5
風雲! たぬき宗教戦争!

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #ブラザー・アポストロス #破戒僧 #コルテス #魔軍転生 #猟兵の食欲全開シナリオ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#ブラザー・アポストロス
🔒
#破戒僧
🔒
#コルテス
🔒
#魔軍転生
#猟兵の食欲全開シナリオ


0




 東海道五十三次の16番目、駿河国由比宿。
 言わずとしれた交通の要所であり、人と物が集まる商業の盛んな宿場のひとつだ。
 この周辺は港が近いせいか、漁師の村が点在している。
 ゆえにこの近海で水揚げされた新鮮な魚がとても美味だ。

「ですが、そもそもそれが間違っているのです」

 温和な口調で黒衣の神父が、道中で説法を行っている。
 美味い物を食す、贅沢がしたい、生きてる実感のために他人とは違うことを始めて大成したい、自分らしく人生を楽しく鮮やかに過ごしたい。
 そういった“人生の幸福”を、黒衣の神父は完全に否定した。

「いいですか、それは間違いです。あなたの人生は、神の与えた『試練』です。人は皆、『原罪』を背負っています。故に、生きている事自体が『悪』なのです」
 神父の言葉に、街道を歩く旅人から商人、たまたまこの地に定住する者などが、目を見張って愕然としていた。そうだったのか、と感銘を受けて涙する者まで現れ始める。
「救済は『死』によってのみもたらされます。死後、あなたが神に赦されれば、喜びと共に蘇るでしょう。神に祝福された蘇生者……それこそが、『オブリビオン』なのです」
 黒衣の神父の名は、猟書家『ブラザー・アポストロス』。
 この説法自体が遅効性の洗脳話術であることに、聞き入ってる民衆は誰ひとりとして気が付いていない。
「さあ、今この時点から飯と水を断ち、麗しき死の刻を待ちなさい。それが原罪への懺悔です。安心して下さい。私が、あなたを救済へと導きましょう……」
 民衆は嗚咽とすすり泣く声を漏らしながら、しきりに胸元で十字を切る。
 説法に心を動かされた彼らは、このまま飲食を断って緩やかに衰弱死を望んでしまうだろう。
 だが、たまたま宿場に物資調達に来ていた破戒僧は、この光景を異変と認識した。
 破戒僧は街外れの廃寺に人知れず住み着いていたため、猟書家の洗脳から逃れ続けていたのだ。彼はすぐに隣の宿場に早馬を飛ばし、救援を求める。
 ただ、道中でやけに“たぬき”が群れていることを怪訝に思う破戒僧であった。

「サムライエンパイアでの猟書家の侵攻は留まることを知らないっぽいねっ?」
 蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、頭上のグリモアから予知を投影した後、グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ、今回の任務内容を伝達してゆく。
「討伐対象は猟書家『ブラザー・アポストロス』! 見た目はあたい好みのイケオジだけど、説法で緩やかに多くの民衆を衰弱死させてから無抵抗のまま虐殺後、オブリビオンとして大量蘇生をすることで配下を量産しようと企ててるよっ!」
 かなりやり口が悪辣だが、それにしてはやり口が回りくどい。
 その理由を尋ねると、レモンの目がにわかに輝き出した。
「なんで民衆をすぐ殺さないかって言うとねっ? 今、ブラザー・アポストロスの手元の配下に超・魔軍転生させているのが、去年のエンパイアウォーで猟兵達にボコボコにされた、あの侵略渡来人『コルテス』おじ様だからだよっ!」

 侵略渡来人『コルテス』とは?
 グリードオーシャンからやってきた超強い魔軍将だったが、彼自身が『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用して、安全圏から楽しく侵略と虐殺を繰り返してきたので『戦い方を忘れていた』のだ!
 ゆえに、猟兵達へ散々ボコボコにされ、あっけなく退場した萌キャラおじ様だ。

 そんな『実力は超強いけど戦下手』なコルテスを部下に憑装させたため、相手を無力化させないと殺せないのだ。猟書家はそのために回りくどい洗脳問手段を取らざるを得なかったようだ。

「みんなにはまず、このコルテスおじ様が憑装した『狸兵団』を蹴散らしてほしいんだけど、真正面から戦うと潰されちゃうから気を付けてっ! 勝つためには、戦下手な点を利用して、町の地形を利用したり、策を練って不意打ちすることが重要だよっ!」
 聞けば、『狸兵団』は敵を発見すると、そのまま真っ直ぐにしか突っ込んでこない。奴らは空も飛べないし、周りも見えていないし、お腹も空いてるし、何故かパンダもいる。
 ほんの些細なトラブルやトラップ、更には恫喝や偽報などの策略などで『狸兵団』は戦線が瓦解する。色々と試してみるといいだろう。
「宿場町は意外と入り組んでるから、奇襲もしやすいはずだよっ! それと、異変を察知した破戒僧さんも討伐に加わってくれるから、手伝ってほしいことがあればその人に言ってねっ!」
 破戒僧はさほど強くはないが、この宿場町に詳しい。上手く活用することで、更に大きな戦果を挙げられるであろう。

「それじゃあ、みんなっ! 宿場町の人達を助けるために、猟書家の悪事を叩き潰してきちゃってねっ! やれば出来るっ!」
 レモンのグリモアが、サムライエンパイアの駿河国由比宿へ転送を開始する!


七転 十五起
 サムライエンパイア猟書家シナリオ第2弾。
 再来、侵略渡来人『コルテス』 RIDE ON 狸兵団。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス(全章共通)
 破戒僧と協力して戦う(猟兵ほど強くはありませんが、この町に詳しいです)。

●概要
 第一章の集団戦は、オープニングの通り、破戒僧と協力して狸兵団を宿場町の中で撃破します。
 狸兵団には侵略渡来人『コルテス』が憑装されており、その実力により真正面から戦うと勝ち目が薄いです。
 しかし、コルテスが『戦下手』のため、街の地形を利用したり、想定外の状況や策略を巡らせると簡単に撃破できてしまいます。ヒントはオープニングに列挙しましたが、自由な発想でプレイングをかけていただいて構いません(無論、公序良俗に反する作戦は却下します)。

 第二章は猟書家『ブラザー・アポストロス』との直接対決です。
 ここでも破戒僧と協力することで、戦況を優位に進められる可能性があります。

 それでは、皆様の軍師顔負けの謀略プレイングを、お待ちしております!
213




第1章 集団戦 『狸兵団』

POW   :    狂乱野鉄砲
【仲間がやられた恐怖心】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【弓矢や火縄銃の集中砲火】で攻撃する。
SPD   :    狸兵団突撃
予め【突撃陣形を組む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    パンダ混じりの狸囃子
戦闘力のない【子狸応援団(何故かパンダがいる…)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【戦場に響く賑やかな太鼓の音】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霧島屋・もなか
共闘、負傷描写可能

大好きなお洋服を着て可愛くお洒落して美味しい物食べる…他者に迷惑かけん程度に好きに人生を謳歌することの何が悪いんや!!と激おこしつつ、
しかも狸…!狸は狐と並ぶ化け術を使うカワウソのライバルやわ!と
カワウソがいかに狸どもより
可愛いくて化け術に秀でてるかを思い知らせる為にUCを使う決意をする

破戒僧達の筋肉の壁のような追い込みと
甘物の罠で狸軍団を逃げ場のないとこへ誘き寄せ満腹で動けない時を狙ってUCを使う

目元はパンダの如く濃く
顔は白塗りで額に獺と書かれた化粧にオオカワウソみたいな凶暴な顔付きの某世紀末なパンクファッションガール姿に化け狸軍団を驚かせ武器のフォークで暴れ懲らしめる


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

ぽんぽこ悪いたぬきさんにはお仕置きだー!
まずは破戒僧さんに話を聞いて、宿場町にある水路や階段とか段差のある場所を教えてもらっておくね!

狸兵団を見つけたら背中の翅で「空中浮遊」して攻撃の届かないところから挑発するね♪
やーい!やーい!悔しかったらこっちまでおいでーと「おびき寄せ」ていくぞ☆
狸さん達が突撃してきたら上空に意識を向けさせたまま教えてもらっていた水路や階段に誘き寄せて転がり落していくね!
態勢が崩れたところを空中からの【妖精の一刺し】でどんどんやっつけてまわるぞー☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 駿河国由比宿を占拠した狸兵団は、ブラザー・アポストロスの説法による民衆の洗脳が完了するまでの間、向かってくる猟兵達を抹殺するべく意気込んでいた。
 鎧甲冑を身に纏い、刀や槍、弓に火縄銃で武装したタヌキたちが殺気を漲らせている。
 ただし、憑装されているのは侵略渡来人のコルテスなので、タヌキたちは何処か傲慢で気怠げであった。
「猟兵達が此処へ向かってきているそうだ。だが、私達がこれ程の数に増えたのだ。猟兵などに負けるはずがない」
「ああ、そうだ。常識的に考えて、私達の実力は猟兵以上だ。エンパイア人が下等生物なら、猟兵は虫ケラだ」
「むしろ勝つ以外の考えが思い浮かばない。気が付けばこんな獣の姿になっていたが、私達の勝利は揺るがない。何も問題はないな」
「それに猟兵が愚直に此処へ向かってくるというなら都合がいい。見つけ次第、大挙して突撃、そのまま皆殺しにしてやろう」
 姿は可愛気のあるタヌキだが、中身はダウナー系自称最強おじさんのままである。
 しかし、発言は全て死亡フラグばかりだ。
 そんな狸兵団の前に、霧島屋・もなか(ゆめかわ❤️かわうそちゃん・f27972)とティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)、そして此の異変をいち早く察知した破戒僧の男がやってきた。
「出たな、狸め! 大好きなお洋服を着て、可愛くお洒落して、美味しい物食べる……他者に迷惑かけん程度に好きに人生を謳歌することの何が悪いんや!!」
 もなかはスイーツモチーフのゆめかわなフリフリ甘ロリィタドレス姿でダシダシと地団駄を踏んでいる。
 相当、今回の事件の内容に怒り心頭に発するようだ。
「しかも敵は狸……! 狸は狐と並ぶ化け術を使うカワウソのライバルやわ! えか? カワウソがいかに狸どもより、可愛いくて化け術に秀でてるかを思い知らせたるわ!」
 ふんすふんすっと鼻息を荒くして、つぶらなカワウソの瞳で狸たちを威圧するもなか。
 一方、ティエルはイタズラっ子めいた含みのある笑みを浮かべながら宣戦布告しる。
「ぽんぽこ悪いたぬきさんにはお仕置きだー! いっくよーっ!」
 ティエルは空中をばびゅーんっと駆け抜け、狸兵団の頭上に浮遊してみせた。
「やーい! やーい! 悔しかったらこっちまでおいでー!」
 この挑発に狸兵団の中のコルテスが激昂した。
「この私を愚弄するか」
「この非礼、お前の生命で侘びてもらうぞ」
「だが空を飛ぶ相手にどう戦えば良いんだ?」
「知るか。とにかく追いかけるぞ」
 タヌキたちはティエルを捕まえようとぴょんぴょん飛び跳ねながら、彼女を追いかけ始めた。
 ティエルは振り返ると、もなかと破戒僧にウィンクしてみせる。
 連携の合図だ。
 もなかは破戒僧と示し合わせ、トラップの設置に向かってゆく。

 ティエルは事前に示し合わせていた宿場の合流地点へと、ゆっくり浮かびながら狸兵団を誘い出してゆく。
「へへーん! せっかくの突撃陣形も、ボクに届かなかったら意味ないよねー?」
 べろべろばーっと舌を出すティエルに、狸兵団達はいよいよ冷静さを欠いてゆく。
「何処までも馬鹿にするか、この虫ケラが!」
「猟兵は虫ケラの分際で私を虚仮にする気か!」
「空を飛ぶとは卑怯な事を!」
 槍と刀をぶんぶんと頭上へ向けて振り回すタヌキ達。
 兵団には火縄銃があるのに、あまりの怒りで使うことすら忘れているのは間抜けである。
 しかも、所々に何故か落ちているお菓子を拾い食いするなど、戦闘に身が入っていない。
 一方、ティエルは上空から宿場の全容を一望して俯瞰できる。
 狸兵団がティエルへ突っ込んでくる間に、先回りしたもなかと破戒僧が、脇道への路地を封鎖し、一方通行を作り上げていた。
 作戦開始前、破戒僧から由比宿の町並みの詳細を聞き出していたもなかとティエルは、連携して狸兵団を追い詰めるべく共闘する。
 あとは敵を罠のある場所へ誘い込むだけ。
 時は来たれり。
 合図を送るべく、ティエルが上空で叫んだ。
「破戒僧さーん! お願いだよー!」
「あい判った!」
 狸兵団の背後から、上半身裸でひょっとこお面を被った破戒僧が、筋肉ムキムキのポージングをしながら雄叫びを上げる!
「にゃんぽろずりちょろげー!」
 破戒僧は意味不明の奇声を叫びながら、狸兵団の背後から猛然と走り込んでくるではないか!
 本人は羞恥心との戦いだ!
 だが、これに狸兵団は恐怖に慄く!
「なんだあれは?」
「わからんが、常軌を逸している!」
「捕まったらまずいのではないか? 今の私達はタヌキだ」
「そうか、あいつ、私達を鍋にして喰らうつもりだ!」
「「つまり逃げないと喰われる!?」」
 狸兵団は突撃陣形を保ったまま、猛然と真っ直ぐ駆け出してゆく!
 ここでティエルは更に煽ってゆく。
「あっれー? もしかしてビビってるー? やーい、ビビリ狸ー!」
「あああ! うるさいぞ、この羽虫がぁぁぁぁ!」
 狸兵団が上空に視線と注意を向けた、まさにその時だった。
 不意に、狸兵団の足元がスカツと下に抜けた。
「ん?」
 タヌキたちは疑問に思うと同時に自由落下を開始。
 そのまま階段を踏み外してゴロゴロゴロゴローっと転がってしまう。
 タヌキは丸っこいからよく転がってゆく!
 更に、その先には、海へ続く深くて広い水路が待ち受けている!
「ば、馬鹿な! こんなはずではっ!」
 転がるタヌキたちは次々と水路へ突っ込んでゆき、着込んだ鎧甲冑が邪魔して総じて溺死してしまう。
 それでも、兵団の一部は水路の手前で踏み止まり、素早く突撃陣形を再編成しようとする。
 そうはさせまいと、満を持してもなかが全速力で駆け寄ってきた!
「サツガイや! 狸はサツガイするんや!」
 ユーベルコード『どろろん⭐︎カワウソ娘三変化おめかし』で、驚かせ力を増加させたもなか。
 目元はパンダの如く黒く濃く、顔は白塗りで額に【獺】の文字、更にオオカワウソみたいな凶暴な顔付きの悪魔的メイクで、衣装も黒レザーでスパイクてんこ盛りな、某世紀末で悪魔っぽいパンクファッションガール姿に大変身!
「カワウソの化け術は世界一なんよ? 狸なんぞに負けるわけにはいかないんやわ!」
 手に持っていたフォークで狸をちくちく突き刺してくる様子は、狸兵団を更なる恐怖へ追い込んでゆく。
「た、助けてくれ!」
「こういう時はどう戦えばいいんだ!?」
「知るか! とにかく逃……」
 踵を返した狸兵団の頭上から、鋭い風のような一撃が突っ込んでくる!
 逃げようとしたタヌキの首元を切り裂き、そのまま即死!
 一瞬の出来事に、他のタヌキ達は浮足立って右往左往!
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
 ティエルが上空から防御を顧みない捨て身かつ全速力での体当たりで、タヌキ達にレイピアを突き刺して撃破してゆく。
 遂に狸兵団は散り散りになって逃げようとするも、急に睡魔に襲われて足取りが重くなってゆく。
「拾い食いなんて、行儀悪いんよ?」
 不気味に笑うもなか。
 お菓子は彼女が用意したもので、その中には睡眠薬が入ってたのだ。
 まんまと策にハマった狸達は、もはや逃げることすら困難だ。
「そんじゃ、覚悟しとくれんさい!」
 もなかも仕上げに、お菓子モチーフに可愛くデコったピンク色のゆめかわ甘々デコレーション軽機関銃の弾をバラ撒き、タヌキ達を残さず射殺してゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シホ・イオア
おー、いい感じに混乱してるみたいだね。
でも漏れてるやつがいるかもしれないし
上空から俯瞰して敵を探そうか。

えーと、なんか応援団が出てきたけど……?
応援でパワーアップするの?
つまり応援団から先に倒せってこと?
そんな、酷い…
あ、応援させなければいいのか。
ガトリングブーツとUCで弾幕を張って面制圧!
誘導弾と念動で太鼓をつぶしていこう。
腹太鼓だったら残念なことに!?
無力化したら破戒僧ちゃんにお任せしても大丈夫かな。

狸から文句が出そうだけど、
ちゃんと守れなかった方が悪いと思うの。
さあ、ここからはお仕置きの時間。
武器も全部使って大立ち回り!
残像を纏ったシホを捉えられるかな?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何やら妙な事態ですねぇ。

まずは破戒僧の方に、先程の『広い水路』の近くで『橋の有る開けた場所』を教えていただきましょう。
そして『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FCS』を使用して『FRS』『FSS』の弾頭を炸裂弾に変更し準備完了ですぅ。

【崇卓】を使用、一帯に『蜃気楼』を発生させ『橋と私の位置』を『橋の先に私が居る』と誤認させますねぇ。
同時に本来の『橋と私の位置』を隠せば、狸さん達は『蜃気楼の橋の先』目掛け射撃と突進を行うでしょう。
そのまま『蜃気楼の橋』から転落すればよし、止まった相手は姿を隠したまま炸裂弾の[爆撃]で突き落としますぅ。

場合によっては、捌いて狸鍋の準備をしても?



 びいどろのような青い髪を風になびかせ、小さなフェアリーの聖者がサムライエンパイアの宿場町を飛ぶ。
「おー、いい感じに混乱してるみたいだね」
 シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)は由比宿を屋根より高く飛んで俯瞰しながら、浮足立つ狸兵団を物見していた。
「でも漏れてるやつがいるかもしれないし、このまま上空から俯瞰して敵を探そうか」
 蝶のような妖精の羽を羽ばたかせ、シホは宿場町を上空から索敵してゆく。
 すると、この事件を察知した破戒僧を発見。
 豊満な体型を和風メイド服で包んだ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)と共に、迷いなく何処かを目指して移動中のようだ。
「るこる殿、此方で御座います。お急ぎを!」
「えっとぉ、ちょっと待ってくださいねぇ?」
 夢ヶ枝は走ると色々と“揺れて”しまうため、どうしても自身の足での移動は速度が出にくい。
 故に、彼女は自身の武装であるFBS(フローティングブレイドシステム)……ビームの刃を持つ、浮遊する12枚の戦輪を四肢に嵌め、その揚力で空中を飛び始めた。
「お待たせしましたぁ。これで早く移動できますぅ」
「おお、これはなんとも摩訶不思議な戦輪でございましょうか! ささ、目的の場所は此方ですぞ!」
 驚く破戒僧が道案内をしようと前へ進んだ先に、シホが空中で留まって浮いていた。
「破戒僧ちゃんとお仲間発見! どこ行くのかな? シホも一緒に行っていい?」
「これはこれは愛らしき猟兵様ですな! ご同行していただけるなら誠に心強いですぞ!」
「今から、近くの広い水路に掛かる橋の近くの開けた場所を目指しているのですよぉ? 此処は一緒に狸を駆除しましょう」
 夢ヶ枝と破戒僧は快くシホを迎い入れ、急造だが共闘チームを結成することとなった。

 橋に近付くと、上空のシホが狸兵団を目視で確認した。
「溺れたタヌキを別の狸兵団が救助して陸に上げてる! やっぱり討ち漏らしてたんだ!」
 シホの読みは的中していた。
 現在、狸兵団は橋の上で戦力を再編中の模様だ。
「何やら妙な事態ですねぇ」
 夢ヶ枝は眉尻を下げ、海苔問屋の屋根の上と同じ高さに浮かび上がりながら狸兵団を眺める。
「シホさん、仕掛けるなら今、ですねぇ」
「そうだね。完全に再集結されるされる前に叩いちゃおう!」
 夢ヶ枝とシホは首肯しあうと、各々が行動を開始した。
「まずは私が。戦場一帯に『蜃気楼』を発生させ『橋と私の位置』を『橋の先に私が居る』と誤認させますねぇ」
 そう宣言した夢ヶ枝は豊乳女神の加護・崇卓(カツゴウノクギダイ)を発現させる。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに。蜃気楼よ、この宿場町を覆い尽せ」
 たちまち由比宿全体が白いモヤが掛かってゆく。
 モヤが含有する水分によって、天から降り注ぐ太陽光が屈折し、タヌキたちの視界に移るものが虚像となって歪み始めた。
「おかしい、急に天候が悪くなったぞ」
「本当だ。空は晴れているくせに……って、橋が急に伸びた気がしないか?」
「橋が伸びたんじゃない、見ろ。建物が巨大化してゆく!」
「どういうことだ! 猟兵達の妖術なのかっ?」
「あ、あそこに猟兵がいるぞ!」
「いつの間に橋まで来てたんだ!?」
 中身がコルテスのタヌキたちは、突然の蜃気楼に右往左往。
 そこへ、シホのマジカルガトリングブーツとユーベルコード『ハート・ロンド』による、鉛と愛の炎の弾幕がタヌキたちの頭上から降り注いだ。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!」
 宝石剣エリクシアから生み出された触媒のルビーから、ハートマーク入りの火球がごうごうと撃ち出されてゆく。
 蜃気楼の効果もあって、距離感がデタラメになった状態での面制圧は、シホの想像以上に狸兵団たちの被害を生み出した。
 タヌキたちは炎で焼かれ、身体を撃ち抜かれ、まさに阿鼻叫喚の様相だ。
「上空に猟兵がいるぞ! 仲間が殺された!」
「タヌキのまま死んで堪るか!」
「矢を番えろ! 銃を構え! そして私達を鼓舞しろ!」
 タヌキたちは上空を見上げながら反撃を試みる。
 シホと夢ヶ枝へ鏃と銃口を向ける狸兵団に混じって、太鼓を持った子狸応援団が出現した。
 これにシホは目を疑った。
「えーと、なんか応援団が出てきたけど……? しかもパンダがいるね? というか、応援でパワーアップするの? つまり応援団から先に倒せってこと? そんな、酷い……」
 勝つためとはいえ、非戦闘員を撃たなければならないという現実に、シホの心が痛む。
 だが、夢ヶ枝はじゅるり、と舌なめずりをしているではないか。
「狸鍋……いいですねぇ、斃したら数匹は捌いて、狸鍋にして食べましょうかぁ?」
 夢ヶ枝の目は真剣だった。
 これを見たシホは目からウロコ、青天の霹靂を身に受けたような衝撃を受けた。
「そうか! タヌキって食べられるんだね? だったら多少は罪悪感が薄らぐ!」
 シホは応援団の頭上へ飛んでゆくとマジカルガトリングブーツで太鼓を破壊してゆく!
「そもそも、応援させなければいいんだよね?」
「なんて酷い事をするんだ。私達は非戦闘員だぞ!」
 抗議の声をシホにぶつけるパンダ。
 だが、シホはやれやれと肩を竦めてしまう。
「狸から文句が出そうだけど、
「あのね? ちゃんと楽器を守れなかった方が悪いと思うの」
「腹太鼓だったら死んでたぞ!? パンダで良かった!!」
 ガタガタと震えるパンダと応援団の仲間のタヌキたち。
 だがそこへ、モヤの中から忍び寄る破戒僧が!
「そっちはよろしくね? 破戒僧ちゃん?」
「承知! イヤーッ!」
 シホの言葉に破戒僧はカラテシャウトで答えれば、応援団はたちまち殴り飛ばされて水路の中へ沈んでいった。
「そろそろ吹き飛ばしましょうかぁ?」
 武装を換装し、FRS(フローティングレイシステム)並びにFSS(フローティングシールドシステム)の各弾頭を炸裂弾に変更。
 それらを一気に狸兵団へ向かって一斉射!
 橋の上で轟音とともにタヌキたちが爆裂四散して水路に血肉を撒き散らしてしまう。
「だ、駄目だ! 逃げろ!」
「撤退! 撤退! 撤退!」
 部隊の損耗が激しいと判断したタヌキたちは、すかさず退却を開始。
 弓と鉄砲を構えていようが、猟兵達の戦術に恐れをなして攻撃を取りやめてしまうほど混乱に拍車がかかっている!
 だが、狸兵団の行く先にシホが全速力で先回り!
「残像を纏ったシホを捉えられるかな?」
 逃げるタヌキたちの周囲に、数多のシホの残像が浮かび上がる。
 まるで分身の術を使っているかのようで、タヌキたちはどれが本物なのかが全く見当も付いていない!
「何なんだ、この妖術は!」
「た、助けてくれ!」
「こんな敵をどうやって倒せっていうんだ!」
 タヌキたちにとって想定外の状況が続く狸兵団は、シホの上空からの銃撃と愛の火炎弾、または夢ヶ枝の空中砲台の炸裂弾の餌食になってゆく命運から逃れられない!
「ではでは、狸鍋の準備も始めますねぇ?」
 更に夢ヶ枝が道の往来のど真ん中で、斃したタヌキたちを捌いて調理を始めれば、タヌキたちは恐怖のあまりに命からがらその場から逃げてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月
詩乃さん(f17458)と

狸。

俺はエンパイアウォーは知らないんだけど…その時の幹部が狸になってるのか。

でも、例え昔の戦争の幹部でも……結局狸だろう?
狸は速やかに倒すに限る。
調子に乗ると大変だからな。

狸の周囲にUC【狐火】を高速回転させて、1箇所に追い込みたい。
追い込む時は、詩乃さんの狼と一緒に、お坊さんから聞いた、拓けた場所に追い込みたい。
大きな焚き火をするなら広い場所がいいからな。

追い込んだら、狐火で一斉攻撃したい。
火力は全開。
詩乃さんの包囲があるから安心だ。

敵の楽器の音は、風の精霊様に頼んで狸がいる一帯の音波をカットしてもらいたい。
音が聞こえなければ、強化出来ないだろうから。


大町・詩乃
都月さん(f21384)と

(狸兵団に)愛嬌のある顔立ちですが、人々の命が危ういので、情けは掛けませんよ!
お坊さんにお願いして、街の作り、特に拓けた場所と、その周囲について教えて貰います。

狸の天敵は狼。
なのでUC:産巣により無機物を大型の狼に次々と変化させ、狸兵団を包囲する様に攻撃を重ね、拓けた場所に追い込みます。
多少、反撃を受けたとしても、無機物から無尽蔵に狼を作り出していきます。
追い込んだら都月さんの狐火で一網打尽です!

念の為、相手に逃げられない様、都月さんの行動と併せ、天候操作で雷雲を頭上に呼んで、雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・貫通攻撃・範囲攻撃で巨大な落雷を落として攻撃しますね。



 逃げ惑う狸兵団。
 その後ろから真顔で追い立てるのは木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
「狸。やっぱり狸だ」
 木常野は猛ダッシュしながら狸兵団を追い回している。
「俺はエンパイアウォーは知らないんだけど……その時の幹部が狸になってるのか」
 木常野の身体の周りには、94個の狐火がグルグルと高速周回していた。
 これのおかげで、タヌキたちは近付くことがままならず、さっきから逃げるしか手がなかった。
「あんな燃えてる狐をどうやって倒せと!?」
「知るか! 槍で突いてみたらどうだ?」
「それやった奴が黒焦げになったのを忘れたか?」
「やばい、まだ追ってくるぞ!」
「というか、なんであいつ、真顔で追ってくるんだ!?」
 タヌキたちは、炎と木常野の異様な圧を恐れ、どんどん宿場町の奥の方へ向かってゆく。
 木常野は瞬きすら忘れて狸兵団を凝視している。
「でも、例え昔の戦争の幹部でも……結局狸だろう? 狸は速やかに倒すに限る。調子に乗ると大変だからな。狐のライバルに慈悲はない」
 今の木常野は、狸絶対許さんキツネマンだ。
 野生の狐として暮らしていた頃に何か狸に恨みがあったのだろうか、とんでもない凄みで狸を凝視しつつ、表情筋ひとつ動かさずに全速力で追ってくる。
 コワイ!
 何故か、月の妖精チィも主に感化されて狸兵団を追いかけていた。
「チィ。いいことを教えるぞ。狸は喰えるんだ。でも狐は食えない。だから狐は狩猟者で、狸は餌だ。つまり狐のほうが狸よりすごいんだ」
「チィ!」
「そうか、チィも狸を食べたいか。そういえば、さっきからいい匂いが街の中で漂ってるな。狸鍋でも作ってるだとしたら、倒した狸を持っていってみるか」
「チィ!」
 同意するチィ。
 木常野の思考が野生に戻り、目の前の狸を狩らんと更に勢いを増す。
「鍋もいいけど、焚き火で丸焼きも美味そうだ」
 ギラリ、と鈍く光る木常野の眼差しに、狸兵団は全身の毛が逆立ってしまう。
「お、おい! あの狐、私達を食べる気だぞ!」
「またか! さっきも仲間が鍋になってたが?」
「ふざけるな! 猟兵達の主食は狸なのか!?」
 もはや狸兵団は猟兵たちにとって食材に成り下がってしまった。
 こうなってしまっては、パワーバランスが一気に崩れる。
「ようやく己の立場を理解出来たようですね?」
 そこへ、待ち構えていた大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)が、脇道から大型の狼の群れを周囲の壁や地面といった無機質から生み出す!
「さあ、獲物は獲物らしく振る舞って下さいね?」
「ぎゃあぁぁーっ!」
 狸の天敵である狼が相手では、狸兵団はたちまち総崩れ!
「愛嬌のある顔立ちですが、人々の命が危ういので、情けは掛けませんよ!」
 大町自身も不死の怪物の骨で作った龍笛『響月』を吹いて、狼の群れを操ってゆく。
 甲高い音色が宿場町に響くたび、狼の群れは大町の手足のように自在に駆け巡り、狸兵団を包囲・誘導していった。
 そして、遂に由比宿の中心である開けた大通りに辿り着いた。
「ここがあなた達の調理場です!」
 四方の道は狼の群れが塞ぎ、タヌキたちは道の真ん中で立ち往生してしまう。
 大町はちゃっかりご近所から鍋と調味料を借りて狸汁の用意万端だ!
 だがタヌキたちにも意地がある。
 やぶれかぶれで呼び出したのは、パンダ混じりの応援団!
「太鼓を鳴らせ! 私達を奮い立たせろ!」
「そうだ、私が負けるなどありえない!」
「近付いたら槍で刺す! 刀で斬る!」
「喰われて堪るか!」
 ドンドコドンドコと景気のいい太鼓のリズムが響くと、狼狽していた狸兵団に活力が戻ってきた。
「「さあ、かかってこい!」」
 狸兵団の挑発!
 だが、木常野は風の精霊に音の振動を弱めてもらうように働きかける。
 すると、太鼓の音が徐々に小さくなってゆく!
「音が聞こえなければ、強化出来ないだろう?」
「だ、だったら! 力いっぱい叩けばいいだけだ!」
 狸兵団はパンダに目一杯太鼓を叩くように命令する。
 だが、その太鼓の音を掻き消す大轟音とともに、天から突然、稲光か降り注いだ!
「これぞ青天の霹靂です!」
 投げ放った霊符を媒介に、神の権能をもって天候を操作。
 大町は狸兵団へ稲妻を落とし、敵を感電させてしまた!
 太鼓の音が掻き消された瞬間、大町が操る狼の群れが狸兵団へじわじわと包囲網を狭める。
 そして、木常野が最後の一撃をかましてみせた。
「まとめて燃えてしまえ。火力は全開だ」
 大量の狐火で狸兵団を焼き焦がし、巨大な焚き火を生み出してゆく。
 炎から逃げたタヌキは、狼の群れが捕食して逃さない。
 チィもタヌキの足に噛み付いて転ばして、木常野がナイフで仕留めるなどの連携を見せた。
「今回もありがとうございます、詩乃さん。詩乃さんの包囲があるから安心して狸を焼いて捌ける」
「此方こそ、都月さんの狐火で一網打尽してもらえて助かりました!」
 パチパチと爆ぜる火柱の前で、木常野と大町の名コンビが拳をぶつけ合ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
死ぬのが尊い目的?
そこに辿り着いていいのは即身仏目指す程この世を悟った気の坊さんだけでしょ…なあ?
即身仏な坊主より宿場の様子を憂いたあんたの方がよほど偉いと思うけどね(破戒僧にちょい相談があるんだ、と
地形との風向き教えてくんない?

敵風下に移動【忍び足/地形の利用】し破戒僧と身を隠す
オレが陽動するから狸の背後を突いてくれるかい?危険だと思ったら奴らの視覚からパッと姿消して逃げて(建物や井戸に隠れるとか
オレは屋根伝いに移動し風上でUCで鳥を呼ぶ
鳥達にオレや僧の声真似させ攻撃のフリで正面から突っ込ませる
敵が鳥と対面したら連中の脇や背後を取りクナイで刺し斬り付ける【だまし討ち/串刺し/暗殺】

アドリブ可


稷沈・リプス
アドリブ歓迎っすよ。
自称人間な男。

「これは太陽神より借り受けた権能の一。ライオン来るっすよ!」
ここ、下り坂の先が水路な場所ってあるっすかね?
あるなら、そこへ誘導して…。
どうやって誘導し…。
ライオン「リプスさまー。あれ、『餌』ですよねー?」
…ライオンは肉食獣っすね、そういえば。
うん、餌っす(いい笑顔)
ライオン「がおー。食べちゃうぞー(本気)」

はは、逃げろ逃げろーっす。
勢い着いた鎧つき狸は急には止まれないっすねー(けらけら)
ライオンや、その背に乗る俺は跳躍して対岸着地できるっすけど!



 猟兵達の知略と食欲によって、狸兵団は壊滅一歩手前の状態だ。
 そこへトドメを刺すべく、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)がこっそり漆喰の壁の影から敵を覗き見る。
「死ぬのが尊い目的? そこに辿り着いていいのは、即身仏目指す程に此世を悟った気の坊さんだけでしょ……なあ?」
 鹿村は同行している破戒僧の顔を見遣る。
 同意を求められらた破戒僧は、眉間にしわを寄せて苦笑いを浮かべる。
「左様でございますが、拙僧は生憎、戒律を破ってまでこの身を鍛えながら全国行脚する破戒僧ゆえ、悟りなどとは無縁にてございます」
 この言葉を謙遜と受け取ったのは、鹿村達の後ろでライオンと戯れている稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)だ。
「またまたー、謙遜が過ぎると嫌味になるっすよ?」
「い、いえ、拙僧は生きるために野の獣を殺して食べますし、念仏などここ数年一言も唱えておりませんので……」
 謙遜ではなく、彼は本当に仏の道から遠ざかっており、破戒僧自身もそれを何処か後ろめたく思っているのだろう、その声に覇気が宿っていなかった。
 稷沈は自称人間の神である。
 そんな神から見て、破戒僧はどう目に写ったかと思うと……?
「ふーん、でも戒律ばかりが悟りの道じゃないっすからね? 破戒僧さんの信心が尽きない限り、また違った形で悟りが開けるかもしれないっすよ!」
 この言葉に、破戒僧はハッと息を呑み、胸元に手を当てて俯いた。
「なんだか、胸のつかえが取れた気がします。ありがとうございます」
「ところで、ここ、下り坂の先が水路な場所ってあるっすかね? あるなら、そこへ誘導したいんすけど、どうすればいっすか?」
 稷沈の質問に破戒僧が答えた。
「それでしたら、ここを少し戻った先の横道を左に抜け、織物問屋の前を突っ切った先でございます」
「……らしいっすよ、お前さん?」
 寝転がったライオンの腹を撫でる稷沈が鹿村の顔を見遣る。
「んじゃ、そこへ追い込んでゆくか。ああ、オレもちょい相談があるんだ、この由比宿の地形との風向き、教えてくんない?」
「そうですな、此処は今の時期、海からの湿った弱い南風が流れ込んできますが」
 破戒僧の回答に鹿村は無言で首肯した。
 鹿村は風上を意識しながら塀の上に飛び移ると、鹿村は破戒僧へ頼んだ。
「オレが陽動するから狸の背後を突いてくれるかい? 危険だと思ったら奴らの視覚からパッと姿消して逃げて」
「あい解った」
 この返答を受け、鹿村は屋根伝いに敵の風上へ移動し始めた。
 話を聞いていた稷沈は、どう動くかしばし思案する
「んじゃ、俺はテキトーにライオンをけしかけるっすよ」
「出番ですか、リプスさまー。ところであれ、『餌』ですよねー?」
 ユーベルコード『ライオンライド』で呼び出したライオンは、じっと狸兵団を見詰める。
 稷沈は狸兵団を凝視して考える。
(……ライオンは肉食獣っすね、そういえば。そして狸は喰えるって聞いたことあるっす)
 神は満面の笑顔でライオンへ告げた。
「うん、餌っす!」
 いい笑顔だった。
 それを聞いたライオン口元からよだれをダラダラ垂れ流す。
 稷沈はライオンに騎乗すると、漆喰の壁の影から勢いよく飛び出した!
「がおー。食べちゃうぞー!」
 主である稷沈にはそんな可愛らしい発現に変換されるが、狸兵団にはよだれを撒き散らすライオンの獰猛な咆哮でしかない。
「なんで此処にライオンが!?」
「怯むな! 突撃陣形を組め!」
「無理だ! 喰われるぞ!」
 狸兵団は敵に背を向けて逃げ出した!
 それを追う稷沈とライオン!
「これは太陽神より借り受けた権能の一(いち)。腹を空かせたライオンっすよ!」
「いただきまーす!」
 ガオウッとひと吠えするたびに、狸兵団の全身の毛がみるみるうちに恐怖で逆立つ!
 生き残るために散り散りになって逃げようとするが、細い路地から鹿村の声が聞こえてくるではないか。
『近寄ってきたらブスリと苦無を刺してやる……!』
「ヒィ……! こっちは駄目だ!」
「あっちにも猟兵が待ち伏せしてる!」
「くそ、この道を進むぞ!」
 狸兵団は残された細い路地をやむなく突き進んでいった。
 鹿村は屋根伝いにその動向を見守る。
「よしよし、上手くいってるな?」
 鹿村の声は、ユーベルコード『鳥寄せ“沙謡鳥”(サヨドリ)』で召喚した88匹の音真似の巧みな鳥たちの仕業だ。
 召喚した鳥たちを先回りさせ、恐怖心を煽るような言葉を囁いてもらうことで、狸兵団の逃げ道を誘導しているのだ。
「さてさて、仕上げに取り掛かろうか。そっちも準備できてるか?」
 鹿村は蔵の屋根上からライオンを乗りこなす稷沈へ手を振る。
 稷沈もそれに応えて手を掲げた。
 破戒僧も織物問屋の物陰に潜む。
 そしていよいよ、狸兵団壊滅作戦が決行される。
「鳥たち、真正面から突っ込んでくれ」
 鹿村の指示通り、鳥たちは狸兵団の上空真正面から急降下する!
「今度は鳥だと?」
「数が多すぎる!」
「太鼓で追い払え!」
 もうパンダしかいなくなってしまった応援団だが、必死に太鼓の音で取りを追っ払おうとドンドン鳴らす。
 だが、それは自分たちの居場所を教えてしまっているようなものだ。
「ライオン、いくっすよー」
「たべちゃうぞー!」
 立ち往生している狸兵団の背後にライオンが飛びかかれば、タヌキたちを前足で押し倒し、その喉を鋭い前歯で噛み千切る!
 そこへ、織物問屋の陰から破戒僧が飛び出す。
「灰燼拳! イヤーッ!」
 超至近距離からの超強力な一撃がタヌキを殴り飛ばした!
「うわああっ! 助けてくれー!」
 タヌキたちは織物問屋の先の下り道を猛然と駆け下りてゆく。
 だが、その短い足では下り坂でも連れてしまい、そのまま坂下の水路へ転がり落ちてしまう!
「また水路かー!!」
「泳げないんだー!」
「鎧が重くて沈……!」
 大部分が水路にハマって溺死する中、なんとか踏み止まったタヌキの背後へ、鹿村の苦無が忍び寄る。
 後ろからタヌキの首を片腕で固定して締め上げる鹿村!
「悪りーな。せめて苦しまずに逝かせてやるよ」
 そう告げると、苦無の刃を喉元から心臓へ向けて深々と突き刺した。
 そこから一気に苦無を引き抜けば、噴き出す鮮血が風にのって霧状に舞う。
 猟兵達は残るタヌキたちも各個撃破してゆけば、狸兵団を全滅させることに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ブラザー・アポストロス』

POW   :    悔悟せよ、汝罪深き者
対象への質問と共に、【自身の侵略蔵書】から【野心の獣】を召喚する。満足な答えを得るまで、野心の獣は対象を【引き裂く爪と牙】で攻撃する。
SPD   :    報いを受けよ、愚かなる者
【侵略蔵書の表紙】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、侵略蔵書の表紙から何度でも発動できる。
WIZ   :    来たれ我らが同胞よ
【火縄銃】で武装した【聖戦士】の幽霊をレベル×5体乗せた【ガレオン船】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠枢囹院・帷です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「これは……どういうことでしょうか?」
 猟書家『ブラザー・アポストロス』は愕然としていた。
 由比宿に漂う出汁の香り。
 食を断てと教えているのに、まだ誰か料理を作っているのかと憤慨して見に行ってみれば、そこは猟兵達による狸料理の大宴会が開かれていたのだ。
 狸鍋には由比宿特産の桜海老もふんだんに使われ、狸の野性味ある旨味と桜海老の出汁が、肌寒い海風から体を温めてくれる。
 狸の焼肉は、豪快に毛皮と内蔵を処理した狸を焚火で丸焼きにした一品だ。臭みを取るために水で肉を洗い、味噌を塗った上で直火焼きにすれば、獣臭さが緩和されて食べやすくなる。
 更に香りを楽しむなら燻製もオススメだ。だが、此処では塩水に浸けて臭みを抜く作業があるため、すぐに取りかかれないのが残念だ。
「狸は煮ても焼いても食えないというのですが、平然と食べてる猟兵は、なんて恐ろしいのでしょうか!」
 猟書家は逃げ出した!
「ここでは失敗しましたが、別の商業地で布教をすれば……!」
 しかし、走破させないと猟兵達は骨付き肉をしゃぶりながら、猟書家を追走!
 猟書家は海岸を目指しているようだが、その前に此方が攻撃を仕掛けることができそうだ。
 猟兵達よ、ブラザー・アポストロスを逃すな! 討ち倒せ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
(肉を食べつつ)
逃がすわけには参りません、急いで追いましょう。

逃走方向は見えてますので、破戒僧さんに『その先の地形』を尋ねますぅ。
「広範囲攻撃を行っても被害の少ない地形」が有ると良いのですが。
そして『FRS』『FSS』の弾頭を『FCS』で炸裂弾に変更し展開、【白翼衣】を使用して飛行し空から追いますねぇ。

発見しましたら『先述の地形』が有れば其方の地形で、無ければ即座に前方を塞ぐ様に回り込んで[爆撃]&[範囲攻撃]、『急降下爆撃』を仕掛けますぅ。
『獣の召喚』も『問う時間』を与えず、また『獣が追いつけない速度&高度』で動けば対処可能ですねぇ。
逃げ道を塞ぎ、確実に叩きましょう。


大町・詩乃
都月さん(f21384)と

「ごちそうさまでした♪」と狸料理を堪能して手を合わせた所で、逃げていくアポストロスが視界に入り、「神を持ち出して人々を誑かした極悪人ですね、逃がしませんよ!」とUC:神力発現の飛行能力で追跡。

結界術で防御結界を都月さんと自分に施して火縄銃の弾を防ぎ、除霊・破魔・浄化の力を籠めた光の属性攻撃・範囲攻撃で幽霊達を強制的に成仏させます。

アポストロスに対しては、都月さんの攻撃と連携して、雷の属性攻撃・神罰の力を籠めた煌月によるなぎ払い・貫通攻撃で侵略蔵書を断ち斬りつつ、アポストロス本体も斬ります。
「苦楽共にあってこその人の生です。楽しみを否定する神の教えなど私が認めません!」


木常野・都月
詩乃さん(f17458)と

あ。逃げた。

狸と桜海老をもっと食べたかった。
でも仕事は仕事だ。
冷める前に戻ってきて、もう少し食べたい。

狐の姿で追跡したい。
2本の足より4本足の方が早いからな!
詩乃さん、結界術ありがとうございます!
これで遠慮なく[ダッシュ]で追跡できる!

そのままUC【精霊疾走】を雷の精霊様と一緒に猟書家にドカーン!と体当たりしたい。
雷で痺れてくれたらラッキーだな。

UCの後は、人の姿に戻って迎撃したい。
詩乃さんに合わせて光の精霊様の[属性攻撃、範囲攻撃、全力魔法]で敵に攻撃したい。

何も悪い事してないのに、生まれるだけで悪い者扱いは、よくないと思うぞ。


シホ・イオア
狸鍋、おいしゅうございました。
あんな、つぶらな瞳をしてたのに。
これが……罪の味!!

船で逃げる気かな?
なら先に船を潰しちゃおう。
【たいやき】に乗って海中から船底をぶち破ってダイナミックエントリー!
UCで火をつけてもいいしガトリングで穴だらけにしてもいいよね。
暴れまくるぞー!
火縄銃が武器みたいだけど海中に逃げちゃえば大丈夫だよね?

連携アドリブ歓迎!


稷沈・リプス
アドリブ連携歓迎っす。
自称人間な神は、狸汁うまうましました。

ライオンは食後休憩中っす。
いやー、狸初めてっすけど、美味しいっすね!(爽やか笑顔)

さて、この好機。逃がしはしないっすよ。
船には舟を。というわけで、皆、太陽属性の一斉発射攻撃をあの猟書家とガレオン船に!
その教え、秩序大好きな元持ち主(故人というか故神)にも嫌われるっすよ。
俺もあの人(神)も、生きてる人間が好きっすからね。

汝、神の怒りに触れたと知れ。

※元持ち主『やってしまえ!』と応援するタイプ。
狸料理、ちゃっかり乗員分のも確保している。



 パチパチと火の粉が舞う。
 猟兵達が囲む焚火の真ん中には、ぐらぐらと煮え立つ狸鍋があった。
「いやー、狸初めてっすけど、美味しいっすね!」
 骨に付いた狸肉をしゃぶりながら、稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は爽やかな笑みを浮かべていた。その隣でお供のライオンが丸くなって寝ている。満腹で食休みをするほど狸肉を堪能したらしい。
「狸鍋、おいしゅうございました。あんな、つぶらな瞳をしてたのに。これが……罪の味!!」
 シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)も、フェアリーの小さなお腹に狸肉を詰め込み大満足の様子。
「ごちそうさまでした♪ なかなか野性味溢れたお鍋でしたね、都月さん?」
「美味しかったですね、詩乃さん。チィも気に入ったのか、よく食べてたな」
 両手を合わせて戴いた命に感謝する大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)と、相棒チィの背中を撫でる木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)のコンビも、狩った敵を腹の中へ収めてご満悦。
「はぁ……寒い季節に温かいお鍋は心身に染みるのですぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、桜海老がたっぷりはいった味噌仕立ての汁を飲み干し、焚火の熱に顔を火照らせていた。
 だが、その光景を猟書家『ブラザー・アポストロス』が目撃してしまう。
「これは……どういうことでしょうか?」
 戦下手とはいえ、攻撃力は最強のハズの魔軍将を宿した狸兵団が、あっさり倒されているどころか喰われている現実に、猟書家は愕然としていた。
「狸は煮ても焼いても食えないというのですが、平然と食べてる猟兵は、なんて恐ろしいのでしょうか!」
 自身の戦闘力では太刀打ちできないと判断した猟書家は、踵を返して海岸方面へ走り去ってゆくではないか。
「ここでは失敗しましたが、別の商業地で布教をすれば……!」
 遠ざかる猟書家の背中。
 その背に気付いたのは木常野であった。
「あ。逃げた」
 指差しす木常野。
 大町も猟書家の背中が視界に入った。
「神を持ち出して人々を誑かした極悪人ですね、逃がしませんよ!」
 秒速で臨戦態勢へ移行する大町、迷うことなくユーベルコードを発現させた。
「世の為、人の為、これより猟書家を祓い清め致します! 神力発現!」
 一瞬で戦巫女装束姿へ変身すると、内在神力が一気に解放され、大町の身体を空中へと浮遊させる。
「狸と桜海老をもっと食べたかった。でも仕事は仕事だ。冷める前に戻ってきて、もう少し食べたい」
 大町の臨戦態勢に、木常野は鍋の中身に未練を引きずりながらも姿を変えてゆく。
 あっという間に彼は人型から黒い狐の姿に変化してみせると、四つ脚でたたたっと駆け出していった。
 ユーベルコード『精霊疾走(トモニカケルモノ)』……木常野は精霊の力によって、一時的に巨大な黒狐の姿になれるのだ。
(四足走行のほうが疾いからなっ!)
 その頭上で大町は飛行し、そのまま猟書家の追跡を開始した。
「都月さん、念の為、これを!」
 大町は自身の神としての権能を発現。
 木常野と自分の体に防御結界を纏わせた。
「これで敵の攻撃を弾けるはずです!」
「こやぁんっ! こやぁーん!(詩乃さん、結界術ありがとうございます! これで遠慮なくダッシュで追跡できる!)」
 見えない鎧を纏った木常野は、俄然速度を上げて敵を追跡する。
「逃がすわけには参りません、急いで追いましょう」
 夢ヶ枝も名残惜しそう……というか、狸の骨付きモモ肉を掴んだまま追跡を開始。
「逃がすわけには参りません、急いで追いましょう。破戒僧さん、この先の道ってどうなってますか?」
 急に話を振られた破戒僧は、ズズズッと鍋の汁をすすると答えてくれた。
「この先は海岸まで一本道でございます。砂浜まで出るためには岩礁を抜けなければなりませんが……」
「ありがとうございますぅ。でしたら、広範囲攻撃を行っても被害の少ない地形といって、間違いありませんねぇ」
 頭の中で絵図を描いた夢ヶ枝もまた、ユーベルコード『豊乳女神の加護・白翼衣(ハクノハゴロモ)』を発動させて空を舞う。
「《大いなる豊饒の女神》の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に」
 狸鍋で摂取した余剰カロリーに比例した戦闘力向上とともに、全身を体型と美貌を引き立たせる乳白色のオーラで覆い尽くす。
 炸裂弾へと装備換装を済ませた武装を制御機器とリンクさせると、少し遅れて猟書家の背中目掛けて飛んでいった。
「さて、この好機。逃がしはしないっすよ。急いで海岸へ向かうっす!」
「あの猟書家、船で逃げる気かな? なら先に船を潰しちゃおう!」
 稷沈とシホも海岸へと急ぐ。
 だが、2人は何やら画策するために、猟書家ではなく真っ先に海へと向かっていった。

「止まりなさい、ブラザー・アポストロス! 逃しませんよ!」
 上空で大町は、自身の神力が籠るオリハルコンの刃を嵌めた薙刀『煌月』を横薙ぎに振るえば、剣圧は神通力で旋風となって猟書家の背を吹き飛ばす!
「うおおっ!?」
 猛烈な風に飛ばされ、岩場に身体を打ちつける猟書家。
 そこへ、バチバチと火花を散らしながら突撃してくる黒狐!
(これ、完全にボルテ……いや反動ダメージは受けないはずだよな?)
 木常野は帯電させながら、大量の雷の精霊をこれでもかと召喚しつつ猟書家の懐へ飛び込んでゆく。
(精霊の皆様、いっしょにどーんっ!しましょう!)
 岩場で起き上がろうとしていた猟書家の脇腹に、木常野と雷の精霊の群れが一斉に衝突!
「んぎいぃぃッ!?」
 猟書家は感電とタックルの衝撃で吹き飛ばされ、岩場をゴロゴロと転がってゆく!
「残念ですが、浜辺には向かわせませないのですぅ」
 12枚の光輪型の武装『FBS(フローティングブレイドシステム)』を射出して退路を塞ぐように敵を牽制する夢ヶ枝。更に装備換装を済ませた両腕の固定砲台2門と空中浮遊する砲台16門、そして周囲に浮遊する、8枚の小型ビームシールに付属している砲門から、一斉に炸裂弾が発射された!
 由比宿の海岸線に大爆音を巻き起こしながら、ひときわ大きな火柱と黒煙が天へと昇る!
「グワーッ!? こ、こんなはずでは! ええい、ならば此処で貴方達を倒すまでです……!」
 身体の痺れに苦しむ猟書家は、抱えていた侵略蔵書を開くと猟兵たちへ問いかけた。
「悔悟せよ、汝、罪深き者。汝の罪は――」
「させませんよぉ? あなたに問わせる時間は与えまないのですぅ」
 夢ヶ枝、猟書家のユーベルコードを空爆でインターセプト!
 岩場爆砕! 爆発音で猟書家の声が掻き消された!
 その上、クラスターボムめいた岩の破片が爆風で加速、猟書家の身体の全方位から飛来して突き刺さる!
「んがァッ!」
 爆撃と岩の破片で頭部を負傷した猟書家は、垂れ流れる血が目に入らないように袖で拭うと、感電した身体を子鹿のように体を震わせながら立ち上がる。
「許しません……許しませんよ……!」
「許さないって言うなら、どうする気だ?」
 木常野は人型に戻って、エレメンタルロッドを構える。
 猟書家はニタリと不敵に口元を歪ませると、腹の底から叫んでみせた。
「来たれ我らが同胞よ! 異端の者たちを撃ち殺すのです!」
 その呼び声に応え、猟書家の背後の波間に巨大なガレオン船が召喚された!
 ガレオン船には火縄銃で武装した大量の聖戦士の幽霊が、一斉に銃口を猟兵たちへ向けているではないか!
「撃てぇーッ!」
 猟書家の号令が下され、岩礁へ向けてガレオン船から一斉射撃が展開された!
 パパパンッ!と断続的に発砲音を轟かせながら、猟兵達に鉛の弾幕が襲いかかる。
 空を飛ぶ夢ヶ枝と大町は難なく高速飛行で回避したが、空が飛べない木常野は格好の的になってしまう!
 流れ弾が木常野へ殺到!
「都月さんっ!」
 反射的に霊符を岩場へ投げ付け、追加の防御結果を発生させる!
 途端、鉄板が銃弾を弾き返すような高い音が連続して海岸に鳴り響く!
「ありがとうございます、詩乃さん! 助かりました!」
「待ち合ってよかったです! 一応、防御結界は施してますが、あの弾幕の厚さは厄介ですね!」
「でも、みんな船に乗ってる。つまり、船を攻撃すれば幽霊は全員沈むはずだよな?」
 木常野の言葉に、大町は深く頷いた。
 と、その時だった。
「船には舟を、っすよ! 遅くなったっす! これも借りてた権能っすよ!」
 稷沈が乗り込む大型木造船が波間を掻き分けて接近してきた!
 船内は、弓と剣と魔法杖で武装し、頭部が様々な動物になっている人間の霊で溢れかえっていた。
 その数、385体!
 猟書家のほうが乗組員は多いが、此方は船の大きさの規模が違う。
 そのまま船を衝突させれば、ガレオン船など簡単に転覆させられるだろう。
「これが『夜の舟(ウイア・メセケテト)』っす! というわけで、皆、太陽属性の一斉発射攻撃をあの猟書家とガレオン船に!」
 乗組員は弓に矢を掛け、魔法杖で火炎弾を放ち、ガレオン船への攻撃を開始!
 そのまま大型木造船は敵のガレオン船へ隣接すると、剣を持った乗組員が聖戦士と直接切り結び始めた!
 稷沈は船の上から猟書家へ言葉を投げ掛ける。
「その教え、秩序大好きな元持ち主……故人というか故神なんすけど、とにかく、この船の元所収者にも嫌われるっすよ。俺もあの神(ひと)も、生きてる人間が好きっすからね」
 稷沈は猟書家へ向けて指先を向けると、矢と魔法杖は一斉に猟書家へ向けられる。
 そして、稷沈は神の片鱗を見せるべく、その口調を荘厳な物へと戻した。
「――汝、神の怒りに触れたと知れ」
「またこれかあァァーッ!」
 猟書家は弾幕を浴びせられて吹き飛んでゆく!
 と、ここでガレオン船に異変が発生した!
 メキ、メキメキ、と船底が軋み始めているのだ。
 どん、どん、と何かが激突する音も聞こえる。
 この音は次第に大きくなり、やがて、船底に亀裂が走る。
 そして次の瞬間!
「そいやーっ! シホ、ダイナミックエントリィィー!」
 シホはエンジェルフィッシュのような魚の姿をした聖霊に跨り、海中から船底を突き破って飛び出してきたのだ!
「ありがとう、たいやき! あとはシホに任せて!」
 稷沈も内心で、聖霊の名が食べ物の名前で驚いたのだろう、二度見をしていた。
 シホは妖精の羽で空を飛びながら、奥ゆかしく宣戦布告の如く挨拶をした。
「どーも! ブラザー・アポストロスさん! シホ・イオアです!」
「ど、どうも、猟書家(ビブリオマニア)幹部のブラザー・アポストロスです。ナンデ猟兵!? 海中からフェアリー猟兵ナンデ!?」
 いきなりの超展開に猟書家は混乱してしまう。
 というか、他の猟兵も宇宙の真理を垣間見た猫のような顔をしていた。
「残念だったね! 自慢の船の底はシホが穴を開けて沈めちゃうよ! でも沈むのにまだ時間がかかるっぽいから、いっそ燃やして蜂の巣にするけど、いいよね?」
「え? それは……」
 言葉を発しようとした猟書家を遮るように、シホの行動が先んじた。
「答えは聞いてないよ! よーし、暴れまくるぞー!」
 シホはユーベルコード『ハート・ロンド』を発動!
 宝石剣エリクシアから触媒となる真っ赤に輝くルビーが生成される!
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!」
 91個の愛の炎がガレオン船を包み、大炎上確定!
 更に更に、彼女の履く靴は、魔法弾を放つマジカルガトリングブーツ!
 上空から魔法弾をバラ撒き、ガレオン船を穴だらけにしてしまう!
 遂にガレオン船は沈没!
「敵の武装は火縄銃っぽいけど、海の中に沈んだら使えないよね♪」
「お、おのれ! よくも私の船を!」
 歯噛みする猟書家。
 だが、シホはまったく容赦せず、愛の炎を猟書家へぶつけてゆく。
「本当に愛を解くなら、もっと熱く語らないと! こんな感じに!」
 火の玉の中にハート模様が描かれた弾幕が、三度、猟書家を由比宿の空へと打ち上げていった。
「たまや~っすねぇ!」
 木造船の上で、稷沈は狸の肉を幽霊たちへ報酬代わりに配っていた。
「……なんか、すごいものを見ちゃったな」
「え、ええ」
 シホと稷沈の大暴れに、ポカーンと口を開ける木常野と大町。
「ですが、まだ船から逃れた幽霊達がいます。ですので除霊をしましょう、都月さん!」
「わかった。チィも手伝ってくれ」
 月の精霊チィに木常野は呼びかけながら、大町と一緒に光の聖霊の加護を亡霊たちへ投げかけて成仏させてゆく。
 それを夢ヶ枝は上空で見守りながら、猟書家が逃げないように目を見晴らせ続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

霧島屋・もなか
負傷、アドリブ、共闘ok

肉より魚介類派でお洋服が狸臭くなるのが嫌なので
狸鍋パーティーから離脱し猟書家を追いかける

もなかは厳しくなると推測される猟書家の戦いの為に
持ってきたおやつを破戒僧達と食べながら
新しく買ったスイーツガンに嬉々と弾をこめる

破戒僧達と連携して追い込み
更に仕留めやすくなるよう弱らせる為に
道中でふわふわで感覚麻痺の綿飴弾、
ロープになる紐グミ弾、当てたものをゲルに閉じ込めるゼリー弾、
痺れるレモン飴弾、壁になるクッキー弾、粘着質なガム弾、
当たると固まるチョコ弾などのお菓子な弾丸を使い分けて打ちまくる

逃げ場の無いところに追い込まれた猟書家に
トドメの破壊力抜群のケーキ爆弾をぶちかます



「いくらカワウソのライバルやからて、そのお肉を食うてお洋服に匂いが付くのは嫌やな~」
 霧島屋・もなか(ゆめかわ❤️かわうそちゃん・f27972)は敢えて猟兵達の焚火の輪から外れて海岸を散策していた。
「はぁ……海を眺めてると落ち着くわぁ~。あたい、お肉より魚介類のほうが好みなんよ」
 もなかは持参したガーリーでキュートなお菓子を頬張りながら、まったり水平線を眺めていた。
 すると、何やら爆発音や絶叫が聞こえてくるではないか。
「あれは……?」
「おお、猟兵殿、こんなところで何を?」
 破戒僧がもなかを発見し、今の状況を教えてくれた。
「ということは、あの猟兵をシバけばええんやな?」
 ニタリと笑みを浮かべるもなかは、マカロンをモキュモキュと頬張る。
 これにより、ユーベルコード『べりべりきゅー甘味獺祭ふるこぉす(デザートビュッフェフルコース)』で妖力と感覚と乙女力とパワーが強化され、戦闘力が増加する。
「そしてこれは新作の霧島屋式べりきゅーゆめかわふぁんしースイーツガン! ゆめかわお菓子型特殊弾が火を噴くんや!」
 喜々と弾倉に様々なスイーツ型銃弾を詰め込んでゆくもなか。
 そして、ジャキッとコッキングをした後、照準を猟書家へ向けて引き金を絞った。
「それじゃ、往生しぃや!」
 まずは銃口からふわふわな綿毛のような弾幕がばらまかれ、猟書家の動きを制限する。
 触るとピリピリと指先から感電するように痺れが走る。
 これは……神経毒入りの綿飴弾!
 これに、猟書家は思わずもなかに問い質した。
「一体、これは何の真似です? これで私を倒せるとでも?」
 その質問がトリガーとなり、侵略蔵書から野心の獣が召喚される!
「悔悟せよ、汝罪深き者! 満足の行く答えが出るまで、あなたをその獣が爪と牙で切り裂きます!」
「だからどうなん?って話やな?」
 もなかは既に次弾装填済みであった。
 続いて発射したのは、チョコとグミの弾丸だ。
 それらが獣に命中すると、たちまち命中した部分が固まり、身動きが取れなくなってしまった!
「おたくのワンちゃん、えらい躾がなっとるなぁ? ちゃんと『おすわり』出来とるやん?」
「ぐっ! なんてことを! だが1匹だけだと入っていませんよ!」
 再び侵略蔵書から獣を呼び出そうとする猟書家。
 しかし、もなかは侵略蔵書へガム弾を命中させ、ネバネバで本が開けなくしてしまった!
 更にクッキー弾で出来た壁で猟書家を閉じ込めると、トドメに特大のスイーツ弾アタッチメントへ換装する!
「これでトドメや! 二段重ね7号ホールケーキ型グレネード! たらふく食らって吹き飛んでったれ!」
 凄まじい反動でもなかは尻餅をついてしまったが、真正面に放たれたホールケーキ型グレネードが猟書家の顔面に直撃!
 途端、轟音とともに火柱が立ち上り、猟書家は天高く吹き飛んでいってしまったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿村・トーゴ
(やや苛つき)
えーまさか逃げんの?仕上げ前に邪魔が入った所為で?
オレの知る伴天連坊さんはもっと一途だったぜ
ま、個人差もあるか
あんたはもっと一途だろ?なんせ死こそ尊い教の坊さんだもん

折角の鍋は食欲もそそるんだけどー…オレは忍びなんで匂いの付く肉食は遠慮しとこう
散らばる狸の骨を【念動力】で集め敵に浴びせ
UCで強化
コピー除けに直に攻撃しよ
代償の流血は狸の皮を被って紛らせ【忍び足】で背後から急接近し追い抜きざま横薙ぎにクナイで斬り付ける【暗殺】
敵がオレを目視したら(事前に合図を決めてある)破戒僧にも敵背後から錫や岩を投げ付けて貰う
一瞬でも敵の気が逸れた瞬間クナイを持つ腕ごと【串刺し】してやる

アドリブ可


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

待て待て待てー!逃がさないぞー☆
破戒僧さんに海岸までの最短経路を教えてもらって先回りしちゃうぞ!
野を越え山を越えてフェアリーの翅ですっ飛んで行っちゃうよ♪

先回りに成功したら、こっそりこそこそ隠れて猟書家が通り過ぎるのを待ち構えるね!
ふふーん、猟兵が追いかけてこないか後ろばっかり気にしてたら……こうだ!
【妖精の見えざる一刺し】で走って逃げれないように足を狙って攻撃だ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 吹き飛ばされ、海岸の岩礁に墜落する猟書家『ブラザー・アポストロス』。
 先程の猟兵お菓子な攻撃で、もはや満身創痍。
 他国へ逃げようにも傷が深すぎる。
「こ、こんなはずではありませんでした……。まったく、コルテスは使えませんね! いや、むしろ狸が無能だったのでしょうか……?」
 不満を口にしながらヨロヨロと立ち上がる猟書家。
 それでも逃げて、生き延びなければ使命は果たせない。
 そこへ、十分に警戒しながら間合いを詰めてくる鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)とティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。
「えーまさか逃げんの? 仕上げ前に邪魔が入った所為で?」
 鹿村は猟書家に落胆していた。
「オレの知る伴天連坊さんはもっと一途だったぜ。ま、個人差もあるか」
 懐から苦無を取り出し、くるくると回して手の中で弄びながら鹿村は猟書家に問うた。
「あんたはもっと一途だろ? なんせ死こそ尊い教の坊さんだもん」
「うぐ……っ! も、勿論ですとも。ですが、私が死んでしまったら、この尊い教えを広められませんので」
「だから逃げると? はぁ……もっと根性見せてほしかったけどなー?」
 ため息混じりの鹿村は念動力で食べ散らかした狸の骨を浮遊させると、矢のようにそれらを逃げる猟書家にぶつけてゆく。
(折角の鍋は食欲もそそるんだけどー……オレは忍びなんで、匂いの付く肉食は遠慮しとこう)
 そして死を尊ぶ教えを説く者へ、食らった動物の骨で攻撃するという最大級の皮肉をぶつける鹿村だ。
 猟書家は反射的に侵略蔵書の表紙で骨の矢を受け止めた。
「無駄です! これで攻撃を受け止めれば、あなたのユーベルコードを一定時間、何度でも放てます! ……って、コピーできない!?」
「そりゃそうだぜ。それ、ただの“通常攻撃”だからな? てか、悠長にしてていいのか?」
 鹿村はほれ、と空を指差した。
 上空からは、小さな妖精姫ことティエルが風鳴りのレイピアの切っ先を突き付けながら突っ込んでくる姿が!
「待て待て待てー! 逃がさないぞー☆ ついでにブスッと刺しちゃうぞー♪」
「あれも多分、通常攻撃だと思うが、そのベタベタな本で受け止めてみるか?」
「くそっ! やはり逃げるが勝ちのようですね!」
 猟書家は一目散に海岸の岩場を駆け抜けてゆく。
 その背を眺め、鹿村とティエルはニンマリと悪い表情で嘲笑う。
「上手く行ったなー! あの伴天連坊さんの慌てた顔、傑作だったぜ?」
 クスクスと必死に笑いを堪える鹿村。
 ティエルも同様にお腹を抱えて笑い声を噛み殺していた。
「てか、なんであの人、生クリームまみれだったんだろうね!? 本はガムでベッタベタだったよ! へんなのー☆」
「だなー? きっと、他の猟兵にこっぴどくやられたんだろう。って、ティエル、急いだほうがいいんじゃねーか?」
「あっ! いっけなーい☆ ボク、行ってくるね! トーゴもよろしくね!」
 ティエルは妖精らしく空を猛スピードで駆け上がり、猟書家の頭上をそのまま追い抜いてしまった。
 猟書家はティエルに追い抜かれたことは気付いていない。
「さて、破戒僧のおっさん、上手くやってくれよな?」
 そう呟くと、鹿村はようやくユーベルコードを発動させる。
「降魔化身法……ミサキ、手を貸してくれねーか?」
 妖怪、悪鬼、幽鬼をその身に宿すことで超強化を果たすが、術者は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける諸刃の刃。
 鹿村の場合、宿す3種の妖鬼を幼馴染の少女の亡霊だけで賄えてしまう。
 ミサキの亡霊が愛おしそうに鹿村の腕に出来た傷へ爪を立てれば、そこからじわじわと新たな血が溢れて滴り落ちる。
(相変わらず、ミサキは俺への愛情が歪んでやがるなー?)
 苦笑いしつつも、鹿村自身もまんざらではない様子だった。
 鹿村は出血した腕に狸の皮を巻きつけて止血すると、身体のバネを活かしながら岩場を飛び跳ねるように駆け出す。
 目指すは、ティエルと破戒僧と落ち合う予定の岸壁。
 そこへ猟書家を追い込んでゆく。
「ほらよ! キリキリ逃げろよー?」
 超強化された念動力で射出された動物の骨と手裏剣が猟書家を襲う!
 猟書家は足場の悪い場所での回避は難しく、攻撃を背中に受けながらも必死に逃げてゆく。
「うぅ……! あれがユーベルコードではない限り、侵略蔵書の表紙で受け止めても、いたずらに表紙を傷付けるだけですね……!」
 鹿村はしめた、と内心ほくそ笑む。
 一番最初に通常攻撃を仕掛けたことで、それ以降の攻撃も猟書家は通常攻撃だと思い込んでいるようだ。
 これで降魔化身法をコピーされる恐れはほぼなくなった。
(実際はユーベルコードを使ってるんだけど。あ、でもこれ、コピーさせたら、あの坊さん自滅したんじゃねーか?)
 デメリットの呪縛や流血や毒は、訓練で克服した鹿村と違って猟書家は無防備のまま。どれかひとつでも喰らえば、まともな攻撃など出来ないのかもしれない。
(ま、いっか。下手に超強化されても困るもんな)
 と、いうことで作戦続行。
 次第に猟書家は逃げ場を失い、立ち往生。
「くっ、この先はもう海……ガレオン船を召喚するにも、時間がかかりますね……」
「船を呼ぶつもりだろうが、そうはさせねーからな?」
 鹿村は岩場を蹴って飛び跳ねると、一気に猟書家へ肉薄!
 着地して斬り掛かると見せかけて猟書家の背後へ回り込み、その背を苦無の刃で横薙ぎに斬り払った!
 猟書家の背中が裂け、彼岸花めいた鮮血の華がぱっと飛び散った。
 この攻撃が、伏兵として待機していた破戒僧への合図だ。
「よくも宿場町の民をたぶらかしてくれたな! 報いを受けよ!」
 潜んでいた破戒僧が目の前に飛び出すと、抱えていた巨岩を猟書家の顔面へ投げ付けた!
 この奇襲を回避できない猟書家は、顔面に巨岩が直撃!
 その首があらぬ方向へ折れ曲がり、前歯数本が宙を舞った!
「あ、ガッ……!?」
 一瞬の出来事に、何が起きたのか理解が追い付かない猟書家。
 更に、その首元に強烈な激痛が迸る。
「後ろにオレがいること、忘れてねーか?」
 念動力で操られた鹿村の苦無が、猟書家の延髄へ深々と突き刺さる!
 急所への一撃!
 血反吐をぶちまける猟書家!
 鹿村は叫んだ。
「今だ、ティエル! トドメを刺せー!」
 その声に応え、ティエルが岩場の影から飛び出してくる。
「こっそりこそこそ♪ 狙った場所は外さないぞー☆」
 レイピアを突き立てながら突進飛来するティエル!
 ティエルの存在が猟書家に気取られていない今、彼女の攻撃はユーベルコードの効果で必中となる!
「妖精の見えざる一刺し(フェアリー・インビジブル・ストライク)☆ てやーっ!」
 ティエルは猟書家の足から上へと駆け上ってゆき、体中の関節を次々と刺突して腱を切断してゆく!
「ふふーん、猟兵が追いかけてこないか後ろばっかり気にしてたら……こうだ!」
 ティエルのレイピアが、猟書家のこめかみをブスッと貫通!
 これがトドメの一撃となり、猟書家は白目を剥いて膝から崩れ落ち、事切れたのであった。

 猟書家『ブラザー・アポストロス』の企みは、猟兵達の食欲と知略によって阻止された。
 だが、猟書家はオブリビオンゆえ、完全に滅んではいない。
 また何処かで猟書家『ブラザー・アポストロス』は復活し、悪事を働くであろう。
 まだまだ猟書家の侵略は長引きそうだと予感しつつ、祝勝会がてらに美味しい海鮮料理が食べられるお店があると破戒僧に案内される猟兵たちであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月27日
宿敵 『ブラザー・アポストロス』 を撃破!


挿絵イラスト