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ひとひらの祈り(作者 黒塚婁
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#スペースシップワールド  #猟書家の侵攻  #猟書家  #バトラー・サファイア  #クリスタリアン  #漿船 


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●一年の幸運を
 その瞬間は、いつでも暗き夜明けを抜けるように――。
 この船は軌道周回しているわけでもないから、見える景色も差し込む光も、毎年違うのだが、それでも。
 麗しきメルセデス。細やかなカッティングの丸屋根が特徴的な居住区を中心に、円を描くように回廊が巡り、動力部は鋭利な剣のように昊を切り裂き、進む。
 目的もなく、果ても知らぬ道程の――何処までも広がる宇宙にも、新年はやってくる。
 古典で知るところの初日の出とやらは見えないが、年を跨いだ安堵、新たな年を迎える慶び。
 指折り数えたその日を迎えると、
「新年おめでとう、マザー・メルセデス!」
 クリスタリアン達はこぞって少女の船首に挨拶する。
 正確には、船の中にある少女像だ。タンザナイトで出来た彼女は、クルーであり住人のクリスタリアン達と違って喋りもしないし、表情も変えないけれど、喜びの感情を仄かに伝達してくる。
 少女像に挨拶をすることで、漿船『メルセデス』の新年は始まるのだ。新年を言祝ぐ、一ヶ月――本当に、この船は一月お祝いモードを維持し続ける――船内では至る所で酒宴が開かれ、子供達には菓子が配られ、それぞれが伝え聞いた「ごちそう」が昼夜問わず振る舞われている。
 だが、もっとも盛り上がるのは、宝石の船内で、唯一その輝石を剥き出しにした蒼いダンスホールで行われる、一晩限りのイベント。
 目が眩む程の輝きを楽しめる広間、その一切の照明を敢えて落とし。
 白く輝く花びらの映像を投影する。
 輝石の光を受けて揺らめく映像は、何とも不思議な光景を生み出す。眺めているだけでも楽しい、というクリスタリアンは言う。
 その中に、時折――本物の花が落ちてくる。
 これを掴み取れれば、その一年、幸福しか訪れないと――彼らの中では言われている。新年最初の、最大のイベント。
 幸福の花。
 それが、何という名前の花の花弁であるかも、彼らは殆ど知らぬ。
 船の地下で大切に育てられている、数少ない本物の生花――それそのものが本当に珍しいから、掴み取ったものたちは丁寧に永年コーディングして、身を飾っている。
 最高齢のクリスタリアンの胸に咲く色とりどりの花冠コサージュは皆の憧れの的だったりする。
 つまり、この一夜は、メルセデスの船員たちにとって、とてもとても大切なイベントなのだ。そして、メルセデス自身にとっても。

 だが、然し。このメルセデスに――猟書家『バトラー・サファイア』が、転移し、その滅びを宣告することを。
 新年に浮かれるクリスタリアン達は、まだ知らない。

●ともに
「彼らは――宇宙に出でたからこそ。失われてしまったからこそ。かつての文明を大切に守っていこう、という考え方をしているようでございます」
 アム・ニュイロワ(鉄線花の剣・f07827)は静かに告げる。
 新年を喜ぶ心。気の抜けない宇宙の旅で。侵略に怯えてきた過去の中であっても――生き延びた事への労いと、何事も忘れ、幸運だけを祈る一ヶ月があってもいい。
 長らく宇宙を漂ってきた彼らの、細やかな安らぎ。
「それを妨害することはおろか……船内のクリスタリアンを滅ぼそうという猟書家の動きは阻止せねばなりません」
 見てしまったからには、とアムは灰色の瞳で猟兵たちを見つめる。
「まず、簡単に『漿船(クリスタルシップ)』について説明いたしましょう」
 漿船とは、クリスタリアンが太古より使用している旧式の移民船――その全てが宝石でできた、失われた技術で建造された神秘の古代宇宙船である。微弱ながら「意志」を持ち、住人のクリスタリアンとのみテレパシーで意思疎通できるらしい。
 ――そんな、かの世界において、多少珍しくもあるが、なんの変哲もないと思われていたその船に。最長老であるプリンセス・エメラルドだけが知る「転送装置」が仕込まれていたらしい。
「これを利用し、猟書家が襲撃を仕掛けてくるようでございます。皆様には、住民の皆様と交流し、クリスタリアンと共に、その転送位置を突き止め……迎撃していただきたいのでございます」
 そのためにはどうしたらいいか。
「はい、漿船メルセデスで行われる――新年の催しを楽しんでいただきます」
 至って真面目に、アムはいう。
「とても大切な交流です。何より、彼らはとても楽しみにしている催しでございます。猟書家に襲われるからといって、中止にはできません……ええ、わたくしも、おかしな事を申し上げていると思っておりますが、これは、きわめて大切なことでございます」
 共にイベントを楽しむことで、クリスタリアン達から『何故このような伝統があるのか』を聞き出すことができ、それは転送場所のヒントとなるだろう。
 そういう予知なのだ。
「巧くいきましたら、きっと、クリスタリアン達も、船も、皆様の友として。猟書家と戦ってくださるでしょう」
 最後に深々と頭を下げて――アムは、説明を終えるのであった。





第2章 ボス戦 『バトラー・サファイア』

POW ●ナイブスストーム
【サファイアでできた無数の暗器】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD ●アカンプリッシュメント・オブ・アサシン
レベル分の1秒で【麻酔針】を発射できる。
WIZ ●サファイア・フラッシュ
【サファイアの肌】から【蒼く眩い閃光】を放ち、【目を眩ませること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エリル・メアリアルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●転送装置
「久しぶりね」
 その女は漿船に現れるなり、冷徹な声音でそう告げた。
「覚えていますか――私と、私の主、プリンセス・エメラルドのことを。あなたは主の所有物。その在り方は皆、主の意志に従わねばならぬということを」
 突然現れた猟書家『バトラー・サファイア』の存在に、メルセデスは驚き、戸惑った。
 微かにある意識は、過去の思い出や、彼女の告げる「転送装置」のことよりも――自分の愛おしい船員たちに向かっていた。
「私達は漿船の力を必要としています。故に、あなたの中の異物を、これから全て排除します――そう、気づいているわね。あなたがこれまで育んだ、愛しきクリスタリアン達を、一人残らず」
 バトラー・サファイアはその思考のゆらぎを読んで、冷笑を浮かべる。
 愚かだと、言葉にせずとも、その冷たい横顔は雄弁に語っていた。
 それが自分に逆らう事をさすのか。或いは、その思考をさすのかまでは、わからぬが。
「……抵抗するのね? 別に構いませんよ。でも、その時間を別れの挨拶に使った方が有意義だと、私は思いますけどね」

●祭りのあとに
 猟兵達の加わった今年は、大いに盛り上がったと。
 クリスタリアン達が満面の笑みで集うものたちに礼を告げてくる。そして、未だ光の花びらの降るダンスホール内で、彼らは天を仰ぐ。
 この喜びと、感謝の言葉を、皆で唱和するのが習わしだからだ。
 ――然し。
「マザー・メルセデス……マザー?」
 誰かが不安そうな声をあげた。
 猟兵たちは知るよしもないが――バトラー・サファイアの襲撃と同時、クリスタリアン達には、いつもと違う意思が伝達されていた。
 メルセデスの不安と、悲しみ――そして、『新年早々から、おまえ達に試練を与えねばならない』という、申し訳なさ。
「緊急事態! そうなのですね!」
「戦います! 戦いますとも!」
 誰一人、諦めてはいなかった。驚異の程を知っていたわけではない。
 だか、生まれてからずっと己達を育んでくれた、大切な船。
「転送装置――そこですね……って、そこ何処ですか! そんな装置、初めて知りました! え、マザーも?」
 青年クリスタリアンが困惑した様子で言い。
 猟兵達を振り返る。
「お客陣もお連れして? ――はい、わかりました。ええっと、猟兵の皆さん、こちらです! 足下にお気をつけて!」
 慌ただしく誰かが何かを操作すると。ダンスホールの床が、ぽっかりと抜けた。

 ――落下する。
 真っ暗闇を、ひとしきり落下すれば、ふわりと受け止めるように重力装置が働いて、身体が浮く。
 空間には柔らかな光がいくつも浮かび、春の木漏れ日のようなぬくもりを照射している。
 そこは、花の香りが強く漂う花園であった。
「まったく、くだらないことに機能を割いて」
 その中央で、隙無く構えたバトラー・サファイアが佇み、呆れ声を放つ。
 駆けつけた猟兵、そして幾人かのクリスタリアンの兵士達の気配を察し――ゆっくりと振り返る。
「そちらからお越しいただき、手間が省けました――これより、全船員の排除を行います。逃げるなら、今のうちですよ」
 冷たい宣告を受け止めるものたちの心は、ただひとつ。
 ――させてなるものか、であった。

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【プレイング募集期間】
 1月19日(火)8:31~22日(金)22:00頃

クリスタリアン達も協力して戦ってくれます。
船の機能も猟兵の手助けをしてくれます。
が、特にプレイングで指定は不要です。お好きに戦ってください。
船や船員への心遣いがあれば、ボーナスとさせていただきます。
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