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風を駆りて山野を進め

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #魔女猫グリマルキン #竜騎士 #プレイング受付中

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●竜神山脈
 アルダワ世界、北西部に浮かぶ急峻な山々が連なる島、竜神山脈。
 その山の一つ、ドラゴンが点在して暮らすその山頂。強い風が吹き荒れる中、一頭のドラゴンが苦悶の声を上げていた。
「ぐっ、ぐぉぉぉ……!」
「抵抗など無駄ですにゃ。諦めて大魔王様の傘下に入るといいですにゃ」
 ドラゴンの顔には、醜悪な仮面が取り付けられている。そのドラゴンの前に立ち、小さく笑っているのは、一人のケットシーだった。
 魔女の三角帽子の下には、蠱惑的な笑みが浮かんでいる。この状況で平然としている彼女が、ただのケットシーであるはずもない。
「わ、私は、決してお前たちの、思い通りに、など……!」
「ふむ、なかなかやりますにゃね。でも、これならどうですにゃ?」
 風を操るドラゴン、ブリズヴォンが憎しみに満ちた声をケットシーへと向ける。踏み潰さんと、前足を持ち上げる最中、ケットシーが杖を一振りした。
 その刹那、ブリズヴォンの動きが止まり。再び彼は苦しみに満ちた声を、竜言語も交えて上げ始めた。
「ぐ、あ……!」
「助けを呼んでも無駄ですにゃ、こんな山の中、助けが来るはずがないのですにゃ」
 ケットシーの猟書家、魔女猫グリマルキン。その支配はもうすぐ、ブリズヴォンを抑え込もうとしていて。決死の叫びが、彼の口から発せられる。
「だ、誰か、誰か――!!」
 その、助けを呼ぶ声は竜神山脈から世界へと広がって。幸いにも、その声を聞き届けた一人の竜騎士が、山脈の南方、商会同盟西部にいた。
「……フレッシュ、聞こえたか?」
「グルル」
 アルダワ魔法学園の生徒でもあり、折よく故郷に帰省していたパトリック・マルケが、相棒のドラゴンランスに声をかける。頷く、黄金色の小さなドラゴン。
 間違いない、今のは自分に聞こえた、誰かの助けの声だ。パトリックは急いで家路へとついた。何かあったときのために、冒険用の装備は持ってきていたはずだ。
「行こう、誰かが俺の助けを求めている」

●グリモアベース
「助けを呼ぶ声は、竜神山脈から世界に広がり、アルダワ魔法学園のある半島までも届いたらしい」
 イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)は、そう言って苦々しそうに眉間にしわを寄せた。
 賢龍オアニーヴすらも苦しめ、支配下に置いた大魔王の仮面。それを操り、ドラゴンを支配下に置こうとする猟書家。力を得たら何をするかなど、今更話す必要もない。
 山の頂上の風景をグリモアから映しながら、イミは話を始める。
「竜言語で発せられた声は、人間にはただの咆哮にしか聞こえない。だが、その意を汲み取り、助けを求める声だと認識し、さらに行動に起こした生徒が、一人いた」
 そう告げる彼は、グリモアから映す映像を進めた。一転、商会同盟の街中に切り替わった映像。そこでこちらを見つめる人間男性の顔が映った。男性の顔を大きく映して、イミが話す。
「パトリック・マルケ。竜騎士学科の21年生。商会同盟の西部に帰省していた彼は、助けを求める声を聞きつけてただ一人、竜神山脈に向かっている」
 曰く、パトリックは一人で船を借り、竜神山脈に向けて漕ぎ出しているのだそうだ。彼がドラゴン、ブリズヴォンを助けに行こうとしているのは明白だ。
 だが、一人で。そんな無茶なことを、と誰かが零す。
「無茶だと思っただろうな? いくら二桁年生の生徒でも、一人で竜神山脈の山を超えるのは至難の業だ。だが、先輩たちが一緒なら話は違う」
 そう話しながらイミが笑みを浮かべる。次に彼がグリモアから映したのは、山脈の麓、海岸になっている島の沿岸部だ。この映像に映した場所に、パトリックは接岸するらしい。
「正確な地点は、俺にも分からなかった。すまないが、先輩たちには竜神山脈の麓から、竜言語による導きに従って山を踏破してもらうことになる。転移した地点で、マルケ先輩とは合流できるだろう」
 そう告げて、イミは小さく頭を下げた。竜神山脈のあちこちにドラゴンは住み、その山のいずれにブリズヴォンが住んでいるのかは、イミにも分からなかったらしい。分かっているのは、その山が絶えず突風が吹き荒れているということ。
 険しい谷を渡るように、猛烈な風が吹き荒れている。その風に流され、吹き飛ばされないように山を登っていく必要がある、とイミは話した。空を飛んで移動するにしても、風に煽られないよう注意が必要だ、とも。
 そこまで話すと、イミは映像を最初に戻した。苦しむブリズヴォンの大きな姿が映ると同時に、その手前側に立つ灰色の毛並みをしたケットシーの姿が見える。
「今回相手取ってもらう猟書家幹部は、魔女猫グリマルキン。魔女に仕え、魔術を愛するあまり蒸気機械を憎悪するケットシーの魔女だ。彼女は大魔王の仮面をドラゴンにかぶせ、支配した上で文明の災魔化を狙っている」
 そこまで言って、イミが小さく舌を打つ。自分と同じケットシー、それが悪事を為すというのも、彼としては思うところがあるのだろう。
 しかし、その瞳には強い力が宿っている。鋭い視線を、彼は猟兵たちに向けた。
「ドラゴンは、今でも大魔王の仮面の支配に抗っている。ドラゴンに声をかけ、励ましてやれば、気を持ち直して抵抗を強めるだろう。そうすれば、グリマルキンは仮面による支配に魔力を回し、先輩たちへの対応が疎かになるはずだ」
 説明を終えて、イミが映像を消してグリモアを回転させた。くるりと回って音を立てるガジェット、開いたポータルの向こうから塩気を孕んだ風が漂ってくる。
「そんなところだな。頼むぞ、先輩たち。険しい道程だが、マルケ先輩と一緒にドラゴンを助け出してくれ」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 にゃーん。

●目標
 ・魔女猫グリマルキン×1体の撃破。

●特記事項
 このシナリオは「2章構成」です。第2章がクリアになった時点で、シナリオが完成となります。
 アルダワ魔法学園の「骸の月」の侵食度合いに、成功数が影響します。

●戦場・場面
(第1章)
 竜神山脈にあるとある霊山です。険しい谷を突風が吹き荒れており、谷を超えるには張り出した木の根や蔓を頼りに渡っていかなくてはなりません。
 空を飛べる人は飛んでも構いませんが、支えがない場合難易度が上がります。
 竜騎士はドラゴンの竜言語を受け、同行する猟兵に道順や困難を越える方法の手掛かりを教えてくれます。
 なお、猟兵の中に竜騎士がいた場合、現場に到着した際に竜言語を聞き取ることが出来ます。

(第2章)
 霊山の山頂です。魔女猫グリマルキンが大魔王の仮面を被せられたドラゴンの傍に居ます。
 ドラゴンを励まし、仮面の支配に対しての抵抗を強めさせることで、魔女猫グリマルキンに隙を生じさせることが出来ます。

●竜騎士
 パトリック・マルケ(男性・31歳)
 アルダワ魔法学園の竜騎士学科21年生。ドラゴンの発した竜言語を受け取り、彼の救出のため猟兵に同行すします。性格は真面目で熱意にあふれています。

●ドラゴン
 ブリズヴォン(男性)
 竜神山脈に住まう風を司るドラゴン。魔女猫グリマルキンに大魔王の仮面を被せられ、苦しんでいます。性格は穏やかで優しいです。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『竜神山脈を踏破せよ』

POW   :    火竜の如き力で踏破する/熱意を持って竜騎士に協力を求める

SPD   :    風竜の如き俊敏さで踏破する/巧みな言葉で竜騎士に協力させる

WIZ   :    賢竜の如き智慧で踏破する/竜騎士に協力することの利を説く

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●助けは来る
 荒い波が打ち付ける海岸。その砂浜に立つ猟兵たちの前に、一隻の船が接岸する。
 船から降りてきた男性は、目を大きく見開きながら猟兵たちを見やった。
「君たちは……?」
 戸惑う男性に、猟兵たちは事情を説明する。即ち、この山脈に住む竜を助けに来た、という旨を。
 それを聞いた男性――竜騎士のパトリック・マルケは大きく頷いた。
「そうか、君たちもあの竜の、助けを求める声を聞いたんだな。よかった、俺一人では、この山を登り切る自信が無いところだったんだ」
 そう言いながら、パトリックは眼前の山を見上げる。見通す山の向こうから、また竜のいななきが聞こえてきた。
 早く来い、助けに来てくれ、そう叫ぶ声が。
「共に登ろう、目的地は同じはずだ」
 猟兵たちへとそう言いながら、パトリックは一歩前に踏み出した。彼の迷いのない足取りを追うように、猟兵たちはパトリックの後を追っていった。
高柳・零
POW

魔王というと、どうしてもテニスとか漫才のイメージですが…仮面は確かに厄介な物でしたね。
気を引き締めて行きましょう。

「さて、ブリズヴォンさん。今行きますよ」
まだ見ぬ竜を守る心でUCを使い、身体能力を強化します。
飛行能力にはなるべく頼らず、強化された能力で四肢を使って着実な登攀を行います。

「自分には竜語が分からないので…何か気付いた事があったら教えてください。他の人に伝えるサポートが出来るかもしれません」
もしマルケさんから何か情報が出て来たら、画面に文字化して後ろの仲間に伝えるようにします。
強風で声が聞き取りにくいでしょうから、確実に伝える手段として。

アドリブ歓迎です。


山梨・玄信
零殿(f03921)と

それをやったのは、ごく一部の人間じゃと思うが…。
猟書家め、どこで魔王の仮面なぞ手に入れたんじゃ?

【POWを使用】
この強風が吹き荒ぶ寒空の下…やはりやるしかないか。
褌一丁になり、クライミングや情報収集を使って登るぞ。
オーバーハングや裂け目などの難所ではUCを発動して乗り越えるのじゃ。
…何時も通りじゃと!仕方ないではないか。わしのUCはこんなのばかりじゃし。
あ、後は難所を越えたらロープで他の方が越える手助けもするぞい。

零殿の情報伝達はわしも利用させてもらうぞ。先行する事が多いじゃろうから、気が付いた事があれば、後続の猟兵に向けてな。

絡み、アドリブ歓迎じゃ。



●山は出迎える
 山の麓で、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)と山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)の二名はパトリックと顔を合わせ、登山ルートの相談を行っていた。
「魔王というと、どうしてもテニスとか漫才のイメージですが……仮面は確かに厄介な物でしたね。気を引き締めて行きましょう」
「それをやったのは、ごく一部の人間じゃと思うぞ、零殿……」
「学園生徒にしか通じない話だな……」
 かつてのアルダワ魔法学園での戦争で対峙した、大魔王の姿を思い出しながら話す零と玄信に、同じく魔法学園の生徒であるパトリックが肩を落としながら言う。ちなみに漫才を繰り広げたのはここにいる零である。
 と、玄信がはるか先にある山の頂上を見上げながら零した。
「しかし猟書家め、どこで魔王の仮面なぞ手に入れたんじゃ?」
「気になりますね……さて、ブリズヴォンさん、今行きますよ。マルケさん、案内をお願いします」
「あ、ああ」
 零も頷きつつ、真剣な表情を画面に写しながらパトリックに声をかける。頷いたパトリックは、改めて頂上から聞こえてくる竜言語に耳を澄ませた。
 安全に登るためには、頂上から聞こえるブリズヴォンの竜言語が頼り。つまりそれを聞き取れるパトリックが頼りだ。零と玄信も、それをよく理解している。
「自分には竜語が分からないので……何か気付いた事があったら教えてください。他の人に伝えるサポートが出来るかもしれません」
「そうじゃな、零殿は顔の画面に文字を映せる。言葉で伝えるよりは伝えやすいはずじゃ」
「分かった、なるべく共有できるようにしよう……で、早速だが、比較的安全なルートがあるらしい」
 二人の言葉に頷いて、パトリックが進みだした。彼の後に続くように、猟兵たちは山を登り始める。
 指示されたルートは、谷の底を通っていくようなルートだった。これなら確かに、吹き荒れる風を比較的避けながら進むことが出来る。とはいえ、いつまでも低い位置に居てはいられない。
 事実谷の奥、どん詰まりになっている箇所でパトリックは頭上を見上げた。
「ここから先は、崖を登る必要があるそうだ」
「よし、行くぞ」
「天よ人々を護る力を!」
 と、それを受けて玄信と零が全身に力を込めた。零が頂上の竜を守ろうという想いを込めて全身を強化、ぐいぐいと崖を登っていく。
 彼の後に続くように、玄信も崖を登ろうと手をかける、が。
「あの……いいか?」
 パトリックに不意に呼び止められた。真剣な表情で、彼は視線を投げ返す。
「なんじゃ」
「その格好で、寒くないのか?」
 心配そうな目をしながら、玄信に声をかけるパトリックだ。
 今、玄信はふんどし一丁だ。着ていた胴着はまとめ、腰に括り付けている。
 改めて言おう、ふんどし一丁である。一月のこの寒い折に。玄信が大口を開けて声を張った。
「寒いに決まっておるわ! じゃが、わしが無意味に服を脱いだと思っておったか?」
「相変わらずヌギ力に溢れていますね」
「な、なんと! こんな着実な登攀を、その状況で!?」
 そう言いながら、寒さをはねのけるように玄信は崖を登っていく。その着実で確実なクライミングに、パトリックは目を見張った。まさに驚きのヌギ力である。
 そうこうするうちに零が崖の上に到達して。もう少しで登り切るという辺りで玄信が、頭上の零に声をかける。
「よし……零殿、上は安全かの?」
「『バッチリ安全ですが、風が強いので気をつけてください!』」
 下を見下ろしながら、零が顔のディスプレイに文字を表示させる。上は相当風が強いようだ。玄信は気合を入れて、もう一つ岩を掴んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロイ・ベイロード
POW

さて、今回はオレが行こう。
善性のドラゴンに無理矢理魔王の面を付けるとは…
至急、止めなくてはな。

…ここは、風が強いな。シグマは先に行ってろ。
あ、そうだ。シグマ、おまえは先に行って風を軽減していってくれ。

おれか?
ロイ・ベイロードだ。
これから、この谷を進んでドラゴンを変貌させるのを止めに行く。
おい、おまえ。ここは、どのように行けばいい?
とまぁ、竜騎士の助言で谷を進む。
このぐらいは、ユーベルコード使う必要はない。
風に対しては、姿勢を低くして進む必要があるな。

アドリブ歓迎



●竜は駆ける
 頭上、谷の上を、強い風がごうごうと吹き抜けていく。
 その頭上を見上げながら、ロイ・ベイロード(剣聖・f18208)は供をする雷竜、谷の上を飛ぶシグマリアへと声をかけていった。
「……ここは、風が強いな。シグマは先に行ってろ。先に行って、風を軽減していってくれ」
「この吹きすさぶ風をどうにかせよと言うのだな? 無茶を言う……だが、やってみせよう」
 愚痴をこぼすように言いながら、しかしシグマリアがロイの言葉に従い翼を羽ばたかせる。頭上、黄色い巨体が谷の向こうに飛んでいくのを見ながら、パトリックは信じられないと言いたげな表情をしていた。
「竜が、人の言葉に従って飛んでいった……貴方は?」
「おれか? ロイ・ベイロードだ。 これから、この谷を進んでドラゴンを変貌させるのを止めに行く」
 パトリックの問いかけに、ロイは淡々と答える。そうして彼は頭上、谷の上を指差しながらパトリックに問い返した。
「この谷の上は、どうやって進めばいい?」
「あ、ああ。この上は風が強く吹いているはずだ。しばらくは遮蔽物のない山肌だから、風に飛ばされないように進む必要がある」
 戸惑いがちに返答するパトリック。その答えを聞いて、ロイは小さく頷く。
「なるほど、分かった。風はシグマがいくらか軽減してくれているだろうが、姿勢を低くして飛ばされないようにしないとな」
「そうだろうな。気をつけて進んでくれ」
 風が強いことは間違いない。しかしこのルートは竜言語で教えられた、比較的安全なルートであることは間違いない。そして道中の風は、シグマリアが彼のために軽減してくれるだろう。
 ロイは岩肌を掴み、ぐいぐいと崖を登り始めた。自分のことは、あの雷竜が守ってくれるはずだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゴロウザエモン・サンモト
▼アドリブ・連携歓迎

今回は宜しくお願い致しますマルケ先輩。
私は魔王戦争後に入学した若輩者でございますが、道中アドバイスをいただければ幸いでございます。

【アート】で私が乗れるほどの大きさの悪魔(妖怪)『土蜘蛛』を描いて召喚。空手形で『竜神山脈の踏破に協力しろ』という命令を聞かせ、その上に騎乗し逐一指示をして山脈を登っていきます。蜘蛛なら足も多いし糸も出せるし色々捗るはずでございましょう。※【式神使い】
竜神山脈についての【世界知識】もありますので素人よりはマシな登山ができるとは思うのでございますが…。

大魔王の仮面…ブリズヴォン様には申し訳ないですが、相見えるのが少し楽しみでございますね。(小声で)


バロン・ゴウト
風も強いし、山も険しいのにゃ……。
パトリックさんの言葉を聞き逃さないよう気を付けながら進むのにゃ。

パトリックさんの指示に従い、【地形の利用】をしながら【クライミング】するのにゃ。
道中強い風に吹き飛ばされないよう、【オーラ防御】と【トリニティ・エンハンス】の風の魔力を組み合わせ、風のバリアを張って強風を受け流すのにゃ。
パトリックさんや他の仲間に何かあった時はお互い【救助活動】を行い、特に険しい道も【手をつなぐ】等、力を合わせて進むのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●蜘蛛は登る
 山肌を這うように進んでいって、猟兵たちはパトリックと共に山脈の上の方まで進んでいった。
 山頂まではもう少し、といったところで、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)とゴロウザエモン・サンモト(『魔王』山本五郎左衛門・f27245)は眼前にそびえる切り立った崖を見上げた。
 山頂に向かうまでのルートで、この崖が一番安全な経路だと、パトリックは言う。それ以外のルートも同様に切り立った崖である上に、風が強く吹き付けてとても登れないのだと。
 バロンが崖にしがみつくようにしながら上を見上げて口を開く。
「風も強いし、山も険しいのにゃ……」
「これは一筋縄では行かないようですね。今回は宜しくお願い致します、マルケ先輩」
「ああ。二人ともよろしく頼む」
 ゴロウザエモンも身体を崖に寄せながら、パトリックに視線を投げる。二人の言葉に、頷くパトリックだ。
 風に流されないように身体を岩壁に密着させながら、彼は上を見上げて言う。
「谷を登るのと違い、今回は遮蔽物がない。風をもろに受けながら登っていく形になるだろう。ゴロウザエモンはともかく、バロンはすぐに吹き飛ばされてしまいかねない」
 そう言いながら、彼が心配するのはバロンだ。ケットシーの中でも小さく、体重の軽い彼のこと。少し風が強く吹いただけでも吹き飛ばされてしまいかねない。
 しかしバロンは、その金の瞳を光らせながら拳を握った。
「そうなのにゃ。だからボクは防御をしっかりして登るのにゃ!」
「トリニティ・エンハンスの風の魔力ですね?」
 そう言いながらバロンが、自分の周囲に風を展開する。トリニティ・エンハンスの魔力と防御のオーラを併用した壁で、少しでも風を防ごうという算段だ。
 彼の力を見たゴロウザエモンも、自分の目の前にさっと印を描く。
「でしたら私も力を貸しましょう。『土蜘蛛』、いでよ!」
 目の前の崖に描かれた印、そこからぼこぼこと生まれ出るのは大きな蜘蛛の悪魔だ。召喚した土蜘蛛にしがみつくようにして、ゴロウザエモンは声を張る。
「私と土蜘蛛が先に登って糸を張ります。マルケ先輩とゴウト先輩は、その糸を頼りに登ってきてください」
「助かるにゃ! ボクの魔力をゴロウザエモンさんにも使っておくから、気をつけて登ってくださいにゃ!」
 バロンが守りのオーラをゴロウザエモンと土蜘蛛に張ると、大きな蜘蛛は糸を吐き出しながらするすると岩肌を登っていった。
「大魔王の仮面……ブリズヴォン様には申し訳ないですが、相見えるのが少し楽しみでございますね」
 そう零したゴロウザエモンの独り言は、風に吹かれて誰に聞かれるでもなく消えていく。糸を掴んで、バロンと一緒に崖を登っていくパトリックが、頭上のゴロウザエモンに声をかけた。
「ゴロウザエモン、その上の高台は風が強くて流されやすい、迂回しよう!」
「かしこまりました!」
 パトリックの指示を受けて、土蜘蛛が横に移動しながら糸を張る。岩壁に穴を穿たれ糸が埋め込まれているので、張られた糸は弛むことはない。
 糸を掴んで崖を横に移動しながら、パトリックは口をつぐんでいる。
「……」
「不安ですにゃ?」
 彼の胸元に抱かれるようにして、バロンがパトリックの顔を見上げた。足元、少しだけ張り出した岩の突起に足をかけながら、パトリックが小さく笑って言った。
「バロン……すまない、『転校生』の力を借りているとは言え、竜神山脈の頂上でドラゴンと相まみえると考えると、不安で」
 そう話す彼の腕に、バロンがそっと手を添える。その手には、確かな力がある。
「大丈夫にゃ、ボクも、皆も一緒にいるにゃ」
 バロンの言葉に、パトリックは小さく目を見開いた。そして上を、ゴロウザエモンが切り開いた道を見る。
「……ありがとう」
「お二人とも、もうすぐ頂上につくと思われます! ご準備ください!」
 二人へとゴロウザエモンが声を張り。土蜘蛛の脚は、山脈の頂上へと達しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『魔女猫グリマルキン』

POW   :    不完全なる終焉視
【疑似的な『魔女』の予知能力により】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    遺失魔術『フライハイ』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【魔女より賜った大切な杖】から【無数の魔力の矢】を放つ。
WIZ   :    魚霊群の回遊
【空を舞う無数の鬼火纏う魚】の霊を召喚する。これは【鬼火の勢いを増した突撃】や【鬼火の延焼による精神汚染】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠クーナ・セラフィンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猫は出迎える
 山脈の頂上に達した猟兵とパトリックがそこで見たのは、一頭の大きな竜と、その前に立つ一人のケットシーだった。
 竜の頭には醜悪な仮面が取り付けられ、怪しげな光を放っている。
「ああ……」
「にゃ?」
 小さく呻きながら身をよじる竜。それに何かを察したのか、ケットシーが――魔女猫グリマルキンがこちらを振り返った。
 そうして、グリマルキンは小さく目を見開く。
「おやおや、こんなところまで人間がやってくるとは、無謀なことだにゃ」
 無謀だ、そう言いながら彼女は手にした竜骨の杖を振り上げる。その杖が指す先には、ブリズヴォンの頭があった。
「目的は分かっているにゃ、この竜を助けに来たんだにゃ? 私がいる以上、そうはさせないにゃ」
「ブリズヴォン!」
 猟兵たちが武器を構える中、パトリックは強く声を張った。
「お前を助けに来た! そこのケットシーの言葉になど耳を傾けるな!」
「うう、わ、私は……」
 彼の声を耳にしたブリズヴォンが、再び身をよじらせた。仮面の目の奥に灯る光が、わずかに輝きを増したのが分かる。
 その光をかき消すように、グリマルキンは杖の先端を仮面へと向けた。
「人の言葉で左右されるほど、大魔王の仮面の支配が脆弱だと思わないことにゃ!」
 嘲るように声を張り上げるグリマルキン。彼女の支配からブリズヴォンを開放するべく、猟兵たちは風の吹き荒ぶ山頂の地面を蹴った。

●特記事項
 ・大魔王の仮面によってブリズヴォンを支配するため、魔女猫グリマルキンは魔力を送っています。
  ブリズヴォンが心を強く持ち、支配に抗うほどグリマルキンは多くの魔力を必要とするため、隙が生まれます。
ゴロウザエモン・サンモト
今、呼びかけだけで支配弱まっておりませんでしたか…?
戦争では賢竜を帝竜に変えたという話でございましたが…思っていた程ではなかったな。ならば最早興味はない。

青い旗で鳥たちを呼び出しグリマルキンを妨害するように頼みます。※【動物と話す】
更に武器を手斧に換装。加重の【呪詛】を敵にかけることで動きを阻害。その隙にブリズヴォンに【威厳】と【覇気】を込めて喝破。

ドラゴンが!猫に操られるな!情けない!それが偉大なる種族の姿なのであるか!悔しければ根性を見せてみるのでございます!

不純な動機で救出に来たこと、辛そうな相手に偉そうなことを言った良心の呵責を代償にUC発動。

大魔王…この程度の物のために我の人生は…。



●魔王は吼える
 ブリズヴォンとグリマルキンの様子に、ゴロウザエモンはわかりやすく眉間にしわを寄せた。
「今、呼びかけだけで支配弱まっておりませんでしたか……?」
 ブリズヴォンはパトリックの言葉を聞いて、わずかに瞳に力を宿した。それはつまり、グリマルキンによる大魔王の仮面の支配が、不完全であることを示しているに他ならない。
 グリマルキンが杖を振りながら口を大きく開く。
「仕方がないのですにゃ! この仮面は大魔王様が直接もたらした物より制御が難しいから、私が念入りに魔力を送らないと支配が働かないのですにゃ!」
「戦争では賢竜を帝竜に変えたという話でございましたが……思っていた程ではなかったな。ならば最早興味はない」
 彼女の言葉に心底つまらなさそうに返しながら、ゴロウザエモンは戦鎚を振り上げた。はためく青い旗が、山に住む鳥たちを呼び寄せる。
「鳥たちよ、集え!」
 そうして集った鳥たちは、ゴロウザエモンの意に沿って一斉に羽ばたいた。グリマルキンの周りを飛び回り、つっつき、ひっかき。あれやこれやと彼女の邪魔をしにかかる。
「にゃっ!? 邪魔するんじゃないですにゃー!」
「よし、ここです……!」
 気が散った様子のグリマルキン。そこに、ゴロウザエモンが戦鎚を変化させた手斧を握って距離を詰めた。足を狙って一撃、加重の呪詛がグリマルキンを苛む。
「ぐ、にゃ……!?」
 身動きが取りにくくなって、グリマルキンの額に汗が浮かぶ。そこで生まれた大きな隙に、ゴロウザエモンはブリズヴォンに向かって大声を張り上げた。
「ドラゴンが! 猫などに操られるな、情けない! それが偉大なる種族の姿なのであるか! 悔しければ根性を見せてみるのでございます!」
「ぬ、ぐ……け、ケットシー風情が……!!」
 彼女の言葉を受けて、ブリズヴォンが身体に力を込める。抗い始めた彼が瞳に力を取り戻すと同時に、グリマルキンが慌て始めた。
「にゃ、力が高まっていますにゃ!? この……」
「今こそ! 普段の児戯とは違う……魔王としての我が戦いを見せてやろうではないか! ていやーっ!」
 そこに、襲いかかるゴロウザエモンの手斧。距離を離していても襲いかかる、良心の呵責を大小に振るわれる彼女のユーベルコードが、グリマルキンの身体に大きな衝撃を与えた。
「大魔王……この程度の物のために我の人生は……」
 斧を振り抜いた時に発せられたゴロウザエモンの言葉は、どこか悲しげな色を帯びていたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

バロン・ゴウト
そんな悪趣味な仮面でブリズヴォンを支配しようなんて許さないのにゃ!必ず助けるのにゃ!

言葉を尽くしてブリズヴォンに呼びかけるのにゃ!
ブリズヴォン、あなたはそんな悪趣味な仮面に操られていい存在じゃないのにゃ!
道中の導きをしてくれたお礼もまだ言えてないのにゃ。この魔女はボク達が必ず倒すから、それまでなんとか耐えてほしいのにゃ!

ブリズヴォンの説得をしながら、敵の攻撃は躱したり、【オーラ防御】や【盾受け】を駆使して隙が出来るのを待つのにゃ。

呼びかけが功を奏して魔女猫に隙が生まれた瞬間、【金色の一閃】を叩き込むのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●猫は反抗する
 身をよじるブリズヴォンを抑え込もうと、仮面に魔力を注いでいく魔女猫グリマルキン。彼女に金のレイピアの切っ先を突きつけながら、バロンは声を張り上げた。
「そんな悪趣味な仮面でブリズヴォンを支配しようなんて許さないのにゃ! 必ず助けるのにゃ!」
 バロンの言葉に、グリマルキンは薄っすらと口元に笑みを浮かべる。その表情はまるで、バロンを嘲笑うかのようだ。
「悪趣味とはご挨拶ですにゃ。この類まれなる力を持つ仮面は、ドラゴンですらその意のままにするのですにゃ」
「ぐっ、う……!」
 グリマルキンが杖を振り上げれば、ブリズヴォンが苦悶の声を漏らす。魔力が仮面に送られ、支配を増そうとしていることは間違いない。
 それを見ながら、バロンはブリズヴォンに向かって声を張り上げる。
「ブリズヴォン、あなたはそんな悪趣味な仮面に操られていい存在じゃないのにゃ!」
 その必死な声に、ブリズヴォンの動きが止まる。同時に杖を掲げたままのグリマルキンが、小さく口角を持ち上げるのがバロンには見えた。
「何を無駄なことを……!」
「道中の導きをしてくれたお礼もまだ言えてないのにゃ。この魔女はボク達が必ず倒すから、それまでなんとか耐えてほしいのにゃ!」
 しかしバロンはめげない。なんとか声を届かせようと、小さな身体をいっぱいに使って声を上げた。
 と、その声をもって気持ちを持ち直したか、ブリズヴォンの瞳に光が灯る。
「くっ、ぬ……!」
「なっ、この程度の言葉で、抵抗を増すのですにゃ!?」
 そしてグリマルキンは困惑した。自分の予想以上に、猟兵たちの言葉が強い。杖を振り上げ魔力を送っても、ブリズヴォンの心は折れずに抵抗を試みる。
「ぬぅぅ……!」
「えぇい、こうなったらさらに魔力を送り込んで――」
「そこだにゃ!」
 さらに魔力を送り込もうと、グリマルキンが杖を高く上げた瞬間。バロンは一気に地を蹴って、グリマルキンへと肉薄した。
 突き立てられる黄金のレイピア。身を穿たれたグリマルキンが悲痛な声を上げる。
「ぎにゃ!?」
「ブリズヴォンの邪魔はさせないのにゃ!」
 一息に距離を取りながら、バロンは力強く声を上げる。ブリズヴォンの顔に取り付いた仮面の光に、僅かに陰りが見えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
クロ「風は自由にゃ。誰にも束縛はされにゃいにゃ。」明「風を司るドラゴンでしたら、大魔王の支配など吹き飛ばせるはずです。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『魔女猫グリマルキン』と召喚された霊達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



●猫は踊る
 強く吹き付ける風に飛ばされないよう、魔女帽子を押さえながら山頂にやってきた火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、相棒の黒猫、クロと共に一つ息を吐き出した。
「ふぅ、なかなか険しい山道だったわ」
「帽子が吹き飛ばされなくてよかったにゃ」
 明の服の襟元から顔を出したクロも、安心したように顔を洗う。対してグリマルキンはというと、新たな猟兵の登場に明らかに狼狽していた。
「また猟兵がやってきたですにゃ!? えぇい、数で攻めるというならこちらにも考えがありますにゃ!」
 そう声を上げながら杖を振るえば、彼女の周囲に無数の魚の骨が出現した。緑色の鬼火をまとう魚の霊が、次々に明とクロに向かって突撃を敢行する。
 時には華麗なステップでかわし、時には身体で受け止めて霧散させながら、明は小さく口角を持ち上げる。
「なるほど、魚の霊ね」
「こんな寒い山の頂上でも元気に泳ぐなんて、霊というのはこれだからにゃ」
 クロが白い息と一緒にこそっと毒を吐き出す中、明は手にした七色の杖を鋭く振るった。先端が青白い輝きを放つ。
「我、求めるは、冷たき力」
 杖の先端から大量に放たれる光り輝く魔法の矢。それが四方八方に広がり、渦を巻くように戦場全体を飛び交った。矢に貫かれた魚の霊が即座に消滅し、グリマルキンの身体に突き立った矢がその表面の毛を凍らせていく。
 その一発の予想以上の威力に、グリマルキンが狼狽する。
「にゃにゃ!? なんという威力だにゃ!?」
「毛皮の内側に氷が張り付いて冷たいでしょう? ダメージはこんなものではないですよ」
 明は笑いながら、再び杖を高く掲げた。杖の先端が、今度は淡い緑色に光る。その光がブリズヴォンの顎へと伸びていった。
「風は自由にゃ。誰にも束縛はされにゃいにゃ」
「風を司るドラゴンでしたら、大魔王の支配など吹き飛ばせるはずです」
「ぐ、ぐぬ……!」
 クロと明の言葉を聞き届けたブリズヴォンが、更に力を全身へと行き渡らせる。被せられた仮面の光が、不規則に瞬いた。魔力が乱れている証拠だ。
「おのれ……この期に及んで竜を励ますとは、許しがたいですにゃ!」
「魔力を回さねばならないから、つらいでしょう? どんどん力を削ってあげるわよ」
 傷つきながらも更に仮面へと魔力を流し始めるグリマルキンに杖を向けながら、明は小さく笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロイ・ベイロード
こいつも、猟書家か。猫とはな。
色々といるものだな。
だが、対処するのは紛れもないことだがな。

てなわけで、ブリズヴォンとか言ったか。
大魔王の仮面とか言うが、支配に坑がっているようだな。
大魔王は、今は滅びた。この仮面はそれほどの力はない。

シグマ、その猫を邪魔してやれ!
サンダーブレス連射だ!(【属性攻撃】【ブレス攻撃】【範囲攻撃】)

今だ!【電撃耐性】でブレスの中を突き進み、猟書家を斬る。
「そこまでだ!虚空に消えろ!!」

アドリブ歓迎



●勇者は駆ける
 魔力を仮面に送りながらも、なかなかその魔力量を維持できないで苦悶の表情を浮かべるグリマルキン。彼女を見ながら、ロイは小さく息を吐いた。
「こいつも猟書家か。猫とは……全く、色々といるものだな」
 小さなケットシー、アルダワ世界では普通に生きている人々と同じ姿をした彼女を見下ろすロイに、グリマルキンが不敵な笑みを向けてくる。
「この数多ある世界の中に、いったいどれだけの種族がいると思いますにゃ? 猟書家も同じ、色んな種族がいて当然ですにゃ」
「ふん、なるほどな。だが、対処する事自体は変わらない」
 ロイに言葉を投げかけるグリマルキンへと、彼は手にした剣を向ける。正面に立つ敵に視線を向けたまま、彼はグリマルキンの後方に立つ竜へと声をかけた。
「ブリズヴォンと言ったか。大魔王の仮面の支配に抗っているようだな」
「私が抗っているから……どうだと言うのだ」
 ロイの言葉に、ブリズヴォンは重々しく返す。仮面をつけられた彼に、ロイは決定的な事実を突きつけた。
「大魔王は、今は滅びた。その仮面にはそれほどの力はない」
「……!」
「なっ、今の今までひた隠しにしていたことを!」
 大魔王ウームー・ダブルートゥが撃破されて、もうすぐ一年になる。その事実はアルダワ魔法学園では大ニュースになっていたが、学園外には、特に人の住まない竜神山脈にはなかなか伝わらないものだったのだろう。
 ブリズヴォンの瞳に明確な力が宿り、グリマルキンが慌てだす中、もう一頭の竜が動き出した。
「シグマ、サンダーブレス連射だ!」
「喰らえっ!」
 ロイの背後から飛び上がったシグマリアが、グリマルキンに向かって次々にブレスを発射する。雷の塊が飛んでは地面にぶつかり、爆発を起こしていった。
 グリマルキンはそれを、次々にかわしていく。まるで着弾地点が予め分かっているかのようだ。
「ふん、その程度の攻撃など、私の『終焉視』の前には――」
「今だ!」
 だが、何発目かのブレスをかわし、着地したグリマルキンに向かって、ロイが一直線に突撃した。着地の瞬間を狙って肉薄した彼の剣が、グリマルキンの身体を捉える。
「なっ……!?」
「そこまでだ! 虚空に消えろ!」
 次いで放たれる逆袈裟の一刀。グリマルキンの胸に、Xの傷跡が刻まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

山梨・玄信
零殿(f03912)と
竜語が分からんから、説得も出来んしなあ。
ならば…わしの出来る方法でやってみるか。
零殿、猟書家の方は頼んだぞ!

猟書家からの攻撃は見切りと第六感で躱し、避けられなければオーラ防御で受けるぞい。

ブリズヴォンにわしの出来る説得…拳で語るぞい。
マルケ殿には通訳を頼んで、褌一丁になるとUCを発動してブリズヴォンに一発喝を入れてやるわい。
そして、竜が苦しむ度にUCで手助けするぞい。
「わしがこれからお主の邪心を払う。少々我慢してくれ!」
「仮にも生物の王者じゃろ、お主ら竜は。魔王の力の一部に負けるでない!」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


高柳・零
玄信さん(f 06921)と
WIZ

任されました!
魔女猫の相手は引き受けましょう。

「玄信さん、マルケさん、ブリズヴォンさんをお願いします!」
オーラを全身に張り、盾を構えます。
鬼火の骨魚は見切りで動きを読み、盾で突撃や炎を受けます。
避けきれない分はオーラで弾き、火炎耐性と呪詛耐性で延焼や精神汚染も防ぎます。防御特化を甘く見ないでください。
味方に攻撃をしようとしたら庇います。
「ここから先には行かせませんよ」

敵が仮面の操作に気を取られたら、すかさず魔導書から衝撃波の魔法を2連発で撃ちダメージを入れます。
更に追撃で指5本を向け、光を落とします。
「他人を操ろうとする者は手痛い目に遭うんですよ!」



●勇者は拳で語る
 グリマルキンが傷つき、ブリズヴォンが徐々に仮面の支配から抜け出す中、玄信と零は強く拳を握った。ここで最後のひと押しだ。
「励まし、のう。わしの出来る方法でやってみるか。零殿、猟書家の方は頼んだぞ!」
「任されました! 玄信さん、マルケさん、ブリズヴォンさんをお願いします!」
「ああ、頼む!」
 零と玄信は互いに顔を見合わせながら駆け出した。その後ろからはパトリックも続く。
 まっすぐ向かってくる彼らに、グリマルキンは歯噛みした。最後の力を振り絞って杖を振り、魚の霊を呼び寄せる。
「竜のもとには行かせないにゃ!」
「零殿!」
「はい!」
 霊が召喚されるのに合わせて、零も盾を眼前に構えた。そのまま突っ込んで行く彼に、いくつもの魚の霊が突撃を行うが、その全てが零の盾に阻まれ、弾かれてしまう。
 そしてグリマルキンの直ぐ側まできた所で、玄信とパトリックがその後ろから飛び出した。二人はそのまま駆けて行き、ブリズヴォンの足元まで向かう。
 抜かれた。そのことに気がついたグリマルキンが目を見開く。
「なっ……!?」
「防御特化を甘く見ないでください。ここから先には行かせませんよ」
 目の前には零が立ちはだかっている。霊を飛ばして攻撃しようにも、これでは間違いなく零が邪魔だ。
 零がグリマルキンと相対しているのをちらと見ながら、玄信が一つ息を吐いた。
「よし、うまく足元まで来れたのう。後はわしの番じゃ」
「大丈夫か? こちらへの攻撃は確かに零が防いでくれているが……」
 パトリックが不安そうに零を見ながら、ブリズヴォンの顔を見上げる。その表情は伺いしれないが、今も支配に抗い苦しんでいることだろう。
 その顔を一緒に見上げる玄信が、にっこりと笑った。
「心配要らん。わしにはこいつがあるからの」
 そう言いながら玄信は再び胴着を脱ぎ捨て褌一丁になった。身を切るような風を受けながら、彼は大きく拳を振りかぶる。
「ブリズヴォン! わしがこれからお主の邪心を払う。少々我慢してくれ!」
 そう言いながら玄信が握った拳をブリズヴォンの脚に叩きつけた、その瞬間だ。ブリズヴォンの身体がびくんと跳ね上がった。
「ぐ、うぅっ……!? これは!?」
「な、なんですにゃっ!?」
 同時にグリマルキンも、戦闘中だと言うのにおおきな狼狽を見せた。目の前に立って魔導書を開く零から目を外し、ブリズヴォンの顔に張り付いた仮面を見ている。
 その仮面が、内側から弾けるような光を放っていた。
「よそ見していていいんですか?」
「あ、あり得ないですにゃ! 仮面が、内側から攻撃されて……にゃっ!?」
 零の声など耳にも入っていない様子のグリマルキンが、魔導書から放たれた衝撃波の魔法で体制を崩す。それが契機となったのだろう、大魔王の仮面から放たれる光が一層強くなる。
 仮面の瞳は完全に力を失っていた。ブリズヴォンの吠え声にも本来の力が戻っている。
「う、ぐ、ぐぅぅぅっ!!」
「仮にも生物の王者じゃろ、お主ら竜は。魔王の力の一部なぞに負けるでない!」
 声を張り上げ、ブリズヴォンに言葉を届けながら、玄信は次々に攻撃を加えていく。ブリズヴォンにではない、その中の悪心に、仮面そのものに。
 大魔王の仮面に、びしりと亀裂が走った瞬間。
「ぐ、お、お……おのれ小癪なケットシー風情めがぁぁぁぁっ!!」
 大地を揺るがすような力強い咆哮が山に轟き。同時にグリマルキンの身体が天から伸びる光に貫かれた。
「あ――」
 光に飲まれたグリマルキン。その瞳は信じられないものを映したかのように見開かれ、砕けて消えていく大魔王の仮面を見つめていた。
「なんて……こと、にゃ……」
 光の中に、姿が、声が消えていく。光が消えた時には、グリマルキンの握っていた骨の杖だけが残されていた。それも、風に吹き飛ばされて砕けながら消えていく。
 それを見送りながら、零が腰に手を当てながら言った。
「他人を操ろうとする者は手痛い目に遭うんですよ!」
「全くじゃ。これに懲りたらもう、他人を自分勝手にどうこうしようとしないことじゃな」
「ああ……そんなことは、許されないことだ」
 玄信もパトリックも、零のところに戻りながら頷く。後方では、ぶるっと頭を振ったブリズヴォンが翼をはためかせて猟兵達を見ていた。
「全く……矮小な生物に私たち竜がどうこうされるなど、腹立たしいとしか言いようがないではないですか。感謝します、人間たちよ」
「ブリズヴォン……良かった、無事で」
 正気を取り戻したブリズヴォンへと、パトリックが笑顔で手を伸ばす。山頂に吹き荒れていた風が、どことなく優しい感触になったような、そんな気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月18日
宿敵 『魔女猫グリマルキン』 を撃破!


挿絵イラスト