●邪悪なる計画
キマイラフューチャー。日々、楽しいことを求めて過ごすハジけた者達の理想郷。
だが、その部屋の中央に置かれていたのは、そんな楽園にはおよそ似つかわしくない不気味な祭壇。そして、その祭壇を取り囲むようにして、赤い花のような怪人達が一斉に頭を垂れている。
「面を上げなさい。あなた達には、私の呪力を注ぎ込んだわ。その力を使って何をしなければいけないのか……説明しなくても、分かるわよね?」
「はい、勿論でございます」
祭壇の側で指揮を取っているのは、七色に輝く不定形な物体を従えた美しい少女だった。そして、彼女の周囲で頭を垂れていた怪人達は、一斉に頭を上げると、まるで風にそよぐ花々のように揺れ出した。
「我等の使命……それは、この地を訪れたスクラップビルダーを贄とすること」
「彼らの力を利用して……この惑星を覆い尽くす程の、巨大な祭壇を造らせること」
怪人達の口から紡がれる、恐るべき計画。それを聞いた少女は薄笑いを浮かべると、満足そうに呟き怪人達に命令した。
「上出来よ。さあ、後はここへやって来たスクラップビルダー達を、あなた達の力で殺すだけね」
その死体を下僕として蘇らせれば、巨大祭壇の建造も夢ではない。キマイラフューチャーの住人達が何も知らない裏で、恐るべき計画が着々と進められていた。
●悲願のために
「猟書家の侵攻は、相変わらず続いているみたいね。……っていうか、キマフューまで侵略しようとか、マジで許せないんだけど!」
世界の数は多しといえど、やはり自分の故郷が侵略されるのを黙って見てはいられないのだろうか。いつになく憤慨した様子のパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)から告げられたのは、キマイラフューチャーにて猟書家幹部が、恐るべき計画を立てているという話だった。
「今回、相手をしてもらいたいのは、マレーネ・ヴァルハイトっていうスライム使いの猟書家ね。あ、でも、スライム使って来るからって、エッチな何かを期待してると酷い目に遭うかも……」
その姿や能力に反して、マレーネが好むのは色情的な戦い方ではなく、より相手に苦痛を与えて追い詰めるような嗜虐的な戦い方。エロよりも、グロを好むと言った方が分かりやすいだろうか。そんな少女の考えていることだからして、彼女の計画もなかなかえげつない。
「マレーネは自分の呪力を怪人に与えることで、『呪術怪人』を生み出しているわ。この呪術、何もしなくてもスクラップビルダーの人達を集めることができちゃうっていう、かなりヤバい代物よ」
その呪術に惹かれる形で集められたビルダー達を殺害し、自分の手駒として蘇らせた上で、惑星全土を覆う巨大祭壇を造らせることがマレーネの目的。このままでは、集められたスクラップビルダー達は、訳も分からぬままに殺害されて、マレーネの下僕にされてしまう。
「……と、いうわけで、わたしが今から敵の祭壇の近くに転送するから、ビルダーの人達を守りながら呪術怪人を倒して欲しいってわけ。ビルダーの人達は怪人に囲まれちゃってるから、転送が終わったら速攻で怪人を倒さないとダメだからね」
スクラップビルダー達は、正に呪術怪人に襲われて殺される直前であり、呑気に避難だの何だのとやっている暇はない。早々に割り込み、スクラップビルダー達を庇いつつ、呪術怪人を残らず撃破する必要がある。
なお、ビルダー達はその場に残り、猟兵達の応援に回ってくれる。彼らの応援を受けることができれば、呪術怪人の持つ呪力に対抗することができ、戦いを有利に進められる。
「今回、マレーネが集めたのは、『悲願花』っていう怪人ね。洗脳とか寄生みたいな、キモい技を使って来るから気をつけるのよ」
ここでスクラップビルダー達を守れなければ、彼らもまた猟書家達がキマイラフューチャーへの侵攻を進める手駒となってしまう。そんなことは絶対にさせてはならないと念を押し、パトリシアは猟兵達をキマイラフューチャーへと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは猟書家の幹部シナリオのため、2章で完結する仕様です。
呪術怪人の魔の手からスクラップビルダー達を守り、マレーネ・ヴァルハイトの目論見を阻止してください。
●第一章
呪術怪人『悲願花』との集団戦になります。
ただでさえ禍々しい見た目が、呪力によって更に不気味なものに変わっています。
こちらが転送された時点でスクラップビルダー達に襲い掛かろうとしているので、速攻で割り込み、撃破する必要があります。
●第二章
猟書家幹部『マレーネ・ヴァルハイト』との戦いになります。
幹部はかなりの強敵なので、スクラップビルダー達の応援なしでは、思い通りに行動できる可能性がかなり低くなってしまいます。
●スクラップビルダー達
第一章の開始時点で、呪術怪人に殺される寸前です。
彼らを守り、そして応援してもらえれば、全章を通してプレイングボーナスが得られます。
戦闘力は皆無ですが、地形を操作してもらうなど、戦いのサポートに回ってもらうこともできます。
第1章 集団戦
『悲願花』
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POW : 大願成就
【腕の花弁で対象を拘束し、】【媚薬効果のある花粉を浴びせ、】【雄しべによる貫き】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : 球根植付
【雄しべによる貫き】が命中した対象に対し、高威力高命中の【球根】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 媚薬花粉
【媚薬効果のある花粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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ティエル・ティエリエル
SPDで判定
スクラップビルダーさん達はボクが守るぞー☆
転送されたらすぐさま全速力で飛んでスクラップビルダーを狙っている悲願花を【妖精の一刺し】で突き刺しちゃうよ!
背中の翅から鱗粉をキラキラ光らせながら飛び回って「存在感」を発揮!
「ボクが来たからにはもう大丈夫だよ♪」とみんなを励ますね!
スクラップビルダーさん達の応援を受けたら、そのまま雄しべの攻撃を「見切り」でひらりひらりと回避して
レイピアでどんどんお花を切り裂いて行っちゃうぞ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●蹴散らせ妖花!
キマイラフューチャーで、スクラップビルダー達が大ピンチ。そんな話を聞かされたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は、我先にと彼らを救うべく飛び出した。
「え~と……あっ! あれだね!!」
見れば、既にビルダー達は怪人に取り囲まれ、襲われる寸前ではないか! これはいけない。早く、あの気色悪い怪人を倒して、彼らを助けてあげなければ!
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
「な、何!? ぐぇぇぇぇっ!!」
名乗りを上げている暇などない。いきなり必殺技を繰り出し、まずは一人目の怪人を串刺しに
「何者だ!」
「私達の邪魔をするつもりね! だったら……あなたから始末してあげるわ!」
ティエルに気付いた怪人達が、彼女に球根を植え付けるべく雄蕊を伸ばして来た。呪詛により全身から触手が生えたような姿になっている悲願華達は、なんとも気持ち悪い見た目になっており。
「おっと、そうはいかないよ!」
迫り来る雄蕊を軽々と避け、ティエルは輝く鱗粉を撒きながら、ビルダー達を守るようにして割り込んで行く。それと同時に、擦れ違い様に敵の花弁に斬り掛かり、次々に斬り捨てて行くことも忘れない。
「い、いやぁぁぁっ! ハゲにしないでぇぇぇっ!!」
「そんな! 髪は女の命なのにぃぃぃっ!!」
さすがに花弁を落とされると弱かったのか、一斉に頭を押さえて泣き叫ぶ悲願華達。というか、それって花弁じゃなくて、実は髪の毛だったのか!?
「さあ、ボクが来たからにはもう大丈夫だよ♪」
絶体絶命の中、希望を失いかけていたビルダー達にティエルが告げる。これまでの戦いぶりに鼓舞されたのか、ビルダー達も徐々に勢いを取り戻し。
「おお、さすがは猟兵だな! 小さくてもメチャ強いぞ!」
「いいぞ! もっとやれ!」
にわかに湧き上がる猟兵コール。それらの声援を一心に受け、ティエルは再びレイピアを構え。
「こんなにたくさん応援されたら、負けるわけにはいかないよね。よ~し、どんどんいくぞー!」
「「「ひ、ひぇぇぇぇっ
!!」」」
もはや、今のティエルは誰にも止められない。悲鳴を上げて逃げ惑う悲願華達を、ティエルのレイピアが次々と貫き、絶命させていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
神羅・アマミ
えっちなのはともかく…いや、えっちもダメか。
平和なキマイラフューチャーでグロはいかんぞグロは~!
妾が出てって全員速やかにとっちめてやる!
戦闘力皆無というスクラップビルダー達と連携、その上で自衛のお願いも兼ねるとしたら扇風機を創造してもらうのがよかろう。
現場では足並みを揃えるためにも、まずは「息さえ合わせれば全員生きて帰れる」と【大声】で一喝して【鼓舞】。
互いを背中合わせで守り合う形に固まれば、少なくとも厄介な花粉に悩まされることは防げるぞい!
そして妾が発動せしUCは『明転』!
超速回転する傘の風量にて同じく花粉を【吹き飛ばし】、【ダッシュ】にて間合いを一気に詰め敵どもを尽く切り裂いてくれよう!
●エログロナンセンスはいけません!?
キマイラフューチャーのスクラップビルダー達を、エログロ怪人が狙っている。グリモア猟兵からの報告を受け、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は現場へと急いだ。
「えっちなのはともかく……いや、えっちもダメか。平和なキマイラフューチャーでグロはいかんぞグロは~!」
愉快で楽しい未来世界に、エロだのグロだのは御法度だ。これは、キツイお仕置きが必要だと馳せ参じてみれば、果たしてスクラップビルダー達は、触手を生やした花の怪人に追い詰められている真っ最中!
「ほ~ら、今からあなた達の心を解放してあげるわ」
「この花粉を吸って、気持ちよくなっちゃいなさい。そうしたら、後は私達が苦しませずに殺してあげるから」
媚薬花粉を撒き散らし、とんでもないことを言ってのける悲願華達。この距離からでは、割り込んで庇うのは難しい。というか、割り込んだところで花粉が相手では、身を盾にしても完全には防げない。
正に万事休す。万策尽きたと思われる光景だったが、しかしアマミは諦めてなどいなかった。
「まだ勝機はあるぞ、お主ら! 扇風機じゃ! 扇風機を創造するのじゃ!」
「え……? そ、そうか! 分かったよ、猟兵さん!!」
アマミの言葉を聞いて何かに気付いたのだろう。ビルダー達は、その辺のガラクタを寄せ集め、急ごしらえの巨大扇風機を作り出した。なんとも不格好な出来ではあったが、そもそも適当なガラクタを集めただけで、扇風機が作れるだけ凄い気が……。
「よっしゃぁ! こいつで反撃だ!」
「もう、花粉なんて怖くないぜ! そりゃぁぁぁっ!!」
完成したばかりの扇風機にビルダー達がスイッチを入れれば、巨大なファンが回転し、悲願華達へと花粉を押し返す。哀れ、自分達の媚薬花粉を自分で浴びることになった悲願華達は、目的も何もすっかり忘れ、互いに触手を絡め合って大暴走!
「んひゃひゃひゃひゃ! ひ、ひもひぃぃぃぃっ!」
「ぱ、ぱぴぷぺぽ! あぱぱぱぱぁぁぁぁっ!」
もっとも、発狂した状態の化け物が触手を絡め合って快楽を貪る様は、なんというか凄まじくキモいの一言だった。いったい、これは誰得な描写だ。グロは駄目だと言ったのに、結局グロネタに落ち付いているのがやるせない。
「えぇい、気色悪い連中じゃ! こうなれば、その触手ごと斬り捨ててくれる!」
未だ花粉の飛び交っている状況ではあったが、もはやアマミは我慢の限界だった。
これ以上、醜い絡みなど見たくない。というか、見せるな! お前達全員、まとめて剪定してくれる!
「百花繚乱、剣山刀樹! 玄妙にて幻惑せし荘厳なる紅き華の刃を、其方の血煙でもってより鮮やかに彩ってくれようぞ! 死ねーッッ!!」
傘を高速回転させてカッターとしつつ、その風圧を利用して花粉を吹き飛ばしながら、アマミは悲願華の大群へと突っ込んで行った。
回転する傘より射出された刃が何かを切り刻む度に、悲願華の哀れな悲鳴が響き渡る。やがて、全てを終えたとき、そこに転がっていたのは全身をズタズタにされてしおれた、悲願華怪人のなれの果てだった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、急いだ方が良さそうですぅ。
『F●S』3種を展開、『FBS』を四肢に嵌めいつでも飛行可能な状態で『転移』しますねぇ。
そして『転移』と同時に『FSS』を襲われている方と悲願花の間に割って入らせ、『FRS』の[砲撃]で『襲っている個体』を狙いますぅ。
これで或る程度の『時間』は稼げるでしょうから、その間に飛行状態でスクラップビルダーさんを直接庇える位置に入りましょう。
後はそのまま【乳焔海】を使用、広域を覆う『波動』からの『乳白色の炎』で[範囲攻撃]、悲願花を一気に焼きますねぇ。
植物であれば『炎』には弱いでしょうし、『花弁』や『花粉』、『雄しべ』等も纏めて焼き払えますので。
●汚華は消毒だ!
強化された怪人に追い詰められて、絶体絶命のスクラップビルダー達。現場に転移した夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、目の前に広がる惨状に、さすがに焦りを覚えずにはいられなかった。
「うわぁぁぁっ、嫌だぁぁぁっ! 俺は、植物とこんなことする趣味はねぇぇぇっ!!」
見れば、悲願華の触手に捕まったビルダーが、雄蕊で尻を貫かれて『アッー!』なことをされそうになっている真っ最中。ガチホモに襲われるのも勘弁して欲しいだろうが、しかしいくら相手が女だからといって、植物に尻を掘られるというのもトラウマものだ。
(「成程、急いだ方が良さそうですぅ」)
このままでは、仮に命が助かったところで、ショックで精神が崩壊してしまうかもしれない。さすがに、それでは意味がないので、るこるは操れる限りの浮遊兵器を、一斉に悲願華の迎撃へと向かわせた。
「きゃぁっ! ちょ、ちょっと、なによこれ!?」
「ひぃぃぃっ! わ、私の大事な花弁がぁっ!!」
浮遊する戦輪がビルダー達を捕らえていた花弁や触手を斬り捨て、彼らを悲願華の魔の手から開放した。こうなれば、後はもうこちらのもの。すかさず、戦輪を盾にする形でビルダー達の周囲に展開し、るこる自身は砲台で敵を牽制しつつ、自ら敵集団の中央へ降臨し。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その裁きの理をここに」
全身から放つのは、女神の波動。それを受けた者は何であれ、乳白色の炎に抱かれて死ぬ。
「ひぃっ! あ、熱い! 熱ぃぃぃっ!」
「ちょっと、止めなさいよ! こっちに燃え移ったらどうす……ぎゃぁぁぁぁっ!!」
植物だけに火は苦手だったのか、次々と焼かれて行く悲願華達。それを見たビルダー達も、にわかに活気づいて応援を始め。
「よっしゃぁぁぁ! 頑張れ、猟兵さ~ん!」
「やっぱ、植物は炎に弱いんだな。そ~れ、汚花は消毒だ~♪」
中には調子に乗って火炎放射器を創造して用いる者まで出始めたが、それはそれ。今は緊急事態なので、とりあえず怪我しないようにやってくれれば問題はない。
「ふぅ……なんとか、この辺りにいたのは倒せたようですねぇ」
額の汗を拭ってるこるが周囲を見回せば、そこにあったのは怪人達の焼け焦げて生じた消し炭のみ。るこるとビルダー達の手によって、呪詛怪人と化した悲願華達は、その悲願を遂げることなく荼毘に付されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
パトリシアの話によると今回の敵はエロじゃないそうだから安心だな!
(いざ怪人を目の当たりにして)
やっぱりエロじゃないかやだーーー!!!
そんな訳で、エロ怪人からスクラップビルダー達を守るために割って入り【かばう】形で前に出て、敵の攻撃を鉄鍋の【盾受け】で【ジャストガード】しながら【飢龍炎牙】で薙ぎ払う。
「みんな、ちょっと力貸してくれないか?」
ビルダー達を助けたら彼らに戦場の地形を操作してもらい、【地形の利用】や【足場習熟】で変化した地形を利用して戦いを有利に進める。
残った敵は炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】で仕留めていく。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
この世界ではボクたち猟兵ってヒーロー扱いなんだよね?
だったら登場も派手にいくよ!
「困った時のサメ頼み!ボクたちが来たからもう安心だよ!」
ビルダーたちを【鼓舞】しながら怪人たちを【範囲攻撃】+【制圧射撃】で撃退して、ウィーリィくんと一緒に颯爽登場!
ビルダーたちに手伝ってもらって地形を操作して遮蔽物を作ってもらって、それを利用しながら熱線銃の【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で怪人たちをやっつける
媚薬花粉を吸いこんでも【気合い】で乗り切って(後でウィーリィくんにお願いするけど)【ワールド・タイフーン】で敵を包囲して一気に片付けるよ!
●やっぱりお約束?
呪いのパワーを与えられた怪人達から、スクラップビルダー達を守って欲しい。そんな依頼を受けてキマイラフューチャーを訪れたウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は、何故か妙に余裕だった。
「パトリシアの話によると、今回の敵はエロじゃないそうだから安心だな!」
いや、確かに親玉はエロ敵ではありませんが、代わりにグロだと言われていたはず。それはそれでどうなのかと思われるのだが……本人が気にしていないので、敢えて突っ込まないことにしておこう。
現場に到着すると、そこでは既に怪人達が、ビルダー達を取り囲んでいる真っ最中。彼女達の名は悲願華。媚薬花粉を撒き散らし、人々を本能に忠実な性格にしてしまうというイケない怪人だ。
「オホホホ! さあ、あなた達もこの花粉で精神を解放しなさぁい♪」
「そして、私達の球根を受け入れて、養分を搾り尽されるのよ!」
全身から触手を生やした気色悪い植物の怪人が、ビルダー達に背徳的な行いをせんと迫り来る。それを目の当たりにしたウィーリィは、思わず血の気が引いた様子で叫んでいた。
「やっぱりエロじゃないかやだーーー!!!」
まあ、ボスはエロでないと言われていたが、配下の呪詛怪人までエロでないとは言われていませんしね。というか、触手で捕まえて球根を植え付けるとか、それはそれでホラー映画のモンスターに匹敵するグロ怪人でもあるような……。
このままでは、目の前でビルダー達が貪られ、邪悪なる神殿を造るための糧にされてしまう。そんなことは、絶対にさせない。意を決して踏み込もうとするウィ―リィだったが、彼が割って入るよりも早く、無数の銃弾が怪人達に降り注いだ。
「ぎゃぁぁぁっ! 痛ぃぃぃっ!」
「ちょっと、いったい何よ! 何が起こったのよぉ!!」
いきなり死角から攻撃されて、狼狽する怪人達。そんな彼女達の目の前には、いつの間にか熱線銃を手にしたシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が立っていた。
「困った時のサメ頼み! ボクたちが来たからもう安心だよ!」
このキマイラフューチャー世界において、猟兵はヒーローのような存在である。ならば、登場もヒーローらしく決めてやろうと意気込んで、シャーリーは次々と怪人に向け熱光線を浴びせて行く。
「でかした、シャーリー! 後は俺に任せてくれ!」
怪人の触手を鉄鍋で防ぎながら、ウィ―リィもまたビルダー達を助けるために割り込んで行く。迫り来る触手を鍋の裏で受け止め、返す鍋の中から繰り出されるのは、全身が燃え盛る焔の竜だ。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
竜の形をした炎が駆け廻り、怪人達の身体を焼く。元が植物の怪人だけあって、炎には滅法弱いようで。
「きゃぁぁぁっ! も、燃えるぅぅぅっ!」
「ちょっと、熱いじゃないの! 炎は止めてよ!」
もはや、ビルダー達を襲うどころの騒ぎではない。身体に燃え移った炎を消そうとパニック状態になり、悲願華の軍勢は総崩れだ。
「おのれ、よくも……。こうなったら、お前から先に始末してくれる!」
それでも、中には怒りに任せて攻撃して来る怪人もいるようで、ウィーリィの前に再び触手や花弁が迫った。が、しかし、先程までの慌てぶりはどこへやら。ウィ―リィは何らうろたえることなく身構えると、ビルダー達に指示を出した。
「みんな、ちょっと力貸してくれないか?」
「ああ、任せてくれ!」
瞬間、瓦礫が飛び出したかと思うと、そのまま敵の攻撃を弾き返す壁となった。それだけでなく、今度は左右から瓦礫が迫り、悲願華を押し潰す。果ては大地が激しく隆起し、下から突き上げるようにして吹き飛ばす。
これこそが、スクラップビルダー達の戦い方だ。彼らの力は、時に地形さえも変形させ、ガラクタから様々な道具を作り出す。それ自体に破壊力はなくとも、上手く活用することで、敵を退ける障害となる。
「よし、このまま行けば……て、どうした、シャーリー?」
だが、そんな中、ウィーリィは隣で応戦しているシャーリーの様子がおかしいことに気が付いた。
「う、うん……ちょっとね……。その……敵の花粉を……吸っちゃったみたいで……」
どこかもじもじした様子で、シャーリーは顔を赤らめながら言った。本人は気合いで耐えているようだが、敵の花粉の効果は媚薬。つまり、今のシャーリーは、もう頭の中がピンク色の妄想でいっぱいな状態なわけであり。
「えっと……だから……戦いが終わったら……その……よ、よろしくね」
「なっ!? なんだってぇぇぇぇっ!!!」
唐突なシャーリーからのお願いに、ウィ―リィは今度こそ絶叫した。
ああ、結局は今回もこんなオチか。だが、ここで気を抜いてやられるわけにはいかない。敵はまだまだ残っているし、この後には事件の首謀者である猟書家との戦いも待っているのだから。
「あぁ、もう! 分かったから、さっさとこいつらを片付けるぞ!」
もはや完全にヤケクソになり、ウィーリィは焔に包まれた包丁を振り回しながら、残る悲願華を始末していった。そしてシャーリーもまた、残る悲願華達に向け、自身の切り札を解き放つ。
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
その言葉と共に呼び出されたのは、慣性の法則を無視したかのような動きで飛翔するサメ型のエネルギー。それらは逃げ惑う悲願華達を取り囲むと、四方八方から一斉に襲い掛かり、その身体をズタズタに引き裂いてしまった。
大成功
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ルナ・ステラ
不気味な怪人さんたちです…でも、ビルダーさんたちを助けないとですね!
少し怖いですががんばります!
植物なので火に弱そうですね。
【属性攻撃】の炎魔法でビルダーさんたちに襲い掛かろうとしているところを攻撃します!
大丈夫ですか?あなたたちを助けにきました!
一緒にがんばりましょう!
もし、花粉での反撃がきたら【属性攻撃】の風魔法で吹き飛ばします!
そして、ビルダーさんたちが応援できるようになったら、応援の力を借りてUCを発動します!
天体の力を授かりし剣で相手をやっつけます!
●一本残らず除草します!
猟兵達の活躍により、ビルダー達を襲う悲願華の数は明らかに減っていた。
これで、残す敵も後少し。薄気味悪い姿の相手だったが、ここで頑張れば勝てると踏んで、ルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)は勇気を振り絞り飛び出した。
「不気味な怪人さんたちです……。でも、ビルダーさんたちを助けないとですね! 少し怖いですが、がんばります!」
敵は植物の怪人だ。故に、火には弱いはず。ビルダーに襲い掛かろうとしている悲願華に対して炎の魔法で攻撃しつつ、ルナは敵との間に割って入った。
「大丈夫ですか? あなたたちを助けにきました! 一緒にがんばりましょう!」
「す、すまない! だが、君達が来てくれたら百人力だ」
炎を食らってうろたえる悲願華の姿に安心したのか、ビルダー達は戦いをルナに任せて後ろに下がった。しかし、そこは腐っても呪詛怪人。このままやられっ放しにはならないと、今度は媚薬効果のある花粉を放って攻撃して来た。
「いけない! あの花粉を吸ったら……」
「させません!!」
もっとも、それはルナも予測していたことだ。敵が花粉を飛ばして来るなら、こちらは風で対抗すれば良い。風の魔術によって吹き飛ばされた花粉は、悲願華達の方へと飛んで行き、むしろ彼女達が媚薬の効果を浴びてしまうことに。
「あひゃ? あひゃひゃひゃひゃ!!」
「わらひぃ、もうらめぇ……。みんられ、えっちなことひよぉ……?」
全身の触手を絡み合わせ、骨抜きになる悲願華。うん、これはキモい。凄まじくキモい。何が悲しくて、触手生物同士で絡み合う姿など見せつけられねばならんのか。
「うげぇ……気色悪ぃ……。猟兵さん、ここが頑張りどころだぜ」
「早く、あの怪人をやっつけてよ。あぁ……今日の夢に出て来そう……」
いかん、このままではビルダー達の精神が限界だ。ルナ自身、あまりのキモさに萎えそうだったが、ここは我慢。ビルダー達の応援を受け、彼らに代わって気色悪い怪人にお仕置きだ!
「天体の力を授かりし剣よ、敵を貫ぬいてください!」
詠唱と共に呼び出したのは、10の属性を持つ様々な剣。元より、植物とは弱点が多いものだ。炎に、氷に、それから毒に……燃え尽き、凍て尽き、腐って消えろ!
「「「ひぎゃぁぁぁぁ! か、身体が痺れ……熱くて寒くて、それから苦しぃぃぃっ
!!」」」
四方八方から降り注ぐ剣の雨に、悲鳴を上げる悲願華達。かくして、呪詛怪人は制圧され、猟書家の企みの第一段階は阻止されたのであった。
大成功
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第2章 ボス戦
『マレーネ・ヴァルハイト』
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POW : 来なさい帝竜達。存分に暴れ狂えるがいい!
召喚したレベル×1体の【スライム】に【相手に適した帝竜の首】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
SPD : 温かいのは返り血ぐらい、貴方もそう思うでしょ?
【瞬時に間合いを詰めての腸を抉る一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 私は貴方の言葉が聞きたいの。精々囀るがいい
【視認不可能になったスライム】が命中した対象の【体内】から棘を生やし、対象がこれまで話した【自身に向けた負の感情・仲間を守る意思】に応じた追加ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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●計画は続行する
呪詛怪人達は全て始末し、ビルダー達が襲われる心配はなくなった。
これで、悪の祭壇建造計画なども、立ち消えになってくれれば良いのだが……元凶たる猟書家が生きている以上、そうは問屋が降ろさない。
「な~んだ、あの怪人達、全部やられちゃったのね。私の力をわざわざ与えてあげたのに……まったく、使えない連中だわ」
瞬間、空間が歪んだかと思うと、そこに現れたのは不気味なスライムを携えた一人の少女。間違いない。彼女が猟書家、マレーネ・ヴァルハイトだ。
「でも、まだ計画は終わっていないわ。折角、これだけのビルダーが集まったのだもの。私が直々に殺してあげる……さあ、感謝するがいい!!」
少女の瞳に嗜虐の焔が浮かび、その口元が不敵に歪む。それに合わせ、周囲もいつしか不可思議な紋様が浮かぶ超空間へと変貌し、その場にいる全員を閉じ込めた。
どうやら、ここから脱出するためには、マレーネを倒す他になさそうだ。彼女は強敵だが、ビルダー達の協力があれば、戦いを有利に進められるはず。彼らと協力し、邪悪なる祭壇の建造を目論む猟書家を撃破して、この空間から脱出せよ!
神羅・アマミ
えっちな怪人は全て滅ぼした!
グロ嗜好の貴様も躯の海に突っ返し、この地に平和をもたらしてくれる!
先程とは変わり少なくとも数の上ではこちらが有利、囲う形になるとすれば…ビルダーたちには敵との間に無数の隔壁を立ててもらい、防御と同時に【時間稼ぎ】をお願いしよう。
視認不可のスライムとて妾のUC『陰回』による【範囲攻撃】で一帯を舐めてしまえば同じこと!
すかさず【ダッシュ】にて間合いを詰め、反撃の一発を叩きこんじゃる!
接敵の上で多少の抵抗やダメージは覚悟する必要があるじゃろう。
しかし…無の境地にて臨むが戦場の心得!
それでも仲間を守りたいと願うは盾キャラの宿命。
ならばこれなるは必要経費、【激痛耐性】で通す!
●ブチ込め、戦傘!
呪詛の力を得て強化され、毒華と化した悲願華達は全て始末された。これでビルダー達が襲われる心配はなくなり……否、事件の黒幕を倒さない限り、彼らに安息の日は訪れない。
マレーネ・ヴァルハイト。スライムを操り、スプラッターな攻撃を仕掛けてくる少女の姿をした猟書家。見た目で判断すると痛い目に遭わされそうな相手だが、それを知っているからこそ、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)にも油断はない
「えっちな怪人は全て滅ぼした! グロ嗜好の貴様も躯の海に突っ返し、この地に平和をもたらしてくれる!」
内臓を抉るだの、内から人体を破壊するだのといった攻撃は、確かに脅威であることに代わりない。しかし、数の上ではこちらが有利であるためか、取れる戦法はいくらでもある。
「ふ~ん……随分な自身ね。面白いわ」
自分の実力に自身があるのか、それとも超空間の中がホームグラウンドであるからか。マレーネは自らの操るスライムを不可視の存在へ変化させると、それらを一斉にフィールドへと解き放つ。これに少しでも触れたが最後、その者は肉体を内から刺に貫かれて殺されるのだ。
「させぬわ! ビルダー達、障害物で遮蔽するのじゃ!」
さすがに、これに触れては拙いと思ったのか、アマミはビルダー達の力を借りて大地を隆起させ、壁を始めとした障害物でスライムを防ぐ策に出た。が、そこは不定形なスライムのこと。恐らく、壁と壁の隙間を縫う形で、今もこちらへ近づいて来ているのだろう。
「下らないわね。そんなもので、私のスライムを防げるはずないでしょう?」
「ふん……確かにな。しかし、時間稼ぎができれば、それで十分じゃ!」
一見、強がりにしか見えない言葉でアマミがマレーネに返す。もっとも、その言葉は決して虚構などではなく、アマミは真の切り札を用意していた。
「退くがよい下郎ども! 身の程知らずに我が覇道邪魔立てしようというのなら、漏れなく辿るは冥府の坂道よ! 死ねーッッ!!」
「なっ……! わ、私のスライムが!?」
瞬間、アマミの放った青白い光が一面に降り注ぎ、不可視のスライム達を焼き払って行く。そう、最初から彼女の狙いはこれだったのだ。スライム達の動きを壁で少しでも止めておき、そこを一気に焼き払うことで、マレーネへの道を確保したのである。
「ふふふ……妾の光線は、万物を在るべき場所へと還すもの。転移を拒否すれば、その時点で大ダメージじゃ。さっさと回収せんと、自慢のスライムも全滅じゃのう」
スライム達がいなくなったであろう瞬間を狙い、アマミは一気に距離を詰める。そのまま、手にした和傘を振るい、その先端でマレーネを突き殺すために。
「そこじゃぁっ! くらぇぇぇ……っ!?」
だが、正に傘の先端を突き刺そうとした瞬間、反対にダメージを負ったのはアマミだった。
「残念だったわね。スライムは、さっきバラ撒いたのが全部じゃないの」
謎の球体に乗ったまま、マレーネが冷めた視線をアマミに向ける。この女、全力で攻撃すると見せ掛けて、服の裾か飾り布の中にスライムの一部を隠し持っていたようだ。
不可視の状態であるからこそ、カウンターの不意打ちに用いるのには最適の武器。出し抜くつもりが出し抜かれ……内から刺で身体を貫かれるアマミだったが、それでも彼女は怯まない。
「な、なんの……無の境地にて臨むが戦場の心得! それでも仲間を守りたいと願うは盾キャラの宿命! ならばこれなるは……全て、貴様を殺るための必要経費じゃぁっ!!」
痛みに耐えたところで、肉体の負傷はなくならない。ほんの気休めにしかならないことはアマミ自身が知っていたが、それでもここで倒れたら盾キャラの名折れ。
「これまでの……お礼参りじゃ! 今度こそ……死ねーッッ!!」
「な、なんてやつなの!? 私のスライムの攻撃を食らって、まだ動け……あぐぅっ!?」
傘の先端を脇腹にねじ込まれ、今度はマレーネが悶える番だった。
これぞ、肉を切らせて骨を断つ。騙し討ちを仕掛けたつもりが、それさえも押し切られて攻撃を届かされたことで、マレーネのペースは早くも狂わされつつあった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
それをさせるわけには参りませんねぇ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行し『FRS』『FSS』を展開、【紘器】を使用し一気に複製しますぅ。
『FSS』の本体は私の前に展開し防壁に、複製は『スクラップビルダー(以下SB)』さん達の護衛に回しつつ何方も[援護射撃]を。
『FBS』の複製は半数は包囲に、残り半数はSBさん達の護衛に回しますぅ。
そして、本体を含む『FRS』で敵全体を包囲、弾頭を炸裂弾に変更し[爆撃]による[範囲攻撃]で一気に殲滅しましょう。
『帝竜の頭』が有っても本体はスライム、其方を焼払えば終わりですぅ。
瀕死等、危険の無い状態で落下した個体はSBさん達に仕留めていただいても?
●首だけは立派でした
怪人が全て倒されたからには、自らビルダー達を手にかけんと現れたマレーネ・ヴァルハイト。確かに、彼女は強敵だが、しかし戦って勝てない相手ではない。
「なるほど……それをさせるわけには参りませんねぇ」
様々な浮遊兵器を展開しつつ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はスクラップビルダー達を守るようにして前に出た。圧倒的な物量と手数。それらを駆使して相手を制圧するのが、彼女の得意とする戦い方。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に!」
相手に先手は取らせない。砲台や戦輪の数を5倍に増やし、更には自らも装備して宙を舞う。これだけで、一個大隊にも匹敵する戦力。単独で一軍をも下すことのできるだけの火力を得たるこるだったが、しかしマレーネもまた何ら動じておらず。
「ふ~ん、今度は手数で攻めてくるのね。でも、無駄よ」
自分もまた無尽蔵にスライムを呼び出せるからか、マレーネは周囲を多数の兵器に囲まれても余裕だった。それだけでなく、彼女は自ら呼び出したスライムに、更なる力を与えることもできるのだ。
「来なさい帝竜達。存分に暴れ狂えるがいい!」
瞬間、スライム達が一斉に形状を変化させ、その身体から巨大な竜の首を生やした。しかも、それは単なる竜の首などではない。
「あれは……帝竜ヴァルギリオス!?」
スライムから伸びる無数の頭部。その姿を前にして、さすがにるこるも戦慄した。
アックス&ウィザーズ世界を破滅させるべく顕現したオブリビオンフォーミュラー。それと同じ首を生やしたスライムが、そこら中に展開されてしまったのだから。
「驚いたかしら? 私のスライムは、数だけでなく質も上等なの」
首だけとはいえ、相手が帝竜となれば油断はできない。途端に始まる激しい応酬。空中で砲弾と様々な属性のブレスが激突し、その度に戦輪や砲台が撃墜されて行く。
「ほら、どうしたの? もっと足掻いてみなさいよ」
防戦一方にのるこるに対し、マレーネが露骨に挑発するような仕草を見せた。しかし、従来のマイペースな性格故か、はたまた何か考えがあるのか、るこるは挑発に乗ることもなく。
「まだまだ、これからですよぉ。確かに、帝竜の首は厄介ですけどぉ……」
砲弾の種類を炸裂弾へと変化させ、るこるはスライムの本体を一気に焼きつくす。いかに最強の帝竜の首を生やしているとはいえ、本体は非力なスライム。そしてなにより、ヴァルギリオスの強さの源は、首の本数だけではない。
「そ、そんな! 最強の竜の力を宿した、私のスライムが……」
形勢逆転。今度は一転して、マレーネが慌てる番だった。
本体を破壊されてしまえば、竜の首だけでは何もできない。翼や胴体、そして強靭な尾といった全身が武器であるヴァルギリオスとは違い、首だけ生やしたスライム達は、本家本元のヴァルギリオスとは、戦闘力も格段に劣る。
「うわ! 竜の首が落ちて来た!?」
「ちょっと、まだ生きてるんじゃないの、これ!? こんな物騒なもの、封印よ!!」
戦いに巻き込まれそうになったビルダー達が、慌てて箱やら壺やらを作りだし、その中に竜の首を封じ込めて行く。まあ、首だけになった時点で既に死んでいるも同然なので、彼らに危険が及ぶこともないだろう。
「それじゃ、最後の仕上げをさせていただきますねぇ」
最後は炸裂弾の絨毯爆撃で、マレーネ共々、全てのスライムを吹っ飛ばす。個々の戦闘力では上回っている竜帝スライムだったが、しかし本体の弱さとカバーできなかった時点で、るこるの使役する兵器群の敵ではなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
わわっ、スクラップビルダーさん達が狙われないように挑発してこっちを狙わせるよ!
その間にビルダーさん達にはなにか罠を作っててもらおう☆
へへーん、そんなどろどろのスライムなんて怖くないよーだ!
こっちまでおいでーと背中の翅で羽ばたいて空中から挑発するね♪
ビルダーさん達の準備が整ったら挑発したまま罠の方に誘導するね!
瞬時に間合いを詰めてきた時に罠に掛かりそうな位置にわざと高度を落として罠にかけるぞ☆
ようし、罠に引っかかったらトドメの【妖精の一刺し】だ!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●リトル・トラップ
スクラップビルダー達を殺すために現れたマレーネだったが、気が付けばスライム諸共ズタボロの状態。
これでは、計画が丸潰れだ。ならば、少しでも多くのビルダーを先に殺してやろうと標的を変えるマレーネだったが、それはティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)がお見通し。
「わわっ! スクラップビルダーさん達が狙われないように、こっちを狙わせないと
……!!」
ここまで来て、ビルダー側に死者でも出したら一大事。今までの苦労が水の泡になってしまうので、それだけは絶対に避けなければならない。
(「えっと……ボクが引き付けておくから、その間に何か罠を作って」)
(「ああ、分かった。気をつけてな」)
互いに小声で耳打ちし合ったところで、ティエルは一気にマレーネへと距離を詰めると、そのまま頭上に舞い上がった。
「へへーん、そんなどろどろのスライムなんて怖くないよーだ! こっちまでおいでー」
空を飛べるというのは、こういう時に役立つものだ。確かに、ティエルの機動力を生かせば、スライムでは彼女を捕まえることができないかもしれないが。
「鬱陶しい羽虫ね。それに、私の武器はスライムだけじゃないわよ」
小馬鹿にするように鼻を鳴らし、マレーネもまた宙へと浮かびあがると、ティエルを狙って一直線。魔法の一種か、それとも座っている球体の力なのか、彼女もまた空が飛べるようだ。
「や~い、ノロマ~! そんなスピードじゃ、ボクは捕まえられないぞ~!」
それでも、まだスピードでは自分の方が上回ると、ティエルは更に挑発しつつもマレーネを巧みに誘いこんで行く。相手の必殺技は、距離を詰められない限り怖くない。ならば、せいぜいその性質を利用させてもらおうか。
「なによ、逃げ回るだけ? だったら……遠慮なく、こっちから行くわよ」
ティエルが攻撃をして来ないことを知って、有効打がないと判断したのだろうか。
一気に勝負を決めるべく、マレーネがティエル目掛けて急加速。それに合わせ、ティエルはどんどん高度を下げて、今度は下へと逃げて行く。
「足元を逃げ回って撹乱するつもり? そんな幼稚な作戦で……っ!?」
馬鹿にされていると感じたのか、いつにマレーネは本気を出して、一気にティエルを追い詰めた……かに見えたが、それもここまで。気が付くと、彼女の身体は巨大なトラバサミによって挟まれており、そう簡単には身動きが取れない状態になっていた。
「よっしゃ! 引っ掛かったぜ」
「突貫で作った甲斐があったな! ざまぁみろってんだ!!」
それは、ビルダー達が作りだした巨大な捕獲罠。マレーネの力を以てすれば、直ぐに脱出できそうなものだが……その分、外敵の戦いに集中できず、今攻められたら一方的にやられるしかない。
「く、くそっ! こんな罠、力づくで破壊して
……!!」
不発に終わろうとしていたユーベルコードの矛先を咄嗟に変え、トラバサミを破壊するマレーネ。これでもう、彼女の邪魔をする障害はない。今度こそスクラップビルダー達を殺害し、己が悲願を果たそうとするも。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
「えぇっ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ! まだ、時間が……きゃぁぁぁっ!!」
隙だらけのマレーネを、ティエルが見逃すはずもない。振り返ったところをレイピアの一撃で貫かれ、マレーネは大きな悲鳴を上げた。
成功
🔵🔵🔴
ルナ・ステラ
あの不気味なスライムが厄介そうですね…
見えないけど、どこにいるか分かるようにできる方法はないでしょうか。
【属性攻撃】の風魔法と【オーラ防御】を組み合わせて、風のバリアをわたしとビルダーさんたちの周りに展開します。
そして、バリアが歪んだり音がしたりしたらビルダーさんたちから合図をもらいましょうか。
もし、可能であればバリアが壊されるまでの間、時間稼ぎができるようなものをビルダーさんたちに作ってもらいましょう。
時間を稼いでる間、位置が分かったスライムを【属性攻撃】の氷魔法で凍らせる魔法と【全力魔法】のUCを【多重詠唱】します!
スライムもろともUCでマレーネさんを攻撃です!
●お星様に代わってお仕置きです!
おぞましいスライムや、スプラッター映画顔負けの残虐技を使うマレーネだが、気が付けば猟兵相手に防戦一方。
騙したつもりが騙されて、嵌めたつもりが嵌められて……。猟兵とスクラップビルダー達との連携を前に、だんだんと追い詰められて行く。
だが、それでも諦めることがないのは、骸の海より現れしオブリビオンの性か。ここで負ければ後がないことを知っている以上、マレーネに撤退の二文字はない。
「やってくれたわね、あなた達……。もう、容赦はしないわ。私のスライムに、全て飲み込まれて死ぬがいい!!」
追い詰められたマレーネは、再び不可視のスライムを放って来た。動きは怠慢だが、少しでも触れたが最後、致命傷は免れないという危険な存在を。
(「あの不気味なスライムが厄介そうですね……。見えないけど、どこにいるか分かるようにできる方法はないでしょうか?」)
近づかれる前になんとかせねばならないと、ルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)は考えた。彼女の得意とするのは星霊魔法。しかし、召喚術の類では、このスライムにどこまで有効打を与えられるか分からない。
「とにかく、近づかれる前になんとかしないと……」
まずは見えない敵を感知すべく、ルナは風の障壁を展開した。無論、こんなものでスライムの侵攻を防げるとは思っていない。これはあくまで、何かが触れた際に反応し、そこにスライムがいるのを確かめるためのトラップでしかない。
「ビルダーの皆さん! 音がしたところを頼りに、スライムを防ぐ壁を作ってください!」
「ああ、任せろ!!」
その上で、スクラップビルダー達に頼んで、瓦礫の壁を作らせる。当然、これも時間稼ぎ程度の効果しかないが、それでも敵の動きを鈍らせることができれば十分だ。
「そんな壁で、私のスライムを防ぐつもりなの? 甘く見られたものね」
案の定、マレーネはルナのことを取るに足らない敵だと思い、余裕の表情を浮かべていた。確かに、現状でルナは不可視のスライムに対して決定的な何かを繰り出せていない。このまま時間を掛ければ、いずれ彼女はスライムに襲われ酷い目に遭う……はずだったのだが、そこはルナもしっかりと考えていた。
「甘く見られた……それは、こっちの台詞です! 位置さえ分かれば、スライムなんて怖くありません!!」
そう、場所さえ分かってしまえば、スライム程度はいくらでも対処の方法があるのだ。
ルナが放ったのは、氷の魔法。スライムも液体である以上、低温化ではゲル状の身体が凍り付いて動かなくなる。おまけに、凍りついたことで位置もはっきりと分かってしまい、これではマレーネのスライムが持つアドバンテージは何もない。
「くっ……! で、でも、この程度の氷じゃ、私のスライムは……」
自身も氷漬けにされかけながら、マレーネは震えつつも、スライム達に指示を出した。
絶対的な威力を持つユーベルコードとは異なり、ルナの使ったのは、あくまで一般的な冷凍呪文。この程度の魔力なら、気合いで押し切れると踏んだマレーネだったが……残念ながら、まだルナは真の切り札を見せてはおらず。
「まだです! お星さんたちわたしに力を! 悪しきものに降り注げ! シューティングスター☆」
「なっ……! そ、そんな! 私のスライムが!?」
今度は空から降り注ぐ無数の星で、スライム達を絨毯爆撃! ファンシーな見た目に反し、実際は隕石の雨が降り注いで来るようなものであり、冗談抜きで普通に怖い!
「あ、痛っ! こ、この……こっちが動けないからって……痛っ! す、好き勝手に……痛っ!!」
何かを言おうとする度に、マレーネの頭に星が降る。そして、ようやく星の雨が止んだと思ったところで……最後にマレーネの頭に降ってきたのは、何故か特大の金タライだった。
「……あぐっ!?」
金属の震える小気味よい音が響き、マレーネはその場に倒れ伏した。彼女の頭には巨大なコブができ、その周囲を先程まで降り注いでいた星と同じものが、くるくると回転していたという。
成功
🔵🔵🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
ビルダー達を【かばう】形で前に立ちはだかり、彼らを【鼓舞】して協力してもらう。
「俺が方向を指示したら、そっちの方向の地面を盛り上がらせてくれ」
準備が整ったら戦闘開始!
ビルダー達に指示して地面を盛り上がらせてもらい、それを【地形の利用】で【ジャンプ】の足場として利用して空中のスライムを攻撃し、【神火の竈】で焼き払いながらマレーネ本体を目指す。
そして盛り上がった地面を利用し【物を隠す】で姿を隠し、空中のシャーリーの攻撃とタイミングを合わせて【ダッシュ】で間合いを詰めて炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】と同時に【神火の竈】の強火の業火を叩き込む。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
超空間に巻き込まれたビルダーを【鼓舞】するようにボスに力強く宣言する
「この世界で楽しく暮らしているビルダーたちをキミの道具になんてさせないよ!」
ビルダーたちを安全な場所に避難させ、彼らの声援を受けながらボク自身も【気合】で意志の力を高めてパワーアップさせた【エクストリームミッション】で飛翔してスライム相手に【空中戦】を挑み、【乱れ撃ち】+【範囲攻撃】でどんどん撃墜していく
その勢いのままボスに向かい、地上のウィーリィくんと連携して空中から【スナイパー】+【クイックドロウ】で熱線のピンポイント攻撃!
●燃える超空間
度重なる猟兵達との戦闘で、気が付けばマレーネは完全に追い詰められていた。
敗北に次ぐ敗北。これ以上の負けが続けば、次は自分の命もない。それを知っているからこそ、ついにマレーネはヤケクソになって、辺り構わず自分の操るスライムを放ち始めた。
「もう、頭に来たわ! こうなったら、ここにいる全員、誰も彼も殺してやる!」
最初の目的など、どこへやら。完全に激昂したマレーネの繰り出すスライム達は、その身体から様々な竜帝の頭部を生やし、猟兵やビルダー達へと襲い掛かる。
「うわぁ! こっちに来た!!」
巨大な竜の頭に飲み込まれそうになって、震え上がるビルダー達。しかし、その頭が彼らを飲み込むよりも早く、紅蓮の炎がスライム諸共に竜の頭部を焼き尽くす。
「おっと! そうはさせないぜ!」
包丁を構え、立ちはだかったのはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。残りのスライム達が一斉に彼を標的に定めたが、しかしビルダー達を助けに現れたのは、彼だけではない。
「この世界で楽しく暮らしているビルダーたちを、キミの道具になんてさせないよ!」
突如として飛来した熱光線がスライム達を貫き、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が堂々の宣戦布告! こうなったら、もう遠慮は何も必要ない。互いに持てる全力を尽くし、真っ向からの真剣勝負!
「えぇい、小癪な猟兵め! 私の力、思い知るがいい!!」
もはや出し惜しみはなしだとばかりに、マレーネが全てのスライムに竜帝の首を生やして突撃させてきた。敵は空中。おまけに多彩なブレス攻撃や厄介な特殊能力を扱うとなれば、地上から迎撃するのは得策ではないが。
「俺が方向を指示したら、そっちの方向の地面を盛り上がらせてくれ」
「ああ、分かったぜ!」
ウィーリィの指示で、ビルダー達は地面を隆起させる。それに乗って一気に高度を上げることで、ウィーリィは迫り来る竜の首を、次々に包丁で薙ぎ払って行く。
「よし、この調子で倒していけば……って、なんだこいつ!?」
だが、それでも調子に乗り過ぎれば足元を掬われることもある。なんと、包丁から繰り出される炎を食らったにも関わらず、何ら動ぜずに向かって来るスライムがいるではないか!
「くそっ! こいつ、炎に強いタイプの帝竜か!!」
かのヴァルギリオスを筆頭に、帝竜といっても色々だ。当然、中には炎に強い竜もおり、今のウィーリィとの相性は最悪であるが。
「ウィーリィくん、伏せて!!」
すかさず、シャーリーが熱線銃で牽制し、焔の帝竜の首を生やしたスライムを追い払った。
そう、今のウィーリィには頼れる相棒がいる。そして、それはウィーリィを助けたシャーリーにとっても同様だ。一人では敵わない相手かもしれないが、互いに力を合わせて挑めば、帝竜の首だろうと何だろうと怖くない。
「……史上最大の凶暴すぎる竜巻、戦う覚悟はある?」
これ以上はスライム達と遊んでいる暇もないと、シャーリーが高々と空中へ舞い上がった。そんな彼女の全身を覆っているのは、バイクが変形したサメ型パワードスーツ。彼女の意志が折れない限り、このスーツはシャーリーに無限の力を与えてくれる。
「さあ、ここからが本当の反撃だよ!」
スピード、パワー、そして火力。あらゆるものを増強させたシャーリーが、空中を超高速で飛び回りながらスライムを叩き落して行く。帝竜の首による攻撃など、なんのその。手数も火力も、圧倒的にシャーリーの方が上なので、もはや恐れる必要もない。
「な、なんてこと! 私のスライムが、こうも簡単に蹂躙されるなんて……」
呆気に取られるマレーネの前で、次々と倒されて行くスライム達。そんなマレーネ本人にも、シャーリーの攻撃は襲い掛かり。
「今だよ、ウィーリィくん!」
「任せろ、シャーリー! ……人類で最初に火を手にした人間はこう叫んだ!! 『我こそは料理人なりィィイイイーーーッッ』」
大包丁を深々と突き立て、そこから噴出する炎で敵を焼く。最後の言葉を紡ぐことも適わないまま、マレーネの身体は炎に包まれ消し炭となった。
「よっしゃぁ! やったぜ!!」
「さすがは猟兵! 俺達のヒーロー!!」
後ろから、歓喜するキマイラ達の声が聞こえてくる。かくして、キマイラフューチャーに邪悪神殿を建てんとするマレーネ・ヴァルハイトの企みは、綺麗に阻止されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年12月24日
宿敵
『マレーネ・ヴァルハイト』
を撃破!
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