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ワルプルギスの夜

#UDCアース

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#UDCアース


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●魔女たちが集う夜
 ワルプルギスの夜、それは諸説あれどドイツのブロッケン山と呼ばれる山に魔女たちが集まり、大規模な祭りを催して春の到来を待つというもの。
 魔女達の一大イベントとしても有名なその祭りは、とある山奥の村でも年に一度大事な祭として行われていた。
 魔女であればその日限りは歓迎する――それはアングラサイトなどで実しやかに流れ、自身は魔女であるという者はその祭りに参加するのが当たり前だと言われるほどになっていた。
 魔女の集まる広場の中心では大きな篝火が焚かれ、魔女達が踊り笑う。少し離れた場所では秘密のマーケットが開かれていて、露店の灯りの下には魔女達のとっておきが並んでいるのだ。
 魔女達の祭りで、あなたは何を求めるのかしら?
 魔女秘伝のアロマオイル? ポプリ? 精霊の力を借りて灯るランプ? 秘伝の魔導書? 力を籠めたマジックアイテムも、それこそ此処では珍しくはないわ。
 もっと危険なものだってあるけれど、あなたが本物であるならば手に入れる事が出来るかもしれないわね。
 思い思いの魔女衣装に身を包んだ魔女達のお祭りに、どうぞいらして。
 あなたが本当に魔女ならば、きっと、とっても楽しいわ。
 だって、誰も帰ろうとしないのだもの。

●グリモアベースにて
「ワルプルギスの夜って知っとるやろか?」
 そんな言葉から、八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)の話は始まった。
「UDCアースのな、とある山奥の村でワルプルギスの夜が開催されるんやって」
 それは言葉としてはとても普通で、楽し気な祭が行われるのだろうかと思ってしまうほど。
「自分は魔女やって言う人らが集まってな、踊って飲んで食べて、魔女のマーケットが開かれとって」
 村の魔女や訪れた魔女達の作った物が売られていたり、物々交換だったりするのだという。
 聞けば聞くほど、ただのお祭りではないかと猟兵達が思った時だった。
「せやけど、その祭りが最高潮に達した時にな」
 本物の魔女か、そうでないかを判別する為と称して訪れた自称魔女達に村の魔女に紛れたオブリビオンが襲い掛かるのだと、菊花が眉根を寄せて告げる。
「村の人らはそれを選別の儀式やと信じとるよって、邪魔したりすることはないんよ。せやから、遠慮なく倒してもろてかまへんよってな」
 そうしてオブリビオンを倒せば、この村を支配する宝石の魔女が出てくるはずだと菊花が続ける。
「宝石の魔女って呼ばれとるオブリビオン、UDCが生き残った人に魔女の証や言うて宝石を渡そうとするんやって」
 運よく難を逃れた者は、あなたは本物の魔女だと言われ宝石を渡される。けれど、それは呪われた宝石。受け取ってしまえば洗脳されて、村に住むことになる。そうやって、村の人口を適度に保っているのだろう。
「受け取ることなくその魔女を倒せば、村に住む人らの洗脳も解けるはずやでな」
 そうなれば、UDC職員の者があとを引き継いで村の人々に法の裁きを受けさせる。罪は償われるべきなのだから。
「あ、魔女っていうても男女関係あらへんよって、それっぽい恰好してったら大丈夫やよってな!」
 ほな、あんじょうよろしゅう、と菊花が微笑んでゲートを開く為に手を打ち鳴らした。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 ワルプルギスの夜をお届けに参りました。三章の内、どれか一つだけの参加も歓迎しております。

●各章の受付期間について
 恐れ入りますが、受付期間前のプレイング送信は流してしまう可能性が非常に高くなっております。各章、断章が入り次第受付期間(〆切を含む)をお知らせいたしますので、MSページをご覧ください。
 また、スケジュールの都合によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います。

●第一章:日常
 ワルプルギスの夜――その村の祝祭に参加していただきます。
 男女問わず魔女っぽい恰好をして、それっぽいアイテムなんか持っていれば完璧です。
 祭りは日が落ちてから、会場の中央には大きな篝火が焚かれ、その周囲を楽し気に魔女達が踊っています。
 また、その輪の更に外側には魔女達のマーケットが開かれていて、アロマオイルやポプリ、ありとあらゆる魔法のアイテム(と称しているが、本当に効果があるかはわかりません)が取引されていますので、きっと欲しいものが見つかるはず。
 魔女達のアイテムはお金であったり、装飾品であったり、価値ある何かであったり、そういったものと交換ができます。
 また、魔女お手製のパンも用意されているので遠慮なく食べて飲んでを楽しんでください(不利になるような物が入れられている等は一切ありません)
 軽食の内容は基本的にはパンで、種類は豊富。サンドイッチなどもあるので食べたいパンがあるのではないでしょうか。飲み物も無料でいただけます。
 POW/SPD/WIZは気にせず、思うように楽しくお過ごしください。

●第二章:集団戦
 村人に紛れ込んだオブリビオンとの戦闘になります。

●第三章:ボス戦
 宝石の魔女が現れ、戦闘となります。

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【花嫁3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、皆さまの素敵な魔女姿をお待ちしております!
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第1章 日常 『「祝祭」への参加』

POW   :    奇妙な食事を食べたり、奇怪な祈りのポーズを鍛錬する等、積極的に順応する

SPD   :    周囲の参加者の言動を注意して観察し、それを模倣する事で怪しまれずに過ごす

WIZ   :    注意深く会話を重ねる事で、他の参加者と親交を深めると共に、情報収集をする

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ワルプルギスナイト
 辺りに夕闇が拡がる頃、村の広場に組まれた大きな焚火に火が点された。
 それは祭りの始まりを告げる合図、思い思いの魔女の正装に身を包んだ者達が声を上げ焚火を囲んで踊りだす。
 流れる音はケルト民謡の流れを汲んだような音楽で、まるで異国を思わせるよう。黒いドレスの裾が翻り、大きなつばを持つ帽子がくるくると回って楽しげな声が響く。
 焚火から少し離れた場所では円を描くように露店が並び、魔女達がとっておきのマジックアイテムを揃えているのが見える。その中心となる場所では、魔女の大鎌から美味しそうな匂いが漂い、ワルプルギスの夜を楽しむ者に美味しいスープとパンを無償で提供している様子が窺えた。
 今宵は魔女達の宴、どうぞ存分に楽しんで――!
徳川・家光
なるほどなるほど。では僕は、まずは積極的にこの祭りに参加したいと思います。手土産といっては何ですが、僕も甘草を煮詰めて作られた「リコリスグミ」というものを沢山持ってきました! 戴いてばかりでは申し訳ないので、これを皆様に振る舞いたいと考えております。

(ちなみにこれメッチャまずいです。僕は自転車のタイヤをなめたことがありますが、それと全く同じ味!)

というわけで、もしこのリコリスグミを、ふつうのハーブ飴のように祝祭参加者達がおいしそうに食べたなら、それはもういくとこまでいっちゃってる証なので、その後の話は「洗脳が完全に解けない状態である」と考えるべきかもしれませんね、残念ですが……(唐突なシリアス



●リコリスは死の味に似て
 夜の祭、と聞いて徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が真っ先に思ったのは大奥に残してきた多くのお嫁さん達のこと。
「あまり遅くならない内に帰らないといけませんが……折角のお祭りですから」
 積極的に楽しんで参りましょう、とサムライエンパイアの江戸幕府将軍は大きく頷く。魔女っぽい恰好はよくわからなかったけれど、多分こう……いい感じにマントっぽいものを羽織れば周囲に溶け込めるだろう。
「あとはそうですね……手土産というのも何ですが、何か持っていくとしましょうか」
 気遣いは必要ですよね、と家光は持てる者こそ与えなくてはというノブレスオブリージュな精神に則っていそいそと何かを袋に詰める。それはもう、ありったけというくらいに。
「これでいいでしょう、いざ魔女達の宴へ!」
 意気揚々と転送ゲートを通り、村へと足を踏み入れた。
 まず家光の目に映ったのは大きな焚火。パチパチと弾ける火の粉は夜空へと舞い上り、焚火を囲んで踊る人々は楽しそうな声を上げている。
 少し離れた場所には焚火を中心に円を描くように露店が並び、ハーブやアロマ、マジックアイテムと思わしき物を売っているのが見えた。
「これは思っていたよりも楽しそうな祭りです!」
 露店を見て回り、空腹を覚えて良い匂いのする方へと向かえば、魔女の大釜で煮炊きされたスープに焼き立てのパンが並んでいるのが見えて、魔女達の方へと近付いた。
「こんばんは!」
 明るく挨拶をする家光に魔女達がパンやスープを勧めてくれる。それらを有り難く戴いて、家光が笑顔で袋の中から持ってきた物を差し出した。
「戴いてばかりでは申し訳ないので、これをどうぞ!」
 満面の笑みを浮かべ、家光が差し出したもの、それは。
「リコリスグミです!」
 なんて? 近くに居た猟兵が思わず声に出して言った。
「リコリスグミです!」
 そうじゃねぇんだよなぁ将軍様~~! とは思ったけれど、相手は将軍様なので、そうですかと頷くしかない。
「あ、リコリスと言っても彼岸花ではないです、甘草の方です」
 リコリスと呼ばれる植物には二つあり、一つは毒のある彼岸花、もう一つはスペインカンゾウとも呼ばれるハーブだ。ちなみに味はメッチャまずく、家光曰く、僕は自転車のタイヤをなめたことがありますがそれと全く同じ味! なのだとか。情報量が多い。
「ハーブのグミなので、安心して食べてください!」
 テロじゃん。さすがサムライエンパイアの将軍様は考える事が違う、えぐい。
 人畜無害な笑みを浮かべ、家光はリコリスグミを魔女達へと手渡す。魔女達は悪いわねぇなんて言いながらそれを受け取り、口にした。
 その瞬間、家光の眼光が鋭く光る。魔女達はそれを不味いと騒ぐことなく食べているのだ。
「美味しいですか?」
 そう問えば、これは魔女に相応しい味だと朗らかな返事。
「そうですか、何よりです」
 普通のハーブ飴の様に食べているなら、それはもういくとこまでいっちゃっている証だと家光は思う。そうして、ありったけを配って様子を眺め、美味しくないという反応をした者にはそっと胸を撫で下ろして。
「美味しいと思った者は、洗脳が完全に解けない状態である、と考えるべきかもしれませんね。残念ですが……」
 リコリスグミの大量ばら撒きテロを行った者とは思えないほどシリアスな顔をして、家光が焚火を見つめて呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
「ほぅ? それは興味深いな」
露は面白い催しをこうも次々と見つけてくるんだろうかな。
私は黒い三角巾と箒とローブなのだが村に入れるだろうか…。

薬草の束。手作りの道具。書物…村の中は興味深いばかりだ。
使用方法がいまいち不明な物が多いがそれは村の者に聞こう。
本当に興味深い。何度もきたい村だな。ここは。

もし見たことがないハーブがあれば購入したいと思う。
育てたいだけだから魔力や呪術が籠っているモノでなくていい。
ハーブ購入前に生育方法をしっかりと聞きメモしておこう。
ついでに購入したハーブの使用方法もしっかりと聞いておく。
もし人体や精神に影響がない場合なら料理や茶にいれてみよう。


神坂・露
レーちゃん(f14377)。
親友がすっごく興味がそそられそうな村にお誘いするわ。
予想通り興味津々であたしの話をきいてるわ。えへへ♪

それっぽい帽子とローブと老木の杖を持って村に到着!
「わ♪ レーちゃんが沢山いるわ。すっごい! レーちゃん」
『魔女達をそんな表現するな…』言われたけど気にしないわ♪

村の中ではレーちゃんにくっついて屋台とか色々巡るわね。
なんだか精霊さんの力をあちこちで感じてとっても楽しいわ。
偶に精霊さんみつけて手を振るけどレーちゃんはみえないみたい?
「えへへ♪ あそこに精霊さんがいるの♪」
ってゆーとあたしに感心した表情向けてくれたわ。
あ!今あたしのこと凄いって思った?思った?えへへー♪



●魔女のハーブと精霊と
 シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)がこの辺鄙な山奥の村へやってきたのは、ひとえに神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)の誘いによるものだった。
「ねぇレーちゃん、面白そうな村があるのよ♪」
 そう言って露が語りだしたのは魔女達が住む村、そして年に一度開かれるワルプルギスの夜の話。
「ほぅ? それは興味深いな」
 露からすれば、絶対にシビラが興味を持つであろう村だと確信していたので、断られることはないだろうと踏んでのこと。そしてその予想は見事大当たりし、現在露はシビラを連れて魔女達が集う夜と名高い村の祭りに参加しているのであった。
 シビラは黒い三角巾にローブを纏い、手には箒というオーソドックスな魔女スタイル。露はそれっぽい三角帽子とローブ、そして老木の杖という出で立ちだ。
 転送された先から少し歩けばすぐに村に到着し、快く迎え入れられる。この村に辿り着けたというのが、既に魔女としての資格を有しているとみなされるようだった。
「わ♪ レーちゃんが沢山いるわ。すっごい! ね、レーちゃん」
「魔女達をそんな表現するな……」
 確かに普段から黒い衣装を好んでいるが、数える単位がおかしいだろうとシビラが眉根を寄せる。
「ええ~いいじゃない♪ あたしはレーちゃんと他の魔女達を見間違えたりしないんだし♪」
 どう考えてもそんな問題ではなかったのだけれど、露は気にしない。シビラとのお出掛けというだけでも楽しいのに、沢山の魔女達――自称も含まれるのだろうけれど、の祭りなのだから。
 シビラはにこにことしている露に小さな溜息を落としつつ、しかしよくも面白そうな催しをこうも次々と見つけてくるものだ、とある意味露に感心していた。
 露に引っ張り出されなければ何処かに出掛ける事も少ないシビラにとっては、くるくると表情を変えながらシビラを誘う露はびっくり箱のような存在なのだ。
 そんな彼女に手を引かれ、シビラは魔女達が拡げる露店に目を遣る。
「露、ぐるりと回ろう」
「ええ、もちろん♪」
 露店と言っても様々で、タープテントのような簡易的なテントを張り、それぞれが如何にも魔女っぽい布を張り巡らせて販売スペースを作っていた。
 吊るされた飾りや乾燥したハーブの束がセンス良く配置された処や、ありったけの商品を並べたような処もあった。
 特にシビラの興味を惹いたのはハーブを専門に扱っている露店で、見慣れたものから見たことの無いものまでと様々なハーブが並んでいる。
「露、ここ」
「うん、いいわよ」
 露が繋いでいた手をするりと離すと、シビラが興味深げにハーブを眺めた。
 一般的に手に入れやすいオーソドックスなハーブから、あまり見かけないものまで。ドライハーブや苗もあって、シビラが目を輝かせる。
「どんな物をお探しだい、お嬢さん」
 眼鏡を掛けた店番の魔女が、シビラに声を掛けた。
「育てられるもので、珍しい苗が欲しいんだが」
 それなら、この辺りだねぇと魔女が指で示したのはティーツリーやマンジェリコン、日本特有のヨモギやサンショウ。
「ヨモギ……」
「あら、ヨモギ!」
 くん、と露がヨモギの匂いに笑みを浮かべる。
「それは和菓子に使われたりするからねぇ、草餅とか草団子、食べたことは無いかい?」
「あるわ!」
 美味しいのよねぇ、と露が笑ってヨモギを眺めた。
「効能は?」
 そう問えば、魔女が色々と教えてくれる。デトックス効果であるとか、貧血の予防であるとか体を温める効果があるとか。食用としても薬草としても優秀なのだ。
「決めた、これをくれ」
 金銭でのやり取りを終え、育て方をメモに取ると満足気にシビラが露店の前を離れる。
「いいもの見つかってよかったわね、レーちゃん」
「ああ、そうだな」
 癖のある味と匂いではあるけれど、慣れればなんということはない。
 シビラにぴったりとくっついて、露があっと声を上げる。
「どうした?」
「レーちゃん、あそこ」
 露がほら、と指をさした場所には何も見えず、シビラが首を傾げて何かあるのかと返す。
「えへへ♪ あそこに精霊さんがいるの♪」
 レーちゃんには見えないのね、と思いつつ露が精霊に向かって手を振った。
「ほう、露には見えるんだな」
 自然の力を感じ取る能力においてはすごいな、と素直に思う。そんなシビラの表情に、露がパッと顔を輝かせてシビラに顔を近付ける。
「な、なんだ?」
「うふふ、今あたしのこと凄いって思った? 思った? えへへー♪」
 こういうところが無ければ、素直に口にして褒めるんだがな……なんて思いつつ、シビラは露から視線を外して行くぞ、と促す。
「んもう! レーちゃんったら照れちゃって~♪」
 先を歩くシビラの手を取って、露が何か食べるわよ~! と、良い匂いのする方へとシビラを連れ出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
◎WIZ
宝石の魔女!クリスタリアンの方かしら?あ、でも宝石を渡してくるからかもしれないのね。

格好はいつものアオザイの仕事着がいいかな?
でもそのまま戦闘になるかもしれないのよね……?なら普段着でいいかな。それに春とはいえ夜はまだ冷える事も多いしシャツワンピをコートみたいに羽織っときましょ。フードも被ってあと口元を隠すベールがあれば。
プラス斜め掛けのバックの中には仕事道具でありお守り代わりのはじまりのタロットカード。

お祭りの時はお店を出す方になるんだけど、さすがに飛び入りで占いは難しいかな。
露店巡りしたら素直にお腹を満たそう。
あ、この大葉が挟んである玉子サンドおいしい!こんどうちでもやってみよう。



●魔女の露店巡り
 最後に現れるという宝石の魔女、もしかしたら私と同じクリスタリアンなのかしら? なんて考えながら夜鳥・藍(占い師・f32891)はワルプルギスの祭りで賑わう村を歩いていた。
「あ、でも宝石を渡してくれるからかもしれないのね」
 藍晶石の瞳を瞬かせ、焚火を見遣る。パチリと弾けた火の粉が飛んで、夜に消えていく。
「……やっぱり、いつものアオザイの仕事着姿の方が良かったかな?」
 しかし、そのまま戦闘になるかもしれないと思うと、普段着で良かったのだろう。白いノースリーブのブラウスに青いリボンを結んで、それでは寒いだろうからフードの付いたシャツワンピを羽織って。目立つ髪はフードで隠し、口元は薄紗のベールで隠せばそれなりに雰囲気のある魔女に見えるはず。
「うん、それにこのタロットがあれば大丈夫」
 斜め掛けのバックをぽんと叩き、仕事道具でありお守り代わりのタロット――はじまりのタロットカードの存在を確かめた。
 うまく周囲に溶け込んでいるはず、とベールの中で小さく笑って藍が露店をゆっくりと眺めつつ、あの硝子の器が素敵だった、サンキャッチャーもいい……と露店を楽しんでいると、空腹感を刺激するような良い匂いが漂ってくる。
「ん、何かしら……トマトとオレガノの匂い?」
 見れば、如何にも魔女らしい大釜でスープが煮炊きされているようで。
「……頂こうかな」
 くぅ、と小さくなったお腹に笑って、藍がスープを振舞う列へと並ぶ。すぐに順番がやってきて、紙コップに注いで貰えば野菜たっぷりのミネストローネが美味しそうな湯気を立てていた。
「ん、美味しい……!」
 思わずそう零せば、オレガノはこの村で作っているハーブなのだと近くにいた魔女が教えてくれる。買って帰るのもいいわね、と売っている場所を教えてもらいつつ、スープを飲んだことで本格的に空いてきたお腹を宥める為に、パンを配っているブースへと移動した。
 並ぶのはミネストローネに合うような白パンから、たっぷりのハムとレタスが挟まれたサンドイッチ、シナモンが効いているりんごパイと、様々なパン。
「どれにしようかな……」
 迷いつつも藍が選んだのは大葉が挟んである玉子のフィリングがたっぷりなサンドイッチ。
 大葉もハーブの一種なのよね、と考えながら一口齧ればその美味しさに宙色の瞳が瞬いた。
「これ、おいしい! こんどうちでもやってみよう」
 これなら私にも簡単にできるはず、と藍が笑みを浮かべる。ぺろりと玉子サンドを食べ切ると、他に素敵な物はないかしら、と再び露店を巡る為に足取りも軽やかに歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久留米・圓太郎
■WIZ
早速に師匠を呼び出す
(師匠の姿は、イラストのとおり、絵に描いたような魔法使いの格好)
「さて、そうなると、オレも普段の格好ではダメか……」
と、いつもの服の上に、魔法使いの帽子とマントを着る
「オレが着ると、なんというか着られるみたいで、どうも格好わりいんだけどなぁ……」

■行動
マーケット付近を、師匠共々見て回り
魔法アイテムの「目利き」は、師匠にお任せになってしまうが、仕方無いか

師匠の見立てで、「魔法使いのランプ」を購入する
(たまたま、他世界の古銭屋でゲットしてた金貨に、ものを言わさせる)

※アドリブ・連携歓迎です



●お師匠様といっしょ!
 魔女達の宴が行われる村に到着して、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)が真っ先にやったことと言えば、己の師匠を召喚することであった。
「Please Help Me!!」
 助けて、という声に応えて現れたのは現代地球のOLのような衣服に魔女の三角帽子とローブを羽織った女性、手には箒と現代的な魔女とも言えるような、そんな。
「師匠!」
 圓太郎の頭に生える三毛猫の耳が、嬉し気にぴこぴこと動く。実はかくかくしかじか、こんな事情でと説明すれば仕方ないというように頷いた。
「やった! さて、そうなるとオレも普段の恰好ではダメか……」
 偉大なる魔法使いの一番弟子として、師匠に恥をかかせるわけにはいかない。いつもの服の上からではあるが、同じように魔法使いの帽子を被りマントを羽織る。
「オレが着ると、なんというか着られるみたいで、どうも格好わりいんだけどなぁ……」
 そんな弟子を師匠は精進あるのみだと唇に笑みを浮かべ、行くわよと言うように圓太郎を促した。
 大きな焚火からある程度の距離を取った位置に円形に配置された露店は、焚火の炎と露店に吊るされたランプの灯りもあって、置かれている品がよく見えた。
「師匠、師匠、オレ欲しいものがあるんですけど」
 その声に振り向いた師匠が、軽く首を傾げる。
「ランプが欲しくて。良さそうなの、見繕ってもらえませんか?」
 少しだけ畏まったように言う弟子の曲がった帽子のつばを直してやりながら、師匠がこくりと頷いた。
 魔法アイテムの目利きは自分よりも師匠の方が何倍も上手、引き受けてくれたことに嬉しくなって飛び跳ねつつ、ランプを扱う露店へと急いだ。
「わー、色々あるなぁ……!」
 細工の美しい物から、シンプルな物まで。ランプとしての価値が高そうな物も多く、見ているだけでも目に楽しいと圓太郎が視線を彷徨わせる。そんな圓太郎にくすりと笑い、師匠がそのうちの一つを手に取った。
「これですか? 師匠」
 師匠が圓太郎に手渡したのは吊り下げ式の鳥籠のような形をしたランプ。中には紫と赤のバイカラーになった鉱石が入っていて、ランプとしては使えないようにも思える一品。それでも、師匠が選んだのであれば間違いなくマジックアイテムの一つなのだろう。
 圓太郎は迷いなくそれを買うことに決め、対価として別世界で手に入れていた金貨を店番の魔女へと渡し、無事にランプを手に入れて露店を離れた。
「師匠、師匠、これって」
 わくわくとした顔で見上げてくる弟子に笑って、そっとランプへと手を翳す。圓太郎が僅かな魔力の流れを感じると共に、ランプの中の鉱石が淡く輝いた。
 こうして、圓太郎は紛う方なき魔法使いのランプを手に入れたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜

リュカさんf02586

ハレルヤにはミステリアスな魅力がある為、魔女の帽子を被るだけで完璧です
そして気が利く私はリュカさんの帽子も用意しておきました!
ついでに大量の装飾で、油断したら頚骨もってかれる重さにしておきました
褒めて下さい
私の帽子にも何か飾ってくれました?ありがとうございます
見えませんが可愛いものだと伝わってきますよ!

よし、魔女らしく美味い物を食べますか
え、これ食べ物なんです!?
…痺れも吐き気も旨味もない…
いや美味い物を食いましょうって

記念に魔法のアイテムも買いたいですねえ
ハレルヤの笑顔という至高の価値あるものと交換できそうな品は…
これとかいいのでは!?
いいのでは?
聞いてます?
ちょっと


リュカ・エンキアンサス

晴夜お兄さんf00145と
数年前のハロウィンに来た黒フードがあるからそれで…
…(また何かすんごい帽子来たな
わかった。被る被る。お兄さん偉いね。ロックだね(棒読み
代わりに俺からはお兄さんにこれをあげよう(と、言いつつお兄さんの帽子一目見るだけで呪われそうな呪いの人形を装着しておく

そうだね
あとは美味しいもの食べて…ほらお兄さん、竜の尻尾漬けだって
食べてみて
大丈夫?痺れとか吐き気とかない?
よし
俺も食べよう
いや、何事も、チャレンジだ

記念品か。そうだね何か…
…(銃だ。銃がいっぱいある。本物?贋者でも精巧だな…もっと見たい

ああうん。そうだね、フライドポテトだね(聞いちゃいねえ
(暫くそこから離れなかった



●楽しいマーケット巡り
 ワルプルギスの夜、魔女達の宴。
「魔女の装いが必要だそうですよ、リュカさん」
 ちなみに彼、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)にはミステリアスな魅力があるので、いつもの恰好に魔女の帽子を被るだけで完璧ですと満足そうなドヤ顔をしている。それでも一応、手持ちの衣装の中でも魔女っぽさのある黒いローブに見えないこともない衣装に、腰にはランプをぶら下げて魔女っぽさをアピールしていた。
「魔女……数年前のハロウィンに着た黒フードがあるからそれで……」
 ちょっと長めのポンチョの様に着られるそれは、すっぽりと被れるフードが付いている優れもの。それで充分だろうとリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)が晴夜を見れば、にこやかな笑顔と共にどこから出したのか大きな三角帽子を取り出した。
「気が利く私はリュカさんの帽子も用意しておきました!」
 なんかすんごい帽子が来たな、と思いつつ渡された帽子を見遣る。
「リュカさんの帽子ですから特別素敵に仕立てたんですよ」
 さあ! と輝く笑顔でずいっと勧められては断るわけにもいかない。
「わかった。被る被る」
 何ともずっしりとした重さのそれをそっと頭に被り、思わずそのままの言葉がリュカの唇から零れ落ちる。
「おも……」
 それもそのはず、リュカの頭にぽんとのせられた魔女の帽子には大量の装飾で飾られていたのだから。三角部分の根元にはヤドリギを模した銀細工をぐるりと一周させ、夜空をモチーフにしたのであろう星や月の飾りがしゃらりと揺れていた。
「ええ、油断したら頚骨もってかれる重さにしておきました!」
 褒めてください! と満面の笑みを浮かべる晴夜に向かって、リュカが棒読みで褒めた。
「お兄さん偉いね。ロックだね」
「ありがとうございます!」
 褒められました、と喜ぶ晴夜にリュカも何やらごそごそと鞄に手を突っ込み、掴んだそれをリュカの魔女帽子に飾り付ける。
「代わりに俺からはお兄さんにこれをあげよう」
「リュカさんが私の帽子に何かを飾って……ありがとうございます!」
 何を飾ってくれたんですか? と問う晴夜に、魔女にぴったりな人形とだけ答えた。
「見えませんが、可愛いものだと伝わってきますよ!」
 喜ぶ晴夜の帽子に飾られた人形は、一目見ただけでヤバいなってわかるような呪いの人形だった。
 嘘は言っていない、だって魔女にはぴったりだし、可愛いか可愛くないかは主観の問題だからね、とリュカはうっかりすると頸椎がやられそうな帽子を被ってそう思った。
 魔女の恰好が整ったならば、後は祭りに参加するのみ。
「よし、まずは魔女らしく美味い物を食べますか」
「そうだね、美味しいものを食べて、マーケットを回って……」
 言いながらもリュカの目を惹いたのは見たことの無い食べ物、その名も――。
「竜の尻尾漬けだって」
「え、これも食べ物なんです!?」
 いやいや幾ら竜の尻尾なんて名前が付いていても、この世界に竜種って多分いないはずだし材料は謎だけど多分そういう名前なだけで、と晴夜が脳内で考えを纏めているとリュカが晴夜をちらっと見遣った。
「ほらお兄さん、食べてみて」
「はい喜んで!」
 身に染み付いた何かが、反射的に晴夜の口に竜の尻尾漬けを運ばせる。売っているのだから食べられないものではないだろうというのが最終的な晴夜の判断だった。
「大丈夫? 痺れとか吐き気とかない?」
「……痺れも吐き気もありませんけど」
「よし、俺も食べよう」
「……旨味もない」
 なんだろう、なんだろうこれ。例えるなら虚無だろうか。そんな事を考えているうちに、串に刺さったそれをリュカもぱくりと食べた。
「虚無では?」
 口を突いて出た言葉に、リュカが答える。
「いや、何事も、チャレンジだ」
 あ、虚無なんだなと思いつつ晴夜は美味い物を食いましょう? と、もう一回言った。
 口直しとばかりに美味しいスープとパンをいただいて、ちょっとお腹が膨れたならば何か記念になるような魔法のアイテムはないかと二人で露店をふらりと巡る。
「記念品か。そうだね、何か……」
 そう言いつつ、リュカがふらりと立ち寄ったのは銃が沢山並んでいる露店。さすがにこんな所に並んでいる銃なので、贋物ではあるのだけれどリュカの目からすれば贋物であっても精巧な作りであることは見て取れた。
「ハレルヤの笑顔という至高の価値あるものと交換できそうな品は……」
 晴夜が何か言っているけれど、銃に目を奪われているリュカには右から左だ。
「すごい……芸術性もある」
 もっと見たいと露店の端から端までを順繰りに眺め、どこかアルダワの世界を思わせる銃を手に取る。細かな彫金と、星空を思わせるラピスラズリの輝くグリップとシリンダー。それに、どことなく不思議な力を感じるような。
「これとかいいのでは!?」
 晴夜がリュカに何かを見せているけれど、彼の頭の中は美しい回転式拳銃でいっぱいだ。
「いいのでは?」
「……」
「リュカさん?」
「ああうん。そうだね、フライドポテトだね」
 晴夜の問い掛けにもとんちんかんな返事で返すほど。
「聞いてます?」
「うん、バニラシェイクにちょっとつけて食べると美味しいらしいよ」
「ちょっと」
 駄目だこれマジで全然聞いてない。
 晴夜の声が届いたのは、無意識のうちに気に入った銃を買い求めた後だったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルメリー・マレフィカールム


……楽しそうなお祭りなのに、そんなことに使われているなんて。
……悲しむ人が出ないように、頑張らなきゃ。

衣装はハロウィンの時の衣装を着ていく。魔女の仮装のはずだから、たぶん合ってると思う。
お祭りが始まったら飲み物を貰って、少しずつ飲みながら見て回る。どんな人たちが来て、どんな風にお祭りを楽しんでいるのか……そういうのを見ると、心が暖かくなるような気持ちになれる。

……だからこそ、襲撃は防ぎたいと思う。見て回る内も【走馬灯視】で[情報収集]をして、襲撃の初動に対応できるよう怪しそうな人に見当をつけておくことにする。



●ハーブティと銀のペーパーナイフ
 パチパチと弾ける焚火の音を聞きながら、ルメリー・マレフィカールム(黄泉歩き・f23530)は楽し気な声に耳を傾ける。笑い声は明るく、とてもこの後に凄惨な選別が行われるとは考えられないほど。
「……楽しそうなお祭りなのに、そんなことに使われているなんて」
 パチンと弾けた火の粉に小さく溜息をついて、悲しむ人が出ないように頑張らなくてはとルメリーが決意を秘めてアメジストのような色をしたローブの裾を翻した。
 何か飲み物をと辺りを見れば、ローズヒップティーを振舞っている魔女と目が合って、ルメリーはこれも縁かと其方へ向かう。まだ夜は少しだけ肌寒く、温かいローズヒップティーはルメリーの身体を優しく温めてくれた。
「ノンカフェインで美肌ケア効果もある……なるほど」
 仄かな酸味はあるけれど、口当たりは柔らかく飲みやすい。少しずつ飲みながら露店を見て回ると、ドライハーブが吊り下げられたハーブ専門の露店や、魔力が込められたアクセサリーの露店、アンティークの鏡を集めた露店、そのどれもが不思議な力を持っているかのように見えた。
「……本当に色々あるんだな」
 露店を楽しそうに見ている人々はマジックアイテムとして買い求め、金銭であったり等価値と思われる品物でそれらを手にしている。受け取った時の表情は皆一様に嬉しそうで、それを見ているだけでルメリーはなんだか心が温かくなるような気がして赤い瞳を柔らかく細めた。
 自分も何か、と探していると銀色に煌くペーパーナイフが見えて足を止める。
 繊細な銀細工が施されたそれは、研げば『実用』に足るであろうペーパーナイフ。聞けば純銀製で魔を祓う力があるとかないとか――。
 少し悩んで、折角だから購入することに決める。対価は金銭で支払い、ベルベットの布に仕舞われたそれを受け取った。
「思わぬ出会いがあったな」
 ああ、この村がオブリビオンに支配されているなんて。
 何も知らなければわからなかっただろう、とルメリーは軽く目を伏せる。そうして、そっと目を開けば世界はモノクロめいて風景が鈍化していく。
 まるで死の間際のように主観時間を引き延ばす、ルメリーの力。怪しまれぬように露店を楽しむ振りをして、ルメリーはその赤い瞳にモノクロの世界を映す。
 怪しい動きをしている村の住人がいないかどうか、見極める為に。
 そうして、幾人かの住人から目を離さぬように気を張りながらも、ルメリーはもう暫し祭りを楽しもうと歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鰐淵・玲士郎
【POW】絲織くん(f25783)と一緒に買い物

魔女らしい格好か。正直少し恥ずかしいな。
分かってる。これも仕事だ。マントだけで勘弁してもらえないかな?
似合う?そうかい?
絲織くんもよく似合ってるよ。とても可愛いと思う。

マーケットには色々な品があるが、うん……真贋も良し悪しも分からないな。
でも、そうだね。この魔女の軟膏を貰おうかな。
荒事がつきものの仕事だからね。僕はともかく、女性の絲織くんに傷痕が残るのはしのびない。
プレゼント交換になるけど、受け取ってもらえるかな?
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」
「アロマを使い切ってもまだ不眠が続いていたら、絲織くんのおまじないだけでもお願いできるのかな?」


松永・絲織
玲士郎(f29308)さんと参加

魔女たちのお祭り、楽しみですね
黒いローブにつば広の帽子
基本な魔女の恰好をして、いざ、です!
「玲士郎さんも魔女姿、とてもお似合いですね」
可愛いなんて言われると照れてしまいます

マーケットを見に行きましょう!
マジックアイテムが買えるなんて、とっても楽しみです

目移りしてしまいますね。玲士郎さんは何か気になるもの、ありましたか?

私はアロマオイルを買いましょう!
良い匂いでゆっくり眠れそうなものをチョイスです
記念に玲士郎さんにプレゼントですよ

「私からも安眠のおまじない、かけておきましたから」
「もう……。おまじないで良ければいつでもかけてあげますよ」

「まぁ……大切に使いますね」



●魔女の贈り物
 魔女らしい恰好を、と言われてそれらしい衣装を引っ張り出したものの、正直少し恥ずかしい。なんて思いながら、鰐淵・玲士郎(オウガブラッドの猟奇探偵・f29308)は黒いマントを羽織っていた。
「魔女達のお祭り、楽しみですね」
 玲士郎の隣で笑うのは黒いローブにつば広の帽子を被った松永・絲織(うきぐも・f25783)で、いつもとは違った装いに笑みを浮かべている。
 基本的な魔女の恰好ではあるけれど、クラウンの下端には紫いろのリボンを巻いて、結び目には蜘蛛の巣を模った銀のブローチを飾って、ちょっとしたオリジナリティを出していた。
「玲士郎さんも魔女姿、とてもお似合いですね」
「似合う? そうかい?」
 なんとかマントだけで勘弁して貰えないかとスーツの上から羽織っただけだったけれど、現代風の魔女ということで通ったようだ。
「絲織くんもよく似合ってるよ。とても可愛いと思う」
「ありがとうございます……!」
 可愛いなんて言われると照れてしまいますね、と思いつつ帽子にリボンとブローチを飾って良かったと、そっと絲織が微笑んだ。
 魔女の装いも完璧となれば、村を歩いても怪しまれないだろうと二人はワルプルギスの祭りが行われている広場へと足を運ぶ。中央で燃え盛る焚火は大きく、その周囲を踊る魔女達の声は楽し気だ。
 更にその輪からある程度の距離を取った場所に、円を描いて踊る魔女達の様に円形に並んだ露店が見えた。
「玲士郎さん、マーケットを見に行きましょう!」
 マジックアイテムが買えると聞いて楽しみにしていた絲織がパッと目を輝かせて、玲士郎に言う。
「マーケットか、勿論いいよ」
 まるで屋台の様に並ぶ露店はそれぞれが趣向を凝らしていて、雰囲気のある布地で天幕部分を覆っていたり星や月のガーランドやドライハーブを吊るしていたりと、見た目にも楽しい。
 二人で一通り回ってみようと頷いて、如何にも魔女っぽい見た目をした店番の女性がいる露店から覗くことにした。
 ドライハーブを扱う店、お香を扱う店、ランプを扱う店、アクセサリーを扱う店……どれも凝った作りをしていたり、結ぶ紐一つにも魔女らしいセンスが光っている。
「目移りしてしまいますね。玲士郎さんは何か気になるもの、ありましたか?」
「そうだな……物の真贋も良し悪しも分からないけれど」
 気になる物でいいのなら、ひとつ。
「あっちの露店にあった、魔女の軟膏を買おうかな」
「それって、アロマオイルを置いていたお店のですか?」
 多分、と頷いた玲士郎に絲織がふわりと微笑んだ。
「私、そこのアロマオイルを買おうと思っていたんです」
 確かあの辺りだったと二人で目当ての露店へと向かい、玲士郎は魔女の軟膏薬が並んだところで立ち止まり、効能が書かれたカードを眺める。絲織はアロマオイルの小棚を眺め、気になるオイルが染み込ませてあるウッドスティックの香りを嗅いだりと互いに魔女の露店を楽しんでいた。
「安眠といえばラベンダーやベルガモット……他にはオレンジスイートもでしたか」
 アロマオイルの前で絲織が悩んでいると、店番をしている魔女がブレンドもあると教えてくれる。安眠効果のあるオリジナルブレンドだと言われて手に取ったオイルから、ベルガモットにオレンジの香りがふわりと漂う。他にも幾つか他のオイルを混ぜているけれど、レシピは魔女の秘密だと教えてはもらえなかった。
「でもこれ、本当に落ち着く香りですね」
 他の物とも迷ったけれど、絲織は勧められたそれを購入することにした。
 玲士郎はといえば、魔女の軟膏薬が並ぶ中でラベンダーとティーツリーのオイルを使った傷によく効く軟膏に決め、絲織に続いて魔女から軟膏を買う。サービスだと可愛らしいラッピングをしてもらって店を離れると、絲織が玲士郎を呼び止める。
「玲士郎さん、はい」
 そう言って、先程求めたアロマオイルの包みを差し出す。
「これ、今日の記念に玲士郎さんにプレゼントですよ。私からも安眠のおまじない、かけておきましたから」
 きっとよく眠れます、と絲織が微笑む。
「……ありがとう、大事に使わせてもらうよ。その代わりって訳ではないのだけど、絲織くんにはこれを」
 プレゼント交換のようになってしまったけど、受け取って貰えるかな? と言われ、絲織がそっと包みを受け取った。
「ありがとうございます……! これは?」
「魔女の傷薬、よく効くそうだよ」
 荒事が付きものの仕事だ、男である自分はともかく女性である絲織に傷痕が残るのは忍びないと思っての玲士郎のチョイスだ。
「まぁ……大切に使いますね」
 大事そうに包みを抱え、絲織がふわりと微笑む。そんな彼女を覗き込みながら、玲士郎がアロマを片手に内緒話をするかのように囁き掛ける。
「アロマを使い切ってもまだ不眠が続いていたら、絲織くんのおまじないだけでもお願いできるのかな?」
「もう……。おまじないで良ければいつでもかけてあげますよ」
 ほんのり赤く染まった頬を手で隠し、絲織がこくりと頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アメリア・ツァオ
魔女の集まりか……ドレスを着てダンスに加わるかな。
女性の格好をするのは久しぶりだが、魔女というのもまたよきかな。
かがり火の回りを回りながら、炎を眺めているのも悪くはないな。
料理や魔女たちのマーケットも気になるが、楽しく踊らせてもらおう。

そして、踊っている人たちを被写体にパシャリと。
燃え上がる炎も写しながら、祭りの様子をカメラで撮影していくよ。
なんかおかしいところがあれば、そこもしっかり撮らせてもらおう。

それにしても、魔女の祭りとはこんなに楽しいものなのか。
何か怪しい予感がするのは、気のせいだろうか……。
楽しみつつも、警戒は怠らないつもりだよ。



●その瞬間を切り取って
 流れる音楽はケルト民謡を思わせる、どこか異国の音色。
 爆ぜる火の粉は夜空に散って、大きな焚火を囲む人々がマントやドレスの裾を翻して楽し気に踊っているのが見えた。
「魔女の集まりか……」
 魔女っぽい恰好がドレスコードか、とアメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・f09854)が唇の端を持ち上げる。
「ならば、ここは魔女のドレスを纏うのがマナーというものだな」
 普段は男装を好むアメリアだが、今日ばかりは女性の恰好をするのも悪くはないと、魔女が纏う様な宵闇色の身体のラインに沿ったドレスを着て、己の瞳と同じ色をした青いリボンを巻いた三角帽子を被っていた。
「魔女というのも、またよきかな」
 篝火の周囲で踊る人々の輪に入り、見様見真似ではあるが他の魔女達の真似をして踊る。その足取りに規則性はなく、それぞれが思い思いに踊っているのだろう。上がる声は弾んでいて、祭を楽しんでいるのが窺えた。
「炎を眺めて踊るのも悪くはないな」
 緩やかな輪の流れの中、アメリアは篝火の炎が燃える音と異国の音色に身を任せてステップを踏む。軽やかな動きは美しく、時折響く手拍子にのってターンを決める。
「ふふ、ああ、これは楽しいな」
 料理や魔女達のマーケットも気になるけれど、今はこうやって身体を動かしているのが何よりも楽しかった。
 少し踊り疲れると、アメリアは緩やかに身体を揺らしながら手にしたカメラで祭りの様子を写す。楽し気に踊る魔女達を、燃え盛る炎を、そして祭りで楽しむ人々の中に怪しい動きがないかを探る様にカメラのシャッターを切った。
 おかしい、と思うところは見当たらなかったけれど、写真を撮るのは純粋に楽しくてアメリアは笑顔を向けて手を振る魔女達に手を振り返しながら、その姿をカメラに収めていく。
 一通り撮り尽くすと、喉の渇きを覚えて踊る輪の中から外れ、無料で配っている飲み物を受け取った。
 それは疲れた身体にぴったりのアイスレモネードで、レモンの酸味と蜂蜜の甘さが疲労感を吹き飛ばしてくれる気がして小さなカップに注がれたそれをアメリアが飲み干していく。
「ありがとう、美味しかったよ」
 礼を言って、また祭りを楽しむように歩き出す。
「それにしても、魔女の祭りとはこんなに楽しいものなのか」
 非日常感と、どこか特別な密やかさを感じる祭り。けれど、アメリアはそれがどこか怪しいと感じ取っていた。
「気のせいだろうか……」
 そう思いたい気持ちはあれど、猟兵としての自分の勘は疑うべきではない。
 アメリアはこの祭りを楽しみつつも、警戒を怠らないようにしようと改めて心に決めて、篝火を見つめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【SPD】
いつもの装いの上から黒のローブマントを羽織って潜入する
それ以外は特にそれらしい格好はしない
武器は"らしくない"ので所持していない

飲食物等もらえるものは受け取り、口にする
(前はこれが罠だったりしたけど、そういうのは無いらしいしね)

マーケットの薬品系のアイテムに興味を示すふりをして情報を収集する
表向きは肯定的に反応する一方で、UCを応用し分析する

魔女らしさを指摘されたら、俗世への溶けやすさを理由に誤魔化す
「魔女らしくないってことは、一般人からは分からないということよ。」
(絡み、アドリブ歓迎です。)



●魔女らしさ
 魔女っぽい恰好で、と聞いて片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は少し悩んでから、結局いつもの装いの上から黒いローブマントを羽織ることにした。
「武器はらしくないから、手にするのはやめて……」
 日本刀と銃、どちらも魔女とは言えないだろうと公明は思う。けれど、丸腰というのも心許ないのでローブの中へ上手く隠して持ち込むことに決めた。
 魔女の帽子も考えたけれど、フードを被れば充分だろうと他にそれらしい恰好も小道具を持つようなことはせず、いっそ清々しいくらい身軽な装いでワルプルギスの夜へを足を踏み入れる。
 黒いローブだけでもそれらしく見えたようで、心配していたようなことはなくすんなりと村に入りこめて、公明はそっと安堵の息をつく。
「それにしても……本当に魔女達の宴みたいね」
 いや、きっと楽しんでいる者達は自分達を魔女と信じているのだろう、そして真実魔女である者も、きっといるのだ。
「……良い匂い」
 思わずふらりと匂いの元を辿れば、魔女の衣装に身を包んだ村の者達が大釜でくつくつと何やら煮込んでいるのが見える。怪しい薬か何かかと警戒したのも束の間、それは皆に振舞われているミネストローネのスープだと知れた。
 少しの間様子を窺っていると、村に住む者にも祭りに訪れた者にも分け隔てなく配っているのがわかる。そこには何か区別があるわけでもなく、至って普通のスープを配っているようだった。
「前はこれが罠だったりしたけど、そういうのは無いみたいね」
 そうとなれば美味しそうなスープを頂くのは吝かではないと、公明がスープの列に並んで笑みを零した。
 スープの入ったカップをちびりちびりと傾けて、パンは如何という声に耳を傾ける。ふわっふわのチーズ入りの丸パンを受け取ってスープと一緒に楽しめば、それだけでここへ来た甲斐があったと思うほど。
 ぺろりと食べ切った後は、ゴミを捨ててからマーケットへと足を運ぶ。害のなさそうなランプや魔女の杖、アクセサリーなどのアイテムはさておき、薬品系のアイテムを扱う露店を重点的にチェックする。
 時にアイテムの効能を聞き、どのような場合に用いるのかと熱心に聞きつつも公明はそっと力を解放し、相手の挙動におかしなところはないかと分析していた。
 時折、人ではないような冷たい目をオブラートに包んだような気配を感じたりもしたけれど、気付かない振りをしては魔女の話に相槌を打つ。無難なアロマを買い求め、次の露店へ向かう。
 無害な祭ではあるけれど、人ではないものが紛れ込んでいるのは確かだと公明は広場の中央で燃え盛る大きな炎を見つめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメロア・エフェトゥラ
【数奇2】◎
ワルプルギスの夜と言えば魔女達の集い。そして魔女と言えば偉大なる魔女の息子である俺だ!
まぁ、そんな訳で祭りには違和感なく参加できるだろう。服装もいつものままでいい。むしろそれがらしいと思うからな。魔女が集うならお母様も…いや、なんでもない。

魔法のアイテムか沢山あるな。あぁ、これは家にもあったな。こっちのこれは…魔力を感じられない…これではただのガラクタだ。なんだ?事実を言ったまでだろう。それともお前はそんなこともわからないと?
(雪蘭に仲裁にされてしぶしぶ謝り)

なんで俺が謝らなければならないんだ?本当の事を言っただけだぞ…ん、パン?…食べる
(もぐもぐしているうちに眉間の皺はなくなり)


麟・雪蘭
【数奇】◎
魔女の格好
偉大なる魔女の服の一つ拝借

久しぶりにこの衣に袖を通しましたわ
ロア様は何時も通り素敵ですよぉ
妾が仕立てた物ですもの(満足げ
…偉大なる魔女様もお喜びでしょう

小物や魔法アイテム眺め宴楽しむ

あらあらご主人ったら
正しい事が全て正解とは限らなくてよ?
さぁさ、此方へ

笑顔で二人の間に割って入り仲裁
取引先には丁重に自分が謝罪
事を荒げる前に場を離れ

ええ
よくぞ見破りましたねぇ
けれど現世には人々の心を華やかにし魅せるまやかしも必要なのです

良い子、と頭撫で宥める

彼方から良い香りが
パンがありますよ
頂きましょうか

幾つかパンを取り主人へ渡す
機嫌が治ったのなら安堵

このサンドイッチ、美味ですわ
趣向凝らした味で



●偉大なる魔女の名のもとに
 ワルプルギスの夜といえば、魔女達の集いであるとエメロア・エフェトゥラ(偉大なる魔女の息子・f31575)は夜の気配に笑みを浮かべながら思う。
「そして魔女といえば偉大なる魔女の息子である俺だ!」
 間違いなく参加権がある、と主張するエメロアに麟・雪蘭(表と裏・f31577)がそうでございますねぇ、と慈愛に満ちた表情で頷いた。
「お召し物は如何なさいますかぁ?」
「服装はいつものままでいい」
 寧ろそれが自分という存在を魔女たらしめるのだと、エメロアが胸を張る。
「ええ、ええ、何時も通りのお姿が素敵ですよぉ。妾が仕立てた物ですもの」
 そう言って、雪蘭は妾も着替えて参りますねぇと奥へ引っ込んだ。
 引っ込んだ先は偉大なる魔女の衣裳部屋、確かあの辺りに……と雪蘭が手を伸ばせば久しぶりに見る衣が一着。手早く着替え、鏡のその身を映す。
「久しぶりにこの衣に袖を通しましたわ」
 ふ、と何とも言えぬ笑みを浮かべてからエメロアの元に戻り、お待たせしましたと頭を下げた。
「いや、大丈夫だ。おかしなところはないか?」
 襟は曲がっていないか、ブローチは歪んでいないかとエメロアが言えば、雪蘭が大丈夫ですよぉと自信を持って頷いた。
「魔女が集うならお母様も……いや、なんでもない」
「……偉大なる魔女様もお喜びでしょう」
「うん、そうだな」
 きっとそうだ、と笑みを浮かべたエメロアを連れ、雪蘭はワルプルギスの夜へと主をエスコートする。
 到着した村は確かに規模の小さなものではあったけれど、祭は思っていたよりも賑わっていて広場もそれなりの面積があった。中央では大きな篝火が焚かれ、パチパチと爆ぜる火の粉と人々の笑い声、炎を囲んで踊る魔女の姿があった。
 きょろきょろと辺りを見回し、求める顔がないかと思うけれどエメロアはそれを早々に諦める。それらしい人が見えなかったからだ。だから、気持ちを切り替えて魔法のアイテムを扱うというマーケットの方へ足を向けることにした。
「何があるか楽しみだな」
「そうですねぇ、玉石混合でしょうけれど、掘り出し物があるかもしれませんねぇ」
 露店を巡り、ハーブにアロマといった魔女の基本的なアイテムを眺め、二人で眺めて歩く。
「あの店」
「はい」
「魔法のアイテムが沢山あるな」
 行こう、というエメロアに従って、雪蘭がその少し後ろを歩く。魔法のアイテムを扱うというその露店は、テントの中にロの字型に机を並べ広く見られるように様々なアイテムが飾られていた。
「あぁ、これは家にもあったな」
「本当ですねぇ、こちらでも見られるなんて」
 案外本物の魔女がいるのかもしれませんねぇ、と口には出さずに雪蘭は思う。魔力こそ感じられない物もあるが、魔力を込めれば使えそうな物もちらほらと見受けられる。
「こっちのこれは……魔力を感じられない」
 むぅ、と顔を顰めたエメロアが溜息交じりに続ける。
「これではただのガラクタだ」
 そう言った瞬間に、店番の魔女がエメロアに抗議をするように詰め寄った。
「なんだ? 事実を言ったまでだろう」
 それともなんだ、とエメロアが魔女の瞳を真っ直ぐに射抜く。
「お前はそんなこともわからないと?」
 ふん、と鼻を鳴らせば今度こそ営業妨害だと魔女が目を吊り上げた。
「あらあら、ご主人ったら」
 仕方のない人ですねぇ、と雪蘭が笑みを浮かべてエメロアと魔女の間に割って入る。
「しかし雪蘭」
「正しいことが全て正解とは限らなくてよ? さぁさ、此方へ」
 そっとエメロアを机の傍から引き離し、雪蘭がそうですわねぇ、大変申し訳なかったですわ、と魔女に謝罪の言葉を述べた。
 勿論それだけではなく、此方のお品は素晴らしいですわ、どこで買い付けに? などと巧みに話題を逸らし、最終的には魔力こそないけれど自分の魔力を注ぎ使うには丁度いい品を買い求めて魔女の機嫌を治めた。
 その鮮やかな手腕に、エメロアも店を離れる時にはすまなかったと渋々ながらも謝り、良い子と雪蘭に頭を撫でられる。
「しかし、なんで俺が謝らなければならないんだ? 本当のことを言っただけだぞ」
 まだ納得がいかないエメロアは軽く唇を尖らせて、雪蘭だけに届く声でこそりと言う。
「ええ、よくぞ見破りましたねぇ。ご主人の真贋を見極める目は本物でございますよぉ。けれど、現世には人々の心を華やかにし魅せるまやかしも必要なのです」
「……そういうものか」
「はい、そういうものです。あら、良い香りがしますねぇ」
 パンがありますよ、と雪蘭が笑う。
「……ん、パン?」
「頂きましょうか?」
「……食べる」
 幾つかあるパンの中でも美味しそうな物をチョイスして、雪蘭がエメロアへと渡す。
 チョコレートとイチジクが入った硬めの食べ応えのあるパンに、ふんわりもちもちの白い丸パン、そしてたっぷりの人参とツナのサラダが挟まれたサンドイッチ。
「これは美味しいな」
 一口食べてパッと顔を輝かせたエメロアが美味しそうにパンを食んでいるのを見て、エメロアもキャロットツナサンドを齧る。
「このサンドイッチ、美味ですわ。レモンとハーブがよく合った趣向を凝らした味で……」
 美味しい、と食べるうちにエメロアの眉間の皺もすっかり消えていて、雪蘭は安堵したように微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
【焼野原】

菊花ちゃんの魔女っ子な格好可愛かった~
ワルプルギスの夜を楽しみに来たよ
魔女帽子に星屑の意匠を凝らしたローブ
普段は懐に居るヘクセちゃんを首輪に絡めさせ
そこそこ魔女っぽくない?

踊るのも良いけど歌うのも良いな
おいしそうな匂いにも誘われて
良い匂いだけど紫色なスープと白パンをもらう

―わ、あぶない
よそ見しながら歩いてたらぶつかる
スープ零れちゃうところだった
だいじょうぶ?…って、おまえは―

いつもの笑顔が失せて
付けそびれてたアイマスクを着ける
カミサマ違いだよ
奇遇だねぇ今日の私も寛大だから
こんな素敵な祭りの夜だもの
口をさっき貰ったパンで塞ぐだけにしておいてあげる
スープぶっかけないだけ有難いと思ってよね


ヴィズ・フレアイデア
【焼野原】
ワルプルギスだ!大篝火の夜だ!
煤けた黒のローブに、ドライフラワーを飾った魔女帽子をかぶって
出発だ! さあて、どんな魔女がいるかなあ!

……と思ったのだけど。
なあんだ、偽物ばかりじゃ……おっと!
すまぬ、ぼんやりして歩い、て……おお!お前はカミサマ!
なんでこんなところにいるんだ?遊びにきたのか?其れとも生贄に?
なんてね、ははは!
ここで名も知らぬお前に会えるとは思わなかった、今日のヴィズちゃんは寛大だからな、生きて今日という日を楽し、もがが
――こら! 許可もなく人の口にパンを突っ込むでない!



●魔法の夜に出会う縁
 ワルプルギスだ、とヴィズ・フレアイデア(棺を創ろう・f28146)の心は炎を燃え上がらせたかのように浮足立つ。
「大篝火の夜だ!」
 ああ、今度は口に出てしまったかとヴィズが笑う。
 だって仕方ない、ワルプルギスの夜と聞いて心が躍らない魔女がいるだろうか? いるかもしれないけれど、あたしの心は踊るんだ、と彼女は中世風のドレスの上に羽織る為の煤けた黒のローブを引っ張り出して、魔女の帽子にはドライフラワーを飾って夜を待った。
 転送ゲートから送り出された村の規模は大した大きさではないけれど、魔女の隠れ里なのであれば妥当な大きさだと頷く。
「さあて、どんな魔女がいるかなあ!」
 意気揚々と大篝火を目指して歩く、舞い踊る大きな炎と夜空へ吸い込まれるように飛んでいく火の粉が綺麗で、ヴィズはローブの裾を楽し気に揺らす。
 軽いステップを踏みながら、輪の中へ足を踏み入れた。

「ふふ、菊花ちゃんの魔女っ子な恰好可愛かった~」
 手巻き寿司を一緒に食べた仲でもある少女の魔女っ子姿を思い浮かべつつ、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)が村の入り口で立ち止まる。
「この格好、そこそこ魔女っぽくない?」
 星屑の衣装を凝らしたローブに、魔女の三角帽子には紫色のリボンを巻いて。普段は懐にいる翼が生えた夜色の蛇のような精霊を首輪に絡めさせてロキが笑う。うん、魔女っぽいよねと楽しそうに頷いて笑い声が聞こえる方へと歩き出した。
 小さな村の、大きな祭。村と言うよりは隠れ里のようだと思いながら赤く天へ向かって燃える炎を眺める。聞こえてくるのはどこかで聞いた事があるような、ないような音楽。歌う声は夜空に響き、踊る輪は大きくなったり小さくなったりしていた。
「踊るのも良いけど、歌うのも良いな」
 気持ち良さそうだよね、と人々が笑うのに合わせて笑い、聞こえてくる歌声に小さく己の声を乗せる。満足するまで炎を眺めて歌を口遊んでいると、どこからともなく美味しそうな匂いがしてきて、ふらりと歩き出した。
「わ、魔女の大釜」
 幾つか並んだ大釜の中からどれにしようか悩んで紫色のスープを選び、ふわふわの白パンを貰う。紫色のスープは紫キャベツのポタージュスープでほんのりとした甘みのある美味しいスープだ。
 ふうふう冷ましながら、カップを片手にロキが歩きだした。

 思う存分踊って満足はしたのだけれど、ヴィズは唇を尖らせて踊りの輪の中から離れる。
「なあんだ、贋物ばかりじゃないか」
 本物の魔女はいないのか、とぼんやりとマーケットの方へ視線をやった瞬間。
「わ、」
「おっと!」
 魔女の恰好をした誰かとぶつかりそうになって、ヴィズも誰かも同じタイミングで身体を引いた。
「すまぬ、ぼんやりして歩い、て……」
「だいじょうぶ?」
 よそ見しながら歩いてたらぶつかるよね、スープ零れちゃうところだった、なんてロキが顔を上げて。ぽかんと口を開けたヴィズと目が合った。
「おまえは――」
 いつもの笑顔がすっと消え失せて、ロキが付けそびれていたアイマスクを付ける。
「おお! お前はカミサマ!」
 ロキとは正反対にヴィズの瞳はキラッキラに輝いて、なんだなんだとロキに顔を近付けた。
「カミサマ違いだよ」
「ははは! あたしが見間違えるはずがないだろう! なんでこんなところにいるんだ? 遊びにきたのか? 其れとも生贄に?」
 なんてね、とヴィズが楽し気に笑えば笑うほど、ロキの顔から感情が抜け落ちていく。
「ここで名も知らぬお前に会えるとは思わなかった、今日のヴィズちゃんは寛大だからな、生きて今日という日を楽し、もがが」
「奇遇だねぇ、今日の私も寛大だから」
 ああ、そう。こんな素敵な夜だもの。
 うっそりと笑ってロキが手に持っていたパンをヴィズの口へと突っ込んだ。
「口をさっき貰ったパンで塞ぐだけにしておいてあげる」
「むぐぐ、もぐ、ん、これ美味いなって違う、そうじゃない! こら!」
 しっかりとパンの味を楽しんだヴィズが、ロキへと抗議を申し立てる。
「なに?」
「許可もなく人の口にパンを突っ込むでない!」
「スープぶっかけないだけ有難いと思ってよね」
 はぁ、もう一回パンもらってこよう、とロキがヴィズに背を向けてパンを配っている露店へと向かう。
「待て待て、ここであたしに会ったのも何かの縁だぞ?」
「そんな縁いらないからね」
 何で付いてくるんだろう、という態度を隠しもせずにロキがもう一度パンを貰う。スープを飲みつつパンを齧り、どうやったらヴィズを撒けるのかなぁ、と考えてパンを飲み込むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
バレッタ(f11818)と ◎

フード付きの黒い外套、角やベルト等に装飾を施し呪術士の姿に
ヘキサドラゴンのモモを使い魔の体でバレッタの頭か肩あたりにのせようか

まずは食料調達がてらマーケットを見て回ろう
目に留まったのはお呪い程度の魔法が付与された大きめのリボン
迷子防止の目印に購入しバレッタへ手渡そう
自分もと騒ぎそうなモモにも同色柄を首周りに結ぶ
頭を気にするバレッタにひとこと
変じゃない、似合っているよ

席についたら世間話をしつつ祭りを楽しむ
バレッタはうまそうに食べるな
つい自分の手元にあるものを彼女の皿へのせてしまう

ああ、ありが……何だこの形
よくこれを食べようと思ったな

誰かと一緒に食べる飯はいいもんだ


バレッタ・カノン
相馬 (f23529) と ◎

黒マントをローブのように着て箒を持てば絵本の魔女の出来上がり
魔法に魔女に珍品揃いでどの店も面白そうだ
目移りしてあちこち行きたくなってしまう

相馬が迷子防止にリボンをくれた。リボンを頭に結うのは慣れていない
変になっていないだろか
ちょっと照れる
相馬は背が高いしモモがいるから迷子になってもすぐ合流できそうだが
一応相馬の裾を掴んでおこう

さて戦場だ
皿いっぱいのパンを確保。よく知らないパンも全部堪能するぞ
食べ放題、最ッ高だな…

相馬がサンドイッチを取り分けてくれる。今日はもらってばかりだ
気の利くものはないし今日イチうまかった奇妙な形のパンを山盛り共有だ

なんだか楽しい。幸せな気分だ



●絵本の魔女と、呪術師と
 魔女達が集う夜だと言うからには、魔女らしい恰好をしなくてはならない。
 そう聞いて、鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)はフード付きの黒い外套を纏い、角やベルトにそれらしい細かな装飾を施して、魔女というよりは呪術師のような姿で立っていた。
「格好良いな」
 共にやって来たバレッタ・カノン(バレットガール・f11818)が相馬の姿を上から下まで見て、感心したように言葉を零す。そんな彼女はいつもの恰好に近いけれど、黒マントをローブの様に着て魔女が持つような箒を持っていた。
「そうか? ありがとうな。バレッタも魔女らしいと思う」
 まるで絵本の中から抜け出してきたかのようなバレッタを見て、相馬が礼を言いつつヘキサドラゴンである黒竜のモモを鞄から呼び出し、バレッタの肩へ乗せる。
「こいつを使い魔っぽく乗せておけば、更にそれっぽいんじゃないか?」
 なるほど! という顔をして、バレッタが肩に乗ったモモを見遣る。
「よろしくな、モモ」
 きゅ、と鳴いたモモの頭を相馬が撫で、準備は万端だと互いに頷き合う。
「まずは食料調達がてらマーケットを見て回ろうか」
「ああ、魔法に魔女に珍品揃いでどの店も面白そうだ」
 ワルプルギスの夜、魔女達のマーケット、秘密めいた夜の始まりだ。
 連れだって歩けば、すぐに大きな焚火の周囲に円形に配置された露店に行き当たる。ハーブを扱う店に、アロマオイル、ポプリ、それから細工も美しいランプにアクセサリー、どれも普段あまり見る機会がないせいか、あちらこちらに目移りしてしまうほど。
「ん」
 ふっと相馬の目を引いたのは赤い大きなリボンで、精細な刺繍の入ったリボンの結び目には月と星の小さな飾りが付いていた。仄かな魔法の気配を感じて手に取れば、それは目の前の少女に似合う気がして相馬が小さく笑みを浮かべ、モモの分も揃いで買うかと同じ色と柄のリボンを購入する。
「バレッタ」
「どうした?」
 ちょい、と手で呼ばれたので素直に相馬の前にバレッタが立つ。
「これ、迷子防止だ」
「リボン? くれるのか?」
 ああ、と頷いた相馬に驚いたように頷いて、バレッタがリボンを受け取る。慣れぬ手付きでリボンを頭に結うと、同じように慣れぬ手付きでモモの首にリボンを結んでいる相馬を見遣った。
「変になってないだろうか」
「変じゃない、似合っているよ」
 気になって髪を弄るバレッタに、相馬が笑って頷く。
「そうか? その、ありがとう」
 照れたように笑うと、モモが自分も似合っている! と言うようにキュイ、と鳴いた。
「そうだな、モモも似合ってるぞ」
 モモの頭を撫でた相馬がもう少しだけ待ってくれ、と断って露店の端に置かれた小さめの丸いブローチを手に取る。金色のそれは中央に群青色の石が嵌まっていて、きっと紺青色のシックなリボンに似合うだろう。
「買っていくか」
 小さく呟いてブローチを買うと大事そうに鞄のポケットへと仕舞う、ブローチの行く先はきっとお土産は? とそわそわしているであろう彼女。
「待たせたな、他の店も見ようか」
「大丈夫だ、待っていない。あの店が気になるんだが」
 バレッタの指さした方に向かって歩き出すと、迷子防止だとバレッタが相馬の服の裾を掴む。
「相馬は背が高いしモモがいるから迷子になってもすぐ合流できそうだが、念の為」
 うっかりはぐれたら恥ずかしいしな、と相馬が笑った。
 あちこち見て回って一周を終える頃に辿り着いたのは魔女の大釜でくつくつと煮られている幾つかのスープと、籠に盛られた山盛りのパンや並べられたサンドイッチ。
「相馬」
「ああ」
「戦場だ」
「望むところだ」
 今回のメインと言っても過言ではないのだ、二人がおもむろに視線を交わし、頷き合う。互いに皿にいっぱいのパンを確保し、スープを受け取って休憩所になっているテーブルの一つを陣取った。
「うまそうだな」
「食べ放題、最ッ高だな……」
 よく知らないパンも、不味い物はないだろうという直感によってバレッタの皿に載せられている。いただきます、と言うとさっそくとばかりにパンに手を伸ばした。
 オーソドックスな白い丸パン、カリっと揚げられたハーブの入ったカレーパン、サイコロ状のチーズがたっぷり入ったフランスパンのような硬さの丸型パン、ああどれも本当に美味しいと満面の笑みを浮かべてバレッタが口へと運ぶ。
「バレッタは本当にうまそうに食べるな」
 いい食べっぷりだ、と相馬が自分の手元にあったレタスとハムがたっぷりサンドされたサンドイッチを載せる。
「なんだか今日はもらってばかりだ」
「気にするな」
 むう、と唸りながらも食べたサンドイッチは美味しくて、そうだとバレッタが手元の山盛りに持ったパンの皿の一つを相馬の方へとずらす。
「これはわたしが食べた中で今日イチうまかったパンだ。相馬にも食べて欲しい」
「ああ、ありが……何だこの形。よくこれを食べようと思ったな」
「奇妙だが味は抜群なんだ」
 さあ、と言われてしまっては食べないわけにはいかない。覚悟を決めて奇妙な形のパンへ手を伸ばし、一口。
「……うまいな」
 見た目は相当にアレだが、味は抜群に美味い。
 なるほど、と頷いた相馬にバレッタが満足そうに笑う。
「なんだか楽しい」
 これが幸せな気分というのだろうか。
「誰かと一緒に食べる飯はいいもんだからな」
 そうか、誰かと共に食べているからか。
 誰かと一緒の食事を楽しむ為に、バレッタが再び奇妙な形のパンに手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ


魔女さん達のお祭り楽しそうです♪
わたしは―このままの格好でも大丈夫かな?
普通に楽しんでもよさそうですが、いろんな方と交流してみたい気もしますね…少し緊張しますが話しかけてみましょうか?(何かオブリビオンの情報が得られるでしょうか?)
(あわよくば、今はどこにいるか分からない、お師匠様の情報とか手に入らないかな?)
あと、時間に余裕があれば音楽とかも楽しめたらいいかもしれませんね。

わあ!本当に魔女や魔法使いの格好をした方がたくさん!
学園でもこんな数は見かけたことないからなんか嬉しいです!
どんなお話が聞けるか楽しみです!



●ウィッチ・コミュニケーション
 聞こえてくるのは異国情緒溢れる音楽と歌声、それから楽しそうな人たちのさざめき。
「わあ……! 魔女さん達のお祭り、とっても楽しそうです♪」
 爆ぜる火の粉を青い瞳に映し、ルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)が声を弾ませた。
「魔女の恰好……わたしはこのままの恰好でも大丈夫かな」
 白い猫耳の付いたフードに、首元を飾る大きな青いリボン。スカートはパニエで膨らませ、ふんわりしたシルエット。手には星の付いた杖、白き魔女。
 周囲を見渡せば黒い衣装の者が多かったけれど、他にも赤や緑の衣装も見えて白くても何も問題はなさそうだ。
 ほっと安堵したような息を零して、ルナがマーケットや配られているスープやパンに視線をあちこちと迷わせる。
「ふふ、本当に魔女や魔法使いの格好をした方がたくさん! 学園でもこんな数は見かけたことないからなんか嬉しいです!」
 多くの魔女がマーケットの品を求めて露店を巡り、スープやパンを楽しんでいるのが見えた。
「普通に楽しんでも良さそうですが、いろんな方と交流してみたい気もしますね……」
 どうしましょうか、と考えつつも良い匂いのするスープの誘惑には抗えずに魔女の大釜でぽこりと泡を立てる緑色のスープを受け取った。
 何味だろうか、とドキドキしながらふうふうと冷まし、カップに唇を付ける。
「ん! 枝豆のスープです!」
 美味しい、と唇を綻ばせ、さっきよりもリラックスして辺りを見回し、楽しそうに談笑をしている魔女達に向かって、ちょっとの勇気を振り絞って声を掛けた。
「こんばんは、良い夜ですね」
 魔女達は小さな可愛らしい魔女を話の輪に入れてくれ、パンをお食べ、お菓子をお食べと持て成される。
「あの、少し尋ねたいのですが」
 こういう特徴の人を御存じないですか、とダメ元で問い掛けるとどの魔女も知らないねぇ、と首を横に振った。
「そうですか……いえ、ありがとうございました!」
 ぺこんとお辞儀をしてお礼を言うと、ルナがまた違う魔女の集まりに声を掛ける。お師匠様の情報は生憎と手には入らなかったけれど、ハーブやアロマの話や良く効く傷薬の作り方の話が聞けた。
 それはルナの知っていることから知らないことまでと幅広く、きっと本物の魔女が混じっているのだとルナは心をときめかせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜

桜咲くいつもの魔女スタイルと杖を手に持ちのんびり散策

わあ!すごいすごいっ何処を見渡しても魔女がいっぱい!
魔女が営むお店!
このランプは精霊の力が宿っているの?
こっちの魔導書も見たことないっ!
魔女さんが調合したお茶?わああっすごい!
ううっ全部ほしいよぉ

例え本物であろうと偽物でも
小さな頃から憧れていた魔女が集う場所に目を輝かせ
触れても良いか聞きながら楽しそうに見渡す

あれ、こっちの石はルーンが刻まれているんだね
持ち主を護る願いが込められてる
きれいな翠色。こっちの色も吸い込まれちゃいそう
澄んだ天色の石だ

どれも欲しいけど悩んで手にしたのは天色の石
大切でいつも守ってくれるいとしい彩なの
ふふ、だいすきなんだ



●憧れを胸に
 魔女だって女の子だもの、身嗜みは大事だと荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)はいつもの桜が咲き誇る魔女の帽子に乱れがないかチェックする。うん、どこもおかしくないと黒いケープに白いブラウス、レースの翻るスカートに身を包んで桜色のリボンを結んだ杖を持ち、いざワルプルギスの夜へ! と、足取りも軽くゲートを通り抜けた。
「わあ! すごいすごいっ何処を見渡しても魔女がいっぱい!」
 この村の魔女達、それからワルプルギスの夜に参加する為にこの村を訪れた者達。見渡す限り魔女、女性の方が多いけれど男性の魔女もいるのが見えた。
 燃え上がる大きな炎、それに照らされて踊る人々、炎を中心として円形に並ぶ露店の数々。そのどれもが志桜の心を浮き立たせる。
「魔女が営むお店……!」
 ぐるっと一周して見るしかないと、志桜が特に目を引いたランプが吊り下げられた露店へと近寄った。
「このランプは精霊の力が宿っているの?」
 美しい鉱石が閉じ込められたランプや、星の形をした吊り下げランプ、魔女の杖の先に取り付けられるような小さなランプ、どれも素敵で志桜は目を瞬かせて露店を歩く。
「こっちのお店は魔導書専門店? こっちのも、そっちの魔導書も見たことないっ!」
 見たことの無い魔導書は異国語で書かれており、読むのには時間が掛かりそうな雰囲気。お店の魔女が言うには、波長が合えば読めるようになる、とのこと。
「いつかわたしにも読める日がくるかな……!」
 そっと表紙を撫でて、次は何のお店かしらと志桜が移動した先は、魔女のオリジナルハーブティーのお店。
「魔女さんが調合したお茶? わああっすごい!」
 オリジナルブレンドから、一般的なハーブティーまでと幅広い。ポプリもあって、手に取ればふわりと香る優しい匂い。一通り巡って、志桜が思わず言葉を零す。
「ううっ全部ほしいよぉ」
 これが例え本物であっても、偽物であっても、幼い頃から憧れていた魔女が集う祭りなのだ。
 ああ、やっぱり何か一つだけでも買って帰りたいと志桜がもう一度露店を見渡す。
「あれ、あの石……」
 志桜の目を惹いたのは、ルーンが刻まれた石。
 持ち主を護る願いが込められた、本物のマジックアイテムだ。
「きれいな翠色……こっちの色も吸い込まれちゃいそう」
 手にしたのは済んだ天色の石。
 どれも欲しい物ばかりだけれど、志桜が悩んで手にしたのは天色の石。
 志桜にとっては大切でいつも守ってくれるいとしい彩――。
「ふふ」
 だいすきなんだ、と囁くように言うと、天色の石に微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニーナ・アーベントロート
義弟のロラン(f04258)と
先導しつつ、ついて来てるかどうか時々振り返りながら人混みを縫う
…大丈夫だよロラン、ゆっくりいこ
置いてったりしないよ

ほんと、魔力の気配がする
きらきら不思議な輝き纏う小瓶が並ぶ露天の前
不思議な甘い香りに足を止め
吸い寄せられる様に手に取ったのは
仄かに虹の輝き帯びる夜色の小瓶
澄んだ香りなのにミステリアスで忘れ難くて、気に入っちゃった
ロランもこの匂い、好き?
香水は人の記憶に魔法をかけるんだよ
迷いなくお買い上げ宣言して
渡す対価は魔鉱石
込めた魔力によって、色が変わるんだ

ロランが買った羽ペンも素敵だね
さすがあたしの弟、お目が高い!
歩き疲れたら、スープとパンでひと休みしよーね


ロラン・ヒュッテンブレナー
おねえちゃん(f03448)と一緒なの

人ごみに酔いそうになりながら必死で着いていくね
目の前が、人ばっかりなの…
ま、待って、おねえちゃん!

魔力の気配…
おねえちゃん、あっちなの
お店を見る時は、開けててホッとするの
くんくん、へぇ、匂いを付けるお薬なんだね
瓶も凝っててきれいなの
うん、おねえちゃんに合うと思うの

わぁ、少し魔力を帯びた小物がいっぱい
この羽根ペン、小さくて軽くて、魔力でインクが出てくるから便利そうなの
これ、ください
支払いは、ぼくの魔力を結晶化した魔晶石なの
加工次第で、色んなことができるよ

髪留め?
ん、見にいこ
※お腹が小さく鳴る
あ、そうだね、一休みしたいな
※手を差し出して今度は自分が先導しようと



●魔女と子狼の夜祭
 魔女の三角帽子とローブを纏ったニーナ・アーベントロート(赫の女王・f03448)が先導するように前を歩き、時折振り返りながら義弟であるロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が付いてくるのを確認する。
 魔女達の宴、ワルプルギスの夜。小さい村とはいえ祭を楽しむ者は多くそれなりの賑わいで、思っていたよりも多い人々――魔女達、というべきだろうか。魔女達に酔いそうになりながら、ロランは必死にニーナの背中を追い掛けた。
「ま、待って、おねえちゃん!」
 一瞬ニーナの背中が見えなくなり、自分が魔女に囲まれたように思えてロランが声を上げる。その声に振り向いて立ち止まったニーナは、焦ったような顔をしたロランを落ち着かせるように優しい声を紡ぐ。
「……大丈夫だよロラン、ほら、ゆっくりいこ」
 置いてったりしないよ、と微笑んだニーナに安心したようにロランが微笑んだ。
「ほら」
 差し出された手は自分よりも幾分か大きな人間の手、己のふわもこで鋭い爪のある手を躊躇いがちに差し出された手へと重ねる。
「これなら迷子にならないよ、ね?」
「う、うん!」
 手を繋ぎ、また二人で歩きだす。目指すは村の中央広場、大きな炎が上がっているのが見えた。
「綺麗な音楽が聞こえるよ」
「楽しそうな声もね」
 お祭りだ、とロランが言うとニーナがワルプルギスの夜だからね、と小さく笑う。すぐに広場に辿り着き、炎の周囲で踊る人や歌う人、それぞれに楽しむ魔女達を眺めながら二人は炎を中心とし、幾分か離れた場所に円形に並んだ魔女達の露店へと足を運んだ。
「何があるかな? 楽しみだね、おねえちゃん」
「素敵な物があると良いね」
 はしゃぐロランを見て、連れてきて良かったとニーナが笑みを浮かべる。さて何処から見ようかと露店を見回していると、ロランがニーナの手を引っ張った。
「魔力の気配……」
「どれ……ほんと、魔力の気配がする」
 偽物ばかりだろうと思っていたけれど、本物も紛れ込んでいるとは。
「おねえちゃん、あっちなの」
 人よりも魔力の気配を感じることに長けるロランは、魔力の気配を辿るのもお手の物だ。ロランに手を引かれるままに、ニーナがロランの案内する方へと向かった。
 辿り着いた露店に並ぶのは、きらきらと不思議な輝きを纏う小瓶達。小瓶も中に入っている物の種類によって細工が違っているようで、ずっと見ていられるような気持ちになるほど。
 お店を見るときは人があんまり集まってなくってホッとするの、とロランがニーナを見上げる。
「きれいだね、おねえちゃん」
「そうだね、それに不思議な甘い香り……」
 思わず吸い寄せられるようにニーナが手に取ったのは、仄かに虹の輝きを帯びた夜色の小瓶。雫型のような形をしていて、蓋の部分には月と星の細工がされていた。
 その小瓶にはこの香りの香水が入っているんだよ、と露店の魔女がムエットを渡してくれて、そっと手にしたムエットを手で仰ぎ、匂いを確かめる。
「澄んだ香りなのに、どこかミステリアスで忘れ難くて……」
 その匂いをくんっと嗅ぎ取って、ロランが匂いを付ける為のお薬なんだねと納得したように頷く。
「瓶も凝っててきれいなの」
「ロランもこの匂い、好き?」
「うん、おねえちゃんに合うと思うの」
 ロランの言葉にニーナがふわりと微笑む。
「ありがとう、あたしも気に入っちゃった」
 懐に手を伸ばし、ニーナが魔女に対価だと渡したのは込めた魔力によって色を変える魔鉱石。迷わず買い上げて、良い買い物をしたとニーナはほくほく笑顔だ。
「おねえちゃん、あっちも見ていい?」
「もちろん」
 ロランが何に興味を持ったのかと、ニーナも興味深げに彼が眺める品物を見る。並んでいるのは少しだけれど魔力を帯びた小物達。小さな小箱に硝子ペン、ステンドグラスのように光るコースター、様々ある中でロランが気に入ったのは小さな羽ペン。
「これ、小さくて軽くて、魔力でインクが出てくるから便利そうなの」
「買う?」
「うん!」
 これください、とロランが差し出したのはロランの魔力を結晶化した魔晶石。加工次第では多種多様な使い道があるのだと説明すれば、魔女が頷いて取引は成立だ。
「ロランが買った羽ペンも素敵だね、さすがあたしの弟、お目が高い!」
 なんてニーナが笑うと、ロランもえへへと嬉しそうに笑う。
 次はどこへ行こうかとロランが言うと、ニーナが内緒話でもするようにロランの耳元で囁く。
「………ねね、さっきロランに似合いそうな髪留め見つけたんだ」
「ぼくに髪留め? ん、見に……」
 行こう、と言おうとした瞬間に、ロランのお腹が小さく鳴って。
「ふふ、先に腹ごしらえだね。スープとパンでひと休みしたら、一緒に見に行こ」
「あ、そうだね、一休みしたいな」
 今度はぼくがエスコートする番だと、ロランがニーナに向かって手を差し出す。その手に自分の手をのせて、ニーナは嬉しそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スイカ・パッフェルベル

我らが団長殿の推薦で来てみれば…なるほど。私向きだ
こいつ(魔女帽)は仕事の間しか被らないつもりなのだが。仕方あるまい

カヴンとしては賑わっている方か
露店に並ぶ品々もピンキリだが魔法の品が混ざっている
これが真っ当に形成されたものなら手放しで喜んだのだが
閉鎖的コミュニティで生まれる魔法というのは性能がちょっとな…
珍しいことは珍しいのだが

軽食をぱくつきながら練り歩く
途中、露店で杖頭に使えそうなものを質を問わず調達したり
棒状のもの、切断すれば棒になりそうなものを見定めたり

話し掛けられることもあるだろう
その時は名刺代わりに自著を見せる。こういう者だ、と
主にインフラ整備手段として魔法を売り込んでいるのだよ



●魔女の集う夜
 へぇ、とスイカ・パッフェルベル(思索する大魔道・f27487)が小さく笑う。
「我らが団長殿の推薦で来てみれば……なるほど、私向きだ」
 ドレスコードは魔女らしい恰好とは聞いていたけれど、まぁ仕方ないとスイカは独り言ちる。魔女帽子は仕事の間しか被らないつもりだったけれど、と思いつつ大きな魔女帽子を被れば赤いシャツに黒い上下のスーツ姿のスイカが一気に魔女らしさを帯びた。
 杖を片手に村を歩けばすんなりと魔女の群れに溶け込んで、誰もスイカを疑わしい目では見ることもない。スイカはれっきとした魔女なのだ。
「カヴンとしては賑わっている方か」
 小さな村のワルプルギスの夜、魔女達の宴と聞いて規模の小さい魔女の集まりかと思ったが、なかなかどうしての賑わい。もちろん魔女ではない者もいるのだろうが、魔女たらんとし魔女になるべく研鑽を積もうと言うならば魔女見習いも魔女の内だろう。
 広場中央で燃え盛る大きな焚火、その周囲で踊る魔女、そして炎を中心として円形に並ぶ露店。魔女達の作ったハーブやアロマオイル、お茶にランプ、様々な品が見えた。
「ピンキリだが魔法の品が混ざっているな」
 どれ、少し冷やかしてやろうかとスイカが露店を巡る。魔力を感じた品を手に取って、これはイマイチ、これは使用に耐え得る、なんて品定め。
「これが真っ当に形成されたものなら手放しで喜んだのだが……」
 閉鎖的コミュニティで生まれる魔法というのは、スイカからすれば性能がいまいち、もしくは使い勝手が悪いのだ。
「珍しいことは珍しいのだが……いや、だからこそ外部から魔女を招くのか?」
 ふうん、そう思えば少し興味深いものがあるな、と改めて露店を見遣る。
 魔力を込めることによって光る鉱石ランプ、それ単体では意味をなさない魔具、害のない物も多く見受けられた。
 途中でパンを貰って、食べながら練り歩く。
「美味いな」
 塩の利いたバターたっぷりのクロワッサンはもう一つ食べたいくらいに美味で、後でもう一度貰いに行こうと最後の一口を口の中に押し込んだ瞬間。
「ん?」
 きらりとスイカの目を惹く何かが見えた。
 どれ、と近寄ってみれば、杖頭に使えそうな天然石が幾つか棚の上に並んでいる。他にも綺麗な鳥の羽根やドライフラワー、金や銀の円環などが所狭しと並んでいた。
「……良いじゃないか」
 使える、と思ったものは己の勘に従って買い求め、手ごろな棒になりそうな物や切断すれば使い勝手の良さそうな棒状の物を見定めたりと、スイカが再びパンを食べようと思う頃には戦利品でいっぱいだった。
「少し休憩するか」
 パンとスープを受け取って、休憩処でお腹を満たす。時折話し掛けてくる魔女達と話をし、名刺代わりだと著書を見せれば興味を持ってくれる者も多くいた。
「主にインフラ整備手段として魔法を売り込んでいるのだよ」
 アポカリプスヘルの魔女はそう言って、鮮やかに笑ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子
【はぴぺい5】◯

小さき丈の黒袴(みにすかーとというやつか?)に夜の闇空の意匠を取り入れた上の服
そして魔女が被るという大きめの黒帽と膝上まで覆う黒の履き物(さいはいぶーつというそうじゃ)
心結殿になされるがまま和洋折衷の魔女風の装いに袖を通したがどうであろう?

心結殿、魔女服の見立てに篤く感謝申し上げ候
これでわらわも魔女の仲間入りじゃな!
ソフィア殿も由奈殿も魔女の姿が実に様になっておるのう・・・
ザミエル殿も此度はご教授お頼み申し上げるぞ!

市場ではこの装いに相応しき物を選ぶといたそう
この太陽と月が描かれた扇など如何であろうか?
妾の持つ舞踊用とはまた違う趣の絵が描かれておるのが気になったのじゃ


ザミエル・キーント
【はぴぺい5】〇

さて、可愛らしい魔女さんたちに教える立場となってみますか
厳しくいきますよ、ちゃんとついて来てくださいね
服装は皆様から見繕って貰いました
ローブというのも中々、着心地が良く
(賢者と言われたらニコニコと笑顔で満足気)

それにしても皆様お似合いで
小生、浮いてないでしょうか…
其々のテーマが違うところに拘りを感じますね

ではマーケット探索と参りましょう
ソフィア殿は『精霊のランプ』など如何ですか?ほら、精霊のマナに反応して光るんです
由奈殿は陰陽師ですから、魔除けはどうでしょう。このブラックオニキスなんてよく効くと評判です
ふふ、どれも魅力的で目移りしてしまいますね
お金を多めに持って来て正解でした


神楽木・由奈
【はぴぺい5】 ○
みゆさんからのお誘いで、5人で来たよー!
あたしは衣装は、4ピンの『<2ページ>少女たちの冒険』の魔女の衣装を着るね!
って、みゆさん、あたし、似合ってる? 良かった、ありがとう!

小百合子さんは、和の雰囲気と洋の雰囲気が合わさってていいね!
ザミエルさんは、賢者とか、偉大な魔術師とか、いう感じがして素敵だね!
みゆさんの魔女服はとにかくかわいい! すごくかわいらしい魔女さんだよ!
ソフィアさんもその服、やっぱり似合ってるよね、大人っぽい、きれーい!

魔女マーケット、何が売ってるかな~!
ザミエルさん、あたしのアイテムの相談にも乗ってね!
うわ、目移りする、何を買おう……。


ソフィア・シュミット
【ぱぴぺい5】○

4人ピンナップ〈2ぺーじ〉少女たちの冒険の衣装(画面奥の術師)で向かいたいと思います
回復と支援の魔女なのですよー

あらあら似合いますか? とてもうれしいのですよー
小百合子さんは和洋折衷なのです、これもよきものなのです
今日はザミエル先生なのですね
マジックアイテムのことを教えてくださいませ

ソフィアは魔法陣とか魔道書が気になります
そういうものはあるでしょうか
精霊が好きなものもあったら嬉しいのです
いつもいっぱいお世話になっているのです
ヘリオス(光の精霊)とセレネ(闇の精霊)というのです
選んでもらったもの、みなさんが選んだもの
見せ合うのも楽しいのです


音海・心結
【はぴぺい5】◯

白狼の耳に尻尾を生やしたワンピースコートを
中の服はシンプルにブラウスにフレアスカート
小物は藍に煌めく兎のネックレス

由奈もソフィアも似合ってますねぇ
対の色がとても素敵なのですっ
ザミエルは魔女たちの先生っぽいですね?
みゆたちは生徒なのです~
小百合子はやはり和服は捨てれないですねっ
和と洋のMIXかわゆかわゆ!

先頭、皆より一歩前を歩く
どれも欲しくて目移りしちゃいますねぇ

わぁわぁ
魔法陣に魔導書がありますよー
みゆは魔法戦士に憧れるのですが、
何かいい小物はないでしょうか……
ザミエル先生のアドバイスを聞きながら真面目に探し
次々に買うものを決める友達に遅れないよう

店主さん
おすすめ教えて下さいっ!



●可愛い魔女達と先生の校外学習!
 星の瞬く夜の道を黒いローブを羽織ったザミエル・キーント(Der Freischötz・f31396)が歩く。ローブにはしゃらりとした金の細やかな装飾が揺れている。そして彼の少し後ろを並んで歩くのが、その装飾を付けてくれた可愛らしくも美しい四人の魔女達だった。
 それぞれの衣装がおかしくないか、似合っているか。きゃあきゃあと楽しげな声を響かせる。
「心結殿になされるがまま和洋折衷の魔女風の装いに袖を通したがどうであろう?」
 和装の良い部分と洋装の良い部分を取り入れた、プリーツが多めに入ったミニ丈の黒い袴。そしてに闇空の意匠を取り入れた上着には和袖が付いていて、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)には馴染み深いもの。更に大きめの魔女の三角帽子に黒のサイハイブーツで大人可愛くも美しいコーデになっている。
「小百合子さんは和洋折衷なのです、これもよきものなのです」
 心配気に問う小百合子に、ソフィア・シュミット(邁進を志す・f10279)が太鼓判を押す様に頷く。
「小百合子さんは、和の雰囲気と洋の雰囲気が合わさってていいね!」
「小百合子はやはり和服は捨てれないですねっ! 和と洋のMIXかわゆかわゆ!」
 神楽木・由奈(小さな願い・f24894)が見事な着こなしだと褒めれば、音海・心結(瞳に移るは・f04636)がみゆのセンスは間違ってなかったのですっ! と自慢気に笑う。
「心結殿、魔女服の見立てに篤く感謝申し上げ候、これでわらわも魔女の仲間入りじゃな!」
「みゆがやりたかったのですっ! 小百合子に似合って何よりなのですよー」
 そんなコーディネート上手な心結が着ているのは白狼の耳に尻尾を生やした白いワンピースコート。中はシンプルに白いフリルブラウスと黒のフレアスカートで、裾から覗く白いフリルが心結に良く似合っていて可愛らしい。
「みゆさんの魔女服だって、とにかくかわいい! すごくかわいらしい魔女さんだよ!」
 褒められて嬉しくなるのは誰だって同じこと、心結も由奈に褒められたのが嬉しくて、はにかむように微笑んだ。
 そしてそんな由奈が着ているのは小百合子とはまた少し趣の違う和風の魔女衣装で、和風ロリータに近い和袖のドレス。花緑青色のドレスに咲くのは桜に椿、裾で揺れるレースが彼女の女の子らしさを引き立たせている。魔女帽子はドレスと同じ生地で、リボンの留めには水引の意匠と細かくも可愛らしい。
 その隣で皆さん可愛らしくて素晴らしいですと微笑んでいるソフィアは回復と支援の魔女をモチーフにしたのだと、袖の長い白いローブドレスに赤と白のリボンを首元に飾り、長く伸びたリボンの垂れが風に揺れるのがなんとも可愛らしく見えた。
「ソフィア殿も由奈殿も魔女の姿が実に様になっておるのう……!」
「はい! 由奈もソフィアも似合ってますねぇ、互いの色がとても素敵なのですっ」
「あらあら似合いますか? とてもうれしいのですよー」
「あたし、似合ってる? 良かった、ありがとう!」
 黙ってにこにこと聞いていたザミエルが皆様お似合いです、と微笑む。其々のテーマが違うところに拘りを感じますね、と感想を述べてから、ふっと気が付いたように己を見た。
「こんなに可愛らしい魔女達に囲まれて、小生浮いてないでしょうか……」
「大丈夫なのですっ! でも、ザミエルは魔女というよりは、そうですね……魔女たちの先生っぽいですね?」
「そうだね、ザミエルさんは、賢者とか、偉大な魔術師とか、そういう感じがして素敵だね!」
 心結と由奈がそう言うと、なるほど賢者で先生ですか、とザミエルが機嫌よく笑顔を浮かべる。
「皆様から見繕って貰ったのです、似合っているなら何よりです」
「勿論お似合いです。ふふ、今日はザミエル先生なのですね」
 ソフィアが笑うと、ザミエルがすっと姿勢を正し、軽い咳払いをしてみせる。
「ええ、それでは今から小生が可愛らしい魔女さんたちに教える立場となってみますか」
「おお、ザミエル殿も此度はご教授お頼み申し上げるぞ!」
「みゆたちは生徒なのです~」
「ええ、ザミエル先生。今日はマジックアイテムのことを教えてくださいませ」
「それじゃあ、あたしにもアイテムの相談に乗ってね!」
 ね、先生! と、笑う魔女っ子生徒達を引き連れて、ザミエルが再び前を向く。
「厳しくいきますよ、ちゃんとついて来てくださいね」
 はーい! と、元気のいい返事を聞きながら、進む先には魔女の宴、ワルプルギスの夜が魔女達を待っていた。
 広場の中心には大きな焚火があり、ぱちりと大きく爆ぜる火の粉が見える。聞こえてくるのはケルト民謡のような異国情緒溢れる音楽と歌、そして楽しそうな人々の声。
「これはまた……賑やかな祭じゃな……!」
「すごい、ぐるっと一周マーケットですっ」
 焚火を中心とし、幾分か炎から距離を空けて円形にマーケットが並んでいる。
 そのどれもが彼女達の目を惹き、心を浮き立たせる。
「マジックアイテムも沢山あるみたいです」
 ソフィアがそわそわと翼を揺らし、ザミエルを見遣った。
「では、マーケット探索と参りましょうか」
 わあっと生徒たちから小さな歓声が上がり、ザミエルも満更ではなさそうな笑みを浮かべて近くから見ましょうかと露店へ足を向けた。
 並んだ露店はどれも心惹かれるものばかりで、四人の魔女達はあれも素敵これも素敵と笑顔を浮かべ、とっておきの逸品を探そうと視線をあちこちへと向けている。
「ソフィア殿は何をお探しですか?」
「ソフィアは魔法陣とか魔道書が気になります」
 精霊が好きなものもあったら嬉しい、とソフィアがザミエルに言う。
「精霊魔術を?」
 そう問われ、ヘリオスとセレネという光の精霊と闇の精霊にお世話になっているのだと話す。
 ソフィアの話を聞いて、少し目を閉じたザミエルがそれなら、と勧めたのは精霊のランプ。中に入っている鉱石が精霊のマナに反応して光るのだと説明してくれる。
「それに、精霊は美しいものが好きですから、鉱石を使ったランプは好きなはずです」
 ランプ、と聞いてソフィアが目を輝かせ、ザミエルがこの辺りのなら間違いないですと案内してくれた場所で、どれにしようかと頭を悩ませた。
「わぁわぁ、こっちにも魔法陣に魔導書がありますよー」
「あたしの術とは系統が違うけど、興味深いね!」
 心結と由奈が頭を突き合わせ、これは何の魔法陣だろう、こっちの魔導書は何が書かれているかわからないけれど、とっても綺麗だと笑い合う。
「みゆは魔法戦士に憧れるのですが、何かいい小物はないでしょうか……」
「魔法戦士とはどういうものなのじゃ?」
「ええと、魔法だけではなく、武器でも戦う戦士なのですっ! 魔法を武器に纏わせたりするのですよ」
 なるほど、武者にして陰陽師というわけか、と心結の説明に小百合子が頷く。
「素人考えで済まぬが、武器飾りなどはどうじゃ?」
「小百合子殿、いい発想ですね」
 ザミエルが素晴らしい、と小百合子を褒めながら心結の隣に立つ。
「武器飾りの中でも、武器の力を底上げするものや魔法の力を剣に与える物などが良いかもしれないですね」
 あちらと、あの辺りの物が質がいいと教えてもらい、心結が真剣な顔をして自分が扱う武器に合う飾りを探す。
「ザミエルさん、あたしはどうかな?」
「由奈殿は陰陽師ですから、魔除けはどうでしょう」
 魔除け、という言葉に由奈がパッと瞳を輝かせると、その瞳の色のようだと思いながらザミエルが丁度近くにあった飾りを手にした。
「このブラックオニキスなんてよく効くと評判です」
 それは親指の爪ほどの大きさのブラックオニキスが中央に一粒、サイドに小さなアメジストが飾られた華奢なデザインの髪飾り。
「由奈殿の髪を彩るリボンに通しても使えると思いますよ」
「素敵……ありがとう、ザミエルさん! これにするね!」
 良い物を買ったとにこにこする由奈が戻ってくると、小百合子が扇を前にして悩んでいる姿が見えた。
「やはりこの装いに相応しき物を選ぶとなると……扇かの」
 小百合子の目に留まったのはアンティークレースが美しい西洋の扇子で、今の装いにぴったりに思える。
「ザミエル殿、どれが良いかご教授願えるか?」
 勿論と頷いたザミエルが小百合子と扇子の前に立つ。
「これは良い品ですね、小百合子殿はどれが気になりますか?」
「そうじゃな、この太陽と月が描かれた扇など如何であろうか? 妾の持つ舞踊用とはまた違う趣の絵が描かれておるのが気になったのじゃ」
 太陽と月の天球儀のような図柄のそれを手に取って、小百合子がすっと開けばそれは最初から彼女の物であったかのようにしっくりとくる。
「その勘は大事です、きっと小百合子殿に良い風をもたらしてくれます」
 何かしらの加護が掛かっているのだろう、そう判断して小百合子はこの扇にすることに決めた。
 さて、ソフィアと心結はというと、心結は悩んだ挙句に店の魔女に助言をもらい小さなアクアマリンの宝石と房飾りが付いた物に決めて、ソフィアはうんと悩んでヘリオスとセレネにもこっそり聞いて夜明け色を閉じ込めたようなフローライトの鉱石が入ったランプに決めていた。
「ふふ、どれも魅力的で目移りしてしまいますね」
 ザミエルも皆が無事に買い終えたのを確認し、自分の欲しいものを買い求める。山奥の村、しかもオブリビオンに支配された魔女の村だというから期待はしていなかったけれど、思ったよりも良い物や魔力を持ったアイテムが多くあったのだ。
「お金を多めに持って来て正解でした」
 五人のうち、一番多く買い物をしたのはザミエルだったのは、内緒の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻3

装いも魔法使いらしく
光桜を飾ったローブを纏ってみたよ
カラスが丁度いい使い魔のよう……痛い!つつかないでくれ
魔女の祝祭とは初めてだ

サヨは麗しの桜魔女、リルは……噫、似合うよ
海の魔女だ

ぷくぷく泡の出る杖も可愛いな
私は禁断の果実がなる杖を持ってきたよ
……齧ってみるかい?

サヨ、この光る提灯…ランプというのかい?
鉱石が揺れて光を零す
私は桜色のランプがいい
夜闇に咲く夜桜のようであえかな夢を誘うようだ
深紅の神桜と交換しないかい?

リルの好きな魔女のくろわっさんに、サヨが選んだ塩パンを私も食べる
特製の果実のジャムを塗ったなら
サクリとした食感も実に美味

素敵な夜だね
きみの笑顔が、幸という魔法をかけてくれるよ


リル・ルリ
🐟迎櫻3

え?何が起きたの?

魔法少女になるのはヨルだけでは無かったのか櫻!
何故、漢である僕がこんなきゃるんとした魔女衣装に……!
……むう……櫻が後でチョコくれるならこのままいく!
カムイも褒めてくれたしね

僕は櫻がくれた、泡の出るすてきをもってきた
きらきらしたあわぶくがでるんだ
櫻は相変わらず美しい魔女で、カムイは……凄腕魔法使いの貫禄さ!

綺麗!カムイはらんぷにするの?
じゃあ僕は、これ!
ふわふわの花がつまったぽぷり!
交換こか……水葬の都特産の黒薔薇を!

ぱん、僕はくろわさん
櫻の特製のじゃむをつけてにこにこ食べる
カムイも気に入ってくれた?
嬉しいな

ふふ
まだはじまったばかりだよ
魔女のお祭りを楽しむんだから!


誘名・櫻宵
🌸迎櫻3

リルをバッチリ美しい海の魔女風に着飾ってやったわ!似合うわ

私はフリルにれぇす
耽美で美しい桜の魔女よ
カムイったら凄くかっこいい…

宴のはじまりよ!
きらきらして不思議で奇妙なものばかり
リル、その杖をもってきてくれたのね?
周囲があわぶくだらけ

カムイのは……柘榴かしら?
あなたの禁断を一口齧らせてもらおうか
なんて

カムイはランプでリルはポプリ
私はキャンドルかな
星空をかためたキャンドルに桜焔を灯す
焔越しにみえるのは─いつかの光景
桜龍の鱗と交換しましょ

焼きたてパンも美味しそうね
私は塩パンがいい
特製の桜苺ジャムをもってきたの
皆で食べましょ!

自然と溢れる笑顔が何よりの魔法をかけてくれるわ
そう、幸せっていう



●魔女になる日
 ワルプルギスの夜、それは魔女達の年に一回の宴。大きな篝火を囲み、踊り、歌い、春の訪れを待つお祭りなのだ。
 当然、魔女達それぞれの正装がドレスコードとなる。
「つまり、魔女の恰好をしていかなくっちゃいけないってことよ!」
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)はふんす! とばかりに張り切った。
 愛しく可愛い人魚をこれでもかという程に美しい夜の魔女風に着飾って、自身はフリルにレース、耽美で美しい桜の魔女を目指してコーディネートして。
「似合うわ!」
「え? 何が起きたの?」
 あれよあれよと言う間に黒をベースとして紫や青を使ったレースにフリル、銀色に光る装飾に真珠の飾り、頭には角を覆うように被さった銀糸の模様が入った黒いレースのショートベール。妖艶にして可憐な魔女、いいや魔法少女の衣装に身を包んだリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)の出来上がりだ。
「魔法少女になるのはヨルだけでは無かったのか櫻!」
「勿論、ヨルも可愛く着飾ったわ!」
 ほら! と櫻宵の声と共に現れた可愛いペンギンの雛はいつもの桜飾りはそのままに、丸くて可愛いフォルムの身体をリルとお揃いのデフォルメされた衣装に身を包んでいる。
「可愛い!」
「でしょう!?」
「でも、何故、漢である僕がこんなきゃるんとした魔女衣装に……!」
 リルの頭の中ではかっこいい魔法使いのイメージだったのに。そう、櫻宵とリルのやり取りをにこにこと眺める朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)のような感じの――。
「だめ? 私とお揃いよ?」
 そう言う櫻宵の衣装は白をベースに桜色に青と紫を使ったレースにフリル、金色に光る装飾にリルと揃いの真珠の飾り。頭にはリルと同じく角を覆うように白のレースに金糸の模様のベールを被っている。よく見れば、刺繍はリルのものとお揃いで色違い双子コーデなのだ。
「むう……櫻とお揃い……わかった、櫻が後でチョコくれるならこのままいく!」
「やったわ! チョコレートなら幾らだって作ってあげる!」
 きゃあきゃあとはしゃぐ櫻宵と仕方ないなと言いつつも楽しそうなリルを眺め、カムイが優し気に目を細める。
「サヨは麗しの桜魔女、リルは……噫、似合うよ」
 海の魔女だ、と頷く。
「私も皆に合わせて魔法使いらしく、光桜を飾ったローブを纏ってみたよ」
「カムイったら凄くかっこいい……」
 きゅん、と胸を高鳴らせ、櫻宵が言うとリルもかっこいい、と頷く。
「この姿だとカラスが丁度いい使い魔のよう……」
 ようだ、と言い掛けたところでカムイのカラス、硃赫神斬の分霊でもあるカラスが嘴でカムイを突く。まるで使い魔とは何事かと怒っているようだ。
「痛い! つつかないでくれ」
 悪かった、とカムイが口にすれば突くのを止めてカムイの肩に止まった。
「ふう……しかし魔女の祝祭とは初めてだ」
「僕もだよ」
 リルが櫻宵がくれたという泡の出るステッキを楽しそうに振って、きらきらしたあぶくを飛ばして頷く。
「あら、その杖をもってきてくれたのね?」
 辺りがあわぶくだらけだわ、と笑った櫻は相変わらず美しい魔女で、その隣で微笑むカムイは凄腕魔法使いの貫禄を湛えている。
「魔女と魔法使いと言ったらすてきだからね!」
「ぷくぷく泡の出る杖も可愛いな。私は禁断の果実がなる杖を持ってきたよ」
「ふふ、素敵。あなたの禁断を一口齧らせてもらおうかしら?」
 なんて笑う桜宵の手には桜の咲く杖。
「……齧ってみるかい?」
 戯れの様に問い掛けたカムイの視線に、桜宵が意味ありげに微笑んで。さぁ行きましょう? と、両手をリルとカムイに差し出す。そうして、三人は魔女の宴へと繰り出した。
 ぱちりと弾ける大きな篝火、踊り歌う人々、魔女達の秘密のマーケットの賑わい。思っていたよりも大きな祭りだと、三人の声も弾む。
「素敵ね……! カムイ、リル、マーケットがあるわ!」
 大きな篝火を中心にして露店が円形を描くように並んでいて、三人が来るのを今か今かと待ち構えているかのよう。
「色々あるのねぇ……! カムイとリルは何か気になる物はある?」
 櫻宵がリルとカムイを見遣る。
「そうだね……サヨ、あの光る提灯……ランプというのかい? 私はあれが気になるな」
「僕はぽぷり!」
「カムイはランプでリルはポプリね。私は……キャンドルかしら」
 それぞれの目当てがある露店を探す為、三人で露店を巡る。まずはカムイのランプから、とランプ専門の露店へと足を運んだ。
「美しいものだね」
 ランプの中に閉じ込められた鉱石が揺れて、光を零す。
 どれにしようかと目を彷徨わせ、カムイが見つけたのは桜色のランプ。六面体の硝子にはステンドグラスの様に桜模様が散らされて、中に入っている大きなローズクォーツが魔力で淡く発光すれば優しい桜色の灯りが零れ落ちた。
「夜闇に咲く夜桜のようで、あえかな夢を誘うようだ」
 これがいい、とランプを手にしてカムイが店主に深紅の神桜と交換でどうかと交渉する。すんなりと交渉は成立し、カムイは桜色のランプを手に笑顔で店を離れる。
「綺麗! カムイに良く似合ってる!」
「素敵なランプね、良い品に巡り合えたわね」
 リルと桜宵がそう言うと、カムイが嬉しそうに頷いた。
 次はリルのポプリだと、ハーブやアロマオイルを扱う露店へ向かう。並ぶハーブは見覚えのあるものから、よく知らないものまで。アロマオイルも様々あって、興味は尽きない。
 どれにしようか悩んで、細やかな刺繍の入ったオーガンジの小袋に入ったポプリを手に取る。
「ふわふわの花がつまったぽぷり、これにしよう!」
 乾燥した薔薇の花びらが芳しい香りを放ち、リルがその優しい香りに笑みを浮かべた。
「交換こか……なら、同じ薔薇で水葬の都特産の黒薔薇を!」
 どう? と問えば、魔女が頷いて黒薔薇を受け取る。交渉は成立だ、とリルが嬉しそうにポプリを手にして店を離れた。
 最後は桜宵のキャンドルをと、三人で再び露店を巡る。ゆらゆらと優しく揺れる灯りを見つけ、三人で露店を覗く。オーソドックスなアロマキャンドルに、ドライフラワーを閉じ込めたボタニカルキャンドル、それらを硝子の器に閉じ込めたキャンドルなど、様々なキャンドルが並んでいる。
「あら、これは……」
 そんな中でも桜宵の目を惹いたのは、星空を切り取ったたかのようなキャンドル。硝子の器に入ったタンザナイトのような色合いのグミキャンドルに金箔が煌き、底の部分には本物のタンザナイトのさざれ石が敷き詰められていて、なんとも美しい。
 桜焔を灯せば、きっと映るのはいつかの光景――。
「これにするわ」
 桜龍の鱗と交換をと交渉し、それぞれが望みの品を手に入れたなら、次は食欲を満たす番。焼き立てのパンの匂いに誘われて、三人は休憩所の方へと足を運んだ。
「ぱん、僕はくろわさん!」
「私は塩パンがいいわ!」
「パン……では、私はリルの好きな魔女のくろわっさんに、サヨが選んだ塩パンを食べようか」
 さくさくのクロワッサンはほんのり甘く、塩パンはバターが溶け出てじゅわりと口に広がる塩気と甘さ。どれもそのままでも美味しいけれど、櫻宵特製の桜苺ジャムを塗ればもう一つ美味しくて、リルもカムイもその味に満足そうに笑っている。
「サクリとした食感も実に美味だ、くろわっさんも、塩パンも、サヨのジャムもとても美味しい」
「くろわさん、カムイも気に入ってくれた? 嬉しいな」
 さくさくぱりぱり、ふわふわで美味しいんだとリルがクロワッサンを千切って口へと運ぶ。
「うふふ、どっちもとっても美味しいわね」
 美味しいパンに大好きな二人。
 自然と零れる笑顔が何よりの魔法をかけてくれるわ、と櫻宵が笑う。
「そうだね、とても素敵な夜にきみの笑顔が、幸という魔法をかけてくれるよ」
「あら、カムイとリルの笑顔もよ?」
 素敵ね、と三人が笑って。
「ふふ、まだはじまったばかりだよ。もっと魔女のお祭りを楽しむんだから!」
 そう、夜はまだまだこれから。
 魔女達の宴はもう暫くの間、楽しい夜の魔法をみせて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼


「魔女たちのお祭り」は
心躍る空気に満ち満ちて

マーケットではアロマオイルのお店に
心安らぐラベンダーにカモミール、
甘やかで優美なローズにゼラニウム、
そしてバニラに似た香りの安息香の小瓶を手に取って

お気に入りのドライフラワーとオイル、硝子瓶も買って
帰ったらハーバリウムのアロマランプを作るの
小瓶の中に広がる小さな花の楽園
「精霊の力を借りて灯る」という触れ込みも信じられそうね

思っていたより牧歌的で、とても素敵な祝祭だわ
……もっとも、人々の屈託のない素朴な笑顔が
首魁の魔女の洗脳によって作られた偽りの幸せならば
わたくしたちはその欺瞞を終わらせなければならないのだけど
せめて今は、この時を楽しみましょう


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼


ヘルガは普段のドレスでも「童話の中の善き魔女」と呼んで差し支えないが
俺は黒いマントと三角帽子を纏い、樫の杖を持っただけの恰好で
ちゃんと魔法使いらしく見えるだろうか

マーケットに並ぶ「魔法の品」の数々を目にしたヘルガの
子供のように心躍らせる無邪気で純粋な瞳
何と愛らしいことか
無論本来の目的も忘れてはいないが
彼女が「心からの微笑み」を見せ、二人の思い出を作れただけでも
ここに来た価値はある

腹が減ったら村人たちの勧めるパンをいただこう
ライ麦パンにハーブのサラダを挟んだサンドイッチ
じゃがいもとキノコのポタージュにハーブティーを添えて

この後に控える戦いに向けて
腹ごしらえもしておかないとな



●穏やかな魔法の夜に
 魔女達の宴に足を踏み入れたヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は、その心躍るような空気を感じてヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)に笑みを向ける。
「ヴォルフ、魔女がいっぱいいるわ」
 自分達も今からその仲間に入るのだと思うと、ヘルガの瞳が楽し気に煌いた。
「もっと魔女っぽい恰好をしてくればよかったかしら?」
「大丈夫だ、ヘルガ。普段のドレス姿のままでも……そうだな、『童話の中の善き魔女』と呼んで差し支えない」
「まあ、ヴォルフがそう言ってくれるのなら安心ね」
 ほっとしたように微笑む彼女に、ヴォルフガングが己の纏う黒いマントを指先で摘み問い掛ける。
「俺はどうだろうか、ちゃんと魔法使いらしく見えるか?」
 黒いマントに魔女の三角帽子、そして樫の杖。オーソドックスな魔女スタイルではあるが、どこから見たって魔法使いに見える姿だ。
「ええ、もちろん! ふふ、普段の貴方は戦士だから、魔法使いのあなたというのもなんだか新鮮ね」
「そうだな、今宵は君を守る魔法使いになるとしようか」
 額を寄せ合って笑うと、寄り添いながら広場へと向かう。大きな篝火が燃え盛り、火の粉がパチリと爆ぜる。聞こえる音楽は不思議な旋律で、歌う声は軽やかだ。
 篝火を囲んで踊る人々は皆楽し気で、笑い声がどこからともなく聞こえてくる。
「とっても楽しそうね」
「踊るか?」
「それも悪くないけれど、マーケットが気になるわ」
 篝火を中心に、円形を描くように並ぶ露店は様々なアイテムが並んでいるのが見えた。
 ざっと見えただけでも、ハーブやアロマ、ランプに装飾品と、どれも露店を出している魔女のとっておきなのだろう。勿論、魔法のアイテムとしては偽物だろうけれど、それを差し引いても芸術品として、普段使いできるものとしては良い値段が付くであろう物も見える。
「ではマーケットを巡るとしようか」
 ヴォルフガングそう言うと、ヘルガの腰に手を当てて促す様に歩きだした。
 流れるように露店を眺め、ヘルガがアロマオイルの露店で立ち止まる。幾つかの小瓶を眺め、軽く香りを確認しながら一つ一つ確認していく。
 まずは心安らぐ効果があると言われる、ラベンダーにカモミール。それから甘やかで優美な香りを持つローズとゼラニウム。最後はバニラのようなまろやかな甘さを感じるベンゾイン、安息香の名で知られるアロマオイルを手に取った。
「さすが魔女のマーケットね、品揃えが良いわ」
 対価は金貨で支払い、次の露店へと向かう。そっとヴォルフガングがヘルガの買った荷物を持ち、子どもの様に心躍らせる無邪気で純粋な瞳を慈しむように見守って、その後ろを歩いた。
 次にヘルガが足を止めたのはハーブを扱うお店。ドライハーブやドライフラワーが吊るされていて、ヘルガがお気に入りの物がないかと視線を彷徨わす。
「あ、あったわ」
 ドライフラワーを手に取って、ついでにドライハーブも幾つか購入してヘルガが嬉しそうにヴォルフガングを見遣る。
「次はどの店に?」
「えっと次は……硝子瓶が欲しいわ」
 お目当てのお店を探しながら二人並んで歩き、ヘルガがヴォルフガングへ自分が作りたいものを説明する。
「ハーバリウムのアロマランプが作りたいの」
 小瓶の中に広がる小さな花の楽園は、きっと綺麗だ。
「ランプ用のオイルもあればいいのだけれど……ランプのお店にあるかしら」
「いいとも、全部見て回るとしよう」
 ヴォルフガングにとって心からの笑みを浮かべる彼女以上に価値のあるものはない、その笑顔の手助けができ、二人の思い出が作れるのならどんなことにだって付き合おうとヴォルフガングが笑った。
 ランプ用のオイルも無事に手に入れ、あとはヘルガが気に入る硝子瓶のみ。小物を扱う露店を覘き、あれでもないこれでもないと悩んで、ヘルガが一つの小瓶を手に取った。
「これ……可愛らしくて素敵だわ」
 それは綺麗なアンティーク瓶で、形も大きさもヘルガの求める物に丁度良い。迷わずそれに決めて、ヘルガの買い物は満足のいく結果となった。
「嬉しいわ、きっとこの素敵な材料なら、精霊の力を借りて灯るアロマランプが作れそう」
 出来上がったら、一番に見て欲しいと笑うヘルガに優しく頷いて、ヴォルフガングが休憩をしようかと提案する。
「そうね、お腹が空く頃よね」
「あっちに休憩所があるようだ」
 ライムギのパンにハーブのサラダを挟んだサンドイッチ、じゃがいもとキノコのポタージュにハーブティを受け取って二人で暫し美味しいひと時を楽しむ。
「思っていたより牧歌的で、とても素敵な祝祭だわ」
「そうだな、無論本来の目的も忘れてはいないが……」
 人々の屈託のない素朴な笑顔が、笑い声が。
 洗脳によって作られた偽りの幸せならば、わたくしたちはその欺瞞を終わらせなければならないと、ヘルガが頷く。
「でも今は、今だけはこの時を楽しみましょう」
「ああ、そうだな」
 この後に控える戦いの予感を感じながら、二人は美味しい食事を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン
ほほう、ほほう!
これは心が躍ってしまうな

黒のドレスを身に着けて
自作の鉱石ランプを手に会場へ
アメシストとクオーツをあしらったモザイクランプだ
さあて、これと何か惹かれるものと交換出来れば嬉しいが

ひやかし客との会話を楽しみつつ、
目に留まったのは黒玉髄とベキリーブルーのガーネット
どちらも色良し、クラック無し……うん、良いじゃないか!
ちょいとそこの魔女さん、良いかい?
交換取引開始といこう

無事に望みの取引が叶ったなら……小腹がすいた!
チキンサンドイッチを購入しよう
ザワークラウトがたっぷり入っていて、
ローリエやキャラウェイ入りが魔女風かな?ふふ
エルダーフラワーティーを頼んで喉を潤し、篝火を眺め

夜が深くなるね



●夜闇に灯る
 パチリパチリ、火の粉が弾ける音がする。
 音がする方に進めば、真っ赤に燃える大きな篝火が見えてアパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)はその頬を僅かに赤く染めて感嘆の声を零した。
「ほほう、ほほう! これは心が躍ってしまうな!」
 炎を囲んで踊る人々の顔も髪も炎に照らされて美しく、聞こえてくるのはどこまでも楽しそうな声。
 星の瞬く黒いドレスを身に付けて、自作の鉱石ランプを手にしてアパラが魔女の夜を歩く。灯る明かりはアメシストとクオーツをあしらったモザイクを通した鮮やかで優しい灯り。
 エキゾチックなランプを揺らし、魔女達の間を縫ってアパラが魔女のマーケットを目指す。
「さあて、これと何か惹かれるものと交換出来れば嬉しいが」
 大事なランプと等価交換できそうな、そんな素敵なものを探して視線を彷徨わせた。
 夜空に上る炎を中心にして、円を描くように並ぶ露店には魔女達に馴染みのあるハーブやアロマオイル、魔法の力を秘めた装飾品に夜闇を照らすランプ……とっておきが所狭しと並べられている。
「これは端から端まで見て回るしかないね」
 ああ、なんて心躍る夜なんだろう! わくわくとした気持ちを隠し切れず、笑みを零しながら露店を巡る。
 時折、ひやかし客と店主である魔女達の会話と駆け引きを楽しみながら、目当てを探す。
「このドライハーブは後で買おうか……こっちのオイルも質が良いね」
 真贋定まらぬ物も多くあるけれど、それでも良い品質を保つ物は確かにあって。普通のマーケットで見るよりもうんと状態のいい物を見てはアパラが目を瞠る。
 けれどこのランプと交換とまではいかない、それらは金銭でのやり取りで充分。そうやって店を幾つか巡って、アパラの遊色の瞳を惹いたのは黒玉髄とベキリーブルーのガーネットだった。
「どちらも色良し、クラック無し……うん、良いじゃないか!」
 特にこの黒玉髄は彼の瞳を思い起こさせる程の上物であったし、ベキリーブルーガーネットは蛍光灯と白熱灯の下で色を確認した上で上物だとアパラが判断したもの。アパラの持つモザイクランプとの交換に相応しい。
 あとは交渉だと、アパラが店主である魔女へ声を掛ける。
「ちょいとそこの魔女さん、良いかい?」
 この石二つとこのランプでどうだい? と持ち掛ければ、魔女がモザイクランプを矯めつ眇めつし、大きく頷いた。
 交渉成立だとランプを引き渡し、石を小さなルースケースに入れてもらって取引は終了だ。
「ああ、小腹が空いた!」
 良い緊張感から解き放たれ、アパラが魔女達の配るパンを受け取る為に移動する。どれが良いかと眺め、チキンサンドイッチを受け取って、空いていたテーブルに座って一口。
「うん、ザワークラフトがたっぷり入っていて、これは……ローリエにキャラウェイかな?」
 魔女風だ、と笑ってサンドイッチを頬張って、食後にはエルダーフラワーティーを傾ける。
 パチリと響く音に視線を遣れば、篝火がひと際大きく燃え上がっていた。
「夜が深くなるね」
 色濃くなる夜の気配を感じて、アパラがそっと呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕時雨・沙羅羅
鏑木邸・4


うずさんも、りょうさんも、魔女帽子似合いそうなのに、ざんねん
僕はあまり似合う自信が無いな
深くフードを被って、果物の花かんむりも付けてみよう
それから、うーん、リンゴの入った籠を持つとか
…じゅんさんもリンゴ持ってみる?

マーケット、いろんなものがある
良い匂いのする水も良い、ポプリも良い
あれも、これも、なやましい
見ているだけでも楽しいけど…あれは
満月がそのまま落っこちて来たみたいな、小さな光る石
宝石だろうか、精霊のランプの一種?
きれい、これにしよう
お代、僕の国の宝石、雨雫みたいに透明なのが自慢

…うずさんのお代の品も気になる
あ、パン、焼き立て
みんな食べない?
お酒も良いが、僕はノンアルコールで


鏑木・寥
鏑木邸・4

俺は視界が悪くなるのは大歓迎だが
…桜の精と帽子はどうにも折り合いが悪い
黒いローブ、枝に星の飾り
枝から吊った顔布で顔覆い

魔女マーケットなのに女が1人もいないって
その蛇は女だったり…あ、"くん"か
そうか

マーケットを楽しむ少年組を見ながらブラブラ
こういう所の薬って薬効はどうなんだ?
匂いが良いのは結構だが…
存分にひやかしマーケット

気になるものがあれば…物々交換?
手元にあるものなんて桜印のお薬ぐらいしか
頭痛薬、風邪薬、魔力酔い用…他諸々

……少年の軟膏が今個人的に一番怪しい薬なんだが、
それは薬?軟膏…ぱーてぃぐっず?

3日前に飯は食べたし、酒でも入れるか
こっちは葡萄酒でも飲もうぜ、おっさん
えー


霞末・遵
鏑木邸・4


こういう裾が長くてやたら布量の多い服って動きにくくない?
一応着るけど、おじさんはすっきりしてる方が好きだなあ
視界が悪くなるから帽子もフードもあんまり
このままじゃただの不審者? ふーむ……
光る蝶を何匹か連れてたらそれっぽく見えるかな

魔女の集まりってだけあって女子が好みそうなものが多いね
石や金属の加工品はおじさん興味あるなあ
いっそ妖怪の力で本物にしてみても面白いかも
パンも食べたいなら遠慮することないさ
ところで葡萄酒とかないの? 蜂蜜種は?
お兄さんお酒と一緒におつまみも食べなよお。サンドイッチのハム美味しいよ

しかし幽世のものはお代にしても大丈夫だろうか
ちょっと光る石くらいなら問題ないか


雨野・雲珠
鏑木邸・4


あのでっかい三角帽子をかぶってみたかったです…
しかし悲しいことに、俺は被り物と相性の悪い桜。
黒いぶかぶか衣装にホウキを携え、
相棒の白蛇・汐くんと共にいざ、マーケットへ!

緊張をほどいて、安眠を誘うような香油はありますか?
いろんな方の好みを考えて、二~三種類。
食の楽しみのない方でも、香りなら楽しめますし…
お代は…そうだ!
『塗ったところを押すと鶏の悲鳴が聞こえる軟膏』はいかがです?
ふふふ。さる方からの頂き物で…
(ちょっと出して鏑木さんに塗るテロ)(押す)
出所は秘密です!
…駄目だったら宝石トリュフひとつを出します。

パンはおいしいし、良い買い物もできたし…
楽しいですねえ、魔女マーケット!



●魔女達の夜とマーケット
 ワルプルギスの夜、それは魔女達が集まる祭り。
 そうなると必然的に魔女の恰好がドレスコードになるのだと聞き、ここに集まった彼らも精一杯の魔女っぽい衣装に身を包んでいた。
「俺はあのでっかい三角帽子をかぶってみたかったです……」
 ほんの少しだけ、残念そうな顔をした雨野・雲珠(慚愧・f22865)が黒いぶかぶかのローブを纏い、箒を携えて言う。被ればいいじゃないの、と言い掛けて霞末・遵(二分と半分・f28427)は雲珠の頭を見た。
 遵の視線の先には桜の精ゆえに生える一対の桜の枝。その視線を感じながら、雲珠は言葉を続ける。
「しかし悲しいことに、俺は被り物と相性の悪い桜なのです……」
 ちらっと雲珠が同じ桜の精である鏑木・寥(しあわせの売人・f22508)を見遣る。その視線を受けて、ああ、と寥は頷く。
「……桜の精と帽子はどうにも折り合いが悪い」
 そう、それ故に寝返りを打つのも難しい、難儀な事ではあるが生まれた時からあるのでそういうものなのだ。
「ちなみにな、鬱陶しくて俺は昔根元から二本とも切ったぞ」
「えっ」
「また生えてきたが」
 だから面倒くさくなってもうそのままなのだ、ちなみに生えてこなくなる者もいるらしいので切る時は自己責任である。
「うずさんも、りょうさんも、魔女帽子似合いそうなのに、ざんねん」
 僕はあまり似合う自信が無いな、と黒いローブのフードを被った夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)が言う。
「そうですか? シャララさん似合いそうですのに」
 そう? じゃあこんど被ってみようかと沙羅羅が言えば、遵が似合いそうだねと頷きつつも着ているローブの裾を摘まみ上げて、ぽいっと落とす。
「でも、こういう裾が長くてやたら布量の多い服って動き難くない?」
「魔女は前に出て、たたかわないから」
「そう言えば、物語やゲームに出てくる後衛職の方はローブを着ている方が多いような……?」
 なるほど、動く必要がないからか、と謎の意見の一致をみる。
「でも視界も悪くなるじゃない?」
 帽子もフードも、あんまり得意ではないなと遵が笑った。
「俺は視界が悪くなるのは大歓迎だがな」
 しかし如何せん先程も言ったように桜と被り物は相性が良くない、苦肉の策とばかりに寥は頭の生える枝に星を飾り、顔布を吊ってそれっぽく顔を覆い、目元だけを覗かせている。
「よくお似合いだと思います!」
 ミステリアスな雰囲気です、と雲珠が言うと彼の相棒でもある白蛇の汐が袖口からにょろりと雲珠の枝に絡まった。
「すごい、魔女っぽい」
 沙羅羅が枝に絡まった汐を見て言い、僕も何か乗せようと果物の花冠を付け、もう一つ考えて林檎の入った籠を持つ。
「おや、皆どんどん魔女っぽくなるね。これじゃおじさんただの不審者……?」
「……じゅんさんもリンゴ持ってみる?」
「リンゴは食べちゃいそうだからね……ふーむ、光る蝶を何匹か連れてたらそれっぽく見えるかな」
 遵がぱちんと指を鳴らすと、光りを放つ幻蝶が遵の周囲をふわりと飛んだ。
 これ以上はどうにもならないと両手を上げた遵を見て、それじゃあ行くかと寥が促すと雲珠が箒を振り上げる。
「相棒の白蛇、汐くんと共にいざ、マーケットへ!」
 おー、というやる気のない声とやる気に満ちた声が響き、四人は賑やかな方へと足を向けた。
「それにしても魔女マーケットなのに女が一人もいないって。その頭の蛇は女だったり……あ、『くん』か」
 汐君、と言うからにはオスなのだろうと寥が一人で納得すると、雲珠がその通りですと頷く。
「そうか」
 じゃあやっぱり男ばっかりだな、と思いながら見えてきた大きな焚火に視線を移す。パチリパチリと弾ける火の粉が星の瞬く夜に吸い込まれて消えていく。もう少し近寄れば、周囲で踊る魔女や歌う魔女、何とも楽しそうな人々が見えた。
「さて、若人達は何がいいんだ」
「俺はマーケットが見たいです!」
「僕も」
 マーケットか、と寥が頷くと、焚火を中心にして円を描くようにまぁるく並ぶ露店へと雲珠と沙羅羅が駆け出していく。その後ろを遵と寥がのんびりと歩いた。
 魔女のマーケットには様々な物を出す露店が並び、雲珠と沙羅羅はあちらこちらに視線を彷徨わせる。
「マーケット、いろんなものがある」
「これは……端から順に全部見た方が早いですよね!」
 なんて提案してみるが、結局は全部見たいのだと雲珠が内緒話の様に沙羅羅に小さく笑った。
 ぐるりと一周することに決め、目に付いた露店の前で立ち止まる。宝石のルースや細工が美しいペーパーナイフなどを扱うお店をゆっくりと眺め、その隣の露店へ移動して、繰り返しているうちにハーブやアロマを扱うお店に行き当たる。
「良い香りがします!」
「ほんとだ、良い匂いのする水がいっぱいある」
 水ではなくアロマオイルなのだと聞いて、雲珠が興味深げに並んでいる小瓶を手に取って眺める。親切にも効能が書かれた一覧が合って、雲珠が順繰りに見ていくと安眠という文字が見えた。
「安眠効果があるんですね」
 少しだけ考えて、雲珠が魔女に問い掛ける。
「緊張をほどいて、安眠を誘うような香油はありますか?」
 お休み処『七之宮』を管理する彼は訪れるであろうまだ見ぬ人達の好みも考えて、魔女が出してくれたものから幾つか選ぶ。
「ゼラニウム、オレンジスイート、ラベンダー……これなら、食の楽しみのない方でも……」
 香りなら楽しめるはず、真剣な顔で選ぶ雲珠に、魔女がブレンドオイルもあるのだと勧めてくれた。
「では、この三種とそのブレンドオイルを!」
 お代、お代は金銭でもいいけれど、折角なので。
「この、『塗ったところを押すと鶏の悲鳴が聞こえる軟膏』はいかがです?」
「えっなんて?」
 あまりにもトンチキなパワーワードに後ろから覗いていた遵が思わず声を上げた。
「……色々怪しい薬は知ってるが、少年の軟膏が今個人的に一番怪しい薬なんだが?」
 それは本当に薬? 軟膏……ぱーてぃぐっず? 訝し気な顔をして寥が雲珠の手にした軟膏のケースを見遣った。
「ふふふ。さる方からの頂き物で……」
 すっと取り出したそれをおもむろに開け、小指の先にちょいっと取って寥に塗る。それから、寥を見上げて塗った箇所を押した。
『プェーーーー』
「んっふ」
「うるさっ」
「わあ」
 間抜けな音が鳴り響き、三者三様の声が上がる。
「よくこんなもの作ったねえ」
 いやもう逆にすごいよ、と遵が褒め。
「どういう原理だ、これ」
 様々な法則をを無視した現象に寥が目を細め。
「僕もぬって欲しいけど、たぶん溶けちゃう」
 ざんねん、と沙羅羅が呟いた。
 無事にトンチキアイテムで交換が成立すると、今度は沙羅羅が気になる物を探す番。
「あれも、これも、なやましい」
「魔女の集まりってだけあって女子が好みそうなものが多いね」
 見た目にも綺麗な物が多く、遵の言葉に沙羅羅がうん、と頷く。
「見ているだけでも楽しいけど……」
 折角だから、何か買いたいともう一つ隣の露店に視線をやる。
「あれは、石?」
 気になる、と近寄って眺めれば、満月がそのまま空から落ちてきたような、小さな光る石だった。
「へえ、石や金属の加工品はおじさん興味あるなあ」
 沙羅羅の隣に遵が立ち、同じように並んだ石を眺める。
「これ、どうやってつかうんだろう」
 そう魔女に問えば、小さな吊り下げ方のランプに入れるのだと教えてくれた。
「宝石? 精霊のランプの一種?」
 立体的な星の形をした小さなランプに気になる石を入れれば、ぽわりと優しい月光のような光が漏れた。
「わあ……きれい、これにしよう」
 星の中の月が輝く小さなランプ、それはきっと夜道を楽しく照らしてくれるだろう。
 お代は僕の国の宝石で、と沙羅羅が出したのは雨雫のように透明な綺麗な丸い宝石。無事に交渉が成立し、嬉しそうに沙羅羅の瞳が細められた。
「いいねぇ、おじさんも何か買おうかな。お兄さんは?」
「ん?」
 雲珠に手の軟膏を拭われながら、んー、と寥が考える。
「こういう所の薬って薬効はどうなんだ?」
「ピンキリでしょ」
「だろうな。気になる物があれば、まあ」
 物々交換するにも手元にあるのは桜印のお薬ぐらいだぞ、と寥が袖を振った。
 結局、遵は偽物だとわかる魔法の銃を買い、後で魔力を込めて本物にしてやろうと笑い、寥は見目の良いアンティークのピルケースを買った。見た目が良けりゃ効能に箔が付く、とのこと。
 買い物が済んだら次は、と目が行くのは美味しい食べ物だ。
「あ、パン、焼き立て。みんな食べない?」
 沙羅羅の声に雲珠がパッと目を輝かせ、年長二人組を見遣る。
「パンも食べたいなら遠慮することないさ。席取っておくから、好きなの貰ってきなよ」
 遵と寥が休憩所のテーブルに座り、年少二人組が貰って来たパンとスープをテーブルに並べる。それと入れ替わりで二人が立ち上がってパンやスープ、飲み物を配る露店へと足を運んだ。
「美味しそうだねえ、ところで葡萄酒とかないの? 蜂蜜酒は?」
 あるわよ! という陽気な声に寥がよし、と頷く。
「三日前に飯は食べたし、酒でも入れるか。こっちは葡萄酒で腹を満たそうぜ、おっさん」
「ええ、お兄さんお酒と一緒におつまみも食べなよお」
 寥のトレーにハムサンドを載せ、遵がよし、と自分もハムサンドを貰う。
「えー」
「えー、じゃないよ、少年めっちゃ見てるよ」
 寥にご飯を食べさせよう! をスローガンにしていると言っても過言ではない雲珠が見ていた。
 渋々サンドイッチを載せたまま戻れば、うんうんと満足気に頷いている。
「タニシ……」
 じわじわと食生活を整えられている、と思いながら寥はサンドイッチを齧った。
「サンドイッチのハム美味しいよ」
「酒のつまみには、まぁ」
「こっちのパンも、美味しい」
 ふわふわのまぁるい白パンを齧って、沙羅羅が頷く。
「パンはおいしいし、良い買い物もできたし……楽しいですねえ、魔女マーケット!」
 でも、一番の怪しい薬は、気になる物は、雲珠の持っている謎の軟膏だよと三人が思っていたのは帰ってから知る話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヒト・レーゼル
【nyx】

魔法使いの、市
すごい、色んなものが、たくさんあるね
俺は、杖がほしいな
魔法使いの、杖がほしい
自分の手に、合うものが欲しいんだ
色んな小物が目に入って、あれも、これも、って欲張りになる
菫は綺麗な宝石。理玖は、良い匂いが、しそう

大鍋も魔法使いっぽい
こっちの宝石は、なんだろう……。魔法に使うのかな
みんなが、何を見つけたのか、見てみる
みんな、すごい。それはどんな物?
あ。俺、灯りも、気になっていたんだ
あかり屋に、いるから。あかりみたいな道具もほしいなって思って
ヴォルフ、ありがとう。千織は小瓶?

杖は、これ。丈夫で、強そう
あかりはどこに、あるかな?
十雉は、悩み中かな。千鶴のも綺麗だね


君影・菫
【nyx】


ふふ、みんなでお揃いの装い
心躍らせ向かうは魔女市
腕の中の猫がにゃあ

みんなの見るんはやっぱ各々やんな
うちも視界ぐるり
魔法使いって感じの杖を見れば、リヒト似合いそうやね
どれもこれも目移りして
魅入られたのは宝石みたいな原石

…はら、うちの眸と同じ?
ならこっちの紫はちぃやねってふうわり娘の顔
腕の中にもキミも同じ色やよ呟き
よし、みっつ買お
お揃いにて密を秘めて
こっちの透き通る橙色は千織の色やねて眸の隣に翳してみたり
あっちの深い赤はヴォルフに似とうよ
うちは元々ヒトを飾る簪やから石好きなんかもて理玖に咲う

十雉は何見とるの?と好奇心で顔ひょこり
灯なら彼処やない?て様々なランプの集い指したり
満喫の魔女市


宵鍔・千鶴
【nyx】7

皆でお揃いの帽子にローブ
目印の鍵をつけて魔女市に遊びに行こう

やっぱり魔法使いは杖だよな
あ、リヒトそれ似合いそう
灯りも探してみよっか
大鍋とレシピ本とか有るんだけど
材料は…やっぱりやめとこ
ヴォルフ、その黒いの…
理玖と一緒に怯え
えっ、惚れ薬になるの
宝石みたいな石!綺麗な紫色…菫の眸と一緒だ
みっつ、お揃いだね
十雉は何か気になるものあった?
あ、見て、触れると咲く不思議な花だって

俺は何にしよう
眼についた碧く瞬く星屑ランタン
飾り蝶に触れて翅が動いて羽ばたき
モルフォ蝶は千織の肩へ
千織、動かないでね…!ってそーっと捕まえ

うん、この綺麗なランタンに決めた
どれも俺のお店にも飾りたいものばかりで楽しいな


ヴォルフガング・ディーツェ
【nyx】7
生き残りが魔女にか
ならノろう!等と理屈を付け魔女っ漢になろうか

市をきらきら見渡せば、あったイモリの黒焼きだ…(千鶴と理玖の反応に気付けば意地悪な笑みになり)…どう使うか聞きたい?
何とこれ、砕くと惚れ薬の材料になるんだ。俺も魔女学齧るまで、妖精の羽とか綺麗なモノをイメージしてた(十雉の感想に微笑って)
だから千織はその顔やめー!変な使い方しないよ…今は(ぼそ)

あかりやの灯りを探すなら手伝うよ、リヒト
あの心暖まる光景、凄く好きだし。何て言うか…歓迎されているような気持ちになるよ
宝石は確かに菫の色だ、自然の美しさだね。綺麗だなあ!

お揃いの帽子に素敵な品々、皆の笑顔
…うん、本当に良い夜だね


陽向・理玖
【nyx】7

おー色々あるんだな
目移りする
魔法のカンテラ片手に
魔法に素養は全くねぇけど
揃いの衣装に気分は上がる

杖いいよな
武器にもなるし!
あ、そっちの意味じゃねぇ?
レシピ本あんの?
普通には…作れなそうだな…
ぺらぺら捲って材料見て眉間に皺
黒焼き…何に使うんだ…?
いや聞きたくない
千鶴とふるふる
えっ惚れ…いや大丈夫
石も綺麗だな
やっぱ女の人はこういうの好きなんだな
菫姉さん覗き込み
お、小瓶とかある
千織姉さん何が入れる?
十雉兄さん花ならポプリとかもあるけど

あれこれきょろきょろ見つつ
目に止まったアロマオイル手に取って
カンテラに入れたら何か俺でも魔法とか使えそうじゃね?
何より土産にもなりそうだし
…いい匂いする


宵雛花・十雉
【nyx】7

魔女市なんて、聞いただけでわくわくするし
何より皆とお揃いの帽子が嬉しいんだ
きっと見たことない物がたくさん見つかるんだろうね
そうだな、オレは小さな花が特に好きだよ

え、イモリの黒焼きって惚れ薬の材料なんだ…
意外というか
もう少し可愛らしい材料で出来てるのかと思ってた

魅力的なものばかりで思わず目移り
いつか本で読んだ光景がそのまま飛び出してきたみたいだ
何にしようか悩んでいると
千鶴と理玖に教えて貰った不思議な花とポプリにすっかり心惹かれてしまって
うん、両方とも買っちゃおう

杖も宝石もランタンも小瓶も、どれも皆にぴったりで
まるで今日この市で皆に会えるのを待ってたみたいだ
今なら魔法だって使えそうだよ


橙樹・千織
【nyx】7

魔女市はいったいどんな物があるのかしらねぇ
揃いの服に身を包みふわほわ微笑んで
普段と少し違う雰囲気にそわそわ宝探しをしている気分

魔法の杖!
リヒトさんはどんな魔法を?
へぇ、お料理に似ているのですねぇ
…材料以外は、ですけど
レシピを覗き込み、ヴォルフガングさんが持つ材料に苦笑する
ふふ、菫さんのそれ綺麗な石ね
光に当てるとまた違って見えますねぇ

あら、可愛い小瓶
そうですねぇ…彼方で売ってる魔法薬とか?
香水瓶のような小瓶を手に尻尾ゆらり

十雉さんはどんな花が好きですか?
色々なアロマがあるのですねぇ
理玖さんの好みの香りはどんなのかしら?
ん?千鶴さん?
あらあら、綺麗な蝶ねぇ
神秘的な青が見え、ふわり笑む



●魔法の夜に集う
 揃いの黒いローブを身に纏い、魔女の三角帽子には夜の扉を開く鍵を飾ってワルプルギスの夜に参加するべく七人が歩く。足取りは軽く、響く声は明るく、時折零れる笑みは皆一様に楽しそうだ。
「ふふ、みんなでお揃いの装い、なんや嬉しいな」
 君影・菫(ゆびさき・f14101)がそう言うと、誰よりも先に腕の中の黒猫が首元のリボンを揺らしてにゃあ、と返事をする。
「ふふ、大人しいしててな」
 もう一度鳴いた猫の頭を、ええこ、と撫でた。
「皆よく似合っているよ」
 ネクタイだけはそれぞれ好みの色を結んでいるけれど、まるでどこかの魔法学校の生徒のようだと宵鍔・千鶴(nyx・f00683)が楽し気に皆を見遣る。
「魔法学園……ニュクス魔法学園?」
 なんて、と橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)がローブから覗く尻尾を揺らし、くすくすと笑みを零した。
「いいな、ニュクス魔法学園! どこの魔女だって聞かれたら、そうやって答えればいいんじゃね?」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)がそう言うと、ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)がふむ、と口元に手を当てる。
「学園と言うからには、生き残りを掛けた頂上決戦とかがあって、最後に生き残った者が真の魔女になれるとかそういう」
 それならば魔女っ漢になるしかないな、とヴルフガングが至極真面目な口調で言うものだから、思わず宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)が噴き出した。
「ふ、はは、物騒な学園だね」
 ああ可笑しい、とひとしきり笑って目元を拭う。そんな風に笑いながら歩いていれば、村の中央に位置する広場まではすぐだった。
「ワルプルギスの篝火が見えるね」
 楽しげな声が響く方を見れば、大きな篝火が夜空に向かって燃え盛るのが見えた。
 もう少し近付けば炎を囲むように踊る人々の姿や、休憩所と思わしきテーブルと椅子が並んだ場所でパンやスープを楽しんでいる人々の姿が確認できる。そして、炎を中心に大きく円を描くように並ぶのは本日のお目当てである魔女達のマーケット。
「魔法使いの、市。すごい、色んなものが、たくさんあるね」
 もっと小さなフリーマーケットのようなものかと思っていたけれど、中々どうして馬鹿にできない規模のマーケットだとリヒト・レーゼル(まちあかり・f01903)が小さく目を瞠る。
「おー、本当に色々あるみたいだな」
 遠目から見るだけでも様々な物が見えて理玖があちらこちらに視線を向けて、あっちには綺麗な瓶が、あっちにはハーブや花が吊り下げられていると楽しそうに笑う。
「魔女市なんて、聞いただけでわくわくするのに、実際に見るとすごいものだね」
 それに何より、皆と揃いの衣装と帽子が嬉しいと十雉が帽子のつばを人差し指でなぞった。
「みんなは何がお目当てなんやろか?」
 ふと菫が気になったことを口にすれば、露店に熱い視線を送っていた皆がくるりと振り向いて菫に向き合う。
「俺は、杖が欲しいな。魔法使いの、杖が欲しい」
「やっぱり魔法使いは杖だよな」
 リヒトの言葉に、千鶴が微笑む。
「杖いいよな、武器にもなるし!」
 あれ? そっちの意味じゃねぇ? と理玖が問うと、リヒトが静かに頷いた。
「そっかー、俺は特に決めてねぇから、見ながら気に入った物をって感じだな」
「俺もだ」
「私もですねぇ、見て気に入ればと思ってます」
 理玖の言葉に千鶴と千織が右に同じく、とばかりに小さく手を上げる。
「オレは花が好きだから、花に関係するものかな」
「俺はそうだな、見つけたらだな」
 十雉が言うと、ヴォルフガングが多分あると思うんだけどな、と言いつつ店の目星をつけている。
「みんなの見るんは、やっぱ各々やんな。うちも気に入ったんがあったら買おって思ってるんよ」
 欲しい物があるかはわからないけれど、きっと何か運命的な出会いがある――そんな予感がして、七人は初めて駄菓子屋に行くような子どもの顔で、魔女の露店へ足を向けた。
 まずはリヒトの魔法使いの杖だと、あっちの露店にあった、こっちの露店にもあった、と笑いながら杖を探す。その度にリヒトが杖を握って、自分の手にしっくりくるかこないかを試した。
 幾つか目の杖を握り、リヒトが星の輝きのように目を瞬かせる。
「これ、丈夫で、強そう」
 それはサンダルウッド、現代地球の日本では白檀とも呼ばれる樹から削りだした杖。長さは指揮棒程で、持ち手の先には小さめのタッセルが付いていた。
「リヒトに似合いそうやね」
「うん、俺もリヒトに似合うと思う」
「ほんとねぇ、よく似合ってますよ」
 菫と千鶴、千織からのお墨付きとあれば、一層リヒトの手に馴染むような気がして、迷わず杖を購入する。
「無事に決まって何よりねぇ、そういえばリヒトさんはどんな魔法を?」
「ありがとう。魔法は、ね――」
 手に馴染む新しい杖を手に、リヒトが千織にそっと小さな声で魔法の話を囁いた。
 赤い瞳をキラキラと輝かせ、ヴォルフガングが目当ての物はないかと露店を見渡す。その中の一つに、魔女が薬を作る道具や材料を置いている店を見つけ、もしかしたらと足を向ける。
「へえ、大鍋とレシピ本とか有るんだな」
「大鍋も魔法使いっぽい」
 ヴォルフガングのあとを付いてきた千鶴とリヒトがそう言いつつ、レシピ本を捲る。
「レシピ本あんの? 料理? 魔女の料理とかあんの?」
「へぇ、お料理です?」
 ぴょこっと顔を出した理玖と千織が、千鶴とリヒトの捲る本のレシピを覗き込む。
「……材料」
「普通には……作れなそうだな……」
「魔法使い、っぽいね」
 そもそも料理ではなかったと、理玖が眉間に皺を刻む。
「お料理に似ているのですねぇ……材料以外は、ですけど」
 千織もそっと口元に手を遣って、困ったように笑った。
「……やっぱりやめとこう」
 千鶴もそっと魔女のレシピ本を元あった場所へと戻す。そんなことをしている間に、ヴォルフガングは見事にお目当ての物を発見したようで、嬉しそうな顔でそれを手にする。
「あった、イモリの黒焼きだ」
 いそいそとそれが本物であるかどうかを検分し、本物だとにんまり笑う。
「ヴォルフ、その……黒焼き?」
「黒焼き……何に使うんだ……?」
「ん? どう使うか聞きたい?」
 ニヤっと笑って、ヴォルフガングがイモリの黒焼きをどう使うか気になった面々に内緒だぞ? とウィンクを飛ばした。
「いや、聞きたくない」
「聞きたくないからいい……」
 理玖が千鶴と一緒に、ふるふると首を横に振る。その横で、リヒトだけが後学の為に聞いておこうと耳を傾けている。
「何とこれ、砕くと惚れ薬の材料になるんだ」
「聞きたくないって言ったのに!?」
 なんで言ったんだ、と言いつつも理玖がえっ惚れ……いや大丈夫、何でもない、と首を横に振った。
「え、イモリの黒焼きって惚れ薬の材料なんだ……」
 ヴォルフガングの言葉をいつの間にか合流していた十雉が聞いていて、声を上げる。
「意外か?」
「意外というか、もう少し可愛らしい材料で出来てるのかと思ってた」
 イモリの黒焼きが入ってる薬とか飲みたくない……と渋い顔をした十雉に千鶴も理玖も千織も、リヒトだって頷いた。
「はは、俺も魔女学齧るまで、妖精の羽とか綺麗なモノをイメージしてた」
 十雉の感想と、渋い顔をした四人にヴォルフガングが唇の端に笑みを浮かべる。
「惚れ薬、ですか」
 千織が慈愛に満ちたような、仕方ない子を見るような、なんとも微妙な表情でヴォルフガングを伏し目がちに見る。
「だから千織はその顔やめー! 変な使い方しないよ……」
 今は、とぼそっと呟いた声は果たして誰が聞いていたのやら。
 そんな賑やかな六人を少し離れた場所から眺めていた菫が優しい眼差しで微笑んで、あちらこちらと目移りしつつも目を惹かれたのは宝石の原石。
「魅入られてしもうたかな」
 自分と同じ紫色のその深さに、輝きに。
 なんてな、と唇を綻ばせると、六人が菫の傍へとやってくる。
「菫は綺麗な宝石を?」
 リヒトが問うと、菫が笑んで頷く。
「へえ、石も綺麗だな」
 理玖が珍しそうに石を眺める横で、千鶴が菫の持つ石を見てその色に微笑む。
「綺麗な石! 宝石なのかな? 綺麗な紫色……菫の眸と一緒だ」
「宝石は確かに菫の色だ、自然の美しさだね。綺麗だなあ!」
 ヴォルフガングもひょいっと覗き込み、石と菫の瞳とを交互に見遣った。
「……はら、うちの眸と同じ? なら、こっちの紫はちぃやね」
 千鶴の瞳の色だとふうわり微笑む菫の表情は、娘そのもの。
 その紫はヒトとモノの親子の絆を現したかのようで、菫はすっかり気に入ってしまったようだ。
「こっちのは……キミの色やよ」
 腕の中の黒猫に囁くように呟いて、それぞれの紫色を手にする。
「よし、みっつ買お」
 お揃いに密を秘めて、菫が満足気に微笑むと千織が石を覗き込む。
「ふふ、菫さんのそれ綺麗な石ね。光に当てるとまた違って見えますねぇ」
「それやったら、こっちの透き通る橙色は千織の色やね」
 近くにあった石を千織の眸の隣に翳し、菫が笑う。
「あっちの深い赤はヴォルフに似とうし、こっちの青は理玖、この濃い橙はリヒトやね」
「俺の石か、悪くないね。一つ買おうかな」
 自分の色のようだと言われ、ヴォルフガングが赤い石を手に取って灯りに翳す。
 琥珀みたいな色は十雉みたいだと言えば、理玖が感心したように菫を見遣った。
「やっぱ女の人はこういうの好きなんだな」
「うちは元々ヒトを飾る簪やから、石好きなんかも」
 そう言って、菫が理玖にはにかむように咲った。
 さて次は何があるのかと皆で隣の露店、またその隣と移動していく。
「お、こっちには小瓶とかあるぜ」
「あら、可愛い小瓶」
 理玖の声に視線をやって、千織がそっと小瓶を手にする。
 それはころんとした丸い香水瓶のような形をしていて、瓶には山吹の花の形をした細工が施され、蓋の部分には小さな蝶が一匹。まるで千織の為にあるような小瓶で、思わず尻尾が揺れる。
「千織姉さん、何を入れるんだ?」
「そうですねぇ……彼方で売ってる魔法薬とか?」
 きっと何を入れても不思議な加護を与えてくれそうな小瓶を手に、どんなとっておきを入れようかと千織が頭を悩ませる。
「取り敢えずこちらを買って、それから考えても遅くはなさそうですねぇ」
 有意義な買い物だと、千織が楽しそうに微笑んだ。
「十雉は何か気になるものあった?」
 魅力的なものばかりだと目移りしながら歩く十雉に、千鶴が声を掛ける。
「まだ、何にしようか悩んでるんだ。いつか本で読んだ光景がそのまま飛び出してきたみたいで、中々決まらない……」
 こうやって歩いて見て回るだけでも楽しいんだけどね、と十雉が笑う。
「十雉さんはどんな花が好きですか?」
「……そうだな、オレは小さな花が特に好きだよ」
 千織の質問にそう答えると、理玖がそれならとドライハーブやフラワーが飾られた露店を指さす。
「十雉兄さん、花ならポプリとかもあるけど」
 ポプリ、それなら持ち歩いたりもできるし、折角だから見てみようとポプリの並ぶ露店へ向かう。可愛らしい袋に入った物から、瓶に詰められた物、香りを蘇らせるためのオイルだとか、様々並んでいる。
「あ、見て、触れると咲く不思議な花だって」
 ドライフラワーだけじゃないんだね、と千鶴がガラスケースの中の花を覗き込む。
 店番をしている魔女が、そっとガラスケースの蓋を取って、一輪だけ花を出し、触れてごらんと笑う。その言葉のままに十雉が指先を伸ばして蕾に触れると、ゆっくりと蕾が開いていく。
「うわ……すごい、綺麗」
 触れるまでは咲きもせず、枯れもしないのだと魔女が笑う。それが本当なのか嘘なのかはわからなかったけれど、十雉の心はその不思議な花にすっかり惹かれてしまっていたので、買うことに決めた。
 それから、竜胆色のポプリが気になって使っている花を聞けば、竜胆とカスミソウだと返事があって綺麗な瓶に詰められたそれをじっと眺める。
「十雉は何見とるの?」
 あんまりにも真剣な表情で十雉が見ているものだから、気になって菫がひょっこりと覗く。
「うん、このポプリが気になって」
「気になるんやったら買ったらええよ。今度買お、はできへんやろから」
 そう言われてしまえば、それもそうかと十雉が竜胆とカスミソウのポプリが入った瓶を見つめて。
「うん、両方とも買っちゃおう」
 きっとそれが正解なのだと、十雉が笑った。
 もう少しでマーケットを一周するかという辺りで、リヒトがふと思い出したように言う。
「あ。俺、灯りも、気になっていたんだ」
「灯り? ああ、ランプとかランタンとか?」
 千鶴が問うと、リヒトが静かに頷く。
「あかりやに、いるから。あかりみたいな道具もほしいなって思って」
「あかりやの灯りを探すなら手伝うよ、リヒト」
 ヴォルフガングが笑って、それから優しく瞳を細めてリヒトを見遣る。
「あの心暖まる光景、凄く好きだし。何て言うか…歓迎されているような気持ちになるよ」
「ヴォルフ、ありがとう。そういってもらえると、うれしい」
「灯りなら彼処やない?」
 菫がすいっと指さした先には、様々な灯りが集う露店が見えた。
 行ってみよう、と向かった先には沢山のランタンが吊るされていて、仄かに明かりを灯している。透かし彫りのされたエキゾチックなランタンや、トルコランプのように丸みのあるもの、モザイクランプ……沢山の灯り。
「たくさんあるね、どれも綺麗だ」
「本当だ……ん」
 数ある灯りの中で、何かに呼ばれたような気がして千鶴が目を向ける。そこには碧く瞬く星屑のランタン。飾りのモルフォ蝶が今にも飛び立ちそうな、そんな。目を奪われたようにランタンに近付き、そっと指先を飾り蝶へと伸ばす。
「あっ」
 瞬間、翅がふわりと動いて羽ばたき、モルフォ蝶がひらりふわりと飛んでいく。視線を受けて、蝶の止まった先は千織の肩で。
「千織、動かないでね……!」
「ん? 千鶴さん?」
 そーっと指先を肩先の蝶へと伸ばし、指先を向ければ蝶は千織の指先に止まった。
「あらあら、綺麗な蝶ねぇ」
 そうっとランタンに戻った神秘的な青に千織がふわりと笑うと、千鶴がランタンを持ち上げてじいっと蝶を見る。
「うん、この綺麗なランタンに決めた」
 千鶴がそう言うと、蝶が小さく翅を揺らした。
 リヒトはヴォルフガングと共にあれやこれやと見て回り、小さな花飾りの付いた透かし彫りのされたランプに決めた。
「ダークセイヴァーで、花はあんまり、みないから」
「うん、リヒトらしくっていいと思うよ」
 ランプの纏う灯りは優しくて、きっとあの暗い世界を照らしてくれるはず。
 魔法のカンテラを片手に理玖も何かないかと探していると、目に留まったのはアルマオイル。綺麗な小瓶に入ったそれは様々な効能を持っていて、じっくりと読んでは理玖が香りを確かめる。
「これ、カンテラに少し入れたら何か俺でも魔法とか使えそうじゃね?」
 魔法の素養は全くないけれど、マジックアイテムなら使えるのではないかと理玖が笑う。
 それは誰かのささくれ立った心を宥めたり、眠れない夜に安眠を約束するような、そんな優しい魔法かもしれないけれど。
「……いい匂いする」
 それに、何より土産にもなりそうだし。そうと決まれば、どの香りがいいかアロマオイルを聞き比べる。皆の意見も取り入れて、自分の気に入る香りがするアロマオイルを数本買うことにした。
 充分にマーケットを見て回り、休憩所でパンとスープを食べながら七人が今日手に入れたアイテムを手に笑う。どれもこれも皆にぴったりで、今日この日に皆と出会えるのを待っていたようだと十雉が手にしたアイテムを眺めながら笑った。
 ああ、良い夜だ。
 ええ、良い夜ね。
 お揃いの帽子に素敵な品々、それから皆の笑顔。さざめく声は、ワルプルギスの夜にとけて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
魔術師っぽい黒いローブに身を包み
魔女と言えばこれも外せないよねーと
とんがり帽子もかぶり

RPGで見たようなオシャレなアイテムがいっぱい
こういうの見ていると何だかワクワクしてくるね
お、魔法の杖もある
これがあれば俺も魔法が使えたりしてー?
杖をくるくる~と回して気分は魔法使い

梓、梓、あっちからいい匂いがするよ
梓のローブの裾を引っ張って連れて行った先には
美味しそうなパンやスープのコーナー
魔女といえば真っ黒な大釜の中に
派手な蛍光グリーンの怪しい液体がグツグツと
煮立っている絵面が思い浮かぶ
このスープも見た目はなんだか禍々しい感じだけど
食べてみれば野菜がごろごろ入っていてとっても美味しい


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
綾と色違いである白いローブに身を包み
焔と零にも魔女っぽいケープと帽子をつけさせてみた
めちゃくちゃ可愛い(カシャカシャ

せっかくだから記念に何か買っていこうか
洒落た魔導書(中身は日記帳っぽい)を手に取り
と、取引…??
悩んだ末に、これは魔法のクッキーだ!と言って
常備している桜のクッキーを渡して一応取引成功
綾の場合、魔法を放つよりも
直接杖で殴ったり刺したりする光景が浮かぶな…

へぇ、パンも色々あるんだな
可愛い猫の形のチョコパンを見つけて癒やされたり
魔女といえば黒猫もつきものだもんな
飲み物も何か貰おうか
え、血のワイン…?なにそれこわい
飲んでみたら濃厚なぶどうジュースの味がした、良かった



●白と黒の魔法使いと可愛い魔女と
 魔女達が集う夜、ワルプルギスの夜。
「ってことはさ、魔女っぽい恰好を……男でも魔女でいいのかな?」
「男でも魔女って言うらしいから、いいんじゃないか?」
 話の途中で首を傾げた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)に、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)がそう言って続きを促す。
「あ、そうそう。魔女っぽい恰好をしなきゃだよね。ローブに魔女っぽい帽子でさ」
 ちょっとハロウィンみたいな感じだけど、正装だもんね、と綾が楽しそうに笑っていそいそと黒いローブを身に纏い、魔女の三角帽子を被る。
「梓は白だよ」
 はい、と渡された衣装は真っ白で、梓が何で黒じゃないんだ? と綾に問う。
「え、黒ばっかりじゃつまんないでしょ? それにほら、白い魔女もかっこいいよ」
 一緒に並べば対のように見えるよ、と綾が笑った。
「まあいいけど」
 白いローブに身を包み、白い三角帽子もしっかりと被って梓がどうだと綾を見る。
「似合うね、帽子に飾りも付けちゃおう」
 梓の帽子には月を、自分の帽子には星を飾って満足そうに綾が頷いた。
「よし、折角だし焔と零にも魔女の恰好をさせるとするか!」
 魔女っぽいケープと小さな三角帽子を焔と零に付けさせて、その可愛らしさに梓が唸る。
「めちゃくちゃ可愛い」
 手にした携帯端末で写真を撮りまくって、満足した頃には綾が早く行こうよと唇を尖らせていた。
 いざ、ワルプルギスの夜へ! 二人の魔女と小さな竜の魔女が楽し気に夜を歩く。少し歩くと村の中心部にある広場に、大きな篝火が夜空に向けて火の粉を散らしているのが見えた。
「わー、おっきな火だね」
「火を囲んで踊ってる魔女も見えるな」
 この場に居る全ての者が魔女らしい姿をして、この夜を楽しんでいる。笑い声はどこからだって聞こえてきたし、どこか異国情緒あふれる楽しそうな音楽だって流れている。
 そして、炎を中心として円を描くように魔女達の露店が並んでいるのが見えた。
「梓、魔女のマーケット見に行こうよ」
 遠目から見ただけでも、RPGなんかのゲームで見たようなオシャレなアイテムがいっぱい見えるのだ、絶対に楽しいと綾が梓のローブの裾を引っ張る。
「わかったわかった、見に行くから」
 引っ張んな、と言いつつも梓が引っ張られるままに綾に付いていく。
 ハーブやアロマオイルを扱うお店に、ランプを扱う店と、一つ一つ覗いては珍しそうに眺めて次の露店へと移動する。
「こういうの見ていると何だかワクワクしてくるね」
「ああ、真贋は定かじゃないが、楽しいな」
 童心に帰ったような感じとでも言うのだろうか、もしかしたら本物があるかもしれない、なんて気持ちになるのだ。
「お、魔法の杖もある」
 綾が手にしたのは指揮棒サイズの魔法の杖、持ち手からしゃらりと下がるのは蝶の飾りと赤い石。
「これがあれば俺も魔法が使えたりしてー?」
 くるくる~と回して、えいっなんて掛け声をかけて綾が楽しそうに魔法使い気分を味わう。
「これいいなー、ねぇ梓」
「買わない」
「えっ何で俺の言うことがわかったの、梓は魔法使いだったんだね……買って?」
 買わないって言いましたけど? みたいな顔をして綾を見るが、なんだかんだでいつの間にか杖を握らされていた。
「解せねぇ……」
 しかし綾の分だけ買うのも癪だし、と梓も何かないかと並べられたそれらしいアイテムを眺める。なんとなく目を惹いたのは洒落た魔導書で、白地のハードカバーに金の箔押しで複雑な魔法陣が描かれていた。
 中は日記帳のような感じで真っ白だったけれど、気に入ったと手に取って店主に声を掛ける。
「と、取引……?」
 さて何か持っていたかと、ごそごそ探って見つけたのは常備している桜のクッキー。
「これは魔法のクッキーだ、こいつで足りなきゃ銀貨でどうだ?」
 零れ桜と銀貨を見て、店主がまぁいいだろうと交換に応じてくれた。
「ほら」
「やったー、ありがとう梓!」
 ご機嫌で杖を振る綾に仕方ないなと笑いつつも、綾だったら魔法を放つよりも直接杖で殴ったり刺したりする方が早いんじゃないかと、思わず浮かんだ光景を首を振って打ち消した。
 マーケットを一通り巡って、ふわりと香るいい匂いに綾が梓を振り向く。
「梓、梓、あっちからいい匂いがするよ」
 行こう、と梓の手を引っ張って歩く先には、くつくつと煮える魔女の大釜に美味しそうな山盛りのパン。
「へぇ、パンも色々あるんだな」
「スープもすごいよ、見た目ヤバそうな色なのにいい匂いがする」
 魔女といえば、真っ黒な大釜に蛍光グリーンの怪しい液体をぐつぐつ煮立てているのがイメージだけど、それと変わらぬくらいの色をしていた。
 スープが紫色してる! と、言いながらスープを受け取って休憩所のテーブルへと座る。梓はパンを見繕っていて、可愛い猫の形のチョコパンを見つけてほんわかとした気持ちになったり、血のワインだと言われてなにそれこわい、と軽く引いたりしつつ、綾の待つ席に着いた。
「猫のチョコパンに血のワインってミスマッチ過ぎない?」
「紫色のスープも相当じゃないか?」
 恐々しつつ綾がスープを、梓が血のワインを飲む。
「あ、美味しい。中に野菜がごろごろ入ってる。この紫ってなんだろう?」
「紫キャベツじゃないか? ん、こっちのワインは濃厚なぶどうジュースだ」
 良かった、美味い、と梓が笑う。
「こういうお祭りも楽しいね」
「そうだな」
 パンは焔と零にも分けてやりつつ、お代わりはどうしようかと二人が笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時


魔女の祝祭…ッ!!!(カッ!!)
これは色々と仕入れるチャンスなのでは!?

俺様はいつも通りの魔術師衣装!まぁ魔女っぽければいいってんなら魔法帽子とマントで大丈夫さ!ほら杖も有る!

飲み物とかパンもまぁ買うが…
この俺様が狙うは魔導書ただ一点!!!

…え、まじ触媒とかも有んの!?
え―!マジックアイテムいっぱいあんの迷うんだけどぉ!
仕方ないなぁ…俺様のウエストポーチは中にいっぱい入る異次元BOX!
なので交換する際の価値あるものも入るし!大人買いだってできちゃう!
宝石をたくさん用意してる俺様に隙はない!

気になるもん全部買う!!
触媒になりそうなのもそうだし…魔導書らしいものは何でも全部買うぞ!
本物あるかなぁ



●魔女の祝祭
 ワルプルギスの夜というのは魔女達の祭りである、と聞いた兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)の反応は早かった。
 魔女達が集まって騒ぐだけなら、もしかしたらそれほどでもなかったかもしれないけれど、魔女達のとっておきが集まるマーケットも開催されるとあっては、もう行くしかない。
「これは色々と仕入れるチャンスなのでは!?」
 きっとこの世界には零時のまだ知らない魔法が沢山あるはず、その一つでも知ることが出来るのなら、行かないという選択肢はなかったのである。
「俺様は魔術師だからな、いつも通りの恰好で大丈夫だよな?」
 肩に乗せた紙兎のパルにそう言いながら、魔女っぽければいいのなら魔法帽子とマントで大丈夫だとワルプルギスの夜が開かれる村へと向かう。それに杖だってあるのだ!
「よし、必ず良い物を仕入れて見せるぜ!」
 足取りも軽く真っ直ぐに進めば、祭が行われている村に中央広場に辿り着く。
 燃え盛る大きな篝火、楽し気にその火を囲んで踊る人々、そして炎を中心にして円形に並ぶ魔女達の露店。そのどれもに、魔女の姿をした人々がいる。
「……すっげー!」
 小さなフリーマーケット程度かと思っていたけど、それなりの規模だ。
 これならきっと、自分が求める物だってあるはずだ、と零時が期待に胸を膨らます。
「飲み物とかパンも気になるけど……この俺様が狙うのは魔導書ただ一点!」
 いざマーケット探索! と、零時が近くの露店へと足を向けた。
 ハーブにアロマ、魔女の薬に不思議なランタン、純銀のペーパーナイフに変わった装飾品。マジックアイテムに念願の魔導書が並ぶ露店と、零時にとっては宝の山のようなマーケット。
「……え、まじ触媒とかも有んの!?」
 タリスマンに銀の触媒、ヤドリギにルーンの石、本物か偽物かはわからないけれど心擽られる品物を零時が手に取って確かめていく。
「え―! マジックアイテムいっぱいあんの迷うんだけどぉ!」
 嬉しい悲鳴を上げつつ、もう片っ端から買おうと決めた。力のない偽物であっても、力を注げば本物にもなり得るからだ。
「仕方ないなぁ……俺様のウエストポーチは中にいっぱい入る異次元BOX!」
 交換する為の価値あるもの、宝石だってたくさん入れてきたし、大人買いだってできちゃう!
「あ~、この魔術書もいいな……おっこっちは魔導書だな、これは……微かに力を感じる」
 ブツブツ言いながらあれもこれも、こっちも! と買い込んで、最後に目に付いたのは真っ白なハードカバーの本。
「なんだこれ、真っ白だ」
 でも、何かすごい力を感じる。魅入ったようにその本を手にした零時に、店主が声を掛けた。
 なんでもこの真っ白い本は何も書かれていないけれど、主と認めた者にのみその心を開き魔法を伝えるという曰くがあるのだという。
「主に……」
 なら、いつか必ず認めさせてみせる。
「これもください!」
 きっといつか、この本は自分の力になる。
 そう信じて、零時は真っ白な魔導書を手に入れる為に顔を上げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラファン・クロウフォード
【箱5】すれ違う人達がこっち見てるなぁ。ディアナと戒が選んでくれたお洒落で可愛い魔法少女、略して、魔女衣装。着てるのがいい歳した男では悪目立ちするよなぁ。見苦しくない立ち振る舞いを心掛けよっと。衣装にもいろいろあるんだな。ディアナもアオイもらしさが見えて、衣装がすごく似合ってる。素敵だな。俺もお洒落になりたいんだけど、どうしたらいい?なんて冗談言ったり。コーンスープにバゲットの端っこを浸して食べるの最高。フルーツサンドもウマッ。戒の手からトマトサンドをパクリ。苦手だったトマトの味にも随分と慣れたなぁ。しみじみ。食べ終わったらアッシュの服を探しに行こうぜ。トマトが美味しくなる魔法売ってねーかな 


アッシュ・ディーン
【箱5】

依頼行くの初めてだしちょっち緊張
魔女帽子と大きめのローブ被って
黒くて地味な方が落ち着くからこれで良いや
サイズおっきかったンか引き摺ってっけど
魔女の格好は断固拒否った
ラファンが犠牲に…なんか似合ってンだよなァ!?

お祭りってこんなに賑やかなンだな
パンとスープが食い放題!?
ディアナ、いっぱい食うしオレこの場所からほとんど動かねぇぞ
スープにパンを浸して食うの絶対うまいもん
フルーツサンドも食うからな!

カイは酒好きなんだな
酒はガキが飲んだらどーなるか知ってるから飲まねぇ
でも大人になることあるんかな

欲しいもの?服?えーっと…
隠れたりしやすい魔法かかったモンねぇかな?
アオイが欲しいものは見付かったか?


瀬古・戒
【箱5】
魔女の格好しねぇといけないんですってよ、ラファン
つって騙し遊…ごほん、ディアナと俺プロデュースで可愛くして遊……お手伝いし出発!アラヤダお似合いですよお嬢様
え?俺?何時ものカッコにおっきな三角帽子被るだけ
え?俺も着なきゃダメ?

飲み食いタダとか最高じゃね?人を集め洗脳するんにゃ安いモンかもしれねぇけど楽しまなにゃ損
ヘーイ大人組酒飲んじゃお?タダ酒うまい
アオイは平気?飲も飲も
アッシュも服引きずらねぇくらいデカくなったら酒飲もーな
パンもモリモリ食う
フルーツサンド蜜柑もーらい
…やべぇ、パッと取ったサンドイッチに苦手なトマト入ってた大事件
ラファン、ほらアーン

猫と仲良くなれる魔法アイテムあっかな


ディアナ・ロドクルーン
【箱5】
ワルプルギスの夜よ!魔女の集会よ!
(大きな帽子にちょっとセクシィな魔女の恰好で

と言う事で分かっていらっしゃると思います、ラファンさん
はい、用意させて頂きました。素敵でしょ?
何が?と言うツッコミは受け付けません、あしからず
綺麗にしますからねー
戒さんどうかしら、お気に召していただけました?ふふふ

わあ、立派なお祭り
みんな見て、向こうに面白そうなアイテムがあるわ
一緒に見に行きましょう
良い香りのするアロマオイルがあったら買っちゃおう

パンがたくさん、色々あって目移りしちゃうわね
美味しい。いくらでも食べられそう
アッシュ君はたくさん食べてる?

美味しそうなフルーツサンドね、アオイさんありがとう頂きます


アオイ・フジミヤ
【箱5】
ネイビーのワンピース
三角帽子には青い花を飾って
今日だけは花の魔女見習い

楽しまなきゃね
う、美しいなぁ、ラファンさん…!(びっくりして)
戒さんとディアナさんのセンスいいな、今度2人に服を選んで貰おうかな
アッシュさんは何か欲しいものある?パン?

(お酒受け取って)ありがとう。お酒うま…!
お酒大好きだよー飲もう飲もう!

美味しい魔女お手製パンさすがおいしい…!
フルーツサンド食べたいなー、いちごがおすすめ
みんなもどうかな!

私のお目当てはドリームキャッチャー
ドライフラワーと青い羽根で飾られたそれを見つけて購入
大事な人が怖い夢を見るといっていたから
いい夢が見れるように
うん、とびきりいいのあったよ!



●夜に結んで弾けて
 ワルプルギスの夜、それはなんだか言葉の響きだけでも心惹かれるものがあって。それが魔女達の宴だというのなら、尚更で。
「ワルプルギスの夜よ! 魔女の集会よ!」
 楽し気な声を上げたのはディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)で、大きな三角帽子にちょっとセクシィな黒いドレスの魔女姿を披露して、くるりとターンを決める。
「と言うわけで! 魔女の恰好がドレスコードよ」
「なるほど、魔女の恰好しねぇといけないんですってよ、ラファン」
 そう頷いて、瀬古・戒(瓦灯・f19003)がラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)を見遣る。
「……男でも魔女というからな」
 男でも女でも、魔女というのは職業の一つなので、魔法使いと分けずに魔女と呼ぶ場合もあるのだ。
「じゃあ、魔女って言っても帽子にローブでいいってことだよな?」
 ラファンの後ろから、アッシュ・ディーン(灰刃・f09290)がそう返す。
「え?」
「え?」
「え?」
「えっ?」
 四人が四人とも、え? って顔をしているのをアオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)が見て、あらまぁと笑っている。
「私はこの格好で行こうと思ってるのだけど」
 アオイが勿忘草を咲かせたネイビーのワンピースに、他にも青い花を咲かせた魔女の三角帽子を被り耳には三日月を揺らしている。花咲く魔女に四人が似合うと声を揃えると、アオイがありがとうと微笑んだ。
「と言う事で、分かっていらっしゃると思います、ラファンさん」
「いや、一ミリもわからないんだが?? 今回女装の必要なくね?」
 一ミリも無いはずなのだが、ラファンは嫌な予感がしてそっと視線を外す。その後ろで、アッシュが無言で首を振っている、オレは絶対に嫌だという意思表示だ。
「残念だな、それじゃあラファンは一緒に行けないって事か……」
 一緒に行きたかったな、と戒がチラっとラファンを見遣る。
「……っ」
 そんな顔する? 卑怯では、いや待て可愛い、どんな表情でも可愛い、俺も一緒にワルプルギスの夜に参加したい、いやもう絶対参加する、戒の為なら即決即断有言実行。それがラファンという男である。
「任せる……」
 チョッロ、と誰かが口にしようとして咳払いして誤魔化す。
「じゃあ、ディアナと俺プロデュースで可愛くし……いや遊……立派な魔女にしてやるからな!」
「はい、用意させて頂きました。素敵でしょ?」
 素敵でしょ? という圧がすごい、反論は受け付けないオーラが溢れ出している。これは下手に突っ込めば自分も被害に遭う、オレは詳しいんだとアッシュは口を噤む。スケープゴートは一人でいいのだ……。
 アッシュは即座にアオイを安全圏とみなし、魔女っぽい恰好の相談をこっそりとしたし、アオイはその相談を快く引き受けてくれたので、アッシュは難を逃れ無難な魔女帽子と大きめの黒いローブで落ち着いた。
「ラファン完璧じゃね? ヤバいな」
「綺麗にしましたからねー、戒さんどうかしら、お気に召していただけました?」
 ふふふ、と笑うディアナに戒が無言で頷く。
「ところで、戒さんはどんな格好にするのかな?」
「え? 俺? 何時ものカッコにおっきな三角帽子被るだけ」
 アオイの問いに、戒があっけらかんと答える。
「ええと、それは……」
「え? 俺も着なきゃだめ?」
 だめ、と瞳だけで伝えてきたラファンに仕方ねぇなーと呟いて、戒も魔女帽子だけでなく魔女の着るような黒いローブを着用することにした。
 さて準備はできた、と五人がワルプルギスの夜へ向けて出発する。わくわくするような魔女の夜の始まりに、くすくすと密やかな笑い声を連れて――。
 到着した村は確かに規模の小さいものではあったけれど、祭の規模としてはそれなりだ。
 村の中央広場に据えられた大きな篝火は夜空に向かって火の粉を噴き上げていたし、その炎を囲んで踊る人々は誰も彼もが魔女であり、楽しそうな声を上げている。
 炎を中心として、大きく円を描くように並んだ魔女のマーケットもパッと見ただけでも良い品揃えだ。ハーブやアロマオイルなど、魔法の力を持たなくても充分に使える物は最高級の物が揃っているようだし、ランプの細工も美しい。
「わあ、立派なお祭り」
「お祭りってこんなに賑やかなンだな」
 ディアナとアッシュが同時に発して顔を見合わせ、ディアナが笑うとアッシュがローブの袖で隠した口元をほんの少しだけ持ち上げた。
「一つ良いか?」
 ラファンがすっと手を上げる。
「おお、どうした? ラファン」
「すれ違う人達がこっちを見てるんだが」
「そ、そうでしょうね……ラファンさん、美しいので……!」
 アオイが改めて炎に照らされたラファンを見遣り、驚いたように言う。
「俺とディアナの選んだ衣装だから当然だな」
「ええ、腕によりをかけてしまいました」
 化粧もばっちりなのだ、お洒落で可愛い魔法少女の衣装を着たラファン、略しておしゃかわ魔女衣装のラファン。これ略せてる??
「俺もこの衣装は良いと思う、思うんだが」
 着てるのがいい歳した男では悪目立ちが過ぎるんだよな。どうして膝上スカートにしてしまったんだ?? そんな疑問はもう最初の時点で握り潰されているのでラファンは言わなかった。
「でもさ、オレの目が変になったのか慣れたのかはわかんねぇンだけど」
 一拍置いて、アッシュがラファンを見て言葉を続ける。
「……なんか似合ってンだよなァ!?」
「そうだろ? 似合ってるだろ?」
 我が意を得たり、とばかりに戒がアッシュにそう言って、ディアナは得意気に微笑んでいる。
「ほらな、似合ってるから皆見てるんだよ」
「騙されてないか……?」
 それか洗脳か? でもラファンにはもうどちらでも良かった。
 だって戒と仲間と一緒に魔女達の祭りに参加できたのだから! ……やはり洗脳では?
 なんて冗談のような冗談ではないような事を考えつつ、せめて見苦しくないように立ち振る舞いを心掛けようとラファンは心に決めた。
「俺の恰好はさておき、ディアナもアオイも二人のらしさが見えて、凄く似合ってる」
 その魔女衣装、とラファンが二人を褒める。
「ふふ、ありがとうラファンさん」
「ありがとう、ラファンさん!」
 二人の魔女が嬉しそうに笑って、それを戒が眼福とばかりにニヤニヤ眺めている。
「戒も魔女衣装似合ってるぞ」
「ドーモ、でもラファンちゃんが一番可愛いぜ」
 口説いたはずが口説き返されていた、解せぬ。
「アッシュ君もお似合いですよ」
 ちょっとオーバーサイズだけれど、それも趣があっていいとディアナが頷く。
「皆素敵だ、俺もお洒落になりたいんだけど、どうしたらいい?」
 なんて、ラファンが冗談で口にしたら戒がニヤリと笑って、ディアナがキラーンと瞳を輝かせ。
「今後もコーディネイトを俺に任せることじゃね?」
「そうですね、私達にぜひ」
 そう言って、笑った。
「触らぬ神に祟りなし……」
 ぼそりと呟いたアッシュに、アッシュもきっとその内だとラファンは凪いだ笑顔を向けるのだった。
「おっ、パンとスープにドリンク類が飲み食いタダだって。最高じゃね?」
 戒が休憩所の近くで見つけた、飲食物を無料で配っているスペースを指さして言う。
「人を集め洗脳するんにゃ安いモンかもしれねぇけど、折角だしな。楽しまなにゃ損ってやつじゃん?」
「パンとスープが食い放題!?」
 真っ先に食いついたのはアッシュで、次にディアナが目を瞬かせる。
「パンがたくさん、色々あって目移りしちゃうわね」
 どれが良いかしら? と零せば、アッシュがきりっと顔をディアナに向けた。
「ディアナ、いっぱい食うしオレこの場所からほとんど動かねぇぞ」
 だから、好きなのいっぱい持ってきて、食べ切れなかったら食ってやるとアッシュが言う。
「ふふ、それなら気になるパンを全部持ってきちゃおう」
 休憩場所のテーブルを一つ確保して、それぞれが思い思いにパンやスープを貰って席へと戻る。目の前には山盛りの美味しそうなパンに、湯気を立てるスープ。いただきます、と声を合わせれば五人の手がパンに伸びてぱくりと一口。
「美味しい魔女お手製パン、さすがおいしい……!」
 蜂蜜とチーズとクルミの入ったパンを片手に、アオイが幸せそうに頬を押さえる。
「んん、美味しい。いくらでも食べられそう」
 たっぷりの玉子フィリングが挟まれたサンドイッチを齧り、ディアナが次はどれにしようかと幸せな悩みを零した。
「フルーツサンド蜜柑もーらい」
 フルーツサンドは正義、と戒が生クリームの甘さと蜜柑の甘酸っぱさに頬を緩める。
「戒、クリーム」
 口許に付いたクリームをラファンがそっと拭ってぺろりと舐めるけれど、今の彼はおしゃかわ魔女衣装だし、なんだったら見苦しくないようにと足を綺麗に閉じていたので、威力は半減していた。
 魔法少女の恰好させといて良かった、とこっそり戒が思ったのは内緒。
「バゲットも美味い、このスープに浸して食べるのがいい」
「わかる、スープにパンを浸して食うの絶対うまいもん」
 ラファンも衣装を汚さないように気を付けつつ浸したパンを齧り、アッシュが同意とばかりに頷く。
 山盛りあったはずのパンはあっという間に半分に減り、更に半分に減って。
「よし、そろそろ酒を入れるか! ヘーイ大人組酒飲んじゃお?」
 すきっ腹にお酒は不味いので、ある程度満たされたところで満を持してのお酒である。
「タダ酒うまい。アオイは平気?」
「お酒大好きだよー、飲もう飲もう!」
「よし、飲も飲も」
 お酒美味しー! と盛り上がる大人の横で、未成年なアッシュはひたすらパンを口に詰め込む。
 この白パンはそのままでも美味い、こっちはスープと一緒に食うと美味い、このウィンナーを包んだパンはもう一個食べる、フルーツサンドも! と食欲旺盛だ。
 全部飲み込んで一息つくと、アッシュが戒を見遣る。
「カイとアオイは酒好きなんだな」
「おっ、飲むか?」
「酒はガキが飲んだらどーなるか知ってるから飲まねぇ」
 未成年だからな、とアッシュはフルーツサンドに手を伸ばす。
「そうか、未成年……アッシュも服引きずらねぇくらいデカくなったら酒飲もーな」
「……でも、大人になることあるんかな」
 なんでもなかったナイフのヤドリガミは、かつて自分を握っていた少年の姿で。
「何言ってんだよ、一年すぎりゃ年は取るんだぜ?」
 あっけらかんと言ってのけた戒に、そうか、とアッシュが頷いてフルーツサンドを齧った。
「あ、私もフルーツサンド食べたいなー」
 苺にしよう、とアオイが手を伸ばし、苺のフルーツサンドを一口食べる。
「! これ、すごくおいしい……! いちごが、いちごが……」
 美味しい、とアオイがふにゃっとした笑みを浮かべ、イチゴサンドを皆に勧める。酔っているわけではないけれど、ちょっと楽しくなっているのは確かだ。
「美味しそうなフルーツサンドね、アオイさんありがとう頂きます」
 ディアナがそれを受け取って、一口食べる。確かに苺と生クリームが良く合っていて美味しい。
「アッシュ君はたくさん食べてるわね、これもどうぞ」
 ディアナが笑って、今日一番美味しかったお勧めだとチョコとイチジクの入った少し硬めのパンを渡す。
「ん、これも美味い」
「でしょう? 少し硬いけど、中のチョコとイチジクがすごく良くあってて」
 食べ応えもあるのだと、楽しそうに笑った。
「んあ、トマト」
 戒が眉間に皺を寄せる、適当に取ったサンドイッチに苦手なトマトが入っていたのだ、もう今日一番の大事件だ。
「ラファン、ラファン」
「なんだ?」
「はい、アーン」
 あーんと言われて素直に口を開ければ、トマトサンドが突っ込まれる。
「おいし?」
「ん」
 苦手だったトマトの味にも随分と慣れたな、としみじみ思う。多分戒が自分のトマトを俺に食べさせまくるせいだな、と思いつつ、それでも食べるのは、まぁそういうことだ。
 お腹が膨れたら次は買い物よ、とディアナが立ち上がる。
「みんな見て、向こうに面白そうなアイテムがあるわ」
 指さす先には魔女達の露店、一緒に見に行きましょうとディアナが誘う。皆のお腹も良い具合に満腹で、ごみを片付けて露店へと向かった。
「良い香りのするアロマオイルがあったら買っちゃおう」
「私のお目当てはドリームキャッチャーだよ、アッシュさんは何か欲しいものある? パン?」
「パンはさっき食べたからいい……。欲しいもの? 服? えーっと……隠れたりしやすい魔法かかったモンねぇかな?」
 アッシュが悩みつつもそう言うと、俄然年上の四人が張り切る。アッシュの服を探して、ディアナのアロマオイルを見て、アオイの欲しいドリームキャッチャーを眺めて。
 ディアナはお気に入りの香りが見つかったし、アッシュも目立たなくなる魔法の掛かった服をなんとか手に入れた。
 アオイはと言えば、ドリームキャッチャーの並ぶ露店であれでもない、これでもないと沢山悩んで、勿忘草のドライフラワーと青い羽根で飾られたドリームキャッチャーに決めた。
 大事な人が怖い夢を見るといっていたから、いい夢が見られるようにと一番いいものを探し当てたのだ。
「アオイが欲しいものは見付かったか?」
「うん、とびきりいいのあったよ!」
 ほら、とアッシュに見せて、アオイが嬉しそうに微笑んだ。
「ラファンはなんかねぇの?」
「戒は?」
 せーので言う? 言う、なんてアイコンタクトをしつつ。
「トマトが美味しくなる魔法」
「猫と仲良くなれる魔法アイテム」
 そうして、お互いの顔を見合わせて吹き出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

影杜・梢
【蝶と狼2】
ドイツと聞いてつい来てしまったよ
ドイツを語る上で、ブロッケン山の伝承は外せないからね
独文好きは飾りじゃ無いさ
それに、ボクだって偶には動くよ

雰囲気に呑まれてるあゆみの手をとって、篝火の方へ
ほらほら、興味の赴くままに
少しばかり躍ろうじゃないか
さあ、お手をどうぞ

踊りを楽しんだら、飲み物を手にして少し休憩するよ
折角だし、少し妖しげな赤のサングリアでも
お酒は初めてだけど、なかなかいけるね
効果の是非はさておき、魔女作の品々も興味深いよ
……でも、やっぱり今はサングリアかな
けっこう美味しいし、あゆみ、踊りもまた楽しまないか?

……あれ、そういえば、何しに来たんだっけ?


花染・あゆみ
【蝶と狼2】
珍しく……ほんとに珍しく、先輩がやる気を出しました…
いっつも、本を片手にお布団でゴロゴロしてるのに…
明日は槍が降る、かも…?

魔女と言えば大きなとんがり帽子、ですよね…
それっぽい格好、似合うのかは分かりません、が…
先輩に流されるまま、少し躍りましょうか…
辿々しいステップしか、踏めませんが…

先輩、お酒はって…この間成人した、ばかりでしたね…
わたしはノンアルコールの、先輩と同じ物を…
早く大人になりたいなって、思います…
それにして、も…妖しげな飲み物に、アイテムの数々に……
伝承は本当だと、思えてしまいそうですよね…



●ワルプルギスの夜に踊って
 パチリパチリと弾けて夜空に吸い込まれていく火の粉を眺めながら、影杜・梢(月下故蝶・f13905)は感慨深げに吐息を零す。
「来てしまったね」
「そうですね」
 相槌を打つのは梢の隣できょろきょろと辺りを見回す花染・あゆみ(夜明けの光・f17667)で、どこもかしこも魔女でいっぱいだと行きかう人々を眺めている。
「だってあゆみ、ドイツだよ?」
 ここはドイツではありませんが、という言葉は飲み込んであゆみは頷く。
「ドイツを語る上で、ブロッケン山の伝承は外せないからね」
 ドイツのブロッケン山といえば、二つ有名な話がある。
 ひとつは、登山者の影が霧に投影されてできる、影の周りに虹のような光の輪が現れる現象。霧の中の伸びた影と不可思議にも思える光りから、ブロッケンの妖怪とも呼ばれるブロッケン現象。
 そしてもう一つは、年に一度魔女が集まって魔女の饗宴が行われる山、それがブロッケン山であり魔女が集う夜の名をワルプルギスの夜というのだ。
「珍しく……ほんとに珍しく、先輩がやる気を出しました……」
「独文好きは飾りじゃ無いってことさ。それに、ボクだって偶には動くよ」
 いつもであれば本を片手に布団でゴロゴロしてるのに、本当に本当に珍しく梢が行くと言ったのだ。
 ドイツの力ってすごいですね、と思いつつ明日は槍が降る、かも……? なんてちょっと失礼なことを考えながら、あゆみが梢に視線をやった。
「魔女の恰好も、独文好きの一環ですか……?」
「ワルプルギスの夜と言えば魔女の祭りだからね、参加者は皆魔女になるのさ」
 そう言って笑った梢は黒いローブに身を包み、魔女の三角帽子を被っている。勿論、あゆみだって同じような恰好をしていた。
 違う点と言えば、梢は紙に飾った髪飾りと同じ花、ナニワノイバラを帽子のリボンの結ぶ目に飾っていたし、あゆみは小さな黒猫のマスコットをリボンの結び目に付けている事。それに、ローブのポケットからそっと兎と犬のぬいぐるみの顔が覗いている。
「さて、折角来たんだから楽しまないとね」
 魔女のマーケットも魅力的だけれど、今は何より炎を囲んで踊る魔女達に混ざるのが一番魅力的だと、梢があゆみの手を取って篝火の方へと向かう。
「え、先輩……?」
「ほらほら、ぼーっと見てるだけじゃつまらないだろう?」
 見ているだけでも充分楽しいですけれど、という言葉は飲み込んで、あゆみは梢に流されるままに魔女達の輪の中へとエスコートされていく。
「少しばかり踊ろうじゃないか」
「辿々しいステップしか、踏めませんが……」
 それでもよければ、とあゆみが唇を持ち上げる。
「もちろんさ。さあ、お手をどうぞ」
 改めて恭しく一礼をして、梢があゆみに手を差し出す。その手にそっと自分の手をのせて、可愛らしい魔女が最初のステップを踏んだ。
 少し不思議な旋律の異国情緒溢れるような音楽に合わせ、魔女達がステップを踏む。決まったステップはなくて、それこそ皆思い思いに笑って踊っているのだ。
 最初は少しおっかなびっくり、一周回る頃には梢のリードもあってあゆみのステップだってそれなりだ。
「そうそう、こんなのは楽しんだもの勝ちなのさ」
「そですね、はい、楽しいです……」
 くるくる回れば帽子のマスコットの猫の尻尾もゆらゆら揺れて、楽しそう。ナニワノイバラもその白い花弁に炎を映し、魔女の祭りを楽しんでいるように見えた。
「いやあ、踊った踊った。少し休憩しようか」
「はい、息が上がって……」
 けれど、楽しかった。そう告げると、梢がそうだろう? というように笑った。
「何を飲もうか……折角だし、少し妖しげな赤のサングリアにしよう」
「先輩、お酒は……って、そうでした、この間成人した、ばかりでしたね……」
 そうとも、と笑って梢はサングリアを受け取り、梢はノンアルコールのサングリアを頼んだ。
 フルーツがたっぷり入ったそれは甘くて美味しくて、つい飲み過ぎてしまいそうになって梢はカップを置く。
「お酒は初めてだけど、なかなかいけるね」
「早く大人になりたいなって、思います……あ、でも、これもとっても美味しいです……」
 こくんと飲んで、あゆみが頷いた。
「それにして、も……妖しげな飲み物に、アイテムの数々に……」
 そっと辺りを見回せば魔女のマーケットが見える、そこには様々なアイテムが並んでいて、ざっと見ただけでも魔導書だの魔女の薬だのと普通ではあまり手に入らなさそうなものも。
「効果の是非はさておき、魔女作の品々も興味深いよ」
「はい、伝承は本当だと、思えてしまいそうですよね……」
 でも、と梢がサングリアをもう一口飲んで。
「……やっぱり今はサングリアかな」
 これを飲んだら、もう一度踊りを楽しまないか? と梢が笑って、あゆみがこくりと頷く。
 魔女の夜はまだ始まったばかり、夜通し朝まで騒ぐのがワルプルギスの夜なのさ、と梢が囁く。
「……あれ、そういえば、何しに来たんだっけ?」
 梢が首を傾げてぽつりと零せば、あゆみも一緒に首を傾げる。
「先輩が行くよって言ったので……」
 二人で首を傾げつつ、まぁ細かいことはいいのさと梢が朗らかに笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『狂信の淑女』

POW   :    これぞ、我らが信仰の証
【自身が『異教徒』と判断した相手を消すため】【神への祈りを捧げ続けた両手に】【異教徒を焼き滅ぼす青い炎】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD   :    ああ神よ、我らに愛の手を!
【彼女達の信仰する邪神によく似た姿】の霊を召喚する。これは【異教徒への天罰】や【審判の光】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    今こそ、生まれ変わるのです
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【神へとその命と魂を捧げんとする狂信者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔女の試練
 ワルプルギスの夜、魔女達の宴。
 篝火を中心にし、魔女達が踊り、笑う。
 いつまでも終わらぬ様なその宴の中で、流れる音楽が変わった。
 その瞬間、村の魔女達が踊るのを止め、そっと篝火から離れていく。彼らは皆一様に貼り付けたような笑みを浮かべていた。
『ようこそ、魔女の宴へ』
 夜を震わせるような声が、何処からともなく響く。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 赤く燃え盛っていた篝火が青い炎へと変わる。炎の勢いは変わらぬというのに、色だけが変化したのだ。
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 拒絶を許さぬ声が響いたと同時に、『共進の淑女』が姿を見せた。
 彼女達は村の外からやって来た魔女達に、高らかに告げる。
 本物であれば、我らの攻撃を受けても死なず、生きてこの場に立っていられるはずだと。
 手に青い炎を携えて、淑女たちは笑う。
 さあ、あなた方の証を見せなさい、と。
 魔女達による、狩りの時間が始まろうとしていた。
アメリア・ツァオ
本物の魔女の宴……か。まさか、本物の魔女が絡んでいるとはね。
やはり怪しさ抜群だったな。
しかも、数が多い。一人一人倒していくしかなさそうだ。

ということで、魔女たちが現れたら動きやすくなるように、
自分のローブを切りスリットを入れて戦うよ。
そして、ホルスターから「砂漠の鷲」を取り出して、
【正確無比の一撃】を狂信の淑女にお見舞いするよ。
霊による攻撃はひたすらかわしていくが、
スリットを入れても魔女のローブは動きづらいな。

そして、こんなことを思いながら戦おう。
希望を信じることは間違いじゃない。
人間は希望を失っては生きていけないからね。
だからこそ、この戦いに勝って、希望を勝ち取るよ。



●希望の為に
 篝火が赤から青へと変化したその瞬間、アメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・f09854)は自分の勘は正しかったなと小さく笑った。
「当たらない方がよかったけれどね」
 現れた魔女――狂信の淑女の言葉に目を細めつつ、アメリアは油断せぬように辺りを見回す。村の魔女達は既に篝火からは遠く、こちらを見ているだけ。篝火の傍に立ち、淑女達と相対しているのは猟兵である我らのみ。
「本物の魔女の宴……か。まさか、本物の魔女が絡んでいるとはね」
 楽しい宴ではあったけれど、その裏には怪しい影が蠢いていたということ。
「しかも数が多いな……一人一人倒していくしかなさそうだ」
 私一人ではないのが救いだな、と笑ってアメリアが着ていたローブの裾を裂き、動きやすいようにとスリットを入れた。
「これだけでは足を引っかけそうだな」
 反対側にもスリットを入れて、これならばまぁ、とホルスターから愛用の拳銃『砂漠の鷲』を抜く。
「さて、あっちが気が付いてない内だ」
 淑女の死角になる位置から、アメリアが狙いを定めて引鉄を引いた。
 それは正確無比なまでに心臓を撃ち抜いて、淑女がたたらを踏む。
「魔女と言うだけあって、これだけでは足りなかったか?」
 ならば、と狂信の淑女が喚び出した黒い影のようなものが放つ光を避け、銃弾を放つ。
「スリットを入れても魔女のローブというのは動きづらいな」
 それでも、まるでドレスの裾を捌くかのようにアメリアは立ち回り、手にした銃で淑女の動きを止めるべく攻撃の手を緩めない。
『異教徒め……!』
「ふふ、邪神を信じる気にはなれないからね」
 それならば異教徒で結構、とアメリアが笑う。
「ああ、だけどね。希望を信じることは間違いじゃない」
 邪神信仰であっても、それがあなた達の希望なのだろうとアメリアは言う。
「人間は希望を失っては生きていけないからね」
 だけど、と言葉を区切ってアメリアが淑女の眉間を狙う。
「あなた達の希望は人々を犠牲にし、死に至らしめようとするだろう?」
 だからこそ、とアメリアの青い瞳が輝く。
「この戦いに勝って、私達にとっての希望を勝ち取るよ」
 そう、凛と告げてアメリアは砂漠の鷲の引き金を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

久留米・圓太郎
■WIZ
ついに来たか!
師匠やオレは魔女と自称はしたことが無いけど、魔法使い。
「罪無き者に魔法を使う者、最後には魔人(女)になる」とは、オレの師の教えだぜ?

しかし、狂信者がどれだけ出てくるか……ここは、「数」で止めるか!

古代戦士達には、【オーラ防御、殺気】発動させて狂信者の足止め>淑女への攻撃、の優先順位で動いて貰おう(気絶中とあっては、間違っても倒しちゃいけないからな)

オレは【カウンター、高速詠唱、地形の利用、属性攻撃、全力魔法、2回攻撃、範囲攻撃、援護射撃】使って淑女をぶちのめす。
もっとも、オレだけで倒すのは難しそうだ。

※連携、アドリブ共に歓迎

「足を踏み外した魔法使いは、オレが止める!」



●魔女を倒す者
 夜の空気が変わる――その瞬間、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は顔を跳ね上げるようにして篝火を見た。
 赤から青へ変わったそれは、まるで冥府の炎の様だと圓太郎は思う。
「ついに来たか!」
 視線の先には青い炎を手にした狂信の淑女、魔女の証を見せよと言う女達を見て、圓太郎はぐっとこぶしを握り締めた。
 師匠やオレは魔女と自称はしたことが無いけど、魔法使いだ。魔女と何が違うのだと言われてしまえば、そこにある差は一つしかないのだけれど。
「でもな、罪無き者に魔法を使う者、最後には魔人――魔女になる、とはオレの師匠の教えだぜ?」
 それは悪しき魔女だと圓太郎は思う。正しくあれと、弱き者を助ける立派な魔法使いとなるという目標を持つ彼からすれば、外道でしかない。
 そして、目の前に現れた狂信の淑女達は正しく悪しき魔女であり、圓太郎が倒すべき敵であった。
「しかし、狂信者がどれだけ出てくるか……ここは、数で止めるか!」
 数には数で対抗するのが一番だ! と、圓太郎が笑いながら小振りの杖を握りしめ、召喚陣を描く。
「来い、古代戦士達!」
 喚び掛けに応じ、古代戦士が陣の中より現れるとオーラの力で加護を与え、狂信者達の足止めに向かわせた。
「うっかり倒したり気絶させると、ちょっとばかり厄介なことになりそうなんだよな……」
 一撃で仕留めてしまえば問題ないだろうか、それか跡形もなく燃やし尽くせば操り人形には出来ないか……なんて考えながらも、自分に向かってくる狂信の淑女に圓太郎の魔術が炸裂する。
「あっやっぱり倒すと拙いな!?」
 手に青い炎を宿した狂信の淑女が、倒れた仲間を操り人形のようにして圓太郎を襲わせる。
「こうなったら、燃やし尽くすぜ!」
 教鞭のような形をしたウィザードロッドを振るえば、その先から幾つもの火球が現れ操り人形のように単調な動きを繰り返す淑女へと放たれた。
「足を踏み外した魔法使いは、オレが止める!」
 骸の海へ送ってやる、と冥府の炎ごと燃やすかのように圓太郎が次々に火球を放つ。それは次第に大きな炎となって淑女を包み込み、まるで浄化するかのように燃やし尽くした。
「取り敢えずはなんとかなったかな……」
 額に浮いた汗を乱暴に拭い、まだ倒すべき敵はいると圓太郎はウィザードロッドを握り直した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍

オブリビオンが関係しなければ、あの篝火もただの炎色反応を利用した演出ってなるんだろうな、と少しずれた事を思い。

魔女の証というのなら、ただ倒すよりも多少の演出があったほうがいいのかな?
占いも演出が必要だっていう人も昔いたけど、それは私には理解出来ない事だったけどね。
そっと鳴神を念動力で飛ばし攻撃、兼UCの発動を。鳴神は黒いから程よく闇に紛れるでしょうし、念動力で操作するから投げ直す必要もないし。
「神の」とまでは申しませんが、雷にて炎ごと切り裂き燃やしてしまいましょう。

でも彼女らの言い分はかの魔女裁判を思い起こさせるわ。
結果がどっちにしても人としての死が確定してるってところも含めて。



●魔女の証明
 鮮やかな赤から冥府の色を湛えた青に変わった篝火の炎を目にし、夜鳥・藍(占い師・f32891)は宙色の瞳を瞬かせる。
「綺麗だけれど」
 オブリビオンが関係していなければ、あの篝火の青い炎もただの炎色反応を利用した演出になるのだろうと、少しだけずれた感想を胸の内で思う。
「なんだったかな、銅化合物……」
 青色になったはず、と思い出せたことにベールの中の口元を緩ませてから、でもあれは違うと視線を鋭くする。
「地獄の炎を喚びだしたのね」
 だから村人はぼんやりとしているのかも――そこまで考えて、自分の方へ足を踏み出した狂信の淑女へ視線を向けた。
『あなたは本物かしら?』
 手に青い炎を宿した女は、藍に向かって笑みを浮かべる。
「魔女の証、ね」
 それならば、ただ倒すよりも多少の演出があった方がいいのかな? なんて考えながら、藍が刃渡30センチ程の黒い三鈷剣、鳴神を取り出す。
 占いにだって演出が必要だと言う人もいたけれど。
「私には理解出来ないことだったけどね」
 演出よりも、結果が全てだとタロットでの占いを生業とする女は思う。
「死なず、この場に立っていればいいのよね?」
 簡単なことだとでも言うように藍はその瞳を細め、鳴神を念動力で淑女に向かって飛ばす。淑女の死角を狙い、闇に紛れさせるように視線だけで動きを操る。時折フェイクの視線も交え、鳴神の切っ先が淑女を捉えたと同時に藍が力を解放する。
 竜王招来、それは藍が念動力で操った鳴神が命中した相手に対し、嵐の王たる竜王を召喚し強力な雷撃を放つもの。炎を手に襲い来る淑女に向かって、藍がその指先を向ける。
「『神の』とまでは申しませんが――」
 不浄を焼き尽くす雷にて、炎ごと切り裂き燃やしてみせましょう、と藍が指先を振り下ろした。
 轟く雷鳴にその身を飲み込まれ、淑女の悲鳴は誰にも届かない。
「最後まで立っていたのは私で、倒れたのは貴女でしたね」
 倒れた淑女を見下ろして、鳴神を手元に呼び戻す。
「これが魔女の証だなんてね」
 まるで魔女裁判のようだと、藍は独り言ちる。
「結果がどっちにしても、人としての死が確定してるってところも含めて」
 魔女の為の祭りだと言うその口で、魔女裁判なんて。
 そっと、誰にも聞こえぬように藍はベールの中に溜息を落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【SPD】◎
相手の攻撃をUCを用いて最小限の動きで回避する
両手はローブマントの下に隠したまま、可能な限りその場から動かず
上半身や首の動きだけで回避する

なんてことないような表情で淑女に言い放つ
「"本物であれば、我らの攻撃を受けても死なず、生きてこの場に立っていられるはず"、なんでしょう?」
「私はこの通り生きているのだけれど。」

相手の隙を見つけては瞬時に近づき
妖刀の一閃を持って攻撃をする
連続攻撃や追撃は望まず、一太刀で敵のそばから離れる
戦闘は基本的に回避を主軸に行う



●本物の定義
 現れた狂信の淑女を前にして、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はある程度予測していたことだと特に慌てた様子もなくその動きを観察する。
『本物の魔女はいるのかしら?』
 そう言って青い炎を手にして笑う淑女は、確かに魔女のようにも見えて。
 けれど、公明はあれが魔女などではないことを知っている。そんな生易しいものではなく、正真正銘己が信じる神に身を捧げたオブリビオンであることを。
 そうであれば、猟兵たる自分が後れを取るようなことなどないと確固たる意志の力で公明は淑女を見据えた。
『あなたはどう? 魔女の資格を持っているかしら』
 底冷えのするような視線を真っ向から受け、公明が挑むように淑女に笑う。
『そう、自信がおありなのね?』
 ならば、と淑女は手にした炎をそのままに、祈りを捧げるように天を仰いだ。
『ああ神よ、我らに愛の手を!』
 願いを聞き届けたまえ、と請う女の前に、得体のしれぬ影のようなものが現れる。それは淑女の願いのままに、公明に向けて審判の光を放った。
 その光を公明は解放した力に寄って、最小限の動きだけで回避する。額を狙う光には首を傾け、心臓を狙う光には一歩足を引いて上半身を捻り、大したことではないというような表情を淑女へと向ける。
「本物であれば、我らの攻撃を受けても死なず、生きてこの場に立っていられるはず――なんでしょう?」
 すっと両手を広げ、淑女に向かって首を傾げて。
「私はこの通り生きているのだけれど」
 これで証は立ったわよね? と煽る様に笑ってみせた。
「では、これは私からの質問なのだけど」
 怯んだ淑女に向かって、瞬時にその差を詰めると、ローブマントの下に隠したままだった血吸を鞘から引き抜き一閃し、即座に距離を取る。審判の光を避け、隙を突いて近寄っては刃を振るう。数度繰り返せば淑女は地に膝を突き、今にも消えゆかんとする灯火のよう。
『ぐ……っ』
 得体のしれぬ影は霧散し、淑女が倒れ伏す。
「今、この場に立っていないあなたは――」
 魔女失格ね?
 血吸を鞘に納め、射抜くような赤い視線を向けて公明が囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルメリー・マレフィカールム


……そんなことはさせない。
……あなたたちを倒して、この儀式も止めさせてもらう。

オブリビオンが本格的に動き出す前に、【銀閃】で無力化を狙う。額や胸……何かを喚ぼうとしているなら喉に向かってナイフを投げて、それを中断させるようにする。
人ごみの中で狙うのは少しだけ難しいけど、『死者の瞳』で観察すれば。周りの人たちの視線、重心、身体の動き。そういうものから少し先の動きを予測して、合間を縫うように投げて当てることはできる。
もし初撃で倒し損ねたなら、オブリビオンや霊の攻撃から民間人を庇いつつ、接近してナイフの間合いに持ち込めるように立ち回ることにする。



●銀に閃く
 空気が変わったと同時に、ルメリー・マレフィカールム(黄泉歩き・f23530)は即座に戦闘に移行できるよう体勢を整える。動きがおかしい者は既にその瞳に捉えていたのもあり、上手く人の影に隠れながら目立たぬようにナイフに手を掛けた。
『ようこそ、魔女の宴へ』
 楽し気な祭の空気が底冷えのする纏わりつくような空気に変わると、赤い炎が青へと転じた。
 青い炎を手に持つ女、狂信の淑女が高らかに告げる。
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 証は、死なないこと。魔女であれば攻撃くらい防いでみせるでしょう? なんて言う女の顔は笑ってはいなかった。
「……そんなことはさせない」
 その為に猟兵である自分は、ここへ来たのだから。
 狂信の淑女達が人々に手を出す前に、必ずあなたたちを倒して、この儀式も止めさせてもらう。
 それだけを胸に、ルメリーは手にしたナイフを狂信の淑女に向かって放つ。まずはその手、と狙ったナイフは青い炎ごと女の手を貫いた。
『ぐ……っ異教徒め!』
 叫ぶ女が天を仰ぐと同時に、黒い影のようなものが現れ出でる。
「……異端はどちらだ」
 先に喉を潰せば、いや潰したところであの黒い影は喚びだされただろう。ならば、死者の瞳を使って有利に立ち回るしかない。ルメリーが瞬き一つした後に、世界はモノクロじみたスローモーションへと変わる。
 逃げる人、同じく猟兵なのだろう戦う人。それから、倒すべき敵。
 それらの視線、重心、身体の動き、全てを把握して少し先の動きを予測する。未来予知などではなく、全てはルメリーの経験則とその目で見た全てを脳内で演算した結果だ。
「……そこ」
 合間を縫ってはナイフを投げて牽制しつつ、黒い影の放つ光から逃げる人を庇いながらルメリーは己と女との距離を詰める。いつの間に? 淑女からすればその認識だろう。ルメリーは淑女の真後ろに立って。
「……もらった」
『な……っ』
 背後から心臓に向けてナイフを突き刺し、捻りを加える。
「……あるべきところへ、戻れ」
 骸の海へ、還れ。
 そう囁いて、ルメリーはナイフを引き抜いた。
 引き抜いた傷口からは青い炎が溢れ出し、黒い影が消えていく。
 まずは一人、次は――ルメリーが再びナイフを構え直した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィズ・フレアイデア
【焼野原】
ふうん、魔女の選定か
まるで魔女狩りだな
魔女であれば、死にはしない
其れはかつての“神に愛されていれば死にはしない”と同じ

さて、じゃあカミサマ!
カミサマらしく魔女を一閃して――え、ヤダ? なんで!
しょうがないなあ……じゃああたしが少し細工をしてやろう

『お前たちが選定者だと誰が決めたんだい?』

教唆の魔眼で敵に無差別な殺意を植え付ける
殺し合いするかもしれないし、知らない誰かを殺しに行くかもしれないが
あたしは何もしーらない
こっちに来た奴は適当にクーゼで首を刎ねて置こう……って、殺気!
うわああ!? ちょっと! カミサマ!
いきなり光線ぶっぱするのやめてよね!


ロキ・バロックヒート
【焼野原】

本物の魔女の証ねぇ
なんかずっと付いてきてる魔女こそ
それを証明できるんじゃないの
煮ても焼いても喰っても良いよ
不味そうだけど

――は?神様らしく?
魔女が神様に指図するなんて生意気じゃない?
可愛い子の頼みなら聞いてあげなくもないけど
絶ッ対ヤダ

魔女の悪趣味なやり口を横目に
影を使って審判の光を払う
あいつらの邪神に目の敵にでもされてそう
私は異教徒どころか異教の神様だもの

ああ
いいこと思い付いた
久し振りぐらいににっこり笑って
面倒だからそこの魔女と一緒くたに灼いちゃえば良いじゃん
【神の指先】を向ければ
【神罰】の破壊の光が迸る
――肝心の魔女には避けられたけど

チッ(聞こえるような舌打ち)
悪運の強いやつだなぁ



●神様と魔女
 冥府の色だ、とヴィズ・フレアイデア(棺を創ろう・f28146)は唇の端を吊り上げる。赤から青に変わった炎は、魔女であるヴィズには馴染みあるものだ。
 カミサマはどうだろう、とちらりと視線を遣れば、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)は面白くなさそうな顔をして青い炎を見つめていた。
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 手に青い炎を持つ女が、狂信の淑女がヴィズとロキに迫る。
「ふうん、魔女の選定か」
 まるで魔女狩りのようだとヴィズが片眉を跳ね上げる。
「魔女であれば、死にはしない」
 其れはあれだ、と心底可笑しいというようにヴィズが笑う。
「神に愛されていれば死にはしない、と同じだな」
 愛されていたところで、死ぬ時は死ぬよとロキがそれこそ心底面白くない話だと目を細める。
「本物の魔女の証ねぇ。なんかずっと付いてきてる魔女こそ、それを証明できるんじゃないの?」
「ヴィズだよ、カミサマ!」
 そう言う彼女をさらっと無視して、ロキが淑女に投げ捨てるように言う。
「煮ても焼いても喰っても良いよ、不味そうだけど」
「酷いな、こんな美味しそうな女を捕まえて不味そうだなんて」
 なぁ? と、ヴィズが淑女に向かって笑う。
 食べられるつもりなんてないけれど。
「さて、じゃあカミサマ! ここはひとつカミサマらしく魔女を一閃して――」
「――は? 神様らしく?」
 その場の温度が四度くらいは下がったような、冷え切った声でロキが眉間に皺を刻む。
「魔女が神様に指図するなんて生意気じゃない?」
 そもそも対価も無しに? 別に対価を望むわけではないが、とにかくこの魔女の言うことだけは聞くつもりはないとロキがハッキリと口にする。
「可愛い子の頼みなら聞いてあげなくもないけど、おまえの言うことだけは絶ッ対ヤダ」
「え、ヤダ? なんで!」
 嘘だろ、みたいな顔をしているけれど、嫌なものは嫌だね、という態度を崩さずロキはヴィズを視界から消す様にそっぽを向いた。
「ええ……しょうがないなあ……じゃああたしが少し細工をしてやろう」
 駄々っ子を見るような目でロキを見ると、ヴィズが仕方ないと言うような顔をして愉し気に笑う。
「そうさ、カミサマがやらないならアタシが魔女らしくやるしかないだろう?」
 ヴィズの蒼い瞳が妖しくも鮮やかに煌く。
「お前たちが選定者だと誰が決めたんだい?」
 その瞳を見た淑女の動きが止まる。
 湧き上がるのは無差別の殺人衝動、誰だっていい、何だっていい、目の前の女でも横に居る女でも、何度だって殺す、殺す、殺す。
「あはは、そうさ。殺し合いもいいだろう?」
 知らない誰かを殺しに行くかもしれないけれど、それはヴィズの知ったことでは無い。
 ここに居るのが魔女ならば、易々と殺されたりはしないのさ、そうだろう? なんて嘯いてヴィズが笑った。
「悪趣味……」
 心底合わない、という顔をしてロキが影を使って自分に放たれた審判の光をこともなげに払う。
『異教徒め』
 そう言って己の神に似た影を操る淑女に、ロキが小さく笑う。
 私は異教徒どころか、異教の神様なのだけど。ああ、でもそんな事を口にしてしまったら、余計に的にされてしまうかもしれない。既にあいつらの邪神には目の敵にでもされてそうだけど――。
 攻撃を適度に払い除けつつ、ロキがあっと言う声と共に唇を弧の形に描く。
「いいこと思い付いた」
 それはもうこの上なくいい考えで、視界の端で魔女の箒を刃に変えて戦うヴィズをちらりと見遣る。
 そうして、満面の笑みを浮かべて。
「面倒だからそこの魔女と一緒くたに灼いちゃえば良いじゃん」
 なんですぐに思いつかなかったんだろう、なんて思いながら軽い動きで指先を淑女に向ける。
「赦し、だよ」
 指先から放たれるのは神罰の光、世界を灼き尽くし壊す力を持つ光。取りあえずは、目の前の邪魔なものを片付ける程度に抑えた――。
「うわああ!?」
 目の前の狂信の淑女からではない、背後からの殺気に咄嗟にヴィズが横に避ける。今まで立っていた場所を通る光に淑女が灼かれていくのを見て、ヴィズがロキに向かって振り向いた。
「ちょっと! カミサマ! いきなり光線ぶっぱするのやめてよね!」
「チッ」
 ヴィズの抗議を舌打ちで返して、肝心の魔女には避けられたと忌々し気に見遣る。
「まったく、あたしじゃなかったら死んでただろう!」
「一緒に消すつもりだったんだけど」
 悪運の強いやつだなぁ、と溜息交じりにロキがクーゼを振るうヴィズに向かって零したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜


ずっと憧れて追い求めてた魔女たちの宴がこの先に!
にひひ。そう聞くと退いていられないよね
通してもらうよ
わたしだって魔女のひとりなんだから!

杖に咲く桜がひとつふたつと光を帯びて
慣れた呪文を紡ぎながら薄紅と天色がひとつに溶け合う魔力
身を守るべくオーラ防御と結界術を組み合わせた術を重ねて詠唱

恩師から教えてもらった夢を追い求める諦めない心
挫折も苦痛も経験して漸く辿り着いた先
わたしは春を招き灯を燈す導きの魔女
証を所望するのであれば
アナタたちにわたしの魔法をお見せしよう

青い炎はね、わたしにとって特別な色の炎なんだ
絶対に負けないよ
貫け、蒼炎の刃!わたしが進む道を切り拓いて!
敵に向かって数多の飛刀を穿っていく



●桜咲く魔女
 わぁ、と小さく声を上げたのは、篝火の炎が赤から青に変わったから。
 青い炎は荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)にとって馴染み深いもので、恐れの対象ではないから。あの炎には及ばないけれど、それでも青い炎にはどうしたって親近感を覚えてしまうのだ。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 何処からともなく現れた狂信の淑女が、青い炎を手にして告げる。
 ずっと憧れて追い求めてた魔女たちの宴がこの先に!? これは何としたって退くわけにはいかないと、志桜が杖をぎゅっと握った。
「わたしだって魔女のひとりなんだから!」
 絶対に通してもらうのだと、新緑の瞳が煌く。杖に触れる指先から魔力を送れば、杖に咲いた桜が魔力を感知してひとつ、ふたつ、と光を帯びて。
 何度も紡いできた呪文は淀みなく志桜の唇から零れ、薄紅と天色がひとつに溶け合う魔力が隙間なく編まれていく。それと同時に、己の身を守る為の術も同時に重ねて詠唱する。
『さあ、本物の魔女である証を見せて? あなたは立っていられるかしら!』
 嗤う女の手に灯る青い炎が勢いを増し、志桜に向かって繰り出される。その攻撃を難なく結界で阻み、軽いバックステップを踏んで距離を取った。
「わたしは春を招き灯を燈す導きの魔女」
 胸に宿すは恩師から教えてもらった、夢を追い求める諦めない心。
 挫折も苦痛も経験して漸く辿り着いた先に見つけた、私だけの灯。
「証を所望するのであれば、アナタたちにわたしの魔法をお見せしよう」
 志桜が射抜くように淑女を見遣り、桜のネックレスに口付けを落とした。
 その瞬間、桜の花弁が一枚だけ蒼へと染まる。
「青い炎はね、わたしにとって特別な色の炎なんだ」
 絶対に負けないよ。
 感じるのは大好きな彼の霊力。蒼く染まった花弁から蒼炎の飛刀が数多現れ、志桜が願うままに空を舞う。
「貫け、蒼炎の刃! わたしが進む道を切り拓いて!」
 狂信の淑女に向かって放たれた刃が志桜を守るように飛び交い、悪しき魔女を貫いていく。
「アナタたちの青は、濁った青ね」
 わたしの知る愛しい蒼とは大違いだわ、と志桜が蒼炎の飛刀に向かって微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニーナ・アーベントロート
SPD

あの「ご主人様に総て捧げて幸せです」って顔
好きになれないなぁ
全部奪われて、ぼろぼろになっても
まだ嬉しそうに笑ってるんだもの
痛々しくて見てられない

独り言、聞かれちゃったか
ロラン(f04258)、ごめんね
…きっと、助けられるよ。一緒に頑張ろう

指定UCで相手の攻撃パターンを予測
敢えて背を向ける等、隙を作って誘い込み
振り向きざまにフェイント攻撃
若しくはオーラ防御で受け流し
あたしが本物の魔女かどうか知りたいなら
ほら、まずは掴まえてご覧
挑発しつつダッシュで逃げ回り
おびき寄せたその先は
…ロラン、今なら行けるよ!

時々心配になるくらい優しいあたしの弟
今は小さなその手が、未来で沢山の人を救えますように


ロラン・ヒュッテンブレナー
ん?どうしたの、おねえちゃん(f03448)?
※心配そうに姉を見上げ

笑ってられるだけ、きっと、マシなの
痛くて怖くて、死ぬと分かってる戦いに出された女の子たちを知ってるよ
死にたくないのに、死にに来た子たち
それよりは…

オブリビオンが狂ってるとしても
ぼくは、そんな人たちも助けてあげたい
ぼくの戦い方で
だから、おねえちゃん、協力して?

【索敵】と【情報収集】でサポートなの
逃げ遅れた人は【結界術】で守りながら【高速詠唱】
おねえちゃんが相手を引き付けてくれたら歌う様にUC発動なの

呼びかけて、囲んで、敵意を消す、非戦の結界なの
あなたたちは、自分のいるべきところに還ってね

ふぅ、上手くいったの
やったね、おねえちゃん



●還す為の戦い
 楽し気な音楽がどこか禍々しいものへと変わる。すっと目を細め、ニーナ・アーベントロート(赫の女王・f03448)がロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)を庇うように彼を自分の背に隠す。
 瞬間、燃え盛る炎は青へと色を変え、炎であるはずのそれは冷えた空気を辺りに撒き散らした。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 そう口にするのは青い炎を携えた狂信の淑女、口々に魔女である証を見せよと祭りに訪れた人々に向かって言い放つ。そして始まるのは猟兵達との闘い、ニーナはロランを庇いつつ自分達が戦いやすい位置へと移動する。
 見えるのは青い炎と、狂信の淑女達の恍惚とした表情。まるで唯一の主人である邪神に総て捧げて幸せです、とでも言いたげな顔だとニーナは思う。
「好きになれないなぁ」
 口にするつもりではなかった言葉が、ぽろりとニーナの唇から零れ落ちる。
「ん? どうしたの、おねえちゃん」
 ロランが心配そうにニーナを見上げれば、どこか苦々し気な姉の顔があって、ロランがぎゅっと彼女の袖を掴む。
「ん、独り言、聞かれちゃったか」
 しまったな、という顔を押し隠してニーナが困ったように笑って狂信の淑女に視線を向ける。
 全部奪われても、ぼろぼろになっても、焼き尽くされても、消える寸前であってもなお――。
「嬉しそうに笑ってるんだもの、痛々しくて見てられないったら」
 きゅっと魔女の帽子を目深に被り、ニーナが目を細めた。
「おねえちゃん……」
 一つ瞬きをして、ロランがでもね、とニーナに言葉を向ける。
「笑ってられるだけ、きっと、マシなの」
 そう言われて、ニーナがぱちりと目を瞬かせてロランを見遣る。
「痛くて怖くて、死ぬと分かってる戦いに出された女の子たちを知ってるよ」
 死にたくなんかないのに、死にに来た子たち。辛そうで、苦しそうで、泣きそうな顔をして。
「それよりは……」
 きゅっと唇を噛み締めたロランの頭をニーナが撫でる。
「ロラン、ごめんね」
 ニーナの言葉に、ロランが首を横に振ってまっすぐにニーナの瞳を見た。
「あのね、おねえちゃん」
 一度言葉を切ったロランの揺れる瞳を励ますように、ニーナがロランの白くまろい頬を撫でる。
「オブリビオンが狂ってるとしても……ぼくは、そんな人たちも助けてあげたい」
「うん」
「ぼくの、ぼくなりの戦い方で。だから、おねえちゃん、協力して?」
 迷いのない瞳に、ニーナが頷く。
「……きっと、助けられるよ。一緒に頑張ろう」
 ありがとう、おねえちゃん! そう言ったロランの頬をもう一度撫でて、ニーナはふわりと微笑んだ。
「ロラン、あたしが敵を引き付けるから。あとは……できるよね?」
「うん、任せて!」
 いい返事、と頷いてニーナが黒い柄の槍を手に走り出す。その先には狂信の淑女、挑発するように笑って力を解放する。
「未来はあたしの中にある」
 体内サーバーに蓄積した過去の戦闘記録を元に、狂信の淑女の攻撃パターンを予測しながら軽く槍の切っ先を交え、わざと隙を見せて相手を誘い込む。
『魔女の証を見せよ』
「あたしが本物の魔女かどうか知りたいなら」
 くるりとターンを決めて、フェイントとばかりに槍を振りぬく。相手の攻撃を槍の先で受け流し、バックステップを踏んで距離を取る。
「まずは掴まえてご覧よ」
 指先をくいっと曲げて、小首を傾げて。
『よほど自信がおありね?』
 挑発に掛かった、と小さく笑みを浮かべてニーナが駆ける。鬼さんこちら、手の鳴る方へ――。
 その先には、凛と顔を上げたロランの姿。
 ニーナをサポートするように動き、逃げ遅れた人々を守りながらニーナの意図を正しく組んで。
「……ロラン、今なら行けるよ!」
「届けこの言葉、響け森の彼方まで。風を越えて寄り添う。あなたの心が返る。讃えよ、互いの存在を。ヒュッテンブレナー式封印結界、唱和」
 歌う、歌う、歌う。
 呼びかけるように、囲うように、共鳴の波動を狂信の淑女へと――。
「あなたたちは、自分のいるべきところに還ってね」
 それはロランの編み上げた非戦の結界。戦意をなくし、あるべきものはあるべきもののところへ還れと呼びかける。消えゆく敵に上手くいったと微笑んで。
「ふぅ、上手くいったの。やったね、おねえちゃん」
「さっすが、あたしの弟!」
 時々心配になるくらい、優しいあたしの弟。
 今は小さなその手が、未来で沢山の人を救えますように――。
 そう願って、無邪気に喜ぶロランの頭を撫でて、ニーナが笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
バレッタ(f11818)と ◎

バレッタ、食事は終了だ
彼女がパンを食べきるまで魔女から隠し庇うように前に立ち牽制しておく

魔女の証と言われ開き直るバレッタに追随
〈冥府の槍〉の炎の勢いを強め言う
これが魔女の扱う炎に見えるか?

戦闘ではバレッタのフォローを主体に立ち回る
彼女の動きを阻害しないよう〈ヘヴィクロスボウ〉で攻撃と攻撃の間を埋める[援護射撃]を
リーチや体格差で不利が生じる場面では俺が前に出て[かばう]若しくは弩で殴っておこう
〈モモ〉はバレッタの背中に張り付かせ護衛に

敵の手に青い炎が宿ったら大きく槍を振りかぶりUC発動
その炎ごと喰わせてくれ

そのリボン気に入ってくれたんだな、良かった――まだ食うのか


バレッタ・カノン
相馬 (f23529) と ◎

騒がしいな。まだ食事中だ

魔女の証を見せろ?困ったな、ローブの中に信管を抜いた『徹甲弾』を忍ばせてあるんだが…
いっそのこと、これで殴ってしまおうか。ぎりぎりまで引き付けて「べろべろばー!」なんてな
さてバレてしまっては仕方ない

まずは『徹甲弾』を投げつける。携行するには幾分邪魔だった
身軽になった所で『ジャンク』の【投擲】と格闘を混ぜた接近戦に挑む
相馬の攻撃と攻撃の間に合わせれば隙が少ないだろう
回避不能な攻撃を『マンホール』で受ける

お前、リボンを狙ったな。次やったら本気で怒るぞ。忠告はしたからな
UCで奴らごと足元をクレーターにしてやる

食べ放題はお開きだ
デザートと行こうか



●宴は終わらない
 休憩所のテーブルの一角、パンを食べる鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)の手が止まる。視界の端に映る篝火の炎が、自身に馴染み深い色に変わったからだ。
 急いで口の中のパンを飲み込み、スープで流す。
「騒がしいな」
「バレッタ、食事は終了だ」
「ん? まだ食事中だ。もうちょっと待ってくれ」
 マジか、と思いはしたが相馬は何も言わずに立ち上がり、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)を魔女から隠す様に前に立つ。
「食べ終わったらでいい」
「わかった」
 赤いリボンを揺らし、もっもっもっとパンを食べるバレッタは小動物……いや、モモのようでなんだか可愛らしい。バレッタの隣でモモもパンを同じように食べているので、まあいいかと思ったのだ。
 相馬の金色に光る瞳の先には、冥府の炎が燃えている。
「地獄から来たとでも言うのか」
 ならば追い返してやるとも、と紺青の炎を生み出し続ける黒槍を手に、現れた狂信の淑女を見遣った。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 青い炎を手に女たちが歌うように囁く。
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
「魔女の証を見せろ? 困ったな、ローブの中に信管を抜いた『徹甲弾』を忍ばせてあるんだが……」
 もぐ、と最後の一口を噛み締めて口元を親指で拭うとバレッタが立ち上がり、ほら、と相馬に徹甲弾を見せた。
「……よく隠し持ってたな」
「まあこう、こんな感じで」
 バレッタの実演付きの説明に、そうかと頷いて相馬がモモにバレッタの背中に張り付くように命じる。
「バレッタの背中を守れ、できるな」
 きゅっ! と鳴いたモモがバレッタの背中にぎゅう、と張り付く。
「あっなんだこれ可愛いな」
 いや本当に張り付かなくてもいいのだが、と思いはしたけれどバレッタが喜んでいるからよしとする。
「いっそのこと、これで殴ると言うのはどうだろうか」
「いいな、採用だ」
 よし、と二人で顔を見合わせて即座に立ち回りを決める。相談などはしなくとも、そこはなんとなくでなんとかなるので。
 こちらへ向かってきた狂信の淑女に向かって、バレッタが走り出す。
『さあ、さあ、あなた達の証を見せて!』
「はは、こっちだ!」
 小柄な身体を活かして、バレッタが人気のない方へと誘い出す。ギリギリまで引き付けて、『べろべろばー!』という言葉と共に、力任せに徹甲弾を投げ付けた。
『……っ! おのれ異教徒め!』
「バレてしまっては仕方ないな」
 邪魔だった徹甲弾を投げ付けて身軽になったバレッタが笑うと、相馬も追従するように冥府の槍から噴き出る炎の勢いを強める。
「これが魔女の扱う炎に見えるか?」
 冥府の炎が轟と燃えた。
『異教の炎、我が神の炎で燃やし尽くしてやろう!』
「丸焼きか」
 子豚の丸焼きはあっただろうか、とぽつりと呟くバレッタに、それは見なかったと答えつつ相馬が黒塗りの重弩を片手で操り、淑女を牽制する。淑女が怯んだ隙に、身軽になったバレッタがこれもまた何処からか取り出した袋から、石礫や薬莢などのジャンクを散弾銃も斯くやとばかりに投げ付けた。
 ジャンクと思って侮るなかれ、力こそパワー! とばかりに投げ付ければ、銃弾の如き威力を発揮するのだ。
 流血する淑女の急所目掛けて懐に飛び込み、バレッタが接近戦に持ち込むと相馬もヘヴィクロスボウを片手に前へと躍り出る。遠距離武器では? というバレッタの視線に相馬が唇だけで笑って、バレッタを狙う狂信の淑女に向かって弩を振り被った。
「殴れば鈍器だ」
「なるほど!」
 淑女の攻撃をマンホールで受け流し、バレッタが力強く頷く。
『この……燃えろ!』
 淑女の手の炎が燃え上がり、バレッタの頭部を狙う。それを相馬が槍で弾くと、バレッタが淑女を睨み付けた。
「お前、リボンを狙ったな。次やったら本気で怒るぞ。忠告はしたからな」
 まあ、今怒らないとは言ってない、とばかりにバレッタが淑女達の足元に力任せの一撃を叩き付ける。軽いクレーターのようになった地面を見て、本気はこれの倍だからな、と拳を握ってみせた。
「その炎ごと喰わせてくれ」
 青い炎を手に宿す狂信の淑女に、相馬が冥府の炎を噴き出した槍を大きく振り被って淑女ごと燃やし尽くす様に紺青の炎を放つ。
「リボンの仇を討ったな」
「そのリボン気に入ってくれたんだな、良かった」
 まあリボンは無事なのだけど。
「モモとお揃いだし。さて、食べ放題はお開きとして」
「ああ、この後は――」
 この村を真に操る魔女がお出ましだろうな、と相馬が思った瞬間。
「デザートといこうか」
「まだ食うのか」
 デザートは別腹なんだ、とバレッタが至極真面目な顔をして言うので、これが終わったらどこかデザートが食えるところへ行くかと相馬が黙って頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鰐淵・玲士郎
【WIZ】絲織くん(f25783)と一緒に行動
さあ、荒事の時間だ。切り替えていこう。
僕も魔女ではないんだけど、なに、ちょっとバイオレンスな手品なら嗜んでいるさ。似たようなものだろう?
『皆殺しの庭』で連中の足元の小石を地雷に変えて即爆破しよう。不意打ち騙し打ち、破壊工作などの悪い悪戯は得意でね。無機物を地雷に変えるだけの手品だけど、タネも仕掛けもないから見破られても怖くはないよ。
出足を挫けば絲織くんも動きやすいだろう。戦闘知識もそれなりに自信がある。彼女の動きに合わせるとも。
「お互い様さ絲織くん。この戦術は君がいてこそだよ」

買ったばかりの軟膏を使わせるようなことにはさせないとも。


松永・絲織
玲士郎(f29308)さんと参加

あぁ、楽しい時間は終わりのようですね
残念ながら私は「本物の魔女」ではありませんけど、やられるわけにはいきません
この局面切り抜けていきましょう

囲まれたりしないように玲士郎さんと気を付けながら戦います

玲士郎さんの地雷に引き込むように動いたり、爆発で起きた好きなどを逃がさず一気に攻めていきましょう

私たちのコンビネーション、見せつけてしまいますよ

蜘蛛の力も使って素早く動きまわり大太刀一閃。遠くの相手には【斬撃波】飛ばして攻めです!
敵からの攻撃にはしっかりと注意を払って回避を。それは【残像】です。などと

「玲士郎さん、ぐっじょぶです。いつも的確で頼りになります」



●君とふたりで
 轟、という音と共に篝火の炎の色が変わる。
 赤から青へ、それは賑やかで楽しい祭が終わる合図のようでもあった。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 選定の時間だと、現れた狂信の淑女が告げる。
「あぁ、楽しい時間は終わりのようですね」
 もう少しだけ、この楽しい時間を共に過ごしたかったと松永・絲織(うきぐも・f25783)が小さい溜息を零す。けれどすぐに顔を上げ、凛とした表情を浮かべる。
「そのようだね。さあ、荒事の時間だ。切り替えていこう」
 後ろ髪を引かれるような気持ちはあれど、優しくも楽しい時間は終わりだと鰐淵・玲士郎(オウガブラッドの猟奇探偵・f29308)が黒い革手袋を指先で整えて握って開いてを軽く繰り返し、戦う準備を整えた。
「はい、残念ながら私は『本物の魔女』ではありませんけど、やられるわけにはいきません」
 絲織が玲士郎を見つめて小さく笑みを浮かべると、この局面切り抜けていきましょうと囁いて身の丈ほどもある大太刀をすらりと抜き放って狂信の淑女へと向き合う。
「僕も魔女ではないんだけど、なに――」
 ちょっとバイオレンスな手品なら嗜んでいるさ、と玲士郎が目を細めた。
「魔法も手品も似たようなものだろう?」
 指先を狂信の淑女の足元へと定める。
「そら」
 そう言った瞬間、淑女の足元の小石が地雷へと変わり、爆発音と共に破裂した。
『な……っ!?』
 その衝撃に体勢を崩した狂信の淑女に向かって、絲織が大太刀アシダカを勢いよく振るう。
「隙あり、ですよ」
 白刃が閃き、淑女の身体が真っ二つに切り裂かれ、崩れ落ちると同時にぱちりと音を立てて青い炎に飲み込まれて消えていく。
『おのれ、異教徒共めが……!』
 焼き滅ぼしてくれる、と狂信の淑女の手に青い炎が燃え盛る。
「最初から、魔女じゃないって言っただろう?」
 不意打ちに騙し討ち、破壊工作程度の悪い悪戯は得意なんだと囁けば、絲織がふわりと笑う。
「ええ、私もそう申し上げたはずですよ?」
 異教徒ではありませんけれど、そうですね……と絲織が少しだけ考えて、アシダカを構えた。
「私は蜘蛛、ですかしらね」
 少しだけお見せしますね? 絲織が可憐な笑みを浮かべ、背から蜘蛛の脚をずるりと生やす。それに合わせ、玲士郎が指先を動かしては小石を地雷へと変え、絲織の動きをサポートする側に回った。
 こう見えても、戦闘知識にはそれなりに自信があるのだ。
 彼女の動きに合わせることは可能だ、と玲士郎は自身をそう判断する。そしてそれは正しく、絲織の素早い動きにも反応し敵の隙を生み出すべく地雷に変えた小石を爆発させ、更には、その爆発の規模でさえも操ってみせた。
「無機物を地雷に変えるだけの手品だけど、タネも仕掛けもないから――」
 見破れないだろう? ほんの僅かに唇の端を持ち上げて、玲士郎が絲織に合わせて指先を向ける。何度だって君の為に好機を手繰り寄せてみせようと、玲士郎は戦況を把握する為に意識を広げた。
「如何ですか? 私たちのコンビネーション」
 見せつけてしまったかしら、なんて笑った絲織が地を駆けながら玲士郎の地雷に引っ掛かった淑女に向けて大太刀を存分に振るう。
『調子に乗るな!』
 青い炎を振りかざし、迫る淑女の攻撃には玲士郎の地雷がそれを挫き、絲織が回避しやすいようにと爆発と解除を繰り返し操る。
「玲士郎さん、ぐっじょぶです。いつも的確で頼りになります」
 それでも抜けてくる敵の攻撃を残像で回避しながら、絲織が玲士郎に微笑む。
 その微笑みは戦いの中であっても変わらず、玲士郎の心を癒してくれるよう。
「お互い様さ絲織くん。この戦術は君がいてこそだよ」
 贈ったばかりの軟膏を使わせるようなことにはさせないとも、と強く思いながら玲士郎はひたすらに彼女を守る為に力を振るう。そしてそれは、絲織に取っても同じこと。
 敵を玲士郎に近付けないように、この大太刀で屠ってみせましょうとアシタカを振るい、駆けた。
 まるで二人、ワルツを踊るかのように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
楽しいお祭りが一変…
楽しいことができる村なのだから、儀式や洗脳、戦いじゃない別の方法で住民を増やすことはできないのでしょうか?
―と考えたものの聞いてくれそうにないですね…

炎を操ってくるなら、【属性攻撃】水魔法で炎の魔法を打ち消していきます!

数が多いと厄介そうですね。UCで変身して戦います!
変身後は2種類の行動をします。
1つ目は、UCで強化された星屑の【誘導弾】で操られている方たちを避けて操っている側のオブリビオンを狙って攻撃です!
2つ目は、UCの癒しの効果でまだ操られていない気絶している方々を癒して回復していきます。気絶を治せたら操られることもないですよね。

村に平和が訪れるように頑張ります!



●魔法少女としての戦い
 パチンとスイッチが切り替わるように、祭の空気が一変する。
 篝火の炎は赤から青へ、楽し気な音楽は怪しげな音楽へ。
「お祭りが……」
 人々の雰囲気も、何もかもが変わってしまったことにルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)が思わず呟く。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 夜を震わせるような声が響く、狂信の淑女がお前たちは本物の魔女かと問い掛け、証を見せよと祭りに訪れた人々に迫る。村の人々はそれが当たり前かのように無表情でそれを眺めているのが見えた。
「楽しいことができる村なのだから、儀式や洗脳、戦いじゃない別の方法で住民を増やすことはできないのでしょうか?」
 ぽろりと零れ出た言葉に、反応する者は誰一人としていない。
「……聞いてくれそうにないですね」
 いい考えだと思うのだけれど、ルナの願いを聞いてくれるのであれば最初からこんなことにはなっていないだろう。
 青い炎を携えた狂信の淑女がこちらへと向かってくるのが見えて、ルナは咄嗟に水魔法を展開する。
「炎を操ってくるなら、水魔法で打ち消します!」
 放たれた炎を水魔法の障壁で阻み、水球の弾丸で迎え撃つ。
「それにしても、数が多いですね」
 これは少々厄介そうだと、ルナの表情に決意が浮かぶ。一瞬の躊躇いのあと、凛とした声が響いた。
「ティンクルティンクル☆ お星様お月様わたしに力を! マジカルドレスアップ☆」
 毎回これを言わなくてはいけないのか、という気持ちを押さえつつ、最後までしっかりと言い切るとルナの姿が煌びやかなドレス姿に変わり、キラキラと光る星々と月の光を身に纏う。
「やっぱり少し恥ずかしいですけど、わたし、頑張ります!」
 キラキラを纏うルナはまるで魔法少女のように可憐にして、優美であった。
「いきます!」
 ひらりとドレスの裾を翻し、ルナの心を具象化したかのような輝く星屑を操る。それはまるで流れ星の様に、ルナの思うがままに障害物を避け、狂信の淑女へと降り注いだ。
「気絶している方は……」
 戦場に目を配り、癒しの効果を持つ光を気を失っている者や怪我をしている者へと飛ばしていく。
「気絶をしている人がいなければ、操ることもできないですよね」
 どうだ、とばかりにルナが微笑んで、村に平和が訪れるように頑張ります! と、再び星屑を操ってまだ多くいる狂信の淑女を倒すべく駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・シュミット
【ぱぴぺい5】○

攻撃を受けて立っていられるものが本物
なんだかどこかで聞いたことのあるお話なのです
でも、攻撃は痛いもの
みなさんに痛い思いはさせたくないのです

使用UCは【太陽の矢(ヘリオースレイ)】
光の精霊ヘリオス、被害を止めるための攻撃を

魔女からレイザービーム、意外ですか? 
慢心せずスナイパーとしてどんどん狙っていきますよ。味方への誤射を警戒して発動時に仲間内のハンドサインをし、視力を凝らして発動タイミングを見定めますね。
マーケットで聞いていたかは存じ上げませんが、回復と援護の魔女から攻撃がきたらびっくりするでしょうか?


神楽木・由奈
【はぴぺい5】◯
魔女さんたちをいじめるなんて、許せないんだから!
あたしたちがお仕置きしてあげるからね!

あたしのUCの【達人の智慧(POW)】で、『狂信の淑女』さんたちのUCの【これぞ、我らが信仰の証(POW)】を封じさせてもらうね!
上手く弱点を指摘して実証できるか分からないけど……やってみる!
信じてる神は本当にこんなことを望んでいるの! あなた方の行いが正しいなら、神さまが守ってくれるはずだよね? あたしのUCであなた方のUCが消されたりしないよね! 試してみてあげる!

敵からの攻撃は、素直に味方に守ってもらう!
あたしは今回は敵の妨害に徹するつもり! 頑張る!


音海・心結
【はぴぺい5】◯

みゆを攻撃するのは構いませんが、
先生や魔女っ子を攻撃するのは許さない
狩られるのはお前たちです
指一本触れさせやしません

UC
仲間への応援を歌に
奏でる声は高みを目指し心に響くもの

前衛で薙刀振るう小百合子が囲まれすぎないよう
ザミエルがUC使用時に敵に邪魔されないよう
七色の羽から魔力溜めで描いた絵を誘惑弾に
邪魔させまいと注意を逸らす
「――ゆかせませんよ」

味方(特にソフィア、由奈)に攻撃をしようものなら間に割り込む形で遮る
基本幻銃士に盾になってもらい、その攻撃が味方に行こうとした場合
隠し持ったダガーを手に武器受け
「誰が手を出してよいと?」

基本サポートとして立ち回り
必要があれば前衛へと駆ける


鍋島・小百合子
POW重視
【はぴぺい5】○

今宵が魔女の宴なればそれらしい雰囲気を作らねばのう
生贄は貴様達で用足しじゃ

「前に出る事を主とする戦場の魔女がいてもよいであろう?」
UC「精錬降魔刀」発動にて「斬魔」属性の魔刀(薙刀型)を創造
その性能に信を置きつつ装備
【はぴぺい5】の仲間との連携を重視
暗視で敵味方の位置を把握しておき、
魔刀のもつ「斬魔」属性と破魔・神罰の力を込めて敵魔女達をなぎ払い、前衛で抑えに回る(範囲攻撃、属性攻撃、吹き飛ばし、継戦能力併用)
我が薙刀の武技に特技たる舞を併せて仲間に披露する機会ぞ(ダンス・パフォーマンス併用)
深追い禁物
前衛として仲間を守りつつ協力して敵魔女の各個撃破を狙う


ザミエル・キーント
【はぴぺい5】〇

これはこれは、小生の生徒に手を出すとはいけない方々だ
すこしお灸を据えてやるといたしましょう
魔女である証だなんて生温い
――本物の悪魔をご覧にいれて差し上げます

幻銃士を六体召喚
自分と仲間全員に一体ずつ護衛につける
良いですかお前たち、皆さんを守って下さいね? ……例えその身が砕けようとも

残った一体は敵に向け特攻
皆様の技が的確に当たるよう、敵の射程外から攻撃
自分は後方から指示を飛ばしつつ、愛銃で攻撃
これでも銃の悪魔ですので、当てるだけなら簡単なんですよ
噫でも、簡単に死なれては面白くありません

もっと苦しんで下さい
もっと悔やんで下さい
あなたが命乞いをした時は、すぐに『楽にしてあげます』



●可愛いだけでも、優しいだけでもなく
 心躍るような楽し気なさざめきは波が引くように消えて、赤く燃え上がっていた篝火が青へと変わる。輪を作っていた魔女達は広場の端へと身を寄せて、これから起こることを待っているかのよう。
 そうして現れたのは青い炎を手にした狂信の淑女、高らかに宣言するのは――。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
『本物であれば、我らの攻撃を受けても死なず、生きてこの場に立っていられるはず』
 証を見せよ、と魔女を謳う女達は一方的な殺戮を開始するべく動き出した。
「攻撃を受けて立っていられるものが本物……なんだかどこかで聞いた事のあるお話なのです」
 ソフィア・シュミット(邁進を志す・f10279)が狂信の淑女達の動きから目を離さぬようにしつつも、まるで魔女狩りのようだとは口に出さずにそう零す。
「ていのいい生贄よの」
 今宵が魔女の宴なれば、そういうものを求めるのも道理かもしれんが、と鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が目を細めると、神楽木・由奈(小さな願い・f24894)が小さく拳を握る。
「魔女さんたちをいじめるなんて、許せないんだから!」
 このワルプルギスの夜という日を楽しみにしてやって来た人達を害そうだなんて、と由奈が頬をぷくりと膨らませた。
「まったくです、狩られるのはみゆたちではなくお前たちです」
 由奈の膨らんだ頬をちょん、とつついて音海・心結(瞳に移るは・f04636)が狂信の淑女達に視線を向ける。
「ええ、心結殿の仰る通りです」
 眼鏡の縁を軽く持ち上げて、ザミエル・キーント(Der Freischötz・f31396)が溜息を落とした。
『さあ、お前達も魔女の証を見せよ!』
 口々にそんな言葉を吐きながら向かってくる淑女を前にして、小百合子が凛とした声を張る。
「我は生む、世の摂理を体現せし降魔の刀……この手に!」
 魔を斬り捨てる力を宿した薙刀型の魔刀を瞬時に創造し、その手に握り、構えた。
「ヘリオス、あなたの力が必要なのです」
 嫋やかな声を響かせて、ソフィアが光の精霊に希う。
 ソフィアの持つ短い杖から光が生まれ、それは次第に蝶の形となってソフィアの周囲に集う。
「みゆは、みゆが攻撃されるのは構いませんが、先生や可愛い魔女っ子達を攻撃するのは許さない」
 みゆは欲深いのです、だから指一本触れさせやしません、と狂信の淑女達に微笑むと、七色の羽ペンを取り出して空中にさらりと魔力の籠った絵を描く。それは蒼く輝く蝶となり、心結の周囲を飛び回る。
「綺麗……ソフィアさんとみゆさんの蝶……!」
 由奈が思わず声を上げると、ソフィアと心結の唇に笑みが浮かんだ。
 迫る狂信の淑女が臨戦態勢に入った彼女達を見遣り、不満気に眉根を寄せる。
『我らに歯向かうと……? 異教徒の行いです』
 口々に異教徒めが、と口にして淑女達がその手に青い炎を宿す。
「これはこれは、小生の生徒達に手を出そうとは……いけない方々だ」
 可愛い魔女達を守るように一歩前へ出ると、ザミエルのエメラルドグリーンの瞳が煌く。
「少しお灸を据えてやるといたしましょう。――本物の悪魔をご覧にいれて差し上げます」
 ザミエルが彼の愛銃『Der Freischütz』を手にすると、淑女の一人が青い炎を翳すのが見えた。
「邪魔はさせませんよ」
 咄嗟に心結が蒼い蝶をその手に放つ。それはまるで誘導弾のように、淑女が放った青い炎を相殺する。
「おいでなさい、小生の配下なら素早く的確に」
 魔女の証だなんて生温い、と唇の端で笑ってザミエルが愛銃から六体の幻銃士を召喚する。
「良いですかお前たち、皆さんを守って下さいね?」
 例えその身が砕けようとも、必ず。
 ザミエルの命に応えるように、幻銃士がそれぞれ守るべく命の背後に立つ。
「わあ、ザミエルさんの使い魔!」
 これで百人力! なんて由奈が笑えば、小百合子がその通りだと頷いて薙刀を手にして駆け出した。
 それを援護するように、ソフィアが太陽の矢と名付けた光の精霊ヘリオスによって高圧縮された光弾を放つ。
「魔女からレイザービーム、意外ですか?」
 ふふ、と笑ったソフィアは自分の立ち位置をスナイパーとして定め、前衛として戦うと決めた小百合子の動きを邪魔せぬよう彼女達が戦う戦場の動きの把握に努める。
「みゆからはこちらを……! 届け――!」
 仲間への応援を歌に変え、頭から抜けるような甘く蕩ける歌声で心結が歌う。
 それは守りたいと思う気持ちであり、愛だ。
「綺麗な歌……なんだか力が湧いてきちゃう」
 あたしも皆の為にがんばらなくっちゃ! と、由奈が狂信の淑女の動きを見逃さぬよう視野を広めた。
 薙刀を振るい、小百合子が仲間の頼もしさに思わず笑みを浮かべる。
「さて、今宵が魔女の宴なればそれらしい雰囲気を作らねばのう」
 小百合子の横で時に敵の攻撃を防ぎ、時に攻撃の隙を作るザミエルの幻銃士と大立ち回りを演じながら、小百合子が薙刀を横薙ぎに一閃する。
「生贄は貴様達で用足しじゃ」
『異教徒めが!』
 青い炎を手に拳を繰り出す淑女の動きを薙刀で牽制しつつ、これは異なことをと片眉を上げる。
「前に出る事を主とする戦場の魔女がいてもよいであろう?」
 そおら、と薙刀の柄を以て、小百合子を抜いて後方から援護をくれる仲間の元へ向かおうとした淑女を吹き飛ばす。
「小百合子殿、二時の方向です。ソフィア殿は新しい手勢をお願いします」
「心得た!」
「はい!」
 ザミエルの飛ばす的確な指示に従い、小百合子とソフィアが動く。
「我が薙刀の武技に特技たる舞を併せて仲間に披露する機会ぞ」
 右斜め前より襲い来る狂信の淑女へ薙刀の切っ先を突き付けて、小百合子が舞う。その足運びは鮮やかにして優美、振るう薙刀は奉納舞の如く。戦いの最中にあって、小百合子は一等輝いて見えた。
 綺麗な舞に瞬きを忘れながらも、心結は歌を紡ぎながら足りぬ場所へと蝶を飛ばし、ソフィアが彩を加えるかのように光弾を打ち放つ。
「みんな、すごい……! あたし、あたしは……敵の攻撃を封じてみる!」
 あたしは皆よりもできることが少ないかもしれないけれど、これでも猟兵として戦う技術は身に付けてるんだから! と、由奈が狂信の淑女に向かって声を張り上げる。
「ねえ! 信じてる神は本当にこんなことを望んでいるの!」
『ええ、ええ、これが我らの神が望まれたこと。本物の魔女を我らの仲間にすることこそが我らの神の望みなのですから!』
 陶酔したようなその答えに、由奈が僅かに可愛らしい眉根を寄せた。
「由奈、大丈夫ですよ」
「ええ、由奈殿の心を、力をぶつけるのです」
 そんな由奈の背を心結とザミエルが支え、後押しする。
「……はい!」
 その温もりが、小百合子やソフィアの見守るような優しい視線が、由奈の力を何倍にだってしてくれる。そう信じて、由奈が言葉を紡ぐ。
「あなた方の行いが正しいなら、神さまが守ってくれるはずだよね?」
『ええ、ええ、我らの神は慈悲深くていらっしゃる!』
「だったら、あたしの力であなた方の力が消されたりしないよね!」
 我らの力は我らの神の力ゆえ、と狂信の淑女達が笑う。
「――試してみてあげる!」
 由奈の声と共に現れたのは守護明神、由奈の言葉を確かにする為に現れた力。
 狂信の淑女達の力を封じ込める為に――!
『な、我らの神の力が!?』
『おのれ、おのれ異教徒!』
 力を封じ込められた淑女達が狼狽える中、ザミエルとソフィアが後方から敵を撃ち抜き、小百合子が斬り伏せる。
「ふふ、三分あれば充分ですね」
 太陽の矢を放ちつつ、味方が立ち位置を変えればそれに合わせて発動のタイミングを変え、時折ハンドサインで確認を取りながらソフィアが光の蝶を舞い遊ばせる。
「マーケットで聞いていたかは存じ上げませんが、回復と援護の魔女から攻撃がきたら……びっくりするでしょうか?」
 なんて笑えば、心結が悪戯っ子のようにその笑みに答えて。
「じゃあ、後衛として後ろにいる心結が――」
 そう言って言葉を切り、由奈へと直接攻撃を仕掛けようとした狂信の淑女の前に立ち塞がり、誰が手を出してよいと? と冷たい笑みを浮かべて隠し持ったダガーでその喉を掻き切る。
「こんな風に攻撃をしたら、びっくりするかもです、ね?」
 二人笑みを交わすその後ろで、ザミエルが小生の生徒達は頼もしいですね、なんて笑う。その間にも、彼の放つ銃弾は過たず狂信の淑女を貫く。
「これでも銃の悪魔ですので、当てるだけなら簡単なんですよ」
 可愛い魔女達の一番後ろで、ザミエルが噫でも、と零す。
「簡単に死なれては面白くありません」
 致命傷を避け、腕を、足を、翅をもがれた羽虫のように地面に転がして。
「もっと苦しんで下さい、もっと悔やんで下さい」
 小生と、小生の可愛い生徒達に手を出そうとしたことを。
「あなた方が命乞いをした時は、すぐに『楽にしてあげます』から」
 さあ、無様に踊って見せてくださいと、ザミエルが優し気に瞳を細めた。
 宴はまだ、終わらない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻

噫、良い夜だ
サヨが咲い、リルが歌う──実に気分が良かったのに
邪魔をしないでほしいな

攻撃を受けても死なぬ、成程
サヨ、リルの視線が…
……?私は死なないが
私は……魔女だったのかい?!
そうであった。神だった

ともあれ、私の愛し子と同志を傷つけなどさせない
二人を庇い守るよう前へ
巡らせる結界は攻撃を防ぐもの
様子見を兼ねての先制攻撃、早業と共に駆け斬りこんでその術を歪ませる神罰巡らせ、切断する

狂信、か
ひとの子の命を糧とするのかい
そなたらの神は随分と粗暴とみえる
── 再約ノ縁結
私はそなたらの神ではないが其れは赦さない
操つる意図ごと斬る

サヨの剣戟に合わせ舞うように
彼の衝撃波に斬撃派を重ね

では私は…厄災魔法?


リル・ルリ
🐟迎櫻

きらきらのらんぷに、ロウソク!ぽぷりもいい香り!
ふふー!櫻とカムイと一緒に踊るんだ
とっても楽しくて櫻もカムイも喜んで笑っているのが嬉しい─なのに、いい所で邪魔をされた

むう、本物の魔女が?
魔女は攻撃を受けてもしなない!(チラッとカムイをみる
そう、カムイは神様だからね

僕らだって負けないんだから!
狩りなんてさせないよ
ヨル、僕らの歌魔法で皆を守ろう

張り巡らせたあわぶく(ステッキからでてくる)は2人を守るためのオーラ
魔法使いっぽくやるぞ

ヨルが元気に鼓舞の踊りを踊る
だから僕は、サヨとカムイが存分に戦えるように
歌唱を鍛えて歌う
歌魔法のつもり
『月の歌』
魔女の宴といえば月だ

ふふー、二人の魔法
とっても綺麗


誘名・櫻宵
🌸迎櫻

うふふ
リルもカムイも楽しげでよかったわ
欲しかったものも手に入ったし、心まで彩られるようなのに──無粋だ事

あなた達のような魔女は呼んでいないのにね

攻撃を受けても死なない?(チラッとカムイをみる
そうね、魔女じゃなくて私のかぁいい神様ね

私、魔女じゃないけど殺される訳にはいかないの
リルとカムイと一緒に生きると決めたのだから

私はね狩られる方ではない
狩る方でなくては
せっかくの魔女装束、魔女のように戦うのも一興かしら
桜化齎す神罰を、桜吹雪と降らせ斬風と共になぎはらう
─艶華

カムイと太刀筋合わせ
生命喰らう衝撃波と共に踏み込んで舞うように斬り
裂いて
咲いて綺麗なあかに彩る

うふふ
桜魔法とでも言っときましょうか



●魔女としての証
 きらきらのランプにロウソク、ポプリだってとってもいい香り! 魔女達のマーケットに大満足のリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)が楽し気にステッキを振ってシャボンの泡を夜空に飛ばす。
「櫻、カムイ、一緒に踊ろう!」
「うふふ、いいわね! 三人で手を繋いで、くるくる踊りましょう」
 欲しいものは手に入ったし、私のかぁいい人魚とかぁいい神様はご機嫌だし、なんて素敵な夜なのかしらと誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)が微笑む。
 そんな二人を眺め、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)もゆるりと目を細めて呟く。
「噫、良い夜だ」
 櫻宵が舞い、リルが歌う。そんな可愛らしくも美しい揃いの衣装を着た二人がカムイの手を取って、踊ろうとねだるのだ。思わず顔も緩んでしまうというもの。
 踊るのも歌うのもとっても楽しくて、櫻もカムイも喜んで笑っているのが嬉しいとリルが花が咲いたように笑えば、櫻宵も桜咲くような蕩ける笑みで、心まで彩られるようね、と内緒話をするかのように囁いた。
 それなのに、と三人は残念なものを見るような瞳で、現れた狂信の淑女を見遣った。
 赤い炎は青へと変わり、楽しい夜は終わりなのだと告げているよう。
「無粋だ事」
「いい所で邪魔するなんて、性格が悪いんだよ」
「まったく、邪魔をしないでほしいな」
 魔女の証を見せろと言う狂信の淑女の言葉に、リルと櫻宵が顔を見合わせる。
「むう、あれは本物の魔女なのかい?」
「どうなのかしら、それにしたってあんな魔女は呼んでいないのにね」
 ねぇ? と櫻宵がカムイを見上げれば、カムイがふむ……と思案気な顔を見せた。
「カムイ?」
「ん、いや……攻撃を受けても死なぬ、と言うのでね」
 攻撃を受けても死なない、成程?
「魔女は攻撃を受けてもしなない!」
 そう言って、ちらっとリルがカムイを見る。
「サヨ、リルの視線が……」
 何故私を見るのだろう、とカムイがリルに視線を遣って、流れるように櫻宵へと送る。
「攻撃を受けても死なない?」
 リルの言葉に続くように櫻宵が言い、同じようにカムイを見遣った。
「二人とも……? 確かに私は死なないが」
 死なない、ということはこの場においては――。
「私は……魔女だったのかい!?」
 まさかそんな、と言うようなカムイに笑って、櫻宵が首を横に振る。
「カムイは魔女じゃなくて私のかぁいい神様よ」
「そうそう、カムイは神様だからね」
 口許に手を当てて笑う二人に神であると言われ、カムイが自己を取り戻す。
「そうであった。神だった」
 ほっと胸を撫で下ろしつつ、さてそうであるならばとカムイがこちらに向かってくる狂信の淑女を見遣った。
「ともあれ、私の愛し子と同志を傷つけなどさせない」
 二人を庇うように一歩前に出ると、後ろからかっこいいわ! かっこいいぞ! という声援が飛ぶ。
 この声援があれば、私は無敵だなとカムイが小さく笑うと、魔女の証を見せよと唇だけを笑みの形に歪めた淑女が襲い来る。それを片手をすっと上げ、瞬時に巡らせた結界で弾いた。
 桜龍の牙、朱砂の太刀をすらりと抜いて、様子見も兼ねて神殺しの神刀をまずは一太刀。そのまま返す刃で狂信の淑女が用いる術式を歪ませるように神罰を巡らせ断ち斬った。
「かっこいいぞ、カムイ! ようし、僕らだって負けないんだから!」
「ええ、その通りよリル。私、魔女じゃないけど殺される訳にはいかないの。だって、リルとカムイと一緒に生きると決めたのだから」
「櫻……!」
 僕とカムイの櫻がこんなにも健気で可愛くて美しい! とリルが尾鰭をびたんと動かして、俄然かっこよく二人を守ってみせると式神のヨルに意気込んだ。
「ヨル、僕らの歌魔法で皆を守ろう」
 ステッキから出てくる泡ぶくに二人を守る為のオーラをのせて、虹色の泡を飛ばす。
「せっかくだ、魔法使いっぽくやるぞ!」
「きゃあ、素敵よリル!」
 守りは僕に任せてというリルに頷き、櫻宵が邪を祓い屠り咲き誇る桜龍の牙、屠桜を抜く。
「私はね狩られる方ではないの、狩る方でなくては」
 血桜の太刀を手に、無粋な敵を見遣る。
「リルが魔法使いっぽくするのなら、私も折角の魔女衣装だもの。魔女のように戦うのも一興かしら」
 桜化齎す神罰を桜吹雪と降らせて――。
「夢見るように、蕩けるように」
 甘く咲かせてたべてしまおう、そう笑って斬風と共に敵をなぎはらう。
「カムイ!」
「サヨ」
 隣り合う運命に互いに微笑み、太刀筋を合わせて舞い踊る。
「ああ、なんて綺麗なんだ」
 ヨルが二人を真似るように、元気に鼓舞の踊りを踊ってみせる。
「なら、僕は」
 櫻とカムイが存分に戦えるように――。
「月は囀り泡沫散らす 壊れた歯車 砕けた硝子 折れた骨に崩れた未来 狂惑の月が微笑んだ ――ルナティック、ルナティック、咲き誇れ」
 魔女の宴といえば月だと、リルが歌に力を乗せて二人だけの為に歌う。
 大好きの気持ちを籠めた歌は二人を癒し、戦闘能力を高めていく。
「カムイ」
「噫、リルの歌だね」
 これは私もいいところ見せなければ、とカムイが刃を振り下ろす。
「狂信、か。ひとの子の命を糧とするのかい。そなたらの神は随分と粗暴とみえる」
 カムイが力を解放し、再約の縁を結ばんと神罰を下す。
「私はそなたらの神ではないが、其れは赦さない」
「カムイが赦さないのであれば、それは私も赦せぬことよ」
 異教徒め、と罵る狂信の淑女に向けて、その狂信ごと断ってみせようと二人の刃が閃く。
 櫻宵が生命を喰らう衝撃波を放ち、カムイがそこへ己の斬撃波を重ねて狂信の淑女を一掃する。
「ふふー、二人の魔法……とっても綺麗だ!」
「うふふ、桜魔法とでも言っときましょうか」
「では、私は……厄災魔法?」
 三人の魔女が顔を見合わせて笑って、さあもう少し暴れましょうかと桜が舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

いけない。この場にはわたくしたち猟兵以外にも
まだ洗脳されていない、村の外から来た一般人の魔女が大勢いるわ
もし彼女たちにもしものことがあれば、狂信者に洗脳され盾にされてしまう
手早く傷つけないように逃がさないと

祈り込め歌うは【涙の日】
仲間や一般人魔女には正気を取り戻す癒しの光を
多少傷を受けていても緊急避難に支障が無いように回復して
ここは危険です。わたくしたちの後ろに下がって逃げて!

そして敵には神罰の光を
お望み通りお見せしましょう
神の加護を受けし「本物の魔女」の力を!

借り物の力に溺れ、人々を謀り贄に捧げる邪神の徒
貴方達のような「まがい物」に
魔術の神髄と智慧が理解できるはずもないわ


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

ようやく尻尾を出したな、邪教徒共
貴様らに騙された人々が、命を奪われたり洗脳されたりすることなど
決して許してなるものか

まずはヘルガと共に一般人の避難を
着ていたマントや帽子、杖などを投げつけて敵を妨害
一般人を傷つけないように退路を確保
敵の攻撃が人々に及びそうなら身を挺して庇う

随分と禍々しい蒼炎の術を使うようだが
所詮は邪神頼みの小手先の技
この俺の紅蓮の炎の敵ではない
その証拠に、身に余る力の代償が貴様を蝕み始めているぞ

敵の炎攻撃に火炎耐性、激痛耐性、気合いで耐え
敵が疲弊した隙を逃さず【獄狼の軍団】を召喚
一気呵成に攻め立て駆逐する
地獄の業火に焼かれて消えろ!



●守る為の戦いを
 がらりと様子を変えた祭の空気に、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)がヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)に視線を向ける。
 ヘルガの視線に頷きを返すと、ヴォルフガングは即座に周囲の様子に目を配った。
 篝火の炎はその色を変え、蒼へと変じ。楽しげな音楽は消え失せて邪悪さすら感じられる音が鳴り響く。
『ようこそ、魔女の宴へ』
 熱を孕んだような、無機質のような、捉えがたい声がしてヴォルフガングがいつでも動き出せるように態勢を整えてそちらを見遣った。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 青い炎をその手に携え、狂信の淑女が姿を現す。
「ようやく尻尾を出したな、邪教徒共」
 偽りの宴は終わったのだと、ヘルガもヴォルフの隣に寄り添うように立つ。そうして、この場には猟兵達だけではなく、村の外からやって来た一般人である魔女がいるのだと気付く。
「いけない、まだ洗脳されていない魔女達が大勢いるわ」
 彼女達にもしものことがあれば、狂信者によって傀儡とされてしまうだろう。それこそ、使い捨ての盾にされてもおかしくはない。
「彼らを逃がさないと……!」
「ああ、まずは人々の避難が先だ」
 狂信者達の相手は他の猟兵が回ってくれている、それならば自分達は人命救助を第一に動いても問題はないはずだと、ヴォルフガングがヘルガの手を引いた。
「騙された人々が命を奪われたり、洗脳されたりすることなど……決して許してなるものか」
「ええ、その通りよヴォルフ」
 洗脳され、手先にされた者の末路を自分達はよく知っている。
 そんな被害者を一人たりとも目の前で出して堪るかと、ヴォルフガングは率先して逃げ惑う人々の避難を誘導していく。その助けになるようにと、ヘルガが祈りを込めて歌を紡ぐ。
「主よ。御身が流せし清き憐れみの涙が、この地上より諸々の罪穢れを濯ぎ、善き人々に恵みの慈雨をもたらさんことを……」
 静謐なる歌声が人々の混乱を沈め、清き祈りが我先にと逃げ出そうとする人々の心を慰撫する。
「多少の傷はわたくしが癒やします、どうか皆様落ち着いて行動なさって……!」
 ヘルガの凛とした声が響き、ヴォルフガングが邪魔をしようとする狂信の淑女達を着ていたマントや帽子を投げ付けて攪乱し、その隙を突いて人々を逃がす。
「ここは危険です。わたくしたちの後ろに下がって逃げて!」
 逃げる人々に呼び掛け、ほとんどの人々を安全だと思える場所まで誘導すると、ヘルガとヴォルフガングが互いに視線を交わして広場への道を駆けた。
「逃げ遅れた人はいないかしら?」
「戻る道すがら、確認していこう」
 そのついでだとでも言うように、逃げた人々を追おうとする狂信の淑女をヴォルフガングが手にした杖で押し留める。
『異教徒共めが! 我らの、我らの神の邪魔をするな!』
 青い炎をその手に宿し、淑女がヴォルフガングに牙を剥く。
「随分と禍々しい蒼炎の術を使うようだが、所詮は邪神頼みの小手先の技」
 異教徒を焼き尽くさんとする拳を避け、ヴォルフガングが笑う。
「この俺の紅蓮の炎の敵ではない――忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ! 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」
 地獄の炎を纏った狼犬の群れがヴォルフガングの喚び掛けに応じ、狂信の淑女へと襲い掛かる。青い炎が赤い炎に押し負ける様を見て、ヴォルフガングが静かに淑女に向けて指をさす。
「その証拠に、身に余る力の代償が貴様を蝕み始めているぞ」
 燃やし尽くせ、ケルベロス・レギオンよ。
 そう囁けば、狼犬達の勢いが増した。
「逃げ遅れた人はいないようね」
 広場へと戻って来たヘルガが、今ひとたび歌を紡ぐ。
「味方には慈愛の光を、邪気纏うあなたたちには神罰の光を!」
 お望み通りお見せしましょう、とヘルガが凛とした声を響かせた。
「神の加護を受けし、『本物の魔女』の力を!」
 眩き光が辺りを照らし、狂信の淑女達が断末魔の悲鳴を上げる。
「ヘルガ!」
 その勢いを増すかのように、彼女の元へ戻ったヴォルフガングが狼犬達を淑女達へと嗾けた。
「借り物の力に溺れ、人々を謀り贄に捧げる邪神の徒。貴方達のような『まがい物』に魔術の神髄と智慧が理解できるはずもないわ」
 ヘルガの言葉に反論も出来ぬだろうと、ヴォルフガングが小さく笑って。
「地獄の業火に焼かれて消えろ!」
 彼女の放つ裁きの光と共に、まがい物を焼き尽くさんとケルベロス・レギオンの赤い炎が勢いを増すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン
本物の篝火が欲しいかい
魔女の証が欲しいかい
いいよ、あがりよ
たんと焼いて差し上げる

手にしたランプを掲げて
罰や光を受けよう
物理的な攻撃ならば駆け避けて
周囲の建物なども遮蔽物として利用しようか

青い炎はなかなかにうつくしい
が、火に関しちゃあたしも一家言あってだね?

ランプで受けたものをお返しする
唯そのままってのも味気ないし、
属性攻撃で破魔の炎を上乗せしよう
広々と赫いベールを躍らせて焼却する
霊たちが燃した灰と共に天へと旅立てるように

ベルティンの篝火には遠く及ばないけれど
こういうのも悪くないでしょう
あは、おかわりいるかい?



●魔女の炎
 爆ぜる炎の色が変わる、まるで常世に切り離されたように。
「おやまあ」
 楽しい祭りの夜は終わりだと告げるように、狂信の淑女達が姿を現す。楽し気な音楽は怪し気なものへ、踊りの輪は散り散りになって。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 そんな狂信の淑女達の声に、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)が可笑しそうにくすくすと笑った。
「本物の篝火が欲しいかい? 魔女の証が欲しいかい?」
 それならば、あたしはこれ以上ないほどに魔女だとアパラが歌うように囁く。
 いいよ、あがりよ。
「たんと焼いて差し上げる」
 燃えるオパールの輝きを灯して、アパラが狂信の淑女にランプを掲げる。
「さあ、おいで」
『異教の炎を掲げるおまえ、おまえは異教徒だね』
 さあ? と笑ったアパラに向かって、異教徒に神罰をと淑女が両手を空に向かって掲げた。
 現れたのは黒い影のようなもの。我が神よ、と淑女が陶酔した声を上げるのを聞いて、これが神? とアパラがつまらなさそうに目を細める。
『ああ神よ、我らに愛の手を!』
 蠢く影が異教徒と定めたアパラに向かって、審判の光を放つ。まるで青い炎のような光だと思いつつも、アパラがその力をランプで受け止めた。
 幾度か放たれるそれを時にランプで受け止め、舞うように避けては狂信の淑女との距離を詰めていく。
「青い炎はなかなかにうつくしい」
 悪くない、とアパラが篝火の炎を瞳に映しながら笑う。
「が、火に関しちゃあたしも一家言あってだね?」
 その炎に負けぬ炎でお返ししよう、とランプを掲げる。
「ああ、唯そのまま返すってのも味気ないだろうから――」
 破魔の炎を上乗せしよう。
 言葉のままに、ランプから炎がぶわりと噴き上がる。それはまるで赫いベールを翻して踊る娘のように美しく、狂信の淑女を蠢く影と共に飲み込んだ。
「ベルティンの篝火には遠く及ばないけれど、こういうのも悪くないでしょう」
 ワルプルギスの夜にふさわしい炎が轟、と燃え盛り、狂信の淑女も蠢く影も、全て燃やし尽くして残るのは灰ばかり。
「あは、おかわりはいるかい?」
 天へと旅立つ手助けなら幾らでも、そう言ってアパラが炎と共に駆けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
本物の魔女ならば彼女達の攻撃を受けても
生きて立っていられる、か
じゃあ俺、本物の魔女になれるかもしれないねー?
おどけたように笑い

敵のUCで召喚された霊をまじまじ見つめ
へぇ、淑女を斬り刻むのはちょっと気が乗らないけど
こっちなら楽しく戦えそうだよ

UC発動し雷属性と炎属性のナイフを生成
霊に向かって雷のナイフを投げつけ
マヒ攻撃で動きを止めて
すかさず両手に構えたDuoで斬りかかり薙ぎ払っていくよ

淑女達には炎…それも青い炎を纏ったナイフを
急所目掛けて投げつけて仕留めていく
どう?俺もちょっと魔女っぽいでしょ?
立っていられなかった君達は
残念ながら本物の魔女じゃない…ただのオブリビオンだね


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
この仕事から生きて帰ってこれたら
魔法使いにでも転職するか?
…まぁ綾の場合、魔女というか
魔性の男みたいな素質は若干あるが…
思ったけど勿論本人の前では口に出さず

別に魔女になりたいという願望はないが
今日だけはお前達の魔女ごっこに付き合ってやろうか
UCで炎属性のドラゴン達を召喚
その身体は漆黒色で、吐き出す炎は青色
いかにも魔女の使役するドラゴンって感じだろう?
こいつらの炎を浴びて生きて立っていられたら
お前達を本物の魔女と認めてやろう、なんてな

ドラゴン達が突撃し、まずは頭突きや体当たりで
敵を吹き飛ばし、なるべく一箇所に集める
集まったところに炎のブレス攻撃
苦しまないように一瞬で燃やし尽くしてやる



●魔女ごっこ
 空気が変わる、まるで現世から常世に切り替わったかのように。
 ぱちりと弾けた篝火の炎は青へと変わり、現れた狂信の淑女達が口々に囀る。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて』
 証を立てる手段は――。
「ふうん、本物の魔女ならば彼女達の攻撃を受けても生きて立っていられる、か」
 どっかで聞いたことあるような話だね、と灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がぽつりと呟いて。
「じゃあ俺、本物の魔女になれるかもしれないねー?」
 なんて、おどけたように笑って乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)を見遣った。
「この仕事から生きて帰ってこれたら、魔法使いにでも転職するか?」
 生きて帰れないことなどないと、信じている口振りで梓が答える。
「魔法使いに? ふふ、二人でなっちゃう?」
 梓は焔と零がいるし、召喚が得意だから実質魔法使いみたいなもんじゃないかな、なんて思っているのは口にせず、綾が笑う。
「帰ったら考えるとするか」
 ……まぁ、綾の場合は魔女というか。魔性の男みたいな素質は若干……いや結構あるが。なんて考えたのは口にせず黙る。互いに考えていることは秘めつつ、今は目の前の敵を倒すことに意識を向けた。
「俺達は魔女じゃないけど、それっぽくはできるよね」
 ねえ? と、綾が梓に悪戯っ子のような笑みを寄こす。
「真似事でよけりゃな」
「よし、じゃあ今日はそれでいっちゃおう」
 狂信の淑女を前にして、綾がそうしようと楽し気に頷いた。
『ああ神よ、我らに愛の手を!』
 黒い影のような霊を召喚した淑女が、二人に向かって証を見せよと嗤う。
「へぇ、あの女の人たちを切り刻むのはちょっと気が乗らないけど」
 こっちなら楽しく戦えそうだよ、と綾が艶やかな笑みを浮かべて力を発動させる。
「魔法使いの真似事みたいなものだよ」
 だって今日はそれっぽく戦うって決めたからね、と黒いローブを翻しながら雷と炎の属性を持つナイフを生成し、霊に向かって投げ付けた。
「別に魔女になりたいという願望はないが、今日だけはお前達の魔女ごっこに付き合ってやる」
 それらしく、と唇の端を持ち上げて梓が笑うと、白いローブの裾が風で揺れる。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 召喚陣が淡く輝き、漆黒の身体をしたドラゴン達が梓の呼び掛けに応じて現れる。吐き出す吐息交じりの炎は青色で、魔女の使い魔としてはこれ以上はないほどだ。
「如何にもって感じだろう?」
「それっぽくてかっこいいよ」
 梓がどうだ? と問い掛けると、満足そうに頷いた綾が雷のナイフによって動きを止めた霊に向かって、一対の大鎌を振り下ろす。霊が霧散すると、素早く引いて梓の隣に立った。
「こいつらの炎を浴びて生きて立っていられたら、お前達を本物の魔女と認めてやろう――なんてな」
 梓が指先を向ければ、ドラゴン達が一斉に突撃し狂信の淑女へ頭突きや体当たりを喰らわせていく。一か所に集めるような動きに梓の意図を察した綾が駆け出し、ドラゴン達から逃れた淑女に向かって大鎌を振るう。
「ほらほら、逃げないと死んじゃうよ?」
 なんて、ちょっと悪い魔法使いのよう。
 あいつ、魔法使いよりも悪役の方が似合うな……と考えつつ、梓が魔女を追い立てる。
「さてと」
 綾が距離を取ったのを確認すると、淑女達を囲むように位置したドラゴン達へ命令を下す。
「苦しまないように一瞬で燃やし尽くしてやる」
 一斉に吐き出されるのは青い炎のブレス。
 悲鳴さえ上げることなく、狂信の淑女達が灰へと変わっていく。
「ダメだよ、逃げたら」
 ドラゴン達のブレスを逃れた淑女に向けて、綾が青い炎を纏ったナイフを急所目掛けて投げ付ける。それは過たずに眉間や心臓を貫いて、狂信の淑女を仕留めた。
「どう? 俺もちょっと魔女っぽいでしょ?」
「まあ……そうだな」
 多分、とは言わずに梓が頷く。
「立っていられた俺達は魔女で、立っていられなかった君達は残念ながら本物の魔女じゃない……ただのオブリビオンだね」
 揃いの大鎌を手にして、綾がくつりと笑みを零した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エメロア・エフェトゥラ
【数奇2】◎
真の魔女の証?
そんなもの見せるまでもなく俺は偉大なる魔女の息子だし雪蘭はお母様の弟子で今では立派な魔女だぞ。
そんなこともわからないとはな…雪蘭あれらに目にモノ見せてやろう。

魔女が悪魔を信仰する場合もあるがさすがにUDCはやめておいた方がいいぞ。

UC【Mughetto tempesta】

(雪蘭のひらりと揺れる魔女の衣装に目を細めて)
いつも雪蘭はスーツを着ているからその衣装を纏っていると不思議な感じだ。
俺の従者である前に一人の優秀な魔女なのだなと…よく似合う(お母様を思い出すけれど)


麟・雪蘭
【数奇2】◎

ええ、その意気ですよロア様
ご主人は紛れもなく真の魔女ですとも
誰が何と言おうと
雪蘭めは信じて疑わないですわ(私だけの、
さぁさ、ロア様のお力を見せつけてあげて下さいませ
微力ながら妾もお力添え致しますよ

口では謙遜するも実力は本物
魔女に恥じぬ戦いを

(従者が可愛いご主人様より目立ってはいけないもの
けれど
私も魔女
粗相があっては主人の品格に傷をつけてしまうからね)

UC使用
祈る時の呪文はお任せ(それっぽいの作って下さい
白き闇の翼で敵全体に攻撃
ロア様の支援に特化
やり過ぎず主人が戦いやすいよう道を作るのが目的
主人の死角は闇魔法で全て潰す

…ロア様、今は集中なさって

視線に気付き笑いつつも諫めて
帽子被り直し



●本物の力を
 不穏な空気が漂った瞬間に、麟・雪蘭(表と裏・f31577)はそれとなく主人にばれぬように前に出た。
 目に映るのはどこか虚ろな瞳をした人々に、赤から青に色を変えた篝火の炎。それから、青い炎を手に纏った女達。
「何が起きているんだ?」
「ロア様、不逞の輩がいるようですわ」
 雪蘭の言葉にエメロア・エフェトゥラ(偉大なる魔女の息子・f31575)が視線を走らせ、場の把握に努める。
「あれか」
「ええ、そのようですねぇ」
 狂信の淑女をその瞳に捉え、不愉快そうにエメロアが目を細めた。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 口々にそう言っては歪に笑みを浮かべる狂信の淑女に、馬鹿々々しいとエメロアが切り捨てる。
「真の魔女の証? そんなもの見せるまでもなく俺は偉大なる魔女の息子だし、雪蘭はお母様の弟子で今では立派な魔女だぞ」
 一目見て魔女と分からないのであれば、お前達の目は節穴どころではないなとエメロアが鼻で笑う。
「ええ、その通りですよロア様。ご主人は紛れもなく真の魔女ですとも。誰が何と言おうと、雪蘭めは信じて疑わないですわ」
 私だけの、唯一の魔女ですとも、と雪蘭が胸の内で甘く囁く。
「ああ、そうだろうとも!」
 偉大なる魔女の息子が満足気に頷けば、従者たる雪蘭は静かに肯定するように僅かに頭を下げた。
「そんなこともわからないとはな……雪蘭、あれらに目にモノ見せてやろう」
「ええ、ロア様のお力を見せつけてあげて下さいませ。微力ながら妾もお力添え致しますよ」
 微力ながらと謙遜するが、雪蘭の実力は本物。赤い瞳を輝かせてエメロアと共に狂信の淑女の前に立つ。
『お前達も魔女の証を見せるのです』
「誰に向かって口をきいているのだ、無礼者」
 口を慎め、と尊大なまでに言い放つと、手にした幻獣すらも調伏する魔女の鞭に視線を落とす。
「花びらよ、舞え」
 エメロアの呼び声に応じるかのように、ウィッチウィップがその形を瞬時に変えて、無数ともいえる数の鈴蘭の花へと姿を変えた。
 辺りに華やかな香りが漂うと共に、無数の鈴蘭が嵐のように狂信の淑女に向かって放たれる。鈴蘭の嵐は淑女達を飲み込んで、その全てを覆い尽くす。
「さすがですわ、ロア様」
 主人の活躍に手を叩き喜びながら、鈴蘭の嵐を乗り越えてやってくる狂信の淑女に視線を向ける。
 従者が可愛いご主人様より目立ってはいけないけれど。
 従者として出過ぎた行動をするわけにはいかないが、粗相があっては主人の品格に傷を付けてしまう。それに、雪蘭とて魔女だ。
 全てを主人に任せるでなく、降りかかる火の粉くらいは払わなくてはならない。
「どうか、ロア様。羽虫程度はこの雪蘭にお任せくださいませ」
「む、許す」
 ありがとうございますぅ、と軽く頭を下げて、戻した時にはもう雪蘭の顔は魔女だった。
「白き闇よ、我らに仇なす者を真白に染めよ。黒き光よ、咎なき者に紫闇の安寧を与えよ。光は闇に、闇は光に――」
 白き闇の翼が、エメロアの攻撃から逃れた狂信の淑女を真っ白に染め上げる。白熱のそれは、影すら残さずに淑女をこの世界から消し去った。
 その余波により、ひらりと翻る雪蘭の魔女衣装にエメロアが目を細める。
 常日頃より目に映る雪蘭はパンツスーツを着ているからだろうか、その衣裳を纏う雪蘭はどこか不思議な感じがしてエメロアが瞳を瞬かせる。
「雪蘭は」
「はい?」
「俺の従者である前に一人の優秀な魔女なのだなと思って。……よく似合う」
 まるでお母様のようだとは言わずに、エメロアが言葉を切った。
「……ロア様、今は集中なさって」
 ほんの僅かに眉を下げたようなエメロアに雪蘭が困ったように笑いつつも、戦いの最中であると主人を諫めて促す。
「さあ、ロア様」
「ああ」
 わかっている、と頷いてエメロアが残る狂信の淑女達を倒すべく、前へと進む。雪蘭の役目は主人が戦いやすいように道を作り、彼の死角を全て潰すことのみ。
 さあ、今一度魔女として力を振るいましょう、と雪蘭が魔女帽子を被り直しエメロアのあとを追った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディアナ・ロドクルーン
【箱3】
戒さん…ラファンさんを気遣う姿がイケメンすぎる。流石だわ

きゃー!魔法少女まじかる☆ラファるーと💕
是非とも決め台詞で最後は〆ましょうね!

一般人の避難誘導はお任せ
私は他に危害を与えぬように目の前の相手の気を引きます

で…魔女である証と…
良いでしょう、しかと示しましょう

貴女の身を以て、味わいなさいな
此処にあるは可愛いカエル(アイテム参照)だけどもこの子凶悪よ…?

さらりと流れる黒い霧
貴女の四肢を腐食させ、落としましょう

生きながら腐っていく気持ちは如何かしら?ふふ―

相手に恐怖を与えながらマヒ攻撃を
ラファンさんと連携を取れるように気を配り
敵の攻撃は第六感で回避を試みる

モザイク魔法ナイスです(グッ


瀬古・戒
【箱3】
パンチラしたら可哀想だから俺の黒ローブをラファンの肩に掛けてやる
ちょわわ!ビクッた…ペチパンツ?スカート捲り放題?…違うか

青い炎ねぇ…お前らが本物なら俺の炎受けても立ってれるってコトだよな?
ヒンヤリする青炎の弾丸受けてみちゃう?
主に足をスナイパーで狙い氷結させ、行動妨害担当し連携を
トドメは二人に任せた!
魔女の選別だと信じてるか洗脳が解けないか操られてるお方は遠くにぽーんと背負い投げし、服を撃ち抜き地面にペタリ上手いこと氷結させ動けなくしちゃる
ある種の被害者だ、殺したくはねぇ…

したらばキメポーズも考えなきゃだな、ディアナ
ねね、ラファるーとちゃんのアニメ化まだっすか?
グッズは…ペチパンツ?


ラファン・クロウフォード
【箱3】
安心しろ。ペチパンツ履いてるから(スカートめくってみせる)
戦闘は魔法少女なマジカルな台詞とポーズをチョイス
これ以上、命を奪われるのはガチで阻止
幸い、攻撃的な淑女と一般人の見分けは付きそう
一般人を襲う淑女に、先制攻撃でドラゴンランスを投げつけマヒ攻撃で動きを止め行動妨害
霊王吠。死にたくなければ死んだフリ☆と呪文ついでに一般人に呼びかける
雷属性のモフモフで愛らしい白熊を大量召喚
二人とも可愛いくても触んなよ
攻撃力を重視した静電気漲る激アツな熊たんだ
周辺の淑女を熊たちで積極的に攻撃を仕掛ける
戒とディアナと協力し一般人への攻撃を防ぎつつ戦う
グロには化術でモザイクかけとこ
グッズ化なら使い魔じゃね?



●まじかる☆ないと
 柔らかな夜の空気が一変する。それは魔女のマーケットを巡っていた彼らにも、即座に感じ取れたことで。
「あらまあ、篝火が青に変わったわね」
「手品か?」
「いやー、あれって異界の火じゃね?」
 丁度固まって移動していた三人がボソボソと言葉を交わし、篝火が焚かれている方を見遣った。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
 魔女の証を立てよと青い炎を携えた狂信の淑女達が言うのを見て、再び三人が顔を見合わせる。
「魔女の証ってナニ」
 眉間に皺を寄せながら瀬古・戒(瓦灯・f19003)が問えば、ディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)が狂信の淑女の言葉を嚙み砕いて説明する。
「要約すると攻撃するけど死ななかったら魔女、ということでしょうね」
「逆魔女狩りか?」
 趣味が悪いな、とラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)が嫌そうな顔をして近付いてくる狂信の淑女達に臨戦態勢を取った。
「えっラファンその恰好で暴れんの?」
 そっと自分が羽織っていた黒のローブを脱いで、戒がラファンの肩へと掛ける。
 何故これを? という瞳で自分を見るラファンに、パンチラしたら可哀想だから……見る方が、と語尾を濁す。
「戒さん……ラファンさんを気遣う姿がイケメン過ぎる。流石だわ……!」
「いや、俺今微妙にディスられてたような?」
 だがしかし可愛い彼女の気遣いなので、ローブは有り難く借りるのだが。
「でもローブがあっても見えるモンは見えるよな」
「安心しろ、ペチパンツを履いてるから」
 おもむろに自分のスカートを捲ったラファンに戒がビクッと肩を揺らす、ディアナはあらまあと口元を押さえつつも凝視していた。
 スカートの中にはラファンの秘密、ではなくパンプキンタイプのペチコートパンツが鎮座していて。
「ちょわわっ! ビクッた……ペチパンツ? スカート捲り放題ってことか?」
「違うわね」
「違うな」
「……違うか」
 二人が首を横に振るので、違うのかと戒が頷く。
「まぁそう言うわけで、暴れても論理的にセーフだ」
 論理的にはセーフでも、常識的にはどうなんだろうなと戒の頭を過ぎったけれど、ここは既に常識の範囲外で満ちているので、今更だった。
「問題は解決したわね! それじゃあ……準備はいいかしら?」
「任せろ、俺の魔法少女を見せてやる」
「ノリノリじゃね?」
 色々吹っ切らねばやってられないのだ、この格好。
 なんて思ったのは一瞬のことで、村の祭りを楽しみに来た一般人である魔女達が狂信の淑女に襲われそうになるのを見て、ラファンが黒いローブを靡かせて駆けた。
『さあ、魔女の証を見せるのです』
「そんなに見たければ見せてやる」
 淑女の注意を引くように声を掛ければ、視線はラファンに集中する。その隙に戒が魔女達をあっちだと誘導し、彼女達を逃がす。
「俺は邪悪なお前達を倒す為にやって来た――魔法少女まじかる☆ラファるーとだ!」
 決めポーズはもちろん内股で、魔法のステッキの代わりに手にしているのは白く輝くドラゴンランス。
「魔法少女のステッキ持たすべきだったか……!」
「きゃー! 魔法少女まじかる☆ラファるーと💕」
 場所が場所なら『ファンサして♡』のうちわを持っていたかもしれない勢いで、ディアナが声援を送る。
 ふざけているのか? と言われてしまえばそうかもしれないけれど、これ以上誰かの命を奪われるのを阻止する気概にだけは満ち溢れていた。
「悪いが他の魔女の所へ行かせるわけにはいかないからな」
 ラファンが手にしたドラゴンランス、ジャスミンを勢いよく投げ付ける。勿論スカートはひらりしてペチパンツがチラリだ。
「良いものを見てしまったわね」
「写真は撮ったぜ、ディアナ」
 さすがね! という賛辞に笑みを浮かべ、そろそろ俺達も暴れるかと戒が笑う。
「そうね、一般人の避難はお任せして、私は他に危害を与えぬように彼女達の気を引きます」
「なら、俺はラファンの後方支援だな」
 即座に役割分担をして動き出すのは流石としか言いようがなく、ディアナは颯爽と狂信の淑女の前へと立った。
「さて、魔女である証……でしたか?」
『ええ、さあ我らに示すがいい』
「良いでしょう、しかと示しましょう」
 そう言ってディアナが取り出したのは可愛らしいカエル、だけど可愛いからと侮っては痛い目を見る、そんなカエルちゃんだ。
「貴女の身を以て、味わいなさいな」
『我らの神を侮辱する…異教徒めが』
「まさか。可愛いカエルだからって甘く見ているようだけれど……」
 この子、凶悪よ? そう笑ったディアナの手からカエルちゃんが飛び出し、その口を――大きく開けた。
「カエルちゃんヤバいな……」
 そう呟きつつ、戒が狂信の淑女達が携えた青い炎にふぅんと唇を尖らせる。
「青い炎ねぇ……お前らが本物なら俺の炎受けても立ってれるってコトだよな?」
 二丁の回転式小型拳銃を取り出し、戒が唇の端だけで笑って。
「ヒンヤリする青炎の弾丸受けてみちゃう?」
 淑女の答えは待たず、引鉄を引けば凍てる青い炎の弾丸が敵の足を地面に縫い付けるように凍らせていく。
「助かる」
「おう、任せとけ」
 足止めされた敵に向かって、ラファンが召喚陣を描く。
「出番だ、起き……いやここは魔法少女らしく、だな。ラファるーとのピンチだよ! 助けてくまさん☆ 死にたくなければ死んだフリ☆」
 ンブッファ、と戒が噴き出しながら、淑女達の邪魔をするべく青炎の弾丸を放つ。
「おま、おまえ、ゲッホ」
 噎せつつ見れば、ラファンが喚び出したのは可愛らしいもっふもふの白熊さん。
「まあ可愛らしい!」
「うお、もふもふ」
「二人とも可愛いくても触んなよ、攻撃力を重視した静電気漲る激アツな熊たんだ」
 ヤベー熊じゃん、ヤベーカエルもいるのに熊もヤベーのかよ。
 そんな可愛くもヤベー熊が周囲の狂信の淑女達を積極的に攻撃していく。
「負けてはいられませんね!」
 こうなれば正統派魔女として、恐怖に陥れてさしあげるわ! とディアナが妖しく微笑む。
「焼けるような飢餓と枯渇 爛れる心の吐息 全てを焼き尽くせ 我が望むは辛酸の心 滅びをもたらす焼けつく嵐を 滅びゆく定めのままに――」
 ディアナが手にしたカエルから、さらりと黒い霧が零れ落ちる。
「貴女達の四肢を腐食させ、落としましょう」
 じわりと侵食する毒が、見る間に淑女達を腐敗させていく。
「生きながら腐っていく気持ちは如何かしら? ふふ」
「R-18Gじゃん」
 グロ映像である。
 魔女の選別だと信じ込んでいる村を訪れた魔女をせいっと遠くに背負い投げしつつ、地面に叩き付けられる寸前で服を撃ち抜き上手く氷で包み動きを封じていた戒がえぐい、と笑っている。
「ディアナ、魔法少女にグロは厳禁じゃないか?」
 仕方ないな、とラファンがそっとモザイク処理を掛けた。しゃらんら。
「モザイク魔法、ナイスですラファンさ……ラファるーと!」
 グッとサムズアップを決めて、ディアナがラファンを褒める。
「ねね、ラファるーとちゃんのアニメ化まだっすか?」
「あら、それなら変身バンクが必要ですね」
「したらば決めポーズも考えなきゃだな、ディアナ」
 軽口を叩きつつも、一般人は避難させたし狂信の淑女はきっちりと倒している。
「可愛らしいのがいいですね」
「アニメ化したらグッズ展開もだよな……ペチパンツ?」
「グッズ化なら使い魔じゃね?」
 ぬいぐるみは鉄板だろう、ラファンが重く頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霞末・遵
【鏑木邸4】


戦えない専門家か。うーんおじさんのことだな
若者頑張ってくれるなら飲んでようかな
まだお酒残ってるもんだって

流石に罪悪感があるからやるか……
飲みながらでいいよね。支障ないって大丈夫
でも燃えたらおじさん死んじゃうなあ。火は苦手なんだよね

魔女っぽいことすれば許されるかな
ほら、魔法の蝶だよ。魔女っぽくない?
なんと今なら属性が水に。炎に効くよ。お得だよ
どう? 信者っぽくない? ない。そう

じゃあ蝶に溺れてもらおうかな
幸い防御は少年がやってくれてるしついでに隠れておこう
水分いる? 少しだけ蝶を防御に回そうか
残りはそら追った追った。とにかく火を消すんだよ
邪神? 知らないねえ。あれも消しちゃえ


雨野・雲珠
【鏑木邸4】◎

「強い人だけが本物」理論で選別してたら、
戦えない専門家が生き残れないんじゃないかって思キャーーー!!
…一緒になって逃げ回ってる場合じゃなかった!(急ブレーキ)

うううでも俺、炎は怖──はっ。
今日の鏑木邸面子、皆炎苦手そうでは…
頑張らなくては!(きりっ)(涙目で)

【救助活動】に徹します。
逃げ遅れた方々のお手をとって、【一之宮】に隔離。
雪里に隠してしまいましょう。
操られている方々は【枝絡み】で拘束、
お味方に炎が飛んでくるなら、枝をきつく絡み合わせて防壁に。

ご安心ください、生木は燃えにくいもの。
お守りできるならここで燃えたって…
蝶の群れ、降り注ぐ水、絡む煙。
…まだ燃えなくてよさそうです!


鏑木・寥
【鏑木邸4】


魔女って存在が呪術的な手段によって他者を害すると存在いう定義なら、
戦えない専門家は魔女として認めないってのは間違っちゃいないな
何せ最近よく食うもんで量が……(暫く無言で飲食タイム)

確かにあまり火に得意そうなやつはいねーな
人魚さんはそうだな、加減してくれ。植物はせんさい

俺は……(三人が戦うのを見る)(目の前の皿と杯を見る)
とりあえず一服の準備はしようか
食中に吸うのは行儀悪いんだけどなァ、仕方ない

うわ、なんか人が大量に動き出してんだけど
傷付けるのも勘弁だしなあ、水に流されるまでちぃと微睡んでてくれ
風と蝶に纏わせるように煙を吹く

少年は燃えるな
人魚さん、燃えそうになったらあっちに水な


夕時雨・沙羅羅
【鏑木邸4】


強さにも、色々ある
色んなひとがいるから、強い
魔女も、そうじゃないかな
マーケット、色々あって楽しかった

火は苦手?
じゃあ、水をあげる
僕は雨溜まりの池
森の中一面、見渡す限りの、水だ
でも水浸しも困るか
加減する

魔女かと言われたら、僕は違う
僕はアリスの為の、プリンセスで王子様
それは譲れない
魔女はお姫様にガラスの靴を贈れても、しあわせなハッピーエンドには居られないから

おおきなみずのさかなになって、ざぶんとのみこんでしまおう
うずさんの木も濡らしたら、もっと防御になるかな
じゅんさんのちょうちょがいるから、大丈夫だろうか
りょうさんに了解の飛沫を上げて
…烟る空間に茂る枝、光る蝶、それこそ絵本の中みたい



●強さの定義も魔女の定義も人それぞれなので
 すっかり膨れたお腹をさすって、少し食べ過ぎたでしょうかと雨野・雲珠(慚愧・f22865)がぽつりと零す。
「お腹いっぱい食べられるのはいいことだよ」
 よかったね、と霞末・遵(二分と半分・f28427)が笑うと、夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)もこくりと頷く。
「おなかいっぱいは、しあわせ」
 眠くなってしまうけど、と沙羅羅がちょっぴり眠そうな声で言った。
「俺はまだ食い終わってないんだが」
「ゆっくり食べなさいよ、喉に詰まらないようにね」
「はい、ごゆっくりなさっててください」
 何せきちんと食事を取って健康的になって欲しいと願う雲珠なので、遵の言葉に一も二もなく頷いた。
 その瞬間であった、夜の空気が変わったのは。
「え、なんでしょう」
「火があおくなった」
 ほら、と沙羅羅が指さす先には、先程まで赤々と燃えていた篝火が青い炎へと変化していた。
「これはあれだね、仕事の時間ってやつだな」
「そういや、そういう仕事だったな」
 ハムサンドを小さい一口で齧って、寥が辺りを見回す。
 村の魔女は皆同じような表情をして広場の端の方に向かっているし、青い炎の周囲には青い炎をその手に携えた、どう見ても人ではないような女がごろごろと姿を現している。
「お仕事、がんばる」
「はい、シャララさん! 頑張りましょう!」
 沙羅羅と雲珠が立ち上がると、人ではなさそうな女――狂信の淑女が高らかに告げる。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 本物であれば、我らの攻撃を受けても死なず、生きてこの場に立っていられるはずだと彼女達は言う。
「えっ何ですかあれ」
「力を示せってことかな」
「力なんて無いんだが?」
「どうしたの、うずさん?」
 沙羅羅がぷくうと頬を膨らませた雲珠に首を傾げ、呼び掛ける。
「そんな、『強い人だけが本物』理論で選別してたら、戦えない専門家が生き残れないんじゃないかって思うんですが!」
「魔女って存在が呪術的な手段によって他者を害すると存在いう定義なら、戦えない専門家は魔女として認めないってのは間違っちゃいないな」
 そうですけど! 間違ってはいませんけど! 納得はできません! と、雲珠が変わらず頬を膨らませて理不尽な要求に怒りを見せた。
「戦えない専門家か。うーんおじさんのことだな」
 間違いない、おじさんのことだよと深く遵が頷く。
「それを言うなら、俺もだが」
 寥が戦闘向きじゃないんだと、まだ杯に残る葡萄酒をちびりと飲む。
「強さにも、色々ある。うずさん、色んなひとがいるから、強い」
 ね? とばかりに沙羅羅が雲珠へ言うと、雲珠が膨らませていた頬を元に戻した。
「だから、魔女も、そうじゃないかな。マーケット、色々あって楽しかった」
「戦えなくても……その方法がある、ってことですね」
 至極前向きな桜なので、雲珠はそれなら俺は戦います、と拳を握る。
「僕も、たたかう」
「行きましょう、シャララさん!」
 狂信の淑女の選別は猟兵だけに適用されるものではない、この祭りに遊びに来た一般の魔女だという人々もいるのだ。
「いいね、青春だね。若者が頑張ってくれるなら飲んでようかな」
「おっさんは行かないのか」
「だって、まだお酒残ってるもん」
 ほら、と傾けた杯にはお代わりで貰った葡萄酒が揺れていた。
「そういうお兄さんは?」
「まだ残ってるもんで」
 えっずるくない? とは思ったけれど、流石に少年組に戦わせて自分は酒を飲んで見てるだけというのは罪悪感があるからやるか……と立ち上がった。
 ここで罪悪感を感じるのが遵の胡散臭いけれどいい人、という評価に繋がるのである。寥は自分が如何に戦いにおいて前に出れば死ぬ、邪魔、出ない方がマシ、というある種正しい自己評価があるので罪悪感は感じない。
 なのに人徳めいたものは何とはなしにあるのだ、不思議。
「飲みながらでいいよね」
「えっどうしていいと思われたんですか」
 酔いません? という真っ当な雲珠の言葉に、遵が笑顔で返す。
「支障ないって、大丈夫」
「だいじょうぶって言うひとは、たいていだいじょうぶじゃない」
 酔っ払いの言うことは信じてはならぬのだ。
「おじさん、まだ酔ってないからね」
 それにしても火かぁ、と狂信の淑女が携える青い炎を眺めて遵がうーんと首を傾げる。
「でも燃えたらおじさん死んじゃうなあ。火は苦手なんだよね」
 相性がよくないんだよな、なんて言っていると狂信の淑女が証を見せよと迫りくる。
「あっ火はだめだって」
「キャーーーー!!」
「なんで少年も??」
 一緒になって逃げ惑う雲珠に遵が首を傾げれば、雲珠が桜なので! と、答えてから急ブレーキを踏むように立ち止まった。
「ここで一緒になって逃げ回ってる場合じゃなかった!」
 これでは本当に強い人だけが本物になってしまう。
「ううう、でも俺、炎は怖――はっ」
 そういえば、今日の鏑木面子、皆炎苦手そうでは……? そう、気が付いてしまったのだ。
「お、俺が頑張らなくては!」
「確かにあまり火に得意そうなやつはいねーな」
 やっとサンドイッチを一つ減らした寥が、今日のお出掛けメンバーを再確認しつつ言う。
 涙目ながらにきりっと狂信の淑女と相対すれば、沙羅羅がこてんと首を傾げる。
「火は苦手? じゃあ、水をあげる」
「シャララさん! そうです、シャララさんは水を……!」
 僕は雨溜まりの池、森の中一面、見渡す限りの、水だ。
「人魚さんはそうだな、加減してくれ。植物はせんさい」
 雨は恵だけれど、多ければ根腐れしてしまうので。
「水浸しもこまる……わかった、加減する」
 寥の言葉に頷いて、沙羅羅が炎に弱い仲間の為におおきな水のさかなへと姿を変えた。
「シャララさん、お願いします!」
 雲珠が枝絡みを操って、桜の枝と根を伸ばす。そこへ充分な水を与えて沙羅羅がばちゃんと跳ねた。
「これなら……俺は救助活動に徹します!」
 そう宣言し、雲珠が逃げ遅れた人々の手を取り一之宮へと誘う。怯えた彼らも魔女だったりそれを目指す者、雲珠の説明に頷き隠れ里へと避難していく。
 雲珠の邪魔をさせない為に、遵が狂信の淑女の前に出た。
「魔女の証だったっけ? 魔女っぽいことすれば許されるかな」
 そう言って、遵が笑うと幻蝶を召喚する。
「ほら、魔法の蝶だよ。魔女っぽくない?」
『最後まで立っていられるものだけが魔女なのです、それが我らの神の言葉!』
「ええ、なんと今なら属性が水に。炎に効くよ。お得だよ」
 どう? 信者っぽくない? なんて問い掛けても返事はなく。
「ない、そう……じゃあ蝶に溺れてもらおうかな」
 無数の蝶が羽ばたいて、狂信の淑女を襲う。沙羅羅もそれに続くかのように、ざぶんと淑女ごとのみ込んで避難が完了するまでの時間稼ぎをする。
「あー俺は……」
 このまま終わりそうだなとも思ったけれど、意外に狂信の淑女の数が多い。ちらっと目の前の皿と杯を見遣り、一服の準備をするかと袖の袂を探った。
「食中に吸うのは行儀悪いんだけどなァ、仕方ない」
 まぁ今ここで飯食ってんの俺だけだし、いいかと煙管に口を付ける。吐いた紫煙はゆるりゆるりと狂信の淑女の方へと流れていく。
「うわ、なんか人が大量に動き出してんだけど」
「枝絡みで動きを止めます!」
 傷付けるのも勘弁だしな、ともうひと吹き風と蝶に纏わせるように煙を吹いた。
 微睡みの中に沈んだ人々を安全な場所に下ろし、後で正気にお戻ししますと雲珠が仲間の元へ走る。
「救助完了です、お待たせしました!」
 枝をきつく絡み合わせ、雲珠が防壁ですと巡らせる。
「えっ燃えない?」
「大丈夫です、生木は意外と燃えにくいもの。シャララさんのお水で一層燃えにくいはずです」
 それに、お守りできるのであればここで燃えたって本望だと、雲珠が曇りなき眼で言う。
「少年は燃えるな。人魚さん、燃えそうになったらあっちに水な」
 寥の言葉に沙羅羅が飛沫を上げて答える。
「ダメ出しが入ったね」
 あはは、と笑って遵が防壁の内側へと入る。
「水分いる? 少しだけ蝶を防御に回そうか」
 そう言うと、遵の蝶がひらりと舞って、残りは狂信の淑女を追い立てる為に跳びたっていく。もう一度雲珠の作り上げた防壁を濡らし、沙羅羅が狂信の淑女を追う。
『魔女たる証を見せよ……!』
 魔女かと言われたら、僕は違うと沙羅羅は思う。
 だって僕はアリスの為の、プリンスで王子様だから。それは譲れない。
 魔女はお姫様にガラスの靴を贈れても、しあわせなハッピーエンドには居られないから。
 だから、僕は魔女ではなく王子様だと沙羅羅が狂信の淑女を再びざぶんと飲み込んだ。
「蝶の群れ、降り注ぐ水、絡む煙……それにおおきな水のおさかな」
 まだ燃えなくて良さそうです! と雲珠が気合を入れて枝絡みを操って。
 烟る空間に茂る枝、光る蝶、それこそ絵本の中のよう。
「それじゃあ最後はボスを倒してハッピーエンドにしないとね」
 絵本はめでたしめでたしで終わるものなんだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)。
「死なないって…本物の魔女って凄いのね~」
感心してたら隣のレーちゃんに呆れられたわ。
あれ?違うの?…この人達の妄想?…えぇ~…。

死ななくてもそうでなくても無理やり過ぎだわ。
攻撃の魔法を使われたらとても厄介そうよね。
だったら【銀の舞】で素早く懐に入って倒すわ。
うーん。手首の腱を斬れば魔法使えないかしらね。
とにかく狙ってすぱぱ~って斬ってみるわ。
斬る時にフェイントも攻撃に加えてみようかしら。
そしたらレーちゃんが魔法でなんとかしてくれる!

魔女さん達の攻撃は行動をよく観察して回避するわ。
見切りとか第六感とか野生の勘を使うわね。
もしレーちゃんがピンチの時は助けるわ!!


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。

属性攻撃の範囲攻撃を加えた全力魔法を高速で行使。
【崩圧陣】で自称魔女達をひれ伏させよう。
その間に露が仕留めてくれるだろう。
私は周囲の警戒をしつつ周囲の観察を。
魔女達の攻撃は見切りと野生の勘と第六感で回避する。



●死なない魔女
 一通りマーケットを堪能し、良い匂いがすると言う神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)に任せるままに歩いて、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)はパンとスープを食べながら休憩所に座っていた。
「美味しいわね~このパン」
「そうだな、シンプルだがバターの風味が豊かで美味しい」
 一つ食べてスープを飲み干し、残りは露が食べるといい、とシビラが残ったパンの皿を露へと押しやる。
「もういいの?」
「ああ、一つとスープで充分だ」
 そう? それならと露が残りのパンに齧りつく。
 平和な夜だと思った、けれどそれが続かないことをこの場に居る猟兵は皆知っている。
「露」
 夜の気配が濃くなったことにシビラが露の名を呼んだ。
「どうしたの? レーちゃん。やっぱりパンもう一つ食べる?」
「要らん、それよりも早く食べてしまえ」
 慌てると喉に詰まらせちゃうし消化に良くないわ、と言う露を急かしてパンを飲み込ませる。
「もう、どうしたのよレーちゃんったら」
「来るぞ」
「え?」
 そう言われ、周囲に精霊の姿が見えなくなったことに露が気付く。
 楽し気な音楽が掻き消え、篝火の炎が赤から青へと変わる。そうして現れたのは、手に青い炎を携えた狂信の淑女達。
「あらぁ……」
「オブリビオンのお出ましだな」
 シビラが立ち上がり、敵の出方を窺う。
『ようこそ、魔女の宴へ』
 夜を震わせるような声が何処からともなく響き、告げる。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 我らの攻撃を受けてなお、死なぬ証をと狂信の淑女が笑う。
「死なないって……本物の魔女って凄いのね~」
 魔女って死なないのね? なんて露がほけほけとした顔で言うので、思わずシビラが脱力したような呆れた顔を露へと向けた。
「そんなわけないだろう」
「あれ? 違うの? ……この人達の妄想?」
 こてんと首を傾げた露に、シビラがそうではないと説明する。
「要は体のいい生贄みたいなものだ。運良く死ななかったものは村の魔女の仲間入りをするのかもしれないが」
「えぇ~……」
 それって、詐欺? と露が頬を膨らます。
「オブリビオンに詐欺も何もない」
 倒すだけだと言うと、シビラが腰の魔導書を素早く開き、こちらへ向かってきた狂信の淑女に容赦なく魔法を発動させた。
「うふふ、かっこいいわレーちゃん!」
 露も立ち上がると、さてどうしようかと敵を見遣る。
 その攻撃方法を見れば、なんとはなしに厄介そうだと感じ取って――ダガーを片手に狂信の淑女に向かって駆けた。
「野生の勘みたいなものだな」
 それでもその勘は、大体において正しかったりするのだから侮れない。
「Poarta castelului, ridică-ți capul Deschide poarta eternă!」
 露の行動をサポートするように、シビラが魔導書から超重力を放ち敵の動きを制限する。
「さっすがレーちゃん!」
 言う間に距離を詰めて懐に入り込んだ露が、淑女の手首の腱に向けてダガーを振るった。
「死ななくてもそうでなくても無理やり過ぎだわ、あなたたち。どうかしら、こうすれば魔法を使えないかしら?」
 自分達へ向かってくる淑女に向かってシビラが超重力で動きを鈍らせ、露が刃を閃かせて確実に仕留めていく。
 狂信の淑女が召喚した黒い影のような霊がシビラを狙って審判の光を放とうとすれば、露がシビラの腕を引っ張ってそれを回避する。
「レーちゃんのピンチはあたしに任せて!」
「ああ、頼りにしている」
 レーちゃんに褒められちゃった! と、露が一層テンションを上げて敵を倒すべく駆け巡る。
「魔女は死なないなんて、嘘っぱちね」
 だって、魔女であるあなたたちはあたしたちに倒されてしまったじゃない?
「だから言っただろう?」
「本当ね、レーちゃん!」
 そう、露がシビラに笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時


本物の魔女の宴…
つまりなんか絶対…魔術知ってるよな…!(カッ
後で教えて!

其れにこの白い魔導書にも主って認めさせなきゃだからな!

お前らにも見せてやるぜ
本物の魔女の―――いや、何れ全世界最強最高の魔術師になる俺様の力って奴をよ!

行くぜパル…俺様達の全身全霊ッ!お見舞いしようッ!

敵が炎を宿し強化するなら

俺様は光!敵を打ち払う輝光になる!
    グリッター
物体変質〖輝光〗ッ!

(攻撃回数五倍、装甲半分)

その後の焔は痛いが噛み締めて耐えたるさ

全身に込める魔力に自前の水も交え、奴らの焔も魔力に変え
三種混合の魔力体!

この状態で全て撃ち払う!

三種混合の混成光線《ケイオスレイ》の制圧射撃を見舞ってやるぜ…ッ!



●力を示すことこそが
 色濃い魔力が流れる気配を感じ、兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)はパッと瞳を輝かす。
「本物の魔女の宴……」
 という事は、そう。
「つまりなんか絶対……魔術知ってるよな……!」
 後で教えて! そう叫び、取りあえず今は魔女である証を見せねばならぬと零時が立ち上がる。もしかしたら、そうすることでこの白い魔導書に主と認められるかもしれないからだ。
「ほんっとお前、いったい何の魔導書なんだ?」
 魔女のマーケットで見つけた白い魔導書に指を這わせ、懐に仕舞い込む。
「さあ、お前らにも見せてやるぜ! 本物の魔女の――いや、何れ全世界最強最高の魔術師になる俺様の力って奴をよ!」
 クリスタリアンの少年がその輝きを見せ付けるかのように高らかに告げ、パルの名を呼ぶ。
『さあ、魔女の証を見せよ』
 そう言って近付いてくる狂信の淑女に向かって、零時が応と頷く。
「行くぜパル……俺様達の全身全霊ッ! お見舞いしようッ!」
 紙兎のパルが零時の全力に応えるべく、ぴょんと跳ねた。
 狂信の淑女の手に宿る青い炎を見遣って、零時が使う魔法を鮮明に思い浮かべ、発動までのプロセスを辿る。
 敵が炎を宿して強化するというのならば、己は光と成ろう。敵を打ち払う輝光と成ろう――。
「我が身 我が魔 我が力 我が名を此処に 果て無き道は踏破され 積まれし歳月は実を結ぶ 改変し 変質せよ 我が手によって変革を為せ」
 それは魔導書が示す変革の力、存在すらも自在に思うままの魔力属性に変換し、触れる全てを魔力へ変える身体に変形する零時の魔法だ。
「物体変質――〖輝光〗ッ!」
 輝く光に満ちた零時が全身に魔力を込める、己の水も狂信の淑女の青い焔も全てを魔力に変えて。
 三つの魔力が交じり合った魔力体、高めた力の全てを込めて眼前の敵を屠らんと零時が指先を向けた。
「受けろ、ケイオスレイ――!」
 光と水と焔、そして俺様の全力!
 迸る魔力の奔流に、狂信の淑女達の姿が掻き消えて。
「どうだ! 俺様の力!」
 見てたか? と、懐の真っ白な魔導書に呼び掛ける。
「んー、でもやっぱり真っ白な……あれ?」
 魔導書の表紙に、金色の円が描かれているのを見つけ、零時が食い入るようにその線を見つめる。
「魔法陣の一部……?」
 完成に至るまでは、まだまだ遠いようにも思える魔法陣だったけれど。
 確かにこの時、零時はこの魔導書の主となる一歩を踏み出したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
晴夜f00145お兄さんと

…ああうん。ちょっと帽子はずり落ちて来るけど、
敵を殺す分には問題ない
ところで、お兄さん…
(あれ、いつも喜んでつっ込んでくのに珍しいな
(…なんかテンションがいつもより高いな
成る程、お兄さんの頭の子が影響してるのかも

ほら、お兄さんの頭に乗って笑ってる
お兄さんには見えない((めっちゃ呪いの人形みたいな顔してる)帽子の飾りだからね)子の話だよ

はい。じゃあここから、魔女らしく俺も撃たせてもらいましょうか
お兄の召喚した霊を盾にしながら、後ろから撃つ
一応味方だ、あてはしないよ

殺しあって生き残ったほうが本物なんて、わかりやすい話じゃないか
それじゃあさよなら、偽者さん
俺たちは先に行くよ


夏目・晴夜
リュカさんf02586

その魔女の帽子、正直めっちゃ邪魔じゃないです?
その辺に置いといてもいいんですよ
お、被ったままでいきますか?ならば今日は魔女っぽく戦いますか!

ご存じですか、化物には化物をぶつけると良いという事を…
おっと、ハレルヤの博識な面が出てしまいました
という事で『芥の罪人』で召喚した数多の霊を一斉に敵へぶつけます
操られている対象は傷つけず、淑女のみを攻撃して下さいね

見て下さい!地獄が催したエンターテインメントみたいで面白いですよ!
…頭の子?そんなの居ませんよ
頭に乗って?笑ってる!?そ、そんな無礼な…!
いや嘘ですよね。いないですよね?

あ、そうだ
霊ごと撃っても全然オッケーですので、よろしく



●タリオの法に基づきまして
 リュカさんの適当な返事のせいでお腹が空いたんですよ! という夏目・晴夜(不夜狼・f00145)の意見を尊重し、再び休憩所でフライドポテトを摘まむ。もちろん、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)が気に入った銃を手に入れた後の話だ。
「本当にバニラシェイクに付けて食べると美味しいんですか?」
「ああ、うん。そう聞いたことがあるよ」
 何処でだったかは忘れたけれど、甘じょっぱいのがいいとかなんとか。
 生憎ここにはそんなものはないので、ケチャップをちょんちょんと付けて食べているのだけれど。
「ねえリュカさん」
「うん」
「気が付いてます?」
「……うん」
 夜の気配が変わるのを感じ取り、リュカが頷く。目の前のポテトを慌ただしく口の中に放り込んで、おかしな気配がする方へ二人同時に視線を遣った。
 瞬間、篝火の炎は赤から青へと変わり、楽し気にさざめく声は消え失せて。
『ようこそ、魔女の宴へ』
 青い炎をその手に灯した狂信の淑女達が、どこからともなく姿を現した。
『これより先は、本物の魔女達の宴』
『さあ、本物の魔女である証を見せて――』
 証は我らの攻撃を受けても死なぬことだと告げて、狂信の淑女達が動き出す。
「わあ、理不尽ですね。ところでリュカさん、その魔女の帽子、正直めっちゃ邪魔じゃないです? その辺に置いといてもいいんですよ」
「……ああうん。ちょっと帽子はずり落ちてくるけど、敵を殺す分には問題ないよ」
 問題がないなら、このままでいいのだとリュカが晴夜の提案をそっと棄却する。
「お、被ったままでいきますか? ならば今日は魔女っぽく戦いますか!」
 あれ? とリュカが違和感を感じてじぃっと晴夜を見つめる。
 いつもなら喜んで突っ込んでくるのに、さらっと流したのだ。
「ところで、ご存じですか? 化物には化物をぶつけると良いという事を……」
 ふっと笑って、晴夜がリュカを見て微笑むが、そんな目には目を歯には歯をみたいなことを化物で?
「おっと、ハレルヤの博識な面が出てしまいました」
 あれ、いつものお兄さんだな??
 いやでも、やっぱり何かがおかしいような……なんてリュカが考えていると、狂信の淑女達がこちらに向かってやってくるのが見えた。
 お兄さんがちょっとおかしいのは後回しかな、とリュカが立ち上がると晴夜も同じように立ち上がる。
「という事で、『芥の罪人』で召喚した数多の霊を一斉に敵へぶつけます!」
 悪食を手にし、晴夜が悪しき魂から成る数多の霊を召喚する。
「善行を積めば糸を垂らしてあげますよ」
 そう言って笑うと、悪しき霊を狂信の淑女に向かってけしかけた。
 勿論、操られている人は傷付けず、淑女のみを攻撃するようにとお願いも忘れない。そして、霊達が一斉にぶつかっていく様子を見て、リュカへと振り向いた。
「見て下さい! 地獄が催したエンターテインメントみたいで面白いですよ!」
 うける、と手を叩いて喜ぶ晴夜をやっぱり何かテンションがいつもより高いと判断し、リュカがじいっと見つめてその原因を探る。
「お兄さん、わかったよ」
「え? 何がです?」
「今のお兄さん、頭の子が影響してるのかも」
 えっ何、頭の子って。
 晴夜の動きが止まる。
「ほら、お兄さんの頭に乗って笑ってる」
「……頭の子? そんなの居ませんよ」
「お兄さんには見えない子の話だよ」
「頭に乗って? 笑ってる!? そ、そんな無礼な……!」
 だって、めっちゃ呪いの人形みたいな顔してる帽子の飾りだから。
 まあ、それ付けたの俺なんだけど、とリュカがじっと人形を見る。
「いや嘘ですよね、いないですよね???」
 いないって言ってくださいよ! と晴夜がぷるぷるしている。
「うん、大丈夫そうだね」
 何を以てして大丈夫と言っているのかはわからなかったけれど、そのうち元に戻るだろうし、戻らなかったら人形を外してあげればいいんだし。
「はい。じゃあここから、魔女らしく俺も撃たせてもらいましょうか」
「めちゃくちゃスルーするじゃないですか」
 魔女らしく撃つって何?? という晴夜の問い掛けも綺麗にスルーして、晴夜をの召喚した霊を盾にしつつ、リュカが後方から狂信の淑女を撃つ。
 それは願いの重さに負けない強さ、愛用の改造アサルトライフルから放たれるのは数多の敵を、悲劇を乗り越える為の弾丸。
「あ、そうだ。霊ごと撃っても全然オッケーですので、よろしく」
 だって霊ですし、と晴夜が言うと、一応味方だから当てはしないよとリュカが敵を正確に撃ち抜きながら言う。フレンドリーファイアはちょっとね。
「それにしても、殺しあって生き残ったほうが本物なんて、わかりやすい話じゃないか」
「まあ、そうですね」
 生きるか死ぬか、殺すか殺されるか。
「それじゃあさよなら、偽者さん」
 晴夜の召喚した霊達に群がられた狂信の淑女に向けて、リュカが引鉄を引く。
「俺たちは先に行くよ」
「おさらばですね」
 あなたたちの言うところの、本物の魔女として――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ザ・ソウルケージ・ジュエラー』

POW   :    宝石は舞い踊りながら、いつしか輝いて
【呪いの光を帯びた数多の宝石 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    宝石に映る貴方の魂は、いつだって煌めいて
【宝石 】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、宝石 から何度でも発動できる。
WIZ   :    宝石に詰まった沢山の夢に、いつまでも照らされて
小さな【宝石 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【対象の望みが反映された幸福な夢の世界】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は照崎・舞雪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●歪んだ輝き
 狂信の淑女達は、その全てが猟兵達の手によって倒された。
 魔女の証を見せよと告げた者達が立っていない、魔女だと信じていた彼女達は魔女ではなかったのか? そんな馬鹿な――。
 それまで黙って見ていた村の魔女達の混乱したような声が、猟兵達の耳へと届く。本当に魔女だと信じていたのだろう、ざわめきは次第に大きくなって彼らの視線は猟兵達に注がれる。
 では、今そこに立っている彼らこそが本物の魔女なのではないか? そんな声も聞こえてくるほど。
『静まりなさい、私の同胞たちよ』
 混乱する魔女達の中から、一人の少女が現れて響く声でそう言った。
『あなた達が魔女の資格を有する者達ね』
 おお、宝石の魔女様だ、我らの魔女様、と村の魔女達が口々に少女を褒めそやす。
『ああ、でも私の眷属たちを殺してしまったのはいただけないわ』
 そうでなければ、仲間にして差し上げたのに。
『あなた達は、そうね。仲間にはしてあげられないけれど――』
 宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?
 いっそ無邪気なまでの笑みを零して、宝石の魔女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーが猟兵達にそう問い掛けた。
片桐・公明
【POW】◎
敵の攻撃をUCを用いて、踊るように回避しながら接近する
その後妖刀と拳銃を用いて接近戦を試みる

接近後は敵から離れず、間合いを維持する
敵攻撃については、致命傷にならない限り無理な回避、防御は行わない

「宝石にも、仲間にも、なるのは遠慮するわ。」
「愛でられるだけ、というのも性に合わないしね」



●愛でられるだけの女じゃないの
 宝石として手元においてあげる、そう言って女は――宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーは片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)に向かって笑みを浮かべた。
『あなたは何色の宝石になるのかしら、その髪のような青? それとも瞳のような赤?』
 きっとどちらでも綺麗だわ、と宝石の魔女が自身の周囲に数多の宝石を浮かべて公明の瞳を見つめる。
「お生憎ね、宝石にも、仲間にも、なるのは遠慮するわ」
 理不尽な誘いを笑みを浮かべて断ると、宝石の魔女が残念そうに微笑んで呪いの光を帯びた宝石を指先で撫でた。
『でもね、それを決めるのはあなたではないの』
 わたしよ、と告げた魔女の瞳は無機質な光を放つ宝石にも似て。
「力尽くでってことね? なら、あなたの宝石とやらにも負けない美しさを見せてあげるわ」
 音もなく公明が構え、静かに息を吐く。
「強さと美しさの両立。それこそ諸葛流舞闘術の真髄よ」
 凛とした瞳が煌いて、宝石の魔女が操る宝石の数々を公明が踊るように軽やかな動きで避けた。
『ふふ、避けてはだめよ』
「だめと言われて避けない馬鹿はいないわよ」
 妖刀、血吸を手にし、剣舞を披露するかのように公明が刃を振るう。
『乱暴ね』
「おや、刀はお好みでないようね」
 だったら、と公明が笑って左手に拳銃を握り、刃で宝石を斬り捨て宝石の魔女の至近距離から弾丸を放った。
「銃のお味は如何かしらね?」
『どちらも好きではないわ』
 魔女の周囲を彩る宝石がくるくると回転し、公明の攻撃を弾く。弾いた隙を狙って公明が引鉄を引いて。魔女が一歩引けば公明が踏み込み、魔女が踏み込めば公明が引く。
 まるで息の合ったワルツの様に、二人の攻防が続く。それでも、いつまでも続くかのように思えたダンスは終わりを迎えて。
『わたしならあなたの輝きをいつまでだって閉じ込めて、美しいままで輝かせてあげるのに』
「悪いわね。愛でられるだけ、というのも性に合わないの」
 だから、ここでさよならだわ、と公明が舞う。
 赤黒い刃が、魔女の首を狙って閃いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルメリー・マレフィカールム


……あなたが最後?
……それなら、ここで終わらせる。覚悟してほしい。

まずは【走馬灯視】でオブリビオンを観察。一挙一動から行動を予測して、それを攻撃や回避に役立てる。
攻撃するときは接近戦を挑んで、敢えて大振りに何度もナイフを振るう。当てるためじゃない。コピーされた【走馬灯視】をナイフを持った私の手元に集中させて、それ以外に向きにくくすることが目的。
本当の狙いは足元。オブリビオンの意識が完全に足元から外れたタイミングで足払いを仕掛ける。そうして体勢を崩したところに、本命の一撃を当てにいく。



●モノクロの中で輝いて
 きらりきらりと輝く宝石は確かに美しいとは思ったけれど、それだけだった。
 ルメリー・マレフィカールム(黄泉歩き・f23530)にとって、話を聞く限りではあの宝石は人が成ったもの。宝石としては美しくとも、成り立ちは醜悪そのものだ。
「……あなたが最後?」
『最後、と言われたらそうなのかしら? わたしが宝石の魔女よ』
 貼り付けたような笑みを崩さず、宝石の魔女と呼ばれる女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーが答えた。
「……それなら、ここで終わらせる。覚悟してほしい」
『終わるのは、どちらかしら? あなたはきっと綺麗な宝石になるわ。そうね、ガーネットのような……』
 死んでしまったらどんな宝石になったって意味はないだろう、とルメリーが覚めた瞳で宝石の魔女を見つめ、力を解放する。
 瞬間、煌く宝石も何もかもがモノクロのように色あせて、風景が鈍化していく。スローモーションのような世界の中で、唯一人ルメリーだけがそれを見ていた。
 宝石の魔女が小首を傾げるのも、宝石を操って指先を動かすのも、全て。
 だから、宝石が飛んでくるのも魔女がどう動くのかも、簡単に予測を立てる事ができた彼女は大振りな軍用ナイフを手に最小限の動きでそれを避けていく。
『生意気なのね』
 攻撃は懐近くまで潜り込み、敢えて大きな軌道でナイフを振るう。
『写し取って差し上げる』
 その煌く魂ごと、と宝石の魔女が笑ってルメリーの力を宝石の中に写し取り、発動する。
『まあ……彩のない世界ね』
「……あなたにはそうかもしれない」
 けれど、ルメリーにとっては見慣れた世界。
 そして、その対処法だって知り尽くしているのだ。
 何度も大きな動きで軍用ナイフを振るうのもその為、ナイフを持った己の手先に視線を集中させることで、それ以外に注意を向き難くすることこそが、ルメリーの狙いなのだ。
 そして、それはルメリーの狙い通りで、宝石の魔女の注意がナイフのみに集中したところを狙い、ルメリーは宝石の魔女へと足払いを掛けた。
『きゃあっ!』
 体勢を崩し、片手を地に付けたその瞬間こそが絶好の機会。
「……終わり」
 宝石も何もかもを貫いて、ルメリーの渾身の一撃が宝石の魔女の急所を狙って振り抜かれ――。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼桐・相馬
バレッタ(f11818)と ◎

バレッタが今何を考えているのか解る
あの宝石を食べ物に置き換えている――グミやゼリー辺りか

魔女へ問いかけを
その宝石が全て本物なのだとしたら、だ
高熱で変質したり燃えるのは勿論知っているな
〈冥府の槍〉へ流す力を増やし排出する炎の勢いを強め戦いに臨もう

バレッタに攪乱を任せ俺は[怪力]をのせ槍で攻撃
魔女の攻撃はバレッタのオーラで遮って貰うか敢えて喰らい火力増強を図る

宝石になって寛いでいる時間はない
この後スイーツビュッフェに行くという予定が出来た
俺、浮くだろうな

バレッタのオーラと魔女の攻撃がぶつかり視界が悪くなった瞬間に踏み込みUC発動
呪いも宝石も魔女も全て[焼却]しよう


バレッタ・カノン
相馬 (f23529) と ◎

あの石ころを見てるとフルーツゼリーが頭に浮かぶ
いかん、戦いの前なのに無性にゼリーが食べたいぞ
相馬にゼリーをデザートに提案してみようか
だが、まず奴をすり潰してからだな

奴を攪乱し相馬の一撃が通りやすいように立ち回る
脚に力を込め高速跳躍で接近しながら【制圧射撃】
UCを発動、酸の霧を張り奴の視界を奪いつつ石ころを崩して機能を止める
これで接近しやすくなるな

強力な攻撃や反撃に備え『障壁ユニット』で【オーラ防御】の展開準備
短時間だが障壁なら背の高い相馬も覆えるしマンホールの盾よりずっと強力だ
これを使うとお腹が空くし多めに食べといてよかった

もうすぐだ
仕事明けのデザートが待ってるぞ



●キラキラゼリーはこの後すぐ
 宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーの周囲に浮かぶ宝石がキラキラ、ピカピカ、僅かな光りを反射して輝く。宝石にしてはやたらと大きく、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)からすればまるで玩具のようにも見えた。
 それに――あの石ころを見てると、何故かフルーツゼリーが頭に浮かぶ……いかん、戦いの前なのに無性にゼリーが食べたい。フルーツがてんこ盛りに入ったゼリー、蜜柑と桃に葡萄が入っていれば最高じゃないか? だめだ、もう今すぐにでもゼリーが食べたい、ゼリーしか受け付けん……いや他の物も余裕で受け付けるが、なんてことを難しい顔をしながら考えていた。
 隣に立つ鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)がバレッタと同じように宝石の魔女が浮かべる宝石を見て、それからちらりと彼女を見下ろす。難しい顔をしているが、この表情は確実にあの宝石を食べ物に置き換えている表情だと相馬は思う。
 それも、グミやゼリー辺りの何かに。大正解です。
 まあ、わからなくもない。あの艶々した感じはゼリーっぽい。そう考えつつも、相馬は隙のない動きで冥府の槍を宝石の魔女に向かって構えた。
 その動きに倣うように、デザートにゼリーを提案するべきだな……と考えながらバレッタも拳を握り、いつでも攻め込める体勢を取る。
「バレッタ」
「デザートの話か」
「違う」
 なんだ違うのか、と思いつつ今はデザートの事よりも、まずはあの魔女をすり潰してからだと思考を切り替えた。
「相馬の思うようにやれ」
 わたしはそれに合わす、とバレッタが相馬を見ずに小さく頷く。
「……頼む」
 短いやり取りではあったけれど、二人の間にはそれくらいが丁度いいのだ。
『まあ、素敵な宝石になりそうな方達ね』
 宝石の魔女のおっとりとした笑みはどこか狂信の淑女にも似て、眷属と言うだけはあるのかと相馬が視線を厳しくする。
『ふふ、水色と金色の宝石ね』
 誰がゼリーだ、とバレッタが目を細くする中、相馬が口を開く。
「その宝石が全て本物なのだとしたら、だ」
『贋物に見えるのかしら?』
 反論する魔女に、相馬が言葉を続ける。
「高熱で変質したり燃えるのは勿論知っているな」
 冥府の槍へ流す力を増やしながら、槍が生み出す紺青の炎を強める。
『炎に負けるような宝石だとでも言いたいの?』
「ゼリーは火に溶けるだろうが」
 あ、ゼリーって言ったな、と思いながら相馬がバレッタを横目で見れば、低く腰を落とし脚に力を入れ――ばねの様に飛び出していく彼女の姿が見えた。
 ゼリー? 何の話をしているの、と言いたげな顔をしていた宝石の魔女が跳躍を繰り返しつつ近付いてくるバレッタに向かって宝石を盾の様にして構える。
「崩れろ」
 ぶわり、と赤い蝶のような霧がバレッタから漂う。それは宝石の魔女の視界を奪い、バレッタの動きを助けた。
 邪魔な石ころを排除する、その勢いだけでバレッタが宝石に向けて拳を振るう。その度に赤い蝶が舞い、毒霧が宝石を侵食していく。
『それごと、写し取って差し上げる』
 宝石が妖しく光り、赤い蝶の力を取り込む。バレッタの力を相殺するかのように、宝石から青い蝶が放たれた。
「隙だらけだな」
 バレッタに意識を向けている宝石の魔女に向かって、相馬が生来持ち合わせている怪力を槍に乗せ、鋭い一撃を放つ。魔女を守る宝石を砕きながら、紺青の炎が魔女へと迫る。
『舞い踊りなさい』
 宝石の魔女の声に従うように、くるくると宝石が回りながら呪いの光を放つ。
「任せろ」
 バレッタが障壁術式内蔵ユニットに寄る障壁を展開する。それは確りと攻撃を弾き、相馬を守ってみせた。
「やはり短時間だがこの障壁ならいけるな」
 マンホールの盾よりもずっと強力だったし、背の高い相馬も覆える、一石二鳥だとバレッタが使用した感触に満足そうに頷く。ただ一つ、難点を上げるとすれば。
「これを使うとお腹が空くんだ」
 多めに食べておいて正解だったと、バレッタがパンの味を思い出す。もう三個くらい食べておいてもよかったな……なんて思っている間に、相馬の槍が一層燃え盛る。
「悪いが、宝石になって寛いでいる時間はないんだ」
 冥府の炎が槍から噴き出し、相馬の顔を照らす。
「この後スイーツビュッフェに行くという予定が出来た」
「仕事明けのデザート!」
 その言葉に、ぴょこっとバレッタが跳ねる。喜びを表す様に、ひらりひらりと赤い蝶が舞い、魔女の視界を埋め尽くす。
「だから、これで終わりとしよう」
 魔女との距離を一気に詰めて、相馬が魔女に狙いを定め槍を突き刺す。
「よく燃えそうだ」
 相馬の声に応えるように、魔女に向かってぶわりと炎が燃え上がり。
 スイーツビュッフェか、俺は浮くだろうな……なんて考えながら相馬は紺青に燃え盛る炎を見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍

宝石のコレクター?ううん、宝石というより魂なのね。ちょっとだけだけど期待してただけにがっかりね。
どうしてかしら?貴女も貴女の宝石も薄っぺらいわ。その光は輝きは本物なのかしら?
……それに多分貴女では私を輝かせることなんてできない。だって貴女には私の心が動かれないから。

引き続き鳴神を闇に紛れさせ念動力で操作し攻撃を。そして竜王招来。
こちらへの攻撃は青月でいなし、また機会があれば直接攻撃を。
相手の攻撃は剣をもしたオーラで切り裂くように防御。

私は、私の体は藍晶石でできてますけど、胸の内にあるのは剣。
ただの宝石と思っては困ります。



●輝きは己の中に
 最後の魔女、この村を支配するザ・ソウルケージ・ジュエラーを眺め、夜鳥・藍(占い師・f32891)は薄布の中で小さく溜息をついた。
「宝石のコレクター? ううん、宝石というよりも魂なのね」
 クリスタリアンなのかもしれない、と少しの期待を抱いていただけに、がっかりだわと目を伏せる。魂を宝石に閉じ込めて、その輝きを愛でるなんて趣味が悪いと視線を上げた。
『あら、あなたは瞳が宝石のようね。きっとその瞳のような綺麗な宝石になるわ』
 楽し気に笑う宝石の魔女に向かって、藍が手にした鳴神を念動力でふわりと浮かす。
「どうしてかしら? 貴女も貴女の宝石も薄っぺらいわ。その光は輝きは本物なのかしら?」
『あら、こんなに綺麗に輝いているのに、あなたにはわからないの?』
 薄っすらと貼り付けられた笑みはどうにも胡散臭く、藍は眉根を寄せる。
「仮に貴女の宝石になったとして……多分貴女では私を輝かせることなんてできない」
 その言葉に、宝石の魔女が小さく片眉を上げた。
『あら、どうして?』
「だって――貴女には私の心が動かされないから」
 藍がそう言うと、浮かんだ鳴神が夜の闇へと紛れ、死角を突くように宝石の魔女を攻撃する。視線でそれを操りながら、龍王の力を借り受ける為に小さく叫ぶ。
「竜王招来!」
 鳴神での攻撃が命中した瞬間、召喚された竜王の放つ雷撃が宝石の魔女目掛けて轟いた。
『まあ、乱暴ね……!』
 展開された宝石でその衝撃を緩和したのだろうけれど、ダメージは確かに入っている。そう確信した藍が再び鳴神を操りながら、ほのかに青白い光りを放つ打刀を抜いて駆け出す。
 藍を仕留めようと、宝石の魔女が呪いの光を帯びた数多の宝石を藍に向かって、まるで弾丸のように撃ち出していく。その一つ一つを剣の形を模したオーラで切り裂き、落としきれない物は手にした青月で斬り落とした。
「私は、私の体は藍晶石でできてますけど、胸の内にあるのは剣」
 藍の持つ青月の刃が青い炎を受けて、冴え冴えと輝く。
「ただの宝石と思っては困ります」
 そう囁いて、宝石ごとその身を斬り伏せる為、一刀両断とばかりに刃を振り下ろした。

成功 🔵​🔵​🔴​

久留米・圓太郎
■WIZ
お前が親玉の魔女、か!
幸せな夢を見せて村に留めて、なにをするのか……までは解らないが、
どうせロクな試みじゃ無さそうだな。

遠慮無く行かせていただくぜ!
呼び出した師匠やオレ達には
【カウンター、高速詠唱、地形の利用、属性攻撃、全力魔法、2回攻撃、範囲攻撃、援護射撃、衝撃波】のせで一気に攻撃してもらおう。

オレは【オーラ防御、情報収集、地形の利用、殺気、野生の勘】で、防御に専念する
(情けないが、オレに攻撃されたら、魔法が使い物にならなくなる)

対・夢の世界では【殺気、野生の勘、鼓舞】で夢に飲まれないよう、自分で自分を覚醒させる

※連携、アドリブ共に歓迎

「足を踏み外した魔法使いは、オレが止める!」



●悪しき魔女を止める者
 くるくると回転し光を放つ宝石を纏わせた宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーを前にして、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)はウィザードロッドを握りしめながら、あれがこの村を支配する魔女かと鋭い視線を飛ばす。
「お前が親玉の魔女、か!」
『親玉なんて、ふふ。一番力のある魔女なだけよ?』
 そう嘯くけれど、宝石の魔女は確かにこの村を支配する邪神であった。
「幸せな夢を見せて村に留めて、なにをするのか……までは解らないが、どうせロクな試みじゃ無さそうだな」
 生贄が欲しいとか、そういったところがオチだろうと圓太郎が考えていると、宝石の魔女がくすりと笑う。
『わたしは美しい宝石が欲しいだけ、私の宝石たちは美しいでしょう?』
 その笑みはぞっとするほど薄っぺらくも美しい笑みで、圓太郎は思わず尻尾が逆立つのを感じてウィザードロッドに力を込めた。
「お前が宝石だって言うそれは、人の魂だよな? そんな悪逆非道な魔女には遠慮なく行かせていただくぜ!」
 ふわりと空気が流れ、圓太郎の足元に魔法陣が走る。
「前世のオレ達の姿よ! いざ!」
 呼び掛けに応えるように、戦闘モードに入った師匠の魔法使いとその弟子、そして使い魔の猫と鳥が姿を現す。
「頼んだぜ!」
 圓太郎自身は攻撃をされたら魔法が使い物にならなくなる為、防御を最優先に意識しつつ宝石の魔女の動きを見逃さぬよう、赤い瞳を瞬かせて戦況を見極める。
 師匠が高速詠唱で炎を放ち、その弟子が宝石の魔女が逃げられぬようにと範囲魔法を落とす。使い魔の猫と鳥がそれを援護するように鋭いくちばしと爪で攻撃を仕掛け、魔女が怯めば師匠が再び魔法による一撃を放つ。
 圓太郎から見てもばっちり決まったコンビネーションに、思わずガッツポーズを作ってしまうほど。
「いいぞ!」
『まるで羽虫のようね……!』
 宝石の魔女が彼らの猛攻の隙を突いて、圓太郎に小さな宝石を飛ばす。
 触れた瞬間、圓太郎は世界が変わったのを悟って、目の前に広がる理想の世界に飲み込まれぬように瞳を吊り上げて殺気を放った。
「俺はこんな世界に囚われたりしないんだ!」
 キラキラとした世界は硝子が割れるかのように罅割れ、元の空間へと戻る。
「師匠!」
 圓太郎の声を受け、師匠が巨大な魔力を瞬時に練り上げ――宝石の魔女に向かって撃ち放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニーナ・アーベントロート
【POW】
…行っておいで、ロラン(f04258)
心配してないわけじゃないけど
猟兵としての実力は信じてるから
あたしも自分にできることをやるだけ

『ヴォルフ・エンハンス』で防御力増強
一定の距離を取りながら戦闘
第六感とオーラ防御で相手の攻撃を見切り受け流す
スナイパーにて弓矢で敵の急所を狙い
宝石は壊さないよう

ロランが迷わぬよう呼び掛け鼓舞して
ねぇ、聞こえる?
このあたしの弟だもの
望んだ未来は誰かに与えられるものじゃなく
自分の手で掴み取る道を選ぶでしょ
戻っておいで、ロラン
本当の自分がいるべき世界へ
あたしのいる場所へ

無事終わったなら家路につこう
帰りを待ってるひと達がいるからね
手を繋ぎ、歩調を合わせて歩き出す


ロラン・ヒュッテンブレナー
【WIZ】
おねえちゃん(f03448)、無茶をするけど、ぼくを信じて?
宝石に自分から当たりに行って、吸いこまれるよ

○幸福な夢
明るくなって季節の花が咲き乱れるダークセイヴァー
闇や吸血鬼に怯えることなく暮らす人々
教育を受ける子ども達

でも、ぼくも、大事な人たちも、今の姿のまま…?

声が聞こえるの…
うん、ここは、ぼくが求めた世界じゃないの

UC発動
魔力を介して宝石に【ハッキング】
取り込まれた他の人の魂に呼びかけるの
ぼくたちに力を貸して?
内側から宝石の力を破壊して魂を解放するね
少しでも、扱える宝石を減らすの

おねえちゃん、ぼくはここなの!
(姉へと遠吠えを通して人狼の力を供給)

帰るの、ぼくの、本物の世界に



●夢はいつかの未来に輝いて
『あなた達は、そうね。仲間にはしてあげられないけれど――宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?』
 眷属を倒したことにより現れた宝石の魔女の言葉に、ニーナ・アーベントロート(赫の女王・f03448)は弟であるロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)をその背に庇う。手にするのは使い手に合わせて作られたのであろう、細くしなやかな弓。
 いつでも攻撃に移れるように、その指先は矢に触れている。
「……おねえちゃん」
 背に庇うロランがニーナを呼び、軽く視線を遣ったニーナの目を真っ直ぐに見上げる。
「ちょっと無茶をするけど、ぼくを信じて?」
 何をする気なのか、どんな無茶なのか。
 言い掛けた言葉をぐっと飲みこんで、ニーナがロランを自分の隣に立たせた。
「……行っておいで、ロラン」
「うん、ありがとう、おねえちゃん!」
 パッと笑みを浮かべたロランの背を押せば、それを原動力としたかのようにロランが宝石の魔女に向かって駆け出す。その小さな背を心配しないわけじゃないけれど、猟兵としてのロランの力をニーナは強く信じている。
「だったら、あたしも自分にできることをやるだけ」
 小さく息を吐き、弓に矢を番えて。
「だから、力を貸してね、ロラン」
 何処からともなく宙に木魂するのは狼の遠吠え、一度だけロランが振り向いて笑うと宝石の魔女が操る宝石に体当たりをするように触れ、そのまま宝石の中に吸い込まれていった。
 その姿を見送って、ニーナが遠吠えの音響振動によって物理防壁を構築する。
「さあ、ロランが帰ってくるまで相手をしてもらうわよ」
 宝石の魔女を守るようにくるくると回転する宝石達を壊さぬように、その隙間を縫ってニーナが矢を放った。
「ここは……」
 宝石の中に入り込んだロランは、何処か見たことのあるような道を歩いていた。
 見たことも覚えもあるけれど、ここはこんなに明るくて花が咲き乱れていただろうかとロランが目を擦り、目をぱちぱちと瞬かせる。
「……ダークセイヴァー、だ」
 そこには常に広がる闇もなく、恐怖で支配する吸血鬼もなく。何にも怯えることなく、暮らす人々の姿があった。
「学校……」
 綺麗な建物で、子ども達が教育を受けている。それは、確かにロランの求めた世界であった。
 暫くの間、平和になった世界を歩く。皆楽しそうな声を上げていて、見知った人々も幸せそうに笑っているのが見える。
「でも」
 でも、とロランの瞳が翳る。
「ぼくも、大事な人たちも、今の姿のまま……?」
 それはきっと違うのだと、ロランの頭の中で警鐘が鳴り響いた。
「ロラン!」
 大事な弟の名をニーナが呼びながら、宝石の魔女に向かって矢を放つ。
『ふふ、あなたの弟は幸せな夢の中にいるの、邪魔をしちゃ可哀想だわ』
 宝石の魔女が笑い、呪いの光を帯びた数多の宝石をニーナに向かって飛ばす。その攻撃を紙一重で避けながら、ニーナは呼び掛けることを止めない。
「ねぇ、聞こえる?」
 聞こえていると信じて、ニーナが声を張り上げる。
「ロランはこのあたしの弟だもの、望んだ未来は誰かに与えられるものじゃなく、自分の手で掴み取る道を選ぶでしょ?」
 与えられるだけの幸せを甘受するようなことはないと、矢を番え狙いを定めながら叫ぶ。
「戻っておいで、ロラン。本当の自分がいるべき世界へ、あたしのいる場所へ!」
 おねえちゃん、と宝石から声が聞こえた気がして、ニーナは魔女に向かって矢を放った。
「おねえちゃん」
 聞こえた声は、大好きな姉の声。
 戻っておいでと、呼ぶ声にロランが答える。
「うん、ここは、ぼくが求めた世界じゃないの……!」
 閉じた目を開き、ロランが呼び掛ける。
「おねえちゃん、手伝ってくれる?」
 ロランの願いによって現れたのはニーナによく似たAIキャラ。
『オッケー、任しといて!』
 AIがそう言うと、ロランの魔力を介したハッキングに力を貸してくれる。その力を宝石に向け、取り込まれた魂達に向かって呼び掛けた。
「おねがい、ぼくたちに力を貸して?」
 少しでも多くの魂を解放し宝石の魔女が扱う宝石の数を減らす為に、内側から宝石の力を破壊する――!
「おねえちゃん、ぼくはここなの!」
 帰るの、ぼくの、本物の世界に! ろぉぉぉー……と、ニーナに向かって聞こえるように、ロランが遠吠えを通して人狼の力をニーナに与える。
「聞こえたよ、ロラン!」
 矢を放ち、宝石の魔女を牽制すれば、宝石の一つが硝子が砕けるように罅割れて。
「おねえちゃん!」
「ロラン!」
 大事な弟が伸ばした手を、ニーナが掴む。
 無事に終わったら、家路につこう。
 帰りを待っているひと達がいるからね。
 そう微笑んで、二人は再び宝石の魔女へと対峙した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アメリア・ツァオ


宝石の魔女……か。
望みを叶えてあげるかわりに夢の世界に閉じ込める……のか。
どこかで聞いたことのあるようなあくどさだが……気にせず戦うさ。
どんな望みを見せられようと必死で抵抗して、
宝石に吸い込まれるのを防ごう。
私の前に真の希望はある。真の希望を胸に抱く者は、滅びることがない。
偽りの希望を説く者は、おそらく悪魔さ。

耐えきった……か。なら、反撃のターン。
【ウィザード・ミサイル】で作り出した四百本の【炎】、
浴びせてごらんにいれよう。
やられたらやり返す。四百倍返しだ!
意識を一瞬に集中して、狙いを一点に集中して、その胸を射ち抜こう。



●輝きを撃ち抜いて
 宝石にしてあげる、と現れた魔女は言った。
 無邪気な笑みを浮かべ、けれどその瞳はどこまでも冷たく。
「宝石の魔女……か」
 アメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・f09854)が切り裂いたローブから覗く脚を惜しげもなく晒しながら、拳銃を手にして呟く。
 望みを叶えてあげる代わりに、夢の世界に閉じ込める……といったところだろうか。そうして魂を取り込んで力を増す、そういった類の邪神、そこまで考えて皮肉気に唇の端を持ち上げた。
「どこかで聞いたことのあるようなあくどさだが……」
 そんなことは気にせず戦うさ、と砂漠の鷲のグリップを握り締める。
『あなたも美しい宝石になりそうね』
「そうかい?」
『ええ、きっと蒼くて綺麗な石になるわ』
 その瞳のような、と笑った宝石の魔女が小さな青い石を指先で操るようにしてアメリアへと放つ。
『宝石に詰まった沢山の夢に、いつまでも照らされて――』
 幸せな夢を見ると良いわ、とくすくすと宝石の魔女が笑っている。
「……っ」
 青い石がアメリアに触れる度、アメリアでも意識したことのないような望みが宝石の中に映し出された。
「人の望みを勝手に映し出すなんて、趣味が悪いな……!」
『委ねてしまえば永遠に幸せになれるわ』
 さあ、あなたの望みの世界へおいでなさいと、宝石の魔女が青い石の中に何度もアメリアの望みを映す。その誘惑に囚われることの無いように、必死に抵抗しながらアメリアが魔女に向かって引鉄を引く。
 弾丸は宝石の壁に阻まれて当たることは無かったけれど、牽制には丁度良い。
「私の前に真の希望はある」
 心を落ち着けるように、アメリアが自分に対して囁く。
「真の希望を胸に抱く者は、滅びることがない」
 そうだ、どんなに望みを暴かれようと、見せ付けられようと。
「偽りの希望を説く者は、おそらく悪魔さ」
 この胸に宿る希望は自分だけのもの。
「あなたの作り出した世界に、私の希望は無いのさ」
 強い心で魔女の誘惑を突っぱねて、今度はこちらの番だとアメリアが笑う。
 その笑みを浮かべると同時に、アメリアが炎を宿した魔法の矢を作り出す。その数、四百本。
「この全て、浴びせてごらんにいれよう」
 やられたらやり返す、これぞ四百倍返し――!
 瞬間、意識を集中して放たれた炎の矢はその狙いを一点に定めて。
「その胸を射ち抜こう」
 宝石の魔女に放たれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜

リュカさんf02586と

宝石ですか
よく知らないんですよね、宝石
とりあえず私が宝石になるとしたらあれですね、妙齢のマダムがホームパーティーを開いては来客に見せびらかすタイプのやつ
リュカさんはあれですね、他の宝石と同じガラスケースに陳列されてるけど目利きの大富豪が思わず足を止めて唸るタイプのやつ

いやプラスチックはないでしょう!
ダメです、素直になってください
お兄さんは永遠の輝きを湛えしダイヤモンドみたいだよ、と…

はい、じゃあ真面目に戦いますか
宝石で受け止めさせないように、接敵してよく狙って妖刀で串刺して抉ります
敵にコピーされないよう気を付けましょうね!
された側は丁重に謝罪するか、後で肉を奢る感じで


リュカ・エンキアンサス

晴夜お兄さんf00145と

宝石だって
宝石と言われたら…何だろうな
ある程度真贋はわかるけど
ごめん、その例えはよくわからない
お兄さんは……プラスチックとか?(宝石ですらない
いや、ほら。白いし、丈夫だし、身近で親しみが持ちやすいかなって
だめですか。はい

というわけでお兄さんがしょうもないことを言いながらも的確に敵の気をそらしてくれてる間に、後ろから撃ってく
なるべく宝石に当たらないよう弾数少なめよく狙って撃つよ
コピーされてもお兄さんがなんとかしてくれるはず
されたら「なんていうか…ごめんね」って、一応適当な感じで(!)謝ってはおくけど基本は気にせず撃ち続けます
だって大丈夫でしょ
長引かせると、多分よくない



●宝石よりも稀有なるもの
 闇夜でも青い炎や月明かりを反射して輝く宝石を従えて、宝石の魔女ザ・ソウルケージ・ジュエラーは猟兵達の前に姿を現した。
 話す言葉に罪悪感などあるはずもなく、ただ宝石に成れと冷酷なまでの無邪気さをみせるだけ。
『あなた達も、綺麗な宝石にしてあげるわ』
 そんな言葉に、はぁ……と首を傾げつつも夏目・晴夜(不夜狼・f00145)がリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)に視線を向ける。その視線を受け、リュカが口を開いた。
「宝石だって」
「宝石ですか。よく知らないんですよね、宝石」
 リュカさんは知ってます? と、有名どころくらいしか名前を上げられないのだと晴夜が傾げた首を戻す。
「宝石と言われたら……何だろうな」
 そもそも種類の多いもので、新しい鉱物が見つかることだってあるのだ。
「ある程度真贋はわかるけど、俺にもわからない宝石もあるよ」
 そう言って晴夜を見れば、ふむ……と何か真剣そうな表情で考え込んでいるのが見えた。
 あっこれ多分ろくでもないことを考えている顔だな、とリュカが無表情で晴夜を見ていると、すっと顔を上げた晴夜がリュカを見て笑みを浮かべる。
「色々考えたんですけど、とりあえず私が宝石になるとしたらあれですね」
 ああほら、やっぱりろくでもなさそう。
「妙齢のマダムがホームパーティーを開いては、来客に見せびらかすタイプのやつ」
 成金趣味のやたらに大きい宝石のことかな。
「リュカさんはあれですね」
「どれ?」
「他の宝石と同じガラスケースに陳列されてるけど、目利きの大富豪が思わず足を止めて唸るタイプのやつ」
 隠れた逸品という奴だろうか。
「ごめん、その例えはよくわからない」
「ええ、ハレルヤ渾身の説明だったんですが!」
 そんなことを言われても、よくわからないものはわからないので。ん、と考えるような素振りをして、リュカが晴夜の紫色の瞳を見遣る。
「お兄さんは……どっちかって言ったらプラスチックとか?」
 それは既に宝石ですらないのだけれど。
「いや、プラスチックはないでしょう! そりゃあ安価で使い勝手もよく生活に馴染みますけど!」
「いや、ほら。白いし、丈夫だし、身近で親しみが持ちやすいかなって」
 あれ、そうだとすればリュカさんの生活に馴染む晴夜なのでは? それはそれでいいのでは? とも思ったけれど、話は別だ。
 はっきりとノーと言える男、晴夜だとばかりに彼が首を横に振る。
「ええ……じゃああの、駄菓子屋にある指に嵌めて舐める宝石の形した飴とか」
「えっお前を食べてやるぞってことですか怖い」
 カニバリズム! と叫んだ晴夜に、リュカがかわいそうなものを見るような瞳で、だめですか、はい、と呟いた。
「ダメに決まってるじゃないですか、素直になってください」
 素直になって言った結果があれなのだが、晴夜はそんな事は気にしない。
「お兄さんは永遠の輝きを湛えし、世界で唯一のダイヤモンドみたいだよ、と……」
 慈愛に満ち溢れたような笑顔を浮かべた晴夜を盾にして、リュカが手にした銃で宝石の魔女を撃つ。
「あれっちょっと聞いてました!?」
「うん、お兄さんがしょうもないことを言いながらも的確に魔女の気を逸らしてくれたから」
 遠慮なく撃ったよ、とリュカが再び宝石に当たらぬようにと軌道を読んで引鉄を引いた。
「しょうもなくはないのでは!?」
 そう言いつつも、晴夜が手にしていた悪食を持ったまま駆け出す。
 そろそろ真面目に戦わないと怒られてしまいそうなので、と笑って宝石で受け止められぬように接近し、狙いを定める。
「おや、怪我しておられる様子」
 抉りましょうか、とまるで手当でもするような口調で悪食を突き刺し、抉った。
「これならコピーもできないでしょう、ね、リュカさん!」
「ああ、うん、それなんだけど」
 軽いステップで魔女から離れた晴夜がリュカを見遣る。その視線をそっと逸らして、リュカが敵の放った弾丸を避ける。
「なんていうか……ごめんね」
 コピーされちゃった、みたいな気安さのある謝罪に、晴夜が軽すぎません!? と叫んで宝石の魔女の操る宝石から放たれる弾を避けた。
「焼肉を所望します!」
「うん、そうだね」
 その辺は気にせず、コピーされたものは仕方ないとリュカが星の弾丸を放つために照準を合わせる。
「一回コピーされたならあとは一緒でしょ」
 長引かせぬよう、急所を狙って。
 ああもう、仕方ないですね! と晴夜がその動きをサポートするように宝石の魔女の懐に潜り込み、隙を作るように刃を突き立てた。
「さすが、お兄さん」
 宝石を避け、魔女の急所を狙った一撃を放つため、リュカが引鉄を引く。
「……星よ、力を、祈りを砕け」
 星の弾丸は、宝石すらも撃ち抜いて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
へぇ、宝石にしてもらえるのかぁ
ねぇ梓、俺だったらどんな宝石になると思う?
戦いの最中だというのに呑気にそんな質問を投げてみたり
梓はね、ホワイトオパールかな
一見白い宝石なんだけど、中に七色の輝きが閉じ込められていて
見た目に反して意外な一面がいっぱいある梓にぴったりだなって

じゃあ梓には宝石の対処を任せたよ
敵の放つ宝石を一つ一つ相手していたらキリが無い
強行突破して本体を叩くのが早いだろう
UC発動し飛翔能力で敵へと接近
向かってくる宝石は紅い蝶に肩代わりさせるか
多少の被弾は気にせず突っ切る
射程圏内に入ったらEmperorで力溜めた一撃を叩き込む

…この宝石、一つくらい持って帰ってもいいかなぁ?


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
おい、目の前の敵に集中しろよ……と思いつつも
律儀に綾の質問について考え込んでしまう俺
綾ならば赤い宝石…ルビーよりも更に深い、
血のような赤みを感じさせるガーネットだろうか
褒められるのは悪い気はしないが
「見た目に反して」というのが何か引っかかるような…

おっと、雑談はそろそろおしまいだ
UC発動し、雷属性のドラゴンたちを召喚
敵の放つ宝石に向かって広範囲の雷のブレス攻撃を浴びせ
その衝撃で宝石を粉砕して無効化していくぞ
世界一硬いと言われるダイヤモンドだって
衝撃の前には脆いものなんだ
こうして綾が敵本体のもとへ向かう道を切り開いていく
宝石は愛でるものだ
人に投げつけて傷付ける為にあるわけじゃない



●綺麗な宝石になるよりも
 きらきら、くるくる。
 宝石の魔女の周囲を飛び交う宝石を眺め、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が楽しそうに笑って灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)を見遣る。
「宝石にしてもらえるんだって」
「何でちょっと嬉しそうに言った?」
 されたいのか? と梓が綾に視線を向けた。
「されたい願望はないんだけどね、気にならない?」
 何が? と首を傾げれば、綾が愛用のハルバードを手にしながら言葉を続ける。
「俺だったら、どんな宝石になるのかなって」
 梓はどう思う? なんて、戦いの最中だというのに綾が呑気に言ってのけた。
 目の前の敵に集中しろよ……とは思うけれど、そう言われてしまえば思わず考えてしまうのが梓の律儀なところだ。
「あー、そうだな」
 宝石の魔女から視線を離さないまま、綾ならばどんな宝石になるのかを考える。
 やはりイメージする色は赤で、赤といえばルビー……それよりも更に深い、血のような赤みを感じさせる――。
「ガーネット、だな」
「ふうん、梓の中では俺ってガーネットなんだ?」
 悪くないなぁ、なんて思いながらもう一度ガーネット、と言葉を転がして。
「梓はね、ホワイトオパールかな」
「ホワイトオパール?」
「そう、一見白い宝石なんだけど、中に七色の輝きが閉じ込められていて」
 乳白色の石の中に遊色効果の見られる、綺麗な宝石。
「見た目に反して意外な一面がいっぱいある梓にぴったりだなって」
「褒められるのは悪い気しないが、『見た目に反して』ってのは乏してないか?」
 やだなー、褒めてるんだよ? と綾が本当か嘘か分からないような笑みを浮かべる。
 希望と潔白なんて、梓にぴったりだし。
 その言葉は口にせず、そっと胸の中で呟いて綾がハルバードをくるんと回した。
「おっと、雑談はそろそろおしまいだ」
 こちらに向かってくる宝石の魔女を見て、梓がドラゴン達を召喚する為に魔力を回す。
「じゃあ、梓には宝石の対処を任せたよ」
 敵の放つ宝石を一つ一つ対処してたらキリが無い、とキラキラくるくる回転する宝石がこちらに向かってくるのをハルバードで弾き、軌道を逸らしながら綾が宝石の魔女に向かって駆けた。
「任された」
 巡らせた魔力で雷属性のドラゴン達を召喚し、宝石の魔女が放つ宝石に向かって雷のブレスを吐くように指示する。
「思いっきりぶちかませ!」
 ドラゴン達が高らかに咆哮し、広範囲に及ぶ雷のブレスを浴びせていく。その衝撃で呪いの光を帯びた宝石が粉砕され、ある程度の攻撃を相殺する。
「世界一硬いと言われるダイヤモンドだって、衝撃の前には脆いものなんだ。ドラゴンのブレスには耐えられないだろう?」
「あはは、景気がいいね!」
 雷が舞い、宝石が罅割れていくのを見て綾がご機嫌に笑う。それから、鈍くさいことしてる場合じゃないな、と強行突破することに決めた。
「……おいで」
 その呼び掛けに応じて、赤い蝶の群れが綾の身体を覆う。とんっと夜空に向けて足を踏み出せば、そのまま空を翔けて一気に宝石の魔女へ距離を詰めた。
 向かってくる宝石は全身を覆う赤い蝶に肩代わりさせ、多少の被弾も気にせず眼前に躍り出る。
「喰らいなよ」
 ギリギリまで溜め込んだ力を放つかのように、綾がEmperorを振り被って真っ直ぐに振り下ろす。宝石の障壁を崩し、宝石の魔女へ確かな一撃を叩き込んだ。
 反撃を喰らう前に一度離脱し、梓の隣に立つ。
「ねー、梓」
「ん?」
「あの宝石、一つくらい持って帰ってもいいかなぁ?」
 売ったらいい金になりそうじゃない? と冗談とも本気とも取れるような声音で囁く。
「この宝石、人の魂で出来てるんじゃないのか?」
「え、それはちょっとあれかも」
 大分とあれだろう、と梓が溜息を零し、再びこちらへ向かってくる宝石に雷を落とす。
「宝石ってのは愛でるものだ。ましてや人の魂で出来たそれを人に投げ付けて、傷付ける為にあるわけじゃない」
 今更宝石に堕とされた魂を人に戻す術は無いだろう、それならばせめて魂の解放くらいはしてやるべきだと梓が言う。
「……そうだね、それなら俺は得意だよ」
 壊すのは、きっと誰よりも。
 唇の端を持ち上げて、梓の援護を疑いもせず綾が空へと舞い踊った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エメロア・エフェトゥラ
【数奇】◎
宝石は美しいが自分がなるのはごめんだな。
俺が宝石になったならなどと…まったく雪蘭は…だがそうあっても美しい自信はあるぞ?
もちろん、雪蘭もだ。

だが今は…先にこいつを倒さねばな。

それに俺は偉大なる魔女の息子だと何度も言っているだろう?
それに、雪蘭は正しく魔女だ。

宝石を投げつけられれば思わず手に取って

お母様と雪蘭と楽しく穏やかに暮らす。
あぁ、これが僕の望み。
なのになぜ叶わない?

幸せな夢に囚われかけたところを雪蘭に起こされ

ッ、すまない。
あれは…ただの夢だ

紛い物の夢の礼をさせてもらうぞ
UC【ミゼルゴルディア・スパーダ】

僕の幸せに勝手に触れるな


麟・雪蘭
【数奇】◎

…もしもロア様が宝石になったら、さぞお娃しいのでしょうねぇ(何色かしら
どの宝石よりも輝いていて
けれどご主人は”ご主人”だから良いのですよ
うふ、妾の事まで言い改めてくれて嬉しいですわ

主人が宝石に触れたら後を追う
別々の夢を見る

(私の幸福な夢
愛しのご主人様との平和な生活
夢の中の君も本当に可愛くて…哀れで(頬に手添え
何も知らない私だけの籠の鳥
けれど
夢だけじゃ、足らない)

欲しいものは
全部手に入れたいのよ、私は
夢も現も関係ない

夢を打破し主人の救出に向かう

大丈夫ですか、ロア様
一体どんな夢に揺蕩られておいでで?
あらあら、お怒りな様子(くす

UC使用
闇の翼の羽根を飛ばし支援攻撃
宝石を破壊
敵本体を押し退け



●イミテーション・ゴールド
 宝石の魔女を名乗る女を見て、エメロア・エフェトゥラ(偉大なる魔女の息子・f31575)が僅かに眉を顰める。女が従わせている宝石が、人の魂だと感じたからだ。
 けれど、その宝石を美しいと感じたのもまた事実で。
「宝石は美しいが、自分がなるのはごめんだな」
「……もしもロア様が宝石になったら、さぞお娃しいのでしょうねぇ」
 何色になるのでしょう? と戯れに麟・雪蘭(表と裏・f31577)が思う。その瞳のように美しい碧玉か、波打つ金髪の様に美しい黄金か。
「俺が宝石になったなら、などと……まったく雪蘭は……」
「あら、お気に障りましたかしらぁ? ご主人なら、きっとどの宝石よりも輝いていそうだと思ったものですから」
 雪蘭の赤い瞳に真っ直ぐに見つめられ褒められたことにより、エメロアが思わず頬を赤くしながら視線を逸らす。
「あ、ああ、そうだな。そうあっても美しい自信はあるぞ?」
「ええ、ええ、それでこそご主人」
 どんな姿になろうとも、何よりもお娃しいのでしょうと雪蘭が大きく頷く。
「もちろん、雪蘭もだ」
 きっと美しい宝石になると、エメロアが力強く言う。
「うふ、妾の事まで言い改めてくれて嬉しいですわ」
「俺は本気で言っているんだぞ」
 勿論分かっております、と雪蘭が笑みを浮かべて言えば、分かっているなら良いとエメロアがそっぽを向いた。
 かわゆらしいですねぇ、と思いながらも雪蘭の意識は宝石の魔女がどう出るかを窺っている。勿論エメロアもそれは怠らず、きっちりとその動きを注視していた。
「今は……先にこいつを倒さねばな」
 己の魔力を増幅する杖を手に、エメロアが一歩前に出る。
『魔女の資格を有するあなた達』
「そんなもの最初から有している、俺は偉大なる魔女の息子だと何度も言っているだろう? それに、雪蘭は正しく魔女だ」
 少々言い飽きたぞ、とエメロアが杖を握り締める。
『ふふ、魔女であってもあなた達を仲間には出来ないわ。大人しく宝石におなりなさいな』
 いつまでもわたしの元で、美しく輝かせてあげる――。
 そう笑った宝石の魔女が、エメロアに向かって宝石を飛ばした。
「何だ?」
『宝石に詰まった沢山の夢に、どうぞいつまでも照らされて』
 飛んできた宝石を思わず手に取れば、瞬間エメロアの姿が掻き消える。
「ロア様!」
 宝石の中に吸い込まれたのだと察知した雪蘭が、素早くエメロアを吸い込んだ宝石に触れた。
『ふふ、夢の中を揺蕩って、そのまま宝石になってしまいなさい』
 宝石の魔女がそう言った時には、雪蘭の姿も掻き消えていた。
「……ここは?」
 そうだ、雪蘭はどこだ? と、エメロアが辺りを見回す。その先に、エメロアが求めてやまない偉大なる魔女の姿とその隣に佇む雪蘭の姿が見えた。
「お母様!」
 まるで小さな子どもに戻ったような、そんな風景。
 真っ白なテーブルでお母様がティーカップを片手に微笑んで、雪蘭がお菓子は如何ですかと微笑んでいる。僕はその席に着いて、雪蘭の作ったお菓子を頬張って。お母様が口元に付いた食べかすを笑いながら拭ってくれて――。
 お母様と雪蘭と、楽しく穏やかに暮らすことこそが胸に秘めた望み。
 あぁ、そうだとも。これが僕の望みだとも。
 叶うなら、いつまでだってここに――。

 飛び込んだ先の宝石の中で見たのは、愛しのご主人様との平和な生活。
 夢の中の君も、何も知らないまま私を慕って、頼って、本当に可愛くて……なんて哀れな。
 無垢な瞳を向けるその頬に手を添えて、雪蘭が親指の腹でその白磁のような肌を撫でる。
「何も知らない私だけの籠の鳥」
 けれど、と雪蘭は吐息を零す。
「夢だけじゃ、足らない」
 撫でた夢の残滓から手を離し、雪蘭はエメロアの気配を探る。
「欲しいものは全部手に入れたいのよ、私は」
 ああ、そちらにいるのですね、愛しい人。
「夢も現も関係ない」
 全てが欲しいのだと強欲に微笑んで、雪蘭が駆け出した。
 辿り着いたのはエメロアの揺蕩う夢の傍、魔力を込めてその名を呼ぶ。
「ロア様、私のご主人、目を覚ます時間ですわ」
 そう揺り起こせば、幸せな夢に囚われかけていたエメロアが目を覚ます。
「……雪蘭」
「はい、妾はここにおりますよぅ」
 その一言で、エメロアが一気に覚醒し、身を起こした。
「ッ、すまない」
「いいえ、これしきのこと。大丈夫ですか、ロア様」
 頷いたエメロアに、雪蘭が問い掛ける。
「一体どんな夢に揺蕩られておいでで?」
「あれは……ただの夢だ」
 立ち上がったエメロアが、出るぞと宝石の外へと飛び出す。
『目を覚ましてしまったのね、幸せな夢はもういいの?』
「紛い物の夢の礼をさせてもらうぞ」
「あらあら、お怒りな様子」
 お手伝いいたしましょう、と雪蘭が白き闇の翼を広げ、羽根を飛ばして宝石を破壊していく。それに合わせ、エメロアが力を解放する。顕現するのはエメロアの力を宿した数多の魔法剣、それらが幾何学模様を描き飛翔して。
「模造品など、二度と与えれぬようにしてやる」
 冷たく燃えるような碧玉が煌いて、数多の剣が宝石の魔女を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィズ・フレアイデア
【焼野原】
…いーい度胸だ…カミサマよ…
このヴィズちゃんを有象無象と一緒に処分しようだなんてッ
一緒にされるだけでも腹立たしいのに!
そこになおれ!魔杖にて叩っ斬って…

あ?
なんだ?邪魔をす…

油断して払った宝石の中、理想の世界
…理想の世界?
そんなものはない
現実という世界こそがあたしの理想!

偽りの理想からはさっさと退散
油断した!なんだ今のは!
カミサマ!あの邪魔者から片付けるぞ!
…宝石?そうさな、あたしは蒼いからな
カミサマは…オニキスかな
真っ黒なの
え、宝石に?無理だし!
お前、宝石食べるの?

あたしがいる限りここは「夜」
落ちる月に飲み込まれ、春を呼ぶ篝火となるが良…あーっ!!
何をする!折角の夜が!


ロキ・バロックヒート
【焼野原】

厭なら付いて来なきゃ良いのに
話聞かないフリしてたら宝石に吸い込まれて
もーぜんぶこの魔女のせいにしよ

私の望み――
ふわりと仄かな光で描かれそうになったそれへ
べったりと漆黒塗り付け覆う
望みなんてないよ
幸福もよくわからないんだから
足取りだけは軽く外へ
なんだおまえも外に出たの
中に居てもいいのに

だから指図は聞かないよ
でもひとつだけ興味あるんだけど
おまえ(ヴィズ)は宝石ならどんなのになるかな
スターサファイア?なんか青っぽいな
面白そうだから宝石になってみてよ
食べてはあげないけどさ

自分のこそがワルプルギスの夜だって?
さっきから夜ばかりだし詰まんないし
天から【祝福】の光を降らせ
夜も夢の世界も奪ってあげる



●理想には遥か遠く、全てを奪う
 狂信の淑女達を倒したことにより、現れたのは宝石の魔女を名乗る邪神。名をザ・ソウルケージ・ジュエラー、姿形は穏やかな少女のようであったが、己の周囲に纏わせた大振りの宝石は美しくも禍々しい。
 けれど、そんな宝石の魔女には構いもせず、ヴィズ・フレアイデア(棺を創ろう・f28146)はロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)だけを見ていた。
「……いーい度胸だ……カミサマよ……」
 ひくり、と唇の端が震える。
 まさか、まさか自分がいる軌道に一切の躊躇いなく攻撃を仕掛けるとは思わなかったのだ。
「このヴィズちゃんを有象無象と一緒に処分しようだなんてッ」
 どういうことだと捲し立てるヴィズの言葉を知らんふりして、ロキが指先で自分の髪を弄っている。
「あんな有象無象と一緒にされるだけでも腹立たしいのに! そこになおれ! 魔杖にて叩っ斬って……」
 どうせならあたしだけを狙っていればまだ、なんて考えたところでふよふよと飛んできたきらりと光る何かがヴィズの視界の端に引っ掛かる。
「あ? なんだ? 邪魔をす……」
 虫か? なんて思いながらぺいっと払った、はずだった。
 ヴィズの姿は瞬く間に掻き消えて――。
「厭なら付いて来なきゃ良いのに」
 そんなに文句を言うくらいだったらさ、と続けようとしたところでロキもふよふよと飛んできた宝石に吸い込まれた。
 何せ、ヴィズの長い話を聞かない振りをして、死ぬほどめんどくさいなー、なんて考えてぼんやりしていたので。宝石の中に吸い込まれながら、もーぜんぶこの魔女のせいにしよ、とロキは諦めたように目を閉じた。
 つまりは、両名共にめっちゃくちゃ油断していたのだ。
「なんだここは」
 カミサマはどこいった? と考えながらヴィズが辺りを見回す。どうしてこんな場所にいるのだろうか、と考えて思い出すのは虫かと思って手で払った何か。
「ふうん? 宝石に触れることによって発動する魔術か何かか?」
 つまらんな、と呟きながらその意図を読み取る為に魔力を奔らせる。
「……理想の世界?」
 はぁ? とばかりに片眉を跳ね上げてヴィズが笑う。
「理想の世界? これが?」
 そんなものはない、と断定する。
「なぜかって? 現実という世界こそがあたしの理想!」
 こんな偽りの理想に、何の価値があるというのか。
「こんなつまらない場所からはさっさと退散するに限るな」
 手にしたクーゼを刃に変えて、薄布を切り裂くかのように夢の世界を切り裂いた。
 同じように宝石の中に取り込まれたヴィズいうところのカミサマが何をしていたかというと、それはそれはつまらなさそうな顔をしていた。
 キラキラと光る宝石の中で、ふわりと浮かび上がり鮮やかな光で描かれそうになった『私の望み』に手を伸ばし、べったりとした漆黒で塗り潰す。
「望みなんてないよ」
 幸福もよくわからないんだから、と皮肉気に笑ってなおも広がろうとする光を容赦なく塗り潰す。
「おまえ如きに私のことがわかるわけないだろう?」
 無駄なことをしなくていいよ、と囁いて、ロキが足取りだけは軽やかに、玄関を開けるような気安さで外の世界へと戻った。
 そうして、同じタイミングで外に出たヴィズと出くわして盛大に顔を背ける。
「油断した! なんだ今のは!」
「なんだおまえも外に出たの、永遠に中に居てもいいのに」
「あんなつまらん世界、秒で飽きた!」
 つまらない世界だというのには同意だけれど、ヴィズと同じことを思うのは癪だとロキの目が不機嫌に細くなる。
「カミサマ! あの邪魔者から片付けるぞ!」
「だから、指図は聞かないよ」
 いいじゃないか、どうせやっつけるんだろう? とヴィズがロキを見遣る。
「おまえと同じことをしなきゃならないなら、もう私は帰ってもいいかなって思ってる」
 ああ、でも、とロキが口を開く。
「ひとつだけ興味あるんだけど」
「なんだ?」
「おまえは宝石ならどんなのになるかな」
 宝石になったのならば、と問われヴィズが星の瞳を瞬かせる。
「……宝石? そうさな、あたしは蒼いからな。蒼い宝石になるんじゃないか」
「ふうん? スターサファイア? なんか蒼っぽいんじゃない」
「ふふ、あたしはスターサファイアか、悪くないな。カミサマは……オニキスかな」
 私はどうでもいいけど、と思いつつロキが気まぐれに言う。
「面白そうだから、おまえ宝石になってみてよ」
「え、宝石に? 無理だし! なに、お前、宝石食べるの?」
「食べてはあげないけどさ」
 おまえなんか食べたらお腹壊しそうだし、と鼻で笑った。
「まあいいさ、それならあたしがあいつの相手をしようか」
 ヴィズがクーゼに触れて、魔力を巡らせる。
「少しだけ教えてあげる。これがあたしの見ている夜」
 此処は既に夜だけれど、それよりも夜にしてあげよう、魔女に相応しい夜に。
「あたしがいる限り、ここは『夜』、魔女の夜だ」
 篝火を焚け、悪魔さえもその中に放り込め! と夜が囁く。
「自分こそがワルプルギスの夜だって?」
 はーつまんない、とロキが溜息を零す。
「さっきから夜ばっかりだし、ほんっと詰まんないし」
 飽きちゃった、とばかりにロキが指先で天をなぞる。
「落ちる月に飲み込まれ、春を呼ぶ篝火となるが……」
 なるが良い、と続ける筈だったヴィズの言葉はロキがもたらした天からの祝福の光に閉ざされた。
「あーっ!! 何をする! 折角の夜が!」
「詰まんないんだよ、おまえも、おまえも」
 ヴィズから宝石の魔女に視線を移し、ロキが告げる。
「夜も夢の世界も奪ってあげる」
 それは確かに、そこにいる『魔女』の力を根こそぎ奪ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
はじめまして、宝石の魔女さん
アナタは宝石が好きなの?
確かに綺麗だし、魔道具の媒体としても優秀だけど

そっか。でもごめんなさい
宝石にされるわけにはいかないんだ
わたしには帰るべき場所がちゃんとあるから
魔女のおはなしを聞きたかったけど残念

杖をくるりと回して魔力を循環させていく
紡ぐのは剣戟の宴

聞いてもいいのかな
洗脳して傍に人を置くのはどうして?
アナタがすごい魔女だって、褒めてもらいたいから?
それとも寂しかった……?
どんな理由があってもね
誰かの意思を無視して惑わすのは良くないよ

ごめんなさい
ここで止めさせてもらうね
洗脳されていた人たちも悪い事をしたのなら裁きが待ってる
でも帰りを待ち望む人たちだっているんだよ



●凛と咲いて
 現れた宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーはキラキラの宝石を従えていて、荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)は思わず小さな唇を開いて、わぁと声を零した。
 すぐにレディにあるまじき行為とばかりに口を閉じ、小さく咳払いをする。
「はじめまして、宝石の魔女さん」
『あら、ふふ。礼儀正しい方ね』
 倒すべき敵とはいえ、褒められて悪い気はしない。口元に笑みを浮かべて宝石の魔女の前に立ち、毅然とした態度で言葉を紡ぐ。
「アナタは宝石が好きなの?」
『ええ、好きよ。とても綺麗でしょう?』
 それに人間たちの様にうるさくないもの、と無邪気な笑顔を浮かべて宝石の魔女が言う。
「……確かに綺麗だし、魔道具の媒体としても優秀だけど」
『そうでしょう? それじゃあ、あなたもわたしの宝石にして差し上げる』
 この魔女の持つ宝石は皆、人の魂から成るものなのだと志桜は小さく息を飲んだ。
 それでも、努めて冷静に志桜は宝石の魔女に告げる。
「そっか。でも、ごめんなさい」
 わたし、アナタの宝石にされるわけにはいかないのだと。
「わたしには帰るべき場所がちゃんとあるから」
 そう言って、春を告げるように桜の咲く杖を握り締める。
「魔女のおはなしを聞きたかったけど、残念」
 アナタが本当に良い魔女であったなら、ゆっくりお話をしたかったけど。アナタは邪神で、悪い魔女だから。
 杖をくるりと回し、志桜が魔力を循環させていく。
 張り巡らされた魔力が志桜の足元に魔法陣を描き、紡ぎ出すのは剣戟の宴。魔力で練り上げられた仄かに輝く剣が数多作り出され、宝石の魔女にその切っ先を向けた。
「聞いてもいいかな、洗脳して傍に人を置くのはどうして? アナタがすごい魔女だって、褒めてもらいたいから?」
 それとも、寂しかったから……?
『新たな魂を呼び込む為よ、何もない場所に人は訪れないでしょう?』
 共生のようなものだと魔女は笑う、人間達はわたしの恩恵を受けて生きるし、わたしは新たな宝石を手に入れることができるのだと。おそらく、生餌のようなものなのだろう。
「……どんな理由があってもね、誰かの意思を無視して惑わすのは良くないよ」
『素敵な夢に縋るのは人間ならば当たり前でしょう? 望むなら、あなたにも幸福な夢を見せてあげるわ』
 きらきら、くるくる、宝石が踊る。
 その問い掛けに、静かに首を横に振って志桜が凛とした声で告げた。
「ごめんなさい、ここで止めさせてもらうね」
 杖を掲げ、剣の星を降らせるように宝石の魔女へ杖頭を向ける。
「断罪の星は満ちた。裁きの剣を此処に――」
 降り注ぐのは剣の流星、瞬きの間に貫いて。
「洗脳されていた人たちも悪い事をしたのなら裁きが待ってる」
 でも、と志桜は言葉を紡ぐ。
「帰りを待ち望む人たちだっているんだよ」
 だから、帰してあげなくちゃいけないのだと、降り注ぐ剣が勢いを増した。

成功 🔵​🔵​🔴​

神楽木・由奈
【はぴぺい5】◯
宝石は好きだけど、宝石になるのは嫌だなあ……。
みんなも宝石になんてさせない!
ザ・ソウルケージ・ジュエラーさん、あなたを倒させてもらうよ!

あたしはUCの【稲妻の符】を使い、高機動で飛び廻り、感電の魔法を放って、敵を前衛に引き留める!
あたしの攻撃は、あくまで牽制みたいなもの!
回避優先で、でも、敵の注意をあたしに引き付ける程度に攻撃をしていく!

あたし、普段は後衛だけど、今回は前衛を任されたんだ、頑張るぞー!
でも、みんなの指示はちゃんと聞くし、仲間を頼るところは頼りまくる!
あたしは戦いに慣れてないし、力はまだまだ未熟だからね!
それでも精一杯頑張る!


鍋島・小百合子
POW重視
【はぴぺい5】○

大将首なれば我らが魔女の供物として捧げてくれようぞ

「宝石よりも尚輝くは武士の意地ぞ!推して参る!」
UC「黄金勇霊装」発動
黄金の甲冑を纏い勇気に比例せし戦闘力を得れば由奈殿と共に抑えに回ると同時に前線へ引きつけ
残像を纏いて撹乱しつつ速歩(ダッシュ)と飛翔能力で一気に敵に詰め寄り、
隙も与えぬ薙刀の一撃を当てていく(なぎ払い、鎧砕き、乱れ撃ち併用)
仲間との連携を重視
由奈殿の死角を守るように立ち回り
仲間に攻撃の目が向けられれば我が身を持って薙刀の武器受けにて切り払い防御
機が熟せば仲間と共に必殺の一撃を叩き込む!
上空まで飛翔してからの薙刀による急降下攻撃!
「奥義!下り降竜爪!」


ザミエル・キーント
【はぴぺい5】〇

あっはっは…面白い冗談ですね
小生たちは魔女だったとしても、あなたの仲間になどなりませんよ
宝石の美しさは認めますが、身に着ける者が醜いと価値が半減です
その輝きは小生たちが頂戴します

高速詠唱でUC行使

おいでなさいお前たち
敵は手数が多いようですから、全て撃ち落としなさい
皆さんを守りながら本体も攻撃するんですよ

由奈殿も小百合子殿も由奈殿も前衛ですから
彼女たちが接敵したら後方支援にまわりなさい

敵はソフィア殿の術中にはまっている様ですから
不乱に攻撃してくる可能性もあります
その場合は炸裂弾をお見舞いしてあげましょう

どうですか、綺麗ですね
宝石じゃないですよ
小生の生徒たちの一生懸命な姿の話です


ソフィア・シュミット
【ぱぴぺい5】○

心情:ソフィアにはしたいことがありますから
だから、宝石になってあなたのところに留まることなどできないのですよ
もちろん、みなさんもそのようにはさせないのです

使用UC「戒めの光(ミラージュバインド)」
続けてお願いします、ヘリオス

行動:今回のソフィアは敵の隙を作ることを考えましょう
UC使用時には前章とは違うものですが打ち合わせた合図を
蜃気楼で迷彩をかけ、ソフィアたちが敵の術中にはまったと錯覚させます
安堵の小さな隙でも大きなチャンスです
どうか皆様、お願いします


音海・心結
【はぴぺい】◯

宝石はきらきらしてて綺麗です
興味はなくありませんが
今の生活を犠牲にしてまで得たいものではありません

UC
小さな一撃一撃を確実に当て
注意を引きつけた際は避ける
味方に心配をかけない様に努める

黒剣を右手に剣の形状に変形
前衛で戦う小百合子、由奈と声を掛け合い
後ろで戦う仲間には指一本も触れさせない気持ちで
「──此処を通りたいなら、みゆたちを倒すことですね」

ソフィアの使用UCのタイミングに注意を払う
相手の隙を作る為なら、
武器受けで攻撃を受けることも視野に

ザミエルや僕の華麗なる銃裁き
宝石が雨のように降るのが綺麗ですねぇ
でも、見惚れてる場合ではないようです

さて、倒される準備は出来ましたか?



●宝石よりも輝いて
 きらきら、くるくる、大振りな宝石が踊るのが見えた。
 それは宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーが現れたことに他ならない。
「ほう、あれが大将首か。無害に見えるが、あの眼は笑ってはおらんな」
 鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が薙刀、竜王御前を手にしたまま、油断のない動きで体勢を整える。
「おっきな宝石だね……」
 でも、なんだか禍々しい気がすると神楽木・由奈(小さな願い・f24894)が音海・心結(瞳に移るは・f04636)の後ろから宝石の魔女を覗く。
「確かにきらきらしてて綺麗ですが、あまり良いものには思えませんね」
 自分の後ろにそっと隠れるようにした由奈を可愛いと感じながら、心結が宝石に付いての所見を述べた。
「ええ、ソフィアもそう思います」
 人を惹き付ける美しさはあれど、忌避すべき何かを感じるとソフィア・シュミット(邁進を志す・f10279)が頷く。
「小生の生徒たちは優秀な子ばかりですね」
 自慢の生徒ですよ、とザミエル・キーント(Der Freischötz・f31396)が柔らかな笑みを浮かべ、彼女達の直感が間違いではないと肯定した。
「あの宝石は人の魂を閉じ込めたものです」
 美しくも醜悪な宝石ですよ、とザミエルが言葉を落とす。
「宝石は好きだけど、宝石になるのは嫌だなあ……」
「みゆもです。興味はなくありませんが、今の生活を犠牲にしてまで得たいものではありません」
 少しだけ、宝石になるのならどんな宝石になるのかは気になるけれど。
「はい、ソフィアにもしたいことがありますから」
 宝石になるのは嫌ですと、ソフィアがヘリオスの宿る短杖を握り締める。
「宝石のう、確かに綺麗なものではあるが……わらわや、皆が宝石になるのはいただけぬの」
 それに宝石より輝くものがわらわにはあるのでな、と小百合子が好戦的な笑みを見せた。
「宝石になるというのも一つの経験でしょうけれど、小生たちには必要のない経験ですからね」
 ご遠慮しましょう、とザミエルが愛銃を構えれば、小百合子が大きく頷いて薙刀を構える。
「宝石よりも尚輝くは武士の意地ぞ! 推して参る!」
『ふふ、勇ましいのね。そうね、あなたなら……ブラックダイヤになりそうだわ』
 手元に置いて可愛がって差し上げる、そんな宝石の魔女の言葉に凛とした小百合子の声が響く。
「貴様の手元で輝かずとも、わらわは皆の元で輝いておるゆえ! 我は纏う勇に相応しき極みの鎧……輝け!」
 眩い黄金の甲冑に身を包み、小百合子が薙刀を手に駆けた。
「みんなを宝石になんてさせない! 宝石の魔女さん、あなたを倒させてもらうよ!」
 フォローなら任せてと、由奈が稲妻の符を手にして夜空を翔る。
『ふふ、可愛らしい人ね。あなたも素敵な宝石になりそうだわ』
 ペリドットのようね、とくすりと笑みを浮かべた宝石の魔女の向け、由奈が感電の魔法を放ち動きを牽制していく。そこへ小百合子が残像を纏いながら攪乱し、由奈と同様に前線へ宝石の魔女を縫い留めるべく薙刀を振るった。
『わたしの可愛い子たち、輝いて』
 宝石の魔女の周囲をくるりくるりと舞う宝石が呪いの光を帯びて、小百合子へ放たれる。
「させませんよ。おいでなさい、お前たちが出来る凡ての事を為せ」
 ザミエルが即座に魔力を回し彼の忠実なる僕を喚びよせ、命を下す。
「敵は手数が多いようですから、全て撃ち落としなさい」
 現れた幻銃士が小百合子を狙う宝石を次々に撃ち落とすと、宝石の魔女の視線がザミエルへと向けられた。
『素敵な魔力を持っているのね、あなたもとっても綺麗な宝石になりそうだわ』
 あなたならエメラルドになりそうね、と宝石の魔女が楽し気に笑みを浮かべる。
「あっはっは……面白い冗談ですね」
 心底おかしなことを言う、と唇の端を持ち上げ、小生たちは魔女だったとしても、あなたの仲間になどなりませんよと引鉄を引く。
「宝石の美しさは認めますが、身に着ける者が醜いと価値が半減です。あなたに小生たちを輝かせることができるとは到底思えませんね」
 牽制も兼ねつつ、ダメージを負わせるために弾丸を放った。
 ザミエルの動きに合わせるように、心結も己の力を発動させる。
 それは相手の命が尽きるまでの時間に応じ、次の行動の成功率を高めるもの。見定めるは宝石の魔女の命の時間。
「――視えたのです」
 瞬間、心結が黒剣を右手に構え、小百合子の隣へ躍り出る。
「小百合子、由奈!」
「任されよ!」
「はい、みゆさん!」
 ザミエルが撃ち落とした宝石の合間を縫って、心結が宝石の魔女に向けて黒剣を振り抜く。
『元気のいい方、きっとあなたも素敵な宝石になるわ。トパーズのような美しい宝石に』
 呪いの光を帯びた宝石が心結に向けば、心結が即座に距離を取り由奈が感電の魔法で宝石を絡め取る。ザミエルが動きの鈍った宝石を撃ち抜き、小百合子が心結と入れ替わるようにして薙刀を振り被る。
 その連携を目で追いながら、ソフィアが小さく囁いた。
「ヘリオス、お願いします」
 続けての戦闘になるけれど、どうか。
 そう願えば光の精霊ヘリオスがソフィアに力を貸す為にほのかに光る。短杖から蜃気楼が立ち昇り、宝石の魔女目掛けて飛んでいく。
『ほんとうに、宝石にし甲斐のある方たちばかりね。あなたはアメジスト……いえ、ヴァイオレットサファイヤかしら』
「申し訳ないですが、ソフィアも宝石になってあなたのところに留まることなどできないのですよ」
 もちろん、みなさんもそのようにはさせないのです、とソフィアが宣言して仲間に合図を送れば蜃気楼が迷彩ベールを広げた。
 それはソフィアたちが宝石の魔女の術中にはまったと、魔女にそう錯覚させるための幻術。それにより、宝石の魔女は大きな隙を作ることとなる。
「いい連携ですね」
 由奈も小百合子も心結も、今回は前衛へと回っている。それも見越した上で、ザミエルは幻銃士に彼女達が接敵したら後方支援に回るようにと含めてあった。
 主の命に従い、彼女達が宝石の魔女に近付けば、魔女の宝石が彼女達に触れる前に撃ち砕いてサポートをしている。そしてソフィアの蜃気楼による迷彩により、一層攻撃を仕掛ける戦略が拡がったのだ。
『何……く、宝石たちよ!』
 己に届く攻撃が増えることに違和感を覚えたのか、宝石の魔女が身を守るように宝石達を躍らせる。
「あたし、普段は後衛だけど、今回は前衛を任されたんだ。信頼には絶対に応えたいの!」
 高い機動力で夜空を飛び回る由奈が、だから頑張る! と、魔女の守りを薄くする為に手にした符から電撃を放つ。パチパチと音を立て、宝石が僅かでも動きを止めればザミエルと幻銃士の銃口が過たずそれを撃ち落とす。
「──此処を通りたいなら、みゆたちを倒すことですね」
「その通り、しかし通り抜けるのは至難の業じゃぞ」
 後ろで戦う仲間達には指一本も触れさせない、そんな気概を感じさせる声で小百合子と心結が宝石の魔女に告げ、撃ち落としきれない宝石を刃で切り裂いた。
「どうか皆様、お願いします」
 ソフィアは迷彩の錯覚を維持する為に、短杖を握り締めてヘリオスの力を借りて魔力を回している。宝石の魔女の攻撃は全て前衛である小百合子と心結、そして由奈が、自分を守るように前に立っているザミエルが防いでくれると信じて。
「この期待に応えねば、女が廃るというものじゃ!」
「その通りです、小百合子!」
 小百合子が薙刀で宝石を切り払い、心結が黒剣を魔女へと突き刺す。そして再び距離と取れば、今度はわらわの番だと小百合子が薙刀の切っ先を宝石の魔女へと突き付けた。
『ああ、なんて鬱陶しいのかしら!』
 宝石の魔女がそれならそれで、全部壊して差し上げる! と、宝石をくるりきらりと増やして手当たり次第に放とうと己の周囲を回転させた。
「おっと、いけません」
 軽い口笛をザミエルが吹けば、その音に由奈が下がり小百合子が心結と共に距離を取る。
「賢い生徒さんたちだ」
 ザミエルが微笑んで、愛銃Der Freischützに炸裂弾を込めて宝石の魔女へと撃ち込んだ。
 着弾と共に炸薬が爆発するそれは、宝石に当たって辺りを巻き込むように小さな爆発を起こす。
「ザミエルと幻銃士たちの華麗な銃裁きも、宝石が雨のように降るのが綺麗ですねぇ」
 そう心結が笑って、見惚れている場合ではないとすぐに表情を引き締める。
 だって、どんなに小さな隙であっても逃さないのが賢い生徒達というもの、そうでしょう? と心結が皆に柔らかな視線を送って。
「目に見えるものが全てではないのです……!」
 ソフィアが蜃気楼の力を強め、宝石の魔女を再び錯覚へと落とすと由奈が宝石の魔女へと近付いて、符から今の由奈が操れる最大限の電撃を放つ。
「今だよ、小百合子さん、みゆさん!」
 由奈の言葉に小百合子と心結が視線を交わし、駆けた。
「今こそ好機!」
 小百合子が上空に飛翔し、薙刀を構えて宝石の魔女目掛けて急降下を行う。
「奥義! 下り降竜爪!」
「倒される準備は出来ましたか?」
 黄金が煌き、その煌きに合わせるように心結が黒剣を一閃させた。
『く……っ!』
「どうですか、綺麗ですよね」
 ああ、宝石じゃないですよ? と、ザミエルが小さく笑う。
「小生の生徒たちの一生懸命な姿の話です」
 あなたの宝石よりもよっぽど煌いているでしょう?
 その煌きは、宝石よりも輝いて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時


宝石…?
宝石そのものにする魔術とか有るんだ…?

寧ろ俺様の涙で出来た宝石やるから教えて貰いたいぐらいなんだが…(アクアマリンててーん)

それと…資格が有ろうとなかろうと!この俺様が目指す道は依然変わらねぇ!
周りがなんと言おうと…俺様は魔術師だッ!

最初から飛ばすぜ…UC!
宝石の血を凝固させつつ魔術回路全開!水と光の魔力ブーストッ!
(状態異常力重視)

攻撃は魔靴から出した属性付与の魔術で強化した体で避ける!

てかこっちは色々あった過程で呪いにはそこそこ耐性あんだぜ!
そう簡単にはくたばるか!

まだこの状態で複雑な魔術は使えねぇ

…だからただひたすらに、まっすぐにッ!

我が威を示せ!輝流閃《マギア・レイ》ッ!!



●資格なんてなくても
 きらきら、くるくる。ぴかぴか、くるくる。
 宝石が女の周囲を守るように飛んでいる。その宝石をどこか歪なものだと感じながら、兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)は宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーの話を聞いて、そのアクアマリンの瞳をぱちぱちと瞬かせた。
「宝石……? 宝石そのものにする魔術とか有るんだ……?」
 クリスタリアンの零時からすれば、それは初耳にも近く。
「寧ろ俺様の涙で出来た宝石やるから教えて貰いたいぐらいなんだが……??」
 零時の魔力の上限を超えた際、目から零れるアクアマリンの涙をウエストポーチから取り出し、これで一つと零時が思わず零す。それから、人を宝石にする……魂そのものを宝石にするのは禁術の類ではないかと気付き、思い直す。
「いや、やっぱりいい、いやほんとはちょっと気になるけど、うぐぐ、人の魂を宝石にすんのは駄目だ!」
 ぶんぶんと勢い良く首を振って、藍玉の杖を構えた。
『ふふ、面白い子ね。きっと、とても綺麗なアクアマリンになるわ』
 だからわたしの宝石におなりなさいな、と宝石の魔女が笑う。
「冗談、俺様は元々宝石みたいなもんだし、それに……資格が有ろうとなかろうと! この俺様が目指す道は依然変わらねぇ! 周りがなんと言おうと……俺様は魔術師だッ!」
 それも、飛びっきりのな! そう叫んだ零時が魔力を増幅させ、体内へ押し留める。
 宝石の血を凝固させ、魔術回路を開き、体内に広がる星の海、その全てを解き放つ。
「夢が為、己が為、限界なんざ越えていけ……ッ!!」
 水と光の魔力が増して、零時の魔力量が上がっていく。限界を超えるこの瞬間は、いつだって恐ろしさよりも期待の方が上回って。
『私の可愛い宝石達、舞い踊って、輝いて』
 宝石の魔女が指先を動かせば、呪いの光を帯びた数多の宝石がくるくると回転して、彼女の意のままに零時へと襲い掛かる。
「呪い? 上等だぜ!」
 かつん、と踵を鳴らせば魔法陣が広がって、強化魔術が零時の身体を包み込む。石礫の様に飛んでくる宝石を強化した身体で避けて、杖を掲げる。
「こっちは色々あった過程で呪いにはそこそこ耐性あんだぜ! そう簡単にはくたばるか!」
 当たったところでかすり傷だ、と零時が笑う。それから、ありったけの魔力を回して杖にその力を集めた。
 まだこの状態では複雑な魔術を編み上げるのは難しい、だからこそ、ただひたすらに真っ直ぐに。
 それは零時が一番得意とするところ。
「我が威を示せ! 輝流閃《マギア・レイ》ッ!!」
 撃ち放たれるは魔力の奔流、何もかもを覆い尽くすその光は、宝石の魔女を飲み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

あの宝石に触れてはいけない
触れれば洗脳され囚われてしまうから

思い出す祝祭の光景
心躍るマルシェ、美味しい食事、人々の笑顔
だけどわたくしは知っている
訪れた魔女たちの大半は先刻の眷属に殺され
生き残った者も家族や現実との絆を断たれてしまう
数多の犠牲の上に築かれた「欺瞞の楽園」だということを

祈り込め歌う【恐るべき御稜威の王】
騙し討ちにされ無残に殺された魔女たちの絶望を
大切な人との絆を引き裂かれた家族の嘆きを
神罰の光輝と共に思い知りなさい

いずれこの村は崩壊するでしょう
だけど洗脳の解けた彼女たちが「善き魔女」であろうと願うなら
いつか誰も犠牲にしない「本当の楽園」を
この地上に築くことが出来るはずだから


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

俺たちをもてなしてくれた魔女たちはとても純粋だった
否、この世の汚いものを知らぬほどに「純粋過ぎた」
自分たちの楽園が数多の屍の上に成り立っている
その現実を自覚することもなく

だからこそ俺たちはこの「楽園」を壊さねばならん
これ以上彼らに、無自覚に罪を犯させないために

ヘルガに宝石を触れさせぬよう庇い
【守護騎士の誓い】を胸に立ち向かう
破魔と浄化の力込め
振り下ろす鉄塊剣の一撃

解放された人々は次こそ「善き魔女」を目指すのか
それとも魔女であることを辞め平凡な日常に戻るのか
現実を知った痛みは決して軽くはないだろう
それでも理不尽に抗い、大切な人の幸せを願う
きっとそれこそが、誰もが持つ「幸福の魔法」なのだから



●いつか本当の楽園を
 狂信の淑女達を倒し、現れたのは宝石の魔女を名乗る女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーで、大振りな宝石を自身を守らせるように飛び交わせているのが見えた。
『あなた達は、そうね。仲間にはしてあげられないけれど……宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?』
 無垢にもみえる微笑みを浮かべ、それでも目に浮かぶ光は邪悪に満ちて。
「ヴォルフ、あの宝石に触れてはいけないわ」
 ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)が自分を守るように前に立つ男、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)へ声を掛けた。
「触れれば洗脳され、取り込まれてしまうから」
「承知した」
 強い意志を持つ者であれば取り込まれたとしても戻ってこられるだろう、けれど猟兵でもない普通の人間であれば抜け出すのは難しいはず。
「なんて酷い……」
 きっとこの村に居る魔女達はそうやって洗脳された者達で、宝石にされなかったのはただの気紛れかもしれないというのに。混乱する村人たちの声を聞きながら、ヘルガが思い出すのはワルプルギスの夜の祭り。
 心躍るマルシェ、美味しい食事、篝火を囲んで踊る人々、そして笑顔と歓声。
「だけど、わたくしは知っている」
 訪れた魔女達の大半は、先刻現れた眷属に殺されてしまったであろうことを。
 生き残った人々も、宝石の魔女の洗脳により家族や現実との絆を絶たれてしまったことを。
 ここが数多の犠牲の上に築かれた、『欺瞞の楽園』だということを――。
「許されることでは無いわ」
「ああ、俺たちをもてなしてくれた魔女たちはとても純粋だった」
 ヘルガの静かな怒りを受け、ヴォルフガングも先程まで自分達が楽しんでいた祭りの風景を思い出す。あの笑顔は、決して偽りではなかったとヴォルフガングは思う。
 けれど。
「否、この世の汚いものを知らぬほどに『純粋すぎた』のだ」
 自分達の楽園が数多の屍の上に成り立っているという、現実を自覚することなく与えられた楽園を甘受し続けていた。
 それは罪である、とヴォルフガングは頷いてヘルガを見遣った。
「だからこそ、俺たちはこの『楽園』を壊さねばならん」
「ええ、あなた。欺瞞の楽園はいつまでも続くものではないのですから」
 ヘルガの瞳が青く燃えるように瞬いて、可憐な唇が祈りを込めた歌を紡ぎ出す。
「主よ、今こそ悪しき者の不義を裁き、善き人々に慈悲をお与えください。諸々の罪穢れを濯ぎ、世に溢るる悲嘆が慰められんことを……」
 紡がれる歌に合わせ、ヴォルフガングが守護騎士の誓いを胸に己を奮い立たせた。そしてヘルガを守る為、飛んでくる宝石を破魔と浄化の力を纏わせた鉄塊剣で一刀に伏す。
『大人しくしていれば、二対の宝石にしてあげるというのに野蛮なのね』
「貴様の宝石になどなるつもりはない、俺もヘルガもだ」
 次々と飛んでくる宝石を斬り落としながら、ヴォルフガングが宝石の魔女へ刃を叩き付けるように鉄塊剣を振り下ろした。
 宝石の魔女の意識がヴォルフガングに向き、攻撃が命中した瞬間にヘルガの歌の真価が発揮される。
「騙し討ちにされ無残に殺された魔女たちの絶望を、大切な人との絆を引き裂かれた家族の嘆きを、神罰の光輝と共に思い知りなさい」
 罪の意識と自身にくだされる神罰への恐怖を与えるそれは、罪の意識すらない邪神には届かなかったけれど恐怖心はしっかりと宝石の魔女へ根付いた。
『ああ、嫌な感じだわ、とても嫌な感じよ……!』
 呪いの光を帯びた数多の宝石がくるり、くるりと回転しながらヴォルフとヘルガを狙う。それをヴォルフガングが鉄塊剣を振り回して叩き落し、ヘルガが更に歌に力を込める。
 宝石の魔女へ届くのは魔女の罪を告発する犠牲者たちの声、それは正しく魔女を追い詰めていく。
『く……っ』
 宝石をばら撒いて、魔女がヴォルフガングから距離を取るように後方へと逃げ出した。
「逃げても無駄よ」
 逃げた先にも、魔女を追い詰めるべく猟兵達が道を塞いでいる。
「ヘルガ」
「ヴォルフ……いずれこの村は崩壊するでしょう」
「ああ」
「だけど洗脳の解けた彼女たちが『善き魔女』であろうと願うなら」
 いつか誰も犠牲にしない『本当の楽園』をこの地上に築くことが出来るはずだと、ヘルガは祈る。
 解放された人々が次こそ『善き魔女』を目指すのか、それとも魔女であることを辞め平凡な日常に戻るのか……どちらを選んだとしても、現実を知った痛みは決して軽くはないとヴォルフガングは思う。
「それでも理不尽に抗い、大切な人の幸せを願うこと。きっとそれこそが、誰もが持つ『幸福の魔法』なのだから」
 いつかその魔法が世界に拡がると信じて、二人は視線を交わし祈るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン


ほう、宝石の魔女!
どの様な魔法を操るのかは気になってしまうが
仲間になるのは此方もご遠慮しておくよ
もうあたし、石でもあるしね

宝石に触れてみたい好奇心は疼くけれど
あたしの望みは幸せを現にする事だ

思い通りのランプを創る喜び、
お客様の手に届けること、
店に訪れるひとびとを笑顔でお迎えすること
嗚呼、それから……飛び切り美味しいポトフを振舞ったりね?
全て小さな石の中では成せぬことだから
故に、例え世界に招かれたとしても留まりはしないよ

あなたの煌めきに炎の耀きを添えよう
灼熱のドレスがきっとお似合いになる

その石に宿る光もうつくしいけれど
人に笑顔を咲かせてこそ宝石には価値があると思うのだよね



●麗しの宝石
 宝石を纏いながら現れた少女、宝石の魔女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーを見て、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)が興味深いとばかりにその目を瞬く。
「ほう、宝石の魔女!」
 宝石の、と名乗るからには宝石を扱う魔法なのだろうと予想を立てて、アパラは魔女の一挙手一投足の全てを見逃さぬように視線を送る。
『宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?』
 ふうん、どうやら人を……人の魂を宝石にしてしまうらしい、とアパラが目を細める。
 それは魔女の領域ではあるけれど、彼女は魔女の名を借りた邪神だとアパラが見抜く。
「どの様な魔法を操るのかは気になってしまうが、仲間になるのは此方もご遠慮しておくよ」
 そもそも、アパラは人の姿をしているが、石でもあるのだから。
『あら、もったいないわ。あなたはそうね、燃えるような赤い石かしら。それとも、その瞳のようなオパール? どちらにしても、きっと素敵な宝石になるわ』
 だから、宝石にして差し上げると魔女が笑った。
「ご遠慮申し上げる、と言っているのだけれどね」
 人の話を聞かない魔女だこと、とアパラが炎をちらつかせる。
『石に詰まった沢山の夢に、いつまでも照らされて。幸せな夢を永遠に見ていればいいだけよ?』
 くるり、きらりと宝石がアパラに向かって飛んだ。
 宝石に映るのは幸せそうな夢と、アパラの心を暴くかのような望み。
 ああ、とアパラが笑う。
「この宝石に触れてみたいと思う好奇心は疼くけれど、あたしの望みはこの幸せを現にすることだ」
 夢の中で微睡んで、甘受したいわけじゃない。
「思い通りのランプを創る喜び」
 それをお客様の手に届けること、手にしたお客様の笑顔を受け取ること。
「店に訪れるひとびとを笑顔でお迎えすること」
 知らぬ顔も、見知った顔も、店のランプに心を寄せる瞬間がたまらなく好きだ。
「嗚呼、それから……飛び切り美味しいポトフを振舞ったりね?」
 小さな幸せだと笑ってもいい、だけどそれは全て小さな石の中では成せぬことだと言いながら、アパラが炎を増やしていく。
「故に、例え世界に招かれたとしても留まりはしないよ」
 すぐにだって飛び出してしまうだろう、だってそこにはあの人はいないのだから。
 炎が揺らめき、アパラを照らす。
「あなたの煌めきに炎の耀きを添えよう」
 大きな炎のうねりが一つ一つの矢になって、アパラの命を待っている。
「灼熱のドレスがきっとお似合いになる」
 しなやかに指先が踊り、宝石の魔女を指さしたその瞬間、数多の炎が魔女に向かって放たれた。
「その石に宿る光もうつくしいけれど」
 煌く瞳に炎を映し、アパラが囁く。
「人に笑顔を咲かせてこそ宝石には価値があると思うのだよね」
 炎の中に立つ女が、艶やかに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
私がどんな石(宝石)になるか興味深いが…なるつもりはない。
魔女にもなるつもりはないな。扱っている物はそそられるが…。

さて。いつものように私は露のサポートで動こうと思う。
封印を解き限界突破した後に全力魔法を高速詠唱で行使する。
属性攻撃と貫通攻撃と範囲攻撃を付与した【氷結の矢】を使用だ。
炎だと村に被害が出てしまう恐れがあるから水属性にした。

コピーされ反撃されても軽症で済むようオーラ防御と氷結耐性を付与。
回避は見切りで行う。見切れなかった場合は野生の勘や第六感も使用。
魔術によるサポートだけでなく私自身も囮に使おう。
魔術を行使しつつ露と同時に迫ったら私と露どちらへ対応するか…。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
宝石って言葉はとても親近感が湧くけれどオブリビオンなのよね~。
なんだか残念な気持ちになるのはあたしが元々が石だからかしら。
そして石に戻るのは嫌よ。レーちゃんとお話できなくなるもの!
…え?戻されるわけじゃないの?

レーちゃんがサポートしてくれるはずだから思い切って突っ込むわ。
恐れずに魔女さんの懐へ飛び込む感じで踏み込んで行くわね。
で。
片刃の愛剣とダガーで早業と2回攻撃使って素早く切り込むわよ♪
初めはただ力押しで攻めて単純さんってことで油断させようかしら。
魔女さんの動きが判ったらフェイントとか武器受けを混ぜてみるわ。
あ。身体にオーラ防御しておくわ。あと回避は野生の勘で。



●たった一つの
 視界の端に宝石が煌くのが見えて、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)が油断することなくそちらに視線を向けた。
 現れたのは狂信の淑女を眷属だという宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラー。
「眷属と言うからには、あれは魔女ではなく邪神か」
「魔女じゃないの~?」
 魔女って言ってるわ、なんて言いながら神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)がこてんと首を傾げる。
「そう名乗っているんだろう。魔女から邪神に成りえた可能性もあるが……」
 定かではない、と一旦その思考を切る。
「そうなのね~」
 納得したような、していないような表情で露が宝石の魔女をまじまじと見遣る。ゴスロリのような魔女っぽいドレスに、沢山の宝石を従えた少女。見た目だけなら、可愛らしい女の子なのにと呟いた。
「見た目だけが綺麗なオブリビオンなら、これまでにも多くいただろう」
 見た目は関係ないのだ、どんなに美しくても可愛らしい顔であっても、骸の海より来た敵なのだから。
「そうね、宝石って言葉にはとても親近感が湧くけれど、オブリビオンなのよね~」
 なんだか残念な気持ちになるのは、露が元々は石だからだろうか。
 ブルームーンストーン、月の石とも呼ばれる半貴石――それがヤドリガミたる露の本体だ。
 例外はあれど、硬度7以上のものを貴石と呼び、それ以下のものを半貴石と呼ぶ。美しさの優劣ではなく、硬度による判別。美しいと判断されれば、半貴石でも貴石より価値の付くものはある。
「あたし、元は宝石だけど石に戻るのは嫌よ」
 宝石の魔女の言葉に、露が唇を尖らせて言う。
「私がどんな石になるか興味深いが……」
「えっ駄目よレーちゃん! レーちゃんが宝石になったらそれはとっても綺麗だと思うけど、お話できちゃくなっちゃうもの!」
 だから、あたしが石に戻るのも嫌なの、と露が必死な顔でシビラに訴える。
「早とちりするな、なるつもりはない。それに、石に戻されるわけでもないだろう」
 なんだ、よかった~と露がほっと胸を撫で下ろし、戻されるわけじゃないのねと頷いて――。
「じゃあ、どうやって石になるのかしら……」
 難しいのね、と露がちらりと魔女を見遣った。
「それに、魔女にもなるつもりもないな。扱っている物はそそられるが……」
「でも、それだけで魔女になるのはちょっと、なんでしょ~?」
 ふふ、と笑った露がすらりと冬の月のように青白い色に煌く片刃を抜き、もう片方の手に鮮やかな赤色をした短剣を構える。
「魔女にも石にもされない為に、倒さなくっちゃよね?」
「ああ、その通りだ」
 小さく頷いたシビラが己の封印を解く。魔力を回し、限界を突破するほどに高めれば、露がシビラの援護を信じて飛び出した。
 襲い来る宝石はシビラがどうにかしてくれるはずだと、露はただ刃を手にして駆ける。その期待に応えるように、シビラが全力で作り上げた氷の矢を宝石に向かって放つ。
「Posibilitatea de a îngheța blocanții……」
 射抜かれた宝石はぱきりと凍って、地面に落ちる。
 踏まぬように軽やかなステップで、露が宝石の魔女の懐に飛び込んだ。
「ふふ、捌くわ~v」
 愛剣とダガーの二刀が煌き、宝石の魔女を斬り刻む。
『私の可愛い宝石達、煌いて、照らして!』
 宝石で受け止めた攻撃を取り込んで、放つ。その動きを予想していたかのように、二人の身体は張り巡らされたオーラの膜で守られており、宝石の魔女の攻撃は僅かにその表面を掠るのみ。
「ふふ、こっちよ~♪」
 宝石の魔女の動きが鈍ったところへ、露がフェイントを織り交ぜて青と赤の刃を振るった。
「露」
「レーちゃん!」
 呼びかけに応じ、露がシビラと動きを合わせる。
 舞い踊る氷の矢を操りながら、シビラが露と共に宝石の魔女の懐へ迫った。
 至近距離からの魔法と刃が、宝石の魔女を追い詰めていく。
「ふふ、さすがレーちゃん! 近距離戦闘もばっちりね~♪」
「遠距離でしか戦えないわけではないからな」
 至近距離での戦闘だって、その術だって持ち合わせているとシビラが頷く。
「誤解させておいた方が、近距離戦闘になった時に有利だろう」
 今、この時のように。
「どのレーちゃんも好きよ!」
 だから、今はもう少し二人で踊りましょう、そう囁いて露が刃を閃かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディアナ・ロドクルーン
【箱3】◎
ええ。そうね戒さん
宝石は、本当の価値を知っている者が手にして初めて美しく輝くことが出来る
貴女の元に在ってはただの石ころに過ぎないわ
分不相応って言葉、知ってる?

あ…ラファるーとちゃんが……

大丈夫、主人公は最後に必ず復活して悪を倒すもんね☆
…戒さんを泣かせたら、ダメよ?
(訳:早く出てこないと宝石を叩き割る)

さあて、その間は私たちがお相手致しましょう
一応見せ場を作らないと、ね

R-18Gにならないよーに、見えない所を
(刻印で強化した鋭い爪を構えて)

第六感で敵の攻撃を避け、UCを使用。絶対なる殺意を以てその腑を掻きまわし、潰そうか

その綺麗なお顔を苦痛で歪ませて?ねえ、どこまで耐えてくれるかしら


ラファン・クロウフォード
【箱3】◎
洗脳してから選別すれば簡単だろ
命と魂を弄ぶ行為は腹立つ許せない
宝石の魔女はここで倒す!
決意表明の直後に
小さな宝石に吸い込まれて大ピンチ?

現実世界より時間の流れが早い夢の世界へ
誰も何も存在しない一面に真白な闇の夢
ふ。夢も希望も無かったもんな
防御を気にせず詠唱に集中できて大チャンス!
絶対神域の神聖ガントレットを召喚
戒の可愛いところ30選+ディアナの可愛いところ1選を
詠唱し威力を鬼チャージ
その瞬間に体感する感情が、今の俺の幸せ
空っぽは上書きされ、夢は少しずつ変化する

現実に戻り戦闘に復帰
宝石にした人々を元に戻せと魔女に迫る
重力で魔女の動きを妨害
大魔法(ガントレットの打撃と破壊光線)を叩き込む


瀬古・戒
【箱3】◎
宝石って、そこに込められた心とか意味とかがあって初めて特別になると思うんよね
ね、ディアナそうじゃね?
宝石つっても、石ころじゃん

んじゃ、魔女さん遊ぼっか?
ラファるーとちゃんが成敗しちゃ……え???
しゃあねぇ…んじゃ俺ら従者(?)2人が相手だ
親友コンビなめんなよ?コラ

スープ入ってたデカイ鍋を頭に被せ蹴ったり、テーブルクロス目眩ましにしたり、おたまで飛ぶ宝石をホームランしたりして連携を
食材粗末にしちゃいけねーもん空のを使う
宝石にされた人達、魔女倒したら戻るといーんだが

ラファンの夢の世界ってどんなだ?元カノとイチャついてたらヤだな…
てゆーか、俺達がいる現実のがいいだろ、早く帰ってこい…ばか!



●まじかる☆無双
 きらきらと輝く何かが見えて、三人はその方向を注視する。
 まるで闇の中から現れたかのような少女は、幾つもの宝石を己の周囲に浮かべて微笑んでいた。
『あなた達が魔女の資格を有する者達ね』
 その言葉に、思わずディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)と瀬古・戒(瓦灯・f19003)がラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)を見遣る。
「如何にも、魔法少女だからな」
 魔女の資格は充分あるだろう、とラファンが頷く。
「すっかり魔法少女が板についたわね」
「ラファるーとちゃん、マジでアニメになんねぇかな」
 深夜枠でパンチラはお約束だけど、それ以上は絶対に見えない奴で。
 そんなことをこっそりと話をしているうちに、宝石の魔女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーが話を続ける。
『ああ、でも私の眷属たちを殺してしまったのはいただけないわ』
 だから仲間にはしてあげられないけれど、宝石にしていつまでもわたしの傍に置いてあげる、と魔女が笑った。
「効率が悪くないか?」
 まだぼそぼそと喋っていたラファンが、宝石の魔女の言葉に眉根を寄せる。
「洗脳してから選別すれば簡単だろ」
「確かにそうですね」
「ラファン、お前意外とえげつないよな」
 戒にそう言われ、ラファンが心外とばかりに唇を尖らせる。
「いやだって、無駄に命と魂を弄ぶ行為は腹立つし、許せないだろう?」
「それには同意」
「私も同意するわ」
 三人が頷いて、それから成程と戒が宝石の魔女を見遣った。
「命と魂を弄んでやがるんだな」
「許せん」
「成敗、よね」
 意見が纏まれば三人の行動は早かった、即座に攻撃に移れるように態勢を整えたのだ。
「だいたいさァ、宝石って、そこに込められた心とか意味とかがあって初めて特別になると思うんよね」
 戒が宝石の魔女が侍らす宝石を眺めて、しみじみと言う。
「ね、ディアナ。そうじゃんね?」
「そうね戒さん。宝石は、本当の価値を知っている者が手にして初めて美しく輝くことが出来るのよ」
「宝石つっても、元は石ころじゃん」
 ねー、と戒とディアナがそう言っているのをラファンは隣で黙って聞いていた。
 めっちゃ煽るじゃん、と思いながら。
「だから、貴女の元に在ってはただの石ころに過ぎないわ」
 ディアナが可哀想なものを見るような目で、宝石の魔女を見つめる。
「分不相応って言葉、知ってる?」
 完全な挑発であったし、ふっと息を吐きながら言ったディアナは死ぬほどかっこよくて、戒とラファンは抱いて! みたいな気持ちになっていた。抱かれないけど。
『まあ、生意気な方ね。宝石の価値を御存じないのかしら……!』
 挑発は成功していた、魔女の周囲を飛ぶ宝石がこちらへ向いたのだ。
「んじゃ、魔女さん遊ぼっか?」
「宝石の魔女、お前は今ここで倒す!」
「そう、ラファるーとちゃんが成敗しちゃ……」
 ラファンが二人の前に立ち、宝石ごと壊してやろうかとした瞬間、殺意無く飛んできた小さな宝石がラファンの身体に当たる。
「……え??」
「あ……ラファるーとちゃんが……」
 宝石に吸い込まれ、姿を消した。
 吸い込まれたラファンはと言えば、これはあれだな、敵の攻撃にやられて危機的状況に陥るお約束的な。
「小さな宝石に吸い込まれて大ピンチ!? ってやつだな」
 なんてことを呑気に考えていた、ラファンは今日も元気です。
 宝石の中は現実世界よりも時間の流れが早い、夢の世界。辺りを見回せど、誰も何も存在しない、一面真っ白な闇の中だ。
「ふ。夢も希望も無かったもんな」
 突然の闇深、魔法少女としてはお約束!
 いやほんとに、何にも無かったのだとラファンは思う。
「こうやって、こんな格好をして、皆と遊んだり出掛けたり……」
 何も無いから、沢山の幸せを感じられるようになったのは、きっと恋人と仲間のお陰。
「さて、これは防御を気にせず詠唱に集中できる大チャンスでは?」
 宝石の中からぶっ放して、元の世界に戻るとか撮れ高も爆上がりだろう。きっと戒もディアナも喜ぶと信じて、ラファンが気合を入れた。
「しゃあねぇ……んじゃ、俺ら従者……従者? 普段はマスコットみたいな見た目でピンチに人型になるみたいな? 二人が相手だ」
「設定が増えるわね。大丈夫、主人公は最後に必ず復活して悪を倒すもんね☆」
 大抵その時には仲間がピンチなのだが、この二人がピンチになるわけもなく――!
 ディアナが刻印で強化した鋭い爪を構え、大暴れしてやる、とばかりに戒が唇を舐めて。
「さあて、その間は私たちがお相手致しましょう」
「親友コンビなめんなよ? コラ」
 宝石の魔女を倒すべく、駆けた。
「一緒に、踊ろーか!」
 ディアナが攻撃する隙を作る為、戒が近くにあった魔女の大釜を引っ掴んで魔女の頭目掛けて放り投げる。
「ホーールインワン!」
 大釜は見事魔女の頭に被さって、視界が悪くなった瞬間を狙って戒が蹴りを喰らわす。くわん、といい音がしたところへ、ディアナが鋭い爪を宝石の魔女の臓腑に向けて突き刺した。
「血肉臓物掻き回し 亡骸千里を引き回せ。魂すらも凌辱し 今奮うは大暴虐」
 絶対なる殺意を以てぐちゃりと掻き回し、反撃が来る前にステップを踏んで離れる。
「これならR-18Gにならないわよね?」
 身体の中だもの、とディアナが笑う。
「大丈夫じゃね?」
 血とか見えてないしセーフセーフ! というちょっとガバ判定を出しつつ、戒が宝石の魔女が放つ呪いの光を帯びた宝石をおたまで場外ホームランしながら言った。
「それにしてもラファン遅くね?」
「そうね、何してるのかしら」
 R-18G未遂をしつつ、ディアナが答える。
「ラファンの夢の世界ってどんなだ? 元カノとイチャついてたらヤだな……」
 いるのかもわからない元カノの妄想をして、戒が表情を曇らせる。
「てゆーか、俺達がいる現実のがいいだろ、早く帰ってこい……ラファンのばか!」
「ラファンさん……戒さんを泣かせたら、ダメよ?」
 ラファンが消えた宝石に向かい、ディアナが早く出てこないと宝石を叩き割るわよ、という言葉をオブラートに包んで言った。
 宝石がカタカタした気がするけど、多分気のせいだ。
 一方その頃、貴重な戒のデレを見逃したラファンはと言うと、詠唱真っ最中であった。
 絶対神域の神聖ガントレットを召喚し、戒の可愛いところ三十選とディアナの可愛いところ一選をひたすらに唱えているのだ。
「たまに見せる照れた顔が可愛い、甘えてくるところも可愛い、バレンタインの時のあの顔見た? 死ぬほど可愛いだろうが。はーあの時の顔を思い出すだけで生きれる、生きた」
 限界オタクみたいなこと言うじゃん……?
「あとは俺だけの秘密なので言えない可愛いところは割愛、ディアナはいつも強気なお姉さんなところがあるけど、好きな人といる時のディアナは多分すごく可愛い」
 それが詠唱でいいのかと思う程だったけれど、言い切った瞬間に体感する感情がラファンの幸せだ。
「今の俺の幸せなんだよ」
 空っぽな心は上書きされ、夢が少しずつ変化していく。
 ふっと笑って、威力が鬼チャージされたガントレットを振り被った。
 宝石が砕け散り、ラファンが姿を現す。
「ラファン!」
「遅いわよ、ラファるーとちゃん!」
「すまん、ちょっと戒の可愛いところが三十で収まりきらなかった」
「なんて?」
 こいつ宝石の中で何してたんだ?? となりつつも、戒が宝石の魔女に向かってテーブルクロスを投げ付ける。その隙を逃さず、ディアナが爪を鳩尾に食い込ませた。
「待たせたな、真打だ」
 ラファンが宝石の魔女の前に立ち、ガントレットを構えて。
「倒す前に言っておく、宝石にした人々を元に戻せ」
『魂がすっかり宝石に馴染んでいるのに? 永遠に幸せな夢を見ているの、邪魔をしないで』
 それが返事か、とラファンの瞳が絶対零度よりも低い温度で魔女を捉え、重力で押さえつける。
「お仕置きだ」
 そう言って、ガントレットを宝石の魔女に叩き込み、白炎の破壊光線を放って――魔女を真白に染め上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
呪われた宝石の力での支配や洗脳をしていたのに同胞とか仲間とか勝手が過ぎると思います!
村の住人さんたちの洗脳を解くためにもあなたを倒します!

宝石がとても危険な感じがしますね…
宝石に当たらないように、箒で飛びまわりながら相手の攻撃を見切っていきましょうか。そして攻撃のタイミングを計っていきます。
(よいタイミングができても、相手にそこまで長い時間の隙はないかもしれません…ならば―)
【高速詠唱】&【全力魔法】でUCを発動して、一気に畳み掛けます!

いつか本当に楽しいお祭りが開催できるように、全力を尽くします!!



●宝石にも負けない光
 宝石を従えて現れた魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーに向かってルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)が鋭い視線を飛ばす。
「呪われた宝石の力での支配や洗脳をしていたのに、同胞とか仲間とか勝手が過ぎると思います!」
 それが宝石の魔女の常套手段なのだろうけれど、それにしたってとルナが憤る。そして、その言葉を受け入れてしまう村の人々を救う為にもと箒を握り締める。
「村の住人さんたちの洗脳を解くためにもあなたを倒します!」
『元気のいい子ね、きっとあなたも素敵な宝石になるわ』
「宝石になるのはお断りします!」
 きっぱりと言い切れば、宝石の魔女が残念だわと口元を歪めた。
『綺麗なアクアマリンになりそうなのに』
 ああ、でも。
 成ってくれないのならば、此方で勝手にしてしまうわね? そう微笑んで、宝石の魔女が従えていた宝石をくるくると回転させてルナに向かって飛ばす。
 あの宝石に触れてはならない、そんな勘が働いてルナは手にしていた箒に軽やかに跨ると夜空を翔けた。
「とっても危険な感じがします」
 なるべく当たらぬようにと箒を操って、攻撃のタイミングを計る。
 けれど魔女の周囲に浮かぶ宝石は多く、隙が出来たとしても長い時間ではないだろうとルナが考えを巡らせる。
「ならば――」
 時間を掛けず、一気に畳み掛けるのが上策。
 箒で飛び回りながら、ルナがありったけの魔力を巡らせていく。
 どのタイミングでも魔法を即座に放てるように神経を集中させて宝石の魔女の隙を窺い、相手を攪乱するように地面すれすれで飛んでみせたり急上昇をしてみせたりと、ルナが箒を操る。
「今です!」
 あっちこっちに飛び回るルナに目が追い付かなくなったのか、一瞬動きが鈍った宝石の魔女に向けてルナがとっておきの魔法を放つ。
「お星さんたちわたしに力を! 悪しきものに降り注げ! シューティングスター☆」
 指先をぴっと魔女に向ければ、宝石よりもきらきらと輝く流れ星が魔女に向かって降り注いだ。
 きらきらで、ぴかぴかのお星様の中にタライが混じっていたのは内緒だけれど。いつか本当に楽しい魔女達のお祭りが開催できるように全力を尽くすのだと、ルナが一層気合を入れて魔力を巡らせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻3

そなたが魔女か
宝石の美しさは時に心を魂を奪い去る
私の巫女と同志に手出しはさせないよ

宝石よりもずっと美しい
私が心底惚れ込んだ魂をもっているのだから
攻撃防ぐ結界をはり巡らせ
歌うリルを守るように前へでる
煌めく宝石を斬撃派で切断し、軌道を見切り躱し切り込むよ

祝災ノ厄倖

それは約されない
宝石の煌めきすら奪う神罰を叩きつけ撃ち落として捕縛する
砕ける宝石、刹那にみたのは夢
となりで愛し子が笑っている
呪から解放されて晴れやかに
花唇が紡は愛の─

リル……!人魚の声に我に返り、偽りの夢を砕くよう斬り裂く
あれは夢ではない
まもなく、現実になることだ
サヨを惑わすことなど許さない

サヨの望みは私が叶えるのだ
渡しはしないよ


リル・ルリ
🐟迎櫻3

きらきらの宝石だ!
お菓子みたいで綺麗だけど…ヨル、食べちゃダメだぞ!

そうだよ
君の宝石になんてならないし、櫻もカムイもあげないんだから!
それに、どんな宝石よりも
僕の櫻の桜彩の瞳の方が
カムイの朱桜の瞳の方が綺麗だもんね

前に出る二人を援護するように、水泡のオーラを巡らせ包んで守る
ヨルは鼓舞のダンスをよろしくね!

あ!カムイ、櫻が宝石に!
厄を絶つ神の剣戟に添えて歌う、『薇の歌』
そう──君を惑わすそんな夢─何も無かった、のだと打ち消して
君を現に取り戻す
ニセモノなんていらないだろ
夢は叶える為にある
理想は前を見て進むためにあるんだ

三人の愛の魔法だ!
歌って咲かせて斬り絶って
宝石より綺麗なのをみせたげる


誘名・櫻宵
🌸迎櫻3

宝石は綺麗で好きだけれど嫌よ
私はそんな石ころになんてなりたくないわ
勿論、私のかぁいい神様も人魚も渡すわけがないじゃない
ふたりは私のものなのだから

宝石の欠片が─
世界が変わる
大切な皆が穏やかにわらう平穏の世界
私はただのひとで、呪も苦しみだって抱えていなくて、ただ
普通に、生きていられればよかったのに

リルの歌が私をよんでいる

宝石よりもっと美しいものがある
欲しいものも、望みも全部
夢の中になんてないのよ!
カムイ!リル!
宝石ごと砕き壊すようになぎ払い振り切って
カムイのつけた傷をなどるよう刃を這わせ

桜化の神罰を嵐と吹かせ
衝撃波と共に断ち切るわ!

私はあなたの宝石になんてならないわ
あなたが私の桜になるの



●宝石よりも美しく
 きらり、きらりと輝く宝石が、くるり、くるりと回転しながら少女の周りを漂っている。その宝石を満足そうに指先でなぞり、宝石の魔女が猟兵達に微笑んだ。
『あなた達が魔女の資格を有する者達ね』
 けれど、と魔女は言う。仲間には出来ないけれど、宝石にして手元に置いて差し上げる、と。
「宝石は綺麗で好きだけれど、嫌よ」
 宝石の魔女の言葉に誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)が凛とした声で拒絶を示す。
「私はそんな石ころになんてなりたくないわ」
「そうだよ。君の宝石になんてならないし、櫻もカムイもあげないんだから!」
 桜宵を庇うように、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)がすっと前に出る。
「その通りだ。宝石よりもずっと美しい、私が心底惚れ込んだ魂をもっているのだから。易々と渡すわけにはいかない」
 そう言って、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)が二人を守るように魔女からの視線を遮った。
『まあ、綺麗な宝石になりそうなのに。ええ、ええ、いいのよ、なるつもりがなくてもわたしが宝石にしたいと思ったら――そうするだけなのだから』
 宝石の魔女の笑みは無邪気にも見えたけれど、その瞳は邪神足りえる昏き光に満ちていてカムイは咄嗟に攻撃を防ぐ結界を張り巡らせる。
「魔女よ、宝石の美しさは時に心を、魂を奪い去る。私の巫女と同志に手出しはさせないよ」
「ふふ、カムイったら。勿論、私のかぁいい神様も人魚も渡すわけがないじゃない」
 ふたりは私のものなのだから、魔女なんかに渡しはしないわ。
 屠桜を抜いたままの桜宵が油断なく刃を構えれば、リルがその凛々しさに笑みを零す。
「そうさ、それにどんな宝石よりも、僕の櫻の桜彩の瞳の方が、カムイの朱桜の瞳の方が綺麗だもんね」
 宝石なんていう物言わぬ石にするなんて、損しかないだろ、とリルがカムイの巡らせた結界に寄り添うように、水泡のオーラを巡らせた。
『宝石に詰まった沢山の夢に、いつまでも照らされて』
 桜色をした小さな宝石が、殺意や害意なくふうわりと桜宵に向かって飛ばされる。攻撃するという意思を何一つ持たぬそれは、二人の張った結界も防御のオーラも擦り抜けて、桜宵の指先にこつんと触れた。
「宝石が――」
 音もなく掻き消えた桜宵に、リルが声を上げる。
「あ! カムイ、櫻が宝石に!」
 焦りを含んだリルの声に、宝石の魔女から視線を外さなかったカムイが慌てたように視線を向けた。
「サヨ!?」
「宝石に取り込まれたみたい」
 どうしよう、と泣きそうな声を滲ませたリルに、カムイが大丈夫だと言葉を紡ぐ。
「私たちのサヨだ、きっと自分で打ち破るはずだ」
 でも、そうする為の手助けを私たちでしよう、とカムイが囁けばリルが力強く頷いた。
「私たちのサヨを返してもらおうか」
 きらきらと煌く宝石、悪意無く近寄るというのなら、この刃で断ち斬ってみせようとカムイが喰桜の刃を閃かせる。
「櫻は僕らのなんだよ」
 ヨル、と短く指示して、鼓舞のダンスを舞うようにお願いする。
「きらきらの宝石はお菓子みたいで綺麗だけど……ヨル、食べちゃダメだぞ!」
 そう注意すればヨルが可愛らしくターンを決めて、きゅっと鳴いた。
 可愛いヨルのダンスに小さく笑みを零し、リルが歌を紡ぐ。
 人魚の歌声が夜に響く、それは蠱惑的で美しくどんな誘惑も打ち消すような旋律。宝石の中に取り込まれてしまった櫻宵の耳に届くようにと願いを込めて、リルが唇を震わせた。
「――揺蕩う泡沫は夢 紡ぐ歌は泡沫 ゆらり、巻き戻す時の秒針 夢の泡沫、瞬く間に眠らせて。そう《何も無かった》」
 桜宵が奪われたことを無かったことにする、その為だけにリルは全身全霊を掛けて歌う。
「君を現に取り戻す、ニセモノなんていらないだろ」
 夢は叶える為にある、理想は前を見て進むためにあるんだと、リルの薇の歌がその場を支配するように響き渡った。
 宝石の中に囚われた桜宵はきらきらと光る世界を歩く。
 歩くたびに世界が変わって、桜宵が心のどこかで望んでいる世界が映し出された。
 愛する妻と夫と三人で誓いを挙げる世界。白無垢も、ドレスも、紋付き袴もタキシードも、お色直しだと何度も着替えて幸せそうに笑っている。
「ふふ、それは夢の中ではなく現で見るわ」
 今見てしまうのはもったいないもの、と桜宵が歩みを進めれば次に映し出されたのは大切な皆が穏やかにわらう平穏な世界。
「そうね、そうだったらとっても素敵ね」
 私はただのひとで、呪も苦しみだって抱えていなくて、ただ普通に。
「生きていられればよかったのに」
 零れ落ちた言葉は桜宵の本心だったけれど、その幸せそうな風景だって彼をこの場に留めるには少しも足りない。
「飽きてきたわね」
 だってここには、カムイもリルもいないんですもの。
 そう思った瞬間、リルの櫻宵を呼ぶ歌声が耳に届く。
「ふふ、お迎えね。リルの歌が私をよんでる」
 きっとカムイも待っているわ。
 強く意識すればその手に屠桜が現れて、櫻宵が笑う。
「宝石より、もっと美しいものがあるの」
 刃を構え、櫻宵が僅かに腰を低く落とす。
「欲しいものも、望みも全部、夢の中になんてないのよ!」
 カムイ! リル! その名を呼んで、櫻宵がきらきらとした世界を宝石ごと砕き壊す様になぎ払う。まるでガラスが罅割れるかのように宝石に罅が入り、パンっと音を立てて砕けた。
「サヨ!」
「櫻!」
 砕けた宝石の粉を振り払うように現れた桜宵に二人が安堵の声を上げ、カムイが再び桜宵を奪われぬように力を振るう。
 祝災ノ厄倖、それは厄災の黒桜が齎す神罰。宝石の煌きすら奪う神罰を叩き付け、こちらに向かってくる宝石を撃ち落とし、捕縛する。
 しかし宝石の魔女も邪神たる神、砕けた宝石の刹那にカムイに向けて夢を見せた。
「……ッ」
 垣間見えたのはとなりで笑う愛し子。
 呪から解放されて、晴れやかに響く声。
 花唇が紡は愛の――。
「カムイ!」
 リルが僅かに動きの鈍ったカムイの名を呼び、歌を紡ぐ。
「リル……!」
 同じ櫻を愛する人魚の声で我に返ったカムイが、垣間見た偽りの夢を砕くように喰桜を振るう。
「カムイ、私のかぁいい神様」
 私はここよ、と桜宵が笑んでカムイの隣に立つ。
「噫、私の巫女」
 その言葉に笑みを深め、櫻宵が軽く後ろへ振り向く。
「リル、私のかぁいい人魚」
「櫻!」
 無事でよかったと安堵の笑みを浮かべたリルに優し気に目を細め、桜宵が前を向いた。
「さあ、皆でいくわよ」
 このお礼は倍にして返さなくちゃねと櫻宵が力を解放していく。
「夢見るように、蕩けるように。甘く咲いてたべさせて。ほら、こんなにうつくしい」
 刃を手にし、宝石の魔女へと駆けだす櫻宵に合わせ、カムイも駆ける。
 そんな二人を守るように、リルが歌を響かせて。
「私はあなたの宝石になんてならないわ、あなたが私の桜になるの」
 櫻宵の神罰にカムイが己の神罰を重ね、宝石の魔女が操る宝石が砕け、桜の花びらへと変化していく。
「そうだとも、私のサヨを惑わすことなど許さない。サヨの望みは私が叶えるのだ」
 お前などに渡しはしないよ、と囁けばひと際大きな宝石が音を立てて罅割れる。
「これは三人の愛の魔法だ!」
 歌って咲かせて斬り絶って。
 宝石よりも綺麗なものをみせてあげると人魚が青い瞳を煌かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スイカ・パッフェルベル

私としたことが、とんだ社長出勤だ
まあ、怠惰の分は働くとしよう

魔杖S1を手に起動、他の魔杖を腰辺りの高さで周囲に浮かべ
まあそこそこに応戦した後あえて敵のユベコを受ける

…復興したアポヘル世界、科学と魔がともに発展する都市
伝道者、わたしの名を呼び称える余人の声。俗に過ぎる夢
くく、クククッ。大魔道(メガス)の猟兵などといっても所詮人の子
ヒトは易きに流れる。有り得ぬのだよ
だが、望まずにはいられないのさ

貴様もそうだろう?

ユベコを発動。全てを魔杖と変えながら夢より出て
魔女などと、号など無くとも力があれば全ては変わる
望み続ければ、如何様にも
脳髄に刻むがよい、我が魔法を啓蒙せよ
攻撃用魔杖全てを起動し殲滅する



●宝石にのまれるような夢ではなく
 宝石をくるくると纏わせて、宝石の魔女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーが姿を現す。その姿を目にして、スイカ・パッフェルベル(思索する大魔道・f27487)が思わず口元を小さく歪めた。
「私としたことが、とんだ社長出勤だ」
 気が付いたらあの邪神の眷属は皆倒されていた、優秀な猟兵ばかりだなと零してスイカが魔杖S1『コンダクター』を手にし、機動する。
「まあ、怠惰の分は働くとしよう」
 期待以上の働きをみせればいいのだろう? とスイカが笑って、所持する魔杖九本を円を描くように腰辺りの高さで周囲に浮かべた。
「貴様の宝石より数は少ないが、良い仕事をしてくれるよ」
『魔女たる資格を持つあなた、あなたはどんな宝石になるのかしら』
 楽しみね、きっとエメラルドのように美しく煌く宝石になるわ、と宝石の魔女が微笑む。
「宝石か、それ自体に価値はあると思うけど――なりたいとは思わないな」
 飛んでくる宝石の群れを魔杖で捌き、スイカが答える。
 でも、どんな魔法か試すのは悪くないな。知らぬ魔法であれば、知りたいと思うのは魔女の性だろう? と胸の内でスイカが笑い、飛んできた宝石に指を触れさせた。
 反転、世界が瞬時に切り替わり、スイカは宝石の中に取り込まれたのだと理解する。
 目の前に広がるのは復興したアポカリプスヘルの世界、科学と魔法がともに発展する都市。子ども達が笑い、望む教育を受けることのできる、そんな。
 それから、この復興をもたらした伝道者たるスイカの名を呼び称える余人の声が響く。
「……くく、クククッ」
 あまりにも俗過ぎる夢に、スイカが心底可笑しいとばかりに嗤う。
「大魔道の猟兵などといっても所詮人の子、ヒトは易きに流れる。有り得ぬのだよ」
 知っているとも、スイカが答え、魔杖を構えた。
「だが、望まずにはいられないのさ」
 貴様もそうだろう?
「どんな状況にも対応してみせよう。それが魔法で解決出来る限りは」
 ぱきんとスイカを閉じ込めた宝石が罅割れる。
 元の世界に戻った瞬間に、スイカが宝石の魔女の操る宝石を己の魔杖へと変えて、そのコントロールを奪う。
「魔女などと、号など無くとも力があれば全ては変わる。望み続ければ、如何様にも」
 この私のように。
「脳髄に刻むがよい、我が魔法を啓蒙せよ」
 攻撃用の魔杖全てを起動させ、魔力を回す。
「私の全力だ、見せてやるよ」
 マジックミサイル、マジックストーム、エア・ハンマー、その力を模した魔杖全てに魔力が満ちて。
 スイカの魔法が放たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
【鏑木邸4】◎

朗らかな酔っ払いさんたちを尻目に
はいっ(挙手)
今からと言われると困っちゃいますが、
死んでから遺体を宝石に転換できるなら素敵だと思います!(感想文)

シャララさんはもう宝石みたいですし
生きてるほうが綺麗だと思うんですが、
俺自身が遺産になれるのは魅力的です。
あわよくば形見に持っていていただけるかも!
あっでも、金銭価値の高い宝石になれるとは限らない…
魔女様のこれくしょんにされてしまったら売れないし…
それなら骨ダイヤのほうがよさそうです

【四之宮】で皆に飛んでくる宝石を防ぎます。
選別するなら相手の許可をとるべきでしたね

ところで村興しのリーダーを倒してしまって大丈夫でしょうか
村滅びるのでは…?


夕時雨・沙羅羅
【鏑木邸4】


宝石か
きらきらきれい、アリスの為に呑み込むのも、宝石が多い
けれど、人の意思が込められた、呪われた宝石は
きれいでも、アリスにはあげられないな
…ああ、僕を宝石にするという話か
僕は人にコレクションされる趣味は無い
ほかのみんなは…ワビサビのある宝石になりそうだけど
どれも大人しく仕舞われないんだろうな

相手がひとりなら、水も少なくて良いか
【雫】を跳ねさせて対抗しよう

村が滅ぶ?そういえば、そうなるか
良いもの、いっぱいあった
なくなるのは、ざんねん
元の生活に戻っても、良いものつくってくれたら良い
そして、純粋に楽しむためのマーケットが開かれるなら、きっとうれしい
そのときは、また遊びに行きたい


霞末・遵
【鏑木邸4】


おじさん石ころくらいにしかならないから他当たって
そりゃもうすごく抵抗するから。他当たって

よし。これで狙われはしないな
キラキラしてる若者たちもいるし安全は保障されたも同然
酔いもいい感じに回ってきたし。いや全然酔ってないけどまだいけるけど全然
おかわりまだある? ないの?
お兄さんお酒残ってたらちょっとちょーだい
いいじゃんおじさんとの仲じゃない

この村も終わりかあ。人間って儚いなあ
じゃあ花火は派手な方がいいよね
おじさんも物作るの得意なんだ。バザーじゃないけど見てってよ
気に入ったものがあれば安くしとくよお
コピー? いいよしてみなよ
これだけ作ったものがお嬢さんにあるならそりゃ見てみたいもんだ


鏑木・寥
【鏑木邸4】


骨で作るダイヤモンドってのはあるらしい

宝石はつい値段を気にする
自分に値札が付けられると考えると微妙な気分だな
そんなに高値がつかない気がするし

という訳で俺も控え席に居よう
飲み過ぎじゃねえのおっさん
美味しいお酒はそりゃちゃんと確保してあるが、
それこそお代次第っていうか…なあ

歳とってくるとキラキラを見るのも疲れる
ほんと眩しいな……これ、助けいる?
まあ、俺の助けなんてあってないようなもんだが

眩しさを誤魔化すように火を入れる
煙を吹かせば少しはマシかな
幸せな世界を見せるのだけは、俺も割と得意なもので

魔女の村って観光名所として盛り返せそうだし
……ヤル気と元手がありゃ、また何とかなるんじゃねえの



●宝石にはなれないけれど
 きらきら、くるくる。
 宝石が踊るように従う中、宝石の魔女――ザ・ソウルケージ・ジュエラーが姿を現す。穏やかな少女のような見目に反し、瞳は昏き光を灯していた。
『あなた達は、そうね。仲間にはしてあげられないけれど――宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?』
 無邪気な笑みを浮かべて、宝石の魔女が一切合切の意思を無視してそう言った。
「宝石、ですか」
 人って宝石になるんですね、と雨野・雲珠(慚愧・f22865)が興味深げに話を聞いている。
「宝石……きらきら、きれい」
 アリスの為に呑み込むのも、宝石が多いのだと夕時雨・沙羅羅(あめだまり・f21090)がぽつりと零す。
「けれど、人の意思が込められた、呪われた宝石は……きれいでも、アリスにはあげられないな」
 きれいだけど、残念。
「人を宝石にするってよっぽどじゃない? おじさん石ころくらいにしかならないから他当たって」
 そりゃあもう、大人げないくらいに抵抗するからと霞末・遵(二分と半分・f28427)が言う。他当たって、まじで。
 こんだけ言っておけば狙われたりはしないだろうと、遵がそっと後ろに下がる。勿論手にはワインの入ったコップを手にして。
「骨で作るダイヤモンドってのはあるらしい」
「骨からダイヤを……!」
 どういう技術なんでしょう、骨からとは、と鏑木・寥(しあわせの売人・f22508)が何気なく言った一言に、雲珠が好奇心からか瞳を輝かせている。
「あー、詳しくは知らんが、遺骨の中の炭素を取り出して高温と高圧にかけて作る合成ダイヤとかって聞いたな」
「死んだ後の骨でダイヤって、怖くないのかね?」
 ひとって変わったこと考えるよね、と遵がワインを一口飲んだ。
「でも大事な人の形見としてなら、持っておきたいという気持ちもわからなくはないです」
 俺はちゃんと埋葬してさしあげますけど、と雲珠が言い、沙羅羅がぼんやりと考える。
「骨、吞み込むのと埋葬するの、どっちがいいのかな……」
「物騒すぎない?」
 遵にはそう言われてしまったけれど、ちょっと考えてもどっちがいいのかわからなかったので、沙羅羅はそれを宿題にすることにして宝石の魔女に視線を向けた。
「宝石はつい値段が気になるからな。自分に値札が付けられると考えると微妙な気分だな」
 そも、そんなに高値が付くような宝石になるとも思えないと考えつつ、いつの間にか休憩所の方で座ってワインを飲んでいる遵を見てそちらに向かった。
「という訳で、俺も控え席に居よう」
「お疲れになりました?」
 うん、と頷いた寥とさっきよりいいペースでお酒を飲んでいる遵を見て、雲珠はわかりましたと頷いた。
「シャララさん、俺たちで頑張りましょう」
「うん、うずさんとがんばる」
 尾鰭をぴしゃんと揺らし、水飛沫を飛ばしつつ沙羅羅が雲珠の隣に立つ。
「若いっていいねえ、キラキラしてるね」
 若者たちに安全を保障されたとばかりに、ワインをぐいっと飲み干して遵がおかわりあるかな、と首を傾げた。
「飲み過ぎじゃねえの、おっさん」
「いや全然酔ってないけどまだいけるけど全然」
 多少回ってるかもしれないけど、まだいけるいける、と遵が笑う。
「それで、おかわりまだある? ないの?」
「……なくはない」
「ほんと? お兄さんお酒残ってたらちょっとちょーだい」
 寥はこういうところ確りしているので、美味しいお酒はそりゃあちゃんと確保してある。あるけれど、このうわばみみたいな男に出すのはなんだかなあ。
「お代次第だな」
「いいじゃんおじさんとの仲じゃない」
 どんな仲だよと言えば、ええ……お酒仲間? と遵ががにへらと目を細めた。
 そんな酔っ払いを後ろにして、雲珠と沙羅羅は宝石の魔女と対峙していた。
『ふふ、あなたもあなたも、綺麗な宝石になりそうね』
 あなたはバイカラーのトルマリンかしら、その瞳のような、と魔女がころころと笑う。
「はいっ」
 魔女に臆することなく、雲珠が真っ直ぐに手を挙げて発言権を求める。魔女は面白そうに頷いた。
「今からと言われると困っちゃいますが、死んでから遺体を宝石に転換できるなら素敵だと思います!」
 色々考えた結果の感想文だった。
「は……これってもしかして」
「シャララさん?」
「僕を宝石にするという話だった?」
 ええとはい、そうですねと雲珠が頷く。
「僕は人にコレクションされる趣味は無いから……ほかのみんなは……ワビサビのある宝石になりそうだけど」
 でもきっと、どれも大人しく仕舞われたり、魔女の言うことを聞くような宝石にはならなさそうと沙羅羅がぼんやりと思った。
『人の遺体には興味がないのよ、わたしが欲しいのは魂だもの』
「えっそうなんですか……」
 円満な解決にならなかったな、と思いつつ雲珠が顔を上げる。
「そうだとして、シャララさんはもう宝石みたいに綺麗ですし、生きてるほうがよっぽど綺麗だと思うんです」
 ですが、俺自身が遺産になれるのは魅力的です、とよくわからんアピールをしている。
「なあ」
「はい?」
 ちゃっかり無事だった飲食ブースからワインを失敬してきた遵が寥に生返事をしつつ、視線を遣る。
「あれどういう問答だと思う?」
「少年の好奇心と死ぬときの身の振り方……?」
 宝石の魔女を相手にやるのは中々に肝が据わっている、将来が楽しみだねえと遵がワインを飲む。そうか、と寥が残っていたサンドイッチを齧って、美味しいお酒をコップに注いだ。
「あっいいお酒あるんじゃない」
「お代次第だって言っただろ」
 宝石の魔女と少年たちのやり取りを眺めながらお酒を飲む大人たちも、大概であった。
 そんなことを言われているとは露知らず、雲珠は思い付いたことを宝石の魔女を相手にぶちまけていた。
「遺産になれば、あわよくば形見に持っていていただけるかも!」
 遺骨を肌身離さず持っているよりも、宝石の方が絶対に良いに決まってる。
「あっでも、金銭価値の高い宝石に成れるとは限らない……」
「うずさん、きんせんの価値がひくくても、そのひとが美しいって思えば、それはその人にとって、価値のあるものだとおもう」
「シャララさん……!」
 そうですね! と雲珠が瞳を輝かせる。
『あなたは宝石になってくれるのね?』
「あ、いえ。魔女様のこれくしょんにされてしまったら持っていて欲しい方の手元にはいけませんし、売れないでから」
 それなら骨ダイヤの方がよさそうです、と雲珠が結論を述べた。
「結局骨ダイヤに落ち着いちゃったよ」
「少年らしいっちゃ少年らしい……しっかし歳とってくるとキラキラを見るのも疲れる」
 眩しいのは宝石も、少年たちもで。
『そうなの、それじゃあわたしの好きにするわね』
 あなた達の意思は関係ないの、と宝石の魔女が笑う。
「辞退させていただきますね!」
「僕も」
 雲珠が背中の箱宮から無数の桜の根を放つ。それは雲珠の意のままに蠢き絡み付く、盾にはもってこいの代物だ。
 複雑に根を絡ませ、宝石の魔女から飛んでくる宝石を防ぐほどの大きさに成長させると前方に展開する。
「相手がひとりなら、水も少なくて良いか」
 さっきみたいにばっしゃんしなくてもいいかな、と沙羅羅が見えぬ水の珠や水の魚を魔女へと放った。
「ほんと眩しいな……これ助けいる?」
「いる……かな? おじさんも一応なんかしとこうか」
 ますます俺の助けはいらなくないか、と思ったけれど眩しいのをなんとかするかと寥が煙管に火を入れる。サンドイッチはもう食べてしまったし、良いだろう。
 煙を吹かし、わずかながらでも助けになるようにと宝石の魔女に向かって紫煙を放つ。
「幸せな世界を見せるのだけは、俺も割と得意なもので」
「おじさんはどうしようかな」
 うーん、と考えていると、四ノ宮で宝石を防いでいた雲珠が、そういえばと後ろを振り向いた。
「ところで村興しのリーダーを倒してしまって大丈夫でしょうか。村、滅びるのでは……?」
「村が滅ぶ? そういえば、そうなるか」
 言われてみればそうだと、沙羅羅が雫を放ちながら頷く。
「良いもの、いっぱいあった。なくなるのは、ざんねん」
 それを聞きながら、遵が諸行無常だねえとワインを飲み干した。
「この村も終わりかあ。人間って儚いなあ」
 じゃあ、花火は派手な方が良いよね。
「花火の話はしてないですのに……」
 だいぶお酒を召しておられましたから、酔ったのですねと雲珠が根を操りつつ呟く。
「おじさんも物作るの得意なんだ。バザーじゃないけど見てってよ」
 見てるの、お兄さんたちしかいないけど。
 遵が危なげない手付きで空間を撫で、宝石の魔女へと指を向ける。現れたのは魔改造が施された銃火器で、宝石の魔女を取り囲むように無数の銃口が魔女を狙う。
「気に入ったものがあれば安くしとくよお」
 ほら、と引鉄が引かれ、弾丸が魔女を穿つ。
 コピーできるものならしてごらんよ、と遵が笑ってから、寥に向かってお酒の無心をした。
「ろくでもねえおっさんだな……」
「こんなに役に立ってるのに??」
 宝石で防ぐのも限度があるのだろう、宝石の魔女が僅かに引く気配を見せる。
「魔女がいなくなっても、元の生活に戻っても、良いものつくってくれたら良い」
 ずっと考えていた言葉を沙羅羅が零しつつ、逃げ出しそうな魔女に向かって水の魚を放つ。
「魔女の村って観光名所として盛り返せそうじゃないか?」
 寥がなんとなく思った言葉を言えば、沙羅羅がなるほどと納得したように頷いた。
「純粋に楽しむためのマーケットが開かれるなら、きっとうれしい」
 そのときは、また遊びに行きたいと願うと、雲珠も俺もご一緒しますと手を挙げる。
「……ヤル気と元手がありゃ、また何とかなるんじゃねえの」
 煙管を吹かしながら、寥が言う。
 一度壊れたものを元に戻すのは大層な労力が掛かるだろうけれど、その熱意があるならば人は幾らでも立ち直ることが出来るのだから。
 その為にも、まずは魔女を倒そうと沙羅羅の水の魚と遵の数多浮かんだ銃火器が逃げ出そうとする魔女に向かって一斉に放たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鰐淵・玲士郎
【WIZ】絲織くん(f25783)と一緒に行動
さあ、大詰めだ。気をつけていこう。
僕を宝石にしたところで、そう綺麗なものになるとは思えないがね。それに、絲織くんを宝石に変えてしまうなんて勿体ない。僕とは美意識が合わないようだね。

意趣返しとして彼女の宝石を『皆殺しの庭』で地雷に変えて爆破してあげよう。
これ以上の煽りはないんじゃないかな。
激昂するなら、そこが絲織くんの付け入る隙になる。

ところで絲織くん。後学のために聞いておきたいのだけどね。好みの宝石はあるかな?
なるほど、青い宝石か。覚えておくよ。(絲織くんの薬指に何気なく目を向けて)


松永・絲織
玲士郎(f29308)さんと参加

いよいよの大物魔女との対決ですね
宝石は綺麗で素敵ですが、自分がなりたいわけではありませんね
玲士郎さん、最後まで気を抜かずに行きましょう

蜘蛛の力を引き続き解放

宝石の動きなどに注意し、必要とあらば蜘蛛の糸を使って近くにあるものを引き寄せて盾にしたり、【空中機動】で素早く移動
敵の攻撃をかわしながら隙を見て攻撃をしていきましょう
玲士郎さんの地雷、爆風をうまく利用して、一気に踏み込んで斬撃!
機は逃しません!

え、私の宝石の好み、ですか……?
そうですね、サファイアとか青いものが好きですね(ちらりと瞳を見ながら



●それは青く輝く光
 きらきら、くるくる。夜の中でも輝くそれは美しくもあり、禍々しくもあった。
『宝石にして、いつまでも私の元で輝かせてあげる。あなた達はどんな宝石になるのかしらね?』
 そう言った宝石の魔女、ザ・ソウルケージ・ジュエラーにも同様の印象を受けた鰐淵・玲士郎(オウガブラッドの猟奇探偵・f29308)がつまらなさそうに前髪を掻き上げた。
「僕を宝石にしたところで、そう綺麗なものになるとは思えないがね」
『そうかしら? あなたが思うより、きっと綺麗な宝石になるわ』
 その瞳のような、青い石に。
 くすくすと笑う宝石の魔女に向かって、松永・絲織(うきぐも・f25783)も小さく首を横に振って言う。
「宝石は綺麗で素敵ですが、自分がなりたいわけではありませんね」
『宝石になれば、ずうっと幸せな夢の中に浸れるわ。辛いことも苦しいこともないのよ?』
 皆、宝石のままでいたいと言うわ。
 くるくる、きらきら、宝石は否定するでもなく肯定するでもなく、物言わぬ宝石として輝いている。
「それは言葉すら失くしてしまったからだろう。それに、絲織くんを宝石に変えてしまうなんて勿体ない。僕とは美意識が合わないようだね」
「意思があれば、救いを求めていたかもしれないでしょうね……れ、玲士郎さんも宝石になんて、ダメ……です」
 ふっと空気を和らげて、玲士郎が絲織に視線を向ける。
「大詰めだ、気をつけていこう」
「ええ、いよいよ大物、魔女との対決ですね。最後まで気を抜かずに行きましょう」
 視線を宝石の魔女へと戻し、絲織が前へ出る。先程の戦闘を同じように、蜘蛛の力を解放していく。蜘蛛の脚を生やし、闇に紛れるように駆けた。
「さて、僕は絲織くんの援護といこうか」
 すっと玲士郎が瞳を細め、狙いを宝石の魔女が侍らせる宝石に定める。
「皆殺しの庭、とくと味わうといい」
 紡がれる言葉の先、宝石を地雷に変えて。視線一つで爆破させれば、宝石の魔女が一瞬驚いたような顔を見せた。
「ふふ、君の大切な宝石を地雷に変える、驚いたかな?」
 これ以上の煽りはないだろうと、玲士郎が唇の端を持ち上げて、また一つ、二つと爆破していく。
『私の大事な宝石に、なんてことなさるのかしら』
 不機嫌そうに歪められた顔で宝石の魔女が眩く輝く宝石を飛ばす。
 その中には玲士郎が望む夢の形が見えて、思わず息を飲む。けれど、そんな夢を微睡みながら宝石の中で享受するなど玲士郎の本当の望みではない。
「不愉快だな」
 宝石が爆破され、弾けて消える。
「お生憎だけれど、夢は現実で掴むものだよ」
 玲士郎が鋭い眼差しを向ければ、幾つもの宝石が音を立てて爆発していく。その隙を突いて、絲織が大太刀アシダカを宝石の魔女へと振り下ろした。
 刃は宝石で防がれ致命傷とまではいかなかったけれど、宝石の魔女に確かな傷を負わせている。
「その宝石、どこまで持つのでしょうね?」
 そう言いながら、絲織が蜘蛛の糸を放ちながら距離を取った。
『幾つあるのかなんて数えたこともないけれど……そうね、たくさんあるわ』
 宝石の魔女がそう言うと、呪いの光を帯びた数多の宝石がきらきら、くるくると回転しながら絲織に向かって放たれる。
 幾つもの宝石を夜の中を舞い踊るように避け、時に盾になりそうなものを蜘蛛の糸で引き寄せてぶつけ、絲織が宝石の魔女の気を引いていく。
「すっかり彼女に夢中のようだけど、僕のことを忘れてないかい?」
 ふっと目を細め、魔女の宝石を地雷へと変え、絲織の動きに合わせて爆破させる。
 爆破の際の音や爆風に紛れ、絲織が宙を蹴り一気に踏み込む。
「機は逃しません!」
 大太刀を勢いよく振り抜いて、宝石ごと魔女の身体を斬り伏せた。
 宝石の魔女の身体が崩れ落ちれば、宝石達もその彩を失って魔女と共に消えていく。
「お疲れ様、絲織くん」
「玲士郎さんこそ、お疲れ様でした」
 大太刀を収め、蜘蛛脚をその身に戻した絲織がふわりと微笑む。
「ところで絲織くん」
「はい、なんでしょう?」
 こてんと首を傾げ、絲織が玲士郎の言葉を待つ。
「後学のために聞いておきたいのだけどね。好みの宝石はあるかな?」
「え、私の宝石の好み、ですか……?」
 ええと、と悩みつつ、絲織が玲士郎を見遣る。
 そこにあるのは美しい青、彼の瞳。
 本当は好きな宝石なんて、よくわからなかったけれど。
 あんまりにも彼の瞳が綺麗だったから、絲織の唇からするりと言葉が零れ落ちた。
「そうですね、サファイアとか青いものが好きですね」
「なるほど、青い宝石か。覚えておくよ」
 青い石なら、サファイアにタンザナイト、アイオライトにベニトアイト……色々あるけれど、彼女の指に輝くのならと玲士郎が絲織の薬指に何気なく視線をやって。
「玲士郎さん?」
「あ、いや。帰ろうか、絲織くん」
 はい、と頷いた彼女を連れて、岐路に就く。
 それからしばらくの間、どの青が彼女に似合うだろうかという、とても楽しくて悩ましい考え事をすることになるのだけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月30日


挿絵イラスト