8
桃源郷大結界

#封神武侠界


●花の向こうで嗤うもの。
「ふふ……美しいこと……」
 清浄なる川が流れ、蝶が舞い、花びらが舞う地。
 封神武侠界において、こういった場所は数多くある。美しいばかりではなく、ここで過ごした者の霊力も高めてくれるのが桃源郷だ。
「ここを私のものとすれば、きっと私の美しさも……」
 しかし、その地は今一人のオブリビオンによって占拠されようとしている。
 周囲を取り囲むように張られた縄が不気味に風に揺れていた。

●結界を越えて!
「諸君! 新たなる世界、封神武侠界への道が開かれた! 早速であるが、頼みたいことがある!」
 ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が猟兵たちを誘う。新たなる冒険の舞台へと。
「諸君は、彼の地に桃源郷と呼ばれる場所があるのを知っているかね? 強い霊力を秘めた、大変に美しい地である!」
 これから向かう場所は白零峰と呼ばれる地で、桃の花が有名なのであるという。
「しかし、ここに目をつけたオブリビオンが周囲に結界を施し、乗っ取ってしまったのだ! それも問題なのだが、それ以上に厄介なことがある!」
 桃源郷で過ごした者は霊力を高める事ができるという。それはオブリビオンであっても同じだ。つまり、放っておけばいずれ手がつけられないことになってしまう。
「それを許すわけにはいかぬ! その前にオブリビオンを退治し、この地を解放して欲しいのだ!」
 敵は屍仙女。一見して美しい姿だが、その下半身は白骨と化している。完全なる美しい姿を取り戻すのが目的だと言うが、それには人の生命力を必要とする。
 強化されればその為に人々を襲うであろうことは明白だ。

「先にも述べたが、現在桃源郷は奴の結界によって侵入者を拒んでいる! まずはこれを突破する必要がある!」
 彼の地に踏み入るには、屍仙女が作り出した吹き荒れる嵐の結界を越えなければならない。常人では立っていられぬほどの風が勢いよく吹き付け、その中では息をするのも困難。どうやって突破するのか、考える必要がある。力技か、あるいは結界自体をなんとかするか。
「諸君ならばこれを破る方法も思いつくであろう! どうにかして中へ突入し、屍仙女を討伐してくれたまえ!」
 桃源郷を独り占めにし、力を高めて人々を襲うであろうオブリビオンを見逃すわけにはいかない。どうか脅威となる前に排除してくれ、とゴッドは続けた。

「ところで、何度も言っているように桃源郷は美しき場所! 敵がいなくなれば、それを諸君が楽しむことに何の問題もない! 折角の機会だ、無事討伐を果たしたならば彼の地を存分に見て回ってきて欲しい! これもゴッドの願いである!」
 桃の花の咲き乱れる桃源郷。花を見たり、酒や料理を楽しんだり。
 流れる川を船で下ってみたりするのもいいかもしれない。
 戦いの後にはそんなご褒美が待っている。さあ、桃源郷を取り戻せ!


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回は早速の封神武侠界。桃源郷を包む結界を突破し、ボスを倒した後はその景色を楽しみましょう。

 一章は冒険で、吹き荒れる嵐の結界を突破して桃源郷に足を踏み入れます。
 方法はいろいろあると思いますので、フラグメントに囚われずに自由な発想でどうぞ。
 二章はボス戦、屍仙女との戦い。
 三章は日常で、平和を取り戻した桃源郷で楽しみます。

 以上、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
76




第1章 冒険 『邪悪なる結界』

POW   :    気合いで身体を動かし、結界の効果範囲を抜け出す

SPD   :    結界を構成する陣や物品を破壊し、術の効力を弱める

WIZ   :    仙術や魔術で結界の干渉に対抗する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

 風光明媚なる桃源郷。しかし今、その姿を見られるものはいない。
「ああ……美しい……」
 ほんの少し離れれば屍仙女の作り出した嵐の結界はその全てを覆い隠し、他者の立ち入りを拒んでいる。
 たちこめる雲。鳴り響く轟音。
 息もできぬほどに吹き荒れる風を突破し、桃源郷を目指せ!
鍋島・小百合子
WIZ重視

わらわの世界とは趣と文化が似て異なる「武侠の世界」…
洗練されし我が武技の腕がどこまで通ずるものか
してどのような食い物と出会えるか…楽しみじゃのう

「止まぬ嵐が道を阻むなればこちらも嵐をぶつけるまでぞ」
巫女装束に早着替えし祭祀扇を携えればUC「神降双演舞」発動
軽やかな足腰から放ちし舞(ダンス、パフォーマンス併用)と祈りを此の地に漂う風の精霊達に捧げては勢い凄まじき嵐を生み出し、わらわ達の行く手を塞ぐ嵐の結界に向け、我が祈りに応えて生み出された嵐を舞の流れと共に叩きつけるか如く吹き飛ばしてくれようぞ!
事が終われば嵐の精霊に多大なる感謝を捧げん



 封神武侠界。新たに発見された世界。
 鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は開けた視界に広がる風景にほう、とため息をついた。
「わらわの世界とは、趣と文化が似て異なる武侠の世界……」
 手にした薙刀を握り、空を見上げる。
 この世界の武侠達は一体どれほどの力を持っているのだろうか?
 洗練されし我が武技の腕がどこまで通ずるものか?
 来たるであろう出会いに想いを馳せる。
 そして。
「どのような食い物と出会えるか……楽しみじゃのう」
 桃源郷に待つであろう実りにも期待は高まるのだ。
 そんな場所を独り占めにしようなどと許してはおけない。

 目指すべき場所はすぐにわかった。晴れ渡る空の中で、一カ所だけごうごうと吹き荒れる嵐が小百合子の行く手を阻んでいるのだから。
「ふむ……」
 これを突破するのは容易ではない。
 ならば、と気合いを入れた彼女はいつの間にか巫女装束を纏っていた。
 祭祀扇を広げれば、そこに描かれているのは鶴のつがいが舞う姿。
「止まぬ嵐が道を阻むなれば、こちらも嵐をぶつけるまでぞ」
 風の精霊に祈りを捧げ、目を閉じる。
 一歩を踏み出せば、もう嵐の音は聞こえない。軽やかなる足の動きは優雅で、繊細だ。
 だが、それは美しいだけではない。だんだんと舞の動きは速くなり、激しさをもましていく。
 やがて小百合子を中心に風が吹き始めた。
「此の地に漂う風の精霊達たちよ! 力を貸してたもれ!」
 その呼び声に答えたのだろうか、風は渦を巻き、力を増し、嵐となる。
「我が舞うは自然の暴利……荒れ狂え!」
 舞い続けながら、嵐の結界へとその身を近づけていく。
 嵐と嵐のぶつかり合い。雷鳴とどろき、木々が舞う。『神降双演舞(カミニササゲシミカグラニトモニカナデルシノウタゲ)』によって作り出された嵐が、道を切り開く。
「感謝を。嵐の精霊に多大なる感謝を」
 桃源郷を包む嵐に、一筋の光がさす。
 辺りは全てを拒んでいるのに、小百合子の進む道だけは静かで、音も無い。
 いざ、一歩を踏み出すのだ。桃源郷へ!
 

成功 🔵​🔵​🔴​

枯井戸・マックス
◇心情
「さて、さっさと片付けてお宝探しと行こうか」
まだ見ぬ魔導遺物を求めて意気揚々
折角だからあたりの景色も楽しみながら進もうか

◇POW
嵐の結界を前に、天秤宮ジャスティスギャザードを召喚
自分の頭を杖で小突き、重力の属性攻撃で自身の重さを数倍増させる
「よーし!これでちょっとやそっとじゃ飛ばされねえぞ」
幸い仮面の俺には呼吸も必要ない
地形の利用で安全そうな道を選び、徒歩で結界の踏破を目指す
風で飛ばされて来る物があれば杖で弾き飛ばし、飛ばされた仲間がいれば鞭で捕まえてやろう

「焦りは禁物。コーヒーを蒸らすように、じっくりと進めようじゃないか」

◇連携アドリブ歓迎



「ほーお、ここが封神武侠界ね」
 広がる青空、白い雲。眼下に広がるは大河。
 枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)は大自然の景色にひゅう、と口笛を吹いた。
 人界と仙界。二つの世界の交流はこの地に様々な文化をもたらしたという。
 破壊されてしまったというが、封神台などという至宝の存在も耳にした。
 まだ見ぬ魔導異物が山とあることは想像に難くない。それらを求める冒険に心は躍るばかりだ。
「さて、さっさと片付けてお宝探しと行こうか」
 その為にも、オブリビオンの暗躍を許すわけにはいかない。
 マックスはのんびりとした足取りで風光明媚な山中を歩き出した。

「はぁーん、すごい風だな」
 そんな彼を待ち受けていたのは吹き荒れる嵐。桃源郷を占拠する屍仙女が作り出したという結界だ。
 無策で足を踏み入れれば、吹き飛ばされてろくな目には遭わないだろう。
「そんなときにはこの商品。取り出したりますはってね」
 慌てる様子もなく手にしたのは、天秤のついた杖。
 くるりと回してこつん、と頭を叩いた。
「よーし! これでちょっとやそっとじゃ飛ばされねえぞ」
 さしたる変化も無いように見えるが、軽い足取りで一歩前へ。
 強く風が吹き付ける。しかしマックスは地に根を張ったかのように微動だにしない。
 にい、と笑うと嵐の中心へと足を踏み入れていく。

 天秤宮ジャスティスギャザード。この杖の力を解放すると、周囲に重力場を展開する。
 彼は自分自身に数倍の重力を付与し、この結界を越えようと考えたのだ。
 身体への負担も大きいだろうに、マックスはそれを感じさせない。
 狙い通り、その体は吹き飛ばされること無く嵐の中を進んでいく。
「おっと」
 ふと、軽く杖を振る。先端に弾かれた鋭くとがった岩石が、軌道を変えて吹き飛んでいった。
 風そのものも危険だが、今の状況ではああいった飛来物のほうが障害となる。
「焦りは禁物。コーヒーを蒸らすように、じっくりと進めようじゃないか」
 着実に、確実に。桃源郷は逃げはしない。
 ふう、と息を吐き出す。
 ヒーローマスクであるマックスには呼吸は必要ないが、心の余裕を保つには有用だ。
 まるで風景を眺めていたときと同じような足取りで、マックスは歩き続ける。
 きっとその先には初めて見る景色が広がっているはずだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

古上・薺
ふむ、何やら初めて見た気がせん世界じゃが…まぁ良い
噂に聞く桃源郷、一度目にしてみたいと思っておったところじゃからの
しかし、その為にはこの結界と、その主を排すべし…
むぅ…面倒じゃが致し方ないの、せめて結界だけでも早々に抜けていくとするか

ま、結界には結界を当てるのが良いじゃろうな、何も結界すべてに作用する必要もないしの
先ずは…わし様を起点とした追従型の結界を霊符を用いて生成(結界術+オーラ防御)して、次に彼の結界の効力の鈍い部分を霊気の流れ等を頼りに見極めて(破魔+結界術(の知識))そこから踏み込めば、此方の結界が破れる前には彼の結界の内側にたどり着けるじゃろ

さて、術比べと行ってみるかの



「ふむ」
 広がる景色。とがった山にかかる霞。吹き抜ける風。
「何やら初めて見た気がせん世界じゃが……」
 新たなる世界、封神武侠界。古上・薺(傲岸不遜な箱入り狐娘・f03595)は広がる景色に既視感を覚える。
 生まれ育った隠れ里は外界から切り離され、霊力にも満ちていた。仙界を擁するこの世界に近しい場所であったのかもしれない。
「まぁ良い。噂に聞く桃源郷、一度目にしてみたいと思っておったところじゃからの」
 ともあれ、俗界を離れた未踏の地への興味は尽きない。目の前にある、というのならば行ってみたいのが人情というものである。
「しかし、その為にはこの結界と、その主を排すべし……むぅ……面倒じゃが致し方ないの」
 吹き荒れる嵐。あらゆるものを拒む結界は、当然のように薺の行く手を阻む。
 
 指先で霊符を天高く掲げ、空を切る。
 淡い光が薺の周囲を包んだ。
「ふむ……こんなところかの」
 嵐の結界は桃源郷全域を覆っているが、中に入るだけならばその全てに対抗する必要もない。
 結界には結界。相手が広範囲に結界を張っているのならば、こちらは最小限の範囲を守ればいい。
 少し辺りを歩き回ってみるが、結界はしっかりと彼女の周囲を守り続けていた。
「先ずはこれで良し。わし様の周りだけなんとかすれば問題ないじゃろ。後は……」
 嵐を見上げる。激しい風がうねり、雷鳴が轟く。
 しかし、よくよく見てみればその強さには揺らぎが見て取れる。
 それは結界についての知識がなければ気付くこともできない、小さなほころびであったが――
「うむ、わし様の目は誤魔化せんぞ」
 ひょい、と身体を踊らせる。抜けた先には戦いが待っている。消耗は少ないほうがいい。
 結界だけでも早々に抜けていくに越したことはないのだ。
「さて……術比べと行ってみるかの」
 すう、と息を吸い込み、一歩を踏み出す。
 ごうごうと吹き荒れる風の音も、薺の耳にはそよ風が如く。
 問題ない。作り上げた結界は十分にこの嵐に対抗できる。
「あとは此方の結界が破れるのが先か、桃源郷にたどり着くのが先か、じゃの」
 その結末には確信がある。わし様の読みが外れるものか、と薺は嵐の中を悠々と進んでいくのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

岩倉・鈴音
武侠。ぶきようながらも己の信条を貫く生き様ですかねンッフッフ♪
ワタシもやってみましょ。
華麗なチャイナドレスによるアイヤーアクション!
暴風にさかわらず空に舞います。
風の向きが変わったり隙あらば
桃源郷のほうへ入り込むよう努力します。
吹き飛ばされない樹木があればしがみついて休みます。
とにかく桃源郷にはいれば桃と桃まん食い放題だ!と、気合いでメンタルを保ちます。



「武侠……ぶきょう。ぶきようながらも己の信条を貫く生き様ですかねンッフッフ♪」
 岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)は、自ら発した言葉で満足げに笑う。
 武侠とは、大体そんな感じである。その生き様を示すために武を極める。
 彼女もまた、銀河犯罪組織に制裁を加えるために宇宙船を渡り歩く者。その名もJKハングマン。
 そんな鈴音がこの封神武侠界という世界に降り立ったのならば、することはひとつ。
「ワタシもやってみましょ」
 そう、わくわく武侠体験である!

「アイヤー♪ 空も翔べるアル~♪」
 そんな鈴音はユーベルコード『アイヤーアクション』で、桃源郷を包む嵐の結界に挑む。
 サイボーグとはいえ元々小柄な彼女がその体重を10分の1にしてしまえば、もうそよ風にだって乗れてしまう。
 ……いや、そんな状態でこの嵐。大丈夫なのか?
「ンフフ♪ スリル満点♪」
 舞い上がった身体を上下左右四方八方に振り回されながらも、なんだか楽しそうだ。
 辺りには巻き上げられた木々や岩が舞っているが、風に逆らわず流れに乗ることでそれらの脅威も難なく回避。
 スピードはどんどん加速し、音速を突破。
「……あれ?」
 首をひねる。一向に桃源郷にはたどり着かない。
 結界は侵入者を拒む者。中に招き入れてはくれないのだ。
「いけない、これでは桃の食い放題に遅れてしまいますな」
 さてどうしたものか。眼下には別の手段で桃源郷を目指す猟兵たち。
 そんなとき、一本の鞭が鈴音に向けて振られた。
 とっさに先端を掴めば、持ち主の猟兵が持ち手を引いて、合図する。
 どうやら彼女が吹き飛ばされていると思ったらしい。
「おお、これは楽ちん。一休みといきましょう」
 身体を宙に浮かべたまま、一人の猟兵に連れられてゆっくりと桃源郷へと近づいていく。
 その姿はまるで風船のようであった。嵐に振られて暴れ回ってはいるのだが。

 そうして進む内、鈴音は風の流れが変わったことに気付く。
 先行する猟兵の一人が起こした風が、外へ向かうだけだった嵐を桃源郷へと引き寄せていく。
「ンッフッフ、ならばワタシもそれに乗らせてもらいましょう。桃まんが待っているので!」
 覚えたての拱手でここまで連れてきてくれた猟兵に礼をすると、鈴音は別の風に乗る。
 桃と桃まん食べ放題。桃源郷を取り戻せば、そんな未来が待っている。
 でも忘れないで! まずは占拠しているオブリビオンを倒さなければいけないんだぞ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライカ・ネーベルラーベ
この先にいるやつをぶっ壊せば良いんだっけ?
この先の場所をぶっ壊せば良いんだっけ?
まぁ、行けばわかるでしょ

「わたしなら行けるさぁあははは!!いつだって風と嵐はわたしの味方なんだからさぁぁぁ!」
【舞え、勝利を誓うは鋼と雷の翼竜】を発動
かつての様に空舞う竜騎兵として雷光を撒き散らしながら結界に突っ込むよ
勿論、力づくで破る一択でしょこんなの
「たかが向かい風如きに負けるようじゃさぁ!世界なんて救えるわけ無いじゃんさ!」

……わたしはそういうものだったんだっけ?
世界を救おうだなんて、願っていたんだろうか?
視界が、回る

「知らない。何も知るもんか。わたしはただの、動く死体なんだから」
(雨が涙のように頬を伝う)



 ごうごうと唸りを上げる嵐。見上げているのはライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)。
「この先にいるやつをぶっ壊せば良いんだっけ?」
 そう。霊力を得て人々を脅かそうとするオブリビオンはこの嵐の向こうにいる。
「この先の場所をぶっ壊せば良いんだっけ?」
 違う。桃源郷はぶっ壊してはいけない。取り戻したら楽しみましょう。
 少々不安な言動を見せるライカであるが、猟兵としての使命はいつも果たしている。きっと今回も大丈夫だろう。
 愛用のバイクに手をかけ、スロットルを回す。
「まぁ、行けばわかるでしょ」
 心臓のメガリスが脈動し、全身に青白い光が巡る。
 彼女は荒れ狂う風へと走り出した。

 結界というだけあってその抵抗は強く、バイクも左右に振られて思うような速度を出し切れない。
 この策は失敗だったか? 何も知らぬものが見ればそう考えただろう。
「わたしなら行けるさぁあははは!! いつだって風と嵐はわたしの味方なんだからさぁぁぁ!」
 しかしライカは止まらない。叫びと共に握りしめた手に力が増していく。
 すると、どうしたことか。二輪車であるはずのDonnerの姿に重なるものがある。
 それは竜だ。翼を広げた竜。
 じりじりと、バイクは。竜は。その速度を増していく。
「たかが向かい風如きに負けるようじゃさぁ! 世界なんて救えるわけ無いじゃんさ!」
 そして、今こそ『舞え、勝利を誓うは鋼と雷の翼竜(スピリット・オブ・フルメタルドラグーン)』!

 嵐をものともせずに、雷鳴を轟かせながら進む竜。その背に乗ったライカ。
 それは空舞う竜騎兵。かつての――
「そこに居たんだね……」
 ふと口をついて出た言葉。こうして空を飛ぶのは初めてではなかった気がする。
 ……わたしはそういうものだったんだっけ?
 空っぽの記憶。何処かへ行ったきり、帰って来ていないもの。
 世界を救おうだなんて、願っていたんだろうか?
 猟兵とは、オブリビオンと戦い、世界を救うもの。
 思考が定まらない。
 視界が、回る。

 一瞬のようにも永遠のようにも思える思考の暗闇を越えて、意識がはっとする。
 何をしようとしていた? 何をしようとしている?
「知らない。何も知るもんか。わたしはただの、動く死体なんだから」
 その頬に流れる冷たいものは何なのか。
 ライカ自身すらその答えを知らない。
 風は吹き付けるばかりであった。今はただ、嵐の向こうへ進むだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『屍仙女』

POW   :    白骨仙女
自身の【美しい上半身の肉】を捨て【絡み合う白骨の身体を持つ怪物】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD   :    雲身变化
自身の身体部位ひとつを【雲】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    宝貝「芭蕉暴嵐撃」
自身が装備する【芭蕉扇】から【暴風】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【窒息】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 嵐を抜けた猟兵たちが目にしたのは、厚い雲に覆われて薄暗い中でも、美しい小川が流れ桃の花が咲き誇る桃源郷の景色であった。
 その中心。ひとりの女が横たわる。
 侵入者の存在に気付き起き上がった屍仙女は、猟兵たちに向けて告げる。
「無粋な者たちね。私が完全なる美しさを取り戻すまで待てないなんて」
 その下半身は聞き及んでいたとおりに白骨化していた。
 だが、その範囲は後脚だけ。前脚には肉が蘇りつつある。既に桃源郷の霊力を吸収していたというのか。
「こうなれば、まだ足りない生命力はあなた方からいただくとしましょう」
 手にした大きな芭蕉扇を振れば、猟兵たちに向けて強く風が吹き付ける。
 屍仙女はその様子を眺め、不気味に微笑むのであった。
鍋島・小百合子
POW重視
真の力解放!

嵐を抜けた先に待ち受けたは桃の楽園と不浄の輩であったか
両者共に似つかわしくないのう

「貴様の言う美しさとやらの真実、嫌というほど照らしてやろうぞ」
真の姿たる黒鋼甲冑を纏えば、UC「精錬降魔刀」発動にて自身の想像から「太陽」と「聖光」の属性をもった一本の魔刀(太刀型)を創造
その性能に絶対たる信を置き、魔刀の持つ二つの属性から放つ光を刀身に輝かせ、破魔と神罰の力を併せた斬撃を当てていく(属性攻撃、乱れ撃ち、切り込み、鎧砕き併用)
その醜き体を骨ごと砕いてくれるわ!
敵からの攻撃には残像を纏いつつの見切り回避か魔刀による武器受けで防御
敵が隙を見せればすかさず咄嗟の一撃を喰らわす!


ライカ・ネーベルラーベ
ああ、何を壊すんだったか
見れば一目瞭然だ
守るべきはこの地で
――滅ぼすべきが、あの女
「お前もわたしも、半端な残骸同士!お互い壊し合うのも悪くないよねぇ!」

【Donner突撃/チェーンガンブレード四刀流】
仙女をすりつぶして無残な残骸に変えんと、凶器四本を振り上げて哄笑と共に突撃
体の一部を雲に……変えるなら脚あたり?
だけど全部じゃないなら殺せる
斬れる部分が残っているなら!
「舐めるなよ術使い!雲を切り裂いて翔ぶのが竜騎士だ!」
たとえ相手が空を飛んでも問題ないよ
低空なら銃弾が、高空でも雷がお前を逃さない

必死に取り戻したがっているその肉
全部削ぎ落として豚の餌にしてやる!


古上・薺
ふむ、わし様や他の者共を喰らって済ませると宣うとはの…
なれば、その企て、上手く行くか計らせてもらおう

とはいえ、素直に妖火を放ってもあの扇で煽り返されるのは自明

となれば、それなりの術で対応するまで…じゃな
彼奴に向かって少々派手に妖火を放ちつつ、霊符を地へと撒き、術の布石としておくかの(焼却+範囲攻撃+フェイント)
風で返されようとわし様にそこまで火は効かぬからの、霊符に目がいかなければよい
そのまま彼奴を要として半円を描くように移動できたなら…
地へ撒いた霊符を起点とし炎極大蛇を形成
背後から締め捉えてみよう
動きを封じられたならばあとは焼くなり蒸すなり如何様にもとな


枯井戸・マックス
「無粋で悪かったな別嬪さん。だが、まだまだ好き勝手させてもらうぜ」
吹き付ける暴風は天秤の杖による重量操作で耐えつつ、人馬宮デッドリーアロー改を追加召喚
レーザー矢なら風の影響も受けないはずだ
射程を活かして狙撃するぜ

◇対UC
「おいおい復活はいいのかい? ならこっちもギア上げていくぜ」
こちらも鎧姿に変身し攻撃力と防御力を強化
選択するのは天秤の皿を模した笠を被った天秤座の鎧
一気に接近して杖による打撃、奴の重量を超増加させて動きを縛る
「どれほど硬くとも再生しようとも、動けなくなれば同じことだ」
あとは殴って殴って重くし続けるぜ
「生憎俺も生命力はかつかつだ。分けてやるわけにはいかないな」

連携アドリブ大歓迎


岩倉・鈴音
桃源郷の桃まん一番のりはワタシだ~。
仙女は邪魔だからぶっ倒す。

みたところ脚は回復しつつあるようね。
感覚はどうかしらねンッフッフ♪
ジャジャ~ンと魔筆を取り出します。
筆は紙や宙に文字書くだけが使い道じゃない。こんな使い方もアルヨ!といい【全てを塗りたくれ】も使用し、仙女の顔や身体に◯や✕など羽子板で負けたときのようにつけていく。

他にもあるぞ、くすぐり刑こちょこちょ~♪
と、筆で攻撃だ!
ンッフッフ。どうだ筆攻撃の味はァ♪



「無粋で悪かったな、別嬪さん」
 自らの肩を杖でトン、と叩きつつ枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)が笑った。
 桃源郷。桃の花が咲き、光溢れる霊力に満ちた地。
 そんな場所を占拠しておきながら猟兵を無粋と罵るとは。
「どの口で言うておるか。斯様な景色を独り占めなど、お主の方が無粋じゃろうに」
 扇で口元を隠し、古上・薺(傲岸不遜な箱入り狐娘・f03595)はオブリビオンへと視線を向ける。
 屍仙女は余裕の表情を崩さない。吸収した霊力の大きさに自信があるのか、それとも。
「完全なる美しさを取り戻すためならば許されます。私が許します。そして邪魔するものは許しません」
「許すとか許さないとか知りませんな~。桃源郷の桃まん一番のりはワタシだ~」
 不遜なる物言いに岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)が応じる。
「つまり、邪魔なのはそっちだからぶっ倒す」
 彼女の目的は既に先を見ている。この地を取り戻した後に訪れる至福の時間を。
 厚い雲と吹き荒れる嵐に黄昏れる桃源郷はその美しさにも陰りがある。
 それを取り戻すためには戦わなくてはならない。
「嵐を抜けた先に待ち受けたは桃の楽園と不浄の輩……一つ所にあるには似つかわしくないのう」
 鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が扇をパシンと閉じ、突きつける。
「あるべき姿を取り戻して進ぜよう」
 即ち、桃源郷に光を。オブリビオンを骸の海へ。
「私のあるべき姿、それはあなた方を喰らうことで取り戻される」
 屍仙女が芭蕉扇を振る。取り囲む風がだんだんと強くなった。
 そんな中、嵐の結界から飛び出すものがひとつ。
 竜の背に乗ったライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)だ。
「ああ、何を壊すんだったか。見れば一目瞭然だ」
 守るべきはこの地で――滅ぼすべきが、あの女。
 桃源郷を巡る戦いの火蓋が切って落とされた。

「唸れ宝貝! 荒れ狂え嵐!」
 屍仙女が芭蕉扇を振るう度、猛烈な風が猟兵たちに襲い来る。
「ひゅう、やるやる。だが、まだまだ好き勝手させてもらうぜ」
 だがマックスはどっしりと構えて動かない。結界を抜けてきたときと同様、重力を付与しているのだ。
 もちろんただ突っ立っているわけではない。既にその手には大弓――人馬宮デッドリーアロー改が握られている。
「こいつのレーザー矢なら、どんな嵐でも問題ないぜ」
 銃口から放たれる光は風をものともせずに突き抜け、屍仙女へと向かう。
 だが、一瞬で貫いたかと思えばすり抜けてしまう。
「フフフ……」
 屍仙女が笑った。5人を相手にまだまだ余裕を見せている。
 だが小百合子の目はそのからくりをしかと捉えていた。
「ほう……命中の瞬間に身体を雲霞の如く……」
 光も雲の中では散ってしまい、その威力を発揮できない。
「なるほどのぅ」
 薺が妖火を放つが、吹き荒れる風の前では小さな灯火。逆に煽り返されてこちらに向かってきてしまう。
「わし様や他の者共を喰らって済ませると宣うとはの……それだけ力はあるようじゃ」 
 自らの炎に焼かれるような事はないが、力押しは難しそうだ。
「そんな小さな炎、私の嵐には通じません。押し返して貴方を焼いてあげましょう」
「なれば、その企て、上手く行くか計らせてもらおう」
 薺はじりじりと、弧を描くように位置をずらす。
 妖火を放つことはやめない。炎の勢いを強めても芭蕉扇に煽られて派手に炎をかぶる。
 熱は問題ない。だが焼けた空気が息苦しさを感じさせた。それでも、薺の瞳に諦めの色は見えない。

「あああっ! うざったい!」
 ライカが振るったチェーンソーの刃がすり抜ける。雲と化した屍仙女は風に乗ってゆらゆらと動き、捉えられない。
 光もダメ。炎もダメ。物理もダメ。何とも厄介な能力だ。
「ほほほ、美しさと力を取り戻しつつある私に抗おうなどと愚かと言わざるをえませんね」
「ふむふむ、前脚には肉が戻って来ているようね」
 が、油断があったか。術を解き実体化した屍仙女の足元に鈴音の接近を許してしまう。
「っ……いつの間に!」
「感覚はどうかしらねンッフッフ♪」
 この状況はまずい。芭蕉扇を掲げて風を起こそうとしたところで、鈴音が何かを取り出した。
「確かめるとしましょう! ジャジャ~ン、禁断の魔筆~♪」
 ぞわり、と何かが背筋を走った。筆が肉を得た脚をつう、と滑り、得も言えぬ感覚を産み出しているのだ。
「筆は紙や宙に文字書くだけが使い道じゃない。こんな使い方もアルヨ!」
「ひっ……あっ……くっくっ……」
 筆の動きは足の裏にまで到達し、黒い墨が円を描く。思わず息を吹き出し、全身が弛緩する。
「ンッフッフ。どうだ筆攻撃の味はァ♪」
「おのっ……おのれ……やめっ……雲身変化ぇ!」
 筆が雲をすり抜け、その勢いで飛び散った塗料が大地に広がった。
 雲と化した下半身を風に乗せ、屍仙女はふわりと浮かび上がる。
「この私を笑いものに……許すまじ!」
「あははははっは! そのまますりつぶしてやるよおおおおおっ!」
 だが、それはあまりにも大きな隙だ。雲と化していない上半身めがけて、ライカが突撃する。 
「お前もわたしも、半端な残骸同士! お互い壊し合うのも悪くないよねぇ!」
「ぐがっ!」
 竜騎兵が空を駆ける。『Donner突撃/チェーンガンブレード四刀流(キャバリエ・クアッドアサルト)』によって放たれた銃弾の嵐が肉に食い込む。
 一瞬の油断。その代償は大きかった。

「おのれぇぇぇぇ! 愚かな人間の分際で! 私の身体を!」
「おっと、化けの皮が剥がれて来ちまったかぁ?」
 怒りと共に芭蕉暴嵐撃の勢いが増した。
「こんな醜い姿……! こんな……!」
「それこそがお主本来の姿じゃ!」
「いいえ、違う! 違う!」
 嵐の中心で屍仙女が叫びをあげる。
「私は美しさを取り戻すのだぁぁぁっ!」
 暴風の向こうで、何かが千切れる音がした。 
 果たして、そこにいたのはそれまでとは似ても似つかぬ絡み合う白骨の身体を持つ怪物。
 白骨仙女――それこそが屍仙女の正体である。
「貴様らの……肉をよこセェ!」
 
 それまでふわふわと捉えどころのなかった動きが鋭くなった。
 嵐を辺りにまき散らすことはなくなったが、自身の周囲にだけ纏わせた空気の流れが攻撃を届かせない。
「本気、ッてことかい? ならこっちもギア上げていくぜ」
 溢れ出す霊力。その脅威を前に最初に動いたのはマックスだった。
「星辰の導きに従い来たれ! サモンアーマー!」
 そこにいたのは天秤座の鎧。『召喚武装(ゾディアックアーマー)』を纏い、笠の下でマスクの瞳が光る。
「愚かなァ!」
「ぐっ……」
 勢い任せの一撃を受け止めると、ずん、と足元の地面が沈んだ。
 重い攻撃だ。重力操作でその体が揺らぐことはないが、増大した戦闘力を持ってしても力比べは互角。
 押し返すのも退くのも難しい状況だ。
「さァ! 生命力をよこセェ!」
「生憎俺も生命力はかつかつだ。分けてやるわけにはいかないな。やれ!」
 だが、猟兵は一人で戦っているのではない。
「舐めるなよ術使い! 雲を切り裂いて翔ぶのが竜騎士だ!」
 動きさえ止めれば、他の仲間が攻撃するチャンスも生まれる。四本のチェーンガンブレードが天秤座の鎧を削りながら白骨仙女の骨を断つ。
 上空から一直線にライカがやってきたのだ。
「ガアアッ!」
 衝撃に思わず飛び退る。脚をひとつ失い、バランスを崩すかと思われたが……
「再生能力を持っているというのか……」
「厄介じゃのう」
「無駄だ、無駄だァ!」
 しゅうしゅうと音を立てて白い骨が産み出されていく。
 生半可な攻撃では通じず、通じたとしてもすぐに再生してしまう。
 奴を倒すためには、再生の隙すら与えずに倒しきるか――
「しかしあやつは不浄のもの。生命とは真逆の存在じゃ」
 薺は言う。肉を自ら脱ぎ捨てた屍仙女はその代償を支払わなければならないと。
 辺りは未だ嵐の結界に包まれたまま。本気で猟兵たちを屠ろうというのならば、その分の霊力も攻撃に使うべきなのに。
「結界を解くわけには行かぬ理由があるのじゃ。それはすなわち……太陽の光!」
 
「ならば、彼奴の言う美しさとやらの真実、嫌というほど照らしてやろうぞ」
 薺の言葉を受け、小百合子は目を閉じた。
 想像する。あの怪物を屠る太陽の力を。
 創造する。穢れた獣を祓う聖なる光を。
「我は生む、世の摂理を体現せし降魔の刀……この手に!」
 目を開いたとき、彼女の手に握られていたのは『精錬降魔刀(コトワリヲヤドスセイレイノチカラカリシカタナ)』。
 この刀ならば白骨仙女の再生能力を断ち切ることができる!
「嵐よ、嵐よォ!」
 だが、ここに来て嵐が再び猟兵たちを阻む。
「ちっ、俺はいいが……嬢ちゃん達、近づけるのかい?」
 マックスが自らを盾にして二人をかばうが、近づかないことには話にならない。
 一度手痛い反撃を受けた以上、そう簡単にこちらには寄ってこないだろう。 
 しかし薺がにやりと笑う。
「うむ、あやつはわし様が捕らえよう。その為に準備をしておったのじゃ」
 ばしっ、と扇を突きつけ、叫ぶ。
「出で現れよ、焔の大蛇! 邪魔物共を焼き縛れっ!」
 彼女が届かぬと知りながら炎を放ち続けていたのは、全てこの仕込みを隠すため。
 地へ撒かれた何枚もの霊符がみるみるうちに燃え上がり、その姿を大蛇へと化す。
「グガッ! ガァッ!」
 炎の蛇が白骨仙女を絡め取る。『炎符『炎極大蛇』(エンフ・エンゴクダイジャ)』!
「さあ、後は焼くなり蒸すなり如何様にもせい!」
「応ッ!」
 嵐が止むと同時、小百合子が駆けだした。太陽と聖光の力を宿した刀が白骨仙女の前足を斬り飛ばす。
 狙い通り、断たれた骨は再生しない。この力ならば奴にとどめを刺せる。
「おのれっ! おのれェ!」
 しかし、炎に巻かれながらもオブリビオンは逃れようと暴れ回った。
 再び嵐を起こす。この風が全開になれば刀も容易には届かなくなってしまう。
「おっとー、大人しくシテクダサイヨー」
 だが、その目論見は脆くも崩れ去る。
 薺の炎極大蛇が白骨仙女を捕らえた場所。
 それは鈴音が『全てを塗りたくれ(スベテヲヌリタクレ)』と塗りつぶしていた地点であった。
 塗料の魔力は彼女の戦闘力を高め、激しい嵐さえも越えて接近することを可能としたのだ。
「ンフフ♪ 塗り塗り~♪ 羽根付きで負けたみたいネ~」
「グゲッ!」
 振るわれた筆が骨に×を記す。籠められたエネルギーが激しい衝撃を巻き起こす。
「ぎっ、ギッ、まだァ!」
 ならば身体を雲に変えて浮かび上がれば。
 炎の蛇も雲を掴むことはできまい。塗り替えられた大地の力も届かない。
 じわじわと変化していく身体。骨の焼けた匂いが辺りに広がり始める。
「必死に取り戻したがっているその肉――もう豚の餌にもならないよ!」
 変化が終わる前に光が走った。ライカの心臓が産み出した雷が白骨仙女を撃ったのだ。
 衝撃に雲身変化が止まる。そうしている間にマックスも追いついてきた。
「やっぱりさ、桃源郷には日の光が溢れるべきだぜ」
 杖を叩きつけると、みるみるうちに仙女の動きが鈍くなる。
「どれほど硬くとも再生しようとも、動けなくなれば同じことだ。さあ、やりな!」
 重力を増大させ、動きを封じる。もはや炎の大蛇から逃れる術はない。
 即ち、太陽の光からも。
「その醜き体を骨ごと砕いてくれるわ!」
 大上段に構えた小百合子の太刀が振り下ろされた。
 骨の砕ける鈍い音。
 やがて辺りを覆っていた嵐は止み、暖かな日差しが桃源郷へと降り注ぎ始めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『桃源郷花見日和』

POW   :    酒や料理を木の下に持ち込み、宴を始める

SPD   :    小舟で川を下りながら花見を楽しむ

WIZ   :    美しい風景を絵や詩に残す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 猟兵たちの活躍によって嵐は消え去り、光が差し込み始めた。
 こうして明るくなってみれば、それはまさしく桃源郷というべき景色。
 桃の花は咲き誇り、小川に流れる水は清浄で、遠目に見える山々は荘厳なる雰囲気を醸し出す。
 このような景色、独り占めするには勿体ない。
 さあ、どのように楽しもうか?

※プレイング受付について
 4/1(木)8:30 ~ 4/3(土)23:00ごろまでとさせてください。
 三章からの参加も大歓迎です。よろしくお願いします。
古上・薺
嵐の主も打ち取ってようやく、といったところじゃな
これが彼の桃源郷…か
ふむ、中々な景観、さっきまでの騒動が夢幻であったかのような佇まいじゃな…

さて、戻るまでには多少余裕があるとのこと、ゆっくりと散策するのが吉といったところかの
来た際に感じた既視感も多少気にはなるが…まぁ今はこの景色を愛でることにしよう

…多少気分が乗ってきたらひっそりと舞って見るのもアリかもしれぬな…


岩倉・鈴音
桃源郷ってんだから桃が沢山あるアルヨ!
せっせと果物採集じゃー。
【光は当方よりっ】で額ピカらせながら桃やらたべられそうな果物を籠一杯に集めてくる。

ンッフッフ♪サイボーグが器用なとこ見せなきゃね。
桃の皮剥きして食べられるように切っていく。


ライカ・ネーベルラーベ
あー、だっるい……
さっきの戦いまでではしゃぎすぎた……
寝てよう

わたしって結局、なんなんだろうね
なんか思い出したような気がしたけどそれも今はあいまいだし……
自分がどこの誰で、なんで死んで、このバイクは何なのか
なんにも知らない
なにか一つでもはっきり思い出せば、このガタガタの頭の中も少しはマシになるんだろうか

「ああ、益体もないこと考えてたら更にテンション下がってきた。やめやめ。わたしは猟兵。敵って言われた相手と戦うだけ」
もうちょっと回復したらバイクで走り回ってこよ
この景色で風を切って走れば、少しは気分も晴れるでしょ


枯井戸・マックス
◇POW
「思った通り!ここの水は素晴らしい。遺物は見つからなかったが、この上ない土産が出来たな」

桃源郷の水を使い、携帯ドリップセットで珈琲を淹れて一服。
絶景を見ながらコーヒーを飲むってのもなかなかオツなものだな。
ん、いい香りだろう?気になるなら少しおすそ分けしようか。
(連携歓迎)

「で、ここの土地の管理者とかいるかい? いないよな? ……よし」
宝瓶宮グレイスポッドを召喚し、その中に桃源郷の水をくむ。
無限に水が湧き出る水瓶なら、当然無限に水を汲めるってことだ。
「よ~~しっ! これで新メニューができるぜ。産地直送!桃源郷コーヒーってのはどうだ? 帰ったら早速この水に合う豆のブレンドを考えないとな」



「嵐の主も打ち取ってようやく、といったところじゃな」
 ふう、と息をつきながら古上・薺(傲岸不遜な箱入り狐娘・f03595)は空を見上げた。
 桃源郷は先ほどまでの騒がしさが嘘のように穏やか。温かい日差しが差し込み、猟兵たちを包み込む。
「ふむ、中々な景観、さっきまでの騒動が夢幻であったかのような佇まいじゃな……」
「桃源郷ってんだから」
 さて、そんな中で最初に動き出したのは岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)だ。
 辺りを見渡せば、咲き誇るのは桃の花。
 だが、それだけではない。霊力に満ちたこの地の不思議か、木々には花だけではなくたわわに果実がみずみずしく光を返している。
「桃源郷ってんだから、桃が沢山あるアルヨ!」
「おーおー、こりゃ不思議なもんだ。あれか、いわゆる仙桃って奴かね」
 駆け出す鈴音の背を眺めながら枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)も動き出す。
 桃源郷に流れる川……喫茶店のマスターとしての本能か。彼はそこに目をつけていた。
「さて、戻るまでには多少余裕があるとのこと。ゆっくりと散策するのが吉といったところかの」
 同様に、薺も歩き出す。
 この地を支配しようとしていたオブリビオンはもういない。
 今はこの風光明媚なる景色を楽しむこととしよう。
 ……と、そんな三人とは対照的に。ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)はごろん、と下草に背を預けて転がっていた。
「あー、だっるい……」
 嵐の中を抜け、雲を切り裂き、雷鳴と化した。
 ――はしゃぎすぎたかもしれない。都合のいいことにここはいい陽気だ。
 このまま寝てしまっても風邪を引くことはないだろう。この身体が風邪にかかるのかは分からないが。
「寝てよう」
 思わず出たあくびをかみ殺し、彼女は目を閉じた。

「ふうむ……」
 ゆっくりと、小川のほとりを歩く。衣の裾が草と触れる音が心地良い。
 この世界に足を踏み入れたときにも感じたことだが、こうして穏やかな風を受けながら眺めてみれば。
「見れば見るほど、覚えがあるように思うのう」
 さてはて、それは何処だったのか。もちろん答えは薺の中にあるが、意図してか無意識かそれと結びつかない。
 世界が違う、という事実が理由だろうか?
「まぁ、考えても仕方あるまい」
 今はこの景色を愛でることにしよう。
 幽玄なる地が奏でる木々のざわめきや舞い散る桃の花を眺めていると、何やら湧きたつものがあった。
 自然、腕を伸ばし、振る。脚を伸ばし、まわる。
 この動きは身体に染みついている。こんな場所で、こうして舞うのも悪くない。
「思った通り!」
「ぬおっ?」
 と、そこで桃源郷に響き渡った大きな声。
 視線を向ければ、何やらカップを手にしたマックスが感極まったような表情で立っているではないか。
「なんじゃなんじゃ、何事じゃ?」
「ここの水は素晴らしい。遺物は見つからなかったが、この上ない土産が出来た」
 振り返る彼の後ろには湯気をたてるポットと携帯ドリップセット。
 薺には馴染みのないものであったが推測はできる。ははあ、とその喜びようににやりと笑う。
「さては茶でも立てたな?」
「茶……まあ似たようなもんだ。葉じゃなくて豆だがね。コーヒーだよ、コーヒー」
 差し出されたカップの中には漆黒の液体。
「これでも店をやってるんでね。お嬢ちゃんはコーヒー初めてかい?」
「馬鹿にするでない! 珈琲ぐらい、知っておるわ」
「はは、それは悪い。じゃあ詫びってわけじゃあないが……」
 香ばしい香りが立ち上る。
 マックスの背後では大きな水瓶がこんこんと水を飲み込み続けていた。

 ぼうっとした微睡みの中でライカは考える。
「わたしって結局、なんなんだろうね」
 戦いの中、確かに何かを思い出した気がする。しかし、今こうしていると何も分からない。
 自分がどこの誰で、なんで死んで、このバイクは何なのか――
 こうして考えたことは一度や二度ではないはずだ。それさえもあいまいになっているが、そのはずだ。
 自分のことなのに――
「なんにも知らない」
 思わずつぶやく。
 嵐の中で口走った言葉の意味は何なのか。あのとき感じた冷たさは何だったのか。
 なにか一つでもはっきり思い出せば、このガタガタの頭の中も少しはマシになるんだろうか。
 答えは闇の中だ。閉じた目を開いても、きっと何も見えない。
「ああ、益体もないこと考えてたら更にテンション下がってきた。やめやめ。わたしは猟兵。敵って言われた相手と戦うだけ」
 むくりと起き上がる。こんなぐるぐるした気分では寝るどころではない。
 と、そこで近付いてくる人影と目が合った。
「おお?」
「……何?」
 気だるげに問うと、扇で口元を隠しながら薺が答えた。
「あの二人がお主も連れてこいとな。何やら、馳走をしてくれるようじゃぞ」

「ンッフッフ♪」
 籠一杯に積み上がった桃。額を眩しく光らせながら鈴音はナイフを手に取った。
「サイボーグが器用なとこ見せなきゃね」
 するすると皮を剥き、スパッと両断。
 豪華に皿に盛り付けて、次の桃を手に取る。
 その様子を眺めていたマックスがひゅう、と口を鳴らした。見事な手際だ。
「っと、こっちもいい感じかな」
 かたかたとポットの蓋が揺れる。
 ゆっくりと、豆の味を引き出すように……店でやるようにはいかないが、心をこめて注ぐのだ。
 どこで用意したのか、設えられたコーヒーテーブルに四つのカップがならぶ。
 ふわっと立ち上る香りが、やってきた薺とライカの鼻腔をくすぐった。
「何、これ?」
「ここの水を使って入れたコーヒーさ。店で出すときには……産地直送!桃源郷コーヒー、ってのはどうだ?」
「桃源郷の桃も食べ放題じゃーい!」
 そして真ん中に置かれるのは山盛りの桃。
 いつの間にか籠の中身は空っぽだ。鈴音はこの短時間で全てカットしてのけたらしい。
「いい香りだろう? 折角だし、お裾分け、ってな」
 漆黒の液体を流し込む。滑らかな酸味が心地良い。
 マックスが満足げに頷くと、三人もカップを手に取った。
「どうだい? 絶景を見ながらコーヒーを飲むってのも、なかなかオツなものだろ?」
 そんなふうに考えて表情を伺うが、反応は三者とも同様。
「苦い……」
「あらら」
 コーヒーの苦味はどうやら口に合わなかったようだ。
 彼女たちは我先に、と桃源郷の霊力で育った桃へと手を伸ばした。甘い香りがふわりと広がり、口に含めば果汁が溢れ出す。
「甘い……」
 先ほどまでとは打って変わってこちらは高評価。
「やれやれ、若い子には桃のパフェとかの方がウケがいいのかねぇ」
 ふう、と苦笑いしながらマックスはカップを傾けた。
 しかし、少し様子を見れば無意識に桃の後にはコーヒーを求めている姿。
 甘味と苦味が混ざり合い、互いを引き立てる。彼女たちの表情に手応えを感じる。
 コーヒーの香りを楽しむのも大事だが、デザートのお供として楽しむのも悪くない。
「んー、なるほどねぇ」
 新メニューにはその方向も考えてみてもいいかもしれない。
 水瓶――宝瓶宮グレイスポッドにここの水はたっぷりと汲み上げた。帰ったら早速この水に合う豆のブレンドを考えないとな、とマックスは水瓶を叩いた。

「甘い桃じゃのう。これが彼の桃源郷……か」
「ンッフッフ、ワタシが取ってきて、ワタシが切ったよ」
 桃に伸びる手が止まらない薺と自慢げな鈴音。
 対してライカは心ここにあらずといった様子で、無表情だ。
「なあ」
 そんな彼女に、マックスはいう。
「張り詰めてばかりじゃ見えるものも見えなくなるぜ」
「……かもね」
 そんな事は分かっている、といわんばかりにライカは立ち上がった。
 スタスタと歩き、バイクに触れる。こんな気分の時はいつもどうしていただろう?
 答えは、これだ。
「ちょっと走ってくる。この景色で風を切って走れば、少しは気分も晴れるでしょ」
「そうか。ま、それもいいだろう」
 エンジン音と共に走り去る背を見送り、振り返る。
 いつの間にか皿は空になり、薺と鈴音がポン、と腹を叩く。
「うむ、わし様もこれには満足じゃ。ちと腹ごなしに歩くとするかの」
「ワタシはまだまだ足りないヨー。もう一丁果物採集じゃー」
「ははっ、猟兵って奴は自由だねぇ」
 立ち去る背中をまたしても見送りながら、マックスは苦笑するのであった。

 かくして、猟兵たちは桃源郷をオブリビオンの手から取り戻し、その景色と実りを楽しんだ。
 この封神武侠界という世界で、これから猟兵たちはどのような冒険を繰り広げるのだろう。
 それはまだ、別のお話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月06日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト