食い鮫であった。人食い鮫は、霧に包まれた竹林を見ると、その場で一度円を描くように回遊し――。

 ゴォ!! とその場に暗雲まで届く暴風が生み出された。

 そう、この鮫こそが大鮫竜巻の精――かつて、この竹林に姿を現し、仙人によって討ち倒された妖獣。そして、過去から蘇りし存在であった。

 もはや、一個人の仙人では手に負えない存在と成り果てて大鮫竜巻の精は人界と仙界を繋ぐ洞窟に身を潜めていた。だが、自身と同じように過去から蘇った虎達が駆逐されるのを感じ、ここに来て悟ったのだ。

 ――己を、再び殺そうとしている者がいる、と。

 ならば、抵抗するまで。生ある者への憎悪をむき出しに、大鮫竜巻の精は暴風で切りを吹き飛ばしながら竹林へと飛び出した……。
二天堂・たま(サポート)
ワタシは流血を伴わない攻撃手段が主だ。
武器:ケットシーの肉球による“負の感情浄化”や、UC:常識を覆すピヨの波動によるスタミナ奪取を多用する。

直接触れないような相手(体が火や毒で覆われている等)の場合はUC:アルダワ流錬金術を応用した攻撃が主力だ。
(火に覆われているなら水、毒液で覆われているなら砂嵐等)

しかし実際には直接的な戦闘以外の方が得意だな。
ボビンケースの糸を使った即席の罠の用意、料理や情報収集や掃除。
UC:親指チックで呼びだした相棒による偵察と、同UCによる居場所交代(テレポート)で潜入・解錠して味方の手引きとかな。

もふもふが必要ならなでても構わんぞ。UCで呼んだ相棒達(ひよこ)もな。


風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


キア・レイス(サポート)
大得意 隠密・潜入・暗殺・遠距離攻撃・籠絡
得意 偵察・探索・支援・制圧・集団戦・時間稼ぎ
不得意 目立つ・コミュニケーション・ボディタッチ・格闘戦
特技(アイテム装備時)ピアノ演奏・歌唱・二輪車操縦

幼い頃から吸血鬼に飼われていた奴隷
吸血鬼の魔力を少量ながら持ち一部UCはそれを元に発動している
現代火器による戦闘と斥候・諜報・盗賊行為が得意な他、色香を使った誘惑が得意技
反面普通の人と関わったことが少なく踏み込んだ会話が苦手、他に不用意に身体を触られると不快感を覚え一瞬身体が動かなくなる

アドリブ歓迎
UCや装備品の説明文は読んで頂くと書きやすいと思います
また一部UC使用時の口調は覚醒時を使用してください


カズマサ・サイトウ(サポート)
普段の口調は「あっし、お前さん、でさぁ、ですぜ、だよ、ですぜ?」、お偉いさん「わたくし、~様、です、ます、でしょう、ですか?」

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、連携の際はライオットシールドで味方をかばう優先。
基本的に己の能力を武器として使用し手に負えない状況にUC使用。
防衛系の戦闘の場合は守備を優先。ただの殲滅の場合、単独または味方が援護系なら突撃する。
近接攻撃を主とする味方が多い場合はライオットシールドで防御しつつ囮になるように行動する。
ガスマスクを装備し耐毒能力を底上げ。


舞莽・歳三(サポート)
真っ向勝負にならないように慎重に行動しよう。無駄な戦闘は避けていざとなれば逃げることも頭にいれておくのが基本的なスタイルだ
出来るだけ闇討ちでかたをつけたいところ。
卑怯で結構、勝ちゃいいんだよ!
(アドリブやその他全てお任せします!)



●仙術・鮫竜巻

 竹林の上空、大鮫竜巻の精が暴風と共に回遊する。それはまさに、海の王者がごとき威風ではあった。だがその実、その瞳に油断の色はない――記憶はなくとも、覚えているのだ。自身を殺し得る存在がいるという事実を。

 だから、大鮫竜巻の精は手を抜かない。この絶対的優位が取れる『距離』、それを死守するために膨大な数の鮫を召喚し、竹林へと解き放った。

「あれはまずいな」

 二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は、親指チック(スニーキング)で召喚した小さなひよこから送られてくるその光景にそう呟いた。舞莽・歳三(とし・f30567)が、その呟きに怪訝な表情を浮かべる。

「まずいって、何かあったか?」
「大量の鮫を解き放った。あの鮫ども――」

 歳三に答えかけたたまの言葉を、雷鳴のような音がかき消した。それは嵐に乗った鮫がノコギリで竹を切り払う音だった。

「――視界を確保して、優位を確保する気だ」
「潜んで近づくってのができなくなりまさぁ、そいつは」
「確かに。だが、それだけではない」

 カズマサ・サイトウ(長きに巻かれる、おにぎり大好き風来坊・f26501)の呟きに同意し、風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)は付け足した。

「こちらを早期に発見できれば、対処が容易になる。そして、逃げの一手も打ちやすい」
「……厄介だな」

 キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)の一言は、この場にいた全員の総意だ。戦場を自分達の言いように整える――知恵によるものか、本能によるものか、どちらにせよ放置はできない状況だ。

「既に向かっている者達がいる。そのフォローに回るとしよう」
「なるほど、あっし等が雑魚を手早く殲滅する、と」

 顕吉の提案にカズマサが補足した頃には、既に彼らは駆け出している。向こうの言いように動かれる訳にはいかない――だからこそ、彼らは自分達の役目を果たす事に専念した。

●竹林にて、狩る者達――

 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! と回転ノコギリが唸りを上げて竹を切り倒していく。ミシミシミシ、と竹の繊維が悲鳴を上げて、次から次へと倒れていく――そこへ、唐突に姿を表したのは小さなひよこと居場所を交換した、たまだった。

「受けよ、我が奥義!」

 前脚を天高く上げて、たまが上空へと肉球を向け悪意・殺意を浄化する衝撃波を放つ。ケットシー・インパクト(ニクキュウ・マジック)によって宙へと吹き飛ばされた鮫は、くるくると弧を描きながら吹き飛ばされて、竹林へと消えていった。

 それを見た鮫達が、たまへと襲いかかる。回転ノコギリが、金切り音を上げて怒涛のごとく迫ってくる――そのノコギリを受け止めたのは、ライオットシールドを構えたカズマサだった。

「――ッ!!」

 ゴォ! と鮫達の暴風とカズマサのライオットシールドの圧縮された風が衝突する。ズサァ、と足元の地面を削りながら圧されたカズマサは、しかし、その風圧に耐え切った。

「今でさぁ!」

 カズマサの声に、無数の銃声が重なった――キアのアサルトライフルによる狙撃だ。

「確実に当ててやる、弾が届くのなら。それが私の役割なのだから――」

 天性の射手(マスターシューター)によるキアの狙撃は、正確にカズマサが食い止めた鮫を撃ち抜いていく。距離、方向、気圧、温度、湿度、何よりも風の動き――この不安定な竹林という場で、タイトな狙撃を必中させる程の技量が、今のキアにはある。

 ギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン! と一際高い回転ノコギリの音に、竹林に散っていた鮫達が集ってきた。数に任せて押し潰さないと、こちらが押し負ける。そう判断したのだ。

「おっと」

 だが、その途中で竹林から駆けてくる人影が鮫へと迫った――歳三だ。鮫の背へと降り立つと、歳三は袖口から取り出したアサシンナイフを鮫の脳天へと突き刺す! その一撃で絶命した鮫を蹴って、歳三は再び竹林に身を潜め疾走した。

(「出来るだけ闇討ちでかたをつけるぜ――卑怯で結構、勝ちゃいいんだよ!」)

 鮫が歳三を追おうとするが、既に視界から消えている――代わりにその場に現れたのは、顕吉だ。

「この世界も日差しが強いな」

 サングラス越しに空を見上げ、顕吉がこぼす。迫る鮫の群れ、回転ノコギリが触れるか否か。その刹那、顕吉が振るったドラクリヤの斬撃が鮫の群れを切り飛ばしていった。

「ちちんぷいっ! と」

 たまがアルダワ流錬金術(クラシカル・アルケミア)によって、その場に砂嵐を巻き起こす。ギ、ギギギギギギギギギギギギギギギッ! と鮫の一部が、回転ノコギリに火花を上げる――砂が回転を、阻害したのだ。

「機械に砂は禁物だろう?」

 そして、顕吉が戸惑う鮫の群れへと駆け込んだ。鮫は反射的に回転ノコギリで迎撃するが、遅い――顕吉のドラクリヤがヒュオン! と風切り音をさせて、虚空を切り裂く。虚実、フェイントを織り交ぜた斬撃が、鮫達のまとう嵐を切り裂き――。

「任せた」

 その切り裂かれた風の隙間を縫うように、キアの狙撃が鮫を正確に撃ち殺していった。

「おっと、行かせやせんぜ?」

 鮫がフィニッシャーであるキアに狙いを変えようとしても、立ち塞がるカズマサがそれを許さない。その間に、キアは次の狙撃ポイントへと駆け出していた。

(「……行ったみたいだ」)

 大鮫竜巻の精の元へ向かう仲間達の気配を察し、キオは思考する。偵察や探索、支援を得意としているキオは、この周囲の地形を把握している――時間を稼ぐため、仲間が敵の元へ安全にたどり着くルートと、そのために自分達に鮫の群れを引きつけるタイミングと場所を正確に割り出していく。

「こちらも派手にいくか」
「そうだな」

 後衛のキオの狙撃を確実なものとするため、前衛中衛の囮となっているたまと顕吉が己の役目を全うする。派手に動けば動くほど、鮫達の意識は二人へと向けられる。そして、全ての仲間達をカズマサがライオットシールドによって守り抜く――それが、彼らの取った陣形だった。

 鮫の群れは気づかない。自分達が徐々に大鮫竜巻の精から引き剥がされている事に。そして、竹林を切り開くという本来ならばもっとも優先して行なうべき作戦が、阻まれているその事を――最後の最後、鮫の群れは残り一体になるまで気づく事はなかった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

オーガスト・メルト
なんで竹林で鮫なんだろうな?『うきゅー?』『うにゃー?』
まぁ、いいか。

【POW】連携・アドリブ歓迎
敵が上空から暴風を叩きつけてくるのならば、こちらはUC【万炎陣】でそれを焼き尽くしてやろう。
そして炎を追い掛けるようにバイク形態のナイツに【騎乗】して急上昇!
ランス形態のデイズで【ランスチャージ】を仕掛ける。
【串刺し】にした状態から炎の【属性攻撃】で敵を内側から【焼却】してもいいな。

空は竜の独壇場だ。お前は海に出てくるべきだったな。


水沫・牡丹
アドリブ・連携◎
恨み骨髄ここに極まるか
じゃが争いに敗れた以上もうお主の縄張りではない
疾く去るがよい

妾の姿はほとんど人、勘違いする可能性が高い
憎悪を向けられればUCは発動する
小龍に召喚されるサメの相手をさせ、残りは本体を狙うのじゃ

そもサメとは大海に住まう者、陸の覇権まで狙うとは驕りが過ぎる
陸の恐ろしさを教えてやろう
我が五穀の宝鏡(装備)にて、地中に根付く竹の地下茎から成竹に成長させ、奴の真下より竹槍の要領で刺突を狙うぞ
外しても『地形を利用』して動きを制限させ、他の者の助けにしたいのう
密度が増せばそれだけ動きにくかろうて

済んだら洞窟に獣除けの『結界術』でも施したいな
獣にとっても過ぎたものじゃからな


楊・鈴花
まあ、鮫さん
強い憎悪を感じます
このまま放っておくのはよろしくないですわね
しっかり退治していきましょう

攻撃が避けられないのなら正面から受け止めればいいですね
封魂符を捨てましょう
より屍人らしくなれば切り刻まれようと平気です
それにここは日光が燦々と降り注ぐ場所ではありませんわ
必要なら林や洞窟の影に身を潜め、【天候操作】の術で雲を呼びましょう
……嵐は吹き荒れておりますが

そのまま鮫達に接近します
身体が千切れようとも再生していきますわ
便利な身体ですね、これ
あとはもう千切っては投げ、千切っては投げの物理で解決です
探偵らしくはないですが、自然の生き物と戦うにはこのくらいが良いのです
事件も解決出来ますしね……!


豊水・晶
あらあら元気ですねぇ。
お仲間が倒されて慌てて出てきたようですが、もう貴方だけですよ。
過去にも村を脅かし退治されたのであれば、二度目の今回は少しは学習して欲しかったですね。まあ無理難題を言っているのは分かっていますが。
村と温泉のためにもう一度倒されて貰います。
指定UC発動 神罰 破魔を載せて攻撃します。

地に落ちなさい!

アドリブや絡みなどは自由にしていただいて大丈夫です。


黄・威龍
●SPD

コイツがあの武人が語っていた、過去に仙人が退治したという伝承の竜巻を纏う鮫か
だが、この嵐のデカさは例え封じた仙人が舞い戻って来たとしても、手に負える代物でねぇのは確かだ
それなら、俺たちがその代わりを勤めれば良いだけだ
問題を先送りする封印ではなく、問題を解決する退治の形でな

しかし、流石に俺の拳では風にヘンテコな鮫相手にゃ分が悪いな
それなら如意宝珠『北辰』、コイツを宿星剣『北斗』の姿に変えさせて貰うぜ
生憎、殴るだけが能ではないんでな

暴風に逆らえば呑み込まれる
ならば、暴風に身を任せて同化し、我が宿星北斗七星の星辰と【破魔】の力を宿す水晶の直刀による『宿星天剣戟』
コイツで鮫と邪精を祓ってやるぜ



●大鮫竜巻の精の元へ

 竹林の中を、猟兵達は駆けていく。必要最小限度、鮫の群れとの遭遇が少なくてすんだのは別働隊で動いてくれた仲間のフォローがあったからだ。

「……ありがとうございます」

 こちらについてフォローしてくれた、影に徹してくれた姿を見えない相手が遠ざかっていくのを感じて、豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)は礼を告げた。答えはない、ただ竹林の影に潜んだ黒いスーツの後ろ姿がチラリと見えただけだった。

「なんで竹林で鮫なんだろうな?」
『うきゅー?』
『うにゃー?』

 走りながらナイツとデイズに問いかけるオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)であったが、要領のある答えは帰って来ない。オーガスト自身も知らないので、「まぁ、いいか」で流してしまった。

 それについての答えを持っているのは、黄・威龍(遊侠江湖・f32683)だ。上空の嵐を見上げ、威龍は呟く。

「アイツがあの武人が語っていた、過去に仙人が退治したという伝承の竜巻を纏う鮫か」
「仙人が退治した?」
「ああ」

 聞き返すオーガストに、威龍は掻い摘んで説明する。かつて、嵐をまとう鮫の妖獣が、仙人によって退治された事。そして、それがオブリビオンとして蘇ったのだろうという事――。

「だが、この嵐のデカさは例え封じた仙人が舞い戻って来たとしても、手に負える代物でねぇのは確かだ。それなら、俺たちがその代わりを勤めれば良いだけだ。問題を先送りする封印ではなく、問題を解決する退治の形でな」
「ええ、強い憎悪を感じます。このまま放っておくのはよろしくないですわね、しっかり退治していきましょう」

 威龍の言葉に、楊・鈴花(死人は語る・f32772)は同意する。あれを放置すれば、多くの血が流れる――オブリビオンの脅威を、猟兵として見逃す訳にはいかなかった。

『ガ、ギ、ギ、ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ!!』

 鮫の群れによる思惑が外れた事に気づいたのだろう、大鮫竜巻の精が嵐の中で唸りを上げる。その声に込められた感情に、水沫・牡丹(弥哭侘の地母神・f27943)が告げた。

「恨み骨髄ここに極まるか、じゃが争いに敗れた以上もうお主の縄張りではない。疾く去るがよい」
『ギギギギギギギギギィ!!』

 ゴォ! と竜巻の中から、巨大鮫がその姿を現す。鮫の群れとは違う、赤く赤く輝く憎悪と殺意に満ちた視線、それを見て晶も言った。

「あらあら元気ですねぇ。お仲間が倒されて慌てて出てきたようですが、もう貴方だけですよ。過去にも村を脅かし退治されたのであれば、二度目の今回は少しは学習して欲しかったですね。まあ無理難題を言っているのは分かっていますが――」

 晶は、瑞玻璃剣の切っ先を巨大鮫へと向け――言い放つ!

「村と温泉のためにもう一度倒されて貰います」

 それが、戦いの幕を開ける合図となった――大鮫竜巻の精が放つ暴風が、猟兵達へと落とされた。

●全てを噛み砕く嵐がごとく――

 打神鞭――その広範囲の暴風は、竹林の一部を地面ごと穿ち、破壊した。ゴォ! と四方八方へと荒れ狂う瓦礫混じりの風は、それだけでもはや凶器だ。

「竜王の炎に燃やせぬものはない! 例えそれが天変地異であろうともだ!」

 その嵐を、オーガストは万炎陣・呑竜咆哮(ミリオンブレイズ・ドンリュウホウコウ)による竜王デイズの視界内で巻き起こる有形・無形を問わず事象を焼却する炎嵐によって燃やし尽くした。この炎が無ければ、文字通りその竹林の一部は完全に破壊されていただろう――熱気交じるの突風が、戦場に吹き荒れていく!

「そもサメとは大海に住まう者、陸の覇権まで狙うとは驕りが過ぎる。陸の恐ろしさを教えてやろう」

 牡丹が五穀の宝鏡を掲げる――五穀豊穣の御神鏡であり、与える陽光は作物の生育促進だけでなく植物さえ操る地母神の三大神器の一つだ。その輝きは、砕けた地の底にはびこっていた竹の地下茎から成竹に成長――ヒュガガガガガガガガガガガガガガガガガガ! と槍のごとく伸びた竹が巨大鮫へと迫った。

『ギギギギギギギギギギギギギギ!』

 ギュガ! とその竹の槍を、巨大鮫の嵐が薙ぎ払っていく。だが、その全てが薙ぎ払われた訳ではない。竹とは硬く、そしてしなやかな植物だ。広範囲に叩きつける風では、全てをへし折るには至らなかった。

「流石に俺の拳では風にヘンテコな鮫相手にゃ分が悪いな」

 その竹を足場に、威龍が駆け上がる。如意宝珠『北辰』を、宿星剣『北斗』へと変化させ威龍は跳ぶ。

「生憎、殴るだけが能ではないんでな」

 威龍が斬撃を繰り出す。それを巨大鮫は身をうねらせて回避、大きく上空へ逃げようとしたその時だ。

「――地に落ちなさい!」

 晶の瑞玻璃剣による左右の連撃、彗閃 竜の天下りの重い連撃が巨大鮫を地面へと叩き落とす! 威龍が敢えて真正面から視線を誘導したのは、この晶の一撃へ繋げるそのためだ。

「今だ!」

 バイク状態のナイツに乗ったオーガストが、ランス状態のデイズを構え加速する。だが、その刹那――豪雨が、竹林に降り注いだ。

 大鮫竜巻の精の窮極鮫絶陣だ――人食い鮫入りの暴風雨を前に、鈴花が言い捨てる。

「攻撃が避けられないのなら正面から受け止めればいいですね」

 鈴花は封魂符を捨て、走り出す。屍身超越――より屍となった鈴花は、体の一部を落ちてくる人食い鮫に食いちぎられようとすぐに再生。止まる事なく、上昇しようとする巨大鮫を抑え込む……本来なら日光でダメージを追ってしまう体になるはずだが、その太陽を暴風雨で隠したのは他でもない、巨大鮫自身だ。

「便利な身体ですね、これ」

 他人事のように、鈴花は言ってのける。鮫の足止めに失敗した巨大鮫は、嵐を巻き起こした。高さという優位を奪われた大鮫竜巻の精が、荒れ狂う――それに怯むことなく、猟兵達は挑んでいった。

●嵐の中で鮫は思う――

 ――どこで過ったのか? 大鮫竜巻の精は思う。鮫の群れが抑えられた事か? それとも虎の群れをもっと有効に使うべきだったのか? あるいは、もっと力を蓄えるまで気取られぬようにもっと息を潜めるべきだったのか?

 ……その全てであり、またもっと根本的な問題だろう。大鮫竜巻の精の最初の過ち、それは――。

「すべては、過去から蘇った事。オブリビオンとなった事から、過ちじゃ」

 牡丹が、その思考を呼んだように言い捨てる。向けられる赤い瞳に宿る憤怒、その害意を受けて牡丹は告げる。

「許せ、謂れなき怨嗟だけは嘆かずにはおれぬのじゃ」
『ギギギギギギギギギギギギギギィ!!』

 憎悪を受けて発動した牡丹の水神母嘆が小さき龍の群れを、巨大鮫が鮫の群れを同時に召喚する――だが、数では既に多くを召喚していた鮫の群れがあまりにも少な過ぎた。鮫を噛みちぎった小さき龍の群れは、次々に巨大鮫にも襲いかかる!

『――――ッ!』

 だが、それを巨大鮫は暴風で薙ぎ払う。吹き抜ける突風、その終わり際。無数の竹が、巨大鮫を囲んだ。

『ギギギギ――!』
「探偵らしくはないですが、自然の生き物と戦うにはこのくらいが良いのですわ。事件も解決出来ますもの……!」

 そこへ、鈴花が駆け込んだ。巨大鮫を囲む竹が砕かれる端から掴み、投げ槍に変えて投擲。巨大鮫へと、その豪腕で突き刺していく!

『ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!』

 もはや、我が身の傷など顧みる余裕など巨大鮫には無かった。傷つきながらも強引に上空へ逃げようとする。それを追ったのは、ナイツを疾走させたオーガストだ。

「空は竜の独壇場だ。お前は海に出てくるべきだったな」

 ドォ! と巨大鮫の腹を、デイズによるランスチャージが刺し貫く。激痛にもがく巨大鮫が、渾身の嵐を巻き起こそうとした――その時だ。

「コイツで鮫と邪精を祓ってやるぜ」

 ヒュガ! と威龍の宿星天剣戟による連続斬りが嵐を切り刻む! そして、二本の瑞玻璃剣を振り上げた晶が――全力で、振り下ろした。

「竜が降るは禁足地。何人も寄り付かぬ不毛の大地」

 彗閃 竜の天下りの一閃が、巨大鮫を切り裂く。その重い一撃に、巨大鮫は落下。地面に触れるよりも早く、雨に溶けるようにかき消えていった……。

「……危なかったですわ」

 晴れていく空を洞窟の影から見上げ、鈴花はため息をこぼす。改めて封魂符を張り直し、屍身超越を解除した。敵を倒して、晴れ渡った空の元太陽光で倒れる、などという事があれば、どっちが悪者だかわからなくなる。

「獣にとっても過ぎたものじゃからな」

 牡丹は、改めて洞窟へと獣よけの結界を施した。これで少なくとも、この洞窟の付近に危険な獣が住み着く事もなくなるだろう。

 ――これは、完全な後日談となるが。

 温泉で賑わうようになった村では、これよりしばらく後、竹林での仕事に戻る者が出た。観光業で稼ぎ者、昔ながらの竹林での仕事で稼ぐ者。どんなものにも会う会わないがある、少なくとも村人達には選択肢が与えられたのだ。

 そして、この村の温泉に時折仙人が訪れるようになった――そんな噂がまことしやかに流れるようになる。それが事実かどうか、それを確かめたくば村を訪れると良いだろう。

 この村の平穏の影に猟兵の活躍があった。それを知る者は、あまりにも少ない。それでも、事実を知り救われた者は語り続ける事を止めないだろう。それこそが、彼らの感謝の形なのだから……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月06日


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#封神武侠界


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フリーダ・エルドラドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト