羅針盤戦争 ~ すきゅりんさんだーとるねーど!!
●それは嵐のように現れた!
そう、突然、グリードオーシャンの海上に現れたのである。
「アーッハッハッハ♪」
楽しそうにくるくると回れば、身に纏った羽衣から凄まじい電撃の竜巻が放たれる。それが幾条にも海上に放たれて航路を塞いでいく。
巻き込まれれば鉄甲船すら吹き飛ばされるであろう、電撃の竜巻が成す壁。そんな強大な竜巻が自然現象やユーベルコードで成されるわけがなく、これは『メガリス』の力である。
強烈な竜巻の力に周辺のものが巻き込まれていく。海水とか海の上を漂っていた藻屑とか『鋼鉄人喰ザメ』とか。……ん? なんか変なものが巻き込まれてるような……?
そして竜巻の中は絶え間なく稲光が発生している。巻き込まれ、稲光に打たれればただでは済むまい。ちなみに鋼鉄人喰ザメは稲光すら弾き返し、時折喰らう。……え?
と、とにかく!
「猟兵たちめー、私の『すきゅりんさんだーとるねーど』をくらえー!」
メガリス『電光の羽衣』を纏ったコンキスタドール『すきゅりん』は楽しそうに、電撃と竜巻とサメを周辺にばらまいていたのである!
●そのネーミングセンスはどうにかならなかった?
「というわけで、皆で『すきゅりんさんだーとるねーど』をどうにかしてほしいんだ」
そう言ってアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)君は猟兵たちを見上げるふりをしつつ、遠い目をしていました。なお、すきゅりんの性格には個体差があるらしいです。
グリードオーシャンでは、これまでの猟兵たちの活躍によって、『蒼海羅針域(コンキスタ・ブルー)』が顕現した。これに応じて『多世界侵略船団コンキスタドール』もまた大攻勢に転じてきた。
その一手として放ってきたのが海上封鎖である。グリモアの予知とテレポートが十全に活用できないグリードオーシャンにおいて、鉄甲船が使えなくなれば猟兵たちの進撃に影響が出るのは必然であり、敵ながら非常に効果的な作戦だといえよう。
「それですきゅりんが海上に『電撃の竜巻』を放って、壁を作っているんだよ」
この強烈な威力の電撃の竜巻を、鉄とはいえ、普通の存在である鉄甲船は突破できない。つまり、電撃の竜巻そのものをどうにかする必要があるけれども、相手は自然現象である上に、すきゅりんが健在であるかぎり、いくらでも放たれる。
「つまり、すきゅりんを倒すしかないってことだね」
問題はすきゅりんが電撃の竜巻の中にいるということだ。猟兵たちは必然として電撃の竜巻の中に飛び込む必要がある。
「でも竜巻の中には、稲光迸りまくりだし、鋼鉄人喰ザメが竜巻で身動きの取れない獲物を食べに来るんだ!」
……ん? サメって言った?
「がう。竜巻の中にはサメがいるんだ。いるだけじゃなくて竜巻の中を泳いでいるんだ」
再び遠い目をするアルファ君。サメは存在自体がメガリス級なのですめいびー。
「と、とにかく、雷とかサメとかをかいくぐってすきゅりんを倒して!」
ちなみにすきゅりん自体はとっても弱いので、ワンパンで倒せます。辿り着ければ勝てる。そういう戦いだ。
「というわけで皆よろしくね!」
そういって猟兵の皆を送り出すアルファでした。
るちる
まいどお世話になってます。るちるです。
早速『羅針盤戦争』のシナリオをお届けします。オープニングからもわかるように、ゆるゆるっとした雰囲気でお届けしますので、気軽にご参加ください。
●全体
1章構成の戦争シナリオです。
ゆるゆるっとした感じのコミカルとかギャグとかのリプレイになると思います。シリアスで来ても大丈夫だよ安心して。
目標はすきゅりんをしばき倒すことです。電撃と竜巻とサメを突破してすきゅりんの元へ辿り着いてください。
すきゅりんはワンパンで倒せますが、リプレイの関係上、参加された方の数だけ残機があるものとします。
電撃と竜巻とサメの突破に関してはPOW・SPD・WIZの行動は参考程度に。思いついた作戦とか行動とかをしてもらって大丈夫です。ただし、『竜巻ごと吹き飛ばす』だけは無しとします。
以下のプレイングボーナスがあります。活用してください。
『プレイングボーナス……竜巻と電撃に対抗する』
採用人数は少なめになるかもしれません。
それでは皆さんの参加をお待ちしています。
第1章 冒険
『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
|
POW : 竜巻に巻き込まれた凶暴な「鋼鉄人食い鮫」の襲撃から身を守りつつ、すきゅりんのいる中心に向かいます
SPD : 絶え間なく発生する稲光をかわして、すきゅりんのいる中心に向かいます
WIZ : 竜巻の風に逆らわず、強風の流れを見切って、すきゅりんのいる中心に向かいます
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久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎
SPDで判定
イグニシオンに【騎乗】
キャバリアならこの竜巻だって耐えられる!
稲光を【第六感】に頼り【見切り】
避けきれない分は焔のフィールドによる【オーラ防御】と機体の【電撃耐性】で耐えながら突き進む
サメかー、サメは竜巻の中で泳ぐもんだよな
まとめて太刀の【範囲攻撃】で薙ぎ払いながら突き進むぜ
【生命力吸収】で奪えそうならエネルギーも奪っておく
ここでは飛行は出来ないが本来高速飛行に使う推進力で風の壁を蹴って中心まで突き進み、すきゅりんはキャバリアデコピンだ!
見た目はかわいらしいが残念だったな。こんな質の悪い仕掛けをする連中に惑わされる俺じゃないぜ
●vsすきゅりん!
『すきゅりん』が巻き起こした大惨事……じゃなかった、電撃の竜巻。鉄甲船の、しいて猟兵の行く末を塞ぐそれに向かって、鉄甲船から飛び立つ影は紅きを纏う白い機体。
「久遠寺遥翔、イグニシオン、出る!」
愛機『イグニシオン』に騎乗した久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)がコックピットで吼える。その声に応えるようにイグニシオンが光翼を展開、すきゅりんさんだーとるねーどに向かって突撃する!
その様子は嵐の巣、あるいは稲光の巣とも言うべきか。
されど遥翔は臆することなく、イグニシオンの速度を上げる。
「キャバリアならこの竜巻だって耐えられる!」
そこに在るのは信頼と自信。縦横無尽に走る稲光であろうと第六感で察知して見切る。最小限の動きで稲光をかわし、回避ロスの大きいものは。
「こうすりゃいける!」
イグニシオンの機体から迸る焔のフィールドが電撃を弾き返し、それでも襲い来る細やかな稲光は機体の電撃耐性で凌いでいく。
そして見えてきたのは……サメ。
「サメかー、サメは竜巻の中で泳ぐもんだよな」
ですよねー。サメですしねー。その界隈では有名な話らしい。そう、鋼鉄を纏うのも空を飛ぶのも竜巻の中を泳ぐのもサメなら不思議じゃない。
でもサメをどうするのかという話になるわけでして。
「行くぜ相棒!」
そう言って遥翔&イグニシオンが構えるのは『機神太刀"迦具土"』、漆黒の刀身を持つキャバリア専用の太刀である。
「まとめて薙ぎ払う! ラグナレク・キャリバーッ!!」
掛け声とともに放たれる【太陽を灼く黄昏の剣】。焔を纏った漆黒の刀身による連続斬りがイグニシオンに迫ってきていた鋼鉄人喰ザメたちを問答無用に薙ぎ払っていく。
「ついでにもらっておくぜ」
とサメを斬り裂いた刀身から生命力を吸収しておく遥翔。……サメのエネルギーとか吸収して大丈夫? あとで食中毒とか起こさない?
それはさておき、遥翔&イグニシオンは電撃の竜巻の中を突き進む。本来、高速飛行に使う推進力で以て、風の壁を蹴りながら竜巻の中心まで進めば……そこに見えるのはすきゅりん。
「私のすきゅりんさんだーとるねーどを突き破ってくるなんて!」
とすきゅりん真面目に言っていますが、おめめぐるぐるのあわわわ状態です。手にもったカトラスをぶんぶん振ったり、蛸足に持っている魚雷を投げつけたりするも、イグニシオンの進撃を止めるほどではない!
「見た目はかわいらしいが残念だったな。こんな質の悪い仕掛けをする連中に惑わされる俺じゃないぜ」
ぎゅんっ、と高速で接近して、すきゅりんにキャバリアデコピン!
「ぎゃーーーーーっ!!」
デコピン一撃でやられるすきゅりん。自身が作り出した竜巻に巻き込まれてぽーんと飛ばされる始末である。
こうしてまずは1機、遥翔がすきゅりんの残機を削ったのでした。
大成功
🔵🔵🔵
神羅・アマミ
荒れ狂う竜巻と稲妻、そして鮫!
これぞグリードオーシャンの戦場って感じじゃなー!
数々の障害を乗り越え敵の懐へ飛び込むべく立てる妾の奇策とは…
UC『本鈴』を発動し、真の姿・レーザーシャーク形態に覚醒じゃ!
木を隠すなら森の中…しかもここは荒れ狂う竜巻の中!
無数の人喰鮫が飛び交うならば、かえって妾の存在を見つけ出す方が困難というものではないかな?
しかし、急いては事を仕損じるとはこのことよ。
周囲の鮫に紛れ込むように偽装することで【時間稼ぎ】を試みつつ、竜巻の流れへ逆らうことなく円を描いて少しずつ、少しずつ本体のすきゅりんへ接近していく。
射程圏内に届けば騎乗した鮫を足場に【ジャンプ】、斬撃をお見舞いじゃ!
●サメ・レーザー覚醒!
『すきゅりん』の作った電撃の竜巻。それを鉄甲船の上から腕組みしたまま目視した神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は心の内をそのまま口にする。
「荒れ狂う竜巻と稲妻、そして鮫! これぞグリードオーシャンの戦場って感じじゃなー!」
どうなってるのグリードオーシャンのイメージ。まぁ鮫魔術師いるし、サメは仕方ないのか。
ともあれ、真の英雄は視線で殺す、みたいなことは出来ない(アマミに出来ないと言っているわけではなく、今のグリシャンの環境的に)みたいなので、どうにか攻略手段を得るしかない。
「数々の障害を乗り越え敵の懐へ飛び込むべく立てる妾の奇策とは……!」
しゃきーん、とポーズを取ってから放つのはユーベルコード【本鈴】。発動すると同時に、アマミの姿が真の姿に変身する!
「真の姿・レーザーシャーク形態に覚醒じゃ!」
その姿は鮫を狩る狩人(チェーンソー)といえばいいのだろうか。なんか属性が詰まりすぎてて一言では言い表せない! とにかくよくわからないけれども、すごいパワーを感じる!
「木を隠すなら森の中……しかもここは荒れ狂う竜巻の中!」
すきゅりんさんだーとるねーどに飛び込みながら、状況を分析(解説)するアマミ。
「無数の人喰鮫が飛び交うならば、かえって妾の存在を見つけ出す方が困難というものではないかな?」
まさかの盲点である。灯台下暗しとはまさにこのことか。
確かにサメの中にサメが1匹増えたところで何の違和感もない。むしろサメ的には勢力拡大で自然とすら言える。この環境を利用すればすきゅりん退治も容易に行えそうだ。
「しかし、急いては事を仕損じるとはこのことよ」
だが彼女はプロだ。何の、とは聞いてはいけない。プロなんです。
ゆえに、まずは周囲の鮫に紛れ込むように偽装。そうすることで身の安全を確保したうえで時間を稼ぎつつ、竜巻の流れを利用して円を描くように上昇、少しずつ、少しずつすきゅりんへ接近していく作戦だ!
しかし落ち着いて聞いてほしい。
サメに乗っているのはアマミだけである。つまり……目立つ。
「しまったのじゃぁぁぁぁぁ!!」
策士、策に溺れるとはまさにこのことである。慌てふためくアマミに対して、鋼鉄人喰ザメたちが一斉に迫る……が!
自然(竜巻)はアマミに味方していた!
既に竜巻の流れに乗っていたアマミレーザーシャークに対して、鋼鉄人喰ザメたちは近づかなければいけない。流れに沿えば速度で負けている(レーザーなめんなー!)し、流れに逆らえば速度は落ちてその距離はさらに開く。
そう、ポジションの勝利である。
「ふははは、あわてふためくまでが奇策なのじゃ!」
ほんまかいな。
それはさておき、完全に鋼鉄人喰ザメたちを振り切って、ついに竜巻の最上部に居たすきゅりんを射程圏内に捉えるアマミ!
「あ、サメさん、おつかれさまーっ♪」
「お主の目は節穴かーーっ!!」
「ぎゃぁぁーーっ?!」
近づいてきたレーザーシャーク(鮫)を仲間と思って挨拶してきたすきゅりんに対して、レーザーシャーク(鮫)を足場に大ジャンプしたアマミは、ばっさり大上段からの斬撃をお見舞いする。
「お主の敗因は鮫を使ったことよ……」
一撃のもと、すきゅりんを屠ったアマミは『またつまらぬモノを斬った』的な顔をするのでした。
大成功
🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
いいですよね、シャークネード。でもちょっと規模が小さくありません?
わたくしも協力するんでもっと派手にいきましょうよ。
というわけで今回使うUCはもちろんサメンタルファンタジア。
これでサメ属性の竜巻を起こし、すきゅりんの竜巻にぶつけます。
竜巻VS竜巻の激突。竜巻サメVS鋼鉄人喰ザメの対決。
これは映えますね間違いない。
もちろんわたくしも竜巻出して見物しているわけにはいきません。相棒のサメ子(アイテム)の騎乗し、サメ竜巻の回転力を生かして竜巻内のすきゅりんに突撃。自慢のシャークチェーンソーでザックリバリバリいきましょう。
「ヒャッハー!雷がなんぼのもんじゃい!今日のサメぐるみはゴム製ですよ!ゴム製!」
●待ってました!
コンキスタドール『すきゅりん』が作り出した電撃の竜巻の壁。海上に立ち塞がるメガリス災害を前に、鉄甲船の上でエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)はバーチャルメイド服を纏っていました。鮫です。サメぐるみです。
「いいですよね、シャーク○ード。でもちょっと規模が小さくありません?」
待って、落ち着いて。妨害さえなければグリードオーシャンをどこまでも渡れる鉄甲船を吹っ飛ばす竜巻なのよ? 小さいってどういうことなの。
しかしそんな天の声(?)もかじできないさんには届かない。
「わたくしも協力するんでもっと派手にいきましょうよ」
わーい、拡大方針で決定でーす(しろめ)
そんなわけで誰に問うわけでもなく、使うユーベルコードは決まっている。
「もちろん【鮫魔術を操るメイドの術(サメンタル・ファンタジア)】です」
なん……だと?
「おや。もしやグリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術をご存じない?」
そう、エミリィが言うように、グリードオーシャンで鮫魔術はポピュラーである。そしてサメは属性でもあり、自然現象でもある。これらを基礎とする魔術は非常に合理的であり、何ら不思議ではないのだ!
とにかく、【鮫魔術を操るメイドの術】は発動されてしまった。しまったのである!
吹き荒れるサメ属性。轟くサメ竜巻。エミリィのサメとすきゅりんのサメが真正面から激突する!
「竜巻VS竜巻の激突。竜巻サメVS鋼鉄人喰ザメの対決。これは映えますね間違いない」
間違いない(確信)。
びっくりしたのはすきゅりんである。
「うそぉぉぉぉぉ?!」
まさか私のメガリスに付いて来れるヤツがいるなんて(テンション的にも能力的にも)。不意にめらめらと対抗意識がすきゅりんの中に沸き起こる。
「まっけないぞー!」
すきゅりんがメガリスにすきゅりんぱわーを注ぎ込む。それに応じて電撃の竜巻の勢いが増していく。
そして拮抗するサメ竜巻。その様子を見てエミリィはすっと目を細める。
(もちろんわたくしも竜巻出して見物しているわけにはいきません)
そう、サメの深奥はこんな程度ではないのだ。ぱちん、と指を鳴らすと海の中から相棒の『サメ子』が飛び出す。鮫魔術で改造された騎乗用の鮫(メス)である。
「いきますよっ!」
サメ子に乗って戦線(竜巻の衝突地点)へ出撃するエミリィ。まずは自分が出したサメ竜巻の中に入り込み、その渦に乗って急上昇する。回転に逆らわず、しかし上手く回転を合わせてすきゅりんの電撃の竜巻の流れに飛び込む。
そのまま回転力を生かして、電撃の竜巻の中にいるすきゅりんに突撃するエミリィ&サメ子!
「なっ、なんで電撃が効かなっ?!」
「ヒャッハー! 雷がなんぼのもんじゃい! 今日のサメぐるみはゴム製ですよ! ゴム製!」
「そんなのアリー?!」
アリに決まってる。
そんなわけで、エミリィ自慢のシャークチェーンソー(鋭利な刃は対象をズタズタにします)でザックリバリバリされるすきゅりんでした。
大成功
🔵🔵🔵
黒瀬・ナナ
え?嘘?電撃と鮫の竜巻……冗談じゃないの?本気なの?
た、多分、これも天が人類に与えた試練、のような気がするから!
えぇい!考えるな!感じろ!ノリと勢いで飛び込めーぃ!
『視力』で確認してからじゃ間に合わなそうだし、
『第六感』と『野生の勘』頼みで稲光を『見切り』、
いざとなったら風神様のお力も借りて、雷や鮫をぴょんとかわしながら中心へと向かうわね。
多少のことは『激痛耐性』と『オーラ防御』で我慢我慢。
泣かない、めげない、諦めない!わたし、やれば出来る子だもん!
なんやかんやで中心にたどり着けたら、すきゅりんを全力お殴りするわね。
こんな物騒でとんでもない竜巻はさっさと止めてもらうわよ!
※アドリブ等ご自由に
●冗談or本気?
『すきゅりん』の作り出した電撃の竜巻の壁を見て。ついでに竜巻に垣間見える鋼鉄人喰ザメの姿を確認して。
「え? 嘘? 電撃と鮫の竜巻……冗談じゃないの? 本気なの?」
黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)は青ざめておりました。っていうかそれが普通の反応だと思うんですよ普通の人おいでやす!
それはさておき。
冗談と思えるこの状況。しかし現実である。
「た、多分、これも天が人類に与えた試練、のような気がするから!」
いかな八百万の神でもこんな試練出すだろうか? いや、出す神いるかな……いるかも。そんな感じで納得(?)したナナは。
「えぇい! 考えるな! 感じろ! ノリと勢いで飛び込めーぃ!」
うん、難しい思考を放棄したなこれ。そしてナナは鉄甲船から電撃の竜巻へ向かうべく、海へ飛び込むのであった。
海に飛び込んでみると何やらすごい勢いで電撃の竜巻に引き寄せられていく。鉄甲船が動かないのはひとえにその重量ゆえであったらしい。竜巻の根元まであっさり引き寄せられたナナは、そのまま渦に巻き込まれて上空へと巻き上げられる。そして上に行けば行くほど、視界の中を稲光が激しく走る。
(視力で確認してからじゃ間に合わなそうだし)
どうやっても見るより稲光の方が早い。ゆえに頼るのは第六感と野生の勘。それに身を任せて稲光を回避していくナナ。
だがそれでも雷の速度はさばき切れない。
(それなら……!)
素早く印を結んで術を編む。
「風神様、お力お借りします!」
と声に出しながら、【神憑り・風神の御御足】を発動。
「今、この脚は、天を翔ける風神様の脚!」
脚に宿した風神の御力で以て、風を、雷すらも足場として。竜巻の中で小刻みにジャンプを繰り返し、さながら幾何学模様を描くように高速でサメかわし、雷をかわし……あ、かすった。
「~~~っっっ!!」
しびびびび、と痺れる程度で済んだのは咄嗟に張ったオーラ防御のおかげ。
(泣かない、めげない、諦めない! わたし、やれば出来る子だもん!)
と激痛を涙目で耐えて。ナナは挫けず、上を目指す。
なんやかんやとしのぎながら、それでも竜巻の上昇気流に身を任せていれば必然、一番上まで辿り着く。それはすきゅりんの場所まで竜巻が運んでくれるということだ。
「みつけたわよっ!!」
ナナの叫びに彼女を目視したすきゅりん。
「もーやだー! くるなー!」
これまで嫌なことでもあったのだろうか。手とか蛸足とかに持っていた武器を全投擲してくる勢いで投げてくるすきゅりん。それを見切って軽快にかわしながら、ナナはすきゅりんに急接近する!
「こんな物騒でとんでもない竜巻はさっさと止めてもらうわよ!」
「サメ可愛いでしょーーっ!!」
「却下ーーっ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁーっ!!」
ナナの全力お殴りによって吹っ飛ばされるすきゅりん。鋼鉄人喰ザメが可愛いかどうかは審議中のままであることは添えておく。え、ダメ? 可愛くない?
それはさておき。
どうやらすきゅりんの耐久力(残機)も限界だったらしい。ナナの一撃が完全なるトドメとなった。
吹っ飛ばされたすきゅりんが竜巻の風の壁に激突する。その拍子に彼女からメガリスが外れて。電撃が、竜巻が消える。鋼鉄人喰ザメと一緒に海に落ちていくすきゅりんの姿がそのまま掻き消えるように存在を消失し。
「ふぅ……って、えぇぇぇぇぇっ?!」
竜巻が消えたらナナも落ちるよね、うん。
そんなこんなでどたばたしつつも、猟兵たちはすきゅりん&電撃の竜巻を突破したのである!
大成功
🔵🔵🔵