5
羅針盤戦争〜トリートアイランドの最悪な一日

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ザンギャバス大帝


「えっとね……まず最初に言っておくと、相手は無敵なんだってさあ」
 あまりのことに本人も現実感が追いついてないのか、
 グリモア猟兵であるクイン・クェンビーの語り口は呑気なものだった。

 ……無敵。
 七大海嘯が一、『鮫牙』ザンギャバスを示すのに相応しい単語だ。
 無敵とはつまり、どうやっても倒しようがないということ。
 剣でも矢でも魔術でも爆弾でも、炎でも雷でも氷でも光でも闇でも。
 どんな攻撃も通用せず、どんな方法でも殺せない。
 ゆえに、無敵。まるで子どもが落書きがてら描いたような荒唐無稽。
 それが、ザンギャバスという強大なる個を示す単語であった。

 しかし。
 無敵と最強は、一見すると同じように思えるが違う。少なくともこの場合は。
「予兆で見た人もいるかもだけど、ザンギャバスの弱点は「きがじょーたい」なんだ。
 えーと、つまりお腹がぺこぺこっていうか、エネルギーがなくなるとダメってこと!
 そしたらザンギャバスは撤退するから、なんとかして消耗させてほしいんだ!」
 と、クインは語る。
「ザンギャバスが降ってくる(彼曰く、本当に空から島の中央に降ってくるらしい)のは『トリートアイランド』っていう島だよ。
 名前の通りお菓子がたーくさん! なんか、すごいお似合いっていうか……。
 まあでもお菓子なんて二の次で殺し回ると思うから、絶対にさせないでね!」
 迫真の表情で拳を握りしめ、クインは念を押した。
「今は倒せないけど、とにかく全力全開の攻撃をぶつけてあいつを消耗させて!
 それと、ザンギャバスには頭を使った攻撃もチョー有効だよ。クイン無理だけど!」
 いっそ清々しいほどの、アホスマイルであったという。

 ……さておき。
 つまりザンギャバスを飢餓状態に追い込めば、奴は撤退する。
 今回の勝利条件はそこにあり、そのためには全力攻撃で消耗させねばならない。
 そして白痴であるザンギャバスには、策略や作戦が大いに効く。
「もう一度言うけど、今はどうやっても倒せないから、無理はしないでね。
 あくまで消耗させることだけを考えて、みんながやられたりしないように!」
 口惜しさは否めない。だが、無敵そのものは否定しようのない事実。
 クインは再三再四忠告すると、改めて転移の準備を開始した。
「皆が食べられちゃわないように、クインお祈りしてるからね! えいえいおー!」
 快活なその声が、転移の合図となった。


唐揚げ
 チュロスです。戦争シナリオ第10弾は『鮫牙』との戦いとなります。
 正確に言うと、戦いというより全力で消耗させようって話です。
 フリとかではなく、このシナリオでは絶対に倒せません。

●プレイングボーナス条件
 島の装備やユーベルコードを駆使し、ザンギャバスを消耗させる。
(ザンギャバスはパンチや蛇・獅子・山羊・竜の部位を作っての攻撃をします)
 飢餓状態にさせることが成功すれば、ザンギャバスは獅子の姿になり撤退します。

 プレイングは【02/11(木・祝)の朝08時30分ごろ】まで受付いたします。
 締切時点で挑戦者数が6人以下の場合は、7人以上になるまでです。
 必要数以上の採用は……頑張れたら頑張ります。暖かく見守ってください。
533




第1章 冒険 『ザンギャバスに立ち向かえ!』

POW   :    全力の攻撃をぶつけ、敵の注意を引き付けて侵攻を食い止める

SPD   :    防御と回避に徹し、敵に攻撃させ続けて疲弊を誘う

WIZ   :    策を巡らせ、地形や物資を利用した罠に敵を誘い込む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
リーヴァルディ・カーライル
…無敵の存在とは恐れ入るけど、付け入る隙は多々ありそうね

"影精霊装"を用い闇に紛れて太陽光を遮断し、
"写し身の呪詛"の残像を囮に敵の攻撃を受け流し、
自身は存在感を消しお菓子の山に隠れUCを発動

『…さあ、掛かってきなさい。私は此処よ』

『…何処を攻撃しているの?私はこっちよ』

『…残念だったわね?お前に私を捉える事はできない』

不可視の血糸を回り込ませて分身が攻撃したよう偽装して敵を乱れ撃ち、
血糸から生命力を吸収して敵の飢餓を加速できないか試みる

…こうも容易く罠に掛かってくれるのは楽で良いけど…
ここまで攻撃しても堪えた様子が無いとはね

…確かに"今は"倒せそうに無いけど、
後で必ず狩ってみせるわ。必ず…ね



●いずれ狩るその時まで
「――来る」
 リーヴァルディ・カーライルは、あまりにも醜悪な殺意を感じ空を見上げた。
 その瞬間……KRAAAAAAAAAAAASH!!
「ふしゅうるるるる……」
 予知の通り空から落下してきたのは、まさしく唾棄すべき肉の塊。
 もうもうと立ち込める土煙の向こうに、邪悪な眼光がぎらりと輝いた。
「グリモア……グリモアの匂いがしやがるぅ!!」
「あれが、ザンギャバス……!」
 よだれを撒き散らし荒ぶる巨漢の醜態に、リーヴァルディは顔を顰めた。
 7メートルという巨躯は、そのほとんどが脂肪で出来ているかのようである。
 しかして力の充実ぶりたるや、吐き気さえ催しそうなほどだ。
 リーヴァルディは、皮膚感覚で理解する。
 あれはまさしく、『無敵』の存在なのだと。
「……さあ、かかってこなさい。私は此処よ」
「グリモアの匂い……感じるぞぉ」
 リーヴァルディは大鎌を構え、挑発的に手招きしてみせた。
 ザンギャバスは落ち窪んだ目をぎらぎらと輝かせ、獣じみて襲いかかる!
「コロす! コロす! ゴロずぅううううッ!!」
「……!!」
 直線距離で襲いかかってくる――と、わかっていた。
 にもかかわらず、リーヴァルディは避けることも出来ずに攻撃を受けた
 片腕を獣の頭部に変えたザンギャバスは、一撃でリーヴァルディの身体を喰った!

 ……だが。
「……どこを攻撃しているの? 私はこっちよ」
「ふしゅう……!?」
 頭から喰ってやったはずのリーヴァルディが、後ろに立っているではないか。
 ザンギャバスは訝しみ、しかし白痴の頭では大した考えなど巡りはしない。
 再びザンギャバスは下卑た雄叫びを上げ、避ける間もなく彼女を食らった。
 ズズン……と、巨体の飛び込みの余波で周囲のお菓子の山が舞い上がる。
 そのすぐ近く、よくよく見れば少々不自然に積み重なった山の中。
 実はそこに、リーヴァルディの本体が隠れていたのである。
(なんて攻撃力なの……無敵の所以は、耐久力だけではないのね)
 リーヴァルディは呪詛の力で生み出した写し身でザンギャバスを翻弄している。
 しかしその写し身ですら、攻撃を避ける暇さえなく消し飛ばされていく。
 あれが自分に襲いかかってきたら……想像するだけでもぞっとする。
(たしかに"今は"倒せそうにないわね……"今は")
 いずれ来るであろう決戦の時に備え、リーヴァルディはザンギャバスの動きをよく観察し、隙がないか、何処を突くべきかを脳内で思案した。
 その間にも、次々と分身が現れ、不可視の血の糸でザンギャバスを縛る。
 吸血鬼の魔力を編み込んだ糸で縛られたザンギャバスは、ボンレスハムのようだ。
 だがありったけの魔力を込めた糸も、奴は力任せに引きちぎってしまうのである。
「うおおおおお!! コロすぅうううっ!!」
 暴れまわるザンギャバスが、そこら中のお菓子を吹き飛ばす。
 リーヴァルディは獲物を狙う獣のように、じっと気配を消して伏せ続けた。
 いずれ狩るその時のために。少女は、地道に巨獣を消耗させていく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
無敵には無敵をぶつけるンだよおおおおッ!!
来ぉおおい! ギガレックス!!

速攻ブッパだ! ジェノサイド荷電粒子砲!!(砲撃)
ザンギャバスがギガレックスの方を向いたら、後ろから忍び寄ってお尻を蹴っ飛ばしてやる!
ぴゅー!っと逃げて距離を取って、お尻ぺんぺんのあっかんべー!
へいへい! こっちこっちー! ぷよぷよのおデブが私に追いつける~?
雑な腕の一振りを【スライディング】で躱して、今度はギガレックスが後ろから荷電粒子砲!
インフィニティ・ブレイカーを走らせて気を逸らして、後頭部にアサルトケルベロスをシュート!
ドーナッツもしゃもしゃ食べて食欲を誘って、追っかけてきたら【ダッシュ】で逃げるー! ばいばーい!



●危険な追いかけっこ
 ズシン、ズシン、ズシン……ズシンズシンズシンズシン!!
「ぶもぉおおおっ!!」
 島全体を揺るがすほどの地響きとともに、ザンギャバスが飛び出した。
 巨体の圧であちこちのキャンディが吹っ飛び、甘ったるい匂いを撒き散らす。
「来たねザンギャバス! こっちも無敵の一撃だ! 来いッ、ギガレックス!!」
 劉・涼鈴がパチンと指を鳴らすと、想像から創造された無敵のティラノサウルス型マシン、『デモリッション・ギガレックス』が姿を表す。
 ザンギャバスの背後に出現したギガレックスが大きく口を開くと、
 口内に作り出された荷電粒子砲が、光を集めてエネルギーを充填していく!
「ジェノサイド荷電粒子砲、発射ーっ!!」
「ふしゅ――」
 ZAAAAAAAAAAAAAAAAAAP!!
 島の一部を削り取って、水平線の彼方まで貫く極太荷電粒子砲のビーム攻撃。
 並のオブリビオンであれば、この一撃で跡形もなく消し飛んでいるだろう。
 だが、見よ! ザンギャバスの焼け焦げた身体が一瞬で再生していく!
「ふしゅぅるるるる……」
 ザンギャバスはこきこきと首を鳴らしながら、ギガレックスに近づいた。
 そして片手を振り上げ、無造作にギガレックスを叩きのめしてしまう!

 その時である。
「ぐるる……ぅ?」
 なにやらお尻をごいんと蹴っ飛ばしたようなかゆみに気づくザンギャバス。
 振り返るとそこには、腰に手を当てた涼鈴が立っていた。
「……気にいらねぇ、コロす」
 ザンギャバスが片手を振り上げた瞬間、涼鈴は脱兎の勢いで逃げ出す。
 ぶんっ! と遅れて腕が振るわれると、地形が爪痕の形に消し飛んだ!
「お尻ぺんぺん、あっかんべー! へいへーい、こっちこっちー!」
「コロすぅう……!!」
「ぷよぷよのおデブが私に追いつけ……おわっ!!」
 どうっ!! と大地が爆ぜた瞬間、ザンギャバスは涼鈴の至近距離に!
 涼鈴は咄嗟にその巨体の真下をスライディングでくぐり抜けた。
 直後、彼女の立っていた場所が、拳の一撃で間欠泉めいて粉砕される……!
「ギガレッ……はまだ動けないか。ああもう、インフィニティ・ブレイカー! 来い!」
 ギャギャギャギャ! と紅い外装の四輪駆動車が横を走ると、ザンギャバスはあっさりとそちらに注意を惹きつけられてしまった。
「ギガレックス、起きて! もう一発やっちゃえー!!」
 ギギギギ……と倒れていたマシンが起き上がり、荷電粒子砲を展開する。
 涼鈴はすれ違う形で全力で逃げ出した。あの攻撃は、受けてはならない!
「ばっいばーい!!」
「コロすぅううう!!」
 追いすがるザンギャバス……を、全力の荷電粒子砲が飲み込んだ。
 涼鈴はもはや振り返ることなく全力で走る。背後で何かが粉砕する轟音。
 ザンギャバスは白痴ゆえに、その注意を惹きつけることは容易い。
 だが一手間違えば涼鈴がやられてしまう。これは、危険な追いかけっこなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「どういう理屈で無敵なのやら……無茶苦茶が過ぎて一周回って呆れ果てるばかりですよ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
お菓子の島ということはお菓子でできた建造物などもあるのでしょう。建造物の密集地帯にザンギャバスを誘いこみましょうか。
UCの炎を少しづつぶつけてザンギャバスの注意を引き、誘導します。
お菓子の建造物の柱や基礎の近くに炎を配置しておき、ザンギャバスが踏み込んできたタイミングで一斉起爆して倒壊させ、ザンギャバスを押し潰しましょう。

「お菓子に埋もれるなんて、まるで童話のオチのようですねえ。クックック」

【アドリブ歓迎】



●お菓子の中で
 ズシン、ズシン、ズシン、ズシン……!
 まるで怪獣映画のような派手な音をさせて、ザンギャバスが大地を踏む。
 顔を茹でダコのように真っ赤にさせて、黒川・闇慈を追いかけているのだ。
「ふしゅぅるるるる……コロす!! コロす!!!」
「おやおや……見るに堪えない白痴ぶりですねぇ、クックック」
 闇慈は涼しい顔で飛翔しているが、ザンギャバスの攻撃は実際脅威的だ。
 その加速力も、度を越した肥満体には似つかわしくない速度である。
 闇慈が考えるに、あれはただの肥満体ではないようにすら思えた。
 おそらく肉に擬態した不定形の物質か何か……それが本性なのだろう。
「さあ、こちらですよ。私が殺したいのでしょう?」
「コロすぅうううう!!」
 闇慈は爆発性の炎を散発的に撃ち込み、ザンギャバスの注意を惹きつける。
 目指す先は、すでに地雷めいて炎を配置してある巨大なお菓子の塔だ。
 住民にとっては大事な建造物の一つだが、背に腹は代えられない。
「それにしても、どういう理屈で無敵なのやら……無茶苦茶が過ぎますねえ。
 一周回って呆れ果てるばかりですよ、クックック。……さあ、こちらです」
 ぶおんっ!! と身体を捕まえようとした鷲掴みを危うく躱す闇慈。
 そして彼は、お菓子の塔の中へと滑り込むように入って行った。
 ザンギャバスはそれを追いかけ、塔に無理やり巨体をめり込ませる!
「ふしゅぅるるるる……!!」
「その頭で、袋の鼠という言葉が理解できるかはわかりませんが――」
 闇慈は……塔の中にいない。あらかじめ脱出経路を用意しておいたのだ!
 彼は塔をくぐり抜ける形で、ザンギャバスの追跡をかろうじて逃れていた。
「追い込まれたのは私ではなくあなたです。さて、仕掛けを起こすとしましょう」
 KBAM!! と、仕掛けられていた炎が塔の基幹部で一斉に起爆した。
 ガラガラと音を立てて、お菓子で出来た塔と、その周囲の建造物が倒れ込む!
「う、うおおおお……っ?! コロすぅうう!!」
 KRAAAAAASH……!!
 すさまじい質量と、ダメ押しの火炎が土煙を盛大に巻き上げる。
 闇慈は巻き添えを喰らわないように高度を上げていたが、ため息をついた。
「お菓子に埋もれるなんて、まるで童話のオチのようですが……」
 うず高く積み上がったお菓子の山が……ZANK!! と、間欠泉めいて巻き上がった。
「うぅるぉおおおおおっ!!」
 ザンギャバス、健在。相当なダメージを受けているが一瞬で回復していく!
 しかし口からよだれを垂らし、飢えた獣めいてこふー、こふーと蒸気を吹く様は、
 これまでのダメージとその再生により、消耗していることを示していた。
「本当に呆れ果てるばかりです。斃すこと叶わじとは、こういうことでしたか」
 闇慈は目を細め、さらなる魔力を集めて新たな炎を生み出した。
 無敵の大帝を飢餓させるためには、さらなるカロリーが必要なようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「僕の全力攻撃ねぇ…。」
まあ、なんだかんだ言って最後に物を言うのは牙だよね。

UCで吸血鬼化し戦う。
先ずは生命力を奪い消耗させつつ敵さんの動きを見切り、強化された力でArgentaを投げつけて獅子とかの動物の部位を串刺しにして動きを鈍らせてみようか。
敵さんの動きが鈍ったら、全力で噛み付いて吸血。
たぶん、奪った血と生命力で僕が破裂しそうになるから、暴食外套に僕を食べて貰って、余分に吸った分を暴食外套に食わせる事で破裂するのを防いでみることにしようかな。

「さて、お味はどうかな?鮫だし高級そうな予感はあるけど。」
フカヒレ的な?



●死なない獣と死なない鬼
 無敵の七大海嘯。
 それはつまり、どれだけ攻撃しても死なないということである。
 ……どれだけ喰らっても尽きることがないということでもある。
「なんだぁ、それって最高じゃん」
 と、須藤・莉亜は呑気に考えていた。
 予兆でザンギャバスの攻撃力を見ていれば、普通はそんなことは言えない。
 だが、彼がなぜそこまで楽観的なのかと言えば、理由は一つしかない。
 無敵かはともかく、莉亜もまた――死なない鬼だからである。

 生命簒奪のオーラを纏い、紫の髪を妖気になびかせ、ザンギャバスの前に立つ。
 ただならぬ吸血鬼のオーラに、ザンギャバスはくんくんと鼻を鳴らした。
「ふしゅぅるるるる……」
「僕の全力攻撃ねぇ……まあ、なんだかんだ言って最後に物を言うのは」
 にたりと笑った莉亜の口元に、吸血鬼であることを象徴する犬歯が光った。
「牙(これ)だよね――キミもそうでしょ?」
「……気にいらねえ、コロす」
「やってみなよ」
「コロすぅうううッ!!」
 ザンギャバスの巨体が、どうっ!! と爆弾で吹き飛ばされたかのように跳んだ。
 一瞬で莉亜の眼前に現れ、そして無造作にぶんっ、と片腕を振るう。
 莉亜は攻撃を避けたが、その一撃だけで左腕と左足が消し飛んだ。
 断面から噴き出す血。莉亜は痛みに躊躇せず、その醜い巨体に喰らいつく!
「じゃ、奪われたぶんは戴くよ」
「ぐぉおおうっ!?」
 ザンギャバスは『喰らうもの』だ。『喰らわれる感覚』には慣れていない。
 そして莉亜がザンギャバスの血を吸うと、一瞬で左腕と左足が回復した。
 あまりのエネルギーが目から血となって流れるほどの充実ぶりである。
「うおおおおおおっ!!」
「暴れたら吸いづらいじゃんか、じっとしててよ」
 莉亜は銀の槍をつかみ取り、突き刺し、ザンギャバスを地面に縫い止める。
 ザンギャバスはただの力で槍を貫かれた部位ごと引きちぎり、莉亜の頭を掴んだ。
 そして、めきめきと引きちぎろうとするが、莉亜は耐えている!
「こりゃあすごいなあ、僕が破裂しちゃいそうだよ!」
 片腕をザンギャバスの身体に突き刺し、エネルギーを吸うことで耐えているのだ。
 死なない獣と死なない鬼。ザンギャバスが殺し、莉亜が喰らう。
 終わりなき戦いは、徐々に徐々にザンギャバスを消耗させていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
アドリブ・共闘歓迎

負けない戦略ってコトだね
得意分野さ

猟兵の方が疲弊しないように
UC【神出鬼没の緊急配送】で補給物資を配りつつ
罠も準備したりして、島中を駆け巡ろうか
(運搬、罠使い、拠点防御)

ザンギャバス自体の動きも把握して
マップデータに追加
陽動&撤退を繰り返し、疲弊させていこう
(情報収集、偵察、集団戦術、時間稼ぎ)

ボク自身が狙われるなら、『イルダーナ』で逃れつつ
(推力移動、操縦、逃げ足)

『セブンカラーズ』から炎熱弾をお見舞いしよう
(属性攻撃)

効かないって?
でも、汗をかけば喉も渇くしお腹も減るでしょ?
それじゃあもう1セット行ってみよう!


フェルト・フィルファーデン
そんな、無敵って……いえ、怖気ついてる場合ではないわよね。
今はともかく出来ることを。時間を稼げれば、きっと倒す方法も見つかるはずよ!

というわけで、何とかして飢餓状態に追い込みましょうか。
接近戦は不利ね……あの巨体相手ではわたしじゃなくてもまともに攻撃が当たれば一貫の終わりだもの。
だったらここは、蝶達の幻で翻弄しましょう。わたしや他の猟兵達の姿の幻影を四方八方から突撃させて反撃を誘発させるわ。
わたしはその攻撃の隙を突いて騎士人形で攻撃。当たったら即離脱してそれを繰り返す。いわゆるヒットアンドアウェイってやつね!

ふふっ、それだけ体を動かせばお腹も減って疲れるでしょう?
そこで全力の一撃を叩き込む!


リーオ・ヘクスマキナ
………………いやいや。「無敵」とか冗談でしょ?
え、ホントなの?
うひゃあ……仕方ない。やるしかないか!

当然、耐久・長期戦重視で
帽子をしっかり被って思考速度を加速
ザンギャバスからは常に数十mの距離を取って相対
赤頭巾さんにも戦闘は避け、防御と回避に専念するように通達

初手で幻灯磔槍を展開
長期戦を見越し、一度での攻撃本数は絞り、破壊される度に追加投入する

基本的には自分達が居ない方向に食べ物の幻覚を配置して惑わせつつ
「目」を狙って幻灯磔槍で攻撃
自分達の方向には、関係ない島の風景を被せて身を隠す
直接戦闘は絶対に避け、防護術式やいざという時の目潰し用閃光榴弾もしっかり準備

……さぁ、暫く付き合ってもらうよ!


ルヴトー・シフトマン
委細承知しましたが……無敵、か
戦いの世界では多くの場合、ハッタリのように扱われていますが…。
今回ばかりは、真実であると認めるしかないようですね
だけど俺は臆さない…必ず先へ行かせない

──ズレた時の中では、たとえ無敵が相手でも俺がイニシアチブを取る
その巨躯の一挙手一投足を、見ているぞ
どの部位が、どんなものに変化するかを俺は先に知っている
だからそこに向かって<飛天揺光>を撃ち込んでやる
…これで理解できたはずだ 
「俺に行動を先に潰される」ってことを
龍だろうと獅子だろうと、俺の『重圧』から逃がさない

<崩砦一擲>を捕縛用に変更、杭を突き刺して放電
脚と腕を重点的に射撃で攻撃しながら、削り続けてやるッ…!



●幻とともに跳べ
 めきめきと音を立てて、ザンギャバスの右腕が獰猛な竜の頭部に変じた。
「コロしてヤルぅうううう!!」
 白痴そのものの雄叫びをあげ、ザンギャバスは竜の頭部で襲いかかる。
「その巨躯の一挙手一投足を、俺は見ているぞ……!!」
 ルヴトー・シフトマンは2秒後の未来視の光景を避けるように、後ろに退いた。
 竜の牙がばきばきと大地を抉る。空間そのものを喰らうような噛みつきだ。
 ルヴトーの見ていた未来視――つまり、あの牙に機体が喰われる未来は消えた。
 ザンギャバスは目の前の獲物が死んでいないことを、心底不思議がっている。
「……ふしゅぅるるる……」
 困惑と疑問の色は一瞬で消え失せ、落ち窪んだ目が殺意と飢餓に染まる。
 ルヴトーはキャバリアに乗っていながら、得体の知れない殺意を肌で感じた。
 脂汗が額に滲む。一撃でも喰らえば終わりだと、全細胞が叫んでいた。
「無敵……か」
 戦いの世界では多くの場合、ハッタリや誇張として使われる言葉だ。
 しかし今回ばかりは、それが真実であると認めざるを得ないらしい。
 相手が白痴であることを、これほどありがたく思ったこともないだろう。
 攻撃に技術は欠片も感じられず、未来視のおかげも相まって動きは読みやすい。
 もっともその速度と威力が、回避を困難にしているのだが……。
(一回一回攻撃を躱していたら、回避動作のぶんこっちが消耗してしまう。
 奴の動きを縛るには、攻撃の出がかりを潰して技術で圧倒するしかないな)
 ルヴトーはそう考えて、未来視に意識を集中させ――驚愕した。
 未来視の中で、ザンギャバスは手足すべてを同時に蛇の頭部に変異させている!
(蛇? この動きは噛みつきじゃない……毒かッ!)
 現実が未来視をなぞり、ザンギャバスの身体はヒュドラめいた異形に変わった。
「コロす……!!」
 そして四つの蛇の頭部はさらに無数の小さな蛇に分裂し、牙を剥く。
 ある首は噛みつき、ある首は超猛毒の体液を吐き出すという同時攻撃だ!
 ルヴトーは噛みつきを仕掛けてきた蛇の首を素早い迎撃で叩き潰す。
 しかし毒液の一部が機体に付着し、天狼のシステムは急激に侵食されてしまった。
 レッドアラートが鳴り響き、機体の駆動率が低下してしまう。
「殴るだけが能かと思ったら、なかなか小手先を使うじゃないか……!」
 次の攻撃を凌ぎきれるか、これでわからなくなってしまった。このままでは!

「さあ行きなさい、創られし幻の蝶よ!」
「さぁさ、マッチの炎に惑わされてしまうがいいさ!」
「うが……!?」
 その時、ザンギャバスの巨体を、無数の蝶と赤い炎を燃やす短槍が取り囲んだ。
 揺らめく炎と蝶の翅が撒き散らす鱗粉は、どうやら幻覚作用を持っているらしい。
 蛇の頭部でルヴトーに襲いかかろうとしていたザンギャバスの動きが、鈍る。
「うおおおおお!! コロすぅううう!!」
 ザンギャバスは手足を竜の頭部に変形させ、何もない場所に噛み付く。
 どうやら奴には、四方八方から襲いかかる猟兵たちの幻が見えているようだ。
「これは……」
「やっぱり、効果覿面ね。さあ、今のうちに距離を取りましょう!」
 困惑するルヴトーに、フェルト・フィルファーデンが呼びかけた。
 電子の蝶は、彼女のユーベルコード『Jamming-papillon』で召喚されたものだ。
「あの毒、どうも近くにいる間は取り除けないみたいだからね。まずは下がろう」
 赤い短槍を投げたのは、魔女帽を被ったリーオ・ヘクスマキナである。
「わかりました、ありがとうございますッ!」
 ルヴトーは真っ正直に感謝を告げ、天狼のブースターで大きく距離を取った。
 リーオの分析通り、ザンギャバスの蛇毒は術者との距離に依存しているらしい。
 発狂したように鳴り響いていたアラートメッセージが、落ち着きを取り戻す。
「これでひとまずは落ち着きましたが……内部のダメージがひどいですね」
「おっと、システム関係のトラブルかい? それならボクに任せて!」
 そこへ転移してきたのは、バーチャルキャラクターのリア・ファル。
「キャバリアのシステムは門外漢だけど、まあきっとなんとかなるよ!
 こんな時こそ役に立つのが、ボクが運営するDag's@Cauldronのモットーだからね!」
 リアはそう言うと、電脳魔術を使って天狼のシステム系にアクセスする。
 問題はあくまで、機体の内部に流し込まれた蛇毒によって起きているものだ。
 リアが自己修復用のプログラムで『解毒』すると、システムエラーは一瞬で解決した。
 もしもフェルトとリーオが幻でザンギャバスを足止めしていなければ、こうはいかなかっただろう。
「よし、一丁上がり。 これで、キミの機体もまだまだ戦えるはずだよ」
「何から何もまで、すみません。こちらが消耗しては意味がないですからね……」
「そうだね。これはいわば根比べだよ。ただダメージを与えるだけじゃなくて、
 あくまでザンギャバスを疲弊させることがボクらの目的……気をつけないとね」
 リアは真剣な面持ちで頷いた。
「しばらくはわたしたちの幻で、ザンギャバスの目を眩ませ続けましょう。
 幻の攻撃に紛れてヒットアンドアウェイで攻撃していれば、消耗させられるはずよ」
「正直、『無敵』なんて冗談だと思ってたけど――」
 ずしん、ずしん……と大地を揺らし、醜い巨体が近づいてくる。
 落ち窪んだ目には、燃えるような殺意と餓鬼じみた飢えがぎらついていた。
「……あれを見ると、認めざるを得ないね。絶対に攻撃は喰らいたくないや」
「ふしゅぅるるる……コロしてヤルゥウウ!!」
 ザンギャバスは雄叫びを上げ、猟兵たちに襲いかかった!

 幻でザンギャバスの目を眩ませ、距離を取って攻撃し続ける。
 ヒットアンドアウェイによる消耗作戦は、一定の戦果を挙げていた。
 ザンギャバスは白痴であり、敵の策を学習して対応するということが出来ない。
 理論上はそれを繰り返すだけで事足りる……そう、理論上は。
「騎士人形たちよ! さあ、あの巨体を切り裂きなさい!」
 フェルトは妖精騎士の人形たちを操り、ザンギャバスに一斉攻撃を仕掛けた。
 矢が、剣が、槍が、不定形の粘体めいた醜い贅肉をずたずたに切り裂く。
「赤頭巾さん、援護よろしく! 目を狙ってね!」
 リーオはフェルトの攻撃に合わせ、UDC『赤頭巾』とともに敵の目を狙う。
 感覚器を潰すことで、こちらを索敵する能力を損なわせようという狙いだ。
 赤い短槍が頭部を貫いて燃え上がり、さらに赤頭巾の弾丸が顔面を吹き飛ばす。
「一応、ダメ押しは入れていこうか!」
 そこへ、リアが魔銃『セブンカラーズ』の炎熱弾で追い撃ちをかける。
 ザンギャバスは全身を短槍で串刺しにされ、矢衾になり、そして炎に包まれた。
 どれだけしぶといオブリビオンでも、これほどの総攻撃を受ければ即死する。

 ……そう、即死するはずなのだ。しかし!
「ふしゅぅるるるる……グリモアのニオイ、感じるぞぉ……」
 炎に焼かれながら、ザンギャバスの肉体はすさまじい勢いで再生していく。
 憎悪に滲んだ双眸が、飢えた豚のようなぎらついた目で四人を睨む!
「もうこれで15回目よ……! どれだけ攻撃すれば消耗するの!?」
 消耗を感じさせないザンギャバスの闘気に、フェルトは呻いた。
「太ってる人って、ふつうはスタミナがないものなんだけどなぁ……」
「けど、確実に効いているはずだよ。諦めずにこの調子で続けよう!」
 弱気になりかけたリーオを、リアが励ます。
 攻撃は効いている。いくら無敵とは言え、エネルギーは無尽蔵ではない。
 それは四人の誰もが肌身で感じていたが……エネルギーが有限というのは彼らも同じことなのだ。
 どれだけ消耗が小さくとも、攻撃して回避していれば、少なからず疲労する。
 予想以上の『無敵』ぶりが、三人を徐々に疲弊させつつあった。
「……俺が前に出ます。奴の攻撃そのものを潰さないと、ジリ貧です」
 そこで、ルヴトーの駆る『天狼』が敵の前に飛び出した。
「皆さんは断続的な攻撃を続けてください。お願いします!」
「わ、わかった。けど、大丈夫かな!?」
「問題ありません――俺は、未来を『掴んで』みせます」
 リーオの言葉に、ルヴトーははっきりと答えた。
「気にいらねえ……コロす!!」
 そこへ、猿めいて飛びかかるザンギャバス!
 ルヴトーの未来視は、獅子のように変じた頭部による攻撃を予知していた。
「騎士人形たちよ、援護を!」
「勢いを減じれば、対処もしやすくなるはずだ!」
 フェルトとリアが、すかさずザンギャバスの身体を攻撃し、勢いを削ぐ。
 ルヴトーはカッと目を見開き、ハンドキャノンで獅子の頭部を吹き飛ばした!
「うおおおおおっ!?」
「……これで理解できただろう。もう、お前の攻撃は俺たちには届かない」
 ルヴトーの未来視と、三人の援護。それが合わされば、敵の封殺は可能だ。
 ザンギャバスはわずかにうろたえた。まるで気圧されるように。
「――そこだッ!」
 機を見るに敏、リーオは新たに生成した短槍をザンギャバスの両足に投げた。
 燃える短槍が短く太い両足を串刺しにして、地面に縫い止める!
「絶対に、逃さない……!!」
 さらにルヴトーは鎖付きの電磁杭を投げつけ、両腕を封じ込めた。
「ぐおおお……!!」
 ザンギャバスは拘束から逃れようと身動ぎする。だが、そう簡単には逃れられない!
「わたしたちの全力の一撃、受けてもらうわ!」
「たとえ勝てなくても、負けない戦略なら得意なものでね!」
 フェルトは人形騎士たちに魔力を込め、リアは多元魔剣ヌァザを振るう。
 ばっさりと斬られたザンギャバスの肉体から、膨大なエネルギーの奔流が溢れた。
 猟兵たちの連携は、無敵の大帝を確実に消耗させている!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八津崎・くくり
こんなに美味しそうなものが沢山あるのに、目もくれないのかね
困ったやつだな君は

基本的に、経験と勘を総動員して回避に徹する

今回は武器ではなくその辺のお菓子を利用させてもらおう
ケーキやパイ、蜂蜜なんかが良いね
UCを使用。両手で拾い上げたそれを、給仕の要領で素早く運んであげよう
極力大振りの攻撃を狙って接近、身体を駆け上がって、顔面というか眼にそれらをぶつけにかかるよ
まあ、単純なめくらましさ

顔を拭おうとしてくれたら、伸ばした髪――UDCを足元に絡めてバランスを崩せるよう狙ってみよう
倒れてくれたらご喝采、だ
UCのスピードを維持するために、つまみ食いは一切しないよ

はあ…無事退けたら、思うまま食べて良いわよね



●貪食
 島全体に漂う甘ったるい匂いは、あちこちに積み上がったお菓子によるもの。
 人によっては胸焼けしそうな島だが、八津崎・くくりは悪くない気分だった。
 ……もっとも、こんな化け物を目の前にしていたらつまみ食いする気にもならないが。
『こんなに美味しそうなものが沢山あるのに、目もくれないのかね』
 くくり……ではなく、くくりの髪に寄生したUDCが、紳士めいた声で言った。
「ふしゅぅるるるる……」
『まったく聞こえていないようだな。まったく、困ったものだな君は』
 ザンギャバスは白痴である。敵と会話を楽しむような知能はない。
 奴は常に満たされない飢餓感に突き動かされ、何かを喰っている。
 目の前のお菓子の山は、奴にとって豊富なエネルギー源であるはずだ。
 しかしそれ以上に、ザンギャバスは殺戮を好み、人間を食いたがる化け物である。
「コロしてヤルゥ……コロしてヤルぅううう!!」
 ザンギャバスはヨダレを撒き散らしながら、片腕を竜の頭部に変えて跳んだ。
 くくりは髪に引っ張られると、その引力に逆らわず後ろに跳ぶ。
 KRAAAAAASH!! 竜の頭部が、くくりの立っていた場所をがぶりと齧った!
『おっかないな。よし、このはちみつを使わせてもらおう』
 髪が掌のような形になると、水たまりめいて溜まっていた蜂蜜をすくい上げる。
 ザンギャバスが仕掛けた。攻撃は脅威的だが、技術は一切感じられない。
 それゆえに見切るのは簡単である。大振りな一撃を、垂直にジャンプして躱す。
『君に食べるつもりがないなら、こうしてあげよう!』
 そして大木のような腕を駆け上がり……顔面に蜂蜜をぶちまけた!

『ふしゅるぐぶるる!?』
 粘度の高い蜂蜜をぶちまけられ、ザンギャバスは視界を覆われてしまった。
 両手を元の形に戻し、蜂蜜を拭い取ろうと自分の顔をかきむしる。
 威力調整が効かず、自分の顔の肉を抉っているのだが気付いていないらしい。
「……お腹が空いたわ」
 くくりは嘆息しながら、足元に髪を絡め、全力を込めて掬い上げた。
 ザンギャバスの巨体がぐるんと空中で回転し、後頭部をしたたかに打ち付ける!
「ぐほぉっ!!?」
『どうやら蜂蜜程度ではご満足いただけないようだね。まだまだ時間がかかりそうだ』
「……こっちのお腹が限界を迎えそうだわ」
 くくりは心底名残惜しげにお菓子の山を横目に見つつ、再び身構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

甘甘・ききん
お菓子の香りすっご。でもこの【調味料】も負けていませんよ。バターにお醤油を垂らしてですね。じゅじゅって【狐火】で炙ったらですね。はぁ~だめだこりゃ。正気じゃ居られない。帰って白米食べたい。たちどころに漂うそんな香り。どうですこの万物を誘惑する悪魔の香り。お腹空いてきませんか冴島ガンバロス

そんな感じで離島の中心でバターを炙るわたしです。狐です。不本意ですがある意味お肉です。どうですこの美味しそうな魅惑のボディと蠱惑的な香り。妖狐という種族の持つ妖しい魅力に添島テンタクルスも我慢できないのでは?……いいのよ?(ふぁさっ)

ざっくり言うと、匂いで釣って逃げます。甘甘ききん、【干乾飢饉】でがんばります



●全力攻撃(カロリー的な意味で)
 じゅ~……といい音を立てて、バターが焼けている。
 そこに醤油を垂らせば、お菓子の甘い匂いを押しのけるほどの芳しい香りが!
「はぁ~だめだこりゃ、正気じゃいられない。帰って白米食べたい」
 ヨダレをぼたぼた垂らしつつ、甘甘・ききんはじっとバターを見つめていた。
 脂質に糖質が合わさり最強に身体によい。バター醤油はまさに万能薬。
 どんな食べ物だって美味しくしてくれる最強のうま味(あじ)物質だ。
 なお、カロリーはお察しである。深夜に食べるとかもってのほか!

 ……ん?
 なんかすごい普通にスルーしてたけど、これは一応ガチめなシナリオだぞ?
 一体どうしてききんは、こんなお菓子だらけの島で飯テロをしているのかな?
「どうですこの万物を誘惑する悪魔の香り。お腹空いてきませんか!」
「…………」
「効いてますか冴島ガンバロス。聞こえていますか立島バルバロス」
「…………」
 あろうことか、ききんはザンギャバス相手に飯テロ作戦に出たのである。
 ザンギャバスは無言である。さしもの白痴もききんの頭のアレさには手が出ないのだろうか。
「……みなまで言わなくともわかっていますよ」
 やおらききんは立ち上がり、こゃーんと空中一回転。 
 ぼふんと煙が彼女を包んで、立ち上がった姿は狐のそれ。こゃーん。
「不本意ですがある意味わたしもお肉。どうですこの美味しそうな魅惑のボディ、そしてこの蠱惑的な香り! なにせわたし、妖狐ですので。妖狐ですので」
 わざわざ狐の姿になって言うことだろうか。
「……いいのよ」
 ふぁさっ、というかもふっと毛並みをアピール。何がいいというんだ。
 本人的には情欲にコミットしたいらしいが、残念ながら実装された運用はポンでキチ。
「…………気にいらねえ。コロす」
「あっこれ普通に殺しに来てますね!? でもそれはそれでユーベルコード発動!!」
「ふしゅ……!?」
 普通にききんを喰おうとしたザンギャバス、目を見開いてくずおれる。
「う、うおおお……ふしゅぅるるる……は、腹、減っだ……!!」
 お腹がくっついて銀河まで貫いてしまいそうなくらいの飢餓感がザンギャバスを襲う!
 何もかもききんの狙いからはズレていたが、とりあえず目的は達成した!
「やっぱりわたしの魅力は、どんなオスとも惹きつけちゃうんですね」
 とかなんとか流し目で言ってないで、さっさと逃げろという話であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
無敵の白痴とは天は二物を与えずとはこのことか

我がオブリビオンマシンは生体キャバリア
その姿はまさに異形の恐竜。その性能も異様なり
装備万里の強壮にてドーピングし性能底上げ
敵の行動を龍の本能第六感を活用。見切り受け流し
カウンターでUC発動。ラストにより噛みつき纏わりつき
少しずつエネルギー奪おう。触手により多少無茶に体を固定し
喰われそうになれば誘導弾を直接口に押し込む
ある程度まで行けば口を離し、触手と機動力活かし
アウトレンジキャンセラーにて煙幕出し高所へ逃れ
見失えば背後から噛みつきとヒット&アウェイを繰り返し
エネルギーを奪う


ミレア・ソリティス
猟兵の攻撃の多彩さを考えれば、
こちらの攻撃がそもそも通じない、というのは
単純な耐久力の問題ではないのでしょう

どちらにせよ、今は対象を退ける事、ですか

UC【コード・テンペスト】を使用し戦闘機形態へ変形
敵の頭上を取るように旋回飛行、敵攻撃へは距離を取っての《見切り》による回避、
《オーラ防御》によるバリアを主軸に、

『ジャミングミサイル』とUCの効果による《ジャミング》、
ランチャーからの閃光弾(光属性+範囲+砲撃+目潰し)や衝撃弾(範囲攻撃+衝撃波+吹き飛ばし)による空からの攻撃で《時間稼ぎ》を行います

可能であれば敵についての《情報収集》も行います
少しでも何か掴めればよいのですが

※アドリブ他歓迎です


メアリー・ベスレム
もう、なんてしつこいのかしら!
何度も何度も現れて、その度必死に追い返す
一体いつになったらあいつを殺せるのかしら

こんな島で暴れていると
ますますオウガみたいだっていうのに!
いつか絶対、殺してやるんだから

わざと姿を見せてから
お尻ペンペン馬鹿にして
【逃げ足】活かして立ち回る
【野生の勘】で紙一重
暴れる敵を躱しながら
付かず離れず引きずり回してあげるから

そうして程よく消耗させたらところに
【胡椒挽きの短銃】撃ち込んで
もちろん、殺せない事なんて知ってるわ
メアリは「香り付け」をしただけだもの
暴れてお腹が空くというのなら
自分のお肉を食べればいいんじゃない?
それでお腹が膨れるとしても
一時だけの事でしょうけど!



●その者、白痴ゆえに
「コロしてヤル……コロしてヤルぅううう!!」
 7メートルの巨体が、大地を砕きながら猛スピードで少女を追う。
「もう、なんてしつこいのかしら! 何度も何度も現れて!」
 ぴょんぴょんとウサギめいて飛び跳ねて逃げ回るメアリー・ベスレム。
 彼女はすでに、何度もザンギャバスの来襲に出くわしていた。
 そのたびに効かない攻撃を浴びせ続け、飢餓状態になるまで逃げ回る。
 いい加減に腹が立ってくるのも当然だろう。もっとも、相手はお構いなしだが。
「こんな島で暴れていると、ますますオウガみたいだっていうのに。
 一体いつになったらこいつを殺せるのかしら? 嫌になっちゃうわ!」
 メアリーは頬を膨らませつつも、お尻を叩いてザンギャバスを挑発する。
 ザンギャバスはなんであれ喰らうが、人間を何よりも好むようだ。
 周りの美味そうな菓子類には一切目もくれず、メアリーを喰おうと暴れまわる。
 白痴ゆえに攻撃は見切りやすい。だが、そのパワーとスピードは恐ろしい!

 メアリーが囮となって逃げている間、別の猟兵たちが攻撃を仕掛け続ける。
 空を高速で飛ぶ、戦闘機形態のミレア・ソリティスによるミサイル攻撃。
 さらに、ビードット・ワイワイの駆る、異形の恐竜めいたオブリビオンマシン『エヴォルグ號奪機』がザンギャバスに噛み付く!
『衝撃弾、装填完了。多目的リアランチャー、発射します』
『腐蝕龍顎ラスト、起動である。そのエネルギーを戴こう』
 頭部に高速射出された衝撃弾が命中、弾頭は体内にめり込んだ上で爆裂する。
 内部で強烈な衝撃を起こすことで内側から敵を破壊する衝撃弾のダメージは、
 並のオブリビオンであれば一撃で爆発四散しかねぬほどに強力である。
 ザンギャバスの頭部から胸部にかけてが衝撃で吹き飛び……しかし、即時再生。
 オブリビオンマシンの牙が吸血鬼めいて生体エネルギーを吸い上げるが、
 ザンギャバスは消耗らしい消耗を見せず、食らいつかれた部位の肉ごとラストの牙を引き剥がした!
『……どうやら、無敵というのは単純な耐久力の問題ではないようですね』
『無敵の白痴。天は二物を与えずとはこのことか』
 ザンギャバスは片腕を竜の頭部に変じさせ、大振りなテレフォンパンチを放つ。
 ビードットとミレアは即座に敵の攻撃範囲から離脱し、攻撃から逃れた。
 竜の頭部は地形をアイスクリームめいてこそげ取ってしまう。凄まじい威力だ。
「グリモアのニオイがするぞォ……グリモアを使うヤツ、コロす!!」
『我々の中にグリモア猟兵は居ないはずですが、その判断もつかないようです』
 ミレアの分析通り、ザンギャバスは獲物のグリモアの有無を斟酌していない。
 はたしてザンギャバスが生前どのような存在であったのかは不明だが、
 これだけ凄まじい憎悪を向けるあたり、よほど痛い目に遭わされたようだ。

 そうしてメアリーが敵を惹きつけふたりが攻撃するというサイクルがしばし続く。
 ザンギャバスのスピードはいささかも落ちていないが、呼吸が荒くなりつつあった。
 無敵とは無限を意味しない。奴のエネルギーは、莫大だが有限ではあるのだ。
「ようやく消耗してきたみたいね……なら、香り付けの時間よ」
 それまで逃げ回っていたメアリーは、やおら肉斬り包丁を逆手に構える。
「ふしゅぅるるるるる!!」
 ザンギャバスは反撃の気配など完全に無視し、メアリーに襲いかかった!
『閃光弾、発射します。視覚を奪えば、攻撃の命中率も下がるはずです』
 そこでヘッドオンしたミレアが、超低空飛行でランチャーとミサイルを叩き込んだ。
 狙いは目だ。閃光弾はザンギャバスの眼前で炸裂し、強烈な光を撒き散らす。
 加えてダメ押しに叩き込まれたジャミングミサイルが、ザンギャバスの五感をぐちゃぐちゃにかき混ぜた。
「ウオオオオオ!! コロすぅううう!!」
 完全に感覚器を破壊されたザンギャバスは、顔を抑えてのたうち回った。
 その巨体にオブリビオンマシンの触手が絡みつき、反撃を封じ込めてしまう。
『これ以上暴れられては島の住民に被害が出よう。今度こそ逃さぬ』
 再び腐蝕竜顎ががぶりと贅肉に突き刺さり、急速にエネルギーを吸い取った。
 ザンギャバスは殺す殺すと喚き続けているが、その口蓋に直接弾頭を叩き込む。
 弾頭はザンギャバスの腹腔内で爆発し、体内をずたずたに焼き尽くした!
「殺す殺すってうるさいわ! 殺したいのはこっちのほうなのよ!!」
 身動きが取れぬザンギャバスの巨体を、メアリーの肉斬り包丁が切り裂く。
 稲妻型の斬撃が贅肉を引き裂き、ビードットの弾頭で焼かれた臓物がまろび出た。
 しかしその傷も急速に回復する……かと思いきや、なんとザンギャバス自身がその臓物をつかみ取り、むしゃむしゃと食い始めたではないか!
『これは……?』
 訝しむミレア。
「たっぷり『胡椒を効かせてあげた』のよ。そんなにお腹がすくなら自分のお肉でも食べてればいいんだわ!」
 これがメアリーのユーベルコード、『胡椒挽きの短銃(ペッパーボックスピストル)』。
 攻撃を命中させた相手に、自傷や共食いを強制する壮絶なユーベルコードだ。
 ザンギャバスは無敵――すなわちエネルギーが続く限り回復し続ける。
 ビードットとミレアが攻撃すればするほど、エネルギーを求めてザンギャバスは奴自身を食い続けるのだ。なんというおぞましい光景……!
『さながらウロボロスの如し。されどその無敵は無限を象徴せざるものなり。
 このままそのエネルギーを奪い尽くし、追い払ってくれよう。吸収、開始』
「うぐ、うぶぶぶ……ふしゅぅぐるるる……!!」
 オブリビオンマシンの牙が、さらに深く贅肉に突き刺さる。
 エネルギーを奪われながら、ザンギャバスはぎらぎらと双眸を輝かせていた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)イキがいいねえ。元気でたいへんよろしい。しっかし無敵たァとんでもねェなァ。殺せない敵を封印ってな、神話とかじゃアおなじみだが。おっと、てこたァ開放された現在は神話で言うトコの最終章かね? ひ、ひ。
行動)俺は《宿》壊されてもヘイキだし、食えもせん。栄養にもならん。だがこの島、どうやら食いモンにゃ困らんという。"飢餓"だろう。ならシュー坊よ、出番だぜ。島ぜんぶ穢れで満たしておやり。草土動物・菓子水空気。なにひとつエネルギーに変えられぬよう。ぜんぶ終わったら、俺が"片付ける"でな。毒病呪瘴、吸い上げて《宿》の材料さ。



●神話の終焉
 古来より、無敵不敗の戦士というのはどの神話にも登場するファクターだ。
 そして得てして、無敵の戦士は唯一絶対の弱点を突かれて死亡する。
 人間であれ神であれ、それ以外の魔物であれ、必ず最後は死ぬのである。

 ……しかしどうやら、現時点でザンギャバスを殺し切る方法はないらしい。
 それは、死そのものである朱酉・逢真にとっても同様である。
 彼が凋落する以前の完全な概念そのものであったならば、あるいは……。
 などと言っても仕方がない。今時点で殺せないなら、それがすべてだ。
「ふしゅぅるるるる……」
「ひ、ひ。イキがいいねえ。元気でたいへんよろしい」
 獣じみて蒸気めいた息を吐くザンギャバスと、剽げた様子の逢真。
 普段ならザンギャバスは即座に逢真を喰らっていただろうが、
 白痴なる獣は獲物を値踏みするように、あるいは警戒するように円を描く。
 "これ"は簡単に食えるものではない――『腹を壊してしまう』と察しているのだ。
「たいそう飢えてるんだろう、食えばいいものよ。ま、栄養にはならねェが……」
 逢真は煙管から紫煙を吐き出す。すると、その紫煙は宙にとどまった。
「シュー坊、出番だぜ。この島ぜぇんぶ、穢れで満たしておやり」
 すると煙はすさまじい速度で拡散し、あっという間に島一つを覆ってしまう。
 美味そうな菓子が、水が、空気さえもが、穢され、毒と腐敗にまみれた。
「う、うおっ、うおおおっ!!」
 エネルギーを求めていたザンギャバスは、必死で菓子を喰らう。
 だが、食えはすれどエネルギーは得られない。穢れているからだ。
 アエーシュマ、あるいはケーシュムとも呼ばれる狂暴なる"悪"の権能である。
「さあて、どうする坊や。何も得られねえ、飢えは満たされねえ。
 あとは飢えて餓えるまでずぅっと苦しみが続くぜ……ひ、ひひ!」
「……コロす、コロしてヤルぅうううう!!」
 白痴は怒りのままに逢真の身体を引き裂き、喰らった。
 それでもやはり何も得られはしない。
 たとえザンギャバスの強靭な胃が、その毒も腐敗さえも受け付けなかったとしても。
 大気に満ちる穢れと、耳にこびりついた悪神の笑い声だけは、消せはしないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【冬と凪】

「無敵」だってさ
御大層な称号だ
今時ティーンエイジャーだって口にしないぜ
…まぁ、マジで倒せないっぽいんだけどね
子どもをあやすのはお任せあれ、ってな

奴の行動を大きく封じる…チャンスメイクは任せた
任せりゃバッチリやってくれる男だ 「上手くいかない」は考えない
匡の行動に合わせて、メダルを貼り付けて離脱
あらゆる抵抗を禁ずる…ここからはただ、一方的にやるだけさ

脚を優先的に狙うとしよう
クロスボウのボルトを連射して機動力を削ぎ落し、【マヒ攻撃】のスタン・ボルトで痺れさせ
炎の【属性攻撃】でフレイムボルト、【毒使い】でヴェノム・ボルトを撃ち込んで消耗をさらに強いる
悪いけど、俺達は長時間でも戦えるんだよね


鳴宮・匡
【冬と凪】


……ガキの癇癪じゃあるまいし
道は作るから早くなんとかしてくれよ、あれ
俺は殺すのと生き残るのは得意だけど
暴れるガキを諫めるのは苦手なんだよ

最初はヴィクティムが接近する隙を作るよ
【無形の影】の形状は都度最適なものに変化させつつ動く
相手の攻撃の起点を潰す、
差し向けられた攻撃を指一本分逸らす、
周囲の地形の倒壊や崩落で目晦ましをする、
……なんでもいい
ヴィクティムがあいつに近づく隙さえ作れれば

仕込みが済んだら、脆いところに一気に攻撃を叩き込む
無敵――傷がつかないとはいえ
弱い箇所や脆い場所をいいだけ撃たれれば疲労くらいはするだろうさ

弾切れもない、継戦能力にも自信がある
根負けするのはどっちだろうな?



●トリートアイランドの最悪な一日……の、終わり
 ザンギャバスの暴虐を見て、「ガキの癇癪だ」などとのたまえるのは、
 死線を潜り抜けてきたヴィクティム・ウィンターミュートと鳴宮・匡ぐらいなものだろう。
 7メートルの巨体が、白痴ゆえに一切の容赦も手加減もなく暴れているのだ。
 一撃一撃が大地を抉り人間を消し飛ばすほどにパワフルで、しかも凄まじく疾い。
 そしていくら攻撃しても、倒れるどころかダメージが通った様子もない……。
 絶望的な持久戦だが、「負けない」ことに関してふたりは強かった。
「道は作る、だからあれを早くなんとかしてくれ」
「子どもをあやすのはお任せあれ、ってな。チャンスメイクは頼んだぜ」
「ああ。殺すのと生き残るのなら、俺は得意さ」
 ヴィクティムは切り札であるメダルを身体に貼り付け、後ろに離脱した。
 匡は黒い影を対物ライフルの形に変え、片膝を突くと同時にトリガーを引く。
 BLAMN!! と、肩が外れそうな衝撃とともに、大口径炸裂弾が贅肉に刺さった。
 醜い肉体はミンチめいて爆ぜる。だが、ザンギャバスにダメージはない。
 ダメージがないというのはつまり、爆砕した肉体が瞬時に回復するということだ!
「面倒だな」
 匡はただ一言そう言って、もう一度だけトリガーを引いた。
 次の狙いは眼だ。落ち窪んだ目玉ごと、脳漿が爆ぜ飛び、巨体が揺らいだ。
 ……しかしそれだけ。ザンギャバスはずしん!! と大地を踏みしめる。回復。
「気にいらねえ。コロす」
 直後、巨体はウソのような速度で大地を駆けた。匡は即座に身を翻す。
 対物ライフルから突撃銃の形に影を変形させ、横っ飛びに回避。
 ザンギャバスは片腕を竜の頭部に変え、地面を抉り取った。
 そして匡を振り返り……飛び込もうとしたところで、膝に弾丸が命中する。
 巨体を支える丸太めいた膝は要点を貫かれ、あっけなく砕けて倒れた。
「コロしてヤルぅううう!!」
 化け物はヨダレを撒き散らしながら立ち上がり、破砕した足を蛇に変える。
 大蛇はバネめいて縮み、そして力を開放する。その勢いで、巨体が前に跳んだ!
「頭は悪くても、さすがに取捨選択は野生の本能でこなすか……」
 匡は脳内で敵の脅威度を細かく修正しながら、近くにそびえるお菓子の家を撃った。
 飛びかかるザンギャバスめがけて、要を破壊されたお菓子の家が倒壊する。
「ふしゅぅるるるるる!!」
「ヴィクティム」
「アイ・アイ・サー」
 匡の反対側にヴィクティムが現れ、クロスボウのボルトを足に叩き込む。
 大蛇化した片足が弾け飛び、もう片方の足も変異前に吹き飛ばされた。
 さらにスタンボルトを脳と脊髄に叩き込み、徹底的に行動を阻害し続ける。
 本来であれば、攻撃、回避、防御、回復、あらゆる抵抗を鎮圧するこのメダル。
 しかし、おお……ザンギャバスはダメージを受けながら平然と立ち上がる!
「ああ? おいおい、無敵ってそういうことかよ。結局は物量勝負ってか?」
 ボルトを火炎弾に変更、打ち込むと同時に着火して火だるまにしてやる。
 ザンギャバスは意に介さない。炎を振り払い、両腕を竜の頭部に変えて咆哮!
「コロす!!」
「匡!」
「わかってる――」
 匡は移動による回避を棄却した。下手に跳べばそこを食らいつかれる。
 影を2丁拳銃に変え、左右でザンギャバスの両肩の付け根を撃つ。撃つ、撃つ!
 フレイムボルトとヴェノムボルトのあわせ技で、関節部は腐敗し燃え落ちた。
 匡を地形ごと貪り喰らうはずだった竜の頭部が脱落し、ザンギャバスは勢い余って匡の頭上を飛び越え、彼の背後3メートル地点に顔から激突する。
「ぶぐぉおおお!!」
 もみじおろしめいて肉が抉れて飛び散る。3秒後、両腕は再生していた。
 ザンギャバスはゆらりと振り返り……そこへふたりの一斉攻撃!
「悪いけど、俺たちは長時間だって戦えるぜ。付き合ってやるよ」
「根負けするのはどっちだろうな」
 BRATATATATATATAT!! ZANKZANKZANK!!
「コロ……して……ヤルぅううう!!」
 ザンギャバスは弾痕を再生させながら、襲いかかる……!

 ……そうして、ひたすら撃ちまくること約10分。
「――これで終わりだな」
「いい加減に帰りな、食いしん坊が!」
 ふたりの弾丸とボルトが、それぞれザンギャバスの両目から脳を射抜いた。
 衝撃で後頭部がパイのように爆ぜ、脳漿と骨と血とその他諸々が飛び散る。
 ザンギャバスは顔から前のめりに倒れ……その身体が、ぐにゃりと蠕動した。
「あ?」
 訝しむヴィクティム。蠕動は激しくなり、やがて巨体が起き上がった。
 それは醜い肉だるまとは似ても似つかぬ、だがやはり醜悪な獅子である。
 獅子は異形の雄叫びをあげると、よだれを撒き散らしながら跳躍、海へ飛び込んだ。
 どうやら、ようやく飢餓状態に追い込むことが出来たらしい。
「……ったく、これがあと何回続くって? 島での決戦もあんだろ?」
「殺せなくても、追い返せることはわかった。なら、次もそうするだけさ」
 ヴィクティムはさすがに呆れたような、感心したような顔で両手を上げた。
「……帰ろうぜ。もうしばらく、肉も菓子も食いたくねえ」
「なら魚か? 俺はそっちもだいぶ御免だけどな」
「野菜しか選択肢ねえじゃねぇかよ、それじゃ……」
 こうしてようやく、トリートアイランドの最悪な一日は終わりを告げた。
 ザンギャバスと猟兵との因縁は、どうやらしぶとく続きそうである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月13日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争
🔒
#七大海嘯
🔒
#ザンギャバス大帝


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト