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羅針盤戦争〜腹ペコなんです!めいんでぃっしゅ編

#グリードオーシャン #羅針盤戦争


●腹が減ってはなんとやら?
『みんな、行くぞー!』
『おーっ!』
 マンティコアキッズ達は船上を駆け回り、時折望遠鏡で遠くを見る。
 蒼海羅針域の中心、サムライエンパイアに通じる渦潮の破壊。
 正直な所、難しい事はよく解らないけれど。
 要は、戦う!敵を見掛けたら、倒す!
 彼らはそう理解した上で、戦いへ向けて一致団結していた……のだが。

『…………』
『なあ、どうしたんだよ?』
『おいら、お腹すいた……』
『ボ、ボクも……』
 ぐーっ。ぐーぎゅるる。
 一人のお腹の虫が鳴り始めれば、他の誰かも同様に。
 食料を積んでいなかった訳ではないけれど、既に皆で食べ尽くしてしまったらしい。
 戦いが終わったら、すぐに帰ってご飯にしよう。頑張ろうと。
 マンティコアキッズ達は互いに励まし合い、戦場へと進んで行くのだった。

●レッツ、バイキング!
「つまり、飯テロよ!」
 意気揚々と、ミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)が告げる。
 此処に集まった猟兵達の内には、彼女の発言の意味に気付いた者も居るだろうか。
 ……どういう事?そんな風に、疑問符を浮かべる者も居ただろう。
 様々な視線を受け止めつつ、彼女はぐっと握り拳を作りながら続けた。

「皆にはこれから、マンティコアキッズ達が乗る船を止めて欲しいの」
 どうやら、コンキスタドールの大艦隊が蒼海羅針域の破壊を狙っている様だ。
 此の中心に存在する、サムライエンパイアに通じる渦潮。
 破壊されれば、猟兵達はグリードオーシャンへ向かう事が出来なくなってしまう。
 ……其れを避ける為、少しでも敵の数を減らす必要があるのだ。

「それで、マンティコアキッズについてなのだけれど……」
 アルダワ魔法学園から迷宮と一緒に落ちてきた、人食いモンスターの幼体だ。
 知能よりも食欲が勝る事が多いのか、大体いつも腹ペコさん。
 そして……現在、彼らはお腹が空いている。とても、お腹が空いている。
 大事な事を二度告げた後、ミラは堂々と――。

「――バイキングよ!飯テロで、改心しましょう!」
 猟兵達が乗る船には大きな甲板があり、既に料理も用意されている。
 新鮮な魚介類、数種類の肉を中心としたメインディッシュの数々。
 豪快にバーベキューも楽しめる上、パエリアやパスタなどもある様だ。
 船内の調理場を借りれば、一品程度ならば自分で作る時間もあるだろう。

 勿論、最終的には倒さなければならないが。
 腹ペコキッズ達に満足してもらってからでも、遅くはない筈だから。

 ぐーぎゅるる……。
 説明をしている内に、お腹が空いてしまったのだろう。
 恥ずかしげな笑みを浮かべつつ、ミラは転移の為にゲートを開くのだった。


ろここ。
●御挨拶
 皆様、お世話になっております。
 もしくは初めまして、駆け出しマスターの『ろここ。』です。

 四十二本目のシナリオは、戦争シナリオとなります。
 戦争シナリオの為、一章のみでシナリオは完結となりますので御注意下さい。

 ほのぼのテイストの飯テロシナリオとなります。
 尚、本シナリオでは『メインディッシュ』限定とさせて頂きたく思います。
 腹ペコなマンティコアキッズ達を、飯テロで誘惑しましょう!

●本依頼について
 このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。

 プレイングボーナス:海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。

 バイキング会場は甲板となります。
 既に乗組員達が作った肉料理、魚料理の数々が用意されている状態です。
 出来立ての料理を美味しそうに頬張る、料理の感想を口にして魅力を伝える。
 或いは調理場を借りて、味も見た目も楽しめる料理を作るなど。
 皆様のお好みの方法を以って、マンティコアキッズ達に飯テロをしましょう!

 マンティコアキッズ達を倒す為、UC指定はお忘れなく。

●補足
 受付期間はOPが承認され次第、お知らせ致します。
 期間外に頂戴したプレイングにつきましては、流させて頂きますので御注意下さい。

 また、本依頼は最低人数+数名程度の運営とさせて頂きます。
 書ける限り、書かせて頂ければと。
 先着順ではありませんので、御注意下さい。
 恐れ入りますが、御了承の上で参加を検討頂ければ幸いです。

 また、本依頼では同時描写は多くても『二名様』まで、とさせて頂きます。
 お相手がいる際にはお名前とIDを先頭に記載お願い致します。
 迷子防止の為、御協力をお願い申し上げます。

 長々と失礼致しました。
 それでは皆様のプレイングをミラ共々、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『マンティコアキッズ』

POW   :    こいつをたおしたらご飯にしような!
【食欲】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    もうちょっとだけがんばる!
【お昼寝の時間までがんばる気持ち】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
WIZ   :    今がチャンスだけどおやつが食べたい…
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【おやつ】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。

イラスト:芳乃弥生

👑11
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ロク・ザイオン
★竜宮の牙

…沢山食べさせて、動きを鈍らせて、倒す
作戦はわかった
(あれが病葉とて、こどもは愛らしいと思う
ひもじい思いをしているというのなら
還る前に、ひとの肉の他に腹を満たすものを知るといい――)

(――という感傷を吹き飛ばすおいしそうな匂いに視覚の暴力)
ルクス
…おれも、食べていいかな
(ルクス手伝って運ぶ)(つまむ)(すごくつまむ)
いいよ……あーん?

(しゃむを変形させたスピーカー片手に
満腔の「おなかすいた」を籠めて「叫嘩」)
――おやつは!!
ごはんの!!!
後で!!!!
(【大声】を叩きつけ獣たちの動きを縛り
船の動きをも【地形利用】
ルクスと共に彼らを狩り落とす)


ルクス・カンタレッラ
【竜宮の牙】

子供の相手は私より相棒の方が得意なんだけどなー
ま、悪い子は叱られるもんさ
迷惑掛けたらキツい一発くらい貰うだろ

料理は作るより食う派なんで、運ぶの手伝おうかね……って、あははッ!いーよ、おっけー。ほら、食べちゃいなロク
君が美味そうに食ってりゃ、彼奴らも自分の分まで食われねぇように慌てて腹に詰め込むでしょ
あ、私にもそれひと口ちょーだいロク

さーて、ちびたちが腹いっぱいになったら、船の揺れと合わせてロープで足元掬おうぜ
船には船の戦い方があるっしょ、今回はクヴェレも空飛んじゃダメだしなぁ
ふは、ロク、それ相棒の真似?
んじゃ、こっちの母さまもお怒りってことで
怒った海は優しくねぇよ、呑まれちまえ




「(ひもじい思いをしているというのなら……)」
 コンキスタドール。
 ロク・ザイオン(変遷の灯・f01377)にとっては、病葉の一種。
 嗚呼、だが……あれが病葉とて、こどもは愛らしいと思うからこそ。
 其れがたとえ、動きを鈍らせる為の作戦の内だとしても。

 ただ、還すのではなく。
 ひとの肉とは違った、『おいしい』を。
 ひとの肉の他に、腹を満たすものを知るといい――。

「子供の相手は、私より相棒の方が得意なんだけどなー」
「…………」
「料理は作るより食う派なんで、運ぶの手伝おうかね……って、ロク?」
「ルクス。……おれも、食べていいかな」
 現地に到着するまでロクが抱いていた、感傷。
 其れを吹き飛ばしたのは、美味しそうな匂いと視界の暴力だった。

 広い甲板。バイキング会場。
 其処には彩り豊かな沢山の料理が、肉や海産物を豪快に焼いた匂いが。
 ……そして、今己が持つ皿からも良い匂いが。

 少しだけ。ちょっと、つまむだけ。
 山猫の耳がぺたん、とへたれている様に見えて――ふっ、あは、あははッ!
 ルクス・カンタレッラ(青の果て・f26220)は笑いを堪え切れず、噴き出す様に笑っていた。本当に、見ていて飽きないな。

「いーよ、おっけー。ほら、食べちゃいなロク」
「……!」
 とても、とても嬉しそうに。
 ロクの三つ編みしっぽが動き、たてがみが跳ねる。
 流石に皿を持ったままでは、祈る様に手は組めないから。
 ただ、一時……目を伏せては、静かに頭を垂れた後。いただきます、と。
 ミディアムレアのステーキ一切れにフォークを突き刺し、がぶり!

 ――おいしい!!!
 肉だ。肉の旨味。噛むと肉汁がぶわぁって。
 もぐもぐ。ごくん。とても、おいしい。もう一切れ、もぐっ。

「君が美味そうに食ってりゃ……」
『むぐ……っ!』
「向こうの彼奴らも、自分の分まで食われねぇように慌てて腹に詰め込むでしょ」
『たっ、食べてないもん!』
 美味しそうな匂いに誘惑されていたのは、ロクだけではない。
 ルクスが親指で示した先には、マンティコアキッズ達の姿があった。
 ……彼らの口の周りは既に、食べ滓だらけで。
 慌てて否定しようとするものの、説得力は無かった。

「あ、私にもそれひと口ちょーだい、ロク」
「いいよ……あーん?」
「おっ、確かに美味いね」
 ルクスが口を開けた所に、ロクがステーキを一切れ差し出す。
 断面にほんのり赤色が残る肉は歯応えを残しつつも、決して固過ぎる事はなく。
 噛み締めれば肉汁が溢れ出て、口一杯に肉の旨味が広がってゆく。
 ロクがつい、一皿分食べ切るのも無理は――って、早い!?
 ルクスが自分の持つ皿を差し出すと、彼女はまた肉を食べ始めようとするが……。

『ふふん!オレはちゃーんと、おやつを取っておいたかんな!』
 ご飯の誘惑になんか、負けねぇもん!
 素直に食べる子も居れば、そうではない子も居るのだろう。
 とある子供が、服の内側に隠していたおやつを取り出そうとした時だった。

 ――しゃむ。
 ロクの声応じる様に、赤目の黒猫――示が鳴いた様に見えた。
 其れは形を変えてゆき、少し間を置いて。
 彼女の片手には、愛らしいデザインのスピーカーが一つ。
 深く息を吸い込みながら想像するのは……世界で一番怖い存在、カーチャン。

「――おやつは!ごはんの!!!後で!!!!!」
『ぴゃっ!』
『ご、ご、ごめんなさーい!?』
「ふは……!ロク、それ相棒の真似?」
 破裂音にも似た、咆哮。
 満腔の『おなかすいた』が込められたロクの叫びは、子供達に確かに届いた。
 ぶわっと毛を逆立てながら、おろおろとしている内に……彼らは何かに足を引っ掛けてしまう。船に備え付けられていたロープだ。
 船では船の戦い方があるっしょ、と。ルクスはにやりと笑む。

「ま、悪い子は叱られるもんさ」
 こっちの母さまもお怒りってことで。
 迷惑掛けたらキツい一発くらい貰うものだから。
 母なる海の怒りを招いた悪い子達には、キツいお仕置きが必要だろう。

「怒った海は優しくねぇよ」
 ――呑まれちまえ。
 ルクスが呟くと同時、局所的な嵐が吹き荒ぶ。
 マンティコアキッズ達が突風に飛ばされたかと思えば……其の先で、雷鳴が轟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
なぁ、チィ?
さっきの説明にあった「ぱえりあ」って気にならないか?

チィもそう思うか?
だよな、折角なら食べてみたいよな。

誰かその辺の人に聞いてみよう。
すみません、ぱえりあってどれですか?

これが!ぱえりあ!!
海老とか、貝とか、イカとか、赤いのとか、黄色いのとか!
いっぱいご飯に乗ってる!

山盛り持ってきたから、チィ落ち着け!
今分けるから!

美味い!
これ、なんだ!?凄く美味い!!
旨味が美味い!
全部美味い!

あ、コンキスタドールの…
一緒に食べるか?

よし、おかわり持ってくるから、皆大人しく待ってるんだ!

よし、おかわりも、いただきます!

満腹になったら、海水の精霊様に氷になって貰って、UC【精霊の瞬き】で仕留めよう。




「チィ、『ぱえりあ』って気にならないか?」
 グリモア猟兵の説明の中に出て来た、料理らしき名前。
 沢山の良い香りに囲まれながら、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は月の精霊の子――チィに問い掛けていた。
 気になる!ぱえりあ、ってなんだろー?
 チィの鳴き声に頷いて、折角だから食べてみたいと。
 彼らが、乗組員の一人に案内してもらった先には……。

「これが!ぱえりあ……!」
「チィ!チチィー!」
「海老とか、貝とか、イカとか、赤いのとか、黄色いのとか!」
 ――いっぱいご飯に乗ってる!
 具沢山のパエリアを目にした、木常野とチィの高揚は止まらない。

 黄金色の上には、贅沢に使われた魚介の数々や色鮮やかなパプリカ。
 何よりも、鼻を擽る香りに食欲をそそられる。
 思わず、ごくりと彼の喉が鳴る。ああ、早く食べてみたい……!
 あまりにも美味しそうだったから、か。
 彼の持つ皿の上には、先程のパエリアが山の様に盛られていた。

「チチチッ、チィ!チィ、チィ!」
「わっ……!?チィ落ち着け、今分けるから!」
「チィ!」
 チィ用に確保した皿に、木常野はまずお米を乗せて。
 食べ易い様に海老や貝の殻を取り除いて、更に其の上に。
 其れでは、早速――いただきます!ぱくっ!

「――美味い!」
「チィッ!チチィー!」
 想像以上に美味しい!
 米粒一粒一粒に魚介の旨味が染み込んでいて。
 魚介もぷりっぷりで、パプリカもシャキシャキで。これ、なんだ!?
 スプーンを進める手が、食べる口が止まらない!
 ……あれれ?誰かが、自分達を覗き見ているのだろうか?
 木常野とチィは揃って振り向いた先には、マンティコアキッズの姿が。

『わっ!みつかっちゃった!?』
「あ、コンキスタドールの……そうだ、一緒に食べるか?」
『えっ、でも……』
「一緒に食べると、もっと美味しくなるんだ」
 そう言って、木常野はお代わりを取りに行く。
 少しの間を置いて……彼が戻って来たかと思えば、再び瞳を輝かせていて。
 どうやら、おこげに感動したらしく。
 チィとマンティコアキッズも其れを見て、同様の反応を見せていた。

 美味しいパエリアを、心ゆくまで堪能したら。
 木常野は海水の精霊様に頼み、凍らせた矢を最速で放つ。

 お腹が満たされて、幸せな夢に浸る中。
 マンティコアキッズは矢の痛みを感じるよりも早く、骸の海へ還るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
由岐(f31880)と

鼻腔擽る料理の香りを
届けるように
俺達も確り食レポしなきゃね

ほろほろ煮込んだ豚角煮や大きいステーキ
トマトと魚介を煮込んだアクアパッツァ
由岐は何か好きなメインはある?
並ぶ料理に興味深々
食べきれなくても少しづつ味見したいね

手際良く作る彼を覗き込み
わ、何が出来るんだろ
薄生地に甘いアイスとベリーを添えた
クレープは甘党の俺にとっては
メインデイッシュだ…!由岐、凄いね
…料理不得手だけど
美味しさはばっちり、伝えるよ

キッズの前で見目麗しい料理達を見せつつ
ぱくりとひとくち
誘惑忘れ美味しさに言葉なんて要らず
表情綻び其れが凡て

気に入りの料理を見付けたら
由岐にも食べてみてってどんどん勧めちゃおう


狹山・由岐
千鶴さん(f00683)と

食レポに自信はないけれど
魅せるのならお任せ下さい

大きな皿に盛り付けるのは
カルパッチョやキッシュなどの前菜から
雲丹とイクラの贅沢パスタ
メインのお肉はスペアリブを
好き嫌いは特にないんですが
…この量食べられるかが心配ですね
少しずつ味見には賛同の頷き

焼き場があるならお借りして
一品作らせて貰おうかな
バーベキュー台に乗せたスキレットで
薄く焼いていくケーキ生地
綺麗に折り畳んで皿へ移し
バニラアイスと3種のベリーを添えたら
はい、デザートにクレープなんて如何でしょう

料理を運べば綻ぶ口許
言葉よりも雄弁に物語るかんばせに
此方の頬も自ずと緩む

分け合えば山盛りだった皿も残り僅か
2周目、行きますか




 数多くの料理の香りが、鼻腔を擽る。
 戦う為に来た筈だけれど……つい料理に目移りする、マンティコアキッズの姿。
 其れらを紫の双眸に映しながら、宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は柔い笑みを浮かべていた。
 料理は不得手だけれど、美味しさならば伝えられるだろうか。

「確り、食レポしなきゃね」
「食レポに自信はないけれど……」
 ――魅せるのなら、お任せ下さい。
 小さく頷いて、狹山・由岐(嘘吐き・f31880)はそう続ける。
 某有名ブランドのビューティアドバイザーでもある彼にとって、他者を惹き付ける様な『魅せ方』に心得があるのだろう。
 取り留めのない会話を楽しみながら、二人は白色の大皿を手に。
 マンティコアキッズの視線を感じながらも、料理を盛り付け始める。

 偏食故か。宵鍔が選ぶのは、メインディッシュの数々だ。
 ほろほろになるまで煮込んだ、大きな豚の角煮。
 こんがり焼き目のついた大きくて、分厚い牛肉のステーキ。
 ああ、そうだ。トマトと魚介を煮込んだアクアパッツァも捨て難いな。
 ……どれも美味しそうで、選ぶだけでも楽しいと彼は思う。

「由岐は、何か好きなメインはある?」
「好き嫌いは特にないんですが」
 ……問題はこの量を食べ切れるか、どうか。
 心配の表れだろうか、狹山の眉尻は普段よりも僅かに下がっていて。

 彼の盛り付けは正に、美しいの一言に尽きる。
 前菜からは、サーモンのカルパッチョやほうれん草とベーコンのキッシュ。
 たっぷりのイクラが宝石の様に輝く、雲丹を使った贅沢パスタ。
 メインディッシュには、豚スペアリブを。
 彩りを大事にしつつ、ボリューミーな一皿が出来上がっていた。

「折角の機会だから、食べきれなくても少しづつ味見したいね」
「そうですね。……千鶴さん、少し時間を頂戴しても構わないでしょうか」
「勿論。何か、気になる料理でもあったかな?」
「一品作らせて貰おうかな、と思いまして」
 狹山が乗組員に相談した所……少し早いけれど、甘党の人が居るならばと。
 乗組員が彼に差し出したのは、スキレット。
 そして、ケーキ生地、アイスや果物などの材料の一部だった。

 丁寧にお礼を告げた後、彼は宵鍔と共にバーベキュー台へと。
 バーベキュー台に乗せたスキレットで、ケーキ生地を薄く焼いていく。
 ――何かな?何が出来るんだろ?
 宵鍔だけではなく、いつの間にかマンティコアキッズも覗き込んでいて。
 綺麗に折り畳んだ生地を、別の皿に移したら。
 仕上げにバニラアイスと三種類のベリーを添えて――。

「はい、デザートにクレープなんて如何でしょう」
「クレープ……!由岐、凄いね」
 先程の相談は、此れを作る為だったのだと。
 宵鍔が其れに気付けば、より一層嬉しさが深まっていく。
 甘党の彼にとって、クレープはメインディッシュと言えるのだろう。
 あまりの手際の良さに、まるで魔法の様だと感じたのか。
 マンティコアキッズはキラキラと目を輝かせているが、あくまでも此れは狹山が宵鍔の為に作った物だ。

 さあ、料理が揃った所で。
 頂きます。両手を合わせた後、二人は料理を一口――。

「あっ、これ美味しい!」
「美味しいですね」
 ただ、一言。
 其れよりも雄弁に物語るのは、互いの表情だった。
 自ずと綻ぶ表情。心の充足が伝わる様な、そんな緩い微笑み。
 嗚呼……見目麗しい料理に、彼らの表情に目を奪われていたのだろう。
 マンティコアキッズ達が静かに、別の香りに包まれる。

 葬送の餞、かぐやの落涙。
 宵鍔の持つ燿夜が桜の花弁と化して、幼子達を華葬してゆくのだった。
 敵の気配が消えた事を確認した後、二人は改めて食事を楽しもうと。

 舌の上でとろける様なお肉、雲丹の香り豊かなパスタ。
 どれも美味しいけれど……宵鍔のお気に入りは、狹山謹製のクレープの様だ。
 美味しい料理は、分け合えばもっと美味しいから。
 先程は山盛りだった皿も、今はもう残り僅か。

「二周目、行きますか」
「そうだね。由岐、またクレープ作ってくれないかな?」
 ――喜んで。
 二人は微笑みながら、再び料理を取りに向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
雀くん(f26205)と

ピザってメインディッシュだよね??
ピザ大好きピザ信者の雀くんとピザ作りの始まりだー

ピザ推し雀くん、なんと生地はすでに練ってある!
必要なものはすべて鞄に入っちゃってるねさっすが~
ピザ作りといえば、これだよこれ
生地を回して伸ばすやつ
鮮やかな手付きにキッズたちの視線も釘付けだー!

あ、手伝いもするよ
照り焼きチキンとかチーズいっぱいのせてあげる
トマト味も定番っていうかこれぞピザって感じだよね
葉っぱとかものせちゃう?

なんか半分実況みたいになってたけどちょー楽しい
わ~いい匂いしてきた

熱々を食べるよいただきまーす
チーズを伸ばすのも楽しんで
黒胡椒がぴりっときいてて
うーんすっごくおいしい~


花綱・雀
ロキ君(f25190)と

腹ペコキッズには俺の手作りピザをおみまいするよー!
調理場を借りてピザ作りだよ
生地は既に俺が作ったものを持ち込み、何でも出てくる鞄から必要な物はどんどん出すし、あるものはお借りしちゃうね
ピザ生地を綺麗にまるーく成形して、上にぽーんと飛ばして丸くもできるよ!
キッズには照り焼きチキンピザ、照り焼きソースとマヨが最高に香ばしいからね、匂いだけで釣れちゃうと思うよ
ロキ君にはチーズたっぷりのピザだよ、使うチーズは四種類+カマンベール!その上に黒胡椒を振るとこれも美味しいんだ!
あとはオーソドックスなトマト系を一枚、出来立ての熱々をお届けしちゃうよー!

ふふ、美味しい? でしょー!




 花綱・雀(花彩雀鶯・f26205)は思う。
 ピザが嫌いなやつこの世にいんの?
 いーや、いる筈がないね!だって、ピザだよ!ピザ最高!

「という訳で!腹ペコキッズには、俺の手作りピザをおみまいするよー!」
「ピザ大好き強火ピザ担なピザ信者の雀くんと、ピザ作りの始まりだー!」
 いえーい!ひゅーひゅー!
 軽快な効果音が聞こえて来るような、そんな陽気な声で花綱が告げる。
 続く形で声を上げたのは、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)だ。
 既に、厨房担当の乗組員達への説明は済ませている。
 調理器具、トッピングに必要な材料。
 ――な、なんと、ピザ窯まであるらしい!?やったね!

 調理実況もまた、飯テロの内!
 尚、観客はマンティコアキッズでお送り致します。

「まずは生地、っと……」
「ピザ推し雀くん、なんと生地はすでに練ってある!」
 花綱が何でも出てくる鞄から取り出したるは、特製のピザ生地。
 小分けにした其れを丸く成形した後、彼はぽーんと上へ飛ばして見せた。
 マンティコアキッズがおろおろとし始める様子に笑いつつ、ロキは顔を上げる様に告げた。

 ――ピザ作りといえば、これだよこれ。
 くるくる、くるくる。生地が回り、少しずつ伸びていく。
 ちょっと薄めに伸ばしたのは、花綱の好みなのだろう。
 もう一枚作るべく、彼は再びくるくると。
 其れを見つめるマンティコアキッズの目はキラキラと、感動に満ちていた。

『すげー!なんで、おちないの!?』
『くるくるー!』
「ふふん、凄いでしょー!」
「鮮やかな手付きにキッズたちの視線も釘付けだー!」
 ……あれ、なんか半分実況みたいになってる?
 ロキは其の事実に気付いたが、まあいいやと思うのだ。ちょー楽しいし。
 さてさて、生地を伸ばし終えた所で――。

「キッズには照り焼きチキンピザ、ロキ君にはチーズたっぷりのピザだよ」
「あ、手伝うよ。照り焼きチキンとか、子供好きそうだよね」
「照り焼きソースとマヨが最高に香ばしいからね」
 伸ばした生地にソースをたっぷり塗り、トッピングも盛り盛りで!
 好きな様に作る事が出来るのは、手作りピザならではの醍醐味だろう。
 先に二人が述べた物に加えて、オーソドックスなトマト系――マルゲリータを作り、ピザピールを使ってピザ窯に投入!
 まだかな?まだかな?マンティコアキッズがそわそわしている内に、タイマーが鳴り響く。そして、再びピザピールを用いて窯から取り出せば……。

「熱々ピザの完成だよー!」
『かーんせいー!』
「わー、いい匂いしてきた」
 調理場から甲板まで、皆で出来上がったピザを運んでから。
 マンティコアキッズも含めて、花綱とロキはピザを囲む様に座り始める。
 ――さあ、熱々の内に食べよう!いただきます!

「うーん、すっごくおいしいー」
『すげー!のびるー!』
『おいしいー!』
 焼き立て、熱々のピザを口一杯に頬張る。
 美味しいという声を聞けば、花綱は満足気な笑みを浮かべていた。

 照り焼きソースの甘さ、マヨネーズのコク。
 薄めの生地やチキンの違った食感も楽しくて、ついもう一枚手に取ろうと。
 ロキがピザを一枚手に、そっと持ち上げれば……たっぷり使ったからだろう、チーズがびよーんと伸びる、伸びる。
 其のままがぶっと噛み付けば、口の中に広がるチーズの香りが堪らない。
 味を引き締める様に、黒胡椒がぴりっと効いているのもまた良い。

 マルゲリータも上出来だと、花綱は食べながら思っていた。
 トマトソースの酸味、チーズのコク。
 バジルもきっと、新鮮なものを用意してくれたのだろう。
 爽やかな香りに目を細めて、彼はとても幸せな心地に浸っていた。
 此のまま、和やかなピザパーティーを過ごす事が出来るかと思われたが……。

『で、でも!やっぱり、ヒトの肉の方がうまいもん!』
『えー、おいしいのに……!』
「(あ、離れよ)」
 ――もう、いらない!
 マンティコアキッズの一人が、意地を張る様にピザからそっぽ向いた直後。
 ロキが即座に何かを察して、残っているピザと共に迅速に避難を。

 嗚呼、ピザ信者を怒らせる事無かれ。
 ピザを美味しいと言ってくれた子に対して、花綱は心の中で感謝を告げつつ。
 彼の静かな怒りの象徴、獅子の頭部が猛威を振るい……敵は瞬く間に、其の場から消えていったそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
なるほど…料理ですか
さほど自信があるというわけではありませんが…頑張らせて頂きます
満足し消えていただく…影朧と同じですね…では!(割烹着を身に着け)


肉に魚介と色々と既にあるので、わたしは野菜を使った料理を作らせて頂きましょう…えぇ、バランスよく食べるのも大事なことです

キャベツに人参、玉ねぎ、ブロッコリーと後は満足感を得るためにカボチャを使って…
カレー粉を使ってカレーに人数が多いならこういった量を作れるものが良いでしょう
香辛料の匂いもまた大きく気を引けるかと…

ということでどうぞ、流石に料理をよく作る方には劣りますが…
はい、まずくは無いかと…【料理】


サハル・マフディー
はァん、腹ペコ共が大挙して押し寄せて来るか。
船の上での調理はなれないが、たっぷり作ってやるとしようかね。

作る料理はタンドリーチキン。
「本来なら専用の窯で焼くもんだが、まァフライパンでも問題は無いさ」
下味をつけた鶏の手羽元を、カレー粉、トマトケチャップ、ニンニク、生姜、ヨーグルト、オリーブオイルを混ぜた調味液に漬け込んでから焼き上げる。
本来のレシピよりはだいぶ簡略化されているが、充分にスパイシーなはずだ。
「さァ、どうだい?いい香りがプンプンするだろう」

ワガママ言うマンティコアキッズには、毒言破砕拳でおしおきしてやろう。

アドリブ・連携歓迎




 ――なるほど……料理、ですか。
 ――船の上での調理はなれないが、たっぷり作ってやるとしようかね。

 雪華・風月(若輩侍少女・f22820)とサハル・マフディー(神の信徒は紫煙と共に・f16386)もまた、調理場に立っていた。
 何でも、腹ペコ共が大挙して押し寄せて来るとの事。
 人数が多いならば、ある程度量を作れるものをと思ったのだろう。

「(流石に、料理をよく作る方には劣りますが……)」
 雪華は野菜がゴロゴロ入った、具沢山のカレーを。
 料理に自信がある、とは言い切れないが……割烹着を身に着けて、気合は充分。
 美味しい御飯に満足して消えてくれるのならば、尽力したいと思うのだ。

 彼女が作ろうとしているのはルウではなく、カレー粉を使ったカレーだ。
 キャベツに人参、玉葱、ブロッコリー。
 満足感を得る為の南瓜も含めて、具材は大きめに切っていく。
 其れを終えた後、彼女は玉葱を飴色になるまで炒め始めようとしていた。

「さて、と。本来なら、専用の窯で焼くもんだが……」
 ――まァ、フライパンでも問題は無いさ。
 サハルは下味をつけた鶏の手羽元を、橙色に近い調味液に漬け込んでいた。
 此の調味液はカレー粉やトマトケチャップ、ヨーグルトなど……様々な材料を混ぜて作った、彼女の特製ブレンドだ。

 そう……彼女が作ろうとしている料理は、タンドリーチキン。
 本来のレシピと比べて、大分簡略されているらしい。
 子供にも食べ易い様にマイルドな味付けとなっているが、其のスパイシーな香りに惹き付けられる事は間違いない。
 おっと。二人が調理を進める内に、覗き込む様な視線が……?

『ねぇねぇ、あれ見て!』
『なんか、いいにおいする……!』
「お待ちかね、みたいですね」
「こうやって見ると……腹を空かせた、ただの子供にも見えるねェ」
 マンティコアキッズは、コンキスタドール――オブリビオンだと言うのに。
 不思議なもんだ、とサハルが笑えば。
 同意を示す様に頷いては、雪華も柔らかく笑みを浮かべていた。

 タンドリーチキンが焼き上がり、カレーも煮込み終えたのだろう。
 雪華とサハルは各々が作った料理を、甲板まで運ぼうとする。
 香りを追い掛ける様に、マンティコアキッズは彼女達の後に付いて行った。

「さァ、どうだい?いい香りがプンプンするだろう」
「お代わりもありますから、遠慮なく食べて下さい」
『わーい!』
 ほかほか御飯に、具沢山のカレーをたっぷりと。
 其処にタンドリーチキンを添えれば、とっても贅沢なカレーライスの完成!
 マンティコアキッズは其れを受け取った後、すぐさまぱくっ!がぶっ!

『おいしいー!』
『なんだろ、ほかほか……ほく、ほく?』
 ごろっと入った南瓜を頬張り、にーっと笑顔を浮かべている。
 お肉が無くても、野菜の優しい甘みがマンティコアキッズを満たしてくれる。
 大きな具材と御飯を口一杯に詰め込んで……。
 幸せそうな笑顔を浮かべているのを見て、雪華はほっとした様に息を吐いた。

 サハルが作った、タンドリーチキンも好評だ。
 こんがりと焼かれた鶏の手羽元は皮はパリッと、中はジューシー!
 一口齧り付けば肉汁が溢れ出していて。
 其の食べ易さ故か。ああ、食べ進める手が止まらない!
 気付けばカレーライスも含めて完食、お代わりを申し出る声が上がり始めた。

『ねーねー、ヒトの肉はないの?』
「その……口に合わなかった、でしょうか?」
『ううん、おいしかったよ?でも、ヒトの肉が食べたい!食ーべーたーいー!』
「ワガママ言う悪い子にはおしおきが必要だね」
 悪口退散!……なんて、ガラじゃないけれど。
 其の巨躯からは想像出来ぬ速さで、サハルが数珠を巻き付けた拳を振るう。
 マンティコアキッズは本能的に回避は困難と判断したのか、慌てて受け止めるが……其れは受けてはならぬ、一撃だった。

 吹き飛ばされる間に、全身から棘が生える。
 自分自身が口にした悪しき言葉に、敵は蝕まれていく。

 ――うわーん!ごめんなさーい!
 涙目になりながら反省の言葉を告げた後、満腹になって動けなくなった子達を巻き込んで……皆、其の場から消えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宗良・灯桔
ハルちゃん(f28550)と

腹ペコさんは辛いよね…
ハルちゃん、頑張って一緒にご飯食べよーって誘ってあげようね

ハルちゃん、どれ食べたい?
うーん、僕はお肉かなぁ…でもパスタもおいしそう

『コミュ力』で警戒させない様に話し掛け

ねぇ、君たちはどれがおいしいと思う?
いっぱいあるから迷っちゃって…でも僕そんなに食べれないし
お腹空いてるなら、一緒に食べてどれがおいしいって教えてほしいなーって

そっか、分けっこもいいね
みんなで分ければ色々食べれるし、一緒ならもっとおいしいもんね

ハルちゃんに悲しい顔はしてほしくないから、戦うなら僕が
ヴィル君、ハルちゃんの事おねがいね
出来るだけ苦しませない様に【一撃必殺】で急所狙い


宗良・陽花
にーちゃ(f28551)と!
※セリフの漢字は簡単なもののみで

おなかぺこぺこさんは、かなしーね
うん!ハルちゃん、みんなでごはんたべよーってさそう!

ハルちゃん、エビたべたーい!エビフライ!
あ、でもハンバーグもたべたい…でものこしたら、ママにおこられちゃう…
(とても頭を悩ませて悩んでいると、人形のヴィルちゃんに耳打ちされて)
ビルちゃんすごーい!!ね、、ね、にーちゃ、分けっこしよ!
2人でたべたらおいしーよ!

マーちゃんたち(※マンティコアキッズ)も分けっこする?
みんなでたべたら、おいしーよぅ?

※攻撃は『歌唱』の【四片のマーチ】でにーちゃの補助
本人は歌っているだけで、攻撃をしている自覚はなし




「ばいきんぐー!ばいきんぐー!」
「ハルちゃん、走ったら危ないからね……!?」
「はーい!ビルちゃん、だっこ!」
 宗良・陽花(ドラゴニアンの人形遣い・f28550)が爛漫な笑顔を浮かべて、両手を伸ばすと……騎士の人形、ビルちゃん――もとい、ヴィルが彼女を抱き抱える。
 そんな様子を見て、彼女の兄――宗良・灯桔(人間のゴッドハンド・f28551)は思わず、安堵の息を吐いた。
 元気一杯な事は嬉しいけれど、怪我をして欲しくないという兄心か。

 ――そうだ、僕がしっかりしないと……!
 危険は少ないだろうが、二人は今回が初めての依頼。
 勿論、楽しむ事が一番だけれど。敵の奇襲には警戒を怠ってはいけない。
 そんな風に、灯桔が真剣に考え事をしていると……?

「ね、ね、にーちゃ!」
「ハルちゃん?何か、あったかな」
「ハルちゃん、エビたべたーい!エビフライ!」
 あ、でもでも。
 ハンバーグもたべたい、エビフライだってたべたい。
 けれど……おゆうはんをのこしたら、ママにおこられちゃう。

 うーん、どうしよう?
 陽花がとても頭を悩ませていると、ヴィルがそっと耳打ちし始めた。
 ――ビルちゃんすごーい!
 花の様な笑顔と共に褒められたからか、騎士の口元は僅かに緩んだ様に見えた。

「にーちゃ、分けっこしよ!二人でたべたらおいしーよ!」
「そっか、分けっこもいいね」
 お肉も良いし、パスタも美味しそう。
 兄妹仲良く話しながら、お皿の上に少しずつ料理を乗せていく。
 ……そんな二人に近付こうか、どうしようか。
 おろおろとしているマンティコアキッズを見て、陽花はにぱっと笑い掛けた。

「マーちゃんたちも分けっこする?」
『ボクらも、いいの?』
「みんなで分ければ色々食べれるし、一緒ならもっとおいしいもんね」
「うん!みんなでたべたら、おいしーよぅ!」
 ……戦う為に来た、筈だけれど。
 肉汁たっぷりのハンバーグ、見た目にもサクサクなエビフライ。
 皿の上に乗った其れらも美味しそうなのに、もっと美味しくなるの?
 其れに、お腹が空いているのか……ぐぅー、と虫さんの鳴き声が。

「お腹空いてるなら、一緒に食べてどれがおいしいって教えてほしいなーって」
 いっぱいあるから、迷っちゃって。
 けれど、そんなに食べられないから……選ぶのを手伝ってほしいと。
 灯桔の言葉を聞いて、マンティコアキッズはこくりと頷いた。

 他の仲間も呼んで、皆で食べ比べ!
 サクサクの衣、ぷりっぷりの海老は幸せの味。
 尻尾は食べる?食べられるのかな?
 陽花とマンティコアキッズが首を傾げる様子は微笑ましくて、灯桔もつい笑みを浮かべていた。
 ハンバーグはどうだろう。彼がそっと、ナイフを入れてみると……。
 なんと、中にはとろーりチーズが入っているではないか!
 一口食べると熱々で、お肉とチーズの組み合わせがとても合っている。

「えへへー!」
『どうしたのー?』
「たのしいがいーっぱいだから……ハルちゃん、うたいたくなっちゃった!」
 大好きなにーちゃ、仲良しになったマーちゃんたち。
 皆で食べる御飯は美味しくて、嬉しくて。
 沢山の幸せのお返しにと、陽花は優しい声で歌い始める。

 ――四片のマーチ。
 少女が一小節を歌う度に、ぽぽん!と紫陽花の花弁が生まれる。
 マンティコアキッズが害意を抱いていたならば、赤色に染まっていただろうが。
 現れるのは青色ばかり、優しい気持ちを届ける色。
 何だかとーっても嬉しくて、陽花はにこにこと歌い続ける。

『すごい、すごーい!』
『きれー……』
 紫陽花の花弁が珍しかったのだろうか。
 ある子供は目を輝かせて、別の子供は美しさに目を奪われていた。
 ……とても楽しい時間、だったけれど。

「ヴィル君、ハルちゃんの事おねがいね」
 お歌の邪魔をしない様に、灯桔は小さな声でヴィルに告げる。
 騎士の頷きは力強く、頼もしささえ感じられた。
 だが……彼の人形が動いてしまっては、ハルちゃんが気付くかもしれない。
 兄として、妹を悲しませる訳にはいかない。
 ハルちゃんに悲しい顔はしてほしくないと、灯桔は強く思うから。

「――ごめんね」
 出来る限り、苦しませない様に。
 花弁に夢中になっているマンティコアキッズの背後から、灯桔が急所を狙い――迅速且つ、必殺の一撃を放つと。
 彼らは悲鳴を上げる事も無く、静かに消えてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロム・エルフェルト
あれ……私、今回の戦争は食べてばかり?
気まずそうに耳と尻尾がへにょり
ううん、負けては駄目。
お仕事だもの、きっちりこなさないと。ね。

丹精こめて作られたご飯、美味しく頂こう
気持ちを奮い立たせる(尻尾ぶんぶん)

選んだのはラム肉のステーキ
焼き加減はレア
味付けは、塩胡椒だけなの……?
首をかしげながら一切れをぱくり
胡椒の香りに、塩が引立たせる脂身の甘さ、肉の旨み
お肉は柔らかいのに、外はパリパリ香ばしい
残り半分は、オニオンソースをかけて頂く
玉ねぎの甘さと、焦がし醤油の香りが食欲を擽る
うぅ、お箸が止まらない

あぁ……贅沢。猟兵になって、良かった

――骸の海に還る前に、キミたちもおいで。
一緒にごはん、食べよ?




 エビの揚げ焼き、素焼き。
 海老サラダ、バターと特製ソースで炒めたぷりっぷりの海老。
 そして今回は、船上バイキングとの事だが。

 ――あれ……私、今回の戦争は食べてばかり?
 しかし、此れもお仕事。きっちりとこなさなければならない。
 クロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)は気持ちを奮い立たせて、狐の尻尾をぶんぶんと振っていた。

「…………」
『な、なんだよぅ……』
 乗組員に焼いてもらう間、クロムは其の場で待っていたのだが。
 生肉を取ろうとした悪戯っ子の手を止めて、目と目を確りと合わせていた。
 戸惑いを隠し切れないマンティコアキッズから、彼女は目を離さない。
 仲間が危険と判断したのか、別の個体の鋭い視線が刺さる。
 そんな中――彼女はふと、小さく微笑んだ。

「キミたち」
『……っ!?』
「一緒にごはん、食べよ?」
『えっ……いい、の?』
 勿論、とクロムが頷けば。
 マンティコアキッズがどうしよう、と悩むも……食欲には敵わないらしい。
 焼き立てのラム肉のステーキを目にした途端、食べるー!と元気良く返していて。

 さあ、食べよう。
 ……そう思いつつ、彼女は首を小さく傾げていた。
 焼き加減はレアでお願いしたけれど、やはりソースの様な香りはしない。
 先程、焼いていた所を見る限り……味付けは塩と胡椒だけ?

「――っ!」
 まずは、一口。
 たった一口だが、クロムは目を見開いた。
 美味しい。皮はぱりっとしているのに、お肉のなんと柔らかい事か。
 ラム肉の脂身の甘さ、旨味を引き出しているのは……他でもない、塩だ。

 残り半分は、乗組員お勧めのオニオンソースで。
 焦がし醤油が香り立ち、玉葱の甘さにぴりっとした胡椒が良く合っている。
 一口、また一口と食べ進める。うぅ、お箸が止まらない。

 ――あぁ……贅沢。猟兵になって、良かった。
 何時の間にか、沢山食べたのだろう。
 マンティコアキッズはすやすやと、夢の中へ。

「(穢れを祓い、天へと送る――)」
 満腹で眠る童達を中心に、クロムは刻祇刀の先で円を描く。
 浮かぶ焔は苛烈というよりも、何処か優しさを感じられるものだった。

 どうか、どうか。
 美味しいを分かち合った無垢な童達が、穏やかに眠れます様に。
 ……そんな細やかな祈りが、彼女の剣閃に込められた故か。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
ザ偏食
ソヨゴと出会う前は食事はカロリーを摂取する手段でしかなかった
今は?どうだろう

美味しそうに食べる演技すればいいのネ?
違うの?
なるほど
僕の好きなハンバーガーやピザはここには無さそう
でもソヨゴが張り切ってるし
僕もそれに乗ろう
アメリカ式なら外さないでしょ
野菜は無しでいいよネ

まずは肉
ソヨゴと同じものをガブリ
いいネ
やはり肉は裏切らない

野菜と魚は…
言い淀むも意を決して
ソヨゴに選んでもらったものを食べる
どれも美味しく感じられるのは彼女の幸せそうに食べる様子が最高のスパイスになるから
僕もつられて幸せになれる

いやいや
こんな美味しいものを分けてあげるなんてもったいない
その前に僕が食べ尽くしてしまおうか


城島・冬青
【橙翠】

折角だし演技じゃなくて楽しく食べないと
船上バーベキューしましょう
出来立ては美味しいし
匂いで誘えるし
お肉も魚も野菜もあります
というかこの間
動画で本場のアメリカ式バーベキューを見たんですよ
カウボーイのおじさんが
豪快に焼いて食べてて…(じゅるり)
あ、折角だし海老や貝も焼きたいな

肉が焼ける匂いでお腹がグゥと鳴る
うーん!たまらない
城島いっきまーす!
焼けたお肉をぱくり
超美味しいですよ
アヤネさん
そうですね
肉は裏切りません
でも野菜と魚も食べましょうね

忘れちゃいけない
空腹と戦うマンティコアキッズに向かって
これとっても美味しいよ?君達もおいでよ
と飯テロ誘惑する
早く食べないとこのお姉さんに
取られちゃうぞー?




 目的の為の生。
 食事なんて、カロリーを摂取する手段でしかなかった。
 いちいち選ぶのは面倒で。ましてや、其れに楽しみを見い出すなんて。
 昔のアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)からは、決して考えられなかっただろう。
 ……ならば、今は?どうだろうネ。

「なるほど、美味しそうに食べる演技すればいいのネ?」
「アヤネさん。折角だし、演技じゃなくて楽しく食べないと」
「演技しないの?」
 アヤネが不思議そうに首を傾げるのを見て、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)はある方向を指し示す。

 ――其処は、バーベキューエリア。
 乗組員達が豪快に、肉や魚介類を焼いている姿が在った。
 炭火で焼かれた食材の香りは、其れはもう……堪らないの一言に尽きる。
 そうそう。カウボーイのおじさんが、あんな風に焼いていて――じゅるり。
 以前、動画で本場のアメリカ式バーベキューを見たからか。
 城島にとっては正に、胸が弾む光景だった。

「僕の好きなハンバーガーやピザは、ここには無さそうだし……」
 こんなにも、城島が張り切っているのだ。
 其れに、アメリカ式なら外さないだろうと。
 彼女の提案にアヤネも乗り、二人はバーベキューエリアへと向かう。

 まずは、肉。
 お肉が焼ける匂いに、城島のお腹がぐぅと鳴る。
 二人が選んだのは、ハワイアンバーベキューチキンだ。
 美味しそうな焼き色、甘辛いタレの香り。匂いだけでも美味しいと解る。
 其れを……目を合わせて、同じタイミングでがぶっ!

「うーん、超美味しいですね!」
「いいネ。やはり、肉は裏切らない」
 思ったより、味付けも悪くない。
 漬けダレに秘密があるのか、肉も柔らかくてジューシーだ。
 チキンを堪能していると、追加で焼き立ての海老や帆立が差し出されて……城島の瞳が益々輝いていた。待っていました!と言わんばかりに。
 アヤネは先程のチキンが気に入ったのか、再び其れを貰おうとするが――。

「そうですね、アヤネさん。肉は裏切りません」
「ソヨゴ?」
「でも、野菜と魚も食べましょうね」
「野菜は、無しで……というより、野菜と魚は……」
「アヤネさん?」
 城島は有無を言わさぬ笑みと共に、焼いた玉葱を皿に乗せる。
 ハンバーガーに挟まっているし、他の野菜よりは食べ易いだろうと彼女なりに考えたのかもしれない……嗚呼、とは言えど。
 改めて、野菜を食べるというのも――。

「……っ?」
 意を決して、アヤネが玉葱を口にすると。
 咀嚼しながら、彼女は不思議そうに目を瞬かせていた。
 あれ?思ったよりも甘くて、美味しい……?
 彼女の反応に、城島は嬉しそうに微笑んだ後……くるりと、身体の向きを変える。
 視線の先に居たのは、マンティコアキッズだった。

「君もおいでよ」
『いっ、行かない!いらねぇし!』
 良い匂いの誘惑になんか、負けない!
 しかし、美味しそうに食べる姿から目が離せなかったのだろう。
 アヤネと城島を覗き見ていたマンティコアキッズが、少し離れた場所でぷるぷるしていた。
 腹の虫は鳴いてばかりだけれど、気付けば仲間達は居なくなっていて。
 ならば、せめて!せめて、自分は誘惑に勝たなければ……!

「早く食べないと、このお姉さんに取られちゃうぞー?」
『う゛ーっ、で、でも……!』
「こんがり焼けたお肉、とっても美味しいよ?」
 そう言って、城島は殻を剥いた海老をがぶり。
 もぐもぐ。もぐもぐ。噛み締める度、海老の旨味がぶわっと広がって……。
 至福の一時に、彼女は幸せのあまり笑みが緩んでいた。
 でも、仕方がない。超美味しいのだから、仕方がないのだ。

 ……もう、無理!食べたい!
 マンティコアキッズが食欲に負けて、分けてー!と足を踏み出した瞬間――。

「いやいや、こんな美味しいものを分けてあげるなんてもったいない」
 ――その前に、僕が食べ尽くしてしまおうか。
 そう、アヤネは気付いたのだ。
 ソヨゴの幸せそうな笑顔が、最高のスパイスになる。
 彼女の笑顔につられて、自分も美味しいと思える。幸せになれるのだと。
 だからこそ、其れを含めて分けるのは勿体無いと思うのだ。

 彼女の意思を汲み取ったかの様に、影から現れた蛇に似た触手が彼らを絡め取る。
 動きが封じられた敵は、空腹を訴えるも……ああ、残念。

 美味しそうなバーベキューは、今は二人だけのもの。
 其の後、彼らは見えないカラスくん――コルヴォに突かれている内に、何時の間にか消えていったそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月15日


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#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト