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羅針盤戦争〜冥府よりの大海獣

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●深海より来たりしは
 グリードオーシャン、アトラント島。
 かつての世界では海底都市の一部であったこの島は、多くの機能と文明を失いながらもどうにか荒海の世界の中で人類の営みを維持し続けていた。
 海底都市だった名残の一つは島の周囲に点在する無数の魔力灯。深海を遍く照らす、などといかないが、それでもその優しい光は海に潜る人々にとってのささやかな支えとなっている。

 ――眩しい。不要だ。
 深海より空気の塊が浮上する。海底が割れて中に押し込められた空気が漏れ出たのか、いや、これは呼吸の泡だ。
 ――裏切者共は瞳のみならず海からもまた奪おうとするのか。
 海底に灯っていた光球が、巨大な魚の影に隠されたかのように暗くなる。
 ――もういい、潰す。
 浮上する影は、この世界にも存在するシャチとそっくりな色合いで瞳は額の単眼一つ。
 腹鰭が多く奇妙な黒輪を頭に浮かべているけれども何よりも異なるのはそのサイズ。
 シャチの天敵であるマッコウクジラ、その三倍はあるだろう巨体で悠々と泳ぐ巨大海獣の名はオルキヌス。
 森羅冠するオルキヌス――かつて七大海嘯の一角であり、瞳を奪われ失墜した巨獣が陸の生物を殺戮せんとアトラント島を目指し浮上してきていた。

「いやーまさか海にあんなにでかいのがいるとはね」
 シャチのキマイラのヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)、どこか遠い目をしていた彼が集まった猟兵達へと視線を向ける。
「羅針盤戦争に関する予知なんだけど、巨大なシャチっぽい海獣がアトラント島って場所を襲おうとしているようだ。このオルキヌスって言うのは元々は七大海嘯の一角で、無人島でヤバそうな儀式を行ってた森羅の巫女達の御本尊。なんで元々なのかって言うと『三つ目』に単眼を奪われて退化させる能力を失って七大海嘯から外されたみたい。ただそれ以外の戦闘能力は殆ど変わってないみたいだからとにかく強敵、今回は皆にそれを倒しに行って欲しいんだ」
 そう言ってヴィクトルは戦場の海域の説明に移る。
「まずアトラント島はヒーローズアースの多分アトランティスから落ちてきた島で、島の周囲のある程度の範囲の海はほのかに照らされてる。海の中だからって視界が悪いって事はないけど、適応光線とかはないから深海で叩くなら水圧で動きにくくなる事には注意した方がいいかもね。今回はアトラント島沖……深海のオルキヌスの真上辺りで鉄甲船から飛び込んで貰う感じの作戦になる。オルキヌスが逃げる事はないし被害を受けるものもないから最大の力を叩き込んじゃって大丈夫だよ」
 そしてオルキヌスについて。
「オルキヌスはとにかく馬鹿でかい。50mはあるから単に尻尾で叩かれただけで瀕死になりかねないね。それから配下として海の生物……サメとかダイオウイカとか様々なのを連れていて、それが意志を一つに従ってるとオルキヌス含め配下の生物も強化される。そして敵より海に適応している場合能力がぐんと上がった状態になってもう全身凶器ってレベルで強くなる。あとは呪いだね。攻撃を当てた相手に『海に帰りたい』という強迫観念を植え付けて、一定距離内にいる間肺から海水が湧き出し続ける呪いを与えてくる。オルキヌスの体のでかさ的に射程外に逃れるのもかなりきついだろうね」
 どれも先制攻撃で仕掛けてこないけれど、厄介なのは間違いないとヴィクトルは説明を終える。
「圧倒的に向こうはでかいし強い、それに向こうのホームグラウンドである水中での戦いになるけど付け込む隙はある。上手く倒して島を救ってきて欲しい」
 首に掛けた鍵型のグリモアを手にし、シャチのキマイラは転送の準備を開始する。
 向かう先は生者を憎む冥界の魔物の潜む大海原、海の王者との戦いに猟兵達は臨む。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 よく見るとシャチ……? となるオルキヌスさん。

 このシナリオはヒーローズアース由来の島の近海、深海より浮上してくる森羅冠す『オルキヌス』と戦うシナリオとなります。
 オルキヌスは50mはあろうかという巨大海獣で、『三つ目』にその単眼を奪われて失墜したかつての『七大海嘯』です。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……海上・海中戦を工夫する(敵は先制攻撃しません)。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『森羅冠す『オルキヌス』』

POW   :    冥海銀河オルキヌス・オルカ
【支配下にある海の生物】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[支配下にある海の生物]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    海帝覇濤ディープブルー
敵より【海に適応した生態をしている】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    回帰狂濤ティクターリク
攻撃が命中した対象に【「海に帰りたい」という強迫観念】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肺から海水が湧き出す呪い】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は曾場八野・熊五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イスラ・ピノス
海の中ならおまかせ!
相手にとっても勿論縄張りだから
アドバンテージとしてはお互い様だけど
深海から生まれた身としてはここで遅れはとれないよ。

戦法はシンプル!
思いっきり泳ぎ切る!
クイックドルフィンで敵の攻撃を回避しつつ攻撃し続けるよ!
巨体な分の動きの影響範囲には十分気をつけるね。

海の生き物との連携は泳ぎで妨害!
呪いは聞くと怖いけどセイレーンとしてはそんなに怖くないし、そもそも当たる気なんてなし
海の適応勝負もどんと来い!受けて立つよ!

後は頭部や瞳まわり、そして機動力の尾まわりを特に集中して攻撃していくね。


ヴォルフガング・ディーツェ
奪われたのなら奪い返す…成る程、明白な理屈だ
ならば来るが良い、冥府の海王
上回る悪辣さで叩き潰してやろう

先ずは海中適応から
ナノマシンを駆使した「全力魔法」「メカニック」で体を覆うように物理法則を改編した小領域を展開
「水中戦」「水中機動」で潮の流や抵抗を減らしながら戦おう
仕上げに【指定UC】も起動し、水中高速戦を仕掛ける

堅牢な城壁は罅一つから崩壊すると聞く、ならば数多の意志を統一するなら疑念の種を蒔けば良い
高速で接近しガジェット魔爪でオルキヌスを抉り「部位破壊」
彼の体内に爪を潜らせ「ハッキング」「精神攻撃」ウイルスを展開
海王に自分達が喰らわれる光景を想起させ混乱を招く
隙が出来たら爪に雷を纏わせ追撃



●深海へ
 鉄甲船より八人の猟兵達が海へと飛び込み、深海へと潜っていく。
 星々のように海中に留まり仄かに発光する光球のお陰で視界は良好。本来なら光の届かぬはずの深海もかなりの距離を見通す事が出来るだろう。
 けれどそれだけ明るくとも、潜る中に魚影が殆ど見えないのは明らかに不自然だ。
(「奪われたのなら奪い返す……成る程、明白な理屈だ」)
 深海に潜りつつヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)は元七大海嘯の行為に対してそんな事を考える。
 理屈としては明白、だがこちらが奪われるままにしていいのかと言えばそれはまた別の話だ。
(「指令、『惑えよ法則、従えよ蒼穹』」)
 彼の周囲には体を覆うようにナノマシンとユーベルコードによる小規模な領域が展開されている。物理法則を改変されたその領域は潮流や水の抵抗、水圧の影響からヴォルフガングを保護している。
 ソーダ水の髪を靡かせイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)には海中は慣れた環境である。
 だけれど相手にとっても縄張りであるこの深海はきっとアドバンテージにはならない。寧ろ肉体の適応度合いで言うなら海専門のオルキヌスの方が上回るかもしれない。
 けれどそれがどうした。深海生まれとしてここで後れを取る訳にはいかない。
 そして、オルキヌスの姿が見える。真上から見て黒の体色は上から視認し辛くなる配色だけれど、光球に照らされその巨大なシルエットがくっきりと浮かび上がって見える。
 その周囲には無数の魚達――この近海の魚全てを結集させたかのようなその数は、その能力を十二分に発揮させるためのものだろう。
 奇妙な超音波が耳に届き、そしてオルキヌスが猟兵達へとその頭部を向ける。
 反響定位なのだろうか。少なくともこちらを認識してきている。
 それを受けてイスラが掛け声と共にその身にしゅわっと弾けるオーラを纏い超高速泳法を開始
「来るが良い、冥府の海王。それを上回る悪辣さで叩き潰してやろう」
 そして口笛を吹き瀟洒な双腕輪を魔爪へと変形させ装着したヴォルフガングも一気に加速する。
 小規模領域により深海の影響は極限まで減らされているが、この場はイスラの方が速い。
 彼女はオルキヌスの巨大な背びれの真横を突っ切り胴の横を過ぎて、深みへと潜る流れで衝撃波をすれ違いざまに放つ。
 弾ける衝撃波がオルキヌスの胴に命中・それに遅れて人狼の魔爪がオルキヌスの黒い皮膚を抉る。
 だがその巨体もあって、相当に強く突き立てても殆ど血は出ない。
 それは周囲に集った海の生物達による強化もあるからか――ダメージなどないかのように、海獣も水泳を開始する。
 尾びれを力強く振るえばその巨体からは想像も出来ぬ速度で加速。同時、周囲の海域に強烈な水圧の衝撃波が発生する。
 第六感で比較的安全なルートを見出したイスラは、身に纏うソーダオーラで圧力を軽減しながら彼女は全力で泳ぐ。
 そしてヴォルフガングはと言えば、オルキヌスの背に魔爪を突き立てたまましっかりとしがみついている。
 魔爪を通し精神をハッキング、攻撃するウイルスを打ち込んでいく。精神攻撃――自分達が喰らわれる光景を想起させるそれは、城壁の如く整然と統一されている意志に罅を入れ分断させるためのもの。
 背から広がる悪寒をうっとおしく思ったか、変幻自在に泳ぎ振り払おうとするオルキヌス。だが、その動作から先読みしてイスラが頭部正面へと先回り。真正面に見えるその単眼のくぼみに向けて衝撃波を連射する。
 交錯まで一秒に満たぬ短時間、だが五十以上連続で一点に向け放たれた衝撃波。
 オルキヌス自身の速度を逆手に取った事もあって、さしもの元七大海嘯も厭うように進行方向を変える。
 しかしその瞬間ハッキングが成功、強烈な捕食されるというイメージにオルキヌスの思考が乱される。
 主たるオルキヌスと配下達の意志統一が乱れその力は一瞬弱体化、その瞬間を見切りヴォルフガングが爪を通して全力の雷撃を流しこむ。
 電流に一瞬体が痙攣、そして皮膚の押し返す圧力に魔爪が外れ一気に引き離される。
 その巨体もあって恐ろしくタフだろうオルキヌス、だがその堅牢も一つ一つ傷を刻んでいけばいつかは崩れる。
 そしてイスラとヴォルフガングは追撃を加える為、深海を自在に泳ぎ回るオルキヌスを追った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
メガリスで大きくなったお魚さんを、武装としている猟兵もいます、が
オルキヌスさんは……元々、あの大きさ?

宇宙も凄い、ですが。海も凄い、ですね
でも、負けられません

『文明守護竜』連続発動。海水に、お願い
一時的に竜となってもらい、合体して大きくなっていく
5mから3回の発動で40m
無数の竜の集合体
【武器改造】合体組み換え、翼なし、海に適した形に

海の生物さんは、オブリビオンでは、ありませんね……?

【動物と話す】で、オルキヌスさん世界滅ぼす存在となっていると、伝え
【念動力】で、生物さん達避難させ
【重量攻撃】したりされたり
【覚悟激痛耐性継戦能力】聖なる光で癒し耐え
【生命力吸収】する光をあてて、骸の海へ還そうと


備傘・剱
海中戦なら、同じ土台に立てば、多少は、有利に運ぶんじゃないか?
って事で、鳥獣技、発動!
向こうが鯱なら、こっちは海豚ってな

海中の機動力は、小回りが利く分、こっちが有利だろうし、いくら強化されてるっていっても、元は海洋生物、オーラ防御や結界術で対処できるだろうぜ
肺から海水が噴き出る呪いだが、呪詛耐性もあるし、水中機動もあるからな
よける事も、多少耐える事もできるだろうぜ

こっちは、誘導弾と衝撃波と呪殺弾で応戦しつつ、鎧無視攻撃ができそうな死角になっている所に接近して、零距離射撃を行ってやるぜ

海の底から恨み節なんて、演歌にすりゃならないってな
デカい図体の割に、みみっちい奴だ

アドリブ、絡み、好きにしてくれ


カイ・ザァド
大海の王者『オルキヌス』よ!その暴虐を止めて見せる!
指定UCにて55mの巨大キャバリアとなりて、真っ向から水中戦を挑む!
水中では【水中機動】を使い、ブレイドウィングを展開!ブーストを吹かしすれ違いながらも切り裂く!

「カイザーウィング展開!切り裂け!!」

水中で金属粒子竜巻を巻き起こし、相手の機動力を奪いつつその身を削りってくれよう!

「ラストツイスター!!」

最後はLEOで【串刺し】にし、隠し腕で捕縛!ミサイルやクリスタルビット、そして胸部ビームと超巨大荷電粒子ビーム砲をリミッター解除!限界突破!で一斉発射である!!

「カイザー!ブレストォ!!バァーーストッ!!!」

攻撃は盾受けと念動力で受け止めよう!



●浮上する『森羅』
 その頃の鉄甲船の甲板。
「メガリスで大きくなったお魚さんを、武装としている猟兵もいます」
 深海より浮上してくる影――まだかなりの距離があるとは思えない巨大さを見てナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は呟く。
 メガリスを食べて空を飛ぶようになったエビやシャチ、ソードフィッシュ等もいると聞く。それなら巨大化する動物がいても不思議ではない。
 が。
「オルキヌスさんは……元々、あの大きさ?」
 このオルキヌスに巨大化のメガリスの逸話があるとは聞いていない。もしかすると退化光線を放つという単眼に巨大化に纏わる能力があったのかもしれないが、少しばかりこの大きさは規格外である。
 星々の海、星を喰らう宇宙怪獣をも知っているナイだが、身近な海にこのような脅威が存在している事には素直にすごいと思ってしまう。
 けれど、勝てなければ島が滅茶苦茶に破壊されてしまう――負けられない。
「……デカい図体の割に、みみっちい奴だ」
 一方、星の海の世界出身である備傘・剱(絶路・f01759)は復讐と称し陸に上がったモノ、そしてその生存域を侵さんとする海獣をそう切り捨てる。
(「海の底から恨み節なんて、演歌にすりゃならないってな」)
 とは言え現在の彼の警戒は最大。宇宙空間、或いは地上が主な生活圏である彼がこの海に適応しきった海獣と同じ土台で戦うのは構造的にも経験的にも難しいからだ。
 もっとも、経験はどうにもならないが構造の方ならば――と彼が考えていると矢鱈に熱いロボットヘッドの姿が目に留まる。
「大海の王者『オルキヌス』よ! その暴虐を止めて見せる!」
 そう宣言する彼の名はカイ・ザァド(猟兵皇帝・f30942)。その周囲には十一機のキャバリアがフォーメーションを組んでいる。
 とう、とばかりに海に飛び込み金属の重さで沈んでいくカイ。そしてそのキャバリア達を追うように、剱と黒き帝竜ダイウルゴス――を象ったキャバリアに搭乗したナイも海へとその身を躍らせる。
(「獣の戯れ、鳥の群。交り変わりて常世に姿を映せ。百鬼夜行も、旅の道連れ」)
 剱が心の中で呟きユーベルコードを起動すれば、彼の背に埋め込んだ資源複製モジュールがフル稼働、男の全身を海豚の流線的なものへと変換。
 多用には不安があるが効果は望んだ通り、シャチに対してイルカに変身した剱は変化した感覚に慣れる為に軽く泳ぎ回る。
 そんな彼に続きナイもユーベルコードを起動。
(「今を守る力を、みんなに。世界を、守りましょう――」)
 するとただ姿を模しただけのキャバリアが生物的な質感を宿し、在りし日のダイウルゴスそのものの姿に変身し大きく首を振り体を伸ばす。
 姿こそ帝竜、されど中枢をナイに置き換えたそれは、ユーベルコードの連続起動の度にその大きさを倍々に成長させていく。
 その素材は周囲の海水、水を一時的にダイウルゴス文明を構成する竜へと変化させて自身に組み込んでいけば、三度の変身で体長四十メートルにもなる無数の竜の集合体を形成する。
 海中にて翼は不要、流体力学的に適切な形状へと微調整を加えるダイウルゴスよりやや深くでは十一機のキャバリアがカイを中心に陣形を組んでいて、
「掲げるは断罪の剣!!」
 カイの言葉と共にキャバリア達が変形、彼の元へと集いて一つの超大型キャバリアの形を成す。
 55メートル、巨大なオルキヌスとほぼ同じサイズの白騎士型巨大キャバリアがここに顕現。
 そして丁度、仄かに明るい海の深みに白騎士はぐるりと大きく螺旋を描くように浮上してくる冥府の悪魔の背、そして頭部をこちらへと向けた瞬間を捉える。
「カイザーウィング展開! 切り裂け!!」
 即座にカイは背部――双頭の鷲を模したキャバリアの合体した部位からブレイドウィングが展開、ブーストを吹かせ水の抵抗もなんのそのとの勢いでオルキヌスと交錯する。
 並べばほぼ同サイズ、そしてブレイドウィングの鋭さもあり、オルキヌスの胴から尾まで一直線に斬撃が刻まれる。
 胴を斬られた痛みにオルキヌスの気が逸れる中、ダイウルゴスの中枢と化しているナイの光の如き思念波が周囲に広がりオルキヌスと道を共にする海の生き物へと彼の意志を伝えていく。
 オルキヌスの周囲には精神汚染を逃れた、もしくは更に広い海域から呼び寄せられた海の生き物達が再び集結している。これらがオルキヌスと意志を同じくする限り群れの能力は強化されてしまう為に倒すか何かする必要がある。
 そしてオブリビオンならぬ海の生物達まで巻き込んでしまう事を、ナイはよくは思わなかった。だから、彼は今のオルキヌスは世界を滅ぼす存在であるという事とこの場からの撤退を海の生物達に動物の言葉で伝えていく。
 その意志が通じたのか、新たに合流した海の生物の一部は戸惑ったかのように動きを止める。しかしかなりの数はオルキヌスに変わらず付き従うままだ。
 動きを止めた海の生物達を念動力で戦闘領域外へと逃すナイだが、それをオルキヌス配下のサメや巨大魚が逃さぬとばかりに追撃を仕掛ける。
 しかしナイを援護するように。一頭のイルカが突撃。その頭部から放つ音波でサメ達を混乱させ、更に追尾する呪殺弾で地道に削りつつ追撃を妨害する。
 怪獣大決戦さながらな戦場を剱は小回りの利く体で上手く泳ぎ回りつつ配下を削り、反撃を海豚の身のまま展開できる結界とオーラで防いでいく。
 ここは戦場、純粋な身体能力で勝てずともやりようは幾らでもある。今は呪いを仕掛けては来ないようだが、あったとしても防ぐか多少は抑え込む自信もある。
 帝竜の首の一つすら解体した事のある剱、その眼力はオルキヌスのどこが視覚で脆いのかもしっかり見極めているが、動き回るそれを狙うには隙が少なすぎる。
 一方のオルキヌス、巨大海獣がこの戦場で一番に攻撃を加えているのは巨体が非常に目立つスーパーロボット。助走距離をとっての全力での突進、それをカイは盾で受け流すようにして逸らす。
 しかし配下達の強化もあり、純粋な技量だけで受けるには重すぎる一撃。念動力で体を逃がしながらどうにか破損を避けることに成功するが何度もは難しそうだ。
 そこにダイウルゴスが喰らいつく。巨大化した質量はオルキヌスにも無視できない程で、苛立ったように森羅冠す海獣は黒竜の首に無数に並んだ牙を突き立てる。
 そのダメージは中枢たるナイにも及ぶがそれは想定済み、苦痛にさえ耐えきれば彼の放つ聖光が傷を修復できる。
 そして喰らいつかれたのは逆にこちらにとっても攻撃のチャンス、ダイウルゴスの傷口から光が溢れ、途方もない生命力を持つオルキヌスから生命力を奪い取っていく。
 このまま喰らいついていては骸の海に還される、そう判断したのかオルキヌスは大口を離して体を反転、その強靭な尾をダイウルゴスに叩き付け一気に弾き飛ばす。 だが、そこに隙が生じる。
「ラストツイスター!!」
 オルキヌス周囲の水流が渦巻く。単なる渦ではない、乙女座を冠するキャバリアの部位より発生した金属粒子竜巻がオルキヌスを捕らえていた。
 しかしオルキヌスも並大抵の存在ではない。機動力を削がれつつもその圧倒的な身体能力で強引に渦を抜け突破せんとするが、それに配下が着いてこられるかというと話は別。
 竜巻に取り残された配下達と分断されたことでオルキヌスに作用していた強化効果が消失する。
「――皇帝が一撃! その身で受けるがよい!!」
 弱体した隙を見逃さず、カイは両腕で獅子の剣を構えオルキヌスの胴に深々と突き立てる。
 暴れるオルキヌス、しかし隠し腕で胸びれを掴んだキャバリアを引き剥がす事は出来ず、カイは全兵装を展開。
「カイザー! ブレストォ!! バァーーストッ!!!」
 瞬間、淡き光の海に閃光。白羊のミサイルが炸裂、双魚のクリスタルビットがオルキヌスの全身に鮫の牙の如く突き刺さり、人馬と牡牛のビーム砲が黒き体表を焼き焦がす。
 限界を超えたその一斉射撃にはさしものオルキヌスもごぼりと泡を吐いて。
 更にカイの剣が突き立てられた逆側にはイルカ――剱が猛スピードで胸鰭の間を狙い突進、密着する程の至近距離で呪殺弾をありったけ食らわせる。
 骨に守られていないそこは内臓を守れない急所、五十メートルの巨体であってもダメージは通ったようで、オルキヌスの狂乱はより激しく周囲全てを破壊しかねぬ程に増している。
 それに巻き込まれ深海に向けて弾き飛ばされた剱とカイは浮上していく海獣を見上げる。
 この場は逃がしたが相当の手傷は与えたのは確実だろう。
 ――このまま追撃を仕掛ける。黒竜の巨体を操り復帰したナイも合わせ、三人は海面を目指すオルキヌスを追い浮上していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
退化の力を持つ巨大生物ですか。じっくり研究したいところですが、流石にそうもいきませんね。
暴食の王『ケルベロス』に登場し、UCも併用して潜水艇に変えます。動力系と外装に水属性を付けて水中適性を上げ、水流を帆のように受ける可変式の板を付けます。正面に電気属性のドリルを付け完成。水中へ行きましょう。
敵の攻撃が来たら可変式の板で水流を受け、流されます。大きな質量が動けば周辺の水も動く。流されていれば攻撃本体は当たりません。周囲の障害物にぶつからないよう気を付けつつ、隙を見てドリルを動かし突撃します。
上手く刺さったら電気を流し込みます。マヒすれば他の方も戦いやすくなるでしょう


栗花落・澪
【指定UC】を発動
人魚の姿へと変身することで
水中呼吸や【水中戦】での機動力を確保

奪われたのがツラいのはわかるけど
人のものまで奪うのはいけないね

【催眠術】を乗せた【歌唱】の【範囲攻撃】で
海洋生物達を惑わす音波で攻撃
周りを守る子達もろとも
申し訳ないけど足止めさせてね
音波の効かない子達は【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】を

折角海にいるなら生かすべきだよね
【聞き耳】で動き方には気をつけつつわざとオルキヌスの前を通り
視線を惹きつけながら海上へ
僕を追いかけてくるように

成功したらドルフィンジャンプで
僕を追って海を跳び出したオルキヌス目掛けて雷の【全力魔法】
水を伝わせる事で広範囲の電撃で痺れさせてあげる



●海面付近
 そして最後、三人の猟兵達が鉄甲船の甲板から水面を見下ろしていた。
 UDCの液体金属で構成されたオブリビオンマシン――暴食の王『ケルベロス』に搭乗した水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はオルキヌスについて思案する。
 現在は失われているが元は退化の力を持つ巨大生物。
 じっくりと研究したい所だが、まだ深い海にいる段階で海面にまで影響を及ぼすほどの巨大生物、それも手負いとなるとそうもいくまい。
「潜水艇構築」
 ユーべルコードを起動すれば、液体金属のマシンはその形を怜悧の意志に沿うように人型から潜水艇の形へと変化していく。
 動力部と外装に水属性を付与して親和性を高め、更に水流を帆のように受けて加速や方向転換に利用できる板を追加。そして攻撃用にドリルをイメージして全体の形を調整すれば完成だ。
「奪われたのがツラいのはわかるけど……人のものまで奪うのはいけないね」
 甲板に腰掛け仄かに明るい海を見つめるのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
 すでにかの少年の下半身はユーベルコードにより魚型、すなわち人魚となっていて、水中戦の準備は万全だ。
 彼らを下ろせば鉄甲船は少し別の場所へと移動するとのこと、オルキヌスの浮上がかなり近づいてきているためその余波を受けないためにだ。
 そして二人、もう一人が同時に海へと飛び込み鉄甲船から離れる。
 海に潜った猟兵達が見たものは海の生き物達の群れだ。
 どうやら周囲の海域から集まってきたらしいこれらの生き物、まだオルキヌスとの合流はなっていないけれども、合流させた場合は厄介なことになるかもしれない。
 即座に澪が動き出す。
 人魚の機動力は確かに人間よりは高いけれどもオルキヌスを超えるには少々不足。けれどその周囲に侍る海洋生物達を攪乱するには十分だ。
 魔力を込めた歌声――催眠の効果を乗せたそれはオルキヌスが浮上する前にこの深度の海域に集いつつあった巨大魚達の精神を揺さぶり混乱させる。
 その音波を嫌がったのか、小さなカジキマグロのような群が突撃してくる。通常の大きさならシャチすらも貫き害することすらあるそれらだけれども、小型でも人間を貫くには十分な鋭さと速度。
 けれど澪は魚の下半身で力強く泳ぎ、ダーツのような連続突撃を冷静に回避。通り過ぎた背後に速度重視の氷鎖で作った網を放ちまとめて拘束し、遠くへと放り出す。
 そして周辺一帯から海の生き物が消え失せた頃合いに、澪の耳に音が届く。それは陸を、裏切り者どもを呪うかつての七大海嘯の怨嗟。
 直後、潜水艇を操る怜悧が緑瞳を凝らすまでもなく、巨大なオルキヌスがその姿を現す。
 冥界より浮上してきたようなそのボディは先の戦いで随分と傷だらけではあるが、その身に宿る力は島一つを滅ぼしてなお余りあるだろう。
 この場の誰よりも水中に適応しているオルキヌスの動きの精度は非常に高い。出会い頭に猟兵達にその尾びれを叩きつけんとするが、一番大きな潜水艇はその動作で生じる水の流れに乗る形で直撃を回避した。
 だけれど潜水艇内部の怜悧は目が回りそうだ。周囲には障害物はないからぶつかり破損することはないにせよ、巨大な流れに逆らわぬよう流されれば視界がぐるぐる回転して上下感覚すら失われてしまいそう。
 そして生身に一撃食らえばその時点で継戦不可能になりうる連続攻撃を紙一重で躱しつつ澪は機会を伺う。
 そのまま数分が経過。怒り狂ったオルキヌスの水圧を利用した衝撃波、そして突進を紙一重で猟兵達は躱しつつ機会を伺っていく。
 想像よりも水流の圧が強烈、そして怜悧の潜水艇の水を受ける板の根元も軋んでいる。液体金属製でなければとっくの昔に吹っ飛んでいてもおかしくない程。
 そんな中、尾鰭で水を叩き衝撃波を放った直後これまでのダメージの為かほんの一瞬動きが止まった。それを見逃さず怜悧が潜水艇を全速にし、船首のドリルを起動しオルキヌスの喉元に捻じ込み最大出力で回転させる。
 巨体に相応しい頑丈な皮膚ではあったが、ここは怜悧のドリルの貫通力が上回る。
 そして肉を抉り十分突き刺さった所でドリルから電撃を流し込めば、脳に近い位置での電撃にオルキヌスの体が痙攣する。
 その直後、オルキヌスの眼前辺りから歌が響く。それは人魚の歌声、能力を失った単眼でなければ退化させて黙らせてるのだろうが、今のオルキヌスにはその能力はない。
 だからオルキヌスは憤怒に任せその声に向けて猛突進、それから逃れるように澪は海面へと向かう為に尾びれで全力で水を叩く。
 今のオルキヌスは電撃による痺れで本調子とまではいかない。だが、元よりの巨体から繰り出される圧倒的な速度で澪との距離をぐんぐん詰めていく。
 もう少しで丸のみにされる程の至近距離まで迫られ、だが澪が海面に辿り着くのが早かった。
 そのまま澪がドルフィンジャンプで空へと飛び出すと、オルキヌスもそれにつられブリーチングのように海上へとジャンプする。
 その瞬間、泳ぎながら術を紡いでいた澪が全力の電撃魔法を放つ。
 その巨体は海水から飛び出したばかりでずぶ濡れで、更には皮膚も傷だらけ。つまり非常に通電しやすい。
 海中ならば周囲の海水へ電気が逃がされたのかもしれないが、水中からほぼ全身を飛び出させたこの瞬間は雷の影響を一番強く受けるタイミングでもあって。
 電撃に焦がされ狙いが逸れ、澪はオルキヌスの開いた口の横をすり抜けるようにして着水。
 そして着水し、水面の方を見上げると――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルシー・ナイン
水中戦というのは初体験ですが、宇宙遊泳はお手の物ですし、なんとかなるでしょう。

【銀河帝国製試作兵器】で呼び出した水中戦用アクアユニットに換装し、オルキヌスに挑みますよ。これで水圧を気にせず動き回れますし、ワタシは元々呼吸はしませんし、海洋生物以上に海に適応できるはず。

『残像』を残してオルキヌスの攻撃をかわしながら高速で背後に回り込み、『念動力』でその背中と自身を固定します。とりついてしまえばこちらのもの。
後は装備した全火器を『零距離射撃』で『一斉発射』です。ワタシの火器は水中では威力が減衰しますが、零距離なら問題ありませんからね。

海に囚われ続けるアナタでは、宇宙出身のワタシには勝てませんよ!



●そして『森羅』は海に還る
 ――ありえない、と思う。
 海に在る自分に仕掛けてくる身の程知らずがいるのは知っている。実際瞳を奪われたのだから。
 だが、海中でここまで傷つけられたのは想定外だ。
 胴に突き立てられた剣、喉への痛み、更には馬鹿にするかのような音。
 どれも許さない。手始めにあの歌を潰す。
 その怒りに忠実に全力で泳げば海から飛び出した。逃がさない。
 喰らう為にどれほどぶりか海面を飛び出したら雷が襲ってくる。
 思考が焼ける。だがまだ動ける。まだ、戦える。
 海の外、空気中では感覚器官はまだ慣れず周囲はよくわからないけれどすぐに海に戻れるのだから関係ない。
 帰ってこの場の不届きものすべてに報いを――それが、このオルキヌスの最期の思考であった。

 少し時を遡り。
 オブリビオンマシンに搭乗した猟兵と人魚のような少年が準備を整える中、ウォーマシンの女、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)はいつも通りの微笑みで水面を見下ろしていた。
「水中戦というのは初体験ですが、宇宙遊泳はお手の物ですし、なんとかなるでしょう」
 星の海の世界出身の彼女、宇宙遊泳はお手の物だけれども水中での活動はそれとはまた異なった感覚が必要になる。
 その事に少々不安はあるけれども、銀河帝国製の試作兵器にはこのような状況に対応するためのモノも存在している。
 海という世界に囚われ続けるオルキヌスに、星々の海へと生存域を広げていった世界出身のエルシーとその技術の粋たる兵器は負けはしない。
 ユーベルコードで召喚したその試作兵器の一つ、水中戦用アクアユニットに換装したエルシーは海に飛び込むと、まず海面付近で軽く感覚を掴んでみる。
 少々勝手は違うが大体の感覚を掴んだ上で潜る。元より呼吸を必要としない彼女、アクアユニットにより水圧を気にする必要がなくなれば魚以上に長時間の活動も可能となる。
 海の生き物達を穏当に退けつつ、そしてオルキヌスが浮上してくる。
 普通の人間よりも大きなエルシーだが、この巨大な海獣の前には誤差のようなものだろう。
 オルキヌスが尾を振り猟兵達を薙ぎ払おうとし、三人は散開してどうにか回避。
 しかし追撃を仕掛けてくるオルキヌスの攻撃精度は異常に高い。どうやらアクアユニットを装備したエルシーよりも、オルキヌスの水中適応能力の方が高いようだ。
 けれど、それならそれで対応するまで。ロジカルに思考を切り替え、エルシーはアクアユニットによる急制動と急加速を利用し残像を生み出しながらオルキヌスを翻弄しつつ背後へと回り込んでいく。
 けれど自在に動き回るオルキヌスの背後を取るには至難の業、少しでも動きが止まるタイミングがなければ。
 そして機会を伺っている内にオルキヌスの注意は潜水艇の方に向き始める。
 それを好機とみたエルシーはそっと尾びれで衝撃波を放とうとするオルキヌスの背びれの根元へととりつき、念動力で固定。
 背後を取り、かつ引き剥がされぬように固定したならエルシー本来の火力の出番だ。
 メインウェポンである熱線やレーザーは水中での使用で威力が減衰するが、この至近距離なら減衰を最小限に抑え込むことができる。
 ミサイルポッドとガトリングガンも合わせ、背びれからオルキヌスの中心まで風穴を開ける勢いで全弾をありったけ撃ち込む。
 元より重なっていた負傷に加え、突然の苦痛に動きが止まった瞬間に潜水艇の突貫と電撃、そして誘うように人魚がオルキヌスを挑発し海面へと浮上する。
 その勢いに引き剥がされぬように念動力とサイキックエナジーの力場を限界まで酷使して、そしてオルキヌスが空へと跳ねる。
 空気が肌に触れた瞬間、エルシーは咄嗟に念動力の向きを変えてオルキヌスの背より離脱。直後、周囲全てを灼くような雷の雨が降り注ぎオルキヌスの全身を焼く。
 体を焼かれたオルキヌスは満身創痍だが、あともう一押し。その全身に宿る殺意が衰えていないことを感じ取ったエルシーは、即座に空中で全武装をオルキヌスの頭部に照準を定め、まだ残弾のあった兵装を一斉に開放する。
 それらがオルキヌスの頭部に命中、盛大に炸裂すればオルキヌスの体から力が失われ、そのまま海へと墜落する。
 引き起こされた波はその巨体の割には小規模で、島や鉄甲船への影響はなさそうだ。
 無事着水を決めたエルシーは深海へ沈みゆくオルキヌスの遺骸を見届けた。

 そして暫くして、八人の猟兵は鉄甲船へと帰還する。
 大いなる海の災厄、かつての七大海嘯『森羅』の一体を打倒した猟兵達は次の戦場へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月23日
宿敵 『森羅冠す『オルキヌス』』 を撃破!


挿絵イラスト