●縁起物拾い
川の流れの中に、降る雪が溶けては流れて行く。
とある村落から少しばかり離れた川べりを走る子どもたちは元気そのもので、白い息を吐きながら川へと網や釣り竿を差し入れる。数秒ののち持ち上げた網の中や釣り針の先には、何やら輝く小さな球ひとつ。
親指の爪よりも一回り大きいそれは、イノシシの意匠が施されたトンボ玉だ。
続く子どもは着物をたくし上げ、なんと川の中に入っていった。冷たい、と叫ぶ声には愉しさがにじみ、水面に思い切り突っ込んだ手でトンボ玉を拾い上げる。
眩い陽光に翳せば、イノシシの模様が透けた。
そんな風景を、川の向こう岸から見遣る少女がいた。
子らに混じりたい、というようではない。かといって微笑ましい、という表情でもない。
気品を漂わせた風貌で向ける視線は、悪戯っぽい笑みに満ちていた。
「行きなさい」
少女が手にする扇子で子らを示すと、無数の落ち武者たちが現れた。
彼らは刀や槍を手に、ぞろりぞろりと子らに迫る。
子らが気付くまで、あと何秒――。
●グリモアベースにて
木箱の上に座って何グリモアを覗き込んでいた佐伯・キリカ(陽気な吸血魔法使い・f00963)が、意を決した顔で呼びかける。
「サムライエンパイアでの! お仕事だよーっ!」
その呼びかけに気付いた猟兵を見て、キリカはこっちこっち、と手招きをした。
「とある村の近くで、オブリビオンによる襲撃が発生するみたいなんだよ。時間帯はちょうど昼頃、場所は川べり。そんなところに人なんて集まらない……って思うところだけど、運悪く多くの子どもたちが集まっちゃっててね」
いわく、トンボ玉の回収。
縁起物として配布していた「イノシシの意匠が施されたトンボ玉」が、荷車でお社に運ばれていた。その途中で荷車が川に落下し、トンボ玉が川底に散らばってしまったのだという。荷車の御者はたまたま付近にいた子どもたちに呼びかけ、回収を手伝って貰っているそうだ。
「その場にいた子どもはもちろん、増援とばかりに村に友だちを呼びに行った子もいてね。20人くらいもの子どもが川べりを走り回ってるんだよ」
そんな子供たちを、落ち武者の姿をしたオブリビオンたちが狙っている。
「この落ち武者のオブリビオンを倒して欲しいんだけど……うーん、彼らを倒しただけで事件が解決するとは思えないんだよね」
とはいえ、落ち武者を倒さないことには子どもたちが危ない。まずは落ち武者の撃破を、と、キリカは猟兵たちに依頼するのだった。
雨音瑛
雨音・瑛です。
今回はサムライエンパイアにてどうぞよろしくお願いいたします。
●シナリオの流れ
第1章 『落武者』との集団戦。
第2章 ボスとの戦闘。
第3章 日常。トンボ玉拾いのお手伝い。
●補足
時間はこちらでいう午前12時頃。
戦闘する場所は、村から少し離れた川べり。やや雪が積もっています。
2章・3章開始時に、何かしら冒頭に記述する予定です。
途中参加もお気軽にどうぞ。
第1章 集団戦
『落武者』
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POW : 無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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シーザー・ゴールドマン
【POW】
「子供を狙うというのは幾ら落武者でも、落ちぶれ過ぎではないかな?
まあ、君達の意思ではないのかもしれないがね」
戦術
射程範囲に入り次第、その範囲内にいる落武者全てを『ソドムの終焉』で攻撃、滅ぼします。
至近距離の敵にはオーラセイバーを振るって攻撃。
(2回攻撃、鎧無視攻撃、怪力、フェイント、カウンター、先制攻撃等活用)
防御面はオーラ防御、見切り、第六感など
子供たちに近い敵を優先的に排除していきます。
神薙・沁
被害を最低限に抑えるために
…いや、被害を出さないためにここで止める
本来目立つのは嫌いだけど一般人の被害の方がもっと嫌だから
やや雪が積もっているという光景なら自分の姿は黒づくめなので目立つかもしれないので時折姿を晒して注意を引いてから離脱
相手の死角から矢や手裏剣で相手の足元などを攻撃して動きを止める
部位欠損で強化されるようだけど負傷させる程度に
捕縛風印で拘束なども狙い、発動時の風で雪を巻き上げるなどして目くらましも狙う
スキル的には
姿を晒して攻撃されたら
敵を盾にするで同士討ちを狙い
目立たないで姿を認識しづらくして
他の猟兵を援護射撃しつつ
暗殺・スナイパーで敵を攻撃
UCで敵を拘束
水無月・篝
何故、このような場所に落ち武者が……という思いはありますが、
まずは落ち武者を片付けましょう。
既に太平の世になって久しい。
貴方達の出番は終わっているのです。
薙刀の間合いを活かし、落ち武者の間合いの外から、脚を狙います。
薙ぎ払いで、両脚を纏めて斬り飛ばせれば重畳です。
動きを封じれば子供を追うことはできませんしね。
とは言え、オブリビオンである以上、油断は禁物。
他の猟兵と連携し、最後まで気を引き締めて参りましょう。
落ち武者を倒して終わり、とはならないでしょうから、
負傷者はシンフォニック・キュアで回復させます。
それに、傷だらけでは子供を怯えさせてしまいますからね。
無邪気にトンボ玉を追いかける子どもたちの足が、ぴたりと止まった。
トンボ玉を見つけたからではない。
恐ろしく、おぞましいものが彼らの前に立ちはだかったからだ。
「……オオオ
……!!」
それは、子どもたちへと咆吼を向ける落ち武者。
落ち武者が1体なら、子どもの足でも逃げ切れる可能性はあったかもしれない。しかしその数や十を超え、子どもたちは身を寄せ合って震えている。
「ど、どうしよう!」
「に、逃げ、にげ……!」
「あ、足が、……脚が、動かない……!」
走れない子を置いて逃げるわけにもいかず、かといって自分と同じ程度の背格好の者を抱えるほどの力はなく。
子どもたちは、死を覚悟した。
さらに、新たな足音が聞こえる。逃げ場は無い、と子どもたちが絶望に満ちた表情を浮かべたその時、
「邪魔だな」
眩い閃光が、落ち武者たちを貫いた。
倒れ伏す落ち武者の向こうに、子どもたちは真紅のスーツに身を包んだ男を見た。
「子供を狙うというのは……幾ら落武者でも、落ちぶれ過ぎではないかな?」
美貌の偉丈夫、シーザー・ゴールドマンは肩をすくめた。
シーザーは状況を確認するかのように口元に手を遣り、その後はオーラセイバーを手に他の落ち武者の元へと向かってゆく。
ひとまず狙うは、子どもたちに近い落ち武者。1体、2体と倒すシーザーを見る子どもたちの顔には、いつしか安堵の表情が浮かんでいた。
「オ、オ、オ……!」
落ち武者が怨念を纏い、一瞬にしてシーザーの背後へと回り込んだ。
「良いだろう、元より君たちの相手をするためにここへと来たのだからな」
振り下ろされる日本刀の速度は当初のものとは比較にならない。しかし、シーザーにはその動きが見える。回避しようとしたが、すぐ後ろには子どもがいる。
ならば、と受け止めた腕の傷が浅いのはオーラ防御による効果だ。
「お返しだ」
にこやかに言い放ち、シーザーは凄まじい力で落ち武者を斬り下ろした。
すると、落ち武者が倒れる音に重なる歌声が聞こえる。かと思えば、腕に受けた傷がたちまち消えてゆく。
シーザーがあたりを見回せば、水無月・篝が穏やかな笑みを浮かべて頭を下げるのが見えた。
先程の治癒は、篝の歌声によるものだ。
「傷だらけでは、子供を怯えさせてしまいますからね」
それでは、と篝は薙刀を構えた。年齢よりもやや幼い顔立ちではあるが、鮮やかな赤い瞳には確かな意思と決意が感じられる。
「……既に太平の世になって久しい。貴方達の出番は終わっているのです」
このような場所に落ち武者が現れた理由は不明だが、今は猟兵として彼らを片付けるのが優先事項だ。
迫り来る日本刀を持つ落ち武者、その間合いの外から薙ぎ払いを仕掛ける篝。
狙いは脚、ひとつ、ふたつと手応えを感じればその場に止められる落ち武者の姿が見える。
当然、それだけで良しとしない篝だ。
何せ相手はオブリビオン。はじめから篝ひとりで全員を相手取れるとは思っていない。
自身以外にもこの地を訪れた猟兵は、他にもいると聞き及んでいる。
援護を求めようと息を吸い込んだその時、一本の矢が落ち武者の頭へと突き立った。落ち武者がよろめくが早いか、篝は素早く薙刀を振るう。
刃の閃きは、落ち武者の胴を切断した。
先ほど矢を放ったのは、茂みに隠れていた神薙・沁だ。
黒ずくめの彼が姿を現せば、落ち武者は彼の方へも向かってゆく。
やや雪が積もっているこの状況で、沁の姿は目立っていた。
本来であれば目立つのを厭う沁であるが、一般人に被害が出ることをさらに厭う。
「被害は最低限に……いえ、出させません」
手を伸ばせば触れられるほどの距離に迫った落ち武者の腕を取り、盾とした。槍による突きが、盾にした落ち武者の腹部を貫く。
その後はすぐに木立を遮蔽物とし、手裏剣で落ち武者の足元を穿つ。
「部位欠損での強化はさせませんよ」
そうして次の手を打つために、沁は再び姿を現した。
「封陣展開、風縛り」
沁を狙う落ち武者に、風、極細の糸、猿轡、ロープが放たれた。
落ち武者が回避できたのは、猿轡とロープ。風と極細の糸は落ち武者を捉え、手にした日本刀の刃を折った。
発動と同時に巻き上げた雪で、沁はまたもや姿を隠す。
奮戦する猟兵たちを前に、子どもたちは手を取り合いながら村へと駆け出して行った。落ち武者の意識はそちらに向けられる、が――
「これより先へは、行かせませんよ」
沁の引き絞った魔導弓から放たれた矢が、落ち武者の腹部を穿った。
成功
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ステラ・チェスロック
同行:f06254
もう!よくわからないけど楽しそうな事やってるんだから、邪魔なんてしないでほしいわよね!
あ、アンタこの間の依頼に居た奴ね!ちょっと、アタシはおたくって名前じゃ無いわよ!ステラって名前があるわ!
もー、ポーンじゃ無いんだから突っ込む以外にも頭使いなさいよね!
シャッフル・タイムで戦闘用トランプを複製して大勢の武者に対抗するわ!たくさん枚数があるから【念動力】で上手に操って、自分の周りに武者を近付けず倒すやり方にしましょう。
それから、危なっかしいからアイツ(半)の周りをよく見ておいて、アイツが攻撃を受けそうになったらトランプを空中に沢山集めて【武器受け】して援護するわ!
坂上・半
同行:f12374
さーて、おぜぜおぜぜ
勤労少年はひと働きしましょうねー
ん?
なーんだ、前の依頼で見た顔(ステラ)じゃねーか
おたくもこの仕事受けたのか?
あー……すてらぁ?
ステラァ
ステラね
俺はなかば
まぁ、よろしく頼むぜ
見たとこおた……ステラ、近接ガチンコってーより術者とかそっちの方だろ?
突っ込むから適当に援護とか飛ばしてくれや
敵陣に突っ込んで【敵を盾に】しつつ【見切り】と【カウンター】を交えて暴れるぜ
【呪詛耐性】と【オーラ防御】で身は固めとく
(武器受けで守られた)
あー、いい仕事するね
こりゃ負けてらんねーや
後ろにゃそうそう通さねぇ
仕事はきっちり果たさねえとな
妖糸で縛って完全に動きとめてやんよ
「さーて、おぜぜおぜぜ。勤労少年はひと働きしましょうねー……ん?」
あくびを一つ、坂上・半は落ち武者に向けて踏み出そうとしたが、すぐ近くに他の猟兵の気配を感じて立ち止まった。距離にして、数歩ばかり先か。
「もう! よくわからないけど楽しそうな事やってるんだから、邪魔なんてしないでほしいわよね!」
憤慨する猟兵は、緑色の瞳を落ち武者に向ける少女であった。
「なーんだ、前の依頼で見た顔じゃねーか。おたくもこの仕事受けたのか?」
「あ、アンタこの間の依頼に居た奴ね! って、アタシはおたくって名前じゃ無いわよ! ステラって名前があるわ!」
そう、少女の名はステラ。ステラ・チェスロックという。
「あー……すてらぁ? ステラァ、ステラね。俺はなかば。まぁ、よろしく頼むぜ」
半はそう言ってステラへと近づき、手を差し伸べる。ステラは半の顔と手を交互に見て、ぱちんとはたいた。ふむ、と半は自身の手をみてうなずく。
「見たとこおた……ステラ、近接ガチンコってーより術者とかそっちの方だろ? 突っ込むから適当に援護とか飛ばしてくれや」
ひらり手を振り、半はステラの返答を待たず駆け出した。
「もー、ポーンじゃ無いんだから突っ込む以外にも頭使いなさいよね!」
ステラの叱咤する声を聞いて、援護は見込めそうだと判断した半は落ち武者の前に躍り出る。
「ちょっと失礼」
襲い来る落ち武者の前で、別の落ち武者を盾にする半。刀の振り下ろされる場所を見切りながらも、耐性と防備は高めて油断なく。隙を見て攻撃を仕掛け、落ち武者を1体ずつ確実に仕留めてゆく。
だが、落ち武者の数は多い。
いくら上手く立ち回ろうとも、半ひとりの手に余るのは確かだ。
ステラは半と会話を交わした場所に立ったまま、まったく、とため息をついた。
「上手なカットは、レディーの嗜みよ?」
戦闘用トランプを20ほど複製し、その1枚1枚で落ち武者を器用に翻弄する。自身の周囲には落ち武者を一切近寄らせず、遠距離から倒すつもりだ。
とはいえ、至近距離で戦闘を行っている半の様子も気になるようで。
ちらり見た先では挟み撃ちにされようとしているところであった。
「――そこ!」
半の後ろに立つ落ち武者が突き立てようとした槍を、念動力で操作したカード1枚で防いだ。
「……あー、いい仕事するね」
こりゃ負けてらんねーやと笑みを深め、半は目の前で妖糸をぴんと張った。
「後ろにゃそうそう通さねぇぜ? ……一手、二手、三手。三手重ねればほうら、籠の中の鳥」
半の前に立つ落ち武者の両肩が、斬り落とされた。同時に大きく体勢が崩れたのは、いつの間にか加えられた両脚への薙ぎのせいだ。
「仕上げ、っと。仕事はきっちり果たさねえとな」
ふわり風に浮いた妖糸は落ち武者を締め付け、自由を奪う。
反撃しようとあがく落ち武者の周囲を、数枚のカードが舞った。
「これでお終いよ! チェック・メイト! ……ロイヤルストレートフラッシュの方が良かったかしら?」
ステラが首を傾げる頃には、落ち武者はカードによって縦真っ二つ。
半の目の前で、落ち武者だったものは黒霧となって消えてゆく。
「やるじゃねーか、ステラ」
「……アンタもなかなかね、アタシほどじゃないけど!」
言葉を交わす二人の口角が、同時に上がった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
テス・ヘンドリクス
心情:雪どけ水って冷たいよね。子供たちみんな元気だなあ。あとで手伝ってあげなきゃ。
行動:【WIZ】
落武者たちを子供に近づけないように行動。戦線から離して危なくない場所に避難させるね。水に浸からないで済む所がいいな、冷たい想いはさせたくないし。
誰かがやってくれてるなら、私は【ささやかなる祝福】で怪我人の回復に集中しようっと。猟兵仲間も子供たちも、怪我はちゃんと治すよ!
怪我をしている人がいないのなら、手近な落武者を【力溜め】してごっつんするよ。
子供たちは常に視野に入れておいて、落武者が近づかないように気をつける。盾ぐらいならなれるからね。
「これも修行だからね、受けて立つよ!」
※連携・アドリブ歓迎
紬雁・紅葉
まぁまぁ!御社の御供物集めを邪魔ですか?
罰を被りますよ?
【水の魔力】を防御力に付与
水に気を合わせれば、水は私を遮らない…
忍び足でするすると浅瀬に移動、敵を引き込む
地形を利用し、衝撃波で水を巻き上げる
水の魔力を増強し、水+破魔属性の衝撃波で敵を範囲ごと薙ぎ払う
躱せる攻撃は残像や見切りで躱し、それ以外は見切りと武器受けからカウンターを狙う
蜻蛉追いたる潺の
禊の水の清らかよ
祓い給う清め給う
業邪の穢れを流し去らん
如何にも楽し気に微笑みながら高らかに詠う
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
子どもたちが川べりに落としていったとんぼ玉を見て、テス・ヘンドリクスは緑色の瞳を細めた。
「冷たい雪解け水でも元気にとんぼ玉を探してたなんて……元気だなあ、子どもたちみんな」
あとで手伝ってあげようと呟くテスの目の前に、落ち武者が迫る。
テスが立つのは、ちょうど村へと続く道だ。
「これも修行だからね、受けて立つよ!」
素早く振り下ろされる刀を受け、テスはにやりと笑った。
「盾ぐらいならなれるからね」
そう言って、力を溜めて落ち武者をごっつん。時折攻撃を受けながらも、返す刀で近寄る落ち武者を1体、また1体と片付けてゆく。
「御社の御供物集めを邪魔なんて……罰を被りますよ?」
くすり笑って、紬雁・紅葉は水の魔力で自身の防御力を高めた。
そして忍び足にて浅瀬に移動し、複数の落ち武者が近寄るのを確認して。
「水に気を合わせれば、水は私を遮らない……捉えました!」
衝撃波で水を巻き上げ、落ち武者たちをまとめて薙ぎ払う。
跳ね上がった水が収まると、数体の落ち武者が立ち上がろうとしているところであった。
「流石に全ては倒しきれませんでしたか」
紅葉が警戒すると、落ち武者が怨念を纏って紅葉との距離を一気に詰めてきた。
「っ!」
回避するには時間も距離も無い。ならば、と咄嗟に判断した紅葉は手の甲で打ち払うように衝撃波を受け、いっそう距離を詰めて水の衝撃波を見舞った。先程倒し損ねた落ち武者も、その衝撃波で倒れゆく。
これでひとまずは安心。すると、先程手の甲に負った傷が痛むのに気付いた。
「これくらい、まだ……!」
「無理しないで、紅葉さん! ――進むべき道、立ちはだかる壁を越えて我らは征く。共に歩むものたちの傷を癒したまえ」
テスの祈りは、紅葉へはもちろんテス自身へも届いている。二人の傷が、たちまち消えてゆく。
「ありがとうございます、テスさん!」
紅葉が礼を述べれば、テスが大きく手を振って応える。
「回復は任せて。あと少しみたいだし、頑張ろう!」
「はい、残る落ち武者は数えるほど。全て倒してしまいましょう!」
意気込むふたりの勢いが、増してゆく。
やがて最後の落ち武者が川に倒れ、流されて行った。
「――蜻蛉追いたる潺の、禊の水の清らかよ。祓い給う清め給う、業邪の穢れを流し去らん」
紅葉が楽しげに微笑み、高らかに詠う。
満ちる静寂にひとまずは安堵しつつ、忍び寄る気配に警戒を高めるのだった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『怨霊姫』
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POW : 怨霊乱舞
【無数の怨霊の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 怨霊傀儡
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【怨霊を憑依させることで、自らの傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ : 怨霊家臣団
【レベル×1体の、怨霊武者】の霊を召喚する。これは【刀や槍】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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おのれ、と歯噛みする音が聞こえる。
衣擦れの音に続いて現れたのは、あどけなさを残す姫君であった。
とはいえ、怨霊を纏うその姿はどう見てもオブリビオン。
ゆっくりと歩みを進める姫は、不意に子どもたちが落として行ったとんぼ玉に気付く。
そして楽しげに笑った後、一気に踏み潰した。姫が足をどければ、イノシシの意匠など判別できなくなったとんぼ玉の破片が姿を現す。
「わらわの楽しい時間の邪魔をするというのなら……容赦せぬぞ?」
姫は笑みを深め、猟兵たちへと優雅に扇子を向けた。
水無月・篝
とても邪悪な笑み。
外見の美しさが、
その本性の醜悪さを引き立てていますね。
未来ある子供達を、
貴女の邪な欲望の贄にはさせません。
そも、貴女の時は既に終わっているのです。
今一度、冥府へと返して差し上げます。
とは言いますが、私が己に課すのは回復役です。
終わった後に、傷だらけで子供達の前に出る訳にはいきませんし、
ましてや犠牲者を出すなど以ての外です。
ですので、戦場全体を俯瞰し、
危険な方には癒しを届けられるようにします。
攻撃は薙刀で。
敵の集中を妨げ、隙を作れれば良いのです。
そうすれば、他の御同業の方がやり易くなるのですから。
他者との絡み、アドリブ大歓迎です。
よろしくお願いします。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
「ふむ、お嬢さん、君が落武者を嗾けたのかね?」
「お仕置きが必要のようだね」
戦術
オーラセイバーを振るって戦います。
(2回攻撃、怪力、フェイント、鎧無視攻撃、第六感、見切り、等を活用)
怨霊乱舞に対しては後の先(見切り、カウンター、先制攻撃)で『ソドムの終焉』を放ち、放たれた全ての怨霊を消滅させる。
※シーザーは姿形が女子供であろうと戦う事に躊躇はありません。
「本質を見るべきだね」
神薙・沁
1章で同じ戦場にいたシーザーf00256・篝f05974の二人を支援
初対面で名前もしらないので声をかける場合お兄さん・お姉さんと呼称
基本は1章同様身を隠しながら移動し相手の死角になる位置からの矢・手裏剣による射撃とUCでの拘束
怨霊姫に接近されたときに話しかけてみる
「あの落ち武者のボスならどれだけ酷いものかと思ったら綺麗じゃないですか」
反応があったら他の猟兵が別方向から攻撃仕掛けられるように
会話を続けてみる、会話の最後は
「見た目はともかく精神は醜いようですね」
このセリフと共に忍刀・陽炎を投擲、回避されたらワイヤーで引き寄せて後ろから再攻撃(二回攻撃)
UCを多用して風を利用しながらの戦闘
「お兄さん、お姉さん、まずは自分に任せてください」
神薙・沁はシーザー・ゴールドマンと水無月・篝に声をかけ、すぐに木の上へと身を隠した。すかさず矢を弓につがえ、怨霊姫へと放つ。
扇子で弾かれる音が聞こえるが、沁は焦る素振りすら見せない。
「封陣展開、風縛り」
風とともに、怨霊姫を戒めるものが放たれる。やがて怨霊姫を捉えたのは、風とロープの二つであった。
「この程度の攻撃でわらわを倒すつもりかえ?」
怨霊姫が密やかに笑うと同時に怨霊の群れが放たれ、その場にいた猟兵を次々と襲い始める。
無論、沁もその攻撃範囲内にいる。視線は怨霊姫に固定したまま、忍刀・陽炎で怨霊を斬りつけてゆく。
「どうでしょうね。しかし、あの落ち武者のボスならどれだけ酷いものかと思ったら――」
ぴくり、怨霊姫の眉が上がった。
「綺麗じゃないですか」
怨霊姫の表情が、とたん和らぐ。沁の期待どおり、反応が見込めるようだ。
「ほお……なかなか見どころのある童じゃ、褒めてつかわす」
「それはどうもありがとうございます。でも、そんな言葉は不要です」
また、怨霊姫の眉が上がった。
「見た目はともかく精神は醜いようですね」
「ふむ、前言撤回じゃ。お主はここで……殺してやろうぞ!」
沁の投げた陽炎を回避した怨霊姫は、表情を醜く歪ませた。沁はすかさずワイヤーで陽炎を引き寄せ、次は怨霊姫の背後から攻撃を仕掛ける。
怨霊姫が振り返ったその時、突き刺さった刃は2つ。
沁の陽炎と、篝の薙刀だ。
「外見の美しさが、その本性の醜悪さを引き立てていますね」
「ほほお……お主もまた、わらわを愚弄するか……」
篝の言葉に、怨霊姫はくつくつと笑い始めた。
篝はその態度を意に介さず、真っ直ぐに怨霊姫を見つめて続ける。
「未来ある子供達を、貴女の邪な欲望の贄にはさせません。そも、貴女の時は既に終わっているのです。今一度、冥府へと返して差し上げます」
そう言いながら一歩下がった篝に、怨霊姫はいぶかしげな視線を送る。警戒しているのだろう。
怨霊姫はまだ気付いていないが、戦場全体を見渡す篝が選択した行動は『この場にいる猟兵を癒す』ことであった。
この戦いが終わって子どもたちに無事を告げに向かった際、傷だらけではさぞや驚かれることだろう。
ましてや、犠牲者を出すようなことがあっては子どもと村人にどんな影響を及ぼすか。
今はそこそこ軽微ではあるが、沁とシーザー、そして篝も傷を負っている。
篝が歌声を紡ごうとしたその時、
「させぬ……!」
怨霊姫は数十体もの怨霊武者を召喚した。彼らと同じ数の刃や矢が、篝へと襲いかかる。
されど、篝は怯まない。それどころか、なおも真っ直ぐに怨霊姫を見つめていくつかの攻撃を薙ぎ払った。
今受ける痛みと血が、何だというのだろう。ここで退くわけにはいかない理由があるから、立っていられる。
そして他の猟兵もいるから、後を託せる。
篝は、小さく微笑んだ。
「シーザーさん、お願いします!」
「なに!?」
怨霊姫が驚くのも無理は無い。いつの間にか怨霊姫の背後へと回り込んだシーザーが、オーラセイバーで斬り込んだ。
敵の集中を妨げて隙を作れたのなら、篝の狙いは成功だ。たとえ、自分が傷ついたとしても。
「ふむ、お嬢さん、君が落武者を嗾けたのかね?」
2度に及ぶ斬撃を怨霊で受ける怨霊姫であったが、怨霊は瞬時に掻き消え、彼女に刃が到達する。
刃の振り下ろされた場所は、彼女の肩口。同時に黒髪の一部も切り落とされ、はらはらと風に流れてゆく。
シーザーの問いに対し、怨霊姫は苦痛に顔を歪めるだけであった。
「お仕置きが必要のようだね」
朗らかに言い切るシーザーに、怨霊姫はまたもや怨霊家臣団を召喚しようとする。
その顔は、再び余裕のある笑みに戻っていた。
「お仕置き……? どの口が言うのかえ。わらわの遊戯を邪魔立てしたお主らこそ、お仕置きが必要じゃ……!」
真っ直ぐに腕を伸ばした怨霊姫が、扇子でシーザーを示す。
そのまま歳を重ねたのなら、怨霊姫はさぞや美しい姫となっていたことだろう。そんな想像をしつつ、シーザーは小さく呟く。
「本質を見るべきだね」
いくら可愛らしい顔立ちをしていようと、つまるところはオブリビオン。
邪魔だな、と笑むと同時に、魔力の閃光を解き放った。
「う、ぐっ……!」
閃光は怨霊姫の胸を胴を足を、容赦なく貫き通す。
相手が女性であろうと子どもであろうと、シーザーには関係のないことだ。
それが、戦うべき相手であるのならば。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
坂上・半
同行:f12374
血統覚醒&妖剣解放
おうおう、あれが頭か
随分とまぁ(配下を)連れてるじゃねえか
んー……おい、ステラ
とりあえず手ぇ引き出してくるから分析と策頼むわ
暫くしたら足ぃ止めてくっからよ
殺気でフェイントをかけ動きを止め
敵を盾にして同士討ちを誘う
乱舞は呪詛耐性とオーラ防御で流すわ
一般人を操ってるなら気絶にとどめ死体なら容赦なく
「あー……面倒いな」
気絶させんのは中々難しい
暫く打ち合って手ぇ引き出した後
足を止めて手数を増やして敵を一か所にとどめるぜ
時間稼ぎは任せな
そしたらまぁ、あいつはうまくやるだろ
なんつーか、こっちのお姫様(ステラ)の方がおっかないぜ
それで隙ができたら特大の一撃ぶつけてやんよ
ステラ・チェスロック
同行:f06254
もう、お姫様のくせに性格が悪いったらありゃしないわ!
【情報収集】で相手を観察して、範囲攻撃が特に厄介そうだと思うから半に先んじて行動するわよ。
ちょっと、半!危ないから無闇に突っ込まないの、待て!ちょっとアタシを守ってなさい。いい子にしてれば、切り札(ジョーカー)をあげるわ!って【鼓舞】するわね
【エクスチェンジディール・パワー】で遠方から敵と能力値を交換するわよ!敵がアタシのやる事に気がつく前に【早業】で!
交換したPOWは【スマートディール・パワー】で半に渡すわよ。待たせたわね、やっちゃえ!摩擦抵抗を減らすのは自分にして、スケートみたいに滑って敵の攻撃をかわすのに利用するわ。
「おうおう、あれが頭か。随分とまぁ連れてるじゃねえか」
怨霊姫、そして攻撃を仕掛ける猟兵を見遣りながら坂上・半はため息をついた。
攻撃に合わせて召喚される怨霊の数はおびただしく、並の者ではうかつに突っ込むのをためらうことだろう。
「んー……おい、ステラ」
半は怨霊姫の方を向いたまま、すぐそばに立つステラ・チェスロックをちょいちょいと手招きした。
「とりあえず手ぇ引き出してくるから分析と策頼むわ。暫くしたら足ぃ止めてくっからよ」
「ちょっと、半! 危ないから無闇に突っ込まないの、待て! いい子にしてれば、切り札をあげるわ!」
「なるほど切り札ね、それじゃよろしく」
都合のいいところだけを聞き取って返した半は、既に駆け出していた。
怨霊姫が半の姿を見つけ、扇子をぱたりと閉じる。
「よいよい、何人でも相手にしてやるわ」
怨霊姫が笑うと、怨霊の群れが彼女の周囲に群がり始める。ステラが最も警戒していた範囲攻撃に違いない。
「もう、お姫様のくせに性格が悪いったらありゃしないわ! させるものですか!」
怨霊姫より早く動いたステラが、すかさず彼女を視界に映す。
「“この戦いの間だけ”、全てはアタシの思うままよ!」
とたん、怨霊姫とステラの能力値、その一つが交換される。
「小娘……!」
怨霊姫は先ほど猟兵たちに倒された落ち武者に怨霊を憑依させ、ステラを襲わせようとした。
ステラはぎりぎりまで引きつけつつ、次の一手を打つ。
「イイ手を配るなんて、ディーラーにはお手の物だわ」
ステラの言葉が終わるが早いか、彼女と半の能力値の一つが瞬時に交換された。
同時に斬りかかってくる落ち武者の攻撃をまるでスケートのように滑って躱し、距離を取る。
「待たせたわね、やっちゃえ!」
ステラの声を聞いて、半はうなずいた。
躊躇なく真の姿を現し、それを強化しようと黒紫の雷を呼び寄せようとする。
「……なんつーか、こっちのお姫様の方がおっかないぜ」
半は小さくため息をつき、いくつもの黒紫の雷で自身を覆いながら怨霊姫へと斬りかかった。
警戒する怨霊姫に挑む軌道は直線。怨霊姫は正面に怨霊を呼び、防御の構えを見せる。
「――む!」
だが半の動きはフェイントだ。半は素早く体を落とし、黒紫の雷に重ねて妖刀の怨念で自らを覆う。その後は怨霊姫の横をすり抜けて一気に背後に回り込み、斬撃を繰り出した。
さらに発生した衝撃波は、怨霊姫の呼び出した怨霊をも消し去ってゆく。
「おのれ……!」
また、落ち武者に怨霊が憑依する。ふらり蘇った落ち武者が、半を狙う。
「同士討ち……させようにも、手近なのは1体か。なら直接やった方が――」
半の手にした刀が、閃く。
「早い、な」
刃を鞘に収めれば、落ち武者が倒れ伏す音が聞こえた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
紬雁・紅葉
ほんのり苦笑いしつつ
やれやれ、お遊びが過ぎました…
ですが流石に油断できる相手ではありませんねぇ
一転
御鎮めいたします
羅刹紋が浮かび深い笑みへ
"剣神"の神霊体を宿し、忍び足でするすると正面から接敵
薙刀にて雷+破魔の属性衝撃波で範囲の敵を回数に任せ薙ぎ払う
怨霊の群れあれば尚更能うる限り多くを巻き込み打つ
躱せる攻撃は躱すが、見切って武器受けからカウンターが本命
UCにオーラ防御も併用するが、傷を負ってもむしろ笑みは深まる
嗚呼、嗚呼!
楽しいですか姫君?
姫の動きが止まったら、力を溜めて渾身の一撃を見舞ってとどめ
去り罷りませい!
御戯れはこれにて御仕舞…!
柏手一つ
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
テス・ヘンドリクス
心情:可愛いのに怨霊かー……。可愛いのになー……。
私一応クレリックだから、迷ってる魂を天国に強制送還するのはお勤めなんだよね。
子供といえども手加減はなしだよ。
行動:【WIZ】
と言いつつ本業は回復なので、まずは怪我をした仲間を『ささやかなる祝福』での回復に従事します。怪我人が居ない時だけ攻撃するね。
攻撃時は【破魔】を乗せた『ジャッジメント・クルセイド』で。
真の姿は瞳が金色に変わり、肩から手首まで肌に赤い紋様が浮き出ます。
本当はあまり晒したくない。でも実力的に、姫を倒すまでの間は仕方ないかな。紋様は修道衣で隠せると思うけど。
怨霊姫が倒れたら、安らかに眠れますよう祈りを捧げます。
※連携・アドリブ歓迎
「やれやれ、お遊びが過ぎました……」
紬雁・紅葉は、ほんのりと苦笑いを浮かべた。
さすがに油断できる相手ではないと、態度を改める。
「御鎮めいたします」
羅刹紋が浮かびあがると同時に、紅葉の笑みが深まった。
宿すは"剣神"の神霊体、怨霊姫を正面に捉えて薙刀を構える。
「やれるものならやってみるがよい」
怨霊姫の笑みもまた、深まる。呼び出された怨霊家臣団が、紅葉の前に立ち塞がった。
雷と破魔の力を乗せ、紅葉は力任せに薙ぎ払い続ける。
「嗚呼、嗚呼! 楽しいですか姫君?」
わかりやすい動きは躱しながらも、避け損ねた攻撃は躊躇なく受ける紅葉。
傷を負えば、その顔は痛みに呻くどころかさらに笑みを深めてゆく。
武器を押し返すかのごとく繰り出されたカウンターで、怨霊は為す術なく消滅した。
そんな中、悩ましげに右に左に首を傾げるのはテス・ヘンドリクスだ。
怨霊姫は見た目だけは可愛いが、結局のところは怨霊である。
でも、可愛い。
その思考を何度繰り返したことか。
でも、と思い切り首を振って至った答えは、自身はクレリックということであった。
「迷える魂を天国に強制送還するのが、お勤めなんだよね」
言いつつ本業は回復だ、紅葉が受けた傷を癒すべく動く。
「進むべき道、立ちはだかる壁を越えて我らは征く。共に歩むものたちの傷を癒したまえ」
届いた祈りは、戦闘を心より楽しむ紅葉の傷を消し去った。
すると、怨霊姫はテスの周囲へも怨霊たちを呼び寄せた。
「うーん、このままじゃちょっと厳しいかな……?」
困ったように笑い、テスは真の姿を解放した。
肌の一部、肩から手首まで赤い文様が浮かび上がり、緑の瞳は金となる。
本当ならばあまり晒したい姿ではないのだが、テスの実力からすれば姫を倒すまでの間だけでも真の姿になっておいた方が何かと都合が良い。
紋様を修道衣で隠しながら、怨霊たちを指で指し示す。降り注ぐ光は、怨霊を灼くかのように消滅させてゆく。
やがて紅葉が全ての怨霊を消し去ると、眼前に無防備な怨霊姫を捉えた。
紅葉が薙刀を振りかぶる。怨霊姫は、怨霊たちに対処を任せていたせいかまるで反応できない。
「……! こしゃくな……!」
「去り罷りませい!」
振り下ろした薙刀に、確かな手応えを感じる。顔を上げれば、苦痛に呻く怨霊姫の姿がそこにあった。
「馬鹿、な……わらわが、猟兵ごときに……!」
「御戯れはこれにて御仕舞……!」
柏手一つ、紅葉はゆっくりと頭を下げる。再び顔を上げた時には、怨霊姫の姿はそこには無かった。
テスに攻撃を仕掛けていた怨霊たちも、主の消滅と共に消え去っている。
「お疲れさま。紅葉さん、他に怪我は無いかな?」
「お疲れさまでした。ええ、大丈夫です。先ほどは回復ありがとございました」
言葉を交わし、互いをねぎらうテスと紅葉。
不意に訪れた沈黙の中、聞こえた川のせせらぎはどこまでも清らかだ。
(「どうか彼女が安らかに……眠れますように」)
少しの間目を閉じ、テスは静かに祈りを捧げた。
成功
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第3章 日常
『水底の玉』
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POW : 川の中に入って水底のトンボ玉を素潜りで拾い集める。
SPD : 釣り竿や網を使って船の上からトンボ玉を釣る。
WIZ : 川の流れを読んでトンボ玉の流れ着きそうな河原を予測する。
👑5
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川べりには、子どもたちの姿が戻り初めていた。
喉元を過ぎればなんとやら、とんぼ玉を探す子どもたちは当初よりもいっそうはしゃいでいるようだ。一部の子どもは猟兵の戦う姿を見ていたのだろうか、時折羨望の眼差しで見つめてくる。お礼を言いたそうにしている子もいるし、猟兵たちを真似るように木の枝を振り回して怨霊との戦いを再現するやんちゃな子もいる。
取り戻した平穏の中、とんぼ玉探しに手を差し伸べるも、彼ら彼女らの様子を見守るのも良いだろう。
どう応えるかは、猟兵次第だ。
ステラ・チェスロック
同行:f06254
ま、乗りかかった舟だし手伝いくらいするわ
半の勝負に乗るわよ
勝負ぅ?……素潜り勝負とか言うの?アンタの方が体力あるじゃない。
ふぅん、素潜り限定じゃないならいいかもね
川辺で拾うって手もあるし
じゃあついでに何か賭けましょ
茶屋で一品?いいわよ
か か っ た わ ね
真の姿を解放するわ
終末の王冠を戴冠して、赤いマントを纏った姿になるわよ
チェスのキングみたいな感じ
【交愛者の慈しむ手】を使用
息継ぎが必要無くなるから【水泳】で水の底へ潜っていって【失せ物探し】でトンボ玉を探し、トンボ玉を回収するわ
回収は【念動力】【早業】も併用して素早くね
半を見上げて笑ってやりましょ
ーー川辺で拾ってもいいのよ?
坂上・半
同行:f12374
【POW】
んで、あとはトンボ玉を探して、っと
この時期に川ん中かー……なんか物足りねーな
ステラ、勝負しね?
どっちがいっぱいトンボ玉集めるかよ
んぁ?
別に素潜り限定じゃねーさ
数いっぱい集めたほうが勝ち、で
……賭け?
へー……良いぜ、乗った
そうだな、賭けるのは水上がりになるだろうし茶屋で一品でどうよ
蕎麦、茶、汁粉なんでもな
――それじゃ、お先!
素潜りで川の中のトンボ玉を探す
んだが……ステラも素潜り、だと?
どうしてまた
息継ぎに水面に顔を出した後ステラが全然上がってこないのに気づいてまさか足攣っていないだろうなと慌てて連れ戻しに行くぜ
……?
水中行動できるユーベルコード?
ずっけぇっ!!
シーザー・ゴールドマン
「子供たちに犠牲が出ずに何よりだったね」
川には入らず、トンボ玉を集める子供たちを見守り、
危ない時には『サイコキネシス』で助けます。
見守りながらも『サイコキネシス』でトンボ玉を拾い、
拾った分は子供たちの成果とするように渡していきます。
「平和なものだね。あのお嬢さんにはそれが許せなかったのか」
紬雁・紅葉
御供物ともなれば、微力ながら尽力を…
【水の魔力】を防御力に付与
水と「気」を合わせ、活動しやすくする
するすると水に入り、徐に潜る
川の流れを見切り、失せ物探しも駆使して水中のトンボ玉を見つけて集めて回る
冷たさの中にも小魚が見えたり
…冬にも負けぬ…命の眩さよ…
潜っては集め、集めては潜り
ふと一つ陽光にかざしてその透き通った彩光に思わず笑みが
一頻り纏まった数を集めて引き揚げ
流石に冷えはするので川岸の焚火にあたる
(なければ自分で設える)
茜山間(あかねやんま)の冬の川
社の干支の御須丸の
季節外れの蜻蛉の目
映すは夕餉の家の路
…ぅふふ♪
数比べしている仲間や子供たちを眺めて柔らかく笑む
テス・ヘンドリクス
これって縁起物なんでしょう? 楽しみにしてる人もたくさんいるよね。
流されちゃわないうちに拾って歩かないと!
行動:【WIZ】
子供たちが川に入るのは、楽しんでる分はいいとして。危なくないように気をつけつつ、トンボ玉が流れつきそうな河原に当たりをつけよう。
ただでも割られて数が減っちゃってるから、取りこぼさないようにしなくちゃ。網とか持ってきたら良かったなあ……。
あとは、川に入ったら寒いから、火を焚いておかなくちゃね。
落ちた荷車はまだ動くのかな。大丈夫なようなら川から引き揚げるお手伝いもするよ。
拾える限りのトンボ玉を拾って、無事に荷車を村まで送り届けるね。
水無月・篝
【WIZ】
何とか怨霊姫を倒せましたか。
それでは、子供たちに安全をお知らせして、楽しい時間の再開ですね。
少々大人気ないかもしれませんが、
子供たちと一緒に川に入ってとんぼ玉を探しましょう。
子供たちに先に拾ったとんぼ玉を一時借りて重さを確認。
水の勢いと流れからして、大まかな位置を予測。
第六感も駆使して大量ゲットを目指しましょう。
第一章、第二章でご一緒だったシーザーさんと沁くんも、お誘いして一緒に楽しめると尚良いですね。
一頻り楽しんだら、風邪をひかないよう、河原で焚き火をして、温まってから解散です。
神薙・沁
一般人にまじって川の中へ
深いところに素潜りしたりしてとんぼ玉拾い
猟兵ならともかく一般人がおぼれたり、浅瀬でころんで怪我しないようすぐ助けられるように注意しておく
年相応にはしゃいでるように見えるけど
目立ちたくないから周囲に合わせてるだけですよ
(誰かに楽しそうだといわれたらそう言い訳をする)
お礼を言われたら
「見知らぬ誰かに助けてもらったのだから
恩返しのつもりで見知らぬ誰かを助けてあげてください
それが続けば自分一人では助けられない何処かの誰かを助けてあげられる
それが自分のしてほしいことです」
といってこの子供たちが優しい人間になることを願って頭を撫でてあげる
(自分も子供なのだけど
川から少し離れたところで火を熾したテス・ヘンドリクスは、満面の笑みを浮かべた。
「よし、これで大丈夫。川に入ったら寒いからね、身体をあっためる場所があると安心だよね」
さて、次はと見遣るは川の流れ。
川に流されたというとんぼ玉は縁起物だと、テスは聞き及んでいる。楽しみにしている人もたくさんいるだろう、流されてしまうとんぼ玉を1つでも減らそうと、川が分かれている場所にあたりをつけた。
「そもそも、怨霊姫に割られて数が減っちゃってるんだよねえ……取りこぼさないようにしなくちゃ」
真剣な顔つきで川をのぞき込めば、陽光の反射とは異なる輝き。
「う、ちょっと深いかな……? 網とか持ってきたら良かったなあ……」
苦笑しながら川に入って、冷たさに驚きながらも拾い上げる。水もそうだが、拾い上げたとんぼ玉も充分に冷たいものだった。
ふと視線を感じて振り返ると、幼い少女がテスをじっと見ていた。
「そこにとんぼ玉、あるの?」
「あるといえばあるんだけど……このへんはちょっと深いから、もっと浅いところで探した方がいいよ。もう少し上流の方に浅いところがあったから、そこを探すといいんじゃないかな?」
優しく答えれば、少女はこくりとうなずいて駆け出していった。
「さて、頑張るぞー! 拾えるだけ拾ったら、荷車を引き揚げる手伝いもしたいなあ。その後は荷車を村まで送り届けて……」
怨霊とも怨霊姫とも戦った後だというのに、まるで疲れを知らないかのように働くテス。とんぼ玉を探す子どもたちも、彼女の姿に勇気づけられるかのように元気にとんぼ玉を探している。
怨霊姫を倒せたことに安堵した水無月・篝は、楽しい時間の再開に笑顔を浮かべていた。
「子供たちに犠牲が出ずに何よりだったね」
はしゃぐ子どもたちを見遣り、シーザー・ゴールドマンが頷く。彼自身は川には入らず、とんぼ玉を集める子どもたちを見守るつもりだ。
近くの村に住む子どもたちだ、普段から川で遊んでいることは予想できる。だからそう簡単に溺れたりはしないだろう。
しかし、それはむしろ子どもたち自身に油断をもたらすことになる。
実際、思わぬ深みに足を取られた子どもが川に流され始めた。
「うわっ、だれか、助、け!」
「ふむ、何事においても油断は禁物だ」
シーザーはすぐさまサイコキネシスにて子どもを持ち上げ、川から救出する。
「っ、はー……あり、がと……!」
その後は、子どもたちは慎重にとんぼ玉を探し始めた。つい先ほど溺れた者を見たからだろう。
少々大人げないかもしれませんが、と呟いた篝は、子どもたちと一緒に川へと入った。すると、すぐ近くにいた子どもが思いきり潜り、すぐに上がってきた。
「見ーつけた!」
「お見事です。……あの、少しお借りしても?」
「いいよ、はい!」
受け取ったとんぼ玉の重さを確認すると、川に手を差し入れた。計測するのは水の勢いと流れだ。
「……おそらくは……こちらです!」
第六感が告げる方向へ駆け出す篝。足を止めた先で、揺らめく水面の奥に玉の光が見えた。
「ふふふ、大量ゲットです……!」
喜ぶ篝の横を通った神薙・沁が、次の瞬間には深いところへと潜っていた。
シーザーが子どもに注意を払っていてくれるから、沁としてはとんぼ玉を集めるのに集中できる。
そうして水底に見えた輝きは、紛れもなくとんぼ玉のそれだ。
いったん川から上がった沁の視線は、手元のとんぼ玉へ。その表情は年相応に嬉しそうに、かつ少しばかり得意気だ。
「くぼんでいるところに、たくさん溜まっていました。まだまだ集められますよ」
「……ふふ。沁くん、とても楽しそうですね」
「そうですか? 目立ちたくないから、周囲に合わせてるだけですよ」
言い訳めいた言葉を残し、沁はひとまず川から上がった。拾ったとんぼ玉を川べりに並べれば、何人かの子どもが駆け寄ってくるのが見える。
「お兄ちゃんも集めてくれたの? ありがとう!」
「……見知らぬ誰かに助けてもらったのだから、恩返しのつもりで見知らぬ誰かを助けてあげてください」
きょとんとする子どもに、沁は続ける。
「それが続けば、自分一人では助けられない何処かの誰かを助けてあげられる。それが、自分のしてほしいことです」
今日、ここで出会った子どもたちが優しい人間になることを願って。
沁は、そっと子どもの頭を撫でた。とはいえ、自身も子どもだと認識している沁である。
そうそう、と篝が子どもたちの顔を見回す。
「風邪をひくといけませんから、最後は焚火であったまっていきましょうね」
「はーい!」
元気な返事の後、子どもたちは再びとんぼ玉を探しに川へと潜り始めた。
見守る合間にも、シーザーはサイコキネシスでとんぼ玉を拾い上げ、手持ちが少ない子どもの掌へと落としてゆく。
「これは君の分だ、受け取りたまえ。なに、遠慮は不要だ」
それにしても、とシーザーはあたりを見回した。
「……平和なものだね。あのお嬢さんには、それが許せなかったのか」
先ほど戦った怨霊の姫君をふと思い浮かべ、シーザーはまたひとつ、川を流れてゆくとんぼ玉を浮かび上がらせた。
坂上・半は、川べりに積もる雪を見て腕組みをしている。
「この時期に川ん中かー……」
気が乗らないのではない、むしろ物足りないのだ。
「普通に探すのもつまんねーし、ステラ、勝負しね? どっちがいっぱいとんぼ玉集めるかを、よ」
「勝負ぅ? ……素潜り勝負とか言うの? アンタの方が体力あるじゃない」
半の誘いに、あからさまに嫌そうな顔をするステラ・チェスロックだ。
「んぁ? 別に素潜り限定じゃねーさ。数いっぱい集めたほうが勝ち、で」
「ふぅん、それならいいかもね。川辺で拾うって手もあるし。じゃあついでに何か賭けましょ」
楽しそうな会話の中に潜む熱。ステラは、既にギャンブルのさなかにいる気分でいた。
「へー……良いぜ、乗った。そうだな、賭けるのは水上がりになるだろうし茶屋で一品でどうよ。蕎麦、茶、汁粉なんでもな」
指折り伝える半に、ステラは笑顔でうなずいた。
「いいわよ」
と、少女が言うが早いか。
「――それじゃ、お先!」
さっそく素潜りで川の中のとんぼ玉を探す半。ひとつ、ふたつと着実に集め始める半を見下ろすステラはむしろ余裕だ。
「か か っ た わ ね」
勝利を確信したギャンブラーの笑みを浮かべたステラは、終末の王冠を頭へと乗せた。赤いマントを纏った姿へと変じた彼女は、さながらチェスのキング。そう、これがステラの真の姿だ。
「湖の乙女、アタシに力を貸してちょうだい」
そう言って川に足を踏み入れ、水底へ潜る。失せ物を探すのは得意なのだ。
ステラのシルエットに気付いた半は、とんぼ玉を回収しながらも首を捻った。まさか彼女が素潜りをするとは、到底思えなかったのだ。
息継ぎのためにと水面に顔を出した半は、数分が経過してもステラがまったく上がってこないことに気付く。
「おいおい、まさか足攣ってないだろうな……」
慌てて川に潜れば、手の届かない場所にあるとんぼ玉は念動力で引き寄せ、近場にあるとんぼ玉は早業にて素早く回収するステラの姿があった。
疑問に思いつつ再び水面に顔を出すと、水面下でステラが笑っている。
(「ーー川辺で拾ってもいいのよ?」)
水面下でのステラの口の動きを、半は確かに読み取った。得意気で挑発的な笑みも。
それが水中行動できるユーベルコードだと気付いた半は、
「ずっけぇっ!!」
と、地上で叫んだ。聞こえるわけがないと解っていても、叫ばずにはいられなかったのだ。
それでも負けぬと潜り、必死にとんぼ玉を回収する。
後に半が奢らされた「茶屋での一品」は、茶屋で一番高いものだったとかなんとか。
水の魔力で防御力を高めた紬雁・紅葉は、するすると見ずに入り、徐々に潜ってゆく。
身体に受ける水の流れを把握し、失せ物を探すべく目を凝らす。
失せた物が御供物とあれば、微力ながら尽力したいと思うのは紅葉が巫女だからか。
(「冷たさの中にも小魚が見えたり……冬にも負けぬ……命の眩さよ……」)
紅葉の前に来た魚が慌てて逃げてゆくのを見て、なぜだか楽しくなる。尾ひれを見送り、指先で摘まむとんぼ玉ひとつ。
潜っては集め、集めては潜り――繰り返す過程の中で、ひとつのとんぼ玉を陽光にかざした。
透き通った彩光が頬に落ち、紅葉は思わず笑みを零してしまう。
やがてまとまった数を集めた紅葉は、ぱちぱちと弾ける音を聞いた。
「まあ、焚火……有り難いですね」
焚火で身体を温めると、もう日が暮れてゆくのがわかる。
「茜山間の冬の川、社の干支の御須丸の、季節外れの蜻蛉の目、映すは夕餉の家の路」
なんて口ずさみながら、紅葉は柔らかく微笑んだ。
「……ぅふふ♪」
ふと見た先には、とんぼ玉の数比べをしている子どもたちの姿。
彼ら彼女らの日常が、どうか再びオブリビオンに脅かされることのないよう。
願いと祈りの混じった思いを胸に、紅葉は沈みかけた夕日に目を細めた。
大成功
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