羅針盤戦争〜禁忌の紋章、無明の闇
●闇に挑む
「グリードオーシャンの探索も、順調に進んでる感じかしら? オブリビオン・フォーミュラのカルロス・グリードが本拠地にしてる、一の王笏島も見つけちゃった感じ?」
この機会を逃さず、速攻で叩くべきだろう。そう言って案内しようとするパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)だったが、カルロスとの戦いに赴く前に、気をつけて欲しいことがあると猟兵達に付け加え。
「この一の王笏島って、ダークセイヴァーから落っこちて来た島みたいなのよね。で、肝心のカルロスなんだけど……ダークセイヴァーにしかない『紋章』の力で、超絶パワーアップしているわ」
おまけに、装備している紋章はなんと三つ! 卿の称号を持つ吸血鬼達でさえ、与えられている紋章は一つだというのに!
「まあ、要するに他のカルロスと同じで、こいつもチートってわけよ。使って来るユーベルコードは、シンプルに力押しな感じのものが多いんだけどね」
お約束の如く先制攻撃を仕掛けてくるが、それだけであれば対処の方法はいくらでもある。だが、今回は先制攻撃だけでなく、より厄介な状況に対処しなければならないようだ。
「一の王笏島は、カルロス以外の視界を遮断する黒い霧で覆われちゃってるのよね。視界が役に立たないから、それ以外に頼る他にないんだけど……なにしろ、何にも見えない真っ暗闇だから、相手は奇襲し放題ってわけ」
攻撃を見切ろうにも視界が遮られていれば軌道を見切ることは困難であり、何らかの方法で相手の位置を特定したところで、こちらから先には攻撃を仕掛けられない。また、当然のことながらカルロスも馬鹿ではないので、いつまでも同じ場所に留まってはくれないだろう。
「目が見えない状態で先手を打たれるのに対処しろとか、無茶ぶり酷いのは承知してるけど……まあ、なんとかなるっしょ。ほら、昔の偉い人も言ってたじゃない。『目に見えるものだけが全てではない』って……あれ、違ったっけ?」
なんとも楽観的に考えているパトリシアだったが、そんな彼女の雰囲気に反して敵は強大。それでも、ここでカルロスの分体を少しでも倒すことができれば、その分だけ彼に支配されている、本拠地以外の島を解放することもできるという。
どの道、避けては通れぬ戦いだ。時間のある内に、少しでもオブリビオン・フォーミュラに痛手を与えておくことは必要だろう。
そう言って、パトリシアは猟兵達を、闇に閉ざされた一の王笏島へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは戦争シナリオです。
1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
●先制攻撃
カルロスは猟兵に先んじてユーベルコードを使用します。
この先制攻撃を上回る速度で猟兵がユーベルコードを使用することはできません。
防御・回避系のユーベルコードであっても同様なので、ユーベルコード以外の方法で初撃に対処しなければ、成す術もなくやられてしまいます。
●プレイングボーナス
『敵の先制攻撃ユーベルコードと「黒い霧」に対処』し、それが有効と判定された場合、プレイングボーナスが得られます。
なお、どちらか片方の対策しかしていなかった場合や、片方あるいは両方への対策が不十分と判定された場合は、ボーナスは発生しません。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
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POW : 餓える狼の紋章
【紋章の力】を使用する事で、【身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘】を生やした、自身の身長の3倍の【黒狼】に変身する。
SPD : 略奪者の紋章
【筋力を奪う爪】【速さを奪う爪】【意志の力を奪う爪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 凍影竜の紋章
戦闘用の、自身と同じ強さの【触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴン】と【影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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神酒坂・恭二郎
大将さんに形振り構わぬ手を打ってもらえるとは嬉しいねぇ
力が入るさね
対策としては、刀を地面に刺して目を閉じる
心眼剣って程に大それたもんじゃあない
敵の殺気と気配である程度間合いを測り
「しっ!」
剣に風桜子を通して地に流し、弱い【衝撃波】を周囲に炸裂させる
即興のアクティブソナーで【失せ物探し】だ
「ちょいさっ」
回避は未練なく刀を手放して転がる
見えない爪を避けるには、大袈裟な位じゃないと駄目だ
反撃、起き上がる動作で右フックをボディに【早業、鎧無視攻撃】で当てたい
最初の一発が大事だ
「さぁ、次々行くぜ!」
重心と呼吸を覚えれば、見えなくても攻撃は当る
後は反撃に【カウンター】を返しつつ、風車の連打で押し込もう
●風桜子の導くままに
どこまでも広がる無明の闇。一寸先さえ見通すことのできない空間で、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は静かに呼吸を整えた。
(「大将さんに形振り構わぬ手を打ってもらえるとは嬉しいねぇ。力が入るさね」)
心の中で呟きつつ不敵に笑って見せるものの、しかし状況は最悪だ。こちらは何も見えないが、相手からはこちらの存在が丸見えだろう。
後ろから攻撃を仕掛けるも、意表を突いて敢えて正面から襲い掛かるも、正にカルロスの自由自在。完全にアウェイな状態において、恭二郎が考えた策とは……なんと、武器である刀を大地に突き立て、静かに目を閉じることだった。
(「さて……敵はどこから来るつもりだ?」)
油断なく周囲の様子に耳を凝らし、恭二郎は相手の出方を窺った。一見して、攻防に用いるための武器を手放すという無謀な行為。が、しかし、恭二郎とて気合いだけの根性論で立ち向かおうとは思っていない。
「心眼とでもいうつもりか? ……愚かな!」
突然、真横から声がしたかと思うと、獰猛なる爪の連撃が、恭二郎目掛けて襲い掛かって来た。だが、全身をズタズタにされるかと思われた矢先、恭二郎は躊躇いなく刀を手放して、そのまま大地に転がった。
「ちょいさっ!」
「な、なにっ!? 我の攻撃が読まれたというのか!?」
盛大に空を切るカルロスの攻撃。驚愕するカルロスだったが、恭二郎からしてみれば、これは造作もないことだ。
先に太刀を大地へ突き立てたのは、そこから発する微弱な衝撃波の振動を読みとり、相手の挙動を察知するため。闇に紛れて攻撃を仕掛けてくるカルロスだが、陸を歩いて来る以外に近づく方法がない以上、足音をゼロにすることはできない。
そして、なにより相手がこちらに致命傷を与えようとするならば、どうしても攻撃は上半身に集中させざるを得ない。ならば、下手に弾いたり真横に避けたりするよりも、身を屈めるか、あるいは素直に倒れてしまえば、それだけであらゆる角度からの攻撃を回避できる。
「さて、それじゃあギアってのを上げていくかね」
間髪入れずに起き上がり、恭二郎は流れるような動作から、カルロスの脇腹に右フックをお見舞いした。さすがに、無理な体勢から放ったことで浅くしか入らなかったが、それでも一発当てることができれば十分だった。
「……くっ! おのれ、小癪な真似を!!」
闇に紛れて距離を取り、再び仕掛けんと機会を窺うカルロス。右か、それとも左からか。あらゆる方向へ意識を集中させ、恭二郎は相手が仕掛けてくるタイミングを窺って。
「……オラァッ!!」
「ぐはっ! ば、馬鹿な
……!!」
今度は倒れて攻撃を避けるようなこともせず、カルロスの位置を正確に捉え、カウンターの拳を顔面に叩き込んだ。
「さぁ、次々行くぜ!」
どこからでも来い。ファイティングポーズを取って構える恭二郎に、恐怖や脅えの色は見られない。それどころか、カルロスが息を切らして間合いを取っても、正確にパンチの届く間合いを保ったまま、闇の中を追撃して来る。
「なるほど……汝は我の呼吸を覚えたということか」
ここに来て、カルロスはようやく、己が恭二郎の策に嵌ったことを理解した。
どんな生き物であれ、呼吸をしないで激しい動きをすることは不可能だ。そして、その呼吸の感覚や微かな音を覚えられてしまっては、視界が遮られていたとて関係なくカウンターを合わせられてしまう。
呼吸を止めれば恭二郎の攻撃からは逃れられるが、それは同時に恭二郎を思ったように攻撃できないことも意味していた。なにより、カルロスが呼吸を止めればそれは恭二郎にも伝わり、彼は安全な個所まで間合いを放すか、あるいは撤退するだろう。
この状況では、どう足掻いても恭二郎に致命傷を負わせることはできない。完全に嵌められたことで歯噛みしつつも、カルロスには息を止めながら、闇に紛れて逃げ出す以外の道が残されていなかった。
大成功
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隠神・華蘭
何も見えませんねぇ、まぁ狸は目が良くはないのであまり関係ないですが。
敵からのUCは小判の葉っぱをばらまいて自分も【化術】で同じ木の葉に変化し、
空気の流れに乗って【逃げ足】で回避します。
回避に成功しましたら、続けてこの世で最も嗅覚の優れた動物……
アフリカゾウさんに変化します。人間さいずですが。
ところで貴方、見えずとも匂いは消せないでしょう?
今し方飛んできた爪の匂いを頼りに【失せ物探し】を行い、
見つけましたら質問してUCを使用。
匂いの方へ向けて火の玉を飛ばします! 【体勢を崩せ】ればなお良しです。
さて、象さんになったのは嗅覚の為だけではございませんよ。
鼻で鉈を持って追撃の【切断】攻撃です!
●闇に化ける
どこまでも無限に続く闇の霧。正に視界ゼロな状況で、隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)は考えた。
(「何も見えませんねぇ、まぁ狸は目が良くはないのであまり関係ないですが」)
この状況では、視力に頼った動きはできない。おまけに、自分には敵の殺気を感じ取るような術もなければ、攻撃を防ぐための盾もない。
相手の出方を待っていては、むざむざ斬り殺されるようなものだ。なにしろ、相手はこの暗闇の中でも、まるで真昼の如くこちらの姿が見えているのだろうか。
果たして、そんな華蘭の考えは正しく、カルロスは息を殺しつつも、華蘭を殺すべく近づいて来た。が、しかし、彼が華蘭に斬り掛かろうとした瞬間……なんと、華蘭は懐から大量の葉っぱをバラ撒いて、自らも葉っぱに化けてしまった。
「……む? 消えた……だと?」
空しく宙を斬るカルロスの攻撃。当たり前だ。空中を舞う葉を斬るなど、達人の域に達した剣豪でも至難の業。ましてや、それを剣ではなく、爪でやろうとすれば猶更である。
葉に化ける術の存在を知らないカルロスにとっては、まるで華蘭の姿が消えたように見えていた。実際は自らも葉に化けて紛れているだけなのだが、どちらにしろカルロスには、どれが本物の華蘭か見分けがつかないという点では同じだった。
(「よし……今です!」)
カルロスが戸惑っているのを見て、華蘭は再び姿を変える。今度は世界でも最も嗅覚に優れている動物の1つ……長い鼻を持ったアフリカゾウへと。
「な、なにっ! 今度は召喚術の類か!?」
木の葉を吹き飛ばして現れたアフリカゾウを見て、爪を構えるカルロス。が、しかし、彼が攻撃するよりも早く、華蘭はカルロスに問いかけた。
「ところで貴方、見えずとも匂いは消せないでしょう?」
声を出すことで位置を探られることを嫌ったのか、カルロスはそれに答えなかった。が、しかし、先の攻撃をするために近づいた際、華蘭はカルロスの匂いを覚えている。そして、今の彼女はアフリカゾウ。嗅覚であれば、誰にも負けない。
「燃えるがいい、この華蘭の気が済むまで」
「なっ……うぉぉぉっ!!」
次の瞬間、華蘭の全身から発射された火の玉が、四方八方からカルロスを焼き尽くした。完全に形成逆転だ。慌てて距離を取るカルロスだったが、しかし華蘭には相手の位置が、闇の中でもしっかりと分かった。
「さて、象さんになったのは嗅覚の為だけではございませんよ」
長く、腕のように使える鼻で鉈を握り、華蘭は大きく振り被る。敵の匂いは既に覚えているが、なによりも華蘭自身が放った炎が闇の中でぼんやりと光り、カルロスの位置を教えてくれている。
「おのれ……女だと思えば獣に変わる……汝は一体、何者だ!!」
次々と姿を変える華蘭に翻弄されるカルロス。振り下ろされた鉈が肩口を斬り裂いたところで、彼は仕方なく身を引いた。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…闇に鎖されたなら、それはそれで利用すれば良い
…紋章も同じこと。第五の貴族と同じ末路を辿らせてあげるわ
"影精霊装"の魔力を周囲の闇に紛れて溶け込ませ、
全周囲を闇のオーラで防御し敵の存在感を知覚して行動を見切り、
今までの戦闘知識から微かな闘争心や殺気を捉えて攻撃を受け流しUC発動
…元よりお前に通用するとは思っていない
だけどこの場にはもう三体、寄生虫型のオブリビオンがいるでしょう?
対象の意識を切断する精神属性攻撃の血の香気を放ち、
紋章を洗脳しカルロスの生命力を吸収してUCを暴走させ、
その隙に死角から切り込み呪詛を纏う大鎌を乱れ撃つ
…リーヴァルディ・カーライルが命じる
紋章よ、宿主を喰らい尽くしなさい
●闇の盟約
延々と続く闇も、それが当たり前の者にとっては日常に過ぎない。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)にとっても、それは同じことだった。
彼女の生まれはダークセイヴァー。曇天の空に覆われた明けない夜。その暗闇を跋扈する吸血鬼達を狩るのが、彼女の生業でもあった。
闇に紛れて闇を狩る。さればこそ、闇は彼女にとって忌むべき物ではありながら、しかし完全なアウェイとは成り得ない。
(「……闇に鎖されたなら、それはそれで利用すれば良い」)
慎重に周囲の闇へと魔力を広げながら、リーヴァルディは相手の出方を伺った。
闇に紛れての奇襲。大方、こちらの死角を突いて、絶対に防御できない角度から仕掛けて来るつもりだろう。卑怯千万は吸血鬼の十八番。ならば、その力を受け継いだカルロスもまた、勝つためには手段を選ばないはず。
今まで倒してきた吸血鬼達との戦い。その経験を活かし、リーヴァルディは咄嗟に大鎌の柄を水平に構えた。果たして、そんな彼女の直感は正しく、闇を斬り裂き現れた爪をしっかりと受け止めていなしたが。
「……っ!!」
それでも、残る二つは完全に避けきれず、肩と腕をそれぞれ掠めた。致命傷でこそなかったが、カルロスの装備する紋章が変じた爪は瞬時の彼女の身体から力を奪い、その動きを封じ込めて見せた。
「ふむ……避けたか。だが、偶然は二度も続かん」
追撃を恐れ、カルロスはリーヴァルディの傍から離脱する。そこを逃さず、魔性の香気を放つリーヴァルディだったが、カルロスは揺らぎもしなかった。
「それで終わりか? この程度の香気で意識を奪えると思われるとは、我も甘く見られたものだ」
さすがは強大なオブリビオン・フォーミュラ。洗脳の類で無力化できるほど甘い相手ではない。が、しかし、それはリーヴァルディとて承知の上。彼女はカルロスに攻撃が通用しないと分かった上で、敢えて香気による反撃を試みたのだから。
「……元よりお前に通用するとは思っていない。だけどこの場にはもう三体、寄生虫型のオブリビオンがいるでしょう?」
「なんだと? ……まさか、汝は我の紋章を!?」
リーヴァルディの言葉の意味に、カルロスが気づいた時には遅かった。
ダークセイヴァーの吸血鬼達が用いる紋章。それは単なる装飾品ではなく、文字通り『生きた』力の証なのだ。その能力は、装備した者に絶対的な力を与えるものだが……しかし、紋章自体はそこまで強大なオブリビオンではない。
「……リーヴァルディ・カーライルが命じる。紋章よ、宿主を喰らい尽くしなさい」
「なっ……うぉぉぉっ!!」
魔性の香気にやられた今、紋章は完全にカルロスの制御を失って、リーヴァルディの命じるままに暴走を始めた。爪が、角が、そして召喚された二体の竜が、それぞれカルロスに襲い掛かる。紋章が自らの力を以て、カルロス自身を捕食しようとしているのだ。
「お、おのれ……。覚えているがいい!」
このままでは勝ち目はないと悟り、カルロスは闇に紛れて撤退しようと身を退いた。だが、ここで追撃の手を休めるほど、リーヴァルディは甘くない。彼女が常日頃から相手をしているのは不死身の肉体を持つ吸血鬼。故に、徹底的に細切れにするまで、彼女は攻撃の手を休めない。
「まだ、終わりじゃないわ。第五の貴族と同じ末路を辿らせてあげる」
死角から切り込み、呪詛の念を纏わせた大鎌で、幾度もカルロスを斬り付ける。紋章の暴走を力尽くで抑え込みながら逃げるカルロスだったが、彼の身体には大きな傷跡が残り、それは消えることなく彼の肉体を蝕み続けた。
大成功
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小鳥田・古都子
強敵だね。でも、みんなで頑張ってるんだからあたしも頑張らないと。
目に頼れなくなるなら、【肉体改造】された超感覚全てを活かすの。
「強化感覚器」で強化された聴覚による【聞き耳】で周囲の音を聞き取り、且つ「ハードワイヤード」で強化された全身の触覚で地面や大気の振動を感知し敵の位置や動きを【情報収集】。
「補助脳」の高速演算による【瞬間思考力】で瞬時に反応しサイバーボディの【早業】で【ダッシュ】し回避。
【電探装置】を発動し反撃です。
レーダー感覚で闇を見通し【情報収集】。竜の攻撃をかわしつつ本体の位置を探るの。
見つけたらレーダー波を集束させた全てを貫く【貫通攻撃】の電磁波のビームをカルロスに放ちます。
●闇を裂く光
「くぅ……やってくれたな、猟兵どもめ!」
その身に刻まれた傷を押さえつつ、カルロスは次なる相手の登場を警戒した。
先程から、出血が止まらない。ただの傷ではなく、呪いか何かの類だろう。
戦いの最中、この傷を癒すのは不可能に近かった。ならば、少しでも多くの猟兵を葬り去り、一刻も早く戦いを終わらせることが、カルロスに残された最後の生存の道であり。
「む……? あそこにいるのも、猟兵か?」
黒い霧に閉ざされた世界。そこにぼんやりと立っている少女の姿を捉え、カルロスは油断なく身構えた。
「どうやら、こちらに気づいてはいないようだな。ならば……!」
先手必勝とばかりに、カルロスは二体の竜を呼び出すと、それを少女へ嗾ける。相手の正体は不明だが、何も自分から出向く必要はないと……そう、踏んでのことだろうが。
「……来た!!」
攻撃の軌道をいち早く読んで、その少女、小鳥田・古都子(サイボーグのサイキッカー・f16363)は、突撃して来た氷竜の攻撃を横跳びに避けた。が、次の瞬間、自らの後ろから出現した黒い竜には反応できず、咄嗟に避けるも肩を大きく爪で斬り裂かれた。
「……っ! 強敵だね。でも、みんなで頑張ってるんだから、あたしも頑張らないと……」
自分に唯一残された生身の部分、脳髄が侵食されて行くのを感じ、古都子は必死に精神を繋ぎ止める。彼女の肉体は、脳以外が全て機械。故に、視界に等頼らずとも敵の位置を超絶的な感覚や大気の振動から察知することができたのだが、それでも闇に紛れて接近する相手は別格だ。
闇に紛れ影に潜むということは、単に身を隠すということではない。文字通り、相手の影に潜むことで、死角から存在を感知されることなく奇襲できるのだ。
普通であれば、絶対に回避などできない攻撃。それでも致命傷を避けられたのは、古都子の反応速度が常人を凌駕するものであったからに他ならない。高速演算システムの力を借りなければ、恐らくは反応することはおろか、敵に背後を取られたことさえ気付かなかっただろう。
「……今度はこっちの番。電探装置、起動……」
次なる竜の追撃を巧みに避けつつ、古都子はカルロスの位置を探った。
竜を召喚した代償で、今の彼はまともに戦うだけの力を失っている。恐らく、距離を取って攻撃されないよう努めているのだろうが、古都子にとっては相手が近くにいようと離れていようと同じことだ。
「……見つけたわ」
微かな呼吸の音さえも逃さず、古都子は的確にカルロスの位置を把握すると、収束させた電磁波を強力なビームとして放つ。無論、カルロスとて何もしていなかったわけではなく、慌てて竜を呼び戻すと、自らの身体を守らせるべく盾にしたが。
「なにっ! ぐわぁぁぁぁっ!!」
古都子の放った電磁波ビームは、貫通性能を高めたもの。故に、竜の身体を盾にしようと関係なく、二匹の竜諸共に、その身を貫かれてしまったのだった。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
≪銀騎≫
やはりこの作戦は貴女へのご負担が…
…承知しました
マルチセンサーでの●情報収集で敵の移動振動検知
視界を赤外線●暗視モードに切り替え
瞬間思考力で狙い定め狼の顔面に右腕格納銃器の乱れ撃ちスナイパー射撃
王よ、不敬はご容赦願います
右腕の弾頭はペイント弾
刺激臭と塗料で●目潰し
命中率削ぎ脚部スラスターの●推力移動で回避
シホ様、お願いいたします!
…限界ならば直ぐにお知らせを
憑依されると同時、UC起動
献装で更に向上し稼働時間伸びた最大出力の剣の斬撃と盾の殴打用いた近接戦闘で真正面から捻じ伏せ
あまり時間は掛けられません
この世界の安寧の為…一の王杓、折らせて頂きます
顎を殴打で砕き、喉から頭部を剣で刺し貫き
シホ・エーデルワイス
≪銀騎≫
心遣い感謝です
しかし
戦いに挑む者は
命を賭ける覚悟で全力を出し戦え
師から教わった
吸血鬼と戦う基礎の心構えです
強敵なら尚更です
私に支えさせて下さいませんか?
暗闇に戸惑う演技でおびき寄せつつ
第六感と聞き耳で敵の気配と物音を情報収集し暗視
動きを見切り残像回避
大きい分感知し易いです
位置情報はトリテレイアさんと共有
お互い直撃を受けないよう目潰しの援護射撃
時間を稼げたら【献装】でトリテレイアさんに憑依
はい
トリテレイアさんも存分に戦って下さい
敵の攻撃と互いのUCの代償は
激痛耐性のオーラ防御で防ぎ
仲間を信じる勇気と継戦能力で耐える
余裕があれば
機を見てトリテレイアさんの格納銃器を操作し
不意打ちの零距離射撃
●融霊憑依
闇に蠢く強敵を、視界に頼らず撃破する。まともな人間にとっては、それだけでも至難の業である。
機械を使った情報収集や、あるいは優れたサーチ能力があれば、この暗闇もそこまで障害にはならなかっただろう。元より、機械の身体を持つトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとっては、暗視戦闘も手慣れたものだ。
だが、共に戦うシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)には、当然のことながら優れた機械の補助もなければ、人知を超えた演算能力も電磁波や振動を察知するセンサーもない。そんな状況で彼女が行おうとしている作戦内容を考慮すると、これはあまりに危険過ぎる賭けだった。
「やはり、この作戦は貴女へのご負担が……」
今からでも考え直せないかと、トリテレイアはシホに尋ねた。が、その言葉を聞き終わるよりも先に、シホはトリテレイアからの提案を軽く制した。
「心遣い感謝です。しかし……」
戦いに挑む以上は、常に命懸けで全力を出して戦うこと。それが、師から教わった吸血鬼と戦う心構えの基本だと。
カルロス・グリードは吸血鬼でこそないが、紋章の力を使うという点では同質の存在。ましてや、それが強敵とあれば尚更だ。ほんの少しの恐れや迷いでも死に繋がり、躊躇いや戸惑いは戦いにおける力を消失させる。
「私に支えさせて下さいませんか?」
「……承知しました」
もはや、何も言うことはないと、トリテレイアはそれ以上シホに反論することはしなかった。
互いに背中を預けた状態で、じっくりと敵が近づくのを待つ。時にシホが脅えた表情を見せるが、それさえも演技だ。
暗闇の中、重々しい足音と共に、何かがこちらへ近づいて来た。殺気を感じ、咄嗟に身を翻すシホだったが、しかし相手もなかなかに早い。
「王よ、不敬はご容赦願います」
咄嗟にトリテレイアが放ったペイント弾の一撃で、狼と化したカルロスの攻撃は、辛うじてシホに直撃することなく急所から逸れた。それでも、所詮は目潰しにしか使えないペイント弾。大したダメージもなく、直ぐに相手は立ち直って来ると思われたが……予想に反し、カルロスは鼻を押さえると、途端に悶絶して周囲を転げ回り始めた。
「グァァァァッ! こ、これは……いったい、何をしたぁ!?」
耐え難い激臭がカルロスの鼻腔を襲う。人の身であれば多少の不快感で済んだかもしれないが、今のカルロスの身体は狼。当然、嗅覚も犬並に発達しており、有機塗料を含んだペイント弾の匂いは、脳天を貫く程の刺激臭に他ならず。
「シホ様、お願いいたします! ……限界ならば直ぐにお知らせを」
「はい。トリテレイアさんも存分に戦って下さい」
カルロスの隙を突いて、二人の身体が文字通り一つに重なった。それこそ、まるでシホの身体がトリテレイアの装甲に、そのまま陽炎となって取り込まれてしまうかの如く。
「我が主よ、この身を対価とし、かの者に真の姿を晒す許可をお与え下さい」
それこそが、シホの使うユーベルコード。対象に憑依することで、己の全てを相手に与え、ダメージを自分が引き受けるという危険な技。
それは正に、己の生贄に仲間を強化する禁忌の秘術。その性質を理解しているからこそ、トリテレイアもまた時間をかけることを好しとしなかったのだろう。
「姿をくらました程度で、護衛用機種の『目』を破れるとお思いですか?」
右手に剣を、左手に盾を。ただ、純粋な斬撃だけで、トリテレイアはカルロスへと果敢に攻撃を仕掛けて行く。無骨な技で飾り気もなければ搦め手もないが、今のトリテレイアにとって、そんなものは虚飾に過ぎない。
本当に必要なのは、因果さえも歪める理不尽な超常の力に立ち向かう術だ。今のトリテレイアは、己の力を純粋なまでに強化させている。それこそ、空間を切断する斬撃さえも刃で受け止め、重力崩壊さえも握り潰し、あらゆる攻撃を反射する絶対障壁さえ砕く程に。
物理の常識を超えた物理。それこそが、彼女の必殺技だった。無論、そんな力を行使すれば、自分もただでは済まないこともある。それでも彼女がカルロスを圧倒しているのは、シホの存在があってこそ。
(「……そろそろ……限界ですね……」)
憑依した霊体が悲鳴を上げているのを感じ、シホは戦いの終わりが近い事を悟った。このままトリテレイアに任せても良いが、それではさすがに申し訳ない。最後の最後、カルロスが油断した隙を狙い、せめて一発は攻撃を叩き込めれば。
「おのれ……だが、汝の挙動は既に見切ったぞ!」
案の定、カルロスは全身の角を斬り落とされながらも、闇の中で冷静にトリテレイアの攻撃を見切り始めていた。パワーだけなら圧倒的にトリテレイアが上だったが、純粋な力技故の弱点がないわけではない。
もっとも、今回に限っては、それがむしろカルロスにとっての墓穴となった。彼が見ていたのは、あくまでトリテレイアの動きだけ。つまり、彼女に憑依しているシホの考えまでは読めておらず。
(「……今です!」)
トリテレイアの装備している格納銃器の主導権を奪い、シホは躊躇うことなくカルロス目掛けて発射したのだ。
「な、なにっ! そんな体勢から攻撃を!?」
何も知らないカルロスからすれば、トリテレイアが狙いも定めず、予備動作のない攻撃を仕掛けたように見えただろう。さすがに、これは底が知れないと察したのか、最後は狼の脚力を生かし、一目散に退散して行った。
「……どうやら、敵は撤退したようですね。ご無事ですか、シホ様?」
「は、はい……なんとか……」
憑依を解除して答えるシホ。しかし、その返事とは裏腹に、彼女の心身が限界に近いのは、誰が見ても明らかだった。
残念ながら、これ以上の追撃は望めないか。だが、それでも構わない。あの強大なコンキスタドールと正面から戦い、そして深手を負わせることができたのだから。
大成功
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フェルト・ユメノアール
視界を遮断する黒い霧、ボクがよく使っている手を逆に使われるなんてね
でも、だからこそやりようもあるはずだよ
戦闘開始と同時に『ワンダースモーク』と爆竹をばら撒き、ランダム回避
相手は視覚を捨てているわけじゃない
ならボクも煙幕を使って相手の視界を奪い、さらに爆竹で回避音を隠して敵の攻撃精度を下げる
そして、爆竹が鳴り止んだ時が勝負
ボクは手札からスペルカード、【グランギニョルの夜】を発動!
闇属性の「SP」ユニット2体をデッキから召喚する!
ボクは【SPアクロバット】と【SPドッペルシャドウ】を選択
この二体なら視界に縛られず行動が可能
シャドウがボクの姿になって時間を稼いでる間にアクロバットでカルロスを攻撃する
●ミスト・トリック
相手の視界を遮断する黒い霧。自分がいつも用いている方法を敵に利用されることは、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)にとっては決して気分の良いものではなかった。
マジックとは、本来であれば人を楽しませるもの。その小道具と似たようなものを、悪意を以て利用されるのは面白くない。
だが、それでも自分の勝手知ったる状況故に、フェルトは何ら慌ててはいなかった。確かに、この状況は相手にとって有利だが、煙幕の使い方なら彼女の方が上手だからだ。
「そっちから見えているからこそ……こういうのも、ありだよね!」
相手に接近されるよりも早く、フェルトは煙で姿を、爆竹で足音をかき消した。暗闇で視界が覆われているのは自分だけ。カルロスにとっては日中と同じように見えているはずだからこそ、煙幕も有効に働くはず。
「……無駄だ。その煙ごと、汝を凍てつかせてくれよう」
それでも、反対に煙の立ち上っている場所が本人の居場所であろうと目星をつけ、カルロスは氷の竜を放って来た。触れた全てを凍結させる竜の身体。それが接触した瞬間、フェルトの繰り出した煙幕もまた、氷の霧と化し輝きながら地に落ちてゆくが。
「おっと! 危ない、危ない!!」
間一髪、凍らされる前にフェルトが煙の中から姿を現した。そこを狙い、続けて闇の竜を放つカルロスだったが、攻撃を受けたフェルトの身体は、何故か霧の如く消えてしまい。
「……なにっ!?」
カルロスが気配を感じて気づいた時には遅かった。彼の背後には、何故か先程の攻撃で霧散したはずのフェルトが、笑顔で立っていたのだから。
「残念だったね。ボクは手札からスペルカード、グランギニョルの夜を発動していたんだよ。その効果は……闇属性の「SP」ユニット2体をデッキから召喚する!」
先程、やられたはずのフェルトは、彼女が呼び出したSPドッペルシャドウ。その能力は、本人と全く同じ姿になるというものだ。
煙に紛れて退散すると同時に、フェルトは偽物を放って注意を引きつけていた。敢えて目立つものを観客の目に晒し、そちらに相手の意識が向いている間にトリックを仕掛けるのはマジックの王道。超常の力など使わずとも、フェルトは単なる奇術だけで、カルロスを撹乱したのである。
「おのれ! ならば、もう一度……!」
「あ、ダメだよ。まだ、ボクの召喚したSPアクロバットの攻撃が残ってるからね」
再び竜を嗾けようとするカルロスだったが、それよりも早く、フェルトの傍らを飛んでいたコウモリがカルロスに突撃した。
戦闘を竜に依存していたカルロスに、その攻撃を防ぐ術はない。顔面に体当たりを食らって盛大に転倒すれば、目の前には既にフェルトの姿はなく。
「くっ……! 覚えているがいい、道化師め!」
既に相手へ届かないのが分かっていながら、負け惜しみの捨て台詞を叫ぶのが精一杯だった。
大成功
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カタリナ・エスペランサ
目障りな紋章使いも底が知れたようね
薄汚れた力諸共に骸の海へ叩き落としてあげる
吸血鬼の真似事如きで暁の灯を遮る事など叶わないと知りなさい
常時展開している装備[驕傲]の《念動力+情報収集》の力場をセンサーとした物理感知で敵の動きを捕捉、《第六感+戦闘知識+見切り》の先読みと自前の速度を最大限活かす《空中戦》の機動力による回避で先制対策とするわ
《カウンター+衝撃波+吹き飛ばし》も合わせ接触は最小限に。
反撃は【失楽の呪姫】発動
魔神の魂を励起して《リミッター解除+限界突破》、万象を終焉に塗り潰し焼き尽くす劫火による《属性攻撃+ハッキング+地形破壊+神罰+蹂躙》の《焼却+範囲攻撃》で闇ごと敵を葬りましょう
●闇に消えよ
圧倒的な力を与える吸血鬼の紋章。だが、それはあくまで、力の性質を理解し使いこなしてこそ意味がある。
単純に紋章を集めただけでは、力に振り回されるのがオチだ。現に、今のカルロスが、正にそんな状態に陥っている。
(「目障りな紋章使いも底が知れたようね……」)
相手の姿は見えずとも、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は、既に敵が余力を残していないことを理解していた。
これまでの度重なる戦闘で、カルロス自身の体力は残り少ない。恐らくは、起死回生の一撃に賭けてくるのだろうが、そうと分かっていれば対処も容易だ。
念を全方位に放出しつつ、後は己の勘だけを頼りに意識を集中させる。ほんの僅かな物理的流動。その微かな挙動さえも見逃さぬために。
「……来た!!」
瞬間、激しく空を斬る音と、カタリナが跳躍するのが同時だった。横に避けるのでもなく、下に倒れるのでもない。ましてや、武器で受けるのでもない。彼女は高々と跳躍することで、カルロスの攻撃を真上方向に避けたのだ。
「なるほど、やるな。だが、それで全てを避けたつもりか?」
それでも、カルロスとて腐ってもオブリビオン・フォーミュラだ。跳躍したカタリナが、そのまま重力に引かれて落ちて来ることは理解している。翼を持った存在であっても、着地の際には必ず隙が生じる。
当然、その間は無防備の極み。そこを狙って新たな爪を繰り出そうとするも、カタリナはそれに合わせて衝撃波を叩き込み、カルロスの動きを牽制した。
「……っ! 小賢しい真似を!!」
咄嗟に顔を覆って防御したことで、カルロスはカタリナの衝撃波の大半を無効化した。が、カタリナにとっては、それで十分。元より、こんな小技程度でカルロスを倒せるとは思っていない。
「仕方ないなぁ――アタシの本気、ちょっとだけ見せてあげる」
そう、彼女の表情が笑みの形に歪んだ瞬間、周囲の空気が一変した。
カタリナの周りを、まるで怒れる魔神の咆哮の如く、黒い稲妻が迸る。それだけでなく、彼女の周りには無数の劫火が現れて、それは周囲の空気さえも焼き尽くし、異質な存在へと変えて行く。
「なにっ! その力は……ぐぅっ!?」
突然、カルロスが膝を突き、喉元を押さえて苦しみ始めた。カタリナはまだ何の攻撃もしておらず、それどころか相手に触れてさえいないはずなのに。
「これは……ば、馬鹿な……我の……最強の闇が……」
今、カルロス自身を蝕んでいるのは、他でもない島全域を覆う漆黒の霧だ。カタリナの身体から放たれる劫火は、万象を終焉に塗り潰し焼き尽くす。黒い霧も例外ではなく、劫火に焼かれたことで性質を上書きされ、あらゆる存在に終焉を齎す。
「薄汚れた力諸共に、骸の海へ叩き落としてあげる。吸血鬼の真似事如きで、暁の灯を遮る事など叶わないと知りなさい」
力の反動で、いつしかカタリナの瞳からも、血が涙のように溢れ出していた。しかし、それでも彼女は躊躇わない。止まらない。傲慢なる吸血鬼も、その力を借りて己の力と勘違いする存在も、全て纏めて葬り去るのみ!
「くっ……まさか、島を覆う闇に……我自身が食われるとは……」
周囲の霧が全て敵となったことで、カルロスは抗うことさえできぬまま、闇の飲まれて消えて行った。後に残ったのは、静寂のみ。借り物でしか戦えぬコンキスタドールに、哀れな最後に相応しい終焉だった。
大成功
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