聖夜想彩ハーバリウム
●願いが色付く真白の花
「メリークリスマスです! やはりこの空気感は楽しいものですね」
サンタクロースモチーフの衣装に身を包み、薄荷・千夜子(陽花・f17474)は楽しそうに微笑んだ。
そんな彼女がクリスマスに案内するのはグリードオーシャンの白砂辺島。通年涼やかな気候で保たれ、島の植物は真白でまるで常に雪景色が広がっているように見える不思議な島。
「夏は海の花畑をご案内しましたが今回は島内の方になります。 普段は白き花々が今夜だけ色付くそうなのです」
彼女が語るは島にある不思議な花々について。
この島ではどのような花が咲こうが色付くことなく真白の花を咲かせるのだが、一年で一度この日だけ願いや祈りを込めて島の花に触れるとその想いに応じた色が鮮やかに色付くというのだ。
そして色付いた花を様々な形状の瓶に詰めて大事な人への贈り物とする。
定番の小瓶から、環状の瓶に詰めればクリスマスリースのように、ハート形の瓶であれば形から想いを伝えることもできるだろう。瓶の種類は大小問わず色々と用意されているとのこと。
互いに贈り物として交換しあったりするだけではなく、大事な人を想ったり自身の誓いを込めてその瓶を海に流すという習慣もあるようで――。
「様々な世界の島々があるグリードオーシャンだからなのかもしれませんね。 その願いが遠くにいる大事な人に届きますように――そんな想いと一緒に海へと送り出すそうです」
今は会えないあの人へ。
いつか会いたいと願うあの人へ。
様々な想いを込めた花を海へと贈る。
「この島には季節関係なく様々な花が咲いていますのでお好きな花が選べると思いますよ」
もしお花を探すお手伝いが必要であれば声をかけてくださいねと千夜子は微笑んだ。
そして、鬼灯のグリモアに優しい灯が輝き一夜限りの色彩を見せる島へと送り出すのであった。
天藤
クリスマスにいつものお花を添えたシナリオをお届けさせて頂きます、天藤です。
お好きな花を願いや想いを込めてお好きな色で染めてハーバリウムを作成するシナリオです。お友達や恋人と作成したハーバリウムを贈り合ったり、その願いを海へと送り出すことができます。
花の種類や色はご指定いただいても天藤にお任せしていただいても大丈夫です。お任せの際は一言ご記載いただければ願いに合わせたお花を選ばせて頂きます。
また、お声がけ頂いた場合のみグリモア猟兵の薄荷・千夜子がお話しや花選びのお手伝い等させて頂きます(お声がけがない場合は登場しません)
●プレイング受付について
12/25(金)8:31〜 随時となります。受付締切日についてはMSページをご確認下さい。
週末にあまり時間が取れない可能性があるため、グループ参加は3名様までだと助かります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 日常
『グリードオーシャンのクリスマス』
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POW : 巨大なキャンプファイヤーや、沢山の料理を準備してパーティーを楽しむ
SPD : 歌や踊りや隠し芸などで、パーティーを盛り上げて、皆を楽しませる
WIZ : 意中の人と示し合わせてパーティーを抜け出して、恋人たちのクリスマスを楽しむ
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照宮・美果
千夜子さん、こんにちは!
わたくし、パパから千夜子さんはプレセント選びの達人と聞きおよび、お兄ちゃん達のプレゼントを作るのを手伝って貰いにきたのですわ。
●連火くん(12歳)12/21生まれ
煉瓦のヤドリガミ。赤煉瓦色の長い髪と黄金の瞳が綺麗。
性格は熱血・ポジティブな番長。
売り物にするお皿や花瓶をいっぱい作ってくれる。
●石門くん(7歳)1/1生まれ
かつては磐戸大神というもの。
髪は黒くてオカッパ、目は赤いす。
性格は子どもなのにじじむさく、動じない。
美味しいフルーツ牛乳を作って味見する役目。
兄弟とはいえ殿方、千夜子さんのセンスにお縋りしたいです!
大好きなお兄ちゃんといつまでも一緒にいられますように!
●
「千夜子さん、こんにちは!」
ぴょんっと狐耳を立て、元気良くこの白き島へと連れてきてくれた少女へと挨拶をするのは照宮・美果(楽園の金庫番・f26379)だ。
その声に振り向き、少女――薄荷・千夜子もこんにちはと微笑んだ。
「わたくし、パパから千夜子さんはプレセント選びの達人と聞きおよび、お兄ちゃん達のプレゼントを作るのを手伝って貰いにきたのですわ」
「まぁ、それは光栄です! 張り切って素敵なプレゼントを選ばなければいけませんね」
美果の言葉に彼女の言う父を思い浮かべて千夜子が頷いた。
去年は夫婦で互いのため、そして家族へとプレゼントを用意していた姿が思い出され、今度はその娘が兄へのプレゼントとやってきたこの縁の繋がりを思い笑みを浮かべる。
「それではお花探しから行きましょうか。 美果さんのお兄さんはどの様な方ですか?」
「連火くんと石門くんですの!」
二人の名前を告げ、美果は二人の兄たちについて身振り手振りを交えながら千夜子に伝えていく。
「連火くんは赤煉瓦色の長い髪がとても綺麗なんですの。 それに元気というか真っ直ぐと言いますか……頼りがいがあるところも素敵なところですわ。 あ!それから、売り物にするお皿や花瓶もいっぱい作ってくれているんですのよ」
「石門くんは歳はわたくしとも近いのですけれど、とても落ち着いていらっしゃいますの……それはもうじじむさ、いえとても大人びていらっしゃるの。 お家では美味しいフルーツ牛乳を作って味見をする役なのですわ!」
「(フルーツ牛乳を作って味見する役、とは?)」
ほのかな疑問も浮かんだが、美果が楽しそうに話す様子から彼女が兄たちを大好きだという心が伝わってくる。
そして、兄弟とはいえ殿方、千夜子さんのセンスにお縋りしたいです!とまで言われてしまえばその気持ちに応えなければと気合を入れて千夜子が辺りに咲き誇る白き花々を見やる。
「そうですね……色は美果さんにお任せするのが一番として、連火君には唐菖蒲、石門君には蝋梅は如何でしょうか?」
「唐菖蒲と蝋梅ですか……この花にはどのような意味があるのでしょう?」
指し示された二つの花に美果は首を傾げた。
今はまだ色の無き花にそっと手を伸ばす。
「唐菖蒲は葉が剣のようということもあって『勝利』の意味が、蝋梅には『慈しみ』や『先見』と言ったような意味がありますね」
千夜子の言葉に頷き、まずは唐菖蒲へと手を伸ばす。
いつでも真っ直ぐ、熱い心を持った兄へ――その祈りに応えるように彼の髪を思わせるような赤煉瓦色の唐菖蒲へ。
そして次は枝先に花咲く蝋梅へ。
いつでも動じず、落ち着いた心を持った兄へ――その祈りは深い緑へと色付いていく。
「ふふ、石門くんの渋さが伝わってしまったかしら?」
「そうかもしれませんね。 それに赤と緑ですし、クリスマスカラーのようでまた良いのではないでしょうか?」
それぞれの花をメインにしつつ金や黒を始め家族の色を入れていくのは如何でしょう?
そんな千夜子の提案に美果は瞳を輝かせて花のように笑った。
「えぇ、大好きなお兄ちゃんといつまでも一緒にいられますようにと願いを込めて素敵なプレゼントにするのですわ!」
二人とも喜んでくださるかしらと、たくさんの大好きの気持ちを花々と一緒に込めて美果はハーバリウムリースを作り始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
フォーリー・セビキウス
【優甘】
◎
男は悩んでいた
女性陣へのプレゼントに
この深淵なる難問に、ある解を思いつく
同性のことは同性に
早速、通りすがったマリアを捕まえるのだった
相手か?ハッカーに女将にボスに涙壺の娘に……そんな顔は止せ。
なるほど、そいつは丁度良い。
感情で色づく花か、面白い。
そう早るな、危ないぞ。怪我はないか?
マリアに師事して学びながら、『ハーバリウムは植物標本の意味で、元々は研究用に集積していた物を指す。風水に寄るとエレメンタリウムという。』
等と知識を話しつつ、各々のイメージに合うハーバリウムを作っていく
私のハーバリウム、か?
悩みながらも、黒百合と彼岸花を選び出してマリアと交換する
今日の礼だ。取っておいてくれ。
マリアドール・シュシュ
【優甘】◎
旅館の花の涯ですれ違い、相談される
フォーリーが今回プレゼントしたい女の子はどんな子かしら?
まぁ!女将さん以外の人達は…(大人だわ
マリアはハーバリウムなんてお洒落だと思うのよ
丁度、作れる場所があるの
行きましょう!
白一色の景色に圧倒
近くで見ようと走って転びそうに
あっ…ありがとう、フォーリー
女の子達へのハーバリウム作成を手伝い沢山作る
千夜子にも相談
フォーリーはハーバリウムはご存知?
とっても詳しくて吃驚したのだわ!
ねぇ、千夜子ならここに何色を入れるかしら?
最後にフォーリーならではのハーバリウムを作りましょう!
これはあなたへ
良かったら受け取って
自分は白の茉莉花と青の花で他お任せ
フォーリーと交換
●
時間は少しばかり遡る。
場所も真白き島ではなく、とある旅館にて。
男――フォーリー・セビキウス(過日に哭く・f02471)は難題にぶつかっていた。
もう目前に迫った冬の一大イベント。
女性陣へのプレゼントを準備せねばならないが、彼の手の中には未だに贈り物は用意されておらず。
「参ったね。 こういう類の難問には即座に解を導き出せない」
残念ながら一人で考えるには手が余る、であるならば――。
「マリア」
「あら、フォーリー。 どうしたの?」
彼女が救いの女神になってくれるか否か、きょとんと首を傾げた少女――マリアドール・シュシュ(華と冥・f03102)を呼び止めた。
「もうすぐクリスマスだろう? 女性陣にプレゼント、と思ってはいるのだが……」
「まぁ、まぁ!クリスマスプレゼント! 素敵だわ! フォーリーが今回プレゼントしたい女の子はどんな子かしら?」
フォーリーの言葉にマリアドールは瞳を輝かせる。
彼がプレゼントを贈りたいと考える子は誰なのかしらと
問いかければ。
「相手か? ハッカーに女将にボスに涙壺の娘に……」
指折りながら渡すべき相手を述べていけば、目の前の少女もその人物たちを思い浮かべ。
「まぁ! 女将さん以外の人達は……」
大人だわ――言の葉には乗せなかったけれどもそんなマリアドールの表情を見て、フォーリーはその顔は止せと首を振る。
あら、そんなおかしな顔をしていたかしらと鈴鳴る声で微笑みながらマリアドールは言葉を繋げた。
「そうね……マリアはハーバリウムなんてお洒落だと思うのよ」
それに、丁度今作れる場所があるのを知っているのよ――と告げるマリアドールに誘われて二人は白砂辺島へとやってきたというわけである。
「フォーリー、見て!! 雪が積もったわけでもないのにこんなに真っ白だわ!!」
近くで見てみましょう、と逸る気持ちを抑えられずにマリアドールが駆け出すが。
気持ちに身体が追いついていなかったか、足を取られるが倒れ込むことはなくふわりと抱き抱えられ、マリアドールは瞳を瞬かせてフォーリーを見上げた。
「そう早るな、危ないぞ。 怪我はないか?」
「あっ……ありがとう、フォーリー。 あ、あのね! ここの白いお花は祈りや願いに応じて色を変えるのよ」
大丈夫よ、とその腕から離れ思わず見せてしまった失態を誤魔化すようにこの島の花についての特徴を述べる。
赤く染まった頬は気付かれずに済んだだろうか、とちらりとフォーリーを見上げれば。
「感情で色づく花か、面白い」
話題はマリアドールの言葉に乗ってくれているものの、楽しそうにクツクツと笑う様が見て取れて、誤魔化せていない……とマリアドールは恥ずかしそうに頬を押さえた。
「ほら、フォーリー! たくさん作らないといけないのでしょう?」
「あぁ、そうだな。 数を作らないとだし早速始めようか」
フォーリーのプレゼントなのだから、と二人で花を選びながらも花に色を付けていくのはフォーリーの仕事だ。
「見たことはあったかもと思うのだけれど、フォーリーはハーバリウムはご存知?」
「もちろん」
――ハーバリウムは植物標本の意味で、元々は研究用に集積していた物を指す。風水に寄るとエレメンタリウムという――と、すらすらと述べればマリアドールも驚きで目を見開く。
そんな雑談も交えながら――例えば、彼女の瞳と同じような赤の花であったり、冬でも華麗に咲き誇る桜であったりと渡す相手のことを考えながらフォーリーが花に触れれば芯から色付いていく様を見るのは中々に面白いもので合った。
「ふふ、順調ね……あ、千夜子! 貴女ならここに何色を入れるかしら?」
あちらこちらと手伝いに駆け回っているこの島へと皆を案内した少女、薄荷・千夜子にマリアドールが声を掛ければ二人が作っている途中のハーバリウムを覗き込む。
「そうですね……色の濃い花がメインになっているので淡い色合いの、花も小さな感じのを添えるとアクセントにもなると思いますよ。 ユキヤナギとかどうでしょう? 『愛らしさ』と言った花言葉もありますよ」
「なるほど、参考になる」
頷きフォーリーが手を伸ばせば柔らかな日差しを思わせる淡い黄色へと。
それを各々の花に添えてハーバリウムを完成させていく。
「ありがとう、マリア。 これでプレゼントは無事に渡せそうだよ」
「どういたしまして。 私もとても楽しかったのだわ……そうだわ、最後にフォーリーならではのハーバリウムを作りましょう!」
「私のハーバリウム、か?」
思わぬマリアドールの提案に今度はフォーリーが驚く番であった。
その顔にマリアドールはにこりと微笑む。
「そうよ、マリアもマリアらしいハーバリウムを作るわ」
せっかくですもの、今日の想い出にどうかしら?
そう言われれば否など言えず。
「ふむ……私らしい花、か……」
「ふふ、フォーリーがどんな花を選ぶか楽しみにしているわね」
様々に咲き誇る白き花を前に悩んでいるフォーリーを前にマリアドールは悩むことなく花を選んでいく。
白の茉莉花を中心に青のブルースターを散りばめて。
その横でフォーリーは躊躇いながらも黒百合と彼岸花を一つずつ。それでも大輪の花が二つ並べば黒と赤のコントラストは鮮やかに。
「どうだろうか?」
「えぇ、とても素敵よ!」
完成したフォーリーのハーバリウムに感嘆の声をあげれば、それはマリアドールの前に差し出される。
「今日の礼だ。 取っておいてくれ」
「ありがとう。 それでは、これはあなたへ」
助かったと感謝も込めてフォーリーが差し出せば、マリアドールからもハーバリウムが差し出される。
「マリア……礼だと言っただろう?」
「フォーリーのお手伝い分としてこれはありがたく頂くわ。 そして、マリアからは楽しい時間を一緒に過ごせたことへのお返しよ?」
だから、良かったら受け取ってとマリアドールは微笑む。
マリアには敵わないな、と差し出されたハーバリウムを受け取りフォーリーも釣られたように笑顔で返した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朝野・向日葵
千夜子ちゃんと最後はワチャワチャしたいです!
「本当に色んな花が咲いてるんだねぇ、桜もあるとは思わなかった」
こっそりと参加したクリスマスの宴、後ろめたい訳ではないが皆に知られるのは恥ずかしかった
「君の好きだった桜の色じゃないけどな」
墨染の花をつける桜…彼女はその桜が好きだった
「この色は俺の未練の色なのかもな」
後悔は尽きない、この未練は生涯自分に付きまとい続けるだろう…それでも
「昔みたいに立ち止まることはしないさ…仲間のためにもね」
今の自分の想いを込めて桜の花の小瓶を海に流そう
いつか君に届くように
千夜子ちゃんには自分のファンの女の子達に愛を送ったんだと誤魔化しながら今年のクリスマスを楽しみます!
●
「本当に色んな花が咲いてるんだねぇ、桜もあるとは思わなかった」
この地に案内してくれた少女に気付かれぬよう。
こっそりと他の人たちに紛れながらやってきた白砂辺島にて、朝野・向日葵(刀を抜かない侍・f18432)は感嘆の声を漏らした。
ここは不思議な島だ。
冬だというのに満開の桜が咲き誇る――ただし、その花の色は白だけれども。
そして、桜の木の側に向日葵や秋桜と本来であれば一緒に咲いている光景は見られぬ花々が一緒に花開いている。
一緒にこの地にやってきた猟兵たちは思い思いに花を集め楽しそうに色付かせ、大切な人へのプレゼントを作り始めていた。
「こういうのはキャラじゃないんだけどね」
なんて思わず言い訳を口にしてしまうのは少しばかりの気恥ずかしさがあったからだ。
そして、そっと桜の花に手を伸ばせば――伝わるのは悔恨の想いか。
淡い桜色ではなく、その花は墨染の色へと染め上がる。
「君の好きだった桜の色じゃないけどな」
苦笑とともに墨染の桜を手折る。
そっと小さな瓶に桜の花を浮かべ、己の顔には苦笑を浮かべる。
君が好きだった花。
君と一緒に見上げたあの時間。
それはもう戻らない――胸には何時だって後悔が残っている。
過去の過ちの記憶は無くならない。
未だに自分は刀を抜くことはできない。
「この色は俺の未練の色なのかもな」
だから、優しい春の訪れを告げる桜色に染まらない。
「――それでも、聞いてくれるかい?」
今、この場にいない彼女へ語りかけるように。
ゆらりと小瓶に揺蕩う墨染の桜を見ながら向日葵は小さく呟く。
「昔みたいに立ち止まることはしないさ……仲間のためにもね」
もうあの日のように、背を向けることなんてしない。
手を差し伸べてくれた少女がいた。
師のように慕ってくれる少年がいた。
穏やかに見守ってくれる女性がいた。
「だから、俺はちゃんと『前に』進まないとね」
見守っていてくれるかい?
穏やかに揺れる波の向こうを見つめて向日葵は微笑む。
自虐めいた軽い笑みでなく、この決意がいつか君に届くようにと祈りを込めて。
「え!? ひま君、海に想いを流すような人がいたんですか!?」
「うわぁ!? 千夜子ちゃん!?」
そんなセンチメンタルをぶち壊すかのように、向日葵の背後から驚きの声を上げたのは薄荷・千夜子だ。
バレないようにこっそり帰るだけだったはずなのに、最後の最後で見つかってしまった。
「ハハハ、嫌だなぁ……オレにだってそんな相手ぐらいはいるよ――そう、オレのファンの子とかね」
「いや、ファンとかいないでしょ」
「辛辣!!」
付き合いが長いが故の気安さ故のツッコミに反論の声を上げながらも向日葵はこの空気感を楽しんでいた。
そうそう、しんみりしているのもらしくないしね。
進むと決めたのだから明るくいかないとね。
軽口の応酬を交わしながら――太陽へ向く花の如く、向日葵は一歩未来へ向かって進み出した。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
不思議なクリスマスをする所もあるんだな。
世界が変わればクリスマスも違うっていうのが、凄く面白い。
どんな花がいいだろう。
花っていうと…俺は白い彼岸花を思い出すんだ。
今年の夏のあの提灯を思い出すんだ。
でも今は冬だし…白い彼岸花が難しいかも。
大事な人、じいさんに気持ちが届く花がいいな。
その花に、気持ちを込めて海に流すんだ。
「じいさん、俺、どうにか猟兵頑張っているよ。
まだ時々、失敗したりするけれど、
俺、もっと人と世界を救いたい。
じいさんが望んだから猟兵してるんだけど…。
俺が、人と世界を守れるようになりたいって、最近思うようになったんだ。
だから、骸の海から見ていて欲しい。
俺、もっと頑張るよ。」
●
「不思議なクリスマスをする所もあるんだな」
辺り一帯に咲き誇る白の花々を見やりながら木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は小さく呟いた。
花々を贈り物に、というところまではクリスマスっぽさを感じなくはないニンゲン一年生の都月ではあるが花を詰めた瓶を海に流すというのはなんだか灯籠流しのようである。
それでも、数々の世界から落ちてきた島で形成されたこのグリードオーシャンだからこそ遠くにいる大切な人にもしかしたら届くのではないかと思われたのだろう。
「世界や場所によってそれぞれ違うクリスマスを楽しめる、というのは凄く面白いな」
郷に行っては郷に従え、都月も早速花を探して回ることにする。
もし、自分が花に願いを込めるのであれば――。
「白い彼岸花がいいんだけれどなぁ」
それは、あの夏の日に出会った花灯。
彼岸花、狐花とも呼ばれることを知った。
妖狐である自分に、そして相棒のチィのような月の光を見せてくれた白き彼岸花の提灯は都月のお気に入りである。
「今は冬だし、彼岸花は難しいか……ってあった!?」
通年涼やかな気候で安定しているからなのか、真白に咲く花々という時点で生態系が違うのか。
季節に関係なく様々な花が咲き誇っていたのは嬉しい誤算であった。
桜の木のそばに彼岸花が――と他の世界では(サクラミラージュなら見られるかもしれないが)中々お目にかかれない光景が広がっている。
「でも良かった。 贈るなら、この花がいい」
ずっと都月の心の温かい場所にいてくれる優しいじいさん。
じいさんを見送ってから経験した様々こと、想い、とても話し足りないから。
そっと彼岸花へと手を伸ばす。
本来なら色付く花だが、都月が手折っても色は白のまま――それは都月が見せたい色は想い出の白の花だからこそ。
じいさん、俺、どうにか猟兵頑張っているよ。
まだ時々、失敗したりするけれど、俺、もっと人と世界を救いたい。
じいさんが望んだから猟兵してるんだけど……。
俺が、人と世界を守れるようになりたいって、最近思うようになったんだ。
だから、骸の海から見ていて欲しい。
俺、もっと頑張るよ。
白の彼岸花に語りかけるように、瞳を閉じて祈りを捧げる。
一輪の白い彼岸花、そして彩りを添えるかのように様々な色のカランコエの花を散りばめて都月はじいさんへと贈るハーバリウムを作り上げる。
貴方と『また会う日まで』きっと『たくさんの小さな想い出』を集めておくから。
その時は隣に座って笑って聞いて欲しい――だから、今はまだ待っていて。
瓶に蓋をして、遠く海の向こうへいる貴方へと。
この約束が届きますように――。
大成功
🔵🔵🔵
桜雨・カイ
遠くにいる人へ…
考えて、複数の花を色とりどりに色づけし小瓶に入れる。
今はもういない世一と冴へ向けて
時々お花はお供えしますが、冬はどうしても用意しづらいので
…綺麗だと喜んでくれるでしょうか
そして……あなた(弥彦)とは、どこかで会えますよね。
願って、別に作成します
千夜子さん、すみません花を選ぶの手伝ってもらえますか?
約束を主に送りたいんです
ハーバリウムの作り方を教わりながら作成
同じ花から房を分け、小さな小瓶に二つ(弥彦と自分の分)
【念糸】で瓶をそれぞれ結んだ後、弥彦の分を海へ送る
縁を引き寄せて欲しいと願いながら
ありがとうございました。お礼にこれを
(千夜子さんに合うかなと、明るい色に染めた花を渡す)
●
「遠くにいる人へ……か」
季節問わず大小様々な花が咲き誇っている島をゆっくりと歩くのは桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)だ。
その腕にはすでに幾つかの花が抱えられている。
今はもういない家族のような存在――冴と世一へと贈る花。
「時々お花はお供えしますが、冬はどうしても用意しづらいので常に花が咲いているこの場所は素敵ですね」
とはいえ、今日この日でなければ真白き花ではあるのだけれども。
淡い色のついたスイートピーは優しい想い出。
今でも貴方たちを思っているそんな気持ちを込めたトルコキキョウはカイの名からか桜色へと染まっている。
そしてその花たちを小さな瓶へと想いを花に込めて詰めていく。
小さな花畑が出来上がったようで思わずカイも笑みを浮かべる。
「二人への祈りが込められた花……綺麗だと喜んでくれるでしょうか」
「もちろん、カイさんの気持ちが込められたもの――喜ばないわけがないですよ」
誰に聞かせるわけでもなく呟いた言葉であったが、ひょこっと顔を覗かせてこの地へと案内した少女――薄荷・千夜子が笑って応えた。
「千夜子さん、ありがとうございます。 そうだ、少し花を選ぶのを手伝ってもらえますか?」
――どこかで出会えるよう……約束を、主に送りたいのです。
弥彦はもう会えない人ではない――あなたとは、どこかで会えますよね。
言葉には出さずとも胸に秘めた想いはあの日から変わらず。
だからこそ約束の証となる花を探したいと彼女へ協力を願い出れば。
「もう一度会いたい方、ですね……それならば」
辺りをぐるりと見回して、目的の花を見つけた千夜子がこちらです、とカイを先導する。
カイに指し示された花は小さな実もなったサネカズラ。
「このサネカズラの花には『再会』『また逢いましょう』と言った意味があるのです」
カイさんの約束にぴったりじゃないですか?
その言葉にカイも頷きそっと手を伸ばせば花の色は桜色へ。
小さな瓶を二つ用意すれば、サネカズラの花を房から分けて同じ花をそれぞれの瓶へと。
それぞれに入れた花が再会の約束となり巡り合いの縁へと繋がるように。
花と一緒にサネカズラの実も雨粒のように一緒に浮かばせる。
「最後に――」
二つの小瓶を念糸で結び、そっと一つを海へと送る。
この花がどこまで遠くへ行こうとも、縁が途切れることなく結ばれますように。
私はここにいる、とあなたに届きますように。
「届きますかね」
「届きますよ」
波に揺られて少しずつ遠くへ流れていく小瓶を見送りながら呟いたカイの言葉に千夜子も一緒に小瓶を見送りながら頷いた。
そんな千夜子の姿を見て、そうだとカイが一輪の花を取り出す。
「千夜子さん、今日はありがとうございました――お礼に、これを」
似合うかな、と思ってと少しはにかみながら差し出されたのは淡い陽の光のような黄色に色付いたガーベラの花。
千夜子は一瞬驚いた顔を見せながらもすぐに嬉しそうに笑顔を見せ、差し出された一輪のガーベラを受け取るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
蘭・七結
🍓🌺
硝子の瓶へとお花を詰めて
移ろわぬうつくしさを宿す植物標本
まいは如何なるお花を選ぶのかしら
髪に添わす白、紫、あかの牡丹一華
思い出のネモフィラ
カスミソウに、勿忘草
そして、緋を帯びるサクラ
目当てのお花をそうっと手繰り寄せて
硝子瓶へと入れましょう
どのお花も、とても大切
なゆに欠かすことのできない彩たち
ふふ。ゆうるりと仕立てましょう?
あなたが招いてゆく花々を眺めていましょう
まあ、とりどりの花たち
館にいらっしゃる皆さんの彩りね
あなたの想いがよおく伝わるかのよう
ふふ。わたしも、皆さんが大切だわ
光に翳したりしてみましょうか
透明な海を游ぐように浮かんだ花たち
嗚呼、とてもキレイね
お部屋に置くのがたのしみだわ
歌獣・苺
【🍓🌺】
はーばりうむ?
へぇ~!この瓶の中に
お花をいれるんだ…!
うぅーん、
沢山種類があって選べないよう…!
へ!?なゆ、もう決まったの!?
わーん、まってよぉ…!
ええっと、ええっとーーー。
赤色のアネモネと、ネモフィラに
ミオソティスと、桔梗と…
向日葵と百合と…梔子!
大好きな館のみんなのイメージ♪
……色合い大丈夫かな。
な、なんとかなるよね!
そーっと、そーっと入れて…!
完成っ!よかった…
意外と綺麗にできてる!
わぁ…なゆのも素敵だねぇ…!
やっぱり思いがあるものほど
輝いて見えるよね!
ぷかぷか浮かぶ
綺麗な花たちを見てにっこり
早くこれ、大好きな館のみんなに
自慢して自室に飾りたいね!なゆ…♪
●
「まずは一輪」
迷うことなく蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)の指先は目の前で真白く花開く牡丹の花へと伸ばされる。
そして、瞳を閉じて祈りと共に花を手折れば中心から牡丹の花が赤く色付いていく。
牡丹の花は赤、紫、そして変わることのなき白――それは七結の髪で鮮やかに咲き誇る花と同じ色。
「次は――この子ね」
想い出のネモフィラ、カスミソウ、勿忘草と順に揃えていく。
その動作に淀みはない。
「な、なゆはもうお花決まったの!?」
「えぇ、どのお花もとても大切なものだから……迷いようがなかったのよ」
七結とは対照的にたくさんの花々を前にわたわたと選ぶ花を決めきれないのは歌獣・苺(苺一会・f16654)だ。
眉尻を下げ、どれにしよう?どれがいいかな?と慌ただしく駆け回る苺の姿を見やりながら七結は優しい微笑みを浮かべる。
七結は大事だからこそ迷いがなかった。
けれども、苺は大事だからこそ迷ってしまって。
「うぅーん……たくさん種類があって選べないよぅ……!」
「いいのよ、時間はまだまだあるのだから。 ゆっくり選べばいいと思うわ……でも、わたしはこれで最後」
ふふっと笑って、七結が桜の枝に手を伸ばせば花弁は緋色を帯びたものへと変わっていく。
これが最後、と告げればまだ一輪も選べていなかった苺は衝撃を受けたような驚きの顔を見せる。
なゆは早いよぅ……と声をあげる苺の姿――そうやってころころと彩を変える表情を見るのが楽しくて、思わず私の準備はこれで終わりよと七結は告げてしまったのだ。
ごめんなさいね、と心の中で謝りながら七結は先に作業用の机に向かう。
「まいは如何なるお花を選ぶのかしら。 楽しみにしているわね」
「わーん、まってよぉ……!」
七結はくすくすと笑みを溢し、苺を観察もとい見守り態勢へと。
一足先に花集めを終えてしまった七結を見つめるものの、それでは先に進まないと苺も花畑へと視線を戻す。
「えぇっと、ええっと……館の皆をイメージしたお花が欲しいから……」
じっくりと花を見つめて。
大好きな館のお友達たちを思い浮かべながら花を探していく。
「アネモネは……赤がいいな。 それから、ネモフィラにミオソティスと、桔梗と……」
一つずつ大事に手折り、それぞれのイメージにあった色になるように皆を思い浮かべながら花を集める。
「あとは、向日葵と百合と……梔子!」
気付けば苺の腕の中にはカラフルな花々が抱えられ。
花はばっちり、色合いが少しだけ不安だけれども――。
「な、なんとかなるよね!」
「それに気持ちが一番大事じゃないかしら?」
さぁ、それじゃあ始めましょう。
花を集め終わりててっと、寄ってくる苺を手招きし彼女の抱える花々を眺めて七結がにこりと微笑む。
「まいが選んだのは……館にいらっしゃる皆さんの彩りね。 あなたの想いがよおく伝わるかのよう」
「そうかなぁ? そうだと嬉しいな……えっと、これをはーばりうむ?にするんだよね?」
「そうよ。 硝子の瓶へとお花を詰めて――移ろわぬうつくしさを宿す植物標本に」
こうやって、瓶の中にお花畑を仕立ててゆくのよ。
苺に手順を教えるかのように、ゆっくりと花を小瓶へと落としていく。
それを真剣に見つめ、七結と同じように苺も小瓶へと花を浸す。
一輪一輪丁寧に――皆と過ごす楽しい時間を花にして、そっと想い出に残すかのように。
「そーっと、そーっと……バランスよく……」
「どのお花も輝けるよう」
二人の選んだ花はそれぞれ違うけれども小瓶に詰める想いは同じだから。
そして、それぞれが最後の一華を小瓶に浮かべれば――。
「「完成!」」
二人で顔を見合わせ微笑み合う。
どちらのハーバリウムもたくさんの花々が仲良さそうに揺蕩っている。
光に翳してみれば、花弁が透明な海を泳ぐかのように。
キラキラ、キラキラ、煌めいて。
「よかったぁ……意外と綺麗にできてる!」
「えぇ、とても素敵よ。 まいの心の煌めきのよう」
七結のまっすぐな賛辞に照れ照れとその頬を緩ませながら、苺も七結のハーバリウムを見つめてふふりと笑う。
「わぁ……なゆのも素敵だねぇ……! やっぱり思いがあるものほど輝いて見えるよね!」
「ふふ。 わたしも、皆さんが大切だから……まいと同じように見えるのね」
嗚呼、二つ並べてみればそれはとてもキレイで。
これを見たら皆はどんな顔を見せてくれるのかしら――そう考えるだけで心が弾んでしまう。
「早くこれ、大好きな館のみんなに自慢して自室に飾りたいね!なゆ……♪」
「えぇ、お部屋に置くのがたのしみだわ」
コツン、と二人の小瓶を軽く鳴らし楽しそうにコロコロと笑い合う。
これからも、二人の――そして皆との楽しい日々が続きますように。
そんな祈りと願いを込めたハーバリウムを見つめながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荒谷・つかさ
(千夜子に話を聞いて)
……なるほど。
こういうのは、あんまり慣れないけれど……そうね。
折角だし、やってみるわ。
揃いの形状の二つの小瓶に、それぞれ別の想いを込めた花を
(花の種類と色はお任せします)
片方には、家族としての心からの愛情と、幸せになって欲しいとの願いを籠めて
もう片方には、心身の成長を期待し、大切なものを託す想いを籠める
出来上がったら、自分で渡しに行くので受け取る
誰に渡すのかって?
当然、私にとって一番大切な子と、彼女にとって一番大事な子によ
それともう一つ、自分への誓いを込めた花の瓶も作りこれは海に流す
籠めた誓いは――例えこの命尽きようと、前へ進み続けること
私は強くなるのよ。どこまでもね。
●
「――と、いう感じで作った完成品がこちらになります」
「……なるほど」
まずは実物を見てみる方がわかりやすいですよね、とこの島の不思議な花の特徴を伝えながら一つ出来上がったハーバリウムを薄荷・千夜子が持ち上げて見せた。
それにこくりと頷くのは荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)だ。
「こういうのは、あんまり慣れないけれど……そうね。 折角だし、やってみるわ」
それに、渡したい相手がいるのよねとつかさは二つの小瓶を手に取った後花を探しに向かった。
今回つかさが渡したいと思っている相手は二人。
「(あの子には――家族としての心からの愛情と、幸せになって欲しいとの願いを籠めて)」
大事で、大切で、大好きな妹へ。
家族愛の意味を持つサルビアの花は優しいあの子をイメージすれば淡い桜色に変わっていく。
「サルビアですか……あ、苺には『幸せな家庭』という意味もありますよ」
「あの子には幸せになって欲しいけどそこはまだ早いッ!!」
花の知識ならお任せを、と手伝いに名乗りを上げた千夜子からのアドバイスにクワッとつかさは目を見開いた。
もちろん妹の恋路は応援している。
幸せになってもらいたいと心から思っている。
でもそれはそれ、これはこれ。お姉ちゃん、まだそこまでは許しませんよ。
だからこそ、もう一つ用意するのだ――そんな大事な妹がいつの間にか見つけていた恋するお相手のために。
「(あの子には――心身の成長を期待し、大切なものを託す想いを)」
妹を託すにはまだまだ頼りなく見えてしまう少年へ。
私を倒せるぐらいになりなさい、と言いたいところだがそこまでは我慢しておこう。
それでも二人が幸せになれるよう、そんな祈りを込めて選んだ花は淡い恋、守護の意味を持つブローディア。
かの少年の真っ直ぐな瞳を思わせる青色となり、つかさの手に添えられる。
「これは……つかささんと、妹さんの分ですか?」
「残念、私の分というのはハズレ……これは――私にとって一番大切な子と、彼女にとって一番大事な子によ」
そう言って、ふふっとつかさは微笑んだ。
だからこれは作り終わったら持ち帰らせてもらうわね、と告げて最後にもう一輪花を選ぶ。
これは自分のための花。
「(――例えこの命尽きようと、前へ進み続けること)」
誓いの花は炎のように燃え盛る赤に色付いたネメシア。
偽りのない心。
「私は強くなるのよ。 どこまでもね」
決して止まらない。これからも強さを追い求め、未来へ進んでいくことを花に誓って、そっと小瓶に決意の花を添える。
その誓いは波に乗りどこまでも遠くへと――彼女と同じくどこまででも進み続けるかのように荒波を超えて往くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ブルース・カルカロドン
【鮫と人魚】
口調:悪党のカルカロドン
UCで真の姿になって
恋人のシェフィラと一緒に参加
この姿のいいところは手足があるってところだな
おかげで恋人と一緒に花を摘める
摘んだ花をシンプルな瓶に詰めて完成したのは
情熱的な赤に染まった花を主役にして
いくつもの小さな白い花を添えたハーバリウム
「メリークリスマス、シェフィラ」
ハーバリウムを交換しあった後
燃えるような愛と真心を込めて
彼女を抱き寄せて口付ける
来年もその先も一緒にいられるよう
祈りながら
シェフィラ・ディアレム
【鮫と人魚】
恋人であるカルさんと一緒に、ハーバリウムの制作をしたいと思います!
私には足はありませんので歩く事は出来ませんが、その代わりに水魔法を使って浮けますのでカルさんと一緒にお花を摘みます!
完成したのはいっぱいの青いお花、そして所々に白いお花も混じっている、お魚の形をした瓶に詰め込んだハーバリウムです!
「メリークリスマスです、カルさん!」
この先もずっと一緒にいられる様にと願いを込めながら、そっとカルさんと口付けを交わしたいと思いますー!
●
「シェフィラ、行こうか」
巨大なホホジロサメから褐色の肌に金の髪を靡かせる青年へと姿を変えたブルース・カルカロドン(全米が恐怖した史上最悪のモンスター・f21590)はその青の瞳を細めて愛しい人へと手を差し出す。
「はい! カルさん!」
自身の周りに水の魔法を付与させ、陸を歩けぬ人魚――シェフィラ・ディアレム(放浪中の人魚娘・f27311)はブルースと視線の絡まる位置まで浮き上がりその手を取った。
「シェフィラは欲しい花はあるか?」
「こういう感じにしたいなぁ、ってイメージはできているのですけど……」
どのお花を、というのまではと言葉を続けてふわりと笑う。
「ですから色んなお花を一緒に見て回りたいです! お花を探しながらカルさんとデート、ですよ!」
「あぁ、そうだな」
楽しそうに告げるシェフィラにブルースも釣られて微笑む。
時間はまだたくさんあるのだ。
せっかくなのだから二人のこの一時を今しばらく楽しむのも悪くはない。
「定番かもしれないが――」
そして二人で真白の花畑を歩き回って見つけたのは薔薇園だ。
そっとブルースが手を伸ばし、薔薇に込める祈りは愛する彼女への想い。
燃えるように、情熱的な愛情を。
この愛を捧げるのは君だけだと――その想いに応えるように薔薇は赤く染まり行く。
「シェフィラへの想いをこの薔薇に込めて」
「カロさん……それなら、私は――」
ブルースに続いてシェフィラが真白の薔薇へと手を伸ばす。
シェフィラも薔薇へ愛する彼への想いを込める。
どこまでも広い海のように、貴方への想いが溢れているのだと。
その穏やかな愛を受け止めてくれる貴方へと――その想いに応えるように薔薇は青く染まり行く。
「こうやって想いが目に見える形になるというのは面白いですね!」
「そうだな。 それに、こうやって一緒に花が詰めるという経験も面白い」
ブルースの普段の姿であれば、シェフィラと共に雄大な海を自由に泳ぎ回ることができる。
しかし隣に並ぶことはできても手を引くことはできない。
彼女のために花を手折ることもできない。
「こうやってお前のためにできることが増える、と思えばこの姿も悪くはないな」
人の姿にそんなに思い入れはなかったけれども、これはこれで悪くないと彼女と過ごすようになってから思うようになった。
こうやって一つ一つ、今までは思うことのなかった想いが増えていくのであろう。
それもまた、悪くないなと隣で微笑むシェフィラを見てブルースは想う。
「あ、あと白いお花も欲しいんです」
「俺も小さい花を添えたいと思っていたところだ」
シェフィラはどのようなハーバリウムを作りたいのか、と問いかければたくさんの青に白い花を入れ込みたいのだと身振り手振りも交えて楽しそうに語る。
それに相槌を打ちながら二人で見つけた花はカスミソウ。
「このお花を散りばめたら綺麗かもです!」
「そうだな。 俺も一緒にこの花にするとしよう」
それぞれの手に花と互いの手を添えて。
花探しのデートを終えた二人は作業台へと戻ってくる。
「みてみて、カルさん! お魚の形をした瓶もあります! 私これにします!!」
「シェフィラの選んだ青の花を入れると映えそうだな。 俺は……」
メインはこの赤き花。
一輪の赤い薔薇が綺麗に入るシンプルな小瓶をブルースは選んだ。
彼女に捧げる唯一つの想い。そして、彼女と共にあれることが幸福であるとの想いを込めてカスミソウをその傍に散りばめる。
「わぁ……カルさんのハーバリウムとても素敵です!」
「シェフィラのも綺麗に作れていると思うぞ」
ブルースの作ったハーバリウムに瞳を輝かせるシェフィラに対し、ブルースも青で彩られた魚のハーバリウムを見て笑みを浮かべる。
彼に贈るどこまでも深くたくさんの愛を青の薔薇に込めて。貴方の傍にいられる感謝の気持ちをカスミソウに乗せる。
「メリークリスマスです、カルさん!」
「メリークリスマス、シェフィラ」
互いのハーバリウムを交換し、目を細めて笑い合う。
その微笑みをもっと近くで見ていたいとシェフィラの腰を抱いてそっと自身の傍に引き寄せる。
「――あぁ、人の姿はもう一ついいところがあったな」
頬を赤らめ見上げるシェフィラの唇にブルースが口付けを落とす。
この熱を、燃えるような愛を伝える手段の一つ。
言葉を交わすだけでなく優しく甘い愛の伝え方。
これからも、その先もずっと二人で――。
そんな祈りと共にもう一度二人は唇を寄せるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
戀鈴・イト
【硝華】花の色はおまかせ
色づく花、不思議だね
僕はどんな色を付けられるんだろう
君に見せられるような色だといいのだけれど
臆、行こう
僕達の花はどれだろうね
眞白のスイートピー
ふふ、触れるの緊張するな
せーの!
この色、
良かった、シアンに見せられるような色で
シアンは何色だったんだい?
僕の恋心を汲んだのかな、とは言えずに口を噤む
花開く花瓶に似た硝子瓶を選ぼう
わ、ありがとう
大切にするね
シアン、これどうぞ
もう一つは天国の二人へ送るハーバリウム
いいね、二人で一緒にプレゼントしよう
一緒に能力で硝子の花を創り上げる
今は亡き、僕たちの主人である老夫婦へ
海へと流れていく姿がどこか儚くて
一度目を閉じる
この想いが共に海へと
戀鈴・シアン
【硝華】花の色はおまかせ
色づく花というものがあるそうだ
俺達の想いはどんな彩りになるのだろう
楽しみだね、行こうか
俺達の花を探そうか
いまはまだ眞白のスイートピー
緊張する?
ならせーので一輪ずつ触れてみようよ
せーの
……綺麗な色だ
見て見て、イト
イトは何色になった?
この花は一体どんな想いを汲んだのだろう
細身の花瓶のような形の硝子瓶を選んで
うん、なかなか上出来
イト、これあげる
交換だね
それともう一つ
天国の二人へ送るハーバリウムを一緒に作るのはどう?
詰めるのは生花ではなく、能力で創り出した硝子の花
俺たちの主人である二人へ
完成したら共に海へと送り出そう
二人の愛した硝子の花と、俺達の想いが
どうか天国へと届くように
●
「色づく花、不思議だね」
「俺達の想いはどんな彩りになるのだろう」
一面が真白の世界。
その中に溶け込んでしまいそうなほど、白銀の美しさを煌めかせている硝子のような少年が二人佇む。
「僕はどんな色を付けられるんだろう」
――君に見せられるような色だといいのだけれど。
心の奥、大事なところに眠るほのかな想い。
それはとてもとても愛しいものだけれど、だからこそ慾が混じってしまわないか、まだ伝えられないその想いが色に現れてしまわないか――そんな不安を秘めて戀鈴・イト(硝子の戀華・f25394)は小さく呟いた。
「楽しみだね、行こうか」
親愛の情を向けて戀鈴・シアン(硝子の想華・f25393)はイトへと手を差し出す。
少しだけ、ちりりとイトの胸が痛む。
同じように同じだけの愛を返せればいいのだけれど、僕の想いは――。
「臆、行こう」
奥底に眠る想いに蓋をして、ふわりと微笑みシアンの手を取り並んで歩き出す。
「俺達の花を探そうか」
「僕達の花はどれだろうね」
繋いだ手は離さずに。
シアンとイトは『二人の花』を探しに行く。
言葉に出さずとも二人の考える花は一つのみ。
プロポーズのために作られた硝子細工の花、その花を活けるために作られた硝子花瓶――それがイトとシアンなのだから。
「ほら、見つけた」
「俺達が選ぶのはこれしかないよね」
二人の前に咲き誇るのは真白のスイートピー。
これに祈りを込めて触れれば想いにちなんだ色に変わると言うけれど。
「ふふ、触れるの緊張するな」
自分の想いが色となって溢れてしまわないか。
躊躇いなく手を伸ばすにはその想いは強いものだから。
スイートピーに手を伸ばすけれども、イトはまだ指先を花にまで伸ばすことができない。
「緊張する?」
――大丈夫だよ。
問いかける言葉の裏に見える優しい温かさ。
キュッと繋いだ手に力を込め、シアンの穏やかな眼差しがイトを捕らえる。
「せーので一輪ずつ触れてみようよ。 俺と一緒に」
「うん、一緒に――」
せーの!
二人で声を揃えて真白のスイートピーに手を伸ばしてみれば――。
シアンの触れたスイートピーは爽やかな空の色、どこまでも澄んだ綺麗な青。
「……綺麗な色だ。 見て見て、イト……イトの瞳の色みたいじゃない?」
「うん、とても綺麗……でも、それを言うならシアンの瞳のような青だよ」
二人の想う綺麗な『青』は、きっと互いの瞳の色なのだろう。
それぞれが互いの方が似ているよ、と譲らず。
思わず二人揃って笑い出してしまう。
「全く、敵わないなぁ……イトの方は何色になった?」
「えっと……僕の方は……」
イトの触れたスイートピーは春の訪れを告げるような淡い桜色へと染まっていく。
小さな小さな戀心。これから赤く色付く前の優しい色。
「(良かった、シアンに見せられるような色で)」
それでも、自身の恋心が色付いたのかと思うと少しばかり気恥ずかしい面もあるけれど。
「この花は一体どんな想いを汲んだのだろう」
シアンの無垢な問いに思わずどきりとしてしまう。
まさか君への恋心だよ、なんて言うわけにはいかず。
「そうだね――いつか春が訪れますように、かな」
「春?」
君が、僕と同じ願いを抱いてくれるなら嬉しいのだけれど――なんて、そんな慾を言葉にすることはできないから。
「ううん、なんでもないよ。 君の幸せを願っている、そんなところかな?」
「俺もイトの幸せを願っているよ」
真っ直ぐな視線と言葉に微笑みで返し、これ以上はと誤魔化すように手を引いて。
「さぁ、花を集めたらハーバリウムにするまで……だろう?」
「あぁ、そうだね。 瓶も色々種類があるみたいだ」
大小様々な形状の瓶が並べられた作業台へと向かいそれぞれ瓶を選んでいく。
イトは花開く花瓶に似た硝子瓶を、シアンは細身の花瓶のような形の硝子瓶を。
そして、丁寧にスイートピーを入れて液体で浸していく。
「最後の仕上げに――」
イトは出来上がったハーバリウムの小瓶に赤いリボンを結びつける。
「よし、出来た。 シアン、これどうぞ」
恋心を渡す、少しだけ緊張しながらイトはハーバリウムを差し出した。
「ありがとう……あ、リボンも綺麗だね。 それじゃ、俺も……」
イトから差し出されたハーバリウムを見て、シアンも自身の作ったハーバリウムに赤いリボンを結んでみる。
うん、なかなか上出来と満足そうに頷いて。
「イト、これあげる」
交換だね、とハーバリウムを渡し合いながらイトの頬が朱に染まる。
互いに赤いリボンで結ばれたものを交換するなんて――それはまるで、運命の赤い糸のようじゃないか。
「ありがとう――大切にするね」
まだこの想いは片想いかもしれないけれど。
いつか大事にしていれば、もしかしてなど淡い期待をしてしまってもいいのだろうか。
「ねぇ、イト。 もう一つ――天国の二人へ送るハーバリウムも一緒に作るのはどう?」
「いいね! 二人で一緒にプレゼントしよう」
この想いが何であるかを教えてくれた老夫婦に。
憧れであり、感謝を抱く存在に。
今の二人から贈る大事な二人へのプレゼント。
それは二人の力で練り上げた硝子の花。
「どうか海をも越えて」
「天国の二人に届きますように」
二人の祈りと見送りと共に優しく揺らめく波に乗って小瓶に入った硝子の花が煌めいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
柚木・眞衣
見渡す限りの真白な花々
吐く息も、また白くて
天を仰いでひとりを想う
わたしの、
大切な片割れの愛衣ちゃん
双子として生きてきて
比べられる事も多く
わたしは、あなたが苦手で、
それでも──
会えなくなった今は
いちばん、あなたに逢いたい
けれど、その願いは叶わないから
せめて花には想いを込める
大好きもありがとうも
──ごめんね、も
千夜子さんが居たら
アドバイスを貰いたいけど
服の裾を引いたら気付いてもらえる?
多くの言葉を発さないわたしに
気付いてもらえたのなら、
「──おはな、」
自分だと決められないから選んでほしい
そして、それを小瓶に詰める
「ありがと、」
と小声で彼女に礼を述べる
出来上がったハーバリウムは
──海へ、流さなきゃ
●
――すごい、真白な世界。
はぁ、と息を吐けばそれすらも白く染まりどこを見てもただただ白が広がる世界。
だからこそか、ここにはわたし一人しかいないんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。
――愛衣ちゃん。
白の世界の中、天を仰げばそこだけは白に染まらず。
わたし――柚木・眞衣(Evening・f29559)は大切な片割れに想いを馳せた。
――ねぇ、愛衣ちゃんはそこにいる?
届かないと分かっていても、思わず手を天へと伸ばしてしまう。
我儘な願いだと思う。
会えなくなった今になって、いちばん、あなたに逢いたいなんて。
愛衣ちゃんとわたしは双子として生まれて、生きてきた。
同じじゃないのに、同じじゃないからこそなのか、どうしても比べられてしまって。
比べられることが嫌いで、自分には持っていないものを持っているあなたが苦手で。
――だから、わたしは言えなかった。
――だから、わたしは今、後悔している。
あなたがいなくなってから。
ようやく気付いたその想いと向き合えば。
――あぁ、いつも以上に手が赤い。
ここがとても白いからだろうか。
自分の手が、赤く紅く見えてしょうがない。
『あなたに逢いたい』そんな願いを望むなと言うように。
お前にそんな資格はないと突き付けるかのように。
その願いは叶わない、お前の手で失くしたのだと赤が告げる。
――それでも、伝えたい想いがあるから。
赤に染まった手をぎゅっと握り締める。
視界に、一人の少女が映った。
この世界に案内してくれた人、薄荷・千夜子さん。あの人ならわたしの気持ちを伝える花を見つけてくれるだろうか。
思わず縋るようにその服の裾を掴んでしまった。
「あら、どうかしましたか?」
「――おはな、」
発せられた言葉は一つだけ。
それでも彼女は穏やかに応えてくれた。
「どなたに贈る花かは決めていますか?」
「とても、たいせ、つな――」
うまく言葉にできなかったけれど、それだけ聞いて彼女は少し考える素振りを見せてから一つの花の前へと案内してくれた。
「朝顔はいかがでしょう? 『固い絆』や『愛情』と言った花言葉もありますよ」
その言葉に少し驚きながらもそっと手を伸ばす。
朝顔は届けてくれるだろうか。
大好きもありがとうも――ごめんね、も。
夜を前にして咲く罪の花ではなく、太陽と共に咲くこの花は。
「大丈夫ですよ」
わたしの不安が伝わったのだろうか。
かけてくれた声に応えるように手を伸ばせば、朝焼けを思わせる薄紫色に朝顔が染まっていく。
――あとは、これを愛衣ちゃんへ。
「ありがと、」
小さく呟けば、彼女は微笑みで返してくれた。
朝焼けの花をそっと小瓶に想いと一緒に詰め込んで。
願いを送るは海の彼方。
空と海の混じり合う場所――そこまでこの想いが届くなら。
どうか、届けて。
わたしの大切な片割れ――愛衣ちゃんに。
――わたしはあなたが、だいすきだよ。
大成功
🔵🔵🔵
ライラック・エアルオウルズ
【藤溟海・壱】
眸惹かれるよな、小瓶たち
それが僕にも作れるものか
妙ちきりんになったとしても
笑わないでね、藤次郎さん
そう見て頂いたからには
手は抜けないなあ、何て
気持ちを込めるのならば
僕は皆の彩を詰めたいな
藤と、桜と、硝子の花
遠慮がちに、リラを添え
真白いままも綺麗だが
藤の海に染まるように
全て紫にいろづくように
親愛の情を、密と込めて
センスの善し悪しは兎も角
あの場を掬う瓶に御満悦
然して、ついと笑いが溢れる
藤次郎さんが細工をする姿
何だか不思議な感じなもので
ふたりにも見せたかったなあ
この通りさ、藤次郎さん
そちらはと覘く瓶も見慣れた彩
照れる様子に綻び、花を追う
縁無き花に僕たちを見た理由
後で、密かに、教えてね
可惜夜・藤次郎
【藤溟海・壱】
花を小瓶で末永く、ね
はは、丁寧に、気持ちを込めて…お前ならそうするだろう、ライラ
笑うなんてことは無いさ
己はどうするか
物作りはすれど、最近は料理以外はとんと
まあ、基本からかな
おれの思いは何色か…
見るまでもなく、淡く藤色に色付く花々
集った面子は花にゆかりがある奴が多いけれど、敢えて外していこうかな
チューリップに、ブライダルベール、白いままのダリア…
うーん、やはり藤は外せないか
慣れない作業は納得も遠い
もう少し色味を足すべきか?
月に見立てて宝石を一つ
ライラ、出来たかい?
見慣れた色に染まるのは、満足だが、すこし照れるような
さてさて、秘めたるは秘めたままが華だろうが、どうしよう
気分次第、かな
●
「皆も色々なものを作っているなぁ」
「花を小瓶で末永く、ね。 これもまた面白い」
この地に訪れた猟兵たちだけでなく、島の者たちも作っているのであろう。
島のあちらこちらに様々な小瓶に収められた鮮やかな花たちがどれも見事に飾られていた。
そんな目を奪うような光景をライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)と可惜夜・藤次郎(千夜百花の愛・f16494)――花の名を持つ二人は並んで眺めていた。
「眸惹かれるよな、小瓶たち……それが僕にも作れるものか」
妙ちきりんになったとしても。笑わないでね、藤次郎さん――と、ライラックは先に断りを入れる。
まさか彼がそんなことを言うとはと、くつくつと藤次郎は笑みを浮かべた。
「はは、丁寧に、気持ちを込めて……お前ならそうするだろう、ライラ」
そんなお前が作ったものなのだから、笑うなんてことはないと当然のように告げながら。
「そう見て頂いたからには手は抜けないなあ……さて、それならばどのようなものを作るべきか」
此度の花は、込めた気持ちが色として宿るという。
普段では見れぬ色の花を小瓶に入れて残せるのだ。
「そうだなぁ……」
小さくライラックは呟いて、隣に佇む藤次郎を見やる。
まずは、彼に因んだものを――。
迷うことなく選んだ藤の花。彼を想い指先が触れれば白き花を揺らしていた藤は元来の色へと淡く染まって行く。
「僕は皆の彩を詰めたいな、そう思ってね」
そう続けてライラックは桜、硝子の花と選んでいく。
今この場にはいないけれど離れたところであの二人も同じように楽しんでいることだろう。
「この白のままでも綺麗だと思うのだけれど――」
選んだ花々が藤の海に揺蕩うように染まればいい。
皆と過ごす藤が咲き乱れるあの場所を思い起こすかのように。
皆への親愛の情を――藤色のそれぞれの花に込めて。
「皆の彩を詰めるのならば、まだ一つ足りぬものがあるだろう?」
ライラックの花選びを眺めていた藤次郎がくすりと笑い、一つの花を指し示す。
彼の名を持つ花。リラの花。
「あぁ……確かにそうだね」
あの藤の世界を一緒に過ごしているのはライラック自身も含まれているのだから。
藤次郎の言葉に頷き、遠慮がちにリラを手折る。
同じように藤色に色付いた花にライラックも笑みを深めた。
「さて――ライラを見てばかりではいけないな。 おれも花選びから始めるとしよう」
では、己ならどうするか。
しばし思案し、目の前の花に何の気はなしに触れてみる。
「あぁ、やはり藤色になるのですね」
「そのようだ」
そっと触れた花は淡い藤色へと変われば、二人揃って笑い合う。
やはりこの色が自分らしいと頷いて。
「せっかくだ。 おれも皆を思い浮かべて選んでみようか――集った面子は花にゆかりがある奴が多いけれど、敢えて外していこうかな」
彼ららしい花をライラックが選んだから、己は少しばかり変化球を狙ってみることとしよう。
そして彼らを思い浮かべながらいくつかの花を選んでいく。
チューリップに、ブライダルベール、白いままのダリア……色の変化を見せずそのまま綺麗な白を見せる花もとても良い。
そう満足気に藤次郎が眺めていると。
「おや、藤は入れないのですか?」
先ほどのお返しとばかりにライラックが藤を勧めれば、外せないよなと返してどの色よりも鮮やかな藤の花を色付かせる。
「花はこれで良さそうです」
「では、ここからが本番だな」
さて、物作りはすれど、最近は料理以外はとんとだと肩を竦める藤次郎に何事もまずはやってみることからですとライラックはその背を押した。
「……うーむ……もう少し色味を足すべきか?」
瓶に花を揺蕩わせ、しかしこれだけでは少し物足りないと藤次郎は花々を照らす月に見立てて宝石を一つ落とす。
持ち上げて眺めたり、向きを変えてみたりと慣れない作業に試行錯誤。
そんな藤次郎を一足早くハーバリウムを完成させていたライラックは目を細めて見守っていた。
眉を寄せながらも真剣に小さな瓶に向かい細工をしている姿。
「(ふたりにも見せたかったなぁ)」
彼らはこの姿を見たらどのような反応を見せるのだろうか。
それを想像して思わず笑みも溢れる。
「おや……ライラ、出来たかい?」
「あぁ、少し前にね」
作業に集中していたからであろう、ようやくライラックの視線が瓶でなく自身に向いていることに気付き藤次郎がその視線を上げた。
その問いに応えるように、ライラックも皆への想いを詰めた花の小瓶をカランと揺らす。
「この通りさ、藤次郎さん。 そちらも――うまくできたようだね」
「見慣れた色に染まるのは、満足だが――」
藤色に染まった花々に視線を逸らすのは照れ臭さを誤魔化してか。
その様子にライラックも顔を綻ばせ、同じように花を追う。
「ねぇ、藤次郎さん」
その視線の先には彼が選んだ花の姿。
――縁無き花に僕たちを見た理由。後で、密かに、教えてね。
――さてさて、秘めたるは秘めたままが華だろうが、どうしよう。気分次第、かな。
戯れを言の葉に乗せて。
その話をするのならば、続きは溟海の如く藤が花咲くあの場所で。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
【藤溟海・弐】
硝子の小瓶に花と共に、想いとこの日の記憶を閉じ込める―なんと心踊ることでしょう
イアはどの様な花と宝石の小瓶を作るのかしら?
瓶は環を描く円なもの
想いで白花を染めて咲かせるのね
想い描き祈るのは、私の傍にあり心をかけて
私という桜を咲かせてくれた、愛しき存在たちへの感謝と愛かしら
暖かな春の香りと体温と想いを
永遠の円環に封じれば
彩づく七彩の桜が花開く
まるで魔法
私の纏う彩は薄紅だけではないと識る
今日の証に冬の花を入れるのもいいわ
証は柊、永久の緑を七彩に添えて
持ち帰り、桜の館に飾るの
イアの小瓶は穹のよう
可笑しいどころか美しいわ!
噫、きっと
それはあなたの証のような魔法の小瓶
私、イアの小瓶大好きよ
イア・エエングラ
【藤溟海・弐】
祈りに応えて染まるだなんてやさしい花だこと
寒い夜気にも火のともるよな
心地はあなたもおんなじかしら、な、櫻宵
水晶の柱のような瓶へそろりとゆっくり花を落とすの
祈る願いはどうぞあしたも、きみの笑ってくれるよに
星のよに染まる花は一体どんな色かしら
やあ、や、櫻宵の庭に綺麗な桜の咲いたねえ
随分うつくしくなったのな
ひょいと覗いた瓶の先、楽園を綻ばせるのに手を打って
そうな、忘れぬよに今日の記念も添えましょう
柊だったらかわいかろ
僕は宝石のよな七竃に
僕のユークレースの欠片を添えて
おかしくはないかしらと両手添えて
言葉にふうわりほっと温かくなるの
ええ、ええ、だって今日の魔法の籠った、瓶だもの
●
「祈りに応えて染まるだなんてやさしい花だこと――寒い夜気にも火のともるよな……心地はあなたもおんなじかしら、な、櫻宵」
ふわりと柔らかな笑みを浮かべ青く煌く――イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)は後ろに佇む桜龍――誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の瞳を見つめた。
「そうね。 硝子の小瓶に花と共に、想いとこの日の記憶を閉じ込める――なんと心踊ることでしょう」
辺りの白に染まらぬ桜色、その色を思わせる穏やかな笑みで返し。
「イアはどの様な花と宝石の小瓶を作るのかしら?」
「祈る願いは、もうここに」
楽しみね、と笑う櫻宵にイアは瞳を閉じてそっと胸に手を当てた。
あとは祈りを込める花を選ぶだけ。
「櫻宵の花は――」
「えぇ、花は決めているわ」
イアの問いかけに櫻宵は迷うことなく一本の大樹の傍に。
私といえばこれでしょう?と真白き花咲く枝へとその手を伸ばす。
「想いで白花を染めて咲かせるのね」
枝に触れながら、胸に抱くは櫻宵の傍にあり心をかけて――『櫻宵』と言う桜を咲かせてくれた愛しい存在たち。
皆がいてくれたから今の私があるのだと、その感謝の想いと愛を込めて。
白の花が一つ、二つと色を纏う。
己を示す薄紅、愛しき人魚の乳白色――それだけでなく、赤、黄色、紫と花は一色でなく様々な彩が芽吹いていく。
「そう、これが――『櫻宵(私)』の桜」
櫻宵が紡いできた想い出が、絆が七彩の桜となり花開く。
もう今、櫻宵が纏う彩は薄紅だけではないのだ。
形となり視えたことで、その桜を愛おしそうに撫でる。
そして、大事に大事に円環の瓶へと桜を添える。
暖かな春の香りと体温と、今までのそして言葉にできぬ今日の想いを永遠の円環に綴るように。
「やあ、や、櫻宵の庭に綺麗な桜の咲いたねえ。 随分うつくしくなったのな」
「本当に……私には勿体ないぐらい、なんて謙遜はいけないわね。 とても素敵な花になったわ……さぁ、次はイアの番よ」
あなたの彩を見せてちょうだい、と声を掛ければ。
こくりと頷き、イアが手を伸ばしたのはスノードロップ。
白き雪と共に咲く希望の花。
その花に触れながらイアは櫻宵を見て微笑む。
「(祈る願いはどうぞあしたも、きみの笑ってくれるよに)」
七彩の櫻を見守る宵の星となりますように。
そんな願いに応えるかのように白きスノードロップは淡い星の煌めきのように淡黄に染まる。
「ふふ……きらきら、きらきら、星のよう。 瞬きの輝きを散りばめて」
水晶の柱を思わせる瓶にゆっくりと星のかけらを落とすかのように。
一片、一片、花弁揺らめいて。
「イアの小瓶も素敵になったわね」
「うん、とても美しく……これも綺麗、でも……そうな、忘れぬよに今日の記念も添えましょう」
「そうね、今日の証に冬の花を入れるのもいいわ」
小瓶に今日の想い出を一欠片。
――柊だったらかわいかろ。
歌うように愉しげに選ぶイアに釣られ、櫻宵も桜に永遠の緑の柊を今日の証として添えて。
これを持ち帰り、桜の館に飾る――あぁ、どこに置くのが一番良いだろうかと今から心も踊るよう。
そして、イアは柊と宝石のような七竈にユークレースの欠片も添えて。
今日の良き日を、冬の日の二人の想い出を閉じ込めて。
きらきら輝く素敵なハーバリウムになっただろうか。
「ねぇ、櫻宵。 おかしくはないかしら?」
自分の思うままに想いを詰めたけれども、見映えは良かったかしら?と瓶を両手に添えてこてんとイアは首を傾げてみた。
その言葉に驚き目を見開き、櫻宵はとんでもないと首を振る。
「イアの小瓶は穹のよう……可笑しいどころか美しいわ!」
櫻宵の言葉にイアは安心したように頬を緩めた。
その言葉がじんわり染み込んで、なんだか小瓶を持つ指先まで熱を持つような心地よい温かさ。
「噫、きっと……それはあなたの証のような魔法の小瓶だからそんなに綺麗なの。 私、イアの小瓶大好きよ」
イアのその手に櫻宵自身の手も添えて、想いを言の葉に乗せて伝える。
「ふふ、櫻宵の言葉も魔法みたい……でも、櫻宵の言うとおり……ええ、ええ、だって今日の魔法の籠った、瓶だもの」
大事に、大事にするの――と嬉しそうに微笑むイアに櫻宵も笑みで返す。
今日のこの日の思い出が、また一等大事なものになりますようにと。
大成功
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セリオス・アリス
【双星】
アドリブ◎
アレスと一緒に、お互いのハーバリウムを作る
白い花を白に染めるってのはありか?
六花そのものはねえけどさ
…雪みたいな白い花はきっとあるだろうし
そしたら思い出せるじゃん
…貰って、嬉しかったから
ありがとうと…嬉しさ
それにひっそり隠した思いを込めて花を染める
あとは…アレスの花!
アレスの優しさを思いながらネモフィラを染め
ああ、それいいな俺もいれよう
今まで見た花を入れるなら
見たことない花も入れようぜ
これは…これから見る花ってことで
…白から天色に変わるなら
グラデーションだったか?
俺の色も、混じっても変じゃねえよな
側にいるって思いを込めて
はは、結局お揃いみたいになったなぁ
ああ、メリークリスマス
●
「んー……やっぱり六花はここにはねぇかな?」
「僕達の世界に咲く、六花と呼ばれる雪のように白い花は……恐らくここには無いんじゃないかなぁ」
せっかくハーバリウムを一緒に作るのなら、とセリオス・アリス(青宵の剣・f09573)が探す花についてアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)は考え込む素振りを見せる。
彼らの住むダークセイヴァーに咲く雪のような花。
色々な花が季節問わず咲いてはいるけれども、この島はダークセイヴァーから落ちた島ではないようだから世界固有の花はないのだろう。
それでも――去年に比べると花の事も分かってきたと思うから。
「けど、きっと似た花はあるはずだから」
「六花そのものはねえけどさ……雪みたいな白い花はきっとあるだろうしな!」
一緒に探そう、とアレクシスが告げればセリオスも満開の笑みを見せる。
二人で一緒にハーバリウムを作ると決めてから、せっかくならば一緒に想い出も詰め込みたいと思っていたのだ。
二人の歩いてきた道のりには、いくつかの花が傍にあったのだから。
「だってさ、その花見たら……そしたら思い出せるじゃん」
花と連想してその時の想いを、光景を。
嬉しかったあの日の気持ちを。
「そうだね。 僕にとっても大切なその花も入れたいな」
「はーっ!! 本当、お前はそう言うことサラッと言うよなー
!!!!」
セリオスの照れ隠しもある小さい呟きも聞き漏らさず、アレクシスはにこにこと笑みを浮かべたまま、さも当然のように言ってのける。
こちらの気持ちなどお構いなしに真っ直ぐぶつけられる好意は受ける方がダメージを食らうことをこの男は分かっていない。
あたふたしてしまうこっちが負けた気分になるのは悔しいけれども、これに関してはいつまでも敵う気がしない。
「セリオス、この花はどうだろう?」
「どれどれ?」
ぐぬぬ、と唸っている隙にアレクシスが一つの花を指し示す。
小さな白い花弁が雪の結晶のように花開くユキヤナギの花。
「いいんじゃねぇか! しかし、白い花を白に染めるってのはありか?」
「うーん……祈りや願いに応じて色を変えるということだから、白を望めば白に染まってくれるんじゃないかな?」
二人顔を見合わせ、とりあえずやってみないことにはと揃ってユキヤナギの花に手を伸ばす。
幸せの願いと誓いを込めて、アレクシスは祈る。
六花を貰った時の嬉しさと、ありがとう――そして、心に秘めた彼への想いを込めて、セリオスは祈る。
あの日の花になるように、白き誓いとなるように。
「おぉ、ちゃんと白のままだ!」
「うん、うまくいったみたいだね」
白き輝きを纏った花を見て満足そうに微笑み合う。
想い出の花を選ぶのであればもう一つ。
「アレスの花!」
「ネモフィラだね」
セリオスの中では完全にアレクシスの花と認識されているネモフィラの花。
彼の瞳と同じ色の花。
アレクシスの瞳を、彼の優しさを反映した色になるように――そんな祈りを込めれば空のように綺麗な青に染まったネモフィラがセリオスの手の中に。
そんなセリオスの隣でアレクシスもまた祈りを捧げる。
あの日一緒に見たネモフィラと同じ色になるように――そう思っていたはずなのに。
少しだけ、心の奥底から覗かせてしまった慾。
セリオスはアレクシスの花だと言うけれど、アレクシスにとっては『青』はセリオスの色だ。
青き炎のような燃えるセリオスの瞳のような色――強く、だけど時に儚い君の、傍にいる。君の……帰る場所であるのは僕であって欲しいと。
「へぇ……俺のと少し色が違うな」
「……そうだね」
アレクシスの色となったネモフィラと、セリオスの色となったネモフィラを見比べ呟けば。
珍しく歯切れの悪い返事で返すアレクシス。
思っていた以上に、想いは色に出るらしいと照れ臭そうに頬を掻く。
その同じ色の瞳で見つめられれば、なんだか隠したはずの想いもばれてしまいそうで。
「そうだ、あとは……今まで君と見た花を入れようかな」
「ああ、それいいな! 俺もいれよう」
それを誤魔化すためにそっと別の花へと誘導する。
例えば桜やシロツメグサ。
色々な想い出を二人で詰め込んで、この花を見ながらその日の想い出を二人で語れるように。
「アレス! 今まで見た花を入れるなら見たことない花も入れようぜ!」
想い出だけじゃなく、これからの約束も。
二人で色んな世界に行こう、色々な景色を見よう。
新しいものを見るときに、隣にいるのは君がいい。
「これから見る花……いいね。 沢山入れたくなるな」
春の訪れを感じる菜の花や、雨に寄り添う紫陽花、夏の日差しを浴びる向日葵、秋風に揺れる秋桜、雪から顔を覗かせる待雪草。
「(……白から天色に変わるならグラデーションだったか? 俺の色も、混じっても変じゃねえよな)」
四季の移り変わりも君と共にあれるよう。
そっと、これからも傍にいると言う想いを約束の花に乗せて。
そんな想いを、願いをそっと瓶へと詰めていく。
「はは、結局お揃いみたいになったなぁ」
「ふふ、そうだね」
球体の小瓶にたくさんの花々を入れれば、それはなんだかスノードームのような雰囲気に。
たくさんの花々の上に雪のように降り注ぐ白の花が揺らめいて。
想い出も、互いの色さえも入り混じったハーバリウムを互いに贈り合いこの日の言葉も贈り合う。
「メリークリスマス、セリオス」
「ああ、メリークリスマス」
大成功
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