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四方に輝く陽の光

#クロムキャバリア #皇洲連邦 #パラティヌス

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 元帥府大将軍戦死。
 帝都守護を預かる警衛師団の反逆と帝都の占領。その最中に届けられた皇洲連邦軍事の頂点に在る総司令官死去の報せは連邦国内を混乱に叩き落とした。
 有事の際に藩軍を統率するべき大将軍の死によって各藩の足並みは揃わず、また元帥府直轄の軍事拠点である鎮台を有する三藩のうち北方鎮台白河藩と西方鎮台下ノ瀬藩は隣国との関係悪化によってこれを警戒するために身動きを取れないでいる。
 この状況にあって帝都奪還および決起軍の首魁たる加藤大尉の討伐を行えるのは、先の帝都蜂起に際して猟兵の支援を受け脱出した皇帝を擁する第二帝都、東方鎮台葦原のみ。
 長きに渡る内戦の果て、鉄壁の要塞都市と化した帝都秋津を制圧した決起軍の戦力は強力無比。数で勝るとはいえ、葦原臨時政府軍でも容易く奪還できはすまい。
 それでも征かねばならぬ理由がある。
 皇帝は決起という手段に訴えてでも己に何かを伝えようとした男の真意を問うために。
 軍人はその職責を全うし、正当なる国家に忠誠を尽くすために。
 そして将軍の娘は、父の遺した想いに応えるために。
 新年を迎え、無垢な白雪に彩られた山野をキャバリアの列が進軍する。
 眼前の銀世界の如く混沌の中で色を失った皇洲連邦を彩るのは政府軍と決起軍、果たしてどちらの御旗の色であるのだろうか。

●陽はまた昇る
「皆には改めて皇洲連邦に行ってもらうよ。よか?」
 佳奈恵が集まった猟兵たちに告げれば、彼らは頷きで以てそれに応えた。
 昨年末の皇洲連邦クーデターでは、二機目のオブリビオンマシンの出現という想定外の展開で決起軍の指揮官機たる本命のオブリビオンマシンを破壊すること叶わず、皇帝の帝都脱出という目標は達成したがクーデターそのものの鎮圧には届かなかった。
 今度こそ。先の戦いを経験した猟兵たちの目にはその決意が宿っている。
 そうでない者たちも、決起軍の所業――政府中枢たる元老院の議員たちの殆どを天誅と称して粛清し、自ら皇帝脱出を助くための囮として帝都城に残った軍人たちも総司令官が戦死した以上無事ではいないだろうという予想を聞いて、決起軍への怒りを燃やす。
「皆が着く頃には両軍とも帝都の郊外に部隊を展開し終えとう頃やと思う」
 つまり、到着後殆ど間を置かずして戦闘が開始するということだ。準備を万全に、あらゆる戦況に対応できるよう覚悟を決めてゆかねばなるまい。
「皆が参戦しなくても決起自体は鎮圧できる。でも、その時はこの先の皇洲連邦を引っ張っていくべき人たちにも大勢の犠牲が出るけん、それは絶対に阻止せんといかん」
 だから、強力なオブリビオンマシンの正面に立つ危険な役割を頼みたい。佳奈恵は一度深く頭を下げ、猟兵達を臨時政府軍の陣地まで送り届ける。


紅星ざーりゃ
 新年あけましておめでとうございます。
 いろいろあった2020年も明け、いろいろのうち半分以上が新年に持ち越されている昨今皆様いかがお過ごしでしょうか。紅星ざーりゃです。
 例によってクロムキャバリア、今回は皇洲連邦でのクーデター鎮圧の決着編です。
 前回のお話は「変わらぬ光誰が為ぞ」をご参照下さい。
 今回からの参加の方も歓迎ですが、前回の参加不参加に関わらず全採用は少し厳しめです。申し訳ございません。

 前回は帝都からの脱出が目的でしたが、今回は帝都奪還が目標となります。
 一章で決起軍のキャバリア部隊を突破し、帝都への血路を拓きます。敵の数は非常に多いですが、臨時政府軍のキャバリア部隊が皆さんを支援します。
 二章は決起軍の主力部隊との戦闘です。今度の部隊は装備も一線級の強力な部隊となります。一機一機が準ボスクラスの最精鋭を相手に、ボスオブリビオンマシンの許へ至る突破口を切り開くのが目的です。
 三章でいよいよ決起軍の指揮官と対決となります。彼を打倒し、皇洲連邦の動乱を鎮圧して決着をつけましょう。
 困難な戦いですが、猟兵の皆さんならば必ずや勝利できるものと信じております。

 いずれも冒頭、マスターシーンの掲載直後からの受付開始となります。
 それでは皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『敵陣突破』

POW   :    群がる敵を正面から蹴散らし、突き進む

SPD   :    敵陣の薄い箇所を突き、一点突破を狙う

WIZ   :    敢えて多くの敵を引き付けておき、一気に倒す

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵たちが送り込まれた皇洲の地は、突き刺すような冷え切った空気に包まれた雪原であった。
 先の脱出行ではまだ積もり始めであった雪は、今では踝の辺りまで埋まってしまうほど厚く地を覆い隠している。その雪化粧をざっくざっくと踏み鳴らして駆け回る兵士たちは、一様に緊張に表情を強張らせていた。
 さもありなん。皇洲連邦でも精鋭たる帝都警衛師団の三つの大隊のうち、最も実践経験豊富な隊が中核となって引き起こした反乱は、帝都城の失陥と大将軍の戦死という最悪の事態を招くに至った。
 それだけの事を為しうる敵が相手ならば、勝敗はどうあろうと勝たねばならぬような戦といえども己の命を保証するものはどこにもない。
 ここが国家の進退を決める大戦の場。さりとて死に場所は此処ぞと定められるほど肝の据わった武者はそう多くないのが実情であった。
 浮足立つ兵らに不安を覚える猟兵であったが、ともあれ見知った顔を見つけた様子の高級将校らしい人影が手を振るのでそちらに向かう。
「猟兵の皆様、来ていただけましたか。心強い」

 帝都脱出時の連邦軍将校の軍服とは少々仕立ての違う、豪奢な礼服に身を包んだ若い女武者が敬礼を以て天幕へと猟兵達を迎え入れる。
 葵旭陽。この反乱で討ち取られた元帥府大将軍葵天道の娘。猟兵とともに皇帝脱出を護衛した部隊の指揮官だった彼女は、その衣装から見るに血筋に相応しい地位に就いたようであった。――本人がそれを望むか望まざるかに関わらず。
「改めて父の後継として元帥府大将軍の位を陛下より賜りました、葵旭陽と申します。此方は」
 旭陽が示す先には、眉間にいくつもの皺を刻んで鋭い視線を猟兵に投げかける年の頃は三、四十の細身の武者。
「葦原鎮台将軍、上月三部元芳だ。階級は中将だが、皇帝陛下と大将軍旭陽殿下より臨時政府全軍の指揮を預かっている」
 そしてその武者の隣で顎に手を当て算盤を弾いている、仮設といえど仮にも軍の司令部には似つかわしくないスーツ姿に金髪をかっちりとオールバックで固めた異邦人が立ち上がり、両手を軽く広げてにこやかに笑いかける。
「経済連合、アドバンスド・オーダー社外交三課課長、フィリップ・ジェンキンスです。同じ傭兵として良いビジネスのために協力しましょう!」
 葦原軍の指揮官である上月中将と、経済連合軍傭兵部隊の隊長格であるジェンキンス課長。これに旭陽を加えた三人が臨時政府軍の司令官として軍の指揮権を持ち、最上位にベテランである上月中将を置く布陣。
 旭陽が言うには、上月中将が率いる師団規模の主力本隊が敵正面と交戦しこれを拘束、ジェンキンス課長の経済連合軍部隊が中隊単位で分散して敵を撹乱しつつ戦力の不足した戦区を柔軟に支援。
 ある程度敵陣をすり潰したら猟兵と旭陽の最精鋭部隊が決起軍主力部隊を突破して加藤大尉を討つ、という作戦らしい。
「皆様にまた力を借りることになって心苦しいのですが、私はまだ父上のようにはやれぬ未熟の身。どうか力をお貸し頂きたく」
 もとよりそのつもりで参陣したのだ。ここで首を横には振らぬ猟兵たちは、若き大将軍と共に駐機させているキャバリアの下へと歩いてゆく。

 途中、これもまた見た――強烈な印象を焼き付けていった白塗り顔のふくよかな公家風の男――九重小路豊麻呂の姿を見かけたが、なるほど彼は彼で臨時政府の数少ない文官として軍の補給の手配や親征した皇帝の身の回りの世話に忙殺され猟兵どころではないらしい。
 そう、皇帝もまたこの戦場に在るのだ。逆賊加藤の真意を知り、理解せぬことには皇洲統治を行う皇帝の資格なし。興徳帝は幼いながらにそのような覚悟の下、豊麻呂と旭陽、上月中将の反対を押し切りこの臨時政府軍本営にまでやってきている。
 まさに総力を懸けた決戦である。
 仮に臨時政府軍が敗れれば、もはや決起軍による皇帝奪取を阻むものはない。今は静観している大名たちも皇帝の身柄という錦の御旗を得た決起軍に従うしかないだろう。
 そうさせぬ為にもここで勝たねばならない。

「全軍に告げる。今時作戦の総司令官、上月三部元芳中将である」 キャバリアに乗り込んで出撃を待つこと暫し、上月中将からの通信が猟兵をはじめとした傭兵を含む全軍将兵の耳朶を打った。
「この作戦は皇洲連邦の在り方を守る重大な決戦である。これに際して将兵諸君に元帥府大将軍殿下よりお言葉を賜る」
「――此の場に参じて下さった全ての将兵の皆様にまずは多大な感謝を。私は葵旭陽、父葵天道の突然の死によって、皇帝陛下より元帥府大将軍の位を賜りましたが、皆様にはこの若輩を大将軍と仰ぐに納得のいかぬ方も居られましょう」
 けれど。旭陽は強い意志を秘めた目で、将兵ひとりひとりの目を射抜くように真っ直ぐに視線を前へ向けた。
「帝都を奪還し、皇帝陛下を再び帝都城にお迎えするその時までは父の後継としてこの位を名乗ることをどうか許されたい。そしてこの戦いで私は父の後継に相応しい将であると認められるよう、私心を捨て身命を賭して皇洲の為に戦うことを誓い、皆様にはこの証人として共に戦っていただきたく存じます」
 旭陽のキャバリアがすらりと刀を抜いて陽光に翳す。
 葦原軍の機体も、経済連合軍の機体も、その刃の後ろに並ぶ全ての機体が同時にエンジンに火を灯して鬨の声の如く唸りを上げる。
「――心せよ! これは帝都に果てた者たちの仇討にあらず、国家存亡を懸けた決戦であると! 全軍、この元帥府大将軍葵旭陽に続けッ!!」
「全軍前へ! 大将軍殿下に続け! 葦原武者の誉れを見せよ!」
 旭陽と上月中将の号令を受け、臨時政府軍のキャバリア隊が前進を開始する。
 迎え撃つは決起軍キャバリア部隊。
 はじめに砲撃が互いの前衛を吹き飛ばし、ついで射撃が先駆けの勇敢な武者を穴だらけにして屍を晒す。
 だがそれでも止まらぬ双方の勢いは、いよいよ刀剣の距離での混戦、乱戦へともつれ込んだ。
「いやぁ、こいつは中々。で、ミスター&ミスイェーガー、あなた方はどうするんです? 一番ド派手な上月中将の隊と一緒に正面で敵に激突してもいいし、ショーグンガールと一点突破も中々楽しそうだ。私達と陽動、ってのもオススメしますよ。何よりウチの会社とコネを作っておいて損はないと思いますし」
 自らキャバリアで出撃し、激戦を前に楽しげに笑うジェンキンス課長の声を聞きながら、猟兵たちも各々の見定めた戦場に斬り込んでゆく。
東雲・一朗
▷アドリブ歓迎

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
帝都製キャバリアの桜花壱式に搭乗。

▷ 旭陽と
クーデターによる大黒柱の戦死、他国軍の援護による鎮圧作戦…この戦、勝つだけでなく旭陽殿が大黒柱の後継たるを見せつけ軍を掌握出来ねば戦後に経済連合の介入を許す危険がある。
「閣下、背後側面は小官にお任せを」
ゆえに私は旭陽殿に率先して頭を垂れ、指揮を任せ直衛となり【オーラ防御】による【受け流し】で守りつつも【戦闘知識】から最適な【団体行動】作戦を【瞬間思考力】で練り上げ【戦術指揮】能力を駆使して『旭陽殿が戦果を上げられる』よう巧みに誘導しながら共に【スクワッド・パレエド】にて敵陣に突破口を開く。


荒谷・つかさ
ここで手間取る訳にはいかないわね。
出し惜しみは無しとしましょうか。

上月中将の指揮下に入り、スルトに合身して出撃
同時に【虹霓渡りし炎神の巨船】発動
95機の人型無人兵器「ムスペル」(見た目・性能は量産型スルト)を搭載した巨大空中戦艦ナグルファルを召喚
殲禍炎剣の影響を受けない程度の高度及び速度で最前線まで進軍し、艦砲による支援と同時に75機は私と共に一斉に敵の頭上へと降下、混戦に持ち込みつつ敵陣を食い破る
残り20機は付近で大破した味方機の撤退支援や撃墜された機体のパイロットの救助に当たらせ、可能な限り人的被害の低減に努める
また、状況に応じ司令部の命令を受けて臨機応変に動く


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

乗り掛かった船だ…手伝うよ…
少年皇帝に葵という女大将軍と…それに白塗りの男…
金髪の男はいけ好かないが…行こう…私は処刑人…!

[闘争心]を高めつつ生身で戦場に立ち
上月という将軍と共に正面から行こう

【地獄の百鬼隊】を召喚し
[足場習熟と悪路走破]で悪魔と共に雪原を突き進み[切り込もう]

鉄塊剣を振るい[怪力と鎧砕き]で敵機の手足を
[切断し部位破壊、体勢を崩して]ゆき
そして敵機の操縦席を鉄塊剣での
[鎧無視攻撃で串刺し傷口をえぐり]操縦者の息の根を止めよう

悪魔共には敵機に纏わり付かせたり
生き延びた敵操縦者を襲撃させて敵群を[蹂躙]してゆこう

地獄から生き延びる事は叶わぬぞ…
私は…処刑人だッ!!!


セレーネ・ジルコニウム
「私設軍事組織ガルヴォルン、傭兵として雇われたからには任務を全うしましょう」

それに、この戦乱にオブリビオンマシンが関わっているなら放置はできません。

機動戦艦ストライダーの艦長席で指揮をとりつつ、ジェンキンス氏と行動を共にします。
我々としてもアドバンスド・オーダー社とコネを作っておくのは有益ですからね。

さて、それではガルヴォルンの戦闘力をお見せしましょう。

「敵の陽動でしたら、我々のストライダーにお任せください。
ストライダー、ミサイル全弾発射です!」

戦艦を管理するAIミスランディアに命じ、全砲門を開き、敵部隊に向かって【機動戦艦全力攻撃】でミサイル攻撃です。

「やりましたかっ!?」(フラグ


ニィエン・バハムート
※X

初クロムキャバリア…って、皆さん既にお知り合いなんですの…?

気まずさを感じながら周りに合わせてキャバリアを借り【騎乗】

鋼鉄の騎士…!甘くはありませんわね…!
しかし拙い操縦なりにできることを…!

【情熱】だけを頼りに敵を散発的に【挑発】し【存在感】を発揮。敵を引きつけ戦力分散を狙う。

私は囮になりますの!支援は他の方たちのところへ!

しかし現実は甘くなく…
撃破されたらUC発動。※斬撃【属性攻撃】【範囲攻撃】

…誇りの在り処を間違えていましたわ…我が誇りは鉄騎にあらず!メガリスこそ我が血潮にして誇り!
ふ、ははははっ!鉄騎ども!欲望の海から財宝好きの竜王が、騎士の誇りを【略奪】しにやってきましたわよ!!


チトセ・シロガネ
もらった給料分のお仕事はしなくちゃネ!

この雪原の白さ(地形の利用)とキャバリアにしては小さい体を利用、白マントを着込んで背部から強襲をかけるヨ。
でも、ここの兵士たちは熱に浮かされてるだけ、なるべく駆動部を狙って機能停止に留めるネ。

相手にしてみればキャバリア反応があっても見えない敵ネ。アタシの勘(戦闘知識、第六感)だと背後を取られないよう密集体形になる。それが狙いって感じ。

だからUC【マルチウェイ・オービット】を発動。
早業でリフレクターを展開、駆動部を撃ち抜ける位置を取ってレーザー射撃を乱れ撃ちするネ。

無力化を確認後ジェンキンスに連絡。
どう? もっと色つけたらたくさんサービスするヨ。


アリシア・マクリントック
この状況で私にできることは……あら?この感じは……行けます!新たな扉よ開け!
マリアとシュンバーにも大型のアーマーが……それぞれ有名な動物の名前から取ってマリアの狼型アーマーはロボアーマー、シュンバーの馬型アーマーはシルバーアーマーと名付けましょう!
これならやることは一つ!突撃です!ティターニアアーマーでシルバーアーマーに騎乗して剣を手にアンフェタード・ショーグンの如く敵陣で暴れまわります!マリアも自由に暴れてください!でも離れ過ぎちゃダメですよ!
騎兵は歩兵にとって驚異となる……それはキャバリアであってもそう変わらないはず。
私達のこの力……まだまだ先がありそうな気がします!


トリテレイア・ゼロナイン
※UC装着ロシナンテⅣ搭乗
一点突破

葵様、いえ大将軍殿下とお呼びした方が宜しいでしょうか
皆様の往く道の露払いを務めさせて頂きます

盾と剣で砲火を防ぎ敵陣へ突撃中ミサイル全弾発射
爆風と煙幕弾頭の●目潰しでセンサー切り替えの隙突き接敵
機動力活かし斬撃や盾殴打で敵機●なぎ払い

●推力移動も併用し敵機●踏みつけ跳躍
センサー●情報収集●瞬間思考力で敵配置●見切り
空中から機体各部の格納銃器とサブアームライフルの●乱れ撃ちスナイパー射撃で●武器落とし
着地後、交戦意思持つ敵機破壊

※通信
(お父上の…酷な話ですが)
加藤大尉について
討ち取るも止む無しか、生かして捕らえよとの厳命か

今一度、私達にお聞かせ下さい

…承りました


才堂・紅葉
上月中将の隊に付きましょう
(この先もあるし、精鋭部隊の消耗は抑えないとね……)

「客分ながら、先陣仕ります」
【礼儀作法】で隊の皆さんに一礼し、相手の刀槍より長い三節棍での【先制攻撃】

(突かば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにも はずれざりけり……だっけか)

心得を思い出しながら、相手の攻撃に杖術の【早業】の変化で応じよう
自分で相手を倒さずとも、その【体勢を崩す】事で味方の優位を作りたい
また【戦闘知識】を活用し、相手の射撃を封じる位置取りにも留意だ

「それ油断って奴よ!」
ただの棒と侮って装甲で受けようとする相手は鴨だ
【貫通攻撃。気絶攻撃】で【衝撃波】を“徹し”て操縦者の意識を刈り取ります


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎・S・SPD

子供に不相応な階級か…だから嫌なんだ、戦争は
経済連合のコネは傭兵としても欲しいが、今回は将軍閣下が心配だね

■方針
自機に搭乗
移動中、旭陽機に近いて【鼓舞】
「緊張してるかい閣下? 以前の時は陛下に言ったんだがね…
 怖い時はね、笑っておきなよ。そっちの方が兵士も男もついて来る」
軽口ひとつ
緊張はあり過ぎても無さ過ぎてダメだからね

【戦闘知識】で敵陣の状況を確認
周囲にあわせ、ショットガンの【制圧射撃】【援護射撃】を使いつつ前進
敵陣ギリギリまで接敵

接敵後はUCを使い一気に突撃
敵陣深くまで食い破り、敵機はショットガンや体術で【部位破壊】
戦闘不能じゃなくとも後は後続が潰してくれるさ


槐・白羅
ついに決着か
どう転ぶにせよこの国にとって試練となりえるだろうなモルスよ

元よりそれなりに目立つ機体だ
旭陽の部隊の援護をするとしようか

UC発動

【空中戦】で飛び回りながら
敵陣を見据え

【属性攻撃・威嚇射撃】
さて…此奴を試すとしよう
プラズマライフルより超高熱熱線で援護射撃
炎属性を付与して更に威力を増強させるがコックピットへの直撃は避け無力化に務めよう

ふむ…モルスにとって不満の残る武器と思ったが相性が良いな

ふむ…此奴も死を司る武器と言う事か

【空中戦・受け流し】
飛び回りながらも必要時には味方部隊を庇い受け流し
死の運命で【重量攻撃・貫通攻撃】により切り裂き無力化

そのまま敵陣に飛び込み敵機の無力化に努める


ティー・アラベリア
皇軍相撃。誰が祖国を思わざることあらんや……と言ったところでしょうか
善性と蛮性、血と鉄量。その全てが渾融した美しい戦場ですね♪
さて、主攻は皇軍にお任せするとしてボクは陽動と攪乱に回ることにいたしましょう
ふふっ、沢山壊して、沢山目立てばよろしいのですよね☆

戦闘機動機構をフル稼働させ、戦場を縦横に駆けながら92式の範囲砲撃と95式の一斉発射によって派手に暴れまわります♪
派手な攻撃に紛れこませる形で同化妖精を展開し、撃破した敵機体に凝着させます
適度に敵意を引きつけられたタイミングで同化妖精を活性化させ、同士討ちを誘発させます♪
もちろん魔杖での攻撃の手は緩めませんよ?
さぁ、皆で闘争を愉しみましょう☆


四季乃・瑠璃
緋瑪「旭陽さん立派だねー」
瑠璃「お父さんの死が悲しくないわけじゃないだろうにね」
緋瑪「ああいうヒトは守ってあげたいね」
瑠璃「そうだね…敵はその為の敵は」
「「私/わたし達が駆逐する」」

UCで分身&換装

旭陽さんに挨拶やお父さんの事で少し話しした後、出撃
ジェミニオン二機を対軍殲滅仕様へ換装。
旭陽さんや中将、政府軍主力には自分達が重装甲と重火力を以て前に出るので、二機の一斉砲火に続き、敵の機先を制す様に一斉射撃での援護と纏わりつく敵の排除を依頼。
多数のマイクロミサイルの雨を降らせた後、ビームガトリング砲とビーム砲で広範囲をなぎ払い、なるべく主力部隊に近づけない様、火力による【弾幕】を張って殲滅するよ




「この間ぶりかな、旭陽さん」
「お義父さんのことは残念だったね」
 時は僅かに遡り、葦原臨時政府軍が陣地より前進を開始する直前のこと。
 将軍座乗機として上月中将の予備機を改装し誂えられた、紫紺のキャバリアの両脇に、瑠璃と緋瑪のジェミニオンがひょこりと現れた。
 先の帝都脱出作戦以上の重武装を身に纏った二機のキャバリアからの言葉に、若き女武者は目を伏せた。
「加藤大尉の声明では、父は帝都城の部隊を率い最後まで大将軍の職責を全うしたということでした。……で、あればその後継として先代に恥じぬよう精進あるのみです」
 されどその唇が紡ぐは、父親を喪った娘の言葉ではない。あくまで大将軍の地位を受け継いだ、皇洲武者百万騎の長としての言葉だ。
 今この場で彼女に弱音を吐くことは許されていない。反乱を鎮圧するまでその時はきっと訪れないだろう。
 だが、しかし。反乱を鎮圧し、その功を以て元帥府大将軍に相応しい武人であると諸国に知らしめればその時もまた、彼女には弱音の許されぬ大将軍としての日々が待つはずだ。
「そっか。旭陽さん立派だねぇ」
 彼女にはもう父を想い涙を流す自由すらない。それを察して、緋瑪は彼女を僅かに憐れんだ。憐れんだが、それも旭陽の選んだ道であればせめてこの戦いは彼女を支えよう。
 通信ウィンドウ越しに目配せをして頷きあった瑠璃と緋瑪。そこへ薄紅色のキャバリアが現れ、将軍機の前に膝を付き頭を垂れた。
 旭陽の視線がその機体に向いたと同時にジェミニオンの二機は先行する。四季乃の二人の戦場は、この若き将軍の前方にこそあるのだ。
 一方で薄紅色の機体――桜花壱式を駆る一朗は、頭を垂れたまま一軍の将となった旭陽に対して己の扱いを委ねようとしていた。
「将軍殿下、小官を殿下の直営に加えて下さい。背後側面の護り、ユーベルコヲドの扱いに長けた小官のような兵が在ればより万全であると愚行いたします」
 旭陽は直接見たわけではないが、経済連合軍の生き残りが持ち帰った追撃部隊隊長機、あの白銀のオブリビオンマシンの性能には凄まじい物があった。
 あれと同等の機体が敵にあると考えるならば、それは旭陽としても願ってもない申し出である。
「ですが少佐、私よりも少佐のほうが実戦経験豊富でありましょう。私の直属を一個小隊貸し与えます、その者を率いて……」
「はい、いいえ殿下。それではなりません」
 一朗は無礼を断り、旭陽の機体に触れ接触回線で言葉を伝える。此処からはあまり周囲に聞かせたくはない会話だ。特におそらく通信能力に特化しているのであろう、一本角のキャバリア――経済連合軍の指揮官機を駆るジェンキンスなる企業人には絶対に。
「クーデターによる国家の大黒柱たる先代大将軍殿下の戦死、これにより混乱状況にある皇洲の内情……必要な戦力とはいえ葦原の軍に頼り切り、その上他国軍の兵を鎮圧作戦に加えた以上、この戦は勝つだけでなく旭陽殿自身の力を示し軍部を掌握せねばなりません」
「それは……承知しています」
「はい。これで頼ったのが上月中将のみであれば民は自国軍を信頼し、葦原軍閥の発言力の増大は招きましょうが他の軍閥がこれを抑制しましょう。ですが傭兵――経済連合軍や我ら猟兵が必要以上の戦果を上げれば皇洲軍の求心力は下がり、戦後の経済連合介入の口実を作る可能性があります」
 最悪なのは他国に頼らねば反乱も鎮圧できぬ軟弱な将軍という評が独り歩きし、元帥府への信頼を失った諸大名が勝手を始めること。
 前回は大将軍がそれを統一まで持ち込んだだろうが、今度内乱となれば経済連合は喜々としてその鼻先を突っ込み皇洲から利権を掻っ攫っていくだろう。
 それは絶対に避けるべき事態である。故に一朗は先の戦場を共にした猟兵たちにもあくまで客将として振る舞うよう要請していた。猟兵とて広義の傭兵、傭兵がなければ成り立たぬ軍ならばと経済連合が傭兵派遣をゴリ押しする口実となる可能性もあるのだ。
 警戒してしすぎるということもなかろう。一朗は人好きのする朗らかな笑みを浮かべた金髪の男を思い出す。
「忠言、心しておきます。では貴殿には私の直衛を任じましょう」
「はっ、帝都軍人の誇りを以て殿下の御身をお護りいたします」


「貴公らの活躍は私も九重小路公や大将軍殿下より聞き及んでいる。猟兵の戦力まさに一騎当千、とな。逆賊加藤を討つにあたってその力を借りられると言うならば心強い」
 上月中将は藍色のキャバリアを巧みに駆り、殆ど推進器を噴かすことなく主脚走行で噴射推進ばりの速度を生み出しながら従軍する猟兵達を見遣った。
「此方こそ、貴方みたいな強者の戦いを間近で見られるなら役得だわ」
「全くです。東方鎮台司令、葦原将軍上月三部元芳中将……ちょっと聞いただけで兵の皆さん、貴方の武勇伝をこれでもかと聞かせてくれましたよ」
 平時ならばひとつ手合わせ願いたいくらい。つかさと紅葉はくすりと笑ってそれぞれの機体を走らせる。
「噂話には大きな尾ひれが付くものだ。鬼人の娘、それにそちらの武人の娘も私など相手にならぬほど"出来る"手合いであろう」
 くつくつと喉を鳴らす男の眼は鋭く、仮に敵対することが在れば噂通りの実力に狡猾な策謀で以てこちらの首を落としにかかるであろう事を二人に想像させた。
 油断ならぬ相手だ。が、今回は味方。たとえ彼が相手でも負けるつもりは毛頭ないが、敵に回らなかったことを素直に喜び二人は葦原軍の先鋒に付く。
「中将の隊は正面で敵部隊を拘束するのよね?」
「ああ。激戦区となろうな」
「ならば私達の戦場に相応しいと言うことです。あの少佐さんにはあまりやりすぎるなと釘を刺されましたが――」
 臨機応変に。激戦区ともなれば何が起こるかは分からない。戦後のことを考えすぎて戦争に負けるようでは笑い話にもなりはしないだろう。
「何よりこの会戦で終わりではなさそうですしね。最後まで油断せずに行きましょう」
 そうして二人が闘志を燃やすのをよそに、葦原軍の機体の背に腰掛け行軍を共にしているアンナは辺りを見渡す。
 見渡す限りのキャバリアの群れ。葦原軍の機体は規律正しく陣形を保って行進し、その外側を点々といくつかの部隊に分散した傭兵の機体が随伴している。
 ここまでの戦争になろうとは。だが、これも乗りかかった船。ふぅと息を吐いてアンナは参戦の意志を固めるのだ。あの少年皇帝や女将軍、それに白塗りの男もそれぞれに戦っているのだから。
 ――あの帝都脱出の戦いの中で、僅かに生き残った皇洲連邦政府要人たちにアンナは愛着のようなものを抱いていた。彼らを見捨てるのは忍びないと思うだけの情がある。
 傭兵たちを束ねるあの金髪の男はいけ好かないが、今回は味方だと言うなら互いに邪魔にならぬよう戦おう。
 となれば。生身の彼女に機動力はなく、旭陽とともに敵陣突破は難しかろう。かといってジェンキンスの傭兵部隊と肩を並べるのも腑に落ちぬ。残る戦場は――
「上月中将閣下と同じく、正面決戦でございますね」
 楽しげにキャバリアの肩で踊る少年。四肢の関節に見える継ぎ目は彼が人ならざるを如実に語る。
「皇軍相撃。誰が祖国を思わざることあらんや……と言ったところでしょうか」
 その手を血に汚し、オブリビオンの狂気を受け入れてまで起った決起軍。
 そしてその蜂起を認めず、昨日までの安寧を取り戻すべく戦う臨時政府軍。
 果たしてどちらの理念が皇洲に正しい明日を齎すのか。少年人形――ティーは楽しげに喉を鳴らして闘争の気配を楽しんでいる。
「ボクも此処で沢山壊して楽しみたいところでございますけれど、それは皆様にお任せいたしましょう」
 少年人形の戦いは即ち無慈悲な破壊の拡散だ。敵味方が入り乱れる戦場では、葦原軍の機体にまでその被害が及ぶやも知れぬ。
 それを自らの理性で把握しているティーは、アンナにひとつ微笑んで、スキップを刻んでキャバリアの上を跳び渡りながら経済連合軍の部隊へと向かってゆく。


「いやぁ、貴方達猟兵の噂はウチの会社でもええ、かねがね聞いてますよ!」
 臨時政府軍主力のやや後方を進軍する経済連合軍部隊の中で笑い声が上がる。
 ジェンキンスが並べ立てる猟兵たちの活躍譚。その痛快さたるや、傭兵たちが語り草にするのもさもありなん。
「ふふン、よく調べてるネ。アタシも当事者として鼻が高いヨ」
「あぁ、それじゃあもしかして貴女があの正体不明のジャイアントキャバリア――にしちゃ小さいですが、見た目は話に聞くとおりですね!」
 チトセの相槌にすぐさまその正体を推測してみせた男は、軽い語り口の割に頭の回転は速いらしい。
 その上、
 ――アタシがあの姿で動いたのって人民平等会議……経済連合の敵国領深くでショ。どっから情報仕入れたんだか、分かったもんじゃないネ。
 敵国内で、しかも秘されるような類の戦闘に関与した話も見てきたように語る傭兵隊長にチトセは内心で警戒度を上げた。ジェンキンスという男はどうにも人間離れした耳目を持つか、そうでなければ工作員の類を扱うような油断ならない相手のようである。
 尤もそんな油断ならない相手を上手い具合に引きつけてくれる猟兵もいる。
 セレーネである。
「こんなところでアドバンスド・オーダー社と仕事が出来るとは光栄ですね」
「いえいえ、我々もガルヴォルンの皆さんには大層お世話になりましたからね。貴女が今の指揮官、ですか。先代様は?」
「両親は……」
 セレーネが悲しげに言い淀めば、ジェンキンスは大げさなほど狼狽えた様子で言葉を繋ぐ。
「ああ、ああ。申し訳ない。こういう稼業ですからね、そういうこともあるというのは分かってはいるのですがどうにもそこへの配慮というか、そういう感性が薄れてしまうのが困りものです。セレーネ嬢、不躾な質問のお詫びというわけではありませんが何か困ったことが在れば私を頼っていただければ微力を尽くしましょう」
 嘘だ。チトセは直感的にそう思った。ジェンキンスはセレーネの両親の死を知っていてこの話の流れに持ち込んだように見える。疑いすぎかもしれないが、猟兵を取り込もうという魂胆かも――
「なんですの……皆さん既にお知り合いなんですの……?」
 もしかして私ぼっち……? と声を震わせるニィエン。
 葦原軍の機体は予備パイロットも含めて全力出撃した都合、経済連合軍のキャバリアを借りて出撃した竜人の少女は、まるで仲良し同士二人組みを作ったらあぶれてしまったような微妙な立ち位置でそこにいる。
 気まずい。旭陽将軍のところはそれこそ先の戦いとやらで死線を共にした者たちが固め、上月中将の周りは葦原の武者たちと如何にも武人といった風の猟兵が集まっている。
 あの完成したコミュニティの空気感に後入りは相当な度胸が必要だ、と同じ外様かつ気さくなジェンキンスの方へ寄ってきてみたら、そのジェンキンスも同業他社で既知の相手の娘とやらと談笑中。
「べ、別に私はオブリビオンを討ちに来たのであって交流に来たわけでは無いのですから? 寂しくなんてありませんわ? ええ、ホントですわよ?」
 強がりである。この大軍勢の中で一人ぼっちはめっちゃ寂しいが、そんなこと言えるほどニィエンは弱くはない。
 強い自分が心を傷つける――
「あー、ユーさ、もしよかったらアタシと一緒に戦わナイ? 敵を引きつけてくれるだけでだいぶ助かるンだよネ」
「お任せなさい! この私が見事な鉄騎捌きをご覧に入れますわ!!」
 元気が出た。


 最初に接敵したのは葦原軍の先鋒であった。
 両軍の砲撃が飛び交う中で猛進した中将直属の部隊は、練度において決起軍の前衛を圧倒し叩き割る。
 その激闘の中でやはり目立つのは複数の猟兵の姿だ。
「客分ながら、先陣仕ります」
 勇敢に斬り込む葦原武者たちに一礼、一足飛びで敵陣へ飛び込むなり長大な三節棍で敵の小隊長格の頭を突き砕くは紅葉の駆る迦楼羅王だ。
『敵機! 小隊長殿がやられた!』
『怯むなッ! 囲んで迅速に処理するぞ!』
 よほど訓練を積んでいるのか、あるいはオブリビオンマシンの影響で精神に異常を来しているのか、指揮官機を狙った強襲をもろに受けても思った以上に乱れぬ敵部隊。刀剣を構えて挑んでくるそれらを、紅葉は棍捌きで弾いて一機ずつ相手取る。
「――突かば槍」
 勢いよく繰り出された打突が敵機の頭を粉々にし、狙いを失った機体はフラフラと迦楼羅王をすり抜け後続の葦原軍機に討ち取られる。
「――払えば薙刀」
 続く敵機が振り下ろす刃を横合いから弾いた棍は、その横薙ぎの動きからくるりと旋回する迦楼羅王の手中で持ち手を滑らせ長さを変える。
「――持たば太刀」
 振り抜かれた棍が敵機の腕を弾けば、刃を取り落したキャバリアは後方へと噴射跳躍して態勢を整える。
「杖はかくにもはずれざりけり……だっけか」
 杖術の教えを思い返しながら敵の迎撃を捌き防衛線に穴を開けた紅葉は、己の役目を果たしたことを知覚した。そうして飛び込んだ結果自ら半包囲されたことで同士討ちのリスクを強い、敵機の銃火器を無力化したことで戦闘は紅葉得意の白兵戦に固定されている。突いて払って打って、変幻自在の攻防を展開する棍捌きは単騎ながらに敵部隊を攻めあぐねさせ、少なくない敵機を迦楼羅王に釘付けにさせた。
「剣でもなければ銃でもない。装甲の薄い頭狙いでもない。だったら装甲で受けられるって魂胆でしょうが――」
 敵機のうちで度胸のあるパイロットが打撃を受け止め一撃を届けるべく突撃を仕掛けてきたのを打突で迎え撃つ。
 なるほど確かに貫徹はせぬ。が、それは棍そのものの話。達人の手で捌かれるそれは胸部を叩いて背中まで衝撃を徹してパイロットの意識を刈り取った。
「さて――私一人に拘っている間に随分とお仲間がやられているようですね?」
 紅葉が告げ、敵兵が周囲に気を散らす。葦原軍主力と共に雪崩込んだ猟兵が既にあちこちで戦線を叩き割っていることを知覚すると同時、そのパイロットは強烈な衝撃に意識を手放すこととなる。

 炎を曳いて敵陣をかき乱す者がある一方で、戦線そのものを飲み込む者もある。
 葦原軍のキャバリアを飛び降りたアンナは、巨大な剣を前方へと突きつけその配下に命ず。
「出よ、地獄の兵士共! 武器を構え……進めッ!!」
 号令とともに突撃する彼女を追って、雪原の白を黒が埋め尽くした。それは地獄より現れし軍勢だ。乾いた血に黒ずんだ鎧兜の下で、黄色くくすんだ髑髏がカラカラと音を鳴らして刃こぼれした刀を、腐った弓を構えて突き進む。
 百鬼夜行の進撃を前に、決起軍は最後まで組織的抵抗を続けた。眼前に怪異が現出してもなお、彼らの憂国の志は折れなかったのだ。
 尤もそこで心を折られ逃げ出したほうがいくらか人間的な最期を迎えられたかもしれない。
『全機横隊を崩すな! 突撃銃掃射で敵の突破を阻止する!!』
 勇敢な指揮官のもと、横一列に並び銃撃で地獄の軍勢を薙ぎ払う決起軍機。いくら超常の軍勢といえどキャバリアからの銃撃を受ければひとたまりもなく砕けて消えゆくが、しかしあまりにも数が多い。その上にアンナ自身がその屍の上を駆けて猛然と接近してくるのである。
『動きの早いのが一匹いるぞ! 火線を奴に集中――』
 隊長機の的確な指示はそれが最後だった。巨大な刃が両足を斬り取り、ついで振り下ろされたそれがコックピットを串刺しにして決起軍指揮官の一人の首級を挙げる。
「此処は地獄……地獄から生き延びることは叶わぬぞ……」
 隊長機が討たれたことで生じた僅かな混乱を悪魔の軍勢が飲み込んだ。キャバリアをよじ登り、その装甲の隙間に錆びた刃を突き立て、センサーを拳で叩き割り、数の暴力でじわりじわりと鋼鉄の巨人を嬲り倒す。
 そうしてついにコックピットハッチをこじ開ければ、彼らは喜色を浮かべて怯える決起軍兵士の肉に得物を突き立てた。
「私は……処刑人だッ!!!!」
 その先頭を駆け、単身で決起軍機を狩り続ける黒衣の処刑人とともに、白雪の戦場を黒が塗りつぶしてゆく。

 各戦線で猟兵が優位に戦端を開いたとはいえ、葦原軍全軍の進撃を決起軍はよく押し留めていた。それも帝都秋津が誇る重厚な護りが故。帝都と各都市を繋ぐ高速道はそのまま防衛側の砲兵陣地として機能し、加えてそれに沿うように展開されたバリケードが防衛線として臨時政府側の攻勢を押し留めたのである。
 地上からの攻略は困難。なれど葦原軍に空軍輸送艦隊のような航空戦力はなし。
 キャバリアの跳躍で高架に取り付こうにも、飛び上がった瞬間高架上の対空機関砲を構えた敵キャバリアによって撃ち落とされ被害が増えるばかり。
 つかさは此処こそが己の使いどころであると見出し、上月中将へとその旨を上申する。
「中将、あの厄介な防御陣地さえ崩せば防衛線を突破できるかしら?」
「あれ自体も多少の犠牲を許容すれば突破は可能であると考えるが……貴公らに任せたほうが被害が少なく済むのであろうな。出来るか?」
 勿論。つかさは至極あっさりと肯定し、スルトとともに単騎防衛陣地に挑みかかる。
 対して陣地を守る決起軍側も決して敵を単騎と侮らず、可能な限り最大の火力をスルトに向けた――それこそが彼らの致命的な失敗であった。
「天を割き、虹を超え、神々の黄昏を齎す巨人の船よ。今、ここに顕現せよ――!」
 それは詠唱。それは召喚。然るに現れしは空中戦艦だ。
 殲禍炎剣の攻撃を受けぬ低空、低速での侵入。対空機関砲の餌食になるだけの存在かと思われたそれは、つかさが単身敵の火力を引きつけたことで最大限の奇襲効果を発揮して敵を圧倒する。
 艦砲が火を吹き、高架下のバリケードを周囲のキャバリアごと木っ端微塵に吹き飛ばした。
 次いで降下を開始した量産型スルト、ムスペルの群れが高架上に展開する敵部隊に対して強襲白兵戦を開始。遠距離からの射撃戦に特化した敵部隊は突発した白兵戦に対応できず、瞬く間に壊走するかどうにか持ちこたえた部隊も眼下を悠々進撃する葦原軍を阻止するだけの余力を残せない。
 それでも、ムスペルの群れに背を向ける愚を承知で葦原軍機に銃口を向けようと高架から身を乗り出した機は見た。たった一足で跳躍したスルトが、その拳で以て自機を粉砕する光景を。
「これで陣地の制圧は完了ね。前進の指揮は中将に任せて、私達は負傷者の救護に回るわよ!」
 この防衛陣地を突破するべく挑み撃破された機体の中にはまだ生存者も多くある。彼らを生きて帰すために、つかさとその眷属たちは敵を打つ拳を味方を助く掌へと解いて戦場に散らばってゆく。


「私設軍事組織ガルヴォルン、傭兵として雇われたからには任務を全うしましょう。そして皇洲連邦に私達の戦闘力をご覧いただくいい機会です」
 葦原軍主力が中央をじわじわと食い破る中、側面から機動防御――迂回し、後方を断って包囲殲滅を試みる――を狙う別働隊を阻止することとなったアドバンスド・オーダー社を中核とする傭兵部隊。
 上月中将が狙ったか、上手く主戦場から切り離され――さりとて此処もまた決戦を勝利に傾けるには捨てられぬ戦場。その一翼を支えるはセレーネが指揮する機動戦艦ストライダーであった。
 一斉射されたミサイルが敵のキャバリア隊を追い回し、少なくない数を撃ち落とす。
「やりましたかっ!?」
「ええ、お見事お見事。当代のガルヴォルンも優秀な指揮官を戴いているようで我々もうかうかしていられませんね」
 殆どが撃墜されたが、敵もエース級部隊である。見事な機動と迎撃でそれを切り抜けた機体がストライダーに肉薄するが、艦上に展開するアドバンスド・オーダー社の機体からの狙撃で仕留められる。
 そんなことをおくびにも出さずにセレーネを称賛するジェンキンスは、機体の額から伸びるセンサーマストが拾う戦場のあらゆる情報を密かに味方機に分散記録させながらセレーネのアシストに徹していた。
 圧倒的火力を惜しみなく投射することで交戦をすら許さぬ制圧前進。それはステルスと複数機による長距離同時狙撃を組み合わせ、一方的な制圧を実現した経済連合軍の戦術ともまた異なるが此方の損害をゼロに、敵に損害を強いて目的を達成する傭兵の戦術の完成形の一つであった。
「ミスランディア、続けて全砲門を開放。敵第二波を迎撃します!」
 艦の制御AIに命じて決起軍の後続を迎え撃つ彼女を、ジェンキンスは冷静に評価する。
 ――先代に比べれば未だに未熟。だがこの若さで此処まで出来るのであれば、よいビジネスの為に使える相手である、と。

「拙い操縦なりに出来ることを為す。竜王たるもの如何なる戦場であろうと
君臨してみせますわ!!」
 継戦能力など完全に無視したド派手なブーストダッシュ。積もった雪を白煙のように撒き散らして戦場を縦横無尽に駆け巡るニィエンは、見事陽動という意味ではその役割を果たしていた。
 主力を側面から打撃しようと伏せていた決起軍の別働隊を発見したニィエンらの隊は、そのまま敵の伏兵と偶発的遭遇戦に突入。
 同じく伏兵となるべく狙撃戦装備で出撃していた経済連合軍の部隊は突如発生した至近距離での戦闘に対応しきれず、やむなく中距離射撃戦装備の機体を借り受けたニィエンが殿軍となって敵を引きつけ、その隙に離脱を試みたのである。
 果たしてニィエンの激しい機動とそれによって巻き上げられた天然の煙幕はステルス性に長けた経済連合軍部隊を敵の目から逃れさせたが、代わりにニィエン自身は単身で敵中に取り残されることとなる。
 救援の目は、ある。あるが――それはニィエン自身にすらいつどのように訪れるか解らぬもの。ならばそんな物は無いと考えるべきだろう。
 下手に縋れば足元を掬われるし、そうでなくとも敵にそれを気取られれば奇襲が奇襲として成立せぬこともある。
「最悪、私がここで囮になりますわ。支援は他の方たちのところへ回してくださいまし」
 彼女がそれを聞いているかは分からない。が、もしこの声が届くならば。
 それきり味方への通信回線を閉じ、ニィエンは牽制の末に残弾僅かとなったバトルライフルを投棄して折りたたみ式のナイフをマニピュレーターに握らせる。
「竜王の戦いをその目に焼き付けてご覧にいれましてよ!!」
 疾駆。身軽となった新鋭機は瞬く間に彼我の距離を詰め、決起軍機に襲いかかり――
 三機掛かりの迎撃で胸と首、そして片足を刀に貫かれてニィエン機は突撃を阻止された。
「現実は英雄譚のようには参りませんわね……」
 アラート鳴り響くコックピットで俯き、機体に食い込んだ刃が己の身に届くのを座して待つ少女は呟いて、そしてその腕に嵌る、操縦桿を握りしめる両の義手に視線が至る。
 そうだ。己は無力な魚にあらず。竜王たるもの、鉄人形の繰り方で負けた程度で敗れたなどと。
「……誇りの在り処を間違えていましたわね」
 この機体はかつてその身にあったヒレと同じだ。
 ならば、これも竜王には不要。竜王たるに必要なのはこの四肢のみ!
「ふ、はははははっ! 決起軍の鉄騎ども! 欲望の海から財宝好きの竜王が、騎士の誇りを略奪しにやってきましたわよ!!」
 瞬間、ニィエンのキャバリアが崩壊した。内側からの斬撃が機体を膾切りに解体し、止まらぬ刃は機体に刀を突き立てた機体をも巻き込みこれを切り刻む。
「メガリスこそが我が誇り! さあ、この竜王を恐れぬならば掛かってくるとよいですわ!」
「ヒューッ、助けは要らなかったネ」
 白い布を羽織って雪原に身を潜め、救援に向かうタイミングを伺っていたチトセはその光景を見て小さく口笛を吹いた。
 助けが居るかと思ったが、彼女は一人でも切り抜けるだろう。ならばチトセは最初の予定通り、姿なき襲撃者として敵陣を乱すのみ。
「それニ、あの子が派手にやったおかげでこの辺の伏兵はみーんナこっちに来てるみたいだシ」
 気配を殺していようとも、始めからステルス戦に特化して設計された経済連合軍機に比べれば決起軍の――皇洲連邦軍のキャバリアは分かりやすい。
 静かに響く駆動音に注意を払いつつ、チトセはニィエンを取り囲む敵部隊の背後から襲いかかった。
「この兵士たちは熱に浮かされてるダケ。だったら好き好んで殺すコトないよネ」
 飛び出したチトセの刃が敵機を斬りつけ、脚部駆動部を破壊して擱座させた。
 キャバリア級の攻撃力を有する敵が潜んでいる。初撃でそれを察知した敵は、ニィエンを抑え込む隊と敵を探し出し討ち取る隊に分散して双方に対処するが、キャバリア級を探して見つかるチトセではない。
 確かに彼女の義体はキャバリアに準ずるが、しかしてその身は人間大。キャバリア用の索敵センサで捉えられるものではなく、雪原に溶け込む白マントと銀髪はその姿を視覚からも掻き消している。
 敵が見つからぬ以上、次の攻撃に備えて決起軍は背中合わせの密集防御を展開するが――それもチトセの狙い通りであった。
「アタシの勘は我ながらよく当たるネ」
 密集した敵小隊を取り囲むように飛ばしたリフレクタービットを目掛け、レーザーを一射。
 それは複雑な軌道を描いて屈折し、同時に小隊全機の駆動系を焼き切った。
 同時に崩れ落ちる小隊。その機体が倒れ込んだ向こうでは、ニィエンがその爪で敵部隊を切り刻み制圧している。
 不測の事態に陥った経済連合軍の撤退支援は完了。加えて敵の伏兵を殲滅した戦果はかなり大きいものとなるだろう。
「ハロー、ミスタージェンキンス。アタシだヨ。こっちはきれいに始末し終えた所。どう? 臨時政府よりもっと報酬に色付けてくれたら沢山サービスするヨ」
「――ミスシロガネは商売上手ですねぇ。それじゃあその調子でウチがやる予定だった側面奇襲、引き継いでもらえます?」
 マントを脱ぎニィエンに手を振りながら報酬を交渉し、星光と竜王はさらに戦線の奥深くへと足跡を刻んでゆく。

「さてさて……善性と蛮性、血と鉄量。その全てが渾融した美しい戦場ですね♪」
 空中から戦場を俯瞰するティーは、その戦いを美しいと評した。
 スマートではない。が、野蛮でもない。
 一方で犠牲を少なくすべく技術の全てを尽くして不殺に徹する者がいれば、もう一方では早期鎮圧こそ最も出血少なく事態解決に至る術だとその殺傷を厭わず効率的な制圧を最善とする者もいる。
 近代戦のようでいて、中近世じみた泥臭さもある戦場のなんと美しいことか。
「この戦場の主役は皇軍でしょうから、ボクは沢山目立って陽動と攪乱に回ることにいたしましょう☆」
 明るい声音でくすりと笑って、少年人形はまずチトセとニィエンを追撃する決起軍の別働隊に狙いをつける。
「うん、手始めにあの部隊から狙ってみましょうか」
 彼に追随して飛翔するいくつかの杖のうち、92式と銘打たれたそれを掴んで敵部隊の進行方向に向ける。
 放たれた魔力撃が、移動する猟兵の後方、敵の前面に着弾して雪を巻き上げ、その視界をホワイトアウトさせれば――
「えいっ☆」
 続けて持ち替えた95式魔杖から連続発射された魔法弾が雪煙の中で進路を見失った決起軍機を穿つ。そこへ送り込まれた浸食同化妖精が、攻撃を受け損傷した箇所から機体に潜り込めば、ティーによる舞台の仕込みはこれにて完了。
「これより始まりますは無情悲惨の傀儡劇。武士たちの活躍に祝福あれ」
 支配人の如く。支配者は笑う。
 妖精の同化によって制御を奪われた機体は、猟兵の追跡を中断して決起軍主力のほうへと進路を切り替えた。
 その向かう先で戦っている決起軍部隊に頭上から魔力弾による爆撃を浴びせかければ、混乱の中で陣形を突き崩された敵部隊に浸食された機体がするりと紛れ込む。
 かくて惨劇が始まった。ティーの攻撃に対処するべくして意識を頭上に向けたところを、紛れ込んでいた他部隊の機体から奇襲され撃破されてゆく決起軍機。
 はじめは同士討ちを諌める通信が飛び交っていたが、応答がないと知れるや素早く判断を切り替え武力制圧を試みる。
 だが半数がティーの攻撃で阻止され諸共に吹き飛び、もう半数は浸食機体の抵抗でその試みは失敗に終わる。
 リスクを犯して確保するのは困難。いくらかの犠牲を払ってそう判断した決起軍は、操られた機体をパイロット諸共討ち取ることで対処し始める。
 ああ、これが最初の数機のみであればそれも有効であったろう。だが同士討ちで傷ついた機体にも浸食同化妖精は取り憑いていく。倒せど倒せど発狂したように味方に襲いかかる機体の数は減らず、決起軍内部に疑心暗鬼が広がってゆく。
「フフフ、さぁ皆で闘争を愉しみましょう☆」
 その惨状の中心で、不釣り合いなほど見目麗しき少年人形だけが笑っていた。


「お父さんの死が悲しくないわけないだろうにね」
 ぽつりとこぼした瑠璃の言葉に、緋瑪は頷き同意する。
「だからああいうヒトは守ってあげたいね」
 悲しみを耐え、己の為すべきことを為す人物は好ましいから。そんな彼女がせめて少しでも心穏やかに在れるよう、二人の殺人姫はその力を振るうことを決意する。
「だからそのために敵は」
「私たちが」「わたし達が」
「駆逐する」
 葦原軍が押し上げた戦線。帝都秋津の入り口まであと僅かというところで敵の抵抗はこれまで以上の激しさを見せ、いよいよ大将軍葵旭陽率いる精鋭部隊の出番が訪れようとする中、二機のジェミニオンが彼女らの道を拓くべく前進する。
「私達が一斉射撃で敵の防衛線を崩すから」
「援護と接近してきた敵の排除はよろしくね!」
 その言葉に精鋭武者と随行する猟兵たちが頷き、葦原軍と入れ替わりに最前面に展開した精鋭部隊がついに接敵した。
「できるだけ多く、一気に殲滅するよ、緋瑪」
「OK瑠璃、エクスターミネート・オーバードライブ!!」
 ジェミニオンの全身に増設されたミサイルポッドが同時に、一斉にそのハッチを開放して無数のミサイルを撒き散らす。
 爆発の嵐が敵部隊の機先を制し、続けて放たれたビームガトリングによる高熱の渦と高出力のビームキャノンによる薙ぎ払いが敵を分断した。
 連携を断たれ、小規模部隊に切り分けられた守備隊は二機のジェミニオンによる各個撃破の餌食となる。が、それとて全てを討つには手が足りぬ。
 ならば。
「モルスよ、お前の出番が来たようだな」
 白羅とモルスがジェミニオンによって分断された敵部隊に襲いかかる。
 超低空を飛翔する機体は、その外観からもただならぬ殺気からも目を惹く存在だ。それが滞空して銃を構えれば、放たれたプラズマの熱線がキャバリアの装甲を容易く融解させ手足をもぎ取った。
「ふむ……直接手応えを感じない分モルスには不満が残る武器と思ったが……」
 予想以上に機体との相性がよい。白兵戦機と思っていたが、その司る権能が死である以上は銃火器すら支配しうるということなのだろうか。
 思案しつつ上空からの火力投射を繰り返し、モルスはジェミニオンとともに道を切り開く。眼下では三機の手で拓かれた突破口を、精鋭部隊が一気呵成に攻め抜け突き進んでゆく。
「支援はこの辺りが潮時か。俺たちも行くぞ、モルス」
 銃を納め、剣を抜き放って急降下。戦列に加わり破壊を撒き散らす死の化身は、有象無象の敵をたちまちのうちに追い散らす。
「だがやはりお前には剣が一番相応しいように思う。さて――どう転ぶにせよこの戦いは皇洲にとっての試練となるだろうな」
 先行する旭陽の隊が第一次防衛線を突き破る。その後方で突破された防衛線の所属機が追撃を掛けようとするのをジェミニオンとともに殿軍で受け止めながら、白羅は戦いの趨勢に想いを馳せるのだった。

「足を止めるな、我に続けッ!!」
 旭陽の声を受けながら、防衛線を構築する決起軍の抵抗を踏み潰し強引に帝都入城を試みる精鋭部隊のキャバリア達。
 しかし決起の成否が決まる戦いとあらば、敵の抵抗も尋常ではない。あらゆる火器兵装を用い、およそ考えつく全ての技量を尽くしてそれを阻止せんとする決起軍部隊によって、精鋭部隊の進撃速度は想定の七割程度まで削ぎ落とされつつあった。
 前に進めているだけまだよいが、作戦の遅れは即ち葦原軍への負荷の増大にも繋がる。ここで一歩足踏みするだけで葦原将兵の命が一つ失われるに等しかろう。
「葵様。いいえ、大将軍殿下とお呼びしたほうが宜しいでしょうか」
 故にトリテレイアは今こそ己の出番であると考える。多くの命を守る戦い、騎士機の戦場としてこれ以上の誉れなし。
「此処は私が皆様の征く道の露払いを務めさせていただきます」
「トリテレイア卿……頼みます」
 その意志を汲んで旭陽はトリテレイアに先陣を託す。先の脱出行でも皇帝を乗せた旭陽の機体を最も近くで守り抜いた彼だ。部隊の血路を委ねられるに足る信頼関係は既にそこにある。が、信頼しているからと一人で送り出すのは愚かである。
「マクリントック卿、彼の援護を。貴女の機体ならばいざとなれば後方を守る四季乃殿と槐殿を連れて離脱することも出来るでしょう」
「わかりました。新たな扉を開いた私達が、殿下の頼みを遂げてみせます!」
 トリテレイアの駆るロシナンテⅣと並ぶはアリシアのティターニアアーマー。だが、ティターニアの側に付き従う機械の巨狼は、そして彼女の機体が騎乗する鋼鉄の軍馬は決起軍も初めて目にするものだ。
「マクリントック様、その機体は……」
 盾を構え敵防衛線に肉薄を挑む最中、トリテレイアが問う。
「マリアとシュンバーの新しい力です。名付けるなら……そう、ロボアーマーとシルバーアーマー、でしょうか」
 狼王と名馬の名を冠した鎧を纏ったアリシアの友たちは、人ならざる身ならではの能力を遺憾なく発揮した。
 通常のキャバリアより体高低く、俊敏なロボアーマーは決起軍機の迎撃をすり抜け容易く敵機を押さえつけ、シルバーアーマーに騎乗したティターニアの突撃は歩兵を騎兵が蹴散らすように敵陣を抉じ開ける。
「やはりキャバリアであっても騎兵突撃は脅威たりえるようですね。このままアンフェタード・ショーグンの如く暴れまわりましょう!」
「――お見事です、マクリントック様!」
 アリシアたちが開いた穴へとトリテレイアが飛び込んでいく。
 牽制用のミサイルを一斉射、煙幕と爆炎で敵のセンサーを封じて敵陣深くに飛び込んだトリテレイアは、突進の勢いのまま盾で眼前の敵機を殴りつけた。
 キャバリアが宙を舞うほどの激突。吹き飛んだ機体は四肢を散らして墜落し、煙幕の中で態勢を整えようと試みる敵機は先んじてその状況に適したセンサーを立ち上げていたトリテレイアの手で正確に武器を破壊されていく。
 武器を失ってなお戦意を失わぬ敵機はアリシアたちが取り押さえ、二人はまたたく間に第一次防衛線を突き崩したのである。
 そうして確保された突入ルートを駆けてゆく将軍機に、トリテレイアは問う。
「加藤大尉について……今一度私達にお聞かせ下さい」
 彼が父親の仇であるという旭陽に問うのは酷なことだが、必要なことでも在る。
「彼は討ち取るも已む無しか、あるいは生かして捕らえよと厳命なさるか」
「皇帝陛下が加藤大尉の真意を問うと仰っている以上、私はそのご意向に沿うのが使命であると考えます。元帥府大将軍の位を賜った以上、私情を挟む余地はありません」
「……承りました」
 突入路を維持しながらトリテレイアは考える。私情を挟む余地はなく、それ故生け捕りを徹底せよ。その言い回しは、やはり旭陽自身が加藤大尉に思う所在ることを物語っていた。
「…………これが、こんなものが憂国の意志が齎したものだと言うのですか」

「おいおい、可愛い顔が強張ってるぜ。緊張してるのかい殿下」
 第二次防衛線に近づく精鋭部隊。その先陣を切る旭陽の将軍機に並走する黒い機体は、ヴィクターが操る重突撃キャバリア、プレケスだ。
 彼の軽薄な言葉に旭陽は僅かに眉を動かすが、表情の強張りはほぐれない。
 大将軍位のプレッシャー。優秀だった父の後継としての重圧。就任と同時の大規模軍事行動の指揮。そして父の仇との対面。
 どれをとっても年頃の娘には重すぎる。ヴィクターは故に彼女を憐れみ、しかし軽率な憐憫が彼女を傷つけ貶めることを分かっているからこそ軽口で茶化すのだ。
「前に陛下にも言ったんだがね。怖いときこそ笑っておきなよ。そっちの方が兵士は安心して付いてくる。それに男も笑顔の美人の方が追いかけたくなるもんさ」
 彼女が助言どおりに笑わなくても良い。彼女の重荷から少しでも意識が逸れれば、それでいい。
 だから返事を聞かず、旭陽の表情を見ることもせず、通信を切ってヴィクターは旭陽に背を見せ先行する。
 地表を滑るように滑走するプレケスが散弾銃を放てば、遠すぎる彼我の距離で拡散した弾丸は敵機の装甲を軽く叩いた。
「これでこっちが近づかなきゃ手も足も出ないアピールは出来たかね」
 主兵装が近距離戦仕様であるという印象づけは、敵機を中距離射撃戦での決着へと誘導する。
 敵がライフルを捨て剣を握るのがヴィクターには何より恐ろしかったが、その選択肢を短時間とはいえ敵は自ら封じたのだ。
 ライフルによる銃撃をするりするりと躱して、ヴィクターは間合いを見極める。プレケスの速度は十分に速いが、まだ巡航速度に毛が生えた程度。リミッターを外したこの機体はこんなものではない。それを見せつける、切り札を切るタイミングを見誤ってはならない。
「もっと近づけ、もっと、もっとだ…………さぁてヘンリー、そろそろリミッター解除だ。命の使い時だぞ」
 瞬間、プレケスは人外の推力に押し出されるように彼我の距離をゼロとした。
 突如消失し目の前に現れた敵機に、決起軍機は対応できぬ。ライフルの銃口を僅かに彷徨わせただけで、ショットガンの接射を受けて四肢のいずれかを食いちぎられ戦闘力を削られてゆく。
「一機一発までだ。仕留めきれなくたっていい。あとは――」
 回避ついでにくるりと旋回すれば、精鋭を率い薄紅色のキャバリアが突撃を掛けるのが見えた。
「後続が潰してくれるさ。少佐殿ならそう動いてくれると思ってたぜ」

「殿下、ご命令を」
 一朗の声を受けて、旭陽は精鋭部隊に突撃命令を下す。
 後方は四季乃の二人と槐が、側面をトリテレイアとアリシアがそれぞれ抑え、前方をヴィクターが貫いた。この好機を逃してはならぬ。
「全隊最大戦速にて突撃! 帝都秋津に突入せよ!!」
 号令の下でキャバリア隊が加速する。ヴィクターによって損傷させられた敵機を、旭陽の指揮下部隊が的確に討ち取り、されども足を止めること無く駆け抜ける。
「見事でありますな」
 一朗の称賛は意外なものを見たような驚きを僅かに含んでいた。
 確かにそうなるよう仕向けたところはある。猟兵たちに経済連合軍本格介入の危険を伝え、戦後の国内安定のために元帥府大将軍の権威付けが必要になると。そのために旭陽には戦果を挙げて貰う必要があるとして、そのための舞台を整えいざとなれば直接的に進言してでも旭陽に結果を出してもらうつもりだった。
 が、いざその時が来てみれば旭陽は見事に精鋭部隊を掌握し、自ら先頭に立って決起軍の手練れを相手取り立ち回っている。
「誘導は無用、か。どうやら私自身が将軍殿下を侮っていたのかもしれんな」
 だが、認識は改めた。武将として葵旭陽は一角の人物である。
 ならば。
「帝都軍少佐、東雲一朗。いざ、一軍人として帝都奪還の先槍となろう!」
 刀を振るって敵を討ち、桜花一式が駆け抜ける。
 葦原臨時政府軍が帝都秋津内に橋頭堡を築いたのは、それからすぐのことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『MCK04N-パラティヌス』

POW   :    RXキャバリアソード/EPキャバリアシールド
自身の【補助CPUを停止、搭乗者への制御負担】を代償に、【力量に応じ近接戦闘力を向上した状態の機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【砲火を潜り抜ける運動性と近接武装】で戦う。
SPD   :    RBXSランスライフル
レベル分の1秒で【近接突撃/射撃モードに切り替え】【ビーム】を発射できる。
WIZ   :    EPオプションバックユニットスラスター
【作戦に応じた追加兵装(通常はミサイル)】を向けた対象に、【射撃攻撃を行った後、追撃の突撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「全隊停止! 我らは橋頭堡を死守し突入部隊の背後を守るのだ!」
 上月中将に従い、葦原臨時政府軍のキャバリア隊が守備隊形を組み決起軍の前に立ち塞がる。
 帝都より出撃した決起軍の殆どは臨時政府軍による突破の中で撃破されたが、それでも少なくはない数が帝都外に取り残される形で展開している。彼らの帝都再突入を阻止し、加藤の捕縛を狙う旭陽と猟兵からなる最精鋭部隊の後背を脅かす敵勢力を足止めするのだ。
「我らは此処までであります、大将軍殿下。此処で我々が功を挙げすぎれば白河と下ノ瀬に要らぬ禍根を残します故」
 皇洲の三つの鎮台は元帥府直轄である。が、その長である先代大将軍が戦死し、状況が状況といえど葦原のみが次代将軍の下に馳せ参じた。
 元帥府の影響力の低下と、三鎮台を治める名家の発言力均衡の崩壊。
 決起軍を鎮圧できても葦原の一人勝ちと"思われてしまえば"そこからは三つの鎮台が国を割り暗闘する時代が訪れてしまうかもしれない。
 故に葦原軍はここまでだ。若き大将軍には酷であるが、此処より先の決起軍最精鋭、帝都警衛師団との戦いは彼女と猟兵のみで当たらねばならぬ。
「承知しました。上月中将、貴殿に私の直率部隊を預ける。猟兵は私の下へ。部隊再編後帝都城へ突撃を掛けます!」
 帝都脱出を果たした精鋭を中核に葦原軍の腕利きで編成された大将軍護衛部隊が上月中将の指揮下に入る代わりに猟兵たちが彼女の紫紺のキャバリアを取り囲み陣を組む。
「葦原全軍及び経済連合傭兵部隊に達す。此処より先は大将軍殿下の戦を見届け邪魔立てをさせぬが我らが使命。然らば此処は一兵たりとも通さぬと心得よ!」
「承知!!」
 決起の志の下将軍を再び討たんとする者、皇洲の安寧のため将軍を守り抜こうとするもの、両軍の武者たちが背後で戦闘を開始する。
 彼らの奮戦に支えられ、猟兵達と旭陽は不気味に沈黙する帝都城へと突撃する。

『――敵影多数。紫紺のキャバリアを視認しました』
『新たな将軍殿下か。旭陽様がお継ぎになったのだな』
 城門前に整列する銀の武者たちが刀を抜いて立ち塞がった。鎧武者のような増加装甲を纏った機影は、騎士のようにも見える。
 帝都警衛師団の専用機、パラティヌス級改"刃騎"である。最精鋭にのみ配備された高級量産機は、その外観からも騎乗者の練度を伺い知れる。
 物資補給に乏しい中で帝都城を陥落せしめ、帝都を制圧した決起軍。その戦いは苛烈であったろう。臨時政府軍が帝都入城した今日までに帝都に駐留していた藩軍の駐屯部隊との小競り合いも在ったであろうに、それらを経験した彼らの機体は艷やかに陽光を浴び眩く輝いている。
 並の武者では傷一つ与えられず斃れたのであろう。それが、旭陽を加えた猟兵部隊と同数で対峙する。
「私は元帥府大将軍葵旭陽である! 皇洲と皇帝陛下に忠を誓った武者であるならば剣を収め道を開けよ!」
『お断りさせていただきます、大将軍殿下。我らは国を憂えたからこそ起ったのです。加藤大尉の志が果たされるその瞬間まで、たとえ殿下であろうと此処をお通しするわけには参りませぬ』
 ならば――双方の回答は一致した。同時に武器を構え、踏み込む。
 眼前の相手を斬り捨て押し通る。こと此処に至ってはもはや他に手段なし。
『逆賊の誹りは元より覚悟! 踏み出したからには外道を走り抜けるのみ!!』
東雲・一朗
▷アドリブ歓迎

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
帝都製キャバリアの桜花壱式に搭乗。

▷ 旭陽と
なるほど、中将殿も将軍閣下も既にこの戦後を見据えていたか。
しかも閣下の指揮、個人戦闘力は申し分ない…ならば私は引き続き閣下の側でその指揮と奮戦を支えるとしよう。
「閣下、補佐はお任せください」
不言実行の指揮連携、閣下の能力と私の『集団戦術』『戦闘知識』に『団体行動』指揮を組み合わせれば互いに言葉を交わさずとも私が敵の動きを『瞬間思考力』で『見切り』適切な立ち回りで『遊撃』する事で完璧な連携戦闘が可能だ。
私も閣下がいれば【剣刃一閃】で心置きなく『切り込み』敵を『切断』して回れるというもの。




 帝都城を守る精鋭十余名が駆る白銀の甲冑具足は、各々に猟兵たちの前に立ちはだかり一騎打ちへと持ち込む心づもりであるようだった。
 一朗の眼前にも一機、帝都軍精兵たる老練の士官から見ても手練れとわかる構えで剣を向けるは帝都警衛師団の青年将校が駆る刃騎。
『相当の遣い手であるとお見受けする。貴殿のお相手は自分が』
「折角の申し出だが、私は侍ではなく軍人だ。一騎打ちに応じる必要性を感じないが」
 近代軍の戦闘とは即ち多対多のそれである。前時代的な一騎打ちに応じてわざわざ相手のペースに乗ることはない。
 旭陽の機体と歩調を合わせ、彼女を庇うように機体を操る一朗に対して、青年将校はこくりと頷きならばと気心の知れた友を招く。
『数の上で同数、遊兵を許さば城門守護もなりますまい。二対ニ、将軍殿下と貴殿を我ら二人で相手取る!』
 敵の目的が此方の突破阻止にあるならば、戦力が同数である以上はどうあれ一人一機の相手を強いられるだろう。
「よかろう、殿下、補佐はお任せ下さい」
「頼みます。外道に墜ちたると云うならば、私自ら介錯する!」
 斯くて薄紅と紫紺、白銀二つ、合わせて四つの機影が交錯する。
 旭陽と一朗の間に言葉はない。旭陽の立ち回りを的確に捉え、一朗はその見事な機体捌きに追従するように連撃を放ちあるいは旭陽の背を守る。一朗の積み重ねた戦場経験と知識が年若い大将軍の未熟を補い、二人の戦いは旭陽を主役としつつもその実一朗が膳立て導くようなもの。
 対する青年将校らも無言。此方は両者、仕官してこれまでの長い付き合い、国家に逆らう決起にまで二人身を投じるほどの強い連帯が生み出す見事な連携。
 剣閃が幾度も交わり、火花が散っては機体を舐める。
 互いに決定的な一撃を加えられず膠着するかに思われたその時、旭陽が二機へと斬り込んだ。
 それまでの慎重かつ堅実な攻め手が一転して急くような強攻に、二機の決起軍機はこれ幸いと将軍機を引き込み挟撃で屠らんとする。
「――少佐!!」
「――了解!」
 だが、此処一番で旭陽は一朗を信頼し"背を預けた"のだ。
 これまでのように一方的に年長の、先任の立場で庇護する連携でなく。即席といえど信頼によって結ばれた行いは、将軍機が倒れ込むすれすれまで身を傾けブーストダッシュで振り抜かれた二つの刃を潜り抜けたその時結実した。
 刃を振り切り、されど大将首を挙げられぬまま一瞬の硬直を迎えた二機のキャバリア。その間に滑り込んだ桜花壱式が刀を一閃する。
『――加藤大尉、最後までお供できず……残念であります……!』
『――大将軍殿下の度量と猟兵の腕、確かに見届けた……!』
 二機のキャバリアは冷却液を鮮血のように噴出しながら崩れ落ちる。
 上半身と下半身を分かつ切断面は滑らかで、されどコックピットブロックを紙一重で躱す見事な業であった。
「少佐、無理な攻勢に応じてくださり感謝します」
「いえ、それが私の今回の任務でありますれば」

大成功 🔵​🔵​🔵​

槐・白羅
…不思議なものだ
俺がモルスを回収する前だったらこれ程の強者達と相対する機会等なかっただろう

そして…猟兵とならなければ俺もまたモルスを失う事となっただろう
ならば此処で彼らを止めるのもまた天命と断じよう!
往くぞモルス!

UC発動

【空中戦・属性攻撃・弾幕】
超高熱の熱線を天より驟雨の如く降り注がせての蹂躙

敵の猛攻を【受け流し】

後は突撃あるのみ
接近して【重量攻撃・呪詛・殺気】
極限の激突の中こういったのは割と厄介だ
殺気を放ち動きの停止を狙い

呪詛を篭めた剣で切り裂き
停止の呪いを機体に

基本手足の切断からの無力化

基本不殺徹底

死に際を失うのは不服か



猟兵とはこういうものらしい
それも天命かもしれんぞ?




 剣と刀が激突し、火花を散らして白と黒が交差する。
 決起軍最精鋭部隊の一人が駆る白銀のキャバリアを前に、白羅はその半身たるモルスを操り一歩も退かぬ戦いぶりを示す。
 否、退かぬは決起軍。押し通らんとする白羅を受け止め捌き、一合打ち合うごとにこれを押し戻して戦線を此処に留めているのだ。
 強者である、と白羅は眼前の敵手を認めた。曲がりなりにも国家の中枢を守護する精鋭部隊に任じられた程の武者なれば、容易く打ち破れようはずもなし。
 そんな相手と互いに譲らず打ち合っている現状を想い、白羅は微かに笑った。
『戦闘中に笑うとは。何か面白いことでもあったのかね?』
 敵機を駆る武者の初老らしい嗄れた声が、両機激突したその折に白羅に問うた。
「何、不思議なものだとな。俺がモルスと出会っていなければ、貴様ほどの強者と相対する機会など無かっただろう」
 未だ世を知らぬであろう、己こそが最も万能であるという感覚を覚える年頃の――自分もかつてそうであった――声音でそう告げられて、決起軍の武者はそうか、と呟く。
『私を強者と認むるならば此処は退いてくれまいか。君は傭兵であろう。この革命が終わってからもう一度新たな皇洲に来るが良い、その時は歓迎すると約束しよう』
「断る。俺は猟兵だ。猟兵であるから俺はモルスを失わず此処まで戦ってこられたのだ。ならば――」
 鬼貌の神機の膂力で振るわれた剣。重いそれを受ければ刀が折れると瞬時に判断した刃騎は盾を突き出しこれを受け止める。
 ぐしゃりと凹んで切り裂かれた盾を引けば、そこにモルスの姿はない。
「此処で貴様らを止めるのもまた天命と断じよう!」
 モルスと出会い力を得た。
 猟兵となり、力を守る術を得た。
 モルスに認められた猟兵として、ならば退くなど選べるか。
「往くぞモルス!」
 主に応えるように鬼面に双眸が蒼く輝く。その光に老練の武者が頚を上げた。上空である。蒼い光を湛えたモルスがそこに在る。
「約束をしたのだ」
 眼前には戦の傷跡を雪化粧で隠す帝都城。この主であった少年と。此処で果てたであろう男の、その娘と。
 大気を蒼く焼いて、無数の熱線が降り注ぐ。傷を受けた盾では耐えきれず、剣撃の破孔から内部を溶融させて崩れ落ちる盾を投げ捨て武者が跳ぶ。
 帝都警衛師団は都市防衛の軍。航空戦闘能力は重視せぬ、市街地での近接白兵戦闘に長けた精鋭だ。空中戦は得手ではなかろうに、その武者は不自由な空に活路を見出し跳び上がる。
 それは唯一正解でもあった。モルスの猛攻を地上で凌ぎきるは不可能。跳躍して刀を一閃、一撃でモルスを討つか叩き落とす。
『天命、斬り捨てる!』
 その一閃を、白羅は真っ向受け止め逸らす。――逸し、切れぬ。
 装甲に傷が刻まれる。が、次の瞬間にはモルスの剣が機械仕掛けの武者の四肢を解体した。
『肉を斬って骨を断たれた、か……加藤大尉といい、君といい。若い世代の力というのは見事なものだ。さあ、この逆賊の首を落として晒すがいい』
「断る」
 墜落した敵機の傍らに降り立ったモルス。開いた刃騎のコックピットから這い出した武者が、刀を手に介錯を求めれば、それを白羅は一切の躊躇なく断った。
「死に際を失うのは不服か。だろうな。だが、なに。猟兵とはこういうものらしいのでな」
 甘いやもしれない。逆賊を生かせば新たな火種を生むと言われるかもしれない。それでも、白羅は約束を果たして武者を斬らぬ。
「此処で敗れ、生き延びる。それも天命かもしれんぞ?」
 その言葉に皇帝の想いを読み取って、武者は朽ちた愛機の上で座り込み頭を垂れてモルスの背を見送るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィエン・バハムート
首飾りでオーラを強化。強化されたオーラで発電能力を【限界突破】…!
【先制・範囲攻撃】のUCで敵を【なぎ払い】、内部を電撃で【蹂躙】して差し上げますわ!
先制攻撃できなかった場合、または生き残った敵の反撃には【カウンター】で衝撃波と電気【属性攻撃】を放つことで防御&攻撃。
敵の攻撃に一度対処したら【空中浮遊】から翼を使っての【空中戦】、ソケットによる【ロープワーク】を駆使して移動するスタイルで攻撃を回避しながら接近し、さらに電撃による攻撃を重ねて倒していきますわ。ダメージには【激痛耐性】で対処。

『最早この国は俺たちのものだぜーっ!』ぐらい分かりやすくすればいいのに。下手に頭いいから悩むんですのねえ…




『貴君らの信じる正義は権力者たちの正義に過ぎない! 矛を収め見てみるがいい、地方の窮状を! それでもなお政府軍に与するというなら……!』
 高圧電流を操り敵部隊を一網打尽にしようとしたニィエンの策は、一騎の勇敢な武者によって阻止された。
 避雷針の如く突き立てられた刀が迸る稲妻を吸い寄せ、これが齎す被害を最小限に留めたのである。
「やりますわね……! それにしてもあなた! その理屈を捏ねるところ!」
 渾身の広域放電を阻止された悔しさもある。だが彼女が最も気に入らないのは、国家中枢を占拠し政府要人を処刑し、もはや戻れぬ所に至ってなお猟兵に言葉で以て呼びかけようとする武者の言葉である。
「下手に頭いいから悩んで、こんなくだらない反乱に手を出してしまうのですわ! やるんならこう、『もはやこの国は俺達のものだぜーッ!!』くらい分かりやすくおやりなさい!」
 武装蜂起という手段に訴えた時点でどれだけ立派な思想、題目を掲げていようとそれは反逆者の暴挙で片付けられてしまう。
 本当に国家を憂えるなら、彼が言うような地方の窮状が実在するのなら、そこの統治者――この国では武家貴族がそれか――と手を取り合い、政治でケリを付けるべきであろう。
 道を違えたのだ、彼らは。その結論に至るまで苦悩もあったろう。それでは駄目だと考えたから決起という最後の手段に訴えたのだろう。
 だが、多くの人々にとって彼らは国の窮状を救うべく起った英雄ではなく、安寧を乱した大逆の徒でしかない。
「泥を被ってでも歪みを正したいという想いは大変結構ですけれど! やってることがヒャッハー共と大差ない時点でその想いは伝わりませんわよ!」
『かもしれない! 貴君ら異国の人間の言葉が正しいこともあるだろう! しかしそれでも僕らはこれでしか国を変えられぬと覚悟したのだ!』
 邪魔をするならば討つ。高電圧を操る人外の業を駆使するとはいえ、生身の少女をその手に掛ける覚悟を決めて、白銀の武者が槍と一体化したレーザーライフルを抜き放って連射する。
 一瞬で肉を焦がし骨を灰にする高熱の光を、ニィエンは電流が生み出す磁界で巻き上げた粒子を盾に減衰させて掻い潜る。
 跳躍。背の天女の如き――あるいは飾り鰭のような優美な翼をひとつ羽撃き、空中へ躍り出る。
 掠める射撃をひらりひらりと姿勢を変えて躱したならば、アンカーワイヤーを巧みに操り急激な機動で追撃の刺突を空振りさせる。
 そうして敵機に組み付いて、ニィエンはその全霊を以て放った雷撃で武者の制御系を焼き切り無力化せしめた。
 数秒、あるいは数十秒もの間に渡って浴びせられた高圧電流はキャバリアの回路を焦がし、巨大な鉄人形へと作り替える。
「ふぅ……しばらくそこで頭を冷やしなさいな……ッ!?」
 破裂音。肩に走る鋭い痛み。
『僕らは遣り遂げる、そう誓って盃を交わしたからには――』
 開放された敵機のコックピットから身を乗り出した青年将校の手にあるピストルが、銃口から硝煙を吐いている。
「この……ッ!」
 肩口を掠めた銃弾が浅く皮膚を裂いて、そこから血が一筋流れた。突き刺すような痛みを耐え、ニィエンはワイヤーで将校を巻き取り機体から放り出した。
 地面に投げ捨てられた衝撃で銃を手放したのを見届けて、雪に埋もれた青年を捨て置きニィエンは前を向く。
「悪行の自覚を持って正義を掲げるなんて、ろくでもありませんわ……! さっさと親玉を倒して目を覚まさせませんと……!」

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
先程よりも高性能な機体ですね!ミサイル搭載機が多いとなると騎馬で背が高いのは危険……とはいえ機動力を捨てるわけにもいきません。どうすれば……
おや?コンソールに何か……これは!
行きますよマリア!合体!名付けてティターニアアーマー・ボクサー!
少々強引ではありますが、ブースト全開!突撃です!接近戦に持ち込みさえすればあとはお互いのカラテの勝負!キャタピラは失いましたがその分しっかりと地面を捉えて踏み込めます!
相手も国を想う気持ちは同じ。できるだけ人的被害を出さないよう、関節部に爪を叩き込んで無力化を狙っていきます。




 その連撃は技量による鋭さは勿論、機体性能から齎される重みにおいてもそれまで猟兵たちが相対していた連邦主力量産機"群狼"を遥かに圧倒していた。
 群狼の大型ナイフ程度であれば受け止めきれたアリシアのティターニアアーマーが、刃騎の攻撃を前にじわりじわりと押し込まれていく。
 履帯による装甲を主とするティターニアアーマーは巡航での走破性にこそ優れるが、キャバリア同士の近接白兵戦に対応出来るだけの小回りを有していないのだ。
『ほらほらどうしたァ! 手なり足なり出してみろォ!!』
 拳を振るい機体を旋回させれば、それより素早く背後に回り込まれ盾の殴打が、刀の一撃が装甲に傷をつける。明らかに近接戦闘では不利。かといってアーマーをパージし、シュンバーに跨り騎馬武者として一撃離脱戦法を取るにも敵機の背部にこれ見よがしにマウントされたミサイルランチャーがその実行を阻害する。
 多連装ミサイルの一斉射による面制圧爆撃を回避できるほどの速力を、あるいはそれを撃ち落とし活路を拓くだけの迎撃力をアリシアもシュンバーも持っているかというと、確実にイエスと言えるものではない。
 それに、おそらく――
「地上戦に特化した防衛用の機体、となればあのミサイルは対空にも使える命中性の優れたものが積まれているはず……」
 予想に過ぎない。が、アリシアは十中八九この想像が的中しているであろうという確信があった。国土が狭く、市街地や山岳の多い皇洲連邦でミサイルの出番はやはり、対空迎撃を主とするはず。
 そしてこの世界の主な航空戦力と言えばキャバリアなのだから、対空・対地両用のそれがシュンバーを狙えぬという理屈もないのだ。
 あるいはシルバーアーマーに騎乗し強行突破も考えたが、ティターニアアーマーほどの重装甲ではないシルバーアーマーに攻撃を受けてしまえばシュンバーに傷を負わせてしまうだろう。それは主として避けたい事象だ。
「どうすれば……どうすればこの状況を打開できるでしょうか……くっ!」
『無理だぜ、諦めなァ! 俺たちはこの国を変える。その志を邪魔するやつァ全部平らげてやるよ!!』
 後退してガードの体勢を取ったティターニアアーマーに目掛けて敵機が刺突の構えを取る。
 ブーストダッシュも併用した亜音速の突き。防ぐことはできようが、練達の武者は此方の防御姿勢を見抜くやおそらく攻め手を変えて一撃を徹すだろう。
「このままでは……! 来てはいけません、マリア!」
 その時だ。アリシアを庇うように両機の間に割り込むマリアのロボアーマー。それを制止する声を上げたアリシアは、ティターニアアーマーのコンソールに見慣れぬ表示が出現するのを見た。
「これは……これなら! 行きますよ、マリア!」
 狼の咆哮とともに、ロボアーマーがひとりでに分解しアリシアの機に吸い寄せられてゆく。
 腰部に、そして背部に大型の推進機となった四肢が。
 頭部はまるで鎧武者の兜のごとく派手な前立物が凛々しい増加装甲に覆われ、胸部にロボアーマーの頭が、狼の首を模したそれが輝いた。
「合体成功……! 名付けてティターニアアーマー・ボクサー!」
 二機の動力が直結し、出力が一気に跳ね上がる。鈍重なティターニアアーマーがその溢れんばかりの馬力によって機体を軽快に操る力を得たのだ。
『合体だァ!? スーパーロボット気取りがよォ、急場しのぎの合体で俺たちの積み重ねてきた時間に勝てると思い上がるんじゃねえぞォ!!』
「貴方の研鑽を、国を想う気持ちを否定するつもりはありません! この力はそのためのものではないのですから!」
 双方がバーニアに火を入れ、地を強く踏み込んで突撃する。片や鋭い刀剣を。片や強靭なる爪拳を携え、一秒に足らぬ一瞬で距離はゼロに。
「この機体ならばしっかりと地面を捉えて踏み込める……馬力でも負けていない――ならばあとは互いのカラテの勝負!」
『チィィッ!! こいつ、場馴れしてやが――しま、ッ!』
 刃騎の突き出した盾を払い除け、ティターニア・ボクサーの拳がその機体を捉える。
 できるだけ人的被害を出さぬように。その思いとともに突き出された拳が敵機の腰に突き刺さり関節部から下、アンダーフレームを寸断する。
 同時、武者の最後の悪あがきで振り下ろされた刃がティターニア・ボクサーに突き刺さる。
「…………流石に強敵ですね……でも、これでもう戦えないでしょう」
 ミサイルを引きちぎれば、下半身を失った機体に出来ることなどありはしない。
 その機体をそっと横たえ、アリシアは城門を突破する。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
S

緋瑪「それだけの覚悟があって、何でこんな手段しか取れなかった!」
瑠璃「その為に散った命もある…貴方達の行為は決して許されない」

UCで分身

敵機二機を相手に2対2で戦闘。
二機をUCで瞬間換装し、超音速形態へ変化。
二機でフェザービットを展開してオールレンジ攻撃で敵の動きを翻弄・制限しつつ、衛星の攻撃高度未満の高さで音速飛行で旋回しライフルやビームキャノンを連射して連携攻撃。
瑠璃機は遠距離からフルブラスト、緋瑪機は接近しビームブレード二刀で敵の四肢やセンサー系を破壊してギリギリ命だけは助けるよ

緋瑪「臣下を守って欲しい。その命令はまだ生きてる」
瑠璃「生きてこの先を…この国の未来を見届けると良いよ」




『正しい国家の礎となって死ぬならば、私に悔いはないわ!』
 僚機の前に割って入った機体が、全方位から襲いかかるビット兵器からのレーザーを盾で受け止め、あるいはその装甲で耐えて味方を庇った。
『覚悟、受け取った! 敵機は任せろ、おおォォォッ!!!!』
 僚機の決死の覚悟を受けて、守られた機体がビットを操る双子のキャバリア、ジェミニオンへとランスライフルからビームを連射しながら突撃する。
 ジェミニオンは遥か上空、殲禍炎剣の認識高度ギリギリを飛行してビットを遣わし二人の決起軍将校が駆る機体を相手取っていた。
 そこに片方がその身を呈しビットを引き受けることで、もう一方がその間隙を縫うように強襲を仕掛けたのである。
 曲がりなりにも最精鋭、正確な射撃が二機のジェミニオンを襲う。冷え切った大気を瞬時に焼き焦がすビームの光条を躱し、あるいは受け止めて凌ぐ――が、それすらも二機を空中に縫い止める楔に過ぎぬ。
『獲ったッ! このまま諸共に――!!』
 突き出される槍の一撃。下方からの上昇によっていくらか勢いは削がれているものの、キャバリアを一撃で粉砕せしめるには十分な威力を持つそれが瑠璃のジェミニオンを狙う。
 仮に瑠璃機を撃破したとして、敵機は二機分の重量を支えきれず地面に墜落してしまうだろう。そうなれば瑠璃も敵パイロットも無事では済むまい。
 外道を覚悟し、その報いとして死をも受け入れて事を為さん。そんな意志が見える捨て身である。
「それだけの覚悟があって、なんでこんな手段しか取れなかった!!」
 だからさせるわけにはいかないのだ。瑠璃を守る、当然だ。だが決起した青年将校をも殺さぬ、死なせぬという皇帝の願いを受けて、緋瑪は約束を果たすべく銃火器をパージしビームブレードを抜刀するや横合いから飛び込んだ。
『もはや悠長な事をしている場合ではないッ! 今変えねば、今日変わらねばこの国は腐り落ちて死ぬるのだ!』
「だとしてもこんなの、あの子を……皇帝を悲しませるだけのことでしょ!!」
 二刀に弾かれ空中で姿勢を立て直す白銀の武者。緋瑪はそれと一対一で相対する。
 一方で地上でビットを迎え撃っていたもう一機も、あらかたのビットを掃討して上空の瑠璃に狙いを定めていた。
 囮と本命が入れ替わった形になる。空中でジェミニオンの気を惹いている僚機に任せ、城壁の陰で膝をつき狙撃姿勢を取る武者。
『駒江中尉のようにはいかないけど、私だってやってみせるわ!』
 一射、二射。続けざまに放たれたビームは意識の外から瑠璃機のビットコンテナを破壊する。
「さっきの……まだ戦えるんだ」
『命ある限り大義のために戦い、命果てるなら大義の礎となる覚悟を決めたのよ!』
 正確な射撃。先の突撃のときのような機動射撃戦ではなく、狙撃に集中した姿勢からの攻撃は瑠璃の機動を予測してこれを追い立てる。
「貴方達の大義だとかの為に散った命もある……その行為は決して許されない」
『許して貰おうなどと思ってはおらんさ! 国のために地獄に墜ちる、此処にいる者は皆その覚悟がある!』
『私達はこの生命を使って皇洲を正すと誓ったの!』
「誰がそんなことを望んだの……! 皇帝も、将軍も、旭陽さんも、皆が否定しているじゃない」
 問答無用、と。上空では緋瑪と勇猛なる若武者が、地上では瑠璃と果敢な女武者がそれぞれぶつかり合う。
 が、永遠にも思われる戦いにもいずれ決着は訪れる。ビームブレードで両の腕を落とされた武者が、緋瑪機に押し付けられるように地に墜ちた。
 同時、盛大な射撃戦を繰り広げていた女武者の機体も瑠璃機からの反撃で頭部を射抜かれ視界を喪失し、続く射撃で四肢の関節を破壊される。
「皇帝に言われたことを教えてあげる。"臣下を守って欲しい"……その命令はまだ生きてる」
「貴方達も臣下なんだ、って。だから生きてこの先を、この国の未来を見届けるといいよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

才堂・紅葉
「勝ち方を選ぶ状況になったか。逆に難しい局面ね」
戦術的には悪手な戦力分割だが、政治的には譲れない所
つまりは自身の稼ぎ所である

「迦楼羅王、出る!」
刃騎の決死の突貫に対し、より一層の勢いの突貫で逆撃する
大事なのは【気合】だ

「絶ッ!!」
方針は単純な物理。ランスに勝る六尺棒のリーチを活かした突きで【見切り、カウンター】だ
当り負けせぬように自身への重力【属性攻撃】で自重を倍加し、そして震脚。捻りを加えた突きで派手な【怪力、吹き飛ばし】
リーチの優位を見せつける【パフォーマンス】を行う

本命は早撃ち勝負への誘導だ
相手が射撃モードに切り替えに対し、リボルバーの早撃ちを合せたい

先陣のお仕事は敵の勢いを挫く事だ




「勝ち方を選ぶ状況になった、か」
 数に任せて決起軍を圧倒すればもはや勝利は揺るぐまい。
 だが、それでは駄目だ。葦原軍の功が大きくなりすぎてはならない。
 なるほど道理である。葦原の発言力が拡大しすぎれば、他の不満を呼び連邦制国家の安定が損なわれるであろうことは外様の傭兵である紅葉にもわかる。
 が、裏を返せばそれ故に折角の優位を手放さねばならぬということであり、またこの先の戦いには政治が大いに介入するということでもあろう。
 豊麻呂がこの場に居れば、喧しく喚きながらも政治的に正しい勝ち方を主導したに違いない。政治の出来るパイロットというのはこういう時に重宝するのだ。豊麻呂の場合は戦力としては二線級、いや三線級以下だろうが、それでもだ。
 高慢な白塗りの肥満体を思い浮かべながら、紅葉はしかし今こそ稼ぎ時だと考える。
 プロの傭兵はそういう戦場で役割を弁えた戦いが出来てこそ。紅葉にはその自信があるのだから、ラインを見定め大いに戦果を挙げさせてもらうとしよう。
『勝ったつもりで後の心配を!? 生意気なッ!!』
 相対する敵機が槍を構え、地表を滑走するように突撃を開始する。
 おそらく迎撃は容易く回避されるであろうと想像できる、蛇のように滑らかかつ素早い機動。
 回避を試みたとして、それも生半な機動では喰い付かれるだろう。
 ならば、必中必殺を以て蛇の頚を串刺しにする。
「迦楼羅王、出る!」
 あれの相手は私だ。そう宣言するように迦楼羅王の身の丈ほどもある長柄の棍をくるりと構え、真っ向から迎え撃つ。
『躱さないか! ならばそのまま貫かせてもらう!!』
 間合いに刃騎が飛び込んだ。突き出される槍、鋭利な切っ先が迦楼羅王の心臓――紅葉の宿るコックピットを狙って突き出され――
「――絶ッ!!」
 迦楼羅王は退かず、逆に一歩を踏み込んだ。
 力強い震脚、棍の端へ手を滑らせ、リーチを最長としたそれを突き放つ。
 激突音。
 迦楼羅王を一撃で粉砕するはずだった槍は僅かに届かず、先んじて放たれた打突が敵機を穿つ。
 敵もまた強者、咄嗟のバックブーストで被害を最小限に抑えて離脱したが、装甲にくっきりと刻まれた打撃の痕はリーチの差を意識させるには十分である。
 そして敵のパイロットは優秀であるがゆえに、近接戦闘への固執を斬り捨て間合いで不利なそれから即座に離脱する判断を下したのだ。
 それが紅葉による誘導であると、当の本人も気付かなんだであろう。
『ちっ、棒術使いめ……厄介な。だが――』
 舌打ちを一つ、だが刃騎の槍は射撃戦にも対応した複合兵装である。
 整備性はよろしいとは言えず、強度だって単独の機能しか持たぬ槍と銃、それぞれに劣る。どちらかというと儀礼用の色が濃いそれであるが、武器持ち替えの手間なくシームレスに射撃と白兵を切り替えられる強みは熟練のパイロットの手中でこそ輝くのだ。
『間合いを取れば此方が有利ッ!!』
 グリップを引き起こし、トリガーに発射信号を送る。それだけで瞬時にビームライフルへと姿を変えたランスから必殺の射撃が放たれ――
 その銃口が不意に跳ねた。
 一発目で槍が跳ね上げられ、二発目でナックルガードから露出したマニピュレーターが射抜かれた。
 三発目で槍を持つ右肩が。四発目で左肩が砕かれ、五、六発目が相次いで頭部に飛び込み武者の兜に覆われた首級を破壊する。
「早撃ち勝負なら負けないのよ。あなたもまぁまぁ出来るパイロットでしたけど、相手が悪かったと思って諦めて下さいな」
 抜き撃ち六発。瞬時に放たれ一重に重なった銃声は、刃騎を正確な射撃で無力化せしめた。
 驚愕に絶句する武者の横をすり抜け、武芸者の女は城門を守護する警衛師団を突破したのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
覚悟はできてる、そう言う事ね。
いいわ……スルトの力、教えてあげる!

近接戦闘が得意なのはこちらも同じ
【筋肉連結システム】発動し装甲とパワーを強化
機体の小ささ(3m級)を活かして敵の攻撃を潜り抜け、そのままレスリングへと持ち込む
取っ組み合いにさえなってしまえばあとは単純にパワーと技量の勝負
そして如何に敵パイロットの技量があろうとも、コクピット操縦式の機体では融合合身式のスルトには対応力で劣るでしょう
後はそのまま関節技をかけて手足を捥ぎ、武装も破壊して制圧
残ったコクピットブロックは後方に投擲、葦原軍に回収してもらう

死んで楽になんてさせないわ
真に国を憂いているなら、生き恥晒してでも後の為に尽くすことね




「大人しく退けば、あの皇帝なら悪いようにはしないと思うけど?」
 投降を促すつかさに対し、相対する武者の返答は言葉ではなく刃であった。
 油断なく構えた盾。その陰から繰り出される奇剣の閃きは、ごく短くも鋭さを以てスルトに襲いかかる。
 最小限の動きを盾に隠すことで、対応を至難とする正道ならざる剣。それを間一髪、紙一重で躱したつかさは向けられた敵意に獰猛な笑みで応じた。
「覚悟は出来てる、そういう事ね。いいわ……スルトの力、教えてあげる!」
 彼女の駆るスルトは通常のキャバリアの半分強、胸元辺りまでの高さしか無い小型機だ。その有様は機動兵器というより、スペースシップワールドの鎧装騎兵やヒーローズアースのアームドヒーロー達が駆るパワードスーツに近しいだろう。
 即ちその操縦系統もまたしかり。マスタースレーブ方式、パイロットの所作を増幅して機体に反映させるそれは、機体の可動域を人体のそれと同一に制限することでその精密さと瞬発力、柔軟性を高めるもの。
 まさしく肉体の延長線上にあるそれは、機動射撃戦のような機動兵器ならではの戦いを増えてとする代わりに皇洲武者らが好む近接白兵戦において操縦桿とフットペダルで操る機械人形を圧倒する。
「随分剣に自信があるようだけれど、近接戦闘が得意なのはこちらも同じ」
 盾の裏から繰り出される見えざる斬撃、超高速の連撃はよほどの達人でもなければ二度、三度は首を獲られていてもおかしくないほどの凄まじいものだ。が、つかさは鍛え上げられた肉体とそれに付随する精神で以てこれを見切り、躱し続けている。
 とはいえ、だ。
「そろそろ反撃に出たい所よね」
 つかさは独り言つ。回避専念であれば今でも十分。だがここから反撃に出るならば、機体の反応速度が足らぬ。マスタースレーブをして、パイロットの動作を増幅する一瞬のラグが生死を分かつであろうとつかさは感じたのだ。
 それほどの凄腕が敵に与していることを厄介に思う一方で、それほどの凄腕と全力でぶつかり合えることへの感謝を抱いて、つかさはスルトが持つ最大限の力を発動するべく筋肉を隆起させる。
「M-LINKシステム――リミット解除」
 筋肉連結システム。マスタースレーブを超えた機体との同一化を果たす機構。
 それまでマスタースレーブ方式を模倣することでかろうじて操縦者と機体を隔てていた壁を、つかさはその筋力で以て叩き壊したのである。
 この瞬間、スルトはつかさの肉体となり、つかさはスルトの脳髄となった。
 あるいは正しく文字通りの意味で脳まで筋肉たる脳筋であったやもしれぬ。
 ともかくである。巨人となったつかさの体捌きはこれまで以上に鋭く、軽やかで、力強いものであった。
 幾重にも連なる斬撃の、その僅かな隙間を見事に潜り抜け反撃に転じたスルト。一方の刃騎も剣の間合いのさらに内側に入られたと見るや、剣士らしからぬ手段――蹴脚などの体術にはじまり、自爆をセットした火器兵装の分離による爆撃――や盾による進路妨害でこれに対応する。
 が、それも長くは続かなかった。
 繰り出された蹴り足をスルトが掴み、刃騎の巨躯を引き倒す。
 そうして取り付いてしまえばもはや剣士に抵抗する手段は無いも同然。
「貴方は確かに腕のいいパイロットだったわ」
 でも、それでも勝てない理由がある。最後まで声一つ漏らさぬまま決死の覚悟で自爆を図る刃騎の四肢を締め上げ粉砕し、胸部に腕を突っ込んだスルトはコックピットブロックを強引に引きちぎった。
「死んでも、なんて楽な方に逃げようとするんじゃないわよ。真に国を憂いているなら、生き恥を晒してでも後の為に尽くすことね」
 敵機の爆発から奪ったコックピットをかばい、爆炎を背に浴びてつかさは告げる。
 そうしてこの国がいつか平和になったならば、もう一度この奇剣使いと手合わせしたいものだ――と、彼女は未来を想うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
外道か…
ならばお前達が向かう先はただ一つ…楽園だ…
貴様らを屠り楽園へと導いてやる…それだけだ…!

来い…!楽園からの使者よ、死神よッ!

【リビング・アーマード・ゴーレム】で
イシュ・タブを地中より召喚、その肩に乗り敵群へ
[切り込み]突撃しよう

[存在感と悪目立ちで恐怖を与え]つつ
機体は[踏みつけと捕食]で敵機を襲撃して敵群を惹き付けよう

その隙に自身は鎖の鞭の[ロープワーク]と[ジャンプ]で
敵機に飛び移り、操縦席覆う装甲目掛けて
鉄塊剣を振るい[鎧砕きと怪力の重量攻撃]で操縦者諸共
操縦席を叩き潰してやろう

再び鎖の鞭とジャンプで次の敵機へ渡り破壊してゆこう…




「外道か……」
 それを承知でこの血濡れた道を往くと云うならば、アンナはそれを否定せぬ。
 外道の果てに行き着く場所は知れている。冥府に堕ちるならば、せめて。せめて地獄ではなく楽園へ、憂い悩み愛するものに刃を向けねばならぬほど追い詰められるようなことのない、永遠の平穏の園へ送ってやるのが処刑人仇死原アンナの慈悲である。
「貴様らを屠り楽園へと導いてやる……私の為すべきはそれだけだ……!」
 ――生きて決着を迎えたとして、彼らはそれを望むまい。武士とはそういう人種である。信じた正義が否定され、戦に敗れて安穏と生き延びるを良しとせぬならば、信念を胸に斃れることこそ彼らの幸福であろうから。
「来い……! 楽園からの使者よ、死神よ――ッ!!」
 地より這い出るは死体の如き。
 乾いた髪をばさりと振り乱し、皇洲に語られる古の山姥のようにも見えるそれは、朽ちた裸身の女に似た死せる巨人の機兵であった。
 アンナはマントを翻してその肩へと飛び移る。使役者を得て、巨人が吼えた。
『化生めが……! 我ら外道に墜つるとも、帝都秋津に魑魅魍魎の跋扈を許すほど落ちぶれてはおらぬ!』
 そこらの雑兵であれば腰を抜かすか武器を放り出して逃げ去ってしまいそうな程の恐ろしい絶叫を響かせたこの世ならざる存在である巨人――イシュ・タブに対し、武者は勇敢にも槍を構えて抵抗の構えを取る。
 反逆に与しようと、帝都守護の誇りは失われておらぬ。彼らが討つべきはこの帝都に巣食う奸臣であり、帝都と皇帝は守るべき対象であることに変わりないのだから。
『帝都警衛師団の本懐ぞ此処にあり! 最後に帝都を跳梁せし化生と戦い果てるならば本望ッ!!』
 だから、その武者は怪物の如きイシュ・タブを操る黒衣の女に対して敬意と感謝を抱いたのだ。
 帝都に現れし魍魎と戦い、そして死ぬ。それが欺瞞であってもそうして死に逝けるならば、武者としてこれ以上なき誉れなのだから。
「そうか……それなら、その誇りを抱いて死ね……ッ!」
 イシュ・タブが力強く踏み込み疾駆する。ランスライフルからのビームを受けて肉が焦げる悪臭を纏わりつかせ、それでも巨人は止まらない。
 死せる存在故に痛みを、恐怖を感じぬのか。そう錯覚させる恐ろしい光景であった。これを止めるには地雷で足を吹き飛ばすしかないか。否、たとえ腰から下を全て失おうと這いずって、腕すら失えば首を飛ばしてでもこちらの喉笛を噛みちぎるのではないかという想像に竦みそうになるが、それを奮い立たせて武者は銃撃を続行する。
 ――勇敢なことだ、とアンナはその姿を評価する。燻る屍肉が吐き出す煙がその黒衣を覆い隠したのは、彼が退かず立ち向かいイシュ・タブに少なからぬダメージを与えたからに他ならぬだろう。
 だからこそ彼女は人知れず鎖を帝都城の城壁に打ち込み手繰ってイシュ・タブの肩から跳ぶことができた。
『不死身の怪物といえど、術者さえ屠れば……ッ!!』
 彼女がイシュ・タブから離れた直後、いよいよ白兵の距離に至り先制した武者の槍がアンナの立っていたイシュ・タブの肩口を刳り髪を引き千切って散らす。
 が、そこにアンナはもういない。肩に巨槍を突き立てられたとて、冥府の使者は止まらない。
 イシュ・タブが刃騎を押し倒し、野獣の如く貪るように喰らいつく。
 女の細顎が鋼の鎧を砕いて潰し、返り血のように噴出した循環液がその貌を赤黒く染めた。
『くっ……離せ、離れろ!! 喰い殺されるなど武者の死に様では……ッ』
 操作を受け付けなくなっていく、死んでゆく機体の中で操縦桿を捻りフットペダルを踏みつける武者は、直後に正面のモニターを貫いてコックピットに割り込んだ刃で頚を刎ねられその意識を断絶させた。
「……剣で死ねば本望か。だと良いが……貴様の魂が楽園に辿り着くことを祈ってやる」
 コックピットに突き刺した鉄塊剣を引き抜き、刃にべっとりと纏わりついた鮮血を払って、黒衣の女は武者の骸から飛び降りた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎・S

酔うのは酒と女だけにしとけばいいものを
他人の志に酔って国を崩すんなんてのは、少し悪酔いがすぎる

■方針
自機に搭乗

【戦闘知識】で敵装備の範囲と瓦礫や障害物になるものを確認
帝都内の瓦礫を盾にショットガンの【制圧射撃】で敵機の動きを制限しつつ
【援護射撃】【鼓舞】で仲間の援護を行う
突出してきた敵に対して【推力移動】で一気に接近
【部位破壊】で敵機の戦闘不能を狙う

人の言葉に酔ったガキの喧嘩を叱りつけるのは俺の仕事じゃない
だが、その酔いが醒めたら自分が何をやって誰に銃を向けてていたのか
それをよく考えるんだな


チトセ・シロガネ
コイツ等はアタシが受け持つヨ。ショーグンはそのままムーブオンしてヨ。
通信機から流れる声、旭陽たちの前を白マントが駆ける。

その出現に反応するように放たれるビームの乱射。
直撃するビームをオーラ防御で弾き、マントはそのままパージ!
閃光の後に残っていたのは空中に漂うボロ布のみ。

アタシを捉えるなんて流石って言いたいところダケド……。残念、それは残像ネ!
アタシはUCを発動、推力移動で接近行動に入り、そのまま踊るような早業で相手の武器を腕ごと切断して火力を封じ、足や駆動部をレーザー射撃で撃ち貫いて動きを封じる。無駄な殺生はノットネ。

ユーたちには生きて、まだまだこの国のために働いてもらうカラネ!




「酔ってるねぇ」
 理想のため大義のため死すらも恐れぬと、外道を駆け抜け地獄に堕ちるも宿命と戦い続ける決起軍の青年将校たちを、ヴィクター・ホリディは酔っている、と評した。
 理想に酔っている。大義に酔っている。何よりそのために全てを捨てられる自分に酔っている。
 そして酔わせたのは他人の、加藤大尉の語る志ときた。
「酔うのは酒と女だけにしとけばいいものを」
 とびきりのいい女と飲む酒ほど気持ちよく酔えるものも無いというのに、彼らと来たらろくでもないものに悪酔いをして国を崩そうとしているのだ。
「戦場じゃなきゃあ、あいつら纏めて飲みに連れ出して楽しい酔い方を教えてやるんだがね」
 旨い酒が飲める店に連れて行って、迷惑を掛けない範囲で美人と一緒に楽しくやる。そういう息抜きを知らず、思い詰めた果てが今のこれなのかもしれない。彼らにとっては夢中になれるものが加藤の語る理想しか無かったのだ。
「と、おじさんは思うわけだ。どうだい、あいつらがお勤め終えたらお前さんが付き合ってやってくれないかねぇ」
 プレケスの首を僅かに傾ければ、肩の上には蒼銀の美女がいる。
「アタシ? 報酬次第カナ。あと、どうせならお酒も良いヤツがいいネ!」
 美女――チトセはいたずらっぽく片目を瞑ると、ヴィクターの与太に乗っかって笑う。
 そうだ。この決起が無事に収束し、生き残った決起軍の連中がその罪を償ったならば、この戦いで死んでいった人々を弔うために酒を酌み交わすのも悪くない。
 決起などせずとも、皇洲はいい国になったぞ――と、そう伝えられるように。そのときにはあの少年皇帝も盃を交わせる年頃だろうか。
 そんな未来を手にするべく、二人の猟兵は戦場に進出する。
 ヴィクターの戦術は堅実であった。決起軍が籠城する皇室近衛及び将軍直属部隊と交戦した先の帝都城攻防戦で破壊された瓦礫を盾に、敵の迎撃に身を晒す時間を最小限に抑えてこれと交戦を開始した。
 中距離で瓦礫から瓦礫へ飛び移るように機動しながら散弾銃を射撃すれば、敵もまた立て掛けた盾を防壁に飛礫を防いで身を守る。
 まずは互いに牽制、されど一撃でも命中すればプレケスに甚大なダメージを与えうるビームライフルは脅威である。一瞬の油断で被弾しようものならその時点でヴィクターが大きく劣勢を強いられるだろう。
 が、ヴィクターはそれで十分だった。劣勢であろうとも、最終的に味方が勝てばそれでよいのだ。
 男は勝利のためにまず自身を囮に差し出せる強かさを持っていた。
「奴さんのビーム、そろそろ見切れたかい」
「バッチリヨ、あとはアタシが受け持つネ」
 雪化粧の帝都を駆ける白マント。チトセである。
 人外の速度で駆け抜け急速に肉薄した人影に対し、武者はプレケス以上の脅威であると即座に判断してビームライフルの照準をそちらへ移す。
 トリガー。閃光、チトセへとビームの熱が直撃し、辺りの雪が一瞬で蒸発する。
 さしもの光速の女戦士も、同じく光速のビームまでは躱せなんだか。
 ――否。
 ふわりと舞うは僅かに焦げたマントが一枚。その中身は、蒸発したのでなければそこに居なかったのだろう。
「アタシを捉えるなんて流石……って言いたいところダケド……残念、それは残像ネ!」
 チトセの姿は頭上にあり。直撃の瞬間ビームを防御し、跳躍でその射線から離脱した彼女は蒼く光の尾を曳いて空を舞う。
 その光はさながら狐の尾の如く。キャバリア級の速度で飛翔する美女を、ようやく捉えた武者の銃撃が追い縋り――
「おいおい、いくら美人相手だからってしつこい野郎は嫌われちまうぜ」
 射線がチトセに誘導された隙に飛び出したヴィクターのプレケスが体当たりで応射を阻止し、散弾銃の銃口を密着させてトリガー。
 無数の礫が一つの巨大な塊となって、武者の片足を根本から吹き飛ばす。
「ナイスアシストネ、このまま切り刻むヨ――!」
 姿勢を崩しつつも最後の足掻きとばかりに槍を突き出し、天上から急降下襲撃をかけるチトセに一矢報いんとする刃騎。その槍をなぞるように螺旋に舞い降り、チトセは四肢のブレードで肩口を切り落とし、全身から放つレーザーで武装や駆動部を貫き無力化する。
「無駄な殺生はノットネ。ユーたちには生きて、まだまだこの国のために働いてもらうからネ!」
「ま、そういうことだ。ガキを叱りつけるのは俺の仕事じゃないが……」
 その酔いが醒めた時、自分たちが何をして、誰に銃を向けていたのか。それをよく考えるんだな。
 チトセとヴィクターが残した言葉は、破壊され機能停止した機体の中で呆然とする青年将校の心中で幾度もリフレインしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
L
「ここからは戦艦ではなくキャバリアの出番ですね。
私がスティンガーで出ます!
狙撃フレームに換装し、出撃準備をお願いします」

戦艦の艦長席から降り、格納庫に向かいましょう。
整備クルーが整備した『スティンガー』に搭乗し、発進です!

「スティンガー、狙撃フレーム、出ます!」

敵のキャバリアもスティンガーと同じ設計思想で、装備変更によって近接、狙撃、制圧を使い分けるようですね。
ならば、負けるわけにはいきません!

「ミスランディア、ビットの操作は任せます。
狙い撃ちますっ!」

無線操作式射撃兵器で敵を牽制しつつ、狙撃用ビームライフルで敵を狙撃します。

「敵は早撃ちが得意なようですが、こちらは長射程がウリです!」




 臨時政府軍が帝都城奪還部隊の背後を守るべく戦線を展開する橋頭堡の一角に、セレーネが投じた戦艦ストライダーはその威容を置いていた。
 何しろ戦艦である。巨体故に帝都市内に突入することが困難であったというのも理由の一つであるが、分厚い装甲と同級の艦艇――例えば皇洲連邦軍の大綿津見級超重砲戦キャバリアに比較すれば火力でこそやや見劣りするとはいえ、こと防衛戦においてその防御力と制圧力は橋頭堡死守の大きな力となる。
 艦の運用をAIミスランディアに委ね、上月中将の戦術に従うよう言い残したセレーネは、自らキャバリアを駆り今、帝都警衛師団のキャバリアと相対していた。
 狙撃仕様にカスタマイズされたオーバーフレームを被ったその機体を、スティンガーと彼女は呼ぶ。あらゆる戦場への柔軟な対応力を求めて開発された試作機は様々な装備を有するが、今回は長射程からの高精度射撃を目的とした仕様での出撃であった。
 心身ともに精強な皇洲武者を相手取れば、たとえスティンガーが性能で優越していようともパイロットの肉体性能でその有利を覆されるかもしれない。
 そしてその可能性が最も高いのが、近接白兵戦であると彼女は認識し、可能な限り敵を近づけぬまま戦える装備で戦場に出たのだ。
 が。
「さ、さすが首都を守る最精鋭…………ミスランディア、ビットの操作は任せます! 牽制を、狙撃のチャンスをっ!!」
『逃げてばかりじゃお話にならんよ! キャバリアを駆る武士たるもの、武芸百般に通じておらんじゃあ駄目だろうさ!』
 全力の機動で距離を維持しようと試みるスティンガーに容易く追い縋る刃騎。経験豊富なベテランエースの駆る機体は、狙撃の間合いのさらに内側にてセレーネを追い回す。
 これは不味いと助けを乞えば、葦原軍を支援する片手間にストライダーより射出されたビット兵器がレーザーの網でようやくこれを引き剥がす。
 ミスランディアのやれやれとでも言いたげな気配を努めて無視し、セレーネは来援したビットを壁に再度距離を取り直し、ライフルを構えて追撃する敵機を照準に収めた。
「機体の設計思想は同じ、ならば、だからこそ負けるわけにはいきません!」
『ようやっと此方を向いたかい! 気合は十分、なら次は当ててみせな!』
 狙撃用のロングビームライフルが吼え、熱条を放つ。それを盾で受け流し、ランスライフルからの射撃でビットを一機ずつ丹念に撃ち落として刃騎は駆ける。
「ビットをマニュアル射撃で撃ち落としている……!? なんて精度の早撃ち……! でも、こちらも精度は自信があります。射程ならこちらが有利、負ける要素はありません……!」
 驚愕も無理からぬ。弾幕で迎撃するが正道のアンチビット戦において、中近距離とはいえ狙撃でこれを撃ち落としながら母機からの狙撃を防御するとなれば決戦部隊のエース級パイロットと言って過言ではないだろう。
 それほどのパイロットを前に、セレーネは退けぬ。誇りがある。、矜持がある。意地もあれば、退いたら最後飲み込まれるだろうという恐怖もある。
 およそ戦士として懐きうる感情を胸中に秘め、負けるものかと己を鼓舞して高精度狙撃を可能な限り短い間隔で放ち続けるスティンガー。
『狙いが正直過ぎるぞ、傭兵のお嬢ちゃん! その若さで大した腕だがね、実戦ではもう少し悪辣なくらいが丁度いい!』
 その尽くが刃騎に致命的ダメージを与える事のできる必殺の狙撃であった。それ故に読みやすいと、刃騎は盾で一切を防ぎ――
 直後、背部の推進器から赤黒い火を噴いて姿勢を崩した機体が盾を地面に擦り、左腕の制御を喪い防御が乱れた。
『なっ……二機目の狙撃手だと! お嬢ちゃんは囮か!? 見事に騙されちまったようだ……!』
 ビットは全て撃ち落とし、裏表の使い分けもできない若いパイロットを相手取った戦いだと油断していたか。
 どこからともなく放たれ、スラスターを破壊した実体弾による"狙撃"でダメージを負った刃騎はせめてもの抵抗としてランスライフルのトリガーを引く。
 だが姿勢を著しく乱した機体が放つビームは空を焦がすのみ。
「一体誰が……ともかく、この好機を逃しません! ――狙い撃ちますっ!!」
 狙撃手の正体を探る暇はない。この好機を逃してはならぬ。セレーネの放ったビームは、刃騎のそれと交差して白銀の機体を貫いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
(あの機体、ベースはロシナンテⅣと同一…!)

私は人々の安寧の為に剣を執る騎士
敵はこの先の加藤大尉の乗機のみ
覚悟は見事なれど…押し通らせて頂きます!

細やかな足捌きと剣と盾で切り結び

此方はSSWでの改修あれどほぼ互角
内蔵武装の分、腕の駆動に若干の遅れ…許容範囲!

UC使用
挙動リズムをローへ
攻撃躱すと同時、バランス崩した「よう」見せ
自機●ハッキング瞬間思考力操縦で各部スラスタと機体挙動制御しリカバー
誘発した追撃●見切った回避挙動利用しマニュピレーター狙いの反撃脚撃武器落とし
突き出される盾の縁掴み頭上飛び越え一回転

機械の躯体には、一日の長があります故

背後に回り腰を剣で両断

残る精鋭は…葵様と合流しましょう




 ――あの機体、ベースはロシナンテⅣと同一……!
 片や白磁に塗装され、背部にサブアームを増設した異形の騎士。
 片や白銀に輝き、当世具足めいた増加装甲に身を包んだ機甲の武者。
 洋の東西、姿形の異なるも、基幹となるフレーム自体がほぼ同一である兄弟機の出現にトリテレイアは息をのむ。
 トリテレイア自身、ロシナンテⅣが量産機をベースに改修した機体であることなど元より承知、ならば同一の機体から派生したバリエーション機が存在することも想像できぬことではなかったし、いつかそういった機体と刃を交える日が来ることも予測していた。
「それが今日という、ただそれだけのことです」
 思考に混じるノイズをクリーンナップし、剣を構えるロシナンテ。
『ほう、どうやら貴公の機体もこの刃騎と同じと見える』
 頭部をはじめ装甲形状や背部ウェポンの差異、あとは武装の細々とした仕様違いが全体のシルエットを乱すが、見るものが見れば双方同じ機体であることはやはり分かるものらしい。
 刃騎を駆る武者もまた、刀を構えて奇縁に笑んだ。
 双方相手の機体のことは己のことのように知っておろう。
 ならば知らぬはそれを繰る仕手の技量のみ。機体性能の介在せぬ、単純にして明快な業の勝負。
 これに心躍らずして何の武者か。大尉の理想や良し。だが、この武者にあっては己を滾らせ磨き上げるであろう強者との死合こそが望んでやまぬものであった。
「私は人々の安寧の為に剣を執ります。故に敵は、加藤大尉の駆るオブリビオンマシンただ一機。それ以外を斬るつもりはありません」
『左様か。私はただ己の業を極める為に刀を振るおう。故に眼前に立つものは何人たりとも一切を斬って捨てるが恨んでくれるな』
 ――無論、己が斬られようともそれもまた一興。そしてその戦いの果てに、加藤大尉がよりよき皇洲を導くというならそれでよい。
 そんな武者の言葉にトリテレイアは覚悟を見た。
 武人として武に命を懸ける覚悟。そして、加藤大尉に己の道を委ね付き従う覚悟。
「見事ですが……私も負けるわけには参りません。押し通らせていただきます!」
 両者が同時に踏み込み、同時に振り抜いた刃が激突して火花を散らす。
 衝撃に押し返されるように一歩を退き、退いた一歩を取り戻す勢いで再度振るった刃を盾で防いで立ち位置を入れ替える。
 鏡写しの斬撃を幾重も重ねる中で、トリテレイアはしかしそれが正確に対照でないことを感知していた。
 ロシナンテⅣはどちらかというと重装型である。サブアームなど重い装備を背負い、機体内部にも多数の内蔵火器を隠し持つ。
 その分の重量増、そして駆動系の小型化が此処に至って僅かなりともロシナンテの挙動に影響を及ぼし始めたのだ。
「ですがこの程度の遅れは許容範囲!」
『それが命取りになるやもしれないぞッ!』
 敵の武者もこの機体には慣れたものか、ロシナンテが僅かに遅れていることを見抜いていた。いまは致命的な遅れではないが、幾合も打ち合う間に蓄積していくそれは、いつか決定的な瞬間を齎すであろう。
「徒に速度に恃まず、敵を誘い、撃たれる前に射線から外れ、死角に移動…理論は単純、実行は至難……」
 剣を振るう。――弾かれる。
 盾を構える。――崩される。
 両者ともに決定打を決めることが出来ぬままに、達人でなければ集中を乱しとうの昔に首を斬られていたであろうほどの時間を剣戟に費やしたトリテレイアは、好機をそこに見出した。
 一秒以下の遅れを蓄積したロシナンテが、ついに致命的な隙を生む瞬間。
 僅かに遅れながらも必死に追随するロシナンテに、武者が慣れたその一瞬を、トリテレイアは活路として抉じ開ける。
 遅れが故に空振りをした。
 空振りをしたから機体の姿勢が乱れ、倒れ込むように身を乗り出す。
 そのがら空きの背に武者は刃を振り下ろすだろう。
 ――が、トリテレイアは藻掻かず、逆に身を倒してスラスターを噴射。
 より深く踏み込みながら噴射姿勢制御で機体を反転させ立て直し、振り向きざまの一撃で振り下ろされた刃をかち上げ弾き飛ばす。
『な――ッ!』
「貴方の機体制御は見事でした。まさに肉体の延長としてその機体を操っていた」
 だが、これは義肢ではなく機動兵器であるのだ。
「機械の躯体には、一日の長があります故」
 敵機の盾を掴み、それを支点にさらに一回転。くるりと背後に回り込めば、その脇腹に刃をひたりと添えて。
『なるほど、人型に囚われすぎた私の負け、だな。言い訳のしようも無し』
 ――すっと引かれた刃が機体を両断し、アンダーフレームを切り取った。
 倒れ込む下半身の脇に、そっと無力化したコックピットとオーバーフレームを転がして、トリテレイアは城門を突破してゆく味方に続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
まさに愛国者達の宴でございますね♪
どのようなものであれ、覚悟の決まった人間というものは美しいものです
それに実力が伴うのであればなおさら素敵ですね☆
さぁ、この良き戦場を全力で楽しむことにいたしましょう。

乱戦ですと、大火力の発揮は味方を巻き込んでしまいそうですね
敵の本質は衝撃力でしょうから、あえて肉薄することでその長所を殺して差し上げましょう♪
序盤は遠距離から90式と95式で敵の機動を牽制し遠距離戦を志向しているように偽装
敵が攻撃を近接防御妖精と95式の弾幕からの突撃を意図したタイミングで92式の爆撃で突撃を妨害しながら零式を抜刀
敵攻撃の爆煙と92式の爆炎を引き裂く形で突入し切り捨てて差し上げます




 少年を模した人形は、くすくすと愉しげな声を洩らす。
 城門を死守するは憂国を掲げて刀を取った愛国者。
 城門を突破せんとするも泰平の日々を取り戻さんとする愛国者。
 どちらも同じ皇洲連邦という国を愛しているのに、その愛ゆえに一歩も譲らず刃を交える他に道はない。
「――まさに愛国者たちの宴でございますね♪」
 鼻歌交じりにステップを刻み、しかしてその靴底は地を踏まず空を蹴る。ふわりふわりと宙を舞う空色のメイド服に身を包んだ少年人形、ティーは両手に魔杖を携え眼下の武者を見下ろした。
「どのようなものであれ、覚悟の決まった人間というのは美しいものです」
 それが血に塗れ人の道を外れた行いであろうとも、一つの目標を果たすべく生涯の全てを捧ぐと決めた青年将校たちの行いを、ティーは美しいという。
 それは生まれながらに他者の手で造られ与えられた目的をもつ人形の身ゆえの感想であろうか。不確かですぐに移ろう人の精神性でここまでの覚悟を抱く彼らを、ティーは慈しむような微笑みで迎え、両の眼を細めて見つめている。
『貴様が同志達の報告にあった爆撃遣いか……! 見目は少女のようだが、油断はせぬ!』
「ああっ、素敵ですね☆ 相手が一見生身でも警戒を怠らない慎重さ、実力も伴っているならなおさらに素敵です♪」
 爛漫な笑みが一瞬、恐ろしげな――それでいてやはり少年の愛らしさを保っているのがなお怖ろしい――昏い笑顔に変わった。
 そうして、両手の魔杖を眼下の武者へと突きつける。
「市街地で、それにこうも乱戦ですと大火力は使いにくうございますね」
 これが敵性国家への侵攻であれば、あるいは下に大将軍葵旭陽を守る猟兵部隊がいなければ、帝都ごと火の海に変えるような大規模爆撃術式の投下でスマートに決着も出来ただろうが、今回はそうもいかない。守るべきものごと焼き払うのはティーも望むところではないのだ。
「まあいいでしょう、敵の本質は衝撃力でしょうから――それを殺す手段はいくらでもございます♪」
 刃騎の背負ったミサイルコンテナが開き、無数の対空誘導弾が空に放出されたのと、ティーが携えた95式魔杖からの誘導魔法弾の多重展開はほぼ同時。帝都の空を守護するミサイルのカーテンが、ティーの撃ち下ろした誘導弾術式で迎撃され空に炎の壁を描き出す。
 それを貫いて、ティーが追撃で放った90式魔杖のピンポイント爆破術式が地表へ落ちる。
 刃騎へ着弾――間一髪盾を犠牲にこれを防いだパイロットは、拉げて溶融した盾の残骸を投棄して帝都城門付近の民間居住区に機体を進ませ、ミサイルの第二波を放つ。
『決起の成るまで外道を征くと決めた! 町並みを盾にしたと糾弾されようと、俺は退かぬ!』
 実際には決起軍の手で戦闘予想区域から住民は退去させられている。ここに民間人は居ないが、それを猟兵や臨時政府軍が知るのはまだもう少し先のことであろう。
 居るかもしれない民間人という虚像の盾を造り上げ、誤爆を避けたくば攻勢を緩めねばならないぞと圧を掛ける武者に対して、ティーは彼が己の術中に嵌ったことを確信した。
「あは☆ そうして撃てないよう盾に取るということは、こちらの得意が射撃戦だと思って下さったんですね♪」
 ミサイル第二波を殲滅し、しかし爆撃を躊躇するように90式魔杖を手放す少年人形に武者もまた己の策が通じたと確信して刀を抜く。
 路面を踏み込み、バーニアの噴射炎で雪を溶かし壁を焦がして跳躍。ティーの放った95式魔杖の誘導魔法弾を最精鋭の名に恥じぬ機動で回避し、さらに邀撃の為飛来した近接防御妖精が弾幕を形成する前にその刃で斬り捨てて、頭上の少年人形と同じ高さまで一息に駆け上り――
『その首、』
「――貰いますね♪」
 膨大な魔力を秘めたまま破壊された近接防御妖精らの魔力爆発を切り裂いて、機甲巨人の武者が刀を振るう。
 その刃を真っ向から、ティーが90式に代わって掴んだ短杖――零式が生成した魔力刃が引き裂いた。
 薄く鋭い刃が剥離するように二つに分かたれ、刀身と脱落してゆく断片の隙間を潜るようにさらに距離を詰める奉仕人形。
 獰猛な笑みを貼り付けて、それが刃をもう一度振るえば、幾重も爆炎花咲いた空に最後に一つ、大きな炎が開いて墜ちた。
「さて次は……と、もう粗方片付いてしまいましたね☆」
 一機を墜として見回せば、城門を守る警衛師団はもはや死に体。
 防衛戦力たるキャバリアを欠けば、損傷した城門を突破することなど濡れた薄紙を破るより易いだろう。
「仕方ありません、続きはオブリビオンマシン相手にいたしましょうね」
 少しだけつまらなそうに呟いて、ティーは高度を落として味方部隊と合流するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『輝光神機『ロクシアス』』

POW   :    BSプラズマライフル『黄金の矢』
【プラズマライフルのレーザーサイト 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【プラズマ化した超高熱熱線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    高速戦闘演算機構『予言の神』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【BSプラズマライフル 】から【相手の回避行動を読み切った超連続射撃攻撃】を放つ。
WIZ   :    対人虐殺機構『疫病の矢』
自身の【機体全身 】から【疫病ウィルス型ナノマシン】を放出し、戦場内全ての【キャバリアに乗らない生身での戦闘行動】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 帝都城天守は雪化粧に彩られ、皇洲一の名城に相応しき姿で佇んでいる。
 それを背に立つ、日輪一角単眼の鬼。金色の鎧を陽光に眩く輝かせるは決起軍旗機たるオブリビオンマシン、輝鋼である。
 即ちその開放されたコックピットハッチに添えた左手の上、片膝をついて頭を垂れるは決起軍の首魁、帝都警衛師団第二大隊長である加藤紀靖大尉に相違なかろうと猟兵らは確信した。
 その正面、刀を地に突き立て反乱の首謀者を睥睨するは紫紺の武者。
 皇洲連邦元帥府大将軍葵旭陽もまた、乗機のコックピットを開き生身で加藤と相対す。
 父の仇である。今すぐにでも輝鋼の上に飛び移り、加藤を斬って捨てたくもなろう。だが旭陽は大将軍、敵といえども私情で人を斬れぬ立場となっていた。
 奇妙な、それでいて悼ましい沈黙を破ったのは、旭陽であった。怒りと憎しみと悲しみのないまぜになった表情を凛と将軍のそれに変えて、自らの立場を確認するように一語々々を噛み締めながら、言葉を紡ぐ。
「加藤大尉、面を上げることを許します」
『はっ。此度は葵旭陽大将軍殿下に拝謁の栄誉を賜り恐悦至極であります』
「父を……ッ、いえ。恨み言を言うときでも、世辞を聞く場面でもありません。単刀直入に問います。何故に貴様はこのような反乱を企てたのですか」
 加藤は顔を上げ、まっすぐに旭陽を見つめ返して口を開いた。
『此度の決起、全ては皇洲に溜まった膿を出しきるためのものであります』
 加藤大尉の曰く。
 決起軍が誅すべしと掲げて討った官僚公家貴族の腐敗、勅命を偽り、あるいは地方の武家と癒着し悪政を看過することで私腹を肥やし、またその訴えが大将軍や皇帝に届かぬよう封殺していた行いは皇洲の惨状の一端に過ぎぬ。
 ひとつは軍部の暴走。下ノ瀬将軍、藤堂永戸守宗親中将の人民平等会議領への派兵をはじめ、先代大将軍が為した国内和平に不満を抱く、あるいは闘争にこそ武家貴族の本質を見出した者たちの不穏な動き。
 ひとつは国外勢力の蠢動。地方武家や一部の元帥府直轄軍――特に下ノ瀬鎮台など――は、装備の調達や練兵のオブザーバーとして他国軍との結びつきを持ち始めている。
 軍事国家である皇洲の内政にまで彼らが影響力を持ち始めるのも時間の問題であろうと加藤は語った。
 国外勢力の台頭――旭陽と猟兵たちの脳裏に、ジェンキンス率いる経済連合軍の姿が過ぎった。
 上月中将が先んじて葦原鎮台の依頼としたことで彼らは臨時政府雇いの傭兵となったが、中将の対応が後手に回っていたならば彼らは経済連合軍の”善意の"味方部隊として、臨時政府に与しつつもその指揮下に収まることなく戦線を展開しただろう。
 善意の介入が齎す恩を、あの商人たちは高値で売りつけるはずだ。
 治安維持にかこつけた経済連合軍の進駐や反乱で消耗した連邦軍への装備供給を盾に、人民平等会議に対する"極東第二戦線"として皇洲を利用する。
 そんな想像があながち妄想と切って捨てられぬほど、加藤の言葉には説得力があった。
『何より此処で我等が起たねば、連中の息のかかった者共が皇洲の為を謳い、経済連合の欲深き者共の為に反乱を起こさんと画策したのを阻止し得なかったのであります』
 経済連合と結託した武家。武家と癒着した元老院。
 この繋がりを用い、連邦の水面下で蠢いていた陰謀。
 元老院と武家の悪政に不満を抱く民衆に、"何者か"が武器を供与して大規模な反乱を煽る。
 武家と元老院は元帥府直轄軍と藩軍では鎮圧できぬと経済連合軍を引き込み、彼らは不満分子の屍の上に属国皇洲連邦を構築する。
 その最悪を避けるために、民の不満の代弁者として、しかし賛同はできぬ外道逆賊として、帝都のみの動乱で片を付けるべくして加藤らは決起したのだ、と。
「そこまで……そこまで調べ、知っていたならば。ならば何故血を流すことでしか解決できなかったのですか!! 元老院議員たちを逮捕して悪政を敷く武家共々償わせることも、父と貴方が再び肩を並べて皇洲の未来の為剣を取ることももう叶わない!! 何故ですか、加藤紀靖!!」
『……それしかないと、自分が判断したのです。我らが同志にも彼奴らの手が伸び始めておりました故。……旭陽君、いいえ大将軍殿下、自分が調べ上げた国外勢力跋扈の調査結果を信頼できる部下に預けてあります。自分が逆賊として処断されたならば、時の大将軍殿下に渡すよう伝えております。自分は首謀者、死して陛下や殿下、浄土の天道将軍に詫びましょう。ですが同志、部下には何卒寛大な処遇をお願い致します』
 故に、決起はここで終わりだ。
 涙を流し、国を憂いて道を違えた男を悲しむ旭陽の前で、加藤は立ち上がった。
『全軍に告げる。ただちに武装解除し、葦原臨時政府軍に投降せよ――』

 加藤大尉からの通信で、臨時政府軍の橋頭堡を攻める決起軍は銃を捨て、刃を下ろして降伏した。
 皇洲の年明けを脅かした加藤の乱が終結したことに、上月中将はほぅ、と息を吐く。
「全軍、決起軍機から武者を出して拘束せよ。叛徒とはいえ皇帝陛下の臣、以降の戦闘、狼藉は一切認めぬ」
 葦原軍の武者たちが決起軍の兵を捕らえ、彼らも抵抗せずそれに従う。
 帝都の騒乱は急速に沈静化して―――
「我、反乱軍機より攻撃を受く!! 応戦許可を! 応戦許可を!!」
 安堵する者たちの胸中を引き裂く銃声。
 あれは、経済連合軍の担当戦区からではなかろうか。
「ならぬ! 加藤に繋ぎ決起軍将兵に鎮圧させよ! 経済連合軍は葦原まで後退……」
「応戦を許可します。敵対勢力を排除せよ。繰り返す、敵対勢力を排除せよ。全機武装使用自由!」
「ジェンキンス、貴様ッ!!」
 割り込んだ声に中将が額に青筋を浮かべて噛み付いた。が、当のジェンキンスは涼しい声音で反論する。
「いいですか上月中将、撃たれてるのはウチのスタッフだ。私は責任者として、他国の為に殉死しろなんて命令は下せない!」
「雇い主は私だぞ!!」
「お話にならないな。反乱軍は卑怯な騙し討ちで我々に牙を剥いた。かくなる上は首謀者を討ち取り戦意を瓦解させる他にない。各隊は抵抗する戦力を殲滅して帝都城に突入、加藤を排除せよ!」
 葦原軍の静止を振り切り、経済連合軍のキャバリアが――まるではじめから突入を企図していたかのような鮮やかな機動で銃火と誤報が飛び交い混乱する両軍の間隙を縫って帝都城の石垣を飛び越える。

『何をやっている! ただちに武装解除し投降するんだ――ぐうっ!!』
 通信機を握りしめて叫ぶ加藤の機体を、どこからか放たれた狙撃が掠めた。
『同志たちにも既に連中のシンパが紛れていたか…………経済連合、そうまでして皇洲が欲しいか!』
「妄想は程々にしてくださいよ、全く。大将軍殿下、オブリビオンマシンに飲まれた狂人の戯言に付き合う必要はありません。イェーガー諸君も、オブリビオンマシンは討つ。それが君たちの役目、そうでしょう?」
 硝煙くゆるスナイパーライフルを携え城内に乱入したジェンキンスのステルスキャバリアに続き、経済連合部隊が次々と猟兵らの前に展開する。
「将軍殿下、退がってくれよ。俺達は傭兵だが、これはもう俺達の戦争だ。それにアンタに死なれるわけにゃいかない。クライアントとの仲を取り持ってもらわなきゃなりませんからね。なぁ、依頼人に喧嘩吹っかけて飛び出した我らが課長!」
 卑劣な騙し討ち――その正体はどうあれ、彼らは投降した決起軍から攻撃を受け犠牲を出した――に憤る傭兵たちが、旭陽に有無を言わさず彼女の機体を確保して後退させる。
『口封じ、か。かくなる上は逆賊として討たれるまでに皇洲を蝕む害虫を一匹でも多く排するのみ!』
『聞こえているか、聞いてくれるか猟兵よ。せめて最後は君たちの手で討たれたい。旭陽君が信じた君たちの手で、だ。そして私の最後の言葉を彼女に持ち帰ってほしい。皇洲を、皇帝陛下を、旭陽君自身を彼奴らの手から護るために』
 金色の武者が駆け、光芒が奔る。
 数多の爆発に命が消える。
 停戦は破られた。猟兵は反乱に穏やかな結末など望めぬとつきつけられ、愛国心と忠義がゆえに全ての咎を背負い国家の病巣を排除せんと戦った男をせめて彼の望む結末に導くべく戦場に飛び込んでゆく。
ニィエン・バハムート
はぁ…まずは決着をつけましょうか。
この世界の人間の内ゲバはこの世界の人間の問題ですの。だから私は、オブリビオンの力を借りるとどういう末路を迎えることになるのかを猟兵としてこの世界に刻み込んであげますわ。

端末解放、【封印を解く】。真の姿に。島よりも巨大な竜王(大鯰)が【空中浮遊】し戦場の上に鎮座します。
敵の攻撃はそもそも回避しません。UCの効果、UCの効果を抜けて来られてもサイズ差と【激痛耐性】で受けて耐えます。

敵が速くとも条件を満たした者の内部から発生する攻撃であれば当たるはず…!

戦闘が終わったらまだ小競り合いを続ける連中にこの巨体での【踏みつけ】を示唆します。

…深い意味はないですけれども。


チトセ・シロガネ
これは傭兵としてお行儀がよくないネ。
外野は少しおとなしくしてもらおうネ。

カトーの願いからUC【フォクシィ・オーダー】を発動、カトーから放たれる弾幕を瞬間思考力で計算し、オーラ防御を纏った刃を早業で振り抜き弾き返す。弾く先は……攻撃をし続ける味方機。
絶妙な角度でコックピットを外しつつ沈黙させる。
この女、狙いはカトーの火力を利用して両軍の戦力を削いでしまうコトである。

なのでカトーを追いつつ、味方を守る振りをして敵味方問わず「流れ弾」で撃墜させていく。

狙撃を仕掛けるジェンキンスにも牽制で流れ弾を掠らせ、抗議の通信が来たら「ソーリー、カトーは強敵ネ」と笑いながらもう一発流れ弾でライフルを破壊しておく。




「はぁ……この期に及んでまだ内ゲバですの……?」
 やれやれと頭を振ってニィエンはため息を吐く。ようやく旭陽と加藤の間で停戦が成ろうとしていたのだ。それが水泡に帰し、武装解除に応じなかった決起軍一部部隊の蛮行に対して報復を掲げた経済連合軍部隊が過剰な武力を投じている。
 投降した非武装の決起軍機まで巻き添えで討たれている事に思うところはある。が、外様である自分が何かを言ったところでもはやこれを止める術たり得ないだろう。
「この世界の人間の問題ですものね。だから私がすべきことは、決着をつけること。オブリビオンの力を借りるというのがどういう末路を迎えることになるのかを刻み込んであげますわ」
 少女はその身に潜む世界魚の意志を、かの者の端末としての己を解き放つ。
 麗しき竜王女の姿を脱ぎ捨て、その存在が膨れ上がる。質量保存の法則を真っ向から殴り飛ばすような暴力的な拡大、その果てに出現するは巨大な竜王――四肢に一対の角と翼を備えた巨大な鯰である。
 ぎょろりと飛び出した眼は天を見据えながらも地を睥睨す。地上で交戦する決起軍と経済連合軍、そして戦闘を停止させようと奔走する葦原軍の姿も、ジェンキンス率いる部隊を迎え撃ち数の不利を欠片も感じさせずこれを殲滅せしむる鬼神の如き加藤の戦いぶりも、すべてを竜王は見下ろしていた。
 突如このようなモノが帝都城上空に出現したのだ。面食らったのはなにも帝都城で戦う加藤と経済連合軍だけではない。
 帝都各所で交戦中の部隊も戦の手を止め、頭上に現れた怪物に目を奪われた。
 最初に動いたのは上月中将麾下の葦原軍だ。いち早くあれが猟兵による何らかの召喚術であると読んだ中将の統制によって、停戦命令を無視して交戦を続ける決起軍部隊を拘束せんと彼らに飛びかかる。
 次いで動き出したのは決起軍――正確にはその中に潜り込んだ何処かの工作員。彼らはこの千載一遇の好機に身を隠そうとし、混乱する戦場から撤退を試みる。
 最後に経済連合部隊と加藤に従おうとしたものの、工作員の手によって戦闘状態に引きずり込まれた大多数の決起軍のうちの一部がこの奇妙な沈黙を契機に戦闘を中断し、それでも止まらなかった、止まれなかった者たちは正体不明の巨大生物に恐慌しその銃火を天へと向けた。
「――この姿になってしまえば、鉄騎の砲も砂粒が当たるようなものですわね」
 両軍の主力装備たる短機関銃や突撃銃の、良くて二、三〇粍程度の小口径弾ではいささかの痛痒も感じはしない。
 稀に飛来するロケット弾や大口径の対キャバリア狙撃ライフルが放つ徹甲弾は分厚い皮膚と筋組織に損傷を与え、痛みをニィエンに刻みつけるが、それすら彼女は一切効いておらぬように耐えてみせた。
 そして肝心要の加藤は頭上の竜王に面食らいこそしたものの、それを理由に立ち止まることを状況が許さなかった。
 ――ジェンキンスがこれに喰らいついたのである。
 経済連合の中でも相当の腕利きであるジェンキンスを相手に、加藤は激しい戦いを繰り広げている。
 両者一歩も劣らず。経済連合部隊の支援を受けるジェンキンスが優位か。だが、ニィエンはこのままジェンキンスに勝たれては困るが故に手を出せない。
「ユー達、傭兵としてお行儀が良くないネ。外野なんだからサ、ちょっとおとなしくしてなヨ」
 その状況をひっくり返すべく飛び込んだのは、経済連合に雇われていた下請け傭兵――チトセである。
「ま、アタシは外野の外野だケド……お給料分は雇い主の為に働くヨ」
 言うやいなや戦闘の渦中に飛び込む蒼銀の女。
「ハァイ、カトー。ゴメンだケド、さっきの願いよく聞こえなかったんだよネ。もう一回言ってヨ、アタシらに何をしてほしいか」
『……私の首級を経済連合共に渡さぬためにも、君たちの手で私を討てと言った!』
 金色武者の右腕ランチャーから放たれたプラズマビームの速射が正確無比に経済連合軍機のコックピットを襲う。
「――オーケー! そのリクエスト、全力で任せるし!」
 これに割って入ったチトセは、手にした光の刃でプラズマビームを弾いて逸らす。
 これ以上死なせれば、ジェンキンスの――経済連合の陰謀家たちの息の掛かっていない傭兵まで連邦に要らぬ恨みを抱くだろう。
 オブリビオンマシンの齎す生者殺すべしの呪縛故か、軍人として最高効率での目標達成を望むがゆえか、あるいは経済連合への恨みがそれほどまでか。ともかく殺すことに容赦のない加藤の攻撃から経済連合の兵を護りつつ、チトセは巧みに"流れ弾"を生み出し経済連合軍機の武装を破壊し、彼らの攻撃力を削いでゆく。
「ミス・シロガネ、もう少し考えて受け流してもらえませんかね!」
「ソーリーソーリー! でもそんな余裕のない相手だって、ユー達もぶっちゃけわかるっしょ!?」
 さらに弾いたプラズマが狙撃ライフルを撃ち抜き、ジェンキンス機が主兵装を喪い僅かに退いた。
 ここだ――と、上空で見定めていたニィエンは機を見極めた。
 チトセの奮闘で経済連合の戦闘力は低下し、加藤との距離も開いている。今しかない。
「審判は終わりました。竜王の裁きを下しますわ……バハムート・ジャッジメント!」
 地が揺れた。加藤は立って居られぬ程の大地震に機体の膝を付かさざるをえなかった。
『ぐっ、このようなときに……殿下は、帝都は無事なのか……ッ!』
 だが、激しく揺さぶられるコックピットから見る外界は全くの平穏であった。否、戦闘音は聞こえる。頭上の巨竜を撃つ砲声は絶えていないが、それを除けばこれほどの大地震が嘘のように静かで、そして屋根瓦から雪の一欠片も落ちておらぬ。
『これは、私だけが揺らされているのか……!?』
 加藤の認識は正しく、しかし正確ではない。揺れているのは加藤だけでなく、決起軍に潜り込み、同志を目眩ましに逃げ延びようとした工作員たちや経済連合軍のうち未だ損害軽微で立て直そうとしていたジェンキンス直属部隊もまた、機体を停止させ振動に耐えていた。――ニィエンの裁き、世界の敵たるを揺らすそれを受ける者たちが居る。
「何が敵で、どこまでが敵かこれではっきりしましたわね。そろそろ降りますけれど、そんなところでまだ戦ってましたら間違いが起きてしまいますわよ?」
 上月中将に動きを止めた機体こそが真の敵であると囁きながら帝都に降りてゆく巨竜。
 一方でチトセもジェンキンスらが猟兵のユーベルコードを受け行動を麻痺させたのを見て、ふぅんと頷き戦場から離脱していく。
「全部が全部ジェンキンスの手下じゃないワケネ。じゃあアタシも街に出て、悪い傭兵を捕まえてこようかナ」
 ニィエンによって識別された、この戦火を拡大させようとしたもの、そしてオブリビオンに囚われたもの。
 悪意が可視化された戦闘は、決着に向けて動き出す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティー・アラベリア
方や大義に、方や利益に、カタチは違えども譲れぬものに殉ずるヒトというものは尊いものです
ただ、直接的にしろ、間接的にしろ、その手段にオブリビオンマシンを使うというのは美しくありませんね。興ざめも甚だしい
指揮通信機構を使用し猟兵のみに警報を発し、浄化翼を展開
周囲に展開する通常キャバリアとナノマシンを無力化し、猟兵のみが活動しうる戦場を形成
爾後、最大出力の90式で敵の高脅威部位を徹底的に破砕致します
パイロットですか?助けるにしろ殺めるにしろ、他の猟兵の皆様にお任せいたします
奉仕人形として、皆様の意図を実現する道具に徹しましょう
邪魔立てするものがあれば、僕自身と対人同化妖精で排除させていただきますね♪


荒谷・つかさ
そうね。ここは私達に任せて他の鎮圧を。
……大将軍殿下、中将殿。
そちらを、よろしく頼みます。

【黄昏の鉄巨神】発動
そのまま『黄昏を灼く焔の巨剣(レーヴァテイン)』をフルドライブさせ、真っ向から斬り込む
照準から逃れられる程の機動性は合体しようと持ちえない
故に熱線は焔の魔剣で切り裂き散らしダメージ覚悟で重装甲で受ける
その勢いのまま、袈裟切りにして一刀両断を狙う

そして可能であれば、加藤を秘密裏に救助し旭陽らに引き渡す

マシンを討った以上、猟兵としての役目は果たしたわ。
私は最初の陛下からの……『臣下を守って欲しい』という依頼をこなしただけ。
後は、貴方の愛した国の為に為すべきことをなさい。




「これで敵味方ははっきりした、か。中将殿、大将軍殿下はそちらに着いたかしら。市街はよろしく頼みます」
 スルトの拳を握り締め、つかさが戦場に踏み出した頃、地震によって一時的に戦闘機能を麻痺させた加藤とジェンキンス隊も体勢を立て直しつつあった。
「片や大義に、片や利益に、カタチは違えども譲れぬものに殉ずるヒトというものは尊いものです」
 戦闘を継続しようとする両者を見て、スルトの隣を歩くティーは楽しげであった。が、その笑みがすぅっと引いたかと思うと金色の武者を冷たい瞳が睨み据える。
「ただ、直接的にしろ――」
 次いで、ジェンキンスの機体をその視線が捉えた。
「間接的にしろ、その手段にオブリビオンマシンを使うというのは美しくありませんね、興ざめも甚だしい」
 これが両軍ともに正規のキャバリアのみを用いた戦いであれば、ティーはこれを大いに称賛して早期決着のために最大限派手な手法で尽力しただろう。
 だがオブリビオンマシンが絡むのは、駄目だ。死んだものの怨念が僅かであろうと混じったことで加藤の大義は濁り、そしてそんなものをこの愛国心と主君への忠義に溢れた青年将校が自ら引っ張り出すと思えない以上、彼がこの機体を使わざるを得ない状況に仕向けた者たちが居る。
 それが気に入らない。故に、迅速に、無情に、感慨なく終わらせる。
「荒谷様、貴女の目的達成までに何秒必要でしょうか?」
「三十秒。加藤とあのオブリビオンマシンは強敵よ、地震で立ち止まってるならまだしも、動き出したなら一撃入れるのが限界ね」
 承知しました、と喉を鳴らして、少年人形はくるりと振り返る。
「さぁさぁ皆様、此処から先は僕らの役目でございます♪ 観戦は自由ですけれど、踏み込むならば…………無事は保証いたしません☆」
 ニコリと笑う少年人形の、その人好きのする笑顔に、経済連合本国より密命を受けジェンキンス隊に参加した工作員たちですら得も言われぬ怖気を感じたという。
 そうして少年が背から翼を、七色に輝く羽衣のようなそれを広げて戦場を囲えば、迂闊にその領域に踏み込もうとした経済連合キャバリアが突如動力を喪失して倒れ込む。
「だから言いましたのに」
 次いでどこからか放たれた砲弾が光の膜に突っ込み、砂粒のように磨り潰されて消滅した。
「邪魔立ては無用でございますよ、猟兵の皆様、少なくとも荒谷様の意図するところが完遂されるまでここから三十秒、邪魔立てするものがあれば僕が容赦を致しません」
 ふわりとスカートを摘んでのカーテシー。その裾から飛び出した妖精たちが、狙撃手の潜む方角へと殺到する。
「――ポイントに潜伏していたデルタ09との通信が途絶しました。課長、リチャードはおそらく……」
「殉職、でしょうね。良いでしょうリトルボーイ、君が満足するまで我々はここで待ちます」
「あは☆ 賢明な判断、感謝いたします♪」
 隠しておいた狙撃手を殺された今、面と向かって猟兵を排除する大義が彼らにはない。
 膠着を作り出したティーの背後で、つかさも動き始めていた。
「レーヴァテインユニット、接続……完了! KFG零型オーバードライブ!」
「……黄昏の鉄巨神、見参ッ!!」
 巨大な剣とそれを扱うための追加装備を合体させ、一回り巨大でよりヒロイックな姿となったスルトが輝鋼と対峙する。
『それが君の機体の真の姿というわけか。相手にとって不足はない。武士の名誉を慮ってくれたこと、感謝する』
「別に、それだけというわけでもないわ。皇帝陛下の最初の依頼をこなすために、私にはレーヴァテインが必要だと思ったのよ。それに――」
 死ぬつもりで手を抜かれるの、気持ちが悪いじゃない。
 つかさが戦士の眼差しを向ければ、加藤はいかにもと苦笑する。
「ティー君、此処での会話、外には漏れないのよね?」
 勿論でございます、抜かりなく。と返事があれば、つかさはひとつ溜息を吐いて。
「貴方には貴方の愛した国の為、まだまだやってもらう事があるはずよ。私が勝ったら、生きて大将軍殿下と皇帝陛下のために戦いなさい」
『――勝たねばならぬ理由が出来てしまったな。この血に塗れた手で、どうして今更陛下や殿下の下に戻れようか。加藤紀靖は此処で死すべき男なのだ。だから君に敗れるわけにはいかないな』
 両者が同時に動き出す。
 先手を取ったのは間合いで勝る加藤であった。照準をひたりとスルトの頭に合わせてプラズマを照射。これをつかさは避けず、レーヴァテイン……炎の魔剣で切り払う。
「もとより貴方の攻撃を躱せるだけの機動性なんて持ち得ない」
『ならば防ぐと、それが出来るというのか』
 連続照射されたプラズマが炎剣のそれと干渉しあって拡散する。
 解けるように幾条にも散ったそれは、衰えこそすれ十分な威力。それを追加装甲で受け止め、耐えきれるうちにつかさはスルトを駆け抜けさせる。
 距離が縮まる程に減衰していない熱量を浴びてスルトが悲鳴を上げ、それは合身しているつかさにもダメージを伝播させる。全身が骨に至るまで炭になりそうな焦熱の痛みを食いしばり、つかさが振るう魔剣が――

『言ったはずだ、殺さじを掲げた君に負けるわけにはいかない。私は死なねばならない男なのだ』
「浅かった、か。殺す気だったら届いたかしら?」
 ああと頷いて、金色の装甲に袈裟の傷を刻まれた男は剣を握る右腕を焼き切られ吹き飛ばされた巨神を虹色の膜で覆われた戦場の外へと放り出す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
L
「そんなっ、降伏した相手と戦うことになるなんて……
なんとか説得を……ミスランディア、通信回線を開いてください!」
『無理じゃよ。セレーネは初めてじゃろうが、わしは、こういう戦場を何度も見てきた。先代と共にな』

仕方ありません。
狙撃用ライフルで敵機を攻撃です!

『……今のセレーネには、あの敵に攻撃を命中させるのは無理じゃな。
仕方あるまい。スティンガーの制御、わしがもらうぞ』

「そんなっ、機体のコントロールが効きませんっ!?
ミスランディア、何をっ!?」

『セレーネの手を汚させるような任務ではなくなったということじゃ。
征くぞ、オーバーブースト・マキシマイザー!
この全弾をもって、忠義の元逝くがよい!』


アリシア・マクリントック
こういう政治の話はどこにでもあるのですね……残念なことです。

余力があれば一騎討ちを挑むのですが機体の消耗が激しいですね。なにか……そうです!マリアとの合体機能があったのならきっとシュンバーにも……!
ありました!いきますよシュンバー!名付けてティターニアアーマー・ガンナー!

私は前線から少し距離を置いて、体を伏せて待機しましょう。できれば軽めの斜面があると良いのですけれど。すみませんがマリアは敵の偵察をお願いします。「視る」だけで十分です。他はマリアの判断に任せます。
マリアからの観測データがきたら射撃開始です!この姿勢なら機体への負担は少ないはず。
せめて、「愛国者」の戦いを邪魔させないために――




 猟兵たちの手によって、決起軍に紛れた工作員たちは炙り出された。
 葦原軍の、そして停戦に応じた決起軍の面々は工作員にのみその標的を絞ったが、しかし経済連合の大多数の将兵にとっては決起軍青年将校団の素性がどうだというのは関心の外の事柄であった。
 それが自国――彼らにとっては本社、あるいは本部と呼ぶべきか――が忍ばせた、盛大なマッチポンプが故であろうとも。決起軍を騙る者の手で戦友が討たれ、故郷に埋める骨の一欠すら残さず死したことは紛れもない事実。
 その怒りが、経済連合の傭兵たちを決起軍討伐に駆り立てた。
「そんなっ、降伏した相手と戦うことになるなんて……!」
 セレーネが眼前で繰り広げられる光景に狼狽える。どうして、何故。決起軍は加藤の命令で一度は武器を収めたのではなかったか。加藤の告発で経済連合がこの内紛の火種を蒔いたと糾弾する者もいるが、猟兵たちの中でもジェンキンスと近い立ち位置で参戦していたセレーネはそれを信じられない、信じたくないと拒む。
 両親のことを悼み、力になると言ってくれたジェンキンスが、非道な陰謀に加担してこの状況を招いたなどと、十四の少女が認めるにはあまりに残酷過ぎる。
「と、とにかく此処はなんとか説得を……ミスランディア、回線を開いて下さい!」
 旗艦の指揮を取るAIに呼びかければ、いつだってセレーネの望みに応えてくれた友からの答えは否であった。
「――無理じゃよ、セレーネは初めてじゃろうが、わしは先代とともにこういう戦場を何度も見てきた」
 今の戦場は完全に仕立て上げられたものだ。投降しない決起軍という幻像を殲滅するべく引き金を引き続ける経済連合軍は、煽られた怒りによって葦原臨時政府の統制を完全に逸脱している。
 この状況を止めるには、加藤を討って終戦を宣言するしか無い。だがミスランディアは、今のセレーネにはそれも難しかろうと見ている。これが不要な戦闘を煽った工作員が相手であれば、あるいは。だが加藤は一度は投降を受け容れた身、今こそ経済連合に加藤討伐の功を与えてはならぬと、半ば自裁する形で猟兵と矛を交えているが――セレーネは彼を敵とは見做せまい。
「仕方あるまい。スティンガーの制御、わしがもらうぞ」
「そんな! ミスランディア、何を!? 機体のコントロールが……効きません! これじゃ戦えない……ッ」
 もはや戦いではない、と。忠義者を、その忠義が故に処さねばならぬなら、その汚れ仕事を担うのは自分であるべきだとミスランディアはそう判断したのだ。
「いいえ、セレーネさん……の、お付きの方でしょうか。ミスランディアさんとおっしゃいましたね。セレーネさんはあなたが手を汚すことも望まないでしょう。違いますか?」
 スティンガーと並ぶはアリシアのティターニアアーマー。その問いかけに、セレーネは首肯しミスランディアは黙り込む。
「こういう政治の話はどこにでもあることです。残念ですが」
 アリシアとて貴族である。そのような政治の暗部に好んで首を突っ込む趣味はないが、そういう世界があるということはきっとただの少女の数倍以上に理解していよう。
 故に、円満な解決は加藤の望みを叶え、猟兵が――あるいは本人の感情を無視するならば、大将軍葵旭陽が――彼を討つことでしか得られない事を理解していた。
 それはいい。もはやこの状況で、加藤を生かすためにより多くの犠牲を見逃すつもりは、アリシアにはない。
 だがその、本人も望む最小の犠牲のために誰かが不必要に傷つく事を、アリシア・マクリントックは認めない。
「誰かが手を汚す必要はあるでしょう。私とて統治者の端くれ、余力が在れば私がその役を担うことも吝かではありませんでしたが――」
 残念だがその余力はない。警衛師団との戦いで消耗したティターニアアーマーでは加藤を倒し切ることは出来ないだろう。
「それも難しそうです。ですから私達は此処で、誰も傷つかないよう戦うのです」
 ティターニアアーマーの傍らで、シルバーアーマーを鎧ったシュンバーとロボアーマーを纏うマリアが静かに鳴いた。
「誰も傷つかないように……」
 ええ、とアリシアは頷く。
「そしてこれこそそのための新たな力! 行きますよシュンバー!」
 ロボアーマーがそう在ったように、シルバーアーマーもその身を分解してティターニアを覆う武具と成る。
 ロボアーマーが高機動近接型であるならば、シルバーアーマーを纏ったティターニアは重装砲戦型と呼ぶが相応しかろう。蹄の脚が可変した砲が両肩から突き出す姿は勇壮であった。
「名付けてティターニアアーマー・ガンナー! この機体とあなた達の機体で、加藤大尉と経済連合の双方を牽制するんです!」
 私達ならばそれが出来る、と。マリアを戦場に遣り、彼女からの観測情報をもとに二機は砲を構える。
 地に伏せたキャバリア二機の攻撃は、光の膜が消えると同時加藤に一斉攻撃を加えようと機動する経済連合の脚を止め、しかしそこを撃ち抜こうとした輝鋼を射撃位置から追い立てる。
「せめて愛国者の戦いを邪魔させはしません……!」
「加藤大尉が忠義のもと逝けるように……誰か、私達がジェンキンス課長達を抑え込んでいる間に!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

東雲・一朗
▷アドリブ歓迎

▷服装と武装
帝都軍人の少佐軍服。
桜花壱式に搭乗。

▷軍人
加藤大尉…貴官の想い、同じ大隊長として確かに受け取った。
ゆえに私は今こそ1人の猟兵、祖国の軍人に戻ろう…『現地協力者に如何なる犠牲が出ようと、最大効率の戦術で敵を討つ』男に。
【戦闘知識】から最適な【団体行動】策を【瞬間思考力】で練り上げ【戦術指揮】能力を駆使して『傭兵らをデコイ、盾として利用しながら自機は無傷で接近する』立ち回りで【切り込み】、普段は守りに回す霊力全てを【破魔・浄化】の力として二刀に込め、確実に自身か猟兵がトドメを討てる機を【見切り】【桜花封神】を放つ。
「大尉、それでも貴官は彼女らと共に在るべきなのだ」


ヴィクター・ホリディ
アドリブ連携歓迎・L

最小の犠牲で最大の報酬
さすが経連、やり方はどうであれ上手くやる
…そう思惑通りにはいかせんさ

■方針
自機に搭乗

【援護射撃/制圧射撃/戦闘知識】で方々援護しつつ
輝鋼の【情報収集】を開始

情報収集が終わるまで【継戦能力/覚悟】で耐え続ける
情報収集の完了にあわせ、ショットガンで【制圧射撃】しつつ
【推進移動/限界突破】で全力吶喊

UCとダインスレイフを発動
機体、そして拳そのものを弾丸とし
【重量/貫通攻撃/部位破壊】で輝鋼の戦闘不能を狙う

伝えてくれ、だったか?
死にたがりの患者のお願いは聞かない事にしててね
悪いが自分の口で伝えてくれ
それとも経連の思惑通りに、ここで犬死にするのがお望みかい?




「やれやれ、最小の犠牲で最大の報酬ってか。さすが経連、やり方はどうあれ上手くやるもんだ」
 経済連合軍の動きを見極め、ヴィクターはぼやく。
 本国の本格介入の前哨として、ジェンキンスらアドバンスド・オーダー外交三課は実に狡猾に立ち回っている。
 見るに、この厄介な政治戦略を認識しているのは決起軍に潜り込んだ工作員とジェンキンス直属のごく少数で、ほかは正真正銘の傭兵か、あるいは海千山千のヴィクターをして本性を見抜けぬほど誰も彼もが筋金入りのスパイ・マスターかだろう。
「なまじ過半数が義侠心に燃えてるのが手に負えん。そういう人心を良いように利用するのはよくある手だが……そう思惑通りにはいかせんさ。――でしょう、少佐殿」
「ああ。私は興徳帝陛下と大将軍殿下の為に、そして今はあの男……加藤大尉の想いを遂げる為に剣を取ろう」
 同じ首都防衛を担う大隊長。階級や思想は違い、そしてそのための手段は絶対に相容れない男であったが、一朗とて加藤に親近感を覚えぬではない。
 もし仮に己が彼の立場にあったとしたならば、きっと経済連合のような狡猾な者共に骸を渡す最後では報われぬ。
「ホリディ大尉、私と貴官であの機体を倒すぞ。――もののついでだ、厄介な工作員共も上手い具合に巻き込みたいが」
「なるほど? それなら小官に策があります。連中のうち半分以上は工作員でもなんでもない傭兵だ。そういう連中まで死なすのは少佐殿とて望むところではないでしょう」
 かくてベテラン軍人二人の共謀で、経済連合に潜む工作員とそうでない者たちを切り分け、加藤に一撃を叩き込む策が動き出す。

「ジェンキンス課長、我々猟兵も一枚岩というわけではない。私としては加藤を誰が討とうがそこは問題ではなく、市民の為にも帝都を乱すこの反乱を一刻も早く終息させることこそ重要と考えている」
「おやおや、貴方みたいなガチガチの愛国派軍人からそんな言葉が出るとは思いませんでしたよ。それで? 私にわざわざそういう宣言をするために通信を寄越した訳じゃないでしょう」
 猟兵の狙撃によって、輝鋼の攻撃こそ封殺しつつも攻めあぐねていたジェンキンスへと、一朗が呼びかける。
 元々一朗はジェンキンスから手勢を預かり、これを使い潰して――彼らは一朗の守るべきサクラミラージュ帝都の兵でも、まして皇洲連邦軍の武者ですらない――加藤を討つ心積もりであった。
 が、これに待ったを掛けたのがヴィクターである。彼の予測した所によるならば、ジェンキンスが貸せと言われて貸す兵は今回の政治工作に関与していない者たちのはず。裏の目的が真に存在し、それをジェンキンスが現地で主導する立場であるなら、それを共有して動かせる工作員は手元に残すはずだ、と。
 果たしてジェンキンスは一朗の要請に応えた。
「いいでしょう、一個小隊を預けます。くれぐれも生きて返してくださいね」
 ジェンキンスに促され、一朗に合流したキャバリア小隊。これは失ってはならぬ兵だと仮定して、それ以外を冷徹に斬り捨てる。
「了解した。この一個小隊は必ず無事に帰そう――ホリディ大尉、往くぞ!」
「了解、すまんが小隊指揮は俺が継承する。少佐殿の突破を支援するぞ、続け!」
 一朗が借り受けた小隊を率いて、ヴィクターのプレケスが前進する。散弾銃を構え、地表を滑るように機動する黒銀のキャバリアに続いて、経済連合傭兵部隊の一個小隊が回り込むように輝鋼の側面に進軍する。
「牽制射撃、当てるつもりだと少佐殿を巻き込むからな、追い込むのを最優先で撃ちまくれ!」
「了解!」
 突撃銃と散弾銃の斉射が輝鋼の脚を止め、射撃機と白兵機が機動戦を強いられる一朗に不利な状況を作らせない。
『くっ、この期に及んでまだ経済連合どもに与するのか! 貴官らは猟兵といえど許すことはできん!』
 これに加藤も応射を加えるが、ヴィクターの的確な制圧射撃がそれを妨害して損害を抑え込む。
 そうなれば厄介なのは牽制に徹するホリディ臨時小隊ではなく、突撃を仕掛ける一朗の桜花壱式であろう。懐に入られた時点で少なからぬ損害は確定。故に加藤は桜花壱式を照準し、これを最優先で狙い撃つ。
「そうだ、私に食いつけ。そうすれば貴官の想いを遂げさせてやる」
 ――この戦況において、一朗は大胆にも照準レーザーの予備照射をギリギリまで回避しなかった。
 ホリディ小隊が観測した射撃間隔のデータをもとに、ギリギリのタイミングを見極め、プラズマビームの発射直前まで回避を行わない。
 その上で、彼は常に背後に経済連合の――ジェンキンス直属部隊のキャバリアを置いていた。
 そんな状況で一朗が攻撃を回避すれば、当然躱されたビームは背後に立つ経済連合軍機を直撃する。一方で経済連合軍は一朗の背を堂々と撃つことも出来ず、加藤への攻撃の手を緩めざるを得ない。
「そろそろ潮時か。ホリディ大尉、合わせてくれ」
「了解、流石に派手にやりすぎましたかねェ」
 流石に露骨が過ぎたか。これ以上続ければジェンキンスがわざと経済連合軍を巻き込んでいる事に気づくやも知れぬ。あるいはもう気づいているか。
「加藤大尉、最後に一つ言っておく。何があろうと、それでも貴官は彼女らと――大将軍殿下らと共に在るべき人間だ」
「そういうこった。経連の思惑通りに死ぬのも癪だろうに。死にたがりの患者の願いは聞いてやらない事にしてるんだ、生きて自分で伝えてくれよ」
 突出した二機の指揮官機が金色武者の懐に飛び込めば、片や莫大な霊力を込めた一刀を。片や此処までの戦闘で蓄えたデータをもとに、輝鋼の急所を一突きにする鉄拳を叩き込む。
 斯くて金色の左腕が宙を舞い、隻腕の鉄巨人が滑走の勢いに乗った打撃で大きく吹き飛んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
「凄いなー…ロクシー君をあそこまで制御しているなんて…あの人猟兵じゃない?」(鶏の立体映像が現
とんでもない精神力なのは事実です
さて…あのちびっ子皇帝の命を遂行っと

【戦闘知識・情報収集・視力】
戦況把握

神機構造と加藤の位置を正確に把握

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与して光学迷彩の上更に迷彩で存在を徹底的に隠

加藤が追い詰められる好機を冷徹に見据


わたぬき発動!
【スナイパー・盗み攻撃・盗み】で精度強化!
盗むのは加藤!見られぬ様機体内に隠

そのまま残酷に神機を破壊し更に炎で爆破

そして離脱

加藤へ
お前は死にました
別の誰かとして生きるしかないでしょう
嫌ならお好きに
それも楽な道です
それさえ望まぬなら…戦え


槐・白羅
加藤紀靖
俺は猟兵であり
あの皇帝の指示を以て動いている

故に残念だが…皇帝の敵であるお前の願いを聞く気はないよ

UC発動
さて…未熟ながら同じ神機の名を関する機神を以て挑ませて貰う
すまないなモルス
だが…格上だろうと負けたとは決まった訳じゃない

敵の動きと過去のロクシアスとの交戦経験
そして加藤大尉の戦いの記録から戦い方を分析
攻撃は可能な限り【受け流し】致命だけは避
【空中戦】で飛び回りながら
【属性攻撃・弾幕】
高熱線による乱射と死の光でダメージの回復を図りながら距離を詰
敢えて紀靖も意識を落とすレベルまでの吸収を断行
【重量攻撃・貫通攻撃・呪詛】
接近戦に持ち込み切り裂きに掛かり

皇帝は民を殺すなと言っていたからな




 オブリビオンマシンとはパイロットを狂気に落とし、その思想を極端に先鋭化させ操る存在である。
 ことさらに輝鋼と決起軍が呼ぶ機体は、その素性を知る人物からすれば精神汚染に特化した機体のはずだ。
 なるほど尋常ならざる精神力があれば、これを抑え込むことも出来るかもしれない。
 だが、眼前に仇敵と据えた経済連合の工作員が居て、彼らによって戦火が拡大した様を眼前にし、その上で猟兵の痛打で以て気絶寸前の衝撃を与えられたのだ。
 片腕を喪ったキャバリアごと吹き飛ばされ、姿勢制御もままならぬままに墜落した機体の中で、加藤大尉は意識を保つのでやっとであろう。
 そんな状況であれば、これ好機とばかりにオブリビオンマシンが加藤大尉の正気を蝕んでもおかしくはないのだ。
 それを知っているからこそ警戒していた二人の猟兵は、立ち上がった金色の武者からその気配が感じられぬことに驚き、片方に至っては感嘆の声を洩らす。
「凄いなー……あれ、外装は多少変わってるけどロクシー君でしょ? あそこまで制御できるなんて、あの人猟兵じゃないの?」
 帝都城の塀の上に立つ――しかしその存在はあらゆる可視光を透過し、ジェンキンス駆る電子戦・索敵特化型のステルスキャバリアをしてそこに誰かが居ることすら気付かせない――少年は、足元に現れた鶏を模した立体映像に語りかけた。
「どうでしょう。加藤紀靖大尉の正体はどうあれ、とんでもない精神力であることだけは確かな事実ですが」
 なるほどね、と相棒の言に頷いて、少年――カシムは立ち上がった黄金のキャバリアに対峙する黒い機体に視線を移す。

「加藤紀靖。残念だが俺は皇帝の敵であるお前の願いを聞く気はないよ」
 ロクシアス――あの黄金のキャバリアの原型機と同じ技術で造られたキャバリア、モルスを駆って加藤の前に立ち塞がる白羅。
「俺は猟兵であり、あの皇帝の指示を以て動いている。お前も皇帝の臣ならば我を通すべきか皇帝に従うべきかわかるはずだが」
『陛下がなんと仰っしゃろうが、同志に外道を強い戦を招いた私が生き延びるを私自身が許せんのだ。誰かが腹を切って収めねばなるまい!』
 連続で放たれたプラズマビームは最大出力ではないが、モルスの装甲では直撃に耐えられぬ。
 そして地表面だけを用いた二次元機動で加藤大尉の技量を圧倒するだけの経験が今の白羅には足りていない。ならばどうするか。
 クロムキャバリア世界に生きる民が無意識的に避ける第二の戦場、即ち空中戦にてそのアドバンテージを奪取する他にないと白羅は判断する。
 一歩間違えば地上の加藤と天空の殲禍炎剣に挟撃される恐れのある賭けだが、しかし活路はそこにしか無い。
「敵は機体もパイロットも格上。同じ神機の名を冠するお前に不利な戦いを強いてすまないな」
 だが、しかし格の違いがそのまま勝敗に結びつくとは限るまい。
「それでも負けと決まったわけじゃない。付き合ってくれ、モルスよ。俺とお前の経験が奴に届くと見せてやろう」
 ギリギリの高度まで上昇しての回避機動。対空兵器ではないかの機体のプラズマライフルでは、目標を追尾するような誘導性も、回避を無為化するほどの面制圧能力もない。
 そのうえで太陽を背にすれば、狙撃すらも封じられる。盲撃ちに近い乱射であれば十分に回避可能という算段、だが。
『良い戦術を使う! 君もこの機体と同じモノを制するか、ならば納得も行くが……!』
 経済連合軍の横槍を躱しながら、圧倒的に狙い難いモルスを相手に怖ろしいほど正確な射撃を撃ち込んでくる輝鋼に白羅は舌を巻く。
「馬鹿な、こうも当ててくるだと……!」
 かろうじて剣で防いではいるが、加藤の力量は想定以上だ。過去に交戦した同型機に匹敵するか、それ以上か。
「このままずるずると引き伸ばしても不利だな。モルス、覚悟を決めるぞ」
 ゆえの急降下。プラズマを切り払い、機体から放つ熱線を囮にモルスはその権能を発揮する。
 生命力を奪う死の光が金色の武者を照らした。――パイロットの意識が、泥濘のような微睡みに引き摺り落とされてゆく。
「そうだ、そのまま意識を落とせ! 言って聞かないのならば黙らせて連れてゆく!」
『…………駄目だ、私は、』
 モルスに奪われてゆく力を最後に振り絞り、加藤はその砲口を持ち上げる。
 狙うは剣を振り上げ突っ込んでくる、黒の神機。
「そこまでだよ、あのちびっ子皇帝の命を受けてるのは何もその機体のパイロットだけじゃないんだ」
 ここに来て割って入ったのはカシムである。
 モルスとの交戦を傍観し、此処一番の好機を見定めていた少年が隻腕のキャバリアに取り付いた。
 そのまま正確にして迅速な手順でコックピットの緊急開放レバーを見つけ出して引き絞れば、モルスの剣が輝鋼を切り裂き、輝鋼の銃がモルスを貫く一瞬の刹那にカシムは生身の加藤と対面する。
「加藤、お前は此処で死にます。別の誰かとして生きることになるでしょう」
 モルスに体力を奪われ、朦朧とする加藤の前で、彼にのみ聞こえるように呟くカシム。
 ちょうどモルスの剣が振り下ろされ、輝鋼の単眼一角の首が刎ねられた。
「嫌なら好きに死ぬと良い。それも楽な道です」
 モルスの脇腹を掠めて放たれたプラズマの焦熱が、その死の権能を中断させた。
「でも、もしお前がそれさえも望まないなら――」
 首と片腕を喪った機体に、僚機から銃を借り受けたジェンキンス機が弾丸を浴びせ撃つ。
「――まったく、あいつらは無粋だね。まあいいや、ちゃんと伝えたよ」
 入ってきたときと同じように、主目標こそ達成できなかったものの加藤に言葉を届けた盗賊の少年は周囲に気取られることなく離脱してゆく。
『……ッ、戦え、か。死して責任を取ることさえ許さぬとは、猟兵、君たちは中々酷な事を言う……!』
 この一瞬で窶れた加藤の双眸に、再び強い意志の炎が――オブリビオンマシンの怨念に屈さぬ光が戻る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「瑠璃」
瑠璃「わかってる。加藤大尉、貴方の望み、叶えてあげる」
緋瑪「そして経済連合、この国に手出しはさせない」

「「ジェミニオン、真の姿を表せ」」

UCで二機を合体。操縦:瑠璃、火器制御:緋瑪。
統合強化された力を元に機巧大鎌とライフルによる中距離戦を展開。
その中で目に付く経済連合部隊機を「敵を討つ為の必要な犠牲」の名目で併せて処理。
UCで解放した切り札「オメガ・ノヴァ」で輝鋼、可能ならジェンキンス機も消滅させるよ


緋瑪「ジェンキンスだっけ?私達の役目はオブリビオンマシンを討つ事じゃない」
瑠璃「『討つに価する全て』が対象。ましてや私達は殺人姫」
緋瑪「オマエは殺人姫の怒りを買った。死ぬには十分だよ」




「やった! 片腕に続いて頭を喪った射撃機など物の数ではありません! 全機包囲を縮めて加藤を――」
 猟兵の猛攻で大破寸前にまで追い込まれた武者を相手に、経済連合の精鋭部隊がいよいよ止めを刺さんと攻勢に打って出る。
 流石の精鋭加藤といえど、損傷した機体で多数の経済連合軍機の猛攻を受ければもはや此処までであるかと思われた。
「瑠璃」
「わかってる。加藤大尉の望み、叶えてあげよう」
「うん、そして経済連合。この国に手出しはさせない――」
 それを良しとせぬ猟兵が此処に居る。
 二機のジェミニオンのコックピットで、瑠璃と緋瑪は声を合わせて愛機の名を、その秘めたるを呼び起こす。
「「ジェミニオン、真の姿を現せ」」
 二機のキャバリアが合体する。スーパーロボットであればそれもまた然りであろう。だが、二人の駆るジェミニオンは機種としてはジャイアントキャバリアに類する機体。それが一つに合体するなど、この戦場の誰もが予想しえぬことであった。
「行くよ緋瑪、狙う相手は言わなくても」
「わかってるよ、瑠璃。殺人姫として、殺す相手を間違えたりしないって」
 後席で火器管制を担う緋瑪に確認して、瑠璃はジェミニオンを機動させる。
 経済連合軍の間を縫って突出したジェミニオンがライフルを連射すれば、輝鋼はメインカメラを喪失したとは思えぬ反応速度で飛び退り射撃を回避する。
「へぇ、見えてないのにやるね」
 奇襲に等しい射撃を回避され、緋瑪が驚きに舌を巻く。万全の機体ならつゆ知らず、損傷した機体で避けられようとは。
 だが、輝鋼が後退したことで経済連合軍機が三機掛かりでこれこそ好機とその着地を狙ってマチェットを抜き突貫する。
 なるほど見事な連携だ。ジェミニオンが猟犬の如く追い立て、経済連合が生じた隙を狙ってトドメを刺す。――ジェミニオンを駆る二人の殺人姫の狙いが加藤であったならば、その政治的意図などお構いなしにオブリビオンマシンを討伐できれば良しとするある意味"模範的な猟兵"であったならば、この連携攻撃で加藤はその生涯を終えただろう。
 ――二つの上半身が宙を舞い、一つの胸が背中から貫かれて爆ぜた。
 加藤の応戦ではない。二機の腰を大鎌で纏めて刈り取り、一機の背中をライフルで撃ち抜いたジェミニオンが、再び牽制めいた銃撃を輝鋼へ放つ。
 誰の目にも殺意の矛先は明らかであった。加藤への攻撃はどれも牽制、オブリビオンマシンと戦っているというポーズに留まっている。
 一方で経済連合軍機に向けられた攻撃は、一撃でコックピットを粉砕する致命傷を負わされている。
「――ミス・四季乃、何のつもりですか? 我々は友軍でしょう。誤射と言うには随分と酷い行いですがね」
 ジェンキンスの苛立ちと敵意の籠もった声。散々猟兵に翻弄され、戦力を擦り減らされたと思えば明確に敵対行動を取られたのだ。
 有象無象の経済連合軍機が加藤と交戦を開始する中で、ジェンキンス機はジェミニオンと向かい合い手にしたライフルの銃口を突きつける。
「あぁ、えっと。経済連合の隊長……ジェンキンス、だっけ?」
 真意を問い詰めんと通信越しに二人を睨みつける金髪の優男に一歩も退かず、緋瑪は当然のように振る舞いながら彼の問いに応えた。
「私達の役目はオブリビオンマシンを討つことじゃない」
「そうだね、緋瑪。私達が討つのは『それに値するもの全て』。ましてや私達は殺人姫だもの」
 双方のライフルが吼え、互いの銃を手から撃ち落とす。
「オマエ達は殺人姫の怒りを買った。死ぬには十分な理由でしょう?」
 大鎌が大気を切り裂き、ハンドトマホークがコックピットを切り裂かんと迫る刃を弾き返す。
「……狂人の理屈ですね。利益も理屈も度外視している。加藤のほうがまだ理性的じゃないですか!」
 間一髪、ライフルに替わって手にした手斧が命を繋いだことに冷や汗を流してジェンキンスが吐き捨てた。
「狂人? そう…………知ってる!!」
 瑠璃の卓越した機体捌き。一撃一撃が命を奪うに値する猛攻を、ジェンキンスはそれでも上手く捌いて躱す。
 十分にエース級の実力を持つジェンキンスだが、しかし猟兵と切り結びながら部隊指揮を執れるほどの域には至らない。そして指揮官を封殺された経済連合は、加藤の前に次々と倒されてゆく。
「安心しなよ、オマエ達は加藤討伐の必要な犠牲だったって報告してあげる。だから――」
 戦いが近接白兵戦に移ったことで自由となった緋瑪が、仕込みは終わったと瑠璃の後ろで笑みを浮かべた。
「――ここで消えていいよ」
 オメガ・ノヴァ。二機のジェミニオンが一つとなり、ようやく発動出来る超兵器が解き放たれた。
 空間ごと抉り取る一撃がジェンキンスのステルスキャバリアを襲う。彼もコックピットを庇いながら離脱を試みるが、足先から機体が消滅していくのを止める術はなく、そして推力の過半を担う下半身を失えばもう機体が呑まれるのは不可避であろう。
 目立つ一角のアンテナマストが霧散したのを見届けて、瑠璃と緋瑪は一息を吐いた。
「殺し損ねたね、瑠璃」
「脱出されちゃったね、緋瑪」
 けれど、無事ではあるまい。半壊した状態で無理に脱出装置を作動させたコックピットブロックは帝都市街のほうへ飛んでいったように見えたが、あれでは中のパイロットもタダでは済まないはずだ。
 あの男を此処で殺せなかったのは残念だが、それならばそれで、この戦いの後で皇洲連邦軍が捕縛して然るべき裁きを下すだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

才堂・紅葉
【臨時雇用契約】

政治的に中々頭が痛い所ですね
ここは騎士様に一口乗りましょう
通信ガジェットを彼に提供。有線式で不便ですが、傍受の危険がないアルダワ【メカニック】です

私自身は【忍び足】で隠密に機体を脱出し、迦楼羅王の遠隔操作だ
方針は敵神機に騎士様が取り付くまで回避に徹し、動きが止まれば纏めて即強打です

「絶ッ!!」

真の姿の【封印を解く】と、臨界出力での蹴り上げ【グラップル、怪力】
紋章の力の斥力【属性攻撃】の上乗せで天高く【吹き飛ばし】、「殲禍炎剣」の発動を狙う

もし騎士様が上手くやれたら、加藤さんの身柄を【早業】で回収し、空の操縦席に隠します

麻呂さんにはこの件を事前に【暗号作成】で報連相しておきますね


トリテレイア・ゼロナイン
【臨時雇用契約】
X

才堂様の手腕は確か
後は私の問題ですね

輝鋼への秘匿通信経路…これなら…

聞こえますか、加藤大尉
武人として死をもっての責任と幕引き
理解はいたします

ですが貴方の同士含めた乱の犠牲に対し
…無責任ではありませんか

これは説得では無く弾劾です!

例え公の力失おうと
往き付く先が刑場だろうと
不本意な生…経済連合への影の盾となりて皇洲連邦と葵様への贖罪と責任を果たすべきでは無いのですか!

戦死偽装工作

煙幕手榴弾投擲し経済連合機体目潰し
機体組み付きワイヤーで拘束

機体飛び出し自己ハッキング限界突破怪力で操縦席ハッチ破壊
UC浅く突き刺し眠らせ確保し離脱
迦楼羅王へ投擲

…これで壊したⅣは何機目でしたでしょうか


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

どんな者であろうと…
世を正そうとする善人でも世に災厄を齎す悪人でも…
私は只…事を成すだけだ…
ワタシは処刑人…死と救済を齎す者…!

仮面を被り真の姿の[封印を解く]

【巨人力】による[怪力]を発揮して
キャバリアソードを持ち上げ振るい敵に攻めよう

[オーラ防御]を身に纏い
[ダッシュとジャンプ]で敵の攻撃を潜り抜けながら近づこう

大剣を振り回し[なぎ払い]
[鎧砕きと重量攻撃]で敵機を攻撃、
敵の武器ごと[切断]し破壊してやろう…

首謀者たる加藤を機体から引きずり出して
妖刀を振るい、その首を刎ね飛ばそう

この国の行末がどうなるかはわからない…
私が出来る事は彼らの無事と散った無辜な命に[祈り]捧げるだけ…




「相手がどんな者であろうと……世を正そうとする善人でも、世に災厄を齎す悪人でも……私は只、事を成すだけだ……」
 ずるりと顔を仮面で覆い、城門前の戦いで鹵獲したキャバリア用の大剣を引き摺って撃破された経済連合軍キャバリアの残骸の間を進む処刑人。
 アンナを呼び止めたのは、彼女を飛び越え加藤に挑む二機のキャバリアであった。
「その処刑、今暫く待ってもらえないかしら。止めろとは言いませんから」
 片や黒い装甲に炎の緒を引く、紅葉駆る迦楼羅王。
 片や白銀の装甲に騎士の如き異形の姿、トリテレイア操るロシナンテⅣ。
 二機が前に出るや果敢に輝鋼に挑むを見て、アンナは脚を止めた。
「いいだろう……だが、ワタシは処刑人……死と救済を齎す者……! お前達が及ばぬ時は、すぐにでも割って入って加藤の首を斬る……!」
 アンナが委ねた僅かな猶予。失敗の許されぬ状況で、紅葉とトリテレイアは策を実現するべく輝鋼に挑む。
 二人の狙いは加藤紀靖の捕縛。だが、その前に言わねばならぬことがある。
「騎士様、一口乗ったからには勝たせてくださいね」
「承知しました、才堂様。さて……秘匿通信回線の確立は成功しましたね。これなら……」
 短距離であったから、そして輝鋼も決起軍機とはいえ一応は皇洲連邦の規格に則った仕様であったために、トリテレイアはさほどの苦戦もなく彼への通信回線を確保出来た。
 才堂紅葉の傭兵としての手腕は確か。此処から先、目的を達成できるかはトリテレイア次第だろう。
 あるいは不確定要素としてあの処刑人も居るが、経済連合軍部隊が一部猟兵の攻撃で敗退し駆逐されたことは大きく計画の達成確立を上げたはずである。
「――聞こえますか、加藤大尉」
『聞こえているとも、猟兵。投降せよというならば否だ』
 最後まで戦い抜いて己が道を貫き通す。その覚悟をした男に、もはや生半な説得は通用するまい。
 だがいい。説得など最初からするつもりはない。
「武人として死を以ての責任と幕引き、その意志は理解できます。理解は、いたしましょう」
 ことさらに武家制度を取り、武家貴族にとって面子や誇りを重んじる風潮のあるこの国だ。加藤がその討死を以て責任を果たせば、多くの武士たちは彼の下で戦った決起軍青年将校団に対して同情的な立場を取るだろう。
 あるいは旭陽が加藤から託されるであろう、この決起の真相を秘めた調査記録を適切に扱えば、加藤とその部下たちは憂国の志を携え国家の危機を救った英雄となるかもしれない。
 しかしそれはあくまで生き延びた者たちへの義を通したに過ぎない。加藤の下で戦い、死んでいった決起軍将兵への。あるいはこんな決起のせいで、覚悟も決まらぬまま唐突にその生を終えることとなった前政府と帝都城守備軍の面々や、今まさにその命を散らしているやもしれぬ葦原臨時政府軍の皆の犠牲に対して――
「その死に対して、貴方も死ぬからそこで手打ちと求めるのはあまりにも無責任ではありませんか!」
 トリテレイアの弾劾に、加藤が息をのむ。
 白騎士の脳裏に浮かぶのは、あの雪降る月夜、愛する男の理想のため最後までその生命を燃やし尽くした女の面影だった。
「たとえ公人としての力を失おうと」
 ――その本懐を遂げることを願い、先に逝くと言い残して散ったひとが居る。
「やがて行き着く先が刑場であったとしても」
 ――きっと彼女も、心の奥底では加藤には生きてほしいと願ったはずだ。
「不本意な生であろうと、経済連合への影の盾となりて国と葵様への贖罪と責任を果たすべきではないのですか!」
 ――それでもそんな想いを押し殺し、加藤の為に死んだ者達に背を向け、己も死してそこでこの戦いを終わりにするのは、あまりにも。
「加藤大尉、貴方のその行いは不誠実でありましょう! 起ったからには最後まで生きて、その理想を遂げるべきなのです!」
『君の言うことが正しいのかもしれない。だが私が生き残れば私という急所をこの国は抱えることになるだろう』
 反乱を起こし、経済連合の傭兵に多くの犠牲を出した決起軍の首魁。それが経済連合によるマッチポンプだったとしても、国際社会がそう認識してくれるかは別問題。己が此処に居ることがこの先の皇洲の不利益と成るであろう。だから死なねばならぬと言い切る加藤に対して、今度は紅葉が問いかけた。
「あなたがそれほどまでに国を想い、忠誠を捧げられる忠臣なのはわかりました。だったらどうして、加藤紀靖なんて個人にこだわるんですか?」
『……どういう意味だね』
「加藤紀靖大尉は此処で死ぬ、いいでしょう。その方がカドも立ちませんから」
 でも、と。
「加藤紀靖が死ぬことと、"あなた"が死ぬこと。どうしても絶対にイコールじゃないと駄目だなんて、誰が決めたんですか?」
 すでにそれを提案した猟兵も居るだろうが、と前置きをした上で紅葉は加藤に最後の揺さぶりを掛ける。
「臨時政府の議長、九重小路豊麻呂さんはご存知ですね? あの方はあなた達の言う汚職官僚ですけれど、売国奴じゃありません」
 その豊麻呂に、紅葉はすでに話を通しているという。
 汚職官僚らしい裏の手段で――豊麻呂曰く、議長となったからにはこれが最後の一回だと――架空の戸籍を一つ、作ってある。
 決起軍に"参加した"今日まで存在しなかった人物。決起軍に加わった以上、お咎めなしにはならないだろう。だが、これから加藤大尉が命を以て同志の助命を徹せば、まだ挽回の目はある。
「その身分で、今後とも政府の腐敗を見張って他国の侵略に備えるのが、あなたの本当の償いだと私も思いますよ?」
 問答を終えると同時、ロシナンテと迦楼羅王が輝鋼に組み付いた。
 自爆などさせぬ、とばかりに右腕を引きちぎり、プラズマライフルを肘から先の前腕ごと放り投げ――ロシナンテの放ったワイヤーで機体を拘束。
 トリテレイアはそんな機体から飛び出し、輝鋼のコックピットハッチを抉じ開けると麻酔効果を持った短剣で加藤を刺し、脱力した男の体を有無を言わさず引き起こして迦楼羅王に投げ渡す。
 それを受け取った迦楼羅王は、"無人のコックピット"に加藤を収容すると跳躍して帝都城を離脱してゆく。
 向かう先は葦原臨時政府軍本陣。今頃紅葉の連絡を受けた豊麻呂と皇帝の遣いが上月中将や旭陽に事情を説明している頃だろう。
「それじゃトリテレイアさん、処刑人さん、後は頼みますね」
 迦楼羅王を遠隔操縦しながら紅葉も退いてゆく。機体が退くのに彼女が此処にいては不都合があるかもしれない。経済連合の目は完全に排除されたはずだが、万一に備えてのことであった。
「ええ、ご武運を。おまたせしました仇死原様……誰が見ても分かるような派手な"処刑"を!」
「……いいだろう、そのオブリビオンマシンの死を以てこの国の行く末とこの戦いで散った無辜の命への祈りとする……!」
 キャバリア用の剣を軽々と持ち上げ、黒衣の処刑人が疾駆する。
 無人であると悟らせぬよう、トリテレイアがワイヤーを使ってまるで抵抗しているかのように輝鋼を操るそこへ、アンナが飛び込んだ。
「その首、コックピットごと刎ね飛ばそう……!」
 凄まじい膂力で振るわれた刃が、最後まで輝鋼を操り演出していたロシナンテⅣごと金色のオブリビオンマシンを両断する。
 コックピットなどは直撃を受け、原型を留めず粉砕されるほどの圧倒的な破壊であった。
 間一髪脱出に成功したトリテレイアは、一瞬遅ければ自身もロシナンテ諸共粉微塵に破砕されていただろうと、アンナの容赦の無さに存在しない背筋を震わせた。
「それにしても……これで壊したⅣは何機目でしたでしょうか」
 だれかの生命に比べれば安いものとはいえ、出撃するたびに機体を喪っているような気がしてトリテレイアは頭を抱えるのだった。


 それから暫くの後、皇洲連邦はクーデターの鎮圧を公式に発表した。
 首謀者である加藤紀靖大尉は戦死。国民人気の高かった元帥府大将軍葵天道を殺害したことと、それ以上に国民の不満を生んでいた元老院の汚職議員の過半を粛清したことで世論は加藤を国賊とするか義賊とするか決めあぐねていた。
 そこへ父を殺され、新たに元帥府大将軍となった悲劇の新将軍、葵旭陽から加藤の決起の真相が発表され――無論、対外戦争を回避するため経済連合が黒幕であることは公式には隠され、その悪意は元老院と結託した一部武家によるものとされた――加藤ら決起軍の名誉は回復された。
 元老院は臨時議長であった九重小路豊麻呂が興徳帝からの要請を辞退して改めて副議長に就任。葦原将軍上月中将が将軍位を弟に譲る形で軍を退き、元老院議長に就いて政界へと転身した。
 軍部におけるパワーバランスの崩壊を鑑み、今回唯一功を立てた上月新議長が軍から距離を置く構えを見せたことで、白河鎮台と下ノ瀬鎮台はこれを歓迎し、新政府は興徳帝のもと再び団結し国内の傷跡を癒やすことに尽力していくこととなる。

 ――そして、帝都のはずれに在る軍人墓地にて。
「天道殿下、旭陽君は……いえ、旭陽殿下は見事に将軍の務めを果たしておられますよ。上月議長や九重小路副議長の助けを借り、私も及ばずながら助言などしてはみましたが……じきにそれも必要なくなるでしょう」
 中央に座する大きな墓標に手を合わせ、酒瓶を捧げて背を向ける男。彼の向かう先には、この決起に加担して戦死した青年将校たちの合同慰霊碑が真新しい輝きを放っている。
「同志諸君、どうやら私は今暫くお国の為に働かねばならないらしい。だが、約束しよう。皆で語り合った新たな皇洲を、皇帝陛下に政をお返しすることこそ叶わずとも、いつか必ず見せてやると。そしてそれを生涯守り抜く事が、今の私の使命なのだろう」
 男は帯刀していた刀を掲げ、慰霊碑に誓う。そうして花束を一つ置いて、墓地に背を向けた。
「――槙、もし君が私を許してくれるならば、私が全ての役目を果たす日まで今暫くそちらで待っていてくれ」

 後に白雪の決起と呼ばれた事件を経て、皇洲連邦は急速にその国力を回復させてゆく。
 他国と密通し売国的な行為を行っていた腐敗官僚の一掃。
 新政府による武家貴族への綱紀粛正。
 そして加藤の決起によって消耗した軍、政府の体力を補うために皇洲連邦に根強い身分制の一部緩和によって平民が軍事や政治に関わることが出来るようになったことで、軍と政府、そして国民が皇帝のもとより強固に結ばれたのである。
 それはきっと、ある男が望んだ他国の陰謀に屈さぬ強い国家への第一歩となることであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月06日


挿絵イラスト