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今宵われら、希望を奪う

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #無間のサイビア #鎧装騎兵 #グレイテスト号の"色男"

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●スペースシップワールド:異常重力場XX-2068
『余はこう考える』
 物理的・電子的に不安定な異空間に集うは、滅びたはずの宇宙怪獣の群れ。
 錚々たる顔ぶれを睥睨するのは、ことさらに強大な気配を纏う黒き巨躯であった。
『この世界には数多の星が煌く――それはつまり、人類文明といういのちの煌めきだ』
 オーブを掲げるようにした掌の内側に、超新星じみた輝きが生まれる。
 それは命の煌きではない。命を燃やし滅ぼし尽くす、邪悪なる破滅の炎だ。
『その中でことさらに輝くもの……すなわち、猟兵という希望を謳い伝える者ども。
 余らがこの宇宙を支配するならば、何よりもまずこの星の輝きを消さねばならぬ』
 暗黒の大帝、『無間のサイビア』の背後の空間が揺らめく。
 浮かび上がったのは、宇宙空間を進むいささかボロっちい見た目の舟だった。

 宇宙サーカス船、『グレイテスト号』。

 銀河帝国攻略戦以前から、猟兵に味方し激戦を潜り抜けたベテランの船だ。
 恐るべき兵器はない。だが、そこに住む人々は希望に満ち溢れている。
 平和を取り戻したこの世界で生きる希望を、「彼ら」が教えてくれたから。
 戦闘艦としてはあまりにも心もとない、ボロっちい貧乏船。
 だがそれこそが、猟兵という奇跡の戦士たちの持つ輝きの証明だった。

『いまこそ、余らの力を見せる時である』
 無間のサイビアは、破滅の光をゆっくりと握り潰した。
『全軍出撃せよ。これよりわれら、希望(ほし)を奪う――!!』
 そして光が絶え、闇が訪れた。
 滅びたはずの怪獣どもが、希望という星の輝きを喰らい尽くすために跋扈する!

●グリモアベース:予知者、クイン・クェンビー
「みんなみんなみんなー! 集合~~~!!」
 と、慌てた様子のグリモア猟兵が、その場に居た猟兵たちを呼び出した。
 一見すると少女めいているが、背丈と体つきを見れば男性だとわかる少年だ。
 ともあれ彼……クインは、集まった猟兵たちを見渡しこう言った。
「スペースシップワールドで、あの『猟書家』の新しい幹部が動き出したみたい!
 そいつの名前は、『無間のサイビア』。とーっても強い、侵略宇宙人だよ!!」
 ……クインはシリアスなのだが、いささか言葉の響きが珍妙である。
 侵略宇宙人。スペースシップワールド出身の猟兵でも、聞き馴染みがない言葉だ。
 まるで陳腐なサイエンスフィクションめいたワードではあるが……。
「ずーっとずっと昔に滅びたはずの宇宙人が、急に一斉に蘇って暴れ始めたんだよ!
 しかもそいつらは、クインたち猟兵を支援してくれる船に狙いを定めてるんだって!」
 そう言って、クインは予知で垣間見た船の特徴について解説した。
 宇宙サーカス船『グレイテスト』号――すでに幾度となく猟兵を乗せた船だ。
 船そのものの戦闘能力は皆無に等しい……だが問題は戦力の話ではない。
 この船に乗るのは、誰もが猟兵に命を、あるいは心を救われた人々ばかり。
 そして銀河帝国攻略戦や、クエーサービーストとの戦いさえも勝ち抜いたのである。
 まさしく、猟兵という希望を人々に伝える、生き字引とでも呼ぶべき船なのだ。
「放っておいたら、クインたちを信じてくれる人たちが大変なことになっちゃう。
 そしてあの世界の人たちみんなが、猟書家に勝てないって絶望しちゃうかも……!」
 オブリビオンは、絶望と恐怖に漬け込む。敵の狙いは、士気を挫くことなのだ。
 猟兵此処にありと敵に知らしめるためにも、負けるわけにはいかない!

「いまからみんなをグレイテスト号の近くに転送するから、とにかく敵を倒して。
 相手は宇宙人とか怪獣とか、ものすごーい数が一気に攻め込んでくるからね!」
 宇宙空間での戦闘は、先の戦争で猟兵が獲得した『特殊宇宙服』により問題ない。
 だが無尽蔵に召喚される異星人・怪獣軍団を倒すには、ボスの撃破が必須。
 敵の猛攻を凌ぎながら『無間のサイビア』の隠れ家を見つけ出し、叩く。
 それが、この作戦のミッションである。単純だが、易い戦いではない。
「ギリっギリまで頑張って踏ん張って立ち向かって、絶対にみんなを守り抜いて!
 きっとこの船の人たちが……ううん、世界中の人たちが、みんなを待ってるから!」
 退屈を持て余し蔓延る過去の残骸などに、好き放題させる道理などあるまい。
 破滅という宿命を塗り替える、それこそが猟兵の使命なのだから……!

「船の人たちも、みんなに力を貸してくれるはずだよ。一緒に戦えば心強いよね!
 名付けて、強豪・連合・ヒアウィーゴー作戦! えっ、名前ダサい? ええ~!?」
 しょんぼりと肩を落としつつ、クインは気を取り直した。
「それじゃあ、クインの分まで最善・最速・最強で、よろしくね!」
 信頼に満ちたその言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 マグロです。猟書家シナリオ第12弾です、押忍!!
 今回はスペースシップワールドで怪獣大決戦ですよ!
 猟書家ってなあに? とか詳しい話は、下記のURLをご参照ください。

●参考URL:猟書家の侵略
『 https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre.htm 』

●プレイングについて
『鎧装騎兵や宇宙船乗組員と協力して戦う』(2章どちらも)
 戦闘はおもに船外の宇宙空間で行われますが、過去の戦争で獲得した『特殊宇宙服』により、ほぼ生身と変わらない形で宇宙空間での活動が行なえます。
 もちろんキャバリアや宇宙バイクなど、乗り物を駆使してもらってもOKです!
(「私は神なので宇宙服なしでも問題なし!」とかも、だいたいオッケーです)

 今回は熱血バトル描写重視でアツくやっていこうと思います。
 成功や大成功でも、ある程度の演出的ダメージ描写があるかもしれません。
 ボロボロになりながらカッコよく敵を倒す、みたいのが好きな方にオススメです。
(ダメージ描写を極力避けてほしい場合はその旨をプレイングしてください)

●関連設定について
 今回のシナリオで登場する『グレイテスト号』は、いくつかの過去シナリオに登場したスペースシップです。
 詳しくは、タグ「#グレイテスト号の"色男"」をご参照ください。
(もちろん、知らなくてもご参加いただく上ではまったく問題ありません)

●プレイング受付
 今回は『1/12(火)13:59前後まで』といたします。
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第1章 冒険 『宇宙亡霊軍団を突破せよ』

POW   :    敵軍団をユーベルコードで蹴散らし、再度召喚されるまでにボスを探す。

SPD   :    敵軍団を速度やテクニックで翻弄し、追いつかれぬうちにボスを探す。

WIZ   :    敵軍団を罠に嵌めるなどし、時間を稼いでいる間にボスを見つけ出す。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スペースシップワールド:宇宙船『グレイテスト号』
「オイオイオイオイ! オイオイオイオイオイオイオイ!!」
 鳴り響くレッドアラート、揺れる船体、止まぬ警報に次ぐ警報!
 派手派手しいカラフルなスーツを着た"色男"ジャックは、足早に通路を歩く。
「なんだなんだ? どうしたって急にウチが狙われた? こちとら貧乏船だぞ!
 ようやくデカい興業が終わって一息ついてたってのによォ……!!」
 この船の乗員、つまりサーカス団のメンバーは爪弾き者ばかり、戦う力はない。
 "色男"も、教導艦のスパルタ生活が耐えられず逃げ出した半端者である。
 未踏宙域探索の関係で、鎧装騎兵の部隊が乗り込んでいたのは僥倖だが……!
「しかもなんだありゃ! いつの時代の映画だよ、宇宙人だの怪獣だの!」
『記録ニ存在シナイ超古代ノ星間生命体ト推測サレマス』
「わかってんだよドリー、そんなことはよォ! 問題は俺らのことだよ!」
 電子頭脳・ドリーの言葉に、ジャックは八つ当たりじみて叫んだ。
『デスガコンナ時コソ、"彼ラ"ガ来テクレルノデハ?』
「それもわかってるさ! だが問題はそこじゃない」
 ジャックは猟兵たちを、その力を信じている。彼らは来てくれるはずだと。
 だがジャックが慌てふためき悩んでいたのは、そのことではない。
「――俺らだって、自分たちの力でなんとかしなきゃならんだろうが!」
 ただ救われ守られる側で終わりたくないという、意地だったのだ。

 同時刻、グレイテスト号周辺。
『こちらハル機、戦闘準備完了ッス!』
『同じくヨーコ機、いつでも行けます。隊長、ご命令を!』
 鎧装騎兵部隊『ストレンジャー』の面々が、大量の"黒"を前に展開していた。
『敵が7で宇宙が3、ってか? ったく、時代遅れのSFモンスターどもが』
 少数精鋭の部隊を率いるのはいぶし銀の騎兵、通称J・J。
『なんとしてでも船を守り抜くぞ、気合い入れろ!』
『了解!』
『オス!!』
 士気は十分、だがあまりにも多勢に無勢!
 侵略宇宙人と宇宙怪獣の群れはあまりにも数が多く、そして強大だ。
 鎧装騎兵の機動兵器をしてすら、なお巨大な怪獣も珍しくないのである。
 この窮地を救えるのは、猟兵を置いて他に無し。
 ハリーアップ、イェーガー!!
オニキス・リーゼンガング
友と/f16930 悪霊ですので宇宙服無し
心情)絶望的な状況でも諦めないヒト、わたくしは好きですよ。
弱いなら余計にね。
ふふ。これでも龍神ですから、守るのは好きなんです。
そうですね友よ、すでに散った命です。
今更惜しむこともない。いまある生命のため使いましょうか。
行動)空の上は重力がないそうで。ならば大きな氷塊を作り、
オーラでしっかり覆い固めて。《枝》で敵の群れに打ち込みますね。
エネルギーを充填して爆弾にするのも悪くないかも。
あとは…わたくしの届く範囲で危険に陥る味方がいれば、身を挺してかばいましょう。
腐っても龍神、金属よりは頑丈です。
ああ、友はかばいません。意味がないので。


朱酉・逢真
ダチと/f28022 神なので宇宙服ナシ(着れない)
心情)ひ、ひ、ひ。はずれ者らァのサーカス団かィ。いいねェ、ステキさ。魅力的だ。どんな"いのち"もそうだがね。さァさダチ公、いつもどォりだ。死んでも守るぜ。
行動)鎧装騎兵の機体らを覆うみてェに結界張って。こうすりゃ機体の内側は害せンようならァ。眷属ども。獣鳥虫魚のお前たち。死出の旅路だ、祝福しよう。暗い海を渡れ。"いのち"のため死んでこい。俺も、ああ。あのめったデカいのンにしよう。食われてやろう。神も悪魔も腐らす病毒、《過去》の坊やじゃどォもできんよ。



●宙(そら)に泳げよ獣鳥虫魚
 死んでいく、死んでいく、死んでいく。
 黄泉路を遡りて異界より来たりし獣が、魚が、鳥が、虫が。
 暗く昏い星の海を泳いで飛んで這い渡り、亡霊の群れと喰らい合って死んでいく。
 星のように。塵のように。芥のように、死んでいく。
「ひ、ひ、ひ――結界は万全だ。有象無象は眷属(あいつ)らに任せとけ」
「ならば、そのように。あなたもせいぜい派手に死ぬといいですよ、友」
「言われるまでもねェさ。ひひ」
 まるで次の再会を約束する友のように、気兼ねなく死を告げ、そして応えた。
 オニキス・リーゼンガングはあるかなしかの笑みを浮かべ、昏い海を跳ぶ。
 重力なき星の海。それは竜神にとっても、そう体験したことのある場ではない。
 新鮮味がある――そして恍惚、あるいは喜悦。闘争への喜びと歓びが。
 生命の存在許されぬこの領域に、渦巻くのは運命に抗うヒトの意思と熱量。
 絶望的な状況でも諦めないヒトの心意気、それは神にとって心地よい。
 庇護すべき脆弱な"いのち"ならば、なおのことに好ましかった。
「すでに散った命、惜しむべくもありますまい」
 オニキスが昏い海の虚空をなぞると、そこに氷が生まれた。
 宇宙とは熱と風のない死の世界、つまりは絶対零度の闇の海である。
 ならばそのマイナスの熱量を凝り固めることなど、オニキスには造作もなし。
 朱酉・逢真の眷属がミサイルのように翔んで泳いで這って死にゆくなか、
 巨大なる宇宙船のそれと競い合うように、巨大な氷の小惑星が生まれた。
『AAAAAARGH!!』
「亡霊が亡霊を喰らおうとするとは、実に面白いもの」
 対するは滅びた星の獣。宇宙怪獣とも呼ばれる星間宇宙の化け物だ。
 クエーサービーストと銘打たれた、現行の脅威には届かぬ、されど巨躯。
 オニキスはいましがた生み出した氷に指先で触れ、悪霊の力で表層を鎧った。
 触れるものあらばそのいのちの熱量を奪い取り、枯らし、滅ぼす死の凍気。
「獣相手に技は要らないでしょう。まとめて散りなさい」
 オニキスは――死のオーラで覆った氷の塊を、《枝》で殴りつけた。
 摩擦係数なき星の闇海を、巨大にすぎる氷塊が恐るべき速度で滑り跳んだ。
 叩き込まれた亀裂は飛翔しながらめきめきと氷の塊を覆い尽くしていく。
 そして破砕――いわば神の力で打ち出した、超音速の氷の散弾である。
 氷の塊をも飲み込みかねぬ宇宙怪獣の全身を、氷柱じみた散弾が撃ち、貫いた。
『AAAARGH――!?』
 ビーム砲をも寄せ付けぬ表皮を、鱗を、砕いて穿ち貫いていく。
 氷の塊を鎧う死のオーラが、一度死したる過去の残骸を内側から凍てつかせた。
 たちまち宇宙怪獣の巨躯は死の凍気によって固まる。声なき彫像の完成だ。
「これはいい道具が出来上がりましたね。利用しましょう」
 オニキスは宇宙怪獣だったモノに触れ、さらなる龍の神気を流し込んだ。
 絶命状態で凍りついた巨体が二倍近くに膨れ上がる。そして……爆散!!
「ひひひ! 張り切ってやがるなァ、守るモンがあると燃えるのかね」
 効率的に過ぎる死の連鎖に、逢真はけらけらと楽しそうに哂った。
 無防備である――当然、その身体は小魚のようにばくんと怪物に呑まれた。
 凍りついた宇宙怪獣をも超える巨体。宇宙船など爪で引き裂いてしまうだろう。
 もぐもぐと口の中で死肉を味わいながら、巨獣はオニキスに狙いをさだめた。
 蔓延る眷属の群れを尾と爪で殺しに殺し、次は龍神を喰らおうとする。
「次があるのならば、口に含む"もの"は選り好みするのをおすすめしますよ」
 オニキスは薄く笑った――その言葉の意味を巨獣が吟味することはなかった。
 口からはどろどろに穢れた血が噴き出し、はらわたが裂けて飛び出す。
 一瞬にしてその巨体は壊死し、崩れ果てた身体は眷属に呑まれ裂かれ食われた。
「かばってくれてもいいンじゃねェかい、せめてポーズだけはよ」
「無意味に過ぎます。あなたが面白がるだけでしょう?」
「ひ、ひ、ひ! それが大事なンだよ、それが――」
 死肉を糧に新たに"生じた"宿が、陰気な笑みを浮かべた。
 オニキスは付き合ってられないとばかりに頭を振り、次なる獣の群れを視る。
 命なき星の海に浮かぶ、あまりにもか細くか弱き"いのち"の群れ。
 それを守るため、ヒトの姿をした神はその権能を惜しみなくふるい続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐生・零那
幾多の戦いを猟兵と共に戦い抜いた輩か、頼もしいな。
その希望の光、失わせるわけにはいかない。
救ってみせる。それこそが神の導きなのだから。

宇宙空間での戦いは初めてなんだが、この『特殊宇宙服』とやらは本当に大丈夫なのか?
いや、疑っている暇はないか。ダメならダメで、目を閉じ息を止め、気合でなんとかなるだろう。

しかし害獣どもがわらわらと。まるで巣から追い出された蟻のようだ。
まぁ、やることは変わらん。1匹の残らず駆除をするのみだ。

二刀を持って斬りはらっていくが、いかんせん数が多すぎる。
宇宙を駆ける騎兵と協力しようにも、この手は2本しかないからな。
それならもう1手加えるか。
【零ノ太刀】
視線の先の敵を斬る。



●希望妬む獣を討て
 聞くところによると、この『特殊宇宙服』は超古代の遺物であるらしい。
 先の『銀河帝国攻略戦』において、古代文明の宇宙船から賜ったものである、と。
「……不思議なものだな。一切違和感がない」
 宇宙空間に出た桐生・零那は、透明な宇宙服を引っ張り顔を顰めた。
 ほぼ完全透明かつ一切動きを妨げない特殊宇宙服は、もはや生身と変わらない。
 服の上から着ても、この通り着けていることすら忘れそうなレベルだ。
 その自然さが、かえって零那の不安感を掻き立てる――というよりは、不信感か。
「まあ、いい。どうやら――疑っている暇もなさそうだからな」
 零那は、飛来する無数の侵略亡霊の群れを鋭く睨みつけた。
 銀河帝国よりもなお旧き、惑星在りし頃に人々を脅かした宇宙人と怪獣。
 なんともSFじみた突飛ない敵だが、この星の海ではいまさらな話である。
「まるで巣から追い出された蟻のようだ」
 零那はぴくりとも笑わずに冗談を言い、両手を翼のごとく広げた。
 左手に握るは"影無"。使い手の生命力を啜って力を増す怨嗟の魔剣。
 右手に握るは"神威"。神に仇なすモノに苦悶と解放をもたらす神剣。
 星間宇宙を飛翔する化け物を相手にするには、あまりにも頼りない――が。
「征くぞ」
 零那は思考によって宇宙服の推進を得ると、音なき宇宙を滑るように跳んだ。
 淀みない動作。戯画化した悪魔のごとき侵略宇宙人が襲いかかる!

 ――はたして。
 蟹を思わせる甲殻類じみた宇宙人の腕は、ばっくりと真っ二つに割れた。
 神速の斬撃。切断面は肩口まで到達し、そこからさらに呪詛が染み込んだ。
 零那はもはや斬った獲物を振り返らない、あれはすでに死んでいるからである。
 続けざまに蛇めいた怪獣、その巨躯は零那の10倍近い。
「遅いな」
 神剣が唸った。大気中であれば真空の斬撃さえも生み出すほどの速度だ。
 蛇めいた怪獣は、まな板に穿たれた鰻のごとくばっくりと裂けて死ぬ。
 剣を振るうたびに害獣どもは死んでいく。たった二振りの刃で。
 ……二振り? 否。零那が振るう刃は、その実みっつ。
「希望の光を、お前たちのような過去の亡霊に奪わせるわけにはいかない。散れ」
 異色の双眸が細まれば、その眼差し自体が斬撃となりて敵を斬った。
 これぞ抜かずの刃、あるいは零ノ太刀とも渾名される、触れず・振らずの剣。
 生命の存在許さぬ暗黒よりも、その殺意は鋭く、冷たく――そして、無慈悲である。

成功 🔵​🔵​🔴​

砲撃怪獣・ガンドドン
(☆喋りません。かわりにガオォンとかで意思疎通します)
招集に応じて戦場へと出撃するが、敵の戦力は強大だ。
いかに猟兵の力があっても、自分の戦闘力では敵の軍団に対抗するのは困難だろう。
そう思考するガンドドンの近辺で、ストレンジャー隊の戦士たちが戦う様子が見える。彼らもまた敵の軍団に苦戦を強いられていた。
ここでガンドドンは考える。
彼らの扱う特宙機(対侵略者特殊宙挺機甲)を生み出した開発技術の一部は、ガンドドンを生み出したものと共通する部分がある
であれば――規格にもまた共通する部分があるはずだ

ストレンジャー隊の特宙機へと通信し、そして合体プログラムを起動。
【武装合体】によって彼らのマシンを強化し、戦う



●リ・ストレンジャーズ
『すげえ……!』
『ハル、感心してる場合じゃないよ! 応戦して!』
『お、押忍!!』
 猟兵たちの戦いを目の当たりにしたふたりの鎧装騎兵は、船を守り続けた。
 ふたりの駆る機体は、身に纏う鎧というよりは一種の機動兵器である。
 他世界のそれに照らし合わせるならば、規模はキャバリアのそれに近い。
 だがやんぬるかな、彼らが精鋭と言えど、この数の利はあまりに覆しがたかった。
 船を守らねばならないという状況も、ストレンジャー隊を苦しめる。
『キャアアッ!!』
『ヨーコ! ……くそっ、ハル! ヨーコ機の援護に回れ!』
『押忍!!』
 隊長J・Jの指示を受け、ハル青年は被弾したヨーコの機体をカバーする。
 だがそこへ襲いかかるのは、鮫めいた鋭角的フォルムを持つ恐るべき宇宙怪獣。
 凶悪銀河鮫・ジェネマガーグ! 小惑星をも飲み込む超巨大怪獣だ!
『ハ、ハル……!』
『大丈夫っス、ヨーコ先輩! オレが……絶対に守り抜いてみせます!!』
 サイズ差はあまりにも圧倒的。さらに周囲には多数の侵略宇宙人が展開。
 J・Jも援護には間に合わない。それでもハルは諦めることなく攻撃を続けた……!

 緊迫した状況を、もうひとり――否、もう一機の存在が目の当たりにしていた。
 砲撃怪獣・ガンドドン。銀河帝国に反逆せし、意志あるウォーマシン。
 それは……否、"彼"は見ていた。そして、聞いていた。
 この苦境にあっても諦めることなく、希望を、命を守るために戦うヒトの姿を。
 機動兵器構造、解析――データ一致。あれは自機と共通部分を持つ存在だ。
 人間の言葉で言えば、きょうだい。あるいは、同志……つまりは、仲間である。

 ……KRAAAAAAASH!!
『AAAAAARGH……!!』
「な……!」
 ジェネマガーグに飲み込まれかけていたハルは、すんでのところで命を救われた。
 横合いからツッコんだガンドドンが、彼の機体を守ったのである。
 だがその無茶の代償として、ガンドドンのボディは被弾し火花を散らしていた。
「お、オレたちを守ってくれた……のか?」

 ――ガォオン……!

 鋼鉄の獣は言葉を持たぬ。その咆哮は電子のこだまとなって響いた。
 読解は出来ぬ。だがハルは理解した。言葉ではなく、獣の裡に宿る意思を。
「一緒に……戦ってくれるんスか」

 ――……ガォオオオオン……ゴォアアアウッ!!

 言葉はいらなかった。ハルはたしかに、その咆哮から感じていたからだ。
「よォし……何がなんだかわかんねえけど、こっからが反撃っスよ!!」
 すなわち、正義。
 邪悪な願いの跳梁跋扈を許さぬ、未来と希望を守ろうとする獣の意思を!
『なんだこいつは? 何が起きて……?』
 J・Jも知らぬ機能が起動し、ストレンジャーの特宙機(対侵略者特殊宙挺機甲)をガンドドンと同期させていた。
 共通規格ゆえの合体機構。ハル機とガンドドンは、いま、ひとつになる!
 青・赤・そして銀。3つのカラーリングを持つ、刃のごとき鋭角的フォルム!

 ――ガォオオオン……ガキンッ!

「うおおおお!! ヨーコ先輩は……いや、この船の人たちも誰も、絶対に殺させねえ!!」
 ガンドドンとの合体により超パワーを得たハル機が、猛スピードで敵に接近。
 ジェネマガーグの顔面を殴り飛ばし、片腕にアームドフォートを収束展開!
「対宇宙怪獣用、多重収束熱線砲……発射あ!!」

 ――ガオォオオオオンッ!!

 獣の咆哮とともに放たれた巨大な熱線が、ジェネノガーグを体内から焼き滅ぼす。
 これこそが、侵略亡霊どもへの反撃の狼煙となった……!

成功 🔵​🔵​🔴​

煌燥・燿
ノノ(f07170)と参加

アレが例のとっておきか。
カッコいいな、俺も乗りてえ、赤いし。
しかし相棒があんなもの乗り回すようになっちゃ俺の力ももう必要ないんでは?
なーんてな。

相手が戦艦じゃなくて生物そのものなのは幸いだ
影焼透鏡の最大有効射程は6㎞ある筈だが
能力がカメラとレンズと俺のスペックに依存する都合
無反動砲みたいなゴツイの超望遠レンズでも
実質的な最大射程は300mになる。

その300mを頭に入れて迎撃してくれ。
そのラインを越えて来たヤツは俺が必ず撮り殺す!

ビームやミサイルみたいに仲間を巻き込まないのだけはまあ、プラスかねえ。
だいじょうぶだお前の晴れ姿も力は使わずしっかりカメラに収めといてやるよ!


ノノ・スメラギ
ヨウくん(f02597)と

どうだいヨウくん、ボクの新しいドレスは!
『VMガイスト・レプリカ』、VMAXシステムのナノマシンで強化したボク専用の宙間戦闘用キャバリアさ!
向かうは宇宙怪獣ども、お披露目としては悪くない。蹴散らしてやろうじゃあないか!

ああ、ヨウくん、後方の守りはキミに任せた! 
ボクは『レプリカ』で全力射撃(【砲撃】、【一斉斉射】、【誘導弾】、【弾幕】)と共に、敵軍に突貫してかく乱する! UCで得た速度があれば、並みのヤツはついてこれやしない!
鎧装騎兵のみんなは敵の乱れたところで各個撃破を狙ってくれ!

さあ、いくぞ! VMAXガイスト・レプリカ! 最初っから【限界突破】の全速で行くよ!



●宙を切り裂け、VMガイスト・レプリカ!
 紅き一条の流星が、暗黒をも覆う侵略宇宙人の群れを貫いた。
 遅れてその軌跡を爆炎が彩る。まるで淀んだ湖を清水が癒やすかのように。
「アレがノノのとっておきか……カッコいいな!」
『どうだいヨウくん、ボクの新しいドレスは!』
「ああ、最高だよ。俺も乗りてえぐらいだ」
『さすがにそれは難しいね。コイツは――"レプリカ"は、ボク専用機だからね!』
 紅き流星の正体は、ノノ・スメラギの駆る専用キャバリアである。
 コードネーム、VMガイスト・レプリカ。宙間戦闘特化スーパーロボット。
 VMAXシステムのナノマシンを駆動系に応用した、まさしくノノのための機体。
「……わかってるさ、そんなこと。だからこそカッコいいんだ」
 煌燥・燿は、相棒の"晴れ姿"に微笑むように目を細めた。
「お前の晴れ姿はきちんとカメラに収めておいてやるよ、相棒。
 だから――全力で蹴散らしてこい! 後ろは俺に任せておけ!!」
『ああ、ヨウくん。後方の守りはキミに任せた!』
 ノノの心は晴れやかだった。
 VMガイスト・レプリカの、予想以上の出力がもたらす高揚感もある。
 けれどもなにより少女の心を晴れやかにしていたのは、理解と信頼だった。
 相棒の――燿への複雑な感情は、少女にとって必要なプロセスだったのかもしれない。
 砕けかけた鋼がさらに強固に繋がるように、彼女の心は強く健やかになっていた。
 だから恐れはない。たとえ敵が万を超え億を超え、那由多の数ほど居ようとも。
「さあ、かかってこい宇宙怪獣ども! このレプリカを捉えきれるならね!!」
 VMガイスト・レプリカは、ランダムに動き回る原子めいてジグザグに飛翔する。
 摩擦係数なき宇宙では、レプリカの飛行速度は超音速にたやすく到達し得るのだ。
 紫・青・緑の怪光線をあざ笑うようにかいくぐり、回避しながらの一斉発射。
 VMランチャーの輝きが宇宙を貫き、爆散した怪獣の炎が暗黒を彩る!
「躊躇はしない、容赦も、出し惜しみもナシだ! レプリカ、全力で行くよ!!」
 いきなりのリミッターカットにより、全駆動系が悲鳴を上げた。
 鳴り響くレッドアラートを力技で黙らせ、ノノは不敵に笑みさえする。
 ナノセコンド単位で流れ込む敵出現情報を脳内処理しながら、虚数魔法の力場を展開。
 物理的制約を魔法的駆動で可能な限りゼロまで抑え込み、敵集団を蹂躙する!
「そうだ、相棒。お前はそれでいい」
 燿は頼もしげに紅き流星を見つめ、そしてシャッターを切った。
 魂を抜き出すカメラの魔力は、超・遠距離においてさえ生物に作用する。
 宇宙人であろうと、怪獣であろうと、かつてはこの星間宇宙に生きていたもの。
 すなわち知性を持ち魂ある存在ならば、ユーベルコードの対象足り得るのだ。
 VMガイスト・レプリカの猛攻をかいくぐった敵は、次々に魂を失い四散した。
 誰一人とて通すことなく、
 誰一人として見逃しはしない。
 最強のふたりの猛攻が、数で勝る侵略亡霊の大群を圧倒していく!
『ヨウくん、速すぎるからってブレブレの写真だけで終わらせたりしないでくれよ?』
「俺と誰だと思ってるんだ、ノノ。その勇姿は余さず撮影しているよ。
 ――お前の後ろを取ろうとする、不敵な連中だって、この通りな!」
『そうこなくっちゃ、ボクの相棒とは言えないね!』
 ふたりは嬉しげに言葉を交わし、敵を躱し、そして宿命を覆す。
 けして肩を並べることはない――ノノは少しばかり速すぎるからだ。
 けれども、それでいい。ふたりの戦いは、そうあるべきだと、ふたりは知った。
 ほつれ再び結ばれたバディの絆は、雲霞の如き侵略者にも引き裂けはしない!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミレア・ソリティス
作戦目標、敵集団及び指揮個体「猟書家」の殲滅
……並びに、友軍の、希望(ほし)の防衛。
任務了解しました。ミレア・ソリティス、出撃します

宙間戦用ユニット「ヴィントシュトス」(バイクモード)へと騎乗し鎧装騎兵隊に追従、同時にUC【コード・モルフェウス:LD】を起動。
本機周辺を半電脳領域化し、《情報収集/ハッキング/ジャミング》により領域内情報を“掌握(ドミネート)”

直接の応戦は砲戦用独立砲台ユニット「ヴィントシュティレ」に任せ、
領域内部の敵に対し、構造体の改竄破壊や、放たれた攻撃へと干渉し敵へ誘導・命中させつつ、友軍の損傷や欠損を書き換え修復・補填を行う等の友軍支援に専念します

※アドリブ他歓迎です。


黒川・闇慈
「補給も兵站も考えず数で向かってこれるのですからオブリビオンというのはタチが悪い……単艦相手に豪華なことです。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
これだけの数を相手に長期戦はすべきでありませんが……一定の支援はしておきませんと乗組員や鎧装騎兵の皆さんが保ちません。
私はグレイテスト号に残り、UCを用いて負傷者の救護を行いましょう。戦線離脱してきた鎧装騎兵、負傷した乗組員にまとめて治癒を掛けさせていただきますよ。

「負傷者を即座に前線へ送り返すのはなんともブラックな気もしますが……緊急事態ですのでどうかご容赦を……クックック」

【アドリブ歓迎】


オリヴィア・ローゼンタール
侵略する者、無辜の民を脅かす者を、私は赦しはしない

【巨躯変容・炎冠宰相】で巨大化変身
グレイテスト号と軍勢の間に割って入り、背に守る
大型や数の多いところは私が潰します
範囲や威力を重視すると、どうしても大雑把になってしまうので、グレイテスト号の皆さんにはフォローをお願いします

巨大な体躯は敵の注意を惹き付けるに充分な働きをするでしょう(存在感・おびき寄せ)

聖槍に炎を纏い(属性攻撃)、【怪力】を以って迫る軍勢へと叩き付ける
超高熱の【なぎ払い】は太陽風が如き【衝撃波】と化す
大型のものを聖槍で【串刺し】にし、穂先の魔力を解放(全力魔法)
内側から爆破する(焼却)
縦横無尽に暴れ回り、有象無象を【蹂躙】する


ゴロウザエモン・サンモト
▼アドリブ・連携歓迎
ちょっと公的な魔王の資格を取っている間に新たな猟書家がわらわらと…間引く必要がございますね。

武器を振り回すよりもこの場では素早く魔法を放つ方がよさそうなので【多重詠唱】【高速詠唱】による複数の魔法で敵を迎撃。

・援護について※【集団戦術】
武器を手斧に換装し味方に襲いかかる敵に加重の【呪詛】をかけ動きを鈍らせる。
やられそうな味方がいたら【早業】で槌頭を換装し不壊の小槌で【武器受け】するなどしてかばう。

ダメージがキツくても【激痛耐性】と【継戦能力】で戦い続け【威厳】を持って味方を鼓舞。

アイゴー!(自分を指差し)

ユーゴー!(味方たちを指差し)

ヒアウィーゴーでございます!(突撃)


カタリナ・エスペランサ
希望を奪う、か。言ってくれたものだ
当然許す筈も無い。過去なるもの、須らく未来に傅くべし――なんてね?
身の程って奴を教えてやるとしようか

《空中戦》技術フル活用、《覇気+存在感》の陽動と《目立たない+迷彩》の隠密を連続で切り替えて敵を攪乱するよ
《第六感+戦闘知識》で《見切り》敵の動きを先読みして立ち回る
魔法陣を仕込み時間差を付けて展開する派手な《破壊工作+属性攻撃+弾幕+蹂躙》は《生命力吸収》による《継戦能力》維持の一環さ
更に《暗殺》するように《早業》で【征服の聖印】発動
標的を《ハッキング》する刻印は刻めば刻む程に侵蝕を深める
《ブームの仕掛け人》として手勢を操り混乱を拡大、敵軍を食い破っていこう



●滅びの宿命(さだめ)を塗り替えろ!
『なるほど……ザイビア様がこれだけの戦力を投入するわけだ』
 大群の只中にありて、グレイテスト号を鋭く見据える影ひとつ。
 侵略宇宙人ムグレン星人。高い知能と科学力、そして強力なエネルギー操作能力を持つ、いわばこの侵略亡霊軍の幹部級とでも呼ぶべきネームド個体である。
『宇宙の希望、猟兵……そして猟兵どもを擁する人類。どちらも不要な存在だ。
 さあ進軍せよ、蘇りし宇宙怪獣たちよ! ザイビア様の意思のもとに!!』
 ムグレン星人の指揮のもと、無数の宇宙怪獣が統率された動きで船を襲う――!

「……新たな猟書家とその眷属がわらわらと。間引く必要がございますね!」
 宇宙船一隻を落とすには、あまりにも飽和的な大群。
 これを最前線で迎撃するのは、ゴロウザエモン・サンモトである。
 差し向けた五指から火・水・風・土・雷の元素魔法を招来し、迸らせた!
 五色の光線が宇宙怪獣の群れを稲妻の如く貫き、そして爆炎が宇宙を染める!
「大型の敵個体は私が請け負います!」
「ならアタシが敵の群れを陽動しよう。集まったところにいまの攻撃をもう一度!」
 敵の勢いがわずかに減じた瞬間、オリヴィア・ローゼンタールとカタリナ・エスペランサの二名が加勢し、ともに両翼へ突っ込んで敵個体を釘付けにする。
 浅間通り、オリヴィアは特に巨大な宇宙怪獣を真っ向から迎え撃ち一対一へ。
 対するカタリナは七色の翼を広げ、無視できぬ存在感と挑発的な動きで敵を惹きつけ、かと思えば光の魔力によってステルス化し、敵を幻惑するのだ。
『ほう……なるほど、即席の連携としてはなかなかですね。だが!』
 ムグレン星人は、巨大な二体の宇宙怪獣になんらかのエネルギーを注ぎ込んだ。
 するとエネルギー化した宇宙怪獣同士が融合し、一体の怪物へと変貌する!
 特徴的なのは頭部から突き出た赤い三本の角と、胸部から腹部にかけての髑髏めいた威圧的紋様である。
『行け、宇宙融合獣スカルガルラ! あの猟兵を抹殺するのだ!』

 ――ゴウォオオオオン……!!

 大気なき真空の宇宙を、髑髏を掲げた融合怪獣の咆哮が震わせた。
 凶悪な爪は、猟兵の肉体はおろか宇宙船の外壁すらもたやすく引き裂くだろう。
 だが、オリヴィアは臆さない。聖なる槍を掲げ、力強く叫んだ!
「天来せよ、我が守護天使! 世界にも等しき大いなる巨躯の一端を、この身に分け与え賜え……!!」
 見よ。聖槍は邪悪を滅する炎によって燃え上がり、紅き凶爪を受け止める。
 そしてオリヴィアの身体を祝福された武具が鎧えば、その背中から白き翼が生まれ……5メートル近い、正義を行使する炎冠宰相(メタトロン)に変じたのだ!
『退きなさい、邪悪な者よ。ここから先は一歩も通しません!!』
 黄金の炎を燃やし、オリヴィア……否、炎冠宰相メタトロンがスカルガルラを迎え撃つ。
 ムグレン星人は舌打ちし、さらなる大量の怪獣で押し返そうとした。
『あのちょこまかと鬱陶しい小娘を包囲し、押し潰せ!』
「それはアタシのことかい? そう簡単に捕まるつもりはないね!」
 カタリナは倍近くに増えた敵の猛攻を、かろうじて躱し続けていた。
 その軌跡を無数の魔法陣が追従し、やがて宇宙の暗黒に巨大な陣を描きあげる。
 魔術完成まであと一歩――しかし敵の数はさらに勢いを増す。多勢に無勢だ!

 ――KRA-TOOOOOM!!
『何!?』
 その時である。横合いからの砲撃が、カタリナを包囲する敵怪獣群を穿った。
 はるか後方、グレイテスト号をかばう形で出現する宇宙バイク! あれは!?
『……作戦目標、敵集団及び指揮個体"猟書家"の殲滅』
 宙間戦用ユニット「SV-00ヴィントシュトス」を駆るウォーマシンの通信が木霊する。
『……ならびに、友軍の、希望(ほし)の防衛。ミレア・ソリティス、戦線に加わります』
 宣言と同時に、ミレアは周囲の空間を強制的にハッキング、現実深度(リアリティレベル)を電脳魔術により改竄・不安定化する。
『コード・モルフェウス、アクティブ。半電脳領域を限定構築。
 領域を拡大開始。敵味方問わず、対象への直接干渉による支援を開始します』
 水に熔ける墨のような速度で急激に拡大した電脳領域が、敵の猛攻を留める。
 さらに先の砲撃の発生源でもある、砲戦用独立砲台ユニット「ヴィントシュティレ」を全力砲撃モードに移行、オリヴィアならびにカタリナの戦いを支援するのだ!
「これならよし――征服の聖印(インスタント・スレイブ)、起動!」
 そして見よ。カタリナの巨大魔法陣が明滅し、怪獣の群れに魔術的刻印を植え付けた。
 それは対象に疑似人格を植え付け、強制的に相手を支配する魔神の技である。
 一転して怪獣の群れは同士討ちし、あるいはムグレン星人を襲った!
『バカな! この数の宇宙怪獣の意思を掌握したと……!? ならば!!』
 ムグレン星人は、混乱の中心――すなわちカタリナを叩こうとする。
『させません。あなたがこの一群の指揮個体であることは分析済みです』
 そこへミレアの執拗な支援砲撃、さらに領域書き換えによる進路妨害。
 なおもムグレン星人は怪光線を繰り出すが、、ゴロウザエモンの斧が光線を切り裂く!
『破滅の宿命を拒むか? 愚かな生者どもめ!』
「それが汝らの言う宿命ならば、我らはそれを塗り替えることこそが使命。
 さあ皆様! いまこそ全員で突撃でございます! すなわち――!」
 ゴロウザエモンは自らを指差し、味方を指差し、小槌を掲げた!
「アイゴー! ユーゴー! ヒアウィーゴー、でございます!!」
「ああ、反撃開始といこうか!」
『半電脳領域、さらに拡大。敵軍団を完全打倒します』
「侵略する者、無辜の民を脅かす者を、私は赦しはしないっ!!」
 カタリナ、ミレア、そしてオリヴィアの猛攻が、敵前線を押し返す。
 その光景は、たしかにグレイテスト号にも届いていた!
「だ、大丈夫なのか? 俺たちは生き延びられるのか……?」
「ご安心を――と言っても、この状況では大した慰めにもならないでしょうが」
 恐怖に震える鎧装騎兵の身体に、黒川・闇慈は手をかざした。
 手のひらからその黒衣に似つかわしからぬ、慈愛に満ちた光があふれる。
 すると被弾により受けた傷口は、光によって癒やされ徐々にふさがっていく。
 負傷者は彼だけではない。猛攻を耐えしのいだグレイテスト号の面々が居る。
 サーカス団の団員に過ぎぬ彼らは、先遣突入した侵略宇宙人の群れを自力で撃退していたのだ。
 外の迎撃ではなく内側の援護に駆けつけた闇慈がいなければ、死傷者が出ていてもおかしくはなかった。
「補給も兵站も考えず数で向かってこれるのですから、オブリビオンというのはタチが悪い……単艦相手に豪華なことです。クックック」
「なあ猟兵さん、一体どうして連中はこの船を狙うんだ?」
「……それは、私の口から言うのは少々憚られますが」
 けが人の言葉に曖昧に笑いつつ、闇慈は目を細めた。
「敵がそれだけあなたがたを狙う意味を、勝利によってわからせてやりましょう。
 負傷者を即座に前線に送り返すのは気が引けますが、どうかご容赦を……クックック」
 彼らも戦う者として、再び立ち上がるのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

月汰・呂拇
■チームU
へッ、怪獣だあ? あっちじゃ時折喰ってたぐらいだ
舐めるなよ――オープンメガリス!
巨大化し怪獣軍団に真っ向から切り込む
ここは任せろってんだ!
巻き添え喰らいたくなきゃ、そこを退けッ!
体格差はある程度埋めたんだ
気合入れて行くぜッ! リミッター解除!
手斧に炎を纏わせて奴らを焼却だ!
飛び道具はオーラで弾き
分厚い皮膚は砕いて内側に衝撃を浴びせてやらあ!

分かってるっての……ここはジジィの元いた世界だ
訳の分からん奴のさばらせる程、俺は巨人が出来てねえんだ
さあ、ステーキになりたい奴からかかって来いッ!

敵を引き付けてユーノの探索を間接的に支援
それと鎧装騎兵軍団がやられねえ様に
俺が出来るだけ受けてやらあ!


ユーノ・ディエール
■チームU
侵略宇宙人? 不吉な予感がしますね
それに怪獣。この世界にも、そんなモノが……
ええ、分かってます。引く気など更々ありません!
こちらユーノ! 間に合ってますよね? ここから行きます!
…………呂拇が!

大丈夫、最大限援護しますからお構いなく
鎧装騎兵隊と共に悪しき怪獣軍団を倒すのです!

UC開放と共に騎乗したクルセイダーで最大戦速
開幕ミサイルの目晦ましで肉薄しつつ
デトネイターで串刺して潰します!
私の直掩にはデスワームがいるのです
迂闊に近付けばバラバラに引き千切ってやりましょう!

さあ、呂拇……あなたの力を見せなさい
あなた自身の願いの為に、やれッ!

撹乱させつつ私は侵略宇宙人を念動探知し続けましょう!



●嵐のごとくに熱くなれ
「はははははは、ははははははは!!」
 宇宙空間さえも震わせる咬傷は、紛れもなく侵略宇宙人アビ星人のそれ。
 超・超高熱の光球をその手に生み出し、太陽めいが輝きをグレイテスト号へ放つ。
「さあ、消し飛んでしまいなさい人類の希望よ! はははははは!!」
 熱量はこの世においてもっとも単純な暴力、光球の温度はまさしく破滅だ。
 グレイテスト号の人々は、目を灼くばかりの光を見た。そして破滅に呑まれ――。

 ――KRA-TOOOOOM!!
「はははは――何?」
 ……船をまるごと飲み込み焼き滅ぼすほどの光が、衰滅した。
 亜音速で飛来した巡航ミサイルによって、相殺されたのである。
 アビ星人は彼方を見やる。猛スピードでこちらに飛来する白亜の機影!
「あれは……!!」
『聞こえますか、グレイテスト号! こちらユーの、間に合ってますよね?』
『ああ、聞こえてるぜ! よく来てくれたな!』
 快哉めいて返ってきた"色男"の声に、ユーノ・ディエールは莞爾と微笑む。
 間に合ったのだ――いや、間に合わせる。もはや手遅れになどさせない。
 この宇宙で、この故郷で! あんな侵略者どもに命を奪わせるものか!
「ここから行きます、もう少しだけまっていてください――さあ、呂拇!!」
「へッ、言われるまでもねえ!!」
 クルセイダーと並走するのは、異形のマシン……いや、巨人であった。
 月汰・呂拇はぎらりとバイザーに光を走らせ、数多の怪獣と宇宙人を睨む。
「ここはジジィが元いた世界だ。何をすべきかなんざわかってるっての!」
「ならこちらも最大限援護します、あなたの力を見せなさい、呂拇!
 あなた自身の願いのために……やれッ!!」
「怪獣なんざ喰い飽きてンだよ――オープン・メガリスッ!!」
 呂拇の肉体がさらに3倍まで増強・拡大され、進撃スピードが加速する。
 撃墜されようとしていたストレンジャー隊の機体と、怪獣の間に割って入る!
『ギャギャギャ……!?』
「退きなさい、髑髏猛獣ブラッドキング! その男は手に余ります……!」
「させるかよ!!」
 アビ星人が怪獣を退かせるよりも、呂拇の反撃の方が早かった。
 機体を撃墜しようとした尾の一撃を装甲で弾き、返しの刃で炎の手斧を振るう。
 燃え盛る手斧は、髑髏猛獣の蛇腹めいた鱗をたやすく砕き、肉に食い込む!
『ギギィイイイアアッ!!』
「ハッ!! おい鎧装騎兵とやら、巻き添え喰らいたくなきゃ下がってな!」
『りょ、了解!』
 騎兵は後退、その入れ替わりにデトネイター機から発射されたミサイルが着弾。
 ブラッドキングは爆発を喰らい悶え苦しむ。呂拇は手斧を繰り返し叩きつけた!
「わけのわからん奴らをのさばらせるほど、俺は巨人が出来てねえのさ!
 さあ、ステーキにして食ってやるぜ! おおおおおおオオオオオオッ!!」
 呂拇の額から突き出た角が燃え上がり、手斧を包む炎の熱量が増した。
 それは斧刃を二倍、いや三倍にまで拡大したかのように白熱するほどだ。
 右拳の一撃でその名に違わぬ髑髏めいた頭蓋を殴りつけ、そして斧の一撃!
「ぶった切れやがれぇ!!」
『AAAARGH――!!』
 髑髏猛獣ブラッドキング、頭蓋より尻尾まで正中線と叩き割られ爆発四散!
 入れ替わりに襲いかかるアビ星人! デトネイター機の穂先が迎え撃つ!
「はははははは! 実に、実に忌々しいタイミングで来たものだ、猟兵!」
「アビ星人……! やはりあなたたちの仕業でしたか!」
「ほう、我が同胞をご存知のようだ。世話になった、と言っておきましょうか?」
 アビ星人はあざ笑うように短距離テレポートを繰り返し、デスワーム攻撃を回避。
 小規模な光球をばらまき、ユーノと呂拇の動きを釘付けにする。
「思い上がるのもそこまでです、アビ星人! あなたたちの好きにはさせません。
 宇宙の希望を穢したその罪、他の同族とともに骸の海で後悔してもらいます!」
「はははははは! なるほど、あなたたちが強者であることは認めましょう。
 しかし! 我々を率いるサイビア様は、あなたたちなど物の数ではない!!」
 破滅の光弾が膨れ上がる! ユーノと呂拇は顔を見合わせ頷いた!
「デスワーム!」
『AAAARGH!!』
「この程度……!」
「おっと、俺がいるのも忘れるなよぉ!?」
 光球はデスワームの迎撃に消費され、わずかな間隙が生まれた。
 呂拇が猛烈な勢いで斬りかかり、アビ星人は宇宙殺法でこれを凌ぐ。
「怪獣軍団よ! 私を援護するのです!」
『『『そうはさせるか!』』』
「!?」
 KA-BOOOOM!! 取って返した鎧装騎兵隊による、抜群のタイミングの支援だ!
 ビーム砲やミサイルが、アビ星人を守ろうとした宇宙怪獣を撃墜していく!
「これが宇宙の意思、そして! あなたたちの終焉です、アビ星人!!」
 ユーノの放った強烈な念動衝撃波が、アビ星人の守りを吹き飛ばした。
「バカな――!?」
「おおおおおおおおッ!!」
 そして呂拇の一撃! 袈裟懸けの手斧がアビ星人を……両断せしめる!!
「は、はは、はははは……! 申し訳ありません、サイビア様……!」
「――!」
「どうしたユーノ!」
「いま、たしかに感じました……かすかですが、無間のサイビアの気配を!」
 ユーノは顔を顰めた。感じた精神波の波長は――侮蔑。
 己の部下をすら見下し無価値とみなす、傲慢なる暴君のそれであった。
 ユーノは闘志を燃やした。決して侵略者を許さぬという、熱く嵐のような意思を!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
グレイテスト号……俺は惑星ロボの件以来か
けどどうやら、懐かしんでいる暇はないらしい

◆SPD

【迷彩】で姿を隠し、いつも通り隠密行動
同時に【武器改造】で旋棍を刀剣状に変形させておく
いつもの爆破手裏剣も用意

【目立たない】様に戦場を移動しつつ、爆破手裏剣で
敵の攻撃を妨害する等してストレンジャーを援護
同時に隙を見ながら【暗殺】で敵の数を減らしていく

とはいえ、ちまちまやってても埒があかないか
……仕方ないな

多少危険ではあるが、姿を隠したまま敵陣深くまで移動した後
【早業】で天墜のエンジン起動、同時に【破天剛砕錨】発動
そのままぶん回して(【範囲攻撃】)、纏めて敵を薙ぎ払う

その後はさっさと退散
被害を最小限に留める


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

たまぁにあるのよねぇ、なぜか事態の中心になる特異点みたいなとこって。
…まあ、巻き込まれる当人たちにはいい迷惑以外の何物でもないワケだけど。

あたしはミッドナイトレースに○騎乗して鎧装騎兵さんたちとユニット組んで動こうかしらねぇ。
これだけ無茶苦茶な数だと、狙うとか悠長なことしてるヒマなさそうだし…ゴールドシーン、お願いねぇ?
右手で射撃と〇投擲しつつ左手で●活殺を起動。味方の補助と回復しつつひたすら妨害と○範囲攻撃バラまくわぁ。
ソーンなら「障害」と「防壁」、カノなら「活性」と「炎」…同一術式で色々できる汎用性が魔術文字のウリだもの、めいっぱい活用しましょ。


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

猟書家…侵略者め…
彼らを救う為にそして奴らを屠る為に私はここへ来た…
行くぞ…私は処刑人…強豪…連合…ヒアウィーゴーッ!!!

[覚悟を胸に闘争心]を奮い立たせ
[オーラ防御を纏い空中戦]で宇宙へ跳ぼう

宇宙での[戦闘知識]を発揮しつつ
鉄塊剣と妖刀振るい敵群に[切り込み]
[なぎ払い範囲攻撃]で蹴散らし[存在感と悪目立ち]で
敵群を自身に惹き付けて鎧装騎兵達への攻撃を逸らそう

[武器受けと激痛耐性]で攻撃に耐え抜き[力を溜め]よう

力を溜めたら攻撃数の[早業と暴力]で敵群を次々に
討ち倒してゆき【悪虐なる者に残虐な死を】齎して
[蹂躙]してゆこう…

猟書家め…必ず見つけ出し、その首を刎ね飛ばしてやる!!!



●きたぞ! われらのイェーガー
 宇宙の暗黒を染め上げるのは、そこかしこで燃え上がる爆炎と光線の嵐。
 グレイテスト号は、今もって無事であるのが不思議なほどだった。
 ストレンジャー隊はベテランであるものの、そもそもの数が少なく劣勢だ。
 サーカス団員の中には、予備の宇宙戦闘用スーツで打って出る者も居たが、
 むしろそれは死期を早めるだけだった……そう、これまでであれば。

 だが、そうはさせじと馳せ参じた猟兵たちが、必滅の宿命を塗り替えたのだ。
 鎧装騎兵を率いて星間宇宙を飛翔するは、ティオレンシア・シーディア!
 左手で空中に魔法の文字を描くと、光り輝くルーン文字が魔弾となって放出。
 右手でグレネード投擲とリボルバー射撃を繰り返し、目についた敵を狙い撃つ!
「たまぁにあるのよねぇ、ああいう事態の中心になる特異点みたいなとこって。
 巻き込まれる当人たちにはたまったもんじゃないでしょうけどねぇ?」
 BLAMBLAMBLAMBLAM!! 弾丸は宇宙怪獣の巨体と比較すればあまりにも脆弱だ。
 しかし魔術文字によって励起された破壊力は、むしろ撃ち込まれた直後に炸裂する――外側からではなく、内部で爆弾めいて燃え上がり敵を苦しめるのだ。
 さらに光の壁となった魔術文字が、侵略宇宙人の怪光線から騎兵を守った!
『ちぃ! 生身の人間ごときが! 妙な力を使いおって!』
『あんな豆鉄砲で何が出来るものか。下がれ、バルバロ星人よ!』
『応!!』
 多種多彩な刀剣を我が物のように操る武闘派宇宙人、バルバロ星人が後退した。
 後退を指示した魔術宇宙人カッパー星人が、七色の光線を放射する!
「全機、散開しろ! 猟兵を巻き込まないようにするんだ!」
『『『了解!』』』
 鎧装騎兵部隊は四方へ散開し、追尾能力を持つ怪光線の範囲攻撃を回避する。
 ゴールドシーンと魔術文字によるブーストがなければ、不可能な機動力だ。
 中には回避しきれず被弾する機体も居たが、そこは"防壁"の文字が功を奏した。
 魔術文字の片鱗が怪光線を阻み、騎兵を爆散の危機から救ったのである。
「ダメよぉ、こういうときは頭から叩くのが鉄則でしょお?」
『フン、言われるまでもないわ――さあ行け、バルバロ星人!』
『バロロロォ!』
 そして、バルバロ星人が後退していたのはこの散開のためだった。
 がら空きになったティオレンシアを、八つ裂きにする構えである!
 ティオレンシアもこのコンビネーションを想定し、迎撃弾を構えていた。
 しかし彼女は何かに気づくと、バルバロ星人からカッパー星人に狙いを変える。
 一体何故だ? 鎧装騎兵たちが彼女を守るには、コンマ秒が足りないのに!

「させるかッ!!」
 その答えは、ティオレンシアを飛び越える形で飛び出した黒き影にあった。
 バルバロ星人の突き出した処刑槍を、クロス字に構えた二刀が受け止め、弾く。
 ガキン! と飛び散った火花は、バルバロ星人の身体を包み込む地獄の炎となる!
『バ、バロォオオオッ!?』
「猟書家の手先、蘇った侵略者の亡霊どもめ。私はお前たちを許さない。
 彼らを救い、そしてともに戦う仲間を守るため、私はここへ来たのだ!」
 暗く落ち窪んだ双眸に地獄の炎を燃え上がらせ、仇死原・アンナが叫んだ。
「私は処刑人……決めるぞ、覚悟を……!」
「相手はよろしくねぇ。他の連中はこっちで押し止めるわぁ」
 アンナは肩越しにティオレンシアを振り返り、こくりと頷いた。
 そして地獄の炎に悶え苦しむバルバロ星人に、二刀の猛攻を仕掛ける!
「強豪! 連合! ヒアウィーゴーッ!!」
『バロロロォ! 貴様のその剣、実に興味がある! 欲しいぞ、バロロッ!』
 バルバロ星人とていっぱしの戦士、不意は撃たれたが立て直しは早かった。
 処刑槍を捨てると長ドスめいたサーベルを引き抜き、アンナを迎え撃つ。
 一撃ごとに宇宙の暗黒に火花が散り、地獄の炎が両者を燃え上がらせた。
 バルバロ星人がアンナの身体を切り裂けば、そのダメージが炎の糧となる。
 燃え上がる地獄の炎は、ティオレンシアを、そして騎兵たちを守る力でもあるのだ!
「なるほど……敵対者の武器を奪い、己のものとして振るう盗人がお前の本性か」
『盗人? 違うな! 多彩なる宇宙海賊とでも言ってほしいねェ!』
「くだらん戯言をほざくな、侵略者め!!」
 アンナとバルバロ星人は、さながらぶつかりあう原子めいて宇宙を駆け抜ける。
 ティオレンシアは体勢を立て直し、散開した騎兵の援護に努めた。
 カッパー星人の攻撃がそれを阻む――かに見えたが、敵は攻めあぐねている。
「先ほどからなんだ? 我々の連携を乱すような、この妙な手裏剣は……!」
 ティオレンシアのグレネード攻撃と交互に炸裂する、謎めいた爆破手裏剣。
 それがカッパー星人の怪光線攻撃を妨害し、さらに怪獣の指揮をも乱していた。
 カッパー星人は騎兵隊を攻撃しながら、思念波で妨害者の位置を探ろうとする。
 だが、うまく焦点が絞れない。どうやら相当上手く隠れているようだ。
『バルバロ星人よ! 女ひとりにいつまで手間取っている!?』
『黙れ! この女なかなかの強者だ、なんとしてもこの武器が欲しい!』
『ちぃ、要らん興を乗らせおって……致し方なし。来い、侵略怪獣軍団!』
 カッパー星人が邪悪なる精神波を放つと、周囲の怪獣たちの目が紫色に輝いた。
 知性の低い怪獣を精神支配し、強制的に守りに使おうというつもりか!
 冷凍凶獣パゴラ、炎熱魔獣アギサイト、轟雷怪獣エレキラーの三体である!
『まずはあの女の猪口才な炎を灼き尽くせ、アギサイト!』
『AAAARGH!!』
 宇宙船をも一撃で消し炭に変える魔獣の超高熱ブレスが放たれ……ない!?
『GROWL!?』
 怪獣の横っ面を殴り飛ばしたのは、巨大化したチェーンアンカーである!
「本当は、隠れたまま仕事を進めたかったんだけどな……!」
 妨害者――月凪・ハルマは忌々しげに言うと、ぐるんと鎖を頭上で回した。
 鎖と連結しているのは、言わずもがなアギライトを殴り飛ばしたアンカーだ。
 それは拡大する竜巻のように、パゴラとエレキラーをも巻き込み敵を薙ぎ払う!
『ようやく姿を表したな、小賢しい妨害者め!』
「ちまちまやってても埒が明かないんでな。まあ、仕方ないさ」
 カッパー星人の放つ光線を躱しながら、ハルマはさらにアンカーを振り回す。
 備え付けのエンジンによって加速したアンカーの回転速度は、大渦の如し!
「どうせやるなら、精一杯足並みを乱させてもらうさッ!!」
 さらに回転速度に自らも乗ることで、ハルマは怪獣の冷凍光線を回避した。
 攻撃を避けながら爆破手裏剣を投擲し、エレキラーの電撃攻撃を阻害する!
 攻撃に利用したアンカーの反動をも回避に逆用する動きは、まさしく忍びのそれ。
 吹き飛ばされた怪獣の巨体に足場に蹴り渡り、カッパー星人に肉薄する!
『な……!?』
「――姿を現させたからって、ケリがついたと思ったのか?」
 その瞬間、ハルマはチェーンアンカー・天堕を手放していた。
 カッパー星人は目を見開く。その喉元に突き刺さる、忍者刀の刃先……!
「"こういうときは頭から叩くのが鉄則"、だろ? 侵略者さん」
『……!!』
 ハルマが姿を見せたのは、進退窮まっての苦し紛れなどではない。
 ここが姿を表すチャンスだという、確信があったがゆえの進撃なのだ。
 見よ。天墜に薙ぎ払われた怪獣の群れに、騎兵隊の猛烈な砲撃が襲いかかる!
「散発的な攻撃じゃダメよぉ、一体一体集中攻撃で落としていくわぁ」
『全機、照準を猟兵に合わせろ! 俺たちの火力を見せてやれ!』
『『『うおおおお!!』』』
 BLAMBLAMBLAM!! BRATATATATATA――KRA-TOOOOM!!
 宇宙怪獣、爆散! これもティオレンシアの魔術文字による火力増強の効果か!
『バロッ!? み、味方が!』
「隙を見せたな侵略者め。この私を前にして……!!」
 バルバロ星人の一瞬の混乱を見逃すほど、アンナは容赦を知らぬ。
 ためていた力を解き放ち、二刀で敵の武器を弾いてさらに身体を両断する!
『バ、バロォオオ……!!』
「安心しろ。お前の主の首も刎ね飛ばし、すぐに後を追わせてやる……!!」
 バルバロ星人の身体を地獄の炎が飲み込む。侵略宇宙人、爆散!
 三人は息つく暇なく、次なる侵略者を討つために宇宙を駆ける――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

宮前・紅
【POW】
宇宙船かあ、中々面白そうな舞台だね?
あはは♪今日くらいは"善"に投じても良さそうだ!
鎧装騎兵、宇宙船乗組員と協力して戦おうかな、勿論──俺のやり方でね

親指をガリッと噛んで、血を出す………それからUCを発動
フェイントで相手の攻撃を上手く躱せたら良いんだけど、隙を見てコンツェシュで敵を穿つ(貫通攻撃+暗殺+鎧無視攻撃)
俺に敵を集中させれればベストだけど、一瞬でも良い──気が逸らせさえすれば此方も動きやすくなるだろうしね
それに、俺が血を流せば流す程、敵は俺から目を逸らせない筈

良いよ、凄くイイ感じ──!!
あぁ、生きた心地ってこういうことを言うんだね
死の舞踏でも始めるかい?侵略者さん♪


戎崎・蒼
船外の宇宙空間での戦いか
慣れない場所だからこそ、気を引き締めて行こう
地の利は人の和に如かず、他の騎兵や乗組員とも協力して何とか敵軍団を押し返そう
…僕もせめて船を救う一助となれれば良いけれど

Syan-bulletを使って熱放射を狙い、細やかに攻撃を加えたい
弾丸を撃ち込むという点で運動エネルギーが生まれる為、比熱的現象にはならないと思う
命中したらUCを発動
水の凝固点はほぼ零度、対する宇宙の温度は3ケルビン……もし凍るとしても粉状の雪になると思われそうだが、これはこのUCを使った空間化における結晶化だ、ダメージは相当入るはず

…僕は知識からの予測しか出来ない、こればかりは上手くいくのを祈るしかないな



●宇宙に煌くダブル・カラー
 ガキ、ガギン、ガギン――ッ!!
 ぶつかり合っては反発を繰り返すふたつの刃と、その使い手。
 かたや腕と一体化したサーベルを振るうのは、暴君宇宙人ラヴァ星人である。
 そのサーベルさばきと悪辣な知性により、古代人類を苦しめたとされる強者だ。
 対してこれを迎え撃つのは、血の細剣を構えた宮前・紅であった。
 丁々発止に剣戟の最中にありて、その表情は浮かれる子どもめいて明るい。
「あははは♪ いいねぇ、次から次へと現れる敵・敵・敵! 盛り上がるなあ!」
『狂人め。死合の最中だというのに、ずいぶんと楽しそうに笑うではないか』
「そりゃ当然だよぉ――だって俺、いますっごい楽しいからさ!」
 紅がコンツェシュで斬りかかる。ラヴァ星人はサーベルで剣を受けた。
 かと思えば次の瞬間には、反撃(リポスト)の切っ先が紅の胸部を裂いている。
 フェンシングじみた攻防一体の剣技。暴君の名に相応しい縦横無尽さ!
「あは♪ 悪くないね」
『痛みを感じぬとでも……!?』
 紅はその傷に何の痛痒も感じていないかのように、倍の剣を繰り出した。
 痛みがない、ということはない。ただ紅は『押し殺している』だけの話だ。
「ねえ、もっと俺を楽しませてよ! 俺を切り裂いて、血を流させてごらん!
 今日は俺が"善"になれる貴重な一日なんだ、もっともっと楽しまなきゃあ!」
『ぬう……!!』
 趨勢は紅に傾き、ラヴァ星人は猛烈な剣戟を凌ぐ防戦一方の構えとなった。
 両者は混戦状態の戦場を、まるで流星のように猛スピードで飛翔する。
『怪獣軍団よ、加勢しろ! この男、どうやら私の手には余るようだ!』
「いいねぇ。多勢に無勢なんてもっと燃えてきちゃうよ! そう来なきゃ!」
 ラヴァ星人が怪獣を増援に呼び出そうとすると、紅はうっとりと笑った。
 言葉の半分は真実であり、もう半分はブラフといったところ。
 紅の真の狙いは、指揮官級であるラヴァ星人を釘付けにすることと、もう一つ。
 できるだけ多くの敵の目を惹きつけ、囮としてかき乱すことにあるのだ。
 そして紅の狙い通り、大量の怪獣が紅を狙って背後から襲いかかる……!

「――あいつ、また無茶を!」
 グレイテスト号の甲板上、超・遠距離から戦いを観測する戎崎・蒼が顔を顰めた。
 無謀に等しい突出を行っている時点で、紅(あれ)の狙いは読めていた……が、
 よもや本気で、たったひとりで囮を務めるつもりだとは信じきれなかったのだ。
(やだなあ蒼くんは――どうしてそんな顔をするのさ。俺、悪いことしてる?)
 きっと紅が蒼の渋面を見ていたら、こんなことを言っただろう。
("善"なら命を省みず、誰かのためにその身を犠牲にしてこそ……でしょ♪)
 だなんて、わかったような言葉で蒼をからかうに違いない。
 それが戦術的にも効果的であるからこそ、蒼は嫌悪と怒りに顔を顰めた。
 ――おそらくあいつは、蒼が援護することをすら織り込んでいるはずだ。
 その信頼が忌々しい。"そのつもりで此処に居る"自分の浅ましさも。
「……そんな偽善を働かれて死なれても、寝覚めが悪いんだ」
 蒼は言い繕うようにひとりごちて、かきん、と硝子めいた弾丸を装填した。
 指揮官級の侵略宇宙人は、紅の攻撃を凌ぐので手一杯の様子。
 であれば蒼の仕事は、怪獣を追撃する鎧装騎兵隊の攻撃を援護することだろう。
 巨大な怪獣を撃ち落とすには、その攻撃を一瞬でも抑え込んでやればいい。
 銃を構え、狙いを定める――宇宙空間という慣れない局地の状況を脳内で演算する。
 音と空気、そして熱のない死の世界。ならばやりようはある。
(苦しむ人々を華麗に救う、正義のヒーローを気取るつもりなんてない)
 ――ただ僕は、あんな奴らに殺される人々の犠牲を見たくないだけ。
 紅のように、ほとんど皮肉めいて"善"を謳うような性悪さは蒼にはない。
 ただ少しだけ――そう、ほんの少しだけ、あの奔放さが羨ましくもあった。
「――ならせめて、"証明"してみせるさ。僕だって、希望を救う一助になれると」
 正義の味方のように華々しくなくとも、彼らの道行きを切り開けるように。
 覚悟めいた決意とともにトリガーを引けば、音もなく氷の弾丸が放たれる。
 摩擦係数なき星間宇宙を駆け抜けた弾丸は、狙い過たず怪獣の頚椎に命中した。
 紅を背後から丸呑みにしようと、その大口を開いた瞬間に、である。
『――!?』
 命中地点を中心に、怪獣の頚椎付近は急速に結晶化、と同時に砕け散った。
 怪獣そのものの身体が持つ、まるで炉のような熱量による反応だ。
 まるで肉食の鳥に首をえぐられたような、無残な凍傷だけがその名残である。
 怪獣を追撃する鎧装騎兵隊のビーム砲が、その巨体を穿ち爆散せしめた!
「……よし。僕のユーベルコードは通用する。僕は――やれる」
 蒼は息を整え、次弾を装填すると同時に二射目を放った。
 狙いはラヴァ星人――否。それと戦う紅の背中をめがけて。

「――あっは」
 蒼ならばそうする、ということを、紅は読んでいた。
 紅は蒼の援護に気づく。そして、紙一重で銃撃を避ける。
 ……ということを、『蒼も承知の上であえて紅を狙った』のである。
 その程度ではあいつは殺せない、という腐れ縁めいた信頼があらばこそ。
 相互理解による無音の連携は、銃撃をラヴァ星人へと導かせた。
 回避は射線の提供、己を狙わぬ攻撃を暴君は避けきれぬ!
「バカな!?」
「じゃあね♪」
 そして細剣が、暴君の首を刎ねた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

曾場八野・熊五郎
【スペース悪巧み:前衛】
「我輩の縄張りに土足で踏み入るとは面の皮の厚い害獣でごわす。今こそ餌のために立ち上がる時でごわ」
「エナジーも補給したし、いざ合体でごわす!」
UCで超カブを変形させてキャバリアのコクピットとドッキングする(デンラ○ナー方式)
コクピットでスペース犬の餌をモリモリ食べながらキャバリアで出撃する

「宇宙で乗るのは初めてでごわすが何とかなるなる。熊五郎、いっきマ”!?」
スラスターの推力(ダッシュ61)+UCで座席にめり込んで止まれなくなる

「オメン……タスケ……ゴワ……」
野生の勘と追跡に加え、ティアーの軌道修正を受けグレイテスト号に近寄る敵に体当たりしながら勇敢に駆け回る


詩蒲・リクロウ
「スペース悪巧み:前衛」
あっち見てもこっち見ても敵敵敵。
こんな時はグラウンドクラッシャー出来たら楽なのに、地面も壁も無い宇宙じゃ使えないんですよねぇー!

ちょっとティアーさんリチャードさん!なんか、良さげな武器ないんですかね!斧だけじゃリーチも範囲も全然足りないんですけど!ってウワァーッデブリコワイ!いや、これ武器にすれば……。

頼りない武器に頼りになる仲間、心許ない足場に心強い応援……
今こそ勇気を奮う時!その為の一歩を今こそ踏み出す!「チキンハートシャウト!」改め「ブレイブハートロアー!」

意気地なしはこれっきり!
ティアーさんらばかりに格好いいとこ譲りませんからね!


リチャード・チェイス
【スペース悪巧み:後衛】
レディース&ジェントルメン&お爺さんお婆さん。
WSD(Worldを救うDeer)放送の時間である。
(現れたスクリーン鹿は楽屋(戦艦内を勝手に命名)のカメラ鹿と鹿波で繋がっているのだ)

見るがよい。世界の命運のため自ら奮い立たんとする彼等の姿を。
聞くがよい。我等を信じ持てる力を絞り出さんとする彼等の姿を。
(グレイテスト号クルーの応援がスクリーン鹿によって戦場へ届けられる)

若きシャーマンズゴーストよ。武器を所望かね。
ならば今しがた召喚したロバート・ハンセン君を連れていくがよい。
使い方? ははは、己の鹿と対話した者であれば言わずともである。


ティアー・ロード
【スペース悪巧み:前衛】

「乙女達はこの涙の支配者が守る!」

我が身とオーラ防御で鎧装騎兵の乙女達を庇いながら戦うよ
乙女に近づく敵には捨て身タックルの鉄槌だ!
「全く、まともに相手する数じゃないな」

「誰よりも何よりも乙女だけを守りたいものだが……
船を落とされる訳にもいかない」
「今度一緒に見に行くと、約束していてね」

「ここからはヒーロータイムだ!」
使用UCは【刻印「鹿鳴之宴」】!
誠に遺憾だがカメラ鹿を召喚し私達の活躍を中継!
【楽屋裏】からの声援を受け、私達はパワーアップするよ!

強化後は念動力で敵味方の攻撃の軌道を操作
敵を翻弄して道を共に切り開こう
「ハーッハッハ!
さぁ、足踏みしてるだけじゃ進まないぞ!」


ジョン・ブラウン
【スペース悪巧み:後衛】

「はーいはい了解。あっ、そこ線危ないよ」
グレイテスト号内にて、外部と通信しながらスタッフ鹿達に指示を出すジョン

「じゃあモニタその置いて、皆こっち並んで」

「えーでは今から、皆には画面の向こうのティアー達を全力で応援してもらいます」
「途切れたり声張ってなかったら死んじゃうのでガチでお願いします」

「そんでもって――あ、説得終わった?」
ウィスパーによるドリーへの説得と機体の強化を完了させ

「じゃあ僕はあっちで応援してるから、誰か操縦お願いね?」
船員に運転を任せてさっさとモニタの前にはけて行く

「ほら頑張れー!サーカスに連れて行くって約束してるんだから、ここで沈まれちゃ困るんだよ!」



●凶悪宇宙怪獣軍団! 対 スペース悪巧み
 彗星のように燃える巨大宇宙怪獣が、猛スピードでグレイテスト号に迫る。
 火炎超獣バルドンである! その熱量は、ビーム砲さえも歪曲させるほどだ!
『このままだと船に体当りされるぞ! なんとしても撃ち落せ!』
『ダメです、ビームが捻じ曲げられます! 実体弾はそもそも当たりません!』
 マシンガン、キャノン砲、荷電粒子砲、熱線砲、どれも完全無効化されてしまう。
『……ならせめて、私たちが盾になることで……!』
 ストレンジャー隊の勇気ある女性隊員は、捨て身の覚悟を決めた。
 バルドンの軌道上に立ち、文字通り肉の盾となろうというのだ!
『よせ――!!』
 隊長の声もむなしく、燃え上がる宇宙怪獣と機体が接触する……!

 ――かに、見えた。
 しかしバルドンはぐにゃりと急カーブを描き、てんで見当違いの方向に飛ぶ。
 というよりも、まるでぶつかりあったおはじきのように弾き飛ばされた!
「ギャオオオウッ!?」
 どうやらこれは、バルドンにとっても予想だにしない展開だったようだ。
 炎を四散させながら身構える火炎超獣。一方で、立ちはだかった隊員も呆然自失。
 なぜばらば、彼女を守ったのは間に割って入ったティアー・ロードだったからだ!
「乙女たちはこの涙の支配者が守る! さあ勇気あるお嬢さん、下がってるんだ」
『あ、ありがとうございます……!』
「なに、礼は不要さ。けどどうしてもというならさしあたり今夜食事グワーッ!?」
 KA-BOOOOM!! バルドンの吐き出した溶岩弾がティアーにド命中!
 オーラ防御によりダメージは減衰されたが、女性隊員は慌てて撤退した。
「ちょっとなんなんだキミは! 私がいま口説いてたの見えてなかったのかい!?」
「そもそもそういう場合じゃないですよねティアーさん! 戦闘中ですよ戦闘中!」
 と、遅れて駆けつけた詩蒲・リクロウがツッコミを入れた。
「細かいことはいいんだよ、ヒーローの口上を悪役が邪魔するのはルール違反だろう?」
「ヒーローは口説かないと思うんですけどね……まあいまさらですかね」
 リクロウは呆れた顔でティアーを見つつ、バルドンに向き直った。
 突撃を妨害されたバルドンは、再び超熱量の炎を全身に纏っている!
「こんな時はグラウンドクラッシャー出来たら楽なんですけどねえ!」
「地面も壁もない宇宙じゃどうしようもないさ。少し手が焼けそうだな」
 さきほどよりも高まっていく炎の熱量を感じたティアー。
「曾場八野くん! キミもこっちに応援に来たまえ! メカ乗ってるんだろう!」
『あーうるせーでごわすなーいま行くところだったんでごわすよマジでマジで。
 でもそんな風に頭ごなしに言われたもんだから、我輩やる気なくしたでごわす』
「反抗期の中学生みたいなこと言ってる場合です!? いいから来てください!」
『チッしょうがねえでごわすなー!!』
 とかなんとか漫才をしつつ、曾場八野・熊五郎のマシンが駆けつけた。
 先行して飛んできたキャバリアのコクピットに、カブごと乗り込む熊五郎!
「我輩の縄張りに土足で踏み入るとは、面の皮の厚い害獣どもでごわす!
 いまこそ正義……はどうでもいいや、餌のために立ち上がるときでごわ!」
「そこはもう少しヒーローっぽくしておきません!?」
「そうだよ、正義はどうでもいいけど一番大事なのは乙女のピンチさ」
「あなたこそ一応ヒーローですよねえ!?!?」
 リクロウのツッコミが追いつかない。まあいつものことである。
「ちなみに我輩、こいつに宇宙で乗るのは初めてでごわす」
「戦う前になんで不安にさせること云うんです!?」
「なんとかなるなる、熊五郎いっき……マ゛!?!?」
 ドォン!! と、キャバリアはとんでもねえスピードで加速した!
「「あ」」
 突撃1秒前のバルドンに真正面から体当りし、ピンボールめいて吹き飛ばす!
「ギャオオオン!?」
「ごわごわごわわわわわわわ」
 吹き飛ぶバルドン! 追い打ちするキャバリア! 吹き飛ぶ(以下繰り返し)
「「…………」」
 ティアーとリクロウは顔を見合わせる。
「「まああれはなんとかなる(ります)ね」」
 そして一瞬で忘れ去った。このチームに仲間意識とかそういうのはない。

 ……それはさておき、同時刻。グレイテスト号船内!
「ヤバイヤバイヤバイ、あっちもこっちも被弾して修理が間に合わねえ!」
 "色男"ジャックは、不格好なシルクハットを押さえて駆けずり回っていた。
 グレイテスト号はオンボロ宇宙船だ。装甲も武装もあまりに貧弱。
 流れ弾がかすめただけでも致命的になり得る。というか、なっている。
 船長にして座長みずから修理に東奔西走しなければならないほどに。
「ヤバイヤバイヤバイ! おい悪いなみんな、遅れ――アレッ?」
 そんなこんなでようやくブリッジに駆けつけたジャックであった、が。
「Aブロック消火完了! 外装は予備の資材で塞いでおくよ!」
「居住ブロックのほうはもう大丈夫、メンバーは救護室に!」
「万が一に備えて、サーカス用の備品はDブロックに集めておいた!」
 と、クルーたちはテキパキと働き、事態を解決しつつあった。
「はーいはい、諸々了解。あ、対空砲の照準はこっちに回してね。僕がやるよ」
「「「了解です艦長!」」」
「って待てや!?!? 船長は俺だよ俺ェ!!」
 なんかすごいデキるクルーみたいになってる一同にツッコミを入れるジャック。
 すると、片手間に対空砲の操作をしながら、新艦長(?)が振り返った。
「遅かったね旧艦長。悪いけどこの船は僕のものだよね」
「お前もノリノリでジャックすんなよ!? いや指揮は助かったけどよォ!」
「アッハハハ。まあウチのスタッフを指示しなきゃいけなかったからね」
 新艦長……もとい、ジョン・ブラウンはけらけらと笑う。
 画面の中では、対空砲の見事なエイムで宇宙怪獣が撃墜されていた。
「ウチのスタッフ? お前ら5人組じゃなかったっけか?」
「いつもはそう。けど今日は、とっておきのアイデアがあるんだよ。
 だからちょっとチームメンバーの手を借りて、応援を呼び出したんだ」
「応援……って、そのへんてこりんな生物どもか……???」
 ジャックが指差したのは、赤いお面のシャーマンズゴーストたちである。
 額にはちまきをしてせっせと修復作業に勤しむものもいれば、
 オペレーターのお手伝いをするもの、自ら光り輝いて発電(!?)するものも居た。
「うん。スタッフ鹿」
「鹿!? 鹿ってこんな見た目してねえだろ!?」
「いいや鹿である」
「ギャピィッ!?」
 背後からヌゥン、と出てきたリチャード・チェイスにビビるジャック。
「誰がなんと言おうと彼らは鹿である。鹿ったら鹿なのである」
「いや登場の仕方こええな!? つーかなんでそこまでこだわるんだよ!?」
「こだわるも何も、鹿を鹿と言うことは当然のことである。白は白、黒は黒である」
「そうそう、僕がジョン・ブラウンだっていうのと同じようなもんだよね」
「左様。つまり船長よ、小さなこだわりを捨てるべきはそちらのほうである」
「え……なんで俺のほうが変なこと言ってるみたいな扱いになってんだ……???」
 大変に不名誉で不満であったが、ジャックは飲み込むことにした。非常事態だから。
 実際スタッフ鹿(???)のおかげで、手が足りていることは事実なのだ。
「それよりも、である。いまこそ諸君の力を借りるときであるな」
「そうそう、準備も終わりそうだからね。クルーを集めてもらえるかい」
「クルーを……? それが、お前らの言う"いいアイデア"なのか?」
 リチャードとジョンは顔を見合わせる。そして、ジョンがにやりと笑った。
「ああ。みんなも一緒に"戦う"ことが出来る、最高にクールでスマートなやり方さ」
「時間はないのであるぞ座長よ。さあ鹿のごとく真面目に働くのである!」
「俺いままでずっと真面目にやってんだけどなぁ!?」
 なぜか強い勢いでどやされて、笑いながら飛び出すジャックだった。

「ごわああああああああ!? ごおおおおおおおおおおお!?」
 ビュンビュンビュンビュン! 猛スピードでランダムに飛び回るキャバリア!
 あまりにもランダムすぎるその動きが、かえって敵を牽制していた。
 ティアーとリクロウは熊五郎の犠牲を無駄にしないため、機体のあとに続く。
 ビビって退いた怪獣をぶん殴ったりオーラアタック(物理)を仕掛けたり。
 しかし(ものすげえGで餌ゲロってる熊五郎はさておき)敵の包囲網は狭まりつつあった。そもそもの数が多すぎるのだ!
「ごわあああああ!! 我輩たす たすけ おぼぼぼぼぼぼ」
「まずいね、これは……」
「ええ、さすがに熊五郎さんを救助」
「いやそれはいいとして」
「いいんです!?」
「囲まれているようだよ。まったく、まともに相手する数じゃないな」
 リクロウはティアーの言葉にツッコミを入れるのを我慢しつつ、周りを見た。
 なるほどたしかに、侵略宇宙人と怪獣の群れがふたっりを完全包囲している!
「……たしかにこれはネタじゃなさそうですね。なにか良さげな武器とかは」
「"私は"持ち合わせがないよ。けれど遺憾ながら、手はある」
「それは!?」
「――本当に遺憾なのだけれどね! コードセレクト、ザ・ディアー!!」
 光が生まれ、召喚されたのは――カメラを持ったシャーマンズゴースト!?
「……」
「……」
「…………なんですかこれええええ!?」
 リクロウの叫びもごもっともである。鹿(鹿ではない)に何が出来ると!?
『何を言っているか若きシャーマンズゴーストよ、見ての通り鹿である』
「この状況にそっちこそ何言ってるんですかリチャードさん!?」
 カメラ鹿の持つ通信機から、リチャードの声が聞こえてきた。
『案ずるなかれ若人よ、そのロバート・ハンセン君は武器としても使えるのだ』
「使えるわけないじゃないですか!? だいたいなんですかこのカメラは!」
『よくぞ聞いてくれた。これこそWSD放送の要である!』
「「WSD放送」」
『ワールドを救うディアー、略してWSD放送である』
「「ワールドを救うディアー」」
 せめてそこはスペースにしろよとか、そんなツッコミは無粋である。

 さて、カメラゴースト……もといカメラ鹿が撮影している映像はというと。
 脳波(!?)を通じ、グレイテスト号船内のかスクリーンに投影されていた!
 ちなみに、スクリーンを用意したのも鹿である。鹿ってなんなんだ(哲学)
「レディース・アンド・ジェントルメン・アンド・お爺さんお婆さん。
 見るがよい。世界の命運のため、自ら奮い立たんとする彼らの姿を」
 スクリーンに映し出されるのは、悪巧みの面々だけではない。
 グレイテスト号を守ろうと、己の身を犠牲にしてでも戦う騎兵たち。
 すなわち希望のために立ち上がらんとする、多くの人々の姿だった。
「こ、こいつは……!」
「そう、これが"アイデア"さ。みんなで画面の向こうの"ヒーロー"を応援するんだ」
 驚愕するジャックとクルーたちに、ジョンは言った。
「言っておくけど、全力でね。途切れたり声張ってなかったら死んじゃうから」
「ん、んなこと言われるまでもねえけどよ! 応援でなんとかなるのか!?
 っつーか、こんな大掛かりなセット、ドリーのやつがなんて言うか……」
『そちらの説得は完了しています』
「いいねウィスパー、ナイスタイミングだ。ちなみにどういう条件で?」
『戦闘終了後の電子的休暇一ヶ月ぶんで手を打っていただきました』
「さりげなく何労働交渉してんだよぉおおお!?」
 というジャックの悲痛な叫びは完全スルーである。
「さあみんな! ティアーたちを……いや、戦うすべての人々を応援してくれ。
 応援なんて何の意味もないかもしれない。声援なんて無力かもしれない。
 けどそれは、"いつも"の話だ。今この時は、僕らが必ず届けてみせるからさ!」
 クルーたちは顔を見合わせ、そして拳を振り上げて叫んだ。
「「「――頑張れ! 負けるな、皆!!」」」
 ジョンとリチャードは顔を見合わせ、頷く。そしてシステムを起動。
 人々の声援は、"ワンダラー"によって増幅され、戦場全域に飛んでいく。
 祈りに力などない。
 応援に意味などない。
 それは常識の話。ユーベルコードとは、常識を越えて奇跡を起こす力!
「ほらみんな、頑張れ! サーカスに連れて行くって約束してるんだからさ!
 ここでこの船に沈まれちゃ困るんだよ、悪巧みの根性を見せてやるんだ!」
 ジョンの声も、皆の姿も、すべてが戦場に届けられる――!

「「……」」
 ティアーとリクロウは顔を見合わせ、頷きあった。
「仕方ないですねえもう! 鹿でもなんでも使って店……いやそれは無理だ!
 こうなったら飛んできたデブリを使ってみせます! 頼りない武器ですが……!」
 リクロウは飛来したデブリをがっしと掴むと、電子スクリーンを見返した。
「……頼りない武器に頼りになる仲間、心もとない足場に心強い応援、ですか」
「わかっているね? ここからは、ヒーロータイムだよ!」
「ええ、いまこそ勇気を奮うとき。そのための一歩を此処で踏み出します!」
 リクロウは大きく目を見開いた。恐怖からではなく、勇気を以て叫ぶのだ。
「意気地無しはこれっきりです! 僕は――僕らは、今こそ戦います!!!」
「ハッハッハ! いいシャウトだ! さあ曾場八野くんも行くよ!」
「カメン……タスケ……ゴワ……」
「うんうん、ヒーローとしての熱い闘志を感じるね! それでこそだ!」
 死にそうな熊五郎の声を超・超・ポジティブ解釈するティアー。怖い!
 ともあれ完全に暴走していたマシンは、ティアーの力で軌道修正が図られる。
 より効率的に、ついでにより殺人的Gがかかるような軌道で飛び回るのだ!
「ゴオオオオオオオオオオオワアアアアアアアアアオボロロロロロロロ」
「さあ、足踏みしてるだけじゃ進まないぞ! サーカスの時間だッ!!」
 熊五郎の暴走チャージが敵の包囲網をかき乱し、リクロウが飛び出す。
 デブリを怪獣の頭部に叩きつけ、爆散するその身体を足場にさらに加速!
 ティアーの念動力が敵の怪光線や火炎弾を捻じ曲げ、戦場を駆け抜けた!
 希望とは、それ自体では何の意味もなく、何も生み出すことがないもの。
 祈りを、ねがいを、その声を糧に戦う者たちが居るからこそ希望は輝くのだ。
 人々のねがいと声を背に受けた5人の最強チームは、誰にも止められない!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

やっほー!ひさしぶり?ひさしぶり!

大体まず希望を奪おうっていうのが負け犬っぽいっていうか
すごく後ろ向きでよくないと思うな!
もっとこう…バーーッと!
それっぽい荘厳なBGM流しながら登場するとかカッコイイことしよーよ!

それでも数だけは多いっていうんだからめんどくさいよね!
ここはボクの【第六感】を使おう!(あてずっぽう、勘の類)
キミたちはあっちへ行って!あいつら突っ込んでくるよ!
そこの子たちは向こうへ移動!ほらほら、ぐしゃっと潰されるよ!

と偉そうに指図しながら
ボクも「フッ、ここを通さないよ…!」とかやりながらUCと球体くんでドーンッ!とやっていこう
ヒアウィーゴーッ!!


メイスン・ドットハック
【WIZ】
久しぶりじゃのー、色男
相変わらず元気にしておるが、不運(ハードラック)も相変わらずじゃのー

揚陸艦ロストリンクに搭乗して参戦
無限竜の雷雲をシールド展開しながら、グレイテスト号の前に配置して敵の攻撃を防いでいく
操縦補助はAIアメジストちゃんに任せる

その間にUC「紫炎よ、その根源を消し滅ぼせ」の炎を電脳魔術でコーディングしたミサイル弾に装填
そのまま亡霊軍団の集団に発射して、着弾と同時に広範囲炸裂させるようにプログラミングしておく
誘導指示はAIドクトルに任せておいて、自身は戦況を見ながら的確に紫炎を操っていく

そいつは非物質とか霊体とかに良く効くけーのー。せいぜい燃えてくれのー

アドリブ絡みOK


ナイ・デス
敵の召喚能力は、凄まじい、ですね
召喚者を倒さなければ……けれど、その間は彼らが無防備
まずは、敵を減らしましょう

彫像達を召喚、合体させて5m
隙間の中から【第六感】で敵を知覚して
光を放って【推力移動】
重装甲……彫像の塊でしかない機体を【念動力】で動かし【重量攻撃】
【激痛耐性、継戦能力】聖者の光が、彫像も再生させて
【生命力吸収】する光の【レーザー射撃でなぎ払い切断】ついでに疲労も回復

ただ殲滅だけなら、時間かければ
けれど、かばいながらでは……

鎧装騎兵や宇宙船の活躍に、認識を改め
『光の加護』を彼らに

猟兵だけでない
人は誰でも、希望(ヒカリ)になれる

【集団戦術、一斉発射】

ボスをみつけ、倒すまで……任せます!



🔴魂の炎を希望(ヒカリ)に変えて
 文明侵略者、ダイウルゴス。
 そのカタチと能力の一部を模した巨大彫像(キャバリア)が、船を守る。
 搭乗者たるナイ・デスの放つ、不死不滅に等しい再生能力をもたらす光が、
 敵の猛攻によって穿たれ燃えて砕けるキャバリアを、秒速で再生させ続けるのだ。
『はははははは。あれではまるで木偶人形も同然ですね』
 地獄宇宙人アビ星人は、その鈍重さをあざ笑った。
 再生能力と超・重装甲による防御力は、実際煩わしい存在だ。
 しかしそんなものは、偉大なる闇の帝王の怪獣軍団にかかれば障害物でしかない。
 その守りと再生力の上から叩き潰す。奴らならば、それが出来る――いずれは。
『抜かるなよアビ星人! 邪魔な肉壁はひとつきりではないぞ』
 そんなアビ星人の驕りを、剣豪宇宙人ムシャーザが冷静に諭した。
 ムシャーザの言葉通り、グレイテスト号を守るのはナイの機体だけではない。
 ナイの機体が文明侵略龍ダイウルゴスの力を模倣しているとすれば、
 メイスン・ドットハックの揚陸艦ロストリンクが展開するのは無限竜ワームの力。
 破滅を目論んだかのドラゴンの生み出した雷雲そのものを出力しているのだ。
「此処から先は通すわけにはいかんからのー、返り討ちになってもらうけーのー」
『フッ。我ら亡霊軍団を甘く見ているようだな。猟兵……!!』
 とはいえムシャーザもまた、警戒はすれど返り討ちになるつもりはなかった。
 無限竜と文明侵略竜、本来ありえない二つの片鱗による協力(クロスオーバー)。
 それをもってしてなお、この数の侵略宇宙軍の猛攻は荷が重いというのか!?

「あーあっ、残念だね! 大物ぶっておいて、やることは多勢に無勢のタコ殴り!
 大物を気取るならさぁ、もっとこうバーッと荘厳なBGMとか流せばいいのに!」
 不敵なる亡霊軍団の跳梁跋扈を、ロニ・グィーはナンセンスだと笑い飛ばした。
「この守りを突破できるつもりでいるみたいだけど、ボクらは守るばかりじゃない。
 数が多いんならさ、目についた連中を全員消し飛ばして減らせばいいだけだし!」
『実にいいアイデアじゃのー、ただ棒立ちになってるつもりはないからのー』
『同じく……です。まずは、敵を減らしましょう……!』
 揚陸艦ロストリンクからは、紫の滅炎をコーティングした電脳ミサイルが射出。
 物質はおろか、魂や精神といった非物質的なモノさえも灼滅しうる電脳の炎は、
『空間そのものに着弾』した瞬間、有象無象の怪獣を飲み込み燃え広がる!
『AAAAARGH!?』
 グレイテスト号をその強力な衝角で串刺しにしようとしていた、吶喊魔竜ランザーが紫炎に呑まれた。
 その亡骸を切り裂いて迸るのは、ナイの機体から噴き出したレーザー光である。
 ナイの光がもたらすのは、再生能力だけではない――その逆、生命力を吸収するマイナスの用法も存在するのだ。
 光のレーザーは単なる光線に見えて、その実『触れた場所を吸収能力で腐敗・脆弱化させる』という、極めて特異な方法で怪獣を"切断"しているのである。
 つまり、生物である限り、この光線を防ぐ方法は存在し得ない。
 図らずも怪獣のその巨体と強靭さが、むしろ弱点となってしまったのだ。
『攻撃に転じましたか、ははははは! ならばこちらも全力で行きましょう!』
 アビ星人が掌の中に超高熱の光球を生み出し、二機めがけて擲った。
 太陽の表面温度が温風に感じられるほどの、破滅的な熱量を秘めた一撃である。
 それを、ロニの召喚した巨大な"餓鬼球"がばくりと捕食し、対消滅した!
『何ッ!?』
「悪いね、ボクの球体くんは光とかも食べちゃうんだよ! あははははっ!!」
 熱量を"持っていく"形で消えた球体の残骸から、生身のロニが飛び出した。
 アビ星人が防御姿勢を取るよりも早く、神の力を込めた拳が命中する。
 大地さえも割れ砕くほどの単純な暴力が、アビ星人の身体をバゴン! と砕いた。
 四散した血煙はメイスンの紫炎に、クォークさえも遺さず焼き尽くされる!
『アビ星人! ……チッ、やはり奴らは殲滅力も十分か!』
「おっと、ボクらをくぐり抜けて後ろを叩くつもりでしょ? それはダメだなあ」
『!!』
 ムシャーザの前に高速で接近するロニ。宇宙魔剣と神の拳が激突する!
「こういうときはあれかな? 「フッ、ここは通さないよ!」とかいいよね!
 というわけで宇宙人くん、ボクと遊ぼうよ! 燃えるシチュエーションだろ!?」
『ええい、鬱陶しいガキめ……! サイビア様を脅かす前にここで殺す!』
「悪役らしい台詞だね! やってごらんよ! ヒアウィーゴーッ!!」
 ふたりは刃と拳をぶつけ合わせ、流星のように猛スピードで戦場を駆け抜けた。
 指揮官役であるムシャーザが釘付けになったことで、怪獣軍団の猛攻や和らぐ。
『反撃のチャンスだ、ストレンジャー隊突撃! 前線を押し返すぞ!』
『『『了解!』』』
 メイスンとナイに守りを任せていた鎧装騎兵たちが、このチャンスに打って出た。
 押し込まれていた戦況を、我が身を厭わぬ猛攻で大きく押し返す!
「す、すげえ! やっぱとんでもねえぜ……猟兵(あいつ)らはよ!」
『その台詞もなんだか久しぶりな気がするのー、色男』
 グレイテスト号のブリッジで戦いを見守る"色男"ジャックのもとに、メイスンの通信が割り込んだ。
「相変わらず原基なようでなによりじゃが、不運(ハードラック)も相変わらずじゃのー」
『なあに、そんなもんお前らと最初に会ったときに、とっくに覚悟の上だぜ!』
「いいセリフじゃのー、まあそこで安心して見ているとええんじゃのー」
 ロストリンクは反撃戦線の鋒となって、電脳ミサイルをばらまきながら前進する。
 猟兵という希望の星が、屈しかけていた人々の心に炎をもたらしたのだ。
『俺たちだって、宇宙を守る鎧装騎兵なんだ! 見ているだけでいられるか!』
『ええ、そうよ……私たちも、希望を胸に戦えば……!』
「…………」
 猟兵のような奇跡の力を持たずして、それでも奮戦する宇宙の戦士たち。
 その姿を目の当たりにしたナイは、赤い瞳を大きく見開き、ふっと笑った。
「――人は誰でも、希望(ヒカリ)になれる……」
 "ダイウルゴス"の隙間からあふれる光が強まり、その機体を黄金に輝かせた。
 まさしく"光"そのもの。それはただ、人々の心を奮い立たせるだけではない。
 傷ついた機体のダメージを癒やし、また立ち上がる力をもたらす加護を持つ!
「このまま……無間のサイビアを、引きずり出し……ます!」
 彼らは、ただ守られるだけの弱者ではない。ともに戦う戦士なのだ。
 だからナイは、鎧装騎兵に、そしてグレイテスト号の人々に言った。
「それまで……守りは、"任せます"!」
『……了解!!』
 返ってきた声はひとつきりではない。けれどもその意思はひとつだった。
 紫の炎とまばゆい光に照らされた人類意思の戦線が、戦場を切り裂いていく!
『バカな……! 我ら侵略宇宙軍団が、押し返されているだとッ!?』
「あははは! その台詞も"らしい"ね! ――なら、あとはどうなるかわかるでしょ?」
 驚愕するムシャーザを、ロニの隻眼がにやりと愉快そうに見下ろした。
 彼の生み出した球体が四方八方を飛び交い、決闘への横入りを妨げる。
「数だけ多い悪党の軍団なんて、こーやって反撃で叩き潰される役どころなんだよ!
 けどキミは運がいいね――このボクが自ら、ぶっ潰してあげるんだからさぁ!!」
 KRAAAAAAAAAAAASH!! 超怪力を乗せた拳が、宇宙魔剣もろとも亡霊を叩き潰す!
 断末魔を満足げに浴びたロニは、前へ前へ進むボロ船と戦士たちを振り返った。
「久しぶりの大騒ぎなんだから、もっと楽しくやらなきゃ。そうでしょ? あは!」
 ヒトの輝きの強さを知る神もまた、その矛となりて宇宙の闇を駆ける。
 猟兵と人類、ふたつの存在が力を合わせたその輝きが、暗黒を切り裂く――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
数が多いなら、相応の備えが必要かな
“影”で生み出した銃を手に臨むよ
細かく場面に応じて形状を変えながら立ち回ろう
後方からの援護射撃が主体なら、狙撃に適した形に
敵の前に出る必要があるなら、取り回しの易いように
鎧装騎兵たちの布陣を見ながら自身の立ち位置を定めて
しっかり協働してことにあたるよ

生きているものなら、殺せない道理はない
姿かたちが見慣れないものだとして
動きを観察していればどこが重要な部位なのかは読み取れる
よく視て、効果的に敵を妨害/殺害していくよ

――これからを生きていくのはこいつらで
だったら、道を切り開くのだってそうであるべきなんだ
だから、目立たず、それでも仕事は確実に
影のように忠実に働くよ


トルメンタ・アンゲルス
――よう「色男」、まだ生きてますよね!

あの船もあの人もつくづく運がないと言いますか……
ともあれ、障害は全て凪ぎ払うまで!
行くぞ相棒!
変身、アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
攻撃力重視の装甲と変身合体し、征きます!

お望み通り、最速で行きますよ!
第六感で敵の動きを見切り、物理法則を無視したダッシュで敵を掻き乱し、片っ端から蹴り穿ち、切り裂き、なぎ払いましょう!

しかし、こう数が多いと頭もみつかりませんねぇ。
ならば、一気に減らすまで!

戦場を駆け回り、敵の群れを誘導して寄せ集めます!
そこを、この飛び蹴りで、纏めて穿つ!
絶撃のォ!
ブリッツシュラァァァァァク!!!


フェルト・フィルファーデン
まったく、年が明けてもこんなのばっかり。本当はもう少しゆっくりしたかったのだけれど……仕方ないわね。
いいわ、アナタ達がそのつもりなら、いくらでも相手してあげる!

この数……流石に分が悪いわね。総力戦で挑まないと勝ち目は無いわ。
そういう訳でまずはUCで高速演算。消耗を避けるために最短で、なおかつ誰も傷付かず誰も死なない、最善の手を導き出す……!

導き出せたらその結果をグレイテスト号に送信。そこから経由して鎧装騎兵の皆様にも連絡を。これである程度は安全が確保できるはずよ。
……ええ、これでもある程度。だから後は皆の判断に任せるしかない。
でも、信じているわ。あなた達ならきっとこの難局も乗り越えられるって!


ヴィクティム・ウィンターミュート
いーーーねぇ
負けん気だけは誰にも負けてねぇ
そういうのでいいんだよ
でけぇ脅威を前にして、遺言を遺すなんて野暮な真似をしない連中は好ましい
勝たせてやろうじゃねぇの!劇的にな!

俺がこの戦いの脚本を書く
部隊を分けるぞ!腕の良い連中を中心にした鎧装騎兵部隊アルファはグレイテスト号の防衛中心!絶対に取り付かれないように全部撃ち落とせ!

ベータは敵の群れの横っ腹を狙って撃ちまくりな!位地取りは都度親が指示をする!
チャーリーはデカブツ専門だ!複数のブラスターを収束させてコアを壊せ!

さて、指示だけして働かないってのも情けない
俺も前に出るとしようか
誤射?心配するなよ
俺が全部避けちまえば、何の問題も無いだろう?


ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(ザザッ)
聞こえたなキャプテン。
相棒お得意の無理難題だ
今回も付き合って貰おう。

――こう呼んだ方が良かったか、"兄弟"?
積もる話と謝罪はまた後にしよう。

本機からのオーダーは一つ。

――派手なのは好きだろう、キャプテン そしてグレイテスト号のクルー達。
なので何処までも「君達らしく」「君達にしか見せない輝きを見せてくれ」。

――『MOVIE SCENE』――!
(行使対象は我々レグルス、そしてグレイテスト号。
ショーと言うに相応しい、この危機を乗り切る脱出劇を君達の紡ぐ勇敢な足踏のリズムに合わせて。)

本機達が導き君達を守る。
――君達はこの星の世界の希望が如何なるものか
見せつけてやれ。(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス

(キミに嬉しい報告、色々あるのだけど
今はこう呼ぼう)
キャプテン・ジャック
いつもの無茶だよ
ありったけ、おれたちに賭けてくれ

(この船のことはよく知っている
敵にすら名の知れたサーカス団
宙域にキミたちの到来を轟かす、外部出力装置があって当然だ
全回線SIAMに接続、「叫嘩」)
――どけ!!!
(【殺気】を籠め【恐怖を与える】怒号、咆哮
全力の【大声】を遍く戦場に
敵を怯ませ動きを止め道を開けさせる
少しの隙があれば、ここにはそれを使える者が沢山いるはずだ)
…今ので退かない奴が、敵の核だ

ありったけよこせって言ったろ
このまま、全速力で突っ込め!

じゃ、外はレグルスの仕事だ。
行こう、ジャック
おーば!


リア・ファル
オーケー、知り合いのピンチなら黙っていられないね
行くよ、イルダーナ!

戦域探査、戦術展開!
敵の通信は妨害、
ボクらは各員と情報連携し、戦域や敵情報を確定
(情報収集、、偵察、ハッキング、ジャミング)

敵を攪乱し各個撃破に持ち込む為、
『セブンカラーズ』で撃ち込みつつ
敵陣中央を『イルダーナ』で突破する!
(弾幕、操縦、空中戦、推力移動)

一機だと思ったかい? ざーんねん
【召喚詠唱・流星戦隊】!

中央で暴れ回るボク達に構っていると、
鎧装騎兵の面々に各個撃破されちゃうよ?

戦艦AIの本領、甘く見ないでよね!

SSWならば、どんな闇でも、流星の如く切り裂いて進むのみ!


ネグル・ギュネス
此方、アサルト1──おやっさん、援護のデリバリーは必要か?
遅いって?…間に合ったんだからいいだろ?

まあ、不要と言われようが勝手にやるんだが
征こうかファントム、宇宙の平和をなんとやらだ!


速度と技で翻弄し、穴蔵決め込んだ野郎を引き摺り出すぞ
──展開せよ、雷電領域

飛翔、妨害領域展開、速度で掻き乱してヘイトを稼いでデバフを押し付ける!
おやっさんに優先破壊目標座標を送れ、ファントム

流石に数が多いし、無傷とはいかねぇ、いかねぇ、が
俺をヒーローと慕う人達の期待を、裏切るわけにゃあいかねぇ

切り込み、風穴をぶち開けりゃあ、あとは突っ込むだけだ
仲間も、宇宙船もいる、皆で打ち抜くぞ──!

※アドリブ・他絡み大歓迎



●イェーガー・ギャラクシー・ファイト
 ――銀河帝国攻略戦。
 スペースシップワールド最大の戦いにして、猟兵たちにとって最初の"戦争"。
 あの戦いは猟兵だけでなく、この世界の人々をも巻き込んだ大戦となった。
 グレイテスト号はその一翼を担う新生・反乱軍のメンバーとして戦ったのである。
 わけても激しい戦いとなったのは、『阻止限界点Ω-999』での大乱戦だ。
 銀河皇帝の居城を守る最後の防衛線を突破するための、敵味方の全力会戦。
 グレイテスト号が味わった戦いは数あれど、量としては間違いなくあれが最多数。
 なおも尽きぬ怪獣軍団をモニタ越しに見る"色男"は、それを思い出していた。
「……あれに比べりゃ、このぐらいはわけねえのかもしれないな」
 などとこぼれた台詞を、鎧装騎兵たちが正気かと疑ってしまうほどである。
『船長、今のは戯言か? これ以上の戦いを味わったことがあると?』
 ストレンジャー隊隊長、J・Jは思わず聞き返した。
「あいにく本気だよ、J・J。けど俺たちは、それすらも生き延びられたのさ」
 ――猟兵(あいつ)らが居たから。ジャックはそう続ける。
「特に無茶苦茶なのがふたり居てなあ、いつも助けてくれるがいつも無茶を言う。
 やれ宇宙船をかっ飛ばして敵のど真ん中に突っ込めだの、なんだのと……」
 言いかけて、ジャックは記憶を手繰るように挙げた手を彷徨わせた。
 そう、無茶ばかりを言い、けれども必ず駆けつけてくれるふたりの猟兵。
 誰よりも頼りになるふたり。"色男"が今のような運命になった最大のきっかけ。
 けれども彼らは――正しく言えばその片割れは、今はもう"色男"のことを……。
「……いや、やめとくか。こんなとこで思い出話なんざ」
『キャプテン』
「――!」
 その時、通信に割り込んでくる声があった。
 ざりざりと鑢をかけるような、耳に障る、だが優しさを孕んだ声。
 ジャックが最初に聞いた声は、まるで己の声音に怯えるようにひそやかだった。
 けれども、今は違う。……そう、彼が誰かに胸を張れる自分になったように。
 彼女も……ロク・ザイオンもまた、自分に胸を張れるようになったのだから。
『キャプテン・ジャック。聞こえるか』
「……ああ、聞こえてるぜロクのお嬢ちゃん! 相変わらずいいタイミングだ!」
 グレイテスト号が揺れる。戦闘の余波は着実に船に近づいていた。
「それで、どうした? 再会の挨拶ならもう少しあとに――」
『無茶を言いに来た。"おれたち"らしく』
 ――おれたち。
 ロクは初めてこの船に乗ったときから、ずっと相棒と一緒に居た。
 獅子星(レグルス)の銘を関するコンビ。その片割れの名もまた、ジャック。
「……そうかい。奴さんも一緒か。まあそりゃそうだわな!」
 "色男"は、あえて声を張り上げた。それには理由がある。
 ロクの相棒、ジャガーノート・ジャックを、彼は"兄弟"と呼んでいた。
 最初の理由は『同じ名前だから』という、至極シンプルなものではあった。
 けれどもいくつもの戦いをくぐり抜け、腐れ縁となるにつれて、その呼び方は親愛と信頼を込めたものとなった。
 だがジャックは――ロクの相棒は、戦いの代償として記憶を奪われた。
 この世界での戦いの記憶も、そのひとつ。"色男"はそれを知っている。
 けれどもその事実を知らされたとき、"色男"はなんでもないように振る舞った。
 だから、今回もそうしよう。彼はそう考えたのである。

 ……しかし。
《――聞こえたな、キャプテン。"相棒お得意の"無理難題だ》
 続けて聞こえてきた声は、わざとらしくそう強調した。
《――"今回も"付き合ってもらおう。答えはYESだけ期待している》
「……おい。オイオイオイオイ」
《――それとも、こう呼んだほうがよかったか?》
 "色男"は、口の端が釣り上がるのを隠しきれなかった。
 ストレンジャー隊の面々はそれを訝しんだが、クルーたちは知っていた。
 なにせこの船長にして座長ときたら、いつもその話ばかりするのだから。
《――"兄弟"》
「は……ははは! はっははははは!!」
 シルクハットが落ちるくらい、おもいっきりのけぞって笑っていた。
 涙が出てくるくらいに笑えてしまう。ああ、まったく、こいつらと来たら!
《――積もる話と謝罪は、またあとにしよう。今は……》
「ああ、ああ! わかってるよ、全速力で突っ込めってんだろう馬鹿野郎め!」
 "笑い涙"を拭いながら、借金まみれのダメ人間は快哉そのものの声で叫んだ。
「まったく無茶を言いやがる。だがそのためには全力で手伝ってもらうぜ!
 ……おっと、なにも"兄弟"とお嬢ちゃんだけじゃねえぞ。聞こえてるだろ!?」

 "色男"がそう言えば、いくつもの声が通信に割り込んできた。
『おいおい、せっかく感動のシーンだからって黙っておいてやったのによ。
 わざわざご指名されたんじゃ、仕方ねえ。だが、もっと浸っててもいいんだぜ?』
 などと、電脳魔術師Arsene――ヴィクティム・ウィンターミュートが茶化す。
『それじゃ困るだろ、一応戦闘中なんだぞ。そういうのは終わったあとでいい』
 そんなヴィクティムの軽口を、鳴宮・匡が溜息まじりにたしなめた。
『"どちらにも同感"って時は、どっちの側に立てばいいんだろうな?』
 ……そしてふたりの心強き仲間であるネグル・ギュネスが、キザっぽく言う。
『こちら、アサルト1――おやっさん、援護のデリバリーをお届けだ。
 俺もみんなも、間に合ったぜ。だから、"遅い"って台詞はナシにしてくれ』
『ってイイとこ持っていこうとすんなよ、ネグル。司令塔はこの俺だろ?』
『お前らな……まあ、いいか。とにかく作戦があるなら、それに従うよ』
 三人はいつもどおりのやりとりを、通信越しでもいつもどおりにやっていた。
 "色男"はいよいよ満面の笑みを隠せなくなる。この三人こそは銀河戦争の立役者。
 "アサルト"の名を持つ彼らトリオの力を、この船の人々誰もが知っている!
『っと、助けが必要なら、そういうときこそ"Dag's@Cauldron"の出番だよ?』
 三人の軽妙なやりとりに混じって、リア・ファルのチャーミングな声が聞こえた。
『大規模戦闘の支援と連携の補助、そういうのこそボクの十八番だからね!
 それに……どうやら、此処に集まったのは、ボクもよく知る人ばかり。
 向こうが数と戦力で勝るなら、こっちは連携と個の力で勝とうじゃないか!』
『リアも居るなら、大抵の問題は解決するな。頼りになるよ』
『お褒めの言葉ありがとう、匡にーさん! どうぞご贔屓に!』
 信頼に満ちた匡の言葉に、リアは嬉しげにお茶目な言葉を返した。
『この通信は他のメンバーにも転送済みだよ。ふたりとも、聞こえてるよね?』
『ええ、聞こえているわリア様! 数に入れてもらえるだなんて光栄よ?』
『同じく把握済みですよ! 本当ならいの一番に名乗りたかったですがね』
 と、フェルト・フィルファーデンとトルメンタ・アンゲルスが応答した。
 彼女らもまた、銀河帝国攻略戦――ひいては星の獣・クエーサービースト討伐戦において、幾度となくこの船を守り、あるいは"色男"らとともに肩を並べた歴戦の猟兵たちである。
 リアにとっては知らぬ相手ではない。それは、彼女らにとっても同様だ。
「オイオイオイ、総登場じゃねえか! こいつはいよいよクライマックスだな!」
『気が早いですよ"色男"、まだ生きているからって調子に乗らないでください』
『ふふっ、でもいいことだと思うわ! だって、落ち込んでいるよりはいいもの!』
『そこは同意だな。バカ正直に遺書をしたためる連中よりよほど好ましい』
 嬉しそうなフェルトに、珍しくヴィクティムが同調した。
 けれども、その声音に嘘はない――諦めないということは美徳なのだ。
 端役を自称するArseneとしても、そういう奴らを主役に彩る舞台こそ腕が鳴る。
 人々の"希望"と"幸福"を守る――その点において、フェルトと彼は同じなのだ。
『ええ、本当にその通り。もちろん、諦めてしまうことを弱さとは言わないわ』
 噛みしめるように、フェルトは言った。
『……けれどわたしは、この世界の……そしてあなたたちのそんなところが好きよ。
 どんな状況でも、どんな敵でも、諦めることなくわたしたちを信じてくださる、その心の強さが……!』
『正月早々に駆り出された恨みは、たっぷりと返してやらないとね!』
『ええ、リア様!』
『ま、お喋りはここまでとしておきましょう。"積もる話はあとで"と彼も言いました』
 ジャックの台詞を引用し、トルメンタは言った。
『話を戻します。これからグレイテスト号は敵のど真ん中に突っ込む、そうですね?』
『……そうだ。そのために、おれたちが道を切り拓く』
「って待て待て待て、いくらなんでも無茶だ。敵の目標はこの船だぞ!」
 トルメンタとロクの言葉に、鎧装騎兵隊隊長のJ・Jが割って入った。
『あんたが騎兵たちのリーダーだな? その慌てぶりはよーーーくわかる。
 けど、ここはこいつらを信じてみてくれよ。なにせ天下無敵の猟兵、だぜ?』
『……お前だってそのひとりだろ。そこは"俺たち"でいいんだよ』
『置いとけよ、匡。俺は端役なんだ』
 通信越しでも、匡が呆れた顔をしているのは見て取れたろう。
『とにかく、あんたの部隊支援を俺の電脳魔術が援護する。協力させてくれ。
 この船はもちろん、あんたの部下も、あんた自身も、絶対に陥とさせやしない』
「…………その根拠は?」
『いま言った通りさ――こいつらなら、それが出来る』
 ヴィクティムが大きく手を広げ、一同を示しているのが見えるようだった。
『一つだけ訂正をさせてくれ。"出来る"んじゃなく、"やる"んだ』
 Arseneの言葉に、ネグルが追従した。
『俺たちは……私たちは、そうやってこの世界を守り、未踏宙域を切り開いた。
 隊長、いますぐ我々を信じろとは言わない。なら代わりに船長を信じてくれないか』
「船長を?」
『ああ。おやっさんは、俺たちの戦いの生き証人でもあるからな』
『……そうだな。この世界の全部の戦いを見てきたわけじゃないと思うけど』
 相棒の提案に、匡が同意した。
『俺たちは"そのため"に此処へ来たんだ。邪魔をするつもりも、足を引っ張るつもりもない。
 それに、俺たち以外にも、もうたくさんの猟兵が一緒に戦ってるはずだろ。
 ……なら、ここで足踏みしている必要はないと思うぜ。違うか?』
「…………」
「決まりだろ、隊長! 嫌がったってこいつらはやるぜ?」
 "色男"が嬉しそうに言えば、隊長J・Jは心底うんざりした様子で嘆息した。
「……ったく、伝説の戦士の再来とやらはとんでもない奴らだな!」
『褒め言葉と受け取っておきましょう! では、早速先鋒は俺が行きますよ!』
 話が片付いたと見るや、トルメンタは嬉々として叫んだ。
『切り込み隊長なら譲れないな。行くぞ、ファントム!』
 モニター上を駆け抜ける光は、紛れもなくネグルと愛機のそれである。
『わたしも電脳魔術の演算を支援するわ。ここからは誰も絶対に奪わせない!』
『敵の通信は現在進行形で妨害中! 早速ストレンジャー隊の通信をリンクするよ! ヴィクティムさん、フェルトさん、それに他のみんなにも繋げておくね!』
『オーケー、スロット・アンド・ランだ! 匡、合わせろよ!』
『言われるまでもないよ。いつも通り、仕事をこなすだけだ』
 フェルトとリア、さらにチーム・アサルトのふたりも戦列に馳せ参じる。
「頼んだぜ、旦那がた! こっちも命を懸けてるんだからよ!」
 ……そしてふたり。言葉を待つ彼らに向けて、"色男"は言った。
「グレイテスト号、全速前進だ! せいぜい守ってくれよ、"兄弟"、嬢ちゃん!」
《――任せておけ、キャプテン》
『ありったけ、おれたちに賭けてくれ。おれたちも、全力で応える!』
 怯えながらではなく胸を張り、グレイテスト号は戦乱のさなかへ突入する。
 最強の助っ人――いいや、仲間たちが居るならば、恐怖などありえない!

 同時刻、異常重力場XX-2068。
 戦域内に巧妙に隠された暗黒の空間で、無間のサイビアは訝しげに声を出した。
『……何? 『目標がまっすぐこちらに突っ込んでくる』だと?』
 然り。空間上に靄めいて浮かんだ映像は、グレイテスト号のそれ。
 その道行きを切り裂くように、トルメンタとネグル機が猛撃を仕掛ける。
『自殺行為に狂ったか。否……これが、"希望"の力か』
 暗黒の大帝は忌々しげに拳を握りしめた。
 掌から紫黒の邪悪な力が溢れ出て、さらなる亡霊軍団を召喚する。
『なんとしてでも人類戦力を滅ぼすのだ。皆殺しにせよ……!』
 敵の猛攻は止まらない。希望の光を妬み、恐れ、忌まわしむ邪悪なる軍団が増大する……!

 ……そして、戦闘宙域ポイントゼロ!
 怪獣軍団のど真ん中に突撃したグレイテスト号は、猛火の嵐に晒されていた。
 ストレンジャー隊はヴィクティム・リア・フェルトの三名の指示のもと、
 コンマ秒単位でそれぞれの機体の状況を把握し、一糸乱れぬ防衛線を敷く!
「アルファ部隊は船の後方を守れ! 近づく敵はなんだろうと撃ち落とすんだ!」
「ベータ部隊はボクと一緒に、侵略宇宙人どもの横っ面をふっとばすよ!
 大まかな攻撃はボクとイルダーナが仕掛けるから、散らばった敵の各個撃破を!」
「チャーリー部隊はわたしの担当ね? なら、大型の怪獣を叩くわ!
 わたしの騎士人形たちと皆様の力を合わせれば、たとえ巨大な獣でも……!」
 ヴィクティムの戦術策定に従い分けられた三部隊が、それぞれの指揮に基づく。
 全体的な陣頭指揮は、ストレンジャー隊のJ・Jが執る形である。
「……正直、感嘆しているよ。あんたたちの演算能力はすさまじいな!
 まるで機体が新品に、いや、数段上の高級品に生まれ変わったみたいだ!」
『押忍! ハル機、怪獣殲滅任務に入るッス!』
『こちらヨーコ機、敵宇宙人部隊の追撃に加わります!』
「船の守りは俺たちに任せておけ、前に出すぎるなよふたりとも!」
『『了解!』』
 三人の支援と集積したデータのおかげで、ストレンジャー隊の動きは数倍以上にもスムーズかつ的確なものとなっていた。
「攻撃が来るわ、重装騎士は盾を展開――さあ今よ、皆様は弓兵に合わせて!」
 グレイテスト号に襲いかかろうとした強牙恐竜ティラントは、フェルトの騎士人形たちによる一斉攻撃と、鎧装騎兵・ハルの収束レーザー砲を受け爆発四散!
 その対面では、リアの召喚したイルダーナ編隊が銀河忍者・ヴァルカン宇宙人の連携殺法をかき乱し、散開させる!
『『『我々の本体を見抜いているのか? 何故だ……!?』』』
「電脳魔術の応用による質量のあるホログラムか、面白い生態能力だな」
「けど、その技術はこっちも再現済みさ。――全機、距離200の個体に集中攻撃を!」
 ヴィクティムとリアの演算能力が合わされば、ホログラムなど虚仮威しも同然。
 無防備な本体に一斉攻撃が突き刺さり、ヴァルカン星人は苦しみながら滅殺!

「オオオオオオオオッ!!」
「展開せよ、雷電領域――虫一匹とて逃がしゃしねぇ!!」
 船前方、トルメンタが稲妻じみた軌道で敵中央を駆け抜け足並みを乱す。
 それに続いてユーベルコードによる妨害領域を展開したネグルが敵を捉え、
 怪獣軍団の狙いをグレイテスト号から自分たちへと惹きつけるのである。
 概念的超光速に達したトルメンタの動きは、怪獣軍団でさえ視認不可能。
 さらにネグルの《不壊の鋼(アンブレイカブル)》は、一度取り込まれれば絶対に抜け出すことの出来ない不可視の網も同然である。
 ふたりを間合いに踏み込ませた時点で、奴らの運命は決まっていたのだ!
「さすがの速度だな、トルメンタさん! 負けてられないぞ、ファントム!!」
「そう簡単に追いつかれちゃ困りますよ、ネグルさん!
 けど、俺に並ぶ時点であなたも大概です。このまま風穴を開けます!」
「言われるまでもないな!! 一網打尽にしてくれる――!!」
 黒と蒼、ふたつの流星はやがて竜巻じみた螺旋を描き、敵怪獣軍団を捕縛。
 敵はそのスピードに目が回り、寄せ集められたことにも気づいていまい。
 それでも、トルメンタもネグルも無傷とはいかない。
 敵の攻撃は点や線のレベルではない――面、いやむしろ空間を圧倒する殲滅力。
 すれ違うたびに装甲が、サイバーパーツが切り裂かれ火花を散らす。だが!
「この星の世界に輝く人々の希望を! 奪わせはしない!!」
「俺をヒーローと慕う人たちの期待を! 裏切るわけにゃあいかねぇ!!」
 ふたりの戦士は身を切り裂く痛みさえも闘志に変え、二色の螺旋となった。
 グレイテスト号甲板上、狙撃銃をドッキングし構えた匡がそれを視る。
「また無茶してるな、あいつ」
 相棒の暴走じみた前のめりな戦いも、彼にとっては慣れたものだ。
 だから許容できるかと言えばそれはまた別の話――けれども、止めたりはしない。
 そこに彼が……いや、彼らがどれだけの信念と覚悟を込めているのか。
 匡自身は正義や義憤を燃やせぬとしても、理解は出来る、そして識っている。
 だから己がやるべきは、彼らの働きを無駄にせず、最大最強の一撃を叩き込むこと。
 死神じみたその眼で、過去を貫き未来を切り拓くことなのだから!
「――よく見える。怪獣って言ったって、亡霊だとしても"生きている"んだ」
 ならば、殺せない道理はない。
 もし仮にそんな"道理"があったとしたら――それさえも影の魔弾で撃ち抜こう。
「これからを生きていくのは、"こいつら"なんだ」
 この世界を守るために立ち上がった人々――だけではない。
 そんな彼らに、心の底から活力を振り絞り戦おうとする仲間たちもそうだ。
 相棒。戦友。この戦場に集った、すべての猟兵たちもまた、未来へ進むべき存在。
 だから匡は、影のように静かに、けれどもはっきりと光を見据える。
 二色の螺旋が窄まる――そこが狙い撃つべき、邪悪の集市一点!
「――勝ちに行くぜ」
 トリガーを引く。怪獣を殺すにはあまりにも質量が小さく頼りない弾丸。
 けれども、見よ。光を縫うように飛翔した影の魔弾は、怪獣軍団をワンホール・ショット。
 一度トリガを引くごとに、ひとつの命を奪う。死神のように無慈悲に!
「絶撃のォ――ブリッツシュラァアアアアアクッ!!!!」
「宙(てん)に雷鳴、此(ち)に黒刀――暗黒(やみ)を断つは破魔雷光!!
 集いて祓え! 祓いて滅せ!! 疾れ閃光、これが俺の一撃だ――ッ!!」
 竜巻じみたふたりの軌道は、今度はDNA螺旋じみた幾度も交錯しまた離れる。
 その交錯点にあるのは数多の怪獣! バツ字に切り裂き吹き飛ばし散らす!
 船を妨げる数百体以上の怪獣が、三人の連携により宇宙の塵と化した!

 ……そして!
『小賢しい……! これでエンドマークにしてくれる!』
 最後の指揮官級宇宙人、ムグレン星人の身体から闇の炎が放たれた。
「無間の闇より来たれ、我が亡霊侵略軍団の要たる融合怪獣どもよ!
 エンペラーギャラクタロン! ベリゼッド! そしてライトニングキラー!!」
 それは、凶悪無比なる怪獣をさらに融合させた悪夢的存在!
 巨躯邪悪なる存在が猛攻を阻む――そこへ挑むは双つの獅子星!
「――どけッッッ!!!」
 だが、それらを一喝する、森の番人の咆哮が宇宙に轟いた。
 ロクの叫び。それを呼び水に、グレイテスト号の人々の声援と足踏みが、音なき宇宙に響き渡る!
 グレイテスト号を、猟兵たちを、騎兵を消し飛ばすと見えた怪獣どもの怪光線・炎・あるいは雷撃が、まるで恐怖するように拡散したではないか!
『な、なんだこれは!? ただの音が、我が融合獣を怯えさせたとでも……!?』
《――ただの音にしか聞こえないならば、それが貴様の限界だ》
 グレイテスト号船首部、黒豹ジャックがムグレン星人を睨んだ。
《――これはグレイテスト号の人々の、彼らにしか出来ない輝き。すなわちお前たちが恐れる、ヒトの持つ"希望"の輝きだ》
 戦線の只中、絶対的死に囲まれた中にあって、"色男"は、クルーたちは、いや、騎兵たちでさえ叫ぶ。

 ――猟兵(イェーガー)!
 我らとともに戦うもの。
 この世界を救ったもの。
 我らの希望、我らの友、我らのきょうだい!

『なんだ、これは!? 貴様らは一体、何者だ……!?』
「……知らないなら、覚えておけ。おれたちは、猟兵だ。――そして」
《――そして我々が、獅子星(レグルス)。さあ、行くぞ、ロク!》
「おーば!!」
 宇宙に響き渡る声援、足踏み、猟兵たちの雄叫びと銃声・砲声・快哉・撃音。
 それらすべてが渾然となって混ざりあい、ひとつのリズムを刻み込む。
 まるでサーカスのショーじみて、リズムは力を生みやがて趨勢を傾けた。
 ネグルとトルメンタの刃と踵が、恐るべき怪獣軍団を引き裂く。
 その最中を矢のように影の魔弾が――匡の殺意が飛翔し、心の臓腑を貫く。
 フェルトの人形騎士たちは邪悪なるものの牙を防ぎ、
 リアの手繰る電脳の輝きは、騎兵たちに進むべき道を指し示す。
 まるで指揮者じみて、混沌としたリズムをヴィクティムが調律していく。
 そして炎と稲妻がひとつとなって、三体の融合獣を貫き、ムグレン星人に迫る!
『お、お許しを、サイビア様――!』
 獅子の名を持つ双星の刃/光が、邪悪なる願いを貫いた。
 その軌跡を追うようにして、グレイテスト号は飛翔する。
 目指す場所はただ一点、異常重力場――すなわち闇の大帝の王座である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『無間のサイビア』

POW   :    侵略蔵書『宇宙侵略史』
戦闘用の、自身と同じ強さの【侵略宇宙人軍団 】と【宇宙怪獣軍団】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    スーパー超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    スーパープラズマ光弾
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両腕 】から【100,000,000,000℃の光弾】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠九条・救助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●異常重力場XX-2068
 電子的、物理的、魔術的――あらゆる探知網から隠蔽された闇の異常空間。
 それは激戦の末に、猟兵たちの思念波・電脳演算・超視力……数多の力によってその位置を特定され、グレイテスト号が自ら突入することでこじ開けられた。
 歪曲した無間の地平を持つこの空間こそが、闇の大帝・サイビアの玉座。
『……信念、闘志、覚悟、意地、忠誠、義憤……』
 サイビアが立ち上がる。その身体は人間大のようにも、これまでの怪獣・宇宙人の中でもっとも巨大にさえ見えた。
『――希望』
 ぎらりと、スリットのような眼光が煌く。
『やはり余の思った通り、貴様らは危険な存在である。かつての人類よりも。
 なんとしてでもここで宇宙の塵と化し、我らの新たなる侵略を紡がねばならぬ』
 見よ。無間の空間に無数の眼光が浮かぶ――数多の侵略宇宙軍団の殺意!
 サイビアこそがその中核であり、本体であり、そして本丸なのだ。
 奴を倒し侵略蔵書を破壊しない限り、亡霊が消えることはない!
『余は"無間のサイビア"。銀河皇帝すらも滅ぼした戦士たちよ、今ここに滅びよ。
 この無間の大帝たる余をも滅殺しうるその力、我が覇道には不要なり……!!』
 もはやここからは、守るための戦いではない。
 鎧装騎兵隊、そしてグレイテスト号の人々とともに、前へ、より高くへと進め。
 この空間もろとも、"無間のサイビア"を滅ぼすのだ!

●プレイング受付期間
 1/18(月)08:30前後まで。
宮前・紅
【SPD】
希望か──そんなものがあるとでも?
オブリビオン風情が野望や希望を語るなんて滑稽至極だねぇ
ああ、それとも『希望』って俺たちの事?
はははははは!そんな粗末なものと一緒にしないでくれる?
君たちは過去の遺物そのもの、希望論や理想論を語っても無駄なんだよ

悪いけど──俺は善人じゃあないから、死んだ人間を貴ぶ気なんて毛頭ないんだ
UCを発動
騎兵隊、船の乗組員に協力を貰いより多く隙を作って貰う
遠隔操作でコンツェシュと人形を操作して敵を攻撃
俺はその隙を狙って更に追撃を図る(暗殺)
敵の攻撃は(フェイント)でタイミングをズラして回避

『希望』なんて欲そのもの
俺はエゴに塗れた欲望(きぼう)をお前に一発くれてやる


戎崎・蒼
【SPD】
此方が前に進む為にも目の前の敵の存在は必要ない
例えるのなら、彼等にとっての──所謂『聖戦』という訳だ。…やらなければ此方が淘汰されるだけだというのもあるのだろうけど

…それにしても"無間のサイビア"か
奇遇と言っていいのか、それとも皮肉か…僕も無間を操るUCを持っている
加えて相手は強敵であり、簡単に攻撃をいなすことは難しいだろう
だからこそ無間の魔銃を操るUCを使おうか

敵の攻撃が当たってもお構い無く攻撃を続け、こんな程度かと思わせたなら好機。…例え相手の攻撃で斃死出来ずとも顳顬にでも銃口を当てて、一時的に自死すればいい

どれだけ欲(エゴ)と比例して攻撃の階へ換算されるのか───見せてもらうよ



●希望と欲望
 無間の空間を、二条の閃光が駆け抜けていく。
 宮前・紅と、"無間のサイビア"である。
 サイビアが短距離テレポートを駆使して背後を取ろうとすれば、紅は人形を使うことで死角を殺し、転移直後にコンツェシュを突き出して心臓を抉ろうとする。
 帝王は念動力によって刃をずらし、猛スピードの連撃を叩き込む。
 人形が紅の盾となり、強烈な連続攻撃を受けてバラバラに砕け散った。
 紅の反撃――コンツェシュは空を切る。サイビアは再びテレポートしたのだ。
「ちょこまかちょこまかと! 帝王が聞いて呆れるなあッ!!」
 転移先は背後。振り向きざまのバックバックルとコンツェシュが激突した。
 両者は反発力で無間の空間を大きく飛び離れ、帝王の眼光がぎらりと輝く。
 紅はカウンターの構えだ。しかし、サイビアは攻撃ではなく後ろに転移した。
 一瞬遅れて、サイビアの居た場所を戎崎・蒼の弾丸が通過する。
「……"無間"か。なるほど、その名の所以はこの空間だけではないらしい。
 物理的距離を無視するほどの強力なテレポート能力もまた、異名の由来か」
 蒼はサイビアを睨みながら、紅の傍らにふわりと浮かび上がった。
「ちょっと蒼くん、勝手に横槍入れるのやめてくれない? 愉しんでたのに」
「愉しんでた? 僕には劣勢なようにしか見えなかったけどな」
「あっはは♪ 言うねぇ? そういうとこ、嫌いじゃないよ」
 ふたりは皮肉を軽口代わりに叩き合う。そこに友人のような気安さはない。
 だが、サイビアは直感した――このふたりは油断ならぬコンビだと。
『猟兵……この宇宙の希望、人類に光明をもたらす伝説の戦士の再来……忌々しい』
「希望、ねぇ? ずいぶん高く見られたもんだけど、あいにく俺は違うよ?」
 細剣をゆらゆらと挑発的に揺らしながら、紅は獰猛な笑みを浮かべた。
「俺は希望でもなければ善人でもない。ただ欲望のままに生きてるだけなんだ。
 俺が戦うのは、お前みたいな過去の遺物を消し去るのが愉しいからってだけ」
 そう言って、ちらりと蒼のほうを見やる。
「……ま、こっちの甘ちゃんがどうなのかは知らないけどね?」
「いちいち僕を挑発するな。戦闘中だぞ」
 蒼はサイビアから目線を外さずに、紅をたしなめた。紅は肩をすくめて笑う。
「……僕だって、愛だの正義だの希望だの、綺麗事を抜かすつもりはない。
 これは仕事で、どちらが淘汰されるかの戦いだ。根本的には、それで十分だ」
『淘汰――なるほど、言い得て妙だ。これはまさしく生存競争なり』
 サイビアの重圧が強まる。
『余は侵略者として再世した。ならば再び、この力を以て宇宙を平らげる。
 そのために、現行人類……否、生命の尽くはすべて滅ぼす。それが余の存在理由』
「ようは他のオブリビオンと変わらないわけだ。つまんないの」
 と言いつつも、紅はサイビアの力量を軽んじてはいなかった。蒼も同じだ。
 サイビアは強大だ。これまでの無限を思わせる侵略軍団は奴の力の一端に過ぎぬ。
 そして本体との戦いもまた、一進一退を繰り返すばかりで決着がつかない。
『ゆえに猟兵よ、ここで滅びよ。余の名のもとに……!!』
「大物ぶっちゃってさあ、ほんと笑えてきちゃうよ。ねえ、蒼くん?」
「……今回だけは、お前に同意してやるよ、紅」
 蒼は目線を外さずに言った。
「あいつを王座から引きずり下ろす。そのために、手を貸せ」
「手を貸すのはそっちのほうじゃない? 戦ってたのは俺なんだし」
「どっちでもいい。僕と船の人たちで隙を作る。お前が攻撃するんだ」
「はいはい。言われなくてもそうしますよって♪」
 サイビアの姿が――再び、消失した!

 サイビアの狙いは、あくまで紅だけに絞られていた。
 少しでも攻撃のチャンスを与えればろくなことにならないと判断したのだ。
 実際、それは正しかった――近接戦闘に関して、紅の技量は他の追随を許さない。
 しかし、蒼を放っておいていいのかと言えばそれも違う。こちらも実に危険だ。
 どちらから叩く? そんな帝王の思考を、人類軍が邪魔する。
 騎兵隊とグレイテスト号が連携し、援護攻撃を仕掛けてきたのだ。
『サイビアの攻撃を妨害するんだ! 猟兵をやらせるな!』
 騎兵隊隊長、J・Jの指示のもと、人類はサイビアに総攻撃を仕掛けた。
 帝王は考えた――まず、この邪魔な人類を根絶やしにすべきだと。
『消えよ、人類!!』
 サイビアは振り返り、掌から光弾を放った――しかし!
「ぐ……!!」
 あろうことか、蒼がその射線上に割って入り、光弾を身体で受け止めたのだ!
 強烈な熱量がほとばしり、肉を、骨を灼く。宇宙服の守りなどかそけきもの。
「へえ――"そうする"んだ。本当に面白いねえ、蒼くんってば!」
 紅は何かを察し、楽しげな笑みを浮かべてサイビアに連続攻撃を叩き込んだ。
 防御が間に合わない。細剣の鋒と人形たちの追撃が、帝王の身体を切り裂く!
『ぬう……!! 仲間がやられているというのに、哂うか。異なことよ、猟兵』
「仲間? そのセリフ、蒼くんが聞いたら怒りそうだねえ?」
 紅はくすりと笑った。帝王は嫌な予感を覚え、テレポートで逃げようとする。
 しかしその体を、二体の人形ががっしりと掴んでいた。姉妹の怨みを晴らすように。
「――そしてついでに言うと、彼は別にやられてなんかいないよ?」
『何……』
 そこで、サイビアは認識した。
 空中に環状に浮かぶ、無数の魔銃の存在を。
 そして魔銃の砲口が狙い定めるのは――他ならない、自分自身!
「希望なんて欲そのものさ。俺の欲望(エゴ)を、お前に一発くれてやるよ」
 なおも逃れようともがく帝王の胴体を、コンツェシュの刃が串刺しにした。
 人形ごと縫い留められたサイビアは、もはや魔銃の砲口から逃れられない。
「――……前に進むために、お前という存在は必要ない」
 蒼が片手を挙げ、下ろした瞬間――無間の魔銃が、一斉に砲哮を上げた。
 終焉をもたらす魔弾の雨が、身動き取れない帝王を射抜く――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゴロウザエモン・サンモト
無限の軍団には無限の軍団をぶつけるんでございますよ!宇宙を我色に染め上げろ!来い!百鬼ども!何度倒れても立ち上がれ!

そちらが軍団を無限に呼び出すのなら、私は軍団を無限に蘇らせ続けるだけのこと!根比べでございます!

【集団戦術・式神使い】で軍団を指揮し、敵軍団に対抗させると同時に鎧装騎兵隊を援護させる。

我が軍団は何度でも復活するのである!そいつらごと敵を討て!…みたいな戦術をオススメ。

私自身も戦鎚で召喚妖怪ごと敵を【鎧砕き・部位破壊】で倒しながら【激痛耐性・継戦能力】でサイビアまで進み続け【捨て身の一撃】を叩きつけるのでございます。

これが!仲間の力である!!(仲間の妖怪ごと攻撃を叩きつけながら)


砲撃怪獣・ガンドドン
データ照合完了
敵の扱う超次元殺法およびプラズマ光弾の能力から類推するに、その正体は地獄宇宙人アビ星人の同族……いわばスーパーアビ星人と推察されます。
であれば、これまで猟兵たちが遭遇してきたアビ星人との戦いの記録が攻略のヒントになり得るはず。……ということを文書化して周囲の味方へデータ共有を試みる

同時に再び武装合体の能力を発揮し、友軍機の強化アーマー化。敵軍の中を突っ切る
友よ、いざ合体(ユナイト)。
被弾ダメージをこちらの装甲で引き受けることで、合体した友軍機を可能な限り無傷の状態でサイビアのもとへ向かわせる。
アーマー・パージ……ラストアタックは、任せる!

(※変わらず台詞はありません。ガオォン)


カタリナ・エスペランサ
ナンセンスだね。既に滅びたのはキミの方だ
出番を終えた過去の亡霊ほど不要なものは無いよ
大将首、見事討ち果たして魅せようか!

【閃紅散華】で紅雷を纏い《ハッキング》で自己調律、《封印を解く+限界突破+リミッター解除》して《先制攻撃》
命中する程に侵蝕し呪縛する《属性攻撃+マヒ攻撃+鎧砕き+弾幕》の雷羽で牽制し《援護射撃》代わりに。
《第六感+戦闘知識》にUC加速も合わせ敵の動きを《見切り》三次元的な《空中戦》で回避、《早業+怪力+2回攻撃》の《カウンター》を叩き込もう
味方に狙いが向けば《体勢を崩す+衝撃波》を放ち《ダッシュ+切り込み》で割り込み《庇う》

無間さえ墜とす終焉をくれてやる
伏して拝せよ僭称者ッ!


ナイ・デス
オブリビオンとして蘇ったことで、強くなっている、でしょうか
それでも……かつての鎧装騎兵が、倒したように
「今」の希望も、負けない。そう、示しましょう……!

【念動力】で「ダイウルゴス」を動かして
光を放って【推力移動】
【生命力吸収】する光の【レーザー射撃】彫像の塊の隙間から【一斉発射】して、光剣のように【なぎ払い切断】
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】癒しの光で、再生して
【第六感】で、対再生攻撃などきても反応し

この無間の空間も「今」にある世界の一部
ここにも、光はある筈……一緒に、戦いましょう

願う。何度も
力を与え、集わせ、巨竜に
その力を、ブラスターに

これは「今」の人の、最大の力

【リミッター解除、範囲攻撃】



●繋がり、重なり、未来へと
『オオオオオ――!!』
 楔のような魔弾の雨を浴びた"無間のサイビア"は、痛みと屈辱に悶え苦しんだ。
 帝王として君臨すべき己が、定命の存在に一撃を受けるという許しがたき事態。
 闇の帝王という自負、そして天敵への怒りが、サイビアを突き動かす!
『我がしもべどもよ! 殺せ――人類を! そして、我らの天敵をッ!!』
 空間を揺るがす怒声が呼び水となり、闇が怪獣の形へと凝縮した。
 うごめく無数の邪悪なる願いが、雄叫びをあげてグレイテスト号に殺到する!
「嘘だろ! さっきよりも数が多いぞ!」
 状況をブリッジで見守っていた"色男"ジャックは、悲痛な表情で叫んだ。
 この空間そのものが、無間のサイビアの玉座にして侵略蔵書の一部。
 つまり、侵略軍団もまた無限――怒りの火をくべられた宇宙怪獣は獰猛だ!

「無限の軍団、何するものぞ!」
 しかして、ここには猟兵がいる。
 戦槌を戦旗の如くに掲げ、力強く雄々しく叫ぶはゴロウザエモン・サンモト。
「来い、百鬼ども! 幾度倒れても立ち上がり、宇宙を我色に、染め上げろ!!」
 もう片方の手で魔筆を滑らせ、百鬼夜行の妖怪たちを瞬時に描き出す。
 数は宇宙怪獣軍団に遥かに劣る――しかし、妖怪たちは幾度倒れても立ち上がる。
 絵筆から実体化した強靭なる百鬼夜行は、"魔王"が倒れぬ限り終わらないのだ!
「そちらが軍団を無限に呼び出すのなら、私は軍団を無限に蘇らせ続けるのみ!
 宇宙怪獣どもは私が抑えます、皆様はその間にサイビアを叩いてくださいませ!」
 咆哮する怪獣軍団と、妖怪軍団が真っ向から激突した。
 強烈な衝撃が波となって、この異常重力場という空間を震わせる。
 妖怪はその爪で、牙で、引き裂かれ食いちぎられるが、即座に復活。そして進軍!
「無限と無限の戦いか、気に入った! クライマックスは派手でなきゃね!」
 カタリナ・エスペランサは不敵に笑い、蔓延る宇宙怪獣軍団の狭間を飛翔する。
 軍団同士の激突を隠れ蓑に、"無間のサイビア"は姿を隠したようだ。
 しかし、この空間がサイビアにとっての本拠地――つまり、逃げ場はない。
 緒戦のように、空間そのものに隠れ潜むなどということは出来ないのである。
「姿を現さないなら、目に見えるすべてを穿つのみ! 咲き誇れ、紅雷よ!」
 バチバチバチバチ――!!
 カタリナの全身を調律の権能宿す紅雷が包み込み、空間そのものを焼灼した。
 電光の余波を浴びた脆弱な宇宙怪獣は、ただの余波だけで跡形もなく消え失せる。
 まさしく、全方位を隙間なく薙ぎ払う超絶の範囲攻撃だ!

 カタリナは、弾かれたように振り返った。
 紅雷を掻い潜り、無間のサイビアが闇の中から出現したのである。
 当然ながら攻撃は当たっていない。空間跳躍を使って範囲攻撃を避けたか!
「そこか! 追い詰めたよ、サイビア!」
『――追い詰めた? この余を? 否! 狩られるは貴様のほうである!!』
 カタリナとサイビアは真正面からまっすぐに飛翔し、激突した。
 一瞬の間に無数の攻撃が同時に叩き込まれ、両者はそのまま真反対に吹き飛ぶ。
「く……! さすがに、力比べでは先を行かれるか……なら!」
 カタリナは虹の翼をはためかせ、紅雷の飛沫を振りまきながら飛翔した。
 パワーで劣るならば、スピードで敵を翻弄し隙を生もうというわけだ。
 サイビアもまた短距離テレポートを繰り返し、カタリナの攻撃に対応する。
 目にも留まらぬスピードで乱舞する光と闇が、空間のあちこちで激突した。
「オブリビオンとして蘇ったことで、強くなっている、でしょうか……」
 疑似キャバリア"ダイウルゴス"を駆るナイ・デスは状況把握に努める。
 ナイの乗機はスピードに乏しい。今のあのふたりの戦いには入り込む余地がない。
 彫像の塊の隙間から収束させた光を放ち、宇宙怪獣軍団を殲滅するのが先だ。
 しかしサイビア本体を叩かなければ、無限の宇宙怪獣軍団は決して終わらない。
 つまり、ジリ貧である。いくら無限の再生能力を持つナイでも例外ではない!
「それにしても、あの、テレポート能力……どこかで、見た、覚えが……」
 ナイの脳裏にひっかかるのは、ひとつの違和感だった。
 そんなナイの疑問を肯定するかのように、マシンに思念波が流れ込んでくる。
 より正確に言うと、キャバリアの規格に最適化された文書という形で。
「これは――?」
 ナイは、光のサインとなって浮かび上がる文字に目を走らせた。

 ――データ照合、完了……超次元殺法およびプラズマ光弾の能力から類推。
   "無間のサイビア"の正体は、地獄宇宙人アビ星人の変異個体と思われる。

「……地獄宇宙人、アビ星人……!」
 ナイはその名をよく知っていた。なにせ、かつて戦ったことのある相手だ。
 超高熱のプラズマ光弾と、テレポートを駆使した次元殺法を操る強敵である。
 無間のサイビアが、かつてこの宇宙に存在した侵略者の帝王なのだとすれば……。
 奴は、侵略者の中の侵略者――いわば、スーパーアビ星人といったところか!

「それなら、私が戦ったアビ星人との記憶が、戦いの役に立つ、はず……!」
 アビ星人と遭遇・戦闘したのは、ナイひとりではない。
 同じように光のサインを見た猟兵たちから、その戦闘記録がデータとなって戦場を飛び交っていた。
 データの向かう先は、光のサインを浮かび上がらせた当事者である。
 すなわち、物言わぬ機械の戦士……砲撃怪獣・ガンドドンであった。
『ガオォオオオン……!!』
 ガントドンは集まったデータを解析し終えると、ギランと両目を輝かせた。
 そして体の接合部から光があふれると、ガンドドンのボディがパーツに分かれる。 ガンドドンは味方と合体・装備されることで、強力なパワーを分け与えることが出来るのだ。
 単なるプラスではない――それはまさしく、累乗倍の力なのである!
「いざ、合体(ユナイト)……ということです、ね!」
 ナイはガンドドンの合体パーツを受け入れ、さらに"ダイウルゴス"を融合強化した。
 文明侵略竜は疑似キャバリアの域を超越(エクシード)し、恐るべき巨体に変身する!
『何……!? 余の侵略軍団をも超えるほどの巨体など、不遜なり……!』
 カタリナと互角の戦いを繰り広げていたサイビアは、その巨躯に屈辱を覚えた。
 サイビアもまた闇の力により、数倍、いや、数十倍の大きさにまで巨大化する!
『打ち砕いてくれる、偽りの竜めが!!』
 KRAAAAASH!! サイビアの拳が、新生ダイウルゴスのボディにヒットした!
「そんな攻撃で、私は――いいえ、私たちは、負けません!」
 鎧となり盾となったガンドドン・アーマーが、強烈な衝撃からナイを守る。
 ナイは赤い瞳を燃えるように輝かせ、再生の光を剣のように収束し斬りつけた!
 ZANK!! 光の剣戟が、巨大化したサイビアの胸部をバツ字に切り裂く!
『ガ……ッ!!』
「図体がでかくなったぶん、さっきまでのスピードはもう発揮できないみたいだね!
 その隙、もらった――無間さえ堕とす終焉をくれてやる、僭称者めッ!!」
 のけぞるサイビアの全身を、カタリナが猛スピードで駆け抜け斬撃を放つ。
 全身を余さず切り裂く剣戟のダメージが、闇の帝王をさらに怯ませた。
「出番を終えた過去の亡霊は、速やかに退散するがいいさッ!!」
 そして紅雷を纏ったカタリナは、さながら流星のような光と化して飛び蹴りを繰り出す!
 増幅された雷のエネルギーが、バツ字に刻まれたサイビアの傷口に激突――炸裂!!
『グオオオオオッ!!? バカな、余の体を、ヒトごときの力が……!』
 サイビアは体勢を取り直し、闇の力ですべてを吹き飛ばそうとした。
 しかし! そこに組み付いたのは、怪獣軍団を蹴散らした百鬼夜行の妖怪たち!
『なんだと!?』
「我が軍団は何度でも復活するのである! そして無論、魔王たるこの我も!!」
 頭上に浮かぶゴロウザエモンが手斧を掲げれば、強烈な重力場がサイビアを襲った。
 時空さえも引き裂く闇の帝王が、猟兵の力によって物理的に縛り付けられるという屈辱。
 闇の帝王は身悶えする。しかし、妖怪たちは死んでもその身体を離さない!
『は、な、せぇええええええッ!!』
「絆の力を、そして魔王の力を知るがよい、オブリビオン!!」
 全身から溢れ出した闇の力が、再生を繰り返す妖怪たちを引き剥がそうとする。
 その余波は、サイビアに突撃する新生ダイウルゴスにも迸っていた。
 しかしアーマー化したガンドドンが、そのすべてのダメージを受け止める!
『――ガオォオオンッ!!』
「……!」
 ナイは察した。すべての力を攻撃に転じ、一撃を叩き込めと叫んでいるのだと。
 ならば、その意を汲むまで。再生の光を一点に――メガブラスターへと収束させる。
「この無間の空間も、そして戦う私たちも、すべては"今"にある世界の一部。
 ここにも、光はあるはず……一緒に、戦いましょう。私たち、みんなで……!」
「応とも! さあ、我が百鬼もろとも、その一撃を!」
 ゴロウザエモンの言葉に頷き、ナイはすべての光を砲口に集めた。
「これは、"今"のヒトの――最大の力、です!」
 闇の帝王が光弾を放つ。ガンドドン・アーマーが爆砕しながらも受け止める!
 機獣の咆哮は、そのまま砲口より放たれし輝光(グリッター)の砲声となった。
『こ、これが――希望の力、やはり、余の予測は、正しかったのか……!!』
 無間の闇をも切り裂く光が、闇の帝王をまっすぐに――劈く!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティアー・ロード
【真・スペース悪巧み】

「無間の。少し勘違いがあるようだから訂正しておこう」
「私達を滅ぼした所で希望は消えない
そして、私達は滅びない」

「護るべきモノがある限り、ヒーローは負けないのさ!」
特にその応援を受けた時はね!
引き続き【刻印「鹿鳴之宴」】を使用
EDまで見逃し厳禁だ!

「さて、乙女の肉体があればパーペキなんだが……
三日は筋肉痛の覚悟をしたまえよ、ジョン!」
遺憾な事は続くね、
今回はジョンの身体でヒーローとして戦うよ
ジョンに足りない分の格闘経験を私が補おう!
「「私達こそ涙の支配者、オーバーロード・ブラウン!」」

光弾は当たると不味いし
曾場八野君の鎮闇雷火を盾にして突撃するかな

「「これが、絆の力だ!」」


リチャード・チェイス
【真・スペース悪巧み】
(WSD放送最終回のテロップ。OPもカットして最初からクライマックス)

刮目するがよい、猟書家の名を冠する鹿ならざる者よ。
世界に追加されるページは貴様ではなく、我々の伝説だということを。
戦う者たちの声援が集まる今こそが伝説の渦中であること。

我がグレイテスト号よ。悪巧みの旗艦として真の姿を現すのだ。ポチッとな。
(伝説により鹿的姿に変わる。角がつく。防御力も上がる。パーペキ)

戦う者たちの声援を受け、決戦へ赴き給え。
(軍団を退けつつ、前線に向かう者たちを見送る。艦長席で)

猟書家よ、怖れるものとして1つ書き足しておきたまえ……鹿と。


曾場八野・熊五郎
【真・スペース悪巧み】
「うぷっ……まだいけるでごわす。我輩強い子賢い子」
死にそうな青い顔しながらキャバリアの操縦桿を握る

「む、モジャ公とお面がやる気でごわすな。なら我輩もとっておきでごわ!鱒之助!」
「獣!魚!機械!これぞ三位一体チクエリオンでごわす!」
UCと鱒之助を介してキャバリアと自身を合体させ、機体に満ちたサイキック犬エナジーと精神を接続させて自由に動けるようにする

「ぬははは!我輩にもやっと敵が見えるでごわ!」
「美味しいところはモジャ公にくれてやるから先に行くでごわ!我輩って謙虚」
怪獣の露払いに努める
熊五郎と犬エナジーを接続するサイキック鮭エナジーが切れるまで怪獣相手に全力で暴れまわる


ジョン・ブラウン
【真・スペース悪巧み】
「やぁボスキャラのお出ましだ、みんな息切れしてないかい?」
グレイテスト号の面々を見渡しながら問いかける

「ヘトヘトでもまだ頑張ってもらうよ!なんてったって今から僕がアイツと殴り合いしてこなきゃいけないんだ」
そう告げた少年は背こそ高いが体格が良いとは決して言えない
映画なら背中にバスケットボールをぶつけられたり
ロッカーの前をカップルに占領される側の人種なのが明らかだ

「ああ、見ての通りさ。だから――僕がアイツをぶっ飛ばせたら、それはみんなの力だぜ?」

下手糞なウインク一つ残し船外へと飛び出す

「よっしゃ久々に行くよティアー!オーバーロードだ!」
ティアーと共にサイビアへ真っ向勝負を挑む


詩蒲・リクロウ
【真・スペース悪巧み】
ジョンさん、やる気ですね……。(前回の戦いで結構ボロボロのリクロウは後衛に回る為にグレイテスト号に戻っていた)
ならばその覚悟、その想い!僕が力に変えてみます!

グレイテスト号の皆さん、どうか見守って、そして声を上げてください!
僕ら猟兵は確かに強い。ですが、僕らだけでは世界を侵す敵を全て駆逐することはできません。

皆さんの声が、皆さんの想いこそが!
そして皆さんの「希望」こそ僕らの原動力!
(「ブレイブハート・ロアー」を発動し、ティアーとジョン、熊五郎とリチャード、そして自分自身の想いを乗せ咆哮する)

ティアーさん!ジョンさん!
受け取ってください!これが人々の希望です!



●真(チェンジ!)スペース悪巧み
 ウオオオオオン……。
 高周波に共鳴を起こした巨大な金属めいた、腹に響く唸り声がいくつも響いた。
 侵略蔵書『宇宙侵略史』から生み出された、新たな宇宙怪獣軍団の咆哮である!
『猟兵……余はその存在を認めぬ。そして、余の君臨すべき宇宙には不要なり。
 すべて滅べ。尽く滅ぼし尽くし、余はしもべとともにこの宇宙を平定する!!』
「――無間の、少し勘違いがあるようだから、訂正しておこう」
 ティアー・ロードは、無間のサイビアを睨みつけた。
「私たちを滅ぼしたところで、希望は消えない」
『何……?』
「そして――私たちは、滅びない!!」
『……戯言を! 貴様らは滅びるのだ! 今日、この時を以て!!』
 オオオオオン……!!
 怒涛のような勢いで、無限に生まれ続ける宇宙怪獣軍団が殺到した。
 グレイテスト号など、高波の合間に浮かぶ小さな舟一隻にも等しい。
「さ、さっきよりも数も規模も段違いだ……!」
「これじゃあ、わたしたちが盾になっても防ぎきれない!」
 ストレンジャー隊の鎧装騎兵たちも、あまりの圧倒的スケールに戦意を喪失しかけた。
 アリと象……いや、戦力差はそれ以上。そもそも敵の規模には終わりがない。
 ゆえに無限。
 ゆえに無間!
 無間のサイビア本体も闇の力によって巨大化し、猟兵に襲いかかる!

「刮目するがよい。猟書家の名を冠する、鹿ならざる者よ」
 しかし。
 なぜか艦長席にふんぞり返ったリチャード・チェイスは、偉そうだった。
 違う、平然としていた。背景で文句を言う"色男"はスルーしている。
「世界に追加されるページは、貴様ではなく我々の伝説だということを。
 戦う者たちの声援が集まる今こそが、伝説の渦中である――そして今こそ!」
 リチャードはコーヒーカップを置くと、ビシィ! と人差し指を天に向けた。
 ウィーン。突如としてコンソールに生じる、誰も知らない赤いスイッチ!
「我がグレイテスト号よ(背景でギャーギャー騒ぐ"色男"はノイズとして処理されています)悪巧みの旗艦として、真の姿を現すのだ。ポチッとな」
 赤いスイッチを押した瞬間……ボロ船が、虹色の輝きに包まれた!
「おい待て!? 何が起きてんだドリー!?」
『……船外映像、表示シマス』
 大型モニターに映し出されたのは……つ、角が生えて赤くなったグレイテスト号!
 まるでシャーマンズゴース……アッハイ紛れもなく鹿です疑うまでもない。
「お、俺の船が……なんか変わっちまったぁーっ!?」
「何を言っておるか"色男"よ。この船は我々スペース悪巧みの旗艦である」
「だからやめろよ当然みてえな顔でシップジャックすんの!?」
『ソンナコトヲ言ッテイル間ニ、敵宇宙怪獣軍団ガ衝突シマス』
「ギャーーーー!! もう終わりだああああ!!」
 ムンクの「叫び」よろしく、両手を頬に当てて叫ぶジャック! くつろぐ鹿艦長!
 そしてモニターが、黒い波濤で埋め尽くされ、グレイテスト号は……。

『……こ、これは!?』
 鎧装騎兵が叫んだ。
『ぐ、グレイテスト号、健在です! いや、それどころか……!』
 見よ。
 黒の海が……宇宙怪獣軍団という海が、内側から切り裂かれていく。
 突き出したのは雄々しき角! そして怪獣を真っ二つにして飛び出す赤い鹿!
 いや違う赤い船! あ、あれはまさしく、グレイテスト号!
「これが、伝説の力である」
「ウッソぉ!? 助かったのは嬉しいけどこれで乗り越えちまうのォ!?」
 そこに伝説があるとリチャードが言えば、鹿伝説は現実となる。
 因果さえも改変する鹿パワーが、宇宙怪獣軍団の猛攻も耐えきったのだ!
 何もかもがトンチキだが、しかしこれは船員たちに大きな勇気と活力を与えた。
 萎えかけていた船員たちの声援が、再び猟兵たちを大きく強化する!

 当然、無間のサイビアは、こんな陳腐な逆転劇を快く思わない。
『面妖なり……しかしその力こそ、やはり我らという闇を払う"希望"に他ならず。
 すべての生命は余の名のもとに、恐怖と絶望の暗黒に包まれ震え上がるべし!』
「さっきから……うぷっ、難しい言葉ばかりで頭が痛んでくるでごわ!!」
 プラズマ光弾を放とうとしたサイビアに、曾場八野・熊五郎が突撃した!
「知恵熱のせいで吐き気までしてくるでごわ……あっまた出そう」
『小賢しい!!』
 しかし熊五郎のマシンはあっけなく吹き飛ばされてしまう。
 闇の力で巨大化したサイビアの力は、キャバリア一騎ではどうしようもない。
 ついでに言うと、熊五郎のコンディションも最悪の中の最悪であった。
 その頭痛と吐き気は誰がどう見ても味方ないし本人のせいである!
「うぷっ……ま、まだいけるでごわす。我輩強い子賢い子」
 それはそれとして、熊五郎はマシンの体勢を立て直し、敵を見据えた。
 サイビアにはパワーでもスピードでも敵わない。それは覆しがたい事実だ。
 ならば、どうする。……その時、グレイテスト号から通信が入った。
『ハロー、クマゴロウ。吐き気収まった?』
「む、モジャ公でごわすか。なんでごわす、エサなら大歓迎でごわすが」
『この状況でまだ食べようとするの流石だよね。いや、そうじゃなくてさ』
 ジョン・ブラウンは通信越しに言った。
『あいつは僕とティアーで叩きに行く。だからクマゴロウは怪獣軍団をお願い』
「……なるほど。お面もやる気でごわすか」
『おいしいところをもらっちゃうけど、今日はいいだろ?』
「仕方ないでごわすな! 見せ場はモジャ公にくれてやるでごわす! 我輩謙虚!」
『助かるよ』
「そうと決まれば、我輩もとっておきでごわ! ――鱒之助!!」
 ビチッ、ビチビチ……犬用パイロットスーツに縛り付けられた魚が、跳ねる。
 ビチビチビチビチ! ついにその動きは拘束を破り、コクピットを飛び出した!
 宇宙空間を元気に泳ぎ回る鱒之助! そのスピードは一気に加速していく。
 もはや肉眼では捉えきれず、まるで土星の輪のようにキャバリアを囲っていた。
「獣! 魚! 機械! これぞ三位一体、チクエリオンでごわすーッ!!」
 光の輪(正体は魚介類)が収束すると、キャバリアのボディが光り輝いた。
 光の中で熊五郎と鱒之助、そしてマシンは一体化し、三位一体の戦士となるのだ!
『なんだと!?』
『うおおおお! サイキックDHAのおかげで我輩のIQも天文学的数字に!
 頭痛も吐き気も消えて全力全開でごわ! 気ン持ちいい~!!』
 強烈なサイキックイヌエナジーが機体を覆い、そのシルエットが数倍に膨れ上がる。
 それは機械のようで機械でなく、獣のようで獣でなく、魚のようで魚でもない。
 つまり……これはなんなんだ!? サイビアが困惑するのも無理はなかった!
『ぬははは! 我輩にもやっと、敵が見えるでごわ!!』
 そして熊五郎は、マシンの胸部から虹色のサイキック犬エナジーを放出した!
 トンチキエンジンとでもいうべき理外のパワーは、怪獣軍団を殲滅する!
『さあモジャ公! ここは我輩に任せて先に行くでごわ!』
 グレイテスト号は、サイビアめがけて一気に進む……!

「――と、いうわけでだ」
 グレイテスト号船内、ブリッジ。
 ジョンはくるりと船員たちを振り返り、きざったらしく笑った。
「ついにボスキャラのお出ましだ。みんな、まだ息切れはしてないよね?
 ヘトヘトでも、まだ頑張ってもらうよ。なんたって今から――」
 疲弊した船員たちを見渡し、ジョンは言った。
「僕がアイツと、殴り合いしてこなきゃいけないんだ」
「な、殴り合いって、お前……」
 "色男"はどう言葉をかけたものか、口は開いたものの考えあぐねた。
 ジョンはいわゆるギークだ。身長以外は、どれもこれもいまいち頼りない。
 赤毛(ジンジャー)といえば田舎者の証である。しかも体格がいいとは言えない。
 それがあの巨大な化け物と殴り合いをするなど、誰が信じられようか。
 スクールカーストの最下位、誰からも笑われて蔑まれる――そういう役回り。

 ……それはつまり、この船に乗る人々と同じマイノリティということだった。
 事情ゆえにまともな人間として暮らすことが出来なかったもの、
 コミュニティから排斥され、望まぬ生き方を選ぶしかなかったもの。
 船長のジャックだって、人間的にはクズだのろくでなしだのと揶揄される。
 そんなならず者、はみ出しものたちが、ギークのことをじっと見つめていた。
「ああ、見ての通りさ。だから――」
 ジョンは、ニッと歯を見せて笑った。
「僕がアイツをぶっとばせたら、それはみんなの力だぜ?」
「「「……!!!」」」
 ジョンは言った。
 たとえ戦う力を持たない船員たちでも、その声と祈りは力になるのだと。
 あの無限を思わせる怪獣どもを蹴散らした戦いが、その言葉の証明である。
 だから船員たちは、信じた。そして心からの祈りを込めて、言った。
「頑張れ。――頑張れ、猟兵。頑張れ、ジョン・ブラウン! 負けるな!!」
 ジョンはふっと目を細めると、ヘタクソなウィンクを残して外へと飛び出した。
『準備はいいかい? ジョン』
「ああ。乙女の肉体じゃなくて悪いね、ティアー」
『いまさら贅沢は言わないさ。ただし、三日ほど筋肉痛の覚悟をしたまえよ!』
 ティアーが、ジョンの顔面に張り付く。そして、一体化する!
『教えてあげよう無間の! 守るべきモノがある限り、ヒーローは負けないのさ!』
「特に――声援を受けた時はね!!」
 サイビアは畏れた。その光を……いや、人間の持つ意思の力を。
 光は流星のようにまっすぐと飛翔し、サイビアの巨体を吹き飛ばす!
『ぐお……ッ!?』
『『私たちこそ涙の支配者、オーバーロード・ブラウンだ!!』』
 光弾を放つ暇などない。ジョン、いや、ティアー……いや、オーバーロード・ブラウンの猛攻が、光を伴い叩きつけられる!
 パンチのラッシュ! サイズ差は数百倍はあろうというのにものともしない!
 サイビアの巨体は吹き飛ばされ、闇の力が少しずつ減衰していった!
『な、何故だ……! このようなふざけた連中に、余が圧されているだと!?』
 困惑があった。未知のもの、理解できないものに対する感情が。
 それは恐怖と同義である――そう、サイビアは、恐れていたのだ……!

「……ふざけた連中、というのは否定しませんけどね」
 そして、グレイテスト号甲板上。
 ボロボロの有様になったリクロウが、仲間たちの戦いを見上げる。
「そのふざけた連中でも、あなたみたいな存在は許せないし見過ごせないんです。
 僕も、ジョンさんや皆さんも、やり方は違っても同じ思いを抱いています。
 ……だからあなたは、ここで負けるんです。僕ら猟兵だけの力ではなく!」
 リクロウは倒れかかる身体を、巨大斧を甲板に突き立てることで支えた。
「この世界に生きる人々の、強い祈りと想い……希望が、あなたを倒すんです。
 銀河皇帝を、そしてクエーサービーストを、万を超える敵を打倒したように!」
 その声は、朗々と真空の宇宙に響く咆哮となって、敵を、闇を退けた。
『希望……! 無から有を生む力! やはり、やはりその光こそが……!!』
「否。真に恐れるべきは鹿と知るがよい、猟書家の名を冠する鹿ならざる者よ」
『そこはナマモノを畏怖するべきでごわ! 動物虐待許すまじ!!』
「本当どこまでも我が道突っ走りますねえあなたたちは!?」
 リチャードと熊五郎の戯言にツッコミを入れつつ、リクロウは笑った。
 たしかに感じるのだ――音ではない、視覚によってでもない。
 心と心で感じる。グレイテスト号の人々が、彼らの名を呼んでいるのを!
「やっちまえ、悪巧み!」
「あんなやつぶちのめせ!」
「一番フザケてんのは、あいつの存在だ!」
 リクロウは笑っていた。サイビアを叩きのめすオーバーロード・ブラウンも!
「ティアーさん! ジョンさん! 受け取ってください――これが!」
 そして音によってではなく、視覚によってでもなく。
 魂を震わせる咆哮をもって、リクロウは叫んだ。
「これが――人々の! 希望です!!」
『『――受け取った!!』』
 オーバーロード・ブラウンの身体から、さらなる光が迸る。
 それはサイビアの巨体を超えるほどの、いわば光の巨人めいたフォルムを生んだ。
『『これが……絆の! 力だッ!!』』
『絆、希望、祈り……! おのれ、おのれぇえええええッ!!』
 サイビアの身体に叩き込まれる一撃が、闇の力を払いのける。
 そう、宇宙という暗黒の世界に、人類文明が光を灯していくように。
 この世界に生きる人々の生命力が、猟兵たちに強い力を与えるのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

アハハハハハッ!頭から突っ込んだ!
やるぅ!

よーしじゃあみんなで行ってあの子をやっつけよう!
方法?
ワーッと行って!
ガーッとやって!
ドーンッ!!

あっち!なんかあっちらへんの隅っこにいる気がする!
球体くんたちと騎兵くんたち一緒にドーッ!と突っ込んで
宇宙人くんに宇宙怪獣くんを掻き分け傷も構わず突き進んで
【第六感】でサイビアくんの居場所を当て推量して
見つけたらUCでドーンッ!!

さあみんな力を合わせて!
これが希望ン力だぁーーーーーッ!!
ほら恥ずかしがらずに大きな声で!
スペシャルサンクス:グレイテスト号のみんな!

アハハハハハッ!
いい夢は見れた?
じゃまた過去のなかで寝てるといいよ!


月凪・ハルマ
◆SPD

【迷彩】で【闇に紛れる】様に身を隠して
しばし【情報収集】

短距離テレポート、どれだけの距離を跳べる?
連続で何度まで発動可能なのか?
発動前に何か予兆はないか?
etc、etc……

目を凝らせ。より多くの情報を集めろ。そして考え、見極めろ
より確実に、奴に楔を打ち込むために

僅かでも構わない、隙を見出したら【早業】で
サイビアに【潜刃・禍ッ牙】を喰らわせる

当然、姿も気配も消したまま仕掛けるつもりだが……
向こうがこちらに気付いている様子なら
囮の手裏剣とUCを込めた本命の手裏剣を、いわゆる
『影手裏剣』の要領で打ち込もう(【2回攻撃】【投擲】)

ある程度の隙を作り出せれば、後は他の
仲間に任せておけば大丈夫


メイスン・ドットハック
【SPD】
ほう、ボス直々に出撃してくるとはのー
それは僕も直々に相手をしてやらにゃーのー

そう言って揚陸艦ロストリンクから出撃する
と見せかけてUC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」発動で、コピー体を大量出撃させて、自身は甲板にてキャバリア「KIYOMORI」に搭乗して待機
サイビアが短距離テレポートでコピー体を潰している間に鎧装騎兵と連携してLPL砲で射撃してダメージを削る
そして最後のコピー体を潰したところをロストリンクの兵装も込みで集中砲撃を行う

残念、それ全部外れじゃのー。まともに相手すると思ったのが残念な所じゃったのー

自身のキャバリアのミサイル・榴弾・レーザー砲ユニットも使い切る

アドリブ絡みOK


ミレア・ソリティス
作戦目標……指揮個体「猟書家」“無間のサイビア”を確認。
敵軍は多勢、ですが……本体による維持が必要と判断

UC【コード・テンペスト】を使用。『ヴィントシュトス』と合体、戦闘機形態に変形し、兵装を換装、『ジャミングミサイル』『ノヴァ・バスター』を装備し戦闘を開始、ミサイルとUCで《ジャミング》を撒きつつ、纏まった敵集団へ《重力属性/範囲攻撃/捕縛》のノヴァ・バスター「ブラックホール弾頭」を撃ち込み処理。
同時にセンサーによる友軍との情報共有を行い《遊撃》モードの『ヴィントシュティレ』による砲撃支援も織り交ぜつつ、敵集団への攪乱と妨害を行い、敵本体への攻撃チャンスを作りましょう

※アドリブ連携歓迎です。


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

はぁ…やぁっと抜けたわねぇ。ただでさえ強い奴が物量戦仕掛けてくるとかホント勘弁してほしいんだけどなぁ…

向こうは実質無限湧きだし、正面からまともに相手するのは流石に無茶ねぇ。軍団すり抜けて本体に一撃喰らわすほうがまだ現実的かしらぁ?
一発当てれば実質勝ちなら地獄の耐久戦と比べれば乾坤一擲オールインには十分よねぇ。
ゴールドシーンにお願いして〇オーラ防御に各種耐性、洗い浚いのバフを展開。●轢殺・適応を起動して○騎乗突撃かけるわぁ。
索敵までしてる余裕はなさそうだし、そこらへんは味方に任せて常時情報共有しつつ一気に突貫しましょうか。
タダの人間の虚仮の一念、舐めんじゃないわよぉ?


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

見つけたぞ…猟書家サイビアめ…貴様を屠る…それだけだッ!!!

[継戦能力]を維持しつつ
仮面を被り真の姿の[封印を解こう]

コソコソ隠れてないでかかってこい…
怪獣オタクの引きこもり…軍師気取りのタマなし野郎…!

敵を[挑発しおびき寄せ]グレイテスト号を敵の攻撃から[かばおう]

敵の攻撃を[暗視と視力で見切り]つ回避
[ジャストガードと激痛耐性]で歯を食い縛り耐えよう

攻撃に耐えつつ【絶望の福音】を発動
敵の攻撃を[不意打ち]で避けて[おどろかし体勢を崩そう]

隙を付いて鉄塊剣を[早業]で抜き振るい
[怪力と覚悟]を乗せた[鎧無視攻撃]を敵目掛け叩きつけてやろう!



●闇に潜み、闇を払い、闇を吹き飛ばせ
 宇宙船をもその角で引き裂く、怪力自慢の猛牛怪獣・バッファモーン!
『グモォオオオオッ!?』
 ……が、さらに巨大な球体に吹き飛ばされ、そして宇宙の彼方で四散した。
「アハハハハハッ! 邪魔邪魔ァ!」
 球体を使役するのは神の少年、ロニ・グィーである。
 その右目が見据えるのは、宇宙怪獣軍団を隠れ蓑にする無間のサイビアのみ。
 一瞬にして両者の間合いが詰まり、ロニは"神撃(ゴッドブロー)"を振りかぶる!
『――遅い』
「!」
 しかし大地をも真っ二つに叩き割る神の拳は、むなしくも空を切った。
 空間を伝達した余剰エネルギーが衝撃波となり、有象無象の怪獣を吹き飛ばす。
 サイビアは、背後。超次元殺法を使い、一瞬にして回り込んだのだ!
『もらった――』
「そうはさせるかッ!!」
 そこへ、仇死原・アンナの打ち振るう鉄球付き鎖鞭が割り込んだ。
 サイビアの片腕に鎖の鞭が絡みつき、アンナは思いきり鞭を引っ張る。
 大型マグロを一本釣りする漁師めいて、サイビアを釣り上げるつもりだ!
『小賢しい……!』
 サイビアは拘束からテレポートで離脱し、ふたりから距離をとった。
 すぐさまその周囲に宇宙怪獣軍団が現れ、ロニとアンナに襲いかかる!
「アハハハハ! 人類のみんなは頭っからここに突っ込んできたってのにさぁ!
 キミはヤドカリみたいに出ては入っての繰り返し? 臆病者だなあ!!」
「コソコソ隠れてないでかかってこい……軍師気取りのタマナシ野郎……!!」
『好きに囀るがいい。もはや余は手段を選ばぬ!』
 追いすがるロニとアンナ、だが怪獣軍団の巨体がついにサイビアを覆い隠した。
 轟雷怪獣ザンダリア、そして極寒猛獣ブリザルドが襲いかかる!
『ゴァアアアアッ!!』
『コルルルルル……!』
 雷と、氷! 同じ怪獣でさえ並の個体は耐えられないほどの超電流と極低温!
 吹き荒ぶ電磁波ブリザードを、ふたりは躱す。サイビアは発見不可能……!

 超次元殺法と宇宙怪獣軍団の質量を利用した、サイビアのヒットアンドアウェイが、猟兵たちを苦しめる。
 しかし猟兵たちとて、なすすべもなくいいようにされているわけではない。
(わかってきたぞ……奴のテレポート能力の限界、そしてタイミングが)
 怪獣軍団の中に気配を潜ませているのは、何もサイビアだけではなかった。
 月凪・ハルマは怪獣を倒しながらも目を凝らし、サイビアの戦いを観察していた。
 超次元殺法は、どれだけの距離を飛べるのか。
 連続で何度まで発動できて、発動前後と予兆はどの程度の隙があるのか。
 感知するための手がかり。攻撃を届かせるためのわずかなカケラ。
 常に動き続け、怪獣そのものを障害物として利用し、同時に敵の勢いも削ぐ。
 巧妙に殺意を心の中の闇に沈め、獲物を狙う猛禽めいてその時を待つ。
(この怪獣どもはたしかに脅威的だけど、こいつらを倒してもキリがない。
 ……つまり、"無間のサイビア"を叩くしかないことは、みんながわかっている)
 だから必ず、自分と同じようにサイビアを一点集中で狙う猟兵が現れるはず。
 そしてそれを見越して、怪獣軍団を抑える誰かも、必ず現れる。
 言葉を交わさずとも、猟兵同士であるだけで、信用するには値する。
 ゆえにハルマは待つ。ただ待つ。
 致命的な一撃を届かせる、その一瞬のチャンスを。

 そしてその瞬間は、ハルマが思っているよりもずっと早くやってきた。
『サブユニット転送……コード・テンペスト、行きます』
 ゴウ! と黒い怪獣軍団の海を切り裂き飛翔するは、一騎の戦闘機。
 より正確に言えば、サブユニットと合体し戦闘機形態に変形したウォーマシンだ。
 ミレア・ソリティスは無数のジャミングミサイルをばらまき、敵の目を撹乱する。
 まさしく嵐(Tempest)の名に相応しい猛攻。大型ランチャー『ノヴァ・バスター』が火を吹き、岩石巨獣ロクトドンを滅殺する!
『ガァアアアア……!!』
『敵大型個体、殲滅完了。敵軍多勢はいまだ健在、戦力比は計測不能』
 無限に湧いて出てくる敵と、宇宙船一隻にわずかな鎧装騎兵たち。
 しかも彼らは皆、意気軒昂ではあるが疲弊が激しくリソースも限りがある。
 そんなものは、いちいちコンピュータを使って演算しなくともわかりきっていた。
 戦力比、100対0。通常であれば、絶対に覆しようがない絶望的不利。
『――ですが』
 猟兵は世界の規矩から解き放たれた生命の凌駕者、そして世界の祝福を受けた者。
 敵がそうであるように、ユーベルコードという奇跡を行使する慮外の戦士!
『作戦目標……指揮個体「猟書家」"無間のサイビア"撃破こそが勝利条件。
 人類が、そして猟兵が諦めないのであれば、この戦闘には必ず勝利出来ます』
 ガゴン――と、大型ランチャーに危険なブラックホール弾頭が装填された。
 高速飛翔するミレアに追従する無数の怪獣軍団。失速すれば待つのは死。
 それを承知の上で、ミレアは一気に反転、ブラックホール弾頭を撃ち込む!
『ブラックホール弾頭、射出――!』
 ZZZZZZTTTTTT……!!
 事象の地平線に通ずる暗黒の球体が、時を、空間を、そしてすべてを捻じ曲げた。
『『『AAAAARGH!?』』』
 思わぬ反撃を受けた怪獣軍団は、その一割以上がブラックホールに呑まれ圧殺!
 空白は即座に新たな怪獣軍団によって埋められる……が、しかし!
『特異点の力さえも操るか、猟兵!!』
 無間のサイビアが、その姿を表した!
 短距離テレポートで姿を消そうとするサイビアを、多数のレーザー砲ユニットが包囲する!
「せっかく姿を見せたんじゃ、隠れる前に遊んで行くがええのー」
「わざわざボクが姿を見せてやったんじゃからのー」
「イヤとは言わせんがのー」
 それらには、同じ姿をしたクリスタリアンの少女……メイスン・ドットハックが取り付いていた。そして、まったく同時にレーザー砲を照射する!
『分身……否、質量を持ったコピー体か? ええい、目障りな!!』
 サイビアの超次元殺法は、決して無敵ではない。
 360度から同時に攻撃を受ければ、そもそも回避する先が存在しないのだ。
 サイビアは致し方なく、プラズマ光弾を盾のように使うことでレーザーを歪曲させ、同時に光弾を拡散し放射することでメイスンのコピー体を撃破!
「いまじゃのー、LPL砲発射じゃー」
「よし、俺たちもタイミングを合わせて全弾発射だ! 3、2、1!」
『『『了解!』』』
 コピー体はそれだけではなかった。しかもストレンジャー隊と連携している!
『第二波だと……!?』
 長距離レーザー砲および鎧装騎兵のマイクロミサイル弾幕がサイビアを襲う。
 KRA-TOOOOM!! 相殺された爆炎が、暗黒の異常重力場をあかあかと染め上げた!
『おのれ、そのコピー体が指揮しているのか。ならば……!』
「おーっと、ボクのこと忘れてないよねえ? 遊ぼうよ! アハハハハッ!」
『ヌウッ!!』
 そこへロニのインタラプト! テレポート不可能のサイビアは付き合わざるを得ない!
 暗黒の大帝をして、ロニの神撃はまともに喰らえば消滅は免れ得ぬ一撃。
 ふたりは宇宙空間を飛翔するふたつの流星めいて、喰らい合うように打撃の応酬を繰り出し続けた!
「猟書家として復活してさ、いい夢が見れたでしょ?」
『なんだと?』
「今度こそ宇宙を侵略して我がものに出来るっていう、叶わぬ夢がさ」
『――……!! 貴様!!』
「でも残念! キミは今ここで、希望のチカラに敗れちゃうわけだ!」
 ロニのボディブロー……いや、フェイント! 回し蹴りが頭部に命中!
『ぐ、おお……!!』
「そういうわけだから、いい加減過去の中で寝てるといいよ! アハハハハ!」
「逃さんぞ、猟書家サイビア……! 貴様を、屠るッ!!」
 吹き飛ぶサイビアにアンナが追いすがり、鉄塊剣をぐるんと振り回した。
 サイビアは攻撃で受け身が取れないと見せかけて、不意打ちのプラズマ光弾を放つ。
 しかし、アンナはこれを読んでいた! ユーベルコード"絶望の福音"の力だ!
『外した……否、避けただと!?』
「貴様の攻撃など、これ以上受けるものか! 切り裂かれ悔いるのは!!」
 地獄の炎を纏う鉄塊剣が、横薙ぎにサイビアを叩き切る!
「貴様のほうだ――猟書家ァッ!!」
『がは……!!』
 怪獣軍団を。呼び戻さねばならぬ。
 新たな個体を生み出し、隠れなければ。そして闇の力で自己修復するのだ。
「――って、考えてるんだろうな」
 だがそれは叶わない。ハルマの待っていた一瞬が、ここにあったからだ。
「今のお前は、テレポートする余裕もない。そこを、もらうぜ!」
 満身の力を込めて放たれた"潜刃・禍ッ牙"が、闇の中からサイビアを貫いた。
 手裏剣のダメージそのものは重くない……いやむしろ微々たるものだ。
 しかし帝王は動揺した。ユーベルコードの力が……その身から、わずかに消える!
『じゅ、術式を、封じられたか……!! 闇の大帝たる余を、闇より穿つ、とは……!!』
「あいにくだけど、潜み隠れて隙を伺うのは得意なんでね」
 存在すら気付かなかった猟兵からの不意打ち。それが大帝の心を揺らした。
 ゆえにサイビアは、ミレアのジャミングミサイルによる妨害をまともに受けることになる。
 防御体勢を、取れない。プラズマ光弾でミサイルを相殺することさえ!
「さあて――それじゃあ、タダの人間の力、見せてやりましょうかあ?」
『!!』
 無間のサイビアを狙う砲口は、ふたつ。
 コピー体を隠れ蓑に最適な射撃位置に回り込んでいたメイスンの武装と、
 この一瞬のため、怪獣軍団をまっすぐに突き抜けてきたティオレンシア・シーディアの武装である!
「残念、お前が相手してたのは全部外れじゃのー。残念賞に全兵装の大盤振る舞いをくれてやろうかのー」
「希望とかなんとか、そんな綺麗事を素面で謳うつもりはないけどぉ……。
 アンタが恐れるものがあるとしたら、それは他でもないあたしたち人間よぉ?」
 見かけこそ柔和な笑みだが、ティオレンシアの瞳には怒りが燃えていた。
 超越者ぶって自分を見下す存在を、ティオレンシアは決して許さない。
 魔術も、超能力も、神や悪魔のような超越的能力を持たぬとも、彼女は戦士。
 鍛え上げた技巧と一瞬の判断力、そしてどんな敵にも立ち向かう精神力!
 この一瞬という機を捉える、人間力とでも呼ぶべきものが、ティオレンシアの武器なのだから。
「タダの人間の虚仮の一念――ナメた代償は払わせてあげるわぁ」
 メイスンのキャバリア『SAKIMORI』に搭載された全兵装と、揚陸艦『ロストリンク』の主砲がサイビアをめがけ放たれた。
 ティオレンシアもまた同様に、愛銃オブシディアンを構えトリガーを引く。
 巨大なる宇宙怪獣がその一撃を妨害しようとするが、あまりにも遅い。
 刹那さえ超えるガンナーの射撃は、誰にも止められないのだ!
『オ――オオオオオオッ!!』
 銃弾が、ミサイルが、レーザー砲が、機関砲が、ありとあらゆる『兵器』が!
 人が敵を打ち倒すために作り上げたその力が、大帝を驕る巨悪に叩き込まれる!
 これこそ我らの力なりと、傲慢なる侵略者どもに宣誓するかの如く……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノノ・スメラギ
ヨウくん(f02597)と
【POW】
まずはボクがレプリカと一緒に侵略宇宙人と宇宙怪獣の大群を鎧装騎兵のみんなと迎え撃つよ!
なに、さっきまでとやる事は変わらない。ボクが相手をかき混ぜる。君たちが各個撃破を図る。君たちは1人じゃない。ボク達がついてる!だからキミたちもやれる!

頼むぞ、ヨウくん……

……やっぱりキミはバカだよ。
このボクにキミごとやれって?

キミが大丈夫だったとしても、つらいものはつらいんだからな!?

ああもう! 無駄にはしないさ!!
VMAXランチャー・オーバーブーストモード! リフターの出力をカット!
全部を攻撃出力に!!
落ちろ! 過去の亡霊!!

ヨウくん、こんなので死んだら許さないからな!


煌燥・燿
ノノ(f07170)と一緒だ

【SPD】
俺はさっきに引き続きノノのサポートだ
やる事は変わらない――ように見せかけて!!

来るのはわかってたぜサイビア
あのキャバリアは強いが、乗り手の関係者はそこまでじゃねえ
お前は先に希望を摘もうと考えるだろうな

超高速移動は無理だがテレポートなら出現位置さえ予想すれば――
なーんて、当然無理だけど!!
スーパー超次元殺法は一撃入れてから連続攻撃の2手セットだな。
当然もう一撃入ればもう一撃入れる為に一手使う
お前は其処に居る事が確定する
そういう癖だか余裕だか知らねえがよろしくないぜ。

ノノ! 打合せ通り俺事撃てよ!
大丈夫だ。バカは死なねえからよ!

なあ、俺の相棒は覚悟が違うぜ。



●絶望を克服する力
 この空間に充満する闇の力が、"無間のサイビア"に流れ込む。
 身体を三度、四度……否、もはや十度は砕かれていてもおかしくない状況。
 それでもなお、サイビアは復活する。それが、この異常重力場の力なのだ!
「ま、まだ来やがる! ほんとに無限なのか!?」
「怖気づくな!!」
 恐慌状態に陥りかけた鎧装騎兵たちを、ノノ・スメラギの一喝が鎮めた。
「……大丈夫、無間のサイビアは必ず倒せるとボクが保証する!!
 だから諦めちゃ駄目だ。最後の一瞬まで、力を合わせて戦って、勝つんだ!」
「し、しかし……」
「相棒の台詞が気に食わないなら、俺が太鼓判を押すよ」
 そこへ、煌燥・燿が口を挟む。
「なにせあいつは――ノノは、俺が誇る最高の相棒なんだ。嘘は言わない。
 けど、ここで俺たちが心折れちまったら、あいつの言葉を嘘にしちまう」
「俺たちが、覚悟を踏みにじってしまう……?」
「ああ、そうさ。だからどうか、アイツの言葉を真実にしてやってくれ」
「俺たちの、力で……」
「此処に居るみんなの、全員の力と意思で。サイビアに勝つんだ!」
「「「……!!」」」
 鎧装騎兵たちの目に、恐怖はなかった。
 ノノと燿は、キャバリアのカメラモニタ越しに視線を交わし、頷き合う。
「まずはボクが、レプリカと一緒にあの軍団をかき混ぜる!
 騎兵のみんなは、浮足立った敵を各個撃破してくれ。頼んだよ!」
「「「りょ、了解!!」」」
(よし、まずはこれでいい。士気は保てた)
 出撃するノノと鎧装騎兵たちを見送り、燿は頷いた。
 一度は撃退した敵だ、たとえ無限の軍団であろうとノノたちは負けない。
「――問題は、俺のほうだな」
 燿の言葉を肯定するように、ぞくりと背筋が粟立った。

『…………猟兵』
「やっぱり来たな、サイビア」
 異常重力場のど真ん中で、燿と無間のサイビアは相対していた。
 そう、大帝は侵略軍団そのものを囮にすることで、この戦いの要を叩きに来たのだ。
 人々を鼓舞し、力ではなく意思と希望によって奮い立たせるもの。
 すなわち、猟兵――その中でも、特に単独戦闘力で劣る燿を血祭りに上げるため!
「ノノのキャバリアは強い。けど、乗り手の関係者……つまり俺はそこまでじゃねえ。
 だから、お前が先に"希望"を摘もうと考えることは、とっくにお見通しだったさ」
『ならば、どうする。余を相手に、貴様が勝てるとでも?』
「……無理、だろうな」
 燿は端的に認めた。
 ノノとV-MAXレプリカであれば、あるいはタイマンを張れたかもしれない。
 しかし、相対してわかる――この敵は、自分ひとりでは太刀打ちできないと。
 それがわかっているからこそ、サイビアもこうして姿を表したのだ。
『物分りのいいことだ。その判断力に敬意を表し、一撃で葬ってくれる!!』
(来る……! 集中しろ。どんなに疾い攻撃でも、そこには予兆がある――!)
 燿は極限の集中を振り絞り、サイビアのテレポート攻撃を感じ取ろうとした。
 常人では消失と出現は、一瞬のようにしか見えないだろう。
 けれども燿の研ぎ澄まされた集中力は、背後に出現したサイビアを知覚する!
『死ね――!』
「……見えた、ぜ!」
 燿は振り返りざま、心臓をぶち抜こうとしたサイビアの抜き手を回避した。
 胸部を刃じみた手刀で切り裂かれながらも、その腕を……抱え込む!
『何!?』
「ノノ! 打ち合わせ通りだ!!」
 燿は叫んだ。サイビアは、燿が見た方角を弾かれたように見やる。
 ――怪獣軍団を撹乱したV-MAXレプリカが、ランチャーの銃口を向けていた!
『貴様……! 余が来ることを織り込み済みで、囮になったとでもいうのか!?』
「残念、その通りだよ!」
『死ぬ気か、猟兵!!』
「――あいにく、それはNOさ」
 燿は皮肉げに笑った。強がりの笑みだった。
「バカは死なねえからよ。それになにより――俺の相棒も、覚悟を決めてる!」
 サイビアは逃れようとした。しかし、燿は離さない!
 V-MAXランチャーに、エネルギーが集まっていく!

「……やっぱりキミはバカだよ、ヨウくん」
 そしてコクピットでは、ノノが唇を噛んでいた。
 作戦を聞いたとき、同じセリフをぶつけてやったのは忘れもしない。
 なのに相棒と来たら、「わかってるさ」とかほざいて笑っていたのだ。
「たとえキミが大丈夫だったとしても! つらいものは、つらいんだからな!!」
 V-MAXランチャー、オーバーブースト。リフター出力、オールカット。
「こんなので死んだら、許さないぞ――相棒!!」
 V-MAXランチャーの砲口が、超新星じみた輝きを放つ!
「落ちろ、過去の亡霊――これが! ボクたちの、覚悟の力だッ!!」
 そして迸るエネルギー波が、サイビアを飲み込んだ。
 余波に吹き飛ばされる燿。ノノは敵よりも先にそちらの安否を確認する。
 爆発が燿の身体をさらに吹き飛ばす――レプリカが先んじてキャッチ。
「……この、バカ」
 掌の中でサムズ・アップする燿を見て、ノノは笑いながら悪態をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
ダチと/f28022
心情)ひ、ひ、ひ。おおこわい、こわいねェ。見ろよダチ公、見える中いっぱいに《過去》だぜ。こりゃア俺もざっくり無茶しねェとだ。オヤ、作戦がおありかい。お望みとあらばやらいでか。
行動)おいで《仔》よ。片腕ェ…じゃ足りねェよなァ。いいさ、真の姿で翼4枚足2本。持ってきな。尾も引き抜き持ってけ。ダルマでいいさ。かわりしっかり働いとくれ。ダチを本丸とどけておくれ。リベンジだとさ。ああ、ついでだ。俺をテキトウに投げな。ぐちゃり潰れて一塊腐りつぶしてやるさ。ひひ、少しは"いのち"の役に立つかね。


オニキス・リーゼンガング
友と/f16930
心情)見えませんねぇ、盲目ですので。
しかし、ええ。感じます。驚きの量ですね。
逃げたくなりますが、そうもいかないので無茶しましょうね。
合わせていただけますね、友よ?
行動)探索を最低限に。残りすべてのオーラを《枝》に充填します。
《輝呪》を発動して集う《過去》どもから熱・寿命を奪い、
それも《枝》に充填します。
氷晶の権限を冬精に渡し、友らと暴れさせ
その間に"大帝"殿に近づいてエネルギーに満ち満ちた《枝》を、
首しならせ放ちましょう。ええ、今度こそ油断はしない。
届かなければ私ごと投げてもらい《枝》を突き刺します。
それでも邪魔が入るならその場で《杖》を大破裂させ、
絶対に奴まで届かせます。



●その大群を越えて征け
『――来たれ、我が配下よ。無間の闇より来たりし無限の軍団よ!!』
 侵略蔵書から闇色の光が溢れ、それらは侵略者……宇宙人、怪獣、あるいはそういった連中が作り上げた凶悪な自律型兵器となって溢れ出す。
「ひ、ひ、ひ。おおこわい。こわいねェ……見ろよダチ公」
 朱酉・逢真はグレイテスト号の甲板にふんぞり返り、煙管片手に言った。
「見えるところぜぇんぶ《過去》だぜ。こりゃア俺もざっくり無茶しねェとだ」
「……友よ、あなた分かってて言ってますか?」
「あ?」
「見えませんよ。盲目ですから」
「――ひひひ!」
 状況をわきまえない友の悪癖に、オニキス・リーゼンガングは嘆息した。
 しかし目は盲ていても、その肌が、耳が――そしてなにより魂が感じている。
 うごめく邪悪なる《ねがい》。生命を根本的に憎む怪獣どもの咆哮を。
「なるほど、これはたしかに驚きの量です。この世界にも無限が存在するとは」
「どォするダチ公、俺ァこわくてこわくて、逃げたくて仕方ないぜ」
「奇遇ですね、同感です」
 口ではそう言いつつも、神と残滓の声音に恐れはなかった。
 なにせ足元に、強い力を感じる――脆弱で、火花のように短い、けれど瞬く《いのち》のちからを。
「仕方ありません、私も無茶をするとしましょう」
「オヤ、作戦がおありかい?」
「もちろん。合わせていただけますよね、友よ?」
 逢真はひきつるように喉を鳴らして笑った。陰気な笑みだった。
「お望みとあらばやらいでか――ならまァ、征くとしようかい」
「ええ。そうするとしましょう」
 ふわりと浮かび上がった二人の《宿》は、一瞬にして真の姿のそれに変じた。
 臓物を思わせる赤黒い四枚の翼を持つ、猛禽じみた《獣》のそれと、
 水晶のように煌く青い角と紫黒の鱗を持つ、まさしく《龍》へと。
 もはや往時の力を失って久しく、それは本来の神威に比べればカケラの如く。
 それでも怪獣たちは畏れ、震え、そして怒り狂った。

 二柱の神が、無限の軍勢を畏れさせていたのである。

『あれは……!!』
 そして軍勢を率いる無間のサイビアも、二柱の神の残滓を見て唸った。
『死と氷晶が轡を並べて来よったか。忌々しくも余の覇道を阻まんがために!!
 実に業腹なり。死とは余が振りまくものであり、余のもたらす闇こそが絶対の"零"。
 零落せし神々の残滓、絞り滓、塵芥ども! 余の覇道を阻むべからず!!!』

 ――ひひひ。向こうさんはずいぶんとお怒りのようだぜ、ダチ公。

 ――聞くに堪えない罵詈雑言ですね。叩き潰して返答といたしましょう。

 神々は嘲笑うようにひそやかに語り合い、そしてそれぞれに力を解き放った。
 死はその身体の九割を《仔》にくれてやり、代価として神話の怪物を喚ばう。
 その名、死嵐(ティフォン)――稲妻を克服し、神々をも畏れさせるもの。
 "凶神の寵児"は己の父にして母たる死の《宿》を喰らい、急速に膨れ上がった。
 そして咆哮――音は炎となり風となり、暗黒の空間をも引き裂く嵐と化す!
『ぬおおおお……!!』
 猛烈な暴威――そう、暴威そのものが、純然たる"力"が軍勢を怯ませた。
 あろうことかそこに投げ込まれたのは、翼と肢と尾を失いし、死そのもの!
『自ら捨て石になろうというのか!?』

 ――《いのち》の役に立とうってんだ、となりゃ死(おれ)に出来るのは、なァ?

 嘲るような声の直後、死の残骸たるその身は柘榴のように爆ぜた。
 爆発的に吹き荒ぶ疫病と猛毒、そして腐敗が、無限の軍勢を蝕み殺す。
 おお、見よ。そして天空を回遊する蒼黒の龍が、かそけき熱を貪り食らう!
 全身に刻み込まれた《輝呪》が脈動するたび、無限は限りなく零へと近づいた!
『我が、しもべを! 侵略の軍勢をも食らうか、龍よ!!!』

 ――そう恨みがましい声をあげないでください。私も痛ましいのですよ。

 筆舌に尽くしがたい痛苦に苛まれながら、氷晶の龍はその爪先に《枝》を生んだ。
 人知を超えた神威、すでに滅び消えて久しいそれが、万を超える熱を代価に再来する。
 瞬くは原初の光――しかしそれは、人にとって希望を意味しない。
 白は何者にも染まらぬ色――すなわち、あらゆる存在を許さぬ黒の対極。
 過去という《いのち》を許容せぬ絶対の零が、いま、一点に集まる!

 ――どうぞご自分の身で、死と絶対の零度を味わうがよろしいでしょう。

『オオオオオ……塵芥の如き、残滓がァアアアアッ!!』
 《枝》が突き刺さった瞬間、神威はサイビアの身体を引き裂き爆発的に溢れた!
 異常重力場の黒を、凍てつくほどの白が染め上げる。
 あとに残されるのは、人知の届かぬ神々の、慈愛さえ思わせる傲慢なる笑声のみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
【アサルト】
あれが此処の最深部で、ボスか
如何にもってツラしてやがるな

テメェに必要とされても嬉しかねぇ
見せてやるよ、ヒトの底力ってやつを、そして無様に負けて逝け


先ずは俺から──俺達が相手だ
【共鳴せよ、我らは陽光也】
2人がかりの刃、拳、カバーリングで攻撃を防ぎながら手傷を負わせる
多少は受けても、司令塔に従うように
足止めに徹する
焦れろ焦れろ、其処に挑発が刺されば、焦る素振りをみせれば

踊らされる気分はどうだ、サイビアさんよ
隙だらけなところを、思いっきり斬りつけてやる!

貴様の覇道は此処でエンドマークってやつだ
希望はな、テメェ風情に消されるような軟いもんじゃあないんだ


ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

覇道だ何だと宣ってやがるがよ
つまりは銀河帝国に勝てねえから、こうして空き巣紛いの侵略しかできなかったクソ雑魚野郎だろ?
それで?銀河帝国を終わらせた俺達に勝つ?
出来もしないのにビッグマウスとは笑えるな!

【挑発】はこんなもんでいい
こいつがちゃんと戦いを見てるなら、司令塔張った俺を先潰しに来る
加えてこんだけ煽れば…テレポートしてくるのは必至
だからこれを準備してたのさ──『Mercy Hand』
俺のやられ役としての【演技】、御覧じろ
負傷はホログラムを被せて演出だ

さて──無意味に殴ってる間は大変無防備だ
ガッチリ腕を掴んでやる
野郎ども!2人の攻勢に合わせてやりな!
コイツの覇道に中指立ててやれ!


鳴宮・匡
【アサルト】


殺されるってわかっててわざわざ出てきたのか?
そりゃ悠長なもんだな、俺なら絶対しないけど
ま、折角出てきてくれたんだ
死ぬまで付き合ってもらうぜ――ああ、お前がな

序盤はネグルの援護に徹する
あいつの死角をカバーするのが主になるだろう
勿論、当てられる限りダメージは狙いに行くけどな

判りやすい挑発が通じるとは思ってないが
ヴィクティムの挑発を確実に刺すための布石みたいなものだ
焦りや怒りなんてのは徐々に積み重なるものだからな
どんな生物でも変わらない
――俺みたいに、心がないなら別だろうけど

うまく乗ったら一気に攻勢をかけるよ
“過去”に、未来を決める権利はない
お前の覇道なんて、初めからどこにもないんだよ



●過去の在るべき場所
 ……怒りがあった。
 屈辱。苦痛。恐怖――そう、恐怖。認めざるを得まい。
 己は恐怖している。人の力……希望の力に。たしかに畏れ、恐れている。
 無間のサイビアは思う。過去の残骸となりて蘇りし己の使命を。
 元より邪悪なるその存在は、オブリビオンとして世界を滅ぼすことを厭わない。
 感傷などない。
 躊躇などない。
 己はそのためにこそ生まれた帝王なのだと、生前から自負していた。

 しかし、己は滅んだ。
 侵略者たる己は、往時の人類に滅ぼされ、そして骸の海へと沈んだ。
 後の世に銀河帝国が勃興し、同じように滅び、再世し――結局は、滅んだ。
 それもまた、奴らの仕業だ。
 猟兵。我らの天敵。人々に希望をもたらすもの。。
 ……因果なものだ。先に滅びたはずの己が、後から再世しようとは。
 ゆえにこそ、我は同じ轍は踏むまい。
 見くびることなく、全力を以て、希望という最大の力を刈り取ってくれよう。
 慢心はなかった。
 油断もなかった。
 ――ただ帝王の思う以上に、猟兵たちは強大だったのだ。

 暗黒の空間に、四つの影が踊る。
『やはり、余は正しかった。猟兵よ、貴様らこそまさしくこの宇宙の希望!
 人類文明の象徴にして礎たる存在。余が、この力で討ち滅ぼすべき仇敵なり!!』
 無間のサイビアは血のように死の光を撒き散らし、猛攻を仕掛けた。
 超次元殺法、すなわち短距離テレポートの連続による全方位からの攻撃。
 コンマゼロ秒単位にまで遡るタイムラグは、事実上の同時攻撃を意味する。
 相対した敵は、サイビアが分身して襲いかかってくるかのように思うだろう。
「ハッ! テメェに褒められても嬉しかねぇよ、亡霊!!」
「どうした、滅ぼしてみろよ。こっちはまだピンピンしてるぜ?」
 ネグル・ギュネスとヴィクティム・ウィンターミュートは皮肉を応酬し、
 一撃一撃が致命的な威力を込めたサイビアの猛攻を、紙一重でいなし躱し弾く。
 頭部狙いの裏拳をネグルの黒刀が受け止め、ヴィクティムが散弾を放つ。
 サイビアはテレポート――転移先はネグルの背後。振り上げた手刀を下ろす。
 しかしそれがネグルの肩から鎖骨そして肋骨までを断ち割ると見えたその瞬間、
 転移先を『見てから読んで』いた鳴宮・匡の影弾が、肩を撃つことで妨害した。
『ぬうッ!』
 サイビアは匡に殺意を放射する。並の戦士であれば発狂しかねぬ重圧。
 匡は平然とした顔でプレッシャーを受け流し、心臓部に三点バーストを撃つ。
 サイビアは再々転移した。ヴィクティムは先読みしてクロスボウを背後へ。
 しかし、読みは外れた。サイビアが転移したのはネグルとヴィクティムの間だ。
『消えよ!!』
「テメェがな!!」
 二人同時に薙ぎ払おうと放たれるサイビアの回し蹴り。ネグルが盾となる。
 ガィン――!! という強烈な衝撃が、真空を通して匡とヴィクティムにも届いた。
 ヴィクティムは身体をねじり仕込みクロスボウをサイビアに向けると、発射。
 同時に匡の弾丸がサイビアの腰部に叩き込まれる。着弾0.01秒前に再再々転移。
 サイビアは三人から大きく距離をとった。攻撃の威力を殺したネグルが仕掛ける。
 ネグルの斬撃を、サイビアは闇をまとわせた拳打で二倍量撃つことで相殺した。
「殺されるってわかっててわざわざ出てきたのか? そりゃ悠長なもんだな。
 俺なら絶対にしないけど、せっかく出てきたんなら死ぬまで付き合ってもらうぜ」
 匡はらしくもない挑発を言い放つ。音よりも先に弾丸がサイビアの頭部に命中。
 だが軽傷――射撃は読まれていた。サイビアは首を傾げるように弾丸を避けたのだ。
 その一瞬の側面に回り込んだヴィクティムが、逆手ナイフを首めがけ振るう。
 サイビアはネグルの腕をつかみ、斬撃をヴィクティムの攻撃軌道上へ誘導した。
 黒刀とナイフががちんと火花を散らす。ふたりは互いの身体を蹴り散開。
 遅れてサイビアの踵落としがぶんと空間を切り裂く。余波が空間を波打つ。
「――言っておくけど、死ぬまでってのはお前が死ぬまでの話だぜ」
『戯言を!!』
 拳にまとわせた闇のオーラを飛礫めいて放つ。匡は冷静に弾丸で相殺。
 サイビアが匡を殺すためにテレポートしようとする。ネグルが斬りかかる。
「テメェの相手は! 俺だ!!」
『ぬう……!!』
 超次元殺法は無敵ではない。そこには必ず起こりが存在する。
 極限の連携を可能とする三人ならば、それを見切ることが出来る。
 帝王は焦れる。戦局は互角……それゆえに、焦れる。
(出来る限りの挑発はした。あとは、あいつ次第だな)
(剣の手応えから、奴の焦りを感じる。任せたぞ、ヴィクティム!)
 匡とネグルは一瞬アイコンタクトを交わし、一気に攻撃に転じた。
 ヴィクティムを狙う余地があるかのように、わざと隙をちらつかせるのだ。
 サイビアは猪武者ではない。普通ならば取り合わない――そう、普通ならば。
「覇道だなんだとのたまってやがるがよ」
 ヴィクティムは散弾銃を構えたまま、皮肉げに片眉を釣り上げた。
「つまりは銀河帝国に勝てねえから、こうして空き巣紛いの侵略しか出来なかったクソザコ野郎だろ? それで? 銀河帝国を終わらせた俺たちに勝つ?」
『――……』
「出来もしねえのにビッグマウスとは笑わせるぜ! "闇の大帝"サマがよォ!」
『……貴様……!!』
 サイビアは猪武者ではない。これは挑発だとわかりきっていた。
 しかし、拮抗からくる焦りが、帝王の目をわずかに曇らせていた。
 あえて開けられた突撃ラインを突っ切る――否、テレポートによる転移。
 ヴィクティムの眼前に出現するサイビア。そして振り下ろされる、手刀!
「がは……!!」
 セラミック鋼でさえ紙くずのように切り裂く手刀が、ヴィクティムの鎖骨を割った。
 しかし、サイビアは訝しむ。手応えと視覚上の情報が一致しない。
『――囮か!!』
「目ざといな。だが、俺らを相手にするには遅すぎる」
 血まみれのホログラムが真っ二つになって消え、ヴィクティムが現れた。
 引き戻そうとした手刀をがっちりと掴み、ネグルと匡に向かって叫ぶ!
「さあ、叩き込んでやれ! この覇王を気取るクソ野郎にな!!」
『貴様……!!』
「踊らされる気分はどうだ、サイビアさんよ。ここが、エンドマークってやつだ!!」
「お前の覇道なんて、最初から何処にもない――"過去"に、未来を決める権利はないぜ」
 思考を同調しているからとか、そういう話ではない。
 いくつもの戦をくぐり抜けたふたりは、もはや示し合わさずともそうしていた。
 ネグルの剣が、匡の弾丸が、前後から同時にサイビアの身体を貫いた!
『こ、これが――皇帝をも滅ぼした、猟兵の力……!!』
 サイビアは同じ轍を踏むまいとして、銀河帝国の記録を識っていた。
 そしてここで名を思い出したのだ。皇帝すらも斃した猟兵たちの名を。
 奴らの名はアサルト。その攻撃、まさしく刹那の強襲なり!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(ザザッ)
"兄弟"。
一つ頼みがある。
難しい事ではない。ただ
「本機が君達をこの宇宙の更に先へ導ける事」を――この戦いに勝てる事を願っていてくれ。

先手は任せる、ロク。
――勝ちに行くぞ。オーヴァ。

(君達を更に先へと連れてゆく。
荒唐無稽などではない
過つ事なき自身に根差す"願い"。

そしてその願いを共に願ってくれる人の――
相棒の、グレイテスト号の人達の分だけ
願い叶える為の力を得る。)
――"THIS IS ME".

これが本機の在り方。
(そして"僕"の"やりたい事"。
全力を熱線銃一基に込めて
相棒が紡いだ勝機に狙い澄ました一射を。
【スナイパー×力溜め×砲撃】)

刮目しろ。
此れが希望の持つ力だ。
(ザザッ)


フェルト・フィルファーデン
本当に、好き勝手言ってくれるわね。
滅ぶのはアナタよ、猟書家。皆の居場所を、命を、希望を、消させはしない!!

あの光弾、1番厄介ね……あんなの少しでも当たったら、誰であってもひとたまりもないわ。
でも、それをなんとかするのが猟兵よ!

光弾の発射にタイミングを合わせてUC発動。
護身剣よ、希望の光を紡いで広げ、抗い護る力をここに!
対象はグレイテスト号及び全乗組員、鎧装騎兵部隊の皆様。そして猟兵の皆様全て!
たとえ1兆度の光弾であっても、この希望の光は崩せない!!

……その代わり、あまり長くは使えないんだけれどね?
でも、わたしには心強い仲間がいるから。
きっと皆様なら、このチャンスを活かしてくれると信じているわ!


桐生・零那
敵は強大で無間。
だが、そこに存在するのならやれないことはないだろう。

ようやく姿を現してくれたんだ。最上級のもてなしをしないとな。

真の姿を開放。疑似的な神降ろしを実行。
強化を身体能力、とくに知覚能力に限定することで負担をいくらか軽減。

引きこもりの王様を【挑発】して、ぜひとも突っ込んできてもらおう。
敵のテレポートを知覚できたのならば

≪世界は色を失った≫

アグレアプト、一瞬でいい。やつの動きを止めろ。
所詮この宇宙は真っ暗闇。色が失われたとて大したことはない。
それに……この隙を逃すほど、ほかの猟兵や鎧装騎兵隊、そしてグレイテスト号の者たちは優しくないぞ?


リア・ファル
アドリブ・共闘歓迎
【真の姿】

歪曲空間ね
なるほど異常な空間だけど…
心得がないワケじゃあないんだな、これが

「それじゃあ…おいで、ヌァザ!」
魔剣を抜き放ち、力を解き放つ
(全力魔法、ハッキング、リミッター解除)

我が魔剣は万物に干渉し、次元を斬り裂く
裂け目より此処に我が妖精郷を顕現せん!
「機動戦艦ティル・ナ・ノーグ、今此処に! マテリアライズ!」

グレイテスト号と鎧装騎兵隊を援護する!

希望っていうのは、誰にでも、何処にでも生まれ出ずるもの
過去に去った侵略者よ、再び過去へと落ちろ!

敵攻撃は通さない!
「目標、敵集団および敵光弾!」
UC【未来を拓く光芒一閃】!

さあ、トドメをサポートするよ!


トルメンタ・アンゲルス
ハ、これまた大層な数を用意しましたねぇ。
この程度で、俺達の「王道」の道行きを止められるとでも?

立ち塞がるのならば、踏み越えるまで!
『Full Throttle──』
全力で、征くぞ!

HyperDrive始動!
真の力を解放し、超光速のダッシュで突っ込みます!
第六感で敵軍の動きの先の先を読み、片っ端から殲滅し、グレイテスト号の路を拓きます!

魅せてあげますよ、サイビア。
俺達の力を――
『Power Line,Full Open. Maximum Drive――』

――希望の光って奴を!!

リミッター解除!
コアマシン、臨界!

おおおおお!!!
バスタアアアアアアア!! ノヴァ――ッ!!

スパアアアアアアアアク!!!


ユーノ・ディエール
■チームU
矢張り、サイビア……アビ星人!
(変異種ですか? 以前より雰囲気にお金が掛かっている様な……!)
ですがここで引く程私はしおらしくありません!
行きますよ呂拇!

クルセイダーに騎乗し吶喊!
全武装を開放し群がる星人・怪獣軍団を蹴散らします
それにしても、数が多い!
って呂拇、あなたまさか!
それを使うには多くの人々の祈りが必要です!
もう少し手心を……ていうか頭が高い!
そうよ、行けッ! 月汰・呂拇ッ!

呂拇が活路を開いたら今度は私の番です
狙いはただ一人、超念動リミッター開放!
一斉発射の範囲攻撃で吹き飛ばしつつ切込んで
念動集中――デトネイターでチャージして串刺しましょう!
終わりです猟書家、無間のサイビア!


月汰・呂拇
■チームU

出やがったな親玉がッ!
しかし、なんつー圧だ……こんな奴、俺一人じゃ……いいやッ!
俺は、俺達は一人じゃねェッ!!

立ち塞がる侵略者達へ果敢に立ち向かうも戦力差は圧倒的
武装もボロボロ、メガリスも光を失いつつある……

ユーノ! イチバチだがこうなりゃ奥の手だ!
手前らッ! 俺の名前を……え、もう少し何というか手心をだぁ!?
……わぁったよ。それじゃあ皆様!
ご唱和下さいッ! 俺の名をッ!

オォォォォプン! メガリスッ!!
これがッ! 希望の光だァァァァァ!!!!
声に合わせて超巨大化ッ!
光線を乱舞して活路を切り拓くッ!
幾ら侵略者を呼び出そうとッ! ブチのめしてやるぜッ!!
今だお前らッ! 奴を叩き潰せッ!!


黒川・闇慈
「猟兵を随分と警戒されているようですねえ……では、その期待にお答えいたしませんと。クックック……」

【行動】
wizで対抗です。
ホワイトカーテンの防御魔術に火炎耐性の技能を用いて耐熱術式を組み込み展開しましょう。あの高温に防壁一枚では心もとないですし、高速詠唱の技能で迅速にUCを使用しましょう。物理法則を外れた超アストラル体ならば対抗しようもあるかと思います。
全力魔法の技能を用いてアストラルレーザーで攻撃です。どれだけ飛翔しようとも、アストラルの光はどこまでも追跡します。防御か回避か、どちらにしても動きが止まるでしょう。その一瞬を鎧装騎兵の皆さんに狙っていただきましょうか。

【アドリブ歓迎】


ロク・ザイオン
★レグルス
…つまり、な。
またおれたちに全賭けしろ、ってこと。
(ざっくり雑に括る)
(笑う森番は相棒を欠片も疑わない)
じゃ、"前座"の出番だ。
おーば。

(速さも熱にも決め手を持たぬ己は、機を突いた先手必勝
【野生の勘】で見定めた標的に閃煌の切っ先を翳し)

――――逃すものか。

("LIGHTNING"
どんなに疾く翔ぼうが己の刃は許しはしない
超高速で肉薄、【早業】でその両腕を【焼却】する)

("偉大なる"船の熱は、きっとこのつめたい宙にも伝わってくる)
観客はあったまって、見せ場は今から。
焼きつけろ。
これが、人間の燃やす希望だ。


オリヴィア・ローゼンタール
大帝を自称しながら、その実態は自分を超える者を恐れる暗君
小心者が覇道などと粋がるなよ

天使の姿のまま、等身大に縮小
その分の力を、掌中に光球として圧縮圧縮圧縮
聖なるかな聖なるかな聖なるかな……(祈り)

制圧力が低下した分は鎧装騎兵隊の方々との共闘で補う
聖槍で叩き斬り(怪力・切断)、薙ぎ払って焼き尽くす(衝撃波・焼却)

放たれる光弾へ、圧縮に圧縮を重ねた超高密度光球を解放する
それは掃討中にも続けられた詠唱により、極限まで破壊力を高められた【至高天極星砲】(属性攻撃・全力魔法・限界突破)
貴様の力が無間ならば、貴様が希望と呼ぶ力は無限! たかが一千億度? ぬるい!!



 結論から言おう。
 猟書家"無間の"サイビアは、猟兵・騎兵・人類の連合軍に打ち倒された。
 希望を摘み取ろうとしたその企みは潰え、もはや侵略者は去りぬ。
 仮に亡霊が再び蘇ろうとも、もはやその闇が人々の心を砕くことはない。
 彼らは知っている。
 この世界を幾度となく救い、そして今も守ろうとする者たちの姿を。

 猟兵。
 生命の超越者にして越境者、世界の祝福を受けし"埒外"の存在。
 それ自体が善とは限らぬ。
 綺麗事を厭い、あるいは人らしい心を持たず、悪を以て悪を誅する者も居る。
 多くの猟兵は、きっと己を希望の象徴とされることを嫌うであろう。
 彼らは超越者にして戦士ではあるが、それゆえに最強の『個』であるがゆえ。
 世界を越えてなおその『個』を揺るがせず、曲げず、折らぬことこそ彼らの力。
 だが彼らは戦った――そして勝利した。闇の力に。
 ゆえに人々はその名を称える。

 猟兵。
 我らの友。
 我らの仲間。
 英雄にして朋友たる、庇護されるのではなくともに戦う存在。
 敬意と友愛と、羨望と憧憬と信頼を込めて、人々は彼らをこう呼ぶのだ。
 すなわち――。

●今暁われら、希望を謳う
《――"兄弟"》
「あぁ!? 藪から棒になんだよ、兄弟!」
 ジャガーノート・ジャックから、グレイテスト号の"色男"ジャックへ。
 互いに互いをきょうだいと呼びながら、男たちは言葉を交わした。
《――ひとつ、頼みがある。難しいことではない》
「頼みだぁ……?」
《――……ただ、願ってほしいのだ》
 "鋼の"ジャックは言った。
《――本機らが、君たちをこの宇宙のさらに先へ導けることを。この戦いに勝てることを、願っていてくれ》
「……なあんだ。本当に簡単な頼みだな!」
 "色男"ジャックは、きょうだいの頼みを一笑に付した。
「そんなもん、最初からずっと祈ってるよ。なんせ俺はろくでなしでクズだからな!
 お前さんたち猟兵の力を借りて、それでようやく立ち上がれるようなサンピンだ。
 ……だからよお、願ってるぜ! そしてそのためなら、なんだってやってやる!」
《――……感謝する》
 そして"鋼の"ジャックと、ロク・ザイオンは、宙(そら)を見た。
 無限の黒と、夢幻の如き虹とがぶつかりあう暗黒の宇宙を。

 異常重力場XX-2068。
 無間のサイビアの力によって作られたこの歪曲空間は、崩壊しつつあった。
 すでに幾度滅びてもおかしくない攻撃を、サイビアが受けていたためだ。
 この空間にある限り、サイビアが招来する侵略軍団に限りはない。
 サイビアもまた、まるで不死身であるかのように振る舞い、事実立ち上がっている。
 しかし。それはけして、不滅であることを意味しない。
 よしんばそうであったとしても、猟兵という埒外の存在は、その理不尽を叩き潰す。
 無理を以て無理を叩き潰す、それがユーベルコード使いの戦いなのだから。
「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな……!!」
 怪獣ひしめく暗黒の宇宙の頂点、天使の姿に変じたオリヴィア・ローゼンタールが聖句を繰り返し繰り返し唱え、その身の裡から光を凝縮し、放つ。
 それは祈りであり詠唱――すなわち、あらゆる存在を殲消滅却せしめる超極大破壊光線の呼び水。
 オリヴィアという女の身体を巡る聖光は、その循環ごとに熱量を高めていく。
 生命を燃やし天へと至る極星の一撃。練りに練り上げた一撃を放つために。
『我がしもべたちよ! 征けい!! 奴らを滅ぼせィッ!!』
『『『AAAAAARGH!!』』』
 無間のサイビアの号令のもと、有象無象の侵略宇宙怪獣軍団が雄叫びをあげた。
 オリヴィアはカッと目を見開き、鬼神の如き勢いで聖槍を振るい角を鱗を尾を牙をその肉体を叩き折り薙ぎ払い焼き尽くす!!
「大帝を自称しながら、己を超える者を恐れる暗君! 可能性を認めぬ愚王めが!
 希望の光を恐れる小心者が、覇道などと粋がるな! 未来に汝の道はないッ!!」
『否。余は暗黒の大帝、宇宙を平らげそしてすべてを破壊する者なり!!
 余こそは無間のサイビア! その生命を以て我が名を魂に刻め、猟兵!!』
「ほざけ――ッ!!」
 ガ、ガ、ガガガガガ――ドドォッ!!
 オリヴィアは稲妻じみた勢いで怪獣を打ちのめし、焼き、サイビアに襲来する。
 大帝は闇の力を凝縮した拳でこれを迎え撃つ。聖槍と拳が反発し衝撃が爆ぜた!
「聖なるかな、聖なるかな聖なるかな聖なるかな聖なるかな……!!」
『光を凝縮し闇を払おうてか? 遅いぞ、猟兵ッ!!』
 だがスピードはサイビアが上か! 超次元殺法の猛攻がオリヴィアを襲う!
 その身を砕かれ裂かれても、オリヴィアは極限熱量詠唱を中断しようとはしない!

『ウオオオオオ――ッ!!』
『ヌウッ!!』
 そこへ突き刺さる蹴撃! サイビアをしてこの一撃には反応が遅れた!
 時間流さえも従えた超光速の飛び蹴りは、トルメンタ・アンゲルスの一撃だ!
 オリヴィアにさらなる処刑打撃を加えんとしていたサイビアが吹き飛ぶ。
 トルメンタは空間そのものを蹴り多段加速! サイビアを狙う!
『その程度の力! この程度の数で! 俺たちの"王道"を止められるとでも!?』
『なかなかの捷さだ、見事なり。誇りを抱いて消えよ!!』
 反撃のプラズマ光弾! 一兆度の熱量は戦乙女をして耐えがたい!
 トルメンタは直角90度の回避軌道を二段に重ね、Z字を描くように強襲した。
 コンマゼロ秒のわずかな間隙。帝王は体勢を立て直し続く連撃をガードする!
『貴様の相手は我がしもべに任せるとしようぞ!』
『待て――チッ!』
 トルメンタは後退した。直後、彼女の居た空間を超熱量が薙ぎ払う。
「ははははははは! ははははははは!!」
『サイビアの分身……? いや、違いますね、これは……』
 サイビアによく似た、しかし幾分シンプルな様相の侵略宇宙人である。
 さきほどの超熱量は、その侵略宇宙人が投げた光弾によるものだった。
 けたたましく笑う影は一つに非ず――二つ、三つ、四つ!
「地獄宇宙人、アビ星人! 何度も再生して出てくるとは!」
『ユーノさん!? 知っているんですか!』
 間に割って入る形で駆けつけたユーノ・ディエールは、トルメンタに頷いた。
「何度か戦ったことがあります。サイビアはどうやらアビ星人の変異個体。
 言うなればスーパーアビ星人……その解析データはすでにキャッチしていましたが」
『なるほど。つまりダウングレードされた量産型、ってとこですかね?』
「まあ、だいたいそんなところです。けれど、この数は……!」
「「「ははははは! はっははははは!!」」」
 闇が凝り、また新たなアビ星人の姿と象って現実化する。
 一体で主力級オブリビオンとしてタメを張るアビ星人が、もはや20以上。
 これが、侵略蔵書『宇宙侵略史』の力。サイビアの力なのだ!
「「「諦めるがいい、猟兵たちよ! 私たちにとってもはや死は存在しない!
   我らの帝王が望む限り、我らは幾度でも骸の海より蘇ってみせよう!」」」
『とんだサラウンドボイスですね、邪魔くさい……!』
「ええ、こんなところで止まっている暇はありませんね。――呂拇!」
「わかってるってんだよ、大声で呼ぶんじゃねェ!!」
 ゴウッ!! と、遅れて全身をメガリスで武装した巨人が駆けつけた。
 月汰・呂拇は特徴的な巨大トマホークを肩に担ぎ、錚々たる敵の顔ぶれに舌打ちする。
「これじゃあサイビアんとこいn攻め込むどころの話じゃねえな……!!
 おい、どうするユーノ。まさか退くだなんて言わねえだろうな!?」
「当然です、私は……いいえ、私たちは絶対に退かない!」
『となればここはプランA――つまり、正面突破しかありませんね!』
「「はい/応ッ!!」」
 トルメンタ・ユーノ・呂拇は、一気に加速しアビ星人の軍勢に戦いを挑んだ。
 必滅のプラズマ光弾をすれすれのところで躱し、懐に潜り込んで白兵戦を仕掛ける!
「はははははは! その程度のスピードで、私の超次元殺法を敗れるとでも!?」
「あいにくそれは対策済みです! 何度あなたと戦ったと思っているのですか!」
 ユーノは背後に回り込むアビ星人のテレポートを読んでいた!
 クルセイダーを己の身体の一部のように巧みに操り、振り返りざまの薙ぎ払い!
 その一撃で背後に回り込んだアビ星人を、横薙ぎに両断する。しかし!
「隙ありです!!」
「させるか、くそったれが!!」
 真上からのプラズマ光弾攻撃を、割って入った呂拇が斧で受け止めた。
 そして光弾を空間の彼方へバットよろしく吹き飛ばし、勢いを殺さず斧を振るう!
「バァアアスタァアアッ、アックスッ!!」
「がは……!!」
 二体目のアビ星人、散華! その隣ではトルメンタの超光速連撃が光を切り裂く!
 幾何学的模様を描く緑の軌道がアビ星人を貫き、三体を同時に爆散せしめる!
「ははははははは……!」
「見事、実に見事なものです! だが、いじましい!」
「言ったはずですよ、我々は無限だと!」
『また新手ですか! 馬鹿の一つ覚えにも程がありませんかねぇ!』
「だが、効果的だな……こいつら、一瞬でも気を抜くと死角を取られるぜ。
 あの光弾も食わうわけにはいかねえ、サイビアを放っておけねえってのによ!」
「焦ってはいけません、呂拇。トルメンタさんと協力して敵を倒します!」
 三人は飛来する光弾を弾き、アビ星人の群れに再び突撃を仕掛ける――!

 そして無限の侵略宇宙軍団は、なにもアビ星人だけではないのだ。
『ギャアアアオオオウウ!!』
 空間を震わせる雄叫びをあげ、溶岩怪獣マグマータが高熱ブレスを吐き出した。
 その身体は赤熱化し、両目からはプラズマ熱を思わせる余剰エネルギーが噴き出している。
 マグマータの吐き出す高熱ブレスは、太陽フレアにさえ匹敵するのである!
「サイビアのプラズマ光弾に比べるとそよ風に思えますねぇ、クックック」
 鎧装騎兵たちを一網打尽にせしめようとした高熱ブレスを、黒川・闇慈の展開した防御術式ホワイトカーテンの障壁が受け止めた。
 防御魔術のエネルギーと高熱ブレスとがぶつかりあい、衝撃波を生み出す。
 さらに闇慈は自らの身体を超アストラル体に変身させ、追尾型魔導レーザーを放射! マグマータを滅殺する!
『グォルルルッ!!』
『バァアアンガア……!!』
 爆散したマグマータの後続は、貪食超獣ガルトニン、そして宇宙魔猿モンギラス!
 ガルトニンの武器は強力な牙と顎の力――小惑星すらも一日で喰らい尽くすという極めて高い飢えへの捕食衝動。
 対してモンギラスは、ガルトニンが食事と同時に生成する超鋼鱗片を投げることで攻撃する、厄介なコンビネーションの持ち主なのだ。
 ガルトニンは放射されたアストラルレーザーの残滓を喰らい、そして生成された鱗の破片をモンギラスが投げつける! 攻防一体のコンビ怪獣だ!
「知能の欠片も感じられない獣の割に、連携とは小賢しい真似をする」
「護身剣よ、力を貸して! あの攻撃から、船を守らなきゃ……!」
 桐生・零那とフェルト・フィルファーデンは、疲弊した鎧装騎兵たちとグレイテスト号を守るように立ちはだかり、飛来する鱗の破片をそれぞれの刃で切り裂いた。
『バアアンガァアッ!!』
「猿が、やかましい。お前から縊り殺してやる」
 雨のように飛来する鱗片の中を、零那は泳ぐように飛翔し次々に切り伏せる。
 その姿が光に包まれると真の姿に変じ、加速した剣閃が魔猿の強靭な首に届いた!
『バン、ガ……ッ!?』
「お前は敵ですらない。私たちの邪魔をするならば疾く消え失せろ」
 零那は血を払い残心を切った。と、そこへ大口を開けたガルトニンの噛みつき!
『グォルルルッ!!』
「おやおや、私の魔術を食べてもまだお腹が満たされないようですねぇ。
 であれば、もっとさしあげましょう。保つかは知りませんが。クックック」
「私の騎士人形たちよ――あの怪獣を、討ち倒しなさい!」
 闇慈のアストラルレーザー弾幕、そしてフェルトの操る妖精騎士人形の連携攻撃!
 いくらエネルギーさえも喰らい尽くすガルトニンとはいえ、胃袋は底なしではない。
 口蓋に叩き込まれたエネルギーは体内で行き場を失い、荒れ狂った。
 そこへ妖精騎士たちの矢と槍と剣とが身体を穿ち、傷口という出口を開く。
 すると必然、荒れ狂っていたエネルギーは傷口から迸る!
『グォ、オオオオオオ――ッ!!』
 全身の傷口から滂沱の血とエネルギーを噴き出し、ガルトニン爆散!
「これで、15体目……! さっきよりも怪獣の出現速度が速すぎるわ!」
「サイビア本体を叩かねば埒が明かない、というわけですか。ふむ……」
「ここへ姿を現せば、最上級のもてなしをしてやるものを」
 零那は鋭く周囲を見渡し、サイビアが姿を隠していないかを確かめた。
 しかし周囲はすでに多数の宇宙人と怪獣に囲まれており、目視は不可能。
 仮にここへサイビアが現れたとしても、対応した瞬間を怪獣軍団に襲われかねない。
 疲弊した鎧装騎兵たちを援護するのも考えれば、どれかを落とさねばならぬ。
「ジリ貧、か。しかし――」
「……こいつらを、吹き飛ばしてやればいいんだね!」
 零那のつぶやきに呼応するかのように、リア・ファルが駆けつけた。
 彼女は三人の顔を見渡すと、何も言うなとばかりに莞爾と微笑む。
「それなら、ボクに任せてほしい。歪曲空間なら心得があるからね!」
「リア様、一体どうやって……?」
「それはこうやるのさ――おいで、ヌァザ!!」
 怪訝な面持ちのフェルトに言うと、リアはその手に魔剣ヌァザを形成。
 そしてなにもない空間を切り裂き、次元の門を開く。
「機動戦艦ティル・ナ・ノーグ、今此処に! マテリアライズ!!」
 亜空間に封印されたリアの本体、すなわち機動戦艦ティル・ナ・ノーグの艦首が、時空の裂け目を越えて異常重力場に顕現した。
「目標、敵集団および敵光弾――ターゲットスコープ電影召喚(コール)。
 照準誤差修正、0.11! グラビティ・バスター・カノン、発射ぁっ!!」
 そして主砲がゴウンゴウンと展開し……ZAAAAAAAAAAAAP!!
 あらゆるものを事象の地平へ贈り猿重力波動砲が、敵空間の中枢をつんざいた!
「なかなかの威力だ。しかしこれだけでは軍勢を薙ぎ払うには足りんぞ」
「ボクだけならそうかもしれない。けど、今日は無理をするさ! ――第2射、用意!!」
 リアは砲身が焼け付くのも厭わず、さらなるエネルギーを充填していく。
「希望っていうのは、誰にでも、何処にでも生まれ出ずるもの。
 過去に去った侵略者よ、見るがいい! これが、ボクらの生み出す光だ!」
 おお、見よ。敵軍団を薙ぎ払わんとする光はひとつきりではない。
 高まりつつある重力波動砲の黒い光に呼応し、天頂にて煌く至高の輝きは!
「無窮の神威を纏い、万象滅尽の一撃となれ! 至高天(エンピレオ)――極星砲(ガンマレイ)ッ!!」
 極限にまで詠唱を高めたオリヴィアの、極大破壊光線が対岸より迸る!
「よし、ここだ! 第2射、行くよ――耐えてくれ、ティル・ナ・ノーグ!」
 同時にグラビティバスターカノン、連続射撃! 砲身がスパークした!
 黒と光の二つの輝き、神の振るう剣を思わせる光芒は真っ二つに軍勢を裂く!
 そして――あそこだ! 切り裂かれた間にサイビアの姿!
『おのれ……やはりその船が! 人類こそが! 貴様らの拠り所かァッ!!』
「いけない……! 護身剣よ、希望の光を紡いで広げ、抗い護る力をここに!!」
 サイビアの狙いはグレイテスト号、そこでフェルトが動いた。
 掲げた御身剣から光の糸がほとばしり、船を、騎兵たちを守る障壁となす。
 雨のように降り注ぐプラズマ光弾を、展開された光の障壁が受け止めるのだ!
「このタイミングを敵も狙っていた、ということですか。ですがそれはこちらも同じこと。姿を見せた以上、もはや逃しませんよ、クックック」
 フェルトの障壁を闇慈のホワイトカーテンが補強し、同時にその隙間からアストラルレーザー光線がサイビアを襲う。
 サイビアは短距離テレポートを行い、闇慈の攻撃を躱す――しかし!
「待ちかねたぞ」
『!!』
 零那が、そして零那の召喚した知の悪魔『アグレアプト』がそこにいた。
 見えざる束縛の鎖が迸り、サイビアの四肢に絡みついてその自由を奪う……!
『ぬ、う!? 余を足止めするのを狙っていただと!?』
「所詮この宇宙は真っ暗闇。色が失われたとて大したことはない。
 それに……この隙を逃すほど、他の連中は甘くはない。知っていよう?」
『……よもや!!』
 然り。ユーノとトルメンタが猛攻を仕掛けていた!
「逃しません! 無間のサイビア!」
「コアマシン、臨界――バァアアアスタァアアアア、ノヴァ! スパアアアアアアアアクッ!!!」
 デトネイターの突撃、そして超高密度エネルギーをまとったトルメンタの蹴撃!
 強烈な同時攻撃がサイビアの身体を貫き、天頂彼方へと吹き飛ばす!
『ぐ、おおおおおおおッ!!』
 サイビアは吹き飛ばされながらも、侵略蔵書の力を引き出そうとするが、しかし!
「オォオオオプン!! メガリスッ!!」
 呂拇が……超巨大化した光の巨人が、生み出された怪獣軍団を払い除けた!
『なんだと!? これは!?』
「これが、希望の光! テメェが畏れた人間の力ってヤツだ!!
 さあ、お前ら!! もっと俺の名前を呼べ! 高らかにッ!!」
「呂拇! もう少しわきまえなさい!」
「あぁ!? ったく仕方ねえ! ……ご唱和ください、俺の名をッ!!」
 呂拇の呼びかけに応じ、騎兵たちが、グレイテスト号の人々が、叫んだ。

 猟兵(イェーガー)! イェーガー・呂拇!
 我らの友! 我らの仲間! ともに戦いともに進む者たちよ!

 その声が、祈りが! 呂拇の身体をさらに巨大化させ力に変える!
 侵略蔵書の力は完全に相殺された。そしてプラズマ光弾の力も無効化されている!
『なぜだ……なぜ!! 余が、こうも――ッ!!』

 瞠目するサイビア。そこへ、もうひとりの猟兵が駆けつけた。
「どれだけ疾くとんだとしても、おれの刃は逃さない」
『貴様……!!』
 機会を逃さぬロクの刃が、またたく間にサイビアの両腕を切り裂く!
 刻み込まれた炎は傷口から身体の内側へ、その根幹たる闇さえも焼灼するように燃え上がる!
「観客は、もうとっくにあったまってる。あとは、お前が滅びるだけだ」
『猟兵……!!』
「――恐れていたんだろう。希望(おれたち)の力を」
 ロクの瞳が、冷たく、しかし熱くサイビアを見据えた。
 "偉大なる"船の熱は、きっとこのつめたい宙にも伝わってくる。
 そしていつかこの世界にも、いのちの種が芽吹いて森を生み出すのだ。
 己がこの世界で、相棒とともにいくつもの大切なものを見つけ出したように。
「これが――"人間"の燃やす、希望だ」
 ロクの刃がサイビアの身体を抉る。決して逃走を逃さぬ番人の刃が!

 ――そして!
《――これが本機の在り方》
 そして僕の、"やりたいこと"。
 グレイテスト号甲板上、鋼のジャックが熱線銃を構える。
 届くはずはない。星の彼方を穿つような力はその身にはない。
 そんなことは神にさえも出来ない。宇宙の彼方、闇の権化たる帝王を討つなど。

 ――いいや、出来る。ジャックは、少年はそう思った。
 多くの人々の祈りが、願いが、そうあれかしと彼に望んだ。
 ならば、そうする。これこそが己(ディス・イズ・ミー)なのだと、世界に叫ぶ。
 取り戻したこの熱を、闇を貫いて宇宙の彼方まで届かせてみせよう。
 勝利を以て希望を謳い、この宇宙にいつか来る「あした」を照らそう。
《――刮目しろ。これが、希望の持つ力だ》
 少年を変えた熱は、今このとき、一条の熱線となって迸った。

 ……そして闇は穿たれた。
『オ――』
 これはまさしく、人類文明が歩む"偉大なる(グレイテスト)"な道行きのひとつ。
 暗黒を切り裂いたその光は、人々にとっての進むべき標となるだろう。
『オオオオオ――!! 猟、兵……!!』
 断末魔が異常重力場を揺るがし、そしてやがて闇は霧散した。
 ――星の輝きが、船を、猟兵たちを、そして騎兵たちを照らす。
 まるで暁光のような、満天の輝きが。

「……めでたしめでたし、か」
 "色男"ジャックはふっと笑い、艦長席に背を預けた。
 こうして戦いは、終わりを告げたのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月25日


挿絵イラスト