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羅針盤戦争~果てなき欲望に終止符を

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #カルロス・グリード #オブリビオン・フォーミュラ #終の王笏島


●グリードオーシャン・終の王笏島
 見よ、あれなるは「蒼海羅針域」。
 遂に猟兵共は、我らが座標を指し示す羅針盤を手に入れた。
 多世界侵略船団コンキスタドールが、逆に他者の侵略を許すとは。

 だが、大いなる神が「静観せよ」と宣う意図も分かる。猟兵共の扱う秘儀、あれはまさしく、わが麗しの姫君が恐れし「グリモア」に相違あるまい。現状を維持していれば、いずれ彼奴らの拠点に通ずる蒼海羅針域を開拓する事もできたであろう。だがそれは、喉元に刃を突きつけられた今、行うべきではない。

 汝らの王たる我、カルロス・グリードより、全てのコンキスタドールに命ずる。全軍を以って猟兵との戦端を拓け。目標は、彼奴らの「渦潮」の破壊なり。同時に、我はこの世界を再び「侵略形態」へと戻す。メガリスを求める次なる航海にも同乗したくば、戦いによって汝らの意気を示すのだ。

●グリモアベース
「羅針盤戦争もいよいよ後半戦だ。お前たち、準備は出来てるね?」
 エラ・フィンチ(波打ち際の青尻尾・f26169)は険しい表情をして、猟兵たちに向かってそう告げた。
 七大海嘯の本拠の島が次々に発見され、熾烈な闘いが海の各所で繰り広げられているこの十数日間。残すところあと十日を切り、いよいよ本格的に本拠地制圧に乗り出すと行ったところだ。
「海図を広げる作業は順調に完了した。あとは広げた海図の中で暴れ回るだけだ。今回お前たちには、『終の王笏』の島で一暴れしてもらう」
 そう話すエラが名前を挙げるのは、カルロス・グリードの本拠地とする島、その最後の一つだ。豪華絢爛な王宮が島全体を覆うように建てられたそこで、カルロスは猟兵たちを待ち構えている。
「『終の王笏』のカルロスが待ち構える王宮には、山のようにメガリスが保管されているんだとさ。今回はその中から、選りすぐりのを三つ持ち出して戦いを挑んでくる。それぞれ、鉄鎖ドローミ、オーシャンオーブ、さまよえる舵輪」
 一つ一つのメガリスの名前を挙げながら、エラは眉間にしわを寄せた。それぞれ、命中したらユーベルコードを封じた上で抜けなくなる鎖、メガリスを代償にあらゆる行動を成功させる宝珠、様々なメガリスで武装した大量のコンキスタドールを乗せた幽霊船を召喚する舵輪だ。これらを、猟兵たちが行動するより早くカルロスは使ってくる。
「ここでカルロスを撃破したから勝利……って都合よくはいってくれない。お前たちもそれは分かっているね?」
 その問いかけに頷いた猟兵たちが気合に満ちた表情をするのを見て、エラがランタンを掲げる。
「八つの本拠地のうち、制圧済みなのはまだ二つ。残り六つを制圧しないと戦いは終わらない……踏ん張りどころだよ、お前たち! 気合い入れて行っといで!」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 いよいよすべての七大海嘯の本拠地が発見されましたね。
 皆で力を合わせて、オブリビオン・フォーミュラを倒しましょう。

●目標
 ・七大海嘯『終の王笏』カルロス・グリードの撃破。

●特記事項
 このシナリオは戦争シナリオです。
 一章のみで構成された特別なシナリオです。
 敵は必ず先制攻撃を仕掛けてきます。そのユーベルコードに適切に対処することができれば戦闘を有利に進めることができます。

●戦場・場面
(第1章)
 『終の王笏』カルロス・グリードの本拠地の島にある、豪華絢爛な王宮です。
 カルロスは三つのメガリスを携えて、猟兵たちを待ち受けています。

 それでは、皆様の力の籠もったプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『終の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    メガリス『鉄鎖ドローミ』
命中した【対象1体のユーベルコードを封じる鉄鎖】の【全長】が【対象を束縛するのに充分な長さ】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    メガリス『オーシャンオーブ』
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【王宮にある大量のメガリス】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    メガリス『さまよえる舵輪』
【様々なメガリス】で武装した【コンキスタドール】の幽霊をレベル×5体乗せた【空飛ぶ幽霊船】を召喚する。
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隠神・華蘭
う~む、多重化かしで対抗してみますかねぇ……。

この狸めがUC狸囃子でお相手いたしましょう! みぃんな出て、こいこいこいです! と【挑発】を兼ねて啖呵を切ります。
まぁ嘘ですが。派手に煙をあげ【化術】を使用。手持ちの大量の葉っぱを全て狸の姿に変え【念動力】で動かしつつ舞わせます。
そして使い魔の狸をあやつに飛びつかせます。わたくしと勘違いさせる為に。

わたくし自身は小さい燕さんに化けて【逃げ足】速く建物に向かいます。
強調した『狸』に気を取られている隙に。

あやつの視界の外で指定UCを使用。消されるでしょうけれどなるべく多くのめがりすを巻き添えにします。
少しでも本体が燃えてくれれば良いのですが……。


羽柴・詩織
【心情】
カルロス・グリードとの戦闘はとても過酷ですが、微力ながら皆さんのお手伝いできればと参戦です。
戦争に勝つ為全員で勝利を勝ち取ってみせます!

【戦法】
どんな行動も成功させるユベコはとてもやっかいです。
どれくらいメガリスを貯蔵しているか解りませんが少しでも消費を狙います。
先制攻撃は気にせず、ユベコ発動。
斬撃の数で勝負です!代償も気にせずに『ダッシュ』でカルロスに接近し、『2回攻撃』の技能も交えて斬撃による攻撃回数を増やします。
避けつつ攻撃もしてくるでしょうがその時は『受け流し』するように退魔刀の斬撃で少しでも軽減できる様に立ち回ります。
手数は最大の攻撃であり防御です!

※アドリブ・連携ご自由に。


御剣・刀也
さて、大将首との勝負
嫌がおうにも燃えてくるもんだ
さぁ、やろうか。俺かお前、どっちかが倒れるまで、存分に戦おうぜ

メガリス『鉄鎖ドローミ』は、刀と違い、鞭のようにしなり、直線的ではなく、思いもよらぬ動きで振るわれると思うので、第六感で鎖の溜めの一瞬を察知し、動きを感じとり、見切り、残像で避け、次の攻撃が来る前に勇気で恐れず、ダッシュで懐に飛び込んで捨て身の一撃で斬り捨てる。
「メガリスでもなんでもねぇが、こいつの切っ先に触れれば斬れるぞ?俺の一撃、受け止められるなら受け止めてみろ!」


エルシー・ナイン
羅針盤戦争も大詰めですね。『終の王笏』カルロス・グリード、ここで討ち取らせてもらいます!

鉄鎖はあえてよけずにそのまま束縛されましょう。UCを封じられても、ワタシのやることは変わりませんから。
鎖でつながれているなら、かえって相手の動きも読みやすくなるというもの。
ブラスター、ガトリング、ミサイルを『零距離射撃』で『一斉発射』です。束縛されて武器が使えないようなら、『念動力』で武器を無理矢理でも動かしますよ。相手が回避しようとするなら『誘導弾』で弾道を操り確実に当てにいきます。

相手の攻撃は『オーラ防御』で耐えきり、もし鉄鎖が外れるようなら一気に距離を取り【LC式全武装一斉射撃】をお見舞いします!


シノギ・リンダリンダリンダ
終の王笏、あぁ王笏
終の存在たるお前をやっと、手にかける事ができる
七大海嘯全てを、いやまぁ一人は殺せないですけど、全てを殺せる

幽霊を、幽霊船を出してきますか
死霊海賊たる私に向けて。面白いですね
【一大海嘯】を解放
最大数の邪剣を召喚し、幽霊船へ乗り込ませる
その剣技で、素早さで、一掃しておいてください

船掃討組以外は王笏へ
適当なメガリスを邪剣にして操らせる、まばゆい光を出させる、すごい速さで剣撃させる
残滓なので本物よりは弱い。しかし、数と、残滓なれどその力と、そして続けざまの攻撃
王笏、あぁ王笏よ
お前は、コンキスタドールの手で墜ち、死ぬ
私はそれをたっぷり、眺めさせていただきますね?


シン・コーエン
敵軍の陣容が全て明らかになった今こそが戦のクライマックスだな。
(右手に灼星剣、左手に村正を持ち)俺も全力を尽くそう。

相手の鉄鎖を如何に躱すか。
基本は第六感で攻撃を予測し、ダッシュと見切りで大きく回避。
ただ相手も甘くはない。
様々な手を使ってきて躱しきれない時は、灼星剣と村正を振るって衝撃波を放ちつつの武器受けで、武器が鉄鎖に触れない様に弾き、カウンター・念動力で鉄鎖をカルロスに向けて投げ返す。

UC使用可能になれば、温存してきた残像と空中戦能力を組み合わせ、残像を攻撃させた隙に、空を翔けて一気に背後に回り、灼星剣と村正による2回攻撃・炎の属性攻撃・剣風に乗せた衝撃波で、斬って焼いて撃ち据える!


ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

俺も同じメガリス使いだ、封じられる物なら封じてみろ
左腕をくれてやる、電撃を味わえ

POWで判定
UCとメガリスの力は別物だから封じられないはず
まずは銀腕を【武器改造】で俺の体を覆うように変化させつつ、内部に隙間を空けることで鎖が刺さらないようにして初撃を防ぐ
その覆いからは【ジャンプ】や【クライミング】で抜け出し、義眼のメガリスの藍の災い:圧壊【重量攻撃】を【スナイパー】【全力魔法】で鎖に使用し【時間稼ぎ】
【ダッシュ】【悪路走破】で近づき【怪力】で【グラップル】
銀腕を剣に改造して【串刺し】【逃亡阻止】
そのまま左腕を代償に指定UCを使用し攻撃【捨て身の一撃】【限界突破】


キング・ノーライフ
これがお前の本当の姿か、着せ替えごっこもここで終わりにせんとな。
【無機王】に乗り込み、【操縦】して動き回る事で鎖を避け、頃合いを見て当てさせよう。

我基準の長さではコックピットに届くまで時間が掛かる。
無機王の長さになっても縛るのに時間が掛かる。
その間にコックピットを少し空け、隙間から【贄の名残】でするりと出てコックピットで鎖を閉じ挟む事で我を刺す前に封印する。一度変形したらそれ以上伸びんだろ。

後はカエルレベルの身長以上の高さを跳ぶ脚力を利用した立体的な【空中戦】でカルロスに急接近、「私を縛ろうとするなんて罪な人ね」と茶化すように【誘惑】すると【限界突破】の【鎧無視攻撃】での打撃を打ち込む。


マリア・ルート
(アドリブや連携歓迎)
生意気にも『強欲』の名を冠しちゃって。
しかも『終』なんて言っちゃって。
『始』――ルートの名を持つ私が討滅してあげるわ!


相手の先制攻撃を【指定UC】で召喚した武器の一部(主に銃)で防御。
『フェイント』をかけるようにしつつ自分も若干移動してターゲットが銃たちに行くように。
武器たちはいくらでも替えがきく。残った武器を死角からこっそり飛ばす。後ろと、あとハンマーなど打撃系武器を上に飛ばして、前方からは剣など白兵武器を飛ばしつつそれを盾にするように斬りこみ。
 油断したところで後ろと上空からの攻撃を叩き込むわ!(2回攻撃)
 例え私が縛られて動けなくなっても武器たちは止められない!



●希釈
 黄金に彩られた豪華絢爛な王宮の中。そこの大広間に、カルロス・グリードは立っていた。
「……」
 無言でこちらを睨みつけるオブリビオン・フォーミュラを前に、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は自分の拳を打ち合わせた。
「さて、大将首との勝負。嫌がおうにも燃えてくるもんだ」
「ええ、羅針盤戦争も大詰めですね。『終の王笏』カルロス・グリード、ここで討ち取らせてもらいます!」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)も常に浮かべる笑顔をそのままに、カルロスへと指を突きつける。
 不敵な笑みを浮かべつつ、腕を組むのは隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)。
「大首領とあれば見過ごせませんねぇ。ここでとっちめてやりましょう」
 羽柴・詩織(白鱗の學徒兵・f23413)も学徒帽の庇に手をやりながら、目尻を持ち上げつつ言う。
「微力ながら皆さんのお手伝いできればと思います。この戦争に勝つ為、全員で勝利を勝ち取ってみせます!」
 その隣で、右手に深紅に輝くサイキックエナジーの剣を、左手に日本刀を握りながらシン・コーエン(灼閃・f13886)が力強く宣言した。
「今こそが戦のクライマックスだな。俺も全力を尽くそう」
 キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)はクロムキャバリア「無機王」に搭乗しての参戦だ。コクピットの中から声を響かせる。
「これがお前の本当の姿か、着せ替えごっこもここで終わりにせんとな」
 フードの奥から銀の瞳を輝かせて、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)も表情を険しくして言った。
「ここがお前の終着点だ。終の名の通り、すっぱり終わらせてやる」
 マリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)も眉尻を持ち上げ、力強く言ってのける。
「生意気にも『強欲』の名を冠しちゃって。しかも『終』なんて言っちゃって」
 そんな生意気なことを、とおおっぴらに言いながら、マリアは自分の胸を強く叩いた。
「『始』――ルートの名を持つ私が討滅してあげるわ!」
 そして、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は感慨深げに両腕を広げながら、カルロスへと言葉を投げかけた。
「終の王笏、あぁ王笏。終の存在たるお前をやっと、手にかける事ができる。七大海嘯全てを……いやまぁ一人は殺せないですけど、全てを殺せる」
 ここに居並ぶ九名、それぞれの思いはあれど全員が、カルロスを殺しに来たのだ。この戦争に決着をつけるために。
 その全員に視線を向けながら、カルロスは僅かに口角を持ち上げて返した。
「遂に我を殺しに来たか、猟兵。いいだろう、我が名はカルロス・グリード。強欲の海を統べるもの。ここで貴様ら全員を、海の藻屑と消してやる!」

●王笏
 まず最初に飛び出したのは華蘭と詩織だ。オーシャンオーブを輝かせるカルロスに向かって、己の武器を抜き放つ。
「この狸めが狸囃子でお相手いたしましょう! みぃんな出て、こいこいこいです!」
「どれくらいメガリスを貯蔵しているか解りませんが、消費させてしまえばこちらのものです!」
 カルロスの持つメガリス「オーシャンオーブ」は、王宮にあるメガリスを消費する代わりにあらゆる行動を成功させる。きっとカルロスはこちらの攻撃を回避し、こちらに攻撃を当ててくるだろう。
 ぼふんと派手に煙を上げて、華蘭がたくさんの小狸を召喚する。詩織も自身の握る退魔刀を輝かせた。
「手数で攻めてくるか。良いだろう、まとめて薙ぎ払ってやる!」
 二人の行動に小さく笑みを返しながら、カルロスが左手に握った王笏を振る。その一振りで、何体かの小狸が吹き飛ばされた。
 狸に化けた華蘭が次々に小狸をけしかけ、詩織が鋭く連続で切りつけていく。それに対してカルロスは王笏を巧みに振るい、攻撃をいなし、逆にこちらを打ち据えてきた。
「くっ、なんて苛烈な……!」
「ですが攻撃そのものは普通です、このまま攻めますよぉ!」
 詩織が奥歯を噛むも、華蘭の言う通り攻撃自体は王笏による打撃のみ。躱せないレベルではない。
 華蘭の後押しを受けて、詩織が一気に飛び出した。カルロスに肉薄して素早く退魔刀を振るう。
「手数は最大の攻撃であり防御、連続で斬りつけるまでです!!」
「なんの、この程度!」
 それをいなしていくカルロス。詩織の攻撃を的確に捌いていった。その動きには一切の淀みがない。
「今ですっ、てりゃーっ!」
 その隙を突いて、華蘭が一気に飛びかかった。カルロスの視線が詩織から華蘭へと向けられる。
「むっ、そこか!」
 攻撃を的確に見切ったカルロスが王笏を突き出す。その円形の飾りが華蘭の腹部に突き刺さった。
「あ――」
「華蘭さん!!」
 目を大きく見開く華蘭。詩織が悲痛な声を上げた瞬間だ。
 華蘭の姿が、煙とともにぼふんと音を立てて消える。
「何っ!?」
「消えた……偽物?」
 カルロスも詩織も予想外の出来事に目を見張る。この華蘭が偽物だとしたら、本物の彼女はどこに行ったのか。
「しめしめ、うまく欺けましたよぉ。それで……ここですねぇ、メガリスの貯蔵庫」
 本物の華蘭は戦場である大広間を離れ、王宮の中にある宝物庫を探し当てていた。変化によって燕の姿に化けている。
 先程繰り出した狸囃子はブラフ。化術と念動力を駆使して作り出した偽物のユーベルコードだ。本命は別にある。
 宝物庫の中に入り込むと、そこでは大量に保管されている数多のメガリスがあった。目の前でそれらが、どんどん消失していっている。
「次々にメガリスが消えていますねぇ。それでは、いっちゃいましょうかぁ。全て跡形も無く焼き尽くす……これぞ、シンの怨絵巻」
 ここで、華蘭は真のユーベルコードを発動させた。青白い火の玉を大量に放って、宝物庫の中のメガリスを焼き尽くしていく。
 そしてこの時だ。消費できるメガリスの数ががくんと減ったカルロスの動きが鈍り始める。詩織の攻撃が目に見えて当たるようになっていた。
「くっ、どういうことだ!?」
「攻撃を躱しきれなくなっている……? と、とにかく今です!」
 その状況に困惑しながらも、詩織は改めてカルロスに一太刀を叩き込んだ。後退する彼女の代わりに前に飛び出すのは、刀也とルイスだ。
「さぁ、やろうか。俺かお前、どっちかが倒れるまで、存分に戦おうぜ」
「俺も同じメガリス使いだ、封じられる物なら封じてみろ」
 二人に続いて、エルシー、シン、キング、マリアも前線に飛び出した。彼ら六人を迎え撃つべく、カルロスが新たなメガリスに手をかける。
「ふん、私の手元には最強のメガリスが揃っている! 全てを縛る鉄鎖を受けてみろ!」
 彼が右手で握ったのは鉄の鎖だ。それを鋭く振るうと、六本に分裂した鎖が高速で伸び、六人に向かっていく。
「あんたは見たことある? 目の前を埋め尽くす、武器の大群を」
 それを目の前にしながらマリアは大量の武器を召喚した。剣、ハンマー、メイス、槍、そして銃。槍と銃を前に出して壁を作るようにしながら、鉄鎖の先端を防ぎにかかる。
 カルロスがそれを見て、ふんと鼻で笑った。
「武器だと? その程度のもので」
「ええ、これ一つ一つはその程度のもの。でもいくらでも替えがきくのよ!」
 武器の壁で鎖を止められたら儲けもの、少しでも時間を稼げればいい。そしてマリアはカルロスの側面に移動するようにしながら武器を飛ばした。
 剣と槍を彼に向かって。ハンマーとメイスは死角となる上へ。そしてマリアは前方に飛ばした剣と槍を盾代わりにしながら切り込んでいく。
「例え私が縛られて動けなくなっても、武器たちは止められない!」
「く……!」
 カルロスが彼女の剣戟を受け止めた所で、上からハンマーとメイスが降ってくる。二段構えの攻撃に、カルロスは脳天にもろに打撃を食らった。
 その合間に、刀也とシンは鋭く動き。迫りくる鉄鎖を回避していた。
「ふっ……!」
「ここだっ!」
 刀也は最小の動きで残像を残しながら、シンはダッシュして大きく躱しながら。異なる避け方にカルロスが顎をしゃくる。
「ほう、躱してくるか。だが甘い!」
 手元で鎖を動かせば、たわんだ鎖が予想外の方向から襲いかかってくる。刀也は何度も残像を残して回避し、シンも走って逃げることを止めないが、直ぐ傍まで鎖が迫ってきた。
「くっ、そう来るなら!」
 このままでは躱せないと判断したシンが灼星剣と村正を振るう。衝撃波を以て鎖を弾き飛ばし、その先端をカルロスの方に向かって投げ返した。まさか自分の方に向かってくるとは思わなかったのだろう、カルロスが目を見開く。
「何――」
「いい動きだ、シン!」
 明確に生まれた隙。そこを見逃さず、刀也が一気に飛び出した。日本刀「獅子吼」を構えながら距離を詰める。
「メガリスでもなんでもねぇが、こいつの切っ先に触れれば斬れるぞ? 俺の一撃、受け止められるなら受け止めてみろ!」
「くそ……!」
 一気に肉薄した刀也が上段から獅子吼を振り下ろす。その一太刀で、カルロスの身体が切り裂かれた。
 他方、キャバリアに乗り込んでいたキングにも鎖は迫る。しかし全長5メートルの巨人は縛るのに相応の長さが必要だ。コクピットの中でキングがうっすら笑う。
「ふむ、予想通りだな。無機王に刺さるなら縛るのに時間を要するし、縛られても我は自由だ」
 そう零しながら、キングは自身の姿を美女へと変える。そしてコクピットのハッチに僅かな隙間を作った。その隙間を狙って鉄鎖が伸びてきた瞬間。
「そして、私を狙ってくるのなら……こうなるわよね?」
「なっ!?」
 その僅かな隙間からするりとキングが抜け出した。ハッチの隙間に突っ込んだドローミはコクピットから出られない。一度長くなったら短くならないことが、ここに来て仇になった。
 驚異的な脚力でキングが距離を詰める。そしてカルロスの顔にそっと手を添えた。
「うふ、私を縛ろうとするなんて罪な人ね」
「ぐわ……!」
 誘惑するように甘い声を駆けた次の瞬間、キングの足がカルロスの顎をかち上げる。がくんと上方に振られるカルロスが、頭を振りながら体勢を立て直すころには、キングはもう無機王の傍だ。
「くそ、こんな程度で……そこだ!」
 気を取り直してカルロスが鎖を振るえば、エルシーとルイスに鋭く鎖が伸びる。そして二人の身体に鉄鎖の先端が突き立った。
「く……!」
「むっ……!」
 エルシーの、ルイスの声が戦場に響く。
「エルシー!」
「ルイスさん!」
 刀也が、シンが二人に声をかけつつ二人の方を見た時だ。ルイスの全身は銀色の液体金属に覆われていた。
「大丈夫だ、防御は出来ている!」
 その金属の覆いから、ルイスは鋭く抜け出した。身体に鎖が刺さった跡は、見当たらない。カルロスが驚きに目を見張った。
「何っ、抜け出しただと!?」
 飛びかかってくるルイスに驚いたカルロスが鉄鎖を引き戻そうとするが、既に鉄鎖はルイスのまとっていた液体金属に突き刺さって抜けなくなっている。
 さらにその鎖めがけてルイスが義眼のメガリスを作動させた。鎖が地面に叩きつけられ、引っ張られたカルロスが体制を崩す。そこに。
「はぁぁぁっ!!」
「ぐ……!」
 銀の右腕を剣の形に変えたルイスが、その右腕を深々と突き立てた。
「左腕をくれてやる、とくと味わえ」
 血を吐くカルロスに、追い打ちをかけるべくルイスは声を発する。彼の左腕が焼け焦げたように崩れ落ちるや、銀腕から膨大な電流がほとばしった。カルロスが身体を仰け反らせたその時だ。
「あら、ワタシを忘れられては困りますね」
「何――」
 エルシーの声が耳に届く。次の瞬間、カルロスの至近距離から発射されたミサイルが炸裂した。
「ぐわ!」
「おっと!?」
 爆風と爆音があたりに響く。とっさに腕を引き抜いて飛び退いたルイスへと、鉄鎖に繋がれたままのエルシーが淡々と謝った。
「おっと、失礼しました。このまま攻撃を継続しますので、なるべく早くに離脱されることをおすすめします」
「分かった……!」
 彼女の言葉通りに、ルイスは一旦後方へ下がる。その合間にエルシーはブラスターを、ガトリングを、ミサイルをカルロスの周囲に念動力で配置する。
「ユーベルコードを封じられても、ワタシのやることは変わりません」
「くっ……!」
 そこからの一斉射撃。無数の銃弾とミサイルでカルロスの身体が木の葉のようにもみくちゃにされる。エルシーが武装を後方に下げる時には、カルロスの服はあちこちが焼け焦げ、破れていた。
「おのれ……小癪な真似を!」
 最後の抵抗とばかりに、カルロスは幽霊船を召喚した。コンキスタドールが幽霊船からラッパ銃を向けてくる。
 しかし、それを待っていたと言わんばかりにシノギが前に出た。
「幽霊を、幽霊船を出してきますか。死霊海賊たる私に向けて。面白いですね」
 そう声を発しながら、シノギはさっと腕を振るう。次の瞬間、彼女の周囲に100人、コンキスタドールが現れた。否、ただのコンキスタドールではない。『舵輪』ネルソン提督、『邪剣』ピサロ将軍。七大海嘯がそこに、多数存在していた。
「何……これは!?」
「ふふふ。手伝ってくれるのですよね、お前たち?」
 シノギが声をかけると、彼らの頭に呪詛のアンテナがこれみよがしに生えてくる。次の瞬間、何人もの『邪剣』が空中に飛び上がった。コンキスタドール満載の幽霊船に乗り込んで、バッタバッタと幽霊を切り裂いていく。
「残滓なので本物よりは弱い。しかし、数と、残滓なれどその力と、そして続けざまの攻撃」
「くっ、こんなことが……!」
 残りの『邪剣』と『舵輪』に襲われながら、カルロスは奥歯を噛んだ。まさか敵に召喚されたとはいえ、七大海嘯に襲われるなど。
「王笏、あぁ王笏よ。お前は、コンキスタドールの手で墜ち、死ぬ」
 シノギが恍惚の表情で両腕を広げ、カルロスに声をかけた瞬間。
「ぐは……っ!!」
 『舵輪』の放った銃弾が、カルロスの腹に風穴を開けた。

●介錯
 ぱたりと、また血が王宮の床に染みを作る。
「おのれ……おのれ!!」
 憎しみの表情を浮かべ、腹を抑えるカルロスに猟兵たちが迫る。
「この一閃に全てを籠める!」
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!」
 シンが、刀也が、己の剣を以てカルロスの身体を深く切り裂き。
「まだまだ、私の攻撃は終わらないですよ!」
「これにて貴方はおしまい、ですよ」
 詩織が、華蘭が、退魔刀を突き立て、炎で身を焦がし。
「対象を完膚なきまでに殲滅します。オールウエポン、フルファイア!」
「ふふふ、こんな程度で終わってしまうの?」
 エルシーが、キングが、無数の銃弾とミサイルをお見舞いして。
「お前の命もここまでだ、王笏!」
「王笏、あぁ王笏。お前は終わる。ここで終わる。その終の名のとおりに」
 ルイスが、シノギが、カルロスの身体をずたずたに切り裂いた。
 もはや命は風前の灯。焼け焦げ、血に塗れたカルロス・グリードに、マリアが迫る。
「ぐっ、は……」
「これでトドメ……眠りなさい、カルロス・グリード」
 振り上げるのは巨大な斧だ。それはまるで断頭台に乗せられた哀れな囚人の首を刈り取る、処刑者のようで。
 一気に振り下ろされた斧が王宮の床を割る。そしてごとりと転げ落ちたカルロスの頭が、身体とともに塵となって消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月21日


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#グリードオーシャン
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#オブリビオン・フォーミュラ
🔒
#終の王笏島


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト