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鋼鉄の断罪者

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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 深夜、曇天に包まれたクロムキャバリアの荒野を歩む者がいた。セラフィム・リッパー――天使の名を持つサイキックキャバリアであり、オブリビオンマシンである。

「クハハ! 汚れた咎人どもが。猪口才な真似をする」

 そのコックピットで、男が鮫のように笑う。牙を剥き、冷酷に――だが、男にとってはそれは獣のものではない。咎人の罪を断ち切る、断罪者の笑みだった。

「断罪を! 一心不乱の断罪を! 軍部共の石頭にはわからぬであろうよ! ならば、結果でみせるのみ!」

 セラフィム・リッパーの背後から、無数のキャバリアが疾走する。ナイトゴースト、電磁装甲と肩部シールドにより、優れた生存性とステルス性能を持つ量産機がその姿を消した瞬間、雪崩のように動き出した。

「行け、我が同胞! 真の勇者達よ! 断罪するは我らにあり!」

 その笑い声が、夜の荒野に響き渡る。咎人達に朝日はいらない――夜が明けるまでに、蹂躙するつもりであった。



「……クロムキャバリアで、少国家が侵略を受けるようでな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は厳しい顔でそう呟くと、言葉を続けた。

「問題は侵略する側が、軍部の意向を無視したオブリビオンマシンという事じゃ。セラフィム・リッパーの操縦者は、完全に飲みこれておるな」

 咎人を断罪する、その一点のみが彼を動かす原動力になっている。だというのに、彼が率いるのは同じくオブリビオンマシンと化した隠密能力に長けたナイトゴーストと遠距離砲撃に長けたギムレウスの部隊だ。

「厄介なのは、彼ら自身は固い絆で結ばれた同胞ということじゃ。第一陣のナイトゴーストのパイロットの命を奪われれば、第二陣のギムレウスの部隊で狂気に飲まれてしまう者が出るのじゃよ」

 そうなってしまえば、敵は強力になってしまう。厄介極まりない状態だ。

「何にせよ、少国家の方は荒野で寄り集まって出来た小規模なもの。キャバリアは所持しておるが、抗いきれん。相手がオブリビオンとなれば、我らの出番じゃろう」

 不幸中の幸い、こちらは向こうが完全に展開する前に初動を察知している。威力偵察兼先陣のナイトゴーストをまず叩けば、ギムレウスの部隊が最適な配置を取る前に先手を打てるはずだ。

「向こうは狂気に飲まれておっても元は軍隊、戦争のプロじゃ。心してかかってくれい」


波多野志郎
ロボっていいよね……どうも、波多野志郎です。
今回はクロムキャバリアで少国家を襲うオブリビオンマシン達に対抗していただきます。

第一陣は隠密能力に長けたナイトゴースト。どう深夜の荒野に展開したナイトゴースト達を発見し、戦うか? が肝となります。

なお、キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
基本がキャバリアに乗る状態、生身でやるぜ! という方は一言プレイングに明記くださいませ。

それでは、鋼鉄軋む戦場でお会いしましょう!
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第1章 集団戦 『ナイトゴースト』

POW   :    パラライズバレット
命中した【RSキャバリアライフル】の【特殊弾】が【エネルギー伝達阻害装置】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    ゴーストミラー
【両肩のシールド】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、両肩のシールドから何度でも発動できる。
WIZ   :    装甲破砕杭
対象の攻撃を軽減する【電磁装甲モード】に変身しつつ、【手持ち式パイルバンカー】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎

部隊単位で狂気に飲まれてるのか…
下地はあったんだろうがかと言って救える命を無駄に散らせるわけにはいかねえな

事前の【情報収集】で地形を把握し【戦闘知識】から敵部隊の展開案を予測
レーダー機器や【視力】だけでなく【第六感】も使った心眼を駆使してナイトゴーストを捉える

「敵影補足。久遠寺遥翔、イグニシオン、出撃する!」

敵を捉えたらUCによる高速飛行で【先制攻撃】
そのまま殲禍炎剣に引っかからない程度の【空中戦】
敵の攻撃は【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】で受け流しながら【カウンター】【範囲攻撃】を叩き込む
相手の動きを見切って両肩とコックピットを避けるように断ち斬る


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「キャバリア部隊で抗しきれない小国に攻撃を仕掛けるオブリビオンマシンは見過ごせませんね……
私設武装組織ガルヴォルン、この抗争に介入します!」

ガルヴォルンの母艦、『機動戦艦ストライダー』を陸上戦艦として運用し、侵略してくるオブリビオンマシンの軍勢を迎え撃ちましょう!

「ガルヴォルン、総員戦闘配置!
各自、敵の迎撃を開始です!
ミサイル一斉発射!」

ストライダーの艦長席からメンバーに指示を出します。
さらに【機動戦艦全力攻撃】でストライダーのAIにナイトゴースト部隊への一斉攻撃を命令します。

「って、きゃああっ!
敵のパイルバンカーで第三艦橋大破っ!?」

艦内に鳴り響くアラートに対応を急がせます。


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

第一陣は『ナイトゴースト』?
たしか隠密性に優れた機体だったね。
ならまずは、相手の場所の特定からかな。

ストライダーからでる前に、
【CMPR-X3】から広域滞空索敵弾を撃って、
アミシアに索敵してもらっておこう。

キャバリアはガルヴォルンのを貸してもらうよ。
【脈動臨界チューニング】で移動力5倍、射程半分。

発鑑しつつデータをもらったら、
援護射撃を目くらましに死角に回り込んで、
接近戦で一機ずつ確実に潰して……。

って、けっこう早いし、数が多い……!

あ、旗艦が前に出すぎ!
えっと……ま、まぁ第三艦橋付近だから、だいじょぶかな?

ここはストライダーを狙ってくる相手を潰したほうが効率いいかも?


ミホ・ペルウィーシュ
【ガルヴォルン】母艦・ストライダーから
『ルカ(バル・ゴルカ)』の黒鳥形態で発艦
ボクにはコレしか出来ませんしね

黒鳥といっても殲禍炎剣からの迎撃を避ける為
今回は低空滑空の【空中浮遊】がメイン
でも【フェイント】として回避行動に繋げます
そしてストライダーを狙う部隊を逆に強襲

大丈夫ですか、大佐?
忌々しい『神饌適正化プラン』由来の【ドーピング】で夜目を強化
隊列から遅れ気味のナイトゴーストを捕捉

急降下したら脚部『イアラ・スマッシュ』で鷲掴み
持ち上げた敵機を【投擲】、僚機にぶつけ撹乱します

そして『ルカ』が魔導騎士型に戻ったら、ボクも本領発揮です
【魔女は凶刃と舞う】…敵機を魔剣の嵐で切り刻みます!

※アドリブ歓迎


メイスン・ドットハック
【WIZ】
随分と選民的な思想で先導するものじゃのー
正気は失っておる状態じゃけー、しっかりと無力化してやるけーのー

二足歩行戦車型キャバリアに搭乗して参戦
電脳魔術によるジャミング波を発生させて敵の視認を攪乱するような幻影を生み出す
UC「電脳黒死病」を発動させて、敵の電磁装甲阻害と攻撃命令機能の遮断を行い、一時的に行動不能に陥れる
動きが鈍くなった機体からレーザー砲ユニットやミサイルタンクの砲撃によって標的ロック射撃でオーバーフレームを狙う
近づいてくる機体があったら、レーザーブレードモードに切り替えて斬り付けていく

まーキャバリアに乗っておるとはいえ、電脳魔術師としてこれくらいはのー

アドリブ絡みOK


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

【モーター・プリパラタ】で、整備していい機体の整備と調整をしたら、
今回はストライダーから【リオ・セレステ】でフォローに入ろうかな。

相手は隠密性に優れた機体ってことだから、
まずは【M.P.M.S】の弾頭を索敵照明弾で打ち出して、場所をあぶり出そう。

見つけた敵は、ミスランディアさんにトレースしてもらって、
みんなの機体と情報共有。大佐の指揮の参考にしてもらおう。

その後は【E.C.M】を展開して、相手のセンサーを潰し、行動を阻害。
こちらの姿を見えにくくする感じで援護したいなって思うよ。
「これで見えないよね」

電子戦ならわたしの専門。
センサーなんてぜーんぶ役立たずにしてあげちゃうよー!


鏡島・嵐
うーん。まさかロボットに乗り込んで戦うとか、去年の今頃は想像もしてなかったなぁ。
正直キャバリアに乗ったところで戦うんが怖ぇんはいつもと一緒だけど……しゃあねえ、イチかバチかやってやるか……!

キャバリアは持ってねえから、借りるしかないか。……せいぜい上手く扱うさ。
夜戦だから、基本〈目立たない〉ように行動。視界が悪いんは〈暗視〉能力と〈第六感〉で補う。
他の仲間の動きに気を配って情報を共有し合いつつ、仲間が仕掛けるタイミングで〈スナイパー〉ばりに精度を上げた〈援護射撃〉を撃って決定的なチャンスを作れるように動く。
向こうがパワーアップしてくるようなら、死角からユーベルコードで相殺を試みる。


エスタシュ・ロックドア
実は初めて乗るんだよな、キャバリア
まぁ大丈夫だろ
【メカニック】としてちゃーんと予習はしてっからよ
【操縦】もバッチリさ
そんなわけで量産型貸してくれ
ついでにBSフレイムランチャー
【武器改造】してくっつてぇんだが

隠密見つけるにゃ……『群青業火』をランチャーから射出
適当にその辺で豪快にキャンプファイヤーして岩場に身を隠す
あからさまな罠だぜ
だが進行方向に得体の知れないエネルギー源あったら、
偵察としちゃ一応確認には来るだろ多分
来なかったら【暗視】で地道に探すしかねぇがな

敵にはランチャーから業火浴びせて脚部を攻撃
コクピット周りはちゃんと消火しといてやる
敵の特殊弾は業火の【範囲攻撃】で【焼却】しよう


アルナスル・アミューレンス
斥候にステルス持ちがねぇ。
ネズミみたいにこそこそと、狡い真似するねぇ。

まぁでも、向こうから来てくれてるんでしょ?
じゃあ、生身でいっか。目立たないだろうし。
夜に来てくれるっていうのも、実に好都合。

さて、向こうもその気なら、こちらも一切合切『枯渇(ウバウ)』としましょうか。
本当の蹂躙を教えてあげないとね。

暗視を駆使し、闇に紛れるように潜伏。
――拘束制御術式、解放
自身を不定形の黒い異形に変化させ、半径5kmまで展開。
地上には影の様に水面の様に。
宙には極細の蜘蛛の糸の様に。
触れたならば、捉えて碌に動かさせないよ、時間稼ぎさ。
機体も弾丸も電磁装甲もパイルも、怪力で捻じり潰し、捕食し尽くすよ。

ヒト以外ね。


獅子戸・玲桜奈
コソコソしてる奴に負けるつもりはねえ。見つけ出してぶん殴ってやる。行くぜフレイムウィング!

こう暗いと見つけるのは一苦労だな。だったら明るくしてやるぜ。
ハイパーボーライドを空中に向かって放てば少しの間は周囲が明るくなるはずだ。その明かりを頼りに敵を見つけ出す!

捉えたらダッシュで接近だ。ライフルで撃たれても炎のオーラ防御を展開して弾丸を溶かして防ぐぜ。
近づいちまえばこっちのもんよ。思いっきりぶん殴って破壊するだけだ!


朱皇・ラヴィニア
成程、姿を隠して襲ってくるんだ
でも攻撃する時は――そうもいかないよね!

147を最大展張し盾代わりに攻撃を受ける
パラライズバレットか、丁度いい
初撃を感知する為ゼルの肉体を一時的に改造
感知能力をブーストだ
攻撃して来れば敵の居場所は理解出来る
その弾を喰らって、反撃開始!
グリード・イーターで覚えた敵の攻撃をそのまま返す
147の一部をライフル状のバレルに変形して射撃開始
やっぱり銃って便利だね……ボクも用意しようかな

敵を一体、動きを止めたら接近し
素手で貫通攻撃――ハッチのみを引き剥がして
敵パイロットを救出する
抜け殻になった敵機は投げつけて他の敵の動きを攪乱するよ
後は一緒さ……喰らって、撃って、止めて、救う



●暗闇の荒野

 夜の荒野に、明かりはない。唯一照らすだろう月明かりさえ曇天に塞がれた時、そこには真の暗闇だけが見えるのみだ。

「実は初めて乗るんだよな、キャバリア。まぁ大丈夫だろ。メカニックとしてちゃーんと予習はしてっからよ、操縦もバッチリさ」

 エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は注文通り搭載してもらった改造済みのBSフレイムランチャーから群青色の炎を吹き出していた。

「あからさまな罠だぜ。だが進行方向に得体の知れないエネルギー源あったら、偵察としちゃ一応確認には来るだろ多分」

 群青業火(ブレイズアズール)の炎を囮に、エスタシュはナイトゴースト達を呼び寄せようと言うのだ。実際、その狙いは悪くはない――どんな要素であろうと、偵察部隊としては情報を取得しなくてはいけないのだ。
 だがからこそ、ナイトゴースト部隊の一部が、闇に紛れこちらへと向かってきている。そのステルス性能は、『夜の亡霊』とはよく言ったものだ――メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はO-Ⅸ型機動強襲用二足歩行戦車型キャバリア「KIYOMORI」のコックピットで呟いた。

「随分と選民的な思想で先導するものじゃのー、正気は失っておる状態じゃけー、しっかりと無力化してやるけーのー」

 発するのは電脳魔術によるジャミング波――敵の視認を攪乱するような幻影を生み出す電脳黒死病(スタン・パンデミック)が荒野に展開された。

 次の瞬間、いくつかの火花が荒野に咲いた。幻影をナイトゴースト達が条件反射で撃った、マズルフラッシュによる火花だ。

「どんな生物じゃろーと機械であってものー、ウィルスからは逃れんけーのー!」
「うーん。まさかロボットに乗り込んで戦うとか、去年の今頃は想像もしてなかったなぁ」

 メイスンの横にいたのは、慣れないキャバリアを駆る鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)だ。しかし、不慣れでも自分の意志の通り動いてくれるのはさすがだと思う。

「ほな、しっかりのー」
「ああ。正直キャバリアに乗ったところで戦うんが怖ぇんはいつもと一緒だけど……しゃあねえ、イチかバチかやってやるか……!」

 メイスンの言葉に、嵐は量産型キャバリアを走らせる。量産型とは、汎用性にもっとも重点が置かれる機体だ。多くの者が操縦する事を念頭に置いているからこそ、換装できる武装も豊富で戦い方に最適な調整も行える――小国側は、嵐の要請に最大限に応える機体を用意してくれていた。

 こうして、戦いの幕が上がる――暗闇の荒野で、亡霊達を猟兵達が迎え撃った。

●私設軍事組織ガルヴォルン

「キャバリア部隊で抗しきれない小国に攻撃を仕掛けるオブリビオンマシンは見過ごせませんね……私設武装組織ガルヴォルン、この抗争に介入します!」

 セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)は、【ワダツミ級強襲揚陸艦】機動戦艦ストライダーの艦長席でそう宣言した。陸・海中・空対応の機動戦艦、ストライダーを陸上戦艦として運用しての参戦だった。

 鋼鉄の軋みを上げて、ストライダーが地上を進む。その格納庫で支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、ガルヴォルンが保有する量産型キャバリアのコックピットで呟いた。

「第一陣は『ナイトゴースト』? たしか隠密性に優れた機体だったね。ならまずは、相手の場所の特定からかな」
『相手は隠密性に優れた機体ってことだから、索敵照明弾で打ち出して、場所をあぶり出そう』
「了解」

 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)からの通信に、錫華は了承を返す。それぞれのキャバリアがカタパルトへと誘導される中、セレーネの声が艦内放送によって響き渡った。

『ガルヴォルン、総員戦闘配置! 各自、敵の迎撃を開始です!』

 そして、艦橋のモニター越しに無数のロックオン――セレーナが右手を振り払い、言い放った。

「ミサイル一斉発射!」

 理緒のM.P.M.Sによる索敵照明弾が、ストライダーのデータとリンク――空中で散開し、閃光を撒き散らしていく。その直後、閃光に照らされたナイトゴースト達のパラライズバレットが陸上戦艦へと撃ち込まれた。

「アミシア、索敵!」

 それと同時、錫華はアミシア・プロフェットに指示を飛ばし、カタパルトから飛び立った。

「バル・ゴルカ。ミホ・ペルウィーシュ、出ます!」

 そして、ミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)がXLC-31oM-CSP パル・ゴルカの黒鳥形態で飛び出した。低空飛行で岩と岩の間をくぐり抜け、物陰のナイトゴーストを鉤爪でキャッチ、そのまま火花を散らし片腕を握り潰した。

「ボクにはコレしか出来ませんしね」

 そのまま、パル・ゴルカは一度魔導騎士形態へ変形。着地と同時に跳躍し、再び黒鳥形態となって急カーブした。

 荒野中央、私設軍事組織ガルヴォルンはこうしてナイトゴースト部隊と戦端を切った。

●それぞれの戦場

 偵察と牽制が目的であるナイトゴースト部隊にとって、ストライダーは無視できない標的となっていた。しかし、それだけが彼らの目標ではない――だから、敢えて回り込みスルーする機体も少なくはなかった。

 そして、その状況を予測していた者もいた――久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)だ。

「敵影補足。久遠寺遥翔、イグニシオン、出撃する!」

 岩山を足場に跳ぶ黒騎士型キャバリアを駆るのは、遥翔だ。ナイトゴーストはライフルの銃口を向けるが、遅い。

「行くぜ相棒! 今はただ全霊を以てこの空を翔ける――ラグナレク・キャリバーッ!!」

 太陽を灼く黄昏の剣(ラグナレク・キャリバー)、遥翔の繰り出す焔の剣による連続斬りが、そのライフルを断ち切った。ナイトゴーストが素早くライフルを投げ捨てた瞬間に誘爆、爆風に煽られたナイトゴーストを止まらない遥翔のラグナレク・キャリバーがまずは切り上げで右腕、次に振り下ろしで左腕、すかさず返しの刃で左右の脚を断ち切って地面へと転がす。

 その直後、岩陰に隠れていたナイトゴースト三機が、パラライズバレットで牽制してくる。それを遥翔はオーラ防御を展開しながら後退した。

「――来い」

 押している、そう判断したニ機のナイトゴーストが射撃を続けながら遥翔を追う――その時だ。

「成程、姿を隠して襲ってくるんだ。でも攻撃する時は――そうもいかないよね!」

 朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)が、後退する遥翔の前へと立ち塞がる。

「パラライズバレットか、丁度いい」

 ラヴィニアがRX-147ロストオウスを拡大、パラライズバレットを受け止めた。シュラウゼルの感知能力をブースト、グリード・イーターによってパラライズバレットを喰らうとナイトゴーストニ機へと撃ち込んだ。
 ガゴン! と着弾し、大きくのけぞったナイトゴースト達が動きを止める――そこへ、生身のアルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)が降り立った。

「――拘束制御術式、解放」

 アルナスルの体が、黒い不定形の異形へと変わっていく。半径5kmまで展開すると、瞬く間に地面を影の様に、水面の様に埋め尽くしていった。

 ニ機のナイトゴースト達は逃れようと跳躍しようとするが、パラライズバレットによって反応が遅れアルナスルの枯渇(ウバウ)に飲まれていく。それを見て、ライフル状に展開したRX-147ロストオウスを構え、ラヴィニアがこぼした。

「やっぱり銃って便利だね……ボクも用意しようかな」

 その頭上を、紅蓮の炎を操る赤きキャバリアが跳ぶ。獅子戸・玲桜奈(炎の翼・f30087)が駆る、紅蓮神機フレイムウィングだ。

「コソコソしてる奴に負けるつもりはねえ。見つけ出してぶん殴ってやる。行くぜフレイムウィング!」

 跳躍して逃れていたナイトゴーストへ、紅蓮のスーパーロボットが迫る! ナイトゴーストはガシャン! とカウンター狙いの装甲破砕杭を構えるが――ほんの一秒、間に合わない。

「こいつをくらって燃え尽きろ! ハイパァァァ! ボォォォライド!!」

 ドォ!! とナイトゴーストの頭上で、巨大な火の玉が燃え上がった。それと同時に繰り出された紅蓮神機フレイムウィングの拳に、ナイトゴーストが吹き飛ばされる!

 そして、空中で蜘蛛の巣のように展開したアルナスルの黒い影に囚われ――急激に下へと落された。

●夜の亡霊を蹴散らして

 戦いは時間が過ぎる毎に、激しさを増していた。特に厳しかったのは、多くのナイトゴースト達を引き受けていた、私設軍事組織ガルヴォルンの戦場だ。

『って、けっこう早いし、数が多い……! あ、旗艦が前に出すぎ!』
「きゃああっ!」

 錫華の指摘と同時に、機動戦艦ストライダーの艦内にアラートが響き渡る。セレーネは即座にモニターで、被害状況を確認した。

「敵のパイルバンカーで第三艦橋大破っ!?」
『えっと……ま、まぁ第三艦橋付近だから、だいじょぶかな?』
「大丈夫じゃないですよ!? すぐにフォローを――」

 セレーネの指示が終わるより速く、第三艦橋付近で鈍い爆発音が鳴り響いた。黒い鳥――ミホのXLC-31oM-CSP パル・ゴルカが救援に駆けつけ、ナイトゴーストを撃破したのだ。

『大丈夫ですか、大佐?』
『大佐、敵機の情報送るね』

 ミホの問いかけと同時、理緒のセンサーと同調した艦橋のモニターにナイトゴースト達のビーコンが展開される。その数に、セレーネが息を飲んだ。

「一度、ストライダーに集合してください! 中央を突破して――」
『待って、何か変だよ』

 セレーネの指揮に重ねるように、理緒が言う。その理由はすぐに知れた――センサーのビーコン、その一部が瞬く間にロストしたのだ。その原因を、セレーネはすぐに理解した。

「援軍、間に合いましたか!」
『うむ、待たせたのじゃー。あっちの六時方向から『挟撃』と行こうかのー』

 そこに割り込んだのは、メイスンの通信だ。六時方向――確認すれば、それは突如としてビーコンが消失した方向で。

『見てください、あれは……』

 ミホの声に、私設軍事組織ガルヴォルンは見た。六時方向、そこに『黒い壁』が立ち上がる――アルナスルの枯渇(ウバウ)だ。

『一切合切』

 そして、津波のようにアルナスが雪崩れた。ナイトゴースト達はそれに追い立てられ、回避行動に出る――だが、その真上から玲桜奈の紅蓮神機フレイムウィングが降り立った。

「おっと、逃がすかよ!」

 捕まえた端から、紅蓮神機フレイムウィングはナイトゴーストを放り上げる。ラヴィニアのシュラウゼルが放り上げられたナイトゴーストのコックピットのハッチをむしるように取り、パイロット達を救出していった。

「お願い!」

 そして、パイロットの乗っていないナイトゴーストの一機をシュラウゼルが蹴り飛ばした――それを狙ったのは、遥翔のイグニシオンだ。

「――イグニシオンッ!!」

 遥翔の呼びかけに応えるように、イグニシオンが加速! 太陽を灼く黄昏の剣が空中のナイトゴーストを貫き、爆散させた。

 その直後、すぐさま着地したイグニシオンが爆風に煽られたナイトゴースト達を切り飛ばしていった。焔黒剣イグニス、その黒焔の軌跡はキャバリアの装甲さえ焼き切っていく。その倒れていくナイトゴースト達のコックピットから、すかさずラヴィニアのシュラウゼルがパイロット達を確保していった。

 それはもはやナイトゴースト部隊にとって、悪夢のような、災害のような光景だ――完全に追い立てられた形となったナイトゴースト達を、機動戦艦ストライダーは最大船速で駆け抜けていく。


「各員、対ショック体勢! ∪ターンします!」

 ナイトゴースト部隊を抜けた瞬間、ストライダーが急激に減速。Uターンを試みる。軋む船体。当然だ、急激なGがかかるのだから。

 その僅かな間隙――ストライダーを迎撃しようとするナイトゴースト達へと、嵐がキャバリアを駆り飛び込んだ。

「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず。……幻遊びはお終いだ」

 ナイトゴースト達の前へ、大量の鏡が出現する。逆転結界・魔鏡幻像(アナザー・イン・ザ・ミラー)は、パラライズバレットを相殺した。

「今だ!」

 その瞬間、理緒が動いた。

「電子戦ならわたしの専門。センサーなんてぜーんぶ役立たずにしてあげちゃうよー!」

 理緒のE.C.M(イー・シー・エム)によって光学センサーを失ったナイトゴースト達が、動きを乱す。嵐が稼いだ時間で、理緒の策が決まり――ストライダーはUターンを完遂させた。

 六時方向のアルナスルの枯渇(ウバウ)、十二時方向の機動戦艦ストライダー。その瞬間、メイスンの言った通り『挟撃』が始まった。

「機動戦艦ストライダー、全武装一斉発射!」
「欠陥品でも、一応ボクは【虚刃の魔女】なんです……!」

 セレーネの機動戦艦全力攻撃(ストライダー・アタック)と魔導騎士型となったXLC-31oM-CSP パル・ゴルカから放たれる魔女は凶刃と舞う(ダンス・オブ・ブレイドウィッチ)がナイトゴースト達へ襲いかかる! 理緒に文字通り視界を奪われたナイトゴースト達へ次々と着弾、貫通。コックピットを外して、ナイトゴースト達は破壊されていく。

 だが、コックピットを狙わない判断が全滅を避けさせた。手脚の一部を失ってもまだ動けるナイトゴースト達が、散開しようとする――!

「おっと、逃がすとでも思ったか? ん?」

 その行く手を防いだのは、エスタシュの群青業火(ブレイズアズール)による『壁』だ。円を描き、ナイトゴースト達を囲むように封じ込めたのだ。全身の傷跡より噴出する地獄の業火、エスタシュの群青色の炎に燃料切れという概念は存在しなかった。

「まーキャバリアに乗っておるとはいえ、電脳魔術師としてこれくらいはのー」

 逃れた機体へ、炎を飛び越えたO-Ⅸ型機動強襲用二足歩行戦車型キャバリア「KIYOMORI」――メイスンが立ち塞がる。ヴン、と展開したレーザーブレードモードを振るい、バーニアや脚部といった機動力を、的確に殺していく。

「あ、そっちは任せたのじゃー」

 メイスンの攻撃をそれでも抜けるナイトゴースト達は、瞬く間に手足を粉砕されていった。それを成したのは、一機の量産型キャバリア――錫華だ。

「これがこの子の全力」

 錫華の脈動臨界チューニングによって限界まで機体性能を引き上げられたキャバリアによるものだ。破砕音が、群青色の炎に照らされた中、響き渡った。デメリットとして射程は半分になっているが、この状況では問題は一切ない。量産型キャバリアとは思えない、光学センサーが完全であろうと影しか捉えきれなかっただろう高機動力だ。

 その音が終わり頃には、動くナイトゴースト達はいなかった。初戦、命を奪う事なく猟兵達は終わらせる事に成功したのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ギムレウス』

POW   :    砲撃モード
自身の【背部大型キャノン砲】を【砲撃モード】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    メタルファング
自身の身体部位ひとつを【機械で出来たワニ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    接近阻害地雷敷設
自身からレベルm半径内の無機物を【対キャバリア地雷】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●無慈悲な砲撃

「ふん、あの小国の部隊にここまでの練度はあるまい。ならば、咎人が増えたという事か……忌々しい」

 セラフィム・リッパーのコックピットで、操縦者が吐き捨てる。何故、大人しく死ぬことが出来ないのか? 忌々しい、断罪の刃で命を散らしてこそ、魂が救われるというものを……。

「いや、それを理解できないからこそ咎人か。まぁ、いい」

 ギムレウス部隊への回線を開き、断罪者は当然の事のように告げた。

「最後のナイトゴーストの反応が途切れたそこへ――集中砲火せよ」

 的に倒されたのならば、その付近に敵がいるはずなのだ。特にステルス性能に優れたナイトゴーストを確実に倒すのには、近距離戦闘こそ効果的だ。

 ならば、敵は『そこ』にいる。だから撃て、と当然のように命じた――それが、生死不明のナイトゴーストのパイロットに止めを刺す行為になりかねないと知りながら。

 数秒の逡巡――ギムレウス部隊の一斉掃射が、指示した地点へと撃ち込まれていった……。
死絡・送
スーパーロボット、ジガンソーレで出撃。
「させるかよ!」
まずは気合いを入れてオーラ防御でバイヤーを貼り敵の砲撃から街をかばおうと試みます。
根性と継戦能力で踏ん張り、倒れないように頑張ります。
街の盾になりつつユーベルコードの光子魚雷一万発発射!! で反撃
し時間を稼ぎます。


メイスン・ドットハック
【SPD】
的確に攻撃目標を定めるのはいいけどのー
いつまでもそこにいるとは思わんことじゃのー

KIYOMORIからオブリビオンマシン形態「清盛」に移行
UC「帝雷を纏いし機竜よ、稲妻となれ」を発動して、砲撃方向へジェットウィングで加速して一気にギムレウス部隊へと肉薄する
メタルファングを出される前にレーザークローによる超高速斬撃で切り刻む
さらに去り際に肩からミサイルを射出して攪乱爆撃をするのも忘れない
敵陣を斬り裂くように高速飛行したら、切り替えしてもう一度低速飛行で突撃する

その機体が動かなくなるまで徹底的にやるからのー! じゃけど制御も大変じゃけー、とっとと壊れてくれると助かる!

アドリブ絡みOK



●戦端――三十秒の猶予のために

 ヒュオン――と砲弾が、荒野を飛ぶ。遥か彼方、超々遠距離からなる物理砲弾の一斉掃射。その味方さえ巻き込む砲弾の雨にまず素早く反応したのは、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)だった。

「的確に攻撃目標を定めるのはいいけどのー、いつまでもそこにいるとは思わんことじゃのー」

 ガシャン! とO-Ⅸ型機動強襲用二足歩行戦車型キャバリア「KIYOMORI」が変形していく。帝竜ワームの因子を覚醒させたオブリビオンマシン形態――O-Ⅹ型機動強襲雷竜型オブリビオンマシン「清盛」へと変形させた愛機を、メイスンは即座にジェットウィングによる加速で発進させた。

「こうなったらもう誰も止められんけーのー!」

 ドン! とソニックブームを巻き起こし、「清盛」が飛ぶ。帝雷を纏いし機竜よ、稲妻となれ(トール・レーゲンブリッツ)による加速は、単純計算で音速の約八倍強――その速度のコックピットから見ればもはや自分ではなく景色、世界が背後へ飛んでいくような錯覚させ覚える。

 その速度が引き起こす衝撃波を伴い、O-Ⅹ型機動強襲雷竜型オブリビオンマシン「清盛」は砲弾の隙間を通り過ぎていく。衝撃波に煽られ大きく乱れた砲弾の雨を待ち受けていたのは、死絡・送(ノーブルバット・f00528)が駆るスーパーロボット・ジガンソーレだ。

「させるかよ!」

 気合いを入れると同時、送はオーラの障壁を展開する! ドドドドドドドドドドドドォ! とオーラを軋ませ、揺るがす爆音。ジガンソーレはその爆発の圧を、渾身の力で受け止めた。

「お、お……!」

 送は歯を食いしばる。万が一を考えて、控えていたのだ。その当たってほしくない嫌な予感があたった――背後に逃せば、戦いを終えた直後の味方に降り注いでいた。すべてを止められなくとも、目の前のこの砲弾だけは自分が受け止めなくてはならない。

 そして、繋ぐのだ――『次』へ!

「全てを光に変えて消す!! 光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」

 ジガンソーレが爆発の圧力で踏みしめた地面を砕いた瞬間、送は光子魚雷一万発発射!! によって膨大な数の光子魚雷を撃ち放った。爆風と発射の反動、ジガンソーレの装甲が軋む。しかし、ジガンソーレは荒野の乾いた大地へ着地、踏み止まった。

「いっけ~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 光子魚雷は、砲撃モードによって超々遠距離による一斉掃射を行なっていたギムレウスの一角に着弾、豪快に吹き飛ばした。重装甲を誇るギムレウスでさえ、その場に踏みとどまる事も許されない。その刹那、夜空を白い光が貫いた。

 だが、送の光子魚雷による一撃は大きな意味を持っている。本来であれば射撃後散開、ポイントを変えて狙撃を繰り返そうとしていたギムレウスの連携を断ち切ったのだ。その時間は、約三十秒――短い、そう思う者もいるかも知れない。だが、この三十秒の空白こそ、ナイトゴーストを守るために動いていた仲間達への最大の支援となったのだ。

 だから、次に託すために送が通信した。

「頼む!」
「おう、任されたのじゃー」

 メイスンが、送の掃射によって動きを止めていたギムレウス達へと迫る。ギムレウスは、その両腕を機械で出来たワニの頭へと変形させて「清盛」をカウンターで迎撃しようとした。

 だが、その両腕が完全に変形する寸前、「清盛」のレーザークローが斬り飛ばす!

「その機体が動かなくなるまで徹底的にやるからのー! じゃけど制御も大変じゃけー、とっとと壊れてくれると助かる!」

 横回転一回、三百六十度に肩からミサイルを射出。メイスンは速度を落さずに、攪乱爆撃をするのを忘れなかった。

「ここからは逃さんのじゃー」

 ギムレウス部隊は、既に大きく左右に展開している。だからこそ、連携の要となるだろう、この中央を両断する意味は大きい。メイスンは、大きく「清盛」を急上昇させた後、再び目の前のギムレウス達へと襲いかかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎

【第六感】でギムレウスの砲撃を感知
せっかく殺さずに無力化したのにここで死なせてたまるかよ
周囲の岩や地面の裂け目などを【地形の利用】で盾にしてパイロットたちを隠し【拠点防御】【オーラ防御】を駆使して【かばう】
敵の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】
出来るだけこちらに届く前に天照で【焼却】して落とす
焼き落とした敵の攻撃から【生命力吸収】して受けた傷を修復しつつ
【カウンター】に転じるぜ
攻撃が飛んできた方向から【戦闘知識】で敵の位置を算出
UCによる超高速飛行で一気に接近しコックピットを外す形で敵を斬り
そのままヒットアンドアウェイで奴の「ワニ」の射程外まで離脱を繰り返すぜ


エスタシュ・ロックドア
やりやがったなあの野郎!
余程の潔癖性と見たぜ
しょうがねぇ
いっちょやるしかねぇか

『鋭晶黒羽』発動
【カウンター】の【範囲攻撃】だ
こっち向けて撃たれた弾全部斬ったる
無論、ナイトゴーストに向かってるやつもな
せっかく拾ってやった命だぜ
させるかよ
しかしこれじゃわざわざ付けたランチャーが使えねぇじゃねぇか
責任取ってそっちも黒羽食らいやがれ
弾の飛んできた方角はあっちか
そっちに向けて移動
発見した敵の砲口を狙うぜ
どんだけ装甲が厚かろうと、
戦闘中は砲門を閉じる暇なんざねぇもんな
勿論コックピットは狙いから外す

いかん、すでにこの機体色々やりやすいよーにイジりてぇ
俺好みのピーキーなヤツに
まだメインが残ってるから我慢だがな


鏡島・嵐
ッ、やっぱそう来るか……おれが逆の立場でも、きっと同じことするしさ! 尤もおれの場合は味方ごと撃つとかそういうんはしねーけど。
ともかくここで一網打尽にされるんはマズい。
なんとかして態勢を立て直さねーと……!

飛んでくる砲撃や敷設された地雷はキャバリアのセンサーとかで収集した情報と自前の〈第六感〉を組み合わせて大まかな着弾地点や埋設場所を割り出し、皆に警告。躱しきれねえなら〈オーラ防御〉も組み合わせて耐える。
量産型だからって嘗めんなよ。結構タフなの用意してもらってるんだぞ。

向こうの攻撃を凌いだら反転攻勢だな。
ユーベルコードで自機や僚機の損傷を修復しながら、〈援護射撃〉で体勢を立て直す時間を稼ぐ。


朱皇・ラヴィニア
援護希望

やれやれ、お次は砲弾のオーケストラか
少しだけ静かにしてもらうか――!

周辺各機、これより骸の海を放射するよ
その間射撃は不可能になるけど、それは敵も同じ……
僅かだけど、仕切り直しの時間を稼ぐから

余り使いたくは無かったけど
こういう時の為の切札さ
ブラディエル、オーバードライブ!
真紅の装甲がスライドし展開
刹那に無色の、空間を歪める何かを高速で放出する

敵は鈍重、大砲さえ使えなければ接近も容易さ
位置取りさえ上手く出来れば一気に巻き返せる
自機もそのまま前進し、良いタイミングでヴォイドを解除
さて……って、今度は地雷!?
成程、中々やるようだね
地面の無機物を踏み抜かない様に気を付けつつ
後は……うん、任せた!


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

【M.P.M.S】で砲撃をもう一撃。
今度はチャフや攪乱用のセンサーを撃ち出すよ。

着弾したら、撃ち出したセンサーを起点に【E.C.M】を展開。
ギムレウス部隊のセンサーを潰して、大佐の砲撃をサポート。

砲撃不能にできるといいんだけど、
最悪でも砲撃精度を落としていくよ。
早くしないとミホさんが大変なことになっちゃいそうだしね。

って、大佐も大変なことに!?
「セレーネさん? 機体壊したら整備班のみんなと罰ゲームだからね?」

墜としたギムレウスのパイロットたちも、
ストライダーで保護してもらえるとうれしいな。

こういうときは戦艦の大きさが生きるよね。
キャバリアごと収容させてもらっちゃうから、ねー!


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「ストライダーはこの場に待機。
怪我人や敵パイロットの収容を急いでください!
……私は、スティンガーで出ます!」

艦長席を立ち、格納庫のキャバリアに乗り込んで、カタパルトで発進します!
理緒さん、ミホさんが戦艦を守ってくれている間に、前線の錫華さんをサポートしましょう!

「敵が重砲撃型なら、こちらも重砲撃フレームに換装して対抗ですっ!
ストライダー、重砲撃フレーム射出!」

空中でノーマルフレームから【重砲フレーム】に換装して、ミサイルとロケットランチャーを撃ち込みましょう。

「って、敵の攻撃が激しくないですか―っ!?
機体を壊したら、また整備班の皆さんから罰ゲームでコスプレさせられますっ!?」


ミホ・ペルウィーシュ
引き続きルカに乗り【ガルヴォルン】へ随伴

『ナイトゴースト』部隊の人達を捕虜として
ストライダーへ収容していましたが、砲撃音が…!

ルカ、【嘆きの風啼く玄虚の稜錐塔】を喚びますよ
※詠唱は敬語

う、ぐっ…ひぃあああっ!!!
い、今の内に、収容を済ませて、くださいっ!

ボクは迷う事なく黒い円錐状の結界を展開
敵性体の侵入を拒む虚無が迫る砲弾の雨を喰います
ストライダーが収容を終えるまで…

ルカが砲撃で受ける責苦を『別の形』で転嫁する為
コクピット内、鎖で吊られたボクは酷い姿に…
でも人命を守れるなら、ボクはいいんです

収容が終わったら結界解除
『コズミック・レイン』の【レーザー射撃】で援護射撃を
大佐、重装同士は危険です…!


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

味方ごとでも構わない、か。
まともな指揮官のすることではないね。

機体のチューンはそのまま。
機動力と味方の援護を受けて、砲撃をかわしていこう。
アミシアにも動力補正と攻撃予測をお願いしようかな。

回避機動をしながら、ギムレウスの部隊に突撃。

攻撃は接近戦に持ち込んで【モーターブーム】を使いながら、
相手の手足を切り落として、行動不能にしていこう。

大佐……出たのか。また機体壊さないといいけど。
今度はどんなコスプレさせられるやら。

コクピットから脱出したパイロットには、
ストライダーに行けば保護してもらえることを伝えて、
速やかな避難を促したいと思うよ。
「あの戦艦。あそこにみんないるから、行って」


アルナスル・アミューレンス
へぇ、中々理に適った攻撃も出来るんだねぇ。
斥候を即座にマーカーにするなんてさぁ。

先ずは、『枯渇』を継続して砲撃を全部捕食してから、かなぁ。
撃ってくれた方向と戦闘知識から敵軍の方向を見切り、行動開始しましょうか。

砲撃の方角とは反対側の、適度な高台へ闇に紛れて移動して、っと。
――さあ、そっちは見えた。
『排除(ネラウ)』としようか。
射程外から一方的に撃たれる恐怖を教えてあげるよ。

暗視と強化された視力で敵を索敵して捕捉。
スナイパーとしての腕をお見せしますよっと。
コックピットまで吹き飛ばないように調整しつつ、戦闘不能になるような部位破壊を狙いましょうか。
音より先に届く砲弾で、気付くより先に大破させるよ。



●三十秒の攻防

 ――仲間が稼いでくれた三十秒。それを残りの者は、一秒たりとも無駄にしなかった。
「ストライダーはこの場に待機。怪我人や敵パイロットの収容を急いでください!」

 セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)は、そう言った瞬間には既に艦長席から走り出していた。

「……私は、スティンガーで出ます!」

 直撃の砲弾は、既に受け止められている。しかし、問題は直撃は免れた砲弾だ。その爆発の瓦礫を受ければ、人はそれだけで死に至るだろう。

「ルカ、【嘆きの風啼く玄虚の稜錐塔】を喚びますよ。構いません……ボクを、生贄に…んぐ、ぅあああっ!?」

 ストライダーに爆風が届く直前、ミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)のバル・ゴルカが害悪を喰う結界の礎をなり、黒い円錐状の結界を展開する。ミホの嘆きの風啼く玄虚の稜錐塔(アーク・イネイン・ギムレット)は、爆風を喰らい人々を守る虚無の塔へとなったのだ。

「う、ぐっ……ひぃあああっ!!! い、今の内に、収容を済ませて、くださいっ!」
「あの戦艦。あそこにみんないるから、行って」

 支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、そうナイトゴーストのパイロット達に告げる。その意味を理解したのだろう、慌ててパイロット達はストライダーへと駆けていった。

「味方ごとでも構わない、か。まともな指揮官のすることではないね」

 これがチェスや将棋であったのならば、駒の交換という意味で正しい選択なのだろう。ポーンでナイトやビショップ、あるいはルークやクィーンを取れるならそれは大きな意味を持つ。しかし、これは卓上遊戯ではない――ひとりひとり、命ある人間なのだ。

「ッ、やっぱそう来るか……おれが逆の立場でも、きっと同じことするしさ! 尤もおれの場合は味方ごと撃つとかそういうんはしねーけど。ともかくここで一網打尽にされるんはマズい。なんとかして態勢を立て直さねーと……!」

 敵が一瞬にして人質に変わる現実、それを前に鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)はキャリバーを盾に爆風を遮っていく!

「量産型だからって嘗めんなよ。結構タフなの用意してもらってるんだぞ!」

 それでも、爆風の勢いは大きい。強烈な風に煽られ、重量型重装甲が大きくのけぞる。だが、大きな衝撃で揺れる程度ですんだのはキャリバーの重装甲あっての事だ。

「やりやがったなあの野郎! 余程の潔癖性と見たぜ。しょうがねぇ、いっちょやるしかねぇか」
「へぇ、中々理に適った攻撃も出来るんだねぇ。斥候を即座にマーカーにするなんてさぁ」

 そして、エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)が鋭晶黒羽(オブシディアンフェザー)で飛び立ち、アルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)が枯渇(ウバウ)によって黒い不定形の異形へと変わる。

 右へ飛んだエスタシュの薙ぎ払いが砲弾の雨を断ち切り、左側へ立ち塞がった黒い壁となったアルナスルが、砲弾を次々と食い潰していった。

 ――ここまでが、三十秒。もちろん、ストライダーへのナイトゴーストのパイロット達の収容は終わっていない。中央は分断されているものの、左右に散ったギムレウス達の砲塔はまだ照準は、こちらを向いたままだった。

「させないよ!」

 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)がM.P.M.Sを真上へと砲撃――その直後、煌めく光の粒子が爆風に乗って戦場へ降り注いだ。

 その時、ギムレウス部隊は混乱の中にいた。この光の粒子の正体はチャフだ――超々遠距離砲撃の要、目そのものであるセンサーを潰されたのだ。それは唐突に視界を失った事と等しい。

『――馬鹿者が! 事前のデータを参考に撃ち込め! 当たらずとも爆風でダメージは見込めるであろうが!』

 セラフィム・リッパーからの叱咤が、ギムレウス部隊を正気に戻す。すぐさま引き金を引こうとしたギムレウス部隊は、しかし、突然の衝撃にそれを遮られた。


「やれやれ、お次は砲弾のオーケストラか。少しだけ静かにしてもらうか――! 余り使いたくは無かったけど、こういう時の為の切札さ。ブラディエル、オーバードライブ!」

 お返しとばかりに朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)の真紅の装甲がスライドし展開、刹那に無色の、空間を歪める何かを高速で放出――ラヴィニアのオブリビオン・ヴォイドによる骸の海が、衝撃が駆け抜けた。それでもギムレウス部隊が打ち返せたのは、その腕の確かさがあったらだろう。

 しかし、理緒のチャフに目を潰されラヴィニアの骸の海の衝撃に飲まれた砲撃は着弾点があまりにも遠い。

「せっかく殺さずに無力化したのにここで死なせてたまるかよ」

 久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)がオーラ防御によって爆発から最後のパイロット達を守り、ストライダーへの移動を終えた。最後の一人が振り返り、悲痛な表情で声を張り上げた。

「都合のいい事だと思っている! それでも――頼む! あいつらも助けてやってくれ!」

 それは正気からなる、血を吐くような懇願だった。その願いに、遥翔は迷わず答えた。

「任せろ」

 それでお互いに十分だった。パイロットがストライダーに駆け込み、見届けた遥翔は振り返る。

「スティンガー、出ます!」
「大佐……出たのか。また機体壊さないといいけど。今度はどんなコスプレさせられるやら」

 カタパルトからセレーネが駆るスティンガーが射出され、それを見て錫華がため息混じりにこぼす。全戦力による迎撃戦が、ここについに幕を開けた。

●戦場を駆け抜けて

 嵐は迫る砲弾の雨に構わず、全速力で前方に駆け抜けていく。左右にセンサーの反応に従いかわし、その隙間にキャリバーからの支援砲撃を叩き込んでいった。

「時間は稼ぐ、頼むぜ!」

 敵を引き付けた上での嵐の援護射撃は、ギムレウス部隊の足を止める。しかし、向こうも軍隊――戦争のプロだ。やられたままではいない。無機物――岩を変化させた地雷が、その猟兵達の動きを封じていた。

「今度は地雷!? 成程、中々やるようだね」

 ラヴィニアのオブリビオン・ヴォイドが、戦場を飲み込むように放たれる。砲撃を無効化する骸の海の放出は、砲撃型のギムレウス部隊にとって天敵と言っていい。それをカバーするように広く広く各機散開するが――それは砲撃型の強味である連携も奪われる事を意味していた。

「各個撃破させてもらおう」

 遥翔が、一気に間合いを詰める。岩陰を利用し間合いを詰めた遥翔に、太陽を灼く黄昏の剣(ラグナレク・キャリバー)の一撃で、手脚を切り飛ばし進んでいく! 紅蓮の焔が夜に軌跡を描くその光景は、上空か見ればまさに焔の道を切り拓くようだった。

「しかしこれじゃわざわざ付けたランチャーが使えねぇじゃねぇか。責任取ってそっちも黒羽食らいやがれ」

 そして、エスタシュの鋭晶黒羽(オブシディアンフェザー)が撃ち放たれる。自身に宿る地獄より岩をも刻む黒い鴉の羽根は、ギムレウス達の砲塔を切り裂き、装甲を切り裂いていく。キャリバーのサポートもあり、見事狙い通りにコックピットだけを外していけた。

 その光景を光学センサー越しに見て、エスタシュは唸った。

「いかん、すでにこの機体色々やりやすいよーにイジりてぇ。俺好みのピーキーなヤツに。まだメインが残ってるから我慢だがな」

「敵が重砲撃型なら、こちらも重砲撃フレームに換装して対抗ですっ! ストライダー、重砲撃フレーム射出!」

 セレーネのスティンガーが、空中で重砲撃フレームのパーツに換装。着地の瞬間、ギムレウス達の砲弾が降り注いだ。

「って、敵の攻撃が激しくないですか―っ!?」
『セレーネさん? 機体壊したら整備班のみんなと罰ゲームだからね?』
「そうですよ!? 機体を壊したら、また整備班の皆さんから罰ゲームでコスプレさせられますっ!?」

 理緒からの通信によるツッコミに、セレーネは必死になって砲弾を迎撃する。それを通信越しに聞きながら、錫華は前進――モーターブームによってキャリバーの重量を乗せた一撃でギムレウスの分厚い装甲を両断した。

「烈破……!」

 ガゴンガゴンガゴン、と止まる事なく、ギムレウスの脚を切断。地面に転がったギムレウスの残骸から起き上がったパイロットへ、錫華は告げた。

「あの戦艦。あそこにみんないるから、行って」
「な!?」

 驚きの声を上げるパイロットを、錫華は振り返らない。まだまだ、多くの敵が残っているからだ。

「ぐ、は……は、やく……!」

 嘆きの風啼く玄虚の稜錐塔(アーク・イネイン・ギムレット)によって砲撃で受ける責苦を『別の形』で転嫁するため、コクピット内で鎖で吊られたミホがうめき声を上げる。ギムレウスのパイロット達が、こちらに向かってくるのを苦痛の中でミホは見続けていた。

(「でも人命を守れるなら、ボクはいいんです」)
「早くしろ! この人達も限界が近いはずだ!」

 そのミホの想いがあったからこそ、ナイトゴーストのパイロットからのギムレウスの呼びかけは強くミホの心に響いた。彼ら自身が、必ずしも悪ではなかった……それを守れたのだ、という想いが。

「――さぁ、そっちは見えた。射程外から一方的に撃たれる恐怖を教えてあげるよ」

 排除(ネラウ)による高台からの狙撃。その音さえ置き去りにする砲撃が、ギムレウス達を撃ち落としていく。

「こういうときは戦艦の大きさが生きるよね。キャバリアごと収容させてもらっちゃうから、ねー!」

 E.C.M.によるギムレウス部隊のセンサーを潰し、理緒は次々とパイロット達をストライダーへと回収していく。

 信じられるだろうか? あるいは、誰も予想していなかったかもしない。ナイトゴースト・ギムレウス、双方の部隊で人的損失はまったくの零――怪我人はいても死者はおらず、パイロット達さえ協力してくれるなど。

 だからこそ、この状況を許せぬ者がただ一人だけこの戦場に残された……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鋼鉄の断罪者

「度し難い! 度し難いぞ、咎人ども! だから、貴様らが罪深いのだ!」

 セラフィム・リッパーの中で、操縦者が鬼の形相で吐き捨てた。自身に従い、ここまでやって来た者達は殉教者であったはずだ。死によって完成する殉教、それを否定した――その事実が、彼には許せなかった。

「一度の断罪では生温い! 断罪し、殺しても断罪し、命散った後も断罪し、欠片も残さず断罪、朽ち果てようと断罪、断罪、断罪ィ断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪ィいいいいいいいいいいい!!」

 口の端から泡を吹きながら、純然たる怒りに身を任せセラフィム・リッパーが荒野を駆ける。当てになる者がいないならば、己の手で断罪を下すまで――夜明けが、近い。咎人どもに朝日を拝ませてなるものか、とセラフィム・リッパーは大地を疾走した。
久遠寺・遥翔
アドリブ歓迎

こいつは今までの相手とは格が違うな
完全に飲み込まれてやがるか
だがまだ救う道はあるはずだ

何とか正気を取り戻すよう声をかけつつ戦う
「あんたの本当の望みはそれじゃないだろ!
断罪に殉じようなど最初に思ったのはどうしてだ?
それはそのマシンの呪いであってあんたの願いじゃないはずだ!」

UCを使用
あんな剣が相手なら装甲なんて飾りだ
動力の骸魂オブリビオン・イグニスの力を引き出し
装甲を犠牲に攻撃力を高める疑似覚醒形態でいく

高機動の【空中戦】を展開
相手の軌道を【見切り】
【オーラ防御】【残像】による熱を持った分身を斬らせ
焔の刀で【2回攻撃】
その宿業ごと断ち切り【焼却】する
コックピットは外して何とか救出だ


メイスン・ドットハック
【WIZ】
断罪断罪うるさいのー
そんなに罪を裁きたいなら、己の罪でも裁いていることじゃのー

引き続きオブリビオンマシン形態「清盛」で出撃
敵の光の翼の軌道を確認したら、UC「機竜の大海、空にありて天罰を下さん」を発動して、ドラゴンヘッドから帝竜ワームの質量のある雷雲の海を展開
無尽蔵の落雷で攻撃しつつ、プラズマビームを無力化する
さらに雷を吸収しながら高速飛翔をしてレーザークローで攻撃、1分20秒まで展開を続けて敵攻撃・行動を阻害しながらアタックする

何も出来んのはつらいじゃろーのー。じゃけど限界はあるけー、さっさと沈むといいのー!

リソース限界になったら素直に撤退する

アドリブ絡みOK


鏡島・嵐
罪深かろうとなんだろうと、おれはテメエの流儀に付き合うつもりは無え!
そもそも、冤罪でそこまで言われるなんて堪ったもんじゃねーよ!
(恐怖を押し殺し、生まれつきの明瞭な声で言い返す)

事前に懐に忍ばせておいた《忠義貫く犬の祝福》で作ったメダルをお守り代わりに。……大丈夫、今日のおれにはツキも味方してる、きっと。
相手が放ってくる光線を〈第六感〉を頼りにして〈見切り〉、それでも足りない分は幸運と〈オーラ防御〉で被害を減らす。頑丈な機体を借りたんだ、これくらいならまだいけるはず……!

あとは近くにいる味方に〈援護射撃〉を撃ったり、敵の動きをよく見て〈武器落とし〉や〈目潰し〉を仕掛けて妨害したり。


エスタシュ・ロックドア
取り憑かれるとああなるのか
度し難いのはどっちだか
安心しな
断罪は間違いなく行われる
ただし執行人はテメェじゃねぇ
俺が代わりにやってやる
任せとけこちとら獄卒よ
キッチリ仕事してやらぁ

『群青業火』発動
ランチャーに点火しとく
こっちからお伺いしようと思ったが、
あの様子なら待ち構えた方が早いか
こっちに斬り掛かって来たところを【カウンター】
ランチャーから業火ぶっぱなして【範囲攻撃】
地獄のお味はどうだ熾天使
なかなか悪くないだろ
ところでその斬艦刀、耐火性は何度までだ?
パーツ斬られようと出血するように業火垂れ流し続けて【焼却】

まぁここまで来りゃ当然コックピット周りは消火しとくけどな
裁くべき罪はそこにねぇ


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「いよいよ敵のリーダーが出てきましたね!
あのオブリビオンマシンを倒せば我々の目的は達成です!」

引き続き、【重砲フレーム】に換装したスティンガーに乗って、オブリビオンマシンと対峙しましょう。

「錫華さん、ミホさん、援護しますっ!
行きます、【オーバーブースト・マキシマイザー】!!」

機体のリミッターを解除することで超高速飛行をしながら、敵に重砲フレームの全武装、ミサイルやロケットランチャーなどを全弾発射です!

一発くらい味方に当たっても誤射ですよね?

「って、あれっ、エネルギー切れっ!?」

全力稼働時間が過ぎた機体が停止してしまい……

「きゃああっ」

クリスタルビットの攻撃にさらされるのでした。


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

殉教ね……そして一度の断罪では生温い、か。
そうだね。その通りだね。一度の断罪では生温い。

「咎人」のあなたには、死ぬことも許さないからね。
死ぬまで生きて、しっかり償ってもらおう。

アミシア【アーマー・パージ】
一撃は向こうが重そうだから、こっちはスピードで勝負するよ。
ヒットアンドアウェイを基本に攪乱して行くことにしよう。

大佐は、そのフレームなら前には出ないよね。
後方から援護してもらえると……って!?

全力全開射撃って、わたしたち前にいるんだけど……。

機体を掠めて飛んでいく砲弾に、小さく溜息
……また採算度外視して、ミスランディアに怒られるよ?

必要経費で落としてもらえるといいんだけどね。


ミホ・ペルウィーシュ
ルカに乗り【ガルヴォルン】へ随伴
…甚振りで漏れた血や汗等々はそのまま
そもそも四肢を呪いの鎖で吊る
異様なコクピットですから

なので『トレウスの虚刃』を抜き払い
気力を振り絞り騎士の如く前衛に飛び出ます
大佐の砲撃と理緒さん・錫華さんの補助を信じ…え?

ビットやビーム…【瞬間思考力】で対処
大佐からの流れ弾は避けて敵機への【フェイント】に
あの、大佐…危ないですってばっ

でもコレを活かして接敵
切り結びつつ近接通信を開きます

…ボクらの狙いは人の命でなく、
罪を偽る咎の邪剣を…その機体を屠る事
だから、少し堪えてくださいね…

【絶刃を虚の涯に求めて】剣の封印を4段階開放
盛大に喀血しつつ、紅く光る【呪詛】の刃で両断します!


菫宮・理緒
なんだか「断罪」がゲシュタルト崩壊起こしそうだけど、
ま、それはおいておいて、
引き続き、みんなのサポートをしていくね。

【ハッキング】と【ジャミング】で、
セラフィム・リッパーの機動を妨害しつつ、
【不可測演算】で弾き出した攻撃予測結果をみんなと共有。
攻撃回避の手助けをしていきたいな。

あ、もちろんストライダーの回避行動にも反映させるよ。
戦艦だし、目立つし、避難してきた人たちいるし、
絶対に沈められるわけにはいかないから、
ミスランディアさんとタッグを組んで、完璧な回避を見せちゃうよ!

もし流れ弾とか飛んできたら【等価具現】で打ち消していきたいけど……。
あれ? あの砲弾……セレーネさんの機体からのじゃ……?


アルナスル・アミューレンス
オブリビオンマシンは、元来の抱えてる物を増幅させるみたいだけど……
いやぁ、哀れだねぇ。
元々過激な思想を持っていたんだろうけど、
ここまで狂ったら、もう戻る場所も無いだろうねぇ。

まぁ、進む場所も無いんだけどね。
何処へも逃がさない、ここで『断絶(トラエ)』て終わらせるよ。

放つは、オブリビオンを貪り喰らう偽神細胞を込めた暴食の砲弾。
何処までも加速し、妨害や迎撃すら捕食し、縦横無尽に飛び交い幾度も襲い掛かるよ。
剣で斬った所で止まらないよ。
ソレも、喰らい潰すからさ。

ああ、大丈夫。
ヒトには当たらないからさ。
いっそ死んだほうが楽になれるかもだけど、殺してはあげないよ。
死なせてもあげないよ。


朱皇・ラヴィニア
死ぬ事で完成……言葉は悪いけど、あながち間違ってはいないかも
でもね、死ぬのと理不尽に殺されるのは別だ
全てを終えるのと終らされるのは全く違う
それはエゴだ、生きてるからこそ生まれる妄執だ
だからボクは、君を止めるよ

肉体改造でゼルの駆動系をチューン
走り回って攪乱し、光の翼の展開を狙う
広域照射じゃなきゃ捉えられない様にね
奴が翼を広げたら足を止め対峙、続けて腕部装甲展開
両腕を十字に重ねて荷電粒子砲を発射するよ
相手のプラズマビームを貫通出来る様に集束して
光の翼を破壊する。そうすればビームは止まる筈

武装を無効化したら大剣に展張した147を担いで突撃
重量攻撃で体勢を崩して、四肢や頭部を破壊して
中の人を助けるよ!



●断罪を成す者

「一度の断罪では生温い! 断罪し、殺しても断罪し、命散った後も断罪し、欠片も残さず断罪、朽ち果てようと断罪、断罪、断罪ィ断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪断罪ィいいいいいいいいいいい!!」

 その狂気の叫びと共に、セラフィム・リッパーが疾駆する。その既道中にあって、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が呟いた。

「なんだか「断罪」がゲシュタルト崩壊起こしそうだけど……」
「いよいよ敵のリーダーが出てきましたね! あのオブリビオンマシンを倒せば我々の目的は達成です!」

 セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)の言葉には、大きな意味がある。再確認であり、それは決意を新たにするのに必要な『儀式』だ。

「こいつは今までの相手とは格が違うな。完全に飲み込まれてやがるか、だがまだ救う道はあるはずだ」

 久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)が、状況を把握する。それは、自分が成すべき事の把握に他ならない。

「罪深かろうとなんだろうと、おれはテメエの流儀に付き合うつもりは無え! そもそも、冤罪でそこまで言われるなんて堪ったもんじゃねーよ!」

 鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が、恐怖を押し殺し、生まれつきの明瞭な声で言い返す。それは、己の背後に守るべき者達がいるという事を再確認する事に他ならない。

「死ぬ事で完成……言葉は悪いけど、あながち間違ってはいないかも。でもね、死ぬのと理不尽に殺されるのは別だ。全てを終えるのと終らされるのは全く違う。それはエゴだ、生きてるからこそ生まれる妄執だ。だからボクは、君を止めるよ」

 朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)が、認めた上で否定する。それは、ここで自分が立つ理由の宣言に他ならない。

 セレーネの言葉は、迫るセラフィム・リッパーにどう相対するかそれを知るための『儀式』のきっかけになる――だが、当の相手にとっては知った事では無かった。

「だんっ、ざいぃ!!!」

 セラフィム・リッパーが、光翼を展開する。その光の翼を薙ぐように横回転――フォールンウイングのプラズマビームが、夜の荒野を薙ぎ払った。

「断罪断罪うるさいのー。そんなに罪を裁きたいなら、己の罪でも裁いていることじゃのー」

 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、すかさずO-Ⅹ型機動強襲雷竜型オブリビオンマシン「清盛」のドラゴンヘッド、そのブレス放射装置によって帝竜ワームの質量のある雷雲の海を放出、無数の落雷のカーテンでブラズマビームを遮断した。

「ま、だ、です!」

 ガシャリ、と鎖を鳴らし、ミホ・ペルウィーシュ(凶鳥に魅入られし虚刃の魔女・f29987)が上を見上げる。フォールンウイングのプラズマビーム、その放射を噴射の代わりに跳躍したセラフィム・リッパーが、跳躍して迫って来た事をミホは見逃さなかったのだ。

「断罪――ッ!!」

 ドォ! と落下の勢いも利用したセラフィム・リッパーの断罪の剣が、荒野に大きな傷跡を刻む。巻き上がる砂塵、その中を幽鬼がごとく立ち上がるセラフィム・リッパーの周囲に、膨大な数のエンジェルビットが放出されていく。

「殉教ね……そして一度の断罪では生温い、か。そうだね。その通りだね。一度の断罪では生温い。「咎人」のあなたには、死ぬことも許さないからね。死ぬまで生きて、しっかり償ってもらおう」

 その地獄の悪鬼も裸足で逃げ出しそうな天使を前に、支倉・錫華(Gambenero・f29951)は当然の事のように言ってのける。いや、オブリビオンを前にした猟兵として正しいと態度と言うべきか。

「取り憑かれるとああなるのか、度し難いのはどっちだか。安心しな、断罪は間違いなく行われる。ただし執行人はテメェじゃねぇ。俺が代わりにやってやる。任せとけこちとら獄卒よ、キッチリ仕事してやらぁ」

 そして、獄卒――エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)が言ってのける。獄卒として、猟兵として、罪を裁くのは己だ、と。

「ああ、あああ、ああああああああああああああ!? なぁにを言ってるぅ! 大人しくその首を差し出せ、咎人ともがぁ!!」
「オブリビオンマシンは、元来の抱えてる物を増幅させるみたいだけど……いやぁ、哀れだねぇ。元々過激な思想を持っていたんだろうけど、ここまで狂ったら、もう戻る場所も無いだろうねぇ」

 アルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)は、生身一つでその天使の名を冠するオブリビオンマシンに揺るがず言ってのける。

「まぁ、進む場所も無いんだけどね。何処へも逃がさない、ここで『断絶(トラエ)』て終わらせるよ」
「終わるのは、お前らだああああああああああ!!」

 ヒュガガガガガガガガガガガガガ! と弾けた花火のように、セラフィム・リッパーのエンジェルビットが視界を純白に埋め尽くした。

●刃の振るわれる先

 それは正確には純白一色ではない。純白のレーザーが隙間なく放たれた事で、光の格子の隙間が見えなくなっているだけだ。

「させるか」

 アルナスルが即座に撃ち放ったのは、オブリビオンを貪り喰らう偽神細胞を込めた暴食の砲弾。アルナスルの断絶(トラエ)が、BS-Fクリスタルビットの一つを撃ち抜くと、満たされる事を知らない偽神細胞が、次から次へと獲物を求めてクリスタルビットを食らっていく。

「クリスタルビットのデータです、送信します」

 理緒がハッキングとジャミングを併用、仲間達のキャバリアへBS-Fクリスタルビットの位置情報をリアルタイムで送信していく。次々に貪られるクリスタルビットのデータを把握して、錫華が呟く。

「アミシア、【アーマー・パージ】」

 錫華のパートナーユニット、アミシア・プロフェットは指示に従ってキャバリアの装甲を切り離していく。最小限度の装甲とフレームのみとなったキャバリアで、錫華はデータを信じて迷わず光の中へ飛び込んだ。

 ギュガ! と地面を削りながら疾走。錫華は高速機動で駆け抜け、砲撃でクリスタルビットを撃ち落としていく。一撃の重い相手へ、機動力重視の戦闘に切り替えたのだ。

「……大丈夫、今日のおれにはツキも味方してる、きっと」

 嵐は懐に忍ばせておいた《忠義貫く犬の祝福》で作ったメダルに触れ、その感触に自分に言い聞かせる。そのまま、アルナスルと錫華が広げた隙間へと嵐は飛び込んだ。まるでサーカスで火の輪くぐりをさせられる動物になった気分だ、かすっただけで装甲を軋ませる光線の中を駆け抜け、ついに見えたセラフィム・リッパーに砲撃を撃ち込んでいく!

 ドドドドドドドドドドォ!! とセラフィム・リッパーが紙一重で砲弾を回避。だが、その回避行動のために、クリスタルビットの動きが大きく乱れた。

「ほれ、一網打尽じゃのー」

 メイスンの機竜の大海、空にありて天罰を下さん(パニッシュメント・プリズン)による雷の雨が、クリスタルビットを撃ち抜いていく。それを見たセラフィム・リッパーの判断は単純明快――前進だった。

 ドォ!! と再び放たれるセラフィム・リッパーのフォールンウイング――そのプラズマビームを迎え撃ったのは、ラヴィニアのシュラウゼルだ。

「止めるよ」

 ガシャン! とシュラウゼルの腕部装甲が展開。それを十字に重ね、生体荷電粒子砲(プラズミック・ブラスター)で相殺した。

 セラフィム・リッパーとシュラウゼルの中心で、プラズマが絡み合い――爆発する! その爆風に乗ったセラフィム・リッパーが、大上段に無敵斬艦刀を振り上げた。

「此処に示すは我が血潮、罪過を焙る地獄の炉、以て振るうは臓腑の火。――焼き払うぜ、灰も残さねぇよ」

 その跳躍したセラフィム・リッパーへ、エスタシュは群青業火(ブレイズアズール)によってランチャーに群青色の炎を着火。カウンター気味に、撃ち込んだ。

 ズザン! とセラフィム・リッパーはすかさず目標を砲弾に変え、斬激を繰り出す。砲弾が両断され――後方で二つの爆発が起きた。

「あんな剣が相手なら装甲なんて飾りだ――SYSTEM-IGNIS起動!」

 遥翔は、動力の骸魂オブリビオン・イグニスの力を引き出して装甲を犠牲に攻撃力を高める疑似覚醒形態へ移行。そのまま高速機動で、セラフィム・リッパーに肉薄した。ギギギギギギギギン! と焔黒剣イグニスと無敵斬艦刀が火花を散らす。

「――ッ!!」

 声にならない裂帛の気合いと共に、ミホがトレウスの虚刃を抜いたパル・ゴルカでそこに加わる。ただ、全身全霊を持って切り伏せるのみ。何故ならば――。

「大佐の砲撃と理緒さん・錫華さんの補助を信じ――」
「錫華さん、ミホさん、援護しますっ! 行きます、【オーバーブースト・マキシマイザー】!!」」
「……え?」

 ミホが思わず振り返った瞬間、スティンガーのリミッターを解除することで超高速飛行。重砲フレームの全武装、ミサイルやロケットランチャーなどを全弾発射するセレーナがいた訳で。

「全力全開射撃って、わたしたち前にいるんだけど……」
「あれ? あの砲弾……セレーネさんの機体からのじゃ……?」

 ガルヴォルンのメンバーに嫌な予感が、的中する――夜の荒野に、盛大な爆発音が鳴り響いた。

●断罪は誰がために

「何も出来んのはつらいじゃろーのー。じゃけど限界はあるけー、さっさと沈むといいのー!」

 清盛のレーザークローを振るいながら、メイスンが言う。それにセラフィム・リッパーのパイロットが答えた。

「ならば、潔く裁かれろォ!」
「あー、話が通じんのー」

 互いに互い、最初からフルスロットルだ。ただ、すべてに渾身を込めて振るうのみ――だからこそ、この戦いは短期決戦で終わる。

「頑丈な機体を借りたんだ、これくらいならまだいけるはず……!」

 ヒュガガガガガガガガガガガガガガ! とエンジェルビットのレーザーの豪雨を受けながらも嵐は退かない。オーラによる防御があるとはいえ、決してその射撃は軽くない――この機体を選んでくれた人達への感謝が、嵐にこみ上げる。

「だからこそ――いけえええええええええええええええええええ!!」

 嵐が撃ち放った砲弾が、セラフィム・リッパーに着弾する。大きく揺らすセラフィム・リッパー――だが、天使の名を持つオブリビオンマシンは、強引に前へ出る。

「断罪、するのだ! 咎人どもめがあああああああああああ!」
「そうか。なら、ソレも喰らい潰すとしよう」

 アルナスルの断絶(トラエ)が、砲撃される。セラフィム・リッパーはそれを斬艦刀で切り払い――驚愕の声を上げた。砲弾は斬ったはずだ、だというのに刃が欠けていくのだ。

「剣で斬った所で止まらないよ。言っただろう? ソレも喰らい潰すと……ああ、大丈夫。ヒトには当たらないからさ。いっそ死んだほうが楽になれるかもだけど、殺してはあげないよ。死なせてもあげないよ」

 ただ貪欲に食いつぶしていく暴食の偽神細胞――それにセラフィム・リッパーは斬艦刀を振りかぶり、投擲した。その先にいたのは、シュラウゼルだ。

「止めると言った!」

 ラヴィニアは迫る斬艦刀をRX-147ロストオウスで、斬り伏せる。刃は斥力によって、触れずに切断される――その振るう勢いで駆けたシュラウゼルは、ラヴィニアの意志と願いを受けてセラフィム・リッパーの右腕を斬り飛ばした。

「が、あああああああああああああああああ!!」

 吼えたセラフィム・リッパーが、エンジェルビットを展開する。それを見て、セレーネがスティンガーで突貫した。

「やらせません! 【オーバーブースト・マキシマイザー】!!」
『あ、やりおったのう』

 EP機械知性体ユニット『ミスランディア』が止めるより早く、セレーネは全砲弾を一斉掃射しようとして――スティンガーが落下した。

「って、あれっ、エネルギー切れっ!?」
「……また採算度外視して。ミスランディアに怒られるよ? 必要経費で落としてもらえるといいんだけどね」

 エンジェルビットのレーザーに晒される直前、錫華が高速機動でスティンガーを拾って緊急回避する。ダンダン! と牽制射撃を重ねる錫華とセレーネを、セラフィム・リッパーは逃さない。

「裁かれろォ! 断罪!!」

 ヒュゴ! とフォールンウイングのプラズマビームが、二人を追う。それを防いだのは、理緒だ。

「同位、検索……具現化シークエンス起動」

 理緒の等価具現によって、電脳世界の情報を元に具現化したプラズマビームがフォールンウイングのプラズマビームを相殺する。鈍い爆発音、その爆発に紛れてミホのパル・ゴルカがセラフィム・リッパーに肉薄した。

「……ボクらの狙いは人の命でなく、罪を偽る咎の邪剣を……その機体を屠る事。だから、少し堪えてくださいね……」
「黙れ、邪悪は! 咎人は、お前達――」

 近接通信を開き告げるミホに、セラフィム・リッパーが左の肘を落とそうとする――だが、その左腕が握り潰された。メイスンのレーザークローだ。

「いい加減、観念するのじゃなー」

 そして、セラフィム・リッパーの背中が――光の翼のスロットが破壊される。零距離での、エスタシュのランチャーだ。地獄の業火である群青色の炎は、セラフィム・リッパーを飲み込む寸前で掻き消えた。

「何の、つもりだ!?」

 このまま、地獄の業火で焼き尽くす事も決して不可能ではなかったはずだ。それがわかったからの問いに、エスタシュは淡々と答えた。

「裁くべき罪はそこにねぇ」

 ガシャン! とセラフィム・リッパーが揺れる。覆いかぶさるように、遥翔が押さえつけたのだ。

「あんたの本当の望みはそれじゃないだろ! 断罪に殉じようなど最初に思ったのはどうしてだ? それはそのマシンの呪いであってあんたの願いじゃないはずだ!」
「私は! わ、たしは……軍人と、して、プラントを、我が国……に、そのためなら、な、んでも……!」

 その言葉は、最後まで紡がれない。盛大に喀血しながら繰り出された、ミホの絶刃を虚の涯に求めて(ドラスティック・エグゼキューショナー)と遥翔の焔の刀による宿業を断ち切る斬撃が、セラフィム・リッパーを斬り伏せたのだ。

 言える事は、ただ一つ。セラフィム・リッパーが、それを防ごうとする事はなかった。強引にコックピットからパイロットを救い出し、猟兵は後退――その直後、暗雲を貫く爆発が巻き起こった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月04日


挿絵イラスト