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羅針盤戦争〜 太陽の簒奪者、世界の侵略者

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ピサロ将軍 #邪剣島


 侵略は良い物であったと彼女は語る。弱き者が虐げられるのは真理であると彼女は語る。
「私が強く、奴らは弱かった。その上に奴らはその力にふさわしくない財があった。だからこそ私は奪った。嗚呼、よく潤ったな本当に」
 誰に言うわけでもなく黄金や宝石で飾られた玉座に座りながら、恍惚とした表情で呟いた七大海嘯が一人『邪剣』ピサロであったが、その後どうしようもないと言った風に肩をすくめた後、がっくりと落としていた。
「その財と力を全て駆使したつもりであったが、私がこのような目に合うとはな」
 彼女の予想では、自身が根城としている邪剣島に猟兵達が辿り着くにはまだ時間があり、その時間を使い彼女は界渡りと呼ばれる儀式を以て別の世界へと転移する手はずであった。だが、その予想は見事に裏切られる事になる。既に猟兵達は刃を天に向けた剣が無数に生える邪剣島へたどり着く道筋を見つけており、界渡りを行う余裕は彼女にはない。
「奴らが我が部下にいれば私の侵略も楽になるであろうなぁ……いや、もしもの話など言うまい」
 そう言い放つとおもむろに煌びやかな玉座から立ち上がり、壁に掛けた愛剣を手に取る。逃げおおせなかった以上、彼女がやるべきことはただ一つだ。
「徹底抗戦しかあるまいな!『黄金太陽神』よ、界渡りはやめだ。お前の力をこの邪剣島で振るうがいい!」

「……ご苦労様です皆さん。ついに最後の七大海嘯の本拠地を発見する事が出来ました」
 猟兵達の苦労をねぎらう言葉を掛けるロワ・ランソン(法の番人は規則を破りたいお年頃・f31407)ではあるが、元々無表情であるその顔に笑みはなく、むしろ彼の発する言葉には何処か重い物があった。
「少なくとも相手の居場所が分からなかったという不確定要素が無くなったのは良い事です。ですが七大海嘯の一人だけあって、実力は確かな物です」
 界渡りを行う事での別世界への逃走自体は阻止できたが、それならばと此方が攻め疲れるまで耐える事にしたのであろうピサロの能力は、まさに防衛に特化していると言って過言ではない。
「島自体の大きさはそこまでではないのでピサロを見つける事は簡単です。ただ、島中に剣が生えており足場が悪い所か下手をすれば移動するだけでダメージを負いかねません。更に彼女の背後にある黄金太陽神が島全体を照らして視界を奪ってきます。それ等を利用しつつ、高速機動ユーベルコード「八艘飛び」を駆使して攻撃を行う彼女は……強敵です」
 自身の口から出る言葉に猟兵達を安心させる要素がない事を、顔には出さないが心苦しく思いながら、それでもロワは言葉を綴る。
「勝利を信じています。どうか武運長久を」


風狼フー太
 海を渡り金銀財宝を手に入れた冒険家。と言うのは実に聞えが良く浪漫がある物だけども、それ等の出所を調べると浪漫もへったくれもなかったりする物です。風狼フー太でございます。
 さて、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍との決戦となりますがまずは、プレイングボーナスをご覧ください。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃+八艘飛び+めくらましの光+地面から生える剣に対処する。

 対処しなければならない事柄の数が非常に多い上、これ等の対処を怠ると苦戦判定は免れません。難易度もやや難となっておりますのでいつも以上に判定も厳しくなります。
 めくらましの光は島全体に届く射程となっており、目が眩んだ状態で移動すれば足元の剣に気が付かず移動するだけでダメージを食らいかねません。その上で八艘飛びの高速移動と先制攻撃をかいくぐらなければならない強敵にどう立ち向かうか。
 正直厳しい戦いとはなるでしょうが皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』

POW   :    太陽の征服者
全身を【黄金色のまばゆい光】で覆い、自身の【『八艘飛び』による加速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    八艘九連飛び
自身の【背後の黄金太陽神】が輝く間、【「八艘飛び」による超高速斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    三千邪剣世界
自身からレベルm半径内の無機物を【ピサロの意のままに宙を舞い、敵を襲う邪剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
盗賊職に無茶いわないでっ!?もー!
瞳を閉じ周囲にバラまいた、ボクの空飛ぶ金貨達による探知網に身を任せて目晦まし回避。金貨達を足場に蹴っての移動や収納の魔術カードの中へ攻撃を[詰め込み]、地上の剣を回避。
……まってまって![取引]しない?ボクは財貨の悪魔!ほら!黄金や宝石もこの通り!(賭けと言えば賭け!ピサロを対象に【デモン・フェイカー】。手品の様に精巧なる贋作、偽財貨を生やし[存在感]を見せつけて[誘惑])
本命の[騙し討ち]!ボクのユーベルコードの真価!ピサロが持つ本物の黄金太陽神や魔剣の操作権を[盗み]、光を奪い[視力]で動きを先読み回避、操作を盗んだ魔剣や金貨達で[範囲攻撃]!



「盗賊職に無茶いわないでっ!?もー!」
 神なる存在が放つ太陽の光に照らされ、宙に浮かぶ金貨が光り輝くという奇妙な光景がそこにはあった。意志ある存在にして宙に浮く事が出来る金貨をばら撒いたユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)は、目を瞑り自らに従う金貨に身を委ねる事によって宙に浮かび、島に生えている剣の数々の影響を受けず、八艘飛びを用いた超高速斬撃を金貨が体を動かすままに躱し続けてゆく。
「宙に浮かぶ金貨とは珍しい物を持っている!その金貨、実に欲しいな!!」
 目にも止まらぬ速さで切りかかるピサロから漏れた声は、太陽すら簒奪した底なしの欲望を示す物。その矛先は、主人に忠義を抱く金貨と言う存在にも向けられていた。
「ダメだよ!この子はボクの物だから!!」
「そうか!ならばお前を殺して奪うのみだ!!」
「うっ……や、やっぱりまってまって!取引しよう!ねっ?」
 一度は否定の言葉を繰り出したユニではあったが、やはり考えを改めたという様に両手を上げて敵意がない事を示す。
「うん?貴様……なんだそれは」
 自身を此処まで追い詰めたはずの目の前にいる猟兵が簡単に諦めた事に怪訝な顔をするピサロだったが、それよりも足を止める程に彼女の目を引いたのは両手を上にあげたユニの手の上にある物だ。
「ねっ?見て?ボクは財貨、財宝の悪魔なのだよ!ほら、黄金や宝石もこの通り!ボクを殺すのはもったいないと思うなー?」
「……ほーう?」
 途端に目の色を変えたのはやはり彼女が財を奪う者である証であろう。値踏みする様な目でユニを見つめ、手を顎に当てて考えていたピサロの頭の中にある天秤には、目の前の猟兵が何かを企んでいるのではないかという事とそれを踏まえた上でどれだけの利益が出るかという損得の兼ね合いだ。
「……ふむ、そこを動くな猟兵。私の財にはちょうどいい首輪もある。犬の代わりに飼うのも一興という物だ」
 天秤は利益へと傾いた。無論、ユニに対する警戒を怠る事はないがそれでも今近づいてくるピサロとまともに相対するよりは遥かにマシだという確信の元、金貨に押されるがままにユニは飛ぶ。それを切り払おうとしたピサロの剣へ、そして黄金太陽神へとユニは手を触れたのである。
(……盗った!) 
 途端にユニの意思の元に黄金太陽神は光を放つことをやめ、ピサロの剣はユニの意思に従い元の持ち主へとその刃を突き立てようとする。ユニのユーベルコードによって、ピサロの剣や黄金太陽神を盗み自分の物とする事で、一時的にだがそれ等を操る事が出来るようになったのである。
「ぬうっ!?」
 その刃を逸らし、自身の背後にいる黄金太陽神へと突き立てるピサロ。この世の物とは思えない絶叫が辺り一帯に響き渡り、それと共にユニが盗んでいた黄金太陽神の操作を奪われてしまう。
「何か企んでいるとは思ったが、成程な」
 再び眩い光を放つ黄金太陽神。それと共に剣の操作も奪い返されてしまう。
 たった一瞬盗めただけではあった。だが、黄金太陽神と感覚がつながっているのかピサロの息は先程よりも荒い物と成っている。
「此処で殺すべきだろうが、この侵略に略奪を重ねた私から宝を盗もうとするその審美眼は気に入ったぞ貴様!!今ならば許す。共に世界を侵略し、略奪の限りを尽くそうではないか!」
「お断り!ボクは盗みはするけど誰かを虐める趣味はないの!」
「ならば仕方あるまいな!お前を殺しオブリビオンとした後、改めて部下にするとしよう!!」
 先程よりも速く剣を振るうピサロだが、手を使い果たしたユニにまともに戦う意思はない。徹頭徹尾、逃げの手を打ち続けて身を隠したユニは見事にピサロの追撃を躱してみせたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

岩倉・鈴音
悪逆無道美少女、ピサロよ。
この地があなたの墓碑となる。
「財と侵略に固執し、自分の命を取りこぼす」碑としてな。

先制対策
天候操作で突然の突風を起こし邪剣に抵抗。
オーラ防御や盾受けでダメージ軽減。

【全てを塗りたくれ】でピサロにふきつける。当たらなくてもかまわない。背後にいる黄金太陽神にふきつけ、光を減らすためだ。地面の剣もわかれば塗りつけておく。

ピサロ対策
黄金太陽神と取引する。
「ピサロを憎んでいるでしょう。猟兵と一緒に戦ってピサロを捕らえよう!いまの境遇から逃げられるゾ。輝いてる場合じゃない。」

一気に接近し鎧無視、力溜め、貫通など攻勢を重ねる。
生えてる剣に追い詰める。
攻め疲れ?逃げ疲れの間違いよ。



「墓碑銘は『財と侵略に固執し、自分の命を取りこぼす』でいいわよね?悪逆無道美少女、ピサロよ」
「嬉しい事言ってくれるではないか。貴様等の墓なんぞ作るつもり等なかったというのに」
 憎まれ口に軽口を返すとでも言い表せそうな会話の中、サイボーグの体から黒い塗料を噴射する岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)。輝く太陽の光によってまともな狙いがつけられない塗料は容易くピサロに躱されてしまい、お返しだとばかりに島に生えている剣を意のままに従う無数の邪剣へと変えて鈴音を串刺しにしようとするが、天候を操作し突風を生み出してそれ等の軌道を変える事でピサロの攻撃を躱す。
 一見にして互角の戦いではあるが状況は鈴音に分が悪い。黄金太陽神に塗料を塗りつけて光に対抗するつもりの鈴音だったが、常にピサロの背後に位置する黄金太陽神に塗料を塗るという事はピサロに命中させる事に等しい。だが光に目が眩んだ状態では、高速で移動が可能であるピサロに攻撃を当てる事は不可能に近く、光が止まない以上、地面に塗料を塗る事で地面に生えている剣を可視化すると言う作戦も殆ど効果を為さない物となってしまったのだ。鈴音を切り裂こうとする邪剣に対しては突風を巻き起こし、それでも防げなかった物はオーラの壁や盾で受け流す事で対処は出来ているが後手に回っている感は否めない。
「所で黄金太陽神だっけ。貴方ピサロを憎んでいるでしょう?」
 ここで必要なのは逆転の一手。その鍵を握るのはピサロに憑りつき、隙あらば彼女を呪い殺さんとする黄金太陽神にあると見た鈴音は今何処にいるかもわからないそれへと声を掛ける。
「ワタシ達と一緒に戦ってピサロを捕らえよう!いまの境遇から逃げられるゾ。輝いてる場合じゃない!」
 その言葉に黄金太陽神は確かに反応を示した。怨念を宿す声と共に、発する光が点滅し徐々に輝きを失ってゆく。
「随分と悠長な取引だな?」
 そう。問題があるとすれば、鈴音が取引を行う間もピサロは止まる事がないという事であろう。黄金太陽神に気を取られた分、反応が遅れてしまい一本の邪剣が鈴音の防御を貫いて彼女の下腹を深々と貫いたのだ。
「ぐっ……この!」
「取引とはお互いに材料が揃ってこそ成り立つ物。コイツには力が、お前には時間が足りなかったようだな?」
 高らかに笑いながら力なきと黄金太陽神に親指を指すピサロは、鈴音に止めを刺すべくもう片方の手を上げ邪剣を集めると一斉に放つ。意識を失う前にピサロから離れなければ成らぬと、再び突風を吹かせ邪剣を撒いた鈴音は何とかピサロを撒き、安全な場所を確保すると共に、その意識を手放したのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

大豪傑・麗刃
五感のひとつが封じられたなら他四感に頼ればよい。
草木を通る風の音と、刃をかすめる風の音の違いを聞き分けること、また物言わぬ剣も自然と殺気を放つものなので、それを察知することで地面の剣の位置はわかる。
敵の先制攻撃も同様。敵が動きによって起きる風の流れや音、あとあれほどに戦闘力の上がる相手なら殺気も相当のものであろう。気合を入れてそれらを読み、バスタードソード二刀流構えて敵の接近に合わせて早業で武器受けによるジャストガード。レッツゴージャスティーン。むちゃくちゃ疲れる芸当だが、ユベコ解禁まではそれで粘る。
解禁後は捨て身の攻撃。敵の攻撃に合わせるのは一緒だが、防御ではなく

秘技!零距離鬼神フラッシュ!



 眩い光に照らされながら大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は足を広げ、バスタードソードを両手に構えて持ち、瞼を閉じながらもピサロの猛攻を全て受けきると言う離れ業を成し遂げていた。
(五感のひとつが封じられたなら他四感に頼ればよい)
 彼の耳には風で草木が揺られ、島に生えた刃を掠める音を聞き、肌はピサロが高速で切り裂く空気の余波を感じていた。視覚とは五感の内、もっとも情報量の多い物ではある。だが武芸の達人ともなれば例え目が見えずとも音が聞こえ、肌の感触さえあれば敵を自ずと知る事が出来るという物だ。
(そして、この島に生えた刃は敵を殺す物。ならば自然と殺気を放つ……そして敵ならば当然、殺気は強くなる。それ等が分かればこの通り気合を入れてば何とかなる、レッツゴージャスティーン)
 麗刃それは負けフラグだ。しかしながら何処かしらか感じる期待を他所に、音に風に殺気を読んだ麗刃がピサロの攻撃を防ぎ切っているのは事実である。無論、顔に見せる事はないが彼の疲労も相当な物で長く続けられる事ではないのは確かである。
「チッ。達人ってのは相手にすると厄介なもんだね!!」
 だが、それをピサロに悟られる事がなかったのが幸運であった。彼女の心中には自然と焦りが生まれ、それが麗刃の待っていたお互いの顔が最も近づく瞬間と言う一瞬の好機を生んだのだ。
「そこだ!秘技、零距離鬼神フラッシュ!」
 目の前にピサロがいる事を察知した麗刃は目を閉じたまま、咄嗟に二本のバスタードソードを地面に突き刺すと。
 おおよそ人間がしてはいけない様な、変顔を、したのである。
「――ぶっ……はははは!!な、なんだそれは、あっあはははは!!いったぁ!?」
 この生死を掛けた戦いの中で、いきなりあの様な顔を正面から見るとは流石のピサロも思いもよらなかった事であろう。思い切り腹の底から笑ってしまい、そのせいで八艘飛びのコントロールに失敗し島に生えている木に超高速で頭から激突してしまったのである。 
(勝った!……そ、それにしてもいつやってもこのワザは自尊心がズキズキいたむ!)
 ならば、やらなければいいのではないかと言う声もあるかもしれないがそれはひとまず置いておこう。何はともあれ、麗刃の秘技はピサロの何かしらを見事に凌駕したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

敵に地の利があり、そうでなくとも単純に強い相手
精々全力を尽くして挑むとしましょう

闇の『オーラ防御』を目の周辺に集中、光を弱めて目眩ましを防ぐ
先制攻撃には周囲に鎖を張り巡らせて敵の動きを探知、動きを探知した瞬間に迎撃しつつ、UCを発動

ピサロに触れた鎖を突き刺して『串刺し』にしつつ『継続ダメージ』を与えていく
更に自身の腕とピサロを鎖を繋ぐ事で敵の動きを探知すると共に動きを制限
島に生える適当な剣にも鎖を巻き付けて、自分の身体を固定して、ピサロの勢いに引きずられないようにする
鎖の長さを徐々に短くしながら『怪力』で鎖をピサロ諸共手繰り寄せて『体勢を崩す』と共に接近して黒剣を叩き込む



 剣が生える島と言うだけでも奇怪な物ではある。そして今、クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)の手によって邪剣島の一角は更なる変容を遂げていた。
「敵に地の利があり、そうでなくとも単純に強い相手……ですか。精々全力を尽くして挑むとしましょう」 
 目の周りに闇を放つオーラを纏い黄金太陽神の放つ光を弱め、謙遜と取れる様な言葉を放つシュバルツだがその言葉の奥には確かな闘志が宿っている。余りの速さが故に、飛翔すら可能となったピサロの八艘飛びに対し、地面から木々へ、島中の剣へとシュバルツが張り巡らせた鎖は蜘蛛の巣の様に彼の周りを覆いつくしていた。
「ほう?その鎖で私が止められるとでも?」
「試してみますか?少なくとも、始めから負けるつもりでここに来たつもりはありません」
「生きがいいのは結構だ!少なくとも、良い奴隷として高く売れるからな!!」
 高が鎖に何を恐れる必要があると言わんばかりに、文字通り宙を蹴り加速したピサロは一直線にシュバルツへと切りかかろうとするが、その時に触れた鎖が意志ある様に動き出しピサロの体を絡まり動きを封じる。剣を持たない手で鎖を引きちぎろうとはするが、鎖の先端は既にピサロの体を貫いておりそう簡単に抜ける様子はない。
「その鎖で、貴方を捕らえましたよ?」
「忘れていたよ。猟兵の持つ道具という物は私が略奪した宝に匹敵する物ばかりであったとな!」
 引き抜けぬのであれば引きちぎるだけだと、身体が上げる悲鳴を無視して超加速を行うピサロ。そうはさせまいと、シュバルツは自身の腕に鎖を巻き付けピサロと自分の間を鎖で繋ぎ、さらに体を固定する為に自身の体と島に生えている剣に向かって鎖を巻き付ける。
 だが刃に鎖を巻き付けた上で、ピサロの八艘飛びによる超加速によって掛かった力に鎖の強度が耐えられず、甲高い音と共に刃に沿って鎖の輪が切れてしまう。
「しまっ……!?」
「私の動きを止めるというのであれば、適当な木にでも鎖を撒きつければ良かった物を!」
 最早シュバルツの支えになる物は何もない。超加速で体を回すピサロに引きずられ、鎖で繋がっているが故の遠心力も加わりつつ、シュバルツは木の幹へと体を叩きつけられてしまう。受け身を取った物の受けたそのダメージは大きく、一度撤退する事を余儀なくされたのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

望月・闇
吼えるわねぇ。髙が光が、闇を裂ける訳無いじゃない。
精々、影を遠ざけるのが関の山よ。

UC【昏き繭命】で光を喰らい、戦闘力と生命吸収をブーストね。
光が島全体に行き渡る程の強さなら、さぞ良い贄になるわね。
八艘飛びで迫り来るならUC【彷徨う旧き腕】で迎撃よ。
戦闘力強化に加えて生命吸収も有るもの、余裕を持って凌げるわ。
同様に三千邪剣世界も彷徨う旧き腕で対処出来るわね。
剣を生やしても、それを上回る数の腕で抑え込むわ。
普段なら此処までの大盤振る舞いはしないのだけど、昏き繭命でこの上無く力が強化されてるもの。
初撃を凌いだら駄目押しでUC【追い縋る疵】を使って攻め立てましょ。
お互いに技を三つ、全力でやりましょ?



「くすくすくす……」
 単刀直入に言えば、黄金太陽神が放つ光の中に繭の様な闇の塊が浮かんでいたと言えばいいだろうか。少しは詩的に言うならば光の海に闇の島が浮かんでいると言えば聞こえはいいだろうか。
 なんであれ神なる光を喰らう繭の様な闇の中から、望月・闇(揺り篭・f28009)の鈴を転がすような笑い声が響いていたのである。
「吼えるわねぇ。髙が光が闇を裂ける訳無いじゃない。精々、影を遠ざけるのが関の山よ」 
 姿は見えぬ声は、ピサロに対する敵意があれど柔らかな口調には違いない。目の前にある異様さがなければ年頃の娘の様にも聞こえる。
「……私の航海にも海に陸にと、亡霊怪物の類は付き物だったが、お前は格別の様だ」
 力の上下ではない何かを感じ取り背筋に悪寒が奔るピサロは様子見とばかりに島に生えている剣を邪剣に変えて、目の前の闇の繭へと放り込むように投げつける。特に何をされるでもなく繭の中へと吸い込まれた邪剣は、確かに肉を裂く音と共に大量の血を周辺に振りまいてゆく。
 そしてその直後。繭の闇が無数の腕の形を為して、ピサロを握り潰さんと襲い掛かってきたのである。
「ははは!やはり怪物の類か貴様は!!」
 八艘飛びを駆使して握撃から逃げるピサロは確かに見た。腕に押しつぶされた草木が一瞬にして灰に成り、それと共に繭が振りまいていた血が収まってゆくの様を。ほんの少し触られた時に感じた強烈な疲労感から、恐らく生命力の吸収であると当たりを付けたピサロの耳へと闇は繭の中から声を届ける。
「普段なら此処までの大盤振る舞いはしないのだけど光を喰らえば喰らう程、私は強くなれるの。……お互いに技を三つ、全力でやりましょ?」
 神なる光を喰らい増える闇に際限は無いと証明する様に、腕の数はさらに増えてゆく。あくまでもたおやかな声のままに、全てを出しつくして戦おうと提案する闇の声にピサロはからからと笑って答える。
「成程!化け物相手に相性が悪いとあれば仕方ないな!!」
 地面を蹴り上げて一気に宙へ、腕の届かぬ間合いまで退いたピサロは、更に一気に闇から距離を取るべく八艘飛びを繰り出した。
「勝てる見込みの無い戦いをするのは性にあわん!一旦引かせてもらおう!さらばだ!!」
 三十六計逃げるに如かずとは言うが、まさにその通りであった。意識の外まで飛ばれてしまえば、闇の腕としてもどうしようもない。
「あらら。つれない人……それと化け物扱いなんて酷くないかしら?」
 少なくともピサロからすれば闇の存在は化け物にしか見えなかったのであろうが、その扱いに当の闇は憤りを覚えて頬を膨らませていた。その後、どうするかを顎に手を当てて考えていた闇は、此処でぶすっと立ち止まっていても仕方ないと判断し繭から生えた腕を一度引っこめるともう一度ピサロと会うべく当てもなく森の中をふわふわと彷徨うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘスティア・イクテュス
別世界への転移…猟書家で慌ただしいってのにこれ以上厄介なのはいらないのよ。その黄金の太陽を撃ち落とさせていただくわ!


ティターニアで飛ぶことで剣を回避【空中戦】
自身は目をつむり、タロス【盾受け・オーラ防御】で光を遮り回避
周囲の状況はアベルにお願いするわ【情報収集・索敵・見切り】

そして敵の移動を封じるためにスモークミサイルで『目潰し』
周囲が見えない状況で剣があちこちに…そんな状況で同じように高速で移動できるかしら?

後は空という地形の利、情報収集による敵の来る方向等から回避、
念の為タロスで受ける用意も


さぁ、此方の番ね!グレムリンズを展開、そっちが地ならこっちは空に刃をってね!四方八方から切り裂く!



「お嬢様、右です!」
 電子的な声に導かれて盾型ドローン『タロス』を右に向けたヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)の手に衝撃が走る。黄金太陽神の光に目が眩むよりは自分から目を閉じた方がマシだと判断したヘスティアは、サポートAIであるアベルのセンサーを頼りにピサロの連続攻撃を受け流していたのだ。
「助かったわアベル!それにしても、うっとおしい光ね!!」
 アベルに対し感謝の言葉を述べながら、忌々しいとばかりに声を荒げるヘスティア。ティターニアで島の上空を浮遊する事でピサロの剣がヘスティアに届くまで僅かな時間が生まれ、行動を予測したアベルの指示に従い攻撃を防ぐ事は出来ている。だが視界を奪われ何時何処から攻撃が来るかわからない状態のまま、全力でティターニアを動かせばコントロールを失いかねない。その為攻撃に移るには至らず歯がゆい思いをヘスティアは感じていた。
「成程な。形からして宇宙の世界に縁ある者か!」
「ええそうよ!猟書家で慌ただしいってのにこれ以上厄介なのはいらないのよ。その黄金の太陽を撃ち落とさせていただくわ!」
「良い啖呵だ小娘!やれるものならやってみるがいい!!」
 再び連続攻撃を行おうとしたピサロだが、突如苦しそうに手で胸を抑えて動きを止める。彼女が従えている黄金太陽神は素直に彼女に従っているわけではなく、未だに彼女を恨み続ける存在であり、その呪いとでもいうべき物がピサロの体を蝕み動きを止めたのである。
 無論ピサロに敗れた存在であるが故にほんの少しの間動きを止めるに過ぎないが、千載一遇の好機には違いない。
「チャンスですお嬢様!正面から10時の方向!!」
「了解!スモークミサイル展開!!」
 センサーでピサロの異常を感知したアベルはすぐさま主であるヘスティアへと伝え、以心伝心の速さで意図を理解したヘスティアは飛行形態を保ちながらティターニアに内蔵されている無数のミサイルをピサロがいる方向へ発射する。
 地面に命中したミサイルは弾頭に内蔵されている煙幕を周辺へまき散らし、立ち込めた濃煙によって視界を奪われたピサロ。ここにきて漸く二人を取り巻く条件が五分に揃った瞬間であった。
「さぁ、此方の番ね!海賊SkyFish団の船長として、海賊としての格の違いを見せつけてやるわ!!」
「そうか!お前も奪う側の人間という訳か!!」
「冗談!あなたとは違うのよ!!」
 罪なき者から何かを奪うような外道とは自分は違うと断じ、戦闘用の円盤型ドローン『グレムリンズ』を空中に一斉展開したたヘスティアは、姿は見えなくとも声の方向を睨みつける。
「そっちが地ならこっちは空に刃をってね!その口、今ここで切り落としてやる!!」
 ヘスティアの号令と共に円盤部分にビームを纏ったグレムリンズが煙の中へと突入する。それ等を迎撃するべく高速の斬撃をグレムリンズに見舞うピサロだが、視界を奪われた状態で無数のグレムリンズを相手にするには分が悪い。
 暫くして煙が晴れる事には幾つもの傷がその体に出来上がっていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨナルデ・パズトーリ
アレンジ連携歓迎
弱き者が虐げられる、か
ならば貴様が此処で滅びても文句は言うまい?

対策
※野生の勘と※第六感で敵と剣の位置を※見切り※空中戦を徹底
又※天候操作で※マヒ攻撃と※目潰しの※呪詛を織り交ぜた※地形破壊級50cm先も見えない地吹雪を顕現
更に※式神使いと※結界術の応用で※オーラ防御を纏い※マヒ攻撃を放つ※存在感と※殺気を持たせた※残像を幾つも放ち攪乱
此れは敵の視界を遮り足場を凍結させ更に視界が良くない中に障害物をばら撒く事で跳躍しにくくさせる事、少しでも目を閉じた此方と条件を近づけさせる事が狙い
又、※残像は剣の攻撃への盾にも使う
UC発動
高速飛行の※空中戦で肉薄
※怪力の※鎧無視攻撃の斧で※切断



「弱き者が虐げられる、か」
 幼き少女の声に宿るのはその身に合わぬ憎悪の感情。彼女の体で持つには余りにも巨大な黒曜石の戦斧を手にヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)はピサロの前へと立つ。例え姿が光で眩もうとヨナルデの本能が彼女の姿を見失うことはない。
「ならば貴様が此処で滅びても文句は言うまい?」
「ああそうだな?私が弱ければの話だがな!」
 黒曜石の戦斧を突き付けピサロの言う弱き者達に対して彼女がそうしてきたのと同じ様に、滅びの宣告をヨナルデから突きつけられながらも彼女の不敵な笑みが消える事はない。手を掲げ島に生える無数の剣を邪剣と変えて放つピサロに対し、宙へと跳んだヨナルデは幾つものオーラを纏う自身の分身を創り出し、邪剣の盾にして対抗する。
「不可思議な術を使う!猟兵とは宝の山だな!!」
「貴様が犯した罪、妾が直々に裁いてくれる!!」
「罪を裁く?面白い事を言う!この背にいる神ですら裁けなかった私をか!」
 傲慢な物言いではあるが、そう言うだけの実力が彼女にはある。先程無数の剣を放ったというにも関わらず、分身を創り出したヨナルデを圧倒するべく先程よりも多くの邪剣を創り出す。再び放たれようとした邪剣に先んじてヨナルデは両手に持った黒曜石の戦斧を地面へと突き立て、両手を組むと呪詛を込めた祈りを捧げる。
「我ジャガーにして煙吐く鏡、テスカトリポカにしてケツァルペトラトルたる者!」
 その祈りに応え巻き起こったのは何かしらの神話を思わせる様な猛吹雪だ。人類を滅ぼさんとするかの様な勢いで吹き付け、瞬く間に分厚い雪で島の地面を覆いつくしたそれは、神の怒りと称しても過言では無かったかもしれない。
 雪に足を取られ視界も奪われ、吹雪を起こす暴風に聴覚を奪われる。にもかかわらずピサロの耳に聞こえてきた声へと振り向けば、血と骨で構成された翼を背に宿すジャガーを模した黒曜石の鎧に身を包み、巨大な黒曜石の戦斧を両手に一直線へピサロへと飛ぶヨナルデの姿がそこにはあった。
「民と共に在った嘗ての妾の猛き力、目に焼き付けるが良い!」
「成程な!貴様も私達に滅ぼされた何処ぞの何かしらと言うわけだ!!」
 足を取られながらも八艘飛びを繰り出したピサロの剣と、鎧の力で高速で飛ぶヨナルデの戦斧が一瞬交わり、そして互いに距離が離れる。
 それが決着の証であった。
「……地獄に堕ちろ。下郎」
「……フ、フフフ。はは、はははは!!」
 勝利を告げるヨナルデに、手に持つ剣が砕けその体を戦斧で斜めに切られてずれ落ちながらも七大海嘯『邪剣』ピサロは、高らかに。傲慢に笑い声を上げていた。
「そうか、私の負けか!ならば仕方があるまい、次はその地獄ととやらを侵略し、略奪を行うとするか!!」
「……貴様には、我が民の骨一片すらくれてやる物か!!」
 どこまで本気なのかはわからない。それがただの負け惜しみなのかも知る由もない。
 だがそれがどうあれ、最早耳にも入れたくないと怒りを込めた両腕で戦斧を振るい笑い声を上げるピサロの頭と体を叩き潰すヨナルデ。それと共に吹雪は止み、邪剣島なる不吉な名の島に光が差す。
 それは先程まで島を覆っていた光ではなく、青い空から降り注ぐ本物の太陽が放つ光であった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月24日


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#グリードオーシャン
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト