9
羅針盤戦争〜冥界より覗く単眼

#グリードオーシャン #羅針盤戦争


●大海獣オルキヌス
 森羅の巫女たちが祈りを捧げる。
 それは嘗て在りし神への祈りであった。七大海嘯と呼ばれ、森羅の名を冠する『オルキヌス』――そう、今の七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟、その弟であるハイレディンの眼窩に嵌められた『オルキヌスの瞳』の元の所有者である。
 いや、所有者と呼ぶのは正しくはない。

 人にあらず。
 太古の時代から進化を続け、海に君臨していた王者。
 生命が陸上へと生活の基盤を移したことを裏切り者であるとみなし、己を島より見下ろす不遜な輩として憎悪をつのらせていた存在である。
 その単眼に秘められし力を猟兵は既に知っている。
『生物を退化させる力』。
 それこそが『オルキヌス』の持っていた力である。

 バルバロス兄弟によって単眼を奪われたことによって七大海嘯より失墜した大海獣は、しかして過去の化身として復活を遂げる。
 陸上生物を海生生物に強制退化させる力を有していた過去は不完全な復活によって今は機能していない。
「不遜なる者どもよ。我の怒りを知れ。我が憎悪は汝らの生命を持って静まるのだ。海に還るのならば、それで良しとしよう。だが、それを拒むのならば、何人たりとて我より逃れることは叶わぬ」
 大海獣『オルキヌス』は深海より、一つの島へと向かっていた。

 嘗ては己が持っていた瞳の力は今はない。
 例え失墜したのだとしても、森羅の巫女たちの祈りによって己は存在している。
 過去の化身として、オブリビオンとして復活した今、陸上に在る生命は海に回帰しなければならない。
「全てを海へと回帰しよう。我は『オルキヌス』。冥界よりの魔物と恐れられた神そのものである――」
 海面に飛び出す巨躯は、まさに『死』の象徴であった。

 その姿を持って、その威容をもって示す。
 これこそが絶対であると――。

●羅針盤戦争
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回は緊急の事態故に説明は簡略的にさせて頂きます」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は緊張を走らせる。
 彼女が予知したのは、とある島に迫る大海獣の存在である。

 森羅冠する『オルキヌス』。

 それが今回島を襲うオブリビオン、コンキスタドールの名である。
「お気付きの通り、七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟、その弟であるハイレディンの瞳にはめ込まれた『オルキヌスの瞳』……その瞳を嘗て持っていた失墜せし七大海嘯が不完全ながら復活してしまったのです」
 生物を退化させる力を持つ『オルキヌスの瞳』。
 言うまでもなく、強力な力であるが、今回『オルキヌス』は不完全な復活により、その力を喪っているのだという。

 ならば、戦う術は如何様にもあるだろう。
 海上、海中、猟兵達の持てる術を使って、この大海獣を撃破しなければならない。
「島を救うためには、海上、海中どこからでも構いません。この体長50mはあろうかという巨躯を島に近づけさせずに打倒しなければならないのです」
 ナイアルテが予知した『オルキヌス』のユーベルコードは三つ。
 一つは『オルキヌス』の支配下にある海の生物が集まれば集まるほどに自身と支配下にある海の生物の力が強化されるもの。

 二つ目は猟兵よりも海に適応している生態を持つ場合、その巨躯でありながら猟兵に対する命中率、回避率、ダメージが三倍にも膨れ上がるもの。
「さらに3つ目……攻撃を受けてしまうと、『海に帰りたい』という強迫観念を植え付け、肺から海水が湧き出す呪いを与えるという恐ろしいものまで『オルキヌス』は持っています」
 どうかお気をつけくださいとナイアルテは告げる。

 羅針盤戦争もまた終盤に差し掛かっている。
 戦いの趨勢はすでに猟兵に傾いていると言っても過言ではない。だからこそ、予断を許さない。完全なる勝利によって、このグリードオーシャンからコンキスタドールの脅威を払わなければならない。

 島に生きる人々のためにも、とナイアルテは再び頭を下げて猟兵たちを見送る。
 そうすることで救われる生命が在る。
 より多くの生命を助くるを求める。その強欲を持って、猟兵達を送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『羅針盤戦争』の戦争シナリオとなります。

 深海より島を襲わんと迫る、森羅冠する『オルキヌス』を打倒するシナリオになります。
 戦いの場は、海上、海中問いません。
 体長50mを超える巨大なる『オルキヌス』を打倒し、襲われんとしている島を守りきりましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……海上・海中戦を工夫する(敵は先制攻撃しません)。

 それでは、羅針盤戦争を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 ボス戦 『森羅冠す『オルキヌス』』

POW   :    冥海銀河オルキヌス・オルカ
【支配下にある海の生物】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[支配下にある海の生物]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    海帝覇濤ディープブルー
敵より【海に適応した生態をしている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    回帰狂濤ティクターリク
攻撃が命中した対象に【「海に帰りたい」という強迫観念】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肺から海水が湧き出す呪い】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

伽羅に騎乗もしくはつかまって移動接近。
海中だと呼吸の問題があるが短時間なら素潜りで対応。なるだけ長時間にならないように伽羅には頼んでおく。
念のため存在感を消し目立たない様にし、接近したらマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC菊花で攻撃。代償は寿命。回避率が上がるってんならその分攻撃するだけ。
鯱と龍ってどっちが海に適した生態なんだろ?生態だから鯱の方が上っぽいな…。

敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。
攻撃を入れたら距離をとり、体力が続く限りそれを繰り返す。



 海中に在りて、その大怪獣『オルキヌス』の威容は凄まじいものであった。
 深海より来たる絶対的な『死』の匂い。
 冥界の名を持つ怪物。
『オルキヌス』の名を持ってして、その強大さを伝える。

 例え、七大海嘯より失墜した存在であったのだとしても、その力は健在である。
 しかし、猟兵は立ち向かわねばならない。
 目の前に迫る脅威、それを振り払い、襲われんとする島を救わなければならない。
 水神の竜、伽羅にまたがって海中を征くは、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)であった。
 海中を悠々と征く『オルキヌス』の巨体。
 それは確かにこれまで見てきたオブリビオンの中では想像を絶する程のものではなかったことだろう。
 だが、その身に纏う絶対的な『死』の匂いだけはどうしようもない。
「これが、七大海嘯から失墜した大海獣……」

 存在感を消し、伽羅と共に海中にある瑞樹をしても『オルキヌス』の巨体は脅威であった。
 揺らめく存在の気配。
 その中で瑞樹は『オルキヌス』に不意打ちを仕掛ける。
 瞳に輝くユーベルコードは、菊花(キッカ)。
「はっ!」
 放つ斬撃は、大ぶりの黒きナイフとサムライブレイド。
 まばたきの間に放たれた斬撃の数は九つ。

 強靭な外皮を持つ『オルキヌス』の巨体を刻む刃は、しかし『オルキヌス』に己の存在を悟らせる。
「陸上に上がった者。龍を従えるか。不遜である」
『オルキヌス』の声が響き渡る。
 その声は荘厳な響きを持っていたが、濃厚な『死』の気配が近づく。
「鯱と龍ってどっちが海に適した生態なんだろ? ……『オルキヌス』の方が上だとしても!」
 伽羅の鱗を名で、瑞樹は『オルキヌス』と海中で対峙する。
 息が続かぬかもしれぬという心配はあれど、それでもここで『オルキヌス』を止めなければならない。

 迫る島を破壊されるわけにはいかないのだ。
 あの巨体で凄まじい速度で海中を駆け抜けるのは脅威でしかない。
 けれど、瑞樹は退かない。それは伽羅も同じ気持ちだろう。
「例え、ここで仕留めきれないのだとしても……! 体力が続く限りは!」
 放つ斬撃の連撃。
 菊花の花弁のように、無数に放たれる斬撃が『オルキヌス』の放つ衝撃波とぶつかって、海中で凄まじい圧力を生み出す。

 伽羅が海中を疾走るように動き、瑞樹の感じ取った第六感とも言うべき勘所を捉え、躱していく。
 水の刃が身を襲ったとしても関係ない。
「俺は俺のやれることをやるだけだ!」
 深海より覗く昏き単眼。
 今はその力を喪っているのだとしても、『オルキヌス』はその絶対的な力を見せつけるように咆哮する。

 だが、その咆哮は海上には届かない。
 なぜなら、瑞樹がいる。
 己が構えた刃が在る。例え、どれだけの巨躯であろうとも、後に続く者たちのために瑞樹は己の力を振り絞り、その巨体を海中へと押し留め続け、消耗に消耗を重ねさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィエン・バハムート
【深海適応】【環境耐性】【水中機動】【高速泳法】で【水中戦】はバッチリですの。
更にアンドヴァリの首飾りをアクティブすることで全メガリスの力を9倍に。義足のパワーアップで水中機動と高速泳法の速度も上がります。
それでも敵の能力は3倍になるでしょうが、それがどうした!
私は9倍ですわ!

敵からの攻撃を【オーラ防御】と【激痛耐性】、そして【怪力】で受け止めながらそのまま【カウンター】。爪を抉り込んで【部位破壊】しながら敵体内に強化された電撃【属性・マヒ攻撃】と【衝撃波】を叩き込んで内側からその体を【蹂躙】してやりますの!

海底の母とかが出てきた後に今更50mのあなたが出てきても微妙ですわよ!さっさと還れ!



 大海を征く者が己一人であると誰が識るであろうか。
 太古より連綿と紡がれてきた進化。
 それは己の身を持って感じ取ることが出来ると森羅冠す『オルキヌス』は自負していた。
 命の全ては海に回帰すべきである。
 言うまでもないことである。生命の発生が母なる海であるというのならば、海こそが安寧の地であるからだ。
「故に我は欲す。汝ら陸上に生きる者全てを大海に帰すを。故に我在り」

 一度滅びた身であったとしても、現に『オルキヌス』は復活を果たした。
 不完全な復活であろうとも、復活は復活である。ならば、己のすべきことを『オルキヌス』は理解していた。
「故に滅びるべし。梨状に生きるもの全てを滅ぼす。この大海の世界において、陸など必要なし」
 その身に刻まれた傷跡など物ともしないというように咆哮し、海中より『オルキヌス』は陸上生物に対する怨嗟を上げる。

「確かに貴方は水棲の頂点なのかもしれませんわ。けれど、それがなんだというのです。」
 その声はニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)の放つユーベルコードの輝きと共に海中に現れる。
 メガリス・アクティヴによって、ニィエンの首飾り――言うまでもなくメガリスが輝くを放っていた。

 それは彼女の持つメガリス全てを強化する力を持つ、持ち主を死後地獄に送る呪われし秘宝。
 その力をさらに飛躍させるユーベルコードによって今やニィエンの力は9倍にも及ぶ。
「汝はメガリスを、呪われし秘宝を手繰るか。だが、この海中に在りて我と張り合おうなど」
 その50mを超える巨躯を海中で翻し、『オルキヌス』は咆哮する。

 凄まじい勢いで突撃してくる『オルキヌス』の巨体は、ただ海中を泳ぐだけで凄まじい水圧となってニィエンを襲う。
「貴方は確かに大海の覇者かもしれない。けれど、それがどうした! 私は、私の持つメガリスの力は、9倍ですわ!」
 まばゆい輝きを放つ前身に配されたメガリスの輝きが海中にあってなお、その光を眩いものとする。
「海底の母とかが出てきた後に今更――!」
 そう、彼女にとっては今更である。

 これまで猟兵として数多の巨大なる敵と相対してきたのだ。
 この羅針盤戦争においても、『オルキヌス』を超える巨躯たるコンキスタドールとも戦った。
 こんなところで負けている場合ではないのだ。
『オルキヌス』の巨躯を正面からニィエンは受け止める。
 凄まじい水圧が体に負荷を掛けるが、それでも構わなかった。ニィエンの瞳に輝くユーベルコードは未だ喪失されていない。

 彼女は世界魚『バハムート』を進行するものであり、竜王としての矜持がある。
 そのヒレを、爪を、尻尾を、角を、翼を、あらゆる彼女の体を構成するものがメガリスである。
 メガリスボーグたる力は、即ちメガリスの性能を引き出したものにこそ恩恵と呪いを齎す。
「『オルキヌス』! あなたが今更出てきても微妙ですわよ! さっさと――!」
 万力の如き力を解き放ち、ニィエンは『オルキヌス』の巨躯を海中で持ち上げる。凄まじい膂力でもって、その巨体を海上へと投げ放ち、ニィエンは海上へと飛び出す。

「還れ!」
 その体に纏ったメガリスの全てが起動し、尋常ならざる力でもって刃となし、『オルキヌス』の胴へと一撃を見舞い、えぐり取るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
海に還るも生命を捧げるも意味合い的には同じだよねこの大海獣。
深海人みたいにずっと潜れてないとアウト判定かなーと、それはさておき暴れられる前に倒しちゃわないと。

海中に潜り戦闘。暗いなら暗視で見通す。
水泳と素潜り、深海適応で深くまで潜っても大丈夫。高速泳法と水中機動でオルキヌスの周囲を小回りきかせ撹乱するように動く。
まともな身体能力で挑めないなら小技でやるしかね。
高速・無酸素詠唱で水の魔法使い周囲の水流操作し泳ぎの補助にもする。
そして泳ぎ回りながら隙を伺いUC発動。重力属性と大渦合成してオルキヌスの体を深海へと引きずり込みながら拘束、他の猟兵の攻める隙を作り出すよ。

※アドリブ絡み等お任せ



 猟兵の放つメガリスの輝きが刃となって、森羅冠す『オルキヌス』の胴を抉る。
 海上に打ち上げられて、再び巨体が海中へと没する。
 それは七大海嘯より失墜した大海獣『オルキヌス』にとって、屈辱極まりないものであった。
「我を海上へと……! 許さぬ! この大海の覇者たる我を!」
 愚弄するかのような行いに、海中に没した『オルキヌス』の咆哮が轟く。
 それはただ咆哮しただけで海水を凄まじい水圧でもって解き放ち、周囲にあった猟兵たちを近づけさせぬ水の壁と為さしめるのだ。

 だが、その水圧の中を潜り飛ぶように掛ける猟兵の姿がった。
「海に還るも生命を捧げるも意味合い的には同じだよね」
 この大海獣、とヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は鯱のキマイラである体でもって海中を潜り、進む。
 鯱の特性を持つ故に、彼の体は見事な流線型でもって放たれた水の圧を受け流し、『オルキヌス』へと迫るのだ。

 海中は見通しが悪いが、それでも50m近くある巨躯を持つ『オルキヌス』の姿を捉えることは可能であった。
 そこに暗視の力を持つヴィクトルであれば、そこはクリアな視界の世界であったことだろう。
「小さきものよ。汝もまた猟兵。我がコンキスタドールとして、過去の化身として蘇った以上……その陸上に上がりし姿は棄てよ。汝の生命は回帰しなければならぬ。この母なる海に」
 その巨躯がヴィクトルに迫る。

 きっと鯱としての同じ姿を持つヴィクトルに対してのシンパシーもあるのだろうが、ヴィクトルにとってはシンパシーもなにもあったものではない。
「悪いけど、そういうつもりはないんだよ。キミとは違ってね」
 ヴィクトルは小回りの効く体を使って、『オルキヌス』の周囲を撹乱するように動き回る。
 同じ鯱を原型に持っていたとしても、あの圧倒的な巨躯の前ではこのように戦うしかない。
 小技と呼ばれようとも構うものではなかった。
 水の魔法によって周囲の水流を操作したヴィクトルにとって、『オルキヌス』の大雑把な攻撃は当たるものではない。

「ちょこまかと――」
「――ちょこまかするなっていいたいんだろう? だけどさ!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。

 重力の属性と大渦の自然現象を合成するユーベルコードが発現する。
 エレメンタル・ファンタジアと呼ばれるユーベルコードであることは広く知られていることだろう。
 だが、その制御が難しく暴走しやすいのまた同義である。
「難しいってのはわかっているんだって。けれど、ここは俺のホームグラウンドみたいなものさ」
 鯱のキマイラであるヴィクトルにとって海の中こそ最も力を発揮することが出来るだろう。
 鯱の身体に、人の戦術。

 そこにユーベルコードが組み合わされば制御できぬことなどないのだ。
「これは……! 我の身体が、引きずり込まれる、だと……!?」
『オルキヌス』の巨体が海中に発生したユーベルコードの大渦に囚われ、深海へと引きずり込んでいく。
 それは海上に出て、島を襲わんとしていた『オルキヌス』にとっては、予想しない罠であった。
 例え、大渦から脱する事ができたのだとしても、相当な体力を消耗しなければならない。

「その大渦から脱出できないわけじゃあないだおるけどさ。やってみなよ。長い戦いの始まりだ」
 そして、その思惑通りである。無傷で大渦から脱することもあるかもしれない。けれど、猟兵はそれを見逃すわけもない。
 どちらにせよ、他の猟兵の攻める隙を作り出すというヴィクトルの作戦は、ここに大いに成功するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソニア・シルヴァーヌ
大いなる古きもの。
最早、この海は貴方のものではないのです。
静まり、眠るが良いでしょう。

【肉体改造】で下半身を魚類の如く水中に適した形に、呼吸器周りをエラ呼吸式に変形(【環境耐性】)。以て水中戦を挑みます。
これならば、肺から海水が溢れるとて耐えられる筈。

敵は圧倒的な巨躯。なれば小手先の技は無為でしょう。
その挙動を十分見極められる程度に距離を保ちつつ、波動砲を主な攻撃手段としていきます。
攻撃は基本的に下方から、敵の腹部へ撃ち込むイメージで。
敵の上方への意識が疎かになったと見たところで天から降り注ぐものを発動、光の雨をその背へ纏めて撃ち込んでくれましょう。

海という過去へ、未来を呑ませは致しません。



 大渦に飲み込まれ、深海の奥底まで引きずり込まれた、森羅冠す『オルキヌス』は呻いていた。
 それは己がこれまで存在していた大海にあって、己の自由を奪うものが存在することを知ったからである。
 かつて七大海嘯として存在していた頃の『オルキヌス』からすれば、今回の復活は不完全なものである。
 その最たるものが『生物を退化させる瞳』である。
 それ自体は未だ七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟が奪い取ったままであるがゆえに、『オルキヌス』は完全な状態であるとはいえない。

 だからこそ、ここで倒さなければならない。
「大いなる古きもの。最早、この海は貴方のものではないのです。鎮まり、眠るが良いでしょう」
 ソニア・シルヴァーヌ(玻璃の白百合ラスボス仕立て・f31357)は正しく人魚の如き下半身を得て、海底に引きずり込まれた『オルキヌス』の眼前に姿を晒す。
 その姿、威容は美しさの中に底しれぬ何かを『オルキヌス』に感じさせたかも知れない。
 たおやかなる雰囲気を纏いながらも、どおこか凶々しいのは、不定形なる肉塊が変貌した下半身があるからであろうか。

「そんなことはない、小さき者よ。汝らは思い違いをしている。この海に在りて生命は即ち海洋に身を委ねる者。不遜なる陸上に生きる者達は我ら海に住まう者達を恵みという。我らは奪われる者にあらず。奪う者である」
『オルキヌス』の咆哮が迸る。
 それは水圧を伴った衝撃波となってソニアを襲う。
 だが、それらの尽くをソニアは凄まじい速度で海中を駆け抜ける。

 彼女の不定形なる下半身が変貌した魚類の尾は水中を蹴って、衝撃波を躱す。
 まるで巨大な鯱と戯れるようであり、けれど、それが一進一退の攻防であることを猟兵は知る。
 放たれる波動砲は常に『オルキヌス』の腹を狙い、下から、下からとソニアは攻撃を打ち込んでいく。
「煩わしい……小さきものよ。お前達の言う未来とは即ち進化。進化とは変化。だが、陸上に上がりし者達は矮小なものでしかないのだと識れ」
 己を仰ぎ見るようにして回避し、攻撃を繰り返すソニアを『オルキヌス』は見下ろす。
 巨体であることを差し引いても、海中に在りて『オルキヌス』を超える挙動はできはしないだろう。

 その巨大なる顎を開き、ソニアを一呑みにしようと迫る『オルキヌス』を前にソニアは微笑んだ。
 意識が下……即ち自分だけに向けられていることを笑ったのだ。
「未来は変化を拒むもの、ですから」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 海上より、海中へ。
 海中から深海へと降り注ぎ光の雨は散々と『オルキヌス』の背へと突き立てられる。

 それは天から降り注ぐもの(ザ・ヒュージ・フレイム)。
 ソニアの放ったユーベルコードであり、『オルキヌス』が如何に海中での行動に長けた存在であったのだとしても、俯瞰して放たれる光の雨を躱すことなどできはしないのだ。
「海という過去へ、未来を呑ませは致しません」
 たおやかに微笑むソニアが指をなぞるように軌跡を描く。
 瞬間、『オルキヌス』の背に突き立てられた光の矢が爆発し、海中に凄まじい衝撃を広げる。

「何……! これは……!」
 次々と明滅するように海中で突き刺さった光が『オルキヌス』の背で爆ぜる。
 それはまさにソニアの言う通り、生命が陸へと生活の場を移したことを逆行させぬための光であった。
 呑み込ませはしない。
 例え、それが大いなる存在であったのだとしても、過去の化身と成り果てた以上、後戻りすることはできない。

 例え、滅びの道へ至るものであったのだとしても、ソニアというラスボスに至るその日まで、必ずや生命は到達させる。
 そのために、光の雨は海中に在りて、光届かぬはずの海底を明るく照らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アシェラ・ヘリオース
大勢は既に決した
後は害獣駆除の時間だな

UCを発動し「闇理力翼」をEX強化。移動力5倍、展開するフォースを密度を高めて収束するため射程が半減だ
水の抵抗を流星状のフォルムと展開される力場で殺し、推力移動による大加で宇宙戦めいた空中戦を展開する
奴の周囲の水棲生物は通り魔のように「闇理力爪」で刻んで散らし、鋭角な軌道で更に生き物たちを刻んで終結を妨害
超高速域の闘いは瞬間思考力、そして強烈な闘争心と落ち着きの調和が重要だ

「そこだっ!」
奴が隙を見せたらランスチャージ
深く刺した破天槍にフォースを通し、推力移動で移動して大きく裂く事で、奴の傷口を抉りに行こう

「懐かしい感覚だ……大物相手は血が滾るな」



 羅針盤戦争、その大勢はすでに決した。
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は、これまでの戦歴を振り返る。
 海図を解き明かし、七大海嘯の本拠地を制圧する。
 その道中に現れた、森羅冠す『オルキヌス』は、島を滅ぼそうとしている。そうなってしまえば、七大海嘯から島々を開放した意味がなくなってしまう。
 支配から破壊へ。
 コンキスタドールの為す事が変わっただけに過ぎないのだ。
 だからこそ、アシェラは大海獣『オルキヌス』を駆除せんと猛禽めいたダークフォースの翼を広げ、海中へと突入する。

 海中に光が明滅する。
 それは猟兵の放ったユーベルコードであり、『オルキヌス』の巨体、その背を焼く爆発初でもあった。
「我を消滅せんとするか。だが、させぬ。我が同胞よ、来たれ。我が元に集い、愚かなる陸上の者らに裁きを」
『オルキヌス』の呼びかけに応え、水棲の生物たちが海中より集まってくる。
 だが、アシェラはそれをさせない。

 ユーベルコードの輝きが大海に在って尚、眩く疾走る。
「黒気解放……手早く決めるぞ」
 闇理力解放(リリースオブダークフォース)によって強化されたダークフォースの猛禽めいた翼が広げられ、アシェラの身体を包み込む。
 その形状は流線型の美麗なる形。
 奇しくもそれは、『オルキヌス』と似た流麗なる形であった。
 その形態に移行した彼女は凄まじい速度で海中を飛ぶように進み、宇宙戦のような戦いを繰り広げる。

『オルキヌス』の周囲に集まってきた水棲の生物たちを通り抜け様にダークフォースの爪で引き裂き、蹴散らしていく。
「強化され切る前に、ここで止める!」
 アシェラの動きは海中にあって海中では想像もし得ないような鋭角なる動きで持って、集結しようとする水棲生物たちを切り刻んでいくのだ。
 あまりにも疾い攻撃。
 それは時として本人の思考すらも追いつかぬほどの速度であったが、アシェラは違う。

 瞬間思考、そして強烈なな闘争心と冷静さ。
 それがアシェラの強みであった。
「我が同胞を……!」
『オルキヌス』が呻く。
 巨体にあっては真似のできぬ変幻自在なる機動は、海中では行えぬもの。
 あくまで海中に適応した存在である『オルキヌス』にとって、宇宙での戦いを最も得意とするアシェラの動きは捉えることのできない動きであった。

「そこだっ!」
 一瞬の隙をついて、アシェラはフォースを極限圧縮させて結晶化した赤槍を構え、『オルキヌス』の巨体へと突撃する。
 その一撃は尾びれの一部を貫き、『オルキヌス』の機動力を奪う。
 さらに速度を上げたアシェラの槍の一撃が、先行した猟兵達が刻んだ傷跡を広げるように抉る。

『オルキヌス』の血が大海に流出するように濁らせていく。
 そんな最中似合って尚、アシェラのダークフォースは眩く輝く。
「懐かしい感覚だ……大物相手は血が滾るな」
 戦いの中にあってこそ目覚める者がある。
 どれだけ時を経ようととも、人間が宇宙にあがり、適応しスペースノイドになろうとも、遺伝子に刻まれた狩猟本能がざわめくのだ。
 それはアシェラの力をたぎらせ、さらなる高みへと誘うように輝くダークフォースとして、溢れる血潮よりも赤いのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エィミー・ロストリンク
【POW】
オルキヌス、まだ倒れていないんだねー!
なら深海へと還らせてあげるよー!

スペースシップ「ブラックゴースト」に海上から艦砲射撃を加えつつ、自身はナノシリアに搭乗して海中・海上を機動戦を仕掛ける
その際、UC「CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能」を発動させてクローンドラゴン達を配置して、雷のブレスを浴びせて帯電によって動きを鈍らせていく
自身の雷対策として、ラクチェの要石の鉄水を膜のようにコーディングして纏っておく

ある程度動きが弱まったら、雷雲の海を発生させて進路を妨害
その後に残っているクローンドラゴンのブレスと自身のケルベロスの巨大アンカーで一斉攻撃を仕掛ける

これが巨大魚狩りの手腕だー!



 大海に穿たれた、森羅冠す『オルキヌス』の血潮が溢れ、青い海を紅く染めていく。
 その光景は羅針盤戦争の戦いの激烈さを物語るには十分すぎるものであった。
 だが、未だ戦いは終わらない。
『オルキヌス』の元に続々と集結してくる水棲の生物たち。
 猟兵の活躍によって、集まってきた水棲の生物たちを遠ざけることはできたが、それでもなお、『オルキヌス』の咆哮によって海のあらゆる場所から援軍のように集うのだ。

「我が体にこれほどの傷を刻むか。裏切り者にして不遜なる者。そして、我の体を刻む痴れ者が!」
 轟く咆哮は怨嗟。
 それは己の単眼を奪いしバルバロス兄弟への怨嗟と同じであったかもしれない。簒奪される者ではないのだと。あくまで己が奪う側であると言うように『オルキヌス』は海中に在りて、傷だらけの巨体を震わせるのだ。

「オルキヌス、まだ倒れていないんだねー! なら、深海へと還らせてあげるよー!」
 海上を征くはスペースシップ『ブラックゴースト』。
 その甲板上に立つのは、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)であった。
 無論、『ブラックゴースト』と呼ばれた幽霊船はメガリスである。
 ボトルシップから出現した船は、海上より海中の『オルキヌス』へと砲撃を加え、エィミーはホワイトサーペントの『ナノシリア』と共に海上を走る。

 砲撃の雨に傷ついた『オルキヌス』は咆哮する。
 集結する水棲生物たちの数は心もとないが、それでも強化された巨躯は凄まじい速度でホワイトサーペントを駆るエィミーへと迫るのだ。
「お義姉ちゃん、なんかマッドな科学者みたいなこと言ってたけど……」
 エィミーのユーベルコード、CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能(クローン・インフィニティドラゴン・ワーム)が発現する。

 それは帝竜ワーム因子を持ったクローンドラゴンを召喚するユーベルコードである。
 その数、百を数える。
 無論、帝竜ワームの権能を持つクローンのドラゴンたちは、質量を持った雷雲の海を領域として構築し、雷でもって海中にある水棲生物たちを討滅していく。
「ラクチェの要石があるから、遠慮なくやっちゃって!」
 彼女の号令に従うようにクローンドラゴンたちは嘶くように雷撃を迸らせる。
 鉄水によってエィミーとホワイトサーペントは膜のようにコーティングされているため、雷撃が己に及ぶ心配はない。

「雷……! その轟音すら深海には届かぬ……!」
 海上に飛び出す『オルキヌス』の巨体は圧巻であった。
 だが、エィミーもそうであるが猟兵たちはこれまで何度も『オルキヌス』以上の巨大なる存在を打倒してきたのだ。
 故に、帝竜ワームの因子を持つクローンドラゴンたちは雷撃を走らせ、『オルキヌス』の巨体を撃つ。
 さらに質量を持つ雷雲は海中にあって自在なる動きをする『オルキヌス』の進路を妨害し、海中を征くルートを絞らせるのだ。

「これが巨大魚狩りの手腕だー!」
 エィミーが掲げたのは、『白き破壊者』の名を冠する錨型のメガリス。
 巨大なるメガリスを振り回し、エィミーはその一撃を雷撃と共に『オルキヌス』へと放つ。
「グ、オオオオオ――!?」
 錨のメガリスが『オルキヌス』へと深々と突き刺さり、海中より巨体を引きずり出す。
 それは圧倒的な膂力というよりもメガリスの力であった。
 けれど、『オルキヌス』であっても抵抗できぬほどにケルベロスの名を持つメガリスの鎖は頑強であり、一度食いつけば決して離れぬ楔。
 故にエィミーは己のメガリスの力を信じる。
 雷撃が『オルキヌス』の力を削ぎ、力が緩まった瞬間。
 鎖を引き絞り、エィミーは『オルキヌス』の一本釣りのように強かに巨体を海面へと叩きつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

不知火・鉄馬
【雷花】

俺はどちらかといえば攻撃特化だからな…
防御と水中戦能力は澪のUCの力を借りる
その代わり、★紫龍~焔~を用いて邪魔してくる奴らは【気絶攻撃】
またはたたっ斬る
特に、自身への攻撃は【気合い】で耐えられるが
澪への敵意は一匹たりとも逃さねぇ

澪ならどうにか傷つけず、とか対応するんだろうが
俺は戦場で情けをかける程甘くはねぇぞ

澪の催眠が効き戦線が乱れたら
張ってもらったオーラ防御に【電撃耐性】を乗せ
オルキヌス目掛けて★閃雷を投擲
雷による【貫通攻撃、マヒ攻撃】で攻撃兼足止めを上乗せし

チェックメイトだ
【指定UC】発動
雷の【属性攻撃】を乗せた★紫龍を投げつける【槍投げ】により
オルキヌスに落雷の【範囲攻撃】


栗花落・澪
【雷花】

海中行動なら任せて!
僕一人だと火力不足だし
協力お願いね、鉄馬君

僕は【指定UC】で人魚化し【水中戦】の機動力を確保
鉄馬君と【手をつなぐ】ことでまとめて【オーラ防御】し
【高速詠唱】で風魔法を乗せる事で鉄馬君にも呼吸確保
同時に鉄馬君の方でも任意にオーラ防御を弄れるようにし
手を引っ張り泳ぐ事で回避も手伝う

オルキヌス以外の生き物達はあまり傷つけたくないけど…
要は意思統一出来なくすればいいんでしょ
海中生物は音波で物事を判断する子達が多いから
【催眠術】を乗せた【歌唱】を音波として飛ばす【範囲攻撃】で
オルキヌス諸共惑わせ、このエリアから離れさせる
出来るだけ遠くに
鉄馬君の攻撃が届かないところまで



 メガリスの鎖が、森羅冠す『オルキヌス』の巨体を釣り上げるように海上へと引きずり出し、海面へと叩きつける。
 その衝撃が上げる水飛沫は凄まじいものであり、周囲には雨のように海水が降り注ぐ。
 尾は貫かれ、巨体のあちこちに傷跡が刻まれているのは先行した猟兵達の戦いの軌跡である。
 だが、それでもなお『オルキヌス』は消滅しない。
 凄まじい生命力であるが、すでに過去の化身、オブリビオンと化している以上、生前のそれよりも強化されていることは言うまでもない。

「水の精霊よ、力を貸して!」
 そう叫ぶ声が海洋に響く。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、マジカルつゆりん☆アクアフォーム(マジカルツユリンアクアフォーム)へと変身するためのユーベルコードであり、澪の下半身は人魚のように変異を遂げる。
 共にある不知火・鉄馬(戒めの正義・f12794)と手をつなぎ、海中へと躊躇うことなく飛び込むのだ。
「鉄馬君、協力お願いね!」
「ああ、頼んだぜ。その代わり、攻撃は任せておけ」
 鉄馬は澪の手に引かれる形で海中へと突入し、澪の張り巡らせたオーラの力でもって、集結してくる水棲の生物たちからの攻撃を耐え、同時に凄まじい勢いで『オルキヌス』へと迫るのだ。

 手にしたのは金の龍の文様が装飾された濃紫の巨大槍である。
 澪の機動力と鉄馬の持つ巨大槍が合わされば、どんな敵であろうと道を塞ぐことなどできないのだ。
「行くぜ――!」
 凄まじい勢いで『オルキヌス』への道を塞ぐ水棲生物たちを退け、飛ぶように海中を征く。
 例え、この水棲の生物たちが『オルキヌス』に仕方なく従っているだけなのかもしれない。

 現に澪は『オルキヌス』以外の生き物を傷つけたくはないと思っていた。
 優しいやつなのだと、鉄馬は思っていた。
 だからこそ、澪に敵意を向ける者は許しては置けない。
「集結させるっていうのなら、意思統一をさせなければいいんでしょ」
 澪は歌うように音を紡ぐ。
 それは音波でもってコミュニケーションを取る生物の多い海の生物たちにとって、催眠術と同じであった。
「我が同胞を惑わすか! 裏切り者め! 陸上に在りては回帰せねばならぬと何故わからぬ!」

『オルキヌス』の咆哮が音波をかき消す。
 だが、一瞬であっても澪の歌声は集結した生物たちの隊列を乱す。
 そこへ一気に鉄馬と共に澪は駆け抜けるのだ。
「できるだけ遠くにお行き。鉄馬君の攻撃が届かないところまで」
 それは優しさであったことだろう。
 そんなことは鉄馬が一番わかっている。繋いだ手から感じるのだ。澪の優しさを。
 だからこそ、鉄馬は躊躇わない。

 澪ならばどうにか傷つけずに全てに対応するのだろう。
 けれど、自分は違う。
「俺は戦場で情けを掛けるほど甘くはねぇぞ!」
 雷で形成された刃を持つ大斧を『オルキヌス』へと投げ放つ。その巨体に突き立てられた雷の一撃は、傷口から焼きつき、その身をこわばらせる。
「グ、オオオオオ!!!」
「チェックメイトだ。貫け、飛龍!」
 放たれるは雷の力を纏った巨大槍の一撃。

 それは狙い過たずに放たれ、『オルキヌス』の巨体へと突き刺さり抉る。
 だが、それで終わりではない。
 なぜなら、鉄馬の瞳はユーベルコードに輝いていた。
「飛龍・貫雷(ヒリュウ・カンライ)! 穿け――!」
 放たれた巨大槍めがけて龍を模った巨大な落雷が天より『オルキヌス』の体へと落ち、その身を海中にあって尚、焼き焦がす。

 その一撃は『オルキヌス』に癒えぬ傷を穿ち、同時に周囲に集結した水棲の生物たちを散らすには十分すぎる一撃であった。
 鉄馬と澪は手をつないだまま、雷撃の一撃を持って見事に自分たちの役目を、戦いをさらに後に繋ぐのだ。
 彼らにとっての戦いはまだ終わらない。
 羅針盤戦争に勝利し、グリードオーシャンの人々をコンキスタドールの支配から解き放つその時まで、終わらない。

 何も不安はない。
 互いに手をつないで、伝わる気持ちさえあれば、それで十分なのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…人は、生命は、お前の支配なんて望んでなどいない
これ以上の暴虐を働く前に深淵に沈めてあげるわ、オルキヌス

UC発動して召喚した魔刃に音属性の魔力を溜め、
ソナーのように超音波を放ち水中の敵の存在感を暗視し、
さらに一本の魔刃に武器改造を施して大剣状にして波に乗り足場を確保する

…船よりも小回りが効いて存外、使いやすいわ

…刃に満ちよ、音の理。我に背く諸悪を悉く水底に沈めよ

過去の戦闘知識から敵の攻撃範囲を見切り魔力を噴射して回避し、
あらゆる環境で飛翔する100の魔刃を空中戦機動の早業で操り、
超音波振動で切断力を強化した魔刃で敵を乱れ撃つ

…水中では光より音の方が良く観える
逃しはしない。切り裂け、私の刃達…!



 凄まじい落雷の一撃が、森羅冠す『オルキヌス』の巨体を穿つ。
 その一撃は50mはある巨体を海中に在って尚、焼き焦がすほどの威力を持っていた。けれど、それでもなお『オルキヌス』は消滅しない。
 骸の海へと還ることはない。
 なぜなら、未だ『オルキヌス』は健在であるからだ。
 尾の一部は欠損し、巨体のあちこちには傷跡が刻まれている。
 それでもなお、健在であるのは嘗て七大海嘯の一体であった所以である。
「我は滅びぬ。我は進化し続ける。我の先にこそ、生命の頂きがある。それを何故理解しない」
 巨躯を焼き焦がされてもなお、『オルキヌス』は陸上生物への怨嗟を止めることはなかった。

 己の単眼を奪いし七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟。
 そして今、猟兵達が己の生命を狙う。
 それはこれまで『死』の概念そのものであった、絶対的な支配者の『オルキヌス』にとっては耐え難い屈辱でも在った。
「……人は、生命は、お前の支配なんて望んでない。これ以上の暴虐を働く前に深淵に沈めてあげるわ、『オルキヌス』」
 吸血鬼狩りの業・魔刃の型(カーライル)の輝きが、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の体から発せられる。

 召喚される魔力結晶刃に魔法増幅能力が付与され、リーヴァルディはユーベルコードの輝きを瞳に宿す。
「……この刀身に力を与えよ」
 放たれた魔力結晶刃が海中へと超音波を放ち、海中に在る『オルキヌス』の存在を暗視する。
 海上にあってリーヴァルディは魔刃の一本を大剣状に変化させ、波に乗って見下ろす。

 あれだけの巨体である。
 この海洋がどれだけ広かろうともリーヴァルディのソナーから逃れる術はない。
「……船よりも小回りが効いて存外、使いやすいわ」
 まるで波乗りであった。
 海中より放たれる海水をも押しのける衝撃波を躱し、リーヴァルディは狙いをつける。
 ソナーによって還ってきた音波はすでに把握済みである。
「うかつね、オルキヌス。その反撃が生命取りよ」
 リーヴァルディの指先が示す先にあるのは、『オルキヌス』の巨影である。彼女に従う魔力結晶刃が海中へと飛び込み、『オルキヌス』の巨躯へと切り込んでいく。

 ソナーに使った超音波は超振動となって海中であっても『オルキヌス』の硬い外皮であろうとも容易く引き裂くのだ。
「……水中では光より音の方がよく視える」
 リーヴァルディの瞳には『オルキヌス』の巨影しか映っていない。

 けれど、わかるのだ。
 跳ね返ってくる音が、頭の中で像を結ぶ。
 ならば、彼女が操る魔力結晶刃の操作は寸分違わず。
「逃しはしない。切り裂け、私の刃達……!」
 まるで空中を飛翔するように魔力結晶刃が紅く煌めいて、海中で『オルキヌス』の巨躯を刻んでいく。
 乱れ撃つ斬撃は百を越え、一瞬で『オルキヌス』を追い詰めていく。

 その巨躯が、その威容が、海中にあってなお、リーヴァルディのユーベルコードに輝く瞳からは逃れられることはない。
 海中から煌めく紅き残影は、その鋭き刃を持って、護るべき島へと『オルキヌス』を至らせない。
 羅針盤戦争の趨勢は決した。
 だからこそ、コンキスタドールの支配を確実にグリードオーシャンから排除する。
 そのためにリーヴァルディは己の持てる力を、この戦いに注ぎ込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
蒼雷に騎乗して出撃

お前の好きにはさせない、回帰は望まない
お前の方こそ海の底、冥界に戻れ

SPDで判定
蒼雷に【騎乗】し【水中機動】【高速泳法】で動き回りながら【水中戦】を行う
俺は【息止め】【素潜り】【深海適応】で耐えて【動物使い】で指示を出す
【視力】【暗視】【聞き耳】を使った【情報収集】で敵を捕捉し行動
敵の攻撃は【戦闘知識】【瞬間思考力】を使って【早業】で回避か、【オーラ防御】を展開して防御するかを判断する
銀腕を【武器改造】で銛の形状にして【怪力】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】を伴った【騎乗突撃】で【串刺し】にして攻撃



 紅き斬撃が海中を舞うようにして煌めく。
 それはユーベルコードの輝きであり、猟兵の放った一撃である。
 森羅冠す『オルキヌス』は斬撃に見舞われながらも、その巨体でもって島に迫る。
「我の目的は陸上生物を大海へと回帰させることである。猟兵に対して構うことなど本来必要なかった」
『オルキヌス』は己こそが進化の絶対頂点であると信じて疑わぬが故に、その驕りを持っていた。
 慢心と言ってもいい。

 だが、その結果がこれである。
 猟兵に島への接近は阻まれ、その巨躯に刻まれた傷跡が戦いの激しさを物語っていた。
 そこへルイス・グリッド(生者の盾・f26203)が駆る蒼雷が蒼い鱗を海中にありて輝かせながら、海竜の姿を顕す。
「お前の好きにはさせない、回帰は望まない」
「陸上に在る者。不遜なる者。お前達が望む望まざるとは関係ない。海洋に在りてこそ、生命の営みは循環するのだ」
 そんなことは誰も望んではいないのだと、己の観念こそを至上のものとする『オルキヌス』に真っ向から対峙する。
 小型の海竜であるが故に、巨躯を誇る『オルキヌス』に対抗するには速度だ。

 ルイスは蒼雷と共に戦場となった海中を高速で動きながら、指示を出す。
 己の息が続く限り、この戦いは続く。
 苦しいと思うことも忘れる。
「我が同胞よ。集え。我の力、汝らの力。迫る不遜なる者たちに鉄槌を下すために」
 義眼のメガリスの力をメガリス・アクティブ、その輝きでもって見通しの利かぬ海中を見通し、『オルキヌス』の巨躯を捉えるのだ。
 周囲に再び集まる水棲の生物たちは、それぞれが『オルキヌス』の戦力であり、その体を強化するための条件でも在る。
「強化はさせない!」
 ルイスは蒼雷と共に海中を駆け抜け、銀の腕を銛の形状へと変える。

 その銛の形状を『オルキヌス』は良く知っていたことだろう。
 己を、海洋に生きる者の生命を奪う形。
「簒奪者……! お前達陸上の者はいつだってそうだ。我らこそが捕食者。お前達に狩られる側ではなく、我らが貴様らを狩る側なのだ!」
 何故それがわからないのだと言うように『オルキヌス』が咆哮する。
 かつて単眼を持ち、その瞳で持って『生物を退化』させてきた呪いは今や失われている。

 だからこそ、ルイスは走る。
「生命の進化は止まらない。止められない。お前の方こそ海の底、冥界に戻れ」
 変形した銛、銀の腕のメガリスの力を最大限に引き出し、ルイスは狙いを定める。
 海竜である蒼雷が生み出す推力を得て、打ち出された銛の一撃は『オルキヌス』の硬い外皮を突き破る。
 血潮がとめどなく海中に流れ込み、『オルキヌス』の咆哮が迸る。

 だが、それでもルイスは止まらない。
 例えどんなに恐ろしい力を持っているのだとしても、それが止まる理由にはならないのだ。
「すでに過去の化身となったのなら、おとなしく見ていろ。進化は枝分かれしていくものだ。辿り着く先が一つなのだとしても、その過程を否定することなどできはしない」
 放った銛の形状が変化し、突き破った外皮の中で銀の腕が刃となって『オルキヌス』へと深々と傷を刻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
50mのデカブツが海を行く様はまるで怪獣映画だな。
「・・・怪獣映画なら私達はなぎ払われるモブじゃない?」
おいおい縁起悪い事言うなよ、相棒。なら怪獣を倒すヒーローの物語にしてやるぜ。
式神【鬼乗せ船】に乗って戦闘開始だッ!

海上を縦横無尽に移動しながら大砲の弾幕を浴びせてやるぜ。
野郎共ッ!撃って撃って撃ちまくれッ!
敵の攻撃は予備動作を見切って鬼乗せ船を操って回避行動。
相棒の巫女服は呪詛耐性があるからダメージを軽減できるとはいえなるべくなら遠慮したいしな。

攻撃し続けて大海獣が怯んだら体の上に鬼霊達と乗り込んで妖刀で斬り刻んでやるぜッ!


【技能・式神使い、集団戦術、弾幕、見切り、呪詛耐性】
【アドリブ歓迎】



 海中を征く、森羅冠す『オルキヌス』の威容は、言うまでもなく見るものに恐怖と不安、そして幾ばくかの奇妙な高鳴りを覚えさせたことだろう。
 猟兵たちの攻撃を受けて尚、『オルキヌス』は消滅しない。
 消耗は確かにしている。それは前身に刻まれた傷跡を見ればわかることだ。
 深々と刻み込まれた傷跡は戦いの軌跡。
『オルキヌス』が迫る島を破壊させてはならぬと、海中に引き止め続けた結果だ。
『50mのデカブツが海を行く様はまるで怪獣映画だな』

 そう呟いたのは、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)であった。
 鬼面のヒーローマスクである彼と依代たる少女、桜はグリードオーシャンの海洋に在りて、進まんとしている『オルキヌス』の姿に言葉を紡いだ。
「……怪獣映画なら私達は薙ぎ払われるモブじゃない?」
 桜の言う通りであった。
 怪獣映画であれば、あの巨大さ、圧倒的な力の前に為す術もない役どころであろう。

 だが、これは現実だ。
 戦わねば『オルキヌス』が島を飲み込み、海図から一つまた七大海嘯から開放された島が海の藻屑と消えるだけである。
『おいおい縁起悪い事言うなよ、相棒。なら海獣を倒すヒーローの物語にしてやるぜ』
 二人が今海上にあるのは、式神【鬼乗せ船】(シキガミ・オニノセブネ)の力である。

 二人のユーベルコードである妖刀と大砲で武装した鬼の幽霊を載せた幽霊船の式神が大海を行く。
 放つ砲弾は凄まじく、島へと迫ろうとする『オルキヌス』を足止めさせるのだ。
『野郎共ッ! 撃って撃って撃ちまくれッ!』
 凶津の号令と共に鬼たちが放つ大砲が『オルキヌス』の背に当たる。ざぶんと大波を立てて、『オルキヌス』の巨躯が海中へと潜る。
 まずい、と桜が気がついた。

『オルキヌス』にとって、この幽霊船の式神は良い的である。
 だからこそ、潜ったのだ。
 次に浮上してくる時が、この幽霊船の式神の最後だ。海底より迫る弾丸の如き体当たりは、幽霊船を粉々に砕いてしまうだろう。
『なら、迷ってる暇はねぇッ!』
 凶津の言葉とともに幽霊船が空へと舞い上がる。
 それは海中であろうと空中であろうと関係なく航行することが可能な、ユーベルコードによって生み出された式神の幽霊船ならではである。

 間一髪の所で『オルキヌス』の浮上に寄る突撃を躱した凶津たちは意気揚々と叫ぶのだ。
『そらッ、敵のお出ましだ! 行くぜッ、鬼霊達!』
 その号令と共に鬼霊たちと共に『オルキヌス』の背に飛び込んでいく。
 幽霊船からの砲撃と鬼霊たちの妖刀による斬撃。
 それは『オルキヌス』の体をさらなる消耗へと叩き込むには十分なものであった。

「どちらかというと……これ、B級サメ映画みたい」
 そんな桜の感想をよそに、鬼霊たちは一気呵成に攻め立てるように次々と妖刀を『オルキヌス』の外皮に突き立て、傷を負わせていく。
 振り払おうと身を震わせても無駄だ。
 鬼霊たちはまだまだ、その数が健在だ。
 無数に群がる光景は凄まじいものがあったが、それでも『オルキヌス』を打倒するために未だ足りない。

 けれど、凶津も桜もなんの心配もしていなかった。
 なぜなら、この場に転移した猟兵たちは自分たちだけではない。迫る脅威を押し戻さんと駆けつけた者達がいる。
 己達が倒しきれなくても、己達が刻んだ傷跡こそが、次に繋がっていくのだ
 確かな手応えを感じつつ、凶津たちは戦い続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
母、海、どいつもこいつも還るだなんだと……。

深海適応、回点号に搭乗操縦。
スラスターで推力移動、海中を移動しながら
『劫火業臨』発動。巨大化は最小限にし、超高速移動。
残像、小回りを利かして攻撃を回避し、武器改造、ニードルガンを生成。

自分が帰る場所は、自分が決める…!
今、小枝子が帰る場所はこの戦場以外にない。少なくとも、小枝子にとっては。瞬間思考力と動体視力でオルキヌスの周囲を移動しながら、プラズマ・スタン・ニードルを放ち、マヒ攻撃。オルキヌスの全身に突き刺す!

お前こそ、大人しく骸の海で、眠ってろ!!
神器拳銃から引き出した雷の力で属性攻撃
突き立てたニードルを媒介に、誘導弾。雷をオルキヌスに流し込む!



「母、海、どいつもこいつも還るだなんだと……」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はキャバリア『回転号』を駆る。
 深海適応する『回転号』であればこそ、海中をスラスターで素早く移動することが出来る。
 先行した猟兵たちが、森羅冠す『オルキヌス』に与えた傷は浅くはない。
 此処まで流出した血潮が視界を濁らせている。
 それだけ戦いが激烈なるものであったことを物語るには十分であった。

 かつての七大海嘯として名を連ねていた大海獣『オルキヌス』。
 今は不完全な復活であるのだとしても、小枝子は容赦をする気はなかった。
「呑み込め」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 劫火業臨(ゴウカゴウリン)のように爛々と輝く瞳によって、『回転号』はさらなる海中での加速を得て、『オルキヌス』へと迫るのだ。

「何故、理解しない。生命が回帰するのは海しかないのだと。何故抵抗する」
『オルキヌス』の招集によって集結した水棲の生物たちが小枝子の行く手を阻む。
 だが、小枝子は意に介していなかった。
 今の『回転号』であれば、十分に突破できる。
 そのためにユーベルコードによって武器を改造してニードルガンを生成したのだ。小回りが効くように取り回しを考えた装備で、小枝子は『回転号』と共に海中を駆け回る。

「自分が帰る場所は、自分が決める……!」
 小枝子が吠える。
 彼女にとって帰る場所とは即ち戦場以外ない。
 少なくとも彼女にとってはそうである。だが、それを憐れと思われるいわれはない。
 彼女の矜持がある。
 戦いに生きて、戦いに死ぬ。
 それが小枝子という猟兵の魂であるというのならば、誰に否定ができようか。
「愚かな……!」
『オルキヌス』が言う。けれど、小枝子の耳には届かない。
 プラズマスタン・ニードルを放ち、『オルキヌス』の巨躯へと突き刺し、その動きを止める。

「お前こそ、おとなしく骸の海で、眠ってろ!!」
 抜き払った神器拳銃から雷の力が引き出される。
 銃口を向け、狙うは突き立てられたプラズマスタン・ニードル。狙いは其処しかない。
 最小の動きで最大の戦果を。
 はなたれた雷撃の一撃が『オルキヌス』の全身を駆け巡る。
 それは『オルキヌス』の体の内側、その臓腑に至るまでを焼く。硬い外皮は傷だらけであり、焦げ付いているが、それでも小枝子の放った雷撃の一撃は『オルキヌス』の硬い外皮に守られた内側、その肉を痛めつけるのだ。

「お前達がいるから、戦いは終わらない。失われる生命がある。回帰しろ、だと? 生命は回帰しない。戻らない。お前の言うことはまやかしだ。失われたものは、そのままだ!」
 怨念の如き叫びが走る。
 海中に在りて、小枝子は引き金を引き続ける。
 それは己が悪霊であることを知らぬ、戦いこそを知る者であるからこそ、過去の化身たる『オルキヌス』を否定する一撃となるであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


生きることに、上も下もありはしないだろうに。
あたしは何にだってなれるし何処にだって行ける。
それを否定するのなら、もう一度骸の海に帰ってもらうよ。

さて、水中に適した姿になることは出来るけど、
向こうより適応してるかはわからないなあ。
まあ、どっちにしろやる事は変わらないし、
【瞬迅斬鰭】を使って泳いで加速しつつ突っ込むよ。
相手の攻撃は機動力で回避するよう頑張るとしようか。

攻撃は水中で強力な放電を行うと衝撃波が発生する事を利用して、
ヒレで斬りつけるのと同時に発電器官で放電する事で衝撃波を発生させて、
斬った場所から体内に衝撃波を叩き込むよ。



 電撃の一撃が、森羅冠す『オルキヌス』の肉を焼く。
 海中にあって、『オルキヌス』の周囲を固めるように集結する水棲の生物たち。それは咆哮と怨嗟によって呼び寄せられた存在である。
『オルキヌス』は恨んでいる。憎んでいる。
 大海に存在したままであるのならば、己の同胞である。
 だが、陸上に上がって己たちを捕食の対象とするのであれば、話は別だ。
「我らこそが捕食者である。見下ろす不遜なる者には『死』を。それが我らが大海の生命の絶対である」
 傷つきながらも、『オルキヌス』は未だ健在であった。

 尾は穿たれ、身は焼き焦げ、肉は焼かれる。外皮に刻まれた傷跡の多さが猟兵との戦いの激烈さを語るだろう。
「生きることに、上も下もありはしないだろうに」
 その言葉は、ゆっくりと響いた。
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は人魚のうような姿とヒレを持つ。
「あたしは何にだってなれるし何処にだって行ける」
 彼女はキマイラである。
 彼女の心は樹懶と嘯く。人の頭、獣の体。彼女を止めることはできない。歩みを、人生を、命の道行きを止めることは何人たりとてできるものではない。

 例え、それが『オルキヌス』という『死』のイメージ濃い存在であったとしてもだ。
「不遜なる陸上の獣が……!」
「それを否定するなら、もう一度骸の海に還ってもらうよ」
 ペトニアロトゥシカの瞳がユーベルコードに輝く。
 海中にありて、その姿は流麗なるものだった。刃物のように鋭いヒレで水をかき分ける。
 確かに海中に適応した姿であるが、『オルキヌス』は大海の覇者である。

 どちらが上であるかといわれるのならば『オルキヌス』に軍配が上がるだろう。だが、それを補って余る速さが、ペトニアロトゥシカにはあるのだ。
「どっちにしろやることは変わらない」
『オルキヌス』の怨嗟の咆哮が轟くように海水を押し込むように衝撃波が走る。

 けれど、ペトニアロトゥシカも負けては居ない。
 瞬迅斬鰭(フィン・リッパー)。
 その名に恥じぬ凄まじき速度で躱し、海中を動く姿は『オルキヌス』であっても捉えることはできなかっただろう。
 鋭いヒレの一撃が『オルキヌス』の硬い外皮を切り裂く。
「なんにだってなれる。だから、こんなことだってできる」
 発電器官を形成し、ヒレで切りつけた瞬間に放電し、衝撃波を生み出す。

 強力な放電を水中で行うと衝撃波が発生する。
 それを利用した一撃であった。
 抉るように切り裂いた『オルキヌス』の外皮、そこから叩き込まれる衝撃波『オルキヌス』の巨体をも吹き飛ばす。
「陸上の裏切り者が、我を見下すか!」
「上も下もないと言った。生命に、そんなものはない。在るのは生きているという事実だけ。アンタは自分が捕食される、奪われる側に回ることを考えることすらできなかっただけ」

 だから認められない。
 自分以外の生命の進化を。
 求めるものの価値を。故に、ペトニアロトゥシカは鋭いヒレの一撃を刻み込み続ける。
 己の存在を否定させはしない。
 自分は自分だと知るが故に。彼女は生命の意味を知るのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラリー・マーレイ
「ウイングブーツ」の【水上歩行】の力で海上に立つ
海中戦は不利過ぎる、どれだけ鍛えても僕は神でも悪魔でもない、只の人間だ
勝負は常に力学だ
使えるものは全て使う
「見知の書物」で海中を【索敵】し敵を探査
【先制攻撃】だ、先手を取れ

【召喚の呪符】
敵よりも『海に適応した』存在を召喚し操る
あれは最強の海洋生物
それを超えるには生物の域を超えろ

最強を超える最悪の存在
海の持つ凶暴性そのものの具現化
いでよ、リヴァイアサン

血を吐く【全力魔法】で己の【限界を突破】する域の存在を召喚
何を喚ぶかじゃない、どう使うかだ
海王の【念動力】で海流を操り大質量の渦巻で捻じ潰させる
海に棲まう者は海の牙には抗えない
お前はもう海の王じゃない



 海中での戦いは苛烈を極めていた。
 蒼い海の中は、森羅冠す『オルキヌス』の傷口から流れ出る血潮でどす黒く染まっていた。
 それだけの消耗を経て尚、『オルキヌス』は消滅しない。
 過去の化身、オブリビオン、コンキスタドールへと不完全ながら復活を遂げた『オルキヌス』にとって復讐こそが存在理由であった。
『生物を退化』させる力を持つ瞳。
 七大海嘯『三つ目』のバルバロス兄弟に奪われた単眼。

 己が『死』の体現者であった頃を思い出す。
 過去の栄華といわれても仕方のないことであるが、それでもなお、その巨躯は威容でもって対する猟兵を威圧し続けるのだ。
「海中戦は不利すぎる……どれだけ鍛えても僕は神でも悪魔でもない。只の人間だ」
 ラリー・マーレイ(冒険者・f15107)は魔力の籠められたブーツの力によって、海上に立っていた。
 見下ろす先には明滅するユーベルコードの輝き。
 猟兵が今も戦っているのがわかる。

 猟兵の戦いはいつだって繋ぐ戦いだ。
 誰だって一人で全てをこなせるものではない。
 だからこそ、ラリーは師の言葉を思いだdス。
「勝負は常に力学だ。使えるものは全て使う」
 そう、先手を取らなければならない。
 七大海嘯から失墜したとは言え、『オルキヌス』は大海獣である。ならばこそ、その巨躯を捉え、先制することができれば戦いの趨勢は一気にこちらに傾くのだ。

「見つけた……そこか」
 古ぼけた見聞録。
 その頁が風に戯れるように開かれた瞬間、ラリーの脳裏に『オルキヌス』の位置が浮かび上がるのだ。
 瞬間、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
「゛符の盟約に従い疾く来たりて我に従え゛」
 その言葉と共に、召喚の呪符(サモニングチャーム)の封が切られる。

 召喚されるは、『オルキヌス』よりも『海に適応した』存在。
 巨大なる影がラリーの体を覆う。
 その姿、その威容。正しくラリーが知る中で最強の海洋生物。その力を超えるには生物の域を越えなければならない。
「最強を超える最悪の存在。海の持つ凶暴性そのもの具現化。いでよ、リヴァイアサン」
 血反吐が出る。
 限界を超えた存在の召喚にラリー自身もまた身を削る。
 何を喚ぶかではない。どう使うかである。
「――この気配……なんだ?」
『オルキヌス』は初めてたじろいだだろう。
 この大海に在りて、己こそが頂点であった。
 進化の頂点。
 全てを圧倒する存在であったが、今まさに現れたものは、その次元にないものだ。在るのは、絶対的な力。

 その象徴たる力の権化。
「お前はもう海の王じゃない」
 ラリーの言葉が響いた瞬間、リヴァイアサンの念動力が海流を操り、大質量の渦巻でもって『オルキヌス』の体をねじ切らんほどの勢いで飲み込んでいく。
「海に棲まう者は、海の牙には抗えない」
 あるのは絶対的な自然の猛威。
 生み出された大渦の中に呑み込まれていく『オルキヌス』。その姿を見送り、ラリーは呪符の封を閉じる。

 己が呼び出したものは生物という括りにはない。
 超次元の存在である。けれど、だからこそ打倒できうるのだ。勝負は常に力学。己の師の言葉を再び思い出し、ラリーは海上にあって、唇の端から溢れる血を拭って、膝をつくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ&絡み歓迎
「水中用弾薬、換装完了」

【WIZ】

キャバリアに搭乗し、そのまま海中に突入します。

●UC対策
「避けるよりも受けますか」
敵の攻撃を機体の装甲で【盾受け】します。

「ああ、SSWの宇宙の『海に帰りたい』」
とホームシック的な強迫観念に駆られ

「ぐは、ゴフゴボ」
サイボーグとして機械化済みの肺から海水が湧いて窒息仕掛けるので【リミッター解除】、熱で蒸発させます。

●UC
「水中用ミサイル一斉発射」
オルキヌスに向かって、肩のミサイルの【弾幕】を斉射。ミサイルが1つでも当たるタイミングでUCを発動。

「GEAR:EXCAVTION。弾頭、変形開始」
ミサイルをドリルに変え、肉体を掘ります。
「掘削開始」



 グリードオーシャンの大海を進む鋼鉄の巨人、キャバリアの姿があった。
 名を『アルゲス』と言う。
 分厚い装甲と機動力を持った機体であればこそ、海中においてもなお活動に支障はない。
「水中用弾薬、換装完了」
 クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)はキャバリアのコクピットの中で視界を染める、森羅冠す『オルキヌス』の傷から流れ出る血潮をかき分けるようにして海中を行く。

 すでに『オルキヌス』は満身創痍であったが、その50mはあるという体躯は未だ健在であった。
 過去の化身として不完全な復活を遂げたといわれているが、その巨躯だけでも脅威であった。
 迫る島に至ってしまえば、あの巨体でもって島を滅ぼすことなど造作も無いだろう。
「それをさせぬために!」
「愚かな。我を再び屠らんとするか。陸上の不遜なる裏切り者が!」
 咆哮が轟く。
『オルキヌス』が放った衝撃波は海水を押しのけて『アルゲス』へと殺到する。

 躱すよりも受けた方がいいとクネウスは判断し、機体の装甲強度を信じ受け止める。
 だが、それは間違いであったと言わざるを得ない。
 クネウスの脳裏にあったのは星の海であった。
 故郷であるスペースシップワールド。それは強迫観念とも言うべき、望郷の念であったのかもしれない。
 帰りたいと願ってしまう。

 それは戦いにおいてあまりにも決定的な隙を生み出してしまう。
 繰り出された尾の一撃が『アルゲス』の機体を軋ませる。コクピットブロックに海水が浸水し、クネウスの体を包み込む。
 排水が追いついて行くが、それでも彼はサイボーグである。
 己の機械化した体のリミッターを解除させ、海水を蒸発させるのだ。
「……望郷の念、確かに誰にでもあるのでしょうが」
「大海に帰るを望め。汝の生命もまた回帰すべき時なのだ」
『オルキヌス』の周囲に集まってきた水棲の生物たち。

 その数は圧倒的であったが、クネウスは肯定しない。
 例え、己の今抱いた望郷の念が本物であったのだとしても、今目の前にある戦いを投げ出していい理由にはなっていない。
 それを知るからこそ、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
「GEAR:EXCAVTION(エクスカーベーション)。弾頭、変形開始」
 水中用弾薬に切り替えたミサイルを撃ち放つ。
 そのミサイルの弾頭がドリルへと変形し、『オルキヌス』や他の水棲の生物たちの身へと穿たれる。

「掘削開始」
 打ち込まれるだけにとどまらない。
 ドリルへと変形した弾頭は回転し、その硬い外皮を掘り進めるのだ。
「――ッ!?」
『オルキヌス』にとってすれば、未知なる激痛であったことだろう。外皮を食い破り、肉まで削るミサイル。
 強靭なる筋肉で持って体外へはじき出そうとしても抜けるものではない。
 それらは一気に『オルキヌス』の肉体を内側から侵食し、その弾丸でもって『オルキヌス』を否定する。

「思い出した故郷の海……けれど、立ち止まるわけには行かぬのです――!」
 その言葉を持ってクネウスは、未だ心に残る望郷の念を振り払い、『オルキヌス』を打倒せんと銀河の海ではなく、海洋を征くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
『瞳』の略奪の経緯には幾許かの同情はあれど…
その怒りを地上に向けるならば阻む他ありません

水中用装備に加えUCの追加装備を装着し●水中戦
誘導弾の魚雷で攻撃加えつつ敵の音紋探知を妨害
こちらはマルチセンサーでの情報収集で熱源探知しつつ水中機動で巨体を回避

この状態の私は海での『戦闘』に特化した状態
海での『生活』の機能持たざるを得ぬそちらに早々後れは取りません

追加装備の巨大鉄拳でスーパーキャビテーション現象起こす程の拳速で殴り飛ばし腹部を乱れ打ち
海中から海上へ、そこから空中へ打ち上げ

海から陸へ、陸から空へ
やがて蒼穹の遥か先を目指す人々の可能性…潰えさせはしません!

落下する敵を推力移動ランスチャージで貫き



 巨大なる海獣、森羅冠す『オルキヌス』の姿は今や満身創痍である。
 その体のいずれにも傷が刻み込まれ、傷ついていた。しかし、七大海嘯より失墜したのだとしても、大海獣であることは変わりなく。
 威容は流線型を帯び、海中に在ってあらゆる生物よりも大海に適応した姿であった。
 この大海における『死』の権化。
 それこそが『オルキヌス』であった。
「我は滅びぬ。我の瞳を簒奪したもの、陸上へ上がりし生命の裏切り者全てを海に回帰するまで止まらぬ。我は我の進化を持って頂きへと上り詰めるのだ」

 その単眼はすでに失われたものである。
『三つ目』バルバロス兄弟によって奪われた『生物を退化』させる力宿した魔眼。
 いずれにせよ、陸上――即ち島に住まう人々に向けていいものではない。
「『瞳』の略奪の経緯には幾許かの同情はあれど……」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は海中に在りて、水中用の装備に加え、特殊近接戦闘用試作型追加装備(エクステンションパーツ・スクウィリアアーム)を備えた姿で征く。

 その姿は巨大なる拳が生えたものであり、騎士と呼ぶにはあまりにも違うシルエットであった。
「その怒りを地上に向けるならば阻む他ありません」
 トリテレイアは誘導弾の魚雷を放ち、『オルキヌス』がこちらの位置を気取る前に妨害する。
 マルチセンサーによって音の反響、熱源などを探知したトリテレイアは『オルキヌス』の巨体へと迫る。

「この状態の私は海での『戦闘』に特化した状態。海での『生活』の機能持たざるを得ぬそちらに早々遅れはとりません」
「我こそが大海の覇者なるぞ。陸上に上がりしもの。この海に置いて、我よりも優位を誇るか!」
 放つ咆哮は凄まじい衝撃となってトリテレイアを襲う。
 だが、その初撃をマルチセンサーによって感知していたトリテレイアは水中の機動によって躱す。
 推力移動で、まるで水棲の生物のようにトリテレイアは動くのだ。

「ウォーマシン用最新鋭装備だそうですが…騙されている気がいたします」
 その両手に備えられた巨大な拳の装備。
 あまりにも無骨なるシルエット。これが本当に最新鋭と呼ぶに値するものであるかどうか、トリテレイアにはわからない。
 けれど、信じるほかない。
 性能、そのスペックは電脳が理解している。
 海の生物『シャコ』。
 その拳はスーパーキャビテーション現象すらも引き起こす。

 水の抵抗など意に介しない拳の一撃がトリテレイアから放たれる。横合いから一撃。
 それは『オルキヌス』の体を海中にあって尚、吹き飛ばす。
「威力は上々……ならば!」
 トリテレイアのアイセンサーが大海にあって尚、輝く。
 潜り込み、『オルキヌス』の腹部へと拳の連打を見舞うのだ。海中から海上へと打ち上げ、推進力を持って『オルキヌス』の巨体を海上から空中へと打ち上げるのだ。
「ばかな、っ! 我の体をっ!!」
 空へと打ち上げるほどの拳の一撃は、『オルキヌス』にとって満身創痍以上の打撃を与えていたことだろう。
「海から陸へ、陸から空へ……やがて蒼穹の遥か先を目指す人々の可能性……潰えさせはしません!」

 そう、必ず生命はたどる。
 海から生まれ、陸へ上がり、空を見上げる。
 そして、その彼方を望むのだ。
 追加装備の拳がパージし、トリテレイアは海上にて大槍を構える。
「故に、『オルキヌス』。その冥界より覗く瞳は此処で、怨嗟と断ち切らせて頂きます!」
 突き上げる槍の一撃が『オルキヌス』の巨躯を貫く。
 それは、トリテレイアを作り出した人類が、遥か未来に託した願いでもあった。

 見果てぬ物を見る。
 蒼穹より遙か先。そのずっと先を見たいと願う生命の輝きこそが、トリテレイアという存在を生み出すまでに至った。
 その証拠を見せつけるようにトリテレイアは大槍でもって『オルキヌス』に示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

曾場八野・熊五郎
なるほど、鱒之助が騒いでいたのはお主が原因であったか
『我らが父よ、母達のためにもここで仕留める、覚悟されたし』と鱒之助も言ってる
さあ大物狩りでごわす!

『水中戦・素潜り・環境耐性・ダッシュ』で鱒之助にしがみついて泳ぎ回るでごわ
『野生の勘』で回避しながらUCの射程圏内まで近寄るでごわす

さあオルキヌスよ、我輩らの知恵と力を見るでごわす
貴様と比べれば我輩らは銀河と星屑ひとつ、知恵を失えばただの畜生二匹
ならば賢い動物たるアイデンティティこそお主を打ち抜くこの上ない砲弾でごわす
散々振り回した相棒のためなら我輩も武器になってやるでごわす

『砲撃・破魔』で強化したUCをアホになるまで打ち込む

アドリブ連携OK



 石狩鱒之助刻有午杉――それは曾場八野・熊五郎(ロードオブ首輪・f24420)に捕獲された鮭児である。
 数々の戦争を超え力を得て、その運命に終止符を打つ時が来たと騒ぎ立てているように熊五郎には感じられた。
 賢い動物である熊五郎。
 まさに犬そのものであるが、手繰るは人の言葉である。あらゆる壁を超える力。それが猟兵の力であるというのならば、熊五郎は今、海洋の世界グリードオーシャンにて因縁を一つ打ち破らんとしていた。
「なるほど、鱒之助が騒いでいたのはお主が原因であったか」
 熊五郎の瞳に映るのは、猟兵たちによって追い込まれ消耗した満身創痍なる、森羅冠す『オルキヌス』の姿であった。

『我らが父よ、母達のためにもここで仕留める、覚悟されたし』
 鱒之助の言葉を受けて熊五郎は海上から海中へと飛び込む。鱒之助にしがみついて、海中を征く姿は矢のようであり、凄まじい速度で『オルキヌス』に迫るのだ。
「さあ大物狩りでごわす!」
 例え、『オルキヌス』が水棲の生物たちを集めようとも関係がない。
 今や、二人の速度は海中に在りて最速である。

 誰も彼らを捉えることはできないのだ。
「貴様……! 我が同胞であるはずだ。何故陸上の者に与するか!」
『オルキヌス』の咆哮が海中に轟く。
 満身創痍である己の身を差し引いても尚、鱒之助と熊五郎の速度は凄まじい。
 巨体の周囲を飛ぶように走り抜ける。
「さあオルキヌスよ、我輩らの知恵と力を見るでごわす――子犬座の星は鮭の星、我輩ら一匹一尾の知力を受けるでごわす!」
 熊五郎が吠える。

 その轟きはユーベルコードとなって輝きを放つ。
 己の知性を代償にしたユーベルコード。しかして、その真髄は相対する者との戦力差が大きいほど強化される破魔の力である。
「貴様と比べれば我輩らは銀河と星屑ひとつ。知恵を失えばただの畜生二匹」
 知性が失われていく。
 己が何を代償にしたのかもわからぬほどに失墜する知性。

 けれど、見よ。
 その星の輝の極大なるを。
 失われても尚、野生の本能が告げる。目の前の敵を撃て、穿てと。その咆哮だけが失われた知性、その奥にあるものを浮き動かす。
 散々に振り回した相棒のために。熊五郎は己自身を砲弾と変えて、駆け抜けるのだ。
「汝らは――!」
『オルキヌス』の巨体が真っ向からぶつかる。
 激突した衝撃が海水を押し上げ、周囲に凄まじい衝撃となって走る。

 だが、それでもなお激突しても『オルキヌス』は滅びない。
 ユーベルコードの輝きが増す。
 己の知性がどうなろうと構わない。
 目の前の敵を討つ。相棒たる存在を失われた知性で認識する。
 様々な理屈や感情を削ぎ落として残ったものこそが本物であろう。例え、知性なくとも、その記憶が残っている。
 過ごした日々が、共に戦った日々が。

「冥界を穿つか、猟兵――!」
 放たれた砲弾の如き破魔の力纏いし二匹が、森羅冠す『オルキヌス』の頭部から尾にまで突き抜ける。
 それはまさに夜空に走る流星のように。
 ユーベルコードの輝きを大海にきらめかせ、その霧散する巨躯を後にする。

 ぷかりと浮かぶ体。
 失われた知性。
 けれど、二匹は互いに支え合って、海の波間に浮かぶ。果たしたという充足感すらも、今は遠く。
 相棒、とどちらからともなく声を発した。
 それはきっと、大切な言葉。
 お互いがお互いを認識するためのたった一つのやり方。

 戻ってくる知性の最初に紡いだ言葉は、きっと言葉にできぬものあったことだろう。
 冥界すらも切り裂く流星。
 熊五郎と鱒之助は名を取り戻すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月26日
宿敵 『森羅冠す『オルキヌス』』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は曾場八野・熊五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト